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1996-02-29 第136回国会 衆議院 予算委員会第八分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成八年二月二十七日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月二十八日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       伊藤 公介君    江藤 隆美君       村岡 兼造君    石田 勝之君       山口那津男君 二月二十八日  伊藤公介君が委員長指名で、主査選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 平成八年二月二十九日(木曜日)     午前十時開議 出席分科員   主 査 伊藤 公介君       江藤 隆美君    松下 忠洋君       石田 勝之君    上田  勇君       川端 達夫君    長浜 博行君       弘友 和夫君    山口那津男君    兼務 荒井 広幸君 兼務 小野 晋也君    兼務 佐藤 剛男君 兼務 樽床 伸二君    兼務 山元  勉君 兼務 寺前  巌君    兼務 吉岡 賢治君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中尾 栄一君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 鈴木 和美君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       竹内 克伸君         国土庁計画・調         整局長     塩谷 隆英君         国土庁大都市圏         整備局長    五十嵐健之君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省建設経済         局長      小鷲  茂君         建設省都市局長 近藤 茂夫君         建設省河川局長 松田 芳夫君         建設省道路局長 橋本鋼太郎君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君  分科員外出席者         環境庁水質保全         局水質管理課長 南川 秀樹君         国土庁長官官房         会計課長    木村 誠之君         国土庁計画・調         整局計画課長  浜野  潤君         外務省経済局海         洋課長     高田 稔久君         大蔵省主計局主         計官      長尾 和彦君         大蔵省主計局主         計官      村瀬 吉彦君         水産庁漁政部企         画課長     篠原  孝君         通商産業省環境         立地局立地政策          課長      中野 賢行君         通商産業省環境         立地局立地指導          室長      武田 貞生君         運輸省鉄道局幹         線鉄道課長   平田憲一郎君         建設大臣官房会         計課長     風岡 典之君         建設省都市局下         水道部流域下水          道課長     貞包 秀治君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十九日  辞任         補欠選任   村岡 兼造君     松下 忠洋君   石田 勝之君     川端 達夫君   山口那津男君     弘友 和夫君 同日  辞任         補欠選任   松下 忠洋君     村岡 兼造君   川端 達夫君     上田  勇君   弘友 和夫君     山口那津男君 同日  辞任         補欠選任   上田  勇君     長浜 博行君 同日  辞任         補欠選任   長浜 博行君     石田 勝之君 同日  第二分科員吉岡賢治君、第六分科員荒井広幸  君、樽床伸二君、第七分科員小野晋也君佐藤  剛男君、山元勉君及び寺前巖君が本分科兼務と  なった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算  〔総理府国土庁)及び建設省所管〕      ――――◇―――――
  2. 伊藤公介

    伊藤主査 これより予算委員会第八分科会を開会いたします。  私が、本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願いをいたします。  本分科会は、総理府所管国土庁並び建設省所管について審査を行うことになっております。  なお、両省庁所管事項説明は、両省庁審査の冒頭に聴取いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算総理府所管国土庁について、政府から説明を聴取いたします。鈴木国土庁長官
  3. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 総理府所管のうち、国土庁平成八年度予算について、その概要を御説明申し上げます。  国土庁一般会計歳出予算は、三千六百十二億六千八百万円余を予定しております。  また、大蔵省所管産業投資特別会計に計上の日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本整備促進に関する特別措置法に該当する事業のうち、国土庁に係る無利子貸付金について、歳出一千三百万円を予定しております。  その主要な内容は、  第一に、新しい全国総合開発計画策定等国土計画推進  第二に、適正かつ合理的な土地利用確保等総合的土地対策推進  第三に、水資源開発及び有効利用促進等の総合的な水資源対策推進  第四に、大都市圏整備計画策定首都機能移転に関する検討、大深度地下利用あり方に関する検討等大都市圏整備推進  第五に、人口地方定住促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会形成を図るための地方振興推進  第六に、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、地震、津波、噴火、洪水等災害から国民の生命及び財産を守るための総合的な災害対策推進  第七に、人口及び産業地方への分散地域開発発展を図るための地域振興整備公団事業推進 であります。  国土庁予算重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります平成八年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いを申し上げます。
  4. 伊藤公介

    伊藤主査 以上をもちまして総理府所管国土庁についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 伊藤公介

    伊藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井広幸君。
  6. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 おはようございます。  私は、国会等移転に関しての件につきまして、御質問、そして私の所見などを述べさせていただきたいと思います。  十二月十三日に国会等移転調査会報告ができ上がりました。これにつきましては、事務方として庶務をまとめられました国土庁皆様方に、大変な御労苦に対しまして敬意を表すとともに、長官初め皆々様方のいろいろな角度からの御示唆、御指導に御礼を申し上げる次第でございます。  さて、これにつきましては、少しずつ、地域によってはフィーバーと言っていいぐらい関心が高まっておりますが、次なる課題といいますと、国民皆様方に、なぜ国会等移転首都機能移転ですね、首都機能移転が必要なのかということの目的意義、こういったことを含めましての国民的合意をいただくような努力というのが不可欠だと思っております。  首都機能移転、この国民合意形成に向けてどのように今後国土庁対応されていかれるのか、長官お尋ねをさせていただきたいと思います。
  7. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 ただいま御指摘がありましたように、首都機能移転を進めるに当たりましては、幅広い国民的な合意形成を図っていくことは極めて重要だと思っています。  昨年十二月に取りまとめられました調査会報告を受けまして、今後、新たな段階に入ることを踏まえ、国土庁としても、首都機能移転意義や効果などにつきましてさまざまな広報活動を実施するとともに、アンケート調査などを実施し、国民各界各層の意見を的確に把握しながら、より一層の国民的な合意形成に努めてまいりたいというのが基本的な対応の考え方でございます。
  8. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 長官のおっしゃったところが、これからの中身という点で幅広く御活動をしていただく概略のお話だったと思うんです。これは、私は大変重要なことだと思いますのは、このいろいろなパンフレットもつくっていただいておりまして、これも非常にわかりやすいのが随分このようにでき上がっております。一番、わかりやすいというのが非常に重要だと思います。そうなると、枝葉を切ってしまうという部分もありますし、先ほどのアンケートなどもということですから、双方向にやはり議論というものは、あるいはお互いにキャッチボールをしながら煮詰まっていくものはあるということですから、ぜひともそのような方向で御議論を深めていく、移転理解を深めていただくということにしていただきたいと思うんです。  さて長官、私は、きょうはこのような国会等移転調査会報告等を大変尊重し、また有意義なものであると考えながらも、別な視点からこの首都機能移転というものを眺めてみたいと、こう考えているわけなんです。例えばどういうことかということで、私自身の言葉にする前にちょっとこの話をお聞きいただきたいんです。  これは「ボイス」という本でございますが、この「ボイス」という本で出ておりますのは、加藤寛さんでございます。いろいろな審議会の役員をされておられますが、この方が、「金融農本主義を排す」というところでこのようなことを言っておられるのですね。「しかも大都市集中はそれを急速にしてしまった。」これはちょっと前段があります。「いまになって大都市分散とか遷都とかいわれても、情報都市サイバースペース都市)を創造しないかぎり不可能に近い。アメリカでもドイツでも、情報都市が拠点であり、日本遷都論のように、土地だけを探し求める国土庁的発想はすでに時代遅れとなっている。」ということを言っておられるんですね。これは私は一律に同調するものではございません。  しかし、ここでキーワードがあるんです。つまり情報ということでございます。飛躍的に情報通信手段というのが発展をいたしております。今まででは考えられなかったことが情報通信高度化によって行われるようになってまいりました。例えばどのようなことかというと、地方に住んでいる方が子供を大学に出したい、学校教育を受けさせたいということになると、東京に出すということが今までは当たり前でございました。大学受験に失敗すると浪人ということになって、予備校にも通います。その例えば予備校などというのは、一流先生じゃないとなかなか予備校に人が、少子化の時代ですから集まりません。しかし今は、衛星を使って東京同時授業を、その人気のある一流先生方全国予備校で同時に放送するんですね。わざわざ東京予備校に来なくてもよくなった。この傾向が顕著でございます。  ということは、国会を含めまして、今回申し上げている中央省庁、最高裁判所、特に中央省庁でありますけれども、今の遠隔教育のような話でございますが、遠隔におりましても十分に議論ができる、あるいは省内意思疎通が図れる、こういう時代になってまいりました。  アメリカではノースカロライナ、バージニア州、そしてフロリダ州、大変にいろいろな意味で、時間と距離を超えるコミュニケーション手段として情報通信という手段の飛躍的な発展、それを応用展開しているわけです。こうなりますと、私は、首都機能という機能自体が、あした、あさってというきのうの話になってしまうというおそれを感じるのです。  というのは、移転先をあと九八年までに大体のところの目鼻をつけて、二〇一〇年に国会が第一回目を始めましょう、こういうことです。その後に中央省庁ということもあるわけですね。そのころには機能し得る機能というものが極めて変わってくるのではないか、私はこういう感じをいたす次第でございます。これはいろいろ不確定な要素もございますけれども、方向としてはどうも私はそのような方向に行くだろう、こういうふうに思うわけです。  平成二年十一月七日の衆参両院においての国会等移転に関する決議におきましても、政治経済文化等中枢機能首都東京集中した結果、人口の過密、地価の異常な高騰、良好な生活環境の欠如、災害時における都市機能の麻痺、こういうことがあるんだ、そして経済停滞過疎地域を拡大させる、こういう問題を発生させてきたから、これらのゆがみを是正するために一極集中是正するんだというようなことを言ったわけです。そして、お骨折りをいただきましたとおり、まさに今回の首都機能移転というものの趣旨は一極集中是正するということで、何人もこれに異論を挟む人はいないと思うのです。  ところが、これは国会自身の問題であります。国会移転しようというのは我々の意思で、政府にお投げかけをいたしましてまとめていただいているわけですから、まさにこれからの問題ではあるのですが、一極集中是正ということになったときに、私は三点あるのだと思うのです。  一つは、物理的なのですね。そのまま引っ越すということです。  それから二点目は、精神的なものがある。いわゆる役所が偉いとか、何か東京が中心だみたいなことで、親方日の丸みたいな話があるし、上意下達的な意思が非常に働いている。そこにオウム真 理教みたいな、何か流浪する民みたいな、ぽっかり心の穴があいちゃったようなものがあると私は思うのです。それは、郷土誇りを持てなくなってきている。その要因が一極集中であったのだと思うのですね。東京の方がすごいとか、東京に行った方が満たされるみたいなものがあったと思うのです。そうじゃない、自分が生まれて、母や父がここで働いていた、ここに自分誇りを持ちたいのだ、こういうような郷土愛を忘れてしまった、こういったこともあったと思いますから、精神的に解決する手段でなければならない。  そして三番目は、まさに機能と言っているわけですから、機能がどういうものであるか。これは中央集権体質の改善なんです。  物理的、精神的、機能的に判断をして一極集中是正していくということを考えますと、私は、この国会等移転調査会報告を読ませていただいても、一つは、行革規制緩和同時並行で進まなければ単なる引っ越しに終わるのではないか。加藤さんが表現した言い方で言うと「土地だけを探し求める」、こういう発想になるのではないか。  それから次は、分権化だと思うのですね。行革規制緩和をしながらスリムな政府移転させる。そのスリムというものは、同時に分権でなければできないわけですから、地方分権推進法、こういうこともあるわけですから、この横並びというものをどうされるのか、こういうこともあると思うのです。分権化しない首都機能移転というのは、きっかけづくりとしてもこれはちょっと私は物足りないな、こう思っているわけです。  それから三番目には、ここでお尋ねしてまいりたいことになってくるわけですけれども、機能自体が、情報手段の飛躍的な発展交通手段充実化ということに相まてば、国会と、省庁大臣官房それからトップクラス、こういう方々国会周辺に、いわゆるクラスター配置状集中すればいいわけでありまして、大臣官房とかそれ以外で国会周辺になければならないというもの以外は、東京よりも全国分散配置をするべきではないか。今テレビ会議で十分にできるわけです、今でさえですよ。  そういうような状況の中で、一極集中を排除するというそのことが、大臣がおっしゃいましたように、なぜ意義が、PRが必要かというと、そこにあるわけですから。そうなれば、何が何でもすべてのものが――それは行革規制緩和分権推進する中で残ったものについてですけれども、何が何でもそこに行かなくてはならないというものはなくなってくるのではないか。それは情報手段の飛躍的な発展によって可能になるのではないか、こういうふうに私自身は考えているわけです。それを日本全体に分散することによって、まさに国土庁がおっしゃる日本全体の均衡ある発展になってくる。全国方々が、新しい首都に目を向けるのではなくて、自分の近場に、自分のところに自信が持てるきっかけになってくるのだ、こういうふうに私自身考えているわけでございます。  そこで、これを五十嵐局長さんの方にお尋ねをしたいと思うのですが、こうした情報通信手段飛躍的発展、ますますこれから発展される。そして二〇一〇年に国会の第一回開催ということが第一段目としてある、その後省庁移転してくる。こういうことになってまいりますと、情報通信手段によって、一省庁のすべてが移転しなくてもいいと私は考えているのですが、この辺についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。     〔主査退席江藤主査代理着席
  9. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、情報通信手段の発達というのを十分に織り込んだ上でこの大きな首都機能移転問題について取り組まなければいけない、そのように考えております。  それからまた、先生指摘ありましたように、これは、単に土地を探して物理的に工事をやって新しい都市をつくるというところに主眼があるわけではありませんで、もともと大きな目標といたしましては、国政全般にわたる改革、そして東京一極集中是正、そして三つ目防災対応力の強化、この大きな三つ目的を達成するためにやるべきだと。その最初の、国政全般にわたる改革の一環という中に、御指摘のありましたように、分権の問題でありますとか規制緩和の問題が出てくる。そういったような全体のセットということになろうかと思います。  行政官庁の今後のあり方についてはこれからもいろいろな御議論があろうかと思いますが、基本的には、本省とやはり地方出先機関という構成になろうかと思います。本省はどういう格好になるか、それはこれからの御議論ということでありますが、いずれにしても、本省というのがありますと、これは大臣長官の指揮のもとに本省一体となって取り組んでいくという問題になるわけでございます。したがいまして、先生の御提案のような対応が果たして可能であるかどうかという問題がございます。  例えば、一定の危機管理的な問題があったときに、そういった問題にも対応しなければいけない。もちろん、国会への対応をさせていただかなければいけませんけれども、内閣としてあるいは行政官庁としての対応をするときに、例えば一定災害がありまして通信がうまくできない、交通が途絶しているというような状態もあり得るわけでございまして、そういうようなことを総合的に勘案いたしまして、私どもは、あるいは移転調査会報告でもそうでございますけれども、一括して移転するのが適当だ、こういう報告になっているところでございます。
  10. 荒井広幸

    荒井(広)分科員 局長さんがおっしゃる話、それから移転調査会報告、私はこれを高く尊重いたして評価をいたしておるのですが、あえて今の段階でこの議論をしていかなくちゃいけないということで、これは国会自身の問題であるわけですから、長官政治家として、我々この場で国民皆様方議論一つとしてこの首都機能移転必要性を訴えるためにも、PRの材料としても申し上げているわけでございまして、その点は十分御理解をいただきたいと思いますが、この調査報告の中の「移転の対象は何か」というところで、ただいま局長からお話がありましたように、「首都機能」ということで、①でこう書いてあるわけです。  いわゆる「分都論」は、国の機関全国各地  に分散配置させることが諸機能地方分散を通  じて全国各地域の振興につながるとするもので  あるが、国家機能の円滑な発揮を確保するため  には、国の中枢機能一体としてその効用を発  揮していく必要のあること、内政と国際関係と  がますます緊密化し外交等国際活動重要性  が増していくため、対外的にも国家三権を代  表する機能が一箇所にまとまっていることがよ  り重要であること、欧米諸外国の例をみてもほ  とんどの国において三権一つ首都に立地し  ていることなどから、三権中枢を分離するこ  とは適当ではない。私はこれを非常に了解するわけなんですね。  私が申し上げるのは、三権移転するのです。先ほど局長さんがおっしゃったように、本省出先が別なんだという発想ではなくて、本省自体が私は分けられるのじゃないか。アルビン・トフラーは「第三の波」の中で、新しい本で、第三の波の政治ということを言っています。情報通信飛躍的発展によって第三番目の革命が起きているのだ、こういうことなんです。ここを私は申し上げたいのですね。そうすると、移転調査会のメンバーの方々に、そうした情報通信の特に御専門の方というのは数少ないか、ほとんどいないと言ってもいいと私は思うのです。  例えばこういう状況をどう考えるかなんですね。  特許庁特許出願というのがあります、いろいろな特許をとるときに。今どういうことをやっているか。実用新案もそうです。出願方法です。オンライン出願をする。フレキシブルディスク、FDというのだそうですが、こういう簡単な平らなディスク盤で、郵送であるいは持ち込んで 出願をする。それから昔のように紙出願、書いて持っていく。オンラインで、持っていかない。線で結んで、コンピューター同士で結んで出願をする。これは専用端末が必要なんですが、六五%は既に特許庁オンライン出願なんです。簡単に言えば、特許庁全国どこにあったって、電話回線端末専用のを持っていれば特許は自由にとれるのです、大臣。三〇%はフロッピーディスク、これは郵送も受け取り可能なんだそうです。残りの五%が紙出願なんです。これは郵送ももちろんあるわけですけれども、持っていける、こういうことだと思います。  こうなってまいりますと、実は本省機能全国に点在していてもそう不都合ではない状況になってくる。ところが、一方では議院内閣制度でありますから、その問題点がネックとして出てくる。例えば、省庁間の話し合いで、法令協議などテレビ会議でやっていいものかどうか、かなり問題がある。ところが、レベルがあると思うのですね。係長から課長補佐から課長局長段階まで、いろいろな段階での議論のときには、むしろこれは、省内をLANで結んでいるわけですから、それが点在しても何ら私は不都合にならない。ならないものもあると言ってもいいのでしょうか、ならないケースがあって、存在してくるのじゃないか、こういうことを私は考えているのです。  ですから、こうなりますと、特許庁長官官房国会周辺移転をしますが、特許庁の残った部分でこのようなオンラインで結んで処理できるところは、分散してもいいのじゃないか。それを地方分散することによって、一極集中と先ほど申し上げました精神的分散が成り立っていくのではないか、こういうふうに私はとらえているわけなんです。  その角度議論がないと、二〇一〇年に国会みずからが移転して中央省庁移転していただくときには、ぽっかりとそこのところが抜けていたものですから、行革規制緩和地方分権推進、こういったものの実効が少し上がらなくなってくるのではないか。これは十分に検証してみなければならないと思いますが、私、一くくりで申し上げておりますので、大変その点は申しわけないと思っているのです。  それから、通信が途絶された場合ということがあるのですが、そもそも国会周辺にいるから通信が途絶しないというのは、私は、ちょっとこれはいろいろ議論の余地があるところだと思うのです。全国どこにいても、緊急時にも通信がとれるようなバックアップ体制というものをつくっておかなくちゃいけないわけで、すべてが新しい首都圏に神経が集中していたら、これは逆に言えばどこかで切れます。いろいろなところでとれるようにしておくという、危険、リスク、これを分散していくという発想が重要なわけですから、それでこの一連の流れでもバックアップ体制というものを言っているわけですから、これは私は、まさに多極分散型で危険、リスク、情報途絶というものを分散していくという視点は必要だと思うのです。  ですから、そういうような意味におきまして、私は、今度は国会の問題になってくるわけでございますが、懇談会、いろいろ国会にあるわけでございますが、国会等移転審議会を設置していくというようなことも議員連盟で考えてもいるわけでございます。しかし、そういったときに行革地方分権を視野に入れ、それらを取り巻く環境が情報通信高度化というもので飛躍的に、あるいは我々が予想だにしない環境を提供するんだ、ここだけは頭に入れておく必要があるんだと思います。  結びの話になってまいりますけれども、私が言っていることは分都ではないのです。展都でもないのです。まさに首都機能移転なんです。そして、その移転する機能が十年、十五年たてばきのうの話になってしまう。それを情報通信高度化の技術利用、基盤利用していけば、全国に、それ以外のもので、以外といいますか、一つの省の中で分散させてもいいものは分散させて地域振興に役立てていくんだということの方が私は国民的合意を得られるもの、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで、時間がなくなってまいりまして、私の何か意見発表みたいなので申しわけございませんが、国会国会移転等をしようということでございますので、なかなか言い場がないものでございまして、まことに申しわけございません。  これを角度を変えて申し上げさせていただきたいと思いますが、ワシントン、キャンベラ、ベルリン、いろいろと首都移転の例がございます。これらの背景を聞かせていただいたりいたしますと、ほとんどの場合が国家統合なんです。一番わかりやすい例は今度のベルリンです。東西ドイツが一つの国になったので移転しよう、こういうことでございます。アメリカも、まさにフィラデルフィアから一八〇〇年に移転をしています。それから、メルボルンからキャンベラに、オーストラリアの場合も一九二七年に移転しているわけです。そういう国家統合などの背景というのが非常に大きくあるのです。  ところが、今回我が国で言っているのはそうではないわけです。ですから、まさにそういう意味で、町づくりをするというような発想でこの議論をしていったのでは、そもそも国民意思からは離れていくおそれがある。特に、自分のところに来るか来ないかということだけが非常に関心の的になる、誘致合戦になる、こういうことなんです。ところが、私が申し上げたような情報通信手段高度化ということを考えると、これは九州にも配置できるものも出てくる。北海道にもある。まさにこういういろいろな分散が可能になってくるというわけですから、この辺、私は現在の議論としてぜひとも膨らませて議論をしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。  同時に、交通網の進展というものも必要なのですね。やはり国会があるときには来てもらわなくてはならない、こういう場合もあります。しかし、来てもらわなくてはならない課長さん方は、大臣官房でその役割ができないのでは困るわけですね。ですから、当然にその間は、郵政省は二〇一〇年には光ファイバーを全戸に引くと言っているわけですから、光網を利用して、無線系の衛星を通じて十分に省内意思疎通、これは対応できるわけですから、そういうところをやっていくと、そう支障のない役所の中のセクションというものが出てくる、こういうふうに私は考えている次第でございます。  時間になりましたけれども、そのようなことが十分これから国会議論をされるべきものであろうということを申し上げまして、大変私自身の意見開陳的な話になってしまいましたけれども、私の質疑にさせていただきたいと考えております。長官がおっしゃいましたような、先はどのような、国民のコンセンサスを得なければこの首都機能移転ということは成り立たないものでございますので、国会としても、もう一度何らかの形で意思決定を、国民皆様方意思をお伝えする。例えば国会決議のようなこともする必要があるのかなということも考えておりますが、国会でますますこれからそのような議論をしていかなければならないだろうということでございます。  以上、私の主張として、情報通信手段高度化によって、飛躍的な進歩によって、一省庁のすべてが、大臣官房等は国会と一緒に移転しても、そのほかの部分情報通信網によって、あるいは交通手段によって十分離れていてもできるというものがあれば、それは全国展開をして、地域振興、それが地方分権の精神にもつながるわけです。行革にもつながるわけです。そういうようなことによって、この首都機能移転というものが持つ意味がさらに膨らんでくる、国民的な理解もまたそこに飛躍的に高まってくるというようなことを申し上げまして、質問とさせていただきました。ありがとうございました。
  11. 江藤隆美

    江藤主査代理 これにて荒井広幸君の質疑は終了いたしました。  次に、川端達夫君。
  12. 川端達夫

    川端分科員 大臣、どうぞよろしくお願いします。新進党の川端達夫でございます。  本題に入ります前に、どうしても大臣に御所見を賜りたい。それは、今、国会で最重点課題として議論されている、住専に対する税金六千八百五十億円を投入するという問題であります。     〔江藤主査代理退席、主査着席〕  内閣を構成される一員として責任ある立場におられるわけでございますが、マスコミ等々を通じても、一部の報道では、国民の九割までが納得できないというふうな報道もされております。私も、月、火、水と多くの仲間と署名活動等々をしました。銀座で署名活動をしていますと、いろいろな署名活動を私もやってきましたけれども、列をなして、順番を待って、私も書かせてくれと。そして、これしか私たちはしようがないんだ、この気持ちをどうしたらいいんだ、だから、あなたたちに頑張ってもらうしかないし、私たち普通の国民は署名するしかない。買い物の荷物を持って、そしてちょっとあなた持っていてと言って、多いときだったら数人の方が行列して署名していただいた。これぐらい多くの国民が怒りを持ち、不信を持っている。  私は、この問題はただ単に住専という問題の処理ということにとどまらず、来年消費税が上がる云々という議論がありますけれども、これからの時代国民が痛みを分かち合いながら二十一世紀をみんなで支えていこうという、その政治に対しての信頼がベースでないとできないことばかりというときに、大きな信頼を裏切ることになりつつあるのではないかということで、大変危惧をいたしております。  そこで、これだけの反対がありながら、お立場ということは理解をするのですけれども、率直なところ、こういう反対がありながらでも賛成というか、この法案を無傷で通していこうという、我々はまず削除すべきだと申し上げている、要求しているわけですが、そういうことに関して、このままやろう、そして、これしかないという御所見であるのかどうか、お尋ねをしたい。同時にまた、大臣も長らくまさに大衆とともに政治活動をしてこられたということで、その部分は恐らく痛いほど胸にお持ちではないか、大臣の所属される政党を支持している多くの方もそういう思いではないかというふうに思うのです。大臣を離れて答弁しろというのはなかなか難しいかもしれませんが、率直なところも含めてお聞かせをいただきたいと思います。
  13. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 今先生の御指摘でございますが、私ども、私、どちらもそうでございますが、やはり内閣というものは、いろいろな問題があったとしても、内閣一仕事というようなことが俗称言われているのが政治だと私は思うのです。そのときに、国民の皆さんがどういう感じを持っているのかということは十分踏まえながらも、あすを考えて、きょうよりもあすを考えて、国民の生活、財産を守るという立場に立って政治が取り組むことが一番政治家としては大切ではないかと私は思っているところでございます。したがいますと、きょうの株価ではございませんけれども、国会状況などの議論を聞きながら大変敏感に反応するというような状況から見れば、やはりこのスキームで国民の皆さんに御理解をいただくきり方法はないのではないのかな、こういう感じを今持っているところでございます。
  14. 川端達夫

    川端分科員 きょうよりあすという部分は、まさにあすを考えるときに、一番大事なのは政治に対する国民の信頼。いろいろ厳しい時代だけれどもみんなで支え合っていこう、そしてその部分で、そのかじ取りを政治がやってくれているんだ、だから一つらいけれどもいろいろ負担もしていこうということが根底だと思うのです。そのあすを考えるときに、納税義務すらあほらしいな――済みません、関西人ですから。税金みたいなの払うのはばからしいよという世の中で、果たして負担にたえ得るような、みんなで国を支えていこうという国があすできるのだろうかと私は率直に思いますけれども、きょうは本題がありますので、胸の中ではいろいろお思いだということも思いますし、できればそういうことを行動として起こしていただきたいと御要望申し上げておきます。  さて、私は滋賀県選出の議員でございます。東京に来まして、普通の方に、どこですかと言われて、滋賀ですと言うと、滋賀県てどこと正直に言われることが割に多いのです。京都の隣と言えば、ああ、京都の向こうですかとか言われてしまう。ただ、琵琶湖があるんですと言うと、ああ、あの琵琶湖の、と言っていただける。  そこで初めに、大臣は、琵琶湖という言葉というか、琵琶湖という部分に対してどんなことを頭に思い浮かべるか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
  15. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 一般的な認識でございますが、やはり琵琶湖というときには、歴史とか、その中に生活している人たちのこと、それから、こういう役職になったこともございまして、水資源の問題などについて、大変私は使命というか、興味というか、そういうものをまず最初に感じます。滋賀県でも、全国区で、ある数字の票をもらっておりますので、滋賀といっても琵琶湖といっても大変懐かしく、またありがたく感じているのが所見でございます。
  16. 川端達夫

    川端分科員 滋賀県民百二十八万の人、それからふるさとを滋賀県に持つ人にとって、琵琶湖というのはまさに心のふるさとであります。すべてが琵琶湖につながっていると言ってもいいと思います。  若干宣伝をしておきますと、琵琶湖というのは四百万年前にそのもとができた。そして、それは比較的小さなものだったようですが、大地殻変動の中で約四十万年前にほぼ今の原型になったと言われております。それで、数十万年以上前からできた湖で、そこにそこ固有の動植物が生息しているという湖を古代湖とそういう世界では呼ばれているようですが、世界に十カ所しかないという、もちろん日本では唯一の湖であります。そういう古代湖という、そして特定の――ここにちょっとこのパンフレットで、これはビワコオオナマズという琵琶湖にしかいないというナマズですが、そういうものだけでも十数種類いるとか、貝だけでも琵琶湖にしかいない貝というのが二十種類ぐらいいるとか、そういうふうに非常に貴重な財産である。  同時に、世界で十カ所しかない古代湖の中で、周辺に百二十八万人も人が住んで、長年そこで暮らして生活を支えてきた。しかも、その下流域には大都市圏、一千四百万人の人がその水の恩恵をこうむっているという湖は世界に一つしかない。あとはほとんど、例えばバイカル湖、タンガニーカ湖、チチカカ湖、随分大きな湖がたくさんありますけれども、その周辺に人が住んでいるかというとほとんど住んでいないというふうな部分でいうと、まさにこれは世界的な遺産、財産であるというふうに言って過言ではないというふうに思っております。  それだけの大事なものということで、私たちは、滋賀県民だけではなくて国民としてこの財産を守り、そして後世にきちっと、我々も先人から受け継いできたわけですから、それを残していく責任があるというふうに思うのですが、そういう認識に関してはいかがでございましょうか。
  17. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 先ほども申し上げましたように、琵琶湖は、古くから人間生活と密接な関係を有する湖でありますし、同時に、滋賀県はもとより京阪神地区の発展、繁栄に大きく寄与しているものと私は認識しております。
  18. 川端達夫

    川端分科員 それで、そういう思いの中で、実は、まさに国土庁を中心としていただきまして、昭和四十七年から十年間、十年間、五年間延長という二十五年にわたって琵琶湖総合開発特別措置法を制定していただいて、総額でいうと一兆八千億の国費、事業費を投入していただいて琵琶湖総合開発が進められた。平成八年度でいわゆる最終年度を迎える。平成七年度でも概算で総事業の約 九八%進捗した、ほぼ終わりに来たという部分では、大変これは滋賀県にとって、あるいは下流住民にとっても大きな役割を果たしていただいたと感謝をしているわけですけれども、この琵琶湖総合開発国土庁がまさに主管としておやりいただいたという部分に関してはどう評価をされているのか、お伺いしたいと思います。
  19. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 お答え申し上げます。  琵琶湖総合開発事業先生指摘のとおり、昭和四十七年から現在に至ります、平成八年度に至ります二十五年間にわたる事業でございます。平成八年度、ただいま御審議を賜っておるわけでございますが、これを使わせていただきますと一〇〇%を超えるという状況になります。一部の事業につきましては少しおくれがあるところもあるわけでございますが、全体的にほぼ目的を達することができるということになると思います。  これは、先生指摘のように、滋賀県あるいは琵琶湖周辺の自然環境あるいは水質の保全という観点からの貢献と、それから滋賀県に限りませんで、淀川下流阪神地域発展に大きく寄与してきたものと考えております。
  20. 川端達夫

    川端分科員 おっしゃるように、大変便利になりました。そして、下流域も含めての水の安定供給という部分では大変な、一昨年ですか、水不足と言われたとき、琵琶湖も一メートル九十八センチという低水位までなって、そこが、いろいろ問題もあったのですが、水を始末はしましたけれども、水が飲めないとか、ないとかいう状況にはなかったという部分では、利水という部分でも大変効果を発揮している。私も子供のころは、少し雨が降ると家じゅう水がつく、洪水が起こるという状況とかいうこともほとんどなくなった。割に台風の通ることが年に二、三回あって大雨になりますが、そういう災害に対しても非常に効果を発揮している。そして、何よりも便利になった。草ぼうぼうの湖岸がきれいになって、水の便もよくなりというふうな部分では非常に快適で、利水も治水もよくという部分では非常に効果があった。  ただ、二十五年たって振り返ってみますと、昭和四十七年というのは、四十五年に大阪万博が開かれて、世界に追いつけ追い越せという、頑張ろうという高度成長時代という部分で、もっと便利に、もっと快適に、もっと豊かにという部分が国のほとんど信じて疑わない一つのベクトルとして走ってきたという時代だったと思うのですね。今考えたときに、確かに便利になったけれども、まさに世界の遺産である琵琶湖で失ったものが随分多いのではないか、あるいは、失いつつあるものが随分あるのではないか、このままでいいのだろうかというふうな問題が随分たくさん出てきているというのが現時点だというふうに思います。  私は、開発か保全かというときに、どちらが正しくてどちらが間違いということではない、社会的なニーズもあると思います。ただ、開発という利便性を求めてやってきた琵琶湖総合開発で大きな効果をもたらしたと同時に、やはりその影の部分が出てきたのが現在だ。このままの状態で私は後世に引き継ぐということはできないのではないか。  ちょっと環境庁、おいでいただいていますね。琵琶湖の水質というものに関して、滋賀県民も、水質の汚濁防止法に基づく条例あるいは全国で恐らく唯一無二ではないかという富栄養化防止条例、いわゆる石けん条例、各家庭ではいわゆる有機燐系の洗剤を使わないでおこうという運動と同時に、有機燐系の洗剤を売ってはいけないというふうなことまでして非常に細かく家庭ではいろいろ配慮をし、条例もやっているということでありますが、水質は悪くなる。環境庁としては、今琵琶湖の水質というものにどのような御認識をお持ちなのか、お尋ねをしたいと思います。
  21. 南川秀樹

    ○南川説明員 御説明申し上げます。  琵琶湖につきましては、滋賀県自体大変な努力をされております。全国に先駆けまして、富栄養化のための条例あるいはアシ・ヨシ保全条例といった努力をされております。また、国ベースでも、水質汚濁防止法あるいは湖沼水質保全特別措置法というものに基づきまして総合的な対策を実施いただいておりますけれども、残念ながら、有機汚濁のCODを見ますと、目標たる環境基準は超過いたしておりますし、またその数字自身毎年悪化してきているということで、極めて厳しい状況にあるというふうに認識いたしております。ぜひ地元とより連携を図りまして、もっと幅広く対策を検討し、やっていきたい、そんなふうに考えております。
  22. 川端達夫

    川端分科員 おっしゃるとおり、アオコは昭和五十八年から一年を例外にして毎年、赤潮も昭和五十年からほぼ毎年、CODは環境基準の二、三倍、全燐値も、北湖と南湖と呼び分けているのですが、北湖でぎりぎり、南湖では二、三倍、全窒素も一・五から二倍という、環境基準を全然満たしていないというふうにどんどん悪くなっている、必死の努力をいろいろやっても悪くなっているというのが現状でございます。そして、そこの中で、まず、流入してくる部分でいうと、工場の排水等々は非常に厳しい環境基準がございますが、やはり下水道整備というのは大変大事だと思う。たくさん人間が住んでいるわけです。  ということでございますが、建設省にお伺いをしたいのですが、滋賀県の下水道整備状況、大変御努力もいただいていると思うのですが、これは建設省に聞いたらいいのでしょうか、お願いします。
  23. 貞包秀治

    貞包説明員 琵琶湖の流域に係ります下水道事業でございますが、現在、八市三十七町を対象といたします琵琶湖流域下水道、それから大津市等におきます公共下水道、こういったことで鋭意事業を進めております。現在、既に流域下水道につきましては四処理区中三処理区が供用しておる、そういったことで、現在、滋賀県下五十市町村のうち二十三市町村が下水道を供用しておるというふうな状況でございます。  特に、先ほど先生から御指摘ありました富栄養化に関係いたしまして、高度処理対策ということで、滋賀県の琵琶湖関係の下水道につきましてはすべて高度処理を導入する、これによりまして窒素、燐を削減するということで努力をしているところでございます。  しかしながら、現在まだ下水道の普及率は四〇%ということでございまして、今後、私どもといたしましても、さらに一層努力をしていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  24. 川端達夫

    川端分科員 ありがとうございます。  下水も、全国平均値が五一%というときに四〇%ぐらい、まあ一生懸命頑張っていただいているけれども、水準としては、なかなか遅々として進まない。そういう部分で、便利に使うという分には非常に効果があったし、便利になって、安全にもなってきたという湖であるけれども、その体力というものはどんどん落ちてきた。  やはり、自然というものは、よく考えてあるなと言うと何か変ですけれども、うまくできている。昔は、琵琶湖の周辺といったら幾つもの内湖がありました。内湖ですね。そうすると、いろんな部分で、例えば田畑からいろいろ、当時でいえば有機肥料かもしれませんが、流れてきたようなものは、そういう内湖に一たんたまる。そして、いろいろだまる中に、そこに、我々の地域ではヨシと言うのですが、いわゆるアシが生えていて、そこで、要するに水中の養分を陸上に揚げる役目をし、底に沈殿させる役目をするという、いわゆるバッファーになった。そして、岸辺というのはなだらかに深くなっていく。そして、岸辺に生える水草から、水中五十センチぐらいまでに生える、あるいは一メートルぐらいに生えるという水草によっておのおの栄養分をとりながら、そしてそこが魚の産卵場になり、小さい魚は、そこで安全に、大きい魚が来ないという水草の間で、生きながら、また出ていく。そして、もっと深いところにある藻が異常繁殖してふえて水中に浮かぶと、それは風に流されて岸辺に打ち上げられるというふうに、全部がうまくそういう機能を果たしながら自然の力を保ってきた。  ところが、内湖は、もったいない地面だということで埋めてしまう。それから岸辺も、もう少し広くしようというので埋める。そうすると、がけみたいな岸辺になる。そうしますと、当然水草はなくなる。そして、小さい魚はそこでしかすめない。というのは、大きい魚、特に最近は、外来種で入ってきているブルーギル、ブラックバスという、要するに非常によく食う魚が出てしまう。そうすると、小さい魚あるいは産卵された魚の生息する場所も失われてきた。当然ながら、そこでプランクトン等々のバランスが崩れる、あるいは流れ込む川も、こういう川であったのが、はんらんする、堤防をつくってこういうふうにやると。そして、結果としては、流れてきた藻は、岸辺に打ち寄せられると、断崖絶壁ですから、そこへたまって、打ち上げられずに腐ってヘドロとして沈むというふうに、要するに、自然がもともと持っていた部分を埋め立てたり、あるいは見た目に非常にきれいになるという岸辺ができて、実は自然の力は何もなくなる。あるいは港があると、その周辺に水草がいっぱい生えているのは船の出入りに非常に不便であるということで、全部きれいに刈ってコンクリートで固めると、見た目は非常にきれいになり、便利になるけれども、実は自然の力を全部殺してしまうということを結果としてはやってきた。  だから、そういう部分では、二十五年かけて便利にした。であるならば、これから、二十五年では恐らく無理でしょうけれども、五十年、百年かけてでもそういうものを少しずつ、また、いろいろな科学の力もかりながら、自然の力を、体力をまた戻してやるということもやらなければいけないのではないか。  いろいろな事業をやっていただいているのです。内湖に、強制的にですけれども、ヨシ、アシを植えた地域をつくるとか、あるいは、彦根城というのは有名ですけれども、あのお堀はもうよどんでしまっているから、昔は自然に流れていたのですけれども、そういうふうに段がついてしまいますから、そこを強制的に水を流すようにしようとか、いろいろな努力をされているのですが、微々たる効果しかない。  そういう部分で、まず大臣にお伺いしたいのは、そういうふうに、まあ開発か保全かというと非常に短絡的な発想になりますけれども、やはり開発開発で大きな意味があった。二十五年かけて便利にした。しかし、これだけの大きな財産をこのままほっておいては本当に死んでしまうのではないか。これは、世界的な遺産であると同時に、やはり生活、産業に全部かかわってきている問題ですから、このまま放置するということではなくて、そういう環境を保全し、復元していくという方向に――今まで国土庁は、開発しようということにベクトルを持っていただいて大きな効果を上げたけれども、これからの時代というのは、そういう部分一つの使命が、琵琶総が、法律も来年で終わるというときに、次の時代はそういう観点の政治の姿勢が必要ではないかと私は思うのですけれども、大臣の御所見をひとつ賜りたいと思います。
  25. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 今先生お話を伺っておりまして、生態系の問題や滋賀県の琵琶湖の持っている問題については、私は、全く認識が同じでございます。  そこで、滋賀県においては、現在、総合的な保全管理のあり方について検討しているということをお聞きいたしております。同時に、これからも、地元関係地方公共団体がどのような考え方でどのような施策をやりたいのかということを伺った上で、国としても対処していかなきゃならぬことだと思っております。  いずれにしても、大事な水資源、それから生態系の問題がございますので、先生の意見も十分踏まえまして、現地からの御意見があれば、それに適切に対応していきたい、かように思っているところでございます。
  26. 川端達夫

    川端分科員 ありがとうございます。  先ほども御紹介いたしましたように、県は県で、いわゆる俗に言う石けん条例とかヨシ群落保全条例とか、いろいろな条例をつくり、県民も、例えば、台所でお皿を洗うのも、油がついていれば、そのまま洗えば簡単なのですけれども、そうするとそれは水として琵琶湖に流れる。それならば、例えば新聞紙とかそういうものでふき取って一要するに水に流さないでとか、そして、ストレーナーみたいなものも、市町村で、有効な銅製のものは助成金をつけて、みんなこれを使った方がいいですよとか、さまざまな努力をしている。そして、県としては、そういう県民意識の高揚を含めて、条例も含めて一生懸命やるけれども、それにはそれで一つの限界がある。そして同時に、個々の、先ほどもお答えいただきました下水道整備事業とか農村集落とか、あるいは工場排水の問題とか、そういう問題ということでは、それぞれ独立した法律がございますから、それでその環境基準を守るようにということもやる。  しかし、それだけではどうも、とてもじゃないができない。そして、一つには、滋賀県だけでもできない。琵琶湖総合開発の場合は利水がメーンですから、いわゆる流域一千四百万の京阪神の皆さんに水を供給するという部分では、下流域の皆さんにとっても水を安定的に供給してもらえるという部分では、琵琶湖総合開発がきちっとうまくいくように、常に実利を伴う、と言うとちょっと語弊がある言葉かもしれません、という部分では一体感がある。ところが、一つ間違うと保全の問題というのは、汚れてきたと言うたら、お前ら汚したのか、ちゃんとしてきれいな水よこせということになってはいけないことで、これはトータル子々孫々まで、下流域の皆さんも含め、非常に大きく言えばそれは日本全体としてということなのですが、下流域の皆さんを含めた一体でやらなければいけないという、かなり広域になる。しかもそれをきちっと網を張ろうとすれば、やはり何らかの法的な仕組みが要るのではないか。  そういう議論をすると、例えば、汚れているのは琵琶湖だけではない、ほかの湖もいっぱい汚れてきておるのだ、全体に。そうしたら、そういう湖沼をきれいにするという法律ということではまだやっていけないわけですね。何で琵琶湖だけやるのだということになるという部分で、やはりこういう特別な価値のある、そして意味のある琵琶湖というものに特定をして、まさに総合的な国土開発の調整機能国土庁として何らかの法整備をやっていただかないとやれないのではないか。  今大臣お答えいただいたように、現在滋賀県でも、水政審議会の今の答申等々含めて、どういうことで自分たちができるのだろうか、法律でこういうことは今でもできるのではないか、しかしこの真ん中のゾーンはやはり国としてこういう仕組みでお願いしたいということはどうなのだろう、トータルどうあるべきかと一生懸命議論をしております。また、近々にそういうことでのお願いにも上がるかというふうに思いますが、法整備も含めた踏み込みがぜひとも必要だというふうに思っていますけれども、その部分での御理解をひとつ賜りたい。  時間が来てしまいましたけれども、そういう取り組みに関しての御協力を含めて、御所見を賜われれば幸いだと思います。
  27. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 先生の提言及びお話を十分承りまして、国土庁としても現地とよく相談して対応してまいりたいと思っております。
  28. 川端達夫

    川端分科員 どうもありがとうございました。
  29. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて川端達夫君の質疑は終了いたしました。  次に、吉岡賢治君。
  30. 吉岡賢治

    吉岡分科員 私は、環日本国土軸の形成について質問をさせていただきたいと思います。  環日本海圏の構想と日本の役割ということでございますが、二十一世紀に向けて環日本海圏の新しい国際秩序を構想し、日本も共生の理念を基本とし、その一翼を担うときに来ているのではないかと思っています。今や冷戦構造は崩壊をし、さらに韓国の目覚ましい経済成長、さらに南北朝鮮の統一への胎動、そして中国の改革・開放経済の 東北三省への影響、さらにロシア極東地域あるいはモンゴルにおける市場経済への移行の動きなど、経済、文化の新たな交流、こういうことも起こっています。  とりわけ、UNDPが関与しております中国、ロシア、北朝鮮を軸とする世界初の多国間協力による図 江の開発構想や、UNIDOがタッチしております大ウラジオストク構想、こういうことを考えてみますと、新しい国際協力というものが今見られているわけであります。また、昨年末にはニューヨークで、中、ロ、北朝鮮、これで図們江開発の調整委員会、さらに、韓国とモンゴルを加えた諮問委員会、こういうものが発足をしたというふうに言われております。加えて、中国の琿春から長嶺子、そしてロシアの沿海地方のザルビノ港、これに向かって来年の一月に鉄道が完成する。言うなれば、中国の黒龍江省から、あるいは吉林省から物流が日本海へ出てくる、こういう現実が起こっているわけでございます。  これら北東アジア地域の国際平和並びに経済成長、そして環境保全、さらには日本海の漁業資源の確保、こういうものに我が国の貢献というものが求められているというのは論をまちません。環日本海沿岸地域、特に対岸諸国との歴史的な関係が深い地域、これを中心にして私は今後の日本の役割というのを果たしていかなければならないと思っているわけでございます。  そういう意味で、自治体やあるいは経済界では今活発な動きが出てきております。日本政府としては、この環日本海構想というものについて、一体どのようなお考えをお持ちなのか。私は、役割はだんだん大きくなっており、そして技術的な問題とかあるいは資金的な問題というので大きく貢献できる分野があると思うのですが、その点についてまずお聞きしておきたいと思います。
  31. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 ただいまのお話でございますが、昨年十二月、国土審議会報告されました二十一世紀のグランドデザインというのがあるわけでございますが、この中でも、北東地域及び西南地域、そして日本海沿岸地域、こういうところを、むしろ日本海で言うのであれば日本海軸とでも言うのでしょうか、そういうことを含む複数の新しい国土軸を形成し、新しい国土構造を構築することによって現在の国土構造のゆがみを直していきたいというような国土政策の基本的な考え方を今持っているところでございます。  したがいまして、今先生お話のようなことを受けまして、平成八年度中を目途に作業を進めている新しい全国総合開発計画策定に向けまして、日本国土軸などの新しい国土軸の位置づけ等について、国土審議会での議論及び国民各層の意見を踏まえまして、引き続き対応してまいりたいというように思っている基本的な考え方でございます。
  32. 吉岡賢治

    吉岡分科員 国土軸の問題は考えていかなければならぬというふうに大臣に言っていただきました。  私は、ぜひひとつお願いしたいのであります。  今申し上げた環日本海圏構想と日本国土軸というのは、表裏一体のものだろうというように私は考えているわけであります。日本海沿岸地域発展というのは、どちらかといえば中央の一極集中、そういうもとで経済成長を補完してきた、こういう経緯があると思うのです。今後は、社会的な公正の理念の立場からも、国土の均衡ある発展、こういうことを目指していかなければなりませんし、同時に、地方分権の問題であるとか自治の確立を目指すものでなければならぬだろうと思っています。  雇用、福祉、環境、教育、文化、災害に強い都市、こういう生活の改善を図るための問題として、いわば改革の戦略とでも言いましょうか、あるいは国土の百年の計とでも言いましょうか、そういう形でお考えいただいて、五全総の中に日本国土軸というものをきっちり位置づけていただきたい、このように思っているわけでございます。  五全総の中に位置づけていただけるというふうに認識してよろしいのか、再度お尋ねしたい。
  33. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 ただいま国土審議会でも議論がありますように、第五次全国総合開発というのか、二十一世紀の国土づくりというのか、この名称のところはいずれにいたしましても、新しい国土づくりを考えなければならぬ時期に来ていると思うのです。  そこで、その基本的な考え方というのは、第四次の総合計画までの考え方というのは比較的経済的な開発というものを中心に置かれたような気がしてならないのでございます。したがいまして、これからは各都市都市都市連携というような地域をつくりながら、相互の個性ある地域の文化、経済、それからそれぞれの生活というものをミックスさせたそういう軸の形成で均衡ある発展を考えたいというように思っているところでございます。  したがいまして、日本海のことを俗称裏日本と言うのですが、私はどこでも言うのは、裏日本という言葉じゃなくて、地図の上ではどう見たって日本海のところは上なんですよ。だから、裏日本じゃなくて、これから上日本にしながら地域開発をしなければならぬというようなお話をしまして、その中に日本海の地域の軸を形成するということを考えていきたいと思っているところでございます。
  34. 吉岡賢治

    吉岡分科員 国土軸の形成ということで、連携方式ということも今言っていただきましたが、私は、ひとつお考えいただいておきたいことがございます。やはり国土の戦略として、政策先行あるいは公共投資、こういうことを展開していただかなければならぬと思うのですが、その際に考えていただきたいのは、今までどちらかといえば、日本列島というのを輪切りにしてきて、例えば新潟と東京圏であるとか、あるいは北陸と愛知、名古屋圏、中京圏ですね、あるいは京都の関係は関西圏というような輪切りでもって、いわばいろいろな投資の問題もトータルに数えられてきたと思うのですね。  例えば、私は兵庫県です。私が住んでいるのは日本海でございますが、兵庫県は日本海と瀬戸内があります。その中で人口がどのように移動していったのか、あるいはその中で社会資本がどのように投下されたのかというのは、ある意味で、中国山脈、これで切って日本海圏と瀬戸内ということを比較していただくような手法を持っていただくことが一番理解されやすい。そしてまた、国土軸ということをお考えになるその構想のもとに具体的な社会資本整備を図っていく上でも、そういう方向が出れば非常に鮮明に出てくるのではないかということを思っておりますので、その点についても見解をお聞きしておきたいと思います。
  35. 塩谷隆英

    ○塩谷政府委員 昨年の十二月に国土審議会報告をされました「二十一世紀の国土のグランドデザイン」という報告がございますが、そこで、新しい国土軸というのはどういうものかという議論を整理いたしております。新しい国土軸というのは、「気候、風土等の自然的、地理的条件及び文化的条件等において共通性を有する地域の連なりであって、交通情報通信インフラのもとで、人、物、情報の密度の高い交流が行われ、人々の価値観に応じた就業と生活を可能にする国土の広い範囲にわたるものである。」というふうに言っておりまして、今先生が御指摘のように、中国山脈を挟んで両岸は気候、風土等においてかなり異なっているというふうに考えられますので、気候、風土等のもろもろの条件において共通性を有するところが地域の連なりをつくっていくというふうな考え方を出しております。
  36. 吉岡賢治

    吉岡分科員 日本海を考える場合に、やはり竹島の問題は避けて通れない、こういうことになります。わかり切ったことでございますけれども、竹島は日本の固有の領土だというように政府も見解を述べておられますが、その点については、大臣も同様でございますか。
  37. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 私もそういう見解でございます。
  38. 吉岡賢治

    吉岡分科員 これは将来にわたって、今申し上 げた環日本経済文化圏構想という立場からすれば、漁業の問題とかあるいは漁業資源の問題は、お互いが協調しながら解決を図っていかなければならない問題だと思います。しかし、そこに至りますまでにはかなりの時間と労力を必要とする、こういうことに相なろうかと思うのです。  今問題になっておりますのは、過日、二月二十日ですか、閣議了承されました国連の海洋法条約に基づくところの二百海里設定の問題です。  昨日も武道館で漁民による決起集会もあったところでございます。その中で見てみますと、やはり漁業者の生活を守る、そういう立場から二百海里の全面設定と全面適用を求めておられるわけでございます。その点について私どもも、今まで東経百三十五度以西は二百海里設定がなかった、あるいは漁業資源を確保するための水域も設定がなかったということで不満があったわけですが、今回そういうことで方向づけられたということでございますけれども、現状は大変厳しい状況になっています。  といいますのも、十二海里のぎりぎりのところまで韓国の漁船が不法操業をされる、こういうことが相次いでおります。例えば刺し網、これは高さは五十センチか一メートルですが、長さが五千メートルぐらいあるものを五反ぐらい続けるというようなこともございますし、バイかごであるとかベニガニかごをつけていく。そうすると、日本の小型底びきがそういうところでは操業できないという実態になっています。  また資源保護でいいますと、要するに漁期を決めておるわけです。ズワイガニでいいますと、十一月から解禁になります。雌ガニは一月の末まででとるのをやめる。そして三月の末までは雄ガニはとってもいいということにしていたり、あるいは底びきにつきましても、六月一日から八月三十一日まではとらない、こういうようなことで資源保護をやっているのですが、その期間も入ってくるということでございます。  かつては、制限しておる大型トロール船がどんどん入ってきた。日本の漁民はいわゆる小型底びき、こういうことでやっていますけれども、大型が入ってきて、船団を組んで来るというような実態があったわけです。それについては政府の方で交渉してもらった経過がありまして、大型は来なくなったけれども今度は小型がたくさん来る、こういう実態になっております。水産庁の香住漁業調整事務所から発表された数字では、山陰・北陸沖に平成七年一月から八月までで一千百六十四そうの韓国船が来ていた。それ以降、考えると、千三百そうは優に超しているという実態になっているわけであります。  そこでお聞きしたいのは、外務省の方に聞いたらいいのかと思いますが、今回の二百海里設定で、竹島をも基点として考えていかれるのかどうか。その竹島周辺というのは、カレイであるとかあるいはカニの非常にいい漁場なんです。その辺ちょっと、非常に深刻な問題として私は漁民の方々から言われておりますので、どのようにその二百海里を設定されるのか、お聞きしておきたいと思います。     〔主査退席、山口(那)主査代理着席〕
  39. 高田稔久

    ○高田説明員 ただいま先生の御質問、排他的経済水域の全面設定についての考え方ということかと思いますけれども、御指摘のとおり、去る二月二十日に閣議了解におきまして、海洋法条約の締結と関連の我が国の海洋法制整備につきまして、政府としての基本方針を明らかにいたしました。排他的経済水域の問題につきましては、政府といたしましてこれを設けることが適当と考えておりまして、現在、法案の準備等所要の準備を進めておるところでございます。  そして、この水域の設定に当たりまして、政府として一部水域の除外を行うということは考えておりません。
  40. 吉岡賢治

    吉岡分科員 そうしますと、水産庁の方にお聞きしたいと思うのですが、一つは、先ほども実情を訴えましたように、紛争が絶えないと言ったら言葉が大きくなりますけれども、日本の漁民の人たちは非常に厳しい眼で見ているというのは先ほど申し上げたとおりであります。  そこで、韓国もいわゆる海洋法条約を批准しているということになると、日本と重なるところがありますね。重複水域とでもいいましょうか。その辺の操業のあり方というのは今後どうなっていくのかということについて一つはお聞きしておきたいと思います。  また、今条約の中で日本はきちっと設定をしていくのだと先ほども御回答いただいたわけですが、中国と韓国につきましては、当面は適用除外ということになる現実がありますね。この点について、韓国の不法操業あるいは資源保護ということについて、水産庁としてどう改善を求めていかれるのか。  二点、簡単にお答えいただきたいと思います。
  41. 篠原孝

    ○篠原説明員 お答えいたします。  まず第一点の重複水域の関係でございますけれども、今も新聞等にいろいろ報道されておりますけれども、まずはこれから協議をしていくことになっておりまして、そこのところは定かではありませんので、今お答えできる段階ではございません。  それから、先生指摘のとおり、竹島周辺はカレイとかズワイガニ、それからイカ等非常に好漁場でございます。先ほど外務省の方から答えがありましたとおり、こういった好漁場であるので、例外なくちゃんと引いていくのだということを我々も認識しております。  先生先ほど触れられましたとおり、昨日は六千人の規模の漁民大会が開かれまして、整然としたデモも行われております。こういった漁業関係者から、排他的経済水域を全面設定すべきだ、全面適用すべきだという強い意見があるということは十分承知しておりますので、こういった御意見を踏まえつつ、先ほどの閣議了解の趣旨に即して適切に対処してまいりたいと思っております。
  42. 吉岡賢治

    吉岡分科員 重複水域のことを漠然と今おっしゃっているのでちょっとお聞きしておきたいのですが、対ロシアということで考えてみますと、入漁協定をその水域については結んで、そして安全操業ができるというようなことというふうに聞いておるわけですが、そのような協定をこの日韓の問題でも進めようとお考えになるのかどうか、ちょっとその辺聞いておきたいと思います。
  43. 高田稔久

    ○高田説明員 もちろん、先生指摘のことも含めまして、理論的には幾つかの可能性というものはあると思います。  ただ、現在の政府の考えと申しますのは、竹島に関します我が国の一貫した立場をあくまでも前提とした上で、しかしその竹島に関する領土問題そのものについての解決とは別途に、海洋法条約の締結に伴い生じる漁業の問題についてはいかなる解決策が可能であるのか、それは今後模索していきたいというふうに考えております。
  44. 吉岡賢治

    吉岡分科員 漁業会に行きますと、海図を示されて、ここにも縮小したものを持ってきていますが、竹島と隠岐島の間に韓国の二百海里の設定の線が来るというお話を聞いております。そう考えてみますと、かなりの水域が重複水域になっていくということで、お互いが主張していても仕方がないということにも相なりましょう。  そこで、外務省の方では、今言われましたように今後の漁業協定の、自動延長を今ずっと続けておりますけれども、それをきちっとやっていくんだ、その中で解決したいという方向が閣議決定の中にもあるのではないか、こう理解をさせていただいておるわけです。要するに、漁業協定を変えようという提起と、そして具体的にどのような内容と、そしてそれをいつごろやられるのかというめどを持っておられるのですか。外務省にお聞きしておきたいと思います。
  45. 高田稔久

    ○高田説明員 韓国との漁業関係に関しましては、これは日韓間で十分に話し合い、円満な形で解決を図っていくということが重要であると考えております。先般の閣議了解におきましても、そういう意味で海洋法条約の趣旨を十分に踏まえた新たな漁業協定が早期に締結されることを目指 し、そして合理的な期間内に結論を得るよう鋭意努めていくということがうたわれております。  この交渉のめどといいますか、あるいは期限ということで合理的な期間内というのがどのくらいかという御趣旨の御質問かと思いますけれども、これは現段階ではまだ実際に交渉が始まっておりません。その段階で具体的なめどということを申し上げるのは適当でないと思いますけれども、政府としてはこれはいつまでもだらだらということではなくて、これは早期に本腰を入れて交渉していきたいと思っております。
  46. 吉岡賢治

    吉岡分科員 水産庁の方にお聞きしますけれども、日韓の漁業委員会ということで、お互いの秩序を守ろうであるとか、あるいは資源を確保していこうだとか、操業の秩序と資源ですね、そういうことを話し合われるというのは毎年やっておられるのでしょうか。
  47. 篠原孝

    ○篠原説明員 毎年、日韓実務者協議ということでやっております。その一環で、先ほど高田海洋課長からもちょっとお答えいたしましたけれども、新たな海洋秩序が生まれつつあるということで、我が方から韓国、中国に対して新たな海洋秩序に向けて交渉を開始しようではないかという申し入れを行っているところであります。  先生先ほど触れられましたとおり、韓国は既に八十五番目の加盟国になっておりまして、基本的なことについては異存はないということで、前向きに交渉を開始するということについては両国で合意しております。
  48. 吉岡賢治

    吉岡分科員 そうしますと、水産庁の方も実務者の中でこの問題をやはり真剣に取り上げていただきたい、このように一つは思っているわけであります。外務省の方も、自動延長ということになっているということがあるとしながらも、お互いが二百海里のいわゆる海洋法条約の批准国であるということであるとするなら、十分話し合うということが可能だというように思っております。  外務省の方にもお願いをしておきたいのですが、速やかにという表現で今言われましたけれども、漁民の人たちの悲願というのは大変厳しいものがございますから、一日も早いということが必要だと思いますので、例えばこの一年をめどに交渉をきちんとまとめていきたいというような目標を持っておるのだというくらいのことは言っていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  49. 高田稔久

    ○高田説明員 交渉の具体的な期限につきましては、いまだ交渉に入っていない段階でございますので、具体的な期限をいつまでということを申し上げるのは適当ではないと思います。それからまた、交渉の期限を区切って、そういう形で外交交渉に臨むということの適切さということもあろうかと思います。  ただ、政府といたしましては、これは一年とかいうような漁業関係者の方々のいろいろな御意見、御希望ということを、またそういうことも頭に入れまして、とにかく早期にやっていきたいと考えております。
  50. 吉岡賢治

    吉岡分科員 ぜひひとつしっかりした交渉をしていただきたい。そして、友好を生んでいき、さらに漁業者の方においても、安全で、なおかつみずからの資源を確保していこうという、こういうことにきちんと対応していくという方向をぜひとっていただきますように申し上げておきたいと思います。それらのことがきちんと片づいてこないと、冒頭申し上げました環日本経済文化圏構想、こういうものも成就していくということになりませんし、なかなか国際的な利害がかんでまいりまして、難しい問題になってまいります。  その辺のことについて、ぜひひとつ、日本国土軸、こういうことも含めて大臣の御努力をお願いしたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  51. 山口那津男

    ○山口(那)主査代理 これにて吉岡賢治君の質疑は終了いたしました。  次に、山元勉君。
  52. 山元勉

    山元分科員 社民党の山元でございます。大変皆さん御苦労さまでございます。  私は、琵琶湖についてお尋ねをしたいと思いますが、直接平成八年度の予算ということよりも、今琵琶湖が抱えている問題についてお尋ねをして、国土庁に格段の御理解、御協力をいただきたいということでお尋ねをしたいと思います。  最初に、十分皆さんも御承知でしょうけれども、琵琶湖について申し上げますと、琵琶湖というのは本当に大きい湖でございます。水の量でいいますと二百七十五億トンという水ですし、一周しますと二百二十五キロある日本一の大きさですし、そして古いということが言われています。琵琶湖が生まれたのは四百万年前、そして今の琵琶湖になったのが四十万年前ということですから、大変古い湖です。世界に十ある古代湖のうちの一つですが、東アジアでいえば一つしかない大変古い大事な価値を持っている湖だというふうに思っています。  そして、資源も大変多くて、例えば淡水魚の水揚げでいいますと年間三十七億円とも言われますし、そしてその中には琵琶湖しかいないいわゆる固有種四十五種類いるわけですね。そういう淡水生物の宝庫とも言えるような湖でもございます。そして何よりも、滋賀県民百二十八万ですけれども、それだけではなしに、近畿、下流の千四百万人の水がめと一言で言われますが、飲み水、産業、いわば生活と産業を支えているのが琵琶湖だというふうに私どもは思っています。  その大きくて古くてそして大事な琵琶湖が、今大変大事な時期を迎えているわけです。環境の面で、どうこれから子孫に申し送っていくかという大きな節目の時期を迎えているわけです。  大臣は美しい猪苗代湖がある福島の御出身だというふうに思いますけれども、最初に大臣から、そういう湖についての思いといいますか、特に、私で言うと琵琶湖についてどのような思いを持っていただいているか、最初にお伺いをしたいと思うのです。
  53. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 山元先生が地元、とりわけ琵琶湖、ふるさとに対して大変な思いをお持ちになって、日々、県民そして国民のために御努力なさっていることに対して敬意を表したいと思います。  今御指摘のように、私の県は猪苗代湖がございますが、特に琵琶湖というのは、日本の中でも古代の文化の問題、歴史的な問題、そして同時に、今お話しのように生態系の問題、漁民の生活の問題、そして千四百万人という京阪神の地区の問題に対する水資源の問題などなどを考えますと、大変重要な湖じゃないかと私は思っています。同時に、便利さと不便さがちょうどドッキングするみたいな環境の問題というのも、今日大きな問題になっていると思っておりまして、深い関心を持っているところでございます。
  54. 山元勉

    山元分科員 ありがとうございます。  先ほど申し上げましたように大変重要な時期を迎えているというのは、一九七二年から二十五年間、琵琶湖総合開発のための事業が進められてきました。事業量でいいますと一兆八千億円、今の時価にしますともっとでしょうけれども、そういう大きな特別措置法が組まれて進められてきました。  これは、六〇年代にずっと滋賀県の人口が急増する、工場が進出してくる、今でもやはり人口の伸び率でいうと全国三位にありますから、まだ人口の流入といいますか続いているわけですが、そしてそういう時代にこの京阪神の工業地帯が膨張をしていって、水需要が急激に多くなってくる、そういう中でこの事業が下流の各県の皆さんとも合意されて始まったわけです。毎秒四十トンの新しい水を開発するということとあわせて、環境を保全するということが同時に事業として進められたわけです。  県民も大変な努力をしてまいりました。が、とりわけ下流の京都や大阪や兵庫の皆さんに協力をいただきましたし、そして何よりもやはり国の特別措置としての支援があったからだと思います。その事業も、進捗率今およそれ八・六%と言われますけれども、今事業はほぼ完了をして、来年の三月で終了しようとしているわけですね。  そこで、国土庁お願いをしたいのですが、これだけの力を使ってきたこの総合開発の成果といいますか、成果と現状、今申し上げましたように、水資源開発と、一方で環境を保全するという二つの目的があったのですが、二十五年たって今の状況についてどういうふうに評価をしていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
  55. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、二十五年にわたります琵琶湖総合開発事業、いよいよ、ただいま御審議いただいております平成八年度予算をお認めいただきますと、これで事業目的が達成されるということになろうかと思います。これによりまして、琵琶湖の自然環境、その水質の改善というような目的、琵琶湖周辺の治水問題、地域産業発展、そして淀川下流全体にわたります都市用水の需要に対する供給というような目的、それに大きな事業効果が発生したものと考えております。  今先生指摘の、水質の関係についてどう思っているかという御指摘がございました。  この琵琶湖総合開発事業では、法律の目的にも、この水質の回復を図るというのが第一条に書いてあるところでございまして、治水と利水の事業にあわせまして、琵琶湖の自然環境あるいは水質の保全を図るという事業といたしまして、下水道あるいはし尿処理施設、畜産環境整備施設、農業集落排水処理施設、ごみ処理施設等々が展開されてきたところでございます。  こういった一連の事業の成果というようなことで、琵琶湖の水質が改善されていくということになるわけでありますけれども、ただ、現段階で見てまいりますと、琵琶湖の水質そのものは、CODで見てまいりますと、昭和五十年代の後半はおおむね改善というところがあったわけでありますが、それ以後は改善の傾向が見られず、これは年によるのでありますが、悪化したという年もあるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたいろいろな下水道事業を初めといたします排水処理対策が総合的に講じられまして、直接にはそれぞれ琵琶湖に流入いたします河川の水質がまず改善されるということが期待できるわけであります。  そういった点で見てまいりますと、特に汚濁がひどかった南湖に流入する河川の水質を、これはBODしかちょっとデータがありませんので、BODで見てまいりますと、昭和五十年代初頭ではリッター当たり五ミリグラムといった汚濁の状況でありましたものが、現在一・七ないし一・八というぐあいに水質改善の効果が出たものと考えております。
  56. 山元勉

    山元分科員 確かに改善が見られた年もある、元知事などは横ばいという言葉も使っていますけれども、決して私は、よくなっているという実感はだれにもないというふうに思っているのです。  現に、一九七七年に赤潮が発生をしました。琵琶湖で赤潮というのはとても考えられなかったわけですけれども、それからおよそ毎年、琵琶湖で赤潮が見られるようになっている。県民も慌てまして、八〇年には有名な富栄養化防止条例、燐や窒素が含まれている合成洗剤は家庭でも使わないし店でも販売をしないという、滋賀県から有燐の合成洗剤を追放する運動をやりました。大変な論議があって、こういうことに踏み切って努力をしてきた。  けれども、例えば一昨年からまたアオコが今度は発生するようになった。先ほども申し上げましたように、千四百万人の命の水に、いわば赤信号がついたというふうに思う。下流の人、京都やあるいは大阪や兵庫の人には申しわけないような気がするわけですね。大変な協力もいただきながら、努力をみずからもしておるけれども、赤潮が発生する、アオコが発生する、こういうような水を流し続けているわけですから、これが改善、目に見えて、たとえ少しずつでも上向いているというのだったらいいけれども、横ばい、よくなったというふうには実感できない現状というのは大変な事態だと思う。  とりわけ、二つの目的一つ、環境保全ということを目的にした特別措置法が終わるというときに、それまでの成果と、反省をしっかりとして、今後どう対処すべきかについては考えないと、滋賀県の立場でいうと下流の皆さんに、そして、自分たちでいうと自分の暮らしも含めてですけれども、子々孫々に申しわけが立たぬ、こういうことにしっかりと立たないと大変なことになる。先ほども申し上げましたように、二百七十五億トンという水を一たん汚してしまうと大変なことになるわけです。  そういう意味で、どうも聞いていると、単純に、特別措置法が切れる、後は一般施策へ移行するからそれぞれ努力をしましょうというような話になっていきそうな感じがするのですね。それは地元で努力をせいと。確かに格段の努力はしなければならないでしょうけれども、これだけ、二十五年間に二兆円という金を使ってやってきた、ともどもやってきたのに、こういう状況になっていることを考えると、県民で、一般施策で頑張りなさいということについては、これは至難のわざで、責任が持てないだろうというふうに判断をしなければいかぬだろうと思うのですね。  国土庁はそのことについて、今もう終わりに入っていっているわけですから、どういう認識をお持ちなのか、お尋ねをしたいと思います。
  57. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 琵琶湖の水質につきましては、先ほど申し上げましたように、湖本体とそれから流入する河川とで、大分改善といいますか、湖本体では一部悪くなっている年もあるというような状況にあるということでございます。  琵琶湖総合開発事業によりまして、滋賀県の場合には比較的といいますか、全国的にも下水道の整備がおくれていたわけでございます、それが、例えば昭和五十六年という年で切ってみますと、全国の下水道普及率が三三%でございましたけれども、滋賀県の場合には五%を切っていたということでございます。それから、五十六年でありますから、十三年後を見てまいりますと、平成六年でありますけれども、滋賀県の普及率は三九・三%、つまり十三年間に約五%から約四〇%まで上がったということでございます。この間、全国では三三%だったものが五一%に上がったということでありますから、滋賀県の大変な御努力があったものと考えております。  下水道の普及率をいろいろ進めませんとこの水質問題、なかなか解決が難しいと思うわけでありますけれども、平成六年度末現在で、現在滋賀県で五十の市町村がございまして、下水道事業が既に四十四着手済み、事業中であります。そして、さらに二十三の市町村が供用開始しているという状況にあります。終末処理場も、四処理場のうち既に三つが供用されているところでありまして、この処理場ができますと、後は面的な整備と申しますか環境の整備によりまして、金を投じた分だけ直接その普及率の向上につながっていく、こういうことになってまいります。  今後、そういう各種排水処理施設対策、こういったものに真剣に取り組むことによりまして水質の改善に貢献していきたい、こういうように考えております。
  58. 山元勉

    山元分科員 今、例えば下水道の普及率でおっしゃいました。確かに国の支援もあって急激に――私は、数年前になりますが、滋賀の下水道普及率がこんなに低いのは、先ほども申し上げましたとおり下流の皆さんに申しわけないという、汚い水を垂れ流しているという感じがしますから、ですから、何としてでもやはり下水道の普及率を上げてもらいたいということをこういう場所で申し上げたことがありますけれども、おかげさまでそういうことはできてきた。  ただ、先ほども申し上げましたように、事業が打ち切られるといいますか、特別措置法が切れる、その後でこのペースが守れるかどうかですね。まだ追いついていないわけです。本当に、おかしな言い方ですが、山の水や家庭雑排水が日本海やあるいは太平洋にずっと流れ込む地域の場合と違って、百二十八万人、大げさに言うと全部が、家庭雑排水も琵琶湖に注ぐわけですから、こ れは大変な努力をしないといけないわけですが、法が切れると、そうするとそのペースが守れるか。  さらに、ほかのところで見ますと、滋賀も緑がどんどんと減っていっているのですね。恐ろしい勢いです。宅地がどんどんふえていく、森林がどんどん減っていく。この二十五年間で、ざっとした計算ですけれども、百七十平方キロメートルの森林、緑がなくなったというふうに資料から私も計算をしましたけれども、恐ろしい勢いで緑が減っていく。それを食いとめて、やはり公有地にして、緑を守るとか造林をするとかいうこと、このエネルギーというのは大変なエネルギーが要ると思うのですね。これは今まで余り手がつけられていないといったらおかしいですけれども、これから大きな力を入れなければならぬ。  そういう意味で、私は、終わるに当たって、しっかりとそういうことについて国土庁の皆さんにも目を向けていただきたい。一般施策で頑張りましょうということでは、しっかりとした、現状を認識した、あるいは反省といいますか、総括をしたということにならないということを御理解をいただきたいというふうに思います。  そこで、滋賀県も、お願いしますということだけではなしに、県独自も努力を始めています。八年度末に切れるということで、五年度に知事から水政審議会に諮問がありました。法が切れた後はいかがすべきかという諮問がございました。そこから論議が具体的に始まっているわけです。  その審議会の答申というのは、答申というよりも意見ですけれども、今から申し上げるとまだ早いかもしれませんけれども、しかし、その平成五年の九月の知事からの諮問に対して、滋賀県の水政審議会はこういう意見を出しているわけです。「琵琶湖を適切に保全していくための恒久的な仕組みを含む、琵琶湖だけを対象とした新たな法制度の確立に向けて、」「今から早急に取り組むべきである。」平成五年から始まっているわけです。  これは、先ほども申し上げましたように、サボるわけではないけれども、とてもじゃないが、下水道のことにしても緑を守ることにしても、琵琶湖に対する新たな法制度をつくらないと大変なことになるという認識をこの当時からして、専門部会を置きましてずっと論議を進めていただいているわけです。もう結論を出して具体的なことについて下流の皆さんや国の皆さんにお願いをしなければなりませんから、今精力的にこの審議会の専門部会が開かれているわけです。これは、先ほども申し上げましたように、たちまち予算ということではありませんけれども、国土庁の皆さんに認識をしていただくためにも、今滋賀県で考えられている柱について少し申し上げておきたいのです。  問題意識というのは三つに大きく分けて考えているわけです。  一つは、水質を保全をすること。先ほども申し上げましたように、赤潮が出る、アオコが出る、実際に見た目にもやはり汚れていることがわかっているわけですから、そういう水質を保全をする。  そして、申し上げましたように、緑がどんどん減っていくから、水源の涵養について施策を立てなければならない。二つ目です。  三つ目は、環境ですね。私どもは、琵琶湖総合開発ができるときに、きつい言葉で言いますと、反対運動をしたのですね。これは、水資源が下流の県に、京阪神に要るということで開発をすれば琵琶湖の環境が破壊をされるということで、環境を重視して進めるということにならなければだめだ、今の考え方では、水資源開発が重点になっている特別措置法については反対と、こうやっていたことが、やっていたことという言い方は悪いですけれども、言っていたのです。その心配が当たってというか、赤潮やアオコが出たとも言えるわけです。  しかし、自然環境を復元をしていく――これはおかしな話ですけれども、湖岸をそいでコンクリートで固めた。これは、例えば水をきれいにする機能を持っているヨシが全部全滅してしまったから、だからヨシを琵琶湖の中に植えるんだというような復元の仕事もしているわけですが、そういう環境の保全。あるいは景観も含めて、これは我々の宝物だというふうに思っていますから、美しい琵琶湖というのは。ですから、そういう環境、景観を保全をする。  これは、水と水源とそれから環境、景観、この三つの柱についてしっかりと事をなさなければならないという論議を進めているわけです。  例えば、水質の保全でいいますと、富栄養化させていく燐を含む洗剤を使わないという努力をしていますけれども、それだけではなしに、家庭雑排水の浄化を徹底的にやらなきゃいかぬということで、現に、これは御理解いただきたいのですが、この二十六日から滋賀県議会が始まりまして、環境関係で三つの条例を提案をしているわけです。  その一つが、いわゆる生活雑排水の対策条例で、合併浄化槽を義務づける。新しく家を建てるときには合併浄化槽をつけるんだ、こういうことで、県民、頑張りましょう、相当の金が要りますけれども、皆さん努力をしてくださいということで、新しい家には浄化槽を設置をすること。そして、その他の皆さんもできるだけ単独から合併にかえていく。あるいは、ないところにはつけていく。そして、面にしていく。点々とあったらなかなか効率が悪いですから、面にしていく。そういう努力をして、これは、流入する汚濁の大体三割が家庭雑排水なんですね、そこのところをとめなければならないということで、特別の、滋賀県独自の排水対策条例というのをつくるということで、今県議会で論議が始まりました。ぜひ、県民の皆さんの理解も得ながら、成立をしてほしいというふうに思っています。  それから二つ目の、この水源涵養のための仕事も、大変金がかかるのですが、そういう大事なところを公有化していく。これは国の施策にもありますから、そういうものを使ってですけれども、これはなかなか進まないわけです。  そういう水源涵養の問題と、そして今申し上げました景観の問題ですが、三つの条例でいいますと、先に環境基本条例というのをつくろうということになっていますし、一つは、水質汚濁の、排水基準の改正をしようということで、それぞれ県議会で三本の条例として提案をされているわけです。そういう努力をしているのです。  局長、もう一遍、重ねてですけれども、そういう努力は一方でありながら、法が切れるというときに、これでいいのかということについて、もう時間がありませんから一言で、御理解をいただきたいという思いで申し上げるのですが、いかがですか。
  59. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 お答え申し上げます。  先生詳しく御指摘いただきましたように、滋賀県は、水質関係につきましても大変な先進県、先進的な御努力を重ねられてきたところでございます。  今お話しいただきました、滋賀県環境基本条例初め、滋賀県生活排水対策の推進に関する条例あるいは水質汚濁防止法三条三項の規定に基づく排水基準を定める条例、この二月県議会と申しますか三月県議会で成果を上げられることを深く期待申し上げているところでございます。  今後の取り組みにつきましては、まだ私どもとしては方針を決めているとかいう段階ではございませんけれども、私どもとしては、滋賀県が大変なお取り組みをずっとしてこられたということにかねてから敬意を表してきたということを申し上げたいと思います。
  60. 山元勉

    山元分科員 時間がありませんから、最初にも申し上げましたように、この予算でということよりも、ぜひ御理解をいただきたいというのは、さっき言ってしまいましたけれども、滋賀県でまだそういうスキームが決まっていないわけですけれども、特別な法制度をつくってもらわないと大変なことになるということで私は先ほどからお願いをしているわけです。  確かに、水資源開発事業の琵琶湖総合開発からがらりと質が変わらなければいけないだろうというふうに思っているのです。当初予定をした事業量の九八・六%までいっている、そしてそれは、水資源開発ということを主眼にしたと言ったら語弊があるかもしれませんけれども、そういうことだというふうに思いますから、そうすると、これからは、永続的な環境保全の仕組みをあるいは状況をどうつくるんやということについて、やはりこの一年間本当に真剣になって考えないといけないというふうに思うのです。それは、先ほども言いましたように、滋賀県で論議は始まっていますけれども、口幅つたい言い方やけれども、私は、滋賀県民の百二十八万人の琵琶湖ではないと思っているのです。千四百万人の琵琶湖であるし、そしてそういうことからいうと、やはり日本国家的な仕事としてきちっと位置づけておかないと、後世、後悔が残るというふうに思うのですね。そういう意味で、やはりしっかりとした枠組みをつくらなければならないという思いがあるわけです。  時間もありませんから、最後に私、先ほどから一生懸命に汗かきながら言っているのですけれども、県民が努力をしている、そういうことについて、重ねて言いますけれども、確かに県独自の努力というのは必要ですし、下流の皆さんに御理解をいただかなきゃならぬ。私もこの間から、我が党の近畿の皆さんに、こういう状況だ、何とかして理解をしてほしいし、協力をしていただきたい、これは我が党ということではなしに、超党派で御協力をいただいて、皆さんで守らなければならない、五十嵐さんにもお願いをしたいと思うのですけれども、そういうお願いをもう既にしているのですね。ですから、そういう地元の努力あるいは下流の皆さんの御理解や協力というのは要るけれども、繰り返してしつこく言いますけれども、何よりも国の格段の御支援が必要だ。そのためには、金がないからと言うのではなしに、やはり大事なものだから、近畿にとっても日本にとっても大事な琵琶湖なんだからという思いでこれから対処をしてほしいというふうに思うのですね。  そういう点について、最後、大臣の御所感を伺って終わりたいと思います。
  61. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 琵琶湖を保全していくということは、もう先生の御指摘もございますし、そればかりでなく、私も重要な課題だというように認識しています。したがいまして、これら総合的な環境の保全を図っていくためには、引き続き各種の方策による水資源保全関連事業推進や、各種排水に対する規制等を初めとするもろもろの施策が必要であると思っております。  いずれにいたしましても、琵琶湖総合開発事業が始まった時点と比較して、関連する制度が整備されたこともございますが、今の先生の御意見も踏まえまして、今後、地元関係公共団体がどのように考えているかをしっかり伺った上で、前向きに対応していきたいと思っております。
  62. 山元勉

    山元分科員 ありがとうございました。終わります。
  63. 山口那津男

    ○山口(那)主査代理 これにて山元勉君の質疑は終了いたしました。  次に、上田勇君。
  64. 上田勇

    上田(勇)分科員 新進党の上田勇でございます。  きょうは、この分科会におきまして、我が国の産業構造が大きく変貌する中で、今後の工業立地のあり方などにつきまして、私の地元でもあります京浜工業地帯が抱える問題などを踏まえながら質問させていただきたいと思います。  実は、この問題については昨年もこの予算委員会分科会において質問させていただきました。そのとき提起させていただいた幾つかの点については、これはいろいろな自治体や事業者からの強い要請もあったことだと思います。国土庁、通産省の方で前向きに対応していただきまして、その点についてはそれなりに評価しているところでありますけれども、なお極めて重要な問題であると考えますし、まだ問題も残っているというふうに私自身考えておりますので、再度ここで議論をさせていただきたいというふうに思います。  まず初めに、国内におきます工業の配置計画についてお伺いしたいと思うのですが、昭和四十七年に工業再配置促進法が制定されまして、大都市圏の過密の是正ということと国土の均衡ある発展ということなんでしょうけれども、正直言って、この目的というのは十分には達成されてないんじゃないかというふうに評価いたします。もちろん、一定の効果があったことはそのとおりだと思います。ただ、依然としてその後のいろいろな国土計画などにおいてもこの大都市圏の過密の問題ということが言及されていることから見ると、やはりもう一つ成果という面では問題が残っているんじゃないかというふうに思います。  ところがここに来て、工業が集中していると言われていた工業地域、京浜工業地帯などもそうなんですが、今度はその工場が移転するということがありますし、縮小するというような傾向も相次いでいる。ところがこれは、地方移転するというんではなくて海外に出ていってしまう。そういう意味では、国際的な工業の再配置が今起こっているんじゃないかというふうに感じます。  通産省の方でも、去年の七月ですかね、新産業立地政策研究会といったもので報告書が出ております。その中でもこのことが言われていまして、その立地の問題などについて言及されています。その報告書の中にも「工業再配置政策を再構築すべき時期に来ているのではないか。」というふうに表現されているんですが、そういうことを考えますと、もちろん大都市圏への集中是正というこの大目的については十分理解できるものであるんですが、その考え方が大分変更を迫られているんじゃないかというふうにも感じます。  そういう意味で、まず初めに、今後の国内におきます工業の配置計画、このことについてどのように考えておられるのか、その辺の見解をお伺いしたいと思います。
  65. 中野賢行

    ○中野説明員 お答えをいたします。  工業再配置政策の今後の考え方いかんということでございますが、通産省におきましては、これまで、国内におきます適正な産業再配置を実現をするために、今先生指摘ございましたように、昭和四十七年に制定されました工業再配置促進法に基づいて各種の工業再配置促進政策を講じてきたわけでございますが、さらに、昭和五十八年以降テクノポリス政策、あるいは昭和六十三年以降頭脳立地政策など産業立地政策を推進し、一定の成果を上げてきたというふうに考えているところでございます。  具体的には、工業再配置促進法に基づきます移転促進地域と誘導地域との工業集積度の格差でございますけれども、昭和四十五年には約二十三倍であったものが平成二年には約八倍にまで縮小してきているということでございます。  さらに、近時の経済の急速なグローバル化の進展あるいは産業構造の変化など我が国経済を取り巻く諸環境が大きく変化し、企業が国を選ぶ時代となっているわけでございますが、そうしたことを踏まえまして、我が国経済が今後とも持続的な成長を続けていくためには、産業立地政策としても、我が国全体として国際的にも魅力ある産業立地環境の実現を目指す必要があるというふうに考えているところでございます。このために、高コスト構造の是正を図る、あるいは新規事業創造等企業の創造的活動促進されるような研究開発施設等新産業インフラ整備を強力に進める必要があるのではないかというふうに認識しているところでございます。  今後とも通産省といたしましては、引き続きこの内外の環境変化に適切に対応した産業立地政策の展開に努めてまいりたいと存じております。  以上でございます。
  66. 上田勇

    上田(勇)分科員 今の答弁にもありましたように、やはり今の時代、国内における産業の立地条件、これをやはり魅力あるものにしていかなければいけない、もうそのとおりだと思います。  それで、産業立地を魅力あるものにするという 中には、今お話にもありましたが、いわゆるコスト高の問題ということもありますし、同時に、いろいろなところで工業立地上の規制についてもその見直しなどについて言及されているわけであります。現在ある主な規制だけでも、通産省所管の工場立地法、それから国土庁所管のいわゆる工業等制限法ですね。それからあとは、いわゆる日本の工業地域が臨海部に立地しているケースが多いんですが、そうした場合には運輸省の港湾関係の規制などもかかっているということであります。  これらの規制について、去年、政令改正などによって一定の緩和が行われたわけでありますけれども、私、いろいろなところでお話を聞くに、自治体や事業者などからは、やはりまだ依然として一層の緩和を望む声が強いのが現実であります。  通産省の方も、報告書の中で、この工業等の制限についても議論を進めていく必要があるというような形で、今後検討する必要があるというようなことで述べられているわけでありますが、そういう方針というふうに理解した上で、そこで、今までの規制緩和への取り組みも踏まえまして、今後どのような方向対応されるお考えなのか、国土庁それから通産省の方にそれぞれお伺いしたいと思います。
  67. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 お答え申し上げます。  工業等制限法は、大都市の中心部への産業人口の過度の集中を防止して、都市環境の整備、改善を図るということを目的にしております。そういったような考え方から、基本的にはその枠組みは堅持しなければいけないというように考えております。しかしながら、産業構造の転換等の御要請がいろいろあるわけでありまして、それに対しましては的確に対応する必要があるというように考えております。  まず中小企業関係につきましては、従前から、品質の改善あるいは生産費の引き下げのための近代化設備の導入など経営の合理化等へ向けた工場の増設を一定の面積の範囲内で認めておったところでありますが、昨年の四月にこの一定の面積という面積要件を撤廃しまして、さらにこれを積極的に促進していくというように改めたところでございます。  それから、中小企業でありませんで、一般的にということになるわけでありますが、昨年五月に政令の改正を行いまして、同様の経営の合理化に向けた工場のリストラが促進できますように、工業専用地域でありますとか一定の工業団地、埋立地等におきます工場の増設を可能とする措置を講じたところでございます。  今後とも、適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
  68. 武田貞生

    ○武田説明員 工場立地法についてお答え申し上げます。  工場立地法は、工場と工場周辺生活環境の調和を図るために、工場を立地する事業者の準拠すべき基準といたしまして工場立地に関する準則を定め、これを公表し、事業者の方は、この準則に従い、生産施設の適切な配置でありますとか一定割合の緑地及び環境施設の確保等を行うものとされているというところでございます。  それで、スクラップ・アンド・ビルドに関しまして、工場立地法施行以前に建てられていました既存工場等における生産施設の建てかえのうち、準則に適用できなくとも生活環境の観点から問題がない場合、言いかえますと、どのような場合であれば環境保全上の取り組みを後退させることなくスクラップ・アンド・ビルドができるのかという点について、昨年、平成七年の四月にその判断の基準の明確化というものを図ったところでございます。  また環境施設につきましても、準則においては、緑地等を含めまして敷地面積の二五%以上の確保というのを求めているところでございますが、昨年の一月より、緑地、修景施設、これは噴水とかあるいは池などを含みますが、あるいは屋外運動場と並びまして、地域生活環境との調和に資するものといたしまして、地域住民に対して開放されております屋内運動施設、体育館でありますとかあるいは博物館、美術館等の教養文化施設を環境施設に追加したところでございます。こうした措置を通じまして、構造改革対応した生産施設の建てかえにつきまして行いやすくなってきているというふうに考えております。  いずれにいたしましても、今後とも事業者からの相談等に対しましてきめ細かく対応し、工場立地法の適切な運用を図っていきたいと考えております。  以上でございます。
  69. 上田勇

    上田(勇)分科員 今、両省庁とも、今後実態に即してさらに規制について考えていくというような趣旨だったと思います。  そこで、今いただいた答弁も踏まえまして、具体的な問題について若干お伺いしたいというふうに思います。時間の制約もありますので、国土庁所管の工業等制限法を中心に質問させていただきたいと思います。  例えば京浜工業地帯を例にとりますと、現在もそうでありますし、特に従来は、鉄鋼、化学、機械、そういった重化学工業が中心であります。ところが、今これは本当に大規模な産業構造の転換が迫られている。従来の従業員なども数が半数になっているというような大企業もたくさんあるのが現実であります。  そうした産業構造の転換に直面して地元では、事業者の方も自治体の方も、より付加価値の高いハイテクであるとか情報産業、そういった産業への転換、集積を図るなど、今いろいろな構想があるわけであります。例えば京浜工業地帯を、日本のシリコンバレーを目指したいというような構想であるとか、単に既存の企業のリストラという問題だけにとどまるものではなくて、工業地帯全体の再編、見直しといったものが今必要になってきている。その中では、新しい企業や工業施設の誘致なども考えていかなければならないというのが現実じゃないかというふうに思います。  そういう意味で、昨年の緩和、これは一定の成果であると思いますけれども、依然としてやはり、自治体が将来の構想を立てるときなどにはいろいろな面でまだ制約となっているというような声をよく聞くわけであります。  幾つかの点がありますが、ちょっとまとめてお伺いをします。  一つには、この工業等制限法が適用されております制限区域、この中で、例えば都市計画法に基づく工業地域であるとか工業専用地域、こうした地域というのは、本来工業を振興する、あるいは工業の利便を増進するため設けられた地域でありますので、制限区域に適用するというのはちょっとなじまないのじゃないか。これは将来、こういった制限から除外する、あるいはこういった地域についてはいろいろな制限を緩和していくということも必要なんじゃないかというふうに思います。  また、今この制限区域で、法律の適用除外に幾つかの業種が指定されているわけでありますけれども、これも昭和三十七年以来見直しが行われていないというふうに聞いております。その間、産業構造や都市型のマーケット、需要といったものも大分大きく変わっているのが実態であると思いますし、そういうことを配慮して、例えば今適用除外業種の中に牛乳の製造だとかアイスクリームの製造といったものが入っているのですが、こういった食品関連産業なども新しい需要に対応して、さらに除外の範囲を拡大すべきじゃないかというふうに思います。また、エレクトロニクスなどのハイテクの分野、それから知識や情報などが集まる大都市に適したいわゆるファッション関連の産業、そういったことも法の適用から除外することも考えなくてはいけないのじゃないかというふうに思います。  また、先ほど日本のシリコンバレーという話もしましたけれども、やはり高度技術情報産業振興ということを考えたときに、現在の企業においても、従来は生産に使っていた施設を研究開発、RアンドDの施設へ転換していくという傾向がありますし、同時に、研究機関であるとか学術機関 との近接、こういったことも考慮していかなければいけないことじゃないかというふうに思います。  そういう意味では、近々の問題ではないにしろ、将来は大学やそういった高等教育機関の設置、そういうことも考えられるわけでありますし、逆に言えば、今まで大きな重化学工業の工場が立地しているわけでありますから、その辺のスペースは確保できるという利点もあるのじゃないかと思います。ところが、今の工業等制限法の中では、大学や専修学校などの教育機関についても新増設については制限が加えられている。こういった大学などの教育あるいは研究機関などに対する制限の撤廃もしくは緩和といったことも、今後考えていかなければいけない課題だと思います。  まとめて今幾つかの具体的な点を申し上げましたけれども、これらについて今後どういうふうに考えられるか、その辺の所見を伺いたいと思います。
  70. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 お答え申し上げます。  工業等制限法につきましては、一定地域一定の仕事をしないようにという目的で規制をしているということよりは、全国的に人口産業が適切に配置されるように、そういう目的で行われているところでございます。  既に、大都市を中心といたします工業等の制限法の緩和をしてほしいという要望が民間の団体から出されているというような報道がありました。その直後でありますけれども、今度は地方の各県の知事さん方から、その緩和は適当でない、適切でないという御要望をまたいただいているというような状況でございます。現在は、そういうことを総合的に勘案いたしまして、規制区域というところで制限区域を定めているところでございます。  それから、業種について古いままではないかという御指摘がございました。これにつきましては、今後具体のお話を私どもがいただきました段階でそれぞれ検討をさせていただきたいと思います。  それから、大学、高等研究機関お話もございました。こういった問題も、私ども念頭にあるわけでございますけれども、正直言いまして文部行政との調整、調和、そういったような問題も抱えているわけでございまして、それぞれ所管いたします各関係機関との調整を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  71. 上田勇

    上田(勇)分科員 どうも今のお話を伺っていると、これは政府として、産業構造の転換が急務であるということはいろいろなところで言いながら、いまだに抱いているイメージというのは旧来型の産業構造の枠を脱していないのじゃないかというような感じがいたします。  しかも、規制の問題というのは、要望があったから対応するというのでは将来的な計画が描けないわけであります。そういうことではなくて、構造の転換を誘導するという方針を示している以上、やはりより自由度を確保したような、特にそのことがあるがゆえに周りに多大な迷惑がかかるとか、都市自体の環境が悪化するだとか、そういうことがないものについては、この際思い切ってすべて撤廃するぐらいの気持ちで緩和しなければならないのではないかというふうに思います。  では適用除外業種、要望がなければ除外しないというのであれば、これはその計画をしている自治体や事業者の方もなかなか将来的な計画というのが立てられない。そういうことが実際にあるのではないかというふうに思いますし、その時点になって国土庁がいいと判断するか悪いと判断するかがわからなければ、事業者の自主的で長期的な将来設計といったものがかなり阻害されるのではないかというふうに思います。  もう一つ、この法律の第八条で、いわゆる工業施設等の新増設、これが一定規模のものは原則禁止されているわけでありますが、特例が認められているわけですね。知事や政令都市の首長などが認めればよろしい。一定条件を満たすものについてはよろしいというようなことで言われているわけでありますが、なおかつその中で特例を認めるときにも、一定規模、これはたしか三千平米だったですか、それ以上のものについては国土庁長官の承認が必要というふうになっております。  昨日、いろいろ国土庁方々にもお話を伺いまして、やはり地域開発とかなんとかというのは、国が主体的にやるものではなくて、県や地元の自治体などがやはり事業者といろいろ協議しながら、これは経済活動でもありますし、そういう地方主導型、自主的な判断が必要だというようなお考え、これは国土庁でもお持ちだと思うのです。  それであれば、この三千平米というのはそれほど大きな規模ではないと思うのです。それ以上のものをすべて国土庁長官の承認が必要というのは、今地方分権が言われているこの時代に、ちょっと余りにも国の関与が大き過ぎるのではないかと思いますが、この辺について、もうこれは県知事や市町村長であればそういった判断というのは十分できるものであるというふうに考えますけれども、そういった権限の移譲について検討されるお考えはないのかどうか、伺いたいと思います。
  72. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 一定の場合に、国土庁長官あるいは関係行政機関の長の承認が必要だという制度で現在できているわけでございますが、これは先ほど申し上げましたけれども、大都市圏に産業あるいは人口集中している、これを是正するというのが法律の目的でございます。工業等制限法が首都地域で制定されておりまして、これが一定のものを除きまして非常に抑制的な運用を行うという基本的な考え方になっておりますのは、既に集積がし過ぎているという実態を踏まえまして、これをできるだけ地方へ適正に配置してほしいという希望があるわけであります。  実際の許可そのものにつきましては、あるいは知事さん方が許可をなさるわけでありますけれども、地方の立場からまいりますと、そういう許可制度が適切に運用されているかどうかという不安をお持ちになるわけであります。先ほど地方の知事さん方からの御要望がすぐに出てきたというお話を御報告申し上げたわけでありますが、そういうようなことが背景となって、長官あるいは関係行政機関の長の承認というのが入っているわけでありまして、全国的な適正な配置を確保するための方策であるというように御理解をいただきたいと存じます。
  73. 上田勇

    上田(勇)分科員 いわゆる人口にしろ産業にしろ、今首都圏などの大都市圏に過度に集中しているという事実は、私もそのとおりであると思いますし、これを是正していくということは、国家的な課題の一つだろうと思います。そのことはそうなんですが、正直言って、いわゆる工業地帯がどんどん生産量を上げていく、生産設備もふやす方向の圧力が強い、そういう状況下において想定された法律なんじゃないかというような感じがいたします。  今日本で一番古く大きい京浜工業地帯などでも、いわゆる生産施設を拡大しようというような意欲というのはほとんどなくて、むしろ縮小あるいはいわゆる重厚長大産業からの転換だ、そういう要望の方が、またそのニーズの方が強いわけであります。  そういった意味で、今後いろいろ検討いただくということでございましたけれども、やはりこの工業等制限法などの法律というのは、本当に今我が国の産業、工業が置かれている状況を適切に踏まえた上で、本当に必要なものかどうか見直していかなければいけないことではないかというふうに私は感じるものであります。  先ほどもちょっと言及しましたけれども、通産省が出しているこの新産業立地政策研究会の報告書の中でも、こういったことについてはかなり問題があるということを政府自体が指摘している、あるいはこの中でもそういう指摘が多いということが随所に見られます。そういう意味で、具体的には都市部と地方との利害の問題だとか今いろいろ難しい問題が残っているのだと思いますが、や はり我が国の製造業、工業というのは非常に今大変な状況にあるということはもうこれは共通して理解していただけると思いますので、その点について今後ともひとつ前向きの御検討をよろしくお願いしたいと思います。  いろいろ私も地元の自治体の関係者の方々とかあるいは事業者の方々に伺っていると、大分去年いろいろと規制緩和で手を打ってもらったので、当面することなどについては、では来年の経営をどうするかどうのこうのといった判断では支障が大分なくなったとは言っておりますけれども、逆に基本的に今規制があるがゆえになかなか中長期的なスパンに立って思い切った青写真を描きにくい、することができないといった話もよく耳にいたします。  そういう意味で、また先ほどからちょっと引用させてもらっています通産省の報告書の中でも、やはり今工業の立地選定の理由、それも変化しているし、産業立地の自由度の拡大、こういったことも重要だというふうに言われております。また一方、今その周辺の特にいわゆる準工業地帯などが中心だと思うのですが、防災上、景観上の問題などもあって、これが新たな都市環境問題になっているということで、これも、要因の一つにこういう各種制限的な規制があるということもよく言われるところであります。  こうした点も踏まえまして、今後ぜひとも我が国の工業また工業地域、これは非常に雇用の創出という面からも重要な課題であると思いますので、必要な検討をよくしていただきまして、そのいろいろな、さまざまな規制というのは必要最小限にとどめていただくような見直しをぜひとも今後お願いしたいと思います。  この点について最後に御所見を伺って、質問を終わらせていただきます。
  74. 五十嵐健之

    五十嵐(健)政府委員 先生から幾つか具体的な御指摘を賜ったところでございます。私どももそれぞれの分野と関係機関との調整あるいは意見交換を重ねていきたいと思っております。今後ともまた先生の御指導をいただきたいと思っております。
  75. 上田勇

    上田(勇)分科員 終わります。
  76. 山口那津男

    ○山口(那)主査代理 これにて上田勇君の質疑は終了いたしました。  次に、小野晋也君
  77. 小野晋也

    小野分科員 国土庁におかれましては、ことしはいよいよ二〇一〇年を展望されましての第五次全国総合開発計画策定される、ないしはその大詰めの作業をなされるという大事な年になろうかと思います。新任になられました鈴木長官を初めとして国土庁の皆さんに、ことし一年間、この日本の未来の夢を大きく描いていただきますように要望させていただきまして、質問をさせていただきたいと思います。  まず第一に取り上げてみたいと思いますのは、首都機能移転の問題でございます。  これはもうこの数年来いろいろな場面場面で、国会が決議を出してみたり、いろいろな諮問、答申が出されたりしてきたテーマでございますけれども、一番近いところでは、昨年の十二月十三日、国会等移転調査会報告書というものが出されて、大きな流れがこの報告書の中に描かれているというふうに私どもも理解をいたしております。  そこで、その中から少し要点を抽出してみたわけでございますけれども、なぜ国会が今移転しなくてはならないのかということで、その意義を語っている部分には、国政を改革していかなくてはならない、そして地方分権推進しなくてはならない、また未来に向かって日本国土構造を変革しなくてはならない、また大都市問題としての東京の過密解消の問題、さらには地震の心配がささやかれている中で、地震による中枢機能喪失を免れねばならない、また経済中枢、文化の中枢情報中枢政治中枢一体になることへの危惧というようなものがいろいろと描かれておりまして、その最後の部分に、新しい日本がこれから生まれるのならば、それは新しい革袋の中に入れるべきではないだろうか、こう話っているわけでございます。  その具体的なところの例と申しますか、わかりやすい例として、平安時代から鎌倉時代へ移行するところの過程で平清盛から源頼朝に移るというような話が出ておりまして、平清盛はなぜ滅びたかというと、旧来の観念や秩序が支配する平安京に本拠を置いて、従来の国家組織を温存しながら支配を確立しようとしたがため、みずからが旧来の秩序に同化されてしまい、貴族政治から武家政治への転換を遂げることができなかったから平清盛は滅びてしまったのだ、それで一方源頼朝の方は、平安京と遠く離れた鎌倉を本拠としたため、政治、行政に限らず、文化や生活習慣を含めた社会全体に及ぶ改革をなし遂げることに成功をおさめることができた、こういうようなことを語りながら、だから今、新しい時代が動いてきているわけでありますから、その中で首都機能移転を進めるべきである、こう話っているわけであります。  私はこの論旨に基本的に賛成でございますけれども、ただ、気になりますのは、このような問題意識をまず提示されながらこの議論を展開しているわけでありますが、この調査会の結論部分を拝見いたしますと、国会と中央官庁等は新しい一カ所のエリアに移転を行うべきであるということが語られて、しかも一度にそれを移転するといろいろな支障が生じるだろうから、段階移転を図るべきであると書かれております。そしてまた、その範囲につきましても、東京との連関というものを決して失ってはならないという趣旨から、おおむね東京から三百キロメーターの範囲内に設置しなくてはならないだろうというようなことを書かれておりまして、これならば、最初に語られている問題意識から見ると、具体的な話になると随分そのイメージが縮小してしまっているなというのが私の率直な思いでございました。  問題意識の中に東京への過度の一極集中ということにその大きな課題を掲げながら、実はこの形での首都移転を行いました場合には、政治においては新たな一極集中をこの日本国土のどこかに生み出してくるのだということにつながってくるような気持ちがしてならないのでございます。先ほど、首都を京都から鎌倉に移して鎌倉幕府を開いた源頼朝の話を御紹介申し上げましたけれども、この報告書の中でそういうことを大英断とたたえながら、一方で、この程度の首都移転ということで、果たして本当に大きな国土計画的意味における大英断と称することのできる首都移転になるのだろうかという気持ちがしてならないわけであります。  こういう問題を考える場合は、やはり時代の流れがいかなる流れの中に置かれているかということを考えながら、それに対応する首都機能移転という問題を取り上げなければならないと思うわけでございますが、私は、今の時代の最も大きな潮流というのは、社会全体が情報化の流れに置かれているという問題ではなかろうかという気がしてならないのでございます。  社会というのは、個々の要素が、いかなる要素がそこに集まっているのか、そしてその個々の要素というものがいかなる関係で、いかなる手段で、しかもどういうレベルで結びつき合うかということでその社会の特質が決まってくると思うわけでございますが、この情報社会というのは、まさに人と人との関係、また企業と企業との関係、もっと大きく言うなら文化と文化であり、文明と文明である、こういうような結びつき方を今まで旧来の姿から非常に大きく転換していく社会になるのだということを考え合わせました場合に、この情報化社会にこれから日本社会が入っていくということの事の重大さをもう少しこの計画の中に勘案していくべきではなかったろうかと思えてならないのでございます。  実際に、今の日本社会の中では、バーチャルに社会をつくっていこうというような動きが徐々に出てきております。例えば企業等でも、今までですと、事務所は本社機能ということで一カ所に大体大きく集積して、各工場だとか各支社だとか、 こういうところに小さな事務所を構えていくという形であったのが、もう各工場だとか支社にある程度の事務機能をおさめて、それらが情報通信回線で結び合わされることで、ある規模の本社機能を確保していく、つまり情報回線上に本社機能が設けられてくるというようなことで、バーチャル企業というような取り組みもなされてきております。  また、趣味が同じような人たちが、実際は全国各地ばらばらに散らばっているのだけれども、同じ情報通信の、ボードというのでしょうか、一つの場の中で集い合えば、みんながあたかも同じ場所に集い合いながらともに語らい合っていると同じような感覚でバーチャルな趣味の社会をつくっているとか、こういうことが随分今幅広く行われてきていることを考え合わせましたときに、私は、中央省庁移転等につきましては、このバーチャルな感覚をもって、実際は日本国土のあちこちに省庁分散しながら、必要なときにはそれがあたかも同じ場所に寄り集まっているかのごとき形を整えていくという形で首都機能移転を行うということが大変好ましいものではなかろうか、こんなふうに思えてならないのでございます。  先ほど申しましたとおり、この国会等移転に伴いまして、地方分権を進めましょう、地方振興を行いましょう、また日本国土の構造を変えましょう、こういうことを語るわけでありますから、それならば、一カ所にまとめて霞が関と永田町が動くのではなくて、もう一歩踏み込んで、もっと思い切ってやってみてはどうだろう、こういうことでございます。  大臣お尋ね申し上げたいのは、高度な情報通信ネットワークというのが今私たちの手の中に入りつつある時代でございますから、首都機能移転先を一カ所ではなくて全国各地分散配置をさせて、それで個性豊かな地域形成を行っていくという考え方を取り入れた方が妥当ではないかということでございますが、国土庁としてはいかなる御見解でございましょうか。
  78. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 首都機能移転問題というものを考えるときに、私も国土庁に行きまして一番最初に聞いたのは、国土庁が何か全面的にとか前向きにとか前に出てとか、そういうことをやるのかと聞いたのですが、答えが、議員立法ででき上がったことなので、国会議員の皆さんの真摯な御意見を聞きながら、それを国土庁がサポートする、こういうことだと存じますというのが答えでございました。  さて、片や四全総が終結いたしまして、新しい国土づくりというものを考えなければいかぬわけですね。そうすると、新しい国土づくりというものと国会首都移転というものはどういうふうに絡むのかということがやはり問題だと思うのですね。ですから、この国会及び首都機能移転というものを考えるときに、それの具体化というか、それとドッキングというか、国土づくりと考えながら、まず考えなければいかぬだろうという結論に達すると思うのです。  さて、そのときに、今先生指摘の、日本のところどころに情報ネットワークを通じながら置いたらどうかという御指摘でございます。  今までも、国会等移転調査会報告書は、先生御案内のとおり、「国家機能の円滑な発揮を確保するためには、国の中枢機能一体としてその効用を発揮していく必要のあること」、これが一つですね。そして、二つ目は、「欧米諸外国の例をみてもほとんどの国において三権一つ首都に立地していること」というようなことが述べられておって、「三権中枢を分離することは適当ではない。」のではないのか、こういう調査会の意向のように私は思っているのでございます。  それで、それはそうなのだが、今度改めて検討段階から実施の段階に入るわけでございますから、実施の段階のときに、先般国会の中でも議員さんの中でも議論されて、官邸の中に決議文が送られたということもございますので、そういうものを十分見きわめながら対応していかなければならぬのではないのかなというように今思っているところでございます。
  79. 小野晋也

    小野分科員 長官おっしゃられますとおり、この国会等移転の問題のきっかけは議員立法から始まっているということだろうと思いますから、議会サイドでもこの議論は、この答申は答申としてこれから進めるべきだと思います。  しかしながら、先ほど長官おっしゃられましたとおり、これは大変大きな意味での国土計画に絡んでくる問題でございまして、単に国会だけが判断をしてどこかへ移転してしまったらいいだろうという問題ではなくて、二十一世紀の日本あり方を、ある意味ではこの国会等移転の問題がシンボライズしていく要素も持っているだろうし、実際に国土形成あり方もこの取り組み次第によって随分変わってくる要素を持っているという意味では、これは国土庁のサイドにおける取り組みもかなり求められるものが出てくるだろうと思います。  ぜひ、今回はこの議論に余り深く立ち入ることはやめようと思いますけれども、先ほど申しましたような可能性も含めまして、今の段階で適当なことではなくて、将来に行うことを今議論しているわけですから、将来の日本国土にとって最もふさわしいものが何なのかという視点をきちんと押さえた今後の対応を、国土庁サイドとしてもお願いを申し上げておきたいと思います。  引き続きまして、今度はまた大きなプランでございますけれども、第二国土軸に関する議論でございます。  これも昨年の十二月に、「二十一世紀の国土のグランドデザイン」ということで、国土審議会の計画部会から答申が出されてきております。これは、先ほど申しました第五次全国総合開発計画策定するに当たってのガイドラインを定める答申であると思いますけれども、その中に、国土軸の形成が、「目指すべき国土構造の姿」として正式に登場をいたしました。北東国土軸、太平洋新国土軸、日本国土軸、この三つ国土軸が取り上げられているわけであります。  この国土軸が今回設定をされたということについて、この国土軸を設けた基本的な考え方ですね。国土庁サイドではどういうお考えを持ってこの国土軸をここに取り上げたのか。そしてそれぞれの国土軸というのがかなり地域的にも違う特徴のある地域でございますので、同じコンセプトでは一体にできない問題だろうと思っております。これらの国土軸がどんな要素から成り、いかなるネットワークで結ばれ合いながら、その結果どんな特性を持つ国土軸になると想定をしてここに取り上げられたのか、お尋ねしたいと思います。
  80. 塩谷隆英

    ○塩谷政府委員 まず私から、いかなる要素、いかなるネットワークでつながって、どのような特性を有する軸となるのかという点についてお答えを申し上げたいと思います。  昨年十二月に国土審議会報告をされました「二十一世紀の国土のグランドデザイン」におきましては、新しい国土軸は「気候、風土等の自然的、地理的条件及び文化的条件等において共通性を有する地域の連なりであって、交通情報通信インフラのもとで、人、物、情報の密度の高い交流が行われ、人々の価値観に応じた就業と生活を可能にする国土の広い範囲にわたるもの」としておりまして、長期的に目指すべき国土構造の姿として提示をされております。  国土軸はいかなる要素から成っているかという点でありますが、今御指摘いただきましたように、国土軸によって多様性を持つものであるというふうに考えておりますが、一般論として申し上げますと、地理的、自然的な意味における国土というものと、その上に展開される人と諸機能の集積及び人、物、情報の密度の高い交流というものが重要な要素であろうと考えます。  そうしまして、人、物、情報の交流というものは、交通情報通信ネットワークによって支えられるものでありまして、集積の度合いとその結びつき、ネットワークのつくられ方などによって新しい国土軸の特性が形づくられるものであるというふうに考えております。
  81. 小野晋也

    小野分科員 国土軸を設定した基本的な考え方は。
  82. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 今局長からお答えがありましたが、新しい国土軸の問題でございます。  都市化と経済発展を中心に形成されてきた、東京を頂点とする太平洋ベルト地帯に人口、諸機能集中している現在の国土構造を、二十一世紀の日本を支えるためにふさわしいものに転換をしていくということが必要である。  もう一つの問題は、そのために、北東地域、南西地域日本海沿岸地域に複数の新しい国土軸を形成し、新しい国土構造を構築することによって現在の国土構造のゆがみを直していくことが二十一世紀における国土政策の基本的な課題だと、こういうふうに認識しているところでございます。
  83. 小野晋也

    小野分科員 まさにこれから求められる国土軸だろうと思います。ぜひお力を注いで、これからお取り組みをお願い申し上げたいと思います。  それにつきましては、やはり私ども四国という地域に生活をしておりまして、あの地域で人々の交流、物の動き、情報の移動、先ほど提起されたそれぞれの課題について考えることがあるわけでございますけれども、非常にその動きがダイナミックさを欠いてしまう部分があるわけです。どうしてそういうことになるかということを考えましたときに、周りのことを余り知らないという要素があるわけでございまして、今まで小さな世界で生活し、仕事というのは、むしろ、隣と仕事をし合う、協力しながらやるというよりも、先ほども東京一極集中というお話がありましたが、四国の場合は経済的には大阪というのも非常に大きな核になっておるんですが、それぞれの地域がそれぞれ東京や大阪と結びつき合って経済活動をやっている、生活はもう自分たちの世界で小さくまとまっている、こういう形になっているわけでございまして、これを何とか打破する方法を考えていかなくちゃならないだろうと思います。  それにつきましては、提案でございますけれども、各地域のさまざまな要素をどこかのデータベースの中におさめていただいて、そのデータベースの上で、この地域のAという要素と他の地域のBという要素、この地域のAという人とほかの地域のBという人、こういうふうに結び合わせると何か新しい要素が生まれてくる可能性があるなというようなものを引き出してこれるような仕組みを国土庁としてもぜひお考えをいただきたいなと。このお互いの結びつき合う気持ちがなければ、幾ら社会環境的にさまざまなものを整えても実際の交流というのはなかなか生まれにくかろうというように思います。ぜひこの点については今後の課題として御検討いただきますようにお願い申し上げたいと思います。  引き続きまして、この国土軸の問題におきます具体的な話に移るわけでございますが、先ほど塩谷計画・調整局長国土軸ということについての定義をお話をいただきました。それで、要素としては、交通を通しての人と物の移動、それから情報通信インフラを通しての情報の交流、これらはそれぞれ別個のものではなくて、相互に影響を及ぼし合いながら相互に高め合う関係だと私は思いますけれども、その社会的なインフラという意味から見ると、交通インフラと通信インフラとこの二つを取り上げながら軸を形成しよう、こう提言されているわけであります。  情報通信インフラの方につきましては、特にこの国土軸を設定するからということでハードウエア的な整備を進めるという必然性は余りないのではないかという気持ちが率直に私はいたしておりまして、国土全域にわたってこれからNTT等が光ファイバーのケーブルを張りめぐらしていく、必要に応じてその中で情報のやりとりをし合う関係だということになるでありましょうから、むしろ、この国土軸の議論を展開されている中で問われているのは交通インフラの問題だということになるのではないかと思います。交通インフラが整備をされて人が行き来し合いながら、また物が移動し合いながら、その中に情報流通もともに生まれてくるという形の中に、ここで描かれた国土軸がだんだんとソフト面も含めてつくり上げられてくるということになろうかと思います。  ただ、そういうふうな取り組みを宣言されておられるわけでございますけれども、具体的なところで考えてみました場合に、例えば四国を含む国土軸ということになりますと、太平洋新国土軸ということになるわけでございますが、その太平洋新国土自身の現状の交通基盤は決して立派なものではありません。そしてさらに、この新国土軸が想定しているところのルートには三つの大きな海峡がありまして、その海峡がこのルートを分断してしまっているという状況を考えましたときに、これらを克服しないことには構想としての国土軸構想が現実化してこないというふうに思えてならないのでございます。  そこで、一般論として、このような国土軸実現のために今後交通基盤の整備に対してはどのようなお取り組みを国土庁としてお考えになっておられるのでございましょうか。お尋ねします。
  84. 塩谷隆英

    ○塩谷政府委員 交通基盤につきましては、国土軸の重要な要素の一つであるというのは御指摘のとおりであろうと思います。  現段階は、長期的な目標として複数の国土軸から成る国土構造のイメージを示して国民議論を深めている段階でございまして、今後、新しい国土軸の位置づけや、これを支える交通基盤の整備あり方などにつきましては、国土審議会議論及び国民各層の意見を踏まえて検討してまいりたいと思います。各地方からいろいろ具体的な構想も提案されておりますので、そうした御提案もよく聞きながら検討していきたいと思っております。
  85. 小野晋也

    小野分科員 先ほど申しましたとおり、この交通基盤の整備というのが、この国土軸構想ないしは恐らくこの第五次の全国総合開発計画の眼目になってくる部分になろうかと思いますので、ぜひこの部分のお取り組みを鋭意進めていただきますことを御要望しておきたいと思います。  続きまして、国土軸問題の質問でございますけれども、一九九六年度中に先ほど申しました第五次の全国総合開発計画策定されるという運びと聞いておりますけれども、答申の中には先ほど申しましたような触れ方がなされているわけでございますけれども、次期の開発計画の中には新しい国土軸問題がどういう形で盛り込まれてくるのか、そして、その国土軸構想が打ち出されました後に、各国土軸ごとに、先ほど申しましたようにかなりその特質が違うわけでございますから、具体的構想を練り上げてそれを実現していくということになってまいりますと、それぞれのワーキングチームが必要になってくると思うのですね。それをどのような形で組織を設けて進めていかれるのか、プロセスをどういうふうに運んでいかれるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  86. 塩谷隆英

    ○塩谷政府委員 新しい国土軸の形成をどのような手順でやっていくのかというのを新しい計画でどう位置づけるかという御質問でございますが、新しい国土軸は、自然とのよりよい共存というものを重視する観点に照らしますと、太平洋ベルト地帯と同様の大規模な集積の形成を行うということは望ましくないのではないかと。また、地理的条件等を十分踏まえたものとしていく必要があるわけでございます。  したがいまして、国土形成の手順といたしましては、地方中核都市などのさまざまな規模の集積が交通情報通信インフラによって結ばれるという形で実質的な集積を高めるという方向が望ましいという議論をしております。  この場合、従来の行政単位の枠を超えた広域的な地域間の連携というものが非常に重要になると考えておりまして、各地で今さまざまな地域連携軸構想などが提唱されております。これは非常に有意義なものと認識をしておりまして、こうしたものを地域の選択と責任で連携を進めていくということが基本でございますが、国としても、都道府県やブロックを超えた地域の活性化につながるものを中心に、新しい全国総合開発計画の中に位置づけをいたしまして、この地域連携のつながり を国土形成のステップにしていきたいというふうに考えております。  そして、全総計画の中に盛り込んだ後、どういうふうに具体化していくかということでございますが、現段階では計画策定段階でございますので、この計画に位置づけた後、どういうスケジュールで具体化していくのか、ワーキンググループをつくるとかいう御提案もございましたが、どういうスキームで推進していくのかという点につきましては、明確に申し上げることはできない段階でございます。  いずれにしても、第一国土軸としての太平洋ベルト地帯を見ましても、明治以降をとっても百年を超す時間の経過の中で形成されてきたものでありまして、非常に長期的な視野に立ってこの取り組みを進めていくべきものと考えております。その際にどういう枠組みをつくっていくのかという点については、今後、計画策定作業の中でも検討していきたいと思っております。
  87. 小野晋也

    小野分科員 これから二十一世紀の国土づくりということでさまざまな課題があろうかと思います。そういう課題の中で、きょうは、首都機能移転問題そして国土軸の形成の問題という少し大きな問題を取り上げてみたわけでございますけれども、これからの日本社会の基本的な枠組みを決めるというその要素の中に、国土計画というのは極めて大きな位置を占めてくるだろうと考えております。  国土庁の皆さんにおかれましては、それぞれにこれまでも力を尽くしたお取り組みをいただいているわけでございますが、いよいよ日本も二十一世紀に向けて、ここしばらくが正念場だろうと思います。これまでにも増して鈴木長官を中心にいいお仕事を展開していただきまして、私たちに夢を開いていただきますことを御期待申し上げまして、質問を閉じさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  88. 山口那津男

    ○山口(那)主査代理 これにて小野晋也君質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管国土庁についての質疑は終了いたしました。  午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時二分休憩      ――――◇―――――     午後二時開議
  89. 伊藤公介

    伊藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算建設省所管について、政府から説明を聴取いたします。中尾建設大臣
  90. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 建設省関係の平成八年度予算について、その概要を御説明させていただきます。  建設省関係の一般会計予算は、移しかえが予定されております総理府所管予算を合わせ、歳出六兆七千六億六千二百万円余を予定いたしております。  うち、一般公共事業費は、六兆五千五百三十五億九千七百万円であり、その内訳は、道路整備二兆六千八百五十億二千三百万円、治山治水一兆三千百三十五億九千二百万円、公園千六百六十億六千九百万円、下水道一兆一千七百十九億四千六百万円、住宅対策一兆千六百十二億八千八百万円、市街地整備五百五十六億七千九百万円となっております。  次に、特別会計予算について御説明いたします。  まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも四兆一千五百七十五億九千九百万円余を予定いたしておりますが、歳入については、前年度に引き続き揮発油税収入の一部直接組み入れを行うことといたしております。  また、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆六千九百四十二億千八百万円余を、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも千八百七十八億四千万円余をそれぞれ予定いたしております。  さらに、特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分は、歳出六百六十四億三千百万円余を予定しております。  なお、建設省関係のNTT株式売り払い収入の活用による収益回収型の無利子貸付金は、歳出九百六十四億二千六百万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、内需の拡大による景気の回復を図るとともに、二十一世紀に向けて、生き生きとした活力に満ちた経済社会を構築するための基盤となる質の高い住宅・社会資本整備を的確に推進してまいる所存であります。  特に、平成八年度におきましては、計画的な事業推進を図るため、住宅、下水道、都市公園、特定交通安全施設及び海岸について新たな五カ年計画を策定するとともに、当面する政策課題に対応する住宅・社会資本整備を戦略的、総合的に推進することとし、予算の重点的な配分を行うことといたしております。  具体的には、  一、高規格幹線道路網や地域高規格道路など交流ネットワークの整備地方都市の活性化、立ちおくれている下水道の整備など魅力と活力を追求する地域づくりの推進  二番目といたしまして、潤いのある都市環境の創出や高齢者、障害者に優しい町づくり、床上浸水解消対策、交通安全対策など快適な暮らしを支える生活基盤整備推進  三番目といたしましては、道路橋や堤防、住宅等の補強、木造住宅密集市街地の再生、防災公園、避難路の整備など安全で安心できる町づくりの推進  四番目といたしましては、公庫住宅、公営住宅等良質な公的住宅の的確な供給、都心居住促進対策や高齢者向け住宅供給の推進、優良な宅地開発促進など住宅宅地対策の推進  五番目といたしまして、電線共同溝の整備や道路交通情報システム、河川等情報基盤の整備、ITS、すなわち高度道路交通システムの研究開発など情報基盤の整備及び新技術開発推進に重点を置くことといたしております。  また、阪神・淡路地域の復興対策につきましては、現在実施中の復興事業の進捗状況を勘案しながら、一日も早い復興に向けて必要な事業量を確保することといたしております。  なお、事業別の重点施策概要につきましては、お手元に配付いたしております平成八年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどお願いいたします。ありがとうございました。
  91. 伊藤公介

    伊藤主査 以上をもちまして建設省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  92. 伊藤公介

    伊藤主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。弘友和夫君。
  93. 弘友和夫

    弘友分科員 新進党の弘友和夫でございます。  用意しておりました質問に入ります前に、ぜひこれは大臣に冒頭お聞きしたいと思います。  それは、今、当予算委員会におきましても連日質疑が行われております住専問題でございますけれども、今御説明ありましたこの住専処理の六千八百五十億、建設省の予算の一割にも当たるという、そういう血税がこの平成八年度予算の中に盛り込まれておるわけでございますけれども、これを発表されまして、日に日に国民の皆さんの反発というか、税金投入に対する反対の声が高まっておりまして、橋本総理が消費税のとき以上だと言うぐらいの、本当に我々も、地元に帰りましても、大変大きな反対の声があるわけでございま す。  中尾大臣は、この予算にこの住専の穴埋めの税金を盛り込むことに対しましてどう考えられているかというか、また、この方法しかなかったのかどうか、そういうことにつきまして、大臣はいかなるお立場でも率直に述べられるというふうにお聞きしておりますけれども、大臣としてというか、一政治家としてでも結構でございますが、ぜひともこの住専処理の問題についてお考えをお聞かせいただきたい、このように思います。
  94. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 弘友委員にお答えさせていただきます。  住専をめぐる問題点は、国内のみならず海外からも我が国の金融機関の不良債権問題を象徴するものと見られておりまして、その一日も早い解決というものが望ましいことはもう言うまでもないわけでございます。また同時に、そのような要望も強いということも、私どもも絶えず見聞しているわけでございます。  今般の財政資金の投入そのものは、我が国金融システムの安定性とそれに対する内外の信頼というものを確保いたしまして、ある意味において預金者保護に資していくのではないかという考えのもとに、景気を本格的な回復軌道に乗せるというためにもとられた措置である、このように理解をしている次第でございます。  今後、債権回収が強力に進められるとともに、種々の責任を明確化しながら、なおかつ早期解決が図られることが必要と考えている次第でございます。
  95. 弘友和夫

    弘友分科員 大変、政府の統一見解というか模範答弁という、大臣の本音なのかなという気持ちがいたしますけれども、余りこの問題についてやっておりましてもあれなんで、次の本来の質問に戻らせていただきます。  私は東九州自動車道の整備についてお伺いをしたいのですけれども、これは平成六年にも私はこの分科会におきまして質問をさせていただきました。当時は森本建設大臣でありましたけれども、東九州自動車道の整備というのは大変緊急性の高い仕事である、そして早期にその建設を促進していく必要があると痛感している、こういう非常に前向きの誠意ある答弁をいただいたわけですが、しかし、その後、この問題については進展が全くありません。  そういう意味で、ほかに比べておくれているというのは、東九州自動車道の整備というその重要性が果たして認識されているんだろうかどうかという、これは地元にとっても非常に危惧をしているわけでございますけれども、そういうことで、この東九州自動車道の整備の問題についてきょうはお伺いしたい。  そこでまず、東九州自動車道だけでなく、先ほども御説明がありましたけれども、高規格幹線自動車道路の整備、これは非常に地域活性化、また東京一極集中から多極分散国土形成へという日本経済の枠組みというのを大変大きく変化させるとともに、ゆとりある社会を実現する基盤施設として高規格幹線自動車道というのは必要なものでございます。  そこで、今、新しい全国総合開発計画というのが考えられて、平成八年度にはまとめられるとしておりますけれども、それには、二十一世紀初頭以降には投資余力の大幅な減少が見込まれる、ですから、それまでにこうした高規格幹線道路なりいろいろなそういう社会資本整備をすべきだというのが入っているわけですけれども、ぜひこれは、高速道路の整備につきましては国費を大幅に投入してでも早期整備に努めるべきだ、このように私は考えるのですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  96. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 東九州自動車道、北九州市を起点といたしまして鹿児島市に至る延長約四百二十キロの高規格道路でございまして、それは確かに御指摘のとおりでございます。大分、宮崎、鹿児島の各県庁所在地や六つの拠点都市地域、北九州空港を初めとする四つの空港をこれまた連絡をさせ、九州地域産業経済、文化というものの交流、発展に寄与する重要な路線と認識している点におきましては、委員と全く同感でございます。  特に、北九州-大分間は交通需要が多くございまして、主要都市間の連絡をさらに強化させて、地域振興を図る上でまことに重要な区間である、こういう点におきましても御指摘のとおりでございますが、既に全体延長の百二十キロのうち七十キロというものが規格の高い自動車専用道路として供用されていると私自身は承っております。残る五十キロの基本計画区間につきましては、整備促進のため、現在、都市計画決定に向けての準備が関係機関において進められているというところでございます。  なお、次期国土開発幹線自動車道建設審議会につきましては、二十一世紀初頭のネットワーク完成を目指した高速自動車国道の整備を今後とも計画的に推進するために、本年中に開催すべく準備を進めているところでございまして、この中で当該区間の整備促進につきましても今後十分検討をしてまいりたいということの姿勢には変わりはございません。
  97. 弘友和夫

    弘友分科員 今大臣は、後で質問することは全部答弁されておりましたけれども、今私がお聞きしたのは、今の、プール制によって高規格道路、高速道路を整備をしているというその手法だけじゃなくて、二十一世紀、高齢化社会になったらそれだけの投資余力というのはもうなくなるわけですから、今のうちに国費を投入してでも高速道路網の整備をするお考えがあるかどうかということをまず最初にお聞きしたわけでございます。
  98. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 我が国の高速道路、いわゆる高規格幹線道路の整備はまだ道半ばであります。そういう意味で、二十一世紀初頭までの限られた期間の中で相当集中的に、重点的に整備推進していく必要があります。  その場合に、今回いろいろ問題になりました料金レベルの問題もありまして、料金改定をそう今後とも容易にできる状況にはございません。そういう厳しい中で、公団等の建設費、管理費の節減、あるいは国費を含めて公的助成を充実していく、あるいは償還制度をもう少し見直していってはどうかというようないろいろな面の検討を進めながら、さらにまた、一般国道の自動車専用道路として整備してみてはどうかというような提案もありますので、そういういろいろな面を検討しながら進めていく問題だと思います。  いずれにしても、国も相当の覚悟をして、助成をしながらこの問題には積極的に取り組んでいく必要があると考えております。
  99. 弘友和夫

    弘友分科員 そこでお尋ねしたいのですけれども、今考えられている新国土総合開発計画の中における東九州軸の位置づけということに関連する東九州自動車道の問題ですけれども、今までの四全総によって、四次にわたっていろいろなものを推進してきたわけですけれども、それはそれなりに一定の成果を上げられた、このように思います。しかし、一方では、九州だけを見ますと、四全総に至るまでのその計画、それはやはり国土の均衡ある発展というものが大きくうたわれていたわけですね。ところが、その反対に、四全総によって九州の中の東九州軸と西九州軸の格差がますます開いていっているという、均衡ある発展ということを挙げられて四全総なりができているわけですけれども、それが、推進することによってますます格差が出ているというのをちょっと言いたいのです。  九州全体では三道四路線、約千二百十キロメートルが計画されて、平成七年七月には九州縦貫自動車道、約四百二十八キロ、これは全線供用されているわけですね。これはもう西九州軸の高速道路というのは一〇〇%の整備になっている。さらに平成八年三月には、これにアクセスできる九州横断自動車道長崎大分線、約二百五十四キロの全線が供用されることによって、全体で約五〇%の整備率、こういうふうになっているわけです。  東九州自動車道の整備状況を見ると、その四百二十キロメートルのうち、平成七年度に三区間、約八十キロが初めて着工になった。これも供用ま でおおむね十年ぐらいかかるのじゃないか。また、約二百四十キロの基本計画区間が新たな整備計画への格上げを今待っている段階なのですね。これを、今から基本計画から整備計画、そして着工というまで待っておりましたら、国幹審というのは大体三、四年に一回しか開かれないということで、全線開通までに三十年から四十年かかるのではないか。そうなると、東九州軸と西九州軸の格差というのはますます開いてくるのじゃないかな、こういうことなのですね。  これの最初に、九州縦貫自動車道ができる前、その当時は大体人口から何から、四十四市町村、いろいろなものが均衡してあったのです。それがこの九州縦貫自動車道ができて、人口増加率は、西九州軸は八・四%、東九州軸は二・四六%の増、実に人口増加率で三・四倍の開きがある。それから、卸売業の年間販売額、西九州軸は十八兆四千五百八十一億、東九州軸は六兆九千三百八十億、約二倍の開きが出てきたわけですよ、この間に。  均衡ある発展というのを目標にした四全総によって九州縦貫自動車道が整備された、一方は全くできていない、それによってますます九州間の格差が開いてきたということで、私は、新たな国土計画平成八年度に計画されようとしているこの国土計画に、ぜひとも東九州軸の開発、また東九州自動車道の整備というものを明確に位置づけるべきではないか、そして東西格差をなくすべきじゃないか、このように思うわけでございますけれども、まず建設大臣、それから国土庁の方にお伺いをしたいと思います。
  100. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 九州地域におきます西側と東側の格差等につきましては、御指摘の点があると認識しております。  それを受けまして、昭和四十一年に高速道路の七千六百キロの計画をつくったときに入っておりましたのは、今の九州縦貫道であります。それを四全総のときに、昭和六十二年のときに東九州を計画として追加したものであります。そういう意味では、四全総のときからこのネットワークを整備して九州全体の均衡ある発展ということは課題として掲げたわけでありますが、なかなかその整備が進んでいないというのが実態ではないかと思います。  しかし、委員も御指摘のとおり、四百二十キロのうちの八十キロについては既に着工しておりますし、これから新たに整備計画区間に編入していく、あるいはいろいろの他の手法を使ってでも高速道路として整備していくということを積極的に進め、我々としては二十一世紀初頭までにこの東九州自動車道については概成をしていくというのでしょうか、完成に近づけていくというふうに努めてまいりたいと考えております。
  101. 浜野潤

    ○浜野説明員 御説明いたします。  昨年十二月に国土審議会報告をされました「二十一世紀の国土のグランドデザイン」におきましては、複数の国土軸から成ります国土構造の構築に向けました戦略的政策課題といたしまして、「地域連携の促進と新しい広域交流圏の形成」を掲げております。とりわけ、さまざまな地域連携の中でも、新しい国土軸の一部を形成するものや、国土軸相互を結びつけ国土軸の機能を高めるものにつきましては、新しい国土形成の戦略手段として位置づけて政策的支援を行うことも検討しているところでございます。  東九州地域開発を新しい全総計画の中でどのように位置づけるかにつきましても、新しい国土軸との関係も含めまして今後検討してまいりたいと考えております。
  102. 弘友和夫

    弘友分科員 それでは、鉄道の整備でございますけれども、これも平成六年、私はこの委員会で質問させていただきました。西の鹿児島本線、東の日豊本線の整備状況について、複線化率、高速化等、いろいろやはりこれも格差があるわけですけれども、その是正について運輸省としては努力している、こういうことでございましたが、その後どのような対策を講じられたのか、簡単で結構ですから、まず御答弁をお願いします。
  103. 平田憲一郎

    ○平田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり、九州地方の鉄道につきましては、複線化率でございますとか許容最高速度でございますとか、これらにつきまして鹿児島線と日豊線で違っているという点につきましては、先般来御指摘のとおりでございますが、私どもといたしましては、幹線鉄道の高速化という観点から、経営主体でございますJRの自主的な経営判断と沿線の各地方公共団体の御協力を得ながら、幹線鉄道の高速化に努めているところでございます。  具体的に、東九州におきます鉄道整備という観点から、日豊線につきましては、延岡-宮崎間につきまして、平成三年から五年にかけて線路の強化、曲線部の改良等の高速化のための工事を実施したところでございます。また、平成五年から六年にかけまして、日豊線の小倉から大分間百三十二・九キロメートルにつきまして、軌道の改良、曲線改良、さらに信号施設の改良等の高速化工事を実施いたしまして、平成七年四月に開業したところでございます。この高速工事によります時間短縮効果と新型車両の導入の効果が相まちまして、集客効果を上げていると聞いてございます。  いずれにいたしましても、今後とも、経営主体でございますJR及び沿線の地方公共団体等とも連携をとりつつ、幹線鉄道の高速化に努めてまいりたいと考えております。
  104. 弘友和夫

    弘友分科員 それで、余り時間がありませんが、先ほど大臣は、本年中に国幹審を開催したいという御答弁があったと思うのですけれども、もう一回確認をさせていただきたいのですが、四年ぐらいもう開かれていないわけですね。そういうことで、ぜひとも早急にこの国幹審を開いていただきたい。そしてこの東九州自動車道、私はとりわけこれを、この東九州自動車道は十七区間あるんですけれども、もうばらばらというか、北九州から始まりますと、現在、基本計画区域であるとか予定路線であるとか、また基本計画、予定路線、整備計画、予定路線、ばらばらに十七区間がなっているわけですね。整備計画で工事着工されたというのは三カ所ありますね。そこはそこでいいんでしょうけれども、高速道路というのであれば、続いていかないと、途中途中じゃ何にもならないと思うんですよ。  そういう意味で、私が北九州出身だから言うわけじゃありませんけれども、先ほど、この北九州地域、空港も今整備をされようとしている、それからまた、今までの物流拠点都市でもありましたFAZ計画にも入り、そういうことでございますので、私はこの北九州-豊津町間というのは非常に大事な区間である、大分までですね。特に大分、北九州から大分の間、そしてまた、短く言えば北九州-豊津。だから、本州から入って、北九州からずっと順番に整備して、予算が一遍にないというのであればこれはわかるんですけれども、途中途中をやっても余り意味がないんじゃないかなと思いますけれども、時間がありませんので、とにかく、じゃもう一度、国幹審はことしじゅうに開催をされるのか、それから北九州-豊津間、その整備計画にぜひ入れるべきだと思いますけれども、そういう考え方についてお伺いをしたいと思います。
  105. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 先ほど御答弁さしていただきましたように、森本大臣の御意見等々十分踏まえておりますから、そういう点ではそのように鋭意努力を図りたい、こう思っております。
  106. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 冒頭大臣が御説明のとおり、東九州自動車道は大変重要な路線であると思いますし、さらに北九州から大分の間につきましては、交通需要等も相当大きい、このように認識しております。さらに、御指摘のとおり、道路は連続しておってネットワークを形成してその効用を果たすものであります。そういう意味で、この間が連続して整備計画が策定できるように、あるいは事業に着手できるように努力してまいりたいと考えております。
  107. 弘友和夫

    弘友分科員 最後に、国幹審がことし行われるということになりますと、その前に環境アセスをやっておかないといけないんじゃないか、このよ うに思いますけれども、その手続というか、進捗状況についてお伺いしたい。
  108. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 国幹審におきまして整備計画を策定するには、前提として環境アセスメントを実施しておく必要があります。北九州から豊津間につきましては、現在、都市計画の手続のための準備をしておりますが、近々三月中にも都市計画の手続に入る、このように聞いております。また、椎田から日出の間につきまして、その中でも特に椎田から宇佐間につきましてもルート、構造等の検討を進めております。今後とも調査に万全を尽くしてまいりたいと考えております。
  109. 弘友和夫

    弘友分科員 大変ありがとうございます。  いずれにいたしましても、先ほど局長は、二十一世紀までに概成、あらかた完成を目指すということでございました。今までのペースであったら、あと三、四十年かかるというそのペースでございますので、二十一世紀までといいますと、あともう何年もありませんけれども、初頭と言ったのかどうか、それは聞き漏らしました。とにかく二十一世紀までと言われましたので、ぜひ早急にこの完成を目指していただきたい、このように最後に要望いたしまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  110. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて弘友和夫君の質疑は終了いたしました。  次に、樽床伸二君。
  111. 樽床伸二

    樽床分科員 新進党の樽床伸二でございます。  本日、数点にわたりまして、御質問をさしていただきたいと思います。  まず最初に、私は戦後の五十年間を振り返りまして、復興から高度経済成長、さらには二度のオイルショックを乗り切って現在に至ったこの過程の中で、かつてと同じような発想で我が国の建設行政が成り立つものではなかろう、このような認識を抱いております。  前年比一〇%もGNPが伸びておったかつての時代がございました。そのような時代におきましては、当然税収はそれ以上の比率で増加をするわけでございます。そういった中で思い切った建設行政もできたんではなかろうか、このように感じるわけでございますが、しかし、時代とともに大きくその成長のカーブも変わってまいりまして、限られた財源の中でいかに建設行政を行っていくのかということは、今後の大変大きなテーマではなかろうか、このように私はまず前提で考えておるわけでございます。  そういった中で、また国土のいろいろな発展のことも考えましても、その高度経済成長時代人口がどんどんどんどん都市部へ都市部へと流入をしてまいりました。その結果、あらゆるところで今都市部への人口流入の弊害というものがここ十年、二十年大変顕著に都市部にあらわれてきておるというのも、またこれも偽らざる現実でございます。  そういった中で、都市型建設行政といいますと、非常に言葉が抽象的ではありますが、都市部におけるそれぞれの国民皆様方生活環境の質的な向上を図る、そのための建設行政、都市型の建設行政の推進というのがこれからの一つの、すべてとは申しませんが、一つの大きな柱になっていくのではなかろうか、このような認識を抱いております。  そういった前提に立ちまして、数点にわたりまして、この都市型建設行政、私が申し上げます。そういった概念において御質問をさせていただきたい、このように考えております。  まず第一点目でございますが、特に当時、高度成長時代に、まず当然のことでございますが、人口が流入して住宅が張りついてくるのは、交通の便のいいところから住宅が張りついていくわけでございます。というのは、駅前からどんどんどんどん住宅が張りついていく、しかも、余りにも急激な人口の増加でございましたので、十分な計画もすることなく、駅周辺にいろいろな建物が立ち並ぶ、こういったことがございまして、しかし時とともに、時代も変わりましてそこら辺の再開発が必要になる、このように考えます。  特に、都市部におきましては、それぞれのターミナルというものは、その町の核という位置づけをされるわけでありまして、その核をいかにいいものにしていくのかということが大変重要な問題でございます。しかしながら、当然いろいろな複雑な問題がそこに生じてくることもよくよく私は理解をいたしております。そういったことをいろいろ調整をしながら、息の長い、しかし速やかに行っていかなければいけない問題であろう。  たまたま私もちょうど駅前に住んでおるわけでございますが、そこら辺の地域も再開発がまだまだ、いろいろな事情もございまして、十分に進んでいないという現状も、これは日々目の当たりにしておるわけでございますが、そういった問題を乗り越えて、市街地、特に駅前での再開発を積極的にこれから推進していかなければならない、このように私は認識をいたしておりますが、その点についてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  112. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 都市の駅前につきましては、先生まさに御指摘のとおり、地域経済活動の拠点であると同時に市民生活の拠点、先生の言葉で言うと顔的存在だということでございまして、非常に重要な場所である。加えて、経済社会の変化で車社会に対応していかなければいけない、あるいは高齢化社会に対応していかなければいけないということで、我々もその再整備を進めてきたわけでございますが、確かに事業の難しさという点もございます。残念ながら、いろいろ進めてきたわけでございますがまだ計画の二分の一程度、とりわけ三大都市圏では、事業の難しさということもございまして、計画の半分までいっていない状況でございます。  私どもといたしましては、その町の顔としての、とりわけ駅前の再開発につきましては今後とも力を入れていかなければいけない、そういう意味で、区画整理事業とかあるいは市街地再開発事業、各種の基盤整備事業を組み合わせることによって強力に推進していきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  113. 樽床伸二

    樽床分科員 ありがとうございます。  まだ三大都市圏では半分にも至っていない、こういうお言葉でございました。確かにいろいろ難しい点はあろうかと思いますが、地元市町村、関係者、それから都道府県、国、あわせてこういった問題につきまして鋭意推進を心よりお願いをいたしたい、このように考えるところでございます。  実は、この駅前再開発に絡みまして、鉄道、当然駅には鉄道が走っているから駅というわけでございますが、その駅の周辺の、いろいろな地域にありますが、あかずの踏切というようなところもいろいろ都市部には散見をされるわけでございまして、連続立体交差の事業全国至るところで要望があろう、このように思っております。しかしこの問題は、駅前の混雑を解消し、そして先ほどおっしゃっていただきました駅前の再開発をさらに進めるためにもこれは欠くことのできない事業であろう、私はこのように認識をいたしております。  本当に多くのところからいろいろな要望があろうかと思いますが、であるならば、思い切ってこの分野については予算をどっとふやして推進をするというぐらいの決意が必要ではなかろうか、こんなことも思うわけでございますが、特にこの連続立体交差事業推進につきましてもう少し詳しくお話しをいただきたい、このように考えております。
  114. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 連続立体交差事業につきましては、先生指摘のとおり、これは鉄道を高架化させることによって多数の踏切をなくす、それによって踏切における渋滞を解消する、と同時に、その鉄道によって分断されていた市街地を一体化する。今行われている連続立体化事業のときにあわせてその周辺地域整備、区画整理事業も一緒にやるということが非常に多いということで、これはまさに市街地の活性化、非常に大きな事業になっているわけでございます。それは先生指摘のとおりでございます。今まで八十二カ所で事業を完了しておりまして、全国で六十八カ所でなお継続。要望は非常にたくさん出てまいっているのが実態でございます。  大都市地域のみならず地方都市でも要望が非常に高いということでございまして、先生予算の重点配分という御指摘がございましたが、私どもも基本的にそういう考え方で、道路特会の一部がいわゆるラージ街路という格好で都市局所管事業として配分されるわけでございますが、トータルの伸び率、必ずしも有料道路系に重点配分ということで高くないわけでございますが、その中でも連続立体化事業、これは先生も御承知のとおり、一カ所当たり、大きいところでは五百億ぐらいかかるという事業でございますが、そちらの方に重点配分するという考え方で、今回の予算案の中においても高い伸び率を予定、確保しているところでございます。
  115. 樽床伸二

    樽床分科員 ありがとうございます。  我が国におきましては、法律的にもそうでありますが、一度つくったものはなかなかやめないという悪い弊害がどうもありまして、法律も一度つくったらなかなか法律をつぶさない、こういう一般的な傾向もありますし、一度始めた事業はなかなかやめない、こういうこともあります。  そういう中で、先ほど冒頭に申し上げましたように、どんどん税収がふえていくという時代であるならば継続事業、ずっと継続しながら新たなものをつけ加えていく、これは財政的余裕があろうかと思いますが、もはやそういう時代ではないという中で、新しいことをすればどこかを削らなければならない、こういうのが今の時代の特徴であろう、このように思っております。中止をされるとそこでまたいろいろなことがあろうかと思いますが、しかし、そういうことを乗り越えて政治、行政を行っていかなければこれは何も変わらない、このように私は強く認識をするものでございます。そういった中で、極力要らなくなったものはやめて、そして本当に要るものに重点的に配分をしていく、こういった思想でぜひとも御努力をいただきたい。  そしてまた、細部につきましては私もまだまだこれから検討させていただきたい、勉強もしていきたい、このように思っておりますが、民間の一千兆を超えると言われる預金をどのようにこういった都市開発の分野に誘導していくのかというような策を、これはみんなで頭をひねって考えていかなければいけない問題であろう、このように私は考えております。  まだまだ非常に抽象的で思いつきのような発言で恐縮でありますが、税金で建設行政を行うものだという大前提を一度見直していく必要も、発想の転換も必要ではなかろうか。税金を使うなというわけではありませんが、すべてやらなければならないという大前提を見直しながら重点配分をしていく、こういう中で、このような事業にも本当に必要な事業に思い切って予算を投入していく、そんなあり方を模索をしていただきたい、また私どもも模索をしていきたい、このように考えるところでございます。  続きまして、都市部におきましてもまだまだ道路の問題というのは存在をいたしておりまして、私の地元の話で恐縮ではございますが、実は新しい道路をつくろうというような計画もあります。なかなか進んでいないのも現状でありますが、具体的に言うと、第二京阪国道でありますとか第二名神、こういった道路の計画が十年、二十年前から存在をしておりますが、なかなか緒につかない、こういった大変難しい問題もございます。しかし一方で、今ある国道が人口の急激な増加等々で大変混雑をして地域に悪い影響を及ぼす、こういった道路も実は散見をされるわけでございます。  まことに恐縮でございますが、その一つの例といたしまして、一般国道百六十三号線が実はこのような状況に立ち至っておるわけでございまして、もう十分に御存じのことであろうと思いますが、この百六十三号線は、大阪と奈良、それから最終的には京都の方までつながっているわけでございますが、特に大阪と奈良を結ぶ数少ない主要国道、一般国道でございます。しかしながら、この百六十三号線は、平成五年三月に供用されました京奈和自動車道がちょうど京都の方で接続をする、そして、平成六年十月に関西文化学術研究都市の町開きが行われ、さらにその人口が増加したり、また大型の車の通行と、産業道路としての役割もまたここへ出てきたということで大変混雑をし、二車線道路ではもう飽和状態に至っております。  そういった現状の中で、建設省におかれましても昭和五十四年から改良事業を行っておられるわけでございますが、現在、四車線化とか清滝トンネルの暫定供用等が実現をしておりますが、しかし、一部でこういうことになりますと、実はこれが引き金となりましてさらに車がたくさんそこに流れてくる、こういうような状況に立ち至っておるということでございます。  そうすると、当然そこから抜け道を皆さん通ろうとするわけでございまして、その周辺に非常に古い集落が存在をしておりまして、大変道が狭うございます。その道に迂回するためにだあっと車が入りまして、もう土曜、日曜になると、そういった町の本当に車一台通るのがやっどのような道がこれまた渋滞をして、大変地域にも悪い影響を与えておる、こういったこともございます。平成九年に大阪では、なみはや国体が開催されるわけでございまして、これがさらにこのことに拍車をかけるのではないか、こんなことも思っております。  特に、大阪側の百六十三号線の清滝トンネルの四車線化ですか、その間に、行くまでトンネルがちょうど山を抜けておるわけでございますが、このトンネルも含めた四車線化というものを一つの例として、早期に実現をしなければならないなというふうに私は考えておりますが、今後の見通し及び整備状況についてぜひお聞かせをいただきたい、このように思っております。
  116. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 一般国道の百六十三号は、大阪市の北区から三重県の津に至る幹線道路でございます。その状況につきましては、今御指摘のとおりでございます。  この道路につきましては、昭和五十四年に事業に着手して、昭和五十六年から既に用地買収、工事に着手しておりまして、平成六年の二月には、清滝橋から清滝第一トンネルという区間二・四キロ、これを暫定二車線で供用開始したということでございます。  現在、平成七年度におきましては、この大阪側の起点から清滝橋までの現道拡幅の区間一・二キロ、これについて今用地買収を進めております。特に、この一・二キロの中でも一部の区間につきましては、大阪国体、なみはや国体の関連道路としても供用が望まれているところであります。そういうことで、現在はこの大阪側の一部区間について事業を鋭意進めているところであります。  さらに、御指摘の暫定二車線で開通しておりますトンネルについてでありますが、このトンネルが供用を開始する前は、これは一日でありますが、現道で二万五千台の交通がありました。トンネルが開通した後、二車線で三万二千台が通っております。そういうことから申し上げますと、既に四車線化のトンネルの、もう一本掘るという時期に達していると我々は考えております。しかし、予算的な制約その他ございまして、とりあえずは大阪側の取りつけ部の事業を進め、引き続きこのトンネル等の四車化に努めてまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、先ほど御説明申し上げましたように、昭和五十四年から営々とやっておりまして、国道事業としては相当の期間を費やしておると我々も認識しております。整備効果の高いこのような事業につきまして、重点的な投資が図られるように今後とも努力してまいりたいと思いますし、先ほど都市局長からも説明ありましたように、街路事業、連続立体事業あるいはこういう幹線道路の整備がおくれている点は我々も十 分認識しておりますので、今後とも予算確保等、十分努力してまいりたいと考えております。
  117. 樽床伸二

    樽床分科員 ありがとうございます。  最後に、この都市型の建設行政の中で最も直接我々の生活に関係します住居、住宅の問題につきまして、特に、先ほど冒頭に申し上げました、高度成長期に急速に人口が増加した地域は、御存じのように、スプロール現象に見舞われたわけでございまして、たしか私が小学校におりましたときには、校庭の半分がプレハブ校舎で埋まっておりました。それほど学校の建設がもう追いつかないというような時代が昭和四十年代の前半にあったわけでございます。そのことについて今さらとやかく言うつもりは全くございませんが、一つの例として、それほど人口の増加が激しかった、こういうことを申し上げたわけであります。  当然、そういう中で、木賃住宅が特に町の、先ほど申しました、かなり便のいいところに集中的に立地をする、こういった傾向が大変強くございまして、その木賃住宅が、だんだん時がたつにつれてこれをまたやり直していかなければいかぬ、こういう問題がございますが、土地を持っておられる方と、建物を持っておられる方と、中に住んでおられる方がすべて違うというような現状もこれありまして、なかなか進まないというのもよく理解をいたしております。  しかし、我々の国民生活の質の向上を図る、こういった点から考えますと、この木賃住宅密集地区の整備というものは、これは息長く、しかし力強くやっていかなければいけない問題であろう、特に住宅の問題が国際的な水準の中でもいろいろ言われている現在、特にこの問題、象徴的にある重要な問題ではなかろうか、私はこのように認識をいたしておりますが、この推進に対しまして、御見解をぜひ賜りたい、このように思っております。
  118. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 ただいまのお話にもございましたように、我が国の市街地には、いわゆる木造賃貸住宅、木賃木賃と言っておりますが、そういうものを中心に大変密集した住宅地が残っておりまして、先ごろの震災の例に見ますように、防災の面からも、居住条件の面からも、大変な大きな課題であるというふうに考えているところでございます。  地域の実情につきましては、先生今いろいろな御指摘ございましたが、まことにそのとおりの実情でございまして、かてて加えて、ある意味ではその地域の中で力のある方が一部外へ、その地区以外のところにお移りになっているといったこともありまして、最近では、単にそういう木賃がいっぱい集中しているというだけではなくて、その中でもまた空洞化のような現象もさらに加わってきているということで、一段と事業整備を進める上では難しい条件が加わってきているという認識をしているところでございます。  この問題に取り組むために、私どもも、事業推進するための手法も時代に合わせまして、いろいろなことを組み合わせながら、あるいは拡充を図りながらやってきているわけでございますが、特に、今日の事業でいえば、密集住宅市街地整備促進事業というものを中心にして、その他の再開発系あるいは住宅地区を整備するさまざまな事業手法を、地域の実情に合わせて総動員をしてでもやっていかなければいかぬということで、取り組んでいるつもりでございます。引き続き、当然そういうことで力を入れていくべきだと考えているところでございます。  それから、今、密集住宅市街地整備促進事業、これまでに全国で百三十六地区ほど手がけてきておりまして、面積でいいますと約五千ヘクタールぐらいのところで事業を展開しているところでございますけれども、これらの対象と思われる、今後取り組まなければいかぬ量は四倍ぐらいは少なくともありそうだということで、一段と私どもも力を入れていかなければいかぬ。幸いという表現はまことに不謹慎でございますが、こういう地区の防災の問題についての全体的な関心は、昨年の阪神大震災の教訓を受けて高まっているというところでもございますので、当然これらの事業地域の住民の方々理解と協力がないと進まないわけでございますけれども、そういう意味では大変理解が深まっているという環境もございますので、一段と力を入れていきたい。  今御審議いただいております来年度の予算におきましても、今申し上げました密集住宅市街地整備促進事業におきましては、国費ベースでも一二%増というような伸びで予算の用意をさせていただこうということで努めているところでございまして、お金の面からも、あるいは取り組む体制の面からも、御指摘のようなことで、私どもも今後とも引き続きさらに力を入れてまいりたいと思っているところでございます。
  119. 樽床伸二

    樽床分科員 ありがとうございました。  今御指摘がございましたように、昨年の阪神・淡路大震災を思い浮かべますと、万々が一そのような密集地区で災害が発生したときに、想像を絶する状況がやってくるのではないかということを考えると、ぞっとする思いがいたします。消防車も入れないような非常に入り組んだ道があり、そして住宅の密集そのものも大変激しいわけでございますので、防災という観点からもまた、ぜひともこのようなことの御推進を心からお願いを申し上げる次第でございます。  本日、約四点につきまして、都市型という形での建設行政の推進ということの御質問をさせていただきました。何度も繰り返し申し上げておりますが、建設行政においても、これまでの発想の転換が今求められているときである、このような認識を私は強く持っております。我々国会に送っていただいておる者の一人といたしましても、政治の役割というものは、大きな方向性を示さなければならない、こんなように私は認識をいたしております。そして、その結果として出た答えについては、我々はしっかりと責任をとっていかなければならない、こういった思いも強く抱いておるところでございます。  最近、官僚の方に対するいろいろな御批判もございますが、私は、しっかりとした役割分担が必要であろう、こういうふうに認識をいたしております。政治が大きな方向性を決め、その中で官僚の皆様方に、これまでの御経験、そしてお知恵を十二分に生かしていただいて、その方向性の中での最大限の努力をしていただく環境をつくっていく。しかし、その出てきた答えに対しては、これは我々政治家がしっかりと責任を持って国の施策を推進をしていく。こういう役割分担が必要ではなかろうかと強く私自身もみずからに問いかける日々でございます。  そういった中で、建設行政がこれまでの発想を大きく転換をして、そして民間の活力も生かしながら行政の推進に臨んでいただきたい。こういったことを強くお願いをし、そして私どももそういった決意も申し上げて、本日の私の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。
  120. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて樽床伸二君の質疑は終了いたしました。  次に、寺前巖君。
  121. 寺前巖

    寺前分科員 私は、ここ四、五日の間の、近畿の各地を用事がありましてぐるっと回ってきたときに直面した問題を二、三、建設省に関係する問題に限ってお聞きをしたい、このように思います。  その一つは、和歌山県に寄った。和歌山県には紀の川の大きな川が流れています。一番下流のところに、今、大堰の工事被害をめぐって住民の人の間で話題になっているわけです。その地域は、和歌山市の園部地域というところです。二、三年前に一度行ったときに聞かされて、それで和歌山市内にあるところの工事事務所に、話をきちっと住民との間にしなければいけませんよと言って帰ったことがあるのです。あれは九四年のことではなかったかと思うのです。  振り返って、当時の新聞を見ますと、九三年の読売新聞に、十月のことですが、「紀の川大堰工事 周辺民家で地盤沈下」こういうように載って おります。それから、九四年です。紀の川大堰建設工事に伴う家屋損傷等に関する陳情というのが建設大臣あてに出されています。園部第十紀の川大堰対策委員会と書いてありますね。それからことしの一月三十日、これは毎日新聞に、「補償交渉進まず 国「一回で決着」 住民側「将来も」と反発」をしている。こういうようなことをいつまでも続けておったらどうもならぬなということを感じましたので、せっかくの機会だから、ひとつ問題を提起をしておきたい、こう思って、きょう説明をさせていただくわけです。  そこで、ひび割れなどの補償をめぐる建設省の姿勢と対応の問題について、まず聞きたいわけです。この大堰の工事に先立って、周辺住宅地の家屋調査というのはおやりになっていたのか、やっておられないのかどうだったのだろうか、お答えいただきたいと思います。
  122. 松田芳夫

    ○松田政府委員 御説明申し上げます。  家屋調査の開始時期は、平成五年五月から八月の間に第一次の家屋調査を行ってございます。
  123. 寺前巖

    寺前分科員 今おっしゃったのは、右岸側の堰本体工事に当たって、園部第土地区町内会を対象に行われた話だと思うのです。問題になるのはそれ以前なんです。試掘工事を行っているわけなんです。  その内容というのは、右岸整備工事として、それより前の年、平成四年です、その三月二十五日に、実際に着手したのは五月二十一日から十月の九日の間に工事をやっているのです。工事内容は、堰柱工のくい打ちなどであります。くい打ちは、直径千ミリ、長さ十六から二十五・五メートルの鋼管くいを七十本打っている。さらに、園部護岸工事として、その年、平成四年の十月二日から翌年の五年の三月三十日に、護岸工事や復水工などの工事をやっている。  こういう試掘工事のときに、事前の家屋調査はおやりにならないのですか、おやりになったのですか。さきの話を聞いていると、本体工事になってからの御答弁でしたが、いかがなんですか。
  124. 松田芳夫

    ○松田政府委員 一般的に、周辺地域に影響を及ぼすような工事は本体工事でございます。平成四年度に実施しておりました船着き場の工事あるいは護岸工事、その他準備工事というのは、一般的にはそういう大きい影響を生じないと考えておりましたので、通常の仕方によったものでございます。
  125. 寺前巖

    寺前分科員 ところが、そういうふうに想定をしておられたこと自身に狂いが起こっておる。地元の諸君の記録を見せていただくと、こういうふうに言っています。園部第土地区の水道管が試掘工事の期間中に三度にわたって破裂をしている。各家屋の基礎や壁面にひび割れが生じた。またそれ以降、本体工事に伴って水道本管が四回破裂した。  ですから、試掘段階から既にこういう事態が起こっていたわけです。だから、試掘段階における調査をやらなかったというのはまずかったのじゃないだろうか、私は率直にそういう感じを受けたのですが、いかがですか。
  126. 松田芳夫

    ○松田政府委員 委員お話しのとおり、紀の川大堰建設事業の施工に伴い、事業周辺の家屋に支障が生じているものがあることは承知しております。これまでも、応急的な対応が必要なものについては、補修等所要の措置を講じてきたところでございます。  現在、家屋の支障状況やその原因について調査を実施しているところであり、その結果を踏まえ、工事に起因するものについては適切に補償していくこととしております。  また、今後の工事につきましては、現在実施しております無振動工法等、万全の対策を講じてまいることとしておりますが、万一工事に起因して新たに周辺家屋に支障が生じたような場合には、改めて精査の上、住民の方々に対し誠意を持って対処してまいる所存でございます。
  127. 寺前巖

    寺前分科員 ということは、どういうことになるんでしょうかね。試掘工事中に、起こらぬと思っていたのが起こっているということはお認めになったということですね、一つは。したがって、その間に起こっている問題についての対処はしますよというふうに理解していいんですね。家屋調査以降に被害があった場合のみ補償するという態度ではなくして、その調査していなかった時期の問題があるんだよ、その問題についても誠意を持ってちゃんと被害に対する補償はやっていきますというふうに理解してよろしいのか。そこはどうなんです。
  128. 松田芳夫

    ○松田政府委員 準備工事とか本体工事とかということではございませんで、あくまで工事に起因するものについては適切に補償していくということでございます。
  129. 寺前巖

    寺前分科員 だから私は聞いているんです。事前の調査について被害があったという立場をおとりになるんだったら、それはそれでよろしいでしょう。その事前の調査をやらないでおいて、起因するかしないかということは言えないじゃないですか。事前調査があったら別ですよ。ないんだから。なかったということは先ほどの説明でわかりましたから。そうすると、その事前の試掘段階における事故が起こった以上、それが、起因の証明は調査をしてなかったから言えないけれども、客観的に見てそうだろうと想像することができる場合には面倒を見ますよという解釈でよろしいですなと、こう言っているんです。よろしいですな。
  130. 松田芳夫

    ○松田政府委員 あくまで工事に起因するものについてかどうかということを精査いたしまして、適切に対応したいということでございます。
  131. 寺前巖

    寺前分科員 それで、私はそんな難しい言い方はしていない。起因しているんだったら全部認めますよ、そのことは解釈として、調査をやっていないときのこともそういうふうに思えたらそういうふうに取り扱いますよと、わかりやすく言えばそういうふうに理解してよろしいな。私は、これでもめてきているから言っているんだ。もめてきてなかったらこんなところで一々言うことはありませんね。大臣、そうでしょう。そこでもめているから、ああしまったな、事前にちゃんとしておけばこんなことにならなかったものを、こういうことになるから、事前の問題を含めて、それは客観的に言って無理なことを要求した場合はけりますけれども、無理でない、なるほど調査してなくてそういうことが起こっていたかと思ったら、それは処理をしますというふうに解釈してよろしいな。私は当たり前のことを言っているように思うんだけれども、むにゃむにゃ言われると私らみたいな者は理解がなかなか進まない。大臣、そういうふうに理解して間違いございませんな。大臣、横で聞いておられてどういうふうに思われました。
  132. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 よく聞いておりますと、やはり今の河川局長の話、先生の言っていることも当然、現状起こっていることでございますからあれですが、非常に筋の通った話もしておるとも私は伺っておりました。
  133. 寺前巖

    寺前分科員 それで結局どういうことになるんだ。調査してない段階でも、それは起因すると思えたらそれは取り扱いますよ、そんなもの、調査してない段階だからわかりませんと済ましてしまうのかという話だ。調査しなかったのはそっちが悪いんだから、住民が悪いわけじゃないよ。ざっくばらんに答えてよ。
  134. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 この問題は、ざっくばらんに聞かせてもらって、私もまた後で答弁させていただきます。
  135. 松田芳夫

    ○松田政府委員 御説明申し上げます。  御指摘の紀の川大堰事業周辺の家屋に発生した支障につきましては、紀の川大堰建設事業に起因するものか否か精査の上、同事業に起因することが判明したものについては適切な補償を行う等誠意を持って対応してまいりたいと思っております。
  136. 寺前巖

    寺前分科員 まあいい、私の解釈に間違いがなけりゃいいんだ。  要するに、調査はしてなかったけれども、精査をして起因するとなったらそういうふうにやりま すよと理解してよろしいのだろう。間違っておったら言ってくれよ、ここで。それでいいんだろう。あなたたちは難しいことを言うから。それでいいんだろう。批判ないならそれでいい。確認しておきますよ。
  137. 松田芳夫

    ○松田政府委員 紀の川大堰建設事業に起因するものか否か精査の上、同事業に起因することが判明したものにつきましては、適切な補償を行う等誠意を持って対応してまいりたいと思います。
  138. 寺前巖

    寺前分科員 だから、私が言っているので間違いないだろう、こう言っておるんだ。間違いがあるんだったら間違いがあると言ってくれたらいいんだ。もう言わないな、私の言っていることに対して。よし、それなら確認しておくで。  それで、和歌山の市長とここの住民の人が交渉しておられる。そのときに市長もこう言っておるんだ。事前調査がなかったということはおかしいのではないだろうか、それはしておいて当たり前だよ、市長がそう言うんだもの。皆さんの困っているということについて建設省にお伝えいたしましょう、そこまで言われているんだよ、市長からも。だから私は、やはり事前にこの地域は調査しておかなきゃいかぬなという態度をとらなかったところに、今日まで混乱が起こっていく原因があるんだというふうに感じました。  それで、昨年の夏に現地のジョイントベンチャー事務所で住民に対して、一たん補償した後は、大堰工事にかかわる補償には応じないと今度は述べたんです。それで住民がまた反発しているんです。  紀の川大堰の工事完了予定というのは平成十一年なんです。ところが、現地の建設省は、今の時点で家屋の補修をやったら、今後工事で被害が生じても補償しないという態度をとっていることになっているんです。そうすると、これは一工事での補償は一回きりと建設省内で決まっているからと、こういうふうに現地事務所が言われるのはおかしいじゃないか。住んでいる人間が、狂ってきたらちょっと直してくれやと言うのは当たり前じゃないか、途中で住めぬようになってきたり、私も見てきたけれども、段ががたんとなったりし始めておったら。そこで一回補償してしまったらもう最後までせぬぞ。どうも現実離れしているのと違うか。そういう問題が、次にこの問題の関連で起こってきているんです。  今も振動があり、今後も被害が起きる可能性がある。それなのに平成十一年まで我慢しておけというのか。平成十一年まで、手を打ちながらも最終的な処理は終わってからまた改めてやるというのか。私はこの間の態度というのは、先ほど誠実に対応しますとおっしゃったけれども、この問題が誠実な内容にかかわってくる。一体これについてはどうされるんですか。
  139. 松田芳夫

    ○松田政府委員 現地での交渉のやりとりの具体的な詳しい、どなたがどういうふうに申し上げたかというような具体的なやりとりについては現在私どもで関知しておりませんので、情報が入っておりませんのでその辺のニュアンスについてはわかりかねるところがございますが、あくまでもこれは現場の被害あるいはその補償との関係のことでございますので、現地の方に地元の方々対応させるようにさせたいと思っております。
  140. 寺前巖

    寺前分科員 対応はさせるけれども、途中でがたつきが起こっている場合には、住んでいるんだから、住んでいる人に対して直すということがあってしかるべきじゃないか。そして、最終的に処理をされたときにまた補償は補償としてきちんとけりをつける。途中で一回補修をやってしまったからあとは知らぬ。知らぬと言われたら、終わるまで待たにやならぬことになるじゃないか。現実に生活をやっているのだから、生活をやっている期間中の処理は処理として面倒を見ながら、全体としての補償は最終どうするかということは起こり得る問題だろうと思う。私は、そういうふうに基本的に対応されるという姿勢が要るのじゃないだろうか。誠実と言う以上は、僕はそうでなかったらおかしいと思うのだな。そこはそういうふうに理解してよろしいか、あと細部の問題は別として。
  141. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 委員にお答えいたします。  公共事業の施工に伴って生じた損害について、事業者として責任を持って補償していくことは、これは公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に照らしても当然のことだ、これは委員の御指摘のとおり、そう思います。  御指摘の、紀の川大堰事業周辺の家屋に発生した支障につきましては、私自身はその現地を見ておりませんし、全くわからないのでございますが、今までいろいろとお聞きさせていただいた上におきましては、紀の川大堰建設事業に起因するものか否か、これは精査をじっくりした上で、それで同事業に起因することが判明したものについては、適切なる補償を行うということを誠意を持って対応していくということが現実の姿としてあり得べきことである、このような認識で当たっております。
  142. 寺前巖

    寺前分科員 そのところはようわかっている。要するに、生きた人間が、日常生活、平成十一年までさわるなよ、もうさわったらそれで一回きりで終わりだよと言われたって、現実に工事はまだ続いてやるのだからいろいろなことが起こるじゃないか。最終的処理と途中におけるところの処理と両面があるだろう。だから途中における処理だって必要な範疇はやはりやらなければいかぬのと違うかと、こういうことだろう、難しいことを言うけれども。
  143. 松田芳夫

    ○松田政府委員 これまでも応急的な対応が必要なものについては補修等所要の措置を講じてきたところであります。恐らく、現地のお話で、先ほど委員指摘があった件については、その補修の件と工事に起因したと認められるものに対する補償のものとがどこかで、現地の話で混乱を招いているのではないかと思いますけれども、この辺は推定になりますが、私のお答えとしては、あくまでも応急的な対応が必要なものについては補修等所要の措置を講じてきたところでありますし、補償は、工事に起因する補償は補償としてまた別途お話し合いをさせていただく、こういうことでございます。
  144. 寺前巖

    寺前分科員 そういうことで、大臣、よろしく頼みます。  次に、この間兵庫県の明石海峡大橋の建設状況について見せてもらってきたのです。いろいろ去年の暮れから新聞報道で、記者会見もおやりになっているわけですけれども、電波障害がこの大橋建設をめぐって起こっているわけです。  通常、箱物工事など大規模な工事を行う場合には電波障害が起こり得るということで事前調査を実施することになっているはずです。私はその電波障害の状況について現地へ行ってみて驚いたのです。震災が起こったからこれは見にくくなったのやろかと言ってテレビを新しく入れている家が結構あるのです。これは震災の影響やろかと思っておるのだけれども、一向にようなりませんのやという相談を各地で受けたわけです。明石市や神戸の西地域それから垂水、そういうところでずっと広範囲に見えたものですから、そういう相談を受けたわけです。  そこで、これを工事着工する前に電波障害の事前調査をやっていたのかどうか。予測を準備したのかどうか。ここはどうだったのです。
  145. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 明石海峡大橋建設によるテレビ電波障害につきましては、これまでも電波の遮へい、反射によって生じる影響につきましてはあらかじめ予測し調査を行いまして、影響が生じた範囲についてはケーブルテレビによる対策を講じてきております。そういう意味では事前の調査を行っております。
  146. 寺前巖

    寺前分科員 事前調査は行ったけれども、ところが、こういう事態が起こっているということについては予想することができなかったのかということになるわけです。今起こっている障害というのは一体何だというふうに理解しておられるのですか。
  147. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 通常の電波障害につきましては、先ほど御説明しましたように、調査を行い、 対策を講じてきたところでありますが、昨年の夏ごろから、これまで対策を講じていた範囲以外の、例えば明石市とか垂水区とかそういうところからテレビ電波障害についての問い合わせが出てまいりました。  その原因を調査した結果、淡路島のテレビ中継放送所の送信電波を受けたハンガーロープが、これは明石海峡大橋のケーブルにぶら下がっている垂直方向のロープでありますが、二次的アンテナとなりまして電波を再放射し、放送所からの直接波と干渉してゴースト画面、二重画像、これを発生している可能性が考えられました。  そこで、この種の電波障害はこれまでに例がない特殊な現象であることから、原因究明の調査と応急的な対策を兼ねて、先週までにハンガーロープの前面に電波を遮る金網を取りつける作業を完了し、現在その効果について調査中であります。  また、この障害は極めて特殊な現象であります。さらに広範囲に点在しておりますことから、電波行政の監督庁でもあります電気通信監理局並びに関係放送機関と共同いたしまして、電波障害関係機関連絡会議を設け、今年度末、おおむね三月でありますが、今年度末を目途に恒久対策、その位置づけ、方向づけをやられるように現在鋭意検討を進めております。  その方向づけ、そういうものができますれば、事業主体であります本四公団におきましてできるだけ早く対策を講じるように指導してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、極めて特殊な電波障害であります。今後早急に対策を講じてまいりたいと考えております。
  148. 寺前巖

    寺前分科員 そういうことになるだろうというふうに思いますけれども、早急に対策というのは、いつごろになったらめどは立ちますのか。いろいろな調査やらをやっても、めどは立ちませんと言ったらそれきりか知らぬけれども、要するにテレビの映りがちょっとおかしいといって新しいテレビにかえはる家がいっぱいあるのだ。本当にあれを見ておったら大変だ。だから、大体いつごろまで待ってもらったら、対策は、方向づけは明確にさせますから安心してくださいと言ってもらわなければあかんのだ。それはどうなっていますのか。
  149. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 先ほども御説明いたしましたが、原因究明あるいはこの対策につきましては今年度末、三月末を目途に恒久的な対策が得られるように努力してまいりたいと考えております。
  150. 寺前巖

    寺前分科員 それ以上ないだろうけれども、三月末になったらめどは立てますから、安心しておくれやす、こういう話か知らぬけれども、よろしく頼みますわ。  それから、この間新聞を見ておったら、建設大臣の所管の首都高速道路技術センター、自転車駐車場整備センター、首都高速道路協会、住宅管理協会、リバーフロント整備センターが国税庁から相次いで申告漏れで修正をさせられていた。  そうすると、税務当局は、首都高速道路技術センターは収益と費用が同額で利益はゼロとする実費弁済方式で申告していた誤りだとか、自転車駐車場整備センターは減価償却費を過大に計上していることを指摘しているとか、首都高速道路協会は宣伝用印刷物の制作費の計上をめぐる指摘だとか、住宅管理協会は団地の管理監督事業の利益の計上時期をめぐる問題で指摘をしているとか、リバーフロント整備センターは仮装・隠ぺい行為を伴う所得隠しに課せられる重加算税を含む追徴課税だとか、ずっと国税庁にやられているわけですね。  そうすると、公益法人は毎年事業計画を立て、予算等々を大臣に提出しているのです。だから建設省の方は、ちゃんと事業計画や予算がここに出てきておるのだから、こういう指摘を受けたら、おお、されよったかということだけで監督機関として済ましてしまうのかい。再発防止に当たって今後どうするんだということの態度を決めてもらわなければいかぬと思うのだけれども、これは大臣お聞きですか。
  151. 伴襄

    ○伴政府委員 過日、五財団の申告漏れ、と大変大きな記事が出まして、私も驚いたのですが、具体的内容につきまして調査いたしましたが、決して意図的な所得隠しとか申告漏れということではなくて、いわゆる税務当局との見解の相違というものでございまして、例えば公益事業と収益事業の区分をどうするか、広報誌をどっちに入れるかというようなこととか、あるいは減価償却の年数のとり方だとか、複数年にわたるような工事をどの年度に整理するかとか、あるいは経費計上にするべきかどうかといったようなことでございまして、これは実は専門の税理士の方に御相談しているのですけれども、見解の相違でこういう指摘があったわけでございます。  見解の相違ということでありますけれども、税務当局と相談しまして、財団法人という社会的立場もございますので、修正申告を行いました。中には払い過ぎて、過払いで返してもらったものもあるのですけれども、そんなことも含めて所要の税を支払ったものと聞いております。  今御指摘のとおり、公益法人の会計処理は、厳正にやる必要があると思います。従来から公益法人の指導監督連絡会議というのがありまして、そこの決定で会計基準というのがございますから、そういったものにしっかりのっとって適切に処理するよう指導していきたい、徹底していきたいというふうに考えております。
  152. 寺前巖

    寺前分科員 時間が来ましたので、終わります。どうもありがとうございました。
  153. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて寺前巖君の質疑は終了いたしました。  次に、長浜博行君。
  154. 長浜博行

    長浜分科員 大臣長浜博行でございます。  千葉県選出の一年生代議士でございまして、きょうの質問は、実は一週間前、同じ部屋ですが、環境委員会の理事をやっているものですから、環境委員会でも質問をした一点、二十一年間にわたって水質が、いわゆるCODのワーストワンを続けている湖といいますか沼に関する質問ということでお願いをいたした次第でございます。それは、実は私の選挙区といいますか、今申し上げましたように、千葉県の我孫子市というところにある手賀沼の問題であります。  確かに、一つ地域の問題かもしれませんが、表現がよろしくないかもしれませんが、二十一年間にわたって日本一を続けているという大変重みのある問題であると自分自身は認識をしておりますし、私のところは国会議事堂から千代田線で一本で通ってきておりますが、四十分から五十分、手賀沼のあるところはそれより二つ先の我孫子という駅でありますから、それにしても国会議事堂から一時間もあれば見に行けるようなところにございます。  二十一年といえば、はかり出して二十一年でありますから、想像すればそれ以上、二十二年なのか二十三年なのかわかりませんが、昭和五十年、一九七五年以来続いている問題と理解をしていただければいいのではないかなというふうに思います。そのころ生まれた赤ちゃんは成人式を迎えて、もう既に成人式を越えてしまっておりますが、そういった状況になっても、生まれたときから大変きれいな風光明媚な地域なのでありますけれども、水質を言われると日本一汚いよと言われ続けて成人式を迎えたような状態でありました。  大臣も千葉県の方にはある程度御関係もあるように伺っておりますが、千葉県のこの手賀沼の問題は、実は今まで環境問題と言われてきたような、例えば産業公害型のものであれば、その汚染源である工場とかあるいは建物などをどかしてしまえばそれで済む、こんなふうにも考えられるわけですが、私は自分で見てみますと、これは生活雑排水というか、人間が生活をする上でどうしても下水道整備が整わない状況で負わされている宿命と言わざるを得ないというふうに認識をしているわけであります。以前は、その手賀沼の周りは北の鎌倉というふうに言われまして、白樺派の武者小路実篤や何かが住まって、名文をしたためたかどうかわかりませんが、そんな地域でありまし た。  ですから、この二十一年間何が起こったのかではなくて、何が起こらなかったからこういった状況になっているのか、あるいは、大変不謹慎な質問ではありますが、いつになったら日本で二番目に汚い地域になれるのか、こんな素朴な問題意識を持ちまして、環境委員会においても二度ほど質問をさせていただいたところでございます。  後ほど、この二つの、私自身考えている、あるいは地元の住民が待ち望んでいる北千葉導水事業、これによって試験通水が行われて、本通水が行われることによってCOD値が半減をするというふうにも漏れ伺っておりますから、この問題についても伺いますし、あるいは今申し上げたような基本的な生活雑排水、要するに油物を食って、下水道がなければそれをそのまま流す、食生活も昔よりは充実をしてきて、脂ぎったものを食べるようになったのかどうかわかりませんが、そういった基本的な生活様式の変化に伴うところの下水道整備の問題、こういった問題についても、細かくは伺いますが、今申し上げましたように二十一年間にわたって水質が一番悪い地域がずっと存在し続けている、こういうことについて大臣の御見解を賜ればと思います。
  155. 松田芳夫

    ○松田政府委員 委員お話しの、手賀沼の二十一年間ワーストワンというようなことで、非常に汚濁が進んでなかなかよくならないというお話でございます。  私どももかねてから、河川管理者というような立場で、手賀沼の浄化ということは大事な課題であるというふうに考えてございます。  しかし、問題の地域は、柏あるいは我孫子、あるいはちょっと流域が外れますけれども、松戸あるいは沼南町というような、首都圏の中でも非常に人口の急増地帯でございまして、下水道の整備あるいは人口の急増に伴ういろいろな地域整備というものが十分にいかなかった、幾らやっても人口増に追いつかない、そういうような事情もございまして、手賀沼の浄化に対する具体的な施策としては、お話しのとおり、下水道の整備とかあるいは手賀沼自体に沈殿したヘドロのしゅんせつとか、それから、また後ほどお話に出るのだろうと思いますが、北千葉導水事業というようなことで、利根川の水を運びまして、それを手賀沼の中へ浄化用水ということで流してやるというようないろいろな施策を総動員いたしまして手賀沼の浄化を図っていくというようなことで、国、県あるいは地元一体となってその浄化あるいは改善に対して努力しているところであります。
  156. 長浜博行

    長浜分科員 細かい説明はまたお願いをしますので、大臣、恐縮ですが、今申し上げたように、御感想でも結構ですので、日本一水質が汚い地域が固定され続けているということを、一般論のコメントで結構ですからひとつお願いをいたします。
  157. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 一般論でというお言葉でございますから、お答えに満足いくようなことになるかどうかはわかりませんが、私の知り得る範囲で申し上げさせていただきたいと思います。  今も河川局長の方からも御報告申し上げましたように、地域住民の方々のかけがえのない財産であるということは私も認識をしております。しかし、近年手賀沼一帯が周辺地域都市化の、著しい都市化であるそうでございますから、その影響を受けて水質汚濁が委員指摘のとおりに非常に進行しておる、そして、ある意味においては何かアオコが発生しているというようにも伺っておりまして、種々の問題が顕在化していることだけは間違いないというふうに承知しております。  現在、手賀沼に係る湖沼水質保全計画というものに基づいて、建設省としては下水道整備及び北千葉導水事業による浄化用水の導入であるとか、先ほど局長も言いましたように、ヘドロのしゅんせつ等から成る湖沼の総合的な浄化対策を推進していかなければなるまいな、このような認識に立っておる次第でございます。
  158. 長浜博行

    長浜分科員 ありがとうございます。  建設大臣に御質問をする機会は私は初めてなんでございますが、いずれにしましても、建設省におかれましても、単に手賀沼の問題ということではなくて、今申し上げましたような、いわゆる半端な状態ではないんだ、この二十年間の重み、さっきも申し上げましたように、手賀沼というのは日本一汚いんだよと赤ん坊に言っても理解はしませんでしょうけれども、その赤ん坊に仮に一言語ったとしたら、その赤ん坊が成人式になってもそれが改善をされていないというようなところの地域が身近にあるんだ、国会議事堂から非常に近くにあるんだということを御認識をいただいて、一番最後に申し上げようと思っておりましたが、電車に乗っても近いところでございますので、この間の環境委員会のときも岩垂環境庁長官にも申し上げましたが、大臣もぜひ一回御視察をいただきましてその実態を、夏じゃないと今お話ありましたようにアオコのあの独特の臭さはわからないものですが、ぜひ見ていただきたいなというふうに思うわけです。  今、どうしても下水道の問題を述べなければならないのですが、千葉県においては、これは県ですが、さわやかハートちば五か年計画というのを県の方で立てております。そういった中において、北千葉導水事業というのが、国の事業でありますが、県の段階においても、この問題をお尋ねするときに、いや、それは建設省がやっておられる北千葉導水事業が私の理解に間違いがなければ平成七年度で完成をするんだ、そして、間もなく試験通水も始まりますからこれに期待を注いでいるんだというような一般市民の方々の声を聞くわけであります。  ですから、私自身見てみますと、現実に毎日そこから通っているわけでありますが、とても今の状態で試験通水が始まるような状態にはなっていないのではないか、ひょっとしたら工事がおくれているのではないか、こういう問題を感じているわけでありますけれども、その点について伺いたいと思います。
  159. 松田芳夫

    ○松田政府委員 委員お話しの北千葉導水事業の計画、平成七年度完成と伝えられておったのが、どうも現場の状況からいうとおくれておるのではないかということでございますが、結論から申し上げますと、そのとおりでございます。  若干いきさつの御説明をさせていただきますと、当事業につきましては、昭和四十七年に事業化されておりますが、工事の内容は、全体で約二十九キロメートルの導水路、パイプラインとかトンネルとか、あるいは場所によってはオープンチャンネルと申しますか、川のような部分もございますが、それから三カ所の揚排水ポンプの整備等でございます。現在、手賀沼と利根川を結ぶ第一導水路の一部区間あるいは管理施設等を残しておりますが、残る工事を鋭意現在促進させている状況でございます。  おくれました理由につきましては、特に導水路工事につきまして、用地買収、やはり農村地帯というよりは都市近郊の宅地見込み地のような土地が多うございますので、パイプラインを入れるような土地でも用地買収を行うというような必要がございまして、用地買収に時間を要したこと、それから、地下をシールドトンネルで施工する区間を有するのでありますが、手賀沼周辺は御案内のとおり超軟弱地盤地帯でございまして、そのシールド工事が非常な難工事となりました。そういったような諸般の事情により、平成七年度完成は困難な状況でございます。  具体的に現時点では、JR成田線と北千葉導水路の交差する部分につきまして、ここもちょっと工事がいろいろ難航しておりますが、平成七年度当初の準備工事の段階で地盤の強度が非常に小さいことが判明したため、ここのシールド工事にも時間を要したということから、現在半年間おくれる見込みでございます。このため、試験通水に必要なポンプその他導水路の水を流すのに必要な施設が整備されるのは平成九年度というふうに考えてございます。  建設省といたしましては、北千葉導水事業の完成が手賀沼の水質改善に非常に大きく寄与すると いうことから、その効果を早期に発揮することは極めて重要であると従来から考えてございまして、工事は諸般の事情でおくれましたけれども、鋭意促進することにしております。  今後、管理設備等の残工事の進捗を図り、それから試験通水ということになりますと、関係の地方自治体や利根川その他下流の利水者、その他関係者大勢いらっしゃいます、そういった関係者の方々との調整を行った上で試験通水を早期に開始し、その後の本格運用ということに向けて努力してまいりたいと思っております。
  160. 長浜博行

    長浜分科員 それと、私の認識で間違いがあれば教えていただきたいのですが、当初の四十年代から始まった計画の中において、いわゆる利根川の水を江戸川に逆に通水して工業用水の確保をしようというような当初計画といいますか、それの変更が途中であったことはないのかどうか。つまり、手賀沼の汚染が予想以上にひどいといいますか、それから、いわゆる工業用水の、産業構造の変化に伴ってそれほどに必要もなくなった、こういった意味での、例えば四十年代、五十年代での、今土地の買収の話がありましたが、こういった利用の用途の変更に伴って若干計画変更があったということはございませんですか。
  161. 松田芳夫

    ○松田政府委員 北千葉導水路の目的三つございます。  一つには、これは私たちの言葉で治水と申しておりますが、手賀沼とか、松戸市に流れております坂川といった内水河川あるいは湖沼の洪水対策、それから手賀沼の水質浄化、これは坂川の水質浄化も含まれてございますけれども、そういった河川の工事、これを治水と申しております。これが第一の目的であります。  それから、第二の目的が、水道用水の供給ということで、埼玉県、東京都、北千葉広域水道企業団、こういった水道のユーザーに対する水道用水としての原水の供給、それから千葉県に対する工業用水の供給ということで、この辺の目的については大きな変化はなかったと理解しております。  それで、工事が何でこんなに時間がかかったかということでございますけれども、やはり、先ほど御説明いたしましたように、基本的には用地買収等に非常に難航したということと、やはり沼の周辺ということで、軟弱な地盤層が非常に厚かったようなことから工事自体が難航したというようなこと、それからやはり、あちこちに、要所要所にかなり巨大なポンプ場を設置するような関係から、事業費も非常にかさんでいるというようなことという諸般の事情により時間がかかって今日に至ったというふうに考えてございます。
  162. 長浜博行

    長浜分科員 そこで、今お話にありました一番注目すべき点なのですが、いわゆる利害関係者と言ってはなんですが、利根川の漁民の方とか、いわゆるそういったところのお話し合いの進展の状況のぐあいとか、それから端的に言えば、試験通水は一体いつになるのか、それから、その試験通水をする時期が確定したとして、本通水までどのぐらいの時間がかかるのかということを、できればといいますか、具体的に教えていただければというふうに思うのですが。
  163. 松田芳夫

    ○松田政府委員 河川の水利秩序といいますか、利用者の利害の調整といいますか、特に利根川周辺は古くから文化が発達しているところで、大勢の方が古くから住んでいらっしゃいます。したがいまして、その地先地先に、それぞれの農業用水とか、あるいは漁業をやっていらっしゃる方々とか、あるいは場合によっては例えばその川で物を洗うとか、いろいろな意味の川を利用する方々の利害関係が複雑に入り乱れております。そういった中で新しく導水路をつくって利根川と江戸川を結んでしまうというようなことになりますと、何百年も続いてきたそういった水利秩序といいますか、一種の地域の慣行を崩すことになります。  したがいまして、そのときに円滑に進めるためには、やはりその川の沿川の方々と何度も打ち合わせいたしまして、理解を求めながらやっていかなければならない。しかも、利根川の水と江戸川とを結ぶ、あるいは途中の手賀沼を通過していくというような話になりますと、やはり沿川の方々は、将来の水質がどうなるのであろうか、今安心して使っておる川の状態がどうなるのであろうかと疑問をお持ちになるのは当然だろうと思います。  したがいまして、試験通水の期間中に水質の調査、試験をしたり、あるいは漁業、漁業といいますか、そこに住んでいる水生生物にどういう影響があるのだろうとか、水の流れがどう変わるのだろうかとかいういろいろな調査をいたします。通水試験というのは一年ぐらいというのが一般的でございますけれども、これはやはり、現場は現場でございますので、原則論的には一年ぐらいじゃないかと思いますけれども、現地の状況によってはそれより長引くこともあり得ますし、今の段階で何年までかかるということは非常に申し上げにくいのでありますが、一応、先ほど申し上げましたように、通水設備は平成九年に完成の予定と考えておりますので、それからしかるべき通水試験を行って、周辺方々の御理解を求めて本通水に移る、そういう手順を考えてございます。
  164. 長浜博行

    長浜分科員 大臣、ですから、今お話がありましたように、ハードの部分においても若干の計画のおくれがありますのですが、それよりもむしろ大事なのは、実はこのハードが完成をしてもなおソフトの面で、いわゆる周辺住民じゃなくて、今度はその水の流れていく先でありますけれども、こういった膨大な利害関係者との話が始まらないと、この手賀沼は、今二十一年ですけれども、ひょっとしたら二十二年か二十三年か、この北千葉導水がすべてとは思いませんけれども、どんどん解決がおくれていくということも考えられますので、きょうは大変短い時間で、明確な御答弁をいただけませんが、それで結構ですけれども、これはお尋ねしますので、ぜひ細かく後ほど教えていただければというふうに思います。  ですから、北千葉導水というのは、建設省の方がどのぐらい認識をされているかどうかわかりませんが、地元の、情報がはっきり言って余り行き渡ってない普通の庶民の方々にとっては、何か手賀沼浄化のスーパースターというような状況で、これが通ればCODが半減するというシミュレーションのうわさも、うわさじゃないですね、そういう話も伝わっていますので、一日も早い完成を待っているということは事実ですので、それを申し上げさせていただきたいというふうに思います。  それから、下水道の状況であります。  手賀沼に直接注ぎ込むというよりも、一級河川である大津川とか大堀川とかいう形で、手賀沼がある我孫子市ではなくて、松戸市や流山や鎌ケ谷市、こういったところから流れ込んでいるというような状況の中で、下水道整備状況と、それから今後の動向について教えていただければと思います。
  165. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 手賀沼流域下水道につきましては、五市三町の区域を対象といたしまして、昭和四十六年度に事業着手されて、五十五年度に一部供用開始され、平成六年度末の段階で大体下水道普及率五八%、七年度末の見込みが六一%という状況でございます。  今後どうするかということでございますが、新しい第八次下水道整備五カ年計画、下水道整備緊急措置法の一部改正も国会に提出させていただいているわけでございますが、それに基づく新しい下水道整備計画に基づいて早急に整備するということになろうかと思いますけれども、この新しい五計期間内では、この流域下水道の幹線管渠、これは概成できると思いますので、この新五カ年計画の期間内には普及率も相当程度上げることができるのではないか、かように考えているところでございます。
  166. 長浜博行

    長浜分科員 ですから、最初に申し上げましたように、とにかくその下水道整備が、北千葉導水事業が着工がおくれて、しかも試験通水から本通水になるまで時間がかかるのだとしたら、逆に言えば下水道整備に頼らざるを得ないわけであります。  そういう中において、私が調べたところによれば、この近隣各都市の――千葉県というのは実は全国平均を、大幅にと言ったらなんですが、下回っている地域であります。下水道普及率が悪い。しかも、今言ったように、手賀沼があります我孫子市においては八五%ぐらい実は下水道整備が進んでいるのですが、おくれているのはどこかといえば、流域人口は我孫子で四万四千ぐらいしかないはずです、柏は逆に二十六万も流域人口がございますが、大体五三%、大津川の流域は五二%ぐらいではないかなというふうに思いますし、松戸でも流域人口は三万おりますし、流山でも二万ぐらい住んでおられますが、松戸においても四九%、流山では何と二七%というような数字をいただいているわけです。  ですから、最初に御説明いただきましたように、余りにも急激な人口増加に伴って下水道整備が間に合わなかったと言われてしまえばまさにそれだけの理由であるわけですが、しかし、現状の中においてもこの地域というのは今でも人口がふえておりますし、きょうのメーンの問題ではありませんけれども、常磐新線というようなものが通って沿線の市街地開発などをすればさらにまた人口がふえていくところでもありますので、そういった、ほかの先生方がいらっしゃるとなかなか申し上げにくいのですが、全国の下水道地域の最重点地域として、あるいは、こういう言い方がよろしくなければ最初に申し上げたように、建設省の全力を投じて、二十一年間にわたって水質が一番悪いと言われている地域を何とか、二番じゃないですけれども、よくしてみようじゃないかというふうに特別プロジェクトに情熱をかけていただいて、ぜひ、こうでもしないとこの二十一年というのが二十二年から二十三年というのは、さっきくどくど申し上げましたように、改善の見込みがないところでありますので、もう一回、下水道に関して特段の御配慮をいただけるのかどうかという問題も含めて御答弁を願えればと思います。
  167. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 確かに先生指摘のとおり、この手賀沼流域における人口の伸びというのは非常に大きい。ただ、先生、トータルとしての私どもの公共下水道、流域下水道の整備促進によって処理人口の伸びを見てみますと、人口の伸びをある程度は上回っているという状況にはあるわけでございまして、そういう意味合いにおいて、今までもこの地域における環境整備重要性というのは認識して、重点的に取り上げてきたということは言えるかと思いますが、確かに先生指摘のように、言い方は悪いですけれども、圧倒的ワーストワンという状況でございますので、下水道整備という観点からも一生懸命その整備に努めていきたい、こういうふうに考えております。
  168. 長浜博行

    長浜分科員 水というのは地球上のすべての生命の源でありますし、地球上には、いろいろな資料がありますでしょうが、大体十四億立方メートルの水があるとき、その九七%が海水であります。淡水のうちで、さっきお話もいただきましたように、飲料に供するとか、産業用に供するとか、あるいは農業に供するとか、こういったところに利用できる川とか湖沼の水はわずか〇・八%にしかすぎない、こういうことも世界的に見れば言えることでもあります。  今私が最初に申し上げた、二十一年間にわたってとにかく水質が改善をされないということで、二つのポイントに絞って、一つは、建設省が進められている北千葉導水事業、そしてもう一つは、特にこの問題を解決するためには流域下水道の整備が必要なのだ、この二点で御質問をさせていただいていたわけでありますが、最後に、大臣のこの質疑を通しての御感想をいただければと思います。
  169. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 私はずっと聞いておりまして、東京の特に近郊に、最も近い地域にありながら、そのようなワーストナンバーワンというような場所があるというふうなことは、確かに委員指摘のとおりに看過できない全く大きな問題だなと思います。同時に、そういう意味におきましては、下水道そのものの役割における平均値からいったならば、相当にこちらも力を入れていることは間違いないのでしょうけれども、その比率の対象からいくならば、それはなかなかうまくいっていないという先ほどの局長の御答弁も聞き及びました。  そういう意味におきましては、先ほど何か御要望もございましたように、私も折に触れ時に触れ、今の環境庁長官とも話し合ってみたいとも思っております。なかなか岩垂環境庁長官はその道における専門家でもございますし、環境問題といいましょうか、エンパイロンメントの問題というものに大変に造詣が深いと聞いておりますし、非常にその点においても私どもにもいろいろと何か訴えたいこともあるようでございますから、私も近くそれも聞いてみたいな、こう思っております。  そこで、先ほどの御要望がありました点についても十分に受け付けた気持ちで受けとめさせていただいて、脳に刻み込んでおいて、そして時と場合においては、そういう点も私自身も機会あらば伺わせてもいただければなと思っておりますし、同時にまた、そういう委員がそれだけ御熱心に御指摘なさって、遂行しようとしている志を何とか満足させるような方向にということは、委員だけの問題ではなく全体の方々のためでございますから、そういう方向に一生懸命努力することはお約束をさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  170. 長浜博行

    長浜分科員 質問を終わります。どうもありがとうございました。
  171. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて長浜博行君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤剛男君。
  172. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 最初に、中尾大臣、私は大臣政治歴を拝見いたしておりまして、常に国を思い、そして国の将来を憂え、常に日本国を中心にして政治活動をされておる大臣に本当に私は敬意を表しておりまして、その意味におきまして、このたび建設省がこのような頼もしい大臣をいただかれたことは、まことに御同慶の至りであるわけでございます。  それで大臣、実は私は、福島一区といいまして、福島市、伊達郡という、これは今まで私の選挙区だったのでありますが、今度は浜通りといいまして、言うなれば太平洋に面しておるところ、選挙区でいいますとかつては田中直紀先生が――一部縮小しまして、そしてそこに私が入っていく、新たに十万人余りの有権者がいる場所でございます。全国でも五番目の有権者のある、福島が二十万、伊達郡十万。伊達郡というのは阿武隈山脈ということで、今非常に地震に対して安全だと言われている地域でございまして、首都移転一つの候補になっている、そういう地域でございまして、この浜に相馬港という大きな港があるのでございます。これは国際的な港としまして、非常に市長さん、今野市長さんという方が県と連携しまして一生懸命やっておられました。十三メーターの水深、これは十五メーターの水深になりますと、シンガポールが四つあるんですが、日本はまだ十五メーターの水深のものはゼロなんです。そういう意味で、国際的な港ができて、そして県庁所在地は福島市にあるわけです、私の地元なのでありますが。  ところが、そこのところの道路というのは猛烈に悪いわけでございます。他日、一年前でございましたが、選挙区が、選挙制度がこうなったからというので、早朝、ちょうど今ごろの時期でございましたが、朝七時ごろ行きましたら、アイスバーンという氷のところに乗ってしまいまして、すぱっとスリップいたしました。対向車がなかったからよかったものの、対向車が来ましたら、私は今ここで立っていられない、政治生命を失っていたようなわけでございます。委員長、そういうふうな場所でございます。それで、これは時間が一時間半から二時間かかるというんです、たかが四十二キロぐらいの距離なのでございますが。  そこで、ここに地域連携で県庁所在地と浜との間を、弾丸道路と称しておりますが、高規格道 路、高速道路、自動車専用道路というものを早くやるべきだ。それはなぜなのかといいますと、大臣、この東京の電力の五分の一、もっと言いますと、原子力発電の五分の一から四分の一、今原子力発電が四千五百万キロワット、五千万いっていないのでございますが、その四千五百万のうち一千万強は福島から出ているのであります。福島が十基あるんです、今、約五十基が日本で稼働しておりますけれども。その意味においては、数でも五分の一。ですから、福島の原発三基か四基定期検査しますと、とめてしまいますと、東京は真っ暗になってしまう、このくらいに重要なる地域なわけなんです。  そういう地域でありながら、極めて道路とか、それから常磐線というのが走っているんですけれども、これもまだ単線なんです。複線にしていない。そういうインフラストラクチャー、いわば経済基盤の点においては極めておくれておりまして、この意味におきまして、将来原発の増強をする、そう簡単に、東京に原発やりましょうといってもできないはずです。そうなってくれば、やはりこの浜というものの、十基ある原発の地域の市町村の住民感情、その人たちの気持ち、これを非常に大切にしなければいけない。  その気持ちが、第一に住民の人たちがやってもらいたいということは、一つは、大臣、この地図であれしますと、この浜通りというのは、仙台へ行く常磐高速道路というのがあるのです。これはまだ完成していないわけであります。これをとにかく早く仙台へ延伸してください、延ばしてくっつけてください。これは、徐々にいってはいるのですけれども、なかなかかかるわけです。  それからもう一つは、福島の県庁所在地のところへ福島-相馬間の高規格道路をつくってください、相馬港という国際的な大きな港があるわけでありますからという声。  さらに言いますと、この常磐線を複線化してください。きょう、運輸省を呼んでおったのですが、来ていないようですけれども、複線化してください。  こういう三つのことが非常に大きく、もう市町村それから財界、この間は女性の方々が、大臣お会いいただいてありがとうございました。相馬から女性部隊がいらっしゃったのは、あの方々は今私が申し上げている福島相馬高規格道路、こういうことの陳情でございます。  ところが、道路局長、細かい部分で恐縮ですけれども、今この福島-相馬間というのは予定路線なのでありますよ。ちょんちょんちょんとついているだけであって、まだ何も計画しているわけじゃない。基本計画、どこを通るなんてことになっていない。全国でそういう予定路線というのはたくさんあるかと私は思うわけでありますが、その一つであるわけですね。ですから、各県に一つ一つそんな予定路線がありますと、五十倍ぐらいになってしまうわけですよ。そうすると、そのとき、この一番重要なところの電気、エネルギー、七千万キロワットの原発の計画をやろうなんて通産省はやっているのですよ。ところが、どこに設置いたしますか。東京の三多摩あたりに原発の施設を持ってこようかと言うと、いやという反応が大きいと思うのですね。  そうすると、そのためには、私はこういう機会こそ、大臣の国を思い、そして国土をつくり、人づくり、そういうふうな観点から、ぜひ、この地域重要性、やはり日本の中でエネルギーというのが一番重要ですから、ここのところにおいてきちんとした、ちょうど体で言いますと、電気というのは心臓の動脈みたいなものだ。ところが、動脈と肺が、体に行くところが真っすぐ行かないでくにゃくにゃしておりまして、私自身政治活動に一時間半も二時間もかかる、そういう支障を来すようでは、これはまことに残念でならないわけでございます。  頼もしい、本当にありがたい大臣日本の建設大臣になられたわけでありますので、そういう重要なことであり、この間、相馬からたくさんの女性の方々大臣にお会いになって陳情してきたとおっしゃっておりました。まず、そんな点につきまして、ひとつ大臣の御感想を賜りたいと思います。
  173. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 特別な感想というよりは、佐藤委員が熱心にそのようなことに取り組まれていることを高く高く評価させていただきたいと思います。  同時にまた、この間会った女性というのでずっと思い出しました。よく覚えております。そこで、その方々の渇望も、そのようなもっと時間を短縮させていただくような形で、多岐にわたる自分たちの活用路というものをつくってもらえまいかというようなことを言われた方々が三人か四人おられたと思います。  同時に、今政治活動のことを言いましたが、これはそれぞれの代議士がそれぞれこの今の状態の中でやっていることに、私も、時間のロスというものを計算したら、全く大きなことだなという感じもします。それだからそれをやるということでなく、全体的なバランスを保った形で、むだのない形の、建設省の皆さん方に、役立つ活路といいましょうか、その道のりというものを皆さん方の御協力によって、特に佐藤委員等の御意見もいろいろまた賜って、それを十分に取り入れていくことをお約束したいなと思っております。
  174. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 ありがとうございました。中尾大臣から明確なる御答弁を賜りまして、感謝にたえないところであります。  それで、要はこの道路、そういう非常に重要な地域でございますので、早くやるということですね、迅速にやるということがまず必要なわけであります。何年もかかって、五十年たってできましたでは、私はもう死んでいますし、そんなのではたまったものではない。  それから、早くするためにはいろいろな手法が道路局長のところでも検討されていると私聞いております。それは、まず国幹審で基本計画という形でやる方法というのがありますが、そういう予定の路線というのはたくさんあるわけですね。今この相馬-福島間は何番目ぐらいでございますか。予定路線の一番から数えましてどのぐらいの、非常に言いにくいところだろうと思いますが、大まかにまずそこら辺を参考までにちょっとお聞きしたいと思っております。
  175. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 四全総を受けまして昭和六十二年に国幹道法を改正いたしまして、新たに予定路線を追加して、現在、国幹道の全体計画は一万一千五百二十キロになっております。このうち、予定路線であり基本計画が策定されていない区間は全体で三十四区間、千九百十七キロございます。これには順番というものはついておりません。三十四区間あるという事実だけでございます。
  176. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 といいますと、こういう順番などというのは言える筋のものではないですから、三十四の中に入っておる。一つ区間を上げていくのに相当の時間がかかる。そうすると、別のいろいろな手法を考えて早期に実現していただく、これが、今大臣がおっしゃられた相馬の人たちが、女性が来られたときも、早くやってくださいという趣旨だろうと私は思うのです。  それで、一つ考えられることが、並行する一般国道にバイパスをつくっておきます。そして、これを自動車専用道路にしておく。今ので言いますと、例えば福島と伊達郡のところだけにまずバイパスを通す。国道はここはあるわけです、国道百十五号というのがあるのです。それで、そこのところに、インターチェンジに商業集積地とかトラックターミナルとか、あるいは子供のレジャーランドとか、そういうようなものを置いて、まず地域連携を阿武隈山脈と福島に送っておく。それから、さらにこの阿武隈山脈と相馬の地域に、地域連携としてバイパスとして自動車専用規格をやって、それをまずつくってしまう。これは一つの国の形でつくって、これができ上がったら道路公団にこの所有権というものを渡してしまって、それをいわゆる高規格道路にする、こういうふうなやり方というのも、笹谷トンネルとか、あるいは海南湯浅道路とか、宇佐別府道路とか、そうい うところでやっておるのですね。  ですから、そういうところのアイデアを、この重要なる電源地域の浜と県庁所在地の福島とそういう意味において地域連携をつくって、そして手法としましては、何も国幹審の基本計画をあきらめるというのではないのですよ、まずとにかく手がける、早くやるということでやる方法をぜひひとつ御検討をいただきたいと思っております。それについての御見解を問いたいと思います。
  177. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 御指摘の点でございますが、先ほど申し上げましたように、国幹道でまだ予定路線である区間は千九百十七キロあるわけであります。そういうことでありますので、これらについても早期に整備に着手していく必要があります。  今後、どのように高速道路を整備していくかという点につきましては、昨年十一月三十日に道路審議会の中間答申をいただきました。これでは、料金の上昇を抑制しつつ、採算性の確保を図りながら着実にこの高規格幹線道路を整備していく必要がある、こういう御指摘でございます。  そういうことから考えますと、この東北中央道の福島-相馬間につきましては、国道百十五号が並行して走っております。先ほど先生の方から御指摘もありましたとおり、この百十五号は一応一次改築的なことが終わってはおりますが、この現道の状況を見ますと、例えば最急勾配が八%ある、あるいは極めて屈曲がきつく、曲線半径が三十メーターと極めてきついというような点もありますので、ある意味では、一般国道についても整備が急がれている状況だというのはそのとおりではないかと思います。  そういう意味で、先ほど申し上げました道路審議会の中間答申の中で、一般国道が並行して走っている場合でこの一般国道の改築の計画がある場合には、これを一般国道の自動車専用道路として一般国道で整備してはどうか、それで高速道路の機能を代替していくということが提言されております。  そういう意味で、原則的にはこれは国幹道でありますので、予定路線から基本計画を経て整備計画を経て施行命令で整備をしていくということではありますが、今申し上げましたような、一般国道の状況に応じては、一般国道の自動車専用道路という方向整備をして、高速道路の機能代替をしていくということも考えられます。  いずれにいたしましても、現在この区間については調査を継続しておりますので、その調査の中でどのような整備手法がいいのか、今後十分検討してまいりたいと考えております。     〔主査退席石田(勝)主査代理着席〕
  178. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 ただいま道路局長から頼もしい検討お話がありましたので、これは浜の人たち、それから福島市、阿武隈地域の伊達郡の人たちは非常に喜ぶことでありますし、そしてこれが将来の日本のエネルギーの基幹道路として、大臣は通産大臣をおやりになっておられますし、本当にそういう意味ではエネルギー道路とも言えるべきものでございますので、もちろん他に予定区間三十四区間、千九百キロメーターのものがあることも十分あれですけれども、今のようなバイパス方式あるいは有料道路、こういうようなやり方をひとつ実行を進めて、まず行動を、調査をしていただいて、そしてそれが現実化するような形にお願いしたい。もうとにかくスピードであります。早くやらないことには、何年かたてばできることは明らかなのですけれども、この原子力発電地域と県庁所在地とがきちんと三十分以内ぐらいにぴったりと結びつくことがまず必要不可欠であるということを申し添えておきます。  それから、大臣、私は第三次石油ショックが来るのではないかということを言っているのです。というのは、私が会っている欧米の学者は、今の石油関係、特に東南アジアの石油需要というのは、工場だのがどんどんできて需要がふえてしまって、それでインドネシアも輸出国ではなくなって輸入国になってしまうのではないか。中国はこれだけどんどん使うようになってくる、そうすると、東南アジアのブルネイ油だけではないか。そして、しかも産油国に、中東に依存する。もうこの比率だけでも、ここ五年間ぐらいの間にアジアの中東依存は一〇%ぐらい上がっています。もう七〇%ぐらいの形に来ています。  ところが、サウジアラビアの王様の争いがある、それからアメリカはイラン、イラクという両方とも封じ込めみたいな形をやっておる、これも好ましくないわけですが、その需要と供給が大体三百万バレルから四百万バレルぐらいしかない。ちょうど日本が今四百万バレルぐらいの消費をしておるわけですけれども、そうすると、石油価格というのはぽんと上がるわけですね。第一次石油ショックもそうですし、第二次石油ショックもそうなのです。ですから、そういうふうな事態のときに、今欧米の見方はすごい悲観的であります。アジアを中心とする需要がふえる割には供給がない、そういう意味が出てきたことに対して日本は非常に甘過ぎるというのが、私が接触している欧米の人で、百八十度見方が違います。  そういうふうなことを考えますと、この浜通りというのは原子力発電地域、それから石炭の共同火力という、東北電力と東京電力が石炭を原料にして共同火力発電をやっている地域でありまして、非常にエネルギー面から大切な地域でございます。  そういう意味におきまして、仮に石油ショックでも起きますと、これはまたこの福島の地域が大きく見直されるわけでございますけれども、そういう観点からも、建設省におきまして、単なる予定路線の三十四区間の一つだけだというふうなことではなくて、日本の動脈、心臓と肺をつなげるような形の動脈路線だということを御理解賜りまして、実現方をお願いいたしたいと思います。  最後に、大臣からもう一度御見解を賜らせていただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  179. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 佐藤委員はそちらの道の専門家でありますが、確かに言われるように、私も実は同じような見解を幾つかのところから見聞をしております。第一次オイルショックが昭和四十八年、昭和五十三、四年に第二次、第三次はありませんでしたが、円高ショックになっていったというような推移を考えましても、やはりこのエネルギー問題というのは極めて重要なことである。そのエネルギーの供給部分が、大きなシェアで、比重を持って福島県という一つの大県でもっておる、その地域にもっと近距離感を要求したいというその気持ちは切実な気持ちとしてわかりますし、同時に、国益の線から考えても、当然それを考えて当たり前なことであろうと思うのでございます。  私も、そのような意味からも、これは日本国、世界の中におけるグローバリゼーションの中へ立った八ーモナイゼーションといいますか、そういうものの中における日本の立場というものを考えても、これはやはり推進してしかるべきものである、こう考えておることも申し添えさせていただきたいと思います。
  180. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 ありがとうございました。  かようなことで、いま一つ道路という浜の、常磐高速道路の仙台までの延伸、それから、中央高速道路と位置づけられて予定路線になっておりますが、福島-相馬間の重要性、それから、本日運輸省に問題にしようと思っておりましたが、常磐線がまだ複線化していないわけなのでありますが、そういう面もひとつ、将来の石油ショックだというようなことで、私もオオカミ少年をやるつもりではないですけれども、需要が高まってきて、供給のアジアというのが、輸出国だったのがいわば輸入国になるというような大きな転換をしておると、ますます原子力発電、原発というのは重要な形になるわけでございますから、そういう面において、その中でやはり増強する、増強する場合に、市民感情あるいはその地域の感情が非常に重要なのですね。  ですから、そういうことについて、ああ将来県庁所在地までつながるのか、ああ仙台まできちんと行くな、こういうデモンストレーション、やる ぞと言うことだけでも、それは、ああそうかということで住民の気持ちというのは違うわけですし、財界の気持ち、また県あるいは市町村の非常に熱心な方々推進されているわけでありまして、私は、そういう方々の努力と同時に、本当に国土づくりの、まさしく道路の重要性というのをこのエネルギー等の関係でつくづく感じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げまして、私の質問をこれで終わらせていただきます。  本当にありがとうございました。
  181. 石田勝之

    石田(勝)主査代理 これにて佐藤剛男君の質疑は終了いたしました。  次に、松下忠洋君。
  182. 松下忠洋

    松下分科員 ありがとうございます。鹿児島から出てきております松下忠洋と申します。  五つの事項につきましてお尋ねをいたしますので、よろしくお願いを申し上げます。  まず一つは、今回の北海道の豊浜トンネル崩落事故にかんがみまして、急傾斜地等の危険箇所対策を今後どのように進めていくのかということでございます。  その前に、亡くなられた方に対する心からの哀悼の意を表したいと思いますし、大臣みずから現地に赴かれて調査をされ、そしてまた、いろいろな批判もありましたし、また反省することもあるでしょうけれども、とにかくあの現地で、厳寒の現地のあの海のはたで、巨大な岩石に向かって必死に発破作業をされた建設作業員の方たち、それから、素手で、あの岩石を手袋で取り出して遺体発掘に当たられた自衛隊の人たちに本当に心から感謝を申し上げます。また、大臣みずからも、そういうことで激励いただいたということを心から厚く御礼申し上げたいと思っております。  早速でございますけれども、今回のトンネル崩落事故、巨大な岩石が落下してまいりました。岩石というよりも、通常の我々の常識を超えるような、一つの山が落ちてきたというぐらいに感じるわけであります。テレビの画面を見ておりますと、何かビール瓶のようなものがぽつっと落ちたような感じになりますけれども、あの中で必死に発破作業をしておられる人たちのあの姿と比べてみますと、人間の姿が米粒なんですね。それだけの大きな事故だったというふうに思うのです。  ああいうような岩石の崩落、山の斜面そのものの大きな岩盤の崩落を受けて、全国にもたくさんの急傾斜地があるわけですね。私、建設省におりまして砂防部長をしておりまして、いろいろながけ崩れ対策をしてまいりましたけれども、そういう人家を守っていくための崩落事故、がけの対策、また、今度のような道路の走っているところでの危険箇所というのはたくさんあると思うのです。その急傾斜地の、そういう防災の方の、人家あるいは公共施設を守るための危険箇所地の対策をもう一回見直しされて、新しい基準をつくってやっていかなければいかぬと思うのです。  まず、河川局長さんの方に、がけ崩れの対策として、今度どのように取り組もうとされておられるのか。あの経験から、ひとつ御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  183. 松田芳夫

    ○松田政府委員 今回の北海道・豊浜トンネルの崩落事故にかんがみて、急傾斜地の対策をどう考えているかというお話であったかと思いますが、急傾斜地崩壊危険箇所につきましては、従来からも、おおむね五年に一回総点検というのを行ってきております。たまたま、五年に一回行う定例の総点検が昨年の平成七年度から実施中でありまして、平成八年度中に取りまとめを終えることとしております。今回の豊浜トンネルの事故にかんがみ、あのような地形といいますか、類似箇所につきましては、現在行っている総点検の中に改めて追加の調査を早急に実施することとしておりまして、その方法等について現在検討中であります。  今後の調査結果に基づき、危険箇所に対するさらなる点検の強化、あるいは急傾斜地崩壊危険区域の指定、それから崩壊の早期検知システムの開発など、今後の対応策を検討してまいりたいと思っております。
  184. 松下忠洋

    松下分科員 従来、人家のあるところを中心に急傾斜地の対策というものを進めてまいりました。今回のああいった巨大な岩盤の崩落、あるいは山の上の方から大きな石が転がってくるというような、いろいろな新しい事象がまた予想されてくるわけであります。  従来のあれでいきますと、人家の裏が滑って落ちてくる、それから地すべりとして落ちてくる、そういうことで対応策をしてきたわけですけれども、今度のような大きなものになってまいりますと、調査の視点とか、それから人家だけでなくて道路もありますので、そういうところでの調査というものをもう一回しっかりと見直していただかなければいけない、このように思うのです。  新しい視点、それから加えるべき事項、その辺を、道の方としてもお考えでしょうし河川局の方としてもお考えでしょうけれども、両局長さんにぜひお聞かせいただきたいと思います。
  185. 松田芳夫

    ○松田政府委員 従来のように、住家、人の住んでおられる家がたくさんあるようなところの傾斜地といいますか、急傾斜地の調査点検ということだけではなくて、実は昨年、新潟とか長野で北信越水害というのがございまして、姫川という川の沿線の道路が大きく被災したり、JRの大糸線という鉄道がずたずたになって、現在も不通になってございます。  そういった重要交通網にかかわるような部分の土砂崩壊といいますか、そういった問題につきましては、それぞれの管理部門、道路なり鉄道の管理部門でもいろいろお考えかと思っておりますけれども、河川局といたしましても、そういった道路、鉄道等の重要交通網にかかわる土石流危険渓流というような問題については、土砂災害対策の立場からいろいろ調査をやることにしております。平成八年度から、道路、鉄道等の重要交通網にかかわる土石流危険渓流調査というのを行うことにしております。
  186. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 道路関係につきましても、全国的な点検を定期的にやっております。前回は平成二年から平成三年に防災点検を実施しておりますので、今回は平成八年度、来年度新たにまた全国的な防災点検を実施したいと思います。  さらに、今回のような大規模な岩盤の崩落というのは、なかなか経験のできない、していない分野の問題でございます。そういう意味で、従来いろいろな点検なり調査研究をしてまいりましたが、建設省全体といたしまして、道路、河川、鉄道が極めて急峻な地形を縫うように通っているのが日本の現状でありますので、全国的な大規模岩盤崩落対策を検討するために、幅広い学術分野の専門家の英知を結集した委員会を今回新たに設置し、全国的なこのような厳しい地形の状況にある構造物等の安全性の向上に役立てたいということで、現在検討しているところでございます。
  187. 松下忠洋

    松下分科員 とにかく名にし負う山岳地帯を走る道路であり、そのふもとに人家が密集している土地柄でございますので、十分なる技術を駆使して、的確な判断に基づいてそういう箇所を点検し対策を実行してもらいたい、そのように心からお願いを申し上げます。  二つ目は、阪神・淡路大震災についてのその後の実績をお聞きしたいと思っております。  阪神・淡路大震災の直後に、私、谷洋一衆議院議員と二人で「二次災害を警告する」という小さな警告書を提出いたしました。読んでもらったと思いますけれども、その中には、緊急に対策、工事をすること、その場合の地震による対策の必要な箇所の調査、それから監視点検システム、それから倒壊家屋の除去、これをいわゆる受益者負担金の免除による砂防工事による実施ということもお願いしましたし、宅造地のいろいろな災害が起こった後のがけ地の石垣なんかの崩れを直す、そういうことの工事、あるいは防災町づくりをするような河川の改修、そういうことをお願いしました。また、活断層の調査でありますとか、ボランティア組織をつくって早急にそういった斜面の安定をチェックする、そういった危険診断士というものをつくったらどうかというようなものを提案いたしましたけれども、実際に工事、調査を含め てどのように現在進行しているのか、その中身を教えていただきたいと思います。
  188. 松田芳夫

    ○松田政府委員 昨年委員からも貴重な御提言を多々いただいたところでありますが、その中で、緊急な土砂災害対策というようなことで御提言いただいた幾つかについて御説明申し上げますと、二次的ながけ崩れ等の危険度の高い箇所において、補正予算によりまして対策を集中的に実施してきたところであります。  また、宅地の擁壁、宅地を取り囲むコンクリートの土どめの壁でございますけれども、宅地の擁壁対策は、公共施設等に被害が及ぶおそれのあるなど必要な要件を満たすものにつきまして、現在も鋭意実施しているところであります。  それから、斜面が崩れるとか崩れないとかというその危険性を判定する斜面判定士というようなアイデアでございますが、これにつきましては、平成八年度、来年度といいますか、今年度といいますか、平成八年度の出水期に間に合うよう制度の創設を鋭意検討しているところであります。  また、長期的な対策といたしまして、土砂災害に対する安全性を高め、緑豊かな都市環境と景観の創出を図るため、山の斜面に樹林帯の整備等を行うグリーンベルト整備事業といったようなものも推進することとしております。  その他の点も含めまして、昨年来現在に至るまで検討を続けております数々の防災対策、土砂災害対策につきまして、委員からもいただいた貴重な御提言が何らかの形で反映あるいは実現できるものと考えております。
  189. 松下忠洋

    松下分科員 けさからずっと環境庁でありますとか林野庁の方にも、森林とか現存する里山とか、あるいは防災林だとか防風林とかいうもの、あるいは水防林といったものをもっと大事にするような施策を進めてほしいということを強く申し上げておきました。  今局長がお述べになりましたけれども、都市山ろくに緑を残していくということを、現存するものは残しておく、先人がつくってきたいろいろな立派な防災林もありますので、できるだけ生かしていく、それからまた、新しくそういうものを保存するために一定地域を買収していくというようなことも含めて、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思うわけであります。  来る十三日に、衆議院の災害対策特別委員会で阪神・淡路地域を視察、調査いたしますので、それを見た後いろいろな気のついたところはまた一緒になって考えて御相談したいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  もう一つは、これは地元の地域のことでございますけれども、川内川という大きな河川がございます。九州三大河川と言われるぐらいに、筑後川、そして大淀川、そして川内川と言われるぐらいの大きな急流河川でございますが、なかなか改修が進んでいないということです。  連年、戦後大きな台風災害を受けましたけれども、一番かなめであります人口七万三千人が住む私たちの川内市という町を真っ二つに割って流れる、そこの本川の改修がなかなか進んでおりません。特に、市の真ん中にあります市街地そして繁華街、それを真っ二つに割って走っておりますし、そこに中越パルプという大きな製紙・パルプ工場がございまして、その移転も絡んで、いろいろな建設省の御努力もよく承知しておりますけれども、なかなか進んでいかないという実情にございます。  今後大きな経費もかかると思いますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思いますが、今どのように取り組んでおられるのか。今後その抜本的な改修に向かって一歩踏み出していただきたいと思いますけれども、そこのところについてぜひお願いしたいと思うのであります。上流の方は、都市計画も含めて、それから区画整理も含めて着実に進んできておりますけれども、いよいよ市街地に入ってまいりますので、そこのところをお願いしたいと思うわけであります。     〔石田(勝)主査代理退席、主査着席〕
  190. 松田芳夫

    ○松田政府委員 川内川の改修につきましては、お話しのとおり、昭和四十年代に六、七回も大きい洪水が発生いたしまして、そのたびごとに死者を生じたり何千戸という家が浸水したりというような大きな被害が頻発してございました。以来、改修事業に努力しているわけでありますが、河口近くの川内市の市街地におきましては、昭和五十七年より河道の掘削を中心とした事業を進め、河道掘削につきましては平成六年に暫定掘削ということでとりあえず概成してございます。  以後は、平成五年からは市街地部の堤防の引き堤のために用地買収を進めているところでありますが、お話ございましたように、何分にも川内市の中心市街地の密集市街地で用地買収を行うというようなことから、都市計画的な問題もございますし、あるいは用地買収費が膨大に上るというようなこともございます。それから、大きな工場もひっかかるというようなこともございまして、進捗が余り思わしくないというのが実態でございます。今後とも川内市街地を中心とする改修の努力は続けていく所存でございます。  また、上流部で一部洪水流下のネックとなるような菱刈町というようなところがございますが、そこに湯之尾という地先で昭和六十一年度から湯之尾捷水路事業というものに着手してございまして、現在鋭意これも促進を進めております。  今後見込まれる新幹線の開通とかあるいは地方拠点都市として川内市あるいはその周辺地域発展が期待される中で、水害が多発しているというのはやはりいろいろ問題でございますので、少しでも水害の減少を図るため、引き続き川内川の改修の促進に努めてまいることにしてございます。
  191. 松下忠洋

    松下分科員 河川局長は、以前は九州地方建設局の河川部長もしておられましたので、この川のことについては上流から下流一貫して御承知だと大変うれしく思っております。  今いろいろお話しいただきましたけれども、拠点都市の第一次指定になっている地域でございまして、南九州の大きな拠点として発展していこうとするその突破口がこの川内川の改修でございまして、その一番大きなところが市街地にかかった。ですから、今右岸側のあの中越パルプという大きな工場がございますけれども、一度法線を、そこを真っ二つに割るような法線がありましたのを少し振っていただきました。これは大変な勇気だったと思うのですけれども、思い切って改修を促進するためには、経費を節減しながらついの目的を果たすとなれば、いっそ工場を外して、思い切って左岸の方に振りながら大きな改修計画を考えていただけないかということも含めてぜひ議論をいただいて進めていただきたいと思いますけれども、よろしくお願い申し上げます。いかがでしょうか。
  192. 松田芳夫

    ○松田政府委員 委員お話しの点につきましては、貴重な御提言と承って、今後の勉強といいますか、改修促進へのいろいろな参考といいますか、ヒントとさせていただきたいと思っております。
  193. 松下忠洋

    松下分科員 大変ありがとうございます。よろしくお願いを申し上げます。  あと道路について二つお尋ねいたします。  一つは西回り自動車道のことでございます。南九州西回り自動車道というのでございますが、これは後で申し上げます地域高規格幹線道路とも非常に密接に関連してまいります。これは、道路予算の大幅な確保についての陳情書、それから地域高規格道路の計画路線指定についての陳情書でございますけれども、御承知のように、熊本県の八代から九州縦貫道、これがずっとえびのを通って、そして宮崎の方に入っておりますけれども、それが去年、加久藤トンネルが貫通して開通いたしました。これで九州から北海道まで一気通貫に道路が通ることになったわけでございますけれども、残念ながら、大変うれしいことだけに、またこの薩摩半島を見てまいりますと、八代の方から薩摩半島をずっと南に下がってくる道路沿線の南九州西回り自動車道、これを一生懸命工事をしていただいておりますけれども、この区間の中の阿久根、川内というこの二つの市を結ぶ区間、ここ がまだ白地で、要するに何もまだ入っていないということになっております。  新しい全国総合開発計画が今議論されておりまして、新しい国土軸をつくっていこうという議論も進んでいる中で、この地域については高速道路が、まだ一メートルもそういう道路が完成していないという非常に残念な、寂しい思いをしているわけでございまして、この地域の現在着工しているところの工事の促進はもとより、この空白になっているところの計画路線、計画区間の決定、これをぜひとも基本計画の策定をしていただきたいというお願いでございますが、その点について、道路局長さん、いかがなものでございましょうか。
  194. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 南九州西回り自動車道でございますが、これは八代から鹿児島市に至る百四十キロの高規格幹線道路であります。九州南西地域経済の活性化あるいは災害に強い地域づくり、こういうものに大きな整備効果が期待されている道路でございます。  御指摘のとおり、本自動車道につきましては、積極的な調査を進めておりますが、現在、先ほど御指摘の阿久根-川内間を除く全体百四十キロのうち百十四キロメートル、これが全線の八一%でありますが基本計画が策定されており、さらに、この百四キロ、全体の七四%が事業に着手している段階であります。  このようにちょうど中間が整備がといいましょうか、計画がおくれていると申しますのは、それぞれ路線の両側、起点、終点の方から、鹿児島あるいは八代の方から順次調査を進めてきたという結果で、結果としてこの阿久根から川内の間二十五キロの区間が基本計画の未策定区間になっておるところでございます。  しかし、建設省といたしましても、これらの区間につきましても調査を進めております。基本計画策定に向けて環境基礎調査、あるいは地形地質、気象等に関する基礎的な調査、あるいは地域の関連プロジェクトの調査等いろいろな調査を進めております。  次回の基本計画の策定につきましては、平成八年度内を目途にしておりますが、この当該区間につきましても環境基礎調査等の調査の進捗が図られております。特に、この地域につきましては環境調査等がポイントになると我々も考えておりますが、その辺の調査も進捗しておりますので、早期にこの基本計画が策定できるように努力してまいりたいと考えております。  さらに、整備についての御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、全体百四十キロのうち約七四%については、それぞれ八代日奈久あるいは鹿児島道路等いろいろな事業名で現在整備を進めております。例えば、平成七年度でいきますと、補正予算も含めて、この南九州西回り道路には約二百億円を上回る事業費をつぎ込んでおりますが、平成八年度もさらに重点投資を図ってまいるよう現在検討しているところでございます。  そういたしますと、第十一次道路整備五カ年計画末であります平成九年度末には、鹿児島道路の一部、伊集院インターから鹿児島西インターの間、あるいは八代日奈久道路、八代ジャンクションから八代南インターの間、これらの供用が図られると思います。  今後とも、整備促進に努力をしてまいりたいと考えております。
  195. 松下忠洋

    松下分科員 大変ありがたい御説明をいただいたと思っております。  新年早々には、南の方の松元町でインターチェンジの追加計画決定をしていただきました。このことも地域を挙げて大変な喜びでございました。役場には大きなのぼりが立って、旗が立ったというほどの地域の喜びようでございました。そのことも感謝を込めてお伝えしたいと思います。川内市の市長さんも一週間前に新しく決まりました。三月十一日から新市長が就任します。そしてまた阿久根の市長さんは、二期目を目指して、また今度は秋には新しい挑戦をされます。非常に阿久根の市長さんが、私の任期中に少しでもこういうものにいい返事ができるようにしたいという悲願でございまして、自分の働きが悪いからできないんだろうかということを一生懸命嘆いておられました。きょうもいろいろいいお話もいただきましたし、我々もできるだけ努力してまいりますので、よろしくお願いしたいと思うわけでございます。  それに関連いたしまして、今度は地域高規格幹線道路というのがこの西回り自動車道あるいは九州縦貫自動車道に連結をしていくというふうになってまいりまして、このネットワークが完成していきませんと、せっかくの南九州西回り自動車道あるいは九州縦貫自動車道の大きな幹線との一体となった交通網確保ができなくなるわけでございまして、ぜひここをお願いしたいと思っております。  一つは、薩摩半島の北の方にあります五百四号線を通る北薩道路というものがございます。これは計画路線として決定していただきましたけれども、今度は南薩の方ですけれども、鹿児島から南の方に、枕崎、指宿の方に回っていく南の道路がございます、南薩道路でございますけれども。この南薩道路については、まだ候補路線として上がっているわけでございまして、そこから先が進んでおりません。ぜひここを候補路線から計画路線に格上げしていただいて、そして路線をしっかりと決めていただきたい。そして、地域の住民の希望をよく聞いていただいて、路線の方向をぜひ決めていただきたいと思っているのであります。  いろいろな意見がございます。なかなか届いていかないところもあるかもしれませんけれども、折を見て申し上げたいと思っておりますけれども、この二つの北薩道路、南薩道路、今どのように取り組んでおられますのか、特に南薩道路に対する今後の取り組み、そこを教えていただきたいと思います。お願いします。
  196. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 まず、北薩横断道路でございますが、この路線は、溝辺町の鹿児島空港から宮之城町を経て出水郡の野田町に至る七十キロの道路でありまして、平成六年十二月に地域高規格道路として計画路線に指定いたしました。  既にこの一部、横川町から薩摩町の間六キロを北薩空港道路として、また、高尾野町地内の約六キロを紫尾道路として平成七年度当初に整備区間に指定いたしまして、現在、用地買収等を進めておるところでございます。  残る区間につきましても、まだ相当の区間残っているわけでありますが、概略ルートの検討、あるいは整備のプライオリティー、整備手法等について鹿児島県において調査を実施しているところであります。建設省といたしましても、さらにこの中から重点的に調査をする必要のある区間についてこれを早期に調査区間に指定して、調査の促進に努めてまいりたいと考えております。  もう一つの南薩縦貫道のことでございますが、南薩縦貫道につきましては、鹿児島市から南の方へ延びてまいりまして揖宿郡の頴娃町までの路線と聞いております。この路線につきましては、地域高規格道路の候補路線ということでございますので、これからいろいろな調査をし、具体化を図っていく必要がございます。  平成七年度より、地域高規格道路の候補路線の調査として、鹿児島県におきましていろいろな調査をしております。概略ルートに関する調査等いろいろな調査を実施しているところであります。これらの検討状況、あるいは、この地域には指宿スカイラインあるいは国道二百二十五号あるいは二百二十六号等、地域のいろいろな幹線道路がございますので、これらを総合的に勘案いたしまして、この候補路線の中からどの区間を計画路線に指定していくことが適切であるか含めまして検討を進めていきたいと考えております。
  197. 松下忠洋

    松下分科員 必要な道路予算の確保につきましての努力は私たちもしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  両局長、本当にありがとうございました。大臣、どうもありがとうございました。  終わります。
  198. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて松下忠洋君の質疑は終了いたしました。  次に、石田勝之君。
  199. 石田勝之

    石田(勝)分科員 石田勝之でございます。中尾大臣、大変御苦労さまでございます。また伊藤主査、きょうは一日御苦労さまでございます。私がきょうの分科会の最後の質疑者でございますので、いましばらくよろしくお願いをいたしたいと存じます。  まず、河川浄化について、河川局にお尋ねをしたいと思います。  河川に流入する負荷量が増大しておりまして、特に私の地元であります綾瀬川、芝川、これらの水質が著しく悪化をしておるのは、御案内のとおりであります。特に、綾瀬川は十五年連続建設省の直轄河川では水質ワーストワン、芝川も水質汚濁が大問題となっております。水源に山地を持っていない平地河川であるため、流況が不安定で、これも水質悪化の一因となっておるわけであります。流量は今後も、流域の都市化や社会基盤整備等に伴いさらに減少することが予想されており、水質や景観等が悪化するなどの影響も懸念されているところであります。このような著しい水質汚濁により、市民生活や親水活動に大きな影響が見られております。  このため、流域での発生源対策や下水道整備に加えて、河川浄化対策や浄化用水導入により、総合的な水環境改善を図ることが必要となっておるわけであります。水質汚濁防止は、本来発生源対策が基本であり、合併浄化槽等の促進普及やあるいは下水道の整備などを積極的に進めることが第一と考えられるわけであります。  そこで、芝川、綾瀬川、毛長川などの各一級河川の河川改修は、地域住民のひとしく悲願とするところでありまして、近年の財政事情が大変厳しく、事業完成まで相当の年月を要することになっております。その間、関係地域住民は経済的にも精神的にも耐えていかなければならない、こういうことであります。  芝川は、下流部の私の地元であります川口市、鳩ケ谷市を流れ、都市化と地盤沈下の進行から、水害のまた常襲地帯となっておるわけであります。昭和四十年の新芝川放水路の完成によって改善はされましたけれども、芝川改修事業の一環として芝川第一調節池の建設が現在進められておるところでありますが、流域の急激な都市化に伴い雨水の流出量が増大するおそれもあることから、多目的機能を有した調節池の早期完成を要望するとともに、魚が泳ぐきれいな水のために、芝川ふるさとの川整備事業の現在の状況について、まずお尋ねをしたいと思います。  また、河川の水質改善の施策として、平成七年七月に着工し平成十二年に開業を目指しております地下鉄七号線、埼玉高速鉄道株式会社との共同で導水管を埋設し、荒川の水を最大毎秒三立米送水するための導水事業を計画し、「綾瀬川、芝川等浄化導水路工事と埼玉高速鉄道線建設工事に関する基本協定」というのが昨年の十一月に締結されておるわけであります。荒川の水をポンプでくみ上げて、綾瀬川、芝川、毛長川、伝右川の四河川に放水して浄化する構想が、地下鉄の建設と同時に導水管を地下鉄の線路の下に敷設する、これは全国で初めての計画が実現をいたしたところであります。この計画は、国の直轄事業として行っていただくわけであります。  そこでお尋ねをしたいと思いますが、この導水管の導入によってそれぞれの四つの河川はどの程度河川浄化が図られるのか、その効果についてまずお尋ねをしたいと思います。また、その具体的な内容と今後の見通しについてお尋ねをさせていただきたいと存じます。  そして、それぞれの四つの河川に――導水管というのは地下鉄のトンネルの下を十四キロ通っていって、その間に芝川とかも長川とか綾瀬川とか、全国でも水質汚濁のワーストナンバーワンあるいはワーストファイブに入るような河川が幾つもあるわけでありますが、その四つの河川にせっかく荒川からポンプアップして水をくみ上げて放水をしていただいても、その河川に途中から入ってくる支川が大変汚れておるわけでありまして、せっかくきれいな水を流していただいても、その支川から入ってくる水が水質汚濁をしていると何の意味もない、こういうことでありまして、それらの四河川に接続するそれぞれの支川の対応をどう考えて、どう対応するのか、あわせてお尋ねをしたいと存じます。
  200. 松田芳夫

    ○松田政府委員 多数の項目をお尋ねいただきましたので、順を追って御説明させていただきたいと思います。  まず、芝川の改修、それから調節池の件であったかと思いますが、委員お話しのとおり、この埼玉県の川口を初め東南部を流下する芝川は、これも埼玉県の大宮市、浦和市、川口市など近年非常に人口が急増しつつある新興都市でございまして、流域の開発に伴い水質汚濁の問題等、それから浸水被害の問題が同時に多発している地域でございます。  現在、建設省といたしましても、埼玉県と協力して芝川の改修その他、その地域の河川の改修に努力しているところでありますが、農村地域が急激に都市化をしたというようなことから、なかなか川幅を広げることも困難な場所も多うございます。そういったことから、上流部の農地あるいは水田地帯を買収いたしまして調節池をつくるというのが非常に効率的であるわけでありますが、川口市と浦和市にまたがって位置しております芝川第一調節池といいますのは、昭和五十四年度から用地買収に着手して、平成六年度までに約八五%の用地を既に買収済みでございます。それから、暫定掘削ということで、洪水の水をためられるようにという掘削工事も現在鋭意進めているところであります。  こういった開発地帯でございますので、この芝川第一調節池というのは、見方を変えますと首都圏に残された貴重な緑地空間というような使い方ができるのではないか。周辺は見沼田んぼというようなことで、この田んぼ自体もまた近年の環境問題の動きの中で田んぼの保全をどうしようというような議論がかまびすしくなってございますが、建設省としても、このような地域の特性を踏まえつつ、土地有効利用の観点から、あるいは地元の御意見やニーズを踏まえながら、せっかく買収した土地でありますけれども、多目的な活用がなされるよう、埼玉県とも相談しながら、あるいは地元のニーズを踏まえながらいろいろ考えていきたいと思っております。逆にまた、それぞれの方々の御意見を賜れればと思っております。  それから、浄化の問題で、綾瀬川、芝川等浄化導水路工事に関する基本協定ということで、現在鋭意建設中の埼玉高速鉄道、東京から延びてくる地下鉄の先だと思いますが、地下シールドトンネルの中に荒川の水を、委員お話しのとおり、パイプラインで上流へ逆に持っていって、それで綾瀬川とか芝川とかという水質汚染の激しい河川に荒川の水を給水して少しでもきれいにしようという構想でございます。  これにつきましては、昨年十一月に、建設省関東地方建設局長と埼玉高速鉄道株式会社、これは社長は埼玉県知事でございますけれども、それとの間で費用負担等に関する協定を結んで、一緒に事業をやっていこうということで、おおむね二〇〇〇年を完成目途に事業を今進めているところであります。鉄道の建設というような、またかなり大きな事業でございますので、このタイムスケジュールに今後予想をしかねるような要素で狂いがあるかもしれませんけれども、現在のところはおおむね二〇〇〇年完成ということでねらってございます。  それから、この導水等による浄化効果はどういうことか、こういうお話でございましたが、これは、この地域の水質改善を、単に導水だけではなく、下水道の整備とか河川自体の直接浄化のいろいろな事業とか総合的に組み合わせて行おうということで、ルネッサンス21計画というような水質対策の総合計画を一応つくってございます。  それで、その中では、お話ししましたように、 下水道の整備あるいは流域での水質の汚濁負荷の削減というような、いろんなトータルとしての施策があるわけであります。この導水も無論そのメニューに入ってございますけれども、そういったルネッサンス21計画ができ上がった後にどの程度水質がよくなるかというのは、ある程度の仮定が必要であります。  例えば、綾瀬川流域、伝右川、毛長川、そういった河川流域での下水の普及率を六〇%と仮定し、あるいは芝川流域での下水道の整備率を八〇%と仮定し、それで現在盛り込まれている導水を初めいろんな施策をやった場合にどのようになるかといいますと、例えば綾瀬川では、これは若干、計算値でございますので個々の数字については必ずしも精度がよくない面がございますけれども、例えば畷橋というようなところでは現在環境基準が五でございますけれども、これがルネッサンス完成後は四・三になるとか、あるいは、手代橋というような場所もありますが、そこでは環境基準が一〇でございまして、環境基準、BODですか、環境基準が一〇のところが現況は二六でございますが、これがルネッサンス21完成後は八・七になるものと推定されております。  こういったトータルの施策が全部完成してくると、どうやらおおむね環境基準を満足したり、あるいは環境基準に近い値になるものというふうに推定してございますけれども、これもあくまで推定値でございまして、流域の状況その他等に応じてかなり変化するものでありますので、これも単なる推定値と御理解賜ればと思っております。  それから、導水だけではなくて、綾瀬川、芝川等の支川においての浄化、流入支川の浄化対策が重要であろうということは、これは当然でございます。汚い本川を浄化するばかりでなくて、流域の汚濁負荷の削減、流域対策そのものが下水道でございますけれども、下水道が流域に張りめぐらされれば支川もおのずからきれいになってくるというふうなこともございますので、この現在ある清流ルネッサンス21計画というものに基づいて、いろいろな施策を逐次それぞれのメニューで努力していくということを今後ともやっていきたいと思っております。
  201. 石田勝之

    石田(勝)分科員 今河川局長から懇切な御答弁をいただきましたが、この河川汚濁、今御答弁いただきましたように、私どもでちょっと調査をしているところによりますと、例えば芝川という川は、BODがひどいところ――BODは御案内のとおり生物化学的酸素要求量というわけですが、このBODが、ひどいところだと二四ppmぐらいだと言われているわけです。荒川の水は大体そのBODが七ppmぐらいだろう。それを引っ張っていって、ポンプアップして芝川だとかも長川だとか伝右川だとか四河川に流すと、例えば芝川のひどいところで二五ppmあるところが大体一〇ppm以下に下がるだろう。  今現地へ行っていただくと、二五ppmぐらいになりますと、もう近くに寄れないんですね、臭くて。特に、夏なんか、その河川の周辺に人家がわっと建っておりまして、もう風の流れによっては悪臭でとてもいられない。そういうところで、芝川緑化事業だとかやって、確かに、建設省からもお力添えをいただいて、護岸工事なんかは立派なモザイク模様のきれいな土手がずっとできておるわけでありますが、本家本元の川が二五ppmとかという、そういう臭い川でありますから、そういった親水性を高めるために護岸を何ぼ立派にしても、住民は近くに行かないわけですね。やはり何といっても、河川のその水質を浄化するということで親水性を高める。  今申し上げましたように、例えば芝川の場合は、大体ひどいところで二五ppmぐらいあるのを、荒川の水を地下鉄の下を引っ張っていって流すことによって一〇ppmになるということは、まあ魚もすめるし、そして人も集まってくる。  河川というのは、御案内のとおり、都市に残されている非常に重要な空間であって、こういったところのやはり整備、その水質改善というのは、これはもう住んでいる地域住民にとっては大変重要なことであろうと思っております。  今私の調査では、大体芝川においてはそんなところでありますが、建設省の河川局当局としてはどのように認識されているのか、ちょっと、再度お尋ねしたいと思います。
  202. 松田芳夫

    ○松田政府委員 河川を幾ら整備しても、護岸を整備しても、あるいは緑の河川に仕立て上げようとしても、水が汚ければ周辺住民にとってはその効果は感じられないという委員お話は、全くそのとおりだと思います。  都市の中における環境整備というのは、いろいろな経過がございますけれども、やはり水質改善というのはかなり長期を要するものでございまして、水質がよくなってからその河川のハードとしての側道を設けるとか並木をつくるとか、あるいは護岸も都市型のきれいなものにするとかいうのが望ましいのかとも思いますけれども、水質浄化に長年月を要するということから、地元の市並びに町の御要望で河道の整備もそれなりに実施されているというのが実態でございます。これは、あくまでもやはり水がきれいになるということが最優先するということについては、私も全く同感でございます。  それから、芝川のBODの数字では、私どもの計算では、下水道の普及率を八割と仮定いたします、仮定いたしました試算では、環境基準が一〇になってございまして、現況が、これは私のところの数字では、現況BODは九となっておるのでありますが、ルネッサンス21完成後は五・八というような数字が得られてございます。
  203. 石田勝之

    石田(勝)分科員 今局長から御答弁をいただきましたが、それは部分的に河川の場合は違うと思うんですね。確かに、芝川の場合で一〇ppmのところもあれば二五ppmのところもあるということで、場所によっては非常に流量も少なくて、そしてまた、なおかつ非常に汚濁の激しい、著しいというところもあるわけでございまして、ぜひその点よろしくお願いをしたいと思います。  次に、外郭環状道路の早期整備についてお尋ねをしたいと思います。  御案内のとおり、外郭環状道路につきましては、埼玉県内の和光-三郷間が平成六年に開通、開業いたしたわけでありまして、埼玉県南部の東西方向の移動時間がおおむね三分の一に大幅に短縮されたわけであります。また、外環の総利用台数の八五%は、常磐道、東北道、関越道、首都高速との相互利用がおかげさまでできるようになりました。そしてまた、関越道の交通量が直接流入する目白通りとかあるいは外環と並行する環状七号線の交通量が減少するなど、一般道路の交通が緩和された。このように、大きな整備効果が外環の開通によってできたわけであります。  しかしながら、埼玉県の一番東部であります三郷インターチェンジが今端末になってしまっておりますので、三郷地域と千葉方面の交通量によって三郷市内で交通渋滞が生じて、あるいは西側の大泉インターチェンジも、各先生方あるいは局長の皆さん方も関越を御利用されるときによく御案内だと思いますが、同様に交通渋滞が生じている。  以上のように、これはさらに整備効果を上げるためには、開通区間の起終点の交通混雑の解消と、あわせて、これは予定でありますが、三郷-市川、それから大泉-横浜、これらの未整備区間の早期整備が必要だと考えておりますが、建設省のその点の御所見をお伺いしたいと思います。
  204. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 東京外郭環状道路、これは、東京を中心に半径約十五キロメートルの全延長八十五キロの幹線道路でございます。これによりまして都心部に集中します交通を適切に分散させる、こういう効果のある極めて重要な路線と考えております。  現在、関越道の大泉ジャンクションから常磐道の三郷ジャンクションまで三十キロ、これが開通しておりまして、交通量は平均して一日七万台以上というふうになっております。朝夕二時間から三時間程度の渋滞が発生しているのが現状でございます。  特に、御指摘ありましたとおり、大泉ジャンクションにつきましては、外環から関越道の方へ向かう交通がさばき切れていないということが原因で、渋滞が発生しやすくなっております。そういうことで、現在、大泉ジャンクションから関越道の新座料金所までの間三・四キロ、これを六車線の工事を進めております。平成七年度中には完成する予定でございますので、これができますと渋滞は半減する、このように考えております。  また、三郷ジャンクションでありますが、これについても料金所の容量が不足でございまして、大泉方向への流入交通が混雑しやすくなっているというのが状況でございます。このため、平成六年度には既に料金所を三カ所から五カ所、三ブースから五ブースに増設しておりまして、これによりまして二割程度の渋滞の緩和ができたのではないかと我々は評価しているわけでありますが、さらに、これを拡張することがなかなか困難な状況にありますので、一つのブースに縦列で二つ料金所を設置するというような縦列運用、こんなことも現在検討している段階であります。  いずれにいたしましても、料金所あるいは流入部に伴う渋滞の発生につきしては、いろいろな対策を講じてこれの解消に努めてまいりたいと思いますし、全体として効果的な渋滞対策を推進いたしますが、的確な渋滞情報の提供、これも極めて重要であります。こういうことにつきましても、今後努力をしてまいりたいと考えております。  さらに、東京外郭環状道路、これは、八十五キロのうち、現在でき上がっておりますのは三十キロでございます。  首都圏の環状道路は、御承知のとおり、首都高の中央環状線それから東京外郭環状道路、さらに圏央道、この三つが大きく環状の役割を果たすということで、三環状でもって全体の環状交通を分担し、分散効果を上げるというふうになっておりますので、この三環状の完成がまず必要なわけでありますが、その中でも東京外郭環状道路の役割は極めて大きいと考えております。  そういう中で、御指摘の残された区間でありますが、東側の千葉県側につきましては、常磐道から国道六号、国道十四号を経まして東京湾岸道路に至るまで二十キロの区間がございます。一部区間につきましては都市計画済みでありますが、松戸-市川の区間、これにつきまして現在都市計画の変更の手続を進めている段階であります。周辺の環境に配慮した半地下構造の道路構造で地元に案を提示し、先ほど申し上げましたように、都市計画の変更の手続を進めております。早期に都市計画の変更決定をいたしまして、整備促進に努めてまいりたいと考えております。  また、西側、東京都側でありますが、これにつきましては、関越道から東名の間十六キロにつきまして、これは昭和四十一年、少し古いのでありますが、都市計画決定がされております。しかし、この地域の環境の問題というものを考えますと、やはり従来どおりの道路構造ではなくて、地下あるいは半地下構造、そういう道路構造の工夫もしながら総合的な検討が必要であります。これらの検討を鋭意進めておりますので、でき次第、関係機関と密接な調整を図り、計画づくりを進めてまいりたいと思っております。  さらに、東名から湾岸道路の間につきましては、現在、ルート、道路構造について基礎的な調査を進めております。そういう段階で、とりあえず埼玉側の三十キロができまして、次に千葉側ができます。さらに東京側、それも東名まで、その次に湾岸道路までと順次進めていきたいと思います。  いずれにしましても、こういう環状道路が都心部の交通渋滞の解消のためにぜひ必要でありますし、防災上も代替性のあるネットワークがぜひ必要であります。そういう意味で、今後積極的に計画の策定に邁進してまいりたいと考えております。
  205. 石田勝之

    石田(勝)分科員 それでは、次に特定再開発事業についてお尋ねをしたいと思います。  これは、さいたま新都心といって、今埼玉の大宮、浦和、与野で行われている計画でありまして、全国でこの特定再開発事業というのは十カ所行われているわけであります。  それで、今埼玉県では平成十一年整備へ向けて一生懸命努力をしておるわけでありますが、建設省の関東地方建設局とか関東通産局だとか、十省庁の十七機関がその新都心へ平成十一年に移る、こういう計画であるわけでありまして、今、大宮駅と与野駅の間に新駅をつくって、そこを中心として複合交通センターというのをつくろう、こういう計画になっているわけであります。  その複合交通センターというのはつまり交通広場でありますが、この予定している、そこの区画整理事業の中で、保留地を売却しなければ原資を得ることができない、こういうことでありますが、埼玉県では、公共的な空間である交通広場や自由通路は民間に整備をゆだねることになっておりまして、こういうことから、快適で魅力あるすぐれた都市景観を持つ町づくりという観点からも、また、特定再開発事業の趣旨からも、民間業務の集積を図ることが早急に必要であると考えられております。  第二セクターとすれば莫大な費用もかかりますし、現在、民間事業者の進出については、バブル崩壊後、経済環境はまことに厳しい状況でありまして、国の支援策によって何らかの具体的な方策を講じることで民間事業者の意欲を高めて、景気回復等の呼び水としていただいて、望ましい町づくりを図れないものか、こういうふうに県当局でも非常に頭を悩ましているところでもあるわけであります。建設省の関東地方建設局もこちらの方に三年後に移転するということでもありますので、それらも含めて建設省の御所見を伺わせていただきたいと思います。
  206. 近藤茂夫

    ○近藤(茂)政府委員 大宮地区における特定再開発事業、これは地方支分部局の移転先ということでもございますし、それから、いわゆる業務核都市の中心市街地ということでございますので、その早期の整備というのは、私ども非常に重要な課題だと思っているわけでございます。  先生御案内のとおり、区画整理事業あるいは面開発整備によって基盤施設は公共団体が整備する、しかし、ある部分については民間施設整備ということが期待されているわけでございます。こういった景気が後退している時期において、民間業務施設をいかに誘導するか、これは大きな課題であろうと思っているわけでございます。  そういった中でどういう方策があるかということでございますが、まず第一点は、この特定再開発につきましては、住都公団、区画整理事業の施行者が、基盤整備だけではなくて民間の業務施設を整備することができる、必要があればそれを賃貸することもできるということで、まず街区としての成熟を高める、あるいは民間サイドのリスクを軽減する、そういったことも可能でございます。  それからもう一つは、区画整理事業に関連いたしまして、街並み・まちづくり総合支援事業、今先生指摘ございましたような複合交通センターだけではなしに、地域冷暖房とか人工地盤、あるいは緑化、オープン施設、こういった公共事業として、補助事業で街区としての魅力を高めることも可能でございます。  また、ここは業務核都市でございますので、第三セクターということになってくれば、これはこれで問題があろうかと思いますが、NTT-Cの無利子融資も可能でございます。それから、税制上の特例もございます。さらには、一般的に、民間施設の整備につきましては開銀の低利融資ということも可能でございますので、こういった事業としての特性ないしは税財政上の支援措置、これを複合的に組み合わせることによって業務核都市としての大宮地区の整備を私どもも推進していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  207. 石田勝之

    石田(勝)分科員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  208. 伊藤公介

    伊藤主査 これにて石田勝之君の質疑は終了い たしました。  次回は、明三月一日午前十時より開会することとし、建設省所管について審査をいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十四分散