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奥田(敬)
委員 しかし、あらゆる
権力を使って回収するというあなたの
正義感というもの、
国民サイドに立った
決意はよくわかるのですよ。だけれ
ども、この
処理機構、私も少し調べましたけれ
ども、そんな簡単なものじゃないですよ。これで回収できるという形で、今
決意は結構ですけれ
ども、ニュースで、
新聞報道で出てくる今の形の
処理機構では、とてもじゃないけれ
ども、これは
役人の作文ですわ。それはなかなか厳しいということは、これはみんなわかっているのですよ。
日本の民法の六百二条
あたりというのは、むしろ
弱者保護というか、賃借権を持ったたな子に非常に有利というよりも、そういった形の保障をしているという形で、だから、いわゆる第三者が入っておってどうにも回収できない。大きな債権人からみんなしり込みして逃げていくのは、もちろん暴力系のフロント企業も含めて、そういった形の介在があることは間違いありません。ですけれ
ども、彼らは、法律という面に弁護士さんくらいの知識も持ち、腕力も持っている連中
たちですし、これはなかなか簡単な、
正義感だけで解決できるという問題ではない、現実は。
だから、これは本当に、単にこれだけの、千何百人の人員でやるのだとかあるいは警察OBをこれだけ入れるんだとか、こう言っていますけれ
ども、そんな、ネクタイ締めて背広着て、今の
住専の職員
あたりの一部を吸収したり、警察のそんなOBを入れたりという形だけで、なかなかこの問題の根っこは解決できませんよ。むしろ、やるのだったら、本当の緊急事態で、時限的な、超法規的な、極端な立法措置まで講ずるくらいの覚悟がなかったら、ちょうど戦後の隠退蔵物資の摘発にGHQが超法規的にやって、もうあれくらいの形でやらなかったら、それは成功しませんね。
アメリカの、何か難しいあれだからただRTCというだけで覚えているのですけれ
ども、あそこなんかの取り締まりの形は、五年の時限を切って、すごい人間を
投入する形で法的権限を持たせちゃった形において、ようやく五年でクリアしていますね。だけれ
ども、
日本は、十五年かかって、しかも体制が、時が過ぎれば何とか
責任回避できるような形で、私も、国鉄清算事業団の形で、
総理はもう改革の鬼でやられたわけですけれ
ども、あれも
最初の
スキームは非常にうまくいくようになっていたのだけれ
ども、あれは
政府のやはり行政的な介入によって清算の
処理がおくれてむしろ膨れ上がったような結果になって、まことにこれはもう嫌なことだなと思っているのですけれ
ども、それ以上に嫌な問題になることだけは間違いない。だから、余り
大蔵省の作文だけで、債権はこれだけで回収するんだという意気込みは立派だけれ
ども、この
処理機構の内容がまだ定かではありませんから、これ以上、ここでやめますけれ
ども、そんな甘いものじゃない。
特に、私はこのフロント企業
あたりを調べてみると、これはすごいですよ。今、これはバブル崩壊と同時にいろいろな形で、地上げでも利用したりした形がまた形を変えて企業化しているのですけれ
ども、やくざのフロント企業の形だけでもすごいですね。
住吉会が正規な法人として百五十二社ぐらい、稲川会が八十社、松葉会が二十三社、
日本国粋会二十社、そのほかに極東会やら、それで山口組系が既にもう五十社。四百社近い、直系の連中
たちの企業化しているのとこのフロント企業で。それがやはり不動産、建設、
金融。
金融から
情報を得ていますね、
金融が多いですね。そのほかにゴルフ場、経営コンサルタント、貴金属販売ならいいけれ
ども、自動車のディーラー、それとお絞り、絵画、美術、もうあらゆるところに、すごい形のものですよ。これらがみんな今のこの問題に何とかかんとか絡み合ってきている。それをやはりきっちりする意気込みと、私もそれをやってほしい。
だから、僕が言うのは、超法規的なくらいの時限的な、強力な措置をしないと、簡単に債権回収はできませんよと。だから、
役人の書いた作文だけのような形の
処理機構でやっていってもなかなか効果が上がらないから、その点しっかり、剛腕の官房
長官もおるわけですから、そこのところで、そんな簡単なものじゃないという
認識に立ってこの問題に取り組んでほしいということをお願いしておきます。
それで、後でまた述べますから余りくどくど言いませんけれ
ども、それは本当に、
総理、あなたはやはり総量規制のときの担当
大臣として非常に
責任を感じておられると思うのですよ。この延長線上に今日の
住専問題もあるわけですね。だから、道に迷ったときにはもとに、原点に返って考えていかなければいかぬわけですけれ
ども、僕もあのとき、土地の値上がりで
国民はもうとてもじゃないけれ
ども一軒家に住めるなんというのは夢のまた夢という形の中で、あのバブル全盛期の土地の高騰というのは、一夜にして右から左、倍々ゲームでやっていくような形というのは許すわけにいかぬかったから、それは総量規制賛成だったですよ。
だけれ
ども、結局そのときやはり蛇口をあけたわけですね。あけたというわけじゃなしに、あいておったわけですよ。そこに流れ込んでいったということは間違いない。だから、それはやはりそのときの総量規制で蛇口があいた、そこに流れた。そこでまた母体行と
ノンバンクの形が始まって、
住専を含む
ノンバンク系統に資金が流れた形があり、みんながたかった。だから、あのときには、もう各銀行、大手の各
金融機関の中でも不正事件が多発しましたね。
具体的には、象徴的なのは、東海銀行の森本という行員のあれとか、富士銀行の中村某とかという形の中で大変な犯罪も起きたわけですよね。一人の行員がもう二千億、三千億、それが少々勝手に判を押したとか偽造したとかというわけじゃないですけれ
ども。だから、女の行員が何億やったとかという報道がありますわね。
しかし、
大蔵大臣、アメリカなんか銀行員に二週間以上の、これはアメリカ全部じゃありませんけれ
ども、例えばカリフォルニア州なら必ず二週間以上の休暇を義務づけているのですよ、州法で、法的に州で。そうすると、大体
金融不正なんというのはそれくらい時間をあけるとみんなばれてくるのですよ。休暇をとらす間にね。だから、悪いことをしたやつは休暇をとらぬで一生懸命やっている。
日本の場合でも一緒ですよ。時間のタイミングで行ったり来たりさせる捜査の中からいろいろな
金融犯罪が出てくることは間違いないので。だから、こういったことも非常に見習うべきことじゃないか、こう思うのですけれ
ども、そういう点も参考にしておいていただきたいと思います。
私は、いろいろな形できのうあれしたのですけれ
ども、一番不愉快に思うのは、銀行
局長にもお伺いしたいのですけれ
ども、これからの
日本の
不良債権の
数字というもので三十七兆余の
数字を出しておられますね。しかし、これはアメリカの調査の機関から発表している
数字というものとはやはり非常に大きな離れがありますね。私自身、感覚的にもう今は
大蔵不信に陥っていますから、この三十七兆云々の
不良債権の
数字なんというものは、これはもう氷山の一角ではなかろうか。これはやはり、アメリカのコンサルタントか調査会社が調べた
数字の方がよほど信用が置けるんじゃないかというような気がしているんですけれ
ども、この三十七兆三千億かの
不良債権の見積もり
数字というものはどうなんですか、自信がありますか。すぐばれることだから。