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1996-03-01 第136回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月一日(金曜日)     午前十時開議 出席分科員   主 査 保利 耕輔君       相沢 英之君    越智 通雄君       草川 昭三君    谷口 隆義君       吉田  治君  五十嵐ふみひこ君       海江田万里君    兼務 栗原 博久君 兼務 山口那津男君  出席国務大臣         法 務 大 臣 長尾 立子君  出席政府委員         法務大臣官房長 頃安 健司君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         法務省矯正局長 東條伸一郎君         法務省入国管理         局長      伊集院明夫君  分科員外出席者         大蔵省主計局主         計官      長尾 和彦君         大蔵省主税局税         制第三課長   伏見 泰治君         国税庁課税部所         得税課長    村上 喜堂君         最高裁判所事務         総局人事局長  堀籠 幸男君         法務委員会調査         室長      河田 勝夫君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 分科員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   谷口 隆義君     吉田  治君   海江田万里君     嶋崎  譲君 同日  辞任         補欠選任   吉田  治君     谷口 隆義君   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  第四分科員栗原博久君及び第八分科員山口那津  男君が本分科兼務となった。 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算  (法務省所管)      ————◇—————
  2. 保利耕輔

    保利主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算法務省所管について、政府から説明を聴取いたします。長尾法務大臣
  3. 長尾立子

    長尾国務大臣 平成八年度法務省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  法務省は、法秩序確保並びに国民権利保全等国基盤的業務を遂行し、適正円滑な法務行政を推進するため、現下の厳しい財政事情のもとではありますが、所要の予算確保に努めております。  法務省所管一般会計予算額は五千六百六十八億八千万円、登記特別会計予算額は一千六百九十一億五千七百万円、うち一般会計からの繰入額七百三十五億六千七百万円でありまして、その純計額は六千六百二十四億七千万円となっております。  この純計額を前年度当初予算額と比較いたしますと、百四十九億三千五百万円の増額となり、増加率にいたしまして二・三%となっております。  何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。  なお、時間の関係もありますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれまして、会議録に掲載せられますようお願い申し上げます。
  4. 保利耕輔

    保利主査 この際、お諮りいたします。  ただいま長尾法務大臣から申し出がありましたとおり、法務省所管関係予算概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 保利耕輔

    保利主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————    平成八年度法務省所管予定経費要求説明書平成八年度法務省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、法務省所管一般会計予算額は、五千六百六十八億八千万円であり、登記特別会計予算額は、一千六百九十一億五千七百万円でありまして、その純計額は、六千六百二十四億七千万円となっております。  この純計額を前年度当初予算額六千四百七十五億三千五百万円と比較しますと、百四十九億三千五百万円の増額となっております。  次に、重点事項別予算内容について、御説明申し上げます。  まず、定員関係でありますが、前年度定員に比較いたしますと純増百十五人となっております。  平成八年度の増員は、新規四百五十八人と部門間配置転換による振替増員四十一人と合わせ、合計四百九十九人となっております。  その内容を申し上げますと、  一 法務局における登記事務訟務事務人権擁護事務及び国籍事務処理体制を強化するため、登記特別会計の百三十五人を含め、百四十三人  二 検察庁における特捜事犯財政経済事犯及び治安根幹侵害型犯罪等に対処するため、検事三十五人を含め、百十九人  三 刑務所における保安体制処遇体制及び医療体制充実を図るため、百十四人  四少年院及び少年鑑別所における教育観護体制充実を図るため、三十二人  五 保護観察活動等充実を図るため、十五人  六 出入国審査及び在留資格審査並びに退去強制手続業務充実強化を図るため、八十六人となっております。なお、公安調査庁につきましては十人の減員となっております。  他方、平成三年七月五日の閣議決定に基づく平成八年度定員削減分として三百八十四人を削減することとなっております。  次に、主な事項経費につきまして、概要を御説明申し上げます。  まず、一般会計では、  一 刑事事件処理等検察活動に要する経費として、五十七億百万円  二 刑務所等矯正施設における被収容者の衣食、医療教育及び作業等に要する経費として、三百十一億三千八百万円  三 保護観察に付された少年等を更生させるための補導援護等に要する経費として、六十三億二千三百万円  四 出入国管理及び難民の認定等に要する経費並びに在留外国人登録等に要する経費と して、百三十億一千七百万円  五 破壊活動防止のための公安調査活動に要する経費として、二十九億九百万円  六 施設費としましては、老朽・狭あい化が著しい基幹の大行刑施設及び大拘置所継続整備を含め、法務省の庁舎及び施設整備に要する経費として、二百四億五千三百万円をそれぞれ計上しております。  次に、登記特別会計について御説明申し上げます。  登記特別会計歳入予算は、一千七百三十七億八千三百万円、歳出予算は、一千六百九十一億五千七百万円でありまして、歳出の主な内容といたしましては、登記事務コンピュータ化計画を推進するとともに登記事務を適正、迅速に処理するための事務取扱費として、一千六百七億八千四百万円を計上し、ほかに、登記所等施設整備に要する経費として、七十二億一千五百万円を計上しております。  以上、法務省関係平成八年度予定経費要求内容について、その概要を御説明申し上げました。     —————————————
  6. 保利耕輔

    保利主査 以上をもちまして法務省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  7. 保利耕輔

    保利主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。吉田治君。
  8. 吉田治

    吉田(治)分科員 私、民生委員制度の発祥であります大阪からやってまいりました。林市蔵さんがつくられたこの民生委員制度、私の父も民生委員をさせていただきまして、非常に名誉に、また誇りに思って仕事をさせていただいております。そこを基盤に一度選挙に立たれた大臣、貧しい人たち、恵まれない人たちというのを地域地域でしっかり支えられている民生委員皆さん基盤にされた大臣、今度のこの予算案の中で、六千八百五十億と言われているこの血税を、民間企業ですよ、持てる人たちですよ、その人たちに使うということはいかがなんでしょうか。前内閣のことだからと言わずに、現内閣はすべて引き継ぐということでございますので、現内閣の一員として、また一家庭人として、その立場を離れてどうお考えなのか、お答えいただければと思います。
  9. 長尾立子

    長尾国務大臣 確かに、委員が御指摘になりましたように、国民皆様税金を納めていただきます。大変それぞれの御事情の苦しい中で納めていただいているわけでございます。今回、その皆様税金日本金融秩序維持という観点から使わせていただく、こういうことを考えますと、やはり関係者方々民事上の責任刑事上の責任、こういったものについてははっきりとしてほしい、これが国民皆様の声である、このように考えております。法務大臣という立場でこの皆様のお声を十分に胸に刻みまして対処してまいりたい、このように考えております。
  10. 吉田治

    吉田(治)分科員 どれだけのことが法務省、特に検察中心にこれからできるのか、それによって評価も変わってくるのではないかと思います。アメリカの事例を引くまでもなく、アメリカSアンドLの解決には一千五百名と言われる方々が逮捕され、裁判を受けられ、また全財産を投げ出されたということも聞いております。一層の奮起をお願い申し上げなければ、余りにもこの予算案、通過するには後世に汚点を残す予算案になるのではないかということを一言申し添えたいと思います。  それでは、現実法務省関係予算について御質問をさせていただきたいと思います。  この国会でも話題になりましたように、バブル崩壊後の住専を含めての債権回収というのですか、それが大きな問題になってまいります。特に、債権回収の場合に、競売を申し立てる。その場合に、一千分の四の登録免許税差し押さえという法務局への手続のために必要である。一千分の四は、最終的には競売された金額の中から戻ってはまいりますが、しかしながらどうでしょう。大臣も御承知のとおり、昔、銀行お金を借りる場合には、二億円の物件があれば一億円もしくは一億二千万か三千万しか貸していただけなかった。もしもその一億円なり借りたお金が返せない場合は、銀行がその二億円の物件競売する。そうすると二億円で売れる。そうしますと、この一千分の四の金額債権の一億円に対しての一千分の四ですから四十万ですか、これは二億円返ってきたときに四十万を裁判費用として使っても余りあるものがあった。  しかしながら、バブルの時期、この金額も一億が十億になり百億になり、そして担保物件も二億から二十億になり二百億になった。いざバブルがはじけて債権回収。これは、大蔵省さんは住専の問題でこれから鋭意努力、早急に債権回収に努める。債権回収に努めるというのは、やはり競売をするということでありますが、では担保がそれだけの能力を持つかというと、例えば十億を貸して、二十億のものだと思っていたのが今実勢価格では五億にしかならない。しかしながら、裁判に訴えて競売をする場合には、その十億に対して登録免許税を、つまり、一千分の四でございますから四百万円支払わなければならない。それは回り回って返ってきますよ。返ってはきますけれども、十億のものが五億しか返ってこなくて、なおかつその裁判費用として、競売費用として千分の四である登録免許税四百万を使わなければならない。一方では利息も返さない人がたくさんいる。商事債権消滅時効は五年間だと。  今、これは上層部というか幹部までそういう話は来ていないと思いますけれども銀行の最前線でこの部隊を率いております管理部人たちというのは大変苦慮されております。十億にすればたかだか四百万円ではございますけれども、それが足を引っ張っている。債権回収をするにも、その費用をどうこれから計上していくか、どう考えていくか。一つ二つでしたら四百万、八百万ですけれども、何十、何百となってきますと、その費用だけでも膨大になってくる。  ですから、私はこの機会において申し上げたいのは、その登録免許税を、できましたら例えば十億ではなく、実勢価格に合わせていただきたい。現在でしたら商事債権消滅時効等々が発生してまいりますけれども、どうぞそういうふうな施策を債権回収においてなさっていただくように、特に法務省皆さん、そして本日は大蔵省の方おいでですけれども、私はお願いし、またそういう実態があることをお知りなのかということをまず質問させていただきたいと思います。
  11. 伏見泰治

    伏見説明員 登録免許税関係でございますが、先生今御指摘になりましたように、差し押さえをいたします際登記をいたしますが、その際の登録免許税税率は、差し押さえ債権のための債権金額に対しまして千分の四ということになっているわけでございます。登録免許税課税標準でございますが、今御指摘のありましたような差し押さえの際、あるいは抵当権設定をする、担保確保する、この場合、債権金額課税標準になっているわけでございます。  登録免許税課税趣旨でございますが、いわば国によりまして登記をする、それによりまして、登記をした方について一定の権利なり、第三者に対する対抗要件なり、いろいろなものが可能になるということで課税をさせていただいているわけでございますが、その際の課税標準の客観的な基準としましては、やはり債権金額の大小、それに応じまして、税率一定税率でございますけれども、それをベースにして課税をしていくというのが一つの合理的な姿となると考えております。  特に、状況によると思いますが、登記というのは非常に大量に発生いたします。個々の事情というのはいろいろあろうかと思いますけれども、個別の事柄をそのときどきになかなかしんしゃくも できないということで、客観的な基準として定められておりますので、現行制度といたしましては合理的なものではないかと一応考えている次第でございます。
  12. 吉田治

    吉田(治)分科員 私が問題にしておりますのは、制度は結構なんですけれども税率が問題なんですね、千分の四という。よろしゅうございますか。  たしか、バブルのときこれが余りにも高くなり過ぎたということで、不動産取引において固定資産税評価額の二分の一というふうに大蔵省は変えられましたね、登録免許税を。なぜそれができて、今度これから債権回収をする——現実にその前線で、課長さんまでまだ情報が行っていられないかもしれない、前線の話ですから。調べられたら結構かと思いますけれども、今それが大きな問題になりつつある。裁判費用の、それぞれの企業だとか、債権を回収する方の会社側にとっては非常に大きな問題になりつつある。  日本官僚システムというのは、私も何か本で読みました、問題が起こってそれを解決するのが一番出世の早道だと。課長さんはそれを望んでいらっしゃるとは私は決して思わないのです。それを事前に防ぐ方法を今から考えなければならないということですね。  御質問をもう一遍させていただきます。  なぜバブルのときには登録免許税固定資産税評価額の二分の一にすることができて、今度の債権回収における登録免許税一千分の四というものを変更することが——できるのかできないのか、検討をできるのかできないのか、そのお答えをちょうだいしたいと思います。
  13. 伏見泰治

    伏見説明員 今御指摘がございました固定資産税評価がえとの関係でございますが、一般登記、例えば土地所有権登記をいたします場合、この場合には課税標準土地価格ということになっております。この土地価格でございますが、客観的な基準によるということで、固定資産税課税台帳に載っております価格、それをとっているわけでございます。  今御指摘がございました課税標準圧縮の件でございますが、平成六年に固定資産税評価がえがございましたときに、全国平均でたしかあのころ約三倍と言われたかと思いますが、評価がえが行われまして、一挙に課税標準が上昇することが予想されたわけでございます。したがいまして、これは余りにも納税者の方に負担が急増してしまいそうだということで、平成六年度、七年度、これは課税標準を六割圧縮してございます。八年度につきましては、本来の現行法でまいりますと五割に圧縮ということになる予定でございましたが、現在の租税特別措置法、御審議をいただいている最中でございますが、それにつきましては六年度、七年度と同様の六割圧縮ということで御提案をさせていただいているところでございます。  そういう意味で、同じ登録免許税でございますが、不動産の通常の登記ですと課税標準固定資産税課税台帳に載っている額、それから先生の御指摘になりました差し押さえとかあるいは抵当権設定の方は債権金額ということで、それぞれの趣旨に応じまして課税標準が違っているという事情にございます。
  14. 吉田治

    吉田(治)分科員 率千分の四ということを声高に言いましたが、それが過重だから、債権金額でなくて実際競売で取れる金額、一部私が聞きましたのは、裁判所の方で、債権回収見込み額に合わせたらどうですか、高くなり過ぎますからと。しかしながら、そうしますと実際の債権金額競売で申し立てた金額の差額というものが商事債権消滅時効の五年にかかってくる。もう昔のように、利子も払っているけれども滞っているという時代じゃなくて、もう利子も払わない、そういう人たちがたくさんいらっしゃる。  そういう中において、商事債権の五年間の消滅時効、これ法務省さんが、いや、五年を十年にするよと言えば簡単かもしれませんけれども、それに至るには法制審議会等々たくさんの手続を踏まなければならない。それであれば、せめて税の部分で、いや、債権額と言われているが、債権額もしくは債権回収見込み額の、予想される金額の千分の四の登録免許税でいいよとか、そういうふうな選択の幅というのですか、そういうふうなものをつくっていただいた方が、反対に言いますと、前線銀行管理部で何とか回収しようという人たちにとっての大きな助けになりますし、バブル崩壊、これをいやすための一つの目に見えない大きな促進剤になるのではないか、私はそう思いまして質問をさせていただいているわけであります。その辺いかがでございますか。
  15. 伏見泰治

    伏見説明員 現場の実態については先生方の方でいろいろとお調べになっておられますので、私どもの方があるいは十分に承知していないところもあろうかと思いますが、税率が千分の四ということでございますから、先ほども指摘になりましたが、仮に一億円といたしましても、負担としましては四十万程度でございます。その場合、一方、予想される土地売却収入はどれぐらいになるかということでございますが、そこで少なくともプラスが見込まれるのであれば、その面からはインセンティブを阻害されるということには必ずしもならないのじゃないかというふうに考えております。
  16. 吉田治

    吉田(治)分科員 プラスにならないから言っているのじゃないですか。今担保が落ちて、どこが土地を売って貸した金よりもたくさん戻ってくるのですか。今課長さん、もう全くもって官僚的な発言ですね、一億円というのはたかが四十万じゃないですか……。  今企業は一円、二円のためにどれだけの努力をしているのですか。毎日毎日血の汗を、徳川時代に言われましたね、絞って絞って、ぞうきんを絞り抜いて、なおその上に絞れ。それと同じことをしている中で、今の発言は許されないですよ。たかが四十万。そういうふうな発想があるから、こんな六千八百五十億も出すような話になるのじゃないですか。  これ以上質問してもいかがかと思いますから、最後に一言、課長さんのお話と、そして法務省として、債権回収を進めるシステムの中でこういうことが問題になっているということを知っているのか知らないのか、これからどういうふうに対応するのか、知っていられたら、その辺を法務省さんからもお答えをちょうだいしたいと思います。
  17. 伏見泰治

    伏見説明員 言葉が舌足らずでありましたらおわび申し上げたいと思いますが、たかがというふうに申し上げるつもりは毛頭ございません。特に、主税局におりますと、税務署ではございませんからいわば納税者の第一線と直接日々ということではございませんが、常に税金についていろいろな御要望なり御意見を伺っている立場でございます。その点は厳しく受けとめているつもりでございます。  今申し上げましたのは、四十万円仮にかかるといたしまして、それと回収される金額との差というのがインセンティブになるのではないだろうかという例で申し上げた次第でございます。言葉が足りませんでしたらおわび申し上げます。
  18. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 登記に関する登録免許税の問題、これは先ほど来御答弁されておりますように大蔵当局の所管される税制の問題でございますが、これは登記の際に納付されるものでございますので、その関係法務省としても関係を持っているわけでございます。したがいまして、登録免許税税率等あり方ということについても私どもそういう関係関心を持っているわけでございますが、ただいま委員が御指摘の御趣旨、私ども、そういったことについて間接的に承知をしておらないわけではございません。  ただ、しかしながら今御指摘金融機関等債権回収あり方の問題、それから税制あり方の問題、これはいずれも大蔵当局の問題であるということでございまして、私どもはそういったものに間接的に関心は持たせていただいているというわけでございます。
  19. 吉田治

    吉田(治)分科員 もう時間もあれですので、この問題はこの辺にさせていただきまして、続きま して、法務省所轄刑務所拘置所。  先年法務委員会に所属しておりますときに、私の地元中心大阪拘置所がございまして、無理を言いまして見学をさせていただきました。そのとき感じたことは、外から見える部分は非常に新しくきれいに見える、しかしながら、一歩内部に入ると、もう何十年も昔の建物がそのまま使われており、えっと驚くことが多々ございました。  そこで御質問をさせていただきたいのは、現状の刑務所拘置所の環境、施設整備というのですか、これがどれぐらい進んでおるのか。一方、名古屋の拘置所さんは、知らない人がふらっと、ここ一泊幾らですかと、ホテルと間違って入ってくるというほど立派なものもできておると聞いております。  それから私は、今非常に問題意識を持っておりますのは、労働組合がないあるというのは、そういう言い方、切り方でいいのかどうかわからないですけれども、そこに勤めていらっしゃる看守さんの待遇というものが今どういうふうにされているのか。特に、私ども大阪拘置所の場合でしたら、近くに、ある意味では地元からすればいい場所には住んでいらっしゃるのですけれども、しかしながら、随分建物が古くなっている。昔の基準でつくられておるのであればちょっとした使い勝手も悪いのではないかな。また、看守さんの仕事の中身、どういう時間、勤務体系でどうか。二十四時間でございますので。東京拘置所脱走事件はございましたけれども大阪はそういうことはございませんので、そういうようなことを含めて、どう今対応なさっているのか、これから対応するのかということ。  そして、大阪拘置所にかかわりまして、できたときは御承知のとおり周り工場地帯で、ある意味で、そこにあるということに対してどなたも何も違和感はなかったのですけれども、御承知のとおり、例の石油ショック以降周り工場が全部住宅地、しかも高層マンションに変わられまして、その中に小学校が一つならず二つもできるぐらいの住宅地に変わってまいりました。  住んでいらっしゃる方から言わせますと、ちょっと上の階からしますと、いや、拘置所に入ってはる人が運動しているのが見えるよとか。それはよしあしじゃございません。しかしながら、そういう住宅地の真ん中にあるということになってまいりますと、地元からの要望としては、やはりちょっとどこかへ移転できないのかな。もしくは、先ほどの施設整備という部分でいえば、そういうふうに変えていけないのかな、移転が無理ならば、せめてそういうふうな形でなっていかないのかなというふうになるのは、やはり地元に住んでいらっしゃる方、地域の方々の切なる要望ですし、私も地元へ行かせていただきましてお話を聞かせていただきますと、それはもうそのとおりだな。反対に言いまして、拘置所の中を見学をさせていただいて見たときに、周りは全部高層住宅のマンションになっている。そういう状況で果たして都会の中にある、しかも住宅地の中にある、しかもそれが周り高層マンションだという中での拘置所あり方というのですか、移転を含めての、特に移転の検討等が今なされているのか、どういうふうにしようとしているのか。そうなっていきますと、移転地はどこにするのかというふうな話も出てまいりましょうが、その辺のお話をお聞かせいただければと思います。
  20. 東條伸一郎

    ○東條政府委員 刑務所拘置所での問題、それから、そこで働いております職員の問題、さらには具体的に大阪拘置所の問題についてお尋ねがございました。まとめてお答えを申し上げたいと思います。  最初の御指摘の、老朽化しております刑務所拘置所の問題でございます。先生が御指摘のとおり、私ども施設だけで支所を含めまして三百持っておりますが、そのほか構外作業場などを含めますと三百七の施設がございます。私どもの重要な仕事一つは、その施設をいつも使いやすいものにしておかなければならないということでございますが、厳しい予算事情もございまして、なかなか一遍に改善ができないということでございます。  現在は、整備を継続しておりますのがいわゆる五大行刑施設と申している府中あるいは大阪といった大きな刑務所、それから一部の拘置支所その他について計画を立てて、新設あるいは改築等を行っておりますが、平成八年度予算政府案では、東京拘置所整備促進というのが盛り込まれております。私どもといたしましては、財政当局の御理解を得て、引き続き計画的、重点的に順次整備を図ってまいりたいと考えております。  それから次に、職員の問題でございます。  御理解いただきましたように、刑務官の仕事というものは、被収容者の収容を確保しながらその改善更生を図るという非常に重要な仕事ではございますけれども、反面非常に地味で目立たない仕事でございますし、それから、被収容者という人を預かっている仕事でございますので、普通の仕事と違いまして常にだれかがいなければいけない、その意味では二十四時間交代勤務ということでございます。そのために、限られた職員数でございますので、年次休暇の取得もなかなか思うに任せないという庁もございます。  それから、給与等の改善についても、せめて給与等の改善をできるだけ図りたいということで考えておりますが、私どもは、法務大臣の諮問機関である公安職職員待遇問題研究会というのを昭和六十一年度に発足させまして、その報告を受けて、矯正職員を含む公安職の俸給改善、各種手当の改善などをお願いし、その結果、矯正職員の仕事の特殊性、困難性等について関係当局の御理解が得られまして、平成五年度には行刑施設に専門官制というものを導入いたしまして、相応の改善を図ってまいりました。しかし、まだまだ不十分な点もありますので、これからも関係当局の理解を得ながら待遇改善に努めてまいりたいと思います。  それから、最後に大阪拘置所の問題について具体的にお話がございました。  まず一般論で申し上げますと、拘置所というのは犯罪捜査とか刑事裁判を円滑に進めるために設けられておる施設でございます。したがいまして、地理的には裁判所や検察庁など刑事司法関係機関と近距離にあること、それからもう一つは、そこには未決の人々が入っておりますので、弁護人とか家族の方の面会にも便利であるという条件が望まれます。  具体的な大阪拘置所のお話でございますが、私どもといたしましては、現在地に所在することが最適であると考えております。そういたしますと、先生指摘のとおり、大阪拘置所周りの環境に比べますといかにももう古びて、しかも高い塀に囲まれて、非常に違和感があるような建物になっております。そこで私どもは、地域住民の方々拘置所の使命について御理解をいただく一方で、やはり今先生がお話しになりました名古屋のような都市型の拘置施設というものに整備してまいりたい、このように考えて今計画をしているところでございます。  以上でございます。
  21. 吉田治

    吉田(治)分科員 高層化されるのでしたら、一つは、昔裁判所の中に拘置所があったと聞いております、高層化されてもう一度裁判所の中へ移すというのも一つの手ではないかなという感じもします。  時間もあれですので最後の質問をさせていただきたいと思います。  司法修習生、司法試験の合格者が増員されてくる。その中で、司法の実務研修をされていきます、二年目。そうしますと、裁判所さん、弁護士会さん、それから検察庁と、三位一体というか三つがそれぞれ受け持ちを決められて研修をされると聞いております。その中で、現体制の中で、正直申し上げまして検察庁の機能が一番弱いのじゃないか。  具体例を挙げて恐縮ですけれども、弁護士会の方、例えば静岡の沼津の弁護士会さんがそういう実務研修を受け入れるよと言いましても、やはり 検察庁、沼津にあります検察の方が、ちょっと人員が足りないので、これは私ども協力できないというような話があったやにも聞いております。そうしてまいりますと、地域地域でそういう——何も東京だとか名古屋だとか大阪だとか福岡だとか、大都市ばかりで実務研修するのが果たしていいのかどうかということも含めて、やはり検察庁の人員をどう確保していくか、どうしていくか、これは予算関係もございますが、それによって司法研修というもののあり方が変わってくるのではないかなというふうな感じがしております。それについてお答えいただきたいのがまず一点。  そして、これは質問通告しておりませんでしたけれども、司法試験が本年からたしか五年間、三回以下の受験生を優先的に合格にするという措置をとると聞いております。新聞等でも、それは職業選択の自由を狭めるのじゃないかとか、さまざまな議論をされておりますが、法務省にしましても、きょう最高裁判所の方おいでになられていると思いますが、両方とも、いやいや、もう何年前にこうして取り決めたことだ、だからそんなことはできないのだという意見が随分目につくようでございます。  今でも、この後五年間試行をする、試しにするという意味の試行でございますね、それで、その後また考えると。この件について法務省さん、最高裁さん、今でも問題なしと胸を張ってお考えなのかどうか、お答えいただきたいと同時に、ちょっと忘れましたけれども、司法研修に関しまして、最高裁判所として、その取りまとめとして、先ほど申しましたように、検察庁の問題等が、問題というか検察庁の方のそういう事情もあるということを理解されているのか、今後どういうふうに対応されていくのかということ、これは一つ目の質問になりますけれども、これ、ひっくるめてお答えいただきたいと思います。
  22. 原田明夫

    ○原田政府委員 司法修習生の実務修習の受け入れに関する実情を踏まえたお尋ねでございますが、修習生の数を、ここのところ関係当局の御理解を得まして次第にふやしていただいております。その中で、検察庁においてもかつては、平成三年ぐらいまでは、全国五十の検察庁の中で三十七の検察庁で受け入れて実務修習をやっていたのでございますが、その後人数がふえてきたことに伴いまして、全国五十の検察庁でいずれも受け入れようということで体制を整備してまいりました。そして、所要の経費につきましても、関係当局に御理解をいただきまして、順次整備されつつあるところでございます。  先ほどお尋ねのように、検察庁において、例えば支部等で受け入れられないかという観点からのお尋ねでございますけれども、そのあたりにつきましても、将来とも、関係機関ともよく協議をした上で、これから検討する必要が生じてくることもあろうかと思います。ですから、検察庁だけの都合でそのような受け入れが困難だということにはならないように、今後とも十分注意してまいりたい、そのために努力してまいりたいと考えております。
  23. 堀籠幸男

    ○堀籠最高裁判所長官代理者 司法修習生の実務修習は、裁判所におきましても全地方裁判所五十庁でやっておりまして、それを支部にまで広げるかどうかという問題につきましては、裁判所、検察庁及び弁護士会、三者の十分な協議に基づいて行うべき問題であろうというふうに考えておりまして、拡大することになりますれば、法曹三者で十分協議していかなければならない問題ではないかというふうに考えております。  なお、合格枠制のいわゆる丙案につきましては、法曹三者の合意に基づいて、今年度から、法務省の司法試験管理委員会の決定によりやるという決定がされました問題でありまして、これまでのいろいろな経過を踏まえますと、やむを得ないものではないかというふうに私ども考えているところでございます。
  24. 吉田治

    吉田(治)分科員 法務省さんはどうですか。
  25. 原田明夫

    ○原田政府委員 司法試験管理委員会のことでございますので、直接、私の所掌でございませんが、かつて官房長として、また人事課長としても関与させていただいておりますので、その関係で、お尋ねの件につきましてお答え申し上げたいと思います。  現在でもさまざまな事情を踏まえてなされてきた決定でございますので、これを尊重して実施すべきものであったと思いますし、現在もこれに基づいて実施すべきだろうと思っております。しかし、将来に向けて、法曹養成の重大な問題についてさまざまな観点から議論を深めていく、その中で、司法試験の実際の実施のやり方につきましてもさまざまな議論が尽くされるべきであろう、そういうふうに考えております。
  26. 吉田治

    吉田(治)分科員 これで終了しますが、本当に御苦労さまでございます。大変なことでございますけれども、ぜひともお願いをしたいと同時に、この三賢人の方の肖像画の前で質問をさせていただけたことを私は名誉に思いまして、これで質問を終了させていただきます。  ありがとうございます。
  27. 保利耕輔

    保利主査 これにて吉田治君の質疑は終了いたしました。  次に、栗原博久君。
  28. 栗原博久

    栗原(博)分科員 きょうこの席で質問させていただくことについて感謝申し上げます。  また、我が国の治安の安定等につきまして、法務省皆様あるいはまた警察、検察庁の方々、そういう方の御努力によって我が国が世界一に近い民生が安定され、治安が安定されていることについて、日ごろの御苦労について、この席をおかりしまして、私、深く感謝申し上げます。また、犯罪者等についての社会復帰、そしてまた更生に尽くされております全国の各刑務所の刑務官を初めとする皆さんについても、あわせてひとつ感謝申し上げる次第でございます。  この中で、先般、イラン人ですか、外国の方が、我が国の一番伝統のある一九三七年にできました東京拘置所、巣鴨から今のところに七一年に移ったそうでございますが、一番厳しいと言われておるその拘置所からいとも簡単に外国人が、それも余り、今まで一回もその拘置所に入ったことのない、そこの拘置所には初入者だと思うのですが、入ったことがない方が軽々と私どもから見ると脱走したことについて、私も大変危惧の念を持っているのであります。  たしか今から四十一年前にこの拘置所で、一審判決死刑、そして二審判決を受けまして、まだ最高裁の判決が下る前の当時二十八歳の男性が逃走して、十日後に逮捕され、そしてその後すぐ、一カ月余りして最高裁の判決がおりまして、おりたと同時に、五カ月後にですか、仙台に送られてすぐ死刑を執行されておる。それは、やはり当時の社会的環境からも、脱獄した者に対して厳しい措置をするというあうんの圧力がかかったと私は思うのです。それだけ脱獄に対してあるいはまた逃走に対して、国家は厳しくそれに対する罰を科すということであると思うのです。  今まで、脱獄とかあるいはまた脱走は作業に携わっているときにまだ逃げていくことがあるらしいので、過去十年ぐらいには十八件ぐらいあったと思うのですが、このイラン人の事件だけは大変なことだと私は思っておるのであります。  確かに、我が国の今の刑務所も、刑務官の方もお年をとってきたというのはそれはもう言いわけにすぎないと私は思う。あるいはまた国際化しておりますので、刑務所の中においてあるいは拘置所の中において、日本人とまた別の角度で、食事も違うし宗教も違うからということで雑居房に入れているということもあると思うのです。  しかし、素人考えでございますが、金のこで切る場合必ず音がするわけですから、そのとき、その雑居房の中に水道水かあるいはまた便所がどこにあるのかわからぬけれども、音を消音しながら恐らくやっていたと私は思う。それから、ここにやはり二百八十人近い刑務官がおられるわけですから、常にその鉄格子等はばたばたたたきながら、簡単なことですから、やはりそういう日常のもう当然やるべきことを怠っていたというふうにまず 私は思うのであります。  それから、脱走して五メートル余りの塀を越えるとかあるいは十メートル近い塀を越えることについても、その近くに鉄パイプがあったとかいろいろ言われておりますが、常識で考えられないことがこれだけ——その拘置所の所長とかあるいはまた部長を更迭したのみには終わらない、あの新聞報道だけで国民はやはりしんから震え上がるわけですね。それも外国人が脱走しているということですよ。  これについて、冒頭でございますが、私は大変遺憾であり、これについて法務省法務省の方で、当然矯正局でやっていらっしゃるわけですから、脱走の本当の原因は何であったか、あるいはそれを防止する方策、日ごろ刑務所あるいは拘置所はただただ受刑者に対して規律のみを与えておって、それでその規律でもって圧をかける、そして万が一の場合のみずからの対応というものについて怠っていたのではなかろうか。  例えば、発生した後すぐ、新聞報道しかわかりませんが、何かカラスで間違いがあったとか、防犯カメラがあるはずですから機敏に、もしそうであっても防犯カメラをぱっと見るとか、あるいは警察に一時間後に通報したとか、私はこういうことについて刑務官が本当に苦労されているのはわかるのですが、こういう事件一つによって、やはり法務省あるいはまたそういう皆さんの信用と日々のお力が極めて信用低下するわけですが、そういうことで、大変話が長くなりましたが、原因の究明と、日ごろ刑務官等についてどのような指導をされておるかということについてお聞きしたいと思います。
  29. 東條伸一郎

    ○東條政府委員 今般、被収容者の身柄の確保を最大の責務といたしております行刑施設におきまして七名もの集団逃走事故を発生させましたことは、行刑施設を所管する部局の責任者といたしまして、まことに責任を痛感しており、申しわけなく思っております。ここで深くおわびを申し上げたいと思います。  事故の概要については、先生承知のとおり、二月十二日の朝といいますか、三時二十二分ごろ防犯線が鳴ったことで刑務所職員が気がついたわけでございますが、その後の調べで、今先生お話しのように、北舎一階の雑居房の鉄格子を一本、金のこ様のもので切りまして、そこから外へ出まして、資材置き場にありました鉄パイプ等を利用してはしごをつくり、五・六メートル余りの外塀を乗り越えて、シーツを結び合わせたものを垂らして外へ逃げた、こういうことが今までの調査でわかっております。  この原因につきましては、現在鋭意調査を続けておりますが、私どもの調べた限りでは、東京拘置所では、先ほど先生のお話がございましたように、約四十年前に死刑の言い渡しを受けた人が一人逃げたという事故以来、構内からの逃走事故はなかったということで、やはり、そこにかなりの職員が逃走に対する十分な警戒感というものを持たないまま勤務を続けていた。現場で苦労している職員にはやや酷だとは思いますけれども、やはりそこに気の緩みがあったのではないか。これが基本的な原因であろうと思います。  それに基づきましていろいろな具体的な原因が考えられますが、一つは、やはり外国人というもの、特にイランの人たち、イランに限らず外国人とは言葉の問題もございまして、意思疎通が十分できません。それから、外国人の考え方とか、それから外国人が今までどういう経験をしてきたかとかいうことについても十分把握がされておりません。そういう日本人とは随分条件の違う外国人につきまして、やはり漫然とと申しますか、雑居に八名もの者を入れてしまったという外国人処遇の基本的な問題があったということ。  それから、より具体的には、差し入れ物品の中に金のこが忍ばされていたと、これは推定しておりますけれども、それを発見できなかったというようなこと。それから、先ほど御指摘がありましたように、居房の検査というものについても不安定な面があったということ。それから、先生が考えられないことであるという御指摘がございました、仮倉庫をつくるために運び込んでおりました鉄パイプの管理が極めて不十分であったということ。それから、あとは、防犯線作動時の、非常時の対応にも混乱があったなどなど、数々の反省点がございます。  現在、その反省点を踏まえまして再発防止策を策定して、その実施に鋭意努力をいたしておりますが、とりあえずは事故の起こりました直後に、私矯正局長の名前で全国の施設にこの事故を通報して、ここにこういう問題点があるので、各施設でよく検討して、検討の上もし必要であれば是正のための施策をとるように指示をしております。そのフォローアップとして、近々、全国の管区から関係部長を集めまして報告させて、さらに私どもから必要な指示をして徹底させたいと思っております。  それから、矯正職員一般についての日ごろの訓練という問題でございますが、私どもの刑務官の基本的な姿勢というのは、いわゆる、私ども言葉で言いますと、保安感覚といいますか、そういうものを持たなければいけない。これは非常に簡単なことのように見えて、これをついつい怠りがちなことも多々ございます。そこで、私どもは、それを再三再四にわたり、いわばくどいように注意を喚起して実行してもらうということを、非常に地道なやり方ではございますが、これは基本であろう、そういう観点から各施設に再度注意喚起をしているところでございます。  いずれにいたしましても、事故が起こりましてから幾ら知恵を出しましても、先生指摘のように後の祭りという感じがいたします。一たん地に落ちました信頼といいますか、国民から今まで寄せていただいておりました我が国の拘禁施設に対する信頼というものを回復するために、私ども、微力ではございますけれども、全力を挙げて頑張りたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  30. 栗原博久

    栗原(博)分科員 後の祭りを幾ら私がこの場で言ってもいたし方ありませんが、今後、こういう不祥事といいましょうか、やはり検察、そしてまた法務省あるいはまた司法全体に対する国民の信用低下にならないように、一刻も早く原因を解明しまして、そしてまた国内の治安に全力を尽くしていただきたいと思うわけであります。  私は、実はきょう、この関連で、これを質問するために法務省からいろいろ、「日本の行刑」という資料をちょうだいしたり、あるいはまた刑事施設法の問題、あるいは留置施設法の問題等の資料をちょっとお見せいただいたのでありますが、我が国が一九七九年に批准しました市民的及び政治的権利に関する国際規約、これに基づきまして、あるいはまた八八年の国連で採択されましたあらゆる形態の拘禁・収監下にあるすべての人の保護のための原則というものがあるわけでありますが、この中で行刑の国際化が求められている。  私、この資料を見まして、我が国におけるこういう逃走、脱獄はよその国に比べて全くないとか、いろいろ、本当に大変民主的であって、もう完璧であるというふうに私、この資料を見ると思うのですよ。ところが、これを見ながら、実は、今度、「刑事施設法の早期成立を」あるいはまた「新しい行刑を拓く」というような資料をもらうと、何かちぐはぐな感じを受けるのです、実際問題。  この資料を見る限りでは、もはや今の監獄法そのものでよろしいというふうに読んだ者は思うし、また、皆さんも恐らく条約上の問題もあるから外国向きのところで英文でもってわざわざこうやって説明されていると思うのですが、私はこれを読みまして、これが本当であるならばすばらしい。しかし、私も実は国会議員になるのに月日が十六年かかりまして、その間いろいろな人と会ったり、あるいはまた、刑務所から出てきた人間とか暴力団とか、そういう者は暴力団をやめて社会更生している、そういう方と私は個人的にいろいろつき合ってまいったのです。私自身も恥ずかしながら実は留置場に入ったという経験もございますから、その心情がよくわかるのであります。  それで、異口同音に言うことは、まさしく人間としての扱いを受けていないと言うのですね。人間としての扱い。まあそれは、その人は不心得者だからそういうふうに思うかわからない。その人間の、収容者の生い立ちとか、あるいはまた犯罪行為等についていろいろあると思うのですが、ただ、私が信用できることは罰則です。例えば、仕事をしている間にわき見をする、それによって恣意的に刑務官から罰を受ける。例えば何日間も座る、独房に入れられまして、大変に耐えがたいのも多々あるというようなことも伺って、この席で余り具体的なことは私申し上げませんが、そういうことがあると聞きますと、なるほどやはり我が国の監獄法は早く改正して、ちゃんと明文化して法律化をすることも必要である、あるいは国際化をすることも必要である、あるいは近代化することも必要だというふうに私は思うのですよ。  それで、きのうもちょっと法務省の方がいらっしゃって具体的な例を、私はそれがその刑務所に起きたことが本当かどうかわからぬから名前を差し控えるというふうに申し上げたのですが、参考のため聞かせてほしいと言ったのできのう申し上げたのでありますが……。  確かに、刑務所に入って、社会へ復帰しよう、そしてまた更生じようということで多くの方がやはり刑務所を出てまいってからまじめになっている。あるいはまた、我が国においては、再犯の者がパーセントが少ない。特に、出所後五年ぐらいまでの人が再犯するのは四三%程度だと聞いておりますので、それはすばらしいことだと思っているのですよ。  しかし、その中に、ただ一部、やはりこの資料を見まして私思ったのでありますが、例えば三十八度以上発熱しますと、業務仕事を休ませてお医者さんに診ててもらうようなことがあるらしいです。例えば四十度に発熱した場合、その現場から連行されて、それでお医者さんが来るまで、連行されて医務室かどこかに連れていくまでに二時間くらいかかるところもあるというのですな。それで、お医者さんはすぐに来ない。  私はこの資料を見ましたら、本当かなと思うのですが、この資料にこう書いてあるのですね。「被収容者百二十九人当たり一人という医師の配置数は、諸外国(例えば、イタリア千六百六十九人当たり一人、イギリス三百十八人当たり一人)と比較しても、大変充実」しておる、こうなるのですね。こんなに、常識として百二十九人に一人も医者が配置されていることはあり得ないでしょう、いわゆる一般社会を見ても。入っている刑務所の人百二十九人に一人医者がいる、こんなことを資料に書いてあるのですね。私は、実際入っている連中から聞くのと、この資料、この一語で、ちょっとこれは国際社会で、ほかの国の人がこれを読んでもすばらしいことだと思うのです。  こういう点について、実際入っている方々の人権もあるわけですから、やはり敏速に診療できるようなことも、私は全部とは言いませんよ、だけれども、そういう事例をよく私は伺っておるものですから、これを一つの例として実は申し上げるわけです。  また、罰則の中で、よく専門用語で、何というのですか、あれは、軽屏というのですかね、解禁というような言葉もあるけれども、受刑者はよく軽屏と言っていますが、これもやはり過度なものもあるのじゃなかろうかというふうな気が、私はきのうもちょっと申し上げたのですが、例えば、ちょっとおかしいのがいると。  例えば賃金も、一生懸命働いても、一級から四級があるらしいのですけれども、例えば一年間仕事をして、それから更生を誓って出てくる、そのときわずか数千円ですか、今一カ月六百円ですか、どのくらいですか。それから、出てくるとき、七、八千円しかお金を持たずにしゃばに出てきた場合、じゃ何をするかといったら、しゃばにほうり投げるわけですから、まじめに、懲罰を一回も受けなくて、それで三年勤めても十三、四万だそうですね。十三、四万持って出て、もう隔離されて、やはり自分の親族だとかあるいは社会から完全にほうり出された、そういう人が十三万から十四万で出て、もういちずに、まじめに勤めてしゃばに出てきて、その金で、じゃ今ホテルに泊まったら幾らかかりますか。  これなんか、確かに国家が受刑者に対してはちゃんと一日一千幾らですか、保障をしてやっている。しかし、本当の社会の更生というものは、出てきたとき、しゃばの人とどのような接しようを受けるか、それで、ある程度生活が自活できるということまで、今まさしく法律の改正の中であっても、現行法の中で改正すべきものは改正をしなきゃならないというふうに私は思うわけであります。  そういうことで、質問でございますが、十五年前ですか、法務省から国会に、そのために監獄法を改正しようということで、拘禁二法案が出ておるようでございますが、今まで流産になってまいった。特に、刑事施設法案等は予算関連法案ではありませんから、とかくするとやはり国会議員もそこから目をそらしてきたこともあったと思うのです。  あるいはまた、日弁連の対応もあったと思うのですが、こういう監獄法の中で、一つは、二千から三千ページに上る通達が大変複雑に出ている。あるいはまた、今度は被疑者の方からの苦情ですか、不服の申し立て等、今法務大臣にできるようになっていますが、そういうことについて関係法令を直して、そういう対応をしようということ。  あるいはまた、国際条約等、先ほど私申し上げました国際条約の中で、やはり処遇最低基準等の目標ということだと思うのですが、この中で一つ私の質問は、よく皆さんの、法務省等の本を読みますと、前に石川島の、今から二百年前ですか、受刑者に対して、刑期の重いのを更生させよう、教育しよう、それからその後の明治、大正、昭和になりましても、我が国はやはり受刑者に対しては世界に引け目をとらない、そういうことをやっているというようなことを法務省関係の資料によく私も散見しているのです。  その中で、じゃ今こういった、国会でも何度もつるしにされているようなこの法案について、今後どのように、特に国際条約を守りながら、人権を守りながら、そしてやはり本当に受刑者を社会復帰させるということについて、アフターケアのできるようなそういうことについて、今後この法律等についてどのように対応されるかということをひとつ聞きたいと思うのであります。
  31. 東條伸一郎

    ○東條政府委員 刑事施設法の問題を中心にお尋ねがございましたので、この点についてお答え申し上げたいと思います。  刑事施設法につきましては、今委員指摘のとおり、過去に三回国会に審議をお願いいたしましたが、いずれも廃案ということになっております。刑事施設法を設けなければいけない理由ということについても、今委員が御指摘のように、国際的な各種の条約、それから被収容者の権利義務の関係を法律で明確化する、いろいろな要請がございますので、明治四十一年に制定されました現行の監獄法を改正したいという気持ちは今でも同じでございます。その必要もあろうか、あると考えております。  ただ、刑事施設法案につきましては、各方面からまだいろいろな問題点がある等の指摘もございまして、現在その問題点を中心にさらに検討を加えて、ふさわしい姿で再度審議をお願いすることを期待しております。  今、受刑者の処遇を中心にお話がございましたので、現行法下における受刑者の処遇について若干御説明申し上げたいと思います。  話が後先になりますが、まず、出所後の問題についてお話がございました。出所後の社会復帰ということにつきましては、委員指摘のとおり、せっかく刑務所で改善更生の意欲に燃えて一生懸命仕事もして出てきたのに、また戻らざるを得ないような状況に置かれてはまことに申しわけないことで、これは私どもというよりも、法務省の中ではむしろ更生保護の分野に属することでございますが、矯正との関連で申し上げますと、社会と、 施設の中と施設の外をできるだけつなぐということで、一つは、仮釈放という制度を活用しまして、刑期が満了する以前に地方更生保護委員会の審査を経て出獄を決定していただいて、保護司等の援助それから指導を受けながら、残余の刑期間を外で過ごして、徐々に社会復帰をしてもらうということもございます。  それから、どうしても仕事がない、その他の場合には、更生保護会という、これも保護局の所管の施設でございますけれども、そういうところに入ってもらって、一時そこで、住む場所、食事等の援助を受けながら新たに出発していくということも制度としてはございます。  私ども矯正といたしましては、刑務所を出所する者につきまして、満期が来たから門の外へほうり出すということはいたしておらないつもりでございます。できるだけ身寄りの方、頼りになる方、それが帰住地で受け入れてもらえないかどうかということを釈放時期の前からいろいろと連絡をとってお願いする。それでも得られない場合には、どうしてもやむなく更生保護会等を紹介する。  一番の問題は、現在、私どもこれからもっともっと問題が深刻化すると考えておりますのは、受刑者の高齢化の問題でございます。現在も六十歳以上の受刑者がどんどん毎年ふえておりますが、高齢になりますと、身寄り、頼りの方も亡くなりますし、高齢で入っている人の大半は、実は何回も刑務所から出たり入ったりした人が多いものですから、仮に身寄りがあっても引き受けていただけない、しかも体は弱くなってくる、病気になってくるという方の福祉の問題、これを外の福祉とどのようにして結びつけていくかということが、これは、実は各施設が抱えているいわば非常に重大な問題となっております。  そういうこともございますが、いずれにしましても、矯正当局としては、受刑者のアフターケアということについては、矯正のできる範囲内でできるだけの努力を現在もしておりますし、これからも続けたいと思っております。  それから、作業員与金のお話もございました。作業員与金につきましても、今回の予算でもアップをお願いしておりますが、なかなかそれほど、外の目から見れば、賃金と比べれば、もちろん賃金ではないという考え方でやっておりますので低いのでございますが、今後とも、その作業員与金を増額することについては、関係当局の御理解をいただいて何とか努力してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  32. 栗原博久

    栗原(博)分科員 私は、日本刑務所方々、本当に一生懸命ですね、だから、世界有数のやはり施設あるいはまた内容と思います。ただ、こういう事件が起きますと、それを問い直されると思うんです。  時間がないので、今質問はあとできませんから大臣一つ要望でございますが、このイラン人の事件を顧みましても、今外国の方々が大変日本にたくさん居住しております。私も実は選挙区を回って歩きますと、田舎でも、日本人がとても住まないようなスラム街、スラムのような、例えば町の裏の通りに行きますと、そういうところがあるわけですね。そういうところにイラン人、外国人が集団をなして住んでいらっしゃる。私は、こうやって我が国は世界有数の経済国といいながら、その裏では外国人労働者の方々が人間らしい生活もできず、そういう人が全国津々浦々の田舎の都市までも住み込んでいるということ。これは、私は、たとえ我が国の産業の空洞化とかあるいはまた労働者が足りないとか、あるいは汚い、危険、金のない、三K、そういうところにも、外国からやはり夢を持って日本に来ていると思うんです。そういう人が、日本のそういうやはり我々が見てもひどいなというところの仕事をして本国へ帰った場合、日本に対するどのような印象を自分たちの母国に伝えるだろうかと思うんですよ。  私は、この中でぜひ一つお願いでございますが、やはり出入国について、あるいは最近外国人学校とか日本人学校いろいろございますが、厳しく措置をとらないと将来にわたって私ども日本の国の信用を失墜するということを大臣にひとつ申し上げ、適正なるやはり政策的な判断を講じていくことをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  33. 長尾立子

    長尾国務大臣 先生から、私ども拘置所等の受刑者について大変温かいお気持ちからの御指摘をいただきました。十分に胸にとどめまして、法務行政の執行に当たっていきたいと思っております。  ただいま御指摘をいただきました不法残留外国人の問題でございます。確かに、日本の今後の国際化の進展の中で、外国人の方々への我々の対処の方法、大変重要なものがあると思います。一方におきまして、日本の国内におきます治安を維持するという課題もあるわけでございまして、関係方面と十分連携をとりまして、御指摘の問題に対処してまいりたいと思っております。
  34. 栗原博久

    栗原(博)分科員 ありがとうございました。
  35. 保利耕輔

    保利主査 これにて栗原博久君の質疑は終了いたしました。  次に、山口那津男君。
  36. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 国税庁の方、いらっしゃっていますでしょうか。  それでは、私から、まず国税庁に対しまして、一般論としてお尋ねをしたいと思います。  国会議員は、歳費やあるいはみずから事業を営む場合の事業上の収入以外に、無償でお金を受け取るという場合があるわけであります。これは、政治資金として受け入れればそれなりの処理をするというのが建前でありますし、それ以外であれば、何らかの所得を構成するという筋だろうと思っておりますけれども、こうした国会議員が受け取った全員が課税上どのように取り扱われるかという点について、一般論を確認的にお伺いいたします。
  37. 村上喜堂

    ○村上説明員 お答えいたします。  政治家の方が受け取られた政治資金は、所得税法上雑所得の収入金額ということになると思います。
  38. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 政治資金としてきちんとした処理がなされなければ雑所得として扱われる、こういうお話でございました。  じゃ、その具体的な全員が雑所得として課税対象になるとした場合に、国税徴収権の消滅時効の問題において、この起算点がどうなるか、そしてまた、時効が完成する時点がどうなるか、これも一般論として確認的にお伺いします。
  39. 村上喜堂

    ○村上説明員 通常の場合ですと、法定の申告期限から三年となっています。ただし、偽りその他不正の行為がある場合は、その申告期限から七年間ということになります。
  40. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 今おっしゃいました七年間に当たる場合というのは、いわゆる無申告、偽り等のカムフラージュによって無申告であった場合でも、そういう場合があり得るということですか。
  41. 村上喜堂

    ○村上説明員 通常の場合は三年と申し上げました。通常でも無申告の場合は五年なんです。ただ、偽りその他の不正行為があれば、当初の申告があろうが無申告であろうが七年間ということになっています。
  42. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 ということで、通常は三年、無申告であれば普通は五年、しかし、偽り等その他の不正な行為があれば七年、こういうお答えだったと思います。確定申告の期限が毎年三月十五日ということでありますから、時効完成時はその当該年度の三月十五日ということで理解してよろしいわけですね。  さて、そこで、自由民主党の加藤紘一幹事長が、以前問題になったことのあります株式会社共和という会社の森口副社長から一千万円という全員を受け取ったということが取りざたされたことがあります。この点、この受け取った時期は平成二年の一月から二月ごろということで、平成四年ごろ国会で質問を加藤氏に対して何度かなされたことがありました。  その受領時に立ち会ったというお医者さん、こ れは実名も議事録に出ております。水町さんというお医者さんだということでありますが、この人物が後日、つまり受け取ったと言われるのは平成二年、そして国会で加藤紘一さんに対して質問がなされたのは平成四年の予算委員会でありました。平成四年のこのころ、この水町さんという人が加藤さんからこの一千万円を預かって、最近になって返そうとしたけれども、加藤さんが受け取らないのでこれを供託した、ごく最近ですね、これを東京法務局に供託したということが私の調査で判明をいたしております。また、本日の報道でもそれに関するものがあるようであります。  さて、この東京法務局に水町さんが加藤さんに対して一千万円の供託をした、この事実があるかどうかお伺いします。
  43. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 まことに申しわけございませんが、御質問をいただいてから時間がございませんでしたものですから、ちょっと今の段階でお答えできる準備ができておりません。
  44. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 これは実はけさ通告をしたので、お調べになる時間がなかったかもしれません。  私の調査では、これは本年二月の二十八日に東京法務局に対して、今申し上げましたように、水町重範さんという医師から加藤紘一衆議院議員に対して一千万円の全員が供託をされた、これは受領拒否という理由によって供託をされているはずであります。ぜひ事実をお調べいただきたいと思います。  次回、チャンスがあれば御質問をし、改めて確認をしたい、こう思います。
  45. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 供託に関する書類、供託がされておりますれば供託書の副本が法務局で保管されておりますが、そういった書類については、一般的に申し上げますれば、利害関係がある者だけにごらんいただくということで、一般的にはプライバシー等の問題があって公開するということはしてございません。そういった関係お答えできるかどうかということも含めて検討してまいりたいと思います。
  46. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 いずれにしても、調査し、検討していただきたいと思います。  さて、このいわゆる共和の事件については、元北海道開発庁長官でありました阿部文男氏に対する収賄事件ということで立件をされ、森口副社長も贈賄として刑が確定し、服役をしている、こういう結末だろうと思います。  この事件全般について、平成四年二月二十五日の衆議院予算委員会法務省から報告がなされております。この報告によりますと、阿部文男さんの事件とは別に、その事実以外の事実に関する捜査結果について付言をしますということでいろいろ述べられまして、それから、阿部議員に係るもの以外の犯罪の成否等についてどうなったかという点では、「贈収賄や政治資金規正法違反の嫌疑の有無を中心として捜査収集した証拠に基づき検討を続けましたが、これらの犯罪の嫌疑ありとして訴追するに足りるものは認められませんでした。」こういう報告になっております。  もし、今私が申し上げました加藤紘一氏が共和森口副社長から一千万円を受け取っていたということであれば、この共和事件の捜査の中にこのような事実が出てきており、それを法務当局、検察当局も認識をしていたはずだ、こう思われますけれども、国会報告はこういう結果になっておりますが、この事実についての認識が当時、検察サイドにあったかどうかについてお伺いいたします。
  47. 原田明夫

    ○原田政府委員 ただいま御質問いただきましたような関連で御指摘のような報道がなされており、また、ただいま御指摘になったような面について、御指摘の報告の中で、まさに御指摘になられたような形で報告されていることはそのとおりでございますが、いわゆる共和事件という一連の事件につきましては、当時検察当局といたしまして、犯罪の嫌疑ありということで訴追すべきものは適正に処理したものであると承知いたしております。  また、具体的な事案に関する捜査の経過、またその内容につきましては、法務当局としては答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  48. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 この訴追するに足る内容ではなかったという国会報告の対象として、加藤さんの一千万円の受領のことも含めてこういう報告になっているのかどうか、ここは今の御答弁でははっきりしないわけでありますが、ぜひ当時の捜査資料も調査をしていただきたい、こう思います。そして、それが果たして公表できるものであるかどうかについても検討していただきたい、こう思います。  さてそこで、この加藤氏が一千万円を受領した、それに第三者である水町さんというお医者さんが立ち会っており、これを加藤さんから後日預かったことがあった、こういうことが事実だといたしますれば、私は、これは政治資金規正法違反という疑いもないわけではありませんけれども、まず言えることは所得税法違反に当たる、こう考えます。いわゆる脱税の疑いあり、こういうふうに考えられます。  そして、これについては通常の納税義務とは異なりますので、五年ないし七年の消滅時効に当たり得るわけでありまして、平成二年に受領したというわけでありますから、平成二年分の所得は翌年平成三年の三月十五日から消滅時効が起算されまして、仮に五年だとすれば本年の三月十五日をもって時効が完成する。つまり、まだ時効は完成していない、こう思われます。  したがいまして、この事実の有無について国税当局において厳正な調査をしていただいて、適正な課税をしていただきたい、このように申し上げたいと思いますが、何かお答えがあればお伺いします。
  49. 村上喜堂

    ○村上説明員 従来から個別の問題につきましてはお答えを差し控えたいと思いますが、国税庁といたしましては、一般論でございますけれども、あらゆる情報の収集を行っておりますので、もし何か課税上の問題があれば適切に対処してまいりたいと思います。
  50. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 これが所得税の納付義務があるということとは別に、場合によっては、脱税というのは刑事事件として告発され、捜査されるということもあり得るわけであります。ただ、この金額がその告発、刑事訴追に足るものであるかどうかという点についてはいろいろ検討の余地があろうかと思いますけれども、いずれにしても、こういう違法の疑いが濃厚であると考えられる以上、この点については看過できないものがあると思います。  さて、この点で加藤氏はこれまでの国会答弁、平成四年で衆議院あるいは参議院、あるいは衆参の各予算委員会以外の当時のPKOの特別委員会等でも再三質問がなされまして、加藤氏の答弁はいずれも受け取った事実はない、森口氏に会ったこともない、こういう否定的な答弁を繰り返してきました。そしてつい最近、本年の二月十六日の参考人として予算委員会にお越しいただいた折も、愛知和男委員からのこの質問に対して、記憶にない、こういうふうに否定的な答弁をされたという経過であります。  しかし、これはこの一千万円の受領のときに立ち会ったという御本人、水町氏が加藤さんから預かっていて、それをお返しするからと言ったら加藤さんが受領を拒否したのでこれを供託します、こういうわけでありますから、加藤さんが一千万円を森口さんから受け取った事実を証明する重要な事実、裏づける事実だろうと私は思います。ここまで証拠立てられたからには、これは加藤さんとしてはこれまでの国会答弁が事実に反する虚偽であった、こう言わざるを得ません。  そこで法務大臣にお伺いいたしますけれども、国会議員、しかも与党の幹事長という枢要な立場にあられる方がこの国会で虚偽の答弁をなし、そしてまた、法令に違反する疑いのある行為をなしたということについては、これは法務当局の最高責任者として看過し得ない事実だと思います。この点について法務大臣はどのようにお考えになりますか。
  51. 長尾立子

    長尾国務大臣 御質問は、共和から加藤議員に 一千万円の献金または贈与があったということを前提としてお尋ねになっていらっしゃるわけでございますが、仮定の事実を前提といたしました御質問に対してはお答えをいたしかねます。
  52. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 一応大臣発言はそのまま受けとめさせていただきます。  さて、大臣は昨日の検察長官会同で、住専絡みの刑事責任について言及をされておると思います。この住専関係不良債権問題に関して「刑事責任を追及すべきであると認められるような事実が明らかになった場合には、迅速かつ厳正に対処する必要がある」。さらに、「不良債権問題の経過、関係者の法律的責任の所在を明らかにすることが政府に強く求められている」という厳しい認識も示された、このように伺っております。  この共和というのは、住専、住宅ローンサービスという会社から七十三億円に上る不良債権が残っている、こういうことで予算委員会でも公表されたわけであります。そしてまた、当時いわゆるバブルの最盛期に、この副社長であった森口さんは二十二億円にも上る使途不明金を扱っておりまして、その実際の使途についても当時捜査もされたでしょうし、また株式会社共和の破産管財人によってもこの点が調査をされまして、その調査の中でこの一千万円の授受の関係指摘されたというふうに以前の国会論議で問題になってきたわけであります。  そうだとすれば、これはこの住専の不良債権関係も十分あり得る、こう考えられるわけでありまして、これが何らかの刑事責任につながるようなものであれば、大臣のきのうのお言葉のように、私は、厳正にかつ迅速に対処していただかなければならない、こう思うわけであります。  この点について、大臣としてどのように臨まれるのか、きのうの訓示の内容も踏まえてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  53. 長尾立子

    長尾国務大臣 住専問題につきましては、国民皆様の多くの御関心をいただいている案件でございます。この住専債権の回収、これが適切にされなければならない。これは大変重要な問題であると認識しておりますし、また、関係者らの刑事上、民事上の責任、これは可能な限り明らかにされる必要があるということは強く認識をしているわけでございます。  この債権回収に関しましては、法務・検察当局といたしまして、今回発足を予定しております預金保険機構等、こういった機構に対しまして、人材確保という観点からできる限りの協力をさせていただくということがまず第一点でございます。  また、関係者らの刑事責任の追及につきましては、既に検察当局もいろいろな形で態勢を整えているわけでございます。関係者らの刑事上の責任が明らかになりました場合、追及すべきであると認められるような容疑事実が判明いたしました場合には、警察当局等の関係機関と緊密な連携のもとで鋭意所要の捜査を遂げ、法律と証拠に基づきまして厳正に対処すると思っております。
  54. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 私は、この単なる関係者発言、口頭の言い分ということだけではなくて、この一千万円の授受に直接かかわっていた方が供託という客観的な事実によってその授受を裏づけるような、そういう関係が判明してきているわけでありますから、この問題は看過できないゆゆしき話だろうと思います。  したがいまして、加藤紘一幹事長のこれまでの国会での答弁は虚偽であった疑いが極めて高いとあえて指摘をしておきたいと思います。その上で、検察当局はこの住専刑事責任問題について並々ならぬ関心をお持ちになってその態勢をしいている、こうも伺っておりますので、ぜひ厳正なお調べをお願い申し上げたいと思います。  私は、この件については二つの点で問題があると思います。一つは、国会議員が、しかも閣僚にあった方が国会の答弁の中で虚偽の答弁をしてきた、これが第一点であります。それからもう一点は、所得税法違反あるいは脱税、こういう違法の疑いをかけられているということであります。その他にもいろいろあるかもしれませんが、私はそのように考えております。  したがいまして、こういう事実が判明した以上は、この関係者、加藤紘一さん、そしてまた水町さんというお医者さん、さらには服役中ではありますが共和の森口元副社長、こうした関係者予算委員会に来ていただくことも必要だ、こうして事案の解明に当たっていかなければ国民皆さんは到底納得をしないだろう、こう私個人は思っているわけでありますが、この件について党内で検討をいたしまして、理事会等を通じて対応していきたい、こういうふうに思っております。  さて、この件はこれまでにいたしまして、次に東京拘置所脱走事件について伺います。  東京拘置所は、私の地元に所在をいたしておりまして、日ごろより地元皆様はこの拘置所と友好な関係を継続してまいりました。非常に信頼関係が厚かったと思います。今回の事件でその信頼関係にいささかも傷が生じてはならない、私はこう思っている一人でありますので、この事件の処理、対応については厳正にやっていただきたい、こう思うわけであります。  かねてこの件の調査の委員会を法務省内に設置をいたしまして、再発防止策等について協議、検討されてきた、それでその結果が最近まとまった、こういうふうに伺っております。  まず、国民関心は、なぜあれだけの拘置所施設から、あの体制から出られたのか。例えば所持品のチェックの体制はどうだったのか。あるいは、そこから出たとして、巡回、監視の体制がどうだったのか。それから、高い塀を、資材置き場から資材を組み立ててはしごをつくって、そして塀を乗り越えられてしまった。そしてまた、弱電流を流した防止線といいますか、そういうものがありながら、それでそれが作動したにもかかわらず、早期に発見、追及できずに逃走されてしまった。どうしてこういうことが重なったのかというのは、いぶかしげに思っているわけであります。そしてまた、逃走後、捜査当局と迅速、緊密な通報、連携があったのかどうか、こういう点もチェックすべき事項だろうと思います。  この原因と、それから今後の逃走防止策というものについて、簡潔に概括的にお答えをいただきたいと思います。
  55. 東條伸一郎

    ○東條政府委員 ただいま委員指摘のとおり、今回の事故、あってはならぬことを起こしてしまいまして、まことに申しわけなく、責任を痛感いたしておりますが、その原因につきましては、委員指摘の調査委員会でいろいろな角度から検討してまいりました。  その結果、いろいろな具体的な不手際はございますが、基本的には、やはり四十年間逃走事故がなかった、高い塀に守られているという一つの安心感というか、警戒心が薄かったという、その起因するところはやはりそこにあったのではないかな、こういうふうに言わざるを得ない状況だと思います。  したがって、いわばそれは拘置所を運営していく上のソフトの問題、職員の一つの執務姿勢の問題でございますので、その改善にまず鋭意努力をいたしておりますが、より具体的には、いろいろな問題、先生今御指摘になりましたところを、一つ一つそれに対応して改善措置をとる。  具体的な例を一つ申し上げますと、差し入れ品のチェックについてはエックス線装置を十分に活用する、それでも発見できないおそれもありますので、金属探知機もあわせて使う、それからダブルチェックを行うというような、それぞれの措置を既に東京拘置所においては講じております。  したがいまして、東京拘置所だけではまあまあ相当な体制をつくっておると思いますが、なお、現在の建物施設、それから職員配置の点で十分かどうか、これも検討いたしまして、例えば職員については、これから特にオウム関係者の重要人物も入所が予定されていることもございますので、それらも考慮いたしまして、さらに増配置をいたしたいと思っておりますし、それから建物の構造につきましても、現在の鉄格子をできるだけ、必要な限り簡単には切れないような特殊の鉄棒に かえていくとか、そういう応急の措置はとりたいと考えております。  先生承知のように、東京拘置所、現在改築計画を進めておりまして、地元住民の皆様の御理解をいただいて、現地改築という線で進めさせていただきたいということでお願いをいたしておりまして、その際には、このような逃走事故が起こらないように建物の構造自体、高層化を含めまして、逃走が非常に困難なものにする。それから、逃走防止のためのセンサー、カメラ等を新しい機械を使い、それを使いこなせるような形にして、しかも地域の景観その他も十分に配慮しながら、いわゆる都市型施設として再構築をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  56. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 法務省内でといいますか、法務省責任において、緊急に現にある施設の逃走防止策を確立するということはぜひやっていただきたいわけでありますけれども、ただ、今言及されましたように、監視等の人員を増員するということになりますと、これは法務省責任の枠内ではにわかに対応できない部分もあるかもしれません。そういうことであれば、これは政府として予算措置等も含めた上で、あるいは定員の問題等も含めた上で、ぜひ責任ある検討をしていただきたい、こう思います。  さらにまた、今まで忘れられていた点でありますけれども、こうした件が起きた場合に近隣住民の皆さんにどのように情報を伝達するか。やたらに公表すれば不安をかき立てるという場合もありますでしょうし、かといって、全然知らないでテレビのニュースでいきなり入ってきて、一体これはどうなっているのだ、これでも困りますし、この点については近隣の皆様とよく相談をしていただいて、そうした情報伝達の体制についても確立していただきたい、こう思います。  それから、今建てかえに言及をされました。現拘置所は相当老朽化しておりますので、この建てかえが逃走防止策も考慮して早急になされるならば、私はむしろこの方が抜本的な逃走防止策である、こう思っております。  しかし、長い間いわば迷惑施設的な受けとめ方が一部にありまして、移転を求めるような動きもあったことも事実であります。しかし、近隣の皆様と法務当局皆さん努力によりまして、現実的に地域と調和する形で建てかえを進めていこう、こういう機運も出てきたわけであります。したがいまして、この信頼関係というものを大切にしていただきまして、ぜひとも地域の要望というものを適切に組み入れていただきながら建てかえを進めていただきたい、こう思うわけであります。この点について大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  57. 長尾立子

    長尾国務大臣 今回のイラン人の逃走事件につきましては、まことに申しわけなく、おわびを申し上げたいと思っております。また、先生が御指摘いただきましたように、近隣の皆様に不安をお与えしてしまったこと、本当に申しわけなく思っております。  今私どもの内部で検討しております検討事項の中でも、今回、御指摘がありましたように、近隣の皆様への御連絡の時間が少しおくれているのではないかといったこと、また今お話がございました、どういう形で御連絡をするということが一番いいのか、こういった事故の場合の対応ということも検討させていただきたい、このように考えているところでございます。  一番重要な点の御指摘をいただきましたのは、今後この拘置所と近隣の皆様との関係を根本的に、建物を建て直すときに考えてみろという御提案であると思っております。  この点につきましては大変御理解をいただきまして、いろいろな点から御指摘また御要望もいただいていると伺っております。確かに、愛される拘置所というとややオーバーであるかと思いますが、やはり地域の皆様にとってこの地域の一員として考えていただけるような、構造面で十分に配慮をいたしましたものをぜひお話し合いの中でつくっていきたい、このように考えているところでございまして、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
  58. 山口那津男

    ○山口(那)分科員 今の大臣のお考えを、ぜひともその姿勢を貫いていただきまして、早期の建てかえの実現を図っていただきたいとお願いを申し上げます。  また、これに関連しまして、東京拘置所のみならず全国の拘置所の警備あるいは逃走防止策についても再検討していただきまして、二度と再びこのような事件が起きないように厳正に対応していただきたい、こうお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  59. 保利耕輔

    保利主査 これにて山口那津男君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の格段の御協力を賜りまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午前十一時三十六分散会