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1996-05-07 第136回国会 参議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月七日(火曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      岡  利定君     岡部 三郎君  五月一日     辞任         補欠選任      山下 芳生君     筆坂 秀世君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         寺崎 昭久君     理事                 鹿熊 安正君                 河本 三郎君                 鴻池 祥肇君                 横尾 和伸君     委員                 亀谷 博昭君                 鈴木 政二君                 二木 秀夫君                 松浦 孝治君                 吉川 芳男君                 泉  信也君                 戸田 邦司君                 平井 卓志君                 瀬谷 英行君                 渕上 貞雄君                 筆坂 秀世君                 中尾 則幸君                 栗原 君子君    国務大臣        運 輸 大 臣  亀井 善之君    政府委員        運輸大臣官房長  戸矢 博道君        運輸省運輸政策        局長       土坂 泰敏君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君        運輸省自動車交        通局長      山下 邦勝君        運輸省海上技術        安全局長     小川 健兒君        運輸省海上技術        安全局船員部長  金丸 純一君        運輸省港湾局長  栢原 英郎君        運輸省航空局長  黒野 匡彦君        運輸省航空局技        術部長      北田 彰良君        海上保安庁次長  加藤  甫君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        警察庁交通局交        通指導課長    稲葉 一次君        防衛庁長官官房        防衛審議官    守屋 武昌君        外務省北米局日        米安全保障条約        課長       梅本 和義君        運輸省航空事故        調査委員会事務        局長       豊島  達君        労働省職業安定        局業務調整課民        間需給調整事業        室長       森山  寛君        建設省道路局企        画課長      井上 啓一君     —————————————    本日の会議に付した案件 ○平成八年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、平成八年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成八年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (運輸省所管)     —————————————
  2. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十六日、岡利定君が委員辞任され、その補欠として岡部三郎君が選任されました。  また、一日、山下芳生君が委員辞任され、その補欠として筆坂秀世君が選任されました。     —————————————
  3. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 去る五月一日、予算委員会から、五月七日午後の半日間、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省所管について審査の委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  運輸省関係予算説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 自民党の亀谷博昭でございます。  まず、空港整備特別会計につきまして少しお尋ねをしたいと思います。空港整備特別会計は、空港整備を進めるということで昭和四十五年につくられた法律でありますが、以来二十五年たっているわけでありまして、さまざまな課題が出てきていると伺っております。そこで、空港整備特別会計につきまして幾つかお尋ねをしたいと思います。  まず、空港整備特別会計歳入の方に借入金というのが今年度の場合は千三百二億円計上されているわけであります。これは全額財政投融資からの借入金なのかどうかということが一点。それからもう一つは、仕組みという図を見ますと、この借入金は点々とこう線が引かれまして羽田沖合展開事業のところに矢印がついているわけでありますが、この千三百二億円は全額羽田沖合展開事業投入されるものなのかどうか。以上二点をまずお伺いいたします。
  5. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 空港整備特別会計借入金は、今先生指摘のとおり羽田に限って投入をさせていただいております。いわゆる三大プロジェクト羽田成田関空プロジェクトが集中いたしまして、空港整備特別会計としての資金調達が大変逼迫いたしたものですから、昭和六十一年度から長期借入金を導入したわけでございます。この借り入れを頼っている先は御指摘のとおり財投でございます。この充当は、重ねて申し上げますと、羽田沖合展開事業に特定して充当させていただいております。
  6. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 借り入れをすれば当然返済が必要になるわけでありますが、私がいただいた資料では、返済というところは借入金償還百一億円というのがあるわけですが、多分そのほかにも償還財源がどこかにあるんだろうと思います。ほかにもあるとすれば償還分平成八年度で言えば幾らぐらいになるのか、そしてそれは全額財投への償還ということになるのか、そこのところをお伺いいたします。
  7. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今の予算をお認めいただけますと、平成八年度は百一億の償還費を計上させていただいております。この金は貸していただいた先であります財投へそのままお返しするという予定でございます。
  8. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 今、百一億のお話だけありましたが、羽田沖合展開事業、千九百十六億円の中に償還財源は入っていないんですか。
  9. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 羽田につきまして、空港整備費といたしまして千九百十六億をこれも政府原案では計上させていただいております。これにつきましては、空港整備費あるいは用地代等に充てる資金でございまして、専ら広い意味におきます空港整備費に充当するものでございます。
  10. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 そうしますと、千三百二億借り入れて、平成八年度の場合、百一億返済をするということになれば千二百一億実質平成八年度では借入金が残る、こういう計算になるわけだろうと思います。  そういう形で年々借入金がふえてきているわけですが、この空港整備特別会計における財投からの債務残高、八年度を含めて幾らぐらいになるのか、そしてまた、それは過年度分も含め全額羽田への投入というふうに理解していいのかどうか、それをお伺いいたします。
  11. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 平成七年度末におきます借入残高が八千八百八十一億円でございます。さらに、平成八年度中に原案どおり予算をお認めいただきますとこれに加えまして借入金がふえまして、八年度末の残高が一兆百五億を予定しております。空港整備特別会計純粋収入、いわゆる公共事業費とそれから空港使用料を合わせますと約三千五百億ほどでございますから、これと比較いたしましてかなりの額の債務残高が残るということでございます。これの償還につきましては、現在の沖合展開事業によります空港使用料収入増額等、これをもって将来償還していく予定にいたしております。
  12. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 今後の償還のことにもちょっと触れていただきましたけれども、今年度を含めて一兆百五億、羽田の全体事業費は約一兆五千億だったと思いますけれども、これは今後借り続けていってこの借り入れが頂点に来るところでどのぐらいの借り入れになるのか、それをちょっとお伺いしたいと思います。  それでは、後でわかったらあわせてお答えいただきますが、この財投資金空港整備特別会計の場合、五年据え置きで十五年均等償還、こう伺っております。そうしますと、五年経過分から先ほどお話ありましたような形で返済が既に始まっている、これからも五年経過分から償還をしていくということになるわけですけれども返還財源、今ちょっと局長お触れになりましたが、羽田事業が終わった後、空港整備特別会計の中で借り入れ返済していくという形になるのか。あるいはまた、考え方としては、平成八年度末には新しいC滑走路あるいは十一年にはB滑走路が完成をする、そういうことになると収入もまた新たに出てくるわけですが、そういうことを見込んで羽田関係だけで返済をするということになるのかどうか。あるいは、羽田関係だけでなくて空港整備特別会計の枠内で借り入れて返す、こういうことになるのか、その辺をちょっと伺います。
  13. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今の御質問でございますが、形式論から申し上げますと、空港整備特別会計全体の中でのやり繰りでございます。ただ実質的に、この羽田沖合事業借入金を入れましたときにかなり綿密な計算をいたしまして、沖合展開事業をすることによって着陸回数がふえます。これによります空港使用料がふえる、それで十分返せるという見込みをつけた上でこのような借入金を導入したものでございまして、実質的には羽田による増収に期待しているというところでございます。
  14. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 今お伺いしましたように、この特別会計における借入金全額羽田に使われている、事業が終了した後は空港整備特別会計の枠内で原則として返還をしていくことになる。こういうことになりますと、今は借り入れをしてそれを羽田沖合展開事業に使用するという形になっているわけですけれども、今度は借り入れをして償還に充てていく、こういうことになってくると収支のバランスが現在と違った形で崩れてくるということにもなるわけでありますし、ほかの事業への影響も大きいのではないかと、こう考えるわけであります。  そういうこともあって成田とか関空とか新しい方式での空港建設ということが取り入れられてきたのだろうと思いますが、そういうことも教訓にしながら、空港建設方式についてやはりもう考えるべき時期に来ているのではないかというふうに思うわけです。そのことも含めて、特別会計借入金について今後どんなふうに考えていこうとしておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  15. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、空港整備特別会計借入金を入れましたのは、いわゆる三大プロジェクトの推進を急がなければいけないという事情がございまして、そのいわば資金需要のピークをどう乗り切るかということからいろいろ考えた末の結論でございます。おっしゃるとおり、安易に借入金に頼りますと将来償還財源空整特別会計としてなかなかやり繰りが厳しくなるという事情がございますから、当該事業によって十分返せるんだという見込みが出るものに限ってこれからも慎重に対応していかなければいけないと我々は考えておるところでございます。
  16. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 それでは次に、着陸料のことについてお伺いをいたします。  普通着陸料特別着陸料と今は二本立てになっておりますが、この特別着陸料は聞くところによりますとジェット機騒音対策というようなことで取り入れられたと、こう伺っております。言ってみれば、現在の仕組みの中の支出の環境対策事業費ということになるんだろうと思いますが、既に特別着陸料の方が環境対策費を上回っている。またジェット化も進んでほぼジェット化されてきている。そういう変化も出てきているわけでありまして、そんなところから着陸料二本立てにしているのはいかがかという指摘もあるようでありますが、このことについては今後どんなふうに考えておられるのか、お伺いをいたします。
  17. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 特別着陸料は、ジェット化に伴いまして深刻の度を増しました騒音問題、これに対します対策を急がなければいけないということで、その財源といたしまして昭和五十年に導入いたしたものでございます。  その後ジェット化がかなり進みまして、むしろジェット機の方が標準であるというような事情になってまいりました。さらにまた、環境対策費という概念が非常に広くなりまして、例えて申し上げますと、羽田沖合事業空港そのもの滑走路そのもの沖合に出すことによりまして周辺の方々に対する騒音の被害を減らすという目的でございますし、あるいは関西空港沖合につくったのも騒音対策という色彩があるわけでございまして、狭い意味における環境対策費というものの定義が極めてあいまいなものになってきているわけでございます。  そのような事情から、私ども、今の着陸料特別着陸料普通着陸料と二つにしておく必要があるだろうかということはかねてから問題意識を持っていたところでございますが、昨年、航空審議会の場におきまして第七次の空港整備五カ年計画をいろいろ御議論いただきました。その結果、中間取りまとめという形でこの問題につきましても言及していただいておりまして、その表現では、「現時点においては普通着陸料二本立てとする意義は乏しくなっている。」、「また、空港整備財源確保に留意しつつ、空港使用料の在り方について早急に検討を行うべきである。」、こういう指摘を受けております。  そこで私どもは、昨年十月から空港使用料に関します有識者懇談会を開催いたしまして、現在この特別着陸料普通着陸料一元化の問題を含めまして検討を進めているという状況でございます。
  18. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 この二本立て一元化に向けての検討がこれからも進められるんだろうと思いますが、一元化されたとしても着陸料を含めた空港使用料というものの問題点もまた出てくるわけであります。  空港使用料夜間照明料等々いろんな項目があるようですけれども、これが国内線国際線を間わずどうも国際的に見て高水準にあるのではないか、こういう指摘がなされておりますが、実情はどんなふうに把握しておられるんでしょうか。
  19. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 空港使用料を諸外国と比べてみますと、我が国はいろんな事情がございまして確かに大変高くなっております。もちろん、空港利用者がどれだけ負担しているかということにつきましては、着陸料だけで比較しますのは正確を欠く面はございますが、一つ代表例として数字を申し上げますと例えば国内線航空機、これはボーイングの767を例にとりますと、日本では中心であります羽田空港、一回着陸いたしますと二十七万三千五百円を空港整備特別会計に払っていただくわけでございます。  これがドイツのフランクフルトですと十三万三千六百円強であります。それからニューヨークのジョン・F・ケネディ空港ですと十一万八千円強。さらに安いところでは、ロンドンのヒースローですと約四万八千円、またすぐ隣のソウルの空港ですと約二万三千円といった数字になっておりまして、国際線もほぼ同じような状況でございまして全体として若干高うございますが、日本空港がかなり高いことは確かでございます。
  20. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 日本が他国に比べて割高であるという今数字を挙げていただきましたけれども国際競争力という観点から見れば非常に大きな影響がないとも言えないという指摘もあるようであります。しかしながら、着陸料あるいはまたその他の空港使用料というのはいずれも利用者からいただいているお金ということになるわけですから、やはり需要喚起ということを考えれば、着陸料を含めた空港使用料をどうしていくのかというのはこれからの大きな課題であろうかと思います。  さっきお話しの空港使用料に関する有識者懇談会が昨年十月からこの問題の検討を進めているようでありますが、着陸料を含めた空港使用料についてどんなようなお話し合いがなされているのか。そしてまた、これは局長諮問機関と伺っておりますが、今後どんなふうな方向づけを考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  21. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) この有識者懇談会議論より前に、航空審議会におきましてもこの着陸料問題のいろいろ議論がございました。  その点をまとめて申し上げますと、今、先生指摘のとおり世界的にもかなり高い、着陸料をこれ以上上げるのはやはり難しかろう。ただ反面、この着陸料空港整備の非常に大事な財源になっている。今、我が国におきましては国際ハブ空港整備を急がなければいけない事情がございますから、この貴重な財源を減額するということもなかなか難しい。その辺を全体として考える必要があるという議論をしているわけでございまして、結局空港整備コストがかかる以上は、そのコスト利用者の方に負担していただくのか、あるいは納税者の方に負担していただくのかということになるわけでございます。その辺のバランスをとってこれから考えなければいけない、こんなような議論をしているところでございます。
  22. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 次に、歳出の方の一般空港整備事業費でありますが、八年度では千三百四十九億、こうなっております。この中には二種空港、これもA、Bとありますし、三種空港あるいは他省庁との共同で行う事業というのも含まれているんだろうと思いますが、この千三百四十九億、大ざっぱに言ってどんな内訳になっているのか、お伺いをいたします。
  23. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 八年度の政府原案では、今御指摘のとおり千三百四十九億円の一般空港整備事業費予定しております。具体的には、滑走路の新設、延長につきましては二十二空港予定しております。また、滑走路等基本施設改良航空保安施設等整備を六十空港について進めたい、かように思っているところでございます。
  24. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 七次空整でも、いわゆる地方拠点空港及び地方空港整備というのが大きな項目になってきております。今後いわゆる一般空港整備需要というものが大分ふえてくるのではないか。一応ネットワーク整備されているというような局長の御答弁を以前にも伺ったことがあるわけでありますけれども、今度の七次空整継続事業あるいは改良中心、こういうふうにはなっておりますけれども国際化時代の中で人や物の流れがいわゆる国と国ではなくて地域地域というような傾向が強くなってきている、また地域経済活性化の期待も非常に大きくなってきている、そしてまたハブ空港と別な役割が地方空港には期待されてくる、そんなことを考えると、一般空港整備というのが今後ますます重要になってくるのではないかというふうに考えるわけであります。  そういう意味で、今滑走路延長二十二カ所、あるいは改良等六十カ所というようなお話がありましたけれども、七次空整を含め今後の一般空港整備にどう対応するのかということを考えた場合に、こういった予算規模で果たして地方拠点空港が十分に整備されていくのかどうか疑問を感じるわけですが、その辺はいかがでしょうか。
  25. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 私ども、第七次の空港整備五カ年計画検討するに当たりまして、多面的な調査研究を進めさせていただいたわけでございますが、まず、現在の我が国の置かれた状況から考えますといわゆる国際ハブ空港整備をどうしても急がなければいけない、それを最優先にやりたい、また、国内といたしましては大都市を中心といたします拠点空港整備、これを進めることが必要であるというふうに位置づけをさせていただいております。また、一般空港につきましては継続事業中心として整備を進める。ただ、基本的には需要への対応ですから需要があるところについては整備をしますし、また既存空港につきましても、高質化という言葉を使っておりますがより空港を利用しやすいものにする、そういうところに重点的に投資をしたいと考えているところでございます。  現在のこの投資規模について不足するかどうかという点でございますが、私どもといたしましては、今予定されております第七次の全体の額が確保されますれば、もちろんこれで十分余裕があるとは言えませんけれども我が国全体の航空ネットワークをしく上におきましてそれなりの前進が図られる、かように考えているところでございます。
  26. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 今まで借入金あるいは着陸料、そして着陸料を含めた空港使用料、あるいは一般空港整備事業等々、各項目についてお伺いをしてきましたのは、空港整備特別会計仕組みあるいは財源構成のあり方というものをそろそろ見直す時期に来ているのではないかというふうに私は基本的な認識をいたしているものですから、とりあえずその各項目についてお伺いをいたしたわけであります。  そもそもこの空港整備特別会計、先ほど来局長お話にもありましたが、昭和四十五年に設立されて以来いろんな項目が次々に導入をされてきて今日のような形になっておりますけれども、基本的には当初から利用者負担原則ということでこれは貫かれているわけであります。これは、飛行機がぜいたくな時代であった、ぜいたくな乗り物と考えられていた、またバスや鉄道に比べると一般的な乗り物でないという考え方から利用者負担原則というものがとられてきたんだというふうに言われているわけであります。  この利用者負担分をふやそうとすれば当然また必然的に運賃にはね返ってくることにもなってくるわけでありますから、したがって当然のことながら、先ほど来お尋ねをいたしましたように、継続的に増収が見込める項目というのは非常に少ないわけであります。空港使用料にはいろいろな問題があるし、また地方公共団体負担金あるいは雑収入はまさに負担金雑収入でしかないわけであります。あと残されているのは一般会計からの繰り入れ一般財源、こういうことですけれども一般会計からの繰り入れというのは航空機燃料税からの繰り入れでありまして、これは需要増に支えられて年々増額してきているようでありますけれども、これも性格的には利用者負担と考えられるものでもあります。その反面で、さまざまな空港整備需要が出てくる。  そういうことを考えていきますと、しっかりした財源対策をこの辺で考えていかなければならないのではないか。そこで、しっかりした財源対策という意味空港整備特別会計を見ますと、唯一と言ってもいい自前財源というのはまさに一般財源しかないわけであります。平成八年度予算でも、自前財源一般財源というのはまさに五千六百三十億円のうちの九・二%、五百十八億円にすぎないわけであります。この辺については、七次空整中間取りまとめでもいろいろ指摘がなされているところであります。長期借入金は一兆円を超えてきている。さまざまな状況の中で、一般財源拡充を含めた財源確保というものが今まさに重要な課題として指摘をされなければいけないのではないかというふうに思います。  このいわゆる真水分一般財源は少しずつはふえてきているようですけれども、もっと真剣にこれをふやしていくという努力がなされなければならないときに来ているように思いますが、現状をどうとらえ、また今後どうこの一般財源拡充を図っていこうとされているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  27. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 先生指摘のとおり、いわゆる公共事業費の中に航空機燃料税純粋一般財源、二つございます。航空機燃料税の方は、これは航空機の運航がふえればそれもふえるというか、いわば結果の数字であるわけでございます。それに対しまして一般財源の方は、我々が努力することによってこれから少しでもふやしていける数字かと思っております。  したがいまして、私ども特に最近、一般財源をどうふやすかということにつきまして、関係の方々の御支援も得ましてかなり強力に予算折衝等を進めてまいっているつもりでございます。数字的に申し上げますと、この二、三年、純粋一般財源の比率が徐々にではございますが高まっていると思っているところでございまして、これからも全体の公共事業の中におきまして、ぜひとも空港整備一般財源拡充に我々として全力を尽くしてまいりたいと思っているところでございます。
  28. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 この問題は、運輸省サイドにだけ頑張れ頑張れと申し上げるのではなくて、我々も一緒になって考え取り組んでいかなければいけない課題であろうかと思います。特に、長期借入残高がどんどんふえていく、またさまざまな空港使用料その他の問題がある、そういう中でしかも空港整備需要はどんどんふえていくということになれば、真水をどうしてもふやさなきゃいかぬ。  同時に、空港整備特別会計のあり方というのでしょうか、空港建設のあり方を含め、空港整備特別会計というのは財源構成を含めこれでいいのかというふうな認識を持つわけでありますが、空港整備特別会計のあり方について基本的に今どんなふうな認識をお持ちなのか、財源についてこれからどういうふうにしようとなさっているのか、個々については伺いましたけれども空港整備特別会計全体についてどんな認識を持っておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  29. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 空港整備特別会計ができましたのが昭和四十五年度からでございまして、これまた先ほど来先生指摘のとおり、受益者負担ということも取り入れまして、空港整備を進める大変大きな力になってきたと思っております。現在、我が国空港が曲がりなりにも整備が進み各地方の空港ジェット化されている原因といいましょうか、二つございまして、一つはやはりこの特別会計ができたことと、もう一つ空港使用料という自己の財源がある、この二つだと思っております。この二つによりまして空港整備がここまで進んだわけでございます。  ただ、そうは申し上げましても、これから国際的な競争に立ち向かわなければならない中において今以上の受益者負担を求めることができるかどうかという点を考えますと、なかなか難しいという客観情勢もございます。したがって私ども、今この特別会計そのものを変更するということにつきましては現在のところ特に考えてはおりませんが、まさにこの財源構成につきまして、従来にも増していわゆる一般財源拡充に努力をし、利用者負担を余りふやさない範囲において空港整備を進めていく道を見つける、それが我々の使命ではないかと思っているところでございます。
  30. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 まさに今お話しの国際化時代、新しい時代に即応した空港整備のためにも、この空港整備特別会計、まあ仕組み全体を変えるということは非常に難しいんだと思いますが、この財源構成についてはやはりかなりいろいろな問題があるという意味で、今後のしっかりしたお取り組みをお願い申し上げたいと思っております。  次に、空港航空保安施設の耐震性についての最終取りまとめが出されたようでありますが、それに関連してお伺いをいたしたいと思います。  幾つか問題点指摘されているようでありますが、いわゆる液状化現象、阪神・淡路大震災で特に港湾岸壁でこのことが指摘をされましたが、液状化の可能性のある滑走路を有する空港というのがどのぐらい現在あるというふうに把握されているのか、まずお伺いをいたします。
  31. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 御案内のとおり、液状化と申しますのは、地下水の水位より下にあります砂の地盤が地震によりまして大きく動く、それによって地盤としての安定性を失って全体が泥水のような状態になって流れてしまう、こういう状態をいうわけでございます。  したがって私ども、特に今どの空港が液状化の恐れがあるということを特定するには至っておりませんが、臨海部の埋立空港、こういうものを中心にやはり注意をしなければいけない、その辺について集中的に調査をしなければいけないと思っておりまして、全国で約四十二カ所ほどの空港をその調査対象という中に挙げさせていただいているところでございます。
  32. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 液状化というのは、例えば空港の場合、一回それが起こってしまうと後固まって何か後は起こらないんだという話も聞いたことがありますけれども、その一回起こるのが問題なわけでありまして、「供用中の空港の液状化対策や護岸の補強工事は極めて困難かつ高価なものとなる」というこの取りまとめの指摘もあります。  そこで、四十二カ所というお話がありましたが、早急な対応が可能な工事なのかどうか、私もよくわからないんですけれども、液状化対策や護岸の補強工事をどんなふうに進めるのかということについてお聞かせをいただければと思います。
  33. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 液状化が起こります原因は先ほどお話ししたとおりでございます。したがいまして、この対策として、わかりやすく申し上げれば地盤を非常に強固なものにして固めてしまうという形にすれば一番いいわけでございますが、使っております空港につきまして大々的にその工事をやるというのは極めて難しゅうございます。そこで、今関係の方々の御意見も聞きまして適切な工法はないかどうか調査検討を進めている段階でございまして、その辺の結果を踏まえて空港ごとに対応してまいりたいと思っているところでございます。
  34. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 滑走路と同時に建物についても今後取り組むということになるわけですけれども、特に旅客ターミナルビルなどの民間事業者の設置管理する建築物、これは耐震調査及び所要の補強  の実施二十四空港、耐震調査の実施検討中九空港、こうありますが、民間の場合の経費等はどんなふうになるのか。これは全部その事業者が負担するということになるのかどうか、そしてまた計画どおり進められるのかどうか、民間所有のビル等についてはどんなお考えなんでしょうか。
  35. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 昭和五十年に耐震設計基準というのが変わっておりまして、この五十年以降につくられたものにつきましてはかなりの強度を持っているわけでございます。私ども、この五十年以前の旧耐震設計基準に基づきまして建設されました建物、これを中心に耐震点検あるいは診断、改修等を指示いたしているところでございます。  その結果として耐震のための工事をするという場合に、基本的にはこれはやはり民間のものでございますから事業主体が費用負担をしていただくわけでございますが、ただ資金対策等なかなか難しい事情もあるかと思いまして、助成措置といたしまして、空港関連施設等に係る開銀等の融資制度、あるいは建築物の耐震改修の促進に関する法律に係る開銀の融資制度、こういう制度がございまして、具体的には開銀あるいは北東公庫あるいは沖縄振興開発金融公庫等から低利の融資をするという道を設けているところでございます。
  36. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 国のものは国が責任を持ってということになりますけれども、民間のものについても危険度は同じなわけでありますから、今お話しのような融資制度等々を十分生かされながら遺漏なきようにお願いをいたしたいと思います。  それと、航空保安施設につきましては、代替性、補完性、補完機能というものがどうしても必要になってくるわけで、これが壊れたから飛行できませんというわけにいかない、当然のことでありますけれども、そういう意味での航空保安施設についての代替補完機能についてはどんなふうに対処していこうとされているのか。
  37. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 航空路監視レーダーと申しまして、全国の空をレーダー網で覆っているわけでございますが、これにつきましてはほぼ二重化が完了いたしております。したがいまして、一カ所が仮に破壊されたといたしましても直ちにほかのところで補完できるという体制をしいております。  また、航空交通管制部と申しまして、全国に四カ所、札幌と東京と福岡と那覇に航空路の管制をするセンターを設けているわけでございますが、このうち特に東京につきまして、これは所沢にございますが、仮に東京の管制部が被害に遭ったとしても、札幌と福岡でそれぞれその代替ができるというシステムを今整備中でございます。また、空港におきます非常用レーダー等につきましても、現在強化に努めているところでございます。  これからも全力を挙げてまいりたいと思っているところでございます。
  38. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 この最終取りまとめの前に中間取りまとめというのがあったんだろうと思いますが、その時点で試算した結果、今お話しのような耐震対策に千百億ぐらいかかるであろう、それは七次空整に盛り込まれている、こう伺っているんですけれども、今の時点で、最終的に取りまとめた耐震対策が必要なものについてこの千百億という七次空整の中の予算で対応できるのかどうか、今後の見通しについてお伺いをいたしたいと思います。
  39. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 七次の五カ年計画中にはこの千百二十億でほぼ対応できると思っておりますが、先ほども申し上げましたとおり、特に液状化に対しましてどういう工法がいいかどうかまだ検討中のところもございまして、それによって工事費が増減する場合はあろうかと思います。それはそれでまた弾力的に対応してまいりたい、かように思っておるところでございます。
  40. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 早急なより安全性を高める対応をぜひ期待を申し上げたいと思います。  関連して、鉄道のトンネル、落石防止施設の点検結果について、これは北海道の事故がありましたときに早急に点検をするということになっていたわけでありますが、今回その結果が出たようであります。  それを拝見しますと、建設省は二千四百四十九カ所、そして直ちに補強・補修工事を必要とする箇所もたくさんある、トンネル、落石防止施設合わせて三百七十七カ所ぐらいあると。いろんな結果が出ておりますが、鉄道局の方の結果によりますと、現在早急に対応しなければならないというのがない、必要な時期に措置が必要というものがトンネル三十三カ所、落石防止施設十八カ所、計五十一カ所だと。調査箇所は五千八百五十一カ所ですから、一%にも満たない数字ということになるわけです。  建設省と数字がこのように違うというのは調査の仕方が違うんでしょうか、その辺のところをまずちょっと伺いたいと思います。
  41. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) ただいまの御指摘の点でございますが、鉄道につきましては緊急点検を実施しましたのは五千八百五十一カ所、トンネル部が四千六百六十七カ所、落石覆工部が千百八十四カ所、合計五千八百五十一カ所でございます。これに対しまして、調査した結果必要な時期に措置が必要という判定をいたしましたものがただいま先生指摘のとおり五十一カ所でございます。一方、道路の方はただいま先生指摘のとおり、対策を必要とする箇所が三百七十七カ所、より詳細な調査を行い対策の要否について検討する箇所が七百六十カ所、こういうぐあいに聞いております。  私どもの調査の方法、点検の方法でございますが、これにつきましてはそれぞれの箇所におきまして地質、地形、環境条件等が異なっておりますから、それぞれの事情に応じて適切な方法で行うということになりますけれども、一般的には目視を基本としまして必要により測定器等の器具を使用して点検をしております。また点検の内容は、構造物の変状、岩の亀裂、それからこれらの進行の有無、環境の条件の変化等を把握して、機能の低下やそのおそれの有無について判断を行うということでございます。  結果に相当の違いがあるというのは事実だと思いますけれども、この大きな理由の一つは、鉄道は駅間のルート選定時に地形とか地質が比較的良好な場所を選定することができるというところから、道路に比べまして不安定箇所がそもそも少ないということにあるんだろうと考えております。
  42. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 数字の違いについてはわかりましたけれども、これは基本的には事業者が常々点検をしている、こういうことになるわけです。そうすると、運輸省と鉄道事業者との役割の違いというのか、かかわり合いというのか、全部鉄道事業者にお任せですか、それとも運輸省は点検あるいはその後の対策にどういう役割を持つことになっているのか、その辺をお伺いいたします。
  43. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) トンネルの設置管理者というのは当然のことながら鉄道事業者でございまして、トンネルを鉄道施設として有効に使っていく、あるいは安全対策をしていくというのも、まず第一の責務者は鉄道事業者でございます。したがいまして、私どもは、そのような鉄道事業者が行います安全対策についてこれを指導し、あるいは、国として必要な対策を講ずる必要があると認められる場合はこのための助成策を講じていく、こういったのが私どもの責務だと考えております。
  44. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 余り大きな事故というか、トンネルにしろ鉄橋にしろ問題が起きなければいいわけですけれども、起きた場合に予算を含めた対応はどういうふうになるんですか。
  45. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 落石等による鉄道災害に対しましては、従来から鉄道防災事業費補助、それから鉄道軌道近代化設備整備費補助、こういった補助制度によりまして防護壁などの整備に対しまして助成をするといったようなことで国としての施策を講じてきております。
  46. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 より慎重な調査検討を進められて、適切な対応をお願いいたしておきたいと思います。  以上で終わります。
  47. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 自由民主党の鈴木政二です。  きょうは、先回も先々回も質問いたしましたけれども、先回は中華航空の事故の質問でありましたけれども、質問しておったときに釧路空港で小型機が墜落した。きょう、先輩の瀬谷先生が四月二十六日は航空の厄日だとおっしゃっておりました、その厄日が翌朝まで続きまして、今度は取材のヘリコプターが事故を起こしてしまった。きょうも事故調査委員会の豊島さんに来ていただいて、私の質問するたびに来てもらうということは非常によくないことなんですね、実は。  一部の新聞報道の中でも、この事故は過熱取材の事故じゃないかという記事が出ておりました。まず冒頭、この長野県で起こりました長野放送とテレビ信州のヘリコプターの取材の事故、概要を説明してください。
  48. 豊島達

    説明員(豊島達君) 長野県で発生いたしましたヘリコプター事故についてでございますが、これは平成八年四月二十七日、前日長野県更埴市の通称東山で発生いたしました山林火災に伴いまして、消防作業中の富山県消防防災ヘリコプターが千曲川で取水作業を行おうとしたところ、その現場を取材するためこのヘリコプターに追従いたしましてはぼ西から東に向けて飛行してまいりました二機の報道ヘリコプターが長野市篠ノ井横田の上空において接触いたしまして、当該二機とも千曲川河川敷に墜落しまして、うち一機が炎上したというものでございます。この結果、両機に搭乗しておりました操縦士、カメラマン等六人全員が死亡したというものでございます。  航空事故調査委員会としましては、事故当日調査官四人を現地に派遣いたしまして、午後から早速調査にとりかかりました。これまで機体の破損状況、残骸の散乱状況、残骸の復元作業、目撃証言の収集等を行ったところでございます。
  49. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 今の説明を聞いておりまして、各社新聞記事を見ますと多少違っている部分もあったわけでありますけれども、今事故調の方が説明するのでそのとおりだと思うわけであります。  先日も、各委員の皆さん方に思い出していただきたいのは、ちょうど麻原彰晃被告の第一回目の地裁の公判のときにヘリコプターがもう大変な数だったと記憶していると思います。私だけじゃない、皆さんもよく見られたと思うんです。最近、このテレビの取材というのが非常にいろんな面で一部では行き過ぎではないかという話も出ております。そんな中で、テレビと新聞とは多少違うところがあるわけでありますけれども、テレビの場合は、リアルタイムといいますかもう一刻も早くその場を見たいという視聴者の要望も多少あるかもわかりません。  こうした事故を思い起こしますと二年前にもあったような気がいたしますけれども、今までここ十数年の重立った取材ヘリの事故で死亡された方、またその重立った事故を一度ちょっと御説明願えますか。
  50. 豊島達

    説明員(豊島達君) ただいま先生の方からお話のございました、つい最近も鹿児島県の奄美大島でございました。それから、大阪においてやはり報道関係のヘリコプター同士が空中で衝突したというようなものがございました。こういったものも含めまして、昭和六十年から長野県で発生した最近の事故を入れましてヘリコプターによる死亡事故の件数は十一件ございまして、死亡者数は二十一人というふうになっております。
  51. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 大変な数であります。本当に聞いてびっくりするわけであります。  ただ、私が持っている手元の資料で、当時朝日新聞と毎日新聞の事故、ちょうどそのときに運輸省は日本新聞協会に今後このような事故がないようにという通達をされたと思うんですね。私の手元の資料でそう見させていただいておりますけれども、そのときの重立った通達事項を聞かせてください。
  52. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 平成六年十月十八日に、大阪府の泉佐野市上空におきまして取材現場と基地との往復の経路の途中におきましてヘリコプターが接触し墜落するという事故が発生いたしました。当該事故は、航空機がたくさん飛んでいる取材現場でなくて途中の往復の経路だったということもありまして、取材現場において新聞協会が定めている航空取材の要領を遵守するのはもちろんのことでございますけれども、取材現場と基地との間の飛行におきましても他の航空機との十分な間隔の確保、厳重な見張り等安全確保の基本を遵守することを要請したものでございます。
  53. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 これは平成六年十月十九日、北田さんが通達出しているわけであります。全日本航空事業連合会と日本新聞協会編集委員会、これに通達してある中の文面で、今お話しのように十分な間隔をとる、そしてもう一つ一番大事なヘリコプターの見張りを置く、安全遵守をするようにと書いてあるわけであります。  さっきの豊島さんの事故の説明で、私も新聞でちょっと読んだんですけれども、テレビ信州と長野放送局、テレビ信州は四人残念ながら亡くなられた、長野放送局のヘリコプターは二人亡くなられた。二人ということはカメラマンとパイロット。そうすると、見張りの方がいないというふうに感ずるんですけれども、そこらのところはどうなんですか。
  54. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 前回の通達におきまして厳重な見張り等を通達したわけでございますが、必ずしも見張り要員を乗せなさいという意味ではないと考えております。非常に機数が少ない場合であるとか天候の見通しがいいとか、そういう場合には絶対乗せなきゃいけないということではなくて、やはりそれぞれの運航者の判断でやるべき問題だと考えておったわけでございます。今回、朝日航洋さんが機数も少ないというふうなこともありましてこの見張り要員を乗せなかった、そういう判断をしたと聞いております。
  55. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 この新聞の記事の中にも一つあるんですけれども、「航空関係者の話では、実際の航空取材では、チャーター機を使った場合にカメラや機材の重量の問題や燃料、人件費の関係から見張り要員を乗せないケースが多いのが実情だ。」と書いてある。私もちょっと調べさせてもらったら、やっぱりそんなようなことです。現実にこのヘリコプターの取材というのは、御存じのように住宅地の事件というのが非常に多いわけです。一つ間違えれば、ヘリコプター同士はもちろん大変なことになるわけですけれども、ヘリコプターが人家に落ちてしまうと、これはもう大変な大惨事になってしまうわけです。  運輸省は、この間の亀井大臣の話、航空局長の話のように、中華航空のときにもそうでしたけれども、各空港きちっと整備して、安全が第一、基本だと、こうおっしゃっていた。今回、運輸省はこの問題についてもう少し真摯といいますか、そういう現実に合った通達をもう一遍したんですか、きちっと。
  56. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 今回の事故を踏まえまして、ただいまお答えいたしました平成六年の事故に対して要請しました内容に加えまして空中接触防止の具体策といたしまして、航空交通のふくそうが予想される空域においては見張り要員を同乗させることとか無線電話を有効活用することとかあるいは照明灯の活用など具体的な八項目を挙げまして、これを踏まえまして各運航者が一層の安全性の向上を図るよう要請したところでございます。
  57. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 これにあわせて、皆さんも御記憶のとおり、あの阪神大震災のとき、あそこの上空にもちろん救援ヘリコプターはすごくたくさんおったわけですけれども、取材ヘリコプターもすごいたくさんおったわけです。一部の報道で、私もどこの新聞社と言われればちょっと記憶がないんですけれども、このときも救援ヘリと取材ヘリが神戸沖でニアミスをしたという、こういうのも載っていたわけであります。  この災害時の救援ヘリと取材ヘリの兼ね合い、確かに報道ですから一刻も早くしなきゃならない、そして現実を見てもらわなきゃならないことはよくわかるわけでありますけれども、せっかく救援しているヘリコプターが万が一そういうことになったら、これは大変なことになる。国民の皆さん方に非常に厳しい批判を浴びるわけであります。  そこらあたり、現実に震災の支援のヘリコプターと取材のヘリコプターは一体どのくらいあって、ニアミスはあったのかどうか、そしてこの教訓を踏まえてどんなものを災害時に適用していくのか、運輸省としては検討したんですか、質問いたします。
  58. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 大震災の発生いたしました平成七年一月十七日から二十三日の七日間におきまして民間航空機による飛行回数は延べ二千百六十一回でございます。そのうち取材機は八百二十七回であります。一日平均にしますと、それぞれ三百九回と百十八回になります。  それで、多くの航空機が特定の空域に集中するような場合には、安全運航を確保するために、この阪神大震災の教訓を踏まえましてさらなる安全性の確保を図ろうということで、防衛庁、消防庁、警察庁等との関係行政機関と日本新聞協会、全日本航空事業連合会等関係団体との協力のもとに、平成八年一月に災害時における救援航空機等の安全対策マニュアルを策定し、安全確保のための協力体制を確立したところでございます。
  59. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 それは大変大事なことでありますから、今安全マニュアルをつくったという話でありますから、これは本当にきちっとこれからも進めていただきたいと思います。  それから、先ほどの話でこの事故の後通達をした。私ちょっと調べさせてもらいましたら、日本新聞協会の皆さん方が対応して五月二日に航空取材の問題に関する小委員会で大変にきちっとした文面で答申をされたようであります。私は大変結構なことであると思いますし、その責任を非常に感じているなと、大変これは喜ばしいことではあります。  ただ、先ほどちょっと申しましたように、麻原彰晃被告の今度の公判が、二回目が五月の下旬にあるんですね。騒音もそうでありますけれども、私は新聞を見て驚いたんです。これは日経新聞であります。先回の二十四日の東京地裁のオウム代表の麻原の公判のとき、取材ヘリコプターが十六機飛んでおる。その新聞記事の中で、警視庁が「明らかに法令に反して低空を飛行していると思われるものが何機かある」と、こうきちっと書いてあるんです。  警視庁がこれを言ったというふうに新聞記事に書いてあるんですね。これは一体事実かどうか、また今言いましたように、ヘリコプターの航空法に定める低空というのはどこまでの範囲を言うのか、それから騒音の問題もどこまでの範囲を言うのか、一遍聞かせてください。
  60. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 麻原裁判に対し多数の取材ヘリコプターが飛んだということで、警視庁から自粛要請があったというのは事実でございます。これを受けまして、新聞協会ではその要請を加盟各社に伝え、安全飛行の徹底を周知したと承知しております。  それから、飛行の最低安全高度でございますけれども、障害物、建物等から三百メートル上空ということでございます。
  61. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 今ので一つ答弁が落ちていますけれども、警視庁が「明らかに法令に反して低空を飛行していると思われる」というのは、それは調べましたか。
  62. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 確かに、航空法規に違反して低い高度で、違反していたかどうかというのは確認しておりません。
  63. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 ちょっとはっきり意味がわからないんですけれども、要するにあったのかなかったのか、もう一度聞かせてもらえますか。
  64. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 私どもの方でそういう最低安全高度を守らない違反があったということは確認しておりません。
  65. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 警視庁じゃないですからそれはわからないかもわかりませんけれども、ただ私は、その低空飛行があったように思われると、こういう中ですごく不審に思うのは、新聞社の方はどうもヘリを代表で一社かなんかやられたという話を聞いているんですが、それはどうですか。テレビ局はもうまちまちだ、皆さん各社でずっとやったと、ここらの話はどうですか。
  66. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) かつて上九一色村から護送される途中においてはそういう新聞社を代表しての取材例があったというようなことは聞いております。今回の裁判所の上空ではそういうことはなかったと聞いております。
  67. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 先ほど言いましたように、五月の下旬もまたこういう形のマスコミのヘリコプターがたくさん上空に飛ばれる。これは報道の自由、いろんな問題がございますから、ここは一概にどうのこうのとは言えませんけれども、せっかくこうして日本新聞協会さんやいろんな航空関係の団体の皆さんが話し合っていく大変強い姿勢を見せていることでありますので、運輸省としても、これからはこうした災害だとか事件の取材だとか、ある面では一社で代表できるならそういう形をとってもらいたい。  その下にある民間の住宅や、下手をすれば運輸省の上でも飛んでいたわけですよ。運輸省の上でやったらどうなりますか、運輸省の皆さん、ぶつかって落ちたら。これは本当に笑い事じゃない大変な事件になってしまう。そういう面では、取材の関係、やはりお互いに運輸省と日本新聞協会との理性ある、秩序ある仕方で進んでもらいたいなと思います。  最後に亀井大臣、報道の自由と規制とか制約というのは大変難しい問題が残るわけでありますけれども、ある面では、先ほど言いましたように取材時に事故が起きますと大災害になるおそれがあるわけであります。私も、きょうもテレビ信州の方と話して、大変優秀な記者であったそうでありますが、本当にそういう立派な記者が、立派なパイロットがこういう悲惨な目に遭って、過熱取材の犠牲によってこういう形になるというのは見るに見かねるわけであります。今後、大臣、こうした取材ヘリコプターの安全確保についてどのような御所見を持つかお聞かせ願いたいと思います。
  68. 亀井善之

    ○国務大臣(亀井善之君) 今、先生からいろいろ御指摘をいただきましたとおり、二度とあのような事故が起きないような努力をいたさなければならない、このように考えております。特に、取材飛行は国民に対する情報提供など重要な役割を果たしておるわけでありまして、安全運航についてのルールが適切に遵守される、こういうことがあれば取材と安全は両立し得る、このように考えておるものであります。運輸省といたしましても、事故や災害現場など多数の航空機がふくそうする場合には、先ほど来お話しのとおり見張りの徹底など航空法規の遵守を機会あるごとに運航者に徹底をしてまいりたい、このように考えております。  さらに、先生からも御指摘いただきましたが、取材飛行については、日本新聞協会編集委員会において自主的な取材ルールである航空取材要領が定められておりますほか、本年一月には運輸省と全日本航空事業連合会、日本新聞協会等の間で安全運航の確保について相互に協力する体制が確立されたわけでありまして、今後とも運輸省として新聞協会等と密接な連携を図りつつ取材飛行の安全確保に万全を期してまいりたい、このように考えております。
  69. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 大臣、ありがとうございました。大変強い決意を持っていただいてこれからの取材ヘリかつ事業の進め方について運輸省としてもいろんな御指導、また日本新聞協会としても理性ある対応をしているそうでありますので、とれからも期待をしております。  次に、空港関係の質問に入らせていただきたいわけでありますけれども、私が生まれたちょっと後に空港整備法というのができたそうであります。この間も成田の用地の関係で非常に御苦労されて、反対派の方々も一部賛成をしていただいた。調べておりますと、戦後昭和二十七年にこの法律が施行されたそうであります。それ以来、昭和四十二年、先ほど亀谷先生お話しの空港整備の五カ年計画ができて、いろんな形の中で特にジェット化や大型化で飛行場がきちっと整備をされている。今まで運輸省のOBの方また現役の方々の御苦労や、参議院としてもきょうお見えの歴代の皆さんの審議の中でつくり上げた私は大きな事業だと思います。特に、公共事業の中で一番難しい空港の建設また整備だと思っております。  そんな中でもうじき二〇〇〇年を迎えるわけでありますけれども、運輸省として、航空局長は代表者でありますので、所見といいますか反省も兼ねて、二十一世紀に向けてそこらの考え方を、ちょっと時間がありませんから、こんな話をしたら一時間ぐらいしゃべれるかもわかりませんので三、四分ぐらいで一遍所見を述べていただきたい。
  70. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今、先生指摘のとおり、この五カ年計画を四十二年にスタートして以来、皆さんの御支援のおかげで我が国内の空港整備もそれなりに進んでまいったと思っております。  ただ、これも繰り返しになりますが、これからの課題は、むしろ世界に目を向けて、日本の国が世界の流れの中においてこれからも重要な位置を占めていくということを視野に入れながら空港整備をしなければいけないと思っております。したがいまして、従来にも増して国際ハブ空港整備に力を入れなければいけないし、それに対応いたしまして財源問題のあり方等につきましても、これから我々が精力的に検討を進めていかなければいけないと思っているところでございます。
  71. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 意外とあっさりした答弁でびっくりいたしましたけれども、全くそのとおりだと思うんですね。私、この間航空三法のときにちょっと時間が十五分しかなかったものですから質問できなかったんですけれども、非常にいつも不思議に思うというか今まで参議院議員にさせていただいて感じていたのは、また飛行機を使う立場としても感じておりましたのは、成田空港をこの間も新東京国際空港という名でしておったわけでありますね。あれは普通我々いつも成田空港と言うんです。羽田は東京国際空港であります。  今度の空港公団法の中で千葉県へ公団は移転したと。その中で、地域と共生をしていくということが大項目で亀井運輸大臣も言われた。このネーミングの問題、例えば外国へ皆さん旅行されるときに成田はNRTだと思います。それは新東京国際空港なんという表示じゃない、NRTだと思います。そういうところで空港はどこ、羽田成田、こうおっしゃる方がほとんどなんです、現実問題。  こういう紛らわしい名称というのは思い切って、関西は新大阪国際空港ともう一つ関西空港、それから名古屋は名古屋空港ですけれども、新東京国際空港のこの名称をもう思い切って変えて、成田国際空港とか関東国際空港とか、そういう名称に変えた方が私は国民の皆さんや世界から来る人たちは非常にすっきりするような気がするんですけれども、どうですか航空局長
  72. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 空港だけではなくて公共施設の名前をどうつけるかはなかなか難しいわけでございますが、空港につきましては従来その空港が対応する航空需要が発生する地域の範囲をあらわすという原則でまいっております。  さらに、国際空港につきましては、世界の方々から見てその空港の位置だとか情勢がわかるような名前も要るというふうに考えまして、新東京国際空港という名前をつけさせていただいているわけでございます。もちろん、成田空港という通称がかなり親しまれてきたわけでございますが、私どもといたしましては現在のところ、この新東京国際空港という名前が世界的にも東京の近くで日本中心だなどいうことがわかる名前でございますから、それなりに意義があるのではないかと思っております。  これからの問題といたしましては、一般的に空港の名称につきましては地元の方々の意見も聞きながら対応はしていかなければいけないと思っております。
  73. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 国際的にそれが通っているというふうにはちょっと私には思えないんだけれども、ただ私、外国へ行くとジョン・F・ケネディ空港とかフィリピンへ行くとアキノ空港とか、ああいう名前というのは地元さえよければいつでもつけるという考え方は運輸省は持っているんですか。
  74. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 特にハードなルールがあるわけじゃございませんから、例えば聖徳太子空港とか、そういう名前にどうしてもしてほしいという意見があれば私どもそれは検討いたしますが、果たして地域の方々の意見なり国民の世論が一人の名前に集約できるかどうか、今の段階では私自信がないと申し上げさせていただきたいと思います。
  75. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 それは、またこれからの時代の変遷によってネーミングというのは多分私も変わってくるだろうとは思います。航空局長としては今答弁はなかなか難しいと思いますからそれはおかせていただいて、今度七次空整中間取りまとめで大都市における拠点空港整備を明確にされたわけでありますけれども、その中で大都市圏空港計画室をつくるという話を聞いております。これは一体どんな室なんですか。
  76. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今年度の予算が成立いたしますと、航空局の飛行場部の計画課の中に今先生指摘のとおり大都市圏空港計画室を設置させていただこうと思っております。  この計画室が何をやるかということでございますが、規定上はこういう表現になっておりまして、航空路線網の拠点となる大都市圏における空港整備に関する基本的な調査及び計画に関する事務となっておりまして、具体的には羽田沖合展開事業、それから中部の新国際空港、さらに首都圏の空港、この三つを主として扱う専門の組織にしたい、かように思っているところでございます。
  77. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 そうすると、今まである例えばハブ空港である成田課とか関空課とか、そういうものと同じような考え方を持っていいわけですか、この部屋は。
  78. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 成田及び関空にはそれぞれ専門の課がございます。したがって、今の三つにつきましてはそれに対応するものとしてつくったわけでございますが、計画の進捗に応じましてそこの体制の強化等をまた図っていかなければいけない事態が来るのではないかと思っております。
  79. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 体制の強化を図っていかなきゃならないというと、この部屋は一体何人ぐらいの構成メンバーになるわけですか。
  80. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) とりあえず室長以下六名でスタートさせていただきたいと思っております。
  81. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 とりあえず六名ということでありますから、その都度その都度空港の重要性にかんがみてどんどんとふやしていって充実をさせていくという考え方で理解してよろしいわけですね。  今、空港計画室の話の中で中部新国際空港、また中部新国際空港という地元の話で恐縮ですけれども、これは大変今地元が盛り上がっておりまして、特に国際空港としてハブ空港として明記を中間まとめでいただいたわけでありますけれども、地元の中部地方としても日本のため世界のため新空港をつくろうという考え方で今本当に各団体が一生懸命やっております。  特に、アジアの航空旅客機が非常に伸びている昨今でありまして、ちょっと調べましたらアジアの諸国がGNPが一%伸びますと国際航空旅客機で二・五%の割合でふえていくという話をデータで調べさせていただきました。近い将来、恐らくこの調子でいきますと世界の五〇%以上がこのアジアで占めていくという専門家の話であります。そして、もし中国が今の形から自由化をどんどん進めて十億人以上の民が海外旅行をしたならば、これはまさにアジアの各地の空港は大変なパニックになってしまう。そういう面で、今まで東京、大阪の二眼レフ的な存在から、真ん中の内臓部である中部というのがまさにその将来のアジアの役割を担っていく一つの大きな空港だと思っております。  恐らく、皆さんにもそういうように理解をしていただけると思いますけれども、そこで御存じのように、中部新国際空港の建設促進の団体が、五つ重要な団体が今できております。  ちょうど筆坂先生がいないから残念ですけれども、中部新国際空港建設促進議員連盟は共産党を除いての超党派ができておる。それから中部新国際空港建設促進期成同盟会も三県市でやっている。それから経済人を中心とする中部空港調査会、これも中経連の会長の松永さんがやっている。そして中部新国際空港建設促進協議会、これは名古屋商工会議所や中経連、経団連、日商そして日経連、経済同友会。  そして、大切なことは、私は一番これを強調したいんですけれども、愛知県の地図をちょっと思い出していただければ渥美半島と知多半島がカニの格好をしているわけですが、そのちょうど右肩のところの常滑沖へできるわけでありますけれども、ここの半島は五つの市と五つの町から成り立っているわけです。この五市五町がいろいろ連絡調整して、地元の受け入れをしていく、こういう状態で今一生懸命地元がやっておる。そして、最も心配をしている現在の名古屋空港を開港時になったらどうするのか、一元化の問題もありますけれども、その現在の名古屋空港の置かれている三市一町も今後のあり方を検討しておる。地元はまさに大変な活気を持って新しい空港に一生懸命やっているわけであります。  そんな中で、おかげでことしの二月に閣議了解をいただきました。それからまた、さらに油に火がついたごとくに動いているわけであります。運輸省として、今後こういう課題がたくさんあるかと思いますけれども、国としてどんな検討状況にあるのか、ちょっと御説明、また教えていただきたいと思います。
  82. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) この中部の新しい空港につきましては、第六次の空港整備五カ年計画期間中に国と地元が一緒になりましてさまざまな調査を進め、内容を詰めてまいったわけでございます。その成果といたしまして、昨年八月の航空審議会の七次空港整備五カ年計画中間取りまとめ、その中でかなり明確にこの空港の位置づけがなされているわけでございまして、これまた先生の御案内のとおりでございますが、改めて申し上げますと「総合的な調査検討を進め、早期に結論を得た上、関係者が連携してその事業の推進を図る。」、こういう位置づけをしているところでございます。  そこで、私どもこれを受けまして、先ほどの本省の組織あるいは地元の第五港湾建設局にも新たな組織を設けて強化を図る、あわせまして、調査費を八年度ですと三億ほど予定しておりますが、事業化に向けてこの調査を進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  83. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 その中でちょっと心配をしておりますのは、地元ももちろん一生懸命やっているんですけれども、前も言ったかもわかりません、空域の問題ですね。自衛隊が名古屋空港にあるわけで、浜松も自衛隊の基地があるわけであります。今度の空港とバッティングしてしまう。その空域については、特に運輸省と防衛庁が調整をしていかないとこれは何ともならない一番基本的な空域の問題でありますから、そこらの状況は今どうなっているんですか。
  84. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 一般の方々には目につきませんが、この空域の調整というのは非常に難しい問題でございますし、またすぐれて技術的な面もございます。そこで、私ども現在既に運輸省と防衛庁の間で中部圏空域利用調整会議という、これは課長クラスで構成いたしました会議を設けまして、ここで実務レベルのワーキンググループを随時開催いたしまして現在調整を進めている最中でございます。防衛庁の方にもそれなりの御理解をいただいているという状況でございます。
  85. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 それから、この間も各委員先生方が関空の上下分離方式の話をしておったわけであります。これは愛知県が中心で今いろいろやっているところあるわけでありますけれども、上下分離方式のこの問題というのはあらゆるメリット、デメリットあるわけでありまして、基本的に今地元で調整しております。先回も亀谷先生からちょっと御質問していただいたわけでありますけれども、再度この方式事業化に向けての運輸省の考え方を少し聞かせていただけますか。
  86. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 大きな空港につきましてはもともと国がやっておりました。それが公団方式になり、また関空のように第三セクター方式に変わってきたわけでございまして、こういう流れの中で中部をどういう方式でするのが一番いいかということを現在我々も考えておりますし、地元の方でも検討いただいているわけでございます。中部の特殊性あるいは地元の方々のお気持ちといいましょうか、そういうことも踏まえて、従来のさまざまなモデルもございますから、これらのプラスの面マイナスの面すべてまとめまして中部でできたら一番いい方式を考えてみたい、かように思っているところでございます。
  87. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 いつも航空局長から聞かされるんですけれども、やっぱり基本的には私は空港というのは先ほども話したように地域の合意といいますか、これが一番必要だと思っております。  ある雑誌だったか新聞だったかわかりませんけれども、大変すばらしい言葉があったわけであります。といいますのは、地上空港でしたらミミズの気持ちまでわかれ、それから海上空港だったら魚の心までわかれ、こういうような表現をした学者といいますか専門家がおりました。まさに私は名言だと思っております。  そういう面で私どもこの中部が、特に三県一市が本当に力を合わせて、今後この空港は世界のための空港、そして中部圏のための空港として頑張っていくわけであります。今度の十一月ごろか十二月か、閣議の決定があるわけであります。亀井大臣は名古屋、中部圏、よく御存じだと思いますけれども、最後に地元の熱望、また世界的な中部国際空港としての決意をひとつ聞かせていただきたいと思います。
  88. 亀井善之

    ○国務大臣(亀井善之君) 先ほど来先生からいろいろお話しいただきましたが、中部圏の皆さん方がそれぞれの組織、団体をおつくりいただきましてこの問題に当たっていただいておりますことは十分承知をいたしております。特に二十一世紀は、先ほど来お話しのとおりいろいろな活動が諸外国との交流、そういう中で成り立っていくわけであります。特にまた国際ハブ空港、国内の拠点空港整備、これは本当に進めなければならない大きな課題と思っております。  その中で、大都市圏の空港整備を最優先課題として取り組む、また特に中部圏は大都市圏の大きな位置づけがある場所でもございますし、現在の名古屋空港も二十一世紀初頭には限界に達する、このような事情にあるわけでありまして、第七次空整におきましては最優先課題としてこの中部新国際空港の実現に向かって最善の努力をしてまいりたい、このように考えております。
  89. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 大臣、ありがとうございました。大変心強く受けとめさせていただきます。  時間もそろそろ参っておるようでありますので、最後にちょっと質問をさせていただきます。  何かといいますと携帯電話の話であります。先日、四月二十三日付の朝日新聞に携帯電話の新聞記事が出ました。私もそうでありますし各委員の皆さんもそうでありますが、特に新幹線に乗られる、行って帰っての先生方でありますので非常に感じられると思いますけれども、最近新幹線の中や列車の中、また長距離バスで大変この携帯電話がよく鳴っておるし、またその場の席でしゃべられる方も大変多い。私がここのところずっと行ったり来たりしている中で、新幹線の中でありましたけれども、トラブルが絶えないんです。トラブルが絶えないというのは、うるさい、お前少し携帯切っておけ、外へ行ってかけろ、こういう声が毎回あります。  新幹線の場合ですと最初に車掌がアナウンスをします。大変お客さんの御迷惑になりますからデッキでおかけください、こういうふうにアナウンスするんですけれども、いざ車掌が通っておって電話をかけている人を見ましても注意をしないんです。あるときそれらしいどこかの筋者かなというような人が堂々と電話をかけておりました。隣に老夫婦がおりまして嫌な顔をしていて、本当に注意したいんだけれども何となく怖そうで注意もできない。  この携帯電話の使用でありますけれども、この新聞によりますと、これはどっちかというと郵政関係かもわかりませんが、「航空機の中など、使用禁止の場所では電源を切っておきましょう。」、「使用禁止の場所」とこういうふうに書いてある。あとは「使用する場所や、声の大きさに気をつけましょう。」、新幹線やホテルでは人に迷惑がかかりますからマナーを守りましょう、こういうふうに書いてある。  まず最初に聞かせていただきたいのは、航空機では携帯電話は使用できないんですか、できるんですか。
  90. 北田彰良

    政府委員(北田彰良君) 航空機には飛行の安全にとって重要な機能を有しております電子機器が多数使用されておりますので、これらの機能を阻害するおそれのある携帯電話につきましては原則として機内での使用を禁止するよう航空会社を指導しております。各航空会社ではこれを受けまして、運航規定におきまして当該使用禁止の措置を具体的に定めているところであります。乗客に対しましては、各座席備えつけの安全パンフレット、機内放送等により周知を図っているところでございます。  なお、乗客がその使用を強く主張する場合には、必要に応じ機長が適切なる措置をとれるよう航空法上規定されております。
  91. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 というと、航空機は、機長が最終判断でやかましいからやめろとか機材の安全性が危ないからやめろ、そうやって言えるわけですね。じゃ、今度新幹線やそれから長距離列車や船やそういう公共的な交通機関の場合はこれは今のところどうなるんですか。
  92. 亀井善之

    ○国務大臣(亀井善之君) 交通機関内での携帯電話の使用の適正化については基本的には個々の人のマナーの問題である、こう考えざるを得ないわけであります。サービスを提供する交通事業者の自主性を尊重したい、このように考えております。しかし、御指摘の件は新しい問題として重要であると私認識をいたします。サービスのあり方等を考える上で貴重な御意見として承りたい、このように考えております。
  93. 鈴木政二

    ○鈴木政二君 大臣にぱっとしゃべられちゃうと後の人が言えないわけです。大臣の答弁ということを非常に私も尊重しますが。  ただ大臣ね、下手すると車内の携帯電話殺人事件まで起こらざるを得ないようなかなり険悪なムードを見ておるわけであります。今、マナーをしっかり守っていこうというのが私は大臣の答弁だと思います。これから携帯電話の使用というのは、自動車の片手運転でも事故が起きたとこれはクローズアップされておりますし、新しい電子機器であります。恐らくこれから、携帯のコンピューターやいろんな問題もたくさん新しい課題として出てくると思います。ひとつ大臣の今の意見十分私どもも踏まえて、国民の皆さんが本当にマナーをよくしていって、他人に迷惑をかけずに楽しい旅行や楽しい出勤や楽しい車内でありたいと思っております。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  94. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 平成会の戸田邦司でございます。運輸行政全般につきまして、大きく分けまして四点ぐらいについてちょっと御質問申し上げたいと思います。  まず第一の問題といいますか、最近の運輸省のこれは調査だと思いますが、最近の運輸関係業種の景気に対する判断といいますか感触といいますか、これを見てみますと、やはりいまだに相当の企業が悪いと感じているというような報道がございます。これまで毎年こういうアンケート調査をやっておられるようですが、対象が関連の二百五十七社ということだそうです。景気が悪いと回答しているのが九四年三月ですと九三%、これはほとんど全体がそう思っていた。九五年になりまして六九%まで下がってまいってきているわけですが、今年三月で六二%、全体として見ますと不景気感が相当根強く残っているということではないかと思います。こういう中で一つの救いといいますか、旅行業とかハイヤー、タクシー、ホテル、航空、こういった企業では景気が悪いと回答した企業の割合が大幅に減少しているというようなことだそうです。  やっぱり景気回復といいましても本格的な回復になっていないというようなところで、本格的な回復というのは全産業が全体としてそういう感触を持つといいますか、経済構造自身がそういうような方向に向いていく、そういうことでないとそうはなっていかないのかと私は思っておりますが、いずれにしましても消費関連といいますか、そういうところが先に動いていっているという一つの現象ではないかと思っております。  内航海運、それから国内旅客船、これはフェリーなどが主体になるかと思いますが、そういったところはいまだに相当悪いと思っていると。設備投資などが本格的に動いていかないとこういう部門はなかなか将来の景気感について希望が持てない、そういうような部門ではないかと思います。  そこで、外航海運とか造船、そういった部門を見ていきますと、最近の動きとしまして為替レートが百五円とか百七円とかその辺で動いておりますが、一時期の八十円というような時期に比べますとかなり希望が持ててきているのかと、こう思います。外航海運などにつきましては、コストのドル化というようなことも相当大幅に進めて対応してきております。一方、造船などにつきましても百十円ぐらいのところで国際競争力が維持できるんじゃないかと、こう考えていた時期があったかと思いますが、八十円という時期を迎えましてさらに相当大幅な努力をしている。ですから、現在の百五円というのは造船業にとってはまあまあ韓国などとの国際競争力も維持できる線ではないかと思います。  ただ、経営状況といいますか、それから考えますと造船というのは甚だおもしろくない産業でありまして、今年度、来年度ほとんど契約が終わっている、これらはいずれも円レートの悪いところで契約しておりますから、相当の赤字といいますか収支状況は非常に悪い、こう見ているんじゃないかと思います。今後円レートが今の状況ぐらいで推移すれば将来は相当期待できる、こう考えているんじゃないかと思います。  日本の造船業の一番大きな特徴といいますと、一つは生産性が非常に高い、もう一つは技術ポテンシャルが非常に高いということではなかったかと思います。運輸省も、技術ポテンシャルを高めていくというようなことにつきましては平成元年度からTSLの開発というようなことを進めてきておりまして、こういうような大プロジェクトを運輸省が技術開発面で進めるということは過去に余り例がないことじゃないかと思っております。超電導磁気浮上の開発の問題があります。それとこのテクノスーパーライナー、さらに運輸省関係の人工衛星の開発、そういったものが挙げられますが、やはりこれだけの技術開発の時代を迎えて運輸省としてもこれから相当積極的に取り組んでいかなければならない分野ではないかと思っております。  TSLの最大の眼目というのは、世界の造船業の中で最大のシェアホールダー、そういうような産業でありながら企業としての魅力がないというようなことで若い人も来なくなってしまった、そういうようなことで造船業自身に魅力を持たせる、技術ポテンシャルを高めていく、そういうことで国際競争力を維持していくというようなねらいがあったかと思っております。国の予算としましては平成元年から六年まで大体四十億弱ぐらいの補助金を出している、それに船舶振興会から相当額を助成してもらい、さらに参加会社の負担がある、そういったことで進められてきた大プロジェクトでありますが、平成六年度に開発を終わっている。この開発は、私はこれにかかわってきた者として言うのは甚だ面映ゆいのでありますが、大成功ではなかったかと思っております。  昨年度は実験船が各港を訪問する、そういうようなことで相当注目を浴びておりました。このTSLは一方でモーダルシフトの担い手というようなことでも考えられてきたわけでありますが、この研究開発の成果を運輸省としてどのように評価しておられるか。それから、「飛翔」という実験船でありますが、これの活用方策などについて最新の情報がありましたらお教えいただきたいと思います。
  95. 小川健兒

    政府委員(小川健兒君) テクノスーパーライナーにつきましては、先生よく御承知のように平成元年度から研究開発を開始いたしまして、平成六年度までの調査研究によりまして設計及び建造に関する基礎的技術は確立いたしました。昨年度は、実海域実験船を使用いたしまして、全国三十三の港に寄港して安全運航の確保、輸送システムや事業運営に関する課題につきまして実用化に向けた総合実験を実施いたしまして成功裏に終了しております。これによりテクノスーパーライナーの運航技術は確立されたものと考えております。  それから、実海域実験船の「飛翔」につきましては、三月二十七日にテクノスーパーライナー技術研究組合において入札を行いました。その結果静岡県が落札いたしました。静岡県といたしましては、災害時に被災者や救援物資を輸送する防災船として活用したいという意向と聞いております。
  96. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 「飛翔」の処分につきましては、大きな問題として研究開発組合が相当心配していたことでありましたから、非常にいい引き取り手がいたということではないかと思います。今後の活用につきましては、相当有効な活用方法があるかと思いますが、災害救難船というのも一つの大きな開発後の利用の眼目ではなかったかと思っております。  この「飛翔」につきましては、先日の新聞報道を見ますと、一九九五年度のシップ・オブ・ザ・イヤーということで造船学会が「飛翔」を選んだというような報道もありますが、実験船をそういうような形でシップ・オブ・ザ・イヤーに選んだというのは初めてじゃないかと思います。いずれにしましても、関係者の努力が実ってここまでやってきたのかと思っております。  そこで、今後の高速海上一貫輸送システムの問題ですが、海上輸送、それに港湾運送とか陸上輸送、これを高速一貫輸送として組み立てなければならないという課題になるわけでありますが、そこに港の整備とか荷役の近代化とかそういったことも要求される。それから、大きな問題として輸送コストの問題、これは船価、燃料費含めてのコストの問題があります。そういったことも含めて採算点とかあるいは貨物の量、そういったことをにらみながら高速海上一貫輸送システムを実用化する、これについては相当難しい問題があるかと思いますが、そういった課題と、それにどのような対応が必要であるかというようなことをひとつお願いしたいと思います。
  97. 小川健兒

    政府委員(小川健兒君) テクノスーパーライナーの事業化についてでございますが、このためには事業を行う主体が整うということ、そしてまた適合する貨物が必要量確保されるということなどが事業化のための成立条件であるというふうに考えております。  運輸省では今年度、モデル事業計画を作成し、またそのモデル事業計画の評価を行うこと、そしてまたテクノスーパーライナーの対応港湾における最適システムの検討など、テクノスーパーライナーの事業化を支援するための総合的な調査を行う予定にしておりまして、そのための予算をお願いしているところでございます。なお、モデル事業計画の中では、具体的な航行ルートにつきましても検討をする予定としております。  それで、これらの検討結果を踏まえて、平成九年度、来年度以降においてテクノスーパーライナーの実用化が早期に図られますよう全省的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。     〔委員長退席、理事横尾和伸君着席〕
  98. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 国内の航路の問題としまして、例えば東京周辺とどこかを結ぶというようなことを考えますと、二点間の高速輸送とその中間の各点を結んでのサービス、そういうような方法も考えられるかと思いますが、例えば関東周辺ですと東京湾に入ってくる、これは非常に難しいんじゃないかと思っております。東京湾の入口あたりで適当な港を選ぶ、これも幾つかの解決すべき課題があるかと思いますが、そういったような航路の選定というのが今後の一つ課題ではないかと思います。地域を選べばかなり採算に乗る可能性のあるところがあるかと思います。今年度のその事業に期待しているところであります。  それともう一つ、国際輸送も可能性が高いかと思っております。例えば、日本海の対岸と日本海側の各港を結ぶとか、あるいは東南アジア諸国との最近の輸出入などをにらんでの輸送を考えていくとか、そういったことが考えられるかと思います。外国の港の間でのサービスなどの可能性もあるかと思いますが、そういったことで国際航路での活用の可能性などについてはどのように見ておられるかという点であります。
  99. 小川健兒

    政府委員(小川健兒君) 国際航路におきますテクノスーパーライナーの事業化につきましても、先ほど述べましたとおり事業化を行う主体が整うということ、あるいは適合する貨物が必要量確保されるということなどが成立条件であると思います。  テクノスーパーライナーの国際航路での活用の可能性につきましては、最近の経済発展が目覚ましい東南アジア諸国におきまして、我が国との間あるいは東南アジア諸国相互間で貿易量が増加しておりまして、テクノスーパーライナーに適合する貨物もあると見込まれております。もう一つは、欧米諸国におきましても超高速カーフェリー構想などが提唱されておりますなど、高速海上輸送に対するニーズが高まっておるわけでございまして、これらの状況から今後国際航路においてテクノスーパーライナーが活用される可能性はあると我々は思っております。
  100. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 今後の可能性につきましては、やはり運輸省全体としての一貫輸送としての取り組みがあるかと思いますので、私自身は非常に大きな期待を持って眺めているところであります。  ここで、高齢者・障害者問題に移らせていただきたいと思います。  高齢者・障害者対応としまして、運輸省が平成六年度に交通アメニティ推進機構というものを設立されておられます。鉄道駅のエレベーターとかエスカレーター、リフト付バスとか、あるいは空港、旅客船ターミナル、そういったところでの高齢者、障害者のための施設に対して補助金を出していく、そういうような事業のように承っておりますが、一方で交通施設利用円滑化対策費補助金、そういう補助金も予算化しておられるというふうに聞いております。  まず、アメニティ推進機構の現在の活動状況などについて御紹介いただければと思います。
  101. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 今お話がございましたように、平成六年の九月にこの機構が設立をされました。大変多くの方の御協力をいただいてできたわけでございますが、一番主な仕事は、今もお話がございましたが、交通機関におけるエレベーターやエスカレーターの整備を支援するということでございます。  高齢化時代を迎えまして、高齢者の社会参加ということが言われておりますが、交通機関を円滑に利用できるようにするというのが大変その場合大事なことでございます。身障者についても同じだと思います。そういう意味で、この機構は大変重要な使命を担っておるというふうに思います。おかげさまで、まだ二年たっていないわけでございますが、次第に軌道に乗ってきたというふうに考えておるところでございます。  具体的な活動の中身は、一番大きいのは補助金の交付でございますが、国からの補助金をこの機構に入れまして、それと同時に民間からの寄附も仰いで、それを合わせて交通事業者に支援という格好で支出をする、そういう格好で交通事業者の取り組みをサポートしているわけでございます。  まだまだこれからやらなきゃいかぬこともたくさん残っておりますが、おかげさまでだんだん軌道に乗ってきておると考えておりまして、これからも一層充実に向かって努力をしたいというふうに思っております。
  102. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 高齢者・身障者対策、若い方々はどうしてそんなことが必要なんだろうと、なかなか理解してもらえないといいますか気がつかないといいますか、そういう点があるかと思いますが、日本でのそういった問題に対する取り組みというのは割合おくれているように感じております。  いずれだれでも年をとり、それから年をとれば障害者に近くなることもあります。北欧諸国などを見ていますと、年寄りというのはもう死ぬ直前まで町の中を自分で歩いていますね。ですから、そういうような環境がある。周りを歩いている人もちゃんとそういう人たちを見ていて手助けする。それから、駅の乗りおりなどもそういうふうにできているというところもあります。歩道橋なんかを見ていますと、階段の歩道橋じゃないものがありまして、これは自転車も通れば冬になるとスキーで通るやつがいる。非常に長い緩やかなカーブの歩道橋ですが、一つの町の景色にもなっているというようなことで、相当細かな気遣いがあるかと思います。  最近、高齢者の住宅などについて、建設省あたりもそういうような住宅建設にインセンティブを与えていくというようなことでいろんな施策が考えられておりますが、高齢者、身障者、そういったものをひっくるめて、ほかの省庁の活動なども横目で見ながら、しっかり進めていただきたいと思っております。  そういう意味では先日、高齢者疑似体験、運輸省の音頭取りといいますか、運輸省でそういうことを行ったというような記事がありまして、各紙相当大きく取り上げておりましたが、私はやはりああいうようなことに運輸省が目を向けてきたということは、一般の人から見て運輸省もなかなか一生懸命やっているわい、そういうような評価を受けてきているんじゃないかと思います。  そういった意味で、先日高齢者疑似体験を行ったことについての運輸省サイドの感想といいますか評価といいますか、その辺についてお聞かせいただければと思います。
  103. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 高齢者ないし障害者の社会参加ということのために、国全体であるいは地方公共団体も含めて施策を講じていかなけりゃいかぬわけですが、運輸省も交通政策を進めていく過程の中でやはりこの視点というのを大切にして行政に取り組まなければいけないというふうに思いますし、そのことがやはり豊かな社会をつくる条件であろうというふうに思って努力をしておるところでございます。  今、先生からお話のありました高齢者疑似体験といいますのは、ことしの三月に運輸省が交通事業者などに呼びかけをいたしまして霞ケ関駅で行った試みでございまして、これは普通の方に高齢者の体験をしていただく、それによって交通関係の高齢者対策を進めるときの参考にしていこうという目的でやったものでございます。  具体的には、高齢者になりますといろいろ身体的な機能が低下をするわけでございますが、それを人工的につくり出すわけでございまして、例えば、お年をとるとだれでも白内障のあれが出るそうでございますが、それの体験をしてもらうために黄色いガラスの入ったゴーグルをつけるとか、やっぱり手足が不自由になりますので手首、足首におもりをつけるとか、関節が御不自由になりますので関節にサポーターをつけるとか、あるいは手にビニールの手袋を二重にはめるとか、いろんな試みをしてそういう状況をつくり出す。それで階段を上って券売機で切符を買って改札口を通ってもらう、そういう実験をするわけでございます。  新聞でも取り上げられたわけでございますが、運輸省からも参加をいたしました。私自身は参加いたしませんでしたが、参加をいたしました若い人の報告によりますと、こんなに不自由なものとは思わなかった、むしろ怖いと、特に階段などは上りおり、特におりるときが非常に怖いということでございました。こういう体験をこれからの施策に生かしていかなければいけないなというふうに考えているところでございます。
  104. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 これからの時代にぜひ重点的に考えていかなければならない施策の一つではないかと思いますので、ひとつその点運輸省の方にもよろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、国鉄清算事業団の問題であります。  あえて私がきょう国鉄清算事業団の問題を取り上げましたのは、最近、どうもいろいろなところで国鉄清算事業団の債務について、もう一つ言えば債務の処理の仕方についてと言った方がいいかもしれませんが、相当議論が出てきているように感じています。その議論も、今まで既に国で決めたといいますか、六十三年ごろの閣議決定でしっかりと決めたはずの基本的な問題点について、また違った認識で物を言っているような人も出てきているというような点が若干心配であります。  先日の月刊誌で「旧国鉄債務「二十兆円」の巨悪を斬る」という記事がありました。私もざっと見てみましたが、一部同感するところもあるし、何でこんなことを言っているんだろうというところも多々あると。先日のテレビで、清算事業団の西村理事長、それからきょう御出席の梅崎鉄道局長のインタビューも見せていただきました。そういったことでもありますので、きょうあえて取り上げさせていただいたということであります。  国鉄清算事業団の債務につきましては、そもそも土地売却それから株式の売却、この二つが大きな柱になっていたかと思います。  土地の問題につきましては、昭和六十二年の緊急土地対策要綱、これを見ましても清算事業団、運輸省ともに何もできないような縛りがかかったということではなかったかと思います。当時の地価高騰状況の中で、地価高騰地域における一般競争入札による処分を凍結する、それで地価を顕在化させない土地の処分方法について検討しろと、こういうようなことだったようです。こういうふうに言われて何か具体的なことが出てくるというようなことはなかなか難しいことではなかったかと私も記憶しておりますが、そういった縛りがかかった中で土地の処分がスムーズに進まなかったということはあったかと思います。  今になって考えてみますと、あのとき土地を処分していて、その土地が住専関係の企業に渡っていてまた話題になるなどということがなかったというのはせめてもの救いではあったかと、こう思っております。  いずれにしましても、その事業団の努力によりまして、平成七年度実績を見ましても四千二百五十三億円の土地を売却している、これまでの総計で四兆六千億ほど売却しているということであります。先日の新聞報道などを見ますと、品川駅の東口、汐留、そういったところについて売却の準備に入ってきているやの記事を見ております。汐留、品川、それから東京駅周辺、それに大阪の梅田、そういったところが大きなところだと聞いております。  そこで、この土地の売却状況とそれから今後の対応策、そういったところについてお話しいただければと思います。
  105. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 国鉄清算事業団の土地につきましては、ただいま先生指摘のとおり、昭和六十二年度から平成七年度の間におきまして約五千八百ヘクタールを売却いたしまして、約四兆六千億円の収入を上げてきたところでございます。  今後のこの土地の処分でございますが、不動産を取り巻く市況が依然として厳しい中で、平成九年度までに実質的な土地の処分を終了するという旨の平成元年の閣議決定がございますので、これを踏まえまして、私どもあるいは清算事業団におきましては土地処分を推進するためのアクションプログラムを策定いたしまして、このプログラムに基づきましてこれから一層積極的に処分を推進していきたい、こう考えております。御指摘ございました品川、汐留等の、私どもいわゆる四大物件と申しておりますが、これらにつきましても今後鋭意処分のための手続を進めてまいりたい、このように考えております。
  106. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 もう一つの大きな柱でありますJR各社の株式の売却という点でありますが、JR西日本が各証券取引所に上場の仮申請を行っているということでありますが、大体ことし百五十万株ぐらい売却したいというような報道があります。それからJR東海につきましても、来年そういった計画を進める予定になっているということであります。その株式の処分につきまして、これまでも相当の株を売却してきているわけでありますが、処分状況と今後の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。
  107. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 清算事業団の保有しておりますJRの株式でございますが、今までの状況から申し上げますと、平成五年度におきましてJR東日本の株式二百五十万株の売却、上場を行いまして、約一兆一千億円の収入を上げたところでございます。その後、引き続きJR西日本の株式の売却、上場を目指してまいりましたけれども、残念ながら株式市況の低迷、あるいは阪神・淡路大震災の影響に伴います上場基準割れといった問題から、いまだこれが実現に至っていないという状況にございます。  このような状況から、清算事業団におきましては市場環境の変化に対応できるよう、より適切な新しい株式の売却方法につきまして検討を進めまして、これについて昨年の十二月、同事業団に置かれております資産処分審議会の答申をいただいたところでございます。運輸省、清算事業団といたしましては、こういった新しい方法に基づきまして、JR西日本を初めといたしますJR株式の早期かつ効果的な売却、上場を図っていきたいと考えております。  なお、JR西日本では株式上場に向けました準備手続の一環といたしまして、四月十八日以降、東京証券取引所を初め六つの証券取引所に上場の仮申請を行っております。なお、このJR西日本の株式につきましては、若干報道でどの程度の株を売るか等々の情報が流されておりますが、これらにつきましては今後検討すべき課題でございまして、私どもとしてはまだ決めておるわけではございません。  それからJR東海につきましても、JR西日本の株式の売却、上場の状況を見ながら、私どもとしてはできるだけ早い機会にこの売却を行ってまいりたいと考えております。
  108. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 土地の問題、株式売却の問題、いずれも清算事業団の債務をいかに圧縮できるか、そういうような観点から考えましても非常に重要であります。地価の動きなどを考えますと、非常に難しいところでそういう作業を進めなければならない。それから、最近の株式市場を見ますと若干よくなってきているということでありますが、本当に先行き見通しがいいということで考えていけるかどうか。日本の経済がしっかりとした足取りで回復するというようなことにでもなれば、そういう点でも明るい見通しが持てるかと思いますが、相当難しい作業をこれから進めていかなければならないということで、運輸省、清算事業団ともに相当の努力が要る問題ではないかと考えております。  そこで関連でありますが、公的年金の一元化という問題がありまして、厚生年金保険法等の一部改正というのが三月八日閣議決定されまして、国会に提出されております。これに関しましては、この統合までの負担としまして事業団及びJR各社が平成二年から八年まで七年間特別負担を実施してきておりますが、これは鉄道共済側の自助努力の一環としまして毎年清算事業団が一千億、それからJR各社が二百二十億、そういうようなことで負担してきているわけです。  今後の統合後の負担としまして積立金の移管をしなければならない、そういうことに相なっているようでありますが、鉄道共済側から厚生年金に対しまして一兆二千百億の積立金を移管しなければならない。たしか、ただいまの積立額が三千四百十億だったかと思います。いろいろ計算してみますと、積立不足額が約一兆円、これは事業主の負担として事業団とJR各社で大体八対二ということになるそうであります。そうしますと事業団が八千億の負担をしていかなければならない。これまた避けられない負担ではないかと思いますが、事業団としてはその負担をどのように扱っていくか、お願いします。
  109. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) ただいま先生指摘ございましたとおり、この国会でお願いしております厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、これに基づきます鉄道共済年金の厚生年金保険への統合に際しまして、国鉄清算事業団は民営化の前の旧国鉄の事業主としての地位を引き継いでいるというところから、昭和六十二年三月三十一日以前にかかわる負担といたしまして、現段階におきます粗い試算では約八千億円の負担が求められるという見込みでございます。  この負担をどうしていくかということでございますが、結局のところ清算事業団が抱える長期債務等の償還の問題と同様に考えざるを得ないわけでございますが、長期債務等の償還につきましては、昭和六十三年一月の閣議決定におきまして、土地、株式などの資産売却収入等の自主財源を充ててもなお残る債務につきましては最終的には国において処理をするというぐあいにされているところであります。そこで、今回の鉄道共済の厚生年金への統合に当たりまして必要とされる移管金にかかわる負担につきましても、法案提出の段階でございます平成八年三月八日の閣議決定におきまして、既存の債務等と同様の取り扱いをするということが決められております。  それから、各年度におきます支払額を初めといたしまして移管金の具体的な支払い方法をどうしていくかということにつきましては、今後関係者間で調整を図るということにしていきたいと考えております。
  110. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 いずれにしましても、最終的に清算事業団の債務として残るその額がどれほどになるかということを考えますと、そう少ない額ではない。    〔理事横尾和伸君退席、委員長着席〕 一般的には二十兆円ということをよく言われておりますが、土地を売却する、株を売却する、それに今のような新たな負担が出てくる、そういったところを全体的に眺めましても相当の債務が残ってしまう。今、梅崎局長からもお話ありましたように、土地収入とかそういったものを入れても残った債務については最終的には国が負担するということが閣議決定されておりますし、また、それらの処理の仕方についてはその他の要件などもあわせてこれから検討するというようなことになっていると理解しております。  亀井運輸大臣は、この問題についてあちこちで質問を受けられたりしまして答えておられますが、やはり大臣が現政権の中でこれをどういうふうに扱ってもらいたいというような意思表示もしないとならないと思いますし、また、国民一般にもこの問題処理についての理解を得ていかなければならない、大臣に相当の負担の努力が要請されているところではないかと思っております。亀井大臣、前にも相当の覚悟でやっていかれるというお話をいただいておりますが、そういう観点から大臣の御感想をお伺いできればと思います。
  111. 亀井善之

    ○国務大臣(亀井善之君) 国鉄清算事業団の長期債務の処理につきましては、今も先生から御指摘いただきましたが、昭和六十三年の閣議決定、このことに基づきまして「土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団の債務等については最終的には国において処理する」と、このように閣議決定されておるところでもございます。また、「その本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」については」、「土地の処分等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入・歳出の全般的見直し」を行う、こういうことになっておるわけであります。  今、私どもといたしましては、いわゆる事業団債務の処理の問題は国鉄改革の総仕上げ、こういう意味でも大変大きな問題と認識しておりまして、引き続きその償還財源である土地、JR株式の早期売却のためにいろいろ努力をしておるところでもございます。極力、国民の負担の軽減のために今努力をすることが目下の私どもの仕事と、このように考えその努力をいたしておるところでもございます。また、引き続きそのようなことに当面全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。
  112. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 総選挙が行われてその後の政権がどうなるかわかりませんが、いずれにしましてもその担当政権がこの問題を処理していかなければならないということに変わりはないわけでありまして、そういう点から今後の政治課題としては非常に大きな点になるかと思います。大臣の御活躍に期待している次第であります。  先ほどちょっと時間の関係で後回しにさせていただきましたが、身障者関係で、最近小型船舶操縦士の免許の取得に当たって身障者をどう扱っていくかというような問題があちこちで提起されております。  お客さんを乗せるとかそういうような職業としての免許の取得ということではなくてホビーとしての免許の取得ということでしょうし、また、自動車などでは相当身障者向けの車なども出回っておりますが、自動車の場合その身障者が自分で動けないというか自分で動くための手段として車を使っている、そういうような面もあって若干その状況が違うかと思いますが、小型船舶操縦士、何で身障者にもくれないんだろうという要望があちこちで出ておりますので、この点について船員部長の方から御見解をお伺いできればと思います。
  113. 金丸純一

    政府委員(金丸純一君) 小型船舶操縦士の免許の問題でございますが、御承知のとおり免許に当たりましては学科試験、実技試験、身体検査、こうあるわけでございますが、特に身体障害者の方々にとりましてはこの身体検査基準これが非常に問題となろうかと思います。この身体検査基準の緩和につきましては、私ども、身体障害者の自立と社会参加の促進を図る意味でも重要なことであるというふうに認識しておりまして、一方、同時に船舶の安全運航の確保を図ることが必要ではあるということもまた忘れてはならないというふうに考えているところでございます。  肢体不自由者の方々に対します身体検査基準の緩和でございますけれども、これまでのところでは、義足でありますとか義手でありますとかこういった補助手段によりまして運動能力が確保されますれば操船に支障がないという判断で、障害の状態に応じました船舶の設備につきましての限定を付した上で免許してきたというのがこれまでのところでございます。  ただ、義足、義手、ここは必要とはしないけれどもひじとかひざに高度障害を有する、こういう方々がこの身体検査基準では合格しない、これを何とか緩和してほしいという要望を私ども受けておりまして、これにつきましては専門家から成ります委員会を設置して検討を行った結果、本年の一月でございますけれども、ひじ、ひざに高度障害を有する者であっても、代替義足等補助手段により運動能力が確保される者と同等の能力を有する者に対しましては検査に合格とするという改正を行って実施したところでございます。  今後とも、技術の進歩とか他の資格にかかわります身体障害者に対する検査基準等を考慮しながら、さらなる見直しについても検討を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  114. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 前から見ますと相当の進歩であったかと思いますが、地方の窓口といいますかそういうようなところでなかなか難しいと感じておられる方々もおられるようですから、そういったところでの窓口相談といいますか、そういう点でひとつ徹底していただければと、こう思っております。  また、介護者つきというとおかしいですが、一人介添えについてそれで免許をくれるというような可能性もあるのかないのかとか、そういった点についても引き続き御検討をいただければと思います。  官房長には、最後の一問で出てきていただいて甚だ申しわけありませんでしたが、運輸省の今年度予算、組織関係で技術総括審議官というのを設置された。やはり時代の変化で相当行政の中に技術が重要なものとして入り込んできている、それから技術的な問題での国際交渉とかそういったものもふえてきている、そういった状況のもとで私はこの技術総括審議官の設置というのはタイミングとしては非常によかったというふうに考えておりますが、設置の目的、業務内容などについて御紹介いただきたいと思います。
  115. 戸矢博道

    政府委員(戸矢博道君) 運輸技術行政につきましては、従来から鉄道、自動車、船舶、港湾等の個別分野ごとの課題につきましてそれぞれ各原局が対応してきたところでございます。ただ、今先生も御指摘ございましたけれども、人や物の流れに沿った陸海空一貫した統一的な取り組みでございますとか、あるいは運輸技術全体を視野に入れながら関係方面と調整をする必要がある、あるいは運輸技術専門家集団のマンパワーの総合的活用と申しましょうか、そういった課題に適切に対応する必要があるということでございまして、運輸省所管の技術行政全体を総括いたします技術総括審議官を設置させていただきたいというふうに考えているところでございます。  技術総括審議官の業務内容でございますが、メガフロートの実用化のような船舶、港湾あるいは航空といったような各方面の運輸技術を総合して行うプロジェクトの推進でございますとか、あるいは公共事業の実施に際しまして、建設費を縮減したりあるいは工事の品質を確保するといったような技術行政全般にわたります重要課題についての調整なり、あるいは省を代表した対外対応、さらには運輸技術に関します各分野横断的な基本政策の企画立案、総合調整といったようなものを担当するということを予定させていただいております。
  116. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 今後の活躍を大いに期待しているところであります。  恐らく、その技術総括審議官の仕事の一端になるかと思いますが、これから私が申し上げる問題は、質問ではなくて私の考え方というか主張として受け取っていただいて御検討いただきたい点になります。  それは運輸省で、鉄道航空、道路運送車両、船舶、この四つのモードの違う交通機関についての安全基準をつくり、検査を実施している。これは私もざっと見てみますと非常におもしろい課題ではないかと思っております。おもしろいと言っては怒られてしまうかもしれませんが、今までの歴史の違いもありましょうし、それから歴史の違いの中には育ってきた環境もありますし、それから一方で、船舶とか航空機につきましてはIMOとかICAOとかそういったところでの協定などもあって、技術基準がそれぞれ決められ、安全審査体制などについてもきちっと決められている。そういう状況にあるわけです。  我が方の法律の中で見ますと、ここが一番おもしろいのかもしれませんが、鉄道事業法、航空法、道路運送車両法、船舶安全法、この四つの法律の中で相当細かに書いてあるのは道路運送車両法とそれから船舶安全法かと思います。鉄道航空法はその事業法といいますかその中で安全審査関係について書いてある。これは形式の違いだけではなくて、法律で仕切っている中身といいますか細かさと言った方がいいかもしれません、それが大分違う。  立法府側から見ますと、立法府のかかわりというのはどこまでかという問題があるかと思いまして、しかしこれは先ほども申し上げましたように、今までの経緯もあってなかなか急に改めるわけにいかないだろうとは思います。  その安全基準を当てはめる対象になっておりますものについても、マスプロで生産されるもの、単品で生産されるもの、それから使用の方法によっては、お客さんを乗せる、貨物を運ぶ、あるいは個人が乗る、そういったことでかかわりが違ってくるかと思っております。  最近の規制緩和の中で一番うるさく議論されたのは自動車でありますが、自動車はもうだれでも持っている、乗っている、知っているというようなことで割合議論しやすい。そういうことで議論されてきたということも考えられるかと思いますが、自動車の安全検査につきましては最近相当緩和されているというところもありますし、またユーザー車検というようなことで自分で検査場に持っていく、そういうような方法もある。  ほかの輸送モードについて何をどのように考えていくか。私はもともと船屋ですから船のことを言わせていただきますと、船なんというのはもう一品生産で、どんな造船所でつくられるかわからない。造船所のレベルも千差万別。それから、それを運航していく会社も例えば日本郵船みたいなしっかりした会社から一杯船主まで、瀬戸内の一杯船主は船の維持管理などについては技術的な知識もない、極端な話をすればそういうことになるかと思いますが、そういったものを対象として考えていかなければならない。  しかし、いずれにしましても、いずれの輸送モードに対してもやはりこういうような理屈があるからこういうような検査をやっております、国はここまでかかわっておりますと、あるいは、国はここまでしか見ることができないからあとは所有者が自分の責任で見るんですというようなことにするのか、その辺について今後ひとつ御検討をいただく、全部一律にどうこうしろという議論ではありません。  やはりすべての輸送機関、輸送モードについて一つの省が扱っている国というのはそう多くないかもしれません。日本が一番先進国なのかもしれません。技術先進国としてひとつその辺についてのきちっとした考え方、見解、方法、そういったものをこれからの課題として確立していただければということを希望しまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  117. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 ただいまも戸田議員の方から安全問題についていろんな提言がなされて、なるほどだなというふうな感想を実は持ったところでございます。けさのテレビの報道でも、ゴールデンウイーク中に二百五十名ぐらい亡くなったというような報道がございましたし、やはり運輸省の仕事として安全というのが一番大切だという印象を実は持ったところでございます。  あわせまして、きょうのニュースで同じように、ここ数週間といいましょうか約一カ月間、JR東、首都圏において置き石や列車無線妨害事件等が非常に多発をしておるわけでございまして、その中には大変悪質なものも実はあるわけでございまして、今日まで四十七件の事件が起きているという報道もされておりました。  一遍に六名か七名か亡くなれば大変な大きなニュースになるわけですが、二百五十名近い人たちが亡くなっても、交通事故で亡くなった、そう大したことはないなというような印象を実は受けるわけですけれども、そうではなしに、この種問題が起きている前兆としてやはり大きな事故が起きるのではないかというのが実は心配されるわけでございます。とりわけ、列車というのは大量に高速に人を乗せて走っているわけでありますから、一たび事故が起きれば大変なことになるわけでございまして、脱線転覆等の事故は最近はありませんけれども、こういうことが予測されるわけであります。  そういう事件が発生しておりますので、運輸省としてこれらの事件の再発防止の取り組み、安全対策についてどのように指導されているか、お尋ねをいたします。
  118. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 私の方からまず事実関係を御答弁させていただきたいと思います。  列車の無線妨害につきましては、防護無線機が四月六日と七日に三鷹の電車区におきまして盗まれたのが発見されまして、現在までにこれらの装置によりまして二十四件の妨害が発生しております。それから、置き石や信号ケーブルの切断などによります列車妨害につきましては、四月中旬から現在までに約三十件が発生しております。  現在までのところ、この種の妨害によりまして幸いにも列車の脱線やけが人は生じておりませんが、これらの行為は申すまでもなく大変危険なものであり、また乗客に不便を発生させるものでありますから、JR東日本におきましては、列車無線妨害につきましては四月八日に防護無線機盗難事件対策本部を、それから置き石等につきましては四月三十日に列車妨害対策本部をそれぞれ副社長を本部長として設置したところでございます。  そこで、同社におきましては、防護無線機による妨害につきましては、接着剤による固定化や特殊なかぎへの変更などによります盗難防止対策、それから妨害電波を早期に判別しまして列車への影響を最小限にする対策を進めているところでございます。また、置き石等による列車妨害対策としましては、関係の警察署へ警備の強化を要請するとともに、ガードマンの配置や社員によります夜間巡回等による警備を行っているところでございます。  運輸省といたしましては、防護無線につきましては、直ちに地方運輸局を通じまして関係鉄道事業者に対しまして盗難の防止を喚起するとともに、大臣の御指示に基づき、JR東日本を初めJR東海、JR西日本に対しましても、防護無線機の盗難防止と盗難された無線機による妨害に対する適切な対応を指示したところでございます。また、置き石等によります列車の妨害を含めました列車の輸送の安全確保について万全を期すために、捜査当局の協力も得ながら巡回等によります警備のより一層の強化などにつきましてJR東日本を指導しているところでございます。
  119. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 事が重大な事故につながるわけでございますから、どうか積極的な指導をよろしくお願いしておきたいと思います。  先ほども話題になりました旧国鉄の長期債務の問題についてでありますが、債務全体の取り扱い等については閣議決定のとおり実施されることになるであろう、しかしその方法についてはいろんなことで行われることになると思いますので、それらの処理につきましては別途次の機会にでも質問することができるであろう、こういうふうに思っているんです。とりわけ、旧国鉄の長期債務の問題については非常に関心のある問題でございまして、国民負担の軽減という立場に立てばJRの各社の株式上場をすることも一つの考えであろうというふうに思います。  既に、JR東では一部を放出していますし、JR西日本は仮申請を行ったというところであります。残るJR東の百五十万株、それからJR東海、さらにはJR三島及び貨物会社の株についての今後のスケジュールについてお伺いをしたいと思います。先ほどの答弁では、資産処分審議会というものの答申を受けて何かそういうようなことを実施していくようなことを言われておりますが、どのような今後扱いになっていくのか、そのスケジュールについてお伺いをしたいと思います。
  120. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) 一部答弁が重複するかと存じますが、平成五年度にJR東日本の株式の一部につきまして売却、上場を行いました後、私どもは引き続きJR西日本の株式の売却、上場を目指したわけでございますが、これがまだ実現に至っておりません。  このような状況から、清算事業団におきまして、市場環境の変化に対応できるようより適切な新規売却方法につきまして検討を進めまして、昨年の十二月に資産処分審議会の答申をいただきまして、この新規売却方法を決定したわけでございます。私どもそれから清算事業団といたしましては、このJR西日本と東海の株式につきましては、こういった方法に基づきまして市場の動向等を見きわめながら早期かつ効果的な売却を行っていきたいと考えております。  なお、JR西日本におきましては、この四月十八日に、株式上場に向けた準備手続の一環といたしまして、東京証券取引所を初めとする六つの証券取引所に上場の仮申請を行ったところでございます。  さらに、御指摘のございました東日本の株式あるいはJR北海道、四国、九州あるいは貨物の株式でございますけれども、まずJR東日本の株式につきましては百五十万株が残されております。これにつきましては、JR西日本、東海の株式の新規売却、上場、これらの動向を見定めながら今後適切に売却してまいりたいと考えております。  それから、JR北海道、四国、九州及び貨物会社の株式でございますけれども、これも国民負担を少しでも軽減させるという観点から見ますと本州三社と同様に早期に売却を行うことが望ましい、こういうことが考えられますけれども、現時点におきまして直ちに上場による株式売却を行うのは困難である、これは上場基準を満たさない等々の問題がございまして、この点はそういった点での困難性がございます。したがいまして、これらの株式につきましては、今後各社の経営の見通しであるとか、あるいは株式保有主体のあり方等々につきまして検討をした上で幅広くその売却についての検討を行っていきたい、このように考えております。
  121. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 とりわけ、長期債務の問題については非常に国民が関心のあるところでございまして、やはりいかにして努力をするか汗を流したかという結果がこの長期債務処理に当たっての国民からの信頼を得られるかどうかという境目になると思いますので、今後ともひとつ一生懸命努力をしていただきたいと思います。  次に、中小私鉄の自立それから地方鉄道の活性化の上では近代化補助制度の果たす役割は大変大きいものがあるわけでございまして、これからの地方鉄道を考えていく場合に、公共交通機関の相互の共通化それから利用促進など利便性の向上が大いに期待できるプリペイドカード、これらについても一つは助成対象として新設をする考え方があるかどうか、もしなければこの機にひとつ新設をしていただきたい、こういうふうに実は思っています。もう一つは、やはり地方鉄道の活性化として、補助の対象の拡大についてひとつ御検討を願いたいと思うのであります。  これらの近代化というものが高齢化社会に向けて、プリペイドカードは若い人たちよりも年寄りの方に大変人気があるわけでございまして、一々財布から金を取り出したりいろんなことをしたり運賃を聞いたりしなくていいと大変高齢者の方からは好評でございますので、国民にサービスをする上からもこれらは積極的にやはり私は導入すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
  122. 梅崎壽

    政府委員(梅崎壽君) プリペイドカードに対する近代化補助の適用の問題でございますが、この近代化補助があくまでも鉄道軌道の近代化を促進して鉄道事業の経営収支、それからサービスの改善、保安の向上を図るための設備の整備に要した費用に対する補助であるという、このような基本的な性格がございますので、例えばプリペイドカードの導入に伴います自動券売機等のこういう設備の機器につきましてはこの補助制度の適用ということもあるいは可能であろうというぐあいに考えておりますが、いずれにいたしましても、今後、事業者からの具体的な要望に応じまして具体的に対処していきたいと考えております。  それから、補助制度の拡充につきましての御指摘がございましたが、私ども、例えば平成四年度から新たに第三セクターの鉄道に対しましてもこの近代化補助制度の対象とするといったような努力もしてきておりますが、今後とも具体的な要望に応じまして適宜対処してまいりたいと考えます。
  123. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 地方鉄道といえばもう御案内のとおりでございまして、業者が努力をしていく、そして地域の活性化のためになっていくようなことになれば、やはり運輸省としても、今お答えありましたようにどうか要望があれば積極的にひとつ対応をしていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、自動車関係でございますけれども、最近の地方バスの運営については、以前は定期バスの補助的な役割として貸し切り運営の収入で定期路線を守っていくというようなことがずっと地方のバスでは行われていたわけでございますけれども、その貸し切りが最近非常にだめになってきている。なぜだめになってきているかという問題をいろいろ考えてみますと、一つは、もう道路運送法の第四条の事業者として一生懸命努力してもその業が成り立たない。こういうことになっている原因の一つに実は白バスの営業類似行為があるわけでございまして、これが大きく社会問題にも実はなっておるわけでございます。  現在、白バスは全国にどれぐらいあるのか、同時にその所有形態といいましょうか、どこが所有しているのかお知らせ願いたいのでありますが、全部といっても無理でありましょうから、全体の数とレンタバスの関係についてのみ報告をいただければと思います。以上でございます。
  124. 山下邦勝

    政府委員山下邦勝君) いわゆる青ナンバーの営業バス以外の自家用乗り合い自動車の数というのは、ことしの四月末の現在で全国で十四万七千台ございます。このうち、いわゆる観光を中心といたします三十人以上の大型バスが二万九千台、また、乗車定員が十一人から二十九人までの通常マイクロバスと呼んでおりますが、これが十一万八千台となっております。このうち、レンタバスにつきましてはマイクロバスだけを所有しておるわけでございますが、これが大体マイクロバスの一割、一万一千六百台程度ございます。  以上でございます。
  125. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 実は、今言われた数字が全部が全部白バスの営業行為をやっているというふうには思いませんけれども、最近の新聞の報道によりましても、多く白バスの営業類似行為が摘発されていることなどを考えますと、これは大きな問題になってくる要素の一つであります。その点では、運輸省それから警察庁御協力いただいて摘発に努力して、できるだけそういう違反行為がないように努力をしていただいていることにまずは感謝を申し上げるところでございます。  警察庁の方にお伺いをいたしますけれども、白バスによる営業類似行為は主にどのような形態があるのか、その実態についてお伺いをしたいと思います。
  126. 稲葉一次

    説明員(稲葉一次君) いわゆる白バス事件につきましては、事件で把握しているということでございますが、旅館業者が自己所有の車両により観光旅行等の目的で運送を行う場合や、レンタカー業者が運転者と車両を提供してホテルや結婚式場の送迎に使用するというふうな形での報告は受けております。
  127. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 私どもは、調査をしてどうこうするということはなかなかしにくい。調べるというのは言い過ぎかもしれませんし、調査をするというんでしょうか、どういう実態にあるのかというのは、調査をしてみますとこれは物すごい数字の数が実は動いておるわけでございます。  そこらあたりのところはもう少しひとつ的確にお願いをしたいと思うんですが、白バスの検挙の実態については大体どの程度あるのかお知らせ願いたいし、今後の取り組み状況について、捕まえる側の取り組み状況を聞くというのはちょっと失礼なことになると思いますが、大体こういう考え方ですぐらい述べられるかどうか、お願いしたいと思います。
  128. 稲葉一次

    説明員(稲葉一次君) 白バス事件につきましては、過去五年間で六百十一件を検挙しており、平成七年中は八十九件を検挙しております。  御案内のとおり、白バス事件は輸送秩序を乱すのみならず乗客の安全確保という観点から非常に問題があるところから、警察といたしましては、運輸当局等の関係機関と連携いたしまして取り締まりに努めておるところでございます。今後におきましても、違法な事案に対しては厳正に対処していくこととしております。
  129. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 これからもひとつ運輸省と協力してやっていただきたいと思っています。きょうはどうもありがとうございました。  続きまして、労働省にお伺いをしたいわけですが、ちょうど法と法との間のすき間みたいなところをねらってきてこういうレンタ業者というものが行っている運転代行業、貸し切りバス運転が行われているわけでございますけれども、そういう人の使い方というところで職安法に違反するのではないかというふうに思うんですが、その点いかがでございましょうか。
  130. 森山寛

    説明員(森山寛君) 先生の御指摘のような件につきましては具体的には掌握をしていないところでございますけれども、ただ、労働関係法上の一般論としましては、そのような場合に適正な請負なのかどうかというところが問題になろうかというふうに思っております。  御指摘のような場合に、運転の発注元から運転手に対しまして、例えば仕事の割り振りとか、あるいは休憩時間等も含めたそういう具体的な指示がございまして、運転手がそれに基づきまして運行しているというような、いわゆる発注元によりまして運転手の雇用管理がなされているというような場合には、これは労働者派遣法という法律がございますけれども、その派遣法上の問題等が生じるかというふうに考えております。
  131. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 請負の場合とその発注元の指示系統というのが非常にわかりにくいといいますか、そういうところが大体どこら辺できちっと区別されているのか。非常にしにくいであろうということはわかる。そこの間でこの業者がはびこってきている。だから何らかの対策があるかないか。
  132. 森山寛

    説明員(森山寛君) これは個々具体的に調べていかなければなかなか難しい問題でございますけれども、抽象論的に言いますと、例えば具体的な休憩時間とか、始業終業とか、それから一定の決まった後に時間外就労を行う場合とか、そういう指示をどこから出すのか。一たん請け負ったところから出すのか、あるいは直接その現場の方で注文主といいますかその方が指示するのかどうかというような具体的な事案を重ねて判断をしてまいりたいというふうに考えております。
  133. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 具体的に摘発をしていこうとする場合は、発注元なのか請負なのかというのが明確にならぬと難しいですか。
  134. 森山寛

    説明員(森山寛君) 派遣法上は、そういう場合には派遣元が違反になってまいります。
  135. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 派遣法の場合はきちっと摘発ができる、こういうことになるわけですね。わかりました。ありがとうございました。  最後になりますけれども、この白バス問題というのは、運輸省から許可をいただいて免許で仕事をしていくその業者の業が成り立たないような状況に実はなっているわけですね。したがって、その結果法を守らない、運賃と言っていいのかどうかわかりませんがでたらめな運賃でいく、雇用と労働条件も脅かされる、同時に、その運輸省から免許をいただいて仕事をしている業が成り立たない。こういうような状況になっているわけでございまして、これが非常に広域化、同時にまた組織化しているわけですね。  そういう、ただ単に運輸局というのでしょうか単位だけの、中だけの話にはだんだんなりがたくなってきているわけでございまして、お互いに関係省庁との連絡等をひとつ密にしていただいて啓蒙活動に取り組んでいただきたいと思うし、道路運送上の秩序維持、それから安全輸送の観点から、白バスによる営業類似行為については厳正なやはり取り締まりが必要であろう。その場合、もう指導と対策だけでは限界があるのではないか。  これは何回も実はお願いをしてきたわけでございますけれども、腐った魚にハエが来て、そのハエを追えば、追った間は出ていきますけれども、また自然に集まってくるというような状況になつているところでございまして、やはり道路運送上の秩序の維持と安全輸送の観点から、白バスの営業類似行為に対してひとつ厳罰をもって処するべきであると思いますけれども、今後の取り組み方をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  136. 山下邦勝

    政府委員山下邦勝君) ただいま御指摘ございましたように、白バスでございますとか違法レンタバスによります道路運送法の違反、こういったものにつきましては輸送秩序を乱すことにつながるのみならず、これを利用される方の安全にもゆゆしき問題を生ずる可能性を持っており、我々としても看過できない問題であると考えております。  今、御指摘ございましたように、貸し切りバスは我が国の高速道路の発達その他によりまして非常に動きが広域化をいたしておりまして、その貸し切りバスの類似行為も非常に広域にわたって行われておるわけでございます。こういう場合に、ある陸運支局に通報いたしましてもそこで対応できるとは限りませんので、支局相互できちんと登録されたところへ連絡をするというような体制をとっておるところでございます。  さらに、今御指摘ございましたように、自家用バスを使用してそういったものを行っておるということが確認されました場合には車両停止処分でございますとか、レンタバスにつきましては事業許可の取り消し処分をするということにいたしておりまして、これらにつきましてもまた警察等の関連機関とも密接な連携をとりながら進めてまいりたいと思っておるところでございます。
  137. 渕上貞雄

    ○渕上貞雄君 終わります。
  138. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、有事法制問題についてお伺いをしたいと思います。  四月十七日の橋本首相とクリントン大統領の日米安保共同宣言で、日米防衛協力指針、いわゆるガイドラインについての見直しが決められました。同時に、このガイドラインの見直しで日本周辺有事について日米共同研究を行っていくということも確認をされました。また、この日米安保共同宣言では、周辺の不安定要因として朝鮮半島の緊張ということを、これは名指しで挙げております。つまり、周辺有事というのが朝鮮半島有事を想定したものだと、少なくともその一つとして想定しているのは明らかだと思うんです。  ところが、去る四月二十五日の参議院予算委員会で大臣は、周辺有事に関連した民間空港の使用問題について、それらの問題については研究していない、現段階ではお答えできないというふうに答弁をされました。しかし今、周辺有事の研究一で、民間空港、港湾の使用をどうするか、少なくともこれが一つの焦点になっているということは御認識されているでしょうか。
  139. 亀井善之

    ○国務大臣(亀井善之君) 今、民間空港並びに港湾の使用等の問題につきましては、有事に際しての外交、防衛の基本問題、こういうことが今後政府として研究が進められると、このような考え方を承知いたしております。その中で、運輸省としてもいろいろ検討をしていくことになろうかと思いますが、現在その研究、こういう段階と思います。
  140. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 具体的にお伺いしたいと思うんですが、日米地位協定の第五条で、これは米軍機が日本の港であるとか飛行場に出入りすることが認められております。しかし同時に、この第五条というのは、あくまでも軍事利用はさせないというのがこれは基本的な考え方としてあると思うんです。  現に、これは大分古くなりますけれども、一九六九年四月十八日衆議院内閣委員会で当時の手塚航空局長がこう述べておられます。五条に基づく使用というのは不時着的な使用である、それ以外は拒絶する、米軍機が例えば偵察目的で飛ぶとかあるいは戦闘目的で利用する、これは軍事基地としての使用になるのでこれは拒絶するというふうに明確に答弁をされています。つまり、今で言えば成田のような純粋な民間空港、こういうものには軍事目的での利用はさせないというのがこの間の答弁でした。この立場は運輸省は踏襲されるというふうに確認していいでしょうか。
  141. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今、大臣からお答え申し上げましたとおり、いわゆる有事の検討につきましてはこれから我々着手する段階でございまして、今までのいろいろな経緯も踏まえましてその中において検討を進めたいと思っております。
  142. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 明確に御答弁されなかったんだけれども、これは随分答弁ありますよ。今のは手塚航空局長の答弁ですが、例えばこれは一九六八年三月、中曽根運輸大臣、戦闘目的のためにそれを利用するというようなことについては我々はこれを拒絶しょうと思います、こう述べています。あるいは六九年、当時の原田運輸大臣、軍事目的に使うということについてはそれを拒絶するということは何度も申し上げてきましたと。  今、航空局長は、これから研究するということでこれまでの五条使用についての見解をあなたは認めなかったけれども、これも含めて改めて考える、今までの見解を変えるということになるんでしょうか。
  143. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) いろいろなケースにつきまして歴代の大臣が国会の場等においてお答えをされていることは我々もよく承知しておりまして、そういう大臣の答弁の重みということも踏まえながら検討しなければいけないと思っております。
  144. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 余り明確じゃないですね。この答弁は変えない、この立場は変えないと。それとも、変える可能性も今後の研究ではあり得るということなんでしょうか、どっちなんでしょうか。
  145. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 重ねてでございますが、答弁の重みというのは我々認識しているつもりでございまして、その点を踏まえまして検討したいと思っております。
  146. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 答えになっていないんですよ。つまり、この答弁の重みはよく踏まえると、しかし、重みを踏まえたってもう何十年もたったから軽くなっちゃったということあるでしょう。何も私、この答弁を古いものだ、葬り去りなさいと言っているんじゃないですよ。五条は少なくとも今まではこういう答弁だったんです。だから重大ですよ。もしこれを今後踏襲しないと言うならそうはっきり言えばいいんです、私はそれを望みませんが。これは重大問題ですから、これを変えるというのは。どうなんです、もっとはっきり答えてください。
  147. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 地位協定そのものの解釈というのは私ども有権的にする立場には残念ながらございませんが、従来大臣としてあるいは局長としてそれぞれ答弁をしているわけでございまして、私どもとしてもその点の経緯も踏まえた上で検討したいと思っております。
  148. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 どうも今の御答弁を伺っていると五条使用についても考え直すというふうにしか解釈できないですね。だってこれほど明確に述べているんですから、従来は軍事目的にはもう利用しない、不時着的な使用だと、こう言っているんですよ。そんな答弁じゃだめですよ、そんな答弁何度繰り返したって。私時間が短いから、その答弁繰り返していればそのうち二十分たつだろうと思っておられるかもわからぬけれども。もう少しはっきり答えないと、国会で質問されているんですから。いかがですか。
  149. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 私どもも歴代の答弁を全部今調べつつありまして、それぞれの御質問、それぞれのケースについていろいろなニュアンスの答弁があることは事実でございます。したがいまして、今先生の御指摘ありました答弁、それもいろいろ背景があるかと思いますから、その点も踏まえて私どもなりに正確な判断をしたいと思っております。
  150. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 大臣、どうでしょうか。
  151. 亀井善之

    ○国務大臣(亀井善之君) いろいろ歴代の大臣、それぞれ御答弁を申し上げておるわけであります。また、先ほど申し上げましたとおり、日米安全保障条約及び日米地位協定の解釈、こういうことにつきましては私ども運輸省としてのお答えをする、こういう立場でもないわけでありますが、いろいろ歴代の大臣等々の答弁を十分検討して対応してまいりたい、このように考えております。
  152. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 答弁は変わらないようなんですが。  では、ちょっと別な話で聞きたいと思うんですが、四月十一日に自民党の安保調査会がありました。ここで運輸省も出席をして、この問題で説明を求められていますね。これは毎日新聞ですけれども、それによりますと、運輸省は日米地位協定の二条四項(b)によって有事の際の民間空港の使用も可能との見解を示したというふうに報道されているんですけれども、これは事実でしょうか。
  153. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 自民党の安保調査会で有事への対応についていろいろ御検討なさっておられるわけでありますが、その一環として私どもに対しまして、民間空港の使用について制度上どうなっておるのか、あるいはどういう問題があるのか、そういうことを説明するようにという御要請がございました。それを受けまして、私どもで事実関係を御説明したということでございます。  私どもとして御説明をしたときに、今お尋ねがありましたように二条の何項の何であるとかいうようなところまで立ち至って御説明はしておりません。それは私どもは地位協定の解釈をする立場にございませんので、地位協定によって使用することは許されておりますが、事実上はいろいろ問題がございますということを御説明した、そういう状況でございました。
  154. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 この地位協定の二条四項(b)については一定の制限がやっぱり加えられているんですね。二条四項(b)というのは、日本側が管理する空港です、それを米軍に対して一時的に使用させるという場合です。これについては一九七一年の二月二十七日に四項目の政府統一見解というのが出ております。  読み上げますと、一つは「年間何日以内というように日数を限定して使用を認めるもの。」。二つが「日本側と調整の上、そのつど期間を区切って使用を認めるもの。」。三つ目が「米軍の専用する施設・区域への出入のつど使用を認めるもの。」。四つ目が「その他、右に準じて何らかの形で使用期間が限定されるもの。」。これが二条四項(b)についての政府統一見解です。もう二十数年たっていますけれども、これは変わっちゃいません。これは有事じゃないんですよ。有事のときに何日に限ってなんというそんな有事使用はないんです。  例えば、これ外務省条約局、アメリカ局、当時ですが、一九七三年に出した日米地位協定の考え方というのがあります。これ見ますと、二条四項(b)でもし有事の使用、有事再使用ということになるとすると、これはそのままでは難しいと。まずとりあえず二条四項(b)で使って、すぐに二条四項(a)、これは米軍管理の空港ですね、米軍管理の空港で、それを日本側が一時使用する、(b)とは正反対のもの、これに切りかえる必要があると。しかし、この切りかえというのは非常に困難だというふうに言っています。  そして、もう古くなりますけれども、佐藤総理も、有事使用とは基本的にこの二条四項(b)というのは異なるというふうに明確にこれは国会で答弁されているんですね。つまり、今までは五条もこれはもうもちろんだめだ、二条四項(b)も有事は全く想定していないと、これが政府の統一見解だったんです。  地位協定の解釈は外務省だというふうにおりしゃるけれども、それは確かに協定ですから外務省が解釈権を持っているでしょう。しかし、実際にこれ運用のときにかかわってくるのは運輸省ですから、この二条四項(b)についての解釈、運輸省はどうなんですか、有事で利用できるということなんですか。
  155. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 私どもはそのときも申し上げたんでございますが、五条にこういう規定がございます、あるいは二条にこういう規定がございますというところまでは私どもで判断もできるわけでございますが、その解釈といいますか、例えば、これは幾つのケースを想定しておるとか、有事がその想定の中に入る入らないということは私どもとして判断できる立場にございません。  したがって、私どもは、協定上にこういう規定がございます、ただし現実問題としては別の問題もございますということを申し上げたと、それ以上のことは申し上げておりませんし、今でも存じません。
  156. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私、なぜこういうことを聞くかといいますと、少なくとも今までの政府の見解だと五条であろうと二条四項(b)であろうと米軍が有事利用はできない、これがもう明確な政府の回答だったわけです。ところが、今周辺有事ということで日本の民間空港、港湾を米軍がどう利用するかということが問題になってきているんですよ。そうしますと、道は二つしかないんです。一つはこの地位協定とは別にいわゆる有事立法をつくるのか、それとも地位協定の解釈をこれまでと百八十度変えるのか、このどっちかしか選択の道はないんですよ、もし民間空港を使わせるということになれば。それは論理的にそうなることは明らかでしょう。  有事で民間空港を使うんだと、地位協定も何も関係なしでどうぞというわけにはこれいかないわけで、そうなれば地位協定でそれはできるんだというふうに解釈をして進めていくのか、それとも、いや地位協定の解釈は従来どおりです、したがって新たに有事立法をつくる必要があるんですと、論理としてそういうふうにならざるを得ないというのは、これは論理としてお認めになりますか。
  157. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 私どもは、具体的にアメリカ側からどこの空港を使いたいというようなお話があったというふうにはまだ伺っておりません。ただ、有事に関していろんな勉強がこれから行われる、そういう場合にはその中で運輸省として適切な対応をしていかなければいけないというふうに心得ております。
  158. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 だから、そういう事態になったときに、今言ったように地位協定の解釈をどうするのか、あるいは新たな法律が必要なのかということが問題になってくるということは容易に推定できるんじゃないですかということを言っているんです。
  159. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 地位協定の解釈について……
  160. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 解釈じゃないですよ。
  161. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 地位協定の解釈の前提として有事が入る入らない等について私ども判断できる立場にございませんので、こうであればこうでなかろうかというお尋ねでありますが、それについて責任を持ってお答えができない状況でございます。
  162. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 余りガードがかたいので、同じことばかり聞いてもしようがないんで。  私が重大だと思うのは、この間、いわゆる五条使用で民間空港の使用というのが非常にふえているということです。これは運輸省から資料をいただきましたけれども、全国八十四の空港のうち四十四、五割以上の民間空港が米軍の離着陸を認めている。しかも、その回数というのは長崎空港の場合、これは二条四項(b)じゃないですからね五条使用ですよ、九三年三百十回、九四年三百六十五回、九五年二百五十二回。九四年なんか毎日です。これ不時着てすよ、毎日、今までの解釈だと。そんなに不時着があるわけないんですけれども。  ちなみに、長崎空港への民間の国際便の着陸回数は九二年で三百六十八回です。九四年の米軍使用と国際便の離着陸回数が変わらないというぐらい長崎空港なんかは米軍機によって使われているんです、不時着だということで。まさに米軍の使用というのが常態化しているというのが実態なんです。何でこんなに八十四のうち四十四空港も米軍は着陸するのか、何でそんなに何百回も使用するのか。目的があるんですよ。何の目的もなしにこんなことはいたしません。そうでなかったら横田でもどこでもあるんですから。  何でやるかというと、これは日経新聞の最近の四月二十日付、「米軍は、極東有事の際に米軍が使えそうな施設を事前に調査するため、日本を含む各国に専門家を定期的に派遣している。民間空港を調べる場合、兵舎に転用できる建物」、これが空港のどこにあるかと。「防空ミサイルを設置する場所まで下見する。その徹底ぶりは「電気器具のコンセントの穴が二つなのか三つなのかまで調べ上げる」」というんですよ。こういうことのために民間空港に米軍はわざわざおりて、そしてそれを調べるという。  それだけじゃないですよ。一九八八年八月二十五日、秋田空港で米軍のF16、これが超低空で滑走路に沿って飛ぶと。これ普通の超低空飛行じゃないんです、滑走路に沿ってやる、ローパスというふうに呼ばれているらしいんです。これは問題になりました、秋田県で。県も問題にしました。秋田空港も問題にした。それに対して三沢基地のリレーニー報道部長は、知らない飛行場の滑走路におけるアプローチ感覚がパイロットにとって必要であり、その訓練だと。これはまさに有事のときに民間空港を使うことがある、その場合にその滑走路がどういう滑走路なのか、風向きがどうなのか、癖はどうなのかということを下見するために今民間空港を、全国八十四のうち四十四も使っている、ローパスという訓練までやっているということなんです。  ですから、今運輸省はこれからのことで何もわかりませんというふうにおっしゃるけれども、米軍の方は既にそのための準備を着々と進めているということになるんです。もし、そうでないと言うなら、長崎空港の年間三百回と、こんなものは何が五条使用だ、何が不時着使用だと、これは抗議をしてやめさせるというぐらいの措置をとらなきゃ、言葉は悪いけれども、有事の際には民間空港を明け渡すということを裏で通じ合っていると言われても仕方がないと思うんですけれども、大臣、最後に御見解いかがでしょうか。
  163. 亀井善之

    ○国務大臣(亀井善之君) 利用目的等につきましては、米軍の行動内容にかかわることでございまして、私どもとしてはその内容等について承知をいたさないわけであります。
  164. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  165. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 参議院フォーラムの中尾です。  私は、きょうはモービルマルチメディアとして今世界各国で研究開発が進められておりますITS、高度道路交通システムについて、我が国の取り組み方について御質問いたしたいと思います。  二十一世紀における新交通システムというべきITSの研究開発は、運輸省初め建設省それから通産、郵政、警察庁の五省庁が当たっているわけでございます。最初に、平成八年度予算における運輸省分のITS関連の予算と実施内容をお示しください。
  166. 山下邦勝

    政府委員山下邦勝君) 私どもが担当いたしておりますITS関連の業務内容につきましては、まず第一に、先進安全自動車、ASVと呼んでおりますが、これの開発支援につきまして平成三年度から第一期の研究開発を進めてまいりました。第一期の中で指摘されましたヒューマンインターフェイス、またインフラとの協調、整合等を中心にいたしまして、平成八年度から五カ年計画でさらに深めた研究を行うということにいたしておりまして、今年度二千四百万円を計上いたしております。  また、現在急速に普及しておりますナビゲーションシステムにつきましては、安全運行との関連でいろいろ問題が生じる可能性がございますので、音声情報を付加して、またヘッドアップディスプレーを採用するというようなことを研究いたしまして、見やすさを……
  167. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 簡単に。時間ないんです。
  168. 山下邦勝

    政府委員山下邦勝君) 研究いたしております。これにつきまして二千万円。  さらに公共交通や商用車の効率化、こういったことにつきまして千八百万円を計上いたしております。
  169. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 このITSの構築には建設省は大変大きな役割を果たしていると思いますが、内容は後から聞きますので、八年度の関係予算、全体で幾らになっておりますか。
  170. 井上啓一

    説明員(井上啓一君) ITSにつきましては、実用化に向けましたインフラ整備等につきまして事業費として四百十八億円計上しております。  建設省としては、今先生が申されましたように、五省庁あるいは大学、産業界と協力して積極的に進めていきたいと考えております。
  171. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 私、これなぜ聞きたいかといいますと、これは九四年の五月に郵政省が電通審の答申で、マルチメディア産業は二十一世紀の産業と言われておりますけれども、市場規模が幾らになるか、この数字は具体性があるかどうかは別として、二〇一〇年で百二十三兆円、それから新しい雇用創出が二百四十三万人という試算をはじいているわけでございます。  これに伴って一九九四年一月に設立されましたVERTIS、道路・交通・車両インテリジェント化推進協議会というのがございます。五省庁と連携して研究を進めている任意団体でございますけれども、例えばITS導入によるこの試算によりますと、五十兆円規模の新規市場ができ上がる、これは二十一世紀の新しい産業としても大変突出した市場規模でございます。  さらに、先ほどからも御質問ありましたけれども、年間一万人を超えるという交通事故死者、これが半分に減るという試算も出されております。そのほか、自動車燃料消費量とCO2を約一五%削減、あるいは都市部のNOxを約三〇%削減という、これは二十一世紀に、経済、環境、社会に大変な影響を与えるITSと私は認識しております。  先ほども説明ございましたASV、先進安全自動車、これ運輸省の所管でございますけれども、運輸省が平成三年度から五カ年計画で先進安全自動車、ASV開発推進計画に取り組んでこられました。ことし三月十三日にASVについての報告会が東京で開催されたと記憶しております。亀井運輸大臣もここに出席されたと思いますけれども、このASVについての成果と今後の課題について御説明願いたいと思います。
  172. 亀井善之

    ○国務大臣(亀井善之君) 運輸省におきましては、エレクトロニクス技術を応用することによる自動車を高知能化したASVの開発を、今御指摘平成三年から五カ年計画で推進いたしまして、本年三月その研究成果の発表会をいたしました。私も参りましていろいろの技術開発がなされておりますものを実際に見、また翌日になりますか、熊谷の試験場に参りまして実際に試乗いたしまして、いろいろ共同研究がなされております姿を実際拝見いたしました。また、試乗いたしまして、何とか早くいろいろの努力がなされて実用化されることを実は願っておるような次第でございます。
  173. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 これは新聞報道なんですけれども、乗用車メーカーも大変積極的に取り組んでおりまして、今大臣がおっしゃった試乗会には新しい試作車十九台が披露された、例えば居眠り運転を防ぐためのにおいを発散させる装置だとか、いろいろ安全運転に対する取り組みがなされているというふうに報道をされております。  さて、これまでの開発はどちらかというと技術先行型、あるいは、今年間五十四万台と言われているカーナビゲーションの市場の拡大という内需振興に力を置いてきたという指摘もございます。ITSの使命はもっと幅広く、物流の効率化、あるいは騒音、先ほどもVERTISの試算を私も御紹介いたしましたけれども排ガス規制、さらには交通事故防止といった社会的役割の観点からも進めなきゃいけない、これは当然のことだろうと思います。  ITSの研究開発には、運輸省が大変関係がございますトラック輸送の効率性、安全性の視点からも重点的に取り上げる必要が私はあると思うんです。ちょっとこの視点が欠けているんじゃないかと私は思うのでございますが、運輸省のお取り組みはいかがでございましょうか。
  174. 山下邦勝

    政府委員山下邦勝君) 今、交通全般の円滑化でございますとか、特に物流についての取り組みが不足しておるんではないかという御指摘かと思いますが、トラックやバス等の問題につきましては我々も非常にこの問題重要視をいたしております。例えば、バスの近代化のさまざまな事業を行っておりますが、これにつきましても今後はITSのことを頭に置いた助成を行うというようなことを考えておりますし、また、トラック協会におきましても従来から非常に通信と物流の効率化については取り組んできておりまして、こういった問題につきましても今年度、官民協力いたしまして情報通信システムの活用方策を探ってまいりたいと思っておるところでございます。
  175. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 現在のITS研究開発の中で事業化に向けて動きがあるのはVICS、道路交通情報通信システムと、それから、これも先日報道で取り上げられておりましたけれども自動料金収受システム、いわゆる高速道路の料金をノンストップで自動的にお金が清算されるというシステム、これは後ほど聞きます。  四月二十三日、VICSは首都圏中心にサービスを開始いたしました。今年度中には大阪、名古屋圏内にもエリアを拡大との計画でございますが、このVICSが全国に普及するのはいつごろになるか。また現在、一九九五年で私が調べたのでは五十四万台普及しているカーナビ市場に与える影響はどうか、簡単に御説明願いたいと思います。
  176. 井上啓一

    説明員(井上啓一君) VICS、道路交通情報通信システムですけれども、ビーコンやFM多重放送で車載端末へ渋滞情報や所要時間情報あるいは工事の情報等道路交通情報をリアルタイムに提供しまして、ドライバーに適正なルートを選択することをできるようにしまして、交通量の分散あるいは安全で円滑な道路交通を確保するシステムでございます。  今、先生指摘のように、VICSサービス、首都圏の百キロ圏内あるいは東名・名神高速道路で四月二十三日に供用を開始しましたけれども平成八年度中には、大阪府下の一般道路あるいは大阪圏の高速道路で運用を開始する予定でございます。建設省としましては、八年度に全国の高速道路でビーコンの施設整備の概成を図りたいと考えております。警察庁、郵政省と連携を図りながら全国展開に向けて努力してまいりたいと思っています。  また、今カーナビ市場へ与える影響についてお尋ねでございましたけれども、カーナビゲーションについては平成七年度末で販売台数約百万台、全体の車の二%弱かと思いますが、そういうようなことでまだこれから普及していくという状況だろうと思います。VICSサービスによりまして渋滞情報等が提供されて、ドライバーにとっていろんな意味で有効な手段になるというふうに思っておりまして、今後二十年間に車全体の約二〇%ぐらいに普及するという試算もございます。そういうようなことで、安全かつ円滑な交通の確保に効果を発揮していくというふうに私どもは期待しております。
  177. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 先ほどちょっと指摘しましたのは、高速道路等による料金所において、自動料金システムが今実用化に向けて建設省を中心にやっていらっしゃるというふうに聞いておりますけれども、これはいつぐらいをめどに実現するのか。  いろいろな問題点があろうかと思うんです。例えば、めったに通らない人はそんな自動料金システムなんか要らない、というのは自分で窓口で払えばいいと。ところが、これは運輸省にも関係ありますけれども、よく高速道路を利用しているトラック輸送の方々は、やはりもういっときも早く目的地に着きたいということでこの自動料金システムだろうと思うんですが、いわゆる実用化についていつをめどにされているか、聞きたいと思います。
  178. 井上啓一

    説明員(井上啓一君) 御指摘のように料金所での渋滞、一たんとまらなければならないというようなことで大変利用者の方には迷惑をかけているということでございまして、自動料金収受システムを積極的に今開発をしているところでございます。  関係省庁の協力を得ながら、官民共同研究によりまして、無線通信の確実性、信頼性の検証のための料金所あるいは試験走路における実験をやっております。それから、料金所における安全、円滑な車両運用方法のための車両の挙動をコンピューターによりまして解析しましたり、試験走路における実験をやっております。それから、車両の誤進入でありますとか、通信不良あるいはシステムが悪用されることのないような対応策の検討等をやっておりまして、今十年度を目途に実用化に着手できるように鋭意進めておるところでございます。  日本の有料道路全体で八千五百キロ、高速道路六千キロ弱というようなことで、高速道路から地方の道路公社の道路まで有料道路はいろいろなものがございますので、そういうようないろんな有料道路にこのシステムが対応できるように、通信方法でありますとか運用方法、車載器の形態あるいは決算方法、セキュリティーの確保方法等いろいろ研究をして、十年ぐらいには今申しましたように実用化できるようにしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  179. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 高速道路等の料金自動支払いのシステムというのは画期的だろうと思うんですが、今建設省からお話があったように、セキュリティーの問題、例えば乗っている人が特定できないとかいろいろあろうかと思います。ノンストップで進めていくという物流の対策にしても大変画期的なことだろうと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  話はちょっと戻りますけれども、安全性の問題でございますけれども、先ほどASVの話をいたしました。先進安全自動車の開発推進計画、この実用化を含めて今後どう展開していくのか。これは運輸省の所管でございます。それから、ASVの開発計画とITSの整合性、これをどうとらえているのか、御説明願いたいと思います。
  180. 山下邦勝

    政府委員山下邦勝君) ASVにつきましては、第一期の計画において四つの分野での要素開発をいたしました。例えば、緊急時のドアロックの解除システムでございますとか、雨の日の撥水性の前面ガラスの導入、こういったものは既に実用車に導入をされつつございます。  今年度からは、これをどういうふうにもう少し使う方との整合性を図っていくかという、先ほど申し上げましたヒューマンインターフェースの問題について取り組んでまいりたいと思っております。衝突予防とかそういったことをきちんと開発することによりまして、例えば今後進めてまいりますような自動運転のシステムとか、そういったものの基礎的な研究に役立つものと理解をいたしておるところでございます。
  181. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 いろいろ調べましたら、将来手放しで運転できるというか今指摘がありました自動運転システム、これは道路とも大変関係ありますね。道路とドライバーとそれから人が一体にならなきゃいかぬというシステムでございます。このAHS、自動運転道路システムについて建設省にちょっと伺います。  先ほど指摘しましたけれども、交通事故は年間一万人を超えると。先ほどVERTISの試算を申し上げました。ITS導入により三十年後に交通事故死亡者が現在の一万人から半減するということについて、道路運転システム、いわゆる追突防止だとか、いろいろ道路と通信システムを使って安全性を高めようということなんですが、いわゆるインテリジェント化、車にもっと知能を与えようというか高知能化というふうな表現もされていますけれども、この安全性について交通事故抑止の面からどのように取り組むのか、簡単に。
  182. 井上啓一

    説明員(井上啓一君) 御指摘のように、交通事故の削減はITSの重要な目標の一つでございます。そういうことで、建設省としては、道路に各種のセンサーを設置しまして前方の事故でありますとかあるいは路面状況の必要な情報をドライバーに提供するシステム、あるいは、事故につながるような危険な状況が発生した場合に一時的に車を制御して事故を回避するようなシステム、そういうようなものの研究開発を進めたいと思っております。  それで、そういう技術の実用化を図っていきたいと思いますが、総合的には今自動運転まで持っていくのは二十一世紀初頭になろうかというようなことですが、いずれにしましても技術開発を進めていく中で実用化できるものから順次とっていきたい。そういうようなことで、関係機関いろんなところがございますが、そういうところと連携しながら進めたいと思っています。
  183. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 質問時間残り一分しかありません。最後に運輸大臣に伺います。  二十一世紀の新しい産業、マルチメディア時代のITSというのはこれは主役の座を占めるのではないかと私は思うんですが、大変大事なことについて、必要性だとか有効性について国民の理解度が極めて低いと私思っております。このITSを推進していく上で、こうした国民への理解あるいは縦割り行政の弊害等どう解決していくのか、最後にお答えいただいて私の質問を終わります。
  184. 亀井善之

    ○国務大臣(亀井善之君) 道路・交通・車両インテリジェント化推進協議会の発足を契機にいろいろ活動しておるわけでありますが、やはり官学民、こういう連携のもとにいろいろ努力をしなければならない、あわせて国民の皆さん方にもITSの活動状況のPR、情報提供、こういうことをいたしまして御理解を得、そしてその実現に努力をしてまいりたい、このように考えております。
  185. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ありがとうございました。
  186. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原でございます。  先般、運輸省が四月十一日に極東有事への対応ということでペーパーを出しておられます。先ほどの同僚議員と重複しないように質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず、極東有事への対応ということについてのペーパーを出した根拠、なぜ今こういうものを出したのか、お伺いしたいと思います。
  187. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 自民党の安保調査会におかれましては、極東有事への対応についてかねてより検討なさっておられます。その検討の一環として、運輸省に対しまして、空港の使用あるいは港湾の使用等について制度上どうなっているのか、あるいは実際上どういう問題が予想されるかというようなお尋ねがございました。私どもから説明をするようにという御指示でございましたので、このペーパーをつくって事実関係を御説明した、そういうものでございます。
  188. 栗原君子

    ○栗原君子君 そこで、よく聞いていてください、これ一つずつ押さえていきたいと思います。まず、騒音対策に関してでございますけれども、制約がある場合には周辺住民の合意が要るということを言っております。それから二つ目に、民間機の減便が必要となる場合にはその航空会社との調整が必要であるということ。三つ目に、航空会社が外国の会社である場合にはその外国政府の同意が要る、こう言っております。そしてまたその次に、地方公共団体の管理する空港の場合にはその地方公共団体の同意が要る、このように言っておりますけれども、これら合意が得られない場合とかあるいは調整がつかない場合とか、そういった場合にはどのようになるのでございましょうか。
  189. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 先生、有事という言葉をお使いになっておりますが、実は私ども有事というものの内容自体をまだ正確に把握しておりませんで、その中身がわかりませんと今の御質問に対してどうお答えしていいか我々も困るわけでございまして、ここに書いてあることにつきましてそれぞれ必要な場合には努力をしなければいけないと思っておりますし、合理性がある場合には調整なり合意が得られるのではないかと思っております。ただ、いずれにしましても一般の民間空港を今の利用目的以外に使う場合にはさまざまな制約があるということは私ども十分認識しているところでございます。
  190. 栗原君子

    ○栗原君子君 有事ということについての全く認識がないといったような答弁でございますけれども、それじゃなぜこのペーパーが「極東有事への対応について」という表題になって運輸省から出たんですか。
  191. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 先ほど申し上げましたように、安保調査会で有事への対応について御検討をなさっておられるわけでありますが、その一環として、アメリカ側が民間の空港を使用する場合にどういう制度上の内容になっているか、あるいはどういう問題があるかということを説明せよということでございましたので、その安保調査会の御検討の資料として提出したという意味でこういう題名がついているわけでございます。
  192. 栗原君子

    ○栗原君子君 幾らそれは、安保調査会に出すにしろ出さぬにしろ、そういう認識がない中でどうしてこういう表題がつくんでしょうか。それが私はわからないんですけれどもね。そうしたらもう少し表題のつけ方があるんじゃありませんか。そういうものはないんですか。例えば外務省は「緊急事態における米軍支援について」と、こういった表題になっているんですけれども、わざわざ運輸省では「極東有事への対応について」といった表題になっているわけでございます。
  193. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 先ほど申し上げましたように、安保調査会で極東有事への対応全般について御検討なさっておられた。その際の検討の材料として、アメリカ側が民間の空港を使用する場合にどうかというお尋ねがあったんです。それを受けて、アメリカ側が使用するとすればこういう制度上の問題なり調整事項がございますということを説明したというその経緯どおりにこの資料ができておるということでございまして、それ以上に深い意味はございません。
  194. 栗原君子

    ○栗原君子君 それで、先ほども少し出ておりましたけれども米軍機の民間空港利用状況というのがありまして、一九九三、九四年の各空港利用別の回数と機種、これは運輸省が出したものでございます。長崎でこれが三百十回、これは九三年でございますけれども、また九四年にも三百六十五回、こういったことが出ておりますね。それトータルいたしますと九三年が八百八十四回なんです。そしてまた九四年が八百六十六回なんです。  そしてまた、これは空港だけじゃないんです、港湾もあるんですね。九三年の米国主要艦艇の民間港への寄港状況というのがありまして、この中には駆逐艦とかフリゲート艦とか巡洋艦とか、そういったものが七回出入りしている。それから九四年には十二回も出入りしているわけです。  これは平時でしょう。今は平時でもこれだけ民間の港湾、空港を米軍の艦船あるいはまた軍用機が利用しているわけでございますが、これが有事になったらこれよりどうなるんですか。
  195. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 具体的な有事ということの想定がなかなか難しゅうございますから、今の御質問にはどうお答えしていいのかちょっと迷うところでございます。
  196. 栗原君子

    ○栗原君子君 あなた方専門でしょう、その場所にずっといて。専門の人がこれだけのペーパーを出すということは、それ相応の私は責任を持ってお出しになられたと思うんですけれども、今の答弁は何ですか。
  197. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 私ども空港なり港湾の専門家ではございますが、有事の際に米軍機がどれだけ飛んでくるかということについては、ちょっと責任を持ってお答えするのは、申しわけございませんがその立場にございませんのでお許しいただきたいと思います。
  198. 栗原君子

    ○栗原君子君 素人考えでも、平時でもこれだけ出入りをしている、有事になるとこれより減少するとは思えません。少なくともこれよりはふえるということは言えますわね。それはわかりますか。言えるでしょう。
  199. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) いわゆる有事のときにどの空港を使うかということ自体がまだこれからの問題でございまして、米軍に提供されている空港があるわけでございますから、そこを集中的に使うこともあるわけでございますから、今の御質問につきましてもなかなかお答えが難しゅうございます。
  200. 栗原君子

    ○栗原君子君 それじゃ海上保安庁。海上保安庁は「海上の警備等」と書いてあるんですね。これは運輸省が出したんだから逃げられやしませんよ。  「具体的情勢に応じて、問題となる海域において海上保安庁の巡視船艇、航空機を増強配備する等により適切に対処」すると。「問題となる海域」とはどこを指すのですか。それからもう一つ、米軍または自衛隊機あるいは自衛隊の艦船が、補給とか通信とか救助を求めてきた場合にはどうするんですか。
  201. 加藤甫

    政府委員(加藤甫君) 私ども運輸省から提出したこのペーパーの中に、「具体的情勢に応じて、問題となる海域において海上保安庁の巡視船艇、航空機を増強配備する等により適切に対処。」と、このようにはっきり書いてございますが、この場合に「問題となる海域」と申しますのは、こうした私どもの増強配備をする必要が生ずるような海域を一般論として申し上げて書いているわけでございまして、個々にこの海域が問題となる海域であるといったような限定のもとに記載されたものではないというように御理解を賜りたいと思います。  また、米軍、自衛隊等の艦船が事故を起こした、あるいは救助を求めたというような場合におきまして、これが当庁の任務であります海難の救助というものに該当するということでありますならば、これは救助の対象になり得るものというように承知をいたしております。
  202. 栗原君子

    ○栗原君子君 それでは外務省の方にお伺いいたします。  九六年四月十七日の橋本総理とクリントン大統領が日米共同宣言に署名をしたこの数日後、九百項目の支援策の打診をしてきたと報道しておるわけでございます。これは打診があったんでしょうか。そしてまた、正確に何項目なんですか、きっちり九百項目なんでしょうか。
  203. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 御指摘の、これは産経の二十九日付の記事だと思いますが、文書でそのような項目というか要望が責任ある当局について首脳会談後になされたという事実はございません。
  204. 栗原君子

    ○栗原君子君 それでは、この記事はうそですか。
  205. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) もちろん、朝鮮半島情勢あるいはそれをめぐります問題につきましては、常時日米間で緊密に情報あるいは意見の交換というものを行ってきておるわけでございます。その内容、詳細については、事柄の性格上また米側との関係もあり、なかなか立ち入ってお答えをすることはできないわけでございますが、いずれにいたしましても、今申し上げましたように、この首脳会談の後にここで言っておりますような九百項目の要望といったものがアメリカ政府から日本政府に対して正式に提示されたということは承知しておりません。
  206. 栗原君子

    ○栗原君子君 それはあなたが承知していないのであって、もっと上部の人は承知していると思われます、そうですね。
  207. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 私はここに政府の説明員としてお答えをしているわけでございますので、まさにアメリカ政府から日本政府に首脳会談の後でそのような要請というか、も行われたということはございません。  なお、いずれにいたしましても、いわゆる極東有事と一般に言われておりますけれども我が国周辺の極東において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生したときに、我が国としてどういうことができるのか、あるいはなすべきかというようなことについては、これからまさにその具体的あり方について研究、検討していこうということでございますが、これはまさに先般の日米安保共同宣言にもそのような言及があるわけでございます。  ただ、今申し上げましたように、首脳会談の後でこのような記事に書いてあるようなことがアメリカ政府から日本政府に対して正式にお話があったということは承知しておらないということでございます。
  208. 栗原君子

    ○栗原君子君 この対米支援策の返答をこれ三回にわたって求めています。過去二回は回答を出していないわけなんですね。今回どうも外務省並びに政府においては回答を出すのではなかろうかと、もし出すとすればいつごろなのか、なぜ今まで出さなかったものを急に、前向きに取り組むようになったのかということが大変私たちは疑問なんですけれども、その点どうでしょうか。
  209. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 今申し上げましたように、今般の日米安保共同宣言におきまして、我が国周辺地域我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合に、そういう場合における日米間の協力に関する研究等を行っていく必要性ということで意見が一致したわけでございます。  これは外務大臣からも累次御答弁をしているところでございますけれども、そのような事態において我が国として適切な対応をとるということが求められるわけでございますので、万一そのような事態が発生した場合に我が国として適切に対応できるよう平素から我が国として何をなすべきか、あるいは何ができるのかということをできるだけ具体的に研究、検討していくことが不可欠だというふうに考えているわけでございます。したがいまして、これからその検討、研究を具体的にどういうふうに進めていくのかということについては、関係当局ともよく御相談をしながら進めていきたいというふうに思っているところでございます。
  210. 栗原君子

    ○栗原君子君 前向きにずっと取り組んでいくというような答弁であったと思います。  今回の件で近隣諸国は大変敏感に反応していると各報道機関が報じているわけでございますけれども、近隣諸国に対して理解を得るためにどういつだ説明をして回ろうとしているのです史
  211. 梅本和義

    説明員(梅本和義君) 今般の橋本総理とクリントン大統領が御署名になりました日米安保共同宣言につきまして、中国あるいは韓国のプレス等において各種の論評がなされているということは承知しておるところでございます。他方、これは韓国の外務部につきましては、日米安保共同宣言はアジア太平洋地域の平和と安定のための米国の役割が今後とも確固に維持されることを明らかにしたものとして評価し、朝鮮半島の平和と安定にも寄与することを期待するというコメントを行っているものというふうに承知をしております。  今般の日米安保共同宣言は、日米安保体制の重要な役割を改めて確認するとともに、二十一世紀に向けた日米協力関係の強化の方途を明らかにするものでありまして、第三国に対して日米が対抗するようなことを目的としたものではありません。こういうようなことを含めて、宣言の趣旨については、中国、韓国さらにはASEAN諸国等に外交ルートで御説明をし、理解を得るように努めておるというところでございます。
  212. 栗原君子

    ○栗原君子君 私は、過去の経緯からして理解を得るということは大変難しい問題で、よっぽどこれは粘り強くやらなければいけない問題であろうと思っております。  ところで、防衛庁の方にお伺いいたしますけれども、政府は日本の自衛隊は専守防衛とずっと言ってきたわけでございます。専守防衛というのは個別のものであるはずでございますけれども、このように日本が攻撃されていない状況の中で極東有事の場合に米軍が緊急使用する空港とか港湾などを提供したりするということは、後方支援とか共同行動をするといういわゆる集団的自衛権の行使に当たると思われると、こういったさまざまな識者の声もあるわけでございます。このことについては防衛庁はどう考えているのか、それからまた有事なら何をやってもいいと思っているのかどうか、お伺いします。
  213. 守屋武昌

    説明員(守屋武昌君) いかなる日米協力が可能かにつきましては、今般の日米安保共同宣言を踏まえまして研究を促進していくことになると考えております。  御指摘の件でございますが、いずれにいたしましても、新防衛計画の大綱におきましても、専守防衛等の基本方針は引き続きこれを堅持するものとされているところでございます。それから、我が国が米軍の活動に対して協力する場合は憲法の枠内で行うことは当然でございまして、集団的自衛権の行使のように我が国の憲法上許されない事項について従来の政府の見解に何ら変更はございません。
  214. 栗原君子

    ○栗原君子君 それでは、いよいよ最後になりますけれども、今やりとりを聞いていていただきまして大臣、実は現在でも日本の民間空港は大変麻痺状態にあるわけでございますね。これが有事となれば、間引きをするとかあるいは空港を停止しなければ機能しないわけでございます。ですから、民間機とか民間の人を排除するとか、そういうことになりますと、国民生活への影響というのは随分私は大きなものになる、こういったことを思うわけでございます。  それと、きょう実はちょうど外務委員会で私が席を外したときにこのやりとりをちょっと聞きましたけれども、どうも有事というのは、周辺有事は朝鮮有事を想定しているということが先ほど同僚議員の質問の中にも出ておりましたけれども、朝鮮民主主義人民共和国につきましては来年の夏までもっかどうかといったような、外務委員会でそういった質問もあったり、やりとりが、きょう現にこれと並行してある外務委員会でもそういう話が出ておりました。それらを含めますと、今なぜこの有事立法をつくらなければいけないのか、もうとにかくアメリカの世界戦略の後押しを日本がするんではなかろうか、こういったことで大変国民の中にも心配の声があるわけでございます。  これらを含めまして、大臣、どのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  215. 亀井善之

    ○国務大臣(亀井善之君) 公共用の飛行場は一般の利用に供するための公共施設として設置、管理されているものであり、その利用につきましては、地元との円滑な話し合いのもとに、かつ空港の運用に支障がないように行われることが望ましい、このように考えております。  なお、外務委員会の御発言等につきましては私も承知をいたしておりませんので、そのことにつきましては申し上げることはできない次第でございます。
  216. 栗原君子

    ○栗原君子君 終わります。
  217. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 以上をもちまして、平成八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四分散会