○
田中(昭)
委員 総理の御見解で私どもと
認識はきちんと合っていると思うんですけれども、私は、一昨日、昨日、三日間地元におりまして、いろんな集会なり会合なりに実は参加をしてまいっております。私は、今
政府なり与党がやらなければならないのは、今
総理が御発表になりましたような
基本的な考え方、態度について、ひたすらに限りなく国民の皆さん方の
理解と
協力を得る、納得を得る、こういう
努力をしなければいけないんじゃないかな、こう思っております。私は、この情報化
社会の中でやっぱり環境は必ずしもよくない、実はそう思っております。
例えば、これはまあ一例にすぎませんけれども、
大蔵省の元の主計局
次長がかなり私腹を肥やすようなでたらめなことをやられておる。こういう問題についてはやっぱり非常に国民の皆さん方は敏感ですね。それから、官官接待の場合にも、その
中心はやっぱり
大蔵省ではないかという、こういうマスコミの報道などもたくさんございます。
それから、もう御存じのように、今
預金利子が極端に低くなっておりまして、特に退職者の皆さん方、御老人の皆さん方などについては、このことによってやっぱり生活に
影響が出てきているという方などもたくさんおられます。しかし、マスコミの報道などによりますと、銀行の幹部なりあるいは銀行の職員の賃金とか報酬というのは極めていいということで、結局、
預金者が損をした分は全部銀行などに移転をしている、こういう
理解がございます。
それから、
住専問題などについては、タレントの
方々なども含めまして、暴力団との関係などもマスコミでは毎日毎日、テレビ、新聞で報道がされておるという、そういう関係などがございまして、今回のこのスキーム、
政府がやろうとしている手法につきましては、まだまだ私は国民の皆さん方の中には
理解と納得が得られるような、そういう
状況にないんではないかということをつくづくと痛感をいたしております。
きのうも千五百名ぐらい
規模のパーティーでございましたけれども、村山
委員長も来られまして、大々的なパーティーをやりましたけれども、二時間私は物を
一つも食べることができなかった。次から次に人が寄ってきてこの
住専問題についての
質問をされる、こういう
状況だと思います。そういう意味で私は、まだまだ
政府・与党は、これでなければいけないという確信を持った今回のスキームについて、国民の皆さん方の
理解と納得を得るようなそういう
努力をしなければいけないんじゃないかということをつくづくと感じております。
そこで、私は、いろいろ意見がございますけれども、最低四つのことをやっぱりこの際きちんとしなければいけないんじゃないかということを考えるわけであります。
その第一は、なぜこのような
状態になったのかということをもう少しきちんと整理をする必要があると思います。そして、そのような
状態になった
責任はどこにあるのかということをはっきりしなければいけないだろう、こう思います。特に、第一次
調査がございまして、いろいろ問題点が明らかになりました。これに対してなぜきちんとした対応をしなかったのかという疑問は、国民の皆さん方の中にたくさんあると思います。
したがって私は、第一点として、こういう
状況になった情勢の
説明と、なぜそうなってどこにどういう
責任があるかということをきちんと整理をして国民の皆さん方の前に明らかにする、こういうことをひとつ
政府としては
努力をすべきではないかな、こう思います。
それから二点目の問題でございますが、なぜ
公的資金いわゆる税金を
導入しなければいけないかということについて、
政府の方としても、
金融システムの崩壊の問題であるとか、国民全体に信用不安が起きたら大変なことになるとか、あるいは国内のみならず国際的にも我が国金融制度についての信頼が喪失したら大変だとか、景気回復の問題とか、いろいろ
説明をいたしております。
しかし、今回の
住専の債権というのは十三兆ぐらいでございまして、第一次の損失は六兆四千億でございます。しかし、巷間言われておりますように、ノンバンクなどの
不良債権は、一説では三十八兆とか四十兆とかいう
数字が出てみたり、アメリカでは百兆とか百二十兆とかいう
数字が出ているわけであります。今回のこの
予算委員会の
議論を通じて、今後の
不良債権の処理については税金は
導入をしないということを明らかにしているというふうに私は
理解をいたしております。
そうしますと、今回のこの一次損失六兆四千億、
住専の債権を処理するために六千八百五十億の金を
投入しなければ、先ほど言ったように景気の問題、金融不安の問題、信頼度の問題、問題が出てくるということを
政府は
説明をしているわけですが、他方、それに倍する以上の
不良債権がある、これに税金を
投入しなくても問題が出てこないのか、そういう素朴な疑問がやはり私は国民の皆さん方の中にあると思うのです。なぜ今回六千八百五十億の
公的資金の
導入かということなどをもう少しきちんとすることが必要ではないかな、こういうふうに思っております。
特に、この六千八百五十億の
算出根拠などの問題については、先ほどもちょっと
議論がございましたように、前の
武村大蔵大臣と
認識について若干の食い違いが出てくるなどということが新聞に出てきますと、そういうところにやはり国民の皆さん方の不信が出てくる、こういうふうに思います。
したがって、二点目として、なぜ
公的資金の
導入なのかという問題について、もう少し国民の皆さん方がおわかりになるような
説明が必要ではないかな、こう思っております。
それから第三点でございますが、いろいろ御意見の提起がございます。破産法の適用をしたらいいんではないか、会社更生法の適用がいいんではないか、日銀の融資でいいんではないか、いろいろ野党の方からの提起もございます。いろいろございます。
なぜ法的な処理でいけないのかという問題などについて、私はやはり、時間的な問題とか金が入ってくる時期の問題とか総括的に考えた場合には、先ほど申し上げましたように、今日ある法的な処理では今回できないんではないかというふうに思います。やってみて問題があれば変えればいいじゃないかということではいけないという立場で、そこのところについてももう少し、破産法の適用の場合にはこういう問題が出てくる、会社更生法適用の場合にはこういう問題点が出てくる、こういうような問題について、やはり国民の目線で、もう少しわかるように
政府は主張したらいいんではないかな、私はこう思っております。
それから最後、四つ目でございますが、系統関係でございます。これも国民の皆さん方の意見では、なぜ系統だけは債権を全額保証をして五千三百億の
贈与になるのかという問題について、まだやはりすっきりしない、ここの
議論を通じてもすっきりしないわけであります。
例えば
積算根拠があるとか
積み上げ方式だ、こう一方では言いながら、一方のマスコミ報道ではこれは
政治的なマクロの解決だということを言われたり、この点のところはやはりまだきちんと、すとんと国民の皆さん方の胸の中には落ちていないんではないかと思います。特に、今日まで農村地帯、町でも同じですが、例えば郵便局と銀行と
農協が
預金などについて競り合ってきたという
状況などもございます。なぜ系統だけを特別扱いにしなければいけないかという問題などについては、それぞれの立場から疑問が提起されておるのは事実でありますから、この点についてももう少し私はきちんと整理をした方がいいのではないかと思っております。
今までのこの
予算委員会の
議論を通じて多くの意見が提起をされておりまして、したがって、私は、そろそろこの四つの問題などについてはもう少し国民の目線で
理解と納得ができるという整理をする時期に来ているのではないかな、こう思います。そして、このことについてある程度納得をいただければ、今後の債権回収の
努力の方法論であるとか、あるいは
住専処理機構の体制づくりの問題であるとか、そういう問題に
議論が展開をすることができると思いますし、
金融システムをどう改革をしていくのか、どこに問題点があったのか、かてて加えて
大蔵省の分割とか分散とかいろいろ意見も出ております。線香花火のようにいっぱい出ておるわけでありますから、したがって、そういう問題への
議論の転化が可能になるのではないかな、こう思っております。
そういう立場から、今申し上げましたような四つの問題を、そろそろ
政府としてはきちんと今までの
議論を集約して、整理をして、国民の皆さん方の前に公にすべきではないかな、こう思っております。
そういう立場から、
総理並びに
大蔵大臣に、私は今申し上げましたことを今ここで聞こうとは実は思っていないのです。そういう時間もございません。したがって、三つの点について御提案を申し上げたいと思います。
その第一は、今申し上げましたように、国民の目線で国民の
理解と納得を求めるという立場で今日までの
議論を集約をして、
政府の態度として国民の皆さん方に具体的な提起を行う、こういうことをこの際きちんとしていただきたいというのが第一点。
それから二つ目の問題は、今の問題については、国会内の
議論を通じて行うことも必要でございますが、テレビとかそういうものを通じて
総理がじきじきに国民の皆さんにこの際訴える。いわゆる国民福祉税の場合に細川
内閣もやったことがございますし、村山さんもやったことがございます。そういう提起をこの際やはり国民の皆さん方の前できちんとする、こういうことが必要ではないかな、こう思っております。
それから三点目は、
大蔵省の改革の問題とか
金融システムの改革の問題については、いろいろ線香花火のように打ち上げるのではなくて、中期的とか長期的とかいう形でなくて、きちんとした時期を定めて、
責任ある対応を
政府としてするという態度をきちんとこの際表明をしたらいいのではないかな、こう思います。
この三つの点について、
総理並びに
大蔵大臣の決意なりをお伺いをしたいと思います。