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1996-04-10 第136回国会 衆議院 予算委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月十日(水曜日)     午後一時三十分開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       小澤  潔君    越智 伊平君       越智 通雄君    菊池福治郎君       後藤田正晴君    志賀  節君       高鳥  修君    谷川 和穗君       原田  憲君    堀之内久男君       武藤 嘉文君    村山 達雄君       谷津 義男君    若林 正俊君       安倍 基雄君    愛野興一郎君       伊藤 達也君    石井 啓一君       川島  實君    左藤  恵君       笹川  堯君    谷口 隆義君       平田 米男君    前田 武志君       松岡滿壽男君    山口那津男君       山田  宏君    若松 謙維君       今村  修君    佐々木秀典君       坂上 富男君    田中 昭一君       細川 律夫君    錦織  淳君       松本 善明君    吉井 英勝君       海江田万里君  出席国務大臣         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         農林水産大臣  大原 一三君         郵 政 大 臣 日野 市朗君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         警察庁生活安全         局長      泉  幸伸君         防衛庁長官官房         長       江間 清二君         防衛施設庁総務         部長      大野 琢也君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         農林水産省経済         局統計情報部長 福島啓史郎君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の移動 四月十日  辞任         補欠選任   武藤 嘉文君     堀之内久男君   石田 勝之君     若松 謙維君   矢島 恒夫君     吉井 英勝君 同日  辞任         補欠選任   堀之内久男君     武藤 嘉文君   若松 謙維君     石田 勝之君   吉井 英勝君     矢島 恒夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、理事会協議に基づく一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平田米男君。
  3. 平田米男

    平田委員 もう近々クリントンアメリカ大統領おいでになりまして、首脳会談が行われ、その際には日米安保共同宣言が発出されるというふうに伺っておるわけでございますが、私は、その際に、在日米軍兵力数、約四万七千と言われておりますが、これを明示するかしないかということが大きな問題かというふうに思っております。  私は、新しい国際情勢対応して兵力考えていかなければいけないと思いますし、それから、北朝鮮中台関係等変化にもまた目を向けてフレキシブルに対応する必要もある、また、沖縄基地縮小、これを考慮していくためにもそういう在日米軍兵力の数の議論というのがどうしても必要になってくるのではないかというふうに思っております。  報道等を見ますと、アメリカにおいてもこの問題については柔軟な考え方を持っているようでございますので、私は、今回共同宣言には兵力数を明示しないということがぜひとも必要なのではないかというふうに思うわけでございまして、明記しないということを強く求めたいというふうに思っておりますが、外務大臣、お考えはいかがでございましょうか。
  4. 池田行彦

    池田国務大臣 クリントン米国大統領が来日されました際に発出を予定しておりますいわゆる安全保障関係共同文書につきましては、基本的に申しまして、よりよい安全保障環境をこの地域において構築していくということの必要性、そしてまた、安保体制を基盤とした各般の日米間の協力関係というもの、さらに、二十一世紀を見据えて日米関係をきちんと進めていくその意義というものを両国国民に明らかにする、そういった趣旨のものになろうかと存じます。  具体的な文言については、まだ鋭意日米間で話し合っているところでございますので、今の段階で、恐縮でございますが、御答弁できる状態になっていないというのを御理解いただきたいと思います。  そして、今、いわゆる四万七千の駐留米軍水準をどうするかという点でございますが、これにつきましては、私どもは基本的に、米国安保条約に基づく責務を果たしていく、そのためにどれだけのコミットメントをする、そのコミットメントを確かなものにするためにどれだけの米軍我が国に駐留することが必要か、こういった観点 から、いろいろ運用上の要請等も勘案しながら考えていく。第一義的には米国において判断するものだと思っています。そして、現在のいろいろな環境安全保障環境その他の関係から四万七千というものが必要であるという米国判断、それを我が国といたしましても尊重していく、こういう考えでおるわけでございます。  それで、今おっしゃいましたようないろいろな国際環境安全保障環境変化であるとかあるいはさらに装備だとか技術の変化等々で、これが将来ずっと、未来永劫に変わらないというものではございませんけれども、現在の状況では、そういった米国コミットメントをしっかりしたものにするために四万七千という水準は必要なものだ、こういうふうに我々は考えておるところでございます。  それからなお、沖縄基地との関係でというお話でございましたが、その関係につきましては、仮にこの水準変化がないといたしましても、ありとあらゆる創意工夫をいたしまして、でき得る限りの基地整理統合縮小を図っていく、そして沖縄県民の方々の御負担をできる限り軽減していこうということで、目下鋭意その努力をしているところでございます。
  5. 平田米男

    平田委員 八九年、冷戦が終結をしてから、このアジア太平洋地域アメリカ軍展開兵力というのは随分減っております。総数では十三万五千から九万六千に減っておるわけでありまして、減少数は三万九千、二九%の減少でございます。  これを各国別に見ますと、日本は、五万から九四年時点では四万五千ということで、五千減ったというふうに記録されているわけでありますが、減少率は一〇%。他国は、韓国は、四万四千が三万六千に減っておりまして、八千人減っております。一八%の減少であります。フィリピンは、一万五千が百名になった、一万四千九百名の減少で、九九%の減少率。それから洋上配置は、二万五千から一万四千に減っておりまして、一万一千人の減少であります。減少率四四%ということでございます。  これを見ますと、日本だけが非常に少ない減少にとどまっている、諸外国は大幅な減少をしているという事実がございます。そういう点も我々十分に留意をして今後の在日米軍のあり方というのを考えなければならないと思いますので、ぜひとも数値に拘束されない形に共同宣言はするべきであることを再度強く申し上げておきたいと思います。  次に、沖縄米軍施設につきましては、きょうの報道によりますと、一五%の削減をすることを明示する方向考えていきたい、こういう方向性報道されているわけであります。一五%の削減というのは、沖縄返還以降の今日までの沖縄米軍基地削減比率、これと同じものだ。これをできるだけ早期にやるということで、これをもって沖縄県民の皆さんが納得をされるかどうかということはわかりません。ただ、大きな目標を定めて大枠を示していくということは、沖縄県民に対する誠意を示すことだろうと思いますので、一五%を超える目標をぜひ努力をしていただいてやっていただきたいというふうに思うわけであります。  と同時に、日米安保条約に基づきまして、我が国施設提供をする義務がございます。最終的に国にあるわけでございまして、今後は、嘉手納の飛行場を含めまして十二施設が来年の五月には土地使用期限が来るという状況にございます。現在の楚辺通信所の問題も含めまして、やはり合法的な体制できちっと基地土地我が国責任を持ってアメリカ提供をするということは、日米安保条約を守っていくという我が国義務であると同時に、我が国アメリカに対する友好的姿勢同盟国としての姿勢だろうというふうに思うわけでありますが、現在の法手続ではなかなかこの辺がうまくいかないわけであります。  したがいまして、これまで委員会等でも質問されているわけでありますが、米軍用地強制使用につきまして特別立法をすべきなのではないか、こういうテーマがございます。これにつきまして、官房長官はいろいろ御答弁いただいているわけでありますが、私は、我が国条約上の責務としてきちっと特別立法をやるということを明示すべきだろう、このように思うわけでありますが、お考えはいかがでございましょうか。
  6. 梶山静六

    梶山国務大臣 前回、山口委員の問いにお答えを申し上げましたけれども、現在、知花さんの土地の所有をめぐって権原のない状態にあるわけでありまして、こういう違法というか適法でない占拠が続くことは決して望ましい姿ではないわけであります。あとう限り話し合いで適正に解決をすることが望ましいわけでありますが、長い間こういう適法でない状態が続くということは決して好ましいことではございません。  ですから、私は、一般論として、少なくともそういう状態に至らないためにどういう行政措置があるのかどうなのか、これは当然勉強しておくことでございますし、例えば公共用地の取得について、最終的には建設大臣の裁決もあり得る、そういうことを考えましたり、あるいは国の機関委任事務がどうあるべきか、こういうことは広範にこれから、いわば公益、国益憲法上の主権、この問題をめぐって我々は明確な判断を下しておかなければならない。  特に、国益の一番大きな部門である日米安保条約によって日本のいわば安全を守っているという現況になりますと、この日米安保条約という中での地位協定その他の条項で米軍に良好な施設を安定的に供給をする、その責任を負っているわけでありますから、この状態が、違法な状態というか、好ましくない状態が長く続くことを望まない、そういう行政のスタイルをとらなければなりませんから、そういうものは当然視野に入れてこれから勉強していかなければならない。  ただ、現在沖縄で、今政府の行っている、前内閣、今内閣、これは誠心誠意話し合いをすることによって解決をしたい、この原則は今も守っているわけでございますので、現状の沖縄という問題だけでこの問題を私は論すべき問題ではないというふうに思っておりますので、念のため申し添えておきます。
  7. 平田米男

    平田委員 私は、沖縄基地整理縮小、これはぜひ強力に進めなければならないというふうに思っているわけであります。それを前提にした上で、日米安保条約義務をきちっと果たすというのは、やはり国としての責任だろうと思います。両方とも国としての責任だろうというふうに思うわけでありまして、話し合いをいたずらに長引かせるということで今回の楚辺通信所の問題も出てきたわけでございまして、やはりきちっと話し合いをすべきはする、また、法的対応はきちっとしていく、それだけの体制をつくっていくということがぜひとも必要だというふうに思いますので、勉強されるというお話でございましたが、ぜひ早急に勉強していただいて結論を出していただきたい、このようにお願いを申し上げます。  次に、物品役務融通協定が大分固まってきたようでございます。報道によりますと、その適用範囲は、平時の日米共同訓練、それからPKO、そして人道援助限定をするということになった、こういう報道でございます。今の情勢の中では、この部分に限定をするということもある程度やむを得ないのかなという感想を持っているわけでございますが、しかし、将来は極東有事にも適用するように考えていかなければ日米安保条約有効性というものは高まっていかない、私はそのように思います。  防衛庁長官、これは外務省でございましょうか、将来は、私は極東有事にも適用するということを検討していかなければならないというふうに思うのですが、その点いかがでございましょうか。
  8. 臼井日出男

    臼井国務大臣 ただいま委員指摘日米物品役務相互協定条約につきましては、御指摘のとおり、現在、共同訓練PKO活動及び人道的な国際救援活動に適用する方向で最終的な詰めを行っているところでございます。  また、御指摘極東有事の対処につきましては、新防衛大綱において記述いたしておりますとおり、我が国周辺において「我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合には、憲法及び関係法令に従い、必要に応じ国際連合活動を適切に支持しつつ、日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用を図ること等により適切に対応する。」こういうことにいたしているところでございまして、かかる事態において自衛隊が具体的にいかなる活動ができるのか、こうしたものにつきましては、我が国として今後ともしっかりと検討していくべき課題であるということを認識いたしております。
  9. 平田米男

    平田委員 ぜひ、これは検討を余り長引かせないようにしていただきたいというふうに思います。  ガイドラインにつきましても、研究をするテーマがありますが、これは全くやってこなかったわけでございまして、冷戦が終わりまして、新しい国際環境の中で日米安保条約をどう生かしていくのか。こういう具体的な、現実的な視点に立って我々は今考えるべきときに来ているわけでありまして、あの五五年体制の硬直した状況の中でやってきたようなことはもう我々は離れなければならない、離脱しなければならないというふうに思っているわけでありまして、ぜひとも早期検討を終えて具体的成果を上げていただきたい、これもぜひお願いをしておきたいというふうに思います。  次に、サリン原料北朝鮮への密輸問題でございます。  報道されているとおりでございますが、私は、この問題は、我が国国民人道的見地から米の支援北朝鮮に行った、その行った船でこのようなサリン原料の密輸が行われたということは極めて重大なことであろうというふうに思います。  確かに、日本北朝鮮との国交はないわけでありますが、しかし、人道的な関係でもってこのような支援が行われて、その中で重大な問題が起きてしまった。このような中で、私は、北朝鮮から何らかの我が国に対するコメントがあってもいいのではないかというふうに考えているわけでありますけれども、現在までのところ、我が国に対して北朝鮮から何らかのコメントはあったのでしょうか。
  10. 池田行彦

    池田国務大臣 御指摘の件はただいま捜査中であるわけでございますが、果たして実態がどういうものであったか、それはやはり捜査進展を待って明らかにされるものと考えております。  しかし、いずれにいたしましても、仮に、我が国人道的見地からする米の支援支援米を輸送しました船舶がそのような事件にかかわっておった、こういうことであれば、それは遺憾なことと言わざるを得ないと思います。  なお、ただいま委員が、北朝鮮側から何らかの反応があったかということでございますが、現在までのところ、そのような北朝鮮側の本件に関する反応というものはございません。
  11. 平田米男

    平田委員 私は、何にも言ってこないというのはどういうことなのかなというふうに思うのですね。まさに口をぬぐっているのではないかという見方さえできるのではないかというふうに思います。  そんじよそこらの金ではありません。莫大なお金を投じて米の支援をやっているわけでありまして、誠意には誠意でこたえるというのが、人間同士だけではなくて、国交のない国同士であったとしても行うべきことなのではないかというふうに思うわけであります。私は、そういう意味で、今の状態では日本国民人道的行為に対する誠意が踏みにじられている状況にあるのではないか、このまま我々は黙っていていいのだろうか、こんな思いさえするわけでございます。  今、外務大臣としては、こういう問題については冷静に対応をしなければならないということで、そういう趣旨の御答弁があったのではないかというふうに思うわけであります。北朝鮮から何のコメントもないということでありますが、日本から北朝鮮側に対してこの問題について、捜査中だということでありますが、外務省立場として何らかの北朝鮮側に対する対応はなさったのでしょうか。
  12. 池田行彦

    池田国務大臣 この事件がどういうようなものであったか。すなわち、どういう人物がそういう事件を、法に触れるような行為を行ったか、行わなかったのかということ。あるいは、それにどういう人間が、他にどういう人が、あるいはどういうふうな組織なり勢力なりグループなんというものがかかわっていたのか、かかわっていなかったのか。そういったことは、すべて捜査進展を待たなくては明らかにならないことかと存じます。  そういった意味では、現在の段階で、捜査内容自体がまだ明らかにならない時点外務省として特段の行動をとるということは、また慎重でなくてはならないのではないか、こう考えている次第でございます。
  13. 平田米男

    平田委員 慎重であるというお考えはわからぬわけではありませんが、しかし、捜査の結果を待っているという、そういう消極的姿勢であって果たしていいのだろうかという気がいたします。もうある程度の外形的状況はわかっているわけでありまして、その外形的状況に従って北朝鮮側調査を依頼するとか、そういうようなことは、抗議までいかないにしても、そこまでは私は少なくともできるのではないかと思います。そういう要請をされるお考えはありませんですか。
  14. 池田行彦

    池田国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、外務省といたしましては、今回の事件船舶そのもの北朝鮮側責任で配船され、また、日本責任は港までであって、そこで渡しているのだ、こういうふうに承知しておりますが、それにいたしましても、我が国の人道的な米の支援に役割を果たした船舶が言われるような法律違反行為にかかわっておったとしたら、それは遺憾であるということは繰り返し表明しておるわけでございます。そういったことで、我が政府立場というものは内外に明らかになっていると存じます。  それから、さらに具体的に何らかの、抗議に至らないにしても、そのような実情調査だとか、そういったことを申し入れないのかという御質問でございますが、そこのところは、繰り返しになりますけれども、やはり捜査が始まったばかりでございまして、仮にそういった犯罪行為、法に触れる行為があったとしても、その実行行為が一体どういう者によってなされたのか、あるいはその背景がどうなのかということは全くわかっていないわけでございますから、やはり政府としてさらに踏み込んだ行動に出るということは、今の段階ではまだよほど慎重であるべきじゃないかと存じます。
  15. 平田米男

    平田委員 そういうお考えでとどまっていては、私は、やはり日本国民国民感情というのは許されないのではないかと思います。ぜひ調査くらいの要請をされるよう強く求めまして、次の質問に移ります。  この北朝鮮に対する米の支援問題につきましては、同僚の米田委員もいろいろ質問をされているわけでありますが、昨日も質問をされましたが、私が通産省に聞いてみましたら、日本米とすりかわっていたならばどういう法律上の問題があるかと聞きましたところ、これはやはり外為法違反になります、インディカがジャポニカになっているだけで外為法違反になります、こういう御説明でございました。当然、その辺は法務省警察庁も御認識だろうというふうに思います。米田委員は、やじで懲罰だなんということを言われたときに、それはもう覚悟の上でやっているんだ、こういうことをおっしゃいました。このような質疑委員会で行われているわけでありまして、私は、法務省警察庁はこの問題について捜査すべきだ、こう思うわけでありますが、捜査するお考えはございますでしょうか。
  16. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねは、具体的な事案につきまして検察当局として捜査を行うか否かという御質問でございますけれども、その点は、検察当局におきまして具体的な状況に応じて判断すべき事柄であると存じますので、法務当局としては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  17. 泉幸伸

    泉政府委員 ただいま御指摘の点が問題となっていることについては報道等で承知しているところでありますが、現在、警察としては、具体的な事実を把握はいたしていない状況でございます。法に違反する具体的な事実があれば、関係行政機関と連携をとりながら、適切に対処してまいる所存でございます。
  18. 平田米男

    平田委員 米田委員がまさに調査をして、責任を持って追及し、その事実を明らかにしようとしているわけでありますので、やはり国の機関として責任を持った対応をぜひしていただきたいと思います。警察庁法務省は、捜査の端緒ができたわけでありますから、捜査実行に移さなければ職務怠慢と言われてもやむを得ないのではないかというふうに思いますので、ぜひともその義務を果たしていただきたいということを強く求めさせていただきたいと思います。  引き続いて、この北朝鮮への米の支援を特に中心的にやっておいでになりましたのは加藤紘一自民党幹事長でいらっしゃいますが、加藤紘一自民党幹事長は、共和やみ献金一千万円脱税容疑で現在告発をされておいでになるわけでございます。この事件につきましては、報道によりますと、  告発対象となっている容疑公訴時効期間は五年のため、特捜部は、所得税納期限の今月十五日に時効が成立する可能性もあるとして捜査を進めてきた。他方、十分な捜査を尽くす必要性もにらみ、法務検察当局公訴時効成立の時期に関する法的検討を続けてきた。   加藤氏の場合、九一年十一月五日に発足した宮沢喜一内閣官房長官を、翌年十二月十二日に河野洋平氏が就任するまで務めた。このため、この在任中の公訴時効をどう判断するかが検討対象となった。   国務大臣刑事訴追については憲法七五条で規定している。在任中の起訴は内閣総理大臣の同意が要件となっているが、「ただし書き」として、このために「訴追の権利は害されない」とも規定している。   この「ただし書き」を法務検察当局は、国務大臣在任中は公訴時効が停止すると解釈される、と判断加藤氏が官房長官在任していた一年余りの期間については公訴時効が停止する、との立場を固めたという報道があるわけでありますが、この点について法務省としてどういう見解をお持ちなのか。この報道どおりなのかどうか明らかにしていただきたいと同時に、捜査状況を御説明いただきたいと思います。
  19. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの件につきましては、去る三月七日、東京地方検察庁におきまして告発を受理いたしておりまして、現在、被告発事件として捜査中であると承知しております。  具体的なその状況につきましては、捜査の内容にかかわる事柄でございますので答弁は差し控えさせていただきたいと存じますが、検察当局におきましては、所要の捜査を遂げまして、法と証拠に基づきまして適正に処理するものと思います。  また、この事件との関係公訴時効に関するお尋ねでございますが、公訴時効がいっ完成するかということは、それが一見して明らかな場合を別といたしまして、通常は、事実関係について捜査を十分尽くしませんと判断できない事柄でございます。検察当局といたしましては、まず事実関係の解明のために鋭意所要の捜査を行うものと存じます。
  20. 平田米男

    平田委員 伺いましたところ社会民主党さんは、加藤幹事長の証人喚問、これは我が党が強く要求をしておるわけでありますが、これについても反対、それから、予算から六千八百五十億円の住専予算の削除についても反対、こういうふうに伺っているわけであります。  社民党所属の上原委員長は、平成四年のPKO特別委員会でこの加藤紘一自民党幹事長の共和やみ献金問題を取り上げて、疑惑の追及を強く迫っておられるわけであります。また、加藤紘一幹事長の周辺には北朝鮮に絡んだ疑惑も今取りざたされている状況にあるわけでありまして、私は、上原委員長にぜひこのような疑惑解明に御協力をいただきたい、このように思いますが、いかがでございましょうか。委員長、何か御発言ございますか。
  21. 上原康助

    上原委員長 この件は委員長がお答えする範囲を超えている面もあると思いますので、せんだって私の気持ちは申し上げましたので、御理解願いたいと思います。
  22. 平田米男

    平田委員 外務大臣防衛庁長官、もう結構でございます。  官房長官にお伺いをさせていただきます。  きのうの記者会見におきまして御発言になったことがきょう報道されているわけでありますが、関連法案が通らなければ予算執行はできない、事実上の凍結と言葉の上での凍結は実態上は大きな違いはない、こういう御発言があった由に報道されているわけであります。  予算関連法案が通らなければ予算の執行はできないというのは、これは当然のことでございます。当然のことを当然におっしゃったのか、当然のことに意味を含めておっしゃったのか、まずその辺はどういうことなのか、具体的に明らかにしていただければというふうに思うわけであります。  もし、当然のことをおっしゃったとするなら、すべての予算関連法案はあるわけでございまして、たくさんあるわけでありまして、そこの関連する予算はすべて、法案が成立するまで事実上の凍結になっているということになってしまうわけでありまして、この辺はどのようなお考えなのか。ただ当然のことをおっしゃっているということだとするなら、新聞が報道するような妥協案とは思えないわけでありまして、与党が提案しておいでになりまして官房長官が提案したわけではありませんが、妥協案などという代物ではないと私は思うわけでありますが、その辺はいかがでございましょうか。
  23. 梶山静六

    梶山国務大臣 記者団の質問に答えて申し上げたことでございまして、今委員指摘のように、当然のことを当然として言ったまでかといいますと、平たく言えばそういうことになろうかと思います。  しかし、二カ月半に及ぶこの委員会の審議の状況を見ておりますと、この問題が大変大きく取り上げられていることでございますから、ほかの一般予算案と関連法案、これは今までの経緯から見ますと、日をそうたがえないで出ていることも現実であります。ですから、予算関連法案が通らなければ執行できないのは当然のことであり、凍結の状態だということは言葉どおりでございますが、この問題は、長い間こうやってお話をしながら議論を詰めている問題でありますから、まあそれなりの意味を持っている。そういう質問に私は答えたわけでございまして、質問者の意味がそういう問題を持っておりますからお答えを申し上げたわけであります。  私の限界はそこまででございまして、政府が出している原案でございますから、みずから我々が凍結をするとか修正をするというものではございません。あくまでも現在のスキームを通してほしい、予算を一日も早く通してほしい、この前提に立って申し上げたことでございます。
  24. 平田米男

    平田委員 その際に同様に報道されておりますのは、与党三党から申し入れがあれば、政府・与党は一体だから、修正や凍結論、留保論が出てきてもおかしくない、このような御発言があった由でございます。この御発言からいたしますと、与党から修正案が出ればその考え方にお乗りになる考えだというふうに理解してよろしいんでしょう か。
  25. 梶山静六

    梶山国務大臣 仮定の上にお答えをするわけにはまいりませんし、私ども与党三党から、この原案がよろしいといって、政府・与党一体になってこの予算案と住専処理の法案を出したわけであります。しかし、今日までの議論の経過を見、それから今何物かの話が行われているということであれば、与党三党ないし与野党間の話し合いが決着をして、それをどうこうしろということになれば、私は、国権の最高機関である議会の議決があればそれには服従をしなければならない、そういう思いがいたします。
  26. 平田米男

    平田委員 官房長官、もうお帰りになって結構でございます。  大蔵大臣と農水大臣にお伺いをしたいと思うわけでありますが、本年の二月の十九日の予算委員会での私の質問に対しまして、両大臣は、銀行、系統の責任者に、とるべき責任をとってもらう、このようにお約束をしていただくことができました。それからもう二カ月近くなるわけでございますが、これまでの間、銀行、系統の経営責任者に対して直接どのような形で、責任追及につきましてどのような行動をとっていただいたのかお話をいただけますでしょうか。
  27. 久保亘

    ○久保国務大臣 前に、平田さんからそのような御質問がございまして、お答えをいたしました。  私は、今回の住専問題、不良債権の処理に当たりましては、この問題と取り組んでまいります際に、責任の明確化ということを内閣の一致した考え方として取りまとめてございます。  その上に立ちまして、当然に、当事者間で合意をいたしましたことにつきましては、損失の負担、低利の融資、基金の拠出などの責任はきちんと果たしてもらうことが一つございます。  それから、法的に問われるべき責任は、これは司法の手によってその責任が問われなければならないと思っておりますが、しかし、住専問題にかかわる道義的な責任、これらの問題は、それぞれの責任ある立場にあられた方に存在すると思っております。これらの問題については、問われるべきもの、みずから決すべきもの、いろいろの責任があると思っておりますが、例えば銀行協会の責任者の方々に対しても、国会で厳しくその責任が問われていることを直接申し上げてございます。  そして、そういったようなことにこたえるためにも、その責任と、また負担を可能な限りやっていただくことによって、私は、今回財政支出をさせていただきます六千八百五十億という国家の、国民のお金が、将来何らかの形でこれが国庫に返る、そして実質的には国民の新たな税負担とならない、そういう努力を続けていただくことも責任のとり方ではないだろうかと考えておりまして、いろいろな機会にお話を申し上げておるところでございます。
  28. 大原一三

    ○大原国務大臣 委員のその際の質問にお答えしたことでございますが、この問題は、第一次的な責任は、住専の人事や経営に直接関係をお持ちになった母体行の責任である。与党関係並びにまた政府の一体的なスタンスも、同じような考え方ででき上がっておりまして、金融政策上の責任あるいは母体行の責任、系統については、今後こういう問題が起きないように、いわゆる金融システムの再構築をしなさい、こういう形で我々は受けとめているわけでございます。しかし、この住専の長い流れを見ますと、やはりその流れの中にあってさお差すことができなかった、つまり、いわゆるバブルの流れの中で、逐一この問題に反省を加えないまま融資をしてきたという実態、こういったものは我々は見逃すことはできないわけでございまして、結果責任があるだろうと。  それで、農林大臣の立場から、こういうスタンスでございますから、どこのだれはやめなさい、これは経営上の責任を負いなさいということを逐一指示することはいたしておりませんが、いわゆる、あの際に申し上げましたように、五月というのは決算時期でもございますし、それぞれの経営体においていろいろの事情がございましょう。恐らくは、そういったときには体制内においてそれぞれの責任論が出てくることもやむを得ない、結果責任は負わなければならぬだろう、かように申し上げたところでございまして、特段の指示や、あるいはまた意見をこの点については申し上げておりません。  ただ、いわゆる系統の制度の改革につきましては、我々はこれは前向きに取り組んでいかなければならない、一歩も後退が許されないということで、逐次その問題については系統の皆さん方と御相談を申し上げているところであります。
  29. 平田米男

    平田委員 二人ともとるべき責任はとっていただくということで、大蔵大臣は直接会われたというお話でございますが、直接会っておっしゃっていただいたということだろうというふうに思うのです。農水大臣は、まだ直接は話をしていない、しかし、五月の総会があるので、各系統の金融機関ではその総会で自主的に責任が問われていくのではないかということを期待しておるというお話でございましたが、やはり委員会での御発言というのは大変重いものだろうというふうに思うわけでございます。  今国民が怒っているのは確かに住専の経営者でございますが、しかし、このような状態をつくってしまった金融界全体の経営者の責任、これは系統も含めて、一体何をやっていたんだ、こういう考え方が強いわけであります。とりわけ、破綻した金融機関責任者は刑事責任まで今追及されている。その事実を挙げて私は要請をしたはずでございまして、きちっと対応をしていただきたいと重ねてお願いを申し上げたいと思います。簡単に御答弁いただければと思います。
  30. 久保亘

    ○久保国務大臣 責任のとり方というものは、経営上の責任は私どもが行政権の立場からむやみに介入すべきものではない、こう思っております。おのずから、その経営上の責任については、企業自体が機関において御判断になる点もあろうと思っております。  しかし、これらの方々に私どもの方から強く申し上げたいことは、今申し上げました直接負担などの責任のほかに、やはりこの金融システムのあり方に関する新しい時代のありようをみずからの経営にしっかり課していく、そういう意味での自己改革についても積極的に取り組んでいただくことが重要な責任の一つであろう、こう思っております。今もまた御意見がございましたので、私どもとしては、行政としてなすべきことについては、今後も可能な限りの努力を続けたいと思っております。
  31. 大原一三

    ○大原国務大臣 私としては、関係者の方に全然会わなかったわけではありません。いろいろな機会に、大変なことだと、これは特に、内部留保の率も低いし、フラットな経営をやってきた今の経営体制というものを再構築することは我々の急務である、こういうことを逐次申し上げているわけであります。今大蔵大臣がおっしゃいましたように、二度とこういうことが起きないような歯どめをつくっていく責任というのを我々はこの際強調していきたい、かように考えております。
  32. 平田米男

    平田委員 次に、大蔵省のこの住専処理のスキームについてお伺いをしたいと思いますが、このスキームを細かいところまでまだ詰められていないようでございますので、詰めていきますと不明な点が多いわけでありますが、ざっと見た限りではこういうことが言えるのではないかというふうに思います。  まず、系統は、このスキームによって発足時に手元に入ってくるお金というのは二兆五千億円でございます。なぜかというと、系統は貸付金が五兆五千億あります。放棄分といいますか贈与分が五千三百億、引きますと約五兆円でございます。そして、低利融資を、母体、系統それから一般が二兆二千億円ずつするといたしますと、五兆から二兆二千億円引きますと二兆八千億円残ります。さらに、一兆円ないし九千億円の基金をつくるということになりますと、そのうち、やはり三分の一出資をするということになりますと、三千億円 でございます。それを二兆八千億から引きますと二兆五千億円ということになるわけでございます。  そういたしますと、これまで系統は五兆五千億円に四・五%の利息を住専からもらっておりました。利息が年間約二千五百億円入ってきたわけであります。これが三兆円減りまして二兆五千億円になるということでございますが、これが従前どおり四・五%で回っているといたしますと、約一千百億円の収入ということになります。すなわち一千四百億円の減収ということになるわけであります。  そこでお伺いをするわけでありますが、系統の金融機関は、この一千百億円の収入、すなわち千四百億円の減収の状況の中で今後の経営は十分成り立っていくという前提でこのスキームは成り立っているというふうに考えてよろしいのでしょうか。
  33. 堤英隆

    ○堤政府委員 住専から返済されました資金をどう運用するかということにつきましては、これは個々の経営判断に基づくものでございますので一概に言えないわけでございます。そういう意味で、系統とすれば恐らく貸し出しの努力をしていくということもあろうと思います。  しかし、企業をめぐる状況というものが非常に厳しゅうございますので、すべて貸し出しに回るということだけではなかなか済まないとなれば、やはり信連から農林中金への預けかえでありますとか、あるいは国債等の有価証券の運用に回るという可能性もあるかと思います。そうした場合、これらの資金の運用ということによりまして一定の利回りというものは確保されますけれども、御指摘のようなことでございますので、現下の金利情勢ということになりましては相当の減収はやはり避けられないというふうに考えております。  そういう意味で、非常に厳しい状態の決算を恐らくこの平成七年度予算で行うことになりましょうし、これからも、今おっしゃいましたような収入の減という状況の中で、大変厳しい経営環境に遭遇しながら、自己努力といいますか、そういうことによりまして何とかこれを乗り切っていかなければならない、系統とすれば相当な努力を要求される状態だ、こういうふうに理解をいたしております。
  34. 平田米男

    平田委員 厳しいけれども何とか努力をしてという御答弁だというふうに思いますが、そういたしますと、これは先般大蔵省が政府広報として出されました「住専問題とは何ですか。お答えします。」という中に、最後から二番目のQアンドAでございますが、「民間の不良債権なのだから、住専を法的な整理に任せればよいのではないですか。」こういうクェスチョンです。これは正当な質問だろうと思います。  それに対して答えは、「住専を破産などの法的整理で処理すると、経営困難となる金融機関がでて、信用不安が起こるおそれがあります。」こういう答えになっております。そして、中身をよく見ますと、体力の弱い金融機関が経営困難となり、信用不安が起きるおそれがありますよということが書いてあるわけであります。体力の弱い金融機関というのは、これを見ますと、系統の金融機関を遠慮がちに指しておいでになる、こういうことであります。私は、確かに系統は体力は弱い。  この事態を回避するために、では大蔵省のスキームだけが唯一の方法なのかということになるわけでありますが、これを防ぐには、要するに二兆五千億円を系統に回してあげるという結論、先ほどの結論ですね、二兆五千億円残るわけですから、系統に。それをどこからか持ってくればいいわけですよ。すなわち、二兆五千億円の無償融資を系統にしてあげるというそういう結論が出てくるスキームであれば、どんなスキームであっても、この系統金融機関の法的処理による破綻というのは起きない。すなわち、大蔵省が心配しておる信用不安というのは起きないということになるわけであります。  ところで、母体行は、三兆五千億円の貸付金がございます。これは全部放棄をします。ですから残りはゼロです。ゼロの上に、低利融資を二兆二千億することになっております、二兆二千億円出さなくてはいけない。それにさらに基金に三千億円出します。すなわち、二兆五千億円を実は母体はこの大蔵省のスキームでも出さなくてはいかぬわけですよ。  であったならば、母体のその二兆五千億円出すものを、預金保険機構なり貯金保険機構を通ってもいいですよ、何で直接系統に二兆五千億円無償で融資をするという単純なスキームができないのか。それによって二兆五千億円、いずれにしても入ってくるわけです。大蔵省のスキームでも、母体は二兆五千億円出さなくてはいけない。大蔵省の複雑なスキームをとらなくても、直接系統へ二兆五千億円流すようにすれば、系統はそれで信用不安に陥るような経営不安、経営困難というものを回避することができるようになるわけであります。  その上で、一般行、これは当然母体行もこの中に入ってくるわけでありますが、一般行という範疇の中で母体行に入っていた銀行も入ってくるわけでありますが、一般行の貸付金は三兆八千億円であります。放棄分は一兆七千億円、したがって、残るのは二兆一千億円でありますが、しかし、この一般行も二兆二千億円の低利融資をしなくてはいけないということになっているのです、スキームでは。そうすると、差し引き一千億円出さなくてはいかぬわけです。もらってきたのじゃなくて、出す方が一千億円ふえるというわけです。さらに、基金に三千億円また出資する。ですから一般行は、もらえるのではなくて、結局、結論としては四千億円出さなくてはいかぬわけですよ。  そうすると、母体と一般で合わせると、二兆九千億円このスキームでは新たに出さなくてはいかぬということになるわけです。でも、系統が必要なのは二兆五千億円でしかないわけでありまして、母体から系統へ二兆五千億円出すだけで済んでしまう。そうすると、一般行は四千億円の負担は要らなくなるわけであります。法的処理をして正義が実現される、法治国家を守ることができるわけであります。何の経営不安も起きない、信用不安も起きない。しかも、母体と一般は合計二兆九千億円出すべきところだったのが、大蔵省のスキームでは、それが、四千億円少なくなって二兆五千億円でやることができる。  こんな簡単なことが——私はやるべきだと思うのですよ。複雑な複雑な、まあ、もうどこで失敗するかわからぬような大蔵省のスキームをやるというのではなくて、母体行も一般行も負担が軽くて済む今私が申し上げたようなやり方をすれば、この住専の問題は法的処理をしながら特段問題もなく整理をすることができるわけであります。大蔵大臣、いかがですか。
  35. 西村吉正

    ○西村政府委員 ちょっと私、今の平田委員の御指摘、必ずしも理解できておらないかもしれませんけれども、私どもが今苦慮しておりますのは、六兆四千億円の損失をどのように処理をするか、分担をしていただくか、こういう観点で母体行に三兆五千億円、一般行に一兆七千億円、そして、少し形は違いますが、系統にも御負担をいただくということをお願いしておるわけでございます。  今御指摘の二兆二千億円の低利融資、あるいは基金への拠出というのは、損失の処理というよりも必要な買い取り資金の融資ということで、それが損失に充てられるという性格のものではございませんので、ちょっとその損失の穴埋めというものとお金の融通というものとの仕分けというものについて、我々の考え方とは差があるのではないかというふうに理解されるところでございます。
  36. 平田米男

    平田委員 今、まさに西村銀行局長がおっしゃったことは極めて重要ですよ。  我々がやらなければならないのは何なのか。まず信用秩序の維持じゃないですか。信用秩序の維 持が大蔵省の責任であり、我々政治家の責任じゃないですか。それなのに、今、西村銀行局長は損失の負担の問題だとおっしゃった。損失の負担を、どうして我々政治家が決め、また大蔵省が心配しなくてはいかぬのですか。  それを心配されたのは、やはり信用不安の問題でしょう。信用不安が起きなければ負担の問題なんて関係ないのですよ。そこに重大なる誤りがあるのです、大蔵省のスキームは。根本的な発想にとんでもない過ちがある。それは、目指そうとしたのは信用不安の解消でしょう、回避でしょう。  しかし、出発点を損失の負担にしてしまった、ここに今まさに西村銀行局長がおっしゃった問題の本質があるわけです。そのために、信用不安を回避しなくてはいけない、いけないと言いながら、一般行の中には小さな金融機関もありますよ、そういうところに負担をかけるのじゃないですか。そんなスキームを何でとるのですか。  私が言ったようなやり方をすれば、極めて単純だし、小さな銀行にも多大な負担をかけませんし、信用不安の回避は十分にできる。もう大蔵省のスキームなんか全く要りませんよ。あくまでも損失の負担を考えなければならないというのだったならば、それは大蔵省がやり過ぎ、護送船団方式の行政を今後も続けるという、そういう考え方に基づくものだろうと思います。  大蔵大臣、いかがですか。私の言っていること、わかりますでしょう。
  37. 久保亘

    ○久保国務大臣 言っておられることはわかりますが、考え方が違うのではないかと思っております。  と申しますのは、母体行や一般行が住専処理機構に融資いたしますお金は、これは母体行、一般行のお金でありまして、将来返っていくものであります。拠出金も、基金もそうでございます。  今私が聞きましたお話では、融資すべきお金を系統金融機関にやればいいじゃないか、こういうふうに聞こえましたものですから、そうであるとするならば、全然考えが違うのではないか、このように思っております。
  38. 平田米男

    平田委員 私、やれなんて一言も言っておりませんよ。低利融資の二兆二千億円と基金に出資する、これも利息がつきません、合わせて母体行は二兆五千億円の、要するに無利子融資を預金保険機構にしなくてはいかぬわけですよ。そのお金を直接系統に回すというやり方をすれば信用不安は全く起きませんよ。しかも、六千八百五十億の第一次損失による財政支出も不要だし、第二次損失以降の財政負担もゼロです。それなのになぜやらないのですか、大蔵省。  質疑時間が終わりましたから、これで終わりますが、このような簡単なことが、大蔵省、西村銀行局長、よくおわかりになったと思いますので、ぜひとももう一度、もうこの大蔵省のスキームは、今申し上げたように完全にむだなことをやっているということがおわかりいただけるかと思います。  もし……(発言する者あり)わからないというのはよっぽど——それ以上言いませんが、そういうことでございますので、ぜひ再検討していただいて、我々の財政支出反対、削除ということをぜひ実現をしていきたい、このように思います。  以上で終わります。
  39. 上原康助

    上原委員長 これにて平田君の質疑は終了いたしました。  次に、安倍基雄君。
  40. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 きょうは一時間しかございませんから、主として住専の問題を取り上げたいと思います。  私は二回目でございまして、いろいろな方々がもう十分いろいろ議論もされまして、若干重複もあるかと思いますけれども、順序立ててお聞きしたいと思います。  私も当初、ある程度の国の、公費導入はこの金融関係については仕方がないと思っておりました。しかし、それは主として税金ではなくて融資でやるべきだという基本的スタンスがあったのでございます。ただ、この論議を通じまして、やはりちょっと大きなボタンのかけ違いがあったなあという気がしております。  皆様既にいろいろ議論がございましたように、去年の十二月、当初いわば越智さんのプロジェクトですか、それではいろいろ工夫をして、まあまあ国費導入なくしてやるというプランが大分進んでおったわけです。それが最後の一週間で逆転して、とうとう国費導入になった。  どうもその過程で、越智さんの案であれば、大体母体行は三・五放棄する、一般行が一・七放棄する、系統が一・二、一兆円というか一・二兆円くらいは持つだろうという形で話は進んでおったようなのですね。それが、ぎりぎりだといういろいろな方々からの圧力によって、五千三百億が贈与、残りは国費というような形になってしまった。ここに大きなボタンのかけ違いがあると私は思うのです。そのために、結局、本当は民間の話し合いを国がアレンジしてやるという程度でとどめておけばよかったのですけれども、やはり国が負担するという話まで進んでしまった。  では、第一の問題点は何か。  私はそこでお聞きしたいのですけれども、前回、第二次損失について国と民間が折半するというような決定がなされたわけですね。私は何の根拠だ、どういう理由づけでそうなったのだということをお聞きしましたけれども、余り明確な返事はなかった。皆さんの話し合いで決めたことですという答えが出た。  ところが、現在のようにどんどんと地価が下がっていくと第二次損失がどんどんふえるという状況のもとでは、最初の六千八百億よりもむしろこの方が大問題になる。本当にこの折半という理屈がどこから出てきたのかということをもう一遍お聞きしたいと思います。いかがですか。  これはむしろ大臣に聞きたいと思いますね。これは大臣ですよ、一番大事な問題ですから。これは大臣が十分理解しておかないと、こんな——いわば事務官ではないですよ。二分の一国庫負担というのは重大なる決定ですよ。それを、どういう理由で、何で三分の一なのか、二分の一なのか、五分の一なのか。二分の一と決めた根拠は何だ、そこをお聞きしているのです。これは大臣が答えなければ困りますな。
  41. 久保亘

    ○久保国務大臣 当事者、関係者間において協議をし、全体のスキームをまとめたものであります。  その経緯については政府委員から答弁させます。
  42. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 政府委員は要りません。  これは基本的には当初は国が要するに出さないで済むと思ったのを、系統が半分くらいになってしまった。そうすると、第二次損失はどうなるのだ。最初のいわば三・五兆の放棄とか一・七兆の放棄、それは系統がそもそも負担すると思ってみんなが合意したのですね。それがパアになってしまった。それでは、出てきた損はどうなるのだ。もともと三・五兆とか一・七兆はトータル七兆五千億のいわばあれで計算していますから、それがいつの間にか六・四になり、そしてそれがまた一・二になってしまって、それが〇・五になった。そこで、ほかの者がおさまらなくなった。  それならば、要するにこれから出てくる損失については二分の一じゃないと私どもはおさまりませんよということの関係者の合意じゃないですか。そこなのですよ。ということは、国費を導入したというために二分の一国庫負担というのが出てきてしまったのです、でなかったら第一次スキームは壊れますから。ここは重大な点。国費導入のために二分の一という本当に理屈もない、相手を納得させるためのいわば負担というのを出さざるを得なくなった。そこが第一の問題点。  第二の問題点は、住専処理機構というものをつくった。ところが、これはいわば国鉄清算事業団の二の舞になると私は見ております。どんどんと地価は下がるのですよ。地価はどんどん下がるのですよ。幾ら力んで競売にします、強制取り立てをしますと言っても、どんどんと損失は膨れるの ですよ。こういった意味では、むしろ民間に任せた方がよかったのです。国費を導入する以上、それは税金の負担分を減らさなければいかぬから、二分の一の国庫負担を減らさなければいかぬから、それで住専処理機構というものをつくらざるを得なくなった。これが第二点。いいですか。  第三点。これはもうたくさんあるから、せっかくの……  では、いわば住専処理機構をこうやって発足させるということは、もし税金の投入なかりせば、何もこんなに法律か何かつくらぬでも、民間に任せてよかったのじゃないですか。どうです。
  43. 西村吉正

    ○西村政府委員 もとより住専処理機構をつくるということと国費の投入ということは関係があることではございます。しかしながら、もともと住専処理機構をつくるということは、その問題と離れましても、やはり現在の借り手がそのまま放置されるという状況はよくないのではないか。債権の回収は極力、あらゆる手段を講じて行うべきであるという発想に立っていることも事実でございます。
  44. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それでは、話は戻りますけれども、この二分の一負担を決めたのはまさに久保大臣そのものなのですよ。これは武村さんの責任に帰すわけにいかないのです。あなたの決断なのですよ。そうですね。  何で二分の一になるのですか。こうやって第二次損失がどんどんふえていくときに、二分の一国庫負担というのはずんずん重くなるのですよ。その点はあなたの責任重大なのです。単に話し合いの上で決まったなんてのほほんとしていられないのですよ。何で二分の一なのですか。それを事務官に答えさせるのですか。あなたの判断じゃないですか。どうです。
  45. 久保亘

    ○久保国務大臣 私の責任でないなどと申したことはありません。私の責任で決めたことではありますが、このことの実務的なことは政府委員が担当しましたから、その経過は政府委員が説明いたしますと申しているのであります。
  46. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 政府委員の説明は要らない。(発言する者あり)
  47. 上原康助

    上原委員長 お静かに願います。——静かに願います。
  48. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず、事実について御説明を申し上げます。(発言する者あり)まず、事実について御説明をさせていただきます。  二分の一の負担の問題でございますが、経緯から申し上げますと、昨年の十二月十九日の閣議決定におきまして、「預金保険機構住専勘定は、住専処理機構において住専から引き継いだ資産に係る損失」すなわち二次ロスでございますが、それが「生じた場合、その一部を補てんする。 また、政府は、同勘定に損失が生じた場合に、適切な財政措置を講ずる。」ということをお決めいただいておりまして、二分の一という考え方も、当時からあったものを本年に入りましてから詳細に詰めた、こういう経緯がございます。
  49. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 その閣議決定のときには、あれは決まっていないのですよ。二分の一と決めたのはあなた御自身なんですよ。事務官が決めたのですか、それは。そんなことじゃないでしょう、あなたが決めたのでしょう。そのときには、二分の一と決まっていないんだ。  要するに、「一部」と書いてある。それを二分の一にした理由、何でそうなったかというのを、大臣御自身の判断を聞いているわけです。決断でやったのでしょう。それをはっきり答えてください。根拠を聞いているのです、根拠を。どういうことで決めたのかと。これはまさに第二次損失がどんどんふえていくときに、二分の一国庫負担というのは重大な問題なんですよ。どういう根拠ですか。勝手にもう国民の税金を二分の一ぶち込んでいいというのですか。おかしいですよ、これは。
  50. 久保亘

    ○久保国務大臣 この問題については、今銀行局長が申し上げましたように、十二月十九日の閣議決定に基づいて、その後、この損失並びに欠損の処理に関する問題に続いて、今後債権を回収いたしていきます過程において、もしさらに損失を生ずる場合にどうするかということで検討をいたしました結果、当事者のいろいろな意見等も聞いた上、大蔵省として二分の一を国庫負担とすることを決定をして、これを法案として提出し、御審議をいただこうとしているのであります。
  51. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 基本的には何も根拠がないんですよ、簡単に言えば。足して二で割るという話ですよ。  だから、こんな重大なことを、私どももこの前の質疑のときも聞きました、二分の一はどうしたのかと。それに対して、何かこうみんなの話し合いの上というような話でございますけれども、みんなの話し合いの上で勝手にもう予算をそうやって——構いませんよ、今のところはまだ損失、ロスは出ていないにしても、これから大事な話です。しかも、どんどん地価は下がるのですよ。幾ら頑張って回収にこれ努めますと言っても、話にならないのですよ。どうですか、まあ総理はおられないけれども、官房長官。  官房長官に聞きたいのは、二分の一というぐあいに大蔵大臣が説明した、それを閣議で決定したかもしれませんね。そのときは根拠も何も論議がなかったのですか。それとも、皆さんは当然税金でおさめなくてはいけないという決断を、要するにそういったことで、感想というか、こんなことでいいのですか、一体。わけわからぬじゃないですか。根拠か何か提起したのですか、閣議のときに。どういうことで二分の一という根拠を皆さんは了承したのですか。総理大臣にかわって答えてください。
  52. 梶山静六

    梶山国務大臣 答弁を要求され、私はみずから答弁する意思を示せなかったのですが、委員長から指名をされましたので……。  総理にかわってというお言葉がございましたけれども、私は総理とこの意思を今詰め合わせておりませんから、総理にかわってということは当然申し上げることはできません。  ただ、私が日ごろ感じておりますことは、この第一次の処理スキームを決めるに当たって、これは確かに母体行あるいは一般行あるいは系統あるいは住専の方々、そういう方々と恐らく長い間大蔵当局が詰めて第一次のスキームができたわけであります。これは、それぞれ論拠はあるのかもしれませんが、おおよそ話し合いによって決まったものだと私は理解をいたします。  そうしますと、二次スキームについても、話し合いにあらなければ二次スキームだけひとり歩きをするわけにはまいりません。そういうことになれば、ほかの方々との話の延長線上で取り決めをすることが当然でありますから、その際に、話し合いの中で二分の一というのが出てきたのであろう、このように推定をいたしております。
  53. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 要するに、何の根拠もなくて決めた、ただし、そうしないと向こうの銀行が納得しないからと。  つまり、もともとのスキームは、系統も一・二兆くらいを要するに負担する話が、それもだめになった。国が半分負担するという話になって、その結果、まあいわば金融機関を納得させるために、じゃないと第一次スキームは全部壊れてしまいますから、三・五兆の放棄も一・七兆の放棄もみんな壊れてしまうから、そこてしょうがないと思って、最後は国費で面倒を見ますよという論理を持ち出して彼らを納得させた。全くその二分の一の根拠はないのですよ。  そういったぐあいで、根拠がないことがわかりました、はっきり言って。彼らを納得させるためにやった。何で彼らがそうなったかというと、本来系統が負担する一・二兆が半分に値切られたからです。まあ、もうそのことははっきりしましたからね。国民に対して、この二分の一国庫負担というのは特に理屈はないのだということがはっきりしたわけですね。  そこで、結局こういったことでまず二分の一を出さざるを得なくなった。国鉄清算事業団の二の舞のような処理機構を法律で出さなければならぬ。これを民間に任せておけば民間でやったので す。  第三番目に、国際的評価が上がると言われます。しかし、内情を知れば知るだけ、国が大体乗り出すということにおいて大分いいという感じがした。ところが、中を見ますと、何かこう国家権力によって、適当におまえに押しつけられたということで、実態がばれるにつけ、これは国際的評価は下がってきているのです。  第四番目、どういう場合にどういう基準で国費を投入するかという原理原則を失ってしまった。これはアメリカあたりでも言っていますけれども、預金者保護のためには国費を出す、それが中心なんですね。このやり方は、預金者保護じゃなくて、どういう場合、どういうケース、どういう基準と、全くなしで、要するにスタートしてしまった。でございますから、我々が金融三法を早く出せと言うのはそれなんです。私は、この六千八百五十億で全部が解決するならば、そのくらいはいいと、そして入り口であると。  そこで、第二の質問に行きますけれども、住専以外のノンバンクに対して、系統はどのくらい貸しておりますか。その中の不良債権はどのくらいですか。
  54. 堤英隆

    ○堤政府委員 農協系統としまして、農林中金、それから信連、共済全体ということでございますが、住専以外のノンバンクに対しまして約七・七兆円の貸し付けを行っております。このうち不良債権となっておりますのは、農協系統全体で五百八十億というふうに承知いたしております。
  55. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いいですか、この不良債権と称するものが全然定義が違うのですよ。いいですか。一体、この七・七兆円の中で五百八十億円というのは、御承知のように、住専七社に対しては細かく検査に入って、この土地が路線価幾らだ、このケースは幾らだと全部積み足して不良債権を出しているのです、だからべらぼうに不良債権比率が高いのです。五百七、八十億、七兆七千億の中で不良債権が。だれが考えても六百やそこらじゃないですよ、もう幾つかのノンバンクがつぶれているのですから。ということは、この不良債権の定義が全く違うわけです。  でございますから、その不良債権、じゃ幾らあるかというのも調べてみなくてはわからぬよということでしょう。しかしどうも、住専ほどまでいかないにしても、危ないノンバンクがべらぼうにあるのです。その意味では、いわばこの住専問題は入り口であって出口じゃないのです。ここを認識しないといけない。  でございますから、我々が金融三法案を先に審議しよう、そうしないと全部がわからぬ、先に住専で、ケース・バイ・ケースで、ここは手を握ってこのくらい、母体行はこのくらい、このくらいとやっていき始めると、原理原則が崩れてしまって、先々どういうケースにどう負担していいのかわからない。  この間久保大臣は、全然国費の導入はないと言われましたね。じゃ、私はここで聞きますが、かつてノンバンクで、幾つか清算処理をしたケースがあると思いますけれども、そのときはどういう方法でやったのか、それに対する系統関係のいわば債権はあったのかどうか、ちょっとそれをお聞きします。
  56. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず、原理原則につきましては、昨年、半年をかけまして二十四回の審議を経て金融制度調査会の答申が出されております。これが原理原則でございます心そこにおきましては、ノンバンクは自助努力により処理されるのが基本だ、こういうことになっております。  そこで、今までのノンバンクの処理の例でございますけれども、金融機関を母体とするもの、あるいは金融機関を母体としない独立系のもの、それぞれ破綻処理の仕方は違っておりますが、いずれにいたしましても、当事者の間で自主的な判断によって処理をされているということでございます。
  57. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 当事者の自主的判断でなされたわけですけれども、それぞれの、例えば静信リースとか大阪総合信用とか何社とか幾つかございますが、いわばそれぞれのものに対してやはり系統から貸し金があったはずです。それに対して、私の得ている資料は、全部修正プロラタとか完全プロラタとかそういう形で話が決着しているはずです。それは本当ですか。
  58. 西村吉正

    ○西村政府委員 ノンバンクの処理は先ほど申しましたように種々雑多でございますが、例えば、今御指摘の静信リース、それから大阪総合信用等三社、阪和リース等二社は、修正プロラタ方式によって処理をされております。それから、フクトクリース等六社、兵銀ファクター等二十社につきましては、いわゆる完全プロラタ方式と称するものによって処理をされております。
  59. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いいですか、大臣よく聞いてください。つまり、彼らの完全なる自主的なる話し合いのときには、系統はちゃんとプロラタで応じているのですよ。わかりますか。要するに、個々のケースで処理するときには、既に過去に例があるのです。自己責任、まさに自己責任でやっているわけです。  今回は、その従来からの原則をやめて、この場合には系統もその自己責任を負うているのです。ところが、それをまた別扱いにした、まとめて。だから、我々が述べている方式は、決して変わったものじゃないのです。従来どおりやれ、住専も各社でいろいろな事情があろう、別々にやりなさいよということを言っているにすぎないのです。既にそういう例があるのです。そこを皆さんは十分理解していない。  つまり、こういう今まで倒れた各ノンバンクは、系統もプロラタで応じているのです。ところが、住専になってくると、行政指導し、それに政治圧力がかかってきて、まとめて整理しているのです。そこに大きな問題があるのです。  そういう意味で、逆に、大きな海の中のノンバンクの一つであるいわゆる住専について行政が介入し、政治が介入し、行政でやるといっても最後は民間の話し合いという形をとろうとしたのですよ。最後に政治が介入して国費を、いわば負担というのをつくったのです。そのために、二分の一も出てくれば、あるいは清算事業団に似たようなものも出てくれば、どんどん次々と新たに出てきちゃった、ここに大きなボタンのかけ違えがあるのです。  我々は、金融三法案を先に論議しようというのはそこにあるのです。全体を見た上で、これは個別処理に値するかどうか。ところが、これを早く処理しようという、もうむちゃくちゃに急いで。  そういうことで、こういういわば事例があったことを一体大臣は御存じでしたか。ノンバンクについて、系統がプロラタでちゃんと動いておったという実情を御存じですか。知っていましたか。知っていたか知らぬか、イエス、ノーを言ってください。
  60. 久保亘

    ○久保国務大臣 そのような事例は聞いてはおりますが、詳細には存じません。
  61. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いずれにせよ、今まで話しているように、これが出口ならば、これですべてが解決するならば、我々は、まあ百歩譲って、ある程度考えられる。しかし、これは入り口なんです。入り口においてこういう無原則なことを始めますと、本当に、じゃどういう場合に国費を投入するのか、どういう基準で税金でやるのかとわからなくなっちゃうのです。  次に、じゃ聞きますけれども、いわば信用組合、今金融三法がありますね、これについては国費は投入する可能性があるのですか、ないのですか、はっきりお答えください。大臣。
  62. 久保亘

    ○久保国務大臣 今その問題に関しましては、昨年十二月二十二日に答申されました金融制度調査会の答申等を尊重しながら法案の準備を進めているところであります。金制調の答申においては、公費を投ずる可能性について論じてございます。
  63. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いいですか、信用組合の場合には預金者がいるのです。アメリカのSアンドLですか、それに似たようなものです。でございます から、預金者保護という面からいえば、むしろそっちには投ぜざるを得ない場合も出てくるかもしれない。しかし、今回の住専の話は、預金者の保護より損失負担なのです。そこにやはり根本の差があるのです。  でございますから、今までノンバンクで破綻したものがある、それについては当事者の話し合いに任せておけば、応ぜざるを得なかったのです。プロラタでやっているのです。そこがやはり一番の問題。だから、私どもの対案というのは、つまり、従来どおりの方式でいきましょう、ただ、預金者の保護に対してはちゃんと面倒を見ましょうというのが我々の対案なのです。  そこをきちっと考えないと、だから、最後の最後まで大蔵省が国費投入に反対した、それを強引に押し切った、そこに完全なボタンのかけ違いが出てきた。本当なのです。官房長官に聞いてもらいたいのはそこなのだ、総理大臣のかわりにですけれども。そういうことで、このボタンのかけ違いを許すか許さないか、実にこれが一番の問題になっているわけです。そこをもう少し皆さんは理解しなくてはいけない、そういうことですね。  それで、我々、繰り返しますけれども、金融三法案、早く出してください。それがないと本当にこの問題は論じられないのです。この前、野田委員指摘しましたけれども、第一の問題。  第二の問題。今回のスキーム、よく第二次再建計画という問題になります。そのとき覚書が交わされた。いろいろ問題がございます。たしか法制局長官は、あの覚書は法的効力がないと言われましたけれども、いかがでございますか。
  64. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 法的効力がないと一言で言いますと若干の誤解が生ずるわけでございまして、若干そのあたりを詳しく申し上げますと、この覚書、この内容から見ますと、所管両省の間で住宅金融専門会社の再建問題の取り進め方について議論の整理をするために作成されたものである、これは前回もこのように申し上げました。これによりまして当事者の権利に制約を課したり、あるいは義務を課したり、あるいは権利義務を左右するというような性格のものではないということを申し上げたわけでございます。  このような意味で、覚書は法的強制力を伴うものではない、このように申し上げたわけでございます。
  65. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いや、その答えでいいのですよ、はっきり言って。あれは要するに単なる官庁同士の交換文書であって、法的効力はないのです。  しかし、普通、金融常識からいったら、母体行はゼロの金利で系統は四・五で一般行は二・五ですか、ああいう契約なんかできっこないのですよ、通常のケースは。金融常識に全く反するのですよ。政治が介入しなければこんなむちゃな話はしないのです。  もうあのときにおれたちは引き揚げようと思ったのに引き揚げさせないものだからと言いますけれども、預金じゃないのですよね、債権者なのですよ。貸し金というものはちゃんと相手方を見ながら貸すのが普通なのです。預金ならそういうことを言えますよ。ところが、私は引き揚げます、引き揚げますと。ではあのときにもし合意が成立しなかったらどうなったですか。破産にいって、要するにそれぞれの取り分は本当にプロラタでいったのですよ。  ですから、私は、あのときの判断として、大蔵が今ここで金融不安を起こしたくないという気持ちはわからぬではないけれども、やはり政治が介入し過ぎたかな。あのときは完全に、どうしましょうかという話は官房長官を通じ総理大臣にいっているのですよ。羽田さんもどのくらいあれか知らないけれども、要するに宮澤さんが総理でしたから、彼は大蔵の出身でもあるから非常に知っていたのですよ。ですから、あそこでどういう判断をするかというのは完全に政治なんですよ。  そこで、倒したくないということにかこつけて、政治の圧力でもってああいうちょっと金融常識では考えられないいわば覚書がつくられたわけです。その背景にいるのがだれかというのが加藤幹事長なのですよ。しかも、その当時の農中の理事長の森本さんなのですよ。  つまり、あそこでもう既にボタンのかけ違いがある。そこでやめておけばいいのを、今度のスキームで同様に加藤さんが中心になって、せっかく越智さんたちがプロジェクトチームで民間にやらせようと思っていたのを取り上げて、そこで要するに国費導入を決めたのですよ。そういう意味で、加藤幹事長というのが当時における立て役者であり、今回における立て役者なのです。そこが一番問題なのですよ。  でございますから、久保さん、私は知らぬよで仕方がないかもしれない。だけれども、一番問題は、この金融プロジェクトチームからあれを取り上げて、そして国費導入へ持っていったのは加藤さんそのものなのですよ。でございますから、まあほかのいろいろな案件もありましょう。ただ、本当にこのスキームの中心人物としての加藤さん、加藤さんが全く関係のないところで動いている人ならいいですよ。まさにこの覚書のいわば作成者、当事者であり、しかもこのスキームの中心人物である。これはもう要するに逃れられないことなのです。彼のためにこの住専処理スキームができてみたり、二分の一国庫負担ができてみたり、そういうことになるのです。  この点について、官房長官加藤さんがこの立て役者であったことを認めるか認めないか、いかがですか。——じゃ、答えられないなら答えられないで、こういう経緯を十分認識してもらいたい。  加藤喚問の基本には、彼が本当に第二次再建計画のときの立て役者である、それがたまたま今度はまた新しいスキームのまさに中心人物である。それにいろいろな問題が絡まってくる。ついでにTBSの問題も絡まってくる。こういったことで、これは要するに中心人物なのですよ、この予算の。その点だけはもうだんだんと論議の間から出てきた。まあちょっと、余りやると時間もないから。  それでは、その面で、最初の、野田委員が前回二つの条件があると、金融三法案を早く出してくれ、加藤喚問を行うべきだ、その二つの条件を出しました。まさにそのとおりだと思います。この点、委員長においてよく御検討願いたい。努力されますか。
  66. 上原康助

    上原委員長 目下努力中であります。
  67. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それでは、非常に母体行責任論といろいろ言われています。我が同僚議員の中にもそれを強く言う人がいます。ただ、私は海外で長く生活をしたせいか、どうもこれはまことに日本的だなという気がするのです。  例えば、これは法廷で争われたときに母体行責任論というのはどの程度信感性があるか。いわば説得力があるか。というのは、私の感じとしては、例えば母体行の取締役会が案件にオーケーを出すとか、あるいはその間に強制があるとかあるいは詐欺があるとか、そういう場合には母体行責任論はあると思う。ただ、紹介案件で母体行責任論を云々したときに果たして法廷でそれは通用するものかどうか、法務省の御見解をお伺いしたい。
  68. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 御質問は、母体行についていわゆる民事上の責任というものがあるのかどうかという観点からの御質問かと存じますけれども、母体行についてどういった民事上の責任が生ずるのかという問題は、具体的には住専各社その他母体行の行為によって損害を受けたと主張する者と母体行との間において、それぞれの各個具体的な事実関係を踏まえた上で問題となることでございますし、最終的には民事裁判の場で、裁判所で判断される問題でございまして、母体行に民事上の責任があるということも、またないということも、一般的抽象的に申し上げることは困難であると思っております。
  69. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、母体行責任論というのは、まさに感情的には随分あると思う。あるいは 道義的な要素もあるかもしれません。しかし、西欧社会でこれが争われたときには、これは問題にならないのですよ、ずばり言って。ケース・バイ・ケースだという答えしか出てこないのです、実際のところ。でございますから、母体行責任論、母体行責任論というのを聞くたびに、これはちょっと、僕はまあ西欧的な考えかもしれませんけれども、一体どの程度言えるのかな、ケース・バイ・ケースだなと思わざるを得ない。  そこで、ちょっとお聞きしますけれども、協同住宅ローンというのがございますが、これが当初は住専八社だったのですついつの間にか七社になってしまった。それで、いろいろ債権債務を聞いてみますと、大分ほかのものよりはたちがいい。要するに、最上恒産か何かの話があったのかな、何か一時つまずきがあって、草川議員あたりがけしからぬじゃないかということを指摘して、それから大分お行儀がよくなった。そのためにそんなに不良債権を抱え込まなかったということのようですが、ただ、決して中身はそんなにいいわけはない。  私のちょっと記憶するところは、大体七千億くらいの貸し金に対し三千億くらいの不良債権があると聞いていますけれども、いかがですか。
  70. 堤英隆

    ○堤政府委員 協住ローンにつきまして若干の経緯もございましたので、その点を簡単に触れさせていただきますけれども……(安倍(基)委員「いや、もう今のが事実かどうかだけ聞けばいいんだから」と呼ぶ)はい。  これは貸付金が今おっしゃいましたように七千億でございます。それから、大蔵省の平成七年八月の立入調査結果によりますと、不良債権が約三千億というふうに承知いたしております。
  71. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 つまり、ほかのものに比べてそれは少しはよかったかもしれぬけれども、七千億のうちに三千億も不良債権があるのですよ。何でこれを住専七社にして住専八社にしなかったか。なぜですか。  そこは、いろいろ言われておりますのは、もし住専八社にすると農中も母体行になっちゃうのです。農中も母体行になっちゃうのですよ。そうすると母体行責任を追及されるわけです。しかも、ほかのいわば住専七社に対して一般行としての責任を持たねばならない。それで、一般行は三・八兆のところを一・七兆にまけているわけですけれども、農林中金は系統という名前に隠れて、本当に——では一つ聞きますけれども、農林中金の資金量は幾らですか。
  72. 堤英隆

    ○堤政府委員 協住ローンにつきましてのお話でございますけれども、これにつきましては、設立目的に即しまして、不動産関係業務に対する業務を縮小するとか、あるいは投機的な土地取引に対します融資の排除ということに万全を期すということで、大変厳しい審査体制と融資基準ということでやってまいりました。そういう状況の中で、厳しさの面はございますけれども、そういう意味で不良債権額が比較的少ないということでございます。  それから、農中の融資の体力といいますか、全体の額は今五十兆円程度でございます。
  73. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 どうもちょっと話を取り違えているらしい。農中の資金量は、これはもうすごいんですな、量として。三十数兆ですか、通常の都銀よりも大きいのですよ。しかも、有価証券は約十三兆持っているのです。つまり、系統系統と言うけれども、農林中金は普通の都銀よりも大きいのですよ。それを系統という名のもとに陰に隠れて、しかも母体行でないということを振りかざして、それで要するに免れているわけです。いいですか。  ですから、今まで余り農中に対して農林議員は、皆さん遠慮して一言も言わないけれども、これは本当に系統系統、みんな経営の苦しい話ばかりするけれども、農中はもう十三兆円の有価証券を持ち、三十数兆円の資金量を持っているのです。この点が今までほとんど論議されていない。  そこで、ここに一つの策略がある。協同住宅ローンを整理の対象から外したのです。これを外しておけば母体行じゃなくなるのです。いいですか。そこがやはり大きな問題点である。  まあこの点、あと十分しかありませんから……(発言する者あり)それは新進の中でもやっていますよ。それから……(発言する者あり)そんな選挙のことだけ考えちゃならぬ。まあよろしいです。  それで、じゃ最後の、もう時間も大分詰まってきまずから、まず、ウルグアイ・ラウンド予算、これを前回は農林大臣は、回さない、これはこれで別個にあるという話をされていますけれども、その前に、農業関係所得者の納税額が幾らだか覚えていらっしゃるか。簡単にしてくださいよ、もう時間がないから。一口でいい、一口で。
  74. 福島啓史郎

    ○福島政府委員 農家経済調査におきます平成六年度の全国販売農家一戸当たり平均の納税額でございますが、八十五万二千六百円でございます。これは農業と農業外、両方含んだ合計でございます。
  75. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 まあこれはいろいろな、聞いてみますと、統計上ごたごたあるからあれです。トータルで農業所得者のいわば申告納税額が三百八十億円なんです。いいですか。全体は一千四兆円なんです。  だから、私が農林大臣にこの質問を出しましたのは、要するに、確かに農業は大事かもしれない、しかし、農林省たるものは、常に、大体どのくらいの納税をしておるのか、おれたちはどのくらいの経費を使っているのか、その両方を知っていなければいけないのです。取るものは大蔵省に任せるよと、使うものだけはふんだくってくるよじゃいけないわけです。  なぜ農業所得が少ないか。これは結局、農業対策というか、農業政策に基本的に問題があるからですよ。私は決して農民を……(発言する者あり)静かにしてください。要するに、どうやって本当に農業を活性化するか、それを考えなければいかぬです。
  76. 上原康助

    上原委員長 不規則発言は御遠慮願います。
  77. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 要するに、農協が苦しいのも、農業がうまくいっていないからですよ。これだけの巨費を投じながら結局うまくいかない。どこかにいわば欠点がある。それを基本的に考えないといかぬです。ただただ補助金を与え、何々しというんじゃいけない。  私は、このウルグアイ予算が六年間で六兆円規模ですか、国費二・八兆円ありますね、この内訳をいろいろ見てみたのです。流動化対策とかいろいろありますね。これは余り細かい話だから大臣に直接聞くのもいかがかと思いますけれども。  例えば、これはどういうことですか。私、ちゃんと勉強しましたからね。例えば、土地改良負担金対策では約二千六百億円持っていますね。それで、この中で、どうも国費が約一千億円くらいあるらしい。これはどういう中身ですか。
  78. 野中和雄

    ○野中政府委員 負担金対策でございますけれども、特にその中の大宗のものは担い生育成のための対策ということでございまして、担い手に農用地の利用集積を積極的に行います地区に限定をいたしまして、負担金の水準が一定以上の期間につきまして、その負担金の償還利率が三・五%を超える利息相当額を土地改良区等に助成をいたしまして、このウルグアイ・ラウンド対策の中で土地改良に伴う農家の負担金の軽減を図るというようなものがその中心でございます。
  79. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 一つ一つそれぞれの意味があるかもしれません。簡単に言えば、利子補給なんですよ、利子を面倒見てやりましょうかと。こういうのはごろごろあるんですよ。  確かに農民に対して利子の負担をしているのは、差額を負担しているのはいいでしょう。ところがその反面、その高い利子でもって取れる金融機関があるわけです。これが政府系金融機関であり農中であり、そういうのが逆に間接的な利益を得ているんです。ということは、至るところ、ウルグアイ予算を引っぱがしていけば、何でこんなのを出すんだろうというのが出てくるのです。  こう考えますと、こういういわば農林の金融を 根本から直そう、どうにかしなければいかぬというときにこそウルグアイ・ラウンド予算は使うべきじゃないですか。もう既におれの既得権だ、片方は国費を導入するんだというのではなくて、我々ももし本当に農業のためにやらなくてはいけないというのだったら、そっちの予算から出してもらったらいいんじゃないかと私は思うのです。  でございますから、ウルグアイ・ラウンド予算というのを考えてみたときに、当時、三兆円のところを六兆円規模に要するに圧力でもって変えたといううわさもあるけれども、その真偽はわからぬけれども、やはり我々は農政を本当に基本的に考えなければいかぬ。ウルグアイ・ラウンド予算というのがあるけれども、本当に農業が困るのならそっちの方も考えてもいいよと。しかし、こういう金融不安にかこつけて損を負担させるというのは間違いじゃないか。農林大臣の御意見と、それから官房長官の御意見をお聞かせください。
  80. 大原一三

    ○大原国務大臣 金融システムの農政におけるありようという問題と、農家の生産基盤を充実し、食糧の自給率を確保し、将来の食糧安全保障を守るという問題は、私は別個の問題だと思っております。  委員先ほどからいろいろ御質問ございましたが、農林中金はいわゆる母体行にはなっていないわけですね。御承知のように、協同住宅ローンは、さっき三千億と申しましたが、回収不能債権は二千億程度でございます。交渉の経緯をずっと聞いてみますと、農林中金としては、住専は残すべきであると、全部、そういう議論をしたということも聞いております。ということは、ほかの住専の経営内容の実態、これを十分知らされていなかったのではないのかなと、私は後でそう考えたことであります。  お説のとおり、金融システムの改革も非常に重要なことでございまして、これはまた別途重点的に我々は今進めなければならぬ大きな課題であるということは、委員指摘のとおりであります。
  81. 梶山静六

    梶山国務大臣 いわゆるウルグアイ・ラウンド対策のこれからの財政支出については、それなりの積算根拠その他を推しはかつてお決めになったものだと思いますので、これに不要不急のものがあれば、それなりの勘案はしなければならない。それとこの金融問題、なかんずく農村、農家の預金保護という問題は別個な問題だというふうに認識をいたしております。
  82. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私も、ウルグアイ・ラウンド予算はもう少し精査する必要がある、実際のところ。いわゆる農林省の予算が大体三兆円ちょっとですけれども、六年間で二・八兆円の国費を出すわけですから、やはりこれは、ほかの業界なんかの輸入自由化のときにそれぞれ面倒を見たにしても、こういう非常時に、私は、ウルグアイ・ラウンド予算はこれとは別だということはちょっとおかしい。  ということと同時に、もう少し農業を基本的にどうしていくのかと。自給を言われますけれども、じゃ、例えば油が完全にとまった場合、油は自給していないですよ。そういう意味で、備蓄の問題もあるし、いろいろあるわけですよ。しかも、生産性を高めるために、単に金をどんどんつぎ込めばいいと公共事業をぼろぼろやるようだけれども、農家の人なんて逆に自分の負担をかけられてくるものだから、地方公共団体も、やはり事業をやるためには自分らの負担もある、かえって莫大な予算で困っちゃっているという声さえ聞きます。  そう考えていきますと、我々は本当に農業をどうするかということをもっと、今までのあれじゃなくて、どうやったら本当に活性化する農業になるのか。今まで、農林省の言うとおりやると、必ずそれはまた、ミカンをつくれと言うからミカンをつくるとまたそれがあり余っちゃう、米をつくれと言うからつくってやると減反される。言われることと逆のことをやるとうまくいく、言われるとおりやると間違っちゃうということさえ言われるわけですよ。  そこで、もう大分時間もなくなってきたから、そういうことで、この農協の問題、系統金融の問題は、農業そのものの問題なんです。  せっかく郵政大臣に来てもらいましたから、要するに、今ここで問題になっているのは、郵貯があるんですよ。結局、今のところ、みんな郵貯へ郵貯へと草木もなびいちゃうわけですよ、安全だし。郵貯の方は全然、使い道はあなた任せで、集めさえずればいい。最終的に集まった郵貯をどう使うかという財政投融資の大きな問題があるんですよ。今までは大切なところに金をつぎ込みますよという話になっているけれども、もっともっとこれからある程度利益を生んでいかないと困るわけです。だから、さっきのあの何とか負担金というのも、農林中央金庫か何かから金を借りて、みんなが払えないからその差額を一般会計で見る。結局その使い道を精査しないことになる。  そこで、将来の郵貯、郵政事業の問題、どういうお考えですか。
  83. 日野市朗

    ○日野国務大臣 先生、郵貯にはどんどん金が入ってくるという御認識をお持ちのようですが、それは事実と大分違っておりまして、実は私も郵政大臣になりたてのころは、恐らく資金シフトはかなり起きているのではないか、こんなふうに思ったのですが、調べてみましたらそんなことはございません。大体シェアとしては二〇%前後でずっと安定的に推移しておりますし、それから、伸び率でございますね、それも七%台、それでずっと安定的に数字は動いているわけでございますね。決して郵貯の方にどんどん金が入っているということではございませんので、そこらはひとつ認識を改めていただきたいというふうに思います。  時間なことはわかりますが、ただ、それからどうするんだという話だったようですから、一言お話ししておきますが、郵便貯金なんですね、これは。預金とは違う。ここのところ、庶民が集めたお金をお預かりしているのです。ためるのをお手伝いをしているということでございます。そして、その使い道もずっと公共的な、一般の銀行や何かではこういうところには出さないだろうなと思われる必要な公共的な投資をずっと財投でやっているわけでございますね。これは私はいい制度だと思うのでございますよ。
  84. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 また時を改めて議論したいと思いますから、時間が来ましたからやめます。
  85. 上原康助

    上原委員長 これにて安倍君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井英勝君。
  86. 吉井英勝

    吉井委員 昨日の矢島議員の質疑などで、母体行に十分なる体力があるということが明らかになったと思います。また、これまでの質疑で大蔵大臣は、母体行の責任を軽視することは許されないと責任を認めた上で、それにこたえるべき負担をすべきであるという立場で銀行に当たっているということも明らかにしておられます。銀行局長が銀行にどういう主張をしているかということなどについても、これは週刊ダイヤモンドなどにも掲載されておりますし、いろいろなところである程度のことは承知しているつもりであります。  大体、銀行の抵抗している論拠というのは、住専は銀行直系のノンバンクと違って、貸し手責任論との中間のものだという主張と、母体が非常にたくさんあって、複数で関係が錯綜しているから損失分担のルールができにくいという、大体そういうところというふうに理解しております。  そこで少し確認しておきたいのですが、住専設立以来の役員の約九割は母体行役員だとこの間明らかになりました。母体行共同して株式を所有している割合も、銀行局長答弁によれば、総合住金で六九%、地銀生保ローンで八一%ということも明らかになりました。結局、直系ノンバンクの五%に比べても異常に高い比率であるということが明らかになったわけであります。  改めて、そこで七つの各住専別に母体行と母体の関連の株主とその株式数、株式所有率というものを明らかにしていただきたいと思うのでありま す。
  87. 西村吉正

    ○西村政府委員 全体的な状況といたしましての母体行の持ち株比率については、先般御説明を申し上げたとおりでございます。  ただいまお申し越しの資料は、個別の母体行について個別の会社の株式保有状況ということでございますが、基本的にはそれは個々の保有の主体に要求を行っていただくべきものと考えております。
  88. 吉井英勝

    吉井委員 私は、住専がその中間なのか、直系ノンバンク以上に直系なのか、やはり母体行の責任を明らかにしていく上でもこれは基礎的な資料だと思うのです。これは質問レクということにあわせて要求したのですが、出てまいりませんでした。  委員長、私はこれはやはりこの問題を解明する上で少なくとも基礎的な資料だと思いますので、ぜひこれが提出されるように、委員長としても諮っていただきたいと思います。
  89. 上原康助

    上原委員長 理事会でもまだ御提言がありませんが、相談させていただきます。
  90. 吉井英勝

    吉井委員 大蔵省提出資料の平成五年二月二十六日付大蔵省銀行局長あての「日本住宅金融の再建計画について」の資料というのが出ておりますが、もちろんほかにも他の住専各社の再建計画がありますが、この資料を見ておりますと、住専である「日本住宅金融が再建計画をとりまとめ、母体行会議に諮った結果、下記のとおり母体行において合意いたしましたので、ご報告申しあげます。」と、三和、さくら、東洋信託、大和、三井信託、横浜、あさひ、千葉、北海道拓殖銀行、この母体行九行のゴム印が押されたものとして提出されておりますが、この文書は、一九九三年二月二十六日に十二時間ほどかけた母体行会議で再建計画を立てたときのものですね。まさに、この住専をつぶすか再建するかという最も高度の経営判断と決定を下したのは母体行会議であったのではないかというふうに思うのですが、この点はどうでしょうか。
  91. 西村吉正

    ○西村政府委員 たびたび御説明申し上げておりますように、住専の経営は経営者の判断によって行われるべきものでございます。その場合に、経営のある意味ではバックにおります母体行が、その問題について協議をするということもあろうかと存じます。とりわけ再建とかあるいは処理という問題になりますならば、株主としての立場からそのような問題について真剣に検討が行われることは、ある意味では当然のことであろうかと考えられます。
  92. 吉井英勝

    吉井委員 並の経営上の問題だというふうに今のことは思わないのです。大体、住専設立時には、母体行会議で設立を決定し、各母体行の取締役会で議決を得た上で、母体行の代表から成る設立発起人会が持たれて住専がつくられていくという経過でありますし、まさにこの経営の危機を迎えたときには母体行会議で再建を決定したわけですね。  ですから、住専にとってこの設立とか解散とか再建というのは、これは最高に重要な問題です。そのことを一行一行母体行がばらばらで責任を持ってだれも決定できないというものではなくて、組織的に共同して最高の意思決定をして住専を支配しているということをこの資料ははっきりと示しているものではないかと私は思うのです。  この最も高度の判断を下したのは母体行会議だというふうに思うのですが、これは大蔵大臣はどういうふうにお考えですか。
  93. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほども申し上げましたように、母体行、これは重要な株主で、出資者でございますので、そのような立場から、住専の処理あるいは再建につきまして重大な関心を持ち、そのような協議をするということは、他の株式会社にも通ずる一般的なことでもあろうかと思います。
  94. 吉井英勝

    吉井委員 例えば二十六日のこの再建計画ですね。日本住宅金融が再建計画、これを取りまとめたんですね。「母体行会議に諮った結果、下記のとおり母体行において合意いたしました」。つまり本当に、つくるとかつぶすとか再建するというのは最高の問題なんですよ。その最高の事項についての意思決定をやったのは、これは母体行であったということは、この資料ではっきりうかがうことができると思うのです。  私は、住専と母体行との関係において、母体行の果たした決定的な役割はこういうところにはっきり読むことができる問題だと思うのですが、この点についての大蔵大臣の考えというものを聞いておきたいのです。
  95. 久保亘

    ○久保国務大臣 企業としては住専の役員会が決定をしたものだと思いますが、今、吉井さんが言われましたように、出資者であり、設立にかかわり、その後の人事や経営にも大きく権限を持ってまいりました母体行に対して、住専という会社が自分の会社で取り決めたことを相談をしてその母体行の了解を得た、そういういきさつのものだと思っております。  その意味では、母体行が住専に対して責任を非常に重く持っているという点については御指摘のとおりだと思います。
  96. 吉井英勝

    吉井委員 次に、大蔵大臣は、四月五日の佐々木委員質問に対して、必ずしも六千八百五十億円にとどめる必要はない、可能な負担をしてもらえば、その負担によって六千八百五十億円が結果的に国民の負担としては軽減される場合も出てくると答弁をされました。  しかし、住専の株主でもなければ何の責任もない国民に負担を求めるということ自体が大体これは道理のないことであって、だから国民の九割が反対をしているというのは、これは当然だと思うのです。ですから、今どのようにして母体行に負担させるかを政府として国民の前にはっきり示すということが必要だと思うのです。  報道によると、四月六日付ですが、大蔵省は三月に、一部の主要母体行に対して、非公式に金融安定化拠出基金への出資額をさらに一兆円以上上積みできないかと打診したとありますが、これは事実ですか。
  97. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専の処理につきまして、いろいろな機会に母体行あるいはその他の金融機関の方々と意見の交換をするということはしばしばあることでございますけれども、今御指摘のような御提案を申し上げたということは、私の承知いたしております限り、ございません。
  98. 吉井英勝

    吉井委員 そうすると、いろいろ相談をしたり申し上げているということなんですが、一兆円の上積みができないかということは局長は承知していないとおっしゃるわけですが、大体どういうことを打診したり申し出たりしていらっしゃるんですか。
  99. 西村吉正

    ○西村政府委員 それはまさにいろいろでございますけれども、例えば、大臣からも御説明を申し上げておりますように、国会での御審議の状況だとか、そういうことも含めまして、我々が承知をいたしております住専問題をめぐる環境というようなことについても御説明を申し上げている、こういうことでございます。
  100. 吉井英勝

    吉井委員 局長の御存じないところでいろいろな話し合い、折衝等もあるのかもしれませんが。  大蔵大臣、報道による一兆円の話なんですが、まさに一兆円を十五年間運用して、それで六千億円を生み出すという趣旨のことでこういう議論があったということなんです。それなら、本来六千八百五十億円そのものを出してもらいたい、そのことを求めていくことも一つのこれは追加策になると思うのですが、こういうことは求めていらっしゃるんでしょうか。
  101. 久保亘

    ○久保国務大臣 ただいま報道に関連してのお話がございましたが、そのことに関しましては、銀行局長も承知していないと申しましたが、私も直接そのことには関与いたしておりませんので、承知いたしておりません。  ただ、私といたしましては、再三御答弁を申し上げておりますように、六千八百五十億円の財政支出を含む住専問題の処理スキームをぜひ八年度 予算とともにお認めをいただきました上で、この国民の負担となります部分について、時間をかけても、これが将来にわたってその負担ができるだけ縮減されるように、いろいろな負担の方法というものを検討していただくように申しているわけであります。  このことに対しましては、なかなか名案がないけれども、責任のある立場でいろいろと考えなければならないということが今言われている段階だと思っておりまして、やはり政府といたしましてこれに取り組みます方針が確定をいたしませんと、なかなか新たな負担の問題についても話を進めることが難しい点もございます。
  102. 吉井英勝

    吉井委員 今もお答えの中にもありましたし、昨日もありましたが、大蔵大臣は、スキームはでき上がっている、これを認めてもらって、今後このスキームで処理する方針を固めた上でさらに詰めていかなければならない、大体そういうお考えのようです。  この政府のスキームというものでいきますと、一次損失の方で六千八百五十億円の税金の投入、二次損失として生まれてくるとされている、今ですと約一兆三千億ぐらいになるでしょうか、それについても二分の一を国民の負担にするというものですから、これは結果として国民の負担が軽くなるどころか、六千八百五十億円の手付金を払ったら今後どこまで膨らむかわからないというものへ、どんどん税金で負担することに道を開いていくことになってしまうわけですね。  だから、大蔵大臣のおっしゃる、結果として負担が軽減されるというためには、まず手付金の六千八百五十億円、これを削除してこそ結果としての可能性も出てくると思うのです。  それだけに、率直に、一兆円の話は大臣もあずかり知らないところにしても、ずばり六千八百五十億円を母体行においてきちっと負担の道を考えてもらいたい、それをやはり言わなければだめだと思うのですが、どうなんでしょうか。
  103. 久保亘

    ○久保国務大臣 そのような御意見のありますことも、本委員会の審議を通じて私も十分に伺っております。ただ、今財政支出の部分を取りやめるというようなことになります場合には、住専問題処理にかかわる預金保険機構に関しての特別措置の法律が成立しなくなってまいる可能性もございます。そういたしますと、これは公的な関与による解決の道を閉ざすことになりはしないかと思っております。その場合には民事で処理すればよいという御意見もございますが、そういったようなものも十分に検討いたしました上、今はこの御審議をお願いをいたしております方策がとり得る最善の方法ということで御審議をお願いを申し上げている次第でございます。
  104. 吉井英勝

    吉井委員 今のお話も、せんだって来のお話も、大体協議そのものが、全体の処理スキームがなくなるとうまくいかないんだ、全体としてのこれをというお話なんですが、ただ、私がここで言っておきたいのは、仮にあなたの今言っていらっしゃるそのスキームでいくとしても、しかし、その中で母体行に追加負担を求める協議を進めるということ、これはやはり大事だと思うのですよ。  今一次で言われている母体行の三兆五千億と一般行の一兆七千億、そして五千三百億の系統の贈与、残る分、六千八百億税金投入というところなんですが、この六千八百億、ここをまさに母体行の方に追加負担として具体的に求めていく。あなたのスキーム、仮にその立場に立ったとしても、そのことを本当に今やらないと、これは国民の期待にこたえる解決策は出てこないと思うのですよね。それをやはりお考えになるべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  105. 久保亘

    ○久保国務大臣 そのことを先ほどから申し上げているわけでございます。  この住専処理機構が実際に成立いたしましてその機能を開始いたしました場合でも、私は、可能な限り、この問題の処理のための負担ということについては、お願いをすべきところにはお願いをし、ペナルティーとして科さなければならない法的責任を伴うところにはそのことを求めていかなければならないことだと考えております。
  106. 吉井英勝

    吉井委員 しかし、仮にあなたのお考えでいくにしても、少なくとも一次のところの六千八百五十億のこの手付金は、やはりこれはなくさないと、今後次々と出てくる負担の全部二分の一負担というこのスキーム全体がまかり通るということになれば、これは本当に国民にとってこの先どれだけ負担が出てくるかわからないという話であります。  この点で私は、やはり国会正常化のために議長の前で確認された五党合意では、母体行の追加負担問題や真相解明と対策についての徹底審議を行う、強引な採決は行わないということが約束されているわけですし、大蔵大臣のところの、あなたの党の党首も合意されたものですから、その立場に立って母体行の追加負担の政府の側の具体策を国会に出して、国会審議の内容と国民世論を背に母体行に対して強力な折衝をしていく、そういう立場で臨んでもらわなければいけないと思うし、重ねて、母体行の追加負担についての政府の策というものをどういうふうに出そうとお考えなのか、この点だけ伺って、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
  107. 久保亘

    ○久保国務大臣 今回の政党間の合意の問題に関して私が意見を申し上げる立場にはございませんけれども、政府としては、先ほどから御答弁を申し上げておりますような立場に立って、母体行を初めこの不良債権にかかわる住専問題の処理に関して責任を持つ分野は、それぞれにその責任を果たしてもらえるよう私どもは努力したいと考えております。
  108. 吉井英勝

    吉井委員 終わります。
  109. 上原康助

    上原委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  110. 海江田万里

    ○海江田委員 先ほど安倍委員からも質問がございましたけれども、協同住宅ローンでございますね。七千億ぐらい融資があって、そのうち三千億ほどが不良債権になっているというようなお話でございますけれども、七千億で三千億ですから問題はないんだというような言い方を先ほど聞いたわけでございますけれども、私は、やはりいろいろこれは問題があると思うんですね。  今大変大きな問題になっております末野興産にもこの協同住宅ローンはしっかりと融資をしておりますし、それから、これの、七千億の融資の件数でもっていろいろ割り戻しをしてみますと、一件当たりの貸出額もやはり五百万円を超えておりまして、ほかの七社の貸出額が一件当たりで割り戻しをしますと四百何十万という計算ですから、かなり協同住宅ローンは一件当たりの融資額も多いんですね。  そういうことを考えますと、この協同住宅ローンを今のままでいいからこのまま続けるんだという話になるのか、それとも、早晩やはりこの協同住宅ローンの問題も考えてみなければいけない問題なのかということをお考えになっているのかどうなのかということを一言お答えいただきたいと思います。
  111. 大原一三

    ○大原国務大臣 七千億のうち三千億、そのうちの二千億が回収不能債権、あとの千億は回収できる見込みのあるものということで分類をされておりますが、委員御承知のように、農協系統は住宅ローンが非常に劣後しているわけであります。したがって、今後、この系統金融を改革していく場合に、農林中金さんが地方の、残る信連があるかもしれませんし、それから単協から上がってくる規模の大きい住宅ローン、こういったものについては、ひとつ農中さんを経営母体としてこの協同住宅ローンを蘇生させていく、そして住宅ローン、そしてまたそれに関連する土地の投資に限定して生き残りを考えていったらどうかということを我々内々今議論をしているところであります。
  112. 海江田万里

    ○海江田委員 大蔵省がつくりました例の住専問題とは何かというあのパンフレットにも、住専はこれでもう全部なくなるんですよということを はっきり書いてあるわけですね。ただ、現実には、当面はこの協同住宅ローンが残るわけですから、だから本当は住専が全部なくなるわけじゃなくて、ここだけは残るわけです。  今大臣からもお話がありましたけれども、農協本体も住宅ローンをやっていますから、一般の銀行と住専との関係と、農協とこの協同住宅ローンの関係、全く同じわけですから、やはりこれも本当になるべく早くきちっと処理をしなければいけないんじゃないだろうかということで、その処理策をもう同時で走っていなければいけないんではないかなと私は思います。  それから、先ほども若干話が出ましたけれども、農協の貯金が流出をしているということでございますね。これは雑誌なんかを見ますと、かなり大きな見出しなんかで、農協貯金はもう実際に流出が始まっている、その流れた先がどうも郵貯じゃないかと言われておって、その郵貯の方は、そんなにふえていませんよという説明がありましたけれども、農協の方から果たして本当に貯金が流出をしているのかどうなのか。  一月までは、実は毎月毎月県ごとの数字の伸びが対前年比で伸びていたわけですけれども、二月から四半期ごとにしようということになったんですね。これも考えてみるとおかしな話でありまして、まさにここのところを私たちは見ておって、ああ、平気だとか、いや、やはりこれは流れておるから大変だとかいうような判断をしなければいけないのに、何でこれは四半期ごとに、わざわざこの時期におやりになったのですか。
  113. 堤英隆

    ○堤政府委員 事実をちょっと御説明させていただきます。  最近の預貯金の動向ということを見ますというと、民間金融機関におきましては、全体的には伸び率の低下は非常に著しいわけでございますけれども、農協の貯金も、今御指摘がございましたように、平成八年一月で前年比一%、これは速報値でございます、一%でございます。それから二月で〇・三%、これも速報値でございます。  この一年間の動きをちょっと見てみますというと、大体農協の貯金で、そういう意味では二%ないし三%伸びておりましたので、やはり伸びの鈍化が顕著になってきているというふうに見ております。  他面、郵便貯金につきまして、先ほども郵政大臣からお答えがございましたけれども、平成八年二月段階で前年比八%ふえたというふうに理解をいたしております。  この移しがえが行われているかどうかということにつきましては、なかなか分析はまだ難しい問題があると思います。全体的な農村の不況ということもございましょうし、あるいは、金融機関全体に対します国民の方々の御不安ということが今はいろいろな意味でもあらわれているのじゃないかというふうに一応は思います。  それからもう一点、毎月ごとの統計の公表ということについてお話がございましたけれども、これは私どもが発表しているわけではございませんで、中金が各信連から協力を得まして、その統計を受けて集計を公表しているわけでございますが、まず一つは、速報ベースの公表は他の業態におきましても全国合計で公表されているということでございまして、そういう意味で、信連の方から、地域の特殊要因が重なって不安定な動きがあった場合に、そのままそれが貯金者等への誤解を招く原因になるんじゃないかというようなお話がありまして、そういう中で県別の速報の公表を差し控えたいという要請を中金側が受けたというふうに理解をいたしております。  ただ、今後とも、ほかの業態と同じように全国合計のみで、全国合計につきましては、県別のことも含めまして四半期ごとに公表するということにつきましては従来どおりやっていきたいということの意向でございます。
  114. 海江田万里

    ○海江田委員 確かに不安があることは事実なわけですよね。ですから、その不安を解消しなければいけないんですけれども、その不安を解消する方向が全然違うんですね、これは。不安を解消する方向というのは、一番やはり不安なのは、貸出先が一体どこになっているんだろうかということ、貸出先がどこになっているのかということがわかれば、ああ、これならば平気だということで安心をするわけですけれども、その貸出先がどこになっておるんだろうかというところのディスクローズは全くやりませんで、結果的に数字がどういうふうに動いておるか、特に各県信連別のこの数字を閉じてしまうというのは、これはやはりおかしなことだと思うんですね。  確かに農林中金がやっておることだということで言えば、それはむしろ時代に逆行することだから、それは従来どおり、今までやっていなかったならともかく、やっておったわけですから、これはやるべきだと言うのが筋じゃないですかね。やはり、みんな筋だと思うことをやらなければだめだと思いますがね。  あともう本当に時間がありませんが、大臣、一つ、せんだって……(発言する者あり)もうちょっと、一つやらしてくださいね。  せんだって私、質問主意書を出しまして、「個人債務者の不良債権に関する質問主意書」ということで、まあお答えをいただいたんですが、幾つかいろいろ疑問などがあるんです。  個人債務者も、金融機関から借り入れをして、景気が悪くなって返せなくなったりとか地価が下落をしたとか、いろいろな事情がありまして大変困っている人たちもいるということで、その場合、例えば私が質問しましたのは、「住専処理に見られるように、個人債務者の債務処理においても、法的手続きによらない公正で迅速な仲裁機関の設置の必要性」はあるんじゃないですかということを今回のこの住専の問題を参考にして質問させていただいたんです。  その答えが、「銀行とその個人債務者との間の債務処理の問題は、私法上の契約に関する問題であり、当事者間で解決すべきものである。」と、確かにこれは正論と言えば正論なんですが、この「個人債務者」の「個人」を抜いて「債務者」ということで言えば、今回の住専の問題にそのまま当てはまるんじゃないだろうかという気がするんですね。これはどうしてこういうお答えになっているんですかというのはなかなか難しいところだろうと思いますけれども、こういうことが素朴な疑問としてだめなのかということをお聞かせいただきたいんです。
  115. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもも、法的な処理なり法律に基づく処理というものがすべての場合に不可能であるとか適切でないとか申し上げておるわけではございません。この住専という大きな塊で、かつ多数の複雑な権利関係が絡んでいる問題については法的な処理というものは難しいんではないか、その他の問題につきましては、原則に戻りまして、できるだけ明快な形でそれぞれの当事者の間での権利関係にゆだねるということが原則だと考えているところでございます。
  116. 海江田万里

    ○海江田委員 じゃ、時間になりましたので終わります。ありがとうございました。
  117. 上原康助

    上原委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四分散会