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若林委員 私は、政治家
橋本龍太郎という人は、どんなに難しい問題が起こっても決して逃げたりはしない、どんなに難しい問題があっても先送りをするようなことがない、いつも真っ正面から真剣に取り組むその
政治姿勢、どんなに苦しくつらいことがあっても決して近道や裏道を歩かない、安易に横道にそれなりはしない、そういう
姿勢に
国民が信頼を寄せ、そのような
総理がリーダーを務める橋本内閣に対する期待が高まっているものだ、こんなふうに
理解をいたしております。
まあ、日本丸橋本船長の心境は、天気晴朗なれども波高し、こんなお気持ちでかじ取りに当たられていると思います。
確かに、この日本丸は、何といっても長引いたこの不況からの脱出、景気の回復を軌道に乗せて、そして税収も確保し、一方で行政改革を推進しながら財政の立て直しを図らなければなりませんし、雇用の不安を取り除いて、安心して生活できる道筋をきちっと示していかなければなりません。
同時に、緊急の
課題でありますけれども、国連海洋法条約の締結と海洋法制の整備の問題もあります。竹島や尖閣列島の領土問題につきましては、韓国や中国に対して筋を通して、国益を守るために毅然たる対処をしなければなりませんし、沖縄の米軍基地問題も含めまして日米
関係を揺るぎないものにするために、四月十六日には日米首脳会談が予定されております。これが実りあるものにしていかなければならないわけでございます。橋本
総理が二月二十三日に急遽訪米されてクリントン大統領と事前にお会いする、その決断をされたことを私は高く評価をいたしております。
それにしても、どうしても避けて通れない当面の最大の問題は、
住専問題に象徴的にあらわれております
我が国の
金融機関の
不良債権の
処理の問題であります。当
予算委員会におきましても連日、この
住専の
処理に当たって
公的資金を使うことの当否をめぐり、激しい
論議が続けられております。
国民も、情報の開示と、なぜ
税金を使って
住専問題を
解決しなければならないのか、いまだに納得しているとは思われません。
住専問題については後で私の
意見を申し述べたいと思いますが、
住専に入る前に、整備新幹線の問題と中小企業対策の問題について、
関係大臣に御
質問をしたいと思います。
私は、
昭和五十八年の初当選以来、そのころ凍結されておりました整備新幹線の、その解除と建設の促進に政治家として
責任をかけて努力をしてまいりました。幸い、村山政権のもとで
与党三党の整備新幹線検討
委員会が発足をし、私が座長を命ぜられまして、
平成六年十二月十九日には、整備新幹線の見直しについて連立
与党三党の申し合わせをまとめることができたわけであります。これを受けて
政府も、
官房長官、
大蔵大臣、自治大臣、運輸大臣の
関係四大臣間で申し合わせが行われております。
連立
与党申し合わせでは、新幹線は国家的プロジェクトとして逐次その整備を推進することを確認した上、二十一世紀初頭には整備新幹線の全線フル開業を目指すということを明らかにしております。このため、現在建設中の三線五区間についての基本スキームに加えまして、財源、
負担割合、着工優先順位などを含めて全体計画について新しい基本スキームを検討して、「
平成八年中に成案を得るものとする。」と決めさせていただいておりまして、
政府の四大臣の申し合わせの中におきましても
平成八年中に結論を得るものとするというふうに、お互い定めているわけでございます。
最大の問題は、財源と、それを国、地方、JRとどう分担するかということにございます。東海道新幹線や山陽新幹線などの新幹線と違いまして、これからの線区は利用率も比較的低いし、また地方も財政力の乏しいところになってまいります。それだけ地方振興あるいは国土の均衡ある発展にとっては重要であり、その投資効果も、長い目で見ますと、国全体として見れば大変大きい、そういう地域だと思います。
現在の三線五区間の
事業費は二兆二千億、これは
平成六年度の起点であります。既に
平成八年度
予算まで含めますと一兆円の投資が決まっているわけですが、この二兆二千億を含めまして、仮に全線を建設するといたしまして、その
事業費は七兆四千億円と私は推計をいたしております。JRは、受益の範囲内でなければ
負担できません。地方も、応分の
負担ということで、それぞれの地方の財政
負担力を限界といたします。その意味では、国はかなりの財政
負担をすることになると思うのです。
この
事業は、もともとは全国新幹線鉄道整備法という法律に基づいて
昭和四十八年に
政府が定めた新幹線の整備計画、この整備計画で建設を
国民に約束をしてきたものでございます。与野党とも選挙のときになりますと、そのたびに早期の着工を公約をしてきて二十有余年時がたっております。何といっても、橋本内閣のもとでこの
国民に対する約束を果たして、政治の信頼を回復させるべきだと私は思います。
関係の
地方公共団体は、
予算の編成時期になりますと、知事さんや市町村長さん、あるいは地域の方々が大勢、真剣に
陳情に上京されます。地元でも、一万人総決起大会などを毎年開いたりして熱望をしております。
私は、こういう方々にお会いしていると、政治家として本当に申しわけないことだと思います。国が定めて約束をして、それを前提に地域が地域振興計画、都市計画などを定めながら、いつやってくれるかわからないまま、ただ漫然と引っ張られてきているわけでございます。もう待てない、こんな思いの皆さん方に、私は、もうこれ以上先送りはできない、こんな決意で取り組んでいるわけでございます。
そういう
状況の中で、この新しいスキームを
平成八年中につくらなければなりません。このことにつきまして、運輸大臣の決意をお伺いをいたしたい。