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1996-04-05 第136回国会 衆議院 予算委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月五日(金曜日)     午後一時開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       小澤  潔君    越智 伊平君       越智 通雄君    菊池福治郎君       栗本慎一郎君    志賀  節君       高鳥  修君    谷川 和穗君       武藤 嘉文君    村山 達雄君       谷津 義男君    若林 正俊君       安倍 基雄君    愛野興一郎君       伊藤 達也君    石井 啓一君       石田 勝之君    川島  實君       左藤  恵君    笹川  堯君       田名部匡省君    谷口 隆義君       平田 米男君    前田 武志君       松岡滿壽男君    山口那津男君       山田  宏君    米田 建三君       今村  修君    緒方 克陽君       佐々木秀典君    田中 昭一君       細川 律夫君    錦織  淳君       佐々木陸海君    松本 善明君       矢島 恒夫君    土肥 隆一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         農林水産大臣  大原 一三君  出席政府委員         警察庁警備局長 杉田 和博君         法務省刑事局長 原田 明夫君         公安調査庁長官 杉原 弘泰君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         食糧庁長官   高橋 政行君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 四月五日  辞任         補欠選任   村岡 兼造君     栗本慎一郎君   谷口 隆義君     米田 建三君   平田 米男君     田名部匡省君   坂上 富男君     緒方 克陽君   穀田 恵二君     矢島 恒夫君   海江田万里君     土肥 隆一君 同日  辞任         補欠選任   栗本慎一郎君     村岡 兼造君   田名部匡省君     平田 米男君   米田 建三君     谷口 隆義君   緒方 克陽君     坂上 富男君   矢島 恒夫君     佐々木陸海君   土肥 隆一君     海江田万里君     ————————————— 四月五日  平成年度予算における住専処理経費削除に  関する請願岩佐恵美紹介)(第一三二六号  )  同(穀田恵二紹介)(第一三二七号)  同(佐々木陸海紹介)(第一三二八号)  同(志位和夫紹介)(第一三二九号)  同(寺前巖紹介)(第一三三〇号)  同(中島武敏紹介)(第一三三一号)  同(東中光雄紹介)(第一三三二号)  同(不破哲三紹介)(第一三三三号)  同(藤田スミ紹介)(第一三三四号)  同(古堅実吉紹介)(第一三三五号)  同(正森成二君紹介)(第一三三六号)  同(松本善明紹介)(第一三三七号)  同(矢島恒夫紹介)(第一三三八号)  同(山原健二郎紹介)(第一三三九号)  同(吉井英勝紹介)(第一三四〇号)  同(岩佐恵美紹介)(第一三六四号)  同(穀田恵二紹介)(第一三六五号)  同(佐々木陸海紹介)(第一三六六号)  同(志位和夫紹介)(第一三六七号)  同(寺前巖紹介)(第一三六八号)  同(中島武敏紹介)(第一三六九号)  同(東中光雄紹介)(第一三七〇号)  同(不破哲三紹介)(第一三七一号)  同(藤田スミ紹介)(第一三七二号)  同(古堅実吉紹介)(第一三七三号)  同(正森成二君紹介)(第一三七四号)  同(松本善明紹介)(第一三七五号)  同(矢島恒夫紹介)(第一三七六号)  同(山原健二郎紹介)(第一三七七号)  同(吉井英勝紹介)(第一三七八号)  同(岩佐恵美紹介)(第一四〇七号)  同(穀田恵二紹介)(第一四〇八号)  同(佐々木陸海紹介)(第一四〇九号)  同(志位和夫紹介)(第一四一〇号)  同(寺前巖紹介)(第一四一一号)  同(中島武敏紹介)(第一四一二号)  同(東中光雄紹介)(第一四一三号)  同(不破哲三紹介)(第一四一四号)  同(藤田スミ紹介)(第一四一五号)  同(古堅実吉紹介)(第一四一六号)  同(正森成二君紹介)(第一四一七号)  同(松本善明紹介)(第一四一八号)  同(矢島恒夫紹介)(第一四一九号)  同(山原健二郎紹介)(第一四二〇号)  同(吉井英勝紹介)(第一四二一号)  同(岩佐恵美紹介)(第一四六〇号)  同(穀田恵二紹介)(第一四六一号)  同(佐々木陸海紹介)(第一四六二号)  同(志位和夫紹介)(第一四六三号)  同(寺前巖紹介)(第一四六四号)  同(中島武敏紹介)(第一四六五号)  同(東中光雄紹介)(第一四六六号)  同(不破哲三紹介)(第一四六七号)  同(藤田スミ紹介)(第一四六八号)  同(古堅実吉紹介)(第一四六九号)  同(正森成二君紹介)(第一四七〇号)  同(松本善明紹介)(第一四七一号)  同(矢島恒夫紹介)(第一四七二号)  同(山原健二郎紹介)(第一四七三号)  同(吉井英勝紹介)(第一四七四号)  平成年度予算における住専関連予算削除に  関する請願小森龍邦紹介)(第一四七五号  ) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成年度一般会計予算  平成年度特別会計予算  平成年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  平成年度一般会計予算平成年度特別会計予算平成年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、理事会協議に基づく一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗本慎一郎君。
  3. 栗本慎一郎

    栗本委員 自由民主党の栗本慎一郎であります。  平成年度予算編成に当たり、住宅金融専門会社、いわゆる住専について、その不良債権処理に六千八百五十億円の公的資金を計上したことについてさまざま問題になっておりますが、実は、この公的資金をどこに投入するかということは別にして、金融システム全体で恐らく推計三百兆に上る不良債権があるだろうと言われている中の一つのジャンルであるわけでございますね。  この日本金融システムにおける不良債権の問題は、日本だけにとどまらず、例えば、別件のようでございますが、大和銀行が今日もしも倒産をするということがあれば、全世界金融システム全体のパニックとまでいかなくてもそれに近い状態の起因にはなるだろうということの中で、公的資金投入一般に関しては私は理解のできるものだと思っておるわけでございますが、しかし、なぜことしで、またなぜいわゆる住専でなくてはならないのかというところが問題になるだろうと考えております。  しかし一般に、まだ言うまでもなく予算は決定されておりません。つまり、六千八百億プラス五十億の公的資金は案として提出されただけでございますが、案として提出された十二月の半ばから今日に至るまで、実は世界はこれを好感いたしまして、株式市場におきましては、そのとき、十二月十九日が直後でございますが、日経平均株価が一万九千百四十円余でございます。四月三日、ついこの間の平均株価が二万一千四百六十四円余でございます。  株式時価総額というのがございますから、つまり簡単に言って、この平均株価が千円上がるには一体幾らお金を投入すればいいか。今日は世界から動いてくるという形になりますが、これを計算いたしますと、二十九兆円が日本株式市場を通じて広い意味日本国家に入ってきたということになる。  そういう意味では世界は好感しているわけでございますが、だからこそその住専の具体的な問題、貸し手借り手問題等のいわゆる惨状が外に理解されたならば、日本経済一流政治二流と言われておりますけれども、では政治一流の国がどこにあるのかということであれば、私は寡聞にして知りませんので、他国の政治家も多分理解していないのだろう。逆に、この問題の惨状が、貸し手借り手不良債権の実情の惨状理解されれば、改めてまた株に反映される世界日本に対する評価も下がる危険もあるのじゃないだろうかということでございます。  まず大蔵大臣に、なぜことしなのかというのは、これは結構だと思います。非常に緊急を要していたということですが、なぜ住専というジャンルなのか。なぜノンバンクでなく、なぜあるいは銀行一般ではないのかということが第一点。及び、ジャンル住専でありましても、言うまでもなく母体行、一般行、銀行がこれにかかわって、一般銀行がこれにかかわるとこれは非常に深いわけでございますが、これは言うまでもなく民間企業でございます。  この民間企業のかかわることについて、最後の処理公的資金を投入する。全部じゃございませんが、その一部の重要な部分に投入するということについては、これは銀行自戒自粛が必要ではないか。大臣もこれまでこの予算委員会で、銀行員給与等の調整、もっと具体的に言えばカット等指導ということがあり得るのじゃないかというふうにおっしゃられておりました。  この二点目は、銀行と名前のつくところには今日おおよそ年間三兆円の給与が支払われております。また、私は大学教授から衆議院議員になったわけでございますけれども、世間の評価はどうかわかりませんけれども、多分、市中の銀行支店長さんよりも高い給料を私たちはいただいていない。どちらが重要な仕事であるかどうか、にわかにはここでは申せませんけれども銀行の方々の給与を、例えば一割カット、自粛していただければ、これで三千億円が浮くわけでございます。法的手続をとって預金保険機構あるいは住専処理機構に持っていくということも不可能ではない。  こういったこともあるわけでございますが、今の点に関しまして、まず、なぜ住専なのか、それから銀行の、当然取り立てを含めてでございますけれども自戒自粛について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  4. 西村吉正

    西村政府委員 まず、なぜ住専を今処理しなければいけないかということでございますけれども日本不良債権問題、ただいま栗本委員指摘のように世界の注目を浴びておりますし、また、日本の現在の経済情勢を何とか打開するためにどうしても解決をしなければいけない問題でございます。  かつ、その不良債権問題の中でも象徴となっているのが住専問題でございまして、なぜ預金受け入れ金融機関でないにもかかわらず不良債権問題の象徴となっているかと申しますと、これは、他の不良債権問題が当事者、すなわち銀行だとか信用金庫だとかの当事者によって、自分の意欲と努力解決することが可能なわけでございますが、この住専問題に限って申し上げますと、関係者が非常に多く、その利害が極めて先鋭に対立している、こういうところから、関係者努力だけによってはどうしても解決をすることができずに今日に至ったわけでございます。  しかしながら、このまま放置しておいては他の不良債権問題を片づけることにも手をつけられないということで、昨年の暮れに、この住専問題を政府が仲介をしてでもどうしても解決しなければいけない問題として着手をした、こういうことでございます。  なお、金融機関給与あるいは機構の問題としてリストラに努めなければいけないということは、もとより委員指摘のとおりでございます。そういう努力は各金融機関がそれぞれみずから取り組むべき課題とは存じますが、私どももそのような努力側面から督促をしてまいりたいと考えております。
  5. 栗本慎一郎

    栗本委員 二点お伺いしましたが、大臣決意をお伺いしたがったのでございますが、局長お答えになりました。非常に不十分であります。  なぜならば、銀行金融機関一般に関しては自分努力をさせる、側面から努力する。これは、私どもが六千八百億を計上したのは彼らの努力じゃないわけですね。国庫の、国のお金なんです。民間企業に国のお金を出すのです。それはやむを得ないから出しているわけです。出したくて出しているわけじゃないわけですね。まだ出してはいませんけれども。その案をつくっているわけじゃない。  ならば、銀行も、非常に一般的に言って給与が高過ぎる。私は東京の選挙区でございますが、非常に土一升金一升というところに、ど真ん中に銀行さんの健保施設というのがある。健保施設になんかならぬ場所にあるわけです。これは、幾らでもというのは確かに言い過ぎかもしれませんが、自粛することができる、給与カットができるだろう。これを既にお答えになってあったわけですから、具体的にさせるということを考えていただきたい。一言大臣の御決意をいただきたいのですが。
  6. 久保亘

    久保国務大臣 住専問題を今象徴的、喫緊の課題として取り上げるに至ったことにつきましては、銀行局長から御説明を申し上げました。  なお、銀行の持ちます一般的な企業と比べてより高い公共性社会的責任というものは、私は金融機関の場合には存在すると考えております。  そういう中で、金融機関の職員の給与等の問題は、これは経営上の判断でもあり、また労使間の協議によって決められてくる問題とは思いますが、今日、金融機関が、空前の利益かどうか私もしっかり存じませんけれども、例えば、平成年度前期の決算を見てまいりますと、前年対比五二・七%の業務純益を上げているというような状況等もございます。  そういう中で、今日、不良債権、なかんずく住専問題にかかわった銀行側、特に母体行の責任といったようなものはもっと深く自覚され、そのことに対して銀行としての対応があってしかるべきだということを申し上げてまいりました。今御指摘がありましたようなことは、この住専問題の処理に当たっては十分に心得ておかなければならないことと考えております。
  7. 栗本慎一郎

    栗本委員 ぜひともこの銀行の問題は、言うまでもなく住専にはかかわっていたわけでございますが、銀行自身にも不良債権があり、これを、例えば一々国庫、公金を投入していたならば、年収、国の税金の収入が五十兆をわずかに超すという中で、これは三年四年金部そこに費やしても払い切れないようなものがあるわけでございます。  私どもが切に願うのは、今回の住専に関連する予算をいわば最初のかぎ穴として、これによってかぎがあいて、扉があいて、やがて株価が、例えば一万円上がれば百八十兆円が広い意味日本の国に入るわけです。千円が十八兆円。十八兆円買わないと千円上がらないわけです。  かつて四万円近い株価に到達したことがございます。そのときにはまた、社会的なさまざまな、いわゆるバブルという副産物のさまざまな諸現象、悪現象がありまして、これが今日、いわばバブルがはじけるという形になっているわけでございますが、そうした悪現象なしに株価が四万円になることは、これは極めていいことであるわけです。  そこで三百六十兆円が浮いてくる、そういった中であるわけですが、銀行は、金融機関だけの問題で言えば、住専だけじゃなく今後も全部ある。にもかかわらず、私どもが納得できないのは、国の税金をある程度使おうと言っているときに、彼ら自身は、給与の問題あるいは諸待遇の問題に関しては民間の問題であると。労使だけで決めればいいということは絶対に認めることができないと思うのですね。これはやはり広い意味指導があってもいいだろうと思いますので、今後続くと思いますので、ぜひとも大臣及び銀行局の我々に理解できる御指導、またその結果の御報告をお願いしたいというふうに思っております。  さて次に、今回の問題は、実は国庫から、もし予算が決定いたしましても、預金保険機構におり、預金保険機構から住専処理機構に行く。住専処理機構株式会社でありますが、預金保険機構の一体的な協力があって、そこで取り立てをいわば行ってくるわけです。これは経済の調子にもよりますけれども、かなり我々が気合いを入れて取り立てれば、これは戻ってくることがある。  つまり、理論的には、六千八百を投じても、六千八百以上戻ってくる、取り立てたというふうな場合にどうなるのか。これは、これまでのところ、それが国のところまで戻ってくるんだという一般的な御説明がある。また、法律を細かく読みますと、わかるようなわからないようなことになっておりますけれども、この点に関して、銀行局長で結構でございますから、どういう形でどういうときに住専処理機構から預金保険機構に上がり、預金保険機構から国庫へ戻るのかということについて御説明を賜りたいと思います。
  8. 西村吉正

    西村政府委員 資産の譲渡に際しましては、会計処理の原則に基づきまして、その段階で見通し得る損失については、母体行が権利を放棄する等によりまして一たん処理するわけでございます。しかしながら、今までの住専債務者に対する債権を放棄するわけではございません。したがいまして、一たん損失と認めた分につきましても、引き続き、今までよりもより強力な組織、機能をもちまして回収に当たるということでございます。  さて、そのようにして今まで以上の回収努力をいたしまして、今までの体制では回収ができなかったようなものを回収できた場合には、住専から譲り受けた債権につきましてそのような回収ができた場合には、譲り受け価格を上回って回収が図られた等の場合に、それは預金保険機構を通じまして国庫に納付されることとなっております。これによりまして、財政負担が極力抑えられるという仕組みになっております。すなわち、一たん財政負担が行われて処理されましたものにつきましても、譲り受け価格を上回って回収が図られた部分につきましては国庫に還流される仕組みができている、こういうことでございます。
  9. 栗本慎一郎

    栗本委員 この国庫へ還流する仕組みというのは極めて重要だというふうに思うわけでございます。  政府というものができて以来、あるいはどこの国でも、予算というものは基本的に使い切りということになる。それを、その使い切りになっている単年度主義というものを直せというのが故松下幸之助さんの基本的な御意見であった、政治浄化もありますけれども、というふうに思うわけであります。  一般的に言いまして、あるセクションに予算がおりてきて、年度末になってまだ残っている、じゃ使ってしまおうじゃないかということが、まあないだろうと信じたいわけでありますけれどもマスコミ等を通じると、あるいは情況証拠的に見ると、そういうことがよくあったりする。今回に関しまして、万々一にもそのようなことがあってはいけないというのが非常に重要な問題だと思うのです。  今のことで、一定のもの以上に返ってきた場合には、経済が非常に好況になれば、その可能性があるわけです。そのために私たちは、政治家は頑張らなくてはならないわけですね。このことは、そのシステムは、はっきり言いまして初めてのことですね。局長、その辺についてお答えいただきたいと思います。
  10. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のとおり、このような仕組みは初めてでございます。残念ながら、このような、なかなか民間の個々の金融機関だけでは解決できないような不良債権問題というものに日本経済が逢着いたしましたのは、今回が戦後初めてでございますので、このような組織をもって不良債権問題に当たるのが初めての経験ということではございますけれども、このような事態を解決するために強力な回収機関を設けて、このバブルの発生、崩壊の間にともすれば緩みがちであった日本金融道徳というものについても、これを機会に気持ちを引き締めて、もう一度取り組もうというような趣旨も含められるのではないかと考えております。
  11. 栗本慎一郎

    栗本委員 今の、国庫へ還流される仕組みというのが今回初めてできるということが、非常に重要なことであるというふうに思うわけでございます。  ところが、もしそうであるといたしますと、じゃ、例えば国の予算でも、実際にお金が支出されても、貸し付けという形であるのか、それとも交付してしまうという形であるのかというのは、一応違いがあるわけでございますね。もちろん、例えば貸し付けにすると言えば、予算案からいえば修正という形に一応なりますが、ではなぜそれではいけないのか。一応、とにかく予算としては六千八百プラス五十は出すという形になっている。なぜそうしなくてはならないのかということについて、もう少し明確に国民に対して御説明をして理解をしていただかなければいけないと思うわけでございますが、その点に関しましてお答えをお願いいたします。
  12. 西村吉正

    西村政府委員 住専七社につきまして、昨年の八月から九月にかけまして私どもが調査した結 果、七社合計で六兆四千百億に上る損失の見込みが算定されました。  さて、これをどのように処理するかというのが住専問題であったわけでございますが、この段階におきましてはぼ損失として確定したものを会計処理上明確に処理をするためには、その損失をだれかが一たん分担する必要があるわけでございます。この損失の分担を、関係者、すなわち母体金融機関一般金融機関、そして系統金融機関が極力みずからの努力によって解決しようとして話し合いを進めたところでございますが、残念ながら、その差額として六千八百億を生じるに至ったというわけでございます。  これを、例えば日銀融資であるとか、あるいは一般会計貸付金という形で処理するという方法も考えられるわけでございますけれども、しかしこれは、現段階において貸付金融資ということで処理するということは、会計処理上確定をいたしました損失融資返済前提といたします貸付金処理をするということは適当でない、先延ばしをするにすぎないではないか、こういう考え方のもとに、ともかく、引き続き回収努力をするにいたしましても、一たんきっちり清算をするということが筋ではないかと考えた次第でございます。
  13. 栗本慎一郎

    栗本委員 今お答え賜ったところが非常に重要なポイントであると思うわけですね。  今回の住専に関する予算は、金額の問題もあり、あるいは住専の性格の問題もありますけれども予算理念の問題として非常に重要なものをはらんでいた。この予算委員会の審議でぜひともそこのところを明確にした上で、たとえ、よしんばこの六千八百五十億を新進党さんがおっしゃるように削除というようなことがもし、ないと思いますけれどもあったとしても、理念の問題として、一たん貸付金としてでなくて、出して。つまり、貸付金ということであれば、それは形は日銀特融とかいろいろありますが、であれば、返済前提とするわけで、返せなくなったというときにはこれは国家がその相手に対して債権を持つわけであります。もちろん、手続の問題で言えば、またしかるべき時点で、ある時点で、じゃ、その国家債権を放棄するということを決めればいいという考えもあるでしょうし、技術的には十分可能なわけでありますけれども理念として、これはまず解決をするんだと。  しかし、ただこの次がまたポイントなわけですね、その次。普通は、理念として解決するなら、国家が出してしまえばそれで終わり。ところが、にもかかわらず、この問題は、二つ、もう一つ問題がある。  もっとほかの金融システム一般で、住専というジャンルだけではなく——住専というジャンルは一まとまりでつかまえやすいというのが、私は本当は出発点だったのだろうと思うのです。  ノンバンクの方もこれは五十兆ぐらいはあるだろう、一般の方も二百兆を超すだろうというときに、金額が一番少ないということもあるけれども、同時に、どこも貸し手借り手、特に借り手のずさんさというのはこれは恐らく指摘しなければならない。同じ末野興産さんが借りているというところもたくさんあるでしょうし、結局、その取り立てば、後ほど法務大臣に御決意をお伺いしたいと思うのですけれども、背任、横領という形になって、あるいは使途不明金という形になって、実際には払えるけれども払わないというものがかなりあるんではないだろうかと思われるわけですけれども、そのこととは別に、住専は一まとまりのものであり、非常に困難な性格ではあるけれども、一つの性格を持っていたからだというふうに私は理解をしているわけでございますね。  そういうことであっても、したがってこれは処理してしまっても、まず国、国家として処理しなければならない、国際的にもそのことを明確に言わなければならない。しかし、これまでであれば、使いっ放しで、その後野となれ山となれ。だって随分返ってきたじゃないか、住専処理機構株式会社でありますから、株式会社が随分収入があるじゃないか、それをどうするんだと。またそこで、私の選挙区あたりに保養所なんかを建てられては困るわけなんですね。それは国庫に基本的に還流させていくという方向にしよう、こういうことだったと思う。  このときにしかし、二つのやり方が多分あったと思う。それを税として取り立てる。もう日本政府は、非常に特例措置が税についてあり過ぎる。恐らく世界で一番多いと思う。この点の、こういう会社の、こういうものについて、この期間のものについては税金取り立てますよなんて細かいものがやたらあり過ぎて、そのたびに大蔵委員会がありまして、予算委員会の次で大蔵大臣がお出になって、実に国際的に私はそのことがみっともないと思う。  取るものは取る、取らないものは取らないというふうにすべきですが、現状では、そういうふうに非常に特定の法的措置が税についてありますので、住専のこういうことについて、預金保険機構のこういうことについては税金で取り上げるよというものでもよかったのではないかと思いますが、それをなぜなさらなかったのか、なぜなさらないのか。  いわばこれは税外収入という形になるんでしょうかね、そのことについて、私は、そのこと自身については、国庫に還流をするという点については賛成なんですが、なぜ税の特別措置のような格好をお考えにならなかったのか、一言お答えを賜りたいと思います。
  14. 西村吉正

    西村政府委員 これは、契約に基づいて負っております債権債務関係、その債務者から取り立てるものでございますので、税という形で広く国民からいただくという性格のものではない、もともと契約上負っている義務に基づいて支払ってもらうものでございますので、税という形ではなく、回収をし、それを国庫に納付するという形にしたものでございます。
  15. 栗本慎一郎

    栗本委員 大変よくわかります。今の銀行局長は主税局長ではいらっしゃいませんけれども、ぜひとも、税は広く国民から取る、取らないものは取らない、取るものは取る。だから、こういう分野のこういうものについて、こういうことが上がってきたらばこれは取るという、そういう税法が実はやたらにあるわけですよ。それをできる限り少なくしていただくように銀行局から主税局の方にも言っていただきたい。それですから、それで私は理解をいたします。  大変時間がありませんので、最後でございますが、法務大臣に。  この住専の問題は、実は貸し手借り手、特に借り手のずさんな経営構造、社会的ルールに反する、目に余る返し方というか、返さないわけですけれども、それが大変問題になっていると思うわけでございます。現実に彼らが返せば、この不良債権というのもその返した分だけは減っていくわけですが、現実には、既に幾つかのところで報道されておりますけれども、ほとんどこれは背任、横領なのではないかというような事例が多々あるように思います。私は検察官ではございませんので具体的に知りませんが、状況的に言うと、本当にそれが理解されるような格好になっている。あるいは、使途不明金というような格好で、これも恐らく、彼らにとっては使途はわかっているというふうなことだろう。  この辺に関して、これはシステムの問題じゃございません。現行の法でもいけるわけですが、ぜひとも検察を通じましてこの摘発、捜査を、これまでも全力でとおっしゃられておりますけれども、特にその辺の今後の決意等をお聞かせいただきたいと思います。
  16. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 お答えを申し上げます。  今委員からお話がございましたように、今回の、今日の金融をめぐる諸状況を考えてみますと、非常に長期間にわたりまして、いろいろな立場から、それからまたいろいろな行為が入りまじって、大変複雑な状況になっているものと思っております。  こういう問題に的確に対応するためには、やは り、関係のそれぞれの行政機関がそれぞれの立場で、かつ全体的な視野に立ちまして問題の所在を的確に把握し方針を決めていく、こういう必要があろうかと思っております。この過程におきまして、今御指摘になられましたような社会的な不正義がなかったかどうか、これは確かに最も追及されなければならない点であるかと思っております。  かねてから御説明を申し上げておりますが、検察当局におきましては、東京及び大阪におきまして、関係機関との協議会、また特捜におきます対策本部等を設置をいたしまして、この問題に対応するというような体制を整えているわけでございまして、このような中で的確な対応をとっていくということをお約束申し上げたいと思います。
  17. 栗本慎一郎

    栗本委員 一般的にはそれで本当に結構だと思いますけれども、現実にこれは犯罪である。これはもう明らかに犯罪で、そのシステムを解明しなければならないというところから動き出すのではなく、そこをチェックしていくというふうな形でぜひとも強く今後御指導を賜りたいと思います。  それでは、時間でございますので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  18. 上原康助

    上原委員長 これにて栗本君の質疑は終了いたしました。  次に、田名部匡省君。
  19. 田名部匡省

    ○田名部委員 今も法的な処理の話が出ておりましたが、事件があれば現行でもどんどんやれるわけですね。事件のないところの株式会社へ連れてきて、果たして本当に事件以外のことをやれるのだろうかなと思って今聞いておりましたが、これは法務大臣に要求しておりませんから、これはこの程度にさせていただきます。  ただ、私は、国民がなぜこれだけ反対しているのかということの認識をきちっと持っておきませんと、なかなかいい案が出てこないのだろう、こう思うのです。  もともとこれは、処理案を先につくって責任問題は後からしたものですから、おかしくなってしまったのですよ。責任がだれに及んで、ではどういうふうにそれを、スキームをつくって、負担はどうするかということにいけばよかったのでありますけれども、まあこれは粗っぽい政府の案をつくったものですから、次々と直さなければならぬことばかり、批判ばかり出る案になったと私は思うのです。  民間の会社が倒産、再建という整理の問題ですから、その企業に適用される法律は何か。我が国には、和議もあれば、破産法もあれば、会社更生法もあれば、いろいろあるわけですから、どうしてこの法律を使わずに、何かその——だれがつくったのかと思うのです、この案を。まさか大蔵大臣が直接つくったわけではないのだろうと思うのですね。恐らく役所がいろいろ言われて、こっちに行ってみたりあっちに行ってみたりしてできた案だと私は思うのですよ。それを三党が集まって、いや農家も助けなければいかぬ、頭取も責任をとらせるわけにいかぬということもあったかどうかわかりませんが、そんなことででき上がったものですから、なかなか国民の皆さんには理解されない。  いま一つは、目的。手続と結果から政府案を見ると、目的は全く不明なのです。それで、手続はどこでやったかというと、何かだれもわからぬところでやられた。そして、結果は税金だ。しかも、財政支出の規模が幾らかというと、これはわからないのですね。  例えば、それぞれ債権放棄、贈与、基金が一兆円だ。では、これはどう出すのかというと、これは決まっていないでしょう。どうですか、大蔵省。
  20. 西村吉正

    西村政府委員 基金あるいは低利融資という問題につきましては、現在関係者の間で協議が進められているところでございますが、基本的な考え方につきましては、関係者の間で既に合意ができておると考えております。
  21. 田名部匡省

    ○田名部委員 合意ができているということだと、一体どの程度の金額か。それから、この長期低利の融資の金利は、これはもうみんな一緒ですか。
  22. 西村吉正

    西村政府委員 基金拠出金の規模といたしましては、全体で一兆円ということが考えられております。そして、低利融資につきましては、全体で六兆八千億程度になろうかと思いますが、母体行、一般行、そして系統金融機関でおおむね三分の一ずつそれを分担をするという基本的な考え方に立っております。  金利の条件につきましては、これも現在検討中でございますけれども民間金融機関系統金融機関との間で条件の違いというものはあり得ると考えております。
  23. 田名部匡省

    ○田名部委員 一兆円の、三分の一ずつという考えのようでありますが、これは後からまた質問いたしますけれども、いずれにしても、私は、国民の皆さんも、自分でローンでうちを建てたり、車を買ったり、テレビを買ったり、冷蔵庫を買ったりしていると思うのです。自分のローンを払うのも大変なのですよ、みんな。この不景気で、残業手当は入らない、ボーナスも、ベースアップも思うようでない、そういうときに、人の犯した変なものまで払えということに対する不満もあると私は思うのです。  この間、私はここに、参考人というのですか何ですか、出ていったときも申し上げたのですけれども、心情的には私は  阪神・淡路大震災、この中にもたくさんローンを借りてうちを建てている人もおる。最初から火災になれば保険が出たかもしれませんが、地震でいくとこれは出ないのですね。その後、火災になってしまった。それならば、まあ少なくとも財政の問題はあるにしても、残っているこのローンの支払いは国が一切責任を持ちます、こう言わないと、またローンを借りてうちを建てろと言ったって、前のローンと今度のローンで二回払って建てられる人はいないでしょう。だから、みんなこれ、騒いでいるのですよ。だから、いずれにしても、自分に関係のない借金の支払い、それもいいかげんな経営破綻に税金で負担、こういうことでありますからみんな怒っているのですね。  私は、この間テレビを見ておったら、住専からの借り手の社長さんのうちが映ったのです。あら、立派なうちに入って、外車に乗って。そして払わされる国民の方はどうかというと、一時間半も地下鉄に乗って通勤して。そんなばかなことはないのですよ。  久保大臣、皆さんの、これは社民党になってからえらい穏やかになりましたが、かつての社会党時代なら今ごろはどうやっていました、これ、委員長。もう私は国民の先頭に立って徹底してやっていたと思うのですよ。しかし、どうなろうとも皆さんは働く者の味方であり、大衆政党なのですから、その気持ちまで忘れて税金で負担させようなどという考えを持つのは、これは間違いですよ。どうですか。大蔵大臣、気持ちを言ってください。(発言する者あり)いやいや、これは気持ちだけですから、今の。
  24. 西村吉正

    西村政府委員 まず、私ども、国民の皆様に御説明が足りなかったのだと反省をしておりますけれども、今、二重ローンの問題との比較で御質問がございましたが、今回の措置は、税金をもちまして借り手の債務を免除するものではないという点について、私どもの御説明が必ずしも今まで十分でなかったかもしれません。  しかしながら、今回の措置は、決して住専からの借り手の借金を棒引きするというものではございませんで、住専処理機構は、これが設けられますならば、住専貸付金など約十三兆円を現在の評価額に減価した価格で引き取りますけれども住専借り手に対する貸付金などの額面は約十三兆円のままでございまして、借り手に対して一切減免するものではございません。住専処理機構は、引き継いだ貸付金全額を対象に、今までなかったような強力な回収体制で取り組むという点をぜひ御理解願いたいと存じます。
  25. 久保亘

    久保国務大臣 御指摘のように、民間における 経営の破綻等によって引き起こされましたものの処理に当たって国家の資金を支出するということは大変重大なことだということは、よく承知をいたしております。しかし、これらの問題を処理する政治責任もまた大変重いと思うのであります。  私どもといたしましては、これを、今お話がございましたように、会社更生手続によって処理する場合どうなるか、破産処理によって処理する場合にはどうなるかというような議論も尽くしました上で、当事者との合意が可能な処理方法というものを検討をいたしまして、そして今日、住専問題の処理が迫られております大変重要な任務をどうしても果たしていくために全体の合意の上で、そして、破産処理等におきます一般的な負担を超える負担を母体行であります銀行にも持ってもらう、そういうようなことも含めて処理の方法を検討した上、合意を得て、皆様方に今御審議をお願いを申し上げているところでございます。  六千八百五十億のいわゆる国民の税金によって調達されました国家財政を支出するということにつきましては、この不良債権処理によってできるだけ速やかに国民の利益としてこれを上回るものが還元されるよう努力をしてまいりますことが、政治責任であろうと考えております。
  26. 田名部匡省

    ○田名部委員 話がごちゃごちゃになっちゃって、住専処理を司法の管轄下に置くことを殊さらに回避する。私がさっきも言ったように、何で法律があるのに住専に限って従来の倒産ルールに従わないのか。これは一体理由は何ですか、大蔵省。
  27. 西村吉正

    西村政府委員 もとより、私どもは検討に際しまして、まず第一には、当事者の間だけで何とか解決できないかという道を探りました。しかしながら、当事者に何回もお話し合いをしていただきましたけれども、権利関係が錯綜をいたしまして早期の解決は難しいということになりました。  そこで、その次に考えられるのは、御指摘の法的な処理でございます。法的な処理の方法といたしまして、会社更生法、破産法、いろいろな手法がございます。しかしながら、会社更生法についてはやはり関係者の間で話が煮詰まらなければなりませんし、かといって、破産法ということになりますと一たんは、少なくとも一たんは、債権者平等の原則に基づきましてそれぞれが貸し付けに比例した負担を負わなければならない。その場合には、例えば体力の弱い金融機関についてはその負担にたえ得るかという問題がございますし、また、この住専の設立の経緯等からいたしまして、そのような比例配分方式が公平、公正であるかという点についてもいろいろな意見がございました。  したがいまして、この法的な処理というものも必ずしも適切にこの問題の解決の手法とするわけにはまいらないということで、やむを得ず政府もこの問題に取り組みまして、関係者との間の話を進めました結果、このような提案をいたした、こういうことでございます。
  28. 田名部匡省

    ○田名部委員 あなた方はコミッショナーの役もやればレフェリーにもなるし、時々選手にもなるんですよ。だからおかしい。これはヨーロッパの格付機関でさえ、何でこの株式会社に五十億国が出資して、そしてそこに入り込んで、おまえ幾ら出せ、おまえ幾ら出せとやるのかと。これが不信感につながっているとも言われているんですよ。おかしいんですよ、あなた方は。余計なことをやり過ぎて。  私はかねがね思っているのは、大蔵省、日銀銀行の監査に入るでしょう、一カ月も。一カ月入ってあれだけの銀行がつぶれたというのは、一体何の監査をやってきたかと、監査した人をここへ出して私は聞きたいぐらいだ。そのぐらい無責任ならば、これはもうこの先の大蔵省をどうするかという話になってきますが、もう余計な口は、ルールはつくっても口は出さぬと。アメリカあたりでは、銀行の中に七人ぐらいの監査をする人を置いて、毎日やっているわけですから。かえってそういう方がうまくいくんだろう、私はこう思っているんです。  当初、金融システムの維持のためだ、こういう説明をしておったのですね。六千八百五十億で、これで本当に維持されるのかどうか。これは二次処理もあります。既に地価が下がった分は、もうこれは一兆二千億じゃないんですね。それをどう分けるかというのも決まっていないんでしょう。それで、十五年かけて処理します、これで金融システムがうまくいくんでしょうか。  それで、これは余りやられたら、住専と預金者保護は直接つながらないんですよ、住専と預金者保護。これは分ければいい、預金者保護はきちっとやればいいんですよ。これが、理屈をつけては金融システムの維持だとかなんとかいって、住専は何が関係あるんですか、預金者と。これは別なものなんですよ。  それで、今度はそれを指摘されたら、いや農協が危ない、農協を守るためだ。系統は税金を投入してほしくないと最初から言っているんですから。  それはなぜかというと、私たちは何も別に、それは貸した額は大きいけれども住専をつくることにも関与をしてなければ、経営にも人も派遣していない。直接ここに貸した人もいない。紹介融資もなければ、担保をとらないで貸したという、何もやっていないんですから、私たちは。それは、金額が多いからけしからぬといえば、それはそれまでのことですけれども。  だから、そういうことから、何で何にもしない我々に税金を投入するかといって、これは随分反対、今でもそうでしょう。だから贈与にしたんじゃないですか、農家の預金を保護するためだと。それならば、預金保険機構の改組とか強化をやればいいので、何で住専を経由してこの農業の団体や——しかも、農家までこれは負担させられるんですよ。農林大臣、あなたは農林大臣ですから、農家の先頭に立たなければならぬ人ですよ。  私はあの五千三百億の負担はけしからぬといって怒ったんですよ。だれが決めた、これを、どこで。いや、不満でしたよ、みんな。(発言する者あり)後から言うから、あなた黙って聞いていなさい。  その結果、信連は二千億の負担を各県に配分したでしょう。ところが、三県ほどこれは免れたところがあるんですよ。何でと聞いたら、株を買い過ぎて、あるいは住専に貸し過ぎて、もう逆立ちしても鼻血が出ないというのは三つ助かったんです。それを、そんなひどくもないところまでみんなかぶっちゃったんですから。  それで、私は一体一人当たり幾らだと言ったら、一人六万円ですよ、農家の負担が、これで。私のところでやってみたら三万円だ、これは貸している率が少ないから。そのほかに、この法律が通れば一人五千五百円の負担をするんだよと。  何で農家にそんなに負担をさせるようなことをやったか、私はこう言って怒っているのですが、どうですか、農林大臣。どこで、だれが決めたのですか、これは。
  29. 大原一三

    ○大原国務大臣 委員も農林大臣をおやりになったので非常に御理解のあるお話をいただいて恐縮しておりますが、前大臣のころでございますが、やはり母体責任を厳しく主張されたと聞いております。  しかしながら、この問題を、御批判があるかもしれませんが、いわゆる当面の金融、不良債権処理、そういったことの大きな目的のために協力をしろというお話がございまして、与党・政府一体となってお決めになったものである。したがって、我々もこの段階で何らかの拠出をしなければならない。  責任とは書いてございませんで、贈与とあるわけでございまして、そういった意味でも、これからの系統の経営に大きなひびが入らぬようにということで負担を決めていったわけでございますが、やはり半分ぐらい赤字になってしまう。  さあ赤字になったわ、来年の経営もさらに赤字で破綻が出たら大変だなというようなことで、何 回も議論されるぎりぎりという負担をしたわけでございますが、最後になって、元大臣でありますからもう御存じのとおり、三つの信連が赤字経営だ。しかも、決算承認団体になっているわけでございまして、それをどうするかということは、これは農林省で決める話ではございませんで、全信連の中で御調整をなすって、共同体でありますからその分をほかの方で負担しようという実態になったと私は承知をしております。
  30. 田名部匡省

    ○田名部委員 いずれにしても、農民一人六万円の負担というのは、これはどう考えたって私は脇に落ちぬ案を決めたと。  少なくとも単協や農家は住専に関係ないのですよ、だれも直接貸してないのですから。信連に行って、信連や農林中金が貸しているわけですから。であれば、そこまでで切って、こっちには影響が出ないようなことを考えられなかったのですか。どうですか、農林大臣
  31. 大原一三

    ○大原国務大臣 まさに委員の御指摘母体責任論であります。考えられたわけでございますけれども、やはりぎりぎりの調整が結論的にそういうことになったという事実を申し上げておりまして、その間のいろいろの経営状況やその他を考えてみまして、これであれば、農家の負担ということにもなりますが、ぎりぎりいって現在の経営状況を継続することができるという、そういう意味を込めてもぎりぎりの負担であった、我々はそういう意味で負担を、拠出をした、こういうふうに私も理解をしております。(発言する者あり)
  32. 田名部匡省

    ○田名部委員 何か二千五百億を三年も取っている、こういうお話もありますが、それは貸したものは当たり前の話で、契約がそうなっているのですから。それをまけろというのなら、まける話をすればよかったと思うのです。  だから、私は、いずれにしてもこの五千三百をまず贈与させたところからだんだんおかしくなっていっているんだろうと思うのですよ。そこを抜いたところで、どういうスキームをつくればいいか、あるいは国民の嫌がる六千八百億、この辺で何とかならぬかというのをもう少し、法的にやればどうなると。これは大蔵省だって実務を担当したことはないのですから。  私どもはきょうも十時から、きのうも夕方四時から、その前も私は二回、これを専門に処理した先生に法律のことで、私は法律は弱いものですから、しかし、聞いておると、ああやはり法的に処理した方が、ノンバンクも含めて全部一遍にやつちゃった方がいいんだなということは何となく、難しい言葉は別として、よくわかりましたよ。だから……(発言する者あり)埋まるか埋まらぬかは、専門家を呼んで本当はここでちょうちょうはっし議論して、いいものをつくればいいのです。まあ、それはちょっと呼んだぐらいではわかるわけはないのですが。  ただ、私の大臣のときにやっておけばよかったじゃないかという桜井さんの話が今あったが、これは、私が大臣に就任する前に、第一次再建処理というものを、もう案をつくって、それでやっておったのです。それで、私が就任したのが十一月の五日ですから、十月ごろにもうこれは決まって、五年計画だ。その五年計画が一年でおかしくなつちゃった。それで、その秋ぐらいからこの住専問題が、話がどんどん出てきた。それで、今度は十年計画でやりますよと。結果的には、やったがこれも二年でおかしくなった。  一体、その程度の案だったのですか、大蔵省。何で五年が一年でおかしくなり十年が二年でおかしくなるような、あなた方はプロだ、我々がやったというなら別だけれども……(発言する者あり)その程度にわからぬ人たちがこの再建のスキームなんかどうやってつくったかということになるんですよ、そうすると。答弁してください。
  33. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のように、平成三年から四年にかけまして金利減免等を内容といたします第一次再建計画、さらに平成五年になりまして第二次再建計画が策定されたわけでございますが、これは、委員御承知のように、当事者協議をいたしまして住専の再建を図るということで作成をしたものでございます。大蔵省が作成をしたものではございません。  しかしながら、いずれにいたしましても、当時の関係者の間の認識といたしまして、その後五年続きますような地価の下落というものは予想していなかったでしょうし、また、金利の水準もさらに現在のように低下するということは予測をしていなかったと思われます。そのようなことも影響をいたしまして、当時樹立されました再建計画は現在のところ実行を続けるということができない状況になっており、それをどうするかというものが今回の住専処理策である、このように認識しております。
  34. 田名部匡省

    ○田名部委員 だんだんおかしくなってきた秋口、私に大蔵省が会いたい、会いたいと言う。三回ぐらいありました。それで、そのとき私は京谷事務次官と、何で民間の会社におれが一々口を挟まなければいかぬか、向こうでやらせておけという話で突っぱねたのですよ。私はウルグアイ・ラウンドで忙しかったものですから、それどころではなかったのです。住専なんというのは、私も借りてもいないからわからぬし。  ところが、いろいろ、だんだん国会でも問題になって、草川先生に質問される、何か三人ぐらいに質問されまして、堀込先生もそうだったかな、そこで私は、それはあくまでも民間会社の話ですからそちらでやってくださいという答弁だけしておったんです。  それから、まあそんなことを言っても、うちの局長もこれは何とかしないといかぬということで、いろいろ苦労をしたようです。局長はもうウルグアイ・ラウンドで忙しくて、もっと下の段階でいろいろやったんだろうと思いますけれども。  そのときに私は、一体住専というのはどうなっているんだという話を聞いたときに、あのとき、私の記憶ははっきりしていませんが、地銀生保ローンが平成三年に自主再建をやらしてくれという話をした、こういう報告でした。そうしたら、地銀の頭取の人たちは、もうこれはっぷした方がいいと。で、大蔵省に自主再建をやらしてくれ、こう言って、大蔵省はそこで初めてこれはおかしくなっているというのがわかったというのですね。そこで母体行に電話したら、いや、どうなっているんだかわかりませんと。もうつぶれるかどうかというときに、わかりませんという話だったというのですから。それで調査に入ったんですよ。これが第一回目の調査ですよ、大蔵省の。  それで、中身はどんなことだ、よく聞いてこい、こう言ったら、いや守秘義務があって教えられないと言っていますというんだ、役所同士で。それで、まあ簡単なメモぐらい持ってきたんでしょう、何でも、全部悉皆調査をやったわけじゃないけれども、六兆円ほどの不良債権があるという。ロスは一%出ている程度ですよ、資金繰りが悪くておかしなところが九社とかあるという報告を私はそのとき聞いておったのですよ。  その後、知り合いの銀行の頭取さんが何か聞いたら、いやそれはもうつぶせということだったんですけれども、何と大蔵省の天下りのOBの人たちが頭取やいろんな役について、これはまた地価が上がれば大丈夫だからつぶすな、つぶすなと。(発言する者あり)いや、あなたの言うとおりよ。そのころ所得の何カ月分とかで土地が買えるなんといって我々は一生懸命になっておったんだ。それを上がるから待ってろ待ってろというので、これ以上はやはり大蔵省のOBの専務や常務や頭取には反対できませんから、弱いものですよ、地方の頭取というのは。  そのころ、どのぐらいおったかというと、都銀に四人、長銀四人、信託二、地銀が五十、第二地銀六十八人もOBの皆さんがおって、これで言うことを聞かざるを得なくなった。  そのころ、この間、新聞に出ておりましたが、これは上場会社ですよね、二社あるんですけれども、これが日住金と第一住金。これは何でも不正 経理と。粉飾決算ですよ、これは。それで聞きましたら、証券局の方に相談したと、聞いた人がいるというんですよ。この時期はいっかというと、これは銀行局長は住総の社長に出した、平成四年の三月二十七日ですよ。この時点でもうこんなにおかしくなっておるというのはわかって、我々には一つも教えないんだ。これは本当に粉飾決算。  これは監査法人がついていますから、何なら委員長、ここに証人としておいでいただきましょう。あるいは当時の社長、経理担当役員、これは理事会で検討してください。これはもう事件になっちゃっているんですよ。どうですか、やってもらえませんか。
  35. 上原康助

    上原委員長 改めての証人要求ですので、一応理事会でお話し合いさせてください。
  36. 田名部匡省

    ○田名部委員 ですから、私が、平成五年の二月三日、この覚書が交わされたときに、こんなものがあるというのは全然知らなかったんですよ。だから、ちゃんと教えてくれれば、じゃどうするかということになったんですけれども、ひた隠しに隠して、そうして二次再建計画の作成に入らせたと。私も、つぶすことは本来の目的でないから、それならば両省がぎりぎり間に入って、母体行が金利ゼロ、系統が四・五、まあまあそれで十年で再建できるといろんなら協力せざるを得ないだろうな。私が決めるわけではないんです。それは、系統が集まってそこで了解を得るために、これは必要だったんです。  ところが、系統もだんだん危ないというのがわかってきて、何か一札くれ、こういうことになったんです。ところが、大蔵省はなかなか一札は出せないと。銀行もだ。まあそれは、いろいろな、母体行や何や住専や農林中金や信連に行って、迷惑かけませんから何とか第一次のときもつき合ってくれと。そうして、今度は責任を持つからと言う、それは二次へ行っているわけですよね。  だから、覚書の前からこれは続いている話なんですよね。それで母体行もちゃんと責任、こういうふうに、あれですからと。それでまあ仕方なしに、あれは念書でしょうか、ゴム印を押したのが通ったそうですが、これを見せないと、それは農林系統はうんと言わないんですよ。だから、農林系統も弱いんだ。五兆五千億も貸してつぶれたら取り損なうと思うものだから、強いことを言ってみてもやはり乗らざるを得なかったんですよ。  そうして、こういうふうに、ちゃんと責任を持ってやるからということでやったことも私はあるんだろうと思う。結果として、二年足らずでおかしくなって、そのころ、さっき言ったロスが一%というのは三〇%だったというんですから。だからやはり情報をお互い正しく出し合っていれば、もう少し変わった方向で行ったんだろうと思います。  いずれにしても、その後も三和銀行、これも平成四年の秋、ピーク時は一兆二千億、利払いが滞っている。それで四千五百億、これがもう焦げついちゃった、三七・六%あった。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕  私はなぜこんなことを言っているかというと、こういう責任を国民に押しつけていいんですかということを言いたくて言っているんです、ここまで。別に、役所の責任を今さら問うてどうこうというのは、終わったことを言っても始まらぬことはわかっていますが、加藤幹事長の喚問の話で、私は、あれはなぜ、私も選挙区でよく言うんですが、この法案が通ればこの一千万も国民が負担するんですよと。だから私も調べてみますよ、そういうところから、政治資金規正法に基づいたものがあれば。もうたくさんおるという話が新聞に出ています、だれだれと書いていないが。この際、これは罪になるわけじゃないから道義的に皆返す。  それから、おたくの佐藤観樹先生も、まあ三千万とか四千万と。しかも、何ですか、報酬ももらっておったと、監査の。あのころは我々は大臣になると全部会社は役員をやめろと、一銭ももらっていない会社まで資料を持ってこられて、ここにはまだなっていますよなんて言われて、それで全部やめたんだ。あの人だけは、じゃやめないでもらっていたということなんですね。  だから、別に法を犯したとかなんとか言いませんから、いただいたものは返すと、このぐらいの姿勢を示して国民にもう助けてくれという話ならまだしも、責任者が全然出てこない。そういうのもほったらかしにして、ただ税金を負担しろと言ったって、これは出すわけがないんですよ。  あの第一次債権処理のころに、母体行から役員が出ておって、どうも危ないというのはわかって、みんな自分銀行の分は返させたという話はよく聞くんですよ。まあここでは名前は出しません。出しませんが、その当時の、その前後三年間ぐらいの期間に、どこの銀行にどこの住専がどれだけ返しておったか、これは資料を出せと言ったら出されませんと言うんですが、これが出なければもう議論にならぬです。だから、我々は会社更生法でやるべきだということを言っているんですがね。  これはなぜかというと、要するに貸した以上の負担ができないと、こう銀行は言うんだ。株主総会にたえられない。それなら何も住専を皆つぶすことはないんですよ。例えば地銀生保ローンは、不良債権を放棄してくれたらこれは立ち直っちゃうんですから。もう住宅ローンは要らないという発想なら別ですけれども、生かせばいい。あとはまあいろいろやってみれば、もう一つぐらい助かるのがあれば、二社なり三社を一緒にやって、そこに融資なり出資なりというのは、これは株主総会に問われない話なんですよ。なぜそういう発想にならなかったのかな。  どうしてもと言うのなら、法的にやれば、自民党の方では、いや、そんなことをやったら農家の負担が何兆円にもなると言うが、なりゃせぬのですよ。悪い順序に私は負担させろと。今みたいなことをずっと調べていったら、いろいろ悪いことをやっていますよ、担保もとらないとか。そういうのが積み重なって、そこには一番重く負担させればだれも文句は言わないんですよ。何でおれたちは何もしてないものを、おれたちも同じ責任を持たされるかと、同じ金融機関でもそう言っていますから。  ですから、そういうことで決まったのなら、これは負担を多くしたって、法的にやっちゃうんですから、こそこそやるわけでない。だから、余りまあかたくなにこれだけはいいんだいいんだと言わずに、もうちょっとやはり各党の案を持ち寄って、いいものをつくって、国民にも負担させない、農家にも、そういう意味ではさっき申し上げたとおりですから、それなりに低い負担にしてこれは私はできるだろうと、こう思うんですよ。それをやらないからこれはだんだんおかしくなってきたと私は思うんですよ。  どうですか、大蔵大臣、ここまで聞いて、ちょっと御感想で結構ですから。
  37. 久保亘

    久保国務大臣 一つの御見識として承りましたが、今、田名部さんがおっしゃいましたようなことと私どもが提案をいたしておりますことと、実際に住専問題の処理に当たりまして、どちらが効率的で内外に責任を十分に果たし得るかということを検討の上、今おっしゃったようなところが見解の分かれたところだと思っておりまして、そして私どもが遺憾ながらとらなかったところでございます。
  38. 田名部匡省

    ○田名部委員 例えば、農家は五兆五千億、私はよく、ニンジンをぶら下げられて、後のことは何でもかんでものんでいったと、こう言って指摘するんですけれども、五兆五千億が返ってくれば、瞬間タッチでもう貸したのは返ってきたんだから責任はなくなる。たったそこが怖いだけで、責任も何もないんですよ。よほど悪いことをすれば別ですよ、これは。法律違反をやっていた人がいれば。  ところが、返してもらうんならいいが、金は返ってくるのかというと、金は返ってこないんです。二兆二千億、十五年、低利で融資する。その ほかに贈与が五千三百億です。そのほかに、さっき言った基金の一兆円も出すんです。自分の金返してもらうのに、金出して返してもらうという理屈というのはあるんですか。この辺がどうもわからないんですよ。  しかも、例えば母体行から住専借り手とあるでしょう。ところが、母体行と住専の間は担保も何もないんですよ。住専と貸している方の間には担保はありますよ。これをどう処理されるのかなと。  例えば借り手。皆買い取ると言うんですから、買い取る金はみんなで出せと。やはり借金は残るんですよ。そうじゃないですか。しかも、住専から買い取る処理会社というのは担保はろくなものはないんですから。しかし、六兆六千億から七千億出すと言うんだ。中でぐるぐる回っているだけで、だれかがよくなったというのは一人もないんですよ。どこかに残っているだけで、それを十五年先に延ばすだけなんです。低利の融資の金を置いておくんですから。だから、国民が税金を負担し、みんなが負担したら不良債権がもう全部なくなって、金融システムもよくなりみんながハッピーだという話ならいいが、ちゃんと依然として不良債権が残っているわけなんですよ。先に送っただけじゃないですか。  銀行だって、金返せといったって返せない借り手に、じゃ返す金を貸すから持っていけと、自分の命ある借金を返すために新たに借りて古い借金は返すと。これでは銀行はほくほくで、成績はどんどん上がる、貸した金は一遍返ってくる、それでまた新たに貸す。  大蔵省、これは当たり前だと思いますか。私は素人ですよ、金融も法律も。ただ、見ておって、何やっているんだろうなというだけはわかるんですよ。答えてください。
  39. 西村吉正

    西村政府委員 まさに住専問題の核心というものは、今委員の御指摘になったような部分があろうかと思います。関係者すべての人が満足をしないというか、みんなが不満を持ちながら、しかしながらそれぞれの立場で最大限の努力をしてこの問題を解決していくと、こういう性格の問題であろうかと思っております。それが解決が難航した原因であろうかと思っております。  しかしながら、これをさらに放置をしておきますならば、損失の額もますます膨らんでくるであろうし、関係者の負担もますます大きなものになっていくということで今回このような処理策に踏み切ったわけでございますので、必ずしもこれでもってすべての問題が片づくということではございませんが、問題解決の大きな第一歩として意義を有するものであろうかと考えております。
  40. 田名部匡省

    ○田名部委員 しかも、この金融三法はどういう処理をされるんですか。こっちに、これは預金者はおるんでしょう。こっちを助けるという話ならわかるけれども、預金者のいない方には公的資金導入だと。あっちは何だかもめているようですね、新聞を見ると、この三党で。どういうことになっているのですか、これは。
  41. 久保亘

    久保国務大臣 金融三法の方は内容的に基本的な部分でもめているわけではございませんで、提出の時期や検討の期間等でいろいろと御意見がございまして、近く政府・与党の間の調整を経て提案をすることになろうかと思っております。
  42. 田名部匡省

    ○田名部委員 いずれにしても、こういうふうに世の中逆なんですよ、やっていることは。まあ最近は住専ばかりでなくて、エイズでも何でも、沖縄の方も、みんなやっていることはおかしなことばかりで、子供らは麻薬吸ったとかなんとか、一体、日本というのはどうなんだろうと思う。(発言する者あり)おれが大臣のときだけで済む話ではないんだ。(発言する者あり)いやいや、重大ではありますよ、重大ではありますが、この間大蔵省から、一体借金は幾らある、まあ大体四百五十兆以上あると思いますと。全部ひっくるめてですよ。これに利息をつけてだれが返すのか。我々はもう返せません、ここにいる人は大体、若い人があれば別だけれども。子供や孫が払うのですよ。  だから、例えば借り手のところがビルを建てて、子会社へ売る、孫会社へ売る、その先売っているのもおる。これを取りに行くと、いや売っちゃったからと言う。だんだん行くと、今度は怖いお兄さんたちがいて、何とか出てくれ、出ろと言うなら金を出せ、こうなるわけですよ、これは当然ですから。ただでさえも赤字になっておる大変なこの処理に、また金を払って出てもらったのでは、これはもっとふえる。  そこでどうするかといえば、怖いものですから、これは不良債権処理しよう。不良債権処理すれば、これは税金を取らないのでしょう。そうすると、税金をちょうだいしないということになると、税収は今度は予算的にはまた不足する。不足すれば、ことしは二十一兆円の赤字国債を含めて借金をした。これはだれが税金を負担し、だれが元本を返すかというと、国民なんですよ。だから、どこに逃げたって行き場というのはちゃんと残っているものなんですね。そう思いませんか、大蔵大臣。  だから、六千八百五十億ばかり宣伝すると、こっちの方の大きな穴の分が後からついてくるわけですから、いよいよこれは本当に返せませんよ、返す子供は生まれていないのですから。  だから、もうちょっとやはり……(発言する者あり)これだけで済むのなら手伝ってやるよ。じゃ、この後のノンバンクはどうするのですか。(発言する者あり)こういう不見識な話をしているような人たちの法案にまじめにやっている方もおかしいんだ、本当は。答えて。
  43. 西村吉正

    西村政府委員 ノンバンクに関しての御質問でございますが、この住専もノンバンクの一種でございます。これを含めまして、ノンバンクの融資残高は八十九兆円に上っているわけでございます。  しかしながら、このノンバンクの処理に際しましては、住専と若干の違いがあろうかと存じます。住専の場合には、先ほど申し上げましたように、関係者が多く、その利害の対立が極めて先鋭でございますので、なかなか当事者だけの話し合いで解決に至らないということでございますが、この問題について、今回の処理策により解決の糸口が見出せますならば、その後、他のノンバンク問題につきましては、金融機関等関係当事者間において、みずからの努力解決し得る問題というふうに考えられるのではないかと思っております。  したがいまして、そういう意味におきまして、住専問題が不良債権問題全体の象徴的な存在になり、解決の大きな糸口になる、このような考え方をしておるところでございます。
  44. 田名部匡省

    ○田名部委員 住専もノンバンクも系統もあるわけですけれども、出る借金というのは、これはみんな借金なんですから、そっちの方で勝手にやれというわけにはいかぬでしょう。(発言する者あり)だから、民間がやったとするのなら法的に処理をすればいいのですよ。それはやらないということですからおかしな話。つながっていないのですよ。もう皆ばらばらになってしまっている。  もう一つお尋ねしておきたいのですが、生保、これは預金保険機構に加盟、加入していないのですね。ですから、政府の低利融資が行われますと銀行との間に不公平が生まれるという問題がありますね。  住専不良債権処理時点債権処理に失敗した場合、その分は預金保険機構から補てんされるわけです。ところが、銀行は割り増しで積み立てるが、生保、農協系統は預金保険機構に加盟していないものですから、銀行側には不満があるのですよ。農系は低利融資で協力するだけで、リスクの負担をすべきでない、こう言っているのですから、我々はもう二兆二千億貸せばあとはないんだ、何で何年か後にまたおかしくなったものの積み立てまでしなければいかぬか、こう言っているのですが、これはどうですか。
  45. 西村吉正

    西村政府委員 預金保険機構はもともとは預金の保険のためにつくられたものでございますので、その機構を活用をいたしまして今回の住専処 理問題の一助にしようということでございますが、その場合に、今委員から御指摘のように、生保だとかあるいは系統だとか、預金保険機構に加盟していない、したがって、常々保険料を払っておらないような方々に対してどうするか、こういう問題があるわけでございます。もちろん、その預金保険を適用しなければ、すなわち保証を受けなければ問題はないわけでございますが、保証はしてくれということになりますと、その場合の裏づけ、負担というものをどうするか、こういう問題が生じてくるわけでございます。  保険料を払っておらないということとの関係をどのように解決するかということを今関係者の間で話し合っておるところでございます。
  46. 田名部匡省

    ○田名部委員 もう一つは特別留保金、これは信託勘定、信託をしている人の保護をするわけですね、ここは。それは不良債権処理に使えるのですか。
  47. 西村吉正

    西村政府委員 信託の特別留保金は、昭和二十七年の貸付信託法制定時から現在に至るまで、その水準につき見直されることがなかったと申しますか、その間、営々としてこの特別留保金が積み立てられてきたわけでございます。  今回、信託銀行不良債権問題に対応する一つの方法といたしまして、この二十七年以来積み立ててまいりました限度額を現在の必要な水準に見直して、その間、余裕ができますならば、積立限度額を上回る金額につきまして不良債権処理等に活用をするというのが今回の考え方でございます。
  48. 田名部匡省

    ○田名部委員 どうも最近、選挙区へ帰ると、系統の幹部の人たちがいろいろ言ってくるのです。割合、私は今ずっとやったような話をするものですから、いやよくわかりました、わかったが早く処理してくれ、こう言うのですよ。早く処理せいって、おまえたちは出した金をどこに持っていくのかと。受け皿がないし、できていない。まあ、とりあえず基金かなんかでと。じゃ積んでおけばいいじゃないか、別に。なくなりゃせぬのだから。  どういうことでやるかはこれからいろいろ詰めるが、ただ、新進党案が随分批判されています。更生法では、母体行、一般行、農林系統が合意しなければならないが、それは無理だ、こういうことが随分言われているようでありますが、ここ毎日のように、処理をした先生方から聞いておると、弁護士会の先生方も合意形成は可能ですと、あの人たちの中でも言っているのだそうです。  個々の債権者は自分の利益を目的に参加するわけですから、法制度の目的は利害関係者の調整をするわけですね。調整というのは、こうやればどうでしょう、こうやればどうでしょうということをやりながらやるので、何もばっさばっさやるわけじゃない。したがって、自由に討論もしたり資料を見たりすることによって関係人自身が本来、まあ一〇〇%取ったいというふうに思うのは、これはだれでもそうですよ。しかし、みんなでやってみて、話し合った、要求もした中で、六〇%でもこれはしようがないなというコンセンサスができていけば、できるのですと。要するに、こういうことを言っているのは、実務も実態も知らない人が言っているのですからと。こういう話を聞くので、ああそうかなと。私は専門家でないので、言われたことを言っているだけの話ですけれども。  ですから、専門家、専門家によっていろいろな考え方がある。やった人はやった人でそういう自信というものを持ってやっているんだと思うのですね。  それからいま一つは、与党の中には、更生法は更生の見込みのあるとき適用する法律だ、更生の見込みのない場合は裁判所は手続開始を却下しなければならないと。これも聞いてみました、三人の先生方から。大体同じことを言われるのですね。  更生法の条文の中にも、清算型の更生計画案、最後には清算するものもある。それから第二の会社をつくる、あるいは合併させる、営業譲渡するなどいろいろあって、このような手法によって、消滅した旧会社の従業員を新会社が引き取り、さらに一定の営業を引き継ぎ、負債も引き受けるなど大いにあるわけで、政府・与党の批判は法律の実務からかけ離れた話だと。住専七社の債権を持ち寄ると、中には優良な債権もある。それを集めて新しい会社を一つつくって、それ以外は消滅させる、これが更生計画の中で自在にできるのですという話を聞いて、ここから先は私は判断できませんものですから、大蔵省はこのことをどう認識されますか。
  49. 西村吉正

    西村政府委員 私どもも、法的な処理、例えば会社更生法だとか破産法という手続は非常に大切な手続であり、活用すべきものだと考えております。現に、現在検討いたしております金融機関の更生手続の特例等に関する法律案におきましても、早期に破綻処理手続を開始するための手法といたしまして、この会社更生あるいは破産の手続を使いやすくするということを金融制度調査会も答申をし、私どもも検討をいたしているところでございます。  しかしながら、この住専処理ということに関して考えます限り、私どもの認識におきましては、会社更生法を適用するということはなかなか難しい点があるのではないかというふうに考えております。すなわち、ただいま委員も御指摘がございましたように、もともと会社更生法は事業の更生の見込みがあるものについてとるべき手法でございますが、住専に関しましてはその見込みがないということを関係者が考えているわけでございます。  もとより、清算型というものもございます。しかしながら、清算型も初めから、手続の入り口から、成り立たない、将来がないというものについて適用されるものではございませんで、入り口においては更生の見込みがあったけれども、途中において清算する以外どうも道がないということがわかったものについての手法であるというふうに理解をいたしているところでございます。  いずれにいたしましても、更生計画案を決定するためには債権者の債権額の三分の二以上の同意が必要になるわけでございますが、御承知のように、この住専債権額の割合を見ますと、例えば系統は四二%を占めているわけでございますが、この方々の同意を得たものにする必要があるということになりますと、なかなか関係者のお話し合いだけでは一致点に達しないという可能性が強いのではなかろうかということでございます。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  50. 田名部匡省

    ○田名部委員 ここで細かいことの議論まではいたしませんが、そこで、公社をつくり、管財人をバックアップする体制をつくってやれば、いずれにしても五年はかかりません、十五年なんてかかりませんという話で、そこから先はこれは専門家同士でやってもらう。  だから私は、そういう方々に来てもらって、それぞれ質問して、どれがやはり一番いいのかなという判断をすることが大事でないか、こう思うのですよ。何か、政府案がいいんだ、いやおれらの案がいいんだとばかりやっていたのでは、これは前へ進まぬ。あなた方の案だって決して、きちっと積み上げてきて、実務をやった人たちの話を聞いてやったのでなくて、もうスタートから違っていると冒頭申し上げたでしょう。そこら辺から始まっている案だから、大した威張った案でもないのですよ、これは。  それから、責任の追及の話ですが、これは、住専に天下った後退職した前の社長が仮にいるとしますよ。損害賠償請求権の場合、政府案、現在の住専の代表者が前の社長に損害賠償請求をして具体化するわけです。それを住専処理機構に譲渡することになる。買い取っちゃうんですから。処理機構が、管財人のように独自の判断でチェックした上でみずからの権限を請求できるわけではないんですよ、この場合は。特に今度の処理機構には、日銀だ、大蔵省だって皆行くんでしょう。ただでさえそっちの社長が先輩ですから。  そうすると、身内である前社長に対して損害賠償請求権を行使してこれを処理機構に譲渡するということは考えにくいんだ。だから、こういう機構をつくってやるのは責任を放棄することになっていくから、やはり法に基づいて、問題があれば、退職金をもらったものも半分は返してもらうとかなんとかという努力というものをしなければ、国民はなかなか納得しない、私はこう思うんです。  政府はできると言うが、法的にも実際上も無理だし、薬害エイズやTBSの事件を見てごらんなさい。自己監査や調査は難しいというのはわかるでしょう、大蔵大臣。しばらく怒られてから、ちょろちょろちょろちょろと資料が出てきたり、みんなかばうんですよ、ああやって。いよいよ裁判所で出たものだからやむを得ないとかね。  だから私は、今の政府案ではなかなか難しいな、こう思う。人間ですからやはり情はありますよ。鉛筆のなめ方によっては、本来ならもっと取れるものも、ちょっと安くやろうかなと。そんな心情は出ませんか、大蔵省。
  51. 西村吉正

    西村政府委員 まず初めに、破綻金融機関処理に際しましての経営者の責任の追及の問題ということで御理解を賜りたいのでございますが、委員からの御質問もございましたように、国民の間には、手順が逆ではないかというような疑問を持たれていることも事実でございます。まず責任を追及して、それから破綻処理をするというのが手順ではないかという考え方もあろうかと思います。  しかしながら、破綻金融機関処理をいたします場合には、まず破綻処理をいたしまして国民の間に不安感を与えないという手当てをし、それと同時に、破綻処理手続の中で実態の解明をしてまいる、その中で責任者の追及も行っていくというのが、これは我が国のみならず外国におきましても、破綻金融機関の経営者の責任追及の共通した手法でございます。現に、東京の二つの信用組合につきましても、木津信用組合につきましても、破綻処理をいたしました後、それを引き継ぎました経営者が前の経営者の経営実態を解明いたしまして、少し時間を置きましてから責任を追及しているという事例は、最近においても幾つか見られるところでございます。  今回の住専処理に際しましても、住専処理機構は、住専の保有いたします損害賠償請求権を他の資産とともに包括的に譲り受けまして、適切に権利を行使することといたしておりまして、今申しましたような問題は、同様に適切に処理をされるものと考えておるところでございます。
  52. 田名部匡省

    ○田名部委員 いずれにしても、これは早くやらぬと証拠も何もどこへ行っちゃうかわからないんですよ、時間がかかったら。そうでしょう。しかも、不法占拠であったり賃借権の設定だとか借り手側の企業の乗っ取り行為、そんなものはどんどん進んじゃって、これは、そんなことをやっておったら住専処理機構は東京共同銀行の二の舞になりますよ、行ったときはもぬけの殻だということに。  だから、早くぽんとやらなきゃだめだということをあなたたちはやらないから、本当に法案を無理無理通してやってごらんなさい、なかったときの責任はこれは相当重いですよ。こんなのんびりやっていること、大事件ですから、これは。やる気があるのかないのかわからぬ、みんな見ていると。  いずれにしても、もう時間ですから終わりますが、これを処理するには時間がかかるとか、あるいは、新進党の案では関係金融機関損失が確定せず金融システムが不安定になる、こういうことも言われているようですが、時間ですからこれは申し上げませんが、決してそんなこと、悪いことばかりではないんです。いいこともあれば、やや不足ぎみのものもあれば、ただ、どっちがいいかとなると、政府案よりはこの処理で法的に処理した方がいいということだけは間違いないと私は思います。  どうぞ大蔵大臣、国民が大方、五割以上の人がいいというのならこれはいいですよ。これだけ反対だというものを無理無理やってどうするんですか。国民の合意というものがないものをやったってね。  だから私は、さっき言ったように、去年の十月の十七日に案をつくって出したときに、情報、責任、そういうものをきちっとやらなければ国民はこれを承知しませんよという話もしたんですけれども、どうも野党の話だと思って皆さん余り真剣に聞かぬものですから、あのあたりからうん、そうだなということで処理を少し取り入れてやってくれておればよかったのではないか、こう思います。今審議中ですから、間に合うんですから、どうぞ六千八百五十億はこの際別な方法でやるということを真剣に検討していただきたい、こう思います。  以上で終わります。
  53. 上原康助

    上原委員長 この際、米田建三君から関連質疑の申し出があります。田名部君の持ち時間の範囲内でこれを許します。米田建三君。
  54. 米田建三

    米田委員 四月二日の質問に引き続きまして、北朝鮮への米の援助につきまして何点かお尋ねをしたいと思います。  前回指摘させていただきましたとおり、金額に換算をいたしますと、第一次、第二次合計の五十万トンの北朝鮮への米援助は大変大きな額になるわけでございます。もともとこの米は、九三年から九四年にかけて輸入をされました緊急輸入米を充てた、こういうことでございます。これがトン当たり七万二千円で輸入をされました。したがって、五十万トンということになりますと三百六十億円という計算になるわけであります。  また、保管料、運送費あるいは港湾諸経費、これらも当局のお答えでは、保管料が六億円、運送費二十二億円、港湾諸経費が三十六億円という御説明でございましたけれども、しかし、この保管料というものは、援助が決定をいたしました九五年の七月から、北朝鮮向けと決定されて以降の勘定を食糧庁当局はされておられたわけでございまして、私はそれに対しまして、本来緊急輸入米であったんだということから、実はこの保管料だけでも五十四億円に上るという指摘をさせていただきました。  したがって、諸経費が百億を超えることになるわけでありまして、米代三百六十億円とこの諸経費百億を合計をいたしますと、実に四百六十億円を超える巨額の援助であった、こういうことになるわけであります。  この有償無償を含む北朝鮮への米の受け渡しの経費あるいは交渉経過等を、やはり国民に対してはっきりと御説明のいただけるような、そういう形でお示しをいただかなければならない、決して不透明であってはならないと思うのですね。まして、先回韓国の行政機関のデータをもとに指摘をさせていただきましたが、人道援助である、民生用であるということになっておるわけでありますが、軍事備蓄に回された疑いすらあるわけであります。  例えば、日赤、日本赤十字に対しまして北朝鮮側から、どこへ送ったかという報告が寄せられております。日本赤十字が明らかにしているこの第一次支援米十五万トンの配付先、こういうふうになっておる。これでいきますと、配分先が人口に比例しておらない、また、水害で甚大な被害を受けた地域に重点的に配付されていない、こういう傾向が見られるわけであります。  実際に、最も大量に配分された江原道というところがありますが、ここは人口が約百五十五万人でございまして、北朝鮮の行政区分である三つの特別市そして九つの道のうち、実に八番目の規模にすぎないわけであります。そして一方で、この江原道は韓国と三十八度線を挟んで南北両軍の約百万人が対決をしており、住民ではなくむしろ兵士に、軍事用に配分された疑いがある、こういった報道もかつてされたわけであります。  あるいはまた、韓国に亡命をした北朝鮮軍のまさに食糧局に所属をする将校の証言でも、軍用の食糧の備蓄基地というものがきちんとあって大量 の米が備蓄をされておるという、こういう証言もされた経緯があるわけであります。民生用であるということが甚だ疑わしい。  加えて、四月の二日、指摘をさせていただきました、加藤紘一現自民党幹事長と大変縁の深い民間人のお二人がこの一連の日朝米交渉の中で一定の役割を果たしておられた。例えば、新日本産業社長の吉田猛さん、改めて触れさせていただきますけれども、お父さんの時代に帰化をされた方で、北朝鮮との草分け的な輸出入業者でいらっしゃる。したがって北側の政府要人との人脈も大変深く、金丸副総理の当時の訪朝にも関与をされた、その筋ではいわゆるピョンヤン・ロビイストとして有名な方であります。この方は、九五年三月の与党三党訪朝団に加藤紘一事務所の肩書で随行をされておられます。いわば日朝米交渉の裏方として活躍をしてこられた。  また、横浜市中区で港湾運送業である株式会社コーショーという会社を経営しておられる佐藤三郎氏、加藤紘一事務所代表の名刺も時にはお使いになる方であります。この方は加藤さんのスポンサーでもあるのですね。加藤さんの社会計画研究会という政治団体がございますが、最近のものを調べてみました。平成六年、平成五年ときちんと個人名で寄附をされておられるし、また平成五年には、株式会社コーショーの会社名で一千万円、また佐藤三郎という個人名で一千万円、計二千万円の貸し付けも加藤紘一さんの政治団体に行っておられる方であります。  さらには、株式会社コーショーの監査役として、加藤紘一夫人愛子さんと同姓同名の方が昭和六十二年六月二十七日に監査役に就任をされ、そしてまた平成六年三月三十一日に辞任をしておられますが、その間、このコーショーの役員の座にあった。我々はその後も調査を続けてまいりましたが、現在、同姓同名ではなく、加藤夫人である、その疑いが濃厚である、可能性が濃厚であるというふうに認識をしております。  こういう、加藤さんと密接な関係にある佐藤三郎氏もまた、日朝米交渉で随分いろいろな活動を中国やらシンガポールやらへ飛ばれてされておられました。単なるスタッフじゃないのですね。なぜならば、営利活動を行っていらっしゃる実業家であるわけであります。しかも、北朝鮮政府のロビイストと言われている、こういう方も含まれているわけであります。  有力な政治家民間人に外交活動の協力をしてもらってはならぬとは申し上げませんが、まさに貿易やあるいは港湾運送業といった、こういうお仕事もしておられる方々を日朝米交渉におきまして手足として、あるいは名代としてお使いになった。言ってみれば、国策の命運を分けるような重大な交渉に参画をせしめていた。だから、いろいろ御質問を申し上げたい点があるわけであります。  この緊急輸入米の価格についてちょっとお尋ねを申し上げたいと思います。  緊急輸入米でございますが、これは、この間の食糧庁の御説明でございますと、総計二百五十九万トンである。主食用が百五十四万トン、それから加工用が二十五万トン、飼料用が二十四万トン、そして援助用が北朝鮮向けを含めて他の諸国合計五十六万トンであった、こういう御説明を受けておりますが、この援助用以外の各用途別の価格というのはどうだったのでしょうか。食糧庁、わかりませんか。
  55. 高橋政行

    ○高橋政府委員 今、ちょっと手元に全部の資料を持っておりませんが、緊急輸入米、特に今お話がございましたように、主食用とか原材料用に売りまして、実際には平成六年の十月末で九十六万トンぐらい余ったわけでございますが、そのうち、今お話がございましたように、できるだけ飼料用も含めてこれを処理いたそうということで考えまして、その大宗を占めます飼料用につきまして一万一千円程度でございます。
  56. 米田建三

    米田委員 それぞれの用途別に値段の設定を当然されたわけでございましょうが、輸入時トン当たり七万二千円であった援助米をトン当たり一万六千円にした理由は一体何なのか、また、いつごろどういう場で一体最終的にはだれがこの一万六千円という値段を決定をしたのか、お尋ねいたします。
  57. 高橋政行

    ○高橋政府委員 ただいまお話しのように、北朝鮮支援米の売り渡し価格でございますが、これは精米価格でトン当たり一万八千円、それから玄米価格で一万四千五百円になりまして、平均で大体一万六、七千円、こういうことでございますが、どういうふうにしてこういう価格を決めておるかという考え方について、ちょっとお話を申し上げておきたいと思います。  一般的な援助用の米穀の輸出価格につきましては、被援助国、援助される国が最近買ったお米がどういうものをどんなふうに買っているかという実績でございます。それからもう一つは、援助米として希望している米穀の品質、そういうものを踏まえながら国際価格の水準を基準として設定をしております。  それで、そういう考え方で、北朝鮮向けにつきましては、北朝鮮が最近輸入している実績を踏まえまして、どういうところからどんな米を買っているかという、そういう実績でございますが、それを踏まえまして、タイ国産でA1スーパーというそういうお米がございまして、そういうランクづけのお米のBOT価格、これはタイの貿易取引委員会が公表している価格で、これは一般的に国際的な価格動向を示しているものでございますが、このBOT価格を基準にいたしまして、これは古米でございますので、古米であるということの品質格差を勘案いたしまして決定をしております。  なお、フィリピンにもその後援助しておりますが、そのときの価格も同様としているところでございます。
  58. 米田建三

    米田委員 この価格決定につきまして、行政当局者以外からのアドバイスや指導はありましたか。
  59. 高橋政行

    ○高橋政府委員 特別にございません。
  60. 米田建三

    米田委員 ちょっと角度を変えまして、四月二日の審議で、加藤外務省アジア局長は、政府当局以外の関係者が一定の役割を果たしたというふうにお認めになっています。そういうお答えがございました。  そこで、先ほどお名前を挙げさせていただいた吉田猛さんと佐藤三郎さん、お二人の果たした役割について若干ただしたいと思います。このお二人は九五年六月三十日の第一次合意の前から活発な動きをしておられたというふうに私は理解をしておるわけでございますが、まずこの吉田猛氏についてお尋ねをいたします。  前回の質問で、当時アジア局長だった川島現総合外交政策局長さんは、九四年十一月に吉田氏と加藤紘一さんを交えた三者会談、これはなかったというふうに否定はされましたが、三人に加えてさらに複数の人物も交えた会合があったことはお認めになりました。その答弁をちょっと振り返ってみたいわけでございますが、  国交正常化交渉の再開の糸口を探すということでいろいろ動きを始めましたのは、昨年の二月ぐらいからでございます。その際に北朝鮮側が、まず党との接触を先にしたいという雰囲気だったものですから、その意味政府としては、党と緊密に連絡を保って、折々に触れて打ち合わせをしたことはございます。その際に加藤政調会長当時ですね、  もいらして、それからたしか吉田さんも同席した、云々、こういうお答えでございます。  川島さん、お尋ねいたしますが、その際にこの吉田氏をどういう立場であるというふうに理解をしておられましたか。また、あなたがお答えになったその会合での話の中身というものはどういうものだったのですか。
  61. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 吉田さんは、川島局長の前回の答弁にもございましたように、北朝鮮事情に通じた人で、川島局長がアジア局の審議官の在任 当時から、折に触れ意見交換などを行ってきた人であるというふうに承知いたしております。
  62. 米田建三

    米田委員 川島さんを呼んであるけれども、来ていないのかな。
  63. 上原康助

    上原委員長 来ていません。お呼びになったのですか。
  64. 米田建三

    米田委員 お呼びしてありますがね。川島さん御本人、呼んであるでしょう。今川島さんに聞いたんです。川島さん本人に聞いたんですよ、今。お呼びしてあるのです。
  65. 上原康助

    上原委員長 来ていない。(発言する者あり)
  66. 米田建三

    米田委員 いやいや、本人と話をするのとまた違いますからね。いや、呼んでもらいたいな。
  67. 上原康助

    上原委員長 今隣の控室にいます。
  68. 米田建三

    米田委員 呼んでありますよ、川島さんを。通告をしてある。時間がもったいない。
  69. 上原康助

    上原委員長 待ちますか。
  70. 米田建三

    米田委員 呼んであるんだ。川島さん御本人に聞いたのに、局長が出てきてびっくりしましたけれども、お呼びは確かにしてあります。  川島さん、この間の続きで伺っているのですが、吉田さんと加藤紘一先生三人とで会ったことはないが、もうちょっと大勢の人数で会ったことがあるというお話をしておられました。そのときに、あなたは吉田猛さんをどういう立場の方だというふうに理解をしておったのか、また、そのおっしゃった会合の中身は何であったのか、それをお尋ねをしたいと思います。
  71. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  当時与党がいろいろと北朝鮮側とやりとりをしておられる際に、いろいろ北朝鮮側との連絡において役割を果たしておられた方というふうに認識しておりました、吉田さんにつきましては。  それから、打ち合わせでございますので、これは具体的に申しますと、先般御答弁申しましたとおり、まず党同士の接触をという雰囲気の中で、政府といたしまして、それまでの日朝交渉の経緯、北朝鮮側の出方とか、その辺について政府側としてのこれまでの経緯を説明するのが主だったということでございます。
  72. 米田建三

    米田委員 どういう立場の人だったかというふうに聞いているのですよ。加藤紘一事務所の名刺で、後ほど訪朝団に参加する方でございましたから、加藤紘一先生の御関係の方であるというふうに理解をしていたのじゃないですか。  また、吉田さんとはこのときだけじゃないでしょう。何度かお会いになっているじっこんの間柄じゃないですか。
  73. 川島裕

    川島政府委員 お答え申し上げます。  吉田さんとは、私が前のアジア局の審議官をやっておりましたときに、実は、第十八富士山丸の乗員の釈放につきまして、日朝間で全く接触ができなかったものですから、いろいろとその時期お手伝いをいただいたことはございますけれども、それ以来、時たま情報を聞くことがあったということでございます。
  74. 米田建三

    米田委員 つまり、ピョンヤン・ロビイストである吉田氏を外務省としてもかなり重宝にしておったという面があったわけですね。  そこで、やはりこれもこの間伺いましたが、九五年二月二十六日のシンガポールでの会談について伺ったわけですが、これは、アジア太平洋平和委員会委員長の李種革さん、それから、「加藤先生に近い自由民主党の有力な代議士」というふうに申し上げましたが、保利耕輔先生であるというふうに認識をさせていただいております。このシンガポールでの会談、これについて加藤アジア局長は、竹内アジア局審議官は同席をしておらなかったが、会合については承知をしておるというふうに言っておりましたが、このときのこの会合に出られた議員というのは保利先生なのでしょうか。そしてまた、承知をしておるというのはどういう意味なのか。このときの会合の中身も御存じなのでしょうか。
  75. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 今御指摘の会談ということについては、そういう会談が行われたということ、それからその内容については、昨年七月ごろに既に報道が行われていると承知いたしております。
  76. 米田建三

    米田委員 もう一点、佐藤氏について伺いますが、九五年三月二十八日の与党三党訪朝団に佐藤三郎さん——加藤局長がこの間の御答弁で、シンガポールや北京における佐藤三郎さんの動きは知らないとおっしゃいましたが、この与党三党訪朝団に佐藤氏が参加したことは御存じですか。
  77. 加藤良三

    ○加藤(良)政府委員 御指摘の昨年三月の与党訪朝団の訪朝の際に佐藤三郎さんも渡航しておられると承知いたしております。
  78. 米田建三

    米田委員 結局、この吉田さんや佐藤さん、大変いろいろな役割を果たしておられることは間違いがないと思うわけでありますが、こういう政府がきちんと乗り出す前のいろいろな交渉があちこちで行われていた。そういう意味では、私は、行政当局が、やはり加藤紘一さん、あるいは言ってみればファミリーとも言えるこういう手足として動かれた皆さんのいろいろな考え方の影響をやはり深く受けていた、そのことは否定できないのじゃないかと思うのですね。後ほどちょっとその点についてはまた伺います。  この北朝鮮への援助米でございますが、この間の質問に対するお答えでも、この北朝鮮に送られた米は緊急輸入米の二百五十九万トンのうちの五十万トンであると高橋食糧庁長官は言明をされました。この緊急輸入米というのは、タイ、中国、アメリカ、オーストラリアから輸入されたものでありますが、北朝鮮に送られたものは、このうちタイ産、中国産、アメリカ産米であります。  北朝鮮への輸出は全国各地の港が使われました。食糧庁本庁の指揮のもとに、現地の食糧事務所がコントロールをしたはずであります。したがって、何月何日にどこの港でどこどこの産米を何トン積み込んだのか、これは当然記録があるはずであります。  ちなみに、ちょっと第二次分について確かめさせていただきたいと思うわけでございますが、九五年十月の二十三日に新潟港に入港をし、そして二十七日に接岸をした船、これは新潟港におきまして、アメリカ産米を三千六百八十八トン、約三千六百九十トンですね、これを積み込み、十一月の四日に舞鶴へ向けて出港をし、そして舞鶴には十一月の六日に入港をし、三千二百三十一トンの中国産米を積み、十一月の十一日に北朝鮮の清津港に向けて出港をした、こういうふうに私どもの調査では認識をしておりますが、食糧庁、これに間違いございませんか。
  79. 高橋政行

    ○高橋政府委員 我々が把握しているのと同じでございます。
  80. 米田建三

    米田委員 ちなみに、食糧庁、十二月二日に東京港に入港して、十五日に清津へ向けて立った船が積んだ米の産地とトン数を言ってください。
  81. 高橋政行

    ○高橋政府委員 多分お尋ねの船は第六船目の船であると思いますが、これにつきましては十二月の二日に東京に接岸いたしまして、タイのお米を六千七百トン、それからアメリカのお米を三千五百トン積みまして、十二月の十五日に出港しているということでございます。
  82. 米田建三

    米田委員 そのとおりであります。  では、もう一つ伺います。  名古屋港へ十二月十一日に入港して、十二月十五日に興南へ向かった船の積んだ米のトン数とそして産地を言ってください。
  83. 高橋政行

    ○高橋政府委員 ただいまの御質問の船は第五船目の船であろうと思われますが、これにつきましては、名古屋港に十二月十一日に入港いたしまして、タイ米を二千九百九十六トン積みまして、十二月十四日に出港をいたしております。
  84. 米田建三

    米田委員 高橋さん、第五船目じゃなくて第七船目でしょう、十一日入港は。そして、これは外米じゃないんですよ、委員長日本産米なんだ。  それから第九船目、十二月十八日に名古屋港へ入港し、二十九日に北朝鮮の南浦へ向かった船、一万二千三百二十四トンこの船は積みました、これも日本産米なんだ。それから第十船目、清水港に十二月十八日に入港した船、三千六百トンを積みまして二十三日に北朝鮮の南浦港へ向かった、 これも日本産米なんだ。それから第十四船、十二月二十九日に宇野に入港し、そして一月九日に神戸へ向かった。二千八百八トン積みました。そして、一月十日、神戸に入港し、四千六百九十五トンを積んだ後一月十七日に北朝鮮の元山へ向かっている、これも日本産米なんだ。坂出でも日本産米を積んでいる。それから、東京港でも積んでいる。坂出でまた積んでいる。一月二十二日に入港して積んでいる。鹿島でも、二月の一日に入港した船が日本産米を積みました。宇野でもやはり二月の三日に入港した船が積んでいる。神戸でも、二月の九日に入港し、十五日に興南へ向けて出港した船が二千五百八十四トンの日本産米を積んだ。それから、清水港でも二月の十三日に入港した船が七千六十九トンの日本産米を積んでいるのです。  実に、第二次分の二十万トンのうち約三〇%に当たる部分が我々の調査では日本産米なんです。どういうわけでしょうか。
  85. 高橋政行

    ○高橋政府委員 ただいまのお話、今私も初めて聞く話でございまして、どのような根拠に基づくのかよくわかりませんけれども、少なくとも、いずれも我々の方といたしましては外国産米を、緊急輸入米ですね、それを輸出して積み出しておるということでございます。
  86. 米田建三

    米田委員 農林大臣にぜひお願いをしたいのですが、関係者の間では、実はかねてから、緊急輸入米がすべて北朝鮮向けに充てられたんじゃないんだ、日本産米の古いお米が一部、緊急輸入米という建前になっているが、すりかえられたという話が一部で飛び交っておりましたので、私どもは一生懸命調査させていただきました。  冒頭申し上げたとおり、合っているのですよ、港や日にちは。しかし中身が違うという疑いが極めてあるものですから、ぜひ、どうか改めて調査をしていただきたいと思うのです。もしこれだけの量のものが、すべてがもしも調査の結果すりかえられていたというようなことがあるならば、これは私は、単なるミスではないだろう、食糧事務所やあるいは運送にかかわった業者のミスとは言えない、何か大きな意思が働いた、大きな力が働いたとしか思えないわけでございまして、農林大臣、どうでしょうか、ちゃんとお調べいただけますか。
  87. 大原一三

    ○大原国務大臣 初めてお聞きする部分もたくさんありますので、今食糧庁長官が答えましたように、話が大分違っておりますので、実態の調査を正確にやってみたいと思います。
  88. 米田建三

    米田委員 第二次二十万トンのうちの約三〇%の五万四千トンくらいが日本産米ではないかなという、実は調査の結果疑いを持っているわけでございまして、よくお調べいただきたいと思います。  それともう一点、第一次の援助米もちょっとこれ、変なんですよ。産地は全部、これは確かに緊急輸入米でございました。ただ数量がおかしいんだな、数量が。有償無償それぞれ十五万トン、計三十万トンのはずだったのですが、五九%が逆に、約十八万トンが有償米ということになっている。そして約十二万トンが無償米という形で出ているはずなんですね。この点もあわせて食糧庁、よく調べていただいて、教えてください。報告をしていただきたいと思います。  とにかくこの間からいろいろな点を御質問してまいりましたが、いろいろ不明朗な点が多いわけでございます。この間も資料要求をさせていただきましたけれども、いろいろな事情から、末端の関与した業者のリストまでは出ないというようなお話もございました。  また、前回は伺ってなかったのですが、私は、一たん内陸の消費地へ、援助が決まる前に消費用として移動をして、そしてそれを港頭の倉庫へまた援助用に運び直した、その運送経費がたしか二十二億円であるという御説明を前回受けましたが、この点も今申し上げたような疑いが出てまいりますと、私はやはり注目すべき点だろう。この二十二億円分の支払い先を明らかにし、この運んだ業者さんが内陸部のどういう倉庫から何トンどういう米を運んで、そして輸出用に各港の港頭倉庫へ運んだのかということを明らかにしていただきたいと思うのですが、その辺のお調べは食糧庁、していただけますか。
  89. 高橋政行

    ○高橋政府委員 今お話がございましたように、港頭倉庫に初めからありましたトン数は全体の五十万トンのうち十八万トン程度はあったわけでございますが……(発言する者あり)それで、あと三十二万トンぐらいが今先生がおっしゃったようなことで運送をしたということでございます。これにつきましては、非常に細かい数字になりますので、少し時間をいただかなければいけないと思いますが、調査したいと思っております。
  90. 米田建三

    米田委員 最後に委員長に申し上げたいと思うのですが、私ども新進党は、共和やみ献金問題につきまして加藤紘一自民党幹事長の証人喚問を要求しております。告発を受け司法の場に移っているからというふうな理由で喚問を拒否しておられるわけでありますが、法の場と政治家としての疑念を晴らすことはおのずから別ではないかと私は考えます。  この問題は、かつて委員長自身が社会党時代に追及した問題のはずであります。民間人については証人喚問あるいは参考人というような話がよく出るわけでありますが、政治家が口をぬぐっていることは許されないわけでありまして、政治倫理綱領にも、政治家が「政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」こう書いてあるじゃありませんか。  自民党の有力な議員の中にも喚問要求の拒否はおかしいという御意見が出てきております。どうか委員長、私は、今こそこの議会が国民にそのあるべき姿をしっかりと示す時期であるというふうに思います。かつてこの問題を追及された委員長にあえて申し上げまして、質問を終わります。
  91. 上原康助

    上原委員長 これにて田名部君、米田君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木陸海君。
  92. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は、住専問題について質問いたします。  母体行くの追加負担に関する四月一日の私の質問に対して、首相は銀行努力を求めると言い、大蔵大臣も今後さらに銀行との協議を継続するという答弁をされました。これまで母体行の負担は三・五兆円がぎりぎりと言ってきた立場から見ますと、政府処理案の根拠の一つが崩れているということは客観的に言える話だと私は考えております。そして、国民の願いも、我が党の要求も、この母体行の追加負担の実現によって六千八百五十億円をきれいさっぱり削除せよということであります。この国民の願い、我が党の要求は正当なものと私は考えておりますが、大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
  93. 久保亘

    久保国務大臣 共産党の御主張は、この委員会でも、また他の委員会でも伺っております。その御主張は御主張として、私ども努力すべき点については努力をいたしているのでありますが、その御主張によって、今私どもが提案しております住専問題処理仕組みが崩れたとは考えておりません。
  94. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 しかし、母体行に追加の負担を求める、そして母体行が追加の負担をするということになれば、当然その分だけ国民の負担分を減らすことができるという関係にあるわけでありまして、論理的に言えば当然そういうことになるはずであります。  そして、そういう母体行の負担が無理であるというのなら、母体行に追加負担を求めるといった、その追加負担の内容というのは具体的にどういうことを考えているのかはっきりとさせて、あいまいにしないで、母体行にはこういう負担をしてもらうんだということをきちんとさせて母体行に迫っていくことが必要だと思うのですが、その辺については大蔵大臣はどういうお考えでしょうか。
  95. 久保亘

    久保国務大臣 既に与党三党においても、新た なる措置としての銀行協会側との合意を得られたものもございます。私どもといたしましては、現在は三・五兆のすべての母体行の債権の放棄、一般行としての債権の一・七兆の放棄、こういうものは、これは協議、合意によって生まれたものでございます。しかし、さらにその責任等を検討をされて、その責任にこたえる新たな追加措置等についても検討されるよう、私どもの意向を国会の審議の状況も踏まえて伝えてございます。  今、どれだけ銀行側がさらに追加負担せよというようなことを法的根拠に基づいて求めることの非常に困難なことは、共産党の御質問に立たれた方もお認めになっていることだと考えております。
  96. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もちろん、今のスキームが法的処理ではないわけですから、母体行に合意を求めていくということであります。それで、合意を求めていくその合意の線をどうするか、具体的にどこまで求めていくのかということは当然あり得るわけでありまして、私たち母体行に六千八百五十億円追加負担すべきだということを求めていく根拠はたくさんあるというふうに考えています。  母体行は事実上住専の親会社だ、だから子会社の不始末の責任をすべて負うべきだという趣旨の私の四月一日の質問に対して、大蔵大臣は、情緒的な親子関係ということと法的な親子関係というものは違うというふうに答弁をされましたが、しかし、問題は実態であります。住専七社の設立以来の役員延べ五百三十二人中四百七十三人、八八・九%が母体行出身です。  その上、一昨日の吉井議員の、同僚議員の質問によっても、住専七社が、総役員百十四人中三分の一以上が今母体行の兼任役職員であるということも明らかになりました。母体行の株式所有を通じての支配も、直系ノンバンク以上のものであることもはっきりしてきました。実質的に親子関係に等しい、そういう関係だ、これは大蔵大臣も認めてこられた事実じゃないでしょうか。そして、それも一つの有力な根拠として母体行に六千八百五十億円の負担を迫る。可能なんじゃないでしょうか。
  97. 久保亘

    久保国務大臣 今お話しになりましたようなことを認めていなければ、母体行に対して新たな措置を求めるということはできないと思っております。  私は、最初から繰り返し申しておりますように、母体行が住専の設立にかかわり、出資を行い、そして大事に関与し、その経営に相当な支配権を持ち、そして事実上住専の経営に携わってきた、これらの責任を軽視することは許されないことである、それにこたえるべき負担をすべきであるということを申しております。負担の限界をどこに置くかということは、必ずしも六千八百五十億にとどめる必要はない。可能な負担をしてもらえば、その負担によって六千八百五十億が、結果的に国民の負担としては軽減される場合も出てくるということを申しているのであります。
  98. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 まさに国民は六千八百五十億円の支出に反対しているわけでありますから、八割、九割が。だから、そこを早く母体行に具体的に負担させるように交渉すべきで、そういう合意を獲得できるように大蔵省は努力すべきだ、大蔵大臣努力すべきだということを私たちは求めているのです。その努力を具体的になさっているかどうか、はっきりさせていただきたいと思うのです。
  99. 久保亘

    久保国務大臣 御報告できる範囲については、銀行協会の会長と大蔵省側との会談をいたしました内容等についても既に申し上げてございますが、これらの交渉事というものをすべて報告を申し上げるのは、さらに結果が明らかになる段階まで待たねばならぬ問題も御了解を賜りたいと思います。
  100. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 大蔵大臣自身がさっきお認めになりましたように、母体行は住専に対して支配権を持ってきた、そのとおりであります。そして、大蔵省自身住専金融機関の関連会社と位置づけておりますけれども、その関連会社というのは、設立の経緯や資金的、人的関係から見て金融機関と密接な関係を有する会社ということに定義をされておりますし、そして、大蔵省の担当者が対外的に公表した解説によれば、「資金的、人的関係とは、一行取引に近い取引が行なわれ、金融機関の役職員が当該会社の役職員として出向している等により当該会社を事実上支配している場合をいう。」つまり、事実上支配をしてきたということを大蔵省自身が認めるような関係にあるわけですから、大蔵省に一層の大きな負担を求める根拠はあるし、その根拠に基づいて迫っていく必要がある。その点で国民は大蔵省の対応に注目をしているわけであります。  住専問題の世論調査で、多くの国民が母体行以上に大蔵省の責任ということを問題にしております。二月二十八日付の朝日新聞によれば、一番責任があるのが大蔵省というのが二七%、母体行が二〇%。それから三月四日のNHKニュースによりますと、責任が大きいのは大蔵省というのが六三%、母体行が四四%という結果になっております。  この批判を大臣はどのようにお受けとめになっていられるでしょうか。
  101. 久保亘

    久保国務大臣 行政の責任というのは、監督並びに指導責任を持つ行政庁として大蔵省が多く負うべきことは当然でありますから、今その責任に基づいてなすべきことを全力を挙げているということでございます。
  102. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 私は、大蔵省は政府機関として本来国民の利益を守らなければならない立場であるにもかかわらず、大銀行と一体になってその利益を擁護してきた、そういう護送船団の護衛艦としての大蔵省への批判、これが国民の強い批判としてあらわれており、その根本的な反省が求められていると思うのです。  ちょっとお聞きしますが、寺村前銀行局長は、さきの本委員会での参考人質疑、たしか二月十五日だったと思いますが、そこで、住専の第二次再建計画当時今のような一挙の解決策をとれなかった大きな要因の一つとしてこういうふうに言っています。実は大手金融機関も大変体力が病んでおりました、内部留保も激減していた、一挙に損失の分担をするだけの体力が銀行にはなかった。当時今のような解決ができなかった大きな要因の一つとして体力がなかったということを述べておられますが、こういう認識に間違いはないでしょうか。西村銀行局長でも結構です。
  103. 西村吉正

    西村政府委員 まず、護送船団方式というお言葉でございますが、通常護送船団方式と申しますのは、大きな銀行を守るという意味ではなくて、体力の弱い銀行を大きな銀行が抱えて一緒に進むということを指して言われている言葉だと理解をいたしております。  ところで、今御指摘の寺村前銀行局長のお話でございますけれども、恐らく前銀行局長が発言をされたことは、当時、大きな銀行に限らず中小の銀行をも含めまして、不良債権問題の先行きというものについて我が国の全金融界が必ずしも十分な見通しを持っていなかった、そういう不安感の中で思い切った措置をとるということはなかなか難しかったのではなかろうか、こういう趣旨のことをお述べになったように記憶をいたしております。
  104. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 護送船団の問題について言えば、私は、大蔵省がその護送船団の護衛艦の役割を果たしたということをさっき言ったまでの話です。  それから、寺村前銀行局長の言ったことは、今言ったようなことも含まれておりますし、当時思い切った解決ができなかった大きな要因として、さっき読み上げましたとおり体力が当時は著しく傷んでいたということもはっきり言っているわけであります。  そして、そういうのを受けて大蔵省は、一九九二年八月の総合経済対策で金融機関不良債権問題を提起し、以後数次にわたる経済対策で金融機関の救済策を講じてまいりました。共国債権買取 機構をつくり、それからまた法人税法基本通達の運用を緩和し、さらに株式低迷の時期には、証券市場の活性化ということでPKOで公的資金を投入して株の買い支えを行ってきた。バブル崩壊後のこの期間に行政からこのような手厚い保護を受けてきた業種はほかにはないだろうと思われるくらいであります。そのしわ寄せと犠牲は中小企業と国民に押しつけられました。そのあげくに六千八百五十億円というのが今出ているわけであります。  最たるものの一つが公定歩合の引き下げであります。公定歩合は九一年七月から今日までに九回も引き下げられて、六%が〇・五%になっています。そして、銀行はこういう公定歩合の引き下げのたびごとにそれに即座に連動して庶民への預金金利を引き下げて庶民に打撃を与える。他方、住宅ローンを初めとする貸出金利は下げる時期を連動させずにおくらせて、しかも下げ幅を小さくして高どまりにする。こういう二重の操作によって国民や中小企業に打撃を与える。そのやり方で、しかもその利ざやを広げてまいりました。  ですから、そういうものを分析した新聞や雑誌等々でも、「銀行不良債権の大量償却のため、利ザヤを広げ業務純益を増やす」、東京新聞の二月十四日付がこう言っておりますし、エコノミストでは、「この超低金利は大蔵省と日銀が」「預金者と景気を犠牲にして銀行を不当に儲けさせ、それによって不良債権を償却させようとするもの」だというふうに断罪をしております。  こういう論評がなされるとおり、不良債権問題の解決に当たって、要するにこの期間、数年間かけて銀行に体力をつけさせる、銀行解決ができるような体力が今ついてきたということになっていることは事実だと思うのですが、その点はお認めになりますでしょうか。
  105. 西村吉正

    西村政府委員 金利に関します判断につきましては、日本銀行の専管事項でございますのでコメントは差し控えさせていただきますが、私どもは、そのような政策は日本経済全体のためのものでありまして、今御指摘のような趣旨のものではないと理解をいたしております。  いずれにいたしましても、私ども銀行あるいは金融機関を守るというために金融行政を行っているわけではございませんで、最終的に預金者を保護するあるいは金融秩序を維持する、そのことによって日本経済が破綻をしないようにという目的を持って行っているところでございまして、最近における不良債権の早期処理という問題もこのような目的に沿ったものと考えているところでございます。
  106. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 銀行業務純益は公定歩合の引き下げとともに急増をし始めて、本当に今極めて高い水準に達しているわけであります。九一年度で見ますと、都市銀行業務純益一兆九千二百二十五億円、前年度比三一・五%増。それからまた、九四年で見ますと、二兆五百八十八億円。九三年、二兆三千八百二十二億円。そして九五年は、九月の中間ですけれども、一兆八千六百七十六億円で前年度比七一・一%増。巨額の業務純益の増を獲得をしてきている、これは客観的な事実であります。  まさに、寺村前局長は、九三年当時は体力が病んでいた、しかし、その後の大蔵省や銀行一体となっての努力で、国民や中小企業の負担と犠牲が客観的に積み重ねられる上でこういう状況がつくり出されてきた。この結果、きょう十分な時間がありませんから具体的な論議は来週に譲りますけれども母体行には現在の約束以上に負担する体力は十分につくられている。母体行はあらゆる意味で国民にこれ以上負担をかけないで問題を解決する体力もあるし、義務も責任もある、そういうところに来ている。そして、それに大蔵省も重大な責任を担っている。  だから、そういう点も踏まえて、大臣に重ねて要請いたしますけれども、六千八百五十億円母体行にきちんと持たせる、そういう追加負担を実現する、そういうことを具体的にしっかり決めて、母体行としっかりと交渉してもらいたいということを大蔵大臣にお願いをしたいと思うし、その点での重ねての答弁をお願いしたいと思うのです。
  107. 久保亘

    久保国務大臣 大蔵省として、また私の責任においてなすべきことをやってまいりたいと考えております。
  108. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 この委員会の論議を通じても、いろいろの空白の期間はありましたけれども母体行に追加負担を求めるということも大きな一致点になりつつあるわけでありまして、母体行にさらに追加負担を求めて、国民が本当に期待する六千八百五十億円の削除ということをぜひとも実現していかなければならぬ、私たちもそのために頑張るということを申し上げて、きょうの質問を終わりたいと思います。
  109. 上原康助

    上原委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。  次に、土肥隆一君。
  110. 土肥隆一

    土肥委員 市民リーグ・民改連の土肥隆一でございます。  きょう、実は公安調査庁による弁明の手続の第二回目が行われたと思いますが、これは終わりましたでしょうか。それから、今後この弁明の期日はどういう予定であるか、まずお答えください。
  111. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 委員指摘のように、ただいま第二回の弁明期日を実施中でございます。まだ途中でありまして、もう少し時間がかかるというふうに聞いております。  それから、今後の予定につきましては、近いうちに第三回の弁明期日を実施し、その際に、団体の代表であります麻原被告本人の出頭の機会を与えて当人からも弁解をさせ、なるべく早い段階でこの手続を終わりたいというふうに考えております。
  112. 土肥隆一

    土肥委員 ついでにもう一問お聞きしますけれども、このオウム真理教の団体のありようについてどの時点から公安調査庁として調査が行われたのか、その点について御答弁ください。
  113. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 地下鉄サリン事件が発生いたしました平成七年の三月下旬に、私ども公安調査庁で長官の指示で特別調査本部を設置して、それ以来調査を開始いたしました。そして、平成七年の五月十六日付でオウム真理教を私どもの内部でいいます調査指定団体に指定いたしまして、本格的な調査を実施してまいりました。
  114. 土肥隆一

    土肥委員 これが宗教団体かどうかというのは、定義はいろいろあろうかと思いますが、明らかなことは、いわゆる宗教法人が今日公安調査庁の指定団体になりまして今行政処分が行われようとしているわけでございます。  しかし、私の理解する範囲では、この破防法というのは、一定のイデオロギーがあって、そしてそれが政治目的として明らかになってきて、その結果政治行動が行われる、それが秩序を乱すものであればその行動を取り締まる、こういうことなんですが、公安調査庁から出ておりますいろいろな資料の目録やその説明を読みますと、非常に熱心に調査していらっしゃるわけですが、一言で言えば、宗教思想がまずあるわけですね。私はこれはもう荒唐無稽な宗教思想だと思うのでありますが、それが一定の政治目標を出してまいりますと、これも実に荒唐無稽な政治主張になるわけであります。  ところが、やっていることはひどいことだということになりますときに、今公安調査庁が行っておられます団体規制というもので、あの六カ月間条項でとめるのかあるいは解散まで持っていくのかということはまだ判明しておりませんが、仮に解散という手続をした場合、今後の活動を一切させないという意味で解散をさせるわけであります。  しかし、こういう解散をこの団体に指定しましても、宗教思想というものが、つまりイデオロギーが変更されれば政治目的も全部変更されてまいりますし、そしてその行うであろう手段もまた異なったものになるわけでありまして、どうもこの団体を破防法というレベルで取り扱うと、全く 意味がないとは申しませんけれども、そういう事件や事象は終わりましても、イデオロギーというのは指導者によってころっと変わるわけでして、全く政治的目的もなくなる場合だってあるわけであります。これはやはり一種の日本の今日の成熟した社会の社会病理的現象だというふうに言わざるを得ないのでありますが、終局的に公安調査庁はこの団体をどうしようとしていらっしゃるのでしょうか、お答えください。
  115. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 破防法による団体規制というのは、団体の活動として暴力主義的な破壊活動が行われ、将来さらに継続または反復してこれが行われるおそれがあると認められるに足りる十分な理由がある場合には、ただいま先生御指摘のような解散の指定という処分を含む決定を行うことができるわけです。  この団体規制というのは、そうした将来の危険性の認められる団体に対してそうした解散指定を行うことによって、それ以後当該団体の構成員あるいは役職員であった者が団体のためにする活動が一切禁止されることによりまして、再犯を一定の限度で防止できるというところにこの規制の目的があるわけでございます。  宗教的な側面でのお尋ねに関しましては、確かに先生御指摘のように、この団体規制によってその規制の対象となります個々人の内心的な信仰あるいは思想にまで統制を加えるということは、これは到底できないわけでございまして、憲法上それは信仰の自由、思想の自由として不可侵の領域でございます。そのこととやはりこの団体規制とはまた別の問題でございまして、犯罪防止の点では一定の効果があるというふうに考えられているわけでございます。
  116. 土肥隆一

    土肥委員 大臣、宗教団体が団体として解散させられる、しかしその宗教的信条は残る。ですから、今後、公安調査庁がこのオウム真理教の宗教団体というものを解散してしまった後、事件などの再発が起こるか起こらないか、かなりの期間追跡調査をするんでしょうけれども、宗教的な状況というのは、このオウム真理教の場合は、固定化された教義とか表明された教義とか、あるいは宗教団体としての伝統もほんの十数年しかないわけでありまして、そういう意味では非常に判定が難しいんですが、麻原彰晃の説法といいましょうかメッセージ、それはもう本当にあっちこっちからの宗教、経典から引っ張ってきて、いろいろ組み合わせてやっているわけですが、その都度違うわけですね。  ですから、これは宗教法人を付与することが大体間違っていたんじゃないかというふうに私も思うのでありますが、今回の事例は要するに、宗教法人としての団体が団体規制を受けたということは、やはり私は、これは日本の文化、日本の社会、日本の歴史に極めて重要な団体規制ではなかったかというふうに思うわけであります。したがって、宗教法人という団体は解散されるけれども、その信じるところは残される、保障される、信教の自由は残される、そういう残されるものがこれからどうしていくかということについては、かなり私は気がかりなわけです。  どうでしょうか、法務大臣として、今回の破防法の適用、これはもう行政処分でありますから、こういう行政処分を選択された当局として、今後、日本の宗教というものがあるいは宗教団体というものがこれによってどんな影響を受けるでしょうか。大臣個人の御意見を聞かせていただきたいと思います。
  117. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 ただいまオウム真理教に関しましては、公安審査委員会による解散指定処分、これの前段階手続を行っているところでございます。今、当事者に弁明の機会を与えまして、それを聴取しました上で、公安審査委員会に解散指定処分が適当であるということで私どもが審査をお願いするかどうかということの段階にあるわけでございますが、今委員のお話は、もし公安審査委員会による解散指定処分が行われたとしたならばと、こういう意味理解をいたします。  この破防法によります解散指定処分が行われますと、団体のためにする行為というものについて規制を受けることになるわけでございますが、これがどういうような行為であるかということにつきましては、前法務大臣が、その具体的なガイドラインをお示しをしたいということを申し上げているところでございます。  今、委員は、宗教活動とそういった団体のためにする規制がかかる行為というものの関連についてのお尋ねかと思っておりますが、本来破防法がその趣旨としております破壊的な暴力活動というものの再発を防止するという観点からこの規制は行われるわけでございまして、個々人の信教の自由を侵すというものではないと私は考えております。
  118. 土肥隆一

    土肥委員 終わります。
  119. 上原康助

    上原委員長 これにて土肥君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三分散会