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1996-02-29 第136回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会平成八年二月二十七日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 二月二十八日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       菊池福治郎君    桜井  新君       愛野興一郎君    平田 米男君       佐々木秀典君 二月二十八日  桜井新君が委員長指名で、主査選任され  た。 ————————————————————— 平成八年二月二十九日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 桜井  新君       菊池福治郎君    愛野興一郎君       鴨下 一郎君    平田 米男君       大畠 章宏君    佐々木秀典君    兼務 松下 忠洋君 兼務 川島  實君    兼務 吉田  治君 兼務 宇佐美 登君    兼務 矢島 恒夫君 兼務 楢崎弥之助君  出席国務大臣         農林水産大臣  大原 一三君         国 務 大 臣          (環境庁長官) 岩垂寿喜男君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       田中 健次君         環境庁企画調整         局長      大西 孝夫君         環境庁企画調整         局環境保健部長 野村  瞭君         環境庁大気保全         局長      大澤  進君         環境庁水質保全         局長      嶌田 道夫君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省農産         園芸局長    高木  賢君         農林水産省畜産         局長      熊澤 英昭君         食糧庁長官   高橋 政行君         林野庁長官   入澤  肇君  分科員外出席者         環境庁長官官房         審議官     菊地 邦雄君         環境庁長官官房         会計課長    石海 行雄君         環境庁自然保護         局国立公園課長 下   均君         法務省刑事局刑         事課長     麻生 光洋君         大蔵省主計局主         計官      長尾 和彦君         大蔵省主計局主         計官      杉本 和行君         厚生省薬務局医         療機器開発課長 矢野 周作君         農林水産大臣官         房予算課長   木下 寛之君         林野庁指導部造         林保全課長   加藤 鐵夫君         通商産業省貿易         局総務課農水産          室長      新木 雅之君         通商産業省機械         情報産業局電子          機器課長    永松 荘一君         郵政省電気通信         局電波部監視監          理課長     石田 義博君         建設省河川局河         川環境課長   白波瀬正道君         建設省道路局企         画課道路経済調          査室長     藤本 貴也君         建設省住宅局住         宅生産課木造住         宅振興室長   杉山 義孝君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君         環境委員会調査         室長      工藤 桂司君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 分科員の異動 二月二十九日  辞任        補欠選任   愛野興一郎君    鴨下 一郎君   佐々木秀典君    大畠 章宏君 同日  辞任        補欠選任   鴨下 一郎君    松沢 成文君   大畠 章宏君    佐々木秀典君 同日  辞任        補欠選任   松沢 成文君    愛野興一郎君 同日  第二分科員楢崎弥之助君、第三分科員川島實君  、吉田治君、第四分科員宇佐美登君、第七分科  員矢島恒夫君及び第八分科員松下忠洋君が本分  科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算  〔総理府環境庁)及び農林水産省所管〕      ————◇—————
  2. 桜井新

    桜井主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願いをいたします。  本分科会は、総理府所管環境庁並び農林水産省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省庁所管事項説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算及び平成八年度政府関係機関予算総理府所管環境庁について、政府から説明を聴取いたします。岩垂国務大臣
  3. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 平成八年度環境庁関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。  まず、予算の基礎となっております環境政策の基本的な考え方について御説明申し上げます。  今日の環境問題は、身近な生活環境から地球的規模に至る空間的広がりと、将来世代にもわたる時間的広がりを有しており、人類生存基盤を脅かすおそれが生じてきております。そして、その多くは、都市・生活型公害地球温暖化問題等に見られるように、通常の事業活動日常生活に伴って生じた環境への負荷の増大に起因しており、その解決のためには、大量生産大量消費型の経済社会システム生活様式を見直し、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築していく必要があります。  このため、委員の方々も御承知のとおり、平成六年十二月、政府は、環境基本法に基づき、二十一世紀半ばを展望した環境政策基本的考え方と二十一世紀初頭までの施策の方向を示す環境基本計画を閣議決定いたしました。  その中で、環境への負荷の少ない「循環」を基調とした経済社会システム実現すること、健全な生態系を維持回復しつつ自然と人間との「共生」を確保すること、これらを実現していくための基盤として、あらゆる主体が環境保全に関する行動に「参加」する社会実現すること、そして「国際的取組」を積極的に推進することという四つの長期的な目標を示したところであります。  環境庁としては、これらの目標の達成に向け、平成七年度を環境基本計画実施元年と位置づけ、政府一体となって計画を効果的に推進するための仕組みと、計画に基づく地方公共団体取り組みへの支援体制整備するとともに、昨年六月には率先実行計画を閣議決定し、十月には生物多様性国家戦略を策定するなど、計画内容実現に向けた取り組みを進めてきたところであります。  私としては、今後、この流れを一層促進、敷衍し、政府のみならず、地方公共団体国民事業者等が主体的に環境保全活動に取り組むことを通じて、国民生活に身近なところから広範に環境基本計画理念実現していくことが、今日の環境問題の解決のために重要であると考えております。  また、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な循環型社会の構築に向け、現在我々が直面し、人類生存基盤に深刻な影響を与えつつある地球環境問題を初めとする諸課題に的確に対応するため、新たな枠組みづくりを進めるとともに、効果の高い施策を重点的に講じていくことが必要であると考えております。  このような認識に立って、次に掲げる施策について重点的に取り組むこととしております。  第一は、環境基本計画理念市民レベル地域レベルからの実現であります。  第二は、地球的規模環境保全対策推進であります。  第三は、有害化学物質環境リスクの低減を通じた環境安全性確保であります。  第四は、自然と人間との共生確保であります。  第五は、大気環境対策水環境対策の積極的な展開による国民に身近な生活環境保全形成であります。  第六は、公害健康被害者救済及び健康被害の予防であります。  第七は、震災や大規模事故等の緊急時における環境庁所管行政対応体制充実強化であります。  平成八年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、以上のような基本的考え方のもとに計上した環境庁予算要求額は七百五十六億三千六百万円であり、これを前年度の当初予算額七百十四億五千六百万円と比較すると、四十一億八千万円、五・八%の増額となっております。  予算要求額の主要な項目につきましては、お手元にお配りしてある資料のとおりでありますが、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと存じます。  よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
  4. 桜井新

    桜井主査 この際、お諮りいたします。  ただいま岩垂国務大臣から申し出がありました環境庁関係予算主要項目説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 桜井新

    桜井主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔岩垂国務大臣説明を省略した部分〕  平成八年度の環境庁関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。  平成八年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、環境庁予算要求額は七百五十六億三千六百万円であり、これを前年度の当初予算額七百十四億五千六百万円と比較すると、四十一億八千万円、五・八%の増額となっております。  予算要求額の主要な項目について、御説明申し上げます。  第一に、環境保全企画調整等については、一昨年十二月に策定した「環境基本計画」の推進をはじめ、環境影響評価制度特別総合調査実施環境保全のための経済的手法検討環境パートナーシップ推進等環境政策の新たな展開に向けた取組を積極的に推進するとともに、気候変動枠組条約を踏まえた中長期的温暖化対策戦略策定調査等総合的な地球温暖化防止対策推進開発途上国環境問題への取組に対する支援砂漠化防止対策推進アジア太平洋地域における地球環境共同研究推進地球環境問題への取組を積極的に推進することとし、これらに必要な経費として四十四億四千万円を計上しております。  第二に、公害による健康被害者救済等については、昨年十二月の閣議了解に基づき水俣病総合対策推進するほか、従来に引き続き、公害健康被害補償制度の適正かつ円滑な実施を図るとともに、環境保健に関する各種調査研究推進することとし、これらに必要な経費として二百七億七千万円を計上しております。  第三に、大気汚染等防止については、大都市地域窒素酸化物対策推進のための低公害車普及事業等をはじめ、オゾン層保護対策浮遊粒子状物質対策有害大気汚染物質対策等推進を図ることとしております。  また、騒音、振動及び悪臭対策についても、引き続き推進を図ることとし、これらに必要な経費として二十億二千六百万円を計上しております。  第四に、水質汚濁防止については、汚染された地下水浄化対策等推進するとともに、生活排水対策、海域における富栄養化対策及び水質総量規制湖沼水質保全海洋環境保全並びに水道水源水域水質保全等対策推進するための経費として十五億八千九百万円を計上しております。  このほか、地盤沈下防止及び廃棄物対策費として二億三千百万円、土壌汚染防止及び農薬対策費として三億四千万円をそれぞれ計上しております。第五に、環境事業団については、建設譲渡事業及び融資事業等を引き続き推進するほか、地球環境保全に取り組む民間団体活動支援するための「地球環境基金事業推進を図ることとし、同事業団事業に対する助成等に必要な経費として五十五億三千万円を計上しております。  第六に、公害監視等設備整備については、地方公共団体監視測定体制等整備を助成するために必要な経費として八億二千九百万円を計上しております。  第七に、環境保全に関する調査研究推進のための経費については、総額六十八億七千六百万円を計上しております。  この内訳としては、まず、国立試験研究機関等公害防止等試験研究費として十九億一千八百万円を環境庁において一括計上するとともに、環境基本計画推進調査費として二億五千万円を計上し、環境基本計画推進するための環境保全対策に関連する各省庁所管調査総合調整を行うほか、地球環境研究総合推進費として二十六億円を計上し、各省各庁の所管する国立試験研究機関等が行う各種地球環境保全に関する調査研究総合的推進を図ることとしております。  また、公害防止等調査研究費として二十一億八百万円を計上し、地球観測衛星に搭載する成層圏オゾン等観測機器開発環境汚染による健康影響の解明、その他大気汚染水質汚濁自然保護等に関する各種調査研究を進めることとしております。  第八に、自然環境保全対策及び自然公園等整備事業等について申し上げます。  まず、自然環境保全対策及び自然公園等維持管理については、昨年十月に策定した「生物多様性国家戦略」に基づき、各種情報収集整備等をはじめとする生物多様性保全施策を総合的に推進するとともに、国立公園保護管理強化を図ることとしております。  また、野生生物保護対策については、絶滅のおそれのある野生動植物保護対策強化を図るとともに、野生鳥獣保護等に関する調査検討推進することとしております。  これらに必要な経費として、合わせて二十四億一千三百万円を計上しております。  次に、自然公園等整備事業については、人と自然との豊かなふれあいを確保するため、我が国を代表するすぐれた自然を有する国立国定公園において、その保全復元等事業自然学習自然体験の場の整備等を総合的に推進するとともに、身近な自然とのふれあいの場や長距離自然歩道等整備推進するほか、国民公園整備を図ることとし、これらの整備に必要な経費として百十六億四千二百万円を計上しております。  第九に、環境保全施設整備については、野生生物保護管理施設等整備大気保全施設整備生活排水対策重点地域内の水質浄化施設及び水辺環境再生等整備助成に必要な経費として十六億五千八百万円を計上しております。  第十に、環境庁研究所については、国立環境研究所において、地球環境問題をはじめ環境全般にわたる研究等推進するために必要な経費として七十七億四千七百万円を計上し、国立水俣病研究センターにおいて、水俣病発生地域の特性を活かした研究推進のため、「国立水俣病総合研究センター」に改組し、体制強化を図るとともに、医学的調査研究等充実を図ることとし、これらに必要な経費として五億六千二百万円を計上し、また、環境庁研究所施設整備を図るために必要な経費として五億一千二百万円を計上しております。  以上、平成八年度環境庁関係予算案概要につきまして御説明申し上げました。  何とぞ、本予算案の成立につきましては、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。     —————————————
  6. 桜井新

    桜井主査 以上をもちまして総理府所管環境庁についての説明は終わりました。     —————————————
  7. 桜井新

    桜井主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力お願い申し上げます。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。松下忠洋君。
  8. 松下忠洋

    松下分科員 松下忠洋と申します。鹿児島県から出てきております。三十分でございます。よろしくお願いしたいと思います。  日ごろ敬愛しております岩垂大臣のもとで時間をいただきましたことを大変うれしく思っておりますので、よろしく熱心に御答弁をいただきたいと思います。     〔主査退席菊池主査代理着席〕  地球環境対策についてお尋ねしたいと思っております。  二十一世紀に向けてあと五年。そして次の世代に私たちのいい地球環境を引き継いで残していこうという大事な役割を今私たちは担っているわけでございます。次の世代に対して政治が担っていかなければいけない役割として大事なものは、一つはやはり教育が大事だ、こう思っております。それからもう一つは、少子それから高齢化社会に対する対応、これをしっかりとしていかなければいけない、こう思っております。そしてもっともっと大事なことが、森林でありますとか大気でありますとか、そういう私たちが住んでいる土台、地球環境、これをしっかりとして、美しい形で次世代に引き継いでいくという大きな役割があると思っております。何よりもまず一番大事じゃないか、そのように思っているのであります。  地球温暖化の問題それから酸性雨の問題、オゾン層破壊の問題、熱帯雨林破壊砂漠化進行海洋汚染、いろんな問題がございます。そういう問題に対して環境庁長官として、次世代をしっかりとにらみながら、この予算の中にどのようにそういう対応策が盛り込まれているのか、基本的な考えとしてどう考えておられるのか、そこのところをひとつお伺いしたい、そのように思っているわけでございます。よろしくお願いいたします。
  9. 大西孝夫

    大西政府委員 来年度予算内容等に係る部分もございまして、まず私の方からお答えをさせていただきます。  地球温暖化森林の減少、砂漠化等、今先生いろいろ御指摘になった幾つかの問題、これは人類生存基盤に非常に深刻な影響を与える緊急かつ重要な問題でございまして、私どもも、内政、外交両面にわたる最重要課題一つ認識をいたしまして、日本のこれまでの経験技術を生かして、その地位にふさわしい役割を果たしていかなければならぬというふうに考えております。  そういうことを踏まえて、平成八年度の予算におきましても、地球環境保全関係予算としまして百八億五千百万円、前年対比一五%増の予算確保いたしております。  特にその考え方のポイントといたしましては、一つは、お話がございましたように温暖化対策に対してのこれからの戦略を中長期的に定める必要がございまして、そのための調査費として新規に一億七千万円計上してございます。  また、来年実はCOP3国際戦略世界会議を開くためのプレ会議平成八年度において開催したいということで、その会議経費三千万円も新規に計上してございます。  また、これからいろいろ地球環境に対して戦略研究していく必要がある、その方針なり情報なり、そういうものを日本から発信していくような、そういう機関を国際的なものとしてつくっていく必要があるのではないか、そういう意味設置調査費を四千万円計上させていただいておりますし、今先生からお話がありました砂漠化防止対策について、あるいは森林保全等につきまして、それぞれ調査費を計上させていただきまして検討いたしたい。  それからまた、フロン破壊モデル事業といったことで四千万円を新規に計上するなど、非常に広範にわたる地球環境問題につきまして、我が国の知識と経験を生かした、かつ各国の主体性を維持しながら協力してやっていけるような形の予算を計上させていただいたつもりでございまして、そういうものを踏まえて今後一生懸命頑張ってまいりたいと考えております。
  10. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 今企画調整局長から御答弁を申し上げましたように、地球環境に対する取り組みを精いっぱい続けていかなければならないと思いますが、日本の急速な経済成長のもとで、例えば水俣に見られるような大気や水や土壌汚染という問題が深刻でありました。また、自然破壊、豊かな緑や自然が壊されてきました。もう一つは、経済成長に伴って、どちらかと言えば自分だけよければいいというような、ややエゴイスティックな人間像、人の心の破壊があったように私は思います。そういうものに対して、政府としてあるいは環境庁として精いっぱいあらゆる部分で取り組んできたつもりでございますけれども、まだ決してそれが一〇〇%十分なものとは思っていません。  したがって、そういう公害あるいは環境破壊に対して取り組んでいくことが必要でありますけれども、ちょっと気がついてみたら、日本だけ一生懸命でやってみても、地球環境というものと切り離して日本環境があるわけではございません。そういう意味で、地球環境について、それを守っていくために、日本経験日本の私たちの歴史というものを振り返って、資金の面でも、あるいは技術の面でも、あるいはそういう経験を持っている人材の面でも、大いに貢献していく必要があるだろう。  それはやはり世界の、人間の、人類生きざまというものをどう考えるか、つまり子供たち孫たちの時代にまで私たちが責任を持つという、そうした生きざまに対していま一遍問い直してみる必要があることだ。こういう観点から、環境庁としても及ばずながら精いっぱい取り組んでまいりたいと思いますので、先生の御理解と御協力を心からお願いを申し上げます。
  11. 松下忠洋

    松下分科員 今宇宙飛行士の若田さんが帰ってみえていますけれども、テレビや報道でいろいろ話しておられることを見ておりますし、あるいは聞いておりますと、この地球環境についての非常に大きな示唆があります。  一番感動したのは、やはり私たちは今地球に住んでいる、そのことを外から見ることができた、非常に美しくてきれいだ。いろいろな人間の営みも行われておれば、美しい森林も見えるし、またそこからは街の明かりも見えるし、また山火事やらいろいろな森林破壊された跡も見えるけれども、しかしとにかく地球は美しく見える。しかし、その美しい地球は極めて薄いべールで覆われている。我々は地球に住んでいたらそれは実感しないけれども、地球を外から眺めてみると、極めて薄い、本当の膜で、ベールで柔らかく包まれているだけの、そういう宇宙の中での奇跡と言われるような星に住んでいるのだというような話をされるわけですね。これは極めて大事だと思うのです。  我々は、ここに住んでおりますと、空は青いし、雲は白いし、非常に秋晴れは美しいし、雪が降ってくると一面雪できれいで真っ白だ、こう思って、そういう地球の持っているもろさとかあるいはひ弱さとか、そういうところに気がつかないところがあるのですね。何かのきっかけでぽっかりと、南極の上の方だとか北極の上の方にぽかっと穴でもあいてしまったら一体どうなるのだろうか。あるいはその薄い膜がどこかに寄ってしまって、あるところだけが非常に薄くなってしまっているということがあると一体私たち地球はどうなるのだろうか、そういうことを本当に、あのお話を聞いていて、写真を見ながら思うわけですね。  あるいは、私たちはいろいろな政策を考え、地球環境を考えるときには、地球というのはそういう極めてもろい、ひ弱なものでもあるのだというところを、そして奇跡の星なのだというところをよくわかって世界のいろいろな人たちとの話し合いをぜひしてみなければいかぬし、そういうための必要な施策予算というものはしっかりつぎ込んでいかなければいかぬとしみじみ思ったのですね。  それで、今そういう地球環境国際環境地球会議といいますか、そういうものに対応する人材の養成、それから国連機関に対する日本協力、そういうようなことを環境庁としてどういうふうにとらえて協力していっておられるのか。そういう広い人材の問題、そういうところをどう考えておられるのか。具体的に来年度の予算の中にどういうふうに盛り込んでおられるのか。国際協力も含めて、あるいは国際会議なども含めて、幅広く啓蒙していくようなそういう運動、さっき情報発信を担いだいというふうにおっしゃいましたけれども、具体的にはどういうふうにそういうことを考えておられるのか。そこをぜひお聞かせいただきたい。  それからまた、大臣もさっきおっしゃいましたけれども、そういう薄いべールに包まれた地球のありようというところについての若田さんの所感も含めて、大臣のお考えもちょっとお聞きしたい、そう思います。
  12. 大西孝夫

    大西政府委員 今先生お話のように、これから途上国においていろいろそれぞれの立場で環境施策を進めてもらう上で非常に重要な点がやはり人材ということだと思いまして、これは一環境庁ということよりも政府全体としまして、一つには技術移転という中で人材の育成というのを非常に重視をいたしております。実はJICAを中心に途上国に対しまして、幾つかの国で既にそういう環境研究研修センターといった性格のものをつくっておりまして、日本から専門家を派遣して、そこでいろいろ研修をしていただいたり、現地から日本に来ていただいていろいろ研修をしていただいたりという形の人材育成に努めております。  環境庁独自でも、わずかではございますが予算をとりまして、私どもの施設を使った研修にも努力をしておりまして、環境問題はいろいろ多面にわたるものでございますから、専門家の育成も、そういう意味では専門の分野は幾つかにわたるのでございますが、そういういろいろなルート、いろいろな場をつくって、人材の育成ということをかなり重点に置いた努力をしておるところでございます。  今後とも、例えばODAを実施する上でも、現地の専門家の育成ということが伴いませんと実効は上がってまいりませんし、そういう意味でも最初から、プロジェクトを考えるときから、私どもの方からも専門家が行って、立案をする段階から一緒になって考えながらそのノウハウを覚えていただくというような努力もしておりまして、かなり多面的かつ、ある意味では流動的といいますか、定型的ではなくて、かなり柔軟にその場その場でそういう努力をいたしております。  今後とも、JICA等を通じたルートと私ども独自の部分、それから地方自治体等もいろいろな関係を独自に持っていただいたりしておりますので、そういう重層的に途上国の方々を中心とした国際協力をできるように努力をしてまいりたいと思っております。
  13. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 松下先生は建設省で働いてこられたことだけでなくて、国際派として外国でいろいろな活動をなさっていらっしゃいますから、恐らくいろいろな意味でそのようなことについてはお考えをいただいていると思うのですけれども、やはり私は、日本の戦後の経験というものを本当に世界に広げていくためにはいろいろな方法があると思います。それは技術のレベルはやはり世界で指折りのレベルでございますし、それをつくり出してきた力あるいは人材、そういうものは本当に世界に冠たるものがあると私は思いますので、お招きをして、そして研修をしていただく。  出かけていって、いろいろな意味でお手伝いをするということはもちろん大切ですけれども、例えば中国を初めとするいろいろな現場へ出かけていって技術をお教えをする、お招きをして研修序するというふうな形が、国レベルだけでなくて、地方自治体あるいはさまざまな企業でもそのことの取り組みが進められるようになってきています。その意味で、私はその方向というものを一層促進していく必要があるなというふうにまず基本的には思います。  それから、UNEPを初めとする国際的な環境を守るための諸組織、諸運動に対して、日本はいろいろな意味でも貢献をしてまいりました。これはその延長線上でございますけれども、来年はCOP3、気候変動枠組み条約締約国会議第三回会合を日本にお招きをしまして、紀元二〇〇〇年以降の枠組みについて議定書を交わすことができるように、これは私はかなり大きなイベントというか会議になると思います。また、しなければいけないと思っています。そのことのために全力を尽くしていきたいというふうに思っていますので、こんな点でも御協力をいただきたいというふうに思います。  まあ若田さんの言葉ではございませんけれども、まさに宇宙全体から見たら地球も決して大きな存在ではありません。しかし、その地球が今病んでいると思います。その病んでいる地球を再生させるために、私たちは人知のあらゆる努力を尽くさなければいけない、こういう観点で頑張ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
  14. 松下忠洋

    松下分科員 大変うれしいお言葉をいただいて、我々もまた頑張らなければいけないと思うわけであります。  これは、きょうの日本農業新聞なのですけれども、ここに「温暖化の証明」として、クエスチョンマークつきですけれども、南極大陸にイネ科の植物が根を張ってきているという記事がありました。これは、環境の変化によってどこからか飛んできてそこに付着して成長したのか、あるいは日本の観測隊がそこに行って何か持ち込んだものがあってそこから活着したのか、よくわからないと ころもあるということですけれども、確実に地球の全体の環境というものがどこからか大きく変わってきている。南極では従来考えられなかった植物が育つようになってきているというような実態があるわけであります。  二年前の予算委員会でも私は、当時羽田総理大臣のときでしたけれども、いろんな地球環境についてお尋ねし、酸性雨の問題なんかもお尋ねいたしました。日本にそういうものがあるのかどうか、これは後で農林水産の方の関係でも、林野庁の方にいろんな森林破壊の問題についてお尋ねしたいと思っていますけれども、ぜひ大臣、そういう地球が大きく動いていることのいろんな動きをしっかりと的確にとらまえて、そして事前にそういう勉強をされて対応していくということをぜひやっていただきたいということをお願いいたします。  全体から見ますと、公共事業や郵政事業を含めて多額の予算が入っていますけれども、そういう地球環境ということに対する認識とか予算の張りつけ方、あるいはそういう研究分野に対するいろんな手厚い保護というものはまだまだおくれているような気がしますから、これは我々も頑張らなければいかぬと思いますけれども、ぜひそういう面で頑張っていただきたいということをお願いしておきます。  そういう中で、従来環境対策として、自然の保護とか、いろんなそういう壊れたものをやっていくということが大事ではないかというふうに思うのですね。現在あるものを保護していくということのほかに、既に相当失われてしまっていっているものがある。そういうものに対して、もっと思い切って入り込んで復元していくということが非常に大事ではないかというふうに思うのです。  残念ながら、日本は縦割り行政でありますので、また、縦割り行政に加えて、それぞれの省庁がそれぞれの事業に応じて法律を持ってその法律の体系の中でやっていく、こうなっていきますので、その境界にあるようないろんな事業、あるいは新しく原因が発見されたり原因を究明しようとするときに、お互いの意思疎通がなかなかいきにくいということがあるように思うのです。こういった失われた自然の復元、それから、それを新しくつくっていくということも新しい環境行政の中にぜひ取り入れていっていただかなければだめだというふうに思っておりますけれども、それに対するいろんな考え方環境庁としてどう思っておられるのか、ぜひお願いいたしたいと思います。
  15. 菊地邦雄

    ○菊地説明員 お答えいたします。  環境庁といたしましては、今残っております自然を守るということのみならず、近年全国各地で取り組まれております、そういったいわば変化したあるいは失われた自然を復元し創出するということは、環境基本計画でもうたっております「自然と人間との共生」ということを進める上でも大変重要と思っております。そういう観点で、生物多様性国家戦略にもそういった点を盛り込んでおりますし、先般閣議決定されました国土利用計画におきましても、「生物の多様性が確保された自然の保全・創出とそのネットワーク化」という記述が盛り込まれたところでございます。  こういった点を通じて、関係省庁とも連携していろいろ積極的に取り組んでまいりたいと思いますが、環境庁自身といたしましても、これまで例えばふるさといきものふれあいの里づくりでございますとか、あるいは来年度から里地におけるそういった事業のモデル事業も進めたいと思っております。さらに、公共事業の中でも、従前から例えば尾瀬ですとか大山ですとか、そういったところでは植生の復元ということに積極的に取り組んできております。来年度からはこういった事業についても国庫補助の対象に組み入れるというような点についても今進めておるところでございます。  いずれにいたしましても、私どもの公共事業という部分だけを見ましても、最も環境庁らしい公共事業のあり方というふうに考えておりまして、一層積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  16. 松下忠洋

    松下分科員 そこのところをお尋ねしようと思っておったわけでございますが、国土利用計画の中で、これは二月十五日の新聞の記事を今ここに持っておりますけれども、先般、おっしゃいましたように、十四日に第三次国土利用計画の最終案がまとまって、そして総理に答申したわけでございます。  今その話があったわけですけれども、そのテーマが自然との共生だ、そして安全で安心な国土利用などを基本方針に据えて、自然環境保全強化する自然維持地域をつくっていくということなのですね。これは非常に大事なことで、これがきっちりと基本方針として盛り込まれ、それが国家施策の中に、各省庁が持っていろいろんな事業の中に入り込んでいきますと、これは極めて強力な地球環境保全の第一歩になっていくだろう、あるいは育成になっていくだろう、こう思っているのですね。  従来、ここにもありますけれども、その地域の分け方を、都市と農村、都市と漁村、都市と山村、そういうすみ分けの中で人が住んでいる形態、どこに住んでいるかということで分けておったということがありますけれども、本当はそういうことではなくて、都市に住んでいる人も農山漁村に住んでいる人もそれなりに自然を共有する、それから自然の中でしっかりと自分の疲労をいやすというような場所があっていいし、そういうものを次の世代にしっかりと残していくということが必要だと思うのですね。そういう意味で、原生林や野生生物が生息する自然維持地域というものを設けて、これを環境保全の柱としてしっかり強く打ち出していこうということは極めて大事だと思うのです。  それで、これは環境庁だけの施策で進んでいくとは僕は思っていないのですね。きょうは林野庁の人にも来ていただいていますけれども、こういう広い大きな範囲の地域だけではなくて、例えば河川沿川には水害を防ぐための水防林というのがありました。それから防災林というのもありますし、それから富山の方やら東北の方やら、あっちの方へ行きますと非常に強い風が吹いてくる。そういうときには、家の周辺にしっかりとした囲いになる防風林がきちっと町並みとしてできている。それから、地域にはそれぞれの鎮守の森があり、そこに一つの里山としていろいろな、治山治水に大きく役立つような森林というものを、自然に地域に住む人たちの知恵で残して保存しておくというようなのがたくさんあるわけですね。  私も建設省に長くおりまして、いろんな事業に取り組んでまいりましたが、ある時期は、もうとにかく洪水を防がなければいけない、山崩れを防がなければいけないというようなことで、かたいコンクリートの構造物をつくったりなんかしようとすることに走っていくわけですね。これは今、極めてそのことの反省をしなければいかぬ。我々もそういうことを後輩にもきっちり言っていますけれども、自然との共生をしながら、現在ある、そういう残っている、極めて少なくなったかもしれませんけれども、そういうものをしっかりとまた育てばぐくんでいくようなこともしなければいかぬ、そういうふうに思うのですね。ですから、この自然維持地域というものは極めて大事だと思います。  重ねて環境庁の中でもう一回お聞きしますけれども、予算の中で、第一歩として、では平成八年度どこにどういうふうに具体的に取り組もうとしているのか、関係省庁との間でどういう連携をとりながら柱として取り組んでいこうとしているのか、そのことをお尋ねしたい。  それから、林野庁も今始めていますけれども、里山だとか自然の里に残っている防風林とか防災林とか、そういうものをあなたたち政策の中でどういうふうに生かそうとしておられるのか、そういうことをぜひ聞かせていただきたい。黙っていると切られてしまう、そういうことになっていきますので、そこを着眼大局、着手小局、そういうことで、小さいところからもやっていこうということにも取り組んでもらいたいと思いますけれども、それについての具体的なお考え方お願いしたいと思います。
  17. 菊地邦雄

    ○菊地説明員 御説明申し上げます。  私どもの来年度の事業の中で、まず公共事業の中で非常に重要な項目として、国立公園の中で特に重要なところ、そこが御指摘のような、植生がいろいろ荒れたり、登山者あるいは一般の利用者が多過ぎて、自然の荒廃ですとか、あるいは混雑対策が要るというようなところについて、通称緑のダイヤモンド事業というようなことを進めております。これは現在上高地でございますとか白山とか日光とかでスタートいたしておりますが、こういう中でやはり最も重視すべきは、それぞれの荒廃した自然というものについて復元していくということを重点的に今やっておるところでございます。  それからもう一つ、こういった核心地域のみならず、周辺の場所で身近な自然との触れ合いの場を充実するということで、ふるさと自然ネットワーク事業というものをやっておりますが、こういった中でも、ふるさといきものふれあいの里という事業の中で毎年拠点を設け、都道府県あるいは市町村とも協力しながら、いわゆるビオトープといったタイプの自然の学習の場、触れ合いの場、あるいは創出という意味での事業を進めております。  そのほか、先ほどちょっと申し上げましたが、植生復元、あるいは自然景観の修復という点についても、一般の補助対象にしてさらに幅を広げてまいりたいというふうに思っております。  なお、こういった公共事業の枠外でございますが、より身近な、いわゆる里地におきます雑木林あるいは農村風景、農村の自然、そういったものの今後の保全のあり方、あるいは自然学習の場としてどうやったらいいかという点についても、来年度よりモデル事業に着手したいというふうに思っております。
  18. 加藤鐵夫

    ○加藤説明員 森林につきましては、先生御承知のとおり、木材生産のみならず、国土の保全でありますとか自然環境保全でございますとか、公益的機能の発揮を持っているわけでございまして、今までも森林整備に当たりましてはそれらを念頭に置いて整備をしてきたところでございます。  里山というお話がございましたけれども、里山につきましては、都市化の進展の中で大変貴重な緑になってきているという認識をいたしておりまして、そういう点で、先生、防災林であるとか防風林というお話がございましたけれども、そういった防災的な問題だけでなく、都市住民との触れ合いの場というようなことも認識しながら整備を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  19. 松下忠洋

    松下分科員 非常に大切なことでありますので、一つ一つの自然を、小さくてもいいからそこをしっかり保存し、育成して、はぐくんで、それで広げていくということをぜひ具体的な政策として取り組んでもらいたい、そう思っております。これはまたいろいろな機会にチェックをしながら、皆さん方の仕事のかかわりを見詰めていきたいと思っております。  もう一つは、そういうことで、自然環境保全のための地域の指定をいろいろされます。自然公園、それから国立公園等でのいろいろな保護施策を進めておられますけれども、問題は、そういった地域における管理施設ですね。トイレでありますとか歩道でありますとかごみの処理とか、そういうことがやはり十分であるとは思えない。それから、ある時期に集中して人が入ってくる、そういうお客さん、入ってくる人たちへの誘導、それから適当な休憩、そして見てもらいたいものと入ってくる人たちとの距離をどう置くか、見たい場所とその人たちとの間をどうするかという、いろいろなことがございまして、かなり問題が起こっているように思います。  鹿児島の屋久島も縄文杉がありまして、これは平成五年に世界自然遺産に指定されました。これは非常に画期的なことでございましたけれども、そのために入島者が非常にふえている。二十万九千人だったのが二十五万人くらいになっております。ですから、やはり五万人くらいふえてくる。しかも、一定の地域に集中していくということになりますと、自然そのものの保護はいいのですし、見てもらいたいのですけれども、周辺のいろいろな施設が整わない。今さっき言ったようなことが整わない。そこをもっとしっかりと取り組んでいっていただきたいというふうに思いますけれども、そこをどんなふうに対応しておられるのかということの問題も含めて、ひとつ教えていただきたいと思います。
  20. 菊地邦雄

    ○菊地説明員 御指摘のとおり、そういった管理施設、特にトイレ等の整備につきましては、実は最も利用者の目に触れ、あるいは実際に使われるということで、大事なものだと思っております。また、一番苦情も多いものでございます。そういうことで、ここ五年ほどになりましょうか、私ども、国立国定公園の中の公衆トイレの緊急再整備ということで重点的に整備をしてまいりました。かなりの地域でトイレが快適、さわやかといいますか、水洗化をされたトイレが整備をされてきているというふうに思っております。  今後ともこういった点については一層地元の方々とも御協力して進めてまいりたいと思いますし、特に来年度からと申しますか、実は今年度の補正予算からでございますが、富士山が実は一番頭の痛い地域でございまして、こういった地域を特に重点的に、こういうトイレを中心とする管理施設のあり方について、検討ということではありませんで、実際にいろいろなタイプのトイレをつくって検証していくというような事業も進めたいと思っております。  なお、そういったハード面のみならず、ソフトの面、例えばごみ等につきましては、特に従前から持ち帰り運動でございますとか、そういった利用者の方御自身の御協力もいただかないと達成できませんので、そういうソフトな面についてもいろいろと頭を悩ましてやってきておりますが、こういった点についても、当然ながら今後とも地域との連携を保ちながら努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  21. 松下忠洋

    松下分科員 最後に、一つだけ大臣に。  質問通告しておりませんけれども、薬害エイズで、今大きく前進して動き始めました。水俣病に長く取り組んでこられて、それに対するしっかりとした見識を持っておられる大臣ですが、十数年前のエイズに関連する情報の開示、ひょっとしたら事実がねじ曲げられて、あるいは覆い隠されて、そして今日まで来たのではないかということも言われております。それに対して大きく歯車が回ったわけですけれども、大臣、そういう問題での本当の見識のある大臣として、どのような視点で見ておられるのか、そこだけ一言お伺いして、終わりにしたいと思います。
  22. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 環境行政というのは、とりわけ市民の協力をいただかないと、あるいは地方自治体の御理解と御協力をいただかないと前進するものではありません。そういう意味では、同じスタンスでこの対策を進めていかなければならないと思っております。  したがって、環境庁のいろいろな委員会だとか審議会がございますが、できるだけそれは情報の開示に努めていく。そんなことについて環境庁は今までも努力をしてきましたが、一層その開示についての努力をしていきたいものだというふうに思っていますので、ぜひ御理解と御協力をいただきたいと思います。ありがとうございました。
  23. 松下忠洋

    松下分科員 終わります。
  24. 菊池福治郎

    ○菊池主査代理 これにて松下忠洋君の質疑は終了いたしました。  次に、宇佐美登君。
  25. 宇佐美登

    宇佐美分科員 新党さきがけの宇佐美登でございます。  委員長、ぜひ御許可をいただいて、資料を大臣ほか配付をさせていただきたいのですけれども、委員長、資料の方の配付はよろしいでしょうか。
  26. 菊池福治郎

    ○菊池主査代理 はい、どうぞ。
  27. 宇佐美登

    宇佐美分科員 最初に大臣、スケジュールの方ですけれども、私が正常なスケジュールに戻しますので、御期待をいただければと思います。次の方、十一時からお待ちいただければと思います。  まず初めに、本日は電磁波の問題についてお話をさせていただきたいと思います。  ただいま、昨日ですか発売の小学館のサピオという雑誌の、絵柄になっているものがありましたので、配付をさせていただいております。この「mG」という単位は、ミリガウスというところで単位がついているわけですけれども、この数字がどんなものなのかというのを普通の方はわかりにくいかと思います。電磁波とは一体何なのか、少し書いてもありますけれども、まずその点について、私はもともと理系ですので、アマチュア無線もやっているので比較的理解しているつもりでありますけれども、電磁波とは何なのかといったところから質問を始めさせていただきたいと思います。  環境庁の方でよろしいですか。電磁波とは何なのかといったところ、一番得意な方で結構なんですけれども、わかりやすい形で御説明いただきたいと思います。     〔菊池主査代理退席、主査着席〕
  28. 野村瞭

    ○野村政府委員 私はいわゆる専門家ではございませんので、必ずしも正確ではないかもしれませんけれども、電磁波と申しますと、電界の波と磁界の波、これが相互に関連をして伝わっていくエネルギー波というように理解をいたしております。
  29. 宇佐美登

    宇佐美分科員 電界と磁界というものがクロス、垂直に交わった形の中で電波として流れていくといったところであります。光もまた電磁波の一種でありまして、光の周波数よりも低いものがいわゆる電磁波と呼ばれておりまして、光の周波数よりも高いものが放射線と呼ばれているわけであります。ありとあらゆる、我々の身の回りには電磁波が存在しているわけですから、こういった固体のものも全部振動しておりますし、色がついていればそこに光が当たって色が発するわけでありますから、電磁波が存在するわけであります。  その電磁波の周波数によっていろいろな機能がある。皆さんの中でもよく御存じのように、紫外線、赤外線、これは可視光線、見える光の中でも赤より上の周波数のもの、紫よりも下のものといった中で、赤外線の力というものは、例えば今温暖化と言われておりますけれども、地上に光が落ちてきまして、その輻射熱というものを二酸化炭素がどれだけ吸収するかといったのが温暖化ガスの数値としてあらわされているわけでありますし、紫外線は、我々の体を消毒するとき、つい先日も骨髄バンクの、実際に骨髄の取りかえ、取りかえと言ったら恐縮なんですけれども、骨髄の移植をしている場面を見学をさせていただいたわけでありますけれども、そこに入っていくにも紫外線を投射をして菌を減らすといったようなことであります。  この電磁波、ふだんは例えば携帯電話、先ほども秘書の方がお持ちだったようでありますけれども、この携帯電話で話しても、電波そのものも出るわけですけれども、携帯電話を使用していればそこに電磁波が、電界、磁界が存在するわけであります。どんな数字なのかといったのが、この今配付をさせていただいた資料であります。米印がついているものは測定を五センチのところでやったものでありますし、米印がついていないものは物体から、対象物から三十センチ離れたところでの数値であります。  例えばカラーテレビで申し上げますと、スウェーデンにおいては、ビデオディスプレーターミナル、VDTと一般的に専門用語で言うわけでありますけれども、テレビ等、物を表示するものについては、スウェーデンのTCO規格の基準値においては、VDTの場合、三十センチ離れて二ミリガウス以下といった数字があるわけですけれども、日本の数字はどうなのか。カラーテレビを三十センチで見るかどうかは別にして、二十ミリガウス。スウェーデンの規格よりも十倍、非常にきつい電磁波が出ているわけであります。この電磁波が出ているから、じゃすぐに悪いのかといったときに、現在日本でも各省が鋭意研究検討をしていることかと思います。  それでは、環境庁環境庁の中でもこの電磁波の人体に与える影響というものの研究検討がされてきたかと思います。まず環境庁の方から、その所見を教えていただきたいと思います。
  30. 野村瞭

    ○野村政府委員 この問題につきましては、関係省庁幾つかございますが、それぞれの立場で取り組んでおられますけれども、環境庁といたしましては、先生今御指摘いただきましたように、電磁波につきましては、脳腫瘍でありますとか白血病などと関係するといった指摘もありますので、従来よりその本態の解明の重要性を認識しておるところでございます。  平成二年度から文献調査を中心といたしました調査研究を行ってきておりまして、平成六年度の報告におきましては、現時点までの科学的な知見からは電磁波の健康影響の有無を結論できないけれども、電磁波の健康影響を評価するために必要となる疫学研究実施する際に必要となる手法を確立することが必要ということを指摘されております。  環境庁といたしましても、この指摘を踏まえまして、今年度、疫学研究、これは人口集団を対象として相関関係を調べる手法でございますけれども、その疫学研究実施に必要な手法確立のための調査研究を行っているところでございまして、今後とも、電磁波の健康影響の本態解明に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  31. 宇佐美登

    宇佐美分科員 日本環境協会さんが、環境庁の関係団体であるわけですけれども、「電磁環境健康影響に関する調査研究」、昨年の三月に発表されたものの中で動物実験等の話が出ております。「三〇〇Hz以上の高周波の電磁界曝露による検討成績は、WHO刊行の報告[一一三]に網羅されている。そこで問題とされたのは、高周波の熱的作用に基く熱的効果が主であった。眼の白内障、聴覚異常、体温調節の異常、循環器への影響、睾丸の温度上昇による不妊などが、熱的効果に伴って問題とされた。」ということであります。  もちろんこれは商用周波電磁界とは別物であります。一般の電流は五十ヘルツ、六十ヘルツでおりますから、先ほど御説明がありませんでしたけれども、御記憶にあるかと思いますが、中学校、小学校のときに、電流が向かっていく方向に向かって右側、この方向で磁界ができるのですよといった勉強もあったかと思います。そんな中で、比較的低周波のものについて、商用周波電磁界での暴露については、「熱と関係のない非熱効果であり、そのような観点から、最近の動物実験の成績は、発がん効果と神経系への影響検討するような文献が多い」ということで、先ほどおっしゃっていた文献の調査をしていくと、やはり発がん関係等がふえてきているのだということは世界的な流れ、トレンドになっているわけであります。  その中で人体にどんな影響を与えるのかといったときに、先ほど配付させていただいた資料等でも出ているとおり、現在、アメリカにおきましては幾つか裁判が既に起こっております。モトローラ社、携帯電話で世界最大と言ってもいいと思います。モトローラ社の研究員の方が、常々仕事をしている中で脳腫瘍ができたということで、これは会社に責任がある、携帯電話の危険性というものが資料として出されていない中で、それが原因ではないかと。というのも、携帯電話は、耳に直接接してやっているわけですから、その電磁界というものがもともと威力が少なかったとしても、非常に密接な、距離が近いという中で影響が出てくるわけであります。  さらに、そのニュースを聞いていたモトローラのトップセールスマンであった女性も、このニュースを見たその日に自分が病院に行って脳膿瘍も発見されたという非常にセンセーショナルな記事が載っているわけであります。それだけではなくて、先ほど申し上げた白内障を初めとして、男性、女性を問わず性的な問題も出てくる、生殖機能の低下というものも見られていると言われているわけであります。  通産省さんにお尋ねしたいのですけれども、平成五年十月にスウェーデンの報告書をもとに基準づくりをしてきたというわけであります。「情報処理機器用表示装置の低周波電磁界に関するガイドライン」でありますけれども、今申し上げた携帯電話、これは郵政省かもしれませんけれども、それとほとんど同じ周波数だと言われているコンピューター等の電磁波の影響について、通産省としてその危険性の認識というものの御所見を賜りたいと思います。
  32. 永松荘一

    ○永松説明員 今先生お尋ねになりました通産省の電磁波関係の対策でございますけれども、通産省におきましては、電磁波問題が人の健康に影響を与える可能性のある重要な問題である、そういう認識を有しておるわけでございまして、平成二年でございますが、医学、工学等の専門家から成る電磁界影響調査検討会を設置いたしまして、居住環境、これは家庭環境でございますけれども、そういった場における影響につきまして情報収集、検討を行ったところでございます。  また、先生今御指摘のございました関連業界団体、これはパソコンにつきましては日本電子工業振興協会、それからワープロにつきましては日本事務機械工業会という団体がございますけれども、そういったところでも同様の認識から、パソコン等の情報処理機器から発生する電磁波の人体への影響について調査実施してきておる、こういう状況でございます。  今のところ、いずれの調査検討におきましても人体に有害な影響があるという確証は得られるに至っておりませんで、私どもとしては、引き続き内外の科学的知見の蓄積をまず進めていく必要がある、そういう認識をいたしておる次第でございます。
  33. 宇佐美登

    宇佐美分科員 もう一度通産省にお尋ねしたいのですけれども、今コンピューター用に、例えばVDTの前、CRTの前にシールドがついていたり、一般にゴーグル、眼鏡等、防御装置みたいなものが発売されているわけであります。今資料がないかもしれませんけれども、それらが売られている現状があるわけですね。  つまり、電磁波そのものが危ないんじゃないかという認識と、実際に電磁波が出ているんだという認識が、少なくともコンピューターを長く扱っているような方の中ではごく当たり前に考えられていて、例えば一枚四万円のテレビ画面の前につけるシールドが売られていたりするわけですけれども、その効果のほどというものは、通産省の中で、もしくは関係の中で調べられているのか、また、もしも調査をされているのだったら、その効果のほどというのはどんなものなのか、わかる範囲でお答えいただきたいと思います。
  34. 永松荘一

    ○永松説明員 先生お尋ねのございましたゴーグルあるいはシールドといったものの効果につきましては、現時点では数字を持ち合わせておりませんけれども、先ほど御指摘がございました関係業界ということで、日本電子工業振興協会等におきましては、現在、その科学的な知見が十分でないという状況ではございますけれども、ユーザーの不安を取り除くべきとの観点から、実は平成五年に、その時点で世界で最も厳しい基準でございますスウェーデンの電磁波対策の基準を採用いたしまして、それをもとにして業界のガイドラインを策定いたしまして、そこでつくっておりますパソコン、ワープロ等にその対策を講じてきておるという状況でございます。
  35. 宇佐美登

    宇佐美分科員 さらに詳しく調べていただきまして、電磁波が出ているのかどうかということと、まあ電磁波は当たり前に出ているのですけれども、測定できるわけですけれども、人体に与える影響、もしくは電磁波同士の複合作用の中で機器に与える影響というものが出てくるんだと私は認識をしております。例えば、こうやって話しているスピーカーのすぐ近くにいる方、ぜひ気をつけていただきたいと思います、たくさんの電磁波がそこから出ているわけでありますから。あえてそこに座っているのだと思っておりますけれども。  それでは、体のことということで、厚生省の方にお尋ねをしたいと思います。  私は、もともと人工心臓をつくっておりました、メディカルエンジニアリング学会に属しておりましたので、非常に気になるところであり、電磁波というものの怖さというのも身の回りにあったわけであります。  一九九四年、今から二年前ですか、六月ごろだったと思います、スウェーデンの医療機関におきまして日本製のシリングポンプの誤作動が生じ、これが携帯電話の影響であることがわかったわけであります。つい先日の新聞報道でもありましたように、今、日本の病院の中におきましてもPHSや携帯電話というものの使用を限っている。飛行機に乗れば、諸先生、大臣や委員長もそうだと思います、飛行機に乗る際に、携帯電話は離着陸のときには使わないでください、また携帯電話に関して言えば、運航中常に使わないでくださいという放送がされていると思います。つまり、それによって計測機器に対しての影響というものが間違いなくあるんだという認識が、特に人命を預かっているような場所、飛行機もそうでありますし病院もそうであります、そのようなところではごく当たり前に言われているわけであります。それが、先ほどスピーカーの例を出しましたように、我々の日常、身の回りにある携帯電話であったり、イヤホンを耳に差していてもそこに電磁波はあるわけであります。  そんな中で、厚生省として、先ほど申し上げました日本製シリングポンプの誤作動を初めとして警告文を製造元を通じ医療機関に配付をしたというわけでありますけれども、厚生省としては、医用電子機器、医療用電子機器だけではなくて、常々、例えば病院等における電磁波対策というものをどういうふうに考えているのか、その障害等についてどういう対策をしているのか、御所見を教えていただきたいと思います。
  36. 矢野周作

    ○矢野説明員 私ども医療機器を所管している立場から、私どもの研究状況等を御説明させていただきたいと思っております。  病院等で使用されております電気メス、除細動器、こういったものが各種の医療用の電子機器に電波障害を及ぼす、こういうことが知られておりますので、現在研究班を設けましていろいろ研究を行っているところでございます。先ほど御指摘のありました携帯電話等によります医療機器の誤作動の点も、最近指摘をされておりますので、昨年の十二月からこの研究班に新たに検討項目として加えて研究を進めているところでございます。  なお、携帯電話の問題につきましては、現在郵政省が事務局をしております不要電波問題対策協議会、この中に作業部会といたしまして医用電気機器作業部会、こういうのが設置されておりますが、そこに私どもも参画をいたしまして必要な協力を行っておるところでございます。現在、諸外国の状況等をここで近くまとめられる、このように伺っているところでございます。
  37. 宇佐美登

    宇佐美分科員 この電磁波の問題、環境問題に非常に関心を持っているヨーロッパ諸国を初めとして、世界じゅうの国々の人々が興味、関心を持ってその対策というものを練っているわけであります。  先ほど不要電波といった言葉が厚生省の方からありましたけれども、電波と電磁波というものは基本的に同じものであります。電磁波のことを短く電波と呼んでいるのだということで御理解をいただきたいと思います。  また、先ほどシリングポンプといったものを説明したわけですけれども、これはペースメーカーの中の輸液装置というのですか、シリンジのことを輸液というので、輸液ポンプのことを申し上げていますから、ペースメーカーを入れている方の最も、一番大事なところが誤作動をするといったわけであります。まさに命に直結する問題になっているわけであります。  それで、これが、先ほどから申し上げているように、常々我々の体の回り、身の回りに目に見えない形で飛び回っているということ、そして世界じゅうの方々が興味、関心を持って、実際に裁判ももう起こっているような状況の中で、私は、例えば自動車を考えたときに、世界で最も厳しい排出ガス規制を行い、ガソリン、石油が日本ではないというようなことで、少しでもガソリンを使わない車をつくろう、省エネの車をつくろうといった中で、結果として、その排ガス規制であったり省エネ対策世界に通じる車をつくっていったわけであります。同時に、日本の場合でいえば、寒いところ、北海道の先から、暑い沖縄の先、私の選挙区でいえば小笠原、一月一日から海に入れるようなところであります、この長い日本の気候の中で何にでも対応できるような車をつくったからこそ、世界のどこに行っても対応できたし、先進的な車として扱われてきたわけであります。  そうやって考えたときに、日本のコンピューター、日本の携帯電話等を初めとする電子機器が世界の中で占めるシェアというものは非常に大きい、ナンバーワンだと言っても過言ではないと思いますが、それがどんどんもしかしたら落ちていく状況があるのではないか。  それは、先ほどお話があったように、スウェーデンはヨーロッパの中でも先進的にこの電磁波対策というものを、ありとあらゆる機器、ありとあらゆる生活の場面で対応しているわけであります。アメリカの中でも裁判があってこれから興味、関心が示されていく中で、日本が輸出を中心に考える国であるということもあわせ、我々日本人の中でも健康、環境というものが過去以上に今厳しく問われているわけであります。危ないから、確実に計測されたからするものではなくて、たばこのように、たばこと肺がんの関係というものはパーセンテージでいえば高いけれども、一〇〇%証明はされていません。しかしながら、体に悪いだろうといったことがもうたばこの上にも書かれているわけであります。  電磁波を考えたときにも、私は、世界の先進国と言えるような電磁波対策日本の携帯電話を買っていれば安心だよとか、日本のコンピューター、VDT、CRTだったら電磁波が非常に少ないんだ、そんなことができるような対策を先んじてやるべきだと思っております。  それらを初めとして、電波ということ、電磁波ですから、何よりも郵政省が非常に詳しいところであります。電磁波の危険性の認識、郵政省の方からもお伺いしたいと思います。
  38. 石田義博

    ○石田説明員 二点まとめて御説明をしたいと思います。  まず、電波の人体に及ぼす影響でございますけれども、郵政省といたしましても、無線機から出される電波が人体に好ましくない影響を及ぼすのではないかという不安や疑問があるということは承知しておりまして、これらの解消が非常に重要な課題であるというふうに認識しております。  既に昭和六十三年六月に、電気通信技術審議会に電波利用における人体の電波防護指針を諮問いたしまして、鋭意御審議いただき、平成二年六月に答申をいただいております。その後、この答申に基づきまして、民間の団体であります電波システム開発センター、現在は電波産業会と名前を変えておりますけれども、こちらの方で電波防護の民商標準規格が策定されておりまして、無線関係業界における電波防護に対するガイドラインとして活用されているところでございます。  なお、その防護指針の概要でございますけれども、そこでは電波のエネルギーの量と生体への作用との関係が示されておりまして、結論の一つといたしまして、出力が七ワット以下の無線機器から発射される電波、これは人体に影響を及ぼすものではないだろうというふうにされております。  ちなみに、今日大変多く使われております携帯電話、大きいものでも一ワットないし二ワットということでありますし、業務用のハンディータイプのものでありましても五ワット程度ということで、この七ワットという上限を下回っておるところでございます。  その後、利用も多様化、増加しておりますし、海外での知見等もふえてございますので、昨年九月から、専門家にお集まりいただきまして調査研究会を開催し、この電波防護指針の見直しの方向について、本年三月末を目途に検討をいたしておるところでございます。  次に、電波が医療機器に影響を及ぼすのではないかということでございますけれども、先生御指摘の病院の件についても承知してございますけれども、こういった電子機器に対する電波障害の防止につきましても、郵政省では昭和六十二年に、先ほども名前が出ましたが、不要電波問題対策協議会、事務局は郵政省の方でやらせていただいておりますが、こちらを組織いたしまして、関係省庁、専門家の方に御参画をいただきまして、障害事例の収集、あるいは対策に関する情報交換をこれまでも実施してきているところでございます。  さらに、近年携帯電話の普及に伴いまして、先はどのような医療機器に対する誤作動ということが海外でも幾つか報じられておりまして、これを受けまして、昨年の十二月二十日、この協議会の中に医用電気機器作業部会を設けまして、現在対応方策を検討してきているところでございます。  その結果はこの三月を目途に取りまとめるという予定にしておりますけれども、目標といたしましては、例えば病院内での携帯電話の使用制限等に関する暫定的なガイドラインを取りまとめるというふうな形で、そういったガイドラインに従いまして携帯電話事業者、通信機器メーカーを指導してまいりたいと思っております。  さらに、厚生省を通じまして医療機器メーカーでありますとか医療機関の方にも御周知を願いたい、また利用者の方にも注意を喚起してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  39. 宇佐美登

    宇佐美分科員 大臣との約束ですから、時間も十一時を過ぎましたので終わろうと思います。  村上さんという方を中心に環境パートナーシッププラザ構想を一生懸命やってまして、きのうから環境庁の方でも検討委員会が開かれていました。その点についても御質問させていただきたいと思ったのですけれども、鋭意御努力をいただきたいと御要望申し上げます。  最後に環境庁長官、今までの議論を聞いた中でどのような御見解を持ったのか、電磁波の危険性というもの、これはまさに我々の環境として非常に重要な問題であります。決意のほどをお聞きいたして、終わらせていただきたいと思います。君願いします。
  40. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 宇佐美先生が専門的なお立場からいろいろ、いわば警告を発していただいたわけでございまして、そういう意味で、政府としても取り組みを進めなければならないと思っておりますが、主体的にはまず、縦割り行政のことを言うつもりはございませんが、郵政、厚生、特に通産も含め、そして環境庁も含めて総合的な対策を、国民の健康、生命のために取り組んでいかなければならない課題だ、このように考えておりますので、今後ともいろいろな意味先生からも御指導をいただきたいと思います。
  41. 宇佐美登

    宇佐美分科員 ぜひ省庁横断的に、この電磁波の人体に与える影響、機器に与える影響というものについて御努力いただきたいと思います。  これにて終わります。
  42. 桜井新

    桜井主査 これにて宇佐美登君の質疑は終了いたしました。  次に、鴨下一郎君。
  43. 鴨下一郎

    鴨下分科員 新進党の鴨下一郎でございます。長官、お疲れさまでございます。  本日質問させていただくに当たりまして、大臣にどうしても一つ伺っておかなければいけないことがございます。  いわゆる住専処理のために六千八百五十億円もの血税が注ぎ込まれるということが平成八年度予算案の中に盛り込まれております。昨年、連立与党の間でこの住専処理に税金を投入することを決定して以来、国民の反発は日を追って大きくなるばかりであります。例えば、世論調査でも九〇%以上の人が反対だ、こういうようなことを含めて、いわば国民が総意で住専に税金を投入することは反対であるというふうに我々は解釈しているわけですけれども、大臣は、これだけの反対がありながら、この予算に住専の穴埋めのための税金を盛り込んでいこう、こういうことに対して賛成でありますか。そしてまた、この方法しかなかったとお考えですか。率直なところをお伺いしたいと思います。  また、岩垂長官は、もう大変、国民そして生活者の立場に立って常日ごろ政治をなさってきたわけですけれども、その一人の国民として、それから一政治家としてこの問題をお考えになったときに、果たして同様のお考えかどうか、この辺についてお伺いをしたいと思います。
  44. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 この問題については、現在のところ内閣が一体になって予算の成立のために努力をいたしております。その意味でいいますと、それぞれの思惑はあったとしても、今の条件のもとでそれが最善の道だという対応をいたしていることについて、鴨下先生の御理解をいただきたいというふうに思います。  ただ、これからいろいろ、皆さんの意見も含めて予算について議論をする場面というものが出てきているだろうというふうに思います。きのうの党首会談では確かに政府案対予算撤回という意見でございますけれども、私は、予算案政府の責任において出した以上は、これは成立を目指すことは当然のことだ、そういう対応で今私自身は思っております。  これから、住専の問題がこれだけ明らかになりまして、国民の中からいろんな批判が出てきております。その意見の一つとして、例えば大蔵省の問題が出てきたり、あるいは母体行の問題が出てきたり、あるいは農協系の問題が出てきたりという、日本のいわば金融あるいは財政にかかわる非常に大きな問題点が出てきておりますので、それらについて、それを正していくために、それこそこれは与党、野党というよりも、国民的なレベルでいい知恵を出し合わなければいけないなという気持ちでございますので、先生にもぜひ御理解を賜りたいというふうに思います。
  45. 鴨下一郎

    鴨下分科員 あとは、個人的に岩垂寿喜男という政治家としてお考えをいただきたかったのですけれども、きょうは時間がありませんので、このくらいにさせていただきます。  きょうは、実は私のふるさとであります足立区というところには、綾瀬川という一級河川が流れておりますが、この綾瀬川が過去十五年間にわたりまして、BOD等の汚染に関して言ってみれば日本一をずっと続けている。我が故郷の中で日本一というのはこのことと、それから東京拘置所のこの二つでございまして、大変不名誉なところなわけでございますけれども、環境庁が、環境基本法を含めて河川の汚染防止対策をどういうふうに今講じておられて、各論として、日本一の汚い綾瀬川に関してどういうふうにお考えになっているか、このことについてお伺いしたいと思います。
  46. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 環境庁といたしましては、河川の水質保全のためにいろいろな環境基準を定めまして、その達成に向けまして工場、事業場に対します排水規制を行っておりますほか、下水道それから合併浄化槽の整備が積極的に進められますように、関係省庁に対しまして働きかけを行っているところでございます。  また、綾瀬川のような都市部を流れる河川の水質汚濁の原因としましては、産業系の排水のほかに生活系の排水の占める割合が非常に高うございます。このようなことから、生活排水につきましては、住民の理解と協力が何よりも必要であるということで、例えば廃食用油の処理など台所対策、それから洗剤の適正な使用、それから住民によります実施活動につきましての普及啓発など、いろいろ行っているところでございます。  そのほか、綾瀬川の流域につきましては、これは東京湾の水質総量規制の対象地域でもあるということでございますので、工場、事業場に対しまして、濃度規制だけではなくて汚濁負荷量の規制も行っているところでございまして、今後とも関係の都、県、市に対しまして一層の水質改善が図られますよう指導していきたいというふうに考えております。
  47. 鴨下一郎

    鴨下分科員 綾瀬川につきまして、多少特異的な部分について少し御説明をさせていただきたいと思いますけれども、綾瀬川は、ずっと埼玉県から流れて、都内に入り中川に合流して、言ってみれば都内の部分というのは潮の満ち引きと非常に密接に動く川でございます。都県境のところで伝右川とかも長川という非常にそれ自身も決してきれいでない川と合流していくというようなことで、それで、水質は昭和五十年ころからやや改善してきているというようなことなのですが、BODの環境基準適合割合は三二%と非常に低い状況でありまして、先ほど申し上げましたように、十五年間連続で日本一というようなことで、魚は、これは私が子供のころから親しんでいる川なのですけれども、そのころにはシジミだとかカラスガイだとかを含めてそういうものが採取されたのですけれども、今は、もうまさしく住んでいるのはイトミミズぐらいで、ばい菌も死んでしまうくらい汚い川だというくらいのところでございます。  また、綾瀬川そのものは、実際に水が我々住民のところに触れない。それはなぜかといいますと、両側がかみそり堤防になっておりまして、なおかつ天井川のような形で、家の屋根の方が水面より低いというような状況の中での川なものでございますので、なおさら水をきれいにしていこうというような住民の意識が広がらないというのが現状なのですね。  これは、桜井主査環境庁長官をやられたときに我々の地域、足立区、葛飾区、川口市、岩槻市、草加市、越谷市、八潮市と各自治体の首長が申し上げたことなのですが、「河川浄化意識の向上について」ということで環境庁の方にお願いしたのです。   快適な水辺環境保全・創造していくために  は、河川の水質浄化は、不可欠の要素であり、  流域住民の理解と協力が最も重要であります。   そのために、住民自らによる浄化実践活動の  支援・育成をはじめ、水辺環境情報や環境学習  の機会の提供等、幅広い河川浄化意識の向上が  育成されるような、普及・啓発活動をさらに積  極的に推進していただきたいというふうに要望を申し上げているんです。  今答弁の中でありましたように、総論的には環境庁はそういうことでやっていらっしゃるのですけれども、事綾瀬川という各論に関してはいかがでしょうか。
  48. 嶌田道夫

    ○嶌田政府委員 今先生も言われましたように、実は平成六年、綾瀬川につきましての住民意識調査なども環境庁としてやっておりまして、その中で、いろいろ見てみますと、やはり住民の意識としては、「川底が澄んで見える川」であるとか、「鮒や鯉などの魚が泳いでいるのが見える川」であるとか、「子供が水辺で遊べる川」であるとか、そのような非常に川に対する思い入れが深いという状況にございます。  そういうことで、我々といたしましても、都それから県、市、いろいろ指導しまして、先ほど言いましたように一律上乗せ規制なども指導しておりまして、現実にはかなり厳しい上乗せ規制が行われているという状況にございます。  先生も今言われましたように、非常に状況は悪いわけでございますが、幾らかは改善してきている気配は見られるというようなことでございまして、なお一層今後関係しています都、県、市に対しまして指導していきたいというふうに考えております。
  49. 鴨下一郎

    鴨下分科員 私も、ほんの短い期間でしたけれども環境庁の政務次官をさせていただきまして、環境行政というのだけではなかなか、河川も含めて、改善していくというのは非常に難しい話なんです。ただ、私はそのときに非常に印象深く感じたことは、環境庁がいわば調整能力を発揮して、各省庁間の調整をするということで全体のマネジメントをしていくことが非常に効果を上げることなのだろうと思うのですが、例えば、綾瀬川浄化対策についても、国、東京都それから先ほど申し上げた埼玉県の各自治体、そういう関係行政機関協力体制強化して河川事業、下水事業、それから流域対策等が一体になったような浄化活動が必要であります。  そこで、行政機関の連携強化についての連絡それから調整等、特段の配慮をいただきたいということなのですけれども、その辺に関しては環境庁はどういうふうにお考えになっていますか。
  50. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 日本は、山紫水明と言われておりますように、豊かで清らかな水に恵まれた、その恩恵のもとで美しい環境が形成されてきたということはもう申すまでもございません。  伺うところによると、綾瀬川というのは、その昔あやを織りなして流れる川であったということから名づけられたというふうに承っておりますが、実を言うと、この点について私も若干の経験があるものですから申し上げさせていただきたいというふうに思います。  戦後ずっと長い間工場排水などが汚染の原因の中心でありました。だけれども、最近はむしろ生活排水、それが汚染の主流になってきていることは、もう先生御案内のとおりです。  実は、今からもう二十年近い前なんですけれども、綾瀬川と同じように、私が住んでいる多摩川、多摩川のすぐほとりに私は住んでいるものですから、綾瀬川がワーストワンなら多摩川がワーストスリーぐらいの、悪い方を競っていた川でございました。魚は奇形の魚があったり、それから洗剤の泡が風に吹かれて舞っているというような状態の川でございましたけれども、今はとてもきれいになりました。  私は、それは私の努力だけではないのですが、当時、小沢環境庁長官でございまして、美濃部さんやら、神奈川の長洲さんやら、川崎の伊藤さんやら、そして、厚生省はもちろん、行政管理庁、環境庁も含めて、縦割りと横割りですね、現場を見てもらったのですね。それで、汚染の実態というのは何なんだということで協議会ができました。その協議会が見本になって実は綾瀬川の協議会ができたのです。  そうなりますと、下水道の問題がまず出てきましょう。それから、ここは綾瀬川には適していないような感じもいたしますが、礫間接触酸化法といいまして、れきの間を接触させて酸化するという、これは難しい名前を建設省がつけたのですけれども、難しい名前をつけた方が予算がとれると思ったのでしょう。それはそれとして、大変立派な施設が両側にできました。これはれきの間を何百メートルと流す、通すのですね。そうすると、自然に沈下をしたり、それからバクテリアの分解作用があったりということで、BOD、非常にきれいになるのですね。  こういうことなどもやったり、それから、個人のボランティアですけれども、例えば、サケを放流して帰ってくるのを待っている、帰ってくるまではみんなでもってきれいにしようじゃないかというふうな取り組みをする。これは、今でも町内会や各種団体などが、一斉に日を決めまして、多摩川のほとりへ出て缶やごみを全部片づけるというふうな運動をやっている。  つまり、地域住民の自主的なかかわりと参加が言われる中で、私は、受け入れ態勢をつくっていただくことが大事ではないかな。もちろん、行政がリーダーシップをとることは重要だと思っております。しかし、地域住民の積極的なかかわりと参加というものがないと、片方は汚す方、片方は何とかきれいにする方、こんな役割分担では日本の川はきれいになりません。一緒にきれいにしていくための努力をしていくこと以外にはないだろうと思います。  その点で鴨下先生が、せっかく厚生委員会の主要なメンバーでもございますし、環境庁の政務次官もなさったわけですから、張り切ってひとつ先頭に立って、地方自治体を動かしてやっていくように頑張っていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
  51. 鴨下一郎

    鴨下分科員 おっしゃるとおりなんですが、実際に、先ほど申し上げたように、綾瀬川という川は、多摩川と違いまして、かみそり堤防で川そのものが地域住民から見えないのです。我々は橋を渡るときだけ、ああ、綾瀬川は汚いなというふうなことの印象だけで、橋を渡らない限り川そのものの存在が見えない川なものですから、住民運動そのものも、盛り上げていくために非常に苦しい部分は確かにあるのです。  きょう、ちょっとそのことも含めて建設省に伺いたいのですが、綾瀬川という川は非常に特殊な川で、水源がなくて、むしろ生活雑排水だとかなんとかの関連で一つの流れをつくっているわけですけれども、ちょうど農業用水だとか何かの水がなくなる非かんがい期には、この綾瀬川の水質の悪化がさらに厳しくなるのです。そういうときに綾瀬川の放水路の効果的な利用法などが検討されていて、その中の一つに、地下鉄の東京七号線建設に合わせた、荒川からの浄化用水の導入計画などが今あるわけですけれども、この辺のことについて、具体的に、どの程度の期間で、どういうふうに実現しそうだというようなことについて、建設省から伺いたいと思います。
  52. 白波瀬正道

    ○白波瀬説明員 綾瀬川の水質の浄化というのは大変重要な課題であるというふうに我々も認識をいたしております。そういった観点からいたしまして、今御指摘ありました綾瀬川・芝川等浄化用水導水事業、これを平成七年度、今年度よりスタートさせたところでございます。  この事業は、荒川から埼玉高速鉄道の地下シールドトンネルの空間を利用いたしまして、綾瀬川及び、汚濁の著しい伝右川、毛長川、それに加えまして芝川にも導水いたしますが、そういった川に導水を行いまして河川の浄化を行おうというようなものでございます。  この全体の工程でございますが、今申し上げましたように、埼玉高速鉄道と一体として行うこととしておりますので、この地下鉄の計画、赤羽から浦和の方に平成十二年開通をめどに進められておるようでございますので、この事業と調整をとりながら進めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  53. 鴨下一郎

    鴨下分科員 実際に流量がふえれば多少はきれいになるのかもわかりませんけれども、それだけでは、綾瀬川の場合にはなかなか厳しい状況があるのだろうと私は思います。  建設省がお考えになっている、いわば綾瀬川の汚濁機構の解明といいますか、そういうようなことに関するお考えがもしあれば、ちょっとお示しいただきたいと思います。
  54. 白波瀬正道

    ○白波瀬説明員 綾瀬川の汚濁機構の解明といいますか、綾瀬川そのものは、先ほど委員御指摘のとおり、水源としての山地を持たない、いわゆる平地の河川でございます。そういったことから、平常時の流量が比較的少ないという大きな特徴がございます。そして、先ほど来御指摘ございますように、急激な都市化というようなことから、流入してまいりますところの汚濁負荷が大変急激に増加していったというような特徴があるのではないか、そういったことでございます。  もちろん、浄化の基本となりますことは、流域におけるところの対策、流入しますところの汚濁負荷をできる限り少なくする、汚濁源での対策というものが基本ではございますが、河川といたしましての対策としても、あらゆる手だてをしなければならないというふうに考えております。そういった中で、水量が少ないといったようなこともございまして、浄化用水を導入する、そして河川をきれいにするといったことは相当効果があるしいうふうな河川であると考えております。
  55. 鴨下一郎

    鴨下分科員 綾瀬川という川が、今、本来の河川としての機能が、都市部の今我々が住んでいる足立区、それから草加市あたりのところで果たしてどういう機能を持っているのかというので、私は甚だ疑問に感ずるときがあるのですね。むしろもう川としての使命を終わってしまった川なのかなというようなことで、実際には私は綾瀬川に対しては大変な思い入れもありますよ、それは子供のころ親しんだ川ですし。さっき長官おっしゃっていたように、瀬があやなすように流れていたという、ある意味で治水そのものにとっては厄介な川だったのですけれども、実際には、かつては大変美しい景観だったのですよ。ただ、今の段階で、非常に厳しい汚染と、それからかみそり堤防に囲まれて、本当に、まさしく人工的などぶ川に化してしまっているわけですね。  そういうような意味で、建設省は、あの綾瀬川という川が都市の中でどういう機能を持っているというふうにお考えになっていますか。
  56. 白波瀬正道

    ○白波瀬説明員 綾瀬川のいわゆる都市におけるところの機能というようなことでございますが、これは一般論といたしましてもそうでございますし、また綾瀬川といたしましてもそうでございますけれども、都市部におけるところの河川というのは、いわゆる貴重なオープンスペースとしての機能が一つあろうかと思います。  ただその前に、基本的な治水上の要請といいますか、そういったものに対応しなければならないという課題もございます。綾瀬川の場合、委員御指摘のとおり、いわゆる低平地の非常にべたっとした状態の地域におけるところの河川でございます。こういったところにおきますところの治水対策、これは大変難しい治水対策一つと言われておるところでございます。いわゆるポンプ等を使わなければならない等の非常に難しい治水対策の必要な河川でもございます。  そういった意味で、この川は、治水上あるいはそういった環境上の要請といったものも十分受けとめていかなければならない河川ではないか、そういう機能が求められる川ではないか、そういうふうに考えております。
  57. 鴨下一郎

    鴨下分科員 いつも、台風が来たときとか高潮の心配のあるようなときに、むしろ綾瀬川そのものは海からの逆流で非常に水面が高くなって厳しい状況になるわけですね。そうすると、あの川そのものが、治水で、いわば洪水だとかなんかの予防というよりも、むしろ危険を高めているような要素があるのではないかというふうに考えるのですけれども、これは素人考えでしょうか。
  58. 白波瀬正道

    ○白波瀬説明員 低平地の河川の治水といいますのは、まさしく海からの影響を受けるわけでございます。そういったことを十分考慮した上での治水対策ということになるわけでございます。そういった意味で、例えば海の潮位が低いあるいは下流川の水位が低いといったときにはできる限り早く上流の洪水を流し去る、あるいは、どうしても潮位との関係等で出せないときにはその区間の河川においてある程度我慢し、そしてポンプ等で対応していく、そういったようなことが求められるというようなことでございます。大変難しい治水上の課題を持ちながら従来から対応してきたというような河川でございます。
  59. 鴨下一郎

    鴨下分科員 今いみじくもおっしゃいましたけれども、ポンプでくみ出すような川なのですよね。ですから、海がずっと足立区の方まで入り込んできているようなもので、それを防ぐために高い堤防で高潮なんかのときに備えるというような、むしろ川というよりは洪水の危険をどんどん人家の方に招き入れているような、そういうような印象を持っているものですから。  それからもう一つは、先ほどの浄化用水を導入して川をきれいにしようといってもなかなかはかばかしくいかないというようなことを考えますと、ちょっと発想を変えるというのもいかがかなと思いまして、例えば川底に大きな下水を完備して上層部にはむしろ人工的なせせらぎをつくっていくような、こういうような発想というのは建設省にはございますか。それから、全国的にそういうようなことで河川の発想を変えて、空間を利用していくというようなことは今まではいかがだったのでしょうか。
  60. 白波瀬正道

    ○白波瀬説明員 先ほどの綾瀬川の治水対策、洪水を招き入れるという御指摘でございましたが、必ずしもそういうことではございませんで、あくまで洪水に対して適切に対応しようという治水の方式であるというふうに考えております。そして浄化を行いますこと、このことは我々としては、まずそういった潤いのある水辺空間の形成の前提条件として、こういった水をきれいにすることが大変重要であるというふうに考えております。  それから最後の点の、上層部をせせらぎにという、いわゆる二層河川といいますかそういうことであろうかと思いますが、二層河川の事例、洪水を地下水路で処理をいたしまして上部区間を親水空間として整備をする、そういった事例は栃木県の釜川といったような例はあることはございます。
  61. 鴨下一郎

    鴨下分科員 綾瀬川は、一級河川で流量も多いといいますか、実際には、そういうような二層河川にするというにはなかなか技術的に難しい川なのでしょうか。
  62. 白波瀬正道

    ○白波瀬説明員 二層河川といたします場合に、いわゆる下層といいますか、下が大きなトンネルといいますか、そういう地下構造物になるわけでございます。そういったことからいたしまして、例えば、河床勾配が非常に緩やかなこの綾瀬川の例のような場合ですと、その洪水処理上の効率といいますか、あるいはその中に堆積します泥の処理といいますか、そういったことに関連しての管理の問題とか、そういったいろいろな点について検討は必要であろうかというふうに思います。
  63. 鴨下一郎

    鴨下分科員 もう時間がなくなりましたので終わりにしますが、長官、まず綾瀬川の浄化対策は、これは本当に各省庁を乗り越えた形でやらないとなかなかうまくいかないものですから、私は、環境庁という省庁はまさしく調整機能を発揮する省庁だろうというふうに思うのですね。そういうことで、全国に大変汚れた川もたくさんありますけれども、これも一つの自治体だけではなかなか解決しませんし、国だけでもなかなかうまくいかない。その辺の調整をして総合的に環境を整え、そして国民のためにいい環境をつくっていくというようなことにおいては、もうまさしく環境庁の仕事なのだろうというふうに思いますので、その辺、最後にお言葉をいただきたいと思います。
  64. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 この点については、いろんな経験をここのところさせられているわけです、長良川を初め。その意味でいいますと、建設省と連絡をとりながらも、しかし環境という観点を重視する立場からは、環境庁はその主張を大胆にしていくことが必要だろう、その調和の上に、やはり川を治める者は国を治めるという言葉のように頑張っていかなければいけないなというふうに思いますので、先生ぜひこれからも御協力を賜りたいと思います。ありがとうございました。
  65. 鴨下一郎

    鴨下分科員 終わります。
  66. 桜井新

    桜井主査 これにて鴨下一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、矢島恒夫君。
  67. 矢島恒夫

    矢島分科員 まず、長官にお聞きするわけですが、自然環境保全とか特にナショナルトラスト、こういう問題についての基本的な御見解を承りたいと思うわけです。  埼玉県では、さいたま緑のトラスト基金条例というものが制定されました。そして土地や建物等を買い取りまして、管理保全、こういうことに必要な経費の財源に充てるわけでありますけれども、さいたま緑のトラスト基金というのが昭和六十年四月に創設されております。この基金によって、保全の第一号地として見沼田んぼ周辺の斜面林を定めました。そして、第二号地として狭山丘陵の雑魚入樹林地というところが地元の協力を得て取得されました。そして保全しているわけであります。  このナショナルトラスト活動について、平成六年の環境白書の中でも、大変評価した、また必要性を説いた文章が載っております。これは平成六年度の環境白書ですけれども、ナショナルトラスト活動は「国民自らの手による自然保護活動として極めて有意義なものであり、さらに普及、定着していくことが期待される。」こう書かれております。  私は、この活動は非常に重要であり、さらに推進していくということが大切だろうと思いますが、長官、この大都市の周辺の自然環境保全ということについての御見解、ナショナルトラストについてのお考えをお聞かせいただければと思います。
  68. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 矢島先生御指摘のように、ナショナルトラスト運動は、広く国民から寄附金を募って、すぐれた自然環境を取得し、管理して保全していくという、いわば参加型の自然保護、自然環境保全活動だということは申すまでもございません。  実を申しますと、ナショナル・トラストを進める全国の会というものから社団法人のナショナル・トラスト協会というふうになっていく過程で、原文兵衛さんが環境庁長官の時代でございますが、知床の藤谷さんと朝日新聞の木原さんと私が相談をいたしまして、これはばらばらにやってもしようがないから、全国の運動を連絡、そして協力、その体制をつくろうということで第一回の集会を知床でつくりまして、そこで宣言が出されて今日に至っております。ついせんだっても実は新宿でその会を開いたわけですが、その意味では私ども、積極的にその運動を環境庁政策の中でも生かしてほしいなと願っております。  今御指摘いただきましたように、白書だけでなくて環境基本計画でも、自然と人間との共生確保という観点から促進すべき民間環境保全活動一つとして、ナショナルトラスト運動というものを位置づけております。これは、環境事業団、あるいは今先生おっしゃった地域のいろいろなナショナルトラスト、緑のトラストとかいろいろな名前がございますけれども、県あるいは市町村まで含めたそういう団体ができてきました。それから、私はやはり、そういうことができた上でも、税制上の所要措置を租税特別措置法など含めて考えていかなければならないというふうに思っています。  そういう手だてを含めて、やはりできるだけ民間のそうした自発的な運動というものを前進させていく。国あるいは地方自治体が土地を買い上げて守っていくということはもちろん大事なことですが、参加型のという意味は、自分たちが買い取ったんだよ、だからみんなで守ろうという自発的な自然保護の思想あるいは考え方、そういう運動の広がりというものを保障するという意味で、ぜひとも今後とも進めてまいりたいと思いますので、先生にもぜひ、埼玉は率直に申し上げて全国でも進んだ地域でございますので、御協力お願いいたしたいと存じます。
  69. 矢島恒夫

    矢島分科員 そこで、私、保全の第二号地として指定されており、また埼玉でも取り組んでおります狭山丘陵を取り上げてお聞きしたいわけです。  委員長、私、狭山丘陵付近のパネル、航空写真を持ってまいりましたので、長官に見せながら御説明申し上げたいと思います。  ここに入間基地があります。滑走路でよくおわかりかと思います。そして、こちらの方が飯能の地域であります。東京都はこちらになります。ここにこういう緑の地域がきちんと写っているわけです。そこには、三千五百ヘクタールあるわけですけれども、二つの人工湖があります。狭山湖と多摩湖であります。そこを、この緑を守っていこうということで地元の人たちも大変頑張っているという地域でありまして、そういう周りが本当に市街地・都市化されている中で、首都圏、しかも東京都に近いところにこれだけの緑があるという、大変貴重な存在だろうと私は思うわけです。  ここにはオオタカが生息しているとか、それからトトロの森ということで、いろいろと新聞やテレビなどでも報道されて注目を集めているところですけれども、こういう狭山丘陵には環境庁も、いきものふれあいの里というので平成三年度から五年度にかけて埼玉県が約五億円かけて整備したわけですが、国がその三分の一の約一億七千万円の補助を行っているわけであります。このいきものふれあいの里の中には雑木林や湿地などあるわけですけれども、そういう自然そのものを野外展示物としていこうということで、その施設として、さいたま緑の森博物館というのがつくられました。入間市部分については完成しておりますが、まだ所沢市部分がこれから進められるという状況にあります。  まさにさまざまな動植物が生息している地域であります。このことにつきましては環境庁も十分御承知で、また高く評価されているのは、先ほどの白書の中にもこの部分を取り上げてこんなふうに書かれております。百七十九ページのところですけれども、「狭山丘陵の自然をまもるために「トトロのふるさと基金」運動が展開されている。保全の方法としては、広く一般の人に募金を呼びかけ、市民の手で土地を買い上げ、保全・管理していくというナショナルトラスト方式をとっており、「トトロ」という皆に親しまれている映画のキャラクターを運動のシンボルに据えたことにより、小中高生を含む多くの人々から寄付が寄せられた。」云々、こうあるわけであります。  そういう非常に豊かな緑というものが存在し、貴重な動植物が生息しているわけですが、こういう環境庁からも評価された、全国的に紹介されているこの狭山丘陵というわけで、私は乱開発からどうしても守っていかなければならない貴重な自然だ、このように思っております。この狭山丘陵について、それからいきものふれあいの里も含めて、長官の御感想、御見解を承りたいと思います。
  70. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 実は、かねてからこの地域の市民運動にかかわっている人たちから御相談やら陳情も受けておりまして、こういう役割を担うことになったものですから、御指摘を受けましたようにこれからも関心を持って、そしてここまで具体化してきたその皆さんの努力を実らせるために努力をしなきゃならぬなというふうに思っています。  ただ、矢島先生御存じのように、私、環境庁へ来てしみじみ思ったのですが、何分にも予算が足りない。それから体制も弱い。調整機能があるといいながら、実態としてはなかなかその点でも十分な力が発揮できないような状況がございます。しかし、及ばずながらそういう困難な条件を克服して頑張っていかなければいけないと思っています。というのは、狭山丘陵というのは、単にその地域の自然、緑だけではなくて、首都圏全体のいわば立派な自然の森だというふうに考えますので、湖と併存をするすばらしい自然だと思いますから、なかなか難しい予算上、資金上の制約はございますけれども、力を合わせて何とか守っていきたいなと思いますので、その点で御勘弁いたがきたいと思います。
  71. 矢島恒夫

    矢島分科員 予算の面もございますが、ぜひ積極的な長官の御活躍を期待いたします。  ところが、実はこの狭山丘陵の歴史、私も環境庁にいろいろお願いしたりお尋ねしたこともあるのですが、振り返ってみますと、狭山湖、多摩湖という二つの湖が完成した後、開発しようという勢力やあるいは自然を破壊するような行動、これと自然を守ろうという人たちとの闘いの歴史であったと言ってもいいのです。建設残土が大量に捨てられるとか、あるいはお寺や墓地がその中につくられるというようなときに、いろいろと住民運動、あるいは自然を守っていこうという人たちがそういうものをやめさせてきたという経過もございます。  最近では、埼玉県核都市広域幹線道路、この建設問題が起こっているので、建設省、いらっしゃっていると思いますが、お聞きします。  この道路、まだ計画中のようですけれども、東京都の立川市とそれから埼玉の大宮、これを結ぶ自動車専用の高速道路と言われているわけです。最初に私が申しましたいわゆるトラスト一号地の見沼田んぼ、それからトラスト二号地の狭山丘陵、これがちょうど分断されるのではないか、こういうことが言われているわけです。私の知るところでは、この道路は、東京と首都圏の業務核都市を結ぶもので、昭和六十年に国土庁が作成した首都改造計画の中で、業務核都市相互を結ぶ核都市区間高速道路の整備検討するということから始まっております。それで、今日では、平成五年からの第十一次道路整備五カ年計画に入っているようです。  この道路の建設計画はどのような段階になっているのか、また東京のどこから埼玉のどこを通ってどこへ結ぶ道路なのか、建設省、明らかにしていただきたい。
  72. 藤本貴也

    ○藤本説明員 先ほど先生お話がございましたように、核都市広域幹線道路でございますけれども、千葉、それから浦和、大宮、立川、横浜などの業務核都市を連絡する幹線道路でございます。  位置づけとしましては、正式には六十一年に首都圏基本計画の中で位置づけられておるということでございまして、具体的には、業務核都市を中心とする自立的都市圏域内の各地を結ぶとともに、業務核都市相互の連携を図る道路だということで位置づけられております。まだ、先生御指摘のような自動車専用道路というふうに決まったものではございませんけれども、基本的には比較的機能の高い道路というふうに考えてございます。  それで、この路線につきましては五十八年度から調査を進めておりまして、先ほどお話ございましたように、五年度を初年度といたします第十一次の道路整備五カ年計画の策定に際しまして、本路線につきまして「核都市を中心とする自立的な都市圏を形成するため、核都市を中心とする放射、環状道路、核都市相互を連絡する道路整備推進する。」というふうな形で記載されております。特に、その中で「核都市広域幹線道路につきましては、地域の活性化施策推進とあわせて事業の具体化を図る。」というふうにされております。  現在、これを踏まえまして、整備の効果についてどういう効果があるのか、あるいは優先的にどういうところから検討を進めていったらいいのかということの調査を行っておるところでございます。したがいまして、現在の段階ではそういう基礎的な調査実施しておるということでございまして、具体的なルートとかその辺については今後の検討ということでございます。     〔主査退席菊池主査代理着席
  73. 矢島恒夫

    矢島分科員 そういうことで調査中で、ルートについては今後検討ということだそうですが、実は所沢市総合振興計画という、これは九一年から九五年にかけての基本計画でございますけれども、これを見ますと、この核都市連絡道路というのはこんなふうなルートだというので既に書かれているのですね。これを見ますと、御案内のとおり、ちょうど狭山湖の東側、ここが狭山湖になるのですが、この東側からこう通ってきて、ここが狭山丘陵ですけれども、ちょうど狭山丘陵がここで二分される。下の方が東京です。こういうのが既に基本計画の中に入っているわけなんですね。こうなりますと、まさにこの狭山丘陵は分断される、いきものふれあいの里が二つに分けられてしまう、こういうような事態になるわけです。  また、平成二年三月に、埼玉県西部地域まちづくり協議会というのがございまして、そこがやはり同じようにダイアプランというのをつくりました。このダイアプランによりますと、この中に記載されておりますけれども、この地域、狭山丘陵地域というのをこのように言っているのですね。「良好な自然環境に恵まれているという観点から、快適で利便性の高い良質の環境の整ったネイチャーフロントの丘陵都市として特徴を活かし」て、民活、いわゆる民間活力の導入、これを「得やすい地域である。」こういう表現になっているわけです。そして、この中にも所沢市の基本計画と同じように狭山丘陵を分断するような地図が載せられているわけです。  この道路というのは、道路公団が建設するというような話も私聞いております。建設省は、今調査中ということですが、いつからどれだけの予算でどんな調査をしたのか、それから今後の見通し、こういう点を明らかにしていただきたいのです。
  74. 藤本貴也

    ○藤本説明員 今回の調査でございますけれども、先ほどちょっとお話しさせていただきましたように、昭和五十八年度から調査をさせていただいておりまして、現在の状況は、具体的なルートだとかその辺までまだ検討は進んでいないという状況でございます。  先ほど先生お話にございました所沢市の総合振興計画あるいはダイアプランですか、そういう中に具体的なルートが記載されておるというお話でございますけれども、私どもといたしましては、まだ具体的なルートについて関係の公共団体と調整するような段階にはなっていないというふうに考えておりますし、また、先ほど来お話がありましたように、実際にルートを検討する際には、自然環境あるいは生活環境等に十分配慮したルートなり構造になるような検討を進めることになろうかと存じております。  なお、道路公団が建設というふうなお話が先ほどございましたけれども、したがいまして、事業主体もまだ未定でございまして、どこが事業実施するのか、これもまだ決まってはおりません。
  75. 矢島恒夫

    矢島分科員 ルートもまだ決まっていないし、どこが事業を行うかということも決まっていないということですけれども、狭山丘陵を分断するような、自動車専用道路であるかどうか、この辺もまだ未定だそうでございますけれども、いずれにしろ、道路ができるということは狭山丘陵に非常に悪い影響を与えないわけがない、私はこう思うわけです。  環境庁にお尋ねしますけれども、もし今一部で検討されているような狭山丘陵を分断するような道路、とりわけ自動車専用道路ということになりますと、せっかく環境庁予算補助で整備されたいきものふれあいの里、このスポットがそれぞれの地域にあるわけですけれども、ちょうどこのスポット1、水鳥の楽園、ここのところを通るわけなんですよ。ですから、せっかくそれぞれのエリアをつくったり、あるいはスポットは五つですか、それぞれ自然の中につくられたわけですけれども、その水鳥の楽園のところが大変な状況になるのではないか、こう思うわけです。そうしますと、狭山丘陵の自然を大切にしたいと願っている多くの方々の思いはもちろんですけれども、環境庁がせっかくの予算を投入してつくり上げていくこれらの自然というものに対しましても大変な影響になるし、その予算も踏みにじるような結果になりはしないか。いかがでしょう。まだ具体的ではないけれども、もしこのような道路建設というようなことになったときに、環境庁としては認められないのじゃないかと思うのですが、ひとつ環境庁答弁お願いします。
  76. 菊地邦雄

    ○菊地説明員 お答えいたします。  私ども、先生御指摘の道路の計画について、ただいま御説明ありましたような状況の段階ですし、正直申し上げて全くその道路の計画自体承知いたしておりません。  ただ、この地域、御指摘のとおり、私どもも補助金を出し、県あるいは地元と一体となってこういった趣旨の事業をやってきたわけでございますし、そういう観点と、もしもそういう状況になったときどういうふうにすり合わせができるのかという点については、今後の段階でございますけれども、地元と十分に相談をしながら対応してまいりたいと思っております。
  77. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 ついせんだっての閣議で、閣僚懇談会の中で、実は下水道とか港湾とかあるいは都市公園についての公共投資の枠組みについての提案がございました。一応閣議了解をしたわけですが、そのときに私から、国民の血税をこれだけ使うんだから、少なくとも公共事業環境に対する配慮というものを十分してほしい、それは各省庁の仕事にかかわることだけれども、内閣としてもそういう姿をぜひ進めてほしいものだ、そういう提案をいたしました。それで、了解をいただきまして、総理もその後、よくいいタイミングで言っていただいた、だからよろしく環境庁に頑張ってほしい、こんな発言もいただきました。  問題は、私は、道路というのはだれにとって利便なのかということと、それからもう一つは、今菊地審議官が指摘をしたように、二重投資というよりも、投資したものを消してしまうような投資のあり方というものは、これは建設省も十分考えていただかなければならぬし、考えているだろうというふうに思います。  いずれにしても、まだ計画が具体化しているわけではございませんので、この段階で一般論として云々と言うことは避けますけれども、今のような配慮は、環境を守っていく上の基本的なスタンスとして我々は考えなければならないことだというふうに考えております。
  78. 矢島恒夫

    矢島分科員 実際に具体化されていない状況であることは、先ほどの建設省のお答えでわかりましたが、しかし、これは計画が具体化されてしまいますと、実はなかなか大変なんですよ。これは、ルートを変えるとかいろいろな問題が起きてまいりますので、私はやはり今の段階で、この狭山丘陵の自然を守っていこうという環境庁の決意が必要になるだろう。ルートはどこになるかわかりませんから、今の段階では、このいわゆるふれあいの里を守っていくんだ、こういう決意の上に立ってこの問題を見守って、注意深く関心を持っていていただきたい、こう思うわけなんです。  それで、実は既に道路建設促進期成同盟というものが、今の段階で準備会がもう数回持たれておりますが、恐らく近々結成されるという状況になってきております。  私が申し上げなくても御案内かと思いますが、狭山丘陵には高等植物が約千種類あるわけですね。それから鳥類も、オオタカだとかジョウビタキだとかアオゲラ、イカル、大体二百種類以上いるだろう。それから、貴重な昆虫もたくさんおります。だから、自然保護団体が呼びかけた、先ほど来長官もお話しの狭山丘陵ナショナルトラスト、トトロのふるさと基金と呼んでおりますが、ここには、始めてここ数年の間に小中学生を含めて一万三千二百七十八人の方が基金を寄せられております、二月二十日現在ですが。そして、その基金は一億七千八百万円というものにもなっているわけなんですね。ですから私、やはりこういう小中学生が自然を守ろうというこの運動に、大体基金の四〇%はそういう子供たちだという状況、こういうことを考えてみましても、なかなか全国には例がないそうでございますが、こういう人たちの夢を踏みにじってはならないな、こう考えております。  同時に、この地域には非常に遺跡が多いのです。とりわけ旧石器時代の、日本にも珍しい遺跡があります。縄文あるいは弥生、それぞれの時代の遺跡がたくさん残っております。文化財の宝庫とも言われているところです。こういうものが万一失われてしまうというようなことになったら、本当に重大な問題だ。  環境庁も、いきものふれあいの里整備事業推進してきたお考えと責任もあろうかと思うのです。最後に、時間が来ましたので、長官にひとつ、この狭山丘陵、トトロのふるさとを守っていく、保護していく決意をお伺いして、終わりたいと思います。
  79. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 環境庁が皆さんの要望を受けとめながら、そして国の政治の中でも取り組んでいく事業でございますから、その事業に障害になるようなことについては、これは私どもとして賛成するわけにはまいりません。そういうスタンスはきちんと守っていきたいと思っております。  ただ、お願いをしたいのは、やはり何だかんだいっても、先ほど言いましたように、利便をだれが享受し、だれがそれを求めるかということを、短く考えるかもつとロングレンジに考えるかという考え方のところで少し差が出てまいりますので、市民運動、住民運動、そして地方自治体をきちんと巻き込んで、ぜひみんなで守っていこう、私たちにとっては子供や孫の時代に対する責任を果たそうということで頑張っていただきたいな、こんなことをお願いを申し上げておきます。
  80. 矢島恒夫

    矢島分科員 ひとつ長官にも頑張っていただくことをお願いして、質問を終わります。
  81. 菊池福治郎

    ○菊池主査代理 これにて矢島恒夫君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田治君。
  82. 吉田治

    吉田(治)分科員 吉田でございます。  質問をする前に、岩垂大臣は、安保の垂さん、また護憲の垂さんと、先生の、大臣の政治生活というのは、絶えず、日本を平和に、そして国民を安定してと、国民に根をおろしてということを政治のテーマにされて、安保の垂さんと言われ選挙を戦ってこられたのではないか、そういうふうにも私は聞いております。  では、その大臣、六千八百五十億というこのお金、今まで大臣を支えていただいた皆さん方のところに帰って、こうこうこうだからみんな払ってくれと胸を張って言えるのか。また、その人たちが納得するのか。大臣というお立場でも結構でございます。この本年度予算、いや前の内閣が決めたことだから、そういう逃げ口上を私は許したくはない。前の内閣をそのまま引き継いだのだから、それには行政の継続性という部分で大臣にも責任がある。内閣の一員としてどうお考えなのか。また、内閣を離れて、議員として、また岩垂一個人として、憲法を守って五十年のあなたはどうお考えなのか、一言御所見を述べていただきたいと思います。
  83. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 私は、橋本内閣の閣僚の一人であります。したがって、内閣一体となって進めている方針、つまり予算を成立させる、こういう努力をともに支えていく立場だということだけは申し上げておきたいと思います。  それから、細かくいろいろ申し上げるつもりはございませんけれども、そのままにして時間がたったら一体結果として何が残るだろうかという懸念を、昨年の決定をした村山内閣は、苦悩をした結果としてその結論を導いたというふうに思います。  ただ、そのことはそうなってみないとなかなかわかりにくいところがあります。そうだろう、いやそうではない、こういうやりとりのレベルではなかなか証明が難しい面もございます。したがって、例えば金融不安の問題にしても、あるいはこれ以上赤字がどんどん膨らんでしまうという事態に対してどう対応するかというような面でも、あるいはまた破産法の処理で始末をしてどうなっていくだろうかというようなことについての、いわば仮定の議論というものを立ててみてもなかなかどうにもならぬ面もあるわけですが、私は、そういう意味でいうとやむを得ない選択だったのかなということを率直に感じています。  したがって、そのことなどについて私は避けるつもりはありませんし、そういうことで吉田先比に随分を質問を受けましたが、それについて、私は私の気持ちを率直に訴えていますし、これからもいかざるを得ない、いかざるを得ないというよりもいきたいというふうに思っていますので、御理解をいただきたいと思います。
  84. 吉田治

    吉田(治)分科員 さすが信念の方だけあって、この件に関しても仮定の話と。しかしながら、余りにも国民にとってはその話は許せない話ではないか。民間企業の話。また、岩垂大臣の地元でそんなに農協が強いのですか。農林系金融機関のためにと、このごろそういう説が流れています。それに対してそういうお答えをいただくというのは、私はある意味で極めて心外と同時に、これは岩垂大臣にしても内閣の一員になるとそうなってしまうのかと、私自身、学生時代から社会党の皆様方のそういうお考えというものに関してはある意味で畏敬の念を持っておりましたけれども、そういうふうに思う次第でございます。  それでは、環境庁自身の質問に移らせていただきたいと思います。  私ども子供時分に、小学校四年生のときですか、やはり今でも覚えております。ですから、今から二十数年前になると思います。当時、公害というものがクローズアップされつつあったときです。ある日の午前中の授業だったと思います、突然部屋が真っ暗になりまして、周りが暗くなりまして、そのとき初めて、大気汚染という言葉じゃございません、スモッグという言葉を身をもって実感したわけです。真っ暗になって電気をつけて、そのときの小学校の先生が、自動車の排気ガスでこうなるんだよと、工場のばい煙とは申されませんでしたけれども、そう言われて、ああ大変なことだなと。  それで中学校へ入りまして、ちょっと運動、活動しておりましたら、ある夏の暑い盛り、走っておりますと、突然みんな息苦しくなった、つらくなったといって倒れるのですね。これは今で言う光化学スモッグでございますね。ですから、私の世代というのは身をもって、もう体自身で公害というのを受けとめた世代でございます。  しかしながら、それから二十数年、環境庁の皆様方の御努力もあり、またその指導に基づいたさまざまな工場であるとか自動車であるとか、そういうものをつくっている会社であるとか、また一人一人の国民協力があって、まあ光化学スモッグ情報は出ますけれども、光化学スモッグで救急車で運ばれたというのはこのごろ聞きませんし、空が真っ黒になるようなスモッグがこのごろあるかといったら、そういうこともなくなってまいりました。また、水の方も随分きれいにもなりつつある。すべてがもとへ戻ったとは言えませんけれども、そういう中において、この環境行政というものが持つ今日的意味合いというのですか、それをどういうふうにお考えになられているのでしょうか。
  85. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 先生御指摘のように、自動車公害というものはかなり深刻になりまして、私は、もう二十四年前でございますけれども、実は昭和四十七年、一九七二年に初当選をいたしまして、特に川崎が選挙区だったものですから、いわゆる工場公害を初めとする公害対策、それから同時に自動車の排ガス、この健康被害というようなものに真剣に、及ばずながらですが取り組んできました。そのときは、自動車の出す排ガスを少なくしていく、つまり低公害車への転換のために大変多くの時間を委員会で費やしたつもりです。  ところが当時は、自動車メーカーは、私が余り厳しく言うものですから、岩垂さん、それはいいけれども、そんなことを言っておったら我が社はつぶれてしまうということを言われました。それから、労働組合からさえ、そんなこと言ったら私どもの雇用をどうしてくれるのですかというようなことさえ指摘を受けました。でも、やはり国民の生命あるいは健康ということから考えて頑張ってきたつもりです。私が努力したということだけでなくて、日本じゅうがそれを考えたのです、私はその一億分の一、一人なんですけれども。  しかし、その困難に自動車メーカーは本当に取り組んで、真剣に研究をし、結果的に低公害車を開発しました。それは、文字どおり世界に誇ることのできるような低公害車ができたのです。それが日本の自動車が世界に進出をしていった大きな理由でもあろうと思います。低公害と同時に、いわば低エネルギーといいましょうか、エネルギーをたくさん食わないという意味で、立派な努力だったと私は思うのです。だから、そういう努力をみんながもう一遍しなければいかぬぞという感じで今います。  というのは、吉田先生一番御案内のように、地球環境、この問題は、単に私たちの身の回りの問題だけではなくて、実は地球の未来が、つまり私たちの子供や孫の時代の生命や健康がどうなっていくかという境目が今だというふうに思います。そんな意味で、地球温暖化の問題を含めて、もちろんオゾン層破壊熱帯雨林や、あるいは砂漠化海洋汚染や、問題が山ほどありますが、こうした地球的な規模の環境問題に対する取り組みというものを、全面的に力を合わせて頑張っていかなければいけないのではないだろうか、こんな認識を持っておりますので、先生にもぜひ御協力、御理解をいただきたいと思います。
  86. 吉田治

    吉田(治)分科員 そういうふうな中、言われることはよくわかります。私も全面的に賛成をいたします。  しかしながら、一つの例を挙げましたら、その自動車の、アメリカでしたらマスキー法、日本でしたら公害防止の——今大臣が、昭和四十七年といいますと、私はまだそれこそちょうどスモッグがわかった小学生のときでございます。それからやられているというと、随分長くされているのだなと思うのですけれども。結果としてそうだったのですけれども、そのときにアメリカはどういう対応をされたかというと、これはよしあしは別でございますよ、そこはビッグスリーの意を受けて、当時カーター政権だったと思うのですが、マスキー法を少し緩めた。だから結果としては、競争力の部分ではビッグスリーはそれで努力を怠ってだめになった。しかしながら今度は、今の時代になってきますと、努力を怠ってだめになったからまた頑張って、今アメリカのビッグスリーはよくなった。日本はそれを、技術力に物を言わせてどんどん輸出していった。だから自分で自分の首を絞めていった。それで、今自動車というのはある意味で不況になっている、空洞化の問題も出てきている。すべてが、輪廻転生じゃございませんけれども、因果応報というか、何かそういうのがあると思います。まあこれは話に全然関係ないことでございますけれども。  しかしながら、やはり経済と環境というものは対立するものではないと私は思うのですね。どこかで調和をし、どこかで共生し、調整し、調和していくというものだと思うのです。  現下の、今何が言われているかというと、大臣も参画されている内閣で、また前の、大臣の所属されている、当時の社会党政権であった村山内閣で、規制緩和ということが随分言われました。この規制緩和というのは、御承知のとおり、経済的規制は原則なしにしましょうよ、必要なものだけ規制していきましょうよ、それによってさまざまな、参入だとか新規事業をしていきましょうというのがこの経済的規制緩和というものになるのです。  では、そこで環境というものがどう影響してくるのか。ある人はこういうふうに言われています。環境が厳しいから、規制緩和をしてもなかなか新規事業というのはしづらいのじゃないか、いやいや、環境自身まで規制緩和の対象にしなければいけない、この議論は余りされておりませんけれども、そういうふうに一部言われる方もいらっしゃいます。  私は、その辺の調和というもの、調整というものが重要になってきますし、先ほどのカーター大統領の意見ではありませんけれども、そこが、例えば今から二十数年前のスモッグで真っ暗になった日本というものをイメージしたままの環境であっても、これはまた今の時代にある意味ではそぐわない、その辺の調和というものをこれからどういうふうに考え、どうなさっていくのかということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  87. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 実は、今申し上げた私が当選した時代というのは、公害国会の次の年でございまして、経済との調和ということで随分議論が行われました。  今先生御指摘でございますけれども、私は、環境保全に関する各種の規制というのは、国民の健康の保護あるいはかけがえのない自然環境の保護などの観点から行われている、いわゆる社会的規制に属するものだというふうに思っています。先生おっしゃったような需給調整の観点から行われる参入規制などのいわゆる経済的規制とは同列に扱うことはできない、こういう立場を私は貫こうと思っています。  また、最近の地球環境問題を初めとする環境問題に対する国民の意識がずっと盛り上がってきています。国際的な見地からの要請などを踏まえて、場合によっては一層の規制の充実強化を求めなければならない意見も盛り上がってきていることについても、御理解のとおりです。  ただ、社会的規制だからといって、その範囲、内容を本来の政策目的に沿った最小限のものにとどめておかないと、これもまたいろいろな批判を受けることになります。したがって、環境庁としては、例えば申請者の負担の軽減だとかあるいは手続の簡素化などを中心といたしまして、規制緩和の推進に現実に努力をしていることについて御理解をいただきたいと思います。
  88. 吉田治

    吉田(治)分科員 環境行政というのは、日本ではすばらしい部分があると同時に、今大臣もいみじくも言われましたように社会的規制という部分、大臣は最小限というふうなことをはっきり申されましたけれども、やはりそこが私は重要だと思うのですね。  余りにも環境環境と振りかざしますと、極端なことを言ったら、それだったらあなたたちランプで住みなよというふうな話も出てまいります。いや、自分たちは今の生活を享受しながら環境もというふうな話、これはどうですかね。自動車に乗って、モーダルシフトということはないですけれども、では自動車は公害が激しいから電車に移ろうとか、これは欧米の事例で、今特にヨーロッパでは、自動車というのは公害の元凶になるからできるだけやめて電車に乗り移ろうというふうな、そういうモーダルシフトが行われている。そういうふうなことも聞いております。  やはり環境行政の中で社会的規制だというのであれば、そういうふうにしていく施策というのですか、一人一人が認識して——何か環境というと、一般の人たちが言いますと、正直な気持ち、ちょっと変わった人たちだな、声高に叫んでと。もっと言いますと、これはいい例かどうかわかりません、電力会社の正面玄関にテントを張ってそこへ住んで環境環境だと。どうも環境というとそればかりがクローズアップされて、余談ですけれども、そこへ住み過ぎて、郵便が何々電力会社前何々テント何々様というとそこへ届いたという話もあるぐらい、一面過激で、何というのですか、エキセントリックというんですか、そういう部分が、何か環境には秘められている部分があると思うのですけれども、環境全体ということを考えた場合に、大臣として今はそういうふうに答弁されましたけれども、この環境というものは日本国内だけの環境ではなく、今大臣も言いましたように、国際的な部分というもの、そういうものも非常に重要になってくると思います。  よく言われておりますように、日本の国内の発電所が世界で一番公害が少ない。少ないというのは、値段の張る石炭を買って火力発電をしている。しかしながら、日本には偏西風というのがやってまいりますね。黄砂という形で砂が飛んでまいりますね。今、経済が勃興している、経済が発展している中国ではそんなことお構いなしに、安い硫黄分をたくさん含んだ、NOx、SOxというのですか、そういうものを含んだものではんばん発電所をたいて、その煙が中国におりるのではなくて、偏西風に乗って日本へやってきている。以前から言われております酸性雨の問題でありますとか、そういう問題が今申し上げたようなことになるのだと思うのです。  やはりアジアの国々がそれぞれ経済を発展するということになりますと、環境という問題は何も日本国内だけ声高に叫ぶのではなくて、これは大臣も言われましたように、世界的視野というのですか、特に私ども、アジア太平洋というものをこれから視野に入れていく場合に、アジアのそういう経済発展と環境というものをどう進めていくのかということが重要になってくると同時に、今度は、アジアの側からするとこういう意見があると私は思うのです。あなたたちはいいよな、経済で十分余裕がある、だから環境的な設備も施策もできるんじゃないか、自分たちはこれから経済を発展させるんだ、ちょっとぐらい、先進国の皆さんが経済発展のときには目をつぶったような環境問題にこっちが目をつぶらせてくれよ、競争するにはそれぐらいのハンディを欲しいよ、というふうな意見が出てくるのも、これは、これから発展しようという国にとっては、ある意味でこちら側も納得せざるを得ない部分というのがあるんじゃないかな。しかしながら、地球規模で考えた場合には、それはおかしいんじゃないかな。  また、日本の企業が、よく言われておりますように、海外へ出て伐採をさまざましているとか、いっときはやりましたね、割りばしを使わないというのが。あれはどこに行ったのですかね。結果として、割りばしを使わなければそういう要らない木を買わなくて済むかというと、いや、そうじゃない、あの割りばしは間伐材でつくっているから、ああいうのは使った方がいいんだというふうな説が出てきたり、いつの間にかどこかへ消えていってしまった。  環境と国際化というふうなもの、これについての大臣なり環境庁なりのお考えと、それからもう一つ言えるのは、今度は先進国の方が環境についてハンディを持ってくれというのであれば、日本がこの二十数年間蓄積してきた環境技術、あれだけのスモッグがなくなった、大気汚染が減ってきた、また河川が浄化されてきた、そういうふうな環境技術というものを世界にどう広めていくか、国際化していくか。  これは悪い言い方かもしれませんけれども、環境ビジネスといっとき言われましたけれども、技術援助、経済援助、また経済の一つの、ビジネスチャンスという言い方は私は余り環境についてはしたくないのですけれども、やはり日本が次の世代に何を飯の種にするかと考えた場合には、この環境というもの、環境に付随する技術というのが大きなチャンスを生むものではないかなと思っております。この辺の環境の国際化、また環境技術の国際化についてのお考えを賜れば幸いでございます。     〔菊池主査代理退席、主査着席〕
  89. 大西孝夫

    大西政府委員 先生御指摘のとおり、今日、環境問題が国際的なレベルで考えられるべき状況になっておりまして、特に先生おっしゃいますように、先進国といわゆる途上国との間の格差というような問題もありまして、二割の先進国の人々が八割のエネルギー資源を使っているという状況の中で、これから地球レベルで環境問題を考えようというときに、それぞれ、その先進国の思い、立場と、いわゆる途上国の思い、立場は当然違いがあるわけですが、それが一緒に手を携えて共通の問題に対処していこうということになりますと、その協力の枠組み、舞台づくりそのものからなかなか難航するという状況がございまして、例えば地球温暖化と言われる部分についてのCO2排出量の抑制について、共同して努力しましょうというその話し合いにつきましても、なかなか共通の認識ということに行き着かない。そういうことで、共通ではあるけれども、差異、違いのある責任をお互いに分かち合おうという、何といいますか、二つの違う立場のグループをつなぐためのアイデア、知恵というものが必要になってきている状況でございます。  そういう中で、しかし深刻化する問題に何とがやはり対処しなければいかぬという意識、コンセンサスはできつつあるわけでございまして、そういう中で、特に先進国がこれまでたどってきた中で、その一方では享受した反面、いろいろ苦い体験もあったわけで、その過程から生まれてきたいろいろな技術、ノウハウがあるわけですが、それを今後どう途上国の方でも生かしてもらうかというのがやはり地球レベルで、全体で考えていく上で非常に重要なポイントになってくると思っているわけでございます。  私どもも、従来からいわゆるODAという形で環境分野についても、地球サミット以後、特に重点的に政府としてのODA予算の拡充、実施を行ってきているわけでありますが、環境分野で特にその技術供与というような形、技術の移転というような観点からいいますと、一つには、JICAとかOECFとか、そういうところを中心とした有償ないし無償の技術協力、資金協力の中で研修センターなどが現地でつくられまして、そこに日本からいろいろ専門家を派遣する、我が環境庁からもそういうところへ派遣されていく、あるいは日本に来ていただいていろいろ研修いただくというような形で、技術、ノウハウの移転が行われやすいように努めてきておるところでございます。  環境庁独自としましても、わずかではございますが予算をとって、独自の研修、あるいは共同で政策の策定等を行う、そういう過程でのノウハウ、専門的知識の移転ということにも努めております。  それからまた、私ども環境庁では、二国間のいろいろな取り組みとしまして、日中環境保護協力あるいは日韓環境保護協力という協定を結んでおりまして、そういうものに基づきまして、例えば酸性雨とか水質汚染等に関します研究協力等をやっております。  また、多国間でいいますと、エコ・アジアというような会議を毎年開かせていただいておりまして、平成三年から既に四回日本で開催しております。それからまた、先月でございますが、仙台で第五回目の地球温暖化アジア太平洋地域セミナーというものを開かせていただきました。あるいは、サンゴ礁保全に関します国際的な取り組み推進するという意味で、アメリカやオーストラリアの協力を得ながら、昨年フィリピンで国際サンゴ礁イニシアチブワークショップを開催するというようなこともしております。  そういういろいろ接触をする機会をふやす中で多様な事業を行い、その過程の中で、先ほど申し上げました共通だが差異ある責任を果たすために、先進国からの技術移転がしやすくなるような条件づくり、雰囲気づくりをそういういろいろな触れ合いをする機会を設ける中で進めているところでございます。  今後とも、そういう意味で、JICA等のODA実施官庁と私どもの方でも十分協力しつつ、また環境庁独自でもいろいろ予算獲得などいたしまして、人材の養成あるいは技術の移転ということにつきまして一生懸命努めてまいりたいと思っております。今後の私どもの重要な課題一つというふうに考えております。
  90. 吉田治

    吉田(治)分科員 国際化のこと、よくわかりました。  また話を、大気汚染というのですか、もとの私の環境行政の原点であるスモッグというものに戻していきますと、やはり自動車の公害対策というものを推進していかなければならない。大臣言われましたように、自動車産業というのは随分頑張っておられますが、このごろ、天然ガス、また電気自動車というものに対する予算を組まれておりますし、また、地元からもそれに対する予算要望というのが随分やってきております。  私の住まいのすぐ近くにも、天然ガスの充てん所というのがございまして、突然できまして、私も一台車欲しいなと思いまして、聞きましたら売っていない、値段聞いたら非常に高い。大阪府さんが一台か二台持っているというので払い下げしてもらおうかというので聞きますと、あれはリースだから払い下げはないんだと言われました。そういう設備をつくって非常にお金を入れて、そこには一日人がずっと張りついておられる。ああいうところに一日何台来るのでしょうね。大阪府と書いてあるから、この人はやはり公務員で、税金をこの人にも払っているのかな、委託されているのかな、いろいろ思いをめぐらすのですけれども。  天然ガス、また電気自動車に関しては、このごろ新聞等で、実用化、ここまで来たよというふうな話も聞いておりますが、開発、実用化、また、それに至るまでの購入に対する助成というのですか、そういうふうなものを環境行政の中でどうなされているのかということをお聞かせいただきたいと同時に、もう一つ、低公害車を考えた場合に、LPガス車、町で走っているタクシーですね、あれはLPガスを使っておりまして、一〇〇%燃焼をして公害のない車だと言われております。しかしながら、低公害車といいますと、つい天然ガスだ、電気自動車だ、ソーラーカーだとなるのですけれども、このLPガス車がなぜ低公害車と言われずに、こちら側はそう言われるのか。その違いというのですか、その辺の何か理由づけがあるのであれば、それもちょっと問題意識として持っておりますので、聞かせていただきたいと思います。
  91. 大澤進

    ○大澤政府委員 簡単に申し上げますが、この低公害車の実用化の状況とか、あるいは普及の取り組み状況でございます。  御承知のように、価格の問題は別にしましても、一般に低公害車は、一充電あるいは一充てん当たりの走行距離が短いなど、ガソリン車等に比較すると性能が劣る点がございます。しかし、使用する分野によっては、機能的には低公害車を実用に供することは現段階においても十分可能だと考えております。例えば、在宅ケアの訪問用に小さな電気自動車を使いますし、企業あるいは官公庁の近辺の巡回あるいは連絡業務などにも電気自動車を使います。それから、天然ガスなど馬力のあるものについては都市部のバス事業あるいはごみ収集業務等にも使いますし、あるいはハイブリッド自動車も大型のバスを運行するのに非常に性能がいいという状況でございます。  そこで、私どもはどういう普及に取り組んできたかと申しますと、これまで、まず一つは、自治体に公害パトロール車というのを導入するために、それに対する補助をしてまいりました。また、環境庁の関連の特殊法人でございますが、公害健康被害補償予防協会、ここの基金によってやはり低公害車の導入の助成をしてきております。これら以外にも、一般に低公害車については税制上の優遇措置もとってきておりますし、さらには、東京とか大阪、大都市中心に毎年低公害車フェアというものを何日間か開きまして、一般国民にもPRしております。  そこで、今年度新たに、こういう普及活動については、一つは、低公害車の技術開発の促進を図るため、排出ガス技術指針というものを策定して広くPRしているところでございますし、また、地方自治体の環境担当者とかあるいは自動車メーカー、さらには関係団体等の参加を得て、低公害車普及に向けての国際シンポジウムを開催しまして、各国の先進的な取り組み事例を広く紹介しているというような状況もございます。  さらに、御指摘のありました八年度予算では新たに五億円の予算を計上しておりまして、これは、地方自治体によるごみの収集車あるいは福祉分野、公用車あるいはバス事業所等で低公害車の集中導入を促進する助成制度でございまして、購入の差額に対して補助をしていく。  この低公害車というのは、どちらかというと、御承知のようにこれまではPR的といいますか、象徴的な位置づけなり段階にあったわけでございますが、今回、八年度予算では、ごみ収集車とかバス営業所の、この営業所単位にできれば十台単位、その営業所の全車両の三割なり五割ぐらいをどんと低公害車にかえていただいて、排ガス低減に目に見える形で寄与するように大量普及の契機をつくっていきたい、このように考えて予算を計上しているところでございます。  さらに、最後にLPGの関係でございますけれども、これは端的に申しますと、LPGはガソリン車と排ガス規制値が同一になっております。したがいまして、技術的にはガソリン車とほぼ同程度の排ガス濃度であるという状況にございまして、NOxについてもCO2についても同じでございます。  そこで、ディーゼル車とこのLPGを比較すると、これは黒煙が排出されないとか、あるいはNOxの排出量が一割程度低いということから、ディーゼル車の代替としては低公害と考えられますが、ただ、天然ガス自動車ほどの低公害性はない、つまり天然ガス自動車の方がより排出ガスは少ない、こういう状況にございます。  いずれにしましても、LPGにつきましても広い意味での低公害の位置づけにできるかどうかも含めて今後検討してまいりたい、私どもはかように考えております。
  92. 吉田治

    吉田(治)分科員 この件に関してはやはり量産効果というのが一番大きゅうございますので、どう量産効果を出すかということでひとつ頑張っていただきます。  以上で終わります。
  93. 桜井新

    桜井主査 これにて吉田治君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして総理府所管環境庁についての質疑は終了いたしました。  午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  94. 桜井新

    桜井主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。大原農林水産大臣
  95. 大原一三

    ○大原国務大臣 平成八年度農林水産予算概要を御説明申し上げます。  まず、予算の基礎となっております農林水産施策の基本方針について御説明申し上げます。  農林水産業は、国民生活に不可欠な食糧等の安定供給という大切な使命に加えて、地域経済・社会の安定と維持発展、国土や自然環境保全など極めて多様で重要な役割を果たしております。また、国土の大宗を占める農山漁村は、生産の場であり、かつ、農林漁業者と地域住民の生活の場であります。また、伝統に裏づけられた個性に富む地域文化をはぐくみ、緑と潤いに満ちた生活・余暇空間を提供する国民の共有財産でもあります。  こうした役割や機能を持つ我が国の農林水産業と農山漁村をめぐる状況は、我が国経済の国際化、高度化、人口や産業の都市への集中といった諸情勢の変化の中で、従事者の減少、高齢化の進行、山村等における過疎化など近年大きく変貌しております。  特に、昨年四月からウルグアイ・ラウンド農業合意が実施され、我が国農業、農村は新たな国境措置のもとで厳しい環境のもとに置かれております。  このような中で、今後の農林水産行政を推進するに当たっては、長期的展望のもとに、農林水産業の体質強化と魅力ある農山漁村の建設を実現していくとともに、国土の均衡と特色ある発展を図ることが重要であります。  このため、農林水産省といたしましては、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の着実な推進を図るとともに、担い手の育成に重点を置いた施策展開などを積極的に推進していくため、平成八年度予算においても、所要の予算を計上したところであります。  まず、その枠組みから御説明申し上げます。  平成八年度一般会計予算における農林水産予算の総額は、関係省庁計上分を含めて、三兆五千九百七十三億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆九千五百七十四億円、非公共事業のうちの一般事業費が一兆三千六百九十四億円、主要食糧関係費が二千七百五億円であります。  以下、農林水産予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しを得まして、御説明を省略させていただきたいと存じます。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。  以上でございます。
  96. 桜井新

    桜井主査 この際、お諮りいたします。  ただいま大原農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 桜井新

    桜井主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔大原国務大臣の説明を省略した部分〕  以下、予算の重点事項について御説明します。  第一は、ウルグァイ・ラウンド農業合意関連対策の着実な推進であります。  対策二年目として、平成八年度予算においては、公共事業である農業農村整備事業について六百億円、農地流動化対策をはじめとする非公共事業について四百八十三億円、合計一千八十三億円を計上し、事業の着実な推進を図ります。  第二は、担い手による意欲的な生産活動支援であります。  経営感覚に優れた農業の担い手を育成するとともに、そうした担い手が生産の大宗を担う農業構造を実現するため、農業金融の充実を図るほか、農業者に対する経営相談・指導体制充実等を推進します。  また、新たな「農産物の需要と生産の長期見通し」に沿いつつ、主要作目の生産・流通対策強化を図ることとしております。特に、野菜については、契約取引・産地連携の推進、原産地表示の適正化等を推進します。畜産関係については乳業及び食肉処理施設の再編整備、広域流通に対応した生乳のブロック流通体制のモデル的構築等を推進します。麦・大豆については、生産性・品質向上のための技術の実証、基礎的な生産条件の整備による主産地形成等を推進します。  さらに、主要食糧の需給と価格の安定を図るため、自主流通米計画流通対策、自主流通米計画販売対策、自主流通備蓄・調整保管関連対策からなる米の計画流通推進総合対策を創設します。また、米の生産調整の円滑な推進を図るため、生産調整の実効性の確保、生産者・地域の自主性の尊重及び望ましい営農の実現に重点を置いて、新生産調整推進対策実施します。  第三は、農山漁村対策の総合的展開であります。  関係省庁との連携により農山漁村対策を総合的に推進することとし、農山漁村高齢者対策について、厚生省・文部省と連携し高齢者の生きがい発揮の場、高齢者等のアメニティに配慮した生活環境整備を総合的に実施するとともに、建設省と連携し、中山間地域においてふるさと情報を幅広く一般に提供します。  また、都市と比較して著しく立ち後れている農山漁村地域の生活環境整備を図るため、集落排水施設、農道等の整備推進するとともに、農山漁村の情報化等を進めます。  さらに、地域防災計画に基づく避難広場等の防災施設整備等防災対策強化を図るほか、公共性が高い大規模土地改良施設を対象として維持管理強化を図ります。  このほか、「安全な海岸、自然と共生する海岸、利用され親しまれる海岸」をテーマに第6次海岸事業五箇年計画を策定します。  第四は、食品の消費流通対策充実であります。  「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」の適切かつ円滑な施行を図るため、容器包装廃棄物のリサイクルシステムの普及定着等を推進します。  また、食品の安全性への関心の高まり及び国際的な品質管理システムヘの整合化の要請に対応して、JAS制度への食品の高度品質管理システムの導入等を図ります。  第五は、新しい産業分野の創出の支援であります。  農林水産関係の新産業分野創出の基礎となる技術開発の促進を図ることとし、革新的技術創出のための基礎調査、生物系特定産業技術研究推進機構を通じた基礎研究、民間能力の活用による新産業創出のための研究開発等を推進します。  また、地域気象予報の自由化を受け、農業分野における詳細な気象情報の高度な活用に向けた条件づくりを推進します。  第六は、林業、木材産業の活性化と緑豊かな森林・山村の整備であります。  森林施業の受委託を通じた施業規模の拡大等による林業経営の安定化、新規就業の促進等による林業労働力の確保と林業事業体の育成、また、製材工場等の再編及び施設の近代化の促進等による木材供給体制整備と需要の拡大を一体的に推進する総合的な対策実施します。  また、災害に強い国土基盤の形成、良質な水の安定供給や緑豊かな環境の創出等を図るため、造林、林道、治山の林野公共事業計画的に推進します。  さらに、国有林野事業については、「国有林野事業の改善に関する計画」に即して、経営改善を着実に推進することとし、一般会計から国有林野事業特別会計への繰入れ措置の充実を図ります。  第七は、新たな海洋秩序に対応した水産施策充実であります。  国連海洋法条約に対応した的確な資源管理を推進するため、我が国周辺の漁業資源調査等を実施するとともに、基幹的漁業の生産構造の再編整備を進めます。  また、栽培漁業、養殖業の振興等によりつくり育てる漁業を一層推進します。  さらに、漁業経営の安定を図るとともに魚価の安定にも資するため、漁業者等が実施する資源管理型漁業、流通改善等の取組支援する資金を創設する等水産制度金融対策充実を図ります。  このほか、消費者ニーズに対応した水産物流通・加工体制整備、沿岸域の漁業管理上重要な基幹漁港の緊急整備等実施します。  次に、特別会計について御説明いたします。  食糧管理特別会計においては、管理経費の節減等に努めつつ、一般会計から調整勘定へ所要額の繰入れを行うとともに、その他の各特別会計についてもそれぞれ所要の予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画については、農林漁業金融公庫による資金運用部資金等の借入れ等総額七千四百三億円を予定しております。  これをもちまして、平成八年度農林水産予算概要説明を終わります。     —————————————
  98. 桜井新

    桜井主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  99. 桜井新

    桜井主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。松下忠洋君。
  100. 松下忠洋

    松下分科員 鹿児島から出てきております松下忠洋と申します。  農林水産省の行政のうち、特に林野庁が中心になって進めております林野行政、森林のあり方、それについてお尋ねしたいと思っておりますし、また、木材産業の振興についてぜひお尋ねしたいというふうに考えております。  一つは、松くい虫対策について、全国の森林についてそれをお尋ねいたします。それから二つ目は、鹿児島県の日本一の砂浜であります吹上浜の松くい虫対策、それについてのお話をぜひ聞かせてもらいたいと思っております。それから三つ目が、木材産業の振興についてお尋ねいたします。これは林野庁だけではなくて、通商産業省や建設省にも来ていただいております。関連があると思ったからでございます。もう一つは、これは地域の問題でございますけれども、保安林や国有林内における、いろいろな作業をするについての手続の問題がございまして、簡素化できないかという話でございます。  まず、一番の松くい虫対策についてお尋ねをいたします。  大変な森林の被害があると思っておりますし、鹿児島県の例は後で申し上げますけれども、吹上浜が非常に、恐らく三分の二ぐらいは伐採されてしまったのではないかと思っておりますけれども、そういう状態が全国に続いている。特に、風台風で傷んだ後の森林の弱り方、そしてまた、連年襲ってくる台風による森林の被害、そういうものも加速されているのであろうと思いますけれども、そのことについて、どのようなふうに今林野庁の中で全国の森林についてとらえておられるのか、そして、その対策についてどのような予算をどういうふうにしておられるのか、その効果についてどういうふうに認識しておられるか、お聞かせいただきたいと思うのであります。  環境庁にはまた、そういうことで、環境行政の中でこういう問題をどうとらえているかということでお呼びしてありますので、またお尋ねをいたします。  よろしくお願いします。     〔主査退席菊池主査代理着席
  101. 入澤肇

    ○入澤政府委員 全国の松くい虫被害の現状とその対策につきまして、御説明申し上げます。  まず、昭和四十年代後半から松くい虫の被害が増大してまいりまして、その後、昭和五十四年度には二百四十三万立方というふうに大幅にふえまして、これがピークでございましたが、その後、徐々に政策効果もあらわれまして、近年ではピーク時の半分程度の水準で推移しております。平成六年度の被害量は百十二万立方というふうになっております。  この松くい虫被害対策につきましては、五十二年に初めて松くい虫被害防除のための特別措置法が制定されまして、以来四回にわたりまして法律改正がなされております。現在は、平成四年三月に改正、延長されました松くい虫被害対策特別措置法、これに基づきまして具体的な被害対策をやっているのでございますけれども、要点は、従前の対策では、被害松林全体を対象としていましたためになかなか重点的に効果的に実施できなかったという反省がございました。  そこで今回は、対策を講じる松林の範囲を、保全する松林、これは全国で二十九万ヘクタールございまして、被害松林の五四%を占めております、さらに、その保全する松林の周辺の松林、これは十万ヘクタールございまして、被害松林の一八%を占めておりますが、これに限定いたしまして被害対策を重点的にやるということにしております。特に、保全する松林につきましては、特別防除、これは空中散布を含みます、それから地上散布、特別伐倒駆除それから伐倒駆除など、徹底した防除を実施することにしておりますし、保全する松林の周辺松林につきましては、計画的に他の樹種、特に広葉樹林等への転換を進めることにしております。  平成八年度の予算で申し上げますと、特別防除、空中散布約八万ヘクタールを予定していまして、十九億二千万円、地上散布は約一万ヘクタール、四億三千万円、特別伐倒駆除が約八万立方、二億五千万円、伐倒駆除約十二万立方、四億二千万円、総計三十五億八千万円というふうになっております。  今回につきましては、松くい虫被害対策が必要になってきた前の段階ぐらいまでほぼ面積が減っておりますが、またしかし、地域によっては蔓延の可能性もありますので、現在、省内に松くい虫のこれからの防除対策のあり方につきまして研究会を設けまして議論をしているところでございます。
  102. 松下忠洋

    松下分科員 今、入澤長官から概要についてお話がありましたけれども、鹿児島県でもいろいろ手当てをしております。予防対策、それから駆除対策、それから樹種の転換対策ですね。そして、そのもとになる試験研究ということで、多面的にとらえて進めておられますが、森林の被害の状況なり傷み方を見ておりますと、本当にそういう松くい虫だけのものによるものなのかどうか。全体の森林生態系といいますか、土壌の地方の問題、それから海に近ければ海の潮風の問題あるいは海水の問題、あるいは台風等による森林のいろいろな被害、あるいは大気汚染、そういうようなものも、やはり総合的にいろいろ入ってくるのだろうと思うのですね。  そういうところをもう少し詳しく、どういうふうに全体の中でこの森林の被害というものをとらえておられるのか、試験研究成果等も含めて、お話しいただければありがたいと思っております。
  103. 入澤肇

    ○入澤政府委員 松くい虫の被害の直接的な原因究明につきましては、森林総研が研究成果を発表しております。要するに、マツノザイセンチュウをマダラカミキリが食べて、それが繁殖して伝播して、そして被害を拡大するということになっておりますけれども、それを助長する要因は幾つか指摘されております。  それは、一つは地方が非常に弱っている、あるいは酸性雨等の影響も見られる、あるいはその他の空気汚染等が指摘されております。もちろん、台風によって樹体が弱まったところにそういうマツノザイセンチュウが入り込みますと、一層被害が拡大する、そういうふうなことが言われております。しかし基本的には、やはりマツノザイセンチュウによる原因が基本的なものでございまして、これを防除することが必要であるというふうに考えております。
  104. 松下忠洋

    松下分科員 環境庁に来てもらいましたのは、けさのお話の中でもいろいろ注文申し上げましたけれども、こういう森林の傷み、松くい虫による対策もそうですけれども、いろいろな場面で、酸性雨も含めてそういう被害がやはり、一向に衰えがやまずに効果が上がらない。そういう状況で、環境庁として、どういうふうにこの問題を認識しておられて、それをどういうふうに取り組もうとしておられるのか。  林野庁もいろいろ苦労しておられるでしょうし、また環境庁環境庁の立場で、大気汚染も含めて、酸性雨の問題も含めて取り組んでおられるということですけれども、この問題をどう認識しておられるのか、お聞かせいただきたいと思っております。
  105. 下均

    ○下説明員 西日本を中心に分布いたしております松林、その多くが人間活動影響を受けて成立したいわゆる二次林でございますけれども、我が国自然環境の主要な構成要素の一つ認識しておるところでございます。特に、自然公園などの風景地におきましては、白砂青松という言葉にあらわされておりますように、松林が景観の構成要素として重要な役割を担っている例も少なくないというふうに考えておるところでございます。  私どもといたしましても、国立公園等の風景地におきまして、松枯れが非常に目立ちまして風景が変化している、そういう現状につきましては危機感を抱いているところでございます。これらの地域にありましては、松林の美しい景観を維持するために、生態系への影響にも十分配慮しながら適切な被害防止対策に努めていく必要があると考えているところでございます。  環境庁といたしましては、国立公園等で環境庁が所管いたしております土地にございます重要な松林につきましては、従来から防除対策実施したところでございます。そのほかの自然公園等における景観上重要な松林につきましては、都道府県の担当部局など関係行政機関と十分な連携を図りながら、美しい景観の維持に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  106. 松下忠洋

    松下分科員 今環境庁の方も適切な対応をしておるという話でございましたけれども、林野庁との技術の交流なり知識の交換などもしながら、いろいろ効果的な措置というものを対応してやっているのかということなのですが、その辺はどうなのでしょうか。
  107. 下均

    ○下説明員 国立公園等の防除に当たりましては、都道府県の林務担当部局、あるいは私ども、国有林の、営林署の皆さんとも日ごろからのおつき合いもございますので、その方々からの御意見といいますか、いただきながら、適切に実施しているところでございます。
  108. 松下忠洋

    松下分科員 ぜひ二人三脚で、国レベルでの協力関係をつくりながらやってもらいたいというふうに思うのであります。  これは、鹿児島の吹上浜、鹿児島県でやっている例でございますけれども、二週間前に、私は小型飛行機で鹿児島の薩摩半島の吹上浜一帯をずっと上空から見てみました。地上からではよく見えなかったわけですけれども、恐らく三分の二がもう切り倒されている、私は飛行機から見てそう思いました。  一部はまだ良好なところが残っておりますけれども、いつまでそれがきちっとなるのか非常に心配しておるのですけれども、鹿児島県でも確かに、おっしゃいましたように、平成四年が一万七千八百立米といいますから、ここをピークにしてずっと下がってきております。平成六年度でいきますと一万一千ほどでございまして、平成七年が一万八千ほどにまたふえてきておりますけれども、やはりどうしても、そのときそのときによってばっと広がっていったりぱっと詰めてきたりしているということでございまして、特に平成六年度の吹上浜一帯の国有林の被害というのは非常に大きかったわけでありまして、伐採し、燃やすしかないということで、一斉にそういうふうに処置がとられております。  そのことがまた、松林がなくなってしまったものですから、その後背地の方に対する風圧、潮風の問題なども起こってきて、また別のいろいろな議論が出てきているということになっておりますけれども、この鹿児島県の吹上浜、これは九十九里浜と匹敵するほどのすばらしい砂浜のある、しかも砂の祭典を毎年してもう十年目になりますけれども、そういう全国的にも誇り得る砂浜だと思っていますけれども、白砂青松、その白砂が残り、青松がなくなる。しかも、そうなりますと、今度は魚が寄ってこなくなり、水が濁り、また全体の海岸のいろいろな環境そのものが壊れていくのじゃないかと非常に心配をしております。  それについてどのようなふうに今認識して対応しておられるのか、今後も含めてお話しいただきたいと思います。
  109. 入澤肇

    ○入澤政府委員 今御指摘がありました鹿児島県の吹上浜の松林、これは二市五町にわたりまして、面積は一千五百ヘクタール余りでございますが、その中で松くい虫の被害量、これが平成六年度一万六千立方、今先生が御指摘したとおりでございます。  特に、平成七年度におきましては、被害が拡大したということから伐倒駆除の事業費を大幅に増額いたしまして、被害対策を拡充したわけでございます。その結果、私来る前に県当局から報告を受けましたら、平成七年度の松くい虫の被害量は、昨年十二月末現在で約七千立方、対前年比で四三%に大幅に減少しているというふうに聞いております。  しかし、今後とも、このような状況を踏まえまして、年に二回の特別防除あるいは伐倒駆除、被害木の林外搬出あるいは木材破砕機による枝条のチップ化等の被害対策の適切な実施をやっていきたい。  それから、特に西日本では、マツノザイセンチュウに強い抵抗性クロマツの植栽を通じて対策を講ずるべきじゃないかということで、早くから研究が進められております。昭和五十三年度から、国の林木育種センターと九州、四国、瀬戸内、近畿の関係十四県が連携いたしまして、マツノザイセンチュウ抵抗性育種事業というのを実施しまして、昭和六十年度までにアカマツで九十二系統、クロマツで十六系統、計百八系統を選抜しております。この選抜した苗木を採種園等で造成いたしまして、そして供給しているのですけれども、こういう事業強化することによって、せっかくの松林を保全していきたいというふうに考えているわけでございます。
  110. 松下忠洋

    松下分科員 いずれにしましても、風光明媚な国の白砂青松、そういう地域がどんどんなくなっていく、その点に対して、環境庁とも一緒に、ぜひいい対策をとってもらいたいと思うのであります。  そこに遊歩道という、これは環境庁が進めて去ります。そういう歩道があったんですけれども、環境が余りにも激変してしまっているものですからもう途中で放棄されてしまって、人が来るような自然遊歩道、そういうものも破棄されてしまっているというような状況にもなっておりまして、やはり全体の地域そのものの魅力というものもそういうことで薄れてきているということがありますので、ぜひ真剣に取り組んでいただいて、集中的に復活を図っていただきたいと思うのであります。  一番心配しておりますのは、長官、その後の森林をどうつくり直していくかという復活の問題なんですよ。非常に難しいと思うんですけれども、その辺はどんなふうに具体的に環境庁なんかも冷めて考えておられますか。切って、後どうしているのか。そのまま置いておるんですね。いかがですか。
  111. 入澤肇

    ○入澤政府委員 伐木した後、吹上浜ではクロマツとクスノキですね。平成四年度ではクスノキとヤマモモ。それから五年度も同じです。六年度は抵抗性クロマツとクスノキ、こんなのを松林の後に植林をして樹種転換を進めておりますけれども、特に鹿児島県では、昭和六十二年度から隼人町でクロマツ十六系統の県営採種園一ヘクタールを造成いたしましてこれを推進することにしておりますし、平成七年三月には、川辺地区とか加世田市の植樹祭を吹上浜で開催いたしまして、県林業試験場で生産した苗木四百本、それから国の林木育種センター九州育種場で生産した苗木三百四十本を試験的に植栽をいたしまして、その成果を見ているわけでございますが、樹種転換を図りながら、一方で優良な松林を残すということとあわせて実施していきたいというふうに考えているわけでございます。
  112. 松下忠洋

    松下分科員 ぜひ連係プレーをとりながら、本当に効果ある対策を進めてもらいたい、そういうふうに思います。  次は、木材の振興策なんですが、国産材をもっと使っていくというような方策をぜひしてもらいたいということでございます。  つい最近鹿児島でも、私の選挙区の中で二つの製材所が閉鎖いたしました。一つは十数人、一つは二十何人おるところです。長い歴史を持っておったところだったんですけれども、閉鎖せざるを得なくなったということでございます。  一つは、外材に押されて国産材の価格がその関連でなかなか上がらないということでございますし、従業員の給与のアップというようなこともございまして利益が望めなくなった。そういうことでずっと重圧がかかって累積赤字がかさんできた、耐えられなくなってきたということですね。それから、民有林、国有林からの良質の林木、そういうものが供給されにくくなってきているという話を実際に聞いてまいりました。それから、製材工場の近代化が進まない、効率が悪いということ。それから、従業員の高齢化が進んできてどうしても効率的に進まないし、そして後にかわってくれる人がいなくなってきたということなんですね。ですから、今林業そのものが抱えている課題が、倒産しているところ、閉鎖しているところを見ると、もうはっきりとあらわれてきているわけですね。  これは長官も知っておられると思います、もう百も承知ですけれども、やはり外材との競合がある。そこに勝つにはどうすればいいかということが一つあるわけですね。それともう一つは、手近にある国産材をしっかりと使うというマニュアル、そういうものを国としても進めていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんです。そういう需要の掘り起こしをぜひしなければいけないというふうに思うんです。  そういうことで、通産省にも来ていただき、そして建設省にも来てもらっておるわけです。ぜひ御意見を伺いたいと思いますけれども、長官、まず、林業の今のありよう、それから林野庁としてどう立て直そうとしているのか、そこのところを教えてください。
  113. 入澤肇

    ○入澤政府委員 今先生御指摘のとおり、我が国林業界の一番の問題点は、木材需要が昭和五十五年ころからずっと低迷、停滞している。需要が右肩上がりにならない限り林業者の所得もふえませんから、産業として衰退するだけでございます。そこで、私どもは、需要を拡大するにはどうしたらいいかということに焦点を絞ってこれからいろんな対策を講じたいと思っております。  今御指摘がありましたように、国産材は外材に比べて非常に問題があるということで、どんどん外材のシェアは高まっているわけでございますけれども、質の面では、これは外材と同じように乾燥をきちんとして狂いかないようにして材を供給することが必要である。  それから量につきまして、価格いかんによって切ったり切らなかったりする形態が各地に見られますので、安定的にロットをまとめて製材工場に送り出すような仕組みを考えなくちゃいけない。  それからコストにつきましては、私どもの計算では、例えば年間一方から三万立方の処理能力がある工場で製材いたしますと、製材コストは外国でひいてきた材に十分に対抗できるという試算がございます。コストの面につきまして、生産性を上げるために近代的な設備を設置する、さらにそういうことを担う労働力を確保する、こんなことを政策の中心に据えて、外材に対抗して、国産材が文字どおり商品価値を持って消費者に届くような仕組みを強化していきたいというふうに考えているわけでございます。
  114. 松下忠洋

    松下分科員 通産省の方、見えていますね。確かに自由貿易の中で、これはいろいろなものが入ってきてもいい。それにしかるべき関税をかけて、後は競争だということがあるんでしょうけれども、やはり需要に見合ったといいますか、秩序ある外材の輸入というのができないのかという気がするわけですね。ここはいろんな意見があるんでしょうけれども、今通産省として、外国産の林木あるいは製品になったもの、半製品のもの、どのように近年輸入し、日本でどのような秩序の中で浸透していっているのか、そういうことについての御意見をちょっともらいたいと思います。
  115. 新木雅之

    ○新木説明員 お答え申し上げます。  木材の輸入に関する御質問でございますけれども、まず量的なものを申し上げますと、九四年におきましては八千四百八十四万立方メートルとなっておりまして、前年比二・六%の増加になっております。それから金額面におきましては百四十五億ドルとなっておりまして、これは前年比二・二%の減少となっておるところでございます。  それから、通商上の政策の問題として輸入制度につきまして申し上げますと、御案内のとおり、木材は三十年代に自由化された品目でございまして、現在はウルグアイ・ラウンド合意に基づきまして、五年間にわたり段階的に関税の引き下げを実施しておるというところでございます。  以上でございます。
  116. 松下忠洋

    松下分科員 これは通産省としてはどういうとらえ方をしておるんですか。もう日本の市場の中で自由にやってきていいんだ、一切それは構わない、乱暴な言い方をすると自由なんだ、そういうことなんでしょうか。どうなんですか。
  117. 新木雅之

    ○新木説明員 お答え申し上げます。  輸入に関連する、例えば制限措置の適用とかそういう問題につきましての御質問と受けとめましてお答え申し上げますが、輸入制限の適用ということになりますと、やはり生産であるとか価格動向であるとかあるいは国内産業への影響等の検討はもとより、これはWTOの諸協定との整合性が図られることが必要でございまして、これにつきましては慎重に対処していく必要があると考えております。  以上でございます。
  118. 松下忠洋

    松下分科員 これはまた個別にぜひ具体的な細かい話をいろいろ聞いてみたいと思っておりますので、通産省の方とはまた別の機会を設けたいと思っております。  これは鹿児島県の方からも要望が出ておりまして、需要に見合った秩序ある外材輸入措置をとってもらいたい、こう来ております。  これは、なかなか実現が難しいところがあるのかもしれませんけれども、総需要量の約八割を外材が占めている。木材価格の形成に大きな影響を与えている輸入材というものについて、需要に見合った秩序ある輸入措置は実現できないのかということが、鹿児島県の方から、相次いで倒産している製材工場などの実態を見ながら出てきておりますので、これについては、またいろいろな面で勉強させてもらって、お話しさせてもらいたいと思っております。  それから、国産材の需要について、建設省の方に来てもらっておりますけれども、家の内装とか、それからある部材を木材を使うというようなことをある部門のところでしていただきますと、そこのところで木材の新しい需要が起こるわけですね。それはタイルもタイルで大事でしょうし、あるいはまた、いろいろな新しい化学製品でできる内装材も美しいのがあるでしょうけれども、もっと木材を、国産材を使って、しかも内装用としていろいろしていくというようなこともぜひ取り組んでいただきたい、こう思うのです。  建設省の方で、いろいろな行政指導の中で、国産材の使い方についてどのようなふうに指導しておられるか、それを教えていただきたい。
  119. 杉山義孝

    ○杉山説明員 住宅といいますのは、全国いろいろ気候や風土が違う中で、一つの文化のような形でつくられていくという側面がございます。私ども、やはり地域の特性に合った住宅を供給していくということが木造住宅の振興にもかなうことでございますし、それが国産材の活用を図っていくということになる、基本的にそういうふうに思っております。  そのためにいろいろなことをやっておりますけれども、例えば地方公共団体の方で木造住宅を活用して供給していく。その場合、地域の気候、風土を踏まえた住宅の供給ということについての総合的な計画をつくっていただきまして、それに基づいて、例えば技能を持っておられる方を継承、育成していくとか、木の町をつくっていく、あるいは木造住宅の設計を支援していくような、そういうことも進めております。  また、都道府県が地場産材を使う住宅の場合に利子補給をする制度を全国的につくっていただいておりまして、そういう利子補給制度と抱き合わせまして住宅金融公庫の割り増しをするという地域優良住宅制度というのがございます。これも、今年間五千戸余りの供給をしておりますけれども、年々浸透してきております。また、公的な住宅、公営住宅等に地場産材を生かしたものとして供給していっていただきたいということで、これが大体年間二千戸ぐらい、地場産材を生かした木造の公営住宅建設を推進しておりますけれども、これも年々増加をしてきております。  また、いろいろな意味での耐久性を図っていく、向上していくような技術開発等も、私どもは支援をしております。鹿児島県の場合ですと、昨年の秋に木造住宅推進協議会というのをつくりまして、これは、県の山側、製材側、それから大工さん、工務店、住宅供給事業者、こういう方々に入っていただきまして、いろいろ関係の業種の方と御相談をしながら振興策を図るという協議会も、昨年の秋に設立をしたようなところでございます。  こういったことを通じまして、気候、風土に合った住宅ということの中での国産材の振興を私どもも指導していきたいと思っております。
  120. 松下忠洋

    松下分科員 今建設省の方から説明がありましたけれども、してもらいたいのは、少なくともまず第一歩は官公庁の建物ですね。そういうもので国産材を使う、その地域のものを使う、そして内装材もそういうものを使っていくんだということをその設計の仕様書の中に入れ込む、書き込んでいく。そして、きちっと使わせることを、国としてもやれということをしてもらうだけで、相当の需要が新しく出てくる。そしてまた元気が出てくるということになりますので、そこはぜひお願いしたい。一言、もう一つお願いします。
  121. 杉山義孝

    ○杉山説明員 官公需ということになりますと私ども営繕部の方でございますので、先生の御意向も十分に伝えたいと思いますし、それからまた、先はどのような公的な住宅は、そういうことで県産材を使っていきたい。  それから、今林野庁さんとも共同で検討を進めておりますのは、例えば、中高層のアパートといいますか住宅にもっと内装材を使えないだろうかということで、住都公団のある団地をモデル的に取り上げまして、鉄筋コンクリートでつくった建物の中にも、内装としては木を使えないかということの研究もしております。
  122. 松下忠洋

    松下分科員 時間が参りましたので終わりますが、国有林や保安林の中の手続の問題、これはまた個別にお聞きして、簡素化を図っていただくようにお願いしたいと思っております。  ありがとうございました。
  123. 菊池福治郎

    ○菊池主査代理 これにて松下忠洋君の質疑は終了いたしました。  次に、川島實君。
  124. 川島實

    川島分科員 新進党の川島實です。私は、今議題になっております平成八年度予算の農業農村整備事業ほか、幾つかの点についてお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、愛知県岡崎市の県営担い生育成基盤整備事業六ツ美中部地区の事業についてお伺いをいたします。  この地区は、戦前戦後の施行による旧耕地整理事業で十アール区画に整備されているものの、農道等は狭小であり、その上、全般に平たん地域特有の地下水位が高く、排水不良区域が多く見られ、経営規模拡大を著しく阻害している地区であります。  したがいまして、土地改良区による事業推進を陳情されておるところでございますが、平成八年度事業計画策定がなされているかどうか、まずお伺いをしておきたいと思います。
  125. 野中和雄

    ○野中政府委員 ただいま具体的な地区のお尋ねでございますが、手元に資料がございませんけれども、お話のございました点につきましては、十分検討をさせていただきたいと思います。
  126. 川島實

    川島分科員 これは、前年度ですか、前々年度も継続で第一区画ができておりまして、次のところが検討しなければならぬというような状況になっているのですか。  では、予算がWTOの関係で六兆円、事業に入っている。これは六兆円のうちの一部の事業じゃないのですか。どういうふうに使われているのですか。
  127. 野中和雄

    ○野中政府委員 ウルグアイ・ラウンド対策につきましては、六年間で六兆百億円でございますが、これは全体でございますけれども、このうちに土地改良事業等の事業がございます。これらをもちまして、全国の生産性を急速に向上いたしますために、重点的な予算を配分して圃場整備等々を実施しているところでございます。  ただいまの具体的な先生の地区につきましては、私、ちょっと手元にその地区の資料を持ち合わせておりませんけれども、当方にお話しいただいていることでございますれば、よく検討をさせていただきたいと存じます。
  128. 川島實

    川島分科員 この分科会でやる質問内容については、あらかじめ通告してあるはずですね。それから、地域の陳情も恐らくそちらへも行っているはずですよ。だから、三十分の間でできるだけいろいろな議論をするためにきちっと教えてある。それに、今のような答弁では不服なのでございますけれども、具体的に細かく全部聞かなければなかなか出てこないわけですか。
  129. 野中和雄

    ○野中政府委員 私ども先生から事前にいただいておりました質問を、ちょっとそういう具体的な地区の話ではなかったものでございますので、私手元にその地区の資料を今持ち合わせていなかったわけでございまして、この点につきましては、よく検討させていただきまして、また別途の機会に先生によく御説明に上がりたいと存じます。
  130. 川島實

    川島分科員 では、全国で何地区この事業が行われるのですか。前年度との関係はどうなっていますか。
  131. 野中和雄

    ○野中政府委員 これは、現在具体的な地区につきましては、それぞれ県を通じ、農政局を通じてヒアリングをさせていただいておりまして、それに基づきまして、予算が国会で成立をさせていただきました段階で各地区に御連絡をしていく、こういうふうになっているものでございまして、現在、どういう地区について、どういうふうな予算を割り当てていくかというようなことにつきましては、事務的に検討させていただいているという状況でございます。
  132. 川島實

    川島分科員 私が今聞いているのは、前年度がどれだけ実績があって、今年度がどれだけかと聞いているのですよ。
  133. 野中和雄

    ○野中政府委員 担い生育成圃場整備事業でございますが、前年度は、平成七年度予算額でございますが、六百三十七億六千八百万円の予算でございます。これに対しまして、平成八年度の政府案に盛り込んでおりますものは七百三十七億八千三百万円でございます。
  134. 川島實

    川島分科員 現在国の方へ要請が来ているのはどのくらいオーバーするのですか。
  135. 野中和雄

    ○野中政府委員 御要望が現在どのぐらい上がっているかということにつきましては、私、今手元に資料を持ち合わせておりませんけれども、予算額をかなり上回る御要望をいただいているところでございますので、現在それらにつきましてヒアリングをさせていただきまして、検討させていただいているということでございます。
  136. 川島實

    川島分科員 大体、自分の所管のところで、どのくらいの率でこうなっているかということも分析はしていないのですか。
  137. 野中和雄

    ○野中政府委員 全体として、農業農村整備事業につきましては、地域の担い手を育成をしていく、あるいは農業生産の生産性を向上をしていくということで、大変重要な事業でございまして、その点を御認識をいただきまして、各県から非常に強い要望をいただいているところでございます。  具体的に、事業ごとにどのぐらい要望を上回っているかということにつきましては、申しわけございませんが、ただいま手元に資料を持っておりません。
  138. 川島實

    川島分科員 おかしいじゃないですか。今、六兆百億円規模のいろいろな対応がなされる時期に、重要な事業だと言いながら、どれだけ来ておるか、そしてどう今年度の予算でそれを施行に移すことができるかという、そんな対策もできていないのですか、おたくのところは。
  139. 野中和雄

    ○野中政府委員 これは一般の予算でもそうでございますけれども、予算に合わせましてそれぞれ現地の地区から御要望をいただくわけでございます。これは県を通じて私どもの方にいただくわけでございまして、これらを全部積み上げまして、予算額と比べまして、またその地区ごとの状況というのもよく聞かせていただきました上で必要な予算を割り振っていくというような作業を通常行うわけでございまして、現在、各事業とも同じでございますけれども、そういうような作業を進めているという状況でございます。
  140. 川島實

    川島分科員 私が知っている範囲では、そういうふうには理解できないですね。大蔵が査定をするときには、きちっと箇所づけから細かい積算根拠があって、そしてやっている、こういう理解をしているわけですよ。だから、具体的な名前が、予算が全部上がるまでは出せないにしても、何カ所あって、その要求がどれだけ通っているかというのは全部理解ができているはずですよ。そうじゃないのですか。
  141. 野中和雄

    ○野中政府委員 政府部内におきまして予算案検討いたします場合に、財政当局と折衝をいたすわけでございますが、その時点で、非常に大きな事業等でございますれば、具体的な地区の名前あるいはその事業費等々を大蔵省に御説明をして折衝をするというようなこともございますが、例えば圃場整備事業のような地区につきましては、全国的に非常に地区数も多いわけでございますので、予算政府部内で財政当局と折衝する過程で、一々個々の地区について全部把握している、あるいはそれらについての事業費を精査をしているというような状況ではございません。
  142. 川島實

    川島分科員 少なくとも、重要な事業だと言っておきながら、これらについて全国的な要望も集計することができなくて、そして平成八年度の予算の実行率がどれだけでということもデータが出なくて、こちらからの要望についてどうなんだと聞いてもきちっとしたお答えがない。  大臣、農林水産事業予算の策定の根拠というのはこういう形で全部でき上がっているわけですか。
  143. 大原一三

    ○大原国務大臣 何か今局長の話を聞きますと、先生の要求資料を間違えて、持ってきていないのじゃないかという感じがしてならぬわけであります。  私は、役人をやっていた経験によりますと、昨年何カ所、ことし大体何カ所というのは、目標を定めないと予算を積めないのじゃないかと思うのですが、そこらの資料は、構造改善局長、ちょっと通告と何かすれ違いがあったようで、十分答えができないような感じを私持っていますけれども、どうですかそこは、局長、もう一回。
  144. 野中和雄

    ○野中政府委員 事前にお伺いをいたしましてお聞きいたしました御質問事項が、そういう具体的な地区のものでなかったもので、これは私どもの職員の多分ミスだと思いますけれども、そういうことでございますので、具体的な地区についての資料というのは持ち合わせておらないわけでございます。  私どもは、予算ができ上がりました段階におきましては、各地区から御要望をいただいておりまして、それを積み上げて全体の姿というのは集計なりなんなりをしているわけでございまして、これらにつきましてはまた別途御説明に上がらせていただきたいと存じます。
  145. 川島實

    川島分科員 大臣の言われるとおりだと私は思いますよ。  職員の人は非常に熱心で、私なんか八カ所きょうとあすで質問をいたしますので、我が方がオーケーが出たのはきのうの四時半でございますから、それから夜も寝ずにみんなは頑張って資料づくりをやり、職員もいかに皆さん方に伝えるかということで議論をしてきておりますから、通告もきちっとやっているはずなんですよ。だから、上の方、トップが、下の方がそれほど苦労をしながら頑張っているという姿がやはり理解されていないのじゃないかと思いますよ。そのことは結構でございます。一応、大臣のことで理解ができました。  次に、これは予算委員会でもちょっと議論をいたしましたけれども、新食糧法ができ上がりまして、米の流通その他が当初計画をしておったとおりなされておるのか、その点についてまずお伺いをしておきたいと思います。
  146. 高橋政行

    ○高橋政府委員 ただいま先生お話しのように、この新食糧法におきましては、我々的確な需給見通しを立てまして、それに従って全体の米の管理運営をしていこうということにしておるわけでございます。  そういう考えに基づきまして、昨年の十一月の末にそういった見通しの、指針というものを発表をしておるわけでございます。ただいまそれに基づきまして、例えて言いますと、その見通しに示されております計画流通米をしっかり集めるとか、あるいは自主流通米を集めるとかいうようなことで現在取り進めているところでございます。  それで、今後の予定といたしましては、現在のそういった状況も見ながら、指針ということで現在示しておりますので、これは三月末には基本計画ということでもう少ししっかりした内容のものとしてお示しすべく、今、現状把握と、どんなふうな計画にしていくかということを検討しておるところでございます。  それで、今どこがどう違っているかというようなことにつきましてはっきりしたことを申し上げるところまでいっておりませんけれども、大体指針で示した方向に沿っていっているのではないかというふうに思っております。
  147. 川島實

    川島分科員 まず今年度の、平成七年度の輸入米と消費者に売られた差額、これは恐らく備蓄費用という形で使っているんだと思いますが、その金額と、それから平成八年度で予定をしております。その売価との差益と備蓄費用、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  148. 高橋政行

    ○高橋政府委員 今のお尋ねは、我々、ミニマムアクセス輸入米ということで輸入しているお米のことであろうというふうに思いますが、実はミニマムアクセス輸入米、本年度は全部で四十三万トン輸入することになっております。  それで、実はこの輸入が本格化いたしましたのはこの一月に入ってからでございまして、その四十三万トンのうち現在入っておるのは三十三万トン程度でございます。それで、この三月までに四十三万トン入れるべく、今、手続を進めております。したがいまして、当初予定しておりました、七年度の予算上は二十九億の利益が出るのであろうというふうに思っておりましたが、ただいま申しましたように、輸入の時期がおくれましたこと、したがって、売却の時期もおくれておりますので、本年度の話としてはほとんど利益はございません。  それで、八年度はどういうような予定にしているかということでございますが、予算上は二十一億円の利益を計上しているところでございます。
  149. 川島實

    川島分科員 利益がないということになりますと、備蓄費用は一体どういう形で編み出されるわけですか。
  150. 高橋政行

    ○高橋政府委員 御承知のとおり、新食糧法では、過去の不作のときに消費者にどういうふうに米を安定的に供給していくかという御議論を国会でもいただきまして、その中で、やはり新食糧法の中でこの備蓄制度をしっかり位置づけていこうということになりまして、これは基本的には百五十万トンを備蓄していこうということにしておるわけでございます。  それで、こういうふうにしましたのは、先生からも前からお話がございますが、やはり備蓄というのは消費者の利益につながることでございますので、この備蓄に必要な経費はミニマムアクセス輸入米の利益、それをもって充てようということにしておりますが、備蓄に要する経費全額をミニマムアクセス輸入米の利益でもって充てるということにはしておりませんで、その足らない部分が生ずれば、それは一般会計から繰り入れている繰入金、そういうようなもので充てられていくということにもなろうかと思います。
  151. 川島實

    川島分科員 それじゃ、平成五年度はWTOの関係でいろいろ議論をしましたから、それまでの資料はあるのですよね。管理経費という形で、その中に保管料という形で、それは六年、七年ではどれだけ予算が組まれておって、八年度はどれだけ予算が組まれているのですか。
  152. 高橋政行

    ○高橋政府委員 五年度、緊急輸入米ということで二百六十万トン程度輸入をしております。  それで、これに要するいわゆる備蓄経費がどの程度かということでございますが、このときには備蓄という概念ではございませんので、それは、あるものは一カ月程度しか保管していなかったり、あるものは二カ月、三カ月というようなことで、そこはさまざまであったわけでございます。  それから、新食糧法になってからの備蓄の考えは、それは一年間保管いたしまして、それでそれを売るということでございまして、年間にいたしますと、トン当たり大体一万五千か一万六千円程度の経費を要しているという状況でございます。
  153. 川島實

    川島分科員 トン当たりを聞いているのではないです、総額の予算。だから、あなたの方で、管理経費の合計でも結構です、その中に保管料ときちっと仕分けをしてあるわけですから、どうしてそれを答えられないのですか。何が問題あるんですか。
  154. 高橋政行

    ○高橋政府委員 今ちょっとそういう細かい資料をここに持ち合わせておりませんでしたので単価ということで申し上げたということでございますが、ひとつその辺で御了承願いたいと思います。
  155. 川島實

    川島分科員 予算分科会というのは、通告した項目なら全部担当者が来ているわけでしょう。そんなことをわからないでどうするんですか、こんなことが。全く情けないですね。  次に移ります。  畜産事業団の、これはお米のことを考えますと非常に金額的には少ないわけでございますけれども、これも輸入と販売の価格の差益があるわけですね。これは去年とことしはどういう状況になっておりますか。
  156. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 畜産振興事業団は、ウルグアイ・ラウンドの合意に基づきますカレントアクセスということで、主として脱脂粉乳の形で輸入をして国内に売り渡すということにいたしております。そのマークアップ分につきましては、総額で平成六年度が約四十億円、平成七年度が約八十億円というふうになっております。
  157. 川島實

    川島分科員 これは、利益分はどういう形で予算化され事業に充てられているか、明細についてちょっと御報告をいただけませんか。
  158. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 畜産振興事業団の差益分につきましては、畜産振興事業団の中の助成勘定の方に繰り入れておりまして、その中で、消費者に資するような事業といたしましては、例えば最近骨粗鬆症などが非常に話題になっておりますけれども、そうした牛乳のよさを消費者に御理解いただく、あるいは保育所とか幼稚園とか老人ホーム、そういったところに対します牛乳の供給に対します助成事業、そういった内容を含みます牛乳・乳製品の消費拡大対策事業、これに約十九億七千三百万円支出をいたしております。  そのほか、学校給食用の助成事業を国の助成事業として行っておりますけれども、児童に対しましてより良質な牛乳を供給することを奨励しようということで、良質な牛乳の供給に対します奨励事業として約二十二億円支出をいたしているところでございます。
  159. 川島實

    川島分科員 時間がありませんので先へ進みますが、今回の住専の関係で、愛知県における農協の系統の関係への影響度ですが、まずノンバンクに貸している部分が愛知県として幾らあるのか、そして不良債権化されているのが幾らか、そして二千億の割り当てが幾らか、そして経営状況がどうなっているのか、この辺のことについて、四点についてお伺いしておきたいと思います。     〔菊池主査代理退席、主査着席〕
  160. 堤英隆

    ○堤政府委員 今四点御指摘ございましたけれども、まことに申しわけないのですけれども、個別の、愛知県信連のことでございますので、このうち住専融資残高とそれからノンバンク融資残高、それから不良債権の状況ということについてはディスクローズされておりませんので、お答えは差し控えさせていただきますが、ただ、こういうことで御説明をさせていただきたいと思います。  このうち住専融資残高につきましては、予算委員会の理事会ということで、いろいろ御議論ございまして、お示しをしてございます。その取り扱いにつきましては、予算委員会の理事会の中で御検討されているというふうに聞いております。これによりますと、愛知県信連の融資残高につきましては、具体的な数字は申し上げにくいわけでございますが、信連全体の融資残高が三兆三千億ございますので、そのうちの一%強ということで、比較的少ないというふうに見ております。  それから二つ目に、ノンバンクの融資残高も、全体では七兆七千億ということにつきましては予算委員会でも御答弁を申し上げたわけでございますが、愛知県信連の場合につきましては、このノンバンクの融資残高も比較的少ないというふうに思っております。  それから、三点目の不良債権につきましては、これはほとんどないというふうに私どもとしては理解をいたしております。  それから、経営状況をちょっと御説明させていただきます。経営状況で、平成六年度末現在におきまして、愛知県信連の場合は貯金量が二兆九千億ほどございます。全国第二位の規模でございます。資金運用を見てみますというと、貸出金が千七百億円程度、それから有価証券が五千六百億円、それから中金への預け金、これが二兆二千五百借ほどございます。そういう意味では、際立った特色といたしましては、農林中金への預け金が非堂に多いということで、そういう運用をされているというふうに理解をいたしております。そういうこと全体の中で、平成六年度の決算の経常利益、当期利益につきましては、経常利益が九十一億円それから当期利益が五十六億円というふうになっておりまして、そういう意味では、経営状況が心国有数の信連の一つというふうに見ております。  それから、四点目にお話がございました、全体の二千億円のうち配分がどうかということでございますけれども、これは予算委員会でもお答え申し上げましたけれども、全体の五千三百億円のうち、信用事業全体として四千二十四億円となっております。このうち信連トータルで二千億円、農林中金で二千二十四億円ということになっているわけでございますが、この信連の中の四十七信連の分担につきましては、現在まだ内部で調整が続いております。  そういう意味で、今の段階では数字は、二千億のうち幾らかというのは確定いたしておりませんが、冒頭申し上げましたように、愛知県信連につきましては、住専への融資残高が他に比べまして比較的少ないという状況でございますので、そういう意味で、協力額といいますか、分担額につきましても、おのずからこれを反映をしたものになってくるのではないか、こういうふうに見ております。
  161. 川島實

    川島分科員 今、いろいろお伺いをさせていただきました。わずか三十分の時間帯でございますので、我々はデータを確認をする意味合いもございます。そして、おのおのの部署の運営がうまくなされているかどうかのチェックをいろいろな形でいたしているわけでございまして、資料はこちらでも全部いろいろな形で調べることはできます。それを省きながら、通告をした問題について実は質疑をさせていただいているわけでございます。  その実態からいきますと、農林水産事業というのは、WTOの関係で六兆円という形で大幅な予算が行っている、そして補助金という形で従来と同じような形で出ていって、ダブルの予算ということで、都会の部門の人たちから見ると非常に恵まれている、こういう見方を実はしているわけですよ。だから、その予算の組み立て方、使われ方が公正公平に行われているかどうか、そして透明性がどれほどあるかどうか。例えば先ほどのお米の問題についても、なかなかきちっとしたデータをお出しいただかないとか、いろんな問題点が非常にあるわけでございまして、大臣、ひとつ内部の改革に御努力をいただきたいと思いますが、御所見はいかがでございましょうか。
  162. 大原一三

    ○大原国務大臣 住専問題に関しましても、我々としては、及ぶ限り資料をはっきりお出しをして説明してまいりますという、先生予算委員会で何回も質問されたわけでありますが、我々はそういう立場で今日まで来ております。ですから、信用事業の中で特定信用事業がこうだああだというのは、A、B、C、Dという形で出させていただきましたが、先生御指摘のように、審議の材料をできるだけ提供するように努力をしたい、こう考えます。
  163. 川島實

    川島分科員 時間です。終わります。ありがとうございました。
  164. 桜井新

    桜井主査 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。  次に、大畠章宏君。
  165. 大畠章宏

    大畠分科員 社会民主党の大畠章宏でございます。  平成八年度予算等々に関連する農業問題、あるいは中山間地対策等について御質問をさせていただきたいと思います。  大臣も御存じのとおり、司馬遼太郎さんが亡くなられまして、日本の将来にあすはないというような非常に厳しい遺言を残してこの世を去られました。今、住専問題あるいはまた厚生省のHIVの問題、さらには教育の問題、そして日本の中では都市部と山間地が非常に格差がついてしまった、さらには、地域の方ではお年寄りの割合がどんどん高まって、日本全体のバランスが何となく崩れ始めているような感じもしますし、そういう中で、司馬遼太郎さんも日本人の生き方、日本人の物の考え方というのをずっと、明治、大正、昭和と追いかけながら来た今日において、研究をし尽くしながらもそして最後として、日本の将来にあすはないという遺言を残して去られたわけであります。  その時代に生きる政治家の一人として、私自身も大変強く責任を感じているところでございます。分科会、幾つか出席をさせていただきましたけれども、まず大臣に、この司馬遼太郎さんの遺言、日本の将来にあすはないという遺言に対して、大臣としてというよりも政治家としてどういう御感想をお持ちか、最初にお伺いしたいと思います。
  166. 大原一三

    ○大原国務大臣 私も司馬遼太郎さんのものは非常に好きで、乱読でありますが、あっちこっち読ませていただいた尊敬する作家の一人であります。  あすはないんじゃ困るわけでございまして、我々としてはやはりあすをつくらなきゃいかぬ。それがためには農業問題を初め、いわば日本社会のこれまでとってきたいろいろの手法というものが手詰まり状態になっておる、それで、すべてのシステムが硬直化してきた、今まで信じ切っておったシステムが役に立たない、そういう瀬戸際に今あるのではないのかな。構造改革という言葉がむやみに使われるのですけれども、人によってこの構造改革という意味は、僕は正直言ってよくわからないんです、何が真の構造改革かということを。我々政治家、そしてまたその下で働いていただく官僚諸君が、この硬直化を何をやったら打開できるのか。  我々農業部門では、一番大事なことはやはり自給率だと思うんですね。イギリスがあれだけ低い自給率を七〇%、八〇%台に上げてきた、フランスは一三〇%になった、ドイツは一〇〇%だ。こういうことを見ますと、何か我々の手法がやはり一歩おくれているのではないのかという認識を特に農業問題では持つわけでございまして、それこそ構造政策がその部門で必要とされるのだ、こういうことを考えて、やはり日本がよみがえる日を我々夢見て手法を考えていかなければいかぬ、こう思っております。
  167. 大畠章宏

    大畠分科員 率直な大臣の政治家としてのお話も賜りまして、それに対しては敬意を表する次第でございます。私自身も、大臣おっしゃるように、日本にあすがないのでは困るわけでありまして、それをどうしていくか、それを今司馬遼太郎さんから厳しく突きつけられた感じがしているところであります。  今大臣がいろいろお話されましたけれども、農業問題についても、どうも私は、どうあったらあすをつくれるかという問題は、日本人の物の見方、考え方というものも根本から変えていかなければならない。日本人古来の物の見方、考え方がありました。しかし、それがあのバブル時代を契機として、なぜか目先の利害、損得をかなり中心に据えた形で判断されるようになってしまった。言ってみれば、その行動をした結果どういうことが起こるだろうかというものに対して、責任というものを余り考えずに行動するようになってしまったのではないかと思うのです。  先ほど大臣から、イギリスの問題がございました。イギリスが一生懸命自給率を上げてきた。諸外国も、アメリカもフランスもそうでありますが、一生懸命そういう努力をしてきた。その根底にあるのは、自分たちの郷土あるいは自分たちの国をどう維持、守り、発展させていくかという基本的な視点に立った形でいろいろな物事を進めてきたからではないかと思うわけであります。  そういう観点に立ちますと、今大臣からお話ありましたが、日本の食糧の自給率、どんどん下がってまいりました。この結末についてだれがどう責任をとるのか、明確ではございません。まあ、自由市場経済だから仕方ないのだという声もありますが、果たしてそれで、私ども政治家が、結果的にはしようがないのだということにしてしまっていいのかどうかなんですね。これは、農水省の幹部の皆さんも一生懸命頑張っているのだけれども、だめなんだでは済まないと私は思うのですね。したがって、そういうところに、まさに司馬遼太郎さんが、私たち日本人全員に冷水を浴びせるような形で、日本の将来にあすはないということをおっしゃったのではないかと私は思うのです。  したがって、大臣から構造改革というのは難しいというお話でございますが、まさに非常に難しい観点がございます。私も先ほど、日本の教育改革問題についても文部省といろいろと討論をさせていただきましたけれども、そういう物の考え方を、だれがどう責任をとりながら進めていくのか、そういうところがきちっとしていないからこういう形になってきたのではないかと思うわけであります。  そういう中で、ぜひ大臣には、先ほどお話ありました日本人の食糧というものの自給率をどう高めるか。私は、基本的に、結果としてこうなってしまったという話ではなくて、何%ぐらいには持っていこうという高い理念を、目標を定めない限り、ずるずると現状の追認で終わってしまうのではないか。戦後の自給率がずるずると下がってきたのは、官僚の皆さんもしっかりとやってきたのかもしれませんが、結果的にこうなってきました、結果的にこうなってしまった、そういうことで、だれも責任をとる必要がないということにも、私は原因があったのではないかと思うのです。  したがって、ぜひ大原大臣を先頭にして、農水省の皆さんももう一度原点に返って、どうやったら日本の食糧がきちっと確保できるか、自給率をどう高めるか、そういうことも念頭に置きながら、さらに努力をしていただきたいと思うのです。  そこで、私自身の質問でありますが、この地域社会の中を見ますと、大臣のこの予算説明の中にも触れておられますが、「国土の大宗を占める農山漁村は、生産の場であり、かつ、農林漁業者と地域住民の生活の場であります。」こういうお話がございますが、まさに私もそう思います。世界の目が東京に集まり、世界の目が大阪に集まり、都会に集中しがちでありますが、日本の国を支えておるのは何も東京の方だけではありません。地域でじっと農業を営んだり、あるいは林業にいそしんだり、そして豊かな自然環境の中で子供さんを育て、そして、その感性豊かな子供さんが都会に出て活動をする。そういう状況を見ますと、大臣もお話しされておりますが、いわゆる中山間地というのは大変重要だと私は思います。往々にすると町場ばかり目が行くわけでありますが、私は、もう一度、町の人と、中山間地といいますか、地域の人とのお互いの融合を図りながら、日本の郷土を発展させていかなければと思います。  そこでお伺いするところでありますが、この中山間地対策、よくいろいろ指摘されているところでありますが、この中山間地対策というものを農水省としてどのように受けとめておられるのか、いわゆる中山間地の役割と将来というものをどういうふうに考えておられるのか、最初にお伺いしたいと思います。
  168. 野中和雄

    ○野中政府委員 中山間地域につきましては、先生お話しのように大変重要な地域でございますけれども、現状では傾斜地が多い、あるいはまとまった農地が少ないというような制約もございまして、なかなか規模拡大もできないとか、あるいは、定住条件の整備もおくれているというようなことでございまして、平地地域に比べまして、担い手の減少あるいは高齢化が一段と進んでいるというような状況でございます。そして、地域全体としても人口の自然減少市町村がこのごろ急速に増加をするというようなことで、活力が大幅に低下をしているというような町村が見られるわけでございます。  ただ、お話しのように、この中山間地域は、耕地面積あるいは農家人口、農業粗生産額を見ましても四割を占めるわけでございまして、我が国の食糧自給率、自給力を維持していく上で大変重要な役割を果たしております。と同時に、また一方で、国土あるいは環境保全、水源の涵養、あるいは豊かで美しい自然環境に恵まれた国民の居住空間あるいは余暇保養空間の提供、さらには伝統的芸術や文化の維持継承といったような多様な大変重要な役割を果たしているというふうに我々も認識をしているわけでございまして、この点につきましては、国民の皆様の関心も逐次高まっているというふうに思っているわけでございます。  そこで、中山間地域につきましては、私どもは、これらのいろいろな多面的な機能が十分発揮できますように、そして将来の姿として、まさに先生お話にもございましたが、豊かな自然や美しい景観、伝統文化が維持保全をされていて、そして、そういうところで地域資源や地域の特性を生かした農林業の経営が展開をされる、さらにはほかの多様な就業機会も確保されている、そして生活環境の面でも都市地域と遜色のない水準が整備をされている。そしてさらに、都市部との交流というのも非常に活発に行われているというようなことで、地域全体として活性化が図られますように、私どもの施策、さらには関係省庁とも連携、協力をいたしまして、総合的な施策推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  169. 大畠章宏

    大畠分科員 非常に模範的な答弁があったわけでありますが、私は、その御意見に対して、特に問題があるということは言いません。まさにそのとおりなんです。それをどうやってやるかなんですね。  それで、私は、大臣のこの予算説明の中にもありますが、「経営感覚に優れた農業の担い手を育成するとともに、」というお話がありますが、それはそれでどんどんやっていただかなければなりません。  さらに、予算問題でいいますと、平成八年度一般会計予算における農林水産予算の総額は、関係省庁計上分を含めて三兆五千九百七十三億円、その内訳、公共事業費が一兆九千五百七十四億円、約二兆円近いお金が公共事業に投入されているわけですが、この公共事業というのは、中山間地というのはやりづらいところですから、なかなかそういう手は入りにくい。非公共事業のうち、一般事業費が一兆三千六百九十四億円、主要食糧関係費が二千七百五億円ということでありますが、私は、今おっしゃるように、中山間地の役割というものについて御意見がございました。  今、神奈川県も非常に水がなくなってきたということで大変な節水対策をしておりますし、東京都も神奈川県の水系からの水の供給というのはストップいたしました。東京の方では、東京の水がめのところに雪がありますからまあ大丈夫だろうということで、一応節水の協力を呼びかけしておりますが、まだ節水しなくて済みますね。しかし、そのうち、これはいつもよく言われていることですが、山とかそういう中山間地をないがしろにすると本当の意味で都会の人も大変なことになるかもしれません。今は東京都で節水しなくて済みますが、ことしの夏などは果たして東京都の水の確保が本当にできるのか、水というのはそう簡単につくることができませんからね。  したがって、そういう意味からも、改めてこの中山間地、いわゆる大規模な農業経営をするための基盤整備がなかなか手が入らない。しかし、中山間地で一生懸命頑張っている農業の方、あるいは山を——大体山と農業は半分ずつぐらいで昔やっていましたからね。ところが、山の方がなかなかお金が入らないというので、山をあきらめてしまって農業と勤めに出るというパターンがふえてきているわけでありますが、私は、それをどう支援していくのか、まさにそういうところをきちっとできるようにしたいということであります。だんだんそこに住む人がいなくなってきているのですね。お年をかなり召してきた、それで息子たちはもう町場で勤めている、そういうことを考えますと、今非常に模範答弁内容お話がございましたが、実際にそれをやるかどうか、これが大変重要だと思うのですよ。今基本的な方針を示されましたけれども、その方針を実行する上で、現実にそれを当てはめようとするときに何が一番問題だと思いますか。
  170. 野中和雄

    ○野中政府委員 先ほど一般的なお話で申し上げたわけでございますけれども、これらを推進していきます場合に私どもはいろいろな施策を用意いたしておるわけでございまして、先生お話しの基盤整備事業につきましても、ウルグアイ・ラウンド対策を含めましてたくさんの予算を投入していただくことになったわけでございますが、そういう中におきましても、中山間地域につきましては特に配慮をいたしておりまして、言ってみれば平地よりもやや高い補助あるいは農家の負担を一層軽くするというような事業を設定いたしまして、お話しのように生産基盤の広い土地はなかなかとれないところではございますけれども、そうはいいましても、そういう中でそれなりの生産が可能になるような生産基盤整備、それから同時に、生活環境整備というのを一体的に整備をしていくような仕組みというのを実施いたしておりまして、こういうことで基本となる生産基盤生活基盤整備推進していこうというようなこと。  それからさらには、そういうところで、先ほどのお話でございましたように、都会の方との交流とか、そういういわゆる純粋のお米づくりとかという形だけでないいろいろな就業の場をつくっていくことが重要でございますので、そういうことに関連をいたしましたいろいろな流通加工施設でございますとか、あるいは都会の方に農業等を体験していただく農園とか、そういうような施設につきまして、山村振興事業等によりましてそういうものをつくっていくというような御援助を申し上げているとか、あるいは新しい作物を導入してやっていく場合の資金を御援助するとか。  それからさらには、水のお話もございましたが、現在、都道府県と各市町村に水と土基金というのを設けておりまして、それによりまして地域の農地なり水というのを、地元の方あるいは場合によっては都会から来ていただいた人の応援もいただきながら総合的に保全をしていく、景観を保ちながらまた水路としての機能も果たすようにしていくというような対策実施をしているところでございまして、さらに、こういうものを使いまして、お話しのような施策実現に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  171. 大畠章宏

    大畠分科員 私は、今お話がありましたけれども、基本的に何が問題かというと、中山間地ではお金が入ってこないのですよ。農業ではなかなか生活ができない。これがやはり都会に——いろいろ農作業が大変だというのもあるでしょうけれども、これで、中山間地に住めば年収一千万とか二千万の金が入るといったらやはり若者はそこに定着しますよ。  そこで、ちょっと農業経営の支援策の質問に入らせていただきますが、いただきました資料等を見ますと、農家の総所得、昭和三十五年度から、平成五年度くらいの資料を見ますと約二十倍になっているわけですが、農業所得だけに限ってみますと五倍から六倍しかなっていない。ということは、農業面での所得というのが非常に伸びていない。今平均で農業所得二戸当たり百二十九万一千三百円、農家の総所得は八百八十八万三千四百円というような形になっているのですが、農業の所得がなぜこういうふうに伸び悩んでいるのか、そこら辺はどうとらえておられますか。
  172. 野中和雄

    ○野中政府委員 農家全体の所得という中で農業所得が非常に伸び悩んでいるというようなお話でございます。  これは、全般的な経済の状況というのもあろうかと思いますけれども、特に最近におきましては、農業面におきましてはかつてほど農産物の価格がなかなか上がらないというようなこともございまして、全般的に今農産物の価格というのが低い伸びあるいは横ばいというようなことに抑えられているということもございまして、総平均で見ますと農家所得、農家所得といいますと兼業所得等が入りますものですから、それらに比べれば伸びが低いというような状況でございます。そういうふうに認識をいたしております。
  173. 大畠章宏

    大畠分科員 私は、今そういう御認識を示されましたが、農家の方から聞くと、いや、農薬が高い、あるいはトラクターは四年に一遍ぐらいずつ買いかえなくてはいかぬ、それから農業資材も高い、そういう中で、要するに経費を引いてしまうから実がなくなってしまうのですよ。それで、なぜ高いのだと。  私は製造業出身でありますが、物をつくるということをこの日本はだんだんだんだん軽んずる国になってしまった。昔はやはり、私も水戸黄門のおひざ元の水戸出身でありますが、農人形というのがありまして、毎日徳川様はお米を人形のところへ置いて、きょうもありがとうと感謝をしながら食事をしたという話ですが、今は物をつくるということを非常に軽んずる。製造業界もそうだし、農業でも、つくるということよりも流通したり販売した方がもうかるという仕組みにいつの間にかなってしまったのです。私は、そこにメスを入れない限り日本の農業の再生というのはあり得ないのじゃないかと思うのです。  そこで、ちょっとお伺いしたいのですが、農協というものが日本のこれまでの農業を育成する意味で大変大きな力を持ってきた、そして影響力を持ってきたというのは、これはまことに私自身もそう思います。しかし、最近の流れを見ますと、どうも競争がないのじゃないか。要するに、言ってみれば、飼料でも資材でもそれからトラクターでも、一つのルートしか農家につながる道がないからなかなか一それで、私は競争がないところはだんだん体力が落ちてくると思うのです。  私はやはり農協にもしっかりしてほしいのだ。そういう意味から、資材でもあるいはトラクターの問題でも、それから肥料の問題でも、農家に対するもう一本の道くらいを農水省として考えてあげるべきじゃないか、それでお互いに競争しながら、農協も体質をアップして、本当の意味での個別の農家の所得を上げるためにどうしたらいいかということで必死になる、そういう環境をつくるべきだと私は思いますが、どう考えておられますか。
  174. 高木賢

    高木(賢)政府委員 先生のただいまの御指摘のとおり、機械とか肥料とか農薬などの資材費を低減させるということは、農業生産コストの低減を図るために重要な課題であると考えております。  そこで、昨年農業生産資材問題検討会というのを省内につくりまして、資材の低減方策についていろいろ検討していただきました。その結果を受けまして、今後行政といたしましても、これらの農業生産資材の製造、流通、利用、この三段階にわたります合理化を総合的に推進することにいたしております。  その中で、今御指摘もありましたように、農業者が資材を購入し利用する段階で、資材の流通ルートの多元化といいますか、農業者の資材調達の選択幅を拡大する。まさに競争ということをおっしゃられましたが、そういう中で、農業者が求めるものを選択できる、こういうことをつくることは非常に重要なことであろうと思います。  既に、そのような農業者の要望にこたえる形で、農家がみずから店舗に出かけて購入して持ち帰るという、いわゆる農業資材スーパーと仮に称しているのですけれども、都会のコンビニエンスストアみたいなものを、これもかなり新しいそういう姿も出てきております。そういう新しい動きが、御指摘のあったような流通の活性化、コストの低減ということにつながっていくのではないかと思っております。  そういう多様な流通ルートを形成するということでは、今新規参入が規制されているというわけでもございませんので、ストレートに行政指導としてどうということにはなりませんけれども、やはり流通に関する情報を農業者の方々によく提供して、そういうことによって多様な流通ルートができてくる、こういう姿を展望しているところでございます。
  175. 大畠章宏

    大畠分科員 ウルグアイ・ラウンドの対策等の一環として農家のいわゆる体質を強化するという意味で、ぜひ私は、ポイントはともかく農家の農業所得をいかに上げるか、それを全部リストアップして、これはできる、これはできる、これはできないけれども努力させようとか、それを今全部やってみてほしいのですよ。総論を言っている場合じゃないのですね。  私は、その中の一番ウエートが高いのは農機具だという話を聞いているのですが、農機具だって三百万から一千万ぐらいするものもあるかもしれない。それも四年ぐらい使うと、農家で買うからメンテナンスも余りよくやらないかもしれない。それだからまたおかしくなってきて、じゃ新しいのを買うかという話になるけれども、それが結構高いわけですよ。  だから、一つ対策として、農協とかあるいは農林省の関係団体でもいいのだけれども、そこにレンタルセンターでもつくってメンテナンス専門の人を置いておいて、一台二台じゃだめでしょうけれども、数十台でも置いておいて、いつもメンテナンスしておく。そうすれば、あの機械が四年でぶっ壊れるなんというような話にならないと思うんだ。十年使えばコストは半分になるわけですよ。私はそういう知恵も少し働かせるべきだと思うんだ。もう自由にやっておいて、市場だからという話じゃなくて、とにかく農家の収入をどうやって上げるかということに集中して私は考えていただきたいと思うのですが、そういう問題についてどう考えておられますか。
  176. 高木賢

    高木(賢)政府委員 農業機械の利用の合理化ということは、本当に重要な課題だと思います。  そこで、今お話がございましたように、例えば農協に農業機械を所有してもらって、個々の農家が持つのじゃなくて、必要に応じて利用するという農業機械の銀行方式といいますか、それからリース・レンタル方式、さらには中古機械がもうちょっと活用されるように、そういう流通センターみたいなものを、情報センターみたいなものをつくって、ここにこういうまだ使えるのがあるよというようなことで農業者に提供していくという、農業機械の合理的な利用のあり方につきまして一層推進してまいりたいと考えております。
  177. 大畠章宏

    大畠分科員 さらに、改良普及所というのがありますね、農業改良普及所だったですか、あそこの指導員というのが、三十代から四十代の人が多いのですが、非常にいい青年が一生懸命農家一戸一戸のことを考えて、ともに悩みやっているのですが、最近、農林省の方では、改良普及所というのをどんどん縮小していませんか。要するに予算がなくなってきたからといって、こことここは一緒にしてしまってこうしようとか、今そういうことをやっていませんか。
  178. 高木賢

    高木(賢)政府委員 農業改良普及センターと正式には称しています。これは県の方で設置を決めておりますので、今動いておりますのは、どちらかというと行政機関としての出先の事務所みたいなものがありますね、ああいうものとあわせるということによって行政と普及の連携をとるという姿で動いているところが多いように報告を受けております。
  179. 大畠章宏

    大畠分科員 先ほど冒頭に私は、こういう施策をしたらどうなるかということを想定しながら責任を持ってやる人がだんだん日本にいなくなってしまったということを申し上げたのです。それが教育問題でも住専問題でもあるいはまたHIVのエイズ問題でもそういう感じがするのですが、私の地域の人がたまたまそうなのかどうかわかりませんが、この改良普及所の指導員の方は本当に一生懸命、もちろん仕事ですからあれですが、農家の人はこういうふうにした方がいいのじゃないですかとか、具体的に農家の所得を上げるために、あるいは農業の転換に一生懸命努力しているわけですよ。そういう青年というか指導員がだんだん減ってきて、農家の一人一人の問題に責任を持ってというのじゃなくて、熱意を持って農業を支えていこうという人が残念ながら農協の職員にも最近見えなくなってきましたね。  たしか、農協にも本来は指導員をきちっと置くという話になっていると思うのですが、そこら辺、農林省としてガット・ウルグアイ・ラウンド対策の一環であれば、それにそれだけの予算をきちっとやろうということであれば、じゃ、だれが農家のそういう一戸一戸そのものを見ながらやっていくのか、その問題をきちっと整理してやるようにしなければと私は思うのですね。  質問時間が来ましたのでこれで終わりますが、私は申し上げたいことは、農林省も従来の発想だけにとらわれずに、とにかくこれは日本全体が大変なことになっているのですよ。ですから、従来の発想だけではなくて、本当に生産農家の一戸一戸の、つくっている人がどういう気持ちを持ってどういう環境でやっているのかということをしっかりとらえながら、どうやったら農業を再生産できるか。大きな目で考えることも重要でしょうけれども、やはりそういうところの末端の農家の方の御意見を聞きながら、ぜひ日本農業再建のために大原大臣を先頭にして頑張っていただきますようお願いしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  180. 桜井新

    桜井主査 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  181. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 市民リーグ・民改連の楢崎弥之助であります。  私は、二月十五日の参考人招致のときに、農林中金理事長角道さんにいろいろと質問しました。短い時間ですから、主査桜井さんも聞かれておったと思うのですけれども。  あのときに、私はこれを聞いたのですよね。「信用農業協同組合連合会の農業協同組合法第十条第九項第三号に規定する「その他の金融機関」に対する貸付けについて」、昭和五十五年十月十六日の通達です。これは大蔵省の銀行局長、それから農林省の経済局長の通達ですね。この中に書かれておる意味は、その資金を使うときには、簡単に言えば個人住宅ローンに限るのではないかということを私は質問した。実は、私の認識によれば、住専問題がこんなになったその原点は、この通達の解釈、私に言わせれば曲解、そこから発しておる。これは私の認識なんですよ。  それで、そのときにこういうことを私は言ったのですよ。例を挙げて、週刊ダイヤモンドの九五年九月十六日号、これは農林中金の当時の専務理事、内藤満夫さん、この人がインタビューに答えてこう言っているのですね。「われわれに提出された書類には、個人の住宅ローン融資の原資と書かれていた。それを信じた。」だから、そういう意味ではないかということを私がお尋ねしたら、今度は文書でこういうことが返ってきた、農林中金から。「ご指摘の記事は、融資審査手続きについて述べたもので、ご指摘のような通達について説明したものではありません。」それが第一項目にある、融資審査手続。  委員長、これをちょっと大臣に見ていただきたい。
  182. 桜井新

    桜井主査 どうぞ、大臣に見せてやってください。
  183. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それですか、意味するところは。融資審査手続、そうでしょう。「借入申込書」、これがひな形です。これで住専はいわゆる系統金融に融資の申し入れをしておる。この中に「使途」、使い道という項目があります。これは何と書いてあるか、あなた方は半期ごとに報告を求めておるから御存じのはずだ。何と書かれておるか、使途に。どうですか。
  184. 堤英隆

    ○堤政府委員 いろいろなことが御指摘ございます。ちょっと長くなって大変恐縮でございますけれども……(楢崎分科員「簡単に言ってください、時間がないから」と呼ぶ)  もともと五十五年通達でもって……(楢崎分科員「私が聞いていることだけ答えてください、使途は何かと」と呼ぶ)使途は、今申し上げておりますように、五十五年通達でもって住宅の資金の用途と、「住宅の取得に必要な長期資金の貸付けのために必要なものに限る。」というふうにしてございます。したがいまして、ちょっと話がございましたけれども、これは必ずしも個人住宅ローンということに限るわけではなくて、住宅の用途という意味で私どもとしては理解をしておりますし、系統の方も、角道参考人もそういうふうにお答えしておりますけれども、そういう用途として貸し付けをした、こういうふうに理解をいたしております。
  185. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それは違いますね。あなたは本当にその書類を見ましたか。いいかげんなことを言っちゃだめですよ。住宅資金と書いてあるはずだ、全部。  桜井主査さんにお願いしたい。それはプライベートなあれがあるから住専七社のどこどこというところは消しておいていいから、その使途のところ、全部一緒だと言ったから、農林中金の人は私に、だから本物を見せていただきたい。それがお願いです。  それで角道さんも、いいですか、十五日のこの議事録があります。角道さんは「主として住宅資金」。いいですか、「主として」という言葉が入ったのは昭和五十五年じゃないでしょうが。三年後でしょう、五十八年でしょうが。それは、その五十五年の通達から外れて不動産に貸し出したから、わざわざ三年後に「主として」ということを入れたのですよ。主としてというのは、世の中の常識から考えれば七、八割はいわゆる住宅資金だ、あとの二、三割は不動産取得にあれしてもいいかもしれない、そういうことですよ。全然理解していないのですよ、あの中金の角道さんも。  そこで、この前予算委員会で、これは主査もお聞きになっておったと思いますが、私どもの代表の海江田君が、あの資料から、住専が借りていった金をどういうものに使ったか、その中にパチンコ店、あるいは言葉は悪いがラブホテル、こういうものの建設に使っておるというのが出てきて、たしか大臣は、そんなことに使われているとは思いもしませんでしたという御答弁をなさった記憶がある。そうすると、つまり契約書ですね、これは。一種の申込書。これの使い道と違う使い方をしておるとすれば、当然これは私文書偽造かあるいは詐欺になります。  法制局、来ておられますか。
  186. 麻生光洋

    ○麻生説明員 お答えいたします。  お尋ねは、具体的な状況を想定いたしまして、私文書偽造あるいは詐欺などの何らかの犯罪に当たらないかということをお尋ねになっているものでございます。  具体的事案における犯罪の成否につきましては、捜査機関が収集した証拠に基づきまして個別具体的に判断されるべき事柄であると考えておりますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。  なお、あくまでも一般論として申し上げますならば、御指摘の私文書偽造の罪と申しますのは、行使の目的で他人の印章や署名を使用いたしまして、権利義務あるいは事実証明に関する文書などを偽造した場合に成立する犯罪でございます。また詐欺につきましては、人を欺いて財物を交付させた場合に犯罪が成立するものでございます。したがいまして、犯罪の成否につきましては、こうした要件が認められるか否かにつきまして具体的事案に即して判断する、こういうことになるわけでございます。
  187. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 何やかや言われましたが、私も法学博士じゃありませんが、九州大学の法学部卒ということでございまして、その程度のことはわかっていますよ。これは正式の契約書なんですよ。そうせぬとおかしいです、何億という金が動くんだから。それをうその使途、目的を書いてほかのに使ったら、それは詐欺じゃありませんか。だから大臣もびっくりしたとおっしゃったでしょうが。いいですか。これは指摘をしておきますよ。法務省、指摘をしておきます。それでその本物が出ていったときにそれははっきりするわけだ。  それから、農林中金が、系統金融がその契約書と違う目的に使われておったのを知らないならばともかく、もし知っておったとすれば、これは当然告訴すべきですよ、刑事告訴すべきだ。私はそう思いますよ。大事な組合員のお金を預かっているのですから、それを承知で黙認しておったとすれば共犯になる。これは重要なところだから私は指摘をしておきたいと思うのであります。  それで、今度はその同じ申込書の中へ「担保」という項目がありますね。これはどういうふうになっておるか、見られたことはありますか、実物。
  188. 堤英隆

    ○堤政府委員 担保につきましては、これは他の一般行、母体行と全く同じでございますけれども、具体的ないわゆる債権譲渡担保契約という形で基本的に対応いたしております。したがいまして、住専の経営状況なり全体の貸付額を見ながら各信連が貸し付けをするわけでございますが、その際に、住専がそれぞれ住宅ローンとかそういうことの債権を持つわけでございますが、それを総体として債権譲渡担保契約という形で設定をするということで住専は対応しているところでございます。この点につきましては、一般行あるいは母体行と全く同じです。
  189. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そのとおりだと思いますね。それで、これは契約書になっておりますか、債権譲渡契約書になっていますか。
  190. 堤英隆

    ○堤政府委員 債権譲渡担保契約という形で対応されているというふうに理解します。
  191. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 当然だと思いますね。そこで問題が出てくる。  せんだって二月八日に、与党三党、山崎拓、伊藤茂、渡海紀三朗、三党のいわゆる幹部が与党確認事項というものを出された。これは、今後の問題についての、責任問題どうするかとかを含めた内容であります。この中に、住専問題処理方策を策定するに当たって、要らぬところは省きますよ、種々の責任を明らかにする必要がある、特に住専関係者の責任追及は極めて重要である、特別処理法案、これはまだできていませんね、仮称でしょう、においても責任追及の仕組みが十分確保されているか慎重に審査を行った、今後設置される住専処理機構に対して、住専七社が関係者に対して有する損害賠償請求権がすべて譲渡承認されることが確認された。本当に確認されたんですか、これは。それが一つ。  ということは、つまり、その住専処理機構が国民にかわって住専関係者に損害賠償を請求し、そして私財をも没収して債権回収に充てるという内容であるはずです。しかし、裏側ではどうなっているか。これにはからくりがあるはずです。これは、法案が出てきたら私どもはっきりしたい。ということは、具体的な債権譲渡の手続を調べると、そうしたことは事実上不可能である。見ていてごらんなさい。不可能である。  それで、住専七社から住専処理機構が債権を引き継ぐ際には、七社と個別に、すべての債権、資産内容と抵当権の有無を詳細に列記した債権譲渡契約書を交わしておらなければなりませんよ。当たり前の話です。損害賠償権を引き継ぐ場合も、同様の手続が必要でしょう。例えば、住専の歴代の経営者への損害賠償を求めるためには、その債権譲渡契約書の中に、あらかじめ、どの役員がどんな不正行為を働いたかを特定してリスト化しておかなければできませんよ、そういう請求は。これは新進党の江田君が、あの人は裁判官だから詳しくやった。それで、今のようなことを特定して契約書に明記しておかない限り、後になって責任の所在がはっきりしても損害賠償はできないのですよ。いいですか。  それに対して、大森内閣法制局長官はどう答弁しているか。「債権譲渡、損害賠償債権の譲渡のためには、だれが債務者であるかということは当然ある程度確定していなければいけませんので、その程度のことは判明しておらなければそもそも不法行為債務の譲渡ということはあり得ないわけです。」つまり、だれが不正行為を行っていたかを事前に明記する、その程度のことは当たり前と言っておるのであります、法制局長官は。私が言っている意味、わかりますか。  しかも、だれがどんな不正行為を働いたかを特定する場合、調査権を持つ預金保険機構ではないのです、西村銀行局長答弁によれば。こう答弁している。「住専の資産を住専処理機構が引き継ぐわけでございますが、その際にある程度」、この不正行為ですね、これを「特定するのは、住専が特定すればいいかと存じます。」冗談じゃありませんよ、あなた。住専には大蔵のOBがたくさん天下っておる。どうしてその住専経営者に対して、いいですか、住専経営者のだれが悪いと住専が特定できますか、あなた。当たり前でしょうが。  だから、私はこれは、このままであれば、これから審議も深まりましょうけれども、与党三党のこの確認事項は、ここに佐々木秀典弁護士もおられますから、私の話は寸足らずですけれども大体おわかりだと思うのです。これは、よほどきちんとされないと、賠償請求とかなんとかかんとかはできませんよ。だから、その契約書を見せてください。どんなふうになっているか、実際は。そうしないと、与党三党のこの確認事項は住専の恩赦令になってしまう、結果的に。これは、私は一つの問題をここに指摘したのですよ。これは、ひとつ実物を十分拝見させていただきたい。  それから、さっきの昭和五十五年の通達、これは私は個人住宅ローンと思うけれども、まあ何とかかんとかおっしゃった。そして、これが十五日の角道さんの答弁によれば、「主として住宅資金」「主として」となったのは、さっき言ったとおりですよ。これは、五十五年から三年後の貸金業の規制等に関する法律施行令、貸金業規制法ですね、これの施行令です。施行令の第一条の四に初めて出てくるんですよ、「主として住宅」。あとは文言は五十五年の文言と同じ。「主として」というのは三年後に出てきたんでしょうが。違いますか。  もう時間がないから一緒に言っておきます。  それから、もしあなた方のおっしゃるとおりだったら、農協の財務処理基準令第二条、ずっと書いてあって、「その他主務大臣の指定する資金」これはどういうものが入っていますか。
  192. 堤英隆

    ○堤政府委員 幾つかお尋ねでございますが、まず、個別の住専とそれからそれぞれの信連なり中金の貸借の契約につきましては、これは個別の経営体のそれぞれのものでございますので、私どもの方からお出しをするような性格のものではないというふうに理解をいたしております。  ただ、はっきりいたしておりますことは、この角道参考人もこのときお答えになっておりますように、住専の仕事につきましては、主として住宅資金の用途に供するという、そういう性格になっているということは角道参考人も申し上げておりますが、私どもの系統の方が貸します際には、あくまでもその用途は住宅の資金の用途に限るということでございまして、その住宅資金の用途には、単に個人住宅ローンだけでなしに、住宅事業開発業者の方々が例えば分譲宅地あるいは住宅分譲という形でその資金が要ります場合も、広くこれは住宅の資金の用途だということで貸しているということでございまして、その通達に沿って具体的な貸し付けが行われたものというふうに私は理解をいたしております。  それから、財務処理基準は三十七年の——ちょっと私はきょうは持ってきておりませんので、そこはお答えができないところでございますが、契約書につきましては、先ほど来御説明いたしておりますように、当事者間の私事にわたります契約のことでございますので、写しの点も含めて、提出につきましては御勘弁いただきたいというふうに思います。
  193. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ただいまお伺いしました財務処理基準令第二条「その他主務大臣の指定する資金」、これは昭和三十七年に農協の「財務処理基準令第二条の主務大臣の指定する資金等」というあれが出されておりますよ、大蔵省と農林省の告示第二号です。この「資金等」の中に、もう時間がないからこっちから言いますけれども、「第二条の規定に基づき、次のように定める。」「農業協同組合財務処理基準令第二条の主務大臣の指定する資金は、次のとおりとする。」その中に、「住宅金融公庫が貸し付ける資金」というのが一項目、一の二に入っている。いいですか。つまり、住宅金融公庫法とそういう点である程度連動しているのですよ、この通達の一連の流れは、系統資金の金の使い方。いいですか。  それで、同じ連動している住宅金融公庫法の中には、第一条に何と書いてあるか。「目的」のところに同じことが書いてあります。「住宅の用に供する土地又は借地権の取得」、そこまでは今までの通達その他ありますね。ところが、この住宅金融公庫法は「及び土地の造成を含む。」この文言が入っているのです、わざわざ。  あなた方の解釈だったら、この通達でも、土地の造成を含むという文言がどうして入らないのか。法律というのは整合性が必要である。これはきのうかおとついも法制局長官が答弁しましたよ、整合性が必要である。だから、土地の造成は含まない、書いてない以上は。含むんだったら、住宅金融公庫法のように「及び土地の造成を含む。」と加えればいいのです。そうしたらもういいでしょう、土地造成、建物を建てるための土地造成。私が言っている意味わかるでしょう。  非常にあいまいですよね。そこのあいまいさからすべてが発しているのですよ。だから、いわゆる住宅資金と使途には書かれておるけれども、パチンコ店とか、何とかホテルとかに融資が使われている。そういうことになるのですよ。それで、どんどん膨らんでいった、総量規制から外されたから。  だから、いろいろな物の考え方があるかもしれませんが、この住専問題は、昭和五十五年、つまり一九八〇年十月十六日の大蔵、農林の通達の解釈が非常にあいまいである、そこからボタンのかけ違いが始まって、ずらずら融資がふえて、そして不動産業に渡って、何やらかんやら目的外のことに使われ出した。  それで、これはまだ問題の真相の解明も十分じゃございませんよ。私も時間があったらまだわかりやすく、詳しくお話しするのですけれども、まだ十分じゃないのです、真相は。これで処理の仕方を決めるなんというのは早過ぎる。真相が解明されなければ処理の仕方は出てきませんよ。  だから、二月八日のあの三党合意の確認事項のようなあいまいな、住専恩赦令のようなことになる。やってごらんなさい。そうなりますよ。予言しておく、私は。そんな、損害賠償やらあんなことではできませんよ。江田五月君が指摘したとおりです。それに法制局長官が答弁したとおりですよ。法制局長官もそう言っているんだ。もう個々に具体的にあれしておかぬとそれはできませんと言っているのだから。  それで、私はここで注意を喚起しておきますが、法制局、どなたですか、あの方。
  194. 桜井新

    桜井主査 法務省麻生刑事課長です。
  195. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これは十分私は目を配っておいていただきたい。本当ですよ。あなたはさっき一般的なことを言った。一般的なことは我々は知っていますよ。私は具体的に言っているのですようそを言って金借りて、何かいい目的のために金借りて、それで違う悪いことに使うなんということは、それだけでも悪いでしょうが。いわゆる道義的に見ても、当たり前の話でしょう。今度は具体的ですから、しかも膨大な金が動いている。しかも農林系統は、こう言ってはなんですけれども、普通の銀行と違ってそう詳しくないですよ。そこにつけ込んでいろいろやられたのじゃないか、私はそういう気がするのですよ。  だから、これは戒めてやらぬといかぬですよ。水戸黄門じゃないが、懲らしめなさいと私は言いたい。その点は法務省も、妙なことをしておったら私どもが監視の目をしっかりしておきますと。佐々木秀典さんは私は非常に懇意にしている、与党ですけれども。今言っていることは与野党を超えた問題だと思うのですよ。  それで、大臣、私は時間がないものだからつい早口になって博多弁がちょいちょい入りますけれども、わかりにくい点もあったかと思いますけれども、その私が言っている、訴えている意味はわかっていただけましたか。最後にそれだけ聞いておきます。
  196. 大原一三

    ○大原国務大臣 日ごろ尊敬する楢崎先生から法律論的にも大変詰めた御議論をいただいて、私も傾聴いたしました。  これから法案もいよいよ出されるわけでございますし、先生のそういった御指摘の点等も受けて、この法案が本当にそういった点で万全なのかどらか十分我々としても注目を払っていきたいのでありますが、残念ながら、この農林省サイドから損害賠償請求権のお話とか、第一次的責任者じゃないものですから、私も大蔵大臣を一生懸命後ろで応援しているつもりですが、大蔵省にも厳しく我々サイドからもこれは言う権利があると思いますので、十分覚悟していきたいと思います。
  197. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ありがとうございました。  それではもうこれで、一言です。  大蔵と農水、共同責任があるのですね。今おっしゃったとおりです。十分ひとつこれからは気をつけていただきたいし、与党の佐々木弁護士もおられますから、私が指摘した点も十分注意をして万全を期していただきたい、こういうふうに要望して終わります。ありがとうございました。
  198. 桜井新

    桜井主査 大変御苦労さまでした。非常にいいお話でした。  これにて楢崎弥之助君の質疑は終了いたしました。  次回は、明三月一日午前十時より開会し、引き続き農林水産省所管について審査することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十分散会