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深谷委員 参考人招致を通じて、各
関係者の無
責任体質というものがかなり明らかになってきたというふうに私は思います。これこそが
住専問題の
功罪の罪の
部分だ、こう思うのですね。私は、その
一つ一つについて改めて検証してまいり、今後の
対策の糧にさせていただきたい、このように思います。
まず、住宅金融専門会社、いわゆる
住専についてでございます。
日本住宅金融の庭山慶一郎元社長さん、この方は
国会にもおいでになりました。テレビその他マスコミでも随分発言を繰り返しておられます。すべての
責任は日銀と
大蔵省にあると。私は、
住専を運営した元の社長がこんな事態になっても公然と言ってのける姿に、大きな憤りを感じないわけにはまいらないと思うのでございます。
住専経営者全体に言えることでございますが、まず道徳観に欠けている、そして、経営者としての感覚であるとか先を見る目がなさ過ぎる、そんなふうな感じを持ってならないのであります。
大体、
住専というのは
銀行ではありません。
預金者のいない金融
機関でございまして、大小はありましても、町の金融
機関、ノンバンクであることはこれは間違いないことだろう、こう思っているのです。大体、
住専が発足した当時というのは、個人の住宅ローンを中心にして
資金を貸し出すという、そういう会社でございました。
ところが、後半になりますと、返さないかもしれないような相手にまで相当な
お金を貸し付けるといったような、そういう乱脈ぶりが続いてまいったのであります。
お金を貸すのですから、リスクがあったらそれを承知して、担保と適正な貸し金の限界というものを明確にしなければならないと思うのです。
私は、
銀行とノンバンクを区別して、
銀行がいいというふうなことを言おうとは思っていません。しかし、どちらかというと、
銀行に融資を求める会社というのは、ある程度、比較的リスクの少ない、そういう会社であるという認識を持っています。しかし、ノンバンクということになりますと、よほど担保の条件もしっかりしなければならないし、貸し出す金額というものもおのずからある程度限界を置かなければ、やがて後で回収困難になる、もしくは経営が困難になるということを当然念頭に置いておかなければならない、私はそういうように思うのでございます。
私
たちは下町に住んでおりますけれ
ども、昔ながらの質屋さんがございます。現在は少なくなつたと言われておりますが、それでも東京都内で六百軒以上はございましょうか。この質屋さんがこのごろ、困っている人だけではなしに、若い
人たちにもトレンディーだといったような言葉で人気を集めているのですね。
私は何人か質屋さんに友人がいるものでありますから、今一体どんなふうに
お金を貸し、担保をとっているんですか、こう聞きました。
質屋さんの場合には、質ぐさというのを担保にとるのですね。それで
お金を返さなければ、これを流すといって
お金にかえて、そして経営が破綻しないようにやっていく。ダイヤモンドみたいな貴金属類というのは大体五割ぐらいの
お金を貸すというんですね。しかし、そうでない場合には三割程度で抑えて、できるだけリスクをしょい込まないようにしているんだ、こういうように聞いたのであります。
しかも大事なことは、お客を見る目を養っているというんですよ。このお客さんが苦労しながら
お金を借りに来た、今までの実績を見てもきっと返してくれるお客さんだというと、
お金の貸し出す分をやや多くしたり、親身になってやるわけです。相手の身になって
お金を貸す。
私はこの前の
質問のときにも申し上げたんですが、今の
銀行、金融
機関は余りにも担保主義に走り過ぎてしまった。担保がなければ
お金を貸さない、担保さえあれば
信頼できるといったようなそういうことで、金融経営者としての人を見る目というものが全く阻害されてしまった、ここに多くの問題がある、こう
指摘しました。
中小企業が
銀行に
お金を借りに行っても、担保物件がないとかいう理由でなかなか貸してくれない。そこの従業員の意欲がどうなんだろうか、その会社の今日までの
努力はどうだったんだろうか、将来はどうだろうか、そこまで親身に
考えて
お金を貸すという
銀行は今やほとんどなくなってしまった。形こそ違うけれ
ども、質屋さんがそういうような思いやりのある
お金の貸し方をしているというふうに言われているわけであります。
それに比べて、
住専の貸し方というのは余りにもでたらめでございます。庭山さんが幾ら日銀、
大蔵省悪いと言ったって、危なっかしい担保物件に七割八割、場合によっては一〇〇%超える
お金を貸すんですから、回収できなくなるのは当たり前なんです。しかも、担保物件の評価そのものもいいかげんだ。だから、今日のように回収できないような状態になったら、さあ国が悪いとうそぶくのは間違いなんですよ。当然リスクを
考えて、この担保物件の例えば五割貸したとしたら、土地の価格が半分に減ったって、
住専はマイナスにはならなくて堅実な経営ができたはずだ、私はそう思うのでございます。
担保物件の評価もいいかげんだ。貸すときにも十分に調査をしない。逆に、バブルの延長で、さあ借りてくれさあ借りてくれ、こういうような進め方をやってきた
住専の経営者の
責任というのは、道義的な
責任だけではなしに法律的にも問われなければならない
責任を抱えているだろう、私はこう思うんですが、法務大臣、どうお
考えでしょうか。