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1996-02-22 第136回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十二日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  二月二十一日     辞任         補欠選任      三重野栄子君     渕上 貞雄君   出席者は左のとおり。     委員長         寺崎 昭久君     理 事                 鹿熊 安正君                 河本 三郎君                 鴻池 祥肇君                 横尾 和伸君     委 員                 亀谷 博昭君                 鈴木 政二君                 二木 秀夫君                 松浦 孝治君                 吉川 芳男君                 泉  信也君                 戸田 邦司君                 瀬谷 英行君                 渕上 貞雄君                 筆坂 秀世君                 椎名 素夫君                 中尾 則幸君                 栗原 君子君    国務大臣        運 輸 大 臣  亀井 善之君    政府委員        運輸大臣官房総        務審議官     相原  力君        運輸省運輸政策        局長       土坂 泰敏君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君        運輸省自動車交        通局長      山下 邦勝君        運輸省海上交通        局長       岩田 貞男君        運輸省海上技術        安全局長     小川 健兒君        運輸省港湾局長  栢原 英郎君        運輸省航空局長  黒野 匡彦君        海上保安庁次長  加藤  甫君    事務局側        常任委員会専門        員        志村 昌俊君    説明員        警察庁生活安全        局生活環境課生        活経済対策室長  園田 一裕君        科学技術庁原子        力安全局核燃料        規制課核燃料物        質輸送対策室長  渡邉 勝世君        科学技術庁原子        力安全局保障措        置課長      瀬山 賢治君        国土庁防災局防        災調整課長    黒木 幾雄君        建設省道路局企        画課道路防災対        策室長      馬場 直俊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (運輸行政基本施策に関する件)     —————————————
  2. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十一日、三重野栄子君が委員を辞任され、その補欠として渕上貞雄君が選任されました。     —————————————
  3. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  運輸行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 自由民主党の亀谷博昭でございます。  先日、大臣並びに政務次官から所信並びに予算についての御説明をいただいたところでありますが、それに関連をいたしまして幾つか御質問をさせていただきたいと思います。  先日の所信表明の折に、北海道古平豊浜トンネルにおける事故の話がございました。それに関連をいたしまして、鉄道等においても同種事故が発生しないように状況を緊急に点検し、必要に応じて監視強化等措置を講ずべき旨、鉄道事業者等指示をした、こういうお話がございました。  これまでも鉄道にかかわるさまざまな危険箇所についての点検あるいは検討等はなされていたと思いますが、今回の指示を含め、鉄道にかかわるトンネル、あるいはトンネルのみならず片方ががけで片方が山合いという非常に急斜面を走っている場合もありますし、非常に高い鉄橋というのもあるわけでありますし、そういった危険と判断されるような箇所というのはどのぐらい存在をしているのか、それをどの程度把握しておられるのか。そしてまた、人命にかかわるような事故というのがこれまで発生したことがあるのかどうか。その辺をまずお伺いをいたしたいと思います。
  5. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) お答え申し上げます。  先般の二月十日の国道二百二十九号北海道古平町の豊浜トンネル崩落事故にかんがみまして、ただいま先生指摘のとおり、私ども鉄道サイドにおきましても同種事故の発生を防止するため、二月十三日に、トンネル坑口部、それからトンネルだけではなくてトンネル以外にも落石覆工が設置されているような箇所につきまして、のり面あるいは斜面などの状況点検して必要に応じて監視を強化するなど適切な措置を講ずるよう鉄道事業者指示をしたところでございまして、これを受けまして鉄道事業者は直ちに緊急点検に取りかかっているところでございます。  そこで、お尋ねの今回の崩落事故に類するような問題箇所と申しますか、そういったものがどれだけあるかということでございますが、この点につきましては、現在点検指示を受けまして点検実施中でございます。この報告を三月末までに受けるということにしておりまして、その結果によって整理をしたいと考えております。  ちなみに、北海道に限りましてJRの状況を調べてまいりましたが、鉄道トンネルは百七十八カ所ございまして、従来より落石防護さくなどの設置あるいは巡視監視などを行ってきておりますけれども、そのうちの約三十カ所につきましては防護対策に加えまして特に巡視監視を強化しておりまして、特に安全に万全を期している箇所ということが三十カ所というようなところでございます。  それから、今回の豊浜トンネル事故に類するような大規模な岩盤が崩落したような事故というのは、鉄道におきましては過去には例がございません。
  6. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 三月末までに箇所をある程度検討されてそれから対策をとられる、こういうことのようであります。  そしてまた、崩落事故等による事故はないというお話ですが、三月三日付のこの週刊誌では、「伊豆近海地震で直径七メートルの岩盤伊豆急トンネル入り口にずれ込むように落ちたことがあるんです。幸い電車は通過していたのでよかったのですが」と、こういう記事があります。実際、人命にかかわる事故にならなかったとしても、それに類似した事故、事件というのがあるいはあったのかもしれないと思いますし、同時に、非常に対策というのは難しいという専門家お話があちこちに出ておりまして、また膨大なお金もかかる。大変なことであろうかと思いますけれども、安全第一、人命第一ということで、今のところはこれ以上御質問をする状況にはないようでありますので、今後ともしっかりした取り組みをお願いしておきたいと思います。  次に、海上保安庁の関係でお伺いをいたします。  おととい、海洋法条約に向けての閣議了解が出されました。海洋法条約早期締結を目指して所要の準備を進めるということで幾つかの了解事項があるわけであります。  ここで一つ伺いしておきたいのは、今問題になっております竹島ですね、これをめぐって排他的経済水域をどのように設定するのかということが外交上の大変大きな問題になっているわけであります。ただ、先日の池田外務大臣の御発言を含め、我が国固有領土であるということを主張してきているわけでありますが、この件について大臣も閣内のお一人として、竹島日本固有領土であるということについてどのような御認識、そのような御認識を当然お持ちだとは思いますけれども、その御認識をもう一度お伺いしておきたいということ。  日本国有領土とすれば、これまでも領海十二海里というのは当然存在するわけでありますし、今回関連した法律も出されておりますが、接続水域設定をされれば二十四海里まで、こういうことになってくるわけです。ただ、現実には竹島韓国実効支配をしていて、我が国はほとんど竹島についてかかわりを持っていないというのが現実であります。そこで、海上保安庁はこれまで竹島についてどのような対応をしてこられたのかということをあわせてお伺いをいたしたいと思います。
  7. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 竹島についての我が国立場は一貫したものである、このように認識をいたしております。また、この問題は平和的に解決されるべきであり、外交ルートを通じて粘り強く解決を図っていくのが政府方針であるというように理解をいたしております。  また、このような竹島の現在置かれております立場を踏まえまして、我が国漁船の安全を確保する観点から同島周辺海域巡視船を常時一隻配備させ、我が国漁船拿捕防止のための指導、情報提供実施させるとともに、我が国漁船出漁状況等を勘案して必要に応じて巡視船を増強配備させ、警戒を行わせているところであります。  さらに、外務省の要請により、従来から竹島現状については調査実施しているところでもあります。
  8. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 現状はそのようなことだと思いますが、海上保安庁で発行された「海上保安の現況」という本がありますが、そこにも竹島はほとんど名前としても出てこないんですね。やっぱり日本国有領土であり、いろんな外交上の問題があって海上保安庁として対応しにくいというところはよくわかりますけれども、ただ、これは外務省の問題にもなるんですけれども韓国は小学校のころから竹島というのを我が国領土であるということを繰り返し教えてきて、もう国民全部がそういう意識になっている。我が国はひょっとすると竹島がどこにあるのか認識をしておられない一方もかなりあるのではないか。  そういうことを考えますと、我が国としてこの竹島についても海上保安庁としてきちんとした取り組みをするという意味でも、やっぱり一行も記述がないというのはいかがなものかという感じもいたしますので、今後といいますか、これからさまざまに変わってくるわけでありますけれども、ぜひきちっとした対応をしていただきたいというふうに思っております。  それから、海洋法条約関連で、今回海上保安庁法の一部改正の法律案準備をされているわけでありますけれども、この閣議了解でも、「わが国の領域における通関財政出入国管理及び衛生に関する法令に違反する行為防止及び処罰のために必要な措置をとる水域として接続水域を設ける」と、こうなっているわけですが、この接続水域設定に伴う規定の整備が図られる中で、現在の海上保安庁の組織、装備等対応が可能なのかど一つかということをお伺いしたいと思います。  今は十一管区約一万二千名、船が五百八隻、飛行機が約七十機と、こう伺っておりますが、これに今建造中のものもありますけれども現状体制接続水域設定した場合に対応が可能なのかどうかということについてお伺いをいたします。
  9. 加藤甫

    政府委員加藤甫君) ただいま御指摘のように、新たに領海の十二海里の外側にさらに接続水域十二海里が設定されるということになりまして、通関財政出入国管理あるいは衛生に関する法令に違反する行為防止処罰のための措置が可能となるということに、今度の海洋法関連条約批准等に伴いましてそのような形になるわけでございますが、このための新たな接続水域設定に伴う体制整備につきましては、従来からやっております領海の中での各種法令監視取り締まり体制の延長としてこれをどのように充実していくかという角度から考えていくべきであろう、このように考えております。  したがって、取り締まりに当たっている現在の巡視船艇航空機の中には老朽化などによりまして性能劣化がかなり進んでいるものが多数あるというような状況もございまして、接続水域領海におきまして的確な取り締まりを行うためには、現在持っております巡視船艇とか航空機代替整備などによりまして高性能化を図って業務執行体制の一層の充実を図っていく、そういう必要があろう、このように考えているところでございます。
  10. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 それでは、二百海里の排他的経済水域設定された場合にはどうなりますか。
  11. 加藤甫

    政府委員加藤甫君) 当庁におきましては、既に昭和五十二年の領海の十二海里及び二百海里の漁業水域設定以来、広域哨戒体制というスローガンのもとに、その体制の完成を目指して鋭意巡視船艇航空機体制整備を進め、領海等周辺海域における外国漁船取り締まり、また、二百海里海域でのソ連漁船取り締まり実施の際に当たりましても、巡視船艇航空機主要海域に集中的に配備し取り締まりに万全を期してまいったところでございます。  今回、排他的経済水域全面設定されるということになりますと、さらに近代的装備等を有する高性能な巡視船艇とかあるいは航空機整備を計画的に推進することによって業務執行体制のこれまたさらなる充実を図っていく、そういう必要が生まれようと思っておるところでございます。
  12. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 二百海里が設定されると世界で七番目ぐらいに広い水域我が国は有することになる、こう聞いているわけですが、海上保安庁は言ってみればその水域沿岸警備隊あるいはまた国境警備隊みたいな役割を当然担わなければいけない。  今、次長お話のように、これから思い切っていろんな取り組みをするということでありますけれども、例えばこの間「のじま」に運輸委員会の視察で乗せていただく機会がありました。あれは約二十ノットということでありますが、二十ノットというのは時速で大体三十七キロ、二百海里は三百七十キロぐらいになりますから端から端まで片道十時間、こういう計算になります。巡視艇はもう少し速いんでしょうけれども、それも航続距離問題等もある。  やはり二百海里時代を迎えるということで、今それに向けて取り組みをしていきたいというお話がありましたが、予算を伴うことでありますけれども活動範囲が非常に広くなるということを前提として、そしてまた竹島尖閣等の問題もこれからどういうふうに推移していくかわからないわけであります。そういう問題も含め、海上保安庁として思い切った体制整備がこの際必要なのではないかと思いますが、今後に向けてのお考えをもう一度お伺いをしておきたいと思います。
  13. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先生指摘のようなことを十分踏まえ、特に海上保安庁は、昭和五十二年の領海十二海里及び二百海里漁業水域設定以来、巡視船艇あるいはまた航空機による広域哨戒体制整備を進めてきたところでもあります。しかし、今回海洋法条約批准による接続水域十二海里の設定排他的経済水域全面設定に加えて、近年は集団密航事犯の増加や薬物及びけん銃の密輸入の問題など深刻化の問題があるわけであります。そういう面で海上警備の果たす役割というものはますます大変重要なものであります。  これらのことにつきまして、今回のこの批准を契機に私ども海上保安業務全般に的確に対応するような体制というものをぜひ確立してまいりたい、このように考え計画的に体制整備を図ってまいる所存でございます。ぜひ先生方のお力添えをよろしくお願いしたいと思います。
  14. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 先日「のじま」に乗せていただいたときも、海上救難訓練とかあるいは海洋調査であるとか、一般の方には余り知られない部分でも大変御苦労があるということ、そして一生懸命取り組んでおられるということをよく存じ上げているわけでありますけれども、ちょっと目に見えにくい部分ではありますが、我が国をきちっと守る、そして権利を主張していくという意味で大切なお役目だと思いますので、今後ともしっかりしたお取り組みをお願いしておきたいと思います。  次に、航空問題について幾つ伺いますが、初めに航空運賃のことについて伺います。  昨年、幅運賃制度導入をされ、全日空に続いて先日日本航空でも新しい運賃制度が発表されたところでありますが、幅運賃制度を取り入れて二社がこういう形で新しい運賃体系を発表したという現状の中で、どのようにこの幅運賃制度について現在認識をしておられるのか、あるいは二社が発表したことについてどんな御感想をお持ちなのか、まず伺いたいと思います。
  15. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 先生も御案内のとおり、公共料金につきましてはかねてからその制度に対する批判の声がございました。特に、赤字が出れば運賃料金を上げるという、一言で申し上げれば赤字の追認のようなやり方はまずいのではないかという議論が長い間ございました。特に一昨年、一部の公共料金の値上げに伴いましてその辺について議論が活発になりまして、その結果、政府全体といたしまして一昨年の十一月に、「今後の公共料金の取扱いについて」という基本方針閣議了解しております。  その中で、公共料金のうち市場原理導入できる分野については規制緩和を一層推進しましょう、また上限価格規制の是非を含め経営効率化を促す方策について検討しましょう、あるいは多様化した利用者のニーズに対応した料金体系の確立を図りましょうと、こんな決定をしていただいております。その流れに応じまして私ども検討を進めてまいったものでございまして、昨年三月の例の規制緩和推進計画の中にも入れていただいているものでございます。  そこで今、先生案内のとおり、昨年の暮れにこの幅運賃制度導入を決めさせていただきまして、その結果、エアライン三社から二月上旬に標準原価から二五%下のこの幅について申請が既に出ております。JASにつきましては五月七日の搭乗分から実施したい、それからJALANAにつきましては六月一日から実施したい、こういう申請になっているところでございます。その中、身につきまして、ANAJALが発表しているという状態にございます。この中身につきましてさまざまな議論があることは、私ども十分承知いたしておるところでございます。  ただ、今回の制度はそういう形でなるべく競争原理を入れることによって全体としての合理化を促そうという制度でございまして、現在の御議論の中にはごもっともな点もございますが、私どもといたしましては、あえて申し上げれば今JALANAが発表していますのは、新しい制度を入れたいわば初値といいましょうか、言い方があるいは妥当を欠くかもしれませんが、初値運賃でございまして、この運賃を背景にして利用者の方々がどういう選択をするか、それに対応しましてまた事業者の方がどういう反応をするかという、そういうこの制度のスタートラインでございます。したがいまして、今の方針に従ってこの制度をこのまま我々としては進めさせていただき、将来仮に手直しが要るところがあれば手直しをするということは弾力的に対応したいと思っています。  いずれにいたしましても、現在の制度のままではなかなか各社経営努力が反映されないわけでございますから、今回の運賃は、路線によっては同じ路線を飛ぶ事業者運賃が違うというかなり画期的な制度でございまして、この制度を私どもといたしましては大事に育ててまいりたい、かように思っているところでございます。
  16. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 規制緩和流れの一環としてこれは第一歩ということで、それなりの評価は当然されてしかるべきだと思いますが、ただ、今局長お話し競争原理という観点からいけば、例えば路線の認定であるとかあるいは便数であるとか、飛行機を勝手に飛ばすというわけにはもちろんいきませんから、それなりの制約というのは当然あるわけでありますが、それにいたしましても、新規参入がかなり自由にならないという状況の中で競争原理が働くという考え方がとれるのかどうか。ダブルトラックトリプルトラック化されているところもありますけれども、なかなか思うように新規参入ができない部分もある。  そういう中で、今回の事業者によるある程度の自由な裁量というのはひょっとして利用者の利益を損なうことにならないかという御意見があるわけですが、その辺についてはどんなふうにお考えになりますか。
  17. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 御指摘まことにごもっともでございまして、私どももそこのところを一番心配をいたしております。それを防ぐために、現在の標準原価というのがある一定の競争状態における原価を持ってきておりまして、決してその原価を高いところに設定しないようにしておるというのが一点でございます。  それから、まさに今御指摘のとおり、競争をどのようにして実現するかという使命は別にございます。現在、私どもダブルトラックあるいはトリプルトラック導入しております路線、この路線利用者数が全体の中で七五%まで達しておりまして、この比率をまだまだ高めたいと思っておりまして、これから機会をつかまえてはこの競争を促進するような路線配分便数配分をしたいと思っておりますし、あるいは、現在我々が持っております参入についての基準につきましても、一層の緩和をしてできるだけ競争を実現したいと思っております。  ただ、基本的に羽田なりあるいは大阪地区なりの空港の事情がございまして、完全にフリーというふうには日本事情ではなかなかできないというところは、我々、正直なところ本当に残念に思っておるところでございます。
  18. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 そこで、最初ANAが発表して、今度JALが発表した。一部報道によると、先行したANAの方がもう一回料金を見直すかというようなこともあるのかなという報道もあります。三つ目に発表するJASがこの二つを見てまたどういう設定をするのか、これからのことであります。  先行したところが、これは自由ですから届け出制ですから変更もできるわけですけれども、また、仮に値段を他社の状況を見て変更するというようなことになっていくと、この運賃設定あり方ということにやっぱりかなり疑問が出てくる。これは仮の話ですからなるかならないかわかりませんけれども、でも可能性としては考えられるわけですね。  この幅運賃制度設定のお考え、そしてまた仮にそういうような状況が生まれたということを考えた場合に、そういうときはどのように対応なさいますか。
  19. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 実は私ども最初ANAが発表をし、それに応じてJALが発表し、JASがその両者を見て発表するという形で、相手の動きを見ながら運賃料金設定するというのは競争導入される一つのあかしたと思っておりますから、これは非常に結構なことだと思っています。  また、これは仮定の話でございますが、JALJAS動きを見てANAが従来提案したのを若干手直しするということがあっても、それはむしろ私どもとしては歓迎、もちろん高くなるのは正直言って歓迎じゃございませんけれども、安い方で新しい提案があるならば、それはそれで歓迎でございますし、今回の制度はそういう自由度事業者の方に与えているということでございます。
  20. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 お話しのように、ある程度自由に設定ができるわけですから、安くなっていく分には歓迎するということは当然のことであろうかと思います。  物価安定政策会議の中でも、先日出されました国内航空運賃各社申請については、割引制度廃止等、これまで実際に消費者が受けてきた利便を削りつつ時期別の運賃制度というのは、参入の面で競争状況を十分整備しないままに運賃に幅を持たせた結果、消費者にとってよくない形があらわれたということで中途半端な規制ではないかという議論があったと、こういうことでもあります。それと同時に、日本航空関連料金というのは国際的にも高いという指摘がなされているわけでありますので、そういうところを含めて路線認可あり方、あるいは航空事業者の体質の問題もありますけれども運賃設定あり方について今後とも国民の方々の理解を得られるような、また国民の利益にかなうような形をぜひ続けて御検討していっていただきたいと思っております。  次に、空港整備についてちょっとお伺いをいたします。  現在の日本の空港整備は、成田は公団方式で行われておりますし、関空は民活方式ということで株式会社によって建設、運営がなされているわけでありますが、その他はすべて空港整備特別会計で行われております。  この空港整備特別会計、空整特会というのは昭和四十五年から取り入れられているわけですが、この流れを見てみますと、特にこの三年間をちょっと見てみますと、利用者負担原則というのは最初からあったんですけれども、かなり利用者負担の部分が大き過ぎはしないかということを率直に感じるわけであります。  歳入の中の航空機燃料税も利用者負担、こう考え、また空港使用料、着陸料、施設利用料、特別着陸料等、あるいは、昭和五十七年から単年度赤字になってきて財投を投入しておりまして、現在この財投もかなりの額が投入をされております。この財投も有償資金でありますから、いずれはこれは返済をしなければいけない。そういう観点に立ちますと、航空機燃料税あるいは空港使用料あるいは財投からの借入金、こういうものは利用者負担でいずれ返す、そしてまた利用者に負担していただいている。  こういう考え方に立ちますと、利用者負担分というのはこの空港整備特別会計のほぼ八〇%ぐらいになっているわけですね。真水といいますか、一般財源あるいは租税からの分というのは、国の一般財源、それから各地方自治体で負担している分もありますからそれもいわゆる真水分として計算しても、これは一〇%にも満たない、こういう形に現在なっているわけであります。  こういう問題について去年の二月に、これは衆議院の運輸委員会で前の亀井静香運輸大臣でありますけれども、やっぱりこのあり方というのは新幹線と同じように公共事業という観点から考え直していかなければいけないという答弁もあったようであります。  要するに、利用者負担原則というのは、運賃へのはね返りということも当然想定されるわけですし、また逆に利用者が減れば、空港利用の需要が減れば財源にも変動が生じる、こういう部分もあるわけであります。そういう意味では、飛行機がげたみたいな時代になって国際競争力をつけるという観点からも、やっぱりこの空整特会のあり方というのはもう考え直す時期に来ているのではないかというふうに思うわけであります。  同時に、空港関連予算というのは、例えば港湾と比較しても決して多いとは言えない。今度作成される両方の五カ年計画を見ましても、港湾は七兆円を超えている、空港の方は三兆六千億でしたか、約半分であります。そういう意味では、やっぱり一般財源をもっと投入していく、そしてまた空港整備並びに空港行政にかかわる予算をもっと思い切って増額していくということが国際化時代の中で必要になってきているのではないか、こう思いますが、その辺についてのお考え伺いたいと思います。
  21. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) まさに先生指摘のように、ますますボーダーレス化する国際社会において我が国が今後とも安定的な発展を持続するためには、航空需要に対応しつつ、時期を失しない空港整備が喫緊の課題でもございます。  これらの空港整備を円滑に実施していくために財源確保の問題が重要なわけでありまして、第七次空港整備五カ年計画に関する航空審議会の中間取りまとめにおいても、一般財源の拡充を含めた所要の財源の確保に取り組むことが必要とされているところでもあります。平成八年度予算案においては、空港整備のために一般公共事業費として千四百十四億円、対前年比七・三%を計上することになったわけでもあります。  今後ともこの一般財源の拡充について、私としても全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えております。
  22. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 今の大臣のお言葉が実行されていきますように、また実現していきますように心から御期待を申し上げたいと思っております。  ただ、先ほどお話ありました一般財源千四百十四億というものの中には、燃料税が一度国庫に入って、そこから一般財源化されて出てくるという部分もありますから、真水と言えるのかどうかという疑問をちょっと抱くわけでありますが、それはそれといたしまして、ぜひひとつ一般財源がもっとふえるようにお願いを申し上げていきたいと思います。  もう一つ空港問題で、今回の第七次の空整でありますけれども昭和四十二年から、最初は四年間、後は五年刻みでずっと空港整備計画がつくられてまいりました。戦後、羽田、伊丹の占領軍からの返還をスタートとして、今日まで空港整備が六次にわたって行われてきているわけですが、既に三十年が経過をいたしております。そして、これまでの空港整備の五カ年ごとの目的というのを見てみますと、どうもそのときに必要なことについてはきちっと対応しようという努力は見えるんでありますけれども、例えば三十年後をにらんだ日本の航空行政、その中でのこの五年間のあり方というような視点がどうもちょっと見えにくいのではないかという感じがいたしております。  例えば外国の空港では、中国のある空港なんかは、今は半分しか使わないけれども何十年か後のために大きな空港をつくってしまったという空港もありますし、あるいはアメリカあたりでは、二十年か三十年後を目指して着実に空港整備を図るというところもあります。  これは国の違いもありますけれども、ただ、やはりこれだけ国際化が進み、また国内においては多極分散の国土形成ということが求められている中で、空港のあり方そしてまた航空行政のあり方というのはもう少し長いスパンで考えていく時期に来ているのではないか。例えば成田とか関空は何年計画かでこうやります、これは一つの飛行場をつくるための計画でありますから、空港行政、航空行政ということからいくと、どうもこの五年刻みの考え方の基本にそういうものがちょっと欠けていたのではないかという率直な感想を持つわけであります。  今回七次空整が始まるわけでありますが、やはり、これから三十年後、まあ五十年後までは見通せるかどうかわかりませんけれども、もう少し長い目で日本における航空のあり方、世界の中での日本、そして日本の中でのそれぞれの地域が光り輝くようにするにはどうするのかというような視点からの、もう少し大きな角度からの理念というものがあってしかるべきではないか、こう思いますけれども、二十一世紀に向けての航空行政かくありたいというビジョンをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  23. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 運輸省では従来から空港整備五カ年計画を策定し、計画的に着実な空港整備を推進しているところでありますが、五年計画のこの策定に当たっては、特に大規模な空港の整備等には長期間を要するわけでありまして、計画期間では五年にとどまらず、やはり航空需要の予測、こういうものを十分検討し、そして長期間の見通し、こういうものを立てて検討を進めてまいりたい、このように考えておるところであります。
  24. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ぜひよろしくお願いを申し上げます。  次に、鉄道運賃についてちょっとお伺いをいたします。  航空運賃幅運賃制度と同じように、鉄道運賃でも今設定方式がいろいろ検討されているようでありますが、どのような方向で今検討がなされているのか、それについてまずお伺いをいたします。
  25. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 旅客の鉄道運賃設定方式につきましては、昨年の八月に旅客鉄道運賃問題研究会の報告書におきまして各交通機関の旅客運賃設定方式の基本的な考え方を整理いただいたところでございます。  これを受けまして、現在、鉄道事業者、それから利用者、さらにマスコミなどから成りますワーキンググループを設けまして、利用者利益の増進、経営効率化あるいは事業者の自主性の確保等々の観点から、具体的なかつ実務的な検討を進めているところでございます。近々その結論が出される見込みでございますが、このワーキンググループにおきましては、現在の総括原価方式、これにつきましては大幅に改善する必要があるということで大体各委員の意見が収れんされてきております。  その具体的な内容につきましては、幾つかの改善点がございますが、一つは総括原価方式のもとでの上限価格制の導入であるとか、あるいはヤードスティックの強化などによります経営効率化の促進であるとか、あるいは原価計算方式を改善して平年度を複数にする複数平年度化の導入であるとか等々のところが議論されている状況でございます。
  26. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 総括原価方式ということはコストプラス増収益ということになるわけでありますが、それをベースとして物を考えていった場合に、例えば当然上限価格制という考え方がそこから導き出されてくるだろうと思います。  これはこれから検討されることですから仮定の話でありますが、例えば総括原価をベースとして上限価格、航空における幅運賃と大体似たような考え方になるのかと思いますけれども、そうした場合に、航空運賃のところでもちょっとお話を申し上げましたが、利用者の利益確保という観点から高どまりにならないかという懸念が当然ここでは出てくるわけであります。  それから、コストに増収益をプラスしてそれに価格を上乗せしていくというスタイルということになれば、事業者の増収意欲をかき立てるということには効果があるかと思いますけれども、この総括原価の根拠が情報開示されないあるいは明確でないと、利用者保護に欠ける面が出てくるのではないかという危惧が当然あるわけであります。  同時に、総括原価方式を採用すると競争原理が働かない。今経営効率化というお話がありましたけれども経営効率化をどう働かせるかということもまた問題になってくるのかなというような感じがいたします。  その辺についてはどんなふうにお考えでしょうか。
  27. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 今、何点かの問題点の御指摘がございました。  総括原価方式のもとでの上限価格制でございますが、現在は値上げ幅を決めまして確定額で認可をするというシステムでございますけれども、今議論になっております総括原価方式のもとでの上限価格制と申しますのは、これを上限値といたしまして、それ以下の一定水準までの価格につきましてはその設定や変更の自由度事業者に与えようということでございます。  なお、この点は先ほど先生、航空の標準運賃制とほぼ同様なというような御意見がございましたが、航空の場合はそもそも標準原価なるものはダブル、トリプルということで競争が行われている路線につきましての各社の標準的な原価であることに対しまして、鉄道の場合はそういう競争が行われておりませんから、それぞれの各社原価を評価いたしましてそれに基づいて上限価格を設定するということでございまして、上限の範囲内におきましては事業者自由度を与えるということにつきましては同じでございますが、基本的なシステムは相当違っておると私ども認識いたしております。  それから、二番目に御指摘がございました情報の開示の点でございますが、これは御指摘のとおりでございます。今までの総括原価方式の問題点の一つとして、運賃申請内容あるいはその査定の内容が不透明だという批判がございます。この問題につきましては、御指摘のとおり情報開示にできるだけ努めることによりまして利用者の理解を得、またそういうことによりまして利用者利益の確保も図っていくということが極めて重要だと認識しております。  それから、経営効率化の問題でございますけれども、これは原価を算定する際に、他の会社の原価と比較をして算定するといういわゆるヤードスティックの方式を強化するというような考え方が議論されております。そういうことによりまして、経営効率化がおくれている企業につきましては効率化を促していくというような措置を強めていったらいかがかと、こんな議論でございます。  私どもとしましては、このような議論に関しましては、基本的にこの研究会ではそのような方向で意見が収れんしつつございまして、このような意見を踏まえまして今後適切に対処していきたいと考えております。
  28. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 幅運賃と同じようなと申し上げたのはスキームという意味で申し上げたんですが、そういう意味でこの総括原価方式をベースにした場合の上限価格制には素朴な疑問があるわけですから、その辺をしっかりと踏まえていただきたいなと思っております。  鉄道運賃考える場合に、そもそも基本的にJRと民鉄という、民鉄の成り立ちというものをどうしても今の時点では考えざるを得ないだろうと思います。いわゆる設備投資のあり方ということであります。そういう意味では、これまでのJRと民鉄、JRも民間会社にはなりましたが、設備投資のあり方というもののこれまでの経緯というものをやっぱり踏まえないと運賃設定も非常に難しいということになるんだろうと思います。  そういう意味では、設備投資と運賃あり方というのがこれから非常に大きなテーマになってくるんではないかなと思いますが、JRと民鉄のこれまでのそういった経緯を考えますと、物価変動率をベースとするプライスキャップ制というのも一つの選択肢として考えられないことはないんだろうというふうにも思いますけれども、今のお話の中ではプライスキャップ制というのは余り収れんされた検討条項にはなっていないというようなお話のようでありますが、プライスキャップ制についてはどんなような問題があるというふうにお考えでしょうか。
  29. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) プライスキャップ制につきましてもこの研究会、ワーキンググループでは相当の議論がございますが、まず利用者利益の保護という点、あるいは混雑緩和などの必要な設備投資を促進するという観点、それから具体的にどの程度の価格にするかという上限価格の妥当な水準の設定問題等々、未解決の問題が残っておりまして、今後の鉄道事業環境の変化なども勘案しながら引き続き検討をする必要があるといったような方向にございます。
  30. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 これも航空運賃と同じで、非常に難しい問題で要望されることがいっぱいあるわけですね。いわゆる事業者の投資意欲をかき立てなければいけない、あるいはまた経営効率化を図らなければいけない、それでいて適正な利益を上げていかなければいけない、同時に利用者の保護を図らなければいけない。さまざまな要望がある中で運賃設定方式をつくり上げていくということは非常に難しいことだと思いますけれども、ぜひその点を十分に考慮してこれからの見直しをしていっていただきたい、これは御要望申し上げておきます。  次に、国際船舶制度についてちょっとお伺いをいたします。  来年度、八年度予算の中で、国際船舶に関する固定資産税、登録免許税等の税制面での優遇措置が図られるということになってきておりますし、船員教育の面でも配慮があるようであります。また、今回、国会に提出される海上運送法の一部改正ということもあるわけでありまして、海上運送法の一部を改正する法律案ではっきりと、安定的な国際海上輸送の確保上重要な一定の日本船舶(国際船舶)、こう明示をされております。  国際船舶制度充実という意味では第一歩を踏み出したのかなというふうに思いますけれども、国際船舶制度創設というような考え方からいけばまだちょっと第一歩という感じかなというふうに受け取るのでありますけれども、この辺はいかがでありましょうか。
  31. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今回、委員指摘の国際船舶に関する制度の第一歩をスタートさせるべく、平成八年度の税制改正で認められた措置実施と必要となる法案の取りまとめを行い、今国会に提出を申し上げた次第でございます。したがいまして、まずはこの法案について慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようこの機会にお願いを申し上げる次第でございます。  また、この問題は重要な問題でありまして、将来に向けて今後とも引き続き取り組んでいくいろいろの問題点があると考えております。このため、関係者の方々の御意見を伺いながらさらに検討を進めるとともに、やはり既存の税制体系等の調整も必要である、このようにも考えております。これからいろいろ努力をし、拡充、進展を進めてまいりたい、このように考えております。
  32. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ありがとうございました。  税制も一部優遇措置がとられつつありますけれども、他国に比較してまだまだ十分ではない、あるいはまた船員の少数配乗への対応等々、船員行政にかかわる問題もあるわけでありますし、これからこの国際船舶制度をしっかりと根づかせていくためにどんなふうに、特にこれからはもう九年度予算に向けての動きも当然想定をしておられるのだと思いますが、その辺を含めてこの国際船舶制度、文字どおり創設するための取り組みについてお考え伺いたいと思います。
  33. 岩田貞男

    政府委員(岩田貞男君) これからの取り組みにつきましてはただいま大臣が御答弁申し上げたとおりでございますが、私どもとしましては息の長い要求にしていきたい、一回や二回でとどまらないという覚悟で取り組んでおります。  そのためには、既存の税制や財政の体系との調整を図らなければいけません。そのために各般のあるいは専門家の知恵もおかりしながら地道に勉強して、概算要求時にはそれを踏まえて頑張っていきたい、こういうふうに思っております。
  34. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 ぜひそのようにお願いを申し上げたいと思いますが、とにかく本格的な制度創設に向けて第一歩を踏み出したということは大変評価をされていいことだと思います。  今後、他省庁との折衝というさっきお話もありましたけれども、なかなか役所同士というのは難しい部分もたくさんあるんだろうと思いますけれども、やはり日本商船隊、予想よりも早いペースで減少しつつあるということも事実で、もう二百隻を切っているというような話もございます。そういう意味では、省庁の枠を超えた国の基本の問題というとらえ方でこれを、我々もそうでありますけれども、ともども考えていかなければいけないのではないか。これは我が国の安全保障にもかかわる課題であります。そういう意味で、この創設に向けて大臣のお考えをもう一回だけお伺いをしておきたいと思います。
  35. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、委員指摘のとおり、大蔵省や自治省、これらの省庁間の枠を超えたいろいろな努力をしていかなければならない、このようなことは十分認識をいたしております。したがいまして、今後とも引き続いてその関係者の御意見を伺いながら、さらにいろいろ私どもといたしましても検討を加えてこの制度充実したものに成長させていきたい、このように考えております。
  36. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 私たちも一生懸命やらなければいけないわけですが、ぜひよろしくお願いを申し上げます。  次に、大臣所信表明の中で、「ゆとりと優しさを実感できる暮らしの実現」というのがございました。これは何年かの運輸大臣所信表明演説というんでしょうか所信表明を読み比べてみたんですけれども、この「ゆとりと優しさを実感できる暮らしの実現」というのは、今までの大臣よりも大分前の方に持ってきておられまして、非常に力を入れるという意気込みを感じるわけであります。  その第一として、高齢者、障害者の円滑な移動のための対策を強力に推進するとありますけれども、この基本的なお考えをまず伺っておきたいと思います。
  37. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 現在、日本の社会では急速な高齢化が進展をいたしております。二〇二〇年には総人口の四人に一人が六十五歳以上の高齢者になる、このようにも予想されております。さらには、我が国は現在身体障害者数が三百万人に上る、このようにも推計をされておるところでもございます。障害者の自立と社会参加の促進が重要なことでもございます。このため、障害者が安全かつ身体的に負担の少ない方法で公共交通機関を御利用いただける、こういうことが必要であります。  そのような観点から、私ども運輸省では、基本的にはガイドラインを策定して事業者を指導するとともに、特に整備が急がれている鉄道駅の障害者対応型エレベーターあるいはエスカレーター等について国費補助を行って、その促進を行っておるところでございます。
  38. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 今のような基本的なお考えでぜひ優しい行政を行っていただきたいと思いますが、今お話しの中に、政府が策定をいたしました障害者プランのバリアフリー化の推進という部分にちょっとお触れになりましたが、要するにこの中に、新設、大改良駅及び段差五メーター以上、一日の乗降客五千人以上の既設駅についてエレベーター等の設置を計画的に整備するよう指導する、こういうことがうたわれております。  しかしながら、この指導するというのはなかなか難しいことで、具体的に実効が上がるようにするというのは本当に大変なことだとは思いますが、平成五年十一月に制定をされた障害者基本法におきましても、事業者の協力義務というのが定められております。そこで、事業者の努力が効果的に行われるように、国、地方公共団体がともどもに必要な施策を具体的に講じていかなげればいけないのではないかというふうに思いますが、その辺の具体的な指導のあり方ということについてお伺いをしたいと思います。
  39. 土坂泰敏

    政府委員(土坂泰敏君) 今仰せになりました障害者基本法の中に、まず事業者の責務として、交通施設の整備に当たって障害者の便宜を図るように努めなければならないという規定が置かれております。それと同時に、国ないし地方公共団体は、そういう事業者の努力が円滑に進むような配慮もしていかなければいけない、こういう両方でやっていくというのが基本になっておろうかと思います。  そこで、私どものやっておりますこととしましては、まず、やはり事業者がみずから社会の一員としてそういう責任を持っているわけでございますから、ガイドラインというのをつくりまして、それに沿って努力をしていただきたいということをお願いいたします。  しかし、それだけで十分でないものもございます。特に、エレベーター等については大変お金もかかりますので、これにつきましては、例えばその一部を国で補助する、あるいは国だけで足りないものにつきましては民間で別に、先生お耳に入っているかと思いますがアメニティ推進機構というのをつくりまして、民間からの拠出もいただきまして、それもあわせて補助をするというような格好で支援をいたしておりまして、全体として円滑に進むようにこれからも努力をしていかなきゃいかぬと思っております。
  40. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 JR東日本でタッチパネル式券売機というのを導入しょうとして、結果的にこれを改善するということに方向転換をしたということがありました。これはパネルに、例えば駅の名前のところを指で押せば値段が出てくるとか、こういうような非常に効率的に券を発売するための機械、こういうことだったんだと思いますが、これは目が見える方のための機械ということで、目の不自由な方々からの指摘があり、これを改善する方向で方針変更をしたというようなことがありました。  こういう行政というのはともすると机上プランに陥りがちでありまして、例えば、道路に歩道がつくられておりますけれども、あれが十センチぐらいになりますと車いすでそこを上ろうとすると車いすがひっくり返る。そういうことは余り想定せずに歩道をつくるということで、それで、歩道を車いすが通るようなところは削ってスムーズに上がれるように直してあるところが日本じゅう至るところにあるんです。そういうようなやっぱり使う方の立場での行政、本当に当事者の方々の役に立つ行政というのが行われなければいけないんですが、これは言うべくしてなかなか難しいという問題だろうと思います。このタッチパネル方式というのもまさにそれを一つあらわしたことであったのかなというふうに思っております。  要するに、これからいろんな施策を講じられる、あるいは指導なさる場合に当事者の方々が本当にできれば体験をして、これがいいんだというようなことで理解をいただいて進められるということが本当に優しい行政につながるのではないかというふうに思うんですが、もう一回取り組み方についてぜひ、せっかくやることですから相手に喜んでいただけるというような行政をやっていただくためのお考えをもう一回お伺いしたいと思います。
  41. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、先生の御指摘のとおり、障害者対策につきましては利用者立場に配慮する、こういう視点、まことにごもっともなことだ、こう認識をいたしております。  運輸省におきましても、ガイドラインやモデルデザインの策定に際しましても障害者の方もメンバーに加える、こういう日ごろから使う立場の意見を取り入れる努力をする必要があるんではなかろうか。また、事業者に対しましても、その実施等に当たりましても障害者等の御意見を伺うよう指導してまいりたい、このように考えております。
  42. 亀谷博昭

    亀谷博昭君 大変真摯な御答弁をいただきまして、感謝を申し上げておきます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  43. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 平成会の横尾和伸でございます。  まず、今回の北海道豊浜トンネルの大惨事に関しまして、犠牲者の方々に深く哀悼の意を表しますとともに、御遺族、関係者の方々には心よりお悔やみを申し上げたいと思います。  この事故の教訓をどうやって生かすかということが、ある意味ではこれから大変大切なことになるかと思います。そういった観点から、二、三お伺いしたいと思います。  まず、道路の関係で、建設省が全国に指示した緊急点検の内容についてお伺いしたいと思うんです。
  44. 馬場直俊

    説明員(馬場直俊君) お答えいたします。  まず、今回の豊浜トンネル崩落事故によりまして亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、御家族の方々並びに負傷された方には心よりお見舞いを申し上げる次第でございます。  建設省といたしましては、今回の事故の重大性にかんがみまして、二月十三日付で全国の道路管理者に対して、トンネル坑口部及び落石覆工、ロックシェッドでございますけれども、これが設置されております箇所のり面、斜面について緊急点検指示したところでございます。  この緊急点検では、今回の事故発生地点と同様の地形条件、すなわち海岸線などに多く見られますような岩盤が露出しており崖壁の高さの高いもの、おおよそ十五メーター以上を対象にいたしまして、開口亀裂の規模、岩盤の亀裂状況のり面、斜面の形、岩壁の高さ、凍結融解、湧水の有無、トンネル坑口部や落石覆工の状況、こういったものを点検いたしまして、岩盤工学等の専門家の参画も得ながら実施することといたしております。  また、去る二月十四日には緊急点検要領案を各道路管理者へ送付いたしまして、また、二月二十日には全国の道路防災担当者を集めて、専門家お話伺いながら、この点検要領案の内容、あるいは点検実施に当たっての留意事項等について説明を行ってございます。
  45. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私も、この資料については、今言われました通知を、各地方建設局長だけではなくて道路の関係者に広く通知を出しておりまして、さらに、その通知の中には十七ページに及ぶ参考資料に基づいて、一昨日に説明会が設けられたというようなことだと思うんですけれども点検対象とか点検の方法、それから報告の際の記入上の留意事項についてと、こういったことがかなり具体的に示されているように思いました。  現時点では、一生懸命頑張っておられるなと国民の一人としてもそういう印象を持ちました。今後の安全対策充実という点については、また別な観点からの考え方もあろうかと思いますけれども、当面の緊急な対応としては、私は評価したいと思います。  ところで、道路と並びまして鉄道、これは陸路の雄でございますけれども、その鉄道の安全性の確保についてお伺いしたいと思うんですが、大臣所信の際にも、いわゆる所信の中になるのか外になるのかわかりませんけれども、ごあいさつの中でページ数にして一枚、しっかりと「指示した」ということが書かれているようでございます。なおかつ、運輸行政全体につきましても、「安全の確保を基本としつつ、」ということを大臣所信の中でも強調されているわけであります。  大臣のこの安全に関する考え方が全体の施策の基本になるということで優先的に考えておられることはわかりますけれども、そういう観点から、今回の古平町豊浜トンネルの崩壊事故の教訓を踏まえて、運輸省が全国的な鉄道の安全性の確保という観点からどのような措置をとられているのかお伺いしたいと思います。
  46. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 鉄道トンネルのこの問題につきましては、まず事故発生に伴いまして、私、十二日に札幌の運輸局に参りまして、運輸局長を中心として事故対策本部を設置するように指示をいたしたわけであります。あわせて、現地の本部におられます札幌中央バスの社長に電話をいたしまして、今回の問題につきましてのいろいろその対応と協力体制、そして対策本部等々を設置し、また炊き出し等をいろいろ御配慮いただいておりますので、その感謝の言葉を申し述べてきたわけでもございます。  やはりそういう中で、今回の事故にかんがみ、鉄道トンネルにつきまして坑口部等の斜面等の状況を緊急に点検をする、必要に応じて監視強化等措置を講ずべき旨をまず鉄道事業者等指示をいたしたわけでもございます。今後とも鉄道施設等の防護に万全を期してまいりたい、このように考えております。
  47. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私がお聞きしたいと思ったのは、その前提になります事実関係をちょっと確認をしたいと思うんですが、今口頭で言われたことの具体的なその指示というのは、この運輸省鉄道局長から地方運輸局長に一枚、文章にしたら三分の一程度の文字が書かれておりまして、「必要に応じ監視を強化する等適切な措置を講じるよう管内鉄道事業者を指導されたい。」と、これだけで、何の参考資料も具体的な報告方法も、あるいはその前に点検の対象とか点検の方法とかといったことについても指示をされたという資料が実は私の手元に、まあ資料をいただきたいというお願いをしたところ出てきたのはこの一枚だけなんです。  先ほどの建設省と比べて、建設省は道路についての安全性の点検、具体的な方法まで指示をして、また人を集めてその説明会も行っているという中で、同じように大切だというか、場合によっては鉄道の場合はもっと大惨事になる可能性もあるわけでありまして、そういうことも踏まえて安全対策はどうだろうかと見たときに、これ一枚でいいんでしょうか、これで本当に徹底が図られているんでしょうかということが心配になります。その点を実は伺いたかったんですが、先ほどのお答えに補充する形でも結構です、そこをわかりやすく国民が安心できるように御答弁いただきたいと思うんです。
  48. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 先般の北海道の古平町豊浜トンネル崩落事故にかんがみまして、ただいま先生指摘のとおり、私どもの方でも、鉄道におきます同種事故の発生を防止するため、二月十三日に鉄道局長から各地方運輸局長を通じまして鉄道事業者に対して緊急点検を行うよう指示いたしました。緊急点検指示は、トンネル坑口部及び落石覆工が設置されている箇所につきまして、のり面、斜面の状況点検し、必要に応じて巡視を強化するなど適切な措置を講じることを求めるものでございます。  ところで、道路は具体的な指示をしているが鉄道の方はないではないかという御指摘でございますけれども、これはそもそも道路と鉄道の管理者がもともと違う、道路の場合は道路の管理者が道路管理者としてやると、これに対しまして鉄道の場合は、鉄道自体の管理者は事業者でございますし、事業者につきましては法令に基づきまして日常的に巡視監視あるいは定期点検の義務がございます。これらの法令に基づく義務によりまして事業者自身は日常的にそういう点検をしているわけでございます。  したがいまして、この点検につきましても、事業者がケース・バイ・ケースに応じましてそれぞれ自己に適したやり方でやっておりますから、それにつきましてはその事業者の従前に日ごろからやっております自主的なやり方がございますから、それを強化して行うということで私ども指示をしたということでございます。道路と鉄道の違いということだと思います。
  49. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 事業者がやっているから日常的な点検はしている、だから一言で済むんだというお話のようですけれども、建設省は、ちょっと予定していなかったんですがお伺いしたいんですけれども、建設省の場合は道路管理者とはいえ日常的な点検はしていないんでしょうか。したがって今回はしっかりしたものを出した、こういうふうに聞こえたんですけれども、建設省、その点お答えいただきたいと思います。
  50. 馬場直俊

    説明員(馬場直俊君) 急な御質問でございますけれども、建設省、特に各道路管理者、大体同じでございますけれども、例えば直轄国道を例にとりますと、日常点検というのは大体一日一回パトロールカーに乗りまして巡回をしております。そのほかに、重要構造物等につきましては一年に一回程度の定期点検をやっております。  それから防災点検、これは全国一斉の総点検でございますけれども昭和四十三年度から直近では平成二年度から三年度にかけて、これは第八回目になりますけれども、最近ではおおむね約五年ぐらいの間隔で総点検実施しています。  そのほかに、今回のような事故等がございますと緊急点検ということで実施しております。  以上でございます。
  51. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 運輸省が事業者にやらせているから一言で済むんだというのは、これはちょっと雑過ぎるのではないかと思うんです。つまり、事業者といってもいわゆる自由競争で安全を確保しながら自由な競争をしているのではなくて地域独占、鉄道というのは地域というか路線独占というのか、そういう中で公の立場で安全性を特にチェックしていくという役目が特別に運輸省にはあるんじゃないかと思うんですけれども、そういった観点を踏まえれば、事業者だから一言で済むんだ、日常的にやっているんだと、建設省の場合は日常的にやってないんだというように聞こえるかのような言い方でその違いを説明するというのは、非常に私わかりにくいんです。  事業者だったらいいというのはちょっと説明が足りないんじゃないかと思うんですが、その点も踏まえて、大臣、どのようにお考えになるのか。大臣として今後のことも含めてお答えいただきたいと思います。
  52. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) あるいは私の説明が舌足らずだったかもしれませんが、私が申し上げたかったと思っております点は、具体的なやり方につきましては事業者法令に基づく責務がございますから、日常的にその具体的なやり方につきましては、それぞれの事業者が自己のやり方に応じた日ごろからの点検あるいは巡視監視、定期検査のためのやり方というのは事業者が決めておるわけでございまして、そういったようなことを踏まえて事業者がやっていただく。要するに、具体的な点検の方法に関しまして統一的な指示をすべきではないかということに関しましては、私は鉄道が定常的に点検をしているからいいんだということではなくて、具体的なやり方は法令に基づきまして事業者が責務がございますから、そのやり方自体は事業者が日ごろから決めておりますので、その事業者のそれぞれの事情に応じたやり方があるということを申し上げたかったわけでございます。  それから、なおさらにきめ細かく指導するべきではないかという点に関しましては、昭和五十三年当時に社団法人の日本鉄道技術協会におきまして、学識経験者などから組織されました研究委員会におきまして「落石対策の手引」というのが作成されておりまして、これが落石対策のための調査とか検査方法であるとかあるいは防護設備の設計の考え方として活用されてきております。今回のトンネル崩落事故をも踏まえました緊急点検におきましても、このような手引が今までも活用されておりますけれども、この際もこの手引を参考にするように鉄道事業者を指導しているところでございます。
  53. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 落石対策じゃないんですよ。今回は落石じゃないでしょう。落石だったらダイナマイトを使ったり、発破と言っていますけれども、不測の事故という面もある意味ではあったと思うんです。そういう意味で同じようなことがないかどうかということを、同じような事故を起こしてはならないということを今心配しているのであって、従来からできている落石対策でやっているからとか、全然言っていることが違うんです。  ちょっとほかの質問にも時間を割きたいのでこのくらいにしておきたいと思うんですが、大臣、今後も鉄道、いわゆるトンネルや急な斜面についての大きな岩盤の崩壊とか、そういったことに対する大事故を未然に防ぐための努力としてこれ一枚でいいのかどうか、それについて明確にお答えいただきたいと思うんです。
  54. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) いろいろ鉄道の関係の構造物の保守管理、鉄道運転規則あるいは建造物整備心得社内規程と、いろいろその巡視監視につきましては規程がございます。頻度は線区ごとに通常二日に一回とか、いろいろ範囲を想定しておるわけでありまして、そのマニュアルと申しますか、そういうものがあるわけでございまして、やはり紙一枚でと、このような御指摘があろうかと思いますが、事業者にとりましては常々そのような形で対応をいたしておるところでもございますので、これによりましてそれぞれ三月末までにこの結果を報告させる、このような指示をいたしておりますので、規則にのっとった安全、こういうものを十分加味した中での成果というものが私は得られる、このように考えております。
  55. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 わざわざ大臣所信の中でといいますか、特別にペーパーを設けて言われていることが、「斜面等の状況」云々と、「鉄道事業者等に対して指示したところであり、今後とも鉄道施設等の防護に万全を期してまいる所存であります。」と、立派なことを言っているんですよ。その立派なことがこの一枚で全部済むというふうにお答えのようなんですけれども、私は、これは恐らく今だけの問題ではなくてもっと長期的なことも考えなきゃいけないので、決してまだ遅くはないと思うんです。  これから運輸省としてこの指示の回答なりを得ることと思いますけれども、これから先もう少し具体的な、例えば今言われているのはJRとか、そういうところだけじゃないんです。地方では、もっと人、技術者が十分確保できていないような、過去はいたけれども今は少なくなっているとか、そういった事情のある私鉄もかなりあるかと思うんですよ。そういったところに対しても徹底を図るということ、そういう観点から今の御答弁では内容的に私は不十分だと思うんですけれども、どうもそれしかないようですので、今後またこの件につきましては伺う機会を得たいと思っております。次の機会に譲りますけれども、安全対策の徹底については今後ともしっかりやるべきであるということを御提言申し上げておきます。  次に、航空運賃の改定の問題について伺いたいと思うんですが、今回の措置といいますか昨年末に導入した幅運賃制、この制度というのは、先ほどからのこの件に関する御答弁を伺っておりますと、規制緩和の一環のように位置づけておられるようなんですが、その点大所高所から、特に大臣はこの運賃制の導入規制緩和としてどのように位置づけられているのか、あるいはそうでないのか、明確にお答えいただきたいと思います。
  56. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) いわゆる公共料金につきましては、平成六年十一月の閣議了解において、公共料金の「市場原理導入できる分野については、競争的環境の整備を図る中で規制緩和を一層推進することとし、その一環として、事業の内容・性格等を勘案しつつ、上限価格規制の是非を含め、経営効率化を促す方策について検討する。」とともに、「多様化した利用者ニーズに対応した料金体系の確立を図る。」こととされたわけであります。  これを受けて平成七年三月に閣議決定された規制緩和推進計画において、運輸産業の運賃料金設定方式のあり方について検討を行うこととされた次第であります。  以上の経過を踏まえて、平成七年九月二十日の経済対策で、国内航空運賃における幅運賃制の年内実施が決定をされ、十二月二十二日の物価問題に関する関係閣僚会議の了承を得て新制度導入した、このような考え方でありまして、規制緩和の中でいろいろ進めてきておる、このように考えております。
  57. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 恐らくこれは胸を張って規制緩和、余り今の与党は規制緩和実施については成果が得られていないように思いますけれども、その実現できた一つとして位置づけられるのではないかと思うんですが、その規制緩和というのはもう少し易しく言うとどういうものなのか、それからその目的は何なのか、端的に規制緩和の目的は何なのかをわかりやすく説明大臣のお考えを述べていただきたいと思います。
  58. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) この新制度は、一定の範囲で航空会社の自主的な運賃設定を認めることであります。また、利用者のニーズに対応した多様な運賃設定、会社間の競争を通じた経営の一層の効率化を促進する、こういう目的と考えております。
  59. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 競争を前提としたということで、国民の利益という言葉は出てきませんでしたけれども、恐らく国民の利益を長期的には図るという意味だと思うんです。  次に、この関連ですけれども、幅運賃制を導入した理由について改めてお伺いしたいと思います。
  60. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) いろんなまたお答えの仕方があると思うんですが、今の大臣の御答弁と重複するかもしれませんが、私ども、なるべく現在の社会、自由度を高めることによりまして競争を促進し企業側の合理化努力を促す、また利用者のニーズに即応したサービスが提供できるようにする、これが目的でございまして、それが大きな目的でございます。  今の御質問がなぜ幅かという御質問だとするならば、これは上限がない場合には最悪の場合事業者の方がかなり高い運賃、コストよりも大幅な運賃設定することもあり得ないわけではないということで上限を設定したわけでございますし、また下限の方は、不当な競争によっていわゆるダンピングというような事態になりますとこれは長期的に見れば利用者にとっても利益はないと考えまして、さような意味におきまして幅運賃制を導入したわけでございます。
  61. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 この幅運賃制、制度そのものの批判なのか、あるいは今回制度と称してとった具体的な方策そのものなのかはよくわかりませんけれども、いずれにしても幅運賃制の評価というのは、報道によりますと、国民は大変な怒りを持っておられる方が多い、極めて評判が悪いんです。特に高速道路料金の値上げなど昨年末からのいわゆる公共料金の値上げラッシュといいますか、そういう中で規制緩和の看板を逆手にとった便乗値上げとか、これは航空会社の申請の方の話ですけれども、それから逆手にとられるような間の抜けた政策自体がおかしい、こういったことが報道されているわけなんです。  こういったことを運輸省はどのように受けとめられているのか、特に大臣、どういうお考えかお伺いしたいと思います。
  62. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 大臣がお答え申し上げる前に、先にちょっと一言。  まさに先生今非常に言葉を選んで言われましたけれども制度そのものの問題なのか否かというお言葉をお使いになりました。そこが非常に私どもといたしましては重要なポイントだと思っておりまして、先ほども大臣からお答え申し上げたとおり、一昨年来検討を進め、関係者の方々の御意見も聞き、あるいは物価政策会議にも諮り、全面的な御支持を得て入れた制度でございます。したがって、現在の我が国の国内航空の競争状態からいいますと、この中で運賃規制緩和をするとすればこの制度しかないと私は思っております。  ただし、それが現在の制度とこの新しい制度へ移りかわるそのすりつけの段階での若干の混乱と、あるいは事業者の方が利用者の反応を見るために、先ほどもちょっと言葉を使わせていただきましたが初値といいましょうか、そんな形で提案したということですから、今しばらく期間を通してこの評価をしていただきたい、かように思っているところでございます。
  63. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今度の幅運賃は、先ほど申し上げましたとおり規制緩和観点、こういうことからでもあります。一定の幅の中で航空会社の判断による運賃設定を行うことを認めたわけでもあります。したがって、私どもとしては、いろいろ新聞では出ておりますが、具体的な路線別の運賃額の設定についてコメントをする立場にはないわけであります。季節により異なる運賃導入であるとか、あるいは同一路線で会社によって異なる運賃設定など、これまでにない動きが出てきていることは制度の趣旨に沿ったものではなかろうか、このように考えます。  いろいろ新運賃が発表され、実質的な値上げと、このようなことの批判もありますが、これらは新制度導入に当たって各社設定をし、今航空局長も申しましたが初値、こういうようなことでもありますし、他社との競争あるいはまた消費者の反応、こういうことによっていろいろ変わっていく可能性もあるんではなかろうかと。今後、幅の中で各社競争を通じて利用者ニーズにこたえる、こういう形で運賃が決まっている、このようにも考え、またさらに今後ともそういうことを期待するとともに、効率化、一定の範囲の中で経営効率、こういうインセンティブが付与されていく、このようにも考え、また規制の簡素化も図られている、このようにも考えております。
  64. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 非常に楽観的な御認識のようですけれども、実はそうもいかないんじゃないかということを今回指摘をしたがったわけなんです。  二点あるんですが、その一つは、上限値の線の引き方ですね。料金各社設定する際に上限となる、いわゆるここでは標準原価直線というんですか、これの引き方についていわゆるこの研究会報告書、専門家による研究会があって、その報告書が今回の施策のベースになっているというか中身になっているようですけれども、そこでは明確にダブル・トリプルトラック原価のみを用いて算出することということを明確に述べているわけです。  それに対して、私、具体的に運輸省からこの算出方法について教えていただいたところ、どうも単独路線のプロットも全部入れてその中で最小自乗法を使って機械的に線を引いた、こういうことなんですが、そのとおりかどうかということ。その中には、特に報告書で言っていることと違うことをやっているようなんですけれども、そこはどうなのか。その二点を。
  65. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 私どもの担当官の説明が不十分であったことをおわびいたしますが、報告書どおりダブル・トリプル、競争状態路線原価をベースにこの標準原価設定してございます。
  66. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 水かけ論になるからまた別な機会にしたいと思うんですが、それ違いますよ。私、資料をいただいているけれども、ダブル・トリプル路線だけのプロットでは到底数が足りないようなグラフをいただいていますから、今のことも議事録に残ると思いますから、それをベースにまた次に聞きたいと思うんです。  当面、今私が言いたいことは、基本的にダブル・トリプルトラック原価でやるべきところを、そうでない方法も使いながら少し高目に出るんではないかという傾向の問題がちょっと心配なんです。そのほかに、例えば頻度が高くて効率のよい路線、いわゆる今回の標準原価直線を引くと、縦軸に原価、横軸に距離でグラフにプロットして標準原価直線をつくるらしいですけれども、その中では必ずといっていいほど頻度が高くて効率のよい路線はその線の下に来る。つまり逆に言うと、現状の価格よりも高い価格で標準原価設定される仕組みになっている、こういうふうに理解せざるを得ないんですが、どうですか。
  67. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 最小自乗法ということでそのプロットした中での平均的な曲線を設定してございますから、その曲線を上下していろいろなばらつきがあるのはこれは事実でございます。ただ、全体として一番いい、数字が集約するところに曲線を引いてあるわけでございまして、トータルで見た場合にコストが高いあるいは標準原価が高いということにはならないと思っております。
  68. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 これは、その標準原価直線の引き方が甘いといろいろ問題が出てくるということを次に申し上げたかったんです。それは路線への新規参入可能性が、特に日本の場合、また特に羽田空港の場合、新しい会社が新しい路線に対して新規参入するという可能性はあるのかどうか。制度的な面あるいは実態的な面両面からあるかないか、明確にお答えいただきたいと思うんです。
  69. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今の御質問、これちょっと二つに分けなければいけないと思うんですが、いわゆるエアラインの三社以外の全く新しい資本が羽田に入って航空事業を始める可能性があるかという点と、それから今ある三社が今まで進出していない新しい路線に入れるか、この二つになると思うんです。  私は、我々の理想としては、率直に申し上げて三社以外の新しい資本がどんどん我が国の国内市場に入ってくるという状態が理想でございます。アメリカがかなりそういう状態に近いわけでございまして、そうなった場合には完全な自由競争が実現できると思いますが、現在の羽田の狭隘な状況からいいますと、新しい資本が入るという可能性は実態上ほとんどないと申し上げざるを得ないと思います。  また、現在例えば一社しかやっていない、二社しかやっていない路線に新たな一社が入る可能性は、これからの可能性としては十分これはございます。と申しますのは、羽田空港の今拡張を我々は精力的に進めておりまして、近々また新しい滑走路ができる予定でございますから、そういう機会を通じてはそのような競争をより自由なものに近づけるということができるかと思っております。
  70. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 アメリカの例が出たのでちょっと紹介しておきますと、アメリカは一九七八年にいわゆる航空分野での規制緩和を行って、当時定期航空会社の数でいいますと三十六あった、それがピーク時では一九八四年、六年後には同じ定期航空会社の数が百二十三、三十六から百二十三、約九十社ふえているんです。  こういう自由競争の中でアメリカが規制緩和を、自由競争といいますか自由競争のベースが整っている中で規制緩和がなされ競争が始まった、こう認識しているんですが、日本の場合はどうも、今特殊な場合のある限られた部分についての新規参入について御説明がありましたけれども、それにしても一社入るか入らないか、こういう状況ではある意味では独占状態ではないのか、広い意味で、  具体的に言うと、例えば夏場の東京−北海道便などを想定していただきますと、東京−北海道だけじゃなくて例えば東京−大阪でも東京−福岡でも結構です、そういった代表的な路線のピーク期を考えますと、これは少々値段高くしてもお客さんは逃げないんです。泣くしかないんです。新幹線を利用するか車を利用するか、ほかに逃げようがない。新幹線、車といってもそうそう自由度があるわけではありません。そうしますと、お客さんは逃げない、しかもほとんど満杯で確保できる、こういう状態が前提になったときに二社、三社で自由な競争が保障されるのかどうか。  例えば今回の例でいくと百円を上限とすれば七十五円までですよ、七十五円から百円までの幅を示した、それに対して二社ないし三社で競争する。そのときに十分なお客が確保されている、その範囲内では必ずお客は逃げないで買うはずだ、こういう前提であった場合にその三社ないし三社における自由な競争、価格を安くする方向で働くのかどうか、私は絶対そういう意味では働かないと思うんです、今の条件では。そういう意味ではいかがでしょうか。
  71. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) まさに今先生が御指摘の点が我々がこの幅運賃を入れた理由でございます。言いかえますと、上限を設けた理由でございます。したがって、今数字を言われましたけれども、百円以上は取らない、取ってはいけないということで抑えているということでございます。
  72. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 事実、東京−札幌、東京−大阪、東京−福岡、ピーク期といいますか多客期というのか言い方はともかく、それぞれ今申し上げた路線、ほかでもそうなんですけれども、代表例でいいましてもかなりの大幅値上げになっております。値上げをしてもお客は逃げようがないんです、特にピーク期などは。ですから、今私が申し上げた例でいくと、逃げようがないところにわざわざ安くするということは必要ないわけでして、原理的に。  そういう中で、二社ないし三社の動向だけを見て、顔色だけを見るのか、あるいはどこかで談合ということを前提にしたくないですけれどもそれに似たようなことがあるとか、そういうことがあれば、まあ談合の問題はちょっとこっちへ置いておきましょう、談合は別としまして、顔色を見るだけで大体これは数社の中で、しかも幅が決められている。その幅の上限の決められ方も先ほど言いましたように非常に甘いとなれば、国民が甘受する範囲内で高くできるという口実を与えることになると思うんです。そういう意味で、私は今回のとられた措置制度についてはチャレンジとして一つの方法であろうと思うんですけれども、その制度を生かし切れていないんじゃないかという点で大変心配をしております。  アメリカでは航空規制緩和のベースとなった理論がありまして、コンテスタブルマーケットの理論、こう言うんだそうですけれども、これを運輸省はどのように評価しているのか改めて伺いたいと思います。
  73. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 先ほどもちょっと触れましたとおり、アメリカのように資本移動の自由度が高いところ、あるいは労働力の移動の自由度の高いところではかなり思い切った規制緩和、究極的には完全な自由化ができるわけでございまして、それは一つの理想だと思っております。ただ、現在アメリカの社会でこの航空業界の完全自由化が成功であったか失敗であったかにつきましては、率直に申し上げまして若干議論が分かれているところでございます。  日本の国内の有識者の方でアメリカへ行った感想として、やはりいいという意見とちょっと行き過ぎだなという意見といろいろ分かれておりまして、この辺は私ども、仮に日本の国内が空港事情等が改善されてアメリカ並みの完全自由化ができるという状態になったときに、果たしてアメリカと同じことをやるかどうかはもう一度そこで立ちどまって考えるべきだと思っております。  ただ、今の幅運賃につきましては、まさに先生の、制度としてはまだ認められるけれども、本当に生かし切れるかどうか心配だという御指摘がございます。これは私ども全く同感でございまして、ここはこれからも私ども監視を続けなければいけませんし、利用者の方々も、言葉は悪いですがより鋭敏になって、サービスあるいは運賃料金の差によってきちんと選択の姿勢を出すということを利用者の方にも御期待したいと思っております。  それからもう一つ、この制度を御議論いただきました物価安定政策会議、その場の御意見として、官はこれから余り口出すなということを正式に意見としていただいておりまして、私ども注意はしつつもなるべく一歩後に下がって、事業者間の競争、あるいは事業者利用者の方との競争、これを関心を持ちつつ見守っていきたい、かように思っているところであります。
  74. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 理論については非常に単純ですので御紹介しておきますと、コンテスタブルマーケットの理論というのは、ある本によりますと、数行ですからちょっと紹介しますが、「参入と退出の費用が小さい産業では、実際に寡占あるいは独占的な状況が存在しても、新規参入可能性さえ存在すれば、そこには競争的な環境が生み出され、資源の効率的な配分がもたらされるというもの」、こういう説明があります。  ここで大事なことは、「新規参入可能性さえ存在すれば」と、新規参入ができると、要するにお客は外にも逃げられる、あるいはその中で商売をする業者についても新規参入ができる、そういった状況が整ったときには自由競争が促進される、こういうことを言っているんだと思うんですが、実は日本の航空事情からするとその一番大事な新規参入が認められにくい、実質的には新規参入などほとんどあり得ないに近いような状態でこのような制度導入するのであれば、上限の設定の仕方をもう少し厳しくしないと非常にバランスを欠いたことになるんではないか、このことを言いたかったわけです。  先ほどの答弁の中には、官は口を出すなという方針を言われましたけれども、わずかながら今回は官が口を出しているんですね、線という。わずかながら出した、その日出したものが非常に悪いんですよ。その上限が悪いから、先ほど言いましたように東京から例えば札幌、東京から大阪、東京から福岡の例を挙げてみても、みんな上限に近いところにどんどんシフトしているんですよ。現行運賃からすると相当な値上げになっております。これがその証明だと思うんですよ。  ですから、この制度をきちっと動かすためには、今日本では新規参入がそれほど自由でない、事実上余りあり得ないということを前提とするならば、もう少し線の引き方を厳しくすべきである、私はこのことを申し上げたかったわけです。そういう意味で、新規参入の面から自由競争の条件が満たされない現状のもとでは今回の措置は不適当だ、あるいは少し厳しいかもしれないけれども的外れだ、こういうふうに思うわけであります。  これはぜひ再検討をしていただきたいと思うんです。再検討につきましては、当面上限と言われる標準原価直線の引き方をどうするか、少し甘過ぎるんではないかという私の批判に対しておこたえいただきたい、今後実施する中で。また、便乗値上げの口実を与えない観点からもっと別の方法があるのかどうか。先ほど来、局長お話ですと自信を持ってということですので、当面はこの方法の中でということになるのかもしれませんけれども。  いずれにしても、今のままですと自由競争、時間をかけても甘く引いた上限にシフトしていくだけという部分が相当部分出てきて、これは便乗値上げの口実を与えるための施策になってしまう。決して規制緩和によって自由競争を促進し、ひいては国民の利益を増大する、そういうことにはつながらない。逆のことになりかねないので、ここで指摘をしておきたいと思います。  大臣、この点について、規制緩和として国民に還元される策になってないと私は思うんですけれども、そのことも踏まえて大臣は、この幅運賃制でとられた今回の措置、どのようにお考え伺いたいと思います。
  75. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、先生からいろいろ御意見を拝聴いたしました。しかし、この制度は現在、現状のもとで可能な限りの規制緩和に取り組むものである、このように考えております。まずは新制度実施していくことが適当ではなかろうかと考えます。また、新制度は現時点でのベストのものと考えておりますが、運賃の多様化や経営効率化を促す効果が十分に発揮されているか否かについては、一定期間を経過した時点でフォローアップを行い検討を加えてまいりたい、このように考えております。
  76. 横尾和伸

    ○横尾和伸君 私は、時間が経過すれば解決する問題ではなくて、時間が経過すれば上限にシフトしていきますよということを申し上げているんであって、これは大臣は違うお考えだというのであればこれからの推移を見るしかないかもしれません。  しかし、私はこれはあえてもう一度言っておきたいと思うんですけれども、今の線の引き方で今の制度を生かそうとすれば、これは国民の皆さん怒るでしょうけれども、上限にシフトして結果的に一番利用されやすい、一番切実に使おうとしている方々に対して大変な迷惑、料金の便乗値上げを促進することになる大変な間違った施策になりかねないということをあえて申し上げておきたいと思います。  次に、もう一点別な件を用意していたんですが、時間がなくなりましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。
  77. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時五十分まで休憩いたします。    午前十一時五十分休憩      —————・—————    午後零時五十二分開会
  78. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、運輸行政基本施策に関する件について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  79. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 平成会の戸田でございます。  まず第一に、北海道の古平町のトンネル事故で、この間事故に遭われて亡くなられた方々に心から哀悼の意を表したいと思います。  また亀井大臣、御就任になられまして初めての質疑ということでありますが、亀井大臣の御就任につきましては心からお祝い申し上げたいと思います。  委員会で個人的なことを申し上げては申しわけないんですが、亀井大臣には長い間私も御指導をいただいてまいりました。大臣は、運輸省の政務次官をされ、また衆議院の運輸委員長として活躍され、そういった運輸関係等の仕事につきましては長い豊富な経験をお持ちでありまして、またすぐれた卓見もお持ちでありまして、運輸省で強いリーダーシップを発揮されて、山積する問題の解決など、これから大きな功績を残されるものと期待しております。  それでは、運輸大臣所信に関しまして幾つか御質問して、運輸省の御見解をお伺いしておきたいと思います。  まず第一に、JR北海道、四国、九州、この各社につきまして先ごろ運賃の改定が行われました。それぞれに異なった事情もおありでして、独立以来九年間になりますか、運賃値上げなしでここまでやってきたということにつきましては称賛に値することかと思っておりますが、一方におきまして他の交通機関、例えば高速バスとか高速道路、そういったところとの競争もありまして値上げできなかったというような事情もあったかと思います。  また、最近の採算の悪化につきましては、各社が独立したときに抱えていた余剰人員などのために関連事業を展開して涙ぐましいほどの努力をしてきたかもしれませんが、そういった部門の赤字が足を引っ張っているという点もあるかと思います。また、最近の状況では、経営を支えていくために基金を積んでおりますが、そういった基金の金利が下がってきている、そういったこともあるかと思います。各社事情は若干それぞれ異なっているかと思いますが、全体的に見ますと今後の経営についてこれで大丈夫だなという感じがしない、なかなか難しいところではないかな、こう考えております。  一応今回の運賃値上げをしてみて、しばらく様子を見ようかというような感じにも受け取られますが、一つは、やはり独立した当初の心意気といいますか、そういう経営側の努力が非常に大事ではないかと思っております。サービスの向上その他にはこれまでも努めてきたところであろうかと思いますが、なお一層そういう努力が必要とされているように思いますが、今後の見通しについて運輸省としてはどのようにお考えでおられるか、お話しいただきたいと思います。
  80. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま先生からJR北海道、四国、九州旅客会社につきまして幾つ現状の問題点の御指摘をいただきました。御指摘をいただきました点、確かにそのような問題を抱えているわけでございます。  そもそもJR各社は、六十二年の国鉄改革におきまして、経営の自主性が確保され責任が明確になるよう株式会社として発足したものでございますが、その際、特に厳しい経営環境が想定されておりました北海道、四国、九州につきましては、御承知のとおり、国鉄の長期債務を承継させないという措置に加えまして、経営安定基金を設けるといった特別の措置を講じたところでございます。  こういったような措置を講じた上で発足したわけでございますが、この三社におきましてはこのような措置を前提にいろんな努力をやっていただいております。現在までも輸送サービスを改善し増収を確保していくとか、あるいは経営合理化によります経費の節減を図っていくなど、そういった努力をしていただいておりますけれども、これらにつきましては、今後ともさらに可能な限り経営努力がなされるべきものだと私ども考えております。  このような経営努力を見守りながら、国鉄改革の最終目標でございますJR各社の完全民営化の実現を目指しまして私どもも幅広く勉強していかなければいけない、このように考えております。
  81. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 非常に難しい時期に差しかかっているかと思いますので、運輸省としましても、注意深く見守って必要な指導なり措置をとられるように希望しておきたいと思います。  それから、JRの問題でもう一つ、JR貨物でありますが、最近の経営状況を見ると基本的にこれこそ非常に難しいという感じがしております。いろいろな要因があるかと思いますが、表面的には一昨年の米の不作も影響した、それから昨年の阪神・淡路大震災、あれによって相当減収をした。そういった不慮の出来事といいますか、そういうことによって赤字幅が大きく膨らんだということがあるかと思いますが、基本的には経営赤字体質といいますか、それがなかなが解消できないんじゃないかというふうに見ております。これから赤字経営がずっと続いていくというようなことになりますと相当大きな問題になってきはしないかと思います。  そこで、根本的な対応を何か考えなければならない時期に来ているのかなという感じがしておりますが、運輸省としては、これらの点についてどのようにお考えになっておられるか。
  82. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) JR貨物につきましても、やはり経営が安定しないという状況にあるのは御指摘のとおりでございます。  そこで、まずJR貨物自身が安定的な黒字の体質に転換できるように、これを目指しましてフレート21という計画を策定いたしております。その内容をちょっと御紹介申し上げますと、コンテナ輸送の拡大などによります輸送体系の再構築、あるいは営業施策の抜本的見直し、あるいは鉄道事業部門を七千人体制に持っていくこと、さらには関連事業部門の拡大強化等々でございます。  私どもとしましては、物流は当然と申しますか非常に競争が激しい分野でございまして、JR貨物の経営環境も厳しい状況でございますので、JR貨物がこのフレート21の着実な実施を図ることはもとより、置かれております環境を克服するためにあらゆる経営努力を尽くすことがまずは必要であろう、こう考えております。  それから、JR貨物につきましても、完全民営化という最終目標があるわけでございますので、これに向けまして私どももどう対処すればいいか幅広く勉強していく必要がある、このように認識しております。
  83. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 完全民営化ということになった場合に、ほかの事業者といいますか、例えばトラックとかそういうところと連携をとるとか、そういうことを相当大幅に取り入れてといいますか、バックアップ体制が民間側で相当とられなければこの赤字体質を抜け出すことができないんじゃないかと思っておりますが、そういった点についても当然JR貨物自身としていろいろと検討しておられ、また努力しておられることだろうと思いますが、この問題も要注意事項ではないかと私は考えておりますので、運輸省の方でも真剣に検討していただきたい、こう思っております。  次に、整備新幹線の問題になりますが、大臣は、所信の中の「豊かで安全な社会づくり」というところで整備新幹線のこれからの仕事の進め方について触れておられますが、三線五区間につきましてはもう既に着々と進んでおりますし、また平成八年度の予算を見ましても満額予算が認められている、そういうようなことで計画どおりに今後工事が進行していくものと思われます。また、未着工区間で特定の駅についての整備調整事業、あるいは長大トンネルなどにつきましての建設推進準備事業、そういったものが進められていくわけでありますが、今後の問題としまして、今年じゅうには未着工区間のための新しい基本スキームを作成するということになっておられるようであります。  私は、このスキームという言葉は余り好きじゃないといいますか、別な意味がありますので、このスキームという言葉は注意して使わないといけないんじゃないか、こう常日ごろ思っておりますが、念のためにオックスフォードの辞典を引いてみましたら、スキームというのは、一つはシステマチックアレンジメントと書いております。第二の意味はアートフルデザイン。それで、アートフルデザインというのは何も芸術の薫りの高いデザインという意味ではありませんで、こすっからいとか計略とか、そういうような意味に使われておりまして、亀井運輸大臣とか私が使ったときは第一の意味で、いかがわしい人が使うと第二の意味になるのかなというふうにも考えております。  冗談はそれぐらいにしまして、この新しい基本スキームでありますが、これについてまだはっきりと絵がかけたという状況ではないと思いますが、基本的な考え方、あるいは運輸省としてはどのような希望を持ってこの計画をかき上げていくかという点についてお話しいただきたいと思います。
  84. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 戸田委員は、かねがね運輸省にも在籍をされ、いろいろ運輸行政につきましては大変広い、深い見識をお持ちでありますし、先ほどいろいろお話をちょうだいいたしまして、また、私もいろいろ御指導やら御交誼にあずかった次第でございます。  今、整備新幹線のことにつきましてお話をいただきました。未着工区間の整備につきましては、誠心誠意新しい基本スキーム、こういうことについて平成六年十二月の関係大臣申し合わせに基づきまして検討を行っているところであります。さらには、特に八年度においては、新たに未着工区間のルートごとに関係自治体及びJR等と一体となって整備新幹線を核とした地域振興計画を検討することとしております。これらを通じて、平成八年じゅうに新しい基本スキームの成案を得べく鋭意検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  85. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 整備新幹線の今後の進捗状況というのは、特に地方の人々にとっては非常に切実な問題で、大変注目を浴びている課題でもあります。運輸行政の中でも非常に重要なポイントになるかと思います。特に、予算獲得につきましては大臣の活躍に期待するところ大かと思います。そういった点で、これからもひとつ運輸省の政策の中心としてお考えいただきたいと思っております。  次の問題で、これこそ大変な問題ではないかと私は思っておりますが、それは国鉄清算事業団の長期債務の処理という課題であります。  大臣所信の中でも「国鉄改革の総仕上げ」という位置づけになっております。これまでのところ、相当の努力をして土地を処分したり、あるいは株式を売却したりというようなことをやってまいってきているわけでありますが、いずれにしましても土地に関しましては平成九年じゅうに何とか片をつけなければならない。資産の早期処分ということについては、これからもこれまで以上の努力が求められる点ではないかと思っております。  土地もまだ相当残っている。土地につきましては、昭和六十二年に、今から売り出そうというときに閣議決定で地価高騰地域における一般競争入札による処分を凍結するというようなことがあり、またその後若干それらの点について改められてきてはいるわけですが、例えば平成元年の十二月の閣議決定、地価を顕在させない土地の処分方法の実施、そういうようなことが決められているわけですが、これはひいき目に考えましても手足を縛られてしっかりやれ、こう言われているような感じのところがあったように思います。  現時点でまたいろいろ考えられて、例えば株式変換予約権つき事業団債、こういった相当の知恵も出されて、それで努力が重ねられてきていると受け取っております。また、JRの株式につきましても、これまで九百十九万株売却済み、現在事業団が保有しております株は六百六十九万株ということでありますが、これから株式市場が回復してきますと環境的にはよくなってくるのかな、こう思います。  いずれにしましても、こういうものを短期間で片づけていく、さらに、その後の清算事業団をどうするかといったことが目前に迫ってきているように思います。鉄道共済の問題もありましょうし、そういった問題を一つ一つ取り上げていかなければならない、解決していかなければならない。  いずれにしましても、約二十兆を超えるのかと思いますが、そういった債務が残るのではないかと思います。これは隠れ債務というような呼び方でも呼ばれているようですが、隠れ債務じゃなくて私は現に顕在化している国の債務ではないかと受け取っておりますが、この辺について、まず梅崎局長にひとつ現状認識などについてお話しいただければと思います。
  86. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま先生から国鉄清算事業団の長期債務の問題につきまして幾つ指摘がございました。  清算事業団の債務の状況につきましてまず簡単に御説明させていただきたいと存じますが、先生今御指摘がございました、今までいろんな土地対策についての努力あるいは株式売却につきましての措置等々やってまいりましたけれども、今までの全体で申し上げますと、昭和六十二年度から平成六年度まで金利相当の支払額は十一・三兆円に達しましたほかに、平成二年度に鉄道共済に対する特別負担が〇・六兆円ございまして、合計十一・九兆円の負担が発生いたしました。  これに対しまして収入面では、先ほど御指摘もございました地価高騰問題に対処するための対策によりまして、公開競争入札によります土地処分が見合わされたということ、あるいは、その後価格下落により土地の需要が低迷いたしまして売却がなかなか思うように進まないといったようなこと、それから、株式市況の低迷あるいは阪神・淡路大震災の影響によりまして株式の売却が進んでいない、こういったようないろんな事情によりまして資産売却が円滑に進まないというところから、今までの収入額は昭和六十二年度から平成六年度まででございますが、この収入額の合計は十・六兆円にとどまっておる、こういう状況でございます。  とういったところから、七年度首におきます長期債務等は、国鉄の民営化当時に引き継ぎました二十五・五兆円から一・四兆円増加いたしまして二十六・九兆円となっている状況でございます。  この問題に関しましては、当然のことながら、この国鉄清算事業団の長期債務の処理というのは国鉄改革の完結を図る上で極めて重要な課題でございまして、私どもとしましては、清算事業団と一体となりまして、大変苦しい状況ではございますけれども土地の処分に最大限力を尽くし、また株式の売却につきましても、いろんな市況の状況等々いろんな事情から思うように進んでおりませんが、これからはできるだけ早い売却に向けて最大限力を尽くしていきたいと考えております。
  87. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 いずれにしましても、その残った債務、それから関連したいろんな部門、そういったものをすべて解消するといいますか、できるだけ早い機会にそういうことをするというようなことになっているようでありまして、私は、これからこの問題の重要性を、問題を先送りするようなことのないように重要性を国民に訴えて説明して理解を得る、そういうようなことが一番大事なことではないかと思いますが、その辺について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  88. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほど来委員指摘のとおり、この問題につきましては、いろいろの社会経済上の変化は御指摘のとおりでございます。  また、運輸省といたしましてもそれぞれの努力をしてまいりました。アクションプログラム等いろいろ計画をしたりして今日まで努めてきておるところでもございます。しかし、いわゆる国鉄改革の総仕上げ、こういう時期に来るわけでありまして大変重要な問題であります。その処理に当たっては、やはり国民の理解を得ることが私は不可欠であるものと認識をいたしております。  したがって、かねがね事業団の債務の状況、これらにつきましては従来より本委員会への御報告を行うとともに、土地の処分状況や債務の状況についても定例の発表を行ってきたところでもございます。運輸省も事業団も広報活動をまたあわせてこれに並行して行ってきたわけでありますが、今後とも御指摘を踏まえて引き続き国民の御理解を得られるよう一層の努力をしてまいりたい、このように考えております。
  89. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 それでは次に、港湾整備並びに空港整備について御質問申し上げたいと思います。  まず、港湾整備でありますが、過去数年間公共投資部門でCランクと不名誉かつ不当な扱いであったかと私は思っておりますが、所信の中でその港湾整備の重要性を非常に強調しておられます。  平成八年度に始まる第九次港湾整備五カ年計画、これもこれからの我が国にとっては非常に重要な点になるかと思います。ハブ港湾というような点から考えましても、例えば香港とかシンガポールなどに比べますと一歩おくれたというような感じになっておりますが、その辺についてこれからの覚悟といいますかお話しいただくのと、もう一点は、神戸の震災被害から考えても耐震強化岸壁、これがいかに重要であるかということが実証されたということでもあります。地域の安全保障というような考え方をしますと、各地域の重要港湾にある割合で耐震構造のバースを備えていかなければならないということになるかと思いますが、その二点について港湾局長の方から所見をお伺いしたいと思います。
  90. 栢原英郎

    政府委員栢原英郎君) 先生指摘のように、現在世界の幹線航路に投入されておりますコンテナ船の大型化が進んでおりまして、我が国の主要港はこれを受け入れるために十分な水深を持った、あるいは高規格のコンテナターミナルの整備がややおくれているという状況にございます。このために、既に一部の航路において我が国の港湾に寄港しない、いわゆる抜港という現象が起こっておりまして、このような状況が続けばより効率の高いコンテナ輸送のサービスを我が国が受けられなくなるというおそれを感じているところであります。  そのため、平成八年度からスタートさせていただきたいというふうに考えております第九次港湾整備五カ年計画におきましては、神戸港、横浜港などにおきまして、この大型船を受け入れることのできる水深十五メーターのコンテナターミナルの整備を最重点課題として取り組んでいきたい。五カ年計画が終了いたします平成十二年には、我が国の主要港を合わせれば香港、シンガポール等に匹敵をする競争力を持つように整備をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  もう一つ指摘をいただきました耐震強化岸壁のことでございますが、昭和五十八年の日本海中部地震におきまして、規模は大変小そうございますが、秋田港の施設がやはり壊滅的な被害を受け、近隣地域に大変大きな影響を与えてしまったという反省にかんがみまして、昭和六十年から全国の主要港湾において通常の想定されている地震よりも巨大な地震が襲っても生き残れるバースというのをある一定の割合でつくってまいりました。現在、八十、その岸壁の整備が終わっておりまして、神戸でもそれが三つありまして、これはあの大変な被害の中でごく軽微な被害で済んで、直ちに救援物資の陸揚げに利用されたということでございます。  ただ、私ども考えといいますか先行きの変化に対して当時大変不足しておりましたのは、新しい輸送形態でありますコンテナでありますとかフェリーについて耐震強化をしていなかったということでございました。今後は、この五カ年計画の中において、コンテナ・フェリー岸壁の耐震性の強化も含めて進めていきたいというふうに考えております。
  91. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 それでは次に、空港整備関係についてお伺いしたいと思います。  空港整備につきましても、平成八年度は第七次空港整備五カ年計画の初年度ということになります。この五カ年計画で総額三兆六千億というようなことになっているようですが、けさほども亀谷委員からお話もありましたが、空港整備というのは非常に長期的に考えていかなければならないということについては私も賛成でありますし、運輸省ももちろんそのようなことで考えておられると思います。  ただ、私の感想を言わせていただきますと、知らないでいるからそういうことなんだろうとこう言われそうですが、空港整備の長期的な考え方、それから計画、そういったことについては運輸省がもう少しイニシアチブをとって考えてみてもよろしいんじゃないか。特に地方空港の場合には、地元からいろいろ陳情が来たりそういったことを受けて雰囲気ができてそれで腰を上げるというような、外から見ていると受け身に見える。  国際ハブ空港の重要性も認識されているというようなことで、そういう観点から見ても若干おくれをとっているというようなことが言えるかと思います。関空の二期工事につきましては上下分離方式と、非常に知恵者が考えられたんじゃないかと思いますが、少しでも早く工事を進めるという観点からはいい形でスタートができるのかと、こう思っております。  この七次の空整五カ年計画全体について、さらにそういったハブ空港についてより運輸省が積極的にイニシアチブをとって取り組んでいただきたいということについて、ひとつ基本的な考え方、これからの事業の展開、そういったことについてお話しいただければと思います。
  92. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 午前中の議論にもございましたし、今戸田先生からもお話もありましたように、やはり空港につきましてはかなり長期を見据えて検討を進める必要があると思っております。私ども八年度を初年度といたします七次空港整備五カ年計画を検討中でございますが、当然この背後には十年なり二十年なりあるいはより長い需要予測を持ちまして検討を進めさせていただいておりますし、これからもそういう視点を強めていきたいと思っているところでございます。  この七次の空港整備五カ年計画でウエートを置いておりますのは拠点空港の整備でございまして、さらにこの拠点空港に二つございまして、一つは国際ハブ空港、二つ目が国内の拠点空港、二つでございます。  国際ハブ空港につきましては、これから二十一世紀を迎え、我が国だけではなくて世界全体がますます国際化する、その中において我が国だけが国際化の窓口である空港が十分なキャパシティーがないということでは、我が国の国際的な地位が低下することは明らかでございます。したがいまして、私どもこの国際ハブ空港の整備について大変大きな使命を、単に航空行政というだけではなくて我が国の社会経済全体に対して負っているという覚悟というか意識でもって対応しております。  具体的に申し上げますと、まず、何といいましても成田でございまして、成田は大変多くの方々の御努力、御支援によりまして、話し合いによって平行滑走路をもう一本つくろうではないかという雰囲気が醸成されております。このタイミングを我々大事にいたしまして、現在、個々の地権者あるいは住民の方々と個別に話し合いに入っているところでございまして、これを精力的に進め、一日も早く平行滑走路を完成させたいと思っているところでございます。  また、関西国際空港につきましては、今詳しく御指摘いただきましたように、一兆五千六百億という大変大きな事業でございますが、二期事業が平成八年度から着工という政府予算になっております。国会で予算をお認めいただき、さらに上下主体分離方式につきます法律をまたこれも同じく国会でお認めいただけますれば、できるだけ早期に埋め立ての会社をつくり、これももう一本滑走路をつくることを急ぎたいと思っております。  さらにもう一つ、中部に新しい国際空港をつくろうということで、精力的に調査を進めております。調査結果あるいは地元における協力体制等を踏まえまして、できますれば七次の空港整備五カ年計画の中でも早期にこれも着工したいと思っております。その三つが我々が今持っております国際ハブ空港の構想でございます。  一つ認識いただきたいのは、世界的に国際ハブ空港と言った場合、面積が大体二千ヘクタール、大きいところは五千とか六千ございます。今御披露申し上げました三つは広くて千百ぐらいでございまして、国際的規模から見ますと決して胸を張れる規模ではないと思っております。  ただ、我が国の国土事情あるいは環境事情から申し上げますと、一カ所で二千とか三千という大きな空港をつくることは極めて困難だと思っております。理想としては追求をいたしますが、現実問題としてはあるいは絵にかいたもちに終わるかもしれない。したがいまして、私どもはこの三つを組み合わせることによりまして、国際的なネットワークの拠点として我が国の玄関にしたい、かように思っておるところでございます。  それから、国内につきましては、地方空港につきましてはほぼ展開は終わったと思っておりますが、既存空港につきまして、需要に対応いたしまして高質化、より使いやすい空港にするということに力を注ぎたいと思っております。  また、国内の拠点空港につきましては、おかげさまで羽田が比較的順調に工事が進んでおりますが、今の工事が完成いたしましたとしますとそれ以上の拡大はなかなか難しゅうございますから、首都圏にもう一つ空港をつくるということについて今関係方面と協議に入るべく調整中、こんな状況でございます。  引き続き、御支援のほどを賜りたいと思います。
  93. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 今、空港の整備につきましては、成田の例でもわかりますように、土地の取得その他について非常に困難を伴うということがあります。そういった点でさらに運輸省の御努力に期待したいと思っております。  次に、これは私自身も非常に深く関与してきた問題でありまして、委員会で質問するのは甚だ申しわけないことでありますが、為替レートが最近百五円ぐらいになってきているというようなことがあって、造船業のこれからの見通しは割合明るいのかとは思いますが、しかし韓国の台頭とか中国の能力の拡大、そういったところから考えますとなかなか今後も難しい経営を強いられるということではないかと思います。  これからの見通しについてどのように考えておられるかというようなことと、今国会に法案が提出されますOECDの造船協定、政府の助成措置の撤廃とダンピング防止ということになっておりますが、この協定を受け入れるに当たっての造船業側の考え方、さらに造船業にとってどのような影響があるかというような点についてお話しいただければと思います。
  94. 小川健兒

    政府委員(小川健兒君) まず、我が国造船業の現状でございますが、先生よく御承知のとおり、日本の造船業は過去二度の石油危機による長期不況に対処しまして、過剰設備の処理とか企業の集約化等の構造対策実施したわけでございます。その結果、業況は平成元年度ごろから回復しまして、長期不況からの脱却が図られるまでになっております。現在のところ、操業量はある程度確保しております。約千四百万トン、一年半以上の手持ち工事を持っておりますし、また為替レートも昨年末以来改善されております。  しかしながら、受注競争の激化により依然として船価水準は低迷しておりまして、経営は決して好ましい状況ではございません。また、韓国の造船業の大幅な設備拡張などによりまして、世界的には新造船の建造能力は拡大傾向にありまして、世界の造船業は再び構造的な需給不均衡に陥るおそれもございます。  以上が大体現状でございます。  今後の見通しでございますけれども、世界の船舶建造需要というのは代替需要を中心に今後とも一定の量は確保されるものと考えております。したがいまして、我が国造船業がさらなる国際競争力の強化あるいは技術開発の推進など適切に対応していけば、将来においても国内の基盤的産業としてその役割を十分果たしていけるものというふうに思っております。  それから、OECDの造船協定に関することでございますが、先ほど申し上げましたように、最近韓国が設備拡張しているとか、アメリカが軍民転換を図るなどしておりまして、世界の新造船建造量は拡大傾向にございますが、また、その上受注競争が激化して船価水準が非常に低迷しております。  造船協定の発効によりまして、このような船価水準に歯どめをかける、適正な価格による受注活動が可能になるということから、日本の造船業界も、この協定が今後の日本の造船業の健全な発展にとって非常に有効な手段であるというふうに評価していると我々としては認識しております。
  95. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 時間も参りましたので、もう一点だけ。これはせっかくおいでいただいておりますが答弁は必要ありませんので、私の方から希望だけ述べさせていただきたいと思います。  けさほど問題になりました海洋法の問題でありまして、領海の無害通航などについても考え方が変わってきていると、それから排他的経済水域、これもこれから相当業務量がふえるであろうと、海上保安庁も大変だな、こう思っております。  この海洋法条約ができたということで、私の記憶に間違いがなければ、英国もそうだったと思いますが、ノルウェーなどもそれまで海軍が取り締まりを行っていたのをわざわざ沿岸警備隊という組織をつくったというようなこともありまして、やはり今後の取り締まりその他で海上保安庁に対する期待が非常に大きいと思っております。  海上保安庁巡視船艇、この間委員会で行って乗せてもらったのは新しい船でありますのでまことに乗り心地よろしいかと思いますが、通常の商船などから考えますと非常に古い船が多いわけで、そういった老朽船の代替も含めて現有勢力をふやしていかなければならないというようなことではないかと思います。海上保安庁の皆さんの努力もさることながら、これも大臣に対する期待の大きなところではないかと思いますので、お願い申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  96. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この間の北海道トンネルの落盤事故なんですけれども、あれはいろいろ報道についても問題があるようです。何か責任者を一生懸命見つけているような、だれが悪いんだということを探そうと思っているようなそんなような報道の仕方もあるんですね。  しかし、考えてみると、ああいう巨大な岩盤が急にどすんと落っこってきて、そしてトンネルを踏み割ってしまった、こういう事故ですから、不幸にしてあそこに居合わせたのはバスであろうと乗用車であろうと、あるいは大型の戦車であろうとやっぱりっぷされちゃったんじゃないかという気がするんです。五万トンとかいうふうに言われましたね。あの岩、目方をはかってみたわけじゃないから五万トンあるか六万トンあるかわかりませんが、どっちにしましても、戦艦大和クラスの大きな岩が予告なしに突然落っこってくるというようなことは、これは大変不幸なことだったと思います、犠牲になった方々にとっては。  そこで、これからああいう問題が起きるかもしれないという場合には、どうやって予知をするかという予知の方法がなかろうという気がするんです。だから、あんなような危険な箇所点検してそれに備えるという以外に方法はないと思うんですね。そういう箇所を、あり得ることかどうかわからないにしても、急斜面であるとかトンネルであるとか、トンネルの上の山がああいったような岩盤であるとか土砂であるとか、いろんなことを調査して、そしてそれに備えるような防護体制というものをこれからも固めていかなきゃならぬ、こういうふうに思うんですね。  それらの点について大臣としてはどのような所見をお持ちなのか、まずお伺いしたいと思います。
  97. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほど来いろいろお話もいただきましたが、私ども鉄道事業所等それぞれ規則等々に基づきまして常に安全を確保すべく努力をしていただく、また、先ほど鉄道局長名で事業所にその点検指示したところでもございますので、それを鋭意進めてまいりたい、このように考えております。    〔委員長退席、理事横尾和伸君着席〕  なお、あの事故につきましては、現在、北海道開発局の事故調査委員会で原因の究明が行われているとともに、北海道警においても捜査本部を設置して原因究明が行われている、このように承知をしております。これらにより原因が明らかになるものと認識をいたしております。
  98. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 テレビ等で拝見しますと、自衛隊が一生懸命零下何度という寒いところで作業をやっております。ああいう組織的な労働力を用いないとあの種の事故に対して対応はできないということを我々としても実感をするのでありますが、そのためにはやはり常にそういうことを想定した連絡ということにも万全を期する必要があると思います。  それから先般、委員会でもって、先ほどお話がありましたけれども海上保安庁巡視船で港湾等を見て回りました。非常に勉強になりましたけれども、その際私が感じたことを一つ申し上げますと、コンテナ輸送というのが今行われています。コンテナの船は一遍にたくさんのコンテナを積んで運ぶことができるわけですね。昔に比べればこれはもう貨物輸送としては画期的な運搬手段だと思うのでありますけれども、あの一隻のコンテナ船、いろいろ大小はあると思いますが、平均してあのコンテナをどのぐらい積めるものなんですか。
  99. 相原力

    政府委員(相原力君) ちょっと今正確な数字を持ち合わせておりませんが、通常、海上コンテナでありますと二十トン積みあるいは四十トン積みのコンテナが主体でございます。二十トン積みの場合ですと約千個ないし二千個ぐらいは積めるものというふうに思っております。
  100. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 正確な数字でなくたって構いませんが、要するに一千個以上積めるということでしょう。  埠頭にこの間行きましたらコンテナが山のように積んでありました。船で運ぶときは一千個のコンテナを一隻の船でもって運べるわけなんです。だけれども、それを埠頭に山積みした場合に、そこに置いただけじゃ仕事にならないんだから、目的地へそれを運ばなきゃならないでしょう。そうすると、あのコンテナを今度は運ぶ場合にはトラック一両でもって一個しか運べないですね。無理したって二個でしょう。そうすると、一隻のコンテナ船でもって運んできたものを、陸揚げしてから目的地まで運ぶ場合には千台以上のトラックを必要とするということになるわけです、計算上は。そこにやはり一つの問題があるんじゃないかという気がしました。  あれを一台一台運ぶのに港湾周辺の道路も大変混雑するだろうし、そう簡単には運び切れまいと、素人考え考えても想像できるんです。だから、その辺の運び方をもっと能率的にするためには、陸揚げしたコンテナをいかにして迅速に振り分けるかということを工夫する必要があると思うんです。だから、ある程度まとまった荷物を鉄道輸送にしてどこかにまとめてそれを分散するといったような方法が工夫できないものかどうかということですね。そうすれば、陸揚げしたコンテナを余り無理をしなくてもスムーズに目的地まで輸送することができるようになるんじゃないかと思うんですが、その辺の輸送手段について検討されているのかどうか、お伺いしたいと思うんです。
  101. 相原力

    政府委員(相原力君) 先生指摘の件につきましては、私どももかねてから大変重要な事柄ではないかというふうに考えて、それに必要な施策を推進しているところでございます。私ども、物流政策の三本柱というふうに言っておりますが、その第一がいわゆるモーダルシフトの推進ということでございます。トラック輸送、現在トンキロベースで申し上げますと、全体の五一%以上をトラックが運んでおるわけでございますが、これを相対的には大量であり、かつ効率的であり、かつ低公害の輸送機関であります今御指摘鉄道とかあるいは海運にシフトしていった方がいいのではないかということで、かねてからそのための施策を推進しているところでございます。  ただいま先生から御指摘の海上コンテナについてでございますけれども、おっしゃるとおり大量のコンテナ、これは特にここ数年あるいは十年ぐらいで輸入貨物については倍ぐらいふえておりますので、年々増加しているわけでございますが、これを的確にさばく、あるいは公害問題道路交通混雑問題等対応する観点から的確にさばくためには、鉄道輸送を極力利用した方がいいのではないかというふうに私ども考えております。また、実際に運んでおりますJR貨物もそういう方向で検討しているところでございます。  ただ問題は、鉄道で運ぶためにはある程度の長距離といいますか、少なくとも百キロ以上ぐらいの輸送距離がないとなかなかそういう意味では効率的でないという問題もございまして、現時点では海上コンテナ全体のうち百キロ以上のものというのは一割以内、一〇%足らずでございます。そういうこともありまして、数字的には必ずしも多くはございませんが、極力鉄道輸送もふやしていこうという方向で施策を進めているところでございます。  最近におきましては、例えば昨年の阪神・淡路大震災で神戸港が壊滅的な打撃を受けたわけでございますが、それにかわる港湾に荷揚げした荷物を鉄道において輸送した例もございます。それからまた最近におきましては、例えばビールの原料を、従来はトラックで運んでいたのを海で荷揚げしてそのまま鉄道で運ぶというようなこともやっておりまして、少しずつではありますけれども、効率的な鉄道輸送の利用をふやしていきたい、このように考えております。
  102. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 総合交通政策とすれば、ああいう大量のコンテナ、船では千も二千も一遍に運べるようになった、しかし陸揚げをした後の運搬となると簡単にはいかないということを考えると、海上輸送とそれから陸上におけるその受け入れ体制を基地としてまとめて、能率よく目的地まで運ぶという方法にはやはりもう一段工夫があってしかるべきではないか、こういう気がするわけです。  そういうことのために設備等を充実させる、能率的な運搬手段でいかにして行うことができるかということをこれから運輸行政の中で考える必要があるんじゃないかというふうにこの間の港湾の視察でもって私自身感じましたし、恐らくどなたも同意見ではないかと思うんですが、大臣としてはそういう思い切った方策についてどのようなお考えがあるのかお伺いしたい。
  103. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今、政府委員から答弁をさせましたが、また委員指摘のとおり、まさにそのような海とそして陸との関係におきましてはこれを複合的に整備をし、またその効率化を図らなければならないことはそのとおりでございます。ぜひ、これら輸送施設あるいは機器等々につきましても、今後ともそれらの課題に私ども運輸省としてもさらに積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  104. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 大臣所信表明の中に「ゆとりと優しさを実感できる暮らしの実現」ということが書いてありますね。そこで、その方法として「鉄道駅におけるエレベーター、エスカレーターの整備や低床スロープつきバスの導入」ということが書いてあるんですが、高齢者、障害者対策を強力に推進したいと、私も高齢者の部類に入ってきたものだから大いにこれは考えてもらいたい、こう思うんです。  具体的に言いますと、東京駅の新幹線のホームから下におりてくるのには階段をおりてこなければいけない。エスカレーターはあるけれども、上りのエスカレーターばっかりなんです。おりる方のエスカレーターはないんですね。あるのは終列車のときだけです。終列車のときは下りのエスカレーターが動くようになっています。  そこで、この前私は、痛風の方の権威者である御巫博士、女子医大でリウマチセンターの所長をされた方でありますけれども、今でもこの方が痛風の権威で、私も痛風を思って足引きずって歩いているとき、それは痛風だろうというふうに言われたんです。それで、おれが紹介するからということを衆議院の先生から言われて、その先生にいろいろお伺いして薬をもらったら一遍に、一遍に治ったというよりも再発しなくなったんです、その薬でもって。  それで、その先生が言うには、特にJRなんかの場合は、私鉄もそうだけれども、足の弱い者についての配慮が全然足りないと言うんです。上がるエスカレーターさえあればそれでいいと思っている。本当はおりる方が容易じゃないんだというふうに言われました。  私もなるほどそう言われてみればそうだなと思った。痛風で歩行に困難を来す、あるいはひざが痛いといったようなことが年をとるとだんだん出てくるんです、下半身がもろくなってきまずから。なるほど、つえをついて階段をおりる姿をよく見かけるんですが、おりる方は確かにつらいんです。ところが、おりる方のエスカレーターはないんですね。丈夫なときはいいけれども、確かに足が弱いというときには、痛いというときには骨が折れるんです。  だから、エスカレーターなんというのは、上りだけじゃなくて下りの方のエスカレーターも動かすように設備するようにした方が私は本当の親切じゃないかと思うんです。それで、急ぐ人は真ん中に階段をつくって走って上がればいいんですから。上りも下りもエスカレーターをつくって、そして歩きたい人は真ん中歩いてくれ、こういうふうに仕掛けをした方がよかろう、こういう気がするんです。これは高名な痛風の権威のお医者さんが指摘をされたことなんです。言われてみればそのとおりだと私は思いましたが、大臣どう思います、まだ足が弱いというお年じゃなさそうなんで。
  105. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 委員指摘のとおり、東京駅、私も時々利用いたしますが、上りのエスカレーターがありますことは承知をいたしておりますし、下りのエスカレーターが設置をしてない、これは御指摘がありましたことを今思い浮かべますとそのとおりのように思います。  しかし、エスカレーターの整備については、鉄道駅におけるエスカレーターの整備指針、こういうことで事業者に指導しておるところでございますが、若干、既設の駅の現状を見ますとホームの階段の幅の制約、こういう点で一基のエスカレーターしか設置できずに、なかなかこれ上下用ということはいわゆるホームの幅、こういうことを考えますと非常に難しい面もあろうかと思います。先生今真ん中に階段をと、こういう御指摘でございますけれども、なかなか駅の条件、こういうものを勘案しますといろいろ難しい面もあろうかと思いますが、足の不自由な方々にも配慮しながらエスカレーターの整備をさらに指導してまいりたい、このように思います。  若干私も痛風の気がありまして、何年に一遍ぐらいしかないわけですけれども、おりる階段ということにつきましては注意をしなければならないというようなことは認識をいたしております。
  106. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 大臣も痛風の経験があると、同病相哀れむという点がございますが、確かに上野駅なんかの場合は上り、下り両方ともエスカレーターがあるんです。東京駅は片っ方しか動いてないですね、東京駅を利用する人の方が今多いと思うんですけれども、もともとエスカレーターなんか階段さえあればなくてもともとだったんですよ。だけれども、せっかくできた以上は足の痛い人のために配慮をする。あれは上りだけでいいんだ、おりる方なんかなくたっていいじゃないかと言われたって、足の悪い者はそれであしからずという、そういうわけにいかないからね。その点はやはり具体的な問題として十分に配慮していただきたいと思います。これは私の要望ですが、大臣の方もせっかく、せっかくと言っちゃなんだけれども、痛風の経験がおありになるならこれをお考えいただいた方がよろしかろうと、こう思います。  それからもう一つ、最近の新幹線なんかの状態見ますと通勤列車になっていますね。私は初めからやがてこれは通勤者を運ぶようなことになるだろうと思っておりましたが、通勤列車の様相を呈してきた以上は通勤者を主として考えればいいんです。  ところが、長距離の列車と同じようにリクライニングシートやなんかつけています。リクライニングシートをつけて寝心地をよくするというと乗り過ごしてしまうおそれがある。私は近所の人によく聞いたんですけれども、上越新幹線、前は在来線のあるころは乗り過ごしても高崎どまりで済んだ、今は越後の国まで行ってしまう、帰るに帰れなくなるという話をよく聞くんです。それで、私は越後の国まで行ったことはないけれども、それでも、上越新幹線なんかの場合は終点が新潟ですから二時間足らずで行っちゃうんですね。それ以上行くといったって海なんだから、行きようがないんですから。  だから、そういうことを考えたならば、無理にリクライニングシートで寝心地よくしなくたって、あれは寝心地のいいようなのは長距離に限るわけですから、在来の列車と同じ寸法でもって、なるべく大勢の通勤者を運べるような工夫を車両の構造でもって考えてもいいんじゃないか、こういう気がするんです。だから、その点もやはり通勤者本位に考えるということを指導すべきではないかという気がするんですが、どうでしょう。
  107. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 私も新幹線で小田原から東京によく来るわけですけれども、最近通勤に御利用されております姿は承知をいたしております。  ただ、車両が大阪なりあるいは名古屋なり長距離の区間を走っておる、こういうようなこともございまして、その車両を通勤専用と、こういうことがなかなかできないようなダイヤの編成等々いろいろあろうかと思います。今、先生お話しの将来的にはいろいろ考慮をすべきことがあろうかと思いますけれども現状なかなか経営の問題あるいはダイヤの問題等々難しい点もあるんではなかろうか、このように考えます。
  108. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 経営の問題を考えると、余計座るような算段をした方が経営のためにはいいんです。立ちん坊だったら面倒くさいからやめておこうという人でも、座れるということになれば利用者は多くなると思います。だから、在来線の寸法からいうと今の新幹線、あれはリクライニングシートのような仕掛けにしないで固定の座席にしたなら、一割や二割は余計座席がふえると思いますよ。  東北新幹線だって盛岡どまりになっていますから、あれは三時間是らずです。それから長いのは東海道・山陽新幹線で、これだって博多までですからね。大阪あたりまでが一番多いでしょう、利用者が。それを考えると、無理にサービスをしてリクライニングシートでゆっくり寝かせてやるという必要はないと思いますね。通勤者はなるべく大勢座らせるような算段をしていった方が経営のためにもいいんじゃないか、こういう気がいたしますから、その点これは私自身の体験に基づいた一つの提言ですから御考慮を願いたい、いかがですか。
  109. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先生の御意見、私ども御意見として検討させていただきたい、このように思います。
  110. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 日本共産党の筆坂でございます。  私たちは、昨年の十二月に党として沖縄の調査に参りました。私も八日間ほど調査に参加をして、大田知事ともお会いをしてお話伺いましたが、そのときに大田知事が真っ先におっしゃったのが、空と海が制限されておる、これを何とかしてほしい、こういう要望でありました。    〔理事横尾和伸君退席、委員長着席〕  私、昨年十一月の本委員会でも取り上げたんですけれども、那覇空港、沖縄の進入管制業務がいまだに米軍に握られたままになっている。これは、当初は暫定的にしばらく、こういうことで進入管制業務が嘉手納RAPCONの方に握られておるということだったんですが、それから幾らたっても返還がされない。  昨年十二月の十四日ですか、日米合同委員会のもとに設置されておる航空分科委員会でこの問題について、当然日本側としては、日米合同委員会合意に基づいても早急に日本側に返還してほしい、こういう強い要求を出されたと思うんですけれども、米側の回答はどうだったのか、お伺いをしたいと思います。
  111. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 今、先生指摘のとおり、昨年の十二月十四日に第五十二回の航空分科委員会と申しますか、そういう協議の場がございまして、その場におきまして、私ども日本側の進入管制業務実施する能力が十分備わっている、したがって返してほしいということを非常に強く要請をさせていただいております。その場におきまして、米側は運用上の必要にかんがみましてなかなか困難であるとは言われましたが、正式の回答はまだ我々いただいていない、こういう認識でございます。
  112. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そうすると運輸省としては、強く要求した、米側からいい回答があるかもしれないと、そういう感触をつかんでおられるんですか。
  113. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) いい感触をつかんでいるということは、残念ながらここで申し上げるだけの自信はございません。  ただ、私どもとしては、かねてからお話し申し上げているとおり、我々の管制能力は十分ありますからこちらでやれるんだということを従来にも増して強く発言してございます。
  114. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 余りいい感触の回答はなかったということですね。提案は理解できるけれども非常に困難だという回答があったわけでしょう。  これ、この交渉を九年間もやっているんです。しかも、日米合同委員会合意というのは、管制の技術が日本側が劣っている、施設も十分でないということがただ一つの理由で当時米軍が進入管制業務を握るということになったんです。その唯一の理由はもうクリアされたわけです、今航空局長から答弁があったとおりです。そこで、米軍は新たな理由を持ち出したんですね、軍事的に必要だと。これはどこから見たって合同委員会合意に反しているんです。合意というのはこれ両方が守るための合意ですから、日本側の勝手な要求じゃないんですから。  私は、そうであるなら、九年間同じ民間航空分科委員会で、このレベルでやっておったんじゃこれは一向にらちが明かない。私、十一月、当時の平沼運輸大臣に、やはりもっと高いレベルでの交渉をやらなきゃだめだ、これはもともと合同委員会なんですから。ですから日米合同委員会でこの問題を持ち出して、航空分科委員会でずっと九年間やってきたけれども、筋は日本側にあるけれども、これは米軍のわがままですよ、日本の空の主権を奪ったままいりまでたっても返さない。これは当然私は、日米合同委員会合意、この場に提起をしていく。あるいはもっと高いレベルだっていいですよ、日米首脳会談でも開かれるんであれば。今沖縄の問題、非常に重要です。そして、沖縄県もこの進入管制業務の返還、強くこれを求めているわけですから。  平沼運輸大臣も大いに高いレベルでの検討ということも考えたいという御答弁されましたけれども亀井運輸大臣のこの問題についての御所見をお伺いしたいと思います。
  115. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今いろいろお話を承りましたが、私ども運輸省としては、やはりこれ少し粘り強く継続的に交渉をまず進める、こういうことで努力をしてまいりたい、このように考えております。
  116. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 大臣、もう粘り強くやってきたんですよ。もう九年間粘りに粘り、粘り強く運輸省としては交渉してこられたわけです。しかも、筋は運輸省の側にあるんです、日本側にあるんです。だって返すと言っていたんですから、管制技術がちゃんとすれば。しかし、それでも返さないんですよ。  私、これ、十二月に当時の河野外務大臣にも決算委員会で言いました。十二月の航空分科委員会の結論を見て日米合同委員会にかけるかどうか検討したいということをおっしゃいました。十二月の航空分科委員会は、今局長からも答弁あったとおりです、いい回答はございませんでした。  私、これ、まだ粘り強くと言っていたんじゃ二十一世紀になったってまだ返ってこないということになると思いますよ、早急に解決するということでなければ。いかがでしょうか。
  117. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) やはり交渉事でございます。継続的に私ども、先ほど申し上げましたとおり、やはりこれ粘り強く努力をしなければならない問題ではなかろうか、このように考えております。
  118. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 それじゃ、私、平沼運輸大臣のときより後退だと思うんですよ。だって、平沼運輸大臣はもっとハイレベルでの交渉も考えたい、こうおっしゃったんですから。やはり日米合同委員会にかけることも外務省とも御相談をされて検討されるべきだと思うんですが、いかがですかね。
  119. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 先ほど私、お答えの中で、その場で米側は非常に運用上の事情があって困難だという説明はありましたが、正式な回答としてはまだもらっていないというお答えを申し上げたつもりであります。したがって、まだそこで我々のレベルでも交渉する余地がわずかでも残っていると思っておりまして、もうしばらくひとつその点でのお時間は拝借したいと思っております。
  120. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 まだ交渉の余地があるということですから、大いに期待をしたいと思います。  いま一つ、この前も取り上げたんですけれども、米軍の専用訓練空域、ウオーニングエリアというのが沖縄の空にはびっしりあるというので、これは従来から大問題になってきました。一方、米軍のウオーニングエリアがある、同時にあそこは当然民間機もいっぱい国際線、国内線あわせて飛んでいます。そういうもとで、民間航空機の安全を確保していくというために保護空域というのが設定されていますね。これをちょっと確認したいと思うんです。
  121. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 御指摘のとおり、保護空域が設定されております。
  122. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 この民間航空機の安全を確保するための保護空域、これは幅も決まっておりますね。ところが、私どもが先般十二月に調査に行きましたところ、那覇管制部の日高管制部長に私もお会いしましたけれども、ウオーニングエリア173Aの空域では民間航空路の保護空域と重なっている部分があるというふうに私ども説明をされました。この点はいかがでしょうか。
  123. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 私ども、きょう先生からその点御指摘があるかと思いましてさらに確認いたしましたら、正確に申し上げますと、保護空域そのものとウオーニングエリアとは重複はしておりません。ただ、保護空域とウオーニングエリアの間に一定の間隔をとりなさい、こういうルールを我々は持っているわけでございますが、そのルールからいいますと近過ぎるということは事実でございます。
  124. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そうですね、本来とるべき間隔が確保されていないということなんですね。  これは、レーダーで飛んでいるときにはまだ問題は少ないんです。しかし、レーダーアウトすることがあるんですね。あるいはレーダーでとらえられない、軍用機の場合には。そういう軍用機だってあるわけです。ですから、そのときにその保護空域とウオーニングエリア173A、この区域が非常に近接している、そのために安全性が確保されない、こういう問題点がある。こういう問題点は当然あり得ることでしょう。
  125. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 先生の御指摘の事実関係はかなり正確でございまして、この保護空域につきましては、原則として、レーダーで誘導して民の航空機とその他の航空機との安全を確保しております。仮に、万が一の話でございますが、レーダーの運用が何らかの事情でストップしたというときにつきましては、これはホットラインができておりまして、直ちに米軍側がこのウオーニングニリアの運用を停止するというルールがきちんとできております。したがいまして、現実問題として危険性はないと我々思っているところでございます。
  126. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ところが、レーダーに映らないときだってあるわけですから、ステルス機だってあるわけで、レーダーでとらえられない軍用機の動きというのは、これはあり得ることなんですよ。だから、レーダーでちゃんと捕捉しているときはいいです。これは管制部で見ていたってわかるわけですよ、私も見ましたけれども。しかし、そうじゃないときがあるんです。  しかも、我々調べてみると、このウオーニングエリア173Aという空域、これは一九八五年に設置された訓練空域です。それは何のためかといいますと、空中戦闘技量評価装置と言われるんですが、ACMIと呼ばれる空中戦闘訓練システムとしてこれは設置されたんです。何で、これが一九八五年、本来ならウオーニングエリアはどんどん減らさなきゃいかぬ、そのときに軍事訓練空域を八五年になってもまだふやしているかというと、フィリピンで米軍基地が撤去されました、フィリピンのクラーク空軍基地がなくなりました、そしてその訓練空域としてこのACMI訓練空域を沖縄の空に設置する、こうなったわけです。  ところが、これは使われた形跡がないんですよ。一九八五年に設置されて、一九九〇年には評価機器が故障する。今では海上のACMI用のブイも撤去されている。ブイがなくても訓練はできるというふうに運輸省さんはおっしゃっていましたが、どっちにしてもACMI用のブイは撤去されているんですよ。使ってもいない。  そうであるなら、私は、この訓練空域は撤去する、なくすと。それでなくたっていっぱいあるんですから、沖縄の空はみんな米軍が握っているのと一緒なんですから。使ってもいない、ブイも撤去された、こういう訓練空域は撤去するのがこれは当然じゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  127. 黒野匡彦

    政府委員黒野匡彦君) 私ども立場からいたしまして、米軍が具体的にどう使っているかということについて把握したり、あるいは我々が非公式にでもせよつかんだ情報をお話しする立場にはないわけでございますが、このウオーニングエリアを時々民間航空機の通過に供していることがございます。その際にはきちんと向こう側と連絡を密にいたしまして安全を確認した上で通過しているわけでございますが、ケース・バイ・ケースによりまして通過が拒否される場合と通過を認める場合がございまして、そこから逆に推測いたしますれば、このウオーニングエリアは彼らからすればまだ生きている、使っているのではないかと推測いたしております。
  128. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 防衛施設庁に聞いて、米軍にどうか一遍聞いてみてください。米軍から防衛施設庁を通じて運輸省に来てこれは設定されたわけですからね。  大臣、どうですか。もし使われてなかったらこれは返還を求めたっていいんじゃないですか、日本の空なんですから。これは調査してのことになりますけれども、いかがでしょうか。
  129. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先ほど局長からも答弁をいたしましたが、現在、その使用状況については私どもとしても詳細に承知をしてないわけでもあります。しかし、それが使用してないということであれば、それはそのように考えて話をするということは理解をすることであります。
  130. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 ぜひそういう方向でお願いしたいと思うんです。  ICAOのアジア太平洋地域航空会議でも、原則は、「飛行禁止空域、制限空域は自国の領空にのみ設定されるべきであるという原則をふまえて、飛行禁止空域、制限空域、又は危険空域の設定、特に領空外での危険空域の設定は、差し控えること。」というのが、これはICAOのアジア太平洋地域航空会議での確認された原則になっていますね。ですから、やっぱりこの原則に照らしても、今大臣がお答えになったように、もし使われてないということであれば、防衛施設庁を通じてぜひ返還をお求めいただきたいというふうに思います。  次に、先ほど来議論にもなっておりましたが、国鉄の長期債務問題についてお伺いをしたいと思うんです。  国鉄が分割・民営化をされまして十年目に入りました。なぜ分割・民営化、国鉄改革が叫ばれたかというと、国鉄が当時抱えている長期債務をどうするか、これがいわば出発点だったわけですね。  ところが、先ほども答弁があったように、当初の二十五兆五千億から今では二十六兆九千億円になっている。債務は減るどころかふえている、一兆四千億円。しかも、その内訳を見ると、承継債務というのは十九兆九千億から十兆八千億、九兆一千億円減少している。あるいは、年金等負担も五兆七千億から四兆円に減っている。何でふえたかというと、新たな借金が十二兆一千億ふえるということで今のように二十六兆九千億円、これは大変な金額ですね、ここまで広がってきているということです。  しかし、いま一つ、果たしてそれだけなのか。例えば、国鉄が分割・民営化された平成元年ですか二十五兆五千億、このときに、これを通常に返していけばどれぐらい金利がかかるかというので、大体八兆円ぐらいですか金利がかかるというふうに言われておりました。今、これは二十六兆九千億です。金利負担は今の段階で大体どのぐらいになるんでしょうか。大体の数字で結構です。
  131. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 先生がただいまお尋ねになられましたのは、昭和六十三年の閣議決定におきまして、昭和六十二年度首におきます長期債務に係る発生利子と現在との比較の問題と承りましたが、六十二年度首におきます長期債務に係る発生利子の支払い予定額、これは約七・九兆円と見込まれておりまして、これは共済年金などの将来費用を除く長期債務約十九・九兆円に対して発生する利払いでありまして、約定どおりに償還をした場合の試算でございます。  これに対しまして現状はどうかということでございますが、平成七年度首におきます将来費用を除きました長期債務の額は約二十二・九兆円でございますが、この二十二・九兆円に対しまして前と同様に約定どおり償還をした場合の発生利子、この試算をいたしますと約五・三兆円、こういうことになります。  長期債務がふえているにもかかわらず計算上の発生利子が減少している主な要因は、一つは金利水準が低下したということと、それから借入金の期間、これが従前のものは長かったのに対して借りかえをしたものが期間が短くなった、借入期間の短期化、この二つが主な理由によるものでございます。
  132. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そうしますと、年金等の将来発生が四兆円で、合わせて今の債務が二十六兆九千億でしょう。約定どおりやられると五兆三千億円。総額にすると、世上二十六兆九千億円、二十七兆と言われているけれども、約定どおりに金利を払わなきゃいけないわけですから、この間だって十兆円以上払ってきたわけですから、そうすると実際の債務はというか、実際に返さなきゃいけないものは三十二兆二千億あるということになるわけですよ。これが今の清算事業団の実態だということです。  先ほどもあったように、JR貨物はどうかというと三年連続赤字でしょう。三島のJRはどうかというと先般大幅値上げやりました。つまり、分割・民営化して、清算事業団もJR北海道・四国・九州も貨物も大変な事態になっておる、そして一千四十七名の解雇問題を抱えておると。  私は、これは従来どおりのことをやっていたんじゃとてもこの問題は解決できない、ますます泥沼に入ると思うんですね。だから、これはやはり今までどおりのやり方でいいのかどうか、このことを含めて抜本的に見直しをする時期に来ているんじゃないか。だって、土地売却するといったって売れないですよ、今。住専処理機構だって多分困るでしょう。共国債権買取機構だってちっとも売れないんですから。いかがでしょうか、大臣
  133. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 現状、この事業団の債務を処理する、こういう面ではやはりいわゆる土地、JRの株式の売却に全力を挙げる、このことに努力をする以外にない、そして極力国民負担の軽減を図る、このような今努力をしておるわけでありまして、当面はこれに全力を挙げて進んでまいりたい、こう思っております。
  134. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 最後に、先般のトンネル事故関連して御質問したいと思うんですが、日本というのはこういう国ですからトンネルの数というのが非常に多いです。しかも、かなり老朽化したものがある。  例えばJRでいいますと、明治時代につくられたものが三百ある、距離数にして百三キロメートル。大正時代につくられたものが五百九十二、距離数にして百七十六キロ。戦前につくられたトンネルが千百八十七、距離三百六十四キロ。戦後が千五百三十五カ所、千四百五十七キロ。合わせて三千六百十四のトンネル、距離にして二千百一キロある。実に、明治、大正時代につくられたものがその四分の一を占めているんです。  民間鉄道を見ますと、明治時代が十一カ所、二キロ、これは少ないですね。大正時代が九十カ所、距離十三キロ。戦前二百三十カ所、四十九キロ。戦後が六百八十六カ所、四百四十四キロ。合わせて千十八カ所の五百十キロ。明治時代につくられたとなると八十年、九十年、百年たっている。こういうトンネルだって当然あり得るわけです。  ですから、私は、一般的にトンネルの強度、安全性を点検すると同時に、この明治時代あるいは大正時代につくられたもの、こういうものについては特別の点検やあるいは対策、こういうものをとるべきだと思うんですけれども、この点についてお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  135. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 今、先生指摘鉄道トンネルの建設時期の数は御指摘のとおりでございます。  この鉄道トンネルにつきましては、こういった古いものも含めまして鉄道事業者が日常的に巡視し、監視し、また定期検査を行っているところでございます。必要な場合には直ちに補修、修繕あるいは補強といった対策を講じまして、構造物の保全に万全を期しているところでございまして、今後ともこういった措置を通じまして安全が確保されるよう事業者を指導してまいりたいと考えております。
  136. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 終わります。
  137. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 参議院フォーラムの中尾でございます。  私も、まず最初に、先般の北海道積丹半島古平町豊浜トンネル崩落事故関連して、幾つか御質問申し上げたいと思います。  その前に、二十名の方、必死の救生活動にかかわらず残念な結果となりました。遺族の皆さんには謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。  実は、私も北海道なものですから、あのトンネルをしばしば通ったことが思い出されます。大変近代的にすごいところにトンネルをつくるものだなと思いながらも、今思えば大変な圧迫感の中を通っていたと。これはいろいろなドライバーから聞いても、事故があったからじゃありませんけれども、そういった状況でございました。  さて、先ほどからいろいろ御質問ありましたけれども、横尾先生からも話がありまして、私もこの通達を見せていただきました。これだけですか、というふうな思いはいたしました。  そこで、何点か伺いますけれども、先ほどの説明では全国の鉄道トンネル四千六百カ所が対象である、三月末までに危険箇所をピックアップして鉄道事業者に万全な対策をとらせたいということでございますが、来年度の鉄道防災予算というものがあるやに聞いておりますけれども、内容を簡単に御説明願えますでしょうか。
  138. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 鉄道防災事業費補助でございますが、この補助制度昭和五十三年度に創設されました。  制度の概要でございますけれども、国鉄からJRとなりまして、現在ではJRでございますが、JRが行う落石、雪崩などの対策、それから河川改修または海岸などの保全のための施設整備でありまして、その効果が単に鉄道事業の運営の円滑化に寄与するのみならず、一般住民、道路、耕地などの保全、保護にも資するものにつきまして、国が鉄道整備基金を通じて補助を行うものでございます。一般の公共事業でございます治山事業、治水事業及び海岸事業に相当するといったような性格のものでございます。  それから、八年度予算案におきましては政府原案で三億円が計上されております。
  139. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ただいまの御説明で、これは昭和五十三年からこの鉄道防災事業、補助事業がスタートしたと。昭和五十三年の予算額が九十六億円、八年度が三億円、いろいろ整備が進んだというふうに好意に受けとめてもいいんですが、ちょっと心もとないなという感じがいたします。  今の御説明でありましたけれども、例えば豊浜トンネルのようなところに仮に鉄道が通っている、こういう箇所は全国に何カ所もございます。その場合はこの補助の対象にならないわけですね。つまり、鉄道が通っているその横に道路があったり、民家があったり、あるいは川がなければこの補助の対象にならないというふうに聞いていますけれども、そうでございますね。
  140. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) この補助制度は、今申し上げましたように単に鉄道だけではなくて、鉄道を保護することによりまして民家であるとか道路であるとか耕地であるとか、そういったものの保全保護にも資するもの、これが補助の要件でございます。これはなぜそういった補助であったかといいますと、やはり国鉄というものの性格から、言ってみれば鉄道サイドで措置を講ずるものが、一般の民家であるとか道路であるとか、一般の公共事業と同様の効果があるものに対しまして一般の公共事業に相当するような制度としてこれができてきたものでございます。
  141. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ちょっと回りくどい説明なんですが、今回の豊浜トンネルのような態様の、あそこに鉄道が走っている場合は、あそこには民家もございません、旧道は別として、あそこは使っていませんでしたから道路もないということで、例えば今回の点検でちょっと危険だという場合にこれは補助の対象にならぬということなんですね。簡単に答えてください。事業者がやりなさいということですね。
  142. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) この補助制度につきましては、繰り返しになりますが、一般住民、道路、耕地などの保全保護にも資するものについてという要件がございますので、そのような要件を満たす必要がございます。したがいまして、今度の緊急点検の結果必要となる対策につきまして、この要件に該当するものにつきましてはもちろんこの補助制度の適用は可能でございます。
  143. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 だから、もうはっきり対象になっていないんですね。今回、事業者にこれ一片の通達ですよ、やりなさいと言っているんですよ、これは。当然、鉄道事業者は安全を第一に考えています。  私ちょっと心配なのは、JRの問題この後やりますけれども、民鉄も含めて少なくとも今回の事故のことを教訓にすれば、例えば今回のトンネルについても北海道の開発局は九三年度に調査して、ABCDとランクをつけて、これ資料が発表になったんです、そのBランクなんですよ、やや危険と。これは今すぐ崩落するということじゃないんだけれども、危険性の度合いでいえばいわゆる二番目のランクに置かれていたわけです。  ですから私は、事業者にやりなさいということだけじゃなくて、この鉄道防災補助金の運用を拡大解釈といいますかもつと広げるべきじゃないか、何か家がなかったら、道路がなかったら、あるいは川がなかったらそういうものは一切補助しないよという考え方は。これは大臣いかがですか、私の言っているのはちょっと間違っていますか。
  144. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 今、緊急点検をやっておりますが、緊急点検の結果を三月末までにまとめまして整理をいたしますけれども、この点検の結果、この制度措置ができるものにつきましてはこの制度に乗っけるべきだと考えますし、それから、対策の必要があるけれどもこの制度の適用はできないというものにつきましては、例えば治山事業の一環として対策ができないか等々の課題がございますので、こういう点につきましては関係機関とも十分相談をしながら必要な対策を講じてまいるように考えていきたいと思います。
  145. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 やっぱり災害はいつやってくるかわからない、大臣、そうですね。これは例えば四角四面のそういう運用の規則があるからできないということじゃなくて、実際にそういう事故が起こったわけですよ、これは鉄道も対岸の火じゃないと私は思っているわけですから、もうちょっと配慮をしてこの三億円の補助金を使ってはいかがかと、そして鉄道事業者を側面から支援してはどうかということを申し上げているんです。  この問題最後になりますけれども大臣、あそこはバスが運行して今回十九人の方が犠牲になりました。あと三秒早かったらという、私も大変情けない思いというか運命のいたずらというか、そういう思いを強くしているわけでございますが、現在、十四年前になりましょうか、私も通りましたが、かつて使っていたもうちょっと小さな旧道にあるトンネルを使っているわけですね。これは、建設省あるいはそこを現場で監督している開発庁、開発局に対してやっぱりバスの安全運行を求めていく、これは運輸大臣からそういうことをやられましたですか、それとも今後申し入れというか、そういう要請を行っていきますか。
  146. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 運輸省といたしましては、北海道運輸局に事故対策本部を設置させまして、これらの面、バスの運行に際しまして細心の注意を払ってできるような体制というものをさせているようなわけでございます。
  147. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 備えあれば憂いなしで、万全の体制で取り組んでいただきたいと思います。  質問を移ります。  先ほどからも質疑がございましたが、JR北海道、JR四国、JR九州、いわゆるJR三社の経営問題等について私は伺いたいと思います。  昭和六十二年、一九八七年の国鉄改革で分割・民営化が実施されました。JR六社そしてJR貨物の七社体制がとられたわけでございます。この分割・民営に当たっては、もう既に御存じのように、JR六社のうちJR北海道あるいはJR四国、JR九州のいわゆるJR三社、これ三島という言い方最近されないようですけれども、JR三社についてはスタート当初から当然厳しい経営環境にあるということが予測されまして、これに対する各種の特例措置がとられました。三社のハンディというのは、新幹線を持たないとか、例えば営業エリアが非常に過疎路線を抱えているとか、いろいろございます。  こうした事情を踏まえて、昭和六十年、八五年七月に国鉄再建監理委員会は国鉄改革に関する意見書をまとめております。その中で、このときは三島と言っていますが、三島の旅客会社については発足時に国鉄長期債務の引き継ぎを免除しても赤字となるため、営業赤字を補てんし得る収益を生み出せるような基金を設けるという結論に至ったわけです。それが経営安定基金でございます。この三社で一兆二千七百八十一億円でございますが、この一兆二千七百八十一億円の運用益を赤字経営の補てんに充てるというわけでございますが、この九年間で大変金利含めて変動してまいりました。  安定基金がどのような役割を果たしてきていたのか、そして現状はどうなのか、簡単にちょっとお示しください。
  148. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) この経営安定基金の運用益でございますが、北海道、四国、九州三社の合計で申し上げますと、昭和六十二年度、六十三年度は九百三十三億円でございました。自主運用が始まりましたのは平成元年度からでございますけれども、元年度は九百三十二億円、平成二年度は九百二十四億円、平成三年度は九百十六億円、平成四年度は八百九十億円と、少しずつ低下してまいりまして、近年の低金利の影響が強く大きくなりました平成五年度以降は自主運用分の運用益の減少によりまして、平成五年度八百三十六億円、平成六年度七百七十四億円と、こういう状況になってきております。  このように近年運用益が減少してきておりますけれども、この経営安定基金は、基本的にはこれによりまして三社の赤字が補てんされまして、健全な経営の維持に寄与しているところが大きいというぐあいに考えております。
  149. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 これまで運用益の果たす役割は大変大きかったわけでございます。経営安定基金の運用益、当初から年利七・三%を念頭にしてきた、高金利時代を反映して七・三%でございました。しかし、今御説明ありましたように、低金利政策あるいは超低金利時代を迎えて運用益が極端に低下している。JR三社の中でもとりわけJR北海道経営基盤を大きく揺るがしているわけです。御承知のことだと思います。  JR北海道をちょっと取り出してみますと、今御説明あったように昭和六十二年の運用益が四百九十八億円、それで、八年目、九年目になりましょうか六年度が四百八億円に落ちるわけです。差額九十億円足りないわけですね。実質上経営に回せられないと。それで、なお七年度はさらに減って、七年度の見込みが私が調べたところ三百八十三億円になると。これは労使一生懸命努力しても、この百億円を含めてこれを埋めるというのは容易なことではないということでございます。  先ほどからもありましたけれども、一月十日、運賃値上げをいたしました。北海道は平均七%の値上げたと思いますけれども、平成六年までは何とか頑張って一億円のプラス、黒字でございましたけれども、七年度、運用益の極端な低下によりまして料金値上げ改定前が赤字四十四億円が予想されていました。一月十日以降、平均七%の値上げでどのぐらいの挽回といいますか、七年度の決算見込みはどんなふうになりますか、JR北海道の場合ですが。
  150. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 現在のJR北海道の会社の見込みを申し上げますと、本年度運賃値上げをいたしまして、二十七億円の欠損、こういう会社側の見通しでございます。
  151. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 そうですね。私は、これちょっと計算のあれでおよそ三十億円ということです。八年度は、これは見込みなんですが、運賃改定をした後でも私の調査では五十四億円の赤字なんです。普通、これ運賃改定したら利用者に負担をしていただくわけです。大体経営が最低プラスマイナスゼロなんですが、改定してもなお赤字状態が続くわけでございます。  ちなみに、JR四国は何とか八年度の場合は改定後プラスマイナスゼロと。JR九州が予測では一億円の赤字ということなんで、北海道は異常に厳しい経営環境下に置かれているということでございます。  この八年余り経営基盤確立のため、私も今回の質問に当たってJR北海道の労使双方からいろいろ聞きましたが、大変な努力をされていることも伺っております。例えばJR北海道運賃収入、JR移行時から一二五%増収を果たしている。それから、従業員が一万一千七百人から八千七百人にスリム化して頑張ってきている。一人当たりの生産性を聞きましたら一七〇%の伸びを果たしてきておると。  まだまだ頑張るというふうなことを言われていましたが、この厳しい状況下に置かれている、JR三社の中でもとりわけJR北海道状況についてどう認識していられるのか、もしお答えできたら大臣からお願いします。
  152. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 今いろいろ御指摘がありましたように、また説明をいたしましたとおり、昨今の低金利の状況経営に大変厳しい影響を及ぼしているということは認識をしておることでもございます。  しかし、何といってもやはり国鉄改革の趣旨、金利の動向などによる運用益が変動する経営安定基金の仕組み、こういうこともかんがみればやはり金利は常に変動する、こういうようなことであるわけでありまして、先ほどの経理的な内容、こういうものを推測いたしますときに大変厳しいことは承知をいたしますが、さらにいろいろ生産性を上げる御努力をいただいておるわけでありますが、最大限の経営努力をしていただきたい、そしてこの改革の趣旨に沿うような形というものをおつくりいただければと、このように考える次第でございます。
  153. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 JR北海道株式会社は、最大限努力するというんですね。しかし、今後七%台の高金利になるとは普通の人は考えにくい。そうすると、この努力にもおのずと限界があろうかというふうに思います。大臣、これについてどう考えますか。経営努力をして生産性を上げるように頑張ってほしいと言うけれども、頑張ってというエール交換だけじゃ、これ火の車なんですね。
  154. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) そのような厳しい状況、このことは先ほども申し上げたところでもございます。いわゆる国鉄改革、完全民営化、こういうことも迫ってきておるわけでありまして、そのような中でも実態というものを把握して勉強してまいりたい、このように考えております。
  155. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 勉強ということは検討ということでとらえてよろしいですか。
  156. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) そのような意味で結構でございます。
  157. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ぜひ検討していただきたいんです。  ただ先ほど、これは言葉じりをとらえるわけじゃございませんけれども、金利は常に変動するということは当然のことでございますが、当時の国鉄改革に関する特別委員会のこれは昭和六十一年十一月十三日の参議院の議事録をちょっと読ませていただきましたら、当時の政府委員はこの金利について、過去十年間の長期国債の平均利回りというものをとっていると言うんですよ。割かし自信を持って言っています。当時のこれは宮澤大蔵大臣が、十年でございますので過去の平均をとったということも一つのやり方ではないか、別の答えも出しにくいと言うんですよ。まあ大体これだろうと。このときは七・五%の論議ですけれども、七・三%でおさまった。  そして、きわめつきは中曽根総理大臣。「やはり民営・分割という趣旨、精神を徹底してやる必要はあると思う」、私はそうだと思います。「この出発に際しては嫁入り道具も持参金も十分持たしてある」と言うんですね。すごい表現だなと。「そう我々は考えて十分配慮もしているわけであります。」、持参金でございました。ところが、北海道、特に嫁いでいろいろ一生懸命家計をやりくりしてやってきたわけです。ところが、持参金の値がもう確実に、これ中曽根総理が当時豪語したような状況ではないということを先に申し上げます。これはやっぱり財務体質など構造的な問題だろうと思うんです。  ちょっとここで大臣に聞きたいんです。  先ほど経営努力という話がありました。先ほど事故のときも経営努力とそれから安全性と、これはなかなか両立しにくいという部分もございます。  そしてもう一点、視点を変えてみますと、特に北海道の場合、これはピーク時に例えば昭和五十七年当時、営業総延長キロが四千二十六キロあったわけです、最大時。昨年四月一日現在で十四線区二千五百キロ、つまりこの間およそ千五百キロが廃止されたわけです、非採算路線、不採算路線ということで。それで、民営化されてからもとってみますと、九線区六百九十一キロが廃止されているわけです。地域住民の要望も、経営を安定させるためにというこれはあらわれだと思うんです。そして、ほとんど残っているのは今もう動脈部分だけです。これ以上線区を切ったら交通システムそのものが、鉄道が成り立たないんです。  これについて、大臣所信の中で、地域住民の日常生活を支える地域交通の維持整備については積極的に取り組むというような姿勢を示されたわけです。これについて一言、いかがでしょうか。
  158. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 地域交通、これは住民の通勤、通学の足の確保、こういうことに支障を生ずることのないように公共輸送の確保に努めることは重要であります。特に、運輸省としてもこのような観点から、北海道における鉄道の維持整備に努力をしてきたところであり、JR北海道においても今後とも鉄道路線の維持に最大限努力をするものと、このように考えております。
  159. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 ということは、これ以上切ると、逆に例えば経営安定につながるんじゃなくて非常に利用価値がなくなってしまうということで、恐らくもうこれ以上は無理だろうと私は判断しているんですが、鉄道局長、そういう判断で大体よろしいですか。
  160. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) 鉄道路線の維持、廃止という問題でございますが、これは当然のことながら将来の輸送需要の動向等もございますし、そういったようなことから考えていかなければならない問題でございますし、まず第一義的には経営者が判断すべき問題だろうと思います。  今、大臣答弁ございましたが、大臣鉄道特性が残されている限りは事業者も最大限その維持に努めるべきものだということを言われたんだと、私どもは事務当局としては理解をいたしております。
  161. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 国鉄の分割・民営化、来年度でちょうど区切りの十年を迎えるわけでございます。先ほども先生から指摘ありましたけれども、国鉄清算事業団の債務処理あるいは鉄道共済年金の厚生年金への統合、さらにはJR各社株式の最終処理等々さまざまな問題があろうかと聞いています。  その区切りということでやってきているわけですが、こうした問題に対して、運輸省は内部で検討会というんですか、プロジェクトチームと呼んでいいんでしょうか、をつくってこの問題の処理に当たってきていると、これは昨年秋の新聞報道でもございました。どんな取り組みをしているのか、また今後どんな取り組みをしていくのか。例えばJR北海道、JR三社、貨物もございますけれども、それを含めてこのプロジェクトといいますか、どんな検討をなされているかお聞かせ願いたいと思います。
  162. 梅崎壽

    政府委員梅崎壽君) ただいま御指摘ございましたが、国鉄改革十年目を迎え、十年目ということよりは長期債務の問題で申し上げますと、主たる財源でございます土地につきましては平成九年度に実質的な処分を終了する、こうなっておりますので、このような長期債務の問題を初め、それから、国鉄改革の完結のために一方のまた重要な課題でございますJR北海道、四国、九州、またJR貨物の完全民営化という問題がございますので、このような重要な課題につきまして、私どもがいろいろ関連する問題でございますから、鉄道局の中でチームをつくりましていろいろ内部的な勉強を始めたという状況でございます。
  163. 中尾則幸

    ○中尾則幸君 経営安定基金の運用益に頼らざるを得ない、これについての十分な配慮、財政支援を含めて早急に検討する必要がある、内部でも始めたと、先ほども大臣が検討するとお答えいただいたものですから早急にお願いしたい。  そしてまた一つ、この経営安定基金の運用益だけじゃなくて税制の問題もございます。分割・民営化から十年の期限を区切りまして固定資産税の軽減措置がなされております。承継特例としてJR各社二分の一、さらに経営状況の厳しいJR三社に対してはさらにその二分の一つまり四分の一の軽減措置がこれは十年間ということでやられてきているわけです。JR北海道、これは四分の一あるいは承継特例二分の一の恩恵を受けて、現在年間約三十億円の固定資産税で終わっている。ところが、これは来年三月末で切れるわけでございます。  それで、これが切れてそのままその特例措置がなければこれは四倍になるかというと、そうでなさそうで約倍、六十億円になる。ただでさえもう厳しい状況の中でさらに三十億から六十億、これは大変厳しいなと。この九年度の税制改正では、この特例措置の継続に向けてもぜひ真剣に取り組んでいただきたいなと思っております。  時間があと一分しかありませんので、大臣、最後にちょっと伺います。  このままで、経営努力ももちろんされるでしょうけれども、これは解決を延ばせば延ばすほど傷口は深くなります。何よりも、住専の問題もそうでございますけれども、気づいたときには公的資金の導入をお願いしますじゃなくて、交通システムの維持のためになんということじゃなくて、国民の前でこうした問題点を明らかにして企業努力はどこまでやってもらうのか。そして、例えば北海道のような過疎を抱える地域、もうこれ以上やっぱり切り捨てるわけにいかない、そういったいろいろな角度から問題点をとらえて、早目の支援策を国民の前に明らかにすべきじゃないかと思うんですが、最後に決意を伺ってこの質問を終わります。
  164. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 先生からJR北海道あるいは四国、九州、三社を取り巻く厳しい環境、このような御指摘もいただきました。完全民営化の実現に向けて先生の御指摘を踏まえて適切に対処してまいりたい、このように考えておりますし、いわゆる三社の経営努力も見守り、国鉄改革の最終の目標であるJR各社の完全民営化の実現を目指して幅広く勉強してまいりたい、このように考えております。
  165. 栗原君子

    ○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原でございますが、私は今回運輸委員会に入れていただきましたものですから、陸海空の危険物の輸送について少しこだわっていきたい、このように思っております。  それできょうは、そうした危険物の輸送について幾つ質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  経済の多様化とあわせまして、今日、危険物、特に火薬とか劇物とか高圧ガスとかあるいはまた大量のプルトニウムの輸送、高濃縮ウラン、使用済み核燃料、そうした輸送がなされているわけでございまして、これは今日の状況からすると年々ふえていくのではなかろうか、こういうことを考えるわけでございます。あれほど安全であると言われていた「もんじゅ」だって事故を起こしたわけでございます。現実事故が起きたわけでございますから、事故の起きない前に何とか安全に輸送するということで万全の措置を講じていく必要があるんではなかろうか、こう考えるわけでござ  います。  輸送会社の、そうした面で車両の整備とか点検とか乗務員の規則などはどのようになっているのか、それから積載量のチェックなどは徹底して行われているものかどうか、そうしたことについてまずお伺いいたします。
  166. 山下邦勝

    政府委員(山下邦勝君) 今、お尋ねの核燃料物質等の陸上輸送の方法につきましては運輸省が担当いたしておるわけでございますが、一定以上の放射能量を持ちます輸送物、こういったものの輸送に関しましては、現地にその輸送のたびに、教育を受けました運輸省の職員、またはこういったことに精通しております指定運搬方法確認機関と呼んでいますがその職員を派遣をいたしまして、積載物の積みつけの方法、放射線のレベル、輸送物の標識、さらには車両の標識、また夜間の場合には赤色灯を前後につけることになっておりますがそういったことでございますとか、交代運転手のありなし、また必要な場合には専門家を同行させるということになっておりますがそういったものがあるかどうか、こういった点を含めて、また車両の点検整備状況、こういった一般的な事項についても確認をいたしております。  また、運送業者に対しましても、輸送中の安全点検についてその確保について指導をいたしておりますほか、必要な輸送状況の報告を求めるなどいたしまして安全確保に徹底を期しておるところでございます。
  167. 栗原君子

    ○栗原君子君 原子力発電所用の核燃料物質の輸送物の確認実績は、一九九三年度で陸上輸送は何回あって何トンになるものでございましょうか。特に、今少しチェックのところを答弁いただきましたけれども、どういつだチェックをしてきたものか、あわせてもう一度お願いします。
  168. 渡邉勝世

    説明員(渡邉勝世君) 御説明申し上げます。  一九九三年の陸上輸送における核燃料物質の輸送確認実績ということでございますが、原子炉等規制法に基づきまして科学技術庁、それから法律に基づきます指定運搬物確認機関が一九九三年に行いました原子力発電用の核燃料物質の陸上輸送における運搬確認件数は二百二十三件、総量で約二千七百二十六トン・ウランでございます。
  169. 栗原君子

    ○栗原君子君 一九九三年の四月一日に、東名高速で車両の衝突事故によりますクロロピクリンの流出事故があったわけでございますが、この事故がありましてから全国の市長会から、同じく九三年六月の三日、四日にかけまして行われました市長会で幾つかの要望事項が出されているわけでございます。その要望事項につきまして、どのように取り組んでこられたものかお伺いしたいと思うんです。  その事項の一つに、「放射性物質の輸送に際しては、沿線自治体の防災対策に万全の措置を講ずること。」、このように言っておりますけれども、これを受けてどういつだことをなされましたんでしょうか。
  170. 渡邉勝世

    説明員(渡邉勝世君) 御説明申し上げます。  核燃料物質の輸送に関しましては、国際基準として国際原子力機関、IAEAと言っておりますが、この国際原子力機関が放射性物質安全輸送規則というものを定めてございます。世界じゅうの各国とも、この規則に基づいて輸送の安全規制実施しているところでございます。この規則におきましては、先生指摘の新燃料あるいは使用済み燃料の輸送に当たりまして輸送物、これは核燃料物質が容器に収納された状態のことを申しますが、輸送物が満たすべき強度、耐火性、遮へい性能などの条件、さらには輸送方法に関する条件が定められております。  具体的に申し上げますと、輸送物を九メートルの高さからコンクリート上に敷かれた鉄板の上に落とすこと、それから八百度C三十分の耐火試験、こういった試験条件下におきましても輸送物の線量当量率が基準値以下である、また臨界にならない、こういうことが定められておりまして、これらの技術基準をもとに平常時はもとより事故条件下でも安全性が確保されておるところでございます。  我が国も、このIAEAの輸送規則をもとに輸送の安全基準を法制化いたしまして、これに基づきまして、当庁のほか関係省庁がそれぞれ分担して安全規制実施しておるところでございます。  具体的に申し上げますと、陸上輸送につきましては、原子炉等規制法に基づきまして当庁が核燃料輸送物につきまして、それから運輸省は、先ほど御説明がございましたように輸送方法につきまして安全規制実施しておりまして、また実際の輸送に当たりましては、都道府県公安委員会が運搬の経路などについての安全規制実施しておるところでございます。これに加えまして、核燃料物質の輸送中に交通事故に巻き込まれるなどの事故が発生した場合につきましては、まず事業者が関係機関に通報するとともに安全上必要な措置を講ずるということが法律上義務づけられておりまして、また科学技術庁及び運輸省は、事業者に対しまして災害防止のための措置を講ずることを命ずることができるということになっております。  一方、国におきましても、先ほど申し上げました安全確保のための規制に加えまして、関係省庁の役割分担、連絡通報体制専門家の派遣など、放射性物質輸送の事故などの安全対策に関する措置を取りまとめるなどいたしまして、関係省庁の密接な協力関係が合意されておりまして、万一の場合におきましても迅速に対応し、所要の措置をとるということができると考えております。  このような体制によりまして、核燃料物質の輸送に関しましては安全確保に万全の措置を講じておるところでございます。
  171. 栗原君子

    ○栗原君子君 今答弁を聞きますと、万全の措置を講じているということでございますので、事故は起こらないと信じてよろしいんでしょうかね。  それから、九メートルから落としているんだ、それで壊れなければ安全なんだということでございますけれども、今日、高速道路などを見ますと、大体十メートル、二十メートルということになっておりますが、このことについてはどのようにお考えでございましょうか。
  172. 渡邉勝世

    説明員(渡邉勝世君) 御説明申し上げます。  まず、事故につきましてでございますが、仮に事故が発生した場合でございましても十分な措置が講じられている、すなわち、事業者は関係機関に通報するとともに安全上必要な措置を講じるということが定められておりまして、当庁及び運輸省は、事業者に対して必要な災害防止のための措置を講ずることを命ずることができるというふうになっております。  さらに、事故が発生した場合におきまして、国におきましても関係省庁の役割分担あるいは連絡通報体制専門家の派遣など、放射性物質輸送の事故などの安全対策に関する措置が取りまとめられておりまして、万一の場合においても迅速に対応し所要の措置をとることができる、こういうふうになっております。  それから、九メーターの試験でございますが、九メートルの高さからの落下試験、これは先ほど御説明させていただきましたように、コンクリート上に置かれた厚い鉄板の上への落下ということで、これは例えばコンクリートや岩石のようなかたい面では時速百二十キロぐらい、あるいは土壌、水面、車両構造物などでは時速三百キロぐらいの衝突に相当するということが確認されておるところでございます。
  173. 栗原君子

    ○栗原君子君 そばにいる人が対策を講じるとか連絡をとるとか言っていますけれども、その人も被害に遭うということは考えておられるんでしょうかどうなんでしょうか。  かつてのクロロピクリンの事故のときに死者が出たわけですよね。そして傷者も三名、死者が一名、そしてそこに行った消防の職員が二十七名もけがをした、こういったことになっておりまして、ついていっている人たちも何の防備もしていないわけでございます。普通の作業服なんです。運転手だって普通の作業服でございますが、これで対策はとれるとお思いなんでしょうか。そのことを大変私ども疑問に思うわけでございます。  次に、国の防災基本計画の中に原子力発電所の問題も取り上げていくということを発表しているわけでございますけれども、核燃料物質輸送中の事故に対する応急対策についても取り組んでいくべきであろう、このように思っています。特に、この面での災害対策業務というのは大変被曝を伴うものでございまして、何も中身が出てこないものでしたらまだ心配は要らないかもしれませんけれども、中身が出てくるということを想定してどういった対策を取り組むことになっているんでしょうか。
  174. 黒木幾雄

    説明員(黒木幾雄君) 国土庁でございます。  災害対策基本法に基づきまして策定されております防災基本計画でございますが、これは御案内のとおり、昨年一月の阪神・淡路大震災の経験を踏まえまして、昨年七月にそういう地震と自然災害を中心としまして抜本的な改定を行ったところでございます。その際、時間的な関係もあったんですが、原子力災害等については、これは新しくできました防災基本計画に後ほど追加する、こういう整理がされておりまして、私どもも二月に中央防災会議のもとにあります防災基本計画専門委員会、ここにおいて検討を始めた、こういうところでございます。  ただ、この防災基本計画に追加する原子力災害対策でございますが、これは災害対策基本法にも規定されておるんですが、原子力災害とはすなわち放射性物質の大量の放出ということでございまして、この場合について検討いただく、こういうことにしております。御指摘の核燃料物質の輸送中の話でございますが、そのような場合においてはこのような放射性物質の大量の放出という事態には至らない、こういうふうに科学技術庁の方から現在聞いておる、こういう状況でございます。
  175. 栗原君子

    ○栗原君子君 核燃料を輸送しているところを監視しておられる市民の人たちがいらっしゃるわけでございますが、輸送の隊列が崩れていることが実際にある、そして危険物の積載車両と隣り合わせて一般の車両も通行をしていると、ちゃんとこれを写真に撮って私に見せてくださいました。こういったことがあるわけでございます。  担当者のお話、省庁の方のお話伺いますと、事前に通過の通知をして八台が隊列をなして行くんだ、こういうことを聞きましたけれども、八台になっていないわけでございまして、一台後から追いかけていくというようなこともあるようでございます。パトカーに前後を先導されながら行くということになっておりますけれども、そうしたことを考えますと、隊列の中に一般車両が割り込んでくることが多いわけですね。それとか、信号機でとまった場合に前の車との間に距離ができる、こういったことがあるわけでございます。  隊列の間に一般車両が入り込まないようにするためには、速度の制限をするとかいろんなやっぱり措置を講ずる必要があるんではなかろうか、こういうことを思いますけれども、いかがでございましょうか。
  176. 園田一裕

    説明員(園田一裕君) それでは、私の方から警察関係の措置等につきましてお答えを申し上げます。  核燃料物質等の運搬に際しましては、都道府県公安委員会に対しましてその都度届け出がなされるわけでありますけれども、こういう届け出がなされました場合につきましては、運搬の日時あるいは経路のほか、先ほど委員おっしゃられましたとおり、車両の速度、伴走車の配置、それから車両の編成、あるいは車両相互間の距離などのこういういわゆる運搬要領でございますとか、あるいは万が一事故が発生した場合の連絡通報体制、それから応急措置要領等につきまして十分に確認しまして、必要な指示を行っているところでございます。また、実際の運搬に際しましては、その時々の状況に応じまして、警察車両等を配置するなどいたしましてその安全確保に努めておるところでございます。  これからも、治安情勢あるいは道路それから交通の状況等を十分勘案しながら、特に運送人に対する指導を徹底するなどいたしまして、核燃料物質等に係ります運搬の安全確保に万全を期してまいりたい、このように考えております。
  177. 栗原君子

    ○栗原君子君 核燃料の輸送のときの日時とかルートなどの情報は、地元の公安委員会には連絡が入るわけでございますけれども、県とか市町村あるいはまた消防署にはこういった連絡は入らないということになっております。これはまた、九二年四月の核燃料輸送の事前情報の非公開方針後にこういうことが決まったということの報告を受けておりますけれども、そういった意味では、もし災害が起きたときには一番にやっぱり地元の自治体などの対応が要望されるんではなかろうか、こういうことを思うわけでございます。  それから、安全に輸送されているということでございますけれども、市民団体の人たちがいろいろ調査をしておられましたけれども、私服とか制服の警官ばかりが周りにはたくさんおられまして、防災に当たる人たちというのはなかなか見当たらなかった、防災関係の腕章をした人もそんなにいなかった、こういうことも言われております。それから、警察の車両にも防護の装備は積んでいないということでもございます。それから、自治体の方では、これは国がやることだから、何かのときには国が自衛隊でも出してくれるのではなかろうかということで人ごとのような感じでいる自治体も多いのではなかろうかと。  こんな報告をしておられましたけれども、こういったことについてはどのようになっているんでしょうか。もう一度答弁をお願いします。
  178. 瀬山賢治

    説明員(瀬山賢治君) 今、先生の御質問の中の最初伺いました、情報をどこに連絡するかという問題についてお答えしたいと思います。  核燃料物質の輸送に当たりましては、先ほど御説明がありましたように、原子炉等規制法に基づいて安全確保のための措置が講じられております。また、万が一事故が起きた場合にも、必要に応じて消防機関初め関係の機関へ通報が行くというような体制になっておるわけでございます。  御指摘の輸送情報についての取り扱いでございますが、これは核物質防護という観点からの取り扱いも大事であるというふうに考えております。すなわち、核物質防護でございますから、輸送中の核物質が盗取等不法な移転が起こる、もしくは妨害破壊行為が起こるといったこと、こういったことを未然に防止するというような観点から、一定の情報の取り扱いについては従来から慎重に取り扱っているところでございます。特に、輸送中の核物質につきましては、施設の中にある場合よりも不法行為等に対して脆弱性が高いということでございますから、これは日本の国内だけではなくて国際的にも適切な防護対策をとるというふうになっておるわけでございます。  そういった核物質防護の観点から、公開することによって核物質防護の実効性を損なうおそれのあるような情報については、必要最小限の範囲でこれを慎重に取り扱うという方針対応しているところでございます。それで、もちろん核物質防護に名をかりて不必要な情報まで管理するということは厳に慎むべきというふうに考えております。  政府としては、原子力に対する御理解、御協力をいただくということも大変大事なことだと思っております。したがいまして、核物質防護上問題のない安全性等に関する情報につきましては、これは今後とも積極的に公表していきたいというふうに思っているところでございます。
  179. 栗原君子

    ○栗原君子君 それでは次に、大井埠頭に陸揚げされる核燃料物質は陸揚げ後どのように管理されているのかお教えください。  さらに、阪神・淡路大震災のときには神戸港の岸壁が崩れまして、危険物の入ったドラム缶が海に数十本も投げ出された、そして回収不能になったものもあるということを聞いておりますけれども、耐震バースの整備、そしてまたそういった状況というのはどのようになっているのか。そして、災害時に危険物が海に流れ出ないようにするための対策が大変必要と思われますけれども、こういったことについてどう思われますでしょうか。
  180. 山下邦勝

    政府委員(山下邦勝君) 最初に、陸揚げされた後どういうふうになっているかということについてお答え申し上げます。  港に船が接岸いたしますと、直接その船から海上コンテナごと車両に積み込みます。その後、港湾施設内の危険物一時待機場所に移しまして、ここは一般の人が立ち入ることができないような措置といたしまして立入禁止の措置を厳重に行い、また見張り人を配置いたしまして出発時刻まで待つという体制にいたしております。
  181. 栗原君子

    ○栗原君子君 もう時間がなくなりますけれども、今のやりとりを聞いていてくださいまして、大臣どのようにお考えになりましたでしょうか。この安全輸送についての決意のほどを一言お願いします。
  182. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 核燃料物質等の放射性物質の陸上輸送に当たっては、それぞれ省庁から答弁もございましたが、従来から、輸送対象物については科学技術庁、輸送方法については運輸省、そして輸送経路等については都道府県の公安委員会がそれぞれの立場から安全を確認した上で実施しており、安全には万全を期しているところでもあります。  運輸省といたしましても、安全の確保は運輸行政の最も基本的な事項であると認識しておりまして、今後とも関係省庁と密接な連携を図りつつ、安全対策に万全を期してまいりたい、このように考えております。
  183. 栗原君子

    ○栗原君子君 終わります。
  184. 寺崎昭久

    委員長寺崎昭久君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時二十四分散会