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栗原(博)
分科員 後の祭りを幾ら私がこの場で言ってもいたし方ありませんが、今後、こういう不祥事といいましょうか、やはり検察、そしてまた
法務省あるいはまた司法全体に対する
国民の信用低下にならないように、一刻も早く原因を解明しまして、そしてまた国内の治安に全力を尽くしていただきたいと思うわけであります。
私は、実はきょう、この関連で、これを
質問するために
法務省からいろいろ、「
日本の行刑」という資料をちょうだいしたり、あるいはまた
刑事施設法の問題、あるいは留置
施設法の問題等の資料をちょっとお見せいただいたのでありますが、我が国が一九七九年に批准しました市民的及び政治的権利に関する国際規約、これに基づきまして、あるいはまた八八年の国連で採択されましたあらゆる形態の拘禁・収監下にあるすべての人の保護のための原則というものがあるわけでありますが、この中で行刑の国際化が求められている。
私、この資料を見まして、我が国におけるこういう逃走、脱獄はよその国に比べて全くないとか、いろいろ、本当に大変民主的であって、もう完璧であるというふうに私、この資料を見ると思うのですよ。ところが、これを見ながら、実は、今度、「
刑事施設法の早期成立を」あるいはまた「新しい行刑を拓く」というような資料をもらうと、何かちぐはぐな感じを受けるのです、実際問題。
この資料を見る限りでは、もはや今の監獄法そのものでよろしいというふうに読んだ者は思うし、また、
皆さんも恐らく条約上の問題もあるから外国向きのところで英文でもってわざわざこうやって
説明されていると思うのですが、私はこれを読みまして、これが本当であるならばすばらしい。しかし、私も実は国
会議員になるのに月日が十六年かかりまして、その間いろいろな人と会ったり、あるいはまた、
刑務所から出てきた人間とか暴力団とか、そういう者は暴力団をやめて社会更生している、そういう方と私は個人的にいろいろつき合ってまいったのです。私自身も恥ずかしながら実は留置場に入ったという経験もございますから、その心情がよくわかるのであります。
それで、異口同音に言うことは、まさしく人間としての扱いを受けていないと言うのですね。人間としての扱い。まあそれは、その人は不心得者だからそういうふうに思うかわからない。その人間の、
収容者の生い立ちとか、あるいはまた犯罪行為等についていろいろあると思うのですが、ただ、私が信用できることは罰則です。例えば、
仕事をしている間にわき見をする、それによって恣意的に刑務官から罰を受ける。例えば何日間も座る、独房に入れられまして、大変に耐えがたいのも多々あるというようなことも伺って、この席で余り具体的なことは私申し上げませんが、そういうことがあると聞きますと、なるほどやはり我が国の監獄法は早く改正して、ちゃんと明文化して法律化をすることも必要である、あるいは国際化をすることも必要である、あるいは近代化することも必要だというふうに私は思うのですよ。
それで、きのうもちょっと
法務省の方がいらっしゃって具体的な例を、私はそれがその
刑務所に起きたことが本当かどうかわからぬから名前を差し控えるというふうに申し上げたのですが、参考のため聞かせてほしいと言ったのできのう申し上げたのでありますが……。
確かに、
刑務所に入って、社会へ復帰しよう、そしてまた更生じようということで多くの方がやはり
刑務所を出てまいってからまじめになっている。あるいはまた、我が国においては、再犯の者がパーセントが少ない。特に、出所後五年ぐらいまでの人が再犯するのは四三%程度だと聞いておりますので、それはすばらしいことだと思っているのですよ。
しかし、その中に、ただ一部、やはりこの資料を見まして私思ったのでありますが、例えば三十八度以上発熱しますと、
業務、
仕事を休ませてお医者さんに診ててもらうようなことがあるらしいです。例えば四十度に発熱した場合、その現場から連行されて、それでお医者さんが来るまで、連行されて医務室かどこかに連れていくまでに二時間くらいかかるところもあるというのですな。それで、お医者さんはすぐに来ない。
私はこの資料を見ましたら、本当かなと思うのですが、この資料にこう書いてあるのですね。「被
収容者百二十九人当たり一人という医師の配置数は、諸外国(例えば、イタリア千六百六十九人当たり一人、イギリス三百十八人当たり一人)と比較しても、大変
充実」しておる、こうなるのですね。こんなに、常識として百二十九人に一人も医者が配置されていることはあり得ないでしょう、いわゆる
一般社会を見ても。入っている
刑務所の人百二十九人に一人医者がいる、こんなことを資料に書いてあるのですね。私は、実際入っている連中から聞くのと、この資料、この一語で、ちょっとこれは国際社会で、ほかの国の人がこれを読んでもすばらしいことだと思うのです。
こういう点について、実際入っている
方々の人権もあるわけですから、やはり敏速に診療できるようなことも、私は全部とは言いませんよ、だけれ
ども、そういう事例をよく私は伺っておるものですから、これを
一つの例として実は申し上げるわけです。
また、罰則の中で、よく専門用語で、何というのですか、あれは、軽屏というのですかね、解禁というような
言葉もあるけれ
ども、受刑者はよく軽屏と言っていますが、これもやはり過度なものもあるのじゃなかろうかというふうな気が、私はきのうもちょっと申し上げたのですが、例えば、ちょっとおかしいのがいると。
例えば賃金も、一生懸命働いても、一級から四級があるらしいのですけれ
ども、例えば一年間
仕事をして、それから更生を誓って出てくる、そのときわずか数千円ですか、今一カ月六百円ですか、どのくらいですか。それから、出てくるとき、七、八千円しか
お金を持たずにしゃばに出てきた場合、じゃ何をするかといったら、しゃばにほうり投げるわけですから、まじめに、懲罰を一回も受けなくて、それで三年勤めても十三、四万だそうですね。十三、四万持って出て、もう隔離されて、やはり自分の親族だとかあるいは社会から完全にほうり出された、そういう人が十三万から十四万で出て、もういちずに、まじめに勤めてしゃばに出てきて、その金で、じゃ今ホテルに泊まったら幾らかかりますか。
これなんか、確かに国家が受刑者に対してはちゃんと一日一千幾らですか、保障をしてやっている。しかし、本当の社会の更生というものは、出てきたとき、しゃばの人とどのような接しようを受けるか、それで、ある程度生活が自活できるということまで、今まさしく法律の改正の中であっても、
現行法の中で改正すべきものは改正をしなきゃならないというふうに私は思うわけであります。
そういうことで、
質問でございますが、十五年前ですか、
法務省から国会に、そのために監獄法を改正しようということで、拘禁二法案が出ておるようでございますが、今まで流産になってまいった。特に、
刑事施設法案等は
予算関連法案ではありませんから、とかくするとやはり国
会議員もそこから目をそらしてきたこともあったと思うのです。
あるいはまた、日弁連の対応もあったと思うのですが、こういう監獄法の中で、
一つは、二千から三千ページに上る通達が大変複雑に出ている。あるいはまた、今度は被疑者の方からの苦情ですか、不服の申し立て等、今
法務大臣にできるようになっていますが、そういうことについて
関係法令を直して、そういう対応をしようということ。
あるいはまた、国際条約等、先ほど私申し上げました国際条約の中で、やはり処遇最低
基準等の目標ということだと思うのですが、この中で
一つ私の
質問は、よく
皆さんの、
法務省等の本を読みますと、前に石川島の、今から二百年前ですか、受刑者に対して、刑期の重いのを更生させよう、
教育しよう、それからその後の明治、大正、昭和になりましても、我が国はやはり受刑者に対しては世界に引け目をとらない、そういうことをやっているというようなことを
法務省関係の資料によく私も散見しているのです。
その中で、じゃ今こういった、国会でも何度もつるしにされているようなこの法案について、今後どのように、特に国際条約を守りながら、人権を守りながら、そしてやはり本当に受刑者を社会復帰させるということについて、アフターケアのできるようなそういうことについて、今後この法律等についてどのように対応されるかということをひとつ聞きたいと思うのであります。