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1996-03-01 第136回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月一日(金曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 桜井  新君       菊池福治郎君    笹木 竜三君       白沢 三郎君    千葉 国男君       平田 米男君    佐々木秀典君       畠山健治郎君    兼務 佐藤 剛男君 兼務 三野 優美君    兼務 吉井 英勝君  出席国務大臣         農林水産大臣  大原 一三君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省農産         園芸局長    高木  賢君         農林水産省食品         流通局長    中須 勇雄君         食糧庁長官   高橋 政行君         水産庁長官   東  久雄君  分科員外出席者         環境庁自然保護         局野生生物課鳥          獣保護業務室長 尾薗 春雄君         大蔵省主計局主         計官      杉本 和行君         農林水産大臣官         房予算課長   木下 寛之君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 分科員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     千葉 国男君   平田 米男君     白沢 三郎君   佐々木秀典君     畠山健治郎君 同日  辞任         補欠選任   白沢 三郎君     藤村  修君   千葉 国男君     笹木 竜三君   畠山健治郎君     佐々木秀典君 同日  辞任         補欠選任   笹木 竜三君     愛野興一郎君   藤村  修君     平田 米男君 同日  第一分科員吉井英勝君、第四分科員三野優美君  及び第七分科員佐藤剛男君が本分科兼務となっ  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算  (農林水産省所管)      ————◇—————
  2. 桜井新

    桜井主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算農林水産省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
  3. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 ありがとうございます。  また、農林大臣におかれましては、連日御苦労さまでございます。心より敬意を表します。  本日、私が取り上げようと思いますのは、私は福島県なんですが、もう今や、都会地域を除きまして、有害鳥獣といいますか、鳥、それから獣としましては、私どものところではお猿さんでありますけれども、これによる被害が非常に激増いたしております。  私は福島市でございますが、市と名がついても、山の近くには、果樹の桃であるとかリンゴであるとか、そういう地域でございます。そういう地域で今、大臣御承知のように、農家はもう高齢化になっておって、そして一生懸命まじめに生きておられる、頑張っておるのですが、最近は、そのお猿さんを中心とします有害獣ですね、我々の方では鳥の被害というよりも獣でありますが、そういう被害が激増いたしまして、もう農業もやっていられないという人たちが非常にふえておる。それを非常にゆゆしき事態だと感じまして、昨年、主査も御存じだと思いますが、農林業有害鳥獣対策議員連盟というのを発足いたしまして、林野庁農林省、それから環境庁関係省庁対策ということをスタートして、おかげでいい予算もでき上がったわけであります。  それで、人間が桃とかリンゴをとりますと、これは泥棒になるわけですよ。子供が桃、リンゴをとってきますと、その親のところへ行って、おまえのところの息子はそういういたずらをしているから注意しろと。ところが、お猿さんが持っていってしまいますと、追いかけていくにも、山の中に入ってしまうし、こればかりはどうしようもない。もう泣き寝入りというのが現状であります。共済保険というのも対象にはなってはいるけれども、それは一定の、三分の一とか集中した被害がなければ相手にしませんし、もともと自然災害のようなものを中心にしているものでございます。  私は、どういう対策がいいのかということを、昨年の予算が決まって、いい予算ができ上がったときに、被害を受けている人とひざを交えまして、いろいろ話してみました。そうしましたら、この被害を受けている方々の言われることの一番核心は、関係市町村のところに一人でいいから、いわばお猿一一〇番ですね。有害の鳥獣が出たといったら、ぱっと電話をかけまして、お猿集団ここにありと言ってくる。そうしたら、鳥獣資格を持っている人が、撃つか捕獲するか、あるいはおどしのあれをするかで追っ払ってくれる、これをぜひやってくださいと。問題が、尽きるところいろいろあるのです。広葉樹をつくってくださいとか、ドングリの木を植えなさいとかいろいろありますが、金がかからないでやれる対策はそこに尽きるのじゃないか。  私は結論の方から先に申し上げますけれども、三千二百三十五、約三千三百の市町村有害鳥獣適正化監視委員みたいな者を一人置く。今、狩猟法では鳥獣保護保護員を置くことができるんだけれども、そういう適正化する面についての配慮が私は欠けておると思います。法律改正というところにまで、ちょっと時間の限りで考え方をこれから申し上げようと思っていますけれども、まず、そういう問題意識で本件をこの分科会において取り上げさせていただきました。自然の鳥獣保護、それからそれを適正化する、被害を受けている農家の気の毒な人たちのためにこれをやる立場というのは、やはり五〇、五〇ぐらいの立場でこの狩猟法運用していく時期に来ているのではないかという気持ちでございます。  このあたり、まず大臣、私が今申し上げましたそういう被害の問題、それから鳥獣保護の問題についての農林省基本的な考え方をお聞きいた したいと思います。
  4. 大原一三

    大原国務大臣 私も山の中育ちなものですから、私の山はシカが非常に多く出るのですね。芽を全部食べてしまうのですよ。ヒノキや杉の新しい芽を食べてしまう。僕は非常に無残な形になっている現場を何回も見ましたが、これを一発で撃ち殺すことができないのか。そうすると、いっときはいいのです。何か取り締まってくれるけれども、後またほったらかしになってしまうという事態の繰り返しなんですね。  ですから、福島県はお猿さんが多いそうでありますが、そういったことにやはりもう少し対応してあげなければいかぬのじゃないのかなという、我々の態度から見れば、当然そういう考え方が前面に出てしかるべきだと思うのですね。先ほど五〇、五〇とおっしゃったけれども、そういうところ、五〇、五〇でいいのですかね。もうちょっと農林省のウエートを上げていかなければいかぬのじゃないのかなという感じも持っています。
  5. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 農林大臣の私以上の思いを聞きまして、本当にありがたいことでございます。  それでは、環境庁、御出席ですね。  お猿さんが来ました、そうすると市町村連絡するわけですね。そうしますと、今は平均どのぐらいかかっておられるか。お猿さんを撃つといいますか、あるいは民間の人にそういう許可をおろすまでどのぐらいかかるか、ちょっと教えていただけませんか。
  6. 尾薗春雄

    尾薗説明員 御説明させていただきます。  有害鳥獣駆除許可事務の大部分都道府県となっておりまして、今お話しの、猿を有害駆除申請してその許可が出るまで、つまり受け付けから許可が出るまで、各県によって多少ばらつきもありますし、一日で出るところもありますけれども平均しておよそ五日程度でございます。
  7. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 今五日という話がありましたが、私の福島だと十日だと言ったのですね。  そうすると、猿の軍団が来ますと、ばばっととって山の中に逃げてしまうのですよ。そうすると別の集団がやってきます。これは別の集団なんですね。猿もさるものですから、知恵はいいのです。そういうところで、五日でも、猿といったって、一日や何かではっと集団で来るわけだから、一匹で来るわけじゃないから、みんなもう絶滅して、みんなもぎ取ってしまって、それで行ってしまうのですよ、おなかいっぱいになれば。そういうのはどこかおかしいと思いませんか。  狩猟許可をおろすというのが、今狩猟法の何条に出てくるのですか。
  8. 尾薗春雄

    尾薗説明員 有害駆除という形で許可をいただいて駆除する場合には、法律の第十二条でございます。(佐藤(剛)分科員「第十二条でしょう」と呼ぶ)
  9. 桜井新

    桜井主査 挙手をして、指名を受けてから発言してください。  佐藤君。     〔主査退席菊池主査代理着席
  10. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 第十二条ですね。そうですね  それで、第十二条というのは適用除外条項ですよね。だから、法律というのは、狩猟法関係というのは、基本はやはり保護なんですよ。それで、特別の事由があったときに、都道府県知事許可を受けた場合に鳥獣捕獲をやるということになっていて、だから今のような運用をやっていたら、お猿さんからの被害というのは防げないのですよ。  ですから、私が最初に申し上げたのは、市町村のところにそういうもう初めから資格を持っている人を職員として常時置いて、職員ですよ、ぼっと一一〇番が、電話がかかってくれば、そんな鳥獣捕獲許可も何も必要ないんだから、ちゃんと資格を持っている人だから。それで、全面的に出かけていって、直ちに行動する、しかも行けばもう数時間の間にやる、こういうふうな運用はできないのですか。今の法律でできないのですか。
  11. 尾薗春雄

    尾薗説明員 今御指摘お話は、市町村に猿が出た場合に、迅速に対応できるような形で職員等を置いてやったらどうか、こういうお話だと思いますけれども、私ども現在、今お話のあるような、有害駆除申請があった場合には迅速に処理するように指導しておるところでございます。そんな中で、常時被害が発生するところにつきましては、駆除隊を編成するようにとか、あるいは今お話のあるように、鳥獣保護員、これは全国に一市町村平均一人ほど置くことを指導しておるわけですけれども、そういった鳥獣保護員被害調査等を活用しながら、できるだけ早い処理ができるように指導しているところでございます。
  12. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 それは僕に対する答弁になっていないのですよ。  それから、今置いてある法律の中に、「鳥獣保護員置クコトヲ得」という第二十条ノ五というのがある。これはあくまでもやはり鳥獣保護なんだ、「置クコトヲ得」というのは。私は、入れるならこの次に本当は、法律改正で、鳥獣適正化監視員とか、名前はどうでもいいのですが、そういう数のバランスを、種の保存と同時に、被害を受けているものとの間のバランスを持ったそういうようなものを、職員を一人、約三千三百、一年に三百万かかったって九十億円だ。そうでしょう。そういうふうなものをそれぞれ市町村の中に置いてやりくりできると思うのですよ。定年で、六十歳なら六十歳を超えた人を、そういう資格のある人に適正化監視員というような形で、そういうことをやってはどうなんですかということを僕は質問しているのです。
  13. 尾薗春雄

    尾薗説明員 確かに御指摘のように、鳥獣管理に専門的な立場といいましょうか、知識とか技術とかそういったものを持っている者が鳥獣による被害、こういったことに対処していくということは大変有効な手段一つだと思います。  そういったことも含めて、今後、先ほど申し上げました駆除体制整備とか、それから何よりも大事なのは関係者間、つまり市町村とか農業協同組合とかあるいは駆除実施者とか、そういった関係者連携とか、それから情報連絡体制整備とか、こういったものを含めて今後推進していきたい、かように思います。
  14. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 まだそういう答弁では、まさしく役人の答弁で、農家人たちの苦しみを知らないのですよ。あなたはそういう被害を受けている現地へ行ってごらんになったことがありますか。とかく最近の役所の人たちというのは、都会育ち方々が試験を受けてなっている方が多いのだけれども、そういう現地の実情、農民の苦しさ、つらさ、何とも言えないそういう重々しさということを実感として受けとめて、そして行政をやっていくということに欠けている部分がある。  私があなたに申し上げていることはそんな難しいことじゃないのですよ。そんな情報網が何もなんて当たり前の話だ。だから私は、一一〇番なら一一〇番で、お猿さんが来ました、イノシシが出ました、カモシカがいました、何とかしてくださいという一一〇番を一人置いて、職員だって各市町村のところに、それはみんながすべてやるのじゃなくて、中の配置がえで十分できるのだろうと思うし、そういう人たちは、むしろお年寄りになって、資格も持っていて、非常に自然環境とそれから被害とのバランスを保っているような人がいればいいのだから、そのぐらいのことは考えてやるということがないと、日本の各地において、農業はだめで猿大国になってしまいますよ。被害ばかり多くなって、日本農業というのは、今本当に農村に行くと、六十五歳以上の方々というのはもう二五%、四分の一を超えている。これは五年過ぎると七十歳以上になってしまう。そういうところの、猿にまでやられる、どうしましょうか、もうやめてしまう、こういう人たちが多いことの気持ちを察してあげるには、そういう血の通った行政をやらなければだめです。  そんな、連絡をとって何やつて、生きているんだから、猿は。僕は猿の例を言っているのですよ。猿の例がわかりやすいから言っているのだけれども、生きているもののところに行って、情報をとって、組合連絡して何してなんて、猿はとって食べてしまっている、逃げていってしまう。だから、 それを早くやらなければいけないなら、一一〇番ぐらい簡単に、電話なりなんなり連絡してください、そうしたらすぐに行きます、現場に向かいます、現場に行っただけで、銃を向けただけで逃げてしまうというケースがいろいろあるんだから。そうなんですよ。そういうことを考えられませんか。それを通達なら通達都道府県に、市町村にやる気がありませんかと環境庁に聞いている。  私はそういうことをきょう聞くから、きちんとそれは明確に、はっきり答弁してくれなければいかぬぞと課長に言っておいたのだけれども、そういう答弁がないと、きょうは僕はちょっとこのまま応じないよ。
  15. 尾薗春雄

    尾薗説明員 先ほども申し上げましたように、確かに鳥獣有害駆除とか鳥獣管理とかそういったことをやる場合に、先生の御意見のように、専門的な者がそれに携わっていくというのは鳥獣被害の問題について大変有効な手段一つだというふうに思っております。  したがいまして、そういったことも、市町村市町村段階でいろいろな御意見もあろうかと思いますけれども、そういったことを含めて、今後指導してまいりたいというふうに考えております。
  16. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 環境庁、確認します。  そういう通達を出して、市町村に、鳥獣保護適正化相談員でもいいです、アドバイザーでもいいです、適正化員を配置して、被害の食いとめをするようにするという通達を出してくれるのですね。イエスかノーか言ってください。
  17. 尾薗春雄

    尾薗説明員 現在私ども市町村といいましょうか、地域段階において、有害駆除に関して迅速かつ的確に行えるような、言ってみればマニュアル、こういったものの作成を準備しておりまして、そういった中で指導してまいりたいというふうに考えております。
  18. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 回答がよくわかりません。もう一回回答を求めます。
  19. 尾薗春雄

    尾薗説明員 御趣旨を体して指導してまいりたい、かように考えております。
  20. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 ありがとうございました。  それでは、今、環境庁から明確に、そういう通達を出すと。ちゃんとテークノートしておいてください、議事録にきちんと載せてください、重要ですから。それを確答賜りました。  そうしますれば、今二十条ノ五にあります鳥獣保護員にほぼ類似する、そういう鳥獣保護適正化相談員。例えば消費者が何か苦情がある、訪問販売で何があったと苦情が行けば、市町村には、都道府県にはそういう消費者苦情センターというのがあるのですよ。それから、通産省だの各省庁にみんなできている。そういうふうなことが今の、動物、烏に被害を受けて、そういうところに言っても迅速にやってくれないというところに問題があるわけです。  ひとつこの問題について、私も対策議員連盟の一人として予算の獲得については十分努力はいたします。それは、電線の施設をどうするとか、それから新しい被害防除施設の設置とか、そういうことについてはやらせていただきますけれども、一番手っ取り早い話、一番喜ばれるもの、一番被害を防止するというのは、今申し上げました市町村における苦情一一〇番、猿来たりという電話がかかってきたら、はいとそれに対する行動のできる対応体制をとるということ、そういうことに尽きるわけでございます。よろしくお願いいたします。  それから、農林省方々、御苦労さまでございます。ひとつそういう面についてお願いしたいのですが、ここ五年間ぐらいで被害状況はどのぐらいになっているか。私は被害が十倍を超えていると思っていますが、そこら辺について資料がございますればお答えいただきたいと思います。
  21. 高木賢

    高木(賢)政府委員 鳥獣害全体の被害数字でございます。  平成三年度から六年度までの数字がございますので申し上げますと、鳥獣害全体を合わせまして、平成三年度が約二十六万ヘクタールでございます。それから、平成四年度が二十八万ヘクタール。それから、平成五年度が二十四万ヘクタール。平成六年度が二十三万ヘクタールというところでございます。
  22. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 今、被害額でいうとどのぐらいになっていますか、面積でなくて。
  23. 高木賢

    高木(賢)政府委員 これは対応が必ずしも一律でありませんので、被害額としては徴しておりません。
  24. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 私は、最初結論を問題提起して、環境庁から前向きの答弁を引き出させていただいたわけでありまして、もうそれに尽きるわけでありますが、そういう人を配置するだけではなくて、やはり国有林の中において、今広葉樹が不足しておるとか、あるいはお猿さんだのシカだのの食べるものが、いわば人間がつくったものがあるために来るわけですね。そういう意味では、なかなか難しい問題だと思うのですけれども、やはり動物たちドングリとかそういうようなものが食べられるような形の配慮というのも、私は林野庁には必要だろうと思います。  それで、ドングリの木を置いておきますと、かなり共存できる食害対策というようなものもできるのでして、一一〇番だけで問題解決するとも思っておりませんし、あらゆることを考えていかなければならないわけでございます。そのあたり、そういう林野庁としましての、きょうは林野庁いらっしゃっていますよね。——いませんでしたか。では担当局の方から、そういういろいろな、防除施設の問題とか、予算関係部分でこういうことをいたしますというようなことをこの機会にひとつ国民に向かってお知らせいただけないか。農産園芸局長、お願いできますか。
  25. 高木賢

    高木(賢)政府委員 それでは、各省庁にまたがりますが、お答え申し上げたいと思います。  野生鳥獣管理被害総合対策ということで、冒頭先生からも御指摘がございましたが、平成八年度予算、特に力を入れまして編成したところでございまして、今御審議をいただいておるところでございます。  その中で、今の御指摘のような点では、林野庁野生鳥獣共存森整備事業ということで、ドングリでありますとか、鳥獣の食糧になるような森づくりというものに新たに取り組むということを考えております。  また同時に、環境庁さんの方でも、野生鳥獣管理適正化事業ということを予算化をしていただいておりまして、これは市町村に対して助成するものでございます。  それから、私ども農産園芸局では、革新的農業技術導入促進の一環として、鳥獣害防止システムというものの拡充強化を図りたいということでございます。従来の二倍以上の予算の要求をいかしておるところでございます。  それから、山村振興という側面から山村振興等農林漁業特別対策事業、この中のメニューといたしまして総合鳥獣被害防止施設、これを助成対象にできるように措置をするということで、今総合的な各省庁間の連携体制のもとに進めようとしているところでございます。
  26. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 ありがとうございました。  今高木局長からるるそのようなお話を賜りました。こういうきめの細かい対策が必要でございます。  そして最後に、ひとつ環境庁検討をお願いいたします。鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律というのが、これは大正七年の片仮名法律ですけれども平成七年に最終改正がなされていますね。この法律の目的の中に「有害鳥獣駆除」「危険ノ予防」というようなものもあって、その意味ではバランスを保ったような形にはなっているのですけれども、どちらかといいますと、この法律自身鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律ということで、あくまでもやはり鳥獣保護という基本的な形からでき上がっている法律体系なんですね。禁猟区があり、まず原則が保護なんだ。そして、十二条にある適用除外で、被害があったときに鳥獣捕獲等許可をとって行うことができるという体系になって いるわけです。環境基本法にも、産業の発展とそれから環境の調和という問題が常にやはりあったわけですね。  そのバランスなんですね。これをバランスを崩しますと、私はアフリカにおりまして、ケニアの大使館に一等書記官でいましたから、本当に感ずるのですが、向こうでは象を撃つのですよ、象を。例えば象を百頭養えるエレファントグラスというのがあるのですが、それが百五十頭になると全部死んでしまうというのですね、百五十頭にふえると。そのために、適正なる象の数を保つために、種を確保するためには、どうしても余分な五十頭というのは殺す。このような形でずっと種が保存されているということなので、放しっ放しにすれば動物というのは生き続けるかというと、そうではなくなってしまうのです。ちょうど天敵でウサギとキツネとの関係があるように、これはうまい自然のバランスがありまして、バランスの崩れそうなときにはやはり人工の手を使って行うということ。  私は、この片仮名法律も、そろそろきちんとしたそういう体系の議論をして、被害の問題というのがあるんだよということを環境庁に少し勉強してもらって、被害を受けているということについて、今先ほど園芸局長が言われているように、農林省林野庁はすごく真剣に考えているわけだから、そこのところのバランスをもってもう少し足を、右足をずっとつく。私は五〇、五〇と先ほど大臣に申し上げたのですが、少し有害鳥獣被害のところに足を重く乗っけて、そして必要ならば法律改正、私は必要なのだと思いますよ。哲学自身も直す。こういうことをやってみてはいかがですか。片仮名法律をもう直さなければいかぬ、民法、刑法だって今直そうとしているのだから。大正何年の法律があって、片仮名ナントカヲ得とかなんとか眺めてやっている時代ではないのです。  ですから、そこら辺のところを少し環境庁最後に私がそう申し上げますので、ひとつ検討をしますという発言をしていただければ、主査、それをもって私の質問を終わらせていただきます。
  27. 尾薗春雄

    尾薗説明員 説明させていただきます。  今先生おっしゃいました鳥獣の適正管理、実は私ども、この八年度から新しい予算として、野生鳥獣管理適正化事業というのを農林水産省の事業と連携して行うことにしておりますけれども、これはまさに、先ほどお話のありましたような適正な個体数管理等の技術などを普及する事業でございます。鳥獣の種類によっては、やはりそれを地域地域できちっとやっていかなければいけないものが現にあります。私どもも、そういった形のものはしっかりやっていかなければいけないというふうに思っております。  なお、先ほど法律改正というお話でございましたけれども、こういった事業をやりながら、法律改正の問題につきましては真剣に勉強させていただきたいというふうに思います。
  28. 佐藤剛男

    佐藤(剛)分科員 それでは、これをもちまして質問を終わらせていただきます。関係者、ありがとうございました。
  29. 菊池福治郎

    ○菊池主査代理 これにて佐藤剛男君の質疑は終了いたしました。  次に、千葉国男君。
  30. 千葉国男

    千葉分科員 新進党の千葉国男でございます。  私は、去る二月二十二日の衆議院農水委員会で、農協系金融機関のあり方について大臣にお伺いをいたしました。その内容の一部が二月二十三日付日本農業新聞に掲載されております。ちょっと御紹介しますと、「千葉氏は「財政資金投入は系統救済の色彩が強い」として、農水省の見解をただしたが、農相は「系統救済という論理は受け入れていない」とつっぱねた。」こういうふうに書かれているわけでございます。私の質問の趣旨は、正しくは、財政資金投入は系統救済の色彩が強い、ここまでは一緒なのですが、強いという批判が多い、これに対して誤解を解くためにももっとわかりやすく説明した方がよいのではないか、こう私は提案したつもりですが、それを突っぱねたというと、ちょっと趣旨と報道された内容が違うように私は思います。  そこで、大臣も私の提案に対して突っぱねたというそういうお気持ち答弁していただいたのかどうか、その辺をお願いしたいと思います。
  31. 大原一三

    大原国務大臣 千葉委員、大変この辺に関心をお持ちいただいて感謝をしております。  この新聞は、委員の御説明も十分表明していないし、端的なところをもう簡単に紹介しているだけで、大事なところを紹介していない。私の答弁も、突っぱねたというよりは、いろいろ御説明した部分もあるのですが〉そこは書いていないという、私もこの新聞記事を読みまして大変不満であります。  御指摘の点は、我々としても非常に気を使っているところでありまして、農林水産委員会さらに予算委員会等でいろいろな機会に申し上げてきているのでありますが、いわゆるぎりぎりの負担というところをめぐって論争が展開をされたわけであります。  その際、私申し上げたのでありますが、農協というところは協同組合だから利益還元機関だ、信組、信金もまた同じことでありますけれども、内部留保の層が非常に薄い、実は一兆三千億程度しか内部留保が全体で、農林中金を含めて、ないのに、五千三百億という負担はこれは大変なんですよということを申し上げたかったわけであります。ちなみに大銀行等は、母体行は三十一兆円とか三十五兆円とかいう内部留保を持ち、それから見ると我々の負担は、幾ら負担してくれと言われたにしても、本当にこれは大変な負担ですよということを申し上げたかったわけでございまして、新聞の書き方、私もこれは不十分だ、こう思っております。
  32. 千葉国男

    千葉分科員 わかっていただければ結構だと思いますし、またそういうふうにきちっと、言った内容についてぜひ御理解をいただきたいな、こう思います。  それでは、そのほかの私に対する大臣答弁の中で、員外規制見直しの検討など御発言がございました。そこで、幾つか心配な点が出てまいりましたので、再度確認する意味で質問をさせていただきたいと思います。  八〇年十月に、まず員外利用の規制緩和が行われました。私の地元の宮城信連では、住専が金融機関扱いになって、当初、一社当たり平均二十七億円の融資でありました。それが最終的には一社当たり八十億という大変巨額な融資になっていった経過があります。心配な点は、こういう事情を考えたときに、さらなる員外規制の緩和をやるとした場合、融資の枠の拡大を考えているのか、あるいは融資先の対象を広げるのか、その内容次第ではまた問題が起こってくるのではないか、こういうふうに危惧しておりますが、どうでしょうか。
  33. 堤英隆

    ○堤政府委員 先生指摘のように、この住専問題を契機としまして、農協の員外貸し出しのことにつきましてさまざまな御議論をちょうだいいたしております。先生今御指摘のような形での御指摘も当然ございますし、それから他方で六十八兆円という資金があるわけでございまして、これをやはり農業者の方々の生活あるいは活動、農業中心とした産業活動、そういうことを中心にこれを利用していくということが基本でございますけれども、それだけではなかなか全体の六十八兆円はこなせない。そうなると、自己運用をどうしていくかということと、さらに上部機関への預けをどうしていくかということがやはり議論になってくると思います。  その三つをバランスのとれた形で運用という形でないと、やはりこれから農協系統信用事業の健全な発展がないのじゃないかというふうに私ども認識をしておるわけでございますが、その際、先生が御指摘になりましたような貸出先についての問題と、それから今私が申し上げましたようなことを両方うまくかみ合わせながら、どういうことで貸付先の拡大ができるのか、できないのか、あるいはどういう理屈をそこにつけていくのか、そのことによって逆に系統信用事業がうまくいかな くなってはこれまた問題でございますので、そういうことも十分配慮しながら検討を深めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  34. 千葉国男

    千葉分科員 ぜひそういう問題につきましては、今後しっかりと健全化を図るために、ともどもに頑張っていかなければならない、このように思っております。  実は、先日の質問ではちょっと時間が足りなかったために質問できなかったのですが、ぜひ大臣考え方をお聞かせいただきたいのです。  要するに、九〇年、平成二年三月にいわゆる総量規制が行われた。そのときに住専だけが対象より除外された、こういう事実がある。ここに最大のポイントがあると私は思うのですが、住専が対象より外されたことについて大臣御自身はどのように今になって認識をされているか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。
  35. 堤英隆

    ○堤政府委員 事実関係を私の方から先に御説明させていただきます。  この九〇年、平成二年でございますけれども、三月のいわゆる総量規制通達におきまして住専が除外されているわけでございます。これは大蔵省の方から委員会におきましても何度か答弁があったわけでございますが、この通達が特定業種向けの融資量の調節を求めるということでございますので、そういう意味では、血液にも相当する資金でございますので、極めて厳しい措置だという認識がまずございまして、そういうことでございますから、こういう厳しい通達内容を出します相手方ということにつきましては、さまざまな意味で規制を行っている対象機関ということにつきましては、やはり免許を受け、法律上厳しい規制に服すべき業種というふうに絞ってやらなければおかしいのではないか、そういう御理解のもとで、金融機関等につきまして総量規制の通達が発出された、こういうふうな御説明が、予算委員会でも大蔵省当局、大蔵大臣の方から御説明になっているところでございます。
  36. 大原一三

    大原国務大臣 総量規制は、委員御承知のとおり、信連やあるいはまた農中それ自体には適用になっているわけでございますが、御指摘の住専について適用になっていないというところが現在批判をされるきっかけになっているわけであります。今局長から御説明ありましたように、銀行と違う、いわゆる貸金業、ノンバンクであるということから、銀行に対するような通達をそのノンバンクに適用させるということは、やはり規制方式として問題があるというふうに、大蔵省の説明でございますが、そういうふうに我々も承っております。
  37. 千葉国男

    千葉分科員 なかなかその辺は、今になってなぞになっているのではないかと思いますが。  具体的に申し上げますと、いずれにせよ住専の融資残高というのは、いろいろありますが、宮城信連の場合、平成二年二百四十億、平成三年四百六十億、平成四年六百十億、そこで上限になって、ずっと平成五年と続いていくわけなんですが、要するに巨大化をしていく。バブルが崩壊しても後が続いていく、こういうことが現実には起こっているわけです。問題は、住専にそうやって流れていって、最後平成四年以降とまって、六百十億までいくわけですが、とまって流れなくなった、いわゆるこの信連の大量の貸出資金がその後どこへ流れるようになっていったのか、こういう問題があると思うのです。  私の手元に、貸出区分別貸出実績及び計画表というのがあります。これは信連が四半期ごとに報告で出しているわけなんですが、そういう住専へ流れなくなったお金というのがあって、それと相前後して、この貸出実績の方でまいりますと、この報告書の中で員外というのがありまして、不動産・建設業というのが入っております。建設業については、この平成四年から平成七年を見ても、ずっと大体三億程度で動かない。ところが不動産関係が、平成四年四十九億だったものが、平成五年には八十億、平成六年には百三十五億、こういうふうに年々融資がふえていっているということがあります。担当者のお話によりますと、きちっと検査をやった結果貸し出したものである。ですから、私は担当者を責める気持ちで言っているのではありませんが、住専に行くお金がとまってしまったために、また今度不動産に流れていく、そういう現場の苦しい資金運用の実態というのがここに浮き彫りにされているのではないか。こういう実情をどのように思いますか。
  38. 堤英隆

    ○堤政府委員 今先生指摘のように、宮城県信連に限ってみますれば、不動産業向け融資が今おっしゃいましたような形で増大をしているというふうに思っております。ただ、これは全体として、四十七県信連調べてみますというと、今先生がおっしゃった年次からいきますと、平成四年度に全国で不動産業向け貸し出し動向が三千四百億でございました。これが平成五年度末、三千億円に減りました。それから平成六年度も三千億で、横ばいでございます。  そういうことになりますと、全体がどうなっているのだということになってくるわけでございますが、信連全体の総貸出額も、平成四年度が十兆三千億円でございます。それから平成五年度が十兆一千億円、平成六年度が九兆八千億円ということで、減少いたしております。そういう意味では、信連全体の総貸出額は、やはり横ばいないしやや減少ということでございますので、全国で見ましたらば、不動産業向け貸し出しのシェアといいますか、これは三%弱という形で推移しているというふうに見ております。  それでは、預金量はふえているわけだから、どこに行ったのかということになりますと、基本的には、やはり上部団体、中金への預け金という形の中でその運用は行われてきているということだろうというふうに理解いたしております。
  39. 千葉国男

    千葉分科員 そういうふうに、ともかく今回いろいろな意味で大変な、農協系金融機関の健全な運営ということから考えて、各地でいろいろ心配をされているわけなので、私は、その中で組合員の皆さんの預金がきちっと運営されるためには、それを絶えず、まあ、前回も申し上げましたのでその分はやめた上で申し上げますと、やはり監査をきちっと行われることが大事だ、こういうふうに思います。  それで、二月二十八日付の日経新聞ですか、その中で紹介されているのは、「農林中金については外部による監査、監事制度の導入も義務付け、経営チェックを強化する。」と報道されております。そこで、その検討中の監査の中身について、今わかることがあれば教えていただきたいと思います。
  40. 堤英隆

    ○堤政府委員 先生今おっしゃいましたような形で、監査制度の充実ということは非常に重要なことだというふうに私どもも認識をいたしております。やはり今回のバブル経済の発生、崩壊の過程で、そういう意味での市場チェックということと経営リスクに対するチェックということが十分でなかったことが指摘されているわけでございます。そういう意味で、今先生指摘のような形で、市場規律に立脚をいたしました透明性の高い金融システムを早急に構築する必要があるということで、各金融機関の業態に関する法制度ということにつきまして、今大蔵省が中心になりまして、私どもそこに参画をいたしまして検討いたしております。  必要な措置を行います法律案を今国会に提出したいということで検討しているわけでございますが、その際、農林中金につきましては、非常に広範な国内業務、国際業務をやっているわけでございますので、そういう意味で、監事の機能をほかの銀行並みに強化するということが必要でございます。  それとあわせまして、例えば員外監事制度それから外部監査制度の導入ということで、他の銀行とそこの点につきましては歩調を合わせる形で監査機能を全体として充実していくことが必要だという理解でもって現在検討を進めているところでございます。  今申し上げました三点を中心検討を深めているところでございます。
  41. 千葉国男

    千葉分科員 農協系金融機関の中央に当たるこの農林中金ですから、そういう外部監査とかそういう人材をきちっとそろえていくという体制は必要だと思いますし、またできると思います。  むしろ、今後将来のことを考えた場合、一番地域に密着をしている単協、そこのそういう監査の体制をどうしていくのかとか、あるいは今いろいろ焦点が当たっている各信連の、要するに監査の体制とかということを考えた場合、少し古い話で恐縮ですけれども、九一年十月に取りつけ騒ぎを起こして実質的に破綻した茨城県のトキワ園芸農協の場合とか、あるいは今回、地元で私たちも心配しておりますが、九二年三月に宮城信連が資金の株式運用で失敗をして決算承認団体に指定されている。そういう中でのそれぞれの監事の役割というのは一体どういうふうに認識をされているのか。
  42. 堤英隆

    ○堤政府委員 現在、信連と農協につきましては監事を置くことになっておるわけでございますが、農協では一農協当たり四・三名、信連では一信連当たり三・七名の監事が置かれております。監事につきましては、御案内のように、平成四年に農協法を改正いたしまして、監事に関する規定が整備されておるわけでございますが、その際、商法を準用するということで、法制度上は株式会社の監査役と同等の権限が付与されております。  一、二、例を申し上げますと、監事の職務は理事の職務の執行の監査ということがはっきりしておりますし、そのために監事はいつでも理事等に報告を求め、業務・財産状況を調査することができるというふうにされております。また、監事は総会提出議案を調査し、法令、定款に違反し、もしくは不当な事項については組合意見を報告しなければならないとか、それから監事は理事会に出席して意見を述べることができるということで、制度上は商法と同じ形のものが整備されていると理解をいたしております。  ただ、やはり現実問題といたしまして、御指摘もございましたけれども、学識経験者の方々の監事への登用とか、それから常勤監事の設置ということについてはまだ不十分だという認識を持っております。  私どももそういう意味で、これからそういう方向での指導をしていきたいということが一つと、それから予算委員会でも御答弁大臣の方からも申し上げておりますように、全体的な農協のあり方ということ、特に信用事業を中心としてのあり方ということの検討を農政審議会の場で深めていただいているわけでございますが、その際、今御指摘の単協あるいは信連の監事制度、監査制度の強化ということにつきましても、一つのテーマとして御議論をちょうだいいたしたいというふうに思っております。
  43. 千葉国男

    千葉分科員 今局長の方からるるお話がありましたので、ぜひそういう実現に向かってしっかりと力を入れていただきたい。  私の現場感覚では、数は何名ですとかと言われているけれども、実際は合併して余った人が監事になるみたいなのが現実で、本当にそれができているのかどうかというのは、きょうは時間がありませんからやめますけれども、非常に現場的には心配でございます。  それから、大臣が先日の私の質問に対する答弁の中で、今後の農林中金の国際金融市場への参入ということについてお話がございましたが、現在の農林中金の海外での現状、経営の実態はどうなっているのかを教えていただきたいと思います。
  44. 堤英隆

    ○堤政府委員 中金は、所属団体への金融上の便益を供与するという任務を持っておりますし、それから二つ目には、全国機関として所属団体に利益を還元するという、この二つの使命を持っているわけでございます。そういう意味で、現在、所属団体や関連産業法人等の方々が海外に業務を展開されるという場合がございます。  そういうことで、金融の国際化が進んでおりますので、農林中金におきましては、そういう取引先の資金ニーズに的確に対応していかなければならないということと、それから資金量が比較的豊富でございますので、これを安定的、効率的に運用するという、この二つの観点から、海外におきます貸出業務それから外国為替業務等の国際業務をそういう趣旨から行っております。  さらに、現在、ロンドンとニューヨークとシンガポールに支店を開設するということにいたしております。それから、スイス農林中金、農林中金インターナショナルという現地法人を二つ設立いたしまして、今申し上げました趣旨の内容の海外業務を展開しているところでございます。
  45. 千葉国男

    千葉分科員 大臣は私への答弁の中で、「あるいは農林中金により多くの金を集中して国際金融市場へもっと積極的に乗り出していったりするようなことも今回の改革では考えていかなければ、七十兆円という巨大な資金が農業それ自体の中にじっと居座っていては、なかなか将来の再構築は難しい」、こういうふうな答弁をしているわけなんですが、積極的に乗り出すということは、今出た海外のお店をもっとふやすとか、取引先を拡大する、業務を拡大していくとか、何か具体的に大臣としてイメージを描いていたのか。時間がほとんどなくなってまいりましたものですから、その辺のところをまずひとつお願いします。
  46. 大原一三

    大原国務大臣 一千兆円とも一千百兆円とも言われる資金の中で、七十兆円の位置づけ、これをこれからどう考えていくか。国内だけの投資あるいは融通では賄っていけない。特に農業の場合は預貸率が一九%とか二〇%という低い水準、それは農林中金に集約しかない。ましてや今回の住専みたいな問題を二度と引き起こしてはならないということになりますと、やはりプロフェッショナルな金融マンがいて、あの大和銀行をデリバティブでひっくり返すような者じゃ困りますけれども、デリバティブなどは明らかにこれは規制をすべきだと思います。  そういう意味では、将来の役割を何とか広げてあげたい。こういうことを言いますと、すぐ反対するのは大蔵省なのですよ。そういう意味では、余り封鎖的な議論をしますと、これからの農林中金の改革にプラスにならぬものですから、そこらを積極的に発言していって、手助けしていってあげたいな、私はこう思っております。
  47. 千葉国男

    千葉分科員 今大臣からもお話ありましたように、要は七十兆円という巨大な資金をいかに有効に活用していくか、運用をしていくか、そのことに尽きるのじゃないかと思いますが、その展望について、もう一遍確認の意味お話をお願いしたいと思います。
  48. 大原一三

    大原国務大臣 この前の金融制度改革で持ち株会社方式が導入されて、農林中金は農林中金証券会社をつくりましたですね。こういうことができたのです。その子会社というのは世界展開ができるわけでありますね、証券会社として。ところが、農林中金としていきますと、融資対象は農林関係だけになってしまうわけですね。子会社をつくれば世界展開ができて、中金という名前でいきますと、融資対象が農林関係に限られてくる、農林水産関係に。ですから、世界展開をする場合に、例えば信託業務を子会社が持つとか、あるいは将来はいろいろな金融機関を農林中金のシステムの中へ、子会社に包摂していって世界展開を図る、あるいは国内展開を。そうなりますと、まず世界展開の前に国内展開をやって世界展開をするということまでしてあげたらいいな、これは私の希望でありまして、これは今後の議論を非常に要する部門でございますから、御了解願いたいと思います。
  49. 千葉国男

    千葉分科員 そういう展望が開けるようにぜひ頑張っていただきたい、こういうふうに思います。  最後になりますが、農林中金の内藤専務理事が新聞のインタビューに答えて、今回の住専問題についてどこまでも経営責任は母体行にあるんだ、こういうふうに言った上で、「ただ、公的資金を導入することになったのは当事者間で問題を解決できなかったためであり、金融界の一員として申し訳なく思う」、こういうふうにインタビューに答えているわけなんですが、今度の一連のこれだ けの大きな問題が起きてしまったことに対する農協系のこうしたことについて、大臣の御所見を最後にお伺いしたいと思います。
  50. 大原一三

    大原国務大臣 実は私を含めてでございますが、あのバブルのさなかにおいて、えらいもうかるわいな、日本の土地の値段でアメリカが三つ買えるとか四つ買えるとかうつつを抜かしておった時代、そのときの心境というのを、私を含めてでございますが、余り責める気にもならないなという気持ちも一方ではあるわけです。やむを得なかったんじゃないのかなという気持ちもあります。しかしながら、やはり経営の責任者である以上は結果責任は持たなければならない。  もう委員は私より農協のことは非常にお詳しくありますから、これから総会シーズンに入っていくと思うのですね。そうすると信連、単協等々、余り大きな声で言いたくないのですが、恐らくかなりそういった問題が紛糾する可能性を実は私は心配をしておるわけでございまして、そこらも冷静に見守っていきたいな、やはり個別責任を明確にするという事態が起きてきたな、そんな感じで受けとめております。
  51. 千葉国男

    千葉分科員 いずれにせよ、これからの経営の健全化を図り、さらに将来の道を開いていくようにしっかりと頑張っていかなければいけない、このように決意を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  52. 菊池福治郎

    ○菊池主査代理 これにて千葉国男君の質疑は終了いたしました。  次に、三野優美君。
  53. 三野優美

    三野分科員 菊池先生、どうも御苦労さまです。大臣、どうも毎日予算委員会御苦労さまです。ここまで来て質問するとは思わなかったのですけれども、お許しいただきたいと思います。  きょうは、ため池の問題について若干お尋ねをしたいと思うし、私の意見も申し上げたいと思うのです。  農林省は既に御存じのとおり、私どもの香川県、讃岐の国はため池の国でありまして、平成元年度の調査では一万六千百五十八カ所だということを実は県から報告を受けているわけであります。農林省として、この香川県の一万六千百五十八カ所のため池の総貯水量及びその総面積はおわかりでしょうか。恐らく、香川県が調査してつかめないのですから、おたくもわからないのじゃないかと思うのですが、答えだけお願いします。
  54. 野中和雄

    ○野中政府委員 私どももため池の調査をいたしておりますが、平成元年の三月末時点の農林水産省調査でございますが、お話しのとおり、香川県全体のため池総数は一万六千百五十八カ所、このうち、主要なものでございます受益面積二ヘクタール以上のものについて見ますと、その数二千四百九十八カ所で、その有効貯水量は約一億四千五百万トンということでございます。  それから昭和六十一年一月時点でございますが、香川県調査によりますと、香川県全体のため池の池敷面積、四千八百十六ヘクタールということでございます。
  55. 三野優美

    三野分科員 それは一万六千ではなしに、二千四百九十八カ所の面積が、今言っているように四千八百十六ヘクタールということですね。どうですか。
  56. 野中和雄

    ○野中政府委員 一万六千百五十八カ所全体の貯水量あるいはそれに対応する面積というのは正確にはわかっておりませんで、受益面積が二ヘクタール以上のものの二千四百九十八カ所の有効貯水量が約一億四千五百万トンということでございます。  それから、ため池の池敷面積というふうに申し上げましたのは、これは香川県全体のため池の池敷面積を昭和六十一年に県が調査をされたものがございまして、これが四千八百十六ヘクタールということでございます。
  57. 三野優美

    三野分科員 ということは、一万六千百五十八カ所の分ですね。そう見ていいわけですね。ありがとうございました。  私、実は香川県の農林部へ電話をかけたら、わからぬなんという返事があった。ところが、あなたの方でどういうわけか何か書類が出てきたのでしょうね。それはそれでいいのです。やはり勘定をちゃんとしなければならぬものですから、香川県でわからぬなんておかしいじゃないのと僕は言ったのですが、それがわかっておればいいのです。  さてそこで、四十三年から五十五年までの間に国営かんがい排水事業のために、ため池四千二百十カ所が対象区域であって、二百三カ所を廃止しましたね。その貯水量と面積はわかりますか。わかるかわからぬかだけ。
  58. 野中和雄

    ○野中政府委員 お話しのように、昭和四十三年から五十五年度まで、国営かんがい排水事業の香川用水地区というのを実施をしたわけでございますが、国営事業ではため池の埋め立てというのは行っていないわけでございます。
  59. 三野優美

    三野分科員 この二百三カ所というのは何でしょうか。私のもらった書類には、二百三カ所埋め立てをしているのですが。
  60. 野中和雄

    ○野中政府委員 ただいま申し上げました国営かんがい排水事業の香川用水地区でございますが、昭和四十三年の着工時期に、関連する事業、これは国営自体ではなくてそれに関連する事業でため池の廃止をして開田を行うという予定がございまして、そのときに二百三カ所の廃止というのを計画をしたわけでございます。  しかしながら、その後、御承知のとおり、昭和四十五年でございますが、農林水産省におきまして、既に事業が着工されている地区についても新規の開田を抑制をするという国の措置を講じましたことと、それから、香川県自体が昭和四十八年に、県議会の水資源対策特別委員会でございますが、ため池の持つ多面的役割の重要性にかんがみまして、ため池の転用廃止というのは原則として行わないというようにされたことがございまして、香川県から私ども伺ったところによりますと、昭和五十五年度の国営かんがい排水事業香川用水地区の事業完了までの間に、当初予定をされました関連する県営事業等による開田のためのため池の廃止は行われていないというふうに県からも伺っているところでございます。
  61. 三野優美

    三野分科員 じゃ、二百三カ所というのは計画にあったけれどもやめちゃったよ、ため池はつぶしてないよということですね。(野中政府委員「はい」と呼ぶ)わかりました。  御承知のように、今あなたが言われたように香川県では条例をつくりまして、その条例の前に主たため池を残そうということを決めました。実はそれ以前に埋め立てが随分あるわけですね。あなたにさっき教えていただいた昭和六十一年一月現在のため池箇所数、実は平成三年も一万六千百五十八ですね。ですから、その以前に埋め立てたため池というのはわからないのですね。実際は数字もわからないし面積もわからない、こう見ていいんだろうと思います。もしわかっておれば、後で言ってもらいたいのですが。  そして、実は条例制定後も、公共用地として特に必要な場合は埋め立てを認める、こういうのです。この認めたのは何カ所で、何ヘクタールあって、貯水量で幾らでしょうか。
  62. 野中和雄

    ○野中政府委員 香川県からの報告でございますが、私どもの香川用水地区の受益地内において、四十三年度から六十年度までに公共用地として埋め立てたため池の数等は把握をしていないということでございます。  ただ、今お話しのように、香川用水地区の受益地だけではなくて、香川県全体で昭和六十年度以降平成六年度までに空港関連事業などによりまして埋め立てました件数は、百六十三件の埋め立てが行われておりまして、それによります減水量は四十五万三千立方メートルということでございます。  ただ、そういう廃止は行っておりますが、これに対しまして貯水量四十九万八千立方メートルの確保をあわせて行って、これに対応したというふうに伺っております。
  63. 三野優美

    三野分科員 六十年以降百六十三件埋め立てているわけですわな。これは、先ほど言われたように、公共事業に公共用地として特に必要な場合が実は百六十三件なんですね。問題はそこなんですよ。民間の皆さんは埋め立てちゃいけませんよ、県や市町村が必要になったときには埋め立てますよと言って率先して埋め立てておいて、そして果たして一万六千のため池の管理が十分できるのかどうかということですね。行政機関が必要ならばやっちゃうよ。  実は、私が問題にしたいのは、これは国の方にもぜひ御指導をいただきたいのですが、香川県などというのは、御承知のように天井川で、山の面積は少ない。したがって、我々の先祖はずっと、香川県の水不足を考えて一万六千、一万七千の池をつくっているというわけですね。ところが、公共団体は埋め立てていいよということで、実は高松市では、県がおととし国体をやったのだが、国体の施設、体育館が池の中にあるわけです、埋め立てて。香川町の役場も小学校も池の中にある。三木町の大規模な体育施設も体育館もみんな池の中に入っちゃうわけです。私は、公共団体が率先して池を埋め立てしておいて、条例をつくったといったって、実はその条例はもぬけの殻だと思っているのです。  実は、埋め立て条例ができる前は、農家がだんだん高齢化していくし、農業経済うまくないものですから、池の管理に困るものですから、池のなぎさを埋め立てて宅地として売っているわけですよ。高松市周辺ではいっぱいそれがあるわけですね。そういうことをして水不足をもたらして、一方、恥ずかしい話だけれども、実は徳島県の吉野川の導水を頼んだわけですね。吉野川の導水が五十年なんですよ。五十年から以降条例ができるまでの間、どれだけ埋め立てをしたのか、あるいは家を建てかえるために井戸を全部つぶしちゃって、そしてまた水不足になって、何とかしてくれ、してくれということを言っているわけです。  一方建設省は、これは今度建設の方で質問しようと思うが、大概川に水が流れていないところにダムばかりつくっているわけですね。ですから、そういう意味からいうと、私は、このため池というものについてもう少しやはり根本的に考え直す必要があるのではないかという気がするわけです。  実は、こう言うのです。ダムつくってくれと言って県から知事や副知事が来るものですから、あなた、ため池はどうしているのだ、あの埋め立てはと言ったら、池の底にたまった土をなぎさへ持っていって埋め立てているのですから、埋め立ての容量だけは底を掘ったもので水は減っていないのだ、こういう言い方をするわけです。だから僕は、冗談じゃない、あなたちょっと学校へ行き過ぎだわ。実は私が子供のころは、秋に稲刈りが済んだら、みんなお百姓さんは池の中に入っていたわけです。それで、客土ということで牛に引かしたり、人間がもっこで担ぎ出して田んぼの中に肥やしを入れていったわけです。毎年それをやって、実は池というものをずっと管理していたのですよ。  そこで、農水省の方は御存じかどうか知らぬけれども、池というのは低いところにありますから、水が入るたびに、雨が降るたびに、毎日毎日池は埋まっているわけですね。今やもうごみためみたいにされているわけです、周辺が宅地化されて。ですから、池の底にたまっておる土を外に出さなければ、池は小さくなっていくわけですよ。ですから、いやいや皆さん、それはあなた、池の中の土をなぎさへ持っていっているのだから量は減っておりませんなどというのは、それこそれ上の論理だけで、水の量、貯水量はだんだん減っているわけです。  ですから、ここにあなたがさっき、県から説明を受けたのでしょうけれども、私も受けましたけれども農林省に御協力いただいたいわゆる国営のかんがい排水事業で、その以後、六十年以降も百六十三件で四十五万三千、四十九万八千だけ確保しましたよ、こう言って、数字の上では合うのです。ところが、今言ったように、四十五万三千立方、これそのものが実は縮小されてきているわけですから、そういう論理は成り立たないというのが僕の考え方なんです。  実は、これからひとつお願いなんですけれども、今言ったように、ため池について、まず水資源の確保、同時にこれは防災的機能も果たしているわけです。香川県は、さっき言ったように山の面積が少ないでしょう。だから、山林の保水機能が非常に弱いわけです。河川は天井川。したがって、災害時には、秋に穂が出たら大体水を抜くのですよ。それで淡水魚をとったり何かするのだ。だから、ちょうど台風時期にそれを抱えるわけです、雨、水を。ですから、防災的機能を一つ果たしているわけです。  それからもう一つは、地域環境保健上、農村にため池があると非常にのどかで、環境上非常な役割を果たしているということがあると思うのですね。  それから同時に、香川県だとか奈良県だとか兵庫県、この前震災のあった淡路一帯も池ですね。実は、池は讃岐の文化なんですね。弘法大師の満濃池初め、文化なんですよ。そういうことを考えてみると、池の役割、位置づけというものについてどう考えるかということについて、農林大臣、この際ひとつ所見をお聞きしておきたいと思います。
  64. 大原一三

    大原国務大臣 やはり香川県、水のないところ、この前も渇水で大変御苦労なすって、水と香川県の因縁浅からぬかかわり合いというものを、委員の質問を聞きながら感じておったわけであります。  私も、郷里にやはりため池がたくさんありますが、片っ端につぶしていくのですね。そこへ学校をつくっちゃったら、学校が沈んでしまって、傾いちゃった。これは、こんなことを次から次、まあ町場であれば仕方がないですけれども、今のお話を聞いて私も、三野先生よりあるいはちょっと年上かもしれませんけれども、やはり昔の農村を顧みながら、あのころのため池を見たり、あるいはまたあそこヘフナをとりに行ったり、コイがいっぱい入っているのですが、それを手づかみでつかんでとった思い出もあるわけでありまして、さすがに香川県の今までの悩みが象徴された質問だなと感じ入っている次第であります。
  65. 三野優美

    三野分科員 大臣も非常に御理解いただいて、ありがとうございます。これは、農林省は、ため池の役割、機能というものをもう一遍見直して、ため池県に対して、今日の社会において、環境なり防災なり水資源確保という観点から根本的に見直すということに私はひとつ本格的に取り組んでもらいたい。これが第一点。  さてそこで、一つは実態調査をしてもらいたいのです。香川県に行ったら、それから前のはよくわかりませんとかなんとか言っていますから、農林省として、ひとつ本格的に予算も組んで、一挙にはいかぬでしょうけれども、全国のため池の実態調査をまずしてもらうための予算確保をお願いしたいのが第一点です。  それからもう一つは、私は前にも言ったことがあるのだけれども、これは農林省になかなか取り上げてもらえなかったけれども、ため池の管理制度を法制化すべきだと私は思う。それで、実は河川並みの管理をしたらどうだというのが私の見解なんです。例えば、河川だと一級河川、二級河川、普通河川があるでしょう。一級河川は国管理。満濃池や四ケ池や三谷三郎、こういう有数なもの、あるいは貯水量、面積を考えて、一級河川並みに国が管理したらどうだというんだ。それから、普通河川並みの部分、その次の部分は県が管理したらどうだ、あとは市町村だよと、こういう管理制度を考えたらどうだとこの前僕が言ったら、農林省の答えは、いや、水利権がありますからそれはだめです、こう言ったんです。ああそう、河川にも水利権がありますよと僕は言った。私のところは山の奥ですから、徳島との県境ですから、ため池がないわけです。河川の水には水利権があるんですよ。管理と水利権とは矛盾しないんだ、だからそういうことをやったらどうだと。これは国土保全という立場からも、農林省の頭の中で考える枠を超えてお考えになったらどうか。そこで、そ ういう制度をひとつ私は本格的に考えるべきではないかと。  満濃池なんかは、あの周辺、これは建設省ですか、国営公園をつくっているわけです。これはもう全国でも有名だといいますからね、私はそういうものを考えたらどうだと。満濃池は河川でいえば一級河川、土器川並みなんだ。こういうことを考えたらどうだということで、ぜひその点について私は本格的な検討をしてもらいたい。こういうことをぜひお願いしたいと思うのですが、これはどうでしょうか。  そして同時に、今農林大臣も言われたように、私は、やはりこのため池というものは——これは全国的な水不足だし、環境破壊ですからね、今の時代というのは。ため池というものは埋め立てをしては絶対だめなんだという原則、こういう想定では河川はだめですな、河川を簡単につぶすというのは認めぬでしょう、ため池もそういう制度を考えたらどうかと思うのですが、どうでしょうか。
  66. 野中和雄

    ○野中政府委員 ただいま先生お話しのように、あるいはまた大臣からの御答弁もありましたように、私ども、ため池の重要性というのを、あるいは多面的な役割というのを十分に認識をいたしているわけでございます。  そこで、今お尋ねの、まず第一点の調査でございますけれども、私どももため池につきましてはかねてよりいろいろな調査をやっておりますけれども、特に平成元年度におきまして全国的な調査を行いまして、その管理の状況等々をつかんで今後の対策に資しようということでございまして、現在そういうことも踏まえまして、ため池台帳というのを全国的に整備をしようということで整理を進めているというような状況でございます。  それで、そういう中で、管理の問題でございます。これにつきましては、かねてより先生から河川並みの国管理、あるいは県管理市町村管理というのを考えてはどうかというような御提言があることは、私どももよく承知をいたしているわけでございます。ただ、現実には多くのため池が規模もなかなか小さいとかいうようなこともございまして、あるいは技術的な問題等もございまして、土地改良区とか水利組合とか、こういうところが管理をしているというのが実態でございます。  ただ、そういう中で、確かに最近、ため池に対する環境といいますか、非常に混住化も進んできたり、都市的な利用も行われるというような状況の変化がございます。そういう点もございますので、管理につきましてよりきちんとするとか、あるいは多面的ないろいろな利用というのも配慮しなければいけないということがございますので、管理自体は土地改良区、水利組合等が行うといたしましても、その管理が一層適切に行われるようにというようなことで、例えばため池を親水空間として整備をしていくというようなこと、あるいは、その周辺の生態系を保全するような施設整備をしていくというようなことに対する補助制度等々を拡充をいたしておるということがございます。  それからもう一つは、先生お話しのとおり、このごろ自分たちだけでしゅんせつ等がなかなか行われにくいといったような、そちらの面のこともございます。そういうこともございますので、機能保持あるいは耐用年数確保という観点から、土地改良区などが行いますしゅんせつとか、あるいは非常に小規模な補修等につきましても助成措置を充実をさせておりまして、そういう面から、その多面的な役割に対応した一層適切な管理、あるいは、都市の方との交流に使われるような整備というようなことに対する施策の充実を図っているということでございまして、今後ともそういう認識で私ども進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。  この埋めるのを原則として禁止をということでございますが、こういう現在のため池の所有なり管理の状況でございまして、香川県等は、先ほどお話のように、条例等で届け出をさせて、必要な場合にはその指示をする、埋め立てるなとか、あるいはこうせよという指示をされているというふうに伺っているわけでございまして、こういうような各地方段階におけるいろいろな措置というのが重要ではないかなというふうに考えております。
  67. 三野優美

    三野分科員 調査のための予算というのはつけているのですか。それは後で言ってください。つけているとなれば、やはりすぐには簡単にはいかぬと思いますが、五年なら五年、十年なら十年計画で実際に調査するということが必要だと思うのです。  それから、実は土地改良その他が管理しているものだから、全面的に埋め立てをやめさすと言ってもだめだというのは、それは所有権の問題がそうなっているからだろうと思うのですよ。国有地でも、ため池の敷地は国有地、県有地があるのです。管理は土地改良が行っています。ですから、管理も含めて国がやれと言うのは、国なり県なり地方自治体がやっておれば、その管理について責任を持ってやるものですから、簡単に埋め立てをしないわけです。  では、なぜ埋め立てをするかというと、率直に言いまして、皆さん大変御努力いただいているのだろうけれども日本農業経済というのは非常に弱いですね。農家でも、農業収入が占める部分というのは非常に少ないのでしょう、農家収入の。そこへ、ため池の管理のために国から補助金はもらうけれども、地元負担が大変だなと。息子や孫が継ぐかどうかわからぬねと。そこへ多額の負担を言われるものですから、何とかならぬかなと。しかも都市周辺は水田がだんだん減っていく、あるいは都市周辺でなくても、やはり減反その他で、水田で米をつくるなというものですからね。そうなるとますます管理に困るものですから、実はそこから埋め立ての議論が出てくるわけです。いいですか。  実は、私が住んでいる高松でも、私はけさも四時に起きたのですが、朝四時に起きて二時間歩くのですが、ため池のあたりを歩くのです。とうとう管理しなくて、それは幸いにして市が引き取ったわけです。ですから、そういうのが次々に出てくる。本来、埋め立てば必然的に生まれてくるのですよ、管理に困るものですから。  ですから、私はため池の役割、今日の社会におけるそのあり方というものを根本的に議論していくというのはそうなんです、単に水だけのことを考えるからそうなってしまうのでね。ですから、その他の面で、地域社会における役割なり防水なりを考えてみると、もう私は民間で維持する限界が来ていると思う。そういう意味で、やはり私は、それでは国、県、市町村、公共団体が管理すべきではないのかと。  それで、水利権に対して利用の金を取ってもいいですよ。負担金はゼロというわけでなくてもいいですから、管理はやはり基本的にそういう形をとるべきではないかということを私は申し上げているわけです。  もう一つ、いろいろとこのごろ農林省も力を入れているけれども、例えば堤防だとか、我々池目だとかいう言葉を使うのですが、あるいは樋管ですね、一般の人は樋管というのはわからぬけれども、ユルのことです。樋管の修理だとか、こんなのには補助金をくれるわけです。非常に配慮いただいて、細かいところまでやってくれています、よく知っていますが。ただ、さっき言ったように、客土をする、たまった土砂を外へ出すのに補助金を出しますか。実はなくて、うちの香川県の前の知事が水の先生だったものですから……。県単独でやっていくというのは限界があったわけです。それは僕はないと見ているのですが、ありますか。なければ、僕は、やはり本格的につくってこれをやらないとため池は年々歳々小さくなっていきますよ、こういうことを申し上げているわけなんです。  その点についてひとつぜひお願いをしたいのと、あなたがちょっと触れていましたけれども、私は農林省でやれるのかなとも思うけれども、ため池周辺というのは今の都市生活、市民生活に非常に豊かな環境を保持しているものですから、周 辺の環境整備、公園整備などを私はやはり考えていいんじゃないのかと。案外、平地にため池というのは多いものですから。そういうことについては農林省の役割でないと言われるのか、いや、農林省もそういうことも考えるよと言っておやりになるのかどうかをちょっと聞かせてください。
  68. 野中和雄

    ○野中政府委員 ため池につきまして、しゅんせつ等でございますけれども、私どももこれは非常に重要なものだというふうに思っているわけでございまして、二つほどございますが、国営の防災事業あるいは県営等のため池等整備事業というのがございますが、こういう中で機能回復あるいは防災上の観点から堆砂を除去するということでございます。これは実施をいたしております。  それからもう一つは、先ほどもちょっと申し上げましたが、土地改良区等が通常の維持管理の中でしゅんせつ等をやります場合には、そういうしゅんせつ等の維持管理費の一部に対して助成をするというようなことは実施をするようにいたしております。  それから二点目のお尋ねの中の環境関係ということでございますが、私どもも、農村地域環境整備事業というような中で、ため池等を中心とした自然環境の保全を行いますための動植物生育施設整備、あるいは生育環境の保全整備、あるいはそういうところを利活用する保全施設整備というようなものに対して支援をするといったような事業も最近は整備をしているところでございます。
  69. 三野優美

    三野分科員 そういう制度はあってありがたいのですが、ただ、今言ったのは、基本的には管理を土地改良とかそういうのはようしませんね、実際には。ですから、市とか県とかが管理するようになれば、その周辺整備というのは公園とあわせてやれるわけですね。  ですから、そういう意味では、基本的にはやはり管理、これはあなたのところは大変重い問題だろうと思うが、私は、やはり将来のことを考えてみると、管理という問題について本格的に取り組んでもらいたい。私は、実は国会に来てからもうずっとそれを言い通しているわけなんですが、案外、農林省、僕が言っていると余り実現性がないのだけれども、まあこっちが力がないのだろうと思うけれども、その点について本格的に始めてもらいたい。  大臣、ありがとうございました。大臣が就任中に、管理の問題を含めて、あるいはため池問題について、事務当局の方で全力を挙げて取り組んで何らかの前進が生まれるように、ひとつぜひ決意だけ述べていただきたいと思います。
  70. 大原一三

    大原国務大臣 局長からもいろいろ技術的な話がありましたが、やはりこういった問題はやる気がないとできない話で、毎年マンネリ、マンネリで繰り返してきては、特にこれ、瀬戸内海地区というのは私、大変だと思うのですね。私の宮崎県はもう滝みたいな川がどんどん流れてくるのでそう感じないのですが、やはりそういった地域ごとに重点的に物を考えていく、全国一律じゃなくて、そういったこともやはりこれから農政の中で工夫していく手法ではないのかなということを感じて、お話を承りました。
  71. 三野優美

    三野分科員 ありがとうございました。  ひとつ、どうぞよろしく頼みます。
  72. 菊池福治郎

    ○菊池主査代理 これにて三野優美君の質疑は終了いたしました。  次に、白沢三郎君。
  73. 白沢三郎

    白沢分科員 時間もそうございませんので、事務局あるいは担当の方、簡潔明瞭にお答えだけ願えればありがたいと思っております。  まず最初に、米の問題ですが、一点。  未曾有の凶作がございました。ミニマムアクセスあるいは米の自由化等々、新食糧法、いろいろな問題が実はございましたが、その当時、緊張して急いで輸入をした米が今どうなっておるのか。いわゆる外米、内地米等々、いろいろな議論がございましたが、それが一点。今の在庫状況。  それと、今度新しく、四十万トンから始まってミニマムアクセスを受け入れたわけですが、それの在庫状況、それを教えていただければと思っております。  それと、これから毎年毎年ふえるわけですけれども、ミニマムアクセスの米の使用状況。これは、各農水の委員会で相当やっていると思うのですが、どういう用途に使う方針があるのか。  この三点をまずお聞きしたいと思っております。
  74. 高橋政行

    ○高橋政府委員 お答え申し上げます。  まず第一番目の、緊急輸入米がどういうようなふうになっているかということでございますが、緊急輸入米は全体で二百五十九万トン輸入をしたわけでございます。それで、現在、二百五十九万トンの処理状況につきましては、既に業務用、加工用、えさ用それから援助用というような用途に全量売却済みあるいは売約済みということになっております。それがまず一つでございます。  それからもう一点の、ミニマムアクセス米の輸入の状況でございますが、今年度中に四十二万六千トンを入れるということが一応国際的な約束になっております。それで、これを輸入し始めましたのは、ことしの一月から本格的には輸入が始まりまして、三月までに全量入れようということでやっております。現在まで輸入をいたしました数量が、二月末の見込みでございますが、三十三万トン程度になるというふうに思っております。  それから三番目の、ではそういうものの売却といいますか、処理はどんなふうな方針かということでございますが、このミニマムアクセス輸入米につきましては、ガットの協定上、内外無差別の原則ということで、国内米も外国米も同じように取り扱うというような一応、条文がございますので、そういったことを踏まえまして、国内の需要に応じて主食用とかあるいは加工用等に供給をし、それから一部は、やはり国内産も備蓄ということをやっておりますので、このミニマムアクセス米につきましても備蓄に充てるということを基本としていくのじゃないかというふうに思っております。  それで、では八米穀年度は具体的にどうかということがちょっとございますので申し上げておきますと、まず、備蓄は十万トン程度を、今四十二万六千、四十三万トンですか、そのうちの十万トンはそちらに充てようというふうに……(白沢分科員「外米のうちですね」と呼ぶ)はい、そういうことです。  それから、そのほかにつきましては、国産米の需給に影響を与えないようにすることが大切ですから、そういうような方針の中で、国産米で対応しがたい加工用であるとかあるいは業務用などの低価格米需要に供給していきたいというふうに思っております。  また、必要に応じましては加工用途の新規拡大、それから、一定期間備蓄しておきましてどうしても処理できないというのは援助米などにも積極的に活用をしていかなきゃいけないのではないかと思っております。     〔菊池主査代理退席、主査着席〕
  75. 白沢三郎

    白沢分科員 時間もございませんので、簡単にお願いしたいと思っております。  そういたしますと、ミニマムアクセスで輸入をした四十二万幾らの、毎年ふえるわけですけれども、在庫備蓄化、備蓄を百五十万トン、こういうことですので、そのうちの十万トンはミニマムアクセスの米を備蓄する、こう理解してよろしいですか。簡単にお願いします。
  76. 高橋政行

    ○高橋政府委員 今回、生産調整の規模を考えますときに、今おっしゃったところをどういうふうに考えるかということがございまして、今回の生産調整を考えるに際しましては、国産米百五十万トンそれからそのほかに今のミニマムアクセス十万トンというふうに考えております。
  77. 白沢三郎

    白沢分科員 次に、ミニマムアクセスを導入した際に農水委員会でも相当議論があったんですが、そのときには、今度は導入に際して転作の強化は行わない、これは閣議で了承しているはずでありますが、実際現地に行ってみますと、これが逆に転作の強化になっているんじゃないか、私は 新潟でありますので、桜井主査もそうでありますが、実際そういうことでして、農家の皆さん方は非常に困っておる。  そういう現状を考えますと、この閣議の了解というものにこれは違反しているんじゃないか、こういうことをよく耳にするんですが、このお考えはどうでありましょうか。
  78. 高木賢

    高木(賢)政府委員 米の生産をめぐります基本問題の一つは、やはり今米の潜在的な生産力が需要を大幅に上回っている、こういう需給状況があるということだと思います。こうした状況のもとで、米穀、特に自主流通米の需給と価格の安定を図るためには、今後とも米の生産調整を着実に実施していくことが必要であると考えております。このために、新しい生産調整推進対策を実施することとしているところでございます。  この新たな対策におきます生産調整目標面積につきましては、今申し上げました基本的な需給ギャップを解消するということと、今お話がございましたが、ミニマムアクセス導入に伴う転作の強化を行わないという閣議了解を踏まえまして、国産米の世界で、国産米の過剰在庫をどの程度縮減するかという観点から算定したものでございまして、ミニマムアクセス米の導入に係る要素は一切加味しておりません。  具体的に申し上げますと、この十月末で国産米の持ち越し在庫量、見込み量でございますが、二百十五万トンないし二百二十五万トンというのが見込まれます。これを三カ年で、今申し上げました百五十万トンに縮減する、こういう考え方のもとで生産調整目標面積を決定しておりますので、あくまで国産米の世界の中での整理でございます。
  79. 白沢三郎

    白沢分科員 そういたしますと、いろいろこれから作付等々も問題になると思いますが、豊作、豊作ということでして、今度ずっと計算をしてみますと、今生産調整という名目で、私の実感なんですが、過去最大の面積を強制しておる。これは米価の問題等々とかいろんなことがあるんですが、それが第一点。  それで農家の皆さん方は、この新食糧法が制定をされたときには、生産調整いわゆる減反を強制しない、こういう趣旨だと我々も理解をしておったんですが、現実には相当な規模で生産調整いわゆる減反を強制しておる。こういうことを考えてみますと、豊作あるいは凶作、こういうこともあるんですが、現実に大変厳しい農家の声が聞こえてきております。  そういうことを考えてみますと、農林水産省の指導がどういう方向でやっておるのか、さらには、末端の農家の皆さん方に生産調整について本当に理解を得ているのかどうか、こういうことを、時間がございませんから、後で農水委員会でもやらせてもらいますから、簡潔にお願いいたします。
  80. 高木賢

    高木(賢)政府委員 米の生産調整は、先ほど申し上げましたように大幅な需給ギャップがあるという状況のもとでは、このまま自由な生産ということでは価格の大幅な低下をもたらすということが不可避であると思います。それに対処するということから、農業団体とも十分相談の上、実効性を確保するあるいは自主性も尊重する、もう一つは、望ましい営農の実現を図る、この三つのポイントのもとに新しい対策を実施しようとしているところでございます。  具体的に、農家に対しましての説得といいますかお話、誘導の手段ということでございますが、一つは、やはり生産調整助成金の交付ということを考えております。これは、共補償事業に対します助成を含めまして、十アール当たり最高五万円という水準を維持いたしております。  それから、生産者団体などが実施する共補償事業に対します助成を大幅に拡充をいたしております。十アール当たり従来一万円のものを、二万円または一万二千円のいずれかの選択ができるようにするということでございます。  それから三番目に、生産調整実施者に対しまして自主流通米計画流通対策費を交付するということ、あるいは生産調整実施者から米の政府買い入れをするということ、さらには条件整備といたしまして、生産調整の円滑な実施に必要な事業を推進する、このようなことを考えておるわけでございます。  こうしたいろいろなメリットといいますか助成手段も講じながら、農業者の御理解を得て円滑に進めてまいりたい。特に生産現場におきまして円滑にいきますように、行政と生産者団体が一体となった取り組みということで推進してまいる考えでございます。
  81. 白沢三郎

    白沢分科員 大体わかりました。  そういたしますと、生産調整の本来の趣旨からいいますと、減反をしたくない人はしなくていいんだ、こういう趣旨で我々は受けとめておったんですが、これは大分違うように感じられておるんです。  それと、今度生産調整をお願いする、こういうことなんですが、かつては生産調整に協力をしなかった地域、このことに関しては、たしか、どういう名目か僕も忘れたんですが、補助事業の不採択ということだったと思います。その市町村に対しては大変ペナルティーを科した、こういうことなんですが、今度はそれがなくなった、こういうことのように僕も理解をしているんですが、そのときに優先的配慮措置、こういう言葉なんだそうですが、こういうことをやっておる。  そういたしますと、これは、米の減反あるいは生産調整に協力したその地域だけが、あるいは農業のことに関してだけが、もっと極端に言いますと米のことに関してだけがということになるのか、あるいは農業全体、米もつくるあるいは野菜もつくる、いろんなことをやってつくるわけですが、これはそのことに対しての措置なのかどうかをはっきり教えていただければと思っております。
  82. 高木賢

    高木(賢)政府委員 今お話しのように、新しい生産調整対策におきましては、前年度の生産調整目標面積が未達成の市町村、これに対する補助事業の不採択措置というものをやっておりましたが、これを廃止することにいたしました。  優先配慮する事業というのがどういう範囲かというお尋ねでございますが、従来は、農林省所管の補助事業、大体全部と言っていいくらいあったわけなんですけれども、これからは、圃場整備事業などの水田営農と関連したものに限りまして、事業の実施に当たって前年度の生産調整目標を達成した市町村からの要請に優先的に配慮するということで、優先の採択の対象範囲を水田営農と関連した事業ということにいたしております。
  83. 白沢三郎

    白沢分科員 水田営農と関連したもの、こういうことですね。畑作は入っていないということですか。
  84. 高木賢

    高木(賢)政府委員 さようでございます。
  85. 白沢三郎

    白沢分科員 入っていない、わかりました。  では次に、中山間地の問題なんですが、これは元来相当議論をされて、しかも新食糧法が出て、過疎化が進んで、さらには森林、水田あるいは文化的な遺産等々でもっと広い目で見て、そして過疎あるいは中山間地を守るべきだ、こういう声が実はございますが、この実態は大変なものでして、離農の方が多い、さらに後継者不足、担い手農家が減る、放棄地がふえる、これが現実だろうと思っております。  大臣もよく御承知でありますが、こういう中山間地の状況を見たときに、我々も実はガット・ウルグアイ・ラウンドに反対ということでヨーロッパの方を視察してきたんですが、この中山間地の営農、林業も含めてなんですけれども、これをこのまま放置していいのかどうか、これが第一点でありますし、いろいろな議論をされている中で、所得補償制度を考慮すべきだ、いわゆる日本型でもそうでありますが、デカップリング、こういう所得補償をして、そして中山間地の農村を守る、あるいは農業を守る、林業を守る、さらに昔からの文化も守る、こういうようなことを考え合わせますと、さらには、もちろん水のことも考え合わせますと、もうそろそろ所得補償制度を考える時期になっているのじゃないかと私は実は感じてな らないのであります。  これはずっと議論をされてきたことでありまして、前の大臣もそのようなこともおっしゃったように記憶もしておりますが、もうそろそろ農林水産省の方で中山間地に対してのこういうものを検討をしておるのかどうか、このことを大臣にお伺いをしたいと思っております。
  86. 大原一三

    大原国務大臣 私も山中育ちでございまして、農林省数字によりますと、この「中」を入れますと、国土面積の七割、そこに農家人口が四割近くいるというお話、今委員御指摘の特に山、過疎の山村、国土面積の五割のところへわずかに六%の人口しかいないというまさに超過疎地の方は、国土政策から見てこのままでいいのかと問われると、私はいかぬと思うのです。  では、その手法やいかんということでございますが、これは御承知のように、今御指摘もありましたが、水資源の問題、災害の問題等々を考えるときに、国土政策全体の視野からとらえていかなければならぬ大きな課題の一つであろう、私はこう思っております。  そこで、デカップリングのお話でございますけれども、私も農林水産委員長のときに、非常にいい制度があるそうだというので、これは各党皆御一緒にヨーロッパを回って、フランスにも行き、ドイツにも行き、いろいろ見て回りました。しかしながら、実際のところ補償額というのが非常に零細なのですね、あちらを見ましても。これは日本のいろいろな農村に対する補助金の合計額と比べたらどんなものだろうかなという感じを持って帰ったのです。だから、将来の手法として、やはりこの切実な問題をどう解決するかというときに、当然位置づけられるのはこの制度であろうと私も思っております。  農政審議会において、これはいろいろ諮問をしまして、検討をしていただいたのです。ただ、これからさらにもう少し議論の深みを増していく必要があろうという諮問になっておりまして、引き続き我々としてはこの問題には取り組んでまいりたいと思っております。     〔主査退席菊池主査代理着席
  87. 白沢三郎

    白沢分科員 ありがとうございました。  これは前々から実は言われていることでして、農業だけではなくて林業、これもそうでありますが、今林野三法、川上、川下等々の問題も出ておりますけれども、これは目をもっと広く大きく開いて、そしてもちろん中山間地の生活基盤等々も含めてでありますけれども、ぜひとも大臣に御検討を願えればありがたいな、こう思っております。  それと、米の問題なんですが、米が自由化になった、こういうことですが、米の、食糧の安定供給のためには、農家の皆さん方は実際に今大変な不安を持って農業をやっておる、こういうことでありますので、安定してこの営農、農業を続ける、こういうためには、米価に関してでありますが、大変にダウンをする、アップをする、いろいろな波があるわけなんですけれども、下支えといいますか、そのほかの措置も含めてなんですが、これらの所見についてお聞きをしたいと思います。
  88. 高橋政行

    ○高橋政府委員 ただいまおっしゃいました米価に関係してのお話でございますが、前の食管法という時代におきましては政府が全量お米を買うということになっておりましたので、政府が価格を決めますと、それが一つの下支えというような機能を果たしていたということは言えると思います。しかしながら、新食糧法のもとでは、今度政府が買い入れますのは備蓄相当量、百五十万トンを基本としていくわけですが、そういうことで、量的にも限定されるということになります。  したがいまして、米価を安定していくにはどうしたらいいかということにつきましては、やはり的確な需給見通しを立てまして、それで需要をオーバーするお米、そういうものは供給されないように、余分なお米が供給されないように需給を調整していくということが価格の安定のためにいいのではないかという考え方に立ちまして、昨年の十一月にいわゆるそういう需給見通しを示す指針というのを発表をいたしまして、それに基づきまして、先ほどお話がございました、まず一つは新生産調整推進対策を実施しているところでございますし、さらには、どうしてもお米が二百二十万トンぐらいということで、かなり余分にあるわけでございますので、この供給オーバー分は備蓄とか、それから調整保管、そういうものをいたしまして市場に出ないようにしていくというようなことで、全体需給調整を行って米価の安定を図っていきたい、このように思っております。
  89. 白沢三郎

    白沢分科員 次に、最後なのですけれども、県と市町村農業公社がございますね。  ことしの一月に総務庁行政監察局で、「農業担い手対策に関する行政監察結果報告書」、こういうものが出たはずであります。そこで、農業担い手の「経営規模拡大のための農用地の集積等」、こういう項目の中に、「勧告」として、市町村が経営する農業公社と県の農業公社、これがスムーズにいっているところはいいのですが、農地の集約化あるいは流動化を促して安定した農業経営をする、こういうことですが、我々もそうなんですが、実際に現地に行ってみますと、あるいは県からもお話をよく聞くのですが、県の農業公社は土地の売買は認める、こういうことなんですが、市町村農業公社はこれを認めない、こういうことであります。  このギャップが大変なことになっておって、土地の流動化、まあ水田なんですが、そのときには、県の農業公社はよく実態を知らぬ。逆に市町村農業公社の方はよく知っておるのですが、これを何とか、県ではなくて市町村農業公社にも土地の売買を認めてもいいのではないかというのがこの「勧告」だろうと思っております。  それで、そういう問題をいろいろ精査をしてまいりますと、確かに難しい面がある。県と市町村とうまくいっているところはいいのですが、なかなかうまくいっていないところにおいてはいろいろな問題が実は生じているようであります。そういうことで、土地の集約化あるいは流動化を促進をするためにも、何とか市町村農業公社に土地の売買、あるいは一時的な保有も含めてでありますが、これを認めてもらうようなことにならないのか、実はこういう要請が私のところにも来ております。  そういうことで、その実態も私も少し精査をしたのですが、これはやはり勧告のとおりに市町村農業公社にも、もちろん県とのいろいろな話し合いの中で、そして、スムーズにいくようなことが前提でありますけれども、認めてもいいのではないか、実はこういう気がしておるのです。  市町村農業公社にも土地の売買を認めてもいいのではないか。もちろん県の農業公社との話し合いが前提でありますが、行政監察のこれの出たとおりに、こういう方向に向かうお考えがあるのかどうか。これが最後の御質問でございますが、いかがでしょうか。
  90. 野中和雄

    ○野中政府委員 効率的、安定的な経営を育てるということで農地流動化を図っていきますために、県の公社あるいは市町村の公社が中に入って、売買、貸借等々で中間保有をして再配分をするという機能は、非常に貴重な役割を果たしているわけでございます。  そこで、県公社と市町村公社でございますが、市町村農業公社におきましては、現在貸借事業だけでございますが、売買をやることになります場合には、実はこれは不動産に関する専門知識を深く有する人が要るという必要もございますし、それから当然、保有した後に価格の下落とか、そういうような問題もいろいろございまして、資金手当て、あるいは中間保有時の管理という面でかなりのリスクもあるということでございます。そういう意味で、当面、売買の担い手は県の公社の方でやっていただくということで、いわば県の公社と市町村の公社の役割分担をしてやっていただいてきたというのが従来の考え方でございます。  ただ、市町村の公社にも少しそういうこともという先生のようなお話もございますし、また勧告もあるわけでございます。私ども、そういう中でこの農地流動化をさらに進める、さらにこういう 中間保有が大事だという観点から、実は御審議をいただいております八年度の予算の中で、集落等の段階集団的な利用調整を行うというような事業に市町村公社が入ってやります場合には、この市町村農業公社にも農地の売買事業が行えるように措置をいたして、現在、予算の中に盛り込んで御審議をお願いしているところでございます。  私ども、この県の公社あるいは市町村公社の重要性は十分認識をいたしておるわけでございまして、この両者の連携あるいは役割分担に配慮しながら、これらの事業が積極的に推進されますようにしてまいりたいと考えております。
  91. 白沢三郎

    白沢分科員 その方向で対処する、そう理解してよろしいですか。
  92. 野中和雄

    ○野中政府委員 ただいま申し上げましたように、一定の場合につきまして市町村農業公社にも農地の売買を認める、そして事業をやっていただくというような仕組みをとりあえずつくろうとしているわけでございまして、当面これを推進いたしたいと考えております。
  93. 白沢三郎

    白沢分科員 どうもありがとうございました。  それで、最初のでありますけれども、ミニマムアクセスの十万トン、これは我々の考えとちょっと違っておりまして、十万トンではこれはどうかなと思っておりますし、大臣も、農林水産関係、特に詳しい方でありますので、中山間地の農業の実態を把握していただいて、一生懸命努力を願えればありがたいなと思っております。  以上、御質問を終わります。どうもありがとうございました。
  94. 菊池福治郎

    ○菊池主査代理 これにて白沢三郎君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  95. 桜井新

    桜井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑を続行いたします。畠山健治郎君。
  96. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 冒頭、大臣初め農水省の皆さん、あるいは林野庁の皆さんに要望しておきたいというふうに思っております。  きょう、午前の第八分科会でも申し上げてまいりました。というのは、不幸な出来事が、災害が次々起こっているわけですよね。雲仙しかり、阪神・淡路しかり、トンネル問題しかり。今度は一体何が起ころうか、そういう危惧がしてならないわけであります。  私は私なりに勝手に予想すると、このとおり今現在、関東以西は降雨量が足らなくて、ダムの貯水量が六割、七割だということなので給水制限までしておるというような現状に今置かれておるわけであります。しかし、降水量というのは年間大体千八百ミリ前後降っているわけですよね。今降らなければいつかまとまって降ってくるというような可能性は十分あると思う。それが一つはまず前段にあります。  もう一つは、降った雨が、貯水能力が極めて今悪くなっておるわけですよね。その一つは、まず山を見ていただくと、御案内のとおり、木材価格の低迷ということで、あるいは労働力がないというようなことで、あるいは労働力の高齢化ということでほとんど手つかずの状態。田んぼはどうかといったら、生産調整で二五、六%、三〇%近い休耕田、これもまた貯水能力は何もない。どんとまとまって降られた雨が一体どこへ来るかといったら、次の災害はひょっとしたら洪水ではないのだろうかというのが気になって仕方がないわけであります。  そういう山、水田の実態、こういうことを踏まえて、何とか森林や田んぼがそういう公益的な機能を果たしているんだと建設省はちゃんと認めて、この対応をちゃんとやってほしい。本来であれば農水省がやらなければいけないことかもしれないけれども、どうもそこの部分は表に出てこない。言ってみれば経済性だけを追求するというようなことから、公益性というような部分がほとんど出てこない。こんなことではよくないというふうに思いますので、どうかひとつ、当事者としての農水省、林野庁、前面に出ていただいて、頑張ってもらわなければいけないというふうに思っております。  と同時に、今の住専問題だって全く同じだと思うのですね。あのまま無理強いされてしまったら、農村が、農家が一体どうなるのか。そうなったら内部から農業が崩れてしまうということになろうかと思います。もっとやはり、おっかなびっくりするようなことじゃなくて、住専問題でも堂々と取り組んで、だから必要だというようなことを訴えてほしいと思う。ぜひひとつ前段でこのことを要望しておきたいというふうに思っております。  そこで、第一問に入らせていただきたいというふうに思いますが、これも決して各論を言っているのじゃございません。今の住専論議の中で出てきているのは、農林系統というのは運用が極めて下手だ、やはり素人集団だなどというような議論まで出てきているわけであります、あえてそれを否定するつもりはございませんけれども。そういう議論の中からも、せっかくの系統資金をもっと農業内部で活用するというような道を考えていかなければいけないのじゃないだろうか。これは各論じゃございません、総論として、何かそういう工夫をしてもらわなければいけないのではないだろうか。一つの例として、縁故債みたいな形でもっと農業資金を農業内部で使うというような工夫が必要ではないだろうかというふうな気がするわけでありますが、この点いかがなものでしょうか。
  97. 堤英隆

    ○堤政府委員 先生おっしゃいましたように、農協系統資金はもともと農業者の貯金でございますから、そういう意味では農業者の方々の生産活動とか生活に必要な資金を供給するということが基本だと思います。  そういう意味で、私どもの方も、ここ二、三年を見ましても、農村地域におきます産業基盤のためのお金でありますとか、それから生活基盤、そういうことにできるだけ使えるようにそれなりに工夫をしてきたわけでございますけれども、しかし、何といっても六十八兆円あるものですから、そのことだけのニーズではなかなかこたえ切れかいというものがございます。  そういう意味では、そういった農業者の方々の生活基盤それから生産基盤に基本的に充てるという基本をきちんと持ちながら、自己運用をどういうふうにしていくのか、それから上部に預けてそれをどういうふうに運用してもらうのか、その三つのバランスのとれた形での運用ということがこれから必要になるのじゃないかというふうに思います。  そういう意味で、全体的な信用事業のあり方も含めまして、今の御指摘の点も含めて私どもとしては検討したいというふうに思っていますが、何はともあれ、その場合におきましても、やはり先生今御指摘のように、農家方々の貯金であるということと、基本的に農村地域において生活あるいは産業基盤のために使っていくということを基本に据えながらこの問題に対応していきたいというふうに思っております。
  98. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 ぜひひとつ工夫をしていただきたいと思います。  次にお伺いをいたしたいと思いますが、いよいよもって去年の十一月から新食糧法がスタートいたしました。もはや失敗は許されないという年を迎えたわけでございます。ぜひひとつ失敗のない新食糧法のスタートを切らなければいけないという観点からお伺いをいたしたいと思います。  生産調整という手段あるいは政府米あるいは計画流通米、三つの面からそれぞれ抜かりのないように対応している、こういうお話が出てくるわけでありますし、ぜひそうあってほしいものだ、失敗は許されないわけでありますから、ぜひそうあっていただきたいものだと願う気持ちでいっぱいでございます。  ところが、ちまたを見ますと、果たして農水省が考えているような方向で本当に具体的に進んでいるだろうか、本当に大丈夫だろうかという懸念 がないでもないわけであります。今現在の進捗状況といいますか、実情を把握しておりましたならば、ぜひひとつ承りたいと思います。
  99. 高木賢

    高木(賢)政府委員 八年度の新しい生産調整の進捗状況でございますが、これは昨年十一月二十四日に、国と全中から都道府県都道府県中央会に対しまして、まず生産調整対象水田面積のガイドラインの通知を行いました。その後、昨年暮れから始まりまして本年一月中にすべての都道府県・県中から市町村・農協へのガイドラインの通知が終わりました。現在は、市町村・農協から集落座談会などを通じまして農業者に対するガイドラインの通知が順次行われているところでございます。  都道府県間あるいは県内の地域間で多少ばらつきがございますけれども、全体としては予定されたところに従って進行しているというふうに承知をいたしております。
  100. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 必ずしも正確じゃないかもしれませんが、私の居住区を含めて相変わらずの一律配分をやっているというところが現実にあるわけですよね。さきに申し上げましたように、いわゆる計画流通米あるいは政府米、生産調整を絡めてきちんと抜かりのないようにしていくといいながらもこんなことをまだおやりになっておる。今こそ農政の転換を図らなければいけない。  というのは、具体的にやはり市町村行政なり農業団体が、こういう際どい時期であるからこそ最大限力を発揮して、いい方向にいろいろな方向で政策を誘導していくということが一番大事なはずでありますけれども、一番楽な方法を選択をして一律配分をやっておる、こういう現実の問題。私のところだけかもしれませんけれども、極めて情けない話だというふうに言わざるを得ないと思うのです。このことをどう把握をしながら、あるいはこれからどう指導なさっていくつもりなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  101. 高木賢

    高木(賢)政府委員 新しい生産調整対策におきましては、生産調整の実効性の確保ということとあわせまして、生産者の主体的取り組みの重視という新食糧法の理念なども踏まえまして、従来以上に生産者の自主性を尊重する必要があるというふうに考えております。  このために、私どもといたしましては、生産者ごとの生産調整対象水田面積のガイドラインの決定、通知に当たりましては、その決定、通知前に生産者の希望を聞く。それから決定、通知後も共補償活動などによりまして、生産者相互間の調整を行う、あるいは地域間の調整を行うというようなことをやりまして、生産者の意向が極力尊重されるような、そういうことを指導しているわけでございます。  今お話ありましたように、そうは申しましても、どうも一部にはガイドライン決定の段階では生産者に一律に配分されるという実例があるということも承知をいたしております。ただ、現在このガイドラインの段階でありまして、このような市町村におきましても、今後は生産者間の話し合い、共補償活動、あるいは地域間調整の積極的取り組みによりまして、実際の実施面積につきましては、それぞれの調整によりまして、生産者の意向が極力反映された正式な面積の決定、こういうことも仕組み上可能になっておりますので、行政、団体あわせてそのように推進をしてまいりたいというふうに考えております。
  102. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 実効性ということだけ、生産調整失敗してはいけないということだけがしきりに強調されて、そのためにどうするか、汗水流してこれから先のことにきっちりと対応していくという方向を求めるのではなくて、今、生産調整失敗してはいけない、このことを確保するということだけにとらわれておるやに感じてならないわけであります。ことしだけの問題ではございません、これから先々の問題でございますから、ぜひひとつ強力に、市町村行政なりあるいは経済団体である農協を督励して、失敗のないようにしていただきたい、重ねてお願いを申し上げたいと思います。  それから、取り越し苦労かもしれませんが、生産調整なり政府米なり計画流通米、この三つを絡めて何とか成功させるという気持ちはよくわかります。ところが、計画外流通米という部分は残っているわけですよ。これは残っているわけであります。その残っている部分に今しきりに集荷の手が伸びまして、契約栽培をしようとしている動きがいっぱいある、根強くある。これで果たして米市場を全体的に守れるのかどうか、本当に心配でならないわけであります。  絶対に失敗してはならないから、大丈夫、大丈夫、こうおっしゃるけれども、せめて成功させるためには、計画外流通米ですから、届け出すればオーケーだということになるでしょう、それは。それで結構でしょうけれども、単に栽培契約だけということであったら大変な間違いだと思うので、契約栽培するのであったら、あらかじめ価格面でもちゃんと契約してくださいというぐらいのことまでしなければ歯どめにならないと思うのですよ。その辺のところをどうお考えだろうか、ひとつ聞かせていただきたいと思うのです。
  103. 高橋政行

    ○高橋政府委員 今おっしゃいますように、今度の新食糧法では計画流通米と計画外の両方のルートが開かれておることは、そのとおりでございます。  それで、従来のような特別栽培米といったように、消費者の皆さん方と、どっちかといったら直結した形で契約して取り組んでいるようなお米、こういうものについては、やはり計画流通米によって対応するのはなかなか難しいというようなこともございまして、計画外で流れているというものだろうというふうに思っております。しかしながら、我々、制度として二つの流通ルートがございますけれども、新食糧法の目的とするところは、やはり需給調整をしっかりやって価格を安定させる、それからまた、消費者の皆さん方にはお米を計画的、安定的にお届けするということでございます。そうなりますと、この計画流通米が相当量集まらないと、これは何やっておるかということになりますので、そこは腹をくくってやらなければいけないというふうに思っております。  それで、そのために、特に計画出荷米の取り扱いの皆さん方の事業活動を活発化するとか、あるいは生産者の皆さん方にこういった趣旨をよく徹底するというようなことがございますけれども、特にこの八年度予算におきましては、計画外流通との競合の中でこの計画流通米は存在するわけですので、少しでも生産者の皆さんが有利な形で計画米に出荷していただけるように、現在、予算で計画流通の助成対策ということを特別お願いをいたしております。  したがいまして、こういうものを通じて、何とかこの計画流通米が米流通の大宗を占めていくように我々も処置をしていかなければいけない、こう思っているところでございます。     〔主査退席菊池主査代理着席
  104. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 あの手この手、やっていただいていることはよくわかります。集荷奨励なさっているということもよくわかります。しかし、集荷奨励よりも高く買いますよ、それよりも高く買いますよ、しかも、田んぼを休耕同然にさらしておくよりも、米をつくった方がもっと楽ですよというふうな誘いから、計画外流通米がどんどんはびこる可能性はないと決して言えないと私は思うのです。逆に、かなりその部分が多くなるのではないかという懸念さえ強く抱くわけであります。  だから、その辺のところで、何かもう少しいい方法はないのか、私自身もいろいろと考えていますけれども、いい知恵は出てこない。だけれども、心配は心配だけで終わってしまえばいいわけですけれども、心配が、なるほどというような、心配されたとおりになってしまったら、これは大変なことになろうかと思っておるわけでして、ぜひひとつ、その辺のところを十分気をつけて、これから先も取り組みをしていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。  次にお伺いをいたしたいことは、いわゆる備蓄米と称する政府買い入れ米でございます。  去年の十二月、八年度政府買い入れ米価格を決 めていただきました。私どもからすると、一面、再生産可能な価格ということは、これは当然だというふうに思っているわけであります。ところが一方、消費者の声というふうに言ったらいいのかどうかわかりませんが、マスコミを中心に取り上げておる中身からすると、やはりまた生産者対策だけの価格決定だ、あるいは政治的な価格決定だ、こんな批判がたくさん出てくるわけであります。私どもからすると決してそうは思っていませんが、だけれども、それに対して、やはり有効な、理論的な説得をしなければいけないと思うのですが、どうもその辺のところが弱いと言わざるを得ないというふうに思うのです。  その辺の対応を、これもことしだけの問題ではございません、これからずっと起こり得る問題でございますから、その辺の対応について、ひとつ政府の考え方をお聞かせいただきたいと思うのです。
  105. 高橋政行

    ○高橋政府委員 新食糧法のもとにおいて、政府買い入れ米価はどんなふうに決めていくかということでございますが、新食糧法の規定では、政府買い入れ米価は自主流通米の価格の動向を反映させる、それから、そのほか生産コスト等を参酌して、米穀の再生産を確保するように決めなさい、こういうふうに書いてあるわけでございます。したがって、この規定を受けまして、では、どういうような算定方式で価格を算定したらいいかということで、昨年、米価審議会でも御議論を願いまして、新たな算定方式をつくったところでございます。  その考え方といいますか、算定方式がどんなふうになっているかということでございますが、これは一定期間における自主流通米の価格変動率がどうなっているか、率を一つ要素にしましょう。それからもう一つは、やはり生産コストがどうなっているかという生産コストの変動率、この二つの要素を考えましょう。それぞれについて、同じウエートでこの率を考えていこうではないかということで、そういう率を算定いたしまして、それに前年産の政府買い入れ米価を掛けまして求めよということになりましたので、そういう意味で非常に簡明あるいは透明性のある算定方式になったのではないかと思っております。  それで、八年産の米価もこういった算定方式に基づいて計算をいたしますとマイナス〇・六%ということになったわけでございます。マイナス〇・六になりましたが、新制度発足のときでもございますので、制度への円滑な移行とか、生産調整も強化しておりますので、生産調整の円滑な推進というような観点から前年と同じ額ということにしたものでございます。  今後、この新算定方式に基づきまして適正に決定していくようにしたいと思っておるところでございます。
  106. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 そこで、私冒頭にも御要望申し上げました部分がどうしても抜けてしまうのですね。経済、経済というだけが中心の論議になってしまって、日本農業が果たしておる公益性というような部分はどこかへ忘れてしまうわけですね。そんなことで日本の社会は、経済は、それから日本の国土は、そしてきれいな空気や水は一体どうなるのかという部分がどうしてもこの議論の中からどこかへ飛んでしまっている。こんなことで果たしていいのか。私どもからすると、何だそんな弱腰でというふうに言わざるを得ないと思うのです。  そこの部分を何とかして算定基礎の中に織り込むというような、私どもも努力しなければいけないと思っていますが、皆さんの立場からももっともっとやはり工夫をしてもらわなければいけないと思います。その点についての御所見を承りたいと思います。
  107. 高橋政行

    ○高橋政府委員 我々、算定方式をどういうふうにやるかということになりますと、やはりいろいろな数字といいますか、そういうものによりまして皆さん方に納得していただけるようなものが一つの算定方式としてはいいのではないかという考え方で今回もつくらせていただいたわけでございます。  そういう意味では、一つには、自主流通米の価格の動向を反映するという意味では、自主流通米が今や米流通の主流でございますから、そういった一つの経済全体の動きといいますか、そういうものは見ていこうということと、やはり生産者の立場というものも全く考えないということはおかしいということで、生産者が実際つくっているコスト、そういうものをまた一方で勘案することによって、両にらみといいますか、そういうようなことで数字的に明らかになる。そういうもので算定方式を考えたわけでございます。  先ほど先生がおっしゃったように、そういった全体的な考え方といいますか、立場に立った考え方というものはあるでしょうけれども数字で示しますとなかなかあらわしにくいというようなこともあるわけでございまして、現在はそういう算定方式にしたところでございます。
  108. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 そこで、ひとつ大臣から一言だけお聞かせをいただきたいと思うのです。  というのは、予算技術上はなかなか難しいことかもしれません。わかっていますが、言ってみれば、政府買い入れ米価格を決めるといったら、やはり今おっしゃるようなことよりもよりどころが出てこないという、それもわかるような気がいたします。ところがある反面、農業、林業の公益的な面ということは、これはどなただってわかっているわけであります。とすれば、国土保全のために果たしている役割だとすれば、そこの部分は国土庁予算をとってください、あるいはダム的な要素の役割を果たしているとすれば、建設省その分予算をとってください、こういう予算のとり方をしていただいて、最終的にその分は農村、農業に返すというぐらいの、技術上はいろいろ問題があると思いますよ、基本的な考え方としてこんなやり方だってあるのじゃないかという気がしてならないわけであります。  この点についての大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  109. 大原一三

    大原国務大臣 先ほども似たような御質問がありまして、水資源の問題、災害の問題、いわゆる経済外コスト、目に見えないコストが、日本の国土条件からたくさんのコストがかかるものを、農村、田んぼやそういったものがこれを担保しておるという面が非常にあるわけです。そういった問題を考えるときに、やはり農業、農村だけの、農林省だけの分野ではなくて、もっと広い国土政策という見地からのありようがないと、日本の国土はどうなっていくのかという心配、私も委員と共有をしているわけでありまして、特に過疎のところの数字を見ますと、国土の五〇%のところへ六%の人しか住んでないというこのいびつな国土利用、そこに私は非常に大きな問題が伏在すると思うのです。ですから、これを農林水産省の予算でやれという話ではなくて、もっと高次の国土政策がなければいけないのではないか、こう思っております。  同時にこれは、そういった構造政策と広い意味で言えると私は思うのですが、価格政策だけではしのいでいけない問題がそこに伏在しておる。委員の御意見に全く私も同感でございまして、そういった政策の展開が早く行われないと日本の国土利用はますますいびつになっていくという感じを深くしているものであります。
  110. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 ぜひひとつそういう立場からも大臣の御活躍をお祈り申し上げたいと思います。  次に、そうでなくとも、生産調整絡みで米市場は一体どうなるのだろう。言ってみれば、備蓄米を考えても、備蓄米という、直接市場へ出る出ないは別にしても、潜在的な米余り現象と同じことだと言ってよろしいかと思うのです。そこで、その上さらにミニマムアクセス米が出てきた。しかも主食用に供給されるというようなことになったらこれは大変なことになるだろう、これは当然だれしも思うことなわけでございます。  ぜひひとつ、ミニマムアクセス米の主食用に回るというような部分だけはどうしても避けてもらわなければいけない、こういうふうに考えますの で、その具体策をお示しいただきたいと思っております。
  111. 高橋政行

    ○高橋政府委員 ミニマムアクセス輸入米はどういうふうに処理していくかということでございますが、国際約束、ガット上の約束によりますと、内外無差別の原則と申しまして、国産米も外国産米も大体同じように扱え、こういうことになっておりますので、国内の需要に応じまして、極力国産米の需給に影響を及ぼさないように対応していくということが必要であると思っております。  具体的には、八米穀年度におきましては、国産米で対応が難しい、今お話がありました加工用とか業務用といった低価格米需要に対して供給するということが一つ基本じゃないかと思っております。それから、そのほかに、一部備蓄に十万トン程度充てたいと思っております。そのほか、新規需要、加工用途の需要があればそういうものを開発していくとか、あるいは備蓄してもどうしても処理できないという米があるわけですが、それらについては援助米というようなことも考えていくとかということで対応していきたいと思っております。
  112. 畠山健治郎

    ○畠山分科員 時間が参りましたので、最後大臣に御要望申し上げておきたいと思います。  というのも、与野党を含めて、衆参両院で地方分権推進法の決議が満場一致でなされたわけでございます。それを受けて、昨年の五月、ようやく地方分権推進法が成立を見まして、今現在、分権推進委員会で鋭意検討をしていただいておる最中でございます。確かに統一性とか公平性とかという政府の主張もわからないわけではない、わかります。それは法律でちゃんと規定をすればいいわけでありまして、現場の仕事はやはり地方にやっていただく、これが原則だと思うのです。今までのヒアリングからすると、何か農水省もかなり難しいようなお話を述べておるようでありますが、ぜひひとつ、原則を踏み外すことのないように、地方分権の成立のために理解を示していただきますように心からお願いを、御要望を申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  113. 菊池福治郎

    ○菊池主査代理 これにて畠山健治郎君の質疑は終了いたしました。  次に、笹木竜三君。
  114. 笹木竜三

    笹木分科員 新進党の笹木竜三です。質問をさせていただきます。  最初に、新食糧法に伴う事柄について幾つか質問をさせていただきます。  まず、この新食糧法で、米の販売ですとか流通についてはかなり自由化というか、されたわけですけれども、非常に大きな変化で戸惑っている農業者の方も、農家の方も、農協の方も非常に多いわけです。数はそう多くないわけですけれども、一方では、例えば消費者は新鮮でおいしくて安全な米を求めている、それを得るためだったら若干値段が高くても欲しいのだ、そういう消費者もいるということで、従来からの、新食糧法以前からの制度のもとでも特別栽培米、そういった形で、例えば私の知っているある農家の方は、この特別栽培米でより高く売るということで、大阪ですとか京都とか、そういった消費地で、例えば比較的高級なマンションなどに自分でビラを持って配って、それで消費者をつかまえる、直接顧客を確保していく、そんな活動をしている農家も、もちろんまだまだ数は少ないわけですけれども、旧制度のもとでもいたわけです。  今後これは、個人の農家単位でもあるいは農協単位でもこういったマーケティングといいますか、顧客の管理、獲得、あるいは市場に対するその動向を早く察知して対応する、価格と質の問題、消費者の要求をくみ上げていくこと、販売の方法、いろいろなことについての指導が必要だと思います。それは民間で、個々で、農協とか個人でやるべきという意見もあるかもしれませんけれども、考えてみれば、例えば中小企業がいろいろな製品をつくっている、それについてのいろいろなマーケティング上の指導ですとか経営上の指導、これも自治体からも国からもいろいろな施策がなされております。米についても、販売についてはかなり緩和された、自由化されたわけですから、当然こういったマーケティング面での指導というのが今後より重視されていかなければいけないと考えております。  まず現状について、旧制度のもとでは恐らく特別栽培米についての指導とかそういうことになっているのかもしれませんけれども、旧制度あるいは今この新しい制度に向けて、現状としてはマーケティング上の指導とか研修とか、どんなことがなされているのか、事務方の方で結構です、まずお答えいただきたいと思います。
  115. 野中和雄

    ○野中政府委員 経営感覚にすぐれた効率的、安定的な農業経営を育成していくということを、私ども、政策の大きな柱にしているわけでございますが、そのためには、従来の農地のあっせんとか低利融資とかそういうことだけではなくて、まさに先生がおっしゃいますように、マーケティングとか財務管理とか、そういうことも含めた経営管理能力の向上ということが極めて大事でございまして、経営相談とか研修とか、こういうことが非常に大事でございます。  そこで、私ども、現状では市町村段階に経営改善支援センター、こういうのを設置をいたしているわけでございまして、そこで認定農業者、これは農業経営基盤強化促進法に基づきます制度でございますが、認定をいたしました認定農業者を初めといたします意欲のある農業者の方に対しまして、例えば経営改善に関する経営相談、指導とか、あるいは税理士、中小企業診断士等々、そういう専門家の方による財務管理やマーケティングなどの研修会の開催というようなこと、さらには、個別経営だけではなくて、法人化を進めることが一つの経営管理能力の向上につながるわけでございますので、こういう法人化を志向する農業者の方あるいは法人そのものに対する研修会の開催、相談活動の実施というようなことをやっております。  また、こういう組織だけではなくて、県の地域農業改良普及センターにおきましても、経営指導体制の強化をかねてから図っているところでございまして、農業者に対する経営管理とかマーケティングに対する研修、指導といったようなことも実施をいたしておるわけでございます。  新食糧法下におきます新しい状況も踏まえまして、こういうような農業者の経営管理能力の向上のための施策を一層充実してまいりたいというふうに考えております。
  116. 笹木竜三

    笹木分科員 その認定農業者制度のもとでそういった指導もやっていくのだというお答えですけれども、例えばどのぐらいの予算で、あるいは対象数といいますか、どのぐらいを見込んでおられるのか、そういったことについても教えていただけますか。
  117. 野中和雄

    ○野中政府委員 農業経営基盤強化促進法に基づきます認定農業者の制度でございますが、現在、これに基づきまして五万五千八百四十三人の認定農業者が認定をされているわけでございますが、これをさらにふやしていこうというふうに考えておりまして、先ほど申し上げました経営改善支援センターにおきましては、既に認定を受けたこういう方だけではなくて、これから認定を受けて立派な経営をしていこうというような方に対しても指導を実施しているところでございます。  この予算関係でございますが、こういった経営改善支援を行います事業といたしまして、私ども、経営改善支援活動事業というのを実施いたしておるわけでございますが、この予算額、八年度の予算の中では十三億七千二百九十万円の予算を政府案の中に盛り込まさせていただいております。
  118. 笹木竜三

    笹木分科員 現状についてはわかりました。  中小企業の経営者の方で、一生懸命やられて成長されている方などとよく話をしていますと、うまくいかない場合はもう大体共通しているので、売れない物をつくっている、あるいは売れないような売り方をしているんだ、成長している場合には、売れる物は何かをまず把握してそれをつくっ ていく、この違いが大きいんだというようなことを言われる方がたくさんおられます。完全に商品とみなすのはどうかと思いますけれども、もちろんそういう問題はありますけれども、商品としてよりよく売っていく努力が非常に必要になってくるわけで、十三億という予算の規模も今聞きましたけれども、これはいかにも少ないと私自身は思います。  今後、こういうマーケティング、経営上、販売上の指導をより一層、しかも速いスピードで充実していくことが、環境が激変するわけですから、なおさら必要だと思っております。ぜひ大臣の認識をお聞きしたいと思います。
  119. 大原一三

    大原国務大臣 私も、農村の中におりまして、若い連中とよく接触するのですが、やはりいろいろございまして、非常に優秀な経営感覚を持った人と、そうでなくて、おやじがやっていたからやってやろうという人と、今非常に選別の時代ですね。そういう意味で、コンピューターを持っている諸君がかなりおられる、私はそろばん時代ですからコンピューターのいじり方はわからないのですけれども、そういう先端的な感覚を持っている若手の人たちがいる。  特に最近、私は宮崎でございますが、花を非常に推奨しているわけです、花を。この中には、お父さんがやっていたからやっているという人は不思議なことに余り成功していないですね、こんなことをここの委員会で言っていいのかどうか知りませんけれども。ところが、銀行の支店長とか自動車整備工場の会社をやっていた人たちがそれを始めたのですね。一年間に三万鉢のシンビジウムを出しているのですよ。あれは三年かかりますから九万鉢ですね。ただ、問題は、東京へ送るアクセスがないのですね。年末に大阪、東京へ飛行機で送るのですが、大変アクセスに苦労しておるなということをしみじみ感じておりますが、そういったセンスの強い人がやはり農業のこれからの担い手になってもらわなければならぬなということをいつも感じておる者の一人であります。
  120. 笹木竜三

    笹木分科員 今大臣からも花の例でお話しいただきましたけれども、そういう花ですとかあるいは野菜ですとか、そういった分野で非常に優秀な方も、マーケティング上の感覚を持っている方も非常に出てきているという実感を持っております。ぜひ米の分野でもそういう方々がもっとふえるように、より一層の予算化、お願いしたいと思います。  先ほど最初の例で言いました、特別栽培米で売っている時代から一生懸命やっていた方、こういう方は非常にすごいなと思うのは、消費者と、直接顧客と話をしますので、そうすると、米でレトルトで独身者向きのものをつくっていこうとか、実際もう数人でやっているわけですけれども、そんな技術まで自分たちで開発して商売を始めております。ぜひそういった面での充実をお願いしたいと思います。  次に、備蓄の点についてお聞きをしたいわけですけれども、例えば棚上げ在庫、この場合にその売却の発動の基準はどういうふうに考えていくのか。あるいは一年以上保有して売っていくとき、農協とか現場からの心配というのは、古米とか古々米の処理は本当に大丈夫なのか、そんな心配もよく聞きます。それと民間での調整保管、こういったものが一年以上になると棚上げ在庫に近いものになっていく、そういったことについてはどう処理していいのかな、いろいろな不安も聞くわけですけれども、まず、古米、古々米の処理は確実に常に新米と入れかえるということで間違いないのか、そういった点についてお答えをいただきたいと思います。
  121. 高橋政行

    ○高橋政府委員 備蓄につきましては、先生御案内のように、百五十万トンの水準を基本として、豊凶の需給変動にも対応できるように、さらにそこに五十万トンの幅を持って運用しよう、こういうことにしております。  それで、一年間それを備蓄として持っておりまして、万が一に備えるということで、一年しましたらそれは新しいものに入れかえていこう、こういうことでございます。そういたしますと、どうしても古米というようなことで、売れるか売れないかということが問題になろうかと思いますが、我々は、やはりそれには米の質がしっかり保持されることが必要であるというふうに思っておりまして、現在低温保管というのを実施してきておるわけでございます。ほぼ低温保管が全量できるような体制を今しいておるわけでございますが、そうしたことで品質を十分維持いたしまして、それで消費者の皆さん方がこのお米についても食べていただけるような、そういう方策をとっていこうというふうに思っております。そうした中で、計画的に主食用あるいは加工用に売却していくということを考えてまいりたい、こう思っておるところでございます。
  122. 笹木竜三

    笹木分科員 それで、お聞きしたことにもう一度お答えいただきたいのですけれども、古々米という形でずっと残っていく、そういったことは極力避ける、そういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
  123. 高橋政行

    ○高橋政府委員 もちろんそういうことでございますし、それから、今回もそうでございますが、例えば八年度で申しますと、国内産米が二百二十万トン程度、本年の十月末でそのくらい余分に在庫として残るわけでございます。適正な備蓄量は百五十万トンと言っていますが、そうすると七十万トン余分にあるわけでございます。その七十万トンはどんどんふえていくといけませんから、生産調整もしっかりやって、百五十万トンの適正な量にしていこうということもまずやっておりますし、それから、先ほど申しましたように、そのまた百五十万トンが古々米とか古々々米とか、そういうことにならないように我々も努力していきたいというふうに思っております。
  124. 笹木竜三

    笹木分科員 先ほどお話ししたことで、ついでにもう一つ確認しておきたいわけですけれども、一年以上保有した結果になっているものを売却する、棚上げ在庫の売却の発動の基準といいますか、その年の生産量との関係も非常に深くなると思いますけれども、そこら辺についてはどういうお考えなのか。売却しようとするときに生産量がかなり減少していないとなかなか難しい、価格の面で悪い影響も出ると言われているわけですけれども、事務方の方で結構ですからコメントをいただきたいと思います。
  125. 高橋政行

    ○高橋政府委員 我々、お米が全体として需給の見通しがどんなふうになって、それで政府は自分の持っている、今おっしゃる備蓄したお米、そういうようなものをどの程度売ることにしているか、あるいは自主流通米についても、どの程度売ると需給上バランスがとれるかということでの見通しを、昨年の十一月末に指針ということで示しております。なおもう少しそれをしっかりしたものにするために、この三月の末にも基本計画ということで示すこととしておりますが、そういうことで、数量を、これだけのものを政府は売りますよということでまず販売業者とかそういう人たちにも明らかにしていきながら、計画的な販売ということに心がけていきたいと思っておるところでございます。
  126. 笹木竜三

    笹木分科員 今の点についてはまた別の機会にさらにお尋ねをしたいと思います。  次に、先ほどマーケティングとか価格面のお話をお聞きしたわけですけれども、当然、農村とか回っていて思うのは、先ほど言ったような、大臣も選別ということを少しお話しになりましたけれども、熱心にマーケティングもやってどんどん売っていけるような方、その方だけで農村が成り立つとは思っておりません。そういったことを考えますと、価格面ではかなり緩和されてくるわけですから、一方では直接の所得補償、こういったことを、やはりよりこれから真剣に考えていかざるを得ないと私も考えております。  それで、その前提としてよく言われる農業とか林業とかの国土保全、公益的な機能についてもお尋ねしたいと思いますけれども、まだまだ一般の消費者ですとか国民にとっては理解が及んでいるとは言いがたいと考えております。そういったこ とを、昭和五十五年ですか、これは民間の試算があって、このときには、水資源の涵養とか洪水を防ぐとか土砂の流出を防止する、土壌の崩壊を防止するとか酸素の供給、大気の浄化、その他で三十六兆六千二百億円の試算が出ています。あるいは昭和四十七年には林野庁から、森林の公益的な機能ということで年間に十二兆八千二百億円。あるいは平成六年度の農業白書でも、これでは六兆ですか、そういった試算がされております。  こういったことについて、私もよくいろいろな方々と話をするわけですけれども、例えば返ってくる暴論としては、いや、そんなものはゴルフ場をふやせばいいんじゃないかとか、そんな暴論も返ってきたりはします。こういった農業、林業の国土保全の機能についてのより説得力のある数字を出していく、あるいはそれの広報に努めることがさらに大切になってくると思いますけれども、まず現状についてどういつだ試算をされているのか。あるいは、それについて、この農業白書の場合には都市住民訪問による価値ですとか農村景観、保健休養機能とか、そういったものも入っておりますけれども、私なんかは個人的に、こういった項目はちょっと無理があるんじゃないかと思ってますけれども、現状は、そういった試算についてどのような反応があるのか、あるいは今の取り組みがどういうようなものがあるのか、事務方の方にお答えいただきたいと思います。
  127. 高木勇樹

    高木(勇)政府委員 ただいまお尋ねありました、まず一つ数字的なことでございますが、今先生もおっしゃられましたように、昨年の農業白書で、田畑の公益的機能というものがどれぐらいあるか、例えば、水田について治水ダムの建設コスト等に置きかえて計算する代替法、いろいろ手法がございます。この場合には代替法という手法を用いて計算したわけでございますが、一年当たり六兆七千億円という試算を出したわけであります。  それから、林業関係といいますか、森林の有する公益的機能につきましては、これは四年度の林業白書、平成五年に公表しておりますけれども、この中で三十九兆二千億円という、これも基本的には代替法的手法によって出したものでございます。  私どもとしては、さらにこの公益的機能についてのそういった数値的な研究を重ねるべく、八年度からでございますけれども、これは今御審議をいただいている予算の中に入っておるわけでございますが、新たに、農林水産省の試験研究機関等におきまして、洪水防止機能等、農業の資源なり環境に対する影響を客観的に評価する手法を開発する総合研究というものに取り組んでおります。  これはやはり、今先生もおっしゃられましたように、国民に理解をしていただくためには、きちんとしたそういった研究といいますか手法といいますか、そういうものを開発した上でまた評価をする必要があるということで、若干の時間はかかりますけれども、そういったことに農林水産省の研究機関を中心に取り組みを始めたわけでございます。  もちろん先ほど申し上げました数値についても、これは一つの手法から試算したもので、これもこれで正しいわけでございますけれども、より国民の理解を得るための研究手法開発に取り組みを始めたということでございます。  そういった公益的機能につきましては、いろいろな機会を通じまして、今申し上げました農業白書、林業白書、それから農林水産省広報を通じて、広報体制がありますので、それを通じての広報、それからシンポジウム等を通じての理解を深めるための活動など、いろいろな場面で国民的理解を深めるための努力をしているところでございます。
  128. 笹木竜三

    笹木分科員 さらに、その反応というか、まあ反応もないのかもしれませんけれども、それについての現状はどんなものでしょうか。実態としてはなかなか努力されているんでしょうけれども、そういったことがまだまだ伝わっていない、結果的にはちょっとひとりよがりに終わっている面もあるのかなと思っておりますけれども
  129. 高木勇樹

    高木(勇)政府委員 これはなかなか国民の理解を得る面では難しい点があることは御指摘のとおりでございますけれども、やはり地道な広報、PRというものが必要だということで、私どもとしては先ほど申し上げたようなことをやっておるわけでございます。  反応につきましては、そういうことについて、まず一つは関心を持っているかどうかで随分違うんじゃないかと思います。私どもは、実は私どもの一階に「消費者の部屋」というのがございまして、そういうところでも、こういった点についての掲示ないしはいろいろなパンフレット、さらには今申し上げたようないろいろなデータを紹介して、消費者の皆さん一般に入れるわけでございまして、そういうところでも反応を聞くわけでございますが、そういうところに来られる方は非常によく理解していただける。しかし、まるっきり頭から関心を持っていない方々というのは、これはなかなか難しい。そこら辺の方々にどうするかというのが、私どもこれからの課題かな、こう思っております。
  130. 笹木竜三

    笹木分科員 この点について、最後大臣に、今後の取り組みについてのお考え等をお聞かせいただきたいと思います。  最初からなかなか理解が得られるとは思いませんけれども、議論を起こしていくことが大事なんだろうと思います。ぜひ、例えばテレビ等なんか借り切ってでもいいから、そういう議論を起こしていくようなことも考えていいんじゃないかと思いますけれども、短くで結構です、コメントいただければと思います。
  131. 大原一三

    大原国務大臣 先ほど先生の御質問と類似の質問がございまして、私、大蔵省の主税局が長いのでありまして、自民党の中で税制調査会で役員をやっていまして、一時、水源涵養税というのを考えたことがあるんですね。水道の蛇口に税金かけろといって、それを川上に戻せという話を、これは抵抗が強うございまして、とうとう物にならなかった。そこで私は今矛先を変えまして、消費税の中で水道にかかっている分を山へ返せ、こういう議論もしているわけなんですよ。だけれども、あれだけ全部では財源が少のうございますので、やはり川下の方々が川上に還元するという何らかのリターンが必要じゃないのかな、私は正直いってそう思っております。  委員いろいろ御心配のようでありますから、何かいい知恵ありましたら、我々も、それぐらいのことは今後考えていかないと山は守れないな、そんな気持ちでおります。
  132. 笹木竜三

    笹木分科員 私も一生懸命いろいろ考えますので、ぜひ頑張ってください。  最後に、もう時間が余りないんですけれども、国連海洋法条約について一点御確認をさせていただきたいと思います。  海洋法条約を批准して、その後合理的な期間内に韓国との間で、あるいは中国との間で新漁業協定をということなんですけれども、これも現場の方からは、総量規制だけやって、例えば来年の一月からそれを導入して、それ以降も韓国との関係、中国との関係で現協定のままだと、結果的には損をするのは日本の漁業だけだ、そういった心配が非常に強くあります。韓国とは早ければ三月中に協議を始めることもできるのかなとか、そんなうわさも出たりはしておりますけれども、まず御決意だけでもお聞きしたいと思います。  この「合理的期間内に」というのを、長くても何とか一年以内に新協定を成立させるべきだと思いますけれども、長官の御決意を聞かしていただきたいと思います。
  133. 東久雄

    ○東政府委員 先生御承知のとおり、韓国とは漁業関係で御承知のとおりの協定を持っておるわけでございまして、協定の改定ということは第一義的には外務省の所掌でございます。  それで、ちょっと御紹介ということで申しわけないのですが、二月二十日の予算委員会で池田外務大臣から、関係方面においていろいろな御議論、御要望があることは承知している、そういったこ とを踏まえながらできるだけ早期の決着を目指して合意を得るべく精力的に取り組んでまいりたいという御決意を述べておられまして、これは、そういういろいろな御要望があるのを承知しておるということ、そういうことで、これからできるだけ早くということの取り組みをしていきたいというふうに考えております。
  134. 笹木竜三

    笹木分科員 確認ですけれども、水産庁の長官としては、海洋法条約の批准と新漁業協定の成立時期が極力ずれの少ないようにということで必死で活動されている、そういうことで解釈してよろしいんですね。
  135. 東久雄

    ○東政府委員 国連海洋法条約を批准いたしますと、それに関連した国内体制というものをとらなければなりません。その国内体制をとる上において、国連海洋法条約と、先ほどの日韓漁業協定とが必ずしも整合しないということでございますので、それをできるだけ早く我々としては整合するような方向へ持っていくというつもりで取り組んでまいる次第でございます。
  136. 笹木竜三

    笹木分科員 以上で質問を終わります。
  137. 菊池福治郎

    ○菊池主査代理 これにて笹木竜三君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井英勝君。
  138. 吉井英勝

    吉井分科員 この部屋に入ってまいりましたら随分暑いのでさっきから汗をふきふきなんですが、大臣は早場米の地域の方ですから、この部屋で早場米の栽培でもお考えで暑いのかななんということを思いながらやってきました。  最初に、今も最後の御質問でありましたけれども、私も一問、二百海里経済水域の設定、確立について質問したいと思います。  一昨日、日本武道館で、日本の食糧と漁業、漁村を守るため二百海里経済水域の全面確立を求めるとする全国漁民決起大会が、六千人の代表で開かれました。国連海洋法条約の批准に合わせ二百海里経済水域を設定するということ、これは遅きに失したとはいえ、主権国家として当然のことだというふうに思うわけです。  とりわけ九州、沖縄の漁民というのは、目と鼻の先まで入り込んで操業する南朝鮮、韓国やら中国の漁船に大きな打撃を受けて、自腹を切って監視を続けています。これは、国の方にも漁業関係者や県などから要望が来ておりますからよく御存じのように、例えば「本県海域における韓国及び中国漁船対策について」とか、それから外国漁船不法操業による被害補償などといったことが長崎県その他から来ているように、実は大変な事態が進んでいて、このままいくと漁業資源が枯渇してしまうという心配も出されています。漁業資源を乱獲で荒廃させ、しかもそのことにもかかわっている国からの輸入水産物でまた打撃を受ける。こういうふうなことで今事態は大変深刻になってきて、そういう状況のもとで、二百海里経済水域の確立というのは一刻の猶予も許されないという課題になってきていると思うわけです。  二十日の閣議了解では、この最も重要な南朝鮮、韓国と、そして中国との関係について、二百海里の設定を明言しないで「合理的期間内に結論を得る」とあいまいな表現になっています。漁業者の、全面設定、全面適用の強い願い、その声を踏まえて、私は、まずこの問題では南朝鮮や中国と速やかに漁業交渉を持って、直ちに二百海里経済水域を明確に全面設定するべきだというふうに思うわけです。先ほど長官が前の質問者の方に答えていらっしゃいましたので、私は、ここはひとつ政治家として大臣の決意というものをぜひ伺っておきたいと思うんです。
  139. 大原一三

    大原国務大臣 予算委員会でも何回かお答えをしたところでありますが、漁民の方々の強い要請を踏まえまして、我々としてはあくまで全面設定、全面適用という方針を貫いていくつもりでございます。その際、幸いにして韓国もこれをことしじゅうに早急に批准したい、中国も早急に批准をする気配があります。そういう状況でございますから、この問題は、いわゆる領土問題を離れて、我々としては、我が権益を実現するためにどうしてもこの海洋法条約を決着することが日本の、今いろいろ御指摘ございました西日本水域の方々の今回の悩みを解決する一番いい機会ではないか、そんなつもりで両国との折衝に積極的に当たってまいる所存でございます。
  140. 吉井英勝

    吉井分科員 これはもうぜひ速やかに実現されたいというふうに思います。  次に、昨年十一月に発表された一九九五年農業センサスの結果を見ますと、この五年間で農家戸数は三百四十三万八千戸に一〇・四%減少、過去最大の減少幅です。農家人口も千五百六万人と一二・九%減少のこれまた過去最大の減少幅です。この点で、九州地方の総農家戸数は、昨年六月現在で五十四万戸、販売農家戸数は四十一万三千百戸、前年に比べ一万四百戸、二・五%減少、全国平均より〇・八ポイント高い減少率というふうになっています。農家人口も、前年に比べて六万百人、三・三%減少し百七十四万七千人と、非常に深刻な事態がずっと続いているということを読み取ることができました。  このような農家農業人口の減少が続いている中で、さらにそれを加速するだけでなく、日本農業のあり方を根本的に一変させるようなことが検討されております。  実は、昨年の十二月十四日に公表された行革委の「規制緩和の推進に関する意見」という中で、株式会社の農業への参入に道を開こうとしている問題です。このような政府の行革委の動きに対して、多くの農業団体が反対を表明しています。例えば、きょうここに持ってまいりましたが、鹿児島県農業会議は、この一月に、株式会社による農地の取得は、株式会社の目的、実態からして農地の転用を目的とした農地取得を排除できず、農地に対する投機的取得を容易にし、土地利用秩序の混乱を招くこと、また、我が国の農業の担い手は、将来とも家族経営と農業生産法人を基礎とするべきであり、認定農業者制度などの現行施策とも矛盾していることなどの理由を挙げて、農地法の改廃を意味するこの問題に対しては強く反対するということを決議しています。  この問題について、ことし一月の各省庁における規制緩和推進計画の見直し検討状況の中間公表で、農水省は、関係者からのヒアリング等を行うとして検討を進めようとしているわけです。  そこで、この鹿児島県農業会議の決議というのは、株式会社の農地取得は農地転用や投機的取得を排除できない危険があると指摘しているわけですね。これは鹿児島県だけじゃなくて、よそからも指摘が次々出ているわけですが、私も、この株式会社の農地取得というのは、農地転用、投機的取得を排除できない危険があると考えるものですが、大臣はこの点、どういうふうにお考えになられますか。
  141. 大原一三

    大原国務大臣 委員御存じのとおり、株式会社というのは、株を売ってしまえば赤の他人の経営になってしまうのですね。最初どんなお約束があっても、そういうことは、また経営者が転々かわっていくような仕組みの経営形態では、今の段階では私は非常に疑問が多いと思うんです。今おっしゃったように、投機的土地取引の材料に使われるという危険性を私も声を強くして主張しなければならぬ,こう思っております。そこがポイントだと思うのです。
  142. 吉井英勝

    吉井分科員 今大臣の方も、農業会議の意見も私の意見大臣意見もここは一致ということで、ぜひそういう観点で……。  ただ、ちょっと気になりましたのは、幾ら関係者からのヒアリングを行うということをせざるを得ないといいますか、そういうことがあるにしても、そこのところの姿勢を農水省としてきちっと貫いていただくということが大事なわけですから、それでこの質問をしておいたわけです。  なお、行革委のこれに関係して「構造改革のための経済社会計画」という中では、西暦二〇〇〇年に農業者が百万人減少という予測を出したり、本当に日本農業が深刻な中で、それに追い打ちをかけるような投機的取引ということが生まれてきてはこれは本当に大変ですから、ぜひ今の答弁を貫いてやっていただきたいというふうに思い ます。  次に、肉用牛の飼養戸数は一年間で約八%減少、酪農家は六%の減少となっておりますし、肉用牛の中心地の一つである熊本県阿蘇郡のことを、農政局の調査を読ませていただきますと、今後三年間で規模縮小するが一一%、やめるという方が七%となっていたり、本当にこの分野は今深刻な事態になっているということを、これも改めて思いました。  せんだって、大分県日出生台の基地調査に行った折に酪農家の声も聞いてきました。宮崎の酪農家の声もそうですが、肉用牛については昨年八月、豚肉は十一月から関税暫定措置法による措置が発動をされておりますが、今こういう日本のあらゆる農産物が輸入に脅かされて存立が危うくなっている深刻な事態です。  そこで、肉のお話はちょっときょうは置いておきまして、野菜の方について最初に伺いたいのですが、野菜についていいますと、九州の主な野菜三十品目のうち二十五品目の作付面積が八八年をピークに年々減少して、前年から昨年にかけてさらに三%の減少。野菜については外国からの輸入が急増して、八九年から九四年までの五年間で二・八倍の輸入の増加。生鮮野菜は九四年の全国の輸入量六十五万トンだったのが、ついせんだって発表されました昨九五年には七十万八千トンと過去最高という値を示しています。国内生産量は八〇年の千六百四十七万トンをピークに年々低下して、九三年で千四百七十九万トンヘ、自給率は九八・六%から八八・五%にまで急落ぶりです。  九州各地の野菜生産農家がこれ以上輸入野菜がふえたら到底やっていけなくなるというふうに、私も各地を回っておりますと、そういう要望を聞きました。  実際、九州農政局がまとめていらっしゃる「九州農業情勢報告」という白書、これでも、カボチャサヤエンドウ、里芋、ショウガなどを中心に廉価な輸入野菜の急増の影響等により、近年産地への影響が懸念されていると述べて、実例としては、鹿児島県産カボチャについては輸入物との競合により急激に減少しており、東京中央卸売市場に占める鹿児島産のシェアは平成元年の三九・八%から平成六年には二六・〇%へと急激に低下しており、出荷量でも元年に比べ約三割減になっていると詳述しておりますが、本当に短期間に三割も減ってしまうというのはもう尋常でない事態です。  これは野菜だけではなくて、畳表などに使うイグサについても同様にこの農政局の資料などでも出ておりますが、九州の作付面積は一年間で三百四十町歩減少、五千八百十五町歩となり、生産農家も七・五%減ってしまった。御承知のように、熊本県はイグサの生産の中心地ですが、これは中国国内が不作でうんと減産したというときは別として、中国からの輸入増で年々イグサの産地も苦しくなっているという訴えも私は受けております。  そこで、大臣、このように肉用牛とかあるいは野菜、イグサに至るまで外国からの輸入の激増というのが、これは九州だけではなくて全国の生産農家に現実に大きな圧迫となっているわけですが、農産物輸入の総自由化という形で日本農家にしわ寄せをすることはもう許せない事態だというふうに思うのです。そこで、イグサ、野菜など、こういう農産物の輸入増による危機から農家経営を守るためにはセーフガードの発動が必要だと思うのです。  これは大臣に聞く前に、最初に事務方の方から聞いておきたいのですが、WTOの協定上は輸入の急増という基準と、二つ目に国内生産者の損害、この二つの要件以外に協定上は発動基準というものはないと私は思っているのです。それから、発動を抑制する基準というものもこの協定の中には持ち込まれていないと思うのです。協定上はこの二つの基準だけだ。これは間違いありませんね。
  143. 中須勇雄

    ○中須政府委員 セーフガード協定におきますいわゆる一般セーフガードの発動の要件につきましては、ただいま御指摘ございましたように、一つは、輸入が増加している、これは絶対的に増加するかあるいは相対的に増加するかを問わず増加の事実があるということと、二点目は、その結果、因果関係の立証が必要なわけでございますが、その結果として国内産業に重大な被害が生じているか、そのおそれがあるという二つが基本的な要件になっております。  ただ、手続的には関係国との事前協議だとかさまざまな問題がございますが、基本的な要件はその二つということでございます。
  144. 吉井英勝

    吉井分科員 ですから、今おっしゃったように、国際的に取り決めた要件というのはこの二つだけなのです。いわばだまし討ち的にやらないで紳士的にやりますよというだけの話で、後の話は。  そこで、大臣、イグサにしても生鮮野菜にしても、せんだって発表された野菜の輸入量の急増ぶりを見て私も本当に驚きました。米も自由化、牛肉・オレンジはもうとつくの昔から、野菜もお魚もみんなどんどんどんどんやってきている。こういう中で、WTOでは二つの基準なのですから、この基準に合っているものについては明確に日本農業を守るのだ。ここは事務方の皆さんの話ではなくて、やはり日本農業をどうするかという、これは大臣の政治家としての決断が私は非常に大きな意味を持っていると思うのです。この点で、大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  145. 大原一三

    大原国務大臣 予算委員会でおたくの松本委員からも同じ質問がございまして、そこでお答えをしておきましたが、平成六年の六割を超える外国野菜、生鮮野菜の増加。七年は、伸びは落ちつきましたが、それにもかかわらず一〇%レベルまでまたふえておる。つまり戦後最高。  こういう状況を踏まえて、我々も、農水省としてはこれはやはり大変な問題意識を持っているわけでありまして、私の時代ではございませんが、前大臣のときに、昨年末に、やはり緊急にこれは調査をする、調査結果に基づいて、この問題については前向きに対処をしていくべきである、こういう御返事を申し上げましたが、全く私はその考え方は変わっておりません。  ただ、イグサについては、私ちょっと関知しておりませんので、専門家から答えさせていただきます。
  146. 高木賢

    高木(賢)政府委員 イグサにつきましては、最近の住宅需要の頭打ちというようなものもございまして、需要が横ばいで推移をいたしております。その中で、国内生産は高齢化などの生産構造の変化によりまして減少傾向で推移をしております。  一方におきまして、円高の影響もありまして、中国などからイ製品の輸入が増大をしておりますけれども、国内の方でも品質向上などに努めておりまして、価格は、達観すれば比較的安定的に推移しているというふうに見ております。ただ、平成三年ごろからイ製品の輸入が増加してきておりますのは事実でございます。  したがいまして、輸入量や国内価格の動向などにつきまして注意を払っているところでございますが、ただいまも御指摘ありましたように、一般セーフガード措置の発動につきましては一定の要件をクリアするということが必要でございます。そういうことを十分に踏まえまして、今後とも注視してまいるという考えでございます。     〔菊池主査代理退席、主査着席〕
  147. 吉井英勝

    吉井分科員 イグサの原草輸入量は、一九九〇年と九四年で二倍にふえているのですね。それからイ製品の輸入量は九〇年と九四年で約二・五倍ふえているのですね。わずかの期間に本当にこれは急増しているのです。  それで、明確なセーフガード発動の要件というのは、これはもう二つなんですから、輸入量の急増とそして国内生産者の損害。大臣、その調査を進めていらっしゃるのを速やかに終えていただいて、数字の上ではもうほとんどはっきりしているわけですから、ぜひ速やかに発動を決断していただきたい。このことを重ねて申し上げまして、次の問題に移りたいと思います。  先ほど触れました九州農政局の昨年十月の農業白書というべきもの、情勢報告を見ておりますと、 これにも載っているわけですが、私も九州を回っていて農業問題で陳情をよく受けるのですが、中でも九州の農家戸数が平成五年六月から六年六月までの一年間だけで一万四百戸、二・五%減少するという全国に比べても非常に高い減少率。農家人口も六万百人、三・三%減というふうに高い減少を示している。  そういう全体の中で、カンショの方を少し見てみますと、大臣は宮崎の御出身ですからもう私なんかよりずっとお詳しいと思いますが、九州のカンショの作付面積は一年間で七百ヘクタール減っているのですね。このうち鹿児島県が二百町歩、宮崎県は百七十町歩の減少。労働力不足などの要因ももちろんあるわけですが、主な原因は価格が据え置かれている。イグサにしてもこれにしても、やはり若い人は未来に希望が持てないとなかなか行かない。自信を持ってこの分野に飛び込めないですね。  そういう中で、一九九一年からの五年間で取引指導価格は三万一千八百七十円のまま据え置きです。これでは農家が生産できなくなるのは当然だと思うのですね。先ほど紹介した農政局の白書では、収益性については、十アール当たりの所得は三万七千四百九十八円で前年を二万一千九百四十七円、三六・九%下回ったと認めているのですね。サトウキビも同じでして、作付面積は一年で三百十町歩減り、生産農家も約五百戸減っています。  沖縄県や奄美大島からの要請を受けて、昨年十月に、私も沖縄の古堅議員などと一緒に農水省へ価格引き上げの要請に行きましたが、しかし農水省は引き上げをやりませんでした。  そこで、大臣、カンショとかサトウキビというのは、台風常襲地帯、シラスの特殊土壌のところで農業の基幹作物となっているわけです。ですから、非常に農業では不利な条件のところでやっているわけですね。地域農業地域経済を支える上で非常に大事な意味を持っているのです。それだけに、ことしの価格決定に当たっては必ずこの引き上げをぜひ決定していただきたいというふうに思うのですが、農家の期待にこたえるという決意をぜひ示していただきたいというふうに思うわけです。
  148. 中須勇雄

    ○中須政府委員 ただいま御指摘ございましたカンショ及びサトウキビにつきましては、御指摘のとおり、いずれも鹿児島あるいは沖縄の基幹的な作物ということでございまして、地域農業あるいは地域社会にとっても大変重要な作目である、こういうふうに認識しております。  ただ、現在、原料用カンショなりサトウキビをめぐる状況を見ますと、やはり国際化の進展であるとか内外価格差の問題、あるいは需要が減少傾向にある等厳しい状況があるという一面もございます。こうした中で、カンショの原料基準価格あるいはサトウキビの最低生産者価格、これにつきましては関係法律、価格安定に関する法律がそれぞれございまして、それらの規定では、農業パリティー指数により算出した価格を基準とし、物価その他の経済事情を参酌し、再生産を確保することを旨として決定せよ、こういうことに相なっておるわけでございます。  そうした中では、当然そういった地域での重要作目だと冒頭申しましたような事情も勘案しているつもりでございます。今後とも、こうした法律の規定に基づいて適正な価格決定に努めていきたい、こういうふうに考えております。
  149. 吉井英勝

    吉井分科員 この地域というのは本当に台風常襲地帯とかあるいはシラスといった特殊な土壌のところが多いのですね。そういうところに、もともと人が少ないわけですから、商業もなかなか大変。ハイテク産業など製造業がやっていけるような地域じゃない。農業の面でも、非常に有利でない条件のもとでやっているところですから、それだけにこの地域のカンショやサトウキビの持っている意味というのは、本当にこの地域の基幹作物であるとともに基幹産業なんですね。そこが枯れてしまったら地域経済がもう本当に未来に希望が持てないようなことになるわけですから、そこのところをしっかり見ていただいて、大臣、ひとつことしの決定の時期にはうんとしかるべき配慮をして、農民の皆さんの期待にこたえていただきたいというふうに思うわけです。  次に、佐賀県の上場土地改良事業の問題について伺っていきたいと思います。  佐賀県北西部の唐津市、北波多村、肥前町、玄海町、鎮西町、呼子町の一市四町一村にまたがる四千八百七ヘクタールの広大な土地改良事業として、国営、県営事業として一九六三年から進められてきておりますが、一期工事は四つのダムと十一の揚水機などかんがい事業、農地造成、区画整理、幹線水路の整備などを行って、一九九二年に完了しました。現在は二期工事が進んでいるわけですが、着工時三百二十億は現在千四百九十億という事業費に、総事業費が四・六六倍に膨れ上がったり、こういう経過をたどっているのですが、この結果、上場開発事業はこれまでも地元負担が大きいということで計画の一部変更が行われきた経過もありますが、一期工事の終了によって地元負担金の償還が始まっております。  農家負担が非常に重いと訴えが出されています。受益農家の負担は十アール当たりで、国営農地造成事業分が二万九百円、県営農業用水事業で二万六千六百円、県営区画整理事業で二万二千六百円と合計七万百円となるのですね。受益農家の規模や受益事業によって個々には当然違いは出てくるのですが、唐津市のある農家の方の話によれば、一町二反の農地で年二回の返済で合計四十万円払っている。現在の農業所得では払い切れないので、農業外収入を返済に充てているというのですね。  そのために返済できない農家がふえて、百五十世帯の農家には一四・五%の延滞金が課されることになっておりますが、実際もう百五十世帯の農家が払えないという事態になってきているのですね。自治体の負担も重くて、肥前町では昨年度の農業対策予算三億二千万円のうちから二億円、六二・五%も返済に充てているという事態です。  それで、私ここに写真を持ってまいりましたけれども、この事業そのものは非常にいい事業なんですよね。それで、うまくいったところはこういうふうにお茶畑に変わったりしているのですね。ところが、せっかく事業は進んだけれども農家がその負担に耐えかねてもうやっていけないというところについては、荒れ地になって放置されたりあるいは資材置き場に変わったり、悪くすると産廃捨て場みたいになってしまうのですね。何のために国費を投じてやってきたのかということになるわけです。  これはやはりせっかくの事業なんですから、農家の方たちがその成果の上に立ってこれからも農業が続けていけるように、それにはやはり今農業をめぐる状況が非常に厳しくなってきているときですから、負担額が重過ぎて、整備された畑などの収益では償還がとても追いつかない、こういう耕作放棄が出るということにならないように、こういう実情をぜひ調査していただいて、負担金の返済方法について実情に即した弾力的な対応策とか軽減措置というものをぜひ考えていただきたいというふうに思うのですが、この点について伺っておきたいと思います。
  150. 野中和雄

    ○野中政府委員 佐賀県上場地域におきます土地改良事業でございます。お話しのとおり、国営総合かんがい排水事業上場地区、それからこれに附帯する県営畑地帯総合整備事業四地区ということで実施をしているわけでございます。  これらにつきましては、先生御存じのとおりかと思いますけれども、例えば国営かん排事業でございますと、基幹的な施設でございます藤ノ平ダムの工事につきましては、他の施設よりも高い補助率を適用するとか、あるいは工事が終わったら、利息を軽減するために工事ごとに負担の償還を始めるとか、ほかにもいろいろございますが、そういうような措置をいろいろと講じてきているということでございます。それから、附帯県営の方につきましても、県におかれまして、一般の畑総事業に比べて県費をかさ上げされるなどのいろいろな対策を講じてきておられます。  この結果、国営事業につきましては、農業用用排水施設に係る農家負担はございません。ただ、農地造成に係る部分は、個人に直接ということもございますので負担がかかるわけでございますが、これもただいま申し上げたような措置によりまして、総額が百六億円から三十七億円ということで七割軽減をさせているところでございます。それから、県営事業につきましても、先ほど申し上げたようなことで、百五億円の負担から五十五億円、総額でございますが、五割の削減ということをいたしているわけでございます。  ただ、こういう措置を講じましてもなお高い、これは平均ということもございますが、年々の償還額がございますので、ピーク時の償還額が結構高いというようなことがあるわけでございます。  そこで、この十アール当たりのピーク時の年償還額が一定額を超える地区につきまして、その最大三割を限度といたしまして後年度に繰り延べる、そしてその負担の軽減を図るというようなことを地元の申し出によりまして順次実施をして、負担の平準化を図るというようなことを実施をいたしております。  さらに、ウルグアイ・ラウンド対策の中で、農用地の利用集積に積極的に取り組んでいただく地区につきましては、一層利子の軽減等によりまして農家負担の軽減を図るというような措置も七年度から新たにまた実施をしているところでございます。  こういうような対策も通じまして、今後とも農家負担の軽減に努めてまいりたいというふうに考えております。
  151. 吉井英勝

    吉井分科員 もう時間が参りましたので終わりたいと思いますが、農業というのは日本経済の基幹的産業分野でありますし、それから地方においては地域経済の中で非常に大きな役割を果たしています。また、治山治水など、国土保全、自然環境保護の役割も非常に大きいものでありますし、まして食糧の生産は国民生活の土台、基盤であり、そして民族の自立にとっても欠かせないものでありますから、きょういろいろ私大臣と議論をさせていただきましたが、意を体して取り組んでいただきたい、そのことを最後に申し述べまして、終わらせていただきます。
  152. 桜井新

    桜井主査 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の御協力により、特に菊池分科員には大変御協力いただいてありがとうございましたが、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。    午後二時三十四分散会