○
板垣正君
沖縄の問題が、いろいろな
意味で
全国の、またある
意味では全
世界の注目の中で、しかも
沖縄県民の
皆さん方の
思いというものを深く察しつつ今あるわけでございます。
私も仕事の
関係、つまり戦没された
方々の遺族の
関係あるいは戦没された
方々の
慰霊の
関係、こういう
かかわりでございますけれ
ども、
沖縄県とのつながりはもう昭和三十年代の初めから、ほとんど毎年のように
現地に伺う、あるいは
沖縄からもお見えになる。その間、
本土復帰という歴史的な日を目の当たりにいたしましたし、またその後の
沖縄の第一次振計以来の
発展の姿、そして
沖縄の
皆さん方の、厳しい中にもあの
試練を乗り越えてたくましく生き抜いておられる、しかも常に歌と踊りは忘れないという、こういう姿に深い感銘を与えられつつ、長年お世話にも相なってきた
立場であります。
しかし、そうしたみずからは
沖縄についてはよく触れ合っているというふうな
思いは持っておりましたけれ
ども、このたびの
沖縄における不祥事を起点とする、改めてのこの
沖縄基地問題というものがまさに真っ正面に提起され、深刻な問題に直面をいたしまして、私は改めて本当の
沖縄というものをまだ理解できていなかったと。
ただ、
沖縄の
方々の必死になって頑張っておられるあのお姿に、またあれだけ丁重に
戦没者の
慰霊碑を建ててお祭りをしていただいておる、香華を絶やさない、そういう本当に心温まるものに、ある
意味では身を任せるといいますか、甘えると申しますか、それらを包み込んだもっともっと深刻な、まさにあの戦争、
占領下、
アメリカの
支配下、そしてようやくの
復帰、これにのしかかっているのはあの悲惨な戦いのつめ跡であり、また今なお
沖縄本島の二割を占めると言われ
ゑ全国の、
日本の
基地の七五%を占めるというこの
基地のまさに
重圧であります。この
重みというものを、私自身、ついついうっかり、それほどの
重みというものをやはり感ずるところ乏しかった。
改めて、
沖縄県民の
皆さん方の言語に絶する
苦難の中から、大きな
痛手の中から、しかもそれに続くこうした
基地のいろいろな
重圧、これはまさに察するに余りある、お察ししても察し切れない。
沖縄県民でなくしては、あの
土地におられて、そこで毎日
生活しておられるそのお
立場であってこそ、恐らくその痛みというものが、そうでなければ理解できないのではないか。
そうは
思いますけれ
ども、しかし遅まきではありまするけれ
ども、私は
日本人の一人として、また特に長い
かかわりを持ってきた一人として、この直面する大きな重大な問題が、何とか
沖縄の
皆さん方のあの多年の御
苦難が少しでも明るい
方向に、少しでも
痛手がいやされる
方向に解決されることを心から願わずにはおれないのでございます。
しかも、現実の厳しさというものは依然として横たわっております。
沖縄の
基地、
日米安保体制の
かかわりにおけるまさに
我が国の平和と安全、その
基軸としての
日米関係、その
基軸としての
米軍基地の
存在というものは、これまた一億二千万国民のよりどころと申しますか、この
存在を受けとめ、かつこれを単に受け身ではなくして、特に冷戦後の
現状においてはむしろこれを
拠点にして、
アジア太平洋地域の
信頼醸成、
平和環境、
紛争未然防止、そういう面にもやはり積極的に行動していかなければならない。そういう流れの中で、近く
日米首脳会談も行われる。いわゆる
安保の再確認と申しますか、そうしたものも大きな柱として確認されなければならない、こういう
現状に置かれているわけでございます。
実は、きょうは午前中は
内閣委員会がございまして、やはり関連の中でこの
沖縄の問題について、
現状、いろいろな問題について切実な
論議が展開されたわけでございます。
現在、
沖縄県と
日本国政府の、あるいは
アメリカと
日本側の、それぞれ
行動委員会なり
協議会なりが設けられて真剣な
論議が積み重ねられておる。また今後、
アメリカの
クリントン大統領の
訪日に向けて一応の
方向づけを出さなければ、さらには、この秋にはさらに具体的なものに結びつかせていかなければ、こういう極めて切迫した
状況にある。
もう
一つ大きな問題は、あの
署名拒否に伴う
基地の
訴訟の問題、これも二十五日に
判決という形でございますけれ
ども、これまた極めて重大、深刻な
事態が予想される。こういう問題について午前中も随分
論議をされましたけれ
ども、深刻な問題であり、同時にまた極めて今慎重な熱意ある
協議のさなかに置かれておる、あるいは
判決の寸前にあるというふうなこともありまして、現在のこの時点においてそうした
状況の明確な
結論的な
お話というものはなかなか難しい。そういう点では、お尋ねする
立場においては非常に難しいといいますか、微妙な時期に際会しているわけでございます。
それはそれといたしまして、やはりますは
沖縄米軍基地の
問題協議会、県と
日本国政府の間でいろいろ積み重ねの
協議が行われている。あるいは
沖縄施設・
区域、これの
特別行動委員会、これにつきましても何回か回数を重ね、一部
報道等によりますと、具体的な
項目について
日本側からも提起され、またある程度、少しの
見通しがつきつつある、あるいはある特定の問題については極めて今難航しているというふうな
状況も伺うわけであります。
この問題については恐らく
沖縄の
県民の
皆さん方に心から喜んでいただけるような、まさに目に見えるような
基地の
返還、
縮小というものは、私は率直に言ってなかなか期待できないと思う。恐らく爆発的な
沖縄の
皆さん方の憤激、御不満があらわれるような
事態を迎える
可能性も否定できません。しかし、それであればあるほど、まさに精魂を傾け、
誠心誠意を尽くして、
誠意を持ってこの問題に取り組んでいただいていると
思いますし、またその
思いをあらわしていただければと思うのでございます。
そういう
意味合いにおきまして、前置きが長くなりましたけれ
ども、現在の県の
協議会の
状況、さらには
日米間の交渉の現在の
状況、これからの
見通し等について、それぞれから
お話をいただければと
思います。