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1996-04-04 第136回国会 衆議院 予算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月四日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       菊池福治郎君    栗原 博久君       志賀  節君    高鳥  修君       谷川 和穗君    原田  憲君       細田 博之君    武藤 嘉文君       村岡 兼造君    村山 達雄君       谷津 義男君    若林 正俊君       安倍 基雄君    愛野興一郎君       青山 二三君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       川島  實君    河上 覃雄君       左藤  恵君    斉藤 鉄夫君       坂本 剛二君    笹川  堯君       谷口 隆義君    前田 武志君       松岡滿壽男君    山口那津男君       山田  宏君    若松 謙維君       今村  修君    佐々木秀典君       坂上 富男君    田中 昭一君       濱田 健一君    細川 律夫君       錦織  淳君    穀田 恵二君       松本 善明君    矢島 恒夫君       吉井 英勝君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         農林水産大臣  大原 一三君         自 治 大 臣 倉田 寛之君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         警察庁刑事局長 野田  健君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁次長   若林 勝三君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総裁松下 康雄君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 四月四日  辞任         補欠選任   小澤  潔君     栗原 博久君   村岡 兼造君     細田 博之君   石田 勝之君     坂本 剛二君   谷口 隆義君     若松 謙維君   平田 米男君     斉藤 鉄夫君   山口那津男君     河上 覃雄君   坂上 富男君     濱田 健一君   吉井 英勝君     矢島 恒夫君   海江田万里君     楢崎弥之助君 同日  辞任         補欠選任   栗原 博久君     小澤  潔君   細田 博之君     村岡 兼造君   河上 覃雄君     山口那津男君   斉藤 鉄夫君     青山 二三君   坂本 剛二君     石田 勝之君   若松 謙維君     谷口 隆義君   濱田 健一君     坂上 富男君   矢島 恒夫君     穀田 恵二君   楢崎弥之助君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   青山 二三君     平田 米男君 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、理事会協議に基づき、住宅金融専門会社に対する紹介融資等について集中審議を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。草川昭三君。
  3. 草川昭三

    草川委員 新進党草川でございます。おはようございます。  まだ日銀総裁が若干あれでございますので、最初総理に、党首会談のことでお話をお伺いしたいと思います。  三月二十五日の夜でございましたか、橋本総理小沢新進党党首との間で、いわゆる合意事項ということがございました。最初に、この合意の持つ意義、あるいは久方ぶりに新進党党首とお会いになった、いろいろな御感想もあると思うのでございますが、まず、一方の当事者でございます橋本自民党総裁というお立場から御見解を賜りたい、このように思います。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 三月二十五日、議長の御招請を受けまして、まず小沢新進党党首と私、その後各党党首が一堂に会して、与党新進党合意ということ、これは正確に言いますならば、共産党さんもおられるわけでありまして、各党間の合意事項というものが結ばれました。これは御承知のように、「予算委員会及び衆議院本会議における平成八年度予算審議各党意見を尊重し十分な審議を行い、強引な採決は行わない。」「証人喚問等について、予算委員会は、真摯に受けとめ協議して対応する。」という二項目であります。  これは、私ども文字どおり、そのものを文字どおりに受けとめておるということであります。
  5. 草川昭三

    草川委員 その文字どおりというのが、今やまさしくリアルタイムというのですか、同時並行で、いろいろと与野党の間で話し合いが行われているわけでございますが、いわゆるこの第一項目に、「予算審議各党意見を尊重し十分な審議を行い、」云々、こういうことでございます。ただいまこれを文字どおりとおっしゃったわけでございますが、当然この合意が守られるようにされる責任があるのではないか、私はこう思うわけであります。もちろん、一方の当事者である野党の方の我々もそれを真摯に受けとめて対応するということになるわけでございます。  ところが、ついせんだって行われました二日の当予算委員会の夕刻の理事会では、与党側は、あすの金曜日でございますが、締めくくり総括をしたいという提案を行われているわけであります。これは十分な審議を行うという合意合致をするものかどうか。これは若干総理のお立場自民党総裁ということでお伺いしているのですが、予算理事会予算予算でという多分御答弁になると思うのですが、そうではなくて、ひとつ今の合意事項十分合致をするものかどうか、御見解を賜りたい、こう思うのです。
  6. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、大変恐縮でありますけれども、私がここで答弁の席に立ちますのは、行政府の長としての立場で立っているわけであります。そして、先ほどあえて議長の御招請に応じた党首という立場で、国会運営につきまして、各党合意事項をそのとおりに読み上げさせていただきました。  私は、国会、また予算委員会の現場で御努力をいただいております個々具体的なことにつきましてコメントをするべきではないと思います。また、その立場でもございません。ただ、一日も早い本予算の成立を心から願っておることは、私自身そうした気持ちを持っております。
  7. 草川昭三

    草川委員 重ねて言いますけれども橋本総理はぜひこの二項目合意に対して責任を持った対処をしていただきたいということを、強く要望をまず冒頭に申し上げておきたい、こういうように思います。  では、日銀総裁もお見えになっておられますので、この際お伺いをしたいと思うのでございますが、公定歩合を引き下げてから、もはや半年の期間がたっておるわけであります。日銀では景気現状をどのように判断をしておみえになるのか。また、低金利は特に年金生活者利子所得生活の支えにしている方々が犠牲になるという非常に強い不満も新聞投書欄にもたくさん出ておるわけでございまして、こうした点も踏まえた上で、当面どのような金融政策を行われるのか、お伺いしたいと思います。
  8. 松下康雄

    松下参考人 我が国景気は、これまでの金融財政面からの思い切った刺激効果もございまして、緩やかながら回復しつつあると判断をいたしております。実際、最終需要動向を見ますというと、公共投資住宅投資がかなりの増加を続けておりますほか、個人消費設備投資も緩やかな回復傾向にございます。こうした需要動向を反映して、生産も、多少の振れはありますけれども、総じて増加基調でございます。また、企業収益水準も徐々に高まってきております。  ただ問題は、景気回復の主力が、公共投資住宅投資といった政策効果に後押しされた需要から、設備投資個人消費などの民間需要にうまくバトンタッチされていくかどうか、そういうことでございます。この点で、設備投資一つとってみましても、その回復の強さや広がり度合いにつきましては、現段階ではまだ見定めがたいものもございます。したがいまして、私ども金融政策運営に当たりましては、当面景気回復基盤を万全なものにするということに重点を置きながら、情勢の展開を注意深く見守ってまいることが適当であると考えております。  なお、この点で、一般市場金利同様に、預金金利も極めて低水準となっておりますために、利子所得に多くを依存していらっしゃる人々生活影響が及んでいることは否めないところでございまして、私どもとしましてもこの点はまことに心苦しく思っております。  しかしながら、現在回復しつつある景気をインフレなき持続的成長経路に確実に乗せてまいりますことが国民経済全体の観点からは何よりも重要でございまして、これが達成されれば、結局は預金者を含めて国民に広く利益がもたらされるものと考えております。こういった点をぜひ御理解いただきたいと考えておる次第でございます。
  9. 草川昭三

    草川委員 総裁の注意深く見守るというお言葉、これは毎回私どもも聞くわけでございます。そしてまた、利子所得者現状ということについての理解、一定の理解は示されているわけですが、国民の広い利益考えなければならないということで、当面の間、金利の問題についての見通しを余りお触れになられなかったわけでございますが、昨年の末以来、長期金利というところを見てまいりますと上昇してきているわけであります。  こうした長期金利動向というのは、今後の景気回復のいわゆる足を引っ張るという形になるのではないかと思うのですが、その点の見解をお願いしたいと思います。
  10. 松下康雄

    松下参考人 御指摘のように、昨年末以来長期金利は、わずかではございますけれども、ごくゆっくりと上昇いたしてまいっておりますが、こうした動きは、基本的には着実に経済の実勢が好転しているということを反映したものと見てよろしいのではないかと考えております。  これは一般論でございますけれども市場では先行き景気回復の期待が高まりますと長期中心金利が上昇し始めることが少なくありません。その場合に大事なことは、こういった動き企業先行き収益見通しや事業の採算性の改善などと整合的であるかどうかという点でございますけれども、その時々の金利形成企業先行き見通しと整合的なものであれば、それが企業行動制約要因になりますとか、さらには景気回復の足を引っ張るということにはならないと思っております。  もちろん、そうは申しましても、市場金利でございますから、いろいろな理由で時には行き過ぎた動きを示すこともございますので、そういう点は十分に念頭に置きまして、この先の金利形成がその時々の人々先行き見通しと合ったものであるかどうか、企業収益見通しなどとも照らし合わせながら十分注意して見てまいりたいと思っております。
  11. 草川昭三

    草川委員 そこで、今の答弁に引き続いて、要するに、日本金利上昇というものが当然国際金融にも大変影響を与えるわけでありますが、米国やヨーロッパにも波及するおそれがあるといった、いわゆる金利の国際的な関連というのですか、連関という言い方が正しいのかわかりませんが、どのようなお考えを持っておみえになるのか、また、実際に金融政策を行っていく上で、日銀としてはどのような位置づけを持っておみえになるのか、お伺いしたいと思います。
  12. 松下康雄

    松下参考人 一般論として申し上げますが、金融市場の国際的な連関が強まっております中で、実質金利中心として、ある国の金利上昇が状況に応じましては他国に波及する場合もあり得るということは否定できないところでございます。  しかし、その場合、例えば日本金利上昇景気拡大を反映したものであれば、それは、我が国景気拡大は当然輸入の増加等を通じまして世界需要増加を促すことにもなるわけでございますので、日本景気回復による金利上昇が、何がしか国際的に波及することはございましても、それが直ちに世界景気の足を引っ張る要因になるという見方はやや短絡的ではないかと思っております。  先ほども申し上げましたとおり、当面の金融政策運営に当たりましては、景気回復基盤を万全なものとするということに重点を置きまして臨んでいく方針でございまして、こうした政策を通じて我が国景気回復がより確かなものになっていけば、世界経済の安定的な発展にも貢献できるのではないかというふうに考えております。
  13. 草川昭三

    草川委員 日銀金融政策については自信を持って進めておられるという裏返しの御答弁でもあると思うのでありますが、いろいろとこの委員会でも過去に問題提起が出ておりますが、日銀法改正という話題が出ております。きょうの新聞にも若干きのうの動きで報道されておったようでございますが、日銀法改正について日銀総裁としてどのようにお考えになっておられるのか、改めてお伺いをしたいと思います。
  14. 松下康雄

    松下参考人 これは、私が機会ある都度、常々申し上げてまいっていることでございますけれども、現在の日銀法昭和十七年の戦時体制下に制定されたものでございますから、例えばその表現など現状にそぐわないものとなっておりますし、また政府に広範な監督権限を付与しているという点も法律制定当時の雰囲気を反映したものであろうと思っております。  ただ、金利政策について見ますというと、昭和二十四年の法律改正によりまして日銀政策委員会制度が導入をされまして、日銀専管事項と定められております。  また、決済システム運営や考査、モニタリングなどを通じました金融政策の安定のために現実日本銀行が果たしておりますいろいろな役割も、具体的に明定はされておりませんけれども法律最初にあります「信用制度保持育成」という基本的な責務に即したものとして、今日まで理解され、運用をされてまいっております。  こうした意味で、現在日銀法はさまざまな問題があるとは申しましても、これまでのところ、日本銀行使命遂行に支障を来さないように、各方面の御理解を得ながら、注意深く運営されてまいったところだと存じております。  しかしながら、今後経済市場化あるいは金融国際化がさらに進展していくということを考えますと、中央銀行に対する信認を維持しながら適切な政策運営を確保してまいります上で、現在の法律では、先ほど申し上げましたような性格を持っておりますので必ずしも十分には対応できないという可能性もございます。したがいまして、現在の日銀法は、金融経済の変化に即しまして、また他国中央銀行法と比べて遜色のないようにこれを見直すことが必要と考えております。  その場合に、日銀法我が国の通貨、金融基本法ともいうべきものでありまして、今後長きにわたって経済に対して大きな影響を及ぼしていくものでございますから、幅広い観点から、国民各層の間で十分に議論を尽くしていただくことが重要であると思っております。この点につきまして大方の御賛同が得られ、中央銀行のあり方についての議論が行われるのでありましたならば、私どもといたしましてもそれに積極的に貢献をしてまいりたいと思います。
  15. 草川昭三

    草川委員 諸外国に比べても遜色のないよう見直すことが必要と考えられる、こういう意欲的な御発言だと受けとめます。  そこで、日銀総裁にお伺いしたいのは、今この委員会で問題になっておりますいわゆる住専問題についてでございますが、この住専問題というのは、我が国金融システムが直面をする不良債権問題の象徴であることは言うまでもございません。その早期解決が求められるのは当然でございますが、仮に住専問題が解決できたとしても、いわゆる住専以外のノンバンク不良債権問題など、残された課題は大変多いと私は思うわけであります。  現実に、先日も太平洋銀行破綻が表面化しておりますし、また、一部の金融機関については、融資先ノンバンク等の問題などが絡みまして、経営不安説がたびたびこれは内外の報道でもされているわけでございますが、我が国金融機関不良債権というものを本当に克服できるのだろうか、大変これは国民心配をしておることでございますが、中央銀行総裁日銀総裁としての見解を賜りたいと思います。
  16. 松下康雄

    松下参考人 住専問題は、その金額あるいは関係者の多さ等から見まして、現在の我が国金融システムが当面しております最大の不良債権問題でございますけれども、御指摘のように不良債権問題の全体からすればなおその一部にすぎません。それは事実でございます。  したがいまして、今後、不良債権問題全体を克服いたしまして我が国金融システムに対します内外信認回復してまいりますためには、各金融機関が、住専以外の不良債権、これは御指摘ノンバンク向け不良債権もその一部でございますけれども、これについても処理を急ぐとともに、これは、より一層のリストラや自己資本回復などに真剣に取り組んでまいることが不可欠であると思っております。  もとより、処理すべき不良債権の額は極めて多額に上っておりまして、個別に見れば他に倍する努力を必要とする先もございます。実際これまでも、残念ながら経営破綻に至ったケースも幾つかはございました。  しかしながら、我が国金融機関収益力あるいは内部留保規模等を踏まえますと、私は、我が国金融機関は、全体としてはこの不良債権問題に十分対応することが可能であるというふうに考えております。
  17. 草川昭三

    草川委員 私ども心配というものはまだまだ解決されないわけでございますが、我々もいろいろとない知恵を絞りながらいろいろな議論をしておるわけであります。  例えば、日本と同じように不良債権問題を経験したアメリカでは、不良債権というんですか、資産証券化それから流動化ということが非常に活発に行われております。私もかつての本委員会でそのような発言をした経験があるわけでございますが、いわゆる金融機関不良債権処理にこの資産証券化流動化ということをかなりうまく運用をしている、これはアメリカの話でありますけれども我が国においても、そうした面での工夫なり環境整備ということが大変必要ではないだろうか。  これはまた後ほど大蔵省にもお伺いをしますから予定をしておいていただきたいんですが、日銀総裁の御意見を賜りたいと思います。
  18. 松下康雄

    松下参考人 御指摘のとおり、米国におきましては、近年資産流動化証券化が活発に行われておりまして、こうしたことが米国におきます銀行不良資産処理に大きく寄与いたしたと言われております。  また、このような資産証券化取引拡大に伴いまして、投資銀行等営業基盤の強化でありますとか収益拡大にもつながっているという指摘もございます。  もとより、我が国米国におきましてはそのよって立つ制度等の面でいろいろ違いもございますし、米国の手法がそのまま持ち込めるものとは限りません。しかしながら、我が国におきましても、今後資産証券化流動化市場が整備されてまいれば、不良債権流動化が容易となり、この不良債権問題解決の一助になりますほか、ビジネスチャンスの拡大を通じまして我が国金融資本市場活性化にも資するというふうに考えております。  こういった意味で、日本銀行といたしましては、資産証券化流動化市場が整備されてくることは基本的に望ましいことであるというふうに考えておりますが、この間、既に我が国におきましても、資産証券化流動化に関しましては幾つかの進展も見られております。  例えば一例を挙げますと、本年二月には、国内のいわゆる資産担保有価証券に関します、ABSに関しますルールを定めて市場を整備するというような動きも起こっております。  こういう状態でございますが、私どもといたしましては、今後とも、米国の事例も参照しながらこういった動きを支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  19. 草川昭三

    草川委員 どうも総裁ありがとうございました。総裁の方の質問は以上で終わりますが、たしか通産省では、二年前ですか、リース物件等についてはこれを証券化するというような準備も行われており、法律もできたわけでありますが、流動化というところまではいっていないわけであります。  でございますから、大変これは中身が難しい問題であるということは我々も承知をしておるわけでございますが、今後の長期にわたるところの不良債権流動化証券化等々を、まあ不良債権と言うとちょっと問題があるんですが、抱えているところの資産証券化流動化ということは一つの方向ではないだろうか。大蔵省の中でも、若干金融制度調査会等々で議論がなされているやに今聞いておりますので、この点について改めて大蔵大臣から見解を求めたいと思います。
  20. 西村吉正

    西村政府委員 不良資産証券化あるいは流動化という問題につきましては、今まで私ども不良債権処理に関しまして、バランスシートと申しますか、銀行経理処理上の問題としては随分と努力が重ねられてまいったと存じますが、そこから先の実質的な不良債権処理という努力がまだまだ十分でないという認識は持っているわけでございます。  そういう意味におきまして、不良資産証券化流動化ということでどのような方策考えられるか。当局といたしましては、これまでに信託方式及び特別目的会社を用いました担保不動産流動化だとか、あるいは、共国債権買取機構が保有する担保不動産処分促進策の拡充などの方策に努めてきたところでございますが、なおそれ以上どのような方策をとり得るかという点に関しまして、ただいま御指摘のような勉強をも昨年来しているところでございます。  まだまだその成果を十分に上げるに至っておりませんが、なお努力を続けたいと考えております。
  21. 久保亘

    久保国務大臣 ただいま草川さんから御指摘のございました担保不動産流動化、例えば証券化などにつきましては、非常に重要になってきているのではないかと思っております。これらの問題につきましては、ただいま御意見のありましたことを踏まえて今後さらに検討、努力しなければならないことだと考えております。
  22. 草川昭三

    草川委員 総裁、ありがとうございました。結構でございます。  では次の問題に移っていきたいと思うんですが、住専破綻処理をめぐって大蔵省立入調査結果が国会に提出をされ、きょうはその資料を中心議論をするということになっておりますので、その趣旨で質問をしたいと思うんです。  この大蔵省の一次調査、二次調査、さらに、国会法に基づく資料要求、あるいは議院証言法に基づく資料要求等が出ておりますが、この資料の中から見た場合に、五年前の時点で既に住専というのは破綻をしておるということを大蔵省というのはもう認識をしているのではないか、私はこう思うわけでありまして、この住専のずさんな経営を放置をしていた責任は私は重要だと思うのです。  それで、今から申し上げることは、さらにこのずさんな住専というものをなぜもっと早く処置をしておかなかったのか。これを少し時系列的に農水省と大蔵省に聞いておきたいと思うのです。  まず大蔵省にお伺いしますが、住専各社に外資系の金融機関が貸し出しを行っておりますけれども、外資系の金融機関がどのように貸し出しを行っていたか、大蔵省に事実経過をお伺いをしたいと思います。
  23. 西村吉正

    西村政府委員 ただいま手元に御指摘の点に関するデータを持ち合わせておりませんので、後刻調べまして御報告をいたすようにいたしたいと存じます。
  24. 草川昭三

    草川委員 大変恐縮ですが、これはきのうじゅうに大蔵省に事前に、きょうこのことは質問をしますよということを申し上げておるわけであります。  それで、この住専関係資料の二十八ページに「住専七社における業態別借入状況の推移」というのがあるんです。これは、まず私、二十八ページでは、会社名、七社合計の分を今見ておりますが、都市銀行からは平成七年三月末に一兆四千四百九十億ありますよ、長期信用銀行からは一兆五千億ありますよ、信託は二兆円ありますよというのがずっと出ておりまして、「その他」の欄に、平成七年の三月末には六千二百十億ございますよ、こういうことになっておるわけであります。  この「その他」の欄の中には、すべてではございませんけれども、いわゆる外国系金融機関、外資系金融機関の貸し出しは当然この「その他」の中に含まれていると思うのですが、この点についてはどうお答えになりますか。
  25. 西村吉正

    西村政府委員 提出資料二十八ページのデータは御指摘のとおりでございますが、外資系の貸し出しが含まれているとすれば、この「その他」の中に含まれているであろうと思います。
  26. 草川昭三

    草川委員 それで、この二十八ページの住専七社における「その他」の欄には外資系の融資が入っておるよということは今お認めになったわけですが、これが一番たくさん住専に貸し出しをされている、「その他」の項目でくくられて最高になっておりますのは、実は平成三年三月末なんです。ここで二兆二百七十一億という数字が上がっております。だから、この二兆二百七十一億の中に外資系の金融機関の融資があったことは間違いないと思うのです。  その金額を、私ども農水省にも聞きました。ところが、農水省は、一義的にはちょっとなんということを言っております。これは私どもがいろいろな関係者から聞いたところによりますと、大体外資系はこの当時三千億から四千億、住専七社に貸し出しをしていたということが言われているのですが、その点どのように御理解になっておられるか、これは銀行局と農水省の経済局にお伺いをしたいと思います。アバウトで結構ですから、細かいことを言いません。どの程度のものが貸し出しをされていたのかということを聞きたいと思います。
  27. 西村吉正

    西村政府委員 正確な数字は後刻確かめたいと存じますが、概数におきまして今のような御指摘の数字だったと記憶をしております。
  28. 草川昭三

    草川委員 やはり三千億から四千億、外資系の金融機関住専に貸し出しをしていたというのは、これはやはり大変な金額だと思いますね。  そこで、この住専に貸し出しをしていた外資系の金融機関の主な名前というのは、これは報告できますか、お伺いします。
  29. 西村吉正

    西村政府委員 個別の金融機関の営業活動に関することでございますので、私どもの方から一方的にお答えするということは難しいかと存じます。
  30. 草川昭三

    草川委員 個別の金融機関の名前が出ないというのですが、それはそれでいいです。要するに、外資系が三千から四千と言っておりますが、私どもは、四千億程度の融資が、融資というのですか、貸し出しがなされていた、こういうように実は聞いておるわけであります。  そこで問題は、その後この外資系の貸し出しというのは一体どうなったのか、不良債権としてそのまま残っておるのかどうか、これをお伺いしたいと思うのです。もっと具体的に言うならば、例えば平成六年の三月末に外資系の金融機関の貸し出した金額はどうなっておるか、改めてお伺いしたいと思います。
  31. 西村吉正

    西村政府委員 私の記憶によりますと、六年三月末時点では外資系の残高はなかった、ゼロになっておったように記憶をいたしております。
  32. 草川昭三

    草川委員 今お話がありましたように、外資系金融機関はゼロだ。だから、逃げたわけですよ。これは極めて私は重要なことだと思うのです。  でございますから、もう一回この二十八ページの数字を見ますと、ちょうどこのピーク、平成三年のときには二兆二百七十一億、ピークだった。平成四年になりますとこれが一兆七千七百八十三億に減るわけです。平成五年の三月末にこれがさらに一兆一千百八十億に減るのです。そして平成六年三月末に七千七百四十二億だけが残るのですから、その間に外資系が逃げたということになるのです、ゼロですから。これは引き算をしてもやはり四千億になるわけですよね。  外資系が逃げたということは、これはやはり住専というのは危ないということで私は引き揚げたのではないか、そういうようにこの判断をすべきではないだろうかと思うのですが、この点についてどうお考えになるのか。農水省、これは特に系統金融がこの七社には融資をしておるわけです、貸し出しをしておるわけでありますから、銀行局と農水省、双方に御意見を聞きたいと思います。
  33. 西村吉正

    西村政府委員 これは住専とその取引先との関係でございますので、その取引関係がどのような理由で変化したかということは当事者に確認する必要がございますが、恐らく、住専経営上協力を求めていく上で、外資系の方々に対してはなかなかお話し合いが難しかったというような点もあろうかと推測をいたしております。
  34. 堤英隆

    ○堤政府委員 住専に対しましては、農水省といたしましては、指導監督権限もございませんので、いかなる金融機関がどういう貸し付けをしていたかということについては全く存じておりません。
  35. 草川昭三

    草川委員 そこで、こういうことなんですよ、私が今から言いたいのは。外資系は、もうこれは住専は危ないということで、残高ゼロにして一斉に逃げたわけです。恐らく、今銀行局長からお話がありましたように、勘弁してくれよとか元金だけは置いてくれよとか、いろいろな話があったことは想像にかたくございません。  しかし、これを日本の方に置きかえてみますと、実は、系統金融機関は外資系とは全く違った対応をしているわけであります。  平成三年に四兆八千五百九十七億の貸し出しをしていました系統は、平成六年三月には五兆五千四百十九億という現状になっております。これも二十八ページの中に農林系金融機関の金額というのがあるわけであります。この対応の違いが一体どこから出てきたかというのが、私はこの住専問題の極めて重大なポイントだと思うのです。  なぜ農協系の金融機関が外資系のように住専から撤退をしなかったのか。これは、系統金融機関住専の危機的な状況というのを本当に知らなかったわけではないんですよ。事実、私が聞きましたところの系統金融機関の幹部は、外資系が引き揚げた、これは危ないと思って系統も融資を引き揚げたかったと発言をしておみえになる方もいるのです。  農水大臣に改めてお伺いをしますが、系統はこのときになぜ引き揚げなかったんでしょう。お伺いしたいと思うのです。
  36. 大原一三

    ○大原国務大臣 私がいろいろ調査いたしましたところでは、引き揚げたいという希望をいろいろの機会に表明したという事実があるということをお聞きをしております。しかしながら、住専の巨額な融資の実態等から、何とか協力をしてくれと心これは実は、第一次の再建計画のときも、それから例の申し合わせ事項ができた第二次再建計画のときも、同じような、今委員指摘のような意見が各方面から出たということも実態であったようでございます。
  37. 草川昭三

    草川委員 これはもう本委員会で長々と何回か昨年来取り上げておりますし、私も昨年の住専の集中議論でも触れておるところでありますが、もう一回ここのところをしっかりと関係者がかみしめませんと、今後のスキームの問題についても正しい答えが出てこないのではないか、私はこんなように思うわけであります。  今農水大臣は、危機的な状況であることを承知をしていた、こういうことも御発言なすっておみえになるわけでありますが、正確に言うならば、平成五年二月三日の、大蔵省銀行局長と農水省経済局長との覚書が交わされたということに、やはりここへ戻ってくるわけですよ、問題は。  今言われましたように、信連だってたくさんの方々がお見えになりますから、外資系が引き揚げた、これは危ないぞというのは当然だと思うのです。だけれども、待ったをかけた。あるいはまた信連の方も、本当にいいのですかということを繰り返し関係先に訴えていた。特に、大蔵省の第一次立入調査というのは平成三年から平成四年、こういうところで行われて、それから各社についての第一次の再建計画というのが話し合われているわけであります。そこの中で残高維持ということで支援要請がなされていく、こういう流れがあるわけでありますね。  そこで、本来はここで、外資系が見限ったところで、我々が主張をしておりますように、住専というのは本来の目的を失ったんだから、このときに法的処理、あるいは会社更生法の清算業務なり破産処理、こういうことをやっていれば、今日のいわゆる住専問題というのはなかったはずなんです。あるいは六千八百五十億の税金投入ということも必要なかったと思うのです。  このころの経過について、総理はどのような御判断を持っておみえになるのか、まあこれは反省ということになると思うのですが、御見解をお聞きしたいと思います。
  38. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は一々経過を繰り返すつもりもございませんけれども、この平成五年の覚書と申しますもの、これは当時大蔵省及び農水省の間におきまして、この問題を取り上げ、当事者間の協議が円滑に行われていくように住専の再建問題の取り進め方について議論を整理した、従来からそう申し上げてまいりました。  そしてその中におきまして、農協系統としては、今委員も触れられましたけれども、両省の間の覚書あるいは念書なども含めまして、住専の設立あるいは運営など過去の経緯から見て、住専問題については母体行が責任を持って対応すべきだということを主張しておられたものと思います。  今回の処理策というものがそうした過去の経緯あるいは当事者経営状況、対応力等を踏まえて策定されてきた、その限りにおきまして、今の状況にございます。
  39. 草川昭三

    草川委員 そこで、今になってみると総理も、両省の話し合いの一つのメモだ、こういうような経過を認めておみえになるのですが、実は当時はこれはやはり秘密だったのですよ。公開されていなかったのです。  そこで、私は前回も申し上げましたが、実はこの協定が行われました二月三日の二日後にこの予算委員会で、覚書とは言っていないのですが、農水は一札もらったらしいな、銀行局から一札とったらしいなという質問をしているのですよ。それで、林大蔵大臣は当時そのことに触れなくて、例の、前回も申し上げたような宮澤総理の、国民に迷惑をかけないという答弁になっていくのです。  だから、そのときに本当にオープンにして議論をすれば、私は何回か申し上げますけれども、今日のようなことにはならなかった。なぜ秘密だったのだろうか。ここをちょっともう一回検証してみたいと思うのです。  大蔵、農水が二月三日のこの覚書を結んだのは、これは徹夜交渉だったのでしょう。最終的な結論が出たのは朝の三時か四時だと聞いておりますが、改めて、そういうものであったかどうか、農水省に聞きたいと思うのですが、どうですか。
  40. 堤英隆

    ○堤政府委員 二月三日に覚書を交わしたわけでございますけれども、その当時、やはり両当事者間の話し合いが非常に難航するという状況を受けての、先ほどの総理からの御説明のように、議論を整理するということでございましたので、かなり深夜にわたって話し合いが行われたというふうに私も聞いております。
  41. 草川昭三

    草川委員 かなり深夜というのは、実際は朝の三時だというのですが、銀行局、どうですか。
  42. 西村吉正

    西村政府委員 私は当時の直接の担当者ではございませんので、私の経験から申し上げるわけではございませんけれども、非常に夜遅くまで交渉が難航したというようなことは仄聞をいたしております。
  43. 草川昭三

    草川委員 いずれにしましても、午前三時か、午前様というのか徹夜になるのか、役所は夜遅いのが当たり前と言えばそうですが、とにかく難航したということは今認められました。  そこで問題は、なぜそんなに夜遅くまでやらなければいけないのか。普通ならば、翌日もう一回交渉しようじゃないか、あるいは三日先にやろうじゃないか、来週やろうじゃないかということなんだが、とにかく朝までやろうというのは、実は二月四日、まあ朝方ですから当日でございますが、全国の信用農業協同組合のブロック代表者会議が開かれていたわけであります。それに間に合わせるための交渉が実は行われたのではないですかという質問をしたいと思うのですが、これは農水省からお伺いしたいと思うのです。
  44. 堤英隆

    ○堤政府委員 二月四日に信連協会の中でそういった御議論のための会議が設けられたということは承知をいたしておりますが、この会議に特に役所の方から何か出て話をしたという形跡もございませんので、そういう意味で、二月三日と二月四日が関連していたかどうかということについては、当方としましては、ちょっとそのところはわからないということでございます。
  45. 草川昭三

    草川委員 もうこういう時期になってきたんだからざっくばらんに言っていただいたらいいんですが、実は去年、野呂田農林大臣は、農協系の方からも、とにかく元金を返してもらいたい、元金を早く返してもらいたいという声が非常に強かった、しかし、この協定によってこれはやめましたということを答弁でも言っておるんです。これは米沢質問に対する答弁ですけれども。  それで、今の大原大臣の答弁にもありましたように、当時、外資系の金融機関が引き揚げたわけですから、これは知らないわけないですよ、金融関係者は。それはえらいことになったな、さすが外人だな、外国系だな、これはこっちも危ないぞ、おい、元金はいいか、せめて元金を取り返そうという意向があったがために、この二月四日の信用農業協同組合のブロック代表者会議、ブロック代表者会議というのは実力者の集まりですよ、実力者の集まりで、どうなったんだ、どうなったんだといったところに、実は内輪の協定が朝方締結されましたよ、大蔵省の方は母体行責任ということを認めましたよという報告が行ったんではないでしょうか。これは農水大臣、どうですか。
  46. 大原一三

    ○大原国務大臣 今委員おっしゃいましたように、農協系がこの問題に非常な危機意識を持っていたことは事実のようでございます。この申し合わせば、何時にできたか私はよく知りませんけれども、四・五%に金利を下げる、しかし、それ以上の迷惑はかけないということがはっきり言われておりまして、それがいろいろ紛糾しておりました関係者の調整という形でまとまったわけでございまして、これを見て当然農協系の方は安心をしたということは事実だろう、私はこう思っております。
  47. 草川昭三

    草川委員 それで、これは今もちょっと触れましたが、昨年の十二月の十三日の予算委員会でやったんです。新進党の米沢さんがやはり同様趣旨の質問をしたときに、当時の野呂田農林大臣は、「当時系統としては元本を回収する動きを持っておったのでありますけれども、」この二月三日の覚書を「信頼して元本の回収を断念したという経緯」があると明言をしているんです。これが私は、いわゆる系統農協の基本的なスタンスだと思うんです。  まさに系統金融の元本回収を阻止するために結ばれた覚書が、大蔵、農水の思惑どおりその効果を発揮したからこそ、先ほど来私が触れておりますように、この「住専七社における業態別借入状況の推移」を見ても、農林系金融機関というものが四兆八千から五兆六千、これはふえるんですよ。そして五兆五千九百、若干減りますけれども五兆五千台。最後の平成七年、昨年の三月末では五兆四千。こういう形でキープされているのではないか、こういうように思うわけであります。  ところが、問題は、せっかくこの覚書をつくったものの、これは秘密協定になっているわけですね。それで、信連のブロックの代表者会議に言葉としては教えられるわけですが、心配心配で仕方がないわけですよ。これは外資系も逃げちゃったんだから。何か銀行局長経済局長が覚書をやったらしいんだけれども、担保はあるんだろうか。ということで、平成五年の二月の十六日、いわゆる局長の覚書をつくったのが二月の三日、十日過ぎに関係者大蔵大臣と農水省に要請書を提出をするわけです。本当に元本ロスの負担はさせないんですね、こういう要請書を出すんですが、これを受けた覚えがありますか。これは同様の要請をしたと思うので、農水から答えてもらえばいいです。
  48. 堤英隆

    ○堤政府委員 平成五年の二月十六日に、農協系統の方から大蔵、農水両省に対しまして要請書が提出されております。
  49. 草川昭三

    草川委員 これは、私が今言ったことをそのままお認めになったわけですね。  そこで、もう一回戻りますけれども、この覚書の中には、「母体金融機関に次の点を文書により確約させる」と銀行局長は言っておるわけですが、母体行の方は何も知らされていないんですね、こういう協定が結ばれたというのは秘密ですから。大蔵省と農水省は何かやったらしいよ、私が聞いたように、一札を入れたらしいねという程度の情報しかなかったわけです。だから、系統金融機関の方は、もっとそれをはっきり担保させようというので十六日に要請書を出すわけですよ。  それで今度は、下手をすると外資系のように、外資系が引き揚げたんだから系統も引き揚げるんじゃないかという心配があるから、これは一札をつくらなければいけないということで、いわゆる平成五年二月二十六日の日住金の債権者会議というのが行われるわけであります。東京霞が関の日本住宅金融会社の本社に母体行を集めまして、いわゆる十二時間会議というのをやるわけであります。缶詰会議です。このときには母体行九社が集まるわけですよ。  それで、そのときに出てきた議論というのは、金利減免による収益支援、地価は今後十年間で二五%上昇するであろう、こういうことを前提に再建案が明示をされまして会議が行われます。当時の話でありますから、そんなことを信用する母体行なんていませんよ。土地が二五%も上がる、そんなでたらめな甘い再建案なんかには私どもは協力できない、物すごく抵抗するわけです。この日住金のメーンバンクは三和さんでしょう。それから大和銀行でしょう。いろいろな銀行があるわけですよ。横浜銀行とかいろいろな銀行がある。こういうところはみんな嫌だと言うわけですよ、こんな再建案に協力するのは。  どういうやり方をされたかというと、テーブルの上に移動電話が、いわゆる電話が六台か七台、だれが持ち込んだか知りませんが置かれて、反対をするところは本社へ電話してくれよ、本社の頭取にじかに電話をしろよ。そこで、その会議の中から大蔵省銀行局に会議の内容というのは逐一報告された。  いわゆるこれはMOF担と言われる人ですよ。この前も加藤幹事長が言った、MOF担というのをなくすることが、金融界から、銀行局からMOF担、大蔵省担当というエリートをなくすることが真の金融行政だという御発言がありましたが、あれは問題提起だと私も思うんです。このMOF担が大蔵省銀行局に電話をし、審議官の方から今度は親銀行の頭取あてあるいは担当の重役に、おい、あなたのところ、現場はまだ認めていないよ、これを認めなければ農協が元金全部引き揚げるよ、日本金融秩序を壊していいのかというプレッシャーをかけるわけですよ。  そういうまことにドラマのような話があって、最終的にやむを得ないというので、この日住金の再建計画というものを関係会社、母体行が認めるわけですよ。その認める最後にどういうことが行われたかというと、いわゆる一枚のペーパーが出てくるわけです。それで、悪いけれども皆さんよ、念書を書いてくれ、こう言うわけですよ。念書を書いてくださいよと。どういう念書ですかと言うと、この二月三日の銀行局長経済局長が交わしました覚書の裏づけになる念書をつくってくれ、こうやるわけです。  この念書について、また今度は、各銀行は嫌だと言うわけですよ、そんなものを約束するのは。我々の承知をしていないところでそんなことを決められたってだめですと。しかも三週間前に決められているのでしょう。母体行に相談なく銀行局長はこの覚書に署名をしておるわけですよ。それで、農協系に元金の引き揚げはやめろやめろ、こう言う。ところが、農協系は信用しない。いわゆる外資系が引き揚げたわけですから、目の前で見ておるわけですから。  そこで、この文書というものが出てくるわけですが、この文書についてはもうくどくどと申し上げませんけれども、皆さんのお手元にありますが、全部で百七十行が、生保を入れまして百七十行が同一文書の、それぞれの住宅金融の再建計画について、金融システム安定化の観点から、責任を持って対処してまいる所存、それで、当局においてもよろしく御理解、御助力のほどをお願いを申し上げるといって、あて先は大蔵省銀行局に出すのです。  本来ならば、これは農水省なり、農水省は直接ではありませんが、いわゆる系統農協に出さなければいけない念書なんです。それを大蔵省銀行局が説得をして、悪いけれども銀行の名前だけ書いてくださいよ、ゴム印でいいんだよ。普通ならば、こういう誓約書、念書は角印が要るのですよ、何々銀行頭取の判だとかという。角印でなくてもいいんだよ、ゴム印でいいんだよという念書が百七十部出てくるのです。これが今皆さんのお手元に行っているでしょう、この念書が。だから、私どもは、きょうのこの集中審議でぜひこの念書の経過ということは明らかにしておかなければいけない。  百七十枚出て、こんなものを信用した農協系金融機関も私はどうかしておると思うのですよ。こんなことでごまかされておったのが今日の問題になるんじゃないですか。だから、ここで農協系のプレゼントの根拠は何かと言われたって、あなたたちは答えられぬのですよ。これがあるから銀行を信用して私どもはお金を貸したんだ、元金の返済はやらなかったんだ、日本金融システムのために協力をしたということが言いたいのでしょう。  ところが、あなたたちははっきり言わないから、ここでぼろかすに農協はおかしい、農協を助けるために金が出るといって、言われっ放しでしょう。言われっ放しであなたたちが黙っているんだから、私は別に農水省から票をもらっておるわけじゃないから、農協の応援は全然もらっていないんだから、基本的なスタンスは農協の肥大化を批判してきた男だからそれでいいんだけれども、それはいささか筋が通らぬよということで私はここで声を大にして物を言っているのです。その点は、農水省関係、どういうような御答弁をされますか、お伺いをしたいと思うのです。
  50. 大原一三

    ○大原国務大臣 ただいま草川委員から私よりはるかに詳しい経緯の御説明を聞いて、なるほどそういうこともあったのかなと私も実は感心をしておったところもございます。  ただ、やはり貸し込みが非常に大きいという事実ですね。引くに引けない実態というようなことも、農協系の皆さん方の判断の底にあったのじゃないのかなという感じも持っております。そういう意味で、今御指摘のように、引き揚げをきちんとやれば確かに問題は起きなかったと思うのであります。  しかし、委員指摘のような経緯から、やはりこの際は四・五で我慢しよう、ほかにいい貸出先があるわけじゃなし、そういった意味でお話のありましたような経緯、それに依存してやはり何らかの安堵感を持って融資に走ったという事実は私も認めなければならぬと思います。  しかしながら、御指摘のように、農協系のために万事これ公的資金を入れるんだということについては、過般から草川委員指摘のように、いわゆる母体行の責任、その経営の実態、内容等を見るにつけ、我々としてはやはりこの際、母体行の責任を明確にするための追及、これは農林水産大臣として言う限界を超えていると思うのでありますが、この辺をしっかりやってもらいたいなということを感ずるわけでございます。
  51. 草川昭三

    草川委員 銀行局長にお伺いをしますが、これは大蔵大臣の方がいいと思うのですが、この念書をつくる発案をしたのは、これは当時の大蔵大臣でしょうか、あるいは銀行局長なんでしょうか。  これは報告によりますと、銀行局長は当時の大蔵大臣には報告していないということを本委員会では答弁をしておりますから、当時大蔵大臣は知らなかったと思うのですが、この発案者はだれですか、覚書のこの文面等あるいはまた念書の発案者は。
  52. 西村吉正

    西村政府委員 当時、そのいわゆる覚書というものは事務的に作成したものとは存じますけれども、当時の深刻な金融情勢のもとでこの問題をどのように取り扱うかということにつきましては、大臣をも含めまして大蔵省の内部で検討をした経緯があると承知をいたしております。
  53. 草川昭三

    草川委員 「母体金融機関に次の点を文書により確約させる」、やはりこれは銀行局というのは強い権限があるのですね。  私が申し上げたように、あらかじめ母体行を呼んでおいて、こういうことになるよと言って説得をしたわけじゃない。一枚のペーパーが配られて、皆さん右へ倣えと言ったのは、三週間後の日住金の再建の席上において初めてこの念書というものの提示が求められる。なぜこんなものを書かなければいけないのと言ったら、三週間前に銀行にも相談なく、MOF、銀行局長経済局長とのこの秘密約束があったから裏づけろ、こういうことです。  だから、過日、日本興業銀行の黒澤頭取の参考人出頭のときに、あなたはいつこれを書いたのですかと聞いたら、いや、とにかくもう前にほかの銀行が五つほどこの念書を出したから、あなたのところも出しなさいと言われて出しました、こういう答弁になったのです。  こういう行政というものを一回とことんまで検証しないと、日本金融政策というのは、先ほどの日銀総裁答弁ではありませんけれども、国際的に批判を今受けておるわけですから、私は非常に事は重要だと思うのですが、この点について、総理、どういうように思われますか。  形式だけでもいいから銀行印を捺印をしてくれといってこういうような念書が出る。しかもそれが農協系を信用させることになる。結果として、そのときに本当に住宅金融専門会社が行き詰まった、第一次調査でわかっておるわけですから、そのときに私ども新進党が言うように法的な処理をすべきだ。破産にすべきだ。それでえらいことになるから、農協系も貸し込んでいるんだからどうしようという議論が本来やられているのが私は筋ではなかったか。ここをやはり明確にしていかないと、これからノンバンクの問題についても、やりませんよと言っていますが、これもどうなるかわかりませんね。  こういう点について、改めて大蔵大臣総理大臣の見解を賜っておきたいと思います。
  54. 久保亘

    久保国務大臣 草川さんの、今、過去における覚書や銀行のいわゆる念書と言われるものの提出の経過などについてのお話を伺いました。私が今日まで受けております報告と一致する点もありますし、そうでない点もございます。  今お話がございました点につきましては、さらに私も調べてみたいと思っております。
  55. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今大蔵大臣・副総理からお答えがありましたものと基本的には同じことだと私も思います。その上で私は、その当時においてそれぞれの関係者努力をされ、その時点においては最善と考えた手法をとられたものが、時日の、時間の経過の中で、今議員から御指摘を受けるような状態になっているということを大変残念に思います。  しかし同時に、私はよく歴史に「もし」は禁物だということを言われたことがございました。そして、過去ありましたことを検証し、その中から教訓を酌み取っていく必要性とともに、そして同じ事態を二度と起こさないように気をつけていく必要性とともに、その「もし」にとらわれて現在ある問題の解決をおくらせることはできない、そのように思います。
  56. 草川昭三

    草川委員 今総理の慎重な御答弁があったわけでありますが、「もし」ということの云々という答弁があったのですが、しかし今私が申し上げたようなことが、これは事実なんですが、結局傷口を大きくしたということだけは事実だと思うのです。傷口を大きくした。これは、本当に私ども当事者ではありませんけれども、別に批判だけをするというのが目的ではありませんが、極めてやはり残念だった。  だから、その原因というのが、日本金融システムに問題があったのか、あるいは大蔵省なり農水省というような戦後長い間の護送船団方式と言われたものの延長線にあったのか。あるいは、農水省も、従来の農業協同組合の金融機関というものからもうはるかに大きくなって、世界的にも高く評価をされる一つの金融機関になった、その集めた金融融資先をどうするかという問題についても適切な方法がなかったか、いろいろな問題があると思うのです。だから、これは私はだれがいいとか悪いとかという議論を幾らしても始まらぬと思うのです。  だから、この反省の上に私どもは将来の日本金融機関のいわゆる不良債権処理をどう急ぐべきかということで、先ほども日銀総裁にもいろいろなことを聞いておるわけでありますが、これは真剣に私は対処をしていただきたい。  本来は、ここでスキームのことについて官房長官の御意見を賜りたいと思ったのですが、ちょうど今記者会見のようでございますので、改めてまた官房長官にはお伺いしたいと思うのです。  そこで、では話を少し前に進めまして、外資系の金融機関から、大変大きな問題があったが適切な対処ができなかった、そのために傷口が大きくなりましたよということを私は繰り返し申し上げておきまして、次に移りたいと思います。  次は、いわゆる本日出てまいります資料について問題を提起したいと思うのです。  言うまでもなく、国政調査権、こういうものは憲法第六十二条で議院に与えられました重要な機能だと思います、この国会に与えられた。その国政調査権の具体的な行使であります、国会法あるいは議院証言法に基づく資料要求があった場合に、政府は正確な資料を提出することは言うまでもありません。  ところが、過日来提出をされました資料の「住宅金融専門会社七社に関する平成七年八月の調査結果(個別貸付先の財務状況等)」の中の日本ハウジングローンの貸付金等の査定結果にある債務者別の貸付金残高と、住宅金融専門会社七社上位百の貸付先実名リストにあります日本ハウジングローンの大口貸出先一覧表の中の貸付先に対する貸付残高が、ともに平成七年六月末時点の数字であるにもかかわらず食い違いがあるということを、去る二月六日のこの予算委員会で私は指摘をいたしました。  その後、二月十五日付で久保大蔵大臣から土井衆議院議長にあてて、この違いを説明をする補足資料が提出をされました。住専問題を解明する上で重要な目安となる貸付残高が資料によってまちまちであるということは、たとえ後日数字の食い違いが説明をされたとしても見過ごすわけにはいきません。改めて、まず第一に大蔵大臣に、過日のこの提出資料の間違いについての見解を求めたい、こう思います。
  57. 西村吉正

    西村政府委員 当時、補足資料を提出いたします御議論の際にも申し上げたと存じますが、関連会社の取り扱いに関しまして御指摘のような問題もございましたので、二月十五日付をもちまして、御指摘の点を踏まえまして補足資料を提出したということでございます。
  58. 草川昭三

    草川委員 その上で、では政府より提出をされました一連の資料の中に幾つかの疑問がありますので、これから質問をしたいと思います。  まず、平成七年八月の調査と、それから上位百の貸付先実名リストを比較してもらいたいと思うのです。あらかじめこれは総理大蔵大臣、それから銀行局に言ってありますから。縦型の資料、私はこれはちょっと拡大をしておりますが、皆さんも見ておいていただきたいと思うのですが、平成七年八月の調査結果と上位百の貸付先実名リストを比較をすると、日本ハウジングローンを除く六つの住専は、個別貸付先の貸付金残高が一致をしております。今銀行局長が言ったのと違って、全部これはきちっと一致しているのです。つまり、六つの住専については平成七年八月の調査結果にある個別貸付先の中の貸付金残高に関係会社経由の貸付金が含まれていないと読み取れるのです。そういうことでいいですか、局長
  59. 西村吉正

    西村政府委員 ただいま御指摘のようなことでございます。
  60. 草川昭三

    草川委員 それでいいんです。  そこで、これまでの説明では、日本ハウジングローンの場合、平成七年八月の調査結果では個別貸付先に対する貸付金残高の中に関連会社経由の貸付金が含まれていることになります。これは当然のことです、ほかのところは。しかし、上位百の貸付先実名リストの個別貸付先に対する貸付金残高には、関連会社経由の貸付金が含まれていないということになります。  立入調査のときには関連会社経由の貸し付けもハウジングローンからの貸し付けとみなしているのに、実名リスト作成のときには関連会社経由分を含めなかったということは、これは極めておかしいのです。不可解なんです。なぜ調査のときには関係会社経由の貸し付けもハウジングローンからの貸し付けとみなしたのか、どうしてここだけ関連会社経由の貸し付けを住専本体の貸し付けとみなし調査結果をまとめたのか、その理由を説明してもらいたいのです。ここがどうしても我々わからぬのです。ここだけですから。
  61. 西村吉正

    西村政府委員 この点は先般御提出いたしました実名リストの「注」にも記されているわけでございますが、例えばハウジングローンに関しまして申し上げますならば、「注」の2に「関係会社向け貸付金残高は六千四百六十六億円である。」これは各社ごとに同様の記述があるわけでございますけれども、この貸出先のリストに関しましては、住専の関係会社向けの貸付金は除いているわけでございます。  例えばハウジングローンで関係会社向けの貸付金をも含めてこのようなリストをつくるといたしますならば、ハウジングローンの貸付先の第一位は関連会社であるハウジングローングループというような記述になろうかと思いますが、ちょっとそういうことではこの資料の性格上趣旨に合わないのではないかということで、実態をあらわします貸付先をここに記して資料として提出させていただいた、こういう整理でございます。
  62. 草川昭三

    草川委員 多分そういう答弁をされるだろうということで私ども申し上げるのですが、ならば、他のところはどういう分け方をしているのか、いわゆる関係会社向け。  改めて聞きますけれども日本ハウジングローンは、関連会社を使って不良債権を少なく見せるために債権のつけかえを行っているのではないかということを私は言いたいわけですよ、今の答弁からいってもハウジングローンの場合は。ここはどうですか、そういうことはないと言い切れますか。
  63. 西村吉正

    西村政府委員 関係会社向けの貸し付けを除いているという点につきましては、他の住専に関しましても同様でございまして、例えば日本住宅金融については、その「注」の2で「関係会社向け貸付金残高は六百七十四億円である。」という記載がございます。他の六住専についても同様でございます。  御指摘は、それはそうとして、ハウジングローンについては関係会社向け貸付金の残高が他の会社よりも多額ではないか、それが迂回融資とかいろいろな問題があるのではないかという御指摘かと存じますけれども、私どもは、日本ハウジングローンにつきましては、関係会社を通じて債権の回収に当たったり、関係会社を活用するという手法を用いているということは承知をいたしておりますが、特にそのこと自体が大きな問題があるというふうには理解をいたしておりません。
  64. 草川昭三

    草川委員 それはだめなんです。今の答弁も、ハウジングローンの立入調査のときになぜこの関連分も本体とみなしたのか、そこはどうなんですか。本体となぜみなしたのですか、関連会社分を。それはおかしいでしょう。
  65. 西村吉正

    西村政府委員 この実名リストのほかに融資の内容を分析いたしました調査資料を別途提出をいたしました。その分析の仕方は、それぞれの会社の調査を担当いたしました調査官の個性も多少あらわれているかと存じますけれども、ハウジングローンの調査の分析に関しまして関連会社をも含めた分析をいたしておるということは御指摘のとおりでございます。
  66. 草川昭三

    草川委員 個性によって資料が違うという答弁銀行局長がされるということも、これはまた相当な心臓だと思うのですが、こういうことはどうなんですか。  ハウジングローンの融資先が多額の不良債権を抱えているために直接貸し出しが難しいという場合に、関連会社を通じて実質的な追加融資をしたのではないかという疑いを私は持っておるのです。ですから、今の答弁からいきますと、大蔵省住専に対する調査基準というのは相手によって異なるということですか。そこをちょっとお答え願いたいと思います。
  67. 西村吉正

    西村政府委員 相手によって異なるということではございませんで、ハウジングローンの調査をいたしました担当者が、関連会社をも含めて分析をして部内の資料といたしたものでございますが、それをそのまま御提出申し上げた次第でございます。別途の観点からの分析をという御要望がございましたので、その点についても後日御説明を申し上げたというふうに理解をいたしております。
  68. 草川昭三

    草川委員 では、これは数字の話ですから非常に重要な問題なのですが、少し問題を前に進めます。  二月の十五日付で久保大蔵大臣から土井衆議院議長に提出をされました「日本ハウジングローン(株)の関連会社向け貸付の状況について」は、今のように追加の資料ですが、日本ハウジングローンの関連会社二十九社に対する貸付金の残高が記載をされております。これによれば、最も多い貸付金残高は千三百三十九億、以下、八百十三億、六百四十六億と続きまして、二十九の関連会社の大多数が上位百の貸付先実名リストに記載をされるべき金額になっているのですよ。それが一括になっているのですね。  大口関連会社に対する貸付金残高といえども、貸付先実名リストに記載すべきではないか。なぜ記載をしなかったのか。今の答弁では、相手の都合だ、こういうことですが、きちっとしておれば上位百の順位が違うのですよ。変わってくるのですよ、この上位の順位の名前が。ここは非常に重要な問題だと思うのです。私は、これは次心意的なやり方ではないかと思うのです。  大蔵省平成七年の二次調査では、末野興産には八百四十二億の貸付残があるということになっているのです。しかし、実名リストでは、これまたどうしたことか三百五十五億しか貸付残高がないのですよ、こっちの方のリストには。この差はどこの関連会社から貸し出しをしたのか不明なのです。今の答弁でいうと、この関連会社から出したのではないかと私は思うのですがね。  土井議長に出した二十九社それぞれの大口貸出先を明らかにしてください。大蔵大臣久保さんから土井議長に出した二十九社のトップには、日本エステート千三百三十九億。この日本エステートが末野にどれだけ出しておるかもわかりませんね。ここへ来た朝日住建にも出しておるかもわからぬ。  ところが、政府から出てきたところではそのものが不明なのですよ。二十九社それぞれの大口貸出先を明らかにしないと、例えば末野に対するハウジングローンの貸し出しの実態は不明なのです。改めてその資料を私は要求したいと思うのです。その点、委員長、どうですか。
  69. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘の点は、関連会社向けの貸し付けがさらにその先どうなっているか、こういうお尋ねかと存じます。  先般委員の御指摘を踏まえまして二月十五日に議長に提出いたしました資料は、関連会社に対する住専の貸し付けの内訳をお示ししたわけでございますが、そのさらに先、関連会社の融資先のリストということになりますと、ちょっと私どもそこまでフォローすることは難しいかと存じます。
  70. 草川昭三

    草川委員 だって、私は細かいことを一々出せと言っているんじゃないんですよ。例えば、ここに参考人で来た末野興産とか朝日住建とかというところは今問題になっているんでしょう、不良債権を抱えて。日本ハウジングローン、興銀系がどういうことをやったかというのは政府の資料だけではわからないわけですよ。食い違っているんですよ、先ほど来から言っていますように。  そこでこのペーパーが出てきたら、実は日本エステートなんというのは千三百三十九億も出していますよ。これだけですよ。ここが末野に渡しているかもわからない。今指摘をされている事業用資金として提供されているかもわからない。これは私は、それはもう細かい先の先のことなんか回答できませんよという趣旨とは違うと思うんです。  上位百の貸付先実名リストには、日本ハウジングローンを除くほかの六つの大口貸出先一覧表に関係会社向けの貸付金残高が記載されているんですよ、ほかのところは。第一住金は千四百五十四億円あり、日住金は六百七十四億円あり、その中には大口貸出先として一覧表に記載すべきものがあるかもわからぬ。改めてこの六社の関係会社名、業種、所在地、貸付金残高を提供してもらい、その不良債権の実態というのをそこから突っ込んでいきませんと、司法当局も、あるいはいろいろな意味で、共同してこれから住専不良債権を徹底的に洗おうというときに、資料がなければ洗えませんよ。  この点について、大蔵大臣、どのような御見解かお伺いしたいと思います。
  71. 西村吉正

    西村政府委員 実態の解明につきまして、私どもが可能な限りの努力を申し上げますということはかねてから申し上げているとおりでございまして、御指摘の点についても、我々が可能でございましたらそのような努力をさせていただきますが、すべての関連会社についてその融資先まですべて洗い出すということが可能であるかどうか、ちょっと私、ただいまお約束を申し上げるだけの自信はございませんので、また後ほど御説明をさせていただきたいと存じます。
  72. 草川昭三

    草川委員 今与党の方からも、末野とか朝日住建とかというところに絞って発言されたらどうかというサジェスチョンを受けておりますが、それは十分話し合いをして、これは委員長において、資料の整合性を持たせる意味からも非常にこれは私は重大な話だと思うんです。単なる数字の話をしておるつもりじゃありません。そこは、後ほど委員長から適切な指揮を仰いでいただきたい、こう思います。  そこでもう一度、住宅金融専門会社七社に関する平成三年ないし平成四年の第一次立入調査結果と平成七年八月の調査結果を比較をしますと、多数の食い違いがあります。今から一つずつ言いますから、総理大蔵大臣、官房長官、これは官房長官も、議院証言法に基づく資料の食い違いですからお答えを願いたいと思うんですが、この調査結果、個別貸付先の財務状況を取り寄せて、一回ちょっと見てもらいたいと思うんです。  そこで、皆さんのお手元に、これをひとつ参考にしていただきたいんですが、まず、平成三年ないし平成四年、いわゆる一次の調査報告のこの厚い方の分ですが、ここの二ページに、これは要約したこの表だけでもいいんですが、開いていただくと、池商というのがあります。債務者名ですね。紹介先に関西銀行日本橋支店とあります。ところが二次の調査を見ますと、この日本住金は、三ページになりますが、債務者池商は、紹介元に自社開拓ということになっております。これは関西銀行が紹介をしたのか自分が開拓をしたのか。これから母体行責任とか母体行が紹介した不良債権処理についていろいろと議論が出るんですが、こういうのはやはり一つの間違いだと思います。  それから、二ページに太平産業というのがあります。これも紹介先は自社開拓ということになつています。これは二次の調査では、二ページに太平産業と書いてありますが、東急建設の紹介ということになっています。これも食い違います。  それから淀川観光は、第一次の場合は自社開拓です。ところが、第二回の二次の調査では、この淀川観光は近畿建物保証協会の紹介ということになる。  二ページ、同じく不動商事というところは、紹介先は東京中央信用組合の紹介だというんですが、第二次の場合には自社開拓ということになっています。  同じように、日本住金のフジビルは協和埼玉銀行の紹介だというんだが、二次の調査ではフジビルは国民銀行ということになっている。調べるたびに銀行が違うわけですね、この紹介が。  東洋興産の場合も、第一回は自社開拓だけれども、二回目には設計屋さんの紹介だ。  会社をかえて住宅ローンサービスでは、やさかという会社がありますが、第一勧銀の四条支店の紹介だといっておるんですが、二回目には大高興産の紹介だと報告している。  上成建設というんですか、自社開拓といっておるんですが、これは千代田火災の紹介だと二回目には答えている。  国際販売は東海銀行上野支店の紹介だといっておるんですが、二回目には銀行が住友銀行に変わっておるわけです。こういう変わり方というのは、僕は調査のずさんさを物語るものじゃないかと思うんです。  コリンズグループ、これは住総ですが、これは三菱信託が三菱銀行に変わっており、及び自社開拓だ。ちょっとこれもおかしいんですが、同じ三菱系ということで我慢をしたとしても、国際販売グループは、自社開拓が今度は庄司建物というところに変わっておる。  司建物管理というところはコスモ信組から紹介を受けたというんだが、二回目には三井信託だ、こう書いている。  桃源社、ここへ来たんですが、これも自社開拓だといったんですが、既に取引をしている取引先から紹介をされたというように変わっている。  麻布建物の場合でも、第一回の調査では大東京火災保険だと報告をしながら、自社開拓だと二回目には答えている。  地銀生保住宅ローンの場合でも、麻布グループは、当初は日本生命の紹介だというんだが、二次の場合は三井信託銀行よりニッセイの抵当証券を経由して紹介を受けたという言い方になっておる。  メイセーの場合も、これは自社開拓が安田信託。  こういうように、私が見ただけでもこのような十六の紹介案件の食い違いがあるわけであります。  まず、こういう状況について、国会に提示をされました大蔵省としては一体どのようなお考えを持っておみえになるのか。母体行の紹介案件というのは、母体行の責任を論ずる上で極めて私は重要な問題だと思うんです。今このような例を挙げたんですが、一体どちらの調査結果を信用して私ども議論を進めていったらいいのか、お伺いをしたいと思います。
  73. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘の点は、この表に掲げられておるとおりでございまして、住専七社のうちハウジングローンについてはこのようなケースはございませんが、他の住専についてこのようなケースがあることはそのとおりでございます。  ただ、私ども、この紹介という問題について資料を提出いたします際にも御説明を申し上げてまいったところでございますが、紹介の調査に際しましては、住専側がだれからどのような紹介を受けたかという、いわば申告に基づきまして整理をしている資料であるわけでございます。紹介をしたと言われております企業あるいは金融機関のサイドから見ますと、また違った見解もあろうかと思いますけれども、資料作成に際しては、住専の側の意識を中心といたしまして整理をした、こういうことでございます。  その際、平成三年ないし四年の調査と七年の調査、約三、四年の間の時点の違いがあるわけでございますが、多くの紹介先の中で御指摘のように紹介先として違っているものがございます。それらは、例えば同一グループへの貸し出しにつきましてグループ内の企業ごとにより紹介元が異なっているというようなケースもございますし、先に紹介を受けた融資が償還を終えた後に新たに別の紹介融資を行った場合などもあるようでございます。  いずれにいたしましても、この紹介先がどこであるかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、住専各個別会社への立入調査の結果といたしましてその住専の申告に基づきまして整理をしたものであるということを御理解いただきたいと存じます。
  74. 草川昭三

    草川委員 今の銀行局長答弁理解をしろといったって、やはり銀行局は、率直に言いますけれども、議院証言法の資料提出の重みを御存じないと思うのですよ。住専に、おい資料を出せよと、それで住専が持ってきた資料をここへどんと積んで渡したんですよ。それは人が足らないから仕方がないとか、国会がうるさいこと言うから早く出しておけというようなことで行政をやられてはたまったものじゃないと私は思うのですよ。  私ちょっと口が過ぎるかもわかりませんが、大蔵省銀行局の方々は徹夜をやっていますから、私どもも非常に評価します、御苦労さんだと思うんです。徹夜をやっておみえになりますから御苦労さんだと思うけれども、そこは、先ほどの加藤さんの参考人発言じゃないが、MOF担を通じて銀行局のエリートに対して、おい、この資料をつくれ、あの資料をつくれと日ごろからやっているんですよ。任せっきりだから、このMOF担がまた自分たちの組織を通じて集めてきた資料が一次と二次と違うんですよ、人が違うから。MOF担がしっかりしておれば、一次でつくった人は二次できちっとやるんですよ、現場の人は、食い違いがあっては大変だから。どこでも一次のときの大蔵省へ来ているMOF担と二次のMOF担が違うんだ、人物が。だから食い違った資料が出ても精査しなくて大蔵省へ持ってくる。だからこういう指摘を受けるわけですよ。  だから、それは西村銀行局長、相手によってどうのこうのと言ってぐだぐだ言っていますが、やはり議院証言法に基づく資料請求の重みということは考えてもらいたいと思うのです。  この点については、大蔵大臣総理大臣、そして内閣の中心になっておみえになります官房長官、議院証言法に基づく資料ですから、これは明確にしていただきたい、こう思います。それぞれ答弁してください。
  75. 久保亘

    久保国務大臣 議院証言法に基づいて資料の提出を命ぜられましたのは私でございまして、私の責任において提出したものでございますが、提出いたしましたものは、平成三年ないし四年における第一次立入調査結果、それから平成七年に関する第二次の立入調査結果、その結果をそのまま提出を申し上げました。  今草川さんから御指摘をいただきましたように、二つの調査結果に食い違いといいますか違いを生じております。この点についての説明が十分に私どもとして行われていないということにつきましては大変責任を感じております。  なぜ食い違いを生じているかについては、これは、提出いたしました資料はそのままを提出しているわけでございますので、この点についてはその事由を明らかにして御報告申し上げたいと思います。
  76. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今大蔵大臣からもお答えを申し上げましたが、私も委員から御指摘を受けましたので先ほど来資料を改めて突き合わせてみました。そして御指摘のとおりの記載の食い違いがあることを私自身も確認をいたしました。  そして、議院証言法の重みというものについて、私は逆に、この違いを、その当時調査をいたしましたままのものを手を加えることなくむしろ私は国会に御提出をした、そのように受けとめていただくことはできないものであろうかという思いが瞬間いたしております。  私は、大蔵省の諸君がもしその資料のつじつま合わせをしようとすれば、彼らは当然気づいて手を加えたかもしれないと思います。しかし、二回の調査、これはそれぞれ立入調査を行った際に住専側から聴取した内容をその時点において記載した、記録したものでありますから、その調査の時点の住専側の認識に基づくものであることは疑いを入れません。その上で、食い違いのあるそのままを何ら手を加えることなく私は提出をさせていただいている。  今議員から御注意をいただきましたような視点から見れば、確かに私は提出をいたしました政府側としておわびを申し上げます。しかし、同時に、議院証言法の重みというものを考え、そのままのものを提出したと受けとめていただくことができれば、そのような思いであります。
  77. 草川昭三

    草川委員 ならば、私の指摘したことをもう一回調査をし直してください。それで、調査をし直して改めて答えていただくようにしてくれませんか。  私どもも紹介融資の実態を調べたんですよ。こういう資料が出たのですから、どうですかと言ったら、実はこの紹介先から、いや、そんなこと言っていますかというような話があるから気がついたのです。だから、私ども政府の資料をそのまままたうのみにしてここで取り上げるわけにいきませんから、やはりそれなりに検証しなければいかぬ、そしてわかったわけですから、これは明確にしてもらいたいと思うのです。  もう一つ言いますが、なぜこういうことを言うかというと、ことしの二月十五日、衆議院の予算委員会に参考人として日本興業銀行の黒澤頭取がお見えになりました。「私ども銀行に関しては、日本ハウジングローンに対する融資の紹介は一件もございません。」と答弁したのです。私も、第一回の資料では紹介案件がないから、私も承知していますよと言ったのですよ。  ところが、平成八年三月一日に議院証言法に基づき日本ハウジングローンから衆議院議長に提出された書類によりますと、また出てきたのですよ、ハウジングローンの代表取締役の方から書類が。そうしますと、日本興業銀行から紹介された融資残高が八十三億八千三百万あると書いてあるのですよ。しかもそのすべてが不良債権なんです。これは明らかに黒澤さんの参考人証言と食い違うのですよ。  これは一体どちらが正しいのか。私は、さすが興銀さんだな、資力があるから紹介案件はないんだなと思って議論したのですよ、本人がきちっとおっしゃるから。そうしたら、これを見たら、もう皆さんお手元にありますが、日本ハウジングローン、別表二、母体金融機関合計、日本興業銀行、融資残高八千三百八十三億、左のうち不良債権額八千三百八十三億、うち損失見込み額三千四百。  これはもう一体何のために長期間我々こうやって議論しているのか。何か揚げ足取りで私は言っているのじゃないのですよ。これはもう明確にひとつ皆さん理解しておいてください、揚げ足取りで言っているのじゃないのだから。まじめにやろうと思えばやるほど、こういう立派な方の意見が違ってくるのだから、まあ、言葉は悪いが嫌になってしまうというのですか、どないするのと。いかに私、今のMOF行政というのがずさんじゃないかと。  ただ、何回か言いますが、大蔵省銀行局へ行けば夜、徹夜で明かりがついているから、本当に気の毒だと思います、それは。一生懸命やっておみえになりますが、どこかで狂っておるのですよ、今の行政というものが。そこをきちっと押さえて私は処置をしていただきたい、こういうように思うわけであります。  そこで、ひとつ桃源社の関連の問題で一つだけ問題提起をしておきますが、桃源社関連で八郷ゴルフクラブというのがあります。現在、クラブハウスを除いてほぼ完成しておりますが、オープンの見通しは立っておりません。周辺の土地を見ますと、関連会社の名義に変更をされておるわけでありますが、関連会社は、佐佐木氏、この前ここに参考人としておいで願った方の親族が役員を務めております。  問題点は、国税当局は桃源社の関連会社についてどの程度問題を把握をしているのか、あるいはこうした関連会社への資産の移しかえをどのように認定をしているのか、こうした意図的な関連会社への移しかえは、その移しかえた資産は回収の対象となるのかどうか。法的に無理だとすれば、こうした資産隠しを放任をすることは非常に問題があると思うのですが、ひとつこれは桃源社関連の具体的な問題として質問をしておきたいと思います。
  78. 若林勝三

    若林政府委員 お答え申し上げます。  今御指摘の点につきましては、新聞等で報じられておることは承知いたしております。  ただ、国税当局といたしましては、従来から個別問題についての御答弁は差し控えさせていただいておるところでございますけれども、税務当局といたしましては、住専問題に関係する関係者の課税が一体適正に行われておるのかどうかということにつきましては、従来から大きな関心を持っております。資料、情報の収集をいたしますとともに、必要があれば調査をするということで対応してまいっておるわけでございます。  そういう調査を行うに当たりまして、売り上げとかそれの原価、さらに経費がどうなっておるかというようなことは当然のことでございますけれども、それ以外にも、代表者による個人的な蓄財がどうなっておるかとか、私的費用が会社へつけかえされているのではないだろうかとか、さらに言えば、会社資産が私的に利用されておるのではないかというようなことも調べるわけでございます。  また、赤字でかつ大幅な負債超過になっておる、そういった企業でございましたら、関係会社等への資産の移転が一体どうなっておるのか、それが一体適正なものなのか、合法なものかも含めまして、さらにその資産がどんな形で保有されておるか、そんなことも含めまして実態の解明に努めておるところでございます。  いずれにいたしましても、課税上適正な課税を実現するという観点から、適正かつ厳正に対応してまいりたいと思っております。
  79. 草川昭三

    草川委員 先ほど私、朝日住建ということを言いましたが、富士住建の間違いでございますので、訂正します。  それから、興銀の紹介分を八千三百と言いましたが、八十三億が正しいことでございますので、訂正をさせていただきます。  そこで、法務省にちょっとお伺いをしますが、つい最近、報道機関によって、住専各社から巨額の債務を有する末野興産が、金融機関に約千七百億円の巨額定期預金を有している、この中には住専からの借入金を充当しているのではないかと報道されているわけですが、借り手責任、貸し手責任等が問われている状況の中で重大な問題だと思うのですが、検察当局はこのような事実を承知をしているかどうか、対応を聞きたいと思います。
  80. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘のような観点からの報道がなされていることにつきましては、検察当局も承知しているものと存じます。  ただ、具体的な捜査の状況に関することでございますので、これ以上詳細については申し上げることはできませんことを御了解いただきたいと思います。
  81. 草川昭三

    草川委員 まあ要するに、銀行の役職員が職務に関して不正に収賄を得たような場合にどのような罰則があるのかを聞きたいのですが、実はこの末野興産というのは、木津信組から二百億の預金を引き出した、倒産のきっかけになった、この委員会でも議論になったわけでありますが、こういうものは罰則がないように実は聞いておるわけですが、これは銀行法にはあるらしいのですね。  これは信用組合には適用がないようでございますので、銀行局の方から今度金融三法というのが出てくるわけでありますが、我々もいろいろとこの金融三法を速やかに出せということを言っておるのですが、信用組合にも適用をさせるような方策ということをぜひ考えておいていただきたいということを私は要望しておきたいと思うのです。  あと五分しかございませんので、ひとつ官房長官にもう率直に政治家としてお伺いをしたいわけでございますが、今回のこの住専処理スキームは到底国民理解を得るものではないとおっしゃっておみえになったのが私は梶山先生ではなかったかと思うわけであります。今私はいろいろな問題提起をしたわけでありますが、やはり行政当局の無責任というのですか、問題点というのは随分あると思うのです。  こういうことを踏まえて、本当に現在の住専処理スキームのままで国民理解が得られるようにするためにはどうしたらいいとお思いになるのか。このままでとりあえずスキームだけはとにかく通してくださいよ、今後のことは今後で考えるとおっしゃっておみえになる腹なのか。私は、政治家ならば無修正で通すというわけにいかぬと思うのです、これはもう正直な話。また、事実与党の実力者の中でもいろいろな御意見を出しておみえになる方がお見えになりますし、また、本予算委員会の中でも何らかの形で問題提起をしたいとおっしゃっておみえになる方もたくさんお見えになります。  その点について、長官と総理の御意見を最後にして終わりたいと思います。以上二点、お願いします。
  82. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 前段、私が常日ごろ考えていることを雑誌やあるいは別個の機会で申し上げたことはございますが、これは必ずしも、私はみずから凍結というようなものを主張したわけではございませんで、公金を導入するからには少なくとも原因やあるいはその責任を徹底的に追及をされなければならない。私は、むしろこれは先だということを申し上げたことは間違いございません。  しかし、それはまさに幼稚園生の私の素朴な書告論でございましたが、今日までこの四カ月近くいろいろな議論を重ねてまいりますと、今私が私見を申し上げる立場にございませんが、この審議の中でいろいろな有意義な御提案やらあるいは具体的な方法等がお示しになられましたけれども、今日ただいま言えることは、一日も早くこの予算とスキームを通すことによって、その後に皆さん方の御意見が、私は、完全なものというのは一挙にできませんから、ぜひお互いの知恵を絞って、この完全な住専処理ないしは引き続き金融の健全化、こういうものを進めることは長い私たちの使命ではないか、このように考えております。
  83. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 恐らく官房長官の気持ちと変わるものではないと存じますが、私にとりまして、まず申し上げたいことは、現在の景気回復の兆しというものを確実なものにするためにも、このスキームを含んだ平成八年度予算案というものを一刻も早く成立をさせていただきたいという思いがまず第一にございます。  そして、それとは別に、金融自由化の進んでくる中で、従来から、こうした問題とは全く異質の時点でありましたけれども金融行政のあり方というものは議論の対象になっておりました。これに加えて、今回この住専の問題を機として、違った角度からもまたそうした議論が出ております。  我々は、いずれにいたしましても、金融の自由化という大きな変化の中で、従来の護送船団方式にとらわれた金融行政というものは、いずれにせよ変えていかなければなりません。そうした方向の中で、我々は努力をしていく部分が多々あると思い、そうした点についても御協力を願えることを切に願っております。
  84. 草川昭三

    草川委員 以上で終わります。
  85. 上原康助

    上原委員長 これにて草川君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  86. 上原康助

    上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口那津男君。
  87. 山口那津男

    ○山口(那)委員 新進党山口那津男でございます。  きょうは初めに、沖縄の楚辺通信所の一部土地の使用につきまして、若干の質疑をさせていただきたいと思います。  一昨日、石井委員質問に対し法制局長官は、この現状法律関係について、直ちに違法とは言えません、しかし、最終的には正しい権原、占有の権原というものを得る手続を踏む必要があります、こういう趣旨の御答弁をされました。  私は、この法律関係について、まず国が土地の賃貸借契約によって当初から正しい占有の権原というのを有しており、その土地を今度は国が日米安保条約に基づいてアメリカ側に提供する、こういう三者の法律関係、そしてそこは、国内法的な関係と、そしてまた条約等に基づく国際法的な関係と、二元的な法律関係があるだろうと思います。この点について必ずしも報道、あるいは従来の政府のお立場というものが整理されて述べられていないように思うわけであります。  そこで、法制局長官にこの点について、国際法、国内法、いずれの立場からも明快な御答弁をいただきたいと思います。
  88. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 ただいま御指摘のとおり、直ちに違法というには当たらないのではないかという判断に至っております理由につきまして、若干申し上げたいと思います。  ただいま御指摘のとおり、本件土地をめぐる法律関係を分析いたしますと、国と米軍との関係という国際法上の関係と、国と土地所有者との関係という国内法上の関係に分かれようかと思います。本件事案をめぐる法律関係につきましては、これらの法秩序のもとでの総合判断ということを要しようかと思います。  まず、国と米軍との関係といたしましては、憲法九十八条二項により誠実に遵守することを要するとされる安保条約に基づく地位協定上の合意に従いまして、国は米軍に対して本件土地を提供する義務を負っており、この国際約束に基づく義務を履行するために、国は、土地所有者との関係で、昭和五十一年以来二十年間にわたりまして、賃貸借契約によりその使用権原を保有してきたものでございます。  今般、国と土地所有者との関係におきましては、契約による使用権原は四月一日以後消滅することになりましたが、その場合でも、現行法上、賃貸借にかえて、駐留軍用地特別措置法に基づく収用委員会の裁決により使用権原を取得することができることとされ、また、裁決までのつなぎとして緊急使用許可の制度が設けられ、これらは憲法二十九条により許容されているものでございます。  このような本件土地をめぐる国際法関係と国内法関係が複合する法秩序のもとにおきまして、まず、過去二十年間継続した賃貸借契約の切れた四月一日以後も引き続き当該土地を米軍に提供し続けることは、安保条約上の義務であるのみならず、今後とも我が国及び極東の平和と安全のために必要であると考えられるとの判断のもとに、駐留軍特措法及び土地収用法所定の手続に従いまして、政府が本件土地使用の権原を再取得するための前記申請を三月二十九日、沖縄県収用委員会に行っているという現時点におきましては、土地所有者に対して借料相当の全員の提供をして損害を生じさせない措置を講じている限り、本件に関する法秩序全体の見地から考えると、当該土地が土地所有者に返還されていない状態につき、直ちに違法であるというには当たらないのではないかという結論に至っている次第でございます。  以上でございます。
  89. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ただいまの御説明ですと、国際法上の関係というものと国内法上の関係というものが総合的な法秩序の見地から整理されまして、現在の国が提供している状態は直ちに違法ではない、こういう結論に至ったようであります。  念のため外務省にお聞きいたしますが、これは国際法上の関係からいって、この土地の占有の正権原、これがなくなった場合に国際法的な関係に影響を及ぼすのかどうか、この関係について御答弁をいただきたいと思います。
  90. 池田行彦

    ○池田国務大臣 日米安保条約の第六条におきまして、「アメリカ合衆国は、」こういった日本の安全を守るためでございますけれども、「施設及び区域を使用することを許される。」こう規定されております。また、そのことは、地位協定の第二条一項においても同様の規定がございます。  そしてまた、地位協定三条一項では、「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」いわゆる管理権がある、こういうふうに規定されてあるわけでございます。  そういうことを勘案いたしますと、先ほど法制局長官からの御答弁の中にもそういった趣旨があったと思いますけれども、国内法的にいわゆる使用権原を失ったということが、米軍の日米間の国際約束に基づいて有する当該土地のいわゆる管理権の行使というものに直接の影響を及ぼすものではない、このように考えております。
  91. 山口那津男

    ○山口(那)委員 提供された基地の一部の土地が正しい権原がなくなったからといって、しかし、基地全体の機能あるいは管理すべき法的な利益、こういうものを考えますときに、直ちにその所有権者の立ち入り等が許されてしかるべきものではない、私はそういう判断をいたします。  そこで、立ち入りを仮に求められた場合に、国際法上の見地から、管理権を有しているアメリカ側が立ち入りを拒否したり、あるいは場合によっては一定の条件のもとにこれを許したり、こういうことが法律上できるのかどうか、これについて外務省に伺いたいと思います。
  92. 池田行彦

    ○池田国務大臣 米軍が、右翼に対してだけでなくて、そういうふうな立ち入りをしようとされる方々に対しても、いわゆる管理権に基づいて立ち入りを控えていただくような措置ができるかということでございますならば、国際法的にはそうである、そのとおりであると思います。
  93. 山口那津男

    ○山口(那)委員 御答弁が一部なかったようですが、管理する権原があって、そしてまた立ち入りをそれに基づいて拒否できる、こういうことでありますから、その管理権者が場合によっては立ち入りを許すということも当然できるはずのものだろうと思います。理論上はそうなるだろうと思うのですね。  そこで、先ほどの法制局長官の答弁に返りますと、国が土地所有者から占有を移転されて、そして今国が提供している状態は、国内法的な見地から見て、あるいは総合的な見地から見て直ちに違法とは言えない、こう言うわけでありますから、管理権を有するアメリカ側の判断とは別に、我が国政府として、我が国立場としてこの立ち入りを拒否したり、あるいは一部の立ち入りを条件つきで認める、こういうことが我が国政府立場でできるのでしょうか。この点について伺いたいと思います。
  94. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  今の先生の御指摘は、我が国日本政府立場でそういう権限があるかというような趣旨だと承りましたが、私ども、現在立ち入りを拒否しております事由といたしまして、現在、一部に不穏な動きがあって、いろいろと米軍に対する安定的使用というものに不測の事態が発生するおそれがあるというようなことを考えまして、それで米側と協議をした結果、立ち入りを今制限しておる、こういう状況でございます。  したがいまして、権限的にはあくまでも地位協定三条一項に基づいて米軍にいわゆる管理権がございますが、一応、日米両政府間で協議した結果、立ち入りを認めていない、こういう状況でございます。
  95. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今の御答弁は必ずしも明快じゃありませんが、アメリカ側が管理権を有しているから、我が国が直ちにその管理権を行使したり調整したりする立場にはない、ただ、協議の上、占有をアメリカ側に預けた立場として一定のことができる、こういう御答弁のように聞こえましたけれども、もっと明快に、端的に、我が国政府がその立ち入りを拒絶したり、あるいは許したりということを我が国の権限として有しているのかどうか、この点、もう一度明確に御答弁いただきたい。法制局長官、いかがですか、この点。
  96. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 なかなか鋭い御質問でございますが、我が国立場というのは、米軍との関係では、地位協定に基づきまして土地を提供し続ける国際法上の義務を負っているわけでございます。ところが、片や土地所有者との関係では、国内法的には使用権原が残念ながら消滅した状態である、こういう非常に国としては甚だ困惑する立場でございますが、やはりアメリカ軍に対して土地を提供し続ける義務を負っており、そして米軍は提供された土地に対して管理権を有しているわけでございますから、米軍がその管理権に基づいて土地への立ち入りを、提供された土地の使用目的を確保するために拒むという限りは、我が国もそれを十分たらしめる義務があります。  したがいまして、その義務に基づき、アメリカ軍の管理権を援用して立ち入りを拒むという法律関係に、分析すればなろうかと思います。
  97. 山口那津男

    ○山口(那)委員 一応法的な関係は私なりに理解をいたしました。  さあそこで、このような事態、つまり占有する正当な権原、正しい権原というものがない状態に至った。これは、先日の官房長官の御答弁のように、必ずしも望ましい状態ではないし、それに、結果としては落ち度があった、こういうお話でありました。  それはともかくとして、法的な制度として、今現在、その使用の認定をして裁決の申請手続に入っている、強制的に国が収用する、そういう手続を踏んでいるわけでありますけれども、しかし空白が残念ながらできてしまった。これは結果としては、法的見地から見ても望ましくない、政治的にはもちろん望ましくないわけであります。そうすると、制度としてこういう空白の余地を許してしまっている、これは制度のつくり方として私は妥当ではない、こう思うわけであります。  今、裁決の申請に伴って緊急使用許可の申し立てというものをあわせて行っているだろうと思います。これは制度的に、民事法的な見地からいえば、いわゆる本訴に伴う仮処分的な、いわば仮の救済を求める、こういう制度と似ているわけでありますが、そうだとすれば、この仮の救済のあり方というものは必ずしも本訴と同一の時点でなされなければならないというものではないだろうと思うんです。事前に仮の救済を求める、こういうことも民事法上ではできるわけであります。  そうしますと、本件について、制度的に空白ができてしまう、この欠陥を是正する必要があると私は思うのであります。いわば裁決の申し立てに先立って何らかの切れ目のないような制度的な保障というものをする必要があるのではないか、こう考えるわけですね。この点について、立法論でありますけれども防衛庁長官、どうお考えでしょうか。
  98. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 今委員お話しのとおり、四百四十名の地権者がおいでのところ、たった一人の拒否のためにこうした状態になっておるということは極めて残念でございます。  ただいまお話をいただきましたように、この駐留軍用地特措法に基づく手続というのは、大変長期間かかる状態でもございます。今後、こうした状況の起こらないように、御指摘の点も踏まえまして、慎重かつ適切に対応いたしてまいりたいと考えております。
  99. 山口那津男

    ○山口(那)委員 ストレートなお答えであったかどうかわかりませんけれども。  もう一点指摘したいのでありますが、今度は緊急使用許可の申し立てをいたしました。これは、収用委員会が決定を下すには、収用委員会を招集をしてそのような許可を出すわけでありますけれども、これについての手続というものは格段定められておりません。あえて言えば、何日以内に出すとか、あるいは早期に、直ちに招集するとか、こういう手続的担保はないわけであります。ですから、収用委員会も、その土地の事情あるいは収用委員の個人的なお立場あるいは客観的な障害等々によりまして、これが緊急を満たすような許可のあり方、決定のあり方には必ずしも制度的になっていないということであります。  私は、そういう意味では、緊急性があるからこそ申し立てをするわけでありますから、この緊急な決定、これは許可、不許可、いずれもあり得るわけでありますけれども、この緊急な手続といいますか決定に至る手続というものを整備する、こういうことも一つの考え方だろうと思うわけであります。この点について、防衛庁長官はどうお考えでしょうか。
  100. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 委員お話しのとおり、まさに緊急使用の必要性があって緊急使用のお願いをいたしているわけでございますので、委員会におきましても一日も早く御決定をいただけるように希望いたしております。
  101. 山口那津男

    ○山口(那)委員 防衛庁の希望を聞いているんではなくて、私は立法論を伺っているのです。そういう収用委員会の許可のあり方について、もう少し法的な整備をする必要があるのではありませんか、こういうことを伺っているんです。
  102. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 委員のお話も受けまして、今後とも慎重に検討いたしてまいりたいと思います。
  103. 山口那津男

    ○山口(那)委員 何を慎重に検討するんだか、はっきりわかりません。私は、立法論を先ほどから、制度的な不備があるんではないかという立場質問をしているわけです。質問の趣旨は明快だと思うんですね。ですから、何を慎重に検討するのか、どうするのか、その所信を明快に述べてください。  あえて言えば、防衛庁長官がこの所管の大臣でありますから、緊急な許可が出ないで事態をいたずらに長引かせる、混乱させるというのはあなたの責任なんです。だから、あなたがどうするかということでもっと毅然たる姿勢が聞かれなければ、これは内外に混乱をもたらすもとになります。どうぞお答えください。
  104. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 先ほどお話を申し上げましたとおり、現在、この種の対応につきましては、駐留軍用地特措法に基づきまして対処いたしているところでございます。  この間の経過を見ましても、大変長い期間を要しているわけでございますが、これは当然のことながら、近年こうした県知事の拒否というものがなかった状態でもございますので、十二分の知事さんに対するお考えをいただく時間をとるということは、これは当然のことでございます。  しかしながら、今回このような状況に至りましたことを振り返りますと、やはりこうした諸手続の速やかな履行というものが今後さらに必要になってくると考えているわけでございまして、現在のところ、お話のような新しい法的措置というものは考えておりません。
  105. 山口那津男

    ○山口(那)委員 運用の適正を期すというばかりであって、新しい立法措置は考えていない、こういう御答弁でありました。それでいいのですね。  さらに、私は問題があるだろうと思うのです。仮に、緊急使用の許可が出たといたしましても、これは六カ月という期限つきであります。これ以上延ばすことはできないという制度の立て方になっております。しかし、現に、この職務執行命令及びそれに伴う訴訟、この一連の今まで行われてきた手続を見ただけでも、例えば、県知事が署名押印を拒否したのが昨年の九月二十九日であります、そして判決が出たのがついこの間であります。この間、約六カ月近くかかっているわけですね。ですから、今度はこの判決後に裁決申請をしたと思われますけれども、これも同じように職務執行命令及び訴訟手続が当然行われるだろうと予測されるわけですね。そうすると、六カ月で終わるという保証はないのですよ。そうすると、緊急使用の許可が出てもそれを超えてしまった場合にはまた正しい権原のない、そういう状態が生じてしまう。つまり、この手続の入り口と出口双方でそういう権原のない状態が生じる可能性が今回いみじくもあらわれているわけです。  そしてまた、緊急使用の許可の制度についても今非常に消極的なお答えでありました。私は、その出口というものについても立法論を検討する必要があると思うのですね。例えば、緊急使用許可の更新ないし仮の救済の制度の趣旨でありますから、これを再度申し立てるなり、そのようなことも検討の余地があると思います。直ちに結論を出しなさいというわけではありません。ですから、もっときちんとした検討の姿勢を見せるべきではないかと私は思うのですね。この入り口、出口、そして間、この点についてきちんとした対応を求めたいと思いますが、いかがですか。防衛庁長官
  106. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、現在この種のものにつきましては、駐留軍用地特措法に基づいて処理をいたしているわけでございます。この処理につきまして、大田知事さんが署名押印を拒否されたわけでございます。  地方自治法の旧法によりますと、百四十六条の八項で、「内閣総理大臣は、第六項の確認の裁判があったときは、当該都道府県知事を罷免することができる。」という条項はかつてございました。平成三年の四月にはこの条項が取り払われているわけでございます。  しかしながら、知事さんが署名押印を拒否をされる、そういう心情におきましては、それほど大切な判断をしているのだ、こういう事実には私は変わりはない、こう思っておりまして、したがいまして、今後、先生のお話も受けまして、いかにしたら日本法律とそれから日米間の安保条約の私どもの提供義務を失しないようにするかということについて研究をしていく必要があると考えております。
  107. 山口那津男

    ○山口(那)委員 特別措置法の所管は防衛庁でありますけれども、しかし、これは外交上の関係その他さまざまな政治判断も必要な問題だろうと思います。  高い次元に立ちまして、まず官房長官、この点の制度の欠陥がある、今まで手続の踏み方についての落ち度というものを御指摘された官房長官のお立場から、今度は制度についての不備があるのではないか、それに前向きに検討する必要があるのではないか、こう思うわけでありますが、お考え伺いたいと思います。
  108. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私は必ずしもそう法律的に明るい人間ではございませんが、確かに、こういう状態になって権原のない状態が続くということは決して好ましい状況ではない、いや、むしろ大変困惑する状況であります。  ただ、今までの良好な関係からいえば、大概今までは何とかなってきたという一つの安易感もあったかもしれません。しかし、今例えば、話は変わりますが、住専問題一つを見ましても、何年か前何とかなるだろうという思いがあったれば今日を迎えてしまったという気もいたします。  そういうのを考えますと、今特別立法というか法の整備をすれば、例えば今公共用地の取得に関する特別措置法というのがありまして、公共事業あるいは高速道路、こういうものは都道府県ではなくて建設大臣にその土地収用の権限があるというようなことを考えますと、どうもこういうところに、まあこれは公共事業じゃありませんけれども、少なくとも国の根幹にかかわる用地の確保、この問題に関しては何らかの特別法があってよろしいはずだし、また、そういうことをしなければならないし、また、もうちょっとさかのぼって考えれば、機関委任事務で都道府県知事に任せている事務かもしれませんが、都道府県の関係というよりは一義的に大変国の存立にかかわる問題に関しては国みずからがその事務を行うような準備も考慮に入れておかなければやっていけなくなる、このように考えます。
  109. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今官房長官の御答弁のように、一般的な土地収用というのは国内法限りの一元的な関係であります。しかし、本件のような場合には、国際条約に基づく重要な義務というものが負荷された非常に重要な関係であります。でありますから、これは一般法の整備というよりはやはり特別措置法の範疇で特殊な制度というものを穴のないように考える、こういう姿勢が私は望ましいものだろうと思います。  さて、そこで、官房長官は一昨日、この手続の踏み方について、前内閣のあり方は必ずしも適正なものではなかったかもしれない、こういう趣旨の御答弁があっただろうと思います。総理の場合は、前内閣で副総理を務められ、重要な閣僚でもありました。そういう意味で、総理もこれまでのあり方についていろいろじくじたる思いもおありかもしれません。しかし、あえて私は過去のことは問いません。これからの手続において同じ轍を踏まないようにしていただきたい、こう思うわけであります。  裁決の申請がなされております。これまでのあり方と比べて考えますと、一番どこがまずかったかといいますと、県知事が署名押印を拒否しました。その後、総理大臣が勧告をしました。そして、その後手続が流れていくわけでありますが、この署名押印拒否から総理大臣の勧告までの間が約二カ月あるのですね。ここが長過ぎた、あき過ぎたというために手続のおくれをとった、空白ができた、こういうふうに私は評価するわけであります。  そうしますと、今後も類似の手続によって、県知事が縦覧代行を拒否した場合に、総理が勧告をし、後に命令をし、そして訴訟提起に至るわけでありますが、ぜひこの総理の勧告のタイミングというものを間違えないでやっていただきたい、こう思うわけです。  あわせて、今官房長官のお答えもありましたけれども、政治の姿勢、行政責任のあり方及び立法論の整備のあり方として、総理の姿勢もあわせてお伺いしたいと思います。
  110. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、本来、この緊急使用申し立てから緊急使用の許可という手続が定められましたその理由というものは、ある程度こうした状況に対応し得る緊急の手段という意味があったと思っております。しかし、今回、残念ながらその緊急使用申し立てそのものがぎりぎりの時点で行わなければならないという事態になりました。  それは、委員が仰せられたような、例えば勧告の時期がもっと早かったらとか、私は、いろいろな考え方はあると思います。しかし私は、にもかかわらず、少しでも早く土地収用委員会の皆さんが緊急使用の許可をおろしていただけることを今願うような心境であります。  そしてその上で——私は、こういう問題は法律制度として仕組みをつくればそれで全部解決するという種類の問題ではないという思いがいたします。なぜなら、かつて、成田空港に関連する自治体の土地収用委員の方々が総員辞退をされ、補欠が選任できないという状況が生じたことがございました。仕組みをつくりましても、そこに人が要るという意味では、私は、必ずしも法律制度だけの問題だとは思っておりません。  しかし同時に、国の行わなければならない業務、そして地方にお願いをすべき業務、いわゆる地方分権の議論の中から、逆に、今官房長官からも述べられましたように、本来条約の義務を履行していく責任は国でありますから、そうした場合に対応し得るような法的な方途を検討しておくべきであったし、これからも検討をすべきであるという御指摘に対しては、私も素直にそのとおり、そうした必要性を排除するものではないということだけはお答えをしておきたいと思います。
  111. 山口那津男

    ○山口(那)委員 外務大臣、防衛庁長官においては御退席いただいて結構であります。ありがとうございました。官房長官もどうぞ御退席いただいて結構であります。  今の総理の御答弁を踏まえて、私は今制度面から主として申し上げましたけれども、人が努力しても、制度がなければ事態は解決できません。しかし、制度があったからといって、人が努力を怠れば、これも実現はできないということであります。その意味で、私は、制度というものは万全を期す担保、こういう意味合いが強いだろう、こう思っているわけですね。  いずれにしても、この解決に当たっては、制度を振りかざすだけでは解決できない。沖縄県民の皆さんのお気持ち、そして当事者の状況というものをよく踏まえた上で適切な解決を図っていただきたい、こうお願い申し上げます。  さて、続きまして信用組合の破綻処理金融三法についてお伺いをいたしたいと思います。  信用組合の管理については機関委任事務として都道府県がこれを行ってきたわけでありますけれども、この一年余りの間に破綻が相次ぎまして、非常に混乱と不安を招いております。この点については、かねてから大蔵省その他の皆さんの努力によりまして、将来を見据えたこの金融三法を成立させて、その処理制度をつくっていこう、こういう御努力がなされているだろうと思うのですね。しかしながら、この信用組合は、顕在化したものだけでももう既に数件、一年余りの間にですよ。今後の経済状況を見た上で、私はこれからもさらに信用組合で破綻するものが出てくるおそれは多分にあるだろう、こう思うのですね。  一部の報道によりますと、この金融三法の枠組みをつくって救済を図ったとしても、最終的には財政支援がこの信用組合の破綻処理だけで五千億円近く必要になるのではないか、こういう試みの計算もなされているやに伺っております。そうした意味で、今後も信用組合の破綻のおそれがあるのではないか、この辺の見通しと、そしてまた、それに必要な資金負担の見通しというものをお持ちであれば伺いたいと思います。
  112. 西村吉正

    西村政府委員 全国に信用組合が四百弱あるわけでございますけれども、私が現在の仕事に携わりましてからも八つに上る信用組合が経営破綻を起こし、預金保険の適用を受けているという状況にございますので、不良債権問題が厳しい中で信用組合の方々が大変に御苦労をしておられるということは私どもも認めているところでございます。その対応策を講じなければならないと考えているところでございます。  ただ、今お尋ねの、今後どのような状況になるかということにつきましては、私どもといたしましては、経営危機に陥ることのないよう経営者の努力を今後とも促していく、そういうことが起こらないように努力をしてまいるというのが私どもの務めであろうかと考えているところでございます。
  113. 山口那津男

    ○山口(那)委員 私は、努力をしようという姿勢を聞いたのではなくて、客観的な認識を聞いたわけでありますが、これについては聞いてもむだでありましょう。  さてそこで、東京都の管理下にありましたコスモ信用組合。昨年破綻をいたしまして、大蔵省もかかわってこの処理のスキームというものをつくったわけであります。そして、ことしの三月二十五日に東京共同銀行に事業の譲渡がなされたと伺っております。当初破綻処理スキームをつくった時点と、それから現実に事業を譲渡した時点では、資産の評価といいますか、むしろ評価の中身である資産の価値というものが変動があった、多分下落しているのだろうと思うのですね。この点についての差異というものがどれほどあったのかどうか、ここを伺いたいと思います。
  114. 西村吉正

    西村政府委員 昨年の夏にコスモ信用組合は経営破綻を生じたわけでございますが、コスモ信用組合は東京都知事によって監督をされているところでございます。昨年発表をされました資産の評価に関しまして、東京都からは、その当時の評価を基本といたしまして資産の譲渡が行われている、そのように報告を受けております。
  115. 山口那津男

    ○山口(那)委員 今その資産価値の下落についての明快なお答えはないわけでありますけれども、その間地価はかなり下がっておりますし、資産価値、つまり中身、評価の表の数字は変えなくても実質的な資産の価値というものは下がっているわけであります。そして、事業を譲渡した時点で、もちろん再評価をした上でその調整というのがなされるだろうと常識的に考えられますので、その点について数字を明らかにできない、実態を明らかにできないというのは遺憾でありますけれども、今後問題があるだろうと思うのですね。  いずれにしても、このコスモ信用組合については、東京共同銀行に事業を譲渡したというのとあわせて、回収可能な債権については、当初の評価の時点では一千三百億、こう言われておりますけれども、これを社団法人東京都信用組合協会というものにも譲渡しているわけですね。  今後、金融三法というものができた場合に、ますます債権の価値、資産が不良化していった場合に、その穴埋めといいますか、これがどのようになされていくのか。これを、金融三法の枠組みとの絡みで、細かいことまでは申しません、およその見通しというものを聞かせていただきたいと思います。
  116. 西村吉正

    西村政府委員 まず、コスモ信用組合の処理についてでございますが、東京共同銀行へ三月二十五日に事業譲渡が行われたところでございますが、先ほども申し上げましたように、監督当局である東京都からは、昨年八月に発表した処理方策に沿った処理が完了したとの報告を受けているわけでございます。  したがいまして、コスモ信用組合の処理は一応完了をしているわけでございますが、今後の信用組合の破綻処理、まだ、木津信用組合、それから大阪信用組合等既に破綻が明らかになったものについても今後の課題として残っているわけでございます。  私どもは、信用組合に限らず、預金受け入れ金融機関経営破綻処理に際しましては、自己責任原則のもとに、極力関係金融機関の協力をも仰いだ上で、やむを得ない場合には預金保険を発動をいたします。  預金保険の発動の場合にも、今回の金融三法で予定をいたしております方法といたしましては、従来の一般保険料のほかに特別保険料を徴収をいたしまして、それによって、ペイオフコストを上回る部分につきましても、従来のようにいわゆる奉加帳方式と言われているような協力を個別に求めるということではなくて、一つの仕組みとして対応ができるように考えているところでございます。  さらに、金融制度調査会の答申におきましては、そういうことを行った上でもなお資金的に不足するような場合について、公的な関与をどのようにするかというようなことについても検討の課題として明示されているところでございます。
  117. 山口那津男

    ○山口(那)委員 コスモ信用組合の場合には東京共同銀行が第一次的な受け皿となったわけでありますが、金融三法が予定するところでは、これがいわゆる日本版RTCと言われる整理回収銀行に引き継がれる。改組されると言ってもいいのかもしれません。そうなる予定だと、こう伺っております。  しかしまた、コスモの場合は一方で東京都信用組合協会に移転した部分もあるわけですね。こちらについては東京都が財政支援をするという枠組みも決まっているわけですが、国の制度の完備を待ってこの実施を図るというような、いわゆる凍結的な決議が都議会でなされている、こういうことも聞いております。  もし、この東京都信用組合協会の方に移転した部分が今後さらに不良化して、東京都の現状での財政支援の額では賄い切れなくなった場合、国がこちらに対しても何らかの措置ができるのかどうか、金融三法でここに何らかの措置をできる余地があるのかどうか、この点について伺いたいと思います。
  118. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のように、コスモ信用組合の処理に際しましては、東京都信用組合協会に対しまして回収可能債権を譲渡いたしまして、その管理に当たることになっているわけでございます。この点につきましては東京都が資金援助をするという枠組みになっておりまして、預金保険あるいは国の財政というものはこの部分に関与することはないと理解をいたしております。
  119. 山口那津男

    ○山口(那)委員 国が関与しないとすれば、ここは信用組合協会及び東京都の責任であとはやってください、こういう理解になると思うのでありますけれども、それはそれとして伺っておきましょう。  そこで、今度は大阪府の管理下にありました木津信用組合、ここも破綻をいたしましたが、これについては処理スキームが最終的にはまだ固まっていないと思います。金融三法によって受け皿である整理回収銀行が成立すれば、これに事業を移転するような形で処理が期待されるわけでありますけれども、そのように理解してよろしいでしょうか。
  120. 西村吉正

    西村政府委員 木津信用組合につきましては、預金保険法を改正いたしまして、ペイオフコストを超える特別資金援助を行うことを可能とした上で処理するという方針を昨年発表をさせていただいたところでございます。  この点につきまして、先般の十二月二十二日の金融制度調査会の答申におきましては、金融システム内での最大限の努力をした上で、信用組合の破綻処理に限りまして、預金者保護、信用秩序の維持に万全を期す観点から、預金保険料率の引き上げ等最大限の努力を払った上で、金融システム安定の間接的受益者である納税者にも負担を求めざるを得ない場合があるとの考え方が示されているわけでございますけれども、この問題について具体的に法律等でどのような扱いをするのか、その点については現在検討がなされているところでございます。
  121. 山口那津男

    ○山口(那)委員 この木津信用組合については、いわゆる紹介預金というものを都市銀行が行っていた、こういうことが指摘されております。これは、預け先はもちろん信用組合でありますけれども、その預金者というものを都市銀行が紹介をする、こういう形で大量に預金を持っていきましたけれども、結局この預金の引き揚げが急激になされたところから破綻に寄与した、こういう指摘もなされておるわけでありますね。  したがいまして、紹介預金を行った都市銀行にもそれなりの破綻処理の負担を負わせるべきであると私は思うわけでありますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
  122. 西村吉正

    西村政府委員 木津信用組合が一時期都市銀行等から協力預金とかあるいは紹介預金というような名前で呼ばれているような預金を受け入れて急激な膨張を遂げたということはっとに指摘を受けているところでございます。このことが木津信用組合の経営破綻にどのように関連を持つものかという点については、立場によっていろいろな御議論があろうかと存じますけれども、しかしながら、そのようなものが経営上の急激な変化をもたらしましてやはり大きな影響を与えたということについては多くの方々が指摘をされておるところでございまして、木津信用組合の破綻処理について、そのような点に関して関係金融機関の協力を求めていくということが一つのテーマにはなろうかと考えております。
  123. 山口那津男

    ○山口(那)委員 大阪信用組合というのも破綻をしたわけでありますが、これについての処理は、事業を東海銀行に譲渡する、こういう基本的な合意があるように伺っております。しかし、東海銀行で全部の事業を譲り受けるかどうかは必ずしも明らかではありませんけれども、一部の不良債権についてはこの受け皿となるべき整理回収銀行が引き受ける、こういう方向が考えられるだろうと思うのですね。  この大阪信用組合の破綻処理のスキームについてお考え伺いたいと思います。
  124. 西村吉正

    西村政府委員 大阪信用組合につきましては十二月に破綻が明らかになりまして、木津信用組合の場合には受け皿となる金融機関がなかったのでございますが、そのために預金者の間にかなりの混乱を引き起こしたということもございまして、大阪府といたしましては、大阪信用組合の破綻に際しましては東海銀行に協力を依頼し、預金等は東海銀行が引き継ぐという形で預金者の間の混乱を回避するという方策をとったわけでございます。  しかしながら、一部の不良債権につきましては、御指摘の整理回収銀行、当時日本版RTCという名前で発表したものでございますけれども、そちらで引き受けるということをもあわせて考えているということでございます。
  125. 山口那津男

    ○山口(那)委員 そうしますと、大阪信用組合の場合には整理回収銀行ができ上がらないと受け皿が完結しないということでありますから、東海銀行側としても、この事業を譲り受ける、そういう内部的な手続、例えば株主総会の決議でありますとかあるいは正式な契約ですとか、これを結べない状態でいるだろうと思うのですね。そんな意味でも、この受け皿づくり、つまり金融三法の成立というものがいち早く望まれるだろうと思うのです。この点の御認識を確認をいたしたいと思います。
  126. 西村吉正

    西村政府委員 大阪信用組合に限らず、木津信用組合も同様の問題があるわけでございますが、現在の預金保険の枠組みだけではなかなか最終的な処理をしかねる部分がございまして、そういう意味におきまして、所要の法律案を提出いたしましてこの制度の整備に努め、関係者の最終的な措置の決着を見たいと考えているところでございます。
  127. 山口那津男

    ○山口(那)委員 大阪信用組合の場合は東海銀行という受け皿があるわけでありますから、いわば民間の銀行をお待たせしている、こういう状況でありますから、この点についてはもっと配慮が必要だろうと思うのですね。  それで、木津信用組合については、残念ながら受け皿としての既存の金融機関というのはあらわれておりません。これは、現行の預金保険法において、信用組合が破綻をしたような場合に、合併等のあっせんを、これを都道府県の知事の要請に基づいて大蔵大臣ができる、こういう仕組みになっているのですが、要請がなければできないわけですね。しかしまた、当該自治体の側からすれば、自分の手の届く範囲で。パートナーを見つける、受け皿を見つける、探すというのは非常に困難な側面もあろうかと思います。  そうした意味で、現行法はうまく機能しないし、またこういう経済情勢のもとではなかなかパートナーもあらわれない、こういう状況でありましょうから、木津信用組合の事例においてはなおさらのこと、この日本版RTC、つまり金融三法による仕組みというものの成立が喫緊の課題である、こういうふうに思うわけであります。  以上、東京のコスモ信用組合、そしてまた大阪府下の木津信用組合、そして大阪信用組合、この三つ、それぞれ処理スキームは若干異なりますけれども、いずれにしても金融三法の早期の成立が待たれる、こういう客観的な状況にあるだろうと思うのですね。  そして、整理回収銀行なるものは、五年後に清算といいますか、ここで仮に欠損というか赤字が出るのであれば最終的に財政資金を投入するべきかどうか、こういうことが論議をされております。これは、自治体の財政支援あるいは民間の負担、こういうものを求める以上、国としてもしかるべき制度的な担保といいますか完結した枠組みというものを用意しなければ、これはなかなか事が前に進まないだろう、こう思うのであります。  ですから、既にさまざまな論議の過程で、国が最終的には財政資金を投入をしてこの破綻処理を完結する、こういう構想があったはずでありますから、昨今与党内でこの財政資金の投入については削除をすべきである、こういう主張があるようでありますけれども、私はこれについては断固反対であります。  そうした意味で、金融三法に最終的な財政資金の投入を盛り込むことも含めてこの法案の提出をなされるおつもりかどうか、この点について大蔵大臣考え伺いたいと思います。
  128. 久保亘

    久保国務大臣 ただいままで御質問がございましたような、今日の信用組合等を中心といたしますいろいろな破綻処理その他を顧みることももちろんでありますけれども、昨年十二月の二十二日に金融制度調査会からも答申をいただいております。この答申は、信用組合の破綻処理につきましては、その預金者の保護という立場を考慮しながら、公的な資金の投入と今おっしゃられましたが、納税者の負担を求めることも考えなければならないという表現で、今おっしゃいましたようなことを答申されております。  私どもは、この答申も尊重をしながら、金融三法をこの国会で御審議願い、成立させていただくよう、今新しい金融行政のあり方が求められているときでありますから、ぜひ金融三法の成立をお願いしたい、こう思って今提出の準備を鋭意進めているところでございます。  この問題につきましては、公的資金の導入ということについて意見の調整を図っているというよりは、今日これから五年間の期間を経て整備されていく問題でございますから、そのような立場から今直ちに明文化をする必要があるかどうかということなどについての意見がございます。しかし、このことをできるだけ速やかに調整をして、政府与党意見を一致させた上、国会に提出して皆様方の御審議を賜りたいと思っているところでございます。
  129. 山口那津男

    ○山口(那)委員 最後に総理伺います。  この金融三法の仕組みというものがいち早く成立しなければ、これはますます資産、債権等は不良化をするわけでありますし、また現場の回収の作業というものにもちゅうちょを与える、こういう状況があるわけでありますから、私は一刻も早く法案を提出をして議論に付して、いち早く成立を図るべきである、こう思うわけですね。  今、与党内の御議論大蔵大臣から紹介されましたけれども与党の一党の総裁のお立場でもありますし、私はこの問題を先送りするのではなくて、国の公的資金といいますか財政資金といいますか、この問題をはっきりさせることが、これがまた内外当事者にも説得力を生むわけでありますから、この点をぜひ先送りをしないで早期提出と、そしてまた成立を図っていただきたい、こう思うのです。  あわせて、本予算委員会で、予算審議とこの金融三法というものは非常に密接な関係があると思っております。でありますから、この予算委員会に提出し、ここですべてを議論しろとは言いませんけれども議論の機会を与えていただきたい、こう思います。総理の決意を伺いたいと思います。
  130. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、副総理大蔵大臣の方から現在まで国会提出に至っていない状況については御説明を申し上げましたとおりでありまして、いずれにいたしましても、今後できる限り早期に提出できるよう努力をしてまいりたいと思います。
  131. 山口那津男

    ○山口(那)委員 以上で終わります。
  132. 上原康助

    上原委員長 これにて山口君の質疑は終了いたしました。  次に、細田博之君。
  133. 細田博之

    細田委員 本日は、去る三月一日に出されました住専各社からの紹介融資の関係を主として質問をいたしたいと思います。  ここに、相銀住宅ローン株式会社「十年のあゆみ」という資料があるわけでございます。十周年たって、いろいろなことをやってきたという社史でございますが、その中にちょうど「新商品の開発」と書いてあるわけでございますけれども、非常に誇らしげに書いてあるわけですね。この「相銀住宅ローン十年史」の「業務の運営」の中で、「融資制度面では各種の新商品の開発が行われた。四月、提携業者に対し事業用の土地取得資金等の融資として「開発資金」の取扱を開始し、五月には銀行経由の案件について実質審査等を伴わない申込書類の単純送付だけの「紹介制度」」かぎがかかっている「「紹介制度」と遠隔地の提携業者案件について最寄りの相互銀行に申込人の面接を依頼する制度を実施した。」非常に誇らしげに書いてあるわけでございます。  このことについて大蔵省から御説明いただきたいのでございますが、一体こういうことが一般的であったのかどうか。こういうことをいやしくも金融会社というものが自慢をして、紹介制度ができましたよ、何も実質審査等を伴わない申込書類の単純送付だけでできましたよ、こういうことについてどう思われるか。
  134. 西村吉正

    西村政府委員 住専各社は、一時期、みずからの営業努力としていろいろなチャネルを活用しての融資先の開拓に当たっていたということはあったであろうかと存じます。  しかしながら、広い意味で、ノンバンクも含めまして、金融機関たるもの、何といっても自分自身の審査能力というものを高めまして、みずからの判断で的確な融資を行うということが基本であろうかと考えます。
  135. 細田博之

    細田委員 我々は、よきにつけあしきにつけ、紹介社会に生きていると思うのですね。日本というのはどうしても、こういうことをやりたいが紹介してほしい、ああいうことを希望したいが紹介してほしい、それで非常に簡単に紹介をする。紹介を受けた方は、もちろんそういうことを念頭に置きながら前向きに処理することもあれば、単なる紹介でしょうということで何もしないこともあるわけですね。これは日本の、どちらかというと私は短所だと思います。  欧米の考え方では、例えば学者に、私は進学したいから推薦をしてほしいとどんなに頼んでも、あなたはその大学には向かないんだ、あなたの能力は足りない、私があなたを推薦すれば、あなたの学力、識見から見て私が恥をかく、つまり、自分の識見でこの人を推薦したということで一生逆の評価を受けてしまうからそういうことはいたしませんということを必ずはっきりとする社会なんですね。だから、逆に言うと、学校の先生の推薦制度で高校や大学の進学もスムーズにいくんですよ。  日本の場合は、推薦制度をやると、推薦があるとえこひいきがあるんじゃないか、だからやはりペーパーテストをやった方がいいというように教育制度がゆがめられている。これは日本のあしき問題だと思うのですが、金融制度もそうですね。  これを見ますと、紹介制度でやりますよと。そして、一日付で土井議長から上原委員長あてに出た書類を見ましても、この紹介融資が本当に多いわけでございます。  ただ、この各社の数字は、このままだけ見ますと非常にわかりにくい。そこで大蔵省、これを合計して母体行の紹介融資がどのぐらいか、あるいは一般行がどのぐらいかという点を御説明願います。
  136. 西村吉正

    西村政府委員 この紹介融資というものの定義がなかなか難しいわけでございますが、私どもは、今回の調査に当たりましては、住専側が紹介融資と認識をしているものという考え方のもとに集計をいたしました。  その結果を申し上げますと、母体金融機関の紹介融資残高は、債権ベースで八千九百二十二億円、債務者ベースで一兆七千二百八十六億円となっております。これは、事業向け貸付金の残高総額に占める割合で見ますと、債権ベースで一〇・三%、債務者ベースで二〇・〇%、このようになっております。
  137. 細田博之

    細田委員 この資料を見ますと、大きな問題点が見つかるわけですね。つまり、母体行が紹介をして、そうして融資をしたんじゃないんですよ。それももちろんありますよ。しかし多くは、母体行でないものが一々紹介をする、どういう権限があり、どういう関係だかわからないけれども、どんどんやってくる、それをあたかもフリーパスのごとく非常に膨大な融資をしているわけでございますね。そちらの実態はどうですか。
  138. 西村吉正

    西村政府委員 紹介自体は、必ずしもそのこと自体がけしからぬとか違法だとかいうことではございませんで、営業基盤が脆弱な住専に関しましては、母体行のみならず、あるいは一般行からも、また事業会社からも紹介を受けて、それを基盤に営業活動をするということがあるわけでございます。今回調査をいたしました中には、そのように、母体に限らず一般行や事業会社から紹介を受けたものもかなり含まれていると認識をいたしております。
  139. 細田博之

    細田委員 それは非常に実態認識において甘いところがあると私は思います。ある計算では、先ほど母体行の、いわば端緒ベースといいますか、端緒が、依頼があった、そして紹介があった、その後膨らんだものを含めて一兆七千何百億という話がありましたけれども一般行を含めた紹介融資の端緒ベースの額、残高は四兆円に上るという話もありますが、事実ですか。
  140. 西村吉正

    西村政府委員 住専七社の貸付金残高が約十兆七千億ございますが、債務者ベースで見まして、紹介融資の総残高が四兆円でございます。その中には、母体行のみならず一般行の分も入っているわけでございます。
  141. 細田博之

    細田委員 五兆五千億は系統でございますね。もちろん、端緒ベースその他あるかもしれませんが、系統は、紹介というのはほとんどゼロですね。
  142. 西村吉正

    西村政府委員 系統金融機関に関しましては、紹介というような事例はないものと認識をいたしております。
  143. 細田博之

    細田委員 十三兆弱ありまして、延滞金利とかその他懲罰的なものも含めてこれは加算されておりますから、実際の母数は十兆だと言われているのですよ。そうして、そのうち何割か、恐らく、それぞれに案分すれば四十何%が系統でしょう。それは全く紹介がないのですから除く。そういう計算をすると、何と、系統を除いた債務の三分の二ぐらいが紹介融資じゃないかという計算が成り立つと思いますが、その点どうですか。
  144. 西村吉正

    西村政府委員 それがどのような意味を持つかということは別といたしまして、一つの計算としては成り立つことかと存じます。
  145. 細田博之

    細田委員 まさに大蔵大臣、この紹介融資の問題は本当に大事なことでありまして、それがゆえに国政調査権でとったわけでございますし、出てきた資料を浅読みするとよくわからない、実際は。  しかし、それをいろいろな情報を集めてみますと、その債権の中で、系統を除いて考えた場合に、これは系統を除くことがいいかどうかという点はありますよ。しかし、お金としては、三分の二近くの四兆円のものが紹介で行われているんですよ。これはやはり大変な、銀行側、母体行側といいますか、あるいは証券等もありますけれども一般行も含めた金融機関側の責任であり、住専責任であると思うわけでございますけれども、この点の、いわば銀行局といいますか大蔵省が見た責任論はどうなんですか。金融上の責任といいますか、それを明確にしてください。
  146. 西村吉正

    西村政府委員 まず、先ほど約四兆円と申し上げました紹介融資の残高の中には、金融機関以外のものも含まれておりまして、このうち金融機関の分は大体二兆八千億程度かと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、紹介融資というものが相当な額に上っていることは御指摘のとおりでございます。  しかしながら、先ほども申し上げましたように、紹介そのものが悪いことであるというふうに決めつけてしまうこともまたいかがかと存ずるわけでございまして、特にその紹介が行われました時期が、必ずしも現在のようにバブルの崩壊後ではなく、バブルのまだ崩壊する以前の段階で、むしろ住専側から紹介をしてほしいといったような案件もあるわけでございまして、全体として見まして、私、紹介融資というものに非常に大きな問題があることは十分認識をしておるつもりでございますけれども、一概にすべての紹介融資を責任に結びつけるということもいかがなものであろうかと存ずる次第でございます。
  147. 細田博之

    細田委員 それは非常に日本的なお考え、またそういう御答弁でありまして、先ほどわざわざ教育問題等について申し上げましたのも、要するに責任がない、無責任なんですね。  紹介がありさえずればそれで俎上にのせるということはいいじゃないかということですが、実際は、先ほど「十年史」か何かに載っているように、その結果無審査でやろう、実質審査等を伴わないものでいいじゃないか。紹介制度というものを創設すると言っておいて、紹介側は、我々も経験がないわけじゃないけれども、いろいろ口をきくという意味での紹介、何か希望するから考えておいてくれ、就職だとか、実際はどうなってもいいと思いながら、相手の判断に任せようと思って紹介する。しかし、紹介された側は、我々が言った場合には、実際その人の学力や人物を見ればいいと思って軽く受けて判断するわけですよね。だから、最近はほとんどそういうものは成功しないようになっている。  ところが、金融は、いかにバブルの時代であるといってもそれが尊重されてきた。そちらの方の責任は負わずに、また、貸し手も一概に責任を負うべきものかどうかはわからないという御答弁でございますから、非常に中身は問題があると思うのです。  そのことをさらに申しますと、今母体行と一般行だけではないというようなお話もありましたけれどもノンバンクについてもあったかどうか、かなり実質的に重要な額ほどあったかどうかということと、それから、文書による紹介というようなケースもあったのかどうか伺いたいと思います。
  148. 西村吉正

    西村政府委員 母体の紹介融資以外の部分について、内容的に詳細に存じているわけではございませんけれどもノンバンクによる紹介もあったものと思われます。  それから、文書による紹介という点に関しましては、私どもは、紹介の具体的な手法、方法といった点について把握しているところではございませんが、文書によるもの、口頭によるもの、いろいろなものがあろうかと存じます。
  149. 細田博之

    細田委員 そうなんですよ。この国政調査権に基づく調査を幾ら足しても四兆円にならないんですよ。相当な部分がノンバンク、あるいは証券会社であれば一般行ではないと見ているのかどうかわかりませんけれども、特定の住専についてはカバレッジが非常に低い。しかし、実際を調べられた大蔵省さんの御判断ではまあ四兆円はあったなということは、実際は相当ノンバンクの紹介もあり、その他の紹介があったと私は理解しておりますし、それが実態だと思っております。  したがいまして、そう簡単にこの責任論は回避して考えるべきではないと私は確信しておるわけでございますけれども、この紹介融資の実態について、農業系統の機関はどのくらい知らされていたんでしょうか。農林水産省、わかればお答え願いたいのですが。
  150. 堤英隆

    ○堤政府委員 住専経営について、そういう意味で系統の方が参画しているわけではございませんので、恐らくそういった経営内容にわたります事柄については、知らされていなかったというのか、知り得る立場じゃなかったというふうに承知をいたしております。
  151. 細田博之

    細田委員 そういう全く知らない間に紹介が行われて、そのままほとんど安全性について審査をしないで融資をした。これはもう何遍も言われておりますからそこが問題であることはもとよりでございますが、非常に大きな紹介融資が行われていたということがはっきりとしているわけでございます。  そこで、法務省、こういう簡単に紹介をする、そうしてそれに基づいて簡単に融資をする、そうして実際は住専という会社の債権、あるいは銀行、関係母体行等の債権というものを害する行為があったわけでございますが、何らかの違法性がないのか、また民事上の責任はどう考えるのか、お答え願いたいと思います。
  152. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  具体的な事案に関します犯罪の成否は捜査当局におきまして証拠に基づいて判断することになりますので、個別な事柄ということで答弁は差し控えさせていただきたいのでございますが、一般的に申し上げますと、この場合考えられる一つの行為としては一特別背任罪ということが商法上の問題としてあろうかと思います。  その一般的な要件と申しますのは、その会社の取締役あるいは監査役等の一定の職務にある者が、御指摘のとおり、自己または第三者の利益を図りまたは会社に損害を加える目的を持ってという目的が必要になります。その任務に背きまして、会社に財産上の損害を加えたときに成立するものでございます。  なお、御指摘の、それにかかわる紹介者ということにつきましてのお尋ねだろうと存じますが、その会社自身の役職にある者以外の者でございましても、一般的にその会社の役員等と共同してと申しますか、いわば共犯関係に入ってその犯罪を犯したという場合には、犯罪は成立する場合があり得るであろうというふうに考えます。
  153. 細田博之

    細田委員 実際に、相当もう悪くなってからも紹介融資は行われているわけですね。したがって、母体行なり一般行も含めまして、自分が紹介することによる影響というのはわかっていたはずです。しかも、それが場合によっては自分の本体の融資を軽減をしたりあるいは担保不足を補ったり、そういうために行われていた可能性もかなり推察されるわけですね。そうしてまた、その過程において、別の問題ではありますけれども、系統の負担がどんどん大きくなって今日の五・五兆までになったわけでございますから、非常にこの状況についての認識はあったと思うんですよ。その状況についての認識があった上で、今言ったような例でいうと、どういうところで民事上、刑事上ひっかかる可能性があるのか、もうちょっと詳しく教えてください。
  154. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 民事上の責任について申し上げさせていただきたいと思いますが、ただいまの御指摘は、恐らく御指摘の融資の紹介をした側の母体行等の民事上の責任という点についてのお尋ねであろうと思います。  そういう場合の民事上の責任を追及する規定といたしましては、民法七百九条の不法行為責任というものがあるわけでございますが、御案内のとおり、故意または過失によって他人の権利を侵害した者はこれによって生じた損害を賠償する責めに任ずるという規定でございます。  御指摘のような事案がこういう要件に該当するかどうかという問題であると思いますが、その紹介融資が原因となって住専等に損害が生じたということを前提といたしましてそういう責任が成立するかどうか、これは個々の具体的事案に応じて、その母体行側にそういった故意、過失があると認められるかどうか、あるいは行為態様を含むすべての事実関係を総合してそういう行為が違法性があると認められるかどうかということによって、最終的には裁判所において判断される問題であるというふうに考えております。
  155. 細田博之

    細田委員 具体的事案がよりはっきりしないというようなことがそういう答弁のもとになっていると思いますけれども、これは幾らでもあるんですよ。  紹介したものはこれだけですといって第一出てきているわけだし、その一つ一つを見れば、担保を少しずつ軽減してみたり、それぞれの債権額が減ってくる、そうしてどんどん住専の方に負担が大きくなるというような過程が必ずあるはずなんですね。既に平成二年、三年にはそういった実態はよくわかっているわけでございますから、関係当局が必ずこの点をより深く検討し、追及することを要望しなければならないと思いますし、また、先ほどリベートというような話もありましたけれども、これを食い物にしてやった人も例外かもしれませんがいると思いますので、その点をきちっと処理していただきたいと思います。  そしてまた、再度大蔵省伺いますが、そういったことについての責任論を本当に、これはもうしょうがないことだからこれ以上追及できないというふうなことなのか、金融をめぐるさまざまな責任を法制上追及できないのか、それを伺いたい。  それとともに、その責任とこの母体行の三兆五千億なり一般行の三兆八千億の融資のうちの一兆七千億の放棄義務とはどこかで関係がある、つまり道義的責任をそこに付与する意味でやっているのかどうかという点も含めて回答してほしいんですよ。特に、一般行がこれほど紹介によって債権残高があるということは一般行に大きな責任があるわけでございますから、そういったものも加味して考えているのかどうかもあわせて御答弁願います。
  156. 西村吉正

    西村政府委員 紹介融資に関しましては、住専処理機構が債権を回収していく過程におきまして、金融機関が違法な紹介融資等により住専に対して損害を与えていたことが明らかになりました場合には、住専処理機構が住専から譲り受けました損害賠償請求権を適切に行使することにより、その責任を追及することとされております。また、仮に刑事上の責任が認められた場合には、当然のことながら厳しく追及されることとなろうかと存じます。  なお、既に損失の分担につきましては、母体行、一般行とも政府案におきまして三兆五千億あるいは一兆七千億の分担を求めているわけでございますけれども、ただいまのような損害賠償請求権に基づく責任追及はまた別途の問題と考えているところでございます。
  157. 細田博之

    細田委員 橋本総理にお伺いしたいんですが、以上のようなことで、過去にもありましたけれども、厳密にまた紹介融資というものを検討してみますと相当大きな問題があるわけですね。民事上、刑事上も含めて、よく調査をすればいろいろな形での責任がある。そして根は深いと思うのでございますが、この点についてのお考え伺いたいと思います。
  158. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今銀行局長からも基本的な認識についてはお答えを申し上げたところでありますが、ややもすると、従来本委員会の御論議の中でその紹介融資というものを取り上げられる場合に、母体行にのみ偏って御議論が出ておりました。本日、母体行だけではなく一般行を含めて広く紹介融資の実態というものについてメスを入れるべきだという御指摘、これは私どもも非常に大事な視点であると思います。  いずれにいたしましても、今後違法なものが発見されれば、母体行であれ一般行であれ、当然のことながら追及を受けていくということになろうと私も思います。
  159. 細田博之

    細田委員 私はこの住専処理案をまとめた与党の一員でありますから、この母体行、一般行、系統あるいは国の負担割合を見るときに、やはり母体行は全額だが一般行融資三・八兆のうち一・七兆と見るときに、これはなぜこの負担なのかということの根本は、今申した責任論によるところが大きい。しかも、一般行というものの、母体行でないものはほとんどないわけです。地銀も、あるいは第二地銀とか都銀、長信銀、全部入っており、それにまた証券その他が入っているわけですね。ざっと見て母体行に入っていないのは東京銀行ぐらいですよ。東京銀行は何にもないかというと、実は一般行の中に潜んでおって九百億円というようなものがあるんですね、この分担において。まあ厳密ではないかもしれませんが、そのぐらいはやはり見なければならないものがあるんです。  つまり、金融界が全員が責任を持っているものである。その中でのこの数字、母体行、一般行に分けたということは、三・五兆は限度であってそれ以上持たせると法律的にも問題であるということがあって、その残りをさらに案分等によって一般行に持たせたという理屈はわかるわけでございますが、これはやはり責任論としてはそこで終わりであってはならない、こう思うわけでございます。  次に、系統の話でございますけれども、我々地方選出の国会議員が地元に帰っていろいろ話をするときに、農業地帯などによく行くわけでございますね。そうすると、ついこの間はもう本当に小さな村落へ行って話をしました。その地区の住民は四百五人、百十世帯ほどの村落に行きまして、大半が水田、そして兼業農家ももちろんあるわけでございますが、金融機関が全部農協でございます。いわば独占みたいなものでございまして、すべての農民は農協に預けてあるのですね。そして、一人当たりどのぐらい預けてあるのだといったら五百万円。案外多いじゃないかと。貧乏な一村落で一人当たり五百万円。  ところが、五百万円というのは、もちろん貧富の差みたいなものもありましょうから、それは区々でございますし、しかも、国民年金をもらっている人は年間六十万円ぐらいなものです、一人当たり。それと、ほんの小規模な一ヘクタール未満の田んぼを耕して、あるいは、若い人はちょっと兼業で工場で働いたりする。そして老後あるいは生活の足しにしよう、あるいはこれから何が起こるかわからない、凶作が三年前のように起こるかもしれませんし、いろいろな支出もしなければならない、新農政にもこたえなければならないということもあって、細々預金をしているわけですね。  つまり、例えば島根県は、都市銀行なるものの支店というのは全県に一店舗しかないのです。一店舗、都市銀行の支店は。そうして松江に一軒あるだけなんです。そんな田舎かとおっしゃらないでほしいのだけれども。それで、地銀とか第二地銀が若干店舗を構えておるという中で、いかに農協の金融というものが大事なものであるか。そして、もちろん郵便貯金というものも大事なものでありますけれども、それが次々に集まったものが何と五十兆円にも上るものになっているわけです。大都会の、例えば土地買収をしてもらいました、かなりのお金が入りましたというのもあるでしょう、もちろん。しかし、単協の預貯金を積み上げていくと、この数字は四十九兆円なんですね。六十八兆というのは、それらにさらにいろいろなお金を加えたものが六十八兆でございますから、誤解のないようにちょっと言いますが、そのように積み上げられた約五十兆円の預金というものは、都市銀行の預貯金と比べた場合に、いかに大きいかがわかるわけでございます。  それは、例えば大都市銀行の預金総額というのは、今度、三菱銀行と東京銀行が合併しまして、預金ベースでは日本最大の銀行になるのですが、それを足して四十五兆円ぐらいなんですね。今ある大都市銀行、富士銀行とか第一勧銀とか住友銀行とかは、第一勧銀が三十五兆、富士が三十五兆、住友が三十四兆、三菱三十三兆、東銀は十兆ですから、足して四十五兆になるんですが、そのぐらいの規模なんです。それよりも大きいのがこの信連の金融組織なわけでございますね。  そして、調べてみると非常に危ないところがある。政府側は危ないとは言えない。だから歯に衣を着せたようなあいまいなことを言っているんだけれども、どうも私が聞いたところでは、信連はその負担の二千億を案分比例するのかと思っておったら、その案分を受けられない、つまり、それを案分したらもう倒れてしまうので負担をゼロにしようというところが二つないし三つある。具体的に知っておるわけですが、余り言うとあれですから。そのぐらいあるようでございますね。  つまりこれは、五兆五千億を新進党の案によって、例えば案分するとか、多少の色をつけてでも負担した瞬間に二つないし三つは経営がとても立ち行かなくなる。この瞬間に、それぞれ県ごとに預貯金というものは持っておるわけでございますが、その信連が倒れてしまう。こういう認識のもとに、その二千億の分担をそれぞれゼロにするところを二、三つくって、そのほかはさらに案分比例して、そしてやれるかどうか。そうしたら、まあこれならやれるだろうというぎりぎりの線がこの二千億なんです。これ以上持たせたら、またさらにゼロのところをつくるか、倒れるところが出る。そういう厳しい中で検討されたことなんだということをもっときちっと示すべきなんです。  だけれども、積極的に言われるとそれが何か信用不安を起こしたりするから政府側からは言えないという面はあると思うのですね。新聞記者も何もわからないんだ。テレビなんかでも、東京に住んでいる人が多いわけですから、私の田舎で農協というものはどういうものをやっているんだということもわからないし、どんなに大切なことかということもわからない。その預金がいかに大切なことかもわからないということでございますから、そういったことに配慮してやったんだということを、農林省事務当局、間違いないかどうか、ちょっと聞きたいと思います。
  160. 堤英隆

    ○堤政府委員 先生が今いろいろ御指摘のように、農協の場合は三段階になっておりまして、単協から信連、さらに中金という形で、全体的に六十八兆円規模、信連で申し上げると、先生お話のように五十兆円規模のものを運用するという形でやっているところでございます。  今回の系統全体の協力額といいますか、これにつきましては、経営に与えるぎりぎりの影響ということを判断してここで申し上げたような考え方で整理をしたわけでございますが、その際、私どもとして、これも申し上げたところでございますけれども、一つにはやはり、農協が全体六十八兆円の受信、信用を受けて、二千五百という数多くの農協が九百万人の農家の方々を中心とした方から預金を受けてやっておる。こういう零細で、かつ金額的に見ればかなりのものになる、こういうことで、その信用事業に新たな不安が生じるということがあってはならないということを基本的に留意しながら、先ほどみたいな考え方を整理させていただいたということが一点でございます。  それから、やはり県信連につきましてもぎりぎりの御協力を申し上げるということでございますけれども、今お話がございましたように、その負担の限度を超えますというと、負担能力を超えて、新たなそこの段階からの不安が生じてくる、これはもっと避けなければならない。この二つの点に配慮しながら、系統全体としての負担能力がどうであるかということを判断させていただいたということでございます。
  161. 細田博之

    細田委員 さんざん聞いたというような外野席の話もあったけれども、オブラートに包んで物を言うと今のような答弁になるのですが、実際は倒れるところがあるんだ、それを倒さないためにやるんだと。  それから、今まで起こっている日銀特融の三機関というのはどのぐらいの預金量だったかといいますと、コスモ信組が四千四百億、木津が一兆一千億、兵庫が二兆五千億なんですね。日銀特融というものは、コスモで二千億、兵庫で六千億ちょっと。したがって、このぐらいの規模で、今まででもこれだけ大きくなっているわけだから、後は起こったら大変なのでございますが、やはりコスモ、木津、兵庫程度の規模ではないということが最大の問題点ではなかろうかと思うわけでございます。  そこでもう一つ。最近大きな報道がなされておりますけれども、年度末、三月末を迎えまして、いわば不良債権を有税償却するのか無税償却するのかということについて相当話が進んできたわけでございますが、どうも興銀とか長期信用銀行、それに加えて地方銀行が一つ二つ無税償却というようなことも言っておるようでございます、損金ということで。  もちろん、国税庁に聞きますと、どなたかの御質問に対する回答のように、これはなるべく基本的には損金でやったらいいと思うとか、しかし、合意があればその線でみんなでやるのが自然だとか。これは申告があってから判断するということになるわけでございますから、その点を重ねて聞く気はないわけでございますけれども、むしろ銀行局、銀行行政をやっている立場から、これは非常に審議がおくれ、方針が決まらないために相当な負担をかけておる。配当の問題もあるし、税務当局への配慮もあるし、いろいろな意味金融行政としてもこれは余り望ましいことではないのではないか。どういう問題を彼らは抱えて大変なのかという点をもうちょっと詳しく話してほしいと思います。
  162. 西村吉正

    西村政府委員 政府処理案によりますと、母体行、一般行、それぞれ所要の債権放棄を行ってもらわなければならないわけでございますが、これは関係法案が成立後、住専処理機構が設立され、住専各社から処理機構への債権譲渡がなされるときまでに行うことが求められているものでございます。したがって、必ずしも前年度末に行わなければならないということではなかったのでございますが、しかしながら、不良債権の早期処理という観点から申し上げますならば、一日も早く住専処理機構が設立され、一日も早い関係金融機関からの債権放棄が望ましいということはあったわけでございます。  そういう意味で、関係金融機関は、できることならば早く住専処理機構が設立され、その前に、したがいまして前年度末に債権放棄ができることが望ましい、またそれが会計処理上も望ましいと考えていたところでございますが、残念ながら、予算及び法律の成立がいまだ見られないという点もございまして、住専処理機構への債権譲渡までにはまだ時間がございますものですから、会計処理の方式が金融機関によって分かれたということでございます。  恐らく、年度末を控えまして、関係金融機関においては会計処理をいかにすべきかということで、相当な御苦労があったものと拝察しているところでございます。
  163. 細田博之

    細田委員 大蔵大臣伺いますが、今銀行局長からも話がありましたけれども、やはりこれは、政府だけとは申しません、政府国会も含めて日本の公的機構といいますか、公に対する大変な不信感もあると思うんですよ。大半が引当金というか有税償却、それでやるということを決めたこと自体が相当大きな批判のあらわれではないかとも思われるわけでございますが、その点についてお伺いしたいと思います。
  164. 久保亘

    久保国務大臣 債権放棄に伴います償却につきましては、住専問題処理のスキームが早期に決定できなかったことが多少その扱いに差を生じたり、混乱も招いた点もございまして、大変残念に思っております。  しかし、この債権をめぐる償却につきましては、住専処理問題のスキームが決定をいたしました後、関係者合意に基づいて放棄が全部行われることになるものと確信をいたしておりまして、その際に歩調をそろえられるものと考えております。
  165. 細田博之

    細田委員 大蔵大臣はそうおっしゃるわけでございますけれども、この意思決定は取締役会において既に次々に行われる、そのときの苦渋といいますか、やはりそれだけの対応をしなければならないわけですから、もう相当大変なことがあったと思うんですね。  やはり私は、全体を総括して言えば、いろいろな案はあったかもしれない。それから、野党が言っているような考え方ができるかどうかというのは、まず検討して、これはだめな部分がたくさんありますから、今のままではとてもだめな理由はいろいろ書いてございますが、それにしても、国会という機能が、三月末までにやはりやらなければならないという認識が希薄過ぎたのではないか。それを座り込みその他によってこうやって延ばしてきたということは、非常に大きな禍根を残したことは事実である。  それは削除すべきじゃないか、削除しなければならないとおっしゃるのであれば、本当に最後まで削除で頑張られてまたやるのかということで、国民に対して非常に罪の大きいことをしているということを認識すべきだし、私は、もうどなたかが質問されたから言いませんけれども、民主主義で選ばれた国会が、その主張を決め、そして方針を政府において決めた以上、ある段階で決めなければならない時期に来ているのにかかわらず、それが三月末であったのにもかかわらず、ここまで延ばしたということは、極めて我々自身も反省をしなければならないし、特に物理的な抵抗でそれを阻止してきた政党には、十分反省をし、過ちを改めるにはばかることなかれということがありますから、一日も早く改めていただきたいと申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  166. 上原康助

    上原委員長 これにて細田君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木秀典君。
  167. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 細田委員の御質問、少し早まったようでございます。早速に始めさせていただきたいと思います。  本日は、住専問題、特に母体行などの紹介融資をめぐっての集中審議ということでございますので、私もそれに集中して質問をしたいと思います。  先ほど銀行局長の方から、一概に紹介が悪いというのではないというお話がありました。それは私も理解をいたします。しかしながら、今問題にされて、ここでも集中して審議が行われているというのは、実は、紹介そのものを一概に否定するわけにはいかないけれども、本件の場合に、この住専をめぐっての融資、それについて母体行などが主になった紹介融資、そのうちの何と九割ぐらいが、九〇%ぐらいが不良債権化しているという、実にここのところに問題があるわけであります。  私は、実は弁護士稼業を長くやっておりまして、もう三十年余になります。こちらの国会議員になってからはなかなか弁護士稼業はできませんけれども、二十数年間は弁護士稼業に専念しておりました。  それで、弁護士についてはどなたも感じておられることだろうと思いますけれども、私たちが依頼者の方から事件の相談を受け、そして事件の処理をする、そういうなりわいでございますけれども、その場合に、その依頼者というのは、やはり私どもの信頼しおつき合いがある、知っている方からの御紹介のある依頼者というのは大変安心してこちらも相談を受け、事件の処理にも臨むことができるんですね。全く紹介がなくて相談に来られる方、これももちろん権利救済のためにはないがしろにはしませんけれども、そういうお客さんの場合には、一般的に飛び込みと言いまして、飛び込みのお客さんには弁護士としては気も使うし、警戒もしなければならないということが随分あるんですね。  それは一つには、やはり何といっても、紹介者がしっかりしていれば、その紹介されて来られた人についても、紹介者は少なくともよく知っているからということでの安心感があるし、また事実、私どもがそうやって扱ってきた事件の中では、そうした方々の事件というのは、これは筋が悪い、筋がよいという言い方もあるんですけれども、筋のよいのが多い。一般的には飛び込みの方の場合には、これは原則ですけれども一般的ですけれども、筋が悪いことがあって、弁護士としても大変信頼関係を傷つけられることがあるなどということがあるんですね。そういうことを自分の体験から考えてみても、確かに紹介の大事さというのは必要だろうとは思うんです。  ところが、本件の場合には、平成三年から四年にかけての大蔵省の第一次調査、それと昨年の二次調査、これが発表になった。その内容から見ても紹介融資の実態、あるいはあっせん融資とも言ってもいいかもしれませんけれども、非常に多いわけですけれども、余りにもそれがずさんであり、本来なら、そういう紹介を通じているんですから、信頼されて、債権の確保あるいは債務の履行などについてもきちんと行われるべきものでありながら、そうなってない、むしろその逆である点が非常に私は問題だ、このように思っているわけであります。  そこで、本来この住専がつくられたいきさつからして、これはまあおさらい的になりますけれども、当初は、時代の要請を反映して個人の住宅ローン、これに専念をし、そして、手続的にも庶民の要求に応じる必要があるということでつくられたはずのこの住専が、次第にその目的を超え、あるいは目的の枠を拡大して事業会社などに多額な資金を投入していった。しかも、それについて、母体行などが紹介をしてきてそれが膨らんでいったという経過があったと思うんです。  そこで、大蔵省におさらいの意味でお伺いをいたしますけれども、このいわゆる紹介融資が母体行を通じて激化してきた、これは一つの住専、一つの限られた母体行だけではなくて、住専七社あるいは八社と言ってもいいかもしれませんが、まあ住専七社だろうと思いますが、すべてに通じてそれが目立ってきた、激化してきた背景事情というのは何だったのか、どのように把握されておられるか、これについて御説明を伺いたいと思います。
  168. 西村吉正

    西村政府委員 いわゆる紹介融資の形態はさまざまでございまして、当委員会に御提出いたしました資料から見ましても、紹介融資の占める割合は住専七社さまざまでございます。例えば、債務者ベースで見ましても、日本住宅金融については四・六%、それに対して住宅ローンサービスの場合には四一%というように、平均では二割でございますが、相当な開きがあるというように、各住専によって、このような紹介というものをどのように利用するかという対応がさまざまでございます。  したがいまして、御指摘のように、紹介融資というものはかなりの額に上っているわけでございますが、その原因は何かというお尋ねにつきましては、私ども、それぞれの住専によってさまざまなものがあるのではないかと考えているところでございます。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  169. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 質問に対するお答えとして的を得ているかどうかちょっと今疑問なんですけれども、なぜそういうように激しくなってきちゃったのかということなんですね。  これは、先ほど私も言ったように、一つは、住専が本来の目的を逸脱ということになるのか拡大というか、お互いに競争し合うことがひどくなった。これはバブルの時期を迎えてなおのことだろうと思いますけれども、そういうところにも一つは原因があるのではなかろうかと思うわけですね。この辺のところを実はお聞きしたがったので、後にまた答弁に来ていただくことがありましたら、それを補足していただきたいのですね。  ここでちょっと、それもお聞きしたいけれども、実は二月の十五日に参考人に来ていただきました。私もそのとき質問をさせていただいたわけですけれども、このときに、銀行協会の会長の橋本参考人の答弁と、それから農林中金の理事長であります角道参考人の答弁というのは、かなり際立って違っているニュアンスがあったように思うんですね。  橋本会長の方は、総じて、まあいろいろ言われているけれども、最終的に貸し出しについて、担保の審査を含めて審査をした上で貸し出した、それは住専なんだということで、盛んに住専責任をあげつらっておられるように聞こえました。  一方、それに対して角道参考人は、この住専というのは、母体行が  本来自分の別働隊として子会社をつくった。自分の機能を補完する意味で子会社をつくった。それが住宅資金の業務をやってきたわけでありますが、それを、みずから親会社がその分野に乗り出していって住専の事業を取り上げた、あるいは侵食をしていったという意味では、明らかに親会社としての競業の避止義務、これに違反をしているというように思っております。それから、  立入調査等に関連いたしましては、紹介融資あるいは協調融資、こういう問題がございまして、これについても非常に大きな責任がある。というのは、母体行に責任があることを強調しておられるんですね。  ここからは角道さんの陳述ですけれども、 そういう意味で、私どもは、母体行の責任は単に貸国債権を放棄しているということだけでは済まない。むしろ、債権者平等の原則というのは実質的な債権者平等の原則でありまして、同一順位者、同一の債権の順位者がある場合に は平等にやる。しかし、出資者であるとか経営者であるとか、そういう方が持っている債権は、そういう一般債権者に比して劣後する。劣るということを強調され、そして、  まだまだ母体行については責任が十分ではないんではないかというように私どもは思っております。非常に控え目なトーンでしたけれども、この中身は非常に私は強烈だ、こういうように受けとめたんですね。そういう思いが系統側にはやはりあるんだろう、こういうように思っているわけであります。  それで、第一次調査、第二次調査、必ずしも全貌が明らかでありませんし、それからこれは総額的に、それぞれの企業などについては融資の総額が出ておりますから、その都度の融資の実態がどうであったかということは必ずしも明らかになっておりません。  しかし、それにいたしましても、これだけの資料がやはり公開されるに至ったというのは、今度の住専問題の処理については公費を投入する、いわばその財源は税金である、国民の皆さんに御迷惑をかけるんだという思いのもとに、橋本総理もそれから久保大蔵大臣も、できるだけこの全容を国民の皆様の前に明らかにしなければならない、こういう御決意をしばしば述べられておりますけれども、そういう御決意のもとに、もちろん当委員会の働きかけもありますけれども、関係機関にこの資料を出させることができた、こういう点では私は大変関係者の御努力を評価したいと思っているわけです。  聞くところによりますと、途中では、大蔵省などで、この全容を公開するについては非常に問題があるというようなことでためらったときもあったようですけれども、それにしてもこれまで出てきた。しかし、それでもなおかつ、まだ全貌が私は必ずしも明らかになってないと思うんですね。  このいわゆる紹介融資の実態、この全容を明らかにしていきたいと思う中で、大蔵省がこの調査を通じて把握しておられるところでは、私どもから考えてかなり悪質な紹介の仕方、紹介というよりもあっせんないしは押しつけであったというものが相当あるんじゃなかろうか。これは新聞だとかあるいはテレビでも、当事者の人が声を変えながら、あるいは顔を隠しながらでも、自分がその衝に当たった者として率直にそういうやり方をしたというようなことが報道され、私もそれを見たり聞いたりしておるわけですけれども、その辺の実態についてどうだったのかということを、先ほどの答弁の補足とあわせて銀行局長にお願いしたいと思います。
  170. 西村吉正

    西村政府委員 まず、先ほどの紹介融資が激増した原因という点でございますが、先ほど申し上げましたように、住専によって紹介融資の割合というのは非常に大きな差があるわけでございますが、全体として申し上げますならば、この住専の融資額がバブルの時期、例えば昭和六十一年三月末には約五兆円であったものが平成三年三月末には十三兆円になっているというように、非常に短期間に膨張いたしました。そういう中で、審査能力がなかなか追いつかないということで、この膨大な資金量をこなしていく上で、紹介というような手法が非常にふえていったのではないかと推察されるところでございます。  次に、その紹介融資の中にやり方に問題のあるものが多いのではないかという御指摘でございますが、私ども、集計をいたしました段階で、一つ一つの紹介融資案件についてその経緯にまで立ち至って詳細を存じているわけではございませんが、そういう御指摘のような例も中には含まれていようかと存じます。  仮にそういうものがございますならば、住専処理機構が債権を回収していく過程におきまして、例えば母体が違法な紹介融資等により住専に対して損害を与えていたことが明らかになりました場合には、損害賠償請求権を適切に行使することにより、その責任を追及することは十分可能であろうかと思いますし、あらゆる手段を講じてそういう問題に取り組んでいく所存でございます。もとより、それは民事上の問題にとどまらず、刑事上の問題も含めて追及されていくべきものと考えているところでございます。
  171. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 今銀行局長の方から、民事、刑事の問題を含めての責任の問題が開陳されました。先ほど細田委員からも民事責任あるいは刑事責任の問題について触れられましたけれども、ここで私も確かめをしてみたいと思います。  確かに、今度の調査の結果などを見ますと、今銀行局長は、非常に多岐にわたる、また一概には言えないというようなお話がある、それはわかりますけれども、個別にこれからはそういうことについても点検をして、民事、刑事の責任を問えるかどうか、これを検証し、そして責任があると思うものについては責任を追及していくという作業、これはもう膨大な作業になると思いますけれども、しかし、私はやり遂げなければならない、そう考えております。  その基本になるのは、一つには、やはり民事的には損害賠償責任であろうと思いますし、刑事的には背任あるいは詐欺、こういうことによる、あるいは特別立法の中での責任の追及ということが点検をされていくのであろうと思います。  それで、政府のこの住専処理のスキーム、それによって住専処理機構ができますと、この住専の持っている債権は不法行為による損害賠償請求権を含めて処理機構が譲渡を受けることになり、処理機構がその権利を行使していくということになるはずであります。それがまだ実行の段階に至るのが相当先になるであろうということは残念ですけれども、早く着手をしなければなりませんが、その場合に、先ほど民事局長もお話がありましたけれども、基本になるのはやはり民法七百九条の不法行為責任であろうと思います。  実は、かつてはこの種の問題について、一つは、私どもは刑事的な問題にも当たると思って告発をするようなときに、警察、検察はなかなか慎重だというか、民事不介入ということを盾にとってなかなか腰を上げないということが多々ございました。  例えば、後日は大変大きな社会問題になって決着を見ました豊田商事の事件。これなんかも、豊田商事の被害者の方が私のところに相談に来たのは極めて早期の段階だったのですが、この手口、やり方というのは明らかに刑法の詐欺にひっかかるというので私どもは告発をしたのでしたけれども、その当時、最初のころですが、警察はけんもほろろでちっとも問題にしなかったのですね。  それが、だんだん報道機関の協力もあって大きく報道されるようになり、被害者が全国にまたがって物すごい膨大な数になってくるということになる。そしてその中で、被害者の中で多くの方がお年寄りだったというようなこともあって大問題になって、初めて告発あるいは告訴などをまともに警察が受けとめるようになって、その結果、かなりの人数が、関係者が処罰をされるということになったのですけれども、これにも大変な手間と暇と時間が要りました。  今回の場合には、構成要件に該当するということになった場合には、英断を持って捜査機関にぜひ処理をしていただきたいと思うのですけれども、一つ刑法的に考えられるのは、もちろん当事者の背任行為、任務に違背して損害を加える、与えるということもあるかもしれませんけれども、私は、例えば紹介融資あるいはあっせん融資、この仕方によっては、刑法の二百四十六条の詐欺罪にも該当するという場合が出てくるのじゃないかと思うのですね。  詐欺罪というのは、刑法二百四十六条の第一項では、人を欺罔して、つまり、だまして財産を騙取、だまし取る者、これは十年以下の懲役に処す、詐欺罪になるのです。これが第一項ですが、第二項では、同じような方法で財産上不法の利益を得、または他人をしてそうした不法の利益を得さしめたという場合にも詐欺罪になる、こういうことになっております。  だから、第一項の方では、だまして相手から財産を自分がとってしまう、これが直接的な詐欺罪なんですけれども、今度のこの紹介融資だとかあっせん融資などの場合には、母体行にその責任があるかどうかを問う場合に、いきなりこの第一項の方では無理かとも思います。  しかし、そういうことを母体行としての権限、あるいは住専と母体行との上下関係といいますか親子関係といいますか、そういう特殊な関係を利用して、子会社的である住専の方が母体行に逆らえないというような場合でも、それを押しつけた。しかも、その融資が、客観的な資料、それから状況、それからまた紹介した融資の相手先などなどから考えて、決して住専のためには利益にならない。利益にならないところか、必ずこれは損害を与えることが明らかだ、あるいは直接に損害を与えないにしても、その危険性があるということを認識しながらそういうような紹介をし、あるいはあっせんをする、あるいは場合によったらそれを押しつけるというような事態が明らかになった場合、それによって直接に母体行がその財産を得ていないにしても、あるいはそれに関連して口座をつくらせるとか、あるいは手数料を取るとかいうような財産上の利益を得てというような場合には、この詐欺罪の適用ということが問題になってくる余地はあるのではないかと私は思うのですけれども、これについて法務当局どうお考えか、お聞きしたいと思います。
  172. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  法律事務に長年御経験のある委員の御質問でございまして、さまざまな事態を踏まえての御質問だと思います。ただ、やはり今、私の立場で具体的な事案に即して、こういう場合にはこうだということについて申し上げることは、申しわけございませんが差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、一般論として申し上げますと、まさに詐欺罪の構成要件として、委員指摘のとおり、人を欺き、そのこととの因果関係といたしまして、財産上不法の利益を得あるいはまた第三者に得させるというようなことが証拠上立証できるというような場合には、詐欺罪の構成要件を充足するという場合はあろうかと存じます。
  173. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 そのままここにおとどまりいただいて、お答えを継続していただいた方がよろしいのかと思いますが、御足労ですが、刑事局長もう一度お出になっていただきたいと思います。  というのは、今、私は一つの想定を申し上げたわけですけれども、この審議を通じて、法務省当局、特に検察当局は、これに関連して刑事訴追その他が起こるであろうことを当然予測して捜査の体制をつくっていく、あるいはそれに対する準備をしているというようにお答えになっておられたと思います。法務大臣もそうだったと思いますけれども、それは今どんな状況になっておりますか。それについてお示しをいただきたいと思います。
  174. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  先般来、法務大臣あるいは政府委員からお答え申し上げたとおりでございますが、現在、東京及び大阪に、最高検を交えまして関係の検察庁間で、協議会ということでこの問題についての基本的な認識を深めるための組織をつくらせていただいているということが一点でございます。  それ以外に、東京地検及び大阪地検に、この問題に関しまして専従の検事を設けまして、この一連の事態について、幅広い角度から、国会の御論議、またさまざまな報道、また関係機関との協力によりまして、あらゆる角度から情報あるいは資料を収集して、これを分析、検討している段階でございます。  いずれにいたしましても、非常に長時間かかった一連の社会事象の中でどのような事態が起こったのかということを見きわめた上で、これにつきまして適切な事案につき、法と証拠に基づきまして処置をしてまいるものと考えております。
  175. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 それでは、民事責任について民事局長にお確かめをしたいと思いますけれども、民事責任は、先ほどもお答えがありましたように、民法の七百九条、不法行為、故意または過失によって他人の権利を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる、この条文でいくんだろうと思うのですね。  判例などによりますと、ここで言っている過失というのは、違法の結果が生じ得るとの認識がなくても、相当の注意をすればこれを認識し、しかもその損害の発生を避け得た場合にも過失としては責任があるんだということを言っているように私どもは認識しております。これは判例の上で確定しているのではないかと思いますので、この点を一つ。  それからまた、この紹介融資者などが、先ほど私が言いましたような、非常に本来の紹介を逸脱して、損害が生ずることを十分に認識でき、またそのことの可能性を秘めながら、なおあえて押しつけたというような場合、これは私は今の民法の七百九条でいけると思うのですが、これに関連しては、七百十五条で使用者責任もありますから、下部の者がそういうようにやったことについては、その上部の使用者についてもやはり責任が生じてくるだろう。あるいは相談の上でそういうことをやったとすれば、民法の七百十九条の共同不法行為責任、これもまた発生するのではないかと思われる。  それからまた、母体行の取締役などがそういうことを行ったとすれば、商法二百六十六条ノ三で、取締役の第三者に対する責任、その職務を行うにつき悪意または重大な過失があったときはその取締役は第三者に対して連帯して損害賠償の責に任ずる、こういうことが当然問題になってくるだろうと思われるわけですけれども、これについて民事局長の御見解伺いたいと思います。
  176. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 幾つかの点について御質問がございましたので、順次お答え申し上げます。  まず、民法七百九条の要件としての過失の意義についてお尋ねがございました。  この点、今委員、判例を引用してお尋ねがありましたが、私、その判例の言葉がどういうことであったか今にわかに記憶しておりませんけれども、過失というのは、そういう損害が生ずるであろうということを予見できたのに、不注意でそれを予見しなかったことと一般に解されているというふうに承知しております。  それから、二点目の、御指摘のような場合に不法行為が成立するかどうかということの問題でございますが、御指摘の事案に即して言えば、最も議論の対象になりますのが、そういう融資をした行為の態様にかんがみてそれが違法性を有するものというふうに評価されるかどうかということであろうというふうに思います。  大蔵当局からも、また委員からも御指摘のように、紹介するということが一般的に違法ということはないわけでございますので、特にその態様において、いわば常軌を逸した違法な行為であるというふうに認定できるかどうか、その点は、先ほど申し上げましたように、諸般の事情を総合して最終的に裁判所で判断されるということであろうと思います。  それから、三点目の、会社の従業員がそういう行為を行った場合に、使用者の責任という御指摘がございました。  民法七百十五条によって、この場合、使用者というのは融資をした会社そのものでございますが、一般的に申し上げますれば、使用者責任を負うということになります。それからまた……(佐々木(秀)委員「今言っているのは母体行の方についてもどうですかというのです。あっせん、あるいはその紹介をした、させた方の使用者責任」と呼ぶ)はい。紹介をした側の責任の問題と存じますが、その母体行の従業員がそういうことを、違法なことをしたということであれば、母体行自体が七百十五条の責任を負うという関係になるということでございますし、また、そういう行為に複数の者が関与しているということになれば、七百十九条の共同不法行為責任ということが問題になると存じます。  それから、最後の、商法二百六十六条ノ三の責任の問題でございますが、この規定によって、紹介をした、御指摘の場合でございますと母体行の取締役の責任ということが問題になり得るということでございますけれども、この要件も委員既に御案内のとおり法律で定められておりますので、そういう要件に該当するかどうかということは、個々具体の事実関係によるということであろうと考えます。
  177. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 時間が迫りましたので、最後に、大蔵大臣と首相にお伺いをして終わりたいと思います。  いずれにしても、今申し上げましたような関係で、その責任ある者に法的な責任を追及するにしても、早くこの仕組みができないと、どうにも手をつけられないことになるんですね。先ほども、悪いやつを眠らせておくわけにいかないという話がありましたけれども、おくれればおくれるほど悪いやつが眠っていくわけですから、何とかこれは早くひとつやらなければならないと思います。  そのためにも、議論を通じて、野党の新進党さんの方からもあるいは共産党さんからも、公費を使うことについてのいろんな異論、意見があるわけですけれども、しかし、練りに練ってつくった、このことがやがてはやはり国民の皆さんのためにもなるんだということで練り上げたこのスキームですから、これをぜひやはり私どもは、国民の皆さん、大方の理解を得て、早く実施をしなければならないのが私どもの責務だと思うのです。  しかし、それにしてもやはり母体行の責任というのは私は大きいと思います、この紹介融資を通じて。大蔵大臣も、ここのところしばしば、何とか母体行その他の銀行にさらなる負担を、負担というか義務を果たしていただくような努力をしているのだというお話でございました。  これについては、スキームの例の債権の放棄、それから一般行については一兆七千億ということとは別に、例えば系統に御理解をお願いして五千三百億贈与をしていただくことになったというようなことでの、先日はまだ具体的なそういう金額などについてのお願いはしていないということでございましたけれども、そういうことを含めて、母体行に責任を感じてもらいながら、ここのところは金融秩序維持のための資金的な性格のものとして、そういう贈与などの形で住専処理勘定に一定の金額をさらに頑張っていただく。  まあここではぎりぎり、ぎりぎりという言葉が出ているわけですけれども、ぎりぎりのところを、もう一つぎりぎりと頑張れないかということを含めて、これは何と言っても強制するわけにはいかないわけですから、お願いしなければならないと思うのですけれども、そういう負担をしていただくための方策、お見通しなどはどうなのか、その辺についてもう一度伺いたいと思います。
  178. 久保亘

    久保国務大臣 佐々木さんの御意見にありますように、私どもといたしましては、一応政府が今日まで当事者と協議をいたしまして合意に達しましたスキーム、そしてそのために必要な予算、これらのものをぜひお認めをいただきまして、その上に立って、さらに私どもといたしましては、関係当事者が、責任、負担、そういうものについて私どもとさらに協議を続けていただくことを期待をいたしております。  私、昨日も申し上げたと思いますが、六千八百五十億の財政支出につきましては、将来直接的に母体行等関係当事者に御負担を願う方法、それから強力な回収によってこれを埋めていく方法、そして速やかなる不良債権処理によって、経済効果によって、税収の伸びによってこれを補てんをしていく方法を通じて、国民の皆様方に御負担をかけることができるだけ少なくて済むよう努力を続けなければならないものと考えております。
  179. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、恐らくこの気持ちは委員とも共通するものでありましょう。一刻も早く手をつけるべき問題点、それぞれの責任追及というものに取りかかりたい。そのためにも一刻も早く結論をぜひお出しをいただきたい。そうした思いの中で、今も委員の御主張を拝聴しておりました。  その中に、今後例えば住専処理機構あるいは預金保険機構が行使し得る武器を幾つか御提示をいただいたように思います。心からお礼を申し上げます。
  180. 佐々木秀典

    ○佐々木(秀)委員 では、終わります。
  181. 三野優美

    ○三野委員長代理 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。  次に、錦織淳君。
  182. 錦織淳

    ○錦織委員 それでは、ちょっと質問の順序を当初考えていたのと変えまして、総理にまずお伺いをしたいと思います。  これまで住専問題を中心に何度も質問させていただきましたが、予算委員会でございますので、私が非常に重大な関心を持っている我が国の定住外国人と地方自治体の問題を、参政権問題とそれから公務員の国籍条項、この二つにわたってお尋ねをしたいと思います。  ちょうど一年ちょっと前でございますが、この予算委員会で村山前総理は、この定住外国人の地方参政権問題について答弁を求められた際に、この問題は、共生社会の問題だとかそういういろいろな角度から取り上げることもできるが、地方自治、住民自治の精神からも検討すべきものである、こういう趣旨の問題提起をされました。  つまり、もともと地方自治というのは憲法上の大事な原則でございますが、この地方自治体と国との権限をどう分けるかという意味での地方自治ということもございますが、もう一つ、民主主義の上で重要なのは、住民が自分たちの住む社会のいろいろなルールとか条件については住民自身が自主的に決定していくというのが地方自治のもう一つの大きな精神でございます。  そういう点からいいますと、長らく日本に住んでおられる定住外国人の場合は何ら日本国民と差異がないわけでございまして、そうした方々に住民自治の立場から参政権を与えるということは、憲法上の大きな当然の要請ではないかというふうに私は思うわけでございます。  そうした一年ちょっと前のこの予算委員会での総理答弁がございましてすぐ後に、これは全くの偶然なのでしょうが、あたかもそれにこたえるかのように、昨年の二月二十八日に最高裁判所の判決が出ました。  従来、定住外国人の参政権については、これは違憲ではないかというような議論がかなり根強くあったわけでございますが、それをむしろ否定をしました。もちろん、憲法上の権利として積極的に保障したというか、定住外国人に参政権を付与しないことは違憲ではないというふうには言っているのですけれども、この判決の非常に重要なところは、「憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しょう」としたものであるということをまず確認をした上で、そして我が国に在留する外国人でその地域社会と密接な関係を持つに至った人については、その意思をその地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるということは、何ら憲法上禁止されていない、こういうことを言っておるわけです。  もちろん表現は、憲法上禁止されていないという表現ではございますが、今の前の前提と、それから私が引用した部分全体を読んでいただきますと、むしろ憲法上そうした参政権を付与するのが望ましいともう言わんばかりの表現をいたしております。こうした判例がその後出たわけでございます。  そういった観点から、この新しい、開かれた社会、国際社会に対応する新しい現代国家日本として、政府としてこうした問題について前向きに対処するというふうにすべきではないか、このように考えますので、総理の御所見をお伺いしたいと思います。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  183. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今まさに委員が最高裁判決を引用されましたように、「憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。」というその後ろに、「しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。」そのように記されております。  私は村山総理が御答弁になったというのをちょっと記憶をしておりませんので大変失礼でありましたが、私は、この問題は、一つは国民主権の問題としてとらえることができる。同時に、まさに地方自治という観点からあるいは地方の権利というものを国との対比においてどう固定していくかということも一つの議論の展開としてあり得る。そして国と地方公共団体との関係、こういうとらえ方もできる。本当にさまざまな角度からこの問題の議論というものはなし得るものだと思いますし、やはり非常に基本的な問題として幅広く検討されるべき問題だと考えております。  そして、与党三党におかれてもこれまでも検討を重ねてきておられると承知をいたしておりますけれども、今後とも各党各会派におかれて十分御検討をいただきたい。  そしてまさに、この最高裁判決の中で、「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等」「その居住する区域の地方公共団体と」特に密接な関係を有するという視点から最高裁が一つの判断を示されたという点について、私も着目させていただいております。
  184. 錦織淳

    ○錦織委員 まず、この問題について肝心の地方議会がどのように考えているかということも押さえておく必要があると思います。つまり、定住外国人の地方参政権が認められるということになれば、まず地方議会でそれが花を開くということになるわけでございますが、全国の三千三百自治体のうち既に都道府県段階で二十七、さらには市町村、区等を合わせまして、四月の四日現在で千百九十五団体、地方自治体が、地方参政権について積極的にこれを推進すべきである、こういう決議ないし意見書を採択をいたしております。  こうした意味で、地方自治は民主主義の学校という教科書のような言葉がございますが、このような趣旨を、まさに各地方自治体が今続々とそうした意見表明をしております。そして、こうした動きはさらにどんどん燎原の火のごとく全国に広がっていくのではないか、このように予測をしているところでございます。  他方、国会の段階ではどうかということで、在日韓国青年商工人連合会というところが昨年の九月の末に第二回目のこの問題についてのアンケートを行われたようであります。そして、そのことについて私どもも資料をちょうだいをいたしておりますが、それによりますと、衆参合わせて三百四十五名、四六・一%の回答であった。もちろん与党、野党をまたがってそうした多数の方からの御回答があった。そしてさらに、そうした回答をいただいた方の中から参政権を認めてよいとする見解が、これまた与野党にまたがって三百七名、実に八九・〇%という高い率でこれを肯定をしておられるという結果も出ております。  もちろん、半数近い方が回答を寄せておられませんので、これが全体の意思とまでは言えないわけでありますが、しかし、これほど相当議論が進んでいる中で、なおかつそうした多くの方々がそうした意見を議会としても持っておられるということは、大変大きな問題ではないか、こういうふうに思います。  ところが、それにもかかわらず、最高裁がそういう判決を出し、地方議会がそういう意見書を続々と採択し、国会の側でもそうした雰囲気といいますか、議論が成熟しつつあるということにもかかわらず、いまだに定住外国人の地方参政権が実現をしない、こういうことで、最近、川崎市において、外国人市民代表者会議というものを設置する条例をつくろうというような答申を市の調査研究委員会が出したということが報道をされております。  これは、もはやそうした正式の法律の制定を待っていてはなかなか進まない、一種のいら立ちでもあるとも受けとめられますし、また、そうした法律ができる前にどんどん現行の法制度の中でもできることからやっていこう、そうした法を先取りしていこうという動きではないか、このように考えているところでございますので、総理、大変含蓄のある御答弁をいただいたと思って私は感謝をいたしておりますので、今後とも、そうした動きもにらみながら、政府としてぜひともこの問題について積極的な御検討をお願いをしておきたいと存じます。  そして、これに関連してもう一つ総理答弁をお願いをしたい点は、地方公務員の国籍条項撤廃の問題でございます。  この問題については、既に市町村段階ではどんどんとこの国籍条項を撤廃をする動きが進んでおりますが、都道府県あるいは政令都市についてはなかなかそういう状態ではございません。  もちろんこれについては、内閣法制局の見解があって、そのために進まないということもあるようでございますが、総理の弟君であらせられます橋本大二郎高知県知事が、最近この問題について大変強い意欲を示して、この法制局見解があることを承知しながら、しかし、やはり現行法制度上これが禁じられていないんだという観点からこうした国籍条項を撤廃して、高知県においてはその枠を取っ払った上で公務員採用を定住外国人にも開きたいということを表明をしておられます。身内だからこそ厳しく対処するんだというようなことをおっしゃらずに、ぜひともこの問題についてはひとつ前向きに政府でも御検討をお願いできないでしょうか。
  185. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず先ほど私が御答弁申し上げましたのは、地方参政権についての答弁を申し上げたわけであります。そして、委員はそれを延長して国政レベルの話にも広げていかれましたけれども、国政レベルにおきまして、選挙権、被選挙権を定住外国人に与えている国というものがほとんどないことは、議員もよく御承知のとおりでありまして、地方における参政権の問題と国政への参政権の問題とはおのずから問題の質を異にすると存じます。この点だけはどうぞ誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。  また、既に従来からの政府の地方公務員の国籍条項についての見解は御承知でありますが、地方公務員の採用につきまして、医療技術系その他の専門的、技術的な職種など公務員の当然の法理に抵触しない職種について、日本国籍を有しない方々にも採用機会の拡大を図るように地方公共団体を指導してまいりました。  しかし、一般事務職等について国籍要件を外すということ、それは一面大変その時点ではよいことのように見えますけれども、当然のことながら、昇進をしていかれる場合に、その時期、つけない職種が生まれるという事態は起きないでしょうか。私は、国籍要件を外しますことは、昇進の問題など将来にわたる適切な人事管理という点から首をひねり続けております。
  186. 錦織淳

    ○錦織委員 今誤解をしておるんではないかという御指摘でありましたが、私のあるいは表現の仕方でどこか不適切な点があったかもしれませんが、私、この問題はまず地方参政権の問題として問題を提起をさせていただいております。国会の状況も、あくまで国会議員の中に、地方参政権を認めるべきだという意見が受け皿として国会議員の中にどんどんという意味でございます。  そこで、今の問題でございますが、公務員の場合も、とりあえず、国家公務員ということについて大きな問題があるのであれば、地方公務員についてまずそうした国籍条項を撤廃をするということについては何か障害があるのでしょうか。
  187. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は地方自治の経験を持っておりませんので、地方自治体の行う業務に必ずしも習熟いたしておりません。しかし、例えば個々の国民のプライバシーにかかわるような情報を得る機会のある職種というのは当然ながら想定できるわけでありますが、そうした職種の許容範囲の中に国籍要件は入らないものかどうか、私は多少疑問を持ちます。  そして、逆にそうしたポストには特定の要件が、すなわち国籍要件が満たされないということをもって外国の方の昇進を排除するということが人事管理上果たして可能なものかどうか、そうしたことまで私は十分検討をすべきではなかろうかと存じます。
  188. 錦織淳

    ○錦織委員 ちょっと総理の御答弁、よくのみ込めなかった点もあるんですが、恐らくこの点については、先ほどちょっと申し上げた一九五三年の内閣法制局の見解がございまして、公権力の行使や公の意思形成に参画する業務は日本国籍を必要とするのは当然の法理だという見解が示されております。恐らくこれが実務的にも国籍条項ということで妨げておるようなもとになっておる、このように理解をしております。  これについても、私は今申し上げたように、国家公務員と地方公務員をまず一律に論じていいかどうかという問題がございます。特に地方公務員の場合は、先ほどの最高裁判決が、地方の住民の、そこに住んでいる住民に密接な関係のある地方公共団体の事務については参加をさせても違憲ではないという、そういう判断を示したわけですから、この法制局の見解もそうした最高裁の判例という公権的な解釈が示されたことによって当然変わるべきではないか、こんなふうに考えるんですが、自治大臣いかがでしょうか。
  189. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 ただいま御指摘の国籍条項の撤廃の問題につきましては、政府は従来から公務員に関する当然の法理として、公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とし、それ以外の公務員となるためには必ずしも日本国籍を必要としないものと解釈をしておりまして、このことは地方公務員の場合も同様であるとされてきたところでございます。  この法理につきましては、内閣法制局を初めといたしまして、政府、地方公共団体とも長年にわたって従ってきたものでございまして、またこの法理の存在を前提としての立法も国会でなされておるところでございます。  したがいまして、公務員に関します当然の法理は、国家公務員、地方公務員を通ずる国全体の公務員制度に含まれる法理でございまして、このような中で、自治省といたしましても、公務員に関する当然の法理を踏まえつつも外国人の採用機会の拡大を図るよう地方公共団体を指導してまいったところでございます。
  190. 錦織淳

    ○錦織委員 それでは、時間が参りましたので終わりにいたしますが、いずれにいたしましても、法制局の見解といえども時代の制約を受けて表明されたものだ、こういうふうに考えますので、時代の変遷に伴って変わっていくべきは当然だ、こんなふうに考えますが、いずれまたこの問題については改めて議論させていただきたいと存じます。  どうもありがとうございました。
  191. 上原康助

    上原委員長 これにて錦織君の質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君。
  192. 松本善明

    ○松本(善)委員 紹介融資の問題で、まず大蔵大臣に若干実態を聞いてから総理伺いたいと思います。  橋本全銀協会長・富士銀行頭取が参考人として本委員会に出席し、紹介融資問題については、銀行は紹介しただけで、住専がみずから審査をした、紹介の責任はないと述べて、全く責任がないかのような態度をとりました。銀行の公共性、社会的責任などというのはもうどこ吹く風という。  我々も、独自に銀行の貸付担当者に会いまして調査をいたしました。それによりますと、ある信託銀行ではどういうものを住専に紹介融資として回したかといえば、銀行は通常土地は七割、建物は五割の担保掛け目で評価をするが、そこに届かない担保不足のもの、収益還元法で評価をして収益性に乏しいもの、転がしなど実需につながらないもの、こういうものを住専に回したということを担当者は明言をしております。大蔵省の第一次立入調査の報告を見ましてもそれは裏づけられますし、それから母体行から出向した人物が審査をしていて、事実上審査がフリーパス、こういう状態もありました。  こういうやり方の結果、住専不良債権の実に四分の一が紹介融資によってもたらされております。まさに銀行のごみ箱となっている住専の姿がありありと見えるという状況であります。  銀行不良債権率はどうかと申しますと、都市銀行全体で四・九%であります。住専に押しつけた紹介融資の九割が不良債権化していることと比べますと、個々は紹介融資それぞれ違う点がありますけれども、数字を比べると九割とわずか四・九%なんですね。これはもうはっきりと数字が悪質な紹介融資をやったことを物語っている。銀行は悪いものはみんな住専に押しつけた、自分のところはいいものだけ残す、こういうふうにやったということは明白です。この数字について、大蔵大臣の御感想といいますか見解伺いたいと思います。
  193. 久保亘

    久保国務大臣 今お話がありましたような結果的な数字について、私もよく承知をいたしております。大変遺憾なことだと思っております。
  194. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理伺いますが、今の橋本全銀協会長が頭取をしております富士銀行の融資担当者に私たち調査をいたしました。こういうことを言っています。住宅ローンサービスには基本的に審査能力はなかった。銀行は担保掛け目についても厳しく審査をしたし、企業が持っている潜在能力、企業の資質など広範に審査をした。審査のための資料もその都度富士銀行から提供した。これが住専の審査能力の実体であるということは、母体行の富士銀行はみんな知っているわけですね。  大蔵省の第一次立入調査の報告を見ましても、まともな審査能力を備えた住専などありません。母体行はこれを当然知りながら紹介融資で悪質なものを押しつけていた、言うならば銀行業務の免許制度を形骸化してきた、これは私ども今までも指摘をしてまいりました。  それで、もう御存じのように、官房長官も大蔵大臣も、これを母体行や一般行が引き取る必要があるという私の指摘に対して認められて、一昨日は総理も同じ考えだということを御答弁をされました。  それで、少し数字を申し上げて、総理考えをお聞きしたいのであります。  母体行の紹介融資の九一%が不良債権化をしておりまして、不良債権総額一兆五千七百三十四億円、損失見込み額、完全にロスになる、これが九千百九十七億円。一般行としての不良債権額は九千三百六十二億円、損失見込み額、完全にロスになるのが五千二百三十三億円。合計、不良債権額は二兆五千九十六億円、損失見込み額は一兆四千四百三十億円であります。政府の公的資金導入予定額は、言うまでもありませんが、一次損失で六千八百五十億、二次損失で現在六千億、合計一兆二千八百五十億円です。だから損失見込み額だけでこれを上回るわけなんですね。  しかも、この際申し上げておこうと思うのです。債権放棄額より紹介融資の損失見込み額の方が大きいという銀行がある。住友銀行は二・四倍です。三菱銀行は一・六倍です。債権放棄だけでは責任を果たしたことにならないと大蔵大臣は言われましたけれども、まさにこの適例なんですね。むしろ住専処理案でいけば得をするんですね、債権放棄をしたって紹介融資を引き取らなければ。悪いものを押しつけているわけですから。ですから、こういうことをそのままにしては、国民は決して納得しない。  総理伺いたいことは、母体行としてやったものも一般行としてやったものも含めて、この損失見込み額だけでも銀行に引き取らせれば、公的資金導入なしで解決をする。いろいろな提案がなされていますけれども、これは私どもは最もよい方法ではないか。これに対して内閣として本気で取り組むべきだ。総理はそういうことについて肯定的な答えを一昨日されましたけれども、本気で取り組む考えがあるかどうか、お聞きをしたいと思います。
  195. 久保亘

    久保国務大臣 今お話がございますように、母体行の紹介融資による不良債権が非常に大きな額に上っていることはそのとおりでございます。ただ、全体の不良債権の中に占めます母体行融資の率は、今お話がございましたように、二〇%台であると思っております。  それで、そのような中で、その全額を負担しろというやり方が妥当であるかどうか。私は、そういう状況に基づいて、母体行が今この住専問題の処理に対してどのような責任ある負担を行うべきかという立場で協議をもっと積極的に進めるべきであろう、このように考えております。
  196. 松本善明

    ○松本(善)委員 それでは、実際にこういう紹介融資の不良債権問題で母体行と交渉されたのでしょうか。だれと交渉してどういう返事をもらっていらっしゃるのでしょうか。前から大蔵大臣は、いろいろやっているんだ、考えはわかるというような趣旨のことを言われているわけですね。何かおやりになったのでしょうか。
  197. 久保亘

    久保国務大臣 与党三党の方では、銀行協会ともかなりな議論をやっていただきました。また、私自身も、銀行協会の会長に大蔵省においでいただきまして、国会における論議の模様等についてお話をしてございまして、きょうのお話をできれば第一ラウンドとして、今後もっとこれらの問題についてぜひ協議を続けたいということを申し上げてございます。  国会の日程その他、向こうも公務を持っておりまして、しょっちゅう会うというような時間が今とれませんけれども、私としては、スキームの問題とは関係なくこの問題を進めることが重要であるということを先ほども答弁を申し上げたところでございます。
  198. 松本善明

    ○松本(善)委員 私どもはやはりスキームの上乗せだと思うのですね。三兆五千億を放棄をさせて、さらに紹介融資を引き取らせるとか、いろいろな負担をさせるとかいうことをやるべきだ。  この問題では、官房長官が母体行に不良債権を引き取らせるのはという肯定的な答弁をされたのは三月十四日であります。大蔵大臣が認められたのは二十七日の暫定予算のとき。そのときにも総理がそういうニュアンスを発言されたのですが、はっきり総理が言われたのは二日であります。そういう経過を見ますと、やはりちょっと、率直に申し上げまして怠慢ではないだろうかと。  そういうことを答弁をされるなら、やはり監督権限もありますし、それから今日本の政治の中の最大問題でしょう。やはり呼びつけて、国会ではこういうことになっているんだ、これはどうだと、そしてやったけれども母体行はこういうふうに言っていたということをやらなければならないのではないかと思うのです。それはおやりになっていないのですか。
  199. 久保亘

    久保国務大臣 私の考えといたしましては、今日まで母体行責任主義という立場も含めてスキームがつくられてきたという経過もございます。そしてさらに、しかし皆さんの御議論もありまして、私自身の考えもございます。大蔵省の幹部の諸君に対しましても、母体行責任ということについてどのように今後進めたらいいかということで意見も求めております。  私ははっきり申し上げておりますが、これらの問題は、言うべきことは明確に言っていかなければいけないと思っておりますが、こちらから呼びつけて、監督権があるんだというような、そういうやり方ではなかなかこの話はまとまらないのではないだろうかと思っております。
  200. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理、これ以上大蔵大臣には申しませんけれども、私は、これだけの大問題、日本金融システムがどうなるかという大問題、やはり銀行が協力するのは当然だと思うのです。この問題について内閣としてやはり取り組んでほしい。この時点で、どういうふうにおやりになるかやはり対策を、大蔵大臣も官房長官も総理もお認めになったことです、どういうふうに具体化をするのかということについてのお考え総理から伺いたいと思います。
  201. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変恐縮でありますが、私も大蔵大臣同様に、例えば人を呼びつけて頭ごなしにどなればそれで済むといった問題だとは思っておりません。むしろ、一日も早くきちんとした処理体制を行使させていただき、法に基づく権限と、法律に裏打ちされました預金保険機構あるいは住専機構によります債権の回収に全力を挙げながら、その中で違法を摘発した場合にはきちんとした法的対応をしていくということをできるだけ早くさせていただきたいと願っております。
  202. 松本善明

    ○松本(善)委員 私も、もちろん呼びつけてどなりつけたらいいなんという、そんなことはさらさら思わないですよ。それは免許業務の形骸化ということが大問題、総理銀行の存在意義が問われるということについて肯定的にお答えになったわけですよ。その問題について、銀行経営者に政府が来てくれと言って話をするのは当然じゃないですか。私は、ここで答弁をされたことが口先だけでないというのなら、やはりそれははっきりと実行で示していただかなければならぬということを申し上げて、次の質問に移ろうと思います。  これは、私はいろいろな形で実現をしなければならない。確かに法律的に、例えば損害賠償をどうのこうのというのは、これは司法のやることで政治は何もやらぬということじゃないですよ。だからそういうことではなくて、やはり行政指導を貫く、基本的に言えばそういうことであろうと思いますけれども、やるべきだと思う。そのために、私ども国会としてもいろいろ協力することがあればやるべきだと思う。  大蔵大臣は、本予算委員会の始まったばかりのころに、資料の開示については、国政調査権に基づく請求があれば検討するということを答弁されている。そして、議院証言法に基づく請求に応じて資料が開示をされました。母体行の追加負担問題、紹介融資問題を解決するためにも、真相の解明は不可欠であります。与党の追加措置案も、紹介融資、迂回融資の厳格、容赦ない解明を行うということがあります。私は、政府国会の協力で母体行の追加負担問題を解決するのに何ができるかということを解明する必要があろうかと思います。  我が党は現在、七つの住専住専の母体行の責任者を七名ずつ証人として、紹介融資の実態を明らかにさせて、どのようにその責任をとるかを明らかにさせるべきだと考え、その要求をしていますが、とりあえず全銀協の会長である富士銀行の頭取、住専の生みの親であり第二次再建計画を作成した中心の三和銀行の頭取、紹介融資が母体行分は三割足らずで一般行としても紹介融資が極めて多い住友銀行の頭取、これは紹介融資では一番あくどいやり方をやっているように思いますけれども、その証人喚問を要求しています。  これらの証人に、政府に対する質問で明らかにしましたけれども、紹介して融資をさせて融資先から預金をさせる、そういうあくどいやり方の実態を明らかにすることが母体行の追加負担を認めさせるのに役立つと私どもは思って要求をしているわけです。そういうことが役立つかどうか、また、国会との協力でどういうことができると思っておられるか、大蔵大臣のお考え伺いたいと思います。  何か質問の趣旨がおわかりいただけないかのような感じでございますのでもう一度申し上げますと、例えば証人喚問でそういうことがやられて紹介融資の実態が国会で明らかになれば、大蔵大臣として追加負担を母体行などに認めさせるのに役立つのではないかと思うが、どうですかという質問です。
  203. 久保亘

    久保国務大臣 証人喚問につきましては、国会がお決めになることで私が申し上げてはいけないことだと思っております。ただ、そのような国会の御審議を通じて明らかになったことで理のあることは、私はきちんとやっていくのが政府責任だと考えております。
  204. 松本善明

    ○松本(善)委員 もちろん、証人喚問を決めるかどうかということは、それは国会で決めることですから、大蔵大臣に聞こうとは思っていません。今の御答弁は、それを踏まえて、国会審議で出てきたことで銀行に迫るということもあるという趣旨の御答弁だったと思います。だから、そういう点ではやはり証人喚問をやるということが役立つと私どもは改めて思うわけでございます。  資料提出についても同様であります。これまで国会に提出された資料は住専側のもので、母体行には議院証言法で請求しておりませんので、母体行側の資料は今出ておりません。  それで、冒頭紹介したある信託銀行の貸付担当者の話では、もう一度繰り返しますが、通常、土地は七割、建物は五割の担保掛け目で評価をするけれども、それに届かない担保不足のものや、それから収益性に乏しいもの、実需につながらないもの、こういうものを紹介したということなんですね。  母体行には、やはりこういう証言でもわかりますように、紹介融資の基準があるはずです。何もそれは下の方の人たちが勝手にやっていいというわけにはいかない。基準があるはずです。私は、そういう基準など紹介融資の手口、例えば紹介融資の融資先から預金をとるなど、質問でも紹介しましたけれども、泥棒以外何でもやったというやり方でやっているわけでしょう。それで、それを解明する資料の提出が全くされていないわけです。これを母体行に求める必要がある。  我が党は、都銀、信託、それから長信銀、二十一行の住専への紹介融資の基準と実態を議院証言法で提出させるよう要求をしておりますけれども、これは本来は銀行法で大蔵省がやはりやって、その状況を国会に報告すべきことではないかと私は思うのです。そういう報告や資料の提出を大蔵省、求めたことがあるのでしょうか。あるいは、紹介融資の実態が非常にひどいものだ、与党も徹底的に解明しなければいかぬ。立入調査をして実態を調査をしたことがあるのでしょうか。いかがでしょう。
  205. 西村吉正

    西村政府委員 紹介融資というものの形態がいろいろなものがあり、またその動機もさまざまであり、また、住専によってその状況が相当な開きがあるということは何回も御説明しているとおりでございます。私ども、そういう状況を機会を見て今までも調査したり把握をしてきたところでございますけれども、それ以上の、ただいま統一的な基準に基づいて紹介融資の基準と実態を各母体行に資料を要求するという件につきましては、三月の二十八日付で共産党から御要求があることは承知をしておりますが、ただいまそれについて協議が行われていると承知をしております。
  206. 松本善明

    ○松本(善)委員 国会の協議は国会の話です。別に銀行局長から指図をされる覚えはさらさらない。今のお話は、やってないということなんですね。せっかくの監督権限がありながら何もやってない。与党が紹介融資の実態を徹底的に解明すべきだということを言ってたってやらない。私は、大蔵省の官僚諸君に任せたのではそれはできないと思います。それほど癒着がひどいと思います、先輩たち。  私は、大蔵大臣が火だるまになってもやるということで大蔵大臣を引き受けられたという記事を見たことがございますけれども、それはむしろ今までかかわりがなかったから、断固としてやるということは大蔵大臣、やろうと思えばできるはずなんです。今の紹介融資の基準の問題もそうでありますが、その他私どもが要求している資料といいますのは、これは本来は大蔵省がとって、そして国会審議に供すべきものです。それが何もされないという状態。だからこそ、国会で議院証言法でやるかどうかということを相談している。  私は、大蔵大臣御自身がこの資料提出について官僚に任せないで、これは本当に追加負担の問題や紹介融資の問題を解明し、そして前進的に解決をするために必要だというなら、出しなさい、あるいは調査をやりなさい、報告を求めなさい、国会に提出しなさいということの主導権を持ってやっていただきたいと思いますが、大蔵大臣、そういう決意でおやりいただけるでしょうか。
  207. 久保亘

    久保国務大臣 私は、この委員会が始まりましたときから、国家公務員法に基づく守秘義務を変えることはできない。しかし、この守秘義務を情報公開の盾としないために、国会において必要な法的手続をとっていただけばできるだけ資料を提示する方向で努力したい、守秘義務は決して情報を開示しないための壁ではないということを申し上げてまいりました。省内でもそのような立場で協力をいただいているつもりであります。
  208. 松本善明

    ○松本(善)委員 大蔵大臣の御答弁は、国会の国政調査権との協力でやっていくということについての積極的な御答弁であったと思いますが、私は、やはりもう一歩を——毎回ずっと今までも論議をしましたけれども銀行の公共性、社会的責任という観点から監督権限が決められていますから、それは報告を求めるとか、それから資料を提出をさせるとか、それから立入調査、ごく初歩的な権限です。それもやっていないというのでは、それは私は、ぐあいが悪いんじゃないか。これも検討されたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  官房長官、暴力団の問題を伺いたいと思うのです。  これは、住専問題処理対策本部長として伺いたいのです。住専問題の解決に暴力団問題が極めて重要な位置を占めるということは、たびたび本委員会でも取り上げられております。金融業者が地上げに暴力団を使う、サラ金に使う、銀行は暴力団と持ちつ持たれつだとさえ大新聞に書かれているという。国際的にも大問題になっています。ところが、この問題は、残念ながら本委員会でまだよく解明されているという状態になっておりません。資料も全く出ておりません。  国家公安委員長にお聞きをしますと、類似犯罪の防止等の観点から必要があると認められるときに公表しているという答弁を繰り返しております。だから、国家公安委員長に聞いてもこれはしようがないのですよ。同じ答弁が返ってくるのではないかということで、それでわざわざ官房長官に特にお見えいただきました。それは、住専対策本部長であり、実力者だということでそういう立場に置かれになられたわけでありますし、それからやはり内閣の大番頭でありますから、それでお聞きをするわけです。その前提として、この解明なしにはやはり債権回収もできませんし、国民も納得しないと思うのです。  二月に「日高義樹のワシントンリポート 住専アメリカならどうする」というテレビ番組がありました。あるいはごらんになったかもしれませんけれども、その中では、Sアンドしの処理を通じて六千四百人が起訴をされ、五千七百人が有罪判決を受け、うち三千六百人が懲役刑を科せられたことが紹介をされ、三人のアメリカ検察官が討論をしておりました。その中で、土地転がしは懲役二十年です。不良債権の飛ばしやつけかえも重罪に問われている。もう山のように日本ではあります。それは何の責任も問われていないのですよ、今。  それで、この暴力団に関する資料の存在は、警察白書に明記をされております。資料の一部すらどうしても出さないというのでは、これは国民は納得しないと思うのですよ。大新聞でも、仕分けをして、これはもう文句なく暴力団だ、こういうのはすぐ出さなければいかぬ。どっちかなというのもあるかもしれぬ。あるいは、いろいろ仕分けをして出せぬことはないはずじゃないか。私は、当然だと思うのですね。  国家公安委員長に任せておきますと、これは一歩も進まないので、それで特に官房長官に伺うのでありますが、内閣の大番頭として、住専対策本部長として、何らかの工夫をして一歩進めるということができないものかどうか、その点を官房長官に伺いたい、こういうことでございます。
  209. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 国家公安委員長が法的な背景をもってもできないということを、番頭の私ができようはずがございません。ただ、内閣としてこの問題に全力で取り組むというためにこの本部をつくったわけでもございます。  確かに、御指摘のように、そうストレートに暴力団がどういうふうに絡んでいるという図式のものではございませんから、巧妙というと相手にしかられるかもしれませんが、いずれにしても、一般の民間会社と同様のスタイルでくる場合においては法のもとには平等であります。なかなかこれを即刻摘発というか、それができないわけでありますが、いずれにいたしましても、刑事上あるいは民事上のあらゆる手段を駆使をして、これを早く行っていきたい。そのためにも、ぜひひとつ早くこの予算住専機構を発足をさせていただいて、発足をしないことには何とやっても動きようがありません。お願いを申し上げたいと思います。
  210. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、やはりすべての結論を予算を早く通せというところへ持っていくというのは違っていると思うのですよ。五十日の暫定予算を組まれる、その前に言っておられることは一体どうだったんだ。言いようによっては、みずからせっつかれてやるようなものでないということを認められたということです。私は、むしろもっと根本問題、存在意義が問われる銀行のあり方とか、それから暴力団と銀行の結びつきとか、あなた自身がかつて雑誌で、本末転倒だ、責任を論じないで対策だけやっているのは本末転倒だと言ったじゃないですか。ボタンのかけ違いが起こっているのですよ。そこをやはり正さないと、これはただ焦ってもどうしようもない。やはり日本の政治、経済の根本問題だ、そういうことだと思うのです。  総理に最後に伺って終わろうと思いますが、今の暴力団問題、それから銀行の存在意義が問われているという追加負担の問題、これはやはり目先のことではなくて日本の根本問題として、それはすぐ予算を通しさえずればいいというようなことではなくて対処をする必要があると思いますけれども、最後に総括的な御答弁をいただきたいと思います。
  211. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 残念でありますが、私は、委員とその点において根本的に意見を異にするようであります。  私は、予算の成立をできるだけ早くしていただきたいとお願いをするのは、喫緊の課題だと考えております。同時に、我々が今御指摘のありましたような問題に取り組んでまいりますためにも、でき得る限りこうした問題に専念して取り組める体制、すなわち預金保険機構であり、住専処理機構であり、ここに人材を集め、体制を整えて、この問題に真正面から取り組める状態を一分一秒でも早くつくらせていただきたいと心からお願いを申し上げます。
  212. 松本善明

    ○松本(善)委員 これで終わりますが、総理考えと私は違います。根本的に、やはり議会でありますので、私ども意見についても耳を傾けられ、そして入れられるところを入れて、積極的な解決を図るように要望をして、質問を終わりたいと思います。
  213. 上原康助

    上原委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  214. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 今度の予算委員会を振り返ってみまして、議長のあっせんによって正常化したことを大変私も喜んでおります。  それで、過去の経験から見ても、いわゆる議会というところは間接民主主義ですね。直接民主主義というのは国民の声を聞くことでして、今度のこの住専問題で税金を使うという点について、これほど間接民主主義の国会といわゆる国民の声といいますか、直接民主主義のその声の乖離といいますか、非常に離れておる。これをどうすべきかというものは、お互いやはり知恵を出し合わなければならないのじゃないか。  きょう、私は質問を聞いておりまして、官房長官が、大変貴重な意見をいろいろ聞かせてもらったという言葉があったような気がします。それから、久保大蔵大臣はただいまも、理のあるところは大いに酌み取っていくというような御意見だったと思うのですね。何とか接点を見つけることができないのだろうか。橋本総理は内閣のトップですから棒を飲んだような態度でおられるのはやむを得ないと思う。それから、野党第一党の新進党のトップの方はやや柔軟性と申しますか、最初のころよりもあめの棒ぐらいの棒に変わってきたのではないか。もうちょっと努力すれば何とか接点が、お互いに完全な満足はできなくても接点が見つかるのではなかろうかという感じを私は持ちますが、梶山官房長官、どう思われますか。
  215. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 確かに国民の極めて強い関心事というか、これに対する風圧を感じているわけであります。一与党、野党ということではなく、国会全体の問題としてこの問題の解明に当たらなければならない覚悟を持っております。  そして、その中で特に感じますことは、今この時期、予算を、そしてこの住専のスキームを早く通すことによって、その後それぞれ皆さん方から出された貴重な御意見をこれにつけ加えて、早くこの問題の処理を図っていかなければ、いたずらに日を送ってますます傷を深くする、このことのないように努めなければならないと感じております。
  216. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 実は私の質問時間、例によって十五分しかないので、用意しておった問題があるのですけれども……。  きのうこういうものを印刷されておるのですね、政府は。けさ私はこれを手に入れましたよ。これは「住専問題とは何ですか。」というパンフレットですね。いいですか、これを与党三党が出されるならいいのですよ。政府が出されるというのは一体何ですか。これは私は……(発言する者あり)黙って聞きなさいよ。せっかく今一生懸命接点を求めてあれしょうとしておるときに、おのおのの政党が言うのはいいのですよ、これは国家予算を使っているのでしょう。幾らかかっておるのですか、何部印刷したのですか。
  217. 西村吉正

    西村政府委員 住専問題につきまして国民の皆様により御理解をいただくために私どもが御説明のための資料をつくったものでございますが、政府広報として実施しておりますものですから、私、部数等については現在承知をしておりません。
  218. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 幾らかかったかと聞いているのですよ、費用は。
  219. 西村吉正

    西村政府委員 広報予算を幾らこれに充当したかということについても、私、今手元に資料がございませんので、改めて調べまして御報告をいたします。
  220. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは本年度の予算からか、あるいは暫定予算からか、はっきりしてください。
  221. 西村吉正

    西村政府委員 私どもの管轄しております予算ではございませんものですから、担当者の方に確かめまして、御報告するようにいたします。
  222. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いつ報告されますか。
  223. 西村吉正

    西村政府委員 できるだけ早く御報告するようにいたします。
  224. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私の質問の終わるまでにしてください。  そこで、大蔵大臣は、このパンフの内容、文案、これは了承されて印刷させたのですか。
  225. 久保亘

    久保国務大臣 原案の段階で承知いたしております。
  226. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 総理はどうでしょうか。
  227. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私も見せてもらいました。
  228. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 せっかく議長のあっせんによってお互いが考え方を出して、政府案はわかっております、与党三党の案。新進党考え方を出されて、ここでいわゆるまだ審議をしているのでしょう。共産党の方からは随分ほかの疑問が出されて、まだはっきりしてない点もある。そういう段階で、いかにも政府予算案がそのとおり通ったような予断を持ってどうしてこういうものをつくるのですか。これはあなた、簡単に考えてはいけませんよ。議長あっせんにも反する、私に言わせれば。せっかくあれしているのに。決まってないのでしょう、政府案は。
  229. 西村吉正

    西村政府委員 私どもは、御提案申し上げております問題につきましてより深く御理解をいただくために資料を作成した次第でございます。内容は、国会でも政府考え方として御説明を申し上げているようなことを内容といたしております。
  230. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もし変わったらどうしますか、内容が。
  231. 西村吉正

    西村政府委員 もし国会で御議論の結果、結論が変わりましたら、そのような内容に基づいて御説明を申し上げるべきものと考えております。
  232. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなた、ばか言いなさんな。こんなむだ遣いがどうしてできるのですか。  では、内容について聞きましょうか。  一ページですね、「六千八百五十億円の財政支出を含む政府住専処理策は皆さんの預金を守るためにどうしても必要です。」「皆さん」ってだれですか。
  233. 西村吉正

    西村政府委員 その趣旨も国会でも御説明しているとおりでございまして、今回の措置は預金を、預金者を保護するということを最終的な目的にしておるものでございます。
  234. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは私はうそだと思うのですよ。まだ疑問点はたくさんあるのですよ。私に二時間もくれてごらんなさい、まだやりますよ。  それから、時間がないから一遍で言いますが、六ページにこういうことが書いてありますね。「住専のために一人五千五百円ずつの税金を新たに納めていただくことはありません。」と言うが、そう書いてありますね。単年度予算の中で、国民が毎年納める税金からこれは支払われるんだ、そうでしょうが。これも中身がごまかしですよ、私に言わせると。  それから四ページ、「法律上問題のある紹介をした銀行や行政の責任も明らかにします。」当たり前のことでしょうが。しかし、一体この行政の責任、いつ、だれをどのように処分するのですか。そういうところまで書かぬとだめですよ、宣伝するなら。(発言する者あり)怒っているんです、久しぶりに。このごろは人畜無害でおとなしくしておったけれども。  それからもう一つ、八ページ、これは新進党が怒らなければおかしいんじゃないかと思うんだな。いいですか、破産などの法的処理について、「信用不安が起きる可能性があることはとてもできません。」と書いてある。これは、新進党案の批判でしょう。よく読んでごらんなさい。  私は、それは意見があっていいですよ。しかし、政府はこの大事な段階で、せっかく議長があっせんして、こうして議論しておるときに、お互いの案を出し合いながらよりよいものを求めようとしているときに、どうしてこういうことを一方的にやるんですか。私は、これは土井議長見解も聞きたいよ。また、上原委員長は、こういうものを国家の財政を使って、税金を使ってやるということは問題があると思いますよ、これは理事会で大いに問題にしてください、国民に配布される前に。  それで、一つだけ聞きます。  協同住宅ローン、これの定款ですね。この定款を見まして、「目的」が書いてありますね、母体行は農林中金でしょう、それで、証券投資がこの「目的」からできるようになりますか、なっていますか、これは。
  235. 西村吉正

    西村政府委員 まず、先ほどの広報予算の件でございますが、総理府の昨年度の政府広報予算から支出しているということでございますが、三十万部作成をいたしております。予算額は、ちょっと今確認をしたのですが、直ちにはわかりませんので、後ほど御報告いたします。‘  なお、協同住宅ローンが株式の取引をできるかどうかということにつきましては、定款に恐らく定めてあるのであろうと推測いたしますが、私、今手元に定款を持っておりませんので、お答えを差し控えさせていただきます。
  236. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はわからないのです、大臣。どうして証券取引がこれでできるのかね、証券投資が。この第二条に「目的」というのが書いてある。  書いてない、はっきり言って、私の理解では。ところが、協同住宅ローン、これは証券取引していますね。そして、九一年、総理大蔵大臣のときですよ、これもまた何かの因縁でしょう、これが損失を出した。例の証券不祥事ですよ。あなたのときの時代ですと言っているんです。あなたがやったとは言っておらぬです。  このデータの中に二つ出ていますね、損失保証をしてもらっている、証券会社から。これは、私は、この定款に違反していると思う。しかも、これは八〇年十月十六日のいわゆる農協に関する通達、あれにも違反している。それだけ指摘して、時間だそうですから、終わります。
  237. 上原康助

    上原委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、住宅金融専門会社に対する紹介融資等についての集中審議は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五分散会