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細田委員 私はこの
住専処理案をまとめた
与党の一員でありますから、この母体行、
一般行、系統あるいは国の負担割合を見るときに、やはり母体行は全額だが
一般行融資三・八兆のうち一・七兆と見るときに、これはなぜこの負担なのかということの根本は、今申した
責任論によるところが大きい。しかも、
一般行というものの、母体行でないものはほとんどないわけです。地銀も、あるいは第二地銀とか都銀、長信銀、全部入っており、それにまた証券その他が入っているわけですね。ざっと見て母体行に入っていないのは東京
銀行ぐらいですよ。東京
銀行は何にもないかというと、実は
一般行の中に潜んでおって九百億円というようなものがあるんですね、この分担において。まあ厳密ではないかもしれませんが、そのぐらいはやはり見なければならないものがあるんです。
つまり、
金融界が全員が
責任を持っているものである。その中でのこの数字、母体行、
一般行に分けたということは、三・五兆は限度であってそれ以上持たせると
法律的にも問題であるということがあって、その残りをさらに案分等によって
一般行に持たせたという理屈はわかるわけでございますが、これはやはり
責任論としてはそこで終わりであってはならない、こう思うわけでございます。
次に、系統の話でございますけれ
ども、我々地方選出の国
会議員が地元に帰っていろいろ話をするときに、農業地帯などによく行くわけでございますね。そうすると、ついこの間はもう本当に小さな村落へ行って話をしました。その地区の住民は四百五人、百十世帯ほどの村落に行きまして、大半が水田、そして兼業農家ももちろんあるわけでございますが、
金融機関が全部農協でございます。いわば独占みたいなものでございまして、すべての農民は農協に預けてあるのですね。そして、一人当たりどのぐらい預けてあるのだといったら五百万円。案外多いじゃないかと。貧乏な一村落で一人当たり五百万円。
ところが、五百万円というのは、もちろん貧富の差みたいなものもありましょうから、それは区々でございますし、しかも、
国民年金をもらっている人は年間六十万円ぐらいなものです、一人当たり。それと、ほんの小規模な一ヘクタール未満の田んぼを耕して、あるいは、若い人はちょっと兼業で工場で働いたりする。そして老後あるいは
生活の足しにしよう、あるいはこれから何が起こるかわからない、凶作が三年前のように起こるかもしれませんし、いろいろな支出もしなければならない、新農政にもこたえなければならないということもあって、細々預金をしているわけですね。
つまり、例えば島根県は、都市
銀行なるものの支店というのは全県に一店舗しかないのです。一店舗、都市
銀行の支店は。そうして松江に一軒あるだけなんです。そんな田舎かとおっしゃらないでほしいのだけれ
ども。それで、地銀とか第二地銀が若干店舗を構えておるという中で、いかに農協の
金融というものが大事なものであるか。そして、もちろん郵便貯金というものも大事なものでありますけれ
ども、それが次々に集まったものが何と五十兆円にも上るものになっているわけです。大都会の、例えば土地買収をしてもらいました、かなりのお金が入りましたというのもあるでしょう、もちろん。しかし、単協の預貯金を積み上げていくと、この数字は四十九兆円なんですね。六十八兆というのは、それらにさらにいろいろなお金を加えたものが六十八兆でございますから、誤解のないようにちょっと言いますが、そのように積み上げられた約五十兆円の預金というものは、都市
銀行の預貯金と比べた場合に、いかに大きいかがわかるわけでございます。
それは、例えば大都市
銀行の預金総額というのは、今度、三菱
銀行と東京
銀行が合併しまして、預金ベースでは
日本最大の
銀行になるのですが、それを足して四十五兆円ぐらいなんですね。今ある大都市
銀行、富士
銀行とか第一勧銀とか住友
銀行とかは、第一勧銀が三十五兆、富士が三十五兆、住友が三十四兆、三菱三十三兆、東銀は十兆ですから、足して四十五兆になるんですが、そのぐらいの規模なんです。それよりも大きいのがこの信連の
金融組織なわけでございますね。
そして、調べてみると非常に危ないところがある。
政府側は危ないとは言えない。だから歯に衣を着せたようなあいまいなことを言っているんだけれ
ども、どうも私が聞いたところでは、信連はその負担の二千億を案分比例するのかと思っておったら、その案分を受けられない、つまり、それを案分したらもう倒れてしまうので負担をゼロにしようというところが二つないし三つある。具体的に知っておるわけですが、余り言うとあれですから。そのぐらいあるようでございますね。
つまりこれは、五兆五千億を
新進党の案によって、例えば案分するとか、多少の色をつけてでも負担した瞬間に二つないし三つは
経営がとても立ち行かなくなる。この瞬間に、それぞれ県ごとに預貯金というものは持っておるわけでございますが、その信連が倒れてしまう。こういう認識のもとに、その二千億の分担をそれぞれゼロにするところを二、三つくって、そのほかはさらに案分比例して、そしてやれるかどうか。そうしたら、まあこれならやれるだろうというぎりぎりの線がこの二千億なんです。これ以上持たせたら、またさらにゼロのところをつくるか、倒れるところが出る。そういう厳しい中で検討されたことなんだということをもっときちっと示すべきなんです。
だけれ
ども、積極的に言われるとそれが何か信用不安を起こしたりするから
政府側からは言えないという面はあると思うのですね。
新聞記者も何もわからないんだ。テレビなんかでも、東京に住んでいる人が多いわけですから、私の田舎で農協というものはどういうものをやっているんだということもわからないし、どんなに大切なことかということもわからない。その預金がいかに大切なことかもわからないということでございますから、そういったことに配慮してやったんだということを、農林省事務当局、間違いないかどうか、ちょっと聞きたいと思います。