○安倍(基)
委員 まあ今までの、前田
委員が
指摘したように、要するに
債権の裏にある実体の土地のいわば有効利用、これに目を向けない限り、今おっしゃるようにどんどんと地価は下がっていく。それで、
銀行の方の
債権は償却されるけれ
ども、それを回収しようと思っても、何分の一だ、塩漬けに土地はなる、卵を産む鶏もいないという話になりますと、これは帳簿づらはよくなっても、実体経済は動かないわけですよ。
それで、たまたま前田さんが言ったようなことなんですけれ
ども、例えば下水道なんかをつくるにしても、道路をつくるにしても、今までのところをやってやらないと気の毒だということでやるのもいいんだけれ
ども、新しい町づくりみたいな格好で、民間投資を誘発するような公共事業、その結果できたものの元はそこから取っていく、私は、ここにやはり公共事業の見直しということもよほど
考えていかにゃいかぬ。
それから、土地規制の緩和といいますか、そういうところで、土地規制は余り緩和するとまた土地の値段が下がっちゃうんじゃないかという話にもぶつかるんですけれ
ども、非常に難しいんですよ、そのさじかげんが。ただ、何といいますかね、私は、長い目で見ると土地は下がっていく、そこで今の
債権処理機構がますますジレンマに陥っちゃうんじゃないかな。
ここでアメリカのRTCというのがいろいろ言われます。これはひとつ簡単にいいますと、破産管財人の集まりみたいなものなんですよ。それがいわば貯蓄組合に行って、こいつの財産をどうするか。売るものは売る、物によったはいい金融機関に抱いてもらう、そういうことをしながらやっていったんで、これはちょっと今の
債権処理機構と必ずしも
一緒じゃないんですよ。
この辺、私は、恐らくはこの
公的資金導入という話があって、こいつは、そうすると第二次損失を要するにふやしちゃいかぬ、そのために強力なものをつくらにゃいかぬという話になっちゃって、一番最初の出発点は、
公的資金を導入したために、即席と言っては変だけれ
ども、そういう形になってしまったということがやはり一番の出発点にあるんじゃないかということなんですね。
だから、私は、今までの
議論で、要するに頑張って取ればいい、取ればいいという話が、取れるのか、取った後はどうするのか。暴力団が占拠していることばかり頭にあって、その先のことを十分
考えていない、そこに私は処理スキームの問題点もありますし、それをいわば急速につくらなくちゃいけなかったという、
公的資金の導入問題が基礎にあるんですね。
私は今、
住専問題の落ちこぼれというか落ち穂拾いをしているわけですが、例えば、さっきの農協の、協同組合の問題とか、こういった
住専処理機構の問題、この辺を十分
考えないで来ちゃっていることが非常に大きな問題になっていると思います。
それからちょっと話を、もう一つ
母体行
責任の話もしたいんだけれ
ども、ちょっと
もとへ戻るのもあれだな。
今度の金融不安の問題は、二つの問題を投げかけていますね。
一つは、加藤幹
事長が参考人のときに言いましたように、農協の預金が郵貯に行くじゃないかという話をしておるわけです。農協の方はどう運用していいかわからない、郵貯の方は財投でもって運用してもらえる。金融がどんどん自由化してきたときに、財投がこのままでいいのかという問題がやはりあるんです。これは
大蔵省にとっては非常に痛い話ですけれ
ども。
と申しますのは、財投の
資金というものは
金利を払っているわけですね。運用の方がそれに見合うだけの
金利を稼ぐなりなんなりしないとこれは要するに合わないんですよ。しかも、例えば国債、地方債、財投がたくさん引き受けることができる、それがまた逆にどんどんどんどんと国債、地方債の累増にもなってくる。
そこで、ここでこれは質問してもすぐ答えられるかわからないけれ
ども、日本の場合には、国債、地方債、全部、財源がまあ国税に依存している。国税の五十兆くらいで払わにゃいかぬ。というのは、地方債の償還というのはほとんど地方交付税で償還しますから、自分の財源は余りないんです。
となりますと、既に川島
委員がいろいろ質問されましたように、この累増する国債、地方債、これ、OECDの統計では、日本とかほかの国を比べまして、GDPに対する比率が出ているのですが、一九九二年のころは日本も米国も、六四とか六二とか、似ているんですね。ところが、一九九七年は、日本は、国と地方と合わすと九七まで上がっているんです。米国が六二ですね。一番大きいのはイタリアですけれ
ども、一一六、一二三ですけれ
ども。
でありますけれ
ども、この中で一番問題なのは、地方債が、ほかの国の場合のように地方の自主財源でもって償還していれば問題ないんです。日本の場合には、自主財源がないから最終的には五十兆の国税収入に全部かかってくる、わかりますかそれは。要するに、今累計していけば四百兆になるのかいろいろ言っていますけれ
ども、いろいろ隠れ債務を見れば五百ぐらいになるだろう、もっとなるかもしれぬと言っていますけれ
ども。それを償還する財源というのは国の税の五十兆に依存しちゃっているんですよ。というのは、地方交付税でもって償還していますから。もし地方が本当に自主財源を持っておって地方債を償還するのであれば左うちわなんですけれ
どもね。
でございますから、この日本と同じような形態を持っている国というのはそう多くないんじゃないか。それは、何といいますか、欧州には若干中央からの交付金があるシステムありますけれ
ども。
そこで、そこを補っているのが、どっちかというと財投なんでしょうな、財投で引き受けている。財投も結局は、要するに利子を払わなくちゃいけない。運用面が限られてくると、運用の方の利息が少ないと一般会計でもって補てんせにゃいかぬ。たしかきのうは錦織
委員あたりが言っておったと思いますけれ
ども。
でありますから、私は、みんなからお金を集めて財投で運用している。財投はそれなりに利益を生むものに回していかないと、かつての日本の成長期には、みんなが集めたお金を国策的に安い
金利でもって貸すという動きで来たわけですけれ
ども、今は高い
金利に要するに運用していかないと、これから厚生年金なんかもやっていけないんですよ。
でありますから、この問題点は、たまたま郵貯と農協と比較の問題から大きな問題が浮上してきているわけです。
一つは、これから農協あたりの金融機関、つまり預金を集めることは集めるけれ
ども運用の道がない金融機関をどうするのかという大問題と、もう一つ、国が集めて運用している
資金をどうするのか。二つの問題を投げかけていると言わざるを得ないんですね。
第一の、そういうこれから農協と同じように金を集めることはできるけれ
ども運用できない金融機関をどう扱っていくのかという問題と、第二の、みんなから要するにお金を集めることはいいけれ
どもその運用が十分利益を生まない格好のところへ回している財投をどうするのか。
一つの
考え方は、財投の運用をもっともっと利益を生むところへやっていく。公共投資あたりももっと厳しく査定して、この経済効果はどうだ、それによって実際上収益を生むのかどうか、そうしていかないと、高い
金利で借りておいて、運用先がなかったら大変なことになるんです。二つの問題について、
大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。