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1996-02-26 第136回国会 衆議院 予算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十六日(月曜日)     午前九時四十分開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       菊池福治郎君    小杉  隆君       後藤田正晴君    佐藤 剛男君       志賀  節君    高鳥  修君       谷川 和穗君    原田  憲君       武藤 嘉文君    村岡 兼造君       村山 達雄君    谷津 義男君       若林 正俊君    安倍 基雄君       愛野興一郎君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       江田 五月君    奥田 敬和君       川島  實君    左藤  恵君       谷口 隆義君    平田 米男君       前田 武志君    松岡滿壽男君       山口那津男君    山田  宏君       山田 正彦君    今村  修君       佐々木秀典君    坂上 富男君       田中 昭一君    細川 律夫君       宇佐美 登君    錦織  淳君       正森 成二君    松本 善明君       矢島 恒夫君    吉岡 賢治君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         厚 生 大 臣 菅  直人君         農林水産大臣  大原 一三君         通商産業大臣  塚原 俊平君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   倉田 寛之君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         人事院総裁   弥富啓之助君         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         内閣総理大臣官         房管理室長   安藤 昌弘君         行政改革委員会         事務局長    田中 一昭君         警察庁刑事局長 野田  健君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         経済企画庁長官         官房長     竹島 一彦君         経済企画庁調整         局長      糠谷 真平君         経済企画庁国民         生活局長    坂本 導聰君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         法務省訟務局長 増井 和男君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 河村 武和君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵大臣官房参         事官      河上 信彦君         兼内閣審議官         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省証券局長 長野 厖士君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         大蔵省国際金融         局長      榊原 英資君         国税庁次長   若林 勝三君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         中小企業庁長官 新  欣樹君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君  委員外出席者         参  考  人        (日本銀行総裁) 松下 康雄君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     小杉  隆君   武藤 嘉文君     佐藤 剛男君   安倍 基雄君     奥田 敬和君   伊藤 達也君     山田 正彦君   笹川  堯君     江田 五月君   錦織  淳君     宇佐美 登君   矢島 恒夫君     正森 成二君   海江田万里君     吉岡 賢治君 同日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     越智 伊平君   佐藤 剛男君     武藤 嘉文君   江田 五月君     笹川  堯君   奥田 敬和君     安倍 基雄君   山田 正彦君     伊藤 達也君   宇佐美 登君     錦織  淳君   正森 成二君     矢島 恒夫君   吉岡 賢治君     海江田万里君     ————————————— 本日の会議に付した案件  証人書類提出要求に関する件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  本日は、住宅金融専門会社問題等について集中審議を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。深谷隆司君。
  3. 深谷隆司

    深谷委員 おはようございます。  橋本総理大臣総理大臣におなりになってから初めての訪米、まことに御苦労さまでございました。  報道されたところによりますと、クリントン大統領との会談も極めてスムースに過ぎて、大きな成果を上げられたと喜んでおります。実際にはその間のお話を伺いたいと思っていたのでありますが、本日は住専の問題に絞られた集中審議でございますから、またの機会に譲ることにいたしまして、とりあえず、本当に御努力なさったことに感謝を申し上げたいと思う次第であります。  さて、去る二十二日に、野党新進党は、小沢党首先頭住専処理反対デモ行進を行ったのであります。来る三月五日、再びまた大規模なデモ行進を行うと聞いております。もちろん、野党のおやりになることでありますから、私どもがとやかく言うべき問題ではないとは思うのでありますが、率直に言って、なぜ国会議員国会に向けてデモをやらなければならないのか、そこのところは何とも奇異に映って仕方がないのであります。  大体、デモ国会の中で発言できない市民の方々がやるべきものでございまして、国会審議をする権利と責任のあるそういう人たち委員会を開催中に街頭デモ行進を行うというのは、やっぱり国民からごらんになっておかしな姿ではないだろうかなというふうに私は思います。あの日は、ちょうどこの委員会公聴会をやっているときです。国民皆様方が大きな関心を持って意見を発表するようなときに、国会がとまっているというならともかくでありますが、なぜ街頭デモ行進をしなければならないのか、どう考えても私には理解できないところであります。  私は、国会議員国会堂マ質問を行う、これに徹することが必要であると思うのでありますが、総理大臣、御感想はいかがでございましょう。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、それぞれの政党が活動されるその政党活動について、私から何ら申し上げるべき立場ではありません。この点はぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。  住専問題を初め、国政の中で御論議をいただくべき問題は多数あると考えておりますし、重要事項におきまして国会の場におきましての真摯そして活発な御議論というものが行われること、これが民主主義の基本であるということを私は申し上げたいと思います。
  5. 深谷隆司

    深谷委員 しかも、あのデモ行進を見ますと、住専処理に税金を使うな、この一言のシュプレヒコールが繰り返されているのであります。こんな困難な問題をそういう一言だけで片づけていくような姿勢というのは、私は、国会議員として余りに安易で、むしろ国民を欺くものではないかとさえ思っているのでございます。もっとも、小沢党首を初め、先頭に立っている人たちが苦笑いを続けておりましたから、やっぱり真剣勝負ではないんだなという感想を持ったということもつけ加えさせていただきたいと思うのであります。  政府提案する法律案に対して反対なら、先ほど申したように、国会で堂々と述べるべきであります。そして、何らかの対案を出すべきなんです。今回まで何回も新進党対案を出すと言っておりましたが、いまだに党内の意見がまとまらないで、今日に至るまでも具体的な提案は出されておりません。  このような状況を一体どう思われるのか。私は野党から具体的な対案が出されてしかるべきだと思うのでありますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
  6. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 それぞれ、本日までの審議の中で、その方が考えられる手法というものについての御論議がございました。ある方からは、会社更生法を使うべきであるという御意見もございました。ある委員からは、破産法の手続を、そうした御意見もありました。そしてまた、そういう延長線の中で、私どもが耳を傾けるべき御意見もそれぞれにあったように思います。  ただ、党としてまとまった御見解をお示しいただくというには今日まだ至っておらない、そのように感じておりますし、それぞれに対しての考え方、これは私どもとしてお示しをしてまいりました。(発言する者あり)そして今、削除というお話がありましたが、それだけで済む問題かどうかはまた別な問題があろうと存じます。
  7. 深谷隆司

    深谷委員 対案をまとめると言われていたことは確かで、今までその対案が出されていないことも確かでございますから、自分が都合が悪いといって大きな声でやじを飛ばさないでいただきたいと思うのであります。  そこで私は、本日の質問を通じて率直に住専処理功罪を検証いたし、最後に幾つかの提案を申し上げて国民皆様の御理解を仰ぎたい、そのように考えております。  まず、住専処理功罪の功の部分、よかったと思われる点から私の考えを述べていきたいと思うのであります。  昨年、村山政権は、住専処理の問題について具体的な方針を年内に立てようと決意をされたのでございます。私も閣僚の一人としてその協議には参加をいたしまして、そして、昨年の末ぎりぎりで出されたのが今回の住専処理対策法案でございます。  その目的の最大のものは、金融不安を解消して景気回復させる、この大きな目標に向かって進もうということであったと思うのでありますが、当時の副総理というお立場で、橋本総理、どのようにお考えでございましたか。
  8. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 委員とともに閣僚の一人として村山内閣の中におりました人間として、当時の大変厳しい経済情勢の中で、日本景気回復のために何をすればいいか、真剣な論議をしてまいりました。そしてその中におきまして、二度の経済対策を初めとするさまざまな施策を積極的に講じていく中におきまして、まさに今議員指摘のように、この住専の問題の処理というものが非常に大きいというお互いの認識の中で今回のスキームを決定してまいりました。  私は、今、日本経済、先行きがやや明るい情勢になってまいりましたことを本当にほっとした思いで見詰めておりますけれども、依然として雇用が極めて厳しい情勢にある、さらに中小企業、特に非製造業部門において非常に厳しい情勢がありますことを今も本当に心配し続けております。  そうした中におきまして、そうした産業の血液ともいうべき資金を流していく金融システムというものの安定を確保すること、その信頼性を高めること、これは何をおいても我々として考えなければなりません。今回の住専処理方策というものにつきまして、年末ぎりぎりまで本当に関係者の中で論議が進められる中におきまして、かえってそのために情報の開示がおくれておしかりを受けている部分がありますけれども、この処理の方向が見えたということは、私は、金融システムに対し再び信頼、安定を取り戻す上で非常に大きい効果があったと考えております。
  9. 深谷隆司

    深谷委員 この三年間我が国不況であえいでまいりました。特に中小企業を中心とする国民皆さんの悲鳴にも似た声を、私たちは痛いほど受けとめてまいったのであります。  そこで、与党三党とも結束をいたしまして、当時の村山内閣、次から次へと切れ目のない経済対策を打ち立ててまいりました。今お話がありましたように、住専処理対策は昨年ぎりぎり決まったものでございますが、しかし、これらの一連の動き効果を上げまして、ことし一月四日以降、株価は二万円の大台に上り、今日も堅調でありますし、為替は百六円という、つまり円高から円安に移っていったのでございます。  私は、長期的に見て、我が国経済はようやく回復軌道に乗った、こう思うのです。その乗った一つのきっかけはこの住専処理策にあったと思うのでありますが、もう一回総理のお考えをお述べください。
  10. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私ども為替水準あるいは株式市場のいわば水準についてあれこれコメントをすることは本来控えるべきことであろうと思います。  しかし、少なくともこの住専処理策が発表されました後、市場が安定して動いております。そして、その意味では、今回日米首脳会談をいたしましても、為替問題等が全く論議の対象として考えられずに済んだ。こうした点は、やはり私は、住専の問題を突破口にして不良資産処理に取り組むことによって金融システム安定性を求めていくという姿勢は、少なくとも市場に好感を持って受けとめられたと考えており、この役割は景気回復の中で大きなウエートを占めると思っております。
  11. 深谷隆司

    深谷委員 あとは、景気回復の足取りをより確かなものにするために、今上程されております平成八年度、七十五兆円を超えるこの予算を早急に成立させることだと私は思っております。  住専対策を打ち立てて二つ目によかったことは、私は、昭和初期に起こった金融恐慌を再現させなかったという点ではないだろうか、こう思っております。  大正十二年に起こった関東大震災の後、日本銀行震災手形特例的割引を実施いたしました。しかし、第一次大戦の反動もございまして不況がずっと長引いて、手形の返済が一向に進まず、経済はまことに大きな低迷を来したのであります。そこで政府は、やむなく財政資金を用いてこれを解決しょうといたしたのであります。  ところが、当時、震災手形の大半が鈴木商店台湾銀行が所有しているということから、そこにだけ救済の目を向けるといったようなうわさが立ったのでございます。そして、多くの反対が起こってまいりまして、鈴木商店台湾銀行を救済するために国のお金を使うのはおかしいということで、国会も紛糾をいたしまして、結局は、この案は否決をされまして、若槻内閣ば崩壊するということになってしまったのでございます。  当時の東京朝日新聞というのがございます。「どうして下さる? 二億圓の汗の結晶」、こうかなり大きく扱っておりまして、何ですか今日の動きにやや似たような感じがしないでもないのであります。  これらの動き預金者の不安が広がってまいりまして、次々と銀行休業をいたし、全国にこれがパニックとなって広がって、昭和の大恐慌に至ってしまったわけでございます。  今の時代、情報化社会だからあのようなことは二度と起こらないだろうとおっしゃる方がおられます。しかし、私は、情報化社会だからこそ、どこかで金融不安が起こったらたちまち全国に広がって大パニックになる可能性は逆に多くなっているのではないだろうか、こう思うわけであります。  昨年の八月に、大阪木津信用組合業務停止命令を下されるという、そういうことがございました。あのときに、大阪府は、預金者に対して元本も利子も全額保証すると約束したのであります。にもかかわらず、預金者の間には大変な不安が起こりまして、たちまちにして組合に人々が集まりまして、カウンターを越えて大変な取りつけ騒ぎが起こって、当時の新聞にも写真入りで多く出ているのであります。  農林系金融機関、これは組合員が九百万人でございます。万が一危ないということになって動き始めたら、数が多いですから、一体どのような状況になるのか予想することはできないくらいに私は危険だと思うのであります。それらが一挙に全国に広まってまいりますと、平成の大恐慌もあり得るかもしれない。  私は、やはり今回の住専処理対策というものが、今日再び平成の大恐慌を生まなかった一つの大きな力になっている、そう思うのでありますが、大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
  12. 久保亘

    久保国務大臣 今お話しになりました昭和初期金融恐慌は、私が生まれます二年前のことでございますし、また深谷さんはそれからさらに六年後のお生まれでございますが、この昭和金融恐慌教訓は、前車のわだちとして、私どもは今改めてこれに教訓を得なければならないと考えております。  若槻内閣が、勅令を枢密院で否決されました後、退陣をし、これを引き継ぎました田中内閣は、同じ内容のものを法案として提出し、そしてその議決によって、三十二行に及びました銀行休業という大変な恐慌の状態を収束することができたと私どもはそのときの状況を今いろいろな記録によって学ぶのでございますが、これは今の状況とはいろいろな条件や環境で違う点もございます。  しかし、基本的には、私は、この昭和金融恐慌の発生から収束に至る経過というものに今日深く学んで、そして、今深谷さんがお話しになりました、恐慌が起こってからこの問題に対処しようということでは国民を守る道ではない、こう考えております。今我々がなすべきことは、いかなる恐慌も未然に防ぐ政治の責任を果たすということであろうと考えております。
  13. 深谷隆司

    深谷委員 今、久保大蔵大臣が言われましたように、あの昭和の大恐慌に当たって、若槻内閣はつぶれたのでありますが、後の政友会田中義一内閣が、結果的には国の財政支出ということで収束をさせたわけであります。若槻内閣のときの内容とほとんど変わってない。  結局、そういう形でこの昭和大恐慌収束させたのでありますが、当時の政府の補償をすべて合わせますと約九億円、大体今日の貨幣価値で換算いたしますと、ほぼ一億円は三兆円と言われておりますから、二十七兆円という巨額な額に上るのであります。時期を失したら膨大な国のお金がかえってかかるということが、私は、若槻内閣から田中内閣へ移り、そして大恐慌収束を図った財政措置の金額を考えましても、本当によくわかるような気持ちがいたすのであります。  私は、そういう意味で、今回の処理対策を一日も早く実現させることが国民負担をこれ以上増大させない道だと思いますが、大蔵大臣いかがでしょうか。
  14. 久保亘

    久保国務大臣 私も全く同じような考えを持っております。
  15. 深谷隆司

    深谷委員 私は、住専処理対策を打ち立てたことによってよかったことのもう一つに、ジャパンプレミアムという点を挙げてみたいと思うのであります。  日本企業は、外国から調達した資金銀行から借りて運用をいたしております。これは何も大企業だけとは限りませんで、中小企業もその例外ではございません。ところが、日本金融システムが不安定でございましたので、外国金融市場から借りる場合に日本だけは余計利子を出さなければならないようになっておりました。その割り増し利子ジャパンプレミアムと呼んでいたわけでございます。昨年の最高時でこれが〇・五%に及んだ、そのように聞いております。ですから、そのまま推移していたら、恐らく年間を通じて約五千億円以上のお金が流れてしまうのではないかとあるエコノミストも申しておりましたし、この間参考人でおいでいただいた方も同じような試算をここで申しておられたわけでございます。  実際に、住専処理対策が発表されましてから、日本金融システムに対する信頼が取り戻されたとみえまして、このジャパンプレミアムはほとんど解消していると聞いておりますが、いかがでしょうか。
  16. 久保亘

    久保国務大臣 昨年の十月下旬には、今お話がございましたように、〇・五%のプレミアムがついたのでございますが、十二月十九日の住専問題処理に関する閣議決定以降、これは次第に収束いたしまして、一月に入りましてからは〇・一%を下回り、今日では限りなくゼロに近づきつつあると考えております。  詳細、このプレミアムによってどれだけの負担が行われることになったのか、これらにつきましては、必要でございましたら政府委員の方から答弁をさせます。
  17. 深谷隆司

    深谷委員 いろんな形で各方面からジャパンプレミアム試算の数字が出ておりますから、大蔵省から今お尋ねすることは避けたいと思いますが、いずれにしても、日本金融システムの不安というものが解消されますと、割り増し金利を払っていた、それがなくなっていくわけでありますから、先ほど申したように、年間で五千億円以上助かったということになる。  こういうことをもっと国民皆様に細かくお伝えしておりましたら、もっともっと御理解が得られたのではないかと思う。私は、どうもこういう点について国民皆様に詳細お知らせするという努力が足りないのではないか、こういうことにこそ大蔵省政府がしっかり頑張るということが大事だと思うんですが、いかがですか。
  18. 久保亘

    久保国務大臣 私どもといたしましては、本委員会の御審議を通じても申し上げてまいりましたし、またいろいろと努力をいたしているつもりでございますけれども、御指摘のように、なお国民皆さんの御理解をいただくための御説明やいろいろなことでの理解を深める努力が不足していることについては、今後さらに努力を傾注しなければならないことだと反省を込めて考えております。
  19. 深谷隆司

    深谷委員 今までこの予算委員会審議を通じましていろいろなことがわかりましたが、委員会審議の中でよかったことの一つに、やはり、大蔵省だとかあるいは銀行だとかその他もろもろの機関が、守秘義務だとかプライバシーといったようなことで、隠していたと言うと語弊があるかもしれませんが、表に出さなかった問題をあるいは資料を、国政調査権というのを行使して要求してかなり提出させることができたということにあると私は思うのであります。  あわせて、この間の参考人招致も、私は成果があったと思っているのです。それぞれの関係者の代表を一堂に集めてさまざまな質問をいたしたあのやり方は私たち提案したものでございますけれどもお互い責任をなすり合うようなそういう発言が次から次へと出まして、私は、関係者責任逃れをしているという実態を国民皆様にかえって明確にお伝えできた。一体どこに問題があるのか、だれが責任を負わなければならないのかということなどがあの参考人招致の中からかなり明白になってきた、そのように思うのであります。  マスコミやその他の方たちから、参考人招致質問が生ぬるい、十分ではないといったような声も聞かれます。しかし、もともと国会というのは裁判所でもございませんし警察でもありませんから、犯人を突きとめるといったようなそういう性格のものでございませんので、参考人招致にいたしましても証人喚問にしてもおのずから限界がある、そのように思っているのでございます。その点は大蔵大臣、どうお考えでしょうか。
  20. 久保亘

    久保国務大臣 この国会が召集されます直前、一月十九日に、私どもは関係の閣僚の懇談会を通じて、積極的な情報の公開と強力な債権の回収とそして責任の明確化という三つのことを申し合わせたのでございます。それは、六千八百五十億という巨額の国民皆様の税金をこの問題の解決のために使わなければならなくなった今日のこの事態を招いたことに対して、国民皆様方に深くこうべを垂れておわびをするところから出発をしたのでございまして、そして、そのことに対して私どもとしては、果たすべき政府責任皆様の御協力のもとに全力を尽くして果たすことによって国民皆様方の御理解を得なければならないと考えてまいりました。  そういう中で、なお今日この事態、巨額の税金を投入してもこの問題を処理しなければ将来にわたって大きな禍根を残し、国民皆様方に対する政治の責任という立場からは逆に大きな問題を残す、こういうことについて、このような事態を招来した責任ということについては、私はこれからも、国会におかれても、また私どもが設置させていただきます住専問題処理機構や預金保険機構等が一体になって、あらゆる国家の機能を集めてこの責任に関しても徹底的に解明し、とるべき責任をとっていただく、こういうことでやらなければならないと思っております。  参考人の御発言をめぐってのお話もございました。これらのことも、今後の責任究明のために私どもは生かされていかなければならないと考えております。
  21. 深谷隆司

    深谷委員 参考人招致で多くの同僚議員がさまざまな質問をいたしました。足らない点はあるという批判は、これはいつでもやむを得ないことだと思います。  この間、二つの信用組合の破綻の問題をめぐりまして、当委員会において二人の経営責任者をお呼びいたしまして、さまざまな質問をこの場所でしたのであります。そのときも、生ぬるいとか不十分だという批判が非常に多く出ました。しかし、発言を引き出すことによって、存外その本音といいましょうか本質がえぐり出されてまいってきたと承知しております。そして、結果において、当時の二人の責任者は司直の手で逮捕されて取り調べを受け、ただいま裁判になっておるのでございます。  今回の参考人招致によって明らかになったさまざまな実態、私は、関係当局はきっと重大な関心を持って見守っていたのではないだろうか、こう思うのであります。やがて、法に照らして問題のあるものに対しては厳正なる対応をするというような、そういう確信をそれぞれ持って何らかの動きがこれから始まっていくのではないだろうかと思うのでありますが、国家公安委員長、この点に対してのあなたのお考えを述べてください。
  22. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 警察といたしましては、いわゆる住専問題の処理につきまして、現下の喫緊の課題であるという認識のもとに、広範かつ徹底した実態解明に取り組んでまいると承知をいたしているところでございます。  今後、そのような実態解明の結果収集した証拠に基づきまして、詐欺、横領、背任等刑罰法令に触れる行為を認めれば、貸し手、借り手を問わず、厳正かつ速やかに対処してまいるものと承知をいたしております。私もその方針を徹底してまいる所存であります。
  23. 深谷隆司

    深谷委員 私もあなたの前の国家公安委員長ですから大体内容については承知しているつもりで、この場所でそれ以上のことをお述べになることは不可能であると思っておりますけれども、かなりさまざまなことが明らかになっていますから、どうぞ法に照らして厳正なる態度で臨むように、この機会に強く重ねて要望させていただきたいと思っております。  あの参考人、ないしはその前の資料要求等々でさまざまなことが浮き彫りになっておるのでありますが、最近、あの参考人として出席をいたしました末野興産あるいは桃源社等々に関しまして税務調査が始まっている。かなり積極的に大蔵省は取り組んでいるかなという感じがするのでございますが、このあたりについて、大蔵大臣、お述べになれる範囲で結構でございますから、決意も含めてこの機会に伺いたいというふうに思います。
  24. 久保亘

    久保国務大臣 必要な内容についてもし御報告を申し上げることがございましたら、国税庁の方から御答弁を申し上げますが、私は、国税庁は厳正に、公正にこれらの問題と積極的に取り組んでいるものと確信をいたしております。  とりわけ、債務者であります者が、国民に対する責任を感ずることなく今なお不正、不法なことをもしやっているとしますならば、これらは厳正に処置せらるべきものと考えております。
  25. 深谷隆司

    深谷委員 国税庁、何かありますか。
  26. 若林正俊

    若林政府委員 お答え申し上げます。  国税当局といたしましては、最近の住専問題をめぐる関係者の課税が適正に行われているかどうかということについて関心を有しておるところでございます。  これまでも国税当局は、納税者の課税に関する資料情報の収集に努めまして、問題があるという場合には調査を行うなど、適正公平な課税の実現に努めてまいったわけでございますけれども、今後ともこういう方針に基づきまして、適正かつ厳正に対応してまいりたいと思っております。
  27. 深谷隆司

    深谷委員 参考人招致を通じて、各関係者の無責任体質というものがかなり明らかになってきたというふうに私は思います。これこそが住専問題の功罪の罪の部分だ、こう思うのですね。私は、その一つ一つについて改めて検証してまいり、今後の対策の糧にさせていただきたい、このように思います。  まず、住宅金融専門会社、いわゆる住専についてでございます。  日本住宅金融の庭山慶一郎元社長さん、この方は国会にもおいでになりました。テレビその他マスコミでも随分発言を繰り返しておられます。すべての責任は日銀と大蔵省にあると。私は、住専を運営した元の社長がこんな事態になっても公然と言ってのける姿に、大きな憤りを感じないわけにはまいらないと思うのでございます。住専経営者全体に言えることでございますが、まず道徳観に欠けている、そして、経営者としての感覚であるとか先を見る目がなさ過ぎる、そんなふうな感じを持ってならないのであります。  大体、住専というのは銀行ではありません。預金者のいない金融機関でございまして、大小はありましても、町の金融機関、ノンバンクであることはこれは間違いないことだろう、こう思っているのです。大体、住専が発足した当時というのは、個人の住宅ローンを中心にして資金を貸し出すという、そういう会社でございました。  ところが、後半になりますと、返さないかもしれないような相手にまで相当なお金を貸し付けるといったような、そういう乱脈ぶりが続いてまいったのであります。お金を貸すのですから、リスクがあったらそれを承知して、担保と適正な貸し金の限界というものを明確にしなければならないと思うのです。  私は、銀行とノンバンクを区別して、銀行がいいというふうなことを言おうとは思っていません。しかし、どちらかというと、銀行に融資を求める会社というのは、ある程度、比較的リスクの少ない、そういう会社であるという認識を持っています。しかし、ノンバンクということになりますと、よほど担保の条件もしっかりしなければならないし、貸し出す金額というものもおのずからある程度限界を置かなければ、やがて後で回収困難になる、もしくは経営が困難になるということを当然念頭に置いておかなければならない、私はそういうように思うのでございます。  私たちは下町に住んでおりますけれども、昔ながらの質屋さんがございます。現在は少なくなつたと言われておりますが、それでも東京都内で六百軒以上はございましょうか。この質屋さんがこのごろ、困っている人だけではなしに、若い人たちにもトレンディーだといったような言葉で人気を集めているのですね。  私は何人か質屋さんに友人がいるものでありますから、今一体どんなふうにお金を貸し、担保をとっているんですか、こう聞きました。  質屋さんの場合には、質ぐさというのを担保にとるのですね。それでお金を返さなければ、これを流すといってお金にかえて、そして経営が破綻しないようにやっていく。ダイヤモンドみたいな貴金属類というのは大体五割ぐらいのお金を貸すというんですね。しかし、そうでない場合には三割程度で抑えて、できるだけリスクをしょい込まないようにしているんだ、こういうように聞いたのであります。  しかも大事なことは、お客を見る目を養っているというんですよ。このお客さんが苦労しながらお金を借りに来た、今までの実績を見てもきっと返してくれるお客さんだというと、お金の貸し出す分をやや多くしたり、親身になってやるわけです。相手の身になってお金を貸す。  私はこの前の質問のときにも申し上げたんですが、今の銀行、金融機関は余りにも担保主義に走り過ぎてしまった。担保がなければお金を貸さない、担保さえあれば信頼できるといったようなそういうことで、金融経営者としての人を見る目というものが全く阻害されてしまった、ここに多くの問題がある、こう指摘しました。  中小企業銀行お金を借りに行っても、担保物件がないとかいう理由でなかなか貸してくれない。そこの従業員の意欲がどうなんだろうか、その会社の今日までの努力はどうだったんだろうか、将来はどうだろうか、そこまで親身に考えお金を貸すという銀行は今やほとんどなくなってしまった。形こそ違うけれども、質屋さんがそういうような思いやりのあるお金の貸し方をしているというふうに言われているわけであります。  それに比べて、住専の貸し方というのは余りにもでたらめでございます。庭山さんが幾ら日銀、大蔵省悪いと言ったって、危なっかしい担保物件に七割八割、場合によっては一〇〇%超えるお金を貸すんですから、回収できなくなるのは当たり前なんです。しかも、担保物件の評価そのものもいいかげんだ。だから、今日のように回収できないような状態になったら、さあ国が悪いとうそぶくのは間違いなんですよ。当然リスクを考えて、この担保物件の例えば五割貸したとしたら、土地の価格が半分に減ったって、住専はマイナスにはならなくて堅実な経営ができたはずだ、私はそう思うのでございます。  担保物件の評価もいいかげんだ。貸すときにも十分に調査をしない。逆に、バブルの延長で、さあ借りてくれさあ借りてくれ、こういうような進め方をやってきた住専の経営者の責任というのは、道義的な責任だけではなしに法律的にも問われなければならない責任を抱えているだろう、私はこう思うんですが、法務大臣、どうお考えでしょうか。
  28. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 お答えを申し上げます。  今委員から御指摘がございました今回のいわゆる住専問題をめぐりますさまざまな問題状況、この点につきましては、政府が一体となって取り組みまして債権回収のための措置を講じますとともに、今御指摘になりました関係者の民事上、刑事上の責任、これを可能な限り明らかにしていくということが何よりも必要であると考えております。  検察当局は、既に東京と大阪におきまして、住専問題に関する協議会、また捜査専従班を設置するというような形で体制を整えております。国会におきまして熱心な御審議をいただいておりますが、この御議論の内容、また御指摘になりましたいろいろな事実、こういうことを念頭に置きながら、さまざまな観点から資料や情報の収集に努めて、その分析、検討を行っているものと思っております。  今後、関係者らの刑事責任を追及すべきであると認められるような容疑事実が判明いたしました場合には、検察当局におきまして、警察当局等の関係機関と緊密な連携をとりまして鋭意所要の捜査を遂げ、法と証拠に基づきまして厳正に対処するものと思います。
  29. 深谷隆司

    深谷委員 どうぞ長尾大臣、しっかり頑張ってください、成果を期待していますから。  次に、借り手の問題について触れたいと思います。  返す当てもなくしまいには返す気もなくひたすら借りまくった、そういう借り手。国会に呼んだら、全く他人事のように平然としている姿には驚かされたのであります。何千億円というおよそ私たちの感覚では予測もできないようなお金を借りて、しかも相変わらず高級な住宅に住み、最高級の乗用車を乗り回しているという声がマスコミを通して流れてまいりまして、何でああいう人たちに鉄槌を下さぬのだ、何でしっかりした対応をしないのかという怒りが、私の耳まで聞こえてくるのでございます。  最近の報道によりますと、借り手の一部には資産隠しが盛んに行われているというふうに聞いています。何らかの対応を早く打たなければ、回収するといってもその資産隠しで行方がわからなくなるということが考えられますが、大蔵大臣、これについてはどのように対応なさっておられましょう。
  30. 久保亘

    久保国務大臣 現在の、この問題で取り組みます行政の機能におきまして可能な限りのことは、検察、警察とも連絡をとりながらやってまいりますが、何よりも早く住専問題処理機構が発足できるように皆様方の御協力をお願いしたいと思うのでございます。  なお、これらの借り手のまさに反社会的な行動、言動に対しましては、内閣の申し合わせにもあります責任と債務の追及につきましては、徹底的に地の果てまで追い詰めるつもりでやらなければいけない、こう思っております。
  31. 深谷隆司

    深谷委員 一日も早く徹底的に調査して、不正を許さない、あくまでも国家が挙げてその相手の追及を行い、責任の所在を明らかにし、回収できるものは回収する。私は、今の大蔵大臣の決意を信頼して御期待申し上げたいと思っておりますから、どうぞ頑張っていただきたいと思います。  次に、農林系統金融機関の問題について触れたいと思います。  農業従事者が汗水流してつくり上げたお金、それを預かっている農林系統金融機関、これが十分な調査もしないで住専に莫大な資金を預けているのであります。その責任は極めて重いと私は思う。  しかも、最近判明したことでありけさの新聞にも出ておりましたが、福島県の信連などは、住専だけではなくて、もう倒産ということが明らかになっているような不動産業者にも数十億円を貸し付けてしまってこれが回収不能になっている、そのように報道もされているのであります。  失礼ながら、農林系金融機関というのは素人集団であります。こういうような金融機関が農民の莫大なお金を預かって、相手を確かめもしないで預けて今日の破綻を来したということは極めて重要でありますから、私は、これからしっかりと指導していく必要もあるし、あるいは統廃合といったような改革も行っていかなければならないと思うのでありますが、農林大臣のお考えを伺いたいと思います。
  32. 大原一三

    ○大原国務大臣 先ほどから、深谷先生の大所高所からの卓越した御意見に感服をいたしております。  正直に申しまして日本の金融秩序は、総理大臣大蔵大臣からも何回も触れられましたように、いわゆる護送船団、もたれ合い、みんなで行けば怖くないという、そういったものがバブルの崩壊とともに一遍に露呈をしてまいりました。それが信組問題であり、いろいろなところで破綻を起こしております。委員指摘のように、今をおいて金融秩序の再構築に取り組む時期はないと私も確信をいたしております。  御指摘のように、農林系金融機関におきましても同じような状況が多分にございました。幾らバブルのときとはいえ、そういったものにおぼれて、大きな反省と批判もなく今日を招いたということは、我々としても責任を感じております。  そういったスタンスに立って、やはり先生御指摘のように、新しい金融秩序の中で我々の零細預金を、九百万の預金をどのように生かしていくかという、これからの活路を開いていかなければならぬと思っております。そのためには、今までのぬくもりの中を、本当に自由化の嵐の中で生きていけるような金融秩序を、私としても、農林省挙げて、今までの反省に基づいて再構築していくのが最大の責任だと思っております。
  33. 深谷隆司

    深谷委員 ぜひ大改革をお願いいたします。  あわせて、この機会に申し上げておきますが、特に監査機能の充実という点が非常に大事でございますから、その点にも深く御留意をせられることを要望したいと思います。  次に、大蔵省について申し上げたいと思うのであります。  お断りしておきますが、私は、かねてから公務員が一生懸命頑張っているということについては十分に承知をしておりますし、敬意を表しています。それは、大蔵省の多くの人々にとっても同じことでございます。しかし、昨今の大蔵省のさまざまな動きを見ておりますと、どうも問題が多過ぎる、一体大蔵省という巨大な組織はどうなってしまったんだろうかといったような不審を抱かないわけにはまいらないと思うのであります。  特に、住専に対する処理を見ますと、判断の甘さや対応の稚拙さが非常に目立つように思います。住専に対する不安から、大蔵省平成三年から四年にかけて第一次立入調査を行ったのであります。そのときに、不良債権の実態がかなり明らかになっていたにもかかわらず、適切な対応は怠ってしまったわけであります。また、母体行の一つである銀行から、この際住専を整理すべきだという申し出まであった。ところが、これも無視して、この間参考人から聞いた話では、大蔵大臣にまで細かくお話を報告しないまま打ち過ぎていったという、そんな感じすらあるのであります。  銀行や農林関係の人たちと、覚書であるとかあるいは念書を書かせたりいたしまして、一時しのぎで、中身は玉虫色で、どちらが正確なのかわからない、そんな処置もいたしておることが明らかになりました。私は、職権を越えていないか、大蔵省の職権を越えて民の中に入り込み過ぎていないかとさえ感じないわけにはいかないのであります。  事態の混乱を招いたのは、むしろ大蔵省に多くの責任があると言わなければならないと思うんです。何事も自分たちでやれる、自分たち処理できる、そういう思い上がった心がなかったんだろうか。国家権力の最高の源泉である予算編成権あるいは税制等策定権、そういうようなものを自分たちが持ったと錯覚したのではないか。  はっきり申し上げますが、これらはいずれも国の最高の決議機関である国会にゆだねるべき話である、私はそう思っているのであります。大蔵大臣、このような大蔵省の体質についてどのようにお考えでありましょうか。
  34. 久保亘

    久保国務大臣 今度の住専問題の処理に当たりまして、住専七社を取りつぶし、そして債務者を徹底的に回収に向けて追及をいた、ます以上、このような事態に至りました監督官庁でもございます大蔵省責任は大変重いと考えております。  その時々に的確な判断と考えてやってまいりましたことが結果的に今日のような事態を招き、国民皆様方に大変な御心配と御協力をお願いする事態に至っておりますことについて、バブルの発生から破綻に至る過程、そして、この住専が設立をされますときから、住専が破綻し、そして大蔵省処理の方針に基づいてこれが解散させられるこの機会に、住専問題をめぐっての大蔵省の対応はどのように問われるのかというようなことについて明確にしなければならないと思っております。  それらの総括の上に立って、今後行政改革の中で大蔵省自体は、機構を含めていかにあるべきかということについて皆様方からも多くの御意見が寄せられておりますが、大蔵省自体としても真摯に改革に取り組むときに来ていると考えております。
  35. 深谷隆司

    深谷委員 私は久保大臣にお世辞を言うわけではありませんけれども、長い間自由民主党と対峙してまいった社会党、やはり百戦錬磨のあなたのような方はしっかりしたお考えを持っているなと心から敬意を表しています。いろいろな御意見もありましょうが、私は村山総理もそうであったなと思っているのです。この際、ひとつあなたの力を発揮して、蛮勇を振るって、大蔵省国民皆さんに本当に理解されるような役所になるように大改革を断行していただきたいということを心から望みたいと思うのであります。  この際もう一つ申し上げたいことは、いわゆる天下り問題です。  私は、今まで大臣も何回か経験させていただいてまいった関係から、いわゆる官僚の方々の力量とか知識、経験といったものを高く評価していた一人なのです。だから、退職なさっても社会に出て、有能な人は大いに働いて国家社会に貢献してもらいたい、そう考えていたのでございますが、今日の一連の不祥事を見ますと、特に大蔵省から天下っていった人たち動きというのはどうも納得できない。特に、大蔵省出身者があらゆる金融機関に天下りをして、そこにはもたれ合いとか癒着だとか、結果において多くの問題を生み出す、そういう土壌にもなっているというふうに思えてならないのであります。  ちなみに銀行の役員の、大蔵省から天下った平成七年六月の数を申し上げて見ますと、実に百三十六人です。銀行の幹部、役員になった、大蔵省から行った人たちの数がこんなに多いのですよ。  私は、この際、国家公務員法第百三条を改正をいたしまして、金融機関への天下りは少なくとも五年は不可能になるようなそういう対応が必要ではないかと思うのでありますが、これは人事院総裁でしょうか、お考えを伺いたいと思います。
  36. 弥富啓之助

    ○弥富政府委員 ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。  御存じのとおり、国家公務員は、離職後二年間は人事院の承認を得た場合を除きまして、密接な関係のある営利企業への就職はできないということになっております。  これはなぜかと申しますと、これも御存じのとおりに、営利企業への就職制限、これは公務の公正な執行の確保の要請、これが一方にございます。それから一方に、退職した国家公務員の職業選択の自由と、それから勤労の権利と……(深谷委員「そういう内容はわかっているから、簡潔に答えなさい」と呼ぶ)調和させる制度でございまして、これは制度発足以来定着したものとなっておるところでございますが、現在は、現行の離職後二年間という期間を、新たな目でこれは見直すべきではないかという御意見がございます。  これについては、最近の公務員をめぐります世論の厳しい要請を踏まえまして、各方面の御意見を十分にお聞きをし、議論の行く末を見定めながら、十分に論議を深めていく問題であると存じております。
  37. 深谷隆司

    深谷委員 この問題については、与党三党でも一層協議しなければならない問題と思っておりますが、国民皆さんの御理解を得るためには、そのようなことも我々は断固行う必要があると思っていることだけ申し添えさせていただきたいと思います。  最後に、母体行、銀行について申し上げさせていただきたいと思う。  かつて、銀行の指導者、経営者というのは、日本経済を支えていたという自負心を持っておった。全部とは申しませんが、昨今の状態を見ると、およそそのような姿とはかけ離れてしまっていると思わないわけにはいかないのでございます。  そもそも住専というのは、昭和四十年代、いろんな銀行が集まってつくった会社であります。最初は、個人の住宅ローン、どっちかいうと細かくて厄介な仕事、それを住専にやらせたのであります。ところが、だんだんにうまみが出てくるというと、自分の子会社である住専の分野にまで銀行は乗り込んでいって、その仕事を結果において奪ってしまう、結果においてその仕事をとってしまうということになりまして、住専はだんだん不動産業者向けの融資に移り変わっていったのであります。  しかも、土地の高騰を抑えるために総量規制を行うということになると、抜け道を探して、そして住専を窓口にして、銀行はさらにお金もうけに狂奔する。しかも、その住専に対しては、どちらかいうと不良債権と思われるような会社を次々と紹介して、そこにお金住専から貸し出させるという驚くべきことまでやったのであります。母体行紹介の融資先は、実に九八%まで不良債権であると今日言われているのであります。大問題ではありませんか。  この際、私は、住専各社に対しまして、紹介によって融資を行ったと住専各社が認識している残高の総額、このうち、紹介金融機関別の残高及び不良債権化した金額を資料として国会に提出するように委員長に求めたいと思うのであります。  国会審議の都合もございますから、この資料は、恐縮ですが、三月一日までにお出しいただくように、委員長の手でお取り計らいを願いたいと思いますが、いかがでございましょう。
  38. 上原康助

    上原委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。
  39. 深谷隆司

    深谷委員 いずれにいたしましても、母体行の責任は極めて重大であります。紹介融資のほとんどが不良債権であったという事実は法的にも大問題だと私は思っています。  また、これだけの問題を起こしながら、各銀行は、リストラを行ったり、少なくとも幹部が賞与だとかあるいは給与の減額を行って、そして何らかの形で責任を負うというような、そういう話も聞いたことがない。中小企業者なら、このような状態になれば、まずみずからを本当に切り刻むようにしてリストラを行い、その財産さえ提供するようにして頑張っておられるのでございます。  私は、母体行はもっともっと思い切り身を削ってまで責任を負うべきだと思いますが、大蔵大臣、いかがでありましょう。
  40. 久保亘

    久保国務大臣 母体行の責任と、その責任を果たすということにおいては、今深谷さんがお話しになりましたこと、私は、全く同感であります。可能な限り、母体行にはその責任をきちんとしていただくよう私どもの方からも積極的な努力をいたしたいと考えております。
  41. 深谷隆司

    深谷委員 さまざまな角度から私は関係者責任を追及いたしました。しかし、最終的に政治が責任をとっていくということになれば、当然、前段申し上げたような景気回復に全力を挙げるということではないかと私は思うんであります。景気こそ回復できれば、住専処理のための国の支出の大半を補うことができるばかりか、これをはるかに凌駕することは可能なんであります。景気が一%増加いたしますれば、国全体で四兆八千億円になります。また、国民所得で計算しましても三兆八千億円になるのであります。一人頭三万円ぐらいになるわけですね。  また、先ほど申し上げたように、ジャパンプレミアムを解消していくというその成果も約束されているのでありますから、これもかなり国民の期待にこたえられるものとなると私は思うんですが、なかなかこういうことでまだ国民の納得は得られないという状況が今日の状態だと私は思うんであります。やはり国民皆様の頭の中には、六千八百五十億円への深いこだわりあるいは不満というのが残っている。そこに集約されているような感じさえ今しているように思えてなりません。  私は、はっきり申し上げて平成八年度の予算は断じて修正してはならないと思っています。政府責任を持って提出した景気回復予算であり、国の将来を決定する大事な予算でございますから、修正などということによっていたずらに混乱を引き起こし、成立がおくれるようなことがあってはならないと思うからでございます。しかし、国民理解が十分に得られていない以上は、無傷で予算を通すとしても、何らかの形でこの税金を国庫に還元させるということをあらかじめ国民皆様にお約束していく必要があるのではないかと思うのであります。  私は、あくまで私見でございますけれども、二つの提案をこの際申し上げたいと思います。  先ほどから申したように、銀行責任は私は非常に重いと思います。母体行と一般行で債務を放棄する合計は五兆二千億円になるわけであります。しかし、おのおのの銀行にとりましては、これは損金になりますので、結果においては法人税は課税されないのであります。そこで、この分についての法人税を確保するために特別立法を早急に打ち出してこれを成立させる、そして非課税の部分を確保するという方法などは考えられないんだろうか。単純に非課税部分を計算をいたしますとおよそ二兆円になります。既に赤字の銀行がございますから、赤字に赤字を足しても答えは出ませんけれども、しかし、全部回収されないにしても、ただいま国民が不満に思っているその税金の額を超えるような中身になると私は思うんであります。  こういう検討というものはこれからなされる必要があるのではないかと思うのでありますが、大蔵大臣はどうお考えでしょうか。
  42. 久保亘

    久保国務大臣 特別立法によります債権放棄に伴う欠損に課税をするということが立法上可能かどうかというようなことについても検討をいたしておりますが、大変、法律においてそのようなことを決めますことは難しい問題ではなかろうかと思っております。  しかし、母体行に三・五兆の債権全額放棄以上の負担を行わせることによって責任を果たさせるという方法があるのかどうかということについては、私どもといたしましても検討をいたしておりますが、非常に困難な状況にあります。
  43. 深谷隆司

    深谷委員 もう一つそれでは、私見でありますが提案を申し上げたいと思うのであります。  今後住専処理機構というのが設立されますね。これは国が挙げて債務を回収するために全力を尽くすということになっているわけですね。その回収された分について、例えば六千八百五十億円をまず国庫に還元する、優先的に還元する、そういう方法というのは考えられないのだろうか。  今全体の債権は十三兆一千九百億円であります。しかし、そのうち担保が確保されているものは六兆七千九百億円でございます。これらについては回収可能だ、こう言っている。それで、やがて回収したものを、例えば農林系統の金融機関とかその他の機関に埋めていくわけでございますけれども、その場合に、順位を国庫にまず優先して還元させる。私は、これは他の金融機関お金を返す前の処置として行っても、他の部分は若干時間がおくれるだけで結果的には何の支障もない、そのような感じを持つのでありますが、大蔵大臣、こういうやり方はいかがでございましょうか。
  44. 西村吉正

    ○西村政府委員 債権を回収いたしました場合にできるだけ国に優先して、利益が生じましたときには納付するということは、現在の御提案申し上げております法律でも御提案しておるところでございますが、ただいま御指摘の、正常な債権について回収されました場合に先に国庫に弁済するという方式については、なかなか難しい問題であろうかと考えております。
  45. 深谷隆司

    深谷委員 銀行局長国民の声がわからないのですよ。六千八百五十億円というお金について、何で税金を使うんだという声が本当に大きいのですよ。だから、予算を修正しないで通そうと思ったら、国民皆さんに、責任を持って真っ先にそのお金は還元するんですよという方針を打ち出すことが極めて大事なんですよ。住専処理機構で回収したそのお金について、どこから返していくかという順位など決まっているのですか。決まっていないはずです。ならば、まず国に還元をするということを考えたって少しもおかしくない。今の発言は納得できない。
  46. 西村吉正

    ○西村政府委員 全く、深谷委員の御指摘につきましては、私どももそのように考えておるわけでございますが、私どもの務めは、正常な債権あるいは回収可能な債権につきましては、その全額を回収するように、今想定されております損失を上回るような損失を一円たりとも生じさせないように最大限の努力をあらゆる方法を講じて図ってまいるというのが私どもの務めであろうかと考えておるところでございます。
  47. 深谷隆司

    深谷委員 これははっきり申し上げて高度な政治判断だと思います。一大蔵省局長が本来答えるべき話ではないのであります。  私は、いろいろな角度から、この予算はそのまま通さなければならないが、その後の処理について国民皆さんの御理解いただけるような何らかの発言が必要だろうと思うのでありますが、総理大臣、いかがでしょう。
  48. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今深谷議員から、この予算案はこのままの姿で成立をさせる、しかしその前提として、今後回収が進む中で、国が支出した部分がまず戻ってくるべきだという大変強い御指摘がございました。  私は、ここで理屈の言い合いをするつもりはありません。その点についてどういう問題点があるのか、仮に歳出というものが後に返還をされてきた場合、国庫の受け入れをどういう形で受け入れるのか、いろいろな工夫はあろうと思いますが、いずれにせよ、我々がこれから国民の御理解を得る上で全力を挙げて考えていかなければならない問題だ、そのように思います。
  49. 深谷隆司

    深谷委員 私は、この場所で結論を早急に求めることは困難だろうと思っています。私たちも、これはあくまで私見でございますから、与党三党で相談をしながら、よりよい具体策というものを提示していかなければならぬと思っております。どうぞ総理大蔵大臣を初め、この点について真剣な御論議、御検討を賜ることを強く要望しておきたいと思います。  それから、住専処理機構で、とにかく回収に全力を尽くすということが決まったわけであります。私は、過日の質問におきまして官房長官に、内閣が挙げて回収に全力を尽くす、この住専処理の問題の解決に政府挙げて頑張るんだという一つの証左として、内閣の中に住専処理対策本部を設け、官房長官みずから本部長になるべきだと申し上げましたら、早速受けとめていただきまして、その本部は設立され、あなたが今本部長におなりでございます。期待しておりますが、今どのような形になっておられるか、この機会に御報告をお願いしたいと思います。
  50. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 お答えを申し上げます。  去る二月九日の閣議において住専処理法案閣議決定をされましたことを機会に、今深谷委員指摘の、一月三十一日この予算委員会において御提起を受けた問題について検討をいたし、政府としては、住専問題の経緯、原因等を明らかにし、強力な債権回収、借り手、貸し手の責任追及等、住専問題の処理を図るため、閣議決定により、内閣に、私を本部長とする住専処理対策本部を設置をしたところであります。  今の御質問を聞きながら、預金保険機構あるいは住専処理機構、これが内閣の責任において強力に遂行されるように、当本部は全力を挙げる決意であります。
  51. 深谷隆司

    深谷委員 今後、住専処理機構がつくられまして債権回収に全力を尽くすということになっているのでありますが、住専が回収する努力は今まで本当に見られませんでした。ほとんど回収の努力をしていないというのが実態です。だから、ただいま官房長官のおっしゃるように、国を挙げてこれを支援して回収に全力を尽くすということになれば、私は多くの期待が持てる、そのように思っております。  この住専処理機構、預金保険機構、これはアメリカのRTC、つまり整理信託公社を参考にしたものだというふうに私どもは受けとめておりますが、このアメリカのRTCは、すべての構想の中に四つの基本的なテーマというものを挙げてそれを守ってきたということで特に評価されているのであります。  すなわち、一つは、国から支出した資金というものは預金者保護だけに使われる、金融不安を解消するということに使われる。そして、問題を起こした経営者は訴追される、刑罰の対象にする。それから、使われていく資金の使途は明白に国民の前に明らかにし続けていく。そしてそれを、四番目には、アメリカの経済を発展させるために役立たせる。この四つの点が基本になっていたというふうに私は思います。  日本の場合も、こうした基本を守ることが必要だと思いますが、官房長官、この点についてもあなたの決意を伺いたいと思います。
  52. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 それぞれの分野に発生をしたいろんな原因や結果を踏まえて、この回収に全力を挙げるべきことは当然でありますが、私なりに若干ペコラ委員会的なものを検討をいたしましたけれども、必ずしも日本的な風土に完全になじむものであるかどうか、これは若干疑問もございます。そして彼らは、その原因と責任の追及の後にいわば財政資金の発動をしたわけでありますが、それによって起きる被害もまたこれが大きかった。この現実も考えてまいらなければなりません。  私たちは、今このスキームをつくり、この財政支出をすることによって事が終わるのではなくて、事の始まり、原因と責任の追及を明らかにしていく、このことが大切でございますので、残念ながら、必ずしもアメリカ流のやり方とは若干方法が違いますけれども、趣旨としては、預金者を保護する、この一点においては全く同様な感を持っております。
  53. 深谷隆司

    深谷委員 預金者を保護するという点で全く共通である、ほかにはいろいろの違いがある、それはそのとおりだと思います。しかし、日本経済をこれで立て直していくんだ、そのために回収をするんだ、こういう願いや思いを抱いて努力するという点ではほとんど同じだろうと私は思いますね。  ただ、違いますのは、アメリカの場合と日本の場合と大きな違いは、やはり権限の違いでしょうか。預金保険機構には警察とか検察とか関係者を入れて、これが新しくできる住専処理機構にさまざまな指導助言を行い協力する、こういうことになっているわけでありますが、私は、もっと国の権限、例えばこの前も申し上げたのでありますが、税務調査のような、あるいは法律的な、捜査までいかないまでもかなり強い権限で努力をしてまいりませんと、なかなか容易ではないのではないかな、そういう感じを持っておるんでありますが、この点について大蔵大臣はどうお考えでしょう。
  54. 久保亘

    久保国務大臣 可能な限り権限を強化をするということがなければ、この処理機構の任務を完全に果たしていくことが難しいと思っておりますので、考えられる権限の法的強化については今後も努力しつつ、また、国家のそれらの関係機関との連携協力ということについて考えられることを私どもとしては積極的に取り組み、進めなければならないと思っております。
  55. 深谷隆司

    深谷委員 今大蔵大臣のお答えの中に、可能な限りの法的効果を求めているというお話がございました。この件に関して、法務大臣、何かコメントがありましたら、どうぞおっしゃってください。
  56. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 今大蔵大臣から御答弁を申し上げましたように、今回の預金保険機構の調査につきましては、相当な権限を与え、捜査の実効を期するということが大変に重要なものだと思っております。  一般論として申し上げますと、預金保険法によりますと、預金保険機構の職員は、刑法その他の罰則の適用につきましては、法令により公務に従事する者というふうにみなされる、これは預金保険法の二十三条、三十三条ということでございます。したがいまして、預金保険機構の職員が職務を執行するに当たりまして、この者に暴行または脅迫といったものを加えた場合には、公務執行妨害罪、こういうものが成立するというふうに思っております。
  57. 深谷隆司

    深谷委員 景気回復する、そして責任はきちっと明確に追及する、そして法的な処理も含めて、国民の前で政府が何をしたのかということを明確に示していく、さらに、これからこれらの債権について全力を挙げて回収して、一銭でも多く国庫に返していく、これがこれから最も大事な仕事だと思いますので、ぜひ総理大臣を初め閣僚皆さんの御努力をお願い申し上げたいと思うのであります。  ところで、私は、この予算委員会を通じて審議を進めるに当たり、まず予算を成立させることに全力を挙げようと同僚議員と手を携えてここまでやってきました。しかし、議論のさなかに、いつも心の中にむなしさを感じ続けていたということを、きょうはあえて申し上げさせていただきたいと思うのであります。それは、例えば参考人招致の場合もそうでありますが、かつての日本人の美風と言われたような、そういうものがなぜか近年失われてしまった。その端的な姿がここにあらわれていると感じられてならないからでございます。  第二次世界大戦の後、我が国は丸裸から出発をいたしました。食うや食わずの時代でありました。我々の先輩たちは、その中を営々として、勤勉、節約、努力、創意工夫、日本人のすばらしい美徳を発揮して、努力を積み重ねて今日に至っておるのであります。ところが、この十年余り眺めてまいりますと、そういう美風がどこかへ飛んでいってしまった、そんな気持ちがいたしてならないのであります。多くの人々がいわゆるバブルにおぼれて、株だ、土地転がしだ、マネーゲームに明け暮れて、やがて今日のような、住専で代表されるような破綻を招いてしまった。私は、今回の混乱は、日本人がそのよさをもう一度取り戻せという天の啓示ではないかとさえ思うのであります。  私たち政治家も含めて、あらゆる人々がこの混乱を振り返り反省をして、もう一回出直すような、そんな決意で新しい日本を構築していかなければなりません。この経験を逆に生かして、新しい二十一世紀の日本をつくることが私たちの使命だと強く感じるのでございます。総理大臣、このことをどうお考えでありましょうか。
  58. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 日本文化というものをさまざまな角度から定義づけられた文献というものがたくさんございます。その中の一つに、日本文化というものを恥の文化、恥を知る文化というとらえ方をいたしたものがございました。そして、その恥というものに対する日本人の考え方というものが日本文化の根底であるというそうした認識は、つい先年まで世界の中にあったように私も思います。  今日、この点で、まさに先人に対し私たちが恥ずかしいと思うような事件が続出していることを私も情けなく思います。委員が御指摘になられたような、そうした姿をこの国の中に再び取り戻すために全力を尽くしてまいりたい、そのように感じます。
  59. 深谷隆司

    深谷委員 あなたは、せっかく総理大臣におなりになった。一番困難な時代に、あなたはその苦難を乗り切るために使命を受けて総理大臣におなりになったのであります。今あなたのおっしゃった恥を知るという日本人のよさ、それに対する思い、よくわかりました。どうぞ一身を投げ出す覚悟でこの困難を乗り切っていただくように、私たちも全力を尽くしますから、頑張っていただきたいと思うし国民皆様にも深い御理解と御協力をこの機会に心からお願いいたしまして、私の質問を終えたいと思います。  ありがとうございました。
  60. 上原康助

    上原委員長 これにて深谷君の質疑は終了いたしました。  次に、三野優美君。
  61. 三野優美

    ○三野委員 社会民主党の三野優美です。集中審議に当たりまして、党を代表して、若干この討議に参加したいと思います。  総理、土日の休みの中を強行日程で訪米、大変御苦労さんでございました。総理就任以後初めてのクリントン大統領との首脳会談であり、両国には多くの課題がございます。会談内容もしたがって多岐にわたったでありましょう。ただ、本日は住専問題の集中審議でございますので、私は一点だけ、沖縄問題についてのみ御質問を申し上げたいと思います。  昨年の沖縄における米兵による少女暴行事件以来、日本国民にとって日米安保条約に基づく地位協定、とりわけ在沖縄の米駐留軍が使用する軍事基地の整理縮小問題は、日本国民の最も強い関心の的であります。四月のクリントン大統領の訪日が大きな節目になることは当然であります。したがって、今回の橋本総理の訪米は、四月のクリントン訪日の事前折衝であったと思われます。総理は普天間飛行場問題についても触れていただいたようであります。同飛行場の問題解決をきっかけに沖縄の軍事基地の整理縮小の具体化を進めていただきたいと思うのであります。  総理、沖縄県民を初め日本国民が、四月のクリントン訪日を明るい期待を持って迎えることができるのかどうか、日米会談における総理の心証をお尋ねいたしたいと思います。
  62. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 全体についてのお話は、集中審議の場でありますから控えさせていただきたいと存じますが、私は、沖縄県の現在の御要望を踏まえながら、知る限りの御要望を踏まえながら、次のような組み立てでお話を申し上げました。  すなわち、日米関係が極めて大切な外交関係であり、その外交関係を支える基盤として日米安全保障条約が存在する。そして、その必要性を私自身認識し、国民に対してもその再確認を求める努力を全力で尽くす。そのためにも、沖縄県における基地の整理統合・縮小についてでき得る限りのアメリカ側の協力を得たい。そしてその文脈の中で、県民から、沖縄県から御要請の強いものとして、例えば普天間基地という形で私は説明をいたしました。  これに対してのクリントン大統領の対応というものは、日米の関係というものが他に比肩するもののない大切な二国間関係であること、そしてその基盤に日米安保条約というものが存在をすること、その上で、昨年沖縄県で発生した極めて不幸な事件について自分たちは非常に遺憾な気持ちを今までも申し上げてきたが、ここでも申し上げたいということ、そして、個別の問題を本日議論するだけのゆとりはない、双方の事務レベルさらには2プラス2といった場所を使って誠心誠意話し合っていきたいということ、そういう会談の流れでありました。  私は、この話し合いの進展というものを、今特に訪米前に比べて楽観もいたしません、しかし悲観もいたしません。少なくとも大統領自身が誠意を持って話し合うという姿勢を持っておられることを確認し、今後の話し合いを精力的に進めてまいりたい、そのように思っております。  まだ帰国後、防衛庁長官にも外務大臣にもその旨をお話しする時間がありませんので、できるだけ早くそうした状況もお伝えしたいと思っております。
  63. 三野優美

    ○三野委員 ありがとうございました。  次に、住専問題について総理に一点御質問申し上げます。  住専問題は、国民にとっても私たち国会にとっても、昨年のオウム真理教事件とともに我が国の戦後最大の不可解な事件であり、激しい憤りを国民とともに覚えるものであります。世にインテリゲンチアと言われ、知性高い指導的立場の集団と考えられてきた大蔵官僚や金融業界にあって、国民の知らないところでこのような金融行政が行われ、日本経済を混乱せしめ、すべての国民に多大の不安と被害をもたらすような結果になったことをまことに残念に思います。同時に、その監視、監督できなかった私たち政治家にも大きな責任があり、強く反省するところであります。  ところで、総理、自民党の中に公的資金の凍結論が大派閥の幹部の中にあるやに聞いております。六カ月や一年でこの凍結が解除されるようなことがあったらば、その被害は拡大こそすれ、同時に国民を欺く行為であり、さらに政治不信を倍加することになります。自民党総裁として、このような一部の意見に対してどう対処されようと考えるのか、お尋ねをいたします。  この際、総理、自民党総裁であると同時に、橋本内閣も村山内閣を引き継ぐ自社さきがけの連立政権であることを三党はともに心すべきであることを申し添えておきたいと思います。
  64. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、この住専処理の問題につきまして、政府が用意をいたし、御審議をいただいている処理策に対し、国民皆様の御理解が今のところ得られていないということを痛いほど感じております。そして、さまざまな御批判の中に、住専問題は民間で破産手続など通常の方法で処理をすればいいではないか、そういう御意見もあります。しかし、そうしたやり方を採用いたしましたとき、個々の金融機関の損失額がはっきりするまでの時間がかかりますし、その間体力の弱い金融機関は経営不安にさらされかねない。これは本当に預金者の方々に不安が広がるというおそれなしといたしませんし、金融機関の破綻が多発するといった事態も起きかねません。  また、先ほど深谷議員との御議論の中に久保大臣からもお答えをしておられましたが、現にその意味では、少し改良されましたけれども我が国金融システムに対しては厳しい目が海外で向けられております。そして、ジャパンプレミアムといったことが現に起こっておりました。  こうした状況では景気回復も望めないということで、我々は日本金融システム信頼性安定性を取り戻すために、本当に、村山総理は当時苦渋の選択という言葉を用いられた、そんな思いの中でこのスキームを工夫してまいりました。政府として、日本景気回復させていくためにもこれが必要と考え抜いたあげくの措置でございました。関係者の合意を取りまとめて財政資金の投入を含むこうした処理策を決断をいたしたわけでありまして、これはまさに我が国の将来に対し、政府並びに与党三党として責任を持つ政治という思いのこもったものでございました。  今回の財政支出というのはまさにそうした処理策の一環でありまして、この支出を凍結といったようなことを行いました場合には、これは我が国の今の金融市場にも株式市場にも大きな影響を与えかねませんし、海外にも影響が出るでありましょう、景気にも悪影響が及ぶということを私は心配しなければなりません。  したがいまして、私としては、今回の予算の中に盛り込んでおりますこの内容を変更する、そうしたつもりはありませんということだけは申し上げておきたいと思います。
  65. 三野優美

    ○三野委員 久保大蔵大臣にお尋ねします。  本予算委員会の今日までの与野党の議論を通じて、野党新進党から二つの特徴的な意見が出されたと思います。  一つには、住宅専門会社の法的処分による破産処理であります。破産処理をいたしますと、現在の政府案に比べて、住専に最も責任がある設立、運営に当たった母体行の三兆五千億の債権放棄が約半分の一兆七千億の軽い負担で済みます。一方、五千三百億の贈与を決めている農協系の負担が三兆円近いと言われるのであります。農村を中心に、地方経済が壊滅的になるのではないかと思います。  また一方、会社更生法の適用を主張される方が新進党の中に、議員及び同党推薦の公述人の中からも出てまいりました。ところが、会社更生法の適用は、一つには関係者の同意が必要であると同時に、裁判所の認定がなければならないと思います。同法適用の道を選ぶ場合に、関係者の同意は得られると思いますか。また、これら住専の現状から考えて、住専七社の再建が見通され、裁判所の認定が得られるとお考えになっているんでしょうか。  この二つの道を選択しなかった大蔵省の見解をお尋ねします。  この際、申し上げておきます。  私も地元で、後援会などで国会報告をしておりますと、今度の住専処理法案によって、国民の税でもって住専七社を助け、再建するかのような誤解が国民の中にまだあるということです。このことに気づきました。今度の住専処理法案は、住専をこのまま生き残らずことはさらに国民の被害を大きくして社会的混乱を拡大するおそれがあるとの判断から、住専七社を解体、消滅さすのであって、国民皆さん理解をさらにいただく必要があるということを申し添えておきたいと思います。
  66. 久保亘

    久保国務大臣 今最後にお話しになりましたように、今度の住専問題処理は、関係者との協議の上に立って、国費六千八百五十億円を投ずることをあわせて合意をいたしたものでございますが、お話しのように、これは住専を再建をするものではございません。住専は、この住専問題処理によって解散させられるのであります。そして、繰り返し申しておりますように、債務者を免責するものでは絶対にございません。その債務者の債権をいかにして回収するかということがこの処理機構の大きな任務でございます。  そして、この住専の問題の処理は、いろいろな方法が検討されたのであります。しかし、三百に及ぶ関係金融機関が存在し、母体行だけでも百六十八ございます。そして、その債権債務は十三兆を超す巨額なものでございます。これらの間で合意を得て会社更生法を適用したり、あるいは破産処理に持ち込んで訴訟合戦ということになってまいりますと、長期にわたってその解決は困難となるのではないかということが予測されます。この問題は、国の将来を考えてまいりますときに、どちらかを実験してみてその結果ということにはいかない問題だと思っております。  今、政治的にこの問題をどう決断をするかということを、国家の将来、国民皆様方の利益をかけて求められている中で、私どもは、御提案を申し上げております住専処理方策を御審議をいただいているのでありまして、今選択すべき道はこれ以外にないということを判断をいたしたのでございます。  先ほども申し上げましたように、この判断に当たりまして、巨額の税金をその処理に投入をするということについては、国民皆様方に御理解をいただくとともに、このような事態に立ち至ったことについて、私どもはその責任を重く感じ、おわびを申し上げなければならないことはもとよりでございます。  そのような立場に立って、今後、既に平成八年度の経済見通しも住専問題処理対策の上に立って考えられたものと私は思っておりますが、そのような中でのこの成長率をしっかり維持、確保することによって国民皆様方に、この使わせていただきました税金が経済回復、そういったようなことを通じてお返しできるように、今後の努力が求められているものと考えております。
  67. 三野優美

    ○三野委員 農林大臣にお尋ねします。  農林系金融機関は、農林中金、信連、共済と三本立てになっておりますが、現地では、全国約二千五百の単位農協が一つの受け皿になっておるのであります。  単位農協では、支所、出張所など、数人ないしは十数人の職員で、金融、購買、販売など、すべて兼務で働いております。先週は肥料、農薬を配達し、今週は電気器具や自動車の販売、来週はまた貯金、共済保険と、まさに日がわりメニューであります。これでは複雑な金融専門職員は育たないのであります。  貯金は、農村の地域性の強い中で、集める力はあってみてもこれを運用する能力を持たないのが現場の現状だろうと思います。そのことが今回の不法な住専に利用されたし、それ以外にも多くの不良債権を持つに至ったのであります。  この際、農林系金融部門を、購買、販売など農家の経営指導と切り離して、金融専門の組織に再編、改革する必要があると思いますが、どうでしょう。  また同時に、地域で生み出され、蓄積された農林系資金を、地域社会で活用し、貢献するためにも、県、市町村など地方自治体への、地方債を含めて、活用を拡大すべきであると思います。  農林大臣の農協改革についての決意を聞くと同時に、この際申し上げておきます。  本委員会の議論の中で、新進党皆さんの中に、今回の住専処理が農村と農協救済のものであり、破産処理によって大手銀行を中心に母体行にもっと優しく、農村と農民にはもっと冷たく、厳しくとの意見が繰り返されてまいりました。  だがあのお金は、都市に生活しておられる皆さんに買っていただいた大根やニンジン、新鮮な野菜を、けさも寒空の中で手を氷のようにして水洗いし、皆様がまだ床で眠りについている午前四時前に起きて、牛小屋でミルクを搾り出して、出荷した代金なんです。あるいは、都会で働いている子供たちが、親元へ生活費として仕送ってきたお金の積み重ねなのであります。もし住専問題が破産処理されますと農村経済が大打撃を受ける、そのことが我が国全体の社会的混乱の導火線とならないように、特に注意を促したいと思います。安定した農村があって安心した都市生活があることを申し添えておきたいと思います。
  68. 大原一三

    ○大原国務大臣 先ほどもお答えいたしましたところでありますが、農村の九百万の零細な預金を、現状の運用方式でいいのかどうか。御指摘がありましたように、単協の受け入れ方、さらにまた融資の方法等々を初め、委員指摘のように非常に大きな問題を抱えていることは我々も十分認識をしております。  したがって、今後のリストラに当たっては、現在の七十兆円の資金をもっと効率的に、もとより農業のリストラのためにも優先的にこれは利用しなければなりませんが、そうでない余剰資金については、今御指摘がありましたように地方公共団体への融資等、やはり蛇口を当然広げていく必要があると思います。  幸いに、一月三十一日から農政審議会、そしてまた二月二十二日からはその審議会において農協特別部会が設置されて鋭意審議をお願いしているところでありますので、我々も積極的にこの審議会に意見を申し上げ、委員の申されたような農民のための農協系金融の再構築に邁進をしたいと思っております。
  69. 三野優美

    ○三野委員 次に、法務大臣に一点お尋ねをします。  今回の住専問題を通じて明らかになったことは、住専からの融資を受けた事業者及び個人の中には、契約どおり、元利ともに返済を続ける善良な方々が含まれておることもわかりました。同時に、融資を受ける際に、当初から支払う意思等がないと思われる者、また株の取引など、正常な資金運用をしていない業者が多く含まれておるのであります。全体的に見て、住専問題は、我が国における大規模な、組織的な金融犯罪と見るべきではないかと思うのであります。  ところが、アメリカの経済犯罪に比べて、我が国は犯罪としてこれらが取り扱われる件数が余りにも少な過ぎるのではないかと思います。組織的金融犯罪がその社会の経済を混乱させ、善良な市民生活をも崩壊せしめるものであるだけに、再発防止のためにも厳重に法的措置をすべきであると思います。  法務当局は、現在、今の法制度を駆使して国民の納得されるような対応をするとともに、この際、我が国の金融犯罪に的確に対応するために法律の見直しが必要であるとの意見もあるのでありますが、これについての法務大臣の見解をお尋ねしておきます。
  70. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 お答えを申し上げます。  現在のこの住専問題につきましては、現行の法制を十分に活用いたしまして厳正に対処すると思っておりますが、今先生の御指摘は、アメリカ等の例を十分に参照した上で、我が国においても金融機関に対する違法、不当な行為に対する刑事罰等のあり方、こういうものを検討してはどうかという御質問かと思います。  これにつきましては、いろいろな方面でさまざまな御意見があることは十分承知をいたしております。新たな立法の必要性につきましては、今後、この住専問題の実態を踏まえましていろいろな観点から真剣に検討させていただきたい、このように思っております。
  71. 三野優美

    ○三野委員 もう法務大臣、百も承知だろうと思いますが、この委員会でさまざまな議論をされた際に、なぜ破産処理をしないのか、他の企業は全部破産処理でしまいにするよ、こういう意見があるのです。にもかかわらず、大蔵大臣は、他の企業と違って金融界の問題は単に破産処理だけで処理でき得ない現実があることを再々述べているわけです。まさに金融というのは我が国経済の動脈であるし、国民生活の血肉なんですね。それだけに、他の産業企業を論ずるように簡単に法的処理、破産処理とはいかないわけであります。  それだけに、私はやはり金融行政に対する対応の仕方というものはもっとより厳しくなければならぬと思うし、まさに国家の存亡がかかるような問題でありますから、そういう観点で我々も考えなきゃならぬし、法的整理もしなければならぬのではないか、こういう意味で申し上げておりますので、ぜひ法務当局においてもなお検討をお願いしたいと思います。  次に、大蔵大臣にお尋ねします。  私は、この予算の組み替えないしは凍結などを今考えるべきでないと思っております。日本金融市場、国際経済にも大混乱をもたらすと思うからであります。  それにしても、住専を設立した母体行の経営責任は、議論されてきましたように、紹介融資の不良債権額の大きさが余りにも大きい、その責任はもっと強く求められて当然ではないかという世論がございます。そのためにも、私はこの際、単に責任問題を言葉だけではなしに、具体的に、国民の目にわかるような追加措置があってしかるべきではないかと思うのです。  ただ、大蔵大臣は、今日までの経過からしてみて強制する具体的な方法がない、あるいは一次ロスも含めて向こうがこの約束を履行しなかった場合の混乱などなど含めて慎重に事を運んでおるように思われますが、やはり国民負担を求める限りにおいては、大蔵当局もさらに努力をして母体行の責任追及をする、その過程の中で母体行が果たすべき措置についてさらに求める必要があると思いますが、大蔵大臣の見解を聞いておきます。
  72. 久保亘

    久保国務大臣 母体行の責任が三兆五千億の債権全額放棄で終わるものではないということは、私も再三申し上げてまいりました。この責任をぜひ母体行、まあ母体行にもいろいろとかかわりの度合いの差はあると思います。紹介融資やあるいは不良債権のつけかえとかいろいろなことにおいて母体行が果たした役割、マイナスの役割というのはそれぞれいろいろあると思いますが、それらの問題も明確にしながら、母体行自体において私は社会的な責任を果たされるよう強く求めているのでございますが、今母体行にお金の面でどれだけさらに負担をさせるかという問題につきましては、この全体の仕組みで合意しているという前提もございまして、非常に難しい点もございますが、法的に強制できるものについてはそのことをやらなければいけないと考えておりますし、また、母体行に対しては積極的にその責任を分担されるよう、大蔵省としても今後も求めてまいりたいと思っております。  そのようなことが可能になってまいりますと、六兆四千百億の分担の割合というのが変わってくる場合もあるわけでございますが、今のところはそういう見通しをまだ持ち得る段階ではないということを申し上げているのでございますが、三野さんが言われましたことについて、母体行責任ということについては私も全く同じ考え方でございますので、要請が可能な限りその努力を続けたい、こう思っております。
  73. 三野優美

    ○三野委員 今大蔵大臣言われましたが、法的責任を果たすことは当然であります。あるいは、この仕組みで組み込まれて合意したものについて一〇〇%行うことも当然であります。同時にまた、さらにその上に、道義的にも果たすべき役割はあっていいのではないかということを申し添えておきますので、御努力をお願いします。  大蔵省責任と改革について申し上げます。  この事件をきっかけに大蔵省の改革の必要性が強く求められております。私は、一つには天下り問題、国が出資または大蔵省の管理監督すべき企業には天下りをしないこと、これは他の省庁にも適用すべきであると思います。二つ目には、予算編成の事務及び権限は内閣に移すこと、三つ目には、金融行政の監視機関を別に設置するなど、内閣と国会において一定の期限を定めて調査検討することを提案したいと思いますが、大臣の御見解を。
  74. 久保亘

    久保国務大臣 今御提案になりましたことにつきましては、やはり今後の日本の財政金融行政の運営について大変重要な問題を提起されたと思っております。今直ちに私がそのことについて賛否の意見を申し上げることは大変難しゅうございますが、先ほど深谷さんにもお答え申し上げましたように、今後の大蔵行政のあり方について、大蔵省自体としても真剣に、今お話がございましたような問題も含めて検討をいたしてまいりたいと考えております。
  75. 三野優美

    ○三野委員 あと今村議員に引き継ぎますが、最後に、住専問題は今国会ですべてが終わるわけではありません。別に定められる住専機構及び預金保険機構の有効な活動を支えるために、政府は、税制、民事、刑事の両面から全組織を挙げて取り組むのでありましょうが、国会もまた国民負担を少しでも軽減するために、常にその動向を見きわめながら、支援、監視の立場で、予算成立後、住専を中心とする金融全般のあり方等について検討する金融問題等調査特別委員会を設置されるよう強く求めておきたいと思います。この点については、我が党からさらに与党三党にも提起をいたしまして、御検討を求めたいと思っています。  一応私の質問は以上で終わりますので、続いて、今村議員から関連質問させていただきます。ありがとうございました。
  76. 上原康助

    上原委員長 この際、今村修君から関連質疑の申し出があります。三野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。今村修君。
  77. 今村修

    ○今村委員 社会民主党の今村修であります。関連をして、二点にわたって御質問をさせていただきたいと思います。特に、今回の住専問題では、責任の問題が大きな課題になっているわけであります。この責任の問題について絞って質問をさせていただきたいと思います。  今なお住専の経営破綻に公的資金を導入することについて、国民から大変厳しい批判の声が上がっているわけであります。確かに、公的な資金を導入しないで解決できれば最も理想的だと思いますが、しかし、母体行や大蔵省責任考え、相次ぐ金融機関倒産による金融不安の解消や、国際的な信頼回復景気浮揚を確実なものにするためには、今回の処理案はやむを得ない、こう思うわけであります。  しかし、国民が不満に思っている最も大きな問題の一つ責任の所在が不明確だ、これを明らかにすることが必要であります。不良債務の回収と債権者、債務者の責任の追及は、つくられる住専処理機構と預金保険機構で対応していくことになっています。しかし、この問題をこれだけ放置をしてきた母体行、大蔵省、農林省あるいは一般行の責任は一体どうなるのか、この点を早急に明らかにする必要があると思います。責任の中身には、道義的な責任、民事的な責任、刑事責任あるいは行政責任などなどあります。これをどこで明らかにし、どんな責任を負わせるのか、そのことを国民は求めていると思っています。  そこで、総理にお伺いをいたします。  既に答弁にあったように、責任は重い、明確にすると答弁をし、官房長官を責任者とする対策本部を設置をし、具体的な検討を進めているようであります。しかし、これらの責任を具体的にするには、もっと具体的な対応が必要だと思います。これまでの経過、原因、そしてそれに基づく具体的な責任、これらを明らかにするためには、具体的な特別委員会あるいは調査委員会、こんなものをつくって明らかにしていく必要があるのではないか、こう思うわけでありますが、総理の御見解をお伺いをしておきます。
  78. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今委員から御発言がありましたように、借り手あるいは住専の経営者につきましては当然のことでありますが、それ以外にも、母体行あるいは一般行などの関係金融機関、さらに行政当局、政治に対しましてもその責任が問われていることは、私自身よく承知しているつもりでありますし、同時に、そのさまざまな責任の明確化を図ることは当然重要なことだと思います。そして、本院におきましても、これらの点につきましてこれまでも御論議が行われており、政府としてもでき得る限りの対応をいたしてまいりました。しかし、今後さらにこうした論議を通じて、私は責任の明確化は図られてまいると存じております。  具体的に申し上げるなら、今後住専処理機構が設立され、預金保険機構と一体となりまして住専への返済を滞らせている借り手に対し債権の取り立てが開始されます。当然のことながら、悪質な借り手に対する財産調査も行われることになります。そして、法律上問題のある紹介者等につきましては、損害賠償請求を行う形で責任が追及されることにもなります。  こうした債権の取り立てや損害賠償請求といった仕事は極めて実務的なものでありますが、詳細かつ厳しい事実解明が、さまざまな経緯も含めまして強力なチームによって行われることになるわけであります。私は、こうした債権処理の過程におきまして、さまざまな関係者責任がより具体的に、そしてより明らかになると確信もいたしております。  当然のことながら、法的な責任が生じました場合には、民事あるいは刑事、当然のことながらその責任の厳格な追及を行うこと、これも今まで既に明らかにしてまいりました。  こうしたことを進めてまいりますためにも、関係の法律案の早期成立を心からお願いを申し上げている次第であります。
  79. 今村修

    ○今村委員 債務者の責任については、確かに、住専処理機構あるいは預金保険機構、この部分で対応する。それは、一つ一つの債権を具体的に調査をして明らかにしながらそこで責任を追及していくというのは、それは当然だと思っています。また、明らかにさせていかなきゃならぬ、また、できると思っています。  ただ、国会で議論になってきたように、大蔵省責任は重い、母体行の責任は重い、こう言われるわけであります。それじゃ、大蔵省責任は一体どうなんだ、母体行の責任は一体どうなんだ、それを、具体的な内容をどうやって明らかにするんだ、そのことを今国民は強く求めていると思っています。  とすれば、事件のこれまでの経過を調査をしながら、そのつかさつかさで、何が問題になったのか、そのことを明らかにし原因を明らかにしながら、その責任を問うという形にしていかなきゃならぬと思っています。再びこういう事件を起こさない、そのためにもその経過なり原因を明らかに、責任を明確にしておくという作業は当然必要なのではないか、こう思うわけであります。  とすれば、この住専処理機構でやっていくというのは不可能だ。それを一体どこでやるんだ、いつまでに明らかにするんだ、こういう内容が出てくると思いますけれども、この点について御見解等お伺いをしておきたいと思います。
  80. 久保亘

    久保国務大臣 一つは、司法の手に係るものにつきましては、これは情報の提供、必要な場合は告発、こういうことによってその責任を追及されるものと思っております。  もう一つは、先ほどもどなたかのお話にございましたけれども、立法府の権限に基づいて責任の究明に当たられることも検討なさっていると伺っております。  行政府の方として何をなすべきかということにつきましては、これは機構上の改革、分母に行政改革を置いた上での機構上の改革、そういうものが求められていると思っておりますが、そのためにはやはり住専問題にかかわっての今日までの行政の指導監督等を通じての反省すべき責任、こういう問題はみずから明らかにしなければならないと思っておりますが、何よりも行政府、特に大蔵省にとって大事なことは、可能な限り立法府や司法当局に対して行政府の権限において得られます情報を提供する、こういうことに努めなければならないと考えております。
  81. 今村修

    ○今村委員 大蔵大臣にちょっとお伺いしたいんですが、大蔵省責任は重い、こう何回か発言をしてきているわけであります。また、責任については明確にしなきゃならぬ。今国民から、大蔵省はその責任を一体どうとるんだ、そのことが問われているわけです。行政府として、この大蔵省責任とは一体何なのか、大蔵省として、重いという責任はどう具体化するのか、明らかにするのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  82. 久保亘

    久保国務大臣 今日の事態を収拾して、住専問題、不良債権の処理をきちっとやり遂げることも大蔵省責任一つでございます。そして、やはり、このような深刻な事態に及んだその判断、その時々における大蔵省の権限に対応する判断、これらのものについてやはり総括されなければならないと考えております。内部においてもそれらの問題については検討が進められているところでございます。  ただ、問題は、それじゃ責任ということになりましたときに、だれがどんな責任をとるのかという問題になってまいりますと、それは今私が申し上げる段階のものではないのではないかと思っております。
  83. 今村修

    ○今村委員 最後に一点お伺いをしたいんですが、責任の具体的な形という点では、先ほどもちょっと指摘があったように、天下りをしない、させない、これも一つだと思っています。同時に、緊急に明らかにしていかなきゃならぬのは、監査、検査、指導のシステムですね。これは一回目の調査をした、二回目の調査をした、しかし具体的に手を打つことができなかった、こういう経過になっているわけです。とすれば、これまでの大蔵省の監査、検査、指導のシステムのどこの部分をどう変えるのかという具体的なものもまた必要ではないのか、こう思うわけでありますけれども、最後にこれに対する見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  84. 久保亘

    久保国務大臣 大蔵省自体が自己改革として検討しなければならないことは、幾たびか申し上げてまいりました。そのことと同時に、今この大蔵省の機構やその権限についてどのような改革が必要であるかということが、与党におかれても御検討を開始されたと聞いております。また、それぞれ国会においても御議論があり、それぞれの党において御意見があるところでございまして、それらの問題をよく承りながら、この問題を契機にして、必要な改革を将来のために誤りなくやっていかなければならないと思っておりまして、皆様方の一層の御協力をお願い申し上げる次第でございます。
  85. 今村修

    ○今村委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  86. 上原康助

    上原委員長 これにて三野君、今村君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  87. 上原康助

    上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  証人として書類提出要求に関する件についてお諮りいたします。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算の審査に関し、住宅金融専門会社問題について、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第一条により、証人として、日本住宅金融株式会社代表取締役社長丹羽進君、株式会社住宅ローンサービス代表取締役社長井上時男君、株式会社住総取締役社長山本弘君、総合住金株式会社代表取締役社長大槻章雄君、第一住宅金融株式会社取締役社長山仲靖朗君、地銀生保住宅ローン株式会社代表取締役社長坂齊春彦君、日本ハウジングローン株式会社代表取締役社長會田稜三君に対し、来る三月一日午後五時までに書類の提出を求めることとし、その要求する項目は、  一、住宅金融専門会社七社が紹介によって事業   向け融資を行ったと各社が認識している最新   時点の残高総額  二、上記のうち紹介金融機関別残高及び不良債   権化した金額といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 上原康助

    上原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、委員長から議長に対して所要の手続をとることといたします。     —————————————
  89. 上原康助

    上原委員長 質疑を続行いたします。宇佐美登君。
  90. 宇佐美登

    宇佐美委員 新党さきがけの宇佐美登でございます。  本日は、住専等ということで、住専問題を中心に情報公開等について質問をさせていただきたいと思います。  まず住専処理問題についてであります。  今回の住専処理に関しましては、民間金融機関負担、この協議が非常に困難であるということ、そして法的整理もさらなる金融システムの不安というもの、混乱を招くおそれがあるということ、第二次再建計画策定に深く関与し今日の負担論争の原因ともなっている大蔵、農水等の覚書、密室行政のもとでの政府・与党一体になりました責任というものを検討しなければならないと考えております。  その上で、今回住専処理案がまだまだ国民理解を十分に得られていない幾つかの理由を挙げることができると思います。  第一に、税金を使われることそのものに皮膚感覚で拒否している。非常に困惑している。新たに税金が取られるという誤解まで招いているわけであります。  二番目に、例えば自分たちの生活や会社が、私の地元では町工場、日本で一番多くあるところであります。この数年の間に二千社近い町工場が倒産をしたり、ある意味でアジアに進出をしなければならない、そんな状態もある中で、そんな際に税金で助けてくれるのかという怒りがやはりあります。  そして第三番目に、なぜこのような状態になっているのか、何でこのような状況になったんだということを率直に、素直に感じる思い。  四番目に、関係者の刑事責任を含めて責任追及というのがいまだになされていない、さらには議論そのものが足りていないのじゃないかという思い。  五番目に、金融恐慌そのものに対して、私はまだ二十代の者ですけれども、私の周りの主婦の感覚、三十代、四十代の主婦の方々と話してみても、一度働いたことがある方は特に、金融システムというものは安定が必要だよと言われます。しかしながら、実際に金融恐慌がどのように起きるのか、どんなシミュレーションがあるのか、やはり理解できない。さらには、どういうふうになっていくのか、これからの住専処理問題、まだまだ理解できないということ。  最後に六番目として、これが前例となりまして、また何らかの形で、どこかでどれだけの量かわからないけれども税金を使うのではないか、今回の住専処理が前例となって、次から次へと税金が使われていくのではないかという不安と怒りがあるわけであります。  そんな中で、何よりもやはり情報というものをできる限り広く国民皆さん、市民の皆さんに知っていただくことが大事かと思います。  そこで、第一番目に、未開示の情報についてお伺いしたいと思います。  住専処理機構への資産譲渡時に処理される千四百億円の資本勘定のロスについて、これは当然積算されていっているわけですから、住専七社別の内訳の数字というものがあるはずであります。具体的にその数字について大蔵大臣から示していただきたいと思います。
  91. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘の千四百億円は、住専処理機構への資産譲渡時に処理が必要な欠損見込み額でございますが、各社別に申し上げますと、日本住宅金融、住宅ローンサービス、住総、総合住金、日本ハウジングローン、以上がそれぞれ二百億円でございます。第一住宅金融が百億円、地銀生保住宅ローンが三百億円、合計いたしまして千四百億円、こういうことになっております。
  92. 宇佐美登

    宇佐美委員 今やっと一つ一つの数字が出てきたわけであります。質問されて出てくるようなものではなくて、一つ一つをできる限りどんどんどんどんみずから出していく姿勢というものを示していただきたいと思うわけであります。  そんな中で、今回の住専問題について、住専の経営責任、負うべき母体の負担というもの、それは、それぞれの経営責任の重さと負担能力に照らして少な過ぎはしないか、また十分なのかどうかという検討がされてきたんだと考えております。  ただ、この場合において、特に一例を申し上げますと、第一住宅金融、この場合、社長を長銀、日本長期信用銀行と交代で野村証券が出してきたわけであります。このような場合、経営責任というものは当たり前のように存在しているわけで、今回の場合、証券会社は住専に融資をしていないという理由で一次ロスの負担をしていないわけでありますけれども、過去のこの第一住宅金融の再建計画では、野村も長銀並みの支援損というものを計上してきたわけであります。  これらの経緯を考えたときに、野村証券の責任というものは十分かどうか、今回の場合の負担というものが必要なのではないかというふうに考えますが、いかがですか。
  93. 長野厖士

    ○長野政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、証券会社は貸し付け関係がございませんので、住専において発生したロスを債権者間でどのように分担するかという意味では、その負担の問題が起きていないわけでございますけれども、実は、御指摘のとおり、従来の再建計画におきましても、融資のできない母体としての証券会社は第三者割り当て増資の引き受けといった形で協力を行ってきておりますが、今回の一次ロス負担の前提として、出資者はまず全額を負担してしまうという枠内におきまして、第一次ロスの第一次の負担者となっておるところでございます。
  94. 宇佐美登

    宇佐美委員 社長を交代で出してきたということは、今証券局長の言われたところで、国民が納得、理解できるものではないと考えます。  続いて、それでは現在の、じゃ、住専処理のスキームそのものを堅持しつつ、二次損失の負担の原資となる金融安定化拠出基金について、資金量に応じた拠出金に加えて、実際に財政資金を投入する住専の母体に対してさらなる負担を求めていくことを政府として検討すべきだと私は考えております。総理、いかがでしょうか。
  95. 西村吉正

    ○西村政府委員 いわゆる一次ロスの処理につきましてそれぞれの立場から最大限の拠出を行っていただくほか、今御指摘のいわゆる二次ロスにつきまして、基金を設けまして、そこに金融システム安定という全体の見地から御協力をいただくということにしておる次第でございます。
  96. 宇佐美登

    宇佐美委員 役所の言葉というのは、検討するという言葉が、時に、今やらないというような言葉だと解されるときもあります。ぜひ、検討と言うならば、しっかりとした結果を出していただきたいと思います。  いわゆるニューマネー問題について、引き続きお伺いします。  第二次再建計画の中で、日本ハウジングローン、第一住宅金融、住宅ローンサービス、地銀生保住宅ローンの四社は、資金繰りを支援するため、母体行が回収を前提に追加融資をしてきました。昨年九月にこの住専整理の方針を母体行が表明して後、この資金を一部の母体行が回収してきたことが明らかになっております。いわゆるニューマネーであります。さきがけで計算させていただいたところ、千七百四十二億円、これが今回のスキームでは含まれない、母体行の債権放棄の対象に含まれていないわけであります。  この問題について、総理もこの委員会で、苦々しく思っていると御答弁をされておりますけれども、そこで、このニューマネー分について、金融安定化基金への拠出金に上乗せする形で母体行にさらなる負担を求めるべきだと考えます。いかがでしょうか。
  97. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のニューマネーと言われておりますものは、第二次再建計画策定の際に、関係者の合意に基づきまして、一定の条件のもとに関係者が拠出したものでございます。  法律的な要件を検討いたしますとこれについては別途の処理をせざるを得ないということで、今回のスキーム上も、関係者の間で、ニューマネーにつきましては別の扱いにせざるを得ない、法律上も優先的に弁済を受ける権利がある、これは破産の場合においてもそのような取り扱いになるということで、そのような考えに立って処理をすることにいたしております。
  98. 宇佐美登

    宇佐美委員 銀行局長のお答えは、法律的にというお答えであります。  しかしながら、ここは立法府での今の議論をさせていただいているわけであります。法律が必要になればそれをつくっていくのが、我々立法府たる国会議員の仕事であります。お役所の言葉でありますから、当時ある法律の中で考えざるを得ない、それはもちろん理解できますけれども、立法府においてこの予算委員会で議論されている中、ニューマネー分についても金融安定化基金への拠出というものを検討すべきだと私は加えて思いますけれども総理考えはいかがでしょうか。大蔵大臣でも結構です。
  99. 久保亘

    久保国務大臣 今銀行局長がお答え申し上げましたように、再建計画をつくりました際に、ニューマネーを提供する、融資することに関しては、優先返済の条件を相互に了承して、それを条件としてニューマネーが融資されているわけでございます。  これは、首相がお答えになりましたことを引用されましたけれども、全体から今度のこの住専問題を考えてまいりますと、母体行はこの際その債権も放棄したらどうだということをおっしゃりたい気持ちは私どもも同じように思うのでありますけれども、これは、そういう融資に当たっての優先返済の条件が結ばれているという関係から、合意を得なければこれを抑えることは非常に困難な状況にあって返済が行われたものと考えております。
  100. 宇佐美登

    宇佐美委員 合意を得られるかどうか、合意をしていただかなければ国民は税金を出すことについて納得ができないんだというのが、通常の感覚、普通の感覚だと私は思います。ぜひとも、さらに強い姿勢を示して、大蔵大臣、指導をしていただきたいと思います。  今回の問題で少しずつ情報が出された部分があります。農林系のノンバンク向け不良債権額が公表されたことはその一つ成果だと思っております。情報開示で農林系におくれる格好になった銀行についても、ノンバンク向け債権額と金利減免を含む不良債権総額、これを九六年三月から、少なくともこの三月期から一般の預金者、普通の国民、市民が入手できるような形でのディスクロージャーというものをすべきだと思っております。前回口頭でこのことについて報告されたわけでありますけれども、ぺーパーでしっかりとした形でディスクロージャーすべきだと考えております。いかがでしょうか。
  101. 西村吉正

    ○西村政府委員 ディスクロージャーについてのお尋ねでございますが、私ども最近、金融機関のディスクロージャーは大変に重要な課題であるということで鋭意取り組んでおるところでございます。  金融機関の不良債権のディスクロージャーにつきましては、本来、主要二十一行についてはこの三月期から各行が開示をするという予定でおりましたのですが、この前の九月中間決算におきまして、二十一行につきましては自主的に前倒しで開示をしているところでございます。  その中でのノンバンク向けという問題でございますけれども、ノンバンク向けの債権も、この中には金利減免債権というような形で多くのものが含まれているところでございます。全体といたしまして二十一行のノンバンク向け債権額は約七兆円というふうに私ども考えておりますが、これは住専を除いたその他のノンバンクということでございます。
  102. 宇佐美登

    宇佐美委員 時間が限られておりますので、端的にお答えいただきたいのですけれども、今のディスクロージャーの問題、情報を開示しました、出しております、勝手に見てくださいというような形が、往々にして世の中のディスクロージャーと言われたときにあるわけであります。官報で出してありますとか、政府の場合にお答えされる場合もあるわけですけれども情報というのは、いかに簡単にアクセスできるか、入手しやすいかということが非常に重要なわけであります。  関連ということで、情報公開について、残り十分で質問させていただきたいと思います。  現在、情報公開に関しましては、一年半前につくられました行政改革委員会の中で、ことしの十二月を期限としまして情報公開法、行政の情報公開に関する法律の大綱その他制度の整備というものを進めているわけであります。  この情報公開というもの、何よりも先ほどから申し上げているように、何か物事を判断するときに、市民、国民の方々、人々が、これがどうなっているのか知りたいときに入手できる、そしてできる限り政府は今ある情報というものを提示する。これはなぜかといえば、元来国民の税金によってつくられている政府の運営、そして得られる情報、蓄積されたものでありますから、お金を出した人に当然見せて、使うことができる、当たり前のことであります。  現在の状況は、冷蔵庫の中に情報がしまわれていて、その冷蔵庫のかぎが閉まっている、そんな状態で、そのかぎはだれが持っているかといえば一部の政府関係者の方々だけになっているのではないか、そんなふうに思うわけであります。  先ほど申し上げた行革委の情報公開法の議論を見る中で、総理としてこの情報公開法、どのような形で取り組んでいきたいのか、その決意を教えていただきたいと思います。
  103. 中西績介

    ○中西国務大臣 行政情報の公開につきましては、公正で民主的な行政運営を実現して、国民に対する行政の信頼を確保するということが最も重要でありますので、積極的に取り組んでいく重要な課題であるということを確認をいたしています。  したがって、現在、行政機構、行政情報を公開するための法律の他の制度の整備につきまして、行政改革委員会並びに行政情報公開部会に調査審議をお願いをいたしておるところであります。今、同委員会から本年十二月までに意見具申していただくことになっておりますので、その意見を尊重して、積極的に対応してまいりたいと思っております。
  104. 宇佐美登

    宇佐美委員 三党合意の際に与党の中で議論があった点は、十二月まで、平成八年中をめどにといっていたものをできる限り早い平成八年にといった議論があったと聞き及んでおります。できる限り早く政府としてもぜひ臨んでいただきたいと思っているわけであります。この点について、総理としての御見解をいただければと思います。
  105. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今総務庁長官からお答えを申し上げましたように、委員会として十二月までにということで御努力をいただいております。私もこの問題は大事な問題だと思いますけれども、同時に、個人のプライバシーに係る部分考えなければならない問題点もあるわけでありまして、できるだけ早くという努力はお願いを申し上げたいと存じます。
  106. 宇佐美登

    宇佐美委員 今お話しいただいたように一できる限り早くと言っていただくようお願いを申し上げると同時に、今回の問題は国民の知る権利というものが保障されるかどうか、これを考え及ぶかどうかという点なのでございます。国民の知る権利ということについて、総務庁長官もしくは総理の方から御見解を示していただきたいと思います。簡潔にお願いします。
  107. 中西績介

    ○中西国務大臣 今、戦後五十年経過をいたしましたけれども、依然として行政のこうした諸問題についての公開については大変おくれておるということでございますから、あくまでも私たちは戦後民主主義を確立するという視点からも、何としても、目線を国民の側あるいは軸足をそこに置いて、公開に向けて努力をしていきたいと思っております。
  108. 宇佐美登

    宇佐美委員 質問にお答えいただいているとは、十分だとは思えませんけれども、この知る権利が保障され、国民情報が公開されますと、それを受けて国民が、まあ例えばNPOやNGO、非営利組織、非政府機関といったような、まあ集合体というんですか、グループをつくりっっ、それらの情報が正しいかどうか実際に行われている内容についてチェックをしていくわけであります。  現在、市民セクターの強化というものを、NPO法というのが前国会では新進党の方から提出をいただいておりますし、与党の中でも三党合意の中で今通常国会での成立を目指すということになっておるわけであります。  その中で、市民活動団体というものの中には、政策を提言したり研究を行ったりする団体が数多く現在も存在しております。時にはこれらの団体が、時の政府、時の地方公共団体の方向、政策と微妙にずれたり、逆に、反対意見を持つときもございます。それらの、私は、市民の多様な価値観、意見というものを大事にする、これが我々さきがけの言っているところの民権政治、市民の声を受けた当たり前の政治の状況をつくっていく場面だと思っております。  先ほど申し上げた、時に政府との意見がずれてしまう、このような団体にも、私は、法人格、必要に応じて税制措置というものを付与すべき、積極的に支援すべきだと考えているわけですけれども、この政府側の取りまとめ、窓口になっております経済企画庁長官の方からお答えいただきたいと思います。
  109. 田中秀征

    田中国務大臣 その法案は、今三党合意に基づいて与党の方で検討されているということで、その過程を見守っているということでございます。  まず、政策提言をする団体云々ということについても、ほかの法律との関係、あるいは悪用されるかどうか、そういうさまざまな議論がありますけれども、そういうものも含めて立派な成案が得られるように期待して見守っております。
  110. 宇佐美登

    宇佐美委員 今申し上げたように、NGOやNPOという団体の方々、時に我々に意見を寄せてくれるわけであります。  今、二百十九ある政府審議会というもの、昨年九月二十九日、当時村山総理の時代に、審議会原則公開というものを閣議で決定をいただいているわけであります。この中には対象外になる審議会等もあるわけでありますけれども、今まで調べさせていただいたところ、二百十九の審議会のうち、対象外二十五を外しますと百九十四ですか、ございます。百九十四の中で七十九がこの半年間まだ開催をされておりませんが、実際に傍聴等ができる、議事録が公開されているものは、重複も含めて二十六しかございません。  ぜひとも、審議会というもの、政府の政策というものを決定する大事な場面でもございます。審議会の公開というもの、橋本政権のもと徹底的に進めていただきたいと思います。この点について、総理の御決意をいただきたいと思います。
  111. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先般まで通産大臣をいたしておりました関係から、ちょっと通産省で例をとってみたいと思います。例えば産構審の経済協力部会は公開で開催をいたしてきておりますし、また高圧ガス、LPガスの規制の合理化を検討いただきました高圧ガス及び火薬類保安審議会は、発言者のお名前は控えさせていただきましたが、議事録は公表いたしてまいりました。  私は、各省庁それぞれの審議会において、その内容や性格に応じてできる限りの透明性を図っておると思いますが、全体を把握しているわけではありません。なお一層の努力をさせていただきたいと存じます。
  112. 宇佐美登

    宇佐美委員 時間が参りました。住専問題につきましても、先ほどから申し上げているように、できる限り情報を徹底的に出していくという姿勢政府としても示していただきたい。また、一般の情報に関しましても、行政の情報をできる限り開示していく、この姿勢を示していただきたいと思います。  以上、ありがとうございました。
  113. 上原康助

    上原委員長 これにて宇佐美君の質疑は終了いたしました。  次に、奥田敬和君。
  114. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 奥田敬和でございます。  総理、本当に御苦労さまでございました。もう大変な強行日程でクリントン大統領と一時間の対談をなされた。ちょうど中曽根さんが総理のとき、レーガン大統領とロン・ヤス、個人関係を大変大切にされておられました。あなたは今度ビル・リュウという形で、そういった形で日米関係、かけがえのない関係の中でひとつ努力をいただいたことに対しては敬意を表します。  いかがでしたか。住専問題に関してお話しになる機会がございましたか。
  115. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私自身が三つのメッセージを伝えたいと思いましたその三番目に、当面の景気回復に全力を挙げたい、そのためにも日本金融システムを安定させ、信頼を取り戻すこと、そして規制緩和撤廃の努力が必要である、そして、その金融システムの安定を取り戻していくために住専の問題に公的資金導入という決断を行った、現実に非常に国民の強い御批判を受けているが、これを乗り越えることによって日本金融システムの安定を図りたい、そして、その結果としてまさに透明なシステムとそして自己責任原則とそして早期是正措置を含むアメリカの現在の方向に近い形をつくり上げたい、そのようなことを申しておきました。
  116. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 前段に褒めて、今度はまた厳しく言うのは心苦しいわけですけれども、大体今、ワシントン・タイムズやニューヨーク・タイムズ、ロサンゼルス・タイムズ、これらはみんな土日が休日ですからまだ手に入っておりません。ですけれども、今もウォールストリート・ジャーナル、ヘラルド・トリビューン、ファイナンシャル・タイムズ、これはアメリカ並びに英国において経済的には非常に世界的な有名紙でございますから、それらの大体全部、私が読んだと言うとうそになりますから、私の秘書が、ハーバード大学卒業の秘書もおるものですから、克明に翻訳をいたしました。  日本では非常にそういった住専案件を含めて、クリントンさんも率直に総理立場を認識なさったようでございますけれども、この有名紙は全部住専一つも触れていないのですよ、本当に。そしてしかも、ホワイトハウスのレポートですね、公式文書ですから、報道官の、これにも住専内容を記者のブリーフィングで言っていないのですよ、結果的に。だから、あなたがそう言っておられる形とアメリカの対応が違うわけです。  例えばヘラルド・トリビューンなんかは沖縄の基地問題、これはもう沖縄県民感情が日本国内で高まっておるという、そういった認識は持っておられる。また、韓国、北朝鮮にまたがるいわゆるあの原子炉問題に関してあなたに大変な協力要請があったと聞いております。それは文書にもなっています。  貿易の拡大、これに関してもあなたは大変な日米間の貿易交渉で成果を上げられたということは、これはホワイトハウスの記者会見でも物すごく褒めておられますね。それは二十数項目にわたるいろいろな形で日米の貿易拡大、格差に大変貢献をしていただいた。  ただ、冒頭には皮肉で、私はもう在任してから四人目の総理に会うなんという、クリントンさんもこれは皮肉ですね。しょっちゅうかわる国だなという認識で、冒頭に言われていますから、これは私から見るとやはり皮肉に感ずるわけです。  そういうことは別として、ともかく住専問題というものはこのレポートに本当に一つも出てこないのですよ。これは外務省、一番わかっているはずなんですよ。  ただ、総理、あなたは写真に非常に熱心で、何か立派な朝日の写真、それをちゃんと贈られたということは、そういうことまで書いてあるんですよ。これは質問の趣旨の方向と違いますけれども、あなたは写真のプロですから、恐らくクリントンさんはすごいあれをもらったんだな。朝日の写真というのは、ヒマラヤですか、どこですか。
  117. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、そのアメリカ側の発表にどういうものがあったかを読んでおりませんけれども、その何人目の総理といったような話はございませんでした。そして、クリントンさんにとっては、宮澤総理、細川総理、鳩山総理村山総理、私は五人目の総理ということになりましょう。しかし、そういう話はありませんでした。  そして同時に、先ほど住専に触れたかというお尋ねでありましたから、その部分だけを御紹介を申し上げました。しかし、住専を語るのが目的ではなく、日本景気を立て直していくこと、そしてその中で規制緩和を進めていくこと、こうした点についての私は話をしていっております。  第一は、日米関係の大切さであり、それに連動して安保の堅持を進めていく上でも、沖縄県の皆さんの気持ちを酌んでいただいてできる限りの弾力的な対応を求めること。  そして、第二のプロセスとして、日米関係には幾つかの経済問題があるが、それらの経済問題を大きくしてしまうことは避けたい。そして、個別に処理をしていくべきものであること。  三番目に——失礼しました。私、鳩山総理と申し上げたようですが、羽田総理です。もしそういう言い方をしたとしたら、大変申しわけありません。  そして三番目に、日本景気回復へ向けての努力。そして、むしろポイントは規制緩和に置きながらお話をしたわけでありますが、住専に対して触れたかということでありましたから、住専に対しては触れたと申し上げました。
  118. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 いいですか。ちょっと総理、見ていないようであるから。(資料を示す)
  119. 上原康助

    上原委員長 はい、どうぞ。
  120. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 これはまた本当に、私はいつも総理に嫌な質問ばかりする立場になりますけれどもね、ウォールストリート・ジャーナルは、二十四日にこんな厳しい——ここにちゃんとあるわけですから間違いないわけですけれども、ウォールストリート・ジャーナルは、今度の日米首脳会談に関しまして、これはもう二人の旧交というか旧友というか、そういった形で温める以外の何物でもないと。そして、むしろ総理のことを官僚のパぺット、というのは、これはどういうわけですか、操り人形という形で解釈するのですけれども、そういった老獪な政治家の面も持っているということを書いているわけですよ。そして、日米関係より、あなたの今回の訪米は国内人気を上げる以外の何物でもないと。  住専問題に触れています、これは。犬にえさをやるようなものだと。いわゆる我が国政府の公式、いわゆるこの住専問題にちょっと触れておるのは、犬にえさをやるような結果だという形で、これもはっきりしていますから、御提供します。  そういう形にアメリカは見ているということだ。住専関係の問題というのは、アメリカ人にとってはそんなに関心がないのですよ。それはもう、日本金融システムとか国際云々とかという形でもうぎゃっぎゃ、ぎゃっぎゃ言いますけれども、アメリカにとっては住専問題なんというのは関心がないのですよ。だからこういう形で、こんな大事なときに全然一流紙がこの住専問題に触れてなくて、むしろコダックやらそういった貿易格差の問題の方が話題になったことは事実だと思いますよ、これはコメントしているわけですから。  ですから、今度の訪米に関して、日本の各報道機関は、非常にうまくいった、二人の関係の、いわゆるビル・リュウ関係というのは確立したというような形で報道されておりますけれども、実際に、冷静なアメリカあるいはロンドンのジャーナリズムは、今度の関係は、あなたが国内で苦労している住専問題に対して、国民関心をこちらの方に向けようという以外の何物でもないという厳しい見方をしているという事実だけは指摘しておきたいと思うのです。それに反論があったら、どうぞ。
  121. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 別に私は反論をいたすつもりはありません。  そして、私がその住専についての触れ方をいたしましたとき、クリントンさんが言われたのは、アメリカにおいても、数年前に同じような状況のとき、公的資金を導入するという決断は極めて不評判だったということとともに、政治家というものが時々国民から不人気であってもやらなければならない決断を迫られるときがあるといったコメントをされたということであります。  そして、私は欧米の報道がどうなっておりますかは別といたしまして、今申し上げたように、私自身が日米関係、そしてその土台をなす日米安全保障条約、そして沖縄における基地の整理統合・縮小の問題、そして経済問題、そして当面の景気回復の問題という話をしてきました中で、クリントンさんの方から、日米関係における経済問題と私は一言で申しましたものに対し、半導体そしてフィルム、航空の分野、保険の分野ということを述べられながら、それぞれの問題も誠実に解決していきたいということを述べられたことを全く否定はいたしません。
  122. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 こんな話はこれでやめましょう。  二人の会談の中では剣道の話も出ておったようですし、雑談の中では、ブキャナンの選挙のいわゆるニューハンプシャーにおける勝利の問題も含めてお話しなさって、大変温かい、そういった形の中で非常に和やかな形でビル・リュウ関係をお築きになったという形は、私たちとしても率直に評価も一面しているということをつけ加えておきます。  これは、アメリカ問題は別にして、この沖縄問題というのは、非常にアメリカは今、今度恐らく四月訪日のときにスケジュールをまとめなければいかぬという形で苦労されておることは、はっきりレポートに示されておりますから、今度の訪米に当たりまして、今度の四月訪日になると思うのですけれども、そのときには確かに真剣に前向きな対応というか、基地問題に関して人的削減の問題も含めて、これはいろいろな異論があるかもしれませんけれども、前向きな対応を、きっといい形になってくるのじゃないかな。このことに関してはホワイトハウスの公式レポートでもはっきり触れられておりますから、その点において非常に今度の訪米成果というものの一面はあったということです。あなたは自分では百点だったなと思うけれども、私にとっては、やはり辛いですけれども、五十点ぐらいだったなと思います。  さて、大蔵大臣、ひとつお聞きするのですけれども、あなたが本当にこの住専関係の経営責任問題に関して、人事問題も含めてきっちり責任を明確にすべきだ。これは国民は喜んだと思いますよ。だけれども、その明くる日見たら、何かあなたのところの次官が、この問題は政治家久保の個人的な発言だろうなどという軽い形で、やはりそういう見方も、一日たって翌日見たら、けしからぬと思って、これはひとつ久保大蔵大臣の援護射撃をしなければいかぬなと思っておったら、明くる日ちゃんと次官は、あれは失言だったと。なめているのですよ、大体政治家を。これだけ、あなた、二年半の、まあ三年近くの間に四人も五人も総理がかわるような、大臣もそれにつれてかわる、そういう形ですから、もう役人は政治家を信用しなくなる。これは私たち責任も含めてですけれども、そういった形の中で、それはきちっとめり張りをつける発言をされたということは私は立派だと思うのです。  そこは評価しますけれども、これは毎日新聞ばかりじゃありませんけれども、私は二十一日付の毎日新聞で、住専の母体行の中でも地方バンクのものもありますね。三行、はっきり言いますと、私の郷里の北国銀行、秋田市の北都銀行、松江の山陰合同銀行、これらが結局、反乱を起こしまして、それはそうだわ、政府がもう住専各社をつぶすという清算スキームができたわけですから、そんなものに今度は融資するわけにいかない。もし融資するようなことがあれば、倒産がわかっている会社にそういった形の融資、出資ということになりますれば、これははっきり経営責任を問われる。株主並びに、私も小さい株主の一人ですけれども、地元北国バンクにおいては、それは経営責任を必ず問われると思うのです。  ですから、そういう行動を起こしたけれども、三日間の反乱で鎮圧されました。何かこうすぐ、いわゆるそういった、経営責任を明確にする上でもこの融資には応じられないという態度をとつた。だけれども、これは地方銀行あるいは母体行全体にとって一種の談合破りというか協定破りみたいな形になることは間違いありません。ですから、そういった形で、恐らく大蔵答弁においては全然そんなものに関与しなかったと言われるでしょうけれども。まあ一次スキームを含めてこれは見直しになってくるような厳しい問題になりますから、他行が協力すると。それはそうだ、我々も経営責任問われる、こんな融資はまかりならぬという形でいけば、これはもう今の住専のスキームが全体的に壊れてくるわけですわね。ただ、そういうことになって、恐らく大蔵は圧力を加えないという答弁でしょう、民間バンクのことで。  ですけれども、これは私は、この反乱軍のやり方の方が本当は正しいなと思って応援していたのですよ。ところが、もうすぐ鎮圧された。鎮圧された原因は大蔵省にあるなんて、そういうことは言いません。地銀協定関係で、まあいわゆる談合破りだから、これは厳しい形の、まあ日本的な風土というか日本的な協調というか、そういう中で埋没したのだと思いますけれども、今のままだったら私は、株主を含めて責任訴訟といいますか、やはり起きると思いますね。だから、これに対して新しい特別立法を考えておられるはずです。そうでなかったら、これはみんなやられますから。  だから、そういった意味で、この三行が経営責任を明確にする上においても、こういったスキームの、いわゆる清算会社に対する融資に対して厳しい対応を示したということに対して、大臣はどういう所見かをお聞かせ願いたいと思います。
  123. 久保亘

    久保国務大臣 当委員会におきましても多くの委員皆さんから御意見もございましたように、今度の住専問題に関しましては母体行が負うべき責任が大変大きい、つまり、貸し手責任、債権者としての責任を超える責任がある。特に、商法上の子会社ではありませんけれども、実質子会社と同じようなもので、設立の段階から出資を含めて関与し、大事におきましてもまた経営そのものにも母体行はずっと支配権を行使してきたという面が取り上げられているわけであります。  これらの責任は、債権全額を放棄すれば終わりということにはならないということを私は申しているのでありまして、法的な責任は損害賠償請求権に基づいても請求され、また、もし法律上問われるべき経営上の責任があれば法的に問われるものだと思っておりますが、道義的に特に銀行が持ちます社会的責任、こういうものに照らしても、私は、母体行の経営者はみずからの責任を明らかにし、そしてこの問題の処理のために可能な限りの償いをやるべきものと考えております。  そのことを申し上げてきたのでございますが、また、私どもが得ます情報に照らしましても、母体行が一律に同様の責任を負っているかということにつきましても、母体行にもかかわり方にいろいろな差があることも事実だと思っております。母体行の責任をどのように今後問うていくかということについては、さらに内容も検討しながら、母体行の持ちます住専問題に関する責任は厳しく問うていかなければならないと思っております。
  124. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 いや、全く同感ですよ。だから、その姿勢を堅持してほしいのですよ。あなたは二次スキームを含めてまでは、あとは一切ノンバンクを含めてのそういった形に公的資金は使わないということを言明しました。それはもう守ってほしいし、またやり抜いていただきたい。これは私の希望です。ですけれども、いや、認めておるわけじゃないのですよ、この住専の六千八百五十億の公的支出を認めたわけじゃないのですよ。そういう厳しい目で国民はみんな見ているのですよ。国民は知っているのですよ。だから、光る大臣になってほしい、やはり厳しく追及するものは追及してほしい。  余談になりますけれども、菅直人厚生大臣なんか、やはりすばらしくいい決断をなさったと思いまずよ。あの情報開示によってどれだけ、悩んでおる血友病エイズ患者が本当に救われた思いをしておると私は思います。私も、いいことをした大臣はかっちり褒めるんですよ。また、国民もちゃんとそれをわかっているわけですから。だから、答弁は要りませんけれども、やはりすばらしい決断だ。  やはり情報開示をきっちりして、そしてそんな、いわゆるミドリ十字や何やら、薬品業界の企業の損失が、これによって崩れるとか崩れないとかということより、やはり命を大切にする。しかも情報開示をして、役人行政というのは時間稼ぎで、自分の責任逃れで、必ずうまいことごまかしますよ、すぐかわる大臣だから。菅さんは立派だ。厚生大臣、本当に立派な形で決断なさって、本当によかったと思っております。だけれども、あなたの親分はだめですな。こういう大事な問題のときに敵前逃亡しちゃって、追及しようと思ったらおらなくなってしまって。だけれども、あなたはしっかりしているから、私は本当にすばらしいと思います。  それで、これは大蔵大臣、あなたはもう財政に本当に野党時代からも首を突っ込んでいましたから、私らの形とは全然雲泥の差がありますけれども、これはひどいことをしておったものだね、私なりの形で調べてみると。もう平成三年五月から母体行は全部沈没船から逃げているのですよね。それでみんな、月末に貸して一日に引き出す、一日だけのオーバーナイトローンと、こういう難しいことで言うらしいですけれども、そういう形でみんな、農協系の金融マネージに疎い連中たちは、それは住専関係の月末残高だけ見ておればこれは全く安心だなと思ったことが、一日超えるとすうっと引かれておるという実態ですね。それで、全部引いておるのに、後から沈没船の中へ乗り込んでいった。  農林大臣、あなたはわかっているんだろうけれども、農水大臣は実態はわかっておるだろうけれども、母体行責任を明確にすべしということは、これは大事です。まさに子を殺す親、そしてはっきり言って、一日貸しのいわゆるオーバーナイトローンで粉飾決算を住専にあえてさせたという、そういった形は本当に許せないと思うのですよ。  だから、母体行負担をもっと強力にやって、この実態解明の中で、人事責任も含めて、今国民に課そうとしている六千数百億の大事な税金をむしろ母体行負担処理しなさいと言うくらいの勇気を持ってやっていただけませんか。大臣、どうだろう。
  125. 久保亘

    久保国務大臣 母体行責任によって六兆四千百億の損失の部分が補てんできるという状況が生まれますならば、今日、この全体のスキームをつくっていきます場合にも考えられたことだと思っておりますが、今までの段階でいいますと、その当事者であります母体行との協議は、三・五兆の債権放棄までしか合意を得られていないという状況の中で、先送りできないこの住専問題の処理方策を全体スキームとして決めた、こういうことであります。  しかし、奥田さんから今お話がございましたように、この母体行の責任はそれにとどまるものではないと考えておりますので、今後、どのようなことが可能となるか、この努力、要請は私どもがやらなければならない任務だと考えております。
  126. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 見せかけの融資でキャッシュは一銭も住専に残らないという形をずっとここ五年間続けてきたんですよ。真水を送り込んだのは一般行と農協系ということですから、これはやはりこの行為に関しては、大臣、厳しく反省と指導を母体行に求めていただきたいと存じます。  ですから、倒産が確実になった、いわゆる今の場合、私がさっき反乱軍三行ということで提示しましたけれども、地銀生保住宅ローンですわね。これに対して、回収不能という状態に対して融資をしなかったという形はこれは正しいと思いますけれども、融資をしたわけですね、現に。まあ協調してやろうということです。  こうなると、やはり銀行にとっては特別背任というのが刑法上も商法上も成立いたします。しますね、今の形では。じゃ、今の形で、このまま、もし倒産会社とわかっていて、そしてこういった形で融資をするということになれば、これは商法上も特別背任、刑法上の背任という形をやはり構成しますよ。それを何とか救うてやろうという形で今考えておるんだと思いますよ。それは共同責任がありますから。逃げ道をつくろうとして苦労していることは間違いないです。これは恐らく大蔵委員会にかかる法案になると思うんですけれども。でなければ、母体行を含めてついていかないですよ。これは今のままだったら必ず特別背任なり背任罪に私はなると思いますけれども、それに対して、これは大臣でなくても、大蔵当局でもいいですけれども
  127. 西村吉正

    ○西村政府委員 今回の処理方策に対して金融機関が協力をいたしております姿は、一つは、今までの経緯と責任に応じて分担をしているという面もございましょうし、また、そのほかにも金融システム全体をにらんでの協力という観点もございましょう。  いずれにいたしましても、それぞれの判断で、今御指摘のような問題はないということで協力を約しているというふうに私ども理解いたしております。
  128. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 護送船団方式といいますか、そういう形に関して、アメリカは今の住専問題に冷たいというのは当たり前ですよ。あそこらは、もう自由そして競争そして責任、これはもう企業もバンカーも含めてそれは激しいですよ。だから、そういう意味において、今の場合は温情あふれる護送船団方式をまだ維持しようと思っているのですよ。  そういう不公正さと時間稼ぎとうそをつくから、あの大和バンクがあんなばかな、最大のペナルティーを科せられて追放されたわけですよ。あれ、もし正直に、即刻不正が暴露した時点で大和も含めて報告しておれば、あんなペナルティーは百分の一ぐらいで済んだと思いますよ。もちろん追放もなかったと思う。だけれども、長引かせ、その間に何とかごまかそうという、まあごまかすという言葉はちょっと当たらぬかもしれませんけれども、いい時間稼ぎ、不正を少しでも長引かせた上に、そのうちに、長らく時間を稼いで交渉するという形に対しては、これは厳しいのですよ。ですから、あんな厳しい措置をとられて、あれだけの大きな被害を受けたその裏には、やはり大蔵指導の中で時間稼ぎを何か暗示したような形があったに違いないのです。これは大和バンクの関係者は今口をつぐんで言いませんけれども、私はあったと思います。  そういう形が、本当に大きな将来においてのかけがえのない日米関係の中でも、公正と不正、うそ、これはついてはいけません、そのことだけ本当に、今後あんな大和バンクのようなああいう事件が二度も三度も起きたらかないませんけれども、そんなことは今後はあってはいけないことです、ないと思いますけれども。  これに対して大蔵の、これは大臣のところまで報告に行かぬ。これは大蔵の本当に銀行局がどういう形で介在したか、私はある程度知っておりますけれども、今そういう形でなくて、大臣の今後のそういった形の対応、処理、決意についてあなたの御意見を伺いたい。
  129. 久保亘

    久保国務大臣 奥田さんもこういう公式の場所においてお話しになることでありますから、私も強い関心を持って伺いました。  これらの問題につきましては、お話のように、私としては過去の問題につきましても厳正にいろいろと調査もいたしたいと思っております。そして、今後の財政金融行政が国民信頼の上に推進できるようにきちんとした対処をしていかなければならないと考えております。
  130. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 大臣にお願いしますけれども日本版RTC、今つくろうとなさっていますね。アメリカのRTC、はっきり言って整理信託を任されたコーポレーションですから、これとあなたがやろうとしている日本版RTCと全然逆方向なんだな。  それが、ちょうど僕はこの間ちょっと新聞で見たんですけれども、東京家政大学の教授が参考人召喚で、樋口さんと言われるのですか、来ていらっしゃいました。新聞でそういった形で、参考人公述の中で、今度の住専予算の六千八百五十億に対して、これは牢屋ヘゴーと。(発言する者あり)いやいや、ごろ合わせで六千八百、ローヤ、ブタ箱ヘゴーという形で、こう形容されておりましたから、全くそうだなと。  日本版RTCは、こういった責任を明確にしないで、逆にその人たちをむしろ保護しているような形になっていくわけですよ、今のような経過でいくと。要するに、アメリカ版のRTCはもうはつきり言って厳正な形で、はっきり言うと、さきの貯蓄組合の清算業務に関して本当に厳しい形をとっていますね。  これはもうあなたも御承知のとおり、会計事務所や担当した弁護士や、頭取や役員はもちろんのこと、もう徹底的にやっつけられて刑事告訴された結果、私の手元に残っておるのでは、本当に有罪が確定して投獄、刑務所へ入ったのは最後的には千十三人ということになっていますけれども、これは頭取も含めて、すごいですね、最高懲役四十何年という。それは、六十くらいの者に四十何年食らわしたら、これはむちゃくちゃな、私たちから見ればこれは全く、もう二十年、十二年というのはざらですね。そうしてもうペナルティーで身ぐるみ財産も、今みたいにのうのうとして責任逃れできゅうきゅうとしているやつらと違って、徹底的にやりまくってもう千三百七十人くらいの告訴のうちの千十三人の頭取クラス、役員、いわゆる公認会計士、弁護士、粉飾決算した、ドレッシングしたやつ全部の責任を問うというくらいの厳しい形でやった。  ところが日本の場合は、今回恐らくつくり上げようとする法案で、こういった経営責任でやった人たちをむしろ救うような形の法案でいくんじゃないかと思うんです。今後こういう刑事責任を免除させるような特別立法をおつくりになるとすれば、これは本当にアメリカのRTCと全然別な、逆方向ですね、やっつけるというやっと救おうという。これは日本の国内のいいところだと言われる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、これはやはり国民の公的資産を投入するという以前に、それは徹底的な追及を見せなきゃだめですよ。  責任を明確にするというあなたの発言は、私は本当に応援します。これはやはり、国民の税金を投入しない形なら別として、税金を投入するというにはそれくらいの責任を明確にさせる、いわゆるアメリカ版RTCに近づくような、それくらいの厳しい組織機構に持っていかないと、これはだめだなと思っておるんです。その点について、大臣どうですか。
  131. 久保亘

    久保国務大臣 今御指摘になりました点が、この住専問題を処理するに当たって国民の御理解をいただく最も重要な点だと思っております。  もし政府が今やろうとして御提案をいたしておりますことが、お話のように債務者を見逃したり、経営上の責任を免責したりするためのものであったとするならば、公的資金の導入について国民皆さんの御批判に耐えることはできない、こう思っております。  私どもとしては、今話がありましたような点から、全力を挙げてこの住専問題処理に当たりますために、今後も、司法の協力ももちろんでありますが、国会の御協力もぜひ賜りたいと思っているところでございます。
  132. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 総論的な話はこの辺でやめます。  ちょっと嫌らしい問題点に入りたいと思います。(発言する者あり)いや、これは疑惑というか、もやもやとしたものですから。  一月八日に、総理自身、山茶花、ニューオータニの日本料亭だと思いますけれども、そこで中曽根元総理会談をされたという、これはもう当たり前のことですけれども、その事実、御記憶にあると思いますけれども、中曽根元総理との会談
  133. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今とっさにお尋ねがありまして、八日かどうか正確には覚えておりません。しかし、何回かお目にかかったうちの一回がそのころにあったと思います。何回かお目にかかったうちの一度、そのころがあっただろうと思います。
  134. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 ニューオータニの山茶花料亭でお会いになったときにもう一人の同席者がいましたね。それは御記憶にあるでしょう。
  135. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 何回かの中に二人きりのときもありますし、三人のときもあります。四人まではあったと思います。ですから、そのときが今何日と言われた日が何人の会合かというのは、今私は正確に思い出しません。
  136. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 それは総理もお忙しい体ですから、それは一々そういうものを覚えておらぬと言われても、それはそうかなと思います。  だけれども、私の方は確認しているのです。一月八日、ニューオータニの山茶花で、中曽根元総理のほかに一人の同席者がおったと。私は、それは梶山官房長官かなと思っていたら違っていました。だから御記憶はあるはずです。仮にAという一人がいたと思いますよ。
  137. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、その八日という日を特定されましたから、その日が二人でお目にかかったのかかからなかったのか、あるいは何人かとお目にかかったときがそれなのか、それが正確ではないと申し上げております。  ですから、二人でお目にかかったこともございますし、四人ぐらいまでの形でお目にかかったことがあることは私は何も否定しておりません。
  138. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 私はいわゆる総理周辺のそういったいかがわしいうわさを消したいためにむしろ言っているわけですけれども、そのときに同席した人は荒井三之進、荒井建設も経営されておられますけれども、四谷政治経済の研究所も持っているという政治団体、幾つかの会社にも関係があります。要するに二つの顔を持った人です、正規な企業とそして政治団体と。こういろいろな形で活躍をされておる。この人の背景もみんな私は知っております、本人もイリノイ大学のインテリですから。そういった形の人が同席されたということは事実であろうと私は思います。もし総理が否定されるなら、反証も示します。  ですけれども、仮にその人と三人会合で会ったとして、そのときに小林の問題は大丈夫かと言われたという形で一部新聞紙にも報道されておりますけれども、そのことに関して御記憶はありませんか。
  139. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ですから、先ほどから八日という日を特定されましたので、私は正確に覚えておりませんと申し上げましたが、その方と御一緒をしたことがあったことはそのとおりであります。  そのときにはいろいろな話が出ておりましたが、個別の話を細かく私は今覚えておりません。
  140. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 総理は率直にしてください。私はむしろこれらの疑惑をできるだけはっきりすることによって、あなたのこれからの行動というのは世界が注目しているわけですよ。そういった期待される総理にいささかの疑惑があっては困る。そういった形ではっきりしなさい。  小林証人喚問を、本人は、週刊ポストの本人にインタビューした加賀というフリーライターにはっきりと、国会に喚問されれば出ます、正直にありのまま経過を話しますと言っておるのに、どうしても証人喚問に応じていただけないのは私は本当に残念だと思うのですよ。本人が出てもいい、そして自分のはっきりした疑惑に対する潔白を晴らす、そのことが総理にとったはいいのだったら私は喜んで出ますと言ってくれているのですから。  それくらい、はっきり言うと、お二人の関係という形の、長いおつき合いがあった形の小林元秘書に対して、総理は、国会喚問、そういった形で疑惑解消のために堂々と出してあげてもいいというお考えだと思いますけれども、もし国会要請があれば、そのことについて総理は、進んで協力しようと小林さんに言い聞かすべきですよ。国会で決めることだ。国会で決めることだけれども総理自身、小林さんの、そういった国会に出て私は正直に言いますという形に対してどのようにお考えでしょうか。
  141. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 国会がどう物事をお決めになるかについて、私が申し上げる立場ではまず第一にありません。  そして、小林さんは昨年の十二月をもって私の事務所を、秘書という立場から去っておられます。先般もどなたかに申し上げたと思いますが、その秘書の間に彼がまとめてくれましたその他の政治団体に当たりますものの主宰者として、今独立した人格を持っておられるわけであります。その判断は小林さん自身のことでありましょう。
  142. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 総理は、この前の桃源社の佐佐木参考人の召喚質問の中で、佐佐木は小林から四千万要求された、しかしこれは実行できなかったですね。ですからむしろ、どっちの言い分が正しいか、それもはっきりさせなければいかぬわけですけれども、まあ仮に桃源社の社長の言うとおりに、あの人もくせのある人のようですけれども、もし四千万という紹介手数料でそれが実現されておったら大変ですよね。だから、あなたも記者会見で、ああ未遂でよかった、実行できなくてよかったという形で何か記者団にコメントをされているのを聞きましたけれども
  143. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 佐佐木参考人が述べられた事実は後で私も伺いました。そして、実態関係のわからないままに、記者の方々からその状況を聞かれましたので、それが本当だったとしても未遂でよかったというふうに申し上げました。  しかし、その事実関係につきましては、小林さん本人は全くその事実を否定しておられ、東京地検に告訴状を提出しておられる。私は、司直の手で明らかにしていただけるものと思っております。
  144. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 いや、それは告訴されたこともよく承っています。恐らく相手も、誣告で逆にまたする。刑事裁判の行方という形は、私は司直の手で明らかにされなければならない大きな問題だと思っています。一日も早くそういう形ではっきりした方がいいのですけれども、どちらがうそをついておるのか、私は小林さんがうそをついていると思いますよ。(発言する者あり)いや、それは第二、第三のうそをこれからはっきりさせていきますから。  大体、中村という富士銀行のあのスキャンダルで、恐らくあの関係者は今全部服役中であります。事実です。ですけれども、なぜ小林喚問を私が要求するかというと、不正な融資であったという事実は、大蔵大臣当時の総理も、結果そうであったということはお認めになって、正規融資に関係したということはありますけれども、まあ尾花さんと言いましょう。尾花さんあるいは、あとあなたと年来の友人、知己であった御友人との間で、小林さんが融資を紹介されているという事実は間違いなくあるわけですよ。  これは正規の、当時の富士銀行赤坂支店の中村氏に、立場を信用してやられたということだけは間違いないと思うんです。だからこそ尾花さんも小林さんも不正融資とは気づかなかった、それをあなたはまともな報告として受け取っておられますね。
  145. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 その当時も、私は、自分自身が詳細は知らないということで、詳細よりもまず第一にそういう話があったこと自体私はわかりませんでしたから、その後、自分なりに小林君に来てもらい、状況を聞いて、そのとおりに御報告をいたしました。たまたま平成三年の九月の時点で、当時の富士銀行の橋本頭取がその経緯を述べておられる議事録がございます。これは必要でありましたら、それを細かく読み上げてもよろしゅうございますけれども、その事実関係を述べておられます。そして、融資があったと私どもが御答弁を申し上げました中で、小林君がその尾花さん初め何人かの方の融資を富士銀行の赤坂支店の当時の中村課長に依頼し、その中で成功したもの、しなかったものがあったという事実関係を申し上げております。
  146. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 尾花さんに対して十億の融資は、中村を通じてやられたんだと思いますよ。ですから、これはあなたは小林元秘書なり尾花さんの立場を考慮されて、これは不正の融資ではなかった、本人も全く思いがけなかったということのコメントでおられますね。ですけれども、これは絶対うそなんですよ。要するに、尾花さんのところへ振り込まれたお金というのは、私がさきの委員会で言いましたウラウスリゾート開発に関連しての大変なスケールの大きい問題なんです。ウラウスリゾート、全日販の花田社長の存在というのは、あなたは面識があり、一後援会の北海道の会員であるという……(発言する者あり)まあ、それはそれでいいでしょう。  ですけれども大蔵大臣、ちょっと冷静に聞いてください。何の関係もない、全然バンクでも何でもない民間人が、住友銀行の人形町支店の尾花口座にどんどん何千万単位の金が振り込まれていく形でおかしいと思わない、これは異常と思いませんか。これは大蔵大臣に聞きます。
  147. 久保亘

    久保国務大臣 ちょっと私、事実を全然承知いたしておりませんので、お答えできません。
  148. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 ここに一部だけ証拠を出しましょう。全日販の花田から、全日販というのはウラウスリゾート開発、これは未遂に終わりました、今刑務所に服役中ですけれども。この花田から尾花さんあてに、これはもうはっきりした事実関係ですけれども、振り込んでいるんですよ、尾花口座へ。それはこの花田だけじゃありません。IOSとか全日販とか池田という、これは全く尾花さんに関係ありませんよ。池田なんというあの「せいざん」の、いわゆるラブホテルとかいろいろな施設たくさん持っている。今服役中です、これも。  だから、二年五月から二年六月にかけて、本当に大きなお金が全然関係のない人から振り込まれているのですよ。これは中村グループあるいは小林氏にも関連したグループかもしれません、あなたの秘書の。(発言する者あり)いや、これは知っていないというはずはないですよ。これだけのお金が、いわゆる当時の太陽神戸三井、今のさくら銀行の銀座東支店、今のさくら銀行の銀座支店ですけれども、そこからお金が引き出されて、尾花万里子の住友銀行人形町支店へ振り込まれているという事実ははっきりしているのです。  その後の、いろいろな関係グループからのこの口座に振り込んでいるという事実がはっきりしているわけです。ですけれども、これを引き出したやつがだれかというのは私は本当に疑問なんです。これはここに振り込み書も預金受け出し書も全部ありますよ。後で証拠として見せますけれども。  十億のお金を、YSファイナンスというノンバンクからの三億を除いては、あとの七億は全部こういった中村グループ、花田グループからの形で金が振り込まれているという実態ははっきりしているのですから。これは警察庁も当時のビデオもちゃんと撮っておるだろうし。私はむしろ、尾花口座に十億を振り込まれたけれども、尾花さんというのはそんなこと知っていたのかなと。三億までは知っていたと思うのです、あのYSファイナンスというしっかりしたノンバンクですから。ですけれども、あとのお金、そんな見知らぬ人から自分の口座へどんどん振り込まれている形を異常と思わない法はないでしょう、それは。不正の関係は全然知らぬかった、そんなことで済まされない。小林元秘書も。私はそれで小林元秘書を呼びたかったわけです。  事実関係の指摘をして、それだけの巨額なお金が全然見知らぬ人から振り込まれて、これが不正融資だというのは、もう一年たって問題の不正が発覚してから初めて気がついてびっくりして、発覚した新聞発表、新聞がキャッチした一日前に手際よく売却しているわけです、その不動産物件を。そんな形は、後でいろいろ同僚議員からもあれするでしょうけれども、私は、この問題は小林さんか中村さんが人形町口座の、この支店で私は尾花さんに十億の金が渡らなかったと思っているのです。  だから、この疑惑をはっきりするためにも小林さんなり、尾花さんの場合には参考人でもいいです、何らかの形でこの解明をしないことには、これはみんな住専の問題に群がったいわゆる不動産屋、デベロッパー、そういうやつばかりがこの尾花口座に金をどんどん振り込んでいるというこの実態解明というものはとても大事な問題だなと。総理にとってもこの問題ははっきり疑惑を晴らす必要がある、国民の前にはっきりする必要があると私は思っています。
  149. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは平成三年九月五日の富士銀行の橋本頭取が参考人として述べておられる部分で、当時山岡賢次議員からこうした件についての御質問がありましたものを、私が拾い上げるよりもこの答弁だけはきちんと読み上げさせていただきたいと思います。   小林氏の紹介によりまして当行赤坂支店と尾花さんとの取引が始まったことは、先ほど申し上げましたとおりでございます。   平成二年六月から三年五月にかけまして、尾花さんから中村元課長に借り入れの申し出がございまして、数回にわたって融資の実行がございました。総額は、 山岡議員指摘をされましたのが十三億四百五十万円ということだったようでありまして、  十三億四百五十万円でございます。この融資は、尾花さんは御存じでなかったと思いますが、富士銀行資金ではなくて中村が自分で調達した資金を融通されたものでございました。   この間、尾花さんは所有する不動産の明細を提出されまして、必要の都度担保設定することを申し出ておられました。また、不動産の買いかえのためのつなぎ融資、それから既往借り入れの借りかえ、新規不動産の購入など、その使途を明確にしておられました。つまり、尾花さんは一連の借り入れは当行からの正規な融資であるというように確信しておられたと考えられます。   事実、平成三年七月、尾花さんから不動産の売却代金の一部でお借り入れの返済をしたいという申し出がございまして、そのときに私どもの赤坂支店の担当者が、実はお貸し出しは一切ございませんよというように申し上げましたところ、尾花さんがびっくりされたというように聞いております。その後、今般の中村元課長の不正行為が発覚いたしまして正規の手続がとられていなかったことが判明いたしました。   すなわち、契約も結ばれておらなかったし、どうもその間は金利の支払いもなかったようでございますが、この中村元課長の不正融資が発覚した後、いろいろ調査を求められましていろいろ事実関係を調べましたところ、このたび私どもと尾花さんとの間で正規の貸付契約を締結いたしまして、担保の登記手続等も完了し、現在はすべて本来の正常な取引になっております。 これが当時の富士銀行の頭取の参考人として述べられたことであります。  私は、それ以上の詳細を知る立場にございません。
  150. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 いや、だから詳細を知ってほしいんですよ、あなたに。富士銀行はその証言のときまでは全然尾花さんと関係ないんですよ。正規な借り入れは全然関係ないんですよ。要するに、事件発覚一日前に目黒の不動産物件——この尾花さんの物件はたくさんあります。大変金持ちの女性です。神戸で生まれてからの出生の経緯も非常にドラマチックです。これは一巻の小説になるくらいの女性です。それはもう全部わかっていますけれども、要するに、平成三年の八月までは、橋本頭取が言っていますけれども、富士銀行関係なかったんですよ。尾花に関係のないほかからの融資をしてたんですよ。  だから、私が一つのあなたに対するあれとして、尾花さんの、人形町の支店に持ったこと自体も私はおかしいなと思っているんです。働き場所が赤坂で、しかも住居が目黒なり白金台で、まあ広尾でもいいですよ、たくさん物件持っておられますから。田園調布にもある、神奈川にも、こういろいろ。だから、別にそんな資産家である尾花さんに対して批判をするわけじゃないし、ひがむわけじゃないんですよ。ですけれども、これだけの資産形成された女性が、だれもわかりもしない自分の口座に振り込まれて、それがぎりぎりまでこれが不正だと知らぬかったということは許されません。おかしいですよ、そんな五百万や一千万の金じゃないんですから。  だから、それは総理は知らないのは当たり前ですよ。総理は知らぬと思いますよ。だけれども、小林なり中村が必ず関与してやったことに違いないんですから。だから中村に対しては出張尋問で、中村の供述調書を含めてはっきり行けば真相はわかるわけですけれども、あなたのいわゆる金庫番であった小林元秘書も知っているわけです。  だから私は、尾花さんが正規貸借だと思っていろんなら、その証拠の書類はあるはずです。もし、ないままでどんどん自分の口座に振り込まれておったという実態が明らかになれば——私は、尾花さんにそのお金が全部渡ったとは思ってません。恐らく、その十億のうちの三億は返済されましたから、慌てて。それも、物件を六億ほど予定していたやつを四億四千万くらいの安い形で大和住建に売ったということは間違いないんです。ですけれども、この返済は終わってますけれども、あとの七億はその後の、中村不正事件が発覚して後、富士バンクが債権肩がわりして、塩漬けに今現在しているのが実態なんです。  ですけれども、この間に振り込まれたお金が不正であったかなかったかということは子供でもわかる話です。そんな見知らぬ人、見知らぬ企業からどんどんお金が振り込まれて、自分の口座にもしあったとしたらおかしいと思うのは当たり前でしょう。もし尾花さんがそのとおりのことであるならば、知らぬかった、この振り込んだお金の口座を人形町に開設したのも尾花さん自身じゃなくて、もしだれかがそういう形を代行してつくって、そこに資金を流し込んだということになったら、これはまた大変な問題です。  ですから、そこを明らかにするためにも、小林元秘書と尾花さんのそういった形の国会での喚問が必要になってくる。それは総理、おわかりになるでしょう。あなたの身辺をすっきりしたものにするためにこれはどうしてもくぐらなきゃいかぬ道ですよ。
  151. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 小林君はつい先日まで私の秘書を確かにしておりました人間でありますが、既に去っている。それでも大変、小林さん自身の行動について問いただされても、本当にわからない部分がございます。いわんや尾花さんのことについて、その口座が云々と言われましても、私にわかりようがありません。  ただ、この橋本徹参考人がその当時に述べられております中を見ていきますと、富士銀行そのものが、この中村さんという課長さんがその当時偽造預金証書をもとにした不正融資を全く存じておられなかったということも明らかでございます。そして、この中にはほかの問題も出ておりますけれども、富士銀行そのものが、平成元年の時点において質権設定についての問い合わせで一端の疑惑を抱きながら、その時点で本件は解決されたものということが言われ、その背後に今回発覚したような大きな不正が行われたことは全く認識しておりませんでしたと三年九月の時点に頭取が述べておられる。  頭取ですらわからなかったこと、犯罪が行われていたことをわからなかったこと、それが部外の人間にわかるという前提で御議論をいただくのは、私は少々無理があると思います。私自身、そうしてお尋ねをいただきましてもお答えのしようがありません。
  152. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 いや、私はそこまで追及する必要はありませんけれども、あなたが積極的に小林疑惑を解明しない限りにおいて、この十億円のうちの三億は別として、あとの七億はどこへ流れたかというのを解明しなければいかぬわけです。それは小林を通じてあなたのところに流れたかという疑惑にも通ずるわけですよ。(発言する者あり)いやいや、それはそうなんですよ。それは今まで振り込んだ、だから尾花さんの形も必要になってくるわけです。だから、これはもう一部の資料ですけれども、これだけでも渡しておきますから。(発言する者あり)いや、それは後なんですよ。  総理、富士銀行の頭取が、あなたの橋本と同じ名前で、それで同郷ですわね。それは親しい友人関係なりがあるということは間違いないと思いますよ。そんなことは別に、公私の別をわきまえておつき合いなさっていることについてはいささかも私は追及する気持ちはありません。ですけれども平成三年のこのばれる七月時点までは富士銀行は尾花融資に関しては一切関係ないのですよ、この十億に対して。それははっきりしているのですよ。事件が起きて、中村疑惑が起きてから、発覚して、そしてその後に肩がわりしたという事実ははっきりしているのです。十億のあの債権をぴしっと担保にとって、肩がわりして塩漬けになっていることは事実なんです。  ですけれども、恐らくこの尾花さんは不動産を売り急いだのは、正規契約しているいわゆる三億の金は手に入れたというそのことだけが頭にあって、恐らく事件発覚の前日までに無理に急いで安く売却して、しかもそれが住総からの資金ですよ。これは住専にも関連があるわけです。住総資金で大和住建が借りてその物件を償却して、恐らく尾花さん自体はそんな借金があったとその時点まで知らなかったのではないかと私は善意に推測しているのです。もしこれははっきりわかっておるなら、持っている不動産全部売ったと思いますよ、不動産いっぱいあるんだから。資産形成には大変巧みな女性であるということだけは間違いないのです。これは大したものですよ、ですから、その点をはっきりさせるためにも小林喚問なり尾花参考人招致は必要なんですよ。それをあなたの身辺疑惑を解明し、すっきりするためにも必要なんです。  小林は十二月でやめたと言っていますけれども、依然として溜池、そこの何とかビルに、国会のすぐ近くのビルの中で、立派な、溜池倶楽部代表ということで橋本龍太郎後援会の頭に大きくうたって、橋本竜太郎後援会溜池倶楽部、きちっとした事務所を持ってやっておられる。だから、あなたはやめさせたと言うけれども、独立させたと言うけれども、小林とあなたとの人間関係というものは私はそんな生易しいものじゃないと思っていますよ。だから、そういった形において、むしろ私は総理が、そういった疑惑がいつまでも週刊誌なりなんなりに騒がれるような形がないようにするためにも、すっきりさせてほしいのです。そこを私はあなたにお願いをいたしておるわけであります。
  153. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ですから、私は、先ほど来あるいは先般の御質問来、小林君という人間とスタートの時点からその交友関係はきちんと申し上げてきたつもりでありますし、今日私の事務所を、秘書としての立場はやめてもらいました、しかし、彼自身が秘書として在任中につくったその他の政治団体の会長として、会員の信頼のもとに仕事をしているということは、一度も私は隠して申し上げたつもりはございません。  その上で、私はたまたまきょうこの参議院における橋本参考人の御発言は手元に持っておりましたので、富士銀行と尾花さんのかかわり、それはそうでありましょう。富士銀行自身は、中村元課長が偽造預金証書を使って富士銀行の支店を舞台にさまざまな行動をとっていたこと自体を知らなかったわけでありますから、その中で、不正規のものと認知されるまでに時間がかかったということはそのとおりだと思います。その他のやりとりについて、資金の流れについて、それがどういう形でどなたがどうなさったのか、私の知るところではない。
  154. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 いや私は、総理の善意な形で友達をかばうような友情なりそういうものは非常に私は人間らしくてすばらしいと思っているのですよ。私は何もあなたの疑惑、直接の疑惑じゃありません。しかし、あなたの秘書であったという事実は紛れもない、小林元秘書は。そして、いわゆる銀行に対して、当時の大蔵大臣秘書の名刺を持っている人間が人事の口ききをしたり、融資の口ききをしたりすることが、どれだけあなた、水戸黄門のあおいの印籠じゃあるまいか、それは大蔵大臣の秘書の名刺を持って出入りして、融資あっせん、紹介というのは、これは秘書の当たり前の仕事だと言われますけれども、ここはやはり公私の区別をはっきりして、やはり権力のある大蔵大臣の、しかも第一秘書のぎゃあぎゃあ言うことに対してそう簡単に断れる形がないという形を小林君はたくさんやっているわけですよ。だから、小林元秘書があなたの立場を利用してやった、あなたの立場を利用された、あなたは被害者であるという形を、私はそういう方向に行ったら一番きれいなんだがなと思って言っているのですよ。  ですから私は、総理、あなたの答弁もずっと大蔵委員会、答弁も見てまいりましたよ。あなたは一貫して、やはり小林さんなり尾花さんの立場をしっかり擁護されております。それはあなたの一つの友情であり、今までの人間関係を大切にされる総理の気持ちからいったら、困っている立場に追い込まれた連中を少しでもかばってやろうという気持ちで言われたことは間違いないですけれども総理自身、後援会の会員から頼まれたから、普通の融資業務あたりを小林がやってくれていることは、これは秘書としての当たり前の仕事だと言われる答弁もあります。通常閣僚、現職でそんな一々細かいことを聞いておれぬ、だから秘書はもうそういった諸事万端をやる。  でも、仮にも大蔵大臣というおやじを持っておって、銀行に対して人事や融資のそういうことをすること自体が、いわゆる公私の区別のない人間だな、おやじをむしろ殺すような人間じゃないか。だから、むしろ小林をはっきりここへ呼んで、そして、総理には全然関係のないことを私が個人でやりましたとはっきり言わせれば私はそれでいいと思うのです。これをやらぬ限り、この疑惑は本当に募ってきますよ。住専問題と絡んでこの疑惑がある限り、それは急上昇ですごい国民支持率もあっと思う間に国民は不信感を持つと思うのです。  ですから、小林証人喚問、尾花参考人招致、あるいは当時の花田、中村の出張尋問も含めて、私はこれから党の方と相談いたしまして要請をいたしてまいりますので、その節はどうか委員長においてはしかるべき取り計らいをお願いしたいと存じます。
  155. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 五年前に、この問題を含め、先ほど全日販という名前を使われましたが、私の後援会に入られていたときには日計という会社の名前で花田さんは入っておられました。(発言する者あり)いや、ですから、一緒かどうかは別といたしましてそういうことでございましたが、その軽率な行動というものは確かに私自身も当時不行き届きがあった、また、その監督責任は私にもあったということを何回か国会でも御答弁を申し上げたと思います。そして、その責任を私は痛感し、最終的に証券・金融不祥事の第一弾の対抗策を終了したところで大蔵大臣辞任いたしました。その中の理由にも、そうした軽率な行動があったということを私は隠しておりません。
  156. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 あなたは隠しておられないと思いますよ。秘書任せだったということも私はそう推測しますよ。私自身がそうですから。だけれども、ここはやはり小林疑惑をきっちりさせなきゃだめですよ。まだまだ第一、第二、第三、第四のうそを、私は、これはやらぬ限り追及していきます。恐らくマスコミも、なかなか突っ込んだライターもおるものだなと思って感心している面もあるのですけれども、私も昔やはり新聞記者をやっておりましたから、そういう事実解明に関しては情熱を持ってあなたの疑惑をむしろはっきりさせたい。  小林、中村がいかにあなたの名前を、あなたのバックを利用してやったかということは、これは今きょうは言う必要ないと思いますけれども、ある花田グループの、今刑務所から保釈で出てきている連中がはっきりと、おれの後ろには小林、大蔵大臣がついているのだからそんな形の追及はできないだろうとうそぶいた形もあります。それは証人になってもいいという人間です。住専関係の絡みもあります。そういった形であなたが小林をかばえばかばうほどあなた自身の疑惑につながっていくという形を私はむしろ恐れる。  私も長い間、あなたとの人間関係を含めての長いおつき合いでございますから、むしろあなたの名をかたった悪い連中を摘発することによって、あなたがやはり輝ける宰相として、世界のいわゆるリュウ、まありュウさん、日本総理は別としても、向こうの方も選挙があるわけですから、ビルさん、クリントンさんも。  だから、そういう意味においてこれらをすっきりした形でせぬと、やはりあなたが日米会談で、住専のことで共感と理解を得たと言うけれども、何のコメントにもどんな新聞にもどんな一流紙にもそんなことは全然問題にされてないという実態も含めて、私はやはりあなたがこの大難局を切り抜いていく立派な総理としても、身辺疑惑ははっきりした方がいい。小林さんをかっきりやることによって、私はむしろあなたが全然関与しない、公務に一意専心やっておられた、そういう情熱はやはり評価している一人ですから、その点においてやってほしいなと。いいかげんな同情でごまかしてしまうと、むしろあなたに傷がつきますよということを本日の段階では警告をいたしまして、私の持ち時間も大体来たようでございますので、お願いします。  また、党として正式な対応が決まりましたら、ゆっくり、証人喚問、参考人の件に関しましては理事会にお任せすると同時に、党の方でもそういう形で対応するように私も努力いたします。よろしくお願いします。
  157. 上原康助

    上原委員長 この際、山田正彦君から関連質疑の申し出があります。奥田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山田正彦君。
  158. 山田正彦

    山田(正)委員 新進党の衆議院議員山田正彦です。  この住専問題は、国民の税金六千八百五十億を絶対使っちゃいけない。ところが、国会ではその論議はいろいろやってまいりましたが、実際になぜこの住専がここまで至ったかという責任の問題、例えば刑事事件においてどのように処理していくかとか、どのようなことが追及されたとか、それはまだまだこれからだし、今までなされてなかった。私は、その黒いどろどろとしたものについて、ひとつ総理にお聞きしたいと思っております。  まず最初に、総理にぜひお聞きしたいのは、古くて新しい問題でありますが、いわゆる政治家と秘書、橋本総理は自分の秘書をどのように位置づけ、とらえられておられるか、それをひとつお聞きしたいと思います。
  159. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私にとりまして秘書の諸君は、東京におきましても郷里におきましても、私のかわりにそれぞれの役割をすべて果たしてもらい、私自身を国政に専念させてくれる存在、そのように思います。
  160. 山田正彦

    山田(正)委員 それでは、あなたが秘書を、言ってみればだれでもそうですが、自分の手足のようにいろんな形でいろんな仕事をやってもらう、そういう関係だと思われますが、長い政治家生活の中で、あなたが一番信頼してきた秘書、いろんな今まであなたの小林さんに関する国会答弁、読まさせていただきましたが、いろいろと随分かばっておられます。小林君の名誉のためにもと随分言っておられます。そういう意味で、あるいは小林さんという秘書を、あなたは一番信頼しておられるんじゃないか、そう思いますが、そのことをまずお聞きしたいと思います。
  161. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私にとりましては、すべての秘書が皆、そのスタートの時期がいっかは別として、皆大切な秘書であります。  しかし、あえて一人の名前を挙げろと仰せられるのなら、二階堂と申します、地元をすべて預かってもらっている、私の父親の育てた若手、そして私にとりましてはむしろ、私の学生時代において既に社会人になっておりましたから、本当に兄のような存在でありました。そして、ついしばらく前までは、年をとって引きましたけれども、本当に父が亡くなりましたときから、議席を持たない当時、一緒に地元を歩き回ってくれた福光と申す秘書もおります。あえて一人をとおっしゃるなら、そのいずれを挙げるかということになろうかと思います。
  162. 山田正彦

    山田(正)委員 それでは総理、あなたが政治家として、秘書の仕事の中身でありますが、いわゆる融資のあっせん等を頼まれる、そのようなことについてはどういうお考えをされておりましたか。例えば、人から頼まれたら、個人的な関係で、先ほどのてんぷら屋をやっておりました尾花さんの関係でもそうですが、頼まれればそれは当然秘書がしてやってあげなきゃいけない。いろんな形で、例えば後援会から融資の関係を頼まれる、それについては秘書として当然やってもらおうじゃないか、いろいろといろいろなところに口をきいてもらおう、そういうことについて総理はどう考えておられたのか、それをひとつお聞きしたいと思います。
  163. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 国会に出まして随分時間がたちますまでの間に、私に融資を仲介してほしいといったような御依頼は多分なかっただろうと思います。なぜなら、中選挙区制のもとにおいてそれぞれが得手不得手がございます。そして、関係からいって恐らく私の郷里の場合にそうした部分についての御相談というものは、若い議員のころにはなかっただろうと思います。そして、私自身が議員会館ですべてを掌握できるぐらいの時期には、特段そうした問題はございませんでした。その後、だんだん閣僚経験あるいは党の中、役割を果たしていきますうちでいっかそういう話も出てきたろうと存じますが、私は必ずしもそういったことに対して全く触れるなとも触れろとも、今委員から御指摘を受けますと、特別な指示をいたしたという記憶はありません。むしろ、それぞれの御依頼の内容と、その方に対してどの程度の信頼が置けるかで当然のことながら判断していくというぐらいに思っていたのではないでしょうか。今改めてそういうお尋ねを受けますと、強いて秘書の仕事に枠をはめるような指示というものはいたさなかったように思います。
  164. 山田正彦

    山田(正)委員 総理の二月八日のこの予算委員会での答弁でありますが、この中に、奥田敬和議員質問に対して、「同時に、これは議員もおわかりをいただけると思うのでありますが、確かに私がよく利用する店の一つである、」いわゆる今言った尾花さんのお店だと思います。「あるいは私の個人的な友人である、しかし、日常の閣僚の業務の間にそういう御相談が一々閣僚のところに届くでしょうか。」「現実にまたそうした仕事をさばいていくのが秘書の役割でありまして、まさに当時、小林君はそうして御依頼を受けたことを誠実にさばいておったつもりであろうと思います。」いわば「誠実にさばいておった」、融資の話を。あなたはむしろ褒めておられる。そしてその中にさらに、一般に正式の融資の対象になった方、あるいは融資を受けられなかった方、いろいろな状況が当時判明しているはずでありますと。  言ってみれば、あなたは、あなたの事務所がそういう融資の云々をやることは当然のことだというような答弁を、たった、二月八日に、このいわば国会の議事録にはそう載っておりますが、今あなたのお話とは随分違うようであります。  また、私が、独自の調査によりますと、あなたの事務所の秘書さんは、つい最近までは融資のあっせんはいたしておりましたが、もうこうなってからはいたしておりません、そう確かに答えておられるのも聞いております。総理はどう考えられますか。
  165. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一に、議員が秘書の役割、業務といったことからお尋ねになりましたから、私は特別な指示をしたかどうかというお尋ねに対して今正確にお答えをいたしました。  五年前にこの小林君の問題が初めて起きました当時、私は、やはり秘書として軽率な行為であり、特に現職の大蔵大臣の秘書として不適切な行動があったと、それはその当時から申し上げております。一般論でお尋ねになりましたので一般論でお答えをいたしました。  小林君の問題としてお尋ねいただきますならば、私が大蔵大臣のときにも、恐らく議事録に残っておると思います。大蔵大臣の秘書として本当に不適切な行動であった、そして、そういう意味での監督責任はあるということは、私はお答えをしたと存じます。
  166. 山田正彦

    山田(正)委員 私が聞き及んでいるのは、つい最近まで、例えば、あなたは国会で十二月の半ばまでは私の秘書であったと小林さんのことを言っておりますが、つい最近までは言ってみればそういう融資のあっせんをしておったと、あなたの事務所の秘書の方が、小林さんではありませんよ、そう言っておられる。ということは、大蔵大臣当時にそういう不祥事があったからもう以後そういうことをしていない、するなと言っているとはとても思えないのですね。  言ってみれば、はっきり答えていただきたいのですが、あなたは、そういう仕事は秘書の仕事として、まあいろいろな人から頼まれるのは聞いてやらなければいけないだろう、まあ了解しておった、どうでしょう、そう言えませんか。
  167. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、大蔵大臣の時期に、小林君の行った行動で当時私自身も大変苦境に立ち、世間からも批判を浴びましたことは、私の事務所のスタッフにとっては教訓として残っておると存じます。ですから、少なくとも御批判を受けるようなものはないと思います。  ただ、それでは私の地元の事務所に、例えば国民金融公庫に紹介してほしいとか中小企業金融公庫に紹介してほしいとかいう話が全くなかったかといえば、私はそこまで把握をいたしておりません。これは、議員会館におきましても個人事務所におきましても同様でありまして、私のスポーツ関係の友人でも、それは例えば中小公庫なりなんなりでお金が借りられないだろうかという話は、現に私にした人間もおりますから、そういう人間もおりますから、全くないと私は言い切る自信はありません。
  168. 山田正彦

    山田(正)委員 それではお聞きいたしますが、あなたはあなたの秘書を通して、間違っていたらもう間違っていたで結構ですが、興銀の頭取に対して、いわゆる住専の大手の借り入れ先であります桃源社、当時桃源社は、蒲田駅前の国鉄の跡地、これを競落いたしまして、千億からの。プロジェクト、そのうち二百八十億を興銀に融資を依頼しておった時期なんですが、そのことを興銀の頭取にお願いした、この事実はないのでしょうか。
  169. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、ございません。
  170. 山田正彦

    山田(正)委員 あなたの秘書、小林さんはどうですか。
  171. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 小林君は、自分で記憶をしておらないということでありました。しかし、先般本院におきまして、興銀の頭取が参考人として御出席のときに、二回の電話があったということを述べておられたと存じます。そして、その後もう一度小林さんに問い合わせましたが、自分としては覚えていないということでありました。
  172. 山田正彦

    山田(正)委員 総理、あなたはうそを言っているのじゃありませんか。この前の、二月五日のこの委員会での答弁で、平田委員があなたにこの問題を問うておりますが、そのときに、小林さんは、今あなたは覚えていないと言った、そういう言い方でしたが、この議事録によりますと、「今お話しのようなことを報道されているということを私の秘書が聞き、御本人に確かめたそうでありますが、そのようなことはないという返事であった、そう報告を受けております。私自身は会って確認をいたしておりません。」はっきり、そういったことはないとあなたは答えておられる。ところが今は、覚えていない、そう言っておられる。そのことについて、ひとつ御答弁願いたい。
  173. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変失礼でありますが……(発言する者あり)
  174. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  175. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は確かに、平田委員の御質問に対しまして、そのようなことはないという返事であった、そう報告を受けておりますという御答弁を申し上げたことは、そのとおりです。  ですから私は、本当に覚えていなかったのだろう、そういう意識がなかったのだろうと思いますが、その後、興銀の頭取が参考人の質疑で、融資あっせんの事実を明確に否定された上で電話があったということを述べられた点について、もう一回確かめさせたわけでありますが、頭取の方でそう言われるのだったらそうかもしれないが、自分としては覚えていないということでありました。ですから、そのとおりに申し上げております。
  176. 山田正彦

    山田(正)委員 総理はそういうお答えでありますが、それでは、この委員会参考人質疑で、興銀の黒澤頭取が、二度にわたって電話があり、その中で、桃源社の佐佐木社長に会ってひとつ話を聞いてやってくれ、そういう内容の電話があったとはっきり言っております。これについて総理はどう考えておりますか。
  177. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、先ほどもお答えを申し上げましたように、小林君から聞いたものをそのとおりお答えをいたしてまいりました。  その上で私は、興銀の頭取が国会という場において述べられたのでありますから、興銀として恐らく御記憶だったのであろう、電話はあったのだろうと思います。  ただ、数年前に電話をした、しないをすべて人間が覚えていられるかといえば、うそをつくとかつかないとかいう意思ではなくて、私は、自分は覚えていないという小林君の言葉をそのとおり、それは彼の気持ちとして受けております。
  178. 山田正彦

    山田(正)委員 頭取がこの参考人質疑のときに、小林秘書から電話があった、そうはつきり日にちまでここで答えられた。随分、四年半ぐらい前の話ですね。ということは、興銀にある記録に基づいて、七月の十日に電話があった、六月に電話があった、その内容まではっきりと明確に言われたものだと。これは、総理といえども、幾ら小林さんがかわいいからといっても、そこは事実としてお認めいただかざるを得ない、そう思うわけです。  次に、実はその六月十一日に、興銀としては審査部長を人形町支店に派遣して、桃源社の佐佐木社長に会われた。いわば住専の大手の借入先である桃源社の佐佐木社長に会われた、あなたの秘書の紹介で。  それで、そのときに、言ってみればどういう話になったか。私が聞いている限りでは、二、三十分パイプをくゆらせた、大変偉い人だというふれ込みで来られて、名刺も渡さなかったそうですが、佐佐木社長に対していろいろお話を聞いただけで、そしてすぐ帰られた。佐佐木社長は、途中で立ち上がったというお話でございましたが……(発言する者あり)佐佐木社長はそういうお話でありました。  それで、大蔵大臣の秘書、小林さんが、いわば大蔵大臣の秘書として興銀にそれだけのことをさせたという行為、この行為が一体どういうものか、これを私随分調べてみたんですが、言ってみれば公務員の職権乱用罪、これに当たるんじゃないか。これは、軽々しい考えでおられたら大変困ると思うんです。  実は公務員の職権乱用罪というのは、いろんな判例もありますけれども、わかりやすく言いますと、判事さんが自分の事件の刑事被告人の女性に、被害の弁償の話をしょうじゃないかということで喫茶店に呼び出した、このことが公務員の職権乱用罪、いわばこれくらい公務員はその職権に対して厳格でなきゃいけない。  いいですか、大蔵大臣の秘書が、大蔵大臣として興銀に、頭取に電話を入れた。私は、このこと自体でも、ちょっと普通だったら頭取までは電話をかけられないんじゃないかな、やはり、当時大蔵大臣橋本総理の了解を得てから電話をかけたんじゃないかなという気はしているんです。  しかし、まあそれはいいとして、小林さんが勝手にやったことだとあなたはおっしゃるでしょうから、それはいいとして、電話をかけて、そして興銀はわざわざ本店の審査部長を派遣したということは、まさにこの刑法上の職権乱用罪に該当する行為ではないか、そう思われるわけです。  これに対して、総理はどうお答えになられますか。
  179. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、黒澤参考人の御発言ございましたが、小林秘書から当行に電話があったことはそのとおりと申し上げておる、私はそれを一回も否定をいたしておりません。まず第一点、その点は、私は興銀としてきちんと述べられたことは、それなりに、そのとおりだろうと思います。  その上で、私は確かに、大蔵大臣の秘書として軽率な行為があったということは、小林君の場合にその当時も認めましたし、この行動も適切であったのかと今お尋ねになれば、適切だと私は申すつもりもありません。  しかしその上で、私は、秘書が御依頼を受けたことで、もしその陳情を処理する、要請を処理するための行動が、議員は立派な見識をお持ちでありますから恐らく引用された法律にも問題はないのかもしれませんが、私は、秘書が自分のところの議員に対して行われる陳情事をさばくことで、そのような罪刑が確定するとは思いません。
  180. 山田正彦

    山田(正)委員 まあ総理にも、公務員の職権乱用というものはいかに厳しいか、ひとつ勉強していただきたいと思っております。  次に、桃源社の佐佐木社長はこの予算委員会参考人質疑で、小林さんから四千万円の要求を受けた、こうはつきり証言いたしております。この要求があったということは大変なことです、これは。言ってみれば、住専から随分大手の借り受けの桃源社に対して興銀に、お金を貸しなさいと、貸してくれと、そういう話を、まあ直接的な言葉で今のは申しわけなかったんですが、多分そういうたぐいの話をしながら、そして一方では金銭の要求をする。これはまさに私は、いわゆる贈収賄罪、これが本当だとしたら収賄に当たる行為じゃないか。これは大変なことなんです。  ロッキード事件も秘書のかかわりあったこと、そしてロッキード事件のいろんな判例でも、職務関連行為というのはかなり広く解せられるようになってきております。  これからしましても、本当に四千万要求されておったといったら大変なこと。これについて、総理はこの予算委員会で桃源社の佐佐木社長が述べたことについてどう思われるか、まずそのことについてお聞きしたい。
  181. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、今、佐佐木参考人のその部分の御発言のところを読んでおりますが、御本人が直接要求をされたのかどうか非常にはっきりしない言い回しをしておられます。そして、「いずれにしてもこれは本来私のあずかり知らぬことでありますが、」というのが前にかかっておりますので、まさに伝聞なのかもしれません。  これに対しまして、小林豊機さんは、多分二月二十一日だと思いますけれども、正式に東京地検に名誉棄損で告訴の手続をとったと聞いております。事実無根であり、告訴の手続をとったと聞いております。
  182. 山田正彦

    山田(正)委員 橋本総理は、小林さんのおっしゃっておることを信じられて、そして桃源社の佐佐木社長の四千万請求された、要求されたということはどうかなという、そういう今の御答弁だったと思いますが、実は私は、桃源社の佐佐木社長に三回にわたってお会いいたしました。そして、随分とそのお話を具体的に聞いたわけです。(発言する者あり)うるさい。佐佐木社長から私は直接お話を聞いたわけであります。
  183. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  184. 山田正彦

    山田(正)委員 その中で、私も二十年以上弁護士やってまいりましたが、いろいろな刑事事件も弁護いたしましたが、本当に佐佐木さんの話が信用できるか信用できないか、これは私の長い経験からして、私は、佐佐木さんの話は信憑性がある、そう思ったわけです。  どうしてかと申し上げますと、佐佐木さんに四千万の請求をしたときのいきさつ、これは、実は七月の中旬ごろ、佐佐木さんは桃源社の本社ビルの七階におったわけであります。そしてそこに、常務であった、正式には常務という肩書はなかったんですが、もう今は亡くなりました佐藤守宏さんから、社長、お話があるんだけれどもという電話があった。ところが、そのとき、佐佐木社長はちょっと来客だったので、後にしてくれと待ってもらった。  その後、一時か二時ごろだと言うんですが、佐佐木さんの七階の応接室、ここに来られて、実は先般、興銀のさる偉い方に会われた、橋本事務所の小林さんの紹介でそれができたんですが、そのときのいわば謝礼というんでしょうね、四百万——四百万とはそのときは言っておりません。そのとき、うちの息子、いわゆる息子さんの佐藤行男さんを介して小林さんにお会いしたわけなんですが、その息子が、これだけ要求していると右手を指して四本、指を示したというわけなんです。それで、佐佐木社長は、四百万なのかと聞いた。実は一つけたが違います、四千万です、そう言われたというんです。  佐佐木さんは、まだ興銀の融資決まってないじゃないか、それなのに四千万も要求されるという、そんなばかな話があるか、それは断る、そんなただ紹介だけで、二十分か三十分、それで四千万も請求する、要求するという商売があるなら自分もやりたい、そう言って怒ってその佐藤さんを帰したというわけです。  ところが、佐藤さんは、もう今は亡くなったんですが、その佐藤常務は、その二、三日後、また再び佐佐木さんのところにやってきた。そして、何としても四千万、何とかならないか、そうでなければ自分の息子の立場がないと。その後、四回から五回にわたって、一週間のうちに、しつこく佐藤さんは佐佐木社長のところに来られたと言っているわけです。  私は、話を聞きながら、これは大変信憑性のある、特段の事情、法律用語で言う、それに値する証言だな、そう思ったわけですが、そのほかにも、私は、当時の、もう言ってみれば佐藤守宏さんは亡くなっていますので、当時一緒におった市川学さんという方にも会ってみました。その市川さんの話でも、まあ私が直接聞いた話で、佐藤さん、大変その四千万のことで悩んでおられた。私の独自の調査でも、市川さんに対して、小林さんに会うときに先にお金を持っていった方がいいのかどうかという相談もなさったように聞いております。  そしてまた、当時桃源社におりました吉田さんという方にも当たってみました。その方は、まさにその佐藤さん親子を第一議員会館まで私が車に乗せて連れていきましたと述べている。こうしてみますと、私は、これは四千万要求したというのは本当なんじゃないかな、これは大変なことじゃないかな、そう思っております。  総理は、私の事細かな、いわば佐佐木さんからの話を今聞かれて、どう思われますか。端的に、一言でいいですからお答えください。
  185. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず、私から申し上げたいことは、今、第一議員会館まで乗せていったと言われたのが議員がお調べになった事実であるとするなら、私は第二議員会館でありまして、相手が違ってないのかな、まず第一点であります。  それと同時に、私は、亡くなられた方の名前あるいはその他の方の名前を余りこういうときに挙げることをいいことだとは思いませんけれども、今委員がこの方は亡くなられたと言われた方の御子息、その御子息は、そういうことはなかったと言っておられる、私はそう承知をしております。その四千万円の要求といったことはなかった、そう言っておられると聞いておりますし、私は、少なくとも、それこそ四千万円というお金が、紹介の電話をかけて、それで、政治資金としてであっても、あるいはそうでなくても、提供されるような金額だと思うほど、私は小林君が無謀なことを考えたとは思いません。
  186. 山田正彦

    山田(正)委員 総理は、あなたの秘書、小林さんを随分信じておられるようですが、それでは、小林さんが、実は平成八年の一月二十六日に講談社の野間佐和子代表取締役あてにいわば内容証明郵便、通知書を出しております。私は、小林さんがうそを言う、あの方の話は信頼に値しないということをこれから総理お話ししたいと思っているのですが、この通知書、弁護士さんが代理して書いたきちんとしたものです。  この中に、小林氏は、「興銀に融資の仲介のため電話をしたこともなく、」と、覚えてないんじゃないんですよ、「電話をしたこともなく、」と。(橋本内閣総理大臣「正確に、融資の仲介のためのですね」と呼ぶ)私の方で聞いた後、総理、お答えください。いわゆる面識も、「興銀に融資の仲介のため電話をしたこともなく、」そう書いております。それにまた、「小林氏がこれを仲介し、かつ見返りとして四〇〇〇万円を要求したという記載がありますが、全くの事実無根であります。」そう書いております。  ところが、この事実については、先ほど興銀のいわゆる黒澤頭取がこの国会予算委員会参考人質疑の中ではっきり、小林さんから電話で佐佐木さんに会って言い分を聞いてほしいと言われている、そう言っております。これでは明らかに小林さんはうそを言っているではありませんか。総理はどう考えられますか。
  187. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、議員はそこのところを外して読まれましたが、融資のあっせんのためにということがその文書では、小林君が出した文書でありますか、その中にあったと読み上げられました。黒澤参考人の本委員会における御発言でも、私の秘書の融資あっせんということはございませんでしたという答弁がございます。そして、その上で二回電話をしたというのですか、「佐佐木社長が何か言い分があるらしいので聞いてやってくれ、」これが議事録でございます。
  188. 山田正彦

    山田(正)委員 小林さんのもう一つのうそ、これは、いわばこの通知書の中に、桃源社の常務佐藤守宏さんとは面識がない、この通知書、内容証明郵便ではこの一月二十六日にそうなっております。  ところが、もう一つ。ここに、小林さんが弁護士さんを通じて、いわゆる桃源社の佐佐木社長並びに週刊現代の発行人元木さんを相手に名誉毀損で訴えた告訴状がここにございます。この中に実はこういうふうに書いてあります。平成三年六月二十六日午後四時ごろ戸井田事務所に佐藤行男氏が父親佐藤守宏氏とともに訪れ、戸井田秘書は佐藤行男氏及び佐藤守宏氏の両名を連れて、麹町の橋本龍太郎事務所に赴いた。そこで、三名は小林豊機秘書に面会し、桃源社の借入の状況を簡単に説明し、その悩みを話したと言っているわけです。  これは小林さんが弁護士さんを通じて出した書面です。もう一つ内容証明郵便には、いわば小林氏は桃源社常務佐藤守宏氏とは全くの面識もないと言っている。同じ人がそれぞれ弁護士を通じて、いわゆる公文書とも言えるような内容証明あるいは告訴状、それに対して全く違う、しかも最も大事なことを、全く違うことを書いている。これであなたはやはり小林さんという方を信用できるのか、ひとつその辺をはっきりとお答えいただきたい。
  189. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 弁護士としての大ベテランの山田議員お話でありますが、私は、むしろ小林さんがどういう内容証明で手紙を出したのか、あるいはどういう内容で告発を行っているのか、その詳細を存じておりません。  そして、その範囲におきましてそういう面識がある、ないというのは、ある意味では意識の問題ではないでしょうか。今のお話を伺って、これは……(発言する者あり)ちょっと聞いてください。
  190. 上原康助

    上原委員長 お静かに願います。
  191. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 山田委員からの御指摘お話でも、他の議員の方の秘書さんが同行され、そしてその議員の秘書さんの友人というのはその亡くなられた方の御子息だということであります。そうすると、その方が中心であるいはどういう形でというのは、それは私もわかりません。  ただ、確かにそういう意味で、議員のおっしゃるように、突き合わせてみればその二つの文書に違いがあるという事実は私も理解をいたします。
  192. 山田正彦

    山田(正)委員 このような話をしてもしようがないのですが、小林さんが本当か佐佐木社長が本当か、両方この委員会で証人喚問すれば、四千万円の要求をしたのが事実か否か、これによっては、ロッキード事件に次ぐ大変大きな収賄罪になるのじゃないか、私はそう考えておりますが、次に進みたいと思います。  先ほど総理もおっしゃっておりました。いわゆる小林秘書はいつやめたのか、いつ戻ってきたのか、これは非常に入り組んでおって、よくわからないわけであります。  二月十七日号の週刊現代によれば、渡辺さんといういわゆる総理のところの秘書の話では、昨年十二月いっぱいでやめた、ところが浅野善孝秘書の話では、昨年九月の総裁選の直前にやめた。私の調べでは、ある記者が一月の十八日の朝七時に小林さんに電話をした、一月の十八日。そうしたら小林さんは、まだ秘書だとはっきり答えておられる。そして、その同じ人が、一月十八日の午前十一時三十分にそのことをあなたの事務所の渡辺秘書に聞いたら、十二月末でやめている、そういうふうに答えられた。一体どうなっているんだろうというお話が私にありました。  これは、あなた自身、総理、この委員会において、平田さんの質問では、十二月半ばにやめたんだと、十二月半ばと言っているわけです。ところが、同じ答弁の中で、昨年の秋から、彼は彼としての進路を選んで、私のスタッフという立場を去って独立いたしましたと、同じ委員会での同じ質問に答えて言っております。  一体、その小林さんという秘書はあなたのところをいつやめたのか、いつ入ったのか、これは、一般国民からしてみれば、それは雇用関係の、例えば雇用保険とか年金の問題とか、大変大事なことなんです、一日たりとも。それが非常にあいまいにされているということ自体、これは非常におかしい。どうかその点、ひとつ時間もなくなったので、明確に、一言だけでお答えいただきたい。
  193. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 小林君の退職届の日付は、たしか十二月二十日になっておったと思いますが、もし必要でありますなら、コピーを後日お届けをし、お見せをいたします。
  194. 山田正彦

    山田(正)委員 今、十二月の二十日にやめられたというお話でございました。ところが、小林さんは、ことしの年賀状の中に、「橋本総裁にとりましては、自民党の命運をかけた」云々と、時間がありませんのでもう省略いたしますが、「本年もよろしく」と、いわばあなたのことを書かれて、そして橋本龍太郎後援会、いわば溜池倶楽部代表、そしてわざわざこの年賀状には、旗の中に「龍」、あなたの、橋本龍太郎の「龍」というのを書かれて、そして出しておられるわけです。  これを見ますと、確かに十二月の終わりか、あるいは十二月の二十日に秘書をやめられたかもしれないけれども、あなたが言っている、独立してほかのことを、スタッフを離れてやっているんだというのじゃなくて、溜池倶楽部で、先ほど奥田委員も言っておりましたが、言ってみれば、同じ仕事を引き続きやっている、実態は。そう考えざるを得ないのじゃないか、そう思いますが、総理は、本当のところ、どう考えておられますか。
  195. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、先般来、その点は何回かはっきり申し上げたと思います。  小林君は、まず私の事務所を、区議会、そして続いて、東京都議会に出るために一時期抜けておりました。そして、私が運輸大臣に就任する前に私の事務所のスタッフに戻り、その後、運輸大臣秘書官をいたしておりました。そして大蔵大臣の秘書という立場のときに問題が起き、辞任をしたわけであります。そしてその後、本当に一人事務所に彼はおったわけでありますが、そのとき、溜池倶楽部というものは、彼が私のためにつくった後援会でありました。そして、現在、そのまま彼はその後援会の代表を務めておる、これは何回も申し上げております。
  196. 山田正彦

    山田(正)委員 今のお話を聞いておりますと、溜池倶楽部の代表をやっている。ということは、いわば橋本龍太郎という政治家の後援会事務所、従来どおりの仕事をなさっているんじゃないかと、いわゆる通称金庫番と言われている仕事を今でもなさっているんじゃないかと、そういうふうに私は考えますが、いつまでもこのような話をしていくわけにはいきませんので、次に一つお聞きしたいことがございます。  九一年の七月、富士銀行の赤坂支店を舞台として大変巨額の不正融資事件がございました。件数だけで百二十八件、金額にして総額六千三百七十六億という未曾有の、いわゆる預金証書を偽造しての大がかりな不正融資事件であります。総理もよく御存じだとそう思っております。  その中で、不正融資先の一つに、実は赤坂で当時てんぷら屋さん「尾花」、その美人おかみと言われておりますが、いわば尾花万里子さん、この方に対する不正融資もなされておった。これは先ほど奥田委員もいろいろ聞かれました。で、あえてそれを取り上げませんが、まあ週刊誌ではおもしろおかしくあなたといわば尾花万里子さんの関係もいろいろ書いておられます。しかし、あえてこの場で私いろいろ聞こうとは思っておりません。  それで、私はこの問題を少し調べさせていただきました。御承知のとおり、この巨額の不正融資がなされたその張本人、中村稔という当時の渉外課長、それに最初にいわば偽造預金証書をつくっていわば預金を借り入れしたというのが、当時、丸晶グループ、いわゆる赤城さんという社長さんなわけです。私、その赤城さん、社長さんに会ってまいりました。会って、いろいろお話を伺ってみました。そうするといろんなことがわかってまいりました。  その中の一つ、実はこの丸晶グループというのはグループの中にレイトンという会社がありまして、レイトン、いわゆるレイトングループとも言われるんですが、これは、今回本当に大きな問題になっておるこの住専問題の大手の借入先五十位に入る、いわば住専から三十一億借りている大変問題の、住専国会と今称されておりますが、これは大変大きな問題のあることでございます。で、そこから実は尾花万里子さんに平成三年の一月二十五日、四億七百五十万振り込まれておりました。ここに貸付台帳がございます。いわゆる住専から尾花万里子さんにお金が行っているわけであります。——住専じゃない、住専から借り入れている大手の会社から。そしてまた、五月二日に尾花万里子さんに一億二千四百万送金されております。貸し付けされております。それが、七月の五日に五億三千百五十万返済という形がとられております。七月の五日です。  果たして、あなたは長い間尾花万里子さんとは親しい友人関係にあったと聞いておりますが、これだけの大金がまだ若い女の人の中で出たり入ったり、実際このことを尾花さんは知っておられたのかどうか、どう考えられますか。まず総理にそれをお聞きしたい。
  197. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変申しわけありませんが、その偽造預金証書の問題が起きましたころにも御答弁を申し上げましたように、私は、その方が銀座でクラブをしておられるときにもそこの店に行きました。また、赤坂のお店にも、むしろこれは番記者とよく食事をした場所の一つであります。  しかし、そこで食事をしておったということは事実でありますが、私は彼女の口座の中を存じているわけではございませんし、大変申しわけありませんが、どのようなお店の外に出てのお取引をしておられるのか、私はそこのお客としてきちんと勘定は支払ってきたつもりでありますけれども、その出入りを承知する立場にはございません。
  198. 山田正彦

    山田(正)委員 先ほど奥田委員が全部明らかにしてはおりませんでしたが、その尾花万里子さんの口座にどこからお金が振り込まれてきたか、これは次、時間があれば明らかにさせていただきたい、私も一緒になって明らかにさせていただきたい、そう思っておりますが、その事実を明らかにしていけば、そこで私は、どう考えても、小林さん、知っておっただろう、小林さんあるいは総理も知っておったんじゃないかな、そういう疑いを持っているわけであります。  これはその後にいろいろとお聞きすることにいたしまして、次にもう一つ、実は私、丸晶グループ、いわばレイトンの赤城さんと話しているうちに、赤城さんから意外なお話をお聞きいたしました。中村課長が——これは伝聞であります、だから信憑性があるかどうかはこれから調べていかなければならないわけです。  その中に、実は大変大事なことなのでぜひ述べさせていただきたいと思うのは、中村課長がかつて一日に八百億とか九百億とかというお金を丸晶に入れて出しておったわけです。それで大丈夫なのかなと自分も心配しておった。そうしたら、これは伝聞です、直接赤城さんが聞いたわけじゃないのですが、中村課長は、これは橋本大蔵大臣の方にお金も渡っているから大丈夫だよと言ったと言うのです。それを聞いている、覚えていると、そう言うわけです。ということは、これは大変ゆゆしき問題じゃないか。これはぜひ国会で明らかにして、証人を呼ぶとか、ひとつしっかりとした究明をいただければ、そう思っております。  それで私は、今言った尾花万里子、丸晶の赤城明さん、それから小林秘書、これをぜひ委員長、  証人で呼んでいただきたい、そう思っております。  それで、その前にもう一つだけ、委員長、もう一つ最後に、私の方で一つだけ調べていただきたいことがありまして、これを述べさせていただきたいと思います。  六千八百五十億という税金を国民負担しなければいけない、こんなばかなことは絶対させるべきじゃない。ところが、このきっかけになったのは、いわゆる平成五年二月の大蔵省と農水省の覚書だ、私はそう思っておりますが、当時の官邸、いわば加藤前官房長官、加藤紘一さん、これが当時どのように動いたか、私どももいろいろ調べてみました。  その中で、まず考えられることは、平成四年の夏以降、いわば信連の関係者が四人から五人、加藤さんの大蔵省での銀行局との話し合いに参加しておられた、そう聞いております。その中で、信連は、当時の静岡信連の実は専務笹本健一さんという方がいらっしゃったようですが、その笹本健一さんが加藤さんに、いわば当時の官房長官に強く働きをかけた事実があったかどうか、農水省の経済局、これをぜひ調べていただきたい、そう思っておりますが、どうやらその静岡信連の笹本さんは、いわゆる信連で裏金利、裏金利のうち約一億以上の金を政治献金されたんじゃないかといううわさもございます。これはまさに、住専がこうなったこと、我々国民負担しなければならなくなるんじゃないか、そういうことに根差す大変なことでありまして、私はこの辺の事実、これをぜひ明らかにしてもらいたい。ひとつ農水省に、ぜひ調査のほどをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
  199. 上原康助

    上原委員長 この際、山田宏君から関連質疑の申し出があります。奥田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山田宏君。
  200. 山田宏

    山田(宏)委員 奥田委員、そして山田正彦委員の関連で何点か質問をさせていただきますが、その前に、先ほど、午前中の社民党の三野委員の発言の中に、新進党に対して事実に反した誹謗中傷が行われたことを、党を代表して厳重に抗議をしておきたいと思います。  その中で、速記録を見ますと、母体行にもっと優しく、農村と農民にはもっと冷たく、厳しくとの意見が繰り返しなされてまいりましたと。  我が党の委員が主張したのは、法的処理を行うのが筋であること、その結果……(発言する者あり)
  201. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  202. 山田宏

    山田(宏)委員 農林系統の金融機関に支障が出るならば、その手当ては別途処置すること、そして三つ目は、財政資金六千八百五十億円をつぎ込む大義名分について政府の説明が全く一貫性を欠いていることなどを我が党の委員指摘したものであります。  幾ら農村票を意識しているとはいえ、事実を歪曲して公党を攻撃するとは誹謗千万であります。  ここで改めて我が党は、六千八百五十億円の予算削除を求めておきたいと思います。  さて、先ほどの何点かの委員質問に関連をして御質問をさせていただきますが、戦後最大の金融不祥事と言われた富士銀行不正融資事件に関連して、橋本首相が大蔵大臣当時の小林元秘書が融資の紹介をしたとされる橋本首相の個人的な友人である尾花万里子さんが、その所有されていた目黒区中根の不動産を売却されたのは、平成三年七月二十三日火曜日でありました。それは、この不正融資事件が初めて新聞報道された七月二十五日木曜日のわずか二日前でありました。売却先は大和住宅建設株式会社、価格は四億五千万円と言われております。そして、この大和住宅建設株式会社に資金を融資したのが、今日問題となっております住専七社の一社、住総であり、過日発表された大口融資先リストによりますと、この大和住宅建設は、第一住宅金融から三十一位、五十七億円、日本ハウジングローンからは二十七位、七十八億円、総合住金からは十位、九十五億円の借り入れをしております。  当時の新聞、朝日新聞の平成三年八月三日夕刊の記述によりますと、「元課長から不正な融資を受けていた女性店主は」、尾花万里子さんですが、「事件発覚後の七月二十三日、目黒区内の土地を建設業者に約四億円で売却している。この業者関係者によると、二年前から売買の話をしていたが、最近になって売却を強く求めてきたという。」最近になって売買を強く求めてきたという、こういう報道がなされております。この尾花さんの売り急ぎは、この事件の大きな疑問点の一つとなっております。  この点に関して、橋本大蔵大臣、当時は、平成三年九月二日衆議院の証券及び金融問題に関する特別委員会で次のように説明をされております。ちょっと読み上げさしていただきます。  「御本人は」、これは質問に答えておられますけれども、尾花さん、「御本人は富士銀行からの正規の融資であると確信しておられたということであり、」この後ちょっと中略をいたしますが、   なお、一点補足をさせていただきますならば、確かに富士銀行はこの取引自体を存じておりませんでした。この方に対する融資というものが富士銀行が把握ができましたのは、御本人から借入金の一部を返済しょうとして富士銀行赤坂支店中村渉外課長に電話をかけてその返済の意思を伝えようとしましたところ、その方は既におられず、別の次長の方にその電話が取り次がれ、しかも、その方は新規の預金の申し入れと受けとめてお礼を言われ、そうではなく返済であるということを言われて初めてこういうものがあったということを富士銀行は確認をされたと聞いております。そしてその結果、事実照合の上、現在は正規の担保を有する融資になっておる、そう私は報告を受けております。 これが大蔵大臣の答弁そのままでございます。そして、当時の国会で同様に陳述をされた富士銀行の橋本頭取の内容と総合しますと、この売却、中根の不動産ですが、この売却で得たお金の一部がこの返済金に充てられたもの、この返済金というのは、尾花さんが不正融資によって借りておられたというふうにされているお金の返済の一部、七月にその返済をしょう、こう言ってきた、こういうふうに大蔵大臣、当時御説明をなされておりましたけれども、充てられたもののようであります。  しかし、なぜ事件の発覚直前になって、尾花さんが融資を受けていたとされる十億円の返済を急いだかは全くなぞであります。橋本首相が当時、この尾花さんへの資金の流れについて一貫して説明された点は、平成三年八月三十一日の衆議院の証券特別委員会の答弁から拾い出しますと、要するに、小林さんに確認をされ、私は尾花さんの弁護士を介し、また富士銀行から確認をしたということを前提に置きまして、「尾花さんは富士銀行の赤坂支店に借り入れの申し入れをされまして、平成二年の六月から三年五月にかけまして数回にわたって融資の実行を受けられました。小林元秘書が御紹介をいたしましたのは、その最初の時期であります。」「そして、尾花さんは富士銀行から正規の融資であると確信」しておられました、こういうふうにまた述べておられます。そして、「その後、発覚いたしましたこととして、」「事実関係を確認をされた上、正規の契約を締結をされ、担保登記等手続も実行され、現在本来の正常な取引になっていると承知をいたしております。」  つまり、もともとは不正融資と知らなかった。知らなかったけれども、その後発覚をした。発覚をして調べてみると、不正融資だった。だから、正常な取引に変えたんだ、こういうような御答弁のように思いましたけれども、もう一度簡単に、それで正しいかどうか、私の認識が正しいかどうか、総理にお答えいただきたいと思います。
  203. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今私は、その当時答弁をいたしました資料を、本日御質問があると思いませんでしたので議事録を持ってきておりません。その上で、三年九月五日の参議院で橋本徹参考人が述べられたものがございます。  小林氏の紹介によりまして当赤坂支店と尾花さんとの取引が始まった、そして、平成二年六月から三年五月にかけて、尾花さんから中村元課長に借り入れの申し出があり、数回にわたり融資の実行があった。そして要するに、「尾花さんは一連の借り入れは当行からの正規な融資であるというように確信しておられたと考えられます。」そして、「事実、平成三年七月、尾花さんから不動産の売却代金の一部でお借り入れの返済をしたいという申し出がございまして、そのときに私どもの赤坂支店の担当者が、実はお貸し出しは一切ございませんよというように申し上げましたところ、尾花さんがびっくりされたというように聞いております。」そしてその間、「この中村元課長の不正融資が発覚した後、いろいろ調査を求められましていろいろ事実関係を調べましたところ、このたび私どもと尾花さんとの間で正規の貸付契約を締結いたし」「担保の登記手続等も完了し、現在はすべて本来の正常な取引になって」いる、この流れを見ますと、要するに、不動産の売却代金の一部で借り入れの返済をしたいという申し出があったということを当時の頭取、参考人として述べておられます。
  204. 山田宏

    山田(宏)委員 後で触れますけれども、当時の速記録を読みますと、当時の橋本大蔵大臣の御答弁と、それから富士銀行の橋本頭取の陳述と、本当に尾花さんの件に関しては全く一致しているわけです。一致しているわけですね。  私は、後でそれがおかしいということを申し上げたい、こう思っているわけですが、もう一度確認をしておきたいのですが、要するに、尾花さんは富士銀行のこの赤坂支店を中心とした不正融資事件を知らなかった。もちろん知らなかった。それで、融資を十億円受けておられた。そして、自分が返そうと思ってお金を持っていったら、そういう融資の事実はないと知らされてびっくりした。その後よく確かめてみれば、事件の中のお金だった。だから、再びもう一回正規の手続で担保権を設定したのだ、こういうことだったと思うのですね。  その担保権は、我々調べたところによりますと、尾花さんがお持ちの港区白金や渋谷区広尾、また箱根、こういったところの不動産に対して、共同担保として富士銀行が限度額十一億円で設定をしておりますけれども、この十一億円の担保権設定は八月の二十一日であります。この八月の二十一日という日は、翌日に何と当時の橋本大蔵大臣が、初めて予算委員会でこの尾花さんに関連する御答弁をなされたときであります。余りにもこれはでき過ぎているなあというふうにだれでも思うわけですね。  実は、ここに富士銀行の内部資料があります。これは、富士銀行で、この富士銀行の赤坂支店をめぐる、または幾つかの支店をめぐる不正融資事件に関連して、赤坂支店問題の対処方針を協議して、その基本方針を定めた内部文書であります。期日は平成三年六月十七日、「起案部 融資部」となっておりまして、頭取まで全部稟議書の判こが押してあります。  これは六月の十七日に、五月の末に内部で発覚したこの富士銀行の不正融資事件に対して、頭取まで含めて今後の対処方針を検討したものでございますけれども、この中で述べられておりますのは、赤坂支店で総額二千五百七十億円の融資をノンバンク等から取引先が受けているという事実が判明した。そして、それを受けている債務者を数々と列挙をしております。二十三ございます。これを見ていただければわかりますけれども、これをもう富士銀行は六月十七日につくっております。  その後、平成三年、これも富士銀行で、頭取まで判こを押している文書ですが、七月二日の期日で、「赤坂支店問題の対処方針(個社別対処方針)」といって、各債務者ごとにどうやってこの債務を処理するかということを検討した経緯であります。  私は、この内部文書を見て、ここに尾花さんのオの字もない。つまり、富士銀行の内部で調査をして、実は五月二十三日に内部で発覚をしてから新聞報道をされる七月二十五日までの間に、この二カ月の間に調べた中で、尾花さんのオの字も富士銀行からは、不正な形でも融資したと富士銀行は認識していないのですよ。ここにちゃんと書類があるんですね。認識していないものをなぜ正常な取引に戻せるのですか。  これは総理大蔵大臣時代の答弁と符合しているわけですね。大蔵大臣のときの答弁は、先ほども最初に確認をしたとおり、それは最初不正の融資だった、しかし、以後発覚をして、不正なものを正常に戻したんだ、こうおっしゃいましたよね。そのことに関して、もともとこれは富士銀行の融資ではないんだ、富士銀行は不正でも何でも尾花さんへは全く融資した認識がないんだ。なぜそれを富士銀行が今度は新たな正常の取引に戻せるのでしょうか。もともと何にもないわけですよ、ここには。
  205. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、大変申しわけありませんが、私が富士銀行にかわって御説明をできる話ではありません。  ただ、この富士銀行の頭取自身がここで、平成三年の九月五日に参考人として参議院で述べられております中に、尾花さんから平成三年七月、不動産の売却代金の一部で借り入れの返済をしたいという申し出があり、赤坂支店の担当者が貸し出しは一切ありませんと言ったところ、びっくりされた。それはあなたがおっしゃるとおりに、富士銀行は知らなかった。片方は正規の融資であると認識をしていたということでありましょう。  そして、「その後、今般の中村元課長の不正行為が発覚いたしまして正規の手続がとられていなかったことが判明いたしました。」当時橋本頭取はこう述べておられるわけですが、今議員が入手をされた内部の資料からいけば、富士銀行はもっと前から知っていたということになります。こういう事件が起きているということはもっと早い時期から知っておったということになります。  この中で結局、最後に頭取それ自身が述べておられますのが、「このたび私どもと尾花さんとの間で正規の貸付契約を締結いたしまして、担保の登記手続等も完了し、現在はすべて本来の正常な取引になっております。」ということであり、それがなぜかと私に聞かれてもわかりません。
  206. 山田宏

    山田(宏)委員 私が総理に御答弁をお願いしておりますのは、総理が再三再四いろいろなところに調査をし、確認をした上で答弁をされている内容というものを前提に、責任ある答弁を前提に、その一つ一つについてお話をお聞きしているのであって、私は、ちょっと総理が当時御存じだったか御存じでないかは別としても、実態は、尾花さんの取引というのは富士銀行は全く関知してなかった。  今のお話の中で橋本頭取のお話がございましたけれども、その中で、富士銀行も最初は知らなかったんだ、しかし、尾花さんがお金を返しに来られて初めてわかったんだ、それで正規につけかえたんだ、こういうふうに頭取が発言されている、こういうふうに理解をしていいのでしょうか。どうですか。
  207. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 むしろそうした御質問があると事前にわかっておりましたなら、その当時の私の関係する答弁を私も持ってくればよろしかったと思います。  私が記憶をいたしておりますのでは、こうした問題が起きました後、たしか、当時小林君については本人から、そして尾花さんにつきましては御本人の弁護士さんからいろいろお尋ねをし、得ました答えをもとに御答弁を申し上げてきたと私は記憶をいたしております。そして、今その当時の私の議事録を持っておりませんので、たまたまこの平成三年九月五日の参考人質疑の資料の中でこの問題に触れておられるところを先ほど来そのとおりに読み上げました。  そして、何回も申し上げるように、頭取が述べておられること、これは要するに、御本人から返済を申し出てこられるまで、その中村さんという方の犯罪行為によって貸し出しが行われている事実を富士銀としては把握をしていなかった。返済の申し出があったことによって、その資金の一部がこういうところにも貸し出されていたという一つの実態を把握した。それが、その後の富士銀と御本人との間の契約関係で処理をされたということじゃないんでしょうか。  私は、今あなたのように組み立てて物を考えておりませんでしたが、今少なくともはっきり言えること、それは、御本人が借り手と認識をしていた方が返済に行った、そうしたら銀行の方に貸している事実がないと言われたというところから、それが正規の融資に切りかわるプロセスを橋本頭取は話しておられる、私はそう思います。
  208. 山田宏

    山田(宏)委員 橋本頭取の答弁を見ますと、尾花さんの隠れた債務というのでしょうか、そういうものが正規につけかえられたのが八月の二十一日と申し上げましたが、その後の橋本頭取の陳述は、平成三年八月三十日には質問に答えられて、赤坂支店の場合、事故金額は二千五百七十億円と答えられているわけですね。これは六月十七日につくられた富士銀行の内部資料の損害額と全く変わりないわけです。  尾花さんの新たな融資の、十億か十三億かといろいろ議論があるようですが、これが表に出てきた後でも、この「赤坂支店問題の対処方針」に示されている六月十七日に富士銀行が認識をしていた二千五百七十億円という融資額と、それから八月三十日、尾花さんへの担保のつけかえがあって正常になったというときと全く総額は変わっていないのですね、答弁。  つまり、ここには尾花さんは何にも入っていないわけです、最初には。何にも入っていない。そして、その後の、かえた後にこれを見ても、二千五百七十億円という数字は変わらない。つまり、尾花さんのはつけ加えられてもいないわけです。  こういうことを見てみますと、ほかにいろいろとありますけれども、結局、この橋本首相の当時の答弁のように、不正融資が本来の正常な取引につけかえられたのではなくて、不正と認知された融資先がありますね、これはこちらに載っています。その融資先から尾花さんの方に流れたわけですね、結局。  要するに、この不正融資の富士銀行の対処方針の中に二十三の債務者が入っております。これは、要するに預金の偽造証書を使って質権を設定してノンバンクから直接債務者にお金を渡しているわけですが、この債務者が二十三あります。ここには尾花さんが入っていないというのは先ほど申し上げました。そして、尾花さんへの担保のつけかえが正常に行われた後も、この総額は全く富士銀行側は変わっておりません。  じゃ、この尾花さんのお金というのは一体何だったのだろうか。先ほど奥田委員がるる申し上げましたけれども、その中の一つが、先ほども全日販という会社から尾花さんに直接振り込まれた振替用紙が出されましたけれども、結局、富士銀行の不正融資を受けた先から得ている資金なんですね、尾花さんの資金というのは。富士銀行と関係ないんです。富士銀行の不正融資を受けた債務者が、飲んだりまたは土地を買ったりするのと同じように尾花さんの口座に振り込んだわけです。これは、だから富士銀行とは何ら関係ないんですよ、このお金は。富士銀行とは何にも関係ない。  要するに、これは、このときの大蔵大臣の説明も、また橋本頭取の説明も違っているんだ、実態は。事実に反しているんだということを申しているんです。  ここで……
  209. 上原康助

    上原委員長 ちょっと、答弁があるようですから。
  210. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変恐縮でありますけれども、今委員から大変力を入れて御説明がありましたが、その橋本頭取自身が、「平成二年六月から三年五月にかけまして、尾花さんから中村元課長に借り入れの申し出がございまして、数回にわたって融資の実行がございました。」「この融資は、尾花さんは御存じでなかったと思いますが、富士銀行資金ではなくて中村が自分で調達した資金を融通されたものでございました。」ということで、今議員が言われましたように、富士銀行資金ではないということは、頭取自身がそこで述べておられます。  そして一方、この間、尾花さんは所有する不動産の明細を提出され、必要の都度担保設定することを申し出ており、また、不動産の買いかえのためのつなぎ融資、既往の借り入れの借りかえ、使途を明細にしておられた、そして正規の融資であったと考えておられたと思うというふうに頭取が述べておられます。富士銀行資金でなかったということは、頭取自身が述べておられます。
  211. 山田宏

    山田(宏)委員 だから、富士銀行はそういうふうに言っておられるわけですね。  じゃ、富士銀行の融資じゃなければ、なぜ富士銀行が根抵当権を設定して、尾花さんの共同担保をとらなきゃいけないんですか、後で。(発言する者あり)答弁の事実と違うから申し上げております。  さて、じゃ、この尾花さんの十億円、または十三億円とも言われているこのお金、このお金というのは一体どこから来たかというと、先ほども奥田委員からもお話がありましたとおり、富士銀行とは関係ない、富士銀行の不正融資を受けた融資先から来ている。これは、中村稔、今は服役中ですけれども、この赤坂支店の渉外課長が供述をしている内容でも明らかになっております。  先ほども奥田委員質問をされておりましたけれども、この供述調書についてはマスコミ等でも報道されておりますから、私も我々の独自のルートでこれを得ましたけれども、ここに、中村稔、今服役中の元課長が、平成四年三月二十日に供述をして、拇印を押して、この「未返済不正借入金残高一覧表」というのをつくっています。この中を見ますと、尾花万里子さんには十億円の金額が行っている。平成二年五月ごろから平成三年五月ごろまでの間にIOS、全日販、池田等から現金〇・八七億円くらい、二年六月に預手一億、二年九月ごろワイエスファイナンスの肩がわりで三億ぐらい、三年五月、五・一三億円池田より送金、こういうふうにこの十億円の内訳をとっている。  どれもこれも、これは全然富士銀行の関係もなければ、またノンバンクも関係ないわけです。ノンバンクから不正に受けた融資先から、なぜか知らないけれども尾花さんの方にお金が使われている、こういう供述書があります。  また、さらに、これも報道されておりますから、平成三年十二月七日の警視庁の供述調書、これも中村稔の拇印があるわけです。これを見ますと、オリックスから不正に引いた五十億円の資金の流れ、こういうことで、平成二年の七月四日、オリックスから四十八億九千万円のお金がIOSという当時の不正融資を受けた会社に入って、そこからそこの社長の高橋正孝氏に入って、そのお金がまた九月十一日に現金化されて、三千万円、小林秘書の紹介先、尾花万里子に持っていったと思う、こういうふうにこの中村氏は供述をしております。  ちなみに、先ほども池田というのがありましたけれども、この池田というのは、当時、株式会社せいざんの社長で、平成六年九月十四日の判決で懲役八年。地銀生保住宅ローンですか、今の住専からの三十五億円の借り入れを受けている、大口融資先として今度の百社の中にもこの池田稔の名前は入っておりますけれども、こういう人たちから尾花万里子さんは送金を受けていた、または現金を受けていたということであって、先ほども申し上げているとおり、この問題は富士銀行とは何ら関係のない不正融資先が使ったお金であって、富士銀行がなぜこの短い期間に、尾花さんの担保に必死になって根抵当権を八月二十一日に設定をしたのかということは、やはりどう考えてもこれはつじつま合わせにしか見えない、私はこういうふうに思うわけであります。  この小林氏は、きょう発売の週刊誌で、尾花さんは橋本総理と「うんとお知り合い」と述べております。そして、事件発覚後の国会での答弁でも、詳しく尾花さんに関する資金の説明を大蔵大臣当時述べておられます、だからこうやって申し上げているわけですけれども。実際はこの十億円というのは富士銀行とは関係ない、またはノンバンクとも関係ない、不正融資をされた債務者から流れているお金。  こういうことを見てみますと、大蔵大臣当時、答弁で、要するに尾花さんは正規の融資と思ってその実行を受けた、しかしそれが不正融資だったことが判明した、そして現在はすべて富士銀行の正規の融資に切りかえられているという大蔵大臣の、まあ短く言うとそういう答弁でございましたけれども、こんなことではないんだということをこの事実は示しているわけです。  この問題は、私は、橋本頭取もやはりこの答弁はおかしい、つじつまが合わない、こう思っておりまして、ぜひもう一度この全容を解明をしていく必要があると思いますが、総理、この問題について、いつ、最初にこの尾花さんの問題についてはその事件の内容を報告を受けたでしょうか。
  212. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 多分あれは、その日にちを今突然言われましても正確に覚えておりませんけれども、ロンドン・サミットの前後ではなかったかと思います。多分その前後ではなかったでしょうか。  当時の記録を今持っておりませんので、私は正確な日時を記憶いたしておりませんが、小林君がマスコミの方からそういった取材を受けて、翌日びっくりして報告をしてきたのが最初だったように覚えております。
  213. 山田宏

    山田(宏)委員 総理大蔵大臣当時、一九九一年八月三日の新聞の夕刊で、蔵相秘書の融資仲介に対してコメントを述べておられますけれども、この中ではこう言っているんですね。七月二十五日、つまり「富士銀行の不正融資についての新聞報道のあった七月二十五日の直後。小林秘書からは「中村元課長とは面識があり、融資先を紹介した」との説明があった。」そしてそのときに蔵相は「「大臣の秘書が軽率に融資を取り持ってフォローをしないのは良くない」とたしなめたという。」最初の報告を受けたのは七月二十五日、事件の報道のときだったということなんですね。ところが小林さんは、きょう発売された週刊誌の中では、八月二日に初めてこの話を知った、この不正の事件を知った、そしてそれを報告した、こう述べているんですね。だから、この辺もやはりよく小林ざんに、今申し上げたような疑問が残るわけですから、聞いておく必要があるな、こう私は思っているわけです。  ところで、新聞によりますと、富士銀行は、この事件発覚、七月二十五日のときに新聞でコメントを出しておりまして、富士銀行は内部調査をして大蔵省に報告をした。(発言する者あり)
  214. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  215. 山田宏

    山田(宏)委員 七月二十五日の新聞報道のときに、この富士銀行は内部調査をして大蔵省に報告したと述べているんですね。報告は受けておりましたか。
  216. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、大変申しわけありませんが、当時、事務方の諸君に報告があったかどうか私は存じません。少なくとも私は、そうした報告に接しておりませんでした。殊に、六月でありましたか、内部でそうした資料をおつくりになって不正を洗い出しておられるというような状況について、全く知る状況ではありませんでした。
  217. 山田宏

    山田(宏)委員 先ほどの内部調査、お示しをいたしました、多分ああいうものを大蔵省にもう事前に示していたはずです。しかも、これは当時の大蔵大臣の秘書が関与をした事件でもあり、私は、もし大蔵大臣まで届いていなければ重大なことだと思っております。よく調査をしておいていただきたいと思います。  このときに大蔵省はこういうコメントをしているのですね。こういうことについてぜひ監査を銀行に対して行いたい、こういうことを言っているのですが、その後、この富士銀行の不正融資事件に絡んで大蔵省は何らかの調査を銀行に行いましたか。
  218. 西村吉正

    ○西村政府委員 突然のお尋ねでございますので、私ちょっと正確なことを今申し上げるだけの自信がございませんが、監査とおっしゃるのはあるいは検査のことかもしれませんけれども、検査でございましたら、恐らく行っておるものだろうと思います。
  219. 山田宏

    山田(宏)委員 ここまで議論になっているわけですから、ぜひその検査の内容を御報告をしていただきたいと思います。  それから、一つ疑問なのは、平成三年八月四日の毎日新聞によると、小林元秘書は大蔵省で記者会見をして、尾花さんへの融資額を十億円と認めているわけですが、しかし平成三年九月五日、参議院の証券特では、富士銀行の橋本頭取は陳述で、尾花さんへは十三億四百五十万円融資した、こう述べておりますけれども、この三億円の差は一体何なのだろうか、ここもやはり疑問になるわけですね。これは何らかの調査をなさいましたか。
  220. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、そうした調査をする責任立場ではないと存じます。  ただ、ここで、議員はいろいろ議事録をお持ちでありますので、あるいはこれもお持ちかもしれません。  平成三年九月五日の参議院の橋本頭取の証言の中で、尾花さんの融資の実行、総額は十三億四百五十万円、そうなっておりまして、それから、昨年の七月に三億円の貸し出しを行い、翌月に回収したという経緯、この「三億円の貸し出しというものは富士銀行の正規の貸し出しであり、」というふうにありまして、どうも私にはその金額関係はよくわかりません。
  221. 山田宏

    山田(宏)委員 これはなぜ総理にお聞きするかというと、総理の当時の秘書、小林元秘書が十億と述べているわけですから、その小林秘書の雇用主としてこの問題はみずからに係る話ですから、よく説明をしていただきたいと思いますし、今の説明ではわからない。やはり、何かこう、やればやるほど疑惑が深まっていくという問題だと私は思います。  こういった問題に関して、本日、先ほどもお話がございましたけれども、小林さんは、国会に喚問されればぜひ正直にありのままを話したい、こういうふうに雑誌の中で述べておられます。ぜひそういう機会をつくっていくということが私は非常に大事だと思いますし、それからまた、今お話を申し上げましたとおり、この尾花さんにかかわるお金というものが、実はやはり橋本頭取が当時説明をしたようなものではなくて、富士銀行がつけかえる筋合いのものでもない。これは全く不正融資先のお金の使途であって、富士銀行が何か責任を持ってこの返済にかかわって根抵当権を設定するような筋合いのものではない。このお金内容というものについても、先ほど申し上げましたとおり、ぜひ解明をしていかないといけない、こう思っております。  総理は、大蔵大臣として、平成三年八月二十三日の参議院の予算委員会で、この富士銀行の不正融資事件について次のように答弁をされておられます。金融機関の偽造預金事件についての質問に対して、これが総量規制と非常にかかわっているのじゃないか、こういう質問の趣旨なんですが、そのことに対して、   今、委員から御指摘をいただきました総量規制というものは、少なくとも昨年後半以来、大都市部を中心にして地価の騰勢を鈍化傾向に追い込むといった意味では、これまでの金融全般の引き締まり基調とともにその効果は発揮をいたしておると思います。こうした過程におきまして、いわゆるバブルの融資先の資金繰りが逼迫した。こうした中から不祥事の発生、発覚につながったという側面の御指摘を私は否定はできないと思います。 つまり、総量規制によって一面地価は下がったけれども、しかし一面バブルの融資先の資金繰りが逼迫をして不祥事につながるという面もある、こういうふうに総理は当時大蔵大臣のときに御答弁をされておりますが、平成三年当時は、平成二年の総量規制によって、ここでも随分議論をされましたけれども、バブルの融資先の資金繰りが逼迫して、こうした中から不祥事の発生につながったという認識をお持ちだった。これがこの御答弁ですね。  また、平成三年は住専にとっても、そのバブルの融資先の資金繰りが逼迫し、四苦八苦の年だったことはこれまでの議論でも明らかになっております。この富士銀行不正融資事件を契機に、住専が同じような不祥事につながらないよう徹底的な対策を打つのが、この事件に関与をした当時の橋本蔵相の責任ではなかったのですか。  また、総理総理は同じ平成三年六月三日、大阪において開催をされたIMC、国際金融会議総会で、次のように講演をされております。  地価の下落は我が国銀行の経営に問題を生ぜしめるのではないかという疑問をお持ちの方もありますが、我が国銀行の融資実態について若干誤解をしておられるように感じます。すなわち、我が国銀行の不動産業向け融資は、実は総貸出の一割程度とさほど高くなく、不動産担保融資についても、担保価値について通常堅めの評価が行われております。また、融資は企業の信用力全体に対して行われるものであり、堅調な我が国経済の下で企業経営も全般的にみれば順調であります。これらから見て、今後地価の下落によって銀行経営に懸念が生ずる事態になることはないと考えております。 いいですか、地価の下落によって銀行経営に懸念が生ずる事態になることはないと考えている、こういうお話平成三年六月三日、大阪でなされておりまして、そのときの新聞には大きく、銀行への悪影響はないということがいろいろな新聞に報道をされているところであります。  しかし、今日の住専処理に税金を投入する大義名分として、再三再四金融システムの安定、預金者保護と言っていますけれども、当時の見通しは、今申し上げた平成三年の大蔵大臣としての見通しは余りに甘くはなかったか、その責任をどう感じておられるのか、御所見を伺いたいと思います。
  222. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 国際金融会議は、世界の金融監督当局あるいは主要銀行の首脳等が参加をされる会議でありました。そして、当時地価は一部で下落の動きが見られていたわけでありますが、外国におきましては、我が国金融システムに対して過度に悲観的な見方が出ていた時期でございました。そうした海外からの見方に対しまして、今御指摘の講演の中で、地価の下落が我が国金融システムに大混乱をもたらすことはないという趣旨のことを申し上げた、それは議員の御指摘のとおりであります。  その後、予想を上回る地価の下落あるいは景気の長期停滞というものに見舞われましたこと、その結果、金融機関が多額の不良債権を抱えるに至りましたこと、その点では私の予想を上回る事態になっておったことは御指摘のとおりであります。しかし、その後の経済情勢の中で、さまざまなプロセスにおきまして、そのときそのときに私は関係者は全力を尽くしてきたと存じておりますけれども、今、非常に厳しい御指摘を受ける状況になりました。  しかし、平成七年の九月末の時点の全国銀行の不良債権約三十一兆六千億円、過去の五年間の平均の業務純益を見てまいりますと約四兆円、貸倒引当金が八兆円、上場有価証券の含み益が約十八兆八千億という状況であります。私は、そうした考え方を持つことがまたおしかりを受けるかもしれませんけれども銀行界全体としては不良債権問題を克服する能力を持っておられる、むしろこの住専の問題を処理して、それぞれの金融機関がみずからの責任において対応できる状態を早くつくり出すことが大切ではなかろうか、そのような思いがいたします。
  223. 山田宏

    山田(宏)委員 このときの大蔵大臣としての御認識は、そのときの情勢を踏まえた見通しであった。しかし、結果的には全く違った結果になり、そして現在、その当時の大蔵大臣総理大臣となって、税金を入れた住専処理、または金融不安の解消というものを大義名分として今回の予算案に計上している。  また、私たち委員が富士銀行の不正融資事件の問題を今回も取り上げましたことは、やはりその事件を契機に、総量規制を行った当時の大蔵大臣として、先ほども大蔵大臣の答弁があったとおり、バブルが崩壊をしてきて、バブルの融資先の資金が逼迫をしてきた、そういう中で不祥事が起きてきた、あの富士銀行の事件をそういうふうに認識をされているならば、当時の住専の問題についてももう少し私は厳しい対応ができたんだろう、こういうふうに考えます。総理大蔵大臣時代の責任というものは、やはり重大に考えていただかなければなりません。  しかも、住専の大口融資先からの閣僚への献金は今のところ七人の方々が発表されております。しかもまた、今回の予算案の中で税金投入をする、その積算根拠もいまだにあいまいのままであります。現橋本内閣が、本当に税金投入を国民にお願いをして住専処理をする資格があるのかないのか、この富士銀行の問題も含めて、私は総理責任というのは非常に大きい、大いに疑問である、こう考えるものであります。  今回の処理策に国民の納得を得るには、今述べた橋本首相の蔵相時代の責任問題も含め、内閣みずからがその姿勢を正し、責任をとることがまず先決だと私は思います。さもなければ、住専処理について総選挙を行って国民の審判を仰ぐべきではないか、こう思っておりますけれども、いかがでしょう。(発言する者あり)
  224. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  225. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 五年前、私は、みずからの秘書の行動も含め責任をとり、大蔵大臣辞任をいたしました。その当時辞任をいたしますに至る、その決心をするに至った原因の問題を含め、今、事細かに改めて御指摘がございました。そうした御指摘を今日も受ける、それだけの責任をこれから仕事の上で果たしていかなければならない、そのように考えております。
  226. 山田宏

    山田(宏)委員 江田委員質問をバトンタッチいたします。
  227. 上原康助

    上原委員長 この際、江田五月君から関連質疑の申し出があります。奥田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。江田五月君。
  228. 江田五月

    江田委員 総理、いろいろ数年前のことまで事細かにと、しかしそうしたことを言われる立場にいて、その責任を仕事で果たしていくと、今そうお答えになったわけですが、しかし私は、これは国民は本当に、総理もあるいは大蔵大臣も、あるいは官僚の皆さん方も政治家みんな我々も含めて、みんな国民から見たらあなたたちは被告ですよ、こういうふうに言っているのじゃないかという気がするのですね。被告同士が、何かもちやだんごで話をまとめて、やれスキームです、国民皆さん六千八百五十億円払ってください。これに対して、本当に国民は怒っているのだ。  総理、冒頭、京都の市長選挙、いや四千九十二票ですからね。どうお感じですか。
  229. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 昨日私は、夕方ロサンゼルスから帰ってまいりまして、疲れ果てて割合に早く横になりました。十時半過ぎに当選を知らされて、ほっとしてそのまま寝続けました。けさ改めてその投票の内容を聞きましたが、瞬間、私は田辺前市長が最初に立候補されましたとき応援に行きました者として、あのとき三百数十票差だったということを思い出しました。それとともに、前回に比べて共産党さんの得票が一万数千票ふえている、この重みはきちんと受けとめておかなければいけない、そのような感じを持った次第であります。
  230. 江田五月

    江田委員 これは与党の側と我々と一緒に推薦をしたわけで、私どもの律儀な支持者はそれは入れてくれましたけれども、やはり国民は、住専問題がこんなになっているときに——私としてもひとつ率直に質問したいと思うのですよ。こんなになっているときに、有権者に物を言わせろ、こういう気持ちが非常に強い。まあ共産党に市政を任すわけにはいかない、ぎりぎりでね。だけれども、やはり物を言わせてほしいという、そういう怒りが、これはやはり住専の問題ですよ。住専の怒りがあの結果にはあらわれているということを私たちは読みとらなければいけないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  231. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 それは、私自身京都の、我が党を含めともに推薦をいたしました候補者の応援に行き、応援演説に立ちましたから、そして、住専の問題に触れずに済ませてきたわけではございませんから、その風当たりというものは十分私は存じておるつもりであります。その上で、先ほど感想を聞かれましたので、率直なことを申し上げました。
  232. 江田五月

    江田委員 私も応援に行ったのですけれども、やはり住専の問題は、これは総理国会は通せても国民はなかなか許してくれない重い課題だと思いますね。実は、政府や与党に怒りが向いているだけでなくて、私たちも実はその怒りをやはり買っているのだ。同じ穴のムジナという言い方はちょっと変ですけれども、しかし、過去をずっとさかのぼっていったら、私たちのところに今結集している人たちももちろん政治、行政、いろいろな立場責任を負っているわけですから、私たち責任を回避してはいけないのだと思っているのです、過去を言うとね。  ですから私は、これからどうするのだ、これからもああいうような被告同士が談合で事を丸めるというやり方でやるのか、それともそうではなくて、やはり日本にも法律というのはあるのですよ、法律で最後はきっちり処理するのですよという、そういうことをやるのか。  私たち新進党は、今の政府のスキームに対してしっかりした対案を出さなければならぬ、その上で私たちは別の選択肢を国民に示す、そういうことをしていかなければならぬ。きょうは予算審議ですから、まず予算について、私どもは六千八百五十億円は削除をするという、そういう組み替えの対案を、これを出すことにしておる。予算ですからね、ここは。そういうことにして、さらにその金を使わない処理の仕組みとして一定の対案を、今、政府の方は法案をお出しになっていますから、それはまだ審議は始まっていないわけですけれども、その法案についての対案はちゃんと用意をする。それをやらなければ、これは京都市長選挙にあらわれた国民の怒りなり願いなりにとてもとても私たちはこたえることができないと思っております。  私は、二月九日でしたよね、予算委員会総括質問で一時間半、私ども考える、私が個人的にと言ってもいいでしょう、考え対案をお示しをして総理といろいろな話をさせていただきました。何かどうも法律的に細か過ぎて、しかも早口で、マスコミの皆さんにはよくわかっていただけなかったみたいで反省をしておるので、総理からもしばしば専門的過ぎると言われたのですけれども、しかし、総理、やはりあれは今政府がお出しのスキームの基本的な問題だと思うのですよ。  私どもの公述人である清水直弁護士あるいは財部誠一経済評論家、こういう皆さんがきっちりと会社更生法という提案公聴会でやられましたが、そのほかにもいろいろなところでこういう提案が出てきております。  例えば三月に国会提出予定の政府の金融関連三法案、だんだん案がまとまってきておるということですが、金融機関の更生手続の特例法案というものがあって、金融監督当局が更生手続開始の申し立てができるようにする、預金保険機構が預金者の代理機能を持つ、あるいは協同組織金融機関への会社更生手続導入などの新しい規定を設けるということになっているようですが、総理大臣、今の内閣はもうそこまで会社更生法のことを実は考えておる。もちろん、総理、御存じですよね。
  233. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもただいま検討中の金融関係の三法案の中で、別途会社更生の手続というものを活用しようとしておるのは事実でございます。  しかしながら、今回の住専処理と、会社更生手続を利用しようとしております預金受け入れ金融機関の個別処理を迅速に行おうという問題とはおのずから性格を異にする問題でございまして、法律の専門家である江田委員はその辺はよくおわかりかと存じますが、問題の性格の違いということで十分御説明できると存じます。
  234. 江田五月

    江田委員 まあ、通告もしていないのですけれども総理もそこまでの認識はどうもなかったのでしょうか、あるいは大蔵大臣もそういうことが進んでいるという認識をお持ちになっていないのですか、どうなんですか。
  235. 久保亘

    久保国務大臣 今、正確に申し上げた方がいいと思って、銀行局長に答弁をさせました。承知いたしております。
  236. 江田五月

    江田委員 政府部内においても、金融機関の破綻状況を乗り越えるために会社更生法というものを使おうということが検討されている。金融制度調査会が、去年の十二月二十二日、「金融システム安定化のための諸施策 市場規律に基づく新しい金融システムの構築」こういうものを答申としてお出しになっているのですね。これをずっと見ますと、おもしろいのですね、これも。  これは、「3 金融機関の破綻処理のあり方」、「(1)基本的考え方」、「(2)破綻処理手続の整備、預金保険制度の見直し等」というので、その中に、これは「イ」というところがありまして、「会社更生手続をベースとする処理手続の整備」「破綻金融機関はそのまま存続させないという原則の下で、破産等により事業の解体を行わずに円滑な倒産処理を図る必要がある場合もあることから、破綻処理手続の整備は会社更生手続をベースに行うことが適当である。このため、協同組織金融機関についても同様の処理手続を可能とするよう所要の制度整備を図ることが適当である。」この答申に基づいて今法案の検討をされているということかもしれませんが、いずれにしてもそうしたことを検討しておられる。  私は、逆じゃないか、今のスキームをこのまま焦ってやるのでなくて、こういう会社更生手続について、一定のさらに完成された処理処理といいますか手続をつくって、そこでちゃんと法的処理をするのがむしろ筋じゃないか、そこまでやらなくても、既存の用意されておる倒産関係の法律でもできると思いますがね。それが常識だと思いますよ。  きのう、加藤自民党幹事長はテレビで、問題は日本処理と法的処理の対立だ、こんな言い方をされたと、私は聞いていなかったんですが、後でそう聞いたんですけれども日本処理と法的処理、何か言葉のごろが上手に合っていておもしろいんですが、ここで加藤さんがおっしゃるのは、とにかく法律なんてかた苦しいことじゃなくて、最後はみんなで丸くおさめていこうやという、それを日本処理と言い、何だかぎすぎすした角の立つやり方を法的処理と言ったのかもしれません。  そうではなくて、日本にも法はあるんだ、法律はあるんだ、最後は法律がちゃんと出てくるんで、そういうものがあるからこそみんな安心して自分自身の良心に従い一生懸命努力をしている。最後になったら何だかわけのわからぬことになってしまうというのじゃ、これは経済活動にだって悪い悪い影響を与えるので、今何か金融システムの安定とか経済への悪影響を防ぐとか、だからこのスキームが必要だというような言い方をされていますが、本当にそうなのかな。  もし、このスキームでなくて、きっちりした法的処理でいけば本当に金融システムが崩壊しますか。金融システムが本当に崩壊するようなことが仮にあるなら、なぜ一体、銀行は六千八百五十億出すのを惜しんで崩壊へと行かせるようなことになりますか。銀行はそんなことは考えていない。金融システム崩壊なんというのは風が吹けばおけ屋がもうかる式のおどしで、やはり最後はちゃんと法律が出てくるんだ、そこに社会のお互い信頼関係を築こうじゃないですか、総理、いかがですか。
  237. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、真っ向から議員の御議論を否定するつもりはありません。ただ、会社更生法というものから議論を組み立てておられる江田議員の御意見に対し、私は前回も意見が違うということを申し上げました。  今の情勢の中で住専というものが残る形が望ましいのかというならば、私は、やはり住専というものはここできっぱりとなくしてしまうべきものだと思うんです。むしろ会社更生法によってこれの存在が続くこと、これは私は金融機関にとって絶対にいい影響はもたらさないと思います。  そして、それなら破産法という考え方もありましょう。その場合に、今度はこれだけ多数の金融機関がかかわっておりますと、それぞれの損失額を確定するのに時間がかかってしまう。その間、体力の弱い金融機関に対しての不安が起きると.いったことを考えますと、私は、現在のスキームが最も望ましいと思い、御提案を申し上げているわけであります。
  238. 江田五月

    江田委員 まことに申しわけないんですが、総理、私ももう法律実務を離れて長いですから勘違いしていることもあるかもしれないし、もし勘違いをしていたらまた専門の皆さんに教えていただければいいのですが、総理も法律の専門家ではもちろんございませんから、法律のことをお話しになるときには余り断定的に言われない方がいいのかなという気はするのです。  というのは、会社更生法は会社を生かすのだと、必ずしもそうでもないのですよ。現に、この金融制度調査会の答申でも破綻金融機関はそのまま存続させないという原則のもとで会社更生法ということを言っているわけで、東京地方裁判所民事八部というところがこういうのをやっているのです。そこでも、もっと清算型の会社更生法というやり方を、清算型、つまり清算させてしまう。破産だとどうしてもある程度かたいから、だから本当に具体的妥当性を大切にしながら清算をさせるということで会社更生法を使う、そういうこともあるのです。ですから、総理総理の方の立論は、私に対する反論の根拠にはちょっとなりにくいのです。  まあ、それはいいです。それはいいですが、時間が余りないので先を急ぎます。  二月九日にいろいろなことを聞いたのですけれども、これまでの議論の中でも、例えば政府のスキームの債権額の根拠は一体どうなのか、今はもう変わっているのじゃないかとか、疑問がありますね。あるいは損失負担の配分方法についてあれでいいのか、その経過がいろいろあって、やれ覚書がどうしてとか、いろいろなことがございました。  私たちは、確かに農林系の金融機関については、金融機関だけではなくて農協そのものもいろいろこれから体質改善、リストラ等をやってもらわなければならぬ部分はあると思います。しかし、確かに今回の負担そのものについては農林系に負担を求める根拠というのはないので、これは母体行責任主義というものがいいと思いますけれども、そんなような議論もあった。  あるいは回収努力をいろいろしょうということもあった。あるいは金融不安ということについて、やれ預金保険機構、貯金保険機構に手当てをして、国民の預金については不安が起きるようなことはないということを政府がちゃんと明確にすべきだといった議論もございます。それはそれで、私は、今の政府案でもどこかの段階でまたしなければならぬときも来るのじゃないかという気もします。そのようないろいろなことがある。  しかし、一番大切なのは、今回のこのスキームの一番の中核は、住専という会社が持っている債権を住専処理会社に債権譲渡をする、これが一番の中核ですから、その住専が持っている債権を住専処理会社に債権譲渡をするということによって多くのものが落ちてしまうのだ。住専が本来追及をしなければならない責任、はっきり言いましょう、住専が本来持っている損害賠償債権、これを住専処理機構が追及することができなくなるのだ、あるいはできなくさせるのだ、そこに実は今回のスキームの一番のねらいがある。  そして、やれ大蔵省から天下りで来た、あるいは銀行から天下りで来た住専で、いいかげんと言うと言葉は悪いですけれども、取締役あるいは監査役、いろいろな役員の義務を忠実に果たすことなくいいかげんな融資をして住専に大変な負担をつくって、住専をいわば破綻させてしまって、そして今どこかへ行って、逃げてしまって、しかもそのときに大変な額の退職金をもらっていって、それで今や豪邸に住んでいる、高級車に乗っている、そういうような皆さんを全部免責してしまう、そのスキームになっているのじゃないか、これが私は根本のところだと思うのですね。  大蔵大臣は、地獄の底までそれを追いかけるのだ、損害はちゃんと賠償させるのだ、布団をかむって知らぬ顔は許さない、布団をはぎ取って、全部身ぐるみはいで寒いところへ追い出すのだ、そういう覚悟はおありですか。大蔵大臣
  239. 久保亘

    久保国務大臣 けさも今おっしゃったことを申し上げたと思いますが、ただ、私は人道主義者でございますから、布団をはいだり身ぐるみなんとかという言葉は余り使いたくありませんけれども、徹底的に責任と債権は追及されなければならぬ、こう思っております。
  240. 江田五月

    江田委員 私も人道というものは大切にしたいので、今の布団の話は言葉のあやなんですけれども。もちろんそれはそうなんですが、これは総理にも聞いておきましょう。  民事、刑事の責任はちゃんと追及するとこの間もおっしゃいましたよね。もう一遍ちょっと、それでいいですね、本当にその覚悟はおありなんですね。
  241. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 午前中、久保総理から地の果てまで追うんだという御発言がありました。私も同じような気持ちであります。
  242. 江田五月

    江田委員 そこは総理大蔵大臣も官僚の皆さんにごまかされちゃいけない。これは、本当に地の果てまで追いかけるつもりが天国へ全部逃してしまうということになりかねないんですよ。刑事事件はある程度できるんですよ、時効の問題はありますけれども。刑事事件というのは検察庁や警察がやる気になればできるんですけれども、民事というのはそうはいかないんですよ。  住専の持っている今の、例えば住専の役員に対する損害賠償債権、住専の従業員に対する損害賠償請求権。ほかにもあるんですよ。例えば銀行が、母体行が紹介するでしょう、その紹介は、母体行が自分のところではとてもこんなのは手に負えないというので住専に持っていってやれというので紹介してくる。それで、その住専の役員が担保余力についてちゃんとした審査もなしにこの融資を実行する。そういう紹介をした母体行の取締役も住専に対しては共同不法行為者になるということは、これは当然あり得ますよ。法制局長官、そうですよね。それで、この母体行の役員の行為は母体行の業務として行われているわけですよ。それはそうですよ。そうすると、母体行にも損害賠償責任が生ずるのですよ。  あるいは住専の借り手の方にもそういうことがいっぱいあるかもしれません。住専は、いっぱいそういう損害賠償請求権を自分のところにも母体行にも借り手にも持っているのですよ。だから、銀行は債権回収どころか損害賠償しなければならぬ。しかも、その損害賠償というのは銀行側から相殺できないのですよ。民法の規定がある。そういう損害賠償請求権を一体どうやって住専処理会社に移すのか。  これについて、私は前回もくどいほど聞きました。総理、覚えておられると思います。西村銀行局長がくどいほどお答えになりました。その答えは、「譲渡の時点において賠償の金額や具体的内容が特定されている必要はなく、賠償の相手や」、賠償の相手というのは賠償義務を負っている人間のことを言っているのですよ、「賠償の相手や不法行為の事実がある程度特定されていれば足りる」、これを西村銀行局長は三回同じ答弁をされて、最後は「もう一度読みますと、」とまで念を押して言われたのです。総理、それを記憶されていますよね。  ちょっと局長の方に聞きます。いいですか、その答弁で。
  243. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほどから清算型の会社更生法についてまで御指摘がございましたが、私ども、そういう問題も含めまして比較考量した上、この損害賠償請求権の問題についてもこの方法が一番適切ではないのか、あるいは他の手法も含めて、民事、刑事の責任を追及する方法としてこれが最も適切ではないのかということで、今回のスキームを提案させていただいておるわけでございます。  ところで、今御指摘の損害賠償請求権の問題でございますが、これは前回もお答え申し上げましたように、住専処理機構は、住専から損害賠償請求権を譲り受ける際、必ずしも不正の事実等を特定したものに限る必要はなく、住専の保有するその他の損害賠償請求権も含めて包括的に譲り受けることが可能であり、これは譲渡契約の当事者間で有効なものと解されているというふうに政府の中でも十分すり合わせを行いまして対応することにいたしております。
  244. 江田五月

    江田委員 あなた、いっそのすり合わせはやったんですか。二月九日に読んだときの文章と違うじゃないですか、それは。包括的な債権譲渡と言われますが、二月九日には、「賠償の相手」、それともう一つは「不法行為の事実がある程度特定」と言っていたんですよ。だれに損害賠償を求めるのか、どういうことについて損害賠償を求めるのか、そのことはやはり言っておかなければ、こういう損害賠償請求権を債権譲渡をするんだというふうにならなければいけないというのが二月九日のあなたの答えじゃなかったんですか。もう相手も特定は要らない、不法行為の概要も特定は要らない、とにかく住専が持っている損害賠償請求権、それでぽっと移るというんですか。
  245. 西村吉正

    ○西村政府委員 具体的な契約の記載方法といたしましては、特定できるものについてはできるだけ特定して記載するとともに、その他住専がいつ現在保有する損害賠償請求権を譲渡するというような記載をすることによりまして、網羅的に譲り受ける方法があると私ども考えております。
  246. 江田五月

    江田委員 網羅的に譲り受ける、もう何もかにも住専の持っている損害賠償請求権を。では何と書くんですか。契約書、債権譲渡契約書をつくるんでしょう。何と書くんですか。
  247. 西村吉正

    ○西村政府委員 今申し上げたつもりでございますが、その他住専が何年何月何日現在保有する損害賠償請求権を譲渡するというような記載になると理解をいたしております。
  248. 江田五月

    江田委員 まあ本当に一切ということで、だれに対する、しかも自分の住専の取締役ではない母体行の取締役あるいは母体行そのもの、そういうところに対する損害賠償まで含めて全部、はい譲渡いたしますと。何ですかね、これは、何とかのアッコちゃんとかいうようなそんな話じゃないんですよ。そんなことで譲渡できますか。  私、ちょっと判例をさっき見てきたら、これは東京高裁ですが、昭和五十七年七月十五日の東京高裁第十二民事部の判決なんというのは、それは当事者間で基本合意として、後々いろいろなことが出てきた場合にそういう債権譲渡をずっと個別にやっていかなければならぬという、そんな契約はそれはできるでしょう。しかし、これは目的債権の不特定、これは売り掛け代金債権についてそういうことがあったんですが、「無限定な債権譲渡の合意は、目的債権の不特定の故にその効力を生じない。」なんというそういう判例もあるんですよ。  百歩、もう千歩も譲って、それでも債権譲渡できると仮にしても、では一体だれが、その譲り受けた損害賠償債権をどうやって行使するんですか。だれに対する損害賠償債権なのか、どういう事実に基づいた損害賠償債権なのか、そんなことは全然わからずに一切とか言われて、一切と言われた人は一体どうやってそれを行使するんですか。どうやって行使するんですか、それを。
  249. 西村吉正

    ○西村政府委員 行使するのは譲り受けた住専処理機構になろうかと存じますけれども、その場合に、あるいは委員の御指摘の問題は対抗要件の問題とかそういうことを御指摘になっておられるとすれば、住専そのものも通知するというような行為が必要になろうかと思っております。
  250. 江田五月

    江田委員 私も質問の前にいろいろ役所の皆さんと議論しましたから、それはどういう答えが出てくるかはわかっているのですけれども、債権譲渡の通知が要ると。相手も特定せずにどうやって通知ができるのか。それはその特定して請求したときに通知をすればよろしいのだとか言う。ではそのときに住専という会社は、これは解散して清算するのでしょう。清算結了の登記をした後だったらどうするのだ。いや、清算結了の登記の後であっても、債権譲渡の通知というものが残っていればその限りで清算はまだ終わらずに残っているのだなどと言うのですけれども、いいのですか、そんな、何というのですか、法律の最後の最後のところで何か救済の理屈をつけようと思って一生懸命言っているだけの話なので、もっと大道を歩んだらどうですか、ちゃんと。  しかも、だれがその債権を行使するのですか、だれがどういう債権、損害賠償請求権があるということをちゃんと処理するのですかという前の質問のときに、初めは住専処理機構と答えて、途中で、いや、譲り受け人が。だって何を譲り受けたかを譲り受け人が決めるなんてことはないじゃないか。譲り渡し人がこれをお渡しします、譲り受け人がはいお受けいたしましたとなるのが債権譲渡なので、譲り受け人の方が何が譲られてきたかを自分で決めるなんて、そんなむちゃな話はないと私がそう追及したら、いやそれはやはり、間違いだとは言わなかったかな、住専がやりますと。それで今はまた、今度は住専処理機構がやりますとかね。混乱しているのですよ。そういうむちゃなやり方でやっていくのじゃだめ。  一つ聞きますと、いいですか、住専が持っている債権は、対価を払って債権譲渡を受けるわけですよね、対価を払って。損害賠償請求権は幾らという値段をつけたのですか、大蔵大臣
  251. 西村吉正

    ○西村政府委員 私は、御指摘のような問題は御提案の清算型の法的処理においても同じようにあろうかと存じますけれども、今御指摘の点については、損害賠償請求権というものを対価を払ってその段階で譲り受けるという性格の問題ではないと存じます。
  252. 江田五月

    江田委員 そのほかの債権については全部これはちゃんと評価をして、そして価格を決めて債権譲渡するので、損害賠償請求権については対価を決めるというような性格じゃない。ただでしょう。ただだったら本当に行使するのですかという問題になる。  清算型の会社更生法でも同じことが起きると言うけれども、そんなことないのですよ。だれがやるのかというのは、やはり同じ穴のムジナがやるのじゃだめなんですよ。被告同士が幾らやったってだめなんですよ。だから、ちゃんと既存の用意されている手続を使ったらどうだと。  会社更生法になれば管財人が入ってくるのですよ、管財人が。その管財人は裁判所が監督をするのですよ。そして乗り込んでいって、これまでの経営者は全部退陣をさせて、管財人が、ですから例えば稟議書だってちゃんと見ますよ、全部。帳簿でも全部見ますよ。稟議書なんかを見ると、どこにどういう紹介融資で変なものがあるというのはわかってくるのですよ。それが今のスキームではわからないのですよ。だからみんな天下りでうまい汁を吸って逃げた連中を逃げたままで免れて恥じなきことにさせてしまうと言うのですよ、私は。  これは将来本当に、今、地の果てまで追いかけると言われましたけれども、例えば半年先、一年先に一体どのくらい住専の役員あるいは母体行の役員、どのくらいの人に本当に損害賠償できるか、見通しぐらい持っているのですか。余りはっきりした見通しでなくたって、いや、このくらいはいたしますという何かあるのですか。大蔵大臣大蔵大臣
  253. 西村吉正

    ○西村政府委員 そういう問題は、今後処理計画を詰める段階において、あるいは債権を譲渡する段階において、関係者で十分詰めて検討すべき課題だと考えております。
  254. 江田五月

    江田委員 私は本当に、もう国民にかわってここで机をごんとたたきだいぐらいひどいですよ。だって、きょうの新聞でも出ているでしょう。どんどん財産を隠匿とかなんとか、隠したりしているじゃないですか。  会社更生法には保全手続があるんですよ。保全管理人というのが申し立ての段階で選任できるんですよ。そうすると、その保全管理人が会社へ行っていろいろなことができるんですよ、保全処分が。  この間ちょっと聞いたら、いや保全処分は一般法でできます、普通の法律でちゃんとできます。できますはいいですよ。なぜやらないんですか、今すぐ。
  255. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもは、このスキームを検討いたしますときに、破産法による手続あるいは会社更生法による手続をも比較考量して検討したわけでございまして、それぞれできることできないこと、一長一短があると存じますけれども、最もこの点において債権の確保がしやすい、弾力的にやり得るという方法を選んだということでございます。
  256. 江田五月

    江田委員 なぜ保全しないんですか、直ちに、と言っているんですよ。  では、もう一つ聞きましょうか。この間、偽造の納税証明書という話がありましたね、偽造の納税証明書。あれは公文書偽造で捜査に着手されましたか。
  257. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほどの問題も含めてお答えをいたしますけれども、今回のスキームにおいては、債権者は合意をしておるわけでございますので、会社更生あるいは破産の手続という問題との比較において申しますならば、関係者の合意ができる前の問題とは取り扱いが違うのはある程度当然のことだと考えておるところでございます。
  258. 江田五月

    江田委員 もう終わりますが、とにかくもうちょっとまじめにやってほしいんですよ。庶民はもっとまじめに生きているんだ、毎日毎日。こんなものは認められないですよ。  終わります。
  259. 上原康助

    上原委員長 これにて奥田君、山田正彦君、山田宏君、江田君の質疑は終了いたしました。  次に、正森成二君。
  260. 正森成二

    ○正森委員 私は、日本共産党を代表して、住専問題について質問させていただきます。  六千八百五十億円もの住専処理に対する国民の税金支出につき、住専許せぬ納得せぬというのが今や国民多数の声であります。  きのうの京都市長選挙の結果もこのことを明白に示しております。自民、社民、さきがけの与党三党だけでなく、新進、公明も加わった文字どおりオール与党に対し、日本共産党と広範な無党派市民の推した民主市政の会の井上吉郎氏が二十一万八千四百八十七票、四八・一二%を獲得して互角に戦い、四千票、一%足らずの差に追い詰めるという大健闘であります。  これは、与党が強行しょうとしている住専問題を含めた予算案に対し、いかに国民の反発と批判が強いかを示しております。政府国民の声を尊重し、恐れなければなりません。  そこで、伺います。  先週の参考人招致の際、母体行を代表して、全国銀行協会連合会会長の橋本徹氏は、母体会社としては、我が国の法制上許される限度まで、貸国債権の全額放棄を行うことによって責任を果たしたいと考えている、このことに加え、金融システムの早期安定化を図るべく、構成員として、金融安定化拠出基金への拠出や住専処理機構への低利融資など、合理的で、納得できて、株主の了承が得られる適法の範囲内で、可能な限りの負担を行っていく、こう述べております。これは、貸国債権全額放棄したことを前提での意見であります。  しかし、母体行は、貸国債権の全額を放棄していないのではないのですか。  大蔵省に伺います。  今回の枠組み、スキームでは、母体行は三兆五千億円を母体行融資分として放棄し、一般行は三兆八千億円のうち一兆七千億円を放棄することになっております。しかし、大蔵省の私への説明では、母体行の融資でも、自分が設立した住専以外の他の住専に対する融資は一般行分としての枠組みに入ることになっております。  そうすると、結局今回のスキームの一般行の債権三兆八千億円のうち、ある住専には母体行となっている金融機関の他の住専に対する債権、これは合計幾ら含まれておりますか。
  261. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のように、住専は今回対象になるものは七つあるわけでございます。ある住専に対して母体行であっても、他の住専に対しては普通の銀行という立場のものがあるわけでございます。そういう意味で、母体行ではあるが他の住専に関する関係では一般行だという立場にあるものの債権は、三兆六百億円になっております。
  262. 正森成二

    ○正森委員 今三兆六百億円という話でしたが、大蔵省の担当者が私に言うた数字は、約三兆一千億円という数字であります。ほぼ符合しております。  そうすると、一般行とされている三兆八千億円のうち、一兆七千億円は確かに債権放棄で損失となることになっております。その割合は約四五%であります。大蔵省担当者は、私の部屋に来て、母体行の持っている一般行としての分もこの割合で損失負担していると説明しました。それは一兆四千億円になります。  そうすると、どうなりますか。残り約一兆七千億円の債権は放棄されずに残っており、今回のスキームでは返済されることになっているのではありませんか。これは明白な事実です。
  263. 西村吉正

    ○西村政府委員 それはある意味では当然のことでございまして、ある住専について母体行として責任を持つ場合はその債権は全額放棄をするということでございますが、母体行としての位置づけを持たない他の住専に関しましては一般の債権者として取り扱われるというのは、私どもは当然のことかと考えております。
  264. 正森成二

    ○正森委員 今の御説明をお聞きになったらわかりますように、母体行であっても、自分が設立者でない他の住専に対する債権は、一兆七千億円、今度のスキームでは返済を受ける、それは当然のことであると銀行局長は認めました。  しかし、当委員会参考人等で出てきた母体行の関係者は、だれ一人としてそんなことは言っておりません。あたかも全債権を放棄したように、債権の全額放棄、それ以上やれば株主訴訟になるおそれがある、こういう説明をずっとしていて、新聞もそのように書いているではありませんか。これ以上の負担は株主訴訟に耐えられないなどというのは、事実に全く反するものであります。  母体行は、自分の持ついわば非母体一般行分としての債権は、放棄していないのが一兆七千億円もあるわけであります。  住専は今、事案上債務超過で破産状態であります。破産同様となれば、債権者は、場合により設立者でなくとも債権全額を失うことは常識で、それゆえに株主訴訟になるなどということはありません。仮に訴訟になっても責任は生じません。もとより、乱脈な融資を行ったことについての経営者の責任は当然別に存在します。これは別問題であります。  そこで、久保蔵相に伺いたいと思います。  あなたは二月二十日、閣議後の記者会見で、母体行が債権の全額放棄に応じたことで責任が果たされたとはだれも思わない。司法の場で追及される法的な責任に加え、道義的な責任もある。住専に巨額の不良債権を発生させたみずからの責任を率直に発言されてもよかった。これは記録にあります。こう言って、参考人としての発言を批判されています。当然の発言だと私は思います。  そもそも母体行は、みずからの有する債権につき全額放棄はしておらず、一般行とカウントされる分については返済を受けることになっている。これは当然だと銀行局長も認めました。これについて、あなたはどう考えますか。銀行トップは辞任の前に、この部分についても債権放棄で責任を果たすのは当然ではないですか。
  265. 久保亘

    久保国務大臣 これは銀行側との協議によって合意されたものであり、母体行としての債権については全額放棄が合意されているのでありまして、一般行としての債権については、総額三兆八千億のうちの一兆七千億を放棄するということで合意をしているわけですね。  そのことについては、今正森さんが御指摘になりますように、母体行として住専にかかわって、どこかの母体行であるものが、住専という今日の問題に関して責任をどうとるかという問題での議論から、新たな協議の対象となり得るかどうかは、相手のあることでありますから、今そのことをそうすべきだという結論を持つことは非常に難しい、こう思っております。
  266. 正森成二

    ○正森委員 今の蔵相の発言を聞きますと、母体行が一般行としてカウントされる分については債権が残っており、しかもそのうち一兆七千億円は返済を受ける予定だということを認めた上で、それは協議をしなければならぬと言います。しかし、国民は、その協議で六千八百五十億円も税金を出さなければならないというようなことを了承するでしょうか。それが今まさに問題になっていることで、母体行である住専が一般行分としての債権を放棄していない、こういうことは国会では参考人に出てきてほとんど言わないのですよ。破産した企業に対する債権としては、どちらにせよ法律上は同じことではありませんか。それ以上だと言う人もいるんですよ。  ここに、アエラ、これの三月四日最新号に載っております。これを見ますと、「住銀の住専使った荒稼ぎ」という大きな題で、内容についてこの中見出しにはこう書いておる。「住専融資で母体行が見せた無軌道ぶりはすさまじい。まるでオモチャのように住専を使って稼いでいる。一方で個人債務者には担保にとった自宅を競売にかけようとする。こうした所業に銀行の素顔が見えてきた。」こう言って、地銀生保住宅ローン、七つのうちの一つですね、それについての具体例がここに載っております。  私は時間がありませんからそのすべては申しませんが、母体行の一つである住友銀行元職員の証言によると、こう言っております。  一つは、融資あっせんの紹介手数料だ。二つ目は、バックファイナンス、すなわちひもつき融資による利ざや稼ぎだ。三つ目は、プロジェクト融資の主導権を握り、不動産の仲介料などを吸い上げることだ。直系ノンバンクだと、三億円以上の案件は親銀行が審査し、手数料は取れない。非系列で営業力の弱い住専は多額の手数料をくれた。そういう意味で地銀生保ローンは一番手数料をたくさんくれるノンバンクだった。だから、住専の紹介案件は母体行より一般行の方が多か.つたはず、こう言っています。  母体行としての枠組みであれ一般行としての枠組みであれ、質的に最も重い責任をとらなければならないのは母体行ではありませんか。それをまだ協議ができていないとは何事です。母体行は、出てきて、債権は全部放棄した、こう言ってあたかも一般行としての分も全部放棄したような印象を国民に与えているじゃないですか。どうしてそれをもっと追及しないんでしょうか。  さらに申し上げたいと思います。後で答弁があれば言ってください。母体行には母体行責任を負う十分な体力があります。  日銀の松下総裁、おいでになっていますか。  総裁は、昨年九月二十五日、名古屋で地元経済人との懇談会で講演して、金融機関の抱えている不良債権に触れ、処理の見通しについて、銀行全体で見ると、業務純益が年間四兆五千億円、貸倒準備金が七兆三千億円、株式の含みも十数兆円ある、こう述べています。この数字は、九五年九月二十七日付で発表された金融システム安定化委員会審議経過報告の内容と完全に符合します。これは九五年の三月期決算の数字をもとにされたものだと思いますが、あなたがこういう講演をされたことは間違いないですか。
  267. 松下康雄

    ○松下参考人 ただいま御指摘がございました私の発言は、昨年九月の二十五日に名古屋におきましての講演の中の一部でございます。ただ、その講演には、実はその後にただし書きがついておりまして、そのような状態、全体としては数字的に負担能力というものがあると申しますか、不良資産問題を克服する能力を持っていると判断されますが、それにもかかわらず不良資産問題がこのように大きな問題でありますのは、不良資産の分布にばらつきがあって、幾つかの個別金融機関にあっては、体力に比べてそれが多額に上ってしまう場合もあるためであると申しております。
  268. 正森成二

    ○正森委員 お聞きのように、松下総裁は御自分の発言をお認めになりました。  私の計算と公表数字では、この数字のもとになっている九五年三月期決算による有価証券の含み益は十数兆円になっておりますが、正確に言いますと、十三兆七千億円であります。  大原農水大臣、お伺いいたしますが、あなたは、ことしの二月十三日、閣議後の記者会見で、農林系統の内部留保が九五年三月末で一兆三千億円程度であるといってさまざまな発言をされた上、こう言っておられます。地方銀行ども含めた住専の母体全体では、現在の含み益は三十兆円を超すだろう、ガリバーと小人のようなものだ、こう言って、農水関係とはえらい違うということを言っています。  あなたは、現在の含み益が銀行関係、母体行では三十兆円を超すだろう、こういうことを述べた根拠は何ですか。記者会見での発言だから根拠があるんでしょう。
  269. 大原一三

    ○大原国務大臣 農協系統の内部留保が低いことは、委員御存じのとおり、現在、昨年の三月決算で一兆三千億、これは法定準備金と資本金を除いた、いわゆる積立金でございます。一方、主要銀行二十一行で約二十一兆円、それから第二地銀、地銀を入れますと三十一兆円、まさに比較になりませんということを申し上げたわけでございます。
  270. 正森成二

    ○正森委員 総理大蔵大臣、お聞きになりましたか。農水大臣は、三十兆円、有価証券の含み益があると言ったことをお認めになりました。  そこで、私は、農水相のこの言明をよりどころにして、国会図書館の資料をもとに詳細な試算を行いました。  大蔵省、「金融機関の不良債権等の状況」、これを発表しております。昨年、九五年九月期も発表しております。その速報は、九五年十一月十五日、日経金融に載っております。これです。あらかじめ私は申し上げておきましたが、そこには、不良債権額だけでなしに上場有価証券の含み益も正確に記載されております。九五年九月期では、全国銀行合計十八兆七千四百三十億円になっております。間違いないですね。
  271. 西村吉正

    ○西村政府委員 全国銀行ベースで十八兆七千五百六十億円でございます。
  272. 正森成二

    ○正森委員 今、私の言ったのと百億円ぐらい違っておりますのは、私が引用したものは速報で、彼は確定値で言っておりますから、その間に株価が若干上下したので微妙な差が出ておりますが、本質は同じであります。  そこで申し上げますが、九五年三月期末から九五年九月期末の有価証券含み益の増加は約五兆円増加しておりますが、日経平均株価の上昇によるものであります。この増加率をもとに現在の含み益を計算することができます。  九五年三月末の日経平均は一万六千百四十円、九五年九月末は一万七千九百十三円、それに対して本年の一月三十日では二万七百二十二円で大幅に値上がりしております。現在はそれより三百円ぐらい下がっております。しかし本質は、二万円を超えているから変わりありません。  日経平均株価が千円上昇すると含み益が大きく上昇することは常識であります。BIS基準をクリアするかどうかというときでもそれが問題になりました。現在の母体行の含み益は、私の計算によると、都銀、長信銀、信託の二十一行で約十八兆六千億円、地方銀行と第二地方銀行で約八兆円、証券大手四社で約八千五百億円、生保は大手八社だけで十一兆七千億円、合計約三十九兆円を超えております。  主要二十一行、地銀、第二地銀は準備金、引当金、剰余金など内部留保で三十三兆円保有しております。それ以外に有価証券含み益が、今指摘したように、母体行には三十九兆円以上あります。母体行は十二分の体力、含み益を保持しており、住専の不良債権を処理しても預金の取りつけだとかクラウディングアウト、貸し出し不十分とか、決済に支障等、金融システムに不安定が生ずるおそれは全くありません。  大蔵大臣、莫大な含み益を有する大銀行の私有財産を国民の血税で保護する必要がどこにあるんですか。
  273. 久保亘

    久保国務大臣 最初に、先ほど私が発言いたしましたことについて、今協議中とは何事かという反論がございましたが、私が申し上げましたのは、もし母体行に対して、一般行として融資をしている分についても母体行としての全額放棄をさせようということになれば、新たな協議が必要である、こういうことを申し上げたつもりでございます。  なお、今銀行の体力についてお話がございましたことは私も承知をいたしておりますが、しかし、今度の問題の債権債務の問題で、損失となります部分をどのように当事者間で負担をするかという問題について、大蔵省がいろいろとその協議の中に入ってやりました、その中での最終的に母体行、一般行、系統金融機関の合意の限界、こういうことでございます。
  274. 正森成二

    ○正森委員 あなたはそういうことを言われますけれども、ここに日経新聞の二月十六日付の一面トップの記事があります。どう書いてあるか。都銀や信託など大手二十一行が九六年三月期決算で総額八兆円を超える過去最大の不良債権償却を行う予定だ、こう書いてあります。それは事実でしょう。  二十一行は既に九五年九月中間期に約二兆円償却しておりますが、今回、住専向け三兆七千億円を含めて九六年三月期に六兆四千億円、合計八兆円を超える額を償却します。このことは、言葉をかえれば、母体行には十分過ぎるほど体力があり、住専以外の不良債権もこの際大きく償却できるということではないですか。  そうすると、どういうことになります。償却資金には色がついていないから、国民の税金六千八百五十億円の負担によって、母体行は住専以外の自分の責任に属する他の不良債権を償却できたことになります。こんな不合理なばかなことをなぜ国民が我慢しなければならないのですか。  梶山官房長官、あなたは文芸春秋の二月号で、「当時の大蔵省幹部が、いまも素知らぬ顔をして重要ポストに居座ったり、天下り生活を謳歌することなど、許されるはずはない。」「事態がここまできた以上、金融政策担当者と金融機関のトップの責任は、江戸時代の温情味溢れる大岡裁きでも「家財没収のうえ江戸四万所払い」といったところだろう。私はいまこそ、これを求めたい。」非常にいいことを言っております。そして、当委員会で他の委員から質問をされて、答えの中でこう言っております。「日本には恥の文化というのがありました。今、近代流に言えば、あるいは誇り、プライドの問題かもしれません。これは法以前の問題でありまして、そのモラル観がなければ金融業界は私は地獄に落ちる、そういう思いすらするわけであります。」なかなかいいことを言っているじゃないですか。  ところが、二月二十日の当委員会では、一転して同僚委員質問に対し、万一金融不安につながってしまったらどうなるか、「金融不安になるよりは国民の不満があることの方がまだましだ」などという飛躍した、とんでもない発言をしております。どこに金融不安がありますか。国民の不満があることの方がまだましたとは一体何事ですか。これでは国民の上に金融機関を置き、主権者の上に大銀行を置くものと言われても仕方がないのではないですか。論語でも、信なくんば立たずとあります。あなたの従来の言葉はどこへ行ったのです。国民の信を得るよう最大限努力するのが政治家の任務ではないんですか。
  275. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 ある雑誌の私の投稿を引用されて、褒められたのかそしられたのかわかりませんが、そういう感情は今でも全く同じであります。  それから、きょうここにおいでになる、私はここの委員の方の質問に答えまして、確かに私の方が松岡さんの質問に対して舌足らずであったことは間違いがございませんが、それはなぜかといいますと、貴党の松本さんの質問で、例えば万一この破産法の適用によるような処理を行うとするならば、これは農協系のものに大変な、債権者平等の原則によれば二兆七千何がしかの負担が増してくる。そういうことになりますと、六十何兆かある農協系のいわば預金、こういうものに火がつきますと大変なことになる。ですから、前段にあったのは、松本委員お話が私は頭にこびりついて、こんなことの処理をしたら大変なことだ。ですから、私たちはやはり本当の意味では国民理解を得るべく最善の努力をしなければならないけれども、もっと不安の方が怖いという、そういう意味で申し上げたので、決して前の話ともとっていることではございませんので、御理解をいただきたいと思います。
  276. 正森成二

    ○正森委員 前の発言を否定するわけではないんだという心境をお述べになりました。  そこで、総理、お待たせいたしました。総理に伺いたいと思います。  政府が、阪神・淡路大震災の被災者に対し個人補償を拒否して、私有財産制度の我が国では私有財産の損失回復は自助努力によるべきで、税金支出は適当ではないと述べたのは、ついこの間のことであります。今、大銀行の私有財産は税金によって補償されようとしております。国民がこれに対してどう思っているか、総理は御存じでしょうか。  私は、ここに二月九日付朝日新聞の投書、それを持ってまいりました。五十二歳の東京都の主婦の声であります。題は、弱者切り捨て銀行は税依存、こういう題でこう言っております。心して聞いていただきたいと思います。   夫の経営していた従業員十人にも満たない町工場が倒産して二年になります。工場を明け渡し、家も土地も競売に付され、生命保険すら解約。自殺もできないからと、夫は五時起きして図面を引き、仲間の好意で借りた工場の片隅で文字通り身を粉にし、日曜も祝日もなく働いております。毎月、たとえわずかでも都合のつく額を、今も債権者に返し続けております。  「住専」に怒らずにおられましょうか。わが夫のような思いをしながら、黙々と税金を納めている人たちが、全国にどれほどいることでしょう。  バブルで散々甘い汁を吸い、なお平然と国民の血税を当て込む企業にも銀行にも、それを助けている官僚や政治家にも、「恥を知れ!」と言いたい。 これが国民の声であります。「恥を知れ!」これが庶民の声です。  私は、既に本委員会でも要請している、当時の橋本蔵相秘書小林豊機氏などの証人喚問を改めて要求いたしますが、根本的には、銀行救済の住専処理費六千八百五十億円は予算から直ちに削除すべきであります。少なくとも解散・総選挙によって主権者である国民の信を問うべきだと思いますが、総理の所信を承って、私の質問を終わります。
  277. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先日、カリフォルニアからの帰りの飛行機の中で、秘書官から一通の手紙、そして同封のものを渡されました。これは、茅ヶ崎市の中学校三年生の一つのクラスの生徒さんたちが私にあてたそれぞれの作文を、受け持ちの先生が、全く誤字の訂正も埋め込みもなく、そのままを届けてこられたものであります。今、その中の文章の幾つかを思い出しながら、議員の読み上げられた投書を聞いておりました。そうした厳しい声があることは、私は素直に認めなければならないと思っております。  しかし同時に、ここまで御論議をいただき、世の中に公になっております住専処理というものをここで中断したり、後戻りはできないということもおわかりをいただきたいのであります。そして、むしろ、これから先送りをすればするほど、私は事態は深刻になる一方だと思います。そして、金融の安定性信頼性というものに必ずこれを先送りすれば影響が出てくると私は思います。それだけに、御論議を十分いただきながら、ぜひともこの時期にこの問題を処理することの必要性だけはお認めをいただきたい。率直な感想であります。
  278. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  279. 上原康助

    上原委員長 これにて正森君の質疑は終了いたしました。  次に、吉岡賢治君。
  280. 吉岡賢治

    吉岡委員 今、国民住専に対する怒りは大変なものがあります。  私は、いろいろな言い方はされておりますけれども住専は法的責任、こういうものを重視して処理すべきだろう、このように思っているところであります。日本経済が停滞している原因、その一つに不良債権、この問題があるということを否定するつもりはありません。しかし、現時点における公的資金の導入には、現法体系と整合性を欠く、このように思っており、私は反対であります。政府の税金投入は、ようやく緒についた金融自由化の流れをとめ、そして時計の針を逆転さす、こういうことを意味するのではないかと思います。  問題なのは、不良債権が大蔵省発表でも四十兆円というふうに言われておりますけれども、このように大量発生をし、積滞をしています。そして、それが償却されずに、先送りし、凍結されていることに問題があると思っています。このことは、金融機関の粉飾決算、こういうことになります。それに目をつぶっている、あるいは目をつぶってきた政府なり大蔵省姿勢こそ私は問われるべきだろう、このように思っているところでございます。  商法二百八十五条ノ四第二項に、回収不能になる可能性のある金額については会計上償却処理をすることという強制規定があります。銀行といえども無視できない条文であろうと思っています。銀行が赤字決算を回避するため不良債権の会計処理を意識的に先送りし、簿価を適正な価額まで減額をするという正当な会計処理、これを行っていないということは、私はある意味では犯罪に値するのではないかと思っているわけであります。  日本国というのは法治国家であります。債権回収というものを最優先して、刑法あるいは民法、そして商法、暴対法、さらには更生法や破産法、こういうものを適用し清算手続をするとともに、自己責任というものをおのおの明確にし考えるべきではないか、このように思っているところでございますけれども総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  281. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 さまざまな角度から反対であるということを非常に厳しく御主張いただいた、そのように思います。そして、住専処理について、今も申し上げておりましたが、さまざまな声があること、これも十分承知をいたしておるつもりでありますし、関係者、その関係者にも非常に幅の広いものがございますけれども、に対して責任を問う声が非常に強いことも事実でございます。そして、私は長々と申し上げ始めればこれはちょっと切りがないと思いますけれども、今何が一番大事か、これは逆の議論を、大変申しわけないのでありますが、日本のやはり金融機関が抱えている不良債権の処理というものは、私は、やはり日本経済をこれから先安定させ、発展させていく上で必ず処理しなければならないものだと思います。  そして、その中において、やはり何といいましても一番この問題を難しくしているのは、私はこの住専の存在だと思います。なぜなら、非常に多くの金融機関がさまざまな角度でかかわりを持ち、そこに系統の金融というものが全部にくし刺しのように刺さっている。そのために、これを処理するというのが一番難しいことだと私ども考えてきました。そして、昨年来の政府の議論の中で、最終的にこうしたスキームを選んだわけであります。その間の情報開示のおくれとか、おしかりを受けるべき点は多々あります。しかし、賛否は別として、この時期に処理をしてしまわなかったら、これ以上の先送りは絶対に避けるべきだということだけはぜひお認めをいただきたい、そう思っております。
  282. 吉岡賢治

    吉岡委員 総理の回答に私は大変不満を持っておりますが、先に進みたいと思います。  信頼回復と再発防止ということであります。  大蔵大臣にお尋ねしたいと思いますが、私は、金融は、大蔵省が通達やそして覚書でマーケットに介入したり、あるいはいろいろな指示を出したり、そういうことでなくて、あくまで市場と司法にゆだねるべき、このように原則的に思っています。銀行が、引当金は無税、こういうことをよいことに、不良債権処理を間接償却のみにとどめておる、そして先送りしているのではないでしょうか。そうでなくて直接償却、言うなれば損切りですね、その確定を求めていくということが本来のあり方ではないか、このように思っておるところでございます。  大蔵省の資料によれば、平成七年度の中間期に貸倒引当金が八兆円を超すというふうに言われています。そして、主要資産残高は八百五十六兆円あるというように報告を聞いております。こう考えてみますと、いわゆる銀行には体力は十分にある、このように私は思っているわけでございます。  直接償却をすれば、金融秩序は回復しできますし、国際的にも金融機関への信頼というものは回復されていくというように思っています。また一方で、損切りをやりますと、底値というものが見えてきまずから、市場も活性化をしていくということにつながるのではなかろうか、こう思っておりますと、どうしても母体行の自己責任というものを明確にしなければならぬ、こういうふうに思っているわけですが、いかがでございましょう。
  283. 久保亘

    久保国務大臣 今吉岡さんがお話しになりましたことは、私も共感できる部分がたくさんございます。  今日このような事態になっておりますこの住専問題、不良債権の象徴的な喫緊の課題をどうやつて処理することによって、日本経済、とりわけ金融をどのようにきちんとした考え方の上で改めていくかということで、その目標は自己責任原則の確立、市場規律を軸にして透明性の高い金融システムにしていこう、そのことは非常に、我が国の場合にはこれだけ自由化、国際化が進んでいく中で、おくれてきたと思っております。そういうことに、今度のこの問題を処理することを通じて積極的に取り組んでいこうということを私どもとしては方針として示しているわけであります。  この処理に当たっては、法的処理の御主張も、この委員会においても何人もの方から御主張がございました。しかし、このことが今私ども提案しておりますものにかわってより有効な対策となり得るかどうかということについては、まだまとまった提案にもなっていないという点もございまして、非常に難しい。今我々は、これ以上先送りのできない住専問題の処理をぜひ今日可能な、最善の方法をもってこれを決着させて、新しい段階へ進まなければならない、このようなことで御審議をお願いをしているわけでございます。
  284. 吉岡賢治

    吉岡委員 私は、今の答弁に大変危惧するものであります。国民皆さん方は今どう思っているか。朝日新聞の「声」の欄に載ったことを紹介申し上げておきたいと思います。  要するに、当事者は責任逃れと隠ぺい、そして他者への責任転嫁をしている。これは国民から見れば無責任の蔓延ということになるだろう。二つ目に、強い者が保護され弱い者が犠牲になるという現実を目の当たりにしたと言える。ファイナンシャルクルックの暗躍を許す現実がある。このことは、正義への無力感というものが国民に生まれている。そして、三つ目ですが、政治家はみずからの利権を優先するのか。政治家に対するあきらめがあるというように言われています。  今、私たちは、日本の金融のあり方について、まさにその岐路に立っているというように考えますときに、この声をきちんと受けとめねばならないだろうと思っています。  そこで、政治家はどう責任をとるのか。特に内閣総理大臣、先ほどからもお話がございますように、今日まで銀行住専それから農協系、さらには借り手、そういうところから献金をお受けになっていると思います。それをまず返すというところから真剣な話をされたらいかがですか。このことを端的に申し上げて、お聞きしたいと思います。
  285. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、個々の政治家の問題、それぞれの責任と見識で御判断になるべきことであろうと存じます。  私は、先日検討をお約束をいたしましたとおり、この報告リスト、百貸付先実名リストを調べまして御報告をいたしました四社のうち二社が、いわゆる星印、要するに不良債権を持っていないという状態ではありませんでしたので、この二社から過去に受けました献金につきましては返却をいたしました。東建設、平成元年から四年、三百二万円、エフ・ブイ・エル、平成元年から六年、百三十一万円、計四百三十三万円でございます。  ただ、これは私自身の気持ちの問題として返却をしたことでありまして、お一人ずつの御判断によるものであろうと存じます。
  286. 吉岡賢治

    吉岡委員 時間ですので、終わります。
  287. 上原康助

    上原委員長 これにて吉岡君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十七日午前九時三十分より委員会を開会し、外交・安全保障問題等について集中審議を行います。本日は、これにて散会いたします。   午後五時五十五分散会