○戸田
邦司君
平成会の戸田
邦司でございます。運輸行政全般につきまして、大きく分けまして四点ぐらいについてちょっと御質問申し上げたいと思います。
まず第一の問題といいますか、最近の運輸省のこれは調査だと思いますが、最近の運輸
関係業種の景気に対する判断といいますか感触といいますか、これを見てみますと、やはりいまだに相当の企業が悪いと感じているというような報道がございます。これまで毎年こういうアンケート調査をやっておられるようですが、対象が関連の二百五十七社ということだそうです。景気が悪いと回答しているのが九四年三月ですと九三%、これはほとんど全体がそう思っていた。九五年になりまして六九%まで下がってまいってきているわけですが、今年三月で六二%、全体として見ますと不景気感が相当根強く残っているということではないかと思います。こういう中で
一つの救いといいますか、旅行業とかハイヤー、タクシー、ホテル、
航空、こういった企業では景気が悪いと回答した企業の割合が大幅に減少しているというようなことだそうです。
やっぱり景気回復といいましても本格的な回復になっていないというようなところで、本格的な回復というのは全産業が全体としてそういう感触を持つといいますか、経済構造自身がそういうような方向に向いていく、そういうことでないとそうはなっていかないのかと私は思っておりますが、いずれにしましても消費関連といいますか、そういうところが先に動いていっているという
一つの現象ではないかと思っております。
内航海運、それから国内旅客船、これはフェリーなどが主体になるかと思いますが、そういったところはいまだに相当悪いと思っていると。設備
投資などが本格的に動いていかないとこういう部門はなかなか将来の景気感について希望が持てない、そういうような部門ではないかと思います。
そこで、外航海運とか造船、そういった部門を見ていきますと、最近の動きとしまして為替レートが百五円とか百七円とかその辺で動いておりますが、一時期の八十円というような時期に比べますとかなり希望が持ててきているのかと、こう思います。外航海運などにつきましては、
コストのドル化というようなことも相当大幅に進めて対応してきております。一方、造船などにつきましても百十円ぐらいのところで
国際競争力が維持できるんじゃないかと、こう考えていた時期があったかと思いますが、八十円という時期を迎えましてさらに相当大幅な努力をしている。ですから、現在の百五円というのは造船業にとってはまあまあ韓国などとの
国際競争力も維持できる線ではないかと思います。
ただ、経営
状況といいますか、それから考えますと造船というのは甚だおもしろくない産業でありまして、今年度、来年度ほとんど契約が終わっている、これらはいずれも円レートの悪いところで契約しておりますから、相当の赤字といいますか収支
状況は非常に悪い、こう見ているんじゃないかと思います。今後円レートが今の
状況ぐらいで推移すれば将来は相当期待できる、こう考えているんじゃないかと思います。
日本の造船業の一番大きな特徴といいますと、
一つは生産性が非常に高い、もう
一つは技術ポテンシャルが非常に高いということではなかったかと思います。運輸省も、技術ポテンシャルを高めていくというようなことにつきましては
平成元年度からTSLの開発というようなことを進めてきておりまして、こういうような大
プロジェクトを運輸省が技術開発面で進めるということは過去に余り例がないことじゃないかと思っております。超電導磁気浮上の開発の問題があります。それとこのテクノスーパーライナー、さらに運輸省
関係の人工衛星の開発、そういったものが挙げられますが、やはりこれだけの技術開発の
時代を迎えて運輸省としてもこれから相当積極的に取り組んでいかなければならない分野ではないかと思っております。
TSLの最大の眼目というのは、世界の造船業の中で最大のシェアホールダー、そういうような産業でありながら企業としての魅力がないというようなことで若い人も来なくなってしまった、そういうようなことで造船業自身に魅力を持たせる、技術ポテンシャルを高めていく、そういうことで
国際競争力を維持していくというようなねらいがあったかと思っております。国の
予算としましては
平成元年から六年まで大体四十億弱ぐらいの補助金を出している、それに船舶振興会から相当額を助成してもらい、さらに参加会社の負担がある、そういったことで進められてきた大
プロジェクトでありますが、
平成六年度に開発を終わっている。この開発は、私はこれにかかわってきた者として言うのは甚だ面映ゆいのでありますが、大成功ではなかったかと思っております。
昨年度は実験船が各港を訪問する、そういうようなことで相当注目を浴びておりました。このTSLは一方でモーダルシフトの担い手というようなことでも考えられてきたわけでありますが、この研究開発の成果を運輸省としてどのように評価しておられるか。それから、「飛翔」という実験船でありますが、これの活用方策などについて最新の情報がありましたらお教えいただきたいと思います。