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1996-02-19 第136回国会 衆議院 予算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月十九日(月曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       菊池福治郎君    小杉  隆君       後藤田正晴君    志賀  節君       高鳥  修君    谷川 和穗君       原田  憲君    村岡 兼造君       村山 達雄君    谷津 義男君       若林 正俊君    安倍 基雄君       愛野興一郎君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       上田 清司君    大石 正光君       大野由利子君    長内 順一君       鴨下 一郎君    川島  實君       左藤  恵君    高木 義明君       長浜 博行君    平田 米男君       松岡滿壽男君    山口那津男君       山田  宏君    山本 孝史君       今村  修君    佐々木秀典君       坂上 富男君    田中 昭一君       畠山健治郎君    細川 律夫君       石井 紘基君    松本 善明君       矢島 恒夫君    牧野 聖修君  出席国務大臣         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         文 部 大 臣 奥田 幹生君         厚 生 大 臣 菅  直人君         農林水産大臣  大原 一三君         通商産業大臣  塚原 俊平君         運 輸 大 臣 亀井 善之君         郵 政 大 臣 日野 市朗君         建 設 大 臣 中尾 栄一君         自 治 大 臣 倉田 寛之君         国 務 大 臣         (内閣官房長官) 梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (北海道開発庁 岡部 三郎君         長官)         国 務 大 臣         (科学技術庁長 中川 秀直君         官)         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 鈴木 和美君  出席政府委員         内閣官房内閣外         政審議室長   平林  博君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         内閣総理大臣官         房会計課長   吉井 一弥君         総務庁長官官房         長       河野  昭君         総務庁人事局長 池ノ内祐司君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         総務庁行政監察         局長      大橋 豊彦君         北海道開発庁総         務監理官    松川 隆志君         科学技術庁原子         力局長     岡崎 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局長   宮林 正恭君         環境庁長官官房         長       田中 健次君         環境庁企画調整          局長      大西 孝夫君         環境庁大気保全         局長      大澤  進君         国土庁土地局長 深澤日出男君         国土庁地方振興         局長      岩崎 忠夫君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         外務省総合外交         政策局国際社会 朝海 和夫君         協力部長         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省欧亜局長 浦部 和好君         外務省経済局長 野上 義二君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省理財局長 田波 耕治君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省高等教育         局長      雨宮  忠君         文部省学術国際         局長      林田 英樹君         文部省体育局長 佐々木正峰君         厚生大臣官房総         務審議官    亀田 克彦君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君         厚生省保険局長 岡光 序治君         厚生省年金局長 近藤純五郎君         社会保険庁運営         部長      横田 吉男君         兼内閣審議官         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         食糧庁長官   高橋 政行君         林野庁長官   入澤  肇君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         運輸省運輸政策         局長      土坂 泰敏君         運輸省鉄道局長 梅崎  壽君         運輸省自動車交         通局長     山下 邦勝君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省通信政策         局長      山口 憲美君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省道路局長 橋本鋼太郎君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省財政局長 遠藤 安彦君  委員外出席者         会計検査院長  矢崎 新二君         会計検査員事務         総局次長    中島 孝夫君         会計検査員事務         総局第五局長  平岡 哲也君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十九日  辞任         補欠選任   武藤 嘉文君     小杉  隆君   愛野興一郎君     大石 正光君   笹川  堯君     長内 順一君   谷口 隆義君     山本 孝史君   前田 武志君     上田 清司君   山田  宏君     長浜 博行君   佐々木秀典君     畠山健治郎君   錦織  淳君     石井 紘基君   矢島 恒夫君     中島 武敏君   海江田万里君     牧野 聖修君 同日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     武藤 嘉文君   上田 清司君     鴨下 一郎君   大石 正光君     愛野興一郎君   長内 順一君     大野由利子君   長浜 博行君     山田  宏君   山本 孝史君     谷口 隆義君   畠山健治郎君     佐々木秀典君   石井 紘基君     錦織  淳君   牧野 聖修君     海江田万里君 同日  辞任         補欠選任   大野由利子君     笹川  堯君   鴨下 一郎君     高木 義明君 同日  辞任         補欠選任   高木 義明君     岡田 克也君 同日  辞任         補欠選任   岡田 克也君     前田 武志君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ち、申し上げます。  このたびの一般国道二百二十九号豊浜トンネル崩落事故により二十名の方々が亡くなられましたことは、まことに痛恨のきわみであります。  ここに謹んで哀悼の意を表し、事故犠牲となられた方々の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。  御起立お願いいたします。――黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 上原康助

    上原委員長 黙祷を終わります。御着席ください。      ――――◇―――――
  4. 上原康助

    上原委員長 平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長内順一君。
  5. 長内順一

    長内委員 新進党の長内順一でございます。  二月十日の朝、後志管内国道二百二十九号線豊浜トンネルで発生いたしました崩落事故についてお伺いをさせていただきたいと思います。  質問に入ります前に、この事故によりまして不幸にして、今を落とされた皆さん、そしてその御家族皆様に心より哀悼の意を申し上げたいと思います。  私は北海道選出でございます。今回の事故現場からは二時間ほどの札幌市に在住をしておりまして、今回の事故については大変深い、そして強い関心を持っているわけでございます。  先日十六日、建設委員会におきまして、さまざまな形で、今回の事故に果たして予兆はなかったのかどうなのか、未然に防ぐことができなかったのかどうなのかという点。それからまた、今あそこは、ちょうど二百二十九号線、海岸線の細い国道でございます。そうして、あの奥には積丹町ですとか美国町ですとか古平町ですとか、そういうところが今半分陸の孤島になってしまっている。こんなことから、病院の件だとか学校の件ですとかそれから物資の件だとか、こういうことにつきまして建設大臣に率直にお伺いをさせていただいたところでございます。大臣からは大変にまじめに、真っすぐにお答えをいただきまして、善後処置を直ちにとっていただいたことに、この場をおかりして感謝を申し上げたい、こんなふうに思います。  さて、今回の事故が発生いたしまして、いろいろな形の救済体制がとられたわけでございまして、この事故後の対応につきまして、きょうは北海道開発庁中心にして質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  まず、今回の事故に当たりまして、救出の表舞台に立って、それで一生懸命救出に当たられたのは北海道開発局であります。この北海道開発局なんですが、機構の上で北海道開発局北海道開発庁の言うなれば直轄の出先機関という形になるわけであります。ですから、機構上は北海道開発庁そして北海道開発局。  ところが、この北海道開発局は大きく三つの部門に分かれておるわけであります。一つ建設部。これは道路だとか河川を担当いたします。ここは建設省が所管する。それから、北海道開発局には農業水産部があります。これは農地と漁港。これは農林水産省であります。それから港湾部。これは港湾、空港を担当いたしまして、運輸省。こんな形になっているわけであります。  したがいまして、事務管掌上では北海道開発庁そして北海道開発局、実務の上では、今回の場合は道路でありますから、建設省道路局指示命令を受けながらこの仕事をする形になると思うのでありますが、例えば今回のような緊急事態の場合に、どちらの意向を強く受けて現場は動くことになるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  6. 岡部三郎

    岡部国務大臣 今回の事故に当たりまして犠牲となられました十九家族、二十人の方々に心から御冥福をお祈りいたす次第でございます。  ただいまの御質問でございますが、開発局開発庁組織上は出先機関ということになっております。ただ、御指摘のように北海道には地方建設局とか地方農政局とか港湾関係出先機関はございませんので、そういう事務は各局からの委任を受けて実施をいたしておるわけでございます。  したがいまして、今回は道路管理上の事故でございますから、事故それ自体につきましては建設省の指導のもとにやっております。しかし、全体的な地元対策であるとか御家族に対する対応とか、そうした面におきましては、開発庁建設省一体となってこれに対応してまいった次第でございます。
  7. 長内順一

    長内委員 私は、阪神の例をまつまでもなく、こういうときにはやはり、どこが中心となってリーダーシップを、そしてどこが権限を持って事に当たるかということが非常に大事だというふうに思います。今の大臣お話ですと、何かお互いに持ち分をそれぞれ尊重しながら救出作業を続けた、こういうイメージになるのですが、いかがですか。
  8. 岡部三郎

    岡部国務大臣 先ほども申しまじたように、組織上は開発庁出先機関でございますから、あくまでも総括的な責任は開発庁にございます。ただ、道路管理上の諸問題につきましては、これは当然建設省の御指示のもとに実施をしたということでございます。
  9. 長内順一

    長内委員 例えば岡部大臣も何度も現地に入られまして、それで御家族皆様にお見舞いを申し上げております。その際は、私は道路管理者としてというお話で、冒頭にそういうお言葉で何かごあいさつを申し上げているそうであります。それは事実ですか。
  10. 岡部三郎

    岡部国務大臣 私は当初、十二日の早朝現地へ参りました。そのときには、総理の御指示によりまして政府の代表として参りましたということは申しましたが、道路管理者として参りましたとい うことは申しておりません。
  11. 長内順一

    長内委員 ですから今回は、もう一度議論をもとに戻しますけれども、やはりこういう非常事態、きちっと権限を持って結論を出せる者が現場中心になって救出指揮をとるべきである、私はこのように考えますが、いかがでございますか。
  12. 岡部三郎

    岡部国務大臣 現地におきましては、十日の夜に直ちに合同本部をつくりまして、その本部長には小樽道路事務所長がなりまして、そのもとに警察消防地元市町村等一体となって救出に当たったわけでございまして、この合同本部がすべての指揮をとったわけでございます。
  13. 長内順一

    長内委員 合同本部指揮をとったということは、これはもう存じ上げております。  私が申し上げたいのは、例えば今の大臣お話でいきますと、事務管掌上では北海道開発庁そして北海道開発局、こういうふうになるわけですよ。ところが、実際に権限を持っていたり、それから実際のこういう救出のノウハウを持っているのは建設省というふうになるわけです。したがいまして、十三日からですか、開発政務次官現地指揮をとっている、常駐しているというようなお話がありますけれども、これは果たして北海道開発庁の、行っていただくのは大変結構なんですが、政務次官でよかったのかな、やはり現場をよく知って技術的にもよくわかって総合的な判断を下せる、そういう人があそこに座るべきで、そういう体制をとるべきではなかったのか、私はこのように今でも思うわけでありますが、いかがでございますか。
  14. 岡部三郎

    岡部国務大臣 今回の事故は、大規模な岩盤崩落ということで、その中に二十名の方が閉じ込められたわけでありますから、そうした面では、その救出に当たっては岩盤の撤去、土砂の取り出しということがまずやらなければならない仕事でございましたから開発局中心になりましたけれども、本来人命救助という面になりますと、これはもう警察とか消防とか自衛隊とか、そういうところにお願いをしなければならない分野が多いわけであります。したがいまして、それらが合同本部をつくって、常に基本方針合議をしながら救出作業を進めたということでございます。
  15. 長内順一

    長内委員 話を進めたいと思いますが、先ほど、現地合同対策本部設置したと。これは事故が発生してからいつのことになりますか。
  16. 岡部三郎

    岡部国務大臣 十日の八時十分ごろに崩落がございまして、現地合同対策本部は二十二時二十分に設置をいたしております。その前に、現地連絡事務所というものをつくっております。これはへ先ほど言いましたように各機関連絡をする、さらにそれが一本となって行動するための合同本部を二十二時二十分につくっております。
  17. 長内順一

    長内委員 今回の救出の成否、そして一番のポイントは、やはりこの現地合同対策本部がいかに機能するか否かということが大変大きな問題であったと思います。そんな意味では、朝八時十分ごろに事故が発生して、二十二時二十分、夜の十時二十分に合同対策本部ができている、これはちょっと時間がかかり過ぎるのではないかなと私は思います。  この現地合同対策本部なんですが、ここの本部長が当然任命されました。なぜ小樽道路事務所所長がここの本部長になったのですか。
  18. 岡部三郎

    岡部国務大臣 現地では二十二時二十分でございますが、小樽では既に十時には対策本部ができておりますし、札幌の……(長内委員「いや、現地現地」と呼ぶ)現地合同本部ができたのは二十二時二十分でございます。  それから、道路事務所長対策本部長になったということは、やはりこういう事故が起きた場合の一番初動捜査としては、現地事情を一番よく知っておって、地元事情にも通じておる現地道路事務所長が適任であるということで、高松本部長を任命をいたしたわけでございます。
  19. 長内順一

    長内委員 先ほど申し上げましたけれども、やはり現地合同対策本部は非常に大事な位置づけになるわけであります。  そうして、今回私は開発局の役割ということを考えたときに、冒頭に申し上げましたように、建設省のお仕事、それから農林水産省運輸省と、これはさまざまな形で今回に匹敵するような災害が予想されるわけですよ。その場合、いわゆる危機管理になるんですが、緊急事態が発生したときにどういうふうに対応するかということなんでありますが、そのマニュアルがあります。  北海道開発局災害応急対策要綱という要綱があります。また同じように、北海道開発局災害対策本部設置要領、こういうものであります。ここにはさまざまな形で、いざというときに、緊急の場合にこうするんですよというマニュアルでありますが、まずこの二十七条のところに「災害対策本部長」という一項目があります。この二十七条の一項に「災害対策本部災害対策本部長を置き、本局本部にあっては局長地方部局本部にあっては当該地方部局の長をもって充てる。」というふうにうたってあるわけであります。ここで言う地方局においては当該部局の長というのは、この場合は、この総則を拝見いたしますと、地方部局というのは開発建設部だと。  ですから、私は、この緊急事態が発生して、それで二十人の方が閉じ込められて、そうして御家族の方が救出を待っている、この時点の災害対策本部長というのは少なくとも部長職でなければならない、こういうふうに思うのですが、なぜ一つランク下課長職である小樽道路所長がこの本部長になったのか。
  20. 岡部三郎

    岡部国務大臣 こういう事故が起きた場合に、やはり一番大事なことは現場事情を一番知っている者が中心になってやるということで、先ほど申しましたように、道路事務所長本部長にしましたけれども、小樽開建部長は直ちに現場に、事故以後高松所長と一緒に現場に駐在をいたしまして、外部との連絡その他、合議でもって指揮をとっておったわけでございます。
  21. 長内順一

    長内委員 現場をよく知っている所長ということはわかるんですが、それではこのマニュアル一体なぜこういう形になっているのか、大臣
  22. 松川隆志

    松川政府委員 お答えいたします。  この北海道開発局災害応急対策要綱でございますが、これにつきましては、主として水害等の広域的な災害対象にしたものでございまして、今回のような事故については、基本的にはこれは対象にしておりません。しかし、この要綱に準じて対策をとったわけでございます。今回の事故につきましては、広域的な問題ではございませんで、いわゆるトンネルにおける岩盤崩落という局所的な事故でございますので、現地状況をよく知りている道路事務所長本部長にしたということでございます。
  23. 長内順一

    長内委員 私が申し上げているのは、それは後でお伺いすることにして、一つのルールといいますかガイドラインがきっとこの、今くしくもお話しになりましたように、開発局災害応急対策要綱だと思うんですよ。だから、万が一のときにはこれを基準にして、そしてさまざまな救出作業が始まる、いろいろな作業が始まる、こういうふうに思うんですね。ですから、なぜここに書いてある形で進まなかったのかということを申し上げているわけであります。
  24. 岡部三郎

    岡部国務大臣 今総務監理官が申しましたように、手続上はそういうことでございますが、この要綱は、地震だとか洪水とか、こういう災害対象としたものでございます。今回は道路管理上の事故でございますので、それについてはこの要綱を準用したということでございまして、必ずしもそのとおりに実施したわけではございません。
  25. 長内順一

    長内委員 いや、大臣、二十名が亡くなっているわけですから、しかも、先ほど冒頭に確認いたしましたように、北海道開発局というのは道路管理仕事もやっているわけですから、だから、今回は事故だからこれが通用しないというのはいかがなものかと思いますよ。私は、やはり基本的には、マニュアルがないんであればこれから整備するだとか、そういう形の答弁ならわかりますけれども、いや、今回は事故で、ここに載っていなく て、ただ一応はこれを尊重して準じてやりましたというのはいただけません。もう一度お願いします。
  26. 岡部三郎

    岡部国務大臣 おっしゃいましたように、この要綱は必ずしも今回のような事故対象としてつくったものではございませんので、これを準用して今回は実施をしたということでございます。今回のこの事故にかんがみまして、この中身については早急に検討いたしてまいりたいと考えております。
  27. 長内順一

    長内委員 今回の災害が起きて、橋本総理は、十三日の閣議において、北海道崩落事故について、こういう状況縦割り行政と言われたら恥だ、北海道開発庁だけでなく、建設省、防衛庁など各省一体となって対応してほしい、こういう形で訓示をされたというふうに伺っております。  ただいま、現地対策本部の方が一生懸命になってこの救出作業をされて、そして大変な中で頑張られたことについては私も十分評価をするものでありますが、今回の現地合同対策本部、なかなかこれは複雑なんですね。合同対策本部でありますから、まず北海道開発局が入っています。それから道警、北海道警察、それから道の後志支庁、それから町が一二つ、余市町、古平町、積丹町、それに消防自衛隊、それから今回事故に遭いました中央バスと、十団体ぐらいの合同対策本部でございました。  私は、総理がこういう形の指示を出した、要するに、縦組織弊害を乗り越えて救出に当たるべきである、このように訓示された、それが果たして具体的にどんな形で実を結んだのか、御感想をいただきたいと思います。
  28. 岡部三郎

    岡部国務大臣 総理の御指示によって、縦割り弊害を除くという意味合同本部をつくりまして、基本方針は、そしてその基本方針に基づく時々刻々の分担はこの合同本部でぴしっと決める、後は個々の構成しております各部門の責任においてそれぞれの業務を実施をしたということで、まさに混然一体となって今回の救出作業を行ったものと考えております。
  29. 長内順一

    長内委員 いや、大臣、そうやって一生懸命やったことはいいんですが、総理が申された、縦割りの行政を越えて、それで今回は救出に当たるんだというお言葉を大臣も受けとめられたと思うんですが、具体的にどういう形でこれを実現化へ向けて取り組まれたんですか。
  30. 岡部三郎

    岡部国務大臣 今申しましたように、その基本的な方針は合同本部で常に、時々刻々会合を開きまして、そこで決めて、実行に当たっては、これは一緒にやるというわけにいきませんから、自衛隊自衛隊作業をやる、それから警察警察としての仕事をやっていただくということで、おのおの分担をしっかり決めて、責任を持って実施をした、こういうことでございます。
  31. 長内順一

    長内委員 私も先ほどから申し上げておりますように、それぞれがそれぞれの持ち分を一生懸命やったということは、これは冒頭から申し上げているとおりであります。しかし、今回のような緊急発生で事故が起きたときに、やはりこれを取りまとめる強いリーダーシップを持ったところがなかったら、このそれぞれの努力がきちっと結実していかないということを私は申し上げたいと思うんです。  そういう意味からいきますと、また話が先ほどに戻りますけれども、今回のこの対策本部長が、一小樽道路所長、この方の人間性がどうのこうのじゃないですよ、このお立場の方がそこへ座って、それでそれぞれの取りまとめをしたことが、果たしてこれでよかったのかなということが、私はどうしても疑念としてぬぐい去ることができないわけであります。この点について、いかがでございましょうか。
  32. 岡部三郎

    岡部国務大臣 当初は、ともかくも一刻も早く閉じ込められている二十名の方の人命を救出するということが最大限の目標でありますし、しかも、そのためには岩盤なり土砂を除くという土木作業を効率的に行わなければいかぬということで、現地事情に非常に詳しく地元事情にも通じている所長本部長にして実施をし、それに対外的な折衝がありますから、一番初めは開建部長、そして十二日、私が参りました日に、今度は札幌の方の開発局建設部長をそれに交代をさせまして、ずっと現地に常駐をさせております。  そして、十四日の段階になりまして、各部門がさらに共同して仕事をする必要性が高まりましたので、各部門ともその長を格上げしまして、したがって、本部長も、新山建設部長を本部長とする体制に変えたわけであります。
  33. 長内順一

    長内委員 いや、こういう形で話してもあれなんですけれども、私は、冒頭に申し上げましたように、今回やはり、これは実務それからノウハウを持っている建設省機構上の上部団体である開発庁と、この辺のきちっとした役割分担といいますか、それとリーダーシップがなかった、こういうふうに言わざるを得ないと思います。  なぜならば、今お話しになりましたように、途中から本部長を交代してみたり、それから現地開発局長、これももっと前面に出なければならないのにずっと札幌におりまして、しかもなかなか皆さんの前に顔を出さない、顔を出すのは岡部大臣が千歳に来たときに大臣を迎えに来るときだけというような話もあるわけです。  大臣、今二十名の命がなくなっているんです。私はここで大臣を、先ほども御意見がありましたけれども、この体制をほじくってどうのこうのということではないわけであります。今回の原因究明、こういうものを通して、やはりこれから先二度とこういうことが起きないようにということを当然考えていかなければならない、こういう観点から先ほどから申し上げさせていただいております。それと同時に、地元にいる皆さんの率直な声を代弁させていただいて今話しているつもりでございます。  もう一度御所見をお願いしたいと思います。
  34. 岡部三郎

    岡部国務大臣 こういう事故は時々刻々情勢が変わっていくものですから、やはりそれに対応する最善の組織でもって対応するということが非常に大事でございます。  当初は、冒頭はやはり事故の実態というものを一番よく知っている者がリーダーシップをとってやるのが必要でございますし、ある時期になれば、これは開発局とか建設省だけで人命救助ができるわけではございません、警察消防自衛隊の御協力も得なければいけませんから、そういう面での連絡調整をできる人間がそのヘッドとなってやる。  誤解をしていただいては困るのですが、そのメンバーはもう全部現地に張りついておったのですよ。ただ、役割を、本部長道路事務所長にしている、そういう名前を変えただけでありまして、構成メンバーは、初めからといいますか、建設部長でいえば十二日からはずっと現場にいたわけでありますから、実際の作業一体としてやっておるわけでありますが、役割は、時々刻々その事態の変化に応じて名前を変えた、こういうことでございます。
  35. 長内順一

    長内委員 ですから、今のお話でも、そういう、何というんですか、考え方じゃなくて、やはりぴちっとした人が立つべきですよ。そこにいたからだとかなんかじゃなくて、本部長というのは責任と権限を与えられるから本部長なんですよ。そこに常にいましたなんというのは、これは失礼な話だと私は思います。  こういう形で私はずっと見ておって、報道でも開発局が頼りにならないだとか、それから指示命令系統が乱れていただとか、いろいろな報道がありますが、私はこれを全部否定することはできません。  ただ、先ほど申し上げましたように、こういう事態が発生してまず私たちは何をしなければならないのか。人命の救助が第一であります。しかし、次にはこのことを教訓にして、二度とこういうことが起きない、そういう対策を講じなければならない、こういうふうに思うから先ほどから大臣に申し上げております。  先日、建設委員会では、予兆がどうだとか、そ れから中尾大臣の方からも前向きに踏み込んでいただきまして、今まで目でしか見ていなかった点検を今度は少し科学的に変えようじゃないかだとか、そういう議論を本当に前向きにしていただきました。私は、これは了といたします。  それで、岡部大臣、時間もありませんけれども、最後に一つ。  これから北海道のあのライン、七十七カ所のトンネルがある、日本全国で一番トンネルの多い国道であります。ここを中心として総合点検をやるというようなことを申しておりますけれども、これは、実施してこの結果をきちっと公表していただきたいと思います。  北海道で海岸通りをずっと走っていますと、よく落石に注意だとかいろいろなのがあります。でも、あそこに行って今回の事故を見てもわかるように、そこで気をつけろといったってどうしようもないわけでありまして、いろいろな方の知恵を集めてこれはやっていく必要があると思いますので、大臣、ひとつきちっと点検をする、そしてそれを皆さんに公表する、そして総合的にこの対策をそれぞれが考えていく、こういう体制をぜひお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
  36. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 お答え申し上げますが、今回の事故の重大性にかんがみまして、全国の道路管理者に対しまして二月十三日付で既に、トンネル坑口部及び落石覆工が設置されている箇所ののり面、斜面について緊急点検をするように指示いたしました。  今回の事故の教訓もございますが、極めて厳しい地形条件を持っているところ、例えば海岸線のようなところあるいは外壁の極めて高いところ、岩盤が露出しているようなところ、これについては重点的に調査をしたいと思います。さらに、地域地域につきまして、それぞれの地形、地質が違いますから、そういう意味で、地形、地質の特性に合ったような、そういう地域をよく御存じの学者、そういう方々にも御参画いただきまして、徹底的な調査をしたいと考えております。  国道二百二十九号についても、その中で特に重点的に調査をしてまいりたいと考えております。
  37. 長内順一

    長内委員 時間になりましたので終わりたいと思いますけれども、この後他の委員会でも、この件につきましてはこれからも議論を続けていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  終わります。
  38. 上原康助

    上原委員長 これにて長内君の質疑は終了いたしました。  次に、山本孝史君。
  39. 山本孝史

    山本(孝)委員 新進党の山本孝史でございます。  本日は、エイズ薬害とその真相並びに業務行政のあり方について質問をさせていただきたいと思います。  先週金曜日に菅厚生大臣が、このエイズ薬害の被害者の皆さんとお会いになって、これまでのことについての謝罪をなさり、国の責任をお認めになる発言をされました。これまでの、前任の森井厚生大臣も、なかなかこの所見を認めることが難しいというようなことをおっしゃっていたのですが、私がいろいろ資料を調べてみても、菅厚生大臣の発言につながるのは当然のことかなというふうに思います。  しかし、国の姿勢がここでがらっと、厚生大臣の発言で変わりました。そこのところのいきさつは、どういうことで謝罪の発言になったのか、まずその点をお聞かせをいただきたいと思います。
  40. 菅直人

    ○菅国務大臣 この問題については山本委員御自身も大変熱心に取り組んでおられるということで、従来から私もそのことをよく存じ上げておりました。  今、金曜日の件について、それに至る経緯等についてちょっと説明しろということですので、若干お話をさせていただきます。  私、大臣に就任いたしまして、この問題について、一つは、調査プロジェクトを省内に一月の二十三日に設けました。調査は調査として、省内の調査を進めておりました。それから、個別にいろいろな要請がありましたので、例えば、今回も出ておりますが、全国各地どこでも診療が受けられるようにとかあるいは薬が使えるようにとか、そういうものについては個々に指示をして、やれることからやっていこうという態度で臨んでおりました。  そういう中で、十四日、十五、十六と、東京の原告団を中心に座り込みがある、あるいは大阪の原告団も同じ時期に国会要請をされるということになりまして、その前後を含めていろいろと関係者と御相談をいたしました。特に、実は与党の中に薬害エイズの問題のワーキングチームがつくられておりまして、自民党、社民党、さきがけの三座長を中心にいろいろと相談をしていただいた経緯があります。  それで、十四日の段階では、その三座長が、座り込みをされていた厚生省前の日比谷公園のテントの方に出かけていただきまして、その場の話し合いの中で、厚生大臣と患者あるいは家族の皆さんの会談をといいましょうか、要請を受ける形をとったらどうだろうということになりまして、大阪の原告団を含めてお話伺い、いろいろな要請をいただきました。  その日はいわば要請をいただいたということで受けとめさせていただきました。  そして、一日置く間に、その間も省内でもいろいろと議論は重ねておりましたけれども、厚生省としても所見の線まではきちっと認めることがこの時点で必要ではないかという方向で大体内部の話がまとまりまして、同時に、実は総理のところにも、その日といいましょうか十五日の夕方、状況報告ということで報告をさせていただきました。  それ以前にも、閣議後などに総理から呼ばれて、どうなっているかというようなこともありまして、そういう経緯を御報告してあるのですが、一応前日に、大体こういう方向でということの省内の問題あるいは与党内のいろいろな議論の経過等について御報告をいたしました。  これは、今和解という段階ですので、法務省にも和解の段階では担当者が出ていただいておりますので、そちらとの若干の調整なども事務方でするということも含めて、一応省の中あるいは和解に関連しているところ、あるいは、内閣全体というのは手続ではありませんけれども、一応総理にもそういう報告をさせていただく中で所見については認めるという方向でいいだろうという判断をいたしまして、十六日、再度東京、大阪両原告団の皆さんとお会いをしたときに、そういう状況を踏まえて私の方から、厚生省としての責任、広くは、私が言ってよかったかどうかわかりませんが、原告団の皆さんが国の責任という表現をされておりますし、裁判所の所見に述べられた国の重大な責任という表現もありますし、いろいろな表現がありますけれども、そういうものを含めて認めるということを発言をさせていただいたところであります。
  41. 山本孝史

    山本(孝)委員 そこで、官房長官にお伺いをいたしたいのですけれども、今の厚生大臣の発言でも、これは総理に報告はしているけれども手続ではないとか、あるいは国の責任ということについて私から言ってどうかと思うとかというような御発言もあったわけですけれども、今回の謝罪、まさに国の責任を認めての謝罪というふうに受けとめてよろしいのか、いわゆる内閣全体として謝罪をしておられるというふうに受けとめてよろしいのかという点が一点。  それから、今後の和解交渉の中で極めて難しい問題になっておりますのがいわゆる外資系企業にこの和解に入っていただかないといけない、この外資系企業を国として説得をしていこうというふうに今お考えなのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  42. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 お答えをいたします。  先日厚生大臣が、裁判所が和解勧告に際して示した所見である国の責任、これを認め、なおかつ過般のHIVの原告団とのいわば会見と申しますか話し合いで心から謝罪をいたしたところでありますが、これは和解に向けて大変大きな前進になるものと私は理解をいたし、この問題の責任者である厚生大臣の発言でございますから、今後とも、この厚生大臣の発言を重要に受けとめ、和解による早期解決に全力を挙げてまいらなければならないと考えております。  なお、外資系の企業等についてもお触れになりましたけれども、厚生大臣に第一義的に交渉に当たっていただき、あるいは和解の勧告者である裁判所に最終的には御努力を願い、また政府として対応すべき必要があればこれに十二分に対応していきたい、このように考えております。
  43. 山本孝史

    山本(孝)委員 その点について、実は謝罪をして責任を認めたということで、おっしゃったように随分大きな転換を今示してきているというふうに思います。その御決断は高く評価をするものでありますけれども、和解の中で一時金の問題も確かに問題になっていますけれども、エイズ薬害の被害者の皆さん、今は日々この病気と闘っておられる、あるいは大変に命を縮めるような中で生活をしておられるのが実態でございまして、感染者の健康管理手当あるいは発症者の介護手当など、いわゆる恒久対策というのが私は極めて大切なのだろうというふうに思います。  そこがしっかりととられてこそ初めてこのエイズ薬害の解決というものに向かっていくのではないかというふうに思うわけですけれども、この健康管理手当あるいは発症者の介護手当など、いわゆる恒久対策についても国は行っていくというふうに今の謝罪あるいはただいまの官房長官の発言を受けとめてよろしいのかどうか、そこの点、よろしくお願いいたします。
  44. 菅直人

    ○菅国務大臣 まず、和解の状況を若干御報告申し上げますと、御承知のように昨年の十月の六日に東京、大阪の両地裁で和解の勧告がなされておりまして、そのときに和解勧告に際してということで所見も示されたわけであります。この和解勧告に対しては、前厚生大臣の時代に努力をされまして、十月の十七日に国としても和解の席に着くという、そういうことを決めて和解協議に加わったわけであります。そして、和解の協議は十一月から具体的には開始をされまして、現在、東京、大阪の両裁判所で週に数回のペースということで、かなりのベースで精力的に協議が進んでいるところであります。  そういう段階で、現在かなり重要な段階に来ている。その中で、今官房長官からも言っていただきましたように、一昨日のそうした態度表明というのは、あくまでこの和解の中で示された裁判所の見解、所見を厳粛に受けとめようという与党のお考えをも含めて認めさせていただいたということで、まさに和解の中での解決というものが最重要だということで、ある意味では最終段階といいましょうか最重要段階といいましょうか、いよいよそういう段階に差しかかっているというふうに理解をいたしております。  その中で、今、山本委員の方からお話のありました恒久対策につきましては、いろいろ議論が、具体的に話し合いが行われております。東京の原告団、大阪の原告団からもいろいろな提案がなされているということを私も聞いておりますし、そういう意味では、健康管理手当等の考え方についてもいろいろ原告団の方から提起がなされているというふうに聞いております。  また、御承知のように、これまでも一定の対応は、この裁判の枠組みとは若干違うかもしれませんけれども、現在の感染をしてある程度の症状の人に対してはある種の手当のようなものが出るような構造になって、あるいは発症した方についてもそれなりの手当が出るような仕組みにはなっておりますが、そういう現在の状況の枠組みと、この和解の中で恒久的な枠組みをどのような形でつくり上げていくのか、まさに議論の中心課題の一つだということでとらえております。そういう点で、内容的には今まさにそういう議論がなされているということは十分申し上げることができるかと思います。  あわせて、今も言われました恒久対策の中で、まさに一刻も猶予のならないいろいろな医療体制あるいはエイズ医薬品の研究開発の推進などにつきましては、今年度の予算にも、前年度の三倍になりますが、医療体制の充実に二十一億円認めていただきまして、さらにエイズ医薬品等の研究開発の推進には、同じく昨年の倍程度の約十五億円を確保いたしております。  さらには、アメリカで使用されているエイズ治療薬であって日本でまだ承認されていないものについても、これはメーカー等の協力も必要でありますが、試験薬、つまりは試験用の薬として患者さんに使うことができるように、関係者、企業等の協力も得て実現に向けて今努力をしている、そういう状況にあることを御報告申し上げます。
  45. 山本孝史

    山本(孝)委員 恒久対策の健康管理手当あるいは介護手当のことについてはもう一度後で御質問をさせていただきたいと思いますけれども、日本の国の中において、サリドマイドあるいはスモンという大きな薬害を経験をしてきています。スモン薬害のときに原告団と確認書を取り交わした五十四年九月、時の厚生大臣が橋本龍太郎先生、今の総理大臣でございました。  このスモン薬害を受けて薬事法が五十四年に大きく改正をされる、あるいは医薬品被害救済基金法という薬害被害者の救済のための法律の制定を見るわけですけれども、この法制定においても尽力をされたのが当時の橋本厚生大臣であったのかと思います。それで、特にスモンの和解においては、最後までこの和解に参加を拒んでおりました田辺製薬に強く働きかけをされて、和解のテーブルに着くようにということを働きかけをされたのも当時の橋本厚生大臣。  言ってみれば、この薬害問題についての、スモンとエイズというのは極めて似通った薬害の発生構造を背景に持っているわけですけれども、そういった点においても、当時のスモンを解決していただいた橋本先生が今度はエイズも解決してもらえるのじゃないだろうかという気持ちは被害者の中に私は極めて強いだろうというふうに思うわけです。  あるいは五十四年の薬事法改正において、日本の業務行政が大きくそこで流れを変えるわけですけれども、その流れを引きずってくる中で実は今回のエイズ薬害が起きている。そういう意味でもやはりこの五十四年に戻って、橋本先生の当時の厚生大臣としての御判断のところに一度戻って検証をしてみないと、これから先の薬害の再発防止というのも検討することができないのではないかというふうに思っているわけです。  先ほどの官房長官の御発言で、国も一生懸命取り組むのだという御発言でございましたけれども、ぜひそういうお言葉を総理御自身からお伺いをしたいというふうな気持ちも私は持っておりまして、総理に御出席をいただいて、エイズ薬害についての審議をさせていただけるような機会をぜひおつくりをいただきたいと思います。先生方にはどうぞ御尽力をいただきたいというふうに思います。  大蔵大臣にお伺いをします。  久保大蔵大臣は、先ほど申し上げた薬事法改正のときに、参議院に回っていくわけですけれども、そのときの参議院の社会労働委員会の委員長をたしかお務めであったというふうに思います。そういった意味でも今回のエイズ薬害については御見解をお持ちではないかというふうに思いますので、今回の厚生大臣の謝罪を受けられて、あるいは横で見ておられてのお気持ちをお聞かせをいただきたいと思います。
  46. 久保亘

    ○久保国務大臣 今御発言がございましたが、私、五十四年から五十五年にかけて参議院の社会労働委員長を務めました。その当時、薬害による被害者の救済の問題についていろいろな問題がありましたことをよく記憶をいたしております。  当時、厚生大臣をそのころ橋本首相が務めてお られたと思いますが、そういう立場も踏まえられて内閣としての施政方針演説の中で、エイズ問題については、和解による早期解決に全力を挙げるとともに、責任問題も含めて必要な調査を行い、薬害による被害の再発防止に努力をする決意を述べられたと思うのでございます。  私も、首相が施政方針で述べられたこの考え方をともにしながら取り組んでまいりたいと思っておりますが、先ほど厚生大臣が直接この和解に向けての国の責任、謝罪にも触れられて、努力をされました経過についてもお話がございました。私は内閣としてそのような立場で取り組むべきものと考えております。
  47. 山本孝史

    山本(孝)委員 重ねてお尋ねします。  和解に伴ってかなりの金銭を要するような状況になるわけですけれども、また、恒久対策費用も多額に上ってまいると思います。大蔵省としても十分な対応をしていただけるものでしょうか。
  48. 久保亘

    ○久保国務大臣 今御審議をいただいております平成八年度の予算におきまして、エイズ問題の総合対策費としては、七年度の百十億を百三十三億といたしております。また、医薬品等の研究開発のための予算も、七年度の三十一億から四十七億を計上をいたしているわけでございますが、厚生省の方で今度の和解の協議成立等を通じていろいろと御検討いただくものと思っておりますが、それらの協議の結果等を十分に厚生省とも検討協議をさせていただきたいと思っております。先ほど申し上げましたような姿勢に基づいて今後の予算措置等についても努力すべきものと考えております。
  49. 山本孝史

    山本(孝)委員 来年度予算でエイズ関連の経費がふえているというか、予算をふやしたということをおっしゃっておられるわけですが、余り内容的には実はこの被害者の恒久対策という面には直接的に結びついてこないのですね。  先ほど厚生大臣がおっしゃいました、今も一定の対応をしているということですけれども、恐らく友愛福祉財団から支給されている医療手当あるいは特別手当のことをおっしゃっておられるのだと思いますけれども、和解が成立するとこれらの今の手当はなくなってしまいます。それにかわるものがやはり必要ではないのかというふうに私は思うわけですけれども、その点は厚生大臣、どうなんでしょうか。
  50. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、山本委員のおっしゃった特別手当等で現時点では患者の皆さんに対するフォローといいますか、支援をしているわけですが、この和解がまとまった場合は、これまでの支援の枠組みが基本的に和解の結果に基づいての新しい枠組みに変わるものだというふうに私も理解しております。  その内容につきましては、先ほど申し上げましたように、今、原告団の方からいろいろな提案、要望、要請、要求が出ていることは十分承知しておりますが、まさにその中身を含めて、国としてどこまでどう対応できるのか。同時に、この問題は、国と同時にもう一つの被告であります製薬メーカーの方も、それをあわせてどういう形で受けとめていただけるのか。これを裁判所の場で、つまり和解のテーブルという場で、裁判所がいわば間に立ってといいましょうか、話が進んでおりますので、その中で、できるだけいい形の解決案を実現するように私たちも全力を挙げていきたいと思っております。  なお、財政的な問題は、今も大蔵大臣の方から大変理解ある御発言をいただきましたが、その議論の中でまたいろいろ御相談を申し上げなければならない、このように思っているところです。
  51. 山本孝史

    山本(孝)委員 今回の一時金、四千五百万という金額、裁判所が御提示になっている話なので国会の場でそれをどうこう言うのはおかしいのかもしれませんけれども、スモン薬害のときの和解金額から見ても、その後、五十四年から今ですから十六年たっている、物価の上昇等を考えると、四千五百万というのはどうなんだろうというふうに素人的にも思います。自動車事故に遭って亡くなったときにどうなんだろうというふうな金額の比較をしてみても、やはり少ないのではないかというのが率直な気持ちであります。  そこのところで、今おっしゃったように、新しい枠組みになるという中で、友愛福祉財団から出ている今のそれぞれの手当、少額でありますけれども、これもなくなってしまう。  和解金で一時金をもらったけれども、実際のところ、生活も大変、あるいは病院に行くのも大変、差額ベッド代の負担も大変、東京でしかいい治療が受けられないというので、地方から出てこられる旅費を負担するのも大変。生活が大変な中で、ここのところをしっかりとしたものを、恒久対策をつくらないと謝罪をされた意味がないのではないかというふうに思うわけであります。  原告の皆さんも、裏切らないでくださいよ、信じていますというふうにおっしゃっておられる。ここで再び裏切られると、厚生行政のみならず、日本の政治というものに対して、行政というものに対しての不信感はきわまってくるというふうに思うわけであります。  そういった点で、もう一度お伺いしたいのですけれども、こうした恒久対策はしっかりととっていただけるのですね。
  52. 菅直人

    ○菅国務大臣 金曜日の両原告団の皆さんとの話の中でも、実は、先ほど申し上げた与党のエイズ問題検討ワーキングチームの皆さんも同席をいただいたわけですけれども、その金曜日の昼に、与党の方からも、「薬害エイズ問題の全面解決に向けて」ということで、三項目を厚生大臣に要請をいただいております。  その中で、第一は、「「和解勧告にあたっての所見」を厳粛に受け止め」ていこうということでありますが、第二点目でかなり具体的な表現があります。実は、これをその場でも、私も、何といいましょうか、内容的に同じものを使わせていただいたので、ちょっと読ませていただきますと、この与党の要請文では、第二項目として、   私たちは、生存被害者の治療体制の充実や生活支援を柱とする恒久対策をはじめ、治療薬の承認前使用、治療薬の開発など被害救済について、被害者の皆さんを始め関係各方面の意見を十分にくみ取りつつ、主体的かつ積極的に取り組み、HIV訴訟の早期全面和解に向けて、与党として、具体策を早急にとりまとめる。 こういう形で恒久対策という表現も含めて要請をいただいております。  私は、患者、家族の皆さんのところで、文章は特にお示しはいたしませんでしたけれども、与党の提案されている、要請されているこの文章を一部そのまま読み上げて、こういう考え方を厚生省としても受けとめて、そういう方針でやりたいということを申し上げました。  そういう意味で、恒久対策の内容そのものにつきましては、今和解のテーブルの中で積極的な議論をされておりますが、恒久対策という枠組みそのものについては、それは実現をするという方向でやっていく考えです。
  53. 山本孝史

    山本(孝)委員 被害者の意見をよく聞いていただいて、常設の協議機関のようなものもつくって、要は、国がやってあげるということじゃなくて、一番何を望んでおられて、どういう体制をとるのが一番いいのかということをしっかりと、謝罪をされた厚生大臣ですからそこはよくおわかりのこととは思いますけれども、ぜひそういう形で対応していただきたいと思います。  恒久対策に絡んでの話ですけれども、このエイズの患者さんへの治療について、極めて地域間格差が激しゅうございます。いわゆるカリニ肺炎というような症状がありますけれども、せんだっても、九州の方でそういうような状況で亡くなられたという御報告がありました。今の東京での治療体制で考えれば、カリニ肺炎で亡くなるということは考えにくい、それほどに、やはり十年以上この地域間格差が治療の面であるのではないかというふうに言われています。  そういう中で、東京大学の医科学研究所、医科研が、この治療の中でのいわば大本山といいますか、そこに行かないと治らないというか、そこで 最高の治療を受けたいと思っておられる患者さんがたくさんおられるわけですけれども、残念ながらそのベッド数等でかなりの制限がある、そんなふうにも聞いているわけですが、現在の東大医科研でのエイズ患者の皆さんの診療状況あるいは患者の来院状況、あるいはベッドでどの程度対応できるのか、そういったような状況についてお話をお聞かせいただきたいと思います。
  54. 雨宮忠

    ○雨宮政府委員 お答えいたします。  東大の医科学研究所の附属病院におきますエイズ診療の問題でございます。  従前は、感染症研究部、感染免疫内科というところで臨床研究それから診療を行ってきていたわけでございますが、平成六年度におきまして、新たにエイズ診療部というのを設けまして、エイズ診療体制の整備を図ったところでございます。  今年度、現在に至りますまででございますけれども、入院者四十六名、それから外来の方百十五名の感染者の方々の診療を行っているところでございます。  また、医科学研究所の附属病院といたしましては、エイズの診療方法等の普及ということもございまして、他の医療機関から医師やあるいは看護婦等の方々の受け入れも行っているわけでございまして、平成四年度から現在までに合計で二百二十一人を受け入れているところでございます。  文部省といたしましては、今先生御指摘のように、国立大学の附属病院におきますエイズ患者受け入れ体制の整備のために逐年整備を図ってきているところでございまして、来年度も六億一千百万円の計上を行っておるところでございますが、今後とも受け入れ体制の整備に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  55. 山本孝史

    山本(孝)委員 医科研で、ベッドがいっぱいだから、せっかく来られたけれども治療ができませんという形で帰っていただくということを随分患者さんから聞くわけですね。  今、厚生省で拠点病院構想をつくられて、各県に少なくとも一つ病院を置いていきたいというようなことでやっておられるのかと思いますけれども、先ほどの、来年度予算でこういろいろつけたけれどもと、それじゃ私は十分じゃないんだと申し上げたのは、幾らこの施設を整備をしてみても、そこでしっかりと診療をしてくれる医者がいないと、すなわちエイズというものに対しての知識を持って、最高の治療法を持っている医師がいないと、箱物を幾ら整備しても診療の水準というのは上がらないというふうに思うわけです。  さらに関連して言えば、拠点病院というのは、整備はしたけれどもその名前は公表しないという形で、一体どこの病院に行ったらいいのかわからない、そういうような状況も続いているわけですね。なおさら悪いことに、そこで診療拒否であるとか、あるいはこんな治療が行われていていいのだろうかというようなケースがいっぱいあるわけです。  例えば、ドクターが部屋に入ってきて、そして傘の先で患者さんのすそをまくり上げて、ああ大変な状況ですねというような話になる。あるいは東北の方で、集団告知というような形で、患者さんをみんな集めておいて、そこの会場に行くと、そこにはエイズを発症した人のためにというようなパンフレットが置いてある、そういうような形もある。  あるいは外来の診療室の中で、あなたは知らなかったのですか、あなたはエイズですよというような、カーテン一枚越しで外に聞こえるような状況の中でこの感染告知というものが行われている。診療の状況も極めて悪いし、しかも告知ということに対しても対応は全く悪いし、しかも地方で、何でこんな病気で亡くなるんですかというような状況で亡くなられているというような点で、極めて問題が多いと思うわけですね。  この点に関して、今地方の研修医を、今も御答弁にありましたように、東京に来てもらって研修をしているということですけれども、こういうところをしっかり取り組みをしていただかないと、本当の恒久対策に私はならないんだというふうに思うわけです。  文部大臣にお伺いをしたいのですけれども、とりわけこの医師の資質というものが、実はエイズに感染をしたらそれを告知するんだということは、厚生省の中のエイズサーベイランス委員会というのがありますけれども、ここのところで原則告知をするということを決めているんですね。  ところが医者が告知をしないんです。しないがために二次感染という形で奥さんにあるいは恋人に感染が広がっている、そういう極めて悲劇が悲劇を生んでいる状況というのがあるわけですね。この医師の資質というものが極めて大切なんですけれども、そういったところできちんとした取り組みをしていただいているんだろうか、そこのところを聞かせてください。
  56. 奥田幹生

    ○奥田国務大臣 医学教育におきまして、医師としての基礎的な知識それから技術を身につけることは、これはもう当然でありますけれども、先生御指摘のとおり、倫理観を厳しく持つということも非常に私も重要なことだと思っております。とりわけ昨今のように、例えば脳死でございますとかあるいは臓器移植、こういうような新しい課題が次々に出てまいりますと、特に医師というのは、家族との信頼関係も非常に重要になってきておりますが、その根底をなしますのはやはり倫理観であるというように私は思っておるわけでございます。  したがって、文部省といたしましても、それぞれの授業科目の中で、医の倫理でございますとか、あるいは生命の尊厳に関しましての教育を行ってきたところでありますけれども、さらに今後におきましてもますます重要になってまいりますので、人間性豊かな医師、こういうようなことについても積極的に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  57. 山本孝史

    山本(孝)委員 大臣、お答えになっているのは通り一遍の答えといったら申しわけないのですけれども、具体的な施策を持って医師の教育というものに当たっていただかないと、全くもって変わらないのですね。生殺与奪権を握っているというような状況の中で、告知もしないということが行われている、そこで二次感染も広まっていっているんだという点をぜひ御認識をしておいていただきたいと思います。  時間がありませんので、この真相解明についてお伺いをしておきたいと思います。  今回、菅厚生大臣のもとで省内にプロジェクトチームがつくられて、当時の関係資料の発見というか確認をするようにということで作業に取り組まれました。裁判所においても、あるいは国会答弁においても、厚生省は、その資料については確認できないという言葉を繰り返してきたわけですけれども、プロジェクトチームができてわずか三日でこのファイルが厚生省のそれぞれの所管のロッカーから発見をされた。一月の二十六日に発見をされたというふうに聞いていますけれども、厚生大臣のところには、この発見の事実はいつ伝わったのでしょうか。
  58. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、山本委員の方から御指摘がありましたように、一月の二十三日に事務次官を責任者とする血液製剤によるHIV感染に関する調査プロジェクトチームというものを発足をさせました。大体一カ月をめどにして調査をしようということで、まあ調査の大体の方針などを、その後私も含めていろいろ指示をいたしました。  そして、調査が始まりまして、私のところにはたしか二月の九日に薬務局長の方から、この調査の過程の中で従来見つかっていなかった資料が見つかったということで、合計しますと九冊のファイルが発見された。それぞれ発見の時期は若干の差がありまして、二十六日に発見されたものもあり、あるいは二月の八日に発見されたものもありということで多少の差があったわけですけれども、そのことを、私のところに報告のありました二月九日の夕方というか少し遅い時間になりましたが、そのときにこういうものが見つかったということについては公表をさせていただきました。
  59. 山本孝史

    山本(孝)委員 発見から発表まで足かけ十五日間というふうに時間がかかっていますけれども、随分長いと思うのですが、こんなふうになぜ長い時間がかかったのですか。
  60. 菅直人

    ○菅国務大臣 私としては、二十三日にプロジェクトをつくりまして、一カ月をめどにいろいろな分野ですが徹底してきちっと調査をしてくれということは強く指示いたしまして、そういう意味では、従来見つからなかったものが見つかったということは、私はそれなりにしっかりした調査が行われた結果であろうというように前向きに受けとめております。  若干時間がかかったのは、私のところに対する報告では、例えばそのファイルがだれがつくったファイルなのかといったことを確認をしていた、それがもう役所に現在在籍していない人のファイルなどもあった関係で、そういうものを確認するので若干の時間がかかったんだ、あるいはそうであろう、そういうように認識しております。
  61. 山本孝史

    山本(孝)委員 発見したという第一報だけでも入っていないのかなという、極めて不思議な気がするのですね。十五日間も厚生省の役人の手元にとどまっているということが私はおかしいということを言っているわけです。  二月十三日の本委員会で菅厚生大臣がこんなふうな答弁をされておられます。「少し中身を精査をしつつあるところですが、」「従来裁判所が所見の中で、国はこういう注意義務を怠ったじゃないかとかいろいろなことを指摘をされておりますことについて、やはりそれを受けとめなきゃいけないのではないかと思われるようなものも入っておりまして、」というふうにおっしゃっておられますけれども、この「もの」というのはどういうものが入っていたのですか。
  62. 菅直人

    ○菅国務大臣 所見の中で、裁判官はかなりいろいろなことを具体的に指摘をされております。特に、東京地裁の所見の中では、例えば、厚生大臣は薬事法上、「医薬品の安全性を確保し、不良医薬品による国民の生命、健康に対する侵害を防止すべき職責があったというべきであるが、」とか、あるいは「汚染されているおそれがある医薬品が製造、販売されることがないよう措置したり、医薬品の副作用や不良医薬品から国民の生命、健康を守るべき責務がある」という表現とか、そういうふうにかなり大臣としてそういったものを十分に監督するあるいはチェックする責任があるということを指摘をされております。そういった点で、こういう裁判所の所見について、最終的には先週の金曜日に認めるという発言を私の方からさせていただきました。  これに至る過程は、その発見された資料も私もずっと読んでおりますけれども、必ずしもその中にある資料で見解が変わったということではなくて、それまで言われてきたことが半ば確認されたというようなものもあります。  例えば、これは山本委員は御承知だと思いますが、偽証罪で告発をされた当時の課長の告発の中で示された資料なども新たに発見された資料の中に入っておりました。その資料には、血液製剤によるエイズの感染のおそれについて、肝臓、いわゆる肝炎の感染とよく似ているといったような表現が含まれていたわけですが、そういうものも、確かに発見されたファイルの中にも同じものが入っておりましたし、そういうことを含めて、裁判所の指摘をされた所見の中で言われていたことについては、これは全面的に所見の内容を認めていくことが必要じゃないか、そういうことで一つの判断材料の補強になったというふうに思っております。
  63. 山本孝史

    山本(孝)委員 ですので、所見に述べられていることを認めなければいけないような具体的なものとは一体何だったのかということを聞いているわけです。  研究班の一回目から三回目までの資料が入っていたというのは新聞にありましたけれども、そもそもこの研究班は何回開かれていたのか。三回目以降、すなわち四回目以降の資料はその中には入っていなかったんですか。資料は入っていなかったのか、大臣に聞いているんです。見たんでしょう。資料は入っていなかったんですか、ファイルの中に。何回開かれたんですか、研究班は。
  64. 菅直人

    ○菅国務大臣 研究班そのものは五回開かれたというふうに聞いておりますが、資料の中で見る限りは三回目ぐらいまでに関連するものは入っていたと思いますが、それ以降のものは、私が見た資料には、特に一冊目のいわゆる郡司ファイルと言われるものですが、その資料には、私の記憶では入っていなかったように思います。  ただ、他の膨大な、九冊ありますので、ざあっとは目を通しましたが、まだ私もそんなにメモをとりながらこれがいつの時点かということまで細かくやっておりませんので、必要があればもっと細かく見ているであろう薬務局長の方から答弁させます。
  65. 山本孝史

    山本(孝)委員 所見を全面的に認めるような資料があったということで、それは、厚生大臣がこれまでずっと調査は御自身でもなさってこられた中で、それを補強するようなものであって新しいものはなかったんだという話ですけれども、そうしますと、一番裁判で争点になっています一体どの時点で血液製剤の危険性が予知できたのかということについて、このファイルの中にそういうような資料はあったんですか。あるいは、今厚生大臣は、一体いつの時点だったらそれは予見できたというふうにお考えになっているんですか。
  66. 菅直人

    ○菅国務大臣 これは、本当に率直に申し上げて、何といいますか、機械的にこの時点と言えるのかどうか、流れがありますので、なかなかはっきり私自身言い切れないところがあります。  例えば、私が記憶しているもので言いますと、このエイズ班の第一回目が開かれるよりも前に、たしかある大きな新聞社がエイズ班の班長になられた安部先生に、人の欄のようなところでインタビューをされているわけです。そのインタビューの記事を見ると、安部さんは、いわゆる非加熱製剤でのエイズ感染のおそれがあっていても立ってもいられないというような表現をされております。あるいは当時の生物製剤課長の郡司課長も、やはり当時の新聞記事のコメントの欄では、やはり非加熱製剤によるエイズ感染のおそれがあるのでこういう研究班を急いでつくろうとしているんだというような趣旨のことを言われております。  ですから、私が見る限りは、いわゆるエイズ班の内部の資料にももちろん関連したものは入っておりますけれども、必ずしもそういう資料を見るまでもなく、つまりエイズ班が生まれる前段階でも、相当のレベルでそういう危険性は関係者の中では理解されていた。もちろん、アメリカのデータとかいろいろなものがさらに前にあったことは資料的にはわかっておりますけれども、少なくとも当事者として、エイズ班に関係した人の発言を新聞などで見ても、かなりはっきり危険性はわかっておられたんじゃないか、そういうふうに認識しております。
  67. 山本孝史

    山本(孝)委員 少なくともエイズ研究班が設置をされるより前に、この危険性については予知されていたというお答えなわけですね。やはり、安部英さんが班長になられたあの研究班の議論の内容というのが極めて問題であろうというふうに思うわけです。そういう意味で、五回とおっしゃったので、あと四回目、五回目の資料もぜひ探していただいて、お出しをいただきたいというふうに思います。  今回のこのエイズ薬害の真相解明という点については、このファイルの存在というのは極めて大きなものがありまして、このファイルが見つかったがゆえに責任の所在を認め、謝罪をするという形につながっていったようにも思うんですね。そういう意味でも、ぜひこのファイルを、プライバシーということでいろいろおっしゃるのかもしれないけれども、となれば、国政調査権に基づいての資料提出要求をぜひしていただきたいというふうに思います。御検討をいただきたいというふう に思うわけであります。  私もいろいろとこの研究班の報告を読んでいて思いますのは、今おっしゃったように、研究班が設置される前に既にいろいろ危険性がわかっていながら、当時の担当者も、郡司さんもそういうふうに思いながら、しかし最終結論としては、濃縮製剤の地位は動かしがたいという形でそのままずっと続いていくわけですね。なぜそういうふうな判断の中で研究班の結論は違う方向にいってしまっているのか、そこのところが私はこの真相解明の中の一番大きな問題点の一つであろうというふうに思うわけです。  研究班の中のお一人に西岡久壽彌さんという方がメンバーとして入っておられますけれども、その方は、研究班の中でエイズに関する文献を集めて委員会に提供したというふうに総括報告書にも記載をされておられます。  その西岡さんが、五十八年の六月十三日付の週刊医学界新聞という、こういう新聞がありますけれども、六月十三日というのは、まさに第一回のエイズ研究班の会合が開かれた日、その日の日付になっています。もっとも国会図書館の受け付け印は六月十一日ですから、もっと早くこの新聞は出ているんだろうというふうに思いますけれども、ここのところで、「AIDSの問題と研究の進展」ということで、今申し上げたように、文献を集めていろいろ検討してみたということのまとめを書いておられる。すなわち、研究班が始まるときには、このまとめはもうできているわけですね。  この中で、血友病患者にもエイズが発症をしているんだということを書いておられますし、「病原体としてはウイルスが最も容疑が深い。」とも書いておられる。あるいは「予防対策」として「もっともマイルドな方法として六十度十時間の加熱処理」をすることがよいというふうに書いておられます。「おわりに」「感染経路としての輸血や血液製剤の登場、しかも米国の輸血用血液や血液製剤の輸入を禁止しようとしているフランス、オランダ、英国などの西欧諸国のうごき(五月二十三日、ニューヨーク・タイムズ一など、事態はわが国にとっても重大な問題になりつつあるように考えられる。」こういう話になっているのですね。  この方が研究班のメンバーのお一人として加わったその安部研究班の最終結論は、実はこのとおりにはならなかったわけですね。そこのところのいきさつが、一体なぜそういうことになってしまったのか、これが一番の問題だと思うのですけれども、これは推測の域を出ないのかもしれませんが、いろいろと資料をお読みになった厚生大臣として、なぜそうなってしまったというふうにお考えですか。
  68. 菅直人

    ○菅国務大臣 まさに今、山本委員が言われた点について、私自身も非常に、何といいましょうか、大きな疑問をかつてから感じておりました。現時点で、その疑問が一〇〇%、こうでこうだからこうなったんだというふうに私自身が解明できたと思えているかというと、こうでこうだからこうなったということをきちっと申し上げるほど、私が見た資料を含めても実はまだ完全には申し上げるところまではいっておりません。  ですから、まさに資料そのものもどこかの段階では公表しなければならないと思っておりますが、今言われた問題は、これからそれぞれの関係者の中で、さらに必要な調査があれば調査をして解明をしていただきたい。推測でというお話もありますが、ちょっと今私の立場で余り推測で物が言いにくいものですから、そこは避けさせていただきます。
  69. 山本孝史

    山本(孝)委員 厚生大臣がおつくりになった省内プロジェクトチームの結論は、今週末が一カ月のめどになってくるのではないかというふうに思います。和解交渉そのものは三月が山場ということになりますと、確かに今回心を込めての謝罪をされた、その点は高く評価をすると申し上げているわけですが、それは責任の所在を明確にされた上で、こうだったんだからやはり謝らなければいけないんだという流れでないと、これは口先だけの謝罪の言葉になってしまうわけですね。  そういう意味で、厚生省の中で現在その状況も一生懸命調査をされておられるというお答えですけれども、いわば、もう今週一週間しか時間がない。そういう中で、精力的にぜひこの調査を続けていただいて、しっかりとした報告を出していただきたいというふうに思います。でないと、繰り返しになりますけれども、謝罪が口先だけになってしまうのではないかというふうに私は思うわけです。  そういう点でも、きょうは時間が大変に限りがありまして、すべての点についてお伺いすることはできないわけですけれども、ぜひこの委員会の中で、もう一度このエイズ薬害の真相解明についての時間をつくっていただきたい。そして、先ほど申し上げたように、一番問題になっている今回見つかったこの資料を、ぜひ委員会の場に提出をしていただいて、委員長、その点のお取り計らい、この集中審議と、それから資料の提出要求という点についてぜひ御協議をしていただくように、よろしくお願いいたします。
  70. 上原康助

    上原委員長 後刻理事会で協議をさせていただきます。
  71. 菅直人

    ○菅国務大臣 今、山本委員がおっしゃった前半の件なんですが、確かに今回の問題はいろいろな、何といいましょうか、責任ということでもいろいろな部分の責任が議論をされなければならないと思っております。  その中で一つだけ。これはもう山本委員は十分御理解いただいていると思いますが、つまり、どういう経過でこういうことになったかということもきちんと調査をし、原因を究明しなければいけないわけですけれども、同時に、一刻も早い和解による救済ということも実現しなければならない。つまり、その二つのことを、私はある意味では並行してきちっと進めなければいけないんだというふうに思っているわけです。  それだけに、ある意味では今厚生省として力を入れなければならないのは、もちろん原因究明に至るような調査もきちっと現在やらせておりますし、それはそう遠くない時期に、最終的になるか中間的になるかわかりませんが、調査の結果はもともと公表することをお約束して始めているわけですから、それはそれでやらせていただきたいというふうに思っております。  と同時に、今申し上げましたように、あとこの一カ月とか一カ月半とかという比較的短い時間の間で、確実な、関係者それぞれが了解していただける和解を実現させなければいけない。このことも十分に念頭に置いて、場合によったら他のことが若干、和解の時点では一〇〇%解明されているというところまで時間的にいかなくても、和解の方はきちっと実現をして、そしてまだ残された問題はさらに進めていく、そういうことが必要になるのではないか、その点はぜひ十分御理解をいただきたいと思っております。
  72. 山本孝史

    山本(孝)委員 おっしゃっているとおり、和解が大変重要な局面に来ているというふうに私も認識をしております。その点において、外資系の企業に対して国全体として説得をしていただきたいというふうに冒頭お願いもしましたし、一時金のみならず恒久対策という中で、しっかりとした恒久対策、治療も受けられるという状況、あるいは健康管理手当というようなことで、発症予防にもきちっと参加できるような手だてを加えていただかないと、そこのところの和解の成立が難しいのではないかというふうに思ってもおりますので、ぜひ御尽力をしていただきたいというふうに思います。  ただ、申し上げているように大変に不明朗な点が多々ある今回のエイズ薬害の問題ですので、これはこれから先の薬事行政全体、あるいは薬事法の改正というようなものも予定されているようでありますけれども、その中でもその前提としてきちっとここのところの、なぜこういうことが起きたのかということを解明していただかないと、この薬害の再発防止ということには取り組みができ ないのではないかというふうに思うわけです。そこのところは多少時間がかかる、前後するかもしれないという御答弁でありますけれども、しっかりとした真相の解明に取り組んでいただきたい、我々は取り組まなければいけないというふうに思うわけであります。  その中で、この日本トラベノール社から出ました五十八年六月二日の回収文書、この点についてもまた追ってお聞きをいたしたいと思いますけれども、時間がありませんので、きょうは回収の点についてお伺いをさせていただきたいと思います。  非加熱製剤が危ないということで、さっき申し上げたように加熱製剤の開発になります。加熱製剤ができました。できましたけれども、非加熱製剤は回収をされなかった。そのまま市場にとめ置きの形になったわけですね。  申し上げているように、スモン薬害を受けて昭和五十四年に薬事法が改正になります。その中で、国は販売の一時停止、廃棄または回収、その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置をとるべきことを命ずることができるようになった。薬事法が改正をされまして、こういうふうに製品の回収ということも国が自分の権限でもってできるようになった。しかし、改正されたけれども、それは残念ながら製品の回収にはつながらなかったわけであります。  当時の生物製剤課長は今厚生省の保健医療局長をなさっておられる方でありますけれども、この非加熱製剤の回収について、当時の松村生物製剤課長は、上司とは相談しないで最終的に課長が決めたというふうにおっしゃっておられるわけです。しかしながら、これほどの重要な問題を上司に相談しないで、一つの課の課長が決めていいのだろうかというふうに思うわけですね。  この点に関して、郡司課長が、松村さんの前任の課長ですけれども、その偽証罪に関係した裁判の証言の中でといいますか、この裁判の中で、こういうふうな証言をされておられるわけです。役所の通常のやり方は御存じだと思いますが、専門的事項につきましてはそれぞれの課が判断するということでありますが、重要事項につきましては、さらに課を超えて上部が判断するという機構になっておりますというふうにこの生物製剤課長、前任の課長はおっしゃっておられる。  重要な事項は必ず上と相談して決めるんだということですが、私が質問主意書でお尋ねをいたしましたところにおいても、これは最終的には課長が決めたという形になっている。それほどの問題だったのでしょうか。
  73. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 先生の質問主意書に対しては、そのようにお答えをさせていただいておるわけでございます。  この昭和五十四年の薬事法の改正によりまして、厚生大臣が、医薬品の保健衛生上の危害の発生あるいは拡大の防止を行いますために必要があると認めるときには、販売の一時停止その他応急の措置を命じることができるというふうになったわけでございます。  この加熱製剤の供給が開始されました当時、非加熱製剤を一斉に回収をいたしますと患者の治療に重大な支障を来すというふうに考えておりまして、企業が従来使用していたものと交換する形で、自主的に加熱製剤と取りかえる方法で非加熱製剤を回収をしておりましたことから、回収命令をかけなかったものというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  74. 山本孝史

    山本(孝)委員 きょうの新聞にも出ていましたけれども、八四年以降ですか、の感染が随分多いんだという形で出ていますね。やはり回収されなかったことでその製剤を使ってしまったがために感染している方たちが随分おられるというのは、これはやはり事実だと思うのです。そこのところで、明らかに国は責任を、薬事法をせっかく五十四年に変えておきながら、その薬事法の趣旨を生かさないでほうっておいたがために被害を大きくしている、そのことは全く認めていただかないといけない残念ながら事実であろうと思います。  最終的には、そういう中でこの加熱製剤が承認されて供給が開始されても、非加熱製剤がさらにまだ市場に出回っていく、ほうってあるだけじゃなくてさらに出回っていくということも、いただいた資料の中でそういうことがわかりましたし、そして、大体医薬品というものは、製造や輸入をやめますと整理の承認をするということになります。プレートを返すわけですけれども、このいただいた資料によりますと、ミドリ十字の第Ⅲ因子製剤のプロフィレートというものは、承認が整理されたのは六十二年の三月十九日となっています。  ただし、注意書きとして、五十九年以降このプロフィレートの輸入は行っていないというふうに書いてあるわけですが、五十九年以降輸入がとまっているものの、承認の整理は六十二年三月といういうふうに、なぜこんなに遅くまでかかっているのですか。
  75. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 お尋ねのミドリ十字の第Ⅷ因子製剤につきまして、輸入製剤でございますプロフィレートの関係でございますが、一方、ミドリ十字におきましては、国内製造でございますコンコエイトというもう一つの製剤、この輸入したものとそれから国内製造のものと二つの製剤の承認を取得しておったわけでございます。  そこで、国内製造のみで供給できるということになりましたことから、これは昭和五十七年でございますが、昭和五十七年九月十八日に国家検定を受けたものを最後にいたしましてプロフィレートを輸入をしていない、これは確認をいたした次第でございます。このプロフィレートの輸入でございますが、このプロフィレートの有効期間が検定から二年間でございますので、仮に市場にありましたとしても、五十九年の九月には使用期限切れということになるわけでございます。  先生のお尋ねのこの廃止の届け出、私も速やかに行うべきであったと思っております。お尋ねのように、昭和六十二年三月に廃止届けが提出をされまして承認整理が行われた経過でございます。
  76. 山本孝史

    山本(孝)委員 五十二年の十二月に、行政管理庁による医薬品等の規制に関する行政監査結果に基づく勧告というのがあります。この勧告の中で、医薬品等の再評価結果の公表後六カ月経過してもなお販売しているものあるいは製品回収を行っていないものが見られた、したがって、勧告として、都道府県に対して、医療機関に在庫する医薬品についても可能な限り引き取り、製造承認及び製造業の許可について所要の整理を徹底することという行政管理庁の勧告が五十二年の十二月に出ているのですけれども、この勧告も無視されているわけですね。
  77. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいま申し上げましたように、承認整理といいますのは、その用途を廃止したりあるいはその他の事情で御承認のリストから落とすということでございますから、それは速やかに行うべきものというふうに考えております。
  78. 山本孝史

    山本(孝)委員 ですから、勧告の趣旨は全然生かされていないわけですよね。
  79. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 そういう点におきましては、勧告の趣旨を今後十分踏まえてやってまいりたいと思います。
  80. 山本孝史

    山本(孝)委員 この五十二年の行政管理庁の医薬品の規制に関する勧告というのがございまして、またその後も、医薬品の安全性の確保に対しての勧告というのは、平成六年だったと思いますけれども、総務庁から出ている。副作用情報の取り扱いについて、たしかもっとしっかりと集めるようにというような勧告内容であったかというふうに思いますけれども、せっかくのこの行政監察を受けての勧告というものが生かされないということになると、厚生省としてはどうなのかなというふうに思うわけであります。  それで、もう一点、この被害の問題についてぜひお取り組みをしておいていただきたいのですけれども、いわゆる第四ルートという問題がありま す。  今問題になっているエイズ薬害は、血友病患者の皆さんが危険な非加熱製剤を使ってエイズに感染をするというのが今の問題点でありますけれども、実は、この非加熱の濃縮凝固因子製剤が広く血友病の患者以外の皆さんにも使われていたのではないか。すなわち、出血を予防するために随分多量に、例えば産婦人科でありますとか外科の現場で使われていたのではないかという指摘がなされているわけであります。  平成六年度のHIV感染症予防・治療に関する研究班報告書で、プロティンC欠損症患者へのHIVの感染が昭和六十年に確認をされたというふうに記述をされているわけです。今質問主意書をお出ししておりまして、この点、確認をしていただいておりますけれども、本当にこの六十年にプロティンC欠損症患者、すなわち血友病でない患者さんにもこういう形で血液製剤が使われてエイズに感染しているということが事実なのであれば、この十年間、厚生省はそのことについて何ら対応をとってこなかったということになるわけであります。  平成六年六月まで、血友病患者以外にも血液製剤が使用され、エイズに感染している患者がいることを知らなかったというふうに去年の十一月の厚生委員会での私の質問に対して松村局長はお答えになっているのですけれども、私は、この答弁というのはうそではないかというふうに思う。もっと早く厚生省は知っていたのではないかというふうに思うわけであります。  もしそのとおりであれば、いわゆるエイズサーベイランス委員会への報告も怠っていたのか。エイズサーベイランス委員会というところがしっかりとしたデータを持っていなければ、エイズの対策というのは立てられないわけですね。そのところでも、大変に大きな疑惑、疑問を投げかける問題じゃないかと思うのです。  ということで、第四ルートの問題というのは、エイズの、血友病患者の皆さんへの薬害問題にあわせて、ぜひともに早急な対応をとっていただきたいというふうに私は思うのですけれども、その点どうでしょうか。
  81. 菅直人

    ○菅国務大臣 私も第四ルートの問題、大変心配をいたしておりまして、従来からいろいろ調査をしております。場合によったら、その調査結果は後ほど政府委員から答弁させたいと思います。  従来の調査というのは、都道府県を通して医療機関にどういうケースがあるかということをお願いをして、協力してもらうという形であったわけですが、それに加えて、薬事法に基づく薬メーカーに対するいわば報告命令といいましょうか、そういうものを出しまして、現在、当時の非加熱製剤が血友病以外に用いられるためにどういう医療機関に供給されたかということを報告してくれ、こういうことを今命令を発しているところです。まだ発してそれほど時間がたっておりませんので、結果を詳細には把握しておりませんが、その把握する中でさらなる取り組みを進めていきたい、こう思っております。
  82. 山本孝史

    山本(孝)委員 厚生大臣御存じのように、その記録の保管期間は三年ということになっていますので、三年を超えているものについては、どういうふうにその製品が流れているかということについて、追いかけるのは極めて難しい状況じゃないかと私は思います。  申し上げているように、六十年、もう十年も前からのその感染の状況がもしあるとすれば、今やっておられる調査では残念ながら不十分ではないか。したがって、この問題、大変に対応が難しいのですけれども、もっと腰を入れての取り組みをしないと、第四ルートの被害の拡大を防ぐことはできないのではないかというふうに思うわけです。  実は、申し上げたように、私、質問主意書を一月の三十日に出させていただいて、当初役所の方から言ってきました回答期限は、四月二十五日まで回答を待っていただけないかという形で来ました。ほぼ九十日、この質問主意書に対しての回答に時間をくれという形で来たわけですけれども、それは最長記録にほぼ近いですよという話で短くしていただきましたけれども、それでも三月にならないと回答は出てまいりません。そういった点で、ぜひ答えられるものは早く答えていただきたい、これは手続上難しいのかもしれませんけれども、そういうふうに思いますし、早急にお取り組みをしていただきたいということをこの場で重ねてお願いをしておきたいと思います。  申し上げているように、まだまだこのエイズの薬害に対しての問題点は多々ございまして、ここのところをしっかりと取り組みをさせていただかないと、さっき申し上げたように、行政管理庁がせっかくこういうふうにやったらどうだという勧告を出している。  申し上げたように、六年の一月には薬事に関する行政監察結果に基づく勧告というのが出ていますよね。この中にも、副作用対策の強化はどうすべきだ、情報収集制度を適切に運営しなさいというような勧告も出ているわけですけれども、さっき申し上げたように、五十二年の勧告はきれいに無視されている。そういう状況の中で、私は大変にこの業務行政というものに対して心配をいたしているわけであります。  そんな点も含めて、ぜひこのエイズ薬害のみならず全般的な質疑をさせていただきたいなというふうに思っているわけですが、基本的なところを御確認だけしておきたいと思います。  厚生大臣は、なぜ薬害はこのように繰り返されるというふうに認識をされておられますか。
  83. 菅直人

    ○菅国務大臣 これまでサリドマイドあるいはスモンということで、いわゆる薬害がいろいろと生じたわけです。また、それ以外にもたくさんの薬害といいましょうか、例えば薬を少しいろいろなものを飲み過ぎたというようなケースもあるかもしれませんが、あるいはいろいろなものが組み合わさった使用によっていろいろな被害が生じたということもあります。これがなぜ繰り返して起きてくるのかということにつきましては、いろいろな背景が一つは重なっているというふうに思っております。  一つは医薬品の使用が適正でない場合、例えば本来よりも多量に使われて、普通の使用であれば副作用が起きないのに起きるような、そういうこともあるでしょうし、あるいはいろいろな医薬品の安全情報がきちっと伝わっていない、そういった問題もあると思います。  そういういろいろな問題はあると思うのですが、もう一つ、実は私がこの問題を私なりに考えてみて、今行政全般にわたって言われている問題と共通の問題があるように思います。  それは、例えばかつて証券不祥事が起きたときに、例えば証券の監督をしている証券局だけがやっていていいのだろうか、アメリカで言うSECのようなものをつくるべきじゃないか。つまりは、それぞれの業界を指導する、ある部分では指導しながら育成するという面もあるわけですが、そういうことと、その業界に関連した形で消費者なり利用者なりの利益なりを守るということが、若干観点が違う部分もあるわけですね。  ですから、薬の場合も、ある意味では薬の行政がそういう指導監督をしているわけですけれども、指導監督というところには二つの要素が一部重なり合っているのかなと。つまりは、日本でいい薬ができるようにいろいろと例えば研究支援をするとか、そういうふうな側面と、もう一方では、患者や広い意味で消費者、国民の立場から見て安全性をしっかりさせる、あるいはそういうインフォームド・コンセントのような形でしっかり情報を公開する、そういう側面が重なったところでいろいろな問題を生じる、あるいはそういうものがなかなか国民から見てわかりにくい状況になっている、そういう面もあるのではないかという感じがいたしております。  そういう点で、この問題はいろいろな形で事実関係の解明がまず必要だということは私も思っておりますけれども、どのような形で今後の医療あるいは薬事行政を考えればいいのか、これはぜひ 国会の中でもいろいろな御議論をいただければ、そのように思っております。
  84. 山本孝史

    山本(孝)委員 五十四年の薬事法の改正というものが、厚生大臣がその提案理由説明の中で、今や各国薬事行政の最重要課題は医薬品の有効性と安全性の確保である、そのために諸外国においては薬事法の改正を行ってやってきたけれども、我が国では行政指導でもってこれに対応してきたんだ、しかしこの薬事法を改正することで国の行政上の責務をはっきり明確にしましょうよというのがあの五十四年の改正であったのかというふうに思うのですね。  厚生大臣、朝日新聞の「ひと」欄のところで、「不祥事が起きるたび、役所は指導・監査体制を強化し、再発防止を訴える。そんなやり方には批判的だ。」というふうに書かれているわけですけれども、恐らく厚生大臣がお考えになっている業務行政の中での薬の安全性の確保という方策と、それからここで五十四年からの薬事法の改正の中で流れてきている業務行政の姿というものとが、若干視点が違うのかなというふうに実は思っているのですね。  業務行政にかかわる国の責務をどこまでにするのか、あるいはつくっている製薬会社の責務は一体どこまでなのかという、ここのところが、医薬品副作用被害救済基金法のときも、無過失責任なのか過失責任なのか、一体だれが責任を持つべきなんだという議論がずっと繰り返されているわけだけれども、実は五十四年以来、その点についての結論がまだ出ていない状況の中で、これは推移をしてきているのかなというふうに思うわけです。  私たちも、新進党の薬害防止対策部会の私、部会長をやっているんですけれども、どうやったら薬害の再発が防げるのかなと考えているんですが、厚生省に一点お伺いしておきたいのは、PL法ができて無過失責任の理論というのがこの業務行政の中にも入ってきたというふうに思うのですけれども、このPL法ができたことでどういうふうな影響があるのか、どういうふうな効果があるのか、どういうふうに受けとめておられるのか、そこをお聞かせをいただきたいと思います。
  85. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 PL法につきましては、先生十分御承知のとおりでございまして、製造物の欠陥によりまして生じた損害について製造業者が民事上の責任を負うという法律でございまして、従来の過失等を前提にした民法の不法行為の原則を変更するものでございます。一方、薬事法におきましては、医薬品の品質、有効性、安全性の確保のために必要な規制を行います行政法規でございまして、趣旨、目的は異にするわけでございます。  しかしながら、このPL法の運用に当たりましては、製造物でございます医薬品の欠陥の有無を判断をいたします際に薬事法の規制に適応をしていたかどうかというのがポイントになるものだと考えておるわけでございまして、常にその時々の最新の科学的な知見に基づいて薬事法の運用が求められ、この点に十分配慮した行政を進めていかなければならないというふうに認識をいたしておるわけでございます。  また、PL法につきましては、製造物の欠陥に起因いたします損害は製造業者が基本的な責任を負うことになっておるわけでございまして、この趣旨を踏まえまして、現在検討中でございますが、薬事法の改正におきましても、製造業者が医薬品の安全性の確保に基本的な責任を負うことを前提にいたしまして、治験の段階から市販後に至る総合的な安全対策を確保するための措置を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  86. 山本孝史

    山本(孝)委員 時間がありませんのでそこを議論を詰めることができないんですけれども、薬事法として警察法規的な性格を持っていくのか、あるいはもっと国が積極的にやっていくのかというところのここのもう少し整理が私は必要じゃないかなというふうに思うわけであります。  申し上げたように、新進党の中でもいろいろと薬害防止策を考えさせていただいていまして、時間がありませんのでこれから薬事法の改正につながっていく中でぜひ御検討をしておいていただきたいと思う部分が幾つかあります。  それは、国民の側も薬というものに対してきっちりとした理解を持つべきである。安全、有用であるけれども危険性もあるよというところを、どういうふうに学校教育の中で子供たちに薬というものとのつき合い方を教えていくのか。  あるいは、薬事審議会というものが単なる諮問機関でいいのかというのは五十四年のときもずっと言われ続けてきたままで、その状況は今も変わっていない。  副作用の報告というのがちっとも上がってこない。今回の陣痛促進剤で九二年十月から九五年末までに二十三件の副作用報告があって、少なくとも母親二人と赤ちゃん六人が死亡したのに報告は全然上がってきていない、そういう調査もありました。  モニター制度というものをもっと全部の病院あるいは全部の薬局に広めるべきではないか。臨床薬理学講座を全部の大学に設置すべきであるということも思います。  これやこれやといっぱい問題があります。今度こそそういう薬害の再発防止、このサリドマイドの事件のときには、もう再発をしないということを確約をしたはずであります。スモンの薬害のあの大きな被害を受けて五十四年の薬事法が改正をされたはずであります。しかし、そういったものが全然今生きてこなかったということに大変に残念な思いがするわけでありますね。  このエイズ薬害の問題だけに限って言えば、やはり血液事業全般というものを見直しをしないといけない。なぜあんなにもたくさんな血漿分画製剤が日本に輸入されてくるのか、世界の三分の一も日本で消費されるような状況があるのか、そのところはちっとも変わっていませんし、国内で自給をするんだという閣議決定も長年守られてこなかった。  エイズ予防法という問題についても、強行で採決をされましたけれども、そのときの反対討論に立たれたのは、社会党は村山富市先生であったというふうに思います。今回らい予防法が廃止になりますけれども、このエイズ予防法というものも全体の見直しがやはり必要なんじゃないだろうか、そういうふうにも思うわけですね。  今度のエイズ薬害という問題は、多くの問題を我々の社会に投げかけているんだと思います。国会の中でも極めて解決をしないといけない、積極的に取り組みをしないといけない問題が多々あると思うのですね。  我々厚生委員会の中で、当時の関係者安部さんであるとか郡司さんであるとかを、証人喚問ということかあるいは参考人ということでぜひ当時の事情をお聞かせをいただきたいというお願いもしていますけれども、もっとこの国会というものが本当の国民の健康というものを守るんだと、薬の危険性から国民を守るんだということでしっかりとした取り組みをしないと我々の責務は果たせないのではないかというふうにも思うわけであります。  大変時間が短いので舌足らずになりましたけれども、ぜひこのエイズ薬害の和解交渉に向かって最後の段階、お力を尽くしていただくようにお願いをして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  87. 上原康助

    上原委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ――――◇―――――     午後一時三分開議
  88. 上原康助

    上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大野由利子君。
  89. 大野由利子

    ○大野(由)委員 大野由利子でございます。  初めに、菅厚生大臣、旧選挙区で同じ選挙区でございました先輩の、厚生大臣の御就任を心からお祝いを申し上げますとともに、今回のエイズ薬害の解決に向けて、大変勇気ある、大変御活躍をされていらっしゃいますことに心から敬意を申し上げたい、このように思っております。  私も、午前中の同僚議員に引き続きまして、この薬害エイズの問題について質問をさせていただきたい、このように思っております。  一昨日の二月の十七日、国の責任を全面的に認められて、そして謝罪をされました。和解協議へ向けて大きく一歩踏み出すようになったということを心から喜んでいる一人でございますが、あくまで、ようやく一歩を踏み出したという状況にすぎないということを痛感をしております。どんなことをいたしましても、もう既にこの薬害エイズによって亡くなられた方の生命は戻ってまいりませんし、また、感染された方々が本当に死の恐怖にさらされながら今後も生き続けていかなければならないという、こういう事実、現実は何ら変わりがない状況でございます。  本当に、二月の十四日、十五日、十六日と、大変体力の衰えた、抵抗力の衰えた体の中で、この二月の一番厳寒の中で、厚生省前で座り込みをやっていらっしゃいました。この十六日の日は、最終日は特に、何というのでしょうか、もう雨が降る大変な寒い、そういう中で本当に切々と訴えていらっしゃった。私、二月十七日と申しましたが、十六日の間違いですね。済みません。  こういうことで和解協議へ向けて大きく一歩踏み出されたわけですけれども、私は、エイズを発症している方、また感染者の皆様への治療体制の充実とか生活支援などの恒久対策とともに、やはり二度とこうした薬害を起こさない、そのためには真相究明を徹底して行う、これが本当に患者の皆さんも心から願っていらっしゃる、そういうことでございますので、その点からも質問をさせていただきたい、このように思っております。  初めに、資料が見つかった。この十年来捜してきた資料がなかなか見つからなかった、裁判になってからも六年越してございます。これがどうして見つかったかというようなこと等につきまして、もう一度ちょっと伺いたいと思います。どうして見つからなかったかについて。
  90. 菅直人

    ○菅国務大臣 大野さんには、薬の専門家として、また、こういう問題についていろいろ取り組んでこられたことを、私も敬意を持って活動を拝見させていただきました。  今回、この薬害エイズの問題で、先ほどお話をいただきましたように、先週の金曜日、二月十六日に、与党三党のエイズのプロジェクトの皆さんと一緒に、患者、家族の皆さんにお会いをいたしまして、その間のいろいろな経緯の中で、厚生省として、裁判所から出されている和解勧告に伴う所見について述べられた責任を認めさせていただいたところであります。  そういうことに関連いたしまして、今大野さんの方から、いわゆる厚生省の中での資料が見つかったという問題について若干の経緯を説明しろということですので、私が知ることについて申し上げます。  御承知のように、私、ことしの一月十一日に橋本総理のもとで厚生大臣を仰せつかりまして、省内でいろいろ議論をいたしまして、この問題については調査のプロジェクトをつくろうということで、事務次官を責任者とする調査プロジェクトを一月二十三日につくらせていただきました。大体一カ月をめどにして調査をしてほしいということで、調査項目についても十一項目の要点と、それから私の方から特に、調査の仕方についても大きく二点について指示をいたしました。その中で作業が始まって、今日まだ続いておりますけれども、二月の九日の時点で、薬務局長の方から、従来見つからなかった資料が一部、一部といいましょうか見つかったという報告を受けまして、その日の夕方、見つかったということについて発表させていただきました。  確かに、長年ないないと言っていたものがこの時点で見つかったということについて、皆さんからいろいろな疑問が出るというのも理解はできるわけですが、私の立場としては、その調査プロジェクトをきちんとスタートさせて、そこからがいわばこの問題の再スタートといいましょうか、スタートでありましたので、その中で従来よりももっと徹底した調査をしてくれて見つかった、そういうふうに前向きに受けとめているところです。
  91. 大野由利子

    ○大野(由)委員 国の責任が明らかになるのを恐れてこの資料を隠していたのではないかという、国民の皆さんの多くがそういう疑念を持っているということを一応つけ加えさせていただいて、次の質問に移らせていただきたい、このように思います。  九五年の三月に訴訟の中で提出されましたトラベノールの陳述書の中に、当時の平林生物製剤課長補佐が、当初は、何というのでしょうか、加熱処理が有効成分に影響を与えない製造方法の一部変更、一変一変と言われておりますが、一部変更の扱いで認可できることが可能だというように示唆をしていた、このような陳述がございますが、この点は事実かどうか。
  92. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 トラベノールも含めまして血液製剤メーカーの加熱製剤につきましては、昭和五十八年十一月に、これは加熱された凝固因子製剤が非加熱の場合と同様な有効性あるいは安全性を有することを確認するために必要最小限の症例数によります治験が必要であるとの指導を行ったわけでございます。  お尋ねの、トラベノールの加熱製剤につきまして承認事項の一部変更承認申請でよいとされております今のお尋ねの件につきましては、当時の薬務局の生物製剤課の職員に対する事情聴取を行いましたが、これまでのところその事実は確認ができていないところでございます。
  93. 大野由利子

    ○大野(由)委員 アメリカでは、要するにこれは、加熱製剤については有効成分の変更に当たらない、これは一変扱いでアメリカは承認をしているわけですね。日本は、これを一変扱いじゃなくて、治験が必要な、そういう扱いにしたわけですけれども、先ほど厚生大臣、午前中の審議の中でも、今回の出てきた資料の中でも、八三年の六月にこのエイズの研究班が設置されるわけですけれども、その前の段階で、既に非常にエイズウイルスによる感染、エイズウイルスによって輸入血液製剤が汚染されているという、そういうおそれというものが非常に高い、だからこそ、いても立ってもいられない思いでこの研究班を設置した、こういうことが明らかになったというふうに答弁をしていらっしゃいました。まさにそのとおりだろうと思うんですね。  そういうわけで、アメリカも、八三年の三月にトラベノール社が、現在のバクスター社でございますが、加熱処理製剤の製造承認をやって、そしてアメリカの販売が開始された。そして五月には、FDAは他のメーカーにも加熱処理を勧告をした。そして、同じ八三年の三月に、アメリカのCDCが、血友病患者のエイズの原因は血液製剤と見られる、このような指摘もしている。  そういう状況の中で、その六月にエイズ研究班が設置をされた。その六月の時点では一変にするか、それとも治験を必要とするかということの結論は出ていないわけですね。その後、六月から七月、八月、この辺の間にどういうことがあったのかということが非常に今回の真相究明に当たって、大変この六月、七月、八月、このころにどういう判断がなされて、そしてこういうふうになったのかということが非常に疑問視されているわけでございます。  八三年の十月に、トラベノール社の人は平林課長補佐から、治験が必要だ、このように要求をされているわけですけれども、非常に血液製剤によるエイズウイルスの感染のおそれがあるというそういう状況の中で、また、何というのでしょうか、七月には厚生省のお役人が加熱処理製剤を一括承認してもいいのじゃないかというようなことを委員会に提案をした、こういうことも言われて 今のところ裁判所の所見に応じていないという、そういう状況がございます。やはり企業が応じないときには、最終的には和解が実現しないわけです。  私は、国はみずからの法的責任を果たせばいいというだけじゃなくて、この外資系の企業二社に対して和解に応ずるように、同じテーブルに着いて、そして外資系の二社も和解勧告を含めて、和解が実現できるように努力をしてもらいたい。それこそ、菅厚生大臣みずからが乗り込んで、場合によっては、外資系ですから日本の中だけでは結論を出せないということであれば、アメリカの本社にまで乗り込んでいってでもこの問題を解決をするという、そういう御決意でもって臨んでいただきたい、このように思っておりますが、大臣の所見を伺いたいと思います。
  94. 菅直人

    ○菅国務大臣 初めに、責任を認めたということについて、まさに先週金曜日に、両裁判所から出されている和解勧告に付されたといいましょうか、伴った所見について、その中で指摘をされている国の責任などについて認めさせていただきました。  その内容は、御承知だと思いますけれども、いろいろ裁判所は述べておられますが、例えば、薬事法に基づけば、厚生大臣は、医薬品の安全性を確保し、不良な医薬品による国民の生命、健康に対する侵害を防止すべき職責があったという表現、あるいは、いろいろな問題について最大の考慮を払うべきであったという言い方、あるいは医薬品の副作用や不良品から国民の生命、健康を守るべき責務があるというような表現、さらには、全体として、被告らは原告のHIV感染について重大な責任があるという表現などがあるわけであります。  つまりは、この責任を認めたという意味は、被告、つまりは国や医薬品メーカーに対してこういう指摘がある部分について、私どもは国の立場ですから、その全体の流れの中で国の責任というものを認めてきたということでありまして、当然ながら、もう一つの被告であります薬メーカーについても所見の中では厳しく述べられておりまして、それについても、私としては、それはそれとして、また他の被告の問題ではありますけれども、裁判所の所見が尊重されてほしいというふうに思っているところです。  そういうことを含めて、今大野さんの方から、他の被告であります薬メーカー、特にその中でも外資系の薬メーカーが、この所見を含めて和解についてきちっとした合意に達するかということについての御心配だったと思います。  実は私も、何度か橋本総理に途中過程でも御報告に伺い、あるいはこの十六日の前の夕方にも御報告に伺ったわけですが、かつてスモンの薬害のときの厚生大臣総理はやっておられて、そのときに、やはり外資系のメーカーが和解についていろいろと難しい問題があって、自分が厚生大臣のときにはその本社まで、スイスに乗り込んでいって、何とか合意に至ったのだというような話もしてくださいまして、そういう意味では、私に対しても、必要なことについては積極的にやるようにという激励だったと受けとめておりますが、今大野さんの方からも、外資系についてもいろいろ努力をすべきだということでありますが、私としてももちろん、それぞれ当事者ですから、私どもが、何といいましょうか、言える問題、あるいは法律的にはそれぞれ独立した問題ありますけれども、できる限りの努力はしていきたい、外資系のメーカーについてもできる限りの努力はしていきたい、そう考えております。
  95. 大野由利子

    ○大野(由)委員 大変前向きな答弁をいただいた、和解が実現するように外資系の方への説得も含めて大臣が努力をしてくださる、そういう答弁であった、このように受けとめてよろしいでしょうか。よろしくお願いをいたします。本当に一日も早い解決を心から願っております。  先ほど山本委員からも質問がございました地域間格差が非常に多うございます。この問題も、本当に今、既に感染している方、患者の方々の救済というのが最優先されるわけでございますので、午前中も非常に多くの予算がとられたという話がございました。しかし、この予算のときに、使い道に当たりましても、ぜひ患者の皆さんやまた専門家の皆さんとかそういう方々の御意見をよく伺った上でぜひ進めていただきたい。どこの地域にあっても安心して治療が受けられる、そういう体制を一刻も早く整えてあげる、そして整えていく、そして差別とか偏見がなく、安心して最先端の治療が受けられるという、そういう状況をつくっていくために最大限の努力をしていくことが必要ではなかろうか、このように思っております。  それで、実は資料の公開とあわせまして、午前中も話もございました。私も、ぜひ委員長に、すべての、何というのでしょうか、真相解明のためにぜひ集中審議をしていただいて、当時の平林課長補佐とか郡司課長だとか、そして、当時の大臣、薬務局長、また安部さんだとか、そうしたかぎを握る方々に参考人として来ていただいて、今先ほどの答弁でも、やはり当事者に来ていただかないとわからないことが余りにも多いという状況でございますので、この状況、参考人招致をぜひ認めていただきたい。委員長に要望をさせていただきます。
  96. 上原康助

    上原委員長 参考人招致につきましては、各党の理事さんを通しても御要望してください、もし御必要でしたら。その上、理事会で協議をいたします。
  97. 大野由利子

    ○大野(由)委員 この薬害の根絶ということが本当に今後の最大の課題だ、このように思っております。スモンもありました、ソリブジンまたサリドマイド、いろいろございました。本当にこうした薬害を二度と起こしちゃいけないということが最大の課題ではなかろうかと思っております。  ところが、私もちょっと自分自身の体験を申しますと、衆議院議員に当選をさせていただいた一番最初、一九九〇年の四月ですが、厚生委員会で、当時社労委員会ですが、質問をさせていただきました。それは、昭和電工がつくりましたLトリプトファン、栄養補助剤で、アメリカで二十六人死者を出し、千五百人からの入院患者が出たという事件を取り上げまして、アメリカでは、一九八九年の十一月の段階でもう販売停止になっていたのですね。ところが、私が質問したのが四月ですから、五カ月たっているのに同じものが日本で売られていた、そういう経緯がございます。  私がこのことを質問をいたしましたら、厚生省の方がどう答えられたかというと、因果関係がはっきりしておりません、また、日本では被害届が出ておりません、こういう答弁だったのですね。私は、アメリカで被害が出ていて、日本で被害が出るのが当然じゃないか、疑わしきは即座に手を打つのが当然じゃないか、もし被害者が出てきたら厚生省はどう責任をとるのか、そのように質問をさせていただきました。そうしたら、土、日も返上して調査していただいて、アメリカと同じ患者の症状の入院患者が二人いるということで、一週間後にその販売停止と製品の回収を厚生省が手を打たれたという事件がございました。  しかし、私はそのときに、本当に厚生省が国民の皆さんの健康とその生命を守る側に立っているのではなくて、どうしてこんなにメーカー側なのだろう、業界寄りなのだろうと。因果関係がはっきりしないうちにそういうことはできないという答弁を聞いて、もう本当に憤りを覚えたことを覚えております。  その後、アメリカと日本と共同で研究されて調査されて、結局、バイオでつくっている製品に不純物が入っていたということが明快になったわけでございますが、あれもほっておくと日本も被害が大きくなっていたのじゃないか、そういうことがございました。  これは、私の質問は一九九〇年の質問なのですね。こういう体質そのもの、さっきちょっと厚生大臣も、業務行政が、厚生省が、何というのでしょうか、メーカーに対する指導監督と、何というか、監視の役割も兼ねていることもいろいろ問 おります。そういう中でどうして治験が必要だというような結論になっていったのか、このことについて伺いたいと思います。
  98. 菅直人

    ○菅国務大臣 今大野さんのおっしゃることは、かなりの部分、私自身も、何といいましょうか、疑問に思っているところであります。  先ほどのトラベノール社の問題は、裁判所に出された陳述書を私も拝見をしておりまして、そういう主張がなされているということは承知をしております。ただ、それについては、今薬務局長の答弁もありましたように、この問題も含めて調査をしておりますが、現時点の状況が今の薬務局長の報告でありまして、今月中には全体としての報告を私もきちっと把握をしたいと思っております。  そういった意味で、きょう午前中の他の委員の御質問にもお答えしましたように、もう新聞記事など表に出ている資料からしても、このエイズ研究班ができる直前の関係者の意見の中でも非常に危険性があるということを認識していたというのは明らかだと思われますので、それに基づいて議論がされたのにかかわらず、例えば今おっしゃったように、加熱製剤についても、もしそれを認めるとするならばできるだけ迅速に認めるような手続がなぜとれなかったのか。  もちろん、今大野さんの言われた一部変更というものがあるいは議論されたのかされなかったのか、あるいはまたそれが適正なのかどうか、これはこれでまた別の意味での安全性なども当然議論があり得るわけですので、それはそれでいろいろな議論があってもおかしくはないのですけれども、そのあたりについては、今出てきている資料をできるだけ早い時期に公表したいと思っておりますのでそれも参考にしていただいて、今後いろいろなところで真実の解明がなされてほしい、そういうふうに思っております。
  99. 大野由利子

    ○大野(由)委員 八三年に厚生省は、加熱処理は有効成分の変更に当たると見るべきかどうかということについて中央薬事審議会の下部組織であります血液製剤調査会委員に意見を求められた。そうしたら、その委員から、有効成分の変更には該当しない、臨床試験データは不要、このような回答があったのではないか、このように思いますが、このことについて事実かどうか伺いたいと思います。
  100. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 ただいまの件につきまして、中央薬事審議会の特別部会あるいは調査会の議事要旨を調査いたしましたけれども、御指摘の件については記載はございませんでした。
  101. 大野由利子

    ○大野(由)委員 では、この件についてはちょっともう一度私も調べてみたいと思います。  それから、今、治験が必要だ、そういうふうに結論づけられたということも大変不可解でございますし、また、いろいろ各メーカーがそれぞれ申請をして、最終的に承認をされたのが、日本のメーカーまた外国のメーカーも合わせまして、一九八五年の七月に一斉に承認をされた。しかし、その間にもう大変な調整が行われているという、足並みをそろえて、どうして一斉に承認されなければならなかったのかというこの辺の大変な疑惑もあるわけでございます。  それで伺いたいんですけれども、今まで厚生委員会とかいろいろなところでいろいろ問題になっておりましたけれども、厚生省が加熱処理製剤の早期開発を製造業者に指示をした、このように言われているのは、いつ、だれに対して、どこの製造業者に対してなされたのか。いろいろちょっと私も議事録を読んでみましたけれども、一九八三年の八月だとか十一月だとか、一九八四年の一月だとか、何か厚生省の御答弁もいろいろと変わっているものですから、何かわけがわからない感じなんですが、もう一度伺いたいと思います。
  102. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 当時の認識といたしまして、まだこの加熱製剤についての具体的な有効成分の、つまりたんぱく質の変性があるのではないか、あるいはまた、その副作用についての心配もあるということで、これにつきましては、一九八三年、昭和五十八年の六月、七月、八月の段階におきまして、こちらの方から加熱製剤の製造について積極的に進めた。  むしろトラベノール社からのそういったアメリカの治験データを当時の生物製剤課が見まして、この治験のデータによりまして、加熱製剤、アメリカのものをそのまま受け入れることは難しいという判断になったわけでございまして、そういったやりとりについて、加熱製剤の開発について指示を行ったものという理解をいたしておるわけでございますが、その後、具体的にはその年の十一月になりまして、やはり加熱製剤について必要な、必要最小限の治験はしなければいけないという判断で、十一月の上旬に各社を呼びまして、そして統一的な説明会を行い、その後各社において加熱製剤の治験に入ったという経過でございます。
  103. 大野由利子

    ○大野(由)委員 ちょっと今あいまいだったのでもう一回確認したいんですが、だれに、どこのメーカーに指示を出されたのか、いつ指示を出されたのか、その数字だけもう一回おっしゃっていただきたいと思います。
  104. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 加熱製剤の治験が必要である、その治験の仕方が必要最小限、二施設以上四十例というふうに言っておりますが、そういったことについて各社に対して説明をいたしたのは一九八三年、昭和五十八年の十一月でございます。
  105. 大野由利子

    ○大野(由)委員 そうじゃなくて、今までいろいろと、小野昭雄さんですか、一九八九年の四月に、一九八三年の八月に開発を指示したということがきちっと書かれているわけですね。それから、国会の答弁の中でも、坂本政府委員が二度にわたって、やはり八月に早期開発の指示をしたということをはっきりおっしゃっているわけです。  ですから、これは何を指しているのかということを伺いたいので、十一月にいろいろ治験のやり方について具体的な説明をされたんだと思います。その前の八月の段階で、メーカーに対して早期開発をするようにということを指示を出された、これはもうはっきり国会の答弁の中に出ているし、また、厚生省のお役人の方がきちっとした、中に書いていらっしゃるわけですね、そのことを伺っているわけです。八月に、だれに対して出されたのかということを、単刀直入で結構でございますので、伺いたいと思います。
  106. 荒賀泰太

    荒賀政府委員 先ほど若干申し上げましたが、当時、トラベノール社が加熱製剤について厚生省に話を持ちかけておりましたが、当時の生物製剤課の判断として、この治験内容では、つまりアメリカの方で実施をしました治験内容では不十分だということで、そういったことをもって私どもはトラベノール社に対しまして加熱製剤の開発を指示したというふうに理解しておるということを申し上げておるわけでございます。
  107. 大野由利子

    ○大野(由)委員 今のですと、トラベノール社に早期開発を指示したという、そういう御答弁なんですが、トラベノール社は既に開発をしておりまして、承認をしてくれということで日本の国に承認申請をしているわけですから、そういう開発をして承認申請しているトラベノールに早期開発を指示したというのは当たらないわけですね。その辺が、私はまだまだ何かこう隠されたものがあるんじゃないかなということを大変考えるわけでございます。  ぜひ早く厚生大臣、全部の資料を出していただきたい。そのうちにとおっしゃっていますけれども、国が持っています資料、製薬会社が持っています資料、すべてをオープンにしていただきたい。一部の患者さんのプライバシーに関すること、人権を擁護すること以外は全部資料を出していただきたい。非常にあいまいなことでございまして、先ほどの答弁には到底納得がいかない、このように思います。  それから、朝の質問の中にもございました、今、和解勧告に国は責任を認められて、それこそ国家賠償法に基づくこの法的責任をとるという決意をされたわけでございますが、外資系の二社が 題だとおっしゃっていました。私も、本当にこの辺のことが大きな課題ではないか、PL法によってある程度守られる要素があると思いますが、開発抗弁がPL法には認められておりますし、この薬害を根絶するためには、本当にこのメーカー側の、こういう癒着を断ち切って、本当に国民の健康と生命を守るという立場の業務行政にどうすればできるかということについて、真剣な検討プロジェクトをお願いをしたい、このように思っております。  この点について一言だけ御感想。
  108. 菅直人

    ○菅国務大臣 この点については、ある意味では大野さん御自身が専門家でもありますが、薬の難しさというのは、一方では、いろいろな病気に対していい薬を開発してほしい、その病気が大変、何といいましょうか、重い病気の場合、例えばがんのような非常に重い病気の場合は、多少の副作用はそれとのバランスの中ではいわば容認をされて現在も使われているというような問題もありまして、そういう点で、何といいましょうか、ゼロかプラスかとか、ゼロかマイナスかということだけではなくて、いろいろな場面があることがよりこの問題を難しくしていると思います。  私も、原則的な考え方は今大野さんがおっしゃったことと全く同感でありまして、安全性の問題を考える場合には、疑わしければ基本的には安全性を重視して供給をとめるなりそうすべきだと原則的に思っているわけですが、今回の場合もそういう議論が、血友病という病気の治療ということとの関係でそれにかわる手段をどうするかというような問題も議論をされたようでありますけれども、そのあたりが結果において、御承知のような非常に、何といいましょうか、不可解というか不幸な結論になったことがあると思っております。  そういった点で、画一的にこうという判断は、それぞれ事情が違うと思いますが、先ほど大野さんも言われたように、国民が信頼ができる薬事行政ということを考えますと、つまりは、ある意味では開発を応援するとか、場合によってはそういうメーカーを支援するといったような育成という側面も必要だと思いますが、同時に、その視点とは全然別に、国民、患者の安全性というものをチェックするという視点が必要で、それを今、同じ部門といいましょうか、同じところが両方を兼ねてやっているというような問題が、場合によってはこれからの薬事行政の改革に当たっては少し議論されていいのではないか、こう考えております。
  109. 大野由利子

    ○大野(由)委員 また、いろいろ伺いたいことは次の集中審議のときにぜひやらせていただきたいと思っております。  話が変わりますが、昨年の十一月に発覚いたしました、調剤薬局最大手のクラフトが、院外処方せんのリベートともいえるような自社の未公開株を病院の医師に渡していたという問題がございました。また、病院の職員らの薬代を薬局が持っていた、そういうようなことが発覚をいたしました。  医薬分業というのは、薬歴管理してそれぞれ重複で投薬されるのを防いだりとか、そういういろいろ国民の皆さんの健康を守るためではありますが、あわせて、医療費の適正な使い方ということのために医薬分業というのはぜひ進めなければいけない。ところが、病院側と薬局が経済的にいろいろなことでつながっておりますと、これは到底医薬品の適正使用にはならないわけでございまして、このクラフトの問題は見過ごすことのできない大変な重大問題ではないか、このように私は思っております。  患者の特定薬局への誘導というのは、健康保険法の療養担当規則というものに違反をしているのも明らかでございますし、厚生省はこの問題をどのように調査され、そして、それから大分たっておりますが、どのように対処されるのかを伺いたいと思います。
  110. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘がありました調剤薬局の問題でございますが、現在、監査それから調査を実施しております。この結果に基づきましては、当該の保険薬局の取り消しを含む厳正な措置をしてまいりたいと思っております。  それから、適正な医薬分業でないと困りますので、したがいまして、療養担当規則をもう一度見直すなり、あるいは調剤報酬の見直し、こういったこともあわせてやるべきだと考えております。
  111. 大野由利子

    ○大野(由)委員 クラフトは東京を中心に関東で八十八店舗有しているという報道がございましたけれども、門前にあるものに関してすべて調査を進めていらっしゃるのか、また、このクラフト以外にもこういう第二薬局的なものがたくさんありますが、こういったところに対しても調査をしていらっしゃるのか、今後どういうふうになさろうとしているのかについて、もう一度伺いたいと思います。
  112. 岡光序治

    岡光政府委員 御指摘のありました調剤薬局の関係は、すべて調査を今進めております。それから、関係する同じようなものにつきましても、あわせ、私ども、いろいろ情報を集めまして、調査をしたいと考えております。
  113. 大野由利子

    ○大野(由)委員 まじめに、一生懸命地域に根差した薬局を目指そうということで努力していらっしゃる方がいらっしゃる中で、どうぞ皆さんの、医薬分業にまじめに取り組もうとしている人たちの気をそぐようなことのないようにぜひお願いをしたい、このように思っております。  住専の問題についても若干大蔵大臣質問させていただきたいと思います。  先日も参考人招致がありました。質疑を見ていましても、余りにも当事者の皆さんが無責任で、他人に責任をなすりつけるばかりで、もう本当にテレビを見ておりましてもますます怒りが込み上げてくる、税金を投入するなんてとても許せない、そういう国民の皆さんの声が非常に高いという現状でございます。与党三党で国会の中で議席に頼んで無理にごり押ししてこれを可決されましても、これは私は、そのハンディというか、もう大変なことになるのではないか、国民の皆さんは決してこれを許さない、こういう現状ではないか、このように思っております。  金融秩序が低下するとか、金融不安が起こるからとか、取りつけ騒ぎが起こるからとか、いろいろなことを言われておりますけれども、それよりも私は、もっと国民の皆さんが、今ちょうど申告の時期でもございます、まじめに働いてまじめに申告してまじめに税金を納めようという人たちが、みんなやる気をなくしちゃう、こんなことにどうして税金を納めなきゃいけないんだ、こういう納税モラルの低下、社会不安というようなものにつながるということであって、これはもう大変なことではないか。  この辺も、大蔵大臣はどのように認識していらっしゃるのかということを伺いたいと思いますし、例の住専でございますが、当初、個人住宅向けということで、貸金業の規制等に関する法律の適用除外として認められたわけでございます。ところが、個人住宅が、当初は、一九八〇年末には九五・六%から八五年末には六七%、九四年末には二〇・六%とどんどん下がってきております。大蔵省は、その辺の報告を聞いていらして、それに対して何の手も打っていらっしゃらない。  そして、武村大蔵大臣が、文芸春秋の二月号で、どうして事業者向けがふえてきたかというと、母体行がみずから住宅ローンに乗り出してきたので、住専は新たな営業先を開拓しなければならなかったからこうなったのだということを書いていらっしゃるわけですけれども、これは大変な過ちでございまして、銀行は住専ができる四十六年より前から個人住宅ローンを進めております。住宅金融公庫以上に個人住宅向けのローンを組んでいるわけでございます。これは大変な間違いである、このように思いますが、大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。
  114. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず初めのお尋ねでございますが、私ども大蔵省の説明が必ずしも十分でないとすれば、よく御説明をするように工夫をしなけれ ばならぬと感じておるところでございますけれども、今回の処理方策は金融秩序の維持、すなわち国民経済全体のために、ひいては預金者保護のためのものでございまして、決して住専という私企業を救済するものではないということ、それから関係金融機関や住専からの借り手に対する救済といった趣旨のものではないということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。したがいまして、今回の措置によってむしろまじめにやっておられる方々が納得できるような結果を何とか招くということができないかということを考えた措置であるということを、ぜひ御理解いただきたいと存じます。  なお、個人住宅ローンを中心にやっておりました住専というものの仕事がその後変質をしてきたということについては、私どもも十分認識しておるところでございます。
  115. 大野由利子

    ○大野(由)委員 サラリーマンなどは、バブルのときに買ったマンション、大変高い値段で買って、その後大変高いローンが払い続けられない、もう住宅を手放さなければローンが払えないということで住宅を売った。そうすると、もう一、二年後には、買ったときの半分ぐらいの値段になってしまった。そういうことで、バブルのツケというものは、国民皆さんが大変な思いで払っているわけですね。そうして、大変な損をして売った、しかしその譲渡損、それは当然控除の対象にもなるわけですけれども、個人の場合は一年きりしか認められない。ところが、サラリーマン以外の自営業者は、一年だけではなくて、その年以外にも三年、計四年間この譲渡損は認められるというような状況もございます。  いずれにいたしましても、今回のこの住専の問題で国民の皆さんが大変不公平感を持っている。自分たちはバブルの破綻したものを営々と自分たちで処理を自己責任のもとでやっている、どうしてそれを今回は税金を投入しなければならないんだ、そういう意見が大変強うございます。私は、この六千八百五十億をぜひ予算案の中から削除してもらいたいということを主張いたしまして、ちょっとほかにもあるんですが、時間もございませんので次に移らせていただきたい。  済みません、法務大臣に来ていただいておりますので、一問だけ最後の質問をさせていただきたい、このように思います。  例の一九九一年の商法改正で導入されました最低資本金制の問題でございます。三月三十一日がタイムリミットということで、バブルが崩壊した非常に大変な中、不況の中で、しかもまたこの増資をしなきゃいけない、そうでなければやっていけないということで、借金をして増資をして、もう大変な苦労をしていらっしゃる中小企業がございます。五年間の猶予期間があったんだからということなんですが、ようやく最近この辺が徹底をされてきて、四苦八苦されているわけです。  今さらこの法律を、五年を六年にするとかというのは難しいというのはよくわかりますが、ぜひ法務大臣に、何というのでしょうか、官報に公告が載って二カ月以内に増資等の登記申請をしないときは解散したものとみなされるということなんですが、この二カ月というのをもうちょっと延ばすことができないか。もしそれも難しければ、官報に公告を出すのは、法務大臣が決めることができるんだそうです。ですから、その官報に公告を出す、法務大臣が出される日程をもうできるだけ引き延ばしていただく、そうして少しでも救済できないか、そうして今この大変なバブルの崩壊の中で苦労をしていらっしゃる方、こういう方々への救済を少しでも考えていただけないか、このように思っております。  今でも既に六十万社という人たちが増資ができないで四苦八苦をしていらっしゃるという状況でございますので、この一問だけ質問をさせていただきたいと思います。
  116. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 お答え申し上げます。  最低資本金制度の適用の猶予期間、近づいてまいったわけでございますが、中小企業の関係団体でございますとか、それから日本司法書士会、税理士会等関係団体の皆様に大変な御協力をいただきまして、この趣旨の徹底、それからこのような措置について御準備を進めていただいたところでございます。現段階で私どもが承知をしております範囲では、ほとんど多くの方が既にこういう形の手続を進められているというふうに伺っておるわけでございます。  先生も御承知のように、この措置は、いわば会社の財政的な基礎を確実にすることによりまして、債権者に対する保護と申しますか、そういうものを確実にしよう、こういう趣旨のものであると承知をしているところでございます。  先生の方からは、少しその二カ月という期間を延ばせないか、また、大臣が告示をするのを時間的に少し延ばすことができないかというお話でございますが、現状、皆さんへの趣旨の徹底は十分に図られていると思いますし、また、大臣の、いわば行政機関の裁量でこのような期間を延ばすことは法律の趣旨から申しましてできないという解釈もしておりますので、なお一層、この残されました期間の中で皆様方に趣旨の徹底を図らしていただきたい、このように存じております。
  117. 上原康助

    上原委員長 これにて大野君の質疑は終了いたしました。  次に、川島實君。
  118. 川島實

    ○川島委員 新進党の川島實です。  既に通告をいたしております幾つかの問題について、随特質問をしていきたいと思っております。  最初に、現在、我が国と近隣諸国との間で領土問題や戦後処理問題で紛争が続いております幾つかの事項について、外務大臣にお伺いをしたいと思います。  最初に、国連海洋法条約批准に絡む二百海里の経済水域設定問題に端を発して、竹島の領有問題が日韓の外交問題として急浮上いたしております。我が国の懸案である東アジアの新漁業秩序づくりの課題が行き詰まってしまっているのが現在のところでございまして、今後どのように領土と経済水域決定を解決していくのか、その見通しについて外務大臣にお伺いをしたいと思います。
  119. 池田行彦

    ○池田国務大臣 お答え申し上げます。  竹島についての我が方の立場というものは御承知のとおり一貫したものがございますが、他方、韓国側におきましては、竹島は、独島というふうに先方では言っておりますけれども、それは自国の領土であり、日韓間には領土問題はない、そういう立場をとっておられるところでございます。  そういったことで、先般韓国側において接岸施設等の工事をした、こういうことがございましたので、我が方からは遺憾の意を申し上げたところでございますけれども、韓国側はその立場からして、我が方からの申し入れは受け入れられない、こういう姿勢をとっている、こういうことでございます。  しかし、いずれにいたしましても、この問題についての両国の立場の相違というものが、両国関係、両国の友好関係全般に影響を与えることがあってはいけない、これが私どもの立場でございます。そうして、あくまで韓国との間においては友情を持って話し合えるような状況を維持してまいりたい、そういったことで今後とも両国間で冷静に話し合いを積み重ねてまいりたい、このように考えております。  そして、ただいま先生御指摘の海洋法条約締結に伴う新漁業秩序づくりの問題でございますが、この問題につきましては、竹島の領有権の問題とは切り離しまして、何とか新しい漁業等に関する秩序というものをつくっていけないか、そういったことで、その関係国と綿密に話し合いを積み重ねてまいりたい、このように考えているところでございます。
  120. 川島實

    ○川島委員 戦後五十年たった今、いまだに我が国の領有問題で国際紛争が起こっている。非常に惨めな思いをいたしております。これは政治の一つの大きな課題でございますので、そういう意味からいいますと、昨年十一月の河野外務大臣の訪 韓が中止、そしてまた、ことしは連立与党代表団の訪韓が間近になって中止、こういう状況を呈しておるわけでございますけれども……(発言する者あり)議員連盟で一応行くことになったわけでございますが、それも中止になっておるわけですね。  だから、そういう点で、これらの問題は根本的に領土問題をきちっと解決をしなきゃいけない、こう考えておるわけでございますけれども、外務省は、この扱いは、当面の二百海里の問題だけで、一応それは棚上げにして、その解決をまずやっていこう、こういう方針なのか。領土問題の紛争については、韓国は全然、国家主権に直結して簡単に譲れぬ、こうおつしゃつているわけでございますから、その辺の我が国とのギャップの問題をどう埋めていくのか、それが見えてこないものですからお伺いをしておるわけでございますけれども、いかがでございますか。
  121. 池田行彦

    ○池田国務大臣 確かにこの問題、長年にわたって我が国の立場からしますと懸案になっているわけでございますけれども、それがなかなか解決の方途が見出せないというのは、それだけ問題が難しいということに起因するんだ、こう思います。  しかしながら、先ほども申しましたように、この問題をめぐる両国の立場の相違というものが両国の友好関係全般に好ましからざる影響を与えるということは何としても避けたいというのが政府の方針でございます。御承知のとおり、我が国と韓国はいわば価値観を共有する間柄でございますし、安全保障その他いろいろな面で利害をともにする国でございますから、どうしても両国間の良好な関係というのは維持してまいらなくちゃいけない、こんなふうに考えているわけでございます。  したがいまして、海洋法条約をめぐる問題だけということではございません、日韓関係全般の友好な関係を維持してまいりたい。そして、当面海洋法条約の締結というものがございますので、それに伴う漁業秩序等の問題につきましても、冷静な話し合いの上に立って適切なる解決の方途を見出してまいりたいというのが政府の立場でございます。
  122. 川島實

    ○川島委員 今の状況でいきますと、友好関係を保っていくというのは非常に大事なことでございますから、それは了とするわけでございますけれども、何十年もこの問題が解決せずに終わっていきますと、常に、ぎくしゃくしたときにはこのことに注目をして解決のために努力をするわけですけれども、期間がたっとすぐまた次の世代で同じような初めからの問題として議論になるわけでございますね。だから、そういう意味で、我が国は国連にございます国際司法裁判所へ提起をしてきちっと解決されたらどうですか。
  123. 池田行彦

    ○池田国務大臣 我が国としては、従来から、この問題は何としても平和的に友好裏に何とか解決の道を見出してまいりたい、こういう立場でございまして、ただいま御指摘の国際司法裁判所云々の話も、かつてそういうことを我が国として考えたことはございます。  しかしながら、委員御承知のとおり、国際司法裁判所の仕組みというのは、両当事者が国際司法裁判所においてその解決を求める、そういう合意があって初めて動き出す仕組みでございます。そして、御承知のとおり韓国側では、そもそも日韓間には領土問題は存在しない、こういう立場をとっておられるところでございますので、先ほど申しましたような国際司法裁判所で解決の方途を見出すというその前提が成立し得ない、こういう状態になっているところでございます。
  124. 川島實

    ○川島委員 次に、尖閣諸島においての、中国と東シナ海の資源問題でいろいろ領有権の争いが続いておるわけでございます、これは我が国だけでございませんけれども。そのこともあわせて、竹島問題も同じことが言えるわけでございますけれども、このことについても外務省は、大臣は同じような扱いで行うつもりでおりますか。
  125. 池田行彦

    ○池田国務大臣 尖閣列島につきましては、我が国の立場は、これは歴史的な経緯からいいましても、また国際法上からいいましても、我が国固有の領土であり、また、現にその地域を我が国が有効に支配している、こういうことでございますので、我が国としては、そもそも中国との間において尖閣列島をめぐる領有権の問題は存在しない、こういう立場をとっているところでございます。  もとより政府として、対中国との関係を大切にしまして、友好関係全般を維持していかなくちゃいけないというのは当然のことでございます。
  126. 川島實

    ○川島委員 我が国の立場は私も理解できるんですよ。しかし、相手がそれを認めようとしない。特に中国の場合でも、一九九二年の二月に領海及び接続水域に関する法律を採択をしてこの領有権を主張しているわけですね。この違いが、やはりお互いが思い込みで友好だけを念願にしてきちっとした交渉がなされていないからこのことがきちっと処理できないと考えているわけですけれども、私の考えでいることは間違っておるでしょうか。
  127. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、尖閣列島につきましては、我が国は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であるし、現に有効に支配しておる、したがって中国との間にはこの地域をめぐる領土問題はない、こういう立場でございますので、そのことをめぐっての交渉云々ということは起きてこない、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、中国との間におきましても、海洋法条約の締結を踏まえまして、漁業等についての新しい秩序を考えていかなくちゃならぬ、こういう問題は存在するところでございます。
  128. 川島實

    ○川島委員 既に過去にも、中国の、島へ自国の旗を立てたとか、船が着ける接岸施設をつくったとか、それから石油の試掘をやって埋蔵量を探索したとか、いろいろ議論が出ておりますし、石油資源が出てから、あの辺、東シナ海は非常に豊富なところと世界的に注目を集めておるところでございますので、いろいろ我が国ともこれから問題になってくるところだと考えているのですが、その受けとめ方はいかがなんですか。
  129. 池田行彦

    ○池田国務大臣 繰り返しの御答弁になりますけれども、私どもは、中国との間で領有権をめぐる問題は存在しない、こう考えております。  ただ、先ほども申しましたが、海洋法条約の締結ということになりますと、漁業その他の資源をめぐっていろいろ話し合っていかなくちゃならない面は出てくるだろう。これは単に領有権だけではなくて、例えばその区域をいろいろ考えます場合に、どういうふうな海洋法の理論に立つかというようなこともいろいろあるわけでございます。そういった点につきましては、これから中国との間におきましてもいろいろ話し合いを進めながら、現実的かつ適切な解決の方途を見出してまいりたい、こう思います。  いずれにいたしましても、そういった話し合いにおきましても、両国の友好関係というものを大切にしてまいる、これを基本に考えてまいります。
  130. 川島實

    ○川島委員 我が国の領土でありながら外務省の態度は弱い、非常に弱腰と指摘をせざるを得ないんですね。これは、いろんな紛争になってからではだんだん解決が難しくなってくるだろうと思いますので、早急に解決のあり方を抜本的に見直しをして、きちっと領土として保護ができるように対策を考慮していただきたいと思います。  次に、国連人権委員会におきまして、我が国の女性に対する暴力特別報告官の報告書が発表されました。これは、旧日本軍の従軍慰安婦問題について、第二次大戦中の旧日本軍の行為を「人道に対する罪」であると断定、元慰安婦への国家としての補償と加害者の謝罪など六項目を「勧告」として列記した。そして、国際司法裁判所に提起をするとまで発言をしておるわけでございますけれども、このことについて、どのように外務省は扱っておりますか。
  131. 池田行彦

    ○池田国務大臣 政府といたしましては、いわゆる従軍慰安婦問題につきましては、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけただけではなくて、多くの方々が大変な苦痛を経験され、そしてそのことが心身にわたりいやしがたい傷を負わせることになった、そういったことで、そういった方々には心からおわびと反省の気持ちを申し上げてまいったところでございます。  ただし、ただいま御指摘の報告書、いわゆるクマラスワミ特別報告者という方がお出しになりました報告書でございますが、この報告書の附属文書の中で、国家による補償等を行うべきであるとする立場からいろいろな議論を展開しておられるところでございますけれども、私どもは、その議論の内容並びに主張は、国際法上の立場から見て法的に成り立たないものである、このように考えておりまして、我が国として受け入れる余地がない、このように考えております。しかしながら、私ども政府といたしましては、昨年、女性のためのアジア平和国民基金というものをつくったわけでございまして、この基金の事業を通じまして誠心誠意対応をしてまいりたい、こう考えております。  なお、委員御指摘の、この問題を国際司法裁判所へ提訴してという御指摘につきましては、私どもはそのような事実はないものと承知しております。
  132. 川島實

    ○川島委員 いずれにしましても、私もこれらの戦後処理問題については、我が国としては韓国、フィリピン等、処理はなされておる、こういう建前はとっておりますけれども、現実的にはその国々で非常に問題になっておりまして、個々の慰安婦の人たちからは裁判を提起されている、こういう状況にございますし、さきの村山政権におきましても、民間基金を募ってそれらの問題に対処する。しかし、民間基金の方は残念ながら十分の一も集まっていないようでございますし、さらに、橋本総理もこのことについて反論をするということで毅然たる態度を示しておるわけでございますけれども、私は、やはりこれらの国際上の問題については、みずからかかってくる火の粉はきちっと処理すべきだと思いますけれども、費用的にも大した問題でないことでございますから、きちっとやるべきだと思いますけれども、いかがなんでございますか。
  133. 池田行彦

    ○池田国務大臣 ただいま委員も御指摘になりましたように、政府といたしましては、サンフランシスコ条約その他のいろいろな条約、協定等におきまして、こういった問題につきましては誠実に対応してまいりまして、法的には処理は終わっている、こう考えているところでございますし、先ほど申しましたように、クマラスワミ報告者の展開されました議論というのは受け入れられない、こういう立場でございます。しかしながら、先ほども申しましたように、女性のためのアジア平和国民基金、この事業を通じまして誠心誠意対応してまいりたい、こう考えております。  そういった意味で、今委員も御指摘になりましたように、まだ十分その基金の事業が所期の目的を達成し得るような姿になっていないじゃないか、こういう御指摘もあるところでございますから、政府といたしましても、これからも必要な協力に努めてまいりまして、所期の目的が達成されるように努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  134. 川島實

    ○川島委員 私は、やはり国連でこういう問題が議題として取り上げられ、そして、我が国の非が認められた形で報告書が出てくる。これはやはり国連の場できちっと反論をして、世界各国からこれらの問題を認めてもらうという姿勢が必要だと思うのですよ。特に、官房長官総理と同じように、法的に我が国政府が受け入れられる余地のないものだとして拒否する姿勢を示したという報道をされているわけでございますけれども、今後、政府としてこの問題についてきちっと処理に向かって努力をされるかどうか、その決意を聞かせていただきたいと思います。
  135. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど申しましたクマラスワミ報告者の報告書がこれから国連の機関等でどういうふうな取り扱いになっていくのか、そういう様子を見ながら、政府としては先ほど申しました基本的な立場に立った主張は展開してまいる、こういうつもりでございます。
  136. 川島實

    ○川島委員 官房長官の談話について、総理と両方出ておりますので、その件について決意を聞かせていただきます。
  137. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 従軍慰安婦問題、法的な解釈は今外務大臣が申し上げられたとおり、さきの大戦に係る賠償財産請求権等の問題は、我が国としては関係する条約に従って誠実に実行した、この認識は前からずっと変わっておりません。しかしながら、いわゆるその従軍慰安婦問題、これは女性の名誉と尊厳を著しく傷つけた問題でもあることにかんがみまして、政府はこれまでも心から深い反省とおわびの気持ちを重ねて表明をいたしてまいったわけであります。  この気持ちを国民の皆様とともに分かち合っていただくために、長い間のいろいろな検討の結果、国民参加の道を探り、それがいわゆる基金問題に発展をしたわけであります。ですから、従軍慰安婦の方々に国民的な償いを表することを目的とした女性のためのアジア平和国民基金を発足し、現在まで一億四千万を超える募金が集まっていることは御承知のとおりであります。アジア女性の基金の事業は政府と国民の協力により実施されるものであり、これは国民の意思をもあらわすものでございますので、これの拡充強化に努めながらこの問題の対処をしてまいりたい、このように考えております。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  138. 川島實

    ○川島委員 この問題は、民間にゆだねるだけでなく、やはり堂々と国連の場で我が国の主張を続けていただきたいと要望しておきたいと思います。  次に、我が国の深刻な財政を政府は今後どう立て直していくおつもりか、お尋ねをしていきたいと思います。  平成八年度予算は、当初予算に赤字公債の発行を七年ぶりに計上いたしております。歳入の二八%、二十一兆円を公債に依存し、歳出のうち、十六兆三千七百億、二一・七%が公債の元利、利息十一兆七千億を含んでおりますが、それの支払いに充てております。国の税収の五十四兆円のうち三八%を超える歳出がなされ、まさに異常な状況と言わざるを得ません。  もちろん、政府はバブル崩壊後の景気の下支えや阪神・淡路大震災の対応のため大変であったことは私も理解をいたします。しかし、公債残高が過去五年間で五十五兆円も増加をし、特にここ二年続けて二十兆を上回っている。総額二百四十一兆円、ことしを含めて、こういう借金が残高として残っておるわけでございます。世界じゅうの開発途上国の累積債務総額をはるかに超えておりますし、また、過去六年連続して、予定した歳出に対して税収が下回るという大変な状況を迎えてきておるわけでございまして、それに対して、我々には財政改革の道筋というのが一向に見えてまいりません。  政府は、口では財政危機宣言、こう言っておりますけれども、財政制度審議会が昨年十二月十八日に政府に対して、歳出の削減合理化の方策に関する報告、それから、平成八年度予算の編成に関する建議が出ておりますけれども、これらの答申に対して政府はどう対応されているのか、疑問に思うわけでございます。今、我が国の借金は、皆さんが今まで言われておるよりも中身は大変な額でございまして、まず、先ほど言いました国債発行残高、これが二百四十一兆円、これはことしも入れているわけでございますが。  二つは、今後処理を要すると言われる隠れ借金、全体で四十三兆一千億。内訳は、処理方法が法律で定められておりますいろんな予算について十一兆七百八十二億、その他が五兆三百三十五億、そして旧国鉄清算事業団の借金が二十七兆円。  三つ目は、特殊法人が抱えております借金、こ れらも非常に、私どもの方でその特殊法人、ちょっと計算してみました。全額政府出資の特殊法人四十五法人のうち三十一、これが約二十一兆八千億。それから、一部政府出資の特殊法人二十三のうち十七、これが五兆四千七百億。それから、政府出資のない特殊法人十五のうち四法人、八十億。資本金のない特殊法人九法人のうち四法人、二千九亘二十八億。総額にして二十七兆六千四百億。  それから次に、地方自治体の借金、これはまあ百兆円ともいろいろ数が言われておりますけれども、正規には百二十六兆円の公債残高がございます。  それから五つ目は、現在審議されております住専の第二スキームの負担ですね。これが一兆二千億の半分と言われておりますけれども、これで済むかどうか。銀行の不良債権は百四十兆円とも言われております。  それから六つ目は、高齢化時代を迎えての医療、年金、年金基金に対するもの。それから急激に高齢者がふえていくことについて国が手当てをしていかなきゃならない問題点も含めて五兆八千億。  合計いたしますと何と約六百兆。実に現在の国家としての税収五十四兆円の十一倍に当たるわけですね、十一倍なんですね。ところが、これに対する改革が見えてこないわけでございますが、どのように今後国はこれに対応されるおつもりか、大蔵大臣、そしてまた総理を代弁して官房長官にもこの件について決意のほどをお伺いしていきたいと思います。
  139. 小村武

    ○小村政府委員 計数的なことを中心に、先生御指摘のとおりでございまして、ただいま八年度末の公債残高が二百四十一兆円、国債費としましてことしお願いしておりますのが十六兆円でございまして、私どもの予算編成を通じて大変深刻な状況でございます。  この財政赤字問題につきましては、先ほど御指摘の財政制度審議会等におきましても真剣な議論をお願いしておりまして、財政赤字の第一の問題は、国債費に象徴されるように、私ども予算編成をする際に当たって資源配分が政策的な経費にほとんど充てられないという問題点。  第二は、これから右上がりの成長率は余り期待できない、高齢化社会がますます本格化する、そういうときに大変な財政赤字を残していくことによって、世代間の不公平が大変助長されるんではないか。  もう一つは、先生御指摘のように、地方財政を含め日本全体としてのこうした公的な財政赤字が日本経済に対してどういう影響を及ぼすか、クラウディングアウト等々を通じまして、経済そのものにとって大変な影響があるんではないか、こういった観点で今真剣に私ども論議をさせていただいているということでございます。
  140. 久保亘

    ○久保国務大臣 川島さんから御説明ございましたような状況にございますだけに、昨年、前大蔵大臣の時代に財政危機宣言ともいうべき今日の我が国の財政の状況に関する発表を行ったところでございます。私どもといたしましては、今主計局長からも御説明を申し上げましたけれども、財政制度審議会にも答申を求めておりまして、これからの財政の役割やその守備範囲についても思い切った見直しを図らなければならないと思っております。  また、今後の財政再建の目標を定めて、そのことについて確実に再建の道を進めてまいりますために、国会でも皆様方に御審議をお願いをいたしたいと思っております。また、与党は与党として財政再建に関する論議の場をおつくりいただくと聞いております。  この財政危機ともいうべき、先進諸国家の中でも際立って困難な状況になっております我が国の財政の状況を立て直すことは喫緊の課題であると考えております。  そのような立場から、皆様方の積極的な御論議もお願いをするとともに、政府といたしましても全力を挙げて、財政改革、構造改革を通じて財政再建の道を進められるように努力してまいりたいと考えております。
  141. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 既に幾たびか大蔵大臣ないしは総理の所信表明の中に盛り込まれておりますが、委員御指摘のとおり、この財政は危機的な状況にあることは御承知のとおりであります。  しかし考えてみますと、ここ数年来、大変深刻な不況にさいなまれ、そして、いわば経済と財政をどうやれば調整できるか、この点にかかって今日の課題があるわけであります。ようやく今回も、景気のいわば上昇機運というのが見受けられるわけでありますが、過去二遍、この景気のいわば上昇機運に乗り損ねたという苦い経験も持っております。ですから、一刻も猶予ならないこの財政の再建でありますが、それとて、大きな意味で国民経済を支える景気の動向に着目せざるを得ない。この二つの間をどう縫っていくか、大変狭い選択の道ではありますが、景気を着実なものにしながら、その方向づけの中で財政の再建、これを図っていかなければならない極めて大切な時期に今差しかかっているという認識を持っておりますし、総理もそのことに大変心を痛めながらこれからの対策に取り組んでまいる決意であることを申し添えておきます。
  142. 川島實

    ○川島委員 非常に大変だ、こうおつしゃいますけれども、危機の状況を通り越して、もう経営破綻だと思いますよ。なぜなら、平成八年度の国の税収は、地方交付税の十三兆六千億、それから日本銀行等の税外負担の二兆七千億を除きますと四十兆五千億なんですね、残りの税収は。ところが、この四十兆五千億で国債の金利の利払いの十一兆七千億を払いますと、残りが二十八兆八千億しか使用できないんですよ、二十八兆八千億しか使用できない。実際使っておるのが四十五兆三千億なんですね。これほど差があるのに、一向に改革案がきちっと出てこない。  それから、従来の景気回復する手法で公共投資をいろいろ行っておりますけれども、そのことだけでは今の世界の構造的な変化の流れからいって難しいんじゃないかと思いますね。やはり規制緩和や行政改革、中央政府のスリム化、こういうことを国民の目に見える形で、世界の国々からそのことが見える形でやる必要があると思いますけれども、そういう観点から、世界のいろいろ眺めを見てみますると、アメリカは昨年十一月に、連邦予算をめぐって議会とクリントン政権が鋭く対立をいたしました。これは予算の空白と言われる異常事態まで突入をいたしましたけれども、連邦予算の単年度赤字を何年でゼロにするか、このことで議論がなされて、こういう混乱が生じたわけでございますね。  それからまた、ECの中でも、フランスも約五兆円の財政赤字軽減を目指して、シラク大統領の強硬策が三週間に及ぶゼネストとなってパリの都市機能が麻癖状況になった、これも財政再建のためにこれだけ非常に取り組んでおります。それから、欧州連合、EUが一九九九年の統合までに各国が自国の財政赤字をGDPの三%以下にしようという取り決めを行ったために、おのおのが必死になって財政赤字の削減に努力をした結果、先進国では残されているのは我が国じゃないんでしょうかね。このことについてどう受けとめておりますか。
  143. 小村武

    ○小村政府委員 御指摘のように、アメリカにおきましても財政改革の方向で二〇〇二年までに均衡を図るということで、今議会と政府の間で調整が進められております。フランスにおきましても、スウェーデンにおきましても、同じような努力をなされているということであります。  私どもも、先進国の中で今最悪の状況になっておりますので、財政改革の必要性については十分認識をし、また、そのための情報発信に努めているところでございます。
  144. 川島實

    ○川島委員 先ほど、おのおのの部署の赤字額をいろいろ議論をいたしました。その中の旧国鉄清算事業団の借金の問題でございますけれども、最初の金額よりも毎年増加をして、二十七兆円を超える形になってきておるわけでございますけれど も、こう眺めてみますると、いろいろな、土地もあちこちお売りになって、そして再建に努めておるわけでございますけれども、ほとんど人件費だとかいろいろな形で食われております。  昭和六十二年の当初、二十五兆五千億であったものが平成七年度の当初で二十六兆九千億と、二十七兆になってしまって、これからまた毎年一兆円近くふえ続けることが予想されますし、土地をお売りになっても国民負担ははるかに当初の負担率よりもずっとふえ続けている形になるわけでございますけれども、これらについて、どう受けとめておりますのでしょうかね。  住専の第二スキームが――これは約九年かかっておりますね、旧国鉄、今度の第二スキームの二分の一負担の処理の仕方もこれとほとんど似通っているんですね。国鉄の職員はここにまだ二千人ぐらいおりますし、今度の住専も千名ぐらいは残してこれらの処理に充てさすというわけですから、ふえる可能性というのは、根拠が本当に明らかでないわけでございますけれども、これと住専との関係も含めてちょっとお答えいただけますか。
  145. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず、住専のいわゆる二次ロスの問題でございますが、住専処理機構が買い取りました債権等につきましては、まず法律上認められているあらゆる手段を迅速的確に用いることにより強力な債権回収を図りまして、現在以上の損失が極力生じないように努める、それが今回の処理案の眼目の一つでございます。  将来損失が万一生じました場合の方策については、こうした回収努力を行った上で損失が生じた場合について対応しようとしておるものでございまして、こうした損失が当然に生じるということを前提としたものではございませんので、先送りといった御批判は当たらないと考えております。
  146. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 委員質問の旧国鉄長期債務のことでございますけれども、現在、国鉄清算事業団の長期債務等は、土地や株式の資産売却が進んでいないことにより、委員御指摘の昭和六十二年当初における二十五・五兆円が、平成七年当初では二十六兆九千億に増加しているところであります。  なお、事業団のこの国鉄長期債務等の処理については、昭和六十三年一月の閣議決定において、「土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団の債務等については最終的には国において処理するもの」とされており、「その本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」については、」「土地の処分等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入・歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定する。」こととされております。  目下、この事業団の債務処理の問題につきましては、国鉄改革の総仕上げという意味でも大変重要な問題であると認識しており、引き続きその主な償還財源である土地、JR株式の売却に全力を挙げて取り組み、極力国民負担の軽減に努めてまいる所存であります。
  147. 川島實

    ○川島委員 この八年間で八千四百四十七件、五千十一ヘクタール、金額にして四兆一千六百六十二億、これだけ処理しておっても一兆円を超える赤字がふえているわけですね。これからも、今の状況でいきますと、年間一兆円の利子の支払い、それからその他二千人の事業団職員の費用等、これから離職をさすために要るという議論がなされておりまして、働いている事業団も、自分たちが早く売っちゃえば首になっちゃう、痛しかゆしたという議論も中であるわけでございますけれども、この辺のところはどう受けとめておるんですかね。
  148. 梅崎壽

    ○梅崎政府委員 ただいま先生御指摘の国鉄清算事業団の長期債務でございますけれども、この長期債務が土地の処分等を行ったにもかかわらずふえてまいりました主な原因は、その長期債務の主たる要因は借入金でございますので、毎年約一・五兆円の利子が発生する、これに対しまして土地の処分がそれを上回ることができないために結果として長期債務が累増してきた、こういうことが主たる原因でございます。  清算事業団の職員につきましては、この土地の処分あるいは株式の処分に関しまして鋭意努力しているところでございまして、この管理費があるがために長期債務が累増してきたものとは私どもは考えておりません。
  149. 川島實

    ○川島委員 じゃ、今現在お持ちになっている土地の処分を全部行ったにしても赤字が残るわけですが、その赤字はどう処理するんですか。
  150. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 目下その償還財源、土地、JR株の売却に全力を尽くす、こういうことでございますが、なお、昭和六十三年度の閣議決定、このようなことにかんがみ、「新たな財源・措置」、これらにつきましては、それら「土地の処分等の見通し」、こういう中で新たな段階として見直しをし、これの検討を進めていかなければならない、このように考えております。
  151. 川島實

    ○川島委員 この問題にしても、売る土地もわかっておりますし、今売れる時価といいますか、その金額を引きますとちゃんと赤字額も全部出るわけですね。それから、職員の処理をどうするかということも、きちっと検討をしなければ失業問題でいろいろ迷惑がかかるわけですから、抜本的な解決策を早急に、ひとつ運輸大臣、きちっとお取り組みをいただきたいと思います。  次に、特殊法人についてお伺いをいたしたいと思います。  この特殊法人の問題についても、毎回決算状況を見ますると累積赤字が非常に多くなっておりまして、法人の多くは、出資をしてみずからが子会社をつくってそこへ天下り先をつくったり、そして予算執行についてもほとんどその子会社を通して行っておりまして、競争の原理が働いていないという、非常に経済的にもいろいろ問題を呈しておるわけでございますけれども、この辺の事柄についてまずどのような改革をお持ちなのか。特に、総務庁は昨年十二月に十三特殊法人の会計処理が悪いということで改善勧告を行っておりますが、そのときの内容と問題点についてまずお伺いをしておきたいと思います。
  152. 大橋豊彦

    ○大橋政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、昨年の十二月、公共事業関係法人を中心といたしまして十三特殊法人の会計処理を中心とした調査を行いまして、必要な勧告を六省庁に行っております。  その内容につきましては、一つは、この対象になっておりました特殊法人におきまして、引当金の計上をしておりますが、その計上の仕方あるいは取りましの仕方が必ずしも適正ではないということ、さらには、特殊法人の情報開示という観点から、重要な会計方針を財務諸表に注記していないものがあるということで、財務諸表の平明化の推進を図る必要があるといった勧告をいたしているところでございます。
  153. 川島實

    ○川島委員 今現在、特殊法人の全体の定数、それから子会社の人員の合計、定数を超えている部分ですね、それから子会社の数、このことについてお伺いをしたいと思います。
  154. 陶山晧

    ○陶山政府委員 ただいま先生から御指摘のございました特殊法人のいわゆる子会社につきましては、私どもの審査権の対象ではございませんが、たまたま与党の特殊法人のディスクロージャー検討プロジェクトチームにおいて、特殊法人のいわゆる子会社、関連会社について実態を調査されたことがございます。  その内容を御紹介申し上げますが、特殊法人からの出資比率五〇%超の会社、これをいわゆる子会社と整理をいたしておりますけれども、これについては、JRとかNTT等の特殊会社に係るものが三百九十九社、その他の特殊法人に係るものが五十八社、合計四百五十七社となっております。出資比率が二〇%以上五〇%以下の会社、これをいわゆる関連会社というふうに整理をいたしておりますが、これにつきましては、同じく特殊会社に係るものが百五十社、その他の特殊法人に係るものが八十三社、合計二百三十三社となっております。  それから、職員数につきましては、特殊法人からの出資比率五〇%超の会社、いわゆる子会社につきましては、JT、NTT等の特殊会社を除いて約八千人、出資比率二〇%以上五〇%以下の会社、いわゆる関連会社につきましては、同じくJT、NTT等の特殊会社を除いて約六千人という数字になっております。  さらに、役員数のお尋ねがあったかと存じますが、実態調査の結果によりますと、特殊法人からの出資比率五〇%超の会社につきましては約七百三十人、二〇%以上五〇%以下の会社、いわゆる関連会社につきましては約千二百五十人という数字になっております。
  155. 川島實

    ○川島委員 昨年の当初予算のとき、私が質問をいたしまして、特殊法人全体の定数が十一万五千、そして孫会社等の関係人員は六万五千、こういう数字が出ているのですが、これは間違いなのでしょうか。
  156. 陶山晧

    ○陶山政府委員 ただいま御指摘のございました数字は、いわゆる特殊法人として総務庁設置法の審査対象となっております法人の職員数を申し上げたわけでございます。  ただいま御説明申し上げましたのは、それ以外の特殊法人が出資をする子会社、関係会社についての実態調査の内容を御説明申し上げたわけでございます。
  157. 川島實

    ○川島委員 これだけ質疑をしてもこのくらいの違いが出てくるわけですね。  会計検査院、きょうは来ていただいておりますが、昨年も私は、会計検査の重要性を指摘をし、特殊法人についてのこれらの関係についてしっかりやっていただくよう、憲法の定めも読みながらいろいろ議論をさせていただきました。  ことしの検査報告を見ますると、非常に少ないわけでございますけれども、この努力が見当たらないのは一体どういうことなのでしょうか。
  158. 矢崎新二

    ○矢崎会計検査院長 お答え申し上げます。  会計検査院が検査対象にしておりますのは、国の財政、会計との結びつきの濃淡などによりまして二種類ございまして、一つが、毎年検査をしなければならない必要的検査対象、もう一つは、必要と認めたときに検査をすることができる選択的検査対象ということでございます。  それで、私ども、特殊法人、いわゆる民間化されたものを除きますと九十二法人と言われておりますが、その九十二法人について見ますと、この中で検査院の検査の対象とならないものが五つあります。それ以外を見ますと、検査の対象となる八十七法人につきましては、必要的検査対象が六十九法人ありまして、そのほかに選択的な検査対象法人がありますが、このうち継続的に毎年検査をしているものが九法人ございます。そして、年度を限って検査をしたことがあるもの、これが六法人あります。  そういうことで、計八十四法人となりまして、八十七法人のほとんどについて検査は実施いたしております。そして、毎年の検査報告でいろいろな観点から、つまり合規性とかあるいは経済性、効率性、さらには有効性の観点からの検査を実施した結果として、いろいろと指摘した事例がございます。  過去五年間の決算検査報告で申し上げますと、百五十一件の指摘をしておりまして、指摘金額でいいますと五十九億九千万円程度になっているわけでございます。
  159. 川島實

    ○川島委員 会計検査院の検査の充実についてはいろいろ議論をしてきたところでございますけれども、いろいろな制約があってできない、それから国民側からいきますと、国の機関じゃない、特殊法人ということで、国のという言葉があるために、それらがオンブズマンみたいな形で情報公開を求めた裁判等の提訴もできない、こういう非常な壁にぶつかっておるわけです。  昨年、村山総理は、これらの問題を含めて各省庁のすべての行政全般についての監視機関として国会に行政監視機関設置するという構想を打ち上げておるわけでございますが、その後どのようになっておるのか、そしてまた橋本政権はこれを引き継いでこれらについての充実を図っていくおつもりなのか、お伺いをしていきたいと思います。
  160. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 確かに村山前総理が行政監視機関を国会の中に置きたいという話をされたことを確認をいたしておりますが、これは、よく考えてみますと、三権分立の中で国会が行政の監視をするためにどのようなことを行うかは基本的には国会みずからが判断さるべきことであって、国会の中に置くということを総理が申し上げたことは若干越権に当たるかと思いますが、思想としてはそういうものをもうちょっと確実にやらなきゃならない、そういう思いを込めての発言であったので、私たちは、むしろ国会内部でこの問題には十分な対応をしていただければありがたいと思っております。
  161. 川島實

    ○川島委員 それは、あるときは党と内閣の違いをいろいろお分けになっているわけですけれども、非常に大変な、我が国の国家の存亡をかける問題でございますので、党の総裁として、そしてまた我が国の総理として、両面からこの問題にしっかり取り組む意味合いから、監視機関設置をぜひひとつ前向きにお進めをいただきたいことを要望しておきたいと思います。  次に、住都公団についての、非常に出資をしております二十二社の営利法人、団地の清掃、造園、管理等を手がけております日本総合住生活、こういう関係で社員が二千人を超えているというようなところもあるわけですね。これらの競争原理が働かないこういう事柄について、住都公団としてどのような形で対応されているのか、まず建設大臣、お伺いしておきたいと思います。
  162. 梅野捷一郎

    ○梅野政府委員 お答えいたします。  公団が出資しております会社の業務のあり方については、昨年二月の特殊法人の整理合理化の閣議決定の内容に沿ってそれぞれ見直し等を進めているところでございますが、ただいま御指摘の具体的な日本総合住生活株式会社につきましては、保全工事あるいはこれらにつきましては居住者からの要望にすぐこたえなきゃいけないとか、いろんな仕事の内容によりまして区々でございます。したがいまして、結果として機動的なサービス体制を有するこの会社が発注につきましてもかなりのシェアを占めておるのが実態でございます。  しかしながら、その閣議決定の内容に沿いまして、特に一般の民間会社でも受注できるような大規模修繕工事、こういうものにつきましては段階的に撤退をしようということで業務の受注のあり方についても取り組んでいるところでございまして、具体的にも、六年度の実績を見ますと、それまでに比べますと一〇%程度のシェアを低減しているというような取り組みでございまして、引き続きこの考え方に沿って計画的にやってまいりたいという状況でございます。
  163. 川島實

    ○川島委員 私どもがいろいろ関係者から聞くところによりますと、ほとんど競争原理が働いていない。予算がどれだけ使われても、それの金額の高がもうストレートで、随意契約と一緒ですから、二千人も天下り先ができている。こういうことでは、今行革が問われている中で大変な実態で、これはほんの特殊法人九十二のうちの一つの問題点でございますけれども、みずからがきちっと襟を正す必要があると思いますが、建設大臣、いかがでございますか。
  164. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 お答えいたします。  公団が出資する会社の業務のあり方等につきましては、昨年の二月の特殊法人の整理合理化の閣議決定の内容そのものに沿って現在見直しを進めておるところでございまして、平成六年度の公団団地の保全工事については、居住者からの要望に迅速にかつ的確に対応することを目的にいたしまして、それをまた基本といたしまして発注し、結果といたしましては機動的なサービス体制などを有する日本総合住生活株式会社への発注額が、御指摘がございましたように確かに約七割くらいは占めておるのではないか、こう思うわけでございます。  日本総合住生活株式会社の業務につきましては、まさに閣議の決定に沿って、日常生活に密着した苦情の処理であるとか施設の経常的な維持であるとか管理等の公団の管理業務を補完する業務への重点化、一般の民間業者でも対応可能な大規模修繕工事からの段階的撤退、これも相当に撤退をいたしまして、大体七割から一〇%ぐらいは減っておるのでございましょうか、六割ぐらいを割っているわけでございますから、そのような方向で見直しを推進していくこととしておりますし、現にその方向に進んでおることを御報告申し上げます。
  165. 川島實

    ○川島委員 いろいろ問題が多くて、これは一つの省庁だけでも二十二社もあるわけですね、建設省だけで。だから、今の定数問題を守っていない、十一万五千がプラス六万五千というその孫会社の部分や直の会社ですね、これらについての定数是正についてどうお考えになっているのか、考え方とその是正のあり方について、総務庁長官ですか、お伺いをしておきたいと思います。
  166. 陶山晧

    ○陶山政府委員 いわゆる特殊法人の要員管理の問題につきましては、各法人の自主性を尊重し、また公共的性格を十分考慮の上、各主務省庁において行われるという仕組みになっているところでございますが、御指摘のありました定員あるいは職員数につきましては、政府の方針としてその抑制に努めるということにいたしておるところでございます。  なお、国家公務員と異なりまして総定員の上限というものは設けられておりませんけれども、株式会社等を除く公庫公団等につきましては、経営の実態に応じて国家公務員に準じた定員削減の措置がとられているところでございます。  なお、特殊法人の職員数総数につきまして総務庁として把握しているところを申し上げますと、この一年間で、約五十六万九千人、これは平成六年一月一日現在の実員数でございますが、これが平成七年一月一日現在の実員数では約五十四万八千人となっておりまして、約二万一千人減少しているところでございます。
  167. 川島實

    ○川島委員 特殊法人のいろいろな問題点で総務庁長官が一向にお答えにならないんですね、行革の一番の取り締まりをやっているところなんですけれども。御意見ございませんか。
  168. 中西績介

    ○中西国務大臣 今までの御質問の内容というのが、総務庁の全般的な総合的調整をするという役割の中でやっていくわけでありますけれども、そうしたものよりも内容的に数的なものがあるものですから、今事務方の方に答弁をさせたというのが実情であります。
  169. 川島實

    ○川島委員 ずっと政府がやっております行革の姿を見ておりますと、ただ三つを一つにするとか、それも昨年こたえてすぐやりますと言ったものが、ことし、今国会に法律が出てでき上がるのが十月一日とか、非常にのろまなのですね。こういう行革が本当に経済に及ぼす影響等を考えますと、即やる、国民にもきちっとすべてがわかるように、そういう姿が望ましいわけでございますけれども、その決意はございますか。
  170. 中西績介

    ○中西国務大臣 行政改革一つを取り上げてみましても、幾つもあるわけであります。規制緩和の問題から、さらにまた情報公開、地方分権等々。したがって、これらにつきましては、それぞれ推進委員会なり、あるいはそのための専門委員会等を設けまして、回数におきましては相当数の回を持ちまして検討をずっと続けておるわけであります。  したがって、例えば規制緩和につきましては、御存じのように、昨年の十二月に決定をいたしまして、ことしの一月二十六日、各省庁からの中間的な報告を聞きまして、これをさらに多くの内外の人々の御意見をお聞きをする。そして、三月末にはこうした内容について大体六割程度、千九十一事項の中の六割程度を措置をしていこう。こういうことを今考えておりまして、短時間の間になかなかこうした事務的なものが整えられない、しかも、それは多くの人々の意見まで聞かなくてはならぬということがございますので、指摘のあるようなこともございますけれども、今鋭意取り組んでおるというのが実情であります。
  171. 川島實

    ○川島委員 大変なことはよく存じておりますけれども、これは長年の政府の方針でございますし、一向に進んでいないという事柄について、国民から見ては非常に何だ何だという気持ちになりますので、ひとつ早急に全体像が見える形でしっかりとお取り組みをいただきたいと思っております。  次に、借金の中で、厚生省関係のいろいろな問題点についてお伺いをしていきたいと思っております。  一つは、厚生年金の関係で、現在積立金が百兆円ばかりありまして、その自主運用の中で株等の投資をやったりして赤字を出している、それは今までの累積赤字が六千九百八十四億、こういう形になっておるわけでございまして、掛金は、厚生年金は一六・五%から三十年かかって二九・六%、ボーナス一%、こういって値上げたけはきちっと決められておりまして、給付は五年ごとにいろいろ経済状況を見ながら決定をされていく、こういう状況でございます。  株に投資をして赤字を出す、それが累積で今日まである。このことについては国民にはなかなか理解が得られないわけでございますけれども、厚生大臣、このことについていかがですか。御所見をお伺いしておきたいと思います。
  172. 菅直人

    ○菅国務大臣 川島委員の方から、年金、これは直接は年金福祉事業団という形になりますが、その自主運用事業において赤字が出ている、それは株式投資による赤字ということで、国民の理解が得られないのではないかという御指摘だと思います。  御承知のように、年金の積立金の自主運用というのは、一たん資金運用部に預けたものからまた同じ利率で借り出して、七年から十年の固定金利で借り入れを行って、これを運用原資として市場運用を行っているもので、この利払いと市場により変動する運用利回りとの差が単年度のプラス・マイナスの決算となる、そういう仕組みになっております。  確かに、平成三年度以降は、借入金利は従来のまま高どまりをする一方で、一般の市中金利の低下や株式の下落等投資環境が低迷した結果、運用利回りが借入金利を下回って赤字になっているわけであります。経済の長期低迷により、最近数年間は赤字が続いている状況にあるわけですが、この事業は、景気の変動の中で、長い目で見ますと、確かに低迷期にはマイナスを生ずることもあるわけですが、景気回復期には収益の回復が十分に見込めるものである、このように考えております。  つまりは、二十年、三十年という長期運用を、これは諸外国でもやっている例を見ると、確かに短期ではいろいろな時期の中でのプラス・マイナスがありますけれども、長期的には十分プラスが見込めるもの、そういう前提のもとで進めておりまして、御指摘の点は、確かに十分国民の理解を得られるようにしなければならないと思いますが、そういう長い目で見ていただいて御理解をいただきたい、このように考えております。
  173. 川島實

    ○川島委員 それが理解ができないから問題にしているのですね。  この自主運用の中で、信託銀行それから生保そして投資顧問会社、問題は、株の運用で赤字になるようなことはやめるべきだと思うのですね、もうかるときはもうかるだろうと思いますけれども、損をするときは損をするのですから。どうしても株が持ちたいというのなら、電力会社なりガス会社なり、一割なり〇・八なり配当をはっきりきちっとやれる、配当で利益を得るというような考え方を持つのか。  その辺も含めて一遍検討をしていただかないと、株で赤字になったという、大切な国民の血の出るような年金、これから高齢化時代へ向かって、一体もらえるのかどうかという心配をしている。百兆円の積立金があるけれども、政府が言う成熟度といってもさっぱりわからぬ。一体成熟度 というのは、幾ら積んでおったら成熟度なのだ。これから高齢化時代へ向かって、ことしだけでも、厚生年金をもらう人がふえて千五百億もお金が一気に要る、こういうことまで言われているわけでございますから、この辺のことについて配慮する余地はございませんか。
  174. 近藤純五郎

    ○近藤(純)政府委員 お答えいたします。  株を自主運用事業に使うのはどうか、こういうことでございます。  先生御指摘のとおり、この年金の運用資金というのは非常に大事な資金というふうに考えているわけでございまして、分散投資によりまして安全かつ効率的な運用を図ることというのが必要なわけでございまして、年金福祉事業団の自主運用事業につきましても、国内の債券等の安全資産を五割以上にいたしているわけでございます。その一方で、株式等は中長期的に高利益が期待されるわけでございますけれども、こういった資産は三割以下という形にしているわけでございます。  したがいまして、株式の割合というのは今の段階では十数%でございまして、株式の運用につきましては、単年度では大変な収益の変動がある、そういう意味でリスクが高いわけでございますけれども、リスクにはそれに対するプレミアムがつくわけでございまして、そういう面で中長期的に見れば収益の変動性というのが平均化されるわけでございまして、中長期的には安定的に高い収益率が期待できる、こういうものでございます。  したがいまして、年金の自主運用事業におきましては、運用期間というのが長期に運用できるという特性があるわけでございますので、株式を組み入れることによりまして安全かつ効率的な運用、こういうものに心がけてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございまして、先生の御指摘のような安全資産という面の株というのを当然組み込んであるわけでございます。  ただ、非常に大きな資金でございますので、特定のものに集中的に入れるということになりますと、株価に非常に大きな影響を与えるものでございますから、全般的な比較的良好な株に限定した運用を信託、生保の方にお願いをしている、こういう状況でございます。
  175. 川島實

    ○川島委員 まあいずれにしましても、ばくちのような形を望むよりも、堅実に積み立てたお金をふやしていく。それで、最悪の場合、どうしてもやりたければ、その積み立てたお金で利息や何かでもうけて、それを株に投資をするというなら、まだその部分では国民の理解が得られると思いますけれども、元金を減らしていく、それもここ三、四年全部赤字なんですね。それでいつ黒字になるかわからない努力をしなければいかぬということでございまして、だんだん深みに入るおそれがあるわけでございますから、この辺を十分ひとつ御検討をいただきたいと思います。  次に、国民年金の未加入者でございますが、これは二百万を実は超えておりまして、昨年、二年の請求権をだめになったものを赤字として処理したのが三千七百億ばかり。これらに対していろいろ対策を講じておるわけでございますけれども、なかなか、医療費の方は入るけれども年金が入らないという、そういう理解のデータがいっぱい出てきておるのですが、抜本的な改革というのは考えておるわけでしょうか。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  176. 横田吉男

    ○横田政府委員 国民年金の未加入者でございますけれども、先生から御指摘いただきましたように、平成四年度の公的年金加入調査によりますと、第耳石被保険者として加入すべきであるにもかかわらず加入されていない方が約百九十万人と推計されておりまして、私ども、これらの未加入者の解決を図っていくことは最大の課題であるというふうに考えております。  このため、私ども、現在未加入対策を積極的に進めておりまして、その一つとしては、二十になりました方については全員入っていただくという考え方で市町村等に努力をお願いしております。直近のデータで約九三%の市町村が、二十になりました方について年金手帳をお送りするというようなことで加入を勧めております。  それからまた、先生から御指摘いただきましたように、国民健康保険の方に入っている方で国民年金の方に入っていない方が約七〇%、国民年金の未加入者のうちで国民健康保険の方に入っている方が七〇%というような数字もございますので、そういった方を中心に加入対策を強力に進めてまいりたいと考えております。  それから、より基本的には、平成九年一月実施を目指して現在基礎年金番号の導入を進めておりますけれども、こういった年金番号ができますと、加入されていない方がはっきりと把握できるようになりますので、より根本的、効率的な加入対策が進められるというふうに考えております。
  177. 川島實

    ○川島委員 時間がございません。本当は、千五百万人の人の未払い分で赤字になっていく部分が幾らかというような細かいことを聞きたいわけでございますけれども、また後ほど資料でお寄せいただきたいと思います。  厚生年金基金の方も、日本紡績業厚生年金基金が財政破綻をして、十三億ばかり、加入者がいろいろ、組合員が一人六十万ですか、何か負担をしている、こういうような事柄も生じてきておりまして、これから多くの破綻が続くのではないかという問題点も出ております。その負債が、報道によりますと三兆三千億ある、こういうふうにも言われておるわけでございますので、この点についても、ひとつ抜本的な改革をお願いをしておきたいと思います。  次に、農業予算の問題でございますけれども、いろいろ農業予算については、米市場開放で国内の生産、流通も市場原理を導入、今後は米価も下がるし、国の保護は減る。それで、苦しい農家を救済するために、ガット・ウルグアイ・ラウンドのときに六年間六兆円という対策が決定された経過がある。しかし、米価水準は一向に、据え置かれて下がる気配が見えてこない。補助金も非常にふえてしまっておる。だから、農業予算については二重の投資がなされておるのではなかろうか、非常に苦しい財政事情のときに、こういう状況はけしからぬという学者も見えるわけでございますけれども、農林水産大臣、この厳しい財政事情の中でこのことをどう受けとめておるのか。  さらにまた、住専問題の中で、いろいろ農林系統の不良債権が言われております。住専のもう一つでございます、そこの六千億とも言われる、八千億ですか、不良債権、それからまた系統系が抱えている不良債権、これらについて、幾らあって、どのような措置を今後とられるおつもりか、あわせてお伺いをしておきたいと思います。
  178. 大原一三

    ○大原国務大臣 御指摘の、特にウルグアイ・ラウンド農業対策六兆百億円の実施状況でありますけれども、これはもう御承知のとおり、平成六年に内閣総理大臣本部長とする緊急農業農村対策本部において決定されたウルグアイ・ラウンド農業合意関連政策大綱に基づきまして、平成六年度、平成七年度、さらに平成八年度の本予算が成立をいたしますと事業費ベースで二兆三千億円、国費で約一兆一千億円という事業が実施されることに相なることは、委員御存じのとおりであります。  このウルグアイ・ラウンドによる農村・農業に対する影響、ショックというものは、委員御存じと思いますが、農家の人々は大変深刻にこれを受けとめております。我々としては、平場はもとよりでありますが、中山間地、さらには山間地におけるこれらの農家の方々のこれからの生活というようなものを考慮しながら、なおきめの細かい施策をやるためには、どうしてもこの予算を六年間で計画どおり着実に実施する必要がある、こういう考え方で実施をさせていただいております。  なお、不良債権の問題でございますが、金額は後で事務局からお答えいたしますけれども、いわゆる住専問題を除く不良債権というのは、私が聞いておりますところ、三種類の不良債権、つまり、破綻先債権、さらにまた延滞債権、金利減免 債権合わせて、元本に対して、資金運用額に対しては大変率の低いものに相なっております。一般金融機関に比べれば率の低いものに相なっております。  その中で、今回問題になっております住専貸し付けがやはり一番大きな金額でございまして、その中から五千数百億の拠出をする、こういうことを我々は決意をいたしたわけでございますが、それだって、もう御承知のとおり、何回も議論をいたしましたが、底の浅い信連その他の事業から見れば大変な負担である、このように我々は考えております。  以上でございます。
  179. 川島實

    ○川島委員 私どもも農業予算については理解をしておるところでございますが、いろいろと国民の声が上がってきておるわけでございまして、その辺は、やはり農業を守るという立場から、国民の理解が受け得るように情報開示をしてきちっとやらなければいけない。特に、今回は住専問題が絡んで、農業系統のそうした問題についても非常に国民はさめた見方で見ておりますので、ひとつ系統の不良債権処理についてきちっと抜本的に取り組みをいただきたいと思うわけでございます。  最後に、官官接待について一つ伺いをしておきたいと思います。  情報公開条例ができて、市民オンブズマンによる自治体の食糧費公開請求、主な自治体にはほとんど出ておりまして、一体、こういう人たちの努力でなければ食糧費の公開というのが出てこないのかどうか。地方自治体を統率をいたしております自治省は、自治体の九割が改善に消極的と言われているのに、一体、調査すらやられていないのかどうか、この件についてお伺いをしておきたいと思います。
  180. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 食糧費の支出につきましては、各地方団体の財務規則等にのっとりまして、各団体におきまして、その必要性等を考慮の上に実施されているものでございまして、これらの問題につきましては、各地方団体において自主的、自律的に住民の信頼を得られるように取り組まれるものであろう、こういうふうに考えておるところでございます。
  181. 川島實

    ○川島委員 調査はしていないんですか。
  182. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 お答えを申し上げます。  食糧費につきましては、確かに歳出項目の一つでありますけれども、款項目節の区分からいいますと、細節ということでありまして、節の説明という位置づけになるわけでございまして、私ども地方公共団体の決算統計調査をいたしておるわけでありますが、その中にはこの細節の部分までは入っていないということでございますので、御了承賜りたいと思います。
  183. 川島實

    ○川島委員 これほど官官接待問題が出ておりまして、北海道は食糧費五億、それから空出張十億等ございましたですね。これらの問題が出てくる、ほか大きな町村でいろいろ出てくるというようなことがございました。こういうものがあったら、即自治省はきちっとした通達なり、いろいろ御指導はされているだろうと思いますけれども、調査が必要だと思いますね。それから、指針が必要だと思いますよ。そして、二度と再び官が国民からそういう疑いがかけられないような、襟を正す。  我々がここで議論をやっておりまして非常に残念に思いますのは、従来ですと、我々はいろいろな問題点を国民の声を受けて提起をする、それを政府が受けとめて、何らかの形で一年かからない間にこれらをきちっと処理をする、そして、長くても一年の間にはきちっとした対策が講じられてきたわけですね。ここ数年、そういう形がなくなりまして、国会そのものの品位が非常に落ち込んでいるような気がするわけでございますが、これらについて、官房長官、一言御所見をお伺いをして終わりたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
  184. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 確かに委員御指摘のとおり、政治が、政府がそういうものに対するいわばけじめというか、物に対する考え方、これに緩みがあるのではないかと思うことは、そういうものは的確に今までの規矩準縄にのっとってやっておられない、こういうところにあろうかと思います。深い原因があることだとは思うんですが、これを正すことが一番正しいことだと思いますので、全力を挙げたいと思います。
  185. 川島實

    ○川島委員 ありがとうございました。  終わります。
  186. 上原康助

    上原委員長 これにて川島君の質疑は終了いたしました。  次に、平田米男君。
  187. 平田米男

    ○平田委員 今回の住専の問題の審議の中で、財政資金を投入するのだからということで、大口貸付先の実名リストが住専については公表をされているわけでございます。  大蔵大臣にお伺いをいたしますが、東京協和とかあるいは安全信組、こういう金融機関の処理につきましては、地方自治体ではございますけれども、財政資金を投入するというスキームがもう行われ始めているわけでございまして、まだ処理スキームが決まっていない木津信等々も同様の考えに基づいて行われる可能性が十分あると考えておるわけでございます。国が管轄するものあるいは自治体が管轄するものを含めまして、こういう金融機関につきまして、破綻をした場合に財政資金を投入するようなものにつきましては、特に不良債権の大口貸付先、こういうものの実名リストを公表するお考えはありませんでしょうか。
  188. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のように、この問題は直接には地方公共団体の問題ということにはなるわけでございますが、大蔵省といたしましては、従来から、今御指摘の財政資金を投入するというような破綻金融機関の処理につきましては、情報の開示に努めてきたところでございます。  ただし、個別取引に係る情報の開示につきましては、職務上知り得た秘密の保護等の観点から、おのずから制約のあることも御理解を願いたいと存じております。
  189. 平田米男

    ○平田委員 そうすると、住専は出すけれども、ほかは出さないという答弁のようでございますが、その立て分けはどうなっているんでしょうか。
  190. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほど申し上げましたように、直接には地方公共団体の問題かと存じますけれども、公的関与の性格、そしてまた開示の対象となります情報の性格に応じまして、適切に対処すべきものと考えております。
  191. 平田米男

    ○平田委員 全然答弁になっていませんですよ。大臣、ちょっと答えてくださいよ。そんなことじゃ、何で住専だけ発表してほかのところは明らかにしないんですかと聞かれたときに、今の西村局長の説明では国民はだれも納得しませんですよ。特に、住専は預金者がいないんですから、ほかの金融機関は預金者が現実にいるわけですから、どうなっているんだということは、預金者自身が知りたい話です、国民が知りたい話です。
  192. 久保亘

    ○久保国務大臣 行政府として、行政の推進に当たっている立場から、今銀行局長が守秘義務にかかわって直ちに開示することが難しいという意味のことを申し上げました。私も、国家公務員法に基づく守秘義務の問題は、行政官の立場ではそういう主張が行われるべきものと思っております。  しかし、今日、国政調査権に基づいて情報を開示いたします公益性というものも高くなってきていると考えております。したがいまして、これらの比較考量は、議院証言法等によって国会自身が御選択になれば、そのことに従うべきものと考えております。
  193. 平田米男

    ○平田委員 次の質問に移りたいと思いますが、二月の十五日、農水省から資料が出されました。その二ページを見ますと、県信連の業務内容の検査結果についての概要、平成六年度については二十二の県信連について検査をした結果の概要ということで数行にわたって簡単に報告がされているわけでございますけれども、そこを見ますと、「貸出関係では、財務内容分析等の貸出審査の徹 底、貸出実行後の債権管理の徹底を求めるものがみられる。」こういう文章になっております。  非常に簡単な説明でございまして、大体趣旨はわかるつもりではございますけれども、貸し出し関係のもう少し詳しい内容について御説明をいただけますでしょうか。
  194. 堤英隆

    ○堤政府委員 提出いたしました資料は、二十二連合会につきましての個別のそれぞれの指摘事項につきまして、総体としてまとめるという形でお出しをしたものでございます。  したがいまして、これはここ十年ほどのものを出してございますけれども、ここにございますように、財務内容なり、それから貸し出し実行後の債権管理の徹底という形でそれぞれ問題があるところにつきまして指摘をする、あるいは通達の趣旨等についてきちんと理解をしてもらう、そういう意味で、大体この種のものにつきましては、毎年それぞれの連合会に対しましてそういう御指摘をいたしております。  貸し出し実行後の債権管理ということでございますので、相手の経営状況の把握なり、それから担保の設定状況なり、そういうものについてきちんとしていくようにという形での指導、指摘をそれぞれ必要なところについてなしているものというふうに理解をいたしております。
  195. 平田米男

    ○平田委員 僕はもう少し詳しくというふうにお願いをしたわけでございまして、例えば二十二の連合会ですか、県信連を調べた結果としてこういう指摘があったのが幾つなのか、またどういう事例があってそのような指摘があったのか、その辺を御説明いただきたいのです。
  196. 堤英隆

    ○堤政府委員 申しわけございませんが、個別のことにつきましてはそれぞれ、対外的に出してはいけないというふうになっております。整理してございませんが……(平田委員「名前は言わなくていいですから」と呼ぶ)  私どもとしましては、今この段階で膨大な資料をこういう形で整理をしてお出しをしてございまして、必要であれば、どういうものがあったかという今御指摘のようなことにつきまして、名前を出さないという形で、幾つぐらいの県信連についてそういう指摘があったということについてまとめてみたい、こういうふうに思います。
  197. 平田米男

    ○平田委員 では、そのようにまとめて提出をいただきますようお願いをしたいと思います。  委員長、御配慮をいただきますように。
  198. 上原康助

    上原委員長 理事を通して要求してください。また理事会でも要請いたします。(平田委員「いや、今出しますと言っているのですから」と呼ぶ)ですから、協議します。
  199. 平田米男

    ○平田委員 出しますと言っているのも理事会を通さないとだめですか。
  200. 上原康助

    上原委員長 一応、各党の理事を通してできるだけお願いをするようになっていますので。
  201. 平田米男

    ○平田委員 農水省は出すと言っているのですよ。――出すと言っているのですから、出していただくようにお願いをします。
  202. 上原康助

    上原委員長 そのように取り計らいますから。――ですから、理事会で協議をいたします。(平田委員「答弁者はオーケーと言ったんだよ」と呼ぶ)ですから、答弁で出すなら出しますよ。
  203. 平田米男

    ○平田委員 じゃ、答弁者が出すと言われましたので、出されることが当然のことだと思いますので、次の質問に移ります。  では、信連の中には決算承認団体があるそうでございますが、それはどことどことどこなんでございましょうか。そして、その決算承認団体に至ったのはどういう理由なのか、またそれはいつごろなのか、明らかにしていただけますでしょうか。
  204. 堤英隆

    ○堤政府委員 決算承認団体につきましては、それぞれの個別の信連の個別経営にかかわることでございますので、名前は従来から申しわけございませんが差し控えさせていただいております。  それで、御指摘のように、三つ、現在決算承認団体というふうになっておりまして、それぞれ名前は申し上げにくいわけでございますけれども、平成四年なり平成五年におきまして、基本的に有価証券運用という形の中で問題が生じるということでございましたので、総会の前に、決算をする前にあらかじめ承認を得るようにという意味での指定をそれぞれ平成四年あるいは平成五年にしてございます。
  205. 平田米男

    ○平田委員 名前を言えないということは、健全な県信連がかえって迷惑をするということにもなることを十分農水省としては御判断いただかなければいけないと思います。三つありますというふうにおっしゃっているわけですから、これは名前を明らかにしておかないと、健全な経営をやっているところにはかえって迷惑ですよ。  そういう形式論で、実質あなた方はこういう系統の金融機関の経営のところまで御判断されて今回のスキームについてもいろいろ行動しておいでになるわけだから、片っ方ではそういう動きをしながら、国会の答弁になると、いざとなるとそういう形式論で国民に明らかにしない。そして逆に、あと健全な、健全でないのもまだ幾つかあるのかもしれませんが、少なくとも決算承認団体になっていない四十三の県信連に対して、うちは大丈夫なのか、こうやって農協系の皆さんが心配されるような、かえって変な情報を流しておいでになるというふうに私は思いますが、いかがですか。
  206. 堤英隆

    ○堤政府委員 そういう御指摘もあろうかとは思うのですけれども、やはりそれぞれ決算承認団体ということにつきましては、その信連にとりましてもさまざまに経営に影響するということがございますので、従来からその点につきましては差し控えさせていただいているところでございます。
  207. 平田米男

    ○平田委員 委員長も首をかしげてお聞きになっておられたようでございますが、まさにそのとおりでございまして、まあ結構でしょう、もう時間が経過するだけですので。  それで、有価証券の取引の失敗だそうでございますが、それぞれどれだけの金額の損失を出したのでしょうか。
  208. 堤英隆

    ○堤政府委員 今、手元に有価証券の関係での損失が幾らということについては持っておりませんが、それぞれ指定をされましたときの損失金につきましては、七十億から百三十億とかいう形でそれぞれの信連ごとに欠損が生じておりまして、そういう状況の中で、あらかじめ総会の前の事前承認を得ることが必要だろうということで決算承認団体にしたということでございます。
  209. 平田米男

    ○平田委員 これまでの農水省の答弁では、系統はお金もうけではありません、こういう一貫した御答弁でございました。この三信連ですか、これはお金もうけではなくてこういう失敗をしたのですか、それとも金もうけをしようとして株に走ったのでしょうか。その辺はどういうことなんですか。
  210. 堤英隆

    ○堤政府委員 農協は御案内のように営利を目的としたものではないということでございますので、基本的に、そういう事業を通じて得ました利益につきましては農家の方々に還元をしていくという形のものになっているわけでございます。  その際、また、運用におきまして、それぞれ自分のところで運用する場合と、それから上部機関に預け金という形で運用する場合がございますけれども、自分のところで運用します場合につきましても、基本的には、やはりそれぞれ貸し付けという形でやっていくということがもちろん基本でございますが、農業関係あるいは農業関連産業だけではなかなか貸付額が十分でないということがございまして、そういう意味で、比較的安全な面という意味で、一定の範囲に限って運用ということが認められているところでございます。
  211. 平田米男

    ○平田委員 何か今の局長の答弁は、まさにこの三信連がやったことを擁護するようなトーンで聞こえましたが、農水省は、これは一生懸命やった上での失敗だからやむを得ないという御認識なんでしょうか。大臣、いかがですか。
  212. 堤英隆

    ○堤政府委員 私、決して擁護するという意味で申し上げているわけではございませんで、現在 の信連の貯金の運用につきまして、実態がどうなっているかということで申し上げたわけでございます。そういう意味では、やはり株式のこういう大きな変更の中で大きな赤字を生じてしまったということについては大変問題があったという認識は、私どももいたしているところでございます。
  213. 平田米男

    ○平田委員 この三つの県信連が住専に幾ら貸しているか、明らかにしていただけますか。
  214. 堤英隆

    ○堤政府委員 ちょっと私、今すぐには出てまいりませんが、資料が確定し次第、御連絡いたします。
  215. 平田米男

    ○平田委員 では、私が明らかにいたしましょうか。名前を言っちゃいけないというお話なので、名前を伏せて申し上げますと、一つが五百九十九億円、もう一つが九百三十五億円、もう一つが四百九十二億円。それは、一千億を超えているところもございますから、そうめちゃくちゃ多いところではありませんが、こういうところもしっかり住専に貸しているわけですね。  それで、この三つの県信連は、今回の二千億の贈与の分担はどうなるのでしょうか。
  216. 堤英隆

    ○堤政府委員 農林系統は五千三百億円の資金協力をするということで、うち、共済の方は千三百億弱、それから信用事業の方が四千億強ということで確定しているわけでございますが、その中の内訳につきましては、今最終の段階をそれぞれ県連段階でやっておりまして、もうちょっと時間がかかるわけでございます。そういう意味では、今の段階ではまだ最終的に信連ごとにそれぞれ幾らになるということは決まっておりません。(発言する者あり)
  217. 平田米男

    ○平田委員 積み上げ方式、おかしいという言葉が後ろからありましたが、まさにそのとおりでございます。  この報告書によりますと、要するに貸し出し関係でも審査が徹底されていないとか、あるいは実行後の債権管理の徹底がされていない、平成六年度でもそういう指摘が二十二の県信連の中でされているわけであります。そして、今明らかになったように、三つの県信連が決算承認団体になっていて、それはもう平成四年とか五年の時点でなっている。しかし、六年の時点で、貸し出し関係でさえこのような怠慢な状況に、金融機関としてはずさんな状況になっているということが明らかであります。  大臣、このような状況についてどのようにお感じになりますか。
  218. 大原一三

    ○大原国務大臣 あのバブルの中で株に浮かれて、そっちの方へ多額の投資をしたということは、今の段階では厳しく反省をすべきであると私も思っております。  何回も申しますように、農協の運営の基本は、収益を多額に上げることが目的ではない、安定投資によって農民の方へ広く浅くではあるが還元するというのが農協の精神でございますから、御指摘のように、いわゆる投機的な投資、あるときは土地、あるときは株式、これに偏在することは農協のあり方として正しくない、私はさように思います。
  219. 平田米男

    ○平田委員 正しくないというふうに思った上で、いろいろ対応はしておいでになるのだろうと思うのですが、しかし、平成六年度の検査の結果でもこのような状況にある。ということは、農水省の指導というのは極めて県信連には行き渡っていないというふうに言わざるを得ないと思いますが、いかがでございますか。
  220. 堤英隆

    ○堤政府委員 私どもとしましては、大体二年に一度ぐらいの検査に従いまして、それぞれの検査項目に沿って適正な指導をしてきているわけでございます。  また、住専につきましても、平成六年度の段階におきましては、第二次再建計画が策定された段階でございますので、その点につきましての達成状況といったことにつきまして一層把握をし、債権の保全に留意をするようにという形で、さまざまな指導をしてきているところでございますが、今後ともそういう形で対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  221. 平田米男

    ○平田委員 私はやはり、県信連の経営のずさんさに対して、もっと厳しく監督をやらなければいけないと思います。そういうことを放置しておいて、国民に六千八百五十億プラス五千億円以上の負担をかけようとするなどというのはだれも納得しない、それを明確に申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  同じ資料の六ページでございますが、その六ページには、住専にどういう考え方でお金を貸したかということで、信連については、「具体的な融資にあたっては、住専の業況や資金調達状況等についての総合的な審査の判断のもとに、住宅ローン債権譲渡担保の徴求等必要な債権保全に留意して貸付を行っていたものである。」このようになっております。  このようになっていたら問題は起きなかったと思うのですが、住専の業況についてどのように調査をしていたというのか、これを具体的に示していただきたい。  また、住専の資金調達状況についてはどのように調査をしていたのか。  それから、住宅ローン債権譲渡担保の徴求はどのようにやっておられたのか。  それから、住宅ローンの貸し付けの増加は実際上なかったのです、九〇年、九一年、九二年。にもかかわらず、信連は二兆円を超えるお金を一気に貸し越してしまった。住宅ローンの貸し付け増がないにもかかわらず、住宅ローンの債権を担保にとりながら融資をしましたというのは、これは自語相違でございまして、矛盾しています。それを平気でこのように国会に報告してくる。  ぜひ、この四点について、まず御答弁いただけますでしょうか。
  222. 堤英隆

    ○堤政府委員 今御指摘のありました点は、具体的な融資に当たりまして、住専の業況とか資金調達状況ということを見ながら対応したということを書いてあるわけでございますが、御案内のように、住専につきましては、平成二年度あるいは一部三年度までかなり高配当を実施するという形で、かなりいい経営状況を維持してきたというふうに理解をいたしております。  そういう状況の中で、かつ住宅需要というのが当時非常に旺盛でございまして、そういう意味で、住専が住宅の資金を供給するということを主たる任務としているものだという理解のもとに、かつ金融機関的な位置づけということの中で、系統の方としては、ここにございますような考え方に立ちまして融資をしていったというふうに理解をいたしているわけでございます。  その際、担保につきましては、住専との間で債権譲渡担保予約契約ということを締結をいたしまして、住専の総体としての貸国債権を担保として設定するということでやってまいりました。これにつきましては、系統だけがそんな形で対応したわけではございませんで、ほかの一般行、母体行とも、住専の担保につきましては、住専との間で債権譲渡担保予約契約というものを締結をして対応をしてきたというふうに理解をいたしているところでございます。  それから、平成元年、二年につきまして、信連の増加額が高かったことは事実でございます。ただ、当時の信連から見まして、系統から見まして、住専というのはどういうふうに見えたかということについて申し上げますと、二点あろうかと思います。  一点は、やはり当時、系統から見まして、住専は住宅ローンを主として行うということで、この場合の住宅ローンというのは個人住宅ローンだけでなくて、いわゆる川上といいますか、そういう開発事業者というところも含めてのいわゆる分譲宅地、分譲住宅というような意味での資金需要に対応するものという意味で、それは当時かなり旺盛であったというふうに理解をいたしてございます。そういう意味での旺盛な需要に社会的にもこたえていく、そういう認識が一般的に信連においてはあったということでございます。  それからもう一点は、当時、信連は貯金量がふ えてくる中で貯貸率が下がってくるということで、やはり自分たちとしても経営努力をしていかなきゃならないということの中で、先ほど申し上げましたような、比較的安全な信用力のあるものとして見えておりました住専につきまして、そういう意味での貸し出しを増加していった、こういうふうに理解をいたしているところでございます。
  223. 平田米男

    ○平田委員 住宅着工戸数を調べましたところ、平成元年、一九八九年度は百六十七万戸で、これがピークでございました。そのうち持ち家、すなわち普通の個人の住宅ローンをつける持ち家の場合は五十万戸。二年はトータルで百六十六万戸、持ち家は四十七万戸。そして平成三年、九一年度では百三十四万戸と、がた減りしました。持ち家は余りがた減りしませんで、四十五万戸でございました。しかし、いずれにしても伸びてはいないんです、伸びてはいない。  これに対して、信連の住専への融資増は、平成元年に六千億円ふえた。平成二年、要するに総量規制がその年三月に行われたわけでありますが、三月はまだ八九年度ですから平成元年度です。総量規制が行われた翌年度に、何と一兆四千億円も融資をふやしているんですよ。そしてさらに翌年、平成三年度ではまたさらに八千億円ふやしている。住宅建築は減っているんです。減っているのに融資はどんどんふえている。川上に貸しているといったって、これは住宅じゃないでしょう。事実が明らかじゃないですか。この辺は農水省認めるんですか。
  224. 堤英隆

    ○堤政府委員 数字でどうこうというわけではございませんが、確かに新設の住宅着工戸数、昭和六十一年時代、百三十六万戸ぐらいでございましたけれども、平成二年には百七十万戸ということで、かなり当時伸びていったことは事実でございます。  それから住宅資金につきましても、昭和六十一年ごろ十四兆円ぐらいでございましたけれども、平成二年ごろ二十四兆円という形で、当時住宅の需要に対応するということについては、やはり社会的にも公的にも非常に強い需要があったというふうに私どもも理解いたしておりますし、系統もそういう理解であったというふうに思います。  さらにそれに加えまして、先ほど申し上げましたように、非常に貯金がふえてくる中で、貸出先を自己努力という形の中で求めていくということも、当時の信連としてはやはり重要な課題であったということで、そういう意味で、住宅の資金を扱っている住専、かつ国によって指定をされた住専、かつ平成二年ないし三年までかなり高配当も行われていたというような、総合的な判断の中で比較的安心のできる安全な貸出先として、系統がそれをとらえて貸し出しをしていった、増加していった、こういうことであろうかと思います。  それから全体的に、先ほどもちょっと御説明いたしましたように、住専自体は、個人住宅ローンはもちろんスタートしたわけでございますが、その後はやはり川上といいますか、そういう意味での宅地分譲、分譲宅地ということにつきましても、全体として住宅の需要にこたえていく、そういう役割を持ったものとして系統も理解し、そういう意味での需要は当時も含めて相当なものがあったんではないか、こういうふうに理解をいたしております。
  225. 平田米男

    ○平田委員 そうすると、農水省もこういう実態を知らないで系統金融機関が住専に貸し込むことを放置しておいた、このように理解してよろしいわけですね。
  226. 堤英隆

    ○堤政府委員 全体的に申し上げれば、総量規制通達なり三業種規制のときにも御答弁申し上げましたように、その趣旨をできるだけ徹底を図る、関係者に理解を求めていくという意味での考え方を私ども申し上げたということは、ここでお話しをしたところでございます。  決してそういう意味での放置をしたというわけではございませんが、やはり個人住宅ローンだけでなしに、そういった広い意味での住宅需要というものにこたえていかなきゃならない系統の立場ということも他方ではあったのではないか、こういうふうに理解をいたしております。
  227. 平田米男

    ○平田委員 今の答弁でよくわかりました、農水省も一緒になって、住専に貸すことについて危惧感も持たないでやっていたと。今考えてみればとんでもない話だ。じゃ、あのときに何のために総量規制やったんですか。土地あさりで、地上げで、暴力団が立ち退かない人にダンプカーを突っ込んだり、いろんな嫌がらせをやって社会問題になっていたんじゃないですか。住専の金がそういう地上げ資金に回ってないなんて保証は何もないわけですよ。  そういうことを十分に認識した上で、総量規制が行われたということを前提にした上で、なおかつ農水省が、信連等系統が、どんどんどんどんと、もう常識から考えられない多額の金を一気に貸し付けていったということを放置してきたということが、今の答弁で明らかになったわけであります。  大臣、今考えてみますとやはりおかしかったというふうにお思いになるんじゃないかと思うんですが、いかがでございますか。
  228. 大原一三

    ○大原国務大臣 御指摘のように、今反省をしてみますと、当時の融資、当時の考え方というものが、もとより住専の経営に直接タッチしておりませんし、わかりようがなかったと言えばそれまででありますが、最初の第一次計画のときにこれはおかしいなと。それから一年たって二次計画、それまでは六・五%という金利は着実に払われていたわけでございます。そして、第二次再建計画で二%まけてくれ、こういうお話があったわけでございまして、その辺からやはり住専の経営に対して非常な疑念を、信連と申しましても四十七あり、共済がまた四十七あるわけでありますから、それぞれ個々の話し合いでございますけれども、恐らく住専サイドからも非常に強いあの融資維持の要請があったものと思われます。それが五年に至って大変おかしい状況が出てきた。  こういう中で、我々は、やはり今後こういう問題が起きないようにどう対処していったらいいかということに、今回の事件を省みて真剣に取り組んでいく必要がある、かように反省をしております。
  229. 平田米男

    ○平田委員 住専の中で有価証券報告書を明らかにしておるのが五社ございます。その有価証券報告書を見ますと、県信連のうち幾つかは無担保で住専に融資をしていたということが、有価証券報告書に載っております。  例えば、地銀生保住宅ローンでは昭和六十三年四月から平成六年三月三十一日まで、これは年度の切りでございますので四月―三月になりますが、六十三年から平成六年まで。日本ハウジングローンも同じ期間、日住金も同じ期間ですかね。それから、第一住金は平成七年まで無担保であった、こういうことになっておりますが、この事実は農水省、御存じでしょうか。
  230. 堤英隆

    ○堤政府委員 ちょっと突然でございますので、はっきりしたことは申し上げにくいのでございますが、基本的には、先ほど申し上げましたように債権譲渡担保契約となっているわけでございますが、当事者間の合意のもと、一時的に何か担保契約の締結を留保したということで、最終的には譲渡担保契約を締結したというふうに理解をいたしております。
  231. 平田米男

    ○平田委員 今事実をお認めになったわけでありますけれども、なぜ無担保の融資をしたのかおわかりになりますか。また、大蔵省、農水省ともに、無担保で県信連が住専に融資をしていた、こういうことを御存じでしょうか。当時、認識をしていたんですか、いつわかったんですか。
  232. 堤英隆

    ○堤政府委員 何か事務的な整理ということで一時的にそういう扱いにしたということのように聞いておりまして、最終的にも、先ほどから申し上げておりますように、他の一般金融機関と同様に、すべて住宅ローン債権譲渡担保契約として徴求をしているということでございます。
  233. 西村吉正

    ○西村政府委員 大蔵省といたしましては、各信連の個別の貸し付けの債権保全状況についてまでは把握をいたしておりません。
  234. 平田米男

    ○平田委員 大蔵省は把握していないから知らない、農水省は何か事務的に云々という御答弁でございました。  事務的な問題で担保がとれなかった。大体、お金を貸すときに、事務的な問題で担保がとれませんでしたという言いわけこそ極めて無責任な言いわけであります。  自分のお金ならいざ知らず、皆さんから、不特定多数の方々からお預かりしたお金をそんないいかげんな融資の仕方をやっている。しかも農水省が、そのような事務的云々などという通りもしない理由をもって弁護しようとしておいでになる。これが今大臣がおっしゃったことと全然矛盾するわけですよ。厳しくやるとおっしゃったにもかかわらず、片方ではそんな擁護の話をされる。これが日本の行政、政治を悪くしてきたんじゃないですか。私は、この辺に大きな問題があると思います。  じゃ、もうちょっと申し上げましょう、具体的な話を。  私が日住金について調査をいたしました。その結果から申し上げますと、当初、系統は、実際に母体行がちゃんと保証書を出して融資をしていたんです。そして、日住金は母体行に保証料を払っていたんです、保証してもらうから。ちゃんと保証書というのをもらっていたんですよ。覚書で保証したとか保証しないとかという、そんな議論なんかする必要ないんです。ちゃんと母体行が具体的に、この融資については責任を持ちますという保証書を差し入れていたんです。  しかし、それを先ほどおっしゃいました貸付債権の譲渡担保に切りかえていった。農中は八三年三月までに全部切りかわりました。信連は八五年三月までに切りかわりました。共済連は八八年の三月までに全部切りかえました。譲渡担保にしたんです。それで、母体行の保証融資は全部ゼロになったんです。全部が債権の譲渡担保になりました。  さらに、八八年の十二月以降は、新規に日住金と取引を開始した十九の信連、これは無担保のままで融資を始めたんです。それまでは十九の信連がやっていました。新たに十九が、まさにバブルでお金も入ってきたし、貸したいということで住専に貸し始めたころからですよ。そのころから無担保で貸すようになったんです。そして、何と九一年の十一月まで、九一年の十一月ですよ、八九年、九〇年、九一年ですから、何と三年間、無担保のままだったんです。  今事務的にとおっしゃいました。事務的に三年間放置していたんですか。九一年十一月になって、余りにもたくさんの無担保融資があるので、日住金としても、こんなふうにはほかっといちゃいけないということで、今までつくってありました譲渡担保契約の契約当事者である融資先ですね、母体行を含めた一般行あるいは既存の県信連、こういうところを回って、新たな十九の信連、これも譲渡担保契約に入れていいですかと言って承諾に回って、初めて九一年十一月に承諾が完成した。しかも、一つは、ある銀行がうちは絶対嫌だ、入れたくない、そういう話もあったので、これは日住金が別の条件をつけて承諾をしてもらった、こういう経過さえあるんです。  大蔵省、農水省、この事実を御存じですか。
  235. 堤英隆

    ○堤政府委員 申しわけございませんが、個別のそういった経緯があったということにつきまして、私どもは承知いたしておりません。
  236. 西村吉正

    ○西村政府委員 大蔵省といたしましても、各信連の個別の貸し付けの債権保全状況についてまで把握しているところではございません。
  237. 平田米男

    ○平田委員 要するに系統は、まず貸す資金は個人の住宅ローン資金でない、地上げ資金なんだ、そういう認識のもと、そして許されない無担保融資を、お金を無担保で融資さえ行って、まさに融資競争をやっていたんですよ。そういう状況を呈していた。私は、こういう意味では、系統の金融機関の経営者の責任は極めて重い、系統の金融機関、それを経営していた方々、この責任は重いと思いますよ。  大蔵大臣、農水大臣、この点、どうお考えになりますか。私の意見は違いますか。
  238. 久保亘

    ○久保国務大臣 今具体的にお話しになりましたことにつきましては私は承知いたしておりませんが、前から申し上げておりますように、系統金融機関の経営の責任に当たりました者は、その経営の責任、それから一般的な債権債務の関係におきます貸し手責任、これらの問題は当然に存在するということを申し上げてまいりました。
  239. 大原一三

    ○大原国務大臣 実は、先ほどの御設問の中で、銀行保証はずっと最初からついていたわけでありますが、その銀行保証がやまった時点がたしか五十五年か五十四年だったと思うんですね。大蔵省になぜこうなったかと私から聞きましたら、銀行に対する通達で、銀行の保証がどうも今多過ぎる、だから銀行保証をやめろという一般通達が出たということを理解しております。したがって、農協系も銀行保証がなくなっちゃったという事態が起きたと私は理解をしております。  それはそれとして、やはり、私は責任がないとは申し上げておりません。何回も御答弁いたしましたが、これから、先ほど局長お話ししましたように、具体的な信連の二千億の割り振り、端数がついておりますが、始まりました。したがって、それの過程で、ちょうど今総会シーズンでもありますし、特に五月は決算総会がありますから、そういった事態の中で、かなり私は問題の事態が起きる可能性があるのではないのかなと心配をしております。  なお、監督官庁としては、やはり今大蔵大臣がちょっと申されたように、私は、責任は回避はできない、結果責任は必ずある、こういう気持ちでこの問題には臨んでおります。
  240. 平田米男

    ○平田委員 今両大臣から御答弁いただきましたが、まさにそのとおりでございまして、しかも、いみじくも農水大臣から、母体行の保証はだめなんだという銀行通達があったと、私もそれは知っております。しかし、それは今まさに系統の皆さんが、母体行の保証があった、保証があった、こう主張してみえるんじゃないですか。これはおかしいですよ。  ないという、だめだという通達があって、どんどん切りかわったんです。それが、母体行の保証があるから安心して貸しましたなんという論理を展開して、そして五兆五千億丸々返してもらって、五千三百億贈与するなどという、そんなことを押しつけてくるということ自体は、これは日本は法治国家じゃないですよ。いや、金融機関の責任者のやるべきことではない。そういう意味では、系統の経営者の責任は極めて重いということですよ。  今までの……(発言する者あり)これから覚書のことも聞きますが、今までの大蔵省、農水省のおっしゃっていたことは、これで全部覆りますよ。母体行の保証を、あったと言っていたのがもうないんですから、ないという前提で取引をしてきた、しかも無担保でもやってきた。それが今度土壇場になったら、いや、母体行の保証があった、あったと、あの覚書がそうだと。こんなばかな話はありません。これは私は、社会の構成員として、いや、金融システムの一翼を担う人たちが言うべきことではない、そのように思います。  ところで、農水省と大蔵省でございますが、先ほども御指摘いたしましたように、平成元年から三年にわたって、信連を初めとして系統が住専へ急拡大で融資をふやしていったわけでありますが、その事実は知っておられたと思います。  土田参考人、二月の十六日、この委員会で、四半期ごとに実績報告を受けていました、このようにおっしゃっていますから。少なくとも大蔵省は明言しておいでになる、当時の銀行局の最高責任者がそうおっしゃっている。農水省も同様に御存じだと思います。  なぜ、不動産融資の総量規制をしていたのに、系統に急激な融資増をきちっと注意をしなかった のか、この辺を明らかにしてください。
  241. 堤英隆

    ○堤政府委員 住専の融資につきましては、ここでも何回か御答弁申し上げておりますように、それぞれ実績につきまして大蔵省及び農林水産省に対しまして報告がございましたので、そういう意味で実績は把握をしておりました。  それで、把握をした後なお数字がふえているじゃないかという御指摘もいただいているわけでございますが、私どもとしても、先ほどもちょっと申し上げて大変恐縮でございますけれども、住専を含みますノンバンク全体につきましても、報告という形で貸し出しの動向を把握する、あるいは注視をするということでございまして、農林水産省といたしましても、必要に応じ、この趣旨を体しまして関係者に対します注意喚起等あるいは理解を求めたところでございますが、先ほどちょっと御説明いたしましたように、どうしても、当時やはり旺盛な住宅需要があって、社会的なそういう役割にどうこたえていくかというようなことで、そういうニーズにこたえてきたということが一つございますし、農協の貯貸率が下がっていくという中で、安全な確実な住専というものの理解があって、そういうものに対して貸し込みをしていったということがあろうと思うんです。  それ以上に私どもとして当時できたかということにつきましては、いろいろ御異論があるところと思いますけれども、総量規制の通達が不動産業務になされたわけでございます。投機的な土地取引を規制するという趣旨からなされたわけでございますが、ノンバンクその他につきましては、やはりそこまで、個別の融資を削減をするというところまで踏み込むということにつきましては、なかなか当時としては難しかったのではないかというふうに理解をいたしております。
  242. 平田米男

    ○平田委員 大蔵省も同じ御答弁されるんでしょう。  結局、聞いておりますと、住専は住宅ローン融資だと行政側も錯覚しておりました、不動産の総量規制も出しましたが、それは全然頭にありませんでした、ばんばんばんばん信連を初めとする系統が金を貸しまくっておったのも、まあ気づいてはおりましたけれども何も考えませんでした、要するにこういうことじゃないですか。これで国民に六千八百五十億負担してくださいという話は、これではあかんですよ。  それは、系統の経営者をまずきちっと、自分の責任はこうでございますからこうさせていただきますと、農水省、きちっとやりなさいよ。大蔵だって金融機関としての監督責任があるわけですから、大蔵省からも言ってくださいよ。系統の責任者に、あなた方は、行政側も悪かったけれどもあなた方も悪かったんだから責任とりなさいと。  どうですか、大臣、これを明確に言うべきじゃありませんか。そうでなければ、国民の皆さんにお願いすることは、私は難しいと思います。今、責任論と言われますが、まさに、まずそれだけの責任をきちっと今果たす、そういうことが私は今必要だろうと思いますが、いかがでございますか。
  243. 大原一三

    ○大原国務大臣 この議論は当委員会の当初から議論されてきた問題でございまして、今回のスキームに対して、総理大臣からも、六千八百五十億というのは農協系統のために支出するものではない、当面の金融秩序を何とか混乱に導かないための予算であるということは、農林大臣の私のみならず、大蔵大臣からも申し上げているところでございます。  そういう前提に立って、私は、先ほどから答弁しておりますように、これからの信連経営、さらにまた農中、共済を通じて、今までのような事態が起きないシステムというのは一体何だろうか、ここに真剣に取り組んでいくのが私の仕事だ、こう思っております。
  244. 久保亘

    ○久保国務大臣 母体行の責任ということは、従来から申し上げておりますように、住専の設立、そしてその後の人事、経営、これら全般にわたって母体行がかかわってきた役割というのは非常に重い責任があるということを申し上げてまいりました。この母体行責任主義と貸し手責任主義といったものが議論される中でまとまった損失の負担に関する協議の結果であり、そして、このことを一つの基礎に置きながら住専問題の処理スキームを進めてきたわけでございますから、これはそういう方針で進めさせていただく以外にない、このように思っております。  ただ、申し上げましたように、この住専問題を処理いたします過程において、皆様方の御論議、御審議もいただく中で、責任問題というのは、結果に対する責任、過去の時点時点における判断やそのときの住専にかかわっての債権債務をめぐっての責任、こういうような問題は責任として明らかにされ、とるべき責任がきちっととられなければならないということは私は申し上げてきたとおりであります。
  245. 平田米男

    ○平田委員 残念ながら両大臣からは、金融機関の経営者の責任を具体的に問うという話はありませんでした。極めて残念でございますが、次に質問を移りたいと思います。  覚書につきましては、先週の参考人招致において、銀行局長でありました寺村信行参考人は、覚書では元本保証には一切触れていない、これに対して当時の経済局長であった眞鍋武紀参考人は、計画どおりにいけば元本ロスはないだろうと農協系が期待を持ったのはごく自然なことだと思う、こう言って食い違った陳述をしておいでになります。これまでも明らかになりましたように、この覚書は行政内のものにすぎないわけでありまして、金融機関を拘束するものではない、こういうふうに言えるわけでありますが。  ところで、九一年から九二年にかけまして、第一次再建計画、住専七社がつくったわけであります。このときに系統の皆さんは、元本が保証された、だから後は元本が保証されたスキームがずうっと来ているんだ、こういうような御説明もございますが、では、このときの第一次再建計画の、母体と系統、あるいは一般行も含めた、あるいは母体と系統だけでも結構ですが、あるいは住専との関係でもいいです、合意書というのはあるんでしょうか。そのときに元本保証という文言ははっきり入っているんでしょうか。それには、母体の金融機関の代表者、法律上の代表者の署名押印というのはきちんとあるんでしょうか。そういう文書があるなら出していただきたい。また、本日出せないなら、内容について教えていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
  246. 西村吉正

    ○西村政府委員 御質問は第一次と伺いましたが、第一次再建計画につきましては、当事者のイニシアチブによってまとめられ合意されたものと理解をしております。私、今第一次再建計画のその当事者同士の契約書というものをまだ拝見したことはございません。
  247. 平田米男

    ○平田委員 いや、ないんですよ、これは。全然ないんです、こんな合意書なんというのは。第一次再建計画の中身などというのはわからぬのですよ。言われているだけで、文書で明らかにされたものは何もない。幽霊ですわ、これは。  では、九三年二月以降、第二次再建計画、住専七社おのおのにおいてつくったそうでありますが、その合意書はございますか。そして、それには母体行の署名押印、代表者による法律上有効な署名押印の合意書、系統金融機関に対する元本保証の効力のある合意書というのはあるんでしょうか。あるとするならば示していただきたいし、内容を明らかにしてください。
  248. 西村吉正

    ○西村政府委員 第二次再建計画につきまして当事者の話し合いがスムーズに進行いたしますように行政としてもお手伝いをしたことは事実でございますけれども、また、その第二次再建計画の主な内容について私も伺っておりますけれども、当事者間における計画についての契約というようなものについては、私どもは拝見をする立場にはございません。
  249. 平田米男

    ○平田委員 いや、拝見する立場にないというよりも、拝見しようと思っても、ないんです、これ も。ないんです。第二次再建計画の合意書もない。  第一次もなければ第二次もないんです。あるのは何かといったら、あの覚書です、法的拘束力がない。そして、それに基づいてつくられたいわゆる念書という文書。ここにも一つございます。全部ゴム印だけです。法律上の効力なんかない。これが実態ですよ。法律上は何の再建計画もない、何の金融機関も拘束するものがない。まさに道義的紳士協定なんです、これは。法的に強制するものではないわけですよ。あったとしたとしても紳士協定です。あるのかないのかもわからないわけですよ、あるあると言っているだけで。これが、我々がこの処理をしなければならない、過去の経過によりましてと言われている過去の経過の実態です。この辺、大臣よくおわかりになっておいでになるかと思いますが、この実体がないということを踏まえた上でこの処理スキームが始まった。だれもこれは納得できぬですわ。  農水省にお伺いいたしますが、日住金は、九三年二月二十六日に母体行会議というのをやりました。まあ朝から夜まで何回も中断して延々と行われた母体行会議でありまして、何回も日住金の社長、銀行局へどんどん電話をして指示を仰ぎながらやった会議であります。その上ででき上がったのがこのゴム印しか押していない書面であります。この書面は大蔵省銀行局に提出されたそうでありますが、大蔵省からはこれは系統金融機関に見せられたんでしょうか。また、見せられたとするならば、どういう理由でお見せになったんでしょうか。
  250. 西村吉正

    ○西村政府委員 第二次再建計画の実体がないというような御発言でございましたけれども、今まさに御指摘の、私どもに対しまして母体行からお話のありました再建計画に関する文書でございますけれども、「再建計画をとりまとめ、母体行会議に諮った結果、下記のとおり母体行において合意いたしましたので、」というくだりがございますので、実体がないものと私どもは考えてはおりません。  なお、大蔵省の銀行局に対して母体行から提出されました文書につきましては、私どもあてでございますので、これは私どもにとどめ置くべきものと理解をいたしております。  なお、この文書の提出につきましては、先般御要求がございましたので、関係者の、今提出いたしました者の同意を得る手続をしております。百七十ばかりの関係者がいるものでございますので少し時間を要しておる、こういうことでございます。
  251. 平田米男

    ○平田委員 いわゆるゴム印だけ押した文書があるかち実体がありますと。これは、何千億円というお金を処理する契約ですよ。いや、全体でいくと何兆円というお金を処理する契約ですよ。それをこのゴム印だけポンポンポンと、代表取締役の名前も書いていない、もちろん印鑑もない。そんな文書をとって、西村銀行局長がおとりになったわけではありませんが、寺村さんでしたか、当時の銀行局長もちゃんと東大法学部をお出になってみえるわけですから、法律をきちんと学んだ上でおいでになるわけで、こんな文書が契約書になるわけがないということはよくおわかりのはずですよ。また、ゴム印だけでいいから、契約書にならないから安心して押せとも母体行の皆さんは大蔵省から言われた、だから印鑑押しました、いや、ゴム印押しました、こう言っておるわけですよ。これで実体があるなどと言うのは、これは日本の法律のルールに反します。  日本は印鑑国家なんです。印鑑押さなければいかぬのです、ちゃんと。普通、法律上は署名さえすればいいのですよ。署名にかわるものは記名押印なんです。しかし、日本はどういうわけか、署名だけでは安心できません、必ず印鑑を押してくださいと言うわけですよ。印鑑国家です。  その印鑑国家の日本で、お役所ですもの、書類にちゃんと印鑑がなければ文句を言われますがね。署名だけではだめだと言われますよ。一番お役所はうるさいところじゃないですか。それが、銀行の名前だけのゴム印を押した文書で、はいと。しかも、これを系統に見せたわけでもない。中身は、具体的な再建計画については何も書いていない。そんな文書で実体がありますなどとどうして言えるのですか。そんなこと、言えっこないですよ。言えるとしたら、それは銀行局の勝手な論理。銀行局が法律を曲げているにすぎないのではないですか、そんなのは。銀行局が勝手に法律を曲げて、我々はそれに従わなければあかぬのですか。そんなばかな話はないですよ。  ところで、ちょっとお伺いしますが、このゴム印を押した書類ができたのが平成五年の二月の二十六日。その二週間後ぐらい、平成五年、一九九三年の三月十二日の午後に、全中、全共連、信連協会、農林中金の幹部十名以上の方々がそろって銀行局の小山審議官のもとに面談に来られました。そのときに系統の皆さんはいろいろな要望を出されましたが、農協系統に元本ロスの負担を求めないでください、こういう要望を出されました。  実は、大蔵省へ行く前に農水省にも行っておりまして、農水省は今藤審議官に会っておいでになる。今藤さんはこれに対して、再建計画が達成されれば元本ロスが生じることもないですよ、こう言っておられる。  これはその会見を後で系統がまとめた文書です。内部資料です。いや、内部資料どころじゃない。これはこのまま系統へ全部配られた。公開文書です。そして、大蔵省の小山審議官は、「今回の再建計画がきちんと実現されることが関係者のそれぞれの努力にこたえることになるものであります。また、計画が達成されれば、」すなわち再建計画がですね、「達成されれば、元本ロスが生じることもなく、関係者のさらなる負担を招来することもないと考えます。」こういう言い方をされているのです。  二月の二十六日、母体行を無理やり納得させて、そして無理やりゴム印だけ押した文書をつくらせて、そして今度それを、農水省にはどうもお渡しになったようですね。そして農水省と大蔵省は一緒になって今度は系統を説得し始めた。確かに前提がついています、再建計画が達成されればと。だけれども、大蔵省と農水省の審議官といえば局長の次ですよ。その方々が、大丈夫だよ、こうおっしゃっているのに、「計画が達成されれば、」という一言をつけ加える。では、達成されない計画を農水省、大蔵省はお立てになったのですか。当然、大蔵省、農水省は、計画は達成されるという自信を持って立てましたよ、そういう前提ですよ、そう言って話をされた。  これは一体何なんだということですよ。今までずっと私が申し上げた経過からすれば、元本保証したのは、母体行じゃないですよ、まさに大蔵省と農水省、そういうことじゃないですか。しかし、その元本保証を期待すること自体がおかしいという話は最初に申し上げました。これが実態ですよ。大蔵省、農水省はこの辺もよくわかった上で、今回こういう無理やりなスキームをおつくりになったんだろうと思います。  あえて、私が、これでどうですかと御感想を伺ったとしても、また同じ答弁を繰り返されるだけだろうと思います。違う答弁出てきますか、大臣。違う答弁が出るようでしたら、どうぞ御発言いただければと思います。
  252. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず再建計画についての問題でございますが、先ほど私が申し上げたのは、各母体行から大蔵省銀行局に提出されました文書には、先ほど申し上げたように、下記のとおり母体行において合意したので報告するというようなくだりがございますと申し上げたわけで、これによって関係者の間の合意の内容まで申し上げておるわけではございません。  これのほかに、関係者の第二次再建計画に関する内容的な合意があるものと私どもも考えておりますし、その概要につきましては御報告申し上げておるところでございますので、そこのところはよろしく御理解のほどお願い申し上げます。  なお、三月十二日というお話でございますが、 三月十二日に系統の方々と大蔵省の関係者がお話をしたというようなことも伺っておりますが、文書と申しますのは、先ほど御指摘になりましたように、恐らく系統の方々がおまとめになったものであろうかと存じますので、私どもはその内容について存じ上げておりません。
  253. 平田米男

    ○平田委員 では、第二次再建計画の合意書があるとおっしゃるのだったら出してください。大蔵大臣、出してください、あるんだったら。まだ見たことがないとおっしゃっているんだ、銀行局長は。見たことがない文書があると今おっしゃった。あるはずだとおっしゃるんだったら出してください。出すという約束をしてください。
  254. 西村吉正

    ○西村政府委員 それは、私どもがその内容について伺っておりますと申し上げたわけでございまして、当事者の間でどのような契約があるかということについて私は存じ上げておりませんと申し上げたわけでございます。
  255. 平田米男

    ○平田委員 農水大臣、農水省には有利な話、系統系には有利な話ですから、文書があるなら出してください。役所から出さなくたって系統の皆さんから出してもらえばいいわけですから、出してください。
  256. 堤英隆

    ○堤政府委員 これは当時、それぞれの担当の者が話をしたことを系統の方が恐らくまとめたものではないかと思います。そういう意味では、役所の文書ではございませんし、私どもがそのことの内容を見ているわけではございませんので……(平田委員「そんな話していません。再建計画の合意書」と呼ぶ)  合意書につきましては、私どもがどうこうというよりは、むしろ大蔵の、今銀行局長の方からお話があったとおりだと思います。
  257. 平田米男

    ○平田委員 何か農水省も出されない、系統にも促されないという話でございますので、そのままお伺いしておきます。  母体行が自分のところのノンバンクを一切自分の責任で、すなわち完全母体行主義というんですか、整理をする、処理をする、これはこれまで行われてきた事柄でございます。しかし、これは法律上の責任ではありません。信用を一番の資本といたします金融機関がみずからの営業方針として、それをやることが自分たちの一番の資産、資本を守っていくことになる、こういう判断でやってこられたわけであります。  したがって、系統の皆さんが母体行に責任を.持ってほしいとおっしゃるのもそれは納得できますが、同時に、法律上の責任ではなくて、それは道義的な責任をおっしゃっているにすぎない。いや、おっしゃっているにすぎないといっても、私はこれは重要なことだと思いますよ。母体行が道義的責任をとれるかとれないか。私はとった方がいいと思う。金融システムを守るという、まさに政府がおっしゃるその一点からするならば、自分のところのノンバンクが破綻をしたら自分のところが一切背負いますというのが、一番すっきりした、一番金融機関の信用を保持できるやり方だろうと思います。しかし、残念ながら母体行の皆さんはそれを放棄した、嫌だとおっしゃった。やれませんとおっしゃったんでしょう、きっと。  やれない理由はいろいろあるんだろうと思います。七社において、母体行のあり方というのは種々違います。一社については、もうまさにごみ箱だと言われているぐらい母体がぐしゃぐしゃにした住専もあります。しかし、あるところでは、経営者がワンマンで、母体なんというのは関係ない、母体からどんどん縁を切りましょうと言って、融資をするときも利率が高いか低いかで入札までさせられている、そういう母体行もあります。もう母体じゃないんですよ。ただ、株持っている、持たされているというだけの母体なんです、そんなのは。だから、そういう母体は、何でうちが責任とらなければいかぬのだというわけです。ごみ箱にしたところは、道義的責任を物すごく感じているでしょう。だから、全責任を負いますというぐらいの気持ちがあるかもしれない。  しかし、どういうわけか、今度は七社全部同じ処理の仕方をした。別々の処理の仕方をすれば、一つは完全母体ででき、一つは修正母体でできるのに、全部一緒のやり方をやりましょうということになって、へんぱな修正母体行主義のスキームを出してきたんじゃないですか。そしてそのツケを国民の方に回してしまった。七社あるのを一社にしてしまった。一社のように考えて処理をしようとした、粗っぽい処理のスキームをつくった。これは大蔵省の怠慢です。銀行局の怠慢ですよ。  一つにすれば回収ができる、七つにすれば回収が難しい、私の質問のときにそういう詭弁的答弁がありました。こんなもの、弁護士がだれが信じますか。少なく小さくした方が処理がしやすいに決まっているじゃないですか、状況は全部違うのですから。同じA金融機関が七社に貸していたとしても、どういういきさつで貸したかなんというのは全部違うのですから。それを一緒くたにやるなんというのは、これは愚かなやり方です。しかし、それをやろうとしてしまったがために、あらゆるところに問題が出てしまって、そのあらゆる問題を集めて六千八百五十億にして、国民にぽんと投げた、そういうことになるわけです。私は、そういう意味で、この処理の仕方はもう一遍考え直さなければいかぬと思います。余りにも粗っぽ過ぎます。  そして、私は、先ほど系統の経営者の責任のことを申し上げました。同時に、母体行の、一般行の経営者の責任も同様に問われなければなりません。何か系統の経営者は無限責任だ、じゃ、ほかの金融機関の経営者は無限責任じゃないのか、こんなようなことを言われておりますが、これは真っ赤な間違いであります。真っ赤なうそです。株式会社である銀行の経営者も、取締役は、忠実義務違反ということで会社に対しては無限責任を負っているのです。そういう意味では、系統の金融機関の経営者と同じ立場です。しかも、株主代表訴訟でねらわれているわけです。平等です。そういう意味で、双方が今きちっと責任をとるということですよ。  何かこの間、参考人で、賞与は返上しました、報酬は少し削ります、何を言っているのですか、これだけの問題を起こしておいて。頭取全部やめなさいよ。六千八百五十億のしりを国民に持ってくるんだったらば、そこまでやらなくちゃいかぬです。県信連のトップもやめなさい。それでなおかつ六千八百五十億お願いしますと言うんだったら、国民の皆さんも、そこまでされるんだったらばという、優しい国民、情に厚い国民は思うかもしれません。しかし、私は今後も経営者を続けます、高給を取ります、そんなばかな話はないですよ。そこまでなぜやれないんですか。(発言する者あり)今、与党の筆頭理事が異議なしとおっしゃっていただきましたので、ぜひ大蔵大臣、これは総理ともう一遍相談してください。そこまできちっとやってくださいよ。  どこまでも六千八百五十億の予算を通すんだったら、与党の責任で、政府の責任で、金融機関の全責任者、具体的にその地位を退かなければなりません。今、信組の責任者は刑事責任まで問われているじゃないですか。みんなやめていますよ。なぜ大銀行と系統の経営者だけ居残るのですか。そんなばかな話はない、不公平だ。大きいところは残り、小さいところはほうり投げられる。こんな不正義はないですよ。こんな不公平はないですよ。  大臣、考えてください。答弁しにくいかもしれませんが、考えてください。どうですか。
  258. 久保亘

    ○久保国務大臣 私は、このことにかかわっての責任がどこにあるのか、それは明確にしなければならないし、とるべき責任はとってもらうということを申し上げました。今後のこの住専処理問題を進めてまいります中で、どうしなければならないかということはいろいろと検討を進めております。  きょうはそれ以上のことは申し上げない方がよいと思います。
  259. 平田米男

    ○平田委員 大変前向きな御発言をいただいたので安心しました。予算の採決、衆議院の採決が済 むまでに、今私が申し上げたけじめというものをぜひ実現をしていただきたいことを心からお願いを申し上げまして、次の質問に移ります。  農水大臣にも伺いましょう。系統の経営者の問題は大蔵よりも農水の方が強いというお話でございますので、御答弁いただけますでしょうか。
  260. 大原一三

    ○大原国務大臣 今大蔵大臣からお答えになった考え方、私も同感であります。
  261. 平田米男

    ○平田委員 いわゆる第二次再建計画では、十年間で地価が二五%上昇することが前提であったと参考人の井上時男住宅ローンサービス社長が先般の参考人招致で陳述をしておいでになります。当時の寺村銀行局長は、そういうケースもあったし、一たん下がってまた上がるということを前提にした住専もありました、住専ごとで地価の見方が違いました、こういう陳述がありました。私は、聞いていてびっくりしました。  大蔵省、農水省、第二次再建計画をつくった平成五年二月当時、今後地価はどうなるという前提でこの再建計画に臨まれたのでしょうか。お答えください。
  262. 西村吉正

    ○西村政府委員 これはもう申し上げるまでもなく、将来の地価の動向を予測するということは非常に難しいことでございます。私、寺村前局長がそのようにお答えになっておりますということであるならば、それはそのとおりであろうかと存じますが、要は、再建計画の当事者同士が将来の地価あるいは金利というものについてどのような見通しを持つか、そういうことにかかっておる、こういうことであろうかと思います。
  263. 平田米男

    ○平田委員 西村さん、そう言って逃げちゃだめですよ。だって、覚書はみんなの意見を整理するために農水省と大蔵省で責任持ってつくったんですから。住専七社がいろんな考えをお持ちでしょうなんて言ったって、まず皆さん方がどういう考えを持つかということが前提になければだめですよ。あなたがそう言った途端に、この覚書はもう終わりですよ。この覚書なんて何の意味もない。  一番の問題は地価の問題だったんでしょう。そのことについて何にも考えないでこの覚書つくりましたという今答弁ですよ、大臣。何ですか、この答弁は。覚書なんというのは完全にもう空中分解じゃないですか。何の見通しもなく、地価の見通しも立てないで、それでこんなのを七社に押しつけた。母体に、系統に押しつけた。こんなめちゃくちゃな話がありますか。  国土庁、伺います。平成五年、九三年当時ですね、二月当時というと、限定するとわかりにくいかもしれませんが、九三年当時、今後地価はどうなるという御認識あるいは予測ができたのでしょうか。
  264. 深澤日出男

    ○深澤政府委員 平成五年、九三年でございますけれども、この当時、ちょうど三月に地価公示を発表させてもらいました。その当時は、平成四年  一年間の地価動向、大都市圏で、住宅地年間一四・五%の下落、商業地で一九・二%の下落、それから地方圏の住宅地で一・七%、商業地で五・六%の下落という状況でございました。  将来の地価、どういう見通しか、こういうことにつきましては、先ほど銀行局長が御答弁申し上げたとおりでございまして、見通すということは非常に困難であるというふうに我々も思っておりまして、だから、当時国土庁としてどうだというようなところまでは、当時の見通しというものははっきりはわかっておりません。
  265. 平田米男

    ○平田委員 では、質問を変えます。  では、九三年当時の地価は高いという認識だったんですか、もう安くなってきたなという御認識だったんですか。当時、今の深澤局長局長じゃありませんが、当時の国土庁の御認識はどうだったんでしょうか。
  266. 深澤日出男

    ○深澤政府委員 地価につきましても、基本的には需要と供給で決まるということでございますので、一概に高いとか低いとかという評価を下すことは非常に難しいというふうに思っております。
  267. 平田米男

    ○平田委員 答弁ができないようでございますので先に移りたいと思いますが、私は、二次損失について随分伺いました。それで大蔵省は、二次損失は、七社を一社にすると、もう一兆二千億は一〇〇%出ないように最大限の努力をします、こういうふうに説明をしておりますが、これはやはり一番大きいのは地価の動向だろうと思います。将来地価が上がっていくという見通しならそういうこともあり得るかもしれない。これは努力じゃないんですよ。地価が上がるか地価次第という……。  今後をどのように見て今回の処理スキームをつくったのか。それは、予測ができないことはわかりますが、しかし、前提は置いたのか置いていないのか、置いたとしたらどういうふうなのか、それを明らかにしていただきたい。  それから、国土庁にもう一遍伺いますが、現在の地価は高いのかどうか。もう一度答えてください。  先ほどの九三年当時も要領を得ない御答弁で残念でございましたが、海部内閣以来やはり地価は、一般のサラリーマンの方々が手に入らないような、住宅が手に入らないような地価じゃだめだ、少なくとも年収の五倍で、しかも私たちは、誘導居住水準の広い住宅をと、こう言ってきたわけであります。今、実態はまだまだとんでもないですよ。七十平米ぐらいの家がようやく六倍、七倍程度で手に入るかどうか、こんな状態になっている。そういう現実を見据えた上でしっかり答弁いただきたいと思います。
  268. 西村吉正

    ○西村政府委員 今後の地価動向を見通すということは、先ほど申し上げたように大変に難しいことでございますが、今般の住専の処理方策におきましては、もとより、今御指摘のように、将来の地価の動向にも依存する面があることは事実でございますけれども、預金保険機構と住専処理機構一体となった体制を整備いたしまして、全力を尽くしまして強力な回収に当たり、最終的な住専問題の処理コストを最小限に抑制するという所存でございます。  なお本処理策は、最新時点、昨年の八月時点の路線価に基づいて策定されたものでございますが、路線価の水準は、御承知のように、公示価格の八割程度に設定されているということでございます。今後の地価の動向は、私どもとして必ずしも予測が難しいところがございますが、全力を尽くして、最終的な住専問題の処理コストを抑制するように努めてまいりたいと考えております。
  269. 深澤日出男

    ○深澤政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、地価につきましては、あくまで土地の需要と供給との関係で決まるということでございまして、その水準が高いか低いかということについては一概に評価することはできないというふうに申し上げたところでございます。  現在の地価は、五十八年を基準として名目GDPと比較した場合どうか、一つの基準といいますか名目GDPとの比較でございますが、それを見ますと、いわゆるバブル期以前の水準に戻っているというふうに考えられます。  それから、住宅地につきましては、先ほどございましたように、年収五倍ということがございます。それにつきましては、現在、七十平米で換算して一定の推計を置きますと、五・一倍になっているという状況でございます。
  270. 平田米男

    ○平田委員 まだ質問がございますので、次に移りたいと思います。  農水大臣伺いますが、貯金保険機構に責任準備金は一千億円以上はございますが、この五千三百億円にはこの一千億円はどうもお使いにならないようでございますけれども、そうするならば六千八百五十億、その中にこの一千億をお使いになる考えはありませんですか。
  271. 大原一三

    ○大原国務大臣 御承知のとおり、一千億というのは貯蓄率に対しては非常に薄い貯蓄でございまして、今後起きるかもしれないいわゆる預金者に対するペイオフのための備蓄として最低限一千億はとっておかなければならぬというのが我々の考え方でございまして、これを五千三百億に上乗せさせて拠出するということは現在の状況では不可 能でございます。
  272. 平田米男

    ○平田委員 預金保険機構の保険料は今後七倍に上がりまして、毎年四千六百六十八億円積み立てていくという話でございます。貯金保険機構一千億では私は到底足らないと思いますが、保険料を上げるお考えがあるのかどうか。
  273. 大原一三

    ○大原国務大臣 基本的には預金保険機構に準じて引き上げていくつもりでございます。
  274. 平田米男

    ○平田委員 最後に、農水省にお伺いをしたいのですが、大蔵省が「住専処理十九の疑問」と題した説明書、パンフレットみたいなものをおつくりになったそうです。大蔵省に下さいと言ってもいただけないものですから、新聞記事だけでしか中身はわかりませんが、その中身を見ましたら大変私びっくりしました。  例えば、こういう文言がいっぱいあるのです。「農林系金融機関の中には破たんするところも出、九百万農家・組合員の生活が脅かされる。」とか、あるいは「赤字に転落する信用農業協同組合連合会(信連)は一層増加し、信用不安につながる恐れがある。」とか、あるいは「相当数の信連は、こうした破産手続きによる損失負担に耐えきれなくなることにより破たんする可能性があり、更には、傘下の農業協同組合が連鎖破たんするといった事態にも発展しかねない。」この住専のスキームができなければこうなるという説明をしているのです。  住専のスキームができ上がったとしても、今農水省が明らかにしているように、系統の金融機関は八兆円近いノンバンク融資をしております。これは大変なことになるわけです。だから、処理スキームが終わったとしても、それがある。さらに、この住専の処理をやったとしても、実際その主要な大口貸付先の住専のシェア、貸付金のシェアを見ましたら二割ですよ、二割。あと八割はほかの金融機関なんです。ですから、住専の貸付先がこれまた破綻をして破産手続等をやったら、それは全部回り回って系統に行っちゃう。  そのときに、住専の処理のことだけで書いておられるのだったら、まあこれは一生懸命説明するために書かれるのでしょうけれども、こんなにひどい書き方をされているのですよ。農水省、どうお考えになりますか。これは大蔵省、ちょっとひど過ぎるのじゃないですか。
  275. 西村吉正

    ○西村政府委員 私ども、この住専問題について御説明を申し上げるための資料として「十九の疑問」というものを説明のためにつくっておることは事実でございますが、私ちょっと今お読みになったような表現があったようには記憶をしておらないのでございますけれども。もう一度確かめるようにいたしますけれども……(平田委員「あったとしたら、どういうふうに思うのですか」と呼ぶ)今お読みになったふうには書いてないように私は記憶しておりますけれども。
  276. 平田米男

    ○平田委員 時間が来ましたから終わります。ありがとうございました。
  277. 上原康助

    上原委員長 これにて平田米男君の質疑は終了いたしました。  次に、牧野聖修君。
  278. 牧野聖修

    牧野委員 私は、市民リーグ・民改連の牧野聖修でございます。  財政再建につきまして質問をさせていただきますが、それこそ久保大蔵大臣にこの財政再建の問題を質問するというのは釈迦に説法のような感じもするわけでありますが、財政再建の問題は、現下の我が国にとりましては緊急かつ本当に重要な政治的課題であると思っております。また、国民の皆さんの中には大変関心の高い政治的課題だと認識しておりますので、そういう観点から質問をさせていただきます。  最初に、総論的に財政再建についての基本的な考え方というのをお伺いをさせていただきたいと思いますが、これとても本来大変わかり切った話なんですけれども、実は今国会が始まりましてから、また予算委員会で非常に激しい論戦が繰り広げられてきておるわけであります。その中で、大変恐縮な言い方で申しわけありませんが、大蔵省の一つの問題に対するアプローチの仕方といいますか、取り組み方の姿勢というものが若干私には見えてきたような感じがするわけです。  それは、非常に言いにくいような言い方ですが、難しい問題はできるだけ先送りをする、そういうどうも傾向がある。それから、物事の実体、本質、そんなものを難しい問題に限ってはなかなか国民の前に明らかにしないという傾向が感じられます。それから、最後には税金を投入すればそれで解決するんじゃないかという姿勢が何となく感じられます。そしてもう一つは、だれも責任をとらない、そんな感じがするわけでありまして、財政再建の問題ももしかするとこの住専処理と同じような取り組み方になっているのではないかな、そういう感じがいたしまして、あえてわかり切ったような質問をするわけであります。  そういう観点からちょっと考えてみますと、本年の一月に、例年出しているわけでありますが、財政改革を進めるに当たっての基本的考え方ですね、この三ページの一番最後の締めくくりに、「財政健全化のための新たな目標とその実現に向けた方策について、幅広い議論を踏まえつつ、更に検討していくこととしたい。」こう書いてあるのです。  私は、財政再建というのは既にもう待ったなしの課題だと思っているわけです。にもかかわらず、この予算審議の前にこういうふうな何と悠長なことを言っているのかという疑問が当然出てきますね。それにまた、隠れ借金という言葉も出ておりますとおり、なかなかいろいろなやりくりの中で難しそうですが、実体というものは国民の前にはなかなかはっきりとしないという感じもありますし、やはり最終的には増税ですよ。税金の導入ですね、それによって最後はやっつけちゃう、そういう魂胆が感じられますね。  そういうことでございますので、これだけ緊急性を要している重要な問題でございますので、もっと真剣に取り組んでおらなければいけないという感じがしております。大蔵大臣のお考えをお伺いいたします。
  279. 久保亘

    ○久保国務大臣 最初に、大蔵省としての姿勢についてお話がございましたが、住専問題にいたしましても財政再建との取り組みにいたしましても、牧野さんがおっしゃいましたように、先送りを許されない状況に置かれていることを十分に認識をいたしました上で、この先送りを許されない問題とどのようにして取り組むかということに今真剣に努力をいたしているつもりでございます。  また、こういったような国家の将来にかかわる重要な問題と取り組んでまいりますときに、国民の皆様方の御理解、御協力を得るためには、情報の開示ということは何よりも重要なことでございます。  ともすれば、これまで守秘義務などが情報の開示の壁になってきたということを私も国会議員の一人として感じてまいりました。今日、私どもは情報の開示が非常に重要であるという立場に立って、守秘義務等によって壁があるものについては、いかにしてその壁を越えて開示をするかという立場で努力をしているつもりでございます。  財政改革の問題でございますが、お話しのように、今もうまさに日本の財政は待ったなしの危機的状況にございます。そういう中で、高齢社会は容赦なくやってくるわけでございます。また、国債の償還は歳出の中に二割を超える状況となっておりまして、このために政策的経費が非常に圧迫されるという状況が生まれております。私どもは、そういうことをしっかり見きわめながら、どうしてこの危機的な状況を越えるかということについて財政制度審議会にも御審議を願っております。また、国会での皆様方の御審議も注意深く伺いながら、皆様方の御協力をお願いを申し上げている次第でございます。  とにかく、今こういう危機的な状況の中で、世界の先進諸国家のどの国よりも突出して財政危機の状況が深刻である我が国にとって、今この財政改革の道を考えますことは、財政の役割や守備範囲を大胆に見直すこと、そして早く再建の目標を 定めて、その目標に向かって皆様方の御協力もいただきながら全力を傾けるということであろうと思っております。  財政制度審議会の答申も得ながら、また皆様方にもそれぞれのお立場でぜひ財政再建に関する方向について御論議を願って、私どもの再建を進めるに当たっての指針をつくる上で御協力を賜れば大変幸いだと思っております。
  280. 牧野聖修

    牧野委員 大変決意に満ちた答弁をいただいておりますので、私も久保大蔵大臣のこれからの御尽力に心から期待を申し上げたい、こう思うわけでございます。  実は私、市会議員一期、県会議員三期経験しておりますので、地方財政の台所事情がどの程度であるかということは自分なりにも承知しているつもりであります。そういう観点からちょっと突っ込んで質問をさせていただきたいと思います。  既に皆さんも数字は御案内かと思いますが、本年度末地方債発行残高、それに企業債とかいろいろな借金が百二十六兆円と言われております。国民一人頭に直しますと、ちょうど百万円ぐらいの勘定になります。それで、本年度地方自治体が借金返済で使う公債費の総額が八兆八千六百二十三億円になっております。そのうちの元金償還が四兆五千三百五十九億円、全体の半分ですね。それで利払いが四兆三千二百六十四億円、これまた五〇%。これでは、普通の家庭や企業でいくと倒産状態に近いと私は思うわけですね。たまたま、この数字が平成七年度の市町村民税が八兆七千五百二十九億円になりますので、私どもが支払う市町村民税がそっくりそのまま公債費として消えてしまうという現実になっているわけです。  それから、翻って国家財政の方に目を転じてみますと、これも既に御案内のとおり、隠れ借金は別といたしましても、二百四十一兆円、本年度末公債残高が残る、こういうことです。これは国民一人頭百九十二万円。  そこで、平成八年度の国債費十六兆三千七百五十一億円。この中の償還部分が三兆六千七百六十六億円、実に二五%しかないわけです。利子の方が十兆七千二百十四億円で七五%。地方の財政も本当に目をむくような厳しさですが、国はこれはもう正直言って破綻状態に近いと言わざるを得ないと私は思うわけです。  昨年度はもっとひどかった。昨年の元金償還は一兆四千四百四十二億円、全体の一二%です。利払いが十兆三千百十七億円で八八%。これは大変なことだと思いますね。それに本年度の国債費十六兆三千七百五十一億円は、たまたま平成七年度の所得税の源泉分ですね。源泉分が十六兆七千六百三十億円ですから、給与所得者、サラリーマンが源泉分で払う、一年のその分がそっくりそのまま実は国債費として消えていく、しかもそれも元金は余り減らない、こういう状況にあるわけです。  大臣、この現実を見ますと、今から大勢の皆さんの意見を聞いて目標や方策を考えてやっていく、これでは余りにも国民からすれば、財布は一つですから、地方の分も責任持ちますし、国の方の分も責任持つということになれば、一体大蔵省は何やっているんだ、そういう気持ちになると思うのです。  ここまで厳しい状況に追い込まれてしまったその原因は一体どんなところにあるのか。これは地方自治の方もありますので、できましたら自治大臣と大蔵大臣、御答弁をいただきたいと思います。
  281. 小村武

    ○小村政府委員 財政状況の悪化は国・地方を通じたものでございまして、諸外国においても国・地方を通じた財政赤字に対してどう取り組むかということを論じておりまして、私どもの立場も全く同じでございます。  かような財政悪化に至った理由でございますが、欧米主要先進国とも共通しておりますのは、これまで期待していたような成長率は期待できなくなったということ。それから第二番目には、人口の高齢化等を取り巻く財政事情でございます。第三番目は、社会保障分野に見られるような政府の役割の増大に伴う歳出の拡大、これは各国共通のものでございますが、さらに我が国におきましては、バブルの崩壊後、所得税減税の先行実施とかあるいは公共事業の積極的な拡大という累次の経済対策で経済を下支えしてきたということでございまして、過去五年間で約七十兆円もの公債残高が累増しているというような状況でございます。  私どもは、こうした状況に対して何も手を打たないということではございませんで、本年度予算におきまして、例えば経常的経費を一・五%、六十三年以来の低い伸び率に抑え、ぎりぎりの努力をしてもまだ二十一兆円もの公債に依存せざるを得ない。これについて、まず財政改革の地ならしとして御論議を願えるようにということで、あらゆるいろいろな特例的な措置で、財政の実態がわかりにくい、そういったものについてはできるだけ表に出すということ、それから、財政に関する情報については私ども何も隠し立てするものはございません、すべてそれを開示して、それで、大蔵省だけではなしに、関係各省との議論、あるいは言論界、国会での議論、国民的な合意を得なければ財政改革というのはなかなか大変でございます。  ただ、我が国は諸外国と比べてまだ若い国であります。フランスなどはもうせっぱ詰まって今大変な改革をしております。あるいはスウェーデンにおいても、例えば年金の基礎年金部分を削減する、なくしてしまうというような革命的なことをやらざるを得ない状況でございますが、我が国は、今この若い時期に財政改革をきちんと仕上げることがあすへの成長につながるものと存じております。
  282. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 地方財政の借入金残高がこういうように増大をしてきた原因がどこにあるのかという御質問かと存じますが、御案内のとおり、平成七年度末で借入金の残高が百二十四兆円、平成八年度末では百三十六兆円になるという御質問の中で御指摘があったわけであります。  この原因でありますけれども、一つは、やはり景気後退がありまして、そして地方税収入、それから交付税の対象税目であります国税五税が伸び悩むあるいは落ち込むというようなことで、地方財政の財源不足額がこのところ非常に大きくなってきたということが一つございます。  それからもう一つは、国税の場合と同様でありますけれども、所得税、住民税の先行減税の実施、これに対しましてやはり対策が必要であったというようなこと。それから、平成四年度、五年度あるいは平成七年度もそうでありますけれども、もう一つは、景気の低迷が続く中で、経済対策のために公共事業あるいは単独事業を積み増しをするというようなことが、当然地方の財源としては借金に頼らざるを得ないというようなことで、地方債あるいは交付税特別会計の借入金が増大してきたというように認識をいたしております。
  283. 牧野聖修

    牧野委員 大変丁寧に答弁していただきますので大分時間が詰まってきてしまいましたけれども、先ほど行政改革、リストラもしているということの答弁がありましたので、あえて質問をさせていただきますが、一点だけここを簡単に御答弁ください。  今、国家公務員の数、国会議員の数、特殊法人に働いている数、地方公務員の数、地方議員の皆さんの数、地方公社等で働いている、いわゆる親方日の丸で働いている、我々を含めて、皆さんの数がちょうど五百二十万人。就業人口が六千四百万人ですから、十一人に一人という勘定になりますね。特に最近は厳しい状況ですから、主婦もみんな働いていると、もしかすると九軒に一軒ぐらいの割合になるんじゃないかなと思います。これは本当にリストラを進めてきたということになるんでしょうか、お答えをお願いします。
  284. 小村武

    ○小村政府委員 我が国の国家公務員、あるいは地方公務員も含めてでございますが、人口割合に対する公務員の数というのは諸外国に比べて少の うございます。  ただ、私ども、本年度大蔵省が管理しております国家公務員、これは自衛官等を除いてでございますが、非現業が五十三万四千人、現業が三十二万一千人、合計八十五万五千人でございますが、八年度におきましては二千百八人の純減をいたしました。
  285. 牧野聖修

    牧野委員 私が久保大蔵大臣に財政再建ということであえて質問に立たせていただいた理由は、実はもう一つあります。  それは、大変言いにくいんですけれども、あなたは万年野党と言われた社会党さんの党の執行部におられた方ですね。今はそこに座っておられますけれども、長い間野党席から大蔵大臣の席を見てきたと私は思うわけです。もし自分が大蔵大臣になったら、こうしたい、ああしたいといろんな夢があったと思うのです。そういう延長線上で実は御答弁をいただきたい、こう思いまして、従来のような答弁よりも一歩突っ込んだ答弁をいただきたいと思ってここに立たさせていただいたわけです。  先ほど申し上げましたこの大蔵省の財政の展望と財政改革の課題という、これは私向こう十年間読ませてもらいました。書いてあることは毎年全く一緒ですよ。本当に十年一日のごとく、この中に書かれている文言は全く一緒ですよ。  ということは、どんな状況になっても財政運営は余り大きく変わってこないということになるわけでして、その中で特に私が感じましたのは、大臣、毎年言葉の表現は若干違っておりますけれども、先ほども答弁いただきましたが、その中に脈々と流れている考え方は、社会保障を含めた補助金体制は維持していくというのが見えますね。それから 生活環境整備とか景気回復とかあるいは高齢化社会への対応とか、いろいろな文言を使いますが、公共事業の分は確保するというのが見えていますね。それからもう一つ国際社会への貢献、この三つはにしきの御旗ですよ。  ところが、私が思いますのは、アメリカでも二〇〇四年までに財政赤字をゼロにするということで、まあ増税もしましたけれども、あのアメリカが防衛費削減に手をつけた。ドイツも社会保障関係費を抑制した。イギリスは、増税しましたけれども、歳出削減を徹底的に厳しくチェックしますね。そしてフランスは、公務員給与の凍結というところまで踏み込んで、ストライキを起こされましたけれども頑張っているわけですね。  私たち日本も本当の決意を持って、聖域と言われたそういう部分、特にそういった部分にこそ、大変言いにくいんですけれども、私たち政治家の責任でもありますが、政財官一丸となって我が田に水を引きっこするという予算分捕り合戦の犠牲がその辺にも押し寄せているんではないかなという感じがするわけです。ですから、大蔵大臣、本気になってこの問題について取り組んでほしい。もう一度あなたの言葉で、あなたの声で答弁をいただきたいと思います。
  286. 久保亘

    ○久保国務大臣 今お話しになりましたことに、私も非常に共感を持ちながら聞かせていただきました。やはり発想をどのように変えていくかということが、時代の変化、政治の変化の中でやらなければならない重要なことだと考えております。  ただ私は、正直に申し上げまして、野党で政治家になり、野党で政治生活を終わる、こう思っておりましたものですから、連立政権の時代になりまして、政権与党の立場でこれまでの日本の政治をどのように発想の転換ができるのかということに関して、いつもいろいろと考えることがございます。現実に転換が可能なものを忍耐強く、そして力を入れてやっていくことが大事だと思っております。  これからまた、今牧野さんお話しになりましたようなことで、ぜひ御協力をいただければありがたいと思っております。
  287. 牧野聖修

    牧野委員 実は、もっとたくさん質問させていただこうと思ったのですが、丁寧な長い答弁だったものですから、時間が少なくなって質問がだんだんできなくなってきてあれですが、大臣一つ提案をさせていただきたいと思います。御検討をいただきたいと思うのですけれども、私は、この財政再建は大蔵省の中の一部に任せておく時代は終わったと思うのですね。これはもう政府も国会も全部が心を一つにして取り組んでいかないと、後世の皆さんに大変なしわ寄せを残してしまう、我々はそういう責任があるわけですね。  そこで大臣にお聞きをいただきたいのですが、国会の中にもそろそろ財政再建特別委員会みたいなものができてもいいのではないか、こういうふうに考えております。政府の中には経済対策閣僚会議というものがあるわけですから、どうぞ大蔵大臣中心となって、本当は総理大臣がいてくれればいいのですけれども、財政再建閣僚会議と銘打っことがいいかどうかわかりませんが、少なくとも大蔵省だけに任せているという時代は終わって、そういうレベルアップして本当に国を挙げてやるという姿勢が必要だと思いますが、どうでしょうか。
  288. 久保亘

    ○久保国務大臣 非常に重要なことだと考えております。財政再建の道は、今国民が日本の財政に何を望んでいるかということと同時に、今、後代に向けて日本の財政を立て直すために国民の皆さんに何をお願いしなければならないかということなどについて、私どもは、できるだけ多くの人たちの英知を集めて実行しなければならないときに来ていると思っております。
  289. 牧野聖修

    牧野委員 自治大臣にもお越しをいただきながら、質問の時間がなくなってしまいましたので大変申しわけございませんが、お許しをいただいて割愛をさせていただきます。また、他の点につきましても通告したことがございますが、時間の関係で割愛をさせていただきます。  最後に大蔵大臣にもう一言お願いをいたします。今国会は大変厳しい、そういう状況ですから、今回を乗り切ることにもしかしたら大変御腐心をされておられるかと思いますが、やはり何といいましても財政再建の問題は大きな問題ですから、百年後の国民の批判に耐え得るというそういうことをどうぞ肝に銘じていただいて、財政再建に真剣に取り組んでくださいますようお願い申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  290. 上原康助

    上原委員長 これにて牧野君の質疑は終了いたしました。  次に、小杉隆君。
  291. 小杉隆

    小杉委員 住専問題に集中した予算委員会ですけれども、私は、人類として、あるいは日本の国民として決しておろそかにできない地球環境問題に絞って質問をしたいと思います。  まず、特に気候変動、地球温暖化の問題について伺いたいのですけれども、まだ地球環境問題というと、時間的、空間的に大変遠い問題だというような受けとめ方が多い風潮であります。しかし、この環境の悪化というものが人類の生存そのものを脅かす、こういう危機感から、去る一九九二年、ブラジルで地球サミットが開催をされ、環境と経済の調和あるいは持続可能な開発ということをリオ宣言で高らかにうたい、そしてその具体的な戦術としてアジェンダ21が採択をされました。また、具体的な条約としては、生態系保護条約と、そして気候変動条約というものが成立したわけであります。  日本としても、このリオの会議の後、環境基本法の制定とかあるいは環境基本計画の策定を初めとして、官民挙げてこの環境問題に取り組んできました。中央省庁だけではなくて、各自治体や企業、そういうところで組織、人員、予算、そういう面でかなり充実をしてきたと思います。また、市民グループの活動も活発になっておりますし、国民の環境問題に対する関心も極めて高くなってきております。  しかし、その後、あれからもう四年たちますけれども、世界の経済が非常に低迷をしているというようなことから、必ずしもこの地球環境問題についての関心が、世界的にもまた国内的にもひところのような熱気がなくなってきている、こうい う気がするわけであります。私は、橋本総理がかねてから環境分野で世界への貢献をするんだということを所信表明でも訴えておられるわけですが、我が国は率先してこの地球環境問題解決のリーダーシップを発揮すべき立場にあると思うわけでございます。  そこで、一九九七年、つまり来年、地球環境をテーマとした国連特別総会が開かれる予定になっております。そしてあの九二年の、つまり、五年前の合意というものが本当に実行されているかどうかということを検証することになっているわけです。  そこで、気候変動につきましては、昨年、ベルリンにおきまして気候変動枠組み条約の締約国会議というのが第一回が開かれまして、ことしは第二回目がジュネーブで開かれることになっております。そして、来年の国連特別総会の直前に二〇〇〇年以降の、この間の地球サミットのは二〇〇〇年までの一応ターゲット、二〇〇〇年までに一九九〇年レベルでCO2の排出量を抑えよう、こういう合意がされているわけですけれども、今度、来年のいわゆるCOP3ですね、枠組み条約締約国会議の第三回におきまして、今後二〇〇〇年以降の新たな目標づくりとか、あるいは前回の地球サミットでは必ずしも途上国の責任というのが不明確であったのですけれども、こういう途上国につきましてもひとつ何らかの目標というものをつくろうではないかというようなことを考えておられると思っております。  その第三回目の最終のCOP3を、つまり枠組み条約締約国会議を私は東京で開くべきだ、東京とは限りません、日本で開くべきだというふうに思うのですけれども、岩垂環境庁長官のお考え、所信を伺いたいと思います。
  292. 岩垂寿喜男

    ○岩垂国務大臣 小杉先生が地球環境の問題に大変御熱心にお取り組みをいただいていることに敬意を表したいと思います。  今御指摘いただきましたように、気候変動枠組み条約第三回締約国会議、COP3というふうに言っておりますが、これは今御指摘のように、二〇〇〇年以降の国際的な温暖化対策のあり方について、できれば議定書を交わしたい、それを採択したいという意味では非常に重要な会議だというふうに思っております。  この重要な会議を日本に招致して、日本がホスト国として円滑な合意形成を図ること、そして本会議を成功させるということができれば、私は日本の国際貢献という意味で非常に大きな、そして積極的な意味を持ち得ると思います。特に、これまでの我が国の豊富な対策中心にした経験、これを裏づけにした議事のさばきとでもいいましょうか、采配については、実は各国から大変大きな信頼を寄せていただいております。  ついせんだって、一カ月前なんですが、枠組み条約のクタヤール事務局長が、これは外務省の招待でお見えになっていたわけですが、わざわざお訪ねをいただきまして、ぜひ日本で成功させてほしいものだという気持ちも述べておられました。また、仙台で、この間、第五回アジア・太平洋地域地球温暖化セミナーを、アジアの皆さんにお集まりいただいて、その会議を開いたのですが、そこでも、ぜひ日本がやってほしいものだという公式、非公式の意見が寄せられております。  今、政府部内でこれから議論をして閣議決定をいただきながら、国際的な努力をしていかなきゃならぬと思っております。幸いにして、後ろに大蔵大臣もおられるし、官房長官もおられる。通産大臣もおられるし、外務大臣あるいは閣僚の皆さんにぜひ積極的な御理解と御協力をいただきながら、橋本総理のイニシアチブのもとで、この会議が成功をするように党派を挙げて御努力、御協力をいただきたい、こんなふうに思います。よろしくどうぞお願いをいたします。
  293. 小杉隆

    小杉委員 現在、先進国は二酸化炭素総排出量を二〇〇〇年までにおおむね一九九〇年レベルで安定化させるという約束を交わしているわけですが、これは当面の目標であって、通過点にすぎないわけです。  昨年暮れに、世界の科学者の声を集大成したIPCCレポート、IPCCというのは気候変動に関する政府間パネルですけれども、その報告書によりますと、もう既に地球温暖化が始まっている、さらに、実行可能な対策は相当残されている、さらに、早急に本格的な対策を開始すべきだという三点を訴えております。このレポートを踏まえて、二〇〇〇年以降の地球温暖化対策の進め方について、新たな国際的な約束づくり、ベルリン・マンデートというのですけれども、これが進められています。  特に、アジア地域は人口増加や経済発展やライフスタイルの向上などによって、これからますますCO2の排出量がふえていくと見込まれているわけですね。したがって、途上国からの排出量というものをどうするか、これは非常に緊急な課題なんですね。しかし、これは先進国と途上国との争いの種になっておりまして、なかなか難しい議論であります。  私たちの日本は、この二十年来、石油ショック以来、官民挙げて省資源、省エネルギーに努めてまいりまして、今や省エネルギーの点では、あるいはエネルギー効率の点では世界に冠たる日本になったということで、さらなる温室効果ガスの削減ということはなかなか厳しい、苦しいことだと思うのですね。しかし、このIPCCのレポートによると、先進国はこれ以上排出量をふやしてはいかぬというようなことを言っているわけであります。  そこで、私は通産大臣に伺うのですが、今までの我が国経済社会というのは、大量生産、大量消費、大量廃棄という経済パターンをずっと踏襲してきたわけでありまして、私たちも、バブルの時期まで大変エネルギー多消費型社会になっていたのですね。しかし、もうこの辺で、発想を大胆に転換をして新しい経済構造に脱皮していくことが必要だというふうに思います。  この点については、日本の政府も、一九九〇年に地球環境保全に関する関係閣僚会議というもので地球温暖化防止行動計画というものを策定しました。これは私は非常にすぐれた計画だと思っておりますが、この中では、「我が国の都市・地域構造、交通体系、生産構造、エネルギー供給構造、ライフスタイル等の在り方を幅広く見直すとともに、技術の開発・普及を促進」するということがうたわれております。私は、特に生産構造とかエネルギーの供給構造の見直しについては、通産大臣、通産省のリーダーシップが非常に求められていると思います。  最近、総理の諮問機関である経済審議会の答申の中では、これからの産業の空洞化とかあるいは雇用の不安とかいうことを指摘をして、経済パターンを変革させなければいけない、あるいは新規産業とかベンチャービジネスの育成をして、産業の活性化を図り、また雇用の創出を図らなければいけないというようなことをうたっているわけです。それから、郵政大臣の諮問機関の電気通信審議会でも、通信機能の活用によって資源多消費型の産業構造を転換すべきだという答申が出されております。  これらの総理とか各関係大臣の諮問の答申を見ましても、いずれも産業構造の転換とかあるいは経済社会の転換ということをうたっているわけですが、通産省がたしか九四年の十二月に新エネルギー導入大綱というのを発表されましたが、これによると、経済成長とエネルギー使用量の増加は基本的に連動する、こういう考え方に立っておられるわけですが、私は、こういう考えにいつまでも固執していていいのだろうかというふうに思うのですけれども、通産大臣の、今申し上げた点に関する所信を聞かせていただきたいと思うのです。
  294. 塚原俊平

    ○塚原国務大臣 新エネルギー導入大綱、御指摘のように九四年の十二月に公表されました。  ただいまお話ございました、ひとつ二〇〇〇年の目標を定めて、どこまで頑張れるかわかりませんが、例えば、太陽光発電だと九二年三千六百キロワットを四十万キロワットに二〇〇〇年にしよ う、廃棄物発電は九二年五十万キロワットを二百万キロワットにしよう、あるいはクリーンエネルギー自動車は、九二年は二千台だけれども、これを四十九万台にしようというような形の中で、技術開発あるいは導入の支援、規制緩和等をとりながら、今現在積極的に進めているわけでございます。  今後、先生等からもまた御指導をいただきながら、これらの政策は積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  295. 小杉隆

    小杉委員 この点はもう少しまた深く突っ込んだ議論をしたいのですけれども、きょうは時間がありませんから、次に進みます。  具体的な問題として、私は、総理官邸にソーラーシステムを導入せよ、こういうことを提言したいわけであります。  この点については、私が今、日本、アメリカ、EU、ロシアの国会議員でGLOBEという、地球環境国際議員連盟というのをつくりまして、九三年に当時の細川総理に申し入れたことがあります。それから昨年、村山総理にも申し入れたのですけれども。  これは長くなってしまうので説明はなるべく短くしますが、ソーラーエネルギーというのは非常に無限で、しかもクリーンなエネルギーですね。たった一時間の太陽光エネルギーが、今五十六億人の人たちが使っている一年間のエネルギーを全部賄うくらい、非常に多くのエネルギーを持っております。今まで通産省も、この件については二十年以上にわたって、省エネルギーとか新エネルギー、まあニューサンシャイン計画というようなことで研究をしてきております。私は、もう研究の段階から実行の段階に入ったと思うのです。そのためにはやはり政治が出動しなければいけないというふうに思っております。  ソーラーのいいところは、一番電力需要のピークの昼間、ここが一番効率よく発電するわけですから、これはピークカットに大きく貢献する。しかも、エネルギーの面から見ても、石炭はもう可採埋蔵量が今後七十六年、石油四十年、天然ガス三十六年と言われておりまして、この資源の枯渇に備えるという面からも、私はソーラーエネルギーというのは非常に有効であるというふうに思います。  私の試算によりますと、例えば、我が国には二千百万戸の二戸建て住宅があるのですが、この住宅の全部というわけにいきませんから八〇%ぐらいの住宅に平均的な三キロワットのソーラーを設置しますと、これは全体で二千五百万キロワットアワーの電力を賄うことができる、そうしますと百万キロワット規模の発電所を二十五基これからつくらなくても済む、こういうことであります。最近、「もんじゅ」の事故などから原発に対する国民の不安が増大しているということで、これは大いに促進すべき問題だと思います。  ただ、ソーラーの面ではいろいろ問題があります。三つあると思いますが、コストが非常に高い、それから、まだ技術開発が進んでいないというような問題、それから、維持はまああれなんですけれども、たびたび買いかえなきゃいけないというような難点があります。  そこで、私自身は、自分の家の屋根にソーラーをつけて今やっております。おもしろいことに、これを導入してから家族がみんな省エネの意識に燃えて、少しでも電気を消して東京電力に売ってやろう、こういうような風潮が出てまいりました。  そういうことで、私は、これはもう官民挙げてやらなきゃいけないと思います。一般の住宅はもう最終の段階で、一番最初にやるべきことは、やはり政府の公共の建物あるいは国立学校とか病院とか老人ホームとか、そういうところへ率先してつける。それから自治体、三千三百の自治体にもやはりそういうソーラーを必要とする施設がいっぱいあるわけですし、民間の企業とかあるいは公営のアパート、そして民間住宅、そういうものにフルにこれを設備させていくというためには、今相当政治的なインパクトというかインセンティブが必要なんですね。  たまたま総理官邸が今ちょうど設計計画中でありますので、これを機会に、今度の総理官邸にはよく、情報機能を完備させるとかあるいは危機管理能力を具備した建物にするということが言われておりますけれども、それとあわせて、やはりソーラーというような、あるいは環境とエネルギーということを配慮したそういうソーラーシステムを総理官邸につけて、とにかく、各省庁とか地方自治体とか民間とか一般家庭の導入に対してのすばらしいインセンティブを与えていただきたい。そして、総理官邸にソーラーが取りつけられれば、恐らく内外ともにこれは非常ないい刺激となり、シンボルとなるというふうに感じておりますので、ぜひ官房長官にその辺のひとつ決意を聞かせていただきたいと思います。
  296. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 お答えをいたします。  常日ごろ小杉委員には、地球環境問題で御活動を願っておりますし、特にクリーンエネルギーのソーラーの研究開発、普及に御尽力を賜っておりますことに心から感謝を申し上げます。  私も、実は長い間この問題に携わってきた一人でもございます。こうやって今、官邸に入れろという話を具体的に聞きまして、確かに価格は高いものでありますけれども、平成八年度からこの基本設計が始まるわけであります。いずれにしても、敷地の面積やあるいはヘリコプター基地も備えなきゃならない、いろいろな問題がありますが、屋根の形状その他、そういうものに合わせて何とかそういうものが実現できるように努力をしていきたい、こう考えております。  特に人口増加と地球環境、この問題は避けて通れない問題であります。この中ではエネルギーと食糧をどうすれば調達できるか、これが我々がこの地球上で平和裏に生存できる最小限度の条件でもございますので、ぜひこの自然エネルギー、特に太陽熱をどういうふうに大規模に、その今第一歩がソーラーシステムだと思うのですが、これは主権の侵害になるから言えませんけれども、例えば、サハラ砂漠にどれだけのパネルを埋めて、どうすればこの太陽熱をうまく吸収をし、それを貯蔵をし、何かに変質をし、どうして輸送し、それをまた具体化できるか、こういう問題を本当に国の大きな施策として取り上げることが私は人類に対する日本の平和的な貢献だと思いますので、全面的に取り組んでまいりたいと思います。
  297. 小杉隆

    小杉委員 このソーラーの問題については、ジンバブエで近くソーラーサミットというのが開催される予定であります。私が調べたところでは、ユネスコがサポートして準備が進んでいるということですが、文部省並びに外務省に聞いたところが、どうもその辺の連絡が、まだ聞いていないというような非常にそっけないあいさつだったのですが、きょうはもう答弁要りませんから、ぜひこの問題についても関心を持って対応してください。以上、お願いしておきます。  三番目の問題は、低公害車の普及ということであります。  二酸化炭素、CO2の排出量の中で大体自動車運輸部門が一九%、つまり全体の二割を占めているので、この分野の排出削減というものも非常に緊急な課題です。  私自身、昨年から電気スクーター、普通の電気自動車を買おうと思ったら三千万円もするものですから、電気スクーターでいろいろ自分自身研究しているのですが、近隣の移動には物すごく便利で、静かで、どんな商店街や雑踏へ入っていっても全然怒られないし、気にならないのですね。大いに活用させていただいているのですが、この電気自動車は大気汚染物質が少ないだけじゃなくて、CO2の排出量も少ないわけであります。  ところで、アメリカのカリフォルニア州を初めとして十以上の州で、一九九八年、つまり再来年から、総販売台数の二%を電気自動車にすべしという義務づけを開始しようとしております。  私は昨年、党の中に低公害車普及小委員会というのを設置しまして、いろいろな専門家とかメーカーとか官公庁のヒアリングを行いまして、その 低公害車の普及促進のための提言を行いました。  いろいろなメニューがあるのでここでは省略をいたしますけれども、その中で一番ネックとなっているのが三点あります。一つは、コストが高い。さっき言ったように、普通の二千cc級の乗用車ですと三千万円もするということですし、それから、一充てん当たりの走行距離が短い。環境庁や通産省も利用していると思うのですが、とにかく一回の充電で走れる距離というのは極めて少ないので、しょっちゅう心配で充電のことを考えなきゃいかぬ。それから三番目に、充てん施設が極めて不十分である。通産省ではエコ二〇〇〇という、二〇〇〇年までにこの充てん場所を二千カ所設置するというのですが、現在のところ、まだ二、三十カ所だと思うのですね。したがって、この三つのネックをどうやって乗り越えていくかということが非常に重要であります。  私はおもしろいアイデアをいっぱい持っているのですが、時間の関係で省略しますが、そこで、具体的にまず私は政府から率先して行動を起こすべきだということで、これは非常に評価しておりますが、たしか環境保全に向けた取組の率先実行のための行動計画というものを政府が決めましたね。  その中では、低公害車の割合を平成十二年、二〇〇〇年までにおおむね一〇%に高めるということを念頭に置いて、公用車への低公害車の導入の可能性を検討する、そして率先して導入を図る、こういうふうに前向きの姿勢を示しております。今、運輸省、通産省、環境庁が中心となってその普及に努力をされていると思いますが、それぞれの省がどのように取り組んでいるか、そして、二〇〇〇年ですからこれから五年以内に一〇%という目標を達成する具体的なスケジュールがあるのかどうか、その点について、現状と計画についてそれぞれ聞かせてください。時間が限りがありますので、一言ずつ。
  298. 亀井善之

    ○亀井国務大臣 低公害車の普及促進につきましては、関係省庁と連携をして、低公害自動車等の取得に対する税、財投の支援措置の拡充を図るとともに、運輸省としては、低公害車の技術上の基準などの整備、バス活性化システム整備費等補助金を活用して低公害バスの取得に対する支援措置の充実に努めているところであります。  また、昨年六月に財団法人物流技術センター内に設置した運輸低公害車普及機構が行う低公害車のリース事業、低公害車に関する広報宣伝事業等を積極的に支援し、低公害車の普及促進を図っているところであります。  なおまた、運輸省といたしましては、公用車につきましては、現在約六十台の公用車を一〇%を目標に導入を検討しております。当面、平成七年度中に一台、平成八年度に一台の導入を計画し、九年度以降も逐次これを導入することにいたしておりまして、十二年度までに同目標を達成いたしたい、このように考えております。
  299. 塚原俊平

    ○塚原国務大臣 まず今の、充電の電池なんですが、一応二〇〇一年までで予算をとってやっていて、早くどんどんできればいいなと思っています。  それから天然ガスなんかについては、車両改造費二分の一補助をするとか、あるいは充電設備三分の二補助をするとかいうのを既にやっています。  それから電気自動車は、導入のための購入費を二分の一補助をするというのを平成八年からやろうということで、今いろいろと御相談をさせていただいております。  それからエコ計画につきましては、先生おっしゃったとおり、平成五年からやっているんですけれども、まだ御満足いただけないというようなお話。  それから自動車につきましては、まだリースで借りて、天然ガスのものと電気と今やっているんですけれども、最大限、一〇%になるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  300. 小杉隆

    小杉委員 岩垂さんには、政府全体の取り組みも含めてやってください。
  301. 岩垂寿喜男

    ○岩垂国務大臣 御案内のとおりに、率先実行計画は環境庁が先頭に立ってやらなければならない課題だと思っております。  その中では、低公害車の普及というのは一つの大きな柱だろうというふうに思っておりまして、環境庁自身も来年度予算に三台加えて、今一台しかないものですから、そういう対応をしていきたいと思っておりますが、それだけではなくて、地方公共団体あるいは事業者、国民などの環境保全活動を促す上でこれらの問題を総合的に取り上げていきたいな、こんなふうに思っております。  御指摘のとおりに、今の目標を達成するためにどうしていくかというふうなことを具体的に取り組んでいかなければなりませんが、とりあえず、例えば五億円の来年度予算、この予算でバスを集中的に導入して、あっちにぽつり、こっちにぽつりじゃなくて、集中的に導入したその成果みたいなものを地域社会に御理解を広げていく、そして全国に広げていく、そんなことを含めて努力をしてまいりたいというふうに思っています。  以上でございます。
  302. 小杉隆

    小杉委員 私は、各省庁ごとに一般会計分と特別会計分の車両台数を全部アンケート調査をいたしました。第一位が防衛本庁四万六千七百二十三台、これは恐らく防衛の装備だと思うんですけれども。それから、二番目が警察庁の二万九千九百四十六台。三番目が郵政省、これは郵政事業が含まれておりますから、一万六千四百九十二台。そして農林水産省、これは食管とか国有林野とか土地改良とか、こういう特別会計が非常に多いシェアを占めておりまして、一万三千二百四十五台。そして建設省、これは道路整備とか治水とか、こういうものも含めまして六千六十台。これがベストファイブであります。  こういうところを具体的に、やはりきちっと政府が一〇%の目標に近づけるように、ぜひひとつ官房長官、これはもう政府挙げて取り組んでもらいたいと思うんですが、最後に官房長官の決意を聞いて、終わります。
  303. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 電気自動車やその他低公害車、これの普及は何よりも大切でございます。ただ、今のところ、技術的な開発で、ガソリンにまさる出力その他をよう準備がいたしておりません。しかし、その必要のない輸送機関についてはぜひそういうものを実現をし、なおかつ、技術の開発を行うことによって目的を達成したい、そのように考えております。
  304. 小杉隆

    小杉委員 どうもありがとうございました。
  305. 上原康助

    上原委員長 これにて小杉君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  306. 上原康助

    上原委員長 この際、平成八年度総予算の公聴会の件について申し上げます。  公述人の選定につきましては、さきに委員長に御一任いただいておりましたが、本日の理事会において協議いたしました結果、お手元に配付いたしました名簿のとおり決定いたしましたので、御報告いたします。     ―――――――――――――    予算委員会公述人名簿一、意見を聞く問題 平成八年度総予算について  〇二月二十二日(木)     財団法人KSD中小企     業経営者福祉事業団理 古関 忠男君     事長     弁   護   士  清水  直君     東京家政大学教授   樋口 恵子君     財団法人国際金融情報     センター理事長    大場 智満君     慶應義塾大学経済学部     教授         島田 晴雄君     社団法人全国労働金庫     協会・労働金庫連合会 禿河 徹映君     理事長  〇二月二十三日(金)     慶應義塾大学経済学部     教授         池尾 和人君     株式会社野村総合研究     所政策研究センター長 富田 俊基君     法政大学経営学部教授 野田 正穂君     東京大学経済学部教授     経済評論家      植田 和男君     有限会社経済政策総合     研究所ハーベイロー  財部 誠一君     ド・ジャパン代表     筑波大学教授     宮尾 尊弘君     ―――――――――――――
  307. 上原康助

    上原委員長 次回は、明二十日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五分散会