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1996-04-03 第136回国会 衆議院 予算委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月三日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       金子 一義君    菊池福治郎君       志賀  節君    高鳥  修君       谷川 和穗君    原田  憲君       武藤 嘉文君    村岡 兼造君       村山 達雄君    谷津 義男君       若林 正俊君    安倍 基雄君       愛野興一郎君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       上田 清司君    江田 五月君       川島  實君    斉藤 鉄夫君       坂口  力君    笹川  堯君       鮫島 宗明君    谷口 隆義君       平田 米男君    松岡滿壽男君       柳田  稔君    山口那津男君       山田  宏君    今村  修君       佐々木秀典君    坂上 富男君       田中 昭一君    細川 律夫君       錦織  淳君    穀田 恵二君       松本 善明君    吉井 英勝君       土肥 隆一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         厚 生 大 臣 菅  直人君         農林水産大臣  大原 一三君         国 務 大 臣         (内閣官房長官         )       梶山 静六君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局経済部長 塩田 薫範君         総務庁行政監察         局長      大橋 豊彦君         環境庁長官官房         長       田中 健次君         環境庁大気保全         局長      大澤  進君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官         事務代理    稲川 照芳君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         厚生大臣官房総         務審議官    亀田 克彦君         厚生省生活衛生         局長      小林 秀資君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君         厚生省児童家庭         局長      高木 俊明君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         農林水産省畜産         局長      熊澤 英昭君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君  委員外出席者         衆議院法制局第         一部長     早川 正徳君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 四月三日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     金子 一義君   伊藤 達也君     鮫島 宗明君   左藤  恵君     坂口  力君   谷口 隆義君     斉藤 鉄夫君   前田 武志君     江田 五月君   山口那津男君     柳田  稔君   穀田 恵二君     吉井 英勝君   海江田万里君     土肥 隆一君 同日  辞任         補欠選任   金子 一義君     相沢 英之君   江田 五月君     前田 武志君   斉藤 鉄夫君     谷口 隆義君   坂口  力君     上田 清司君   鮫島 宗明君     伊藤 達也君   柳田  稔君     山口那津男君   土肥 隆一君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   上田 清司君     左藤  恵君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算 平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  これより理事会協議に基づく一般質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細川律夫君。
  3. 細川律夫

    細川(律)委員 おはようございます。社民党の細川律夫でございます。  まず最初に、外務大臣に御質問をしたいと思います。  三月三十一日、お隣の中国から銭其シン総理外相訪日をされまして、本日午後日本を離れる予定になっております。この銭其シン外相訪日は、時期が時期だけに、日中関係にとりましていろいろな意味意義の深いものであったろうというふうに思います。  そこで、外務大臣にお聞きをしますけれども銭其シン外相といろいろ長い時間会談をされたようでありますけれども、それについて、外務大臣の感想と、それからもう一つ、その会談の中で、報道によりますと、中国に残されてきたと言われております旧日本軍化学兵器につきまして、中国側からこの処理について要請があったというような報道もありました。それについて、どういうような内容の要請があり、外務大臣はそれに対して どのようにお答えになったのか、その点も含めましてお答えいただきたいと思います。
  4. 池田行彦

    池田国務大臣 三十一日に銭其シン中国総理外務大臣と行った会談でございますけれども、これまでにも二回ほど外相会談を持っておりますけれども、非常に大切な二国関係でございますし、突っ込んだ話し合いをしたい、こう思いまして、今回は三時間余り会談を持ち、さらに食事を挟みながら二時間ぐらいいろいろ話をしたところでございます。  そういった中で、二国間の問題だけでなくて、国際問題についてもいろいろ意見を交換したわけでございます。お互いにみずからの立場あるいは主張というものを、従来になく率直に話し合った。必ずしも意見の一致を見たとかあるいは合意に達したというものが多かったわけではございませんけれども、これまでどちらかと申しますと原則論あるいは総論部分で終始する嫌いが、時間の関係もあってあった。  そういったことから申しますと、率直な意見交換があったということは、相互理解を深め将来にわたってよりよき日中関係をつくっていく上で意義があった、このように考えております。  それから、基本的に申しまして、双方は日中関係が、両国関係にとってはもとよりでございますが、アジア太平洋の安定とさらに繁栄のためにも大切だ、こういう認識、それを踏まえましていろいろ議論しました。  私の方からは、基本的なそういった認識を踏まえながら、それを進めていく上で心配しなくてはいけない事柄が幾つかあるな、こういうことを申しまして、先般の台湾海峡をめぐる緊張の高まりの問題、軍事演習とかその関係の話、あるいは核の話等々を申し上げたわけでございます。  そして、その背景としまして、私は、最近の日本の世論の動向を見ておりますと、中国に対する親しみを持っておられる方がぐぐんと減ってきておる。かつては、天安門事件の前の年あたりでは七〇%近い方が親しみを持っておられたのが、今は五割を切っておるとか、あるいは逆に、否定的な見方をされる方が一〇%そこそこであったのが三割を超えるに至っている、こんなことがあるということも指摘いたしまして、それがどういう要因であるかよく考えなくてはいけない、こういう話もいたしました。  それに対しまして、銭其シンさんの方からは、これまで中国側がよくおっしゃる言い方ではございますけれども、それは日本の一部の勢力がいろいろ言う、それが影響しているんじゃないかという話がございましたが、私は、そういうものではない、これはいろいろな要因がある、それは日中共同声明をつくりましたときのような両国の非常な熱の高まり、そういうものが若干冷めたという背景もあるだろうが、しかし、ここ何年かの間の中国のいろいろな対応というものが日本国民の中にそういった動きをつくったというのは否定できないよ、そんなことも率直に申し上げた次第でございます。  そういったことを申し上げながら、台湾問題に関しましては、今回の軍事演習が軍事的なプレッシャーを通じていろいろ中国としての目的なりなんなりを達しようということであったとするならば、それはむしろ逆効果ではなかったか、それは台湾に与えた影響からいっても国際社会に与えた影響からいってもと、こういうことを申し上げまして、今回の手法には我が国としても疑問を呈せざるを得ない、こういうことを申し上げたわけでございます。  それに対しましては、銭其シン総理の方からは、中国の原則的な立場を改めておっしゃられたところがございました。  また、核実験につきましても実験をやめるように、あるいはCTBTについてもいわゆるゼロ・イールドでいくように、こう主張しましたけれども銭其シンさんの方は原則的立場、こういうことでございました。  そのほか、海洋法関係等々についてもいろいろお話ししたわけでございますが、御指摘でございました遺棄化学兵器の問題でございますが、これについては、銭其シン外相の方から、先はどのようなやりとりの中で、いや、それは中国側でもいろいろ言いたい問題はあるんだ、例えば遺棄化学兵器の問題だ、しかしこれは余り大きくしないように、プレーアップしないように、抑えるように対応しているんだ、こんなお話もあったわけでございます。そういう出方でございました、率直に申しまして。  それで、私の方から、いや、この問題については、私どもとして誠実に対応しなくてはいけないと思っている。過年、条約にも加盟したわけでございますので、その条約上の義務は誠実に履行していく。これまでも五回ばかり調査団を派遣しておりますけれども、この五月に本格的な調査団吉林省ハルバ嶺というところへ派遣することにしております。その本格的な調査の結果を待って、年内にも政府間の協議をしたい。そして、今後どういうふうに対応していくか御相談してまいりましょう、こういうふうなお話をしたところでございます。
  5. 細川律夫

    細川(律)委員 日本軍中国に残してきたあるいは捨ててきた化学兵器というのは、砲弾で約二百万発、化学剤で約百トンという大変膨大な数と量の化学兵器を未処理のままに放置をしているというふうに言われております。  そして、この爆弾が爆発をしたり、あるいはびらん性のガスのイペリットなどを住民が浴びて、そして皮膚がただれるとか、そういうようなことで、住民のこの化学兵器による被害というのも大変多くなっておりまして、これもまた二千人を超す被害だというふうなことも言われているわけでございます。  そういう大変な遺棄化学兵器の問題でありますけれども、私が昨年中国に行きましたときにも、長春では遺棄化学兵器展示会のようなものをしておりまして、大々的にこういうものがあるんだというようなことが地域の市民のところに宣伝をされるような、そういうところも見てきたわけであります。そうしますと、これらを早く解決をするということが日中間友好関係を築く上にも大変大事なことだろうというふうに思います。  そういう意味では、中国の方から一九九〇年にこの問題の処理について要請をされたというふうに聞いているわけでありますけれども、その後、調査はどういうふうに進められ、調査の結果について、これまでどうなっているのかを簡単にちょっと。簡単でいいですから。
  6. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 現地調査現地視察につきましては、第一回、これを九一年六月ハルバ嶺石家荘。第二回現地視察、これを九二年六月南京。それから第一回の現地調査、これを九五年二−三月にかけて杭州、南京ほか。それから第二回の現地調査を九五年五−六月ハルバ嶺梅河口。第三回の現地調査を九五年九月ハルピン、吉林、瀋陽。こういったところで行っております。
  7. 細川律夫

    細川(律)委員 この調査については、今のあれでは詳しくは聞けなかったんですけれども、昨年私も中国に行ったときに、中国外務省の方々と懇談をしたときに言われましたのは、もう調査の時期の問題ではない、早くこの化学兵器処理をしてほしいと、その処理の方に早く踏み込んでほしいと、調査結果については中国の方で調査は幾らでもしておるから、それを全部提供しますから、とにかく早く処理をしてくれなければ困るというようなことも言われたわけなんであります。  先ほど外務大臣の方からは、ことしの五月ですか、また調査をされる、こういうことも言われたわけなんですけれども、まだ調査をするようなことがたくさん残っておるのかどうなのか、それはどんな調査なのか、その調査をして廃棄をするまでに至る段取りといいますか、そういうのはどういうふうになるのかを教えてほしいと思います。
  8. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 私どもといたしましては、先ほど外務大臣が答弁申し上げましたように本件に取り組んでまいりたいと思いますが、この処理に向けて、何分、二百万発と中国側が言っております、それから百トンのバルク状のものというこ と、これも中国側が言っておりますが、そういう大量の化学兵器処理する技術が確立されていないという問題点一つございます。  それから、五十年という時間が経過していることに伴う全容の解明の困難ということがあることも率直に言って事実でございます。そういうことの帰結といたしまして、費用面での見通し等が不明でございます。  しかし、こういう難しい面がございますけれども、できる限り早期に解決を図らなくてはならないと考えていることは今申し上げたとおりでございます。
  9. 細川律夫

    細川(律)委員 昨年の四月にこの国会におきまして化学兵器禁止条約が承認をされまして、日本としましては、この化学兵器禁止条約発効をする条件がありまして、六十五カ国の批准がなければ発効しないわけですけれども、これが発効しますと十年以内にこれを全部廃棄しなければいけない、処分をしなければいけない。そうしますと、先ほど説明がありましたように大変膨大な数でもありますし、この処理については年月も大変長くかかるだろうというふうに言われております。  そうしますと、この条約が効力を生じて十年以内というようなことになってきますと、時間も限定をされてくるというふうに思いますけれども、この条約との関係では、一体条約がいつ発効するようになるのか、すなわち六十五カ国がこの批准をするのは一体いつごろなのか、それの見通しをちょっとお聞かせください。
  10. 稲川照芳

    稲川政府委員 お答え申し上げます。  本件条約発効は、委員がおっしゃいましたように、六十五カ国の批准後百八十日となっております。現在のところは批准した国は四十九カ国でございます。化学兵器禁止機関事務局の情報によりますと、本年中に条約発効するであろうという見通してございます。
  11. 細川律夫

    細川(律)委員 ことしじゅうに発効ということになりますと、その後、百八十日以後のあと十年間でこれを全部処理をしなければいかぬようになるんではないかというふうに思われますけれども、そうしますと、この化学兵器処理については当然急がなければいけないというふうに思います。  そこで、この化学兵器処理につきましては、その処理をするには、やはり技術的なものとしては自衛隊がそのノウハウについては一番よくお持ちであろうというふうに思います。そうしますと、化学兵器処理について自衛隊が関与して、そして隊員が中国の方に出向いてこの化学兵器処理をするということになるのかどうか。もしそういうふうなことになれば、中国国民感情としていかがなものかということもまた一方では考えられると思いますけれども、そこのあたり防衛庁長官はどのようにお考えになっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  12. 臼井日出男

    臼井国務大臣 お答え申し上げます。  防衛庁は、万一の化学兵器による攻撃に対処するために、化学兵器に対する防護及び汚染された器材の除染について必要な装備を保有をいたしております。しかしながら、化学兵器廃棄するためにそれらを分解しまたは焼却する等の処理を行うためには、特別に設計されました設備及び装備が必要でございまして、防衛庁はそうした設備装備を有しておりません。さらには、それに必要な知識及び経験を有しておらないわけでございます。  防衛庁といたしましては、従来より、外務省が派遣をする調査団化学防護及び不発弾処理専門家参加をさせてきたところでございますが、旧軍が中国遺棄をいたしたと言われております化学兵器廃棄の問題に関しましては、これをいかに解決していくか、こういう問題につきましては現在日中両国政府間での交渉が行われている段階でございまして、現段階防衛庁としての協力体制について申し上げるということはできないわけでございます。  いずれにいたしましても、防衛庁といたしましては、その能力と知見の範囲内で可能な限り協力をいたしてまいりたいと考えております。
  13. 細川律夫

    細川(律)委員 この化学兵器処理についてはとにかく早く進めていただきたいと思いますけれども、一体この処理作業を直接政府がやるのか、あるいは新たな組織をつくってこれを進めていくのかというようなこと。あるいはまた費用についても、先ほどちょっと膨大な費用がかかるんではないかというようなことも言われておりましたけれども、これもまた大変な費用がかかるんではないかと思いますけれども、それについて一体どういうような、試算などもう既にできているのかどうなのか。マスコミなどでは一部報道もあるようなんですけれども、その点についてちょっとお聞かせください。
  14. 加藤良三

    加藤(良)政府委員 費用及び要する期間につきましては、現地調査を引き続き実施中の現時点においてこれを見通すことが困難な状況にございます。この点はぜひ御理解いただきたいと思います。
  15. 細川律夫

    細川(律)委員 まことに不満な回答でありまして、とにかく早く進めていただきたいと思いますけれども、今まで調査団が何回か行っておられます。この調査団は、外務省、それから防衛庁、それから外政審議室がこの調査団を構成をして調査をしてきているようでありますけれども、この問題については早くきちんとした政府内の体制をつくって、そしてこれに取り組んでいくということをぜひやっていただきたいと思いますけれども、この点について官房長官、どういうふうにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  16. 梶山静六

    梶山国務大臣 まずもって冒頭、委員には長い間この問題に関心を持っていただき、調査にも参加をされていますことに、心から敬意を表する次第であります。  今、外務省ないしは防衛庁等からお話がございましたとおりでございまして、委員指摘のように、本件遺棄化学兵器処理に向けては、外務省のみならず政府全体として取り組むべき問題であると考えており、外務省中心にして現在行っている現地調査等の結果を踏まえ、引き続き、関係する他の省庁や民間の専門家知見を十分活用しながら、本件解決に向けて取り組んでいくことが重要と考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
  17. 細川律夫

    細川(律)委員 ちょっと私としては、もっともっと強力に、どういう具体的な体制をつくって進めていただけるのかということもお聞かせいただきたかったのですけれども、ぜひ政府としてはこの問題について積極的に取り組んでいただいて、日中友好という一つの大きな前進にもしていただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。  続きまして、環境庁長官にお尋ねをいたします。  環境庁長官は、去る三月二十四日、滋賀県大津市で開かれましたオゾン層を守ろう全国大会というところに出席をされたというふうに聞いております。この大会は、オゾン層保護国際NGO会議プレ大会でありまして、サブタイトルは、「地球を救え、子供たちのために」というふうなことになっていると聞いております。  私は、この全国大会、これはオゾン層を守っていくという運動の一つでありまして、大変いいことでありまして、すばらしい大会であるというふうに思いますけれども、ここに環境庁長官出席をされたということについては、環境庁長官のこの問題に対する熱意のあらわれということで、敬意を表するところでもございます。  そこで長官に、地球環境の問題に対する基本的な認識と、特にオゾン層破壊の問題についてどのような御所見をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  18. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 細川先生が日ごろ環境問題に大変熱心にお取り組みをいただいていることに敬意を表したいというふうに思います。  先生案内のように、我が国は、高度経済成長期の深刻な公害に対しまして、さまざまな法制度を整備することによりましてその克服のために努力をしてまいりました。ただ、その中で依然とし て都市生活型公害、例えば窒素酸化物によるところの大気汚染、あるいは生活排水などによるところの水質の汚濁などがはかばかしく改善を見ていないのが現実であります。  そして、それに加えて、最近では地球環境問題、これは全く新しい問題でありますが、地球温暖化、そして酸性雨、さらに今先生指摘オゾン層破壊などが顕在をいたしまして、環境行政においては、今日もなお多くの問題を解決をしなければならないというふうに思っているところであります。  こうした今日の環境問題は、主として我々の日常生活や一般的な経済活動に伴う環境への負荷の増大が原因となっていまして、その解決のためには、我々の生活のスタイル、つまり大量生産あるいは大量消費大量破壊型の現在の経済社会システムを見直さなければならぬ、そして環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会に変えていくことが必要だ、こういう認識に立ちまして環境基本法を制定をいたしまして、そのもとで環境基本計画を定めて、環境保全施策の総合的、計画的な実施に努めていることは、先生案内のとおりであります。  そこで、さてフロンの問題であります。  この問題は、先生国会の中で、多くの議員の皆さんと法制化の問題を含めて議論をなさっていらっしゃることも伺っておりますが、政府としては、これまでは、これも御案内のとおりで釈迦に説法でございますけれども、一九九二年のモントリオール議定書第四回締約国会合において、この問題の推進フロン回収を法律で定めるという国もあるわけですが、それらの方向を確認をいたしてまいりました。  我が国としては、フロン回収に努めることが重要だという今の議定書の精神に立ちまして、環境庁中心として十八省庁で構成するオゾン層保護対策推進会議をつくりました。その中で、第一は冷蔵庫などの使用者である消費者、そして二番目は廃棄処理行政を担当する市町村、三番目はフロンフロンを含む冷蔵庫などの製造者や販売者など、多岐にわたる関係者が各地域の実情を踏まえて役割分担についてコンセンサスを形成して、共同、協力して取り組むことが大切だという報告書を昨年六月に取りまとめたことは御案内のとおりであります。  この方向に向かって、特に地域における回収そして破壊という問題に成果が見られるように、環廃庁としてもこれから全力を挙げて取り組んでまいりたいと思いますので、今までの経過は経過として、御理解をいただきたい、このように思います。
  19. 細川律夫

    細川(律)委員 オゾン層破壊をされてきますと、人間の体あるいは生態系に大変な影響が出てくるわけでありまして、これについては早急にオゾン層破壊する物質であるフロンを規制をしていかなければいけないということであります。オゾン層保護法によりましてフロンの生産規制そのものはできましたけれども、しかし、既に生産をしたフロンあるいは製品などに使われているフロンというのが大気中に拡散をしているといいますか、放出をされていることが現状でありまして、早くこのフロンを、今使われているフロン回収をしなければいけない。  今長官も、そこに努力をしている、自治体などと協力しながら努力をしていると言われますけれども、しかしその実行は、なかなかなされていないというのが私の一方での認識でもあるわけなんですけれども。  そこで、総務庁の方で調査をいたしまして、大気保全対策に関する行政監察結果報告書というのがことしの三月に出たわけなんですけれども、総務庁にお聞きしますけれども、このフロンの対策について、回収が十分じゃないじゃないか、こういう監察結果だと思うのですけれども、どうですか。簡単に説明してください。
  20. 大橋豊彦

    ○大橋政府委員 委員今御指摘になりました監察を平成七年の一月から三月にかけて実施いたしております。  今回、特定フロン等の回収処理の状況の調査結果を申し上げますと、十七都道府県管内の千二百五十一の市区町村のうち、回収処理実施しているものは百四十市区町村、一一・二%にとどまっておりまして、残りの約九割、千百十一の市区町村におきましては回収処理が行われておりません。  その理由は二つございまして、一つは、自治体だとかあるいはメーカー、販売業者などの回収処理に係ります役割分担とかあるいは費用負担というものが不明確なために回収処理に取り組めないということと、もう一点は、保管場所がないとかあるいはその他の事情によりまして、回収後の保管に苦慮するということで回収処理が未実施になっているわけでございます。  こういう実情を踏まえまして、環境庁に対しまして、特定フロン等の回収処理及び破壊処理対策を早急に確立する観点から、三点の勧告をさせていただいておりますが、一つは、既に回収処理実施している市区町村もございますから、そういう市区町村における役割分担、費用分担のあり方について早急に実情を把握すること。二点目には、この実態把握結果を踏まえまして、役割分担なり費用負担に関します参考指針を作成していただきたいということ。三番目には、特定フロン等の破壊処理技術の実証化を推進するために、既存の廃棄処理施設等を活用した破壊処理方策を早急に確立していただきたいという勧告をいたしたところでございます。
  21. 細川律夫

    細川(律)委員 今の報告によりますと、これは平成七年の一月から三月の間で調査をした結果のようでありまして、その後話をお聞きしますと、大分自治体の方でもこのことについては進んでいるようなところもあるようでございまして、必ずしもその調査結果だけではなくて、もうちょっと進んでいるところもあるようであります。しかし、いずれにしましても、私は単なるフロン回収の努力義務的な、単なる行政指導だけではこの問題は解決をしないのではないかというふうに思っております。  そこで、やはりやらなければいけないのは、このフロン回収について法的な規制を行って、そしてその法的な義務として特定フロン回収あるいは破壊をするようなそういう方向に早くしていかないと、取り返しのつかないようなことになるのではないかというふうに私は思いますけれども、その点、長官はどういうふうにお考えでしょうか。
  22. 岩垂寿喜男

    岩垂国務大臣 先ほど御答弁を申し上げましたように、回収の義務づけということになれば、冷蔵庫などの製造者、販売者、消費者、市町村など多岐にわたる関係者の中で、だれにどのような責任を課すのかということが一つ問題点だろうというふうに思います。  二番目は、フロンの引き抜きに要する費用、引き抜いたフロンの保管費用フロンを保管しているボンベの運搬費、それからフロン破壊費用など、回収に要するさまざまなコストをどのような形で負担をするか、こういうことがやはり大きな問題になっているわけであります。  十八省庁で議論をいただいておりますが、その方向は依然として議論を続けてまいりたいと思っております。  ただ一方で、議員立法の動きもお聞きをしております。私は、本来、議会が議員立法で法律をつくっていくということは議会制民主主義の筋道だろうというふうに思いますので、皆さんのそうした努力を見詰めながらも、しかし我が方も、環境庁としても、今先生が御指摘をいただいたような、余り時間がないわけでございますから、そういう対応について準備を進めていかなければならぬなというふうに思っています。  しかし、いずれにしても、私は、これらの問題については国民参加ということが大事だろうと思うのです。自治体が、今総務庁からも言われましたけれども、ちょっとその後の調査で、大体来年度でいえば、全市町村の半分ぐらいをカバーすることができるところまで計画を持っておられ ます。  自治体がそういう運動を進めている。回収、それからやがて破壊ということまで進めていけば、そういう努力を助長することが、国民に対して、国民の皆さんが環境問題に対して、特に地球環境の問題についてかかわりを持っていただく、そしてそれについてお互いに責任を持とうということが大事だろうと思いますので、議員立法の動きというものも非常に私は貴重な動きだと思って、その動きを注目しながら対応してまいりたいと思いますので、先生の御健闘をお祈りをしたいというふうに思います。  以上であります。
  23. 細川律夫

    細川(律)委員 この特定フロン回収などにつきましては、これはもう喫緊の問題でありまして、これは行政、そして国はもとより地方自治体、また議員もこれについて積極的に取り組んでいかなければいけないと思いますし、その相互の協力も大事だろうというふうに思っております。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。  それでは、最後の質問に移りたいと思いますが、今狂牛病という病気についてヨーロッパではいろいろ大きな問題になって騒ぎが大きくなっているところでもございます。日本でも、いろいろマスコミなどにも登場いたしまして、心配もいたしておるところであります。  例えば昨日の夕刊の社会面のトップなどには、化粧品に狂牛病の脳などの材料が使われているというようなことで、これをヨーロッパでは業者が回収をする、そういう指示をしたというようなことまで報道されております。そうしますと、日本におきましてもいろいろ心配をされる方なども多くなってきていると思いますけれども、これについて厚生省、農林省、これを日本に不安のないようにするためにどういう措置をとられたか、簡単に説明してください、時間がありませんから。
  24. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  まず、我が国におきまして狂牛病の発生は報告されておりません。そういうことだけまず申し上げたいと思いますが、さらに英国本島からは、牛肉と牛の臓器につきましては一九五一年以来輸入を禁止をいたしております。また、生きた牛につきましても一九九〇年以来輸入を禁止しておりますが、さらに今回の狂牛病をめぐります国際的な情勢にかんがみまして、今までの措置に加えまして、ハム、ソーセージ等の牛肉加工品等につきましても、万全を期す観点から、三月二十七日より輸入を禁止するということにいたしております。
  25. 小林秀資

    ○小林(秀)政府委員 お答えします。  いわゆる狂牛病が流行しておりますイギリスにおきまして、本年三月二十日、イギリス政府の諮問委員会が、人の痴呆症の一種であるクロイツフェルト・ヤコブ病にかかった十人の患者につきまして、狂牛病感染牛との接触、食べることでなくてタッチの方の接触といいますか、その接触することがクロイツフェルト・ヤコブ病の発病と関連している可能性が高いとの声明を発表いたしました。このため、EUにおきまして、三月の二十五、二十六日に開かれました常設獣医委員会の結論を受けて、その上の欧州委員会が三月二十七日に英国産の牛肉など、ということは牛肉だけでなくて缶詰とかその他牛肉関連商品ですが、等のEU域内のみならず域外の国も含めた輸出禁止措置を正式に決定をしたものであります。  狂牛病と人との関係につきましては、牛肉等を食することによりクロイツフェルト・ヤコブ病が発生するとの報告は現在のところありません。したがいまして、食品衛生上の問題は確認ができません。しかしながら、厚生省としては、EUにおける措置等を重視をいたしまして、三月二十六日に輸入業者に対して英国産の牛肉等の輸入を自粛するように指導をしてまいったところであります。  ただ、今後の問題ですが、昨日からWHOにおきまして、いわゆる狂牛病の人への移行に関する公衆衛生専門家会議が開かれておりまして、その専門家会議にこちらからも人を派遣しておりまして、その情報等を得て今後の対策を考えていこうと思っています。
  26. 細川律夫

    細川(律)委員 いろいろな報道なりあるいは意見を聞いてみますと、結局大きな問題になったのは、羊のスクレイピーという病気の臓物をたんぱく源として牛に飼料として与えた、そうしますと、その牛に感染をして狂牛病になった、今度はその狂牛病から人間に感染をした、こういうことになっているわけでございます。  羊と牛と人間との関係があるわけでありまして、これは大変心配なわけなんですけれども、羊のスクレイピーという病気になった、こういうのは日本で例がありますか。簡単に、ちょっと時間がないですから。
  27. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  日本での綿羊のスクレイピー病につきましては、昭和五十九年にカナダからの輸入綿羊に発生が確認されておりますが、その後散発的に日本で出ておりまして、すべてこれらの綿羊につきましては殺処分し焼却を行っておりまして、平成七年に本病の発生はゼロというふうになっております。
  28. 細川律夫

    細川(律)委員 スクレイピーという病気になったというのは、これは死んでからでないとなかなかわからないということも聞いておりますけれども、そうしますと、その感染の潜伐期間も長いというようなことから、周りの羊に感染をしているかもわからないというようなこともあって、頭数だけではわからないところがあるのではないですか。もっとたくさん感染をしているというようなことも現実にあるのではないでしょうか。処分をした羊の頭数などもちょっと報告してくれますか。
  29. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 まず、処分した羊の頭数でございますが、五十九年以来平成六年までで五十五頭でございますが、すべて殺処分をし焼却をいたしておりまして、平成七年の発病はゼロということになっております。  私ども、昭和五十九年の確認以来、昭和五十九年、さらに平成四年、そしてことしの三月と指導通達を出しておりまして、発生した場合の早期通報、感染した羊の殺処分、焼却、発生農場の立入検査、消毒、そういったことを強力に推進をしてまいっておるところでございます。今後ともそういった防疫には万全を期してまいりたいと思います。  なお、輸入をする際にも、通常潜伐期間が先生指摘のように長いということもございますので、国によって違いますけれども、大体二、三年ないし五年、そういったスクレイピー病が発生していない農場からのみ輸入を認めるということで、輸入の方についても防疫に万全を期しているところでございます。
  30. 細川律夫

    細川(律)委員 このスクレイピー病にかかった羊がいたということ、それから、いわゆる一般の羊の臓物をたんぱく源として牛の飼料にもしているというようなことも聞いておりますので、ひとつこの点について国民に心配のないような対策をきちっとやっていただきたいと思います。  最後に厚生大臣にお聞きしますけれども、ヨーロッパの方では狂牛病が人間に感染をするということが今公表されたわけなんですけれども、羊のスクレイピーという病気にかかったものから人間に感染をしないのかどうなのか、いろいろな心配があるわけでありまして、そういう点についての研究など、厚生省としては今後どういうふうにされていかれるのか、この点についてちょっとお聞きしたいと思います。
  31. 菅直人

    ○菅国務大臣 現在、スクレイピーに感染した羊の肉を食べることとクロイツフェルト・ヤコブ病との関連については、ヨーロッパ諸国等において種々の疫学調査がなされてきておりますが、羊スクレイピーが人へ感染してこのクロイツフェルト・ヤコブ病を起こすということは、現在のところ極めて考えにくいというのが医学的な知見と承知をいたしております。  この病気は、二百年ぐらい前から羊にはあったようですけれども、また、羊をかなり食べる地域でもそういった事例は報告されていないというふ うに聞いております。そういう現在の医学的知見ということでありますので、現在のところ、羊の肉等について食品衛生上の対応は特に必要がないと考えてやっておりません。  厚生省としては、先ほど局長も申し上げましたが、現在WHOでこの問題、狂牛病に関する食品衛生上の対応についての専門家会議が開かれておりまして、ここに専門家を派遣しております。ここでの意見、情報などを十分得まして、これからも国民の健康を確保するために、そういった危険性がないかについては十分注意をしてまいりたい、こう考えております。
  32. 細川律夫

    細川(律)委員 終わります。
  33. 上原康助

    上原委員長 これにて細川君の質疑は終了いたしました。  次に、坂口力君。
  34. 坂口力

    坂口委員 久しぶりに予算委員会で質問をさせていただきますが、本年度の予算委員会におきまして、住専の問題は連日取り上げられ、かなり解明された点もございますが、なおかつ不明確な点もたくさんあるわけでございます。きょう、もう一度全体像を見せていただいて、全体を拝見をして、そして、問題点をもう一度見直しをさせていただきたいというふうに思っております。かなり今まで専門的に、具体的な問題に入ってきておりますが、きょうはもう少し全体から見た問題点をひとつ拾ってみたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  住専の問題も、それから、菅厚生大臣のところで今問題になっておりますエイズの問題にいたしましても、双方ともにいつの時点かで第一ボタンのかけ違いがあった、その第一ボタンのかけ違いがずっと尾を引いて今日まで来ているというふうに私は思っております。  エイズの場合には、第一ボタンのかけ違いが非常に明確なわけでございますが、この住専の場合には、いつが第一ボタンであったかというのは少しわかりにくい気もいたします。しかし、ずっとさかのぼっていきますと、この住専の直轄指定というのがございました、一番スタートのときに。直轄指定とその後の通達行政、幾つかの通達がございます。ちょっと私が数え上げましただけでも約十本ぐらいの通達がございます。そうしたところが第一ボタンではなかったかというふうに私は思っております。  昭和二十九年の六月二十三日、これは「貸金業の届出及び貸金業の実態調査に関する権限の委任に関する政令をここに公布する。御名 御璽 内閣総理大臣 吉田 茂」まことに古めかしい文言でございますが、ここからスタートいたしまして、そして、昭和四十八年の五月一日に住専が大蔵大臣の直轄となっております。このときは内閣総理大臣、田中角栄さんであります。一部を改正する政令、政令第百二十三号でございます。「貸金業の届出及び貸金業の実態調査に関する政令第二条の規定に基づき、次の者を指定する。」というので、このときに日本住宅金融株式会社ほか三社がここで指定をされておりまして、五十五年に七社がそろい踏みをしている、こういうことがございます。  なぜ住専を直轄指定したのかということも多少わかりにくい点があるんですが、これはきのうはちょっとここまでは言わなかったんですが、大蔵省の方、どなたかおわかりの方ございますか。ございましたら、ちょっとお答えいただけますか。
  35. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専が大蔵省の直轄指定を受けているということはよく言われるわけでございますが、住専は貸金業規制法が制定されました際にその適用対象外とされたわけでございます。それは、貸金業規制法というのが借り手の保護、特にサラリーマンローンの借り手の保護を目的とするために、住専はそういう対象ではないということで引き続き特段の業務規制を伴わない届け出制とされたわけでございます。  そういうことで、引き続き旧出資法の適用を受けたわけでございますが、その中で、さらに都道府県知事に権限を委任することができるわけですけれども、住専の場合には、全国広く仕事をしておりますところから、あえて都道府県知事に委任をするということではなく大蔵省が直接所管している、こういうことでございます。
  36. 坂口力

    坂口委員 優秀な銀行局長もちょっと混乱をいたしておりますが、貸金業法ができましたのは昭和五十八年でございます。直轄指定を受けましたのは四十八年のことでございますから、貸金業以前の話でございまして、まあそこは結構でございます、後でまた貸金業のことはお聞きをしたいというふうに思いますから。  とにかく、直轄指定をここで受けたわけでございます。直轄指定を受けまして、そして大蔵省の手元で住専は手厚い看護を受ける第一歩を踏み出した、こういうふうに私は認識をいたしております。  その後、銀行局長通達というのがずらっとあるわけですね。私が見ましたら、昭和四十八年の七月、大蔵省は銀行局長通達で、直轄住専に対して四半期ごとに実態報告等を義務づける、これは吉田銀行局長。昭和四十八年十月には、農林中金の住専貸し出しを銀行に対する融資と同様に金融機関貸し出しとする、これも吉田銀行局長。  その後、第一次石油ショックが発生をいたしておりまして、昭和四十九年の九月には、大蔵省は銀行局長通達で、金融機関以外では住専のみに住宅抵当証券の発行を認める。四十九年十月までずっと続いておりまして、中には例の一九八〇年十月十六日、いわゆる五十五年十月十六日の大蔵、農水両省の局長さんの問題だとかいろいろの問題がこの中に含まれている、こういうことでございます。全部触れませんけれども、こういうことがございます。  そこでお聞きしたいのは、通達というのは一体どういうものなのか、改めてお聞きしたい。
  37. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほど私、貸金業規制法の対象とするかしないかという問題と、都道府県知事に委任するかしないかという問題を若干混同いたしまして御説明申し上げたと思います。その点は、また改めて御説明を申し上げることにいたします。  一般論として申し上げれば、通達は職務運営に関します細目的な事項、法令の解釈、運用方針等に関する示達事項等をその内容としておりまして、行政の運用基準の明確化に資するというものであると考えております。
  38. 坂口力

    坂口委員 私も調べてみましたが、国家行政組織法の第十四条の第二項に、「各大臣、各委員会及び各庁の長官は、その機関の所掌事務について、命令又は示達するため、所管の諸機関及び職員に対し、訓令又は通達を発することができる。」こうなっております。  法令キーワード辞典というのをもう一つ拝見をしまして、そこを見せていただきました。そういたしますと、通達と訓令、両方あるわけですが、「「訓令」が職務運営上の基本に関する命令的事項を内容としているのに対し、「通達」は法令の解釈・運用を指示する等主として職務運営上の細目的事項を内容としている」、そういう違いがここに書かれております。  したがいまして、通達というのは、法律があって、その法令の解釈、運用を指示する職務運営上の細目的事項を内容とするということでありますが、出ておりますこの十本ほどの住専絡みの通達をずっと拝見をしますと、これは本当にこの範囲のことかな、いささか逸脱をしている通達があるのではないかという気がいたします。  昭和四十八年十月に出ました通達は、これは農林中金の住専貸し出しを銀行に対する融資と同様金融機関貸し出しとしております。四十九年九月の通達は、先ほど申しましたように、金融機関以外では住専のみに住宅抵当証券の発行を認めるというふうにしております。五十五年十月の通達は、住専向け融資を金融機関に対する貸し付けと位置づける、農林系金融機関のいわゆる員外融資規制の対象外といたしております。  例えば、この五十五年十月の通達でありますが、これは農林系金融機関の員外融資規制の対象外にしたわけですね。これは農業協同組合法で定められている文言を適用除外にしたということだとい うふうに思いますが、これは法律で定められておることを適用除外にしているということ。法律の内容をさらに具体的に伝えるというんだったら通達としていいと思うんですが、法律の内容を除外するということをこの通達で行うということは、これは通達ということでしていいことなのかどうかというふうに思いますが、いかがですか。
  39. 堤英隆

    ○堤政府委員 五十五年の通達の件でございますので私の方から御説明させていただきますが、この当時の農協法の十条第九項によりまして、御案内のように、農協は員内貸し出しを基本ということでございますけれども、員外貸出規制の例外を定めるということになっておりまして、その中に「地方公共団体」でありますとか、それから「銀行その他の金融機関に対する資金の貸付け」、こういうふうな条文がございます。  したがいまして、この「銀行その他の金融機関に対する資金の貸付け」、こういうものの一つといたしまして、五十五年の通達でもって、信用金庫でございますとかそれから信用協同組合、そういうことと並べまして住専ということを指定したわけでございまして、考え方につきましては、法律、政令、省令、そういう考え方に沿って、その趣旨の範囲の中で通達の中で明確にしていく、こういうことが法律や何かに言ってみれば授権されているといいますか、ゆだねられている面について通達でもって対応している、こういうふうに理解をいたしております。
  40. 坂口力

    坂口委員 いや、それは大分違いますね。法律の内容に含まれていることとは別の方向のことを通達で決めていると私は思うのです。これは通達の範囲をかなり逸脱しているというふうに私は思います。  それで、通達というのは、これは先ほども読みましたように、国家行政組織法では、「各大臣、各委員会及び各庁の長官」、こう書いてある。いわゆる局長通達というようなものはどこにも、いろいろなものを見ましたけれども出てこないのですね。したがって、これは法律的な制約というのは何もない。それは省内においては通用するけれども国民に対する制約は何もない、こう書いてあるのです。  しかし、今御指摘になったようなことは、国民に対してかなり制約することになりますね。国民に対して制約するようなことを局長通達でするということも、これもおかしいと私は思うのです。そういうことがずっと続いてきていると思うのです。かなり越権行為が続いてきているというふうに私は思いますね。  これは慣習としてずっと続いてきているのかもしれませんが、恐らくこれはこの委員会で議論になったと思いますけれども、この重立った通達が出されましたときに、その通達を出しますときに、それぞれの大臣に、それじゃこの通達、こういうふうなことを出しますということが全部報告されているのかどうか。  例えば、一九九〇年の三月二十七日に出ました、橋本大蔵大臣のときに出ました規制緩和のあの通達等のときに、それじゃ大臣にきちっとそれは出されているのかどうか。大臣にきちっとそれが報告をされて、そして大臣の許可を得てきちっとしてそれが出されているものなのか。それとも、局長さんだけでそれは出されているものなのか。局長さんの段階でそれが出されているとしますと、ますますこれは越権行為になってくるのではないか。かなり法律の中に踏み込んで、そして国民影響を与えることがその中で行われていると私は思いますが、いかがですか。
  41. 西村吉正

    ○西村政府委員 通達を出します場合の手続は、その内容によりまして部内で定められております基準に従いまして踏まれているものでございますが、御指摘のいわゆる総量規制通達に関しましては、当時大臣の御指示、御判断を求めておりますことは当然のことでございますが、むしろそれ以上に、当時は金融機関の土地関連融資につきましては世の中の大変な御関心を集めておりまして、政治の中で非常に重要な問題として取り上げられておりました。  平成二年三月二十三日の土地対策関係閣僚懇談会で、海部総理から橋本大蔵大臣に対してこういう問題についての御指示があったとか、あるいはそれに基づいてどのような措置をとるかというような検討をしたというように、実質的にいろいろな高レベルの御判断を仰いだ上通達という形で部内の手続をとった、こういうような経緯を持っておると承知をいたしております。
  42. 坂口力

    坂口委員 大蔵大臣、今示しましたように、この通達というのは非常に安易に考えられ過ぎている嫌いがあるというふうに私は思います。  大臣のところに、それはサインをあるいはもらっているかもしれません。しかし、その通達ごとにきちっとその内容がすべて報告をされて、そして出されているかどうかということにつきましても、これはそれぞれによってかなり違うのではないかというふうに私は思います。  私が今指摘しましたように、その内容も、本来の通達の持つ意味、それをかなり超えて通達ということが使用されている嫌いがあるというふうに私は思っております、このずっと出ておりますものを拝見をいたしまして。そうしたことが、一つはこの住専という問題を今日に至らしめた問題の一つになっている。  例えば、金融機関扱いにするというようなことを通達で決めている。これはかなり影響の大きい話でありますが、一通達でそれを決めていい問題かどうか大変疑問のあるところだというふうに私は思っております。大蔵大臣のこうしたことに対するお考えをひとつこの際お聞きしておきたいと思います。
  43. 久保亘

    ○久保国務大臣 今お話がございましたように、法令の解釈とか運用方針などに関しまして通達が行われる場合には、当然に大臣の決裁を得たものでなければならないものと考えております。特に、法令に関して従来の扱いを変更するというような内容を含みます場合にはなおさらのことだと考えておりまして、御指摘の点についてはそのような措置がとられているものと考えておりますが、もしその辺に局長段階において大臣の決裁を得ることなく進められているものがあれば、やはり検討すべきことではないかと考えております。
  44. 坂口力

    坂口委員 農林大臣もきょうはお見えをいただいておりますので、もう少し先に進めたいというふうに思います。  それで、農林大臣にお伺いしたいのは、今申しましたこの通達のこともございますが、もう一つは、実は流れとしましてはこの次に法律のことをちょっとお聞きをしたいわけでございますが、その前に農水大臣には、先日この委員会で新進党の山田議員がお聞きをいたしました問題で、信連が住専に貸し出しをいたしますときに、貸し出しの金額については、それは信連協会に相談をし、信連協会は農林省に相談をし、そして農林省は大蔵省と相談をし、そして決められているという発言があったということがございました。  それで、それに対しまして、銀行局長さん初めとして皆さんからは、そういう事実はなかったという答弁がございました。しかし、その他の、当時信連の中で住専を担当しておみえになりました方の御意見をお伺いをいたしますと、そういうことは事実であったという発言がございます。  先日、山田さんがここで発言をいたしましたのは、これは朝日新聞にインタビューにお答えになりまして、もうきちっと名前入りでお出しになっているものでございますから、それはもう名前は明確でございます。今さら申し上げるまでもないというふうに思いますが、もう一度きょう確認をしておきたいと思うのですけれども、そういうことはなかったと思うという話なのか、それとも、担当者の皆さんにまできちっと調査をした結果、全部、どの方もそういうことはなかったというふうにお答えになっているのか、その現状についてもう少しひとつお答えをいただきたいと思うのです。できれば農林大臣。
  45. 堤英隆

    ○堤政府委員 この点につきましては、昭和五十五年の段階で、先ほどの御指摘のところでございますけれども、通達を出しました際に、最高限度 の届け出というふうに書いてございます。これは、信連がそれぞれ幾ら住専に貸していくかということにつきまして取りまとめまして、それを信連協会に提出しまして、信連協会の方から、前回も銀行局長、私の方からお答えしたところでございますけれども、両省に対しまして最高限度の届け出をするというふうになっております。  これはあくまでも、信連の貸し付けが本来自分の会員への貸し付け、組合員への貸し付け、員内貸し付けが基本でございますので、員外貸し付けがいたずらに伸びていってはいけないというような趣旨がその当時ございまして、そういう意味で最高限度の届け出をしたということでございまして、あくまでもこれは、そういった意味で自発的に取りまとめての意思をそういう形で行政庁に届けられたということでございまして、当方からそういった枠を示すとか、そういうことは全くございません。
  46. 坂口力

    坂口委員 いやいや、それはもう前と同じ答弁で、最高限度額ではなくて、月々きちっとどれだけ出すかということを相談をして決めていたとその担当者の人は言っているわけで、信連の側の人は、そういうことを一人ならず幾人かの人がそういう発言をしているわけであります。相談を受けた側の、受けたはずの農水省や大蔵省の方は、そういうことは一切ございません、こう今言っているわけであります。  しかし、信連の方が一人ならずそういうふうに発言をしておみえになる。しかも、かなり具体的に、月々そういうことがきちっと行われていたということを発言をしておみえになるところから察すると、それはやはり各県連によって若干の違いはあるかもしれないけれども、多少の差はあれ、私は、やはりこれは行われていたと思う。それを、ございませんでした、ただ最高額だけの問題でございますと言うのは、これは一方的な話であって、したがって、十分なその間の調査をした上での話なのか、そうではなくて皆さん方の頭の中だけの話なのかということを私は今お聞きをしたわけであります。だからもう一遍、十分に調査をした上での話なのか、そうでないのかということだけ答えてください。
  47. 堤英隆

    ○堤政府委員 私ども国会でお答えするわけでございますので、当時の担当者、それからその他の書類、そういうことを調べまして、そういう事実がないということで申し上げているところでございます。
  48. 坂口力

    坂口委員 農林大臣、話が多少重複いたしておりますが、先ほどの通達の話並びにただいまもう一つ続けて申しました、先日来から申し上げております住専の貸し付けの話等々、やはり農協の側にもかなりいろいろの言い分もありますし、信連の側にも言い分もありますし、そういう声が漏れてきている。それらのことも踏まえて、農水大臣として現在どのようにお考えになっているか、ひとつまとめて御答弁をいただきたいと思います。
  49. 大原一三

    ○大原国務大臣 先ほどから坂口委員お話をお聞きしながら、確かに通達行政というのが日本は非常に煩雑であります。そういう意味で、アメリカなんかの場合は判例の積み上げで、まあ訴訟国家ですから、やはりお役人のやる通達行政というのがいろいろな面で整合性を持っているのかどうか、先ほど大蔵大臣がお答えになりましたように、我々としても、今後そういった問題については十分関心を持っていかなければならぬなという気持ちをまず第一に委員の質問からお受けいたしました。  それで、農林中金さんが融資をしましたのは、先ほど御指摘の通達の四十八年からでございます。それから、信連さんが融資を始めましたのは、五十五年の通達からでございます。その当時は、御承知のように、消費者金融というのが非常に犠牲になっておった。産業金融偏重の金融構造の中で、サラリーマン初め、サラリーマンローン、住宅ローン、これを何とかして現在の金融体系の中で位置づけていかなければならぬということで始まったものが、最初は住専のねらいではなかったのか、私はこう思っております。  その融資の過程で、信連や農中の融資は、担保は住宅ローン債権ということで一般行と同じような担保のシステムになって融資を積み上げてきたものでございます。それがだんだん高じていって今日のような貸し込みの実態を反省するときに、大蔵省からの第一次調査、第二次調査、立入調査等の資料を見ましても、住宅ローンと土地融資、それに関連する土地融資以外のいろいろの土地投機の対象の融資が行われておったという実態を省みますときに、やはり今回の住専問題を考えるにつけ、やはり十分今後の融資のあり方等については反省をし、そしてまた、今までのようなわだちを踏まないようなシステムをつくり上げていかなければいかぬな。そういう意味で、与党や政府の申し合わせの中でも、農林系統の金融秩序のつくり直しを急げという御下命をいただいているわけでございますので、その辺について十分対応していきたい、かように考えております。
  50. 坂口力

    坂口委員 農水大臣、ありがとうございました。  さて、質問を本論に戻させていただきますが、住専を取り巻く法律的位置づけでございます。  最初に、銀行局長が答えてくれましたように、貸金業の問題がございます。これは、一九八三年になりますから昭和五十八年でございますが、貸金業の規制等に関する法律が制定をされたわけでありますが、住専はその中から除外をされました。  この除外をされた理由につきまして、先ほど少し銀行局長も触れられたわけでありますが、そこで、これは借りる側のことを中心につくったものだからというお話でございましたが、貸金業は、この法案ができますときに私もいろいろ大蔵委員会でやった経験がございますけれども、貸す側だけではなくて借りる側のことにつきましても細かくその中に書いてございます。その両方のことを盛り込んだのがこの貸金業法でございます。  しかし、なぜかそこから除外をされました。そして、この貸金業法から除外をされただけではなくて、そのときにできました新出資法、この中にも入らず、旧出資法の中にこの住専は含まれることになったわけであります。  旧出資法は四条だけ残ったわけでありまして、非常に短な法律になってしまった。前の七条、八条、十条、十二条という四つの条項だけしか残らない旧出資法の中に住専は入れられることになった。八条は「報告及び調査」で、大蔵大臣は必要があるときは報告や調査を行うことができるというもの。十条は「権限の委任」でありまして、都道府県知事に権限の全部または一部を委任することができるというものであります。十二条は、届け出を怠り、虚偽の届け出をした者、あるいは報告をせず、または虚偽の報告をした者、それから調査を拒み、妨げた者などに対して三万円以下の罰金に処する。それから、七条を落としましたが、七条は「貸金業の届出」について書いてある。  七条、八条、十条、十二条、ただこれだけの法律であり、この中にこの住専を入れてしまった。一体なぜきちっとできた貸金業法から除いてこの中に入れたのか。  一番最初に私がお伺いをいたしましたように、昭和四十八年の五月一日には、貸金業の届出及び貸金業の実態調査に関する政令を受けて大蔵省直轄指定を受けているわけであります。この貸金業の届出及び貸金業の実態調査に関する政令に基づいて指定を受けておきながら、貸金業法ができたらそこから除いた。そして、法律的な縛りのまことに緩やかな、これ以上緩やかな法律はないと思いますが、このわずか四条しかない旧出資法の中になぜ住専を入れたのか。  罰金は、もしもこれを怠った場合でもわずかに三万円であります。貸金業法の方は、もしもこれに違反をいたしましたときは、三年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金、またはその併科であります。これはえらい大違いであります。この貸金業法とこの旧出資法とは大違いであります。  なぜこのような中にこれを入れたのかということにつきまして、甚だ大きな疑問を私は持っております。もう一度御答弁をいただきたい。
  51. 西村吉正

    ○西村政府委員 貸金業規制法はたしか議員立法 によって制定していただいたものと記憶しておりますけれども、そういう経緯を坂口委員は非常に詳しく御存じの上での御質問と存じます。昭和五十八年に貸金業の規制等に関する法律が制定されましたが、これは当時、貸金業者の高金利、過剰融資、過酷な取り立て等が社会的な問題となったことから、資金需要者等の利益の保護を図ることを目的として制定されたものでございます。  住専につきましては、いわゆるサラリーマンローンのような消費者金融を行っておりませんで、資金需要者等の保護の対象とする厳しい取り立てというような、そういう意味での保護の対象とする必要がなかったことから、政令により貸金業規制法の適用を除外され、引き続き、もともとの出資法に基づきまして融資業務を行う会社とされたものと理解をいたしております。
  52. 坂口力

    坂口委員 確かに議員立法だったわけですが、議員立法だからまさか除いたというわけはないと私も思うのです。  貸金業法の中に住専を入れておいて都合が悪いものは、項目を僕もずっと今回見直してみましたけれども、何もございません。入れておいて都合の悪いものは何もございません。非常に厳しい取り締まりがあるというだけであります。だから、これは貸し手の側につきましても厳しい制限をしておりますし、また借りる側につきましてもこれは厳しい規制をいたしております。そうしたことは、別に住専だからといってその中に入れてはいけない理由には私はならないと思います。それが除かれたわけでありまして、なぜそういうことをしたのかということが非常に不可解。  ただいま銀行局長が答弁になりましたけれども、それは私は答弁にならないと思う。サラ金業者とは違う。それは確かにサラ金業者とは違いますけれども、サラ金業者だけを対象にしてつくった法律ではない。貸金業を営む人全般を勘案して、そのときに、例えば質屋さんのような職業の人はどうなのか、そうしたことも全部勘案をしてつくった法律であります。ですから、そこから除いた理由には私は今おっしゃったことはならないというふうに思います。  そして、先ほど申しましたような新出資法じゃなくて旧出資法、大変緩やかな、最も緩やかな法律の中にこの住専を置いた。初めから申しておりますように直轄指定を行って大蔵省の手元に置き、そして何本もの通達を出して、しかもこの通達は、いわゆる規制をする、いわゆる厳しく取り締まるための通達ではなくて、どちらかといいますと擁護し、育成するという内容の通達がほとんどであります。こうした通達をたくさん出して、そして大蔵省のもとで住専を擁護した。そして、五十八年に貸金業法ができましたらその貸金業法の中から除いて、しかも「当分の間」ということで非常に緩やかな旧出資法を残してその中に入れる、こういう離れわざを行った。  ですから、この住専はまことにそうした環境の中で今日を迎えたわけでありまして、何をしても取り締まれない。そして大蔵省は、責められますと、法律上大蔵省がそこで調査をすることになっていないとか、それはなってないですよ、そこから外したのですから。皆外してしまってフリーにしてしまった。そういう中で住専が今日を迎えている。  もしこの貸金業法の中に含まれていれば、今日のようなことは私はなかったと思う。もっとその法律にのっとって、私はきちっとしてきただろうというふうに思うのですが、今それが残念でならないわけであります。  こうした情勢にあることをどのように大臣としてはお考えになりますか、ひとつ御意見を承りたいと思います。
  53. 久保亘

    ○久保国務大臣 立法の当時の経過その他について、坂口さんが大変詳しく御存じの上での御質問でございます。  私は余り詳細には存じておりません。ただ、そのとき住専が貸金業規制法の新たな立法の対象から外されたことは、これはその貸金業規制法の制定の目的、対象、そういったようなものが住専の場合には異なるという理由であったという今報告を受けております。そして、それは法律制定の一般的な事情説明としては、私はそうであったのかな、そして、そのことが立法過程においての論議でも了承をされたものであったのであろう、こう思っております。  結果的にそのことがどうであったかということについては、今御意見のございましたことについて私も注意深く伺わせていただきました。
  54. 坂口力

    坂口委員 もう一言だけつけ加えておきますが、この旧出資法は「当分の間」ということです。まあ住専がこれからもう取り壊される運命にあるわけですから、これはなくなるわけでありますからよろしいと思いますけれども、そういう経過があったということをひとつ御記憶をいただきたい。  それから、過去の整理をいたしておりましたら今日的な問題をやる時間のいとまがなくなってまいりましたが、ちょっと中飛びをさせていただかざるを得ませんが、六千八百五十億円の財政投入は本当に必要なのかという問いがずっとこの委員会で続いておりまして、我々はその投入をする必要はないということを言い続けてきているわけでございます。  銀行の状況につきましても、この委員会の中でさまざまな議論がされましたし、銀行の代表の方もお見えになりまして、参考人として出席にもなっております。  それで、この五年ぐらいの間の銀行の貸出金利と預金金利を比較いたしますと、やはり貸出金利から預金金利を引きましたいわゆる差額というものは、五年ほど前に比較をいたしまして現在は非常に大きくなっている。これは統計のとり方によってもかなり違いますけれども、私がちょっと拝見をいたしますと、ざっと見て、九一年当時に比べて現在はその差額が四倍ぐらいには拡大をしていると見て差し支えないのではないかというふうに思います。  そういうことになりますと、一年一年銀行に入ります収益というものはそれだけふえてきているわけでありますから、現在の景気の低迷ということもございますが、公定歩合がこのように引き下げられて今日のままずっと続いている、これは今日のままでずっと未来永劫続くわけではございませんけれども、いましばらくはどうも続きそうな情勢にございますが、この差額、これはどちらかといえば、何となく意識的にと申しますか、つくられた差額のような気もしないではありません。かなり大きくなっている。  しかし、この差額が大きいということは、預金金利が低い割に貸出金利の方は下がらないということでありますから、これは景気にもかなり影響を与えているということであります。これはかなり広くなっている。これ以上銀行にさらに負担をしてもらうということは、当然可能な状況になってきているというふうに私は思います。  もしもそれができないのならば、これはもう少し貸し出しの方を下げるように、自由金利とはいいながらまだ完全な自由に今なっているわけではなくて、自由金利と言われておりますけれども完全ではないと思うのですが、もう少しやはり私は指導があってしかるべきだというふうに思うのです。銀行の方がこれだけ九一年当時に比べますと差額が大きくなっているわけでありますから、それはそれだけ国民の側はマイナスになっているということでありますので、これはもう十分過ぎるという気がいたします。  これに対して政府の方がどのような対応をするのか。この状況を静かに見守っていくというのか、それともここは一番、指導していかなければならないということになるのか、私は決断を迫られるときに来ているのではないかというふうに思いますが、大臣の所見を伺いたいと思います。
  55. 久保亘

    ○久保国務大臣 公定歩合について私は申し上げる立場にございませんけれども、公定歩合の引き下げに伴って金利が低下をいたします局面で、金融機関が調達コストの面から大きな利益を上げる ということはそのとおりだと思っております。それで、七年度の中間決算におきまして、業務純益が前年対比五二・七%伸びているという結果もございます。  そのような立場から、私どもは、日本経済がようやく回復期に向かってまいりましたこの時期に、特に中小企業等の立場に配慮し、今お話がございましたような点にも十分意を用いなければならないと思っておりますし、なお、住専問題の処理につきましても国費六千八百五十億円の支出をお願いをいたしておりますが、これは当面住専税的なもので国民の負担をお願いするものではないわけでございますが、後年度に、言ってみれば借金として引き継がれていく形をとると思います。  その場合に、経済の回復に伴う税収の伸び、それから住専の債務者からの債権の徹底した回収、あわせて、今、金融機関に対して新たな追加負担をできないかどうかということについても、皆様方の御意見もいただきました上で、私どもとして努力をしなければならないことと考えているところでございます。
  56. 坂口力

    坂口委員 先ほど申しましたように、今日的な課題、いささか時間がなくなってしまいましてお聞きすることができません。今の大臣の御答弁に対しましてももう少し御意見を申し上げたいこともございますが、少し時間がございませんので、次の機会にさせていただきたいと思います。  菅厚生大臣に、お待たせいたしまして、一問だけお聞きをさせていただきたいというふうに思います。  エイズの問題は、この委員会の最初にも申しましたとおり、一九八三年の、すなわち昭和五十八年の春から秋にかけましてのこの重要な時期に対する厚生省の判断が果たして正しかったかどうかというところに焦点は当たっている。もしかけ違えたとすれば、そこが第一ボタンのかけ違えであったというふうに私は思っております。  それで、幾つかの厚生省から発表になりましたファイルの中身を拝見をいたしますと、少なくともこの一九八三年当時担当しておみえになります方は、そのときの状況をよく認識をされて、そして危険性、それから血液製剤の加熱処理の必要性、あるいはまた外国からの輸入ではなくて国内生産を高めなければならない点等々、よく整理をしてお考えになっていたということがあの中ににじみ出ているというふうに私は思っております。  また、当時の研究班の班員の先生の中には、あちらこちらに論文をお出しになっておりますが、その論文を拝見をいたしますと、一日も早く加熱処理をしなければならない、それでその加熱処理はこういう方法でしたらいいというようなこともお書きになっている。  ですから、担当者のところにおきましては非常に理解は進んでいたというふうに思いますが、しかし、理解はそういうふうに進んでいたというふうに思いますけれども、それを遮った人がいるんだろうと思う。それは、厚生省のいわゆる上層部だったのか、政治家だったのか、それとも、その学者先生の中のいわゆる親分的存在の人であったのか。とにかく、だれかがこれを遮らなければ私はあのまま動いていたというふうに理解をいたしております。  したがいまして、菅厚生大臣のところで、菅厚生大臣が熱心におやりいただいていることはよく理解をいたしますが、ファイルを探し出していただくのも結構なこと、大事なことでございますけれども、問題は、そこを遮ったのはだれかということを明確にすることが私は今後の薬事行政、厚生行政にとって一番重要な点ではないかというふうに思います。  厚生大臣のもとにプロジェクトチームをおつくりになって、そして今、鋭意検討を進めておみえになるようでございますが、そこのところを明確にしていただきたいということを今私は要望を申し上げたい、それに対する御答弁をひとついただきたいと思うわけであります。
  57. 菅直人

    ○菅国務大臣 ただいま坂口先生の方から、八三年当時、春から秋にかけてのころがこの問題の第一のボタンであって、そこがかけ違えではなかったか、そういう御指摘が冒頭にあったわけであります。  私も、この間、いろいろ調査の結果出てきたものを見ておりますと、確かにおっしゃるとおり、八三年の五月とか六月とか七月とかあるいは十月とか、そういう時点に相当の議論がなされておりまして、その中では、例えば、国内の血液を利用した、活用した形でのやり方がないかとか、あるいは加熱製剤の承認申請を急がせるというようなやり方がないかとか、そういうことも含まれております。もちろん同時に、非加熱製剤の原料のスクリーニングなどを強化する、これは実際にもやられたわけですけれども、そういうこともあわせて検討をされております。  そういった点で、実際に検討されたいろいろな項目が、最終的に採用されたものが御存じのような形で、簡単に言えば非加熱製剤を継続して使い続けるということになったことについては、そこにどういう経緯があったのか、今調査をしている範囲の中だけでは必ずしも明確になったということはなかなか言えなくて、今の坂口先生が言われるような一つの仮説もあるいはあるのかもしれませんが、そのことを私が判断をするに足りる状況を私自身まだ把握をいたしておりません。  あえて言えば、いろいろなことがあるいは重なったのかなと。冒頭の、そういったいろいろな議論があった八三年当時、そこのボタンのかけ違えば確かにあったわけですけれども、例えば、八四年になると、御存じのように抗体検査がもう既にできることになったわけですから、当時いろいろ疑問のあった血友病患者の感染事例について、疑問のあったものについても確認できたわけなんです。  それで、確認をしていながら、しかし、何人かの方が感染がわかったにもかかわらず、八三年当時決めた、あるいは八四年の冒頭に決めた方向をそのまま継続して、八五年になり、あるいは加熱製剤が出た後の回収も必ずしも命令をかけていないといったようなことで、どうも非加熱製剤に対する危険性の認識が、冒頭でもありましたし、その後にはよりはっきりとした形であったにもかかわらず、それぞれの時点で必ずしもきちっとした対応がとられてこなかったということを見ますと、いろいろなことがやはり重なってこういう結果になったのかという気も同時にいたしております。  そういった点で、まだまだ疑問はたくさん残っているわけですけれども、さらに新しい資料も確認をされておりますので、それらを含めて、厚生省としてできる補完的な調査はさらに加えてまいりたいと思っております。  しかし、御承知のように、厚生省としてできる調査というのは、省内にあるいろいろな資料や、関係者にお尋ねをするというところまではできますし、また、現在の職員に対してはもちろん指示を出すことはできますけれども、それを越えての調査については、何度お尋ねをしても、例えば記憶にないとか、前答えたのとそれ以上はないという答えも返ってきていますので、そういった点につきましては、場合によっては、例えば国会における質疑あるいは他の機関において、それぞれの機能の中でそういった真相解明の努力をしていただくということも、そういうものにも期待をしなければならないのかな。  厚生省としてやるべき努力はさらにいたしたいと思いますけれども、必ずしもそれだけで十分に解明ができるというか、それだけの確信が持てない、あるいは権限が必ずしもそこまではあると思えない状況でありますので、そういった全体の中で真相が明確になって、そして、こういったことが二度と起きないような新しい仕組みを考えていく、そういう基盤に、ベースになってほしい、そのことを申し上げて、答弁とさせていただきます。
  58. 坂口力

    坂口委員 終わります。
  59. 上原康助

    上原委員長 これにて坂口君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この 際、休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  60. 上原康助

    上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。江田五月君。
  61. 江田五月

    江田委員 大蔵大臣、大変御苦労さんでございます。お疲れかと思いますが、よろしくお願いします。  平成八年度の一般会計予算についての質疑ですが、私は今回で四回目になりまして、今まで全部で三回三時間、四時間日に突入をしているわけですが、今回も住専の問題に限って質問をさせていただきます。  予算委員会、しばらくとまっておりまして、久しぶりということになってしまいまして、これ自体大変遺憾なことだとは思いますが、しばらく時間があいておったので、議論の原点にちょっと戻って整理をしてみたいと思います。  景気の今の状況とか国際社会日本を見る目とか、そういうものにかんがみ、不良債権をきっちり処理をしなければいけない。それも、そんなに時間のゆとりがあるわけでもない。金融秩序をしっかりと維持していく、あるいは回復をしていく、あるいはこれまでの金融秩序の足らざるものはちゃんと再構築をしていく、そのようなことが必要である。これはもう当然私たちも認識をしているわけで、そういう点について、別に政府や与党の皆さんと認識の違いがあるということではないと思うのです。  しかし、その不良債権の処理の仕方について、やはりやっていいこと、いけないことというのがあるだろうというのが私たちの基本的な考え方です。住専というものも、これももちろん住専のいろいろな個別の事情というものはありますが、しかし、どう言ってみても、住専が預貯金者がいない民間会社であるということ、これはやはり変わりないので、民間会社が経営破綻をした、そのときにどうするかということで、民間会社が経営破綻したときの処理のルールというものがやはりあるのではないか。  ですから、以前に伺ったときに、たしか銀行局長の答弁だったと思いますが、この政府のスキームは私的整理である、そういうふうにお答えになっておる。私的整理というのは、これは破綻をした民間会社に債権債務の関係を有している皆さんが集まって、そして互譲で合意をつくるんだと。ちゃんと合意でみんながまとまれば、それは私的自治ですから、その中のいろいろな事情をめぐって、ここがおかしいとかあそこがどうだとか、そこまで言わずに、それはそれで、私的整理はだれも文句を言いませんよ。  しかし、合意がまとまらないときには、これは最後は法律というものがありますよ、裁判所がありますよ。裁判所が入ってきて監督をし、管財人がその破綻をした民間会社に乗り込んでいって、理非曲直を明らかにしながら、透明な手法で、だれにでも説明できる、そういう内容で整理をしていく。そして、嫌でもあきらめるべきものはあきらめさせる、こういう法的処理、これがあるじゃないか。その二つのものがあって、今度のこの政府の案というのは私的整理なんだと。  私的整理だと、あくまで当事者の互譲による合意だ。しかし、そこに六千八百億円の穴があく。穴があくということは、つまり当事者だけでは合意が完結しない。それをどうするんですか。それを税金で穴埋めするというのが政府案で、私たちは、それはルールに反するじゃないかと。  法治主義の国、法のもとの平等、あるいは憲法八十九条といったものもある。そういうような日本のルールに反して、私的債務に税金を投入して穴埋めするということが許されるんだったら、国民は皆、一体何をルールだと信頼して経済活動をやっていっていいかわからなくなるじゃないですか。  そんなことが許されるんだったら、どんどん借りて借りて借りまくって、そして飲めや歌えの大騒ぎをやって、取り立てが来た、ああ、税金で払ってください、なに、一人二人じゃだめなのならみんなで渡れば怖くないと言うのかというようなことになったら、これは大変で、そんなことを許して、やれ景気だ、経済だ、金融秩序だと言っても始まらぬじゃないかというのが私たちの気持ちなんですね。  ですから私たちは、我が国はそういう法治国家としての、あるいは自己責任の国としての、市場原理の国としてのルールを、この場合でもやはり大切にしなければならぬ。  そこで、破綻した民間会社の処理、これは合意がまとまらないのなら法的処理ですよというので、二月の下旬に「基本方針」というものをお出しをした。しかし、それだけでは具体的じゃありませんので、さらにもっと具体的やり方はどうなんだ、こういうことになりました。  二月の下旬に出したときには、法的手続でやるんだけれども、倒産五法というのがあって、いろいろなメニューがありますよね。破産法もありますし、会社更生法もありますし、その他にもあります。いずれにしてもこういうものは管財人というものが任命をされて、裁判所の監督のもとに、管財人が会社に乗り込んでいっていろいろなことを明らかにしながら処理をする。しかし、その管財人が、現行の法律サービスの供給体制でいえばちょっとまだ手薄だろうというので、二月下旬のものでは、これを国家行政組織法三条の行政委員会にして、例えば刑事訴追権まで付与する、つまり特別検察官のような権限まで付与するようなものをアイデアとして想定をしたのです。  さらに具体的にということになりますと、そこまで手を広げていろいろやっていると大変な作業になって、その間に住専の問題が通り過ぎてしまったら、これはアイデアとしてはよくても、実際の役に立つということにならないことになってしまってはいけない、事は急ぐといったこともあって、そういう行政委員会方式よりも、もっと検討の項目の少ない、ある意味で時間をかけずにさっと構想を立てることができる公社制度、特殊法人、これを管財人にして管財機能を補強しようじゃないかと。  刑事訴追権とまで言いますと、全体の刑事訴訟体系に大変な検討を加えなければいけないので、そこまで言わずに、告発義務という程度でとにかくおさめて、しかし基本は既存の倒産関係の法律を活用するんだと。その既存の倒産関係の法律としては、いろいろ検討の結果、会社更生法というのがいいという案をお出しをしたわけです。  ですから私たちは、基本は、民間会社が経営破綻した、そのときにどうするのか、合意ができなかったら法的処理しかありません、そういう市民社会の普通の法律、我が国の基本的な法律を使う、そしてその中では会社更生法がいいと思っておる。しかし管財機能は補強する必要があるからというので、管財機能のところだけを強化をしているわけで、その他の点については別に既存の法律にそんな何も手を加えているわけではないのですね。  そういうことで、今、法治国家あるいは市場原理、あるいは自己責任、そういうものがしっかり守られる、何だか説明のつかない形で私的整理に税金を投入するということをやらない、そういう案を考えて世に問うているわけでございます。  もちろん、まだ法案にしていませんし、今予算委員会ですからここに出すという性質のものでもありませんから、これは今作業を進めている最中ですが、何か、きのう及びおとといですか、本委員会で、与党の委員の方々と大蔵大臣とのやりとりの中で、我々の処理策について質問者と答弁者と両方で私たちの批判をされたようです。  私たちもまだ「具体的方針」という一枚紙を出している段階ですから全部御理解いただくという段階でもないかもしれませんが、しかし、会社更生法というものについて理解をしていただけないやりとりがあったような感じもいたします。  そこで本日は、そういうきのう、おとといのや りとりでお話しになっていることについての反論も含めて質問をしたいと思いますが、その前に私は、政府案では住専の役員の皆さんに対する責任追及というのが十分できないんじゃないかということ。これは、どう質問してどう説明を聞いても、どうも、なるほど責任追及は完璧だというような理解にまで至らないので、そこのところをひとつもうちょっと詰めておきたいと思います。  誤解のないように言っておきますが、刑事責任の追及は、これは刑事責任を追及するそういうポジションにいる人たちがやれば、すなわち検察とかあるいは警察とかこういう皆さんがやれば、これは時効にかかっていない限りはちゃんとできるんですよね。ただ、時効の問題というのはありまして、今一九九六年の四月のきょうは三日ですから、五年の時効ということで考えれば、一九九一年の四月の三日以前のものはもうきようで時効にかかる。日々時効で免れる人が出てきているわけですからこれは大変だと思いますが、まあそれはそれで、刑事責任の追及はできる。  問題は、民事責任の追及だと思うんですね。国民の皆さんも、住専役員、これが大蔵省とか銀行とかいろいろ天下りや出向で来て、そして紹介融資などいいかげんな融資案件をろくろく、ろくろくといいますか担保余力の調査も十分しないで貸し込んでいって、そして住専に穴をあけ、あげくの果て左前になって、さあ大変だというので退職金をもらって退職し、まあ逃げてしまっていると言うと言葉は悪いですけれども、そういう皆さんに対してやはり、退職金も全部返してもらおうじゃないか、役員報酬、もらったものは全部返してもらおうじゃないか、そんなような声もよく聞くわけで、そういう民事責任の追及。  これは大蔵大臣も、地の果てまで追いかけるとおっしゃったときには、単に刑事責任の追及だけでなくて民事責任の追及のことも当然お考えで言われておると思いますが、もちろんその民事責任の追及のことも含めて徹底してこれは追及をするという、以前のお言葉で言えば地の果てまで追いかける、そのお気持ちはこれは当然変わっておられないですよね。ちょっと確認させてください。
  62. 久保亘

    ○久保国務大臣 今、少し長いお話がございまして、質問が最後のところだけではなかったように思いますので、私にも少し時間を下さい。  江田さんがおっしゃいました、今日、不良債権を早期に解決して金融の安定を図らなければならないし、金融システムの新しいあり方というものについて、これを確立をしていかなければならないという考えでは同じ立場だとおっしゃいましたことについては、私もそう思っております。  そしてまた、そのことのためにお互いに、ここでいろいろな御意見を主張なさいましたことについても、私はそのことをよく承っておりますので、江田さんが会社更生手続による不良債権の処理についての御提案をなさいましたことも承知をいたしております。願わくば、対抗する法案としてこの国会に示されて、論議が深まればなおよかったかなという思いはございます。  結局、どこで分かれたのかといいますと、不良債権を早期に処理しなければならないという立場に立って、どんな方法でやるかということで意見が分かれたのだと思っております。  私どもは、会社更生法とか破産による法的処理というようなことについて、法律上の定めがあることを否定しているのではありません。そういうような方法も検討をした上、当事者との協議も重ねて、今、これは民間の問題ではあるけれども、この問題を早期に処理することが日本の経済、金融にとって、国際的責任も含めて極めて重要な段階に至っているというこの共通の認識の上で、私は、この民間の問題を処理することについて、その結果を考えれば、公的な責任を生ずるに至ったものだと考えているのでございます。そのような立場に立って、公的な介入をどこまでどのような形でやるかということも含めて論議をし、当事者の皆さんとも協議をいたしました上、最善の策として今皆様方に御審議をいただいているわけでございます。  御質問でございました責任の追及ということにつきましては、私は、損害賠償請求権の及ぶものにつきましては徹底的にこれを、預金保険機構と一体となります住専処理機構において、告発を含めてやらなければならないことだと思っておりますし、債権の回収については、前から申し上げておりますように、徹底してその回収に当たることが今度の処理策の重要な任務となっております。  なお、この深刻な事態に至ります間においてのいろいろなそれぞれの立場における責任も明確にしつつ、その責任は、この処理の進行とともに私は何らかの結論が出されていかなければならないものと考えております。
  63. 江田五月

    江田委員 今、いろいろな経緯の中で公的責任が生じているという理解で公的介入をしなければいけないという言い方でお話しになったんですが、ちょっとそこはまだ、議論するとこれはかなり深い議論になってしまう、公的責任というのは何でしょうかと。  仮に、この一連の経過の中で、住専の扱いについて大蔵省あるいは農水省、いろいろな官僚の皆さんのやり方がおかしくて、それによって損害賠償責任、国家賠償責任が生じたから、その分を幾ら幾らに算定して、それをこの私的整理の中に一定の金額でもって穴埋めの方法で税金を投入する道で解決をしていくんだというようなことをおっしゃるとすれば、それはちょっと違いますよね。  そうだとすると、これはだれが一体不法行為者であってどういう不法行為責任があるのか、国家賠償責任があるのか、これを明らかにしないままそういう税金投入となってしまうと、これは税金の言ってみれば私物化みたいなことになりますから、そういうことではないのだろうと思います。まあちょっとそれはわきに置いて、今の損害賠償の関係については、徹底的にということをおっしゃったので意を強うしておりますが、ただ、例えば告発も含めというような言い方をされますが、告発というのは、これは刑事の責任のことですから混同のないようにお願いしたいのです。  それで、政府処理案では、この民事の損害賠償請求権の譲渡というものを債権譲渡契約書に一体どういうふうに記載するのか、これは大臣よりもむしろ局長の方かと思いますが、再確認をしておきたいと思います。  二月九日の本委員会で西村銀行局長は、「当該損害賠償請求権は、譲渡の時点において賠償の金額や具体的内容が特定されている必要はなく、賠償の相手や」、これは損害賠償を請求される人間ということですが、「賠償の相手や不法行為の事実がある程度特定されていれば足りる、」と、三度にわたって文章を読み上げられて答弁をされました。  法制局長官も、今回の法案で仕組んでおりますスキームの中で、損害賠償請求権の処理の問題でございますが、御承知のとおり、債権の譲渡ということになりますと、債権の譲渡者と譲り受け人の間の合意が要ります。そして、その旨の債務者に対する債権譲渡の通知が要ることは、委員御承知のとおりだと思います。   したがいまして、債権譲渡、損害賠償債権の譲渡のためには、だれが債務者であるかということは当然ある程度確定していなければいけませんので、その程度のことは判明しておらなければそもそも不法行為債務の譲渡ということはあり得ないわけです。こういう答弁をされました。これはもう大臣もお聞きになっておったとおりですよね。  二十六日の本委員会で、今度は、西村銀行局長は、  損害賠償請求権の問題でございますが、これは前回もお答え申し上げましたように、住専処理機構は、住専から損害賠償請求権を譲り受ける際、必ずしも不正の事実等を特定したものに限る必要はなく、住専の保有するその他の損害賠償請求権も含めて包括的に譲り受けることが可能であり、これは譲渡契約の当事者間で有効なものと解されているというふうに政府の中でも 十分すり合わせを行いまして対応することにいたしております。なかなかややこしい言い回しですが、そういう答弁をし、これは二月九日の答弁と違っているのか違っていないのか、私は違うと思いますが、  具体的な契約の記載方法といたしましては、特定できるものについてはできるだけ特定して記載するとともに、その他住専がいつ現在保有する損害賠償請求権を譲渡するというような記載をすることによりまして、網羅的に譲り受ける方法があると私ども考えております。そういう答弁をされているわけです。  さて、そこで確認しますが、銀行局長、損害賠償請求権の譲渡は、特定できるものはこれはできるだけ特定して記載をする、さらに特定できないものについても包括的、網羅的な記載の仕方をする。そして、そういう記載がきっちりされていなければ、住専処理特別措置法の第十二条一項で、これは預金保険機構が契約の内容を承認するとかしないとかという権限を持つわけですから、そういう記載がなければ承認できないということになる。これはこう確認してよろしいですか。
  64. 久保亘

    ○久保国務大臣 江田さん、済みませんが、さっきの公的責任、一言だけ言わせてください。  私が公的責任と申し上げましたのは、これは不良債権の処理によって預金者の保護、信用秩序の保全ということに関する政治的な公的責任、こういう意味でございます。
  65. 西村吉正

    ○西村政府委員 ただいま江田委員、私の二月九日及び二十六日の答弁につきまして詳細に引用をしていただきましたので、もう一度ここで私が繰り返すことは差し控えさせていただきますが、両日に答弁申し上げました趣旨は、今もそのように理解をいたしております。
  66. 江田五月

    江田委員 もう一度確認しますが、ちょっと聞いていてくださいね。  確認しますが、特定できるものはちゃんと特定して記載をして、そして、その他特定できないものについても包括的に、つまり記載は、そこで損害賠償請求権の譲渡については、もちろん全然特定できるものが何もなければ別ですが、特定できるものがあればそれはちゃんと特定して記載をする。それはよろしいですね。
  67. 西村吉正

    ○西村政府委員 特定できるものがございましたらそれは特定することが望ましいわけでございますから、そういうふうにした上で、特定できないものにつきましても、先般申し上げましたような方法で承継することができると理解をいたしております。
  68. 江田五月

    江田委員 大蔵大臣、今、前の公的責任を補足をされましたが、そういうある意味の政治的、あるいは公的というのでしょうか、責任があるということはそれで承りますが、私もそうだと思いますが、それは私的債務の穴埋めを税金で補てんすることとは別な話ですよね。ですから、それはちょっと置いておいて、今の話に戻ります。  わかりました。特定できるものについては契約時に通知をするのですね、そうすると。特定できるものについては、契約書にも書くし、また契約時に、時というのはそれはもちろん何日かの余裕はありますが、ちゃんと損害賠償の債務者に対して通知もすることになる。さらに、特定できないものについては、後日判明した時点で清算法人が通知をする。清算法人が清算結了の登記の後に消滅をした場合には、清算人が生きている限り通知してもらうようにする。通知についてはそういうことになるのですか。
  69. 西村吉正

    ○西村政府委員 債権の譲渡と通知は必ずしも一致をしておるものではないと思いますけれども、特定いたしましたものについては、しかるべき時期に通知がされるものだろうと理解をいたしております。
  70. 江田五月

    江田委員 しかるべき時点に通知がされるべきものであろうという、何かこう頼りない返事のような感じがしますが、やはり譲り渡し人からいいますと、債権譲渡契約をした場合には、ちゃんと債権を譲り渡すことが完結するというところまで行為を行う義務があるわけですよね。債務者にその債権譲渡というものが対抗できなければ、それはやはり債権譲渡としては完結していないのですよね。債権者は通知をする義務を債務者に対して負っているわけですから、しかるべき時点にすることになるであろうというようなことでなくて、やはり通知は、しかるべきじゃなくて、その日なのか翌日なのかそれはわかりませんよ、しかし、通常の債権譲渡の際の通知と同じように適切な時点で通知をすることになる、こうはっきり自信を持ってお答えになって何も困ることはないと思いますが、いかがですか。
  71. 西村吉正

    ○西村政府委員 通知というのは対抗要件であると今も御指摘がございましたが、私もそのように理解をしているところでございます。  譲渡した権利は対抗要件を備えることが望ましいわけでございますから、そういうことになるものが多いと思いますけれども、すべて一〇〇%対抗要件を備えなければいけないかどうかということにつきましては、その債権の性格によって必ずしもそうでもないものもあるかもしれないということで先はどのような答弁を申し上げたわけでございます。  原則的には、対抗要件を備えるために通知をするというふうに理解をいたしております。
  72. 江田五月

    江田委員 どうも法律の細かな議論をするとまずいのですけれども、対抗要件というのは第三者に対抗する場合と、それから今の債権譲渡のように債務者に対抗するという場合とちょっと違うので、債権譲渡だけれども債務者にそのことを主張できないような債権譲渡をされたって、そんなもの空手形ですよね、文字どおり。やはり債務者に対して、私は債権者になりましたのであなたは債務を支払ってくださいと言えないような、そんな譲渡を受けたってだめなわけですから、これは通知をしない場合もあるかなどということを言ってもらっては困るのじゃないですか。いかがですか。
  73. 西村吉正

    ○西村政府委員 今、私は第三者に対する対抗の問題について申し上げましたが、確かに先生おっしゃるように、債務者に対する対抗という問題もございます。そういう意味では、債務者に対して通知をする必要がすべての案件についてあろうかと考えております。
  74. 江田五月

    江田委員 法務省の民事局長、お見えですね。今確認したわけですが、そういう確認で、損害賠償請求権の譲渡は完全な形で行われることになって、民事上の責任追及は十分な成果を上げることができるというふうに民事局長はお考えですか、どうでしょう。
  75. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 債権の譲渡の方法及びその有効性、あるいは対抗要件の具備の問題につきましては、ただいま大蔵当局からお答えになったとおりであるというふうに私どもも思っております。住専処理機構がその譲り受けた債権をどのように適切に行使されるかということにかかる問題であるというふうに思っております。
  76. 江田五月

    江田委員 譲り受けた債権をどのように適切に行使するか。特定しているものはいいと思うのですが、包括的とか網羅的とかという、全く何が譲り渡されたか、譲り受けたかわからない、これを譲り受けた者が適切に行使するというのは、まあ民事局長はわかっておっしゃっているのだろうと思いますけれども、なかなか至難のわざだと思います。  法制局長官にも伺っておきたいと思いますが、今の確認で、損害賠償請求権の譲渡は完全な形で行われたことになって、民事上の責任追及、損害賠償請求は十分な成果を上げることができる、そうお考えでしょうか。
  77. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 ただいま法務省及び大蔵省から答弁があったのと全く同意見でございます。同意見といいますのは、債権譲渡の合意とそして対抗要件の具備に関する点については全く同意見であり、私も前回申し上げたのはそういう趣旨でございます。  それから、そういうことで十分に履行を確保できるかどうかという点につきましては、これはその事情によりケース・バイ・ケースでございまし て、極端に言うと、損害賠償義務者が全然無資力ならばそれはいかに取ろうと思っても取れませんし、また債務者の特定や、あるいは不法行為の特定、損害額の特定自体も資料との関係でなかなか難しい面も事実上はあろうかと思いますので、そこまで保証の限りではないと言わざるを得ないと思います。
  78. 江田五月

    江田委員 法制局長官の方はずっと素直というか率直にお答えいただいたと思いますが、第三者つまり債務者に対する対抗要件の具備というところまで含めて同意見だというようなおっしゃり方で、何か言いたいことがあるよというニュアンスを残されたと思っております。  さて、ここを議論していても仕方ありません。久保大蔵大臣、民事責任の追及も徹底的に行うのだというそのお気持ちはもちろんわかるのですけれども、やはり徹底的に行うについては、熱意だけではできないのですよね。やはりそう行うための権限も必要だし、その仕組みも必要だ。  私は、この政府処理策だと責任追及ができない、むしろ免責の体系になってしまうという気がして仕方がないのです。法律的にもどうも疑問があるのですが、法律的には今の説明のようなことを仮に認めるとしても事実上できない。与党の例の追加策というのは、これはまやかしたという評価がどうも定着をしたように思いますが、実は政府処理策、追加策ではなくて本体そのものがどうもまやかしであるように思うのですね。  そこで、大蔵大臣にまずお伺いしますが、政府提出の住専処理特別措置法のどこに民事上の責任追及の規定があるでしょうか。
  79. 西村吉正

    ○西村政府委員 民事責任の追及につきましては、先ほど来御議論がございます損害賠償請求権の問題、これは今御議論があったといたしまして、そのほか住専処理機構が回収を迅速かつ的確に行うものであることをその設立時に大蔵大臣が審査することといたしております。これは第五条の第四項第二号でございます。  そのほか、預金保険機構が悪質な債務者について罰則で担保された財産調査を行ったり、あるいはみずから取り立てを行うというふうにしておるところでございまして、これは第三条第一項第六号、第七号、第十二条の第六号、第七号、第十七条の関連でございます。
  80. 江田五月

    江田委員 これは回収なんですよね。回収関係ではなくて、損害賠償の責任の追及について何かありますかということを聞いているのですが、追加策の中にはいろいろ書いてあるんですよね。しかし、久保大蔵大臣、この追加策というのは政府はどうかかわっているのですか。政府案ではないのですよね。
  81. 久保亘

    ○久保国務大臣 国会の審議の内容も十分に受けとめられた上で、与党三党として国民の十分な御理解を得ながら平成八年度の予算案を早期に成立をさせるという立場から、この新たな追加措置をお決めになったものでありまして、与党三党の合意と、関係の銀行の代表等との協議も含めた上でまとめられたもので、政府に対してその内容を報告されております。  政府としては、この新たな措置として与党三党がお決めになりましたものを重く受けとめて、今後の対策の上で十分に尊重してまいりたい、こういうことを申し上げておりまして、政府案ではございません。
  82. 江田五月

    江田委員 政府提出の法案の中にも、今の損害賠償責任の追及というようなことに関する規定もない。あるいは、今の与党の追加策の中にはありますが、それもどうもその性格がはっきりしない。本当に仕組みとしてそういうものをちゃんと設けるのかどうか、甚だ疑問でございます。  三月二十九日付の日経産業新聞に、日弁連、日本弁護士連合会の民事介入暴力対策委員会の委員長田中清隆という弁護士さんがインタビューを受けておいでです。この方は政府案にもそれなりの理解を示しておられる方なんですが、それでも政府処理策の実務上の課題として、一番最後の方ですが、「住専処理機構が」、これは会社ですか、「住専から譲渡を受ける債権で、額面が決まっているものはよいが、帳簿に記載されない」、あるいは契約書に、今の包括的、網羅的、そんなような格好でしか記載されていないというふうに読んでもいいでしょう、そういう「記載されない取締役や銀行に対する損害賠償請求権などは住専側が自発的に明らかにしない限り譲渡は難しい」、政府案に理解のある弁護士さんもそうおっしゃっている。  債権譲渡の際に損害賠償請求の対象となる住専の役員とそれから不法行為とを調査をして特定するのは住専の役員なんだ。これは前に、大分前ですが、お答えくださいましたよね。住専の役員なんだ。自分で自分自身に対して、あるいは自分のところの先輩に対して莫大な金額の損害賠償請求をさせるというわけですから、まあ厚生省のエイズのこととかTBSのこととか、自己調査というのはなかなか大変で、それでも自己調査をそういうシステムをつくっていろいろやっているわけですが、自分で自分に対して、あるいは自分の先輩に対して損害賠償、こんなことが本当に可能だ、これは大蔵大臣、本当にそう思われますか。
  83. 久保亘

    ○久保国務大臣 田中弁護士の今御紹介になりました記事につきまして、私も読ませていただきました。確かに今、江田さんがおっしゃったようなことを申されておりますが、「帳簿に記載されない取締役や銀行に対する損害賠償請求権などは住専側が自発的に明らかにしない限り譲渡は難しい」ということが書かれております。私は、やはりこのことも一つ専門家の御見解だと思っております。住専側に明らかにさせる努力をしなければいけないものだと思っております。  また、この田中弁護士が最終的にまとめられておりますのは、「住専処理機構で徹底的に不正を洗い出し、将来の組織暴力対策立法の資料にすることまで見据え実行すれば、税金を投入する価値はあると思う」というのがこの田中弁護士の説の最後の取りまとめだ、こういうふうに読ませていただいております。
  84. 江田五月

    江田委員 田中弁護士は政府案を一定限度で評価しておられるということは私も認めているわけで、しかし、損害賠償請求のところはこうおっしゃっているわけですね。これはそれぞれの考え方に長所もあるいは困難な点もいろいろあろうと思いますが、少なくとも私どもの案ですと、これは管財人が住専に乗り込んでいって行うわけですから、住専の役員がみずからに対して損害賠償請求をやるとか、あるいは先輩に対してやるとかじゃなくて、第三者である裁判所の監督を受ける管財人が乗り込んでいってやるわけですから、これは完璧にできるという、この点は一言申し上げておきます。  先ほどの田中弁護士は、政府案について、さらに続けて「住専が担保不動産に設定しているのは、融資の上限になる極度額を定め債務額が常に変動する根抵当権が大半だが、譲渡の際には債務額を確定する必要があり、債務者の協力が不可欠。場合によっては裁判で確定しなければならず膨大な手間がかかる」、こういうことも言われているわけですが、これはまた専門的なので、銀行局長、こういう指摘はどう思われますか。
  85. 西村吉正

    ○西村政府委員 この法律問題が議論される場合に、私どもは二つの側面、要するに、住専に対する貸し手と住専との関係と、住専とその借り手の関係という二つに分けて考えなければいけないと思いますが、その後者の問題についていろいろと難しい問題があることは私どもも承知をしております。  しかし、それはどのような手段をとりましても、恐らく新進党の御提案のような方法をとりましても、難しい問題はやはり処理しなければいけないということであろうかと思います。私ども、そういう難しい問題があるということを踏まえた上で、いかにしてそれを実行することが効率的、実効的かということを十分考えてまいりたいと思っております。
  86. 江田五月

    江田委員 今のお答えはどうもお答えになったのかどうか。  田中弁護士は、根抵当権の場合には、譲渡する 際に債務の額を確定する、根抵当権の確定ということが大切で、それをやらないと譲渡できないので、これはなかなか大変ですよということを言っておるわけですね。  そのほかにもいろいろあって、債権の回収については、政府の案は、これは預金保険機構にいろいろな体制を整備してこれと協力してというのですが、しかし住専処理会社そのものは株式会社です。特別の権限があるわけじゃありません。私どもの案は管財人で、会社更生法の中の、例えば否認権であるとか、あるいは担保権の実行に対する一定の措置であるとか、いろいろな特別の権限があるのですよね。  それは置いておいて、私が民事上の責任追及、損害賠償請求に対する政府の姿勢にどうも疑問を持つ例を一つ挙げておきたいと思うのです。  昨年の八月に破綻が明らかになった兵庫銀行。兵庫銀行は、その後新しく設立されたみどり銀行に営業譲渡を行って、一月二十九日にみどり銀行の営業開始。その間、兵庫銀行には預金保険から四千七百三十億円の資金贈与が行われている。大蔵大臣、この兵庫銀行もかなりいろいろ言われているのですよね。乱脈融資の、これはまだうわさなのですけれども、いろいろ言われておって、この兵庫銀行についても民事上、刑事上の責任、これは徹底的に行う、地の果てまでも追いかけていく、こういうお考えはございますか。
  87. 西村吉正

    ○西村政府委員 破綻金融機関につきましては、民事上、刑事上の責任を追及するという考え方に変わりはございません。  ただ、兵庫銀行の場合には、破綻をいたしましたときの役員は、いわば再建をするために派遣をされましたというような事情もございますので、その点は、破綻の原因をつくった者とそれを立て直すために行った者との責任という点については、若干の考え方の違いがあってしかるべきと考えております。
  88. 江田五月

    江田委員 若干でなくて、大いにそれは違っていてもいいのですけれども。破綻した後にその処理に行った人に責任と言ったって、それは無理なことは当然ですけれども、破綻の原因をつくったときの役員、つまりその前任者、先輩連中、これに対する責任追及というものはやはり必要だろうと思うのですね。まあ、兵庫銀行の場合には長谷川さんという方はお亡くなりになっているので、これはなかなか大変ですが。  しかし、いずれにしたって、この兵庫銀行からみどり銀行への営業譲渡契約書については、損害賠償請求権の人物の特定も不法行為についての記載もありませんね。「譲渡すべき営業の範囲は、営業譲渡日午前零時における乙」というのは兵庫銀行、「の本営業に属する動産、不動産、債権、債務等(以下「譲渡財産」という。)およびこれに付随する権利義務に及ぶものとする。」というので、損害賠償という言葉さえないというのは、これはどういうことですか。いろいろ兵庫銀行についても、昨年八月、立入検査をされています。その前には二年ごとに検査をしておられますが、そういう検査のときに役員の忠実義務違反に当たるような事例は一切なかった、だからここへ具体的に書いていないんだ、こう理解していいのですか。
  89. 西村吉正

    ○西村政府委員 兵庫銀行の営業譲渡契約書は今御指摘のとおりでございますが、仮に取締役の忠実義務違反の事実があったことが判明いたしました場合には、兵庫銀行から営業譲渡契約によって包括的に権利義務を譲り受けているみどり銀行が損害賠償請求を行うことは可能であると考えております。
  90. 江田五月

    江田委員 私が聞いたのは、去年の八月の立入検査とか、その前の二年ごとの検査とかの結果を見ても、精査をしてみても、取締役に対して民事上の責任を問わなければならぬようなケースは一切なかったからここに、ここにというのはこれは営業譲渡契約書ですが、具体的なことは何も書いていないという、そういう趣旨なんですかということを聞いたのです。
  91. 西村吉正

    ○西村政府委員 通常、損害賠償請求というような問題につきましては、検査に当たりました当局が行うというよりも、承継をいたしました、例えばこの場合でございますとみどり銀行が、事実がございます場合にはそのような手続をとるというようなことをいたしております。これは破綻をいたしました二つの信用組合等についても同様の手続をとっておりますが、現在のところ、みどり銀行がそのような手続を踏んでおるということは聞いてはおりません。
  92. 江田五月

    江田委員 どうもストレートにお答えにならないものですから大変遺憾なんですが、兵庫銀行の場合は、例えば暴力団の組長に貸しておったとか、この暴力団に貸しておったというケースは、これはどうも解消されておるようですから、そのまますぐ損害賠償の対象になるわけじゃないようですが、しかし暴力団に貸しておった。それも一回や二回じゃないのですよね。あるいは、暴力団に貸しておったのと関連するもので、どうもまだ完全に返済されていないものもあるとか、それからそのほかにもかなり、リゾートの関係であるとか、あるいはノンバンクがあって、そのノンバンクが法的処理をされているとか、いっぱいあるのですね。それを今のようなことで御答弁になるようですと、やはり兵庫銀行からみどり銀行へ営業譲渡でという、これも免責の体系になっておるのじゃないか。前の役員全部、この兵庫銀行からみどり銀行へ移した段階で責任を追及できないようにしてしまっているのじゃないかという、そんな気がするのですね。  兵庫銀行の契約書、それから立入検査の報告書、こういうものは見せてもらえますか。
  93. 西村吉正

    ○西村政府委員 検査の結果については公にはいたさないという前提で行っているということを御理解いただきたいと存じます。  営業譲渡契約書は、先ほど第二条について委員から御指摘があったように存じます。  契約書は私的文書でございますので、私どもが今この場で提出をお約束申し上げるということは差し控えさせていただきたいと存じます。
  94. 江田五月

    江田委員 兵庫銀行からみどり銀行へというのは、今度の住専と住専処理会社との関係がどういってんまつをたどるかというのを暗示しているような気がするので、私どもの方でもいずれ十分検討してみたいと思いますが、契約書も出せません、検査報告書も明らかにしません。そして、この抵当証券を買った皆さんが訴訟を起こしているのですが、この皆さんは、代表取締役、頭取に対してもあわせて訴訟を起こしていたりで、国民の中にいろいろな意見があるのですよね。もうちょっとこの姿勢が変わらないと、やはり免責体系になっているという国民の疑問は払拭できないような気がするのですね。  予算委員会に提出された平成三年ないし平成四年の住専七社に対する第一次立入調査結果や平成七年八月の調査結果を見ますと、問題融資のオンパレード、ほとんどの役員が忠実義務違反に当たる可能性があるというふうに思いますが、銀行局長、これらで出てくる案件に関係していた役員、この人物は、全部これは特定して譲渡契約書に書くべきだと思いますが、いかがですか。
  95. 西村吉正

    ○西村政府委員 営業譲渡の内容、形式あるいは損害賠償請求の仕方等につきましては、当事者のまずお考えになるべき問題かと存じますけれども、そのプロセスにおきましては、先ほど申し上げましたように、例えば預金保険機構がチェックをするというようなプロセスもございますので、適切に行われると信じております。
  96. 江田五月

    江田委員 やはり具体的にこういうケースは、忠実義務違反がかなり濃く疑われるというような場合には、ちゃんと名前を書かなければいけないのじゃないですか、不法行為の概要についても。例えば、前にも問題にしましたが、納税証明書か何かが偽造されている、それをそのままうのみにしていたようなケース、こんなケースはどういうふうにされるのか。今あれはどういうふうにしましたかと聞きたいところですが、ちょっと時間がなくなってしまって。  大蔵大臣、会社更生法のことで、きのうの答弁 で、日住金とかもう一社、清算の方向を住専の方で決めている、したがってこれは会社更生法になじまないというようなお考えを述べられた。違いますかね。そういうふうに新聞に出ているのですけれどもね。  つまり、当事者の意向というのは会社更生法適用のときに関係があるのかないのか。大蔵大臣は、何か当事者の意向、当事者というのはこの場合つまり住専ですよ、意向が関係があるかのようにお答えになっておるように読めるのですが、そこはちょっとお聞かせください。
  97. 久保亘

    ○久保国務大臣 会社更生手続をとることについての提案があるが、どのように考えるかという意味の御質問でございました。  このことにつきましては、会社更生手続をとります場合には、会社の再建、維持の見込みがあることが重要である、そのことについては会社更生法三十八条の問題も存在するということなどを申し上げました。その中で、更生の見込みがあるかどうかの議論として、三月二十六日に上場企業である日住金と第一住金が第二次再建計画を断念し、整理、清算の方向を決めてこれを公表したということを申し上げたのであります。
  98. 江田五月

    江田委員 会社更生法に言う「更生の見込」というのは何であるかという、これは十分議論をしなければならぬ点ですが、私どもは少なくともこの住専の場合には、会社更生法の手続を開始するそのための要件としての更生の見込み、本当に更生できるかどうかというのは、それはやってみなければわからぬ話ですが、会社更生法の手続を開始する要件としての更生の見込みに欠けるところは全くない、これは実務のいろいろな皆さんの話などを総合してもそういうふうに判断をしておるのです。  それはちょっと置いておいて、もう一つ政府が金融三法を用意されていますよね。その中の一つに、金融機関の更生手続の特例等に関する法律というのがございまして、これも前にここで取り上げさせていただきました例の金融制度調査会の答申から始まった議論で、金融機関の会社更生手続、それをやったら——ここにおもしろいこと、銀行局からいただいた資料、「破綻処理の迅速化・多様化」、破綻処理の迅速化、そのために更生手続を金融機関にも適用できるように監督官庁が申し立てることができるようにというようなことを書いているんですよね。これは、どうも私どもが言う会社更生法では時間がかかってしょうがないとか言う方もおられるようですが、政府自身が今お出しになる金融三法の中では迅速化に資すると書いてあるんですね。  会社更生法を金融機関に適用するメリット、これはあるということを当然大蔵省もお考えだと思うんですが、そのほかにもいろいろ政府の方だってこんなこともしているじゃないですか、ああいうこともお考えじゃないですか、それだったら私どもの会社更生法の案について余り誤解、曲解の議論をしていただいては困る、そういう気持ちも非常に強くいたしておるのですが、残念ながら時間になってしまいました。  十分な議論をさせていただくということで、予算委員会、さらに大幅な予算の議論ということになっておりますので、ひとつぜひまた議論させていただきたいと思います。きょうはこれで終わります。
  99. 上原康助

    上原委員長 これにて江田君の質疑は終了いたしました。  次に、上田清司君。
  100. 上田清司

    上田(清)委員 お疲れのところをありがとうございます。  早速ですが、住専並びに一般行の金利支払いの協議が今話題の一つになっておりますが、この経過、つまり協議は終わったのか、それともまだ協議中なのか、承りたいのですが。
  101. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専七社は従来第二次再建計画に沿った業務運営を行ってきておりまして、利払いもこの計画に基づき実施されてきたところでございます。しかしながら、昨年十二月に住専の具体的処理方策が閣議決定されまして、基本的にはそれ以降住専の整理、清算を前提として物事が進められておりまして、実質的には第二次再建計画は破綻しているものとも考えられること等にかんがみまして、現在住専各社としても三月末の利払いをどうするかについて調整を行っておりますが、結論は出ておらず、現在未払いの状態で調整が続けられていると聞いているところでございます。  本件につきましては、契約上の問題としては、まだ住専そのものは存続しているわけでございますから、利払いについても契約に従って処理すべきという考え方もあり得る一方、既に実質的には住専は破綻しているのでありますから、この三月末の利払いについては検討の余地があるのではないかという考えもあり得ると承知しているところでございます。  いずれにいたしましても、本件につきましては現在住専各社と系統等の金融機関、一般行との間で調整がなされているところでございますので、私どもといたしましてもその議論を見守ってまいりたいと考えております。
  102. 上田清司

    上田(清)委員 大臣、今局長お話しされましたように、今の回答だと契約は存続している、したがって、それはそれで生きていると。しかし同時に、閣議決定以来清算過程に入っているので、内容的には死んでいる。一体どっちをとるのでしょうか。大臣、お答えいただきたいと思います。
  103. 久保亘

    ○久保国務大臣 金利支払いの問題につきましては、今銀行局長が申し上げましたように、当事者間の契約でございますから、当事者間で御決定になるものと思っております。
  104. 上田清司

    上田(清)委員 じゃ、農水大臣にお答えをお願いしたいと思いますが、大臣は、当事者間で契約が生きているということで、農林系統に支払うべき利子は住専が当然払わなければいけない、払わなければ訴訟でも起こしかねないというような大臣の答弁もございましたが、このお考えに変わりはないんでしょうか。
  105. 大原一三

    ○大原国務大臣 今銀行局長が申しましたように、ただいま折衝中でございます。契約は住専は三月まで生きているわけですから、一月から三月の利払いが問題になっているわけでございまして、御承知のように四十七信連、共済も同じような数だけあるわけでございますが、その大もとの方へ御相談がそれぞれの住専からあったようでございます。  しかしながら、これはまあ相対契約でございまして、我々がどうしろこうしろと言うわけにもまいりませんが、るる申し上げておりますように、系統の経営は非常に厳しい。そういう状況の中で、はい、そうですがと言うわけにはまいりませんというのが大部分でございまして、これから両者の折衝を十分見守りたいと思っております。
  106. 上田清司

    上田(清)委員 大蔵大臣、私も大蔵委員会の方で西村銀行局長にお尋ねをして、大臣も局長の言うとおりだというふうにお答えされたのですが、そもそもこの金利の一月から三月期の部分は、六兆四千百億の中の一千四百億の欠損見込み額の中に実は算入されている。したがって、実態的には、これがきちっと、一月から三月期までの約六百二十億だと思いますが、が支払われるとすれば、実は農林系統の負担は四千七百億にしかすぎない、現実的には。そういう形になっておりまして、これは局長も大臣も認めておられますが、そういう中で、もしこのまま払わないという形をとれば、金利を取れば、またこれはもとに戻って五千三百億のもともとの贈与の部分がそのまま生きるという形になりますが、いずれにしてもどういう形で決着つけるか。  三月期、三月期と言うのですが、これは年度は三月末日なんでしょうか。それとも四月に入っても大丈夫なんでしょうか。
  107. 西村吉正

    ○西村政府委員 ただいま問題になっておりますのは、三月末日までの金利の問題でございます。それは、先ほど申し上げましたように、現在未払いの状態になって協議が続けられている、こういう状況になっております。
  108. 上田清司

    上田(清)委員 それはわかっていますので。い つ払うのですか。
  109. 西村吉正

    ○西村政府委員 それは現在関係者の間で協議中でございますので、その結論がどうなるかということにもよるわけでございます。
  110. 上田清司

    上田(清)委員 それでは銀行局長、何らかの形でこれを促進すべく御仲介なり協議なり、この中でやっていらっしゃるのでしょうか、大蔵省として。
  111. 西村吉正

    ○西村政府委員 これは当事者の問題でございますので、私どもがそのような問題に介入をするということは必ずしも適切ではないと考えております。
  112. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、なぜ一千四百億の欠損見込み額の中に一月から三月期までの金利支払い分を入れているのですか。これは大蔵省がつくったスキームじゃないですか。都合のいいときにはあなた方は自分たちのスキームをつくり、都合の悪いときには当事者だなんと言っても通用しませんよ。
  113. 西村吉正

    ○西村政府委員 この点につきましては、先般三月一日に上田委員の御質問に対して大蔵委員会でもお答えしたと存じますが、八年三月末の利払い費用につきましては、住専七社の欠損見込み額を一定の前提のもとに積算するに当たり、費用項目の一要素として織り込まれている形になっております。これは、積算を行った時点における考え方としては、契約どおりに計上しておくのが一番ニュートラルではないかと考えたことによるものでございます。そのような考え方で、ただいまの一千四百億というものの積算がなされているということでございます。
  114. 上田清司

    上田(清)委員 今の、契約どおりということですが、むしろ契約どおりに行われないということを前提に、つまり一月から三月までは、多分住専は清算過程に入っているので金利なんか払えない、したがって欠損見込み額の中にこの六百億を入れているわけでしょう。それは契約どおりなんですか。
  115. 西村吉正

    ○西村政府委員 十二月時点において存在いたします契約どおり、すなわちこの利払いを行うという形での計算をしているということでございます。
  116. 上田清司

    上田(清)委員 この話になるとなかなか続かないんですが、要は、一千四百億の欠損の中に、本来、税金で六千八百五十億、国民が負担しなくてはいけない分、お金に色合いはないですけれども、最小限度、そっちからお金を借りてきてというか入れた部分の中から、またこの一千四百億の欠損見込み額から、五千三百億、系統系が贈与する分に、ある意味では六百二十億返すという形で、そういう仕組みにもなっているんですよ。  したがって、一千四百億という欠損の見込み額がもし最初からの契約どおりということでなっているんであれば、もう最初から金利は払えませんということを明らかにした上で、その上でこの六百二十億弱の金利を計上しているじゃないですか。
  117. 西村吉正

    ○西村政府委員 ちょっと御質問の御趣旨を正しく理解しておらないかもしれませんけれども、十二月に積算をいたしましたときには、三月末にこの金利を支払うという契約どおりの積算をしているということでございます。したがいまして、千四百億円の欠損見込み額は、この金利は払うという前提で差し引き計算されたものである、それが一番ニュートラルな計算の仕方ではないかと考えた、こういうことでございます。
  118. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、一般行も含めて、実は八百四十億の金利が場合によっては払えない、払わないという話になってきておりまして、大蔵大臣はさきの二十六日の記者会見の中で、場合によっては、そのときの、NHKのニュースですので理解の仕方についてもちょっと議論があるかもしれませんが、最小限度、清算過程に入っているのでもう金利は払わなくていいんじゃないか、もし払わないということになれば少し国民負担が軽くなるんではないかという趣旨の発言をされたように私は受けとめましたが、そのとおりでしょうか。
  119. 久保亘

    ○久保国務大臣 必ずしも正確ではございません。  私が申し上げましたのは、金利の問題について、この問題をきちんと結論を出すべきである、もし、第四・四半期になるのですが、三月期における金利が支払われないということになれば、一般行を含めて八百五十億程度のいわゆる欠損が減ることになる。その場合には、六千八百五十億の財政支出を行うスキームの六兆四千百億の部分に入ってくる分であるから、その分は国庫に還元されることになろうという意味のことを申し上げたように思います。
  120. 上田清司

    上田(清)委員 それでは大蔵大臣は、金利支払いをしない方がいいというような考え方に基本的には立っていらっしゃるんですか。
  121. 久保亘

    ○久保国務大臣 いや、御質問がございましたから、仮定の問題で、もし支払いが行われない場合には八百五十億が国庫に還元されてくることになる、こういうことを申し上げたということでありまして、私の個人的な期待感や考え方を申し上げる立場にはなかったと思っております。
  122. 上田清司

    上田(清)委員 わかりました。  いずれにしても、この金利支払いの問題は、国民全体の負担が減るかどうかという問題と同時に、ぎりぎりの負担をしたと言われる農林系統の、まさにぎりぎりがまた取られるという部分が、農水大臣の話になるとこれは大変なことであるというような考え方ですが、どうもいま一つ政府として何を一体このスキームの中で最小限度この金利の扱いに関して望んでいるのかよくわからない感じがいたしますので、できましたら官房長官、統一見解的な形で出していただけませんか。
  123. 梶山静六

    梶山国務大臣 私から答える分野ではございません。
  124. 上田清司

    上田(清)委員 御意見がないというふうに承ってよろしいわけですね。(梶山国務大臣「お答えできる分野ではないということです」と呼ぶ)わかりました。  官房長官は時間が制限がございますよね。時間との関係もございますので、次に、母体行、一般行の債権放棄の協議が既に終わったかどうか。母体行百六十八、全部で三百からに上る関係の金融機関があるわけですが、大蔵というよりも閣議で決定しました三兆五千億、一兆七千億等々の、いわば債権放棄の枠組みをつくられたわけでありますが、その枠組みについて、各行とも具体的にもう協議が終わり、政府の言うとおりに応じますよという形になったでしょうか。
  125. 西村吉正

    ○西村政府委員 今般の処理スキームにつきまして、現時点で基本的な了解は得られているわけでございます。  各金融機関の対応は、最終的には各住専の処理の計画を策定する過程で、各金融機関において決定されるものでございます。現在、母体行を中心に引き続き協議が進められているものと承知をいたしております。
  126. 上田清司

    上田(清)委員 母体行はまだ協議が続いている。一般行は終わったんでしょうか。
  127. 西村吉正

    ○西村政府委員 一般行も含めまして、母体行を中心に引き続き協議が進められていると申し上げたわけでございます。
  128. 上田清司

    上田(清)委員 この十二月の末につくられました、閣議で決定したスキームを中心に、この間ずっと論議をしてきたわけですが、これは三月末までにということを前提に論議をしてきたわけですが、大蔵大臣、ずっと協議で、果たしてこの法案は成り立つんでしょうか。
  129. 西村吉正

    ○西村政府委員 関係者の間で基本的な合意は得られているわけでございまして、そのような合意に沿って今具体化をされているということで、関係者の間においてこの問題についての意見のそごはないというふうに理解をいたしております。
  130. 上田清司

    上田(清)委員 実は、二月十五日の毎日新聞の報道の中で、住専一次損失母体行放棄額について、政府で言うところの三兆五千億に至らない数字の額が報道されております。三兆四千二百五十億、約七百五十億近く、実際債権放棄したらその程度であって三兆五千億に至らない、そういう報道等 が出ておりますが、この点について御確認をさせていただきたいのですが、これは事実なんでしょうか、それとも全くのデマ報道なんでしょうか。
  131. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘の新聞報道、私も拝見いたしました。  個々の内容について当方としてその確認をしておるわけではございませんが、あえて申し上げれば、毎日新聞の記事によりますと、住総向けの母体債権放棄額は八千百五十億とされておりますが、私どもが把握しております額は約八千九百億円でございまして、基本的にはこの差が、閣議決定の約三兆五千億円と新聞記事の債権放棄合計額と称します三兆四千二百五十億円の違いになっていると思われます。  なお、住総の母体行である信託銀行も、先ほど私が申し上げました債権放棄額について了解をしていると伺っております。
  132. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、信託銀行関係に確認をされたということですか、伺っておるというんじゃなくて間違いのないという数字ですか。
  133. 西村吉正

    ○西村政府委員 住総の母体行でございます信託銀行の方々の御意見をお伺いをいたしましたところ、当初予定されている債権放棄額について了解をしているということでございました。
  134. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、ずっと協議、それから確認済みということですが、一体いつになったら、債権放棄額のそれぞれの各行の分担等々が最終的に下限としていつまでにできるという部分をどんなふうに見込んでおられるのか。
  135. 西村吉正

    ○西村政府委員 最終的には債権を譲渡するときに確定するものでございまして、それに先立ち、関係者が詳細な合意をいたしまして債権の譲渡を行うわけでございます。そのためには、法律及び予算というもので御確定をいただきまして、関係者がきちんとした手続をとるということが必要かと考えているところでございます。
  136. 上田清司

    上田(清)委員 法案の確定が先なんでしょうか、それとも各行の債権の負担の割合等々の協議が先なんですか、どちらですか。
  137. 西村吉正

    ○西村政府委員 もとより関係者の間の協議をできるだけ詳細に一日も早く詰めるということが望ましいわけでございますが、最終的には法律が成立をいたさないと、その関係者の合意を完全な形で実現をすることができないということでございます。
  138. 上田清司

    上田(清)委員 例えば、法律で確定した後にどこかの、まあ例えば日住金なんかの報道がなされているところですが、営業譲渡が株主総会で否定されるというようなことが起きた場合、これは、どちらかといえばそういうのをきちっとやってしまってから法案確定に行った方がよりスムーズじゃないかなというようなことも考えられるのです。  特に日住金なんかの話が現在話題になっているわけですが、これも行方がまだわからないというふうに私は思っているのです。そうすると、政府案の根拠というのでしょうか、スキームそのものが壊れてしまうのじゃないかというふうに私は思うのですが、この点については大蔵大臣、いかがでございますか。
  139. 久保亘

    ○久保国務大臣 今銀行局長が申しましたように、可能な準備は協議を含めて進めるべきだと考えておりますが、最終的には、法律が確定いたしませんとできないことであると思っております。  そういう意味では、私どもといたしましては、この問題が困難の度合いが大きくならないように、できるだけ速やかに予算並びに法律を御審議の上、成立させていただくことを心から願っているのであります。
  140. 上田清司

    上田(清)委員 日住金の株主総会、営業譲渡の部分について不成立ということに関して、仮定の話という形でお話がなかなかできないですか。
  141. 久保亘

    ○久保国務大臣 株主総会がどのような展開になるかというようなことについて私が申し上げることはできないことだと思っております。
  142. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、せっかく官房長官にお越しいただき、時間をいただきましたので、若干官房長官中心にいわゆる住専の今回の処理スキームに当たって、政治家の責任、あるいは行政の責任、母体行の責任、住専の責任、あるいはまた借り手の責任という形で、今後さまざまな形で責任が問われてくるわけでありますが、翻ってみれば、九一年の十一月に住総の立入検査がございました。あるいは、その時期に関連して各七社の立入検査等があり、翌年にはほとんどの調査報告が出ておりまして、中には厳秘というマル秘を通り越した形の中で、こんな破綻状態にあるのではもうつぶした方がいいというような意見もあったわけですが、第一次再建策が練られ、そのまた後に第二次再建策が練られていたわけです。翻ってみれば、そのときに処理をしていれば、後知恵にもなるかもしれませんが、こんなことはなかった、あるいは責任の追及も非常にしやすかった。もしそのときに処理ができていればという思いが、我々にもあると思いますし、あるいはまた政府にもあると思います。  ただ、残念ながら時効の壁というのもありますので、当時の関係者について久保大臣は地の果てまでというようなお話もありますが、なかなか困難な部分があるいは予想されるというふうに私は思っておりまして、そういう点では当時の、代表的にたまたま名前を出して恐縮ですが、日銀の松下総裁にしても、さくら銀行の頭取をなされ、会長をなされて、その前は三井あるいは太陽神戸の取締役、この時期がちょうどいわばバブルの最盛期でありまして、いつもその中で最高責任者としてかかわっておられた。なおかつ、さくら銀行は日住金と住宅ローンサービスの母体行でもあった。しかし、今日果たしてこの松下日銀総裁を、当時の部分に関してあなたにも責任がありますよという形で本当に追及できるだろうか、こう思うと、なかなかこれは難しいかなというふうに、私は素人ですが、思っております。  しかし、そういうもので国民感情として本当に許されるのだろうかという素朴な、私は政治家の一人として思っておりますが、そういう素朴な思いを、これは感想で結構でございますが、久保大蔵大臣、そしてまた私どもの政治家の一つの最高峰におられますところの梶山官房長官にも御感想をぜひ述べていただければありがたいと思っておりますが、よろしくお願いしたいと思います。
  143. 梶山静六

    梶山国務大臣 本来久保大蔵大臣が答えるべき分野でございますが、御指名でございますから、前座的な役割で所感を述べたいと思っております。  前々から大蔵大臣も、そして総理も、また私も、民事上、刑事上の責任が明らかになったものについては徹底的にこれを追及する、これを申し上げておりますが、今の日本の風土やあるいは法体制、そういうものから、果たしてこれが完全にできるかどうかということは大変私も疑問も持っております。  しかし私は、やはり金融の政策責任者、あるいは金融全般のいわば指導者的立場にあった方々、これが、いわゆる金融道徳というかモラルというか、そういうものとか社会的な責任、こういうものをみずから感ずることによってのみ、この問題の本質的な解決がなされるであろう。そして、それは我々が強制できるものではありませんけれども、これから新しい金融システムをつくり上げていくためには、どうしてもその関門をくぐっていかなければならない。また、そういうものに適格な者が、今後の金融の指導者あるいは政策の担当者になるべきであろうと考えております。
  144. 久保亘

    ○久保国務大臣 今官房長官もお答えを申し上げましたけれども、この住専問題に象徴されます不良債権の処理は、この問題を解決して内外の信頼を回復するということと同時に、新しい時代における金融システムのあり方を追求し、また金融行政そのものに関しても、今日までの諸問題を含めて徹底した論議を行い、改革を進めることが求められていると考えております。  これらの責任を果たすということと、かかわったことに対する責任をみずから果たすもの、法的に問われるもの、これらの問題は、この住専問題の処理に当たっては明確にされなければならない ものと考えております。
  145. 上田清司

    上田(清)委員 大変貴重な御意見を承りました。  そこで、政治家あるいはさまざまなリーダーにはそれなりにモラルと責任感が要求される、また、そういった意味での社会的責任を感じなければならないという、大変高度な政治モラルを御教示いただきました。  それに関連して、私も若干、衆議院要覧の中の行為規範だとか、あるいは政治倫理規程だとかを少し勉強させていただいたわけでありますが、その中で、大臣は営利企業の兼職はいけないという、また、報酬はもらってはいけないということを、まず最初の閣議で何らかの形で御指示があるというふうに私は承っておりますが、官房長官、恐縮ですが、最初の閣議でそういう御指示があるのかどうか教えていただきたいと思います。
  146. 梶山静六

    梶山国務大臣 前回、多分山田委員の質問にお答えをいたしまして、この橋本内閣誕生の一月十一日の初閣議で、営利企業については報酬を得ると否とにかかわらず兼職を認めない、公益法人その他これに類する団体の名誉職等の地位については、報酬を得ない限り兼職は差し支えないという申し合わせをいたしております。  なお、その際私は、この橋本内閣においてのみ知っておりますけれども、前の内閣については知らない、こう申し上げたのですが、調べてみましたところ、これは昭和三十二年、第一次岸内閣以来、それぞれの初閣議において同様の申し合わせがなされておるわけであります。
  147. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  そこで、もちろん一般論でありますが、そういう大臣がいたら、それは先ほどの論からすると、やはり何らかの形で社会的責任あるいは政治的責任、道義的責任というものが問われるのではなかろうかなというふうに私は思いますが、官房長官、いかがでございますか。
  148. 梶山静六

    梶山国務大臣 その様態にもよりましょうけれども、全く形式的なミス、こういうものもあろうかと思いますし、また、深くかかわったというようなことは私は考えるべきことではないと思いますが、相当なことも無意識のうちに行われたという、そういうことがない場合はないと思います。そういうことになれば、当然あれば是正を願いますし、また注意もされるでありましょうし、また、その内容についてそれぞれの閣僚みずからが処すべき問題である、このように考えております。
  149. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  それでは法制局に承りたいのですが、政治倫理の——官房長官、ありがとうございました。政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律第四条に、関連会社等報告の提出という形で条文がつくられておりますが、これには、高度なというか、当然しかるべき国会議員がそういうことはあり得ないということを前提に、罰則規定がございません。この四条について私はそんなふうに理解しておるのですが、なぜ罰則規定もなく四条があるのか、法制局の御見解というのでしょうか、御教示を……。
  150. 早川正徳

    ○早川法制局参事 お答え申し上げます。  政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律、いわゆる資産公開法でございますが、その第四条の規定に違反した報告が行われた場合には、同法に罰則の定めがないのは御指摘のとおりでございますが、衆議院政治倫理審査会規程第一条におきましては、「政治倫理審査会は、」「議長が定める法令の規定に著しく違反し、政治的道義的に責任があると認められるかどうかについて、これを審査する」と規定されております。そして、この議長が定める法令には資産公開法が含まれております。  したがいまして、資産公開法第四条の規定に違反して報告が行われました場合には、虚偽の報告が行われました場合には、政治倫理審査会の審査の対象となるわけでございます。
  151. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございました。  私どもが知るところでは、罰則規定はないものの、それなりに担保になる条文等が用意されるということがよくわかったわけでありますが、そこで、もう官房長官はおられませんが、政府・与党の首脳連絡会議のメンバーの中に当然各党の代表者の方々がおいでであります。その与党の幹部の方々は当然、昨年の閣議の、住専のスキームをつくった閣議の中でも、事前に論議をされて了解されたと思いますし、あるいはつい先般の、必ずしも評判がよくなかったわけでありますが、追加措置についても各党の首脳の方々が了解されて、政府はそれを尊重するという。そういう意味では、閣僚ではないかもしれませんが政府・与党のそれぞれの代表者の方々に、相当この住専のスキームについてのそれなりの見識と見解と責任が私は生じるものだというふうに思っているわけであります。  その中のメンバーのお一人でありますところの社民党の佐藤観樹氏が、既に新聞報道で、住専絡みの七十四億からの不良債権を抱えています東海電工から五千七十五万献金をいただいていたという、そういう報道もあって、それはちょっとそこに置きまして、それはそれで怪しい部分もあるのですが、とりあえず私が気になっているところは、一九七三年から監査役を約二十五年続けておられます。この監査役という立場、これはもう中小零細企業において、事実上何も見ずに判を押すというような形があることも私どももよくわかっているところではあります。しかし、公的な立場の方が監査役に立って何も見ずに判を押すというわけにはなかなかいかないだろうというふうに思いますし、いわんや自治大臣当時に、先ほど官房長官が申されましたように、形式上のミスというよりはむしろ、私は確信犯とは申し上げませんが、重大な手落ちの中で報酬をいただいておった。しかも慌てて、これが話題になってからお返しになろうとしていて、押し問答をしながらやっとお返しになったという。  そういうことを見ますと、私は、久保大蔵大臣のいわば後任でありますところの社民党の幹事長でありますけれども、これはやはり何らかの形で道義的責任というかそういうものが生じているのではないかということを、久保大蔵大臣の御見解あるいは御感想ということでも承れればありがたいというふうに思っております。
  152. 久保亘

    ○久保国務大臣 私は詳しい事情を存じておりません。そして、これらの申し合わせに基づきますものは、政治家のそれぞれの良心と責任において判断されるものと考えております。
  153. 上田清司

    上田(清)委員 実はこれが重大だなというふうに思ったのは、先ほど官房長官も言われました形式上のミスということもあり得るだろう。例えば、監査役になった、ずっとなっていた、そこで自治大臣になったのでやめさせてくださいというようなお話があっても、中小企業の社長の忙しさの中でそれを忘れてしまって、結果的にはもらっていた、そういうこともあり得るというふうに私は思っています。しかし、先ほど申しました資産等の関連会社の報告書の中で、わざわざ最近、平成八年の三月二十七日に、東海電工の監査役を二十五年やっていて、顧問と記載されていて、慌てて監査役と書き直しに行っておられます。  なぜ、そんなふうにされたかということを御本人に聞くわけにはいきませんが、これは、やはり事実を書いておかないと大変なことになるというふうな形でなされたのではないかなと私は推測いたしますが、どうもこの監査役という意味についても、あるいはまたこの関連会社等報告書、個人の資産公開と関連する部分についてもきちんとした認識があった上でこういうことをなさっていたとすると、これは事は重大だなというふうに私は受けとめておりまして、何らかの形で道義的な責任というものが問われるはずだというふうに私は思います。  久保大臣、なかなか仲間内のところで恐縮だと思いますが、先ほどの明快な指導者論あるいは責任論ということを承りたいと思います。
  154. 久保亘

    ○久保国務大臣 私、現在社会民主党の副党首を務めておりますが、今政務にすべての時間をとられておりまして、党務の方にはほとんど参加する 機会がございません。  しかし、今我が党の幹事長であります佐藤さんの問題について御指摘がございました。御指摘がございましたことを本人に伝えて、そして事情等について御説明があれば伺ってみたいと考えております。
  155. 上田清司

    上田(清)委員 実は、もう一つ申し上げたかったことがあったのですが、自治大臣当時に報酬を受けていたかいなかったかという朝日新聞からのインタビューがあったときに、報酬は受けていないといううそをついておられるのです。その当時きちっと受けておられるのです、自動振り込みで。私どもも、東海電工のオーナーであり前社長の松尾さんに承りました。そして、そのうそを隠すべく、そういう形でまた資産公開の関連会社等の報告の記載の部分を三月二十七日に慌てて書き直されるというようなこともなされておりまして、大変残念だなという、私どももそのときは連立与党で御一緒でございましたので、当然私は形式上のミスにつながる部分だってあったと思います。ただ、やはりうそをつくというのは極めて重大だ、そういうことをぜひ強く申し上げておきたい。  それどころか、そういう与党の幹事長が御了解されるような政府の住専処理スキーム案というものが、あるいは追加措置案というものがどれほど国民に信頼を、信用を与えることができるだろうか。そういうこともやはり重大に考えるべきではないかということを私は強く申し上げたいというふうに思います。(発言する者あり)立場です。  それでは、少し住専の問題にまた戻りまして……(発言する者あり)
  156. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  157. 上田清司

    上田(清)委員 大蔵大臣、預金保険機構の住専勘定に置く金融安定化拠出基金に対する一兆円の拠出、この部分について、私どもが知るところでは、各行のあるいは系統の割り当て部分についてのものがいまだ出てきておらないのですが、この割り当て部分についての基準も以前のいわば母体行あるいは一般行の基準づくりについても、ダブルスタンダードという平田議員からの指摘もありましたが、まさしく一つ一つの基準を明確にしないと、またまたどういう形で負担をしていくのかという部分も改めて国民が不信を抱くことになりますので、ぜひこの点についてどこまでできているのか承りたいというふうに思いますし、ぜひ御説明を伺いたいと思います。
  158. 久保亘

    ○久保国務大臣 ただいま御質問のありました問題については、正確な経過を政府委員の方から申し上げることにいたしますが、一つだけ、もし誤解がございましたら……  この住専問題処理のスキームを政府・与党で決定をいたしますときの与党側の責任者は佐藤さんではありませんで、十二月十九日の決定段階は私が党を代表いたしておりましたので、その点は御理解をいただいておきたいと思います。
  159. 西村吉正

    ○西村政府委員 一兆円の基金は母体行とか一般行の分担というような考え方ではございませんで、金融システム全体の安定のために金融関係者がどのように協力するか、こういう考え方のもとに成り立っているわけでございます。  そして、その点に関しましては、金融界の方々の御賛同を得て一兆円の基金の拠出について今協議が続けられているところでございます。具体的に個々の割り振りというところまで私ども今の段階で承知はいたしておりませんが、基本的な賛同のもとに協議が続けられている、こういうことでございます。
  160. 上田清司

    上田(清)委員 西村局長、今どのような形で負担をしていくのか知らないというようなことを言われましたが、このスキームをつくったのは民間の母体行やあるいは一般行、系統の皆さんじゃないのですよ。それなりにそれぞれが協力しましょうということは言っても、それは言葉に終わってしまいますから、どんな基準で協力していけばいいのかということを明快にしていかなければ協力のしようがないのじゃないですか。知らないで済まされないと思いますよ。いかがですか。
  161. 西村吉正

    ○西村政府委員 確かに、金融安定化拠出基金という制度を設けまして、これを法律にも明記するとともに、金融界に対しまして御賛同をお願いいたしましたのは私どもでございます。そのお願いに対しまして、金融界の方からもその要請にこたえるということで、基本的な御了解は得られているわけでございます。しかしながら、それを個々具体的にそれぞれの金融機関がどのように割り振りをされるかということにつきましては、当事者にゆだねられていることであり、私どもが割り当てをするということは必ずしも適切ではないと考えております。
  162. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、西村局長、全く自主的に各界で協議して、あるいは何らかの形で民間人の基準を設けて、そしてこの一兆円拠出のために協力されるということなんですか。本当にそうなんですか。
  163. 西村吉正

    ○西村政府委員 そういう趣旨のものでございます。
  164. 上田清司

    上田(清)委員 趣旨じゃないのです。答えが違います。趣旨と言っているのじゃないのです。  要するに、本当に民間人が、大蔵省が出したところのこの金融安定化拠出基金、このスキームに賛同して、それぞれの民間の金融機関が自分たちで自主的に決めて拠出するというふうになるのですか。
  165. 西村吉正

    ○西村政府委員 私が趣旨と申し上げたのは、そういう制度の趣旨であって、そういう趣旨に沿って関係者がそれぞれの持ち分について協議をしているということを申し上げたわけでございます。
  166. 上田清司

    上田(清)委員 なかなかすれ違いになりますが、一つも大蔵省の方で何らかの形での基準は設けておらない、指針も出していない、ガイドラインも出していない、こういう判断でよろしいのですね。
  167. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもがそういう指針を出して割り当てをするという、そういう性格のものではないと申し上げているわけでございます。
  168. 上田清司

    上田(清)委員 ガイドラインすらも出さなかったというふうに理解してよろしいのでしょうかという質問ですよ。
  169. 西村吉正

    ○西村政府委員 ガイドラインというのが何を指しておられるのかわかりませんが、私ども、そういう拠出の配分についてガイドラインというものを出したことはございません。
  170. 上田清司

    上田(清)委員 それでは、同様に、住専処理機構に対するそれぞれ系統、一般行、母体行の低利融資の負担の実際額、あるいはまた各行別の負担割合についても同じような趣旨なんですか。それとも、こちらはまた別でしょうか。
  171. 西村吉正

    ○西村政府委員 負担、例えば母体行の三兆五千億というものの割り振りというのは、これは母体行が貸しているものの全額放棄でございますから、あえて割り振りをしなくてもおのずから決まってくるという性格のものかと存じますし、一般行につきましても算定のルールに従って定まってまいるものと理解をいたしております。
  172. 上田清司

    上田(清)委員 完全に聞き違いされたみたいで、いわば住専処理機構に対して各行が低利の融資をしていくという形の中で、この件についても何ら政府の今提案されているところのスキームの中では明らかじゃないもので、これもまた先ほどの安定化拠出基金と同じような考え方に立っていらっしゃるのかどうかということを確認したのです。
  173. 西村吉正

    ○西村政府委員 どうも失礼をいたしました。  そのいわゆる低利融資の額につきましても、この低利融資の趣旨が、金融システムの安定のために金融界が協力をする、こういう性格のものでございます。関係者の間でおおむね、母体行、一般行、系統がそれぞれ三分の一程度を分担をしようというような考え方が決まっておりますけれども、その中で個々具体的な、当事者が幾ら分担をするかということは、先ほど申し上げたことと同様の性格のものと理解をしております。
  174. 上田清司

    上田(清)委員 時間が来ました。  私、先ほどの発言の中で差別用語の言葉を使いましたので、このことについて私の不穏当な発言という形で取り消しさせていただきたいと思い ます。  ありがとうございました。
  175. 上原康助

    上原委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。  次に、吉井英勝君。
  176. 吉井英勝

    吉井委員 一昨日、我が党の佐々木陸海議員の方も、この間の議論の整理というものを少しいたしましたが、私、昨年十月号の「リージョナルバンキング」における西村銀行局長の講演も読ませていただきました。それから、一昨日の佐々木議員の質問に対する答弁など少し整理してみると、直系ノンバンクについては完全母体行主義で処理をする、独立系ノンバンクは貸し手責任で処理、中間領域に住専は当たる、それは大体中間的な物の考え方になる、大体こういうふうなお考えというふうに理解しました。果たして住専というのが中間なのか、あるいは直系というべきものではないのか、その辺のところをきょうは考えていきたいと思うわけであります。  最初に私は公取の方からお伺いしたいのですが、住専と母体行の人的関係について聞きたいと思うのです。  独禁法十三条の三項は、「役員の地位を兼ねることとなった日から三十日以内に、」「公正取引委員会に届け出なければならない。」とあるわけですが、母体行と住専の役員を兼任する者について、ことし二月までに役員兼任届は、全くこれは出ていなかったんじゃないですか。
  177. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の、住専各社に母体行から役員が兼任で派遣をされている事例があるわけでございますけれども、御指摘のように、私どももその点に気がつきましたのが、実は御指摘を受けてつい最近でございますので、私の記憶でも、二月までの段階では届け出がなされていなかったことは事実でございます。
  178. 吉井英勝

    吉井委員 それでは、母体行から住専七社へ行っている常勤、非常勤役員は何名なのか、そのうち独禁法第十三条の三項により届け出を要する兼任役員は何名なのか、次にこの点を伺っておきたいと思うのです。
  179. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまお尋ねの、母体行から派遣をされておりますいわゆる兼任役員の総数は、私どもが把握しておりますところでは四十四名でございまして、住専の役員総数は百十四名、そのうち四十四名がそれぞれの母体行からの兼任役員の総数でございます。
  180. 吉井英勝

    吉井委員 それで、今の数字というのは、実はことし三月に初めて現在の役員について調べたものであって、これが住専設立以来となりますと、およそ二十五年ほど、早いものからすればなりますが、設立以来の兼任役員の数は数百名に上るんじゃないかと思われますが、公正取引委員会として調査されましたか。
  181. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 先ほど私がお答え申し上げましたのはいわば現在の時点で把握した数字でございますから、お尋ねのように、住専各社、設立の時期は違いますけれども、これまでにそのような兼任役員が総数で何名であったかということは、申しわけございませんが、私どもでは把握をしておりません。
  182. 吉井英勝

    吉井委員 恐らく数百名のオーダーになるんじゃないかと思われるぐらいの人が届け出をしていなかった。  この十三条の三項の届け出違反については、九十一条の二で、届け出をしない者に対して、企業に対して二百万円以下の罰金に処するとなっているわけです。つまり、これは刑事犯罪にもなる問題です。企業間の結合なり支配関係が自由競争や公正な取引を阻害することがないように、人の面からチェックするために設けられた規定であるわけですが、母体行が設立以来二十五年間にわたって法律を無視してきた、私はこれは大変けしからぬ話だと思うのです。  それで、ことしの一月に大蔵省から出してもらっている資料ですね、「住専等関係資料」。これの住専のところを私、ですから、そういうこともあってつぶさに見たわけでありますが、百五十九ページから百八十四ページまで見て、公正取引委員会の提出による母体行の兼任役員の方がようわからぬわけです。母体行出身の兼任役員の名前はこの中に載っているのか載っていないのか、これは大蔵省の方から伺いたいと思います。
  183. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもが御提出いたしました「住専等関係資料」の百五十九ページをごらんいただきますと、母体行の出身の非常勤役員を含む役員数が合計で四百七十三名と記されておりますけれども、ちょっと今私、確認をするだけの準備がございませんけれども、「非常勤を含む」ということは、含まれているのじゃないかと思うのでございますが、ちょっと留保させていただきたいと存じます。
  184. 吉井英勝

    吉井委員 実は私は、これにつきましては、公正取引委員会から「住専七社の兼任役員一覧表」というのをいただいて突き合わせてみたのです。  そうすると、住宅ローンサービスでは、この大蔵省が提出された資料の中で名前の載っている母体行の兼任役員というのは四人しかいないのですね。大蔵省資料に載っていない方が九人いる。住総については、名簿に載っていない方が一人。それから総合住金については、十三人の兼任役員の方がすべてこの大蔵省資料に載っていないのです。第一住宅金融については、名簿に載っていない兼任役員が一人。地銀生保住宅ローンについては、この大蔵省資料に載っている方が二人だけ、名簿に載っていないのが九人。それから日本住宅金融については、大蔵省の名簿に載っている人が一人おります。それから日本ハウジングローンについては、四人の方が名簿に載っている。  結局、公正取引委員会の方からは四十四名の方が、今もお答えいただきましたように、兼任役員として届け出がおくればせながら出てきたにしても、兼任役員なんですよ。  ところが、大蔵省のこの資料を見ておったら、四十四名中十一名のみ載っていて、兼任役員の四分の三、三十三名が全く私は見つけることができなかったのですが、例えば、今、直近の例でいいますと、百八十四ページということになりますが、載っているのなら載っているところを私は目を皿にして探したいと思うのですが、載っていますか。
  185. 西村吉正

    ○西村政府委員 百八十四ページを拝見をいたしますと、七年の六月末現在の役員がここに記載されているわけでございますが、どういう考え方によってこの記載がなされたかということを、私、今御説明をするだけの準備がございませんけれども、当然、過去にわたりまして一定の基準のもとにこのような資料を提出させていただいたところでございますので、どのような基準で先ほど申し上げましたように合計四百七十三名に上ります人数を取り上げたかということにつきましては、調べました上、御報告をさせていただきます。
  186. 吉井英勝

    吉井委員 私たち国会の側は、大蔵省の方がよく精査もされて出してこられた、全部載っていると今まで思っていたわけです。しかし、それが載っていないのですね。なぜこれを私が大事に思っているかといいますと、これはまさに母体行責任というものを議論している国会なんですから、母体行責任についての解明をしようと思ったら、そういう資料をきちっと載せたものを出してもらわないと判断できないわけです。  それで、今おっしゃった、基準があって何か載せた、載せないがあるんだそうですが、どういう基準ですか。
  187. 西村吉正

    ○西村政府委員 突然のお尋ねであったので、失礼をいたしました。  この百五十九ページの表で、今申しました母体行出身の非常勤を含む役員の数四百七十三名、これは非常勤役員を含みまして、ただし監査役は除く、こういう数字でございます。  なお、百六十ページ以降に記載をされておりますのは、具体的な氏名を載せておりますのは、常勤役員を記載している、こういうことでございます。
  188. 吉井英勝

    吉井委員 私は、この名簿の方でちゃんと載っていないのが変だと思っているのです。常勤役員のみで非常勤の役員だから落としたというのは、 この基準がおかしいと思っているのです。  大体、そんなばかなことはないのですよ。常勤、非常勤を含めて、取締役会のメンバーというのは住専の最高の経営上の意思決定機関の人でしょう。だからこそ独禁法十三条の三項で届け出を義務づけているわけでしょう。それを消してしまうということはおかしいと思うのですよ。だから、私は、国会の方はまともにちゃんと出てきたと信じておったら、何だ、勝手な基準で消されておったじゃないかということで、本当に、驚くというよりも、私は怒りを禁じ得ないという思いであります。  住宅ローンサービスについて少し見てみると、なるほど載っている方が四人いるんですね。どういう方が載っているのか。一人、湊靖隆さんという方は、住宅ローンサービスでは常務取締役になっているのですが、富士銀行の従業員ですね。高橋さんという方も三菱銀行の従業員。秋田さんという方もあさひ銀行の従業員。吾郷さんという住友銀行の従業員。つまり、名簿に載っている人は全部母体行ではただの従業員なんですね。  こちらに名前の載っていない人というのは、非常勤だからというお話ですが、実は母体行ではどういう役割をしていらっしゃるか。この大蔵省資料で記載されていない方の、大蔵省が隠している方の役員というのは、これは母体行の常務や専務なんですよ。従業員よりはるかに地位の上の人、つまり決定権がはるかに高い人なんです。  住専の役員よりも母体行の常務や専務の方が支配力が強いというのは当然ですよ。国会に提出する資料から、わざわざ、何の説明書きもつけ加えずに母体行の兼任役員の名前を隠したというのは、私は、これは、母体行出身役員が住専に及ぼす支配力、つまり母体行の直接的な支配性を隠すためにこれを消したんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  189. 西村吉正

    ○西村政府委員 隠したということではないと思います。常勤役員と非常勤役員ではおのずからその果たす役割が違うであろうという考え方のもとに、この固有名詞を記載したものについては常勤役員を記載をしてお届けをした、このようなことかと存じます。  御指摘のように、そのほかに、各銀行あるいは母体の機関の役員をしている人で非常勤の取締役がほかにもおられますけれども、恐らく、その仕事の態様から申し上げまして、常勤の役員と非常勤の役員では役割が相当に違うのではないかと考えております。
  190. 吉井英勝

    吉井委員 役割が大きいからこそ、載せてもらわなければいけないのですよ。そういうのは、実は有価証券報告書などにちゃんと全部出ている名前ですから、わざわざ大蔵省が隠さなければいけない名前じゃないのですよ。なぜ隠したかということがだからこそ問題になってくるのですよ。  それで、今非常勤の話もされました。大体、ある意味では当たり前なんですよ、非常勤扱いというのは。なぜならば、それは銀行法七条で定めているわけでしょう。銀行法七条の定めからしても、本来の趣旨からすれば、私は、これはいわば脱法行為に当たるというぐらいに言われて仕方がない話だと思っているのですよ、非常勤の役員になること自体が。  七一年の住専の設立以来二十五年間も、独禁法違反、刑事犯罪を構成する問題について、大蔵省がそれを、そのこと自体を問題にもせず、国会提出資料で隠すという国会を侮辱するようなやり方をとってきたのは、私は、これは、親会社、子会社の関係をうやむやにするといいますか、もっとはっきり言えば、親会社の責任をうやむやにしてしまうために隠したと言われても仕方がない話だというふうに思うのです。  そこで、大蔵大臣に聞きたいのですけれども、一体こんなふうなことはいいんですか。
  191. 久保亘

    ○久保国務大臣 どのような理由で記載しなかったものか、事情を速やかに調べたいと思っております。そして、当然に記載すべきものであれば、改めて資料を修正いたします。
  192. 吉井英勝

    吉井委員 私は、この問題は、やはり、母体行の非常に強力な支配力が及んでいる住専で、しかも、その最も強い影響力、支配権を行使するからこそ、独禁法上も役員の兼務についての届け出をしなければならぬと決めているのに、わざわざその部分をこの提出資料から隠したということは、今調べますぐらいで済むような話じゃない、それぐらい重大な話だということを私は申し上げておきたいと思います。(久保国務大臣「提出すると言っている」と呼ぶ)  それで、今少し不規則発言的におっしゃったので、もう一度確認しておきたいと思いますが、これは設立以来の役員の名簿を、これを隠さないですべて明記した資料として提出していただけますね。
  193. 久保亘

    ○久保国務大臣 事情を調査の上、提出すべきものであれば当然に修正の上提出するということを先ほど申し上げたのでありまして、事情を調べるだけだというようなことは申しておりません。
  194. 吉井英勝

    吉井委員 そういう、そんなことを申していませんぐらいの話で済む問題じゃないという事の重大性を大臣によく認識していただきたい、私はその趣旨で質問をしているわけです。それで、今、要するに提出するということですから、よく調べてこれは国会にきちんと提出をしてもらいたいと思います。  この住専の方は、延べで全役員五百三十二名中、母体行の役員というのは四百七十三名、八八・八%、約九割が母体行が占めているわけですね。母体行が住専を実質的に人的に支配していたということは明白だと思うのです。  住専と母体行の関係について、かつて寺村元局長は、九三年五月十九日の講演の中でも、既にこの委員会でも紹介されておりますが、「住専はもともと個人住宅ローンを行った会社だが、銀行本体が個人住宅ローンに手を広げ、住専の分野が銀行に押されていった」というふうに述べているように、一定の取引分野で競争関係にあったわけですが、母体行の強力な事業支配力によって取引分野を脅かされていきました。それからまた、紹介融資のように、母体行の強力な力でほとんど住専側での審査抜きに貸し付けて、その九割を超えるものが不良債権になっていったというものもあることは、繰り返し指摘されてきました。  これらの事実をきちっと見れば、人的支配、株式支配、資金的支配を通じて住専に対する母体行の支配が、優越的地位の乱用という言葉まで使えるかどうかはともかくとして、優越的地位を使った公正な取引を阻害したり自由競争を阻害する、この点では、独禁法に触れる脱法的なやり方がやられたとも見られる問題があると私は思うのです。  そこで、公取委員長に、三月十二日の参議院の商工委員会でも答弁しておられますが、母体行が住専に対して大変強い支配関係にあると考えているという答弁でありましたが、公取の方としてそういうふうな見解で見ていらっしゃるのかどうか、この点だけは確認をしておきたいと思います。
  195. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 御案内のように、独占禁止法は、競争関係にある企業間の株式保有による結合あるいは企業支配のための手段であります役員の兼任関係、それ自体を禁止しているわけではございません。そのような企業間の結合や支配関係が競争の実質的制限につながると判断をされる場合に、その場合の株式保有や役員兼任が問題である、禁止の対象になる、こういうことでございます。  そこで、競争の実質的制限につながるか否か、これを判断するに当たりましては、第一に、今御指摘がございました役員の兼任あるいは株式保有、これを通じましてそれぞれの事業者間に結合関係があると見られるかどうか、第二に、その点が一定の取引分野における競争の実質的制限に当たるかどうか、これを判断をする、こういうことになるわけであります。  ただいま具体的に御指摘のございました母体行それぞれと住専との兼任の役員数、先ほど私は、現在把握しております兼任役員数の総数で申し上げました。総数では確かにかなりの割合になっているわけでありますが、問題は、それぞれの母体 行とそれから個々の住専との兼任役員、これをどういうふうに見るか。母体行というのは、御存じのとおり一つの住専につきまして複数あるわけでありますから、母体行一々につきましては、それはそれほど多くないわけであります。  それから、株式所有比率、これを見ますと、これも御案内のように、独禁法では、金融会社につきましては他の会社の株式をその発行済み総数の五%を超えて、保険会社は一〇%でありますけれども、所有することを禁止しておりますから、この点はその限りにおいては守られておりますので、その株式所有比率はそれほど大きくございません。したがいまして、母体行それぞれと住専との間の結合関係は必ずしもそれ自体直ちに強いとは見られないわけであります。  それから、企業向けの不動産融資あるいは個人向け住宅融資を行っている事業者はほかにも数多く存在をするという実態がございます。  したがいまして、母体行、住専、いずれのシェアもその限りでは高いという状況ではありませんので、ただいまのお尋ねでありますけれども本件の役員の兼任あるいは株式保有、これによって直ちに一定の取引分野の競争が実質的に制限されるとは考えにくいと判断をしております。
  196. 吉井英勝

    吉井委員 参議院での答弁から後退してもらってはいかぬので、私は、個々の具体の事例についての議論は、参議院でおっしゃっておられるように、具体的状況をつまびらかにしていないので直ちに判断できるわけじゃない。私も、これはこういうこともあるということを言ったけれども、そのことについて答弁を求めているのじゃないのです。  一言私がお聞きしたというのは、参議院であなたが答弁されたように、この母体行と住専の関係で、いわば母体行から見れば大変強い支配関係にある、そういう関係にあるものという立場考えているということなのですよ。あとのことは、今後深めなければいけない、検討しなければいけない問題ですが、その答弁を求めているのじゃないのです。極めて強い支配関係にあるという点だけは、これは参議院で答弁されたとおりで間違いないですね。そこだけ確認しておきます。
  197. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいま私が御答弁申し上げましたのは、母体行それぞれと住専との関係が、役員派遣あるいは株式保有を通じて強い結合関係にあるかどうか、こういう点を一般的に申し上げたわけでありますが、せんだっての今御指摘のありました答弁につきましては、これは、例えば母体行と住専の関係が独禁法上の不公正な取引方法に当たる場合があり得るかどうか、こういう御質問に関連して申し上げたと記憶をしております。その場合には、恐らく主として優越的地位の乱用、こういう問題があり得るであろうということを申し上げたと思います。  その点につきましては、私どもは優越的地位の乱用というものが一般的に直ちにそのような状況にあるとは必ずしも考えておりませんけれども、しかし、その点については、恐らく個別の事案ごとに具体的事情に応じて判断をする必要があるであろう、こういうことを申し上げたと思いますので、その点は私ども、あくまで一般論でございますけれども、この独禁法上の立場から十分に監視、注目をしていきたい、これは一般的な私どものスタンスでございます。
  198. 吉井英勝

    吉井委員 私はこういう点では、今後、母体行の住専に対する極めて強い支配力というものについてはさらに深めて解明をしていかなければならぬ課題だと思っております。これは公取の方でも、極めて強い事業支配力について今も答弁されたとおりです。  それで、直系ノンバンクの処理については完全母体行主義ということで言ってこられましたが、母体行の持ち株比率は、これは当然五%以下なんですよね。それは今もおっしゃったように独禁法で決まっているのですから、当たり前の話です。銀行一行だけでも融資等を含めた資金力とあわせて直接に極めて大きな事業支配力を持ち、その優越的地位によって自由競争なりあるいは公正な取引を阻害するおそれがあるから、銀行の株式保有には、五%の制限規定を独禁法十一条で設けているわけです。  住専に対する母体行の持ち株比率を見ますと、母体行一行一行は、今もおっしゃったように、これは五%条項がありますから当たり前の話なんです。五%以下です。その母体行が共同して設立して、母体行が共同して、例えば日本ハウジングローンの場合ですと二五%、住総と住宅ローンサービスについて見ればそれぞれ三五%と、極めて大きな比重を占めている。つまり、持ち株比率五%のノンバンクに対する母体行の場合よりも、住専に対するグループとしての母体行の方が事業支配力ははるかに強大だというふうに思うのですが、これは大蔵省の方はそういうふうには見ておられないのですか。
  199. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専七社それぞれ、いろいろな形での母体と住専との結びつきがございます。その態様はまちまちでございます。それは、例えば今母体合計での持ち株比率というものを挙げられましたが、一番その母体合計での持ち株比率が高いのは地銀生保住宅ローンの八一%であり、次いで総合住金の六九%でございまして、ただいま挙げられました日本ハウジングローンよりもはるかに高い母体の比率がございます。  しかしながら、他方におきまして、例えば総合住金の六九%というのは第二地方銀行が、六十以上の数に上る銀行が寄り集まってやっておるわけでございます。その場合に、個々の銀行の支配力が強いかどうかということとこの母体合計での持ち株比率の関係ということは、また別の考え方もあろうかと思います。先ほど挙げられました兼任役員の問題も同様でございまして、例えば総合住金の兼任役員というのは、第二地方銀行協会加盟行の会長等の理事がその名を連ねているというような形でございまして、その辺については個々具体的な事情を御賢察いただきたいと存じます。
  200. 吉井英勝

    吉井委員 直系ノンバンクは完全母体行主義で、それで中間領域に住専はあるというお話だったのですが、住専は直系ノンバンク以上に直系そのものだ。株式比率、役員比率、それを見ても、完全な親会社に当たるわけです。しかも、ノンバンクが旧財閥系グループ支配に対して、住専は業態別につくったグループ支配という点でも同じように強力な支配力を持ってきたということで、直系ノンバンクでさえ母体行主義ですから、住専はそれ以上に母体行主義で、母体行の責任で解決させるべきだと私は思うんですが、大蔵大臣、この点だけ伺って、私、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
  201. 久保亘

    ○久保国務大臣 母体行のみでということにはならないと思いますが、母体行が、今御指摘もございましたように、住専問題にかかわって負うべき責任は極めて大きいと考えております。それにふさわしく責任負担、そういった面でみずから協力の姿勢をとられることを心から私どもは期待しながら、その努力をいたしたいと思っております。
  202. 吉井英勝

    吉井委員 終わります。
  203. 上原康助

    上原委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。  次に、土肥隆一君心
  204. 土肥隆一

    土肥委員 市民リーグ・民改連の土肥でございます。  もう何度も出てまいりまして福祉の話ばかりで恐縮ですが、日本の福祉施設もかなり充実してきたと思うのであります。しかし、税金でやります、いわゆる税金を使っての措置施設というのが、これはもうかなりの数ふえてまいりましたけれども、どうもそのサービスを受ける側、つまり障害者あるいはお年寄りと、施設そのもの、受け入れる側との間にまだいろいろな問題があって、そしていよいよ介護保険なども導入されようというときに、いま一度日本の福祉施設のあり方について、私はどうしても納得いかない部分がありますので、きょうはその点について質問を申し上げたいと思うのであります。  それは、精神薄弱者、知的障害者の施設、そし て親たちの気持ち、それを双方から重ねて質問をさせていただきたいと思うのであります。  今私の手元に、社会福祉法人ミルトス会、これは静岡県にあるんですが、駿東学園というんですが、「親が望む施設とは」こういうアンケートがございまして、静岡県下四百名の親御さんたちに発したアンケートの結果が出ております。親がどんな施設を望んでいるかというのがあるわけです。  やはり同じ法人で、これは、今度は「重度者処遇及び労働時間短縮 知的障害者入所更生施設の現況」という報告がございまして、この二つを重ねて読みますと、一方では、親が望む施設がある、こうあってほしい、こういう施設をつくってほしいという願いがある。しかし、実際に施設を運営している側では、なかなかその親の願いとマッチしないんですね。そこを何とかマッチさせなければ、本当の意味国民に支持される、喜ばれる社会福祉ができないんではないかというふうに考えております。  私がきょう申し上げたいのは、精神薄弱者の最重度の障害者をどうするかということです。最重度の障害者、精神薄弱の障害者というのは、いつも最後に取り残されて、どこの施設にも受け入れられなくて、重度であればあるほど在宅を強いられているんではないかということを私は申し上げたいのであります。  今厚生省では、この重度あるいは最重度という概念ですけれども、施設に入所する、嫌な言葉ですけれども、措置するというときには、この重度者、最重度者という区分はあるんですか、お答えいただきたいと思います。
  205. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 精神薄弱者、いわゆる知的発達障害者の関係でありますけれども、現在の施設におきます取り扱いとしましては、重度あるいは最重度の方につきましては、重度棟というのを一方で整備をしております。それからまた、重度棟が整備されていない施設につきましては、いわゆる一般棟ということになるわけでありますけれども、その中で、重度者につきましては重度加算ということで手厚い加算をしている、このような形で現在処遇を行っております。
  206. 土肥隆一

    土肥委員 実はそこが問題でありまして、最重度、重度という区分はあるんですね。判定の基準としてあるんです。IQを四段階に分けまして、それから生活の能力というものをA、B、C、D、四段階に分けまして、そして、この第一段階とAランクの人は最重度精神薄弱者、こういうふうになっているわけです。  ところが、今の行政施策では最重度と重度をひっくるめて重度障害者、重度精神薄弱者、こういうふうに呼びますところに今日の問題が、つまり、望む側、利用する側とそれを提供する側のマッチングがうまくいっていない、そういうことではないかと思うのであります。  厚生省から資料をいただきますと、今大体在宅で、いいですか、施設に入っている人じゃないんです、在宅で、精神薄弱者が二十八万三千八百人いらっしゃいます。その中で、最重度というのが三万五千二百人、重度が八万八千三百人、あと中度、軽度と、こういうふうになってまいります。この在宅でも、合計しますと、いわゆる厚生省が言う重度障害者といったときには十二万三千五百人、今待っていらっしゃるわけですね。もちろんお子さんもいらっしゃいますから、全部が施設を待っているわけじゃございませんが、そういう最重度、重度というのを一緒にしてしまう。そして重度加算であるとか重度棟だとかおっしゃるところに、どうも問題があるんじゃないかと私は思うのであります。  先ほど紹介しました施設側の入所更生施設の現況報告を見ますと、親たちは一生懸命、自分の子供が何とか施設に入れるように、特に最重度の子供を持っていらっしゃる親御さんたちが、何とか施設に入りたい、このアンケートを見ますと、もう切々たる思いが込められております。しかし、なかなか施設に入れない。最重度の人ほど入れない。そして、これは特養なんかと違いまして、順番待ちというのがないんですね。そのときそのときに、施設があきますと施設にお子さんが入りますけれども、しかし、最重度の人はいつも後ろに置いていかれるわけです。さあ、あなたの番ですよというような順番、つけてないんですね。ですから、最重度のお子さんを持っていらっしゃる方は、在宅で、両親が一生懸命見ていらっしゃるわけでございます。  施設側のこの報告を見ますと、微妙に施設が言っているものとはずれてまいります。  例えば重度者あるいは最重度者をあなたの施設では収容するお気持ちがありますかというアンケートに対して、どちらもできない、最重度も重度もできないと平然と言う施設が二二・二%あるんです。これは、全国でアンケートをいたしまして三百三十三の施設の回収ができたというふうに、だから、かなり精度の高いアンケートでございます。つまり、重度者、最重度者はもう初めから入れられないというのが二二%ある。最重度は無理という施設が二〇・一%あるんです。そして、職員の数が間に合えば入れてもいいですよというのが二八・八%。そうすると、非常に否定的な統計で約七割の施設がいろいろと理由をつけて、今重度あるいは最重度の精神薄弱者を入れていない、こういうことになるわけです。  もうどちらもできないと初めから言われるとどうにもならないのでありますけれども、施設の側からいいますと、職員数があれば可能という約二八%、これは措置費、そしてそこで基準が決められている職員数、だけれども、それでは最重度、重度が見れない、手が足りないということでありますから、そこは何で見るかというと、職員数をふやす以外にない。職員数をふやすためにはお金をつけなければいけないわけです。  今、高木局長は手厚い重度加算をやっているとおっしゃいました。重度加算は幾らなんですか。
  207. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 七年度の予算で見てみますと、重度加算、これは二通りあるわけでありますが、通常ですと二五%加算が行われるということでありまして、重度の精神薄弱児の場合でありますが、これが月額四万五千六百九十円ということであります。それからまた、重度の精神薄弱者の場合はそれより若干高くなっておりまして、四万七千百八十円という額でございます。
  208. 土肥隆一

    土肥委員 実は、この額で重度加算が行われているにもかかわらず、しかし、施設の現場のアンケートによると、七割近くの人がこれ以上受け入れられないと言っているのですね。ぜいたく言っているんじゃないんです、施設側は。この重度加算というのが、四万七千円足して——安い額だとは思いませんよ、私も。でも、これでも現場の施設では重度あるいは最重度は受け入れないと言うのです、受け入れられないと。ですから、これはどうしたらいいかということになりますと、これは、根本的に精神薄弱者の施設、そして重度加算をどうするかということを検討しないと、親の願いと施設側の現状とがマッチングしないということだと思います。  したがいまして、私は施設というものを考えるときに、措置施設、税金で賄う施設はいつも措置の対象者だけが入れる、あるいは選ぶ側はもう役所の側にあるわけです。そして、利用する側の親御さんたちの思いというものは、いわば一方的にしか伝わっていかない。したがって、現実的には最重度者がずっと残されてきているということになるわけです。  私は、施設というものは、利用施設なんでありまして、利用者なんであって、何か一たん決められたらもうそこにしがみっこうとか出入りができないとか、それから重いから、軽いからということじゃなくて、最重度から重度、中度、軽度というふうに、最重度者、最も必要な人からなぜ入れないのか、そういう疑問を持つわけであります。このことについて、局長、どうですか。なぜ最重度者から順番に入れないのか。
  209. 高木俊明

    高木(俊)政府委員 全く先生のおっしゃるとおり、私ども考えておりますのは、やはり必要な方がきちっと入れるような施設になっていかなけ ればいけないという点につきましては、全く同様の考え方を持っております。  問題は、入所希望者が十分入れないという状態、これは施設そのものの数が不足しているという面が実際問題としてございます。そういった意味で、来年度の予算案におきましてもお願いしておりますが、障害者プランというものを策定をいたしておるわけでございます。平成十四年度までに整備をしていく目標を掲げておるわけでございますけれども、そういった中でこの障害者プランを着実に実施をしていくということでこれらの需要に対しておこたえをしていくということで今考えておるわけでございます。
  210. 土肥隆一

    土肥委員 大臣、結局、今、量的拡大だけを追っかけているのですよ。それは量も必要ですよ。だけれども、もう質を問う時代に入っていると思うのです。それはやはり福祉の思想だと思うのです。そして、施設を本当に生きたものにするためには、最重度の人から迎え入れられるようなそういうシステムにしない限り、もう親たちはきりきり、いらいらしているわけです、特に最重度のお子さんを持っている人たちは。  ですから、私は一つ提案したいのですが、最重度加算というのを何とか導入しませんか。重度加算が今ありますよ。その上に最重度加算をつけて、そしてまずは施設の側に人的な余力を持たせる。そして、一番困っていらっしゃるのはすぐわかるわけですから、最重度者からお迎えするような、そういう施設体系にしなければならない。  これはもうひとえに量と質とがいつも合っていなければいけないわけでありまして、例えば介護保険など、これはもう利用者になるわけですね、保険を使った利用者になるわけでありまして、そして保険を掛けている以上は老人施設なんかも、入りたいと言って、いやだめだ、待っていなさいなんということになると非常に問題になるわけで、それはどういうふうに公平さを保つのか別の問題がありますけれども、障害者は介護保険から切り離すわけですから、そうなるとますますこの障害者の問題はずっとおくれていく。利用者、そして最重度者から利用できるような施設にするべきだ、そして最重度加算というものを設けることによってこれが大部分解決されるのではないかという私の提案ですが、大臣のお考えをお聞きして終わりたいと思います。
  211. 菅直人

    ○菅国務大臣 今の土肥さんの方からのお話をお伺いをいたしまして、確かに最も厳しい状態にある皆さんが最も社会的なサポートが必要である、そういう点では、おっしゃられる趣旨は大変よくわかる気がいたします。  行政としてどこまでそれに対応できるかという問題になろうかと思いますが、障害の重い方も軽い方もその程度を問わず障害のある人々が社会の構成員として地域の中でともに生活を送れる社会を目指すことが、障害者施策を推進する上で最も重要なことであると認識をいたしております。  このような観点から、さきに策定された障害者プランにおいては、ホームヘルパーの増員やグループホームにおける重度の精神薄弱者の受け入れ体制を充実するなど、重度の障害者の地域生活を援助するサービスについて大幅に拡充することとしています。一方、在宅における生活が困難な重度の障害者については、精神薄弱者入所更生施設での処遇が必要であるとの考えに立って、その整備を促進することとしております。今後とも障害者プランを強力に推進して、障害者が地域でともに生活できる社会を目指していきたいと考えております。  その中で、重度加算に加えて最重度加算という問題ですが、この点についてはまたいろいろ御意見を聞きながら検討してみたい、このように考えております。
  212. 土肥隆一

    土肥委員 終わります。
  213. 上原康助

    上原委員長 これにて土肥君の質疑は終了いたしました。  次回は、明四日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十七分散会