○今津
委員 私は、
新進党を代表して、ただいま議題となりました
平成八年度
政府予算三案及びこれに対する与党提案の修正案並びに日本共産党提出の
編成替えを求める動議に対して反対の討論を行います。
我々
新進党は、純粋の民間の事業会社であり預金者もいない住専に対する税金の投入は断じて容認できないことを強く主張し、
住専処理のための六千八百五十億円の財政資金投入は
予算から全面削除するよう強く要求してまいりました。
我が党が、
予算委員会の
審議等を通じ、
国民の期待にこたえて住専への税金投入策の欠陥をただしたにもかかわらず、
政府は終始言い逃れのための詭弁を弄し、型どおりの
審議で表面を取り繕いながら中身の全くない答弁を繰り返しては日程だけを消化し、去る三月一日には、採決の日程を一方的に決定したのであります。
我が党は、こうした与党の非民主的、ファッショ的な行動を阻止するため、万やむを得ざる手段として、
国民の意思を貫くために非常の
政治行動をとらざるを得ませんでした。その結果、土井議長立ち会いの上、与
野党党首会談において、強行採決はしない、また、自民党加藤幹事長の証人喚問に前向きに応じるとの与
野党の合意があり、今日まで我が党は真摯に
審議に参加してきたのであります。
残念ながら、
審議はいまだ不十分であります。加藤紘一幹事長の喚問もいまだ実現をいたしておりません。しかしながら、
暫定予算の補正という
事態となり、一進一退を繰り返している
景気を足踏みさせることは、
責任野党として放置できません。この見地から、我が党は与党からの国対
委員長会談の呼びかけに応じ、昨日、与党三党と国対
委員長間で、
予算書の総則を修正し、第十六条を追加し、緊急金融安定化資金の六千八百五十億円については制度を
整備しない限り支出しないなどといった三項目にわたり合意、本日、採決という
事態を迎えるに至りました。
我々
新進党の要求は、あくまで
国家国民の利益を守る
立場から、
予算案から住専
予算を削除することにあります。昨日の合意は、我々の目的実現のための一里塚として一定の評価をするものでありますが、削除が実質的に保証されたものではなく、
政府予算案に断じて賛成するわけにはまいりません。また、六千八百五十億円については制度を
整備した上で措置をするとしてありますが、この制度というのは金融機関全体の不良債権処理の制度であるべきことは言うまでもありません。
さて、
政府の
住専処理案は、手続、内容の面からも欠陥と矛盾に満ち、到底納得できるものではありません。関係者の
責任追及は不徹底、根拠は不明確、スキームはあいまいなままで、ずさんなバブル融資に狂奔した預金者なき住専の処理に税金を投入する
政府案のお粗末さは、
国会の質問等を通じて白日のもとにさらされ、
国民の怒りは一層高まりました。
橋本総理の元秘書までが住専絡みの融資にかかわっていたという事実、共和からの裏献金や北朝鮮への米援助等に
関連するさまざまな疑惑を払拭できない加藤幹事長が、血税投入を
推進した中心者として、また
最大与党の
責任者として
国民に税負担を求めることは全く納得できないことであります。
加藤紘一幹事長は、本日午前の総務会で、同氏の共和献金問題について、自分の
政治資金の取り扱いの問題なので、今後いずれかのときにいずれかの場で明確にしていかなければならないとの心づもりだと発言をいたしておりますが、私は、代議士は侍でなければならないと思います。どうか、御自身に過ちがないというのであれば、国を憂うる侍らしく、みずから堂々と
国会の場で身の潔白を晴らされるべきでしょう。いかがでしょうか。
また、住専問題の解決については、市場原理に基づく自己
責任の大原則により、
国民に開かれた
状況の中で行うべきです。
政府案は関係者が密室の談合の中で取り決めたものであり、一般の
国民には全く情報が開示されていません。さらに、住専各社の経営破綻の処理は、法的処理により公正、透明なルールのもとに行うことが市場経済の大前提であります。また、連立与党が決定をした、いわゆる
住専処理策の追加措置にしても、税金投入に反対する世論の反発をそらそうとするまやかし以外の何物でもありません。追加措置という名の子供だましの作文であり、
国民をペテンにかけるものにすぎません。
このように、
政府の
住専処理策は矛盾と問題に満ちており、賛成することは断じてできません。
さらに、
政府予算案には、住専の問題のみならず、
景気対策、経済
構造改革、
行政改革、外交・安全保障など、重要課題に対しても内外の期待に全くこたえておらず、これらの諸点からも、我が党は
政府予算案に賛成できません。
今
政治は
国民から強い批判を受けています。党利党略におぼれ、今やらなければならない仕事、決断、改革がなぜできないのか。理念の異なる自社さきがけ連立てあることもその一因かもしれません。
政治は自民党のものではない、社民党のものでもない、もちろん
新進党のものでもありません。また、一人一人の
政治家のためにあるものでもありません。今こそ、
予算の
成立後一刻も早く衆議院を解散し、
国民の信を問うべきことを
総理大臣に求めるものであります。
我が党は、今後、
参議院の
予算委員会や衆議院に新たに設置される特別
委員会などにおいて、住専関係
予算の削除及び加藤自民党幹事長の証人喚問の実現に新たなる
決意を持って臨むことを宣言し、
政府予算案及び与党三党の提案による修正案、日本共産党提出の
編成替えを求める動議に対する私の反対討論を終わります。(拍手)