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1996-04-01 第136回国会 衆議院 予算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月一日(月曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       菊池福治郎君    後藤田正晴君       志賀  節君    白川 勝彦君       高鳥  修君    谷川 和穗君       原田  憲君    武藤 嘉文君       村山 達雄君    谷津 義男君       若林 正俊君    安倍 基雄君       愛野興一郎君    東  祥三君       伊藤 達也君    石井 啓一君       石井  一君    石田 勝之君       川島  實君    左藤  恵君       笹川  堯君    平田 米男君       前田 武志君    松岡滿壽男君       山口那津男君    山田 正彦君       石橋 大吉君    今村  修君       佐々木秀典君    坂上 富男君       田中 昭一君    畠山健治郎君       細川 律夫君    錦織  淳君       佐々木陸海君    松本 善明君       矢島 恒夫君    海江田万里君       土肥 隆一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         文 部 大 臣 奥田 幹生君         厚 生 大 臣 菅  直人君         農林水産大臣  大原 一三君         通商産業大臣         労働大臣臨時代         理       塚原 俊平君         運 輸 大 臣 亀井 善之君         郵 政 大 臣 日野 市朗君         建 設 大 臣 中尾 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     倉田 寛之君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      岡部 三郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 秀直君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 鈴木 和美君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         警察庁長官官房         長       菅沼 清高君         警察庁刑事局長 野田  健君         警察庁交通局長 田中 節夫君         防衛庁参事官  澤  宏紀君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      大野 琢也君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務大臣官房長 原口 幸市君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁次長   若林 勝三君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文化庁次長   小野 元之君         厚生大臣官房審         議官      和田  勝君         厚生省社会・援         護局長     佐々木典夫君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君         労働大臣官房長 渡邊  信君         建設大臣官房長 伴   襄君         自治大臣官房総         務審議官    湊  和夫君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省税務局長 佐野 徹治君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総裁)松下 康雄君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 四月一日  辞任         補欠選任   村岡 兼造君     白川 勝彦君   谷口 隆義君     東  祥三君   山田  宏君     山田 正彦君   佐々木秀典君     畠山健治郎君   坂上 富男君     石橋 大吉君   矢島 恒夫君     佐々木陸海君   海江田万里君     土肥 隆一君 同日  辞任         補欠選任   白川 勝彦君     村岡 兼造君   東  祥三君     石井  一君   山田 正彦君     山田  宏君   石橋 大吉君     坂上 富男君   畠山健治郎君     佐々木秀典君   佐々木陸海君     吉井 英勝君   土肥 隆一君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   石井  一君     谷口 隆義君     ――――――――――――― 三月二十九日  平成八年度予算における住専処理経費削除に  関する請願岩佐恵美紹介)(第一一四三号  )  同(穀田恵二紹介)(第一一四四号)  同(佐々木陸海紹介)(第一一四五号)  同(志位和夫紹介)(第一一四六号)  同(寺前巖紹介)(第一一四七号)  同(中島武敏紹介)(第一一四八号)  同(東中光雄紹介)(第一一四九号)  同(不破哲三紹介)(第一一五〇号)  同(藤田スミ紹介)(第一一五一号)  同(古堅実吉紹介)(第一一五二号)  同(正森成二君紹介)(第一一五三号)  同(松本善明紹介)(第一一五四号)  同(矢島恒夫紹介)(第一一五五号)  同(山原健二郎紹介)(第一一五六号)  同(吉井英勝紹介)(第一一五七号)  同(岩佐恵美紹介)(第一二〇五号)  同(穀田恵二紹介)(第一二〇六号)  同(佐々木陸海紹介)(第一二〇七号)  同(志位和夫紹介)(第一二〇八号)  同(寺前巖紹介)(第一二〇九号)  同(中島武敏紹介)(第一二一〇号)  同(東中光雄紹介)(第一二一一号)  同(不破哲三紹介)(第一二一二号)  同(藤田スミ紹介)(第一二一三号)  同(古堅実吉紹介)(第一二一四号)  同(正森成二君紹介)(第一二一五号)  同(松本善明紹介)(第一二一六号)  同(矢島恒夫紹介)(第一二一七号)  同(山原健二郎紹介)(第一二一八号)  同(吉井英勝紹介)(第一二一九号)  同(岩佐恵美紹介)(第一二六五号)  同(穀田恵二紹介)(第一二六六号)  同(佐々木陸海紹介)(第一二六七号)  同(志位和夫紹介)(第一二六八号)  同(寺前巖紹介)(第一二六九号)  同(中島武敏紹介)(第一二七〇号)  同(東中光雄紹介)(第一二七一号)  同(不破哲三紹介)(第一二七二号)  同(藤田スミ紹介)(第一二七三号)  同(古堅実吉紹介)(第一二七四号)  同(正森成二君紹介)(第一二七五号)  同(松本善明紹介)(第一二七六号)  同(矢島恒夫紹介)(第一二七七号)  同(山原健二郎紹介)(第一二七八号)  同(吉井英勝紹介)(第一二七九号)  平成八年度予算における住専処理費削除に関す  る請願千葉国男紹介)(第一二二〇号)  平成八年度予算における住専関連予算削除に  関する請願岡崎宏美紹介)(第一二二一号  )  同(小森龍邦紹介)(第一二二二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十九日  平成八年度予算における住専処理経費削除等  に関する陳情書外八十一件  (第一六四号)  平成八年度予算における住専処理経費一時凍結  等に関する陳情書  (第一六五号  )  住専処理を含む予算強行採決反対に関する陳  情書外二件  (第一六六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  これより理事会協議に基づく総括的一般質疑を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。野田毅君。
  3. 野田毅

    野田(毅)委員 ほぼ一カ月ぶりに本予算審議を再開するわけであります。この間、いろいろな経緯はありましたけれども、率直に言って、一カ月間国会が空転をしたということについて私どもも反省しなければならぬと思います。しかし、同時に、政府与党の方においてもやはり真摯に反省をしてもらわなければならぬことがあったと思います。そういう点で、冒頭国民皆さん与野党ともにおわびをしなければならぬことだと思っています。  したがって、これから後は、やはりきちんとした論議が、この質疑を通じてぜひ中身のある答弁をしてもらいたい、そのことを通じて、出口までの実りある成果を得たいと考えておるわけであります。ぜひ冒頭この点を委員長にもお願いを申し上げ、また政府の方にも誠意ある答弁をまず冒頭お願いを申し上げておきたいと思います。  そこで、住専に絡む予算を中心として論戦を繰り広げてきたわけでありますが、実はその中身に入ります前に、防衛庁長官、ぜひ二、三お伺いをしておきたい点があります。  それは、いよいよきょうから、いろいろないきさつがあったわけでありますけれども沖縄において米軍基地の一部が残念ながら国の不法占拠状態に陥ったということになっておるわけであります。現時点において、恐らく日米地位協定に基づくなりなんなり、そういったことを論拠として国は今なおその土地占有をし、管理をしているわけであります。  問題は、国の占有しているこの土地が、その占有根拠適法なのかどうなのか、どういう根拠に基づいて今占有をしておられるのか。報道によりますと、地主が立ち入らないようにバリケードを国側がつくっているとか、いろいろな報道があります。それはどういう法的根拠に基づいてその行為をおやりになっているのか。この点、大事な基本問題ですから、役所の答弁もさることながら、むしろ防衛庁長官、あなたのお言葉でまず聞かせてもらいたいと思います。
  4. 臼井日出男

    臼井国務大臣 委員質問いただきました職務執行命令訴訟につきましては、去る二十八日五時に至りましても沖縄県知事署名押印していただくことができませんでしたので、それを確認をいたしまして、主務大臣たる総理大臣署名押印お願いした次第でございます。  お話しのとおり、本日より使用権原が喪失した状態になることは事実でございます。今回のことにつきましては私ども絶えずお話を申し上げておりますが、あの楚辺通信所全体が一体有機的なものでございまして、全体の地主四百四十人、そのうちただ一人、決してその方の権利というものを軽んじるわけではございませんが、のことによって全体が使えなくなるということは、私ども日本にとりましても、日米安保条約という国と国との約束を履行する上からもできないわけでございます。そういう意味におきまして、安全保障条約第六条に基づく施設・区域というものを安定的に供給する私ども義務及び責任がある、このように感じている次第でございます。  そうした状況を踏まえまして、私どもといたしましては、二十年間にわたりまして、その占有につきましては賃貸借契約を結びまして適法使用してきたところでございますし、先ほど申し上げましたとおり、米側に対しては引き続き楚辺通信所というものを提供する義務がある、このように考えておるわけであります。  また、目下、駐留軍用地特措法に基づきまして土地使用権原を取得するための手続を行っておりまして、今後、適法使用する、こういうふうな努力を果たしているさなかでもございます。また、土地所有者に対しましては賃料相当のものを提供いたしまして、土地所有者に対しては損害を与えることのないような配慮もいたしている次第でございます。  現在、私どもは、沖縄収用委員会に対して裁決申請お願いをしていると同時に、また、緊急使用申し出をいたしているところでございまして、一日も早くこの緊急使用手続が通ることを期待をいたしているところでございます。
  5. 野田毅

    野田(毅)委員 臼井さんも大変なときに防衛庁長官になられたと同情をしております。  今いろいろ、大変言葉を選びながら御説明がございました。よくわかっています。つまり結論からいえば、国が適法使用ができるように、現在、一つ総理代理署名をされて正式の使用権を獲得をするということが第一。それがまだできないわけですから、そこに至るまでの空白期間をどうするかということで今緊急使用許可を求めている。しかし、残念ながら今日時点ではまだ許可はおりていないということでありますから、結論からいえば現時点においては国は占有権はない。あるいは、国が現在行っているのは、日米安保条約に基づく管理責任はあるかもしれないが、その土地使用して管理をする法的裏づけ、言うならば適法占有ではない、こういうことだと思います。  そこで、私はこのことが不測の事態を招かないように心からこいねがっています。日本安全保障のみならず、アジア全体における安全保障を考えてみれば、現地の地権者初め沖縄県民皆さん気持ちは痛いほどわかるとしても、やはりその基地重要性ということはかけがえのない現時点における役割を持っているんだ、こういう認識政府は対処しようと今しているわけであります。  そこで、私は、ここまで何でこういうことになってしまったのだろうと。民有地ですから、当然、永久借地権を設定しているわけではない、有期限のものであります。そうすると、今まで、何回かこういった契約の更新を重ねながら五十年にわたって基地として使用してきたわけでありますから、何度かこういう危険な局面に立ち至る可能性もあったはずです。  そこで、過去においてこういう不法占拠状態に立ち至ったようなケースがあったかどうか、その点についてちょっと聞かせてもらいたいと思います。これはちょっと、長官、きついかもしれないから、だれかいますか。質疑通告、ちょっときょう、急だったものだから。いいですか。
  6. 臼井日出男

    臼井国務大臣 御質問が予定はございませんでしたので、政府委員が来ておりませんで申しわけございません。過去に、昭和五十二年の五月十五日に御質問をいただいた件でございまして、一件、そのようなことはあったということを承知をいたしております。
  7. 野田毅

    野田(毅)委員 そのときの処理等については、あす、私ども石井委員から詳しくいろいろ議論をさせていただきたいと思っています。  問題は、私は本当に、総理、気が気でないと思うんですよ。この緊急使用許可がいつおりるのかということも、やはりクリントン大統領日本にお見えになる前に、この種のがたがただけはきちんとやはり解決しておいてもらいたい。この点、もちろん緊急使用許可をおろすのは政府じゃありませんから、いつどうなるということを余り言えないとは思いますけれども、ぜひその点は精力的な御努力を願いたい。これは国益に関する問題だと私は思います。  それから、何より私が感じますのは、どうしてこういうことになっちゃったんだろう、そんなに行き当たりばったりの政治をやっているんだろうか。こんなことはもっと早くからわかっていたはずである。少なくとも、この問題は去年の秋に大きな問題としてクローズアップされていたんではないか。まさにこういうことにならないように、瞬時たりとも不法占拠状態に国が陥ることのないようにしたい、だから、その当時の総理に対して早く決断を求めたのが、昨年の秋の、言葉が過ぎたので首になったのかもしれぬが、宝珠山長官が時の村山総理決断を迫った。まさに今日のことを想定をしたからこそそういうことがあったんではないんですか。どうですか臼井さん、これは政治家としての判断ですがね。
  8. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今委員から大変厳しい御指摘がございました。しかし、私はこう考えております。  昨年、確かに防衛施設庁としてそうした非常に切迫をした思いがあったでありましょう。同時に、昨年の大変不幸な事件が沖縄県で発生をいたしました後、沖縄県民の声というものは、沖縄県だけではなく、ある意味では久方ぶりに本土のあらゆる人々が関心を持つ問題になったのではなかったでしょうか。そして、その中におきましてさまざまな角度から議論がなされている中で、当時政府としては、県との話し合いの中で、従来と同様に知事の権限を行使していただける事態を最後の瞬間まで私は努力をしておったと思います。  仮に非常に早い時期こ  現在私は訴訟を提起し、そしてその裁判の判決を受け、県の態度を確認した上で代理署名を行った責任者でありますから、現在も、私自身、県の御協力が得られればという願いを持っておりますし、そして県民のお気持ちと、確かに私は、沖縄歴史を振り返りましたときに、さまざまなことがあったことはある程度存じておったつもりでありました。しかし、知事さんと二回お目にかかる間に改めて調べてみまして、私どもの知らなかった多くの歴史があったことも改めて知りました。そして私は、沖縄県の方々の持たれる気持ちというものも、ある程度は理解をいたしたつもりであります。しかし同時に、五十年間の歴史の積み重ねの中で、既に固まってしまっているさまざまな事象を変えていくことがいかに難しいかということも、今痛感をいたしております。  私は、どうぞ、過去の部分に戻ってのこと、それも大事でありましょうけれども、この事態の中で、県、そして沖縄県の土地収用委員会方々がこの重みというものを理解をしていただいて、できるだけ早い結論を出していただくことに全力を尽くすのが私の役割だと考えておりますし、院におかれましてもそのような御協力をぜひ賜りたいと心から願います。
  9. 野田毅

    野田(毅)委員 私は大変失礼な物の言い方をするかもしれませんが、本当に橋本総理には御苦労さんだと思います。やはり前政権からの、何といいますか、呪縛といいますか、十字架を背負って政権につかれた。村山さんがお引きになったのはどういう理由かわかりませんが、恐らくこのこともやはり頭にあったに違いないと私どもは推測をしています。あるいは住専問題もそうでしょう。いずれも、禅譲という言葉が適切かどうかわからぬけれども、少なくとも政権をバトンタッチするときに、その種の行き詰まった、前政権において行き詰まったある意味ではヘドロ的な懸案事項を一身に背負って橋本総理はスタートした。  私は、そういう中で、橋本総理に対する期待は、橋本政治をもう少し自分言葉で、自分の感覚で推し進めるということをみんなが期待しているんじゃないか、残念ながら今はむしろ前政権のいろいろな問題をみんなひっかぶって、何もできないであえいでいるというのが今日の姿ではないかというふうに実は感じています。  この点は、あす、沖縄米軍基地の問題は石井委員から詳しく論議をさせていただきたいと思います。  そこで、私はきょうは、今までの住専論議等を振り返ってもう一遍おさらいをさせていただきたいと思っていますが、この一カ月間いろいろなことがありました。ただ、その中で、少なくとも私どもが異例の行動をもしとらなかったとすれば、どういうことになっていたであろう。  きょうは四月一日です。もし何もなかったら恐らく、いろいろと問題になっていた加藤幹事長初めの証人喚問、これらも一切顧みられることもなく、そしてまた何よりも、国民の九割が反対をし、そしてまた政府与党の中でも原案どおりごり押しするのは大変無理だという認識を持ちながらも、結果としては恐らく無修正のままで、喚問もなく、いろいろな積算根拠も明らかにされないままに、衆議院はおろか参議院までみんな無修正で、今ごろはそういう予算ができ上がってしまっておったんではないか。そのことを考えますと、私は、少なくともそれなりの意味はあった、そしてこのことをぜひ政府の方も考えてもらいたい。  この間、いろいろな世の中の意見、さまざまな御議論がございました。しかし、マスコミ各紙の社説その他いろいろ総合しても、ポイント三つだったような気がしています。一つは我が党に向けられたもの、二つ政府与党に向けられたものであったと思います。  私どもに向けては、やはり国会においてそういうピケを張ったりという行動をとるべきでない、この点が一つであったと思います。  政府与党に向けられた事柄は何か。これは、やはり加藤幹事長は少なくともみずから率先して議会に出て証言をすべきである。いま一つは、これだけの問題点があるわけだから、少なくとも原案無修正でごり押しするようなことはやめてもう一遍政府与党はみずから出し直しをしなさいという、この二点であったと思います。  さて、いよいよきょうから、残された時間でこの本予算審議をやるわけですが、今言いました三つポイントの中で、こうやって審議正常化をしたことでありますから、少なくともこれから先、政府与党二つの点について、すなわち加藤さん初めの喚問問題、そして住専予算六千八百の削除という問題について、誠意を持って何らかの考え方を政府与党が打ち出すべき番である、私はそう思うのでありますが、この点、総理の受けとめ方はいかがなものでしょうか。
  10. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず、証人喚問云々の問題については、これは院で御論議をいただくことであり、行政府の長としてそれに対してとやかく申し上げるべきものではないと思っております。予算委員会理事会で既に御論議をいただいている問題として、院の御判断を待つべきことではないでしょうか。  そして、六千八百五十億の住専に関連する予算、今委員二つ数字を使われ、出資の五十億と分けた六千八百億との二つ数字を述べられたわけでありますが、私どもは、あくまでもこの時期においてとるべき大切な施策としてこの施策を選び、御審議をいただいております。私どもとしては、当事者間のぎりぎりの話し合いの中からまとめ上げられましたこのスキーム、現時点におきましても最も必要な施策と考えておるということを申し上げる以外にございません。
  11. 野田毅

    野田(毅)委員 残念ながら現時点ではその程度の答弁しか総理からはできないのだろうという予想はしておりましたが、それにしても、何か私はもうちょっと危機感があるのではないかなという感じがしていたのですけれどもね、率直に言って。  私は、加藤さんの問題、これは後ほどまた申し上げたいと思うのですけれども、それは決してただ単に疑惑があるからというだけでない。やはり住専の枠組みをつくった責任者だ、率直に言って。これは今までの議論の経緯で明らかであります。だから申し上げておるわけで、そういったことを、ただ単に証人喚問の問題は国会運営の話だからそこへ全部任せますよということではなくて、行政府の長としてはそういうことでありましょうけれども、少なくとも自民党の総裁でもあるわけですから、その自民党の幹事長に関することでありますから、もう少し主体的な自分のお考えを述べられてもいいのではないかと思っています。しかし、恐らく立場上これ以上はなかなか言いにくいということでしょうから、これはまた後ほど申し上げたいと思います。  そこで、この一カ月間、実は何もなしに事柄がタイムスリップしたかというと、そうではないと私は思います。その最たるものは、たしか三月五日であったと思います、政府与党が追加措置を決められました。これはいろいろな理由で追加措置をまとめられたと思うのですけれども、ともかくこれは非常に大きな意味があったと私は思っています。幾つかポイントがあるのです。  それは、何よりも原案のままではやはりこれは無理だという認識政府みずからが、あるいは与党みずからが考えたということだと思います。原案のままでごり押しはこれは無理だ、これは極めて大きな意味がありますね。少なくとも無修正のままで押し通すことはしない、これをやったら大変だという認識があったということ。  それからいま一つは、この追加措置を決定されるに至る経緯。新聞報道によると、どたばた劇あるいは迷走、いろいろな表現を使っています。確かにいろいろな案があったのでしょうけれども、特に農水系の負担に対して、これはもう報道で逐一、時系列で追えば明らかだと思います。あるときはウルグアイ・ラウンド予算から出せとか、いやそれはだめだというので話が変わった。それがいつの間にか五年でやるとか、いやそれは地方税が入っていないからやはり七年にしたとか、さまざまなことが、わずか一昼夜ぐらいの間に随分と話が変わったと、いろいろな迷走ぶりのことが出ております。  そのときのことを余り私から、済んだことですからとやかく言いたくはないけれども、ただこの点について報道を見ますと、大原農林大臣も「「(実現の)保証は何もないわな」と明言、追加措置のずさんさが早くも露呈」という表現とか、それから、「リストラで利益が上がれば、税金を払うのは当然だ。」これは後藤田先生。「まやかし、つじつま合わせといわれても仕方がない」、高鳥修氏。「五日の自民党総務会は追加策への不満や批判の合唱となった。」社民党も、「八万ふさがりだ。(住専処理は)もともと理屈のつかんことなんだから、追加策が理屈に合うわけがない」。さきがけの鳩山さんは、「二次損失の国と民間の負担割合が半々という仕組みもおのずから変化する可能性もある」。  やはり与党三党みずから政府原案に対してもいろいろと問題点認識しておられる。そのことが追加策ということにあらわれ、残念ながらその追加策そのものがまた党内でも、国民次元だけじゃなくて党内においてもいろいろな批判があり、結果として、追加策は七項目ぐらいあったようです。  しかし、その一番最後の七項目めの、具体的に六千八百の、民間金融機関で五千、農系で千八百というこの仕分けについて、少なくともこれは与党三党で正式決定しているのか、政府与党一体で決定しているのか、いや、政府の方は加わっていないのか、そして、今日この案がまだ生きているのか死んでいるのか、ここのところがどうも我々にはわからない。  この経緯において、途中で幾たびか国対委員長会談初め幾つかの与野党折衝がございましたが、今日まで一回もこの種の五千と千八百という、こういう打開案ではどうかという意向打診も我が党には正式にはない。これは一体どういうことなんだろうかと、私は今なお不思議でしょうがない。  さて、この点について、これはやはり自民党の総裁でありますから、これは党の案なのか――その前に、それでは大蔵大臣に聞きましょうか。大蔵大臣、これは政府は一緒になってこれを認めているのですか、それとも政府は一切関与しないのか、どうなんですか。
  12. 久保亘

    ○久保国務大臣 お答えの最初に、少し、この与党から出されております「住専問題に関する新たな措置について」というものの認識について、野田さんのおっしゃいましたことについて私、反論をするつもりはございませんが、ここに書いてあるものをそのまま最初の三行だけ申し上げたいと思います。「上向きはじめた景気を本格的な回復軌道に乗せ、国民生活の安定に資するため、平成八年度予算については、政府原案通り衆議院を通過させ、年度内に成立させるべきである。」このような前提を置いてこの新たな追加措置は書かれております。  なお、これは与党三党においていろいろと努力をされたものでありますが、その努力をされました背景は、当委員会を中心にもっと母体行の責任を考えるべきではないかなどの御意見がございましたことの上に立って、努力をされたものと私は理解をいたしております。  これは政府与党の案ではございませんで、与党三党で取りまとめられたものでございます。そして、与党三党のこの「住専問題に関する新たな措置について」は、政府与党会議において私どもにこの内容を説明をいただいたものでございまして、政府といたしましては、与党三党のこの措置に関する取りまとめを重く受けとめて、今後いろいろと検討し、努力をさせていただきたいということを申し上げたものでございます。  したがいまして、この追加措置と称するものは政府与党の案ではございませんが、政府与党の提案として、この努力に敬意を表し、実を結ぶことができるように努力をしなければならないものと考えております。
  13. 野田毅

    野田(毅)委員 わかりました。政府は関知せず、こういうことだと理解をします。  そうすると、政府としては、これではない、また別のいろいろなことをこれからお考えになる、こういうことだろうと思いますから、この問題は余り突っ込んで申し上げないようにしましょう。追加策についてこれ以上深追いは避けようかとは思います。  ただ、その中で気になることが一つあるのですよ。それは、農水大臣、特に千八百という農水系統のリストラによる収益改善、これのもとは、これは国税に換算して千八百、それを逆算していくと、大体収益改善そのものは七千億ぐらいになる。七年間でその収益を生み出して、その結果、その七千億から払われるであろう法人税、国税が千八百億ぐらいになるのだ、こういう計算になった、こういう報道がなされていますね。  これを、農水大臣は、重く受けとめられたと今。政府は決定には関与しないが重く受けとめてということなのですが、一方で農水大臣は、さっきちょっと言いましたけれども、必ずしも重く受けとめていない部分もあるのですよ、「保証は何もないわな」と記者会見で。こういうことなので、一体どっちなのでしょうか。
  14. 大原一三

    ○大原国務大臣 野田委員御承知のとおりに、既にJA、組織を挙げて約一年前からその合理化に取り組んできております。その内容は三〇%ぐらい合理化を進めます、こういう方針を出しているわけでございます。その既定方針を我々もそのまま受けとめまして、その方針どおりに合理化が進んだ場合にどうなるかという絵をかいてみたわけでありまして、それが約六千億強の合理化になる。それは人減らしもございましょう、さらにまた経費の節減等もございます。そういった形でいけばこれぐらいの数字になることは、与党からの御提案でございますが、我々としても認識をしております。そういうことででき上がった数字だ、かように受けとめております。
  15. 野田毅

    野田(毅)委員 「保証は何もないわな」というのが私は率直なことだと思うのですよ。私はそれで結構だと思うのですよ。そうでなければおかしいのですよ。それができるのだと言うなら、そもそも最初の五千三百億の負担がぎりぎりだったという説明がつじつまが合わなくなるのですよ。そうでしょう。  つまり、七年間かけて、収益力を七千億改善できるんだ、そこから上がってくる自然増収、法人税分だけで千八百億だ、こういう計算ですから、もしその与党の計算が正しいとするならば、五千三百がぎりぎりの負担ではなかったという話になる。何千億かさらに上乗せされてしかるべきだという議論をそこから生み出すことにつながるんだ。そうすると、政府が今まで六千八百という税金投入の根拠、これに使っていたぎりぎりぎりぎり、もうぎりぎりばかり聞き飽きたのですが、そのぎりぎりという論拠をまさにみずから崩すことになる。  農水大臣、この点をもう一遍、七千億の収益改善の話と五千三百億のぎりぎりの負担能力との関係をもう少し詳しく話してくれませんか。(発言する者あり)ちょっとやかましいね。
  16. 大原一三

    ○大原国務大臣 お答え申し上げます。  五千三百億の計算につきましてはこれまでるる申し上げてきたところでございまして、経常利益が信連の中で三十も赤字になるということはいまだかつてない大変なことでございまして、我々としても、内部留保の非常に薄い中で決着を見た協力贈与資金五千三百億というのは、正直に申しまして、系統にとっては非常に過大な負担でございます。そういう状況の中で、我々は何とかこの住専問題を解決したいということでございますので、それこそ非常にぎりぎりの状況の中で負担を決めましたのが五千三百億でございました。  もう委員はそっちの方の専門家ですからいろいろ申し上げることはないのでありますが、母体行と言われるもの、特に主力銀行の内部留保と我が系統の内部留保を十分御比較願いたいと思うわけであります。三十分の一か二十分の一、それに最近は株式の含み益等を計算しますと、我が方は株式を持っておりませんから、ほとんどが国債でございまして、含み益なるものが膨れる可能性は現状においてないわけでございまして、この負担というのは、そういう意味では我々としては大変厳しい負担を強いられたというのが実態でございます。  合理化の問題はそれとは直接つながっておりませんが、いずれにしましても、今度の与党の提案におきましても、農協系統の金融秩序の再構築をやれということをおっしゃっております。言われるまでもなく、この問題についてはもっともっと真剣に取り組まないと大変な問題が起きる可能性があることは、委員御承知のとおりであります。  したがって、系統から出ております三〇%の生産性の拡大、どうしてもこれはやってもらいたい、やらなければならぬ、そういう前提に立っての算出でございまして、ごらんになりますと、銀行とは必ずしも歩調が合っておりません、与党の積算の中で。それでも我々としては、これぐらいのことはやりたいという気持ちから与党の御提案の中で了承申し上げたところでございます。
  17. 野田毅

    野田(毅)委員 農系について、経営が大変厳しい、まさに瀬戸際に立っているということは、我々も十分承知しています。  ただ、私はこの機会に申し上げたいのですけれども、農系というものをただ十把一からげに、一緒くたにしてはならぬということだと思います。これは十分専門家の皆さんはおわかりの世界だと思っています。信用事業、共済事業ではおのずから違うでしょうし、特に信用部門の中で、私は、ややもすれば農中を先頭とするその信用事業のピラミッドをみんな一緒くたにして考え過ぎているのではないかと感じています。  農中自身は農協経営と直結はしていません。私どもが農政の上で大事にしなければいけないポイントは単協そして農家であります。農協で集めた金の運用を全部単協では仕切れない、だからそれを、かなりの部分を信連に預けるわけです。信連も全部自前では運用できない、だからまたかなりの部分を農中に預けているわけですよ。  今度の住専の問題は、単協が住専に貸し込んだのではないんですよ。信連、農中が貸し込んでいる話なんです。そこのところを遮断をして考えなくてはだめだ、農政を考えるなら、まさに農協対策をしっかり懸命に考えろ、これは農政の世界でやるべきだ。それをみそもくそも一緒くたにして、何かいかにも、いや農家を助けるんだ、農協を助けるんだというような顔をして別のことをやっているところに、今度の住専処理の、マスコミで言ういかがわしさがあるわけなんですよ。  だから我々は、農政は農政でしっかり立て直しをしょうじゃないかと言っているのです。そうであれば、農系の金融は、農中と信連をどういうふうに農系の金融として立て直すかという、まさに金融そのものの世界じゃないですか。そうでしょう。  ですから、私は、そこのところをもう少し説明を、政府が、いかにもそのことを、何か世の中の取りつけ騒ぎがまるで末端のほかの民間の金融機関にまでみんな広がるような、ばかみたいな、何というんですかね、脅迫をして、国民の金融不安を逆にあおるような、そういう説明の仕方というのは、政府がやるべきことではない。やはり今度の住専処理一つポイントは、まさに農系の金融機関への影響をどうするかということからスタートしたのが本質なのではないんですか。大蔵大臣、ちょっとそこだけはもう一遍確認をさせてください。  これは、この住専処理にしても、これからの不良債権処理全体を考えるにしても、物すごく一番大事なポイントなんですよ。これを何かみんな一緒くたにして、全体の不良債権処理の話から、住専の処理から、あるいは農系の金融機関、農中の問題から、末端の単協の問題に至るまでみんな一緒くたにして、わけのわからぬような形にして、ただひたすら六千八百という税金を踏み倒された借金の穴埋めに投入するという、それだけが今度予算化されてしまっているわけですからね。大蔵大臣、どうぞ。
  18. 久保亘

    ○久保国務大臣 今お話がございましたようなことを含めて、この住専の不良債権処理にかかわる問題を、母体行と呼ばれる銀行、一般行、そして農協系統金融機関との間で協議を進めて出された結論であると考えております。
  19. 野田毅

    野田(毅)委員 なかなかそういうことでは論議が深まらないんです。  それで、後で、お配りしましたペーパーに沿ってちょっと申し上げてみたいと思いますが、その前に、余り深くは言いませんが、ただ、国会に出された農水省の資料、各県信連ごとのいわゆる五千三百の積算基礎という中でお出しになった、それは、各県信連の固有名詞を挙げるといろいろな影響が出るからということで、ナンバーを振ってお出しになった。あれを見ると、負担額ゼロというのはなかったんです。  ところが、報道を見ますと、信連協会が各県信連に割り振った現実の数字は、負担ゼロが三県ほどありますね。これは国会に提出された資料と現実に配分された数字とが食い違っておるのですよ。本来ならば、きょうの委員会が始まる前に、実はこういうことで、こういう理由で、数字国会に提出した資料と違っておりますということを、私から指摘するまでもなく政府は言うべきじゃないですか。  ちなみに言えば、埼玉県、栃木県、宮城県信連は、住専への貸し込みはそれぞれあります。しかし、なぜ今回の五千三百の配分でゼロになっているのか。そうならば、ほかの県信連は、本来かぶるべきものよりもその分だけ余分な負担を強いられているのではないか。そうでしょう。  この点について、二点、どうぞ大原農水大臣、資料の食い違いとこの点をやはり説明する義務があると私は思いますよ。
  20. 大原一三

    ○大原国務大臣 委員御指摘のとおりに、国会に出しましたときはプロラタで負担を出したわけでございますが、その後、信連の間で御相談があったようでございます。さっきの三信連は赤字信連でございまして、その決算について大蔵省と農林水産省に事前のチェックを受けることに相なっております。恐らくそういう状況があって、信連相互間で三信連への負担はかけない、こういうことに相なったものと私は理解をしております。したがって、ほかの信連がその分だけ負担超過になったことは、それは信連協会並びに信連との話し合いの中で決定されたことだ、このように理解をしております。  国会に出すべきではなかったかということでございますが、国会が開かれて諸要求がございましたら、いつでもその資料はお出しするつもりでおります。
  21. 野田毅

    野田(毅)委員 そこが誠意がないですねと。私から指摘するよりも一遍、新たな資料じゃないのですから、さきに提出した資料と異なった結果になったというならば、政府の方から説明と正しい数字の入った資料を届けるのが当然の話じゃないですか、それは。それを、まるで要求があれば出してやってもいいよみたいな発想そのものが間違いだ。とんでもないですよ。これは本当は、昔ならこれだけで審議ストップになっちゃうのですよ、この答弁なら。  それからもう一つ、私は、これで大事なのは、この五千三百がぎりぎり、ぎりぎりと言ったのだけれども、しかもその政府が出したときの資料は積算根拠という資料だったのですよ。我々があのときに求めたのは、五千三百億の配分の数字を出せと言ったのではないのです。五千三百は積算で出したとおっしゃったものだから、それなら積算の基礎を出してくださいと言って出された数字があの数字だったのですよ。その積算の根拠になる数字が変わっちゃったのだったら、じゃ、五千三百というのは積算ではなかったのかという話になるんだ。これはまさに、政府が今回六千八百という数字予算化をした、その根本の問題、その原点が崩れたということじゃないですか。農水大臣、どうですか。いや、こんな大事な問題はやはり農水大臣です。大臣が答えなきゃだめですよ、この問題は。
  22. 大原一三

    ○大原国務大臣 先ほどから、さらにまた前の委員会でも何回も申し上げましたが、どの程度の負担が適切であるかということをるる議論がなされた過程で、四十七信連の中の過半数を超えるということはこれまでの農協系統の金融の営業実態からいって大変なことだ、これ以上の負担はできませんということで、当時の農水相と農水省の関係者とそれから信連の関係者とぎりぎり詰めた結果が、三十は経常利益で赤字になるということはひどいではないか、せいぜい半分ぐらいにはできないのかという議論が過程にあったと聞いております。  積算と申しますけれども、そういう実態を、それ以上にそれじゃ四十七信連全部赤字でもいいのかという議論もあると思うんでございますけれども、将来の経営ということを考えると過半数がぎりぎりだということで、二千億というものを置いていろいろ皆さん方と御議論をし、それを私は積算と申してあるわけでございますけれども、単にテーブルの上で計算をはじき出したというんではなくて、各種の議論を踏まえて、将来の経営等を考えて三十、経常利益がぎりぎりである、こういう計算をしたわけであります。  引き受けた以上、二千億を何とかこれを信連、赤字信連を含めて負担をさせるということもあったでございましょうが、先ほど御指摘の三信連については、決算のチェックをする法人でもある、そういうことで各信連間で負担の調整をされて三つだけ負担をゼロに除外した、かように聞いております。
  23. 野田毅

    野田(毅)委員 そういうのは積算とは言わないと思います、そういうのはね。それは承知の上でおっしゃっていると思うんですが。ですから、私は、説明が余りにも、お粗末というと言葉が悪いんだけれども、積算でないのなら積算でないということをはっきり言えばいいんですよ。そうでしょう。  今度の住専処理に関しての説明が、何かいかにも世の中の取りつけ騒ぎを抑えるんだという説明を最初はしている。しかし、そのうちにだんだん、いや農系のためだと言っている。だから、最初からそこのところをきちんとしなければだめですよ。私は、農家の皆さんも気の毒だと思うんだ。こんなことで、何か知らぬけれども、理不尽にまた余計な保護されているんじゃないかみたいな思いを受けられるだけで迷惑な話だと私は思います、本当に。  私はその中で、これはちょっとペーパーを差し上げているんですけれども、いろいろ我々も農系の方々と話をする。その中で、この政府の処理スキームに対して魅力的であるという最大の理由は何かというと、五兆五千億が一たん丸々返ってくるところに魅力がある、こういう説明があるんですよ。果たしてそうなのかどうかということです。  このペーパーを見ると、左側は住専、これは資産、負債ともに約十三兆二千、左側が資産勘定、これは御承知のとおり四分類に分けて、正常債権それから四分類の回収不能債権まであります。若干ここは正確を期して、六兆二千七百の回収不能四分類債権と欠損千四百億と、合計合わせて六兆四千。それに見合う負債、これがいわゆる系統の五兆五千と一般行が三兆八千、母体行三兆五千、こういう形でバランスがとれている。言うならば現ナマはほとんどないということであります。現ナマは全部資産、貸し手の方に、ほとんど貸しているわけですから、帳簿上のこれは数字であります。  そこで、この問題、貸付債権、左側ですが、これを一気にやるのは大変だ。この前も指摘をしましたが、昨年秋の段階では、この中で不良債権をどう処理しようか。最初のスタートは、第三分類、左側の、これまで合わせて約七兆五千億という不良債権をどう処理するかという議論を現にやっていた、これは報道でも明らかであります。つまり、ここでは黄色く塗っておりませんが、実際には、債権内容の実態はまさにこれは三分類も四分類も同じなんです。まず返ってこないという前提です。そうでしょう。その中で、今回はどういうわけか四分類だけ先に一次処理をしましょう、それ以外は二次処理に送りましょう、こうなっておるわけであります。  この中で結局帳じりを合わせた結果、母体行が三兆五千、一般行が一兆七千債権放棄したら、残る穴が約一兆二千ある。その一兆二千の穴を、先ほどのお話でいくと、ぎりぎりの努力をして農系が五千三百億贈与という形でやりますというので右側に書いてあります。それでも足りないので税金を入れましたという数字になっています。  そこで、これを見て、あっと思うでしょう。片一方では銀行系は債権放棄五兆二千億と書いてあるのに、何で贈与というのが右側に書いてあるのだろうか。民間銀行は債権放棄五兆二千であるにもかかわらず、何で系統は債権放棄ではなくて贈与という形式をとったのかということなんですよ。これはなぜでしょう。  農水大臣、これは明らかに、五兆五千億が一遍は丸ごと返ってくるという、この論理にこだわったからなのではないのですか。ここはぜひ答えてもらいたい。
  24. 大原一三

    ○大原国務大臣 昨年末の処理スキームが決まりますときに、政府与党ともにでございますが、農協系の責任というところで、金融当局の責任、さらにまた母体行の責任、このようにうたわれている中で、系統は「協力」と、こう打ち出されているわけでございます。それは、今回の住専問題に対する母体行の第一次責任を明確にしたものだと私は受けとめております。経営の内容、さらにはまた人事問題委員御存じのように、大蔵省の調査報告書にありましたような実態に何ら関知しない系統が、いかなる形でこれに協力するかということで、贈与という形での協力を要請されたものでございます。したがって、我々もそういう方針に基づいて贈与という言葉を現在も使っておりますし、そういう意味であった、かように考えております。
  25. 野田毅

    野田(毅)委員 またそこに強弁が入っていると思います。大体、今さなきだに農系の経営は極めて厳しいのですよ。住専問題があろうがなかろうが、住専以外のノンバンクの問題もあるし、それから農系自身の子会社である協住ローンという住専も抱えています。本質はこの住専だけがすべてではないのですよ。そんなことはみんなわかっているのですよ。それほど今農系が厳しいという経営環境の中で、何で贈与するのですか、それならば。なぜ贈与しなければいかぬのですか、責任が全然ないのなら。そうでしょう。論理矛盾じゃないですか。むしろ農系は贈与されたいぐらいじゃないですか、今。それが何で贈与できるのですか。  ですから、余りそういう強弁を張らない方がいい、もっと素直に国民理解を求める努力をした方がいいということを私は申し上げているのですよ。  そこで、実はこれは赤いのが系統ですが、五兆五千億返ってくる。今この五兆五千億は住専にお金を貸しているわけですが、いずれ処理会社ができたときにこの五兆五千億が丸ごと返ってくるんだという説明になっているのですね。  しかし、今この系統、左側の五兆五千、このところは現ナマがあるわけじゃない。どこかでこれ調達しなければいけないのですね。どこで調達するかというと、右側に書いてあります処理会社がつくられて、その処理会社も何にもないわけですから、考えてみれば、その処理会社の原資は何かというと、原資は書いてあります。これはまだ僕は数字がよくわからない。こういう基本的な数字がまだはっきりされていない。本当はこのままで六千八百という、つまりスキームは完全に固まっていないという意味なんですよ、これ。六千八百だけは一生懸命おっしゃるけれども。だから、あえてクエスチョンマークをつけてあります。これは後で、何か数字が固まっているなら教えてもらいたい。  つまり、この数字委員長わかるでしょう、右側にある系統、母体、一般、これが全部で大体六兆八千ぐらい出さなければいけないのですよ。その六兆八千の中からこの左側に全部金が行くわけですよ。この中で、一般は帳簿上のつけかえにしかすぎないのですから、結果として、系統の五兆五千が返ってくるというためには、その原資はどこから調達するかというと、このとおり、残るは系統からのお金と母体行からのお金とあとは自分の、系統が行った贈与と税金という、これで五兆五千を賄うしかないのですよ。  ということになると、結果として、僕は系統の皆さんはごまかされていると思っています。これは系統、右側合わせてみると、特別低利融資と贈与と合わせれば二兆七千超えるのですよ。何のことはない、系統の方は、五兆五千丸ごと返るのじゃなくて、半分は焦げついておるということじゃないですか。だから、全然この数字は、丸ごと返るという説明はごまかしたということなんですよ。そのことを強く指摘をしておきたいと思うのです。どうも系統の皆さんは五兆五千丸ごと返ってくるというその枠組みにえらい拘泥をしておられるというところがあるものですから、あえてそこだけは指摘をしておきたいと思います。  それから、今の責任問題なんですけれども、農系について、私は、責任があるからたくさん負担しろとかいうような議論をするのじゃなくて、さっきちょっと言いましたけれども、本当に今の農系の問題は金融としての問題としてとらえていくという、それを農協と農家の問題と、そこの遮断をしてどう処理するかという発想を持たないと、一緒くたにしてだんごにしてやろうと思うと大変なことになるだろう。私は今ここで出すべきなのは二つあると本当は思っているのですよ、これ、大蔵大臣。  それは後で述べますが、預金保険法を中心とする金融三法、つまり日本国内にある不良債権の大きな山を、どういう原則に基づいてこれを崩していくのか、本来。ノンバンクはそのうちの一部分、住専というのはまたそのうちの一部分なんです。今度の六千八百というのはその住専処理の第一段階処理なんですよ。その全体像をどうするかという説明が何もない。真っ先に本当はその原則論をやらなければいけない。世界が今一番日本の金融に着目しているのはそこの部分なんですよ。どういう原則に基づいて日本は金融を正常化しようとしているのかというそれがない。それが第一。  いま一つは、農系の問題です。農系の問題も、住専に確かに五兆五千貸し込んでいる。だけれども住専以外のノンバンクにも七兆七千貸し込んでいる。どっちみち、これから不良債権を短期間で一気にみんな整理をしていかなければならぬということになれば、とてもじゃないが今度の六千八百つぎ込んだから、あと一切農系の金融としての世界において、何の支援もなくてそのままやっていけるとは到底考えられないじゃないですか。  むしろ農系においては、それをどのように、農中、信連というものをこれから再編をし改革をしていくかというその総論部分があって、それから後具体的な各論に来なければならぬのじゃないですか。そうでしょう。そこの順序が全く逆じゃないですか。今、江藤先生が並行してやっているとおっしゃった。それはそのとおりでしょうけれども、まず先にそっちがあって、原則論がきちっとあって、それから各論に来るのが当たり前じゃないですか。  私はそういう点で、この前この予算委員会で大蔵大臣が、ノンバンクの処理に関連して、税金をつぎ込むことはしないという趣旨のお話をされた。それはそれで結構です。ノンバンクのしりぬぐいを直結してやる必要はない。まさに住専も同じなんですよ、住専もノンバンクですから。  問題は、そういう農系の金融機関の再編、これは私は公的支援なしにできるとは思えない。これを政府が逃げてはだめだ。一番大事なポイントをみんな口をぬぐおうとしている。  きょうの報道を見ても、金融三法にしてもそうだ。住専に金をつぎ込む、税金をつぎ込むのはみんなけしからぬけれども、預金者保護のためには場合によってはやむを得ないという、これが当たり前の世界じゃないですか。それを、住専に税金をつぎ込むことに国民の批判が厳しいから、だけれども、それはごり押しをしましょう。だけれども、不良債権全体を処理していく中で、当然押せ押せで小さな中小金融機関の中には破綻を来すものも出てくるかもしれない、当たり前の世界でしょう。  そのときに、五年間はペイオフはできないのですから、少なくともいざというときには、まさに預金者に安心をしてもらうためには、金融不安を起こさないためには、最後には必要に応じて公的支援を書こうというのが政府案じゃなかったのですか、預金保険法において。その一番大事な原則論を逆に、そんな五年も先の話は今何も議論しないでいいなどという、そんなのうてんきなことを言って、嫌なことはみんな先送りをしてやろうとする動きが今与党の中にある。その原則論をやるのが先じゃないのですか。  私は、そういう意味で、この後半部分は後でもう少し詳しくやりますから、まず前半について、農政の世界においても二つを仕分けをすべきだ。単協以下の問題と農系金融機関としての農中、信連の問題とをやはりきちっと分けて、混乱させないで、そしてどういう基本方針で農中、信連をこれから再編、改革をしていくのかということ、まずそれが先にあるべきだ。これを農水大臣、お考えはどうですか。
  26. 大原一三

    ○大原国務大臣 委員御指摘のとおり、農協系統の足元を支えているものが、御承知のとおり、信用、共済、この黒字が農協全体を支えていたことは事実でございます。  そういう状況の中で、JAの皆さん方も非常に危機的な問題意識をとらえられまして、JA全体の合理化をしていこうではないかということで、おととしの暮れでございましたが、方針が打ち出されたわけであります。  それは、現在ございます中間段階の県信連、県経済連、県共済連等を二元化して中間段階を廃止していこうという基本方針。これはかなりのショック療法でございまして、人員整理等にもかなりつながっていく、そこで三〇%の合理化という既定路線が確定されたものと思っております。ところが、委員御指摘のように、信用事業に大きな亀裂が生じた。それがこの住専問題でございまして、そういった意味で、信用秩序の回復という問題はそれとは一応別個に、急を要する、しかも農協経営の基盤にかかわる問題でございます。  委員御承知のように、先ほど、単協は貸出先がどれぐらい、実際に言って四〇%が貯貸率でございます。信連に至っては一九・九%と低い貯貸率、残りは全部農中に預けていって運用をお任せするという実態であります。幸いに、この前の金融秩序の改革によりまして、農林中金が子会社をつくれるようになりました。証券子会社もできた、信託子会社もできた。そういう意味で、農協系統の金融の蛇口も徐々に広がってきていると思います。  ただしかし、言えることは、海外支店をつくったりネットワークを広げていく中で、お金には色がないんですから、農協系統だけという枠組みを何とか広げることによって金融秩序の再構築を別途考えていってあげなければ、先ほど申しましたような貯貸率からいって、農協系統の金融の隘路が打開されないのではないかという危惧を私は持っております。そういう意味で、信用秩序、農協系統の金融秩序の改革は、むしろ、先ほどの改革と並行いたしますが、さらにそれに先んずる重要事項だ、かように私は認識をしております。
  27. 野田毅

    野田(毅)委員 ぜひこれは急いでもらいたい。  そこで、一点だけ申し上げておきたいと思うのですが、加藤幹事長は、これは労働組合であいさつされて、住専問題に関連して、「十分な担保もなく五兆円も貸した農協がある。組織の傷つく農協が出てくると思うし、各信連はつぶれるのがほとんどで、そうすべきだ」と述べた、こう書いてあるんですね。これは労働組合の場所だから気楽におっしゃったんだと思います。これは新聞にも出ています、この点は。  ということは、与党でもそういう認識。今農水大臣もそういう認識ですから、やはり信連の存在というものは、相当これから大変な、整理というか再編というか、県信連によってはそれぞれ実態が違いますから、全部十把一からげにしてつぶす、つぶさぬという議論を私はすべきじゃないと思っています。これは乱暴なことをやってはいけない。しかし、やはり、くどくど言っていますが、少なくとも農中を含めてこれは早急に、今御検討中と聞く、しかし、その際に、当然各信連の経営が破綻を来し、債務超過になっている、それをどう処理をするか。結果は二つしかないんですよ、これは。つまり、信連に預けている各単協にそのロスをかぶせるか、あるいは農中の方で引き取るか、結果においてはそれしかないじゃないですか。そうでしょう。  ということになれば、おのずから、この農中、信連の再編、改革という問題に関して公的支援が必要になる場面も出てくるんではないか。この点について、その可能性を農水大臣は否定をされますか。何の公的支援もなしに独自でやれると思いますか。私は、そこのところは逃げてはだめだ、必要な公的資金は使いなさい、そのかわり、正面から国民理解を求めればいいんですよ。そこをきちっとやらないからおかしくなるんですよ。これからそういう基本策をつくろうというときに、あいまいなままで逃げてはだめだと思います。  その点で、公的支援という問題をあなたは否定しますか、それともその余地を残しますか、どっちでしょうか。ぜひ明確に答えてもらいたいと思います。
  28. 大原一三

    ○大原国務大臣 中間段階を省略したり、さらにまた二千五百ある単協を六百ぐらいに統合したり、三割の合理化というような問題は、これはもうつとに既定路線でございまして、そういった方向は着々と進めておる。  さらにまた、我々がぎりぎりの負担、こう申しましたのは、まあ三十ぐらいの赤字でございますけれども……(野田(毅)委員「そんなことは聞いていない」と呼ぶ)いや、関係はあるのです。これぐらいの負担でぎりぎり負担したが、各信連がそれによって破産をしたり倒れるということがない、来年以降の再建策も、この程度の負担なら何とかできるぎりぎりのラインだという意味も込めて我々はこれをやったわけでございまして、加藤幹事長はどういうところでどうおっしゃったか私は知りませんが、そういう危機的状況は生まれる可能性はない、我々は自信を持ってこの五千三百億の負担をしたのも、そういう前提に立ってでございます。
  29. 野田毅

    野田(毅)委員 私がお伺いをした質問には答えられていないんですね。公的支援を必要とするとあなたは考えますか、どうですか。もうイエス、ノー、どっちでもいいです。どうぞ。どうですか。要らないということですか。
  30. 大原一三

    ○大原国務大臣 今お答えしましたように、五千三百億の負担、これによって経営が破綻することはまずなかろうと。三十、とりあえずは経常利益で赤字になるが、その後の経営には支障のないラインである。したがって、追加的な公的資金による負担なしで、自助努力で乗り切れるラインである、このように私は考えております。
  31. 野田毅

    野田(毅)委員 私が聞いているのは、五千三百億の負担でどうのこうのと聞いているのではないんですよ。住専以外のノンバンクの処理もあるんです。信連自身の抱える不良債権もあるんですよ。あるいは系統が持っている協住ローンという子会社の不良債権もあります。  ですから、住専だけが農系の経営上の問題じゃないんですよ。だから、そういったことを展望して今度つくろうというんでしょう。その中で必要となるかどうかという問題なんですよ。今の答弁は五千三百の話に限定している。ノンバンクの問題と五千三百は何のかかわりもないんです。いわんや住専に関連しても、住専処理の一次分だけですよ、五千三百は。二次処理以降は、後で言いますが、この六兆四千だってもっと広がるんじゃないですか。  さっき言ったように、一兆二千という三分類のロス債権も抱えている。半分は税金で補てんすると言っているけれども、残る半分は、結局はどこかが特別低利融資の中で焦げついてしまうということになるでしょう、それは債務保証があるからいいとかいろいろあるでしょうけれども。そういった問題、住専だけでもそういうことがあるんですよ。  そんなことよりも、住専以外のノンバンクを含めた農中や信連の問題を、私は、公的支援を必要とする場面を、これは今からもう既に拒否して、シャットアウトしておくんですか、その余地を残すんですか。農水大臣。
  32. 大原一三

    ○大原国務大臣 今からの事態でございますが、さっきノンバンクの話が出ましたけれども、ノンバンクの不良債権も私はそう多額ではないと聞いております。さらにまた、この協同ローン、実質負担二千億ということでございまして、これは農中のこれからの利益で補てんをしていくという既定方針も決まっております。  したがって、今の段階で、公的資金が要る、要らないという議論を我々はしたこともございませんし、自助努力でいくという方針を確認しているところであります。
  33. 野田毅

    野田(毅)委員 これを押し問答していると次の質問に入れなくなってしまう。ただ、僕は、もう少し政府の方は、今回の問題に関して言えば、本当に最初から全部大事なところはあいまいにして逃げの答弁をしています。私は、この点はまたその段階で追及をしていかなければならぬと思います。  ちょっと話は変わりますけれども、三月十日付で、ある新聞に大変大事な記事がございます。  これは、なぜかというと、自民党金融問題調査会長越智先生のインタビュー記事であります。ポイントだけ読ませてもらいます。いろいろあります。そのあたりをほとんど全部読みたいぐらいだけれども、せいぜい半分ぐらいに圧縮します。  「住専処理策を検討した与党金融証券プロジェクトチームは最初から税金投入を考えていたのか。」という問いに対して、「一般会計からいきなり税金を入れる考え方は毛頭なかった。描いていたのは約六兆円の一次損失分について、銀行が五兆円、農林系金融機関が一兆円を負担するものだった」  「なぜ、税金投入を避けようと考えたのか。」に対しては、「不良債権は、金融というジャンルの中で、関係当事者がすべてを処理すべきだと考えていたから、(税金投入は)”禁じ手”だと思っていた。結果として、関係金融機関がピンチになれば、日銀特融とか政府保証債などいくつか救済方法がある。(税金投入を)やったら大変なことになると考えていた」  問い「それがどうして税金投入に変わったのか。」「プロジェクトチームは昨年十一月二十九日、三党の政調・政審会長に(税金を使わない処理策を)答申したが、山崎拓・自民党政調会長は「(答申を)外へ出すな」と言って、出させなかった。その結果、われわれの意見をほとんど無視した案になった。」「われわれが政党ベースで決めようとしていたことを、山崎氏らが武村正義蔵相、野呂田芳成農相に任せたことで、狂った」  「税金投入には世論が激しく反発している。」という問いに対して、「私のところにも「自民党を辞めなさい。そうしないと支持しない」という電話がかかってきた。「ハシカみたいなもので、時がたてば収まる」という党幹部がいるが、冗談じゃない。」  こういうことです。私は、これはやはり、さすが越智先生、見識があるお話をしておられると思っています。  さて、この当時、実は、日野郵政大臣、あなたもそのとき社会党の政審会長であったのですかね、このプロジェクトの、越智さんと一緒にプロジェクトの座長をしておられたわけですね。大体この越智発言と同じ感覚でしょうか、どうでしょうか、ちょっと意見を聞かせてください。
  34. 日野市朗

    ○日野国務大臣 急にそう言われても、実は、私としても今閣僚の一員でございまして、この政府予算、そしてこの住専処理の案、これに対しても私も賛成をした立場で今閣僚としてやっているつもりでございますから、本当はお話しするべき立場ではないと思うんですが、若干、先生が今読み上げられた記事のニュアンスとは違ったものであるというふうに私は考えております。  といいますのは、これはもう先生に申し上げるまでもないことで、先生十分御承知の上でお話しになっていると思うのでございますが、この住専問題というのは、住専を取り巻く母体行、一般行それから農協系金融機関、これらは全部契約でまとまっていることでございます。民事上の問題でありまして、与党といえども政府といえども、強制する権限は何らないのであります。  でありますから、当事者同士が納得をしてこう協力しましょうと言わない限り、これは案として成立はしないのです。我々は、それを何とか協力していただこうということで話し合いを進めて、第五ラウンドぐらいまでやったと思いますが、さっぱり話が前に進まない。そういう中で、我々としては、いろいろな案があることは、各マスメディアの方からの提案もありますし、評論家の方々の提案もあります。我々が積極的に勉強させていただいた案もあります。しかし、それらは、しょせんはその話し合いがまとまらない限り、これは案として成り立ち得ないのです。  我々は、残念でありますが、その当事者間の話し合いというものをまとめることはできませんでした。そうして、与党の政調会議でございますね、政策調整会議、そこの段階にその処理を移行して、そこでおまとめをいただいたということでありまして、この住専処理案というのは、それが唯一あるだけであります。
  35. 野田毅

    野田(毅)委員 だんだん時間が経過してまいりましたので、いろいろ質問したいことはまだたくさんあるのですが、この問題、なぜこれを言ったかというと、実は大事な問題がこの越智先生の御発言の裏に隠されていると思っているのです。  それは、なぜ十一月二十九日に決めたことを棚上げして別の枠組みで乗り出すことになったのか。それは、政調会長だけじゃなくて、私は今日までの質疑の内容をいろいろ見て、加藤幹事長が結局はキーパーソンであった。村山さんもあるいは武村さんも、確かに総理、大蔵大臣という立場であった。しかし、村山さんにしても、本来そんなことに公的資金を入れるという考えは毛頭なかった。大体、民民の事柄に何で税金を使うんだという発想が根底にはあったと思います。それがどういうわけか、十一月二十九日のものが全部オシャカになって、門外不出になって、違う枠組みがどんと出てきた。  考えてみると、三年前の覚書の問題でもそうだ。今度でもやはり加藤さんがキーパーソンで絡んでいる。先月の追加措置案だってそのラインでしょう。かなりキーパーソンとしてこの問題にかかわっているのですよ。  その加藤さんが実際にその後どういうことをやっておられたかということをたどってみると、まあ大蔵バッシングはいいとして、大蔵省の責任追及はそれはそうでしょう。ここまで持ってきた対応のおくれを初め、情報を公開もしなかった対応の悪さ、さまざまな問題があると思います。しかし、同時にまた、銀行バッシングをやって、これは大蔵大臣まで一緒になって、銀行の頭取にやめろと言っているのです。責任とれ、責任とれ。金よこせだけじゃない、首までよこせと言っている。そういうことは全部新聞報道で明らかになっているじゃないですか。  そういったことを一生懸命、この問題は一月ごろから随分と加藤幹事長が盛んにおっしゃっていたんだ。何でだろうということを感じたのですが、 やはりその加藤さんが住専からの借り手である共和から一千万という裏献金をもらっていた。それが不良債権になって、しかもロス債権になつちゃった。結果として、それが回って、六千八百億の一部が、一千万が、加藤さんに渡った一千万の穴埋めに使われてしまう、これはやはり否定できない事実ですよ。  しかも、この問題は三つポイントがあるのですよ、三つ。  その一千万の裏献金が政治献金なのかどうなのかということに対して、所得税法違反で告発を受けて、現在これはこれで捜査中です。これはこれで捜査の方で明らかにしてもらえば結構です。  しかし、それだけがすべてじゃないのです。問題は、これは平成四年ですから四年前、例えば参議院でこういう押し問答がある。途中省きますが、これは参議院で佐藤三吾さんの質問ですが、  一千万を森口が渡したと言っておるんですが、これはいかがですか。  ○国務大臣(加藤紘一君) そういう事実はございません。 そのほかにも、「そういう金品を受け取ったことはございません。」ということをいろいろおっしゃっている。  あるいは上原委員長自身、当時は社会党のPKO委員会における質問の中で先頭に立っておっしゃっていましたよね。政治スキャンダルの解明なくして審議はあり得ないとあなたはおっしゃったんですよ。そして国会で明確に加藤さんは否定された。  ところが、その後、金品の授受に同席をしていた水町氏が記者会見をし、その授受の事実を明らかにし、そのことに関して国会で証言していいと。そういう話になったら、また答弁といいますか説明が、加藤さんの説明が何となく変わってきている。国会においてやはり間違った答弁というか、明らかに事実に反する、うそをついたということになれば、これは住専問題とかなんとかということは別として重大な問題だし、これは国会の権威にかかわる、そういう角度からも必要だ。  いわんや、その一千万が、まさに住専の借り手、さっき言いました、そういう形で六千八百億の一部がそっちの穴埋めに回っていくという構図、そして、そのほかならぬ加藤さん自身がこの枠組みを決めた一番の責任者であったというこの事実ということを考えれば、やはり改めて私は、この問題の証人の喚問を経ずしてこの住専予算の出口はないということを委員長にも申し上げなければならぬと思っています。この点はいずれまた理事会等で協議をせよということでしょう。  総理の方は、なかなか委員会のことですからお答えがしにくいとは思いますが、冒頭ちょっと触れましたが、少なくとも総裁であります、その幹事長でありますから、ここは、形式論に埋没するのではなくて、きちんとした対応をぜひ個人的にも、行政府の長としてではなくて、自民党総裁としてお勧めになる気はありませんか。
  36. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、本来、自由民主党総裁という立場でここで御答弁を申し上げる機会はないものだと思っております。そして、先ほども政府の長として当委員会の運営について何ら申し上げる立場にはないということは申し上げました。  その上であえてとおっしゃいますならば、議員御自身の御発言にもありましたけれども、司法の場に告発がなされていることでもあります。事実関係がはっきりしていないときとやかく言及することは、私は適当ではないと考えております。
  37. 野田毅

    野田(毅)委員 この問題できょうここで時間をとろうとは思いません。ただ、司法の場でというのは、これは所得税法違反に関してはどうぞそっちの方でということだと思っています。しかし、あとはまさに国会マターそのものだということだけは申し上げておきたいと思います。  それで、もうだんだん時間が制約を受けてまいりましたが、いろいろ経緯があるのですが、さっきもちょっと言いましたけれども、大事なのは、やはり不良債権全体の処理をどうするかというこの基本原則が明らかにされないままに、各論部分である住専、しかもその住専全体の処理の基本原則がまだ明らかになっていないのですよ。それは二次処理スキームについて、特別低利融資をだれがどれだけ負担するかということも決まっていないし、そうでしょう、大蔵大臣、決まっていないのですよ。しかも、今度は一兆円の特別基金をつくるのでしょう。その特別基金の、これはオールジャパンで負担するそうですけれども、これの配分もまだ決まっていないわけですね。  そして、私は一番恐ろしいのは日住金ですよ。日本住宅金融、これは新聞報道にも出ています。もし――もしということは考えないと言うかもしれない。しかし、考えないでいって、本当に一番最後の土壇場で日住金が株主総会で包括的営業譲渡の決議ができなかったらどうなつちゃうのですか、これは。そこで完全に破裂してしまうじゃないですか、本当に。私は、そのときのショックの方がはるかに大きいと思っています。  もともと住専七社を一緒くたにして論議しようとしたところに今回の間違いがあるのですよ。もともと住専八社あるのですよ。そうでしょう。何でそれなら八社一緒にしなかったのですか。じゃ、なぜ七社一緒くたにしたのですか。母体行、母体行と言うけれども、母体行の数だって随分違うじゃないですか、実態によって。一番少ない母体行の数は第一住宅金融が二行ですよ、これ。だけれども、一番多い数は、地銀生保ローンなんというのは実に九十ぐらいあるじゃないですか、母体行が。総合住金は六十五行ある。ですから、そういうみそもくそも一緒くたにしてばさっとやろうとする。実に荒つぼ過ぎる。二、三グループに分けるなり、三、四グループに分けるなり、そういう中で住専処理をやれば、そして法的処理をやっていけば何ということはなかったんだ、もっと早くから。それを今まで延ばし延ばしにして、だんごにしてしまった。  それからいま一つ、共産党もそうだけれども、何か母体行バッシングさえやっていればそれで済むみたいな発想がよくある。しかし、果たしてそうか。今言いましたように、九十近くもある。しかも、母体行といったってみんなそれぞれ小さな金融機関ですよ。そんなものが本当に自分たちの不良債権をツケ回しするだけの力があるのかないのか、あるところとないところがある。一般行という分類をされていても、母体行以上に不良債権を紹介をしてツケ回ししている現実だってたくさんあるじゃないですか。それを最初から、母体行は真っ黒け、一般行は灰色だ、そして農系は真っ白だ、こういう論理をだんと出して、そのレッテルの中ですべてを処理しようとした、この中に私は今回の間違いがある。  結果的に、住専、この日住金、これがもし特別決議をもらえなかったらどういうことになりますか。政府のスキームは、大蔵大臣、どうなりますか。
  38. 久保亘

    ○久保国務大臣 お答えいたします前に、今御発言の中で、私どもが、母体行が黒で一般行が灰色で系統が白だとか、そのようなことを最初から打ち出しておいてというお話がございましたが、そのような事実は全くございません。どこでどのような機会にそのようなことを申し上げたか御説明をいただければ大変幸いと存じます。そのようなことは一切ございません。私どもは、それぞれの持つ責任についてここで明らかにしてきたと思っております。
  39. 野田毅

    野田(毅)委員 それならば、紹介融資の責任もない、経営支配もない、そういう母体行がなぜ一〇〇%債権放棄になるんですか。そして逆に、不良債権を紹介をした一般行がなぜ四割の債権放棄で済むんですか。その説明をしてくださいよ。
  40. 久保亘

    ○久保国務大臣 私が申し上げているのは、そのような分類をいつ政府が皆様方に申し上げたかということを言っているのであります。だから、間違いは間違いで取り消される方が、私は素直だと思うのであります。
  41. 野田毅

    野田(毅)委員 とんでもない。これはだめだよ。  それじゃ、なぜ母体行が一〇〇%債権放棄で、一般行が四割の債権放棄になるんですか。なぜ農系が債権放棄がゼロなんですか。大蔵大臣、何ですか、それは。だめだよ、これは。ふざけちゃだめだよ。これはだめだ。(発言する者あり)
  42. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  43. 久保亘

    ○久保国務大臣 それでは、そのようなことを私どもが申し上げたことはないという立場でお答えを申し上げます。  私どもは、母体行の責任については、設立、出資、人事、経営、そういったようなものに直接かかわってきた責任が大変重いということを、皆様方もここで御意見をお述べになってきたことでありますし、私もそのように申し上げてまいりました。  また、一般行や系統金融機関にはそのような意味での責任がなかったとしても、やはり貸し手責任、金融機関としての経営上の責任というものは決して無視されてはならない、それらの責任は重く考えられていかなければいけないということを申し上げてまいりました。  また、政治や行政の責任についても当然であり、そのことは与党の追加措置として取りまとめていただいておりますものの中にも、与党三党も同じ認識をまとめられていると私は承知をいたしております。  また、最高にその責任が問われるべきものは借り手、つまり債務を持ちながら返済しないまま逃げ回っている特に悪質な債務者については、その責任が強く問われなければならないということも申し上げてまいりました。  それぞれの責任がこの住専問題にかかわって存在するのでありますが、この住専問題の処理は、預金者の保護と信用秩序の保持という立場で、不良債権処理の緊急の課題として今このことを早期に処理しなければならない状況に立ち至っているということについては、非常に多くの方々が共通の認識をお持ちいただいているのではないか、そういう立場に立って、住専問題の処理に最善の方策として考えられるものを政府の提案として申し上げ、皆様方の御審議をいただいているのであります。
  44. 野田毅

    野田(毅)委員 さっき開き直りの、大蔵大臣……(発言する者あり)あなたが開き直りの、何かそういう居直ったような答弁をしているようなことでは、これはだめです。ちょっとさっきの話は取り消しなさい。何か開き直って、どこでどうしたのとか、とんでもないですよ。  それから、残る時間が非常こ  いろいろ言いたいことは山ほどあったんだけれども、実は先週、太平洋銀行の経営破綻が出ましたね。この太平洋銀行の経営破綻に対しても、これまた場当たり対応しかないんですね、残念ながら、現実問題。いろいろ報道を見ると、結局、メーンになるさくら銀行かな、これが全額出資するしかないんでしょう。関係しているほかの金融機関三行は、同じだけ額を出資するということが独禁法上できない。  つまり、今我が国が直面している一番大事な問題は、さっきは農系のことを言いましたが、不良債権全体をどういう原則のもとで処理するかという基本的な発想が示されていないんです。全部個別に、場当たり場当たりでやっちゃっているんですよ、去年から。住専も場当たりなんです。それを共通して、一つの基本的な一般原則の中でどうするかということをまず出さなければいけない。その出す一つは、これが実は金融三法なんですよ。預金保険の裏づけをどうするか。実は預金保険法、これが本来の原則論でなければいけない。もちろん、これだけじゃない。恐らく独禁法、独禁法の金融持ち株会社、この部分もなければならぬのですよ。これらが合わさってどういう原則をつくるかなんですよ。  しかも、さっき僕はちょっと言いましたが、何か報道によると、村山さんと武村さん、住専処理に税金を使うスキームを考えた責任者だ、この二人が相談をして、住専に税金を使うということに対しての国民の批判が強いから、五年も先の話を何も今決定する必要はない、そんなの先延ばしせい。そんなことはあいまいにしたままにしておいて、ほっておこうというんでしょう。信組の経営破綻に対してどうするんですか。あるいは、信組でない、例えば太平洋銀行だけじゃない、第二地銀でも予備群は、山ほどとは言いませんが、いろいろあります。それらの経営破綻に対してどういう処理スキームでやっていくのか。  これはまさに、預金者から預金を預かる金融機関そのものなんですよ。そうでしょう。そうでなければ、金融機関でない、預金者から預金を預からない住専の不良債権の処理には国民の血税を投入しておいて、預金者から直接預金を預かる金融機関の破綻に対しては、税金を使うのは評判が悪いから逃げようというんだ。おかしいじゃないですか。こんな国、どこにありますか。  じゃ、それなら、金融三法、いつ出しますか。その原則論があって初めて不良債権の論議ができるんじゃないですか。そうでしょう。不良債権全体があって、ノンバンクはその中の部分でしょう。そのノンバンクの中の部分がまた住専でしょう。その住専を、しかも一次処理、二次処理と分けて、そのうちの一次処理が六兆四千だ。それが六千八百という税金でしょう。その全体の不良債権処理を、その基本原則をいつお出しになるんですか。金融三法、いつお出しになるんですか。  本来なら三月八日に提出予定であったではないですか。じゃ、三月八日以降今日まで何を論議してきたんですか。何の論議もしないで。ですから……(発言する者あり)それは原田先生大先輩ですからあれですけれども、自民党は、もっと本来そういったことに対しての責任感があったと私は思っていますよ。どうしてこういうことになったんですかね。  我々は何も、頭からそれにけちをつけるとかなんとか考えていなかった。当然出てくるものだと思っていた。ただ、それを与党皆さんが、まあばかみたいな話ですから余りごちゃごちゃ言いませんが、くだらぬパンフレットをおつくりになって、そして、世の中に妙な宣伝をしようとするから、これとつじつまが合わなくなってしまったんだ。  そのつじつま合わせのために大事な金融三法を犠牲にしようとしている。これでは何のための住専処理ですか。不良債権処理の一環としての住専処理じゃないですか。その不良債権全体の処理の基本方針を金融三法で出すのじゃないですか。  その中に、本来なら協同組合は会社更生法の適用はない、だけれども、あえてその特例まで設けて、協同組合型金融機関であっても会社更生法の適用によって破綻処理をしようという、これが金融三法のうちの一つの法律じゃないですか。にもかかわらず、与党の方はどんな宣伝をしているのですか。法的処理、会社更生法は法律上適用が不可能ですと言う。ごまかしじゃないですか。そうでしょう。  それから、何か初めに六千八百五十億投入して、後全然要らないような顔をして書いてあるが、とんでもない話だ。入り口では六千八百五十だけれども住専処理だけに限っても、これをちょっと見てみてください。この中で、①、②、③と書いてありますよ。①、一番右側の下、一般会計から預金保険機構を通じて税金六千八百。②、左側、二次処理で税金半分、法律上。じゃ、二次処理でロスがどれぐらい出るのでしょうかというと、いつも言っていますが、ほぼ回収不能、第三分類、これは大体六兆四千と同じ扱い。最低この半分はくるのです。  しかもそれがより現実化しそうなのは、きょうは本当はこれだけで三十分以上かかると思ったのですが、実は、公示価格を基礎として再計算をすれば六兆四千という根拠が変わっちゃうのです、現実に。そうでしょう。六兆四千が七兆円になったらどうするのですか。残る六千億はどうするのでしょう。だれが負担するのでしょう。それは六千八百に追加して補正でも組むのですか。それならば、それを先送りして二次処理に送るのですか。  もし二次処理に送るとするなら、考えてみると、この六千八百も二次処理に送ったっていいじゃないかという議論だって出てくるのじゃないですか。六兆四千というのは、何の根拠で六兆四千になったのでしょう。七兆五千になったり幾らになったりするのですか。そういう議論が現に出てくる。まあいずれにしても、政府の言う、初めに投入ありきというのは間違い。  そして③、これは債務保証ということで、預金保険機構が系統、母体、一般、特別低利融資に債務保証する。それは、預金保険がとてもとてもこれから後借金しなければならぬほど、預金保険機構そのものの資金繰りがだめになってきている。火を見るより明らか。それが果たしてそこまでの保証能力があるのですか、ないのですかということもある。いろいろな点で政府が、与党が今まで言ってきたことが全部崩れてしまう。だから、崩れることが表面化するのが怖いから、金融三法の提出を今まで延ばし延ばしにしてきたんだ。  だけれども与党の発想はそうかもしれないが、少なくとも金融政策の最高責任者である大蔵大臣は、不良債権処理をこそ最優先すべきである。そうであれば、この金融三法、ぜひ出してもらいたい。我々は、それを一つの前提として、住専はその中の各論部分でありますから、それを見た上で改めて審議をする。そうでなければ充実した審議ができるわけがない。  ただ単に審議時間だけを稼いで、はい十分な審議ですというわけにいかない。中身の問題ですよ、ポイントは。ポイント中身喚問もない、あるいは不良債権処理に関する一般原則についての説明や法案もない。法案そのものは、むしろ政府としては準備しておったにもかかわらず、国会対策の駆け引きという角度から無理やり引き延ばしているんじゃないですか。これは、このままで我々が何遍同じ議論をやったって、同じようなことになってしまう。そのことをきょうは強く指摘をしておきたい。  それで、大蔵大臣、いつ三法案をお出しになりますか。
  45. 久保亘

    ○久保国務大臣 昨年の十二月二十二日に金融制度調査会から、不良債権の早期の解決と新しい金融システムの構築についての答申をいただいております。この答申に基づきながら、今回、不良債権の早期処理をいたしますことと同時に、金融システムの新しいあり方についても、今、野田さんが御指摘になりましたように、この国会において新たな法律の制定をお願いしたいと考えて、準備を進めているところでございます。  それで、金融三法につきましてはできるだけ早く国会に提出し、御審議を賜りたいと考えておりますが、かなりな量の条文になりますことと、今御指摘がございました信用組合の破綻に際しましての処理のあり方等について、なお議論がございます。与党との間にも、これらの問題につきましての調整を進めているところでございます。できるだけ早くこれらの調整を終えて国会に提出し、皆様方の御審議を賜りたいと考えております。
  46. 野田毅

    野田(毅)委員 とにかく早く出してもらわないと、我々は党首会談で合意をされました、十分な審議を尽くすという、その十分な審議というのは中身のことであると理解をしておりますので、少なくともその一般原則論が示されないままに、各論だけが先走っていくということだけは、どんなことがあっても私どもは容認するわけにはいかない、これだけは申し上げておきたいと思います。  さっき、日住金のお話もしましたけれども、いずれにしても、追加策そのものを与党もお出しになった、おつくりになった。それはやはり、今の原案のままでは無理があるということを率直に認めておられる証左だと思います。そして本当に、くどいようですが、日住金の問題はそんな簡単な話じゃないんですよ。そんなことに我々、金融のシステムそれ一点にかけられるんですか。まさに累卵の危機にあるんじゃないですか。それが一つ崩れたとしたら全部崩れるじゃないですか。そんなことに我々が本当に金融政策の根幹を、そんなかけをして本当にいいんだろうか。  私は、むしろ、今までいろいろ議論をしましたが、結果的に民間金融機関もこの三月決算で、有税償却であるにせよ、やはり償却を早く進めるということ、不良債権の処理を。有税、無税は、これは税務上の取り扱いであつで、有税、無税にかかわらず、企業会計としての償却を、早く処理を進めることなんです。ここに実は、不良債権、国際的な立場から見ての日本の金融問題があるわけですから、これは確実に今進んできているのですよ。  したがって、逆に処理スキームがここで手直しを受けるなり、いろいろな形に変更が加えられるとしても、何ら国際金融上そういった心配は要らないということだけははっきり申し上げておかなければならぬ。むしろ今の、何というか、よく言われる密室型、談合型といいますか、政官業が癒着してごちゃごちゃやっているという不透明な中での処理のやり方よりも、よりオープンな形で処理をされるということの方が、日本のこれからの金融市場を正常化をし、健全化をしていく上ではそっちの方がより大事なんだということを実は指摘をされている。  これは、ヨーロッパのまさに格付機関がありますね。ロンドンにあるIBCAという信用格付機関、ここの格付によって、日本の各金融機関のいわゆるジャパンプレミアムなんかがどんどん変わってくるわけです。まさにこの格付機関がそのことを指摘しているのですよ。  今の政府住専処理案を急げというのじゃなくて、不良債権処理を急げ。住専処理に関しては、どういう方策でもいいけれどもとにかく早くそれを急げということに意味があるのであって、政府案をそのままごり押ししろという意味ではないということを、そして中身においては、むしろ政府案じゃなくて、きちんとした透明度の高いやり方でやるべきだ、そうでなければおかしいということを逆に指摘をしているわけですよ。  ですから、そういう中で、よく政府の方も与党の方も、ジャパンプレミアムだとか日本の景気がどうだとか、いろいろなことの口実にお使いになるけれども、逆だということを私は申し上げている。  その中で、もう時間が参りましたが、冒頭言いましたけれども沖縄基地問題にしても今度の住専の問題にしても、やはり総理が随分と御苦労だろうと思います。何といいますか、バトンタッチをした、いろいろな諸条件の中に入ったのかもしれないが、そろそろ総理が、どうぞひとつ自分で御決断をされて、本当に、日本の不良債権をどういう形できちんとした姿をつくっていくのか、それから、クリントンさんがお見えになるわけですから、それにきちんと日本の権威と責任とを持って対応ができるように、ぜひ御努力を願いたい。  時間が参りましたので、一応私はこれで終わります。
  47. 上原康助

    上原委員長 これにて野田君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  48. 上原康助

    上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山田正彦君。
  49. 山田正彦

    山田(正)委員 新進党の衆議院議員山田正彦です。  前回、いろいろと加藤紘一先生にまつわるお話を聞いてみましたが、また、きょう改めて、いわゆる信連の責任等々について聞いていきたい、そう思っております。  その前に、きのうの新聞を読みましたら、産経新聞に、いわゆる日住金が和議申請を検討しているという記事が載っておりました。私どもがピケを張ってそれから今に至るまで、そういった法的手続でいわゆる住専がみずから解決を図ろうかという動きになっていること、またその間に、政府の発表で公示価格の下落、これでさらに損失が拡大していくんじゃないか、また、住専各社が今度、農協系統、いわゆる系統に対する利払いを、三月いっぱいまでにやる予定だったがそれをやらなかった、いわゆる六百億というお金がそれで最初のスキームの予定から狂ってくるということ、また、我々がやはりピケを張っている間に追加措置、政府・自民党の出されたこの追加措置が、国民を……(発言する者あり)あ、与党の出された追加措置が、いわゆる国民の受け入れるところじゃなかった、欺瞞がわかった、そういうところからしても、政府また与党のスキームというのは崩壊しているんじゃないか、そう考えます。  次に、鉄骨加工メーカー共和、これについて前回いろいろお話ししたわけでありますが、その中で私は、実は住専で大変問題になった桃源社という会社の佐佐木社長、その佐佐木社長の蒲田ビルの着工式に加藤紘一自民党幹事長が出席しております。その中で、その一月ぐらい後、平成元年の、実はTBSの生井部長さん、これは桃源社の佐佐木社長と前からのじっこんなおつき合いの仲ですが、その生井さんが、いわば加藤紘一さんをぜひひとつ佐佐木桃源社の社長に紹介したいということで、実は六本木にある全日空のホテル、そこの二階の「花梨」というところで、これは平成元年の四月ですが、お昼の二時ごろ、加藤紘一自民党幹事長と生井さんと、それから佐佐木桃源社の社長さんともう一人女性の方がいらっしゃいますが、四人で会食をなさった。そのときに、生井さんの方から桃源社の佐佐木社長に、ひとつ加藤紘一さんの後援会長になってもらえないか、ひとつスポンサーになってもらえないか、そういうお話があったということであります。  平成元年といえば、まだ住専問題がこれほど明らかになっているときではありませんでしたが、いずれにしても、こういう住専で問題の会社に自民党の幹事長さんが後援会長を頼みに行くということはいかがなものか。また、それを仲介されたTBSの経済部長の生井さん、その生井さんも、お話を聞いてみますと、加藤紘一さんとは親戚であると佐佐木社長には述べたようですが、公的報道機関の立場でいかがなものかな、ちょっと考えなければと思っております。  ところが、その後、実はフライデーに先月、このことが取材され、報道されたわけですが、そのときに、生井経済部長が佐佐木桃源社の社長に対して、前からの知り合いのよしみであるし、フライデーからの取材が来ているけれども、ひとつ加藤紘一さんのことは言わないでほしい、そういうお願いをしたということであります。  今いろいろと報道機関のあり方が問題になっておりますが、ぜひこのような、ささいなことといえばささいなことでしょうが、十二分に報道機関として気をつけていただきたい。ひとつ郵政大臣にも、その実態があるのかどうか、お調べいただければと思っております。  次に、実は九一年の五月、共和が、いわば鉄骨加工メーカーが倒産したわけですが、その倒産のときに、静岡信連の笹本専務、実は笹本専務はその倒産に、住専から七十三億円もの金が行っておったということで大変驚かれたようで、そこで、その調査を農水省に、大蔵省に依頼したと聞いておりますが、ひとつ農水大臣、そのころ信連からそういう調査の依頼があったかどうか。そしてまた、その年の九月、大蔵省は住専各社の緊急立入調査をしているようですが、その中身について簡単に御答弁お願いいたします。
  50. 堤英隆

    ○堤政府委員 今御指摘の点につきましては初めて聞きまして、そういうことは承知いたしておりません。
  51. 山田正彦

    山田(正)委員 実は九一年の五月、静岡信連の笹本専務は、私が笹本さんから聞いたお話では、そういうことで調査の依頼をしたということでございました。  実はこれは笹本さんからいただいた資料なんですが、この中に、九一年度一兆九千五百七十二万円を実は農林系は住専各社に融資をしている。信連の幹部としては大変厳しいと思っているときに、こういう融資がどんどんなされていった、短期間に、しかもこれだけの多額の融資がなされていった、これは大変大きな問題だ、そう思っております。  それで、調べてみますと、八〇年の十月十六日の通達、これが出されておりますが、この通達について、私は、農林系の金融機関は、まさにこの通達、個人住宅ローンに貸さなければならないものを実は不動産等々の融資をしている住専に貸し込んでいった、これは明らかに通達違反じゃないか、そう思いますが、ひとつ農水大臣にまずそれについての御見解をお聞きしたいと思います。
  52. 大原一三

    ○大原国務大臣 当時の通達は、その以前の経緯がございまして、御承知のように、住専は大蔵省の認可を得てあるノンバンクであるというようなことからいわゆる二〇%の員外貸し出しの例外にいたしたわけでございます。さらにまた、不動産融資につきましては、当時は住宅ローンを中心におやりになっていたわけでございますから、いわば消費者金融の谷間を引き込んでおる。都市銀行が産業金融、それに対して個人の消費者金融、住宅ローンを政策的に進めようではないかということで住専が始まったことは御承知のとおりでありまして、当時の状況は、最後のような、いわゆる金融機関が住宅ローンに進出して不動産融資に傾いていったという住専の実態を十分わかっていなかったと思うのですね。  ところが、委員御承知のように、だんだんそれが不動産融資に傾いていった、こういう実態があるわけでございます。我々としては、そういう状況でございましたから、特にこれが通達違反であるというふうには認識をしていなかったと思います。  結果的には、八九年十二月でございますが、株が三万九千円をはるかに超え、九〇年に入ると急落状態に入っていくわけでございますが、土地の方はそれから一年半ほどおくれて、まだその辺は上昇傾向にあったようでありまして、一年半ぐらいおくれて土地の方は下落を始める。そういった状況の中で大変な貸し込みが増加をしていったということでありまして、当時として融資担当者がやはり一般行ないしは母体行のネームバリューに幻惑されて貸し込んでいった実態は認めなければならぬと思うのです。  そういったことで起きたこの住専問題に関連して、やはり系統も無責任とは言えません。やはり結果責任は当然に認めなければならぬし、負わなければならぬものと、各信連によって違いますけれども、私はそう考えております。
  53. 山田正彦

    山田(正)委員 農水大臣にはっきりお聞きしたいのですが、信連は、自分たちは認識していなかったというお答えでありましたが、この八〇年十月十六日は、個人向けの住宅ローンをその通達で認めたということ。いわばそれが、信連各社がそれぞれどんどん貸し込み競争をしていって、不動産、建設向けに出していった。これは明らかに通達に違反している、そうはっきり言っていいのでしょうか、そうじゃないのでしょうか。それをお答えいただきたいと思います。
  54. 堤英隆

    ○堤政府委員 五十五年通達におきましては、「住宅の取得に必要な長期資金の貸付けのために必要なものに限る。」ということにしているわけでございますが、この点につきましては当委員会におきましても何度かお答え申し上げているところでございますが、これは、住宅の取得に関連するものに限るという意味でございまして、必ずしも個人住宅ローンのみに限定しているわけではございません。  御案内のように、個人に対します住宅ローンの提供ということを住専が行いますと同時に、住宅開発事業者等に対しまして、宅地開発あるいは住宅建設資金といったものの融通を行うわけでございますが、これは、基本的には住宅の供給を促進するために必要な資金ということで、広く「住宅の取得に必要な長期資金の貸付けのために必要なものに限る。」この範囲の中に入っているというふうに理解をしているところでございます。
  55. 山田正彦

    山田(正)委員 大蔵大臣にお聞きしたいのですが、この八〇年の十月十六日の通達は、いわゆる個人住宅ローン向けではなく、住宅地を取得するために必要ないわば不動産の投資、今のお話ですと、それにも通達としては認められるのだ、そういう趣旨なのかどうか。その辺ひとつ明快に、大蔵省としての見解を大蔵大臣にお聞きしたい。
  56. 久保亘

    ○久保国務大臣 明確に住宅そのものに限定したものではない、住宅にかかわる範囲をどの範囲で見るかということについては、これは経営の判断と同時に、その通達の判断が関係当局において行われたものと考えておりますが、正確を期しますために、政府委員の方からも答弁させていただきたいと思います。
  57. 西村吉正

    ○西村政府委員 昭和五十五年十月十六日の通達は、大蔵省銀行局長と農水省経済局長の連名通達でございますが、その趣旨につきましては、先ほど農水省から御答弁のあったとおりと私ども理解をいたしております。
  58. 山田正彦

    山田(正)委員 いわば長期の不動産向けあるいは建設、ビルの建設とかいろんなことに住専各社はどんどん貸し込んでいった。今私の手元にある資料によりますと、これは、平成の元年あたりになりますと、既に個人住宅ローンはわずかに二四%、それからさらに下がっていきますが、あと八割近くというものはいわゆる不動産、建設、そういった業界に対しての融資に入っていっている。そうなれば、この通達の趣旨に全く反しているんじゃないか。それでもなお大蔵省と農水省は、やはり不動産への長期の融資である、そう思われるものかどうか。いわゆる個人住宅ローンが平成元年以降二割しかない、それでもそう思われるのか、ひとつ農水大臣から御見解をはっきりお聞きできればと思います。
  59. 大原一三

    ○大原国務大臣 委員御承知のとおり、五十五年の通達は、農協系統の員外貸し付けを規制緩和するような通達でございまして、その中に、銀行その他の金融機関に対する資金の貸し付けを員外貸し付けの規制の対象外にいたしますということで、四十八年の例の住専を引用した、それを金融機関的位置づけにしてしまったという通達であります。  先ほど御指摘のありました、経済局長が答えましたとおり、当時の住宅ローンというのは極めて重要な役割を果たしてきたわけでございまして、系統としては、住専が住宅並びにそれに関連する融資、こういう事業を行っているという前提でそういう融資を行ってきたもの、このように聞いております。
  60. 山田正彦

    山田(正)委員 大臣の今の見解でも納得まいりませんが、私が調べた限りでは、いわゆるこの通達にある「住宅の用に供する土地及びその土地の上に存する権利を含む。」そういった取得に必要な限定された長期資金の貸し付けのためとなっておりますが、これはちょうど住宅金融公庫法、この中にもほぼ同じような、住宅の用に供する土地または借地権の取得及び土地の造成に係る、そうありまして、当時の農業協同組合財務処理基準令、これを読んでいってみましても、元本を割った貸し出しを絶対に農協系信連がやってはならない、そういう立場から、非常に厳格に解すべきものである。  これをあいまいに解した場合どうなっていくかと申し上げますと、今言ったような、大変、今度の農協系に我々国民の税金を使うかどうかということになっていくわけですが、個人住宅ローンであれば、個人住宅ローンに絞って今までやってきておれば、一切このようなことはなかったのじゃないか。  例えば、個人住宅ローンは焦げつきにしても極めて少ないし、また個人住宅ローンの場合には、保証会社が代位弁済するとか、あるいは貸し付け側が生命保険金を担保にかけて、いわば質権設定してそれで回収を図るとかいろいろなことができるわけで、この個人住宅ローンであったかなかったかということは大変重要なことでありまして、殊にこのことについてのいわば信連及び農水省の責任、大蔵省の責任、これを今から問うていきたい、そう思っております。  実際にも、実は、農林中金に内藤満夫専務理事さんがいらっしゃいますが、その方が、週刊ダイヤモンドの九月十六日号に、住専から我々に提出された書類としては個人住宅ローン原資として書かれておる、いわば住専が信連等の金融機関に金を貸してくれというときの申込書、融資申込書は、個人住宅ローンと書かれておる。  実は、私は、笹本静岡信連のかつての専務理事に聞いてみました。一体、三千四百億から住専に貸している静岡信連として、その融資申込書はどうなっておったか。そうしましたら、個人住宅ローンとして書かれておったということを認めております。  これは大変ゆゆしき問題でありまして、融資申込書の偽造、私文書偽造、同行使、これに当たるものじゃないか。これはまさに刑事告訴しなければ、いわゆる信連としても、もしそれを知らなかったとしたら、刑事告訴しなければならない、住専を、それくらいゆゆしき問題だ、そう思っておりますが、これについて農水大臣、どうお考えでしょうか。
  61. 堤英隆

    ○堤政府委員 個別の信連の個別の住専との契約がどうであったかということにつきましては、役所の方から逐一を確認するわけにはまいりませんが、この住宅ローンにつきましては、住専への融資につきましては、一般的に、私ども先ほど申し上げましたような通達がございます。  その通達の趣旨に沿いまして、個人住宅ローンはもちろんのこと、先ほど申し上げましたように、住宅開発事業者の方々が、分譲宅地あるいは分譲住宅という形での資金の場合もこれを含めるということで、当初からそういう対応をしておりましたので、そのラインに沿いましてそれぞれの対応がなされたものというふうに理解をいたしております。現実にも、いろいろお聞きしますと、住宅ローン資金でありますとか住宅ローン原資という形で申し込みがなされて、それに対して対応がされたということでございます。  いずれにしましても、全体の、先ほど申し上げました通達の趣旨に沿いまして貸し付けが行われた、こういうふうに理解をいたしております。
  62. 山田正彦

    山田(正)委員 それでは、農水省としては、この融資申込書に個人住宅ローンと、例えば建設とか不動産に貸し出すにもそう書かれておったということを知っておった、知らなかった、どちらかをイエスかノーで答えていただきたいと思います。
  63. 堤英隆

    ○堤政府委員 特定の、例えば静岡県信連と特定の住専との間にどういう契約がどういう形でなされていたか、どういう申し込みがあったのかということについては私どもとしては知る由はございませんが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたとおり、住専に関します先ほどの通達の趣旨に沿いまして、先ほど申し上げた住宅ローン原資あるいは住宅ローン資金という形で申し込みがあり、それに対して貸し付けが行われた、こういうふうに承知をいたしております。
  64. 山田正彦

    山田(正)委員 どうも答弁がはっきりせずに、私が言っているのは、本当にそうなのかどうか、これを農水省が知っておってやらせておったといったら大変なことであります。  実は、アメリカにおいて、貯蓄貸付組合が大量破綻したときに、金融機関改革再建摘発法という法律ができました。皆さんも御承知のとおりであります。その中で、融資申込書の偽造等によってお金を借り受けた場合、その貯蓄組合は、それまで二年以下の禁錮、五百ドル以下の罰金だったものが、二十年以下の禁錮、百万ドル以下の罰金と、これは大変重要な罰に法律を改正されていっている。  実は、与党そして政府皆さん方は、この住専国会において、当然のことながら、住専問題の処理についてはあらゆる資料を公表し、そして、ガイドラインの中にありますが、背任的要素がなかったかどうか、いわゆる刑事、民事その他において的確な、いわば検証すべきは検証し、処置をとっていくという趣旨のことをはっきりと述べておられます。また、総理大臣も、この予算委員会において、ただすところはただす、そう言っておられます。  ところが、この住専問題の本当の原因というのは、大蔵、農水省が、いわば個人住宅ローンしかできなかったものを安易に許して、しかも私文書偽造、同行使、こういったところまでさせておった。アメリカの例と比べてみて、総理大臣、この件でどう考えられるか、大きな問題でありまして、ひとつ御回答いただきたいと思います。
  65. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本院における御論議が始まりましてから、しばしば通達等の問題を含め行政のそのときそのときの判断というものが問題になってまいりましたことを私も承知をいたしております。  ただ、私文書偽造とかそういうものを慫慂したと言われることはいかがでしょうか。私は、それはちょっと事実とは違うと思うのです。むしろ、そのときそのとき行政としては最良の判断を繰り返してきたつもりでありましても、結果、非常に問題を生じておるという事実は私も素直に認識してきたつもりであります。
  66. 山田正彦

    山田(正)委員 総理答弁では納得がまいりませんが、本当にこの住専問題の根幹に立って考えるならば、そのあたりをしっかりとひとつ解明して、きちんとした対応をとっていただきたい、そう考えております。  余り時間もありませんので次に進みますが、信連が住専に貸し込みしていくときに、実は貸付枠といったものを信連に対して大蔵、農水省の方から出しておったんじゃないか、実態として。  これについて大蔵大臣、当時信連が貸し出していく。本来ならば、九一年、九二年というと各母体行が全部引き揚げていっている、総量規制があっている、危なくなってきている。実際に、九二年には三和銀行が日住金を調べて、これはもう倒産だという報告まで出している。大蔵も随分調べている。九一年の九月には立入調査もやっている。そんな中で、そんな中でどんどん貸付枠を決めて、それをふやしていって、今月ここの信連はどれだけ出しなさい、そういう枠を決めていったという話があるんですが、それは実態はどうなのか、ひとつ大蔵大臣に御回答いただければと思います。(発言する者あり)まず事実関係。
  67. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘の事実がどういうことを指すのか、私ちょっと理解できないこともございますが、信連の住専向け融資額を大蔵省が調整していたのではないかという御趣旨でございますならば、五十五年の通達に基づきまして、信連の住専向け融資の最高限度額については農水省、大蔵省に対し届け出がなされていたところでございますが、当該届け出は、信連協会において各信連からの報告を取りまとめまして、その合算額についてなされていたところでございまして、大蔵省が融資の配分を行ったり融資実行を指示したというような御趣旨であるならば、そういう事実は全くございません。
  68. 山田正彦

    山田(正)委員 今の局長の御答弁ですと、いわば融資に向けて、その信連に、今月あるいはことし、この下半期、これだけ出していいですよという融資の枠を決めてやったことはない、そうはつきりとっていいんでしょうか。
  69. 西村吉正

    ○西村政府委員 最高限度額についての届け出がなされていたということを申し上げたわけでございます。
  70. 山田正彦

    山田(正)委員 じゃ、その貸付枠そのもの、それは大蔵も農水もいわゆる信連協会におろしたことはないと、報告を受けただけだと……(発言する者あり)中身をはっきり言わなきゃ。これは大変なことなんでして、うそを言ったら承知しませんからね。実際のことを言ってもらいたい。
  71. 西村吉正

    ○西村政府委員 私は、昭和五十五年の通達に基づきまして、信連の住専向け融資の最高限度額について両省に対し届け出が行われたということは承知をしておりますが、配分を行うというようなことは私どもが承知しているところではございません。(発言する者あり)
  72. 上原康助

    上原委員長 山田正彦君、一たん着席して、了解を得てください。
  73. 山田正彦

    山田(正)委員 今のお話ですと、貸付枠は決めたことはないというふうにとらせていただきますが、これは私は明らかにうそだ、明らかにこれは間違っておる、この国会で今うその答弁をしておる、そう思いますが、実は私、静岡信連の元専務、笹本さんにお聞きしましたら、信連によってはやはり枠が決められておったとはっきり答えておりますし、一緒に笹本さんと話したときのテープも、御了解いただいてテープをとって起こしております。  そしてまた、実は、これは朝日新聞三重版の二月一日付、この中に、三重県信連の常務理事、この方が朝日新聞の記者に対して答えた内容が載っております。  この中によりますと、「信連から住専にいくら融資するか、という枠があった。」とはっきり言っているのです。枠があった。「不動産融資の総量規制があった九〇年三月前後から、九一年夏ごろまで続いた。融資は三年から五年ものの証書貸し付けが中心。返済期限がくると、同じ額で再契約したり金額を上乗せしたりする。例えば二十億円から三十億円に増やそうと思えば、全国信連協会に要望する。協会は全国の要望をまとめて農水省へ、農水省は大蔵省に上げる。そして逆のコースで、三重は二十五億円にしろ、と協会から返事がくるわけです。そういうことが毎月のように行われて、少しずつ融資額が増え」ていったのだとはっきり答えているわけです。局長、うそを言っているのじゃありませんか。  これは実は、読売新聞にも「信連協会内部資料」としてこのことは記載されておりますし、朝日新聞の東京版でもそのような趣旨のことが書かれてあります。  こうしてみますと、私が直接信連の専務理事から聞いた話、この話からしても、今の局長の話はうそを言っているじゃありませんか。どうお答えになりますか。
  74. 西村吉正

    ○西村政府委員 うそというのは大変厳しいお言葉でございますが、私、誠心誠意御答弁を申し上げておるところでございます。  先ほどからお答え申し上げておりますように、大蔵省といたしまして、五十五年通達に基づきまして半期ごとの届け出を受けていたということは申し上げたとおりでございますが、配分を行ったり融資の実行を指示するというようなことを私ども大蔵省が行うということは、いたしているとは承知をしておりません。
  75. 山田正彦

    山田(正)委員 実は、かつて九〇年三月当時、農林中金の融資担当常務であった荒井浮二さんという方が、その本「JA農協金融」、その中でこのように書いております。信連の住専向け融資は、政策当局から金融機関貸し出しとして貸出枠が与えられて実行したものだと、いわば農林中金の内部からもはっきりこう言っている。これは、明らかに局長がこの場でうその供述をしている、うその答弁をしているということになるものと思われます。  ひとつ総理にお聞きしたいと思いますが、ぜひこの事実関係、これはまさに今農協系統は非常に困っておる、御承知のとおり。どんどん貸出枠も決められて出しておった。ところがその結果、九一年、九二年、約三兆近い金をみんな銀行が引き揚げているときに農林系は出していって、そして今回このような羽目に至った。これは、この貸出枠を決めて農水省、大蔵省がやったこの責任は非常に大きいと思うので、今の私が言っているのが正しいか、局長が答えたのが正しいか、ひとつ総理大臣にこの事実を後日調べて明らかにしていただきたい、そう思います。
  76. 堤英隆

    ○堤政府委員 信連の幹部なりそれから中金の幹部のお話がございましたけれども、はっきりしておりますことは、五十五年通達におきまして貸付額の最高限度の届け出を行うということになっております。これは先ほど銀行局長からもお答えを申し上げたところでございます。  この届け出を行いました趣旨は、あくまでも、住専への貸し付けがいわば員外貸し付けという扱いになるものでございますので、要するに、信連の本来の貸し付けでございます員内貸し付けに影響があってはいけないという趣旨から、そういう意味で最高限度の届け出を行ったということでございます。  これはあくまでも、先ほどお答えがございましたように、各信連が自主的に取りまとめて、計画額をそれぞれ信連協会がまとめるという形で両省に対して届け出が行われた、こういうふうに理解をいたしておりまして、決して貸付枠を示すというものではなかったというふうに理解をいたしております。
  77. 山田正彦

    山田(正)委員 これ以上言っても水かけ論になりますので、ぜひ責任ある内閣の立場でこの事実関係を明らかに調査して、また次回聞きたいと思いますので、それまでに調べていただければと思います。  次に、信連が融資する、お金を住専に貸す場合に、一体その審査はどうなっておったのか、担保はどうやってとっておったのか、保証関係はどうなっておったのか、その件に対して、これは信連そのものの背任容疑に係る大変重大なことでございまして、ひとつ農水大臣にその辺の実情を明らかにしていただければと思います。
  78. 堤英隆

    ○堤政府委員 この点につきましても、当委員会におきましてお答えを申し上げてきたところでございますけれども、信連の住専向けの貸し付けに当たりましては、住専の母体行を背景としました一般的ないわゆる信用力、それから住宅資金を供給するといういわば公的な位置づけということを踏まえまして、他の一般金融機関と同様に、住専の個々の貸出案件ということでなしに、住専の経営内容なり事業計画ということにつきまして総合的に審査を行って貸し付けてきたということでございます。  それから、担保につきましても、他の一般金融機関と同様に、住宅ローン債権譲渡担保契約という形で対応をしていたというふうに承知をいたしております。
  79. 山田正彦

    山田(正)委員 いわゆる住宅ローンの債権譲渡担保契約、これをしておったということですが、私が調べていきますと、非常にずさんであって、ほとんどいわゆる担保という担保はとっていなかったんじゃないのか。そしてまた、審査らしい審査はしていなかったんじゃないか。  実は、先ほど話しました農林中金の当時融資の担当者であった荒井浮二さん、この方が、「JA農協金融」という本の中でこのように書いております。融資の相手が部長銀、信託、証券などの我が国の最も信用ある機関のいわば別働隊として機能していたこともあり、住専のことをそう言っているわけですが、貸し出しの審査も不十分で、担保措置もほとんどとられないまま実行されたと、みずから内部にある、いわゆる農林中金の常務という融資担当の責任者がそのように述べているわけであります。  これは、実態を調べていくうちに本当に私もあきれ返ったわけですけれども、これで本当に農協系統が、あれだけ政治力を使って覚書をつくり、いろんなことをやっていったけれども、本当にかわいそうなのは農民であって、そのようなずさんなことを許しておったんじゃないのか。これは当然、信連については大蔵もまた監督機関でありまして、大蔵大臣にひとつ具体的にそれについての御見解をいただければと思います。
  80. 久保亘

    ○久保国務大臣 大蔵省の事務局としては、そのような事実はない、このように申しております。  今、山田さんから御質問の、御意見のありました問題につきましては、その真相を私も今直ちに知る由もありませんので、私の方からそのことについて意見を申し上げるということは非常に困難でございます。
  81. 山田正彦

    山田(正)委員 私が入手しました各信連が農水省、大蔵省に出している金融機関貸し付け状況報告書というのがあるんですが、この中に一件ずつ「直取引」あるいは「短資業者」とかいろいろ書かれている一番最後に「担保物件」と書いてあります。いろいろな形で、信連にしてもこういう報告を、いわば八〇年十月十六日の通達によって、下半期、上半期それぞれ大蔵省銀行局、農林水産省経済局に「届け出るもの」、こうなっておりますが、これがそのいわば書式でありますが、こういったものがありながら、こういったものを見ていながら、当然担保もとって十分なことをやっておったんじゃないかということでは済まされない。まさに農民が今一番こんな目に遭ったのは、そういう行政の責任である、怠った責任である、そう思います。  実は私は、住専の内部資料、これをいただきまして調べてみましたら、住専は本当にいわゆる担保をとったのは九一年十一月からだ。担保というか債権譲渡です。物的担保は全くとっておりません。債権譲渡というのは、住専が貸し出した債権を譲渡担保にとっているというだけですから担保価値は全くないわけです。それも、最初にやったのは九一年の十一月から、その後、まだそれでもなしていない債権が幾らでもある、貸し出しが。例えば、静岡信連について私が聞き及んでいるのは、三十八億円、信連は日住金に無担保、無保証、無審査で出したといううわさがあります。  ぜひ大蔵大臣、農水大臣に、信連が住専に出した、金を貸したその明細、一件ずつ、一本ずつ、これをどうしても、担保があるのかないのか、無審査だったのかどうか、いわゆる担保の評価はどうだったのか、そういったことまで含めて、ひとつこの委員会に出していただきたい。これを大蔵大臣、農水大臣に要求いたします。
  82. 堤英隆

    ○堤政府委員 先ほどから個別の具体的な貸付案件の審査の体制、状況それから担保の状況についてはお答え申し上げているとおりでございまして、個々の信連のたくさんございますそれぞれの個別の契約案件ということにつきまして、当方からそういったものを出すということはいかがかというふうに考えております。
  83. 山田正彦

    山田(正)委員 当方からいかがなものかと言っておりますが、住専が貸し出したいわば末野興産とか桃源社とか、そういったリストは全部大蔵は出した。それならば、今信連が住専に貸した、どこの住専に幾ら貸したのか、いつ、何月、それは担保があったのかなかったのか、それについての資料はきちんと出してもらわなくては。それがなぜ出せないのか、それをひとつ明確にお答え願いたいと思います。
  84. 堤英隆

    ○堤政府委員 それぞれの住専に対します貸し付けにつきましては、先ほど申し上げたとおりのような考え方、審査、それから担保につきましても、一括して債権譲渡担保契約という形で行われてきているわけでございまして、個々の事案につきまして、それぞれの契約内容につきまして、私どもとして踏み込んでそれを出すということはいかがかというふうに考えております。  いずれにしましても、全体的に先ほど申し上げましたような考え方に基づきましてなされておりますということにつきましては何度か繰り返し申し上げているとおりでございまして、そういう状況の中で出されているものにつきましては、私どもとしては正当なものというふうに理解をいたしております。
  85. 山田正彦

    山田(正)委員 これは農民の預金が大変なことになるんじゃないか、そう言われて出そうかとしているときに、農民から集めた信連のお金がどこにどのように貸し出されていったのか、これも明らかにせずしてこの審議をやれというのは、明らかにこれは農水省、大蔵省の考え違いである。  実は大阪信用組合定例検査結果概要、これはことしの二月に大阪府商工部が出してきたものです、木津信用組合のことで。これは貸し出しの一本一本、私ゆうべ読んでみましたら、詳しく書いてある。大阪府が、木津信用組合という小さな一組合がああいう破綻状況になったからということで、これだけの資料を公開している。税金を今使おうか使わないかというときにそういう資料を一切出せないということは、これはどういうことなのか。ひとつ総理大臣からぜひ……。
  86. 堤英隆

    ○堤政府委員 いずれにしましても、通常の経営行為という形で適正にきちんと行われていたというふうに私は申し上げたわけでございますが、そういうことで……(発言する者あり)
  87. 上原康助

    上原委員長 お静かに願います。
  88. 堤英隆

    ○堤政府委員 先ほど来申し上げておりますような、個別のそれぞれの判断でなしに、全体としての住専の経営力あるいは公的な位置づけ、母体行を中心とした信用力、そういうことを判断をして、個々の住専の貸し付け案件ということでなしに、そういうことを判断をして対応してきたということと、それからもう一つは、担保のとり方につきましても、全体的な住専が持っております債権につきまして、全部一括して、それを債権譲渡担保契約という形で行われてきておるわけでございますので、そういう意味のものということで私ども理解をいたしておるということでございまして、個々の経営にわたります事柄につきまして、私どもとして個々の契約を把握し、出せという立場ではなかなかないということを申し上げておるわけでございます。
  89. 山田正彦

    山田(正)委員 いわゆる担保をとっておった、債権譲渡の担保をとっておったと言っていますが、私の内部資料から見ても、今言った、その農林中金の融資担当常務の本の中身からしても、担保らしい担保はとっていなかったと言っているわけで、とってあったのだったら堂々とそれを出して何が悪いんですか。大蔵は住専の貸出先リストまで出したじゃありませんか。  私が聞こうとしているのは、実は、いわゆる無担保・無審査でお金を出したんじゃないか。いわゆる八〇年十月十六日の通達に反しているんじゃないか。財務処理基準令に反しているんじゃないか。私の方ではこの審議をするに当たって、今言った、信連が住専に貸し出ししている一本一本の明細、それと、担保協定書があれば担保協定書、そして信連内部が、例えば五千万以上の貸し出しは理事会で審査するとか、そういうことで、そういう信連の内部審査基準、これをぜひ、この三つを資料要求いたします。委員長
  90. 上原康助

    上原委員長 一応、理事会で協議をさせていただきます。
  91. 山田正彦

    山田(正)委員 それで、次にお聞きいたしますが、私は、静岡信連の笹本さんに二回にわたっていろいろ事情をお聞きいたしました。  当時信連としては、どんどん貸し込み競争をする、その中で一体本当に貸した金が元本割れにならずに返ってくるかどうか随分心配して、そして全国信連協会の中で住専対策委員会というのを設けられた、そう笹本さんは話しておられました。そして、自分がその委員長として実はこの問題に取り組んできた、そうはっきり述べております。  それで、大変苦労なさって、森本修農林中金かつての理事長、その森本さんと一緒に、何としても母体行から元本保証をとろう、そう思って大変努力をなさった、そう聞いております。  時を同じくして、当時の加藤紘一官房長官、実は当時の小山審議官、福田総務課長、農林中金のかつての理事長の森本さん、それに私の調べたところでは、笹本さんはそれは否定しておりますが、笹本元専務理事、それから岡山、福島、長野各信連から交代で二名ずつ、これは勉強会を間違いなくやったようであります。そして、その中で最終的にあの覚書の中身というのは、森本修かつての農林中金の理事長が中心になつてつくられた、そう聞いております。  実は、このことでまだまだいろいろなことが出ております。実は、当時そういう中で加藤さんに対していわば森本さん、そしてまた今言った笹本さんという方が、何とか農協系の元本保証というものを母体行からとりたい、そういう陳情をしたのじゃないか。前回、私、予算委員会でそれに関連することを聞きまして、それからいろいろ調べてみましたが、大変関係者も今かたく口を封じております。しかし、私は、あるところからのお話、私の調査によれば、信連の当時の責任者加藤紘一自民党幹事長にはっきりそのお願いをし、そしてそれなりの効果を上げましたと言っております。笹本さんは否定しておりますが、柳沢伯夫さんまでは自分お願いした、そういう言い方をいたしております。  実は、時間が迫ってまいりました。いろいろ調べてみましたら、こういうことに関して前回の予算委員会で、一億円のお金を加藤自民党幹事長に渡されたんじゃないのか、ひとつその事情を経済局に調べていただきたい、そういうお話をいたしました。御回答を聞きたいところですが、時間が迫っておりますので、実は私の方でさらに調べましたら、いわゆる裏金のつくり方、信連がお金を住専に出す、住専がそのときに金利をもちろん信連に払うわけですが、いわばそれに上乗せの裏金利、バックマージン、これを出したという話がございます。いろいろな形で、いろいろとそういう話もありまして、ぜひこの問題もしっかり調べていただきたい。  時間がありませんので、このことについては次回また引き続きやらさせていただきたいと思います。
  92. 上原康助

    上原委員長 これにて山田君の質疑は終了いたしました。  次に、白川勝彦君。
  93. 白川勝彦

    白川委員 自由民主党の白川勝彦でございます。  私は、昭和五十四年十月に本院に議席を初めて得させていただきました。ことしで十七年になりますが、この十七年の間、私たちは暴力によって委員会を封鎖するなどということを考えたこともありませんし、そういう事態すらあるというようなこともお互い考えてみたことがなかったような気がいたします。抵抗政党と言われた社会党とか共産党もこういう挙には決して出なかったと思うわけでございますが、責任野党とみずから殊さらに自称する新進党が言う責任というのは一体どういう責任なのかなと、このピケ問題の間、二十二日間私はずっと考えてまいりました。  そして、今また責任野党の、この人が一番有能だというので選ばれるのでしょうか、私と同じ弁護士の、責任弁護士である人から、まず私自身に関して、全く身に覚えのない疑惑をこの予算委員会でかけられました。先週の水曜日のことであります。私自身テレビも見ていませんでしたので知りませんでしたが、同僚議員からそんなことを言われて、憤るというよりも何かキツネにつままれたという感じでございました。少し時間がたって、これはひどい話だな、私は本当にそう思いました。  今質問された山田正彦議員はどう言ったのか。資料七をごらんください。ちょっと順序が逆になりますが、資料七に、平成八年三月二十七日水曜日の本予算委員会の速報版を私は手にしまして、よく見ました。その三段目、一番下の一番最後でございますが、このように書いてあります。「その共和から、実は二十二億円という使途不明金があった、そのうち十三億円と、大変な金額のお金が政界工作用に使われておった。これは大変ゆゆしきことでありますが、この中で、調べてみますと、もう亡くなった本村参議院議員に七億一千七百十万円、白川勝彦議員に三千万円、当時支払われておった、そういう記載が残っております。」こう彼はここで明言をいたしているのでございます。  要するに、山田委員が言いたいのは、白川が株式会社共和から三千万円の全員を受け取っていた、そういうことを裏づける文書があるということを彼はこの権威ある委員会で言ったわけでございます。贈賄で起訴された役員のいる共和という会社から私が三千万円というお金を受け取ったということは、犯罪の嫌疑がかけられることでもあり、私にとっては、下手をすれば政治生命を断たれることにもなりかねない極めて重要な事実であります。  山田議員は、どのような文書のどのような記載に基づいてこのような断定をされたのか、少なくともそれを明示した上でこういう場では普通は指摘するものではないんでしょうか。私はそのことを強く、少なくとも私はそういうつもりでやってきたつもりであります。  私は、天地神明に誓ってそのような事実がないことを、ここに御参会の皆さんの前で二〇〇%の自信を持って申し上げます。どんな文書が出てきても動じません。仮にあったとしても、それは虚偽の文書でしかありません。しかし、そういう文書があるというのなら、どうかその文書を示していただきたい。そういう文書がないにもかかわらず、こういうことを議員たる者が議員に関して発言するということは、私は絶対に許すことができない。責任をとってもらいたいと思います。  なお、この点について、多分彼が言うことはわかっておりますので、もう一つたがをかけた上で最後に委員長お願いいたします。  私が共和関係者からいかなる名目においても三千万円を受け取ったということは二〇〇%ないことでありますから、そのような文書がないことは明らかでありますが、私が想像するに、彼は、平成四年六月十日の国際平和協力等に関する特別委員会の高沢寅男議員の発言録を読んでこのような発言をしたのではないかと思います。この高沢委員の発言は、ここにおられる上原委員長の関連質問としてなされたものでありますが、非常に級密な議論でしておりますが、そこにこういう一文がございます。  資料八をごらんいただきたいと思うのです。   この森口氏のリストには、加藤氏のほかに自民党の政治家の名前が何人か出ています。その中には既に亡くなった人もいます。現に生きている人もいます。それらの人も森口氏から金を受け取っておるということになっているわけでありますが、その中の一人である宮越という人物がこの中に、リストに出てくる。この人は、新潟四区で自民党候補として選挙に出て、前回の総選挙で落選した人です。この人が三千万受け取っておるのです。彼は三千万を受け取ったことを、この宮越氏は認めているのです。  私も確かに新潟四区で立候補し、この選挙では残念ながら落選をいたしましたが、ここだけ取り上げて白川勝彦というとしたならば、山田議員は、たかだかこのぐらいの文章を読み違えたということになるわけでございます。悪いけれども、この文章を読み違えたんだから勘弁してくれというのは、少なくとも私は事前に、言いわけにはならない、このことを申し上げた上で、どうか委員長において、この委員会で行われた、人を侮辱したことでも懲罰の対象になるわけでございます。これは侮辱よりも何十倍も罪の重いことだと思いますので、どうか委員長において、この件について適切な取り扱いをお願いしたいと思います。
  94. 上原康助

    上原委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をさせていただきます。
  95. 白川勝彦

    白川委員 どうかよろしくお願いいたします。  今も後半、山田議員の発言をずっと聞いていたのでございますが、随所に私の調査、私の調査というのが出てまいります。どういう機関をお持ちなのか知りませんが、きっと大変な調査能力をお持ちなんでしょう。私は一介の弁護士でございますから、そんな調査能力はありません。ただしかし、物を調査するときは、丹念に記録を当たり、一生懸命調べようという努力だけは、例えば細川さんの一億円疑惑を追及したときもやってきたつもりであります。  そういう目で見ますと、私は、山田議員のいわゆる加藤紘一議員の、我が党の幹事長に対する疑惑追及というのも随分乱暴な推論が多いなという気がいたします。今も触れておられた、後で言いたい、次回言うということなので、今度はこの私の批判に耐え得る質問をしてもらいたいと思うのでございますが、これは、まず彼はこういう発言をしております。平成八年二月二十六日、当委員会において、彼あるいは新進党の住専疑惑プロジェクトチームのやり方というか、グレードをちょっと触れてみたいもので、ちょっと長くなりますが、お許しをいただいて発言をさせていただきます。   それで、その前にもう一つだけ、委員長、もう一つ最後に、私の方で一つだけ調べていただきたいことがありまして、これを述べさせていただきたいと思います。   六千八百五十億という税金を国民が負担しなければいけない、こんなばかなことは絶対させるべきじゃない。ところが、このきっかけになつたのは、いわゆる平成五年二月の大蔵省と農水省の覚書だ、私はそう思っておりますが、当時の官邸、いわば加藤前官房長官加藤紘一さん、これが当時どのように動いたか、私どももいろいろ調べてみました。   その中で、まず考えられることは、平成四年の夏以降、いわば信連の関係者が四人から五人、加藤さんの大蔵省での銀行局との話し合いに参加しておられた、そう聞いております。その中で、信連は、当時の静岡信連の実は専務笹本健一さんという方がいらっしゃったようですが、その笹本健一さんが加藤さんに、いわば当時の官房長官に強く働きをかけた事実があったかどうか、農水省の経済局、これをぜひ調べていただきたい、そう思っておりますが、どうやらその静岡信連の笹本さんは、いわゆる信連で裏金利、裏金利のうち約一億以上の金を政治献金されたんじゃないかといううわさもございます。これはまさに、住専がこうなったこと、我々国民が負担しなければならなくなるんじゃないか、そういうことに根差す大変なことでありまして、私はこの辺の事実、これをぜひ明らかにしてもらいたい。ひとつ農水省に、ぜひ調査のほどをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。  ちょっとあっち行ったりこっち行ったりで何を言いたいのかわかりませんが、これが次の資料、資料十の新進党住専疑惑調査プロジェクトチームが平成八年三月二十一日、静岡県信用農業協同組合連合会会長鈴木脩造氏にあてた質問書の中では、さっきちょっと意味不明の文章がこういうふうに変わっているのでございます。一、二、三とある三項目でございます。「「貴信連の笹本元専務が、大蔵省の住専への第一次調査があった直後の九十二年後半の勉強会において、加藤紘一氏(現自民党幹事長)に一億円を献金した」との噂があると指摘をしました。」さっきの文章がこういうことを指摘したのかわかりませんが、こういうふうに変わっております。  そして、普通、調査というのは隠密裏にできるだけ信頼関係を持ってするものでございますけれども、次の新聞にあるように、テレビカメラ、大勢のマスコミを引き連れて、相手がいなかったようでございますが、この趣意書を置いてきたわけでございます。  そして、笹本さんにも会ったようでございますが、笹本氏は静岡新聞の質問に対して、   -一億円献金疑惑が出ているが。  「でっち上げ話で怒りを覚える。献金などまつたく考えたことがない。作り事にしてもひどすぎる」  -加藤幹事長には会ったことがあるのか。  「一度も会ったこともないし面識もない。加藤氏の勉強会に出席したこともない」こういうふうに明確に否定しているわけでございます。  調査もしないでさらに膨らませるのは別でございますが、調査に行って当事者がわざわざそう言っているのに、なぜか、新進党とは盟友関係にあるというか、一部は重なっているというような私は感じもいたしますが、その公明党の新聞というか公明の新聞、三日後の三月二十四日では、御案内のようにこういうふうになっているわけでございます。もう見てわかるとおり、静岡信連から一億円もらった、こういうある面ではだれが見ても、これは重大な疑惑があるというようにこれを見た人は普通思うのじゃないでしょうか。  もともと公明新聞はそんなに一般の人が見る新聞だとは思いませんが、それでも発行部数は八十万から百万ぐらいあると聞いております。これはひど過ぎる。幾ら何でもこれはひど過ぎる。新進党というのは疑惑というのをこんな手順でつくり上げるのですか。そうだとしたならば、これは少なくとも責任政党のやることではない、私はそう思います。  さてそこで、これと同じような問題、加藤幹事長に関する共和からの一千万円献金疑惑事件の追及の仕方、脱税事犯として告発したことへの法的問題点、一方では刑事告発をしながら、一方で証人喚問を要求するというこの法感覚、こういう点をいろいろ子細に検討すれば、同じようなことを私は論証できますが、時間がないので、まさに刑法にも抵触するようなおそれがあることを平気でやって、何でもいいから政党のイメージをぶつつぶせばいい、やっつければいいんだ、こういうやり方は、私は少なくとも議会の権威を高めるものにもならないと思うし、ひいては新進党のためにもならぬと思っております。  新進党の疑惑追及は政治的意図を持った党利党略と言いたい。私のことを含めて、そうとしか思えません。このことをあえて、私がここで言われたものでございますから、ここではっきりと申し述べさせていただく次第であります。やじがないので安心しております。  さてそれでは、きょう私が質問をしたい本論に入らせていただきます。私は、政教分離の問題をきょうはお尋ねしよう、こう思っております。  法制局長官もおられるようでございますが、いずれ多分、宗教特というのが衆議院でも設けられ、法制局長官の、あるいは法制局の従来の考え方、憲法二十条に関する考え方その他、じっくりと議論をさせていただきたいと存じております。  しかし、きょうはその時間もありませんし、こういう議論をする上で、どうしても私たちが抽象論ではなくて具体的なことを頭に入れて話をしなければ意味がないんだということを同僚議員並びに閣僚の皆様に御理解を賜りたいということで、具体的な問題を私はあえてさせていただきます。  住専問題、住専問題と言いますけれども住専も大きな問題でしょう。しかし、私は同時に、そう遠くないうちに、新しい選挙制度のもとにおいて日本政治の根本を問う選挙が行われる、そういう新しい選挙制度の中において、政教分離というものにきちっとした物の考え方をしていなければ、日本政治そのものがとんでもない方向に行くかもしれない、こういう考え方を持っているものであり、予算委員会でございますから、国政全般について当然議論してしかるべきなのでありますので、改めてこの点を議論させていただきます。  資料一を、総理並びに外務大臣、特にお目通しをいただきたいと存じます。  これはどういう文書か。私は、自分の言うことには責任を持ちたいと思いますので、これは、もちろん私がこんな原本をコピーしたものではありません。この文書がつくられたかどうかも私は知りません。私はこの文書を今どうして手にして皆様にお目にかけているかというと、こういう文書が、多分創価学会本部からだと思いますが、あるところにファクスされました。そして、あるところからまたあるところにファクスをされました。そのファクスをされた人がファクス原本を持っておりました。それを私に見せてくださいました。これはコピーしてよろしゅうございますかと言ったら、結構ですという了解を得てコピーしたものであります。  上に黒く書いてあるのは、ファクスが原本でございますから、何時何分、どこからどこにということが記載されております。もちろんこういうことがわかれば、その私に書類を見せてくださった方は大変な苦境に陥るだろう、時には大変な危害も考えられるわけでございますので、私の責任においてここは消させていただいたことをあらかじめお含みおきをいただきたいと存じます。  大変長い文書でございます、六ページ物でございます。中身は、何するかにするとか書いて大したことないのですが、これは、見てわかるとおり、一九八八年一月六日、創価学会事務総長から外務省の官房長あてに出された文書であります。  拝啓 新春の候、益々ご清祥のことと存じあげます。   さて、本年一月末より二月中旬にかけて、創価学会インタナショナル(SGI)会長・池田大作(創価学会名誉会長)一行が教育・文化交流のため、香港並びにアセアン三ケ国(タイ・マレーシア・シンガポール)を約二週間にわたり、下記の日程で訪問する予定です。   何卒宜しくお願い申しあげます。と書いてあります。  この程度なら私は何も問題がない話だと思います。ほとんど関係ないです。ずっと見て、一番最後を見てください。「四 その他」のところに実に極めて大事なことが書いてあります。ハでございます。「各国大使館、総領事館におかれましては入国、出国の際の空港内の特別通関等の便宜供与を宜しくお願い致します。」こう書いてあります。  私は、国会議員として、この十七年の間何度も国外に出させていただいておりますが、もちろん、私は語学も不得意だし、相手方の地理も不案内なので、外務省から便宜供与を受けていろいろなことをしていただいております。それは何も国会議員だけの特典ではないと思います。国家のため、あるいは民間交流の必要のためにいろいろな便宜を図ってあげること、そのこと自身私はしてはいかぬなどと言っているのじゃありませんが、少なくとも、便宜供与を受ける側が特別通関手配のほどよろしくお願いしますという、私は国会議員でもこんなことを希望したことがありません。  別に一私人だからして悪いということはありませんが、普通、お願いする立場の者が特別通関等をよろしくお願いしますというようなことは、少し穏やかな話ではないと私は思います。(発言する者あり)私も本当は大問題だと思いますが、そこは謙譲の美徳でひとつお許しをいただきたいと思います。  私は、創価学会池田大作氏は一体何様のつもりでこんな要求をしているのか、その常識、感覚を疑うものであります。これが第一点でございます。  そして、これが一回限りならこんな文書になるはずはないのですが、こういう文書をさらっと流すやり方は、私はこういうことを指摘していいのじゃないかと思うのです。こんな重大なことが極めて事務的に、当然のこととして書かれているという点に御注目をいただきたいのです。それは、このような便宜供与の要請が継続、反復して行われているのではないか、いたのではないかという疑いも出てくるということであります。そして、どこかできっと特別通関ということを経験してみて、あれはいいということで、今回も頼むよ、よろしくなという雰囲気のこれは少なくとも文書であります。特別の事情があってこういう便宜供与をお願いしたいといったぐいのお願い文書でないことはわかり切っているのではないでしょうか。  どうかひとつ、皆さん、この点を私が指摘した上で、後でまたゆっくりとお読みいただきたい。ほかにもいろいろ文書がありますが、最大の問題は私はここだと思います。文部大臣、そのうち説明が行きますから、よく聞いてください。  そこで、外務省の官房長、来ていますか。あなたにまずお聞きします。実は大臣にも、質問に立つ前に私は事前に打ち合わせしておりません。  まず、この文書、私は本当の文書があったかどうか知りませんよ、あったと思いますけれども。こういう文書が、一月六日でございますが、このころですね、前に出されることはないと思いますが、このころ創価学会から外務省の官房長あてに実物は渡ったのでしょうか。そして、渡った上で、今なおこの文書は外務省に保管されているのでしょうか。この点をお聞きしたいと思います。
  96. 原口幸市

    ○原口政府委員 突然の御質問でございますので慌てて調べてまいりましたが、当時、創価学会インタナショナルの御一行が今先生がおっしゃった地域を訪問されたという事実は確認しておりますが、今先生がお配りになった書類が、果たして本当にそのものずばりが私どもに来たかどうかについては、もうちょっと時間をいただいて確認させていただきたいと思います。
  97. 白川勝彦

    白川委員 正直申し上げまして、官房長の今の態度を私は批判するつもりはありません。外務省というところはちょっと特殊なところでございまして、このたぐいの話をするとすぐ漏れてしまう、こういうことが巷間言われておりますし、実は外務省の人自身から私はそういうことを言われて、こういうことを、これに関することを頼まれてもだめですと言われました。  ですから大臣、私は同じグループで政治活動をしてきた者でございますが、外務大臣にも官房長にも満座の前で、こういうものがあったかなかったか、こういうことを必ず調べてもらいたい。保管期間が何年かわかりませんが、この外務省の官房長は今なお御生存しておるわけでございますので、その方々に直接会うなりなんなりをして必ず確認をしていただきたい、こういうことも含めて私はお願いするんです。  もう一つお聞きします。  私は、こういう文書があるということは、この前にもその後にも、池田大作氏が海外に出張する場合に同様のことが外務省官房長あてになされるのではないか、こう思うわけでございますが、同趣旨の文書がこれ以外にも出されたことがあるのかないのか、そしてそれらのうち、外務省に現物があるかないか、それらを至急調べていただいて、そしてこの委員会に御報告をいただきたい、こう思います。
  98. 原口幸市

    ○原口政府委員 できるだけ早く調べて御報告したいと思います。
  99. 白川勝彦

    白川委員 調べて出していただけるということでございますので、どうかよろしくお願いいたします。ただし、はっきりここで申し上げますが、きょうから、秘密管理を含めて十分注意してやっていただきたいということを念のため申し添えます。  そこで、外務大臣にお聞きします。  日本の役所というのは、役所に限らず日本の組織というのは、こういう問題が起こったときにどういう行動をとってきたか。少なくともこういう文書が出されたこと、外務省もこれを受け取り、しかもこんなことが恒常的にあったとしたならば、これは創価学会にとっても大変なことでありますが、外務省にとってもかなり大きな問題になると言わざるを得ません。なるでしょう。そういう場合は、とかく役人はこういうのを隠ぺいしがちなんです。隠ぺいしてきたこともあったんじゃないでしょうか。エイズなどもそういう問題なのかもわかりませんが、そこは菅厚生大臣が文字どおりぴしっとされたわけでありまして、今や国民の英雄であります。橋本総理大臣の次は菅総理大臣、こんな声があるほどでございます。  どうか池田外務大臣、この問題はそのおそれもありますので、外務大臣の責任において、政治家としての責任において、そう難しいことじゃありませんので、きちっと事実が解明されることを望みます。お答えをいただきたいと思います。
  100. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど政府委員の方から御答弁を申し上げましたけれども、これは同様なものがあるのかどうなのかという点についてはまだわからないということでございますので、調査の上、書類の有無を調べ、そして文書管理規程その他に照らして、御提出申し上げられるものならば御提出させていただきたい、こう考える次第でございます。  なお、そういった書類の問題とは別に、仮にこのような便宜供与の依頼があったとしても、それに対してどういうふうに対応したかということはまた別の話だということは御理解いただきたいと存じます。  それから、もう一点申し上げますが、ただいま委員の御質問の中で、外務省は特殊である、あるいは生存しておられるんだから、こういうお言葉がございましたけれども、これはやはり、言葉を非常に大切にされる白川委員のお立場から御配慮賜りたい、このように存じます。
  101. 白川勝彦

    白川委員 いらっしゃるという意味で私は言ったわけで、亡くなられたという意味じゃないという意味で言ったのでございますが、言葉に適切を欠くところがあったらおわびを申し上げます。  特殊なところというのは、私は不穏当だとは思っておりません。こういうたぐいの問題を、外務省、ちょっといろいろ聞きたいんだが、こう言われたときに、うちはそういうことを言われると困るんです、特殊な組織があって、こういう情報は全部創価学会に漏れるので御勘弁をいただきたいということを私は外務省のキャリアから、現に一人だけでなくて何人にも聞いております。  だから、私はこの質問をするときに、多分いろいろなことがあり、そして私が池田外務大臣と近い関係にあるから何とか取り下げていただけないだろうかという、こんなことにもなると私もつらい立場になるので、あえて非礼を省みず、きょうのこれまであえて言わなかったという、ここはどうかひとつ、全閣僚の皆さんあるいは議員の皆さん、私が好きこのんでこんな不意打ちの質問をしたのではないということだけは御理解を賜りたいと存じます。  さて、時間もありませんので、一つだけ、官房長はいつ就任されましたか。そして、あなたの在任中はこの種の文書はなかったですか。
  102. 原口幸市

    ○原口政府委員 私は、本年の一月五日に辞令を受けまして、それ以降、私が承知している限りこの種の……
  103. 白川勝彦

    白川委員 いや、出てないんだから、ないよ。  それでは、二番目の問題に入りたいと存じます。  資料二を見ていただきたいのでございます。  これは、御存じの方も多いと思いますが、月刊「潮」の平成七年十月号からの抜粋でございます。前後二枚のものでございます。大蔵文人さんという人の、「元恐喝男・山崎正友の仕掛けに踊る自民党議員のお粗末。」こういう表題の文書でございます。まあ、読んでもいいのですが、そのお粗末な自民党代議士の一人に私が入ることは当然でございます。あと、川崎二郎代議士も、どうもこのお粗末な自民党代議士の中に入っているようでございます。それから、最後の方を見ますと、島村文部大臣も、どうもこのお粗末な議員の中に入れられたようでありますが、この文章は大した意味のない、全くの雑文でございます。  ただ、非常に意味あること、非常に大事な意味を持っているのは、この見出しの下の写真でございます。  ここにもぶおとこな私が写っていてまことに申しわけないのですが、よく目を凝らしていただきたいと思うのでございます。平成六年九月二十七日、都内のホテルでこれを撮った、そしてその写真が載せられております。この文章というか、この写真でありますが、こういう事実はありました。私はこんなこと否定しません。  どういう会かというと、ここに書いてあるとおり、平成六年の九月二十七日昼ごろに、赤坂プリンスホテル四十階のブルーガーデニアというところの個室で食事をしながら私は事情を聞きました。  どういうことを聞いたかというと、当時、亀井静香氏が運輸大臣をやっていた関係で、私が憲法二十条を考える会の会長の代行をいたしておりましたので、創価学会が、創価学会脱会者などに対して暴行とかおどしとか嫌がらせとか、その他の犯罪行為まがいのことをいろいろやっているというふうに報道でも接しますし、またいろいろなところで聞くものでございますから、その実態をこういう問題に詳しいと思われる三人に、ある代議士を通じて紹介してもらい、事情を聞くためでございました。この日の会合は、私自身が忙しかったために一時間くらいで終わったように記憶をいたしますが、その会合を終えて出たところを撮った写真と思われます。  だれが撮ったかということが問題なのであります。もちろん私が撮れるわけがございません。私たちの秘書や仲間が撮るはずもございませんし、撮ったとして大蔵さんにやるわけがございませんので、この大蔵文人氏御本人かあるいはそのお仲間かという感じだという気がいたします。  あえて二枚目を見てもらいたいと思うのですが、この拡大したものの写真をよく見てもらいたいのですが、二枚の写真とも下の方にちょっと光るようなものが写っております。これは多分コップのような気がいたします、コップ。だから普通のカメラで普通に私たちを撮ったのではなくて、スパイもどきの隠しカメラ的なものをもって撮ったものだから、こんな邪魔なものまで一緒に撮れたのじゃないかというふうに推測されます。  私も現地に行きまして、どこから撮ると現地の状況から見てこういう写真になるのかなと思って、見取り図を書いていろいろ調べてみましたら、このフロア全体がブルーガーデニアというところでございますが、会議室というのはぐっと奥にあるのですが、その奥のかなり手前のところの、いわゆる客席ですね、一番手前の客席でないと、どうもこのアングルの写真は撮れないようでございます。ですから、たまたま通りかかった人が隠しカメラ的なもので撮るというのは不自然でございます。  この後が大事なんでございます。ということは、私も憲法二十条を考える会の会長代行として、政教分離の問題を強く言う方でございました。山崎氏やあるいは乙骨氏や段氏は、いわゆる創価学会問題について批判的な立場で言論を展開している人でございます。  ですから、この四人全部の尾行をしている人だとは思いませんが、私か山崎氏か乙骨氏か段氏かのどなたかを常時尾行していた人が、たまたまこの四人がこの階に入るとき、そこについてきて、四人が入った、彼らが出るところを写真に撮ればこれは何か手柄にでもなるのじゃないかと思って撮った、こういう写真なのではないかと私は思います。それ以外、多分こんな私たちの写真を撮っても何の役にも立たないのですから、こんな写真を撮る人はいないと思うわけでございます。  写真を撮ること自体、私は犯罪にはなると思いません。犯罪にはなると思いませんが、自分にとって好ましくない人、敵対している人を常時尾行する、追いかけ回す、見張るというような行為は、日本国の何らかの法律に、刑罰を伴う法律に違反するのかしないのか、法務大臣もしくは国家公安委員長にお聞きしたい。仮にそういうものに抵触しないとしても、これは少なくとも人権侵害であることは間違いないのじゃないかと思いますので、法務大臣に御答弁お願いいたします。
  104. 原田明夫

    原田政府委員 突然の御質問で、大変申しわけございませんが、私の方からかわりまして御答弁させていただきます。  ただいまの写真撮影をめぐるさまざまな状況でございますが、これは委員御承知のとおり、やはり具体的な事実関係に基づきませんと、直ちに何らかの犯罪を構成する、あるいは何らかの法的な問題を生ずるという面につきましては申し上げることはできないだろうと存じますので、その点、御容赦を願いたいと存じます。
  105. 白川勝彦

    白川委員 質問を聞いていないのなら質問を聞いていないと言えばいいのですよ。私は、写真を撮ったことがどうかということなんて聞いていないのですよ。そのように、みずからの敵対者あるいはいろいろな面で反目している人を二十四時間尾行したり、家の周りを見張ったりすることは何らかの刑罰法規に違反をしないのかということを言ったのであって、わからないならわからないで、後でよく勉強して答えたいというなら答えるで結構なのです。私は、写真を撮ったことなんて聞いていないのですよ。
  106. 原田明夫

    原田政府委員 御答弁に不行き届きがあって申しわけございませんでした。  そのような具体的な実情につきましてどういう状況になるかという点は一般的には申し上げられないわけでございますけれども、そのような問題について基本的にどういうことがあり得るかという点については、研究してみたいと存じます。
  107. 白川勝彦

    白川委員 さて、人権侵害の点、法務大臣、この点はどうでしょうか。
  108. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 お答えをさせていただきます。  今お話のありました状況につきまして、委員が大変不愉快に思われたという御心情については、私も大変同感をするものでございます。人権問題というのは、それぞれの方が、やはりその生活を脅かされない、不愉快に思うような出来事については当然の権利としてやはり是正を求めていくという、それぞれの個人のプライバシーを尊重した、そういう立場からスタートするものであると思います。  人権問題に当たるかということになりますと、先生の今のお気持ちは、広い意味ではそういうおそれが十分にあるのではないかというふうに考えます。
  109. 白川勝彦

    白川委員 文部大臣にお聞きします。  私は、そのときも聞いたのです、山崎氏、乙骨氏、段氏からも。私たちにはほとんど四六時中尾行がついております、こういうことをそのときも聞いて、そんなこと言ったって、暇なのじゃないのだから、特別の部隊でもなければそんな三百六十五日朝から晩まで張れるものじゃありません。しかし、たまたまその日の会合でこうだったんだから、彼らの言うこともああ事実なのかなと私自身が実はびっくりしたのです。  それで、さっき言ったとおり、普通の撮り方じゃない、隠し撮り的なカメラみたいなのを持っているというのは、これは遊びじゃできることじゃないですよ。きっと私は、組織的に相当の人たちが何らかの目的、指令を受けてやっているのじゃないかという推測をするのですが、仮に、もしある宗教団体が、みずからの組織にとって好ましからざる人物を組織的に尾行をしたり、時には嫌がらせをしたりというようなことに組織的に及ぶとしたならば、これは、他人の信教の自由を守るという義務もある宗教団体、宗教法人にとって好ましいことなんでしょうかね、それとも非難さるべきことなんでしょうかね。これらについて、宗教法人問題に大変お詳しい奥田文部大臣にお聞きしたいと思います。
  110. 奥田幹生

    ○奥田国務大臣 宗教団体でありましても、あるいは個人でありましても、他人の信教の自由を侵害することは、これは許されないことでございまして、このことは宗教法人法の八十六条にきちんと規定をされております。  それで、もしそういうような事実がございました場合には、やはり刑法その他の法律によって適切に私は対処されるべきものと考えております。
  111. 白川勝彦

    白川委員 それでは、この不細工な顔が、私の顔が写っている問題は終わりにしまして、残りの時間で、昨年の十二月四日の参議院の宗教特における秋谷参考人の質問について若干私は触れてみ、本当にこの秋谷参考人の陳述は信頼できるのだろうかな、信じていいのだろうかなという疑問を呈してみたいと存じます。  いろいろなことを述べておりますが、創価学会の選挙とのかかわり方について、秋谷参考人は次のように述べております。「選挙の支援活動は限られた期間での部分的活動にすぎないことを申し上げておきます。」あるいはまた別のところでは、「私どものそれぞれの県ないし方面のレベルで支持決定をしたというような形の支援活動につきましては、これはそのごく限られた、限定された一部の活動であって、一時期集中的に行われることがあるように見えますけれども、そのときでも、実際に宗教活動を一切やめて、それだけに専念しているわけではございません。」要するに、創価学会は選挙運動、政治活動をしないわけじゃないけれども、そんなものは、ほんの取るに足らない、ほかの宗教団体がやっていると同じようなたぐいの程度なんですよということを殊さらに強調されたような趣旨が全発言で共通しているような気がいたします。  そこで私は、本当にそうなのだろうか、こういう文書があってもそうなのだろうかという意味で出させていただいたのが、資料三と資料四でございます。  これは資料三並びに資料四も出所を、どうして私がこういうものを手にしているかを、まず私は説明すべきだろうと思っております。この二つとも創価学会のかなりハイレベルの方から現物を見させていただいて、それをコピーさせていただいて私が持っているものでございます。  この方が、少なくとも政教分離問題で時には創価学会を非難する発言もしておる私にゆだねたゆえんは、この人自身はまだ熱心な創価学会の会員でございます。役員でございます。しかし、現在の政教一致の姿は、これは創価学会そのものにとっても不幸だ。政教分離をきちんとさせてほしい。あなたはこんなことを研究しているようだから、どうか見ていただきたいということで私が預からせていただいて、コピーして、ほとんどコピーも原本も変わりありませんので、原本はお返しして、コピーを私がここで持っているところでございます。  資料三が創価学会の内部資料でございます。資料四は公明党の内部文書でございます。  資料三について、長いので後でよく見ていただいて、またお互いに考えてみたいと思うのですが、「(衆)支援活動の基本思想」「(衆)」というのは衆議院選挙支援活動の基本思想ということであります。いろいろありますが、「今回の戦いは、」となっておりますこの「今回の戦いは、」というのは、第三十九回、実際には平成二年の二月十八日に施行された衆議院選挙のことを指しております。前後を見ればわかります。  「基調」の1の「常勝新世紀開く初戦」のところの   今回の戦いは、〝広布の心臓部〟関西にとって、二十一世紀-新世紀に向けて船出する法戦となる。法の戦いだと言っております。  「〝広布の心臓部〟」というのは、私も必ずしも専門じゃないのですが、いろいろな話を聞きますと、「広布」というのはいわゆる宗教活動の分野だと思うわけでございます。そういうのでも関西は非常に強いのでございますが、そういう「〝広布の心臓部〟関西」という、こういう言い方をしているわけでございます。広宣流布などの「広布」でございます。  2が私は非常に重大なことを言っていると思うのでございます。「各人が大成長できる信心の戦い」、衆議院選挙を支援するというのが信心の戦いだ、こう言っております。   関西同志の一人ひとりにあって、今回の戦いは、自身の広布史、また信仰の歩みに大きく輝く〝黄金の法戦〟としていきたい。それは、縁深きこの関西の地で自らの宿命転換、人間革命の実証を示し、〝信仰の歓び〟、〝確かな人生〟を一人ひとりが勝ち取る戦いである。そして、そのこと自体が、社会に信仰勝利の旗を高く掲げる偉大なる広布推進の戦いとなる。   この戦いを通し、一人ひとりが、学会精神溢れる常勝の本物の弟子として、筋金入りの人材と育つべく、勇猛果敢な戦いを展開していきたい。政治と宗教、信仰が完全に一体になっていなければこんな文書は書けないのじゃないか、こう思います。  二枚目に移りまして、支援活動の具体的な取り組みということで、「支援長の設置」とか「週間リズムをつくる」とか、いろいろ書いてあります。  「週間リズム」というのは、次のペーパーにも出てきますが、要するに、急にはだめだから徐々にリズムをつくっていくのだということで、  3.週間リズム   会合を極力少なくし、全幹部が日常的に第一線に入れるようにするという考え方から、以下のパターンを参考に、各組織で週間リズムをつくる。月曜日はB協議会、火から木はB活動、木から金は地区もしくは支部でのB長・B担の会議。一番大きいのが支部のようでございます。その下が地区。その下がブロックで、ブロックは、十ないし十五ぐらいの世帯が集まった単位をブロックと称するようであります。B長というのは、そのブロックの中の男の方の長、B担というのが、御婦人の方のキャップをB担というのだそうであります。  ここまではまあいいのですが、特に私は最後の手書きのところが非常に大事だと思っております。これは平成元年の十一月中旬ごろ書かれた文書でございますが、あのころ、大体、私も現職でございましたので、まあ年明けだろうと言われておりました。だから、年内は隔週のリズムでいいから通常の報告をとるよ。第一回は十二月二十一日、第二回は一月十一日だ。「SH企画室へPM七・〇〇」と書いてありますが、どういう意味かと思って関係者に聞きましたら、創価学会本部企画室へ報告をしなさいという意味なんだそうでございます。出すべき台帳はぴしっと全国的に統一されたものがあるようでございます。  そして、一番最後の「基本実態は、十二月三日(日)にSH企画室へ」、これは、いよいよ活動するが、今あるデータをまずぶつ込め、出しなさいということなんだそうでございます。それから、今言ったような報告をどんどん受けていって、コンピューターでシミュレーションをして、ここはいいとか悪いとか、こういうことで判定をし、この判定たるや、下手なところの世論調査よりも当たると言われている、そういうことであります。  問題は、各ブロックごとがやっているんじゃない、すべてのデータがSH企画室、創価学会本部のコンピューターに集計されるんだということをこの資料は物語っているんだということの、私は動かない物証じゃないかなと思っています。それを部分的な、まあボランティアである活動だというのは、秋谷さんの証言は到底私はうなずけないものがあるような気がいたします。  最後に、三枚目も極めて大事であります。  この三枚目の中段ぐらいに「聖教拡大運動で築いた成果を存分に生かしながら、今再びの関西完全勝利を目指して驀進したい。」要するに、これからいよいよ衆議院の支援活動をやるという前に、聖教拡大運動、これは一見は宗教活動そのもののように見えますが、それを受けて今度はまた政治活動に入るんだと一貫しているというところを見逃してはならないというような気がいたします。選挙の約三カ月前でございます、十一月二十一日というと。そのころから下に書いてあるようないろいろな活動を徹底しているというのは、私たち、本来衆議院選挙のためにつくられた衆議院後援会でもここまでは思うように動いていないのではないかなという気がいたします。  さて、資料四でございますが、時間がなくなりますので、このポイントは、まず候補の基本的な動きはこうですよ、これは公明党が候補に指示するのは私は構わないと思います。特に問題なのは、「国会報告会・活動者会について(案)」というところの方のページでございますが、「(2)(婦)活動者会について〈※S行事〉」とある。「(5)ワークミセス・(壮)活動者会について〈※S行事〉」とある。このS行事を、昼は少なくても必ずやりなさい、夜はもし国会報告会とか語る会がないときは必ずこれをやりなさい、こういうふうに指導している。  公明党、創価学会というのが文字どおり不即不離の形で、昼間はもう創価学会のこの婦人部活動者会議を必ずやりなさいというふうなことをある面では指導している文書であり、不即不離なのではないかな、そんなようなところがポイントだというような気がいたします。  時間がなくなりましたので、資料五、これは週刊新潮平成八年二月八日号からの抜粋であります。「公明議員「高田明」が告発した「政教分離」の真相」という非常に長文の手記でございます。実に具体的に生々しく書いてあります。引用すると長くなりますので、明らかに彼が言わんとすることは、政教分離などしていないということをここに連綿とつづっております。  資料六は、私は池田大作にレイプされたという衝撃の告白を週刊新潮でした信平信子さんの手記の中の選挙に関する部分があるので、これもここに出させていただいた次第でございます。  時間がないので、特にポイントのところをお読みしたいんですが、私はちょっと省略をさせていただきます。  以上、私が述べたように、秋谷参考人、創価学会の会長は、創価学会は選挙運動をやらぬわけじゃない、しかしほんの一部だ、こういうふうに言われてきたわけでございますけれども、今私が四点挙げた資料によれば、少なくとも秋谷さんの信用は、そのままはどうしても信用できない。むしろ逆のこと、うそのことを言っているんではないか。先ほど、うそ、うそと山田議員は言っておりましたけれども、うそのことを言っている疑いすらあるような気がいたします。  かくなる上は、私は、やはり創価学会の、何といってもあらゆる意味での実務的と同時に、最高 の、精神的な面も含めての具体的な実力者であり、指導者である池田大作名誉会長から、証人として来ていただいて、うそが言えないように証人として来ていただいて、今私が具体的な事実をもって明らかにしたこういう問題について御証言をいただくことは、今、日本政治にとって極めて大事なことではないだろうかと私は存じます。  なお、その傍証として、今私が申し上げた批判者や敵対者に対して、組織ぐるみの威嚇行為をしているかもわからないというようなことをほのめかすあるいは立証するようなこの「潮」の大蔵文人さんの文章があるわけでございますが、この人、多分仮名だと思います。この人がどなたで、むしろこの人からいろいろ聞いて、どういう経過でこの写真をだれが撮ったのかを含めて立証してもらうために、「潮」編集人の西原賢太郎さんもぜひ来ていただきたいなと思います。あわせて、今私が述べて、ほとんど時間がなくて読めませんでしたが、板橋区の公明党の区議会議員である高田明氏、そして函館市在住だと思いますが、信平信子氏、都合四人の証人喚問をぜひすべきである、していただきたいと強く要求するものであります。どうか委員長においてよろしくお取り計らいのほどをお願いします。
  112. 上原康助

    上原委員長 証人喚問の件につきましては、理事会で協議をいたします。
  113. 白川勝彦

    白川委員 ちょっと私の方の話が長くなりましたが、最後になりますが、政教分離という問題を二年近く勉強する期間があって、私は、最初のうちは明らかに宗教団体に対して国家権力が弾圧するようなことがないようにということでつくられた規定が多いと思います、日本においては。しかし、今そうではなくて、強力な宗教団体が政治権力そのものを壟断ずるかもわからないという、こういう事態は想像もしなかったんだけれども、今これが大きな問題なのではないだろうか、こんなことに危惧を持っている人は多いような気がいたします。  また、TBSの問題も郵政大臣に聞きたかったんですが、御勘弁ください。第四権力と今や言われているマスコミ、昔の小さな発行部数の少ない個人でやっているような新聞のとき、これを弾圧してはならないという思想がずっとあったわけでございますが、我々政治家も、マスコミに逆キャンペーンを仮に張られたらほぼ選挙では落ちるというようなとき、政党ですらそういうときに、もちろんマスコミの自由は守らなければならないけれども、マスコミの力というのが極めて大きい時代となって、下手をすると、マスコミ自身が政治権力、行政権力でも左右できるような力も持ってきた中で、マスコミが自律自助をしなければいけない。自律、みずからを正しく律しないと世の中おかしくなるんじゃないかということを言う人もいるわけですが、そんな問題を実はマスコミ全体に考えてもらいたいという一つの私は具体的な事件だったような気がいたします。  この点につきまして、簡単で結構でございますので、総理並びに郵政大臣の御意見をお聞きして、私の質問を終わります。
  114. 日野市朗

    ○日野国務大臣 今先生からお示しをいただきました御見解、まことに正鵠を射たものと考えております。  私の方も、監督官庁といたしましては、きちんとした事実をきちんと調べまして、そして法令に照らすという形で進めてまいりたい、このように考えております。事実を調査しそして我々の考え方を固めるということについては厳正に取り組んでまいりたいと、こう思っております。
  115. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、報道の自由というのは、やはり国が自由であり続けるためにも極めて大事な権利だと思います。それだけに、それを行使される立場の方々にみずからを十分律するだけの姿勢を持っていただきたいと思っております。  具体的に、今郵政大臣が郵政省としての立場での調査の話もされましたので、私はあえて一般論のみをお答えし、その調査の結果を待ちたいと思います。
  116. 白川勝彦

    白川委員 終わります。
  117. 上原康助

    上原委員長 これにて白川君の質疑は終了いたしました。  次に、田中昭一君。
  118. 田中昭一

    田中(昭)委員 社民党の田中でございます。  昼から眠気を覚ますような質疑が続いておりますが、私は極めてオーソドックスに、できれば三点、時間がなければ二つになると思いますが、住専にかかわる問題と、それから沖縄の問題について政府の御見解をいただくように質疑をさせていただきたいと思っております。  まず第一は、何と申し上げましても、景気がやや上向きになってきたとはいいますけれども、これは本格的なものではない。これは完全失業率などを見ても必ずしもきちんとしたものではないと思っておりまして、そういう全体的な状況の中では予算の成立をやはり早くしなければいけない、これは国民皆さんが大きく期待をしているところだろうと思います。  長い間、残念ながらこの予算委員会で本格予算審議ができずに、暫定予算ができ上がっておりますが、暫定予算ができ上がったからといって、いつまでも本格予算を成立させないということでは困るということは当然のことであると思います。そういう意味では、今後早急に予算を成立をさせまして、特に住専処理機構の設立などについてはやはり急がなければいけない点がたくさんあると思います。そういう意味では、与野党を問わず、この予算委員会で積極的な議論をすることが極めて重要であるということをまず前提として申し上げたいと思います。  私は、住専に関連いたしまして、三点ほど政府の見解をお聞きをしたいと思います。  その第一は、政府は、政府が自信を持って提起をしているこの処理案について必ずしもスムーズに議論ができていないわけであります。このことを心配をいたしまして、与党は御承知のとおり三月四日に、「住専問題に関する新たな措置について」、副題としては「平成八年度予算案衆議院通過にあたってさらに国民理解を求めるために」ということで、七点について提言をいたしておるわけであります。私は、この与党の提言について、やはり政府はこれをきちんと受けとめて、これを踏まえて早急にこの問題の解決に努力をしていただきたいという立場から、この提言について政府はどう受けとめておるのかという点について、まず第一点としてお聞きをしたいと思います。  しかし、七点についていろいろ御意見をお伺いする時間がございませんから、二つの点について、特に政府の決意などをお聞きをしたいと思っております。  その第一でありますが、私も地元などで私たちの考え方についていろいろ説明をしながら御意見などもお伺いをいたしておりますが、特に国民皆さん方が言うのは、やはり一つは、責任の明確化と徹底的な追及、それから回収体制の強化の問題ですね。金を借りて払わない、国民はローンで苦しんでいる、しかし借りて返さないやつが大変豪華な生活をしているとか、あるいは放漫な経営を勝手にやっておいてそこになぜ我々の血税をつぎ込まなければいけないのか、こういうような素朴な意見がたくさんございます。そういう意味では、私はやはり責任追及を徹底的にやるという態度をもう少しきちんと明確にすることが必要ではないか。それから回収体制の強化についても、国民皆さん方は一体できるのかなという疑問をお持ちだろうと思います。  例えばアメリカの貯蓄貸付組合、いわゆるSアンドしの場合、公的資金を円換算でおおむね九兆円使ったと聞いております。RTC、アメリカ整理信託公社は四十六兆円の資産を引き継いで、四十五兆を処分をして、回収した金額は三十九兆、回収率は八七%だ、こう聞いております。それから破産責任を問われた経営者などについては、千五百七十七人から事情聴取などを行っておりまして、判決総数に占める有罪率というのは九〇%、千七十二名が拘留されている、こういう実態が明らかにされておるわけであります。  したがって、我が国においても、住専処理機構をつくってどの程度の回収が可能であるのか、それから悪いことをしたやつがどれぐらい責任を追及されて、刑事的にも民事的にもきちんとした処理ができるのか、こういう点については政府はもっときちんとした、整然とした態度を国民皆さん方に明らかにすることが必要ではないかな、こう思っておりますが、この点について改めて大蔵大臣の決意などをお聞きをしたいと思います。
  119. 久保亘

    ○久保国務大臣 最初に御意見としてお話がございました平成八年度の予算の早期成立につきましては、今、暫定予算五十日をお決めいただきまして執行中でございますが、一日も早く暫定予算がその役割を終えて本予算の執行に入れるよう、皆様方の御協力を心からお願いを申し上げる次第でございます。  なお、住専問題の処理につきましては、与党三党でお話しのように七項目にわたります新たな措置についての取りまとめが行われ、そしてその第七項につきましては銀行協会との話も行われたのでございますし、また系統金融機関との間にも協議が行われ、これらの合意を得たものとして、私どもはこの七項目にわたります新たな措置についての与党の御決定を重く受けとめて、ちょうだいをいたしております。  この措置につきましては、私どもとしても、既に決定をいたしております、一つは情報の積極的な開示、二番目には強力な債権の回収、そして責任の明確化と徹底した追及、この住専問題の処理を国会に方策として御提案を申し上げますに当たりまして、関係閣僚会議において申し合わせ、閣議の御了承も得ております内容につきましては、全力を挙げて取り組んでまいらなければならないと思っております。  ただいま御指摘がございましたように、今日のこの深刻な事態を招いたことに対する責任は、今後回収が進められます段階においても明確に追及をしていかなければならない問題だと思いますし、回収につきましては、特にお話がございましたように、債務者が財産を隠したり分散したりしているようなものにつきましては、法律をもって厳重にこれらの問題には対処しなければならないと考えております。そのためにも、速やかに住専処理の法案と予算を御決定いただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。
  120. 田中昭一

    田中(昭)委員 今大蔵大臣から御決意、お考え方についてお聞きをしたわけです。この中で触れられましたけれども、第七項めに、金融機関と農協系統の新たな寄与についてという提起がございます。これが私は具体的な提起だと思っております。これについてはマスコミなどでは必ずしも評判がよくありません。しかし、民間金融機関が今後七年間で一兆五千億の合理化あるいは効率化を行う、そして五千億円程度を寄与する、そういう努力をする。同じように、農協系も七年間でおおむね六千億ないし七千億のリストラをやって千八百億程度、これを税金で払う、そういう提起だと思っております。  これがいいか悪いかはいろいろ論評がございますが、しかしいずれにしましても、何らかの形をつくらなければこの住専問題というのは片づかないわけでありまして、そういうことを考えた場合に、やはり母体行がさらに努力をしていただくということと、一般行と系統系がさらに協力をしていただく、こういうことが、抽象的でありますけれども、この問題を最終的に解決の道へ導く一つのやはりポイントになるのじゃないかな、こういうふうに思います。  したがって、今申し上げましたような七年間のリストラで税金を払うということがいいのか悪いのかは別にして、やはり母体行の努力と一般行とそれから系統系の協力、これを基本にしてこの問題の一つの解決のかぎを解く必要があるのではないかな、こういうふうに思いますが、この点についていかがですか。
  121. 久保亘

    ○久保国務大臣 今後も私どもは、六千八百五十億のいわゆる財政支出はやむを得ないものだということで、それを使い切ればいい、こういうことではなくて、結果的に景気の回復による税収の増加、それから六兆四千百億の内側に及んでこられるような強力な回収、また、法的に母体行に責任をさらに負担の上で課すということが今は大変難しい状況にございますが、法的な問題だけではなく、金融機関の社会的な責任、今回の住専問題に対する道義的責任等も含めて、さらに負担をしてもらえないかということについては今も努力を続けております。  これらの問題を通じて、六千八百五十億円が、最終的にはそのことによって住専問題が早期に処理され、そして回収が国庫に及ぶ、国庫に返還される結果になるということを私どもとしては目標にしながら、今お話がありましたように力を尽くしてまいりたいと考えております。
  122. 田中昭一

    田中(昭)委員 さらに努力をいただきたいと思います。  私はもう一つ二つ目に、野党の皆さん方からもいろいろ御意見の提起がございます。特に、新進党から七項目にわたって基本的な考え方というものが示されております。この中で、私たちはそういう地元のいろいろな勉強会などでもこれらの問題点などについてもいろいろ議論をしてきているわけですが、時間もございませんが、私は三つの問題について政府の見解をお聞きしたい、こう思っております。  その一つは、法的処理を行うということは以前からいろいろお訴えになっていることでございますが、会社更生法の適用による解決というものが提起をされている、こう思っております。この会社更生法の適用について、私は法律の専門家ではございませんが、いろいろそれなりに勉強したわけですが、まず一つは、会社更生法の更生手続の開始がこの住専の場合には可能なのかどうなのか。これは再建とか更生の見込みがある場合に限ってやられると思うのですけれども、そういう点について、一体どういうことなのか。  それから、更生法の二百五条でいきますと、更生計画案というものをつくらなければならないことになっておりますが、この場合、更生債権者の三分の二以上の同意が必要だ、こういうことになっておりますね。そうしますと、この問題の解決については、例えば母体行、一般行、銀行と系統系の話し合いがかなりポイントになる。こういう場合に、この中で系統系と銀行系の合意を得ることができて、更生債権者の三分の二の賛同を得ることが可能なのかどうなのか。こういう問題もございます。  それから、言われるように、短期間での処理が可能だということを言っておられるのですが、私どもは、例えば母体行と系統系の調整の問題や、債権者は更生手続が終了するまでは放棄する必要のない債権回収もできないという問題などがいろいろひっかかるような気がいたしまして、そういう意味では、短期間に処理が可能なのかどうなのかという疑問がございます。この点は、法律的な問題ですけれども、一体政府としてはどういうふうにお考えになっているかというのが一つ。  それから二つ目は、日本版のRTCを設置をして強い権限で回収をやる、責任追及を徹底する、こういう訴えでございます。政府案の場合には民間の会社の住専処理機構をつくる。こういう関係になっておるわけでありますが、むしろ税金、公的資金を導入するがゆえに、例えば検察とか裁判所とかそういう国の機関の協力を得ることができるのであって、一般的な法的処理の場合には、住専というのは単なる民間の会社でありますから、なかなか協力は得られにくくなるのではないかというふうに私は思うのですけれども、そこらの問題などについて政府の見解をやはりもう少し明らかにした方がいいのではないかな、そういうふうに思います。  それから三つ目の問題、これも簡単に申し上げますけれども、いわゆる系統系の経営に配慮をしまして、農林中金などに日銀の融資を政府保証で行う、こういう提起もございます。私どもとしては、農林系統系に日銀から融資をして、政府が保証して融資をするというような処理の仕方だということになれば、我々が政府から受けている処理とそう変わらなくなるのじゃないかなという疑問も出ます、どこが違うのですかという質問ども出てまいります。こういう点などは、野党から提起をされておる問題ですから、やはり地元に行きますとそういういろいろな質問がございます。  今私は簡単に三つのことを申し上げましたけれども、こういう問題について政府としてはどういうふうにお考えになっておるのか。この点は、やはりせっかく出されてきておる対案でありますから、明確にしておいた方がいいのではないかな、こう思いますから、簡単に御回答いただきたいと思います。
  123. 久保亘

    ○久保国務大臣 今、田中さんの方から対案というお話がございますけれども、私どもは、まだ今はこの委員会において御論議をいただいております正式な案は政府案のみである、こう思っておりまして、この委員会に対案が提出されている段階ではないのではないか、こう思っております。ただ、政府案に対する、これに対抗するよりよい考え方だという立場からの御意見は示されておることを十分承知をいたしております。  今その問題についてお触れになったと思いますが、一つは会社更生法の手続をとるということについてでございますが、会社更生法の三十八条には、再建の見込みがなければ裁判所としては更生の手続を棄却しなければならないという定めもございます。  さらに、今この住専七社のうち、上場企業でございます日住金と第一住金は、去る三月二十六日に第二次再建計画を断念し、整理、清算の方向に入ることを役員会において決定をしたと報告を受けております。再建の見込みがあるということが会社更生手続をとることの条件でありますから、大変難しいのではないかと考えております。  さらに、会社更生法でやります場合も含めて日本版RTCのお話がございましたが、確かに裁判所の命によって管財人の方で処理を行われます場合には、株式会社住専処理機構よりもより強い権限を持つ側面もあると思っておりますが、RTCが特殊法人として設置されるということになります場合の陣容や要します経費等について相当な検討が必要になるかと思っております。  なお、株式会社であります住専処理機構が預金保険機構と一体となって進めることによって、法律を御承認をいただきますならば、財産調査権限を罰則を付与して預金保険機構に与えることになりますので、これは管財人の有しない権限を持つことができるものと考えております。  また、今住専問題は早期に短い期間に解決しなければならない、その立場から考えました場合に、どの方法が一番よいのかということについて、政府といたしましても、十分な検討を加えた上で結論を出したものでございます。  なお、系統金融機関等に関しまして、日銀の融資、政府保証の問題についてお話がございましたが、融資、政府保証の形をとります場合には、返済の見通し、見込みがなければならないと考えておりますが、六兆四千百億の損失並びに欠損の処理に関しましては、これは今日の段階において返済の見込みを持ち得ないものであり、したがって、日銀総裁も、当委員会において融資の方法をとることは考えられないことを答弁をされたのではなかったかと思っております。  そのような立場から考えてまいりますと、今日のこの住専問題の持ちます意義を考えれば、この問題を早期に処理いたしますためには、政府案を御承認をいただき、速やかにその回収に当たることが最もよいのではないかと考え、お願いを申し上げている次第でございます。
  124. 田中昭一

    田中(昭)委員 時間もございませんからこれでやめますが、いずれにしましても、やはり早い時期に与野党が合意をしなければこの予算は上がらないわけですから、政府としても、今申し上げましたような立場でいろいろ主張されながら、合意するようにさらに努力をされるようお願いをしたいと思います。  最後にもう一つですけれども、三月二十一日に国土庁が土地の公示価格を発表いたしております。これと住専問題の処理につきまして、いろいろ新聞で報道がなされております。住専の不良債権は路線価で公示価格の約八割だ、こういうふうに聞いておりまして、一月一日現在の価格を八月中旬に発表する、こういうことでございます。したがって、新聞報道によりますと、住専処理機構の設立が仮に八月以降になるとすれば、路線価の関係で三千億ないし四千億ぐらいまたその処理にロスが出てくるのではないか、そのことは、結局、半分を公的資金を導入するということになっております第二次ロスに回ってしまうというようなことがございまして、早くもこの政府案は崩れかけてきている、こういう報道がございます。  そういうことが本当であるとすれば、私は、なおのこと住専処理機構を一日も早く設立をするということが必要になってくると思うのですが、この点についての見解を少しお聞きをしたいと思います。
  125. 久保亘

    ○久保国務大臣 御答弁の前に、先ほど答弁を漏らしておりましたけれども、会社更生の手続をとります場合には債権高で三分の二の債権者の同意が必要となることも、この方法をとりますことの、非常に住専の場合の難点でございます。  それから、今お話がございましたことにつきましては、公示価格が非常に下がって発表されましたことは御指摘のとおりでございます。今日のスキームは、昨年八月の段階における路線価を一つの基準といたしておりますので、おくれればおくれるほど債権の回収が非常に厳しくなってまいりますことは御指摘のとおりだと考えております。  しかし、今、今回の公示価格によってスキームを変更しなければ住専問題の処理に入れないということではないと考えておりまして、厳しくなったことにそれなりにしっかり対応しなければならない状況であろうと考えております。
  126. 田中昭一

    田中(昭)委員 今大綱三つお尋ねをしたのですが、いずれにいたしましても、一日も早く本予算案が打ち上がることができますように、私たちも努力したいと思いますが、政府のさらなる御努力お願い申し上げたいと思います。  時間がございませんので、次に、沖縄をめぐる問題につきまして、これも簡単に三点ぐらいお尋ねをしたいと思っております。  その第一は、きょう本当に期限切れになりまして、きょうの新聞では、国による違法占拠であるとか不法占拠であるとか、余り聞きたくない言葉が実はたくさん新聞でも並んでおるわけでございます。これは、土地収用法上の緊急使用許可が間に合わなかったために結果的にそういう状況になったということについては理解をいたしておりますが、今日、安保体制を維持するということを前提にしながら、さらに沖縄の心や訴えを大事にするという立場で、基地の縮小あるいは整理統合の問題について真剣に取り組んでいる時期が時期でありますから、非常に残念なことだと思っております。  この点についての政府の見解を少しお聞きをしたいわけですが、私の理解では、結局、安保条約が締結をされておりまして、これを積極的に支持をするという立場、それに基づきまして日米の地位協定が締結をされておるわけです。したがって、今回の問題につきましては、日米の地位協定第三条によって、米軍の管理権によって米軍の自主的判断で立ち入りを拒否できるとか、したがって、これに関連をいたしまして、所有権を持つ地主が立ち入りを行った場合は地位協定実施に伴う刑事特別法の第二条によって、これを適用することができる、こういうふうに政府の見解として述べられていると思うのです。  これは、国としては、安保条約を締結をし、地位協定を締結をいたしておりまして、国と国との取り決めでありますからそういう見解に立つということについてはそれなりに理解をするわけでございますが、しかし、日本政府日本国民県民地主という関係からいきますと、この法的な見解というのは少しぼけているのではないかな、こういう気が実はいたしております。  したがって、非常に簡単に申し上げましておわかりにくい点があったと思いますが、今申し上げましたような点についての政府の御見解をこの際もう少し明らかにしていただきたい、こう思います。外務大臣、いかがですか。防衛庁長官ですか。
  127. 臼井日出男

    臼井国務大臣 田中委員お話しのとおり、現在、楚辺通信所におきましては使用権原が切れている状態にございます。  私ども、この沖縄米軍施設・区域につきましては、大変沖縄県民に対して長い間御苦労をかけてきておりまして、そういう点につきまして、私どもも深く認識をし、その整理統合・縮小に現在も努力をいたしているさなかでございます。来るべきクリントン訪日に向けまして、私どもも、周辺ででき得る限りいい実績を上げるために努力をいたしているところでございます。この問題につきましては、特別行動委員会、いわゆるSACOにおきまして鋭意詰めさせていただいております。  委員御承知のとおり、こうした将来に向けての問題を一生懸命に片づける一方で、過去にアメリカ側とこの事務を進めることを合意をいたしましたいわゆる二十三事案等につきましても、逐次その実績が上がっているわけでございまして、平成八年、去る三月の二十八日にもいわゆる三事案というものが片づきまして、二十三事案中残るものは四事案、こういうふうに、少しずつ従来のものにつきましても解決努力をいたしているということを御承知をいただきたい、こういうふうに思う次第でございます。  そして、今お話がございました楚辺の通信所のことにつきましては、委員お話しのとおり、私どもはアメリカと日米安保条約というものを結び、また、その中で基地を安定的に供給するという責務を負っているわけでございます。そして、先般来、官房長官談話にもございますとおり、五つの私どもの理由というものを申し上げて、御理解をいただいているところでございます。  今後、一日も早くこの状態を解決をしたいというふうに努力をいたしておるわけでございまして、もうお時間がないようでございますので詳しく申し上げませんが、先般来申し上げております事由によりまして、現状で直ちに違法ということは言えない、こういうことをはっきり申し上げている次第でございます。  今後とも、一日も早い解決に向けて努力をいたしてまいりたいと考えております。
  128. 田中昭一

    田中(昭)委員 沖縄の問題につきまして、二、三日前の新聞にこういう投書がございます。「沖縄の負担みんなでわけ合おう」という投書でございまして、   今、住専処理への公的資金投入が問題になつていますが、私は沖縄基地問題の方が大事だと思うんです。という出だしなんですが、  日本の立場を考えると、日米安保条約は必要ですが、今まで沖縄だけに国策の犠牲を押し付けてきたんじゃないでしょうか。住専処理国民全員で負担するのなら、沖縄のことも皆で負担すべきです。長年にわたって日本の犠牲になつてきた沖縄に対し、他県へ基地機能を分散するなど、いたわりの心を持って真剣に考えるべきです。大体、ごみ処理場などには猛烈に反対するくせに、カルチャーセンターみたいなものは熱心…。自分の身に降りかかることに対しては抵抗するのに、人が苦しんでも知らんふりする、身勝手な人が多過ぎますよ。という、これは農業を営む四十五歳の人からの投書でございます。  私は、この沖縄問題を解決をする、安保体制は維持する、基地の提供も必要だ、日本の国土も守るし、共同防衛、それから、極東における国際平和もそのとおりだという立場に立った場合、日本の本土は嫌だ、基地も来てもらっては困る、しかし、沖縄の人のところには押しつけられておるという、こういう問題。  日本の本土の人が嫌ならば沖縄の人も嫌なんですから、ここのところをやはり我が国全体の問題としてきちんとしなければ、この沖縄の本当の解決というのはなかなか難しいのではないか。これはもう全く矛盾ですから。必要だ、必要だけれども、この沖縄基地撤去については努力をする、本土に持ってくるのはなかなか困難だというのは、これは矛盾と矛盾ですから、そういう問題はやはりきちんとして、私は、政府としては訴えるところは訴えていくということが極めて必要じゃないか、このことをお互いに確認をし合うことが必要じゃないかということを一つ申し上げたいと思うわけです。  それからもう一つ、時間もございませんけれども、普天間飛行場の問題が具体的な問題としてございます。  二月に橋本総理が訪米されまして、日米首脳会談の際には、四月のクリントン大統領来日へ向けまして、沖縄米軍基地の整理統合・縮小問題の解決を最優先するということが合意をされたということと、その中で、これはマスコミ報道でございますが、普天間飛行場問題などで柔軟な対応をしそうだという印象を受けたという報道記事がございます。沖縄の方も、もう御承知のとおりでございますが、いわゆるアクションプログラムをつくりまして、その第一期を二〇〇一年までに仕上げたいという中に普天間飛行場の問題については入っておるというふうに理解をいたしております。  今日まで、台湾の緊張関係などもございまして、現実的には極めて厳しい状況にあるという報道がなされておりまして、日米特別行動委員会、SACOなどの交渉経過を見ましても、四月に方向性を出すのは極めて困難ではないか、こういう報道がしきりにされておりますが、先ほど申し上げましたように、私は、抽象的な話ではこの沖縄の問題は解決をしないということを再三申し上げておるわけでありまして、普天間飛行場の問題はその最大の課題であるということを考えた場合に、やはりこのアクションプログラムに言う第一期の中で何とか解決をする、こういう立場について今回のクリントン大統領来日の際に我が国として強く主張をすべきではないかな、こういうふうに考えるわけですけれども、この点について、総理なりあるいは外務大臣の御見解をお聞きをしたいと思います。
  129. 池田行彦

    ○池田国務大臣 まず御質問の第一点でございますが、委員御指摘のとおり、我が国の安全、平和を守っていくために安保条約が必要である、このことを国民みんなが理解をし、そうしてまた、それに伴ういろいろな負担というものも、これは国民全体のものとして考えるべきものである、そういった投書、またそれを踏まえての委員の御指摘、私どももそのとおりに考えております。  さて、現実の方はどうかと申しますと、委員も御指摘のとおり、沖縄は、戦争のときにも唯一陸上戦の舞台になったということ、それから長らく本土とは切り離されて米国の施政下にあったということ、さらに復帰後も、現在に至るも米軍基地の約七五%が存在するということでございまして、非常に大きな御負担をお願いしている、こういうことは否定できないわけでございます。  そういったことを考えますと、沖縄県民の皆様方が、仮に安保条約の必要性は、これは認めるにしても、もう少し何とかならないのかというお気持ちになるというのは、これはよく理解できるところでございます。しかるがゆえに、私どもも今、米軍駐留に伴いますいろいろな問題の解決を図ると同時に、沖縄にございます提供施設・区域の整理統合・縮小に最大限の努力を払っておるわけでございますが、そういった過程の中で、今お話にございましたような、本土で負担したらどうかという点でございますが、私どももその検討の過程の中で、沖縄基地の果たしております機能の本土への移転という可能性を、そういう道を排除しているわけじゃございません。それも排除せずにいろいろ総合的に検討はしております。しかしながら、今の段階で、それじゃ機能の一部本土への移転の具体的な方向なり案が固まったかと申しますと、まだそういう段階でもない、こういうことでございます。  まあ仮に、仮にの問題でございますが、将来においてもしそういうことを考えるということになれば、また、機能が移転してくる地域の方々の、あるいは地方公共団体の御理解も十分得ていかなくてはいけない、こういう話だと思います。  いずれにいたしましても、委員御指摘のように、この日本の国の安全を守るために必要な安保体制、それに伴う負担は全国民のものだという認識、これはぜひ国民みんなで分かち合っていきたいものだと、こう考えている次第でございます。  さて、御質問の第二点でございますが、ただいま申し上げましたように、基地の整理統合・縮小につきましては、今、日米合同で本当に精力的な作業を進めております。一応の結論の期限といいましょうか、時間的な目標は秋になっておりますけれども、当面、今月半ばに来日されますクリントン大統領の御訪日に向かって、できるだけの成果を上げなくてはいけないと、こういうことで精力的に作業を急いでおるところでございまして、今、個々の施設・区域につきましても、問題点の洗い出したとか論点の整理等を進めておるわけでございます。まだ具体的なケースについてあれこれ申し上げられる段階じゃございませんけれども、何とかできる限りの成果を上げてまいりたいと存じます。  それから、さて、具体的に名前のございました普天間の飛行場の問題でございますが、これにつきましては、御指摘のように、沖縄県から先般出されましたアクションプログラムの中でも、三段階に分けた御要望の中の第一段階に位置づけられておるというのは私どもよく承知しておるところでございます。そういったことも含めて、大変強い御要望であるということは十分認識しております。  そしてまた、先般の、総理がサンタモニカで行われましたクリントン大統領との間の会談でも、そういう大変県民の御要望の強いものの一つの例示ということで話題になったというふうに承知しております。  ただ、一方におきまして、この普天間基地が安保の目的を遂行していく上において果たす役割、あるいは米軍の運用上の役割というものも非常に高いものがございますので、そういったことを踏まえながらどういうふうにこれから考えていくかでございます。  いずれにいたしましても、この件も含めまして、まだせっかく努力中でございますので、具体的なケースについて今の段階で方向を申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  130. 田中昭一

    田中(昭)委員 大変難しい問題であるということは理解をいたしておりますが、今外務大臣も決意をお述べになりましたけれども、さらなる御努力をいただきまして、沖縄皆さん方の心にこたえるようにお願いをしたいということを申し上げたいと思います。  あと時間が二、三分で、郵政大臣、非常に申しわけないんですが、TBSの問題につきまして、もう時間がございませんから、今郵政省の方から実態報告を求めて実情調査をやっておるというふうに聞いております。どの程度の実態報告が今なされておるのかということと、それから、郵政省の立場では、放送法第一条、放送法第三条、それから、実態報告によりましては電波法の第七十六条に関連をする問題だと思っておりまして、これは極めて重要な問題だと思います。これは、知る権利であるとか言論の自由であるとか、憲法上の問題を含めまして極めて重要な問題だと認識をいたしておりますが、今時点における郵政大臣のお考え方を最後にお聞きをしたいと思います。
  131. 日野市朗

    ○日野国務大臣 TBS関係につきましては、多くの国民皆さんが非常に強い関心をお持ちであるということは我々もよく受けとめて、今後の対応をいたしてまいりたいというふうに思っております。  私たちが調査をするという場合、憲法、それから放送法、それから先生御指摘のとおり電波法、こういった法律に導かれながら、この法律のどのような構成要件に該当をしていくのかということを十分に見きわめながら調査をしてまいらなければなりません。  それで、それぞれが非常に重要な部分を含んでいるわけでありますが、現在、まずTBSの言い分に食い違いが出ているわけでございますから、その食い違いをきちんとただしてもらうということで、その食い違いの部分についてきちんと調査をするようにということでその調査を受けたい、こう思っているわけでございます。  TBSの方も調査の透明性ということを尊重しておりまして、外部の人をもこの調査のチームに入れて調査をするというふうにしているわけであります。我々は、そういう調査をするについての透明性というものを重大なものとして考えながら、そこで調査をさせて、そして、その結果というものを、厳正にこれを受けとめて、どのような対処を監督官庁としてしてまいるべきか、このことを検討してまいるつもりでおります。  ただ、何しろ監督官庁でございますから、現在、予断を持つこと、それから予断を持って物事を語ること、このことは厳に避けていかなければならないというふうに考えておりますので、ではどのようにするつもりかということは、その調査の手続とか、それから我々が結論を出すに当たっての我々を導くその法律、憲法を初めとしてあるわけでありますから、それらを十分に考慮しながらやってまいりたい、こう思っております。
  132. 田中昭一

    田中(昭)委員 非常に短い時間に欲張りまして、質問の趣旨がおわかりにくい点もあったと思いますが、これで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  133. 上原康助

    上原委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。  次に、錦織淳君。
  134. 錦織淳

    ○錦織委員 新党さきがけの錦織でございます。  この予算委員会審議が始まりましてから、私自身、個人的には正直申し上げて大変な一種のいら立ちを感じております。最初、この予算委員会審議が始まりまして、たしか二日目の一月三十一日の日に私もこの場で質問をさせていただきました。そのときに、この住専問題の前には与野党なしという観点で議論をしようではないかというようなことを申し上げました。また、そのための一助として、この政府与党の案に対して批判あるいは反対をするのであれば、それにかわり得る対案を示すのも審議を深めるための有力な手段ではないか、こういう御提案も申し上げたわけでございます。  ところが、この間随分時間をかけて審議をいたしましたし、また、不幸にもかなり長期間にわたって我が国の議会の機能が停止をするという憲政史上あってはならない異常な事態も生じたわけでございます。そして、こうした過程を通じて、何が今問題になっているのか、こうした点が正当に把握されているかどうかすら非常に疑問でございます。ましてや、この議会の外にいる国民の側から見ると、大変今日の事態についていろいろな疑問の声が起きてくるのは当然ではないか、このような気もいたしております。  特に、住専問題の前に与野党なしというのは、いろいろな角度からそれを基礎づけることが可能だと思いますが、一つは、行政のあり方についてどう考えるのかということもさることながら、そうした行政のいわば失敗というものについて政治がどうかかわってきたのか、何をなし得、何をなし得なかったのかという点をはっきりさせておくことも大事ではないかという意味で私は申し上げたつもりでございます。  具体的に言えば、バブルを形成させた責任、あるいはそのバブルの崩壊過程の処理が不適切ではなかったか、こうした点での過ち、そうした点を含めて、行政のさまざまな施策に過ちがあったことは明らかになりつつあると思われますが、しかし同時に、では、政治の側がそれについて有効な手だてを持ち得たのか、そういう点も含めて我々がきちんと議論をすることが、この予算委員会を初めとする国会審議の重要な課題だ、私はこんなふうに思っているところでございます。  そういう意味で申し上げますと、残念ながら、必ずしもそうした方向に議論が深化しているようには思えないわけでございます。そういう点では、私には、国民の側からのいろいろな疑問が起きてくるのもやむを得ない、こういうふうに感ずるわけでございます。  ではどうしたらいいかということでございますが、今の対案の問題については後ほど具体的にお聞きをいたしますが、総理にお伺いをしたいのは、こうした一連のこの間の、審議を再開をするに当たって、まあ感想でも結構でございますが、どのようなお考えをお持ちなのか、ごく簡単で結構でございますので、まずお聞かせ願えれば幸いでございます。
  135. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本国会が始まりまして、住専問題の御論議が始まりました際、政府としては、その問題の経緯でありますとか、あるいは早期処理の必要性、あるいは処理方策の内容等を御説明すると同時に、国会においてさまざまな審議のための資料の御要求を受け、最大限これを提出をいたしてきたつもりでございます。これに対しまして、本委員会におきましてさまざまな角度から御議論もいただきました。また、参考人質疑あるいは集中審議の場、精力的にお取り組みをいただいたと考えております。  そして、今審議が再び始まりました段階におきまして、私どもとしては、これから先もできる限りこの問題についての御説明を申し上げながら国民の御理解を得てまいりたい。予算というものに限定して申しますならば、一日も早く平成八年度の予算を成立させていただきたいという気持ちは今日も変わらず、暫定予算とこれが切りかえられることを一刻も早くお願いをしたい。そのためにもこの問題についての御論議が必要であるというならば、政府としてできる限りの御説明も申し上げていきたい、そのような気持ちでございます。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  136. 錦織淳

    ○錦織委員 いろいろお伺いをしたいわけでございますが、時間の関係で、少しずつ具体的な問題に入らせていただきたいと存じます。  一つは、金融三法を含む問題点でございます。  私ども新党さきがけとしては、この不良債権問題は、先ほど私が申し上げた過去の責任はともかくとして、現実の問題として大変巨額な不良債権の山が築かれている、こうしたことが日本経済の再建あるいは景気回復の大きな足かせになっているということは共通の認識でございます。したがって、こうした問題を早く処理をしなければならない。とりわけ、いわば日本経済の動脈ともいうべき金融のシステム、この点についていささかも動揺が生ずるようなことがあってはならない、こういうふうに考えるわけでございます。  そうした観点から、今回その第一弾として住専の問題の処理案が提案をされている、このように理解をしておりますし、当然この後、ノンバンクのさまざまな不良債権問題がいろいろな形で波及をしていくおそれもございます。特に住専の処理が、政府与党の案によれば具体的な清算に入ってまいります。そうなりますと、当然住専の貸出先の倒産というような問題も惹起をしてくる。そうなれば、これまで未処理であったさまざまな不良債権の処理が表面化をしてくる。いろいろな形で大変危険な状態が予測されるわけでございます。そうした危険をできるだけ早く的確に把握して、そして対処をしていくということは、政治と行政の基本的な任務だと思っております。  そういう意味からいいますと、金融三法で準備をしておられる、信用組合を初めとする我が国の金融機関に破綻の生ずることのないよう最善の措置を講ずるとともに、万が一破綻を生ずるようなことがあった場合に、それができるだけ迅速に処理されるような仕組みを考えるとともに、さらには預金者に対してその被害が及ばないようにしていく、こうしたことは当然必要でございます。  もちろん、預金を預かっている金融機関の自己責任、自助努力によってすべてが解決されるならば、これは望ましいわけでありますが、政治や行政のさまざまなサポートも必要であり、また同時に、そうした点で、場合によっては断固として財政措置を講ずる、形態はともかくとして、形はともかくとして、技術的な面はともかくとして、公的資金を投入をするということも決断をしなければならないのではないか。こうした観点で私ども新党さきがけは考え方を固めているところでございます。  けさほどの野田委員の御質問の中に、武村代表の新聞の報道で伝えられたことについていろいろとコメントがあったようでございますので、私も念のために武村代表に確認をいたしましたが、全く同じ考えであるというような回答を先ほどの昼休みの時間に確認をいたしました。  したがって、大蔵大臣としても、もちろんいろいろな党内調整や、あるいはさまざまな意見を聞いたり、技術的な検討が必要なことを詰めるということも当然やらなければいけないでありましょうし、また技術的に財政措置の投入の仕方についていろいろな知恵を絞るということも当然必要でございますが、決意としてはやはり、そうした問題について財政措置、もっと端的に言えば、公的資金を形態のいかんは別として導入することについて必要であるという御認識をぜひともお示しをいただきたいと存じます。
  137. 久保亘

    ○久保国務大臣 住専問題の処理は、不良債権を処理すれば終わるという問題ではございませんで、不良債権の早期の解決は同時に、新しい時代の金融システムの確立を求められているのだと考えております。そのような意味で、金融三法の御審議お願いをしなければならないと思っておりまして、今鋭意三法の準備を進めているところでございます。  ただ、この金融三法は大変膨大な条項を有しておりまして、その最終的な検討もございます。またもう一つは、今、錦織さんに御指摘をいただきました信用組合の破綻処理に伴う手段といいますか、公的な資金のかかわり方についていろいろと与党内にも意見がございます。これらの意見調整をできるだけ速やかに終えて、政府与党の合意に基づいて国会に三法を提出し、御審議をいただきたいと思っております。  この三法を成立をさせていただくことによって、新しい時代に目指します金融システム、自己責任原則と市場規律を基軸にして、透明度の高い金融行政が内外に責任を果たす形で進行しなければならないと考えているところでございます。
  138. 錦織淳

    ○錦織委員 それでは、その点についてはまた改めてあすも議論をさせていただくことになるかもしれませんが、時間の関係で次の問題に移りたいと思います。  先ほど冒頭で申し上げましたように、この予算委員会での審議を実りあらせる一つの方法として、反対をするあるいは批判をする側からの対案の提起ということが有効ではないかということを申し上げました。そして私もこの委員会の席上で、ぜひ新進党の皆さんに対案を出していただきたい、できるだけ早く出してほしいということを呼びかけたこともございます。ところが、なかなかその対案が出てこない。私も待っておりましたけれども、なかなか出てこない。  三月の十三日に新進党の名前で発表された「住専問題に関する具体的方針」というものがございます。これについては、やっと対案が出てきたと思って非常に私としては喜んでいたわけでございますが、新聞報道によりますと、いや、それは党の正式のものではないというような報道もございまして、いまだに新進党としての、党としての正式な対案なのかどうか理解をしかねております。  しかし、先ほどの白川議員のお話の中にもありましたように、新進党は、本会議の代表質問、施政方針演説に対する代表質問等で、質問という形式をとらずに、政府に対する反対演説といいますか、対抗演説というような形式をとられたわけであります。  さらには、トゥモロー・キャビネット、そういうようなものをつくって、そして、新進党の方々も恐らく推進を望んでおられるはずの政治改革、選挙制度改正による二大政党制の実現、それによる政権交代可能な政治的な緊張関係、そして政策と政策で争う、こういうようなことをおっしゃっている以上は、どこかの段階でというよりも、できるだけ早い段階で、もし批判をするのであればきちんとした対案を示すというのが、新進党がこれまで主張された考え方にかなうのではないかと思います。  そういう意味で、私は新進党の皆さんに、その三月十三日に発表されたものが果たして正式の党の対案なのか、それとも党の一部の考えなのか、そうした点も含めてはっきりさせていただきたいと存じます。しかし、いずれにせよ、現段階でその手がかりは与えられたという意味では、私は歓迎をしております。  そこで、この三月十三日の「具体的方針」をもとに少し議論をしてみたい、質問をさせていただきたい、こんなふうに思います。  そこで、会社更生法の適用については、いろいろな方がいろいろなことを言っておられます。会社更生法によれば、更生の見込みがない、つまり、再建の可能性のない会社更生の申し立ては却下されるのだから、そもそもだめではないか、こういう議論がございます。もちろん、それもそうでございましょう。  これについては、恐らく江田さんは次のように反論されると思います。いや、そうではない、会社更生も、場合によっては、極限的な例外の場合として清算を目的とした会社更生手続の利用もあり得る、そういうことをおっしゃるのではないでしょうか。確かに、そうしたことを論文に書いておられる学者の先生もおられます。したがって、私もそういう考え方そのものが全面的に否定されるとは思いません。しかしながら、実際の実務においては、そうした更生の見込みが当初からないことが明らかなような申し立てについては却下されるという実例になっている、そういう実務になっていることは、これは実務家の常識でございます。  したがって、そういう点で、更生の見込みがない場合についても清算のために会社更生手続を便宜利用するという考え方までは否定しないけれども、それがあたかも現実的であるかのように、実務の世界で通るかのように言うのはいささか誤った考えではないかということをまず指摘した上で、しかし、もう一つ重大な問題が実はございます。  それは、問題が、この住専処理については二つの面がございます。一つは、多くの国民方々が一番ある意味では注目をしているのは、債権回収が、つまり、住専七社の貸出先に対する債権回収がきちんとできるか、あるいは場合によっては刑事責任の追及もできるか、こういう問題が一つございます。そのために、住専七社の清算はお互いに、これは与野党も共通の前提であると思いますが、そういう共通の前提に立った上で会社更生法を適用した方がいいのか、破産法を適用した方がいいのか、あるいは任意整理なり日本版RTCがいいのかというような選択の議論をするという問題もございます。  しかし、私は、そこの問題も重要であることを否定しないけれども、今我々が口角泡を飛ばして議論しているのは、この住専処理のもう一つの側面でございます。つまり、住専七社を解体をすると、少なくともいわゆる一次損失で六兆四千百億の欠損を生ずる、それについて、住専七社に対してお金を貸している債権者である母体行グループ、一般行グループ、そして農協系統グループという三つのグループがその欠損をどういう形で埋めるのか、そういうことを確定するという問題でございます。この第二の側面がこれまで大変大きな問題になってきたわけでございます。  この第二の側面を考えますと、この三つのグループで、第一次損失あるいは第二次損失も含めて、いずれにしろ、今生じたあるいは将来生じるおそれのある損失をどういう手続で負担割合を決めるのか、だれが、どういう手続でその負担割合を決めるのか、こういう問題が問題の本質でございます。その点をあいまいにして、最初に私が述べた一番目の側面と二番目の側面をかれこれ混同して、そして一番目の清算手続に破産法が有利だとか会社更生法が有利だという議論二つ目の側面に持ち込んで議論をするというのは、議論をいたずらに混同させるどころか、むしろ誤った判断に導くものである、このように考えております。  そういう点で、この新進党の三月十三日付の「具体的方針」の四番目に、こういうふうに書いてございます。今の一番核心的な点です。つまり、三グループの損失割合をだれが、どういう手続で確定するかという問題でございます。そこにこのように書いてございます。「法的処理の方法としては、会社更生法の適用によることとし、」ここまではいいんです。ここから先がポイントです。よくお聞きください。「管財人の強力な権限のもとに、住専各社の経営破たんに母体行が重大な責任を負っている経緯を十分に踏まえた実質的公平の実現を図る。」こういうふうに書いてあるわけです。  これは一体、皆さんおわかりでしょうか。私も、法律の実務に生きた人間として、これは何を言わんとしているのか全く理解できません。恐らく、推測をするならば、更生管財人という者の権限をうまいぐあいに使えば三者間のグループの話し合いをつけられるのではないかという、単なる願望、期待をうたったにすぎないというふうに理解をいたします。  そこで、大蔵大臣がお答えにならなければ、法務省民事局でも結構でございますが、現行の会社更生法で、そうした新進党のおっしゃるようなことが果たして可能なのかどうかという問題でございます。  そこで、私が具体的な条文の手がかりを申し上げたいと思います。  会社更生法の百四十七条第一項によれば、「異議のある更生債権又は更生担保権については、その権利者は、その異議者に対し、訴をもつてその権利の確定を求めることができる。」このように記載をされております。つまり、今申し上げた、母体行、一般行そして農協系統という三つのグループにその争いがある、それぞれの届け出債権について、母体行責任の法的構成はともかくとして、そのいろいろな争いがある場合には、更生裁判所は、もちろん更生管財人も、そうしたことについて決定をできない、そして、それは別訴、別の訴訟手続をもってやりなさい、こういうことに規定上明確になっております。この点は、破産法の二百四十四条一項も全く同じ規定を設けております。  そして、このように破産法と会社更生法が同一の考え方をとっていることについて、立法論としての批判はございます。つまり、会社更生手続の中で、こうした更生債権者や更生担保権者間の紛争を更生裁判所の手続の中で解決できるようにすべきである、これは吸収主義と呼ばれております。そうした説に立ってやるべきであるという立法論はございますが、我が国の会社更生は、百四十七条にこのように書いてある以上、これはいかに更生管財人の権限が強大に見えようとも、その点については指一本触れることができないという法構造になっているということをはっきりさせておきたい。  私は、そういう点で、今の新進党のような形で更生管財人の権限が更生担保権者間の紛争、つまり三グループの紛争の解決を可能にするというような解釈にはならないのではないか、このように考えますが、大蔵大臣または民事局の方でお答えをいただきたいと思います。
  139. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 委員御指摘のとおり、債権者間、更生債権あるいは更生担保権の債権者間に債権の存否あるいは額というものについて争いがあれば、それは御指摘の会社更生法百四十七条の訴えの手続をもって解決されるということでございます。債権の存否あるいはその額ということについて債権者間に争いがあるという場面の問題としては、先生御指摘のとおりであろうというふうに思っております。
  140. 錦織淳

    ○錦織委員 この委員会での審議ではっきりさせておかなければならないのは、お互いに共通の土俵があるかないかという問題でございます。その共通の土俵として、母体行に極めて重大な責任があるということは、私は共通の前提だと思っております。  しかし、その点について、あるいは、いや違うんだ、我々は母体行責任というものは共通の前提にしないんだとおっしゃるのであれば、やはりそれをはっきり言ってから提案をしていただきたいし、また、仮に母体行責任というものの重さについては共通の認識を持っているが、そのことについて多少時間がかかっても構わないというのであれば、これはまたそうはっきり言っていただいた方が問題の本質がはっきりすると思います。  私は今の、御紹介をし、そして濱崎局長も賛同していただいた解釈によれば、別訴をもって争うわけです。そうしたら、法人格否認の法理によるのか、あるいは最近アメリカから入ってきたレンダーライアビリティー、貸し手責任という法理によるのか、あるいは我が国の一般的な不法行為責任によるのか、どういう法律論によるにしろ、常識的に考えて、大変膨大な主張、立証を要する裁判になることははっきりしております。私は、下手をすると、俗に言う十年裁判になるのではないかとすら懸念をしております。そうしたことをなお考えた上で、そして今のようないろいろな、会社更生法によるというような提案がなされているのかどうか、そこら辺もはっきりとさせておかなければならないと思います。  それから、もう一つ念のために指摘をしておきたいと思いますが、会社更生法の二百五条、先ほど来田中議員からも質問がございまして、これは、更生計画案を立ててこれを可決をしてもらわなければなりません。そのときに、債権者の組ごとに分かれて議決をいたします。そして、更生債権者の組が三分の二以上、そして更生担保権者の場合は四分の三以上の場合と五分の四以上の場合とがございます。  そこで、私はそういうことを言いたいのではないのです。もっと重要な条文があるのではないか。つまり、この二百五条の後段のところには、「百九十一条に定める計画案については議決権を行使することができる更生担保権者の全員の同意、」が必要だ、こう書いてございます。  百九十一条に定める計画案、それは何か。これは、この場で清水公述人も言われ、江田議員も言われたかと思いますが、百九十一条は、再建が困難になった場合、つまり、再建のための更生計画案の策定が困難になった場合に「清算を内容とする計画案の作成を許可することができる。」このようになっております。  つまり、裁判所が、これはもうだめだ、では清算の方に移ろうというような場合に、そうした清算を内容とする計画案をつくってよろしいという許可を裁判所がいたしますが、しかし、これとても、計画案についてこの債権者の議決が可決をしなければいけないわけであります。そして、百九十一条のこの清算のための計画案は、更生担保権者全員の同意を必要としているわけでございます。全員の同意を必要としているということは、これは話し合いが成立しなかったら、そもそも更生計画どころか清算計画すら要するに流れてしまうということになるわけでございます。  同時に、なぜこういうことを言っているのかというならば、結局この清算のための計画というものは本来更生手続が予定していないものである、したがって、途中まで来てだめでしたといって清算のようなことをする場合には全員の賛成を必要とする、こういうふうに理解をしております。  時間が参りましたので、答弁は求めませんけれども、今のような観点を考えますと、やはり私は、この新進党の皆さんの提案というのはまだまだそうした点について十分に批判にたえ得るものではないのではないかという気がいたしております。その点を最後に指摘をいたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  141. 三野優美

    ○三野委員長代理 これにて錦織君の質疑は終了いたしました。  次に、佐々木陸海君。
  142. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 本予算案の審議が始まって二カ月余りが経過をいたしました。最近の一カ月は残念ながら空白になりましたが、この論議を通じて母体行の責任というものが一層明白になったのが最大の特徴だったと私は考えております。住専に不良債権の大穴をあけた張本人がほかならぬ母体行であり、紹介融資の問題一つとっても、住専問題に最大の責任を負わなければならないのが母体行であるということが強調されてきたと思います。  審議がストップする直前に当委員会に提出された住専側の資料では、銀行が住専に押しつけた紹介融資の残高は二兆七千億円、その実に九一%の二兆五千億円が不良債権になり、既に一兆四千億円がロスになっている。住専の不良債権の四分の一が銀行の紹介融資によるものであります。  このような銀行なかんずく母体行の責任が一層明らかになる中で、二月二十八日の段階で大蔵大臣は、「母体行の住専問題に関する責任は、単なる債権者、貸し手責任ということにとどまるものではない、」「三・五兆の債権放棄を行ったということで母体行の責任が果たされることにはならない」と明言され、さらに、同日の予算委員会で我が党委員質問に対して、母体行に対して「新たな負担の要請を行う」「母体行に三・五兆の債権放棄以上の負担を求めることは、私はやるべきことだと思っている」という態度を、かなり決然とした態度で述べられました。  それから一カ月後の先日、三月二十七日の本委員会で、我が党委員質問に対してこうおつしゃいました。「銀行協会の会長にお目にかかる機会もございました。その際も、国会において、母体行責任に関する厳しい意見が党派を超えてあることを私からしっかりお伝えしてございます。」こうおっしゃいました。  国会の状況を伝えたということでございますが、そうであるならば、母体行はもっと負担をすべきだという話に当然なったと思うのですが、その点はいかがでしょうか。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  143. 久保亘

    ○久保国務大臣 佐々木さんも御理解をいただいていると思いますが、母体行の法的な責任、つまり法的に負担を新たに請求するということは、これからいろいろな責任の追及が行われる中で、賠償責任請求が可能となるようなものについては今後あり得ると思いますが、母体行との協議において、法律上、三・五兆の債権放棄、そして住専処理機構ができました場合に二兆二千億程度の低利融資、それから金融安定化基金への拠出、こういったようなもの以外にさらに負担を求めるということを、今法的にどのような方法があるかということについては、これは答えを得ることが非常に難しい状況にございます。  私は、銀行協会の会長に対しては、皆様方のいろいろな審議の中における御意見は、母体行がすぐれてその責任の重いことについて厳しい御意見があるということをお伝えいたしました。そして、今後も母体行の負担を含む責任についてぜひいろいろと御検討をいただきたい、そして必要に応じてお目にかかって協議もできればよいと思っているということを私の方から申し上げました。橋本銀行協会会長も、なかなか名案がないのだということを言っておられましたけれども、これ以上のことはできないので終わりだという話ではなかったのであります。  なお、その間、与党三党においてはいろいろと御検討をいただいた上、三党の七項目にわたる新たな措置を提起をされ、私どもはそれを受け取ったのでありますが、その七項めに、銀行協会との協議も通じて、七年間で一兆五千億のリストラに伴う法人税五千億のプラス分について、農協系もございますけれども、合わせて六千八百億の法人税の増加に関する両者の協議が合意に至っていることも報告を受けております。  これらの問題も、一つの今後の母体行が責任を果たしていく上での考え方と思っておりますが、今後さらに、今お話がございましたけれども、母体行との協議はなお継続しなければならないものと考えております。
  144. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 いろいろ法的な問題等々あるけれども、新たな負担を含む責任という問題についても要請をしたということが今ありました。それでよろしいですね。
  145. 久保亘

    ○久保国務大臣 検討をお願いしたということでございます。具体的にこちらから何千億出してもらいだいとかいうような要請の段階にはございません。
  146. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もちろん金額を挙げたわけではありませんけれども、追加負担という前から言っていた立場で、負担を含む責任ということを要請した。そして、橋本会長と会われた後の記者会見で、きょうは第一ラウンドだということを記者会見で述べておられますから、今も言われましたように、努力はまだ終わっていない、責任という問題についていえばそれはいろいろな概念があるでしょうけれども、追加負担の問題も含むこの問題でさらに努力を続けていくということも間違いありませんね。
  147. 久保亘

    ○久保国務大臣 これは、今後もそのリストラの問題も含めて私どもとしては努力を続けなければならないもの、その我々のなすべき責任については当委員会においても御答弁を申し上げてきたところでございます。
  148. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 どうもちょっとわかりにくいのですが、追加負担は求めなければいかぬということを二月の段階でははっきり言っていたわけです、やるべきことだと思っていると。で、三・五兆円以上のもの、それから、もちろん二・二兆円の拠出や融資もありますけれども、さらにそれを超えるものを銀行は出していただきたいという気持ちをあの二月二十八日のときにお述べになった、そういうことですよね。それははっきりしていますよね。
  149. 久保亘

    ○久保国務大臣 皆様方の御審議の模様も含めて、私の方から、母体行として、つまり銀行側として、さらにこの問題解決のためにみずからお考えいただくことをぜひやってもらいたいということは申し上げました。
  150. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そこで、総理にお聞きしますけれども総理自身も久保大蔵大臣と、こういう母体行にさらなる追加負担を求める点では同じ立場でしょうか。そこのところを確認しておきたいと思います。
  151. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 従来から同様のことを申し上げてまいりました。そして、みずからの努力を求めるという点においても変わらないと思います。
  152. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 銀行にみずからの努力を求めるということですね。はっきり確認――うなずいておられますから、じゃ、それは結構です。  じゃ、大蔵大臣も首相も、銀行に新たなる追加負担というものを、それは金額は今幾らというふうに決まっているわけではありませんけれども、求めていくという点では立場は同じだということを確認をしておきたいと思います。よろしいですね。
  153. 久保亘

    ○久保国務大臣 大変に念を押していただいておりますけれども、具体的に今、こういう方法でこれをどうだというような話し合いを持つ段階までまだ来ていないということを私は申し上げているわけでございます。しかし、母体行に一層の努力お願いしたいという気持ちを強く持っております。
  154. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 総理も大蔵大臣も、母体行に一層の努力お願いしたいという点では一緒だということを確認しておきたいと思います。  母体行にそういう一層の努力、さらなる追加負担というものが必要であり、それを求めていくという点では、かなりこの国会の中でも広範に一致している要求であると思いますし、国民も強くそれを求めていると思うんです。それを母体行にどう認めさせていくかという点は、確かに、大蔵大臣も今言われたように、大変大事な問題でありまして、そこが肝心であります。私たちは、その点では、肝心な点の一つは、母体行主義のルールをはっきりさせて、それを母体行に実行させることだということを考えております。  大蔵大臣は、これまでの答弁の中で、この母体行の追加負担の根拠としてこういうことを言っております。  母体行には、貸し手責任、債権者としての責任を超える責任がある。特に住専は、商法上の子会社ではありませんけれども、実質子会社と同じようなもので、設立の段階から母体行が出資を含めて関与し、大事におきましても、また経営そのものに母体行はずっと支配権を行使してきたという面が取り上げられているわけであります。これらの責任は債権全額を放棄すれば終わりということにはならない、端的に言って、子会社が破綻したときは親会社が全面的に責任を持つ、これが本来のあり方だということを大蔵大臣は主張して、それを一つ根拠に挙げておられると思うんですが、いかがですか。
  155. 久保亘

    ○久保国務大臣 全画的責任ということまで今私が大蔵大臣の立場で申し上げてよいかどうか、それは慎重でなければならないと思っております。しかし、今、私が前に当委員会で述べましたことを佐々木さんがお取り上げになりましたが、その考え方に変わりはございません。
  156. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 それが基本的なルールだと思うんです。  金融機関の場合についても同様のことが言えると思うんですが、これはちょっと西村銀行局長にお伺いしたいと思うんです。  銀行の系列ノンバンクの不良債権の処理について、銀行局長は二月二十八日の本委員会で「大阪銀行など関西系の三行の系列ノンバンクの整理などの例を除きまして、母体行が単独で支援しているものがかなり多いということも聞いております。」というふうに答弁されました。「かなり多い」とか「聞いております。」とかいう大変間接的な言い方なんですが、しかし、実際には、これまで母体行の負担が原則だったし、ルールだったのではありませんか。その点、御答弁を願いたいと思います。
  157. 西村吉正

    ○西村政府委員 銀行がいわゆる系列ノンバンクを支援するに当たりましては、単独で支援を行っているものもございますが、他の金融機関に対しても支援を求めているものもございます。その支援の状況はさまざまでございますけれども、大阪銀行など関西系三行の系列ノンバンクの整理などの例を除き、母体行が単独で支援しているものが多いと聞いております。
  158. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 相変わらず多いと聞いておりますということをおっしゃるんですが、銀行局長自身が、母体行主義が原則であるということをこれまで公刊されたものの中でも認めておられるんじゃありませんか。  昨年八月二十三日に第二地銀協会で行った講演の中で、西村銀行局長は次のように述べております。これは社団法人第二地銀協会が出している月刊誌「リージョナルバンキング」というものの昨年の十月号に載っておるものですが、そこをちょっと詳しく読んでみますと、「いままで民間金融機関が自主的に行ってこられた幾つかのノンバンク処理の実績を私なりに解釈してみますと、」「親会社が健全に経営を継続できるような場合には、親会社が自分の問題として対処すべきであるという考え方で、皆さん対応をしてこられました。次に、それは確かに原則ではあるが、」つまり、今言ったようなものが、原則ではあるが、そんなことをしたら親会社の存立自体が危うくなる。ひいては金融システム全体への影響が懸念されるという場合はどうするのかと言いますと、いままでの皆さん方の対応からしますと、それは「親が責任を負います」という原則」、ここでも「「親が責任を負います」という原則」と言っています。「に近づくべく、親がぎりぎりの対応をした上で、残念ながら」「対応できなかったということについて、経営者の立場などに関していろいろな形で遺憾の意を表明されるのが、いままでの例であったと思います。例えば、先般の関西でのノンバンクの処理が、そうであったと思います。」  つまり、昨年のこの講演の中では、西村局長は、親が責任を負ったら親がもうパンクしてしまって、金融システム全体に大きな影響を与えてしまうというときは、そのときでさえも「親が責任を負います」という原則をぎりぎりまでやるのだけれども、それのときだけは例外だけれども、それ以外は基本的に親が責任を負う、母体行が責任を負う、これが原則だということを繰り返し言っているわけであります。「親が責任を負います」というのが、西村さん、原則じゃありませんか。
  159. 西村吉正

    ○西村政府委員 大分前のことでありますので正確には覚えておりませんが、もう少し先までお読みいただければ別のことも書いてあったかと存じますけれども、私は、系列のノンバンクというものと住専というものの違いをもあわせて御説明したように記憶をいたしております。したがいまして、その直系のノンバンクというものについて、従来銀行がどのように対応してこられたかということを御説明すると同時に、住専というものにつきましては、必ずしも同じようには論ずることはできないという面も御説明したように記憶をいたしております。
  160. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 先ほども私は系列ノンバンクの問題についてお聞きして、そこで「多いと聞いております。」というような答弁があったんですが、今ここで、系列ノンバンクについてはこうだということは間違いない、お認めになりますよね。それはお認めにならざるを得ないと思うんですが、じゃ、住専はそれとどう違うのか。  これはもちろんいろいろ議論はあるでしょうけれども、しかし西村さん、この去年の講演の中でもはっきり言っておりますけれども、ノンバンクと金融機関の関係にはいろいろある、完全独立系のノンバンクがあるし、それからまた金融機関直系の、手足そのものと言っていいようなノンバンクがある、そのほかに中間的な存在のものがあると言っておられるわけですよね。  それで、あなたは、住専はこの中間的なものだというふうにおっしゃりたいんでしょうけれども、しかし、直系ノンバンクといい、住専の場合といい、私は、根本的な違いは親の数が多いか少ないかというだけの問題であって、親が不明な話じゃ全然ない。住専の場合にも親ははっきりしているわけですし、そして、額が大きいとか解決に緊急を要するとかいっても、親ははっきりしているわけですし、たくさん親がいるのでしたら、負担を分け合えば一行の額は少なくなるわけですから、もうこの住専の問題に、親が責任を負うんだ、基本的に親が責任を負うんだというこの原則をなぜ適用しないのか、きっちり適用して、その線から銀行に迫っていったらいいじゃないかということを申し上げたいと思うんですが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  161. 西村吉正

    ○西村政府委員 ノンバンクと銀行との関係にはいろいろな形があるということを、その講演をした際に御説明をしたわけでございます。  一番密接な関係のある場合には、母体行が全面的に責任を負うというような場合もあるだろうし、独立系のように関係の薄い場合には、貸し手というような立場で対応することがあるだろう。今回問題になっております住専に関しては、住専七社それぞれ特徴もございます。全部が同じだというわけではございませんが、一般的に、全体として見まして、その中間的な存在であろう。一対一の直系というようなものではない、複数の母体行を持っておるという意味ではまた違った面もあるのではないか。そういう意味で、中間的な物の考え方になるのであろうが、さて、その中間ということをどのように解したらいいかというのは難しい問題であろう、というようなことを問いかけたわけでございます。
  162. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 そのことは、私ももう既に今紹介しました。つまり、親がたくさんあろうと何であろうと、親があることははっきりしていて、その親がだれかということもはっきりしているわけです。だから、親が一行の場合と三行の場合と、解決の原則を別にする必要はない。同じ方向を貫いていけば、それをはっきりさせれば、解決できるじゃないかということを私は言いたいわけです。  そして、その原則をはっきり貫いていくならば、法的な関係がどうのこうのとかいう以前の問題として、法律云々以前の問題として、こういう問題が起こった場合の解決の原則の問題、基本的なルールの問題として、銀行に、三・五兆円と二・二兆円でこれがもうぎりぎりだと母体行に言わせないで、もっときちんとやるべきだ。追加負担の立派な論拠として、銀行にもっと負担しなさいということを迫れるはずのものだ。そこを何かあいまいにして、母体行主義を貫かないようにしてしまったから、今銀行に対して余り強い態度に出られないということになるんじゃないかと思いますが、大蔵大臣、どうでしょう。
  163. 久保亘

    ○久保国務大臣 情緒的な親子関係ということと法的な親子関係というものは、またちょっと違うのではないかと思っております。  それで、法律上、親の義務を要求できるということについて、今どこまでできるのか。そして、それでできない部分について、どのような母体行側の理解協力が求められ、得られるのか。そういうことではないかと思っておりますから、何か法律上の原則に沿って、当然母体行が持つべきものを何で要求していないんだというお話ではなかろう、こう思っております。しかし、我々がなお最善を尽くす努力をしなければならないということを繰り返し申し上げているのでございます。
  164. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 住専の母体行と住専の関係は何か情緒的な関係で、直系ノンバンクとその母体行との関係は何か法律的な関係だ、そんなものじゃないと思うのです。この親子の関係は非常にはっきりしているし、これまで暴露されてきた実態に照らしても、母体行が住専の処理の問題で本当に大きな責任を負っているということは非常に明白なわけで、こういう実態が明らかになればなるほど、母体行主義できちんとやっていくべきだということは明らかなんじゃないかと私は考えます。そういう方向で大いに迫っていく必要があるんだということを申し上げておきたいと思うのです。  それから、母体行の追加負担を求めていく上で、この原則の問題、ルールの問題とともに重要なのが資料の公開の問題であります。  既に住専側から明らかになっている資料によっても母体行の責任の重大性は明らかでありますけれども、母体行自身の資料をもっときっちり出させて、そしてその母体行の責任というものをその面からもしっかり裏づけて母体行に迫っていくことが私は肝心だろうと思うのです。  大蔵大臣にお聞きしますが、住専問題で、問題の解明、責任の明確化に役立つ資料で、これまで母体行、銀行側から提出された重要な資料が何かありましたか。あったら教えていただきたいと思います。
  165. 西村吉正

    ○西村政府委員 今まで御要望のありました資料につきましては、そのもとの資料が銀行あるいは住専あるいは行政の中にあるものそれぞれ、御要求のあるものに対しまして誠心誠意対応してきたというふうに考えております。
  166. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 要するに、銀行側から出された資料はこれとこれだということは明言できないくらい、銀行からの資料というのは出ていないのですよ、何にも。紹介融資の問題がこれだけ重視されていて、重要だと言われていますけれども、三月一日に当委員会に提出されたのは住専側の資料であります。  官房長官はこれにかかわって、もう結果として九十何%のものが不良債権になっているという現実は、これはむしろ母体行が引き取るべき責任があるということを言われました。結果として悪い物件を紹介し融資をさせたということになりますと、専門的な知識をむしろ住専よりは持っているべき母体行でありますから、これは重大だということも言っているわけです。しかし、この資料も住専側から出された資料であります。  数日前の新聞紙上で、東海銀行の元支店長は、「銀行の融資を伸ばすことをまず考え、リスクがあったり利益の少なかったりする案件は系列のノンバンクや住専に持ち込みました。」こう述べています。銀行に持ち込まれる融資案件を銀行として何らかの振り分けを行って、不良債権化する危険性の特に高いものを振り分けて住専に押しつけた。銀行側にはこの振り分けの基準といいますか、内規といったようなものも当然あるはずなんです。  こういった具体的なものを含めて母体行側からの紹介融資の実態をきちんと明らかにさせて、これを国会国民の前に示す、そういう努力をすべきだと思うんですよ、大蔵省にはそういう権限があるわけですから。そういう努力を払わないで、母体行に追加負担を求めているけれどもなかなか言うことを聞いてくれません、だから国民の負担をお願いしますということでは通用しないと思うのです。その点、大蔵大臣に明確な答弁を求めます。
  167. 西村吉正

    ○西村政府委員 御要求のありました資料について、銀行から提出すべきものがございましたらそのようにいたすのが筋だと存じますし、住専から提出することがよろしいものについてはそのように対応してきたと存じますし、資料の性格に応じまして、御要求のありましたものについては可能な限り対応してまいったと存じております。  そのような資料に基づきまして関係者の間でお話を最大限煮詰めた結果が、今日の政府の提案に至っておるわけでございます。
  168. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 今言ったように、銀行側が住専紹介融資をするに当たって、これを住専にやる、これは自分がやるという振り分ける基準、内規、こういったものも当然出させるべきなんです。  それからまた、母体行の現職の頭取が住専の役員を兼務していたという事実も明るみに出ております。こういうことになりますと、まさに住専の不良債権は即母体行の不良債権ということになる、その実態もはっきりしてくるわけでありますが、この兼任役員の名簿は、大蔵省が国会に提出した資料からは隠されております。こういう母体行の役職員の住専ごとの出向状況、役員兼任状況も全面的に調査して、国民の前に明らかにすべきであります。  それからまた、大体、各母体行が対応する住専に対して行った融資の期末残高の推移、こんな問題を検討する上での基礎資料さえまだ国会には出されておりません。国会が要求をしなくても、今度の国会が始まる前に相当膨大な資料を大蔵省は出してきた。だから、本当に銀行と母体行とその責任を追及してもっと明らかにしようということになるんだったら、国会が求めなくても、大蔵省としても政府としても、もっと銀行にこういう資料をきちんと出させる努力をすべきだと思うのです。  今銀行局長答弁がありましたけれども、こういう資料、今挙げたような資料も含めて私たちも理事会に資料の要求を出しておりますけれども、こういったものを銀行にきちんと出させるという約束を大蔵大臣にきちんとしていただきたいと思います。
  169. 西村吉正

    ○西村政府委員 三月二十八日付で日本共産党から御要求のありました資料につきましては、現在予算委員会理事会でお取り扱いについて協議が行われていると伺っているところでございます。
  170. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 もう時間になってしまいました。実は、きょう、参考人として日銀の総裁にお見えをいただいていて、お伺いすることになっていたのですが、済みません、質問の流れの中でちょっと機会を逸してしまいましたので、大変失礼をいたしました。容赦をしていただきたいと思います。  母体行の追加責任を実現する上でのかなめは、これまでのルールをはっきりさせて、そのルールの立場で迫ること、さらに、住専問題にかかわる銀行の経営や住専支配の実態、その社会的責任を徹底的に明るみに出す、そういうディスクロージャーが肝心だと思うんです。これまで母体行や銀行側から国会に提出された資料、すなわち国民に公開された資料が皆無に等しい、こういう状況をこのまま放置してはならないということをはっきりと申し上げて、その点についての総理の見解を伺って、質問を終わりたいと思います。
  171. 久保亘

    ○久保国務大臣 今再三の御意見はよく承りました。私どもといたしましても、住専問題の処理に、もう既にこの委員会でも申し上げております原則、方針、目標に基づいて、これから皆さんの議決をいただきましたら、それに基づいて取り組んでまいるわけでございますから、今御意見のありましたことも十分頭に置きながら考えてまいりたいと思っております。
  172. 佐々木陸海

    ○佐々木(陸)委員 終わります。
  173. 上原康助

    上原委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。  次に、土肥隆一君。
  174. 土肥隆一

    土肥委員 市民リーグ・民改連の土肥隆一でございます。  いつもここに立ちますと、必ず地元の話をまずすることにしております。ぜひとも内閣挙げて、被災地阪神・淡路地区の実情をいつも記憶にとどめていただきたいと思うのでございます。  三月三十一日、日曜日ですが、読売新聞が一面トップでこういう記事を出しました。「仮設住宅撤去費百億円超」「国拒否 被災地と対立」、こういうふうな見出しになっています。  かいつまんで言いますと、御承知のように、仮設住宅は阪神・淡路地区に四万八千三百戸建てられています。四万八千三百戸です。十や二十じゃございません。芦屋市が、今春休みですから、なるべく学校のグラウンドを開放しようということで、芦屋市立潮見中学校の校庭のうちに二百戸仮設住宅が建っておりますが、その九十七戸分だけ撤去することができるようになりましたので、撤去しようといたしました。なるべく広いグラウンドを子供に提供したい、これはもう当然でございます。費用が三千五百万円ほどかかる。市は県に相談したんです。県は、国に相談してくれ、こういう話なんですね。  したがって、国はどう言ったかというと、厚生省が答えているんです。これは新聞記者が取材したんだろうと思いますが、「災害救助法は仮設住宅の撤去費まで想定していない。建設後の仮設住宅は県財産になるのだから、処分は当然地元がするべきだ」、実に紋切り型の、まあ、このように言ったかどうかは別にいたしまして、こういうやりとりをやっている以上は、なかなか地元の復興は達成しないんです。  先月は神戸市の助役、これは焼身自殺をいたしました。彼は都市計画、区画整理事業などを担当していた助役でございましたけれども、そういうことも起こりました。何とかもう少しまともな、国、県、市のまともな援助体制、もっとソフトな援助関係というものを、話し合いというものをしてほしいと思うんですが、この点について厚生省の見解、厚生大臣の見解を聞きます。
  175. 菅直人

    ○菅国務大臣 土肥委員から今御指摘のありました仮設住宅の撤去についてでありますけれども、原理をまず申し上げますと、仮設住宅は、設置されたものはその自治体が取得した財産として管理をされるということから、その後の撤去も含めて、厚生省は、災害救助法に基づいて、仮設住宅の設置はいわば担当しておりますが、それの撤去については自治体が自主的に行われるというふうに予定はされております。  ただし、今回の阪神・淡路大震災におきましては、応急仮設住宅の設置戸数も、先ほど土肥さん御自身言われたように、大変多い、前例のない規模でありますので、現在、兵庫県において仮設住宅の撤去に係る方針を検討中であると聞いておりまして、今後はそうした県や市ともよく相談をして対応していきたい。つまりは、何らかの国としての対応も考えなければならない、こういう姿勢で協議をしていきたいと思っております。
  176. 土肥隆一

    土肥委員 災害救助法を適用するのだ。今の災害救助法は、大幅に改正しないと都市型の地震には全く役に立たない災害救助法ですよ。しかも、昭和二十年代に決められた話でございまして、そういう意味では、私はこの災害救助法の改正をしなければいけない。  それから、県の財産だ。四万八千三百戸の仮設住宅を財産なんて言われたって、これはもう壮大なごみの山なのですね。昭和二十年ごろは、十戸二十戸建てたら欲しいという人もいるかもしれません。だけれども、これはどうやって撤去し、どうやって処分するのですか。これだって大変な問題ですから、災害救助法を適用するからなんということで済まされるような問題ではないということを指摘しておきたいと思います。  さて次は、どうも今回の総理大臣の施政方針演説でもあるいは厚生大臣の所信表明でも、公的な介護保険を導入するのだということをきっちりとおっしゃっているにもかかわらず、最近の新聞を読みますと、どうも住専国会だ、これから先いろいろもう問題が多そうだから先送りにしようじゃないか。いや、そうじゃなくて、むしろ公的介護保険というのはお荷物だなんというようなことも言われている。最近では、自民党の方で、丹羽先生などが、在宅サービスだけ部分的にやろうというふうな意見が出ておりますが、私はとんでもないことだと思うのであります。  私は、この公的介護保険で見失われている一つの側面を御紹介したいと思うのであります。それは、全国で非常に盛んに行われております住民参加型在宅福祉サービス団体というのがあるのです。これは、橋本総理もよく御存じのことだと思いますけれども、これは非常に活発にこの十年来活動しておりまして、私も今から十四年前に神戸でこの運動を始めたのでありまして、今も続けております。  全国社会福祉協議会の地域福祉部がまとめた平成七年度の統計がございまして、それによりますと、団体の数にして、応答があったのが六百九十一団体、これはいろいろと御紹介をしたいのでありますが、これは主に都市の住民が、地域住民が、どうも今の日本の福祉では在宅福祉は追いつかない、特に、超高齢化社会で行政の福祉サービスを待っていたら間に合わない、そういう危機感を覚えて、自分たちで何とか老後を守ろうという、そういう思いで出発いたしまして、そして地域住民の、独居老人などのお世話を始めたのです。  そして、時間がありませんから十分申し上げられませんけれども、家事援助だけで、この社協が統計を出した数字によりますと、一年間の総時間数は四百十五万八百一時間、家事援助をやっている。それから介護。まあ介護と看護のこの境目は非常に難しゅうございますけれども、介護的なもの、いわゆるボディータッチといいましょうか、清拭をしてあげたり、そういうものは百四十三万六千二十二時間。  これはもう物すごい運動でございまして、これを熱心に、しかも何の利益も求めないでやっていらっしゃる。そして、公的な福祉サービスが及ばないところ、その部分についてもこの仕事を展開している。例えば、知的障害者や子供のところにも出かけるし、妊産婦などのお手伝いもするし、父子世帯などにもお手伝いに行くし、精神障害者の皆さんにもお手伝いをしている。こういう人たちが今何を待っているかといいますと、早く公的な介護システムを実現してほしいということです。  それは、今度の公的介護福祉政策の中には要介護認定というのが出てまいります。この人がどういうニーズがあって、どういうふうにこの困難度を認定するかというときに、普通、民間の諸団体は自分の考えでやっているわけです。いつもぶつかるわけです。行政がすべきもの、ホームヘルパーさんがやるべきことと自分たちがやるべきことは何だろうかと、いつも自問自答しているわけです。ですから、公的介護サービスが展開されましたら認定が行われる。そして、ケアプランができる。そして、保険に基づいてケアがなされる。それは介護保険の分野でやれる。そうしたら、その分野もやるけれども、同時に、そこから外れる分野もやろうというのがこの団体の意欲なんです。  それからもう一つは、施設サービスというのはいつも切れるのです。突然病院から退院してまいります、退院しろと言われて。まだ病人なんです。それを在宅介護支援をやっている人たちがお世話する。あるいは特養から出てくる。老健施設から、もうあなた、時間が来たから出なさいと言われて、帰ってくる。いつも施設サービスが自分たちの仕事の切れ目になって、継続してこの人が在宅でできなければ施設に行くというふうな流れができないのです。  それから、費用負担です。若干の実費を皆さんは受け取っていらっしゃいます、この有償団体は。お金にして一時間六百円か七百円の幅です。ところが、公的なホームヘルパーさんが行くとただだと思われるわけですね。ただのホームヘルパーが入っていると同時に、この在宅の一生懸命やっている人たちが入ってくる。こういう実態で、何か不当なお金を取っているんじゃないかというふうに、この福祉サービス団体は感じている。  いずれにしても、私が申し上げたいのは、この人たちは十年来、営々として、何百万時間という時間を重ねてコミュニティーのお年寄りたちを支えようと頑張っているのに、そして、早く明確な公的サービス、在宅サービスあるいは施設と在宅との豊かな連携がとれるような、そういう事態を待っているにもかかわらず、それがなかなか実現しないで、大変意欲も喪失し始めているというのが現状でございます。  そういう人たちが介護保険の背後にいるということをぜひとも御理解いただいて、何とかこの国会で法案を提出し、とにかくスタートさせるということを申し上げたいのでありますが、まずは厚生大臣から御答弁いただきまして、最後、総理からこの決意をお聞きしたいと思います。
  177. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、土肥委員の方から、公的介護保険制度の法案が先送りになるのではないかという御指摘であります。  現在、昨年二月から始まりました老人保健福祉審議会の検討が、一月末、中間報告が出まして、若干その後が手間取っていることは事実であります。しかし、今の予定では四月半ば、ないしは若干おくれるかもしれませんが、そのあたりに最終報告をいただいて、何とか連休を挟んで五月の終わり、あるいはもうちょっとずれ込むかもしれませんが、この国会の間にぜひ法案として提出をしたい。もちろん議論そのものは、場合によってはもっと出した後もかかるかもしれませんけれども、そういう段取りで進めたいと思っております。  また、今土肥さんの言われました、いろいろなグループが活動している、そのことについては、NPO法案の成立といったようなことも関連をするかと思いますが、そういった活動がぜひこの公的介護の制度の中にうまく連携するように考えていきたい、このように思っております。
  178. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今厚生大臣からも御答弁がありましたように、老人保健福祉審議会が最終意見の取りまとめにかかって、非常に精力的な御論議を続けておられるようであります。  私自身、昔からこうした制度をつくりたいということを申し上げ続けてきた人間でありますし、ここまで参りました段階で、どうぞ十分な議論を仕上げていただきたい、そしてできるだけ、実施主体を含めて私はきちんとした適切な公費負担を組み入れた――私自身は社会保険方式をベースに置きながら新たな高齢者介護の制度をつくりたいと申してまいりましたし、同時に私保険の組み合わせといったことも申してまいりました。  それは、議員は御地元から御議論を発せられましたけれども、同時に、日本には離島、過疎といったなかなか人手を得にくい地域もあるわけであります。こうしたところを含めて、どこにも活用のできる仕組み、こうしたものを考えていくとすれば、やはり私は適切な公費負担を組み入れながら社会保険方式というものを基本に置いて組み立てていくべきではなかろうかと考えておりますが、いずれにしても、私どもはこうしたものを進めていきたいという決意に変わりがあるわけではありません。
  179. 土肥隆一

    土肥委員 大変ありがとうございます。  要するに、今後の福祉サービス、特に介護保険を組み入れた福祉サービスというのは、公的というと何か公務員が全部かかわるということになりましたらこれはもう膨大な費用がかかります。別に費用が高いから安いからというわけじゃありませんけれども、マンパワーとしても、こうした住民参加型の人をきっちりと組み込んでいく。そして、彼らの意欲がそがれない範囲で、その介護保険にそぐわない部分もまた担っていただく。そういう線引きをしていただくと非常に仕事がしやすいということが一点でございます。ぜひともこれは、法案の中にもこういう位置づけをきっちりとしていただきたいというふうに思います。  それから、将来のことでございますけれども、やはり施設福祉と在宅福祉とが有機的に連携しませんと、先ほども申し上げましたように、施設というのは入ってしまえばそれっきり、そして利用するとなると今度はもう非常に難しい、二年も三年も待たなければいけない。そこにはやはりこの介護認定、ケアプラン、それがきっちりできていないからなんですね。  そしてまた、重度のというか非常に介護力の問われるようなお年寄りはなかなか特養にも入れてもらえない。これもおかしな話で、もしそういう重介護の人をたくさん入れたら保険がたくさんついて、人員もふやせて、そして施設もそれで運営ができるというふうにすべきでありまして、措置というものから利用型の施設に早く変えていく、そういう意味でも今回の公的介護保険はぜひとも実現していただきたい、このように思いまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  180. 上原康助

    上原委員長 これにて土肥君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会