運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-04-09 第136回国会 衆議院 予算委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月九日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       木村 義雄君    菊池福治郎君       後藤田正晴君    志賀  節君       高鳥  修君    谷川 和穗君       原田  憲君    武藤 嘉文君       村山 達雄君    谷津 義男君       若林 正俊君    安倍 基雄君       愛野興一郎君    伊藤 達也君       石井 啓一君    加藤 六月君       川島  實君    左藤  恵君       笹川  堯君    谷口 隆義君       平田 米男君    前田 武志君       松岡滿壽男君    山口那津男君       山田  宏君    米田 建三君       今村  修君    佐々木秀典君       坂上 富男君    田中 昭一君       細川 律夫君    山元  勉君       錦織  淳君    穀田 恵二君       松本 善明君    矢島 恒夫君       海江田万里君    嶋崎  譲君  出席国務大臣         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         文 部 大 臣 奥田 幹生君         農林水産大臣  大原 一三君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      岡部 三郎君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         警察庁刑事局長 野田  健君         警察庁警備局長 杉田 和博君         防衛庁長官官房         長       江間 清二君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      大野 琢也君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         公安調査庁長官 杉原 弘泰君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省関税局長 久保田勇夫君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁次長   若林 勝三君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省学術国際         局長      林田 英樹君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         食糧庁長官   高橋 政行君         林野庁長官   入澤  肇君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 四月九日  辞任         補欠選任   武藤 嘉文君     木村 義雄君   石田 勝之君     加藤 六月君   佐々木秀典君     山元  勉君   佐々木陸海君     穀田 恵二君   海江田万里君     嶋崎  譲君 同日  辞任         補欠選任   木村 義雄君     武藤 嘉文君   加藤 六月君     米田 建三君   山元  勉君     佐々木秀典君   穀田 恵二君     矢島 恒夫君   嶋崎  譲君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   米田 建三君     石田 勝之君     ————————————— 四月九日  平成八年度予算における住専処理経費の削除に  関する請願(岩佐恵美紹介)(第一五一二号  )  同(穀田恵二紹介)(第一五一三号)  同(佐々木陸海紹介)(第一五一四号)  同(志位和夫紹介)(第一五一五号)  同(寺前巖紹介)(第一五一六号)  同(中島武敏紹介)(第一五一七号)  同(東中光雄紹介)(第一五一八号)  同(不破哲三紹介)(第一五一九号)  同(藤田スミ紹介)(第一五二〇号)  同(古堅実吉紹介)(第一五二一号)  同(正森成二君紹介)(第一五二二号)  同(松本善明紹介)(第一五二三号)  同(矢島恒夫紹介)(第一五二四号)  同(山原健二郎紹介)(第一五二五号)  同(吉井英勝紹介)(第一五二六号)  同(岩佐恵美紹介)(第一五六〇号)  同(穀田恵二紹介)(第一五六一号)  同(佐々木陸海紹介)(第一五六二号)  同(志位和夫紹介)(第一五六三号)  同(寺前巖紹介)(第一五六四号)  同(中島武敏紹介)(第一五六五号)  同(東中光雄紹介)(第一五六六号)  同(不破哲三紹介)(第一五六七号)  同(藤田スミ紹介)(第一五六八号)  同(古堅実吉紹介)(第一五六九号)  同(正森成二君紹介)(第一五七〇号)  同(松本善明紹介)(第一五七一号)  同(矢島恒夫紹介)(第一五七二号)  同(山原健二郎紹介)(第一五七三号)  同(吉井英勝紹介)(第一五七四号)  同(岩佐恵美紹介)(第一六二五号)  同(穀田恵二紹介)(第一六二六号)  同(佐々木陸海紹介)(第一六二七号)  同(志位和夫紹介)(第一六二八号)  同(寺前巖紹介)(第一六二九号)  同(中島武敏紹介)(第一六三〇号)  同(東中光雄紹介)(第一六三一号)  同(不破哲三紹介)(第一六三二号)  同(藤田スミ紹介)(第一六三三号)  同(冬柴鐵三君紹介)(第一六三四号)  同(古堅実吉紹介)(第一六三五号)  同(正森成二君紹介)(第一六三六号)  同(松本善明紹介)(第一六三七号)  同(矢島恒夫紹介)(第一六三八号)  同(山原健二郎紹介)(第一六三九号)  同(吉井英勝紹介)(第一六四〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、理事会協議に基づく一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  3. 加藤六月

    加藤(六)委員 当委員会におきまして二月の八日に質問させていただき、またそれに関連して二月九日、そしてまた、当委員会参考人を招致して熱心に御議論いただきまして、その際にも私は質問させていただいたのでありますが、あるいはきょうの質問は、同僚の我が党の議員質問あるいは前に私が質問したことに若干ダブりがあるかもわかりませんが、そこは御了承のほどお願いいたします。また、官房長官にも御出席をお願いしておったのでありますが、もうちょっと後からおいでになるというので、官房長官おいでになったら、そのときに改めて御質問いたしたいと思います。  そこで、きょうは一番に、既に二月九日政府が提出されました特定住宅金融専門会社債権債務処理促進等に関する特別措置法案につきまして、主にまず前段御質問させていただきたいと思います。大臣あるいは銀行局長等にお答えをいただければありがたいと思います。  その御質問申し上げる趣旨というのは、やはり六千八百億の積算根拠あるいは出さなければならない理由、それをこういう方法で預金保険機構の中に入れて、そして政府がこの間出しておるパンフレットを見ますと、住専処理機構住専処理機構と書いてあるのですが、純粋の株式会社である。債権処理会社と書いてある、法律の中では。それをまるで国民には住専処理機構かのごとくいろいろ言われておるという点等がちょっとおかしいのじゃないかという趣旨が出るかもわかりませんが、そこら辺について、まずきょうは御質問していきたいと思います。  そこで、まず第三条で、いわゆる第二章の預金保険機構業務の特例をつくるのがこの法律のすべてであるなと。昭和四十六年に設定した預金保険法、これを途中で若干修正はいたしておりますが、それに対して抜本的に預金保険機構の機能を変えるというか、その中に屋上屋を重ねたり、そばに何かわからぬものをひっつけたりというような格好になるのかなと思ってみたり、特に、今回金融問題あるいはこれに伴う金融不安問題で、政府PRとしては、預金保険機構があって、預金者が申請すれば一人一千万円以内は支払いいたすのでございますよというPR昭和四十六年からつくっております。  それから、農協漁協についても同じように、農協漁協も、不安があれば、一千万以内は請求があれば支払いはできるようになっておるのでございますよ、これが一番の業務であります。そして預金保険機構、その次は支援業務でありますという、ここら辺のPRが全然されていない。  全然されていないというところに、これは我々も責任を感じ、また今回の一連の、政府皆さんあるいは与党皆さんが新聞やテレビでどんどん言われるが、住専を処置することは早くしないと金融不安が起こるとか、あるいは住専をうまく処置しないと金融システム全体に大きな空洞化ができたり支障を来すとか、いろいろな理屈は言われておりますが、中には、しまいには、預金者を守るための住専でございます、預金者のための住専でございます、こればかり言われる。  根本は、一千万円以内の皆さんについてはもうちゃんとこういう法律があるのでございます、国会はつくっておるのでございます。そして、例えば八千二百億の責任準備金は準備してあります、千二百億円の責任準備金は準備してあります、危ないと思ってつぶれたら、申請があれば、手続はありますが一千万以内は差し上げますということを前提としていろいろ言っていかないと、これからまだまだある。  きょうもちょっとお聞かせ願いたいのは、外国調査会社が発表しておる不良債権額というものと、大蔵省がたびたび我々に発表しておる不良債権額の違いがある。だから、いかに一緒になって金融不安を排除して金融システムの確立を言うにしても、国内で出るのと外国から言ってくるのとのいろいろ違いがある中に、預金者が安心する、貯金者が安心する最低限度ぎりぎりのものはぴしゃっとこうやってあるのでありますということを言わなければならぬのじゃないか。それが私は預金保険機構の、あるいは貯金保険機構の重大なる仕事で、そのPRをある面で言うと怠っておったというところに反省点は持っておるということを冒頭申させていただきます。  そこで、第三条でございますが、この第三条は、いわゆる住専からその貸付債権その他を譲り受け、そしてその預金保険機構株式会社の設立の発起人となり、そしてその会社保険機構出資するというのが一項目めであります。この出資金は一体幾ら出資して、この出資金総額幾らになるのか、そしてだれが社長になるのか、そしてこれはどこどこが出資するのか、それで総額幾らかというのをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  4. 西村吉正

    西村政府委員 現段階で考えられております構想といたしましては、いわゆる住専処理機構に対します出資は、日本銀行が拠出いたしまして預金保険機構が受け入れました一千億円及び民間拠出に係ります一千億円、合わせまして二千億円が予定されているところでございます。
  5. 加藤六月

    加藤(六)委員 社長はだれになるのですか。
  6. 西村吉正

    西村政府委員 まだ法案予算等段階におきまして御審議の段階でございますので、そういう具体的な問題につきましてはこれからの課題と考えております。
  7. 加藤六月

    加藤(六)委員 これは株式会社ですね。
  8. 西村吉正

    西村政府委員 特殊な任務を持ちました株式会社でございまして、例えば類似のものといたしましては、東京湾横断道路株式会社というようなものも同種のものであろうかと考えております。
  9. 加藤六月

    加藤(六)委員 株式会社定款で行う事業を決めるのであって、それは特殊であるかないかというのは、その会社がねらう仕事、あるいはそれによってごく一般の、商業をやるのか、あるいは生産をやるのか、あるいはいろいろな貸金業をやるのかというのは定款で決めるのであるので、特定の、特殊な目的というのは、後から議論させていただきます。  ここで大蔵大臣に確認しておきたいのは、政府がこの間、四、五日前にパンフレットをつくって出したでしょう、いろいろ。出しましたね。こういうパンフレット、それからこういうパンフレットをつくって出して、しっかり読んでぜひ理解してくれ。この三条には株式会社と書いてあるんですよ。いいですか。株式会社をつくるんだと。そして、以下債権処理会社となっておりますが、株式会社。  政府がつくっておる「住専問題とは」というこのPRも、株式会社とはどこにも書いてないですよ。まるで新しい公的機関をつくるかのごとく、例えばこの小さい方の紙でいいますと、「住専処理機構(仮称)とは、住専貸付金回収を図る ために新たに設立される組織です。」と書いてある。株式会社とは書いてない。そして、この図を見ると、預金保険機構そして住専処理機構で、まるで同じ権限、機構であるかのごとき図をかいておられますね。  今度つくるのは株式会社でしょうが。株式会社であるのに住専処理機構であるかのごとく、この大きい紙の図でも全くそうじゃないですか、これ。こういうことを本当に素直にすっと書いていただくことが一番いいのであって、株式会社でございます、それは会社でございますということを法律には書いておきながら、QアンドAでぜひこれを理解してください、理解してくださいいって何十万か何百万かかけてこのPR費を割いておきながら、株式会社のカの字もおっしゃっていない。後から時間があったら申し上げますが、要は、三条でこういう会社をつくって、今の、日銀が一千億円、民間が一千億円、この民間の一千億円の割り振りは決まっておりますか、局長
  10. 西村吉正

    西村政府委員 この一千億円は、民間から募ります一兆円の拠出基金の中の一千億円を出資に充てるものでございますが、一兆円の拠出につきましては関係金融機関の基本的な合意を得ているところでございますが、具体的な割り振りにつきましては今協議中でございます。
  11. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこがまた問題になって、きょう私が後から御質問申し上げようと思っておる一つの重要なこの法案のポイントとしての、今局長がおっしゃいました民間から募る一兆円という金額であります。これは次の条項に行ったときに御質問申し上げますが、この三条の今度は二号、つくった株式会社に対して預金保険機構助成金交付し、あるいは債務保証を行う、こう書いておりますが、この助成金交付債務保証、これは限度を設けてあるとか、あるいはこの助成金の性質はどういうものになるのでありますか。
  12. 西村吉正

    西村政府委員 この助成金と申しますのは、今御審議いただいております予算に計上してあります六千八百億円あるいはそういうものが生じないように最大限の努力をするということで御説明を申し上げております、いわゆる二次ロスに関する問題、それから民間拠出金等に係ります運用益等交付、そういうものをすべて含んでいるわけでございまして、先ほど御指摘ございましたように、預金保険機構とこの住専処理機構は一体となりまして住専処理に当たるわけでございます。一方は株式会社という形でございますし、一方は公的な性格を持つ認可法人という形でございますが、その両者の密接な関係をこの助成金交付ということによって行うわけでございます。  なお、債務保証でございますけれども、債務保証は、最終的に万が一この株式会社に対しまして民間金融機関が融資をいたしました資金につきまして損失が生じるおそれがあるときのために預金保険機構債務保証を行ってバックアップをする、こういうことでございまして、現段階において特段の限度というものは設けておるわけではございません。
  13. 加藤六月

    加藤(六)委員 今あなたが言われた三条による債務保証というのは、このスキーム図で見ると、この債務保証、もうあなたのところは配って何百枚もあちこち国会議員の間に持っていっておるでしょうが、このスキーム。このスキームでいうと、ここの一番右の端にある債務保証、これになるの。これはあなたのところからもらっておるやつだからね。
  14. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のとおりでございます。
  15. 加藤六月

    加藤(六)委員 まあ、これから次々やっていかしていただくのでありますが、その次は第六条、緊急金融安定化基金について、第六条と第七条が随分かぶっておるわけでございますが、先ほどちょっとお話が出ました、この緊急金融安定化基金に六千八百億を、真水でこれは入れるのか。法律では第六条、「政府交付する補助金をもってこれに充てる」。基金を置き、政府交付する補助金をもってこれに充てる。これは、私が二月八日と二月九日に申し上げました、ここへ六千八百億円を入れるという意味でありますか、どうですか。
  16. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のとおり、この緊急金融安定化基金に国から六千八百億円の財政措置を講ずるわけでございます。
  17. 加藤六月

    加藤(六)委員 その場合に、局長、今度は七条で、この緊急金融安定化基金金額範囲内で債権処理会社に対し助成金交付するという。六千八百億全部ですか、それとも、この政府の方の緊急金融安定化基金の中に六千八百億は入れておいてケース・バイ・ケース会社助成金を出すというのですか。どう解釈すればいいんですか。
  18. 西村吉正

    西村政府委員 国からこの安定化基金拠出されました六千八百億円は住専処理機構に繰り入れられていくわけでございますが、それは、住専処理機構が七つの住専から債権譲り渡しを受けまして、その債権の状況につきまして十分確認をいたしました上で、預金保険機構から住専処理機構に逐次投入をしてまいる、こういうことを考えているわけでございます。
  19. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、第八条を今度はお伺いいたしますが、第八条、「機構は、」いろいろ書いて、住専会社から「その取得価額を下回る金額回収が行われたことその他の政令で定める事由により」云々として、「損失が生じた場合」「当該損失金額として」「政府補助金の額の範囲内で、債権処理会社に対し、助成金交付することができる。」これはいわゆる議会で、当委員会でたびたび出ました二次損失のことを言っておるのですか、それとも、最初の六千八百億の中身でのことを言っておるのでありますか、どちらですか。
  20. 西村吉正

    西村政府委員 この条項は、いわゆる二次ロスと言われているものに関する規定でございます。
  21. 加藤六月

    加藤(六)委員 大蔵大臣政府与党も最近は二次損失の二の字も言わなくなった、六千八百億のことばかり言って。このパンフを見ても、二次損失の二の字も触れていない。しかし、法律にはちゃんと第八条で、出た場合はこうこうやりますよと書いてあるのですよ。  なぜこれを書かぬのですか、このPRに。政府が一生懸命やっておるPRに。第八条には、ちゃんと法律で入れてある。六千八百億でもうおじけづいてしもうて、あと何ぼ出るのか、閣議で決める。与党三党で決めておるのですよ。二次損失がまだこれこれ出た場合には半分、六千億円補てんしましょうというように決めておる。それを一言も言わないところか、このPRの中でさえ消しておる。特にこの二次損失の二の字というのは書いてありますか、これは。上手に書いてあるところはありますよ、私があえて言おうとするならば。しかし、法律八条ではちゃんと、二次損失が出た場合はやるんですよと書いてある。どうお考えですか。
  22. 久保亘

    久保国務大臣 これは、住専問題の処理に当たって、今特に国民皆様方の御理解をいただくために必要なことを広報の方で取りまとめたものと思っております。  二次ロスの問題についても、全体を説明をするという意味では記載をすればよかったのかもしれませんが、当面この住専問題の処理に関して今御理解をいただいておかなければならない問題を列挙したということで、簡単なものにいたしました結果だと思っております。
  23. 加藤六月

    加藤(六)委員 大臣政府与党皆さんが言われるのは、住専問題を処理しないと金融不安が起こる、あるいはまた経済に悪い影響がある、あるいは国際約束に反する、しまいには、ジャパン・プレミアムまでこの住専処理のもたもたが影響しておるかのごとくPRされております。やはりそういうときには、少なくとも全体の構造をはっきり説明する、はっきりして不透明性をなるべくなくしていくということが一番大切。  だから、私がきょう冒頭申し上げましたように、預金保険機構貯金保険機構があって一千万、一千万はこうでございますよということを先に例えば言うということが、金融不安や預金者に対するあらざる不安、動揺を与えないんじゃない でしょうか。そこら辺に対するPRが怠っておりましたということを申し上げるのと同じように、この法律には、二次損失が出た場合はこういうようにするようになっておるのですと。  それは、例えば去年つくった東京共同銀行、協和・安全信用組合をああいうふうに処置して共同銀行にして、債権処理するためにこうこうだと言って、去年、当予算委員会証人を六、七人も喚問し、それで、たびたび日銀局長まで証人として呼んで議論して、債権回収の問題や何やかんややって、今離席しましたが、与党深谷理事やなんかも東京都内信用組合の問題だから大変心配している。その後の経過報告を見ると、我々に報告したり話をしておる十分の一も債権回収ができていないんです。実際できていないんです。それはまあ、きょうあえてここでは申し上げませんが。  したがって、この第八条の重みというものは、これから出る。国民にとっての負担は、今の六千八百億でないものがぐっと出てくる。それをこのパンフ、少なくともこういうものやこういうものをおつくりになるときに、株式会社をつくるのを、株式会社じゃなくて住専処理機構というので名前でもないようなものを出してきて、一切触れなかったり、あるいは預金保険機構と紛らわしく住専処理機構一緒に書いておったりする。  そして、今の大臣の場合には、当面は、予算委員会だから予算で出ておる六千八百億と預金保険機構出資する五十億円、ここら辺をしてもらえばいいので、後々の負担は知らぬのだということでは、今回国民皆さんがなぜこの住専問題に対してこれほどの関心と憤りを持って見ておられるかということについては、私は甚だ残念に思うわけでございますが、これは大臣責任じゃないので、本当は政府広報室長を呼んでからと、こうも思ったのですが、片方の紙を見ると「政府広報大蔵省」とこうあるのでありますから、大蔵省、これは銀行局長でもないし主計局長でもないし、だれがこれは責任を持つのですか。
  24. 西村吉正

    西村政府委員 大蔵省といたしまして内閣の広報担当の方と御相談をいたしまして作成をいたしましたもので、大蔵省全体として責任を持っているものでございます。
  25. 加藤六月

    加藤(六)委員 局長、今私は、二点だけ、時間があったらこのQアンドA一つずつについてやろうと思うんだけれども、少なくとも、この図と解説書で、住専処理機構株式会社であるということと、それからこの法律の中には二次損失が出た場合はちゃんとやるように書いてあるという二点を入れる気持ちはありませんか。
  26. 西村吉正

    西村政府委員 株式会社であるという点につきましては、確かにこのパンフレットにそのように明示はしてございませんが、今まで株式会社としてこの実施機関を運用することのメリットを十分御説明をしてまいったと私ども理解をいたしております。  それから、二次ロスにつきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、このパンフレット自体非常に簡略なものでございますので、私ども、二次損失というものは極力生じないようにという努力をする必要があるという御説明をしてまいったところでございますが、そういう点につきましてあえてこのパンフレットでは触れなかったところでございます。
  27. 加藤六月

    加藤(六)委員 それなら局長、お伺いしますが、この住専処理株式会社に現職の検事や警察官を採用するのですか、しないのですか。
  28. 西村吉正

    西村政府委員 現在検討されております案といたしましては、預金保険機構に現役のそういう方々に御出向いただくということが適当ではないかと考えておりますが、この住専処理機構には、現職のそのような立場の方々が御出向することはなかなか難しいのではないかと思っております。
  29. 加藤六月

    加藤(六)委員 このパンフレットでは、住専処理機構が厳しい取り立てを行う、そしてスキームやなんかの説明には、検察、警察、税務署というのが、まるで住専処理株式会社にそういう現職がおって厳しい取り立てができるかのごとく錯覚を与えておるのじゃないんですか。  預金保険機構なら、私たちも今局長が言われたことは納得ができますよ。株式会社へ持っていくんですか。厳しい取り立てをやる、やると。まあ我が党の案についてはきょうは触れませんよ。我が党の案はおかしいとかなんとかいっていろいろPRしていただいておるようでございますが、それはさておいて、株式会社には入れないのでしょう、検察や警察は。
  30. 西村吉正

    西村政府委員 このパンフレットにおきましても、現職の職員の出向は預金保険機構に向けて矢印が示されているところでございますが、全体といたしまして、この預金保険機構住専処理機構が手をつなぐ形になっておりまして、手をつないで、一体として悪質な借り手に対して厳しい回収を行うという説明をしてあるわけでございます。  今御指摘住専処理機構そのものに現職の職員が出向するということは、この機構の性格上、すなわち民間の機関として弾力的に対応するという組織の性格上適当ではないと考えておりますが、例えばそのような経験を経たOBの方々にこの住専処理機構に入っていただくということは考えているところでございます。
  31. 加藤六月

    加藤(六)委員 局長、今のあなたの答弁の最後の答弁はちょっとおかしいですよ。検察官をやめたOB、警察官をやめたOBがまるで権限があるかのごとき今の説明じゃないですか。OBを採用した場合、それがそういう権限を執行できるのですか。
  32. 西村吉正

    西村政府委員 権限ということではなくて、知識、経験というものを生かしていただくようなことが考えられないか、こういうことでございます。
  33. 加藤六月

    加藤(六)委員 パンフの問題はちょっと後回しにしまして、それではその次に、第九条についてお尋ねいたします。  第九条は、これはまた、金融安定化拠出基金をつくる、こういうことでおやりになっておるのですが、この拠出基金は、この法律でいきますと、特定住宅金融専門会社、いわゆる住専に対する出資者であった者または貸付債権者であった金融機関、いわゆる「出資者又は貸付債権者であった金融機関その他の者が拠出する拠出金をもってこれに充てるものとする。」こう言い、先ほど局長は約一兆円とおっしゃったのでありますが、この特定住専その他に対する出資者、貸付債権者等の約一兆円の資金の割り振りはどうなっておるのでありますか。
  34. 西村吉正

    西村政府委員 この一兆円の基金に対する拠出につきましては、関係者の間で基本的な合意は得ておられるところでありますけれども、具体的な個々の金融機関に対する割り振りというものは、現段階で、関係者の間で協議中ということでございます。
  35. 加藤六月

    加藤(六)委員 急ぐ、急ぐと、早く通してくれと、住専が大変だと言う。そして、この法律を二月九日に出されて、それで、その根幹をなすのは、私が先ほど御質問申し上げました、預金保険機構の中に緊急金融安定化基金と金融安定化拠出基金、二つが大きな柱になるわけでしょう。そうして、住専問題を処理する株式会社をつくる、こういうのを急ぐ、急ぐと、だから六千八百億を含んだものを早く通してくれ、通してくれと、こう言ってきておきながら、一本の大きな柱になる一兆円の方の、出す合意はできておるけれども割り振りはしていないというのはおかしいじゃありませんか。どういう合意ができておるんですか。どことどことどこと、どういう合意ができておりますか。
  36. 西村吉正

    西村政府委員 関係の金融機関と申しますと、主としてこの拠出基金拠出をしていただくのは母体行が中心になろうかと思いますけれども、各住専の母体行の方々との間でこの構想に対する基本的な合意ができているということでございます。  予算あるいは法律というものにつきましてこの 仕組みで御了承いただけますならば、可及的速やかに詳細につきましても関係者の間で最終的な合意ができるものと確信をいたしているところでございます。
  37. 加藤六月

    加藤(六)委員 局長、この法律でいくと、出資者あるいは貸付債権者というのは系統が一番大きいのでしょう。政府が出しておる分でいうと、住専十三兆の中、系統は五兆五千億でございますよと。母体行は三兆五千億、これは全部放棄しましたよと。一般行の分は一兆七千億放棄したけれども、まだこれほど残っておりますよと。こうなると、この法律でいうと、その分の割り振りはもう決まっていないといかぬのじゃないんですか。それをあなたは、合意がある。スキームの合意はあるかどうか知りませんが、金額はどうなっておるのですか。一兆円ですよ。
  38. 西村吉正

    西村政府委員 この基金の性格につきましては、九条にも明記されてございますように、金融システム全体の安定に資するため、こういう目的でございまして、そういう趣旨から、先ほど母体行が中心と申し上げましたけれども、母体行にとどまらず、系統の方にもお声をかけておりますし、母体行でない融資者のお立場にある方にもお声をかけておりますし、あるいは融資もしておられない方々にもお声をかけておる、こういうことでございます。
  39. 加藤六月

    加藤(六)委員 いや、だから局長、不協和音が起こっておるわけでしょうが。融資者や関係のないところにも拠出金を出せと言ったり、何でこちらの母体行ばっかり責任持って系統は責任を持たぬのかと、なすり合いや何やかんやして全然まとまっていないのじゃないんですか。  それなら、もう少し具体的に聞きましょうか、どういうことでどういう議論が起こっているというので。この一兆円の目鼻がつかなかったら住専処理はできないのでしょう。どうですか。
  40. 西村吉正

    西村政府委員 先ほども申し上げましたように、この一兆円の拠出金によりまして、そのうち一千億円は住専処理機構出資に充て、残りの約九千億円は、住専処理機構の円滑な業務運営のための助成金とするため運用をして、その収益をこの助成金に充てる、こういう趣旨のものでございます。  したがいまして、この拠出金が約一兆円集まる、これに応じていただくということは、この構想にとって非常に重要なものでございます。
  41. 加藤六月

    加藤(六)委員 あなた、前の答弁は、これは金融安定全体のためと言いながら、それは九、一の割合でしょう。住専処理分に九千億円、預金保険機構全体の機能強化というか拡充に一千億円。これは、後から私も質問をしたいと言った日銀の一千億円の出資ですね。それに対して政府が五十億円と言うんで、今までの預金保険機構は、政府が一億五千万、日本銀行が一億五千万、民間が一億五千五百万、このバランスでやってきておったのを、今度はがたがたに大変狂うてしまうわけです。  そこら辺は後から時間があればお聞かせいただきたいと思っておるんですが、要は、この民間拠出基金というのは住専問題であるとはっきり言うた方がいいんじゃないですか。先ほどあなたは全体の金融の安定のためでございますと言って、それで割合はとお聞きすると、一兆円のうち約九千億円が住専に使われます、こう言われるわけでしょう。もう一遍そこら辺の分をお答えしてみてください。
  42. 西村吉正

    西村政府委員 この第九条の条文に即して御説明を申し上げますならば、金融システム全体のためという趣旨のことを、「特定住宅金融専門会社」、すなわち住専でございますが、住専「に係る貸付債権回収等を促進し安定した金融機能の確保に資するため」、こういうふうに記述されているわけでございます。金融システム全体の安定という趣旨からこの住専問題を解決する、そのために基金に御協力をいただく、こういう考え方になっているわけでございます。
  43. 加藤六月

    加藤(六)委員 それでは次に、何やかんやお聞きしては、これはまたどうなるのか、国対委員長会談やいろいろなところでこの法案を含む三法案の審議場所がいろいろ検討されておるやに承っておるんで、余りこの法案の詳しい中身まで触れませんが、次にちょっと十四条をお聞きしておきたいと思うんです。  十四条、「資金の融通のあっせん」とこう書いてあって、「機構は、」「債権処理会社が必要とする資金の融通のあっせんに努めるものとする。」こう書かれております。これはまあいろいろ問題になっておるところでございますけれども、政府説明スキーム図等によりますと、母体、一般、系統が低利融資をする、こういうことになっておるのでありますが、母体、一般、系統の金額、そしてこの低利融資をする期間、それと、それぞれの母体、一般、系統が低利融資をする利率、内々お話があり、あるいはもう話がついておるやに聞いておるのですが、そこら辺についてお聞かせ願いたいと思います。
  44. 西村吉正

    西村政府委員 この母体、一般、系統からの低利融資は、住専から住専処理機構貸付債権の譲り受けをいたしますための資金に充てるものでございますが、全体といたしまして六兆八千億ばかりの資金になろうかと存じます。これを母体、一般、系統それぞれが約三分の一ずつ、二兆二千億余り前後をそれぞれが分担をするという基本的考え方に立って関係者が話し合いを進めているところでございます。  なお、条件でございますが、期間はおおむね十五年ということになろうかと存じます。金利につきましては、東京の銀行間の取引の金利、いわゆるTIBORと言われているものを基本といたしまして検討をされることになっております。
  45. 加藤六月

    加藤(六)委員 この低利融資、アバウト六兆八千億、それで、先ほど来申し上げました六千八百億の血税投入に伴うところの、母体行三兆五千億放棄、一般行一兆七千億放棄、系統五千三百億円贈与、これで六兆一千、それから今の長期低利融資六兆八千億、まあ何やかんやで住専七社の十三兆円というのが出てくるんであります。  もうちょっとお伺いしますが、局長、母体行と一般行と系統と長期低利で今十五年とおっしゃいました。各分野で平均アバウト二兆二千億円ずつと言われましたが、金利の違いは折衝してありますか、ありませんか。母体行の出す金利、一般行の出す二兆二千億の金利、系統の出す二兆二千億の金利、違いがある。御存じですか、御存じないですか。あるいは、大蔵省はその中に入っておられるんですか、入っていないんですか。
  46. 西村吉正

    西村政府委員 先ほど申し上げましたように、この金利につきましては、基本的に銀行間の取引金利、TIBORを念頭に置きつつ検討をされているわけでございますが、この低利融資資金を拠出をされる方々の資金コスト等の状況からして、例えば系統については、その条件について別の考え方で対処をしてもらいたいというようなお話があることは承知をいたしております。
  47. 加藤六月

    加藤(六)委員 六兆八千億を調達する、今局長がおっしゃいました、各系列で二兆二千億というのがあるんですが、最後におっしゃいました資金コスト、資金コストに違いがあるから、例えば系統は同じ長期低利融資を負担するにしても高い利子をいただきますよと。それなら、母体行もそれぞれ資金調達コストは違うはずです。一般行といえどもこれは資金調達コストが違うんでありますが、それはもう個々別々に折衝するんですか。あなたのところはそうじゃないんじゃないですか。母体行はこれこれでこれぐらいの利率よと、一般行はこれこれでこれぐらいの利率よと、系統はこれこれで母体行の二倍ぐらいの利子をいただきますよと、こういうようになっておるんじゃないですか。
  48. 西村吉正

    西村政府委員 今までのこの問題の検討状況を御報告申し上げますと、母体、一般、すなわち民間金融機関につきましては先ほど申し上げましたTIBORを基準として条件を考えるということであり、系統につきましては、先ほど申し上げましたような事情もあって、短期プライムレートというようなものをも念頭に置いてくれないかとい うお話があるというように伺っております。
  49. 加藤六月

    加藤(六)委員 官房長官、お忙しい中を御出席賜っておるので、今私は、あなたが御出席いただく前までに、この提出されておる法案の中身についていろいろ御質問をしておったのでありますが、二月八日、あなたに御質問しましたが、他の関連三法案、いつまでに国会へ提出していただけるようになっておるのでしょうか。  というのは、四月二日の朝の記者会見のときにいろいろ金融三法案提出問題について官房長官がお話をされておるわけですから、そこであなたにお伺いするのが一番いいのではないか、総元締めですから、国会予算を出す、法律を出すなんというのは官房長官のところでおやりになるのですから、そういう意味でまずお聞かせをいただきたい、こういうわけです。
  50. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 前々の予定は三月に提出をされるという予定があったわけでありますが、その後の法案作成や委員会の審議状況、そういうのを踏まえて、いまだに提出をされていないということは御案内のとおりであります。  私は、やはりこの法案を見まして、加藤委員のように専門的な税やあるいは金融に対する知識を持ち合わせをいたしませんが、いずれにしても、金融の総貸し出し七百兆とも言われる、その中で四十兆近い不良資産がある。それから、その中、特に住専に限っては十三兆余のところ六兆プラスアルファがある、こういうことでありますから、この順序全般から見れば、金融の安定、健全化というものを大きく眺めてそれから細かい分野に入るという入り方もあったはずであります。  それから、一番象徴的に、真っ黒けという表現がいいかどうかわかりませんが、もう既に破産に追い込まれておると同様なこの住専処理をすることが焦眉の急であるということになれば、緊急度からいえば当然この住専処理が先行すること、これも方法論としては私は確かにあろうと思います。  ですから、今やられていることは、住専処理をどうするか。金融の一番不良度の高い分野に一応のメスを入れ、そして、さらに引き続き金融の健全化のために総体的なバランスを見る。確かに不良率は住専から見ればはるかに低い分野でありますが、いずれにしても金融界にそういう不健全性があるわけでありますから、それを直すためあるいは健全化をするための法案は当然これに前後して出されることだと認識しております。  ですから、私は、あとう限り早くこの住専問題の処理というか、この法案の審議のめどがつき次第出るもの、あるいは同時並行的に出せるかどうか、この辺に目安を置いておりますが、具体的な細かいことは、私が書くわけではございませんから、大蔵省の方からお聞き取りを願いたいと思います。
  51. 久保亘

    久保国務大臣 今回の不良債権処理、つまり金融システムの安定化を図りますこの仕事は、お話がございますように、新しい時代の金融行政、また、この不良債権を生じました今日までの金融行政に対する厳しい反省の上に立って新しい金融行政のあり方を追求することが同時に必要となってきているものと思っております。  そのような意味で、金融三法をできるだけ速やかに国会に提出して御審議を賜りたいと思って準備を進めてまいりましたが、今なお政府与党間においても若干の調整を要する点もございましておくれておりますことを大変遺憾に思っておりまして、できるだけ速やかに提出できるように努力いたしたいと考えております。
  52. 加藤六月

    加藤(六)委員 まず官房長官に申し上げると、四月二日の新聞の夕刊には、官房長官は「「今、新年度予算案の審議が最終ラウンドに入っているわけだから、これに新たな金融三法案を出すと、振り出しに戻って(議論を)やらなければならなくなる」と述べ」た、こう出ておるわけですね。振り出しに戻るのではなくして、あなたが今冒頭大変いいことをおっしゃった。  それは、今我が国の置かれている金融機関全体の金融不安あるいは金融システム、これを、もう全体を大きな構図にとらえて処置していかなければならない。非常にいいことを言われた。大蔵大臣も同じようにいいことを言われた。しかし、しかしそこで住専がというところに矛盾があるのでありますが、その問題は少しこっちへ置くとしまして、大蔵大臣、金融制度調査会の答申はだれがいただいたのでありますか。この金融制度調査会答申、昨年の十二月二十二日。
  53. 西村吉正

    西村政府委員 昨年の十二月二十二日に金融制度調査会長から武村大蔵大臣に対して答申されたものでございます。
  54. 加藤六月

    加藤(六)委員 大蔵大臣、我々はよく金制調、金制調と言います、この金融制度調査会。金制調は大蔵大臣のもとにある、それで答申するのですね。  そこで私は申し上げたいのは、これを克明に、去年のうちはざざっと読んだのですけれども、この間我が党は高度な政治行動をするということでちょっと時間があったものですから、繰り返し繰り返しこれを読んで勉強しましたよ。この答申の八割、九割は金融三法案を一日も早くやれ、住専問題はわずかの、ちょびっとしか書いていない。これを読んでみて、はっきり言ってみて、住専問題はわずか三ページでしょう。全体で言うと三、四十ページ。一割も入っていない。その中に、政府が一日も早く出させてこなければならない三法案と、それからそれに横並びで農林省の方の貯金保険法も出さなくてはならぬ。  そして、この答申を見て、私は、非常にというか、一つだけ心配することがあるのです。これは議論としてあるのですが、ある面で言うと、各県にたくさんある信用組合住専が一番危ないというから、官房長官は不良債権率が多いと言われましたが、もう既に去年から預金者のある信用組合がばたばたいっておるわけでしょう。五ついった。ばたばたいっておる。これは預金者がある。  それでありながら、預金者のいない住専住専となぜ言って、このパンフレットでも何か預金者保護ばかり書いてある。預金者保護のために、預金者が安心するために、預金者保護と書いてある。預金者保護をやるのなら三法案を先に出すべきだ。これは実に残念。私にとって、我々国会責任を持ち、イの一番にやらなければいかぬことは、このパンフレットを見ると、住専はつぶすのですと書いてある。当たり前のことを書いてある。我々が心配しておるのは、つめに火をともしてためた国民の預金、貯金、これを守ってあげる、これが国会の一番の責任。  そして、国会国会であるのは、私がもうあなたのような人に申し上げるわけじゃないのですが、なぜ議会という制度が生まれたか。マグナカルタ、大憲章以来ですよ。政府がむだな税金を取らないように、それに抵抗するために議会は生まれた。そして、国民から、それでも税金が要る。そのいただいた税金を公平、公正に国民のために使う。これをやるのが議会である、議会制度が生まれてきた。アメリカの独立も、ティーパーティー号事件というので、お茶に対する税金から独立問題が起こってきた。  こういうことを思うときに、私たちも今は野党です。しかし、国民生活、国民経済国民の預金に対しては責任を持とう、持たなくてはならない。  そのために、ある面では専門家の皆さんが随分議論して、二十数回議論してと書いてありますが、といって、この答申をされた。その中の一番のメーンは、三法案を一日も早く出しなさいということが国際的にも国内的にも一番大切ですと。書いてあるのは、三法案について書いてある。住専の問題についてはそういう表現はしていない。  まして、特にこの中で言ってあるのは信用組合信用組合に対して、臨時異例の措置を講じないと大騒動になるよと書いてある。それはもう私たちが、当予算委員会が去年経験した、二つの信用組合、それからまた次々三つ起こってきた、そのときにおけるいろいろな問題があったのです。  あったのですが、一体、大蔵大臣、あなたは調整がつかぬというところがあるとかなんとかと言われましたが、それはもうお伺いしませんよ。もうみんなが知っておる。また信用組合の問題で国民の税金を入れたらどうなるかわからぬよ、どこかの党の党首とどこかの党の党首が相談して反対したとかしないとか。六千八百億の住専処置に税金を投入することを決めた人間が、余りにも世論の反撃その他がきついものだから、今度はあつものに懲りてなますを吹き出して、預金者のおる信用組合、こういうものはそっちへ置こうとしておる。預金者のいない住専を救おうとしておる。  いつごろ出したい、こう思いますか。
  55. 久保亘

    久保国務大臣 ただいま議会の持つ、議会が生まれたときからのそもそもの使命についてお話がございました。私もそのとおりだと思っております。私も若いころ世界史の教師をいたしておりましたので、よく承知をいたしておるつもりでございます。  そういう立場に立って考えてまいりましたけれども、今お示しになりました、私は反論するようなつもりで申し上げるのではございませんのでお聞き取りをいただきたいと思うのですが、金制調の答申は十二月の二十二日でございます。具体的に政府が、長い期間かけて、金制調の御論議もいただく過程を通って、この住専問題の処理方針を決めましたのは十二月の十九日のことでございました。  そのようなことも金制調の答申には御配慮があったのかなという気がいたしておりますが、いずれにせよ、今お話がございました、新しい時代の金融制度をどのように構築していくかということは、今、日本の政治に課せられた、議会に課せられた重要な任務でございます。  私どもは、金制調の答申に基づいて、皆様方に御審議いただける金融三法案をできるだけ早く提出をいたしたいと考えております。今、いつ出すということを申し上げられませんことは大変申しわけないと思いますが、極力早い時期に国会に御審議をお願い申し上げたいと考えております。
  56. 加藤六月

    加藤(六)委員 銀行局長、よく新聞やマスコミあるいは一般の人の口の端に上って、危ない銀行とかまだ安心できるとか、いろいろ議論があったりなんかもするし、これはこの席で申し上げていいかどうか、地方の財務局長の間でどこそこのどれが危ないとかなんとかと言って、漏らした漏らさないという話が随分私らの耳に今入ってきていますが、これは言いません。  そうではなくして、私がお伺いしておきたいのは、不良債権額の比率、大体、危ない銀行というのは不良債権額の比率が何%という、一つの線引きとかあるいは常識というのはあるんでしょうか、ないんでしょうか。
  57. 西村吉正

    西村政府委員 危ない、危なくないという議論というのは私どももなかなかしにくいところでございますけれども、いわゆる不良債権、今不良債権と言われておりますものは、大きく分けまして、破綻先債権、それから金利減免債権、それから再建途上にある企業に対する債権という三種類に分かれるわけでございます。  この再建途上にある企業に対して貸し付けております債権というものは、額的にこれだけあるとしても、それのどれだけが返ってこないものになる可能性があるかというのはなかなか判定が難しいところでございまして、単に不良債権額、今申し上げました三つの分野の足し合わせました不良債権額がどれだけあるから、それが多いから少ないからといって、直ちに先ほど御指摘の危ないか危なくないかということに直結するものではない、中身いかんによるというところもあるのではないかと思っております。
  58. 加藤六月

    加藤(六)委員 第一分類、第二分類、第三分類に分けて私たちは議論し、勉強しなくてはならない。お互いわかっておるところでございますし、また、その額を出す各行の資産内容あるいは含み資産の度合い、不動産の場合、株の場合、いろいろあるわけですから、不良債権額が出て、不良債権の比率だけで、危ない銀行、危なくない銀行を議論するのは私もおかしいとは思うのでありますが、今官房長官が四十兆の不良債権という言葉をお使いになりました。  政府が昨年暮れ発表したり、また国会でもたびたび答弁されておる不良債権、これは「預金取扱金融機関の不良債権等の状況」、これは「不良債権額」で、政府の場合は「破綻先・延滞債権」と「金利減免等債権」で二つに分けた数字を出されておられて、官房長官がおっしゃったのは恐らくこれだろう、こう思うのです。  それは、破綻先・延滞債権二十四兆六千八百億、それから金利減免等債権十三兆三千何ぼ、というとアバウト四十兆になるな、ああ、ここら辺だなと思うのでありますが、我々はこれを信じていきたいのです。これを信じていきたいのですが、ところが、外国はそうは見てくれないのですね。  この間の、これもまた新聞の夕刊に出てきて、日本の不良債権総額は百四十兆円だ。三、四倍の開きがある。しかも、これを詳しく言えと言われたら申し上げますが、我が国の危ない銀行五つの名前も出して、不良債権比率まで全部書いてある。これは銀行だけですね。信用組合のことは一切書いていない。信用金庫や信用組合はない、銀行だけ五つ、御丁寧に債権比率まで全部書いておるのですね。発表した。そして、去年の暮れの発表、百四十兆円だというのです。  我々は、日本の政府を信頼し、日本の政府の出しておる不良債権額というものを頭の中に描きながら、国民の、預金者貯金者の不安を一掃し、金融システムというものをしっかりさせていき、再構築させていき、不安を除いていかなくてはならぬというのですが、ちょっとお伺いしますが、この中にはノンバンク関係は入っておるのですか、入っていないのですか。
  59. 西村吉正

    西村政府委員 先ほどちょっと私、御説明が混乱をいたしまして、破綻先・延滞債権、今先生が御指摘になりましたものと、金利減免債権というものの分け方を少し混乱した御説明を申し上げました。お許し願いたいと存じます。  まず、ノンバンクに対する不良債権がこの中に入っているのかという点でございますれば、ノンバンクの原資、貸付原資はほとんど金融機関から受け入れている、要するに、直接には預金を受け入れていないわけでございますので、ノンバンクの不良債権というのは、ノンバンクに貸し付けている金融機関のノンバンクに対する貸付債権という形でこの三十八兆円という額の中に含まれているわけでございます。  しからば、それがどれぐらいあるかと申し上げますと、例えば、大きな銀行二十一行のベースで申し上げますならば、住専を除くノンバンク向け貸出金が三十一兆円ばかりございますが、そのうち約七兆円が不良債権と定義できるものであろうかと考えております。
  60. 加藤六月

    加藤(六)委員 三法案官房長官大蔵大臣、いろいろおっしゃいました。私は非常に、三法案の提出問題についての政府の態度、考え方、わかるようなわからない、わかるようであってわからない気がします。  しかし本当に、たびたび言いますが、このパンフレットに、これはもう皆さんのところへお配りしてあるので、ですから、私は申し上げますよ。このパンフレットのどこどこにどんなことが書いてあるか、改めて申し上げるまでもないのですよ。  まず、二ページ目のQアンドAで、住専を放置するとこうこうで、預金者は安心していられませんよ、預金者のことを書いてくれて、これはありがたいなと思うのですが。  それから、その次の下の文でも、六千八百億で、皆さんの預金を守るためにどうしても必要だ、こう言っている。預金を守るために必要でございます、こう言ってくれているのですね。  それから、先ほどちょっと説明しましたが、悪質な借り手云々ということであって、まるでこれを読むと、警察官、検察官が株式会社住専処理会社へ入ってやるかのごとく書いてあるが、これは先ほどちょっと申し上げておきました。  また次を読むと、どういうようになるかというと、次のページを広げてみると、景気対策の根本にこれがというのですが、まあ、とにかく預金を守ります、預金者を守ってあげるためですよと。それから、信用不安が起こったら大騒動でございますよ、預金がどうなるかわかりませんよ、だから公的資金が要るというのですが、預金、預金、預金、預金者を守る、預金者に対する不安を解消するというのなら三法案を出さないといけないということでございますが、その前に、先ほど来いろいろしました特別措置法のメーンのものは預金保険機構になるわけであります。いろいろ預金保険機構の特例に関するものが今政府が出してきておる法律ですが、そこで、預金保険機構について若干。  これはもう、去年随分議論しました。この国会でも理事会でも随分議論して、どうするかということでやりましたが、これはやはり大蔵省銀行局かな、平成五年、平成六年、平成七年末現在、それぞれ預金保険機構責任準備金残高をまずお聞かせ願いたい。  それからその次、保険料は各種金融機関一律に現在は〇・〇一二%になっておるということ、これは間違いないか。  それから、政令で定めることでありますが、預金保険機構は五千億円借り入れが日銀からできると書いてあることは間違いないか。  まず、ここら辺についてお聞かせいただきます。
  61. 西村吉正

    西村政府委員 まず、責任準備金の残高でございますが、平成五年度末には八千二百五億円ございました。平成六年度末には八千七百六十億円と増加をいたしました。平成七年度末の見込みでございますが、現在決算の取りまとめを行っているところでございますが、三千八百億円強に減少をする見込みでございます。  それから、預金保険料率でございますが、御指摘のとおり、つい先日までは〇・〇一二%でございましたが、先般、一般保険料につきましては、現行制度の枠内の措置をもちまして、預金保険機構の運営委員会において四倍に引き上げることを議決いたしまして、大蔵大臣が認可いたしましたので、現在では……(加藤(六)委員「いつしたのですか」と呼ぶ)三月の末でございますが、今年度から〇・〇四八%に引き上げられることになっております。  それから、借り入れにつきましては、御指摘のとおり、日本銀行から五千億円を限度として借り入れることができるようになっております。
  62. 加藤六月

    加藤(六)委員 平成六年末の八千七百六十億円あったのが、まだわからぬけれども平成七年末に三千八百億円になりましたと、五千億円ぐらい使いました。この使ったのは、まあ、法律では、私が冒頭申し上げておるように、まず第一は、預金者に一千万円以内の払い戻しは保証してあるからそちらに使ったのか、それとも、いわゆるもう一つの事業としての資金援助、そちらの方に使ったのか、主な使い口を御説明いただきたいと思います。
  63. 西村吉正

    西村政府委員 いわゆるペイオフという形ではございませんで、資金援助という形におきまして支出をしたものでございます。  資金援助の内訳といたしましては、平成四年度に東洋信用金庫に二百億支出をいたしましたが、その後、釜石信用金庫、大阪府民信用組合信用組合岐阜商銀、東京協和・安全信用組合、友愛信用組合、兵庫銀行、コスモ信用組合、以上について資金援助することを確定をしておるわけでございますが、その後にも支出の予定されているものはございます。
  64. 加藤六月

    加藤(六)委員 私が一番最初からたびたび、預金保険機構は本当は預金者を守るためなのか金融機関を守るためなのか、ちょっとわからなくなってきておる節がある。これに今度はこの法律で何やかにや、債務保証もやらす何もやらす、いろいろ複雑多岐、わかりにくいようにいたしておるのであります。  その問題はさておきまして、もちろん普通の料率は、今、委員会にかけてという御説明がございましたが、あれは政令で改定できるようになっておるんではないかな、それとも理事長、大蔵大臣決裁か、どちらですか。  それとあわせて、四倍値上げした根拠、何に使うために四倍上げたのかということ。それから、まだ法案が出てきていないから言えないのでありますが、合わせて七倍値上げするようになる。そして、政府部内でできる四倍はやる、今度は保険料三倍、また別途いただきます、それは、信用組合の危ないのがたくさんあるから、特別勘定までつくってやるんです。そして、その場合に、穴があいたらまた国民の税金で埋めるんですというから、金融三法に対して与党の中がまとまらぬ。ここにまた税金を入れるということに法律構成がなっておるようでありますが、まず私がきょうここでお伺いしておきたいのは、四倍にした根拠、それからまた別途勘定としてさらに三倍取る根拠、お願いします。
  65. 西村吉正

    西村政府委員 まず、先ほど申し上げました一般保険料を四倍に引き上げる件でございますが、これは現在の預金保険法の体系におきましては、預金保険機構の運営委員会において議決をいたしまして、それを大蔵大臣が認可をするということになっております。これは、今年度から四倍に引き上げたところでございます。  全体といたしまして、金融制度調査会の答申におきましてはどのような考え方がとられているかということでございますが、今後五年間に生じ得る金融機関の破綻を預金者負担を求めずに円滑に処理し得るよう、すなわち、金融機関が破綻した場合でも五年間に限っては預金の払い戻しは一千万円に限るということにならないように、預金保険機構の中に特別勘定を設けまして、今までの一般的な一千万円以下の支払いに充てるためのほかに特別勘定を設けまして、その財源として特別保険料を五年間に限り徴収しよう、こういうことでございます。  その特別保険料の額が昨年度の保険料の三倍に当たるもの、すなわち、〇・〇一二%の三倍でございますので〇・〇三六%ということになろうかと存じますが、その点につきましては、今後御提案申し上げます金融三法の中で新しい仕組みをお認めいただいて初めて実行できることでございます。  それで、その七倍にするという根拠でございますが、一般保険料を含めました今後の保険料率につきましては、先般の金融制度調査会答申におきまして、預金保険機構の資金援助が初めて実施されました平成四年以降に生じた破綻金融機関の損失額が二兆五千億程度であったことにかんがみまして、これは未処理の木津信用組合、大阪信用組合処理も含めて考えられておりますが、今後五年間に同程度の破綻処理費用が必要となった場合にも対処し得るように、保険料率を七倍に引き上げるということが答申されているところでございます。  なお、この一般保険料と特別保険料の料率が四対三になっているという根拠でございますが、これは第一に、保険限度内の預金額限度外の預金額、すなわち一千万円を境といたしまして預金額の比率が全金融機関平均でおおむね六対四であること、第二に、これまでの預金保険機構による資金援助の額が破綻金融機関の損失額の約半分に当たること等を勘案した結果でございます。
  66. 加藤六月

    加藤(六)委員 それでは納得いかないわけでありまして、ただ、今一つだけ銀行局長がいい答弁したかなと思うのは、私が先ほど来言っておる答申の中のいい分だけを言っておるわけですが、答申は、全体に対する危機としてやれというわけで、三法案はある面では住専処理よりか急ぐんだと。  大蔵大臣は、この答申は十二月二十二日で、住専処理は十九日に決めたから、後だから余り書かなかったんだというのに近いような言い方をしたんですが、それは私は逆に、参考人のときに申し上げたんですよ。この専門委員の人も出てきたか ら、あなたら後追いされたんだと、住専問題については。十九日に決めたのを、二十二日に答申するから、住専の部門の答申はということで後追いということを言ったんですが、それにしても、この答申は本当に相当深刻に、そして中長期的な視野を入れながら考えておる。その法案を、いつ出すかわからぬ、何日までに出すのか。まあ官房長官はもうお帰りいただいたんですが、内閣官房がつくってきて国会へ出した分については三月中旬に出しますと、議運でちゃんと国会政府の約束がある。  しかも、それがありながら、今日なお官房長官大蔵大臣が答弁されて、いつ出すかわからぬということになると、一つは答申無視。一つは預金者軽べつ、預金者のことを考えていない。一つは我が国の金融不安、金融システム全体に対して真剣なる考察が足りない。それでありながら、保険料は七倍、まあ四倍にするのはもう既に決めた、新しい法律でまた特別勘定をつくって三倍にさせていただきたい。  ただ、そこまでは私らもいろいろ検討して、最悪の場合は、金融不安をなくし、預金者を守るためなら納得あるいは急がす必要があるかなと思うたら、逆に、その最後の方に、また清算するときに勘定が赤字なら血税、税金で補えよと書いてあるものだから、与党の中で議論がいろいろ出て、出すの出さぬの。預金者のことを考えていない、こう思うんです。  それはさておいて、そこで、これは大蔵大臣並びにちょっと銀行局長に、まだ時間があるのですが、次々質問していきますが、法律が出てきていないのですから、まずこの答申だけ見て、一つだけ懸念がある、こう言ったのは、農林大臣に残ってもらってこうやっておるように、あるのです。  それは、信用組合の業態を変えたらどうか。今度出される法律の中身は言いませんよ。私は、中身のことだったら法律がまだ出ていないのだから厳しく政府に要求だけはしておかなければいけませんが、この信用組合一般金融機関的性格を持ってきてしまっておるから、そして普通の金融機関のような業務をやっておるのだから、今とは業態の転換を考えたらどうかという文句も書いてあるのですね。どういうように業態転換するのかわかりません。  それからまた、想定される予算並びにこの中には、我が党が住専処理で強く主張しておる会社更生法、会社更生法の関係で協同組合組織の分はやらなければできませんよ、そこら辺の法改正も要りますよということも書いておる。  それで、大蔵大臣信用組合の業態転換というのはどういうようなことが考えられると思いますか。
  67. 西村吉正

    西村政府委員 一昨年の二つの信用組合の破綻以来、信用組合、特に大都市にございます信用組合というものはそもそも何のために存在するのであるかというような基本問題が、いろいろと金融制度調査会でも議論されたわけでございます。  その場合に、その発足の当初においては仲間内の金融機関、組合員のための金融機関として発足したわけでありますが、今や一般金融機関と同じような仕事をしている信用組合もかなりあるのではないか。もしそうであるならば、仲間内の金融機関としてではなく一般の金融機関として業態を転換して今後営業を続けていくということも考えられてもいいのではないかというのが、金融制度調査会の答申の趣旨でございます。  その場合、それではどこに行くのかということについては、それは銀行というものになる場合もございましょうし、信用金庫という形になる場合もあろうかと存じております。
  68. 加藤六月

    加藤(六)委員 農林大臣、この点を私は心配しておるのです。そうしたら、心配しておったら、けさの一部マスコミに出ておりました。信用組合が業態転換してしまいますね。してしまうかどうか知りません。今の局長の答弁でも大体おわかりだと思う。  そうすると、農業協同組合の信用事業、これがどうなっていくかという、地域性、組合性、こういう問題がある。もちろん、この答申の中に二つの問題を系統については書いております。  きょうはそのことを私は、あなたに答弁を求めると言っていなかったから余り申し上げませんが、もし一般信用組合が業態転換した場合に、農協、きょうのマスコミは農中と信連との関係を書いておりますが、いろいろこれは考えなければならぬ。これは我々はもう昔から思っておった点ですが、しからば、具体的に単位農協の信用事業というものが、信用組合等がこういう業態転換してきた場合にどう地域社会で位置づけられていくかということと、金融機関としての信用事業がどうなるかということを、これは真剣に考えなくてはいけない。  それを私がしゃべる前に、ひとつ農林大臣、こういう動きに対して農林大臣としてどう考えておるかということをちょっと承っておきたい、こう思います。
  69. 大原一三

    ○大原国務大臣 もう既に、加藤委員は専門家でありますから、私からるる申し上げる必要はないと思うのでありますが、六十九兆円、七十兆というお金、これを今後どう運用していくかということは非常に大きな問題でございます。  御存じのとおり、単協における貯貸率四割ぐらい、信連二割、じゃ残ったお金はどこへ持っていくんだということで、現在は農中へ集約して農中が運用しておる、こういうことでございますが、そういう意味で、地域金融機関としての単協のあり方を考える場合に、いわゆる員外利用の現在の制限というような問題も真剣に取り上げてもらいたいなと。  ただ、それだけではしのぐことができないかもしれません。そうなった場合に、農中というものをもう少し蛇口も広げるし、そしてまた、一般都市銀行並みの運用ができるシステムをつくれないかな、そういうことを考えているところでございます。特に農中について御理解をいただきたいな、こんな気持ちで臨んでまいりたいと思っております。
  70. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこら辺も私たちは今回の住専問題以前から随分議論し検討しておったことでございますが、ぜひ考えておかなければならぬと思います。  それで、この答申にいろいろ出ておる、信用組合は臨時異例の方法をいろいろ考えるということでありますが、大蔵大臣、去年私らは大変心配し、憤り、不安に思ったことがある。それは、日銀総裁と大蔵大臣が手に手をとり合って東京都知事のところへ行った、頭を下げに行った。  御存じと思いますが、そこら辺は事務引き継ぎのときに何か話がありましたか。
  71. 久保亘

    久保国務大臣 特に、引き継ぎのときに報告を受けたということはございませんでした。
  72. 加藤六月

    加藤(六)委員 それは、我々その当時随分頭を、先ほどもちょっと言いましたが、ここにおる深谷理事は東京都出身だから特にいろいろな問題で心配する。我々も心配した。預金者の立場でですよ、預金でですよ、心配する。  ところが、日曜日に、打ち合わせばあったのでしょうが、東京都知事室へ大蔵大臣日銀総裁が頭を下げに行った。これは何を象徴しておるか。それは、信用組合に対する国と都道府県知事との職務権限といいますか、何やかんやのいろいろな問題があって、あいまいもこたるところがたくさんある。一体こういう破綻を来した信用組合責任は都がとるのか国がとるのか。  ある面でいうと、この両信組問題は、電光石火のごとく日銀特融というので日銀法の条項二十七条を突破して、一晩で金融機関というか銀行協会の連中を集めてばっさりやって、共同銀行をつくる、そしてこうこういう処理をする。  ところが、我が方は、国会委員会が承知しないというので、いろいろ次から次からやってきたというのは先ほど来私が申し上げておるとおりの問題でありますが、金融問題の安定、預金者の保護ということを考えていった場合、信用組合に関する国と都道府県知事との関係、これをはっきりわかりやすくしておかないといけないと私たちは切実に感じたのです。  そこで、答申や中身等をいろいろ読ませてもらったり何かしておるのでありますが、まず第一は、そこまで今の政府、内閣にすぱっと、地方分権から始まって機関委任事務の問題、沖縄に象徴されるような問題も出てきておる機関委任事務という問題、地方分権という問題、そしてまたいろいろな業界の業界法があって、それが国と都道府県知事あるいは政令指定都市、市町村とのもろもろの関係があるのですが、そこまで今回金融制度調査会もよう踏み切ってくれていない。  それから、我々もそこら辺になるといろいろ幅広い議論をしなくてはならぬのですが、少なくとも、信用組合に対する国と知事との共同検査をする場合の発動基準、このぐらいのものだけは明確にしておかなくてはならぬのではないだろうか、こう思うのですが、局長、ここら辺の問題については話をちゃんとしておりますか。
  73. 西村吉正

    西村政府委員 信用組合の監督のあり方については、昨年の当委員会におきましてもたびたび御指摘をいただいたところでございまして、信用組合の監督は中小企業等協同組合法などによりまして都道府県知事の機関委任事務となっておるわけでございますが、最近のように大規模な信用組合の経営破綻ということが生じますと、金融システム全体の安定性の維持にかかわるということで、大蔵省といたしましても、責任を持って対応する立場にあるものと考えているわけでございます。  そこで、知事と国との仕事の分担関係でございますが、昨年来、一部の地方公共団体からは、信用組合の監督につきまして国に返上するというような御議論もございました。しかしながら、他方におきまして、今委員から御指摘ございましたように、地方分権という大きな流れの中でそのようなことはいかがなものであろうかという御意見もございます。  私どもといたしましては、その調和を図るという意味で、現在の機関委任事務という形は維持しつつも、検査・監督について共同してこれに当たるということで、今御指摘の共同検査というようなものにつきましても、その要請の発動基準の明確化を図る必要があるのではないかと考えているところでございます。
  74. 加藤六月

    加藤(六)委員 協和、安全の問題についてはたびたび質問して、大蔵がどう入ってどのようにしたか、東京都の要請であったかなかったかという問題を議論しましたが、例えば、木津信用組合であるとかコスモ信用組合に対しては、大蔵省は検査に入っておるのですか、入っていないのですか。それから、要請は全然なかったのでしょうか。
  75. 西村吉正

    西村政府委員 コスモ信用組合につきましては、東京都が単独で検査をされたと記憶いたしております。木津信用組合につきましては、大蔵省と大阪府が共同で検査をいたしました。
  76. 加藤六月

    加藤(六)委員 私も、この共同検査の発動基準という問題、これは法律にはまだなかなか書かれない問題でありますから、そこら辺を相当すっきりしておかないといけないのじゃないか。本当を申し上げますと、預金保険機構の四倍、七倍の議論と並べて、ここら辺の信用組合問題はもう大変あるし、私はさらに言いますと、もし金融三法案を出さずにもたもたしておって、金融機関でお手上げが出た場合にだれが責任をとるんだということは本当ははっきり政府に言っておかなければならぬことであって、住専よりかそちらが急ぐのじゃないかとさえ思っておるのですが、それはさておいて、大臣法律以外に今申し上げたような問題があるのです。これは大変重要なんです。  さらにこれを言いますと、今局長の方から先に半分以上答弁があったのですが、信用組合が経営破綻した場合に、国と都道府県との責任責任という言葉ならああじゃこうじゃと口先だけで言っておけば済むのですが、具体的には財政支援をしなくてはいけませんね。その財政支援をする場合に、国が財政支援すればいいじゃないか、いや都道府県知事が財政支援しなくてはならない、この問題があるのです。  この問題があって、例えば、今度政府が予定されておる預金保険機構の三倍やる分の信用組合の特別勘定のこと等になると、これは都道府県と国との間のいろいろな議論というものがある。与党の方は、またこれにも税金をつぎ込むから反対だ、困ったな、どうしようかな、こう言っておるのです。これもけしからぬ話だけれども、それよりか本当はそうなった場合に、国と都道府県との財政支援の比率、あるいは財政支援をどうするんだ、それは責任という問題から起こってくるわけです。  そして、東京都においても、先ほど来申し上げておるように、三つ信用組合がああなったのですが、二つと一つは違うのですな、地方の都道府県知事の財政支援の仕方が。同じ地方の行政区域の中で信用組合が破綻しても違う。それはいろいろな経過があるわけですね。  そこで、金融システムの安定、預金者の不安を解消する、こういうことになっていくのなら、そこら辺の問題をはっきり、これは法律では書けないと思う。書けないのなら、そこら辺の調整をしておかないと、本当の金融不安の解消にはなりませんよ、金融システムの安定にはつながりませんよ、住専どころではございませんよということをたびたび申し上げておるのです。  そこで、これも大臣よりかは局長かね、その地方公共団体が破綻した信用組合の財政支援をする場合に、今までは指導監督があったから財政支援しろという論理と、地域の公益上必要があるからその責任に基づいて財政支援するんだといういろいろな理論が地方議会においては展開しております。特に、危ない信用組合を抱えておるところの都道府県内においては、そこら辺の議論は深刻になっておるのです。  そこら辺について、大蔵省あるいは、大蔵省ではいけない、これは内閣が一体となって調整する必要があると思うのですが、あなたはどうお考えですか。
  77. 西村吉正

    西村政府委員 信用組合の監督・検査の権限は知事に委任されているわけではございますが、しかし、信用組合の破綻処理に当たりまして、都道府県に財政支出を行う責務が法令上あるわけではないとは考えております。  しかしながら、これまで都道府県は、信用組合の破綻等に当たりまして、資金拠出等を行ってまいりました。これは、機関委任事務としての信用組合の指導監督の一環として行っているというわけのものではなくて、それぞれの都道府県の実情に基づきまして、地域経済に与える影響や民生の安定等を勘案の上、公益上の必要性から自己の責任に基づく判断により行われているものと理解をいたしております。  金融制度調査会におきましては、「こうした都道府県の財政支援はあくまで自らの判断に基づくものではあるが、今後とも行われることが期待される。」と述べられているところでございます。
  78. 加藤六月

    加藤(六)委員 局長、聞いたことに対する答弁にはならぬのではないですか。そこら辺の線分けをどういうように指導すればいいか、それは銀行局にしろと言ったらおかしいが、どこかいい知恵はありませんかと私はお聞きしたのですよ。今のではわからぬでしょうが。つぶれた場合に、財政支援するために最初からまた、これは公益性がある、住民生活に影響があるとかなんとかいって議論したり何かするよりか、すっきりしておいた方がいいのではないかということでお聞きしたのですが、どうですか。
  79. 西村吉正

    西村政府委員 今申し上げましたような趣旨のものでございますので、あらかじめ一律にどういう基準でどういう算定式に基づいて地方に分担をしていただくということを決めるのはなかなか難しかろうと存じます。  しかしながら、金融システム全体を管理いたします大蔵省、そしてそれぞれの地域の経済の安定を担当されます地方公共団体との間に緊密な連絡 をとり合うことによりまして、適切に措置を講じてまいりたい、このように考えているところでございます。
  80. 加藤六月

    加藤(六)委員 農林大臣、この信用組合問題、今度は農協農協がいろいろ起こした場合に、都道府県、市町村にどういう関係を持ってどうやらしていただくか。  私が一回目の農林大臣をやっておるときにも、あなたももう勉強をしていただいておると思いますが、鹿児島市農協の問題が起こってきて大変苦労して、たしか二十年で再建して毎年三十億円やっていくというスキームをつくって、今日もなお続いておるということをやったのです。そのときに地方公共団体と農協という関係での問題も実はありまして随分苦労したことがあるのですが、信用組合対都道府県知事との関係という問題、まだたくさん問題がありますが、私が二、三指摘した点をひとつ御参考に今後検討しておいていただきたいと思います。  委員長、私は十二時一分か五分まで時間をもらっていると思ったら、本会議が予定されておるから御協力くださいというメモが来たのです。これから住専の核心をちょっと言っておかなければいかぬと思っておったのですが、また質問の時間を別に与えていただくのなら、私も、ほかの多くの同僚の皆さんが本会議、本会議と思っておられるのなら御協力申し上げたいと思うのです。ただ、せっかくいろいろ勉強させていただいて、質問させていただけるので喜んでおるのに、その時間を協力するということになると、そこら辺の御配慮はいただけますか。——いいですか。  その次に、国税庁、来ていますね。  これはいろいろマスコミで議論されたり何かしたことでございますので、私らも、これも去年の協和・安全組合のときの証人喚問や一般質問のときにいろいろ申し上げたのでありますが、法人税の基本通達の九−六−一から始まっていろいろあるのでありますが、特に九−六−四、認定による債権償却特別勘定の設定問題というのをいろいろ議論し勉強しておるわけでございます。  この通達にも書いてあるのですが、九−六−四の「当該事業年度終了の日までに所轄税務署長に対してその債権償却特別勘定に繰り入れる金額について認定申請を行うとともに、所轄税務署長が当該事業年度の確定申告書の提出後にその申請に係る金額と異なる金額を認定したときは、速やかにその認定に係る金額に基づいて修正申告書を提出することを条件とする。」この確定申告を行って、後、修正申告を提出せよというのを条件としておるという場合は、普通のどこかチョンボや計算間違い、書き忘れがあって修正申告をするのとは性質は違うのでしょうか、それとも同じように考えればいいのですか。まず一点。  それから、その次に、この通達の中の(2)にいろいろ書いてありますが、「貸金等の額のうち担保物の処分によって得られると見込まれる金額以外の金額につき回収できないことが明らかになった場合において、その担保物の処分に日時を要すると認められるとき その回収できないことが明らかになった金額」を云々、こう書いてあるのですが、大体担保物の処分という場合には相当期間がかかると思うのですが、普通は何年を想定されておるか。この二点をまずお伺いします。
  81. 若林勝三

    若林政府委員 まず、通達にございます「修正申告書を提出することを条件とする。」という点でございますけれども、この場合、法人が法人の判断として債権償却特別勘定を設定してそれに積み上げてきた金額と我々が認定したところが違っておるということでございますので、やはりそこは常に適正な金額が計上されるべきだということでございますので、先ほどミスとかチョンボとかいうお言葉がございましたけれども、要するに一般の修正と同じように我々は考えております。そこについては特に違いはございません。  それから、二番目のお尋ねでございますけれども、担保物の回収に時間を要するというような場合についてはこういう債特を積むことができるということでございますけれども、この場合に、ではどれぐらいをもって回収に日時を要するという、要するに日時の長さでございます。特に、我々、一年とか二年とか二カ月、三カ月というふうに期間を決めておるわけではございませんで、その個々のケースごとに見させていただいて、なるほど、これは直ちにどうこうというわけにいかないなというような実態的な認識を個々にさせていただかざるを得ないものかと思っております。
  82. 加藤六月

    加藤(六)委員 あなた、そこら辺におってください。  次長、今度の住専問題で、もう随分勉強しました。そして調べてみると、例えば母体行がありますね。母体行は債権放棄三兆五千億、ここに書いてある。母体行は、三兆五千億というのは住専各社へ貸しておるわけですな。ところが、とっておる担保たるや実に微々たるものです。もう何%しかない。一けただ。そして、その住専七社は何百というところへ、これは全部ほとんど担保をとって出しておるわけですね。  その場合の法的手続その他が随分難しい問題があるのでありますが、時間が来ましたから余りそこら辺は言いません。これは今後のこの法律あるいは国税庁の執行において一番注意しなくてはならぬ問題であるし、我々は血税投入絶対反対しておるのでありますが、提出した政府側にとってみたらこれは生易しいものではない。  大変たくさんの母体行、そしてわずか七社の住専、そしてその先には何十万社の借り手がおる。それがまた担保がもうがたがたになって、大変難しい。それを住専処理株式会社でやろうとする。それを今度は、それはその処置としていいですよ、しかし税はそうはいかない。税の問題について、我々は今後どういう方法でどうやっていくかということは、厳重に監査、検討をしていかなくてはならぬということを申し上げておきまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  83. 上原康助

    上原委員長 これにて加藤君の質疑は終了いたしました。午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  84. 上原康助

    上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。米田建三君。
  85. 米田建三

    米田委員 新進党の米田でございます。  ちょうど昨日来マスコミで大変大きく報道されておりますが、まさに私が過去二回御質問を申し上げてきた北朝鮮への米援助問題、この米の援助に使われた船が、神戸港あるいは大阪港に停泊中に、薬品等の不正輸出の一つの舞台になったという事件が報道されたわけであります。  兵庫県警とそれから神戸の水上署が、八日、ウランの生成や、あるいはサリンの製造にも使われる弗化水素酸や弗化ナトリウムを北朝鮮に不正輸出をしたという容疑で、神戸市の貿易会社東亜技術工業を摘発をいたし、社員の李容疑者を逮捕したわけであります。  このサリンの製造にも使われ得るという報道の部分で大変びっくりをしたわけでありますが、専門家に言わせますと、実に三億人を殺害できる分量のサリンの製造も可能であるというふうな報道がされております。あるいはまた防衛問題等の専門家の弁として、ひょっとして化学戦の準備を北朝鮮が進めているのではないかと、いろいろな角度からこの不正輸出事件というものが大変心配を呼んでいるわけでございます。この件に関しまして、何点かまずお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず最初に、公安調査庁にお尋ねをいたします。  この神戸市長田区の貿易会社東亜技術工業というものは、いわゆる北朝鮮専門商社の一つではないかと思うわけでございますが、公安調査庁はか ねてよりマーク、チェックをされておられたのでしょうか。
  86. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 神戸の貿易会社東亜技術工業の社員が化学物質を北朝鮮に不正輸出したという事案で、外為法違反で逮捕されたことにつきましては、今回報道で初めて認識するに至りました。  ただ、この東亜技術工業という会社につきましては、北朝鮮と関係のある会社であるということはかねてから認識しておりまして、この会社が過去に数回にわたって北朝鮮の貿易会社と取引を行っていた事実があるということは、情報として把握いたしておりました。
  87. 米田建三

    米田委員 ただいま公安調査庁の御答弁で、かねてから当局がマークをしておった会社である、この旨が明らかにされました。  さてそこで、もう一点お尋ねをいたします。  この不正輸出でありますが、李容疑者は、本年の一月の二十四日に、大阪港に停泊中のこの支援米、援助米の受け取りの北朝鮮貨物船に弗化ナトリウム五十キログラムを積み込み、輸出した疑いがある、こういうふうに指摘をされておるわけでありますが、この大阪港に停泊をしておった船でございますが、この船の名前を教えていただけませんか。
  88. 杉田和博

    ○杉田政府委員 大阪港で弗化ナトリウムを積み込んだ船舶は、北朝鮮船籍のキョンソン号ということでございます。
  89. 米田建三

    米田委員 そのとおりでありまして、八千五百五十三トンのキョンソン号です。一月の十一日に大阪に入港し、三十一日に南浦港へ向けて出港した船であります。  それではもう一つ、確認の意味で改めて伺います。知っておりますが、伺わせていただきます。  二月十五日には、神戸港に停泊中の同国のやはり貨物船に弗化水素酸五十キログラムを積み込み、輸出した疑いもございますが、この神戸港で積み込んだ同国の貨物船の名前を教えてください。
  90. 杉田和博

    ○杉田政府委員 御指摘の船舶は、同じく北朝鮮船籍のファングムサン号でございます。
  91. 米田建三

    米田委員 我々の調査で確認をした船と合致をしております。二月の九日に神戸に入港をした二千七百五トンの船で、二月の十五日に興南に向けて出港した船であります。  さて、もう一点お尋ねをいたします。  この不正輸出でありますけれども、北朝鮮の船ですね、援助米を運ぶ、この船の船長が、この品物は規制をされておる品物であるということを承知していたのではないかという疑いがあるわけであります。すなわち、通関チェックが緩い船長託送品としていたことがわかったのではないか、判明しておるのではないかと思うわけですが、警察当局、いかがですか。
  92. 杉田和博

    ○杉田政府委員 事実関係については、現在捜査中でございますので、答弁は差し控えさせていただきます。
  93. 米田建三

    米田委員 いずれにしましても、人道援助という、人道支援という大義名分が、これが逆手にとられたような大変な事件であるというふうに私は思うわけであります。  そこで、食糧庁にお尋ねをいたしますが、北朝鮮の援助米でございますが、これは北朝鮮の……(発言する者あり)するならしてみろ。質問中に何だ、議員質問権を邪魔するのか。  国家としての北朝鮮の政府のエージェント、これが一社に絞られて、東京港区新橋にある近洋海運というところがこの北朝鮮の船の手配の責任をエージェントとして持っており、それから食糧庁と連絡をとっていたことは間違いございませんか。
  94. 高橋政行

    ○高橋政府委員 北朝鮮側から、ただいま先生がお話がございました近洋海運を代理にするということの通告でございましたので、そこを相手にしてやっております。
  95. 米田建三

    米田委員 近洋海運、この海運会社が北朝鮮の代理人として指名をされ、この会社が、船がいつごろ着くのか、何を何トン積むのか、こういう細かい事務的な連絡を食糧庁としていたわけであります。まさにこの神戸の薬品の不正輸出の舞台となった援助米そのもの、国交のない北朝鮮という国として正式に指定をしたこの海運会社が配船をしたその船を舞台にこの犯罪が行われたわけであります。  先ほど申し上げたとおり、私は本当に重要な問題かと思いますが、人道援助が逆手にとられた問題かと思っているわけでございますが、外務大臣、御感想はいかがですか。
  96. 池田行彦

    ○池田国務大臣 現在捜査中の事案、このように承知しておりますが、仮に外為法に違反する行為があったとするならば、それは許されることではないのは当然でございますし、またこの船舶は北朝鮮側の責任で配船され、またその費用負担において運航されたものと承知しておりますが、それにいたしましても、我が国の人道援助にかかわった船舶がそのような事案に、事件にかかわりがあったということになるならば、それは遺憾なことと言わざるを得ないと存じます。
  97. 米田建三

    米田委員 先ほど当局は捜査中であるということで明言は避けられましたが、船長が承知をしておったのかどうかということもしっかりとお調べを願いたいと思うわけであります。  同じく、この問題に関して農林大臣の御感想をお尋ねしたいと思います。
  98. 大原一三

    ○大原国務大臣 我が方といたしましては、人道援助のお米を輸送するということが我々の当時の使命であったわけでございまして、もし万が一そういうことがあったとすれば、まことに遺憾でございます。
  99. 米田建三

    米田委員 都合百隻ほどの船がこの第一次、第二次の援助米の北朝鮮への運搬のために日本の全国各地の港に出入港をしたはずでございますが、こういう事件が起きますと、その積んだものが必ずしも今回のように不正輸出品であると限らないにしても、ただ米を運ぶだけでなくいろいろなものを運んだのではないか。  と申しますのも、後に触れますが、にせ米ドル事件というものも発生をしておりまして、日本からにせ札の識別機を運んだのではないかというふうな疑いも出てきているわけでございまして、その辺がどうしても、こういう神戸のような事件が起きますと、気になってまいるわけでございます。  これらの援助米運搬のために我が国の港に出入港した北朝鮮船について、米以外に何か積んできておろしたとか、あるいは米以外に何かを買い込んで積んだとか、こういうことのチェックというものはきちんとできているのかどうか、大蔵省税関当局にお尋ねします。
  100. 久保田勇夫

    久保政府委員 お答え申し上げます。  本件につきましては、委員先ほど御説明のとおり、弗化ナトリウム、弗化水素を不正に輸出した疑いによりまして、税関においても関税法違反事件として調査中でございますので、詳細については御答弁を差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、我が国の関税法上、輸出及び輸入は原則として許可に係らしめるということになっておりますので、そういうことで鋭意努力しているわけでございます。
  101. 米田建三

    米田委員 神戸の不正輸出の船の件のことではないのです。ほかにも百そう余りの船が援助米を運搬するために日本の港を出入りしておりましたので、米以外の積み荷というものをおろしたり積んだりしたのではないか、そういう疑いが起きてくるわけであります。これについて、大蔵当局は把握をしておられますかと聞いているわけであります。(発言する者あり)
  102. 上原康助

    上原委員長 不規則発言は御遠慮願います。
  103. 久保田勇夫

    久保政府委員 特定の国籍の船にかかわらず、輸出及び輸入につきましては、それぞれ輸出申告書及び輸入申告書で精査をいたしておりますので、十分把握しているつもりでございます。
  104. 米田建三

    米田委員 これは後日でいいのですが、どういうものを積みおろししたのか。また、かかわった商社はどこなのかというふうなことを後日教えていただけますか。
  105. 久保田勇夫

    久保政府委員 お答え申し上げます。  突然のことでございますが、いずれにいたしましても、委員の御趣旨を踏まえまして、その立法趣旨等にかんがみて対応させていただきたいと思います。
  106. 米田建三

    米田委員 ぜひ御検討をいただきたいと思います。  次の質問に移りますが、既にこれまた大きく報道をされております。  三月の二十四日にタイ、カンボジアの国境の検問所で、田中義三なる、よど号乗っ取り事件の赤軍派のかつてのメンバーがにせ米ドルを所持をしておった、こういう容疑で逮捕をされたわけであります。北朝鮮の外交官二名も一緒に車に乗っており、この外交官二名は外交官特権で釈放され、田中のみが逮捕された、こういうふうな報道もされているわけであります。  まさに国家ぐるみのにせ札づくり、にせ米ドルづくりの疑惑が浮上してまいったのではないかと思うわけですが、警察当局はこの事件の本質についてどのようにお考えなのか、お尋ねをいたします。
  107. 杉田和博

    ○杉田政府委員 現在、御指摘の米ドルの偽造紙幣につきましては捜査中でございまして、その背後関係等も含めまして、現段階においてどういう意図があるかについてはちょっと答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  108. 米田建三

    米田委員 やがて事件はすべて明らかになることを期待しておりますので、その際にはまた伺う機会もあろうかと思うのです。  昨日四月八日の同僚広野議員質問に対しまして、警察当局はこのにせ米ドル、いわゆるスーパーKが我が国国内にも流入をしていた。一九九三年に約四百五十枚、そして九四年に約三百八十枚、九五年に約五百枚というふうに具体的に数字も挙げて答弁をされました。これまた大変なことだろうと思うのですね。実際、最終的にどの程度流入しておったのか判明するのはもちろん今後の問題でございましょうが、仮に大量に流入をしておったとしたら、経済に対する悪影響も大変大きなものがあるわけでございます。  さてそこで、この日本へのにせドル、スーパーKの流入ということで、昨年の六月に都内の貿易会社が大手都市銀行の支店に五万ドルを入金をした、このうち五十余枚がにせドル札と判明をした、こういうふうに報じられているわけでありますが、この貿易会社は渋谷区にある北朝鮮専門の商社ではありませんか。
  109. 杉田和博

    ○杉田政府委員 これまでに判明をしております事実としましては、平成七年の五月の中旬に、渋谷区内の会社員が北朝鮮の商社と中古車の売買契約を結びまして、五万ドル、これは百ドルが五百枚でありますけれども、これを受け取って銀行に持ち込んだところ、御指摘のとおり五十数枚が偽造百ドルと判明したものでありまして、現時点そこまでしかわかっておりません。  今御指摘の商社等につきましても、捜査中のことでもあり、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  110. 米田建三

    米田委員 我々もいろいろと調査をいたしております。大手都市銀行に五万ドルを入金をしたと我々は判断をしておる商社でございますが、この商社は、もともといわゆる北朝鮮直営とも言われている、大変本国やあるいは在日の団体のコントロール下にある、二十三ございますが、その商社の中の一つである。しかも、この代表者は、かつて同じくその特命商社の中でも日本有数の経営規模を持つ会社の副社長であった。この母体となった北朝鮮専門の商社並びに本国、あるいは在日組織の了解のもとに自分が代表の会社を設立をいたしたというふうに理解をしているわけであります。  しかも、この母体となった最大手の北朝鮮専門商社の役員の中に、実は我々の調査では、過去二回触れております米の援助問題、この中にも登場をしてまいりますやはり北朝鮮と大変関係の深いある会社社長さんが役員として名を連ねているわけであります。つまり、にせドルに絡むこの人脈の中に、なぜか米の援助、この問題に関与した人の名前が今浮かんできておりまして、実は大変びっくりしているわけであります。  かつまた、やはり米の援助問題で大分活躍をされたこれまた商社の経営者でありますが、この五万ドルを入金した会社社長と密接な関係を持ち、中古車の確保、北朝鮮への輸出で動いておる、こういう現在途中経過ではありますが疑いが強まってきておるわけでございます。  そこで、警察当局に伺いますが、こういうことになりますと、このにせドルの問題、あるいは米援助の問題、そしてまた不正輸出の問題にいたしましても、まさに米の援助船が使われていたわけでございますから、話が何やらぐるぐるぐるぐるとつながってくるような感じがして仕方がないわけでございます。私は、捜査を当然きちんとおやりをいただくならば、そういう我が国における北朝鮮の人脈というもの、こういうもの全体を視野に入れた捜査があってしかるべきではなかろうかと思いますが、その辺の視点で捜査をしておられるのかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
  111. 杉田和博

    ○杉田政府委員 警察といたしましては、事実関係を一つ一つ具体的に明らかにすることによって事案を解明してまいりたい、かように考えております。
  112. 米田建三

    米田委員 そんなお答えなんでしょうが、ひとつしっかりお願いをしたいと思います。  さて、次の質問に移ります。  四月五日の質疑で触れさせていただきました。九五年三月の与党三党訪朝団に、加藤紘一事務所の肩書で随行された新日本産業社長の吉田猛さんと当時の川島アジア局長さん、今総合外交政策局長さんでいらっしゃいますが、川島さんの御答弁の中で、実は吉田さんとは前のアジア局審議官のときに、第十八富士山丸の釈放問題でお手伝いをいただいたというくだりがございました。  第十八富士山丸と申しますと、御案内のとおり、八三年の十一月に、たまさかその船に北朝鮮からの亡命兵士が密航しておったということで、北朝鮮へその船がまた行ったときにスパイ容疑で逮捕され、実に七年もその船長さんと機関長さんが抑留をされた、そういう民主主義国家では信じられない事件であったわけであります。  この船長並びに機関長の釈放、これは当時の政府としては大変重要な、大きな仕事だったんだろうと思うんですが、民間人である吉田さんに当時のアジア局審議官さんがお手伝いをいただいた、これは相当な方なんですね。どういうお手伝いをいただいたんですか、川島さん。
  113. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  九〇年の春のころでございますけれども、今お述べになった富士山丸の問題が大変長引いていて、ありとあらゆる手だてを尽くそうということで、政府としてもいろいろ試みていたのでございますが、当時北朝鮮側と全く接触がつかない状態だったわけでございます。  そういう中で、あるマスコミの方からこういう方がおられるということで吉田さんが紹介されまして、そして北との接触を試みたわけでございますが、しかし結局のところ、それが富士山丸の解決につながったかというとそういうことではなくて、その年、九〇年の秋の自社両党の訪朝まで解決はなかった、こういうのが事実関係でございます。  そのやりとりは九〇年でございます。
  114. 米田建三

    米田委員 この間川島さんは、吉田さんとのおつき合いについて、私が指摘をさせていただいた日取りと人数、そういう場面では会ってはいない、もうちょっと大勢の会合では会ったことがあるとか、なかなかはっきりおっしゃらなかったんですが、こう伺うと随分古いつき合いなんですよね、ことしは一九九六年ですから。  そこで、既にこれまでの審議の中でも外務省当局はお認めになっておりますが、米の援助問題で民間人が一定の役割を果たした、こういうことはお認めになっているわけであります。この吉田さんや、あるいは、既に触れさせていただきました が、やはり加藤事務所代表の名刺もお持ちの佐藤三郎さん、こういう皆さんが、日朝交渉あるいは米援助の問題で九五年六月三十日の一次合意の前から一定の役割をやはり果たされたわけですね。そのことはよく御存じなわけですね。改めて確認をしておきたいと思います。
  115. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 北朝鮮に対する米の支援問題については、北朝鮮側から日本側に支援の要請があったことを受けて我が方としての検討を進めるところでございますが、我が国は北朝鮮と国交がないということがございまして、北朝鮮側からの要請が当初与党関係者に対して行われた、こういう経緯がございます。  したがって、政府当局と北朝鮮側との間の協議が行われるまでの間、与党関係者が北朝鮮との連絡という役割を果たされたということを、私は、一定の役割を果たしたということで申し上げたつもりでございます。
  116. 米田建三

    米田委員 当局と北朝鮮との交渉が始まる前とおっしゃいましたが、第一次合意の後、第二次合意の話が持ち上がる。そして、第二次合意が決まる間にも随分、第一次合意が決まる前と同様に活発に動かれていたのじゃないかと思うのですね。  まあ、その点はさておきまして、この間も伺いましたが、あえて再度お尋ねをしておきたいわけです。  一定の役割を果たしてこられた。その皆さんが、やはり当然、それだけの何年もの間かかわっていらっしゃって、当局の方ともおつき合いがあり、いろいろな連絡もあったはずでございますから、やはりこの米の価格設定やあるいは受け渡し方法等で、そういう皆さんの意見を外務当局が少なくとも耳にすることくらいはあったんでしょう、どうなんですか。聞かされることぐらいは。
  117. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 先ほど申し上げましたような一般的な経過を通じて、与党関係者の方の御協力を得て、北朝鮮との間の政府間の協議が始まるまでの連絡というものを行っていただいた。それを受けて政府協議を行って、米の第一次、第二次供与が決定したということでございまして、それの中でいかなる具体的なやりとりがあるか、与党関係者との間に当然我々は連絡は密にいたしておりますけれども、その個々の点についてお答えするのは差し控えさせていただきたいと存じます。
  118. 米田建三

    米田委員 局長、個々のことを細かく、いつ、何日、どんな話があったなんて聞いているのじゃないのです。そういう役割を果たされた、御活躍をいただいたというからには、価格の問題やあるいは受け渡しの方法をどうするか、こういうことについて、当然その皆さんも北朝鮮側とパイプをお持ちでいろいろなお話をされるのですから、それに基づいて外務省に情報を伝えたり意見をおっしゃったことがありますかと聞いているわけでありまして、個々のことを聞いているのじゃないですよ。そういうことはあったのでしょう。
  119. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 党の関係者、与党との間に私たち、それなりのもちろん連絡というものを維持してまいりましたが、今御指摘になられたような会合あるいはそういう内容の会話ということを交わしたことはございません。
  120. 米田建三

    米田委員 ちょっと時間がないので先へ進みます。  それで、外務大臣に主としてこれからはお尋ねすることになるのですが、この間、四月三日のこれは読売新聞ですか、外務省幹部が三月十八日に北京で、国交正常化の交渉の再開を目指して北朝鮮の高官と秘密接触というふうな記事も出ておりました。その中には、北朝鮮の政府・朝鮮労働党高官と会談をした、あるいはまた北朝鮮側からは第三次米支援の要請も出された模様であるというふうな報道がされているわけであります。  私は当然ながら、北朝鮮と緊張関係を保ってずっといけばいいなんということを申し上げているわけじゃなくて、むしろ常識ある国際社会の一員に早いことなっていただきたいし、朝鮮半島の平和と安定を願っている一人でもあるわけであります。  しかし今日、先ほどよりも触れさせていただいたいろいろな問題を含めて、余りにも問題が多いわけですね。やはり援助とか関係の改善は、タイミングや周囲の状況というものをよく勘案する必要があると思うのです。特に、もし米の第三次援助の要請があるとしたならば、やはり一次や二次についてこれだけいろいろな疑念というものがあるわけでございますから、軽々に決めるべきではないと思うわけでございます。  この北京での会談というものはあったのでしょうか。また、第三次の要請というのはあったのでしょうか、どうでしょうか。
  121. 池田行彦

    ○池田国務大臣 我が国は、北朝鮮との関係をどうするかという、そういった外交政策の運営、展開に当たりましては、やはり不正常な関係を正常化する、こういうことはもちろん考えるわけでございます。それとまた同時に、朝鮮半島全体の安定に資する、こういった観点を大切に考えてまいります。また、その取り運びに当たりましては、韓国との連携をとりながら進めていく、こういった基本的な姿勢で臨んできたところでございます。  そして、いわゆる国交正常化の交渉は、七回目までやって、八回目の途中で中断したままで推移しております。その後どうするかということにつきましては、いろいろ、外交当局として当然の務めでございますけれども、必要なときには接触をするということはあり得るわけでございますけれども、今、正常化について具体的な大きな進展があるというふうなことはないと御理解いただきたいと存じます。  それからなお、米の追加支援につきましては、そういった要請には接していないところでございます。
  122. 米田建三

    米田委員 その極秘の会談が北京であったかどうかということも伺ったのですが、これはなかったのですか。
  123. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど申しましたような姿勢で北朝鮮に対する外交政策は取り運ぶこととしておりますけれども、具体的に個々の段階でどういうことがあったかということについては、従来からコメントは差し控えさせていただいております。  もとより、正常化交渉そのものがきちんと再開されるということになれば、これは当然のこととして国会にも御報告することになるわけでございますが、今はそのような大きな展開があるというようなことではない。いずれにしても、従来同様、細部につきましてはひとつコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  124. 米田建三

    米田委員 三月の二十九日に、北朝鮮の国防次官の大変厳しい、朝鮮半島における休戦状態は限界点に到達している、そして、軍事境界線の非武装地帯の地位をこれ以上維持することが不可能になったという状況に伴う諸措置が盛り込まれるであろうというふうな、一種好戦的な声明が報じられて、その後、御案内のとおり、板門店周辺での刺激的な行動も続いているわけであります。また、先ほど触れましたにせ札事件というものも、成り行き、推移が大変注目をされます。  やはり私は、今の御答弁が外交としては基本的なスタンスなのかもしれませんが、相当注意を要する国であることは間違いがないだろうと思うし、外務大臣も当然ながらそういう御認識はお持ちだろうと思うのです。  ところで、警察当局にちょっとお尋ねをいたしますが、古い事件ではありますが、大韓航空機の爆破事件というものがございました。この爆破犯の金賢姫が暴露した、彼女に日本語教育を施した李恩恵という女性、この女性の存在については、日朝交渉のさなかでも相当日朝両国が相対立をした問題だったはずでございますが、この女性が実は拉致された日本人である、この件はどこまで捜査が進んでいますか。判明している事実を改めて明確にしていただきたいと思います。
  125. 杉田和博

    ○杉田政府委員 御指摘の李恩恵なる女性につきましては、これまで日本国内の捜査及び警察庁の 係官を直接韓国に派遣をいたしまして金賢姫から得た供述、こういうものを総合いたしますと、昭和三十年生まれの埼玉県出身の女性である可能性が高いと判断をいたしております。また、金賢姫の供述によれば、この李恩恵は日本から船で引っ張られてきたと語っておりまして、拉致された疑いが強いということで、現在引き続き捜査をしておるところでございます。
  126. 米田建三

    米田委員 こういう問題も、日本側が、はっきりしてくれという要求をけ飛ばされ続けて、また、日本人妻の自由往来あるいは里帰りの問題、これも色よい返事をもらえない。こちらの要求、要望は何も入れられずに巨額の援助だけが行われたとしたら、これはやはり大方の国民が納得するところではないのではないかと思うわけでございます。加えて、いろいろな事件が起きておりますが、過去におきましても、北朝鮮の日本におけるいろいろな活動がやはり問題になったケースがあるわけであります。  警察庁にやはりお尋ねをしたいと思いますが、過去の北朝鮮のスパイ事件というものが随分摘発されたケースがあると思うのですが、この件数、あるいはまた、国内に協力者が相当いないとそういうスパイ行為ができないようなケースもあったというふうに私は認識をしておるのですが、その辺についてちょっと御説明を願いたいと思います。
  127. 杉田和博

    ○杉田政府委員 過去二十年間で北朝鮮関連のスパイ事件として検挙いたしたものが十数件ございます。こういう具体的な事件の捜査を通じまして、朝鮮総連関係者であるとか北朝鮮関連の企業であるとか、こういったもののいわゆる関与というものを把握をいたしております。
  128. 米田建三

    米田委員 公安調査庁にお尋ねをいたしますが、朝鮮総連という組織は監視団体でしょうか。  また、朝鮮総連の運動方針やあるいは子弟の教育方針は、祖国と一体になって祖国の共産主義、独裁体制を保衛することに重点が置かれているというふうに認識をしておりますが、公安調査庁のお考えをお尋ねします。
  129. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 朝鮮総連は北朝鮮の祖国統一民主主義戦線という団体に団体加盟しておりまして、故金日成主席及び金正日書記に絶対的な忠誠を誓っており、朝鮮総連の最高幹部であります四人が我が国の国会に当たります北朝鮮の最高人民会議の代議員にも選出され、会議出席しておる、こういう関係であります。  この朝鮮総連は北朝鮮の指示、指導を受けて我が国内で活動をしておりまして、御指摘の教育方針についても、我が国内にある朝鮮人学校において金正日書記への忠誠あるいは朝鮮革命への貢献を促す民族教育を行っておるというふうに認識いたしております。
  130. 米田建三

    米田委員 外務大臣、今公安調査庁長官の御説明にもございましたが、先ほど来の繰り返しで恐縮でありますが、やはり同国とのつき合いはいろいろ考えなければならぬだろうと思う。  この四月の六日、名古屋にも要人が来日しておりますね。これは外務省は御存じですか。
  131. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 来日中であることを承知いたしております。
  132. 米田建三

    米田委員 この三名のメンバーでありますが、この皆さんはそれぞれに本国政府では重要な位置におられる方々というふうに理解しておりますが、第三次の米問題とかあるいは日朝国交正常化交渉についての話が外務省当局と行われるのではありませんか。
  133. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 このミッションは愛知県の日朝親善県民会議の招待によって来日しているものであるというふうに承知いたしております。  私たちとして、大臣の答弁にもございましたように、北朝鮮との関係での個々の具体的な事実につきコメントを申し上げるということは差し控えさせていただきたいわけでございますけれども、このミッションは、今申し上げましたように、政府の招請によるものではないわけでございまして、私どもとしてそれ以上、このミッションと話し合いをするとかそういうことは全く想定されておりません。
  134. 米田建三

    米田委員 最後にお尋ねをいたしたいと思いますが、さきの委員会で私は、北朝鮮への援助に充てられた緊急輸入米、この問題につきまして、実は一部、すなわち第二次援助分の約三割に当たる部分が国産米の疑いがあるというふうに申し述べさせていただきました。まず、これについてちょっと何点か質問を申し上げる前に確認をしておきます。  食糧庁、これは閣議決定された事項ですね、また合意書でもうたわれておりますね。
  135. 高橋政行

    ○高橋政府委員 北朝鮮に対する米穀の支援につきましては平成七年六月三十日に閣議決定を行っておるわけでございますが、その中で、在庫の緊急輸入米を活用できる事情にあるということで支援をしたわけでございまして、そのお米については在庫緊急輸入米を充てるということで閣議決定をしております。
  136. 米田建三

    米田委員 今の長官のお答えのとおり、閣議決定された、まずそういう大前提であるわけでございまして、これがもし違っておるとなったらこれは大変な問題であるわけでございます。  農林大臣にお願いをいたしましたが、調査をお約束をいただきましたが、その後調査は進んでおりますか。また、その調査の、中間でも結構ですから、結果が出ておりましたらお話しをしていただきたいと思います。
  137. 高橋政行

    ○高橋政府委員 ちょっと詳細にわたりますので、私から御説明させていただきます。  北朝鮮への追加支援米として、約三割、五万四千トンの国産米が船積みされていたのではないかという委員からの御指摘でございますが、そもそも、それだけの数量の国産米が積み出されるということになりますと、相当何か組織的に行われたということになろうかと思いますが、まずそういうことはないということを初めに申し上げておきたいと思います。  それで、調査確認したところでございますが、まず一つは、船積みのときに国際検査機関というのがございまして、そこで船積み米穀につきまして、どこの産地のものか、あるいはそれがウルチであるかモチであるかという種類、あるいは数量、そういうものにつきましてここで検査をしておりまして、その検査結果証明書をいただいておりますが、それと、今度北朝鮮側がその受け取りをするわけでございますが、その代理人であります船会社が発行しております船荷証券、その両方を突合いたしまして、各船ともに国産米ではなく、緊急輸入米であるタイ米、それから米国産米、中国産米を船積みしていたということがまず確認されたわけであります。  それから、船積みの荷役の際には、食糧事務所の職員、それから委託商社の担当者が立ち会っておりますし、先ほど申しました国際検査機関の職員もおりますし、そのほか荷役に携わっている人もたくさんおるわけでございまして、国産米が誤って船積みされるということは、まずあり得ないというふうに思っております。  それからさらに、この支援に向けられました在庫緊急輸入米は、輸入されたままの荷姿ですね。この荷姿といいますのは、国内では流通をしていない麻袋とか樹脂袋、これは五十キログラムの袋でございますけれども、そういったもので保管されたものが運ばれたわけでございまして、外見上も、国産米は三十キログラムの紙袋であるとかあるいは六十キログラムの樹脂、麻袋、そういうようなものでございますから、容易に区別できるわけでございます。  今申し上げましたとおり、御指摘の北朝鮮追加支援米に国産米が使用されたというような事実はございません。
  138. 米田建三

    米田委員 農林大臣も同じ御意見ですか。全く国産米に一部なりともすりかわった事実はないと、自信を持っておっしゃれますか。
  139. 大原一三

    ○大原国務大臣 委員の御指摘があってから食糧庁長官を通じて調査をさせましたところ、ただいまの報告を私いただきまして、日本米は混入されていない、調査をいたしました結果がそう信じております。
  140. 米田建三

    米田委員 この件に関しましては、私もかねてから長いおつき合いのある、敬愛する深谷先生のお名前で、懲罰に値するという文書も委員長あてに出されているようでございまして、政治家の端くれとして、真剣に私自身もお話を申し上げなければならぬと思うんです。  この間、御質問を申し上げたその論拠がきちんとあるわけです。資料があるわけであります。  食糧庁、事前に、先ほど本会議の席で、今ちょうど御説明いただいたようなあらましの、検査方法とかそれらの御説明のものはいただきましたが、私はこの間は、実はこの資料をもとに御質問申し上げた。その際に、事細かに一部ちゃんと照合させていただいて、どの港にいつ入港し、いつ出港した船が日本米を積んでいる疑いがあるというようなことも御指摘を申し上げましたが、こういう港別の細かい資料というのはまだ食糧庁はおつくりになっていないんですね。
  141. 高橋政行

    ○高橋政府委員 先生が先日、三割に相当する国内産米につきまして港別にお話をされたわけでございますが、その港別の御指摘のあったものを含め全部につきまして、港別に積み込まれたものにつきまして、先ほど申し上げましたような確認をしたということでございます。
  142. 米田建三

    米田委員 それならば申し上げましょう。私がこの間申し上げた質問のニュースソースを申し上げましょう、情報のソースを。  これは海上保安庁のあるセクションがウォッチング、リサーチしておった資料でございまして、それを公安調査庁のあるセクションの関係者からちょうだいをしたものであります。愛国者がどこにでもおるのです。そういう資料でありまして、その原本の写しもございます。それに基づいて御質問を申し上げました。  ですから、先ほど本会議場でもお配りをいただいた、こういう形で検査をしておるんだ、だから間違いないんだということではなくて、港別の、日にち別の資料を食糧庁なりにきちんとおつくりをいただいてお示しを願いたい。照合しようじゃないですか。どうですか。
  143. 高橋政行

    ○高橋政府委員 我々、全く自信を持ってやっておりますから、照合することについて何らいとうものではございません。
  144. 米田建三

    米田委員 今申し上げたとおり、我々も確信を持ってこの委員会で触れさせていただいた資料でございます。懲罰云々というお話がございますが、今後引き続き、必要とあらばこの資料すべてを明らかにしながら、また食糧庁からも徹底した調査の結果というものを細かく私はちょうだいをしてまいりたいというふうに思うわけでございます。  この後の記者会見で、記者会見にお見えになった記者の皆さんには資料をお配りをいたします。  どうか委員長、この問題は、私も政治家としての名誉にかかわる問題でございます。ここまでニュースソースというものを、その方の御迷惑を考えながら控えてまいりましたが、御了解をいただきましたので、きょうそこまでも明らかにさせていただき、質問を終えます。
  145. 上原康助

    上原委員長 これにて米田君の質疑は終了いたしました。  次に、坂上富男君。
  146. 坂上富男

    ○坂上委員 社民党の坂上富男でございます。質問させていただきます。  まず、集団的自衛権と憲法第九条の関係でございますが、七日の日には、新進党の小沢一郎党首が、集団的自衛権行使も合憲と認められるという見解をテレビで発表されたそうでございます。また、きのうは経済同友会が、安全保障問題調査会報告書として、政府見解が禁じております集団的自衛権の行使まで踏み込んだ、安全保障政策の見直しを求める提言をまとめたようでございます。  これについて、極めて大事なことでございますので、再度政府からきちっとした確認を求めたい、こう思っておるわけでございまして、まず法制局、従前の、集団的自衛権を認めることは憲法第九条との関係において憲法に反するのじゃなかろうか、こういうことはどうなっておりますか、再度確認させてもらいたいと思います。
  147. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 お尋ねの集団的自衛権と憲法九条との関係でございますが、国際法上、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止することが正当化されるという地位を有していると言われております。我が国が国際法上この意味における集団的自衛権を有しているということは、主権国家である以上当然であろうかと思われます。  ただ、政府は、従来から一貫しまして、憲法第九条のもとで許容されている自衛権の行使というものは我が国を防衛するため必要最小限度範囲にとどまるべきものであり、他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とする集団的自衛権の行使は、今申し上げましたことを超えるものとして憲法上は許されないものというふうに解してきている次第でございます。
  148. 坂上富男

    ○坂上委員 官房長官ひとつ、見直し論がまた言われてきておるようでございますが、政府としての対応はどうなりますか。
  149. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 今、法制局長官が答えたとおりであります。
  150. 坂上富男

    ○坂上委員 政府としては、二つの提案がなされておることに対する見直しをしようなどという見解は全くないのですね。もう一度、官房長官
  151. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 議員それぞれや国民それぞれがいろいろな思想や政策の自由を享受をしていることは当然でありますが、政府としては現在の見解で統一をされております。
  152. 坂上富男

    ○坂上委員 結構でございますが、我が党は特に集団的自衛権が憲法第九条に違反する、そういう見解に立っておりまして、政府としても守っていただきますことを強く要請をしておきたい、こう思っておるわけでございます。  お帰りになって結構でございます。  法務省でございますが、株式会社あるいは有限会社の最低資本金制度の適用猶予期間が満了いたしまして、法務大臣告示が四月一日なされたわけでございます。この最低資本金制度は、いわゆる株式会社については一千万円、有限会社については三百万円という資本にするということでございますが、これを達成できなかった会社は一体今どれぐらいの件数になるか、まだ統計が出ていないだろうと思いますから推測で結構でございますから、ひとつどれぐらいの件数になるか、御答弁いただきたいと思っておるわけでございます。  それから、今度最低資本金を達成できなかったためにみなし解散となった会社が復元する方法があるのかどうか、これもあわせて簡明に御答弁願いたいと思います。
  153. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 御指摘のとおり、最低資本金制度の既存会社に対する適用猶予期間が満了いたしまして、本年四月一日付をもちまして御指摘の官報公告をさせていただいたところであります。  今御指摘もございましたように、三月三十一日までに最低資本金を達しなかった会社の数、現在集計中でございます。したがって、確定的な数字はまだ把握しておりませんが、推測として申し上げますと、一月末現在の未達成会社の数が約八十二万社でございまして、総数三百十七万社中の二六%でございましたが、その後二カ月の間に相当数の増資等の申請がされております。したがって、相当数減少し、恐らく未達成会社は全会社数の二〇%を切る状況になっているものと推測しております。  また、この中には適用期間を一年延長いたしました大阪府、兵庫県に本店を有する会社も含まれておりますので、これを除きますと未達成会社は十数%程度なのではないだろうか。しかも、その中には、既に営業を廃止しながら解散の登記をしていないといういわゆる休眠会社が相当数含まれておると思われます。このパーセンテージも、推測でございますが、一〇%を超える割合だろうと思っております。したがいまして、現に営業を 行っていて未達成であるという会社は極めて少ない。  さらに、官報公告後も、五月末日までは増資や組織変更に伴う登記申請をしていただければ解散したものとはみなされないということでございますので、最終的には、現に営業をしておられる会社の大多数、ほとんどが対応していただけるものというふうに考えております。  二番目の御質問の、五月末日までに所要の登記の申請をされなかったという会社については六月一日付で解散したものとみなされるわけでございますが、そういう会社は、当面は清算の目的の範囲内において存続するものとなりますが、その後もさらに三年間は、株主総会または社員総会で会社を継続する旨の決議をした上で、所要の増資または組織変更の手続をとることによって会社を復活させることができるということになっております。
  154. 坂上富男

    ○坂上委員 次に、住専問題について質問させていただきます。  特にこれは大変な、記録の上でもあらわれておるのでございますが、東京佐川急便事件にかかわりました平和堂グループの松澤泰生氏による特別背任等の事件がございます。これは第一審の判決が平成五年十二月九日になされました。第二審の判決が平成七年三月二十三日に行われたわけでございます。  そこで、この第一審の判決では、日本住宅金融が平和堂グループとともに株取引に資金を投入していた、こういう前提に立って、判決はこれを認定をいたしておるわけでございます。これによりますと、日本住宅金融は平和堂グループの株の仕手戦に加担するなど、本来の住宅金融とは全く異なる目的に資金を浪費して損害を発生させたのでございます。それが破綻の一因ともなっていると私は考えておるわけでございます。  また、この判決は控訴されたわけでございます。それで、弁護人が提出いたしました控訴趣意書によりますと、平成六年五月三十日でございますが、こういう趣旨のことが——確定記録でありますから私が質問できるわけでございますが、閲覧できたわけでございますが、検察当局としては確認できるかどうかをお聞かせをいただきたいのでございます。  いわゆる「平成二年八月以降には日本住宅金融株式会社の藤敏樹」これは証券部長代理という地位にある方だそうでございますが、「仕掛けていた群栄株に対して多額の投資を行った。」  「藤との関係を検討してみると、平成二年の一月から四月にかけて被告人は三木証券外務員の菅沢重伸らからの、日本住宅金融株式会社が群栄を仕掛けているとの情報に基づいて群栄株を売り買いして利益を上げたりしていたが、同年四月下旬頃に右菅沢の紹介により藤と面識を得、同年八月頃からは藤が平和堂不動産の事務所に出入りするようになり、被告人は、」というのは松澤氏ですが、「藤と密接な関係になった。」  「そして、以後被告人は藤に協力して、群栄株を大量に買付けていくことになったが、日本住宅金融株式会社は群栄株についての中心的な仕掛人であり、藤は同社が行う株式投資の中の運用株を一挙に取り仕切っていたファンドマネージャーであったのであるから、被告人が群栄株について適確な情報をいち早く入手できる立場にいたことは明らかである。」  「日本住宅金融は九つの銀行の出資により設立された、住宅金融の専門会社としては最大手の一部上場企業である。同社は二兆円の総資産のうち、約三、〇〇〇億円を有価証券に投資し、このうち一、〇〇〇億円を」、特に一千億については「株に投資し、久世証券部長が半分を主に資産株に投資し、他の半分を藤が運用株に投資していた。」  「また藤は最終的に、買い占めた群栄株を三井東圧などの関連会企業に引き取らせる計画であった。」これは検察庁の証拠が挙げられております。  「日本住宅金融は当時、証券会社より株式投資がうまいと言われていたくらいであり、まして被告人は藤から、「万一の時は、松澤社長の」」、被告人ですが、「「株をうちで引き取ってもよい。」とまで言われていたのである。」と、検察官の調書が挙げられておるのであります。  また、「その後、被告人は」、松澤ですが、「平成二年一一月上旬から中旬頃、「群栄が下がっているのは、追い証割れで売っているものと思う。だから、今買い支えればまた株価は上がる。」との藤の説明により、群栄株を更に買い増し、これが結果的に被告人が大きな損失を受ける一つの原因になったが、豊富な資金量を基に株式運用をしている藤のかかる説明に基づき、被告人が群栄株の買い増しをした」のである。  被告人らの群栄株等の仕手株への投資により最終的には巨額な損失が出た、こうこの控訴趣意書にも書かれておるわけでございます。  そこで、さらに、これに関する検察の答弁書があります。東京高検の鶴田検察官が平成六年八月二日付の答弁書で言っているのでございますが、「三木証券外務員菅沢重伸から、日本住宅金融株式会社が群栄化学工業株を買い進んでいるとの情報を得、平成二年二月二二日から本格的に同株を買い進めた。なお、その間に、渡邉に対しても、」渡邉というのは東京の佐川の社長でございます。事件としては共犯関係にありますが、「群栄株と加藤銘柄の両建てで買い進める旨報告した。」  「被告人は、同年四月下旬ころ、右菅沢から右日本住宅金融の証券部長代理藤敏樹を紹介され、同人から、同社が群栄株を買い進めて行く旨説明を受けたが、右のような状況から、本州製糸だけに頼るのではなく、群栄株を更に買い進めてみようと考え、八月ころ、渡邉にも、右株取引の危機的状況を伝えて、群栄株を更に買付けることの了承を求めた上、以後、群栄株を買い進めた。」しかし、結局のところ、「群栄株も九月以降、一進一退を続け、その間、被告人は、加藤の依頼を受け、いわゆるクロスを振って更に買い続けたものの、株価は回復せずに終わった。」こういって、検察の答弁があるんですね。  これをもとにして裁判所が、いわゆるさっき言ったような判決文の中にうたっておるわけでございます。その記録は私ここへ持ってきておるわけでございますが、いろいろここに書かれておるわけでございます。  まず法務省、こういう私が指摘をしたようなことがこの確定記録の中にいろいろ出ているんでございますが、間違いありますか、どうですか。
  155. 原田明夫

    原田政府委員 委員指摘のような記載が確定記録中にあるということにつきましては、ただいまお読み上げなさったとおりだろうと思います。
  156. 坂上富男

    ○坂上委員 さて、そういたしますと、こうやって日住金が本来的な仕事をしないで仕手株投資を行っていたことは明らかでございます。同社の定款上、これは問題があるんじゃなかろうか。少なくとも私は、民事の損害賠償の対象にもなるであろうし、刑事の背任罪にも当たるんじゃなかろうか、こう思っておりますが、まず大蔵省平成二年ごろ、日住金でこういうようなとんでもないことが行われていたということを、大蔵省はこのころ検査をされておるわけでございますが、知っておられたものなんでございましょうか。どうですか。
  157. 西村吉正

    西村政府委員 今御指摘の点につきましては、刑事記録にあることも承知しておりますが、当局におきましては、平成七年八月の第二次立入調査の結果、日住金が当該株式投資を行っていた事実は承知をいたしております。  ただ、立入調査の目的はあくまで各社の資産内容の現状把握の観点であったことから、個別内容の、例えば動機だとか手法などの詳細までは把握しているところではございません。
  158. 坂上富男

    ○坂上委員 大蔵省、どうですか、これは。いわゆる日住金の定款上大変な問題、定款に違反をしている、こういう行為なんじゃないですか、この仕手株。  しかも、この判決といいますか関係記録によりますと、どうも一千億円以上の仕手株戦が行われていたようでございます。さらにもっと調べてみると私はもっと相当な金額なんじゃなかろうかと思っておりますが、これは定款の上から見てどうですか。
  159. 西村吉正

    西村政府委員 株式の売買につきましては、日住金の定款上必ずしも明記をされているところではございませんが、定款の第八号に「前各号の事業に関連する一切の事業」とございまして、日住金によれば、それにこの株式の売買というのは含まれると解していると聞いております。ただ、大蔵省として定款の取り扱いについて有権的な解釈を行う立場にないということは御理解いただきたいと存じます。  なお、今回の処理方策におきましては、仮に法的な問題がこのような取引について生じたといたしますならば、その場合には、関係者に対しまして民事上、刑事上の責任の厳格な追及を行うこととしているところでございます。御指摘の仕手株の投資につきましても、仮に法的な問題が生じる場合にはそのような趣旨で厳格な追及が行われるべきものだと考えております。
  160. 坂上富男

    ○坂上委員 どうぞ大蔵省の方は、損害賠償、これはきちっとしてもらわなければならぬと思っております。  法務省、これはもう本当に背任の典型的な事例だろうと私は思っているわけでございます。これは、こういう経営実態という点を十分念頭に置いて捜査を進めていただかなければならぬと思っておりますが、法務省、どうですか。
  161. 原田明夫

    原田政府委員 検察当局におきまして具体的にどのような事項について捜査を行ってまいるかにつきまして、検察当局において判断すべき事項でございますので、法務当局として答弁を差し控えさせていただきたいのでございますが、検察当局におきましては、既に住専問題等に関する協議会、また捜査の専従班を設置するなど、所要の体制を整えているところでございまして、犯罪容疑の有無という観点に関係する事項で、御指摘のような会社の経営の実態といった背景事情等の諸点を含めまして、あらゆる観点から資料や情報の収集、分析、検討を行っているものと存じます。
  162. 坂上富男

    ○坂上委員 それはそれで終わりまして、今度はTBSとオウムの関係について質問させていただきます。  去年の十二月、青山君の裁判が行われました。そこで、法廷では青山調書が朗読をされました。それについて、平成七年三月二十二日、いわゆるあの地下鉄サリンが二十日だったと思うのでございますが、この三月二十二日、警察が一斉捜索をいたしたわけでございます。そして、青山調書によりますと、前日、報道の記者から二十二日に家宅一斉捜索が行われるということを聞かされたということが青山調書に書かれている、こういうようなことのようでございますが、この調書の記載の事実は間違いございませんか。そして、この記者というのはどこの報道機関であるか、御答弁いただけますか。  これはやはり、記者というだけでは報道機関全部が迷惑を受けるわけだ。この際きちっと、どこの記者なんだということを、私は捜査当局はこの席上で明らかにすべき義務があろうと思うのです。確かに、法廷ではどこの記者か言わなかったそうでございますが、そうしますと、もう報道全体に対して疑いの目を持っている形になりますから。私も、この質問、本意ではございません。やはりきちっと、どこの会社の、どこの報道機関の記者が青山に言ったというふうに検察は見ていられるのか、これもあわせてひとつまず答弁をしてください。
  163. 原田明夫

    原田政府委員 御指摘の供述調書につきましては、三月二十一日、マハーポーシャビルで大阪の強制捜査に対する記者会見を開いた際、ジャーナリストから翌日強制捜査が入ると教えられた旨の要旨の告知がなされたと聞いております。そういう趣旨で御指摘のような趣旨の記載があると承知しているわけでございます。  ただ、問題の部分につきましては、法廷で要旨が告知された限りにおいて、私の立場で確認させていただきますので、その余の点は捜査の具体的内容に関する事項でございますので、この場での答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
  164. 坂上富男

    ○坂上委員 委員長にお願い申し上げますが、今申し上げましたとおり、もう公判廷にさらされているのですね。検察は、いわゆるその名前を言わなかっただけなんですが、もう弁護人も裁判所もみんな見て知っているわけですね、どこの会社か、どこの報道か。不起訴記録でも、公益の必要があれば院の決議によって提出をさせて見ることができると言われておるわけでございますから、これはやはり明らかにしていただかないといけないと思いますので、委員長におかれましては、この記者というのはどこの会社なのか、これをぜひひとつ、御相談の上、何らか明らかにしてもらうように御措置をしていただきますこともお願いをしたいと思います。  さて、そこで法務省、こういうような記者がいたということになりますと、法務省としては何か対応されたのですか。例えば出入り禁止とかいろいろあるのだそうでございますが、これは何か処置されましたか。  それから警察庁、これによって捜査の妨害になったのじゃないですか。どのような実害が起きたのですか。これを明らかにしてください。
  165. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの点につきましては、具体的にどのような措置がなされたかということにつきましては、ただいまのところ承知いたしておりません。
  166. 野田健

    野田(健)政府委員 平成七年三月二十二日の山梨県上九一色村所在のオウム真理教施設に対する捜索につきましては、大規模な捜索を実施する必要があったことから、捜索場所の特定及び捜索・差し押さえ許可状の準備、人員、装備、資機材等の捜索態勢の確立、捜索時におけるサリン等使用の捜索妨害を想定した防毒マスク等の調達及びその使用訓練等の準備を行いましたが、これらの準備作業が大変大がかりなものであり、また、通常必要とされる時間よりも長時間を要したために、残念ながら、警察の動きなどが察知されたということがあったのではないかと考えられるのであります。  どの程度の捜査妨害があったのかのお尋ねでございますけれども、平成七年三月二十二日のオウム真理教施設に対する一斉捜索着手後の捜査過程で判明した事実でありますが、同教団の「科学技術省」信徒が、一斉捜索前日の三月二十一日に、山梨県所在のオウム真理教施設からサリン生成化学プラントの工程等を記載したメモ帳など多数を車両に積み込み滋賀県下に逃走して隠匿した事実が判明したことから、同人を同年五月三十一日に証拠隠滅の事実で逮捕し、送致しているところであります。  捜索等の事実が事前に部外に察知されますと、証拠の散逸や捜査の円滑な進行に支障を来すこともあることなどから、今後とも、今回の問題を教訓として保秘の徹底を期すよう努めてまいりたいと考えております。
  167. 坂上富男

    ○坂上委員 これは大変重大な発言なんでございますが、TBSがビデオを見せた、そして坂本弁護士一家の殺害の動機、原因になった、これと同じように、この一斉捜索が行われるであろうということがオウムの幹部に知らされ、オウムがこれに対策をし、そしてその結果、証拠隠滅が図られたということになりましたらこれは大変なことで、この二つが本件における大きな問題点だ、報道のあり方として問題だろうと私は思っているわけでございます。  そこで、一つ私は検察庁に聞きたいのですが、これはもう証拠隠滅の教唆じゃないですか、この記者が教えたということは。まあ、いろいろ条件がまずあると思うのですが、どうもその疑いは私は非常に強いんじゃないかと思っておりますが、法務省、どうですか。
  168. 原田明夫

    原田政府委員 具体的な事案におきまして犯罪 が成立するかどうかという観点につきましては、委員御承知のとおり、捜査機関が実際に収集しました証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございますので、法務当局として一般的な答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、証拠隠滅罪そのものについての一般論といたしましては、他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、変造または偽造したような証拠を使用したことが要件とされています。これらの要件が認められるか否か、証拠に基づき、具体的な事案について判断されるべきものであるというふうに考えます。
  169. 坂上富男

    ○坂上委員 時間が来たようですから終わらせていただきますが、捜査当局、私が御指摘をいたしましたこと、それから委員長に要請をいたしましたこと、ぜひとも実現をしていただきますようお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  170. 上原康助

    上原委員長 これにて坂上君の質疑は終了いたしました。  次に、矢島恒夫君。
  171. 矢島恒夫

    矢島委員 大蔵大臣、昨日当委員会で、大臣は我が党の佐々木議員質問に答えて、追加負担について三つの点を述べられたと思うんです。その中の一つに、「さらにもう一つの問題は、この住専問題に対する責任をそれぞれの当事者が十分に自覚することによって、みずからの体力に応じてその負担の責めを負う努力をすることであろう、」こう述べられたと思うんです。責任の問題については、当委員会で母体行がいかに責任重大かということはやってまいりました。我が党もやってまいりました。  そこで、体力の問題についてお聞きしたいわけです。大臣、この母体行の体力についてどのように診断しておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  172. 久保亘

    久保国務大臣 最近の金融機関の業績は、全体的に見ますと、かつてない業務純益を上げているような状況にあると見ております。
  173. 矢島恒夫

    矢島委員 業務純益を上げながら、十分な、総じて体力はあると私どもも思っているわけですけれども、体力があるということを幾つかの例を挙げて申し上げたいと思うんです。  企業の体力という場合には、やはり企業のいわゆる財務諸表というものをいろいろ分析する必要があると思うわけです。  大蔵省にお聞きします。まず、母体行にもなっている主要二十一行の内部留保についてどういう状況か、昨日資料要求をしていたんですけれども、お示しいただきたいと思います。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  174. 西村吉正

    西村政府委員 七年の九月期におきます都銀、長信銀、信託二十一行の内部留保、任意積立金という意味に解しますと、十兆二千六百四十七億円でございます。また、有価証券含み益ということを考えてみますと、十二兆八千四百五十九億円となっております。
  175. 矢島恒夫

    矢島委員 資料ではなくて、私どもが要求した中身まで出ておりませんので、やはり委員長、母体行の内部留保がどのような状態かということは、母体行の体力診断という面では非常に重要なものだと思います。  そこで、お願いがあるんですが、こういう母体行の内部留保についての状態を示す資料を提出していただきたい。このことを理事会でお諮りいただきたい。
  176. 三野優美

    ○三野委員長代理 後刻理事会で協議いたします。
  177. 矢島恒夫

    矢島委員 そこで、お手元に、私どもがっくりました「銀行の内部留保について」という資料を配付させていただきました。この一番上が都市銀行の内部留保となっております。以下、信託銀行と長期信用銀行の内部留保について計算していったわけであります。  「公表内部留保」というのがそれぞれ三月期決算、九月期決算に出ておりますが、これは、いわゆる利益準備金、その他の剰余金、つまり任意積立金とそれから当期未処分利益金、大体大蔵省も内部留保ということを認める中身であります。それを、この一番右側の合計欄を見ますと、一番上の欄はいずれも、三つの銀行ともに増大している。  その次の「引当金・準備金等」と書いてある欄ですけれども、実は、私どもは内部留保という場合、貸倒引当金とか退職給与引当金とかあるいは特別法上の準備金、こういったようなもの、さらには資本準備金、まあ必要以上の減価償却費というのもありますから、大企業ほど損失に多く計上できて、税制上もまた会計上も優遇されている勘定科目、これも内部留保に加える必要があると私ども考えておりますので、それを加算して私どもで計算したのが二番目の欄であります。  そこで、一九九五年九月三十日現在の、それぞれの銀行の最後の一番右側の隅、これを見ていただきますとおわかりのとおり、銀行の主要二十一行の内部留保は年々ふえている。九五年の九月期決算、そこで都市銀行で約十六兆四千億になっています。それから信託銀行では約三兆七千億円。長期信用銀行を見ますと三兆三千億円。この二十一行だけを合計いたしますと二十三兆四千億円ということで、私どもの診断では、母体行というのは体力は十分にある、追加負担を求めるのは理論上もまた実態的にも十分可能なんだ、このように思うわけです。  そこで、大蔵大臣責任と体力に応じて、こうおっしゃっていらっしゃるわけですから、このような内部留保だけを見ましても十分体力があるわけですから、ひとつ自信を持って、確信を持って、政府責任で母体行の追加負担の具体策を示すべきだと思いますが、この点についてお答えいただきたい。
  178. 久保亘

    久保国務大臣 昨日、佐々木さんにもお答え申し上げましたけれども、体力があることによって、母体行が住専問題に関して、みずからの責任負担という形で負うことができるということだと私は考えております。その内容をどうするかという問題につきましては、私どもといたしましては、あくまでも第一義的には銀行側がみずからの責任を自覚されてこのことに対応されるよう、そのことに対して政府としては、今後のこの住専問題の処理、不良債権処理に当たって一層の努力を要請をする、こういうことに相なろうかと思っております。
  179. 矢島恒夫

    矢島委員 銀行みずからがこれに対応する、政府としてそれに積極的に要請していくということですけれども、やはり私、ここで銀行法をきちんと見る必要があるのではないか。それは、銀行みずからがこの対応を決めればいいんだというのじゃなくて、積極的な政府の交渉なり要請なりが必要なんじゃないか。そのことはもちろん、銀行法の中で書かれておりますように公共性の問題にしても、あるいは公的責任の問題にしても、こういう点を考えればびくびくしないで、どんどん追及して負担増を負わせるところの交渉というものを進めるべきではないか、こう思うわけです。  母体行の体力について、今、内部留保で申し上げたわけですけれども、さらにこういう面もぜひ考えていくべきだと私は思うんです。それは、大変な不況の中で銀行は内部留保をどんどんふやしましたけれども、先ほど大蔵大臣もお認めになったように業務純益はふえてきている、こういう状況にあります。  業務純益がどうしてふえてきたかというと、その一つに、公定歩合が一九九一年から昨年まで九回にわたって引き下げられた。大銀行では、公定歩合が下がるとすぐ預金金利を下げるんです。ところが、貸出金利はそれよりも期間を置いて、しかも金利の引き下げ幅は小幅に引き下げたわけですね。こういうタイムラグがあって利ざやを膨らませた、このことはまず間違いない事実だと思うんです。というのは、公定歩合の引き下げによって国民に相当大きな犠牲をもたらしたということは、もう何回もこの委員会でも出た問題であります。ひとり銀行だけは、全くその逆で、莫大な利益を上げた。  業務純益で申し上げますと、全国ベースで見ますと、九二年度、九三年度、九四年度ともに四兆五千億前後になっているのですね。最も成績のよいのは都市銀行です。それに次いで信託銀行。九〇年度から九四年度までの五年間に、全国ベースで二十兆二千九十五億円もの業務純益を上げているわけですね。主要二十一行でいいますと、九〇年から九四年までの五年間ですけれども、十三兆四千五百六十億円、こういう莫大な業務純益を上げているわけです。この上に、九五年度の業務純益は、どこもみんなまだこれから、三月三十一日は終わっていますけれどもこれから出てまいりますけれども、恐らく史上最高だろう、こういうことが言われているわけです。  こういう母体行の財政状況なのに、母体行の支援に国民負担を求めていく。国民は納得するわけはないのですよ。大臣、こういう内部留保だとかあるいは業務純益の中身だとか、こういう材料を使って銀行と交渉されたことはあるのですか。
  180. 久保亘

    久保国務大臣 銀行が今どういう状況にあるかということについては、私も銀行側もよく知っていることであります。そして、これらの純益が上がってまいりました要因というものは、今矢島さんがお話しになりましたことも一つの要因であることは間違いありません。  ただ、公定歩合の問題は銀行に利益を上げさせるために引き下げられたということで割り切ってしまうということは正しくない、こう私は思っております。これは、やはり景気を中心とした経済対策上の金融政策としてとられたもの、その面もまた私どもはきちんと見なければならないと思っておりますが、結果的に銀行の利益につながったということを否定するわけではございません。  そういうものに対して、今矢島さんも言われましたように、銀行の持ちます公共性、社会的責任、そういったようなものを考えながら、特に住専問題の処理に当たっては、繰り返し申してまいりましたように、住専の設立段階から破綻に至りますまでの間、いかに母体行という立場で銀行がかかわってきたかということについては、銀行は重く責任を感じてもらわなければならぬことであります。そういう各面から、私どもは銀行に対して、さらにその責任を感じ、新たな負担を考えていただくよう言っているところであります。  このことに関しましては、与党三党におきましても銀行側との協議を行った経過もございます。決して十分なものとは言えませんけれども、そこにまた一つの話し合いの結果が生まれていることも事実でございますが、私どもは今、住専問題にかかわりました当事者のさらなる努力を今後も要請しつつ、極力国民負担が縮減できるように努力をしていくことは当然の任務だと考えております。
  181. 矢島恒夫

    矢島委員 公定歩合の引き下げ問題で、前々から銀行局長も、いわゆる銀行のためじゃなくて景気対策だということの答弁をしておりました。今、大臣もそう答弁されました。しかし、この間本当に景気はよくなったかといいますと、それは大企業や大銀行は上り調子だというようなのもありますが、中小業者や働いている皆さん方は依然として、雇用不安もあれば、下請単価の切り下げの問題もあれば、あるいは企業の海外移転の問題もあれば、大変な苦労をされているわけですよ。景気がよくなったなとなかなか実感できないのですね。  公定歩合の問題でいえば、例えば預金金利の目減りによって、一千万円の一年定期預金を例にとりますと、九〇年には六十万八千円の利子所得があったのですよ。ところが、今日ではどうか。同じ一千万円の一年定期が何と四万八千円にしかならないのですよ。だから、年金の生活者の方々や預金している方々は大変な苦労をされている。結局、国民の購買力が向上するどころか消費はなかなか拡大しない、こういう現状にあるということも、もちろん知っていらっしゃると思いますけれども、そういう面も見なければならないだろうと思います。  ところで、大蔵省にお聞きしたいのですが、さらに銀行の体力が強大になっているという問題についてですけれども、不良債権の償却の問題があるわけですよ。銀行は莫大な業務純益によってかなりの不良債権を償却しておりますね。九〇年度から九四年度までで結構ですから、全国ベースまたは都市銀行など二十一行ベースでどれだけの不良債権をこの間償却したか、お示しいただきたいと思います。
  182. 西村吉正

    西村政府委員 不良債権処理の推移に関するお尋ねでございますが、全国銀行で申し上げまして、例えば平成二年度、九〇年度でございますけれども、債権償却特別勘定への繰入額が千九百十五億円、貸出金償却が三百十億円、その他で二千八百八十一億円、合計五千百六億円でございます。  最新時点で申し上げますと、九四年度、平成六年度でございますが、全国銀行ベースで、債特勘定繰入額が二兆五百八十三億円、貸出金償却が八千百八十七億円、その他で三兆四千九百二十一億円、合計六兆三千六百九十一億円でございます。  中間の計数について、もし必要でございましたら御説明申し上げます。
  183. 矢島恒夫

    矢島委員 九一年、九二年、九三年、中間の状況については必要があればということですが、私どもの方の資料を見ますと、提出いただいた資料を見ますと、それぞれ出ております。  そして、その五年間におけるいわゆる合計、全国ベースでです、十四兆四千九百五十二億円になるわけなんですね。二十一行だけを見ましても十二兆四千億円、こういう莫大な純益のもとでの不良債権の償却が行われている。十分に内部留保も蓄えている。大蔵大臣が母体行に強力に追加負担を求める道理は十分にあると私たちは思います。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、大蔵大臣は、母体行くの追加負担の問題で、可能な負担をしてもらえば、その負担によって六千八百五十億円が、結果的に国民負担として軽減される場合も出てくる、こういうことを述べられました。六千八百五十億円から母体行の追加分が減る、つまり六千八百五十億円マイナスX、まだ今のところは額がわかりませんから、このXがいわゆる追加負担分、こういうことになるわけなのです。  ところが、現在の段階大臣は、六千八百五十億円を含む予算はそのまま通すのだ、通すのだ、こう言っていらっしゃる。つまり数式上で言えば、六千八百五十億マイナスXイコール六千八百五十億と、何も引かない形になって出てくる。ですから国民が納得できないのですよね。国民はこの六千八百五十億円の負担に大変大きな怒りを持っていることは御案内のとおりですし、今なお八割、九割の方々が反対している。この追加負担分のXというものを具体的に国民に示すべきだと思うのですよ。  いつの時点でこのXを決めるつもりですか。そうしなければ国民は納得しないと思いますが、いかがでしょう。
  184. 久保亘

    久保国務大臣 今の御質問にお答えいたします前にちょっとだけ時間をいただきたいと思いますのは、先ほど低金利の問題について、矢島さんから年金生活者等の問題などについてお話がございました。  このことについては私どもも再三にわたって申し上げてきたところでありまして、社会政策上、また必要な、これらの方々に対する金融商品の有利なものの発行とか、そういう面等で努力をしなければならないし、今日までも、決して十分ではないけれども努力をしてきたと思っております。今後もこれらの点についてはさらに誠意を尽くしていかなければならない問題だと思っております。  なお、今お話がございましたことにつきましては、今日私どもが御審議をお願いいたしておりますスキームというのは、当事者であります銀行、 系統金融機関などとの協議によって一応枠組みができ上がっているわけであります。それで、これを認めていただいて、この仕組みで今後住専の不良債権問題を処理するという方針を固めた上でこの負担の問題についてさらに銀行等との話を詰めなければいけない、このように考えております。  これは、もし逆になりますと、協議そのものも、全体の住専の不良債権処理の問題そのものの枠組みがなくなるわけでありますから、非常に難しい問題になろうかと思っておりまして、きのう佐々木さんにも、そこのところがちょっと考えが違うところではないでしょうかということを申し上げたところでございます。
  185. 矢島恒夫

    矢島委員 協議でできた枠組み、これはもう絶対だということでやっていらっしゃるわけですが、やはり母体行の追加負担は必要だ、責任の問題やあるいは体力の問題でも必要なのだと、額とかいつだというのは出ていないけれども。だけれども、これは、口で言っていることと実際にやっていること、本腰でやっているのかな、こういう見方が国民の中にもあるわけですよ。  例えばけさの新聞では、「政府側は原案を変えないまでも、何らかの追加措置が必要と考えている様子がうかがえる。」という中で、「思わせぶり」という見出しもあるわけなのですよね。つまり、本気で追加負担を求める気があるのかということを新聞の中で書いているのもある。私は、この追加負担をどうするかが根本的な問題だと思うのですよ、まさに今日における。  そもそも政府が出した予算案とこの住専処理案、これでは母体行に債権放棄しか求めていないわけであります。そういう予算案と処理案に国民の怒りが爆発したわけです。だから母体行の追加負担という問題が出てきて、それで国民負担を軽減しようという方向になってきたと思うのですよ、全体的に。時間がかかるとか、あるいは協議でできた枠組みは外せないとか、いろいろおっしゃられますけれども、そもそも、母体行にその責任と体力に応じて負担を求めるということを、昨年の十二月の時点、閣議決定の時点で政府が一たん放棄してしまったわけですよ。六千八百五十億円出しましょうというのでぽんと出したわけですよ。そこに最大の問題があると思うのですよ。  予算をつくった政府責任だと思うのですが、いかがでしょうか。
  186. 西村吉正

    西村政府委員 私どもは、昨年の十二月十九日の時点におきまして、関係者それぞれ、それは母体行の立場でもあり、一般行の立場でもあり、系統金融機関の立場でもございますが、それぞれの限度いっぱいの努力をしていただきまして、その結果が今日の政府の提案になっているわけでございます。  かつ、今矢島委員から、母体行は債権の全額放棄しかしていないという御指摘がございましたが、その点に関しましても、政府といたしましては、母体行に債権の全額放棄のほか、金融システム全体の安定化を図るという見地から、総額一兆円の拠出基金に対する拠出及び低利融資二兆二千億余りのものを協力を求めている、こういうことでございます。
  187. 矢島恒夫

    矢島委員 関係者それぞれぎりぎりの努力とか言っていますが、既に母体行の問題についてはこの委員会で種々論議されて、やはり追加負担というものが必要なのだという方向にある、どうやるか、いつやるかは別ですよ、そういうことが必要だという方向になっているわけですよ。ということは、十二月の時点のときに関係者それぞれぎりぎり、ぎりぎりと言ったのが崩れているのですよ。つまり、予算の根拠が今日崩れているのだから、だから予算をつくった政府責任であるし、その部分についてきちんと国民の前に明らかにする必要があるのですよ。  時間がありませんから次のことでお聞きしますが、大蔵大臣、追加負担の、先ほど私が申し上げましたXですね。このXを具体的にしないまま、先ほど言いましたのは、六千八百五十億マイナスXイコール六千八百五十億、こういう数式ですが、そういう今までのままで、それで将来Xは決めますよ、こう言っても国民は納得できないのですよ。今までできないものがどうして将来になればできるのか、こういう見方もあるわけですよね。今はっきりできないということは、将来になったら多分、国民から総スカンを食ったあの、銀行がもうけをふやすことによって税収をふやしますよなんという、そういう追加負担案と同じようにごまかされてしまうのじゃないか、だれもがそう思っているのですよ。だから納得しないのです。  数字でなくても、具体的な策、つまり母体行の責任と体力に応じた負担をどのようにするのか、こういうスキームが出されなければこの審議は進まないのですよ。その具体策こそ国民の要求にこたえる道ではないかと思いますが、いかがですか。
  188. 久保亘

    久保国務大臣 お立場が違いますから、矢島さんがそうおっしゃるのだろうなと私も思っておりますが、ただ、今おっしゃいました中で、どうせごまかすのだろう、それは、私の今の気持ちとして全くそういうことはございません。しかし、どこまでどうするかという問題については、相手のあることでございますから、これからの努力にかかることでございます。それ以上のことを申し上げられないことを御理解いただきたいと思います。
  189. 矢島恒夫

    矢島委員 いろいろと国民はごまかされてきたのですよ、今まで。ですから、そういう御答弁だけでは、なるほどやってくれるな、こうは思わないと、一般の人がそう言っているよということを私は申し上げたわけです。  時間が来てしまいました。最後に、重ねてこの六千八百五十億円というものを予算から削除すること、銀行の追加負担の具体的内容とそれから期日、これを明確にして速やかに当委員会に提出する、このことを要求いたしまして、質問を終わります。
  190. 上原康助

    上原委員長 これにて矢島君の質疑は終了いたしました。  次に、嶋崎譲君。
  191. 嶋崎譲

    嶋崎委員 先週、沖縄の基地問題に絞りまして質問をしましたが、水源問題に関しての質問漏れで、時間の関係でできませんでした。その後四日間かけまして、沖縄の西表北部の国有林、民有林、県有林、全体調査をいたしまして、一昨日帰ってまいりました。この調査に基づいて、短い時間ですが、沖縄県における水源と森林問題について、沖縄県民の立場から、今の基地の整理統合・縮小に関連して、十六日から行われる日米会談で我が国の立場としてアメリカ側にその意味を正確に伝えていただきたいというのが私の質問趣旨でございます。  報道されているところによりますと、十六日からトップ会談が、日米会談が行われる前に、2プラス2、日本側からは外務大臣防衛庁長官、アメリカ側もその二人の会談が行われた後、日米会談が行われると伝えられておりますので、外務大臣防衛庁長官には質問をする時間は恐らくないと思いますが、問題の重大性をつかんでおいていただいて、2プラス2のときにその問題意識で対処していただきたい、そういう意味で御出席を願った次第でございまして、大変御無礼を申し上げます。  五日に大田知事とお会いいたしまして、三十分にわたっていろいろな懇談をいたしました。内外には明らかにしておりませんが、いろいろな角度で御相談を申し上げましたが、その中の一つに、沖縄県の水の問題と森林というのは欠かせない問題だということを改めて教えていただきました。  沖縄県では、沖縄本島の給水制限日数、つまり水の制限が行われているその日数を昭和四十七年から今日までずっと統計をとってみますと、非常に特徴が出てまいります。昭和五十年代の初めまでは一年間に百日以上の給水制限でございました。それが、幾つかダムが建設されることになつ たおかげで、一時完全に給水制限ゼロという時期がございました。ところが、平成に入りまして、また一カ月間とか三カ月間とかといわれるような給水制限が続き始めてきております。  それで、開発庁の下部組織であります沖縄の北部ダム統合管理事務所から出ているこの資料を見させていただきますと、今後沖縄県では、依然として水の需要があるのに対して、その供給は足りないよ、不足しますよということに現状はなっていることは、これらの政府から出されている諸文書でも明らかであります。その原因がどこにあるのかということを、短い時間ですが問題にしてみたいと思うわけです。  その前に、米軍は、では水をどうしているのかというのは、御承知のように、地位協定二十四条に伴う新たな協定がございます。その新協定の第二条には、公益事業として、電気、ガス、水道、下水道は、アメリカは特別扱いということになっておりますし、その算定の基準、水道料金の基準の決め方その他はすべて決まっておりまして、今年度、平成八年度では、アメリカ側に支払う日本の水道料金は五十一億円でございます。そのうち沖縄は七五%の米軍がおりますから、三十億ぐらいは沖縄本島に水道料金を払っておる、こういう仕組みになっているわけです。  しかも、米軍の場合には、この地位協定の新協定もございますからこれは別扱いで、しかも基地以外に、基地の外に住んでいる将校その他についても、公私の区別なしにすべて水道料金は日本が負担することになっておりまして、米軍の方は水に不足していない、大体そう考えてよかろう。  水道料金の決め方は、過去三年間の最高平均水準に合わせて概算要求して予算を組んでいるんですから、芝生にもばっと水をまいておれば、大変豊富な水の使い方でございますが、県民は大変な給水制限を行って耐えているというのが現状であります。  さてそこで、沖縄の水問題を解決するために、開発庁が中心になりまして、北部の国頭村の北部地帯に水確保のためのダムをつくり始めたおかげで、途中は給水制限なし、最近はまた足りないという状態になっているんですが、次々とダムをつくりました。このダムは大変ユニークなダムでございまして、洪水調節ダムというので、一番上の高いところに、水がだんだん不足してくれば上へ上へとダムをつくっていくわけです。それで上の方のダムに水がたまったものを次のダムにおろしてためる、またおろしてためて、一番下の福地ダムにたっぷり水をためて南に水を送るというこういうタイプのダムであります。  さて、このダムが問題になるのは、このダムはどこにつくられているかというと、政府委員からこの地図を全部大臣に渡してくださいというふうに言っておきましたが、行っておるはずでありますが、これを見ると非常に明快であります。北部の重要な森林地帯は、この赤で囲まれた部分が米軍の演習地であります。したがって、国有林はすっぽり米軍の演習地なんだ、こういうことをまず前提にしていただきたいと思います。そして、水不足のために今までこしらえた一連のこのダムは、すべて国有林の地域の中につくられているわけです。これは建設省の直轄事業ですから、こういう一連のダムを今日までつくってきているわけでちります七  さてところが、ここで問題になるのは、ダムをつくれば当然その近辺の樹木は伐採しなければなりません。木は切ってダムはこしらえたが、さてダムに入る水を確保するためには、上流の森林を本来ならば水源涵養の保安林として指定して、そして森林の施業もやらなければならぬし、水確保のための国土政策を打ち出さなければなりません。ところが残念なことに、これはすべて国有地ではありますが米軍の演習地であります。それが、今問題になっている北部演習地の一部返還というテーマであります。  北部演習地の一部返還というのは、新聞で一般的に書かれて、それは何のことか意味がよくわからぬ。その意味は、まさに国有林が演習地にかぶさっていて、つくったダムの水を確保するためには、治山対策、特に保安林対策というものを将来に向けてやらなければならない。その意味で、一部演習地の返還という課題が今から日米会談で話されるんだというふうに問題を立てておく必要があると思います。  時間の関係で、まず最初に官房長官、総理いらっしゃいませんから官房長官にお聞きしますけれども、したがって日米首脳会談に当たって、米軍の基地の整理統合・縮小問題の一つに、普天間の飛行場もあります、それから恩納村の実弾射撃場もありますが、もう一つ重要な、沖縄県民の五十年、百年を頭に置いて、沖縄県民のこの水問題を解決していくための国土づくりという観点から、日米会談で北部演習場の一部返還を、このダムに即して流域ごとに保安林指定が可能になるようなことを考えつつ返還問題を提起していただくことが、アメリカ側もわかっていただけるのではないか。  現にこの演習場の中では、国有地でいいますと、今アメリカが演習を常住的にやっているのは十九番地区、十番地区、七番地区でございまして、この辺、南の方でございます。北の方はほとんど演習に今や使われていないのでありますから、その意味で、一部返還という意味はそういう意味なんだということを踏まえて日米会談に臨んでいただきたい、これを総理に伝えていただきたいというのが官房長官にお願いする第一点であります。  後でまとめて返事をいただきましょう。これが一つ。  二番目に、農林大臣にお願いしたいのは、返還問題が将来起きてきたら、今もう既に県有林や市町村林のところは保安林に指定して、そして保安の施業、つまり山の仕事を県も市もやっております。ところが国有林は手がついておりません。したがいまして、返還後にはかなり大きな地域について保安林指定の必要があるのではないかと思うが、農林水産大臣として林野庁とも話し合いの上、その課題を果たすべく御検討をいただきたい、これについての返答、これは農林大臣にお答え願いたい。  三番目に、これはちょっとわき道にそれたのですが、西表に入りましたところ、あそこに琉球大学の熱帯生物圏研究センターという共同利用研究所がございます。そこの共同利用研究所に参りましたところ、これは外国の客員研究員や普通の学生なども大変利用しているいい研究所でございますが、この琉球大学には、演習林というのは北部にございますけれども、この共同利用研究所の中には亜熱帯を研究する講座がないのです。  そんなわけで、ここでは平成九年度予算に向けて教授、助教授を含む一講座要求を上げております。ですから、これは大学ごとに順番がありますから、僕が言ったから、はいということにはならぬと思いますが、文部省と琉大との間でよく御討議をいただいて、今後この亜熱帯植物の研究というものについて一講座を増設することについて御努力賜りたい。  この三点をそれぞれ回答いただいて、私の質問を終わることにしたいと思います。
  192. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 御意見の趣旨を踏まえ、速記録を添えて地図と一緒に総理にお渡しをいたします。
  193. 大原一三

    ○大原国務大臣 いわゆる北部訓練場については、恒常的な水不足に悩む沖縄本島の水源として、重要であることを十分認識をいたしております。  北部訓練場が返還された場合には、森林や水資源の状況を調査の上、保安林の指定について十分検討させてまいりたいと思います。
  194. 奥田幹生

    ○奥田国務大臣 先生御指摘の研究センターは、熱帯地域におきます国立の研究センターとしては、琉球大学のセンターただ一つでございます。したがって、できるだけ前向きに先生の御趣旨の方向で進めたいと思いますが、これは大学の方からどういう要請が上がってくるか、十分連絡を密にしまして検討させていただきます。
  195. 嶋崎譲

    嶋崎委員 終わります。
  196. 上原康助

    上原委員長 これにて嶋崎君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十四分散会