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上田(勇)
分科員 新進党の
上田勇でございます。
きょうは、今日私たちが直面しています非常に深刻な社会問題の
一つである学校におけるいわゆるいじめの問題を初めといたしまして、若干そのほか細かい点もございますが、何点か教育施策について御
質問をさせていただきたいというふうに思います。
もう言わずもがなでありますが、ここ数年、全国各地の小中学校で極めて悪質、陰湿ないじめの事件が続発しておりまして、多くの何の罪もない子供たちが被害を受けて、ついにはみずから命を絶つという非常に痛ましい事件が後を絶ちません。昨
年度、これは
文部省で把握された数字だと思いますが、報告されているいじめが五万七千件、前
年度の二・六倍だというふうに急増しているわけであります。
ただ、このいじめの問題というのは、私も教育の専門家の方や識者の方々からいろいろ御意見を伺うときもありますが、非常にたくさんの要因というのが複雑に重なり合って、ここを直せば直ちにすべてが解決するというような性質のものではないというふうには承知しております。とはいえ、子供の人権の尊重、生命の尊厳という点からも、これはできる限りの対応を我々としても、また
政府としてもやっていただかなければいけないということはもう明白であるというふうに思います。
去年の十二月、
文部省では、緊急に
都道府県や指定都市の教育長の方々の
会議をやったというふうに伺っております。報道によりますと、十項目にわたる重点的な取り組みを提示したというようなことになっております。
内容を伺いますと、いわばごく当たり前と言ってはなんですが、そういう
内容ではありますけれ
ども、逆に言えば、こうした当たり前のことをまた再確認してやっていかなくてはいけないということが今の教育の抱えている大きな問題なのかなということも感じたところであります。こうしたいわば当然と言えるようなことも着実、地道に進めていくということが非常に肝心なことなのかなということを、そういう教育長の
会議や、また、その後行われました組合の討論会などを通じて私も感じた次第でございます。
いろいろと各方面から具体的ないじめの対策についても提言がなされております。その対策の
一つに、学校に、いわゆる先生という立場にはないスクールカウンセラーを配置するという施策が挙げられておりまして、
文部省でも七
年度から委託
事業という形で開始され、八
年度の予算案でも大幅に拡充されているということ、これはもう本当に一定の評価ができるものだというふうに考えているところでございます。
このスクールカウンセラーについて、この間、そのスクールカウンセラーが配置されている中学校の
状況について報道されていたのを見たのですけれ
ども、生徒の方からは、先生でないから話しやすいとか、そういう非常に高い評価というのでしょうか、そういう感想が述べられておりました。
また、各方面から、聞くところによりますと、
都道府県の中でも積極的に取り組んでいかれているところがあって、埼玉県などは八
年度から五カ年
計画で全中学校に配置していく、そういう
計画も立てられているということでありますし、また、その他の県や
市町村でもいろいろな先進的な取り組みが行われているというふうに伺っております。
私の地元の神奈川県などでも、特に
市町村が中心となってこの
事業を大変、なかなか学校の数が多いのに比べて、言ってしまえば少ない数でありますけれ
ども、着実に進めております。そういう意味では、このスクールカウンセラー、今までにない制度だと思いますが、これを配置することの必要性というのがかなり広く認識されてきているのかなというふうに考えます。
そういう中で見てみますと、先ほどは大幅に拡充されているというふうに申し上げましたけれ
ども、それでも
文部省の今回の予算案で見れば、対象校数が各県でいいますと十校だ、合計でも五百六校、
予算額も大幅に伸びているとはいえ、十一億円にすぎないということであります。
私は、このいじめの問題というのは、
最初にそう簡単にすぐに解決できる問題ではないのじゃないかということを申し上げましたけれ
ども、これは将来はほとんどの小学校、中学校に配置するぐ
らいの取り組みが必要なのではないかというふうに感じます。
また、地元で、特に御父兄の方々とこのいじめの問題などについていろいろな御意見を伺う機会がありますが、その中でも特に、学校の先生ではないスクールカウンセラー、この学校の先生でないということがどうも重要な点なのだと思うのですけれ
ども、この配置という、こういう
自治体でいろいろ取り組んでいる
事業に対しては非常に大きな期待を寄せられている、御父兄の方々からそういう話をよく伺います。
そういうことで、七
年度からスタートして八
年度では拡充されているわけですが、今後
文部省としてどういうようなスケジュール、これは予算の制約とかいろいろあるのだと思うのですが、どのようにこれから取り組まれていく考えなのか、その辺の御所見をぜひお伺いしたいと思います。