○
愛知委員 新進党の
愛知和男でございます。
本題に入ります前に、私は、新進党のいわゆる明日の内閣の官房長官役を務めておりますので、その
立場から
一言、このたび北海道古平町で起きましたトンネル事故につきまして、被災された
方々に、あるいは御家族の
皆さんに、心よりお見舞いを申し上げたいと存じます。
私
どもも、明日の内閣の国土・建設政策大臣を本部長といたしまして
対策本部を設置いたしまして、既に現地視察も済ませておりますが、今後、救済作業の促進とか、被災者、御家族の
方々への対応、さらにはこの地域のみならず周辺地域における事故の再発防止、こういったものに対しまして全力を挙げて
努力をしていく決意でございますので、この機会に申し上げさせていただきます。
さて、加藤さん、
最初に加藤さんに幾つか
お尋ねをさせていただきますが、まずもって、加藤さんは今幹事長をやっておられますが、個人的にも随分、過去いろいろ御縁がございまして、御指導を賜ってまいりました。こういう形でやりとりをするというのも何かやりにくい面もないわけではございませんが、先ほどちょっとお触れになっておられましたけれ
ども、ここしばらく官房長官とか幹事長代理だとか政調会長とか、今は幹事長でいらっしゃいます。そしていずれ近い将来、総理大臣、まあ橋本内閣ができたばかりですから、今ポスト橋本内閣と言うのはちょっと不謹慎かもしれませんけれ
ども、いずれそういう
立場でこの日本を背負っていかれるお方のお一人だと思っております。
そういう加藤さんですから、この
住専の問題についてもいろいろと深くかかわりを持ってこられたわけでございますし、また、これから日本をどうしたらいいかということについてもいろいろお
考えだと思うのでございますが、そういう加藤さんにまず基本的なことをお伺いしておきたいと思います。
実は、同じことをせんだってこの場から橋本総理にもお伺いしたのでございますが、私は、この
住専問題、これは大変残念なことで、こういうものが起きてしまったということは、どこにどういう
責任があるかとか、いろいろ
責任を追及することももちろん大事でありますけれ
ども、我々として基本的に
認識をしなきゃならないこと、これは、
住専問題の本質といいましょうか、どうしてこういうものが起きたかということをきちっと
理解をしてかからなくちゃいけない、そう思うのでございます。
私は、この
住専問題がどうして起きちゃったか。これは我が国が第二次世界大戦で敗戦ということになりまして、そして日本の社会の仕組み、戦争以前のものが敗戦をきっかけにすっかり変わった、全く新しくなって日本は新しく再出発をしたわけでございます。それ以前と敗戦後というのは、社会体制、あらゆる面で違いがあった。新しい仕組みの中で新しい日本の国づくりが進められてまいりました。この新しい仕組みが大変うまく機能した。これは仕組みが機能しただけではなくて、その中で、私
どもの世代からいいますと大先輩の
皆様方が大変
努力をされた。先輩の
方々には、私
どもの世代、若い世代は本当に心から感謝を申し上げなければならないわけでございますが、いずれにいたしましても、新しい仕組みが大変うまく機能した、そこで今日の日本のこの発展があるのだろうと思うのでございます。
ところが、そのときと今とを比べますと、あらゆる
状況が変わってしまった。まず我が日本でございますが、日本も敗戦直後は、本当に食うや食わずの毎日でございました。全くみじめな姿だったわけでございます。ところが今はどうか。食べる物は足りないところか、いわゆる飽食の
時代でありますし、食事をすれば随分食べ残しがいっぱいありますし、そういう、すっかり
状況は変わってしまいました。
また、そういう
状況のもとで、世界の中での日本という
立場もすっかり変わりました。敗戦直後は、日本はかわいそうな国だということで、いろいろほかの国々から同情もされました、援助もしていただきました。特にアメリカには大変お世話になりました。そういう
状況だったわけですが、今日どうなったかといいますと、世界の国々の中で日本に同情を寄せてくれる国なんかはないわけであります。また、世界そのものもすっかり変わっちゃったわけでありまして、東西対決、こういうものがすっかり変わってしまった。
ありとあらゆる部分が変わっちゃったわけですから、したがいまして、敗戦後できた日本の社会の仕組みというものを新しい
時代に合わせて変えなければいけない、これが今
時代が求めていることではなかろうか、こう思うのでございます。
ところが、社会の全体の仕組みをすっかり変えるというのはそう簡単ではありません、口で言うほど。ですから、歴史の中に起きるのは、例えば我々が経験しました戦争、敗戦ということですっかりがらりと変える、あるいは、国内におきましては革命のようなことが起きてがらっと変えるというようなことはありますけれ
ども、今日のように平和なときに、しかも平和裏にこの社会の仕組みを変えるというのはなかなか難しいわけでありまして、しかし、だけれ
ども、やらなきゃならない。
それをやらないと、この日本そのものがそれこそ沈没しちゃうんじゃないか。我々が今生きている世代はまだいいとして、我々の次に来る世代、こういう世代が大変な迷惑をこうむるんではないか。だから今やらなきゃならない。改革をしなきゃならない。これが今この
時代が求めていることだと思います。改革というのは痛みを伴うわけだし、いろいろ時には血が流れることでもあるかもしれません。しかし、やらなきゃならない。
実はこのことが、私
どもの新しい政党をつくりました基本的な理念でありまして、ついこの間の新進党の党大会でもさらにそれを確認したということで新しく出発しているわけでございますが、少々前置きが長くなりましたけれ
ども、その仕組みが実はなかなか変えられない。その変えられない結果があらわれたのが、この
住専という事象なんではないか。
したがいまして、この
住専という問題を解決するということは、もちろん解決しなきゃなりませんけれ
ども、この
住専という問題を解決しただけでは不十分なんであって、我々政治家がこの
住専の問題に取り組む基本的な姿勢は、この
住専の問題の解決を通じて、今の社会全体のいろいろな仕組みで新しく変えなきゃならないことを変えていくそのきっかけにしなきゃならない、そういう視点が大事だと思うのでございます。
例えばこの
金融の問題にいたしましても、
大蔵省のあり方、
金融行政のあり方、こういうものが結局、戦後は大変うまく機能しました。それが新しい
時代にふさわしくなくなっちゃったところがいろんな問題点としてあらわれているんでしょう。
あるいは農業
関係だってそうだと思いますね。農協という存在は、昔は農家のお互いに助け合う仕組みだったわけですね。それが大変うまく機能したと思います。しかし、それがだんだんだんだん農協は農協になってしまって、農家と離れて自分で活動し始めて、それで農協がいわば自己増殖というような形になり、商社機能が非常に大きくなり、そしてその中で当然
金融機関、
金融機能というのができてくる。したがって、農協が農家のための農協からいささか離れてしまって、農協のための農協になってしまったという部分がかなり出てきたんではないか。こういう問題も、仕組みが古くなっちゃったということの現象なんですね。
したがいまして、こういう
住専の問題を解決するというその事象を、
責任がだれだとか、だれが
責任とるかとかということももちろん大事です。大事ですけれ
ども、それだけでやっていたんでは、本来政治家、今この
時代に生きる我々の政治家としての役割を果たしたことにはならないじゃないか。特にこれから、先ほど冒頭に申し上げましたけれ
ども、日本を背負っていかれようという加藤さんでございますから、そのことをぜひ、基本的な
認識をどう
認識しておられるか、そのことをお伺いしたいのでございます。