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1996-02-29 第136回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成八年二月二十七日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月二十八日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       小澤  潔君    谷津 義男君       安倍 基雄君    山田  宏君       三野 優美君    錦織  淳君 二月二十八日  谷津義男君が委員長指名で、主査選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 平成八年二月二十九日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 谷津 義男君       栗原 博久君    安倍 基雄君       冬柴 鐵三君    山田  宏君       山本 幸三君    三野 優美君       枝野 幸男君    錦織  淳君    兼務 根本  匠君 兼務 横内 正明君    兼務 大口 善徳君 兼務 川島  實君    兼務 高木 義明君 兼務 大畠 章宏君    兼務 寺前  巖君 兼務 藤田 スミ君    兼務 土肥 隆一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 菅  直人君  出席政府委員         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保険医療         局長      松村 明仁君         厚生省生活衛生         局長      小林 秀資君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君         厚生省社会・援         護局長     佐々木典夫君         厚生省老人保健         福祉局長    羽毛田信吾君         厚生省児童家庭         局長      高木 俊明君         厚生省保険局長 岡光 序治君         厚生省年金局長 近藤純五郎君         社会保険庁運営         部長      横田 吉男君  分科員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   中島 勝利君         環境庁企画調整         局環境保健部保         健業務室長   岸田 修一君         環境庁水質保全         局土壌農薬課長 西川 孝一君         大蔵省主計局主         計官      丹呉 泰健君         厚生大臣官房会         計課長     大塚 義治君         建設大臣官房政         策課長     三沢  真君         自治省行政局振         興課長     伊藤祐一郎君         厚生委員会調査         室長      市川  喬君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十九日  辞任         補欠選任   小澤  潔君     栗原 博久君   安倍 基雄君     富田 茂之君   山田  宏君     鮫島 宗明君   錦織  淳君     宇佐美 登君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     萩山 教嚴君   鮫島 宗明君     山田  宏君   富田 茂之君     山本 幸三君   宇佐美 登君     荒井  聰君 同日  辞任         補欠選任   萩山 教嚴君     栗原 博久君   山本 幸三君     冬柴 鐵三君   荒井  聰君     枝野 幸男君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     小澤  潔君   冬柴 鐵三君     安倍 基雄君   枝野 幸男君     錦織  淳君 同日  第二分科員土肥隆一君、第三分科員根本匠君、  横内正明君、川島實君、第五分科員大畠章宏  君、第六分科員大口善徳君、第七分科員高木義  明君、寺前巖君及び藤田スミ君が本分科兼務と  なった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算  (厚生省所管)      ――――◇―――――
  2. 谷津義男

    谷津主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  私が、本分科会主査を務めることになりました。何とぞよろしくお願い申し上げます。  本分科会は、厚生省及び労働省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省所管事項説明は、各省審査冒頭に聴取いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算厚生省所管について、政府から説明を聴取いたします。菅厚生大臣
  3. 菅直人

    菅国務大臣 平成八年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算概要について御説明申し上げます。  平成八年度厚生省所管一般会計予算総額は十四兆三千七百七十八億円であり、平成七年度当初予算額と比較をいたしますと、三千六百六十三億円、二・六%の増加となっております。これは、国の一般歳出の約三分の一を占めております。  厚生省予算につきましては、国民生活の基盤の確保を図るとともに、当面する種々の課題に的確に対処するため、必要な予算確保を図っております。  以下、その主要施策について御説明申し上げます。  第一に、障害者保健福祉対策についてであります。  総合的な障害者施策推進するため、障害者対策推進本部において、新たに平成十四年度を目標とする障害者プランが策定されたところであります。このプランに基づき、住まいや働く場、活動の場の確保地域における自立の支援ホームヘルプサービス事業重度障害者施設整備など介護サービスの大幅な拡充を図ることとしております。  第二に、高齢者保健福祉対策であります。  本格的な高齢社会の到来を目前に控え、国民が安心して老後を送ることができるよう、新ゴール ドプランの二年次目を着実に推進することとし、ホームヘルプサービス事業など在宅サービス充実特別養護老人ホームなどの老人保健福祉施設整備推進することとしております。  第三に、児童家庭対策についてであります。  少子化の進行共働き世帯増加など、子供を取り巻く環境の変化に対応するため、多様な保育サービス整備を図る「緊急保育対策等五か年事業」の二年次目を着実に推進することとしております。  また、新たに不妊専門相談センター創設、出産前後の妊婦や未熟児救急医療を担う総合周期医療センターの新設など母子保健医療対策強化することとしております。  第四に、水道廃棄物処理対策についてであります。  水道施設につきましては、地震や渇水に強く、安全で良質な水道水を安定して供給できる施設整備生活水準向上に対応した簡易水道整備を進めることとしております。  また、廃棄物処理対策につきましては、リサイクル型社会への転換を推進するため、「第八次廃棄物処理施設整備五箇年計画」を策定し、ごみ減量化リサイクル推進を図るとともに、合併処理浄化槽整備などを計画的に推進することとしております。  第五に、医療地域保健対策についてであります。  医療施設近代化整備拡充災害医療体制強化在宅医療推進救急僻地対策確保など各種施策充実を図ることとしております。  第六に、疾病対策についてであります。  エイズ対策につきましては、「エイズストップ七年作戦」を着実に展開することとし、エイズ訴訟和解勧告趣旨も踏まえ、エイズ拠点病院などの医療体制整備相談指導体制充実エイズ医薬品等研究開発などの総合対策を積極的に推進することとしております。  がん対策につきましては、「がん克服新十か年戦略」を中心にして、がん克服を主眼とした臨床応用予防研究実施するとともに、がん診療情報ネットワーク整備推進することとしております。  以上のほか、診療報酬につきましては、本年四月から平均三・四%の引き上げを行うこととしております。  また、年金制度の適正で効率的な運用行政サービス向上を図るため、平成九年一月より公的年金番号を共通化した基礎年金番号を導入することとしております。  さらに、阪神・淡路大震災の経験を踏まえた災害防災対策強化医薬品等の総合的な安全性確保対策食品等安全対策戦傷病者戦没者遺族等援護対策原爆被爆者対策厚生科学研究の振興、厚生行政情報化推進など諸施策推進を図ることとしております。  なお、委員各位のお手元に資料が配付されておりますが、厚生省所管一般会計及び特別会計予算主要経費別概要につきましては、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。  今後とも、国民の健康と福祉向上を図るため、厚生行政の進展に一層の努力をしてまいりたいと考えておりますので、何とぞ、格別の御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
  4. 谷津義男

    谷津主査 この際、お諮りいたします。  厚生省所管関係予算重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 谷津義男

    谷津主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――   〔菅国務大臣説明を省略した部分〕  次に、平成八年度厚生省所管一般会計予算概要主要経費別に御説明申し上げます。  第一は、社会保障関係費のうち、生活保護費につきましては、総額一兆五百九十三億円を計上しております。  生活保護費につきましては、国民生活動向等を勘案して改善を図ることとし、生活扶助基準教育扶助基準等改善を行うこととしております。  なお、引き続き制度趣旨に沿って適正な運用を図ることとしております。  第二は、社会福祉費でありますが、総額三兆八千八億円を計上しております。  まず、障害者保健福祉対策につきましては、障害者プランに基づき、市町村障害者社会参加促進事業拡充や総合的な相談生活支援事業創設、ホームヘルパーの大幅な増員などを行うこととしております。  次に、高齢者保健福祉対策につきましては、新ゴールドプランの着実な推進を図るとともに、休日にもデイサービスを提供できるホリデイサービス事業創設など、施策充実を図ることとしております。  児童家庭対策についてでありますが、共働き家庭等支援するため、保育所における低年齢児受入れ枠の拡大、開所時間の延長促進など保育対策の一層の充実を図るとともに、児童環境づくり対策母子保健医療対策及び母子寡婦福祉対策充実などを図ることとしております。  社会福祉施設整備につきましては、障害者プラン、新ゴールドプランに基づき、各種施設整備促進を図るとともに、老朽社会福祉施設改築整備を行うこととしております。  また、社会福祉施設運営費改善につきましては、職員の勤務時間の短縮を進めるとともに、生活費引上げ等入所者処遇改善等を図ることとしております。  以上のほか、地域における民間社会福祉活動推進するため、地域社会のボランティアを活用したふれあいのまちづくり事業等拡充強化を図ることとし、また、婦人保護事業及び地域改善事業実施等につきましても所要の措置を講ずることとしております。  第三は、社会保険費でありますが、総額八兆三千四百四十七億円を計上しております。  まず、社会保険国庫負担金につきましては、総額一兆七百四十四億円を計上しております。  次に、厚生年金保険国庫負担金につきましては、厚生年金保険法の規定により算定した額のうち、昭和三十六年四月前に係る国庫負担について、八千億円を一時繰り延べる特例措置を講ずることといたしました結果、二兆五千百六十九億円を計上しております。  次に、国民年金国庫負担金でありますが、総額一兆七千七百三十九億円を計上しております。  国民健康保険助成費につきましては、総額二兆九千二百四十二億円を計上しております。  以上のほか、健康保険組合につきましては、引き続き運営安定化対策を講ずることとしております。  第四は、保健衛生対策費でありますが、総額六千百十五億円を計上しております。  本格的な高齢社会を健康で活力あるものとしていくために、医療地域保健対策につきましては、医療施設近代化整備災害対策充実在宅医療の普及、病院機能評価実施に対する支援救急医療体制整備へき地保健医療対策等充実を図るとともに、健康づくりや成人病の発生予防対策推進することとしております。  老人保健事業につきましては、引き続き機能訓練健康診査等充実を図ることとしております。  疾病対策につきましては、主要施策で申し上げたエイズ対策がん対策推進のほか、精神保健対策結核対策難病患者に対する支援臓器移植対策予防接種対策等充実を図ることとしております。  さらに、保健医療分野における医薬品等に関する基礎研究推進するための出資制度創設するとともに、対象とする患者数が少ないため、開発が進んでいない希少疾病用医薬品等研究開発推進を図ることとしております。  原爆被爆者対策につきましては、被爆者高齢化に対応した健康づくり事業実施するなど各種施策充実を図ることとしております。  以上のほか、保健医療施設整備医薬品等安全性確保対策食品等安全対策血液対策、麻薬・覚せい剤対策などの経費を計上しております。  第五は、恩給関係費のうち、遺族及び留守家族等援護費でありますが、総額千百三十八億円を計上しております。  まず、援護年金につきまして、恩給引上げに準じて額の引上げを行うとともに、戦傷病者等の妻に対する特別給付金の継続・増額支給等を行うこととしております。  また、戦没者遺骨収集慰霊巡拝等慰霊事業等充実するとともに、中国残留邦人等に対する援護施策等の着実な実施に努めることとしております。  第六は、公共事業関係費のうち、環境衛生施設整備費でありますが、総額二千八百五十四億円を計上しております。  まず、水道施設整備費でありますが、簡易水道及び水道水源開発等整備推進することとしております。  また、廃棄物処理施設整備費につきましては、「第八次廃棄物処理施設整備五箇年計画」に基づき、ごみ処理施設リサイクル関連施設合併処理浄化槽等の積極的な整備を図ることとしております。  以上が、平成八年度厚生省一般会計予算概要であります。  次に、平成八年度厚生省所管特別会計予算について申し上げます。  第一に、厚生保険特別会計につきましては、一般会計から三兆六千百八億円の繰入れを行い、各勘定歳入歳出予算を計上しております。  第二に、船員保険特別会計につきましては、一般会計から六十八億円の繰入れを行い、歳入歳出予算を計上しております。  第三に、国立病院特別会計につきましては、一般会計から二千百九十六億円の繰入れを行い、各勘定歳入歳出予算を計上しております。  第四に、国民年金特別会計につきましては、一般会計から一兆七千七百三十九億円の繰入れを行い、各勘定歳入歳出予算を計上しております。  以上が、平成八年度厚生省所管特別会計予算概要であります。  何とぞ、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  6. 谷津義男

    谷津主査 以上をもちまして厚生省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 谷津義男

    谷津主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。
  8. 大畠章宏

    大畠分科員 社会民主党の大畠章宏でございます。  ただいま菅大臣から、今年度の予算に対する基本的な考えが提示をされました。菅大臣におかれましては、日夜を分かたず大変な御奮闘をされておりますこと、心から敬意を表する次第でございます。  とは申しながら、HIV問題については、厚生省内の混乱等国民の間に大変な混乱を催したこと、そしてまた患者皆さんには大変な影響を与えたことについて、私は大変遺憾だと思います。この問題、事実をしっかりと解明をしながら、厚生省並び菅大臣が先頭になって、厚生省に対する信頼感を取り戻すように全力で当たられるよう冒頭に申し上げたいと思います。  そういう状況でありますが、この問題は国会等でもいろいろ論議をされておりますので、私は、次の三点について御質問をさせていただきたいと思います。  その質問に入る前に、実は過日、司馬遼太郎さんが亡くなりました。日本人とは何かというものを問い続けながら、いろいろと提言をされてきた方でございますが、その司馬遼太郎さんが、日本の未来にあすはないという言葉を残して亡くなったわけであります。この問題、菅大臣政治家として、この司馬遼太郎さんの言葉をどういうふうに受けとめておられるのか。大臣という立場よりも、一政治家としてどういう考えをお持ちか、冒頭にお伺いしたいと思います。
  9. 菅直人

    菅国務大臣 私も、司馬遼太郎さんの本は大変、何といいますか、愛読者でありまして、大体の本は読んでいるつもりです。亡くなられる直前の田中直毅さんとの対談週刊朝日などで読ませていただきました。その中で特に、今大畠さんの言われた問題について、最後の対談などで、このバブルの問題を、司馬遼太郎さんは、日本人の何か根本のものが失われてきているという、非常に危機感を持たれていたというふうに思っております。  私も、戦後五十年たったわけですけれども、日本社会は、確かに経済的には非常に大きな国になったけれども、何か背骨のようなものが果たしてきちんと育ってきているのだろうか、あるいはある意味ではそれが維持されてきているのだろうかと自分自身を問い直してみても、自信を持って答えるというところまでやはりいけないわけであります。そういう点で、司馬さんが大変心配をされた、日本の将来が大変危ないということについては、まさに私たち今に生きる者に対する非常に厳しい警告であり忠告であると思っております。  そういう点で、今、特に政治のあり方あるいは行政のあり方含めて非常に厳しく問われているわけですが、この五十年目に当たって、やはり私たち政治家あるいは行政を含めて、従来の単純な延長上とか、あるいはこういうことだから仕方がないのだということではなくて、場合によっては、本当に明治維新の時代皆さんのように、従来のやり方を必要によっては断ち切ってでも新たな形をつくっていく、そういう勇気がやはり必要な時代ではないだろうか、そう思っておりまして、この司馬遼太郎さんの指摘というのは、今に生きる日本国民に対する非常に大きな、遺言という言い方もされておりますが、そういうふうに受けとめるべきだと思いますし、私自身も非常に厳しく受けとめたい、こう思っております。
  10. 大畠章宏

    大畠分科員 率直な御意見をいただきましてありがとうございました。  私も、今日の政治、経済、社会の大変動の中で国会議員として仕事をさせていただいているわけですが、この司馬遼太郎さんの言葉というのは大変重く受けとめなければならないし、そういうことを本当に心して行動しなければならないということを強く感じている次第でございます。今後とも菅大臣におかれましては、今率直なお話がございましたけれども、厚生省のトップとしてまさに御活躍され、国民から信頼される厚生省を築いていただき、先ほどの冒頭予算方針がございましたけれども、そういう方針に沿ってぜひ御活動賜りますよう御祈念申し上げたいと思います。  さて、質問でありますが、今、国家予算は大変な状況でございまして、二十一兆円の国債を発行しながら予算を組んだところでございます。こういう中にあって、私自身、これは私の友人のお医者さんからの話でありますが、ワクチン価格が非常に、倍ぐらいに上がってしまったということについて市町村当局が大変困っているという話を伺いました。  そこで、ちょっとお伺いしたいところでありま すが、ワクチンがいわゆる義務的な接種から希望接種に変更されたわけでありますけれども、義務的な接種から希望接種に変更したときのワクチンの一人当たり価格の推移について、まず最初にお伺いしたいと思います。
  11. 松村明仁

    松村政府委員 個別接種ということを行うために、どうしてもこれまでの集団接種の場合に使われましたワクチン小分けになりました。小さく、小単位になりました。したがいまして、ワクチン値段というものも、大包装のときから一人包装、こういうことになりまして、一人当たりでは数倍、ワクチン値段は高くなったというか費用がかかることになったと思われます。
  12. 大畠章宏

    大畠分科員 数倍とかなんとかじゃなくて、今、日本人が問われているのは、そういう数値を明確にしないところからいろいろ問題が広がってきているのですよ。アバウトじゃだめなのですよ。だから、明確に幾らから幾らに上がったのか、ちょっと教えてください。
  13. 松村明仁

    松村政府委員 例えば大包装十cc、八千八百三十七円という一つワクチンがございまして、これが一人用になって二千九百円。十ccですから二十人分ぐらい入っておったときに八千八百三十七円、それが一人用になって例えば二千九百円、こういうふうに理解いたしております。
  14. 大畠章宏

    大畠分科員 二十人分という話がありましたが、十ccで例えば平成六年度八千八百三十七円というのが、一ミリリットルにすれば二千九百円。前の十ccのものを十等分すれば一人当たり八百八十四円というのが、一ミリリットル当たり二千九百円。こういうことでいえば、脳炎ワクチンは約八百八十四円から二千九百円に上がっているということですね。私もこれ、資料をちょっといただきましたけれども。それからもう一つ風疹ワクチンがありますが、これが五人分で八千四百七十七円、これを一人分にすると千六百九十五円だったのが、今私が申し上げたのは平成六年度ですが、平成七年度になると一人前が二千九百円。倍に上がっておるのですね。  この問題は、単にそういうふうになったからしようがないのだという話かもしれませんが、いわゆる予算が倍かかるのですね。要するに予防接種市町村負担が倍になってしまっておるわけです、たったそれだけでね。今、市町村が非常に苦しんでいるのですが、これはすなわち税金で負担することなんですよね。そこら辺の価格の設定については厚生省は管轄していないというお話があるのかもしれませんけれども、そういうふうなものをどういうふうに把握されていますか。
  15. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまの価格に関しましては、これは企業独自の判断で決定をするということで、行政としては、関与いたしますと、これは公正な取引を阻害するということで、厚生省として価格に対する指導等は行っていないわけでございます。  ただいま先生からお話のありましたように、ワクチンメーカーから事情聴取いたしましたところによりますと、平成元年から価格を据え置いておりまして企業努力で対応してまいりましたけれども、今回の小分け包装化推進に伴いまして、容器、包装資材費用増加でありますとか、新たな包装用機器の増設による施設設備費用負担でありますとか、あるいは作業量増加輸送コスト増加、そういった費用負担が新たに発生をしたためにやむを得ず値上げをせざるを得ないということでございます。  それから、ワクチンの供給につきましては、そのほとんどが中小企業でございまして、ワクチン製造に占める割合の高い企業が行っておりまして、今回の予防接種法の改正によりまして製造量の多いインフルエンザワクチン任意接種に変更されまして、製造量が大幅に減少している、そういったこと、それから今申し上げました小包装化に伴います大幅な設備の変更といったこともございまして、ワクチンの安定供給を確保する観点で大幅な改定をせざるを得なかったというふうに聞いておるわけでございます。  私どもといたしましては、そういった価格の指導は困難でございますけれども、今後とも良質なワクチンを安定供給できるような、そういったことにつきましてワクチンメーカーを指導してまいりたいというふうに考えております。
  16. 大畠章宏

    大畠分科員 私が聞いているのは、とにかく五人分だったら五人分で五本入った箱詰めがあったのですね。それが、これから一人前ずつやらなければいけないというので、五本のものを分けて段ボールの箱に入れて詰めかえて出荷したわけですよ。中身は何にも変わっていないのです。それだけでこの価格が倍に上がったというのは、やはり私はおかしいと思うのです。それはお医者さんが自分で言っているのだ、何にも変わっていないのですと。  そこら辺は、私がこれを申し上げているのは、今六千八百五十億円を住専問題に投入しようとして、いろいろ国民皆さんからも御批判いただいているのはわかる。しかし、その一方で財政赤字、要するに二十一兆円の国債を発行しながら何とか日本の国をやろうとしている。そういう中にあって、こういう問題が放置されている。それで、それが結局は税金で賄われるのですよ。  先ほど菅大臣から十四兆と今回の予算お話がありましたね。その予算の一部分がそういうところに使われているのですが、言ってみれば、接種される児童の父兄もわからない、お医者さんはこれは高いのじゃないかなと思いながらも、市町村がそれは負担しなければならない。そういう形になってしまったからしようがないといってお支払いするのですけれども、何かそこのメカニズムに、私は、もうちょっと厚生省もどういう形でその予算が使われるかきめ細かにやらないといけないのじゃないか。  ただいま、そのワクチンで一年間に何万本ぐらい使用されているのですか。それはわからないかな。これは大変な予算の浪費につながっているのじゃないかと私は思います。  この問題は、ひとつ厚生省の中でも、これは公正取引委員会の仕事なのかもしれませんが、自分たちの管轄の予算がどういう形に使われているか末端までよく調べてください。それは薬屋さんの関係だから私たちは関知しませんというだけにはならないでしょう。ぜひそこら辺はよく調べて、後でまたいろいろ教えていただきたいと思いますが、この件はその問題だけを指摘して終わりたいと思います。  それから、先ほど菅大臣からいろいろお話がございました。心身障害者プラン、住むところ働くところ活動の場を拡充していきたいという厚生省平成八年度予算の骨格が述べられました。まことに的を射たものだと思います。  そこでちょっとお伺いしたいわけでありますが、これは私の方の地元からも言われているのですが、養護学校があります。養護学校は十八歳まで通うことができるのですが、養護学校を卒業した後、行くところがないのですね。結局行くところがない。働くところがあればいいのだけれども、働くまではいかない。しかし、そうなると自宅に戻ってきてずっといるわけですよ。  そうすると、せっかく学校で学んだことがどんどん、せっかくその能力を引き出してあげてきたのだけれどもそれがまた戻ってしまう。父兄の皆さんは、うちの子供どうしたらいいのだろうか。だんだんお父さんもお母さんも年をとってくるわけですよね。そうすると、この子は一体だれがどういう形で面倒見てくれるのだろうかということで非常に不安視をし、そして御父兄の方々が、国に頼っていてもらちがあかないからというので、みんなでお金を出し合ってそういう施設をつくろうとし始めているところがたくさんあります。  菅大臣がおっしゃったように、住むところ働くところ活動の場というのはまさにそういうところがきちっと見えるようにしなければならないわけでありますが、養護学校の在所者の方、これは十八歳までと十八歳以上ですが、そこら辺を厚生省としてはどうとらえて、これからどうされようとしているのかお伺いしたいと思います。
  17. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 先生おっしゃるとおりでありまして、障害者の方ができるだけ社会に出ていけるような仕組みをつくっていかなければならない、これが今回の障害者プランでも一つの基本の考え方になっております。そういった意味で、私どもとしましては、比較的軽くてそして就労を希望され、また就労の道に進めるような方についてはできるだけ就労の方向の施策というものを推し進めていかなければいけないということが一つでございます。  そういった意味で、例えばこれまでもやってきております福祉工場だとか、あるいはまた授産施設整備とか、あるいは小規模作業所というものをさらに整備をしていく、こういったようなことを盛り込んでおるわけでありますが、また一方、一般の職場において働けるようにできるだけ援助していくということで、例えば職場の開拓を初めとしまして、場合によってはその際の住みかとしてはグループホームのようなものを整備をしていく、あるいは通勤できるような通勤寮といったものを充実していく。そういうふうなことを今後進めていくということで、障害者プラン推進に当たっては十分その辺のところを促進するようなことで頑張っていきたい、こんなふうに考えております。
  18. 大畠章宏

    大畠分科員 今非常に基本的なお話がございましたけれども、私も議員も官僚の皆さんも一番注意しなければならないのは、本当に困っている人の心情というのをなかなか実感できないのですね。文章であるいは方針を出し、これだけやっているのだからいいだろうという話になりがちなのですが、今のお話を伺っていましても非常に切実なのですよ、身障者の子供さんを抱えている方は。もう国の方に任せておけないといっていろいろ立ち上がり始めているのです。  これは平成九年四月から消費税を変更しなければならないということと絡んでいるのですが、今の消費税問題、いわゆるどのぐらい行革ができて、どのぐらい高齢者とか心身障害者とかそういう予算がかかるのか、その差し引きをして足らない分を消費税の値上げで国民皆さんに御理解いただこうという話なんですよ。したがって、中途半端なことでは困るのですよ。国民の理解は得られないでしょう。だから、高齢者お話を伺おうと思ったけれども時間がなくなってきましたけれども、高齢者の対策をどうするのか。これは心身障害者皆さんにもこうしますということを明確にしていただかねば、納税者の人だってそんなものでいいのかという話なんですよ。  一言で言えばというと抽象的な御答弁になりがちでありますが、お伺いしたいのは、御両親が安心して死ねるような政策がとれますか、厚生省として。
  19. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 私どもも、今回の障害者プランを策定したわけでありますが、そのバックグラウンドとしまして、例えば今先生がおっしゃっておりますような切実な問題、親の方あるいはまた障害者の方々からも聞いておりますし、我々もできるだけ実態を知るようなことで、例えば通勤寮を訪れていろいろなお話を聞くとか、私どもも努力しているつもりでありますけれども、まだまだ全体的な整備というものは必ずしも十分でない。  そういった意味で、今回障害者プランというものをつくり、そして計画的に整備をしていく、こういうことでありますけれども、それと同時に、やはり社会の意識を変えていかなければいけないという面もあろうと思いまして、我々としましては最大限の努力をしていかなければいけない、こういうふうに考えております。
  20. 大畠章宏

    大畠分科員 社会の意識を変えるのじゃなくて、皆さんの意識を変えることが必要なんですよ。菅大臣がおっしゃったでしょう。これまでの延長線上で物事を考えてはいかぬ、それでは十分な対応ができないかもしれない。皆さんの意識も変えてもらわなければ困るのですよ。社会の意識を変えればいいというものじゃないのですよ。皆さんの意識をどう変えて、そして行政というのは言ってみれば国民の要請に対してこたえていくサービス機関ですからね。そのために税金を払ってもらっているという仕組みだと思うのですね。  だから私は、厚生省も大蔵省も文部省もいろいろな各省庁がありますが、とにかくこれまでの考え方で行政をやればいいんだという考えはもうやめてもらいたい。戦後五十年たって世界経済も変わってきました。今、司馬遼太郎さんが、まさに日本の未来にあすはないということを言ってきたわけですよ。これは何かというと、明治のころからの日本人を追い求めてきた、そしてそういうものを一つ日本人の理想像を描きながらやっていたのだけれども、最近はどうもおかしいじゃないか。どこか、菅大臣がおっしゃったけれども、背骨というか骨がどこか筋が一本なくなってしまったのではないかということが言われておるわけですよ。  したがって、今の御指摘でありますけれども、私は、社会を変えなければいかぬじゃなくて、あなた方の考え方をもう改めていただきたい。そして、どうしたら厚生省として国民の期待にこたえる政策を打ち出すことができるかという観点から私はもう一回考え直してもらわなければならないと思うのです。  菅大臣、最後にちょっとお伺いしたいのは、今何点か御議論をさせていただきましたけれども、そういうものを踏まえて、厚生省として今後、大臣としてどう厚生省をリードしながらやっていかれるのか、最後にお伺いして質問を終わりたいと思います。
  21. 菅直人

    菅国務大臣 一般の商品でも、ある時期はある程度画一的なものをつくって大量に売れば、まあ初めのうちはそれで売れて使われてきたということがあったわけですが、最近は、そういう時代からやはりそれぞれの個々のニーズとかあるいは好みとか、そういう意味では、消費者により近い形で物事を発想して考えていこうという形が進んできているように思います。  そういう点では、今大畠さんもおっしゃったように、行政というものも、あるいは我々政治家自身もかもしれませんが、戦後四十年、五十年とたつ中でいろいろな制度をつくり上げて、それはある時期では非常にいい方向、少なくとも従来よりはより好ましい方向でやってきたのだと思うのです。ただそれが、制度ができて十年、二十年、三十年とたつと、今度は制度の方が先に来て、それを受ける立場の人の問題が後に来るようになっても、これは従来からこうやっているのだからという発想になってきた部分もあるのではないかなという感じもしております。  これは、障害者プランはある意味では一番弱い立場の人たちに対する問題でありますし、今からの最大の課題のもう一つであります高齢者公的介護の問題も、そういう意味では、そういうサービスを受ける立場の皆さんにとってその後のいろいろな政策がどういう形になるかということを本当に十分考えながら、その中で同時に、そうはいっても財政も非常に限定的ですし、そうかといってお役人の数を無限にふやせるわけではない。  私は最近、厚生省の中、外で、福祉を含めて、福祉の構造改革ということを考えながら、今大畠さんの言われたような、サービスを受ける立場の人とそれからサービスをいわば供給する仕組みとを、単に従来の発想ではない形で仕組みを変えながらより望ましいものにするにはどうしたらいいか、そういうことを議論をするように努めているわけですが、ぜひそういった考え方を含めて、今大畠さんの言われたようなことも十分念頭に置いて厚生行政を進めていきたい、こう考えております。
  22. 大畠章宏

    大畠分科員 ありがとうございました。
  23. 谷津義男

    谷津主査 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。  次に、栗原博久君。
  24. 栗原博久

    栗原(博)分科員 きょうは、私はエイズ対策の関連といたしまして、先ほど大臣から平成八年度の厚生省所管一般会計の所信の説明を承ったわけ ですが、その中でエイズ対策につきましては、エイズストップ七年作戦を着実に展開することということで、エイズ訴訟和解勧告を踏まえてという問題をとらえて、また菅大臣においても大変果敢な前向きな対応をしていくということで、この場をおかりしまして敬意を表したいと思います。  ただ私、これを見させていただきまして、問題は、血友病のエイズは何で起きたか。いわゆるこれは血液の問題で、私は今一番問わねばならぬことは、国内の血液の供給がどうなっているかということを実はお聞きしたいと思うのであります。  我が国は、私も農業出身でございますので、国内の食糧自給率の向上を訴えながら、穀物は二二%程度しかこの前の米の不足時は自給できなかった。あるいはまた、食糧全体も国内自給がもう四割を切っている。そういう中で、血液の国内自給もそれに近いわけでございますね。  今からさかのぼれば昭和三十九年に閣議で、我が国で必要とする血液はすべて国民の血液によって賄う、あるいはまたWHOでも、自国の血液は自国の国民において賄え、こういうふうに勧告を受けているわけですね。それを踏まえて今日までいろいろ施策を講じてまいったと思うのでありますが、しかしながら、今までの政府のとってきた対応は大変まずかったのじゃないだろうかと私は思っています。  今の天皇陛下は、実は今まで約十八回も献血をされております。年一回必ず献血にお出ましになるわけでありますが、皇太子様もそうでございます。私は、国民に対しまして献血のとうとさ、そして国民として献血をすることの意義、こういうことについて今まで厚生省として国民に問うものが足りなかったのではないだろうか。天皇陛下はみずからこうして毎年献血をされているわけでありますから、やはりそれだけ陛下も国民の献血のとうとさをお訴えになりたかったというふうに実は私は思うのであります。  その中で、昭和三十九年以来の閣議決定、まさしく放置されてきたわけでありますが、そこで一つお伺いしたいのでありますが、こういうことで、政府は今まで昭和三十九年の閣議決定をどのように踏まえて、そしてどのような対応をとってまいられたか。そして、ひいてはそれが他の国の売血に依存するあのようなエイズウイルスという恐ろしい病気を全く善良な市民、国民に与えてしまったという、その大きな責任を私はまず政府に問わなければならぬと思うのでありますが、ひとつ御所感を。大臣であれば一番よろしいのですが、大臣でうまくなければ、局長お答えください。
  25. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまの昭和三十九年の閣議決定、先生のお話のとおり、献血の推進について政府考え方を決定をしたものでございますが、これに基づきまして、国と地方公共団体、日赤の三者が一体になりまして、国民の理解と関係機関の協力を得ながら、献血思想の普及あるいは受け入れ体制の整備に努めてまいりました。そしてその結果、昭和四十九年には、輸血用の血液製剤は国内の献血血液で確保されるということになったわけでございます。  それから、昭和六十年八月に血液事業検討委員会から中間報告をいただきまして、血液製剤の自給体制を強化するということで提言がございました。それを踏まえて昭和六十一年の四月からは、従来から実施をしておりました二百ミリリットル献血のほかに、新たに四百ミリリットル献血、あるいは成分献血、そういったものを加えまして、新しい献血制度をスタートさせていただいたところでございます。  先生も御承知のとおり、血液は有限の資源でございますから、血液事業検討委員会におきましても、六十一年七月から血液製剤の使用の適正化を図るためのガイドラインを作成して、その普及を図っておるところでございます。  それから、エイズ予防法の制定に際しましても、昭和六十三年に衆参両院の社会労働委員会で、血液製剤の国内自給を促進するため、成分献血を含む新たな献血推進への幅広い国民各層の協力を求める体制を整備すること、特に血友病患者が使用いたします凝固因子製剤を献血血液によって完全に供給できる体制を早急に確立する、そういった決議がなされたわけでございます。  また、平成元年九月には、新血液事業推進検討委員会の第一次報告におきまして、安全な血液製剤の安定的供給を目指して国内自給の向上がうたわれまして、具体的には、血液凝固因子製剤につきましては平成三年度中に原則として国内献血による自給を達成すべく最大限の努力をする、また、アルブミン製剤あるいは免疫グロブリン製剤につきましては段階的に自給率を高めるということが提言をされました。  私どもそれを受けまして、国内自給率を高める努力をいたしてきたわけでございますが、先ほどの血液凝固因子製剤につきましては、平成五年に一部の特殊な製剤を除きまして国内自給が達成をされたわけでございます。それから、アルブミン製剤あるいは免疫グロブリン製剤の自給率につきましても、徐々にではございますけれども自給率が高まっておるところでございます。  さらに、平成六年十二月には血液問題検討会を設置いたしまして、輸血用血液製剤の安全対策というものに取り組んでまいりました。その報告が平成七年六月に取りまとめられました。日赤におきましては、この報告を受けまして献血時の問診の充実強化あるいは警告表示の改訂等を行いまして、これも平成七年七月から実施をいたしておるところでございます。  また、献血者のプライバシーの保護を図るために、日赤に対しまして、問診室及び検診車の整備のための国庫補助を本年度の第二次補正予算におきまして約一億円計上させていただいたところでございます。  今後の問題でございますけれども、このHIV和解勧告趣旨も踏まえまして、感染症や副作用の発生を早期に把握するために国内外の情報収集・提供体制の整備あるいはすぐれた検査法を導入することを検討いたしますとともに、新技術によりますウイルス検査法でありますとか、あるいは遺伝子組みかえ製剤、代替血液製剤等安全な製剤の開発促進いたしますとともに、万が一問題が生じた場合に迅速な対応を図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  26. 栗原博久

    栗原(博)分科員 政府の種々の対応など、厚生省があるわけですから当然それに対応していると思います。私が聞きたいのは自給率ですよ。要するに、数値をおわかりになったらひとつお教え願いたい。当時、昭和三十九年ごろからの大体の概括で結構ですから。
  27. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 輸血用血液製剤につきましては、先ほど申し上げましたが、昭和四十九年以降は国内献血ですべて賄っておるという状況でございます。  それから、血漿分画製剤でございますが、そのうちの血液凝固因子製剤につきましては、これは第Ⅷ因子製剤でございますが、毎年違いますが、二九%あるいは一二%、一四%、こういった数字が昭和五十四年、五十五年、五十六年でございます。その後、何としてもこの血液凝固因子製剤については完全自給を図るという各種の提言もございまして、平成五年におきまして、先ほど申し上げましたが、特殊な製剤を除きまして国内自給が達成をされたところでございます。  それから、その他の製剤でございますが、アルブミンの関係につきましては、例えば昭和六十一年、十年前ぐらいをとってまいりますと極めて自給率は低うございまして、昭和六十一年は六%、昭和六十二年は九%、昭和六十三年も九%ということで一けた台でございましたが、その後自給率の向上努力をいたしました結果、平成七年におきましては二四・一%ということに上昇をいたしております。  また、免疫グロブリンの関係でございますけれども、これにつきましても、例えば平成二年、このときには自給率は九%でございまして、平成三 年は一三%ということで一〇%前後でございましたけれども、平成六年は三一%、平成七年は四〇・四%ということで、これも今着実に自給率を高めておるところでございます。
  28. 栗原博久

    栗原(博)分科員 数字は細かいことは私わからないのですが、全体的に外国から持ってまいる血液の量は減っているのですか、どうなんですか。
  29. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 例えばアルブミンで申し上げますと、輸入の血液でございますが、平成五年が二百三十六万リッターでございます。平成七年度の場合はこれが二百十七万リッターというふうに減少をいたしております。また免疫グロブリンにつきましても、平成五年の輸入血液由来のものが九十七万リッター、それが平成七年におきましては七十五万リッターということで、これにつきましても輸入の血液については減少をいたしておるわけでございます。
  30. 栗原博久

    栗原(博)分科員 では、わかりましたが、輸入量は減っていると。血液凝固因子製剤はもう国内で賄っているということですね。そういうふうに解釈してよろしいですね。
  31. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 先ほど申し上げましたが、凝固因子製剤については自給体制はほぼ完全にできておるわけでございますが、アルブミン、グロブリンは、先ほど申し上げましたように輸入量は減ってはおりますけれども、自前で供給できる体制は、アルブミンは二四%でございますから、まだそれほど高くございません。グロブリンも、少しずつ上がっておりますけれども、現在四〇%の自給率、それ以外は海外からの輸入、こういうことでございます。
  32. 栗原博久

    栗原(博)分科員 私は、WHOも提唱しておりますが、我々国民の輸血の血はやはり国内でとることがまた人道上の問題だと思います。過去、ライシャワー大使が我が国でああいうような事故がありましてから、輸血に対して極めて国民の喚起を呼んだわけでありますが、それを踏まえながら、私は、どうも厚生省は、今エイズウイルスについてはいろいろ言っているけれども、その根本的な問題であった血液に対する対応がどうも手ぬるいと思っておるのであります。  そもそも、今ボランティア、ボランティアと言いますが、献血こそ我が国の最初のボランティアであるわけです。そういう中で私は、我が国の政府の対応がこの献血についてはどうも疎いのじゃなかろうかと思っております。  特に、先ほど局長さんが、厚生省それから日赤、地方自治体一体となって進めていると。では、自治体に対してどのような政策、どのような財政的な措置がとられているのかになりますと、自治省の方からお出ましになっているので後ほど聞きたいと思うのですが、全くゼロに等しい。ただ私は、そういう声が実は自治体から聞こえるのです。  そうすると、私がこの質問をしたのは、私の地元に新津市献血推進協力団体連絡協議会というのがございまして、夏井清次さんという方が会長をしているのですが、このエイズウイルスとの関連の中で、国内の輸血の必要性を訴えている。日本は、約四百ミリリットルの全血献血に換算しますと約一千六百八十万四千人の献血が必要である。ところが国内の献血は七百十四万人で、四二・五%である。そのために外国の輸入血液を、特にアルブミンとかグロブリンを原料としてこれを輸入しているということであります。  私は、日赤も努力していることはわかるのです。きょうも実は新聞でも報道されておりますが、このエイズウイルスについて中間報告が提示されました。その中で、一九八三年三月ごろですか、アメリカでこのような非加熱の血液製剤についてエイズウイルスの患者が出ているというような指摘があった。そのとき私どもは、きょうの新聞紙上にも出ておりますが、ベルギーとかノルウェーとかフィンランドなど、要するによその国から血液を輸入している国は皆、当時このエイズに敏感に反応して、それで血友病患者などのエイズウイルス感染を低く抑えるために、クリオ転換とかそういうものにしていたわけですね。  我が国はそのままずっと突っ走ってやってきたそうですが、その中で、私の主観的な考えですが、やはり当時の薬価差益ですね。特にこの血友病等は患者の数は少ないし、国内の研究者も少ないわけだから、やはりほかの薬品等の治験に比べて大変密室の世界だと思うのですよ。私は、過去にもCNPや現実の胆道がんについて、即刻このCNP農薬をやめろといって厚生省に何度も言わせていただいて、それは幸い、皆さんの方の検討委員会で、うやむやのうちにですが、それがとまったことも、一昨年、CNPの使用を禁止にさせていただいたわけですが、やはりこのエイズウイルスにつきましては、過去のこの薬価差益、特に私はいろいろ資料を見てみますと、当時はどうも差益部分が高いから、非加熱の血液製剤、早くとめればいいものを、とめるのが遅かったのではないか、私はそのように思うのですよ、資料等を見せていただきまして。私の考えが間違っていれば、それで大変結構なことだと思うのですが、事実そういう数字が見えるわけですから。  それから、例えば国内的にもやはり血液製剤を使っている。本当を言うならば、これはなかなか高価なものですから、使わせないような、そういう病院に対する指導も必要なのはいたし方ない。しかし、ある程度過剰な使用というものも、やはり行政の立場でこれは見なければならぬと私は思うのですよ。  例えば、この前、厚生省平成五年の献血率・血液製剤使用量マップというのを出されておりますね。これを見ても、国内で献血は都市部が低い。私ども田舎では高いわけですが、都市部で血液製剤の使用量が大変高い。例えば、ちなみに京都では一人当たり四百十七リットル、千葉では三百四十五リットル、こうしていながら、沖縄では四十五リットル、佐賀では五十リットルですね。数字には格段の差があるわけですね。私は、沖縄の人と京都の人で病気がそんな格段に違うとは思わないのです。これ一つを見ましても、厚生省がこういう指導体制、病院に対する指導というものを実際やっていたかどうか。これは質問の中に入っていなかったかもわからぬけれども、これも皆さん、今一番エイズウイルスにも関心があっていろいろ資料を持っていると思うのですが、なぜこういう差が出るのでしょうか。それについてお聞きしたいと思います。
  33. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまの御指摘の中で、薬価差の話でありますとか先生のおっしゃっておりますのは、恐らくこの適正使用の問題があろうかと思っております。  アルブミン製剤にいたしましても、これについては、例えば栄養補給の目的で使われておるとか、あるいは単なる血漿アルブミン濃度を維持するために使われておるとか、そういった使用の適切でないものについては、これは私どもの方から医療機関に対して適正な使用を行うように指導をいたしておるところでございます。
  34. 栗原博久

    栗原(博)分科員 今、局長の答弁では、私のような頭の低い者には理解できない答弁でありますね。私は、やはりこの血液問題を絡めて、適正な使用というものを、特に諸外国から、日本だけが血液を使い過ぎているというまさしくそういう批判もあることは、皆さん一番御承知と思います。献血というものはやはり善意の形で、そして無料で国民から血液の提供を受けておる。今、こういうエイズウイルスの問題の、外国はいわゆる売血、それを輸入しながら国内の薬品会社が薬として提供しているわけです。そこにやはり医療法人とのいろいろなこともあると思うのですが、これは、私がこの場で問うてもいたし方ありません。しかしながら、WHOからも言われているように、その国の血液はその国で賄う、そういうことについても、私はやはり国内の教宣活動等が必要と思うのです。  きょう自治省もお越したと思うのですが、地方交付税の中に市町村単位費用算定基礎というのがあって献血についての予算措置がされているやに伺っておりますが、きのうも伺いましたけれど も、地方自治法の第二条ですか、何かいろいろ市町村の仕事の例示がされておりますが、今でも地方自治法には行き倒れとかそういうものをやれと行政で処理されている。これだけエイズ問題、ウイルス問題が国論を沸かしているときに、包括的に入っているところはわからぬけれども、やはり私は市町村に献血の仕事を義務づける、そういうこともきちんと地方自治法に明記をしていただかなければならぬと思うのですよ。  私は地方自治法のこの条文を読んでも、もう全く今の時代にないようなことも書いてあるけれども、まさしく献血というものは地方自治体の仕事であるということをきちんと例示していただきたいと思うのですが、それについて皆さんの方から、予算措置はいいです、わずか三万かそこらしか献血しておりませんが、今後、地方自治体に対してどのような御指導をいただけるものか、お聞きしたいと思うのです。
  35. 伊藤祐一郎

    ○伊藤説明員 お答えいたします。  地方自治法の御指摘をいただいたわけでありますが、この地方自治法第二条第三項の規定でございますが、地方公共団体の処理する事務で国の事務に属しないものを概括的に例示いたしたものでございまして、地方公共団体の処理する個別具体のすべての事務を規定しているわけではないわけであります。  ただ、今御指摘もございましたが、その第三項の一番最初の号といたしまして、「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること。」というのを明示いたしておりますので、地方公共団体で行われております献血思想の普及につきましても、当然この住民の安全、健康及び福祉を保持することの一つであると考えております。
  36. 栗原博久

    栗原(博)分科員 わかりました。  先ほど局長さんからもお話がございましたけれども、日赤、地方公共団体、国等が一体となってこの献血を進められるということを、先ほど局長さんがおっしゃったとおりなんです。私は、地方自治体に対する指導機関の自治省といたしましても、国民もこれだけ血液について目を向けておるわけですから、やはりそれに対して万全の行政的な措置、そしてまた行政指導をされることを、御期待よりもひとつお願いしたいと思います。  さて、大臣にお聞きしたいのですが、連日このエイズウイルスの感染の問題についていろいろ報道されていて、国民は住専とこのエイズウイルスについてじっと見ているわけですが、大臣、ひとつ時間がないのでお聞きしたいのでありますが、私どもは新聞の報道の限りしかわかりません。しかし、私はやはり、みんな厚生省の担当官も一生懸命やっていらっしゃると思うのですよ。これはもうやっていらっしゃると思う。しかし、そこにこういう結果が起きた以上、やはりそこまでのプロセスというものは問わねばならない、これが私は今厚生省に求める一番重要な問題だと思っています。  ついては、安部さんという方が、材料をつくって業者から金をもらった。当時、やはりアメリカから、CDCから血友病についてのエイズウイルスの報告もあったということでありますが、先ほど私申したとおり、クリオ製剤等、そこにもう少し目を向けていただければこういうことはなかったと思うのですが、ひとつ大臣に、一九八三年前後のこの時点について、厚生省がやはり対応の遅かったことについて、どのようにお考えであるか。そして、もう大臣も腹をくくってこのエイズウイルスの感染者に対する賠償問題とか、あるいはまた今後の訴訟に対する対応とか、あるいはまた厚生省のエイズウイルスの対策についてはもう確固たるものをお持ちであると思うのですが、そういうことについて含めての御所見をひとつ承りたいと思うのです。
  37. 菅直人

    菅国務大臣 一九八三年当時のことについて、私もいろいろな事実関係を調査をしたり、あるいは従来からの報道などにもいろいろ触れているわけですが、基本的に、現在の姿勢としては、昨年の十月に東京地裁と大阪地裁から出された和解に付してあります所見の中で、この問題について相当突っ込んだ裁判所の指摘があります。その中では、国も、つまりは厚生省も、相当の危険性、つまりは非加熱製剤によるエイズウイルス感染の危険性が予想されたにもかかわらず、それに対して十分な、適切な措置をとらなかったことは一つの重大な責任がある、これは、もちろんメーカーも第一義的責任があるということが前提として、あわせて国も重大な責任がある、こういう指摘を受けているわけです。  この間のいろいろなことの判断の中から、二月の十六日の時点で、これは総理にも事前に報告をした上で、患者皆さんに対して、この裁判所の所見で指摘をされている重大な責任、メーカーに並んで国も責任があるということについて、これは認めていくということを表明させていただきました。  現在の基本的な視点はそういうことでありまして、さらに今いろいろな、実は一月の二十三日からスタートしたこの問題の調査プロジェクトが一カ月をめどに調査を進めているわけですけれども、相当膨大な資料が集まってきておりまして、最初、いわゆる郡司ファイルと言われるものは二月二十一日に公開をいたしましたし、また昨日は、プロジェクトの責任者であります事務次官によって現時点で公開できるものは第二段目として公開いたしまして、さらに残されたものについては二週間程度の間に、三月の中旬ぐらいまでにはできるだけ公開したいということで今進めております。  中身の詳細な判断については、そういういろいろなプロセスを開示する中から、またいろいろな皆さんから指摘を受けながら、さらに、なぜこういった不幸な経緯になったか、どういう問題があるか、将来の薬事行政をそういうものを踏まえてどう変えなきゃいけないか、これからの重要な議論ではないか。そのことは、国会を含めてぜひ御議論いただいて、厚生省としても、それをまた受けとめて、どうした改革をすべきかということを考えさせていただきたい、こう思っております。
  38. 栗原博久

    栗原(博)分科員 菅大臣の力量を期待しています。  私は、新潟でございまして、水俣病のところで、私の町から出ておるわけでございまして、これは三十年有余かかっているわけです。やはり水俣病の解決も、あなたのような大臣がもっと早くおられれば、これはもう水俣病はもっと早く解決していたと思うのですよ。どうかひとつ、そういうことで、大臣、私は強く期待しておりますので、あわせて、その原因でありますエイズウイルスの血液のことについても、どうか、私ども日本の国で賄えるように予算措置をされることを切望しまして、私の質問を終わります。
  39. 谷津義男

    谷津主査 これにて栗原博久君の質疑は終了いたしました。  次に、川島實君。
  40. 川島實

    川島分科員 新進党の川島實です。  最初に、大臣にどうしてもお聞かせをいただかなければならないことがございますので、お伺いをしておきたいと思います。  いわゆる住専処理のために六千八百五十億もの血税がつぎ込まれることが、平成八年度予算の中に組み込まれております。昨年、連立与党の間で住専処理に税金を投入することを決定して以来、国民の反発は日を追って大きくなるばかりであります。いわば国民の総意は、住専に税金を投入することに反対すると言っても過言ではありません。大臣は、これだけの反対がありながら、予算に住専の穴埋めのための税金を盛り込むことに賛成ですか。また、この方法しかなかったとお考えですか。率直な御意見をお伺いをしておきたいと思います。  また、大臣としての立場を離れ、一人の国民としてこの問題をお考えになったときもやはり同様なお考えであるかどうかもあわせてまずお伺いをしておきたいと思います。
  41. 菅直人

    菅国務大臣 これはどういう立場でお答えをするかということがあるわけですけれども、今の所 管ということを少し離れて私の個人的な見解をということの御質問も含まれているようですので、そういう立場で若干の意見を述べさせていただきますと、今回の住専の問題というのは結局はバブルの発生とその崩壊の中で起きたことだということはもちろん全国民が知っているわけです。一九八五年の日本の地価総額は一千兆円でありまして、それからわずか五年後の一九九〇年の地価総額は二千四百兆円。わずか五年間で千四百兆円、これはたしか経企庁のデータですが、猛烈な勢いで地価が高騰して、その後の五年でまたさらに七、八百兆円の今度は下落があったという、まさにアメリカ以上の大変なバブルとそれの崩壊を我々は経験したわけです。  先ほど司馬遼太郎さんのことを別の委員の方もおっしゃっていましたが、まさにその中に政策的な間違いもあり、あるいは政治的な判断の間違いもあり、あるいはいろいろな、銀行や一人一人の国民の中でもあるいはそういうものに乗ってしまった、乗せられてしまったという大きな間違いというかがあり、反省が必要だというふうに私は思っております。そういう非常に大きなバックグラウンドの中で、今回の住専という問題をどうするかということが出てきたと思っております。  結論的に申し上げますと、もちろん私も閣僚の一員でありますから、この六千八百五十億の予算を出すということについては私も賛成をいたしたわけであります。もちろん、国民皆さんがそのことについて大変疑問だ、反対だという声が非常に強いということは十分に承知しておりますし、その気持ちも十分感じているわけであります。そういった点では、責任の問題というものをこれはもっともっとしっかりさせて本来なら提案をすべきであったかということもありますけれども、しかし、同時に言えば、ではこの五年間、三年間、いろいろな時点がありますが、それぞれの時代の政権はこの問題を半ば、それはお役人かもしれませんが、知りながら、結局のところその段階では手がつかなかった、先送りにしてきたという経緯があることもよく御承知だと思うのです。そういう点を考えますと、昨年の段階で、つまりは来年度の予算の中でこの問題はもう断固として処理するのだという決断をするかしないかというのが、私はその時点における政治家としてのあるいは重要な判断であったろうと思っております。  そういう点では、景気がなかなか浮揚しない中で、大型の補正を何回組んでもなかなか浮揚しない中で、やはり最大の重荷となっていたこの問題に一つの解決のめどをつけるということは、私は大変必要性が、全国民的な経済、景気の対策の面からも重要であったと思っておりますし、信用回復の面からも重要であったと思っておりますので、私は、そういった国民の大変強い疑問や反対があるということを十分に踏まえながら、それにこたえられる今後の責任のとり方、今後のいろいろな対応の仕方を含めて、しかしながらこの六千八百五十億については予算の中で成立をさせてほしい、そういうふうに考えているというのが私の立場であります。
  42. 川島實

    川島分科員 次に、年金の問題についてお伺いをいたしたいと思います。  高齢化時代を迎えまして、これから二〇一五年ぐらいまでに六十五歳以上の高齢者がずっとふえ続けていくわけでございます。特に厚生年金の方は、一六・五%から二九・六%、三十年間かかって段階的に引き上げ、それからボーナス時の一%もございます。国民から言わせますと、掛金の方は値上げをすることが見えてくるわけでございますけれども、受給の面は、もらう方の関係は五年ごとの再計算でいかれる。その辺のところが国民にとって非常に理解がしにくい状況であるわけでございます。  おまけに年金の積立金が一兆二千億ぐらいですか、ある。それをいろいろ保険会社に委託をしたり信託会社に委託をしたり投資会社に委託をしたりして運用しておる。そのことの中で、株式の投資で運用失敗して赤字を出す。それが、元金に損害を与えることなく収支が利益を上げておって、利益の部分でその運用者が失敗をするということについては国民から理解が得られるわけでございますけれども、今の状況は、ずっとここ数年、元金に食い込む形での運用失敗。では一体だれがこの責任をとるか、こういう問題点もございまして、いろいろ時を見て聞いているわけでございますけれども、なかなか中身が、責任をとる人がいないものですから責任のある答弁が出てこないわけでございます。  これらの事柄について、高齢化時代を迎えて、今回の旧国鉄の分の一元化問題といい、厚生年金の会計部門では一段とまた一千億以上の負担がかかるとか、高齢化が急激に進むために、平成八年度で千五百億ぐらいの、新たな高齢者が入ってきてその受給に対しての大幅な費用負担がかかるとか、いろいろな問題点がいっぱい出てきておるわけでございまして、これらの問題について、時間の許す限りひとつ具体的にお伺いをしておきたいと思います。  それでまず一つは、年金積立金の運用について、元金に損害のない形での検討というのがなされているのかいないのか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  43. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 自主運用事業の関係でございますが、自主運用事業は、先生御承知のとおり、財政投融資の方から固定金利で借りてきまして運用するということでございまして、先生御指摘のように、この数年、株の下落あるいは為替相場の円高、こういうふうな状況が続きまして、さらには非常に低金利というのが続いてきているわけでございます。そういうことで、結果といたしまして約七千億円の赤字になっている、こういう状況であるわけでございます。  これは、先生御指摘のように、まさに赤字であってはいけない事業でございますので、この辺につきましては私ども非常に重大に受けとめているわけでございまして、やはりこの制度そのものは、また年金財政というのは若いわけでございますので、二十年、三十年かけて長期運用しなければいけないということで、長期運用にふさわしい形でやっていく必要がある、こういうことで、これまでも内部的な資料ではあったわけでございますけれども、七年度からははっきりした長期の基本ポートフォリオというのをつくりまして、これを金融機関の方にちゃんと提示をいたしまして、これに基づいて運用する、こういうふうなことで長期運用に徹して、これによって今までの運用の赤字の解消に当たりたいと思っております。  ただ、赤字と申しましても、これは本当に元本そのものが割れたというわけではございませんので、財投の金利に比べまして運用成績が下回った、こういうことでございますので、誤解がないようにお願いしたいと思っております。
  44. 川島實

    川島分科員 その辺のところが国民にはわからないわけですね。なぜ財投からそんな高金利のものを借りて、赤字を出してまで運用しなきゃいけないか。借りなければそんな汚名を着せられることはないわけです。  それで、現状をちょっとお伺いしますけれども、まず、現在財投から借入金が幾らあって、それが信託とか保険会社とか投資に充てている金額が幾らで、そしてまた福祉施設につき込んでいるお金が幾らで、福祉施設が黒字か赤字か、その決算がどういう状況になっているか、それから、遺族年金や障害年金にこれらを払っている部分が幾らか、そういう具体的な数値をちょっと教えていただけませんか。さらにまた、住宅ローンだとか教育ローンも新たに行われているようでございますので、それの貸出金額も。昨年度の残高で結構でございます。
  45. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 先生のおっしゃられたすべての数字、ちょっと見当たらないわけでございますけれども、まず自主運用事業について申し上げたいと存じます。  自主運用事業は、六年度末でございますけれども二十一兆八千五百億円となっているわけでございまして、生命保険への委託額がそのうち約七兆六千億円、それから信託銀行への委託額が十二兆 六千五百億円、それから自家運用、これは年金福祉事業団がインハウスという形で運用しておりますが、これが約一兆六千億円でございます。  それから還元融資の関係で行っておりますものがございまして、平成六年度末の貸し付けの残高でございますけれども、福祉施設の設置の整備資金が三千百六十七億円。それから被保険者の住宅金融が十兆二百十八億円。それから年金の担保貸し付けというのがございまして、これが八百四十九億円。それから、六年度から始まりました年金教育資金が、途中から始まりまして非常に少のうございまして二十七億円、こういう状況でございます。
  46. 川島實

    川島分科員 これで、財投から借りている金利とおのおのの貸し付けている金利の差額を全部おっしゃってくださった。これは前もって通告をしてございまして、きょう質問をする以前にきちっと表にして出しなさいと言っても出してこないんですよ。きちっと解明しようと思ってもなかなか資料をよこさない、非常に閉鎖的な今の年金会計なんです。我々はいろんな角度から、将来的にどうあるべきかという形でいろんなアドバイスをすることができ得ない状況になっていまして、その辺のところを、委員長、ひとつ十分注意しておいてください。資料要求をしたらきちっと出すように。隠すことじゃないです。
  47. 谷津義男

    谷津主査 資料要求に対してはきちっと出すようにこれからもお願いします。  近藤年金局長、はっきりと答えてください。
  48. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 自主運用の関係のものは明確な形で計算できるわけでございまして、六年度の運用で申し上げますと、平均の借入率が五・四四%、それで運用の利率が二・六七ということで、マイナスの二・七七になった。これが約五千八百億円の赤字になった、こういうことでございます。  それから福祉施設につきましては、これは非常に長期の貸し付けでございまして、その間にいろいろな入れ繰りがあるわけでございますので正確な計算というのはできないわけでございますが、基本的には、住宅貸し付けを除きますと、財投のそのときそのときの預託金利以上の貸し付けを行っておりますので、住宅の関係だけではその分でマイナスが出ているということでございますが、全体から見れば大きな影響はない、こういうふうに考えております。正確な数字につきましてはなお精査させていただきたいと思っております。
  49. 川島實

    川島分科員 あなたたちはきちっと中で資料を持っているのですね。信託に貸している貸付金は幾らで、それが幾らの利息の形になっているか、保険会社は幾ら、投資会社の関係は幾ら、全部なっているじゃないですか。それをどうして発表しないのですか。
  50. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 自主運用の関係で申し上げますと、先ほど申し上げましたように、生命保険会社への委託というのが七兆六千億余りでございまして、約三五%でございます。それから信託銀行への委託というのが十二兆六千五百億円でございまして、これは約五八%でございます。それで、利回りでございますけれども、生命保険の場合が二・三三%、それから信託銀行が二・六九%、それから自家運用でやっておりますのが四・一二%、これは六年度の数字でございます。
  51. 川島實

    川島分科員 最近の利率はどうなっているのですか、私どもが持っている資料と違いますけれども。
  52. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 現在の一番新しい数字が六年度でございまして、七年度はまだ執行中でございますので、その数字は持ち合わせておりません。
  53. 川島實

    川島分科員 それでは、福祉施設の決算状況はどうなっているのですか。三千百億をお貸しをしておる決算状況の取り扱いは、この自主運用部門でどういう扱いになっているのですか。
  54. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 福祉施設は、これは自主運用事業とは全く別の経理になってございます。
  55. 川島實

    川島分科員 例えば、福祉施設に貸し付けてあげておるのは、この年金運用事業団とは別に子会社になって貸し付けているのですか。それはどういう関係になっているのですか。担保物件は年がたつ段階で全部減価償却していますと建物が少なくなって財産が減るわけでしょう。決算をすると赤字になってくるわけでしょう。そうすると、貸し付けておる金額を戻さないということが、取りはぐれが出てくる。これが郵政事業でたくさんあって大変な問題を起こしたことがあるわけですね。だから聞いているのですよ。同じような轍を踏むことをお金をつぎ込んでやって、だから民間に移行しなさいというような形のことが言われる。これが行政改革の部門に入るわけですけれども、実態を全然明らかにしない。
  56. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 ちょっと仕組みを申し上げますと、年金福祉事業団で還元融資も行っておりますし、それから自主運用事業も行っているわけでございますけれども、これは経理は完全に区分されておりまして、全然別会計でやっている、こういうことでございます。  福祉施設の関係でございますけれども、年金といいますのは、これは長期にわたって保険料を出していただいておりますので、その納付していらっしゃる期間につきましても、これは被保険者にある程度御理解いただかなければいかぬ、還元をしなければいけない、こういうことで設けられているものでございます。先ほど申し上げましたように、還元融資の貸し出しの金利というのは、住宅貸し付け、これらにつきましては住金と同じ基準でやっておりますので財投金利よりは低うございますけれども、その他の貸し付けにつきましては財投金利あるいはそれにプラスアルファという形で決まっておりますので、必ずしも低利の運用ということにはなっていないわけでございます。  福祉施設でつくりましたものにつきましては、これは住宅の関係とか、融資の関係で行いましたものにつきましては当然保証がついておりまして、三十年なり三十五年をかけまして還元をしていただく、返していただいております。それから、福祉施設の関係、先生御指摘のように、建物などにつきましては減価償却があるわけでございまして、これにつきましては決算の中で御報告を申し上げまして、減価償却分は積み重なりまして赤字という形で公表いたしております。
  57. 川島實

    川島分科員 だから、福祉施設に三千百億貸しておいて、それが福祉施設の決算が幾ら、残高の累積赤字というのは幾らあるのかということを聞いているのですよ、経営状況はどうですかと。
  58. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 累積の欠損額でございますが、年金福祉事業団が運用以外の部分で運用いたしておりますものでございますけれども、これの累積の欠損額は七年度の見込みで六百四十八億円でございます。
  59. 川島實

    川島分科員 あとの住宅ローンだとかほかの貸し付けについては、財投から借りたものよりも利率が高いから心配ない、こういうふうでいいのですか。
  60. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 住宅がほとんど大部分でございまして、これは住宅金融公庫と実質的には同じ利率になっておりますので、これは財投金利より低くなっております。この分は当然のことながら赤字になっているということでございます。
  61. 川島實

    川島分科員 しかし、従来は住宅金融公庫も高い時代がありましたですね。五・五ぐらいで貸しておったのではないですか。今財投から借りているものは四・五以下じゃないですか。
  62. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 これは財投金利に連動いたしまして住宅金融公庫も私どもの年金福祉事業団の住宅の貸し付けも変動いたしているわけでございまして、そのときそのときに比べますと、必ず低い利率にいたしております。したがいまして、その分につきましては、私どもの方では年金の特別会計の方から交付金という形で埋めていただいている、こういうことでございます。これがまさに福祉施設ということでございます。
  63. 川島實

    川島分科員 そうすると、この年金福祉事業団というのは、お金は高い利息で財投からお借りを しても、通常の銀行金利で、自由化時代だから低くて赤字を出したって知らぬ顔、別に累積になってどうのこうの言われても責任を何もとらないでもいい、努力も何もせぬでもいい、こういう受けとめ方もできるわけでございますけれども、それでよろしゅうございますか。赤字はどうやって埋めるのですか。
  64. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 まさにそれが福祉施設ということでございまして、先ほども申し上げましたように、年金制度というのは主として老齢年金ということでございますから、納めている期間についてはほとんど恩恵がないわけでございます、被保険者は現役でございますので。その現役の方々が家を建てよう、それからお子さんの教育資金に充てよう、こういうことにつきましてはこれは還元融資という形でございますので、ある程度は低利。したがって、国がといいますか特別会計が負担をする、こういう形で行われているわけでございます。住宅金融公庫の場合は一般会計でございますけれども、私どもの方は特別会計、こういう形で補てんをしていただいている、こういうことでございまして、これはもともとそういう目的でつくっております。
  65. 川島實

    川島分科員 そうすると、今貸し付けている部分の差額分は一般会計から全部出て補てんをされている、こういうことですか。
  66. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 一般会計ではございませんで、特別会計の方で住宅の貸し付けにつきましては補てんをしていただいている、こういうことでございます。
  67. 川島實

    川島分科員 では、平成八年度ではどれだけの補てんの金額があるのですか。
  68. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 貸付利子の補給金は百九十七億でございます。これは特別会計の方に計上いたしております。
  69. 川島實

    川島分科員 そうすると、あとの赤字分は完全に運用失敗、こういうことになるわけですね。これは失敗になっても全然責任をとらなくてもいいのですか、年金の自主運用の部門の責任者というのは。だれなのですか、厚生大臣なのですか。
  70. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 直接の責任と申しますのは年金福祉事業団という形になるわけでございますけれども、事業団という形はこれは厚生省も一体として推進していっておりますので、私どもこれについては非常に深く受けとめているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、やはり長期運用という形に徹するような形で、この赤字はぜひとも挽回したいしさらに上積みを図らなければいかぬということで、これにつきましては私ども懸命に頑張っている、こういう段階でございます。
  71. 川島實

    川島分科員 三十分あってもまだいっぱい質問がありまして、例えば若い人たちが年金をかけない人たちが非常にふえている。百五十万もおる。その損害額が赤字で三千七百億も消えている。これは大変な問題なんですね。  現在あなたたち運営している積立金の厚生年金の場合なんかは、利息がなくても元金だけでも何とか将来もらうときに、二十からずっとかけておけば六十五歳からもらう受給率でもやれるのですよ。その利息が五・五の場合だと四倍ぐらいお金がありますし、そして低い金額でも複利を呼びますから非常にあるわけなんです。  だから、我々は積立方式で明らかにせよと言っても、それはだめですよ、賦課方式というか成熟度という形で、前年度の受給の分で何年度、今年度の成熟度がどうだと、非常にわかりにくいのですね。だから、何も財投から赤字になるのに借りなくても、財投での運用に任しておけば年金の方の関係はマイナスにならないわけでしょう。それでなければ、ちゃんと国からその年度の政策としての福利事業としてきちっと出してもらえばいいですよ、何も借りなくたって。どうしてもやらなければいかぬということであれば。この辺の理解ができないのです。  アメリカの、株式投資でもうけてだあっと職員共済組合で何百倍の大きな金額になっているというのは、元金に全然損害を与えていないですよ。利息の部分で全部利益を上げているわけですから。あなたたちのやっていることは、そのことを頭に入れながら、もうかるだろうもうかるだろうと三年も四年も元金の方まで食い込むような状況なんというのは、国民に理解できないですよ。それなら、自由金利時代ですから、自分のところで年金を集めて全部やっているのなら、財投へ入れる前に安い金利で借りてきて胸張って堂々と運用できるようにしたらどうなんですか。  時間がございませんので、この問題について厚生大臣に、ぜひひとつ何らかの形で国民にわかりやすくメスを入れていただきたいと思いますが、その決意をお伺いして終わりたいと思います。
  72. 菅直人

    菅国務大臣 厚生年金の自主運用について、私も川島さんの質問の準備のために、いろいろ聞いていろいろ調べてみました。今局長からも話がありましたように、あるいは川島さんからも指摘がありましたように、言葉はともかくとして、本当の自主運用になっていないのですね。つまりは、被保険者ですか、年金として払っていただいたお金を自分で運用しているのではなくて、一たん資金運用部に全部積立金として預託をして、ただ、いわばそこからまた借り出す形でその部分を運用する。ですから、実際上の完全な自主運用にはなっていないわけです。そういう中で、借りたお金の金利と運用した利回りが逆ざやになって赤字を出した。  ですから、自主運用をすること自体がいいのか悪いのかという根本的な議論もあろうとは思うのです。その部分については、これは諸外国の例とかいろいろな例もありますけれども、確かに私もこういう資金をどういう原則で自主運用すべきかということは十分慎重にしなければいけないと思いますが、逆に言えば、いわゆる一般の金融機関の金利よりも、長い目で十年、二十年、三十年という目で見れば、平均的な利回りというのは株式投資もある程度高いというのが従来は言われていたことで、確かに今経済構造は変わっていますから、そういう問題も含めて場合によっては考えなければいけないのかもしれませんが、そういう中で事が進んでいるわけです。  具体的なことで若干申し上げますと、平成七年度及び八年度の予算要求において、年金資金の長期運用にふさわしい仕組みとして、特別会計から直接年金福祉事業団へ運用を寄託する、運用寄託方式を実は財政当局に要求をした経緯が過去にあるわけです。しかし、残念ながら財政当局は、やはりそういう直接の自主運用どいう形はなかなかオーケーが出ない、理解が得られなくて、そういう中で、今申し上げたように一たん入れた中でまた借りるみたいな形でやってきているということがあるわけですっ  ですから、こういう仕組みがこうした問題としてふさわしいのかということも含めて、また長期のこういう百兆を超えるような大きな原資の中から、今二十一兆ほどやっているわけですが、相当大きな問題ですから、それをどういう形で運用していくことが国レベルとして、あるいは被保険者、将来の年金受給者としていいのかということはいろいろ慎重に検討していかなければいけないと思っておりますが、今川島さんのいろいろな指摘については私も十分頭に入れながら、今申し上げたような面も含めて、いろいろと仕組みのあり方など変えるべきところがあれば変えるように検討していきたい、こう思っております。
  73. 川島實

    川島分科員 時間ですから終わりますが、あと基金だとか国民年金だとか、手続の問題だとか、細部で問題点がいっぱいあります。だからひとつ国民にわかりやすい形で、国民の理解が、受け入れることができるような改革をぜひひとつ大臣にお願いをして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  74. 谷津義男

    谷津主査 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  75. 谷津義男

    谷津主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生省所管について質疑を続行いたします。根本匠君。
  76. 根本匠

    根本分科員 自由民主党の根本匠です。  私、厚生委員会の大臣所信の質疑の段階で、エンゼルプランゴールドプラン、そして障害者プランについての質問をさせていただきましたが、時間の関係上、障害者について基本的な考え方にとどまりましたので、この予算委員会分科会で、障害者プランの具体的な課題などにつきまして御質問させていただきたいと思います。  私が障害者プランを重視しますのは、お年寄りや子供に至るまでバリアフリーの社会づくり、これが二十一世紀に向けての国政の重要な課題の一つだ、こう考えております。障害者にとってのバリアフリーは、お年寄りや子供、体の弱い人々にとってもバリアフリーになるわけでありますから、その意味では、障害者プランはバリアフリーの社会づくりの骨格をなすものだと思います。  障害者プラン、これは自由民主党を中心に連立与党で総力を挙げて推進してきたものでありまして、このプランの画期的なところは、関係省庁の施策を横断的に盛り込んでおりますし、特にグループホーム、福祉ホームの整備あるいはホームヘルパーの増員、この数値目標を明記しているところに特徴があるわけであります。  障害者プランについて具体的な内容を明らかにしていきたい、こう思います。  まず第一に、障害者プラン、これは数値目標を設定したという意味だけではなくて、さまざまな内容が盛り込まれております。そのうちの一つは、昨年の法改正で精神障害者福祉を法律に明確に位置づけたことの具体化それから、難病患者に対する福祉施策の実現であろうかと思います。このプランにおいては具体的にどのように位置づけて、八年度予算においてどのような内容を盛り込んでおるのか、まずこの点につきまして考え方をお伺いしたいと思います。
  77. 松村明仁

    松村政府委員 精神障害者福祉施策につきましては、委員御指摘のように、昨年、精神保健法を精神保健及び精神障害者福祉に関する法律というふうに改めさせていただいております。精神障害者福祉施策を法律上明確に位置づけたわけでございますが、これをどのように具体化していくかが今課題となっております。  今回の障害者プランでは、精神障害者につきましても、ノーマライゼーションの理念の実現に向けまして、地域の中でともに生活を送れますよう、例えば社会復帰施設やグループホームにつきましては、現在の数値の四倍から五倍の数を整備するという高い目標を掲げさせていただいております。また、新たな地域生活支援事業創設あるいは各種の地域精神保健福祉施策充実等を講じることといたしております。また、心のバリアを取り除くために、正しい知識の普及啓発等を通じて精神障害者に対する社会的な誤解や偏見の是正に取り組んでいくこととしております。  こういったことを踏まえまして、精神障害者保健福祉関連予算につきましては、平成七年度の八十七億円から平成八年度予算では百二十七億円の、対前年度比一四六%の大幅な増の予算をお願い申し上げているところでございます。  また、難病患者に対します福祉施策につきましては、障害者プランにおいて、「難病を有する者に対して、関連施策としてホームヘルプサービス等適切な介護サービスの提供を推進する。」こういうことにされておりました。  これを踏まえまして、平成八年度の予算案では、在宅で介護が必要な状態にいらっしゃる難病患者さんのうち、従来、福祉施策の対象外となっていた方々に対してもホームヘルプサービス、ショートステイ、日常生活用具の給付などのサービスの提供を行うことといたしまして、新たに二億一千万円の予算をお願いしておるところでございます。
  78. 根本匠

    根本分科員 施策が非常にきめ細かくて、しかも八年度予算、これは障害者プランの初年度に当たるわけでありますけれども、強力に取り組んでおられまして、さらに今後とも重点的にやっていただきたい、こう思います。  それからもう一点、プラン推進予算面の措置として、精神障害者社会復帰施設あるいはグループホームの重度加算、これらについての質的な改善、要は単価改善も行われていると思いますが、その具体的な内容をお伺いしたいと思います。
  79. 松村明仁

    松村政府委員 障害者プラン推進のための予算面の措置といたしましては、御指摘のように、平成八年度予算案におきまして必要な単価改善も盛り込んでいるところでございます。  まず、精神障害者社会復帰施設につきましては、施設の機能強化運営の安定化、設置の推進を図るために、援護寮あるいは授産施設につきましては、一施設当たりの職員配置をそれぞれ一名増員いたしまして、これに伴い、例えば援護寮については、年額二千四百九十六万円から三千二十二万円に補助基準額を引き上げることとしたところでございます。  また、精神薄弱者のグループホームにつきましても、重度の精神薄弱者の地域における自立を促進するために、これらの方々が御利用することができるように、グループホーム一カ所当たり年額三百四万円の運営費補助に加えて、重度精神薄弱者一人当たり七十五万九千円の加算制度創設することとしているところでございます。
  80. 根本匠

    根本分科員 私も、障害者プランで相当具体的な施策目標を掲げたわけでありますが、量的な目標に加えてやはり中身の質的な改善が必要だと思いますので、今後とも取り組んでいただきたい、このように思います。  それからもう一点、障害者を持つ親の方が一番心配しているのは、自分たちがいなくなった後どうなるのか、こういうことが非常に大きな心配事になっております。これらの残された、つまり、親がいなくなって残された後の知的障害者などに対して障害者プランではどのように対応することになっているのか、お伺いしたいと思います。
  81. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 知的障害者の関係につきまして、親御さんが亡くなられた後の対応ということで直接的に掲げたわけではございませんけれども、親御さんが亡くなられた後も安心して生活が送れるような施策充実していかなければならない、そういうような角度からさまざまな対応をいたしておるわけでございます。  一つには、やはり身近な地域において安心して生活ができるということが大事でありますし、もう一つは、比較的軽度の方については、できるだけ自立できるような支援をしていくということが重要だというふうに思っております。  そういった角度で、例えば住まいの場という意味では、グループホームあるいは福祉ホーム、こういったものの整備をさらに計画的に推進していく、あるいはまた重度の知的障害者の方についても、グループホームの利用が進むように新たに運営費の加算制度創設するとか、こういうようなことをやっております。  また、在宅での介護を必要とする知的障害者の方に対するサービスの充実という面では、ホームヘルパーを増員する、あるいはデイサービスセンターとかショートステイの実施箇所数を増設していく、こういったようなことを掲げております。  また、介護が必要な重度の知的障害者の方につきましては、生活あるいは療育の場としての更生施設整備というものを計画的にやっていく。  このようなことを総合的に盛り込んでございます。
  82. 根本匠

    根本分科員 次に、プランにおいては幾つかの新規事業創設がありますけれども、その具体的な内容を説明していただきたいと思います。
  83. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 障害者プランの中で、基 本的に基幹的な施策について政策目標を具体的にしていくということでの数値を入れた部分、保健福祉関係が多いわけでございますが、このほかに新規の事業ということで、いろいろな角度から検討してプランの中に入れたものがございます。  それは、端的に申しますと、いろいろな施策がございます中の最初の出発点となる分野でございます。身近な地域におきまして、障害を持った方々に対しまして総合的な相談、生活支援あるいは情報提供を行うといったようなことによりまして、それぞれの地域障害者の方々の生活や障害を持った子供さんの療育を支えていこうというようなことをねらいとする事業でございます。そういう意味では、地域でともに暮らすという基本理念に沿った形での入り口の考えでございまして、三点ほどございます。  第一は、市町村障害者生活支援事業ということにいたしてございますが、これは、在宅の障害者やその家族が地域の中で普通に生活していくことを支援するために、必要な在宅サービスの利用援助、あるいは働く場であるとか自立のための情報の提供、あるいはいわゆるピアカウンセリング、仲間による相談活動でございますが、その実施などを総合的に支援する体制を整備したいというのが第一でございます。  二つ目には、障害児・者の地域療育等支援事業と銘打ってございますが、それぞれ地域の拠点となる施設に中心になっていただきまして、一つには、障害児の通う保育所の職員あるいは心身障害児の通園事業実施している職員に対しまして療育技術についての指導を行うとともに、障害児やその保護者を対象にして訪問指導といったようなことを行っていこうというものでございます。もう一つが、拠点となります施設にコーディネーターを配置いたしまして、福祉サービスに関するもろもろの相談あるいは利用の連絡調整等を行っていただこうというものでございます。  第三が、精神障害者地域生活支援事業と名づけてございますが、精神障害者社会復帰の促進、それから自立と社会参加の促進を図るために、地域で生活する精神障害者の日常生活の支援であるとか日常的な相談への対応、あるいは地域住民との交流を支援するといったような事業実施したいというものでございます。
  84. 根本匠

    根本分科員 非常に広範な分野でいろいろと新規施策も盛り込まれておりまして、私は、障害者プラン、これは今現在考えられる最大限の施策を盛り込んだものだ、こう評価しております。この障害者プランについて少し確認的に質問させていただきたいと思います。  今回の障害者プランには、厚生省関係の数値目標が数多く設定されております。この目標値の考え方についてどうか、この点の質問であります。  例えば公共事業の五カ年計画、下水道普及率あたりが一番わかりやすいわけでありますが、この五カ年で普及率を何%から何%にしますと、公共事業の五カ年計画は着実に五カ年ごとに計画的に整備しようという計画で、目標もそういう形での目標になっておりますが、このプランの数値目標は今の段階で考えられる充足目標だろう、こう思うのですけれども、この目標数値の意味合いについて改めて確認したいと思います。
  85. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 今回の障害者プランの最も基幹的な力を入れたところがこの目標数値で、中長期的な目標を設定して計画的な施策推進を図ろう、国、地方自治体関係者がそれを目指して取り組んで施策推進を図ろうということでございます。  具体的に、それではその数値目標はどんな考え方に基づいて設定しておるかという点でございますけれども、今回のプランにおきましては、ホームヘルパーの増員でありますとか需要の高い施設計画的な整備といったようなことを中心に、平成十四年度末までの整備量について数値目標を設定したところでございます。この数値目標の設定に当たりましては、原則として、計画の目標年次であります平成十四年度末において、それぞれの施設であるとか事業の利用についての障害者の方々のニーズに対応できるようにすることを政策目標として、さまざまな調査結果等を根拠に設定をしたというのが考え方でございます。  若干具体的に申させていただきますと、例えば身体障害者の療護施設、重度の障害者の方々の入られる施設、この施設につきましては、待機者を解消するということを基本的に目標といたしました。また、グループホーム等につきましては、利用希望者数を推計いたしまして、これに対応できるだけの事業量を確保しようという考え方でございます。  それから、ホームヘルパーなどの在宅介護サービスにつきましては、要介護の程度ごとに障害者数を推計いたしまして、介護度に応じたサービス標準を設定いたしまして、高齢者の場合を参考にしつつ、障害者特有のニーズにも的確に対応できますような水準を設定しまして、全体としてのサービスの必要量を確保できるような水準ということで設定したところでございます。  なお、そのほかの分野についてでございますが、精神障害者施策については、既にお話があったかと思いますが、若干他の分野に比べて整備がおくれております精神障害者施策につきましては、最近の整備量にかんがみまして、平成十四年度までに実現可能な水準を目標として設定したところでございます。  それから、障害児の地域生活を支えます各種事業につきましては、広域的な行政圏域ごとの事業実施によりまして全国をカバーしたいというようなことを目標といたしまして設定したところでございます。  こういったような考え方で目標設定をしたわけでございますけれども、まずはその達成に向けて最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  86. 根本匠

    根本分科員 おおむね目標年次においてニーズを充足できるような水準だ、国全体としてマクロ的に見ればというお話でありましたが、私は、国全体としておおむね目標が充足できる目標ということでありますけれども、やはりこれから重要なのは国と地方一体となって取り組むということでありますから、これをどう地方のレベルで具体的に目標が充足できるような形におろしていくか、あるいはやっていただくか、これが大きな課題だろうと思います。  ゴールドプランはもう歴史が六年ぐらいありますから、しかも、市町村計画までつくって、フィードバックして新ゴールドプランをつくったということで、地方にゴールドプランは非常に根づいてきておりますが、障害者プランはこれからの段階で、これから地域にいかに定着させていくか、これが大きな課題だろうと思います。  その意味では、一つの手法としては、市町村でも障害者プランを策定する、こういうものが決め手になるだろう、こう思っておりますが、厚生省として、市町村障害者プランを策定することについての支援あるいは市町村、自治体での取り組みへの支援、この点をどう考えているのか、お伺いしたいと思います。
  87. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 障害者プランの実行に向けて、市町村段階での取り組みに向けてどういうふうな対応があるかということでございます。  今、先生からお話がございましたように、高齢者の関係につきましては、老人保健福祉計画が昨年義務づけられて展開をしているわけでございます。今回の障害者プランの着実な実行ということにつきましては、ただいまお話がございましたとおり、国、地方公共団体、一緒にやるわけでございますが、なかんずく、地域を統括します地方公共団体の意欲的、計画的な取り組みが大変重要であると私どもも認識しておるところでございます。  この障害者関係の地域計画という面につきましては、平成五年十二月に制定されました障害者基本法によりまして、各都道府県、市町村障害者計画の策定努力義務が設けられたところでございます。これをよりどころにいたしまして、この障 害者基本法の規定を受けまして、内閣官房副長官より、障害者基本法制定の趣旨等につきまして、各都道府県知事、指定都市市長に対しまして通達が発せられておるわけでございますが、その中で、障害者計画の策定につきましても周知が図られているところでございます。  さらに、昨年五月に総理府の事務局より市町村障害者計画策定指針が通知をされ、示されているところでございます。この障害者プランはまさに障害者施策全般にかかわりますので、政府障害者施策推進本部の事務局の総理府が今申しましたような形で自治体等への通知等をしてきておるわけでございますけれども、障害者プラン実施していく上におきましても、先ほど申し上げましたように、市町村段階でのプランの策定というものは極めて重要であるというふうに存じます。  厚生省におきましては、平成八年度予算の新規事業ということで、市町村障害者計画策定モデル事業という名前のもとに、市町村障害者プランの策定を推進するための一つの手だてを講じさせていただきました。これは、基本的にモデル事業ということで整理をいたしてございますので、まず全国で五十九ということで数は限られてはございますが、そこで他の模範になるようなものを自治体レベルでつくっていただいて、いわば先駆的ないいものをやっていただいて、これを紹介し普及していくといったようなことで、ぜひ今回の障害者プランが現実に着実に実行されますよう、私ども厚生省の立場からもそんな措置を講じ、関係省庁や自治体とも緊密な連携をとりながら取り組んでまいりたいと思っております。
  88. 根本匠

    根本分科員 私も、すべての市町村計画を策定する、これはなかなか難しいと思いますから、今のお話のようにモデル事業でやってもらって、こう具体的にやればできるのだ、こういうモデル的なものをやっていただいて、それを普及していく、これが大事だろうと思います。  いずれにしても、この障害者プランは国、地方一体となった取り組みが必要でありますから、ぜひ自治体がやりやすいように、円滑にできるような御支援をお願いしたい、こう思います。  それからもう一点、この障害者プランの特徴は、関係省庁等の施策が横断的に、総合的に網羅されているということでありまして、関係省庁との総合的な推進というものが大きな課題になるわけであります。厚生省施策を中心に聞いてまいりましたけれども、他の省庁の施策についてもお伺いしたいと思います。  障害者プランの中身を見ますと、当然のことながら、厚生省施策が一番具体的な内容が盛り込んであります。それからもう一つ、他の省庁の施策は濃淡さまざまでありますけれども、その中で具体的な施策が盛り込まれているのが建設省でありまして、建設省として障害者プランに具体的な中身も含めて今後どのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
  89. 三沢真

    ○三沢説明員 建設省におきましては、高齢者障害者を含むすべての方々が安心して日常生活を営み、積極的に社会参加できるというような観点から、建設省の基本方針ということで生活福祉空間づくり大綱というのを既に策定いたしまして、先生御指摘のとおり、まさにバリアフリー化ということでインフラ整備を積極的に推進しております。  お尋ねの障害者プランに関する建設省関連の施策でございますが、一つは、住宅につきまして、新設されるすべての公共賃貸住宅につきましては、段差の解消などいわゆるバリアフリー化された仕様にするということとか、福祉施設を併設した公共住宅団地の建設の推進あるいは公営住宅のグループホームへの活用といった施策を盛り込んでおります。  それから、歩く空間の整備ということからいいますと、二十一世紀初頭までに、主要な道路の約五割につきましては、車いすがすれ違えるような幅員三メートル以上の幅広い歩道を整備するという方向で整備を進める。  それから、建築物につきましては、いわゆるハートビル法と呼んでおりますが、その法律に基づきまして、公共性の高い建築物のバリアフリー化は積極的に誘導を図る。それから、新たに設置する、窓口業務を持つ官庁施設はすべてバリアフリーのものとする。さらには、それ以外の施設につきましても、例えば高速道路のサービスエリア、パーキングエリアとか主要な幹線道路の道の駅あるいは身近な住区単位の公園におきましては、すべて障害者用トイレの付設、整備をする。  こういったような具体的な目標、施策を盛り込んでいるところでございまして、今後とも、障害者プランに基づきまして、厚生省さん、運輸省さん初め関係省庁とも十分連携を図りながら、住宅、社会資本整備に強力に取り組んでまいりたいというように考えております。
  90. 根本匠

    根本分科員 福祉施策あるいはバリアフリーの社会づくり、これは町づくりとの連携が大変重要だと思います。その意味では、町づくり官庁としての建設省の役割は非常に大きいと思っておりますが、今のお話のような具体的な取り組みをしていることを私も高く評価しております。  特に道路などのバリアフリー化は、もとより障害者にとっては住生活が基本になるわけでありますが、住宅政策において障害者への配慮を重視しててこ入れをした、私はこのことが大きな意味を持つだろうと思っております。今後とも、バリアフリーに配慮した住宅、町づくりにぜひ強力に取り組んでいただきたい、こう思います。  それから、また厚生省に戻りますけれども、いわゆる小規模作業所は近年非常にふえておりまして、これの運営の安定化が問題になるわけでありますけれども、障害者プラン、それから八年度予算ではどのような改善を図ったかについてお伺いしたいと思います。
  91. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 いわゆる小規模作業所につきましては、今先生からもお話がございました、地域での生活を支援するという観点からも非常に大事なものというふうに思っておるところでございます。現在、いろいろな形で、保護者の団体の方なり、それぞれ地域に根差した取り組みとして展開をされておりまして、また、その形態等もさまざまな形で運営がなされている実態にございます。  障害者プランにおきましては、働く場ないし活動の場を確保する観点から、こうした小規模作業所につきまして、授産施設の分場方式の活用であるとか、あるいはデイサービス事業拡充によります法定施設化を進めるといったようなことと同時に、助成措置充実を図るということで、小規模作業所の運営の安定化を推進すべきであるということにされているところでございます。  この趣旨にのっとりまして、初年度、平成八年度予算におきましては、小規模作業所の一カ所当たりの助成単価を、平成七年度百万円でございましたけれども、これを百十万円に引き上げますと同時に、助成の対象箇所数につきましても、千四百十一カ所から四百八十四カ所ふやしまして千八百九十五カ所に増を図ったところでございます。
  92. 根本匠

    根本分科員 小規模作業所への対応は対象の数も拡大したということで、私は非常に評価しているのです。  これから小規模作業所問題をどう考えるかという点、三点あると思いますが、一点は、小規模作業所で頑張っていただいて法定施設化を進める、これが一番いい方向なんですけれども、そこまで至らない場合には、次善の段階、ステップとして分場方式で取り組んでもらう。  ただ、この分場方式は、私も非常にいい方式だと思っているのですが、本体施設のいわばブランチをつくるようなものですから、これは制度はできましたけれども、現状では進んでいると見るのか、これからまだ進む余地があると見るのか、この辺が課題だと思うのですね。  それで、どうも分場方式が必ずしも十分に理解されていない嫌いもあるのではないかと思っておりますのは、各県ごとの取り組みを見ても、分場方式を採用していない県が半分ぐらいあります し、一方では、北海道では七カ所もやっておりますし、埼玉県、富山県、石川県は三カ所もやっている。ですから、進むところは進んでいるわけでありますから、これも少しモデル的に、分場方式にこうすればできるのだとか、あるいはこういうやり方をやればスムーズにできるとか、何かモデル事例集とかそういうソフトの施策で、つまり、ノウハウを提供してあげたらもう少し進むのではないかな、こう私は思っておりますので、その辺の施策のきめ細かさをぜひお願いしたい。これは要望であります。  最後に、新ゴールドプラン、エンゼルプラン障害者プラン、この三つのプランがそろいました。私はこの二年間で保健福祉分野は大きく前進を見たと思っておりますが、この三プラン推進についての大臣の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  93. 菅直人

    菅国務大臣 今、根本委員の方からお話がありましたように、新ゴールドプラン、エンゼルプラン障害者プランの三つのプランは、二十一世紀に向けて国民の一人一人が心豊かに暮らしていくための福祉社会を構築していくためには、不可欠な基盤整備だというふうに考えております。  そういった意味で、いろいろな皆さんの御努力で、平成八年度予算においても、障害者プランを初めこれらの推進のために必要な額の予算確保されているところであります。そういった意味で、今後とも三プランの着実な推進に鋭意努力して、今申し上げたような基盤整備を二十一世紀に向かって着実に進めていきたい、このように考えております。
  94. 谷津義男

    谷津主査 これにて根本匠君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田スミさん。
  95. 藤田スミ

    藤田分科員 私は、陣痛促進剤の副作用の被害の問題について質問をいたします。  私は、三年前にも、陣痛促進剤の不適正な使用によって母子の死亡や重い障害が残るなど、深刻な医療事故が起こっていることを取り上げてきました。大臣は、薬害問題では市民運動にかかわってこられた方であります。私は、本来人間は自然に分娩する力を持っている、だから自然分娩こそベストという考え方を基本にして、誘発剤、陣痛促進剤といったような薬剤は医学的に必要なもの以外には使用すべきではない、そういうことを厚生省も指導していただきたいということを前回も訴えたわけでありますが、大臣ならわかっていただけると思うのです。そこのところの御認識を聞かせてください。
  96. 菅直人

    菅国務大臣 私も、陣痛促進剤によるいろいろな問題が最近報道されておりまして、今回、藤田委員の方からの質問ということで、多少事前に話を聞いております。  そういう中で、私も、一般的にいいますと、子供を産むときに子供がその時期になって自然に生まれてくる、それは本当に、人間だけではありませんが、自然に与えられた力だと思っておりますので、それが最も自然で望ましいのだろう。また、こういった特別な薬は決して、人間の都合といったら変ですが、都合によって使うのではなくて、どうしてもそれを使わないと母体にいろいろな障害なり問題が起きるとか、そういう判断の中で使われるべきものなのであろう。  そういう点では、藤田委員が今言われた認識については、私も同感であります。
  97. 藤田スミ

    藤田分科員 ありがとうございます。そういう双方の一致した認識のもとに質問を続けてまいります。  厚生省は、ことしの二月十四日、前回の「使用上の注意」改訂後この三年間で、オキシトシン、プロスタグランジンの副作用と見られる症例が二十三例発生し、母親二人と胎児・新生児七人が死亡し、脳性麻痺の後遺症が残った子供が少なくとも五人いるという調査結果を発表しました。そして、「使用上の注意」の再改訂などの措置をとることを明らかにいたしました。  そこで質問いたしますが、今回の改訂で添付文書の冒頭に赤枠をつけまして「投与の適応を十分考慮すること」と明記することにしておりますが、それはどういう趣旨なのか、お答えをいただきたいと思います。
  98. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまお尋ねの陣痛促進剤のオキシトシン、ジノプロスト、ジノプロストン、こういったものは出産時の微弱陣痛によります陣痛促進あるいは陣痛誘発等に使用されております薬剤でございます。これらの薬剤の使用によりまして、まれに過強陣痛あるいは子宮破裂、胎児切迫仮死等があらわれることが従来から知られておりまして、昭和五十一年に、子宮破裂につきまして「使用上の注意」の副作用の項に記載いたしまして注意を促していたわけでございます。  また平成四年十月に、「使用上の注意」に、陣痛促進剤の使用に当たりましては「母体、胎児に対する安全性を十分考慮して、分娩の進行に必要最小量の使用にとどめる」、改めてそういった注意を促したところでございます。さらに平成五年三月には、医薬品の再評価によりまして、「用法(点滴)は、できる限り少量から開始すること」等の使用方法を限定する等によりまして、医師の注意を喚起したところでございます。  しかしながら、先ほど先生からもお話ございましたが、昨年十一月下旬に、平成四年十月の使用方法の変更後もこれらの陣痛促進剤を使用した妊婦で子宮破裂等を起こし、母子の死亡症例や脳性麻痺が発生しているという報道がございました。当時、関係製薬企業から厚生省に報告されていました副作用症例は、平成四年十月以降一例のみでございましたが、厚生省は、昨年十二月六日に関係製薬企業に対しまして、これらの陣痛促進剤を納入しております医療機関における当該副作用発生状況等、事実関係について調査いたしまして、結果を報告するよう指導をしたところでございます。  調査の結果は、平成四年十月の「使用上の注意」改訂以降に発生をいたしました子宮破裂等の副作用が疑われる症例が二十三例、厚生省に報告をされまして、そのうち母体死亡が二例、胎児・新生児死亡が七例等に上っていることが判明いたしました。これら二十三例の中には、禁忌の使用法でございますオキシトシン製剤とプロスタグランジン製剤が同時投与された例があるなど、必ずしも適正使用とは言えない症例が四例含まれていたわけでございます。  そこで、厚生省としては、陣痛促進剤の添付文書を改訂いたしまして、「子宮破裂あるいは胎児仮死が起こることがあり、母体あるいは児が重篤な転帰に至った症例が報告されている。」そういった警告欄を赤枠で設置することといたしまして、医療関係者に伝達をするよう関係製薬企業を指導したところでございます。  さらに、日本産科婦人科学会あるいは日本母性保護産婦人科医会等の専門学会におきまして、講習会等の機会を通じまして、会員の産婦人科医に対して陣痛促進剤の使用に当たっての注意等の徹底を図るよう要請したところでございます。  そこで、今お尋ねの本年二月の改訂に係ります「投与の適応を十分考慮すること」という添付文書冒頭の記載でございますが、これにつきましては、妊婦の状態を十分診察し、禁忌に該当するか否かや微弱陣痛の程度など陣痛促進剤投与の必要性等につきまして十分慎重に考慮すべきである、そういった趣旨であると考えております。
  99. 藤田スミ

    藤田分科員 長い御答弁ですが、肝心のところがはっきりしないのです。要するに、「投与の適応を十分考慮する」という意味は、ずばり言えば、医療体制のみを理由にして使用してもよい、そういうことではなしに、医学的に必要な場合にのみ、十分それも注意をして使用すべきだという趣旨なのかということをもう一度答えてください。
  100. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 あくまでも治療目的に使用されるものでなければならないということでございます。
  101. 藤田スミ

    藤田分科員 本来、陣痛促進剤は親子の、母子の命を守るために使われるべきものでありまして、医学的に必要もないのに使用され、しかも、 使用量も使用方法も守られずに親子の命が奪われるというようなことはあってはならないわけであります。  したがって、今回の趣旨は、今私に御答弁いただいたように、まさに医学的に必要な場合にのみ慎重に使えという指導を徹底していただきたいわけであります。  それから、医療施設の体制を誘発分娩の理由にすることは、これは本末転倒と言わざるを得ません。しかし、医療の側にもそうせざるを得ない実態があるということは、私はこれは事実だと思う。したがって、厚生省医療現場をサポートするためにもつと産科医療の体制を強化することを求めたいわけであります。  私は、さきの、三年前の質問のときには、その立場で助産婦さんの養成強化ということを申し上げましたけれども、夜間スタッフの増員、いざというときのために妊婦の監視をするというようなことで待機しているスタッフがたくさんおります。そうしたスタッフの仕事に対する診療報酬上の評価、こういうことをきちっと進めて、深刻な医療事故をなくして、喜びにあふれる、新しい命が生まれる場で悲劇を繰り返さないために、私は、厚生省が今後、産科医療の体制を抜本的に強化すべきだというふうに考えますが、この点、大臣はいかがお考えでしょうか。
  102. 菅直人

    菅国務大臣 今、この陣痛促進剤の使用について、業務局長の方からも、これはあくまで治療目的に使用されなければならないということは申し上げたわけですが、委員の方から、他のいろいろな事情で必ずしもそうではない形の使用がある、あるいはそれを招いているのは今の産科の体制がいろいろと不十分な点があるのではないかという御指摘だと思います。  確かに、子供が生まれるというのは、予定よりかなり早かったりあるいはかなり延びたり、必ずしも予定どおりということにはならないわけでありますから、そういう点をどういう形でサポートできるのか、そのことは、御指摘の趣旨はよくわかるつもりであります。  ただ、それをどういう形で、今言われたように、待っている時間を何らかの医療費に繰り込むとか、そういう形が果たして可能なのか、あるいはもう少し何か病院の体制の中でそういうものについて対応できるような形を一つの基準にしていくのか、そういう仕組みの問題はいろいろあろうかと思いますが、今委員の言われている趣旨については、何らかの努力はしなければならないと思っております。     〔主査退席、栗原(博)主査代理着席〕
  103. 藤田スミ

    藤田分科員 そのことに私は期待を寄せて、質問を続けていきます。  今回の改訂は、先ほども若干御報告がありましたけれども、陣痛促進剤の被害を考える会の方たちが、昨年の十二月、前回の改訂後も子宮破裂などを起こして母子九人が死亡し、植物状態や脳性麻痺になった方も五人もいるという事実を突きつけながら、厚生省による実態把握と「使用上の注意」の再改訂を要求してきたことが大きな契機になったわけです。厚生省は、その時点では、先ほどもおっしゃったように、企業報告制度によって一例しかつかんでいなかった。だから必要な措置も機敏にとることができなかったわけです。しかし、この会の皆さんのたび重なる要求、要望を受けて調査をし、今回の改訂に至ったわけです。  会の方に聞きましたら、会の方には四十一件、現在までで被害症例が来ているというふうに言っています。これらの状況を見ると、副作用の実態を把握するシステムが実質的には機能していなかったということになるわけであります。オキシトシン、プロスタグランジンのように、薬と副作用の因果関係がはっきりしているけれども、使用の仕方によって事故、被害が多発しているような場合は副作用モニター制度の対象にはなっていません。したがって、薬剤会社からの報告、企業報告制度によっているわけです。  用法や用量の変更や「使用上の注意」の改訂をするのは副作用などの情報を把握した場合に進められるわけでありまして、その実態がつかめない情報収集制度、報告がなければ何にも手だてをとれないシステムになってしまっている状態では、国民としては心配でたまらないわけです。  したがって、副作用情報収集制度強化企業報告制度強化を図るべきだというふうに考えます。とりわけ、私は、今回の措置が本当に有効に働くためにも、厚生省は今回の改訂に対応して、添付書どおりに行われているかどうか、被害が起きていないかどうか、継続的な追跡調査、状況の把握を行うべきだというふうに考えるわけですが、その点はいかがでしょうか。
  104. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 副作用報告制度強化の問題でございますが、私どもも強化する方向で検討をいたしたいと考えております。  現在の副作用報告につきましては、薬事法施行規則六十二条の二という規定がございますが、この規定によりまして、医薬品のメーカー等は、製造した医薬品等につきまして重篤な副作用症例を知ったときには三十日以内、特に重篤な副作用症例で、かつ発生傾向が「使用上の注意」から予測できないものについては十五日以内に厚生大臣に報告しなければならないことになっております。  この制度につきましては、副作用報告の重要性につきましてのメーカーサイドの認識も高まってきておりまして、平成三年には年間約三千八百件程度でございましたが、平成六年には年間約一万三千件の副作用報告が厚生省に寄せられるまでになっておるわけでございます。  今後の安全対策充実させていくためには、このメーカーにおける副作用報告制度を遅滞なく適切に厚生省に報告することを一層徹底すべきであるというふうに考えておりまして、これは医薬品安全性確保対策検討会の意見にも指摘をされておるところでございます。そのために、この製薬企業におきます厚生省への副作用報告制度を現在の省令上の位置づけから法律上の位置づけ、法律上の義務として薬事法上明確に位置づける方向で、これは薬事法の改正法案を現在検討させていただいているところでございます。  それからもう一点の被害調査の継続でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、警告欄を設け、また、関係の学会あるいは企業、そして厚生省が記者会見を共同で行って、それぞれの責務を果たしていこうということを表明いたしておるわけでございます。医療関係者の注意を喚起する、また企業に対する措置も行う、そういったことで、今後、陣痛促進剤の使用によります副作用症例の発生を最小限に食いとめるべく対応を行ったところでございます。  基本的には、メーカーには、今申し上げたような重篤な副作用を知った場合に報告制度もございますし、また、専門の医師にもこういった副作用について改めて注意喚起をしたところでございますので、今後とも情報収集等に十分な注意をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  105. 藤田スミ

    藤田分科員 この被害の会の皆さんはどうしても、この前の繰り返しはもう嫌だ、だから今回新しい改訂をしたなら、それに合わせてもう少し厚生省がこの問題にきちっと着目をして、被害が起きていないか、ちゃんと守られているか、継続的に追跡調査をやってほしいのだということを強く要望していらっしゃるわけです。何度このやりとりをしてもきっと同じ答弁しか返ってこないと思いますけれども、私は、本当にこの会の皆さんの声というものをまともに受けとめていくべきだということは申し上げておきたいと思います。  事故の症例を見ますと、規定よりも多量の薬剤を投与したり、それから増量間隔が短くて子宮破裂するまで増量をどんどん進めていったり、慎重で十分な監視もなく使ったがためにこういう事故が起きているわけです。したがって、日母も、医師や研究者も、陣痛促進剤の使用に関しては強く注意を喚起しています。  オキシトシンの場合は、子宮筋の感受性は個人によって百倍も差があると言われていて、少量で も過強陣痛になる症例があることを考慮し、できる限り少量、つまり一分間に二ミリ単位ぐらいから始める、点滴でいえば一分間に三滴から投与を開始しながらよく観察をして、適宜ふやしたり減らしたり、そういうことをやりなさいということを言われているわけです。  ところが、この話は、現場の看護婦さん、ベテランの看護婦さんでもそういう要求にこたえていこうと思えば、手動の点滴での調整、私はわかるようにと思って器具を持ってきましたが、大臣なんかも入院されたらこういうのに会うと思いますが、点滴をするとき、看護婦さんがここで調整をしたり広げて、私なんかも点滴をするとき、早く入れたいなと思ったら自分でここをちょっと緩めたりしてしかられたりするわけですが、そういうふうにここで調整する。それを一分間に三滴から開始する、そして増減するという操作というのは非常に難しいわけです。  だから、こういう投与を自動的に操作する医療器械、インフュージョンポンプというのがありまして、最少有効量を安全、正確に用いるためにもこういうポンプの使用が望ましいということを日母も言っております。私は「使用上の注意」にこれは書き加えて当然だろうというふうに考えるわけでありますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。    〔栗原(博)主査代理退席、主査着席〕
  106. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまの、陣痛促進剤を微量投与するためにインフュージョンポンプの使用ということについてのお尋ねでございますけれども、オキシトシン等の陣痛促進剤につきましては、平成五年三月の再評価結果によりまして、安全性を確保するために用法、用量を見直しまして、今お話がございましたように、点滴はできる限り少量から開始、そして漸増をいたしまして、毎分二十ミリ単位を超えないことという上限を設定いたしておるわけでございます。この微弱陣痛治療の用法につきましては、点滴静注法に限定するという、使用方法も限定をされているところは御承知のとおりでございます。  お尋ねのインフュージョンポンプの使用につきましては、このような少量から投与する場合に適切ではないか、適当ではないかという御趣旨であるわけでございますけれども、陣痛促進剤の使用に当たりましては、まずこの「使用上の注意」を守っていただくということが基本でございます。その際に使用する器具につきましては、主治医がさまざまな状況を勘案いたしまして判断をし、選択をしていくことが最もよいのではないかというふうに考えております。したがって、特定のポンプの使用を義務づけることについては困難ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  107. 藤田スミ

    藤田分科員 おっしゃりたいのは、要するに、こういうインフュージョンポンプを使う使わないというのは医者の裁量の問題で、そういうことは「使用上の注意」の中に書き込むことはできないということだろうと思いますけれども、それでは本当に困るわけであります。  もう一つは、今回の改訂では、「使用上の注意」と重複する形で、添付文書の冒頭に「分娩監視装置等を用いて十分な監視のもとで使用すること」、これは赤枠で明記されることになりました。しかし、今の診療報酬を見ますと、分娩監視装置による諸検査は、胎児仮死、潜在胎児仮死の場合というふうに極めて限定的なものにしか算定されておりません。したがって、陣痛促進剤を投与している間の監視については算定の対象にはないわけであります。  促進剤を使う場合は不可欠な装置になっている。非常に危険性のある薬剤を投与し、胎児に異常がないか、誘発をしている間は継続的に監視を続けなければならないわけでありますから、これは診療報酬の上で保険点数として認めるべきではないかと考えますが、簡潔にお答えください。
  108. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のように、現在、分娩監視装置の使用につきましては、胎児の仮死それから潜在仮死の場合に限定をしております。  先生ずっと御議論がありましたように、陣痛促進剤の使用が治療上の必要ということで、きちっとそれが守られるのでありますど大分状況は変わってくると思っております。つまり、医療保険の上で分娩につきまして給付対象になりますのは異常分娩の場合でございます。正常分娩は対象になりませんで、むしろ、その費用を現金で補うという格好になっておるわけでございまして、そういう意味で、その辺の区分けが一番問題になるのだろうと思っております。  この点につきましては、従来から、御指摘がありました日母等の関係団体、いろいろ御意見がございます。その辺の御意見を十分お伺いして、この薬剤の使用と分娩監視との関係につきましては私ども研究をする必要があると思っております。
  109. 藤田スミ

    藤田分科員 最後に、私はもう一度大臣に、この間の厚生省の責任の問題についてただしておきたいと思うのです。  医薬品による被害を防ぐ、患者の安全を確保する、これは厚生省の責任であります。しかし、この陣痛促進剤の被害の状況、経過をずっと見ていきますと、私は、厚生省は責任を果たしてこなかったと言わざるを得ません。  この陣痛促進剤というのは一九七〇年代の半ばから発売されておりますが、産婦人科医の団体である日母は早い時期から、その使用について、胎児の仮死や子宮破裂を招く危険性を指摘し、使用量や用法も細かく指導してきました。しかし、添付文書では、九三年二月の改訂まで、日母などが指導している安分限界を大きく超える用量、用法が平気で使用されておりまして、そういう中で多くの被害が生み出されてきました。厚生省は、その間、全くそういう事情を知らなかったとは言えません。しかし、用法、用量の改訂は九三年二月まで行われなかったのです。家族などがたび重なる要望を続けて、やっと行われたわけです。  会の皆さんは、九三年の改訂の際、必要なときに迅速に改訂が行われるよう実態把握を強く要望しました。このときも厚生省は、改訂は十分だと思います、被害は起こらないと考えていますと答えて、一貫して調査の要望には応じてきませんでした。昨年六月、会の方たちが、改訂後も事故が多発している、対策をと求めたのに対して、さっきも繰り返していますが、厚生省は、副作用を企業報告制度によって一例しかつかんでいない、だから対応も必要はないという態度であったわけです。  やっと十二月になって今回の改訂に至ったわけですが、その間にも被害が起こったわけでありまして、私は、その責任は極めて重大だと思う。陣痛促進剤の被害を考える会の調査や運動がなかったら、厚生省は「使用上の注意」の改訂も行わないまま被害が続いている可能性が大きかった。この事態を私は深刻に受けとめ、厚生省の責任をどう考えているか、お伺いをしたいわけであります。
  110. 菅直人

    菅国務大臣 今、藤田委員の方から、陣痛促進剤の具体的なこの間の経緯を改めて指摘されて、厚生省の対応がどちらかといえば後手後手に回っていたというような趣旨の御指摘をいただきました。  経緯は今業務局長を初め御答弁申し上げたとおりでありまして、私も、必ずしも先手先手に回って対応ができたという感じを今の答弁を聞いていていたしません。そういった意味では、いろいろと反省すべき点があるのではないかと思っております。  この薬害の問題は、いろいろな時期からいろいろな問題を現在も抱えているわけですけれども、それをどういう形でまずお互いに認識をして、どういう形でそれに対応していくか。薬というのは作用があり、同時に、多かれ少なかれ副作用がある。それがその作用とのバランスにおいてどの程度許容されるのか。また、その判断そのものを、メーカーあるいは厚生省ではなくて、ある意味では患者本人あるいは少なくともお医者さん自身にはきちんとそういうものが伝わっていなければ判 断のしようがないわけでありますので、そういった点を含めて、いろいろ御指摘をいただいている問題もあわせて、これからの薬の副作用の問題に対応する薬事行政のあり方をもっともっと議論していただかなければいけないと思いますので、その中に十分参考にさせていただきたい、このように考えております。
  111. 藤田スミ

    藤田分科員 時間が参りましたので、私はこれで終わりたいと思います。
  112. 谷津義男

    谷津主査 これにて藤田スミさんの質疑は終了いたしました。  次に、高木義明君。
  113. 高木義明

    高木(義)分科員 高木義明でございます。  菅厚生大臣には、このような場で質問をさせていただきますのは初めてでございます。おくればせながら、大臣就任に当たりまして心からお祝いを申し上げます。  大臣は、就任早々に、かつて厚生省の中で大きな問題となっておりましたいわゆる薬害エイズの問題について、極めて画期的な判断をされたのであります。私は、このことには大きく評価を率直に申し上げたいと思っております。患者さんあるいは御家族の皆さん方も心から、よくぞこれまでのかたい壁を破って、まさに国民の命と健康、そして政治の究極の目的である国民福祉に携わる厚生省として、厚生大臣として今後対応していくある意味では大きな光を与えたのではないかと思っております。そういう意味で、これまでとは違った改革の政治、まさに政治主導の厚生行政が今後進められていくのではないか、こういう期待をする一人でございます。  そういう観点から、私は今回、長い間の懸案でありますが、長崎におけるところの被爆地域の拡大是正の問題について、改めて大臣にお尋ねをしたいと思っております。  まず、この問題の認識でございますけれども、これまで被爆地域の問題については、それぞれの方々が衆参両院におきまして議論をしてきた経過がございます。被爆五十周年が昨年でございましたが、まさに私どもはこの被爆五十周年を契機にこの問題の決着をつけたい、こういう思いで努力をしてきたわけでありますが、残念ながら昨年までにこの決着は図られておりません。  ここに改めて、昭和二十年八月九日の被爆以降から現在まで、被爆地域及び健康診断の特例地域の指定の経過について、その認識をお伺いしておきたいと思います。
  114. 松村明仁

    松村政府委員 昭和三十二年の原爆医療法制定時は、長崎市の一部隣接地域を含みます爆心地より半径約六キロメートルの範囲と、旧長崎市行政区域である南へ半径十二キロメートルの範囲が被爆地域に指定されたわけでございます。  この被爆地域の指定につきましては、原爆放射線の広がり及び原爆放射線の人体影響に関します科学的知見が比較的蓄積されていなかったために、長崎原爆による爆風や火災等の被害の広がりから、地形を考慮いたしまして、爆心から連続している行政区域を被爆地域に指定したものであります。
  115. 高木義明

    高木(義)分科員 昭和三十二年に、被爆当時の長崎市の区域と一部隣接をする地域が爆心地から約五キロ、旧長崎市は行政区域の関係から南に十二キロ、また、隣接区域についても集落単位で一部六キロに及ぶ地域が被爆地域に指定されておるわけでありますが、このときの指定の根拠についてお伺いをしたいと思います。
  116. 松村明仁

    松村政府委員 先ほどもお答えを一部いたしましたけれども、被爆地域の指定につきましては、原爆放射線の広がり及び原爆放射線の人体影響に関する科学的知見が蓄積されていなかったために、長崎原爆による爆風や火災等の被害の広がりから、このような地域指定が行われたものでございます。  また、四十九年の地域拡大につきましては、原爆投下当時の風向きや、既に指定されております地域との均衡等も考慮して地域指定を行ったもの、このように理解をしております。
  117. 高木義明

    高木(義)分科員 今お答えがありましたように、昭和四十九年また昭和五十一年には、当時においてのいわゆる科学性、科学的、合理的根拠というものをもって健康診断の特例地域が指定されておりますが、このように一部それぞれ是正をされておりますものの地域の不均衡はまだ解消されていない、そういう状況でございます。  大臣、ここにその被爆地域資料がありますが、それぞれ色で塗り分けております。大変いびつな格好になっておるわけであります。だれが見ても合理的ではないのではないか、非合理ではないか、こういうことが言われるわけであります。その状況がまさに今まで放置をされてきた、この点についてどういう御認識を持っておられるか、お答えを求めておきたいと思います。
  118. 菅直人

    菅国務大臣 この問題につきまして、私も大臣になりましてから関係者の方からいろいろお話をいただいております。  実は先日、長崎県議会の関係者も要望書を持って直接来られまして、いろいろな話を聞かせていただきました。今の高木委員との質疑の中でもありましたように、私以上に詳しいわけですが、大変いろいろな段階における経緯がこの問題にあるように伺っております。先ほどの、昭和三十二年の段階での指定、さらには四十九年、五十一年における拡大、さらに、この問題は広島の場合においてのいろいろな議論ともいろいろ関連と言っていいのでしょうか、少なくとも同じような性格の議論がそれぞれのところについても行われているというふうに聞いておりますし、また、昭和五十四年に基本問題懇談会というのが当時つくられて、五十五年にその基本問題懇談会で一定の考え方が示されたというふうにも伺っております。  そういったことを含めまして、これまでの被爆地域の指定については、原爆放射線の広がり及び原爆放射線の人体影響に関する科学的知見が当初は十分に蓄積されていなかったために、長崎原爆による爆風や火災など被害の広がりから、地形を考慮し、爆心から連続している行政区域を被爆地域に指定し、既に指定されている地域との均衡も考慮した上で、その後の指定も含めて行われたと思っております。  そして、今も申し上げましたが、昭和五十四年に原爆被爆者対策基本問題懇談会が設けられて、翌年、被爆地の指定は科学的、合理的な根拠がある場合に限るとの方針がまとめられ、それ以降、これが地域指定に関する政府としての一貫した態度となっていることは御承知のとおりであります。  そういった意味で、先ほどいろいろ、これからの厚生行政について政治主導でという大変お励ましの言葉もいただいているのですけれども、同時に、そういったこれまでの議論そのものが、専門家といいましょうか、第三者的な皆さんも含めてかなり積み上がった中で議論され、一定の方向が出ております中では、基本的にはこうした考え方を踏襲する必要があるのではないか、このように考えているところです。
  119. 高木義明

    高木(義)分科員 基本懇の問題はまた後でお伺いしますけれども、平成三年に、長崎県は原爆残留放射能プルトニウム調査報告書を提出いたしました。また平成四年、厚生省は、専門家にこの科学的評価を委託して、指定拡大地域住民の生涯最大被曝線量は二・五センチグレイを下回っており、健康障害はないと結論をつけたわけであります。  これが今日の科学的根拠となっていると思われますが、しかし、先ほども地域設定の根拠を伺いましたけれども、過去には例がなかったレベルの根拠をもって今日の現実、いわゆる地域拡大是正の必要はない、こういう関係者、長崎県民、関係市民、町民には大変厳しい回答を出しておるのが現状であります。  そこでお伺いしますけれども、いわゆる科学的、合理的という問題です。昭和四十九年、昭和五十一年に健康診断特例地域を拡大した際、風向きの関係とか、あるいは昭和三十二年に指定されている地区に比較して、いわゆる是正地域の地形あるいは距離、こういったものがほとんど同じで ある、同地域の住民の有病率が高いということなどが合理的な要素を踏まえていると私は考えておるものであります。  御承知のとおり、原爆は上空五百三メーター、約五百メーターで炸裂をし、飛散した状況と言われております。五十年を経過している状況から、不均衡となっておる地域においては、私は、有病率が高い場合は被爆地域の是正に対して検討に値するのではないか。いわゆる病気にかかる方々が比較的多い、しかも、原爆が落ちましてもう既に五十年以上が経過をしておりまして、大変高齢化も進んでおるわけであります。そういう同地域の住民の有病率をもって一つの根拠にできないか、そういう検討に値しないか、こういうことについて御所見を賜りたい。
  120. 松村明仁

    松村政府委員 昭和四十九年及び五十一年の健康診断の特例地域の指定につきましては、先ほども触れましたような原爆放射線の広がりあるいは原爆放射線の人体影響に関する科学的知見が十分に蓄積されていなかったために、風向きとか、既に指定されている地域との均衡を考慮して指定を行った、こういうことでございます。  今議員御指摘のような有病率の問題でございますが、拡大要望地域の住民の方々の有病率に関しましては、既に五十八年、五十九年に長崎市が健康調査を実施しておるわけでございます。その結果、この地域におきます健康管理手当の支給対象となる疾病の発現率は既に被爆地域として指定されている地域の発現率を下回る結果が得られている、こういうデータもございます。  さらには、既に委員も御指摘のように、長崎県市あるいは厚生省実施をいたしました残留放射能による影響の検討、こういったものの調査結果も得られておるわけでございまして、こういったことから考えますと、新しい地域指定は困難なのではないかと思っております。
  121. 高木義明

    高木(義)分科員 昨年の七月四日に、これは新聞報道でも明らかですが、放射線影響研究所の調査では、広島、長崎での被爆者がんで死亡する率が年を追ってふえておる。戦後五十年の今でも原爆の放射線が被爆者の体をむしばんでいるのではないかと私は思いますし、日本癌学会でそのことが発表されておるわけであります。この状況について大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  122. 松村明仁

    松村政府委員 今委員御指摘の癌学会のお話でございますが、昨年の十月に京都で日本癌学会が開催されました。そこの場で放射線影響研究所の馬淵疫学部長さんが、広島、長崎の爆心地から二・五キロメートル以内で被爆された原爆被爆者の追跡調査結果を紹介されておるわけでありますが、原爆被爆者の胃がんや白血病の死亡数が被爆がなかったと仮定した場合に推定される死亡に比べて多く、これを過剰死亡というふうに言うのだそうでありますが、この過剰死亡は放射線が原因と言える、こういう発表をされたわけでございます。  比較的近距離で被爆をいたしました原爆被爆者が一定のがんにかかる可能性が高いことは、既にこれまでも放射線影響研究所等の研究成果で明らかになっているものでございまして、今回の発表もこうした研究成果の一端を発表されたもの、このように認識しておるところでございます。
  123. 高木義明

    高木(義)分科員 先ほど私は昨年の七月と申し上げましたが、十月でございまして、訂正をしておきます。  実は、大臣も今お話がありましたように、最近も長崎県や市の関係者が大臣のもとに陳情をされておると思います。長崎市を初めとして一市六町の議会の場におきましても、とにかく被爆五十年、もう五十一年目になりますけれども、この問題は早く決着をつけてほしい、当時被爆した方々が高齢化でどんどんお亡くなりになられる、苦しんでおる、だからぜひ早くこの問題は政治的な決断をもって処理をしてもらいたい、こういう切実な要求があるわけでございます。  さきの二月二十六日でございますが、自民党の加藤紘一幹事長は、長崎市内の党県連主催のパーティーの陳情会におきまして、「被爆地域の拡大は合理的、科学的根拠でやらなければ別の問題も発生させる」とした上で、「これまでの調査では残留放射能による人的被害の合理的、科学的根拠はなく、前向きに検討する状況にはない」と、極めて関係者にとっては冷たい会見をしたわけでございまして、被爆者団体もこぞって反発をしておりますし、高田知事あるいは長崎市の伊藤市長もこのことに対して大変ショックを受け、今後とも何とかならぬものかということで要求運動していこう、こういうことを述べておるわけであります。  厚生省のこれまでの見解、いわゆる基本懇を盾にとった見解から一歩も脱し得ない、このことについて菅大臣、率直にどう思われますか。
  124. 菅直人

    菅国務大臣 私もこの数年、特に村山内閣になってからは、与党の一員としていろいろな課題に取り組んでまいりました。特に、戦後五十年ということもありまして、これも長崎に、大変この問題とも重なります被爆者援護法の問題、あるいは、これは不十分であったかもしれませんが、戦後のいわゆる国会決議の問題、また、長年その解決がおくれておりました水俣病の問題など、それぞれ大変長い経緯の中で難航していた問題に一定のめどがついたり、あるいは最終的な解決ができたりということで、私自身もそういうことに多少なりともかかわってまいりました。  そういう意味では、高木委員の方から今言われているこの問題も、地元の皆さんがこれを機会に何らかの決着をという気持ちはよくわかるわけであります。そういう気持ちは本当によくわかるつもりなんですが、やはりその場合にも、加藤自民党幹事長が言われているからどうこうというのじゃないのですけれども、そのことが、地元的な意味での公平の問題ももちろん非常にあると思うのですが、全国的な意味での納得という問題も同時にいただかなければいけません。  そういう点で、この間の経緯をいろいろ伺ってみますと、先ほど基本懇のことが委員の方からも出ましたが、基本懇の性格、私も詳細には知りませんが、少なくとも利害関係というよりは専門家なり第三者的な公平な方を選んで、いろいろ議論された上で一つの見解を当時出されたのだろう。そうしますと、あるところが十分な合理性、科学性というものを超えて拡大した場合には、また新たな不公平を生み出す原因にもなるというようなことも基本懇で指摘をされておりまして、そういう意味では、そういうことがない形での、それぞれの関係者あるいは全体としての納得のいく方向というものが見出せるならば、それはまた一つの道があるのかもしれませんが、現時点では、そういった長い間の議論の積み重ねの中で出されてきている見解はやはり尊重して考えていかなければならないのではないか、このように考えております。
  125. 高木義明

    高木(義)分科員 地域の新たな不公平という話が出ましたが、先ほども言いましたが、県議会においても市議会においても町議会においても、まさに民主主義の住民の意思の決定の場ですから、それは全会一致で議決をされた事項でございますから、その辺はひとつ御心配のないように受けとめていただきます。  また、御承知のとおり、被爆者援護法の制定に当たりまして、いわゆる附帯決議がなされておるわけです。「被爆地域の指定の在り方について、原爆放射線による健康影響に関する研究の進展を勘案し、科学性、合理性に配慮しつつ検討を行うこと。」という附帯決議ですが、「その実現に努めるべき」と結んでおるわけでございます。  大臣はこの附帯決議の重み、これは、旧細川連立内閣の当時からいわゆる被爆者援護法を被爆五十周年を契機に何とか実現をさせよう、そういう中で、政権はかわりましたけれども、被爆者援護法は一定の成果の中で実を結んだわけであります。その中で決議されたこの事項について、大臣の御所見をいただきたいと思います。
  126. 菅直人

    菅国務大臣 おっしゃるとおり、この被爆者援護法自体、細川政権あるいはもっと前の政権時代 からいろいろな関係者の皆さん努力されて、それが平成六年に実ったというふうに理解しておりまして、その中でのこの附帯決議は重い意味を持っているというふうに理解しております。  この附帯決議の中でも、高木委員が今読み上げたように、「被爆地域の指定の在り方について、原爆放射線による健康影響に関する研究の進展を勘案し、科学性、合理性に配慮しつつ検討を行うこと。」となっておりまして、大筋、この基本懇で判断の基本としている、考え方としていることと共通の表現になっているのかなと思います。そういう点で、こういう考えの中でまさに研究が進展をする中での科学性、合理性に基づいて新たな視点からの議論が起きるということであるならば、それはそれとして十分受けとめなければならないというように思っております。  先ほど来政府委員からも御答弁しておりますように、現時点では、やはりいろいろな過去の調査などの結果から見ますと、さらに拡大をするという根拠というものは見出されていない、そういうふうに理解をしております。
  127. 高木義明

    高木(義)分科員 時間もありませんけれども、大臣、もう五十年以上たった後に科学的根拠と言っても、それはなかなか困難に近い状況であります。  しかし、この地域状況のように非常にいびつになっております。五百メートルですからね。五百メートル以上の山があれば別なんですが、長崎にはそんな五百メートルの山がないのです。そういう状況考えますと、これではまさに不合理、合理性に欠けるとお思いになりませんか、どうですか。  それで、時間がありませんから、基本懇の五十五年の答申もありますが、ひとつこの際、与党の戦後五十年プロジェクトチームでこれについてさらに検討を加えるということでもございますし、ぜひ大臣、新しい発想に立たれた、薬害エイズの問題でもすばらしい御決断をされた、そういう大臣に寄せる期待は大きいのです。だから、その不合理なことについてできるだけ合理的になるようにひとつお知恵を出していただきたいし、この問題についてこれでもう決着、知りませんよという姿勢ではなくて、何とか解決策を見出していただきたい。まさに政治的な決断以外にないと私は思うので、どうぞひとつその辺について最後に、決意だけでいいですからお伺いして、終わります。
  128. 菅直人

    菅国務大臣 高木委員のおっしゃるお気持ちはよくわかるつもりですし、先ほど申し上げたように現地からもいろいろ話を聞いております。そういった意味で、今厚生省としてどうこうということは言えませんけれども、与野党関係者がさらにいろいろ話をされる中でみんなの納得できる形がとれればありがたい、このように考えております。
  129. 谷津義男

    谷津主査 これにて高木義明君の質疑は終了いたしました。  次に、横内正明君。
  130. 横内正明

    横内分科員 自由民主党の横内正明でございます。  厚生行政の関係で、私は二点、担当官と大臣に御見解を伺いたいというふうに思います。  第一点は、上水道水道の加入金問題ということでございます。  市町村水道行政の中で水道加入金の徴収ということが広く行われているわけでございます。これは、新規に水道を引きたいという水道の加入者から、市町村の条例に基づきまして、一定の金額を加入金とかあるいは分担金とかそういう名前で徴収をしているわけでございます。水道法の法律には明文の規定はないわけでございますが、水道整備の財源を補うために広く行われておりまして、財源のかなり有力な手段の一つとなっているわけでございます。全水道事業者が約千八百ぐらいありますけれども、そのうちの約八〇%、千五百七十三の市町村がこれを徴収しているというわけでございます。  ところで、山梨県に高根町という町がございます。ここでこの水道加入金について裁判が起こっているわけでございます。この高根町という町は八ヶ岳の山ろくのリゾート地でございまして、別荘だとかマンションだとか、そういうリゾート開発が非常に活発に行われている町でございますけれども、そういうところであるがゆえに水道整備に非常に多大のお金がかかるということがございます。  したがって、その財源を手当てする手段として、通常の平均的な額よりもかなり高い額でございますけれども、この加入金を徴収をしているわけでございますが、あるリゾートマンション業者からそれが不服であるということで裁判が出されまして、現在訴訟が係属中という状況でございます。仮にその裁判で負けて、加入金の徴収が水道法上違法だというようなことになりますと、非常に広く行われている制度だけに、その影響は非常に大きなものになるわけでございます。  そこで、私は、この水道加入金という制度をしっかりやはり法制的に位置づけるべきではないかということをお願いしたいわけでございますが、実はこの水道加入金というものは昭和四十年ごろから始まり出しまして、その始まった当初、国会でも何回か話題になったことがございます。  例えば、昭和四十四年六月二十五日の参議院決算委員会で、社会党の委員から水道法違反ではないかというような指摘がなされておる。それに対して当時の厚生省水道課長から、やはり法律上明確に位置づける方が望ましいというような趣旨の答弁もなされているわけでございますが、それから特に措置もなされないまま四半世紀が過ぎているということでございます。これだけ定着をしているものだけに、水道行政上しっかりと認知をし、位置づけるべきものではなかろうかというふうに思います。  この加入金とか分担金というものがどうも認知できない、必ずしも好ましくないものであるとすればそれはだめなのですけれども、私はいろいろ考えてみて、この加入金は一種の受益者負担だと思いますけれども、合理的なものだろうと思うのですね。  というのは、リゾート地もそうですし、あるいは大都市の周辺というふうにこれから水道整備に非常に多大の財源がかかる、投資財源がかかるようなところでは、その投資財源を料金で賄う、料金の引き上げで賄うということにしますと、従来から入っている利用者にとっては多大な負担といいますか、要するに新旧の利用者の負担が不公平になるのだろうと思うのですね。新規に入ってくる利用者に対して一定の受益者負担的なものを課するというのは、やはり利用者の負担の公平の観点からも望ましいというふうに私は思うわけでございます。  同じように下水道でも、やはり料金のほかに受益者負担金を新規の加入者には取っておりまして、それは都市計画法で根拠規定を持って行っているわけでございます。  したがって、この水道加入金というものにつきましても水道法に明確に根拠づけを設け、根拠規定を置くべきものではなかろうか。すぐ今国会でやれ、そういうことは申しませんけれども、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。これは担当の部長さんですか局長さんですか、御答弁を願います。
  131. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 水道加入金制度は、今先生がお話しになりましたように、人口の急増に伴うような大幅な水道施設拡張のための費用について、これをすべて水道料金の引き上げのみによって賄うということは、先生がおっしゃられましたように、新しく入ってこられた人、それから前からいらっしゃる人、そういう方々の理解を得にくい面があるということで、実際にその水道料金とは別に、許容される範囲内で負担を求めるものであるということは承知をいたしております。  この制度は、従来より水道法上は供給条件の一つとして解釈されておりまして、先生が御指摘のように、現在多くの水道事業者において実施をさ れているところでございます。しかしながら、水道事業は公益事業としての性格上、本来、給水区域内で格差のない料金を設定し、運営することを原則とするものでありまして、また加入金制度は、あくまでも給水人口の急増期における過渡的な制度であると考えておるところでございます。  このため、今日でもリゾート開発等により水需要が急増している地域における制度の意義は認めますものの、もはや一般的な意義は薄れつつあると解釈しておりまして、統一的な制度として位置づけをしにくい状況にあるのではないか、このように考えておるところでございます。
  132. 横内正明

    横内分科員 そうすると、制度的に、何か法的に位置づけるということは考えていないということでございますか。
  133. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 加入金として、国民皆さんから法律にきちっと規定をしていなくてお金をいただくということについては大変疑問があるところでございまして、先生がおっしゃるように、これが取るのが当たり前ということで皆さんの合意ができたならば、法律に新たに書くということも考えられるわけでありますけれども、ただ、そうではなくて、水道計画をつくって、その中の人たちは入ってきたらみんなと同じ水道料金でやる。天から降ってくるわけではなくて、みんなどこかの市町村から引っ越してこられるわけですから、そういうことから考えますと、もうそろそろ人口急増がとまってきている時代において、法律に規定をする必要性は薄くなっているのではないのかな、こんなふうに考えて、今のところまだ考えていないと申し上げたわけであります。
  134. 横内正明

    横内分科員 確かに、新たに水道整備水道の例えば水源対策、あるいは新たに整備区域を広げるというような当初の必要性がなくなった段階では、これはもう必要がないと思いますけれども、これからさらに、人口流動がないとはいっても、新規の水道整備のニーズというものは相当あるというふうに私も承知をしているわけです。計画もまたあるというふうに承知をしておりますが、そういうふうに新規の整備に当たって一定の受益者負担的なものを課するというのが、これは合理的だろうと思うのです。  それが何かあいまいな形で、一部違法ではないかというような指摘も受けながらやっているというのは好ましくないわけで、やはりそれはきちっと整理をして、位置づけるべきものは法律的に位置づけるべきではないかというふうに思いますので、これは今後の検討課題としてぜひ御検討いただきたいというふうに思います。  二番目の問題として、筋萎縮性側索硬化症、通称ALSと言われております非常に大変な、悲惨な神経難病があるわけでございます。これについて幾つか伺いたいと思います。  この病気は四肢の筋肉がだんだん萎縮する病気でございまして、手足の先から麻痺が始まり、だんだん食事ができなくなる、あるいは会話ができなくなる、そういうふうに、最後は呼吸ができなくなって死に至るという大変に悲惨な病気でございます。  最近では、気管を切開をしまして、そこに人工呼吸器を装着することによって延命を図ることができるわけでございますけれども、この間、そういうふうに進行しましても、人の頭脳は正常、明断なものですから、それだけに悲惨さの程度もまた非常に気の毒だということでございます。原因は不明で、治療法がないということでございます。患者数は全国約四千名と言われております。私の親族にもこの病気で死亡した者がおりますけれども、大変に厳しい、悲惨な状況でございました。  これについての行政的な手当てが不十分ではないかというふうに私は思うわけでございます。  第一点として医療の問題でございまして、医療機関、病院がこのALS患者の受け入れに非常に消極的だということがございます。なぜそうかといいますと、看護に非常に手間がかかる、看護婦さんの手間がかかるということと、それから、治療法がないがために保険の点数が余りっかない。したがって、病院経営上は、点数がつきませんからマイナスになるということがありまして、患者さんが入ろうと思っても受け入れを拒否されたり、あるいは入っている患者さんに出ていってくれというようなこともあったりするわけでございます。  このことについては平成四、五年ごろ国会でも何回か取り上げられまして、当時の厚生大臣の大内先生が大変前向きの答弁をなさった。患者、そして家族の皆さんが大変喜ばれたわけでございます。それ以来、国立の病院・療養所で、このALSを初めとする神経難病の患者さん向けの病棟、ベッドもある程度整備をされてまいりました。その点についての厚生省努力については多としたいというふうに私は思いますけれども、ただ、十分かといえばまだ不十分な状態にあるわけでございます。  そのベッド数をふやすといっても、そんなに膨大な数ではないわけなんです。患者さんの数が約四千人と言われておりますが、大半は在宅で療養されるわけでございますから、必要なのは、いざ緊急に何かあったときに入院ができる、そういうふうな安心感が持てる程度のベッド数、病床がそれぞれの地域地域に適切に確保されているという状態にぜひ持っていく必要があるのではないか。専門家に言わせますと、三百床とか五百床ぐらい全国にあればいいのではないかということも言われているわけでございます。  そこで、国立病院・療養所、そして公立病院も含めまして、ぜひ患者が安心して療養できるようなALS患者向けの長期療養用の病床の確保、拡大に努力をしていただきたいというふうに思いますので、この点についてお伺いをします。
  135. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今先生お触れになりましたALSの医療の問題でございますが、国立病院・療養所におきましては、このALSも、原因の究明及び治療法の確立が急がれている難病の一つとして、国立病院・療養所においてやっていく役割の一つだというふうに認識をいたしておりまして、昨年の暮れ現在で、国立病院あるいは療養所に入院されているALSの方が二百十六名というふうに承知をいたしております。  また、長期療養という観点から、一般的に長期の療養を必要とする患者につきましては、平成四年の医療法の改正において、いわゆる療養型病床群制度というものを設けております。これは今お話のございましたALSの方だけということではございませんで、長期療養患者の療養環境に配慮するということで対応をする病床群でございますけれども、疾病構造が変化をするという中、あるいはALSのような難病の方がふえるということの中で、こういったようなところで療養していただくことが適当な方もふえてくると思っておりますので、そういう意味から療養型病床群の整備というのは今後とも進めていきたい、このように考えておるところでございます。
  136. 横内正明

    横内分科員 今の点に関連をしまして、厚生省予算難病患者地域保健医療推進事業というものがあるわけでございます。ところが、これが平成八年度予算で、対前年度、平成七年度に比べまして大幅に減額、約一億円近く減額計上されているわけでございます。  その内容を調べますと、ALSの患者が緊急入院するためのベッドを確保する一時入院事業、その部分が削除されているということでございます。さらに、いろいろと担当官に伺いますと、各都道府県別にそういう緊急入院用のベッドを確保するということで予算を計上はしているのだけれども、都道府県が不熱心で、厚生省が計上しているにもかかわらず都道府県がなかなかそれを使おうとしないというような面もあるようでございまして、必ずしも厚生省当局だけが悪いということではないわけでございます。  しかし、このALS向けのそういった入院事業予算が減っているというのは、やはり深刻な入院難に悩んでいる患者さん、家族からすれば大変に残念なことであるわけでございまして、ぜひひ とつ都道府県を督励をしていただいて、そういったALS患者さん向けの緊急入院用のベッドの確保を目的とするこの事業に、厚生省のねらいどおり各都道府県がひとつ前向きに取り組むように指導をお願いをしたいというふうに思います。
  137. 松村明仁

    松村政府委員 今の御指摘のように、ALSの患者さんが在宅にいらっしゃって急変したような場合に緊急入院に対応できるように、いわゆる空床確保といいましょうか、病院にいつでも入っていただけるベッドを確保するための予算をとっておったのでございます。平成六年度の予算では、全都道府県でこの事業が行われるような予算確保したわけでございます。  しかしながら、平成六年度から開始いたしました事業でございまして、都道府県も一生懸命やっているのでしょうが、先ほど委員御指摘のような問題もありまして、これを受け入れていただく医療機関の方にもお願いをするような状態になっておりまして、平成七年度現在では、残念ながら本事業に取り組んでいただいておる県は七県にすぎない、こういう状況でございます。  したがいまして、八年度予算案におきましては、こういう状況でございますので予算の上では必要な見直しを行ったものでございますけれども、本事業は今御指摘のように非常に重要な事業だと思っておりますので、私どもも鋭意都道府県に働きかけております。具体的には、先ごろ行われました全国の厚生関係主管部局長会議におきましても、この事業について特に速やかに実施していただくように要請も申し上げたところでございます。  これは多くの方々の御理解が得られなければ進まない事業でございますので、今後とも、今お話しのように積極的に働きかけを進めてまいりたいと思います。
  138. 横内正明

    横内分科員 よろしくお願いいたします。  それから三点目でございますが、病院がこのALSの患者を受け入れたがらない理由の一つとして診療報酬制度があるわけでございます。診療報酬制度の中に入院時医学管理料というのがございますけれども、これが入院が長期化するにつれて逓減をするところが問題だと言われております。  ただ、一般的には、この逓減制は私もなるほどなと思っております。やはり入院をすれば、入院したときには検査も必要ですし、どういう治療法がその患者さんに最適かいろいろな試行錯誤もありましょうから、手間もかかれば金もかかる。しかし、治療法が確定していき、患者さんも快方に向かっていけば手間もかからなくなるわけですから、一般的にはこの逓減制をとるのは全くそのとおりだろうと思いますけれども、ALSの場合には治療法が全くないということでありますし、かつ快方に向かうということがないわけでございますから、こういう難病に対しては逓減制というのは実態に合わないのではないかと思うわけでございます。  したがいまして、こういった長期療養を要する難病患者病棟については逓減制をやめる、同時に、看護に非常に手間がかかりますから看護料について手厚い措置を講じる必要があると思いますけれども、この点についていかがでしょうか。
  139. 岡光序治

    岡光政府委員 おっしゃいますような必要性はございますので、こういった神経難病の方の扱いにつきましては、平成六年の診療報酬改定で逓減することのないような措置にいたしました。  それから看護体制につきましては、おっしゃいますような手厚い看護体制が必要でございますので、それにつきましては例えば入院患者二人に一人以上の看護要員を配置するとか手厚い体制をとるようにして、それを診療報酬上評価することにしております。かっまた、この四月に予定しております診療報酬改定におきましても二五%の大幅な引き上げを行うというようなことで、御指摘のような趣旨に沿うべく今対応を考えているところでございます。
  140. 横内正明

    横内分科員 次に、ALS患者で入院の問題以上に深刻な問題が在宅介護の問題でございます。  ALSの患者は、非常に重篤になりますと、体は全く動かせない、食事も排せつも、寝返りを打つというようなこともすべて人の手でやってもらわなければならない。特に人工呼吸器を取りつけておりますと、たんを一日に六十回とか七十回とらなければいかぬというようなことがありまして、二十四時間介護が必要になるわけでございます。したがいまして、家族にとっては大変な負担になり、また経済的にも非常な負担になるということでございます。  しかし一方で、頭脳は明断なわけでございますから、例えばアメリカなんかの場合では、非常に手厚い介護をし、同時に、頭脳労働的な労働はむしろ積極的にやってもらうというようなことも進めているようでございます。  そこで、ALSの患者の場合には身体障害者福祉法の障害者手帳はほとんど持っているわけでございますから、通常の障害者が受けられるいわゆる在宅介護サービスというもの、ホームヘルパーだとかそういうものは受けられるわけでございます。しかし、二十四時間介護というような非常に障害が重い者については、通常の在宅介護では役に立たないわけでございます。したがいまして、もちろんこのALS患者だけではありませんけれども、障害の程度が極めて深刻な患者に対しては特別な手厚い介護、その介護の必要性に合わせた手厚い介護支援体制というものが必要ではないかと思うわけでございます。  例えば東京都では、患者と家族が介護人を雇った場合に、その費用を月二十万円前後助成するというようなこともやっているようでございます。いずれにしても、介護の必要性の程度に応じて手厚い介護がとれるようなそういう措置をぜひ検討いただきたいと思うわけでございますが、この点いかがでしょうか。
  141. 佐々木典夫

    ○佐々木(典)政府委員 ALSによります身体障害の方は、今先生お話ございましたように大方、私ども九割方は身障手帳をお持ちになっていると承知をいたしているところでございます。したがいまして、身体障害者福祉法に基づきましてホームヘルプサービスその他の在宅介護サービスを利用していただくことができることになっているわけでございますが、実は、今御指摘もございましたが、介護を中心としますサービスの絶対量がなお大変不足しているというような実情でございまして、障害の程度に応じた必要なサービスの提供が現状では十分できてないというのが率直なところでございます。  そのようなことにつきましては私どもも強く認識をいたしておりまして、今回の障害者プランの中でも大きな項目の一つにいたしているところでございまして、身体介護や援助を必要といたします障害を持った方々のニーズに対応できるようにすることを大きな目標の一つといたしまして、ホームヘルプサービス等の在宅介護サービスを含めまして数値目標を織り込んだところでございます。この考え方に基づきまして、まずその具体化に取り組んでまいりたいと思っております。  私どもといたしましては、障害者プランを強力に推進するということを通しまして、ALSによります障害を持った方々を初めとしました重度の介護を必要とする方々も含めまして、状況に応じたニーズにこたえることのできるようなサービス体制の充実に努めてまいりたいと存じております。
  142. 横内正明

    横内分科員 最後に大臣にお伺いしたいと思うのですけれども、先ほど高木委員もおっしゃっておりましたように、薬害エイズ問題で菅大臣政治家としてのリーダーシップを発揮して、国民からも大変に喝采を浴びて、私も大変敬意を表するわけでございます。  この間、朝日新聞を見ておりましたら、大臣を題材にした川柳が載っておりまして、ごらんになりましたか。時事川柳なんですけれども「名は体をあらわすか官直す人」というのです。つまり、官僚の官を直す人、これは菅直人にかけているわけですね。本当に名前どおりのリーダーシップを 発揮したという称賛の川柳が出ておりました。大変に結構なことと思うわけでございまして、またそれだけに難病の患者の家族、悩んでいる皆さん方も大臣のリーダーシップに期待をしているということでございます。  このALS問題につきましては、日本ALS協会という患者、家族、そしてそれを支援する皆様方のボランティア組織がありまして、この協会の代表の方が二月二十二日に大臣にお目にかかって陳情をいたしました。大変よく聞いていただいたということでございまして、大臣もこの問題の実情、それから何を患者及び家族が求めているかよく御承知のことと思います。  それを踏まえて、このALS問題、それと同時に神経難病問題も含めて、大臣の御方針といいますか御見解を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  143. 菅直人

    菅国務大臣 今、横内委員の方からもお話をいただきましたように、今月の二十二日にこの関係の協会の皆さん、また高井さんという女性の患者さん御本人にお会いをいたしました。本当に頭はクリアで、いろいろな発明を病床にあってもしているということで、その発明品なども幾つかいただきました。家族の方からも話を聞きましたが、今いろいろ横内委員が御指摘をされた問題、本当に深刻だということを私も痛感をいたしております。  そういう点で、先ほど来政府委員の方からもお話を申し上げているように、障害者プランというものがこういうALSの患者さんに対しても十分、本当の意味の二十四時間介護ということですから、今のままではなかなかまだ対応ができていないわけですけれども、それが対応できるようにするには、もう少しいろいろな努力を、いろいろな工夫をしなければいけないんだろう。  あるいは病院についても、高度医療とか、先ほど来の療養型とかいろいろな病院の制度があるわけですが、いずれも患者さんの立場からすると、長期に治療を受けるには、あるいは介護を受けるには何となく受けづらいというようなことも、つまりはこういう患者さんを必ずしも想定をした形にきちんとなっていないではないかと思っておりまして、そういう点ではいろいろな工夫が必要だと思いますけれども、今の横内委員の御指摘も十分踏まえながら、できるところから改革をしていきたい。  また将来、これから公的介護保険の問題も議論が始まりますけれども、こういう問題も含めて、総合的に何かあらゆる方々に対応できるような仕組みのあり方も考えなければいけないのではないだろうか、そんなことも考えていきたいと思っております。
  144. 横内正明

    横内分科員 ありがとうございました。終わります。
  145. 谷津義男

    谷津主査 これにて横内正明君の質疑は終了いたしました。  次に、山本幸三君。
  146. 山本幸三

    山本(幸)分科員 新進党の山本幸三でございます。私は、廃棄物処理法に関連する問題についてきょうはお伺いしたいと思います。  まず、個別のケースからちょっとお伺いしたいのですが、私の地元で福岡県の築上部椎田町というところがございます。ちょうど北九州から大分県の中津に至る中間のあたりで、典型的な農村地帯、山林地帯でありますが、そこの下岩丸地区に産業廃棄物処理場の建設の計画が持ち上がりました。  話が起こったのは平成三年の終わりごろからですが、そういう処理場の建設を業者がやろうということで計画ができました。それに対して、反対であるということで、反対の住民運動が直ちに起こりまして、それからずっと経過してきたわけであります。町内会、椎田町の全町内会長さん初め反対、町議会も反対、そして町長さんも反対ということで、県議会にもいろいろな請願をやったり、知事さんにも反対で陳情もやったり、署名活動したりということでやってきたわけです。  私も現地を見ましたけれども、大変急斜面の山合いの谷合いで、またその谷合いを小さな小川が流れておりまして、下に岩丸川という椎田町を走る川があるわけですが、そこにすぐ急斜面で水が落ちていくような場所であります。したがって、ここに処分場じゃなくて何かができても、これは確かに問題があるなともう一見して思うのです。  しかも、その予定されておりました地区のすぐ下のところには小学校があって、小学生がその岩丸川でよく夏はプールがわりに遊ぶという場所でもありますし、そして、その岩丸川の下流に椎田町の浄水場がある。したがって、これは水道原水、源流になるわけですね。その意味ではまさに椎田町の水道について汚染の心配がある。  それから、まだこの地域は上水道も下水道も完全に完備しているところではない。今の日本で大変珍しいといえば珍しいところです。そういうところがいまだにあるのかと思うぐらいの地域もあるわけですが、井戸水で生活している人もかなりいるということで、そういう意味で住民がすぐ反対の気持ちになったのはよくわかるわけです。  それでも県が間に入りまして、福岡県の場合はそういう処分場、処理施設については紛争を予防しようということで予防条例というのがありまして、いろいろ業者と地域の人の間に立ってあっせんをやりました。しかし、最終的には平成六年の末に合意が見られずあっせんが打ち切られて、もう県としてもあっせんを打ち切るということで、なすすべもなし。その結果、業者は法律上の条件だけを満たしたということで県に許可申請をやって、県も受理して、あらゆる反対活動があった地元のほぼ全町挙げての反対にもかかわらず許可された。昨年の十一月三十日に許可されて、そしてことしの一月末ごろから実際に業者が処分場の建設に入り出した。  これに対して、住民としては、最終的に打つ手はもう裁判でやるしかないということで、処分場の建設、操業の停止の仮処分を求めた訴訟を町長名で二月八日に提訴いたしまして、今係争中であるということになっております。  この仮処分の係争の前例は、熊本県の山鹿市で同じような処分場が計画されたときに仮処分の訴えをやって、一定のはっきりした遮断装置をつくらない限りだめだということで裁判所で認められた例がありまして、それに基づいてやっているわけですね。  今、長々とそういう個別のケースの経緯をお話し申し上げましたけれども、恐らくこれは全国各地で起こっているような典型的な例だろうと思うのですね。  そういうふうになってきたことについて問題点を幾つかお聞きしたいと思いますが、まずこの個別のケースについて、そこまで住民が反対していて、しかもこういう仮処分の提訴までいくというようなことについて厚生省としてどのように考えているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  147. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 まず一般論として申し上げますれば、産業廃棄物処理施設の設置につきましては、まず廃棄物処理法に基づき都道府県知事の許可が必要とされております。そして、その要件として、環境庁と厚生省との共同省令によりまして構造基準が定められ、それに適合していれば許可されることになっているわけでございます。  椎田町の件につきましてもこのような廃棄物処理法の規定に従って許可がなされたものと考えておりますが、個別の係争中の案件でありますのでコメントは差し控えたい、このように思っております。
  148. 山本幸三

    山本(幸)分科員 それはおっしゃるとおりなのですが、そこでお伺いしますが、そうすると、今の法体系のもとでは、住民が幾ら反対しようと、議会が全員一致で反対しようと、市町村長が全員反対しようと、関係なしに認められてしまう、できてしまうという体系ですね。私はこれはおかしいと思う。廃棄物の処理及び清掃に関する法律、この法律の目的は、要するに、いろいろ適正な分別とか処分等の処理をして生活環境をきれいにし ましょう、同時に生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的としている。  ところが、今の全国のいろいろなケースでは、そういうふうに一定の基準に基づいてさえいればできてしまうということで、その中でも最も簡単にできるのは安定型と言われるものですね。これは簡単にできるのだけれども、しかし、問題が起こっているのはこの安定型ばかりであります。ほかの管理型とか遮断型というのは、ちゃんとそれなりにそういう措置をすることが義務づけられていますから、これはある程度おかしなことにはならない。しかし、安定型というのは、そんなことは何もしないで、これだけのものだったらいいよということで簡単にできる。  しかし、全国で問題が起こっているのはこの安定型で、熊本県の山鹿市でなぜ仮処分が認められたかといえば、裁判所の裁判長の決定の中で、仙台市とか千葉県の君津市とかあるいは静岡県の富士市などの安定型処分場について、実はいろいろ有毒物質が出てきているケースがある、猛毒物質のシアンや砒素が検出されたり、BODが高くなったりしていることをちゃんと指摘している。  したがって、そういうことを住民はみんな知っているわけですよ。こういうことを踏まえると、しかも現実に自分たちの浄水場のすぐ上にそれができる、小学校もある、井戸水もある、そういう状況のところでつくられて、本当に安定型だから大丈夫と言っても、これは通常の住民感情では納得できないのですね。  そこで、これはやはり法律上に問題がある。そこの地域の住民が本当に納得しなければ、同意しなければつくってはいけないというふうに法律を改正する必要があると私は思います。  実際は、福岡県の場合は確かに紛争防止条例だけで、これは紛争防止であっせんをするということはあるけれども、それがうまくいかなかったらもう手の打ちようがない。しかし、ほかの県では条例その他でいろいろな試みがなされております。  例えば神奈川県では、非常に厳しい、つまり許可の申請が受理されてしまったら終わりなものですから、それが受理される前にいろいろなハードルをかけるわけですね。住民あるいは市町村長が同意しなければ事実上できないように条例でしている県もたくさんあります。  その意味では、確かに県としての対応としておくれていると言えるかもしれませんが、しかし、現に問題が各地で起こり、そしてその対応について各県で条例という形で違った対処がなされて、うまくいっているところもあるし、そうじゃないところもある。そういうことであれば、これは私はやはり法制度の問題として考えるべきではないかなという気がいたします。  その意味で、この廃棄物処理法の産業廃棄物処理施設を都道府県知事が許可するに当たっては、住民だけといえば本当に勝手なことを言うだけかもしれないところももちろんありますから、せめて当該市町村長の同意を得なければ許可してはならないというような改正をぜひすべきではないかと思いますけれども、その点についてはいかがですか。
  149. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 我々の人間社会では、どうしても廃棄物が出てまいります。産業廃棄物も出てまいります。これをどのようにして処分することが日本全体にとって、すべての人々にとって幸せか、こういうことになるわけであります。  産業廃棄物は何とか処理しなければならない。一般廃棄物の大体七倍から八倍の量がある。これだけの量を何とか日本で処理しなければならない。だから、確かに先生がおっしゃられるように、住民の皆さんの同意というのも御意見としてはよくわかります。市町村長さんの御意見というのもよくわかります。しかしもう一方、産業廃棄物の最終処分場の確保というのも大変大切な問題であります。そういう意味では、産業廃棄物というのは、このほかにもまだ不法投棄の問題だとかいろいろあるわけでございまして、厚生省としては、産業廃棄物対策をもっと真剣に考えてやっていかなければいかぬ。  今までは容器包装リサイクル法という法律をやっていたのですが、それが終わりましたので、今度は産業廃棄物をもっと真剣に考えようということで、実はこの産業廃棄物のいろいろな問題を総合的に検討しようということで、この二月に生活環境審議会の中に産業廃棄物専門委員会を設けたところであります。設けるということを決めただけで、まだ実際に動いていないのですけれども、厚生省としては、今先生が御指摘のような点も含めまして、産業廃棄物問題の検討をするための会をこの二月に起こすということを審議会の先生に決めていただいたところでございます。  ただ、どういう条件がそろえばいいのかということについては、今の段階では我々としては省令に決めたことで運用していく、そういうことでございます。     〔主査退席、栗原(博)主査代理着席〕
  150. 山本幸三

    山本(幸)分科員 大臣にお伺いしたいのですけれども、そういうふうに全国で安定型の処分場でいろいろな問題が起こっている。そして、その問題が起こっているのは、まさに地元民の同意とか市町村長の同意とかは関係なしに廃棄物処理施設をつくることができるという法体系に問題がある。  確かに、廃棄物処分場を何とかしなければいけないというのは大変大事な話であります。それについて私も後から、ただ批判しているばかりではしょうがないから提案もしますが、そういう問題ももちろん大事だけれども、しかし、行政とか政治というのは何が基本かというと、国民主権でしょう。住民が主権でなければおかしいのです。まずそこのところをはっきりして、その上で、それではその条件のもとで今度は産業廃棄物についてどうするかということを考えていくのが筋だと私は思います。  そうじゃなくて、いや、まず廃棄物処分場の方が大事だから、そのときには主権者たる国民なり住民の意向なんか関係ないんだという立場では、私はおかしいと思います。この点は大変国民主権の立場というのを重視される大臣からは必ず前向きの答弁がいただけると思いますが、いかがですか。
  151. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 今先生のお話の中に、安定型の処分場に問題があるという御指摘がありましたが、そのことだけちょっと触れさせていただきますと、産業廃棄物の最終処分場は三つの型があって、遮断型処分場、安定型処分場、管理型処分場とあります。それぞれの処分場に入れる廃棄物というのは、これこれの物というふうに決められているわけですね。  だから問題は、それ以外の物を捨てられる、先生がおっしゃられたように、安定型と言われるところに例えば管理型の処分場に入れるべき物を入れると問題が起きてくるということがあるわけで、安定型処分場に入れるべき物をきちっと入れていただくということを管理し、県の方も十分チェックをしていくということをやれば、安定型処分場が悪いとかということではない、私はそのように思っているので、一言述べさせていただきました。
  152. 菅直人

    菅国務大臣 山本委員からお話のあった基本的な考え方については、私も全く同感であります。つまりは、民主主義というのはまさに国民主権であるわけですから、その主権者である国民の立場から見てどう考えるかということが原則だと思っております。  それと同時に、もう一つは、最近地方分権ということが言われているわけですが、ある意味では、それぞれの地域なりそれぞれの自治体なりが主体的に物事を決められるという方向もより望ましいというふうに思っております。  しかし同時に、実は今、私の地元でも、これは一般廃棄物ですが、最終処分地の問題をめぐって、これは自治体自身の意見が分かれているというよりも住民の中でいろいろな意見が大変沸騰いたしておりまして、特に一般廃棄物の場合は、その廃棄物を実際に出す住民と、またそれを何らか の形で処分する地域とがダブっておりますので、そういう意味では、両者がダブつた中でどうするかということを住民自治を原則として決めていくということで、いろいろな意味で理解が得られるのではないか、難しい問題もたくさんありますが、そのことが期待できるというように思っております。この産業廃棄物の問題は、もう一つあるいは難しいのかなという感じもいたしております。  もちろん産業廃棄物も、ある意味では廃棄物を出すところでいろいろ考えて、最終的な処分も含めた形の製造というものも考えるべきだと私は原則的には思っておりますが、仕組みの中でどういうふうにすれば、住民なり国民の合意形成ということとそういうものとがマッチするのかというのは、相当にこれは知恵というか、仕組みを含めて考えなければならないのかな。  それから、先ほど来の土地の利用による産業廃棄物の問題は、廃棄物処理の問題という意味と同時に、あるいは土地利用という観点からの決め方にもなるのかな、ちょっとこれはそんな感じもいたしました。  そういう点で、歯切れが決してよくはありませんが、原則としては山本委員が言われることには全く同感でありますけれども、同時に、そういう原則に立った上でも、この産業廃棄物を何らかの形で対処するにはどういうルールがいいのか、現在のままでいいということではなくて、現在のものを変えるとすればどういう形で変えなければいけないのか、これは十分にいろいろな方の御意見を聞きながら対応を考えたいと思っております。     〔栗原(博)主査代理退席、主査着席〕
  153. 山本幸三

    山本(幸)分科員 基本的には同じ考えだということですが、ぜひHIVみたいに歯切れよく取り組んでいただきたいというふうに思います。  それで、先ほどちょっと局長が申されたことに私、付言しますが、安定五品目だったら大丈夫だということで、ほかのところのを入れたから問題になる、それはそのとおりなのです。ただ、熊本の山鹿市の判例では、裁判長は、安定五品目の中でも他の汚染物質が残存、付着している可能性はある、それから、金属は腐食作用や細菌の作用で溶出する可能性がある、あるいは、プラスチックやゴム自体は溶けないけれども、含まれる添加剤が溶け出す、そういうことでも当然害は出てくるのだということも指摘しているので、その点、付言しておきます。  それから、もっとやりたいのですが時間がないので、もう一つこの法律で私たちが一番心配するのは、では、そうしてできた、できた後に問題が起こった、そのときに責任を追及して直してもらわなければいかぬ。ところが、既に幾つかのケースが出ていますが、業者が無資力で、どこかへ消えてしまった、つぶれてしまった、そういう場合に手の打ちようがないというのが幾つか全国でも出ているのですね。これは私の同僚の福島県でそういう事態があって、ほったらかされて県が代行しているのだけれども、金がかかってしょうがないから、もう国で何とかしてくれという話になっていることも聞きました。  なぜそんなことになるのかというと、私ちょっと勉強してみたつもりですが、この廃棄物処理法でそういう場合の措置命令というのは、処分業者にかかるのですね、処分業者にかかる。本当は処分業者にそういう廃棄物を持っていって委託をした委託者に戻ってその責任を問うことができれば、こういう無資力の場合でもできるのではないか。本当のところは、最も最初の原因者である委託者、そこのところに責任が及ぶように法体系としてしておかなければおかしいのではないかというふうに思います。この点について一言どうぞ。
  154. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 製造業の方が産業廃棄物処理業者に委託をする場合に、違法の委託をした場合には事業者の方に戻りますけれども、今の現行法では、適正に委託をされた場合にはその受けた業者の責任になります。
  155. 山本幸三

    山本(幸)分科員 きょうはもうこの問題はこれ以上しませんが、そういう委託者に責任も及ぶということにしておけば、変な業者に委託したりしない、そういう責任は自分にかぶってくる、そういうことになると思うのですね。これはいずれ別の機会にゆっくり議論させてもらいたいと思いますし、大臣も前向きですから、もし役所の方が審議会、審議会といって延ばしていけば、私どもは議員立法でも考えていきたいと思いますので、そのときはぜひ前向きに考えていただきたい。  最後に、そういう批判ばかりしていてもしようがないので、御提案も含めてですが、では日本の廃棄物の処理をどうしたらいいか、これは大きな問題です。  その点について私もいろいろな勉強をしているのですが、一つの参考として、アメリカでは、ごみを集めて、それで発電をして、あるいは出てくるものでブロックとかつくって、完全に民間企業としてペイしているという例がもう既に幾つも出ているのです。  これは、大量に処理するということでそういうことが可能だし、もう一つは、アメリカはそういうふうに発電されたものを電力会社がしかるべき値段で買わなければいかぬという法律をつくって、その辺を安定させてやっている。したがって、あとは民間企業努力をして、各市町村と契約をして、遠いところから汽車で持ってきたり、中継基地をつくってトラックで夜中に運んで、ごみがいつ動いたかわからないようにやってできている。  そういうことを考えると、日本もいずれそういうことができるように考えていく必要があるんじゃないかな。そうすれば、民間企業はどこか過疎地で市町村と契約して、ごみを汽車でも船でも持ってきてそこでやると、その地域はそれでまた産業が起こる。  例えば、私の地元の田川地域の産炭地域では、もうすぐすると石炭六法がなくなっちゃって、どうなるか心配している。その地域の人は、せめてほかの地域の人が嫌がるものでも持ってきて、我々は受け入れるからやってくれと言っているわけですよ。そういう場合にはそこでこういうものを考えていけばいい。かつては石炭が出たけれども、今度はごみが出るとなって、新しい発想でできるんじゃないかなと思うんです。  じゃ、これができていくような環境づくりというのをやっていく必要があると思いますが、その際にこの廃棄物処理法で一つの問題は、一般廃棄物と産業廃棄物と日本の体系は分けられていますけれども、実はこれは世界各国から見れば例のない分け方でありまして、ちょっとおかしい。しかも、例えばパソコンだって、昔は会社で使っていたけれども、今はみんな家庭で持っていて、そこから出したパソコンは一般廃棄物で、会社から出てきたら事業廃棄物だ、これもおかしな話。そういうふうになってきている。  その意味では、今後、大規模、広域的にごみを収集できるようにしていって、しかも将来それを企業として、発電を含めた産業としてなしていくためには、そろそろごみ処理の体系を変える必要があるんじゃないか。まずその手始めに一般廃棄物、産業廃棄物というのはむしろやめて、本当に有毒とかという質とか、あるいは本当にかさばっているとかという量とか、そういう体系にしたらどうかなと思うんです。そして、さっき言った、電力をちゃんと買ってやるとか、そういう環境を整えることが必要だと思うんですけれども、その点についてお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  156. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 確かに先生がおっしゃるように、外国では産業廃棄物と一般廃棄物と分けている国というのはたくさんあるわけではございません。ただ、危険な廃棄物というのですか、環境を汚すような廃棄物は別という扱いは大体どこの国でもやっているということでございまして、私どもとしては大体よく似ているだろうと思っております。  ただ、今までやってきたことがこれから先に とっても最善かどうかということについては、私ども今後も十分勉強していく必要がある、このように考えておりまして、先ほどの専門委員会の中でもそういうことも含めて考えていこう、このように思っております。
  157. 谷津義男

    谷津主査 これにて山本幸三君の質疑は終了いたしました。  次に、枝野幸男君。
  158. 枝野幸男

    枝野分科員 あすも厚生委員会で集中審議がございますが、いわゆる薬害エイズ問題について幾つか確認をさせていただきたいことがございますので、お尋ねを申し上げます。  まず、私が昨年来二度にわたって提出をいたしました質問主意書の中でもお尋ねを申し上げておりますが、NHKが九四年二月六日に放送しました「埋もれたエイズ報告」という番組及び九五年の十二月一日に放映をいたしました「ETV特集」という番組の中で、八三年当時の厚生省の内部資料と思われる、厚生省という印刷もしてある資料が映っておりました。それについて、これがあるのかどうかということを二度にわたってお尋ねをしましたが、その段階では確認をできなかったというふうにお答えをいただいております。  ところが、先月末にいわゆる郡司ファイルというものが出てまいりました。私が二度にわたって質問主意書でお尋ねをしたNHKのテレビ画面に映っている資料と郡司ファイルの中の資料とは同一のものなのかどうか、確認をしたいと思います。
  159. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまのNHKの「埋もれたエイズ報告」等の関係の資料でございますが、御指摘の資料につきましては、当時の生物製剤課長が保有をしておりましたファイル、いわゆる郡司ファイルの中に保存されておりました。第二回、第三回のエイズ研究班の資料と思われます。
  160. 枝野幸男

    枝野分科員 それからもう一つ、実はその資料とは別に、同じ番組の中で、八四年当時の内部資料と思われるものが映し出されている部分がございます。これは、調査によって感染者が次々と見つかっている段階で、感染と発症とは異なる、よって日本にエイズ患者は存在をしないんだ、よってこのことはマスコミには報告をしないという記載がある、こういったペーパーが映っております。こうしたペーパーは確認をされておりますでしょうか。
  161. 松村明仁

    松村政府委員 「埋もれたエイズ報告」に映し出されております御指摘の文書につきましては、精査をしておるわけなんですが、これまでのところ、存在するかどうか確認が残念ながらできておりません。また、当該文書の内容に関する事項についても、したがって、残念ながら確認ができておりません。
  162. 枝野幸男

    枝野分科員 八三年当時の資料が今回郡司ファイルという形で見つかっているわけであります。そして、私が今読み上げた内容のペーパーはそれより後の文書であり、また文書の内容からして、厚生省の内部の方がつくったとしか考えられない、あるいは少なくともエイズ研究班など関係者の方がつくったとしか思われないペーパーであります。  そして、NHKの報道がなされた九四年という時期の近くまでどこかにあったというわけでありますから、何度も精査をしたという、一生懸命探すという話に裏切られてはきておりますが、もう一度信頼をいたしますので、ぜひ早急に見つけていただきたい。ないわけはない資料であると思いますが、いかがですか。
  163. 松村明仁

    松村政府委員 これまでもできる限り精査をした、こういうことでございますけれども、残念ながら現在これが確認できていないということでございます。
  164. 枝野幸男

    枝野分科員 実は、今回、菅厚生大臣就任以降、調査プロジェクトをつくって、きのう中間報告が出た。原告などの皆さんも中身については期待外れである、あるいは報道等の論調もそういったものであるというふうに認識をいたしておりますが、私は、現時点まででは、よく探していらっしゃるというふうに評価をさせていただいております。  ただし、今回、例えば中間報告がなされたことが決して事実解明の終息に向かうというのではなくて、きのうの中間報告がようやく第一歩であるんじゃないか、それから郡司ファイルの発見もようやく第一歩であるんじゃないか、むしろこれからさらに一生懸命いろいろな資料を探していただくという努力を重ねていただきたいということを繰り返しお願いをしておきます。  それからもう一つペーパー関係でございますが、トラベノールが非加熱製剤を回収をしたという回収報告書というものがございます。これは裁判所には提出をしたというふうには聞いておるのですが、郡司ファイルにも入っておりませんし、きのうの報告などにもなかったと思います。トラベノールの回収報告書、現在お持ちなのかどうか。お持ちであるとすれば公表していただけますか。
  165. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 トラベノールの関係の自主回収、そして本国へ戻す手続につきましては、これは当時の例外許可をとっておるわけでございまして、この文書については提出ができるかと思います。
  166. 枝野幸男

    枝野分科員 じゃ、それはお願いいたします。  それから、トラベノール以外に同じような報告書が他の企業から上がった事実はございますか。
  167. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまお尋ねの昭和五十八年六月のトラベノール社の自主回収報告以外の自主回収の報告の関係でございますが、二件ございます。  一つは、厚生省におきましては、昭和五十八年十一月にカッター・ジャパン株式会社から、輸入をいたしました第Ⅷ因子製剤の一部の原料血漿の供血者が供血後エイズ様の症状を呈したために、当該製剤のうち自家試験、検定等に使用したものを除く全部を出荷前に自主的に廃棄する予定である旨の報告を受けまして、同年十二月、廃棄が完了した旨の報告を受けております。  もう一件は昭和六十年八月でございますが、トラベノール株式会社から、輸入した第Ⅲ因子製剤の一部の原料血漿の供血者が供血後エイズ様症状を呈したために、直ちに当該製剤を回収しようといたしましたが、既に医療施設及び患者ともに在庫がございませんで、回収ができなかった旨の報告を受けております。
  168. 枝野幸男

    枝野分科員 NHKが二回にわたって放映をしました番組、これがある意味では原告の皆さん、被害者の皆さん努力というのが今こうやって大きな問題となって、新しい事実が次々出てくる出発点であります。それを世論に伝えたという意味では大きなインパクトを持った大事な原点であると思っておりますが、これに対する厚生省の対応については、残念ながら若干問題があるのではないかというふうに思っています。  そして、特に私が最近気にしておりますのが、郡司ファイルが発見をされた以降の一月の末に、この「埋もれたエイズ報告」や「ETV特集」に出ている画面に映っている厚生省という印刷のあるところに書いてある、いわゆる今回郡司ファイルから出てきた文書を指して、あれはフェークではないか、にせものではないかということを業務局の企画課長が、一月の末ですよ、半年前とか一年前じゃないですよ、一月末に記者会見の場でお話しになったというふうに聞いております。こうした事実はございますか。     〔主査退席、栗原(博)主査代理着席〕
  169. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 記者会見をしたことは私も承知をしておりますが、事実関係についてはできるだけ正確に御説明をしたと理解しております。
  170. 枝野幸男

    枝野分科員 きょうは課長さんいらっしゃらないでしょうから、今晩一晩ありますので、あす厚生委員会の集中審議でもう一度お尋ねをします。あれはフェーク、にせものではないかという発言をしたと、これは複数の方から私は聞いております。もしこんなことを担当課長さんがおっしゃっていた、それも一月末ですよ、としたら大問題に なります。ぜひあすまでに確認をして、あすの厚生委員会でお答えをください。よろしいですか。
  171. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 できるだけ早く確認をいたします。
  172. 枝野幸男

    枝野分科員 次に、これもまた昨年来の質問主意書で何度かお尋ねをしておりますいわゆる安部財団、正確には血友病総合治療普及会の件についてお尋ねを申し上げます。  まず、事実の確認として、財団の財産、収入、支出、役員、事務所、職員などについて、大枠で結構でございますので、設立当時と現在について、二、三分ぐらいで簡単に御説明をください。
  173. 松村明仁

    松村政府委員 財団の設立当初の役員、これについて申し上げます。  昭和六十一年七月二十一日現在でございますが、理事長は安部英さん、それから理事が赤澤璋一さん、理事で副理事長でいらっしゃいます。理事茅誠司さん、理事沖永荘一さん、理事小沢辰男さん、理事水島廣雄さん、理事上田隆介さん、理事竹内道雄さん、理事ヨハネス・E・エグリさん、理事吉田邦男さん、理事日比野進さん、理事(常務理事)木下忠俊さん、監事坪内嘉雄さん、監事穴山徳夫さんでございます。  それから、現在の役員の方について申し上げます。  現在、理事(理事長)安部英さん、それから理事(副理事長)水島廣雄さん、理事沖永荘一さん、理事日比野進さん、理事赤澤璋一さん、理事小沢辰男さん、理事竹内道雄さん、理事上田隆介さん、理事坪内嘉雄さん、理事福井弘さん、理事(常務理事)ですが藤巻道男さん、監事木戸孝彦さん、監事山下幸雄さん、こういうところでございます。
  174. 枝野幸男

    枝野分科員 あとは設立当時の総収入と総支出でいいです。それから、現時点での一番近い総収入、総支出、これはわかりますか。
  175. 松村明仁

    松村政府委員 初年度、六十一年度の事業概要について申し上げますと、収入総額が三千三百三十万円でありました。このうち収入の主なものは……(枝野分科員総額だけでいいです。あと支出総額を言ってください」と呼ぶ)支出の主なものでございますが、国際血友病治療学シンポジウム開催費及び委託研究費等事業費が二千七百五十万円、管理費が三百二十万円でございます。  それから最近のものは、平成六年度の事業概要は、収支総額六百五十万円であり、うち収入の主なものは、基本財産利息収入二百四十万円、賛助会費収入二百万円及び寄附金収入百五十万円でございました。  支出の主なものは、血友病に関する研究助成費等の事業費二百万円及び管理費四百十万円、このように承知しております。
  176. 枝野幸男

    枝野分科員 その研究費なんかの出た先というのは把握していますか。答えはいいです。把握しているかどうか。
  177. 松村明仁

    松村政府委員 把握しております。
  178. 枝野幸男

    枝野分科員 それで、これは新聞報道に出ておりますが、設立前の一九八三年から八四年、まさにこの薬害エイズが問題になり、安部英氏の行動が問題になっているときに、そしてこの加熱製剤の治験の前の時期に、強引な寄附金集めが安部英氏からこの財団に関連して関連企業になされたという報道がなされています。そして、その苦情が厚生省にもあったということが報道されています。こうした事実はございましたか。
  179. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の業務局生物製剤課の職員に事情を聴取しましたところ、昭和五十八年の暮れ、外資系の複数の会社から、治験の責任者である安部氏から高額の寄附を要求されて困っているとの苦情がありましたので、治験の責任者が製薬会社に寄附を求めることはいかがなものかと思いまして、人を介して安部氏に忠告をしたとのことでありました。
  180. 枝野幸男

    枝野分科員 その忠告に対して安部さんは何か対応をされたのですか。
  181. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 安部氏には伝わったことは確認をいたしておりますが、結果的には受け入れられなかったように理解をいたしております。
  182. 枝野幸男

    枝野分科員 先週御回答いただいた質問主意書の答弁で、今のようなことについて、つまり安部英さんが、治験の担当医師がその治験をしてもらう医者から自分の財団に寄附してもらうようなことはいいのかとお尋ねしたら、答弁書はこう言っているのですよ。「治験担当医師が公務員である場合を除けば法的に問題とすべき点はない」「道義的に問題とすべき点があるか否かについては、寄附と当該治験の関連、財団と治験担当医師の関係等を具体的な事実に即して総合的に判断すべきものと考、えている。」これ自体がお答えになっていないのですけれども。  ということは、今御答弁で、忠告をされた、問題があるのではないかということで安部さんに申し入れをしたということは、この具体的な事案については当時道義的に問題があると思っていらっしゃったのですね。
  183. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまのお答えにつきましては、つい最近関係職員に事情を聞いたところ、今のような話を伺ったわけでございます。
  184. 枝野幸男

    枝野分科員 だから、それはいいのですよ。それで、今のようなことがわかった以上は、道義的に問題があるというふうに論理的になりますね。
  185. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 先生のお尋ねがメーカーの道義的な責任……(枝野分科員「いや、安部さんです」と呼ぶ)安部さんですね。  これは安部さんの方から話はまだ伺っておらないところでございますけれども、やはりこの治験というものの重要性を考えまして、そういったメーカーが自主的に、事業に純粋に賛同するという場合、あるいは治験の見返り、あるいは何かそのようなことに協力を強要するというようなことについては、道義的な問題になる可能性はあるというふうに考えております。
  186. 枝野幸男

    枝野分科員 確かに具体的な、場合によっては道義的な問題になるということは明快にお答えになっているわけです。そして今のお答えで、当時苦情を受けて安部さんに対して何かおっしゃった、問題じゃないかとおっしゃったということは、道義的に問題があったというふうに、論理的にそう判断していたということにつながりますね。しかも、それに対して安部さんは対応してくださらなかったと。  道義的に問題があるような治験者に対して忠告をして断られておいて、さらに何も対応しなかった、これは問題じゃありませんか。
  187. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の生物製剤課の職員の方からそのような意識で忠告をしたわけでございまして、その忠告が受け入れられなかったことは残念であると思います。
  188. 枝野幸男

    枝野分科員 残念だけじゃ済まない話なんですよ。要するに、治験の医師は中立公正に医学的な見地に基づいて治験をしてもらえると信じて今の薬の行政のシステムができ上がっているのに、関係している企業からお金をもらって、あるいは要求をしているような人、要するに公正が疑われるわけですよ。公正かどうかは別として、公正が疑われるようなことをしているのは事実なわけです。  公正が疑われているような人が治験をしていることを放置しなければいけないのですか。何かそれに対して制度上、治験医師から外せとかということをする権限はあったのですか、厚生省には。
  189. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 これは当時の状況をもうしばらく詳細に検討する必要があると思いますが、今申し上げましたのはこちらの生物製剤課の目から見て申し上げておるわけでございまして、安部氏の方の考え方はまだ聞いておらないわけでございますから、そういったことも含めて今後検討すべきものであろうかと思います。  ただ、先生がおっしゃるように、治験というものは極めて重要な手続でございますから、こういったことについて公正でなければならないことは言うまでもないと思います。
  190. 枝野幸男

    枝野分科員 聞いていることに答えてください。  治験の医師から外せということをする権限は厚生省にはあるのですか、あるいはあったのですか。それとも現時点でわからないのですか。わからないならあしたお答えいただきたい。
  191. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 そのあたりにつきましては、これは企業から治験の届け出が参るわけでございますけれども、その中の内容の審査の問題であろうかと思いますが、なお検討させていただきたいと思います。
  192. 枝野幸男

    枝野分科員 もう一つ、一部から苦情があったときに、他の企業、要するにこの治験に絡んでいる他の企業に対して、あなたのところは大丈夫ですかというような事情聴取はされたのでしょうか。
  193. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時のことを聞いてみたわけでありますが、苦情を申し出た社以外の社からの事情聴取はしていないということでございました。
  194. 枝野幸男

    枝野分科員 それから、この件では、安部財団に関してはもう一つ大事な問題があるのですが、財団法人は事務所は登記をしなければならない。ところが、登記簿上に記載されている事務所ではなくて、そことは別の安部英氏の個人の事務所で事務が行われていたというような報道がされていますが、こうした事実を把握していらっしゃいましたか。把握をしていたとしたら、対応されましたか。
  195. 松村明仁

    松村政府委員 昭和六十三年二月に国会で当該財団の事務所のあり方が取り上げられたことがございます。そこで調査をいたしまして、それまでは事務所に職員が常駐していないことなどの状況がございましたので、職員が事務所にちゃんと常駐することなどの指導を行った、このように承知しております。
  196. 枝野幸男

    枝野分科員 逆の方向はやったのですか。要するに、本来の登記簿上の事務所で事務をとっていない、それが一つ問題です。ところが、財団法人は事務所を設けたら登記しなければならないことになっていますから、登記をされていない安部英の事務所で事務が行われていたら、それをやめさせなければいけないわけです。あるいは安部英の事務所の方も登記をさせなければならないわけです。そちらの方についてのチェックはされたのですか。
  197. 松村明仁

    松村政府委員 職員の方が常駐していないという状況は、半日ごとにそれぞれの場所にいたということでございまして、事務所の方にちゃんと常駐するようにという指導をした、こういうことでございます。
  198. 枝野幸男

    枝野分科員 これは厚生省管轄の財団ですから、もうちょっと最初に聞いた部分を確認させていただきたいのですが、この財団は何を目的としてつくられ、そして、どんな活動をしてきた財団であるというふうに厚生省は把握をされていらっしゃいますか。
  199. 松村明仁

    松村政府委員 財団法人血友病総合治療普及会というものの目的でございますが、血友病に関する研究を推進するとともに、血友病総合治療の普及を図ることにより、血友病患者の二次的障害を軽減してその社会参加を促進し、もって血友病患者福祉及び保健医療向上に寄与することを目的とする、このように承知をしております。  それから事業でございますが、事業は幾つかありますけれども、血友病及び血友病患者に関する調査研究及びその助成、それから研究会の開催、資料の収集及び提供、その他知識の普及啓発、こういうようなことを事業としております。
  200. 枝野幸男

    枝野分科員 では、その把握をしている一番新しい年度で具体的に何をやったかを教えてください。
  201. 松村明仁

    松村政府委員 六年度の事業概要について申し上げますが、研究助成をしております研究課題が三件、これらについて研究助成をしております。それから資料配布ということでヘモフィリアニュースというのを発行されておる、こういうふうに承知しております。
  202. 枝野幸男

    枝野分科員 研究助成を受けている三件は、お金を受け取っているのはどこですか。
  203. 松村明仁

    松村政府委員 研究の題目を申し上げますが、サイトカイン産生パターンよりみた第Ⅷ因子抗体発生機序に関する研究ということで……(枝野分科員「受け取っているところを聞いているのです、受け取っているところを。わからないならわからないで結構です」と呼ぶ)いえ、わかっております。東京医科大学臨床病理の立山さんという方が受け取っています。それから、インヒビターという新しい治療製剤に関する基礎研究ということで、奈良医科大学の小児科の澤本さんという方が助成を受けておられます。さらに、愛知県赤十字血液センターの高橋さんという方が助成を受けておる、こういうふうに承知しております。
  204. 枝野幸男

    枝野分科員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
  205. 栗原博久

    栗原(博)主査代理 これにて枝野幸男君の質疑は終了いたしました。  次に、冬柴鐵三君。
  206. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 新進党の冬柴鐵三です。  きょうは、国民健康保険組合について伺っていきたいと思います。  東京から愛知県の春日井市に引っ越しをした弁護士が、春日井市の国民健康保険料が月額三万五千円と高いのに驚いた。東京弁護士会の国民健康保険組合時代は、全く同じ収入で月額一万円の保険料だったからである。このように、組合保険の場合は非常に安くて、地方公共団体が営む国民健康保険の場合の保険料は相当高いということをあらわしているわけでございます。この記事は昨年七月二十日の朝日新聞に掲載された記事であります。  このような不公平が起こる理由は、同じ職業の人たちでつくる国民健康保険組合は一般の国民健康保険と別建ての、いわば医療保険の特権集団というふうな形で存在しているからであるというふうに思われます。  さまざまな業種の国保組合がありますが、医師や建設業者の組合は、財源が豊かな上に国の補助金を得て、収入の内容が非常にいいわけであります。中でも勤務医を除く医師は国保組合を全都道府県それぞれに持っていまして、加入者数も約三十万人を数えておりまして、これに対する国の補助金も、これは九三年度とちょっと古いのですが、百十九億円払われている、そういうことが事実であります。したがいまして、一人当たり四万円という補助をされているということになります。国保組合の場合は、家族でも一人ずつ加入するということになっておりますので、もしこのお医者さんの家族が五人家族であったということになりますと、年間二十万円、国から補助金を受け取っているという計算になると思われます。このような補助金に加えまして、健康な加入者が多いということもありまして、現実に医療を受けたときの患者の負担というのはゼロ、支払わなくてもいいということが基本になっているのであります。  一方、私も国民健康保険に入っておりますけれども、高い保険料を払っております。最高で年間五十二万円ということになっております。私どもそれに近い保険料を払っておりますが、もし病気になって医療を受けた場合には、私自身、その医療費の三割を負担することになるわけでございます。  このように、今述べてきたことの事実に間違いがないかどうか、保険局長で結構ですが、確認をいただきたいと思います。
  207. 岡光序治

    岡光政府委員 国民健康保険組合状況でございますが、現在百六十六組合、それで業種がいろいろ分かれておりまして、御指摘がありましたように、医師、歯科医師、建設業、全国土木建築、その他ということで、一応、一定の職域を対象にその同種の人で国保組合をつくれるという格好になっております。  それから、保険料につきましては、今具体的におっしゃいました、そこまでちょっと確認ができておりませんが、一般的に言えますことは、この 人たちは所得は高うございますし、疾病の罹患率は低いと考えられますので、御指摘のような一般の国保と比べた場合には、保険料の負担レベルは低いのではないかと思います。  それから、給付率につきましては、これはいろいろ分かれておりまして、御指摘がありましたように、本人の場合に十割、家族の場合に八割というのが医師国保とか歯科医師国保でございますが、そのほかは、本人の場合も九割とか八割とか、そして家族が七割という、一般の国保とも同じようでございまして、これはいろいろなタイプがございます。
  208. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 平たくいえば、国民健康保険という医療保険体系と国民健康保険組合という医療保険体系がありまして、保険料も組合の方が押しなべて安い、そして、医療にかかった場合でもその負担は組合の方が安い、そういうふうに一般的に言えると思うのですが、そう考えていいですか。一言で結構です。
  209. 岡光序治

    岡光政府委員 傾向としてはそういうことだろうと思います。
  210. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 さて、私の地元には、兵庫県理容環境衛生同業組合という、いわゆる散髪屋さんたちの結束力の強い同業組合があります。平成五年三月一日現在で加入業者数は三千四百六十七業者にも達しておりますけれども、兵庫県下にはこのような散髪屋さん、理容師による国保組合が結成されていないために、それぞれの業者が居住市町の国民健康保険に加入をしておりまして、調査によれば、我々でアンケートをしたわけですが、この加入業者のうち八一%の二千八百二十一業者が回答を寄せてきたわけでございますが、その支払った保険料総額平成五年で七億七千万円余りに達しております。  これを理容同業組合であって国保組合を結成している東京理容国民健康保険組合の保険料と比較をしてみたのです。ここの保険料は、事業主組合員が二千八百四十九人ですが、月額七千九百円を支払うことにしておりました。これと比較をいたしますと、兵庫県の理容業者の実に七四%に相当する業者が東京の国保組合員業者より高額の保険料を負担しておる。その超過負担額の総額は、同じ年の七億七千万円のうち二億六千三百五十四万円が組合を結成していないために高く支払った保険料ということになるわけでございまして、私、これを一業者当たりで割り算してみますと年間九万三千四百二十円、組合を結成していないがためにたくさん払っている。同じ収入ですよ。そういうことがわかったわけでございます。  このような背景から、兵庫県の理容組合では、我々も健康保険組合をつくろうじゃないかということで、平成五年五月、兵庫県理容組合職能型国民健康保険組合推進委員会というものを発足させまして、山崎理事長が大変精力的に動き回られたことは厚生省も御存じだろうと思うのです。新聞にも一部載ったことがありますが、ぜひ兵庫県で国民健康保険組合をつくろう、こういうことでいろいろ調査されたわけですね。  調査しますと、仕組みとして、国民健康保険法第十七条には「組合を設立しようとするときは、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければならない。」というふうに定められていて、そして、設立認可基準の概要によれば、組合設立の際の被保険者数はおおむね三千名以上であること、保険料収入に対する法定給付費の割合が七割五分程度にとどまり、将来にわたって健全な組合財政が維持できること、組合構成事業者相互の協調が十分あり共同意識が旺盛であることとともに、同種同業組合の場合、各事業主に対する指導、統制力を有する組織が存在し、設立後の組合運営が円滑に行われると認められること、こういうようなことが要件になっているのだということがわかりました。  このような彼らの理解、これについて誤りがないかどうか、保険局長、簡単で結構ですが。
  211. 岡光序治

    岡光政府委員 国民健康保険法十七条でそのような規定はございますが、もう一項、「都道府県知事は、」こういった「認可の申請があった場合においては、当該組合の地区をその区域に含む市町村の長の意見をきき、」当該の「市町村国民健康保険事業運営に支障を及ぼさないと認めるときでなければ認可をしてはならない。」こういう条件もついております。     〔栗原(博)主査代理退席、主査着席〕
  212. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 十七条、おっしゃるとおりでございます。  ところが、具体的な手続に入ったところ、昭和三十八年四月二十二日厚生省保険局長通知というものがあって、具体的には、昭和三十六年の国民皆保険制度というものが行われた後は新たな国民健康保険組合の設立は認めない扱いとなっているということが明らかになって、兵庫県の担当官から、健康保険組合はとてもじゃないが設立てきませんよ、これはもうやめてくださいという強い行政指導を受けたのです。  これも誤りがないかどうか。ちょっとここのところ大事なので大臣もよく聞いておいてほしいのですが、そういう行政指導は間違いないですか。
  213. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘の昭和三十八年四月の保険局長通知はございます。それは、ただいま申し上げました国民健康保険法の規定で、当該の「市町村国民健康保険事業運営に支障を及ぼさない」、そういうことをいわば局長通知で敷衍をしたような趣旨でございます。  現実には、昭和三十六年、皆保険体制設立以前に存在をしておった国民健康保険組合の存立のみを認めておりまして、例外的に日雇労働者健康保険法の廃止がされたときに建設国保をつくるとか、あるいは沖縄が日本に返還されたときの例外措置がその後あっただけでございまして、そういう意味では原則、新設は御遠慮いただくという方針で臨んでおります。
  214. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 そこで、厚生大臣にお尋ねしたいのです。  言うまでもなく、憲法には「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」このように定めていることはもう当然でありますが、国民健康保険法十七条というのは、もちろん国会の両院の議決によって成立した法律でありまして、今日現在廃止をされていないわけでありまして、現に効力を有する法律であることはもう論をまたないわけでございます。  これを一片の厚生省局長通知というものによって、今日まで三十三年間にわたってその効力を事実上停止させているということは全く異例なことであって、私ども、これは国会軽視も甚だしいのではないかというふうに思うわけでございます。厚生大臣の御所感をお伺いしたいわけでございます。
  215. 岡光序治

    岡光政府委員 背景説明を私からさせていただきたいと存じます。  実は国民健康保険、非常に財政的に苦しい状況にございます。それと今、日本の就業構造が変化をしてきておりまして、皆さんがいわゆる働き手になっておりまして、自営業が少なくなっております。そういう意味では存立基盤がやや脆弱になっている市町村国保でございますから、その中からいわば負担能力の高い優秀なる人が抜け出ていっては非常に困る状態にございます。  そういう趣旨で、新設に当たりましては、そういう状況をよくよく御説明をし、それから市町村国保の方の考え方も聞いた上で判断をするという趣旨局長通知を設けているというふうに理解をしております。
  216. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 その背景は理解できるのですよ。できるのですけれども、それだったらなぜこの十七条を廃止しないのですか。この十七条を廃止せずして、このまま生かしておいて、そして一片の通知でこれの効力を事実上停止してしまう。  それで、それが現実的に余り不公平をもたらさなければいいけれども、先ほど来ずっと私がるる言ってきたように、同じ業種であっても、私も弁護士なんですけれども、東京には東京弁護士会、第一弁護士会、第二弁護士会とありますが、東京弁護士会だけに健康保険組合が昭和三十六年以前 にできているのですね。ですから、そこで働いていた弁護士は、同じ収入でも、先ほど言ったように、月一万円の支払いで自分及び家族の健康というものに安心しておられるわけですね。ところが、転居して愛知県の春日井市に行った途端に、同じ収入を維持しながら月額三万五千円、三倍半ですよ。しかも自己負担率が大きく違う。  それから、業種でも不公平なんですよ。医師、歯科医師というのはもう金持ちの、リッチマンの象徴じゃないですか。そんな人を全部抜いてしまって、そして、お年寄りとか保険料を滞納している人だって随分あるでしょう、減免している人もあるでしょう、我々はその人の負担までしているから五十何万も払わされているのですよ。  ですから、私は、そういう制度を批判しているわけではない。厚生省が大変頑張られて、我が国に皆保険が早くからできているということは誇りですよ。今、アメリカはもう大変じゃないですか。皆保険をしようと思って、政府がひっくり返るぐらいの騒ぎになっているでしょう。それは誇るべきだけれども、その中にこういう大きな不公平があっていいのか。  同じ散髪屋が、東京と大阪には組合があるけれども、その隣接する私の住んでいる尼崎なんて、大阪市と電話の局番も〇六で全く同じですよ。町が続いているのですよ。それで、片一方では安い保険料、こちらへ来たら高い保険料、そして医療にかかれば自己負担が物すごく高い。こんな不公平が目の前に見えていたら、国民はなぜだろうと思いますよ。そして、大阪の散髪屋さんは開明的な理事者がいて、昭和三十六年以前に組合をつくっていたからであって、あなたのところはつくっていないからだめなんですと言われても納得できないですよ。  しかも、それがあなたのおっしゃるような背景があるのであれば、三十三年前に、この健康保険組合という制度は廃止をする、いわゆる十七条を廃止する法律をつくって我々が議論すべきなんですよ。廃止するかしないかは国会が決めたらいいのですよ。役所の局長が決めるべきことではないと思う。そして、もし私どもがこういう法律を廃止する法律をつくれば、先発している既存の健康保険組合というものは、一応経過措置はとりますよ、だけれども、やはり数年でやめてもらわなきゃ。そうでしょう。  それと、局長、これだけお金持ちの人の健康保険組合に年間総額でことし幾らの補助金を出したのですか。
  217. 岡光序治

    岡光政府委員 組合に対する補助金は、平成六年度の確定額で申し上げますと、国庫補助総額が二千七百八十億でございます。
  218. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 二千七百八十億。六千八百五十億という言葉が今非常に言われていますけれども、同じオーダーですよ。毎年ですよ、これ。なぜそういう高いところへ土を盛るようなことをするのですか。  本当に、強制保険ですよ、我々の国民健康保険は。そして、市町村事業者が、ほとんど零細事業者でしょう、そういう人が例えば元気で会社で働いているときは会社の保険に入っておって、公務員でもそうですよ。共済保険とか、物すごく楽なんですよ。ところが、定年退職して、高齢になって病気する人たちを全部我々が国民健康保険で引き受けているのじゃないですか。こんな不公平ないですよ。  それで私は、菅大臣、本当にあなたが大変な働きをしておられることは敬意も表するし、感謝しているのですが、あなたの在任中に、私がここでこういうことを申し上げたということは銘記していただいて、ぜひこういう不公平な制度はやめていただきたい。  もし十七条を廃止しないのであれば、兵庫県の理容師の国民健康保険組合を設立する手続を法にのっとってきちっと私とりますから、厚生省がこれに対して、兵庫県知事に対していわゆる関与、国の関与というのですね、法律に何にも規定はないのに指導という形でこれをやめさせるとか、あるいは各市町村長に対して、こういうものの同意を求めてきても同意をしてはいけないというような関与をしてはならないと私は思うのですけれども、あなたはどうですか。  これは、地方分権推進法というのが去年できました。その中で、国が地方の行政に法律上根拠もないのに関与をすることは許されない。そういうものは現在も二千幾つあるのですよ。そのうちの一つがこれなんですよ。こういう関与を法律の規定に基づかずにやってはならない。実は、地方分権推進に関する法律案を野党として私も提案をした一人ですから、その点については問題意識が強いのですけれども、あなた、そういうことを約束してくれますか。
  219. 岡光序治

    岡光政府委員 ちょっと理屈を申し上げますと、国保組合の設立の事務はいわゆる機関委任事務にしております。なぜ機関委任事務にしておるかといいますと、全国一律の基準で統一的に取り扱われるべきだ、そういうふうに考えたから機関委任事務にしております。私ども、機関委任事務が円滑に施行されていくという意味から、いろいろな助言をするなりいろいろ御協議をしておるというのが実情でございます。  先生の御指摘の医療保険全体をめぐりましての給付と負担の公平というのは、従来からの課題でございます。おっしゃいますように、健康保険と国民健康保険の間にも大変な差があるわけでございますのと、それから、それぞれの健康保険なり国民健康保険のグループの中でもなお差があるわけでございます。これは医療保険全体にとりましての課題でございまして、この課題解決のために根本からの見直しが必要であるというふうに私どもは考えておる次第でございまして、そういう認識で仕事をさせていただきたいと思っております。
  220. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 私は絶対それは納得できません。機関委任事務、そもそもこれが地方分権を一番妨げているものでありまして、これを全部やめてくれというのが私の提案の理由だったわけです。  それで、それは理屈ですからいいとしましても、この不公平な、昭和三十六年以降一切やめにしたけれども、二つ例外をあなたはおっしゃいました。一つは、いわゆる建設業に関する一人親方を全部入れることにした。もう一つは、各都道府県にお医者さんが健康保険組合を持っていたのに、沖縄返還になってそこだけないのは困るからそこもつくらせてくれということで、お医者さんにはっくることを許した。この二例です。  二つとも、僕はこれは不公平だと思いますよ。あなたの今ずっと説明された医者を抜いてしまって、残りはどうするのですか。医者は高額所得者ですよ。そういう一部の人を抜いてしまってはだめですよ。全国で二十万一千人のお医者さん関係、その家族も含めてこういう組合に所属して、百十九億という補助金を受けていますよ。これは不公平。それから建設業は、あなたは広げないと言っていますけれども、組合は広げてないけれども、加入者は爆発的にふえているのですよ。それはそうですよ。そんなもの、こちらで入れば五十万、こちらでいけば二十万でいけるのですよ、私ども弁護士でいけば。五十万と二十万だったら、だれだって二十万の方に入りますよ。そういうことを許しておれば非常に不公平になるというふうに思います。しかも、そういうところへ高額の二千億を超えるような補助金を出しているというのは、もうとんでもない話だと思います。  したがって、十七条を廃止されるというのであれば筋が通っていると思いますから、遅まきですけれども今からやっていただきたいし、もし廃止されないのであれば、兵庫県の理容組合が申請をして組合をつくることを妨げないでほしい、こういうことを申し上げまして、私の質疑を終わります。菅大臣から一言感想を。
  221. 菅直人

    菅国務大臣 今、冬柴委員の方から、国保組合のことについていろいろお話を伺いました。  実は、私も長くいわゆる一般の国民健康保険に入っておりまして、大臣になりましたら厚生省の共済に移らしていただきまして、多分安くなるだろうと思っております。  国保組合の持っている若干の矛盾というのは、私もいろいろ聞いております。今、冬柴さんが言われた意味でのいろいろな不公平といえば不公平もあるというのもわかるのですが、御承知のように、国民健康保険自体も地域によって七倍、八倍と保険料が違っておりますし、また保険の制度間においても、いろいろな経緯によって不公平というか、必ずしも統一的な基準ですべてが運営されているわけではないことは御承知のとおりだと思います。  そういう点では、年金の中でも今一元化の問題をめぐって調整がありますが、健康保険の場合は、逆に言えば、組合健保にしろあるいは国保組合にしろ、そういうものの方が若干自律的な、効率的な運営がされるのじゃないかというメリットもまた一方で言われているような側面もありますので、そういう点についてはメリット、デメリットあるいは公平、不公平、そういうものをいろいろ考えながらもう少し合理的な方向性が得られるのじゃないだろうか。  そういった点では、今いろいろな御意見を伺いましたので、また、局長の方もそういうことを踏まえて将来の見直しを考えたいと言っておりますので、そういう方向で進めさせていただきたいと思っております。
  222. 冬柴鐵三

    冬柴分科員 前向きの答弁、ありがとうございました。
  223. 谷津義男

    谷津主査 これにて冬柴鐵三君の質疑は終了いたしました。  次に、土肥隆一君。
  224. 土肥隆一

    土肥分科員 私は、今回厚生省が出します介護保険の制度について、ほんの入り口的な論議をさせていただきたいと思っております。  今度の介護保険導入というのは、言ってみれば、厚生省の仕事としては、ことしと言わずこの数年、最大限の努力を傾けないとこの仕事はうまく国民に浸透しないというふうに思うわけです。私はむしろ積極的に導入してほしい。拙速論などありますけれども、やはりこれはどこかで決断して先に進みませんと、三千三百市町村全部、例えば保険者が市町村だとしますと全部説得しなければならないというようなことにもなります。私も今まで福祉施設運営でありますとか福祉関係の仕事をしてまいりましたけれども、これで福祉の思想ががらっと変わる、また変わらなければならない、そのように思っております。  したがって、ちょうど福祉八法の改正のときに、老人保健福祉計画というのを全市町村にやってもらったわけですが、あのときも厚生省は大変苦労なさいましたけれども、とりあえず出ました。そして、新ゴールドプランもそこから出発したわけでありまして、厚生省主導型であるとかお国、お上の主導型であるというような批判も出ますけれども、これはやはり戦後五十年たって日本社会保障の問題をどう考えるのかというふうな、そういう思想的転換をこれで遂げるのじゃないか、それは私は国民にとっては幸せにつなげていかなければならない、このように思っております。  この介護保険の主たる目的は、やはり在宅介護・看護の手をどう確保し、そして、超高齢化社会における膨大なお年寄りの、しかも在宅にいるお年寄りの介護・看護を公的にどう支えていくかということだと思うのであります。しかし、これは一人一人がお年寄りなわけで、これはマスになって全体としてどこかグループをつくって陳情など出てきませんから、この在宅にいらっしゃるお一人お一人のお年寄り、そしてそれを世話していらっしゃる家庭の人たちの気持ちも十分酌むようなチャネルをつくらなければいけないというように思います。  それにしても、一方で福祉施設というのがあるわけでありまして、今日かなりの規模で日本福祉充実期を迎えてきているわけでありますが、それを追い越すような勢いで高齢化社会がどんどん到来する。ですから、施設だけでお年寄りの問題を解決することはもう到底できないわけであります。そういうふうな福祉施設を数限りなくつくったからといって、決してその施設利用者が幸せであるというわけにはいかないのでございますけれども、しかし、どうしても在宅で生きていけないという人は施設のサービスにあずからなければならない、こういう実態であろうと思います。  それから、新ゴールドプランも達成していただくわけでありますが、それを見ながら、同時に在宅福祉にもサービスの手が伸べられるとすれば、それは介護保険だというふうに思っております。税ではなくて、なぜ保険かというような論議もございますけれども、きょうは私は施設に限って質問させていただきたい、このように思います。  私は、日本福祉施設、特にこれを措置施設と言うのですが、措置という言葉は本当に嫌ですね。何かはかの言葉はないのかと、私は、初めて国会議員になりましたときに、厚生委員会でこの措置という言葉をやめてくれないかというようなことを質問したことがあるのです。アメリカなどの福祉を見ていますと、これはサービスというような言葉に置きかわっているのですね。サービスもいいなというふうに思うのです。  しかし、この特養、特に特養が老人施設の中心的な役割を持っているわけですけれども、今、福祉関係者はどうなるのだろうと非常に心配をしております。特に施設運営たちは、施設経営者、社会福祉法人を持っていらっしゃる皆さんが心配していらっしゃるのですが、まずこの施設整備というところから始まらなければいけないわけでありますが、従来、国が二分の一、都道府県が四分の一、残りが設置者というふうな考え方で、税金の導入をもって施設整備をしてまいりましたが、介護保険導入後はこの保険財政から施設整備をするのか、それともその他の税を用いた施設整備になるのか、そのあたりをお答えいただきたいと思います。
  225. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  新たな高齢者介護保険制度につきましては、今、その中身につきまして、老人保健福祉審議会において御議論をいただいているところでございますので、その最終的な結論を待って制度化を図ることになります。したがいまして、現段階ではまだ全体についての確定的な方向というところには至っておりませんが、その第二次報告におきまして、今お尋ねの特別養護老人ホーム等の施設整備に関しまして、「現在国庫補助等の公費を中心とした施設整備が行われている老人福祉施設については現行の補助制度を維持することが重要である。」との御提言をいただいております。  今後は、こうした審議会の御議論も踏まえながら、一方において介護保険制度にふさわしい一元化した新しい施設体系というものを展望しながら、しかし、今先生の御指摘にもございましたように、現在の各施設から円滑に新しいシステムに移行していくという観点をも踏まえながら、新介護制度導入後も必要な特別養護老人ホーム整備が図られますように適切な対応をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  226. 土肥隆一

    土肥分科員 当面国庫で見るというのか、あるいは保険が導入されて保険が充実してきたら、介護保険が充実してきたら介護保険に切りかえるのか、その辺の見通しはあるのでしょうか。
  227. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 先ほど申し上げましたように、現在、老人保健福祉審議会において介護保険制度の仕組みそのものにつきまして御議論をいただいているところでありますし、施設の体系につきまして、その中でも言われているように、新しい介護保険制度が定着をしたという状況の中においては施設についても一つの一元的な体系、そういう中になれば、もちろんそれぞれの役割分担をしながら、その役割分担にふさわしい、また税財政上の扱いというものを加味しながら一元的な体系に持っていくというのが最終目標でございますけれども、その一方において、そこへ持っていくために、現在進めていただいております施設整備というものが円滑にいかなければならない。また、そういった施設整備について、従来果たして きた公的な役割、その責務というものも十分踏まえていかなければならない。  こういった観点からの御議論がなされておりますので、そのことを十分踏まえた対応を今後新しいシステムを考えていく場合に織り込んでいきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  228. 土肥隆一

    土肥分科員 医療の分野でも介護保険が導入されるということでございまして、特に典型的な例は老人保健施設だというふうに思います。  これまでは医療法人が、これは社会福祉法人もよくなりましたけれども、施設整備費を設置者が全額持つということでございましたが、その後、一千万とかそこらの補助がつくようになりましたけれども、従来医療施設と呼ばれていたようなものが介護保険導入後どういう施設整備の手法をとるのか、今後どうなるのか、御答弁いただきたいと思います。
  229. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 今お尋ねがございました老人保健施設でございますが、まず現在のことについて申し上げますと、先生今お話もございましたように、今医療保険の体系でやられている医療施設関係につきましては、基本的には報酬を得て、いわゆる診療報酬という形でやられている中でそういった施設整備についてもやられてきているということでございまして、そういう中で、非常に政策誘導と申しますか奨励的な、あるいは医療施設について言えば、ある種の近代化等を図るというような政策誘導の部分で補助が行われているという仕掛けになっております。老人保健施設につきましても、そういう意味では、奨励的、政策誘導的な形での補助という意味で補助金が出ております。したがいまして、そのことの仕掛け自体は、従来のあれからいえば、社会福祉施設とはちょっと国庫補助のありようも趣を異にしているのは先生御指摘のとおりでございます。  さて、これを今度の高齢者の介護保険制度ができた場合にどのようにしていくかということにつきましては、先ほど福祉施設についても申し上げたとおり、これからの御議論にまたなければならない部分も多いわけでありますけれども、いずれにしても、老人保健施設も今度の介護保険制度の中で重要な役割を担っていかなければならない大事な施設であるということは、そのとおりでございます。  したがいまして、今度の老人保健福祉審議会におきまして、今後、そういった施設に対するいわゆる報酬の支払い、報酬の要素としてどのようなものを入れるかというような御議論も当然関係してまいりますけれども、そういったことを踏まえながら、いずれにしても、老人保健施設についても円滑に整備が図られ、また、従来の老人保健施設との円滑な移行が図られるという視点を一方に置いて考えながらやっていかなければならないというふうに思っております。
  230. 土肥隆一

    土肥分科員 ちょっと追加してお聞きしますけれども、そうすると、施設整備の手法といいますかやり方が、特養の場合は国が二分の一などなどでありますが、そういうふうな見方で老健施設整備していくのでしょうか、その辺をお答えしていただきたいと思います。
  231. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 老人保健施設につきましても、社会福祉施設特別養護老人ホーム等と同様に、将来における介護保険制度においては一元的な整理というものがなされ、きちっと位置づけられるというのが本来の姿であろうと思いますので、その中における公費補助のあり方ということは、またそれはそれとして一つの論点はあると思いますけれども、しかし一方において、先ほどお話もございましたように、在宅福祉充実することと同時に、どうしても在宅で支え切れないときには、そういった施設の役割というものも今度の介護保険でも大きな役割はございますから、そうしたところに円滑に体制整備が図られていくということも大事でございます。  そういう意味からいきますと、老人保健施設につきましては、介護報酬等の関係の整理ということはしなければなりませんけれども、新ゴールドプラン推進という一面もございますので、私どもとしては、現在の国庫補助等を引き続き行っていく必要性というものは高いのではなかろうかというふうに思っておりますが、これは今後の検討ということになろうかと思います。
  232. 土肥隆一

    土肥分科員 老人保健福祉審議会の最終答申が出ておりませんから、役所としては断定的なことは言えないと思いますが、一元的という言葉が象徴しておりますように、やはり新ゴールドプランでも老健施設が一番難しいですね。二十八万床というのがそう簡単にいかないので、早い時点で施設設置の方法を一元的になさって、大幅に国がお金を入れないと目標に達しないし、今後の高齢化社会にも老人保健施設の持つ意味が非常に高うございますから、ぜひともその方向で検討していただきたいというふうに思っております。  施設整備の方はそのぐらいにいたしまして、実際に運営をしていく面で、これから、例えば特養の場合、特養は措置費という、入居者あるいは利用者の一人頭幾らという単価に定数分を掛けて、使うときには事務費と事業費と分けて使うわけです。要するに、単純なというか、措置制度にきっちり乗っかっていくわけですね。  ところが、今度は介護保険ということになりますと、そこに入っていらっしゃるお年寄りが五十人なり七十人、百人おれば、お一人お一人のお年寄りの置かれた状況、肉体的あるいは身体的状況を見てケアプランがつくられて、そしてその人に必要なケアマネージメントをいたしまして、それからそれを積み上げていって介護保険で何点というのか幾らというのか決めてくる。一種の施設の中に介護のケアプランが入る。それは福祉施設の当事者がっくる場合もあるかもしれませんけれども、いずれにしても、ケアプランナーとあわせて合意をしないと介護保険の額が決まらないというふうに考えているわけです。  今までは、要するにどんぶり勘定といったらちょっと語弊がありますけれども、それで後は自由にその施設でやってください。中はどうでもいい。極端に言えばどうでもいいです。しかし、時々監査が入ったりして側面的な監査はいたしますけれども、そこには余り、サービスの向上であるとか、もっとより入居者に対応できるような、入居者が喜ばれるような施設にしようとか、あるいはそういう努力をしても措置費としてははね返ってこないわけですから、言ってみれば措置施設というのは非常に一般的に平均的な施設ではありますけれども、そこにもつといいものにしたいという努力に対する報酬がない。そういうものが評価されないというところがあって、今回介護保険が導入されることになりますと、これはもう特養の職員、施設長あるいは理事もぼやぼやしていられないというふうな状況が生まれてくるというふうに思うのであります。それは私は大変いいことだと思うのですね。  私ももう二十年近く施設をいろいろと運営してまいりましたけれども、一生懸命努力していても、努力しない施設もたくさんありまして、おつき合いをするとすぐわかるわけですけれども、そういう意味で施設のサービスのあり方すらも問われる。それから、運営、経営そのものも問われてくるような事態が来るというふうに考えております。  そういうときに、皆さんが検討していらっしゃる中で、要するに施設に対する費用、人件費、事務費、そして直接ケアにかかわる事業費などが大体どういうふうに査定されて、そして全体の、今で言う措置費のような額が決まるのか、大ざっぱでいいですからもう少し御説明いただけませんでしょうか。
  233. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  新たな高齢者介護保険制度におきましては、基本的な仕組みといたしましては、保険者が、介護サービス、介護給付を行っていただく実際のサービス提供機関である施設に対しまして、その対価として一定の報酬を払うということになるわけでありまして、その際、先生おっしゃったように、今後はいわばサービス競争と申しますか、よりよ いサービスを提供しようというようなインセンティブが働くようにということを私ども十分考えながら、また、こういう制度を通じてそういうことができるのではないかということを期待しているということは先生の御指摘のとおりであります。  そこで、やり方がどのような形になるかという点でありますけれども、先般の老人保健福祉審議会の第二次報告におきましても、対象施設としましては、特別養護老人ホームあるいは老人保健施設、それから療養型病床群など介護体制の整った医療施設というようなものを位置づけていくべきであるという方向をいただいておりまして、これらの施設に対する介護報酬の仕組みにつきましては、できるだけ共通化できるところは共通化を進める必要があるというふうにされておりますけれども、支払い方法につきましては、今後具体的な検討をしなければならない議題ではございます。  基本的な形で申し上げますというと、要介護認定をし、あるいは要介護認定において要介護度というものを認定して、それぞれの入所者の特性というものを踏まえまして、それぞれに、一応基本的には定額の考え方を基本にしながら、施設における人員、設備の状況でございますとか入所者の要介護状態の程度といったような施設コストと、それから、それぞれの入所をされる人の要介護度に応じたいわば要介護のスタッフの手のかかりぐあいと申しますか、そういったことを勘案しながら決めていくという形になろうかと思います。したがって、そういう形でそれぞれの入った人の頭数に応じたものが入ってまいりますから、そのトータルがその施設のいわば収入という形で入ってくるという形になるのが基本であろうと思います。  いずれにいたしましても、介護報酬の支払い方法のあり方につきましては、適切な介護サービスが提供されるように、また、そのことが本人の自立につながるような、あるいはサービスの向上という形でのインセンティブをできるだけ入れるような工夫を凝らしながら、関係審議会の御議論も伺って最終的に具体論を詰めてまいるということになろうかと思います。
  234. 土肥隆一

    土肥分科員 基本的な定額部分を認めて、その上にプラスアルファということで、大変結構だと思います。  今、特養の運営実態を見ていますと、職員に相当負担がかかっておりまして、私、たくさんある社会福祉施設の中で職員が一番苦労しているのは特養だというふうに思うのです。法的な最低定数が決まっておりますが、そこでやろうとすれば非常に無理があって、オーバーワークで非常に苦労していらっしゃるということがよくわかるのであります。  ですから、人をふやしてでも施設充実を図りたい、施設というよりは入居者のサービスの充実を図りたいというふうな希望を持っているところがあれば、その認定に応じて額が積算されていくというふうな非常に柔軟な対応あるいは柔軟な考え方を持っていただきたい。  一方、手のかかるお年寄りは施設に入れたくない、そういうことを言う施設がございまして、ある程度わかるのです。職員の数が限られているのに、重度のといいましょうか重症の痴呆老人でありますとか俳回の非常にきつい人を入れるということになると、それだけで手がかかってしまいます。  それからもう一つは、いわゆるショートステイ、これはやはり大問題ですね。このごろ厚生省は、五十名の特養を申請しますともう自動的に二十名のショートステイをつけてくるわけですね。それを入れないと認可しないとは言わないのでしょうけれども、押しつけてくるわけですね。設置者の方はぜひやりたいという意欲を持っておりますから受け入れるわけですが、ショートステイの人が一人入ってくると、大体、職員が一人ずつとついておかなければいけない。定数二十のショートステイが入りますと、それはもう大変な状況でございます。  このショートステイなど、どうしても特養で持っていただかなければなりませんから、そういう部分の配慮なども今後のいわゆる介護保険で見ることができたら、やはり一番困っていらっしゃる重い人、そして、とにかく今すぐでもショートで受け入れてほしいというふうな緊急性というようなものにも応じられるような福祉サービスが展開されたらいいな、こういうふうに思っております。まだ最終的な方針が出ていないわけでありますから、また私も厚生委員会で十分こういう面も詰めてまいりたいというふうに思っております。  もう一つは、要するに被保険者は本人、個人でありますから、いよいよ介護サービスを受けるというと、お年寄りが介護保険の被保険者になるわけですね。精神からいうと、その被保険者であるお年寄り自体が、こういうサービスを受けたいとか、こういうふうにしてほしいとかいろいろ願いがあって、そして、そのニーズに応じてサービスが展開されるということが一番理想的なわけですが、どうもそうならないのじゃないか。  保険者は市町村にしても、被保険者が個人というときに、お年寄りの主体性というものはなかなか発揮されない状況にある。つまり、ある人は施設に入れてもらう。利用するとか入るというのじゃないです。入れてもらう。それから在宅では、お嫁さんや配偶者に見てもらう、あるいは親戚の者に見てもらう。みんな受け身の態度に終始するわけです。私は介護保険を持っているのよといってこれを振りかざしたって、なかなかそうはいかないわけです。  ですから、お年寄りが本当に介護保険を積極的に利用するというふうな意味では、被保険者であるお年寄りの要望をどう組み入れていくのか。それは施設においてもそうでしょうし、在宅においてもそうでありますから、その辺はどういうふうに今検討していらっしゃるのでしょうか。
  235. 羽毛田信吾

    ○羽毛田政府委員 お答えを申し上げます。  高齢者の方々が要介護状態になられたというときに、そのニーズにできるだけ合った適切な、しかも継続的なサービスを提供していくということが非常に大事であるということは、先生御指摘のとおりでございます。  そのために、もちろん、その方の客観的な要介護度というものに応じて、この方は介護のサービスを給付できるかできないか、あるいは重度であるかそうでないかということは、これは客観的に決め、それによって給付が決まってくる、これが保険制度としての基本的な仕組みだろうと思いますので、そうしたことが決まって、それじゃそれで具体的にサービスを受けるというときに、先生お話しのようなことで、その方々がこう受けたいと思うことをできるだけ貫徹できるような、そういう仕掛けがどういうふうに考えられるかということでお答え申し上げなければならないと思います。  その仕組みとして、先生も先ほどお触れにもなりましたケアマネジメントと申しますか、そういったそれぞれの方々の御要望に応じてケアプランというものを作成をして、そのケアプランに従って給付を行っていくという仕組みを考えていこう。その際に当然ケアプランを作成する、これは専門家のチームでやりましょう、こういうことを考えているわけでありますけれども、その専門家のチームが御議論されるときには、まずその前提として、御本人のところに行って御本人の要望も含め、もちろん身体状況あるいは家庭の状況等もそこに行ってお教えを願って、それに基づいて計画を作成していくという過程を経る。  それから、場合によりましては、そこのいわゆるケアチームでそのためのいわば会議、協議をしますときには、本人あるいは家族の方々もそこに参画をしていただいてそこのプランをつくっていくという、いわば利用者本位ということをできるだけ給付をする過程においても組み込んでいくような、そういうような仕掛けを考えていこうということをまず考えているということが第一でござ います。  そのためにも、そういうものができても、ちゃんとサービスができるような整備体制が整っていないといけませんので、一面、先ほど来お話のございましたような施設整備なり在宅サービス整備なりということは、今後大車輪でさらに進めなければならない課題であることはもちろんでございますが、仕組みとしてもそんなようなことを考えていくということで、今後検討してまいりたいというふうに思っております。
  236. 土肥隆一

    土肥分科員 大臣、最後に、これは大変ですよ。役所の皆さんにも申し上げたいのですが、もうお役所的答弁はとても国民は納得しません。私はやはり、介護保険の持っているメリットあるいは理想、どういう福祉社会を描いているかということを、それこそ、またこの前の老人保健福祉計画のときのように三千三百市町村に行かなければいかぬわけですから、もうお役所的態度はやめていただいて、理想を語るといいますか、こういう社会になるのですよ、皆さんも一緒にやりましょうよというような積極的な態度を示さないと、何かテクニカルな問題じゃないと思うのですね。  日本高齢化社会をどう乗り切るかというときに、なぜこの介護保険が導入されたのか、そして、日本福祉医療は変わっていくということを積極的に説かれなければいけない。そのときに、私は大臣の役割というのは大変大きいと思うのですね。  今なかなかお疲れのようですけれども、一段落しましたので、今度は介護保険で大いに頑張っていただかなきゃいけないので、ぜひともその理想のところをしっかりと押さえていただきたいのですが、大臣、御決意のほどをどうぞ。
  237. 菅直人

    菅国務大臣 土肥さんからは、長年この分野で実践をされてきた立場からいろいろと御指摘をいただきました。  私も、実は厚生大臣になったときに、少なくとも二つのことだけは手がけたいと思っておりまして、その一つは今のHIVの問題ですが、もう一つはこの公的介護ですね。私の在任中どこまで進むかは別として、これはぜひ積極的に取り組みたいと思っておりました。  最初にも言っていただきましたけれども、私もある意味では同感なわけです。というのは、確かにいろいろな問題がたくさんあります。また、自治体の首長さんも国保との並びでどうなるのだろうという心配もあります。あるいは個々の方も、今御指摘をいただいたことも含めていろいろあります。  ただ、この問題は、相当頑張って旗を振らないと、議論そのものもなかなか盛り上がらなくて、見えてこない。見えてこなければ、結局先送りになってしまう。しかし、高齢化社会は待ってくれない。要介護者の数は年々十万ずつふえている。こういうことを考えますと、ここは、今言っていただいたように、やはり理想を語りながら、将来を語りながら大いに旗を振っていく必要があるのではないか。  と同時に、今これも言っていただきましたけれども、今までの医療とまさに措置の問題を含めた福祉のあり方を、場合によってはもう一回福祉の構造改革というものをあわせて、新しい将来に向かっての組み立てをしていく。単に今のものを量的にふやすという、これだけでも大変ですけれども、そういうことを超えて、質的な変化を伴いながら新しい福祉システムをつくっていく、福祉の構造改革ということをあわせて進めていく必要があるのではないか、このように考えておりまして、ぜひこれからも土肥さんにもいろいろな面で御教示いただきたいと思います。
  238. 土肥隆一

    土肥分科員 大変ありがとうございました。終わります。
  239. 谷津義男

    谷津主査 これにて土肥隆一君の質疑は終了いたしました。  次に、寺前巖君。
  240. 寺前巖

    寺前分科員 この間、日曜日の日に、雪の中を奈良へ行ってきたのです。古都奈良を見たわけではなくして、奈良の裏山にずっと走っていった。それから続いて、兵庫県の姫路の周辺に行ってきたわけです。いい城を見たり、いいまを見て気楽なものだなとお思いかしらぬけれども、その裏手では大変なことが起こってきているということが気になって仕方がないものだから回ってきたわけです。その二、三の問題について、きょうは厚生省皆さんに担当している問題としてお聞きをしたいと思います。  実は、奈良県の室生村という村がある。室生寺で有名なところですが、そのお寺とは南北の非常に離れた地域ですが、そこの一角に多田という集落があります。私は数年前に、そこの採石所、そこで大願興産という会社が、もう倒れかかっている会社を買うて採石の仕事を、逆に今度は穴ができてくるからそこに埋めるという産廃の活動をやられている。その産廃の活動というのは、実は産廃業者としての資格なしに自社処分という形で次々と開発をしていくというやり方をやっている。結果として大きな林地を破壊してしまうことになるから、これは自社処分の範疇の仕事ではないじゃないかということを予算委員会分科会で提起をしたことがある。  それなりにその後きちんとやるような方向になっているという話を聞いていたわけですが、大願興産の同じ道をすぐ山手へ上がって反対側へおりてみたら、今度は次々とまた産業廃棄物の処理がされている。単にされているだけじゃないのです。そこには別荘地があるわけなんです。別荘地の中に食い込むことをやっていく一番大きな事業をやっているのは、南部開発というところがやっているのです。これをこのままに放置していいのだろうか。私は、奈良の各地からこういう問題が聞かれるものだから、奈良県における産業廃棄物に対する対応がこのままでいいだろうかということが気になってきているものですから、したがって、指導をやられる厚生省に具体的にお聞きをしたい、こう思って問題を提起するわけです。  そこで、急に言って大変だったろうと思いますので、私はあえて、直接許可権を持ってどうこうされるわけじゃございませんので、深く細部まで申し上げる気はございません。だけれども、あり方の問題としてひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。  まず、その南部開発というのは、そこの大願の裏手の山のところで開発許可を取ってやっているのかどうか、どういう廃棄物処理の許可を取ってやっているのか、許可を取らないでやっているのか、許可を得ているとするならばいつまで得ているのだろうか、おわかりになったら御説明をいただきたいと思うのです。
  241. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 わかるところをお答えさせていただきます。  南部開発株式会社の許可内容でございますが、産業廃棄物処分業、これは中間処理、破砕ということで、廃プラスチック類、木くず、ガラスくず及び陶磁器くず、ゴムくず、それから金属くず、建築廃材をやっております。それからもう一つ、産業廃棄物収集運搬業として廃プラスチック類、建築廃材、その他十四種類について運搬業をやっている。もう一つは、特別管理産業廃棄物収集運搬業として、これは積みかえ、保管を除くことで感染性の産業廃棄物について許可を持っておるということでございます。
  242. 寺前巖

    寺前分科員 そこで、この業者が許可をいつ取って、いつからそこで処理をしているのでしょうか、これが一つ。それから、その許可を与えて以後、立入検査というのは行われたことがあるのかどうか、これについておわかりになりますか。
  243. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 この南部開発に与えられた許可は平成元年八月十日でございまして、先ほど有効期限のことを言いませんでしたが、平成八年十二月九日まで有効であるということでございます。  それから、今先生、立入検査の関係でございますね。御報告申し上げますと、奈良県からの報告によりますと、まず平成四年七月三日に設置届け 出がありまして、平成五年七月二十八日に県が竣工検査を行っております。そして、平成五年八月六日に施設の使用開始報告書が提出されまして、八月十一日より産業廃棄物の搬入が開始をされております。  奈良県は、平成五年十月に第一回の立入検査を行い、その後現在に至るまで、おおむね一ないし二カ月に一度、当該処分場に対する立入検査を実施し、必要に応じ指導を行ってきているところであります。最近におきましては、平成八年二月十六日に立入検査を実施いたしまして、これで、平成五年十月の第一回から平成八年の二月十六日まで、約二年五カ月ありますが、合計三十七回の立入検査を実施いたしております。この間、地元住民の要請を受けまして、平成五年十月のほか平成六年一月、平成七年五月に住民立ち会いの上での立入検査を行っているところでございます。
  244. 寺前巖

    寺前分科員 その立入検査の結果は、適正に処理がされていたのでしょうか。
  245. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 奈良県からの報告によりますと、現場作業員等の食事の残渣がごみの中に混入、散乱していた場合に指導を行った経緯はございますけれども、当該最終処分場に疑われていました生ごみの搬入がされているという事実は確認ができなかったというふうに報告を受けております。
  246. 寺前巖

    寺前分科員 実は、そこが私の聞きたいところだった。何でこれを放置しているんだろう。夏と冬とは違いますよ、生ごみのにおいというのは。一目瞭然なんですよ。第一、カラスが安定型のところでは飛びませんわな。カラスが五十羽、わあっと立ち上がっておるのやわ。そんなのは生ごみに決まっておるがな、下は。  私、歩いて山の上から見ました。現地の人に写真ももらいました。もう見ただけで生ごみや。これが見えなかったとすれば、県の人は何のための立ち入りをやっていたのだろうか。そう簡単に一晩の間にばあっとひつくり返してどうのこうのする事態じゃないですよ。異常な事態のままで生ごみの搬入がされている。  そこの目の前には別荘地があるのですよ。別荘の方々は、何のためにここへやってきたかわからぬようになってしまったとうなっておられる。住民の人も一緒になってそこへ行った、こうおっしゃる。住民が、私がこの間日曜日に行く前日の晩に二十四戸お集まりになっている。かつて区長をやっておられた一人の人を除いて、全員が異議を唱えておられる。みんな何を言うのか。私を案内してくれたのはここの村の五、六人のお方でした。その五、六人のお方もこの写真をくれたわけですよ。歩いて、山へ登るのを案内してくれました。  私は、あれだけの別荘をつくっていながら処分場としてあんなところに許可を与えたこと自身が、制度的には否定できないのかな。それにしても、目の前にそんなものをつくらすことについて、住民の了解なしにはできない話だし、住民は、わざわざ来たのだからそんなことを了解するはずはない。事実そうおっしゃっている。そこへ生ごみをほうられていて、それでいて異常はございません、一、二カ月に一遍行っていますでは、行ったなどという話は私には聞こえません。  大臣、見に行きなさいなどということを、こんなことは私は言いません。しかし、そんなことを報告しているとするならば、奈良県のあり方について厚生省としてしかるべき指導をされる必要がある。しかも、これは許可業者として、平成八年といえばことしてしょう。ことしを期限として出しておられる以上は、これで果たして継続していいのだろうかという問題にも直面すると僕は思うのです。厚生省の指導についてどうされる気か、お聞きをしたいと思います。  この写真、ちょっと見せましょうか。委員長、よろしいか、参考のため。
  247. 谷津義男

    谷津主査 どうぞ。
  248. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 この施設につきましては、平成三年の廃棄物処理法の改正によって許可制に変わったわけですが、その前は届け出制だったわけで、そのときに届け出で許可を受けている施設であるということをまず先生御理解をいただきたいと思います。  それで、今写真を見せていただいて、確かにカラスが飛んでいるように私も見えます。先生からこういう御指摘があったことを奈良県に伝え、そして、奈良県に立入検査も十分きちっとやるようにということをまず指導してまいりたい、このように思います。
  249. 寺前巖

    寺前分科員 許可制になってきているのだから、これを継続的にこんな事態で野放しで許しておくというわけにはいかないと私は思いますので、そのことを念頭に置いてしかと今後の指導をやっていただきたい。大臣、よろしゅうございますか。
  250. 菅直人

    菅国務大臣 今政府委員からもお答えしましたように、寺前先生がおっしゃったことを踏まえて、奈良県に対してきちんとした対応がなされているかどうかについて指導していきたい、こう考えております。
  251. 寺前巖

    寺前分科員 それではよろしくお願いします。  次に、これも数日前のことで、姫路の周辺の瀬戸内海国立公園内の御津町室津の山林というのでしょうか、行きましたら、ちょうど今、梅林の盛りですわ。こういう名勝があるとは私は知らなんだな。  実は、別にそれを見に行ったわけじゃなくて、その合間を縫って奥へ入ったところに、トーデン物産というのが家電製品をほうり込んでおります。新聞やテレビで報道がされていましたので、現地へ行ってみたのです。  そうしたら、案内してくれた兵庫県の環境庁の関係者、環境庁の出先じゃないのですが、環境庁と関係のある部局があるのですが、そこの人が、いや、これは二段造成をやっていますし、国立公園としての風景を汚していますので、その指導、処置をやりました、警察も一緒になって、これは違反行為だというので摘発していますのや、こういう話なのだけれども、それもそれで大事だ。  だけれども、あそこに持ち込んだのは一体何だ。家電製品。冷蔵庫があり、洗濯機があり、そしてテレビがある。こういう家電製品をどうしているかというと、石のように積むのですわ。そして、土をずっと入れてくるのです。いわば石の壁、石垣というのか、そういう扱いを受けている。これは危ない話やな。こんなもの、潮風が吹いて、瞬く間に腐っていきよるで、さびてくるで、がらがらと崩れていくやないか。  この問題についてどうするのや。産廃の処理業者でもない、許可はとっていない。それにもかかわらずそんなことをやって、それに対する指導はどうしたんやと言うたら、寝耳に水でございますと言われた日には、去年の夏に連絡を受けておって、そのこと自身に対する対応をやらないというのは一体どういうことなんだろう。私は、それは異常に感じた。だから、産業廃棄物の処理として免許もなければ何にもない、それがそんなことをやっているときに、原状回復をさせて当たり前じゃないかいなと私は思ったのです。  私の意見、間違っていますか。何らかの処置があったのでしょうか。お尋ねいたします。
  252. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 御指摘の問題は、兵庫県及び姫路市から産業廃棄物の収集運搬業の許可を得ている業者が、姫路市内の家庭電化製品小売店等から収集した廃家電製品、洗濯機、冷蔵庫などを兵庫県内の自社の所有地に運搬し、部品等を選別した後、当該保有地に保管をしているというものでございます。  この業者の行為は、産業廃棄物の積みかえ、保管に該当いたしまして、当該行為はこの業者の業の許可の範囲に含まれておりません。そういうことから、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第十四条の二第一項違反、無許可の事業範囲の変更の疑いがあるとして、本年二月二十三日に兵庫県警が捜査に入ったところでございます。  以上でございます。
  253. 寺前巖

    寺前分科員 捜査はええんや、警察は。向こう がやるのだ。あんなままで現状は置いておかせていいのかというのです。原状回復をやらせなければいかぬということ。そんな、置いてあるのと違うんだから。土を入れ、コンクリートを入れているんだから。そんなもの危なくてしかたがないよ。あれ、崩れますよ。  だから、そういう措置を何でやらないのか。これは厚生省所管と違うんかいな、出先の。どうなんだろう。
  254. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 原状回復させるべきではないかということでございますが、まず、現場に持ち込まれた冷蔵庫等は土地ののり面等に用いられているものでありますが、県の報告によりますと、直ちに崩壊等が生じるおそれはない、こう聞いております。また、冷蔵庫等はモーター等の部品が除去されており、その性状は金属くず及び廃プラスチックであると考えられることから、直ちに浸出水等による汚染が生じるおそれはないと報告を受けております。  厚生省といたしましては、兵庫県に対し、引き続き状況の把握を行い、関係機関と連携を密にして、生活環境保全上支障がないよう適切に対処するよう指導してまいりたいと思います。
  255. 寺前巖

    寺前分科員 僕は、それは異常やと思うで、異常。あんなもの、置いてあるという姿じゃない。ほかしてあるんだ。そのほかし方は、石垣のようにして積んでいる。あんなにも置いてあるんですよ、あなた。そんなもの、腐るのはわかり切っている話や。そんなもの異常ないと思っているんでしょう。廃棄したものと見なかったらうそですよ、あそこら辺に。埋め立てるという姿になっている。ほかすということを、許可をとっていない業者がわざわざそうやってやっているんだから、これは撤去をさせて原状回復しなかったら、必ず将来問題が起こってくるであろう。  僕はもう直接おやりになっている厚生省の偉い人にこの場でどうのこうの言いませんから、直ちに調査をやってください。あんなことでいいのかどうか、僕は疑問がある。原状回復をやって、あんなもの廃棄物として処理しているのと同じことだという角度から見直しをやってください。いかがでしょうか。
  256. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 きょうは、寺前先生の前にも、安定型処分場、廃棄物についていろいろ御意見をいただきました。できるだけ時間の余裕をつくって安定型処分場の代表的な事例、ここに行けるかどうかは別として、そういう問題があるようなところについては私まず見てまいりたい、このように思います。
  257. 寺前巖

    寺前分科員 ぜひ今の問題は、単に報告だけではなくして、深く詰めてみてください。僕は問題を残すことになると思いますから。私の意見に異論がなかったら、これで次へ移ります、もう時間がそんなにありませんので。  その次に、これも姫路の周辺ですが、太子町というところへ行ってきた。東芝電気の太子分工場の隣地でカドミの汚染米が検出されたという事件が、事件というのですか、そういうことが起こったわけです。  その工場は、テレビのブラウン管製造にカドミを使っていたわけですね、前に。それで、農用地土壌汚染対策地域として七二年四月に地域指定を受け、七六年に対策計画承認を受け、八〇年に地域指定を解除するという経過をした。  今回、この地域の隣地三・三ヘクタールで土壌調査をしたところ、一ppmを超えたものが十五点中四点出てくる。その他の調査で食糧庁通達数値を超えたというものが十五点中三点出てくる。出荷米調査で食糧庁通達数値を超えたものが二十四点中四点出てくる。八〇年に土壌汚染対策地域の指定が解除される中で、カドミは解決済みだったと思っていたのに、こういう事態が起こってきたことがことしの一月十七日の新聞に報道されたところから、地域ではショックを受けるという事態が生まれているわけです。  そこで、私が聞きたいと思うのは、従来、カドミが出てきたところを指定して、そして天地返しで土壌の改良をやって、食糧のお米をつくるということを継続してやっておったわけだけれども、その隣地にあらわれてくるということになってくると、私は改めてこの際に、それじゃ前の土は、天地返しをしたときの土の一定部分はどこかへ持っていっているのだろう、その保管はどうなっているのだろうということに疑問を感ずるのです。  それから、新しくこれをやった場合に、この土はどういうふうにするのか。作土をかえてしまうのか。何か方法を考えるでしょう、お米の方は食糧庁が買うと言っているのだから。そうすると、その土の保管の仕方はどういう保管の仕方になるのだろうか。私は、行く末をきちんとしておかなかったならば、被害拡散の役割をするのではないか。  これは環境庁のお仕事なんでしょう。だから、環境庁にそれをお聞きしたいと思うのです。過去のものの管理はどうなっているのか。きちんとどこにどう管理しているのか明確になっているのか。それから、新しいところはどういう管理の仕方をさせることになっているのか。これをひとつお聞きをしたい。
  258. 西川孝一

    ○西川説明員 汚染土の過去の対策における取り扱いについての御指摘が一つあったわけでございますが、この太子町の汚染土につきましては、排土客土という方法で工事をしておりますけれども、その汚染土壌につきましては、擁壁で四万を固めまして、その中に汚染土を封じ込めてその上をきれいな土で覆う、そういったやり方で処理をしているということでございます。  また、今後、これから新しく見つかった地域につきましては、どのような対策を講ずるかということを太子町と兵庫県で現在検討をしております。その検討結果に従って対策が講ぜられるということで、私どもといたしましても、きちんと指導をしてまいりたいということでございます。  今後の対応ということにつきましては、環境庁といたしましては、そういう汚染土が拡散をするということは大変問題だというふうに考えております。したがいまして、処理が完了した後におきましても、掘削等によりまして汚染土が拡散しないように十分管理をするようにといったようなことで、適正管理につきまして県を指導してまいりたい、そのように考えております。
  259. 寺前巖

    寺前分科員 それで、このカドミ問題で天地返しをしたりいろいろな形の土壌改良をやってきて、それが擁壁をつくってきちんと管理されているのかどうかというのは、隣に出てきたところから、改めて私は一つの不安を持ちます。だから、これはもう時間もありませんからやりませんけれども、これでよかったのかということを今改めてきちんと見直してほしいというのが私の願いです。  それから第二に、そういうふうになってくると、去年はたまたまひでりがひどかったからお米にばっとあらわれた、こう言うのだけれども、しかし、一定の数値より余計出たというだけの話であって、潜在的にそういうものがあそこの食糧の中にはあるということにもなりかねないという心配もあるわけです。  さて、そうなってくると、今度は人の側に関係をしてくることになるでしょう。だから、人の健康管理についてどういう事態になっていたのだろうかという問題を私は心配するわけです。  だから、こういう地域で新しく改修をされるということになったら、そういう地域の健康管理の面において、これは厚生省が所管するのだろうか、環境庁が所管するのだろうか、両方が相談するのか、それは役所の機構のことだから私はよくわからぬけれども、いずれにしても、そういう環境地域の方々に対して健康管理の指導、直接の検査をやるとか、いろいろなことの手を打ってしかるべきではないだろうか。これは厚生省の方からお答えいただくのですか、環境庁でしょうか。
  260. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 まず、カドミウムの安全のための残留基準というのがありまして、これが一・〇ppmという濃度でございます。そして、 この一・〇ppmという基準が守られていれば、長期間継続的にそのお米を摂取しても何ら健康上問題のない数値であります。  それで、兵庫県のこの田んぼからとれたのは、先生がおっしゃいましたように、若干一・〇ppmを超えたのが散見されますが、これは全部食用には供されないという状態で措置がされております。  それから、食糧庁さん自体は、お米の買い上げはこの一・〇ではなくて、〇・四ppmを超えたものは食糧庁が買わないということでございまして、実際に国民皆さんにそういう危険なお米が日本に出回っているということはないわけでございまして、そういう意味では、このカドミウムのことの健康に関しては御心配はないと思っていただいていいと私は思います。
  261. 岸田修一

    ○岸田説明員 今の兵庫県の太子町のカドミウム汚染米の件でございますが、厚生省の方からお話がございましたように、現にその基準に違反したお米が流通していない、あるいは食糧庁におきましても基準を上回るようなお米を食用に供していない、こういったような観点を聞いておりまして、このような状況を踏まえますと、環境庁といたしましても、現在、住民の健康調査といったようなものを実施するような状況ではないのではなかろうか、このように考えております。
  262. 寺前巖

    寺前分科員 十分に配慮してください。  終わります。
  263. 谷津義男

    谷津主査 これにて寺前巖君の質疑は終了いたしました。  次に、大口善徳君。
  264. 大口善徳

    大口分科員 新進党の大口でございます。私は本日、歯科医療等を中心に質問したいと思います。  阪神・淡路大震災から一年たったわけですけれども、神戸市歯科医師会が発行しております「歯科医師からのレポート 震災でわかった歯と食のはなし」、これを見ておりますと、その中で、入れ歯救急隊ということを結成されて座談会がなされております。その一節にこういうのがあります。義歯をつくってもらった患者さんの反応について、   初回の時は、例外なく皆さん、涙を浮かべて喜んでくれました。僕たちもこんなに感激したことはなかった。二度とあんな体験はできないと思います。それから、回を重ねるごとに患者さんの表情が変わって…。別れ際には、別人のように明るくなりました。義歯が入った時の嬉しそうな顔は、今でも忘れられませんね。 あるいは  避難された当時、杖がないと歩けなかったのに、歯が入った瞬間に、杖なしで歩けるようになったんです。奇跡みたいでしょう?表情も豊かになって、シワくちゃの顔にハリができて…。歯の役目というのは食べ物の消化を助けるためだけではない、底知れぬすごい力があるんじゃないかと思いましたね。 こういうことが語られております。  また、厚生省におきましても一九九〇年、八〇二〇運動が始まったわけですけれども、東京歯科大学名誉教授の長谷川さんのこの中で、   歯がなくなるとまず、噛む能力が落ちます。また唾液の分泌が悪くなり、口の中で行われる化学消化が低下し、以後の消化器系に障害を及ぼす。また味覚・触覚などの知覚機関に異常をきたし、さらに発言障害を起こす。   このように噛むことは食べ物の消化・吸収を助けるだけでなく、知能の発達を促し、ボケなどの老化を防ぐ効果がある。噛む運動は、頭部の基本運動であり、噛みしめることによる物理的な刺激からは、顎や顔面組織にある細胞の新陳代謝を活発にし、大脳を活性化させ、ボケの予防に有効なのだ。 高齢社会の中で八〇二〇運動が展開されておるわけでございます。  この阪神・淡路の件、そしてまた八〇二〇運動、そういうことも踏まえまして、この高齢社会における歯科医療の大切さ、また歯科医療向上について大臣の認識をお伺いしたいと思います。
  265. 菅直人

    菅国務大臣 今委員からお話がありましたように、高齢社会を迎えている今日、国民すべてが健康で明るく快適な生活を過ごすためには、できれば生涯を通じて自分の歯で物をかみ、食べるということが大変重要で、そういう点からも歯の健康づくりを進めることが厚生省の健康行政としても重要だと思っております。  厚生省としては、今も大口委員から言われましたように、八十歳になっても二十本以上の自分の歯を持って物がかめるようにということで八〇二〇運動の実施をいたしていて、生涯を通じた歯科保健推進に努めているところです。また、在宅寝たきり老人などに対する訪問歯科診療・指導の実施や休日における歯科医療確保、こういったことにも努力いたしております。国民に良質な歯科医療保健サービスを提供するためには、また同時に必要なマンパワーの確保が必要だと考えております。  こういったことを含めて歯科保健医療対策というものは大変重要だと考えておりまして、精力的に取り組んでいきたい、このように考えております。
  266. 大口善徳

    大口分科員 新年度から、静岡市の歯科医師会において、高齢者の自宅へ出かけて診療するサービス、これをこの秋にもスタートさせたい、こういうことで努力をされておられます。医師と歯科衛生士がペアになって高齢者の自宅を訪れる、そのときに診療機器などを完備した往診車で行く、こういうことでございます。  国の方におきましても、在宅寝たきり老人歯科保健推進事業、あるいは在宅心身障害者歯科保健推進事業、こういうものがあるわけで、本年度の予算につきましても、例えばこの在宅寝たきり老人歯科保健推進事業費として、前年度七百四十三万二千円であったのが五千三百六十三万三千円、こうなっておるわけです。まだまだこれは額としては極めて低い、もっと推進をするために国が補助を出すべきだ、そう考えますが、いかがでしょうか。これも大臣にお願いします。
  267. 谷修一

    ○谷(修)政府委員 今先生お触れになりました在宅寝たきり老人を対象とした歯科保健推進事業、これは六十三年度から実施をしておりますけれども、この事業に対します要望が非常に強いということで、八年度予算におきましては従来七カ所だったものを五十カ所にふやして、今お触れになりましたような形で、予算も七百万から五千三百万ということで大幅な拡充を図ったところでございまして、今後、この事業の進展状況を見ながら必要な予算確保に引き続き努力をしていきたい、このように考えております。
  268. 大口善徳

    大口分科員 これは、静岡の場合は事業費が八年度五千六百万ですね。そういうことを比較しますと非常に微々たるものである、そういうふうに考えます。  次に、歯科と医科の初診料あるいは再診料、この初診、再診の点数、この格差についてお伺いをしたいと思うのです。  これはもう前々から言われていることでございます。例えば、昭和六十一年の医科と歯科の初診料の差というのは三十五点、平成六年の医科と歯科の初診料の差は五十一点、平成八年の医科と歯科の初診料の差は七十五点と年々格差が拡大をされている。また、昭和六十一年と平成八年、これを比較いたしましたときに、医科の初診料は百九十五から二百五十と二八%の伸び、ところが、歯科につきましては、初診料が百六十から百七十五と九・三%の伸びにすぎない。また、再診料につきましては、歯科は医科の約二分の一になっているわけです。  この医科と歯科の初診料の格差、これは過去からずっとそうなのかといいますと、昭和三十三年から三十九年、昭和五十年から五十九年は格差がなかった、こういうことでございますので、なぜこういう格差があるのか、この理由についてお伺いしたいと思います。
  269. 岡光序治

    岡光政府委員 先生御存じのとおり、点数評価 というのは、それぞれの分野におきましての傷病の性質とかあるいは診療行為の内容、そういったものに対応しているわけでございまして、医科、歯科の傷病の性質なり診療行為の内容が違っておりまして、結果として初診料なり再診料に差が出ておるという状況だというふうに理解をしております。  その点数の性格は、要するに財源を配分するいわば配分係数という性格を大きく持っているわけでございまして、そういうことで、医科、歯科のそれぞれの分野における診療行為全体の姿に影響をしておる、影響を受けておるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、共通する技術につきましては基本的には同一の評価を行うということで、例えば手術などにつきましては、医科、歯科共通の行為につきましては同一の評価をする、こういう対応をしているわけでございます。
  270. 大口善徳

    大口分科員 そこで、その診療行為というものを比較してみますと、平成元年四月十七日にHIV医療機関内感染予防対策指針、これが出ておるわけでございます。そこで、「観血的な処置を行う頻度が高い。」「歯科医師をはじめ歯科診療従事者は、常に適切な感染予防対策を行う必要がある。」こういうことで、HIVの機関内感染予防というものも加わってきております。  そういうことで内科と比較をしてみますと、内科については、問診だけであるということで常に感染予防対策はとっていない。また、内科の場合は、カルテの記入を歯科医師のように常に手袋をとって手を洗浄してからしなければならないわけではない。それに対して歯科の方は、手袋をとって手を洗浄してカルテを記入する。  それから、歯科医師の場合はすべての処置にグローブを着用しているのに対して、内科はすべての処置にしていない。それから、エプロン、コップ、手袋等の器材はディスポーザブルが多く、これらの感染性廃棄物の処分費用等も自己負担だ。このグローブとかエプロン、コップ、手袋等の単価を聞いてみますと、合わせますと百三十二円五十五銭、それに感染性廃棄物の処分費用、これも入ってくる。そういうことあるいはカルテの記入の手間等々考えますと、内科と比べて格差を設けるということはおかしいのではないか、こういうふうに私は考えるわけです。  そういうことで格差の是正を早急にすべきだ、こう私は考えますが、いかがでございましょう。
  271. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のありました感染防止策は本当に大切なことだと思っております。  もうこれは先生十分御承知ですが、歯科の世界の初診料は、実は昭和六十一年、六十三年、それから平成二年の改定ではずっと百六十点で据え置かれておりまして、平成四年の改定で百七十点になりまして、平成八年の改定で百七十五点というふうに推移をしているわけでございます。御指摘のありました感染防止対策の重要性をも勘案をしまして、今回の改定では、初診料引き上げという方向の部分に財源配分をしたつもりでございます。  しかし、それは初診料の経緯でございまして、やはり総合的に感染防止策については考えなければいけない、こんなふうに考えておりますので、初診料の動きとあわせまして特別の配慮が必要ではないだろうかということでございます。  そういう意味で、初診料の格差是正というのも従来からの課題でございますが、あわせまして感染防止という方向からも対応が必要である。その辺を今後どういうふうに取り運んでいったらいいか、よくよく関係の審議会等におきましても、また関係の医療団体の御意見も聞きながら考えていきたいと思っております。
  272. 大口善徳

    大口分科員 早急な是正を私は要求したいと思います。  平成四年二月一日に放映されました「NHKスペシャル」で、「かめない話せない笑えない・入れ歯のハナシ」、こういう特集がありました。大臣、記憶があるかもしれません。この特集の中で、二〇二〇年には六十五歳以上の方が四分の一を占める、そして二〇二〇年になりますと入れ歯の人口は一千万人、十人に一人が入れ歯になる、こういう状況です。  そのテレビでも紹介されたのですが、六十八歳の婦人の手紙に、本当に死ぬまで一度でいいから平気でかめるようになりたい、こういうことで、入れ歯ということについて、総義歯ということについて切実なる思いというのがあるわけです。  そして、この特集のアンケートによりますと、入れ歯のぐあいが悪いと思っている人は四八%もいる。そして、合わない入れ歯の悪いところというのは、あごと入れ歯の間にすき間があるとか土台が出っ張っている、あるいは必要以上に厚過ぎたり大きいということで吐き気がする、かみ合わせが悪いので肩凝りがある、こういうことで、非常にそれが苦痛であるわけですね。〇・一ミリ違うとどんどんかみ合わせが悪くなってくる。こういうことで合わない入れ歯になっていくということなのですね。  そういうアンケート、それをどう改善していくか、こういうことで、一つは、合わない入れ歯ができることの理由として、教育制度が悪い、そしてまた医療制度も悪い、こういうことが結論であったように思うわけであります。  教育制度については、実技、技術的な試験も導入すべきだ、こういう意見もあるわけでございます。そして医療制度について悪い、こういう中で、総義歯についての採算性ということで、保険診療だけで成り立つか否かということで、成り立たないというのは六五%、そういう結果が出ております。  そして、保険では入れ歯をつくればつくるほど赤字になる、保険と自費との材料代はほとんど変わらないで技術代がほとんどの差になる、かけた時間に見合った正当な報酬がない、そういうことでアンケートは、適正な点数評価については、四倍以上が一八%、三倍以上が二七%、二倍以上は三三%、五割上げるが一三%、こういうこと。そして、こういう点数を上げない場合に経営を成り立たせるためにはということについては、例えば自費料金に不採算分を上乗せするが一五%、そして時間、工程を省略するが二一%、こういうふうな形で、あと人件費の削減が四五%等々となっているわけであります。  また、歯科技工士さんについても、歯科技工士さんの労働に対する時給というのは千八百五十二円ということで、サラリーマンの三千二百三十六円に比べて非常に低い。労働時間は、技工士さんが二千六百三十時間なのに対してサラリーマンは二千五十二時間、年収は、技工士さんが四百八十七万に対してサラリーマンは六百六十四万、これは四年前の番組ですが、このようになっているわけです。  そういう点で、この総義歯についての不採算の問題、これは非常に今後真剣に考えていかなければいけない、そういうふうに思うわけです。こういう不採算のために、これはある臨床医ですけれども、十五年もこういう赤字医療の悪循環が続いている、あと五年ぐらいでよい入れ歯を保険でつくる医師がいなくなるのではないか、こういうことを言うお医者さんもおられます。  その長期不採算、また低改定の悪影響として、歯科医療の意欲の低下とかあるいは経営の悪化による保険離れ、あるいは歯科衛生士の待遇改善ができないために優秀な人材の確保が難しくなるとか、あるいは器材の償却期限後の再投資が不可能になりつつあるとか、そういう形で、技工士も低収入を我慢し続けることになる、こういうような不都合が生じているわけでございます。  そういう点で、歯科だけが不採算医療を抱えたまま長期間改善がなされていないということについて、社会保険制度に自発的に協力してくれている保険医の方々に対して、納得のいく理由をお伺いしたいと思います。
  273. 岡光序治

    岡光政府委員 今回の診療報酬改定でも、そういう歯科医療の経営の安定ということは課題でご ざいまして、限られた財源も、医科との対比でございますが、かなり重点的に配分をしたつもりでございます。  それから、具体的に御指摘がありましたいわゆる総義歯の関係でございますが、これも従来から、技術料重視の考え方でその関係点数の引き上げを行ってきております。特に平成六年度の診療報酬改定、前回でございますが、総義歯につきましては約二五%の大幅な引き上げを行って、その製作に係る技術料の評価を高く行ったところでございますのとあわせまして、長期的な調整が必要でございますから、そういう調整をした場合の評価も新たに行うというようなことをやったわけでございます。  今回の改定におきましても、この総義歯の関係はまたふさわしく評価を加えたつもりでございまして、かなりこの総義歯のウエートが高うございますから、そういったことを評価をすることによって結果として歯科医療の経営の安定につながるのではないか、こんなふうに考えておる次第でございます。
  274. 大口善徳

    大口分科員 ただ、二五%ということですが、アンケートからいきますと非常に低過ぎるという感じがいたします。  そこで大臣に、総義歯あるいは鋳造冠の不採算を解消して、患者も医師も安心して入れ歯をつくれる時代、これをつくっていただきたい、こう思うのですが、その取り組みについてお伺いします。
  275. 菅直人

    菅国務大臣 歯科の保険による診療あるいは診療報酬の中でどういうふうに扱うかということで、今も保険局長の方から相当この間そのことに重点を置いて対応してきたという答弁をしたわけでありますが、確かに総入れ歯、総義歯というものがこれから、先ほどの委員の御指摘のように、高齢者の相当の人たちにとって必要になり、かつそれが健康維持のために大変重要だということを考えたときに、今のままで十分なのかどうか、そのことも毎年いろいろ少しずつ変わってまいりますので、そういう中では十分念頭に置いて、さらなる改善のために努力したいと思います。
  276. 大口善徳

    大口分科員 平成八年度の社会保険診療報酬改定の中で、今いろいろ話題になっています補綴物の維持管理料の新設、こういうことについて非常に臨床医の歯科医師さんの中でいろいろ御意見があります。  その御意見の中には、例えば、これは時期尚早である、総義歯とか鋳造冠の不採算の解消が大前提である、あるいは歯科補綴治療の包括化というのは良質の医療を阻害する要因であるとか、あるいはその包括化、義務化は患者の疾病原因を歯科医療者に押しつけるものであるとか、あるいは老人健康保険法の四十歳からの歯科健診事業の法制化をまず実施して、それで十分な時間とデータに基づいてやるべきだ、こういう声が聞こえます。  こういうことも踏まえて診療報酬の改定を検討すべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  277. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のありました補綴物の維持管理の関係でございますが、これは今おっしゃいましたような広い観点からの検討を中医協において行いまして、それで、補綴が適切な診断と技術に基づいて実施されるのであれば、ほとんどの冠やブリッジは比較的長期間機能するのではないだろうか、そうすると、歯科医師がそれだけのいろいろ配慮をして判断をするわけでございますから、その維持管理料は通常の点数のほかに別途評価をしていいではないか、こういう結論になったわけでございます。  私ども、技術料を包括化するというふうな発想ではございませんで、むしろ、そういう比較的長期の間、補綴をされたものが管理されてちゃんと維持されるという、それのいわば保証というのでしょうか、経済的な面からのバックアップという意味で改めてその管理料を設定したものでございまして、いろいろ御議論があることは承知をしておりますが、むしろそういうそしゃく機能の維持回復、維持管理ということが最も大切だ、こういう観点からこのような点数を導入したつもりでございます。
  278. 大口善徳

    大口分科員 次に、身元不明遺体の確認手続についてお伺いします。  身元不明の確認手続については、警察の協力歯科医が作成するデンタルチャート、これを歯科医師に確認をして、そして身元の確認をしているわけでございますけれども、今、パントマグラフィーにかわるポータブルレントゲンというのがあって、身元不明遺体の歯の部分をレントゲンで写して、それで照会確認すると確度として非常に高い。そうすればこれは判明しやすい、できるわけですね。ところが、デンタルチャートというのは、回されても非常にわからない、こういうのがお医者さんからの声なんですね。  ですから、ポータブルレントゲンで撮影した歯のレントゲン、これを使って照会をしていくということと、あと、ポータブルレントゲンの整備は今二十九都道府県で四十台、こういうことですが、これを全都道府県に完備すべきであると思いますけれども、この二点についてお伺いします。
  279. 中島勝利

    ○中島説明員 先生御指摘のように、歯牙が身元確認に非常に有効な手段であるということはもう論をまたないわけでございます。先般、北海道の土砂の崩壊による被害者が出ましたけれども、これも地元の歯科医さんの御協力をいただきまして、全員が歯牙による確認ということで確認をさせていただきました。  それで、ポータブルレントゲンにつきましては、現在、各県で逐次予算化をいたしまして、活用をするように努めているわけでございます。  今後とも、警察庁としても、各県のそういう予算化について努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  280. 大口善徳

    大口分科員 最後に、乳幼児の医療費の無料化の制度化について、私は毎回これは聞いておるわけですけれども、平成七年四月現在の全国の乳幼児の医療費の無料化の実施状況を見ますと、対象の年齢、所得制限、それから一部負担等々内容に格差があるわけであります。  これは新聞報道でも、例えば東京都内を見ましても、「幼児医療費二十三区ばらつき」とか「福祉格差くっきり」とか「うちの子供は無料、隣は有料」と、同じ東京都民であっても区によってちぐはぐな現象が起こっているのです。そういう点で、この実施状況について、都道府県についてはあるわけですが、全自治体の実施状況を正確に把握するために全自治体の実態調査、これを行うべきではないか。これが一点。  それと、全国市長会におきましても、「全国どこでも一定水準を保つためにも、国が制度として助成する必要がある」こういうことで、これは少子化対策ということから考えますと、エンゼルプランの一環として、医科、歯科ともに基本的な医療費については全国どこでも一定の水準を保てるように国の助成を創設をする、そうして、それ以上については、例えば各自治体が対応する二階建てというようなことも確立をすべきではないかと思いますが、この二点、いかがでしょうか。
  281. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 まず、乳幼児の医療費無料化の調査の件でありますが、私どもとしましては、各都道府県における実施状況につきましては把握をしております。ただ、さらにそれらを各市町村においてまた若干変わった形でプラスアルファをしたり、あるいは所得制限あるいは対象範囲等々を若干プラスアルファをしているところもあろうかと思いますが、各市町村におけるところまでの実施状況につきましては、都道府県を通じてまた私どもとしても必要に応じて把握をしていきたい、このように考えております。  それからまた、乳幼児の医療費無料化の制度を国でということでございますけれども、先生御承知のとおり、医療保険制度につきましては、これは受診者に一部負担という形で一定の御負担をいただいておるというのが原則的な制度になってお るわけでございます。  そういった中で、例えば子供につきましては、難病の子供たちあるいは未熟児とか障害児といった特に手厚い援護が必要であるというような児童につきましては、その疾患に対してあるいはその治療について国における医療費の公費負担というのを実施をいたしております。  さらにそれをいわゆる乳幼児ということで、一般的な医療費まで公費でやっていくということにつきましては、現在の我が国における医療保険制度における原則ということ等々考えますと、私どもとしては、これを実施するという考えは現在ございません。
  282. 大口善徳

    大口分科員 大臣、この点について一言御答弁を。
  283. 菅直人

    菅国務大臣 この乳幼児の医療費無料化、あるいはかって老人の医療費無料化、いろいろな時代にそういった無料化の問題はありますし、また、そういう考え方も福祉のあり方として一つの選択ではあると思っております。  ただ、今政府委員からも答弁がありましたように、この何年間かいろいろな形をやった中で、国として一律的にそういったものについて無料化をするという形をとるというのは、それが必ずしも全体の中で好ましいことになるのかどうか、私としても若干疑問であります。  ですから、本当に難病とか、特に何といいましょうか、困っている方についてはそうした手当てはきちんとすべきだと思いますが、ある程度の自己負担というものはそれぞれが負担をする中で、さらに高い医療費がかかる場合は高額療養費払いなどの制度もありますので、そういった形で対応することが今のところ望ましいのではないか、こう考えております。
  284. 大口善徳

    大口分科員 ありがとうございました。
  285. 谷津義男

    谷津主査 これにて大口善徳君の質疑は終了いたしました。  次回は、明三月一日金曜日午前十時から開会し、厚生省及び労働省所管について審査を行うことといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時九分散会