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1996-02-29 第136回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成八年二月二十七日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月二十八日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       高鳥  修君    近岡理一郎君       原田  憲君    伊藤 達也君       前田 武志君    坂上 富男君 二月二十八日  近岡理一郎君が委員長指名で、主査選任さ  れた。 ――――――――――――――――――――― 平成八年二月二十九日(木曜日)     午前十時開議 出席分科員   主 査 近岡理一郎君       高鳥  修君    原田  憲君       伊藤 達也君    大口 善徳君       河村たかし君    樽床 伸二君       前田 武志君    吉田 公一君       坂上 富男君    兼務 川島  實君 兼務 山原健二郎君    兼務 吉井 英勝君  出席国務大臣         通商産業大臣  塚原 俊平君  出席政府委員         通商産業大臣官         房商務流通審議          官       大宮  正君         通商産業大臣官         房審議官    横川  浩君         通商産業省貿易         局長      広瀬 勝貞君         通商産業省環境         立地局長    鈴木 孝男君         通商産業省機械         情報産業局長  渡辺  修君         通商産業省生活         産業局長    中野 正孝君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁長官官房審議          官       並木  徹君         中小企業庁長官 新  欣樹君         中小企業庁小規         模企業部長   井田  敏君  分科員外出席者         警察庁長官官房         総務課企画官  田村 正博君         防衛庁装備局通         信課長     渡部  厚君         科学技術庁原子         力安全局原子力         安全課防災環境         対策室長    植木  勉君         大蔵省主計局主         計官      加藤 治彦君         通商産業大臣官         房会計課長   中村 利雄君         自治省行政局行         政課長     朝日 信夫君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十九日  辞任         補欠選任   原田  憲君     荒井 広幸君   伊藤 達也君     吉田 公一君   前田 武志君     河村たかし君   坂上 富男君     細谷 治通君 同日  辞任         補欠選任   荒井 広幸君     原田  憲君   河村たかし君     樽床 伸二君   吉田 公一君     大口 善徳君   細谷 治通君     秋葉 忠利君 同日  辞任         補欠選任   大口 善徳君     伊藤 達也君   樽床 伸二君     前田 武志君   秋葉 忠利君     坂上 富男君 同日  第一分科員山原健二郎君、吉井英勝君及び第三  分科員川島實君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予簿  平成八年度政府関係機関予算  (通商産業省所管)      ――――◇―――――
  2. 近岡理一郎

    近岡主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりましたので、よろしくお願い申し上げます。  本分科会は、総理府所管経済企画庁並び通商産業省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省庁所管事項説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算通商産業省所管について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。塚原通商産業大臣
  3. 塚原俊平

    塚原国務大臣 平成八年度通商産業省関係予算及び財政投融資計画について御説明申し上げます。  我が国経済の最近の状況を見ますと、昨年の経済対策効果もあり、設備投資住宅建設などにおいて幾つかの明るい動きが見られ、生産も緩やかに増加するなど、景気には緩やかながら再び回復動きが見られ始めております。  ただし、中小企業回復にはおくれが目立ち、雇用も依然厳しい状況が続いているなど懸念すべき点も見られます。  私としましても、ようやく明るさの見られ始めた我が国経済を一日も早く本格的な回復軌道に乗せることが最も重要であると考えており、中長期的な我が国経済持続的発展のために、引き続き内外経済動向を十分注視しつつ、切れ目ない経済運営に努めてまいる所存であります。また、ゆとりと豊かさに満ちた二十一世紀を迎えるため、自由で活力ある経済社会を構築してまいりたいと存じます。  このような認識のもと、通商産業省としましては、平成八年度の関係予算及び財政投融資計画作成に当たり、次のような三つの柱から成る基本方針に沿って、諸施策実現を図ることとした次第であります。  第一は、「経済構造改革推進」であります。  我が国経済の最大の課題は、安定的な経済成長を確実なものとしつつ経済構造改革を力強く推進していくことであります。このため、研究開発情報化等将来の発展基盤整備するとともに、新規事業への支援、新産業生活インフラ整備等により経済フロンティア拡大し、質の高い雇用機会を確保してまいります。また、我が国の喫緊の課題である一層の輸入拡大対内投資促進を図るとともに、国際的にも魅力ある産業立地環境実現を目指し、地域経済活性化等推進してまいります。  第二は、「中小企業対策推進」であります。  我が国経済活力源泉たる中小企業先行き に明るい見通しを持って現下構造変化の波を積極的に乗り切っていけるようにするため、技術開発新規創業等創造的事業活動に取り組む中小企業への支援強化を初め、引き続き中小企業構造改革推進経営基盤の安定・強化のための対策切れ目なく講じてまいります。  第三は、「総合的エネルギー政策推進」であります。  我が国経済安定的発展国民生活の豊かさを確保しつつ、エネルギー環境問題や世界経済発展といった地球的課題に責任ある対応をしていくため、エネルギー政策国際展開を図りながら、我が国エネルギー供給体制効率化エネルギー需給構造高度化資源エネルギー安定供給推進してまいります。  この結果、一般会計は、九千百八十八億円を計上しております。また、特別会計につきましては、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計七千二百四十一億円、電源開発促進対策特別会計四千六百七十六億円を初め、当省所管の五つの特別会計にそれぞれ所要の予算額を計上しているところであります。さらに、財政投融資計画につきましては、財投規模ベースで八兆四千四百四十三億円を計上しております。  以上、平成八年度における通商産業省関係予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。  通商産業省関係予算及び財政投融資計画の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてありますが、委員各位お許しをいただき、説明を省略させていただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  4. 近岡理一郎

    近岡主査 この際、お諮りいたします。  ただいま塚原通商産業大臣から申し出がありました通商産業省関係予算重点事項説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 近岡理一郎

    近岡主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――    平成八年度通商産業省関係予算及び財政役    融資計画説明  平成八年度の通商産業省関係予算及び財政投融資計画について御説明申し上げます。  まず、平成八年度における通商産業省一般会計要求額は、九千百八十七億六千万円であり、前年度当初予算額九千二億九千七百万円に対し、百八十四億六千三百万円、二・一%の増加となっております。  財政投融資計画は、財投規模ベースで八兆四千四百四十三億円となっております。なお、この中には産業投資特別会計からの出融資三百九十九億円が含まれております。  次に、重点事項別に、予算及び財政投融資計画概要につき御説明申し上げます。  我が国経済の最近の状況を見ますと、昨年の経済対策効果もあり、設備投資住宅建設などにおいていくつかの明るい動きが見られ、生産も緩やかに増加するなど、景気には緩やかながら再び回復動きが見られ始めております。  ただし、中小企業回復には遅れが目立ち、雇用も依然厳しい状況が続いているなど懸念すべき点も見られます。  私としましては、ようやく明るさの見られ始めた我が国経済を一日も早く本格的な回復軌道に乗せることが最も重要であると考えており、中長期的な我が国経済持続的発展のために、引き続き内外経済動向を十分注視しつつ、切れ目ない経済運営に努めてまいる所存であります。また、ゆとりと豊かさに満ちた二十一世紀を迎えるため、自由で活力ある経済社会を構築してまいりたいと存じます。  このような認識の下に、通商産業省としましては、平成八年度の関係予算及び財政投融資計画作成に当たり、次のような三つの柱からなる基本方針に沿って、諸施策実現を図ることとした次第であります。  第一の柱は、「経済構造改革推進」であります。  第一に、新規産業創出等を通じた経済フロンティア拡大を図り、活力に満ち豊かで安心できるくらしを実現するためには、創造的な研究開発推進することが必要不可欠であります。このため、独創的産業技術研究開発促進制度推進に二十六億五千万円、国立研究所における創造的研究開発推進に三十六億八百万円等を計上しております。  また、研究開発プロジェクト推進するため、航空機国際共同開発促進及び小型民間輸送機開発調査に四十六億二千五百万円等を計上しております。  さらに、我が国における創造的な研究開発機能充実強化を図るためには、研究開発基盤整備推進することが必要であります。このため、技術産業化の基礎となる知的基盤テクノインフラ)の整備に九億三千四百万円、国立研究所等における研究基盤施設整備に六億八百万円、知的所有権センター整備活用等に九億八千二百万円等を計上しております。  加えて、工業所有権行政を積極的に展開し、我が国研究開発に係る諸制度改善等を図るため、ペーパーレス計画推進等審査審判処理促進施策充実に三百六十三億千五百万円を計上しております。  第二に、情報化推進は、経済全体の生産性抜本的向上をもたらすものであり、二十一世紀に向けた我が国経済発展の大きな鍵となるものであります。このため、産業分野公的分野における情報化を加速的に推進するべく、超先端電子技術開発促進制度に十三億三千万円、先進的アプリケーション事業拡充に十六億千二百万円、生産・調達・運用支援統合情報システム(CALS)の開発に八億千七百万円等を計上しております。  第三に、新たなる産業分野開拓の原動力となる新規事業新規産業発展により経済フロンティア拡大することが必要であり、新規産業創出に資する技術シーズ事業化に向けた民間企業の取組みを支援する新規産業創造技術開発支援制度に二億四千九百万円等を計上しております。  第四に、我が国経常収支黒字の意味のある縮小、消費者の選択の機会増加技術・ノウハウ等新たな経営資源導入等による豊かな国民生活実現していくためには、市場アクセス改善を積極的に進めることが必要であります。このため、輸入促進地域(FAZ)関連施策拡充に八億五千万円等を計上しております。  第五に、地方における産業空洞化を防ぐことは緊急の課題であり、産業立地環境整備し、地域経済活性化する観点から、スーパー・テクノ・ゾーンの拡充強化等国際的にも魅力ある産業立地環境整備に八十七億五千万円等を計上しております。  第六に、我が国経済安定的発展国民生活の豊かさの向上を図るためには、良好な国際環境整備することが必要であり、国際的課題への責任ある対応が求められております。このため、規制制度改革推進等に係る国際機関に対する協力に三千五百万円、西暦二千五年における我が国愛知県)での国際博覧会開催に必要な経費として千九百万円、リスボン国際博覧会事業参加に必要な経費として二千五百万円を計上するとともに、アジア太平洋諸国における知的所有権協力推進等工業所有権行政国際的展開に四億六千二百万円等を計上しております。  第七に、ゆとりと豊かさを実感できる社会実現するためには、安全で安心して暮らせる生活環境整備することが必要であります。このため、地球温暖化問題や廃棄物リサイクル対策等に係る環境関連技術開発等推進に百四億千八百万円、阪神・淡路大震災被災地域産業復興支援事業に一億四千八百万円等を計上しております。  第二の柱は、「中小企業対策推進」であります。  我が国経済活力源泉たる中小企業が、先行きに明るい見通しを持って、現下構造変化の波を積極的に乗り切っていけるようにするためには、引き続き中小企業構造改革推進経営基盤安定強化のための対策切れ目なく講ずることが必要不可欠であります。  このため、中小企業対策予算として、通商産業省所管一般会計総額千二百三十六億円を計上しております。  具体的には、意欲ある中小企業経済環境変化対応し、積極的に独自の技術開発技術力向上及び新規創業活動を行うことを支援するため、「中小企業創造活動促進法」の積極的な活用及び中小企業技術開発及び新規創業等に対する支援に五十六億五千二百万円等を計上しております。  また、中小企業経営効率化事業活性化を図る観点から、中小企業インターネット等を利用した取引情報の収集・提供を行う環境整備及びその経営革新への支援推進するため、中小企業情報化推進に七億八千二百万円等を計上しております。  さらに、商工会・商工会議所による小規模企業経営基盤の安定及びその活性化対策からなる小規模企業対策に二百二十億五百万円等を計上しております。  あわせて、意欲ある中小小売業者が厳しい経営環境の中で流通構造改革に的確に対応し得るよう、商店街アーケード等基盤整備推進等中小小売商業対策に百二十四億九千五百万円等を計上しております。  第三の柱は、「総合的エネルギー政策推進」であります。  我が国経済安定的発展国民生活の豊かさを確保しつつ、エネルギー環境問題や世界経済発展といった地球的課題に責任ある対応をしていくため、エネルギー政策国際展開を図りながら、我が国エネルギー供給体制効率化エネルギー需給構造高度化資源エネルギー安定供給推進してまいります。  このため、エネルギー関係予算として、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計七千二百四十億八千百万円、電源開発促進対策特別会計四千六百七十五億七千百万円を計上しております。  具体的には、アジア太平洋地域における効果的なエネルギー有効利用対策を講じるため、アジア太平洋地域エネルギー需給見通し作成事業拡充に五億八千二百万円等を計上するとともに、石油安定供給を確保する観点から産油国協力推進に七十七億六千六百万円等を計上しております。  また、新エネルギー開発導入促進する観点から、太陽光発電システム普及促進に四十億九千六百万円等を計上するとともに、エネルギーを安定的に供給するため、LPG国家備蓄推進に二十三億九千四百万円、電源立地総合的推進に六十三億二千百万円、石油備蓄の着実な推進に三千五百五十五億七千百万円等を計上しております。  以上、平成八年度通商産業省関係予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明いたしました。     ―――――――――――――
  6. 近岡理一郎

    近岡主査 以上をもちまして通商産業省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 近岡理一郎

    近岡主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位お願いを申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力お願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。川島實君。
  8. 川島實

    川島分科員 新進党の川島實です。  本日、質問をさせていただくに当たり、大臣にどうしてもお聞きしておかなければならないことがございます。  いわゆる住専処理のために、六千八百五十億もの血税が注ぎ込まれることが平成八年度予算の中に織り込まれております。昨年、連立与党の間でこの住専処理税金を投入することを決定して以来、国民の反発は日を追って大きくなるばかりであります。いわば、国民の総意は住専税金を投入することに反対であると言っても過言ではありません。  大臣は、これだけの反対がありながら、この予算住専の穴埋めのための税金を織り込むことに賛成ですか。また、この方法しかなかったとお考えですか。率直なところをお聞かせください。また、大臣としての立場を離れ、一人の国民としてこの問題をお考えになったときにも、やはり同様のお考えかどうかも、お変わりないかどうかも、あわせてお尋ねをしたいと思います。
  9. 塚原俊平

    塚原国務大臣 予算委員会審議を拝聴する中で、いろいろなお考え、いろいろな手法があるということを御指摘もいただきましたが、私ども現在出しておりますやり方、いろいろな議論をいたしましても、最初に国のお金を入れるのか、結局出口のところで入れるのかという、やはり最終的には何らかの形で入れなければいけないというような状況がどうしても生じてくるのじゃないかというような印象も審議をお聞きしながら持ちましたものでございますから、ますますやはり、今回私どもがお出しをした方法しかなかったというふうに、現在さらにその気持ちは強くなっております。  ただ、国民皆様方から、何としても御理解をいただく努力ということをこれからさらに続けていかなければいけないというふうに感じております。
  10. 川島實

    川島分科員 次に、愛知万博についてお伺いをいたしたいと思います。  二〇〇五年における愛知県での国際博覧会については、昨年末に政府において博覧会国際事務局への開催申請手続を進める旨の閣議了解を行いました。地元レベルプロジェクトからいよいよ国を挙げて取り組むプロジェクトとなったことは、非常に喜ばしいことだと思っております。  政府においては、本年春にBIEに開催申請を行う予定と聞いておりますが、他方、二〇〇五年の国際博覧会については、カナダカルガリー開催申請を行う予定と聞いております。我が国としては、今後、カナダに勝つためには、我々国会議員を初め、地元、財界、政府等が全力を挙げて努力していくことが必要であると思います。まさにこれからこの半年ぐらいの間が正念場でないかと思っております。  そこで、二〇〇五年における我が国での国際博覧会開催に向けた最近の状況と今後の取り組みについて、大臣認識決意をお伺いしておきたいと思います。
  11. 塚原俊平

    塚原国務大臣 最近の細かな状況につきましては、もし御必要でしたら政府委員の方からお答えをいたさせますが、いよいよ立候補をする形になると思います。  今御指摘のように、ライバルがおる形でございますから、当然、テーマのすばらしさというもの、これは一番のポイントになると思いますけれども、しっかりと理解をされながら、愛知に場所が決まるように、これから精いっぱいの努力をしていかなければいけないというふうに決意を新たにいたしております。  私が就任をいたしましてから、何人か外国からお客様が見えましたが、それぞれに、このような万博があるのでよろしくというようなことも常に申しておりますし、皆さん喜んで、じゃ協力してあげるよ、通産大臣室を訪ねてくるわけですから、嫌とも言えないでしょうから、そうおっしゃってくださるのかもしれませんが、それからドイツなんかは、逆に、ドイツのその前の万博協力してくれというようなお願いをされたりもいたしました。  本日から、国会お許しをいただきまして、アジアと欧州の首脳会合経済閣僚として行ってま いりますが、また向こうでいろいろな方にお目にかかりますので、何とかこの話題を出させようと思いまして、地元新聞社からこのバッジをもらったものですから、これをつけて参ります。そうすると、必ずバイ会談のときなんかに、それは何だと聞かれますので、それを導入にして、愛知万博のことを一生懸命PRをしてまいりたいというふうに決意をいたしております。  ただ、どうしても御地元の熱意というものも大変大きな要素になるものでございますから、先生方が中心になってすばらしい議員応援組織もおつくりをいただいているということも伺っておりますが、どうか今後とも私どもに対します御支援、私どもも御支援をさせていただきますし、さらに御支援をよろしくお願い申し上げます。
  12. 川島實

    川島分科員 カナダには私も昨年、OSCEの国際会議に元防衛庁長官の谷川さんと一緒にオタワに行ってまいりました。過去にも何回か行っておりまして、このカルガリーにも行ったことがあるわけですけれどもカナダは非常に美しい自然を有する、日本の何倍もある国ですから、日本にとっては本当に手ごわい競争相手だと思っております。  カナダに勝つためには、我が国として、諸外国から見て本当に魅力的な博覧会コンセプトを固めなければいけないと思っております。例えばニュージーランドの大蔵大臣が見えたときには、非常にすばらしい印刷物の、自分の国の行財政改革パンフレットを持ってきたわけですね。我が国中部地区を紹介するときに、日本の印刷の最高レベルパンフレットをつくって、我が国を、国際博覧会を紹介する必要があるのではなかろうか、こう考えているわけでございます。  博覧会のこれからのコンセプトについては、昨年末の閣議了解までは、有識者から成る検討委員会を設置して、その委員会の場で二十一世紀にふさわしい博覧会検討をしておる、こう聞いておるわけでございますけれども、今後どのようなコンセプトを、いろいろな意見を取り入れながら具体化していかなければいけないと思っておるのか、通産省として、どういう場で具体的にこういうものを企画しながら紹介のパンフレットをつくり上げていくのか、このことについて、まず政府委員からお伺いをしていきたいと思います。
  13. 大宮正

    大宮政府委員 今先生からも御指摘がありましたように、昨年、私どもは、国際博覧会予備調査検討委員会というのをつくりまして、二十一世紀初頭における我が国での国際博覧会開催の意義、内容等につきまして調査検討を行いまして、十二月に報告書を取りまとめまして、それを受けて閣議了解を行った、こういう手はずになったわけでございます。  今後でございますけれども、この委員会での報告書の中で、人と自然とが共生する町づくりと一体となった博覧会という新しいコンセプトをつくっております。そして、こういった中で、二十一世紀に抱える地球的な課題、例えば環境問題とか、リサイクル問題とか、あるいはエネルギー問題、こういったものを解決していこうということがコンセプトになっておりまして、今後、地元や各界からさらに幅広い意見をいただきまして、企画、具体化を図り、魅力的なエキスポ構想を国内外に広くアピールしていきたい、こういう考えでおります。  今御質問のありました具体的な進め方でございますけれども、構想の具体化をさらに進めるために、現在、愛知県はもちろんでございますけれども、関係の自治体、それから21世紀万国博覧会全国推進協議会、これは民間団体でございますが、それから政府の各省庁とも連携をとりながら、有識者から成る検討の場を早急につくろうということで、今準備を進めているところでございます。  それから、さらに具体的には、来年の六月ごろにBIEで最終的にカルガリーになるか日本になるか、早ければ決まるわけでございますけれども、それが決まった段階で博覧会協会というのをつくることになっておりまして、こういった構想をさらに協会に引き継いでいって、具体的な構想を進めていく。それから、その過程において、今御指摘いただきましたけれども、英文のパンフレット等は文字だけなのですけれども、できるだけ美しいものを早急につくって海外にもPRしたい、こういうふうに考えております。
  14. 川島實

    川島分科員 この博覧会は、当初は、愛知県が昭和六十三年から誘致活動を続けてきておるわけでございますね。平成六年六月には地元の基本構想もまとめたわけでございますけれども、昨年末の検討委員会の内容を見ますると、二十一世紀にふさわしい新しい博覧会のあり方ということで、検討結果が示されておるわけでございます。  これによると、環境問題等も具体的に幾つか並べられた内容になっているわけですけれども、当初愛知県が考えておったような愛知県の中での構想内容と、この検討委員会から出てきたのが、もっと広域的な、我々が見ても、三重県だとか岐阜県が含まれているような中身になっておったわけで、六十三年からの歴史を持っての取り組みだっただけに、我々として非常に驚いたわけなのです。  愛知県はオリンピックでも失敗いたしておりまして、この取り扱いについては、議員超党派で四十七カ国の国々の割り当てを決めて、大使館へ陳情に行ったりして、いろいろ手分けしてやっているわけでございますね、議員連盟、私も二十一ぐらい入っていますけれども。だから、仮にこの構想が本当に三重や岐阜も含めたような形でやるということであれば、やはり最初から参加をさせて、きちっとした企画の内容でなければどこかにまた整合性がなくなってくる形がございますので、その点についてはどのようなことをお考えになっておるのか、それをきちっとぜひお聞かせをいただきたい。  特に、BIEへの開催の申請は、四月ごろに申請をしなければいかぬ。もうあとわずかしか日にちがないわけですね。それから、全国の協議会ができているということでありますから、なおさら、そういう人たち等も含めてすぐに検討に入っていただかなければ、遅きに失する形に、取り返しのつかない形になると思っているわけでございますけれども、その辺はどう受けとめておるのでしょうか。
  15. 大宮正

    大宮政府委員 今先生から御指摘のとおり、昨年の予備調査検討委員会報告書では、主会場を中心とする博覧会事業町づくりにおいて、例えば周辺の諸施設とか諸機能をも利用した広域的な事業展開を検討してはどうかというような御指摘をいただいているわけでございます。  もちろん、メーンのところは従来考えておる瀬戸市でございますけれども、これは主会場はもちろんでございますが、やはり周辺地域も含めまして広域的に博覧会事業を展開することによって、中部圏全体で盛り上がりを図っていく。それから、中部圏から世界に向けてメッセージを発信するとともに、中部圏全体といいますか、もちろん博覧会を一つのてことしまして、二十一世紀に向けたアジア太平洋の新たな交流拠点としてアピールすることが大事ではないかということが指摘されたわけでございます。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたけれども、二十一世紀にふさわしい理想的な町づくりと一体化して展開するということになってきますと、岐阜、三重にもいろいろな町づくりの構想がございますので、そういったものとも連携をとりながら進めていく必要があろう、こういうことでございます。  それからもう一つ、本報告書では、その会期の二〇〇五年だけではなくて、会期の前後にわたって博覧会関連事業を展開することによって長期的な盛り上げを図っていこう、博覧会の二〇〇五年で一過性で終わってはいかぬという指摘もございまして、例えば地球環境問題等の地球的諸課題につきましては、いろいろな国際会議博覧会開催までの間に周辺地域を含めて広域的に実施することによって、国民的な参加意識の高揚にも資するのではないか、こういうふうに考えまして、もちろんメーンのところは現在のところでございます けれども、それに関連させて、周辺地域、あるいは時間的にもその前あるいは後に、いろいろな国際会議等を誘致しようということで、こういう指摘になっておるわけでございます。
  16. 川島實

    川島分科員 その内容が私どもにはなかなか見えてこないものですから、戸惑いを感じておるわけでございます。  その四月の開催申請における、それ以前の会合というのは、どのような持ち方をするのでしょうか。もうこのまま通産省が主導で、結局国の方が今までの経過を見ながらパンフレットづくりに入るのか、会合を持ちながら具体的に本当に基本構想になるものをきちっと前へ進む状況でつくり上げていくのか、その辺がきちっと見えないものですから、私ども非常にもどかしい思いをしておるわけでございますけれども
  17. 大宮正

    大宮政府委員 実は、今度の申請に当たりまして私どもが用意しなければならない資料というのは、これはこの間政府で御報告いただきましたあのレポートを、まあまとめてというか、要約をして提出、非常に簡単なものでございまして、むしろ構想をもう少し、これは二〇〇五年の話でございますので、今二〇〇五年のことを具体的に細かく決めることは将来の話で、これは時間があるわけでございますけれども、とりあえず申請のときはこの間のレポートをまとめたものでいいということでございます。  ただ、ことしの秋にBIEの調査団が日本に参りますので、そのころまでにはもう少し政府のレポートをブレークダウンして具体的な中身について報告するということになりますので、それまでに、先ほど申し上げましたように、政府の中で検討委員会をつくりまして、もう少し詳しいディテールといいますか、そういうものを詰めていきたい、こういう段取りになります。
  18. 川島實

    川島分科員 検討委員会からの報告書で、一応「今後検討されるべき課題」ということで、四点挙げられておるわけでございますが、だから、地元ではこの問題について積極的に検討されるべき問題、「長期的地域整備・まちづくりの計画の具体化について、環境問題を含め、地元住民との継続的対話や地元におけるより一層活発な議論・検討が必要。」二つ目は、「会場計画の具体化について、主会場候補地の自然環境の保全に十分に配慮したより具体的な利用計画や広域的事業展開の可能性に関する検討が必要。」それから三つ目は、「長期的地域整備を踏まえた輸送計画の具体化に係る詳細な計画等について、国際博の具体的な企画、事業内容等も踏まえつつ、更なる検討が必要。」四つ目は、「各方面からの幅広い意見聴取も参考にしつつ、国際博のあり方や事業内容等の一層の具体化を図り、二十一世紀博覧会のモデルとしていくことが重要。」こう検討事項の課題が示されておるわけでございます。  このうち、地元の対話その他理解ということは、一生懸命頑張っておるわけでございますね。二つ目は、会場への具体的な交通アクセス、地下鉄の問題だとか延長の問題。それから、道路の瀬戸市の博覧会場に対するアクセスを今から建設省や何かも都市計画の中にちゃんと入れ込んでいただいて、つくり上げるべく二〇〇五年に向けてのいろいろ計画認定等が行われているわけですね。  あと、問題は、長期的な地域整備を踏まえた開催後の残された跡が町づくりとして使われていくようなものを計画するに当たって、我々愛知愛知の主会場を中心にして考えておりますけれども、通産省で、三重だとか岐阜が入るということであれば、最初から入れ込みながらそういう町づくりなりいろいろな研究施設ができ上がれば、そういうものがちゃんとすぐ後生きていくような情報通信の問題だとか、大深度におけるいろいろな研究施設だとか、今通産省が大深度における試験施設だとか何十億もかけたものを利用するかどうかの問題も、我々の頭にはぴんぴんとあれが来るのじゃなかろうかというような形も考えられるわけですね。  それから、中部新国際空港から始まって空港等のアクセスも我々は全部考えながらいろいろ道路網については考えているわけでございますけれども、その辺が早くやはり基本的な構想というのが見えてこないと、取り組みに六十三年からやってきた事柄も愛知だけの事柄で進んできておりますので、これが広域的になるということでは、変更になるわけですね。だから、それはやはりきちっと示していただかないと、それこそオリンピックの失敗をまた我が国が二度にわたって博覧会でも行われるということになれば、国としてのやはり大変な問題になろうかと思いますので、その辺のことについて御決意をお伺いしておきたいと思います。
  19. 大宮正

    大宮政府委員 先ほど申しましたように、今度の博覧会は一つの町づくりということを大きなテーマにしておりますものですから、例えば御承知と思いますけれども愛知県では「あいち学術研究開発ゾーン」ということで、今の瀬戸市の候補地を位置づけております。それから、もう一方で、岐阜県では東濃研究学園都市構想というのがございますし、三重県では鈴鹿山麓研究学園都市構想というのがございまして、要するに、それぞれのやはり位置づけをきちっと整理していく、そういう中で博覧会を通じて愛知県の学術研究開発ゾーンというものを整備していくというコンセプトでございまして、まさに委員指摘のとおりでございます。  実は、私、新年早々に直接三重県知事さんとそれから岐阜県の知事さんにお目にかかりまして、こういう広域的な取り組みはある程度国としても考えているので、我々も博覧会のためだけのインフラ整備というのはやはり、大蔵省さんもいらっしゃいますけれども、必ずしも適当じゃないんじゃないか、やはりそれが長期的に残るようなものをつくっていこうということでございますから、協力要請を行ってまいりました。したがいまして、今後、それを受けて関係自治体とも、あるいは都道府県とも連絡をとりながら、この全体の構想の中でどういうふうに位置づけていくかということを検討していきたいと思っております。
  20. 川島實

    川島分科員 最後に、大臣にちょっとお願いといいますか要望しておきたいと思いますが、開催の申請が四月ですね。それから、向こうから六月ごろですか、調査団が現地へ入っていろいろ見られる、このときにいろいろな基本構想の資料がかいと、イエスかノーかというような形のものが考えられるわけですから。それから、BIEの十二月総会で、調査団における報告を受けて、そこで大体決定がなされる、こう聞いているわけですね。この報告がおくれれば来年の六月ごろにその決定の判断が下る、こういう私は認識をしておるわけです。  我が国は、この四十七カ国にほとんど地元の外交的な大使館等の出先がございますし、政府は時々アジア地域だとかおのおの地域を限定して全部大使を召還をして、いろいろ報告を求めたり、議論をしているわけですね。そのときに、やはり大臣からそこへ出ていっていただいて、大使全部まとまって来ておるわけでございますから、この万国博覧会についての要請をきちっと取り決めていただきたいと思うのですけれども、その辺の事柄についての決意はいかがでございますか。
  21. 塚原俊平

    塚原国務大臣 調査団が何かことしの秋にお見えになるというようなことを今後ろからお話ございましたが、いずれにいたしましても、私どもができますことはすべてやっていきたい。やはり二〇〇五年に愛知万博が開かれるというのは、我が国にとりましても大変明るい大きな、国全体が明るくなる一つの大きな要因だというふうに考えておりますので、何とか愛知県で開催がされますように努力をいたしてまいりたいというふうに脅えております。
  22. 川島實

    川島分科員 ひとつぜひ実現ができるように御努力お願いをしておきたいと思います。  次に、エネルギー関係をお願いしてございますけれども、これは「もんじゅ」の関係で科学技術庁でやりますので、そのときに政府委員の方から一言また聞かせていただきますので、時間の関係もございますので、これでもって質問を終わりた いと思います。ありがとうございました。
  23. 近岡理一郎

    近岡主査 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田公一君。
  24. 吉田公一

    吉田(公)分科員 新進党の吉田公一でございます。  大店法についてきょうは質問をしたいと思いますが、大店法については規制緩和ということもございまして三回にわたって規制緩和が行われてまいりましたけれども、その規制緩和を行った意義といいますか意味について御説明をいただきたい、こう思うのです。
  25. 大宮正

    大宮政府委員 大店法は、今先生からも御指摘がございましたように、平成二年、それから平成四年、平成六年と、三度にわたって規制緩和を実施してきたわけでございます。  この背景といたしましては、もう既に御承知と思いますけれども、やはり日本の流通業界が非常に大きな変化を遂げておりますし、それから、御承知のようにアメリカの方からも、規制緩和ということで大店法についてやはり国際化の中でこれをより緩和すべきではないかというような、そういう対外的な要請もございます。  こういったものを総合的に判断いたしまして、平成二年には、運用適正化措置ということで、今まで非常に長かったんですけれども、一年半でやはりちゃんと判断をしていこうということで、そういう調整期間に上限を設けるというようなこと。  それから、平成四年には、大店法を改正いたしまして、従来いわゆる商調協というのがあったわけでございますけれども、これを廃止しまして、大店審による調整への一本化をしたということ。それから、地方自治体で独自規制が行われておりましたので、こういったものを適正化していったということ。  それから、平成六年には、一千平米未満の店舗の出店を原則自由化するとか、閉店時刻、年間休業日数の届け出不要基準をそれぞれ、午後七時から八時に閉店時刻を、年間休業日数を四十四日から二十四日へといった内容の規制緩和措置を講じてきたところでございます。
  26. 吉田公一

    吉田(公)分科員 我が国の流通の問題ではなくて、いわゆるアメリカからの外圧だと。その外圧によって、大店法をだんだん規制緩和をしていく。つまり、大店法だけではなくて、生産緑地法にしても、日本の労働時間にしても、ありとあらゆる問題について、自動車部品なんかはまさにそうですけれども、とにかくアメリカの外圧によって、もう日本人の労働時間まで外圧で週四十時間までにされてしまう。  大店法まで外圧でやらざるを得ないということになれば、まさに内政干渉もいいところでありまして、こういう問題については、例えば、大店法を規制緩和することによって、必然的に中小企業は、零細商店街はだめになっていくわけだね。そういう点も十分に判断をした上でやっているのかどうか、その点について伺いたいのです。
  27. 大宮正

    大宮政府委員 今御指摘がございましたけれども、私も外圧だけと申し上げたわけじゃございませんで、流通をめぐる非常に国際的な、自由化の議論とか、あるいは競争を導入して、消費者により安いものを供給しようという、もちろん国内的なそういう要請がございまして、アメリカからのそういうお話も問題の一つの契機ではございましたけれども、規制緩和というのも一つの大きな政府全体の流れに今なっておるわけでございます。  そういったものを受けまして、総合的に判断をして、もちろんこれは日本政府なり通産省として判断をして、過去三回の規制緩和をしてきた、こういうことでございます。
  28. 吉田公一

    吉田(公)分科員 規制緩和するたびに商店街は非常に困っているわけですが、我が国独自の発達を遂げてきた商店街について、規制緩和をしていく上で、中小零細商店街についてどう判断をしながら規制緩和をしてきたのかということをまず伺いたい。
  29. 井田敏

    ○井田政府委員 現在の我が国の中小小売業の現状をまず申し上げたいと思いますが、消費者行動が随分変わってきております。また、大型店との価格競争の激化というのもございます。大変厳しい状況にございまして、数の上でも年々かなり減ってきております。  例えば、商業統計をちょっと申し上げますと、平成三年から六年、三年間で全国の商店数が約十一万店減る、百五十万店というぐあいになっておりまして、特に従業者数が一-四名という非常に零細小売店の減少が大きいわけでございます。  こうした流れの中で、私どもも何とか商店街活性化していかなきゃいけないということでございまして、各般の施策を講ずることによりまして、やる気のある中小小売店を支援するという施策を行ってきているところでございます。
  30. 吉田公一

    吉田(公)分科員 具体的にはどういう施策を行っているのですか。
  31. 井田敏

    ○井田政府委員 具体的には、例えばアーケードを整備する、こういった商店街のいわゆる基盤施設の整備、あるいは町づくり会社、第三セクターで行われる場合が多いわけでございますが、こういう町づくり会社というようなものをつくりまして公共施設を整備していく、こういうものにつきまして補助金を出しますとか、あるいは融資をしたり、あるいは出資をしたり、各種の支援をしております。  また最近では、いわゆる空き店舗でございます。転廃業しまして店を閉めてしまう結果、店舗があいてしまっているという場合があるわけでございます。こうした空き店舗対策につきましても、例えば空き店舗を活用して新しく商業をしようという人に対する融資でありますとか、各般の施策を行っておるところでございます。
  32. 吉田公一

    吉田(公)分科員 実際には、それが末端の市政や区政にまでおりてきていない。私は豊島、練馬の選出だけれども、そういう政策なんて一回も聞いたことないんだよな、やっている、やっているというんだけれども。  私どもは都会議員をやっていて、このスーパー問題がいかに地域紛争が多いか。まさに我々まで巻き添えを食って、国会議員は余り巻き添えを食わないんだけれども、都会議員だとか市会議員だとか、私も区会議員もやったけれども、みんな巻き添えを食ってしまうんだね、おまえら、反対なのか、賛成なのかと。賛成になったら今度は、次の選挙は考えるぞなんていって、これは地域紛争の最たるものになっているんだ。  だから、アメリカの外圧で流通改善をするとかなんとかいったって、スーパーで物を売ったからといって、じゃ、パンを二人前食うかというと、食いはしないんですよ。じゃ、三倍売れるかというと、三倍売れるわけないんだ。日本の歴史的な商店街というのは、昔から自然発生的にそれぞれ駅の前とか門前市とか、そういう長い歴史を持った商店街が、つい最近出てきた大資本のスーパーの前に、もうめったやたらにやられているんだ。  しかも、まず最初に八百屋さんがだめだ、その次、肉屋さんがだめ、魚屋さんがもうだめだよ。皆さん方、それぞれうちへ帰るときに商店街を歩いてごらんなさいよ。肉屋さんだとか魚屋さんだとか八百屋さんなんて、もうなくなってきちゃったよ。そういう現状を見て、そして今度は眼鏡屋さんがだめだ、今度は大手が出てきてカメラ屋さんがなくなっちゃったよ。全部それぞれの大資本が進出して、洋品店ももうだめだ、そういうように、商店街はもう壊滅的な状態にあるんだよね。  そういうことについて、一体国はどう思っているのか。構わないのか、商店街がつぶれても。構わないのか、それともだめなのか、返事してくださいよ。
  33. 新欣樹

    ○新政府委員 中小小売商業者、商店街、これが、大店法の緩和もさることながら、都市構造の変化とかあるいは消費者のいろいろな選択の変化というようなものの影響を受けて厳しい環境変化に直面をしておるということは、これは先生指摘のとおりだろうと思います。  ただ、商店街というのは、これは全国見渡してみましても、これまでもやはり地域の顔として、 あるいは伝統文化の担い手というような役割を果たしてきておることも事実でございます。したがいまして、私どもは、やはりこの商店街活性化をして、人をまた集めるという魅力のある商店街になっていくということが必要だと考えておるわけでございます。  そのために私ども、例えばでございますが、次のようなことを商店街の方々には申し上げておるところです。  第一には、やはり消費者のニーズというものを的確に把握をして、大げさな言葉で申し上げると時代にチャレンジをしていくというような、そういう精神を持ってやっていっていただきたいなということ。  それから第二には、商店街のまとめ役といいますか、求心力のあるリーダー、こういった方々の育成に努めていただきたいなということが二番目。  それから三番目、先ほど申しましたような地域の顔として機能するためにも、何か話題性のあるものを地域の住民の方々に提供をしていく。例えばイベントでございますとか、それをまた継続的に行うというようなことでやっていく。  それからまた、個々のお店、個店でございますが、これもほかとは一味違った、魅力のある、個性化をしたものにしていくというようなことをやっていっていただきたいなということで申し上げておるわけです。こういった問題解決に意欲のある商店街に対しましては、私ども、先ほど小規模部長から申し上げましたとおり、各種の施策というものを用意をしておるところでございます。ただ、基本はやはり商店街の方々のまとまりとやる気といいますか、意欲というところがまず重要かというふうに考えておるところでございます。
  34. 吉田公一

    吉田(公)分科員 今の御答弁というのは、一般的によく言われる。そういうのは抽象論だ。具体的にはスーパーができて店がどんどんつぶれていっているのに、やる気の問題とかなんとかいったって、大体資本力が違うんだから。もうそれは圧倒的に、スーパーができれば消費者は自動的にそっちへ流れてしまう。しかし、なけりゃ商店街に行くんだから。そうでしょう。  考えてみれば、大体、スーパーで歯磨ぎだの歯ブラシだの売る必要はないんだ。そんなのは商店街で買ったって一円か二円しか違いはしないんだ。肉だって、野菜だって、私はそんなに違うとは思わないんだよね。だけれども、相手は資本力に物を言わせて、そして進出をしてくる、商店街はだめになっていく。  ところで、大臣のところだって商店街はあると思うのですよ。大臣は、商店街振興ということについて、アメリカからの要請に基づいて規制緩和を三回もやって、今度は五年を三年に短縮して、三年後に見直そうとしているわけだけれども商店街というのが本当になくなってきて、地域の活性化も何もないわけです。そういうことについて、大臣は、政治家として、通産大臣として、どう思われておられますか。
  35. 塚原俊平

    塚原国務大臣 私の育ったところの商店街先生の選挙区でございまして、現在そこで住まいをいたしております。東上線沿線、西武池袋線沿線、西武新宿線沿線、なおかつこんなことを言って恐縮ですが、今日まで先生の政治活動はずっと私も拝見をしてまいりました、区議会、都議会。それで、空き店舗も数が少なくて、いずれも非常に商店街としてはうまくいっている地域だと私は思います。これはやはり地域の政治家の方の大変な御努力があったんだと思うのです。  というのは、何でこんなことを言うかというと、私は国会議員に出るので日立の方に住居を移したわけでございますが、商店街の寂れ方、それはもう本当にびっくりしました。ともかく駅前の商店街で、私が行ったのが昭和五十一年ですけれども、そのときに、既にメーンのところで空き店舗が一つ二つある、やっとこさっとこパチンコ屋で埋まったら、そのパチンコ屋も一年でだめになるというような状況で、現在はまさに歯が抜けたような状況にございます。  そういう状況の中で、私どもの地域も一生懸命頑張って、ちょっとずらした地区に一大商店街地域をつくることによって、メーンの銀座通り商店街、どこでも銀座通りというのはあるのですが、銀座通り商店街というのとくっつけるような形で大規模店を両サイドに置いてつくったのです。これはかなり無理して、日立の駅前開発という大きな位置づけの中でつくりました。だから今、通産省の方々が答弁をしている中で、日立の町づくりというのは結構自慢をする町づくりだったんじゃないかと私は思うのです。  ただ、じゃ、現状はどうかといいますと、やはりなかなか個人商店はきついんです。現実に町づくりをした後もお店をやめる方も出てきたし、また、大規模店の中にテナントを入れる形もとったのですが、そのテナントの入れかわりも結構激しいという状況にございます。  ですから、認識としては全く先生と同じ認識を持っておりまして、通産大臣になると同時に受けた最初のレクチャーが、ともかく景気の心配点が中小企業にある。それで、中小企業でも、製造業はマイナスの中でもちょっといいけれども、小売業は全く悪いという状況の中で、そういう中で説明を受けたわけですけれども、真っ先にやっている対策というのが、今いろいろな答弁があったように、空き店舗対策ということだったのです。  ただ、私どもの実感からすると、空き店舗対策をする前に、空き店舗が出ない対策をしなければいけないわけでございまして、そのことは今、そのためのいろんな方策というのを通産省が考えていて、日立なんかはその一つの例だったと思うのですが、なかなかそこでもうまくいっていない事例なんかもあるということでございます。  なおかつ、今、比較的商店街を上手に整備をされた吉田先生からのこれだけの御指摘でございますから、これはもう大変に現実の問題は大きいというふうな理解をいたしております。  平成九年に大店法の見直しが来るわけでございますが、当然、見直しといえば、規制を緩める方にもいくし規制をさらに強くする方にもまいるというのが見直しであるわけでございますが、一カ月ちょっと通産大臣をやった状況からいろんなものを見てみましたときには、少なくとも、平成九年に規制を今よりきつくするという見直しはなかなか見通しとしては考えられないような状況にもございます。  ですから、そういったことも踏まえまして、これからの小売店対策というものを私も一生懸命、自分自身の実体験の中で具体例も幾つか存じ上げておりますので、役所の中でどこまでできるかおかりませんが、政治家として努力をいたしてまいりたいというふうに決意しています。
  36. 吉田公一

    吉田(公)分科員 要するに、小売商店街のことについていろいろな施策をすると言うんだけれども、一番いい方法は、スーパーを出させなければいいんです。それが一番いい対策なんです。それで、既に地域によっては、飽和状態になって大店舗同士が競争しているわけだ。その谷間にある商店街なんというのは、もう時間の問題だよ。極端なことを言えば、駅をおりて南口にスーパーが一つ、北口にスーパーが一つあればいいじゃないかという話になっちゃう、極端だけれども。しかし、それでは地域の活性化にならないわけです。商店街というのはスーパーと違って、スーパーなんて何もしないんだから、地域のことについては。お祭りがあったって知らぬふり、いろんな行事があったって町会に協力するわけじゃない。  とにかくそういう現状なんだから、そんなメリカの外圧に、一々内政干渉みたいなことを受けて、我が国の小売商店街というものを何もつぶす必要はないわけだよ。そういうのはきちっと、まさに民族性というものを発揮してもらいたい。日本民族の民族主義というのを発揮してもらいたいと思うんだ。  何でもかんでも外圧で、日本の働く時間まで外圧で四十時間にして、日本人は働き過ぎだから少し働くのをよせ、休日をふやせ、土曜日を休みに して、もう百三十日以上休みだよ。ところが、大店舗の方は二十四日しか休まない、こういうわけでしょう。もっと休みをふやさせて、商店街がやっているときには大店舗が休む、大店舗がやっているときは商店街が休むというようにちゃんと調整する、そのぐらいのことをしなきゃだめなんですよ。大資本というのは決まっているんだから、利潤追求だけなんだから。資本というのは、利潤を追求するために資本があるんだから、まさにそのとおりになっている。  外食産業を見たって、皆さんわかるでしょう。隣にスカイラークができたら、今度はこっちヘデニーズができて、そのまた裏にジョナサンができて、大店舗同士で競争しているんだ。だから、小料理屋なんというのはなくなってしまうのは当たり前の話だよ。  商店街を振興するということは、これは本当に国策だよ。そういう意味で、一般論ばかり言っていないで、ぜひ具体的にやってもらいたい、こう思うのです。  ところが、地域の首長というのは、地域の安定化と安全、そして地域が豊かになるような、そういう責任を持っているわけだ。そこで、今までスーパーを調整する権限があったんだけれども、建築基準の申請が出ると、とにかく建築基準に合っていれば許可してしまうんだ。それで自動的にできていってしまう、要するに大店法の規則を守っていれば。そこで、私は首長に調整権を与えるべきだと思っているわけです。  きょうは自治省の方にも来てもらっていますが、条例だとか指導要綱だとかということがこの大店法の範囲の中で、調整権や条例制定権というのはこれは憲法で認められているわけだから、そういうことが首長ができるのか、できないのか、そのことについて伺いたいのですよ。
  37. 朝日信夫

    ○朝日説明員 大店法と条例等との関係についてのお尋ねでございますが、これは一般論として申し上げれば、先生も御案内のように、現在の憲法そして地方自治法におきましては、法律に違反しない範囲内におきまして条例を定めることができるということになっておるわけでございます。大店法の関係につきましても、現行制度、あるいは、その見直しがどんな形になるか存じませんが、見直しが行われた場合におきましても、その法律の趣旨に反しない範囲におきまして条例を定めるということは可能であろうというふうに思っております。
  38. 吉田公一

    吉田(公)分科員 大店法の範囲の中で指導要綱や条例を制定することができる。  そうすると、具体的に伺いますが、もう既に大店が一つある。今度は、そこへもう一つ。今大店舗同士で競争しているんだから。外食産業を見ればわかるでしょう。こっちにスカイラークが出れば、隣にジョナサンを持ってきて競争している。だから、こっちにAという大店ができれば、今度はその隣の方へ、近くへ持ってきて大店を建設する、競争する。そういう場合に、例えば、ここにはもう既に一つあるんだから、売り場面積を半分にしろ、開店時間というものを守れ、要するに少なくしろ、そして、できるだけここでは大店舗を建設するな、そういう条例、指導要綱というのはできるのですか。
  39. 朝日信夫

    ○朝日説明員 具体にわたりますケースでのお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたように、条例と、あるいは今の大店法等との関係の問題について申し上げたわけでありますが、実は、そうした場合におきましてどういうケースが法律に反するのかどうか、これはかなり、個別具体のケースにおきましてはなかなか難しいものがあります。  一般的に申し上げれば、それが反するかどうかという場合につきましては、それぞれの法の趣旨あるいは目的といったもの、それから内容や効果といったものをよく比較考量した上で個別具体について判断をしていくということになります。現行で、御指摘のように大店法絡みでもって地方の独自施策というのもいろいろあるわけでありますが、同時に、大店法の方では、今の法律との関係等をにらんだ上で、法律の中におきまして、たしか十五条の五でございましたか、そうしたような観点での、行き過ぎた、逸脱した形にならぬようにという形での考え方というものを示されていると思っております。  したがいまして、先生の今の具体のケースにつきまして、私どもの方で、それについて可能かどうかについて端的にお答え申し上げることはできませんが、やはり個別具体において法律の趣旨等を踏まえながら考えていかざるを得ない、そういう問題だろうと思っております。
  40. 吉田公一

    吉田(公)分科員 具体的なことを伺っても今御判断ができないと思うのですけれども、売り場面積だとか、時間だとか、休日だとか、そういうことについて、要するに地元商店街との競合がある。そうすると、地元商店街の振興というのは、御承知のとおり、みんな地方自治体では税金を使って助成をしているわけだ。商業課を置いてみたり、商業係を置いて、地元商店街の振興ということで、地方自治体では大店舗に対抗するために税金を使ってやっているわけだよ。そういうことを考えると、まさに地方自治の趣旨からいけば、地域の、地元商店街を育成強化していこうというのは当然の話だ。  そうすると、そのために条例をつくったり指導要綱をつくるということについては、例えば一番いい例が、マンションがそうですよ。建築基準法ではよかった、だけれども指導要綱というものがあって、指導要綱で例えばカットされるということもあるわけだ。だから、そういうことを考えれば、指導要綱は当然つくれるわけなんですね。マンション問題なんかそうですよ。十階建てまで建築基準法では建てられるけれども地元反対があって、調整して、七階に落としなさいという調整権というものを地方の首長の権限に与えているわけだ。それは地方自治の独自性という見地から見れば当然なわけだよ、地域の環境を守るという意味で指導要綱を設けたわけだから。  だから、地域の商店街を守るという意味で、スーパーについて、指導要綱なり条例なりをつくって規制をしていくということは当然のことなんだ。  だから、そういう意味では、また改めて、私、大店法と首長の具体的な例を詳しく調べて、もう一回商工委員会等で質問したいと思うのだけれども、そういうことについてぜひひとつ検討していきたい、そう思っております。  それからもう一つ、最後に、平成九年の見直しのときに、方向としては緩和をする方向なんですか、それとも強化する方向なんですか。
  41. 大宮正

    大宮政府委員 先ほど先生からいろいろ御指摘があったこと、私どもも実はいろいろと悩んでおることでございますけれども平成九年の見直しといいますか今後の取り扱いにつきましては、先ほどちょっとお話がありましたように、政府の規制緩和推進計画というものに決められておりまして、平成六年五月、一昨年に実施いたしました規制緩和の実効を確保しつつ、流通を取り巻く環境変化を踏まえ、平成九年度を目途に制度について見直しを行う、こういうことにしております。  なお、この見直しを行う際には、ちょっと誤解のないようにしていただきたいのでございますが、現在でも、大店法の運用におきましては、商店街あるいは商工会議所その他の事業者、それから消費者、学識経験者の意見を聞きながら審査をしておるわけでございますけれども、見直しを行うに当たりましても、中小小売業の方々、それから消費者の方々、学識経験者の方々等、関係者の意見を広く聞いた上で検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  42. 吉田公一

    吉田(公)分科員 こういう文書があるんですよ。「米国政府日本における規制緩和、行政改革及び競争政策に関する日本政府に対する要望書」というのがアメリカの政府から出ているわけだ。  その中に「小売流通」というのが入っていて、「大規模小売店舗法の二〇〇〇年度までの段階的廃止及び大規模小売店に対する新規規制を課す地 方の権限を抑止する適切な措置」。つまり、地方でも、指導要綱だとか条例だとかをつくって大店舗を出すときの進出の邪魔をするな、そういう措置を日本政府はとれ、こういうことだよ。それから、「営業時間、休日日数に関する許可を含む、既存店舗の営業に対する大規模小売店舗法上のすべての規制の廃止」。こういうことが、米国政府から日本政府に対する要望書として、正式に文書で来ている。  こういうように、一々アメリカの要請に基づいて、日本産業がどうなろうが小売商店がどうなろうがお構いなしに規制緩和をしていくなんということ自体、まるで日本政府なんというのはあるんだかないんだかわからない。やはりどの国だってそうでしょう、自国の利益を守るということが、また皆さん方の責任じゃないですか。  それを全部外圧で、最たるものは、日本の労働時間まで外圧で四十時間にしろなんてね。労働基準監督署なんかの人たちが来ると、みんなそこいらの団体に言っているよ、四十時間にして生活大国だとかゆとりある生活。ゆとりなんかありゃしない、みんな。ただ休んでひっくり返っているだけだ。労働時間を短縮してゆとりある生活というのは、要するに、お金を持っていて、そうして名実ともに豊かな生活ができるということがゆとりある生活だよ。ただ単に労働時間を四十時間にして、四十四時間働いてはいけないとか、この間、床屋さんだとかそば屋さんにまで何時まで働いてはいけないとかなんとか言って、そんなの大きなお世話だと言うんだ、人が何時間働こうと。おかしな話じゃないか、全く。  日本の労働時間、働き過ぎだなんてアメリカから言われて、御無理ごもっともです、週四十時間にします、休日もふやしますなんて。今、百三十日以上休みだよ。そういう、まさに外圧に対して定見がないなんということは、私は日本政府としておかしいと思うのだ。だから、通産省なんというのは、まさに外圧の受け皿みたいなところだから、よくよくちゃんとやってくれないと日本産業をだめにしてしまうよ。これは大店法だけじゃない、ぜひありとあらゆることについて、これから外圧に対するきちっとした政策と考え方とで民族性を発揮してもらわなきゃ、日本産業も何もみんなだめになっちゃう。ぜひそういうことをこれからはやってもらいたい、そう思って質問を終わります。
  43. 近岡理一郎

    近岡主査 これにて吉田公一君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井英勝君。
  44. 吉井英勝

    吉井分科員 私は、今もお話ありましたが、最初に大店法の問題について伺いたいと思います。  九〇年代に入ってからの三度にわたる法律その他の緩和によりまして、昨年発表された九四年の商業統計速報によれば、九一年からの三年間に全国の小売店が六・六%減、十万五千六百六十店減少ということになっております。特に、従業者規模四名以下の零細商店が一〇・九%減、十三万八千七百八十七店も減少をしております。その従業員も三十一万四千六百八人減となるんですが、実は、この十三万八千店余りの減少というのは、今東京の全商店数が十三万二千四百五十店ですから、東京の全商店がつぶれたこと以上に相当するわけです。本当に深刻な事態です。  地域的に見ますと、特に中国、四国、九州地方で商店の減少が激しい。この状況が目立って見えます。九州でいいますと、熊本県の八・三%を初め、大分の八・二%、宮崎、鹿児島七・九%、沖縄七・三%、福岡七・〇%など、いずれも大きく全国平均を上回る減少という事態です。九州、沖縄の八県では一万三千七十店が減少したんですが、実にこれは、佐賀県全体の商店が全部つぶれたことを上回る、こういう事態です。  そこで大臣に、こうした事実、全国の中小小売商、商店街の置かれている深刻な現状についての御認識を、一言でいいですから最初に伺って、それから少し議論を進めたいと思います。
  45. 塚原俊平

    塚原国務大臣 御指摘の数字と同じような数字の報告を、私どもも受けております。商店数の大幅な減少、空き店舗問題の深刻化等、中小小売業は極めて厳しい状況にあるというふうに認識をいたしております。
  46. 吉井英勝

    吉井分科員 その厳しい現状の中で、もちろん長引く不況で消費購買力が落ち込んだということもありますが、何といっても、先ほど冒頭に触れました大型店の急激な進出、これが中小小売店、商店街を今日の事態に追い込んでいることは明らかです。  大型店出店の影響というのは大変なものであって、例えば、この間商工委員会で御紹介しました大川市、あのときは家具の話でしたが、あそこで見ますと、ことし三月、延べ床面積三万三千平方メートル、売り場面積約二万三千平方メートル、千八百台収容の駐車場を備えて、年商売上見込み額、これが百六億円のニコニコ堂大川ショッピングセンターというのが開業の予定です。年商売上百六億円といいますと、大川市の現在の小売売上高六十億円、お隣の柳川市の売上高五十億円を合計したものに匹敵するんですよ。  これだけにとどまらないんですね。  昨年十月に、中国地方最大手のスーパー・イズミが、同じ大川市にショッピングセンターゆめタウン大川というのを来年三月にオープンさせるという計画を明らかにしています。このゆめタウン大川というのは、延べ床面積が四万七千平方メートル、売り場面積が二万六千平方メートルで、千六百台収容の駐車場を備え、年商売上高は百三十四億円を見込んでいる。この三月にオープンだというこのニコニコ堂大川ショッピングセンターだけでも、二つの市がつぶれてしまうというぐらいのものなのに、それをつぶしてまだ余りあるどころか、もう、けた違いのものがさらに計画されているわけです。  先日、この大川の家具を取り上げたわけですが、輸入急増で産地中小企業が深刻な打撃を受けて、それで地域の消費購買力が落ち込んで、商店街が今深刻なんですね。そういうところへ、これまで市民生活を支えてきた、地域経済を支えてきた商店街に、これはもう死ねと言うに等しい。この間御紹介いたしました大川市の商工会議所の会頭さんを初めとする経済団体の幹部の皆さん方から、私はそういう訴えも聞いてまいりました。事態はここまで来ているわけです。  実は、昨年八月末から九月にかけて衆議院の規制緩和の委員会でも福岡県と沖縄県へ調査に行ったときに、両県の商工会連合会長さんからも要請をいただきましたが、福岡の連合会長さんからは、大型店の進出による重大な影響について、本当に必死の訴えがありました。  今は福岡市内もそういう状態に既に来ているんですが、そこへ、福岡市に、売り場面積約三万平方メートルで年商売上高百二十億円予定の、ダイエーを核店舗とする大規模複合商業施設キャナルシティーハカタ、大体横文字がつき出すとだんだんおかしいのですが、これがことしの四月開業予定なんですね。  その上、この福岡市の豊浜には、ダイエーが、安売り主力のハイパーマート、店舗面積約二万平方メートルを核店舗とする大型商業施設の出店を予定されて、既に昨年七月に三条申請が出されて、大店審で調整中です。  そこで、通産省として、消費者、地域住民、地方自治体の意見はもちろん、関係中小小売業者の意見もよく聞いて、やはりここまで深刻になっている中で、中小小売店、商店街地域経済がこれ以上重大な打撃を受けないように、重大な影響を及ぼすことのないように、大型店の出店についてはやはり厳しく抑制していくという立場に立ってあくまで慎重に調整するべきだと思うんですが、この点についての通産省の見解を伺っておきたいと思います。
  47. 大宮正

    大宮政府委員 大規模小売店舗の出店調整につきましては、御承知のように大店法でやっておるわけでございますけれども、これは中立的な学識経験者から成ります大規模小売店舗審議会において、先ほど先生からも御指摘がありましたが、消費者利益の保護、それから中小小売商業の事業活 動の機会の確保に配慮しつつ、適切に審議を行っているということが法律の考え方でございます。  具体的には、地元の関係者から意見を聴取する、この関係者には、もちろん地元の商業者あるいは消費者、学識経験者がいらっしゃいますけれども、また、そこでうまく調整がつかない場合には、必要に応じて、商工会議所、商工会に対しまして、地元関係者の意見集約をお願いするというような仕組みになっております。  また、こういった考え方とともに、出店地域における消費者、顧客の流出流入の動向、一人当たりの小売店舗の広さ、大型店の店舗面積の小売全体に占める割合ということ等の定量的な要因のほか、例えば市町村において町づくりに関する計画が作成されている場合には、こういったことについても配慮するということになっているところでございます。  私どもとしましては、今後とも、こうした大店法の考え方に基づきまして、大規模小売店舗審議会において適切な審議が行われていくものというふうに考えております。
  48. 吉井英勝

    吉井分科員 あなたのおっしゃったとおりに進んでいたら、十三万八千店もの商店がつぶれてしまう、東京都の商店が全部一挙になくなるというような事態が、九〇年代に入ってからの三回の大店法の緩和によって生まれてないはずですよ。そこに今深刻な事態があるんだということを、しっかり肝に銘じていただきたいと思うんです。  現在の事態というのは、大型店の出店によって中小小売業の事業活動の機会が突き崩されている、これが事実です。  他方、中小業者や地域住民の反対を押し切って出店した大型店が、長年の推移の中で、今度は地域の核として定着した。最初来るときには随分被害を受けたけれども商店街商店街なりに頑張ってきて何とか、地域の核としてそれも含めて商店街が形成されてきた。ところが、自分の利益にかなわないとなったら、今度は一転してあっさり撤退してしまう。その結果、人の流れが変わってしまって商店街がまた打撃を受ける。そんなことは知ったことじゃないというやり方、本当に横暴な勝手気ままなやり方がやられているというのも事実です。  これは、西日本新聞で紹介されておりますが、ジャスコ飯塚店というのがあって、同じジャスコがその近くに穂波店というのを開いた。そっちの方にお客さんが行ってしまったから、おれは知らないよ、福岡県下最大の売り上げを誇っておったこのジャスコ飯塚店は閉店してしまう。こんなことを気安くやっているのですね。その結果、さんざん苦労させられて何とか持ちこたえて頑張ってきた商店街が、また今深刻な打撃に直面する、こういう事態が生まれております。  そして、消費者の方も振り回されているのですよ。郊外店になりますと、車で走る若い人は行けたにしても、高齢化社会と言われておりますが、地域のお年寄りの皆さんは、車で買い物になんか行けないのですよ。地域の商店街がつぶれたら、買い物さえできなくなる。消費者利益が何だかんだとよく言われるけれども、とんでもないことが今起こっているのですよ。  私は、利益第一主義の大型店のこういう身勝手なやり方については断じて許してはならぬと思うのですが、どうですか。
  49. 大宮正

    大宮政府委員 今御指摘ございました地域の中小企業が町の活性化のために非常に重要であるということは、私ども十分に認識をしておりまして、これはちょっと御説明させていただきますと、いわゆる商業を核とした町づくりを積極的に推進するということで、ちょうど大店法の緩和が国会で決定されました平成三年でございますけれども、建設省、自治省とも協力いたしまして、特定商業集積整備法というのを国会にお諮りをして、制定、施行しているところでございます。  したがいまして、先ほど中小企業庁長官からもお話がありましたけれども、やはり地方の商店街も元気に頑張ってもらう、いろいろと努力してもらうということで、この法律に基づきましていろいろな助成措置を講じておりまして、現在、三十六の市町におきまして基本構想が承認されまして、各地で商業の振興と道路、公園等の公共整備とを一体とした町づくりが進められておるわけでございます。  それからまた、ことしてございますけれども、人口の郊外への分散、モータリゼーションの進展等に伴いまして、特に地方都市等において中心市街地の商業の空洞化が深刻化している状況がございますので、先ほどの特定商業集積法の親類型として、平成八年度から、大型店の集客力を生かし、また公共事業を同時に施行する中心市街地活性化型という新しい地域の商業対策を創設いたしまして、商業を核とした町づくり推進を積極的に支援しているところでございます。
  50. 吉井英勝

    吉井分科員 いろいろおっしゃったけれども、大型店が出店するときは、規制緩和だ何だと言って、どうぞどんどんやりなさいと出させておいて、同じジャスコが自分の都合だけで、今度は、知ったことじゃないよと。地域の商店街の人は簡単に外へ出ていけないのです。だから、商店街をずっと歴史的に長い時間をかけてつくってこられたし、地域の人たちとも溶け込んで町づくりをやってきたのですよ。町づくりの中心格ですよ。ところが、やってきて商店に迷惑をかけるときはどんどん規制緩和だ何だと言ってやっておいて、出ていくときも何の責任も痛痒も感じないでさっさと出ていく、こんな無責任なことが許されていいのかということを聞いているのです。一言でいいですから。
  51. 大宮正

    大宮政府委員 実は私どももそういう話は何件か耳にしておりますけれども、これはやはり大型店といいますか、いわゆる大規模小売店舗といいますか、そういうものの社会的な役割というか、責任だと思いまして、これはまあ、退店する場合には、恐らく採算が合わないとか赤字が重なるとかいう前提で皆さんやっておられるようでございますけれども、国としては、これにいろいろなことを申し上げるのはいかがかなというふうに考えております。  むしろ、先ほどの地域づくりの問題でありますと、私が具体的に聞いておるケースでございますが、それぞれの自治体といろいろ話をされて、例えば自治体が応援をするとか、そういう格好で地元に引き続きいてもらうような努力はされておるようでございますけれども政府としては、採算の合わない企業あるいはお店をそのままというのは、なかなかこれは難しいのかなというふうに感じております。
  52. 吉井英勝

    吉井分科員 そんな無責任なところを最初から気安く出店を認めるのが間違いなんですよ。やはり、企業に社会的責任を果たさせるように最初から考えなければいけないと思うのですよ。  実は皆さん方は、これまでは消費者利益のためということを看板にして緩和を進められたわけだけれども、総務庁が昨年十月に「規制緩和に関する調査結果」というのを発表しましたね。いろいろアンケートをとられた。  消費者の声です。  消費者利益を増進するもので、大店法による調整手続は必要ないのではないかと最初は考えていた。しかし、単純に大型小売店舗の出店が消費者に歓迎される時代ではない。大型小売店舗の出店は、地域の文化を支える小売業者の転廃業などの深刻な影響を及ぼすのみならず、青少年問題の発生・消費者の生活にも大きな影響を及ぼすものになっている。こういう影響を最小限に食いとめるためにも、出店調整の仕組みがあっていい。  緩和どころか、もっと強化しなければいけないというお考えですよ。  別の消費者の声。  消費者にとってはメリットが大きいが、一方、地元商店街の立場からすれば、大規模小売店が進出してくることは大変なことであり、零細商店は切り捨ててもよいという考えには賛成できない。大店法をこれ以上緩和することには反対だ。  消費者の声もうんと変わってきているのです。短期的な視野でこれが消費者利益だ何だというふ うな見方じゃなくて、余りにも無責任なやり方に対して、もっと広い観点に立って考えていくという、今の消費者の声に変わってきているわけです。  次に、政府が昨年十二月一日に閣議決定した「構造改革のための経済社会計画」、新経済計画を見ますと、自由で活力ある経済社会を創造するとして、「高コスト構造是正・活性化のための行動計画」というのを示していますが、この計画は、小売業等の流通業について、現在製造業の約六割となっている流通業の労働生産性を国際的に遜色のない水準に向上させることを目標とするとしているのですね。  計画の附属文書を見ますと、「中長期的な我が国産業・就業構造の展望」というところで、商業の就業者数は、九三年の千百八十九万人から二〇〇〇年の千百五十九万人へ三十万人減少すると推計をしているわけです。  冒頭に触れたように、この三年間に既に小売店は大きく減少しました。十三万八千店。それでも、全国的には小売業の従業者数は五・五%、約三十八万四千人増加しているわけですが、それが減少するということに二〇〇〇年にかけてなるわけですが、それが、大型店も含めた従業者数が三十万人も減るということになりますと、中小小売商店というのはこれまで以上に劇的につぶされていくということになら、ざるを得ないわけです。  ですから、今が本当に大事なときなのですね。業界の皆さんが今が大事だと言っているときに、これをこのまま座して見殺しにしてしまうのか、こういう事態が生じるのはやむを得ないという立場に立ってしまうのか、これは食いとめなければならぬということで手を打とうというお考えか、この点を伺っておきたい。
  53. 井田敏

    ○井田政府委員 先ほどから先生るる御指摘いただいておりますように、中小小売業は大変厳しい環境に直面しております。その中でも、いろいろ工夫をしながら現下環境対応していこうと立派にやっておられる小売業者も多いのも事実でございます。  私ども中小企業庁といたしましては、こうした大変意欲を持って今の環境変化対応していこうとされる方々を積極的に支援しようということで、各種の施策を用意しているところでございます。  例えば、具体的に申し上げますと、アーケード等をもっと立派にして魅力ある商店街をつくろう、こういった場合の基盤施設の整備に対して補助金を出すとか、あるいは町づくり会社というようなものを地元自治体をも含めましてつくりまして、公共施設等の整備をして人が商店街に来やすくしよう、こういった場合に、融資をしたり出資をしたり支援をしているところでございます。  それからまた、不幸にして空き店舗という状況が出まして商店街が寂れるというような状況になったときに、この空き店舗を何とかなくす方向で、新しい商業者を外から呼んでくる、あるいは残った商店の方々がこの空き店舗をうまく活用して商店街を再活性化しよう、こういった取り組みをされている場合も多いわけでございまして、こういうものに対しまして予算拡充等を行っているところでございます。今後とも、引き続きまして商店街活性化のための施策充実に取り組んでまいりたいと思っております。
  54. 吉井英勝

    吉井分科員 だから、一生懸命やっているというお話はお聞きしたし、これからもそれはやってもらわなきゃ困るのですが、しかし現実には、さっき紹介しました経済社会計画の中では、商業者が三十万人も減るということで見越していらっしゃるし、計画を読むと、その中で「変革に伴うある程度の痛みを伴うことは避けられない」、しゃあないんだ、こういう発想ですが、しかし、先ほどの取り組みをしてもなおかつ減るということで、しゃあないということじゃ困ると思うのです。  そういう中で、米国政府は大店法の二〇〇〇年までの段階的廃止を要求してきますし、経団連も大店法の段階的廃止に向けた検討を早急に開始すべきと言っておりますが、しかし、今世界はどうなっているか。  フランスは、御承知のことと思いますが、ロワイエ法強化ということを打ち出していますね。ロワイエ法を強化して、大型店出店規制だ、この道です。それから、最近紹介されたところでは、フランスでは大スーパーの安売り商法に規制をかけるという法律案を準備していると言っていますね。そこまでやらないと、さっきの、いろいろなことをおっしゃったそれだけじゃうまく成り立たないのじゃないですか。  私は、日本も、外国から言われたとか、さっきも御意見ありましたが、そんなことでふらふらする情けないことじゃなくて、これはやはりフランスが今やろうとしているような、中小小売店と商店街を本当の意味で活性化していく、そういう立場に立ち切るべきだと思うのですが、この点をこの問題の最後に伺っておきたいと思います。
  55. 大宮正

    大宮政府委員 先ほどちょっと御説明いたしましたけれども、私どもも、中小小売店が地域の活性化に非常に重要な役割を果たしておるということは十分認識しておりまして、そういったために、先ほども申しました商業集積法の話になりますけれども中小企業と、それからいわゆる大型店なり大店舗が一緒に共存共栄できるような環境づくりということを今後とも引き続き進めていきたい、これは中小企業庁とも連携をとりながら引き続き努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  56. 吉井英勝

    吉井分科員 具体的にはフランスのようなやり方を進めない限り、それは言葉の上だけの話にすぎないというふうに思うわけです。だから、それを本当にやり切るということを、これは大臣、やはりそこを決断してやっていただきたいと思うのです。一言で結構ですから……。
  57. 塚原俊平

    塚原国務大臣 大変厳しい状況の中で間違った期待を持たれるということが中小小売業の方にあっては、これはいけませんので、無論、私自身かなり、先ほどの吉田委員、今の先生のお話に共鳴する部分があるわけでございますが、現実問題として、大店法の見直しをするときに、今より規制をきつくする方向への見直しというのは非常に難しいのじゃないかというような感じがいたしております。それは、先生から見れば、それは塚原、おまえがやることだ、こう言われるかもしれませんが、現実の状況の中で将来の状況を見ておりますと……。  ですから、そのことは、ひとつそれぞれの経営者の方々が御認識をいただいてこれから対応していただくということが必要なのじゃないのかな、かなり踏み込んだお話をして恐縮でございますが、そういう気がいたしております。
  58. 吉井英勝

    吉井分科員 省内の事務方が今までどう取り組んだかは別として、私は、日本の中小小売商店、商店街のことを考えるならば、今本当に政治決断をするべきときだと思います。  次に、繊維の問題について触れたいと思うのですが、この間、大川の家具など地域産業、産地中小企業が輸入の急増で大変だという話を商工委員会で取り上げましたが、繊維産業もまた、大変です。  例えば通産大臣指定の伝統工芸品である大島つむぎ、鹿児島県や宮崎県の都城などを中心につくられてきたわけですが、本当に深刻な事態になって、一九八三年を一〇〇としたときに、これは生産額での比率ですが、大島つむぎは今二三、久留米がすりが七五、博多織が四一と、年々本当に深刻な事態です。今こうした伝統的工芸品とか産地中小企業の置かれている事態は大変なんですが、繊維産業全体が今大変ですね。九三年から九四年にかけての一年間だけでも、事業所数で約四千件の減、従業員数で七万人の減。  そして、今日本の輸入浸透率はどうなっているか。一九八八年以降、日本の方がアメリカより輸入浸透率は高いのですね。一九九四年にはアメリカや西洋よりも日本の方が輸入浸透率が高くて四七・九%、大体半分、こういうふうなところへ今来ております。  そして、そういう中で、全国の組織でもある日本紡績協会とか日本ニット工業組合連合会とか日本綿スフ織物工業組合連合会とか日本タオル工業組合連合会とか、また、それぞれの地域のも織物の工業組合やタオルの工業組合とか、いろいろなところから、何とかしてくれ、これ以上輸入が進んだら大変だと声が出ていることは、恐らく大臣もよく御存じのところだと思うわけです。  それで、一昨年になりますが、生活産業局の方がまとめられた「繊維セーフガード措置の取扱いについて」という中でも、「繊維産業は工業で百三十万人、流通を入れると二百八十万人の雇用を吸収し、工業で見るとその過半は、産地を形成して地域雇用に大きな貢献をしているが、ここ数年産地は低迷し、地域経済への打撃は極めて深刻化している。」というふうに述べているぐらいです。  そこで、私伺っておきたいのですが、WTOの繊維協定の第六条で、繊維のセーフガード発動については、一つは輸入の急増、もう一つが国内産業に被害を及ぼしている、この二つの基準が国際的な取り決めであって、それ以外に取り決め上基準はないわけですね。  これは、先に通産省の事務方の皆さんに伺っておきたいのですが、輸入の急増、そして国内浸透率が約五割という状況、産地の被害、悲鳴はもう本当にいろいろなところから上げられてきている、こういう中で、このセーフガードを発動する二つの要件に合っているのか外れているのか、このことを伺いたいと思うのです。
  59. 広瀬勝貞

    ○広瀬政府委員 繊維のセーフガードにつきましては、委員指摘のとおり、WTO協定で認められている措置でございますけれども、これにつきましては、日本で発動についての手続等を整備しているところでございます。  その中では、一つは輸入の急増あるいはそれによる被害、それから急増と被害の因果関係等技術的な判断のほかに、政策的な判断ということで、通商政策上あるいは国内の産業構造の改善観点から等々、いろいろな観点から政策的な判断をするということになっているわけでございます。そういうことを総合的に判断をしてセーフガード措置を発動するかどうかを決めていくというのが、ただいまの手続になっております。
  60. 吉井英勝

    吉井分科員 今のお答えに踏み込む前に、私が率直にお伺いしているのは、国際協定の中で、今の二つの要件、これ以外に何か発動要件ないしは発動を抑制する要件があるのかということで伺っているのです。
  61. 中野正孝

    ○中野政府委員 繊維のセーフガードにつきましては、WTO協定の繊維協定の基準を満たし、かつ、協定に設けられております繊維モニタリングボーディー、これは中立機関でございますが、ここへ通報し、合意を得る、こういう手続を行えば発動することは可能でございます。
  62. 吉井英勝

    吉井分科員 それで、ガイドラインをつくられた、それが障害になっているのですよ。国際協定だけだったら、発動できるのです。アメリカは現に、WTO後も八カ国に対して発動しているわけだし、日本は、旧のセーフガードでもWTOのセーフガードでも、一件も発動していないですね。それで今、悲鳴を上げているんですよ。こういうときですから、これは国際協定上はちゃんと要件を満たしているわけですから、最後に大臣の決断を一言伺って終わりたいと思います。これはもう大臣の決断にかかっているんです。
  63. 塚原俊平

    塚原国務大臣 今御答弁がありましたように、手続等の整備はこれはもう整っているわけで、きちんとなっているわけですから、具体的案件につきましては、その手続に従いまして厳正に検討をするということで、非常に前向きではなくて申しわけございませんが、でも、決して後ろ向きでもないですね、厳正に検討するということでございますから。
  64. 吉井英勝

    吉井分科員 時間が参りましたので、終わります。
  65. 近岡理一郎

    近岡主査 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。  次に、河村たかし君。
  66. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 河村たかしてございます。  情報通信分野のことについてちょっとお伺いをしたい、こんなふうに思っております。  情報通信分野が二十一世紀の一つの切り札になるというのは、皆さんだれでも言うことでございますけれども、まず初めに、よくアメリカから五年間おくれたとか十年間おくれたとか言いますけれども、通産省がどういう競争政策をとるかという前提として、認識として、その辺の、具体的にはアメリカですけれども日本の情報通信産業の現状を手短にひとつ、アメリカとの対比においてどう認識されておるか、ちょっとお話しいただけますか。
  67. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。  御案内のように、我が国情報化施策、七〇年代の初めぐらいから拍車をかけてやってまいったわけでございますけれども、大きく言うと、大型コンピューターの競争力強化という点が情報化施策の柱でございました。八〇年代の中ごろぐらいまでにほぼ欧米に比肩するようなものになったかというところまで来たわけでございます。  先生御案内のように、その後、急速なダウンサイジング、さらにオープン化、ネットワーク化に移っていったわけでございまして、八〇年代の後半、特に八八年、九年あたりの不況期からアメリカは高度情報化社会に入っていった。それで、情報化によって不況を脱出し、競争力を強化する、こういう社会に入っていったように我々は把握いたしております。  ちょうどそのころ日本はバブルの最中でございまして、やがて日本は不況に陥った。それで、特に九一年の不況以降、日本情報化投資というのは不況期にうんと落ちたわけでございまして、この不況を脱出するために、アメリカは八八年あたりに急速に情報化投資が行われていった、それで競争力を強めていったのに対して、やっと日本は、昨年、九四、五年あたりから情報化投資が伸びてきておるということでございまして、単純にその間の時間のずれを言えば五年ないし七年ぐらいのずれがあるんじゃないかな、こんなふうに思っておるわけでございます。  相当のおくれが出ましたけれども、この二年ぐらい、内外の、特に国内の各種の施策の集中によりまして、現在情報化に全力を尽くしておる、そんな状況認識でございます。
  68. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 相当のおくれが出たというふうにはっきり言われましたけれども、これは大臣もやはり、まだお若い、お若いと言うと怒られますけれども、私も二十三年生まれですけれども、これは同じような認識ですか、どうですか。
  69. 塚原俊平

    塚原国務大臣 通産大臣になるまで比較的興味なく来たものですから、大臣になって今一生懸命レクチャーを受けておりますけれども、やはり最初の出だしがかなりおくれたなと思っておりますが、結構、何か頑張って取り戻しているというような感じはいたします。
  70. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 そのおくれを何とかキャッチアップするということで、競争政策も一つの柱であろうと思いますけれども反対に、コンピューターの方は余りユニバーサルサービスと言いませんけれども、通信の世界なんかは、やはり、あまねくだれでも電話をかけられるようにしなければいかぬというような話もあって、どんどん民営化する、そして競争政策をとるということがいいのか悪いのか。そういうのは一つのイデオロギーの、もっと安定的なサービスを目指すべきだ、いやいや、そうじゃないよ、おくれておるからやはり競争政策中心なんだよ、競争政策する以上はある程度、富める者と苦しい者というんですか、いろいろな格差を生みながら、標準化しながら進んでいくんだと思います。  その辺のところは、ひとつイデオロギーとしてどうですか、競争政策はあくまで貫くべきだと考えておられるのか。それとも、やはりもうちょっとみんなが楽しくというんですかね、楽しくというのはちょっとおかしいですけれども、みんながあまねくというふうにとられるのか、どっちをやるべきだと思いますか。これは大臣、ちょっとど うですか。
  71. 塚原俊平

    塚原国務大臣 全体についてやはり競争を促進するということは、活性化が出てくるという意味では大変に有意義だと思います。個々個々の部分についてはそれなりの事情、状況というのはあると思いますが、情報通信産業につきましては、やはりこの競争をしていく、そして活性化をもたらすというような形の努力が必要じゃないのかなというような気がいたしております。
  72. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 やはりこれは、ユニバーサルサービスというのもあるけれども、とにかく基本は競争に置いてやらなければいかぬということですね。  そうなると、今の現状というのはどうですか。今のいろいろな、これは郵政の関係もありますけれども、いろいろな規制といいますか、いろいろありますね、この事業しかやっちゃだめとか、こういうのをやるためには届けを出せとかありますけれども、そういうような状況というのは、競争政策からいってまあまあ十分なのか、いやいや、もうとてもじゃないよという認識なのか、どうですか、この辺は。大臣、ちょっと済みません。
  73. 塚原俊平

    塚原国務大臣 ですから、日本の場合は、ずっと長い歴史をたどるとあれですけれども、戦争が終わってからのことでいくと、やはり保護から始まっていますから、そこから競争に持っていくために規制をいろいろと緩和していく、だからもう百八十度違った政策をとっていくわけですから、具体具体の例ではいろいろなケースが出てくるんじゃないのかなというふうに思います。ただ、大前提としては、やはり競争ということは極めて大切だと思います。  ただ、これはちょっと、私は実は通産大臣になるまではこういうような意見ではなかったところがあるのですけれども、やはり規制緩和、競争等は通産省が叫ばないことには、これは余り声を大にして叫ぶところも結構少ないような感じもいたしまして、やはり将来にとって、ともかく叫ぶことが必要だし、ある程度具体化していくことも必要だという認識に立ちまして、この立場になりましてから、このような発言をずっといたしております。
  74. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 さすが大臣でございまして、今までと認識をちょっとまた変えてやっていかなければあかんというような、普通の方は余り言われませんものですから、ありがたいんですけれども、何とか競争促進を通産からも大いに叫ばなければいかぬという立場からしますと、今御承知のように、NTTのあり方の問題は、きょう答申が出ることになっておりますし、これは山場に差しかかっております。  いろいろな競争政策をとる上においても、事実上というか、大体九〇%を占めるNTTについてどう考えていくかというのは、これはやはり競争政策の非常にベースになるわけですね。そういうところでまずこの問題を考えないと、競争政策をどう組み立てるか、必ずしも必要条件ではないけれども、大きい要素なので、そこら辺は今、大臣、私などは別に揚げ足を取ったり全然いたしませんので、自分の感覚で、所管が違うという、そういうつれない返事じゃなしに、今叫ばれる立場からするとどんなふうにお考えになられるのか、ちょっとお考えをいただきたいということでございます。
  75. 塚原俊平

    塚原国務大臣 先生から質問通告をいただきまして、これはかなり微妙なものもございますので、文章をつくりましたので、ちょっと読ませていただいてもよろしいですか。  NTTのあり方についてはさまざまな議論があるものと承知をしておりますが、本問題に関する当省の視点は、分割の是非自体の議論から始めるべきではないと考えております。  現在、技術革新などにより、地域、長距離、国際のあらゆる分野でさまざまな事業者が活発な提携、競争を展開している状況において、一つ、国際競争力から見て情報通信産業のあり方はどうあるべきか、二つ、低廉な通信料金と多様なサービスを実現するためには何をなすべきかなど、規制緩和を含め制度改革の方向について幅広く議論すべきと考えております。
  76. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 今の話ですと、分割の是非自体、構造的措置ですね、是非自体の議論から始めるべきではない、ほかの競争もかなり入ってきておるではないかというふうに聞きますと、大体そういうまくら言葉ですと、普通は構造的措置は必要ないのじゃないかというようなふうで、何か通産省は、構造的措置は不要であるというふうに言っておるというような人が多いんだね。だけれども、そう必ずしも言われているわけではないのですね、これは。どうですか。これは局長で結構です。
  77. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 本件、実は本日答申が出ると伺っておりまして、具体的な内容を拝見し、あるいはどういう議論があったかというのを十分我々も勉強させていただきたいというのが基本姿勢でございます。  それで、今先生の御質問の点については、先ほど大臣から申し上げた二つの視点、これは我々極めて重要な視点だと思っておりまして、そういう視点から将来の規制のあり方その他も含めて幅広く議論しなきゃいかぬ、こういうのが我々の基本的な考え方でございまして、そういう視点であらゆる事象を今勉強しておるというところでございます。  したがって、我々がどういう意見を、本心はどうであろうかとかいったようなことは、今先生がおっしゃいましたけれども、まずは郵政省の審議会の中身をしっかりと勉強させていただきたい、それからまず始めなきゃいかぬ、ただし、視点は先ほど申し上げたものをしっかりと物差しを持ってこれに対応していきたい、こういうことでございます。
  78. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 そうすると、構造的措置については賛成でも反対でもないと、今のところ、そういうふうに断言してもいいわけですね、これは。
  79. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 先ほどの競争力の視点、さらには大変な需要が盛り上がる時期でございますから、需給調整条項その他も含めた思い切った規制緩和を行えばどれだけ競争によって市場が活性化するのか、料金がどれだけ下がるのかといったような問題がどんどんこれからあらゆる要素がございます。そういったようなものをしっかりと見きわめて、それで、各種の委員会その他で意見が出ておりますけれども、なおかつ構造対策が必要かどうか、こういう問題がステップを置いて議論していくべき問題であろう。そういうものを、今回、答申がきょう出るようでございますから、それを踏まえて郵政省がどういうふうな段取りで対応されようとするのか、まずそれを伺わせていただいて、我々、そこから政府部内で考えていかなきゃいかぬ、かように考えております。
  80. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 それは結構重要でございますし、今の話を聞いておりますと、まずいわゆる需給調整項目等の、一般的には規制緩和と言っておりますけれども、広く言うと構造的措置も規制緩和のうちに入るのですけれども、いわゆる分離分割については後でいいというふうに思っておるようにとれるのです。一般的に、どちらでもないという言い方は、同時にやってもいいけれども同時でなくてもいいという話が、普通の中立的な意見なんですけれども、今の話ですと、規制緩和先行型に思えるのです。その辺はどうですか。
  81. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、先ほど大臣も申し上げましたように、分割是か非かから入っていくのではなくて、物事を考えるときの考える順序として、思考過程の順序として、まず先ほど申し上げた競争力あるいは通信料金、サービスその他の極めて低廉な、かつまた良好なサービス、そういうものを確保するためにはどうすればいいかというのを順序よく考えていって、それで最終的な結論を出すべきであって、今おっしゃったように、物事を同時にやるのか先行してやるのか、こういうことについて今私は申し上げたのではなくて、物の考え方の、考えるプロセスの手順として我々はそういうプロセス で考えていくのだ、こういうことを申し上げた次第でございます。
  82. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 ということは、NTTの敵という言い方はちょっとおかしいですけれども、NTTの競争相手がNTT以外にできるかもしれない、もしできれば、それはそれでいいかもしれないが、それができない場合は構造的措置が要るんだ、そういうステップで考えることであって、構造的措置が同時に必要かどうか、そういうことはまた別論である。そういうことについては別に、こうでなければ、同時でなければならないかどうか、それから、いわゆる規制緩和が先行しなければならないと言っているわけではない。そういう理解でいいのですね。
  83. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 先ほど大臣が申し上げましたように、今の二つの視点から規制緩和を含め制度改革の方向について幅広く議論をしたい、答申をよく読ませていただいて、そこで我々もよく勉強したい、こういうことでございます。
  84. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 一応これは、役所は何か縦割りとよう言われておりますけれども、縦割りは悪いというような話ばかりありますけれども、意外とそうでもなくて、これはお互いに競い合うということでいい面もあるわけですね。  だから、NTT、通信、郵政省、こういうような感じになるのですけれども、もっと通産も、これから答申が出れば、まず郵政省でやって、それから政府ということになると思うのですけれども、その前でも、通信にまつわるいわゆる内容、コンテンツというのですか、それから端末、ターミナルといいますが、そういうのでとにかく全体的に通産さんも含んだとてつもない大問題なわけでございますので、そういうようなことを、これは郵政省しか――審議会自体は僕はあれですけれども、通産は通産でそれなりの意見を言う。これは電通審のようなああいうしっかりしたやつでなくてもいいですけれども、それなりの勉強会をつくっていって、かえって両方がきちっとフェアに張り合ってもらう、そういうふうにこれはならぬですかね。大臣、どうですか、これ。
  85. 塚原俊平

    塚原国務大臣 これは高度情報通信社会推進本部というので私と郵政大臣が副本部長になっておりますけれども先生から先ほどお話ございましたように、とりあえず電通審の答申は郵政省がこれを受けますので、郵政省の中で御議論をいただいて、その後、幅広くやはりいろいろな形で意見を集約していかなくてはいけないのだと思うのです。  通産は何も言ってないのかというと、今もきちんとこの機会で答弁をさせていただく中で通産の考え方も結構言っておりますし、それからやはり郵政で検討した後、政府部内で幅広い観点から対応しようということは言っているわけでございますから、そういった面では、それなりにこれから通産も、この問題に対して意見等を求められる、あるいは意見を言う必要がある場合には、これから意見を申し上げていかなくてはいけないというふうに考えております。  ただ、まだ答申を、いや、見てないと言ったって実際は見ているのだろうと言われるかもしれませんが、本当に見てないものでございますから、きょうの何か二時半ぐらいに出るということなので、まずそれを拝見させていただいてということにしたいと思います。
  86. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 推進本部になるということですけれども推進本部は私は入れやせぬものですから、さっぱり何をやっておるかわからぬということでございます。  これは局長も御存じですけれども、ポイントは、電話の話も大事ですけれども、やはりコンピューターネットワークをどうつくっていくのかという非常に重要な項目があるのですね。だから、これはもっと縦割りのいいところを出してもらえぬですか。やはり張り合うということですね。答申をつくる段階のところで、答申の意見はきょう、それから通産は通産側で、コンピューターネットワークをどう立ち上げていくか、ここが重要な最近この五年ぐらいのテーマなんですね。だから大臣、ひとつもっと何か、反対に張り合わないのが縦割りの弊害じゃないかと思うので、どうですか、そういう方向で。ひとつせっかく若い大臣になられたのですから、大臣、どうですか。
  87. 塚原俊平

    塚原国務大臣 これはここまでとりあえず流れが来ましたから、きょうの二時半をまず待ってみなくてはいけないというふうに思っておりますけれども、今局長にも伺いましたら、これは全然表には出ないものだそうですけれども、省内ではやはり今先生指摘のような勉強会をいろいろと持って、省内なりの勉強はしているそうでございます。ただ、その勉強した成果を果たして表に出すのか、あるいは出さないのかというのは、やはりこれはなかなか高度ないろんな判断が必要なんだというふうには思いますけれども、省内の勉強の成果についても後で聞かせていただきたいというふうに思っています。
  88. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 勉強されておるなら、私も情報通信が好きでと言うとおかしいですけれども、やらさせていただいておりますが、やはりコンピューターネットワークの方から見てどうなんだということが、どえらい重要なことなんですよ。  ですから、やはり早い段階で出してもらって、何か通産は、実際は、構造的措置は不要なんだろうとかなんとか、そういう話だけちょろちょろ来ますけれども、かえってそういうのは、悪影響じゃないですけれども、フェアな議論になりませんから、ぜひ、それがもし本当にありましたら出していただいて、堂々と議論を早くやっていかないと、ええわええわで先延ばしばかり、これは皆さん、政治家の責任なんで自分につば吐くようなことですけれども、いかぬと思いますね。政治家が頑張らなければいかぬ。その資料は、やはりいろんなところから出てくるようにぜひしていただきたいということでございます。  どうですか、出されるおつもりはありますか、今の勉強の資料。
  89. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 事務的な、我々省内で勉強しておることでございますので、私からお答えさせていただきたいと思います。  特に、我々今勉強しております一番大きな視点というのは、これから一番重要なのは、特にマルチメディアになりますと、多国籍企業の本支店間、世界にまたがる本支店間をマルチメディアで、専用線を使うような形で、あるいは会議をするとか日々画像を送るとか、そういった分野の爆発的な需要というのが恐らくこれからの二十一世紀の電気通信事業のドル箱になっていくんだろうと思うのです。  そこについて、今世界は三つの大きなグルーピングが行われておりまして、それが既に、多国籍企業約何千、三千とも二千とも言われていますけれども、それの押さえが始まっておる、陣取り合戦が始まっておる、こういう状況に今なっておりまして、そういうことに対して、一体、我が国というのはどういう形で今それに出ていこうとしているのか。残念ながら、今それには日本は出ていっておりません。そういうことに対する我々としての将来の国際競争力という意味のビジョン、そういったものを一体どういう姿で持っていけばいいんだろうか、これが実は非常に大きな視点でございます。  こういったようなものについて、今回の答申がそれに対して一体どういう答えを出そうとしておられるのか。あるいはさまざまな意見があって、その分野についてさらに最終答申を見れば何か付加されるものがあるのかもわかりません。そういったようなものすべてをよく見させていただいて、それで我々よくそれを熟読玩味していきたい。ただ、今申し上げたようなしっかりした問題意識は持っておるわけでございまして、内部でいろいろ勉強しております。  ただ、おっしゃるように、本件はまさにホットなイシューで、郵政省が、しかも自分の審議会に諮問して、今勉強されておる最中でございますので、我々としては、今そういった内部の勉強というものを表に出すということについては差し控え るのが筋だろう、こんなふうに思っております。
  90. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 今までの仕組みがそういうふうだったということですけれども、これは大臣、ひとつ、もっとフェアに、競い合った方がいいですよ、それは通産さんは通産さんで。  今言われましたように、今の問題は、国際的な三つのグループができている。三つのグループといっても、あれはイデオロギーが違いますから、単なる提携だけでいいのと、もっと組もうというのと、いろいろある。だから、それが即分離分割につながるのか、つながらないのか。反対にある程度小さいグループの方が国際競争力も強いんじゃないかとか、いやいや大きくなければだめだとか、これはいろいろ分かれるのですけれども。それプラス、コンピューターネットワークを使う。これは通産さんの一番大事な問題だと思いますけれども、その使用料が日本は圧倒的に高い。これはもう認められるところです。  ぜひこれは本当に、こんなことは大臣に聞くというよりも議員がやらなければいかぬと思いますけれども、お互いに張り合うのもいいですけれども、やはり通産省と、機情局ですか、これが独立していただいて、郵政省のテレコム三局がこれと一緒になって、今までの問題は、結局、コンピューター単体は通産が頑張られて、これはVS・IBMということで、NECは出てくるわ、富士通は出てくるわ、成功したと思いますね。反対に郵政省は電話の世界をずっとやっておったということで、肝心のコンピューターをネットワークで使うというところがごそっと抜け落ちてしまったということだと思うのですね。  だから、本当に若い立派な大臣でございますので、思い切って、まず機情局とテレコム三局を合わせて、何か情報省なんというとスパイみたいで名前がちょっと悪くていかぬけれども、そういう体制をとってやっていかぬと、何か、高度情報化社会というお題目はいろいろ聞きますけれども、実際に強い足踏みで進んでいるというイメージがどうもないのですね。  その辺、どうですか。ちょっと大臣に、そういう組織改革を、国家行政組織法を変える必要があるかどうか知りませんけれども、どうですか、フレッシュな感覚で。
  91. 塚原俊平

    塚原国務大臣 いろいろな方から今のような御指摘を何回か大臣になってからいただきました。一つの貴重な意見としてお伺いをいたしておきますが、私も国会議員を結構やっておりまして、中で大きな、総理府と行政管理庁の統合なんかのときも内閣委員会で立ち会っておりましたが、なかなか大変なところが現実問題としてあると思います。ただ、貴重な御意見としてお伺いをいたしておきたいと思います。
  92. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 大変なことがあるのはわかっておるわけで、大変なことがあるのをやってくれというわけで、住専税金をつぎ込むという、これは私もちょっとえらいと思いますけれども、私ども税金で給料をもらっていますから、これは住専みたいになってはいけませんから、大変なことをやるために国民税金を出して、それで給料をもらっておるということでございますので、ひとつ勇気ある英知を出していただいて、引っ張っていただきたい。他人事じゃありませんけれども、お互いに力を合わせたいと思っております。  それから、先ほど言いましたように、大型コンピューターに対抗する分野は、これはなかなか通産さんも、私、褒めるわけではありませんけれども、うまいこといったと思いますね。実際、パソコンの分野、PCの分野では、NECや富士通、いいのが出てきた。日の丸コンピューターということで熱気が非常にあったと思うのです。  残念ながら最近の、いわゆるウィンドウズの話もありましたけれども、ネットスケープとか、いろいろなコンピューターにまつわるOSといいますか、OSに限りませんけれども、いろいろな技術では、何か全面降伏ですか、これは。何か一時のように、IBMに負けるなという熱気が全然ないのですけれども、通産省にやる気があるのかないのか。これは議員が頑張ってくれと言われるかわかりませんけれども、全面降伏なのか、これはどうですか。
  93. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 ソフトウエア分野に対してその重要性を先生認識されるがゆえにと思いますが、厳しいおしかりのお言葉を受けたわけでございますけれども、御案内のように、ソフトウェア部門、一言で申し上げると、日米の比較というのはハード以上に大きなものがあると思います。特に、アメリカの中でも、例えば、あの王国だったIBMが新しいパソコンのソフトウエア分野について大きなおくれをとって、インテル以下によって、大変なベンチャーが急速にその分野を凌駕して、IBM自身がその部分でおくれをとるといったような大きな構造変化が起こっておるということからもおわかりのように、アメリカの中でもそうでございますし、そういうところと日本とを見ると大きな差がある、これは御指摘のとおりであります。  それに対して、我々といたしましては、ソフトウエアについて、IPA、情報処理振興事業協会からの各種の債務保証措置とかあるいはソフトウエアの思い切った開発のための助成とか、いろいろな形をやっておったわけでございますが、さらに抜本的にこれを強化しようということで、先生御案内のように、昨年、一次補正、二次補正、合わせまして約三百億弱の予算を投入いたしまして、新規産業の創造的ソフトウエア開発という予算を講じまして、現在、大学あるいは研究機関その他の人を総動員いたしまして、公募型の、アイデアをどんどん募集いたしております。  これによって、国際共同で開発しようというアイデアも出てきておりますし、さらには、もっとベンチャーにどんどんやらせていこうというアイデアも出てきておりますし、これはすぐ商業化できるという問題ではなくて先の問題でございますけれども、本格的なソフトウエアのための施策を今展開しておる。それによって、国際化の動き、さらには人材育成、思い切った、アイデアだけ持っておるけれども、それを具体的にプログラムに組んでいけない、そういう人たちの盛り上げとか、あらゆる施策を展開しておるわけでございます。  こういうことで直ちに追いつけるとは私は思っておりませんけれども、それぞれの分野で、例えばゲームソフトについては、日本は確固たるものを持ってアメリカよりも上に立っております。そういうようなポテンシャリティーはあるわけでございますから、今までのソフトウエアの開発プロセスのおくれというのをこれから鋭意取り戻していきたいと、おっしゃるように全力を尽くしてやっておるところでございます。
  94. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 渡辺さん、それの責任者でございますけれども、ですから、VS・IBMで頑張られたころの、熱気は熱気ですけれども、これなら結構いけるじゃないかという雰囲気と、今いろいろお金もつぎ込まれて公募型のいろいろなことをやっておられますが、その今の動きと比べて、今の動きで大体あの当時の雰囲気ぐらいはあるという認識なのか、いや、これはやはりだめよ、何とかしなければ、もっと違う方法考えなければだめなのかということを、実際に担当者としてどういう感覚を持っておられるのか。  それともう一つ、基本的にはやはりネットワークの使用料が高過ぎます、コンピューターのビット当たりレートの値段が。そこら辺が非常に、だから、ソフトをやる、やると言っても、実験をやっても物すごく金がかかるということですから、そこらの問題意識も、どういうふうに、実際、過去のVS・IBMと比べてどうなんですか、この実現度は。その辺をちょっと最後にお伺いしたいと思います。
  95. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 ソフトウエアの関係につきましては、おっしゃるような現状、もう改めて偏り返しません。  これに対する対応といたしまして、実は、今創造的ソフトウエア、直接の助成施策を申し上げましたけれども、さらに、合わせて約三百億を超えるエレクトロニックコマースの実験といったよう なのも一斉に今やっておるわけでございまして、約三年がかりくらいでこれからやることになっています。これは、すべての商取引をインターネットを使うような形とか、そういった形で、約三百五十社ぐらいが参加して、五十万人ぐらいの消費者その他関係者が入るような大プロジェクトが今動き始めたわけでございます。  これの実証実験を通じて、さらに今の新しいアイデア、その他のソフトウエアの分野での解決すべき課題というのがどんどん出てくると私は思います。それを、そういう人たちが自分たちの実証実験を通じてさらにバージョンアップを図っていく、こういうことがこれから二、三年、急速に起こってくると思います。これの熱気というのは、今先生指摘ありましたけれども、特にエレクトロニクス関係のみならず、流通あるいは繊維その他あらゆる産業に波及しておりまして、そこで参加しておる、金融ももちろん入っております。  そういった姿で行っておりますので、私は、この三年間のエレクトロニックコマースの実証実験、さらには今の創造的ソフトウエア、これが一巡した後というのは、思い切ったバージョンアップのところで、我々、参画できる分野が相当出てくるのではないかと思っております。ただそれだけじゃありません。さらに引き続き先生方の力強い御支援によりまして、今やっておるような規模、これは現在アメリカがコマースネットでやっておる規模とほぼ比肩するぐらいの実証実験でございますけれども、これをどんどん続けていかなければいけない。  そういう形で、二十一世紀まであと四年残っておりますけれども、十分対応していけるのではないか。さらには、対策本部におきまして、大臣、副本部長に入っておりますけれども、そこで内閣を挙げて頑張っていくようにお願いしたい、かように考えております。
  96. 河村たかし

    ○河村(た)分科員 もうこれで終わりますけれども、いずれにしましても、昔と大体同じぐらいの熱気はあるということでございますね。ぜひ力を合わせてやっていきたいと思っております。  終わります。どうもありがとうございました。
  97. 近岡理一郎

    近岡主査 これにて河村たかし君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  98. 近岡理一郎

    近岡主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管について質疑を続行いたします。大口善徳君。
  99. 大口善徳

    大口分科員 新進党の大口でございます。本日は、コンピューターウイルスあるいはハッカーの対策等につきまして、質問をしたいと思います。  昨年パソコンの出荷台数が五百七十六万台ということでございます。また、行政の情報化ということで、これは昨年ですか、行政の情報化についての五カ年計画ができました。また、今や金融、通信、それから交通管制、道路につきましてもITSとか、そういうインテリジェンス化が進む。あるいは製造の管理、そしてまた物流の管理、それから原子力の管理、ありとあらゆるところにコンピューターが使われておるわけでございます。そういう点で、このコンピューターのセキュリティーというのはコンピューター社会においては非常に大事である、こう思うわけでございます。  これは週刊現代という雑誌に非常にショッキングな記事が載っておったわけですけれども、コンピューターウイルス、これをサンクトペテルブルクのあるコンピューターマニアの青年がつくった。それを電話回線を使って乗せてしまった。そのウイルスが二つの小児病院のコンピューターに侵入して、それでこのコンピューターの診断システムを破壊した。それによって医師が診断を誤って子供が二人死亡した。こういう非常に衝撃的な記事を見まして、このコンピューターウイルスの問題、またハッカーの問題非常に大事だなという認識でございます。  ところが、また日本におきましても、コンピューターウイルス、これは通産省の法人ですが、IPAというところでやっております。昨年は六百六十八件のウイルス被害の届け出があった。あるいは「ウィンドウズ95」も「ボザ」というウイルスが早速できている。こういう状況にかんがみまして、ウイルス対策というのは非常に政府として真剣に取り組んでいかなきゃいけない。  そこで、平成七年度、平成八年度の予算を見てみますと、暗号技術、これももちろんセキュリティーの非常に大事な分野であるわけですが、このウイルスについても、その解析だとか研究だとか、そういうことについてのお金のかけ方が一億三千五百万円という非常にわずかな金額であるわけです。アメリカの場合、こういうものについては国防予算として相当の額が行っておると私は思いますから、そういうことを考えましても、ウイルス対策について非常に日本はおくれている。特に、コンピューター化社会あるいは高度情報化社会の先端を行かなきゃいけない日本が、ウイルス対策についての予算を見てみますと将来の不安が非常に高い、こう思っておるわけですけれども大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  100. 塚原俊平

    塚原国務大臣 御指摘のように、これは非常に重要な課題であるというふうに認識をしておりますし、いろいろな事例があるので対応をきちんとしなければいけないというふうに認識をいたしております。  一昨年の十一月に、機械情報産業局長の私的懇談会としてセキュリティ・プライバシー問題検討委員会を設置をいたしまして、ハッカー、ウイルス対策を初め抜本的な政策の見直しをいたしてまいりました。このような方針に基づきまして、今後ハッカー、ウイルス対策を初めとしたセキュリティー対策を積極的に講じてまいりたいというふうに考えております。  ここの例えば検討課題セキュリティ・プライバシー問題検討委員会検討課題とかあるいはハッカー、ウイルス対策等につきましては、もしお時間、先生の方でお許しいただけるなら、事務方の方から説明させたいと思います。
  101. 大口善徳

    大口分科員 それでは簡単に。
  102. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。  御案内のように、ウイルスあるいはハッカー対策は大変重要な分野でございまして、情報化社会の光と影とよく言われる、その影に相当するところでございます。  今大臣から御答弁申し上げましたように、一昨年の十一月以来、鋭意あらゆる検討をしてまいりました。もっとさかのぼりまして、平成二年から実はウイルス対策その他の基準を策定しておったわけでございますが、先生御案内のように、急速なダウンサイジング、しかもパソコンその他が各所に分散しユーザーの手元でそれが使用されるという、従来の一点集中大型汎用機とはさま変わりになったものでございますから、それを頭に置いて抜本的な見直しをしたわけでございます。  これに基づきまして、ハッカーの届け出制度というのを平成七年八月から新たに実施いたしました。さらに、ハッカー対策基準の策定ということで、これを鋭意策定を進めております。さらに、先ほど先生例示されましたけれども、情報処理振興事業協会において、専門家を集めた研究開発、あるいはその他被害情報の収集、分析、ハッカー、ウイルス関連情報の提供、そういったようなものを集中的に対策を講じようということを行ったわけでございます。あわせて二〇〇〇年までのロードマップも策定した、こういうことで、御案内のように、重要性にかんがみまして鋭意施策を集中しておる、こういうところでございます。
  103. 大口善徳

    大口分科員 そういうことで、予算委員会分科会ですから、予算が本当に一億ちょっとで果たしていいのかということだと思うんです。  暗号関係については三百億という形で投入してありますが、ウイルスについてもこれにもっと私は投入をすべきである、こういうふうに思うわけ でございます。  ハッカーにつきましても、北米では一九八九年から九四年の五年間でハッカーの届け出が十八倍ということでありますので、この点についても、やはり届け出制度がこれからスタートするということでございますので、しっかりとこれはさらに政策を進めてまいっていただきたいと思うわけでございます。  次に、コンピューターウイルス、セキュリティーに関する取り締まりでございますけれども、六十二年に、刑法の改正という枠組みの中で、このコンピューターセキュリティーに関する改正があったわけであります、まあコンピューター犯罪ですね。ただ、非常に不十分である。例えば、韓国はことしの一月から、コンピューターウイルスに対する法案、こういうことで厳しい罰則も設けて、法律をコンピューターウイルスについてつくっている。こういうことから比べますと、非常に日本はおくれているんじゃないかな、こう思うわけでございます。  例えば、ウイルスをつくること、あるいはそれを投与すること、あるいは販売すること、雑誌だとかの広告に四本セット九千八百円とか、ウイルスの広告が出ているというようなこと、非常に私は問題であると思います。あるいは情報の不正入手あるいはハッカー行為、そういうふうに無権限で物を使用するというようなこと、こういうことにつきまして、やはり取り締まりをしっかりやっていかなきゃいけない。  通産省も、また警察庁の方で、これは学者等の意見を聞かれて、今まとめに入っておられるということで、その状況についてお伺いしたいと思います。
  104. 田村正博

    ○田村説明員 最近の情勢の変化対応いたしまして、コンピューター犯罪やハッキング等の不正行為の増加、あるいはインターネット利用によるわいせつ画像の提供といった新たな態様の不正行為が問題として指摘されておるところでございます。  このため、警察庁におきましては、民間の有識者の方々の御参加も得まして、情報システムの安全やその利用の適正を確保するための諸方策につきまして、法制面を含めまして調査研究を進めております。  これまでの経過につきましては、近く中間報告を取りまとめる予定でございます。
  105. 大口善徳

    大口分科員 その中で私が指摘した部分についてはどうですか、どう検討されていますか。
  106. 田村正博

    ○田村説明員 先ほど先生指摘されましたハッキングあるいはコンピューターウイルス等の情報システムの安全性を損なう行為をした者についての法制のあり方といった点も含めて、検討してまいっておるところでございます。
  107. 大口善徳

    大口分科員 これらについては早急に対応すべきである、そう思います。どんどんウィルス被害の届け出件数もふえているわけだし、金融機関のようになかなか届け出をしないというふうなところもありますが、実態は相当被害が広がっている、こう思うわけでございます。  次に、ウイルスの被害に対応する専門家の育成というのが非常に大事になってまいります。  今、このウイルスに対してはワクチン会社、民間では十社ばかりあると聞いております。それから、IPAがあるわけでございますけれども日本にウイルス被害に対応できる専門家が大体どれぐらいいるのか、この数をお伺いしたいと思います。
  108. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘のように、我が国のコンピューターウイルスに対してそれを治すためのワクチンと称されるシステムを製造しておるメーカーというのが、大きいところでは静岡県にありますジェードを初めといたしまして、おっしゃるように約十社ございます。さらに、ワクチンの製造、いろいろな数え方があるのでございますけれども、世界全体で約七千とも八千とも言われるウイルスに対しまして、例えばジェードなどは七千種類ぐらいのワクチンをつくっておる、こういうようなことが報告されております。さらに、IPAにも、先ほど申し上げましたように専門家を設置しておるわけでございます。  ただ、おっしゃいますように、この専門家というのがそういう意味では非常に限られておりまして、例えば、今のIPAで集中的にやっておりますところには五、六人の専門家が常時おりまして、この対応をやっておるわけでございます。それから、メーカーでございますと、専門家約三十人程度の人間がやっておるというふうに報告も受けております。  そういう意味では、ソフトウエア関係の試験制度その他、現在、人材育成をフル稼働させてやっておりますけれども、この分野においても幾つかの監視制度その他の制度とともに、これに携わる人材の育成は大変重要な分野だと思っておりますし、先ほど先生指摘のありました創造的ソフトウエアそのものの振興についても専門家が要りますけれども、これは光と影の裏表の関係でございますので、この分野についても鋭意人材の育成に意を用いていきたい、かように考えております。
  109. 大口善徳

    大口分科員 その専門家の育成について、どの機関がどういう形で育成していくのか、この点についてお伺いします。
  110. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 広い意味でのソフトウエア関係の専門家でございますが、現在、情報処理振興関係の試験制度を毎年行っております。これは、最近の高度情報化社会の中で大変受験者が伸びてきております。さらに、このソフトウエアの関係の重要性というのを我々大変痛感いたしまして、数年前からでございますが、今までの試験制度はたしか五種類程度の試験制度であったものを、思い切って細分化いたしまして、十数ぐらいの区分に分けました。そのほとんどの部分がこのソフトウエア関係の人材を育成する分野の試験制度でございます。  これをやると同時に、各メーカー、それから先ほど申し上げましたワクチンをつくるようないろいろなメーカー、そういったようなところに、それに合格しております人間というのを思い切って社内的に活用するようにといったようなお願いもいたしたわけでございます。そういったような試験制度のものが一つ。  それからもう一つは、これは通産省の関係で、情報関係の団体とか財団とかが幾つかございますけれども、JIPDECと呼ばれるソフトウェア関係の会員制の財団でございますが、そこで各種の教育訓練の機会を設けまして、そこにどんどん出向してきていただいてセミナーを受けてもらう、その他の形でレベルアップを図っている、こういうことを行っております。  さらにもう一つ、マルチメディアの関係でございますけれども、マルチメディアの人材育成センター、研究所というのを、これは長野県の丸子町というところにセンターをつくりまして、ここに各種のマルチメディアのいろいろなソフトをつくり得るような施設を置いて、専門家がそこでつくっておりますけれども、あわせて、そこで光と影の両方の専門家を育てていこう、こんなようなことでそれぞれの分野で対応しておるところでございます。
  111. 大口善徳

    大口分科員 セキュリティー教育について、これはしっかりとやっていただきたいと思います。  それで、ワクチンを製造する民間会社が今大きいところで十数社ある、こういうことですが、IPAでもインテグリティー法の開発をしている、こういうふうにお伺いしております。  そこで、そういうワクチンをつくることについて、このIPAを初めとする公的な部分と民間の部分の役割のあり方について、どういうふうにお考えでしょうか。
  112. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 私どもが今対応しておる基本的な考え方は、情報処理振興事業協会、IPAでございますが、こちらは、被害届その他を一斉にここで届け出を受けまして全貌を把握するというのがまず第一。それから、そこでの相談窓口その他を設けまして、苦情受け付け、あるいは心配その他の相談に応じるということ。それから、現 にそれぞれの市販メーカーでつくられましたワクチンを幅広くユーザーの方に紹介をして万全を期すような役割、こういったものがIPAの仕事でございます。  それとともに、IPAの研究開発部門では、今先生例示を挙げられましたけれども、インテグリティー法といったような、コンピューターにあらわれる形が少しゆがんだ場合にそこにウイルスが入ってきておるんだという特殊な察知をしあるいは検知をする、そういったような方法開発平成五年度から八年度まで約四年間を通じまして行っております。これは、だれでもそれを利用できるわけですけれども、そういった研究開発をやっておるというのがIPAの一つの仕事でございます。  それに対しまして、市販メーカーの方は、発見されまして届け出され、IPAで把握したウイルスその他を細かく情報をキャッチし、彼らがそれに合うようなワクチンを今度は独自にコマーシャルベースでつくっていくというのが個々のメーカーの仕事でございます。  そういったようなことで、公的な範囲で横断的につかまえる形及び横断的な新たな研究開発をするIPAと、個々のコマーシャルベースのメーカー、こういう大きな役割分担をいたしておりますけれども、相互に密接な連携が不可欠でございまして、IPAに定期的な会合を設けまして、そういうメーカーの方とも相談をしながら運営していくという状況でございます。
  113. 大口善徳

    大口分科員 インテグリティー法については、「マクロウイルス」とか「ステルテス」とか新しいウイルスヘの対応が厳しいのじゃないかとか、通産省あるいはIPAの方でインテグリティー法について一生懸命研究しておられますが、それを超えるような新しいものがどんどん出てきておりますので、民間との協力もしながら、情報交換もしながら、年に七十種類ぐらいですか、絶えずどんどん新しいものが発見されているようですが、これからますますそういうことで、今通産省で研究しているものが対応できないようなこともどんどん起こってきておりますので、しっかりとそのあたりはやっていただきたいと思います。  一九九九年にISO・IECの情報システム関連機器のセキュリティー評価・認証、こういう形でそれに向かって国内においても、この国際標準、一九九九年ということでございますので、それに対する対応、これもしっかりとやっていただかなきゃならぬ、こう思っております。  そのあたりについてのセキュリティー評価・認証について、ちょっとお伺いしたいと思います。
  114. 渡辺修

    ○渡辺(修)政府委員 コンピューターのウイルス、ハッカー、あるいはそれに対するセキュリティー対策というのは、ユーザーサイドで各種の安全評価基準を策定し対応しておるというのを先ほど申し上げたわけでございますが、それとともに、ソフトウェアをつくるメーカーの方でございます、パッケージソフトをつくってどんどん売り出しておりますけれども、そのメーカーサイドで安全あるいは評価、そういったような基準を策定して、ソフトウエアの製造物そのものも供給サイドでこれに対応を図られないか、こういうのが実はISOで今議論されておる問題でございます。  御案内のように、そのセキュリティー評価基準の策定問題につきましては、特に欧州、アメリカ、これは六カ国で今議論がどんどん進んでおりまして、それと呼応するような形で国際標準化機構、いわゆるISOと言われるところでございますが、そこに技術的な専門家会合を設けてこの問題を検討しておるわけでございます。  我が国におきましては、日本電子工業振興協会、これはコンピューターメーカーでつくっておる協会でございますけれども、そこでセキュリティー評価基準の作成に向けて平成六年の六月に基本的な骨格のものをつくりまして、さらにそれをブラッシュアップするような形で今進めておるわけでございます。そうした国内作業等をさらに発展させる形でISOのテクニカルコミッティーの方にも我々参画いたしました。九九年目指して、これの基準策定に鋭意努力いたしておるわけでございます。  国際標準化の形がISOである程度固まってまいりました暁には、今度は、国際ハーモナイゼーションはそれでできるわけですけれども、各国それぞれ自分の国でどういう認証制度を設けていくかという作業に移るわけでございます。我々といたしましては、そういったISOの場での議論をよく踏まえながら、国内的にはこれをJIS、日本の標準分類のJISでございますけれども、JIS化していく方向で対応検討したい、このように考えております。  あわせて、先生先ほどおっしゃいました認証制度でございますけれども、この認証機関、これもどこか第三者機関が必要だと思います。こういったものも今のJIS化の動きと合わせて、一九九九年というのを視野に入れつつ国内的な対応を図っていきたい、かように考えております。
  115. 大口善徳

    大口分科員 また、このコンピューターセキュリティーというのは、安全保障とも非常に重大なかかわりがあります。  アメリカでは、国防総省、ペンタゴンにおいて非常に研究が盛んでして、例えば電磁波による爆弾、強烈な電磁波を出して電子機器類を破壊するとか、あるいはいろいろ、米統合参謀本部の指揮・管制・通信・コンピューター局長というのが参謀本部にあるのですね、このアーサー・セブロースキ海軍中将は、昨年六月七日、情報戦争というのはやがて核攻撃の脅威にかわるだろう、あるいは「社会の力を奪い情報システムを破壊して戦争遂行手段を持たせないことは大変な抑止効果がある、」こういうことで、情報戦争あるいは情報力戦争ということを通常戦争それから核戦争とは別のジャンル、しかもこれは非常にこれから大事になってくる、こういう見方をしております。  そこで、防衛庁におきまして、こういう情報戦争に対してどういうディフェンスを考えているのか、その研究のあり方についてどうなのかということと、それから、防衛庁のいろいろ業務系あるいは指揮命令系にコンピューターを使っているわけですけれども、そこにコンピューターウイルスが入り込まないように防御システムがちゃんとできているのかどうか。それから、官邸は今映像でもって防衛庁とやっているわけですが、官邸との間でいろいろ電話回線等がこれから直結するというようなこともあると思います。そういう場合のウイルスの侵入についてどう考えるのか、こんな点についてお伺いしたいと思います。
  116. 渡部厚

    ○渡部説明員 御答弁させていただきます。  まず最初に、現在自衛隊におけるコンピューターセキュリティーについてはどのようになっておるかという点でございますけれども、御案内のように、防衛庁におきましては、指揮、通信システムを初めといたしまして各種のコンピューターシステムを導入しているところでございます。これらのコンピューターシステムは、自衛隊の任務を効果的に遂行する上では極めて重要な機能を担っておるものでありまして、このため、私ども防衛庁としましては、従来からこれらのコンピューターシステムの機能の保全のため所要の措置を講じてきているところでございます。  その具体的な内容につきましては差し控えさせていただきますけれども、現時点におきましては、例えば外部からの不法な侵入を防止するというような観点からは十分な措置がとられているというふうに考えております。しかしながら、コンピューターにつきましては、その技術的進展が著しい、あるいは防衛庁のシステムの導入がこれから増加が予想されるというようなことを踏まえまして、今後とも引き続きコンピューターシステムの機能の保全が図れるよう各般の情勢に配慮しながら適切な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。  また、次の情報戦争という問題でございますけれども、この情報戦争ということにつきましては、私どもも、一部の報道あるいは文献等においてそういう記述があることは承知しております。ただ、現時点では、その可能性等について必ずし も実態が明確でないというようなこともございますが、私どもとしましては、各般における動向には十分注意を払っているところでございます。  いずれにしましても、先ほど官邸等の関係というような問題もございますが、それらも含めまして、保有するコンピューターがその能力を十分に発揮し得るように、コンピューターに障害を及ぼし得るいろいろな要因が考えられますけれども、その要因の分析あるいはそれらへの対応については今後とも十分に検討してまいりたいと考えております。
  117. 大口善徳

    大口分科員 十分であるなんということは言える根拠も何もないわけですから、そこら辺については、そういう答弁では私は非常に納得がいきません。絶えずやはり防衛を預かる身として十分なんという言葉は使わないでいただきたい、こう思っております。  イラクの防空システムに、湾岸戦争のときにコンピューターウイルスが入り込んだというような報道もなされておりますので、引き続き研究をしていただきたい。そのために予算もしっかりとるということも考えるべきであると思います。  あと最後、原子力発電所のコンピューターセキュリティーについてどうなのか、これは九二年の産経あるいは読売で報道されています。産経新聞では一月三十一日、読売で九二年の二月一日に報道されていますが、「原発にウイルス侵入」、リトアニアの職員ですね。これはインサイダーの犯行ですが、コンピューターウイルスを原発のシステムに侵入させて、そして原子炉を損壊させようとした疑いで逮捕された、こういうものであります。  インサイダーの対策も含めて原子力発電所のコンピューター・セキュリティー・システムについてお伺いしたいと思います。
  118. 江崎格

    ○江崎政府委員 お答えいたします。  原子力発電所の制御用のコンピューターでございますけれども、これは信頼性が非常に高い専用のディジタル制御装置を複数台使用しておりまして、仮に万一、一台が故障いたしましても全体としてバックアップできるという体制になっております。  それから、先ほど来御議論のありましたウイルスの問題でございますけれども、発電所の制御用のコンピューターは外部の回線とは接続されておりませんので、ウイルスの侵入の可能性というのは排除できるのではないかというふうに思っております。  それから、原子炉を緊急停止させる系統の安全上の制御装置でございますけれども、これにつきましては、機械式のスイッチを使用いたします独立性あるいは多重性を有した制御装置でございまして、コンピューターが万一故障いたしましても安全に停止できるという仕組みになっております。  いずれにしましても、原子炉の安全性の確保というのは非常に大事でございまして、私ども、今後とも万全を期すようにさらに努力をしたい、このように考えております。
  119. 大口善徳

    大口分科員 時間も来ましたのでこれで終わりますが、特に原子炉あるいは防衛システムにつきましても、インサイダー、中にいる人がそれを侵入させる、こういうことが一番心配でございますので、しっかりとやっていただきたいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  120. 近岡理一郎

    近岡主査 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。  次に、樽床伸二君。
  121. 樽床伸二

    樽床分科員 新進党の樽床伸二でございます。本日、中小企業政策一般に対しまして御質問をさせていただきたいと存じます。  大臣初め皆様方も十二分に御存じのことであろうと思いますが、中小企業我が国経済のまさに足腰である、こういった認識を持っております。今さらながらでございますが、中小企業は全事業所の九九%、ほぼ一〇〇%と言っていいわけでございますが、九九%の事業所の数を占め、そして従業員数では全体の七〇%を超える従業員を抱える、このようなことでございます。この中小企業活性化なくして我が国経済活力は絶対にあり得ない、このように私は強く認識をするものでございます。そういった前提の中で、中小企業政策に対しまして大変力強い今後の御支援を心からお願い申し上げる次第でございます。  そういう中で、特に中小企業に対しまして、最近いろいろ議論が出てきておりますベンチャービジネスヘの投資促進等々、こういった要望も各商工会議所等々にいろいろあるところでございます。私の認識しておるところでは、二回ほどベンチャー企業ブームというような形で、ベンチャー企業、ベンチャー企業というようなことがいろいろ、マスコミまた世間で言われた時期がございました。そういった波が出ては消え出ては消え、こういうことでございますが、いまだ我が国におきましては、十分にベンチャー企業が発展をしていく、そういった土壌が整っていない、こういう認識を私は抱いております。  一説によりますと、我が国では年間四万社の企業が創業される。一説によるということでございますので正確な数字はそれぞれの調査機関によって違うかもわかりませんが、私が聞いております数字によりますと、我が国では毎年毎年、年間四万社の企業ができていく。一方、アメリカにおきましては年間七十万社ができていく、こういったことも聞いております。新しい企業が生まれてくるという、ここに実は大変経済活力の源がある、私はこのように思います。  なぜアメリカと我が国でこれほど創業に対する現状が違うのかということは、これは我が国経済政策の中でこれから最も重要視していかなければいけない問題であろう、こういう認識を大変強く抱いております。  私見でまことに恐縮でございますが、我が国は、戦後五十年間の過程の中で、体質的にはローリスクの中で実はローリターンであったはずであります。しかし、高い成長をすることによって、そのローリターンをハイリターンに変えていった。現象的には、実はローリスク・ハイリターンという形で戦後の、特に高度経済成長を中心とした運営が行われてきた。そういった中で社会のあらゆるシステムが、特に経済政策に対するシステムもそのような枠の中で行われてきた。しかし、そのハイリターンを保証しておった高い成長がたくなったという現状の中で、今は、ローリスクであるならばこれは必ずローリターンしか返ってこない、こういうことであろうと思います。  そういう中で、やはり我が国経済の資本市場の原理に基づいて、ハイリスクであるけれどもハイリターンであるというような分野が一部分にはなければ我が国の企業は活性化をしない、実は子の分野にベンチャー企業が生きていく大きな道があるのではなかろうか、私はこういう認識を強く抱いておるところでございます。  そういった中で、特にベンチャービジネスにつきましては、諸施策が最近行われておるところでございますが、特に初期段階の資金的な脆弱性というものは大変強くあるわけでございます。新しい企業を起こそうというときに、どうしても、初期の資金をどうやって調達をするのかということが大変重要なポイントでございます。ここら辺の分野につきまして、実は我が国の政策というのは非常に乏しいという認識を私は抱いております。  アメリカでは、エンゼルと言われる個人投資家等々が活発な活動を続けておるわけでございますが、我が国ではなかなかそういう部門が育ってこない。これは税制の問題でもあろうかとは思いますが、初期のベンチャー企業に対する立ち上げの資金、それからまた、最近インキュベーターという言葉もようやくなじんできたわけでございますが、企業がふ化していく、要するに生まれていくためのいろいろなサポートをしていく、そういった前提に立ちまして、通産省及び中小企業庁においてどのような方針でお考えであるのかということをまずお聞きをさせていただきたいと思います。
  122. 新欣樹

    ○新政府委員 先生指摘のように、中小企業は、事業所数の九九%を占めるあるいは従業員数の七八%を占めるというようなことで、国民経済を支える役割、あるいは雇用を支える役割というものを果たしてきた。さらには、例えば、地方におきます伝統行事、文化というものの担い手といたしまして、いわゆる地域を支えるというような役割も担ってきたわけでございます。  ところが、最近、これに加えまして新しい役割というものが期待されるに至っておるわけでございます。それがまさに御指摘のような、中小企業の持ち前のいわゆる起業家精神を生かしまして創造的な事業活動を行い、また新分野に積極的に進出をしていくというような、いわば新しい経済フロンティア、開拓の担い手であるというような役割が期待されておるところでございます。  こういう流れの中で、昨年四月に中小企業創造活動促進法という法律を御制定いただきました。ここにおきまして、各種の金融面、税制面あるいは技術開発面での措置をいただいたわけでございますけれども、例えば金融面というのに関して申し上げますと、中小企業の信用保険の特例でございますとかあるいは政府系金融機関による融資というような措置があったわけでございます。  御指摘のように、立ち上がりの時期の資金調達に、中小企業、特に創業、ベンチャービジネスにつきましてはなかなか大変な思いをするということがございます。このため、実は昨年九月の経済対策並びに十月の補正予算措置におきまして、新たにいわゆる創造的な活動を行うベンチャー企業、中小企業に対しまして、直接金融、これは株式引き受けでありますとか社債の引き受けというものでございますけれども、新たなそういう直接金融を活発にさせるという措置を中小企業事業団の無利子融資措置を通じまして講じたわけでございます。  これは御案内と存じますけれども、県にございますいわばベンチャー財団というところが、高度化融資を受けまして、ベンチャーキャピタルを通じ、先はどのような株式の引き受け、社債への債務保証といったようなものに支援を行う、こういうスキームをとったところでございます。  なお、さらにこれを一層充実すべく、今国会におきまして中小企業創造活動促進法の一部改正というのを御提案申し上げておる次第でございます。
  123. 樽床伸二

    樽床分科員 ありがとうございます。  そういった諸施策考えていただいておるわけでございますが、実は私の手元に商工会議所の方からの要望書も届いておるわけでございます。その「ベンチャービジネスヘの投資促進に関する要望」という中でも、会社型投資信託の創設であるとか、税制面の優遇制度の創設、それから、ベンチャービジネスの所得に課税をしないで、個人投資家に直接課税して他の所得と損益通算できるようにするような制度の創設とか、そういった要望が来ておるわけでございます。こういったいろいろな声があるということもぜひとも御理解をいただきまして、このベンチャービジネスに対する諸施策を鋭意進めていただきたい、このように考えるところでございます。  今、中小企業庁及び通産省の方でいろいろ諸施策をしていただいておることとは思いますが、しかし先ほど、全事業所の九九%、こういうふうに申し上げました。膨大な数に上るわけでございます、中小企業そのものが。そしてまた、年間、少ないながらも四万社という企業が生まれていく。そういった企業に対して、役所の方で一つ一つ措置をするなんというのは、これは不可能に近い話でございます。  そういった中で、基本的にそれぞれの中小企業の自主性というものを尊重しなければいけない。そういう中で、中小企業が持つ、大手に比べての脆弱性、規模が小さいということをいかにカバーしていくのかというような取り組みの中で、御存じのようにいろいろ、協同組合等々の組織化というものが進められておるわけでございます。  この自主的な組織化、商工会議所を初め中央会等々いろいろの取り組みがあるわけでございますが、その中でも特に中央会、中央会というのは、全国中央会というのは上に乗っているだけでございまして、各都道府県にそれぞれの中央会があるわけでございます。その中央会の中に非常に多くの各種組合が存在をしているわけでございます。  そういった組合のそれぞれの活性化、これはその組合それぞれに対してはその当事者の方々の責任というものが大きいわけでございますが、トータルとして、マクロとして、中小企業団体中央会が抱えるいろいろな自主的な組合をいかに活性化をさせていくのかということが大変重要なポイントではなかろうか、このように私は考えておるところでございます。  こういった点につきまして、先ほど申しましたように、すべてを国で手とり足とりやるというのはこれは本末転倒でありますし、そういうことを望むべきでもないと思いますが、自主的にやっていく、こういったそれぞれの組合に対してこれからどのような活性化方法、方策を考えておられるのか、ぜひお聞かせをいただきたい、このように考えます。
  124. 新欣樹

    ○新政府委員 中小企業団体中央会でございますけれども、現在、私どもの把握しておりますところで、平成七年三月末の、いわゆる組合、事業協同組合とか商工組合とかございますけれども、こういったあらゆる組合を通じまして四万八千七百ほどの組合がございます。このうち、御指摘の中央会に所属をいたします会員組合が三万四千八百三十一ということでございまして、これはもう大変な数の組合が会員になっておるわけでございます。しかも、ここの傘下の構成員ということまで考えますと、非常に大きな数になる。ちなみに、中央会加入組合員の所属員数で申し上げますと、三百十八万人というようなことになるわけでございます。  こうした中央会をどのようにこれから活性化をさせていくのかというお尋ねでありますけれども平成六年六月に中小企業組織化政策懇談会というものを開きまして、ここで提言が出されてございます。この提言は極めて示唆に富むものでございまして、中央会について、引き続き中小企業組合の設立・運営指導に努めるとともに、二つの点、一つは共同出資会社あるいは任意グループなど、組合という形態をとるものだけではなくてそれ以外の連携組織というものに指導対象範囲を拡大していってはどうかというのが第一点。  それからもう一つは、例えば情報化というようなものがこれから必要となってまいります。どんどん進めていかなければなりませんけれども、こういった専門知識の蓄積を通じまして、高度な指導ニーズヘの対応というものが必要であるというぐあいに指摘をされているところでございます。  こういった提言の趣旨を踏まえまして、私ども、組織化指導のための補助金の拡充ということに努めておる次第でございまして、平成七年度におきましては七十六億二千百万円のところ、八年度予算案には七十八億二千八百万円というものを計上いたしまして、新たなる活性化に向けた指導を行ってまいりたいと思っております。
  125. 樽床伸二

    樽床分科員 ありがとうございます。  今長官からお話もございましたように、まさに三万五千に近い組合がそれぞれ加入をしておられて、三百十八万人の数に上る、こういうことでございます。  先ほどお話しいただきました任意グループとか共同出資会社等々までウィングを広げてやっていくという中で、どうしても組織というものは一度でき上がると硬直化し始める、こういった通例があるわけでございまして、大きければ大きいほどその活性化についての御努力は大変なものがあろう、このように考えるところでございます。我が国中小企業の自主的な力を引き出す、こういった前提で、ぜひとも最大の規模を誇る中央会に対しましての御指導を心よりお願いを申し上げる次第でございます。  さて、続きまして、もう少し個々の地域を見てまいりますと、それぞれの地域の活性化というこ とが言われてもう既に二十年近くたつわけでございます。市町村または県単位で地域活性化の取り組みが日本全国でいろいろ行われてきたわけでございますが、そういったことをよく見ておりましても、やはり中心は、その地域の商業、地元の中小商業関係者の活性化というところが大きな柱ではなかろうか、このように思うわけでございます。  御存じのように、至るところに商店街というものがあるわけでございますが、しかし、昔の商店街とだんだん最近はさま変わりをしてまいりまして、昔のような商店街の発想ではなかなか商店街活性化も進まない、こういうふうに思うわけでございます。しかし、それをほっておけば、その地域の購買力も低下をし、購買力がどんどんどんどん地方の中核都市に吸い上げられていく、こういった現象もこれあり、地域の活力が失われていくということを大変危惧をいたしております。  そういった前提で、それぞれのその地場に張りついた中小企業を中心とする商店街活性化に対しまして、どのように今後取り組んでいかれるのか、ぜひとも力強いお言葉をいただきたいと思います。
  126. 新欣樹

    ○新政府委員 小売商店街は、最近の消費者行動の変化でございますとか、あるいは価格競争の激化というような著しい環境変化に直面をして、非常に厳しい状況にあるということでございますが、最近では、特に中心商店街などにおきまして、いわゆる空き店舗問題というようなものも大きな課題となってあらわれてきておるところでございます。したがいまして、基本的に私どもは、問題解決に意欲を持つ中小小売業者の方々、とにかくやる気のある方々が環境変化に的確に対応し得るように、関係施策充実強化に積極的に努めておるところであるわけでございます。  一つ二つ例を申し上げますと、一つは、例えば、秩父に秩父市というのがありますが、ここには三大夜祭りの一つがございます。この日には、十二月三日でございますけれども、二十万人がわあっと集まるということなんです。これにヒントを得まして、地元商店街が、毎月の第三土曜日というのを、これをひとつナイトイベントといいますか、そういうものをやろうではないかということで、夜、営業しよう。そうしますと、年、大体平均をいたしまして二万人ぐらいの方々がお集まりになるというような例があって、その日は通常の売り上げよりもぐっと大きく売り上げが伸びるというようなことなどで、知恵を絞っておられるところもあります。  それから、空き店舗などにつきましても、四国の例えば観音寺市の商店街などにおきましては、家賃をただにする、あるいは安くするというようなことで、空き店舗に入ってくる創業者に対しまして、最初の半年はただにする、それから、その後一年半は通常の家賃の二分の一にするというようなこと、また、二年たってうまくいけば後は通常の家賃、こういうように知恵を絞って一生懸命に皆さん御努力をしておられます。  こういうようなことに対しまして、私どもは、各商店街にも広く成功事例などについてもPRもし、そして、とにかくやる気があり、いわゆるチャレンジ精神を持って事に当たろうとするところにつきましては、例えばアーケードでありますとかカラー舗装あるいは駐車場といったような商業基盤の整備に対する補助金の強化拡充というようなものにも努めてまいりますし、あるいは町づくり会社による施設の整備というようなものを支援してまいりたい。また、空き店舗対策についても、国のサイドからもモデル事業どもやってまいりたいというようなことで、とにかくこの商店街が、地域の経済の担い手として、またにぎわいのもととして、また文化の担い手として活性化していくというために努力をしてまいるつもりでございます。
  127. 樽床伸二

    樽床分科員 今、トータルで商店街の問題についてお話しいただいたわけでございます。  先ほど、長官も何度もおっしゃっておられました空き店舗の問題でございますが、私は、その空き店舗を、やはりプラス発想で考えていかなければいけないだろう、このように思っております。  空き店舗があって、そこに実は非常に集客力のある何か新しい店舗が入ってくる、そこで一気にその商店街に人が来る、こういうことになるわけでございます。硬直化した、ずっと同じ商店が並ぶ中で、どこか空き店舗ができた、それを、空き店舗ができたから商店街は困るなというのではなくて、いかにいいように、新たなステップにしていくかというような発想を、やはりそれぞれの地元商店街は持たなければいけないんだろう、このように思っております。そういった前提で、ぜひとも力強い御指導をいただきたいなという思いでいっぱいでございます。  それから最後に、先ほど来よりチャレンジ精神という言葉をたびたびいただいておったわけでございます。私は、大阪の選出でございます。大阪というのは、起業家精神、チャレンジ精神が非常に旺盛な地域である、このように言われておったわけでありますが、最近、もっともっとそのことを強く言わないと、大阪もそういった精神がだんだん減少してきているのではないかということを強く心配をして、元来持っておったそのチャレンジ精神を生かしていくというような方向で地元の大阪の発展もなければいけないなというふうに思っておるわけでございます。  そういう中で、実は、直接通産省の問題ではないかもわかりませんが、ぜひ考え方をお聞きしたい問題が一点ございます。  それは、近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律というものがございます。当時、都心部に、既成市街地の中に工場をできるだけつくらないようにしよう、工場はもっともっと外へ、郊外へと出ていきなさい、こういう趣旨でこの法律が制定をされたというふうに私は認識をしておるわけでございますが、時代は恐るべきスピードで変化をいたしておりまして、都市型産業がその都市の中で芽生えていかなければいけない、こういったまた時代の流れになっておるだろうというふうに思います。  昔のように工場即公害を外にもたらすもの、こういった発想は、だんだん変わってきておるし、また変えなければいけないんだろう、このように私は認識をいたしております。でありますから、そういった、ばさっと網をかけて、この近畿圏の既成都市区域において工場をできるだけ外へ出そう出そうという趣旨の法律は、もはやその寿命は尽きているのではなかろうか、こういうふうに私は認識をしておるところでございます。こういった法律は、もはや時代にそぐわなくなったという前提の中で、ぜひとも廃止を考えるような方向でお考えいただくことはできないものだろうかというふうに、私は強く認識をしておるわけでございます。  直接所管の法律ではないかもわかりませんが、やはり通産省としてのこういう問題についてのお考えをぜひともお聞かせをいただきたい、このように考えております。
  128. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 先生指摘の工場等制限法、まさしく国土庁所管の法律でございますので、当省からお答えすることは必ずしも適当ではないかと思いますけれども、私も、三年前、近畿の通産局長をしておりまして、今先生指摘のような、地元経済界のこの工場等制限法の緩和なり見直しについての要望がなされているということは、十分承知をしております。  国土庁におきましても、こうした状況を踏まえまして、昨年、通達を改正いたしまして、制限施設の譲渡あるいは工場アパートの取り扱いにつきまして、工場等制限法の運用の明確化を図るなど、幾つかの措置を講じております。  私ども産業立地を進めるに当たりましては、大都市における製造業の位置づけとか、あるいは産業空洞化の懸念ということがございますので、そういう現下経済環境変化を踏まえて産業立地政策を考えていかなくてはいけないのではないか、そういったときに、この工場等制限法は昭和三十九年に制定されたわけでございますか ら、その後の情勢の変化をどう織り込むかというようなこともございます。  また、よく地元経済界等の要望も聞きまして、私どもといたしましては、このような状況を的確に国土庁にもお伝えをし、工場等制限法による規制ができるだけ、先生おっしゃいましたような構造改革というものに資するような運用なり、あるいはそのあり方につきましても、国土庁等関係省庁ともよく連携して、適切に対応してまいりたいと思っております。
  129. 樽床伸二

    樽床分科員 ありがとうございます。  我が国は、どうも悪い癖がありまして、一度つくった法律をなかなかつぶさないという、大変かたくなな姿勢がトータルとしてあるわけでございます。今、大変力強いお言葉をいただきましたが、そういった点にかんがみて、柔軟に運用していくということももちろん重要ではありましょうけれども、要らなくなったらもう思い切ってやめてしまうというような発想で、ぜひともこの問題には取り組んでいただきたい、強く要望をさせていただきたいと思います。  本日、中小企業政策一般につきまして数点にわたりまして質問をさせていただきました。冒頭にも申し上げましたように、中小企業活性化なくして我が国経済は成り立たない、こういった大前提の中で、その民間の持つ活力をいかにうまく引き出していくのかというような視点に立っての中小企業政策のさらなる推進を心よりお願いを申し上げまして、私の質問を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
  130. 近岡理一郎

    近岡主査 これにて樽床伸二君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  131. 山原健二郎

    ○山原分科員 私は、一月十四日夜九時半に、愛媛県の伊方原発で起こりました事故の問題について、質問をしたいと思っております。  大音響が二時間にわたってとどろき渡るという事故が発生をしました。ところが、通産省資源エネルギー庁はこれを軽微なトラブルと評価したと、多くの新聞が報じております。事故直後で原因も調査されていないのに、どうして軽微と断定できるのか、これは非常に不思議なことでありますが、安全についてのおごりがあったのではないかという住民の声がたくさん出ております。  しかも、住民が味わった恐怖を全く意に介していないという、そういう気がするわけです。  私も、事故後、現地に調査に入りましたが、ある住民は、ドーン、ドーンと爆弾の落ちたような物すごい音で始まり、その後ジェット機が真上を超低空で飛ぶようなゴーッという音が二時間も続いた、そして、外に出てみると、原発から白煙が、実は水蒸気なんですけれども、上がっているのが見えた、これは原発の大事故だと思い、懐中電灯を持って、家族に逃げるぞと声をかけた。小学生の子供は、学校はどうなるのと。といいますのは、この日は日曜であったんですが、妻は、放射能が出るようだったら家の中の方がええんじゃないか、こういうふうな会話がなされております。そうしてこういう場合にどうしたらいいのか、何も教えてもらっていないことに急に腹が立ったと語っているわけでございます。  原発から大轟音がとどろき、二時間にもわたって異常な音が続き、白煙と見えるものが立ち上っている。こういう事態を目の当たりにした住民の恐怖、焦り、腹立ちというものを考えましたときに、この政府側の発表、軽微なものだった、軽微なトラブルであったという表現の仕方が正しかったかどうか、最初に伺っておきたいんです。
  132. 江崎格

    ○江崎政府委員 今回の事故でございますけれども、私どもは決して問題を軽視しているわけではございません。ただ、放射能が漏れるような事故ではないという認識をしたということでございまして、問題としては非常に重要な問題というふうに私ども受けとめております。
  133. 山原健二郎

    ○山原分科員 私も二月五日に現地へ参りまして、説明も聞き、案内もいただいたんですが、一つ驚いたのは、中央制御室にいた四電の技術者は、この大轟音に全く気がつかなかった、こう言うんです。外の音が全く聞こえない構造になっているためのようですけれども、こうした思わぬ弱点がこの伊方原発にもあるのではないか、そういうふうに思ったわけです。  今回の事故に関する四国電力の報告書を見ますと、設計と異なるドレントラップ(排水装置)がつけられていたという、いわゆる発注ミスが事故につながったということなのでございますが、これはとても信用できないような思いがするわけで、どうしてこんな基本的なミスが起こったのか、それにまた気がつかなかったのか、この点はどうなんですか。
  134. 江崎格

    ○江崎政府委員 今回の事故でございますけれども、一月十四日に四国電力のこの伊方原子力発電所の三号機におきまして、定期点検のために出力を降下中に湿分分離加熱器の逃し弁というのが損傷いたしまして、それで蒸気が放出されるというトラブルが発生したわけでございまして、その原因でございますが、逃し弁の周辺機器でございますドレントラップという部分が、今先生指摘のように設計と異なるものが使われていたということでございます。  それで、このドレントラップでございますけれども、これは二次系の冷却糸に接続されているということと、それからもう一つは、比較的圧力の弱いところで使用されるという機器なものでございますので、電気事業者自身が自主的に保安の確保を図るべきものというふうにされているものでございますけれども、今回のこのトラブルを考えてみますと、仕様と異なる設備の設置が事前にチェックできなかったという、電気事業者自身の品質管理上の問題が一つございます。  それからもう一つが、これも先生指摘のように、電気事業者が運転中の巡視点検におきまして、このトラップが作動しないということについても発見できなかった、したがって、トラブルを未然に防止することができなかったという意味で、運転管理面にも問題があるというふうに私ども認識をしております。  いずれにしてもこういうことでございますので、四国電力に対しまして、品質管理の強化と、それから運転中の巡視点検の強化など対策を徹底することによりまして、品質管理とそれから運転管理に万全を期すようにという指導をしております。
  135. 山原健二郎

    ○山原分科員 ちょっと技術的なところがわからぬこともありまして理解しにくかったんですが、とにかく、一号機、二号機、三号機とやったのは三菱重工なんですね。しかも、技術的にも日本のトップクラスの企業が発注ミスというのは、どうにもわからぬですね。これは原因を究明しなければ、発注ミスなどということで事故が起こって、それが原因だと、だれが責任をとるのかも、それが三号機というのは、これはもちろん一年何カ月たっておるわけですが、その間に気がつかないというのもどういうことなんだろうと。  しかも四国電力にしましても、伊方原発は大丈夫だと言い続けてきたわけですね。しかも、第三号機というのは一番新しくて一番安全だということを県民にも宣伝をし、我々も聞いておる。私もこの伊方原発に最初からいろいろな関係を持っているわけですが、こんなことが、あれだけの問題の中で、あれだけの住民の反対もあり、そして設置されて、そしてミスがあった、発注ミスがあった。信じられないんですね。  これはどういうふうな解決をするんですか。その部品か何かをかえれば終わるというようなものですか。
  136. 江崎格

    ○江崎政府委員 私ども理解では、発注そのものは適正になされていたんですが、納入された機器が発注したとおりのスペックのものではなかったということでございます。それについて、事前にこれが発注したとおりのものでなかったということが発見できなかったという意味で、品質管理上、非常に電気事業者に問題があるという理解でございます。  それからもう一つは、今これも委員指摘のように、もう運転を始めて一年以上たっていたわけ でございますが、その間にこれが適正に作動していないということについて気がつかなかったという点で、運転管理上も非常に問題があるというふうに理解しているわけでございます。  私ども、こうした原因究明を受けまして、まず、この部品を適正なものにかえるというのはもちろん当然でございまして、それからさらに、先ほど申し上げましたけれども、品質管理体制の充実ですとか、あるいは運転管理につきまして万全を期すようにという指導をしたところでございます。
  137. 山原健二郎

    ○山原分科員 ちょっとこれを見ますと、いわゆる「設計と異なるドレン・トラップ(排水装置)が付けられていたことが、夜中二時間に渡る大豪音で住民を不安とパニックに陥れた、技術的原因」だ、こうなっているわけですが、「その責任は伊方原発を一、二、三号機とも製作した三菱重工の「発注ミス」にある」というわけですが、「しかもドレン・トラップを納入した業者は「規格通り、内圧差十六気圧まで作動する球を提示した」が、三菱は「排水量を満たさないと判断して」内圧差八気圧までのものを、発注したというのだから、」こういうふうになっていますが、この発注ミスというのは、これはちょっと考えられない。  今日のこの科学の先端を行く原発の中で、こんなことが起こるという、これはよほど警戒をしなければ、国民説明がつかぬわけですね。そうお思いになりませんか。
  138. 江崎格

    ○江崎政府委員 今のこのドレントラップでございますけれども、本来なら気圧差が平方センチ当たり十六キログラムまで作動するというドレントラップが取りつけられなければいけないところを、八キロの気圧差で作動しなくなるというものが取りつけられていたということでございます。  こういう、スペックと違うものが取りつけられるかどうかということについて事前にチェックするのは、もちろん電気事業者の責任でございます。それをまたつくり、納入した業者ももちろん責任はありますが、私どもとしては、まずとりあえずは電気事業者の責任を追及する。それで、こうした改善につきまして措置をとらせたということでございます。
  139. 山原健二郎

    ○山原分科員 資源エネルギー庁が二月二十三日に発表した文書によりますと、設計外のドレントラップが取りつけられていたことが判明し、「この結果、プラント運転中に母管内にドレンが滞留し、」云々と書かれておるのでございますが、このいわゆる滞留したドレンというのは、どの程度の量になっておったのでしょうか。
  140. 江崎格

    ○江崎政府委員 今、資料を調べておりますので、ちょっと時間をいただきたいと思います。
  141. 山原健二郎

    ○山原分科員 時間がありませんから、四国電力が発表した事故報告書ですと二十五トンというふうになっているわけです。一昨年の十二月に運転が開始されましたが、一年余にわたって、排出されるべき水が二十五トンもたまるという異常な状態にあったことがわかったわけです。電力会社も資源エネルギー庁も安全管理、点検をしているはずですが、なぜこれに気がつかなかったのですか。
  142. 江崎格

    ○江崎政府委員 先ほども申し上げましたけれども、運転管理に問題がございまして、このトラップが正常に作動していないということについて電気事業者側が気がつかなかったということでございます。
  143. 山原健二郎

    ○山原分科員 時間の関係で先に進みます。  結局、原発の安全管理体制のずさんさというものを証明したような気がするのですよ、今度の「もんじゅ」の問題もそうですけれども。この取りつけミスでウオーターハンマー現象が起こり、大きな衝撃の繰り返しによって逃し弁が破壊された。そのとき「非常に大きな異音」と報告書に書かれた大音響が発生し、その後、二時間にわたって弁が開いたままとなり、ジェット機が超低空で飛んでいるような音を出し続け、周辺住民を大きな恐怖に落とし込んだ、こういうふうになるわけでございます。  結局、最初に申しましたように、軽微なトラブル、こういうふうな判定の仕方、そこに原発というものに対する国民の不安を本当に解消するという科学的な姿勢がなかったのではないかという点を申し上げておきたいと思います。  今回の事故につきまして軽微なトラブルだと、これはトラブルのランクによってそういうふうな言葉が出たのでしょうけれども、決してそうではないという考え方を持たないと、今後もそういうトラブルが起こらないという保証はないわけですから、今回の事故を謙虚に検討して、なぜ発注ミスを招いたのか、なぜ二十五トンの水が排出されずにたまっていたのに取りつけミスを一年間も発見できなかったのか、こういう同じようなミスがないのかどうか、これは安全管理体制の点検を本当にきちっとすべきだと思います。  この点について、大臣はどうお考えになるか、一言伺っておきたいのです。
  144. 塚原俊平

    塚原国務大臣 軽微なトラブルというのは一つの判断基準の中で放射能のいろいろな影響等から出てきたのだと思いますが、今の先生の御議論を伺い、エネ庁の答弁を聞き、私が報告を受けた範囲のことを総合して私なりに判断しますと、これは基本的な問題でありまして、大変に大きな出来事だと。それはトラブル自体あってはいけないわけですけれども、特に、信じられない、ともかく絶対その中で一番あってはならないうっかりミス的な感じのことの説明があるわけですから、これは非常に大きな問題だというふうに認識をいたしております。  通報体制のおくれ等もこのときも指摘をされたわけですが、そういう通報体制等のおくれが全くないようにという指示は私どもから直ちにいたしましたし、加えまして、この件を教訓といたしまして、安全管理体制、この事例をすべての電力会社がもう一回しっかりと認識をして、それぞれの発電所の運転に当たるようにいたさせてまいりたいというふうに思っております。
  145. 山原健二郎

    ○山原分科員 よくわかりました。  同時に、伊方町の近隣の自治体に対する通報が十一時間おくれておるわけですね。通報のおくれの問題が一斉に問題となっておりまして、四電はその後、通報連絡体制の改善策をまとめましたが、これも私は説明を受けましたけれども、かなり改善された案を持っておられると思います。  仮に、放射能が外に放出されるといった重大事故の際にどうするのか。例えば、大きな地震が発生し、津波の危険があれば、テレビ、ラジオ等で周知が図られておりますが、原発の場合も、テレビ、ラジオの活用などを含めまして、相当な規模の通報連絡体制が検討されるべきだと思いますが、この点についてお伺いします。  もう一つ、ついでに、この事故をきっかけとしまして、原発事故を想定した避難訓練の必要性が現実のものとして浮かび上がってきておるように思います。  最初に紹介した住民の声に、こういうふうに、もし放射能が漏れたのなら、どうすればいいのか、そのことが全く知らされていないことに急に腹が立ったという言葉がありましたが、住民は現状ではどう行動すればいいのか何も知らされていないわけでございまして、放射能の外部放出という重大事故の場合にどうするかという内容も含めまして、住民参加の避難訓練は必要ではないかという声が起こっております。  伊方の場合もそうですが、原発は海に面していることもあり、海上輸送手段を使った訓練も求められているのではないかというふうな意見がありますし、今回の事故を受けまして、愛媛県知事は住民参加の避難訓練をやるという意向を示しておるようですが、こうした住民参加の避難訓練を伴うことを自治体が計画した場合、国としても適切な援助、指導をすべきだと考えますが、科学技術庁の見解を伺います。
  146. 江崎格

    ○江崎政府委員 先生指摘の、ラジオ、テレビの活用の問題でございますけれども、原子力発電の開発利用に当たりまして、安全性の確保、それから地元の信頼の確保というのは大前提でございまして、トラブルが発生いたしましたときに地元 に適切な情報の提供をするのは大変重要なことだというふうに私どもは思っております。  電気事業者が迅速かつ的確に通報連絡体制を確立する、その必要性の問題でございますが、従来、トラブルが起こりますと、すぐプレス発表をするということを通じてやっております。したがいまして、テレビに直ちにそれを流すかどうかというのは、それぞれのメディアが判断をしてやるということになろうかと思います。  ただ、四国電力も、今回の事故を踏まえまして、直接住民の方へ広報できるようにということで、広報車とかCATVといったようなことによる地域広報の充実を今後図っていくということにしておるようでございます。
  147. 植木勉

    ○植木説明員 具体的な防災訓練の実施につきましては、それぞれの地域の実情に応じまして、実施主体であります地方公共団体において判断して計画されるものと考えております。  私どもといたしましては、地方公共団体が、防災業務関係者の訓練に加えまして、地域住民参加の防災、避難訓練を実施する場合にも、国の専門家を派遣するなど、これまでも積極的に支援してまいったものでございまして、今後とも、そういう県の意向も踏まえつつ支援してまいりたいというふうに考えております。
  148. 山原健二郎

    ○山原分科員 こうした訓練は、電力会社の協力ども当然必要となってくるわけでして、通産省としても、電力業界を指導するなどの必要な手だてを講じていただきたいということを要請しておきたいと思います。
  149. 江崎格

    ○江崎政府委員 防災訓練が行われる場合に、地元の防災訓練に電力会社としても積極的に参加するようにということで私ども従来から指導しておりまして、今後ともその方針で対応してまいりたいというふうに思っております。
  150. 山原健二郎

    ○山原分科員 問題を変えまして、工業用水の生活用水への転用の問題についてでございますが、一昨年の大渇水で国民生活に深刻な影響をもたらしたことは御承知と思います。  四国の場合、愛媛県、香川県などが最も大きな打撃を受けた地域の一つでございました。愛媛県の松山市などで生活用水が長時間にわたって断水させられるという事態が続く一方で、主として工業用水向けとなっている黒瀬ダムというのがありますが、黒瀬ダムでは満々と水をたたえていたという状況がありました。このため、県民の間からどうして水が生活用水に回せないのかという声が起こったのでございますが、水利権に絡む問題で事はそう単純ではないことは私も承知しておりますが、この経験から工業用水の生活用水への転用ということが重要な検討課題となったのでございます。  工業用水向けダムの場合は、通産省所管の補助金が投入されていたりしまして、当初の目的外の利用などについても制約があると思われますが、現行法令等のもとでもこうした調整は可能だと考えてよいかどうか、補助金適正化法などがあり、できないということはないかという点をお伺いしたいのですが、お答えいただきます。
  151. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 工業用水道事業につきましては、地方公共団体の責務におきまして実施されるものでありますけれども、通産省といたしましては、補助金交付の観点から事業のあり方等について助言をする立場にあるということを、まず御理解いただければと思います。  そういう前提のもとに、御指摘の工業用水の生活用水への転用につきましては、補助金交付制度上あるいはその他水利権制度上の所要の手続等が必要でありますけれども委員指摘の、現行法令制度のもとで転用が可能かどうかというお尋ねに対しましては、可能でございますし、また、現に転用しておる事例が幾つかございます。
  152. 山原健二郎

    ○山原分科員 たくさんの例があるかもしれませんが、例えば最近の事例でいいますと、どこでどのような調整がなされたか、できれば二、三で結構ですが、例を挙げてくれませんか。
  153. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 最近の事例を幾つか御紹介したいと思いますが、平成三年度及び四年度にかけまして、淀川水系琵琶湖開発事業に係る案件につきまして大阪市、これは平成三年度でございますが、西宮市、尼崎市、平成四年度におきまして各工業用水道の事業規模の縮小を行いました上で上水道への転用を行ったという事例がございます。  また、平成五年三月に木曽川水系の水資源開発基本計画、これの全部変更に係る閣議決定がされましたのですが、この閣議決定に基づきまして、三重県の工業用水の一部を愛知県の上水へ、あるいは岐阜県の工業用水を岐阜県の上水へ将来転用するということで今プロジェクトが進められております。そういったような事例が御参考になるかと思います。
  154. 山原健二郎

    ○山原分科員 その調整の前提としまして、県や市など自治体側の水利用計画の変更が転用調整の前提となることは当然だと思いますが、そういう自治体側の調整に基づく要望があれば通産省としても前向きに検討していただけるのではないかと思いますが、この点についてお答えをいただきます。
  155. 鈴木孝男

    ○鈴木(孝)政府委員 工業用水道事業を行います地方自治体が、先生指摘のように地方の工業開発等を見直しました結果、工業用水の需要が見込まれず、かつ、生活用水の水源が逼迫すると判断いたしまして、当該自治体が転用を希望する場合には、通産省といたしましては、従来より地元自治体の意向を尊重して対処してきたところでございます。  今後も従前同様に、自治体から御要望があれば前向きに対応してまいりたいと考えております。
  156. 山原健二郎

    ○山原分科員 これで終わりますが、最初に申しました伊方原発の問題につきましては、なお住民の間に不安も要請もありますので、今後とも適切な指導をよろしくお順いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  157. 近岡理一郎

    近岡主査 これにて山原健二郎君の質疑は終了しました。  以上をもちまして通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、明三月一日午前十時から開会し、総理府所管経済企画庁について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十五分散会