○
荒井(広)
分科員 局長さんがおっしゃる話、それから
移転調査会の
報告、私はこれを高く尊重いたして評価をいたしておるのですが、あえて今の
段階でこの
議論をしていかなくちゃいけないということで、これは
国会自身の問題であるわけですから、
長官、
政治家として、我々この場で
国民の
皆様方に
議論の
一つとしてこの
首都機能移転の
必要性を訴えるためにも、
PRの材料としても申し上げているわけでございまして、その点は十分御
理解をいただきたいと思いますが、この
調査報告の中の「
移転の対象は何か」というところで、ただいま
局長から
お話がありましたように、「
首都機能」ということで、①でこう書いてあるわけです。
いわゆる「分
都論」は、国の
機関を
全国各地
に
分散配置させることが諸
機能の
地方分散を通
じて
全国各地域の
振興につながるとするもので
あるが、
国家機能の円滑な発揮を確保するため
には、国の
中枢機能が
一体としてその効用を発
揮していく必要のあること、内政と
国際関係と
がますます緊密化し
外交等の
国際活動の
重要性
が増していくため、対外的にも
国家の
三権を代
表する
機能が一箇所にまとまっていることがよ
り重要であること、欧米諸外国の例をみてもほ
とんどの国において
三権が
一つの
首都に立地し
ていることなどから、
三権の
中枢を分離するこ
とは適当ではない。私はこれを非常に了解するわけなんですね。
私が申し上げるのは、
三権は
移転するのです。先ほど
局長さんがおっしゃったように、
本省と
出先が別なんだという
発想ではなくて、
本省自体が私は分けられるのじゃないか。アルビン・トフラーは「第三の波」の中で、新しい本で、第三の波の
政治ということを言っています。
情報通信の
飛躍的発展によって第三番目の革命が起きているのだ、こういうことなんです。ここを私は申し上げたいのですね。そうすると、
移転調査会のメンバーの
方々に、そうした
情報通信の特に御専門の方というのは数少ないか、ほとんどいないと言ってもいいと私は思うのです。
例えばこういう
状況をどう考えるかなんですね。
特許庁、
特許の
出願というのがあります、いろいろな
特許をとるときに。今どういうことをやっているか。
実用新案もそうです。
出願方法です。
オンラインで
出願をする。フレキシブルディスク、FDというのだそうですが、こういう簡単な平らな
ディスク盤で、
郵送であるいは持ち込んで
出願をする。それから昔のように
紙出願、書いて持っていく。
オンラインで、持っていかない。線で結んで、
コンピューター同士で結んで
出願をする。これは
専用の
端末が必要なんですが、六五%は既に
特許庁は
オンライン出願なんです。簡単に言えば、
特許庁は
全国どこにあったって、
電話回線と
端末専用のを持っていれば
特許は自由にとれるのです、
大臣。三〇%はフロッピーディスク、これは
郵送も受け取り可能なんだそうです。残りの五%が
紙出願なんです。これは
郵送ももちろんあるわけですけれども、持っていける、こういうことだと思います。
こうなってまいりますと、実は
本省の
機能が
全国に点在していてもそう不都合ではない
状況になってくる。ところが、一方では
議院内閣制度でありますから、その
問題点がネックとして出てくる。例えば、
省庁間の話し合いで、
法令協議など
テレビ会議でやっていいものかどうか、かなり問題がある。ところが、レベルがあると思うのですね。係長から
課長補佐から
課長、
局長の
段階まで、いろいろな
段階での
議論のときには、むしろこれは、
省内をLANで結んでいるわけですから、それが点在しても何ら私は不都合にならない。ならないものもあると言ってもいいのでしょうか、ならないケースがあって、存在してくるのじゃないか、こういうことを私は考えているのです。
ですから、こうなりますと、
特許庁の
長官官房は
国会周辺に
移転をしますが、
特許庁の残った
部分でこのような
オンラインで結んで処理できるところは、
分散してもいいのじゃないか。それを
地方に
分散することによって、
一極集中と先ほど申し上げました
精神的分散が成り立っていくのではないか、こういうふうに私はとらえているわけなんです。
その
角度の
議論がないと、二〇一〇年に
国会みずからが
移転して
中央省庁も
移転していただくときには、ぽっかりとそこのところが抜けていたものですから、
行革、
規制緩和、
地方分権の
推進、こういったものの実効が少し上がらなくなってくるのではないか。これは十分に検証してみなければならないと思いますが、私、一くくりで申し上げておりますので、大変その点は申しわけないと思っているのです。
それから、
通信が途絶された場合ということがあるのですが、そもそも
国会の
周辺にいるから
通信が途絶しないというのは、私は、ちょっとこれはいろいろ
議論の余地があるところだと思うのです。
全国どこにいても、緊急時にも
通信がとれるようなバックアップ体制というものをつくっておかなくちゃいけないわけで、すべてが新しい
首都圏に神経が
集中していたら、これは逆に言えばどこかで切れます。いろいろなところでとれるようにしておくという、危険、リスク、これを
分散していくという
発想が重要なわけですから、それでこの一連の流れでもバックアップ体制というものを言っているわけですから、これは私は、まさに多極
分散型で危険、リスク、
情報途絶というものを
分散していくという視点は必要だと思うのです。
ですから、そういうような意味におきまして、私は、今度は
国会の問題になってくるわけでございますが、懇談会、いろいろ
国会にあるわけでございますが、
国会等移転審議会を設置していくというようなことも議員連盟で考えてもいるわけでございます。しかし、そういったときに
行革、
地方分権を視野に入れ、それらを取り巻く環境が
情報通信の
高度化というもので飛躍的に、あるいは我々が予想だにしない環境を提供するんだ、ここだけは頭に入れておく必要があるんだと思います。
結びの話になってまいりますけれども、私が言っていることは分都ではないのです。展都でもないのです。まさに
首都機能の
移転なんです。そして、その
移転する
機能が十年、十五年たてばきのうの話になってしまう。それを
情報通信の
高度化の技術利用、基盤利用していけば、
全国に、それ以外のもので、以外といいますか、
一つの省の中で
分散させてもいいものは
分散させて
地域振興に役立てていくんだということの方が私は
国民的合意を得られるもの、こういうふうに考えておるわけでございます。
そこで、時間がなくなってまいりまして、私の何か意見発表みたいなので申しわけございませんが、
国会が
国会移転等をしようということでございますので、なかなか言い場がないものでございまして、まことに申しわけございません。
これを
角度を変えて申し上げさせていただきたいと思いますが、ワシントン、キャンベラ、ベルリン、いろいろと
首都移転の例がございます。これらの背景を聞かせていただいたりいたしますと、ほとんどの場合が
国家統合なんです。一番わかりやすい例は今度のベルリンです。東西ドイツが
一つの国になったので
移転しよう、こういうことでございます。
アメリカも、まさにフィラデルフィアから一八〇〇年に
移転をしています。それから、メルボルンからキャンベラに、オーストラリアの場合も一九二七年に
移転しているわけです。そういう
国家統合などの背景というのが非常に大きくあるのです。
ところが、今回我が国で言っているのはそうではないわけです。ですから、まさにそういう意味で、町づくりをするというような
発想でこの
議論をしていったのでは、そもそも
国民の
意思からは離れていくおそれがある。特に、
自分のところに来るか来ないかということだけが非常に関心の的になる、誘致合戦になる、こういうことなんです。ところが、私が申し上げたような
情報通信手段の
高度化ということを考えると、これは九州にも配置できるものも出てくる。北海道にもある。まさにこういういろいろな
分散が可能になってくるというわけですから、この辺、私は現在の
議論としてぜひとも膨らませて
議論をしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
同時に、
交通網の進展というものも必要なのですね。やはり
国会があるときには来てもらわなくてはならない、こういう場合もあります。しかし、来てもらわなくてはならない
課長さん方は、
大臣官房でその役割ができないのでは困るわけですね。ですから、当然にその間は、郵政省は二〇一〇年には光ファイバーを全戸に引くと言っているわけですから、光網を利用して、無線系の衛星を通じて十分に
省内の
意思疎通、これは
対応できるわけですから、そういうところをやっていくと、そう支障のない役所の中のセクションというものが出てくる、こういうふうに私は考えている次第でございます。
時間になりましたけれども、そのようなことが十分これから
国会で
議論をされるべきものであろうということを申し上げまして、大変私
自身の意見開陳的な話になってしまいましたけれども、私の
質疑にさせていただきたいと考えております。
長官がおっしゃいましたような、先はどのような、
国民のコンセンサスを得なければこの
首都機能移転ということは成り立たないものでございますので、
国会としても、もう一度何らかの形で
意思決定を、
国民の
皆様方に
意思をお伝えする。例えば
国会決議のようなこともする必要があるのかなということも考えておりますが、
国会でますますこれからそのような
議論をしていかなければならないだろうということでございます。
以上、私の主張として、
情報通信手段の
高度化によって、飛躍的な進歩によって、一
省庁のすべてが、
大臣官房等は
国会と一緒に
移転しても、そのほかの
部分で
情報通信網によって、あるいは
交通手段によって十分離れていてもできるというものがあれば、それは
全国展開をして、
地域振興、それが
地方分権の精神にもつながるわけです。
行革にもつながるわけです。そういうようなことによって、この
首都機能移転というものが持つ意味がさらに膨らんでくる、
国民的な
理解もまたそこに飛躍的に高まってくるというようなことを申し上げまして、質問とさせていただきました。ありがとうございました。