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1996-02-16 第136回国会 衆議院 予算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月十六日(金曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       菊池福治郎君    小杉  隆君       後藤田正晴君    佐藤 剛男君       志賀  節君    高鳥  修君       谷川 和穗君    原田  憲君       村岡 兼造君    村山 達雄君       谷津 義男君    若林 正俊君       安倍 基雄君    愛知 和男君       愛野興一郎君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       川島  實君    左藤  恵君       谷口 隆義君    中野 寛成君       平田 米男君    前田 武志君       松岡滿壽男君    山口那津男君       山田  宏君    今村  修君       佐々木秀典君    坂上 富男君       田中 昭一君    細川 律夫君       錦織  淳君    松本 善明君       矢島 恒夫君    海江田万里君  委員外出席者         議     員 加藤 紘一君         議     員 田名部匡省君         議     員 藤井 裕久君         議     員 武村 正義君         参  考  人         (元大蔵省銀行         局長)     土田 正顕君         参  考  人         (前大蔵省銀行         局長)     寺村 信行君         参  考  人         (元農林水産省         経済局長)   眞鍋 武紀君         参  考  人         (農林中央金庫         理事長)    角道 謙一君         参  考  人        (信託協会会長) 藤井  健君         参  考  人         (株式会社住総         取締役社長)  山本  弘君         参  考  人         (株式会社富士         住建代表取締役         社長)     安原  治君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 二月十六日  辞任         補欠選任   武藤 嘉文君     佐藤 剛男君   笹川  堯君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 剛男君     小杉  隆君   中野 寛成君     愛知 和男君 同日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     武藤 嘉文君   愛知 和男君     笹川  堯君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上の三案を一括して議題といたします。  各案審査のため、住宅金融専門会社問題について、昨日に引き続き、参考人から意見を聴取し、質疑を行うことといたします。  ただいま御出席をいただいております参考人は、元大蔵省銀行局長土田正顕君、前大蔵省銀行局長寺村信行君、元農林水産省経済局長眞鍋武紀君、農林中央金庫理事長角道謙一君、信託協会会長藤井健君、株式会社住総取締役社長山本弘君、株式会社富士住建代表取締役社長安原治君、以上の七名の方々であります。  この際、参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。参考人各位には、住宅金融専門会社問題について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  それでは、議事の順序について御説明いたします。  まず最初に、まだ御意見をお述べいただいていない藤井参考人山本参考人安原参考人からお一人三分程度で御意見をお述べいただき、その後、参考人各位委員質疑お答えいただきたいと存じます。委員質疑時間は限られておりますので、お答えはできるだけ簡潔、明瞭にお願いいたします。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、衆議院規則の規定により、参考人委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。  それでは、参考人各位から住宅金融専門会社問題について意見を聴取いたします。  まず、藤井参考人お願いをいたします。
  3. 藤井健

    藤井参考人 信託協会長藤井でございます。  まず初めに、私ども信託銀行七行が母体となって設立いたしました住総の問題で関係方面に多大な御迷惑をおかけしていることにつき深くおわびを申し上げます。  住総の今日までに至る一連の動きを振り返ってみますと、私ども住総業況悪化に懸念を持ったのは、平成三年の秋口でございます。当時、急激な地価下落に伴い、私ども信託銀行においても不動産担保融資延滞するものがふえ始めておりました。かような状況であれば、不動産担保融資を主とする住総においては資産内容悪化が激しいだろうということで、信託七行でその実態把握調査をしたところ、状況相当悪化している状態でありました。そこで、関係各位協力を得て、第一次再建計画をつくったわけであります。  しかし、この計画は、当時の激しい資産価格下落の中で一年もたたないうちに見直しを迫られる状況になり、平成五年春には第二次再建計画を策定いたしました。この第二次再建計画は、すべての取引金融機関残高維持金利減免お願いするという厳しい内容であり、御当局の御助言もいただきながらようやくっくり上げたわけでございまして、この第二次再建計画については、私どもも、その遂行に向けて最大限努力を払ったつもりでございます。すなわち、母体行としては、金利を〇%に減免し、不良債権回収のため相当数現役社員を出向させました。  しかし、計画の諸前提が崩れ、平成七年三月期決算報告を受けた時点で、事態は極めて容易ならざる状態に至っているものと認識し、さらに、金融システム安定化委員会の議論、大蔵省立入調査の結果等も踏まえ、整理方針とせざるを得ないとの結論に至りました。  それまでの経緯もあることから、まず当事者間で解決を図ろうと考え系統金融機関皆様と五回にわたって協議させていただき、住総の現況について御説明しましたが、御理解を得られず、御当局に御調整をいただくことになりました。  そもそも住専ノンバンクであって、貯金の受け入れを行っていないわけではありますが、極めて多数の金融機関が多額の融資を行っていることから、その破綻我が国金融システムに与える影響は深刻なものと認識しております。我が国金融システムに対する内外からの信頼回復が急務であること、さらに、ようやく回復の兆しを見せている我が国経済状況等考えれば、住専処理は早急に、かつ細心の注意を払って行うべきものと考えております。  したがって、今般、政府当局から示された住専処理案は、母体行については債権全額放棄に加え、金融安定化拠出基金への出捐、住専処理機構への低利融資という非常に重い負担を含むものでありますが、先ほど申し上げたような状況を踏まえ、母体行としての立場我が国金融システム安定化という国策に資すること等を勘案し、基本的にお受けすべきものと考えた次第であります。  このような形で、行政当局、さらに政府国会のお手を煩わすことになりましたことについては、大変申しわけなく思っております。  今後は人員人件費削減店舗網見直し、業務の見直し等、思い切った経営合理化を進め、信頼回復に向けて最大限努力を行っていきたいと考えております。  あわせて、本日は国会の場をかりて、国民皆様の御理解がいただけますよう、誠意を持って御説明申し上げたいと思っております。  以上であります。
  4. 上原康助

    上原委員長 どうもありがとうございました。  次に、山本参考人お願いをいたします。
  5. 山本弘

    山本参考人 住総社長山本でございます。  まず初めに、当社関係方面に多大な御迷惑をおかけしていることにつきまして、深くおわびを申し上げます。  さて、私から当社再建計画の策定、遂行並びに整理方針を決断した経過を申し述べたいと存じます。  当社創業以来の危機に直面しておりました平成三年十二月から平成四年一月にかけて、設立母体である信託七社に資産実態調査お願いしましたところ、資産状況相当悪化していることが判明し、自力再建が困難な状況との認識に至りました。かかる実態を踏まえ、関係各位の御協力を得て、母体行には金利支援母体行外の金融機関には残高維持お願いする第一次再建計画を策定いたしました。あわせて、平成四年六月末に経営陣の刷新を行い、私が社長に就任したわけでございます。  しかしながら、不動産市況はさらに悪化延滞倒産債権も増加し、わずか半年で計画遂行が困難な状態に立ち至りまして、平成五年春には全金融機関金利減免残高維持お願いする第二次再建計画を策定した次第でございます。  母体行からは相当数回収人員の派遣をいただき、社長に就任以来、不良債権回収に努める一方、経営合理化面でも組織のスリム化人員削減、経費の削減等自助努力をしてまいりました。人員につきましては、ピーク時四百七十九人に対し、現在は三百九人まで削減いたしました。  この第二次再建計画を策定するに当たりまして、前提として、まず第一に、土地価格について、数年間底ばいの後徐々に回復すること、第二に、計画期間中の金利水準計画スタート時の水準で推移すると想定いたしました。  しかしながら、計画第二年度を終了しても、不動産不況のさらなる悪化に伴う延滞債権の増加、金利の低下、正常債権減少等、ことごとく諸前提から乖離し、計画に比べて大きく下振れする結果となりました。早晩資金繰りも破綻することは明らかであり、もはや計画を続けることは困難であるとの判断に至った次第であります。  また、一兆円を超えると見込まれる損失の処理考えますと、再建は断念せざるを得ないとの認識に至り、母体に諮りましたところ、整理の方向との判断をいただいたものであります。  これまで不良債権回収に苦労してまいりました者として今回の住専処理策について申し上げるとすれば、七社分を共同体制で、しかも警察、司法等の公権力の御協力を得て強力に不良債権回収を進めるという画期的な方策に対して期待いたしております。  私どもとしましても、その間、一層の不良債権回収を図るとともに、住専処理機構への円滑な移行に全力を振るって努力してまいることをお約束し、私の御説明を終わらせていただきます。
  6. 上原康助

    上原委員長 どうもありがとうございました。  次に、安原参考人お願いいたします。
  7. 安原治

    安原参考人 株式会社富士住建安原でございます。  このたび、私、経営者としての見通しの甘さゆえに世間をお騒がせし、かつ御迷惑をおかけしましたことを国民皆さんに深くおわび申し上げる次第でございます。また、住専役職皆さん母体役職者皆さん取引関係金融機関皆さん、そして金融当局皆さんに多大な御迷惑をおかけし、お騒がせしましたことを深くおわび申し上げます。  当社は、昭和四十五年に、より多くの人々に持ち家ををモットーに創業いたしました。当社は、住宅仲介事業で実績を伸ばし、その後、分譲住宅注文住宅建設マンション建設、またオフィスビルマンションの賃貸、都市再開発事業住宅のメンテナンスと、関西では大阪市、大阪南部中心にして、奈良、和歌山、神戸、ほかに岡山、広島等不動産総合ディベロッパーとして事業展開をしてまいりました。  現在のグループ会社は十八社です。従業員は、ピーク時千百二十名、現在は七百六十名です。また、当グループ下請業者として約三百強の下請業者に仕事をしてもらっています。平成七年度は、当グループで、仲介販売を含めまして住宅約二千七百戸を販売しました。売上高は約八百五十億です。当グループの二十六年間の営業成績は、住宅販売件数で約七万五千戸近くになったと思います。  住専各社との住宅提携ローンは、概算で累計三万件近くになると思います。住専各社との取引は、昭和五十年ごろから住宅ローンを取り扱うことから始まりました。住宅用土地取得資金は、当初第二地銀信用金庫、信用組合からの借り入れだけでしたが、昭和五十六年ごろには当グループ信用が徐々につきまして、都銀地銀、そして住専からも住宅用土地取得資金借り入れができるようになりました。昭和六十二年後半から平成二年後半のピーク時に至るまで、各金融機関との取引が飛躍的に増加しました。  当グループは、住宅販売を主流に伸びてきましたが、昭和六十年後半からは地価暴騰、そして平成三年の初めからは急激な地価暴落に直面しました。企業経営者としては、いかなる事態が発生しようとも、結果責任を重大に受けとめ、この責任を逃れるつもりは毛頭ありません。  私の立場としては僭越とは思いますが、地価暴騰暴落の要因の一つとして、三つの政策の運用の整合性に問題があったのではないかと今では思っています。その一つ国土利用計画法監視区域制度であり、二つは税制の問題です。三つ目はもろもろの規制の問題です。この三つに十分対処できず、多くの借入金を抱え現在に至っていることに関しましては、経営者責任を痛感し、深く反省しております。  しかしながら、当グループは、返済について懸命の努力を現在も続けております。当グループの、平成三年一月から平成七年十二月までの五年間、住専への金利、元金の支払いは、金利で約三百五十億、元本約一千億返済しました。  当グループは、今まで以上に今後も誠心誠意頑張り、借入金をできる限り少なくするよう、私の一生涯をかけて一生懸命努力してまいる所存でございます。  本委員会委員長並びに各委員皆さん、さらには国会関係者皆さんに貴重な時間をとらせましたことを、まことに申しわけなく思います。今後ともよろしく御指導をお願いします。
  8. 上原康助

    上原委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  9. 上原康助

    上原委員長 これより各参考人に対する質疑に入ります。  この際、質疑者に申し上げます。  議事整理のため、質疑をする参考人の氏名をその都度お告げいただきたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜井新君。
  10. 桜井新

    桜井委員 私は、自由民主党を代表してきょう質疑をさせていただきます桜井新でございます。参考人皆さんには、早朝から大変御苦労さまでございます。  まず最初に、私、余り時間がないので、あるいは前の話をちょっと丁寧にやればよろしいのかもわかりませんが、失礼の点があるかもわかりませんけれども、あらかじめお許しをいただきたいと思うわけであります。  まず最初に、信託協会藤井健さんにお尋ねをしたいと思うわけであります。  私が実はお尋ねをしたいことの大宗を今あなたは丁重に御説明をいただいたので、結論だけ、一言だけ最初にお聞きをいたします。  それは、今度の事件については、あなたのところも母体行として早い時期から、平成二、三年ごろから気づかれていろいろ対策を立てられてきた。最終的にはとてもこれでは、このままではどうにもならぬ、破産をさせるか、何とか国からの介入もいただいて抜本的な対策を立てるしかないというようなことも今あなたは触れておられましたが、結果として今度のスキームについて、公的資金の導入、つまり保険機構等の力だけではもうどうにもならぬ、何らかの形で公的資金をある程度入れてもらうようなことでもしなければ金融信用秩序を維持するということは極めて困難であった、今度のスキームはそういう意味で妥当、適切であるというふうにお感じになっているかどうか。この一点だけ聞かせてください。
  11. 藤井健

    藤井参考人 お答え申し上げます。  全体のスキームについてあれこれ批判を、批評をする立場には基本的にはないと思っております。  ただ、私ども母体として全く、全面的に、やはり努力できるというか貢献できるということはすべて出して、その結果どういう数字になるかは、これは御当局にお任せするしかないというふうに今考えておりまして、この案が成立すれば、私どもはこれに基づいて十分努力してまいりたいと思っております。
  12. 桜井新

    桜井委員 いや、御当局がこういうことでやってくれれば私たちは十分な努力をしますというのはわかっているのですが、この案は適切、妥当であるとあなたはお考えですかどうか、こういうことです。
  13. 藤井健

    藤井参考人 お答えをいたします。  現在の状況からすれば、適切という言葉はちょっと僕からは申し上げられませんが、やはり妥当ではなかろうかというふうに考えます。
  14. 桜井新

    桜井委員 次に、土田参考人お尋ねをいたします。  あなたとは、私がまだ当選してきたばかりの時代からずっとこの金融問題に取り組んでこられておりましたので、何回か意見交換もさせていただいた間柄でございます。  さて、あなたにもお聞かせをいただきたいのですが、第一回目の調査、第二回目の大蔵省調査、その結果を私どももちょうだいをして見せていただいておるのですが、あなたもこの現状の中で、日本の金融秩序を維持する、通貨の信用を維持するという意味で、今度のスキームについては適切、妥当であったと判断をされておるかどうか、あなたの意見を聞かせてください。
  15. 土田正顕

    土田参考人 今度のスキームは、現在の政府関係方々が最善の努力を尽くして編集されたものと思います。まあ私は、もはやそういうことを担当している身分にはございませんので、あれこれ批判申し上げることはできません。  確かに、私どもは、金融破綻が続出する事態を予想いたしまして、例えばノンバンク対策とか、例えば金融制度改革、その他いわゆる預金保険機構の運営についてのいろいろな工夫について準備作業はいたしました。そのときに今日の事態、今日のような、このようなスキームを予想しておったかと言えば、それは率直に言って予想しておりませんでした。しかし、情勢は変わり、あらゆる材料は政府が比較検討されたところだと思いますので、現在の政府提案には私は賛成したいと思っております。
  16. 桜井新

    桜井委員 ありがとうございました。  それでは、今度は住総にちょっとお聞きをさせていただきたいと思うのですが、住総は、昭和四十六年に創業した当時は、あなたはもっともあれかな、あなたは平成四年から社長になられたのですので前段のことはちょっと説明だけにさせていただきますが、昭和四十六年に創業した当時は、時代の要請にこたえて業績も順調に伸び、まさかこんな運命をたどるとは思わなかったことだと思います。  平成三年の大蔵省調査によれば、個人向け住宅ローン都銀などにより肩がわりするようになってから売り上げが伸びず減少した、このために、経営改善のために川上の開発により住宅ローンの口数をふやそうとしたとあるが、土地、つまり不動産はどんな市況であり、その当時の見通しであったのか、あなたの社長になる前でありましたが、おわかりだったら教えていただきたい。その後、貸付先大宗土地開発に傾斜していったが、創業の精神と大分離れたことになったわけでありますけれども、このことについてどのように今お考えを持っていられるか、この二点、聞かせてください。
  17. 山本弘

    山本参考人 私は、平成四年の六月からでございますので当時のことはよくわかりませんが、ただ、住宅ローンがどんどん期前返済されるという事態がございまして、どうしても生きる道として不動産融資の方へ傾斜していったということは否めないことだと思います。そして、その当時はかなり土地の上昇がありましたので、傷も負わずに済んでまいりました。  特に当社業容を伸ばしましたのは、昭和六十三年、平成元年、平成二年と、バブルの最盛期のときに業容を伸ばしたのが今日の痛手をこうむっている最大理由だと感じております。  以上でございます。
  18. 桜井新

    桜井委員 私も小さいながら商売を起こして二十年近くやってきた身でありますが、住宅ローンの受注が減ったから、その目的外のことをするについてはそれ相応の企業見通しがなければ、普通、自分が借金をして責任を負わなければならない立場であれば、そう軽々に手は出せるものではないと思うので、だから、いわゆる土地開発に手を出したということについては、私は、国民の一人としてどうしても納得できないのですよ。余りにも甘過ぎると思う。  それから、あなたのところは、随分まあ貸しまくっておるわけでありますけれども母体行からの融資については、余り難しい条件をつけられないで今日まで来たのですか。まあ最近、第二回目の大蔵の調査が入るようになってからは別として、最初段階で、土地開発に移行した段階ではそんなことはなかったのか。それから、あなたのところが不動産開発の方に融資をするときの条件はどんなことを条件貸し付けをしたのか、ちょっと聞かせてください。
  19. 山本弘

    山本参考人 お答えいたします。  当時は、土地価格担保をそれ中心で貸し出しをしていたことが今日のことになったというふうに考えております。やはりもっと事業計画ですとか資金収支ですとか、そういうものに目を向けるべきであった。そういうことが不足していたというのが最大の原因ではないかと思っております。
  20. 桜井新

    桜井委員 もう一つ貸し付けの方。融資のことについて、上からの、母体行その他の。
  21. 山本弘

    山本参考人 融資につきましては、信託銀行から特にこれを借りろとか、そういうような話はございませんで、全体の当社計画資金計画の中で、本年度の資金調達を幾らする、それをどこからするかというのは当社の中で決めて、それで資金調達をいたしておりました。
  22. 桜井新

    桜井委員 母体行その他の金融機関からいとも簡単に当時相当の金が流れたのだろうと思うので、普通の我々の企業感覚からいうと考えられないような数字だと思うのですよ。しかも、後から調べる担保条件などを全部つぶさに目を通すと、そんなばかな話があっていいのかという思い、国民が怒っているのはそういうことだと思うのです。じゃ、その背景には一体どういうことがあってこういうことになったかということを、私は何としても明らかにする必要があるのじゃないかと思っているのですよ。  そこで、母体行七行による債権実態調査及び大蔵省立入調査報告書によればこの時点経営破綻が明らかになったのに、これを放置、先送りした理由責任をどう感じておられるか。現在、これだけ社会を混乱させ、国民に迷惑をかけておることを一体どう考えておるのか、あなたのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。  時間がないので、私は、こういうことはあえて聞いたりしなければならぬと思っていることは、あなたのところは、第一回目の調査が入った後と言おうか、再建計画を立てた後、投融資審議会というものを六十年の十二月二日につくられて、十億円以上はここで審査をしながら、社長責任で決裁をするというようなことで決めてやられておったようですね。それほどのことをしたにもかかわらず、一般の事業家が金融機関から金を借りるときの担保の掛け目基準ですね、まあ私ども信用がなかったせいかもしらぬが、六〇%ぐらいしか見られなかった。それにもかかわらず、おたくはこれを平成元年には既に一〇〇%見るというようなことをやられておった。  ですから、もともと土地は必ず右上がりだなんということはあり得ないのですよ。不動産投資ということ、不動産開発ということで私どもが一番心配しなければならぬのは値下がりのことですね。そういう点からいって、一〇〇%の掛け目でやるなんてばかなことがまかり通っていいのかという、余りにもそういう点でずさん過ぎた。そのことがこういう結果を生んだので、必ずしも、先ほど富士住建の安原さんが国土利用計画法のことや税制のことなどを言ったり、土地が下がったからこうだと言ったけれども、それだけでは済まされない。あなた方自体の経営責任が、大体姿勢がなってないからこういうことになったんだ。これはあなたのところ一つじゃなくて、日本じゅう全体の不動産金融に関する取り組み方がいいかげん過ぎた結果が全体としてこういうことをつくり上げたんだ。  自分たちは目先でもうかりさえずれば何でもいいと思ってやった結果だと思うのですが、あなたはどんなことを感じておるか。先ほど申し上げたように、あなたの今感じていることを、気持ちを聞かせてください。
  23. 山本弘

    山本参考人 お答え申し上げます。  確かに、平成元年から平成二年の十月まで一年二カ月の間、土地については一〇〇%という権限規制になっておりました。それから、建物を加えますと、全体で、土地と建物では九〇%という掛け目に書いてある。一年二カ月でありましたけれども、それが当社の相対的に悪い最大の原因の一つだと考えて、反省いたしております。当時は確かに土地は上がっている、上がっていくという想定があり過ぎた、土地に頼り過ぎた、そういう点でまことに申しわけないと思っております。  それで現在は、その後掛け目は八〇%まで戻しております。
  24. 桜井新

    桜井委員 次に、安原治さん、富士住建の社長さんにお尋ねをしますが、あなたは創業当時は、私ども創業当時と同じように人の下請を、これはもし誤りがあったらお許しください、私が得た情報の書類を見ますと、下請企業から始まっていろいろ勉強されて、最初は電気工事ですか、それから身を起こして住宅建築に身を入れて今日を築いてこられたそうです。それなりにあなたは苦労をされながら下積みの努力をして今日を築いたんだろうと思う。そういう姿勢は、今ここでごあいさつをするのを聞いておって、私はそれなりに、あなたは陳謝もし、自分もこれから体の続く限りは、生ある限りは努力するということを言われておるから、そのことはそれで了といたします。  しかし、先ほどの説明の中に、口と心は別なんじゃないですか。私はさっきちょっと山本さんのことに触れたように、あなたは、自分の努力が足らなかった、そして事業を失敗して迷惑をかけた、それは悪い、しかし、言わせてもらえば、地価暴騰暴落、このはざまの中で自分の努力ではどうにもならぬことがあったというようなことを言いたかったのでしょう。そしてそれは、国土利用計画法の線引きの問題あるいは税の取り扱い、こういったことは余りにも全体を考えないでやったというような意味のことを言われたと思うのですが、行政は、この欲得の世界にどう線引きをするかということで、なくてはならぬからあるわけですよ。線を引けば必ず損をする人ともうかる人とあるに決まっているのですよ。どこにどう線を引くかということの妥当性ということはあるけれども企業家は常にそのことを頭に置きながら商売をしなければならないんじゃないですか。  私はそういう点で、今度の全体のを見せていただいて、先月の三十日からですか、ずっとここで審議を聞かせていただいて、総合的に余りにも人のせいにし過ぎることが多過ぎる。去年の震災でもそうでありました。  私は、実は新潟の雪国です。川端康成さんの小説の、暗いトンネルを抜ければそこは雪国だったという湯沢町を初めとした雪国。ことしは特に十年ぶりの大雪で大変であります。しかし、十年ぶりの大雪だというが、今から十年、十五年前、私が県会のころからずっとこの制度を培ってきました。そして、雪の降らないところから来たらびっくりするほどきれいな除雪ができて、日常、どんな大雪の年でもほとんど生活に支障ないほどの交通確保ができたのです。しかし、どうでしょう。ことし私は、この予算委員会の途中で、余りの豪雪で地元へ帰ってみました。そうしたら、隣の町まで、ふだん十分か十五分で行くところを二時間もかかっても到達しない。全く除雪がなってない。機械設備も陣容も制度もお金も何の心配もないほどあったって、人の心がそこになければこんなことになってしまうのですよ。  去年の震災だって同じだ。去年の震災だって、決して消防庁や警察庁や自衛隊が出動できない態勢にはなかった。得た情報を送らなくてもいいなんという仕組みではなかったはずです。全部やらなければならないはずだった。ところが、長いこと慢性化をしてしまって、南西沖地震、はるか沖地震が起きたときにそれほど大きな問題にならなかった、また今度もそうかなという気持ちがいささかでも心の中にあったんじゃないでしょうか。緊張感がないことがこうなったと思うのです。  あの景気がだんだん上向いてきたときに、企業家群全体が、特に金融団はそうだ。きょうは農協の系統も来ておりますけれども、どこでも全体的に一般国民が汗を流して苦労しながら稼いで、そのわずかな中から預金をして積み上げて、いざというときに備えようとやった。それが戦後五十年積み重なって世界一の富を誇る国になった。いつの間にかしら、自分のお金も預かったお金も、商売のことも遊びのことも区別がつかないようなことになったことがこうなったのですよ。どんなことがあったって借りた金は返さなければならぬ。その反省がなくしてどうするんだ。人のせいになんかして、どうして国民の税金をこんなところへつぎ込むことができるのですか。  もう一度あなたの気持ちを聞かせてください。
  25. 安原治

    安原参考人 言葉と心は違うと言いましたけれども、同じです。  それと、監視区域の問題で線引きとおっしゃいましたけれども、国土法が、その当時近隣売買事例方式で全部出ていました。いわゆるそれが高目誘導になっていると思います。国土法そのものは、いわゆる刑法ですから、不動産業としては守らなければあきませんし、そのころやはり過剰流動性とそのころの土地神話といいますか、それから見て売り手市場ですので、国土法以下では買えませんでした。その点を国土法と言って、人のせいにしておるわけではございません。  経営者としての不明は悪いと思います。済みません。(発言する者あり)
  26. 桜井新

    桜井委員 安原さん、土地というのは、なければ我々は生きていかれない、限られた日本の土地ですから。これを商売にして、労せずして値上がりするなんてことは、政治や行政にかかわる我々としてはできないのですよ。できるだけみんなが公平に幸せを味わえるようにしなければならぬ。だから、国土利用計画法というのを考えて、さんざん審議の結果、やるのですよ。  そういう苦労もしっかりと身に据えて、今あなたが言ったことは、ここで今、何言っているかわからぬというお言葉もありましたけれども、私もそんな思いだ。どうぞこれを機会に十分反省して、人のせいじゃない、まずみずからが努力をして、借りた金は返す、そういう姿勢なくしてどうして国が治まるのですか。  次に、藤井さん、あなたのところに今度は行かしてもらいますが、政府大蔵省の銀行局と、あなた方母体行七行でも実態調査住総についてやられたそうですが、その結果、十分その場で、ただごとでは済まない話で、破綻をさせるか、さもなければそっくり肩がわりをするかしなければならなかったんじゃないんですか、どうですか。.
  27. 藤井健

    藤井参考人 お答えを申し上げます。  私たちが第一回目に調べましたときはまだそういう事態ではございませんで、不良化といいますか、不良資産率が大体二割ちょっとぐらいでありました。当時は、まだかような状態になるとは私たちも思っておりませんでしたので、第一次計画をつくり、母体行が中心金利を下げ、たしかあのとき五年間の計画だったと思うのですが、五年間で、七行で千八百億の支援をすれば事態は改善できるというふうに考えたわけであります。
  28. 桜井新

    桜井委員 それから、第一回目の調査があったときに、銀行局からあなたの方にその経過の報告や指導その他があったかないか聞かしてください。
  29. 藤井健

    藤井参考人 今御質問のことは、当局調査があったときでありますか。(桜井委員「そう、そう」と呼ぶ)それは、第一次調査のときには、やはり相当経営に対して厳しいお言葉で御叱正がございまして、それに基づいて、我々は今申し上げたように思い切った、当時は思い切った措置だと考えて第一次計画をつくりました。
  30. 桜井新

    桜井委員 それでは、もうちょっと聞かしてください。  あなたのところで住総に対して紹介融資をしたかしないか。いろいろ報道されていますが、何件かあったようでありますけれども、そのことについて、何件ぐらいあって幾らぐらいだったのか、そして今そのことについてどう感じておるか、聞かしてみてください。  それから、時間がないのでもう一つ。農協系統に融資を依頼したことがあったかどうか、あわせて聞かしてください。
  31. 藤井健

    藤井参考人 お答えを申し上げます。  紹介があったかどうかということでありますが、紹介融資はございました。ただ、この間の大蔵省の資料に基づく紹介資料と、その後我々が、これはなかなか正確につかめないのでありますけれども、五年にさかのぼって、十年にさかのぼって担当者をずっと当たりまして調べた結果は、あの大蔵省の資料とは相当数字がかけ離れております。  それから次、農協……(発言する者あり)数字でございますか。数字は、この間の大蔵省数字でまいりますと、住総全体では——私どもで申し上げますと、九十五件、四百七十四億であります。  それから、農協系の取引については、これは定かではありませんけれども、私どもは昔から農協系統の金融機関さんとおつき合いがございます、むしろ預金をいただくというような感じで。したがって、現場ではいろいろな話が担当レベル、支店長レベルではあったかと思います。こういう融資があったとか、こういう紹介があったとか、そういうことはつかんでおりません。  以上です。
  32. 桜井新

    桜井委員 時間がだんだんなくなりますので、それでは今度は、きのうからおいでをいただいておる四人の皆さんに話を移らしていただきます。  最初角道さん、あなたは、総量規制をしなければならぬほど不動産が、土地が高騰して国の大騒ぎになって、連日連日マスコミに載っておったあの当時の状況を十分承知をしておられますか。
  33. 角道謙一

    角道参考人 お答えを申し上げます。  当時私は役人をやめた後でございまして、また当時の状況につきましては、非常に大変な状態であるということについては十分認識はしております。
  34. 桜井新

    桜井委員 職になかったということを言いたかったのでしょうから、それでは眞鍋さん、今度はその当時の職にあったあなたにお聞かせをいただきたいのです。  大蔵省銀行局が総量規制の通達を出して総量規制をした、その意義は当然おわかりだと思うのですが、系統資金がその後住専に大がかりに流れ出していきましたが、あなたはこのことについてどういうふうに思っていますか、それだけ聞かしてください。
  35. 眞鍋武紀

    眞鍋参考人 私は平成四年の七月からでございますが、当時の総量規制につきましては、農協系統につきましても、通達を出してやっておったわけでございます。当時は、住専に対する融資が大変優良な貸付先、こういうふうな感じでございまして、我々としても状況は把握し、注意は喚起しておったわけでございますが、こういうことになったわけでございます。
  36. 桜井新

    桜井委員 私は、農協というのは、同じ金融機関であっても組合組織の金融機関ですから、財務のシステムが違うわけです。したがって、一般銀行のような、貸し付けその他について何でも商系と対等にできるわけじゃなくて、それなりの条件を付されておるわけであります。そういうことでありますから、管理者としてはもっと注意を払うべきだったろうし、担当の信連もそれなりの努力をすべきであったと思う。このことは、あえて私は農林省、それから農林中金のお二人に注文をつけておきたいと思うわけであります。  さてそこで、土田さん、あなたはこの——何かあるの、言いたいことあるの。じゃ、角道さん。
  37. 角道謙一

    角道参考人 先ほどの答弁、一つ間違っておりまして、ちょうど私、申し上げた退官直後は非常に不動産投機が著しくて、当時それを規制、何らかの形で抑制しなければいかぬということについては申し上げましたが、総量規制の通達が出るころ、このころ私は農林漁業信用基金におりまして、そういう意味では全く浪人をしていてこれについて関係がないということではないので、おわびを申し上げたいと思っております。
  38. 桜井新

    桜井委員 全体としてはあなた方が、私が先ほど言った農協預金というものが、同じ預金であっても預かる側のシステムが違うということを十分理解して、献身的に今回のスキームをつくるに当たっても守ったことについては、私は敬意を表しておきます。敬意を表しておきますが、もっと不断の努力が必要だったということを一言申し上げたんです。  さて、土田さん、あなたが過日、これは何日だったかな、産経新聞に論文を出されたのを私読ましていただいた。そして、あなたらしいな、こう思って、まことに明快に、私どもに非はなかった、やるだけのことをやりましたということを、きのうからずっと述べていると同じようなことを盛んにここへ書き立てておる。  私は、しかし、銀行法というものを読ましていただきましたが、国の金融秩序をどう守るか、通貨の信頼をどう守るかということで、きっちりと全体のことを書いてある。日本の通貨体制、金融体制の中心的な役割を果たすところはどこなんですか。大蔵省銀行局じゃないんですか。
  39. 土田正顕

    土田参考人 銀行局だけであるとも思えませんが、いわゆる民間金融に対する指導、それから制度の企画、これは中心になりますのは大蔵省銀行局でございます。
  40. 桜井新

    桜井委員 そういう考え方で、私は最初にあなたに聞いたでしょう、今度のスキームが妥当であったかどうかと。あなたは妥当だと言った。要するに、国の公的資金を入れてでも守らなければならない信用秩序、通貨体制、そのことをあなた認めたんですね。  そして、これは決して銀行局が管理をする直接的な金融機関だけじゃないんですよ、タッチしておったのは。しかも、経済なんというのは、人間が生きている限りありとあらゆる分野に影響してくる話なんですよ。そういったトータル的な判断で経済も通貨も考えないで、どうして大蔵省国民に対して責任を負えるんですか。それで国民の税金を勝手に入れるなんということができるんですか。  私はこの点で、あなたが、ノンバンクその他についてはあえて通達しなかった、これは預金を国民から預かる立場にない、機構が違うからだ、こう言ったけれども、どうですか、ノンバンク住専も、母体行顔負けの金を動かしているんでしょう。それが日本の経済を混乱さしたんじゃないんですか。どう。
  41. 土田正顕

    土田参考人 ただいまの御指摘の問題意識こそ実は私は強く持ち、それをいろいろな方に御説明し、法改正もお願いしたわけであります。  ノンバンクというのは、バブルの発生時から非常な勢いで成長いたしました。細かいことは省略いたしますが、これは日本の金融システム上、無視できない存在になった。もしこのノンバンク経営破綻を起こしますならば、これは日本の金融システムに重大な危機をもたらすものである。したがって、その当時、実は我々は、そのノンバンク経営を把握できる、報告を求めることができる権限を持っておらなかったんですが、それについて再三、与党でありました自由民主党の中でも御議論をお願いし、それから議員立法を二回、これは恐らく全会一致であったと思いますが、議員立法を二回お願いいたしまして、貸金業規制法を直し、だんだんといわゆる報告徴収の権限を手に入れていったわけでございます。しかし、それは私は十分だとは思っておりませんでした。ただ、私は、できる限りのことをしたという感じはいたします。  それから、この……(桜井委員「いいよいいよ、もう時間がないからいいよ」と呼ぶ)失礼しました。
  42. 桜井新

    桜井委員 あなたがそんなことを言うから、今後ろから、そんなことはないと言ってやじが飛んだけれども、私はあなたとこの当時盛んに議論をしたんだよ。金の抑制をしなきゃならぬ、ノンバンクを放置しちゃどうにもならぬと、さんざんやったんだよ。あなたはせせら笑って相手にもしなかった。改正なんかしたって、一部ちょっと手をつけただけじゃないか。だからそこに金がどんどん流れ込んだんだよ。そして、これにもちゃんと、そこは業態が違うから通知をしなかったんだと書いてあるじゃないか。あなたの論文に書いてある。  そういうことを思うと、私は、余りにも自分たちだけの都合主義でやっておる。そしてそのことが、農協から金を出させるのについて、信用協同組合連合会の農業協同組合法第十条九項三号に規定する「その他の金融機関」に対する貸し付け条件について改正をしましたね。そして、それからいわゆる住専というのを準銀行として扱うようになった。勉強不足の農協系統が信頼し切って、どんどん金を貸した結果がこういうことになったんですよ。あなた方は一片の通達でこれをやっておる。  その条件はといえば、「住宅の用に供する土地及びその土地の上に存する権利を含む。」ということで、その条件緩和をしたわけでありますが、このことについて、これは時間がないから私が聞いた結果を言うと、大蔵省の当事者に聞いたら、その後このことについて、このとおりになっているかどうかというチェックは一回もやっておりません、こういう返事なんだよ。ただ通達出しっ放しで、ここへ来れば、呼べば、いろいろやっていると言って、きれいごとを言うかもしらぬが、実際はそういうことだ。それから、特別償却の措置もそういうことだ。  そして、このことについて、通達というものの威力がいかに大きいか、そして大蔵省責任がいかに大きいかということを、評論家の谷沢永一さんという方が、「通達と行政指導を廃止せよ」という論文が出ておる。この人が言っていることを一〇〇%私は信ずるわけにもいかないし、賛成するわけにもいかないけれども、言わんとすることについては国民の一人として大いにわかるところがあるんですよ。あなた方はもうちょっと、こういう世界のことについては、広い視野に立って、全体的なトータル判断をしていただかなければ、それこそ、これは別に私が安原さんにちょうちんをつけるわけじゃないけれども、ああいう意見も出てくるわけですよ。銀行局の責任というのは極めて重大だと思うんです。  私は、そういう意味で、今回のことは調べれば調べるほど許しがたい。きのうも、何回言われたって寺村さんは、正しかった、正しかったという言いわけばかりしておるけれども国民意見というものも、国民が仕事をしているんだ、経済動かしているんだ、素直に耳を傾ける気持ちがなくて、どうして立派な信頼できる政治なんか回復できるんですか。  私は、最近、国全体が、金と物、金と事業ということに余りにも傾斜している。金も物も人間が生きるためにどうしても必要なんだ。必要なんだけれども、一番大事なことは、お互いが理解し合い、相手の立場をいたわり合って初めてこういうことは成り立ち、社会の幸せを築くことができると思うんです。そういう点で、庶民が真剣に生きていこうとしている、その声にもうちょっと耳を傾ける姿勢がなければどうにもならぬ。  きのうも共産党の松本さんから、朝日の「論壇」に、藤林元最高裁長官が論文を出したことについて解説がありましたけれども、私も全く同感だと思いますよ。全く同感だと思う。大体あなた方は、これだけの事態を起こして、これだけ国民に迷惑をかけて、戦後五十年稼いだ富を一遍に崩壊させるようなことになってしまった。そのことについて、もうちょっとしっかりと責任を感じて、行政というものを一体的にやっていかなければならぬと思う。ややもすれば農林省なんというのをばかにして、簡単な通達一枚でほったらかして、後は君たちやれみたいな話で、都合が悪くなれば責め立てる、こういう姿勢はけしからぬと思う。  私は、そういう意味であのときも、あなたはやめてわびるべきだということを何回か言ったよ、自民党の会議で。私があのとき心配したことが、今こういう結果を生んだんだ。あなたは一体、そのときのことをどう思っている。
  43. 土田正顕

    土田参考人 議論をお伺いすればするほどこちらも、一項目ずつですが、申し上げたいことはございます。(桜井委員「時間がないんだよ」と呼ぶ)一項目一言で申し上げます。  このノンバンク問題の重要性は、私はそれを訴えかけ、そして主として自民党の会議の中でございますが、いろいろ御説明いたしましたけれども、規制強化についての消極論が多く、結局どうも思うようにならなかったというのが私の実感であります。私はそれは残念に思っております。(発言する者あり)  第二点ですが、運用の通達のお話は、多分昭和五十五年のころの、信連の住専向け融資の取り扱いを決めた通達のことを指しておられるのであろうかと思いますが、もしそうでございますならば、そこで言っておりますものは、住宅の取得に必要な長期資金の貸し付けに必要なものの範囲の中には、住宅開発事業者等に対する宅地開発並びに住宅建設資金についても基本的にはそこに含まれるという理解で運用をしてきております。  それから第三に、特別償却の点につきましては、これは割合最近でございますが、国税庁の方で事務取り扱いについての通達を発したことはございます。ただこれは、いずれにしましても、金融機関のみならず全法人に対して平等に取り扱うことが当然の前提になっておりますので、特に金融ということだけを意識したものではございません。  それからもう一つ、これはぜひ申し上げたいと思いますのは、谷沢さんという方の産経新聞の「正論」の記事の投稿がございましたが、私は、あの記事は私に対する個人攻撃であると思っております。そして、産経新聞に抗議をいたしました。その結果もありまして、お目にとまりましたか、この一月三十一日、産経新聞で拙文を寄稿させていただくことができたわけでございます。私の心情はこれに尽きております。  それから最後に、ただ、いろいろございますが、もっと謙虚に行政を一体として幅広く理解し勉強すべきであるという御指摘は、まことに御説のとおりでありまして、大蔵省もいろいろ、権限にも限りがございますし、それからよその省との調整で必ずしもうまくいっておりませんが……
  44. 上原康助

    上原委員長 結論を急いでください。
  45. 土田正顕

    土田参考人 やはり日本の中央官庁の一つとして、幅広い問題意識を持ってまいらなければいかぬと思っております。
  46. 桜井新

    桜井委員 今のも言いわけで、特別償却のことも、何も金融だけじゃない、全般的なことだと言っているけれども、事の起こりは金融のことをどうしようかということでやったので、経済閣僚会議でちゃんとそのことはうたってあるんだよ。そんなこと、いいかげんなことを言ったってだめだよ。  最後に、この間司馬遼太郎さん、私も尊敬する作家でしたが、お亡くなりになって本当に残念な限りですが、司馬遼太郎さんもこの住専のことを大変心配しておられました。そして、藤林益三元最高裁長官が、最後に「銀行と金融秩序に対する国民信頼回復するために、日本の金融にかかわる関係者すべての良識を願ってやまない。」こういうことを言われておる。  今度のスキームは、いろいろな点で私もじくじたるものがないわけじゃないけれども、これ以上傷跡を大きくするわけにいかないので、何としても、これをいっときも早く通して、そして国会なんというところは、警察や司法の力をかりなければ、徹底的に犯罪者や、あるいは債権者の債権回収なんというものは期せるわけがないんでありますから、いっときも早くこの機構を始動して、国民が納得できるような結論を出さなければならぬ、こう思っております。  あなた方は先輩だ。今ここでやじを飛ばしたのも先輩だ。みんな大蔵省の人はそう言っているけれども、もっと謙虚に国民に耳を傾けて、自分たちの間違いはちゃんと間違いとして認めて、しっかりと後輩の指導をしながら、総力を挙げてやるということが大事だと思うので、私はこのことを申し上げて、終わりにさせてもらいます。
  47. 上原康助

  48. 桜井新

    桜井委員 いや、要らない要らない。私は指名していないんだ。
  49. 上原康助

    上原委員長 これにて桜井君の質疑は終了いたしました。  次に、錦織淳君。
  50. 錦織淳

    ○錦織委員 この住専問題は、かつて複合汚染という言葉が語られたことがございますが、この住専問題は複合責任の構造という問題でございます。本日出席していただきました参考人方々一堂に会していただきまして、その全体の責任の所在と相互の関係、これを明らかにするのがこの予算委員会の任務でございます。そして、本日の午後には政治の責任というものもあわせて議論をされることになっております。  私は、限られた時間の中で、しかしそうした全体の構造と同時に、それぞれの関係当事者の責任を詰めていく必要がある、こういう観点から質問をさせていただきたいと思います。  富士住建の安原さん、あなたのグループ住専から、資料によりますと、総額で約三千億借りている、さらには、その他の資料によりますと、ノンバンクから一千数百億、さらにその他の関係者から一千数百、総計で五千数百億の借り入れがある、このように言われておりますが、そのとおり間違いありませんか。
  51. 安原治

    安原参考人 間違いございません。
  52. 錦織淳

    ○錦織委員 その五千数百億のうち、その他の、つまり住専と都市銀行それからノンバンク、それ以外の借入先ほどういうところですか。主なところを言ってください、どういう性格のところか。
  53. 安原治

    安原参考人 銀行も百行ぐらいあります、都銀以下ノンバンク信用組合まで。それから、全部の名前は、ちょっと後で申します。いいですか。
  54. 錦織淳

    ○錦織委員 ところで、それだけの多額の借り入れがあって、あなた自身がどのようにしてこれを処理しようとしておられるか、この点をまず、結論だけ聞いておきたいと思うんです。  先ほどの冒頭の陳述によれば、売り上げが八百五十億もまだあるから、会社を存続させながらそして返していくというふうに聞こえたわけですが、あなた自身が、既に御自身の企業グループ全体がもう経営破綻状況にあって、これを何らかの解体の手続にゆだねるという気持ちはありませんか。
  55. 安原治

    安原参考人 グループ十八社ありますので、順次統廃合その他やっていって、やはり土地というのは商品化しないと付加価値が出てきませんので、今一気に処分するとするとやはり各方面に大変御迷惑と、今でもかけて申しわけないんですけれども、もっとかけることになりますので、頑張るだけ頑張って、できるだけ統廃合して、縮小しながら、整理できるものはやっていきます。いいですか。
  56. 錦織淳

    ○錦織委員 つまり、会社を存続させながら何とかやりくりしていこうということなんですか。ちょっと結論がはっきりしません。
  57. 安原治

    安原参考人 いろいろ取引関係と相談しながらやっていく、今結論で、どうするこうするというのは言えませんけれども、まず富士住建としてはその方向に行くと思います。
  58. 錦織淳

    ○錦織委員 住総山本さん、今のお話をお聞きになったと思うんですが、この場に及んでなお、どうしていいのか基本的な方針すら明確に語れない、これがこの借り手の今の状況なんです。  では、貸し手である住総としては、富士住建グループあるいはその他多額の借入を抱えたたくさんの貸出先がございますが、基本的にどういう方針で臨むつもりですか。
  59. 山本弘

    山本参考人 一つ一つの物件を処理するという方法もありますけれども、いろいろな法的な処置というものも含めて、はっきりした方針を出しながら処理をしていかざるを得ないと思うのです。  ただ、これは、私ども住専処理機構へ移りますので、その後のことは住専処理機構でどうするかというのを決めていただくわけでございますので、私が今ここでこういうふうにするということは、ちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  60. 錦織淳

    ○錦織委員 それでは、あなたが社長になられてから、どういう方針で臨んだかということをお聞きいたします。  あなたが社長に就任されてからは、既に完全に破綻状態に向かってひた走りに走っていた、こういう状況でございます。その間、どういう方針で臨んでおられたのですか。
  61. 山本弘

    山本参考人 富士住建さんのことについてでございますでしょうか。
  62. 錦織淳

    ○錦織委員 富士住建に絞ってでも結構です。
  63. 山本弘

    山本参考人 富士住建さんの場合には、私どもに大体定期入金が毎月三千万ぐらいございまして、比較的一生懸命協力して返していただいた先の一つであります。それでよろしゅうございますでしょうか。
  64. 錦織淳

    ○錦織委員 いや、ですから、要するに経営破綻に陥っているという認識がないから、したがって、少しずつでも返してもらえれば何とかなるという判断だったんですか。
  65. 山本弘

    山本参考人 私どもは第二次再建計画というのをやっておりました。第二次再建計画というのは十年計画でやる計画でありました。この再建計画の中で、大きな取引先を破綻させるということは、再建計画そのものがその時点で終わりになります。したがいまして、かなり慎重にやらざるを得なかったという点を御理解いただきたいと思います。
  66. 錦織淳

    ○錦織委員 今の御答弁で非常に明確になったと思います。つまり、貸出先の経営破綻が極めて深刻になっている、そういう状態であるにもかかわらず、再建が可能である、こういう前提のもとに、結局は具体的には何らの措置もとらず、漫然と時間の経過を待っていた、こういう結果であろうと思われます。  それでは、住総山本さんにお尋ねをいたしますが、平成七年の八月の大蔵省調査結果、これによりますと、大変厳しい指摘がなされております。もうすべての貸出先に対して、全部と言っていいほど、非常に厳しい指摘がなされています。  例えば、太陽エステートグループに対しては、債務者の言うがままに融資を行った、あるいは、物件の取得資金以外にも仲介手数料とか、さらに借入利息まで貸し付けた、こういうような指摘がございます。これはまさに、担保の掛け目を、値上がりを見込んだなどということでは到底説明できません。さらには、今の富士住建グループについては、債務者の業績や事業内容の見きわめが不十分なまま急激に貸し付けを拡大させた、このような指摘があります。シンコーホームに対しては、物件取得資金を貸し付けたけれどもそれが訴訟中であった、裁判中の物件を担保に安易に貸し付けた。その他多数の指摘がございます。  こうした指摘について、住総内部で関係者の責任の所在を明らかにして、例えばしかるべき責任をとらせる、そういうようなことはなさったんでしょうか。
  67. 山本弘

    山本参考人 確かにそういう指摘を多数受けておりまして、我々も謙虚に受けとめております。  また、太陽エステートにつきましては、六十一年から六十三年という十年程度前の話でございまして、そのときの責任者は、もう既におりません。
  68. 錦織淳

    ○錦織委員 要するに、こういう指摘が、過去のものもともかく、現時点に向かっていろいろたくさん指摘されているわけですね。そうした中で、例えば担当者あるいは役員に対して何らかの社内的な処分、あるいは刑事手続にゆだねるとか、告訴するとか、民事賠償請求を起こすとか、そういうことはやったんですかということを聞いているんです。一個でもそういう例があったら言ってください。
  69. 山本弘

    山本参考人 先ほど、経営の刷新ということを申し上げましたけれども平成四年の二月に大蔵省の検査がありまして、この結果が出まして、平成四年の六月に経営陣をすべて入れかえました。七人おりました経営陣のうち、二人だけ残りまして、五人が全部入れかわりました。その他の主要な部署にいた人間も、すべてやめていただきました。そういう処置はとりました。
  70. 錦織淳

    ○錦織委員 結局、例えば刑事手続にゆだねたとか、あるいは賞与をカットしてその分責任をとらせたとか、そういうことは全くしておられない。単にかつての役員を一たん退陣させただけ、こういうことだろうと思います。  今のお話を聞いておりますと、貸した側も借りる側も、つまり、第二次再建計画大蔵省のお墨つきによってあるから自分たちはその流れに乗っていればいいんだ、何とかそのうち解決するんだ、こういうようなお互いの甘えの構造が非常に明確ではないか、このように理解をいたします。  時間の関係で次に参りますが、母体行とそれから住総との関係についてお尋ねをします。  紹介融資等を行ったというような指摘もございますが、また、役員について、つまり、取締役については大蔵省と、そして母体行からの出身者がほとんど全部であった、こういうことであろうと思います。  ところで、住総自身で作成していただいた資料によりますと、それ以外の、いわゆる役員以外の管理職、その他の職員等についても、相当程度母体行から出向したり、あるいは転籍をしておられる。例えば昭和五十九年三月段階では、役員と職員の総計数三百五十七名に対して、職員と役員の、母体からの出向者及び転籍者を合わせると百八名に及ぶ。つまり、三分の一弱が母体行の関係者で占められ、そうした人々によって会社が運営をされていた、こういうことのようであります。  さらに、そうした役員以外の管理職がどうであったかということでありますが、例えば部店長であるとか、あるいは副店部長であるとか次長、課長、そうした者のほとんどは母体行からの出向者や転籍者で占められていたのではありませんか。山本さんにお尋ねいたします。
  71. 山本弘

    山本参考人 昭和四十六年に設立されております。四十八年から新規採用をしております。したがいまして、その過程では、どうしても母体行に頼らざるを得ないわけでございます。やっと、二十四年たちまして、現在、主要なところにプロパーの人間を配置できるところまで参ったのでありますけれども、こういう事態になってまことに残念に思っております。したがって、途中経過としましては、やむを得ざる処置であったと思っております。  現在、なお、転籍者は九名、それから出向者は二十一名、合計三十名でございます。
  72. 錦織淳

    ○錦織委員 例えば役員以外の管理職で、先ほどの店長であるとか副部長等は、ほとんど母体行を退職した方がその後住総の方にやってくる、こういう構造になっていた、そういうことではないんでしょうか。
  73. 山本弘

    山本参考人 現在と十年前というふうに考えますと、現在では、先ほど申しましたように、転籍者は九名で、それから出向者は二十一名。これは、部長だとか副部長だとか次長とか、そういう席についております。十年前は、人が育っておりませんので、まだそこまでいっておりません。したがいまして、今先生のおっしゃったような部署に信託出向者が主としてついていたことは事実でございます。
  74. 錦織淳

    ○錦織委員 現在でも、しかし相当程度の数の管理職、さらには役員等についてはほとんど出向者で占められているという実態ではないかと思いますが、まあそれは、後ほどまた資料によって明らかになっていくものと思います。  ところで、もう一つ大事なことを確認をしたいのです。  平成三年ないし平成四年の第一次大蔵省調査によりますと、住専七社について共通する表現がございます。それは、「なぜ住専各社不動産業者に資金を流し込んでいったか、その原因としては、個人向けの住宅ローン都銀による肩がわりにより減少していった」、このように指摘されております。そして、そうした傾向を裏づけるように、例えば優良な個人の住宅ローンの借入先の方が住専からの借り入れをやめて、そして都市銀行等にかわっていく、こういうようないわゆる期限前弁済、こういうものが非常に多かったということがあるようですが、まず山本さんにお尋ねいたします。
  75. 山本弘

    山本参考人 お答え申し上げます。  個人ローンの期前弁済につきまして、私どもの方で具体的に幾らあるかという数字は昔はつかんでおりませんでした。  今つかんでおります数字平成二年度から平成六年度まででございますけれども、期前弁済といいましても、肩がわりのほか、物件売却、自己資金、死亡による団体信用生命保険の受領等がありますので、一概に全部肩がわりとは申せません。  平成二年度で申しますと、件数は二千七百十三件で二百九十二億円でございます。平成三年度が二千百四十九件で二百五億円でございます。平成四年度が千九百八十七件で百七十億円、平成五年度が二千八十七件で百七十億円、平成六年度が二千八十六件で百六十四億円でございます。
  76. 錦織淳

    ○錦織委員 今のお答えもよく理解できないのですが、結局、あなたの立場からいうと、そうした大蔵省調査結果の指摘を認めたくない、こういうことなんですか。  はっきりと書いてあります。なぜこういうことになったのか、その重大な原因の冒頭に、そうした肩がわりが行われた、こういうことがあった。そういうことについて、では、あなたは住総経営者としてどういう認識を持っていたのですか。
  77. 山本弘

    山本参考人 そういう肩がわりが行われたのはもっと前のことでございますので、確かにそれが住総を含め住専会社が住宅融資専門会社から不動産融資に走った理由であることだけは間違いございません。
  78. 錦織淳

    ○錦織委員 しかも、平成七年の九月二十七日、金融制度調査会の金融システム安定化委員会が途中の経過報告をいたしております。その六ページによりますと、  民間金融機関が個人向の住宅金融の分野へ前向きに取り組むようになるとともに、住宅金融公庫の役割も増大していった。こうした中において、住専は、当初の目的である個人向の住宅ローンの提供から、次第に住宅開発業者、不動産業者への融資へと傾斜していった。 こういう認識がございます。  藤井さん、あなたはこの金融システム安定化委員会のメンバーであり、この経過報告の作成に関与しておられますから、今のような指摘については承認されますね。
  79. 藤井健

    藤井参考人 お答え申し上げます。  私も安定化委員会委員でございまして、その文章を覚えております。認識としてはそのとおりだと思います。  ただし、一言申し上げますが、あれは全国銀行の統計をもとにしてああいう文章ができていると私は理解しております。住総の親会社である信託銀行はその一部でございますので、私ども信託銀行のローンの状態を見れば、自分の子会社、子会社というか関係会社のローンをとったとか肩がわりしたというような状態に統計数字はなっておりません。
  80. 錦織淳

    ○錦織委員 問題は、信託銀行であろうとその他の業態の銀行であろうと、母体行がどういうかかわりをしたかという全体構造が今議論になっているのです。ですから、自分のところは大したことなかった、こういうような説明が非常に多い、非常に不愉快です。  そこで、そういう観点から藤井さんにお尋ねいたします。母体行の信託関係者の最高責任者としてお答えをいただきたい。  今のようなそうした、住専が、もともとの出発点は金融制度調査会の答申によって国策として育てられていった。そのときは、一般の銀行というものが、事業主にはお金を貸すけれども普通の個人には貸さない、そういう人々が住宅を取得できるように、こういうことで住専をつくったはずだ。その住専の本来の一番中核的な業務を母体行が侵食をしていったらこれはどうなるかということは子供でもわかる理屈であると思います。  そこで、そういうことを踏まえて、母体行として、今回の連立与党と政府が提案をしている仕組み以外に、さらにもう少し踏み込んで母体行としての責任を進めていくという考えがないのかどうか、そういう観点からお尋ねをいたします。  現在、住専貸し付けている先の担保状況、特にどういう抵当権の順位になっているかということなんですが、住専が第一順位の抵当権を持っているのは非常に少ない、そしてほとんどがその母体行やあるいは一般行、その他の都市銀行等である、こういう状況ではございませんか。
  81. 藤井健

    藤井参考人 お答えをいたします。  先ほどの、私ども信託銀行数字を申し上げて、甚だ失礼をしました。現実には、全銀行が母体行でございますので、全銀行がお貸ししたということでありまして、私は、信託の弁解をするつもりで申し上げたのではございません。  それから、ただいまの御意見でございますけれども、今の担保の問題でありますけれども、やはり法に基づいて行動をするということが我々に課せられた、私どもも会社でございますから、任務でございまして、法の許す範囲で最大限努力をするということが、今回の措置の我々の考え前提になっております。担保の順位は、それぞれの住専あるいはそれぞれの貸付金で、一般的に後順位だろうというふうに言われておりますけれども、個々の貸付金を調べてみませんと、並びの順位もありましょうし、先に住専取引をしているところもございましょうし、一概には論じられないと私は思います。
  82. 錦織淳

    ○錦織委員 今、藤井さんは、きのうの橋本さんや黒澤さんと同じようなことを言われたんだけれども、現在の法律によればもう限度いっぱいの責任を果たしている、こうおっしゃるけれども、それは法律の解釈の違いなんです。  母体責任というのは単なる経営責任ではない。法人格否認の法理によれば、全面的に責任を負わなければならない、法律上も。さらには、紹介融資がもし故意または過失によって行われて、個々の融資案件に問題があったんだったら、民法による損害賠償請求権その他の問題になる。したがって、法律上自分たちはもうすべてのことをやっているんだなどという前提は全く立ちません。それは、あなた方の立場からすればそういうことだというだけであって、第三者から見たりあるいは被害者側から見たら違う見方もあるかもしれない、そういうことを問題にしているんです。  そこで、今後の問題としてお尋ねいたします。  今はっきりお答えにならなかったけれども、私ども調査したところによると、現在住専が貸している貸出先の担保物件の実態を見ると、相当程度、第一順位のものは母体行やあるいは一般行等の銀行が多いんです。したがって、住専は第二順位に甘んじている、第二順位以下にね。そういう例が非常に多いわけです。  そうしたことを今後の債権回収に当たって考慮して、しかも、今回公的資金を導入するわけですから、かなり今回の意味というのは、例えば租税債権やあるいは社会保険料、あるいはさらには、政府金融機関が、一般的に言って、かなり慣行として、政府金融機関を銀行間の協議によって第一順位に押し上げていくというようなそういう取引慣行もある。そういったことを考慮して、今後の取り扱いとして、第一順位に例えば住専の抵当権を譲る、そういうようなことを検討するお気持ちはありませんか。
  83. 藤井健

    藤井参考人 お答えを申し上げます。  私の今の考えでは、担保の問題はかなり複雑でございまして、一、二、三とか、後だとかいうことだけでは事が割り切れませんので、私たちの現在の考えでは、法的に許される範囲というのは母体行が全額放棄をするというところまでだと思います。
  84. 錦織淳

    ○錦織委員 先ほど言いましたように、法的に許されるという前提が、それはあなたの立場から見て、母体行の立場から見れば法的責任の範囲はここまでだ、こういう意味ですから、それが通用するかどうかがまさに議論されているんですから、その前提自体から今我々は問題にしているということの上で、今の私の提案についてはぜひ御検討いただけませんか。
  85. 藤井健

    藤井参考人 お答えをいたします。  担保状況は、先ほども申し上げたように極めて、最近はより複雑になっております。後でつけたり、ただ、ほかの債権回収ができないために後順位をつけたり、そういうことを考えますと、今の御提案は、趣旨は理解はできますが、実際は非常に困難だと思います。
  86. 錦織淳

    ○錦織委員 これは要望ですから、後ほどまたいろいろと検討させていただきたいと思います。  ところで、土田さん、あなたは昨日の質問の中で、農協系統の融資実態がどうなっていたかということは自分たちは把握をしていなかった、あるいは、それは農水省の方が詳しく知っていてというような、非常にあいまいな言い方をされたわけです。しかし実際には、当時、農中なりあるいは信連については、少なくともきちんと年に二回または年四回、農水省とそして大蔵省の双方に対して信連や農中からきちんと報告が上がるような仕組みになっていたのではありませんか。
  87. 土田正顕

    土田参考人 私が理解しているところを申し上げます。  まず農林中金でございますが、これは平素いろいろな意味での意思疎通がございまして、それで、農林中金の動向については、それは事実数字としても把握しておりましたと思います。  それから信連の場合でございますが、信連につきましては、一つは、半期ごとにこの住専向け融資の貸付限度額を報告するというルールがございました。その報告は出されていたようでございますが、私どもの方には、信連から大蔵省に対して信連全体の合計額のみが報告があり、したがいまして、何県の信連が幾らというような数字は私どもは事前に理解しておりませんでした。  それから、事後の問題でございますが、これは四半期ごとにいわばその実績を報告をするという仕組みはございまして、これは内容を把握しております。ただし、ここも一つ問題は、その四半期が済んだ翌月の終わりか翌々月ぐらいにやってくるということで、実際の動向を把握するまでにはかなり時間がかかっておったというようなことはあろうかと思います。  以上が、いわば農協系金融機関の問題について知り得るすべてでありまして、そのほかに、住専については大口の融資先として共済連系統がございますが、この共済連につきましては、現在の制度では大蔵省は全く関係がございません。したがいまして、農協系金融機関は、当然共済連は入ります、それについては私どもは全く数字理解することができない、そういう状況でありました。
  88. 錦織淳

    ○錦織委員 きのうの説明と随分変わってまいりまして、きのうは、もうほとんどそんな実態なんか知る権限もなかった、こう言わんばかりの言い方でありましたが、結局は、実際は十分それを知る手がかりは与えられていたわけですね。そうすれば、当然、そうした系統金融のお金が相当住専の方に流れていったということは認識できた、こういうことになるわけであります。にもかかわらず、大量の金が流れていったということは知らなかったということになるんですか。
  89. 土田正顕

    土田参考人 信連も金融機関でございますから、その金融機関の、しかもどの県信連が幾らを貸すかという問題について私どもは、直接的に指導をする、そういう考え方は持っておりませんでした。信連につきましては、率直に申して大蔵省は検査をしたこともございませんし、第一次的にはやはり農水省の方の御指導の対象であるというふうに考えております。
  90. 錦織淳

    ○錦織委員 そういうことを聞いているわけではないのです。要するに、全体としての資金の流れがどういう方向に行ったかということが最大の問題点でしょう。金融政策の上において、あるいは土地政策、そうした上において個々の信連が幾ら貸し付けているかということも大事だけれども、全体としてどういうふうにお金が流れていったかということをきのう来聞かれているわけですよ。  だから、結局はあなたは認めるのですね。そういう大きな流れがそういうふうに存在していたということは認める、しかし細かいことは知らなかった、こういう意味ですね。
  91. 土田正顕

    土田参考人 農協系統資金の流れ全体についてはもちろん関心があり、それをフォローしておりますが、たしか住専八社について六兆円ぐらい、その他に対して、その他一般ノンバンクでございますが、八兆円ぐらいが流れておる、そういうようなマクロ的な観察をしておりました。
  92. 錦織淳

    ○錦織委員 きのうの質問より相当その点だけは進んでまいったと思うのです。  そうしますと、やはりここで銀行局としての政策の判断の当否が当然問題になります。そして、先ほど私が援用した平成七年九月二十七日の金融制度調査会の金融システム安定化委員会の中間報告でも、不動産業向け融資の総量規制が行われた前後において、農協系統機関の融資が増加している。そして一方、行政当局も、権限上問題があったとはいえ、住専の急激な事業者向け融資への傾斜に十分な指揮を行い得なかった、こうはっきり書いてある。そうすると、結局、知っていながら何らの具体的な対策をとらなかった、こういうことになるわけでございます。  そこで、きのうの御質問の中で、土田さんはこう言っておられました。——平成三年の調査を始めた段階で、どのように大蔵大臣には報告されたのですか。
  93. 土田正顕

    土田参考人 大臣は橋本龍太郎先生でいらっしゃいましたが、前々から国会金融機関土地融資問題については非常に多くの質問が出ておりましたので、十分御関心をお持ちであり、私どもも御相談を申し上げておりましたが、昨日申し上げましたとおり、さらに、海部総理から橋本大蔵大臣に、なお一段の工夫を講ずるようにという御指示もあったということでありますので、私ども対策の具体案をまとめて大臣に御相談をし、御了承を得た。そして、大臣から、その日でございますが、二十七日でございましたか、閣議後の記者会見でその内容を詳細に新聞記者にも御説明いただいたというようないきさつでございます。
  94. 錦織淳

    ○錦織委員 きのうの御答弁の中で、住専ノンバンクの問題については大まかな報告はしたけれども、この問題については私どもで預からせていただいたという趣旨の御答弁を土田さんなさいましたね。(発言する者あり)いや、土田さんでしょう。預からせていただいたというのはどういう意味なのですか。つまり、そうした問題は自分たちできちんと処理する、あるいは、よしなにするから、これは、大臣にはそうした問題について指示を仰ぐ必要がない、こういう意味なのですか。
  95. 土田正顕

    土田参考人 これは住専ノンバンクについてのお尋ねがありましたからそう申しましたわけでございますが、銀行局がお預かりしております所掌事務というものがございます。その中で、大臣に御相談をし、大臣の御裁可を得なければいけないというような重要な問題は当然御説明をいたします。しかしながら、一般の事務につきましては、これは事務量の兼ね合いもございますので、私は実際上、金融行政のその方面での実行部隊長といいますか、責任者として行動させていただいておりました。
  96. 錦織淳

    ○錦織委員 あなた方にとって、大臣というのは一体どういう存在なのですかね。まことに私は、きのう来不思議な気がしてなりません。当時の上司の名前も思い出せない。それだけ大事な仕事をしていながら、名前も思い出せなければ、これは私どもで預かっておりましたと。預かっていましたという表現は、まことに私は大変適切な表現だと思いますよ。まさに、自分たち自身が肝心なところは全部仕切っております、そういう言い方に聞こえるのです。  ところで、寺村さんもきのうの御答弁の中で、平成五年の二月三日の覚書については、これは報告しませんでしたと。しかし、あの覚書こそ二つの省庁にまたがる、縦割りを越えた省庁間の調整の結果できた、しかも日本の金融政策の上で非常に重大な問題です。そういう文書を内部でつくっておきながら、大臣に報告しない、これは一体どういうつもりなのですか。
  97. 寺村信行

    寺村参考人 きのう、北側委員の御質問に対します私のお答えの仕方がやや正確さを欠いていてそのような誤解をいただいたのではないかと思います。  全体の状況を申し上げますと、運営方針、平成四年の八月、これは、今回の不良資産金融機関の自己責任でやらなければいけないから相当な時間がかかるのです、それで、それを段階的に着実的に処理をしていくのですという方針を出しました。これは、羽田大蔵大臣にも、それから宮澤総理大臣にも御説明をして、それでよかろうという御了解をいただきました。それから、八月に、宮澤総理大臣が、公的資金の導入についての御発言がございました。羽田大蔵大臣から、その辺はどう思うのだというお話がございました。かくかくしかじかで、私どもは、公的資金を導入することは適切でないという御説明をいたしました。それで、それでよかろうということになりました。  それから、林大蔵大臣に羽田大蔵大臣から内閣改造で変化がございまして、五年の初めに、住専の問題、どう考えるのだという御下問がございました。これは、住専金融機関の過剰貸し付けで起きた問題でございますから金融機関の自己責任処理をするのだ、それから、公的資金は入れない方がいいと思う、そうすると金利減免で時間はかかるけれども、八月の方針と同じ方法で対応せざるを得ないということでお話が得て、そして御了解をいただいて、その中でやった、その大まかな方針の御了解をいただいた中でやった、そういうことでございまして、きのうも、基本的な問題はお話をしたというふうに申し上げております。
  98. 錦織淳

    ○錦織委員 時間がなくなりましたので、残念ですが、最後に一点だけ。  先ほどの山本さんの冒頭陳述の中に、自分たちは物的な担保価値のみに着目をして融資をした、これは失敗であった、事業の計画やあるいは貸出先の財務内容、そういったものを総合的に検討しなければならない、こういう御指摘があった。ところが、その最初の、金融制度調査会が住専をつくるということを奨励をした文書には、物的な担保価値に着目したそういうものをつくりなさい、こういうふうに書いてあったわけです。それに従って住専はやったとも言えるわけですからね。そういう意味では、私は、基本的な物の考え方に出発点から大きな問題があったということは、はっきりと大蔵省方々認めていただかなければならぬ、こういうふうに思います。  そして、最後にもう一点。  いいですか、総量規制で、相当程度の系統金融のお金が住専関係に流れていったということですが、これは法的な観点からいって……
  99. 上原康助

    上原委員長 発言者、時間が超過しておりますので、御協力願います。
  100. 錦織淳

    ○錦織委員 一カ所に集中的に融資をしたということについて、農水省は反省はありませんか。
  101. 上原康助

    上原委員長 簡潔に願います。眞鍋参考人
  102. 眞鍋武紀

    眞鍋参考人 私が局長をやっておりました当時は、もう既に多く貸し込んで、どうやって回収するか、こういう状況でございましたが、農林水産省としては、一応住専に対する流れを把握しておったわけでございますが、当時の状況としては、なかなか住専経営実態なりあるいは的確な情報把握が不足であった。そういう観点から、歯どめが、注意喚起はしたわけでございますが、なかなか減少に向かうということにはならなかったと思っております。
  103. 錦織淳

    ○錦織委員 どうもありがとうございました。
  104. 上原康助

    上原委員長 これにて錦織君の質疑は終了いたしました。  次に、中野寛成君。
  105. 中野寛成

    中野委員 新進党の中野寛成でございます。参考人皆さん、どうも御苦労さまです。  まず、委員長に、質問に入ります前にお願いを申し上げたいと思います。  きのうの参考人のうち、その発言を党として精査をいたしました結果、末野興産社長の末野参考人、桃源社社長の佐佐木参考人、この両名を証人喚問要求をいたしたいと思いますので、委員長のもとでよろしくお取り計らいを願いたいと思います。
  106. 上原康助

    上原委員長 後刻理事会で協議をさせていただきます。
  107. 中野寛成

    中野委員 それでは、質問の本論に入ってまいりたいと思います。  まず、今日までのこの住専問題の経緯を、若干時代を追って少し系統立ててまとめてみたいと思います。  住専は、個人向けの住宅ローンを目的に七〇年代に次々に設立されたわけでありますが、設立以来、大蔵省住専経営に深くかかわってきたわけであります。設立当初八社のうち七社の社長大蔵省出身者が占めるなど、住専大蔵省の有力な天下り先となりました。七三年には出資法を改正して住専大蔵省の直轄会社とするなど、住専はあたかも大蔵省ノンバンクの様相を呈してまいりました。このことはたびたび申し上げているところであります。  そこから先であります。八〇年には、農協の住専への融資を組合員以外の融資禁止の適用除外とし、すなわち、できるようにし、そして農林系金融機関の資金を住専に大量に投入する道をそこで開いて、九〇年には、地価高騰を抑えるためにとられた不動産関連融資の総量規制に関して、天下り先である住専をその対象から外して、そして農協系のお金が住専に行くようにし、住専融資がまた大きくその分だけ、一方の方で銀行等を規制しながら、住専のところの窓口だけあけておくことによってそこに殺到するという道を言うならば開いたということであると思います。それが今日の不良債権問題発生の原因であります。  さらに九三年三月には、大蔵省と農林省とでひそかに農林系金融機関には迷惑をかけないという念書を取り交わすなど、大蔵省はまさに住専経営そのものに深くかかわってまいりました。言うならば、大蔵省がそのように誘導したと言っても過言ではないと思います。  また一方、農林系金融機関も、本当は極めて大切なお金であります、農家の皆さんが汗水流して働いて得た貴重なお金、また、バブルを利用した部分もあったとはいえ先祖伝来の土地を手放して得たお金、そういうものを預かり、そしてその膨大に膨れ上がった資金の運用先に困っている状況の中で、言うならば渡りに船とばかりにそこへどんどん駆け込んでいった。一方は口を大きくあけて待っている、一方は渡りに船でそこへ飛び込んでいくという構図がこのときに生まれた。よって、それは決してどちらかの責任にすべておっかぶせてしまうということはできない話でありまして、お互いに責任がある。  ましてや七十兆円もの資金を動かすと言われる農林系金融機関、これが、素人でございましたので、大銀行がやることでございますので信用しておりましたでは通らない話であります。世界一の金融機関とさえ言われる今日、そこには当然大きな責任があるわけであります。そのことを私は改めて申し上げておきたいと思います。  そういう一つの枠、いわゆる経緯がある中で、若干時系列的にお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず、これはきょうのお二人の参考人土田さん、寺村さんが就任される前でありますけれども、まあしかし当然お二人とも大蔵省にはいらっしゃった時期、八〇年の十月十六日、これは昭和五十五年ですが、大蔵、農水両省が銀行局長経済局長通達で、住専向け融資を銀行その他の金融機関に対する貸し付けとし、農林系金融機関の員外融資規制の対象外とされました。これは、今私が最初に申し上げた構図の言うならば一番ポイントになるところであります。  ちなみに、引き続き規制を受けて、言うならば員外利用ができないような形に縛っておいた例えば労働金庫などは、今日バブルに踊らされることもなく健全経営を今しているわけであります。一番堅実な金融機関として評価をされているわけであります。  そしてその次、三年たった八三年には貸金業の規制等に関する法律が制定をされますが、住専は政令により適用除外となったわけであります。ここで私は、銀行局長経験者、そして農水省経済局長経験者に、そのことについての経緯と評価を御存じの範囲でまずお答えいただきたいと思います。
  108. 土田正顕

    土田参考人 それでは、御質問に従いまして、八三年までのところに区切りまして、私の理解しておるところを申し上げます。  第一の問題は、八〇年、すなわち昭和五十五年の通達のお話でございますが、これは昭和五十五年十月十六日、銀行局長経済局長通達で、要するに、信用農業協同組合連合会のいわば余裕金運用の先といたしまして、「その他の金融機関」の範囲の中にいわゆる住専を読み込む、こういう改正であったかと思います。これは、この前年に、住専としては最後の八番目でございますが、協同住宅ローンでございますか、それができましたということもございまして、協同住宅ローン昭和五十四年八月にできましたが、それもありまして、農協系統の金融機関の資金を活用するという政策意図を持っていたのではないかと思います。  なお、この点については農水省からさらに御説明お願いしたいと思います。  それから、次の第二点でございますが、八三年というのは……(中野委員「貸金業の規制に関する法律」と呼ぶ)貸金業でございます。失礼しました。  実は貸金業規制法は、その創設の背景といたしまして、いわゆるサラ金問題、それに伴うところの過当な取り立て行為その他の弊害が目に余るということでございましたので、それまでありました出資法からその部分を抜き出しまして、金利規制とか、それから取り立て行為の規制というものを目的といたしました法律を独立させた、これは議員立法でございます、独立させたわけでございますが、その主眼とするところの高金利規制や何かについては、これはやはり住専には関係がなかろうということで、住専はそれ以前の法令、すなわち、今は旧出資法と言っておりまするけれども、出資法に基づく届け出として位置づけられておりましたものを住専はそのままに残した、貸金業規制法の適用から外に置いたというのが経緯であったと思います。
  109. 眞鍋武紀

    眞鍋参考人 御指摘のとおり、農協系金融機関はメンバー制の金融機関でございます。協同組織のもとにありまして、本来ならば、集めた貯金は本来組合員に対して貸し付けを行う、一定の制限の範囲内で員外にも貸し付ける、こういうふうな原則でございます。  しかしながら、戦後の農業の変遷の中で、農家の兼業化でございますとか、あるいは土地の売買代金等々あるいは他からの収入、こういうふうなことで、農業収入だけではなくて農業外の収入がかなりふえるというふうなことから、メンバーだけ、農業投資だけに活用する、あるいは農家の生活資金だけに活用するということにはかなり無理が出てきたわけでございます。  そういうことで、次第にそういう余裕資金を安全確実なものに広げていく、こういうふうなものの一環といたしまして、御指摘のような金融機関に準ずるものというふうなことで、当時としては、先生から御指摘がございましたように、母体行がしっかりした金融機関である、大蔵省の直轄のものであるというふうに、金融機関に準ずる、こういうふうなことで位置づけを行ったということでございます。
  110. 中野寛成

    中野委員 そこで、この問題について角道さんにもお尋ねをしたいと思います。当時、理事長であられたというわけではないと思いますが、しかし、農水省におられて経緯は御存じであろうと思うのであります。  そこでお聞きをしたいと思いますのが、この経緯、歴史として、私は、これは農協系の皆さんも希望して、言うならば運動してでもそうしたという経緯ではないのか、こう思うのであります。  そして今、眞鍋さんから説明をされましたけれども、これによって金融機関に準ずる機関としての扱いになったわけであります。営利事業ではないとかなんとかという言いわけは、こういったがが外れたときにまさにそれは新しい責任が生まれるものであって、我々は素人でございますという言い逃れもできない一つ責任がこれによって新しく生まれたんだというふうに解釈するべきであったと思いますけれども、どうお考えですか。
  111. 角道謙一

    角道参考人 お答えを申し上げます。  今御指摘のとおり、当時、私はこの職にはございませんでしたけれども、経過を今の時点で振り返ってみまして、御指摘の点はよく理解できる面もございます。  ただ、私どもの方で希望してこういう住専貸し出しをしたということではございませんで、先ほど眞鍋さんからお話ございましたように、本来的に農業での金融資金需要が変わってきた、あるいは農業・農村での農業構造の改良に伴って信用事業の構造も変わってまいりましたので、本来必要である農業資金についての需要が少なくなった。その結果、私ども系統で、単協なり信連で、余裕金があります場合にはそれをできるだけ安全確実に運用する。また同時に、それができない部分については農林中央金庫がお預かりをいたしまして、もっと広い立場で、関連産業をひっくるめて、一番安全確実にやっていくというようなことでやってきたわけでございます。  特に住専に対する貸し付けにつきましては、五十五年の通達によりまして道があけられたということは事実でありますし、また当時、住専に対する評価につきましても、先ほど来、眞鍋局長あるいは寺村さん、あるいは土田さんからお話がございましたように、住専そのものについての位置づけも、私どもは、住宅専門の金融機関として大蔵省も認定をされ、またそれについて直轄の指定もされ、十分監督されている、そういう意味では、制度的には信頼が置けるものである。  また、当時におきましては、経営内容を見ましても、非常に好業績でありました。これが悪くなりましたのが恐らく平成三年ごろからでありまして、その直前まで非常に高率の利益を上げ、配当を出していた。また、そういうことを信頼をいたしまして、信連あるいは私どもも、与信をする場合には、やはり案件につきましてはいろいろ、融資の申し込みがあればその段階できちんと審査をしています。同時に、その場合の担保も、それぞれの一般銀行と同じようにこれは債権譲渡担保方式をとっておりまして、融資をする場合には、その融資主体に入りまして、ほかの銀行と同じように準共有という格好で担保をとっております。  それで、私ども融資の態度というのは一般金融機関と全く同じでありまして、一般金融機関と違うような審査あるいは担保のとり方ということをしていることは全然ございません。そういうよ うな経過でございます。
  112. 中野寛成

    中野委員 あなたの立場からすると、一般の金融機関と同じような方法で審査もしていた、それは一つのあなたの言いわけというか、説明になるかもしれませんが、しかしその審査の中で、大所高所に立って、そのときの経済の動きや政策の動き等を見ながら、ここは慎重に控えなければと、個別の審査だけではなくて大きな視野に立って判断するという責任も一方にあるのですね。そのことを抜きにして七十兆円のお金というものは動かせないというふうに私は思うわけであります。  また、先ほどの貸金業規制法の件ですが、これは当時、サラ金対策で議員立法でやりました。しかし、住専を適用除外にしたのは政令でやったわけでございまして、そこに一つ大蔵省責任があるということを私は免れないと思うのであります。  ただし、その当時は経済環境が違いますから、ある意味では政策目的も違うかもしれません。言うならば、こっちの方へ向いて歩いているときに後ろから押されたような印象を皆さんお持ちかもしれないけれども、しかし、少なくとも行政の責任に携わる者は、後ろから敵が来ないかということも常に、言うならば経済環境の変化というのは常に計算の中に入れなければいけないということだと思うのであります。そういう意味での責任は免れないと思います。  また、あわせまして、そういうこともあればこそ、八六年の四月、大蔵省銀行局長通達で、言うならば不動産・建設業向け貸し出しの半期報告指導の開始がされているわけであります。もっとも、その前年秋にはプラザ合意がされておりますし、今と違う経済環境でありますし、政策目的も違ったかもしれませんけれども、しかし、このような半期報告指導を開始し始めたということは、これらの問題について大蔵省責任がそこから改めてより大きく加算されたということなのでありまして、そのことについてどういう認識大蔵省としてお持ちだったか、私はこれをお伺いしたいと思います。これも土田さんの方が近いですね。
  113. 土田正顕

    土田参考人 昭和六十一年の四月のことをお尋ねであろうかと思いますが、実はその前年、昭和で言うと六十年ごろから、この地価高騰の問題というのはだんだんと世上から指摘されるようになりまして、昭和六十年にはたしか事務連絡ベースで指導を開始したと思います。それを一歩踏み込んだのが、昭和六十一年四月十六日の「土地関連融資の取扱いについて」という通達でございまして、このときから、ただいま御指摘がありましたような実行状況報告のほかに、要するに当局側の考え方を明確に打ち出しておったわけでございます。  それは一言で申しますと、いやしくも投機的な土地取引の助長などの社会的批判を招かないよう十分配慮してもらいたい。この考え方が以後ずっと平成に至るまで一貫して維持されるわけでございます。
  114. 中野寛成

    中野委員 その考え方が維持された結果、ついにとった方式が、平成二年、九〇年の三月二十七日、このときは既に土田銀行局長になっているわけでありますが、大蔵省銀行局長通達としていわゆる総量規制が行われていくわけであります。そして、このときにも改めて住専を対象からは除外しているわけであります。  何かを規制をして、そしてどこかを除外したら、そこへ集中するのは当たり前じゃないでしょうか。このときに、住専のあり方もまた、当然真剣に考えておくべきだったのではありませんか。  総量規制をやるということは、地価を安定させる、または地価を下げる。思い出しますと、このころに、私もまだ民社党の政策審議会長でありまして、よくテレビ等にも引っ張り出していただいて、土地を、いかにして地価を下げるかという議論に加えていただきました。そのころに、五年間で地価が二倍になった、これから五年かけて地価をまたもとに戻さなきゃいけないという議論がよくなされました。これが急ぎ過ぎると金融機関が大変なことになる、パニックになるという話も、そういう中でしょっちゅう交わされたものでございます。  言うならば、規制、こうして総量規制をし地価を下げようというときには、下がったときにはどういうことが起こるか、そのためにはどういう手を打っておかなければいけないかということを、これは言うならば同じ銀行局の中の仕事でしょう。総量規制をするのも銀行局長の通達ならば、土地が、地価が下がったときの言うならば金融界のパニックを防ぐ仕事も銀行局の仕事じゃないんですか。よその仕事じゃない。  そのときに、あのころこれほど急激に地価が下がるとは思いませんでしたなどという逃げ口上は、私は断じて許されないと思います。もしそうだとするならば、地価を下げるという意識がなかったということになるじゃないですか。本気で地価を下げるという意識があれば、下げるんだぞ、下がったときにはこういう副作用が起こるが、これに対してはどういうフォローをしておかなければいけないかというのを、当然そのときには同じ銀行局の中で、または他省庁の力もかりて計算しておかなければいけないじゃないですか。どうお考えですか。
  115. 土田正顕

    土田参考人 まだ私の在任中の話が主であると思いますので、私から申し上げます。  御指摘のように、平成二年三月二十七日、「土地関連融資の抑制について」の通達を出しました。実は、そこに至るまでに、かなり長い間悩んでおったことがございます。  これは、従来、先ほどの昭和六十一年のときの通達の考え方で御説明いたしましたように、投機的な土地取引の助長などにつながる融資は、これは抑えなければいけない。しかし他方、優良な宅地の供給につながるようなものその他、そういうような実需の関係融資を頭から息の根をとめるということは正しくない、それは逆に地価上昇をあおる懸念すらある。  そこで、このいわば優良な土地取引につながるものであるか、それとも土地投機をあおるものにつながるのであるかということをどうやって見分けるかというのは非常に悩みの種でありまして、随分銀行に対して集中的なヒアリングなどもやったわけでございます。しかし、その土地投機の勢いは、昨日も申しましたようなことで、依然として燃え上がる。それが全国に波及する勢いでありましたので、特別の内閣の方の御指示もございましたので、総量規制に踏み切ったという次第でありました。  そのときに、このノンバンク、まあ住専もそうでございますが、それに対しましては、そもそもその通達を出しておりません。それを外したと言われるのは、ちょっと私は言葉の使い方としてひっかかるのでございます。  やはり一般の金融機関に対しましては、経営全般を指導する権限がございます。それで、例えばその経営内容についていろいろと注意をし、是正命令を出すこともできます。しかし、このノンバンクは、一般にそういうことはできません。そこで、昨日もこれは御答弁を申し上げましたが、既にその数年前から数回にわたって、住専の場合に限りますと、いわゆる自主申し合わせということで意思統一をお願いしておりました。住専を含めて、そのような団体は六つございました。ノンバンクの主な分野をカバーしているものに対しては、そういう自主申し合わせベースで当局の政策や何かは十分もう意図としては伝わっているはずでありますから、それに即応した姿勢をとっていただくようにお願いをしておったわけでございます。  さて、その次に、下がったときにどうするかというその注意を怠ったかというわけでございますが、それについては、ここは私が申し上げる最後のことになりますけれども、私どもは、アメリカの例も見ておりましたので、これが反動になったときに金融システムに破綻が生ずるおそれがあるということは、ある意味では予想しておりました。そのために、そのときまでに何に手を打つべきかといえば、実は三つ私は申し上げておるわけでございます。  最大の問題は、このノンバンクに対する目配りがきくような体制になっていない。これにつきまして結論的に申しますと、議員立法を二回お願いいたしまして、貸金業規制法を二回直していただきました。  それからもう一つは、やはり何と申しますか、この破綻処理についての、例えば、まあ突発的な取りつけが起こったときの瞬間的な対応のシステムができているか。これは、実はBCCI事件というのがございまして、そのようなときを契機に、非常に私ども問題意識を持ったわけでございます。そして、これは銀行協会など、日本銀行などとも連係プレーで、システムを少しずつでございますが改良を続けております。  それからもう一つは、やはりこの信用組合について十分目が届くような体制になっていなかったということが大変残念でありまして、地域金融機関のうち信用金庫までは、財務局を動員して、金融自由化がいかに経営に対して強いインパクトを与えるか、それから昨今のいわば地価をめぐる動向というようなことで、それぞれ対応策の検討を促したのでございますが、信用組合までは恐らくそういう手が届いていなかったと思います。  そういうようなことで、そのときそれなりに手を打っておったところは、それなりに後々効果を発揮しております。ただ、それが十分ではない、工夫が足りなかったということは、昨日来申し上げておるところでございます。
  116. 中野寛成

    中野委員 この総量規制の行われた三月ですが、その前のもう一月ごろから株価は急落をして、そしてこの平成二年、一九九〇年の後半からバブル破綻にとつながっていくわけです。  この総量規制のときには、もう既にその兆候ははっきりと見えておったはずであります。そしてこれは、言うならば現在の問題の端緒であったと言っても過言ではないのであります。現実に、年を越した平成三年の冒頭は、もうバブル崩壊をし、地価は下落して、不動産業者の金利支払い停止が始まっているわけであります。  こういう状況の中で、信託協会はどういうふうに考えていたのでしょうか。また、住総はどう考えておったのでしょうか。そしてまた、農協系金融機関はどう考えていたのでしょうか。このころは、いや、適用から除外されて助かったぞ、我々だけはまたもうけ続けられるという気持ちだったのでしょうか。そこには一つの大きな責任のポイントがあると思いますが、どうお考えでしょうか。
  117. 藤井健

    藤井参考人 ちょっとお伺い漏らしましたが、信託協会、銀行が住専に対してどういうふうに思ったかということでありますね、平成二年から三年にかけて。
  118. 中野寛成

    中野委員 そうです。総量規制についてもです。
  119. 藤井健

    藤井参考人 はい、わかりました。  総量規制については、私どもは、もうそのとおりだと。その前の年から、今、元局長のお話がありましたように、いささか自分たちでも行き過ぎているな、こう考えまして、あの規制をぜひ守っていきたいと思っておりましたけれども、実際の融資の案件というのは、始まりましてから完成するまで、例えばビルであれば二、三年もかかりますし、なかなかブレーキがきかなかったという点もありますが、あの規制を守ってはいきたいというふうに考えておりました。  それから、住総に対しては、さっきお話がありましたように、昭和四十六年に設立されまして、その後順調に成長してまいりました。最初のうちは信用力がありませんので、住専母体七社が保証をして借り入れをするというような状態でありましたけれども、おいおい業績が伸びてまいりまして、ちょうどあの総量規制をする前に、今御指摘のように決算成績が相当よくなっておりましたので、グリップが緩んだといいますか、かなり独立的な営業、経営をしていただくという形で、今申し上げたように当初は我々はいろいろな仕組みをつくって決算の内容やら月々の業況を見ておりましたけれども平成元年ぐらいからは逆にそれを緩めてしまって、三年、四年と、こういう事態に相なりまして、今から考えますと甚だ反省しなければならない、こういうふうに思っております。
  120. 中野寛成

    中野委員 まさに母体行としての責任感が緩んでおった、責任を果たしていなかったということが、これは一つ明確であります。  このときに、その対象から除外という言葉については土田さんはお気に召さないような言葉遣いのようでありますが、しかしそこまで適用しなかったということについて、しかし住専としてはそこに一つの感想があったはずであります。どうお考えですか。
  121. 山本弘

    山本参考人 当時の状況をよく承知しているわけではございませんけれども、実際に貸し出しが平成元年、平成二年と大幅にふえているということを見ますと、総量規制の後も貸し出しが伸びていたという事実は否定できないと思います。ただ、その後、担保掛け目も、先ほど申しました一〇〇%から八〇%に下げる、そういう処置はその後とっております。
  122. 中野寛成

    中野委員 結局、ここで、言うならば総量規制をされました、住専はたまたま逃れました、しかしながらその総量規制という全体の動きの過程の中で、住専もまた当然警戒感を持たなければいけませんし、自制しなければならないはずであります。  しかるに、自制するのではなくて、ここから、それ以前からでありますが、言うならば農林系のお金を穴埋めに使う、またはより一層利用して、総量規制の中で逃れた住専は、結局より一層そういう農林系の金などを利用してそこへますますのめり込んでいくわけであります。それでますます事態悪化させていくわけであります。  言うならば、そのときに角道さんの方は一つの警戒感やそういうものを持たなかったのでしょうか。
  123. 角道謙一

    角道参考人 お答え申し上げます。  総量規制につきましては、専ら土地の投機的取引を防止する、あるいはそういう意味不動産業に対する融資の伸びの規制でございまして、住宅資金につきましては、当時におきましても非常に旺盛な需要があり、また六十年代後半か平成の初めにかけましても、住宅金融公庫の伸びあるいは一般の住宅資金の伸びも非常に強かったと思っております。振り返ってみますと、当時におきましても、恐らく各年十兆円ぐらいの、個人住宅資金だけでもその程度の伸びがあった。  そういうようなものを背景にいたしまして、私どもとしては、不動産投機、特に土地投機につきましては総量規制は十分守ったわけでございますし、また住宅資金につきましては、住専につきましては、私どもは、住専住宅資金、特に長期の住宅資金についての需要に応ずるものである、そういうものだと認識をしておりましたし、そういうところでそういう需要があれば、それなりに動向を懸念をしながらも、ある程度の資金需要には応じてきたというのが実態だったと思います。
  124. 中野寛成

    中野委員 私はこういう分野に絞って、これは確かに住宅政策という視点に協力をするとかというふうに言い逃れを言うと、何かいかにもいいことをしたということになるのでありますが、実際言って膨大な資金を提供しているわけです。そして、もう既にこのときにはバブル破綻の兆候が明確に見えているわけです。貴重なお金を、原因はバブルのお金もあるかもしれませんけれども、貴重なお金を預かっている、しかも世界最大のと言われるほどの規模の金融機関でもある農林系機関というのが、当然ここで十分な警戒感を持つべきであったということは当たり前ではないでしょうか。いかがお考えですか。
  125. 角道謙一

    角道参考人 系統金融機関というのは、農林中金のほかに四十七の信連あるいは共済連もございまして、一つの塊として見れば非常に大きな金融機関でございますが、それぞれの信連は平均的には約一兆円程度の預金規模でございまして、それぞれが自分たちの判断で事業をやっております。  私どもは、中金は中金として、今非常に高い評価であるとお褒めをいただいておりますが、私どもとしても、そういう立場でこの住宅資金についてお応じをしてきた。また、そういう政策的な判断というものも背景にしながら、行政の方針に従って的確に融資をやってきたというように思っております。  確かに、今判断いたしますと、先生御指摘のような問題もあり、より注意をすべきであったということについては、私もそういうふうには思っております。
  126. 中野寛成

    中野委員 ちなみにその翌年、平成三年、九一年三月四日に、大蔵、農水省で、信連の貸し出し適正化で通達を出しておられます。これは遅ばせながらだと私は思っていますけれども、このときはまだ土田銀行局長ですね。どういう意図だったのでしょうか。  そして、十月になると第一次再建計画が策定をされ、農林系は貸出金を回収しないことで協力をすることなどが申し合わされていくわけであります。言うならば、ずるりずるりと引っ張り込まれて、逃げ場がなくなってしまうという状況まで行っているわけであります。言うならば、これこそ大蔵省、農水省、そして住専、その中で農林系金融機関というものは利用された。しかし、その利用されたことに気がつかない、またはそこから逃れられないという責任というものはこれはやはり免れない、こう思うのであります。それぞれ関係者からお聞きをしたいと思います。
  127. 眞鍋武紀

    眞鍋参考人 その通達についてはちょっとあれでございますが、この信連の、住専を含みますノンバンク向けの融資の実行状況につきましては、いろいろ御指摘がありましたような通達等で、実績報告等によりまして把握をしておったわけでございます。  信連の住宅向けの融資が増加していたということは事実でございまして、また平成二年のいわゆる総量規制通達は不動産向けの貸し出しの総量規制を主眼とするものでございましたけれども住専を含むノンバンクについても報告という形で貸し出しの動向を把握しておりまして、そういうことで把握することによって注意喚起といいますか、そういう注視をし、把握して、牽制効果といいますか、そういうものをやっておったわけでございますが、農林水産省としましても、そういう通達の趣旨に対しまして、必要に応じまして関係者に対して注意喚起を行っておったということでございます。
  128. 角道謙一

    角道参考人 先ほど来お答えいたしておりますように、私どもも政策方針に従いましてそれなりに適正にお応じをしてきた。したがって、今お話ございました通達等につきましても、私どもとしてはそれに従って的確に運営をしてまいりました。また、信連の協会、各信連それぞれの判断で、やはりそれに従って融資をしてきたというように私どもは思っております。
  129. 中野寛成

    中野委員 大蔵、農水で協力して信連の貸し出し、まあ信連のことを角道さんに聞くのはちょっとあれかもしれませんけれども、しかしいずれにせよ、農林系として、ごめんなさい、これはまとめて、代表しておられると思って聞いておりますからお許しいただきたいと思いますが、しかし、この貸し出し適正化で通達を役所が出すということは、大分深刻だから出すんですよ、これ。事前に注意をして出すなんということはまずない。私は、先ほど遅ばせながらと申し上げたが、結局、そういう事態をやはり察知しなければいけないということを改めて申し上げておきたいわけであります。  そして第一次再建計画へと行くわけでありますが、結局、これはきのうもいろいろ質疑応答ございました。まあ、言うなら、あってなきがごとし、失敗に終わっているわけであります。そして、年を経て平成五年、九三年になりますと、まず日住金が第二次再建計画を策定をする、そして他の六社が同様の再建計画を六月ごろまでに作成をしていくということになるわけであります。  しかしながら、この後、九五年八月の住専への大蔵省立入調査まで、実質的には対策は空白期間を迎えるわけであります。このときに、大蔵省と農水省、きょういらっしゃるお二人の覚書が交わされる、またそれが念書へとつながっていく。これについては、くどいようですが、あの文章は、読みますといろいろ読めるかもしれません。また、玉虫色にも読めるのかもしれません。しかし、意図的に玉虫色につくって、これが母体責任なのかどうかということをカモフラージュしたのかもしれません。農水省は農林系に都合のいいように解説をし、大蔵省母体行に都合のいいように説明をしたのかもしれない。言った口が悪かったか、聞いた耳が悪かったか、最初からごまかしたか。いずれにせよ、ここは基本的に問題があるのであります。改めて、これはやはり四人の方々にお伺いするしかない。  当時の両局長、そして角道さん、そして母体行をきょうは代表していただいて藤井さんにお聞きをしなければいかぬと思います。いかがですか。
  130. 寺村信行

    寺村参考人 住専の問題解決のために関係者が議論を重ねてまいりましたが、意見が真っ向から対立して話が全く進展いたしませんでした。とにかく関係者が共通のテーブルに着くことさえできなかった状況でございます。しかし、そのままほっておきますと、これは住専経営破綻いたしまして系統金融機関が倒れる。  きのう、何か念書を出してそれが理由で系統は融資引き揚げをやめたというようなお話がございましたが、実は、その合意ができなければ、融資の引き揚げを求めた途端に住専経営破綻をし、そして信連に損失が発生する、そんな状況でございまして、当時は三月危機と言われておりました。まして、そこで合意ができなかったら、住専経営破綻から金融パニックが起きるんだと言われていた状況でございます。  そういう状況でございましたので、とにかく何とか合意をつくっていただかなければいけない、何とか合意をつくっていただく。ただ、それが元本保証とかそうでないと言ったら合意ができないわけでございますので、その問題は別におきまして、そしてとにかくぎりぎり両者で合意できる金利減免ということで合意を何とかお願いしようということで話を進めたことでございます。  したがって、系統機関は、覚書の前も後も同じように元本保証を主張されたわけでございます。もし覚書が元本保証を認めているなら、その後、系統機関は、元本保証を認めろというお話はないわけであります。ですから、終始一貫、系統機関は元本保証を主張される。これはお立場から当然なことでございますが、そこの決着をつけようとしたらできない、できないけれども、ほっておいたら三月危機だ、何とかしなければいけないという状況でああいう覚書をつくったということでございます。
  131. 眞鍋武紀

    眞鍋参考人 この覚書の性格につきましては大蔵省とも意見一致しておるわけでございまして、これはあくまでも両省庁間の話し合いのもとにそういう両省庁間の意見をまとめた、こういうことでございまして、そういう性格のものでございます。  それから、元本保証をしたかどうか、こういうことでございますが、そういう文言はこれには出てきていないというところは、きちっと明記されていないというところはそのとおりでございますが、ここのところについては、きのうも申し上げましたけれども、系統側はこの覚書に至りますまでに、第一次再建計画のときに、責任を持ってこれ以上は迷惑をかけないという母体行側の約束のもとにやってきておったところでございますが、一年もたたないうちに第二次再建計画の話が出てきた、こういうふうなことでございまして、これは大変だと。そういうことで、母体行が本当にこれを再建する意思があるのかどうか、こういうことをきちっと確認しないと大変であるというふうなことでございました。  と申しますのは、やはり経営実態母体行は大変よく知って、熟知しておるわけでございます。また、十分な支援能力もあるわけでございます。そういう母体行が本気に再建するのかどうかということを確認しないと、これは、そういう本気でないものに協力するというわけにいかぬわけでございますので、これは当然のことでございます。それからまた母体行の側にしましても、住専と一緒になりましてこれは再建をするのであるということで来ておりますので、そういう約束をすることは当然のことでございます。  そういうことで、しっかりとした再建計画をつくる、実行可能なものをつくる、こういうことでございますので、そういう約束をした限りは再建は可能であるし、再建されれば元本ロスは生じない、こういうふうに系統側は受け取ったであろう、こういうふうに申し上げておるわけでございます。  それとしまして、きのうの参考人質疑でも話があったわけでございますが、母体行側は、再建可能である、こういうふうに考えておったわけでございますし、当時の大蔵省も、これは暫定的な計画ではなくて再建計画なんだ、しっかりした再建計画なんだということが発表されておるわけでございますので、農林系統側としては、この再建計画が順調にいきまして再建される、それでその再建の暁には元本は返ってくる、こういうふうに理解したというふうに私は考える方が自然である、こういうふうに申し上げておるところでございます。
  132. 角道謙一

    角道参考人 お答え申し上げます。  今お話ございましたように、第一次再建計画がちょうど平成三年ごろから始まったわけでありますが、そのころ系統の方には、当時の母体行あるいは住専がともども参りまして、この再建計画について、母体行としてはこれをまとめたから協力してほしいと。したがって、我々としてはその再建計画について、先ほど来お話がございました懸念もあったので、この際回収すべきであるという意見も非常に系統の中には強うございました。ただ、全母体行がそういうふうに再建計画を立て、また我々に迷惑をかけないということを話されたわけであります。  したがって、先ほど来申し上げましたが、日本の金融慣行、商慣行といたしまして、やはり母体がまず自分の子会社、あるいはメーンバンクとして自分の取引先、あるいは親会社が子会社の経営について、いろいろな問題が起きた場合にはそれを面倒を見るというのは日本の金融慣行であり、商慣行であり、また日本の金融を支えている一番大事な信義誠実の原則であるというふうに私ども思っておりますから、紙のあるなしにかかわらず、やはり母体があるいはそういう約束をしたということは非常に大事なことだ、これは日本の金融にとっても一番大事なものであるというふうに私ども認識しております。  そこで、第二次再建計画平成四年の秋ごろから話がございました。したがって、私ども、第一次再建計画からそう長い期間はたっておりませんので、より元本回収については懸念が強かったわけでございます。  したがって、母体行、住専に対しまして、それならば、元本回収を猶予しろということであるならば、やはり元本ロスは生じさせない。それから同時に、金利減免というものについても、要請があるならば、それなりの系統の体力というものを見てもらわなければ困る。また同時に、優先弁済であるとか、あるいは金利が、当時におきましても公定歩合が非常に低い水準でありましたし、むしろ金利が反騰するという心配がございましたので、金利が上がる場合にはそれなりの対応をしてもらわなければ困るということを住専母体行に申し上げていたわけでありまして、当時の時点におきましては、むしろ金利が上がること、これについての懸念が多うございました。  やはり元本が返ってこない、あるいはそういう話は、およそこの計画前提としては、私どもは当然返るものという期待をして、母体行、住専あるいは主務省の方にもそういう要請を申し上げていったという経過でございます。
  133. 藤井健

    藤井参考人 お答えを申し上げます。  覚書については、私どもは昨年の夏、報道によって初めて知りました。しかしその前に、世に言う我々がゴム印を押したという文書がございます。当然これにつながる問題だと思うのでありますが、この文書は、当時我々の理解では、元本保証とかいう法的な意味でなくて、母体としてあくまでも再建に全力を尽くすという決意表明と受け取っております。
  134. 中野寛成

    中野委員 農水省、そして系統、そして母体行、随分受けとめ方が違います。解釈も違います。母体行も何か後で知ったという話であります。  こうなりますと、私は、その覚書をつくったお二人は一体何を考えていたのか。言うならば、先ほどの寺村さんの答弁によると、このままいけば住専破綻する、住専破綻すれば系統も倒れると、何かいかにも系統を助けてやったと言わんばかりのお答えでありました。  そしてまた、何しろ系統と母体行が口もきかぬような状況の中で何とかまとめてやったのだ、苦労した成果が玉虫色だったのだ、こんな感じでありますが、しかしその結果、何兆円という金が焦げつき、そして今国民に何千億という負担をさせようとする、ある意味ではきっかけにもなったと言えるわけであります。これをだましたと言わずして何と言えばいいのでしょうか。また同時に、ここでやはりだまされたというその責任感も持たなければいけないはずであります。  先ほど角道さんのお話では、系統の中や信連の中ではもうみんな引き揚げたいと言った。そのときの判断、これを動かしたのは何か。これは大蔵省の指導なのか農水省の指導なのか。結局その信頼関係というものが幾らかでも残っておって、その中でそういう最終の判断を、協力する判断をされたのだろう。  そういうふうに思いますと、やはりこの覚書の果たした役割というのは極めて重要な意味を持っている。単なる事態解決のための一時しのぎの覚書だったのかどうかはわかりませんけれども、しかしこれは、事、物事をこれだけ重大にした要因だということを忘れてはいかぬと思うのでありますが、寺村さん、もう一回。
  135. 上原康助

    上原委員長 参考人各位に申し上げますが、できるだけ御答弁は簡潔にお願いします。
  136. 寺村信行

    寺村参考人 一括して処理をする方法は、当時は公的資金を入れる以外にはございませんでした。したがって、時間をかけて処理するという方向で対応せざるを得なかった。そういうことでああいう方針をつくり、大臣の御了解も得てそういう方向で対応したということでございます。それ以外に方法がなかったということでございます。
  137. 中野寛成

    中野委員 そのときは宮澤総理、林大蔵大臣でありますが、結局、問題を先送りしたにすぎない。第一次再建対策もないがしろになってうやむやになった。しかし、そのうやむやな状況を引きずった中で、第二次をやっとこの段階でまとめた。その過程の中で結局うやむやな処理がなされて、事はますます大きくなった。公的資金を導入する以外に方法はなかったから、それを避けるために結局長計画を立てた。長期計画を立てて、なお一層公的資金が必要だということでは、これは国民としては聞こえません。  よって、これは時間が参りましたからまとめてまいりたいと思いますけれども、私は、その対策として、これは皆さんが共通に責任を感じ、かつ、責任をとってもらわないといけないと思います。その重さ軽さはあるかもしれない。しかし、少なくとも皆さんが共通して、国民の税金を使うということには、恥ずかしいことだ、申しわけないことだと母体行を中心にしてまず思ってもらうことです。そして、そのときには、債権放棄だけでは責任を果たしたことにならないのだということをやはりみずから感じてもらうことです。そして、自分たちの負担で処理する工夫をお互いが協力し合ってつくるべきです、国民に負担をかけるのではなくて。金もうけするときだけ協力し合って、後始末は協力しないというのはおかしいじゃないですか。国民に負担をさせる協力だけは困りますよ。  私は、国民に迷惑をかけない方途を考えるその中で、例えば株主代表訴訟にたえ切れないなどという法的欠陥があるとするならば、それは新しい法律もつくらなければいけますまい。それはまさに行政の責任でもありましょう。まず私は、ここでみずからの責任を感じ、そしてすべての皆さんが、関係者が協力し合って国民に迷惑をかけない方途をまずつくってくる、そのことから今回のこの処理方針というのは始まらなければいけないと思います。  あと各論については、石田議員の方から、借り手の問題等具体的な事案についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  私は終わります。
  138. 上原康助

    上原委員長 この際、石田勝之君から関連質疑の申し出があります。中野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石田勝之君。
  139. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 新進党の石田勝之でございます。中野寛成委員の関連質問をさせていただきたいと思います。  バブルの時期に、サラリーマンが一生かかっても土地や家が持てない、土地はだれのものか、大いに議論されたわけであります。急騰する土地をどう抑えていくのか、国やあるいは地方自治体も大いに汗をかいて知恵を出していた当時、逆にバブルが続くことを期待し、自分たちの権益を守ることに終始していた事実は、きのう来の質疑、答弁で明らかになったと思っております。  きのうの予算委員会における参考人の答弁を聞いておりますと、自分の会社が倒産をして、国民の血税が投入されるという、国民皆に迷惑をかけているという意識すら全く見られない。他人事のように発言をして、逆に開き直っている人がいる。自分たちの責任について全く感じていないようであります。テレビを見ていた人たちから私のところに、こんな借金の穴埋めに何で血税を投入しなければいけないのか、冗談じゃないよ、こういう電話が何件かございました。住専経営の失敗のツケをなぜ払わされなければならないのか、さらに疑問を持った人は私はふえたと思っております。そういう中で、きょうの参考人に対する質疑においてきょうお越しいただいた参考人皆さん方は、事実関係を明らかにするとともに、誠心誠意的確に御答弁をまずお願いをいたしたいと思います。  まず、山本住総社長にお伺いをいたします。  大蔵省の第一次立入調査報告によれば、これは日本ハウジングローンの場合でありますが、きょうお越しいただいている富士住建グループ融資の際の担保の評価の割合、つまり掛け目は一〇〇%を超えて実行されているわけであります。中には一八〇%で融資を行っている例が見受けられるなど、融資当初から債権保全が十分にされてないわけであります。  これはほんのわずかな一例でありますが、そこで、住総の場合は担保は何であったのか。お金を貸すときの掛け目は幾らぐらいで見ていたのか。融資の申請の受け付け、つまり取り上げは母体銀行の紹介だとほとんど断れずにいた、こういうふうにも聞いております。住総はほぼ無条件で評価を無視して受け付けたのではないですか。それとも住総の独自で判断をされたのか、まず山本住総社長にお伺いをいたしたいと思います。
  140. 山本弘

    山本参考人 お答えいたします。  まず最初の掛け目の件でございますけれども、掛け目は、先ほど申しましたけれども、従来は土地については八〇%という掛け目でやっておりました。しかし、平成元年の八月から平成二年の十月までは土地について一〇〇%と、すぐ戻しましたけれどもその間やっております。したがいまして、一〇〇%以内が原則でありますけれども、ただ、プロジェクトの内容その他を見て若干掛け目をオーバーするものがないわけではございません。  それから、母体行の紹介案件でございますけれども母体行の紹介案件につきましても、それからどこの紹介案件につきましても、当社審査部というのがちゃんとございますので、それは未熟といえば未熟かもしれませんけれども、そこはそこなりにやっていったというふうに理解いただきたいと思います。
  141. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今山本社長からプロジェクトにおいては一〇〇%を超えるわけはないわけではない、こういう答弁も受けましたけれども、実際にこれは八〇%ということで、その後平成元年から二年にかけては一〇〇%、しかし、それよりオーバーをしているのはかなりあるんじゃないですか。具体的にお教えいただきたいと思います。  それから、審査部がきちっと審査をしていたと。私は、その審査部というのは全く節穴だ、本当に見る目がないな、そういうふうに思います。審査機能のこれ、機能果たしてないでしょう。そうじやなきゃこんなに不良債権が残るわけないですよ。その点どうなんですか。
  142. 山本弘

    山本参考人 担保掛け目が一〇〇%をオーバーしているというケースは、計算しているわけではありませんが、そんなにたくさんはございません。たまに例外的にそのプロジェクトの、先ほど申しましたプロジェクトの推移とかそういうものを見まして若干オーバーするということはありましたが。  それから審査部でございますが、私は、審査部は独立した審査部で、それなりの知識を積んだ者を配置しておりまして、それなりの判断をずっと誠心誠意やってきたと私どもは信じております。
  143. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 それなりの判断でこんなに多くの不良債権が出るわけないんですよ。先ほど来出ているように、本当に全くずさんな審査審査機能であった、これは断ぜざるを得ないと思っております。  この住総の決算書によりますと、平成二年十四億九千万円の利益が出ております。それから平成三年、これは千七百万円の利益が出ている。平成四年はこれは百四十九億円の損失。平成五年五十八億円の損失、こうなってくるわけですが、山本さんは平成四年から社長を務められたと伺っております。かつては三菱の方においでになったわけですね。金融界のプロでありますが、その平成四年の社長就任時、そのときにはもう損失が発生しているのです。そのときに社長につかれて、この住総についてまずどういう考えをお持ちになったか。どういう内容だ、こういうことを率直にお聞かせいただきたいと思います。  それから、これがどういうふうになっていくだろうということを危機を感じたかどうか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  144. 山本弘

    山本参考人 私が社長に就任しましたのは平成四年の六月でございます。平成三年の十一月から平成四年の一月まで信託の実調チームが来まして、これは大変だということで第一次再建計画をもう既につくっておりました。これは大蔵省とも御相談してつくった。それで第一次再建計画ができまして、それで、金利はお支払いしますが元本は五年間猶予いただきたいというお願いを、既にそういう骨子の第一次再建計画ができている。したがいまして、私が参りましたときには、その再建計画を一生懸命遂行するというのが私の仕事でございました。  不良債権回収がまず第一で、二番目に優良債権の積み上げがあって、三番目に経営の効率化といいますか経費の削減、この三つを精力的にやってきたつもりでおります。
  145. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 第一次再建計画でそれを遂行しろ、遂行するのが自分のお仕事だ、そう思われたとお答えになっておりますが、そのときに山本社長はこの第一次再建計画をごらんになって、遂行計画が可能だと思われましたか。これはちょっと無理だろう、これは長年の金融に通じたプロから考えても無理だろう、そう思われましたか。そのときに、大蔵省といろいろ協議もされて、もし無理であれば無理だと山本さんの方から大蔵省に言うなり、あるいは母体行に相談するなり、あるいはそのときに大蔵省母体行から何かの指示あるいは助言等々があったかどうか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  146. 山本弘

    山本参考人 お答えいたします。  平成四年の六月でございますから、三月からスタートして三カ月しかたっておりません。そこでこの計画が成り立つかどうかという考える余地はなかったわけでございます。したがって、それが出てまいりますのは、秋ごろから不動産市況がさらに悪化して他業界の問題もいろいろ出てまいりました。そこで初めて住専会社全体の問題として改めてクローズアップされたということでございます。
  147. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 大蔵省あるいは母体行にも相談されたのだろうと思いますよ、それは。しかし、結局そのときにきちっとした結論、指示も出されなかった。大蔵省母体行もそしてまた住専各社も、本当に、まさにずぼらにやっていたのですよ。金融のプロだと称して、まさしく、こんなに下落すると思わなかったなんてきのうあたりから答弁で聞いておりますが、また、ぎりぎりの決断をしたとか今までの経緯を踏まえとか、そういう抽象的な表現で言われておりますが、事は国民の税金を投入する話なんです。そういう金融のプロが見て、これは難しい、これはもっとえらいことになる、普通はそう、大蔵省もあるいは母体行もあるいは住専各社も察知して、これは察知するのが当然ですよ。  そうは思わなかった、一生懸命遂行するだけだ、こういうふうに答弁されておりますから次に行きますが、平成七年の住総の三月の自己資本はマイナス百二十一億円でありました。同じ年の、九五年の九月、これが半年でマイナス四千三百十五億円になるのですね。たった半年で三十五倍になった。これはとても信じがたい数字なんですよ。これはどっちかが粉飾しているとしか思えないですね。具体的に言えば、九五年の三月、その決算は粉飾決算じゃないのか。これは真実のところどうなのか、それをお答えをいただきたいと思います。
  148. 山本弘

    山本参考人 お答えいたします。  平成七年九月期の中間決算では、四千百九十三億円の赤字を計上いたしました。その結果、四千三百十五億円の債務超過になりました。この原因一は次の三つでございます。  一つは、延滞債権についての回収見込み額を大幅に見直すことによりまして、貸倒引当金を大幅に積み増しし、貸出費用を営業費用として計上いたしました。貸出費用の額は三千九百二十九億円でございます。販売不動産のうち、土地についての評価額を見直し、一部の物件について評価損を特別損失として計上いたしました。三番目に、保有有価証券について、強制低価適用の基準を引き下げることにより、評価損を営業費用で計上する。  要するに、再建ができない、整理だという段階になりまして、従来の引当金の考え方、基準は変えておりませんけれども、評価の仕方を変えたということが主たる原因でございます。
  149. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 いや、全くその答弁は納得できないですね。私は、なぜ半年間のうちにこの自己資本が三十五倍減っちゃったのか、こういうことを聞いているわけです。  それじゃ、きちっとお答えいただけないから、これは私の方から言いますと、それまでに不良債権のつけかえ、評価の水増し等で赤字幅を圧縮して、これは決算操作を行ったのじゃないですか。そして、この半年でそんなに土地が下落したのですか。例えば三十五倍になるほど土地が下落しちゃったのですか。そういうことじゃないでしょう。これは評価の水増しで赤字幅を圧縮して、決算操作を行ったんですよ。九五年の九月には、蔵検、要するに大蔵省の検査を予想して、隠せないこの不良債権を表に出した結果ではないのですか。その点どうなんですか。
  150. 山本弘

    山本参考人 お答えいたします。  平成七年三月期までには、再建計画に基づきました継続企業前提として、資産については早期処分を想定した評価ではなくて、再建計画中に処分することを想定した評価を行ってまいりました。これに対して、平成七年九月期中間決算は、当社整理の方向が確定的になった段階であり、資産の評価については、将来の可能性ではなく、現時点での処分価額で行っておるからこういう決算になったわけでございます。
  151. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 それでは、住総の監査法人は、そのときにどう言っていました。
  152. 山本弘

    山本参考人 今回の決算につきましても、監査法人の意見を聞きながら、監査法人の指示に従ってこういう処理をいたしております。
  153. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 いや、それは違うのですよ。監査法人はその時点で、いずれの問題についても現在の状態が十分に計算処理に反映されているとは思わない、第二十四期以降も引き続きこれは事前打ち合わせを十分に実施して万全を期さなきゃいけない、こういうふうに、もうそのとき既に言っているのですよ。  私の時間がもう少ないですから次の質問に移らせていただきますが、きのう来、またきょうも委員から発言がありましたけれども、人様から借りたものは返す、人様から借りたお金は返す、これは当たり前なことであります。  今回の問題は、あなた方の失敗のツケ、借金のツケを回すだけではなくて、私も当委員会でこの間橋本総理に言いましたけれども、今校内暴力だとか登校拒否だとかあるいはいじめだとか、そういう教育の問題が叫ばれる中、今児童生徒の中では住専ごっこという、いじめにも似た遊びがあるのですよ。そういうことをやっておると聞くのです。それはどういうことかというと、金を借りた方が、貸した方が返してほしいと言うと、その借りた方が、いや、返さないぞ。いや、返してほしいと言うと、いや、住専だ、住専だ、住専だから返さない、こういうふうに言って借りたものを返さない、こういうことを言っているわけです。  それで、山本社長住専の役員の退職金が、バブルが崩壊した一九九一年、そのときも平均一億円を超える退職金を払った、こういうふうにきのう出された調査資料で明らかになりましたが、住総も何代かもう退職された方がおりますが、その退職金を元役員に返却するように要請をする考えがあるかどうか、これをお聞かせいただきたいと思います。  それと、ちなみに山本さん、大変失礼ながら、あなたの年収はお幾らなのか、それもあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  154. 山本弘

    山本参考人 私の年収は、平成五年の金利減免お願いしましたときに二十万円引き下げました。それから、今回の整理を決めたとき十五万円下げました。したがいまして、現在、年収としては二千万弱でございます。  それから、当社の過去の役員の退職金につきましては、億とかという数字ではなくて、数千万円の単位でございます。(石田(勝)委員「それを返却してほしいという要請をするのか」と呼ぶ)返却を、株主総会で決まっていることでございますし、なかなか、そういうことは我が方としてはできない、私としてもできないと思っているわけではございますが、非常に悩んでおります。
  155. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 それでは、ここに、きょうも一部報道機関で報道されましたが、住総と太陽エステートグループ土地取引の契約書を私、手元に持っているのですが、これ、住総はこれまでに太陽エステートグループへ役員を派遣していた、こういう報道であります。何年から何人の役員関係者を送り込んでいたのか、お答えをいただきたいと思います。
  156. 山本弘

    山本参考人 四人でございます。
  157. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 四人。いつからですか。
  158. 山本弘

    山本参考人 六十一年だと思います。
  159. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 六十一年から四人送り込んでいた、こういう御答弁でありましたが、住総と太陽エステートグループ、つまり貸し手と借り手が一体となって、癒着をして不明朗な取引があると聞いているが、住総が太陽エステートグループからの依頼で高値を承知で引き受けた、それで、既に金利も払えなくなっていた太陽エステートグループ住総にねじ込んで引き取らせた、こういうふうに言われておりますが、この事実関係についてお伺いしたいと思います。
  160. 山本弘

    山本参考人 従来から太陽エステートの残高は縮小しようという方針でありまして、その方針の中で物件の引き取り等も考えたものでございます。したがって、無理やりとかなんとか、そういうことは一切ございません。
  161. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 それでは、次に、安原富士住建社長にお伺いをしたいと思います。  安原さんが所有している不動産で、短期賃借権、これを設定しているところがありますか。
  162. 安原治

    安原参考人 ありません。一件ぐらいか二件はあるかわかりませんけれども、ありません。(石田(勝)委員「ない」と呼ぶ)はい。一件か二件あるかもわかりませんけれども。(発言する者あり)だから、まあ、ないに近いです。(石田(勝)委員「どちらですか、あるんですかないんですか」と呼ぶ)一件か二件あります。(石田(勝)委員「あるんですか」と呼ぶ)はい。一件や二件。
  163. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 それは、社長が知らないうちに入って——いやいや、今質問しているから。(安原参考人「ありません」と呼ぶ)答弁が変わるのですか。
  164. 上原康助

    上原委員長 訂正しますか。安原参考人
  165. 安原治

    安原参考人 ございません。(石田(勝)委員「なし」と呼ぶ)はい。
  166. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 じゃ、なしであれば次の質問に移りますが、昭和四十六年に富士住建が設立されて、まさに先ほどもお話があったように、安原さんは、裸一貫で苦労しながら、不動産売買はもとより、一時はゴルフ場開発等々で隆盛を誇った時期があったわけであります。それで、バブルがはじけて、負債額約五千億円に達したわけでありますね。一般庶民からとても五千億円というお金は、一法人、そしてまあ安原さんが、それはいろいろあったんだろうと思いますが、一般庶民からとても五千億円というのは理解できない金額です。  素朴な質問ですが、どうしてこんなに借りることになったのか。何でこんなに借りられたのか。これをお聞かせいただきたいと思います。
  167. 安原治

    安原参考人 それは、今までの実績と担保力だと思います、その当時の。
  168. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 担保力と実績、こういうふうに御答弁されましたが、住友信託銀行から、八百四十億円ですか、これ一番大きな金額で、この報告書にも出ておりますが、この借入金は、住総からの融資は、住友信託銀行の紹介がきっかけとなったのですか。
  169. 安原治

    安原参考人 住総さんは最初住宅総合センターと申していまして、そのころから取引がありまして、住宅ローンから始まっていますから、それはございません。
  170. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 先ほど、冒頭のお話の中で、返済には懸命に努力を続けて頑張っていく、こういうお話でありました。しかし、常識的に考えて約五千億もの負債を、正直言って、失礼ながら、返済できる当てがないのになぜ事業を続けるのか、こういうふうに大変不思議に思うわけであります。  なぜ自己破産をしないのか。つぶれて困る理由があるのか。例えば銀行が困るからつぶさないように圧力をかけていたり、そういうことがあるのか。その点について、まあ私も先ほど聞いていて、社長の一生懸命返そう、そういうお言葉はお言葉として理解しますが、常識から考えてそれはとても返し得る金額ではない、私は、大変失礼ながらそういうふうに思っておりますが、なぜ自己破産をしないのか。その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  171. 安原治

    安原参考人 冒頭に申しましたけれども、関連会社十八社のうちお金を借っている会社は九社です。あと、借ってないところで、営業その他の、営業店などは仲介業務その他をやって手数料収入がそこから約四十五億ぐらい入ってきます。そういった金を充当しながら、今の、現在ある物件を商品化を、うちは土地を、売買は原則土地は売りませんので、商品化して、付加価値を高めて売っております。したがって、下請も多うございますので、一気にそうするよりも継続してやった方が損害は少なくて済みます。例えば今、掛け目三五%しかない物件でも、商品にしてやれば六〇パーぐらいにいきます。整理すれば損害が五割以上ふえてきます。だから、ここはひとつ踏ん張って、頑張りたいと思っています。
  172. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 まだまだちょっと突っ込みたいと思いますが、時間がありませんし、藤井信託協会会長に最後にお尋ねをしたいと思います。  仲介した信託銀行不動産手数料欲しさに融資案件を信託銀行から持ち込んだケースがあると聞いておりますが、これは、業として認められた銀行がこうした紹介を行い、稼げるものは稼いで不良債権をこれほどつくったんではないか、そういうふうに言われておりますが、その点どう考えているのか。  そしてあわせて、信託銀行七社全体として最終的な不良債権額は幾らぐらいになると見込んでいるのか。この二点、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  173. 藤井健

    藤井参考人 最初の問題にお答えして、後はちょっと資料を見させていただきます。  我々信託銀行は、本来不動産を業として行うことができます。それから住専が、先ほど来申し上げているように、設立されてから、やはり営業基盤が非常に低いものですから、いろいろなところから紹介をいただいてローンをするということになっております。それは母体行ばかりではありません。一般金融機関にも、あるいはゼネコンさんにも不動産会社にも、いろいろ紹介をしていただいております。ですから、中には信託仲介をして、それに伴って融資が行われるというケースはございましょうが、意図的に、何か手数料を取るためにそういうことをやるというふうなことは私の今までのあれでは余り聞いておりません。  それから、数字はちょっと。——信託七社の不良債権についてお尋ねでございますが、七年九月末、中間期公表不良債権は二兆七千九百五十三億円でございます。これは公表不良債権、つまり破綻債権、延滞債権であります。  以上です。
  174. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 以上で質問を終わります。
  175. 上原康助

    上原委員長 これにて中野君、石田君の質疑は終了いたしました。  次に、矢島恒夫君。
  176. 矢島恒夫

    ○矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。  住総社長山本参考人にお伺いしたいと思います。  あなたの会社は、不動産投機ということで多額の不良債権をつくったところの住専七社の一つであります。大蔵省調査報告書あるいはまたあなたの会社の監査法人がつくった監査意見書というものなどなど、公開されているものやあるいは非公開のものなど、いろいろと読ませていただきました。内容を見ますと、随分ひどい融資をしてきたなと思います。  そこで、山本参考人にお聞きしますが、母体行からの紹介融資というのがありますが、住総の場合、母体行からの紹介融資はどれほどあったのか。また、大蔵省の答弁では、母体行の紹介融資の九一%が不良債権になっているというわけですけれども住総ではこの母体行紹介融資の中でどれくらいが不良債権になっているか。この二点。
  177. 山本弘

    山本参考人 お答えいたします。  債権ごとの集計で見ますと、母体行の紹介は三千六十三億円でございます。三百九十件でございます。不良債権率は、債権ベースで母体行の分は九四・八%でございます。
  178. 矢島恒夫

    ○矢島委員 母体行の紹介融資というのが相当の部分を占めており、しかも九四・八%。私どもの計算によれば九八・二六%になるんじゃないかと思いますが、それはともかくもわずかな差でございますから。それぞれの対象をどこにとったか、私ども大蔵省から出されました調査の範囲内で計算したものですからまだまだほかのわからない部分があった、それをまとめますと九四・八%、こういうことになるんだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、母体行の紹介融資というのは大変なものだということがこの数字からも言えると思います。  私、銀行の融資関係の方からいろいろとお聞きしたんですが、銀行は通常、土地は七掛け、建物は五掛けで評価する、この担保掛け目に届かないものは住専に回した、こういうお話もありますし、さらには、収益還元法で評価して収益性に乏しいものは住専に回したなどという話も聞きました。  そこで、先ほど、審査部を信じてそれなりの人を配置したという、この審査部の状況をお話しになりました。そこで私、その審査状況について何問かお聞きしたいと思います。  私、ここに平成七年十一月二十八日、あなたの会社の審査第一部がつくった融資権限規程及び関連諸規程の改定、こういうのを持っております。この中に、平成七年三月までは、融資対象が法人の場合には、三億円超が融資審議会にかけられる、それから三億円以下二億円超は審査担当役員、こうなっている、その下にまだ第一種の部店長のものなどがあります。  そこで、この融資審議会というものは、大蔵省の第一次の立入調査によりますと、昭和六十年の十二月二日につくられた、こう報告になっていますけれども、この融資審議会という、一番上のものです、この正式な構成メンバー、どういう役職の人か、またその審議会の責任者はだれであったか、お答えいただきたい。
  179. 山本弘

    山本参考人 六十二年当時の審議会の構成メンバーがだれであるかというのは……(矢島委員「あなたがなってからでいいです」と呼ぶ)現在は全常務役員がメンバーでございます。常務役員全員が審議会のメンバーでございます。一矢島委員責任者は」と呼ぶ一責任者は社長でございます。
  180. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そうしますと、私が一昨日、本委員会で質問したわけですけれども、山口組系の暴力団関係企業である日建企画、ここに住総は、母体行の住友信託銀行の紹介で百三十一億円融資しています。これももちろん融資審議会で決裁されたものだと思います。あなたが社長になる前のことですけれども、この規程どおりに行われるならば融資審議会で決裁された、こう思うわけで、まさか暴力団関係企業融資だからこの審議会を通らなかったなどということはないと思うのですが、いかがですか。
  181. 山本弘

    山本参考人 日建企画が暴力団関係企業であるという認識は全く持ち合わせておりませんでした。  それから、日建企画は住友信託の紹介で取引をした、こういうふうになっておりますが、当社の社内資料によりますと確かに住友信託の紹介となっているんでありますが、相手の住友信託が紹介した事実があるかどうか、これについては判明しない。紹介というのは、すべてそういう点がはっきりしないままの状態の紹介だということをぜひ御理解いただきたいと思います。(矢島委員「審議会を通っているわけですね、これは」と呼ぶ)はい。
  182. 矢島恒夫

    ○矢島委員 最後にお聞きします。  先ほども質問がありましたけれども、現在、住総の役員は全員が母体行の出身者である、これは間違いありませんね。歴代の役員の中で母体行以外で関係した役員いますか。
  183. 山本弘

    山本参考人 初代の社長大蔵省の佐々木さんでございます。二代目が大蔵省の原さんでございます。もう一人、監査役で大蔵省関係の方が一人、少ない期間ですがおられました。
  184. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今答弁があったように、まさにこの住総経営破綻に結びついた乱脈な融資母体行からの紹介も含めて、母体行から派遣された役員によって決裁されてきた、これがはっきりしたと思うんです。  今の答弁で、母体行がまあ九十数%、不良債権のような融資を……
  185. 上原康助

    上原委員長 発言者、申しわけありませんが、本会議の時間が控えておりますので、御協力願います。
  186. 矢島恒夫

    ○矢島委員 はい、終わります。  住総に回した。私たちは、やはりこの母体行は単に出資者としての設立母体ではない、経営権、人事権あるいは融資案件、大口融資審査、すべてこの母体行というところがやってきた、これが明らかになったと思います。母体行の責任は重大だということを申し上げて、私の質問を終わります。
  187. 上原康助

    上原委員長 これにて矢島君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  188. 海江田万里

    ○海江田委員 まず、参考人お願いをしておきますが、持ち時間が七分でございますので、御答弁は手短にお願いいたしたいと思います。  まず、住総山本さんにお尋ねをしますが、あなたは先ほど来、関連会社が十八社あるということをおっしゃっていましたけれども、正直申し上げまして十八社というのは大変多い数だと私は思うんですね。しかも、その設立が平成の三年、四年に……(発言する者あり)富士住建——ごめんなさい。じゃ、これ、住総山本さんで結構です。富士住建が十八社ですから、住総は関連会社がお幾つあるか、出資金一〇〇%の関連会社。
  189. 山本弘

    山本参考人 六社だと思います。
  190. 海江田万里

    ○海江田委員 この六社、これは例えばジェイ・ワン・コーポレーションとかジェイ・ツウ・コーポレーションとかジェイ・スリー・コーポレーションとか、非常に安易につけているわけですね。しかも、先ほどお話をしましたけれども平成三年から四年にかけて集中的に設立をしているんですけれども、これを平成三年から四年、とりわけ山本さんは平成四年の六月に社長になっていますけれども、何でこの時期に子会社を集中してつくったんでしょうか。
  191. 山本弘

    山本参考人 ジェイ・ワン、ジェイ・ツウ、ジェイ・スリーの設立の目的でございますけれども、我が社が持っていますいろんな担保につきまして、後順位抵当権だとか短期賃借権だとか差し押さえその他、当社担保権行使を阻害することを防ぐために、債権保全上の目的から、将来的な転売を前提担保不動産の引き取りを行うための会社でございます。
  192. 海江田万里

    ○海江田委員 どうもわざとゆっくりお話をしているような気がしてならないんですが、要するに、飛ばしをやるためのこれは会社なんですよね。事実そういう結果になって、平成七年度の大蔵省調査によりましても、ジェイ・ワン、ジェイ・ツウ、ジェイ・スリーの貸し出しが全部「更に利息資金の貸付を行い、多額の損失の見込まれるもの」という分類になっておりますし、それからエス・ジェー・ビルとかジェイ・エヌ・ビルとかオー・ジエイ・ビルとか、これも全部一〇〇%出資の会社ですけれども、これも要するに「益出し額を上回る多額の損失の見込まれるもの」ということで、要するに、自分のところが抱えている不良債権をなるべく少なく見せようということで一生懸命になってそういう飛ばしや利益出しをやっているということだと私は理解をしております。  それからもう一つ、ティーセブンという会社がございますね。平成四年の十二月に設立をしました。この会社は、先ほどお話をした子会社の中に入っているんですか。それから、この会社の設立の目的は何ですか。
  193. 山本弘

    山本参考人 子会社の中には入っておりません。  設立の目的は、当社の株を取得してもらうことを視野に入れまして、印刷業務など当社関連事業も手がける会社を設立することとし、母体協力を要請し、出資していただいたものであります。  事業目的は、生命保険の募集、損害保険の代理業、書籍・文具の販売、取り次ぎ、有価証券投資の処分などであります。
  194. 海江田万里

    ○海江田委員 今のティーセブンという会社は関連会社の中に入っていない、株を一〇〇%持っていないからということであります。  それから、今の設立の目的で、当社の株を取得するためにつくったということですから、当然商法に違反しちゃうわけですよね、子会社をつくって、その子会社が親会社の株を持ったということになると。だからできなかったわけですけれども、ただこれは、新聞報道なんかも一部ございますけれども、会社設立の内部文書で、いわゆる従業員の持ち株会から株を買い取って、しかも従業員が持ち株会からこの会社に移さなければ首を切るというようなことも言って、やはり株を強制的に納めている、こういう状態があるということで、私は、これはやはり、それこそ本当に商法の規定にももとりますし、それからそういう会社をつくること自体が、しかもこれは平成の四年に入って、山本さんがまさに社長になってからこういう会社をつくったわけですから、その責任問題というのは非常に重要な問題があると思いますが、いかがでしょうか。
  195. 山本弘

    山本参考人 買い取り持ち株会、社員の持ち株会を買い取ることについて、首を切るとかそういう話は一切出ておりません。これは、一人一人全部確認したわけではありませんけれども、持ち株会で、加入者分の買い取り、解散することを持ち株会の規定に基づいて決定したものであり、クレームはなかった、そういうふうに聞いております。  それから、持ち株会は、従業員のモラールを維持する、そういう観点がございまして、今再建計画がこういう形になりまして、要するにそういう財産形成のめどもなくなったということでティーセブンで買い取ることをお願いしたわけでございます。
  196. 海江田万里

    ○海江田委員 住総は、正直申し上げまして、それこそ職員に箝口令をしいたりとか、かなり悪い会社なんですね、はっきり言いまして、これは。  それから、今の株の話も、やはり株主代表訴訟の問題も考えられるわけですから、そのために、株主代表訴訟を何とかして抑えるためにというような思惑もあるんではないだろうかという見方も成り立つわけでございますから、私は、この住総、もうこれから間もなく処理をされるわけですけれども、そこはやはり正々堂々と処理をされて、そして、何かこれまでの行いの中で違法行為なんかがあるのならば、これはやはりきちっとそういう法の裁きに従うべきだ、そういうふうに思っております。  それから、あともう一つ住総に対して政治家からの融資の依頼というもの、こういうものはありませんでしたか。
  197. 山本弘

    山本参考人 そういうことは一切ございません。
  198. 海江田万里

    ○海江田委員 もう時間も最後でございますけれども土田参考人に対して、きのう冒頭の発言で、住専大蔵省直轄だと言われるが、当時、貸金業者は全国に千二百以上ある、住専と大手の貸金業者との間に本質的な差異はないということをおっしゃっていましたけれども、実は、私たちは本質的な差異があると思って議論をしておるのですね。  きょうの桜井委員の発言の中にも恐らくあったと思いますけれども、やはり先ほど来出ている天下りの問題でありますとか、それから、もちろん規模の問題もございますし、やはり住総ノンバンク、一般的な貸金業と違うんだというところから私たちはこの議論が始まっていくんじゃないだろうかというふうに認識をしておりますが、それぞれの、やはり千二百あるうちの、一般の貸金業の中の一つだという認識を今でもお持ちなのかどうか。きのうきょうのこの国会の議論を聞いておって、それでも、これは一番初めに、冒頭にお話をした見解でございますから、それが今も全く変わっていないのかどうなのかということを最後にお聞かせいただきたいと思います。
  199. 土田正顕

    土田参考人 貸金業者ということで申しますと、千二百ではございませんので、大体二万二千ぐらいございます。その中の、現在の法令によりまして、二つ以上の都道府県の区域にまたがっているものは都道府県知事に権限を委任しておりません。これは国が所管しております。そういう意味住専も国が所管しておりますので、それを足せば千二百幾らになる、そういう概念で申し上げたわけでございます。
  200. 上原康助

    上原委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところまことにありがとうございました。委員会を代表して御礼申し上げます。  以上で参考人に対する質疑はすべて終了いたしました。  午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  201. 上原康助

    上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  理事会の協議に基づき、本日、平成八年度総予算審査のため、住宅金融専門会社問題について、議員加藤紘一君、議員田名部匡省君、議員藤井裕久君、議員武村正義君の出席をいただき、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 上原康助

    上原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  203. 上原康助

    上原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。保利耕輔君
  204. 保利耕輔

    ○保利委員 総括質疑が終わりまして、そして補正予算を間に挟みまして、参考人質疑を先ほど終了いたしております。きょうは、新しい試みになろうかと思いますけれども、当時何かの形でこの住専問題に関係をしておられた四人の先生方、議員の皆さんにおいでをいただいて、当時の問題について振り返っていただきながらいろいろ御意見を拝聴しよう、そういう機会だと私は心得ております。  質問に先立ちまして、北海道でトンネル事故がございまして、一日も早く、一刻も早く、一分も早く、閉じ込められている方々が救出されることを心から皆様方とともにお祈りを申し上げたいと思います。  さて、本日は二月十六日でありますが、二月十六日というのは大蔵省関係者にとっては非常に大事な日でありまして、御承知のように、確定申告がきょうからスタートをいたしまして、三月十五日までに確定申告をしてくださいということになっております。そうした中で、現場では、今度の住専処理については、国民一人当たり五千五百円負担しなきゃならないとか、六千八百五十億の税金をこれにつぎ込むのはけしからぬとか、そういうようないろいろな御意見があって、税務署で対応しておられる方々も大変苦労しておられるのではないかと思うわけでございます。  そこで私は、きょうはテレビも入っているわけでございますし、できるだけわかりやすく、何で六千八百五十億の公的資金を入れなければならないのかということについて御説明をいただきたいと思うのであります。  実は、私はそれの前に、借りたものを返すという、これは道徳律の何番目にあるかわかりませんけれども、非常に重要な要素の一つであろうと思います。古今東西どこの国だって、借りたものを返さないやつは悪いやつ、これはもう当然なことでございまして、これがつぶれるというようなことになったら、これはえらいことであります。  実は日本には恥の文化というのがあって、借りたものを返さないというのはまことに恥ずかしいことであるということであります。  実はおもしろい話があるんですが、余りこんな話をしていると時間がなくなるので避けたいと思いましたけれども、岩崎弥太郎という大財閥をおつくりになった方が旧大名から借金をした、そのときの借金証文にこういうことが書いてあります。当の岩崎さんは、証文の中に、いついつに返済すると書き、もしこのことにたがえばお笑いくださいとあるのみなのです。いかに恥というものが死に値するぐらいつらいことであったかということを、その当時の方々は思っておられた。これが日本の一つの伝統文化でありますが、これがつぶれそうになってきているということはまことに残念であります。身を粉にして返しますとおっしゃった参考人の方もいらっしゃいましたけれども、当然なことだと思います。  そこで、今度の問題というのは、やや、財務的な専門家だとかあるいは銀行マンだとか、そういう方々はある程度理解ができる。資産の評価という、そういう難しい言葉というのは、普通の方にはなかなかわかりにくい言葉であります。一番これを庶民向けにわかりやすく説明したものは、この間ここの総括質疑のときも私は総理にお話を申し上げたのですが、漫画だと思うのですね、政治漫画。  時々加藤幹事長も漫画になっておりますし、きょうは四人の方が漫画になって新聞に出ておるわけですよ。あれを見ると庶民は一目瞭然物がわかるわけでありまして、漫画の効用というのは非常に大きいと思います。また、漫画家の政治感覚というのは非常にすばらしいものがある、私はそう思うのですけれども、この住専問題を解説した漫画には、少し誤解を生じるんじゃないかなというような漫画もございます、後ほどお見せをしたいと思うのでございますけれども。  まず、今度の問題について加藤議員にお尋ねをしたいと思うのですが、加藤議員は、先刻朝日新聞に、「論壇」という欄に、住専処理策の特集としてこういう記事をお書きになりました。すばらしい論文だと思う。   住専問題は、例えて言うと日本の安定した金融システムという巨大なダムにあいた穴。その穴が広がり、急いでふさがなければダム自体が決壊し、下流の一般預金者に被害が及ぶ状態になっていた。取り返しがつかない事態にならぬよう、ダムに穴をあけた責任追及よりも先に大至急穴をふさがねばならなかった。その結果、株価は二万円台を回復し、ルービン米財務長官や主要七カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G7)からも評価され、政府・与党の決断は正しかったと証明されている。 こう書いてあります。  現在もやはりこの審議がずっと続いてきておりまして、いろいろな資料とか出ておりますが、これに敷衍して、今テレビでお聞きになっている方々に、こういうわけだから六千八百五十億つぎ込まなければならなかったんだ、五千五百円一人当たり負担していただかなければならなかったんだということを解説をしていただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  205. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 今度の住専処理は、当然、言うまでもなく政府が決められ、そして大蔵大臣、当時は武村さんだったわけですが、お決めになったわけであります。  政府の決定でありますけれども、その過程において我々与党は十分に相談を受けました。そして、特に私は、去年の九月まで政調会長をしておりましたし、今度は与党の責任会議の座長でありますし、幹事長であります。したがって、この決定には私は、非常に主要な意味で参画した一人と思っております。  その決定をするときに、かなり困難なことがございました。例えば、この点については社民党もさきがけも、それぞれ党内で大分御議論があって紛糾したようですけれども、自民党とて同じでありました。総務会というのが一番重要な場所なんですけれども、そこでは、通常は一回で決まるものが、間四、五時間置いて二回開かなければ決められなかった。しかし、本当にここを頑張らないと、我が党の総務会も決定できないぐらい際どい意見の対立てありましたし、物すごい議論であったわけであります。  しかし、そのとき私は、ここで幹事長として政調会長を助けてここの決定をしないと翌日どういうふうに諸外国の新聞は書くだろう。そして、これを決めることができないで流れた瞬間、ロイターはどういう電報を外国に打つだろう。そして、ジャパン・プレミアムは〇・五だったと思いますけれども、〇・一ぐらいまた上がりはしないだろうか。そしてまた株価は、政治とか政府の決定する力のなさ、リーダーシップのなさを嘆いて、悪くならないだろうか、株価が安くならないだろうか、そういうことを考えました。そして、どうしてもここは、いろいろ責任問題について国民の御議論があり不満はあるだろうけれども、決めるということが重要だったのではないかと思っております。  その前に、今度この決定をしたことで大変御議論をいただいておりますけれども、それまでの前の新聞各社の社説は、住専処理を急げ、九月まで決められなかったときには、それでいいのか、十二月まで決めると言ったけれども本当にそれをやり切れるのかという議論が連日続いたわけでございます。  そして、特に十二月は、もしあの決定がなければ、多分お金が忙しい時期ですから、恐らく農村の人たちがだんだん、住専処理をできない場合に農協系金融というものにかなり不安感が広がるということを見抜いてきたのではないか。そして、私は、今回の件は農協保護だとは思っておりません。ただ、農協系統金融にお金を預けている預金者に不安が起きて、そして農協じゃなくて、地元にある信用組合、信用金庫、信金、信組ないし郵便局、ここに預けかえるということが一挙に起こったら大変なことになりはしまいか。農村社会、お互いにいます。我々も農村社会にいますけれども、その農協の信用事業をやっている窓口と地元の郵便局の距離というのは大体五百メーターか一千メーターぐらいなのですね。すぐ預金の移しかえが起こる。まあ、そんなことを考えて、やはりここでは決めなければいけない。  そういう系統金融中心に、そこから発する日本の信用の取りつけ騒ぎみたいなのが起きたらこれは大変なことだ。十二月というのはそういうときなのだというふうに思って、何とか決定に至るべきだと思って頑張った次第でございます。
  206. 保利耕輔

    ○保利委員 御丁寧な説明、ありがとうございました。  実は、その金融不安ということが、テレビをごらんの皆様方、どの程度感じていらっしゃるか、あるいは体験をされたか。これは余り体験した人もないかもしれません。それは大変なことなのですね、取りつけ騒ぎというのが起こったときは。大阪でそれに類似したことがちょっとあった。銀行へ行って自分の預けている金が引き出せないという状態が全国的にあらゆる金融機関で起こったときは、日本は大混乱に陥るのと同時に、経済を動かしている血液が動かなくなるということでありますので、そういうことにならないように我々はいろいろ考えたわけであります。  その金融不安ということについて、武村前蔵相は大変お詳しいと思うのですが、わかりやすい説明を武村さんのお口からしていただけないでしょうか。
  207. 武村正義

    ○武村議員 加藤さんは、今金融システムをダムにお例えになりました。保利議員は、今血液とおっしゃいました。私も、人体に例えますと、やはり金融システムというのは心臓、動脈、静脈、それどころか体内の隅々まで血液を送り込む毛細管まで含めてこの役割、循環器全体の役割を日本経済の中で果たしている、そういうふうに申し上げていいのではないかと思っております。ですから、このシステムがどこかで壊れれば、体の一部が、場合によってはもう体全体が大変な事態になる。  それで、今度の住専、日本の不良債権全体はもちろんでありますが、住専は、そういう意味では動脈に発生した動脈瘤のようなものかなと。これはとにかく、それが存在し、だんだん悪化をしているということがわかってきた以上は、何としても、万難を排してこの動脈瘤は切開手術をしなければいけない、そんな思いで、昨年一年間この問題に当たってまいりました。  欧米ではアメリカを初めこういった困難に直面した例が、最近テレビ、新聞等も含めて紹介をされておりますが、御承知のように、我が日本も六十数年前、昭和金融恐慌という大変貴重な、しかも苦しい体験をいたしております。  ちょっとお時間をいただけるならば、私のおぼろげな記憶で恐縮でございますが、あの関東大震災後の日本経済は大変落ち込んでおりました。手形がどんどん回っておりまして、とうとう日本銀行がその手形を震災手形でどんどん割り引くというふうな事態になりました。日銀にその手形が集中してきたわけですが、政府はそれを補てんするという財政措置、約二億円でございますが、そういう予算を国会に提案をされたのであります。若槻礼次郎内閣でありますが。  ところが、当時の議事録などをちょっと見てみますと、今と同じと言ってはちょっとおかしいのですけれども、非常に厳しい議論になりまして、そもそも震災手形の美名のもとになぜ金融機関を救済しなければならないのかという議論もあったようですし、国民の膏血、膏血というのは血税と言ってもいいのですが、なぜ放漫経営をして破産した一部の政商に出すのか、こういうふうな論議がわあっと起こりまして、なかなか国会を通らない。そういう状況の中で、十一ぐらいの金融機関がばたばたと倒産をして、その事態になって初めてこの二法案は通りました。  ところが、その直後、またしても台湾銀行が危ないといううわさが広がって、台湾銀行が鈴木商店に貸し付けた資金が、かなり巨額でありますが不良債権化している、台湾銀行が危ないということで、これを救援しなければならない。時の政府は、続いて台湾銀行救援の予算、二億でありますが、これを含んだ法案を、もう国会を開く暇がないから勅令にして枢密院に提案をされたのでありますが、ここでも経営責任が明らかでないということなどの議論が集中して、とうとう枢密院はこの法案を否決をするに至りました。  それで若槻内閣は瓦解する、総辞職をするわけですが、途端に三十二の銀行が数日間ではたばたと倒れる、こういうことになって、反対をした当時の政友会が内閣を組織されて、田中義一内閣でありますが、逆に、反対を一転されて、日本銀行に対して台湾銀行支援の七億円の予算を提案をされて、あっという間に二億が七億に膨らんでいくわけですね。それがやっと通過して、そして昭和金融恐慌がおさまるという大変苦い経験をしているわけであります。当時の七億円というのは、総予算が十七億ですから、予算の約四割。GDPで見ますと、今と約三万倍ぐらいの差がございますから、一億円は約三兆円、二十兆円を超える規模の救援財政措置を講じてやっとおさめたという二度とあってはならない経験をしているわけであります。  ここで学ぶべきは、やはりこういう金融問題は、先ほど体内に例えましたけれども、起こったら迅速に手を打たなければならない。余り猶予を置いてはならないということが一つでありますし、ほっておけば傷口がどんどん膨らんでいく。このことはぜひ日本の貴重な経験として改めて学ばなければならない、そんな思いもありながら、私は昨年大蔵大臣として、この問題は何としても年内解決を図っていかなければならない、そんな強い使命感を持ちながら私なりの最善の努力を努めさせていただいた次第であります。
  208. 保利耕輔

    ○保利委員 大変難しいお話ですから、なかなかおわかりにくい聴視者の方もいらっしゃったのではないか、あるいはそう思うのですけれども、昨日来、ずっと参考人方々からお話を承っておりまして、官庁の方々、そしてまた金融機関母体行、一般行、さらには系統、さらに住専、さらにはまた住専からの融資先、いろいろな方々にお集まりをいただきまして、それぞれ同僚議員からいろいろ聞いていただきました。また野党の議員からも聞いていただきました。  まあどこが悪いのか、責任のなすり合いという言葉もあったけれども、自分たちはよかったのだということもなかなか言い切れないというような、みんなが責任を負っていくような感じの御答弁が多かったようでございます。  その中で、政治家というのは一体どういう責任を感ずるべきか。覚書でありますとか、その前の総量規制でありますとか、そういった問題もかなり出ておりまして、そこで政治家というのはそういう施策をやっていくについてどういう責任を持っていたのか、あるいは今どういう責任を感じなければならないのか、ここは反省をしなければならないところだと思います。  実は、ほかの党のことを申して大変失礼ですが、西岡新進党国対委員長が新聞のインタビューにお答えになりまして、「不良債権問題が深刻化しつつあった海部内閣時代、わたしは自民党総務会長だった。その時の幹事長は小沢一郎さん、政調会長は加藤六月さん。首相と党三役は今、みんな新進党にいる。他の人のことを言えば個人攻撃になるが、わたしにも責任はあります。与党としてもっと積極的に金融界の実態について党内で突っ込んだ議論をすればよかった」のではないかと、自民党時代の西岡さんの反省を込めてそうおっしゃっておられるわけです。  こういう点で、加藤幹事長はどういうふうにお感じになっていらっしゃるでしょうか。
  209. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 これは、ここの委員会で与野党なくみんなで議論しなければならないところだと思いますが、やはり政治家が責任あるとするならば、それは建前上の形式的な責任は全部政治家にございます。大臣にあるわけです。しかし同時に、実質的に、我々金融行政というものにどこまで本当に実質的に関与したのかというと、我々はかなり遠慮して余りタッチしなかった責任というのがあるのではないかと思います。  それは理由があると思います。例えば、公定歩合を一週間後に下げるべきかどうかを銀行局長及び日銀、これは日銀なわけですが、実質的には銀行局もかなり関与する、そういう中で一緒に議論して、政治家十人を一緒に入れてやった場合には、多分銀行局の人はこれは漏れるのじゃないかと思うと思います。  我々も、常に政治部、いや新聞記者の人たちに囲まれている仕事ですから、どうしても知っていることは外に言いたくなる。そうすると、それが伝わってどこかのインサイダー取引に関連したらどうだろうという気持ちがあるから、我々も、私なんか官房長官やったり政調会長やったり幹事長やっても、銀行局に、どうも公定歩合の引き下げのうわさがあるがどうかと聞いたことはありません。聞いたら、向こうが答えなかった場合には僕も怒るし向こうもばつが悪いと思うから聞かないわけであります。  例えば、どこどこの銀行が取りつけ騒ぎがあるかもしれぬ。木津信用組合が危ないらしいといったことを我々にかなり前から伝えられたら、我々はそれをもしかしたら知り合いの人に言うかもしれない。近畿方面の人に言うかもしれない。それが一体どんなことになるだろうかと思うものですから突っ込んで聞かない。だから、そう考えると、やはり銀行行政というのはどこまで政府が関与し政治が関与していいかということを徹底的に考えるとするならば、かなり技術的なものだから、かなりこれは、一つは、あるよほど信用のあるところでやるか、それとも一番いいのは、かなり規制緩和をしてもらう。自己責任でいくべきだ。  私は、今度の住専の問題は、政調会長として、また幹事長として二年ぐらい政策決定に関与したわけですけれども、今私に一言結論を言えと言われれば、MOF担のない金融界にしたい。MOF担という専門家用語なようですが、大蔵省担当という人が各銀行にいるそうです。MOF、ミニストリー・オブ・ファイナンス、大蔵省、それを担当するというのは各都市銀行ではエリート中のエリート、将来の頭取候補がなる。そういう人たちが大蔵省をずっと根回しし、知り合いになり、そして進んでいくような日本の金融政策、銀行行政というものが本当に正しいのだろうか。突き詰めて考えていくと、今度の住専の問題は、やはりMOF担がいる社会に起きた非常に日本的な問題点ではなかったのか。そこを、あえて言えば深刻に考えなかった私たち政治家の責任であると言えると思います。
  210. 保利耕輔

    ○保利委員 先ほどの論文の中でも、政治家の責任というのは、加藤幹事長御自身がやはり指摘をしておられるところであります。  そこで、銀行あるいは金融業界に対して我々は場合によっては注文をつけていかなきゃならぬ。となると、すぐにぴんとくるのが政治献金のあり方という問題になってくるわけですね。  これは実は、おとといでしたか、ある議員が、自民党、さきがけ、そして新進党も巨額な政治資金を銀行からもらっているではないかという指摘がありました。これに対してどういうふうな考え方をするか、まず最初に、前大蔵大臣であった武村議員、それから大蔵大臣経験者の藤井議員にお伺いをしたい、それから加藤幹事長にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  211. 武村正義

    ○武村議員 私どもの党も、昨年からでしょうか、金融機関の政治献金を受けております。自民党、新進党と並んで人数割でほぼ案分した金額を、年間七千万ぐらいに相当しますが、いただいているわけであります。  今回のこういう事態を踏まえて、今党内で真剣な議論をいたしておりますが、近々に当面辞退をするという方向で党の意見をまとめて決定をいたしたいというふうに考えております。
  212. 藤井裕久

    藤井(裕)議員 私も党でそれを決める立場にはないのでございますので、本当は決定された後にしていただきたいと思いますが、そういうことを申せば私的な意見を言えと必ず御質問があろうかと存じますので、私的な意見を申し上げさせていただきます。  私は、この今あります政治改革法、この基本的な理念の中に、企業献金を見直していく、個人献金は五年後には廃止する、個人献金じゃありません、政治家個人に対するものは廃止する、そして政党に対するものを見直す、こういうことを決めておるわけでありまして、それはやはり、今御指摘のような点も考えながらこういう物の考え方が政治改革法に盛られていると思います。  私は、金融の問題ならず産業政策一般にもあり得る話でありまして、これら一連の中で解決していくべきものであると考えております。
  213. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 政治にはお金がかかります。そういう意味で、最近公的資金をいただくようになりましてから大分企業献金の比重は下がってきておりますけれども、しかし産業界等からいただく資金は我々にとって非常に大切であり、現実の話としては資金はできるだけ多くあってほしいと思うのは幹事長としてどうしようもない正直な話でございます。  しかし同時に、今度の住専に関する各界の、また国民一般の大変な関心と不満、そういうものの中で、我が党の中でも国会対策委員会中心に、国民から誤解されないような、そしてわかりやすい審議をするためには、やはりそこは自粛すべきではないかという意見があって、党内で両論今激しい論争になっております。特に経理局の方は、繰り返しますが、政治にお金は必要だし、いろいろな業界からいただいていてもそれによって自分たちの論争を左右するようなことはしなかったし、また経理局の方から各議員にそんな圧力をかけたことはないじゃないですかという議論もあります。  そんなことをいろいろ党内で議論がある中で、先般、橋本総裁から、この問題について真剣に、深刻に考えて幹事長のもとで取りまとめてほしいという指示がございましたので、過去一週間ほど必死にやっておりまして、きょう役員会で、大体大筋こういうことなのかなというある種の素案みたいなものをつくりまして、それで、これに最終的に橋本総裁の御判断をきょういただいて、総裁のもとで手直しになるかもしれません、最終的に総裁の御判断をいただいて、近々総裁の発言として我が党の態度を明確にしたい、こう考えております。
  214. 保利耕輔

    ○保利委員 政治家は襟を正せというのはここからやっていくべきだと思いますので、その点は、今幹事長からお話がありましたように、加藤議員からお話がございましたように、真剣に私ども考えていかなきゃならぬことだと思います。ただ、政党活動をやはりきちんとやるためには資金が必要だということは国民の御理解をいただかなきゃならぬということは、私は前提に置かなきゃならぬと思っております。  さて、きょうは、ちょっと時間を使っちゃって申しわけありませんでしたが、新進党の議員お二人においでをいただいております。私の立場からいうと、新進党の議員にたくさん質問をしなきゃいけなかったのですが、ちょっと前段が長くなりました。  今、新進党さんはいろいろな政策決定をしておられる。今政治改革というお話もございましたが、選挙制度を改正していくというようなこともあった。新しい選挙制度で行われる。政策で勝負しようじゃないか。サービス合戦はもうないんだ。サービス合戦、別の意味のサービス合戦はあるかもしれませんが、いわゆるサービス合戦はなくして、政策で勝負しようということでやっております。  自民党の場合は、御存じのように、部会、調査会があり、政務調査会があり、政調審議会があり、そして総務会が最終的な決定機関になって、そこで全会一致を原則にして政策が決められてまいります。  新進党さんの場合は、どういう政策決定、政策立案並びに決定の過程をとっておられるか、これは田名部議員にちょっと御説明をいただけないでしょうか。
  215. 田名部匡省

    ○田名部議員 まあ大体、いろんな部会をつくったり、いろんなことをしておりますけれども、そんなに自民党と変わってはいない、その方向でやっております。  ただ、政策担当のプロジェクトでありますとか、あるいは複数にわたる省庁の問題については、重要な問題はプロジェクトをつくる、最終的にはトゥモロー・キャビネットでこれを決定する、こういうシステムであります。
  216. 保利耕輔

    ○保利委員 最終的な決定はトゥモロー・キャビネット、これは私どもの党にはないのでありまして、どういうものかがよくわかりませんけれども、それはそれで結構でしょう。  実は、去年の七月に参議院選挙がありまして、我が党は正直に言って新進党さんに負けました。比例代表の票も足りなかったわけです。そういうときに、選挙に勝つというのは、やはり政策で勝負ということになれば公約というのは非常に大事な要素になってくると思います。  これは純粋に公約ということになるのかどうか僕はわからないのですけれども、新進党さんがおつくりになった「新進」というこういう新聞には、住専問題についてと思いますけれども、「早急な景気回復」が必要である、このためにいろんな手を打っていくということが書いてある。公約ですね。そのために、例えば「公共料金を凍結」しますなんというのも書いてある。  これは、実は公共料金の凍結を外すのには大変苦労しました、私どもが。しかし、経済を動かすためにはやはりこれはどうしても外すことも必要だったので、注意深く、注意深くブレーキを緩めていきました。  それはそれとして、その景気回復の欄に「公的資金導入などで不良債権問題の早期解決」という項目が入っている。これはどういうプロセスを経てこの「公的資金導入などで」ということが決まったか、そこは御説明になれるでしょうか。
  217. 田名部匡省

    ○田名部議員 実は、きょうは私が大臣時代のお話かと思って来たものですから、余り詳しいことはわかりません。これも政策会議を開いて、公的資金ということだったと思います。ただ、公的資金意味は、日銀特融等でやるというので、国民に負担をさせるということではなかったように記憶いたしております。
  218. 保利耕輔

    ○保利委員 それでは重ねてお尋ねをしたいのですが、選挙をやるときはこのパンフレットでお勝ちになったわけですからね、公的資金導入でおやりになってはどうかな、私はそう思うのですけれども、いろいろなお説があるでしょう。  もう一つ、田名部議員には大事なことを伺わなければならぬ。住専問題に関する検討会というのを新進党の中におつくりになって、そこで「住専問題の解決に向けて」という報告を出されました。この中には、これはもう去年の十月十二日のことですから、「不良債権処理スキーム」として、完全母体行主義あるいは公的資金投入を前提にした修正母体行主義、こううたってあるんです。これは今でもお変わりないでしょうか。
  219. 田名部匡省

    ○田名部議員 私が当初これの責任者でやりましたときは、完全母体行主義ということを明確にいたしておりました。
  220. 保利耕輔

    ○保利委員 これは原文を読んでみると、この完全母体行主義と、それから修正母体行主義とが完全な形で並列に書いてあるんです。ですから、これはどうこうと言いませんけれども、これが、ことしになって、一月十二日に野田議員が座長になっておつくりになった住専問題対策委員会というものができておりますが、これと田名部さんの検討会との関係はどういうふうに考えたらいいのか、御説明をいただけぬでしょうか。
  221. 田名部匡省

    ○田名部議員 私がまとめたのは新進党としての結論でございます。したがって、野党でありますから、こういうことも、こういうこともということもこれにも書いてありますけれども、基本的にはこれをまとめるときは完全母体行主義で、そして公開性、透明性、そういうものをきちっと担保することが必要だ、あるいは責任を明確にしなければこの問題をやるときに国民は納得しませんよということで、こういう文に実はまとめました。
  222. 保利耕輔

    ○保利委員 いろんなお立場の方がいらっしゃるわけですが、この検討会の報告というのは野田委員会、つまり住専問題対策委員会に引き継がれたと考えてよろしいでしょうか。——公党ですからね。公党から公党にお伺いを立てているのですが、御回答がなければ、これは御回答がないということで結構でございます、私としては。ただ、いろいろな考え方があるんだな、大きな党だからいろんな考え方があるんだなというふうに私は理解をさせていただきたいと思います。  それから、実はその後、去年の十一月に、これは私のところなんですが、佐賀県で参議院の補欠選挙がありまして、我が党は加藤幹事長が五回もお入りになったというような激戦でございまして、そのときに実は新進党さんからは、私はもうこういうことは余り言いたくはないけれども、農林大臣経験者が六人おいでになったのです。そして、各農協をお回りになって、いろいろなことを言っていかれました。そのお約束はほごにはされないでしょうねということだけは、農林大臣経験者に聞いておきます。
  223. 田名部匡省

    ○田名部議員 たまたま農林大臣経験者が私の方にたくさんおるものですから、つい閣僚経験者は応援に入れと言って、そういうことになったと思いますが、そのとき申し上げて、まあ、私は私の分は申し上げてまいりました、新農政の話やらいろいろなことを。これはきちっと守っていくつもりであります。
  224. 保利耕輔

    ○保利委員 きちっと守っていくというお話を承りました。  さて、田名部さんにもう一つ。  例の覚書、平成五年二月三日ですか、覚書というのは、当時田名部農林大臣のもとで経済局長眞鍋さんその人だったと思うのですが、こういう覚書を大蔵省との間に交わしたよという報告はありましたでしょうか。
  225. 田名部匡省

    ○田名部議員 まとまるちょっと前だったと記憶をしておりますけれども、こういうふうに話し合いをいたしてまいりましたというのを私は見ました。  それで、それを受けまして、この母体行、母体金融機関責任を持って対応する、あとは一切迷惑かけないと。金利のところを見ましたらゼロで、こちらが四・五、ゼロまでいって、四・五とはいえ協力を求めている。こんな状況になると思っていませんでしたから。そういうことで、私は、それならば、再建、十年でできるというお話でありましたから、協力したらよかろうと。それで、それは私が決定するわけでも——私はもう前々からこれは記者会見でも、国会でも草川先生初め三人の先生方に質問されて、これはあくまでも当事者同士の話で、民間のことに私が入る問題ではないというので、大蔵省から三回ぐらい会いたいというのを私は全部けったのです。  そういう基本的な考えがありましたから、最終的には系統を集めてこれで了解を得なければならぬものですから、私に報告をしたという経緯がありました。
  226. 保利耕輔

    ○保利委員 系統を集めて了解を得なければならないものであったということは非常に重要なお話だと私は受けとめさせていただきます。  ところが、一方では、一方の当事者の銀行局長は、当時の大蔵大臣にこれを相談していない。まあ大蔵省と農林省はこうもやり方が違うのかなと、この間も御指摘があったのですけれども。そこら辺のところはやはり大蔵省の体質改善をしていかなければならない非常に大きなポイントだとして指摘をされておりました。今後私たちが大蔵省の問題について協議をしていく場合は、こういった問題をきちんとしていかなければならぬのだというふうに思っております。  せっかくおいでいただいております藤井議員、私の先輩でありますけれども、この覚書については、結ばれた当時はまだ大蔵大臣になっていらっしゃいませんでしたけれども、その後、これは、結ばれたのが平成五年の二月ですから、その後八月に大蔵大臣に御就任になっていらっしゃるのですが、この覚書は、こういうものがあるのですよと、農林省との間でこういう覚書を交わしておりますよという報告は、銀行局長からあっておりましたでしょうか。
  227. 藤井裕久

    藤井(裕)議員 ございません。
  228. 保利耕輔

    ○保利委員 これはまた大変重要なことでございまして、今農協系の、あるいは系統系の貸し込みが非常に多い、残高が多いということで大きな問題になっている。それは住専に絡む問題である。しかし、当時の大蔵大臣はそのことを銀行局から知らされていないということについては、これはやはり非常に大きな問題であったと思います。  大蔵大臣として、やはりこれはいろいろなところに目を配って、新聞とか何かもよくごらんになって措置をすべきことだったのかなと今にしては思いますけれども、しかし、当時はそういうことでいろいろ政変もありましたし、政治改革で大変お忙しかったこともありまして、なかなか難しかったんだろうと思いますけれども、これは我々が今後政治というものを反省していく場合の非常に大事なポイントだと私は考えております。御所見があればお伺いいたします。
  229. 藤井裕久

    藤井(裕)議員 今御指摘のように、これが結ばれたのは私の前任者の林さんのときであります。引き継ぎのときにはございませんでしたが、今お話しのように、私は、某紙の新聞にスクープされたときにこれを知りまして、銀行局長にこのことをただしました。その結果、要するにそれに基づいて再建計画ができているわけで、再建計画については事前によく話を聞いております。
  230. 保利耕輔

    ○保利委員 第二次の再建計画だと思いますけれども、その後これがつぶれてしまうわけですけれども。  実は、藤井議員にはもう一つお伺いをしたい点があります。  それは、直接は関係がありませんけれども平成六年度の予算の提出というのが大幅におくれました。これは三月になって出てきたのではないかと思うのですが、財政演説が三月四日に行われておりまして、越年をしたということは、これは大変なことだ。日本の財政の会計年度は四月に始まって三月に終わっておりますから、四月から新しい会計年度で予算を執行していくためにはどうしてもやはり年内編成というのが必要だというのは、これは常識になっておりますし、大蔵省御出身の藤井議員はそのことはもう十二分に承知をしておられると思うのですけれども、この越年編成をされた理由はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  231. 藤井裕久

    藤井(裕)議員 二年前、同じようなこのメンバーのところでいろいろと御議論をいただきました。  私は今保利委員のおっしゃることが常識だと思いますが、当時は、あれは平成五年の十二月でございましたが、政治改革法案をどうしても通さなければならない、これは、私は同時に大事なことだと思っておりました。そういう中でおくれました。そのかわりに、第三次補正を編成することによって景気の絶え間ない対策をとっていく。結果としては、平成六年一—三月、四—六月、それから七—九月、いずれも経済は、数字の上では明らかに上昇しているのは事実でございます。
  232. 保利耕輔

    ○保利委員 平成六年の二月十八日の会議録を見ますと、同僚の深谷議員がいろいろ質問をしておられます。その中で、細川総理大臣がこう答弁しておられます。   平成六年度の予算につきましては、昨年の十二月十七日に私も談話を出しておりますが、厳しい経済情勢に対応するための第三次補正予算の編成でありますとか、あるいはまた政治改革法案の審議等々もございました。そうした諸般の情勢を総合的に勘案をいたしまして越年編成ということになって、今日に至っているところでございます。 という御返事があった。  大蔵大臣としては、この常識である年内編成ということについて、細川総理には何か御進言をなさらなかったでしょうか、年内編成をすべしとか。
  233. 藤井裕久

    藤井(裕)議員 私は、連立内閣の一員として、総理の大変な御決断のもとに、政治改革を何としても通さなければならない、そうである以上は、これに従い、同時にまた、我々が責任を持っております経済運営に対しては万全を期すべく、第三次補正予算をお願いした次第でございます。
  234. 保利耕輔

    ○保利委員 財政の責任者としては、ここら辺問題ありますよということはやはり御指摘をいただきたかったなと私は思っておりますということを申し上げます。  さあ、時間が終わりますのでちょっと申し上げておきたいと思います。  私は、この予算委員会の審議を通じまして、資料の請求とかいろいろなことがございましたが、どうもやはり、何かまだすりガラスのような状態で向こうを見ているということが、つまるところ、少なくとも二つあると思っております。  その一つは、母体責任に絡みますところの紹介融資案件だと私は思っております。この紹介融資実態というのがなかなかつかめない、つかみにくい、そういう状態でございまして、これはもう大蔵省に幾ら言っても、大蔵省は手持ちデータの限界があるように思っておりますが、この紹介融資というのが母体責任を追及していく場合の非常に重要な要素であろうと思っております。  それから、もう一つすりガラスの向こうにあるのが暴力団絡みの問題でありまして、これもなかなか、警察庁でありますとか法務省、いろいろ聞いてみますけれども、断片的なデータはあるけれども総合したデータはない。特に短期賃借権を設定しているというような物件は何件あって幾らだというようなことは、これはデータとしては出せない。  だから、私はそういうことを考えますと、強力な回収機構というのをできるだけ早くつくって、そしてそこに権限を持たせて、そういった見えにくい問題についてどんどん進めていくという、いわばアメリカのRTC、すっかりそめものと同じではありませんが、というような形のものを早くつくるべきであろう、そして国民に奉仕すべきであろう。  アメリカの場合は八七%資産回収しておりますし、それから税金も、当初予想の四分の一で税金のつぎ込み方が済んでいる。それでも十三兆円という大きな金額を使っている。それから逮捕して有罪になったのが千五百人以上いるというようなことが新聞に出ておりました。  私は、当初申しましたように、いろいろな方が聞いていらっしゃるんですが、貯金を守るシステムを守ろう、そして取りつけ騒ぎが起こらないようにしよう、そういう制度をきちんと守っていこう、そして行政のやることは政治が目を光らせよう、そういうことをきちんと確認しなければいけないんだと思っております。  最後に、先日お亡くなりになりました文化勲章受章者の司馬遼太郎先生の遺稿といいますか、これが絶筆になるんですけれども、その文章の一部を読ませていただいて終わりたいと思います。一部省略をさせていただきます。  「住専の問題がおこっている。日本国にもはやあすがないようなこの事態に、せめて公的資金でそれを始末するのは当然なことである。その始末の痛みを通じて、土地を無用にさわることがいかに悪であったかを国民の一人一人が感じねばならない。でなければ、日本国にあすはない。」これが司馬先生の絶筆、遺稿であります。こういう立派な御意見もあったということを御紹介して、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  235. 上原康助

    上原委員長 これにて保利君の質疑は終了いたしました。  次に、愛知和男君。
  236. 愛知和男

    愛知委員 新進党の愛知和男でございます。  本題に入ります前に、私は、新進党のいわゆる明日の内閣の官房長官役を務めておりますので、その立場から一言、このたび北海道古平町で起きましたトンネル事故につきまして、被災された方々に、あるいは御家族の皆さんに、心よりお見舞いを申し上げたいと存じます。  私どもも、明日の内閣の国土・建設政策大臣を本部長といたしまして対策本部を設置いたしまして、既に現地視察も済ませておりますが、今後、救済作業の促進とか、被災者、御家族の方々への対応、さらにはこの地域のみならず周辺地域における事故の再発防止、こういったものに対しまして全力を挙げて努力をしていく決意でございますので、この機会に申し上げさせていただきます。  さて、加藤さん、最初に加藤さんに幾つかお尋ねをさせていただきますが、まずもって、加藤さんは今幹事長をやっておられますが、個人的にも随分、過去いろいろ御縁がございまして、御指導を賜ってまいりました。こういう形でやりとりをするというのも何かやりにくい面もないわけではございませんが、先ほどちょっとお触れになっておられましたけれども、ここしばらく官房長官とか幹事長代理だとか政調会長とか、今は幹事長でいらっしゃいます。そしていずれ近い将来、総理大臣、まあ橋本内閣ができたばかりですから、今ポスト橋本内閣と言うのはちょっと不謹慎かもしれませんけれども、いずれそういう立場でこの日本を背負っていかれるお方のお一人だと思っております。  そういう加藤さんですから、この住専の問題についてもいろいろと深くかかわりを持ってこられたわけでございますし、また、これから日本をどうしたらいいかということについてもいろいろお考えだと思うのでございますが、そういう加藤さんにまず基本的なことをお伺いしておきたいと思います。  実は、同じことをせんだってこの場から橋本総理にもお伺いしたのでございますが、私は、この住専問題、これは大変残念なことで、こういうものが起きてしまったということは、どこにどういう責任があるかとか、いろいろ責任を追及することももちろん大事でありますけれども、我々として基本的に認識をしなきゃならないこと、これは、住専問題の本質といいましょうか、どうしてこういうものが起きたかということをきちっと理解をしてかからなくちゃいけない、そう思うのでございます。  私は、この住専問題がどうして起きちゃったか。これは我が国が第二次世界大戦で敗戦ということになりまして、そして日本の社会の仕組み、戦争以前のものが敗戦をきっかけにすっかり変わった、全く新しくなって日本は新しく再出発をしたわけでございます。それ以前と敗戦後というのは、社会体制、あらゆる面で違いがあった。新しい仕組みの中で新しい日本の国づくりが進められてまいりました。この新しい仕組みが大変うまく機能した。これは仕組みが機能しただけではなくて、その中で、私どもの世代からいいますと大先輩の皆様方が大変努力をされた。先輩の方々には、私どもの世代、若い世代は本当に心から感謝を申し上げなければならないわけでございますが、いずれにいたしましても、新しい仕組みが大変うまく機能した、そこで今日の日本のこの発展があるのだろうと思うのでございます。  ところが、そのときと今とを比べますと、あらゆる状況が変わってしまった。まず我が日本でございますが、日本も敗戦直後は、本当に食うや食わずの毎日でございました。全くみじめな姿だったわけでございます。ところが今はどうか。食べる物は足りないところか、いわゆる飽食の時代でありますし、食事をすれば随分食べ残しがいっぱいありますし、そういう、すっかり状況は変わってしまいました。  また、そういう状況のもとで、世界の中での日本という立場もすっかり変わりました。敗戦直後は、日本はかわいそうな国だということで、いろいろほかの国々から同情もされました、援助もしていただきました。特にアメリカには大変お世話になりました。そういう状況だったわけですが、今日どうなったかといいますと、世界の国々の中で日本に同情を寄せてくれる国なんかはないわけであります。また、世界そのものもすっかり変わっちゃったわけでありまして、東西対決、こういうものがすっかり変わってしまった。  ありとあらゆる部分が変わっちゃったわけですから、したがいまして、敗戦後できた日本の社会の仕組みというものを新しい時代に合わせて変えなければいけない、これが今時代が求めていることではなかろうか、こう思うのでございます。  ところが、社会の全体の仕組みをすっかり変えるというのはそう簡単ではありません、口で言うほど。ですから、歴史の中に起きるのは、例えば我々が経験しました戦争、敗戦ということですっかりがらりと変える、あるいは、国内におきましては革命のようなことが起きてがらっと変えるというようなことはありますけれども、今日のように平和なときに、しかも平和裏にこの社会の仕組みを変えるというのはなかなか難しいわけでありまして、しかし、だけれども、やらなきゃならない。  それをやらないと、この日本そのものがそれこそ沈没しちゃうんじゃないか。我々が今生きている世代はまだいいとして、我々の次に来る世代、こういう世代が大変な迷惑をこうむるんではないか。だから今やらなきゃならない。改革をしなきゃならない。これが今この時代が求めていることだと思います。改革というのは痛みを伴うわけだし、いろいろ時には血が流れることでもあるかもしれません。しかし、やらなきゃならない。  実はこのことが、私どもの新しい政党をつくりました基本的な理念でありまして、ついこの間の新進党の党大会でもさらにそれを確認したということで新しく出発しているわけでございますが、少々前置きが長くなりましたけれども、その仕組みが実はなかなか変えられない。その変えられない結果があらわれたのが、この住専という事象なんではないか。  したがいまして、この住専という問題を解決するということは、もちろん解決しなきゃなりませんけれども、この住専という問題を解決しただけでは不十分なんであって、我々政治家がこの住専の問題に取り組む基本的な姿勢は、この住専の問題の解決を通じて、今の社会全体のいろいろな仕組みで新しく変えなきゃならないことを変えていくそのきっかけにしなきゃならない、そういう視点が大事だと思うのでございます。  例えばこの金融の問題にいたしましても、大蔵省のあり方、金融行政のあり方、こういうものが結局、戦後は大変うまく機能しました。それが新しい時代にふさわしくなくなっちゃったところがいろんな問題点としてあらわれているんでしょう。  あるいは農業関係だってそうだと思いますね。農協という存在は、昔は農家のお互いに助け合う仕組みだったわけですね。それが大変うまく機能したと思います。しかし、それがだんだんだんだん農協は農協になってしまって、農家と離れて自分で活動し始めて、それで農協がいわば自己増殖というような形になり、商社機能が非常に大きくなり、そしてその中で当然金融機関金融機能というのができてくる。したがって、農協が農家のための農協からいささか離れてしまって、農協のための農協になってしまったという部分がかなり出てきたんではないか。こういう問題も、仕組みが古くなっちゃったということの現象なんですね。  したがいまして、こういう住専の問題を解決するというその事象を、責任がだれだとか、だれが責任とるかとかということももちろん大事です。大事ですけれども、それだけでやっていたんでは、本来政治家、今この時代に生きる我々の政治家としての役割を果たしたことにはならないじゃないか。特にこれから、先ほど冒頭に申し上げましたけれども、日本を背負っていかれようという加藤さんでございますから、そのことをぜひ、基本的な認識をどう認識しておられるか、そのことをお伺いしたいのでございます。
  237. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 今愛知さんおっしゃいましたことは、私は基本的に同感でございます。  今度の住専の問題は、今、公的資金を導入したことがいいか悪いかの議論になっておりますが、これからだんだん、一体責任はだれにあるかというもっと具体的な話になってくると思います。しかし、その問題を終えて、そしてその後に住専問題から我々何を学ぶのかということを考えたときに、まあ責任者は明確にしたし、それなりに責任のある人は刑務所に入ったし、そういう場面がこれから続々と出てくると思いますが、そういうことで終わって留飲が下がったというだけではいかぬのだろうと思います。  再び、もう一回この住専という議論が起きないようにするにはどうしたらいいか。先ほど言いましたように、一つは、日本の金融政策をどうすべきかということを我々政治家が、ここの、言うなれば大論議の中から提起していかなければいけないのではないかなと思っております。  愛知さんがおっしゃいましたように、戦後の日本経済を傾斜方式で積極的に一ある特定の目標に向かって発展させるためには、金融はある意味政府がかなりコントロールするということが必要だったのだろうと思いますけれども、しかし、それがある一定の段階に来たときに、本来ならばもっともっと自由化しなければならなかったのがおくれたのでないかなと思います。  私は、住専の問題が起きて、そして九〇年ごろ、九二年ごろ、九三年ごろ、それぞれ大蔵省責任者がいろんな行為をしたと思いますけれども、それは、ある意味では私はパッチワーク、その場しのぎの、何といいますか、そのときのびほう策にすぎなかったんではないかと思います。  じゃ、それはなぜか。その人たちが悪いということも言えます。またそれは、例えば大蔵省の銀行に対するコントロールというものを保持していきたいという気持ちが心の中にあったとは思います。しかし同時に、新しい政策もやらなきゃならぬと思って、金融政策の基本的な議論を大蔵省銀行局の人たちはしていたと思うんですけれども、しかし、それをずっと進めていく勇気みたいなもの、それから多くの応援みたいなもの、それはなかなかなかったんではないかなと思います。  例えば預金金利の自由化の問題にしたって、それをやろうとしたんだろうと思います。アメリカ、イギリスのようないろんな制度改革をしようとしたんだろうと思います。しかしそういうときに、当然のことながら、従来の既存利益のところからは反対が出ますから、そういったときに我々がそれを、そうだ、一生懸命改革しなさいといって応援するほど一生懸命その金融政策のことを我々が勉強していたかというと、まあそういう人はごく一部で、財政関係の議員の人ごく一部で、ここにも何人かそういう方がいらっしゃいますが、それ以外の人たちは、まあそこは専門家の議員に任せておけばいいということで、大きな政治力にはならなかったんではないかな。私は、そこは我々政治の方も反省しなければならない分野ではないかなと思います。  ですから、きょう我々与党三党で、今回の件から大蔵省問題をどうしようかというその討議の場を、どういう場所で、どういつだフレームワークで検討しようかということを相談し合いました。三党の幹事長、代表幹事及び政調会長及び政審会長の六人で相談したんですが、一体この検討のテーマを何という委員会にするかで四十分ぐらい議論しました。結論は、「金融行政をはじめとする大蔵省改革問題委員会」、ちょっと長いんですけれども、そういうことにいたしました。  それは金融問題を今回のことを契機に勉強し、一体農林省が管轄している住専、農林系信用事業の統括をどうするのか、それから郵貯をどうするのか、それから都道府県に任せてある信組のコントロールをどうするのか、それを一緒に考えなきゃならぬときもあるんじゃないか。また、ノンバンクの問題もあり、セミ金融機関みたいな住専もあるわけで、これを全部一緒にして、そうすると、ここの上に大蔵大臣がついちゃうとそれはまた大変なことになるんではないか、そういうこともありまして、我々もそこを議論していきたいと思っておりますので、ぜひ新進党の皆さんもその御議論をお願いしたいと思っております。
  238. 愛知和男

    愛知委員 いろいろとお話ございましたが、ぜひ今度の住専問題に対する基本的な取り組みをきちっと踏まえてやっていただきたい。  先ほど保利委員から論文の御紹介がございましたけれども、残念ながらこの論文から、確かにいろいろ書いてございますけれども、この日本の社会全体を新しくしていくものだというようなあれを感じられないのが残念でならないんでございますが、それはいいとして、ちょっと時間が大分あれしてしまいましたので、少々細かいことになりますけれども、続いて加藤さんにお伺いしたいと思います。  実はせんだって、私この場に立ちましたときに、いろいろと加藤、当時の官房長官だったころのことにつきまして触れまして、これは平成四年の後半だと思いますが、当時の加藤官房長官を中心にいたしまして銀行局の幹部も参加して勉強会が開かれて、住専問題につきましていろいろ協議が行われたのではないかということをお伺いをいたしました。  その後、加藤さん記者会見で、銀行局の人と十数年来の勉強会をしているのは事実だというような御返事があったようでございますが、その銀行局の人との勉強会に信連初め農林系統金融機関の幹部が参加していたのではないか。いかがでしょうか。
  239. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 全く事実に反します。  その勉強会というのは、私、金融とか証券とか、こういう分野、非常に弱いものですから少し勉強しなきゃならぬと思って、昭和五十九年に、ちょっと銀行局の人とか証券会社の若手の人に友人がいたものですから、声をかけて、九段のすし屋さんの二階で始めた勉強会が今日までで十二年ほど、五十九年ですから十一、二年続いております。年に一回か二回のペースでやっておりますが、それは完全に金融問題、財政問題に関する放談会でありまして、そこに私以外の国会議員とかそれから農業関係者があらわれたことは一回もございません。
  240. 愛知和男

    愛知委員 いわゆる覚書がこの前後に締結されるわけでございますが、覚書の前に、農林系統金融機関の幹部から公的資金を使って処理するよう依頼されたことはございませんか。
  241. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 ございません。  平成四年ごろ、系統の、つまり農協系統の人はそういう住専の問題について余り私たちに言わなかった。ただ、新聞等で世の中に住専という問題があるよというのを少しずつ知りまして、ああこれは貸し込んでいて大変なんだなという程度の意識でありました。もっともっと鋭い問題意識を持つべきだったと思います。  また、当時農協系統の人は、これは自分たちが貸した金を返してもらう、そういう動きを多分やっていたのであって、それに差があるから、どこか銀行との間に主義主張に差があって、言い値にお互いに幅が縮まらないところがあるから公的資金を導入してもらいたいというスタンスでは絶対ない。ごく最近までそうだったわけですから、そのときに公的資金導入の話があるはずはありません。
  242. 愛知和男

    愛知委員 昨日の参考人質疑寺村元銀行局長が、公的資金の問題で、官邸から提案があったが無理だと説明したと述べておられます。官邸という以上、総理か官房長官でございますが、官房長官は加藤さんだったわけでございまして、多分官邸から提案があったという、その官邸というのは加藤さんなのではないか、こう思うのでございます。私たちが調査したところによりますと、加藤さんが大蔵省幹部に住専処理に財投資金を投入して処理したらどうかという要求をされましたところが、それに対して大蔵省幹部からとんでもないと一蹴されたようで、それ以来大蔵省と加藤さんとの関係が極めて険悪になったというような話なども伝わっているのでございますが、それはそれとして、官邸から提案があって、それで無理だと言ったという寺村さんのきのうのお答えに対して、いかがお答えになりますか。
  243. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 公的資金導入した方がいいではないかと私が言ったことはないのです。どういう調査機関でお調べになったか後でゆっくり聞かせていただきたいと思うのですけれども、すごい調査機関だなと尊敬いたさざるを得ないぐらいでたらめでございます。  でも、官邸の方が公的資金の導入ということを考えとして持ったことは事実でございます。それは宮澤喜一総理大臣です。それで、八月十五日、平成の四年の八月十五日前後は株価が一万四千円前後になるという非常に危機的な状態でありまして、宮澤さんも当時、加藤さん、あなた夏休みだけれども首相官邸に残っていてくれ、自分は軽井沢に行くけれども、何かがあったらすぐ三時間で東京に戻ってくると言い残して行くぐらい危機的な状態でございまして、そして八月の十八日に、当面の金融問題についての指針でしたか、そういうものを銀行局が出しました。  これもまた非常に、内幕を申せば、私自身にその話が入ったのは、午後四時発表か五時発表だったのですが、午後二時ごろでございまして、若干内心おもしろくなかったことを覚えております。でも、それは本当に、私たちのところに伝わってそれが外に出たら、これは株価を上げるための話でございますから、私が仲間の十人ほどに言ったら十人の方みんな株でもうかっちゃうというような話でありますから、情報をコントロールするのは当然だったと私は今でも思っております。  その前後で宮澤さんは、そういう危機感のもとで、公的資金の導入を考えてここを処理しなければいけないというふうに思われました。それで、宮澤さんにはそれなりのブレーンの方がいて、その人たちが提言されたこともあったと思います。しかし、これはいわゆる経済界から反対があって、簡単に言えばつぶれたと思っています。  ある一回、宮澤さんが平岩経団連会長とこの問題で話をされました。九月か十月ぐらいだったと思います。私もそのときは同席しました。そのときに平岩さんが言ったのが、都内のホテルですけれども、印象的だったのは、銀行がいろいろなことをやったツケを公的資金で助けるのですか、これについては銀行以外の経済界、普通の製造業などの産業界には大変強い不満がありますということをおっしゃって、そうですがということで、その気迫で、平岩さん静かな方ですが、それを言うときの気迫はすごいものでございました。  一方、その当時、私も銀行の人たちと別途会いましたら、銀行の方も、いい銀行はこれを乗り越えていきます、悪い銀行が淘汰されるのです、そういうときに、一斉に公的資金でそれをみそもくそも、いいところも悪いところも、努力したところもいいかげんな経営をしたところも同じに信用秩序を維持するということで救うのですか、それはおかしいと思いますと銀行界自身が反対でありました。  そういう中で、宮澤さんはその後も私に何度も公的資金の導入のことをおっしゃいましたけれども、それは今日まで我々決断には至らなかったのであります。で、去年十二月十九日ですか、この住専処理が決まったときに、本会議で宮澤さんが、加藤さん、あれでよかったのですよと言ったのが印象的でございました。
  244. 愛知和男

    愛知委員 要するに、官邸が提案した公的資金は無理だということで、その代案として考え出されたのがいわゆる覚書だったということは容易に想像がつくわけでありまして、つまり覚書というのは政治主導、特に加藤さんが主導でこの覚書というものができた。これは、きのうの寺村さんの答えからそういうことが十分推測されるわけでございますが、この覚書につきまして、加藤さんはどういう見解、評価をお持ちでございましょうか。
  245. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 私が、その覚書の存在をある意味じゃ表にしたのかもしれません。  去年、我々与党政策調整会議というのがありますが、そこで住専問題を大変議論いたしました。そういう中で、農協の代表の方、それから全銀協の代表の方に来てもらいまして、そしてお互いにその立場で激しい議論をしました。  そして、その中で、これについては母体行側が責任を持ちますという文書がありますということを農協系統の人が言いました。これに対して銀行の人は、そんなものはありませんと言いました。そうしたら、農協系統の人がばんと机をたたいて、ありますとどなったのであります。そのとき、全銀協の方が下を向いてしまいました。そのとき、ああ住専問題の本当の感覚はこの辺だなという印象を私は持ちました。そして、その文書があるならば出してほしいということを言い、そして、当時プロジェクトチームを指導しておられました越智さんのところで日にちを決めて新聞等に発表したのでございます。  私も見て、ああ、やはりこういう経緯、こういう書き方がされるということは、それなりに母体行側が資金引き揚げのときに大変苦境に立ってあんな文章になったんだな、母体行側はあの文書にはかかわりはないとおっしゃっているかもしれませんが、当時の雰囲気を代表した、体現しているものでないかな、こう思っております。
  246. 愛知和男

    愛知委員 覚書につきましては、当時の大蔵省の幹部だった人たちなどに聞いてみましても、官邸サイドからゴーのサインがあったからできたものであって、これはもう役所同士の、局長同士でこんなものがとても書けるものではないというようなことを述懐しておりますが、いかがでしょうか。
  247. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 私が官房長官をしておりましたときに大蔵大臣をされておりましたのが、我が農林族の兄貴分の羽田孜さんでございます。それでお答えになると思いますが。  それは、恐らく官邸の方で私たちがとやかく言う筋合いのものでございません。それから私も、この農業金融の問題、いろいろ問題があるらしいということはさっきお話し申し上げておりましたが、羽田さんが大蔵大臣をされておることでございますし、別にそういうところで私の口を出すことではないと思っていました。ただ、羽田さんとて私は細かく相談されていないと思います。  あの覚書をつくったときに林大蔵大臣にも報告していないというわけですから、藤井さんも今聞いていないというわけですから。だから、これは自民党の代議士が、前の閣僚がどうしたこうしたとか、新進党の羽田さんとか藤井さんがどうしたとかという話じゃなくて、我々政治家自身がお互いに、どこまで日本の行政と政治をみずから責任を持ってコントロールしているんだろうかと、そういう反省点を議論すべきであって、ここで与党、野党で泥をかけ合うような筋合いの話ではないと思っています。
  248. 愛知和男

    愛知委員 この覚書が事態を非常にわかりにくくしたと武村さんは批判しておられますが、いかがですか。
  249. 武村正義

    ○武村議員 私も、これまでの答弁でも申し上げてまいりましたが、第二次再建計画がつくられるために、最終段階でどうしてもこの覚書は必要であったという認識であります。  ただ、結果として、振り返ると、この覚書が確かに三年余り、これが背景になって再建計画がつくられて三年余り悪化を拡大してきた。年間一兆円余り不良債権がぐんぐんふえていく、これは結果論としてそう見ることはできるわけであります。  なお、覚書そのものは、やはり当時の、今加藤幹事長おっしゃったように、農林系統側と銀行側の利害が大変対立をしていた状況の中で両省の両局長がつくったわけでありますから、文章そのものも、そうわかりやすい文章ではないということも事実であります。
  250. 愛知和男

    愛知委員 この住専の問題は大変大きな課題であり、この政策をどうするか、どういうふうな方向でこれを決定するかというところに、政治家がそこに関与するということは私は決して悪いことじゃないと思いますね、これはむしろ。ところが、どうも政治の介入というような形でそれを隠すような傾向がなかったんだろうか。これを非常に心配するわけでございまして、もしそういうことがあったんだとしますと、これはやはり政治と何か関係団体、関係者との間の、決していい関係ではない何かがあったからそういうことになる。あるとするとなっちゃうわけですね。ですから、私は、こういう重要な政策課題に政治家が堂々とそれは関与して、こういう決定をしたんだということをはっきり言わなくちゃいけない、こう思うんです、基本的に。  そういうことで、加藤さん、この覚書というのは今度のスキームで物すごく大きな役割を果たしているわけですから、これは私は加藤さんが、この覚書というものができて、基本的なスキームができる中で大きな役割を果たしたと思っておりますけれども、念のために申し上げておきますけれども、加藤さんはいわゆる世間で言う農林族と言われているわけでございますが、そういう加藤さんがここに関係をして、そしてどちらかというと農協系統の関係の方に有利なといいますか、軸足を置いたような結論、結果としてそういう解決案になったというようなことを言われているわけだし、どうも今までのいろいろな質疑の中でそう思わざるを得ない。  そういうことで、念のため伺っておきますと、加藤さんは今まで、いわゆる農林系統金融機関などからパーティー券その他で資金援助というようなものを受けたことがないでしょうね。ないと思いますが、そのことを確認しておきますけれども
  251. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 私が今までパーティーをしたのは二回ぐらいあろうと思いますけれども、防衛庁長官になったときと、それからごく最近ですけれども、そのときに農協系統の方から少しはおつき合いいただきました。しかし、それは大きなものではありません。
  252. 愛知和男

    愛知委員 ちょっと覚書の話と違うことで恐縮ですが、さらに加藤さんにお伺いしておきたいと思いますが、大蔵省が提出しました資料で、住宅ローンサービスが融資して不良債権となった企業に共和、これが七十三億というのが出ております。  この共和というのは、平成三年に破産をした共和、いわゆる共和汚職事件の共和であると判明しているわけでございますが、当時の朝日新聞、平成四年一月十四日の朝刊でございますが、この記事、   阿部文男代議士にわいろを贈った疑いがもたれている共和は、リース会社などノンバンクから二千億円以上を借りまくり、その一部が政界の工作資金に回っていたようだ。貸し込んだノンバンクは資金回収のめどが立たず、相当部分が回収不能、と見られている。ノンバンクの資金源は銀行など金融機関で、結果的には預金者のカネが共和を通じて政界をはじめあちこちにバラまかれたことになる。 解説記事として、   贈賄側の森口五郎・元共和副社長には約二十二億円の使途不明金があり、阿部元長官のほか首相経験者を含む複数の国会議員に多額の資金が提供されたとされる。   強制捜査の手がこれ以上広がるかどうかは微妙だが、共和は約二千八百億円の負債を抱えて倒産、破産管財人による整理が行われている。今回の捜査で資産の提供先が特定されれば、管財人の側からそれら議員に返還を求める事態も予想され、事件のもたらす影響は広く深いものがある。 こういう記事が掲載されたわけです。  この事件で政界工作として使われた金額は森口副社長関係でも十三億円と言われておりますが、要するに、住専の金もこのような形で使われていたということがわかったわけでございます。実は、この共和事件をめぐりまして、第百二十三回国会、衆参両院の予算委員会中心に事実の究明や責任問題が議論されました。  会議録を調べてみますと、共和の森口副社長が破産管財人に提出した報告に、平成二年二月に、総選挙のころでございますが、森口氏が加藤紘一さんに一千万円を渡したことについて書いてある。それについての質疑が行われております。  当時加藤さんは、内閣官房長官として答弁に立たれまして、記憶にない、あるいは私が受け取ることはございませんといった趣旨の答弁をしておられます。しかし、その後、事実の解明はそのままになっているわけでございますが、図らずもこの住専の問題がこのように社会問題になり、その融資をした資金がどのように使われたのか、今いろいろ政治問題、社会問題になっているわけでございます。  改めてこの件につきまして加藤さんに確認をしておきたいと存じますが、共和の森口副社長から平成二年二月ごろ一千万を受け取ったことはなかった、こういうことでございますか。
  253. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 その話は、私が官房長官時代、何度もこの場所で質疑されました。またきょうその話が出るとは思っておりませんでしたので、詳細に当時どういう答弁をしたのか覚えておりませんが、一つだけはっきりしていることは、その森口という人が私の後援会の中のあるメンバーであったということは当時も申し上げたとおりですが、それで、どういうことでそういう、彼に会ったとかどうとかということについては、私は記憶がありません。そしてまた、当時住専というのも余り問題になっていませんでしたので、後援会になっていただくときに、あなた、住専からお金借りていますかとか融資先、そんなことを聞くわけにもいきませんし、また住専という意識もありませんし、それはここの議論としてはちょっと無理なんじゃないかなと思います。
  254. 愛知和男

    愛知委員 いろいろと加藤さんに質問申し上げましたけれども、武村前大蔵大臣にあと幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。(発言する者あり)
  255. 上原康助

    上原委員長 お静かに願います。
  256. 愛知和男

    愛知委員 武村さん、大蔵大臣として一生懸命頑張られたとは思いますが、突然おやめになってしまって、残念だったと申し上げていいのか、もっと頑張っていただきたかったと申し上げていいのか。  それはそれとしまして、この住専問題に関しまして、実は村山前総理は、住専処理への税金投入を決めた閣議決定の記者会見、これは去年の十二月の二十日の未明だったと思いますが、農協系金融機関は零細な農家の上につくられており能力の限界がある、混乱をさせないための農政上の判断だというようなことを言っておられまして、この政府案の本質が農村救済にあったということを明確にしておられますし、最近も富山市におきまして記者会見をして、これは二月の十日でございますが、「負担能力を超えて負担させればつぶれる。系統機関が全部つぶれれば、日本の農業はだめになる。農業をつぶすわけにはいかない」、こういうふうに述べておられます。  また、武村さんも、実は最近朝日新聞のインタビューが出ておりますが、その中で、「政府はどうして、はっきり「農協系の取り付け騒ぎを防ぐため」と説明しないのか」という問いに対しまして、「そういう言い方は、正直で、間違っていないと思う。当時、大臣室でも『農水省予算にしたらどうか。農協金融安定化資金と名付けたほうが、全体像としてはわかりやすいし、正直だ』」、こう、農協系救済のための住専処理策であることを肯定しておられるわけでございます。この点につきましていかがでしょうか。
  257. 武村正義

    ○武村議員 最終段階で、これはもう毎日のように私の部屋で議論を続けておりました。どうしても公的支援避けがたいという状況になりましたのは十二月の半ばごろであったかと思いますが、そういう中でも朝昼晩いろいろ議論をしておりました。その中で、私自身があるとき、これは農林省の予算にして農林系金融機関を緊急支援するための予算、こういうふうにできるといいがな、これは思わずそういう感想を言ったわけですが、すかさず次官でしたか局長でしたか、それは大臣、だめです、農水省がのみませんと。  というよりも、私自身も、この国会での昨年末、秋の議論、肌で感じておりました。ある意味では党派を超えて、農林系はむしろ気の毒だ、母体行に一番大きな責任があるという、共産党もそうでございますし新進党もそうでした。そんな雰囲気を肌で感じておりましたから、それはそうだな、無理だな、こんなやりとりをした一幕があったことをあえて申し上げているわけです。そういう考え方もあった、私にもあったと。しかし、最終的には、これは全体をまとめるためにはその論点一つ整理をすることはよくないという総合判断をさしていただいたわけであります。  もう今の政府とのさまざまな論議が重ねられているところでございますが、住専責任母体行の責任、一般行の責任、そして系統の責任、もちろん借り手の責任もあるんですが、そういう中で、錯綜したこの債権債務関係を踏まえた負担割合を決める大作業でございました。したがって、それぞれが最終段階では、母体行がぎりぎりどこまで負担すべきか、これはもう全額債権放棄という三・五兆円、これでお願いしようと。まだ、この案をまとめたときには、母体行もオーケーはしておられませんでした。その要請をしようと。そして一般行は、二次分も含めた修正母体行主義といいますか、この案分の一・七兆円を負担いただこうと。  そして残りをどうするか。農林系にはぜひ、体力が弱いし余力がないけれども、その中でやはり貸し手としての精いっぱいのリスク責任といいますか、それを背景にした協力をいただこう、こういう考えお願いをしておりましたし、また、野呂田大臣を初めとして、農林系には基本的には責任がないとおっしゃりながらも、リスクの責任というなら何らかのやはり可能な協力考えたい、こういう御姿勢でございましたが、最終、そういう中で、いわゆる農林系統の全国の経営実態、県信連も県共済も農中も含めたこの実態をきちっと把握をされて、ぎりぎり五千三百億が最大限だと、こういう御判断でありました。  したがって、そういう意味では、最終段階ではもはや大蔵省としてもこの五千三百億円の協力を了解さしていただく以外にすべはないと。そして、そのときの説明としては、これでもう半分ぐらいの信連が赤字に転落します、これでもそうですということでございます。昨今詳細なデータが国会報告されておりますような、ああいう状況を背景にして野呂田大臣から説明を受けたところであります。  私は、この話を最終段階で了解をさしていただいて、全体像をまとめさしていただいたという経緯でございます。
  258. 愛知和男

    愛知委員 いろいろな状況の中で総合的に政治判断をした、こういうことですか。
  259. 武村正義

    ○武村議員 先ほど来も、政治的とか、政治がつくと、大変残念でありますが、今世の中、何かいかがわしいとかいいかげんだとか、そんなふうにとられる。私も今度この五千三百億最終やむなしというのは、まさに大所高所からの政治判断ですと、こう率直に朝日のインタビューにも答えたわけですが、その政治的判断という表現が、いかにも何かアバウトというかつかみ金というか、そういう根拠のない判断であるかのごとく一部とられておりますが、私はそういう意味で申し上げたつもりはありません。  我々は、国会があり、議院内閣制を構成し、行政の中には大臣として責任を負っているわけでありまして、そういう意味で、政治的判断というのはまさに最高の責任を負った最終の判断と、そういう意味で私はこの政治的判断という言葉を使わしていただいたつもりであります。
  260. 愛知和男

    愛知委員 先ほど私が申し上げましたが、政治的な判断というのはしなきゃいけないと思いますね。ですから、そのことを悪い意味で批判をしていることを言っているのではありません。しかし、政治判断をして決めた人がいなくなっちゃったというんですから、今。政治判断をした人がやはりこの問題を審議をするときには内閣の一員としていなかったらどうするんですか。それじゃ、今の大蔵大臣が政治的な判断をしたのでないでしょう。政治的な判断というのは人が判断するのですから、人が。ですから、武村さんあるいは村山前総理が最終的に政治判断をしたのですから、その人がいないというのは、これはどう考えたっておかしい。いかがですか。
  261. 武村正義

    ○武村議員 一つの事柄が起こって、それが政治的な論議を重ねられて、そして、ある時期にそれに対する対処案が決定をされ、それが国会に諮られ、今まさにその時期でありますが、そして、幸い国会で通過、成立を見たとしましても、その後も、今度はその見た予算を執行していく、あるいは法律を実現していくというふうにずっと仕事が続いていくわけであります。あるテーマに関しては、そういう意味では、これだけが大蔵大臣の責任であるならば、ずっと最後まで全うしていくということは大変望ましいことだと私も思っております。  しかし、今回は、私どもは、村山総理がみずからの出処進退についてこれまた最高の決断をなさって、そのことによって内閣を離れることになったわけであります。しかし、敵前逃亡という言葉も言われましたが、私どもは逃亡しておりません。内閣の大蔵大臣は去りましたが、与党三党の中で、まさに戦線で一兵卒として、日々この問題は信念を変えないで努力をしていくつもりでございます。
  262. 愛知和男

    愛知委員 今私どもは、その最高政治責任、最終的に政治判断をした村山さんに、やはりその政治判断をした理由をきちっと直接聞かせてもらいたいということを要求しております。なお、そういう最終的には政治判断で決めたということであればあるほど、その最終的に政治判断をした村山さんには、本当はやめてもらっては困るわけでございますけれども、この委員会に出てきて、きちっとそのことを直接話を聞かせてもらいたいと重ねて要求をいたしておきます。  あと、まだちょっと時間がございますので、先ほど、ちょっと話が加藤さんのところに戻って恐縮でございますが、一番最後に、共和の一千万円のお金について、もらわなかったという前からの答弁がありまして、そうですね、もらわなかったですねと確認をしたがったのでございますが、そのことにつきましてはっきりしたお答えがなかったものですから、ちょっともう一度お願いいたします。
  263. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 あの当時、だれかに会って、もらったんじゃないかと言われましたけれども、その記憶は全くございません。
  264. 愛知和男

    愛知委員 時間が残り少なくなりまして、私どもの同僚もせっかく来ていただきましたので、田名部さんにちょっとお伺いさせていただきます。  大蔵省は、平成三年から四年にかけて行った第一回の調査は、平成七年のものとは違って簡単なものだったので、これを公にするような文書はないと言っておりましたが、ここに、平成四年三月二十七日に、「厳秘」と書いてある、極秘と書いてある書類がございまして、土田銀行局長の名前で「株式会社住総社長市川正己殿」という書類がございますが、この書類でもわかるとおり、もうこの時点で既に各住専に対しても指導を行っていたと思われます。  この段階でかなりの不良債権が見込まれていたのであるけれども、引き続き第二次の再建計画立案の間に、その状況は手の施しようのないものになっていたはずでございます。にもかかわらず、第二次再建計画条件整備とも言える大蔵、農水両局長の覚書の際も、銀行、住専が系統の説得に当たった際にも、一切公にしておりません。  そこでお伺いしたいのですが、時間がございませんので全部申し上げますと、当時農水大臣としてこのような状況認識しておられたかどうか、銀行局長名で送付された公文書の存在を認識しておられたかどうか、また、このような大蔵、母体行、住専の行動をどのようにお思いになるか、こういったことにつきまして田名部さんからお伺いしたいと思います。
  265. 田名部匡省

    ○田名部議員 最初の、認識をしておったかということでありますが、全くわかりませんでした。  むしろ、私が申し上げると何か系統をかばうような話になるので恐縮でありますけれども、大蔵の方は何をしておったか全くわからぬものですから、私の立場で申し上げますと、何となく向こう側のペースで事が運ばれて、そうして系統にこの残高を何とかしてほしい、そういう思いを何となくひしひしと感じて、それに合わせながら、系統に集まった会員に報告しなきゃいかぬという日にちが決定しておって、私のところにそういう話が来たものですから、余りそのことはないです。全く認識は、そういう資料のあることはわからなかったし、あるいは局長名で送付したそういうものも、私は承知いたしておりません。  むしろこの時点でいろいろな資料が出ておれば、もっと変わった方向で処理ができたのではないかな。ですから、上場会社が二社あるわけですから、そういうものの資料等も三年から五年まで出すとか、あるいは、私は党内でも何回か申し上げました。総理、大蔵大臣は積極的に情報を出すと、大蔵省局長は、まあ個々にわたることでありますからというのが何回もありまして、そのとき、それであれば、こういう大事なときはどんな情報でも出すという法律をつくったらどうか、提案したらどうかということも申し上げてまいりました。  したがって、政治家はやはり結果責任でありますから、これを逃げようとは思いませんが、ただ、今までの行動を見ておって、この資料を判断しながら、何とかなるのではないだろうかという甘い見通しを持っておったのではないだろうか。ですから、そのときに本当はいろいろな資料が第一次のときに出ておれば、あるいは今ごろこんな状況にならずに、公的負担の問題とかいろいろなことに発展しなかったのではないか。  私も、はるか沖地震、それから奥尻島、そしてあの阪神・淡路大震災であんなに痛めつけられた方々が、中にはローンを借りて、そうして、一生懸命、自分のうちがなくなったにもかかわらず返済をしているという人たちのことを考えると、やはり母体行が、最初から公的負担ありきではなくて、もっともっと知恵を出せば、母体行のいろいろなこうした問題等考えれば、加藤先生もさっきもおっしゃいましたけれども、やはりいいところも悪いところもあるのが一緒の方がおかしい、私もそう思っております。  やはり問題を起こしたところは応分の負担をしてやるということになると、その程度の公的な負担分ぐらいは出るのではないだろうかという認識を持っておったものですから、私が言うと、冒頭申し上げたように農林省をかばうみたいな話でありますけれども、そういうことではなくて、そのころは率直に持っておったし、最近は特にそういう感じを持っておるということであります。
  266. 愛知和男

    愛知委員 藤井さんにもお伺いさせていただきますが、大蔵大臣在職中この住専の問題はどういう状況だったか、それに対して大臣としてどう対応されたか、お答えいただきたいと思います。
  267. 藤井裕久

    藤井(裕)議員 先ほどから申し上げておりますが、私どもが引き継いだときは、前内閣でいろいろ関係者と御議論になって、最終的に例の再建計画金利減免が始まったのが、私どもが引き継ぐ一月前、平成五年七月でございました。したがいまして、私どもは、この再建計画を着実に実行されるということを期待する立場にあり、それが素直な政治選択だったと思っております。  同時に私どもは、そういう中で、この住専を初めとする金融機関の不良資産問題という非常に大きな問題がある、これを解決するにはどうすればいいか。一つは、土地の流動化ということが大事だ。これは、土地を上げることではありません。流動化ということでありまして、ただいまここで委員長をやっておられます、当時の上原国土庁長官には、監視区域の緩和等を大変お願いいたしました。土地税制の緩和もそれなりにいたしましたし、トリガー方式の停止もいたしました。  同時に、もう一つは、やはり償却の促進ということだろうと思います。それについては、前内閣でつくられた共国債権買取機構を大幅に活用させていただきますとともに、税制上で、有税償却も含めて大幅な償却を実施することといたしました。そのために、私は、金融機関の償却は、きょうの一部の新聞にも出ておりますけれども、大幅に進んできているというふうに今でも思っております。
  268. 愛知和男

    愛知委員 実は私は、きのうの夕方から三大新聞のある新聞のシンポジウムというのがございまして、これは政治部と経済部と社会部、三つの部の主催になりますシンポジウムに三時間ばかり出ておりました。一般から来られた市民の方々が約三百人ぐらいおられましたでしょうか。そこでパネラーとして出ましたのが、自民党の代表者、社民党の代表者、そして新進党からは私が出たわけでございますが、それはそれは激しい市民の声でございました。とにかく、この住専処理の問題に税金を充てるなどというのはとんでもないという大合唱でございました。  それに対して自民党の方、一生懸命説明をしておられましたけれども、一切その説明が説得力のある説明ではございませんでした。また、社民党の方は、実は本音で言うと反対なんだけれども、しょうがないみたいな返事をしておられた。私はその方に申し上げたんでございますが、それならば、政治家としての信念を通して、この予算案が国会で採決になったら反対を投じたらどうですか、そう申しておきましたが、まあそれはそれとしまして、市民の間の、国民の間の声というのは、税金を住専問題の処理に充てるということはもう絶対認めるわけにいかないという声で満ち満ちております。  これを強引にやったらどうなるか。きのうも声が出ましたけれども、税金を払うのをやめたという声がいっぱい出ました。そんなことが日本じゆうに広がったらどうなるんですか。金融システムの維持といったって、国全体が安定したものがあってこそ金融システムなんであって、国全体が納税拒否の運動か何かになってしまって大騒ぎになってしまったら、もう金融システムの安定どころの騒ぎでなくなってしまう。  したがって、これを強引にこのまま通してしまう、やるということになったらとんでもない禍根を残すということを私は肌できのうたまたま非常に感じたことを申し上げ、ぜひ、とにかくこの六千八百五十億という金額を予算から削減をする、削除するということを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  269. 上原康助

    上原委員長 これにて愛知君の質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君。
  270. 松本善明

    ○松本(善)委員 北海道事故関係者に心からのお見舞いを申し上げて、質問をしたいと思います。  武村議員に伺いたいのでありますが、先ほども農協系五千三百億の政治判断という問題についてお答えになりました。大所高所からの判断とか最高の責任を持った判断とか、まあ中身は言われましたが、結局は政治判断ということだろうと思います。  農協系の問題について直接言われたんですが、裏返せば、国民負担六千八百五十億も政治判断ということになろうかと思います。それでいいでしょうか。
  271. 武村正義

    ○武村議員 政治家が、まあ政府においては総理以下各大臣、個々の国会議員、政治家が最終的な責任を背負って判断をしてはいけないんでしょうか。政治的判断というものを、先ほど申し上げたように批判的にごらんになっておっしゃるのか。政治的判断という言葉を、国民から選ばれた政治家が最高の責任を負いながらする最終の判断という意味で私は使わせていただいておりまして、そういう意味では、すべては最終的には内閣・与党一体で決めたわけでございますから、最高の政治判断だと思っております。
  272. 松本善明

    ○松本(善)委員 私の申しますのは、政治判断といいますのは、それじゃ母体行は、ここで盛んに言うんですよ、もう三兆五千億でぎりぎりいっぱいだ、最大限努力をしていますと。もっと母体行に持たせるということができなかったのか、そこまでの計算に積算根拠があってやったんじゃなくて、結局、政治的にそういうふうに判断をしたのか、こういうことを聞いているんです。  具体的にもうちょっと聞きますと、ここで、御存じのように一兆五千億が母体行の紹介融資不良債権になった、これが大問題になって各委員が議論をしています。大蔵大臣として武村さんは、当時、この紹介融資実態、このことを頭に置いてこの政治判断をされたのかどうか、伺いたいと思います。
  273. 武村正義

    ○武村議員 政治判断といいましても、行政のさまざまなデータをもとにした判断があって、最終、政治家が、大臣なら大臣、内閣なら内閣全体が判断をするわけで、そう申し上げているわけでありまして、今御質問の紹介融資母体行の責任については、紹介融資についても、大蔵省は昨年の秋、調査をいたしました。  幾つか基準によって数字が変わってくるわけでありますが、私の記憶では、全体の二割前後、二割ないし三割のそんな状況で、この条件なら十何%、この条件なら二十何%、こういうふうに私は記憶いたしておりますが、でも、この巨大な住専の債権の中に、いわゆる母体行が紹介、まあ協調もありますが、紹介をされて、それをもちろん住専そのものがまた最終判断をして貸し付け融資があることは事実でございます。これは、母体行とのかかわりにおいて母体行は一定の責任を感ずるべきだという気持ちを持っておりました。  しかし、そのことを含めて、行政も政治も最終判断をしましたのは、だからといいますか、そのことも含めて債権全額をここは無条件で放棄をしてください、こういう考え方をとったわけであります。
  274. 松本善明

    ○松本(善)委員 この参考人質疑それから委員外発言を含めての議員への質問、これらはすべてやはり国民が、なぜ六千八百五十億負担しなければならぬのか、その根拠は一体何なんだ。その決められた御本人の今の説明では、国民は絶対わからないと思いますよ。これはもうますます、国民が負担するのはおかしい、母体行に負担さすべきだ、これはもう銀行が子会社の責任を持つのは当たり前じゃないかということになると思います。  それで私は、加藤さん、武村さん、それから藤井さんでも田名部さんでもいいんですが、政治献金の問題。  先ほども御質問がありました。私は、この問題は、加藤さんは先ほど、議論は金をもらっていても左右はされないんだ、こういうふうに言われましたけれども、しかし、国民はそうは見ないです。また、金融業界からも、きのうも紹介をしましたけれども、三和銀行の相談役で経団連の政治・企業委員会委員長の川勝さんは、政治献金は政治に対する発言料だと言っているのですよ。それから、きのうもおいでになりました富士銀行の橋本頭取は、第二次処理案ですね、第二次損失についての処理案は富士銀行案に近い、こういうことを言っているわけです。そういうことを聞きますと、これは記者会見で公表していますから、すると国民は絶対に企業献金と、銀行の献金とこれは関係あると思いますよ。先ほど言われましたけれども、その繰り返してはなくて、私どもはきっぱりこれをやめるべきだ。  簡潔に三人の方にお答えいただきたいと思います。簡潔に、一言で。
  275. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 先ほど言いましたように、我々どういうふうに国民にわかりやすくするようにするか、今総裁も含めて検討中でございます。
  276. 藤井裕久

    藤井(裕)議員 保利委員お答えしたとおりでございます。  私は責任ある立場に今党にはございませんけれども、私の個人の意見を言えというならば、政治改革法の趣旨に従って五年後にこれを見直すという方向で我々は今努力をしておるところでございます。それは金融関係のみならず、産業界全部を含めての企業献金だと考えております。
  277. 武村正義

    ○武村議員 当面、進んで自粛をする方向で党内の意見をまとめたい、近々まとめたいというふうに思っております。
  278. 松本善明

    ○松本(善)委員 終わります。
  279. 上原康助

    上原委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  280. 海江田万里

    ○海江田委員 今回の住専処理につきまして六千八百五十億円の血税からの負担、これはもう大変な問題ですけれども、それだけじゃありませんで、二次損失につきまして五〇%をやはり税金から負担をするということを決めたこと、このことは私はさらに大きな問題だと思っておりますね。  特に、これは武村前大蔵大臣にお尋ねをしたいのですが、一次ロスの金額でございますね。私も昨年末も予算委員会におりましたので、武村大蔵大臣と何度もこの問題で議論をさせていただきましたけれども、あのときやはり、議事録も調べてみましたけれども、武村大蔵大臣は七兆五千億円のロスということをおっしゃっているわけですよね。それがことしに入りまして、そしてスキームが出てきたところでは、一次ロスは六兆二千七百億円だ、差額の一兆二千億円分が二次ロスだということになってしまったのですね。  これは一体いつごろから、武村大蔵大臣の在任中にこの一次ロスが六兆二千七百億円だという話がもう既にあったのか、それとも、武村さんが在任中は一次ロスは七兆五千億ですよ、こういう話が大蔵省からあったのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
  281. 武村正義

    ○武村議員 細かい数字全部詳細に記憶いたしておりませんが、それでも最終段階でそういう議論があり、数字が行き交っておりました。去年の秋に第二回目の住専調査をして、その結果がまとまってきたわけでございますが、数字は基本的に動いていないわけですけれども、例えば一次ロスという言葉の中には、貸し付けのロスが基本ですけれども住専七社の中で発生させているロスがあるわけですね、一千何百億、これを含めるか含めないかで数字が変わっちゃう。それを含めると正確には六兆四千百億ですか、これが一次ロスだ、こういうふうに私は認識をいたしておりました。七兆五千億余りというのは二次ロス、要するに第三分類を含めた二次ロスを含めた額でありまして、両方とも、ロスという言葉を使った場合には七兆五千億というふうな国会答弁をさせていただいたときもございました。
  282. 海江田万里

    ○海江田委員 この話は専門的な話で難しいところなんですが、私は、大蔵省はどうしましても、古い表現になりますけれども、大本営発表といいますか、それこそこれから処理機構をつくって、そして債権の回収においては、これは赫々たる戦果を上げるよ、しかし損失は極めて微少なんだという、私は戦後の生まれでございますけれども、歴史の本なんかを読むと、そういうような大本営発表のようなことを言っているんじゃないだろうか、そういう気がするわけですけれども、加藤幹事長、やはりこの問題、もちろん法律に触れる人たちはそれなりの処分をしなければいけないわけですけれども、それだけじゃありませんで、やはりこれから大蔵省をどうするのかという議論に入らなければいけないわけですね。  その場合、やはり大蔵省は、今例えば金融庁構想なんということも出ておりますけれども、これも今国税庁というところが大蔵省の外にあるけれども、これは大蔵省が大変大きな権限を持っているということで、ややもすればこれは焼け太りになりはしないだろうかという心配を私は持っておるわけですね。ですから、この大蔵省に対して、大蔵省の機構を分散をさせるときは、やはり政治家はよっぽど気合いを入れてかからなければいけないということ、そういう決意が、加藤幹事長、今まだ総理大臣ではありませんけれども、総理大臣になるときもあるでしょうから、それから与党の責任ある立場でございますので、この大蔵省に対してやはりどういう形で臨んでいくのかということ、このことをきちっとお話しいただきたいと思います。
  283. 加藤紘一

    ○加藤(紘)議員 大蔵省の組織についていろいろな議論をすべきだという意見が出ておりますが、それはなぜかといいますと、最近強くなったのは、やはりこの住専問題の過去の経緯等から見て、本当にうまく行政をやってきたのかということについて若干ある意味ではその信頼感が失われたからだろうと思いますね。  ですから、今先生おっしゃいましたように、債権回収についてどれだけ実効力を上げるか、私は上げてくれると思います。なぜならば、住専の職員はもう一、二カ月でつぶれていく自分の会社のために命かけて回収には動きません。それから、母体行の職員の人も、住友銀行の名古屋支店長射殺事件等を見れば、本気で集めに行っていないと思います。したがって、それを政府が預かって、検察と警察とそして国税が入って必死にやる、そういう中で私は回収の効率は今のままよりはいいと思いますので、したがってそれをどれだけ実績を上げるかどうかによって将来の大蔵省についてのいろいろな議論の結果も左右されるのではないかと思います。  ただ、おっしゃいましたように、金融庁というものを単につくって、それが大蔵省焼け太りみたいなことは、議論としては絶対にその方向には進んでいかないだろうと思います。
  284. 海江田万里

    ○海江田委員 私の質問を終わります。
  285. 上原康助

    上原委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  議員各位には、御多用中のところ本委員会に御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。     —————————————
  286. 上原康助

    上原委員長 この際、御報告いたします。  去る五日、大蔵大臣久保亘君から衆議院議長あて、本委員会の要求に基づき証人として提出した書類に関し、昨十五日補足資料が提出されましたので、御報告いたします。  次回は、来る十九日午前十時より委員会を開会し、一般質疑に入ります。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時八分散会