○正
森分科員 今の答弁は、
米軍、
米側あるいは
海兵隊全体として見るべきで、個々の普天間あるいは
岩国の一部の部隊、あるいは
基地を取り出して見るべきではないという趣旨に承りました。
それでは、
海兵隊がどういう
役割を持っているかについて、ここに
米側の最高責任者の文書があります。これは、米海軍作戦本部長J・M・ボーダ大将というのが、米海軍のためのプログラムガイド「フォース二〇〇一」に掲載した「二十一世紀に向けた海軍の発展」と題する論文であります。これは、「ディベロッピング ネイブルフォーシズ フォー ザ トゥエンティーファースト センチュリー」こういう題です。
それを見ますと、こう言っているのです。私は英語がそうできないから、
日本語で読ませていただきますが、危機が発生するとき、前方展開海軍部隊は、最初のタイムリーな危機対処と拡大を抑制するための手段を与える。もし紛争が続くなら、米海軍部隊は、一連の海軍部隊や米国本土から展開され、支援され、維持される陸上
基地部隊にとって必要である強制介入及び防護のための基本的手段を
提供する。我が在日——我がというのはアメリカの海軍大将が言っているのですね。アワーという言葉を使っております。我が在日第七艦隊前方展開海軍部隊は、軍事行動の中でこの原則の明確な具体例を
提供する。米海軍インディペンデンス戦闘群、これは横須賀に
基地を置いております。米海軍ベローウッド水陸両用即応群、これはたしか佐世保であります。そして、第三海兵遠征軍は、我々の国家利益、我々の友好国、
国際的シーレーンを守るために、米国海岸から遠く離れた
日本に前方配置されている、こう言っております。
つまり第三海兵遠征軍は、アメリカの国家利益、アメリカの友好国、これは
日本が入っていると言われるかもしれませんが、この文脈では、むしろ
日本以外の友好国を支援するために、遠く離れた
日本に前方展開されているという趣旨で書いているのです、
国際的シーレーンと。
そしてその次に、西太平洋、インド洋あるいは地中海をパトロールしながら、海軍の目に見える存在は我々の国家的決意と地球的リーダーシップを誇示する、こう言っております。
だから、
我が国の
防衛とか極東の平和と安全に寄与するなどというのからはるかに超えて、インド洋や地中海をパトロールしながら、アメリカの国家的決意と地球的リーダーシップを誇示するために存在する部隊が第三海兵遠征軍であります。だから、そういうものが
我が国の平和と安全というようなものを中心的任務としているかと言えば、大いに疑問があるというように言わなければなりません。
それからさらに、それが実際上どう
運用されているかは、
池田外務大臣は、我が党の志位書記
局長が
予算委員会で
質問されましたから、そのときにはごく一部を引用されましたので、私がもう少し詳しく引用します。
引用するのは、アメリカの
海兵隊の事実上の機関誌「マリーンズ」という書物の一九九四年十月号であります。ここではこう言っているのですね。
これは
沖縄の
海兵隊について言っているのですが、琉球列島の一部を占める
沖縄島は、アメリカの
海兵隊唯一の前進配備部隊である第三海兵遠征軍の
根拠地である。
沖縄では、
海兵隊はジャングル戦争の訓練を積むことができ、そして、ここを本拠に
日本以外の太平洋の国々に展開することができるのである。
予算委員会でも言われましたが、ディプロイという言葉を使っておりますから、展開というのが普通使われている用語であろうと思います。
「ここ
沖縄に
基地を持っている最大の利点は、将来不測事態が発生するであろう地域と同様の地域で訓練を行うことができる点にある」、こう言っております。つまり、自分が出かけていくところと同じ
状況の中で訓練をすることができるのだ。
「前進配備されている第三海兵遠征軍は、
海兵隊の十字路と考えられている。」十字路というのは、だれもが通る通路、こういう意味であります。「他の二つの海兵遠征軍とは違って、第三海兵遠征軍は、他の連隊から派出される大隊によって構成されている。それぞれの大隊は、部隊展開
計画に基づいて、ここで六カ月を過ごす。」
いいですか。つまり、
沖縄の第三海兵遠征軍は、独自の編成ではなしに、アメリカ国内にいる第一、第二海兵遠征軍から大隊隊員に引っこ抜いて、全部
沖縄へ行って、そして訓練を受けるというようになっておる。だから六カ月間を過ごすんだ。
ここで訓練を受ける地上兵力は、しばらくすると中部訓練場や北部訓練場に習熟する。中部訓練場には、都市型戦闘訓練
施設、射撃場及び演習場がある。島の北端にある北部訓練場には、約八十平方キロメートルの、時として人の通過をも許さないうっそうと茂るジャングルに覆われた荒れた地形がある。第三海兵遠征軍の演習場のうちでも、北部演習場は、宝冠に例えるならその宝石に当たる。「その地形は第三海兵遠征軍が責任をもつ地域——温度・湿度が高く、通りぬけることが困難なジャングルが多い東南アジアを含む地域にそっくりである。」こう言って褒めたたえているのですね。
つまり、第三海兵遠征軍というのは、特に今主力は
沖縄におりますが、その
沖縄におるというのは、何も
沖縄を含む
日本を
防衛するためじゃなしに、米本土にもいる
海兵隊全体のかけがえのない訓練場で、
海兵隊全員が通過する十字路として、訓練場として使われているんだ、こう言っているのです。だからこれは、
我が国の平和と安全とか極東の平和と安全じゃなしに、アメリカ全体の国家利益、アメリカ全体が持っている遠征軍、言葉を砕いて言えば殴り込み部隊と言われておりますが、その訓練のために、宝冠に例えれば宝石に当たる、そういう地位を占めているんだという位置づけじゃないですか。それでは日米
安保条約による存在目的から大きく離れてしまっている部隊である。その部隊の一部が今
岩国に来ようとしているということで、非常に問題になっているのです。
こう言っておりますよ、また別のところで。ここでは、文句を言うことはないのだけれども、五十口径の重機関銃が撃てないのだけが残念だ。なぜだか知っていますか。五十口径の重機関銃というと遠くへ飛ぶから、
沖縄の北部演習場だったら幅が狭いから、ひょいと外へ出たら困るというので、これだけは制限されている、これが残念だという意味のことを言った上で、射撃訓練の不足は本土の富士演習場で埋め合わされる。富士演習場では五十口径重機関銃から対戦車誘導ミサイルを含む
海兵隊のすべての火器の射撃が
実施できる。部隊開発
計画に参加する大隊は富士演習場に最大二カ月いることができる、だから、米
海兵隊全体で六カ月間は
沖縄の
基地へ取り込んでジャングル戦その他の訓練をする。都市型の戦闘も訓練する。しかし実弾射撃については、地域の広さの
関係から撃てない点があるから、それは全部富士演習場へ行く。
我が国の平和と安全などと直接
関係がないじゃないですか。全体のアメリカの国益のためにいるのじゃないですか。
しかも、こう言っていますよ。我々はここで戦った。この場所は教育の場でもある。我々は古い戦跡をめぐり、現代の戦争でどのように戦い、どのように勝利するかを目の前に見ることができる。
海兵隊員がこのような機会に恵まれる場所はほかにはない、こう言って自慢たらしく書いているのです。ですから
沖縄の
海兵隊というのは、そうだそうだ、ここで五十年前に我々は戦って勝って、ここを分捕って占領したんだ、そういう教育を受けながらやっているから、占領の時代と同じように、十一歳の少女に暴行を加えるというような心境になっていくのです。
そんな部隊を、
思いやり予算を使って千六百億円もかけて
岩国に持ってくるなんというのは、まさに国民の感情から大きくかけ離れたものだ。それでなくても財政危機で、今でも二百四十二兆円国債を発行する。十年たてばそれが四百八十四兆円になると大蔵省は言っております。それなのにこういう大金を注ぎ込むなんというのはもってのほかじゃないかということを申し上げたい。
最後に、そろそろ時間が来ましたので、環境庁、
岩国にこういうものを持ってくると……