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1996-02-08 第136回国会 衆議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月八日(木曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       菊池福治郎君    岸本 光造君       小杉  隆君    後藤田正晴君       志賀  節君    七条  明君       高鳥  修君    谷川 和穗君       萩山 教嚴君    蓮実  進君       原田  憲君    福永 信彦君       松岡 利勝君    松下 忠洋君       武藤 嘉文君    村岡 兼造君       村山 達雄君    谷津 義男君       若林 正俊君    安倍 基雄君       愛野興一郎君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       上田 清司君    奥田 敬和君       加藤 六月君    川島  實君       左藤  恵君    笹川  堯君       谷口 隆義君    平田 米男君       前田 武志君    松岡滿壽男君       山田  宏君    今村  修君       佐々木秀典君    坂上 富男君       田中 昭一君    濱田 健一君       細川 律夫君    横光 克彦君       錦織  淳君    松本 善明君       矢島 恒夫君    海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         文 部 大 臣 奥田 幹生君         厚 生 大 臣 菅  直人君         農林水産大臣  大原 一三君         通商産業大臣  塚原 俊平君         運 輸 大 臣 亀井 善之君         郵 政 大 臣 日野 市朗君         労 働 大 臣 永井 孝信君         建 設 大 臣 中尾 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     倉田 寛之君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      岡部 三郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 秀直君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 鈴木 和美君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         防衛庁参事官  小池 寛治君         防衛庁参事官  澤  宏紀君         防衛庁参事官  藤島 正之君         防衛庁教育訓練         局長      粟  威之君         防衛施設庁労務         部長      早矢仕哲夫君         経済企画庁調整         局長      糠谷 真平君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房参         事官      河上 信彦君         兼内閣審議官         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁次長   若林 勝三君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         厚生大臣官房総         務審議官    亀田 克彦君         厚生省年金局長 近藤純五郎君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         労働大臣官房長 渡邊  信君         建設大臣官房長 伴   襄君         自治大臣官房長 二橋 正弘君         自治大臣官房総         務審議官    湊  和夫君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省税務局長 佐野 徹治君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 二月八日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     萩山 教嚴君   武藤 嘉文君     岸本 光造君   村岡 兼造君     松岡 利勝君   村山 達雄君     福永 信彦君   若林 正俊君     七条  明君   石井 啓一君     上田 清司君   石田 勝之君     加藤 六月君   山口那津男君     奥田 敬和君   佐々木秀典君     濱田 健一君   細川 律夫君     横光 克彦君 同日  辞任         補欠選任   岸本 光造君     小杉  隆君   七条  明君     松下 忠洋君   萩山 教嚴君     江藤 隆美君   福永 信彦君     村山 達雄君   松岡 利勝君     蓮実  進君   上田 清司君     石井 啓一君   奥田 敬和君     山口那津男君   濱田 健一君     佐々木秀典君   横光 克彦君     細川 律夫君 同日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     武藤 嘉文君   蓮実  進君     村岡 兼造君   松下 忠洋君     若林 正俊君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田敬和君。
  3. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 おはようございます。  連日、本当に総理以下各大臣、御苦労さまです。  ちょっと私、体調を崩してますので、余り大きな声は出ませんけれども久しぶりにこの質問席に立っているものですから、お聞き苦しい点はひとつお許しください。  ニューヨーク・タイムズやアメリカのウォールストリート・ジャーナルでも、久しぶりに顔の見える総理誕生ということで、まあ支持率も御存じのとおり大変高い。本当に橋本総理には、心からおめでとうと御就任をお祝いします。  これは日本国民のみならずやはり外国の皆さん方も、久しぶりにすばらしいフレッシュなリーダーシップを発揮してくれる総理だということで期待が集まっているわけです。ですから、私は、余り知性派じゃありませんから理屈はわかりませんけれども国民はこの住専予算に対して、本当にやはり肌に感じますね、何かもう九割以上の人がこれに対して厳しい怒りの声を発しています。どうかひとつ、早期に八年度予算を成立させるということはもう景気回復の必須の課題ですから、これらに対しては全く積極的に協力をします。だけどやはり、いろいろ言い方はありますけれども、総選挙早期に信を問うという、やはり橋本政権本格政権になって国民に認知されることを期待しています。  今度のあれでこの住専予算を一遍削除して、そして改めて協議を尽くして、補正段階において国民理解の深まった段階でいろいろやられるという形なら私たちも本当に前向きに対応できるわけです。今度の予算住専関係をしばらく削除するという決断をなされば、さすが龍ちゃんだということで、選挙をやっても自民党は圧勝しますよ、これは私の勘ですけれども総理のこの案件に関するそういう決断、意思ありや否や、まずお伺いいたします。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 友情を込めた御質問冒頭お礼を申し上げます。同時に、体調を崩されているということでありますが、どうぞ御自愛を祈ります。  そして、今御審議をいただいております当年度予算の中における住専に対する公的資金投入を削除すれば我々もサポートできるんだという、本当にありがたい、まさに友情にあふれる言葉をいただきました。しかし、せっかくの御忠告をいただきながら、私は、大変申しわけない気持ちがあります、その御忠告に対して。しかし、私どもとしてこれを削除するという意思は持っておりません。  なぜなら、このスキームが既に市場にも受け入れられ、このスキーム予定どおりに稼働することを前提として既に市場が動いております。そして国際的にも、繰り返し久保大蔵大臣・副総理から御答弁を申し上げましたように、G7においてその説明を行っております。  しかし、そうしたことだけではなく、私は、この住専の問題の処理をこれ以上果たして先延ばしすることができるだろうか、私自身も真剣に考えました。これは総理という立場になります以前に、前内閣主管閣僚ではありませんが副総理という立場を拝命しておりました時点におきましても、随分自問自答を繰り返した点であります。  しかし、やはりここでそれぞれの金融機関の抱えております債務の額がこれによって確定されるということは、預金者に対しても不必要な不安を与えないという意味でも大切なこと、そのような思いから決断をいたしました。どうかこの点は御理解を賜りたいと思います。
  5. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 今までずっと、前内閣にも関係して、大蔵大臣経験も含めて、その時代のことは別として、先延ばしはできない問題なんだ、喫緊の課題だ、緊急課題だ。預金者保護、この問題についても後からまたお聞きしますけれども、そういった形でできないという御答弁でございます。  大蔵大臣、僕は正直言って、与野党議員を通じて二十六年間、おかげさんでこうして議員を務めさせていただきました。与野党を通じて、あなたが一番私は信頼できる、うそをつかない議員だということでおつき合いしてまいりました。あなたとは、もう青春期の一時期を命をかけてお互いに学び合った若き日の、本当に思い出に残る、言ってみれば戦友という言葉で表現させていただきますけれども。その大臣大蔵大臣を引き受けられたときに、私は、これはうまい人事をやるやつだな、だれがこんな知恵を出したのかなという気持ちを持ちました。今静かになさっている、後ろの官房長官あたりが……。いや本当に、野党に立って攻める側からいうと、あなたは一番攻めづらい人ですよ。今までスキャンダルのにおいもあるかと思って探してみましたけれども、あなたには何にもない。  しかし、私はこの住専問題というのは、やはり五五年体制といいますか、自民党単独政権時代、まあこのツケが、第一弾目が回ってきたな。それは、これははっきり言って困った問題だという形はみんなこの四、五年前から認識していたわけですから。ところが、このツケを先送りすれば何とかそのうちという、そういった認識が私らにもなかったかといえば、本当に責任の一端を感じます。私もやはり海部内閣時代自治大臣をさせていただいたのだし、宮澤内閣では運輸大臣という形で、やはりこの辺ごろから、平成二年ごろからごろごろごろごろとこの問題がしょっちゅう話題になってきた問題だったわけですから。  そういうわけで、こういったときに大蔵大臣を引き受けられたというのは、友人として、まあ適材ではあるけれども、嫌なこのときに厳しい課題を担いでやったのは、あなたは、新党問題でも苦労されておったし、もうここを死に場所と心得て、本当に前の村山さんや武村さんのそういった形の荷物を担いで、ここ一番という気持ちで引き受けられたのじゃないかと思います。まあそんなことを今聞いたって……。  あなたにちょっと、就任早々、何か中島主計局次長さんですか、あの退職金の問題にすぐ判こを押されたね、まだ決断されていないのだと思うのですけれども。しかしこれは、あれだけ敵前逃亡、これはマスコミが言っていることですから、私が言うのじゃありませんよ、敵前逃亡した武村さんだって、前大蔵大臣ですら、これは私の在任中は判こは押せないといって何かえらい力んでおられたくらいの問題。あなたになったらすぐ何かこう……。  これはやはり大蔵官僚が本当にちょっとほかの官僚と違うという認識を私は持っていましたけれども国益優先、我々が物を言ったってなかなか言うことを聞いてくれない、そのくらい、やはりさすが国のことを憂えているすばらしい官僚群だなと思っておったのです。最近出てくる形は、後にも事例を挙げて述べますけれども、本当に例外だと思いますけれども、バブルに踊ったときに一緒に踊った、そういった形で二、三の名前が象徴的に挙げられているわけですけれども、これはどうなんですか。退職金を支払ったのですか。
  6. 久保亘

    久保国務大臣 奥田さんから過去の反省も込めてのお話がございました。私も、若いころの同期生としてあなたの今のお話を大変注意深く聞かせていただきました。  御質問がございました中島氏の問題につきましては、支払っておりません。私が申し上げておりますのは、法律によって支払いを停止したり、あるいは退職金を支払わないことにしたりする条件となるような刑事訴追が今行われているわけではございません。したがって、本人退職金請求手続をとれば、これを法的に阻止することは大変難しいのではないかということを私は申し上げたのであります。大蔵省の方から積極的に支払いを考えるつもりはございませんということも申し上げてございます。  また、本人請求手続をおとりになるようなことがあれば、もし私が直接お話しできる機会があれば手続をおとりにならないように申し上げたい、こういうことを私は一貫して申しておるのであります。現在はこのことについて請求もございませんし、また、私の方から支払いを決裁するような気持ちは全くございません。
  7. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 安心しました。それでやってください。心ある官僚なら、これは本当に当然、これだけの事実が発覚しておる形において、普通民間人だったらとうにブタ箱ですよ。これはやはり官僚の壁というか、お互いに持ちつ持たれつ、それは私は感ずるのですよ。だから、そういった点において、この問題については今大臣が述べられたような形で対応していただきたいと思います。  それから、これはやはりあなたに問うことになるのだろうね。はっきりと言うと、私は本当に国民レベルの知識しかこの財政問題に関しては持っていませんから、こんなわかり切ったこと何だと言われるかもしれませんけれども、お聞きします。  なぜ一民間会社にすぎない住専経営破綻にこれだけの税金をつぎ込まなければいかぬのか。私は、今一次の六千八百億のこんなことを言っているのじゃないんです。あなたらは二次損失スキームも含めていろいろ数字を並べ立てますよ、役所の方は。だけれども、これは感覚的に信用できないのですね。これは二次スキーム半額負担の形でも、十五年にわたって清算処理でどういう形で回収するのかわかりませんけれども、しかし、どこまで膨れ上がるのかわからぬ。私ははっきり言って、大蔵省の今言っている一次スキームから二次スキームに移る数字に対して信用をまずしていないのです。理屈を言われるとか細かい数字やら資料やら見せられても、こちらはちょっとすぐわかりませんからね。そういった数字的な反論はできませんけれども、やはり非常に不信感を持ちます。  それで一つ、あなたがお答えになっておられたのをテレビで聞いたんですけれども、一次、二次合わすと一兆三千億近くになりますわね、細かい数字は別として。これ以上の公的資金はつぎ込まないということをNHKのテレビで僕はちょっと耳にしたんだけれども、違うのかな。  それと、住専支出は一兆二千八百億、これ以上は出さない、住専以外のノンバンクには、万が一にいろいろな破綻があってももう公的資金は出しませんということを言明されたように聞いたんですけれども、この点はどうですか。
  8. 久保亘

    久保国務大臣 私が申し上げましたのは、住専の問題で公的資金投入するということならば、今後ノンバンクなどの不良債権処理に当たっても公的資金投入が考えられているのかという御質問があったと思います。そのことに対しては、既にこの住専問題を検討いたします段階で、与党三党の合意に基づきましても、また金融制度調査会答申等によりましても、住専問題の処理早期に終えた後、新たなノンバンク等不良債権処理公的資金の導入を考えることはしないという立場であると思っております。  私どもといたしましては、したがいまして、新たにノンバンク不良債権処理公的資金を導入する考えは、現在はございません。
  9. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 ここで締めくくりに一つ聞きたいんですけれども、この二次スキームで二次損失折半というのは、これはほかの議員も指摘されたことだと思うんですけれども、わかりやすく、二次スキームでなぜ折半しなければいかぬのかな、公的資金をですよ、ここをちょっと簡単に教えてください。
  10. 西村吉正

    西村政府委員 私どもは、いわゆる二次損失として国民皆様方が御心配をしておられるような損失は極力発生しないように最大限の努力を尽くす、そのためにこのようなスキームを用意するという気持ちで取り組んでおるところでございますが、万が一そういうものが生じた場合の処理として、何らかの準備をしておかなければいけないと考えております。  その場合に、いわゆる一次損失と言われているものの処理につきまして、関係者、母体行、一般行、系統金融機関、それぞれに最大限の、果たし得る限りの御尽力をお願いしたところでございます。それでもなおこのロスを埋め切れないということで財政負担をお願いしておる、こういうことでございます。それを上回るものが仮に出てきた場合には、その場合には官民が協力し合って、折半をしてこの問題を処理していこう、こういう考え方で取り組んでいるわけでございます。
  11. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 何かしかし、横着ですね。公的資金出動という形を、六千八百億という数字を出したけれども、本当はまだまだ膨らんでいくことがわかっていて、国民は六千八百億でも怒っているんだから、一兆円、二兆円という形になったら、これまた大変な、何で我々がせないかぬということになる。だから最初に小出しして、後わかっているのに、正直じゃありませんね。私はもう素朴な、余りこういう数字に詳しくない男ですけれども、何かこれ、最初小出しにして後でどんと、そういうことは見え見えなんだね。  僕は今度の問題で本当に怒るのは、どこの新聞か忘れましたけれども、何か読者投稿の川柳で「税金はお布施じゃないぜお役人」という、これは大蔵官僚に対するお役人、あるいは政治家にも当てはまるのですけれども、本当になめるなという納税者の、税金を納めている納税者にとってはたまらぬぐらいの怒りだと思うのですよ。  だから、情報資料開示とか、これは大臣もはっきり言明されておりますし、総理も、できるだけのことははっきりするという前向きな形で対応していただいているので結構なんですけれども、やはり国民に対して情報開示、ディスクロージャーも責任の追及も当然なことなんですから。私たち議会人というのは、大体国民議会開設の原点はまさに税の問題から発しておるわけですから。  だから、これは大蔵金融皆さんにお伺いしたいのですけれども国民は、大蔵とそして大蔵官僚の、もちろん政治も関係します、金融、暴力団絡み、本当にこういった、組織的な犯罪と言ったらまたいろいろな意味でおしかりを受けるかもしれませんけれども、こういうツケ回し国民にしりぬぐいさせるというような形は、もう許せないと思うのですけれどもね。これは大蔵大臣、私の感覚というのは間違っているのかな。
  12. 久保亘

    久保国務大臣 金融の中に反社会的な組織や人間が介在するというようなことは、私は許してはならないことだと考えております。  今、奥田さんからいろいろお話がございましたけれども、今度の措置は、先ほど奥田さんも言われましたように、この住専問題が今日のような状況に至りますまでの間に、長いいろいろな判断の誤りや見通しの甘さや、また見逃してはならないことを見逃してきたというようなことがあると思いますが、そういう中で、今日の状況というものは、金融システムの安定の上から見ましても、また既にジューセン・プロブレムという言葉が国際的に使われるようになりましたほど、この住専問題というものが内外に与えている影響が非常に大きい。  そしてこの問題は、処理を誤れば預金者に対しても大変大きな、深刻な影響を及ぼすおそれがある。加えて、日本経済がようやく今長い低迷から明るさを取り戻そうとしているときに、この住専問題の処理大変早期な解決を迫られている。そういうことを考えた上でこの処理スキーム政府として決定をし、御審議をお願いをいたしているわけでございます。  私たちは、今、奥田さんがお話しになりましたように、国民税金を使って住専問題を処理するわけでありますから、その責任の重さを片時も忘れてはならないと思っております。  ただ、基本に置いておりますことは、六千八百億円の税金投入は、決して住専住専に対する債務者や特定の金融機関を救済するために使われるものではないということでございます。  したがって、私どもは、住専に対して、債務として残っております十三兆円は、すべて回収の対象として強力に、あらゆる権力を使ってでもこのことはやり遂げなければならないことだと思っているのでございます。そうすることによって、二次ロスをなくする、最小限にとどめるということが、今回のスキームを決定するに当たっての責任として伴っているものだと考えております。そのような立場で、今回の私どもが御審議をお願いいたしておりますことをぜひ御理解をいただきたいと思うのでございます。
  13. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 しかし、あらゆる権力を使って回収するというあなたの正義感というもの、国民サイドに立った決意はよくわかるのですよ。だけれども、この処理機構、私も少し調べましたけれども、そんな簡単なものじゃないですよ。これで回収できるという形で、今決意は結構ですけれども、ニュースで、新聞報道で出てくる今の形の処理機構では、とてもじゃないけれども、これは役人の作文ですわ。それはなかなか厳しいということは、これはみんなわかっているのですよ。  日本の民法の六百二条あたりというのは、むしろ弱者保護というか、賃借権を持ったたな子に非常に有利というよりも、そういった形の保障をしているという形で、だから、いわゆる第三者が入っておってどうにも回収できない。大きな債権人からみんなしり込みして逃げていくのは、もちろん暴力系のフロント企業も含めて、そういった形の介在があることは間違いありません。ですけれども、彼らは、法律という面に弁護士さんくらいの知識も持ち、腕力も持っている連中たちですし、これはなかなか簡単な、正義感だけで解決できるという問題ではない、現実は。  だから、これは本当に、単にこれだけの、千何百人の人員でやるのだとかあるいは警察OBをこれだけ入れるんだとか、こう言っていますけれども、そんな、ネクタイ締めて背広着て、今の住専の職員あたりの一部を吸収したり、警察のそんなOBを入れたりという形だけで、なかなかこの問題の根っこは解決できませんよ。むしろ、やるのだったら、本当の緊急事態で、時限的な、超法規的な、極端な立法措置まで講ずるくらいの覚悟がなかったら、ちょうど戦後の隠退蔵物資の摘発にGHQが超法規的にやって、もうあれくらいの形でやらなかったら、それは成功しませんね。  アメリカの、何か難しいあれだからただRTCというだけで覚えているのですけれども、あそこなんかの取り締まりの形は、五年の時限を切って、すごい人間を投入する形で法的権限を持たせちゃった形において、ようやく五年でクリアしていますね。だけれども日本は、十五年かかって、しかも体制が、時が過ぎれば何とか責任回避できるような形で、私も、国鉄清算事業団の形で、総理はもう改革の鬼でやられたわけですけれども、あれも最初スキームは非常にうまくいくようになっていたのだけれども、あれは政府のやはり行政的な介入によって清算の処理がおくれてむしろ膨れ上がったような結果になって、まことにこれはもう嫌なことだなと思っているのですけれども、それ以上に嫌な問題になることだけは間違いない。だから、余り大蔵省の作文だけで、債権はこれだけで回収するんだという意気込みは立派だけれども、この処理機構の内容がまだ定かではありませんから、これ以上、ここでやめますけれども、そんな甘いものじゃない。  特に、私はこのフロント企業あたりを調べてみると、これはすごいですよ。今、これはバブル崩壊と同時にいろいろな形で、地上げでも利用したりした形がまた形を変えて企業化しているのですけれども、やくざのフロント企業の形だけでもすごいですね。  住吉会が正規な法人として百五十二社ぐらい、稲川会が八十社、松葉会が二十三社、日本国粋会二十社、そのほかに極東会やら、それで山口組系が既にもう五十社。四百社近い、直系の連中たちの企業化しているのとこのフロント企業で。それがやはり不動産、建設、金融金融から情報を得ていますね、金融が多いですね。そのほかにゴルフ場、経営コンサルタント、貴金属販売ならいいけれども、自動車のディーラー、それとお絞り、絵画、美術、もうあらゆるところに、すごい形のものですよ。これらがみんな今のこの問題に何とかかんとか絡み合ってきている。それをやはりきっちりする意気込みと、私もそれをやってほしい。  だから、僕が言うのは、超法規的なくらいの時限的な、強力な措置をしないと、簡単に債権回収はできませんよと。だから、役人の書いた作文だけのような形の処理機構でやっていってもなかなか効果が上がらないから、その点しっかり、剛腕の官房長官もおるわけですから、そこのところで、そんな簡単なものじゃないという認識に立ってこの問題に取り組んでほしいということをお願いしておきます。  それで、後でまた述べますから余りくどくど言いませんけれども、それは本当に、総理、あなたはやはり総量規制のときの担当大臣として非常に責任を感じておられると思うのですよ。この延長線上に今日の住専問題もあるわけですね。だから、道に迷ったときにはもとに、原点に返って考えていかなければいかぬわけですけれども、僕もあのとき、土地の値上がりで国民はもうとてもじゃないけれども一軒家に住めるなんというのは夢のまた夢という形の中で、あのバブル全盛期の土地の高騰というのは、一夜にして右から左、倍々ゲームでやっていくような形というのは許すわけにいかぬかったから、それは総量規制賛成だったですよ。  だけれども、結局そのときやはり蛇口をあけたわけですね。あけたというわけじゃなしに、あいておったわけですよ。そこに流れ込んでいったということは間違いない。だから、それはやはりそのときの総量規制で蛇口があいた、そこに流れた。そこでまた母体行とノンバンクの形が始まって、住専を含むノンバンク系統に資金が流れた形があり、みんながたかった。だから、あのときには、もう各銀行、大手の各金融機関の中でも不正事件が多発しましたね。  具体的には、象徴的なのは、東海銀行の森本という行員のあれとか、富士銀行の中村某とかという形の中で大変な犯罪も起きたわけですよね。一人の行員がもう二千億、三千億、それが少々勝手に判を押したとか偽造したとかというわけじゃないですけれども。だから、女の行員が何億やったとかという報道がありますわね。  しかし、大蔵大臣、アメリカなんか銀行員に二週間以上の、これはアメリカ全部じゃありませんけれども、例えばカリフォルニア州なら必ず二週間以上の休暇を義務づけているのですよ、州法で、法的に州で。そうすると、大体金融不正なんというのはそれくらい時間をあけるとみんなばれてくるのですよ。休暇をとらす間にね。だから、悪いことをしたやつは休暇をとらぬで一生懸命やっている。日本の場合でも一緒ですよ。時間のタイミングで行ったり来たりさせる捜査の中からいろいろな金融犯罪が出てくることは間違いないので。だから、こういったことも非常に見習うべきことじゃないか、こう思うのですけれども、そういう点も参考にしておいていただきたいと思います。  私は、いろいろな形できのうあれしたのですけれども、一番不愉快に思うのは、銀行局長にもお伺いしたいのですけれども、これからの日本不良債権数字というもので三十七兆余の数字を出しておられますね。しかし、これはアメリカの調査の機関から発表している数字というものとはやはり非常に大きな離れがありますね。私自身、感覚的にもう今は大蔵不信に陥っていますから、この三十七兆云々の不良債権数字なんというものは、これはもう氷山の一角ではなかろうか。これはやはり、アメリカのコンサルタントか調査会社が調べた数字の方がよほど信用が置けるんじゃないかというような気がしているんですけれども、この三十七兆三千億かの不良債権の見積もり数字というものはどうなんですか、自信がありますか。すぐばれることだから。
  14. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のように、昨年九月期の中間決算に基づきまして私ども金融機関から報告を受けました計数を集計した不良債権額が約三十八兆円という御報告を申し上げております。  私どもも、従来から日本金融機関のディスクロージャーが不十分であるという御指摘を内外から受けまして、私どもなりに努力をしてまいったつもりでございますが、今なおまだ努力が十分であるということではないと自覚しております。しかしながら、この三十八兆円という不良債権の額につきましては、そのような御批判をも踏まえまして、従来は推計をしておりましたものを、金融機関からの報告を積み上げまして公にし発表したわけでございまして、私どもとしては、現段階での最大限の努力を尽くしたと考えております。
  15. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 これは、銀行からの聞き取り調査でやった集計だと思うのですよね。銀行局長、うんうんとうなずいておられますけれども。それなら言うのですけれども、自信はない御答弁だと思いますよ、この数字に対して。だって、聞き取り調査だけでやったのなら、これは大変なことになっていくわけですよ。  去年の十一月にあんだらば、聞き取り調査の結果、三十七兆三千九百億という数字を集計されました。まあそれはいいです。だけれども、昨年八月に兵庫銀行が破綻しましたね。今はみどり銀行として一生懸命にやっておられます。だけれども、このときの不良債権も、大蔵当局が認知されておったのが六百九億という形だったのが、みどりが引き継いだ時点で不良債権は七千九百億だったですね。東京のコスモは、東京都の審査で、これは甘い審査なんだけれども、二十四億だったけれども、あけてみたら回収不能額二千四百億というようなべらぼうな数字になった。だから、こういう形で、この三十七兆四千億くらいの根拠というのは全く信用できないんだな。  だから、アメリカの下院の銀行金融委員会のジェームズ・リーチ委員長というのは、日本不良債権は百四十兆に上るというアメリカの調査会社のレポートに対して、私はやはり、これはちょっと多いんじゃないかな、そこまではないだろうと思っていますけれども、ともかく私は二次、三次のあらしが来ると思っているんですよ、今の住専課題で。これが第一発日だ。だから、今のような、住専処理公的資金を出動させて、これはしないでほしいと思うんだな。はっきり言って、この際、自己責任で完結させる。荒療治になりますけれども、やはり母体行、農協も、これは責任を明確にしてもらう。  中小企業の経営者なんかも国民も怒っているのは、公的資金を出して救済してくれと言う前に、やはり厳しい事態で、トップが責任をとるとか、あるいは役員がきちっとした形で、報酬はもちろんのこと、役員も当然あれですし、社員も減給するとかあるいは店舗縮小や、自分の形の自己責任でできる限りのことをして、そうして頑張ってやっていく姿が国民の目に見えれば、国民もやはり理解、協力の機運が少しずつ出てくるんじゃないかと思うんですよ。  今のような知らしむべからず、よらしむべしという、これは昔の殿様がやったような、封建諸侯の王様がやったような形で物をやっていったら、これは国民は本当に怒って、アメリカだったらとっくに訴訟を起こしていますよ。あれはもうつばを吐いても訴訟を起こすような国ですから、もう本当に税金に対して、納税義務者、国民としてのその権利から訴訟を起こすような運動が起きますよ。だから、市民運動、国民運動に、この問題をきっかけにして、そういった納税期を控えた中でこんな形で不信が渦巻いていく形は本当は好ましいことじゃないんですけれども、この点をやはり理解してもらわないと、私企業を国民の浄財で救済するという理由はどうしても私にわからぬ。  大臣に聞いたり大蔵当局に聞けば、これは金融システムの安定之かという言葉で必ず逃げられますけれども預金者を盾にして責任を常に逃げていこうとするんですよね。やはり真相をはっきり言うことによって国民はちゃんと理解しますから、それを隠して隠して、それで結果、なぜ公的資金だと言うと金融システム金融システムイコール預金者国民に対する安定だとかいう形に、そういう方程式で我々をごまかそうとしているわけですから、この点については本当にいろいろ言いたいことはありますけれども、これは許せないということだけ結論で。  要するに私企業を国民の浄財で救済する理由は断じてないという形だけ、これははっきりしてほしいと思うんですけれども、間違っていますかね、大蔵大臣
  16. 久保亘

    久保国務大臣 やむを得ざる措置だと考えております。もし公的資金の導入による公的関与を行わないという場合に、どのような状況が起こるのかということについても、政府としては真剣に考えざるを得ないということでございます。
  17. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 もっとすっきり……。  僕は、また宮澤さんが発言されてしまうかもしれませんけれども、うそをつかないでほしいんですよ。これは正直に、やはりこれは失敗だったんだと。宮澤さんなんか、これは農協系金融を守るために公的資金を出動させるんだ、まあポスト・ウルグアイ・ラウンド対策の一つだ、国民理解、協力をお願いしたい、そういう誠意を見せて国民理解を得たいんだというような形の発言があったようでございますけれども、これは農林大臣にも関係ありますから、農林大臣にお聞きしましょうか。  この公的資金出動の理由というのを、余り国民預金者保護、いろいろな形で国民を盾に持ってくる形じゃなくて、素直にポスト・ウルグアイ・ラウンド対策で、どうしてもこれだけ御支援賜りたいという形というもの、そんな理由は無理なのかな。
  18. 大原一三

    ○大原国務大臣 奥田委員御存じのとおりに、農協系の金融システムというのは、組合員に分配をしていく、内部留保を厚くしないというのが大前提でございます。そういう中で、たまたまバブルのユーフォリアの中で、確かに浮かれて住専へ走ったという実績は認めざるを得ません。そういう意味で、我々、責任を感じておるわけでございますけれども、農協系としては、今日まで、母体行というのが第二地銀まで入れまして百六十八上聞いております。だから、 一般行と言われる方も、ある住専には母体行になり、そして別の住車には融資をして一般行になっておられる、こういう状況の中で、住専問題に、直接経営に携わらなかった農協系としては、やはりその経営責任は明確にしてもらいたい。  長いいきさつで母体行責任を申し上げてまいったわけでございますけれども、五千三百億の負相が、先の内部留保から見まして、また利益から見まして、いかに重いものであるかということは、もう先生御存じのとおりであります。そういう黄味で、総理もおっしゃいましたように、今の金融秩序を何とかリストラするために協力しろということで、農協系もあえて苦しい内部留保の中で五千三百億に協賛をして協力するという事態が今日の結果だと私は認識をしております。
  19. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 農林大臣にお伺いしますけれども、それは今確かにお話しのように、農協が今まで地域に果たしてきた経済的な役割あるいは雇用創出の役割というのは、それは評価しますよ。都市と農村地域では、我々の地域とはまた多少感覚が違うかもしれませんけれども、やはり農協窓口、預金窓口も何か一万六千店舗ぐらいあるんでしょう。郵便局が二万とすれば、これに匹敵するような形で、まあ農家の庭先にも一般の銀行は入れないでしょう。それくらい加入者を含めて大変なことなんですわね。だから、それは理解していますよ。  だけれども、農協、あなたは、まあ前歴を言ったらあれだけれども大蔵の出身、大蔵のお役人時代からの経験も生かしまして、これはまだまだたくさん問題を抱えているでしょう。あなたが農林大臣として入られて、この住専以外にも、今、七住専だけ言われていますけれども、やはり協同住宅ローンもこれは相当な不良債権を抱えているはずですよ。これは最上恒産の事件で、あのとき早目に気がついたからよかったようなもので、これは確実に抱えていますよ。  それで、こういうときに、やはりあなたの時期に早く手術をするか情報開示して、大胆かつ緊急にやる必要があるなと思っているのです。  大体、そんな住専利息だけに年間千五百億の、もうほかのところはゼロにしているのに、まだ四・五%取ってのうのうとしていて、年間この千五百のハイリターンにやはり甘え切っていた。ハイリスクというものは必ず利息の高いところにはっきものなんですよね、これは。だけれども、そのハイリスク・ハイリターンという鉄則というものも何かきっちりしなくて安住したという、はっきり言うと。あなたから見て、信連系統も含めて、金融マネージを含めて私は何か素人臭い形が目についてしょうがないのですよ。それで、もう後になったら覚書、誓約書、これは誓約書を出した母体行はだめですよ。  いかに、あれというより、契約社会の中であんな役所間の、僕は追及しようと思ったけれども、役所間の覚書なんというのは、こんなもの、言ってみれば、母体行がしっかりしておれば、民間企業にそんな強制タッチはないのですから、あの誓約書で一本あなたらはとったわけだ。いや、そうですよ、母体行が責任を持つというので、それはのめり込むのは当たり前ですよ。  だけれども、まだ農協系金融を含めて爆弾がいっぱいある。これは早く国民、農協組合員に情報開示して、そして早くシステム改善というものをあなたの時期に  あなたはノンバンクの法律をつくったり、貸金業のあれをつくったときの自民党のチームの責任者だった。私はあなたのけつについてそうだそうだとやっていたわけですから、ここはやはりはっきりあなたの大臣時代に道をつけるべきだ、悪い点にもはっきりメスを入れるべきだ、その点についてはどうですか。
  20. 大原一三

    ○大原国務大臣 大変御貴重な御指摘でございます。  私も、確かに農協の現在の信用システム、やはり一般金融機関も護送船団と言われるのでありますが、農協系も多分にそういうシステムに甘えていた傾向がなしとしません。したがって、今回の与党の調整会議等でも御指摘いただきましたように、農協としては金融システムの再構築を早くやりなさいという御下令をいただいているわけでございます。  私もたまたま農林水産大臣になりまして、私の仕事は何だろうか、この住専問題にかかわるたびにやはり早急に先生御指摘のようなリストラをやらなければならぬ、こう思っております。そういう意味で、もう早急に、この一月三十一日でございましたが農政審議会にお願いをして、でき得れば夏場までには将来のビジョンをかいてほしい、そしてそれに基づいて法律を、来年の通常国会と言わず、でき得れば今年臨時国会があれば提示をしていくべきではないか、こういう気持ちで今その緒についたばかりでございます。  それともう一つ、協同住宅ローンの不良債権。幸か不幸か先生御指摘のような事件がございまして、それから融資に大変気を配った。現在総資金量八千億でございますが、そのうち焦げつき債権と申しますのは約二千億でございます。これは早急に農林中金の約八百億の経常利益で当年度は半分ぐらい償却しよう、来年から農林中金利益等でこれを埋め合わせしていこう、こういう計画を立てているところでございます。
  21. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 ちょっと農水大臣、そこにおってください。これは簡単に聞きます。  日住金の会長、岡島和男さん、御存じですね。もちろんあなたとも大学同期だし、大蔵同期だし。そういった形で、日住金関係からの献金はありませんね。ありませんねというより、ありますかと聞いた方が本当はいい。
  22. 大原一三

    ○大原国務大臣 日住金や七住専、いや八住専からの献金はございません。
  23. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 これは指摘だけにとどめておきます。まあ、ないと思います。信じましょう。  塚原さん、通産大臣住専関連の政治献金で、僕はあなたは正直な人だなと思っているのですよ。みんなは、もう絶対ありません、こう言っておられるのに、あなたは、ちょっと調べてみなければわからぬな、こういうような御答弁だったですね、就任のときの。これは正直だと思いましたよ。  だから一部週刊誌で、同じ塚原姓の社長が、塚原姓ですから太陽エステートの関係であなたは非常にそういった形に関係があるように一部書かれている、たしか週刊誌か何かで見たような気がするのですけれども。太陽エステートの関係に関してあなたはこの際はっきりさせておく必要があるのじゃないですか。私はこの場をかりて、私も少し調べました。でも、はっきり言ってあなたは同じ塚原姓であるという事実関係だけだったということを確認いたしました。ここではっきり言った方がいいと思います。
  24. 塚原俊平

    ○塚原国務大臣 週刊誌等で私の名前が出たのは見ていないのですが、一月の五日の朝、寝巻き姿で起きてさましたら、パチパチパチと写真を撮られまして、「フラッシュ」という雑誌だそうですけれども、太陽エステートのいとこの塚原、裕と書いてユタカとかヒロシとかおっしゃる方なのだそうですが、についてお伺いしたいということで、初めて私にそういううわさが立っているということを知りました。無論親戚関係等もございませんし、太陽エステートからの献金もございません。  それから、住専関係からも献金はないし、関連からも献金はないとは思うのですが、ただ、今大変に政治資金集めが厳しい状況で、割にパーティーをやっているものでございますから、友達が持っていったパーティー券がどこに回っているかというのはちょっとわからない部分もあるので、記者会見のときはそのようなお答えをいたしました。大変に御配慮いただきまして、本当にありがとうございました。
  25. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 ちょっと野党の立場としてはおかしいな。  長尾法務大臣、これは決してけちをつける意味じゃないんですよ、法務大臣に今度の橋本内閣が長尾さんを起用されたということは、本当に意外でした。あなただったら一番こういった形の、いわゆる、これから検察も頑張っていただかなければなりませんし、平成のジャンヌ・ダルクになり得るかどうかという、それは本当に意外でしたけれども、そうなってほしい。  ただ、あなたに率直にお聞きしたいんですけれども、家庭を預かる主婦感覚からいって、今回の住専の問題について、税金拠出というか公的資金の財政出動に対して、どういう形で見ておられますか。ちょっとお聞きしますけれども、これは法務大臣としてこれから起きるであろう不法摘発には断固たる決意で臨んでもらわなければあれですけれども、今度の住専問題に関して、主婦の立場でもあられる法務大臣の感覚からちょっとどう思われるかということの感触、いかがですか。
  26. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 大変難しい御質問であるかと思います。先生の方からは主婦感覚として、いわば一人の個人としてこの問題についてどう思うのかという御質問であるかと思いますが、私はただいま橋本内閣の一員であるわけでございまして、やはりその立場でお答えをさせていただくということになろうかと思っております。  先生から先ほど御指摘がいろいろございましたように、今回の問題につきまして国民の皆様から御納得をいただくためには、やはり不正な事件、いわば債権の回収に関して予想されますいろいろな問題について適正に対処していかなければ皆様の御納得はいただけない、そういう観点で私といたしましてもこの問題につきまして全力を挙げて対処していく、このように考えているところでございます。
  27. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 これは官房長官、あれ、おらぬな。――それではここで、大蔵省にちょっと一つお伺いしましょうか。  住専は、大蔵省の直轄というか直系会社、まあこれは反論されるかもしれませんけれども、そうだと思います。それで、住宅ローン以外の貸し出しが今の段階の調査では八〇%近くに達していまして、これは貸金業法規制に違反した業務を随分放置してきたと思うんですよ。  今私の手元に、平成三年十一月、住総に立入調査をしたその報告書、要するに土田銀行局長時代の住総の調査の報告書があるわけですけれども、このときの調査報告書というのは、非常にやはり内容は精細に、細かく、この時点においてもう既に、だめだという形の実態報告というか、それがきちっとやはり書かれておるわけですよね。それから三年、四年という経過の中で大変な状態になってきたなということで、大蔵省は本当に、平成三年時代から詳細な債務報告というものに対して実に念入りにやっているという実態。  まあ、最初にここまで聞きますわ。それはわかっていますね。住総に対する土田局長時代のいわゆる調査報告書、これはありますね。
  28. 西村吉正

    西村政府委員 先般、衆議院議長に提出させていただいたところでございます。承知をしております。
  29. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 それではお伺いしますけれども、この報告書の中で、ここは非常に専門的なことになると思うのですけれども、この中で、個別名できちっとした、例えばフォンテンヌブロウというホテル経営とかいろいろやっているグループに対しての、例えば債務者の所有している本社ビル、これが第三者に占拠されておるということではっきりした報告がなされておるわけです。ここに言う第三者というのは、あなたらの報告の中で第三者という表現になっていますけれども、第三者の内容について少し詳しくお答えできますか。
  30. 西村吉正

    西村政府委員 報告書の中に御指摘のような記述があるのは承知をいたしておりますが、さらにこの報告書に記載されている以上の詳細については、私、現段階で申し上げるだけの知識がございませんので、お許しいただきたいと存じます。
  31. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 これだけの内容の整った報告の中で、恐らくこの第三者まで調査したのだと思いますよ、そうでなければそういう言葉は出てこないわけですから。ここに言う第三者とは何だということもやはりちょっと、次の同僚議員質疑にも関係してくると思いますから、あなたの方でも、報告書を作成した段階で確認している形の第三者というものを明確にしておいてください。  それと、その報告書の中にある次の第一不動産グループの問題で、これは、お金を貸したけれども、仕手株に、株に傾斜しているということをはっきり、株式担保で貸し付けを実行して、そういった資金使途の確認ができなかったという形で、住専が本来なすべきことじゃない株の資金にあれしているということもはっきり、これは第一不動産グループに対する内容報告という形で出ていますが、こういった形のことを、きょうは私は事前に質問予告もしなかったわけですから、すぐ答えることはできないかもしれませんけれども、こういった経営実態というものを、あなたらはもうはっきりと平成三年末現在において把握していたわけですよ。  そして、こういう不良債権の缶詰みたいになっている形から、もうだめだなと思いながらも、日をずっと、時間を繰り延べてきたという形の責任というのは、これは私は監督責任という形に関してやはり大きいなという感じがするんですよ。わかっていない、何とかなるという、そこはどういう判断であったのか。まあ、あなたに聞くと前のことだからという答えしか返ってこないと思いますけれども、経営実態を把握していながらこの実態を国民の前に示されなかったというこの罪は本当に重い。その点についてはどういう形で考えておられますか。
  32. 西村吉正

    西村政府委員 いわゆる住専と言われております一連の会社でございますけれども、貸金業規制法の対象にもなっておりませんで、いわゆる旧出資法という法律に基づきまして、非常に間接的な指導の対象になっております、いわゆるノンバンクの一種でございます。  しかしながら私ども、この第一次調査を行いますころから、このような分野において非常に大きな問題が存在するというふうに感じまして、ノンバンク研究会というような場を設けまして、精通者からの御意見を伺うような機会もつくったのでございますが、必ずしも、直接的にこの問題について行政的な措置を講ずるという手法を欠いておったこともございますけれども、講じてこなかったことも事実でございます。
  33. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 これははっきり反省して、自分たちの行政判断に関するミスであるかミスでないかの判断は国民がすることですから、やはり情報というものを、ある意味においてもうちょっとオープンにする必要は絶対あると思いますね。  官房長官がお帰りになったからちょっとお聞きしますけれども、この住専問題というのを私なりに調べていくうちに、大蔵に対して非常に私は不信感というのを持つようになりましたね、この問題でですよ。私は、今まで大蔵官僚というのは、はっきり言って一日置いてきましたよ、さっきも申しましたけれども。白黒、これは国益に合致しない、そういうときの判断というのは、これは平常時においては非常にうまく、適正に、厳格にやってきたと私は認めるんですね。  だけれども、どこかから狂ってきたな。乱世には弱いね。大蔵神話というのはやはり崩れつつあると思うのですよ。私は、これは日本の危機だ、納税期を控えて国民にやはりこの市民運動を展開される、こういうことになったら大変だな、これはもう与党、野党を問わず、これは日本丸沈没のような一つの方向に持っていったら大変だなという気持ちはあります。  ここはひとつ官房長官、あなたはやはり内閣を支え、支え、支えまくるという柱だから、これは出番だと思うんですね。まあいろいろ党からも言われるでしょう、あるいは閣内からも言われるかろうけれども、これは作戦失敗が、今度の住専公的資金出動がそうですけれども、これはちょっと、タイミングもそうですけれども、やはり隠していることが多過ぎる。もうちょっと国民理解を求めるために、うみを出し切るような、もっと情報開示国民を信頼してやってほしいし、まあこの問題が出るまでにほしかった。だから、もう作戦失敗ですよ。だから、ここでもうこれ以上進んで玉砕戦法でいかれたら、それは国民の本当に悲劇だと思うんですよ。  だから、ここはひとつ、ひとまず撤退したらどうですか、住専公的資金のあれは。そのかわり、そういった問題、責任なり情報開示された段階で、これはどうしてもということになったら、何にもそんなもの、補正でも何でも、決して遅くないと思うんですよ。無理やりにこれをごり押しして、それはできますよ。それは、予算委員会、衆参二回、本会議合わせて四回、こうがんがんがんがんやれば、それは数が多いんですから、我々はもう……。しかし、これはごり押しすべき問題じゃないと思うんですよ。だから、ここのところの政治決断も含めて冷静に判断してほしいなと私は願っております。  まあ、あなたは国民の声、風というものを大体肌に感じておられると思うし、この問題の落としどころについてもやはり考えておられるんじゃないかなと思っておるんですけれども、我が党は、これは一遍、今度の予算編成、予算通過には協力するけれども、この問題事項だけはひとつそういった形で削除する、あるいはあなたが当初に言われたようないろいろな落としどころというものを、今ここで見解を聞くというのはちょっとやぼかな。長官、まあそんな云々じゃなくて、気持ちを、国民気持ちをどう感じておられるかだけでいいです。
  34. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 記者会見のために中座をしていたことをお許しをいただきます。  なお、今までの奥田委員質問の全貌を知っておりませんからお答えが適正を欠くかもしれませんが、一義的に御質問になっている点は、大蔵大臣ないしは農水大臣、そして総理の所管する事項でございます。そして、今奥田委員言われたとおり、総理内閣を支えて支えて支え抜くという気持ちでございますから、多くを申し上げることはございませんが、私も、昨年来、遅まきながら若干この問題を勉強いたしまして、遅きに失したという感が一ついたします。  それから、二十五年政治生活をしておりながら、こういう問題に本当に目を開かなかった自分の政治責任を感じております。そして、この時期、この問題の処理を誤れば大変な事態を招くであろうという、これは本能ですから、わかりません、これは数値に出すわけにはいきませんから。  ですから私は、ある一面で逆説的なことを言うと、去年の阪神の大震災で、これだけ国民皆さん方が阪神の方々に同情とそして援助を本心から願ったということと、今、今日この住専問題が起きて、この住専の原因ないしはその責任、そういうものがとかくうやむやにされるというものに対する国民怒りというのは、健全な常識が日本の中にはまだ残っているという感じがいたします。これにこたえていかなければならない。その方法論は若干違うかもしれませんが、この問題を解決をして次代のための展望を開いていきたい、このことに懸命な努力を払いたいと思います。
  35. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 まあ表現は違いますけれども、やはり国民感情は、やあ、やっぱりな、震災には冷たい、銀行に甘い、こんな形で感じておることは実態だと思うのですよ。だから、そういった国民的な感情というものをしっかり把握しておられるなという認識は今の答弁で持ちました。  だからそこを、閣内をどういう方向で総理の意も含めて進路を誤りなきように持っていくかという形は、あなたの大変な肩にかかっていると思いますから、その点、国民感情の風というものをしっかり把握して、そしてこの問題の落としどころというか処理に対して、何とか我々の要求している気持ちも聞いてほしいな、そして対応して、何とかして日本丸のこの大事な金融危機というものをお互いに乗り切っていかなければいかぬなという気持ちですから、その点、今後の情報開示についても、単に与野党の対決感情じゃなくて、この出しているうみを出し切る。資料に対しては、やはり守秘義務や何やらですぐに隠れようとするから、そうじゃなくて、担当の総理大臣決断、官房長官決断でできるわけですから、できるだけ国民の前に、後ではれるようなうそをつかない、そのためには情報開示をしていく。  そして、今言われている、今度の災いを転じて福となすという形の中で、金融とこういった財政、予算庁と金融庁くらいの明分をすべきですよ。だから、予算なんかは、本当は内閣できちっとやっていくというようなそういったシステム、今回金融システムばかり言いますけれども、そういった形の、大蔵省のシステムをめぐる、税金を集めるところと出して使う、一緒になって――本来切磋琢磨して、けんかまでせぬでも切磋琢磨してやらなければいかぬ形が一緒くたになっているからこんな大きな権力になってきているわけですから、その点について、田中さん、あなたに質問しないのはおかしいから、あなたはこの問題で、官僚の機構、いわゆる大蔵省のシステム、そういった形に対してあなたなりのしっかりした御所見をお持ちだろうから、この際、聞かせてくれませんか。
  36. 田中秀征

    田中国務大臣 この問題で税金を使わせていただくということで、それこそ後始末のためにだけ使うということではもちろん使えない。本当につらい思いをしているのですけれども、やはり前向きに景気回復のために、日本の経済を安定成長軌道に乗せるために、どうしてもこの障害物は除去しなきゃいけない、そんな思いでいると同時に、やはり前に向かって、金融行政を含む金融システム、これを時代に対応したものに変えていかなければいけないのだ、そういう思いを日増しに強めているところでございます。
  37. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 さあ、少し話題、テンポを変えますけれども、ただ大蔵省に、まあこれは新聞にも出ていることで、私がこの場でまた畳み込むような形で追及することはやめますけれども、明らかになっているのは、日本住金が住宅とは無縁の化学会社の仕手株を大量にやったというニュースは、これはもう流れていますけれども、日住金、これは一部上場の形ですが、この仕手戦をやったという形、もう報告、内部調査が出ていますけれども、各住専とも本当に仕手株の中で踊りまくったという形、そしてカモになったという形、そしてそこから暴力団絡みの形が仕手戦の中で出てくるわけですよ、これは私の方で全部調べていますけれども。事実、仕手株に踊ったのは、どこから頼まれたとみんな言ってくれていますから。  だけれども、わかっていながら、特に日住金に関しては、九一年の調査ではっきり仕手株に乗り込んでいる形を指摘しているわけですよね。だから、大蔵はみんなわかっていたわけですよ。あなたたちは監督責任というものを、もうある時点においてきっちり把握しながら、これをもっと、そこに政治が介入して、官邸サイドがどうしたとかという政治の介入もあったと思いますよ。  だから、今ここであなたらの責任だけを追及していくという形に対して、私も、そこに何かがあったに違いない、みんなわかっていながらこういう方向に来たという形の中で、私らも、やはり政治的な形で、あなたらが勝手にやったわけじゃなかったろうなと。しかし、そういう形は言えない。そういう形もあろうと思いますけれども。  やはり情報開示をしていくという慣習というものをきちっと秘密主義じゃなくてつけていけば、余り政治の介入あたりで、あなたらがやろうとした方向が、やはり時間稼ぎ、おくれた、もう手おくれになった、こういう結果になった、そういったプロセスがやはりある程度の時点で明確になっていくことが大事ですよ。あなたらはすぐ書類の上に厳秘、厳秘と書いたりするので、私らはその厳秘をとってくるわけですけれども、実際、そういった形は間違いだと思いますね。その点に対しては本当に反省してほしい。答弁は求めません。  そこで、総理、同僚議員から一部指摘があった件ですから、これに関して私なりにお聞きしたいのです。  やはり総量規制当時の時期にさかのぼって考えなければいかぬ。そのときに非常に私たちの目につくのは、あなたの秘書をやった小林さんの行動ですね、実際。これは、あなたが総理になられる、そして総理になってこれからいわゆる国民に期待される、そういったリーダーシップを発揮されるという面において、ぜひしっかりきれいにしておいた方がいい問題だなと思っています。  私は、この問題以外にいろいろありますけれども、これは次の機会にいろいろお話しする機会もあろうと思いますけれども、この小林秘書さんですね、小林豊機さん、これはあなたにとっては一心同体の、本当に長い、初当選以来の深い人間関係であったなと。あなたのためには、もう一心同体というよりも、あなたが今日なすことに命をかけてきた秘書じゃなかったのかなという認識を持っていますけれども、いかがなんですか、この小林さんに対して。
  38. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今議員御指摘のように、小林君と私とのかかわりの最初は、私が初当選をいたしまして、党の学生部長を務めましたとき、学生部の一員でありましたころから、言いかえれば、彼がまだ大学におりましたときに面識を得たところから始まっております。  そして、卒業後、私の秘書として働いてもらっておりました。そしてその後、私のところのスタッフを外れまして、区議会議員、さらには、党派は異なりますけれども、都議会議員として活躍しておられた時期がございます。その後、議会生活をやめました後、私がちょうど運輸大臣就任するしばらく前あたりであったと思いますが、事務所に戻りたいという申し入れを受け、私の秘書をいたしておりました。正確に申し上げるなら、運輸大臣の時期は秘書官でありました。そして、その後私の事務所におりました。  私にとりましては、それぞれの秘書、皆大切な秘書であります。その一人でありましたことは間違いがございません。  そして、大蔵大臣時代に証券・金融不祥事が発生いたしましたとき、富士銀行の偽造預金証書にかかわるかのようなうわさが出て、その中で、大蔵大臣の秘書として行動に慎重さを欠いたことがありまして、彼は責任をとって私の事務所を去りました。  そしてそれから、たしか二年ぐらい後ではなかったかと思います。彼をまた戻してやったらどうだといういろいろな方々のお勧めがあり、しかし、私の事務所にそのまま在籍といいますか置きますことは、まだ世間に対してのはばかりもあろうかということで、別の事務所にしばらく前までおりました。しかし、その事務所がありましたビルが取り壊しになりますことから、その後の整理を終えまして、十二月の末に退職をいたしております。
  39. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 そうですね、本当に正直に、もうあなたは住専関係でも、何か上位貸し出しの大口のところで三社ばかりからの献金は率直に認められた形は、きのうの夕刊で見て、これはいいことだと思うのです。政治家にとってうそをつくという形は、わけて一国の総理国民の、象徴される権威、外国にも期待されておる、フレッシュで決断力、リーダーシップを発揮される総理という形になるときには、やはりアメリカなんかすごいですね、大統領夫人でもきちっとこうやって。やはりそういった周辺に対する、一国の総理に対しては、周辺整理もさることながら、正直、うそをつかないリーダー、それはとても大事だと思いますから、そういう点において今率直にお述べになりました。  私らにしてみると、危ないときに、一心同体の人間関係でありながら、何か不祥事件が起きたときには首にして、ほとぼりが冷めたらまた入れるという形の中で、行ったり来たりしているような印象を受けましたから、よほど小林さんの動いている部分と、あなたがそう言って、悪いこと、まああなたはかばわれますけれども、やはり当時ああいったバブルからいわゆる金融不祥事が起こったときに、あなたの秘書が役割を演じた形はいろいろあります、あの発生した問題だけを見ておられますけれども。  というのは、あなたの場合、富士銀行の赤坂支店のあの中村某、今服役している、彼との関連の不正融資、名前は挙げませんけれども、あの某、料亭かてんぷら屋さんのおかみさんとか、あるいは有名なタレントとかいう形、あなたにとってはあの事件一つでも、あなたとの人間関係なんですよ、あの不正融資先の。あなたが生涯かけても信頼し合える友人であるあのタレントさんとか。  そういった形で、小林さんは何もそんな人間関係というのはない。あなたの人間関係でもう信頼し切っている、そういう人たちにやった融資というものを、あなたはあのとき、これはけしからぬ、あるいはこれは非常に秘書として出過ぎたことだったという形で、申しわけないという形の表現でおられますけれども、まあ随分記憶をたどられるのは大変かもしれませんけれども、あなたが全然知らずにこの小林さんは、ああいう融資話、あのときは本人は正規金融だと思っていたと思うのですから。だけれども、これは、あなたが全然知らないで小林さんが勝手にやったことなんでしょうかね。僕は、そこがどうも脇に落ちないんです。
  40. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず第一点目に、今奥田議員もその点は言葉を選んでいただきましたので、改めてその御配慮にお礼を申し上げますとともに、先日も当委員会で申し上げましたけれども、小林自身が富士銀行の赤坂支店における偽造預金証書の事件にかかわっておるのではございません。富士銀行赤坂支店の当時の課長席にあり、現職の課長として仕事をし、富士銀行自身が全く正規の社員としての籍を置き、しかも管理職の立場に置いていた人間に融資の依頼を行ったというのが正確なことでありました。  結果としてわかりましたことは、それが富士銀行の支店の融資ではなく、偽造預金証書を担保として捻出をした資金の運用の中にそれが含まれておったというのが事実であります。そして、当時も、私はそれ自体を小林君の責任とすることはできないという御答弁を申し上げたような覚えがございます。  しかし、問題でありましたのは、その人間の依頼を受けて人事上の要請を取り次いだというような行動がほかに当時指摘をされました。そして、私は、そうしたことは確かに問題だと思っております。  同時に、これは議員もおわかりをいただけると思うのでありますが、確かに私がよく利用する店の一つである、あるいは私の個人的な友人である、しかし、日常の閣僚の業務の間にそういう御相談が一々閣僚のところに届くでしょうか。そして、現実にまたそうした仕事をさばいていくのが秘書の役割でありまして、まさに当時、小林君はそうして御依頼を受けたことを誠実にさばいておったつもりであろうと思います。  そして、現に正式の融資の対象になった方、あのとき小林君が富士銀行の支店に紹介をした案件というのは幾つか言われておりました。そして、あるものは正式の融資の形をとり、あるものは富士銀行赤坂支店の融資ではなく関連のノンバンクを紹介される、あるものは不成立といった状況が当時判明しておるはずであります。そして、それだけのさばきをされておりましたら、その人間が、富士銀行自身が全く疑わずに管理職のポストにつけておる人間を、私の秘書が、当時の秘書が、不正を行っていると認識することは不可能であったと思っております。
  41. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 もうそういうことであったら、私はもっと突っ込んで言わしていただきます。  あなたは小林さんをかばって、不正に関与し左かった、法には触れなかった、ノンバンク経由だと知らなかった、正規の融資だということで思っていた、だから小林は決してあのときの事件には不正という形において関与していないと。それは……(発言する者あり)いやいや、わかりますよ、法に触れたような形、本人立場というのはうまく逃げておられるなと思うんです。まあそれはいいんですよ。  私が許せないのは、この小林さんについてはまだまだ聞かなければいかぬことがいっぱいあるんですけれども、一例を挙げますと、あなたは全日販の社長をしておった花田敏和というのと面識はありますか。御存じですか。
  42. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 その当時やはりそのお名前が出まして、その時点で私は、たしか正確に記憶をしていないというお答えをしたように覚えております。ただ、後で調べて見ますと、北海道における私の後援団体、北海道昇龍会に加入をしておられる。  ただ、それが全日販という名前だったか、幾つかの会社を持っておられる、どの名前かで入っておられた方ということでありまして、その意味ではお目にかかったことのある方でありました。
  43. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 わかりました。  今この花田敏和は、有印私文書偽造の詐欺で平成四年に逮捕されて中村と一緒に現在服役中ですから。ただ、この花田は北海道昇龍会の一幹部として面識はあるという程度のこと……(橋本内閣総理大臣「幹部ではありません、会員です」と呼ぶ)会員ですか。まあ北海道の昇龍会はなかなか立派な組織ですから、その中の会員であったということですね。だから、この花田を会員として知っておったという御認識だけは確認しておきます。  ただ、私は許せないと思うのは、北海道で浦臼町のリゾート計画、規模が一千億とかなんとかという、バブルの時代ですから、そういった大きな規模の、そこにホテルをつくったりゴルフ場をつくったり、いろいろな形でのウラウスリゾート計画というのが、やはり北海道の過疎の町ですから、過疎で少なくなった小さい町がこれに夢をかけたということは間違いないんです。  そこで、この全日販の社長、いろいろな子会社も持っておったわけですけれども、これがいわゆる資金的な面を担当するという形で、今までのウラウス――町も全部、小さい町が資金を出し合って公社をつくっておったウラウスリゾート開発の公社の代表にこの花田というのがなっていくわけですよ。平成元年あるいは二年くらいの時期からこういう動きが始まるわけですね。だから正確に言えば、起工式とかあるいは株主総会で花田がこのリゾート公社の代表に選ばれるとき、そして起工式のときでも、これは一九九一年三月……。日まではっきりしているわけですけれども、七月十一日というような。こういうときに、富士銀行の市ケ谷支店長とか小林さんとか関係者が、同行者もいますけれども、これはやはり沖縄の昇龍会に関係している人の同行者とか、みんなはっきりしていますけれども、そういった大事なときに必ずやはり出ておられるわけですね。そして、このやはり大きな開発融資のときに富士銀行も全面バックアップするということでのめり込んでいく過程の中で、そういう関係者の常に影がちらつくんですよね。  だから、このウラウスリゾートに関しては、今はもうこの計画がポシャっちゃって、本当に町の人なんか泣いておるくらい。あのころは起工式には富士銀行の市ケ谷支店長は来るわ、あるいはあなたの秘書の小林さんは来るわ、あるいは大蔵省の何の関係もない主計官がその日とは別に現地視察と称してやはり町の人の接待を受けて、感激させておるわけですよ。  だから、そういったことに関しての後始末を含めて、大変な形で、これには政治家の関与もあります、はっきり言って、指定林解除とか、いろいろな形の中で。だけれども、これは別途の機会にたださなければいかぬことですけれども、この小林さんに関しては、いろいろな意味でまだ指摘する――時間が近づいていますから細かい形は別にして、このウラウスリゾートに関係した形はやはり明らかです。  それが法的であれ何であれ、そういう責任の面とは別に、この花田――大体小林さん、あなたの秘書であった小林さんがこの不正――たしか中村という、それを紹介したのは花田ですから、だから花田、中村、小林というのは、これは一連のグループなんですよ。その中にまだいろいろな人が入っていますよ。そしてウラウスリゾートの中で、いわゆるノンバンク経由のお金の形も含めて、常に小林さんが大きな相談役、相談にあずかる立場にあった。中村も小林を頼りにした。花田も小林さんを頼りながら、これは中村を紹介したという、そういう人間関係の中でいろいろな形がはっきりしている。  それに、今はまだのうのうとしている、これは普通民間だったら考えられないことだけれども、あの大蔵の幹部も関与している。当時の主計官で、そういった形での、ばれたものだから少し本流を離れたような形で今いますけれども、我々も余り褒めたことばかりじゃありませんけれども、これはもう本当にひどい。それはもうはっきり指摘する時期には、もう外国旅行から、飲み屋から、高級バーから、ただなら何でも乗っかってやれという形で、何に乗っかったか知りませんけれども、ともかく飛行機で外国旅行までやっておる。  こういった事実指摘は、やはりあなたの、小林さんはあなたの秘書の立場、そしてそれに関連する当時の主計官、特にそういった銀行あるいは地方財政、そういうものに関与している主計官の行動、そういった形になったら、いろいろな形で小林さんに対する疑惑と申しますか、私たちが尋ねたいことがあります。  ですから、委員長のもとで私は証人喚問でやっていただきたいと思いますけれども、小林さんに対する一つの疑惑というのは、私たちは幾つか、総理の特に身辺におられた方ですから、今は溜池倶楽部という形で独立されて一人でやっておるという形ですけれども、私はこの点に関して委員長の方でお取り計らいを願いたいと思いますけれども委員長、いかがですか。
  44. 上原康助

    上原委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。
  45. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 もう時間も参りました。  総理も正直ではっきり物を言われる方ですから、そういった私の一方的な指摘に対して、やはり実はこうだったんだという形でまたお述べになる機会もつくっていただきたいと願っております。  総理の身辺にもやもやした、いつまでもそういった疑惑が渦巻いているような形は、決してあなた自身もおもしろくないし、それはこれからいろいろやる形の中で、あなたはいみじくも、小林さんが秘書をやめられたときでも、責任をとってあなたが大蔵大臣をその問題を契機にして辞任されたときでも、針のむしろのような立場でおるということを率直に述べられながら、正直に話しておられました。  今度の場合、総理になるときに、まないたのコイとかいう形で言われているようですから、そういった形の決意、これは立派だと思いますから。あなたも武道の達人だから、剣の道をきわめた人ですから、そういった意味において正々堂々、そういった汚れ、疑惑、それはやはり自分の手できっぱりさせていくという姿勢が大切だと思います。  だから、あなたの、三社からの献金はありましたと、それは言いにくい答弁でもすっきり言われたことは非常に立派だと思います。  では、これ以上ないですか。
  46. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 実は私が、昨日の段階で既に発見をいたしておりますもの三つと申し上げましたところ、新たにもう一つ御指摘を受けましたもの、名前が違っておりましたので、いわゆる百先リストのものと名義が合っておりませんでしたために、その時点ではわかりませんでした。今なお精査を続けております。
  47. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 いや本当は、三つしかないと言ったら言おうと思っていたんだけれども。  正直ですよ、あなた、根っこは本当に。だけれども、小林は違うんだよ。これは明確にしないとだめな問題なんだ。総量規制のときに、それからノンバンクに対して、やはりあっせん誘導している。まあ、それを言うとあなたは反論されるでしょう。それはいいですよ。  だから、あなたに関係ないんですよ。ただ、あなたの身辺におった小林というのがいかにこのときに踊ったか、大蔵の高級官僚と一緒にどういう形で踊ったかという実態を我々は持っている事実があるんですよ。  だから、その点を明らかにするには、きょうは時間がなくなったからもうこれ以上言わぬけれども……(発言する者あり)冗談じゃない、これは関係あるんだよ。(発言する者あり)違うよ、総理身辺の金庫番であり身がわりになるぐらいの人間であったということだけは間違いないんだから、関係ないということを簡単に言うな。
  48. 上原康助

    上原委員長 お静かに願います。
  49. 奥田敬和

    奥田(敬)委員 まあそれはいい。  ともかく私は、今回の住専問題で余りごたごた言うけれども、災いを転じて福となすという基本的な姿勢を貫きます。と同時に、総理にも、こういった疑惑とか暴力が支配する世界を許すことになるという形は絶対阻止してもらわないといけません。その点に関しては全く一緒だと思います。  だから総理、この住専問題に関連しまして、あなたは世論調査では六〇%を超える大変な人気というか、期待があるわけです。だけれども、この住専問題に関する限りにおいては国民は九〇%納得いかないという形で、反対している形は間違いありません。だから、私が先ほど言ったように、この問題を無理に強行突破するという形で、単に先を急ぐ形の中でどんどん委員会、本会議を強行突破していくという形を貫いていくということになると、私は総理の人気もそんな簡単なものじゃないと思いますよ。世論の風圧というのは橋本人気もすっ飛ばすくらいの、この問題は大きな内容をはらんでおるということです。  だから、ここはひとつ、私たちは今削除を言っていますけれども平成年度予算をちょっとペンディングにして、国民に信を問うという形でいかれるなら、私はもうそれは本当に進んで協力します。  だけれども総理決断が、先ほどお聞きしましたけれどもこの既定方針を貫いて突っ走っていくという形ですから、私は要求にとどめますけれども、どうかひとつ、この橋龍丸が本格政権として立派にいくためにもこれは越えなければいかぬハードルですけれども、そのためには政治決断の中においていろいろな方途があるのじゃないかな、そのことをはっきり申し上げて、まあ要求といいますか、要求いたしまして、時間が参りました、私の質問を終わりたいと思います。
  50. 上原康助

    上原委員長 これにて奥田君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ――――◇―――――     午後一時三分開議
  51. 上原康助

    上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤六月君。
  52. 加藤六月

    加藤(六)委員 橋本内閣総理大臣、まことに大役御苦労さまでございます。また、久保大蔵大臣もまことに御苦労さまでございます。  きょう、私は、一時間しかございませんから、余り突っ込んだ中身にいけるかどうかわかりませんが、国会の一員としてその責めを果たして、いろいろお聞きもし、資料の要求もお願いし、運営についての御希望も申し上げておきたいと思います。  そこで、一つ、ちょっときょう私の立場自民党さんが参考人に呼んでいただいておるのでありますが、その運営がどうなるのか、何かさっぱりわからぬから、それはそのときのこととしておかなければならぬのかな、こうも思っておるわけでございます。  したがいまして、この委員会は今のところ住専委員会の観を呈しておりますが、それに対して、まず資料あるいは確認をいたしておきたいと思います。  まず、大蔵省に。大蔵省は随分通達をたくさん出しております。その各種通達を出すときに、例えば銀行局の通達を出す場合の起案はだれがして、稟議はどこまでとって、そして保存期間、省内の処理はどういたしておりますか、お伺いいたします。
  53. 河上信彦

    ○河上政府委員 ただいま通達の発遣についてのお尋ねでございますが、各種の局長の通達につきましては、関係部局と協議いたしまして、重要なものにつきましては大臣の御了解を得た上で主管課において起案いたしております。  この決裁につきましては、主管部局長、また必要に応じまして関係部局長の決裁により発遣されているところでございます。  この決裁文書のその後でございますが、主管課において整理を行いまして、部局の文書主任官に引き継ぎ、保存管理しているところでございます。
  54. 加藤六月

    加藤(六)委員 そうしますと、これは今あなたの答弁の外になると思いますが、例えば平成二年三月二十七日の大蔵省銀行局長通達というのは、各局長相談、あるいは大臣まで回したものであるかどうか、後で結構ですからお教えいただきたいと思います。  その次にお伺いいたしておきたいのは、これは銀行局長にお伺いします。平成三年九月に第一次住専八社への緊急立入調査を始められておりますが、これは銀行局のだれが発議し、何を目的として、何人でどのようにやったか、簡単に御説明をお願いいたします。
  55. 西村吉正

    西村政府委員 平成三年九月の住専への第一次調査についてのお尋ねでございますが、これは、住専を所管しております銀行局として調査の必要性を認識し、大蔵省として決定したものでございます。  第一次調査は、統一的な視点からの資産状況の把握といった観点からではなく、住専各社の経営が厳しくなる中で、住専各社ごとの状況を知るとともに、審査管理上問題があると見られる貸付金についてその指摘を行いまして、その後の各社の業務において留意を促したものでございます。各社ごとに時期も異なる形で行っております。
  56. 加藤六月

    加藤(六)委員 その次、一つだけ総理にお伺いいたしたいと思いますが、あなたは平成七年九月十日、TBSに出ておられる御記憶はありますか、ありませんか。
  57. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今とっさに正確な時間帯主では覚えておりませんが、多分、その日は自民党の総裁選の最中でありましたことから、小泉議員と私と出席をした討論の番組があったと記憶をいたしております。
  58. 加藤六月

    加藤(六)委員 その次に、これはどなたにお聞きしたらいいのか、当事者が二人とも、武村大蔵大臣と野呂田農林大臣がおやめになっておるのですが、平成七年十二月十八日、これは銀行局長にお聞きすればいいと思うのですが、武村・野呂田会談にだれだれが同席しておられましたか。
  59. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のように、十二月十八日に大蔵大臣と農水大臣の二回目の折衝がございました。正確に全員の名前をちょっと私思い出せませんが、両大臣のほか、私と農水省の経済局長ま出席をしておりました。
  60. 加藤六月

    加藤(六)委員 銀行局長、もう一つお伺いします。  十二月二十二日に金制調の答申があったわけでございまして、これは住専処理税金投入を追認いたしておるわけでありますが、大蔵省当局がこの金制調の事務局に何人、だれだれをこのときには出しておりますか。
  61. 西村吉正

    西村政府委員 金融制度調査会の事務局という意味では、私も広い意味でそういうことになるわけでございますが、直接に金融制度調査会の事務の担当をしておりますのは銀行局調査課でございまして、通常十二名ほど在籍しておりますが、現在は法案の作成のためにもう少し増員をいたしております。
  62. 加藤六月

    加藤(六)委員 その次に、主計局長に御質問申し上げますが、十二月の二十四日、大臣折衝がありましたが、その順番その他御記憶でございますでしょうか。だれから始まってだれに終わって、何時間でどうだ。そして、その順番と、それからその大臣折衝の席に立ち会っておられた与党の関係者はだれだれであるかということと、それからあの丸い方へ座っておったのと、こちらへたくさん座っておる人の名前はよろしいが、そこら辺のことをお聞きいたします。
  63. 小村武

    ○小村政府委員 平成八年度の予算編成における大臣折衝の順番でございますが、第一番目が経済企画庁、二番目が総務庁、以下、環境庁、通商産業省、農林水産省、運輸省、文部省、科学技術庁、自治省、警察庁、裁判所、法務省、外務省、防衛庁、厚生省、労働省、郵政省、北海道開発庁、沖縄開発庁、同一の大臣でございました、国土庁、建設省、以上でございます。  十二月二十四日十三時三十分から始まりまして、十七時四十五分に終了いたしております。  出席者は、各大臣のほか、与党側の出席者は、当時の山崎自由民主党政務調査会長、関山日本社会党政策審議会長、菅新党さきがけ政策調査会長でありまして、丸いテーブルでは、役人側では、私、主計局長が出席をいたしておりました。  以上でございます。
  64. 加藤六月

    加藤(六)委員 その大臣折衝は、お互いシナリオ書きを持って読み合うというパターンでやった場合もあるし、やらぬ人もおられたようでありますが、そのときの閣僚としては総理しか今残っておられぬわけですが、総理、シナリオ書きを持って大蔵大臣室へお入りになったのでしょうか、どうでしょうか。
  65. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 次官折衝までに大体の事項は整理されており、シナリオと申しますならばそれはシナリオでございましょう。紙を持って入りました。
  66. 加藤六月

    加藤(六)委員 主計局長、これはあなたに聞くのは、大臣室の中におったから。どなたに聞いていいか、顔を見回してもいかぬのですが、農林大臣大蔵大臣折衝が済んで大蔵省の記者会見にお行きになりました。そのときのいきさつと、それから後の大臣が会見拒絶をせられた経緯と経過、御存じでございますか。まあ、あなたは中へ入っておったからわからぬだろうと思うのですが、知っておるか、知らぬかだけを言ってください。
  67. 小村武

    ○小村政府委員 予算大臣折衝は、当該省庁の重要な政策マターにつきまして、大臣間で話がついたものにつきまして、通例私どもの記者クラブで、各大臣がそこで会見を行われているということを承知しておりますが、私、そこの場に立ち会っておりませんので、内容においては承知しておりません。
  68. 加藤六月

    加藤(六)委員 この問題は、ある面で申し上げますと、住専問題の大臣折衝の最後というか、予算編成の最後の過程においての会見の経緯と経過があるのでありますが、その閣僚でお残りになっておるのは当時副総理であった今の橋本総理大臣しかおりませんので、余りここで御質問申し上げてもどうかと思いますが、そこら辺から世論の住専問題に対する噴き出しが強く激しくなっていくわけでございます。  これから時間の許す限りいろいろ御質問をしていこうと思うわけでございますけれども、当時の武村・野呂田会談の詳しい中身と、先ほど私がお聞きした、立会人がだれとだれがおったかということ等があるわけでございますから、それは究明していかなくてはなりません。  しかし、六千八百五十億に対するいろいろな、今、国民怒り、また我が党の同僚議員がそれぞれの立場から激しく厳しく追及をいたしておるわけでございますが、純然たる民間企業である住専になぜ税金投入しなければならないのか、なぜ国民が負担しなければならないのかという一つの大きな大前提があるわけでございます。  そしてさらに、これを今一生懸命資料要求をし、追及をしておるのでございますが、使い道あるいは総額の規模が幾らになるのか、そしてどのように使われていくのか、そして最終的には幾らになるのか、この問題をはっきりしなくてはいけないという声も非常に強いわけであります。  そしてまた、これは当予算委員会の委員長を初め理事委員皆さん方の御努力で、今、実態不明のものが余りにも大き過ぎるというのが次々、決議その他の折衝によって明らかにしていってもらっておるのでございますけれども、それでもなおかつ、きのう我が党の草川議員が御質問申し上げたように、閣議決定して出してもらっておる資料に間違いがある、一体どういうことだという大きな問題も起こってきておるわけでございますが、住専七社の実態に対する、不明さに対するいら立ちがあります。  それからその次は、責任の所在が不明である。こうした事態を招いた責任を一体だれが負うのか。行政、貸し手、借り手、政治、一体その責任はどこに、どうするんだという責任論がまだはっきりしていない。あるいは、今回いろいろ言われておるのでありますが、これを通じて再発防止策がどうなるのか、こういう住専のようなものに対する再発防止策も政府は確たる信念でやっておるのか。あるいは、未来展望がおかしい、金融システムの安定というなら、どういうように今後金融機関が変わっていくのだという問題を含む国際的、国内的な問題というのがあるわけでございます。  それらを通じて、我が党は、六千八百五十億を削除してほしい、削除すべきだ、そうしたら予算のすべてのものについて十分配慮いたしましょうと。不景気にあえぎ、ゼロ成長の中で苦しんできておる国民の我が党に寄せる期待というものを考えるときに、空白をより少なくして、そして景気回復のためにやるんなら政府は潔く六千八百五十億を削除しなさいと、本会議から始まりまして当委員会まで申し上げておるわけでございますが、そういう中で、官房長官に御質問いたします。  官房長官、あなたは、内閣提出予定法律案、まあ国会へいつも政府が通常国会が始まるときには約束されるのでありますが、法律案、条約は、あれは一般法律案と米印法案、区別がありますが、何月何日までに出すようにと言って各省庁を督促されており、そして今までに何本提出されておりますか。
  69. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 お答えをいたします。  今国会における政府提出予定法案は九十四件、提出予定条約は四件であります。提出予定法案のうち、予算関連法案は四十三件、その他の法律案は五十一件であります。現在までに法律案二十九件を国会に提出したところであり、条約についてはまだ提出をいたしておりません。  また、議運においては、予算関連法案については閣議に付議する最終期限を二月九日金曜日ごろに、その他の法律案については三月八日金曜日ごろとし、国会への提出は、印刷等の関係からこれより若干おくれることがありますが、御了承いただきたい旨、御説明を申し上げておるところであります。
  70. 加藤六月

    加藤(六)委員 大蔵大臣大蔵省予定提出法案、何件であって、今何々が提出されておりますか。
  71. 河上信彦

    ○河上政府委員 今手元にございませんので、調べまして御報告いたします。
  72. 加藤六月

    加藤(六)委員 何を言っておるんですか。私はこれをお尋ねしますよと言って申し上げておいたんですがね。
  73. 久保亘

    久保国務大臣 提出いたします法案は十件ございます。検討中のものがそのほかに一件ございます。
  74. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、大蔵大臣、お聞かせいただきたいんですが、この提出予定法案に大蔵省で、特定住宅金融専門会社の債権債務処理の促進等に関する特別措置法案、国会へ出してありますか、出してありませんか。――大蔵大臣ですよ、これは。だめです。
  75. 久保亘

    久保国務大臣 ただいま提出を準備中でございます。
  76. 加藤六月

    加藤(六)委員 私が実はきょう質問いたしたいというのも、この法案を見てから御質問いたしたいことばかりなんです。  先ほど私が申し上げましたが、住専に対する国民怒りというので、例えば、今申し上げたでしょう、再発防止策があるのかないのか、将来展望がどうなるのか、あるいは責任の所在が不明だというようないろいろなことを申し上げましたが、さらに、さらに突っ込んで言うと、税金投入しない場合、住専ほか各金融機関がどうなるのか。これは、我が党がいろいろ主張し、また政府も反論されたり何かしておりますが、その問題がありますよ。  あるいは、第二次損失における業態別の損失負担額、最終的にどうなるのか。そしてまた、それに対して政府・与党でお決めになった、半額負担というのを、第二次損失、どこでどうなるのかもわからずに決めたのかどうか。法案が出ていない。  さらに言いますと、この六千八百億と五十億の使い道。ワンクッションでいくのかつークッションでいくのか、さっぱりわけがわからない。そして、いろいろそれを使ってやるものの機関の性格がわからない。一体、民間会社なのか、それとも違うのか。預金保険機構の下へ云々だかんぬんだと言われておる。これはもう去年の通常国会で、両信組問題で徹底的に議論した。日銀の局長まで証人喚問をして、当委員会でその問題はやっておるのです。  しかし、それにしても法案が出ていない。我が党の皆さんでこの法案の説明を聞いた人おりますか。(発言する者あり)総理、これは国会と政府で、いつも長い間、通常国会が始まるときには、今いみじくも官房長官がおっしゃった、国会、議運と政府予算関連法案は何年何月何日までに出すようにしようよという、それからそれ以外の法案は何年何月ごろまでに出すようにしよう。通常国会は百五十日間だ。その限られた中で政府と国会がお互いに協力し合って国民生活のために、そして議会制民主主義という立場を守りながらやろう、こうしてやる。  だから、議会側はいつも督促する。そこで、政府、官房長官は各省庁を法案で督促する。そして、我が予算委員会においては、そういう予算関連法案が、総括中に全部米印は出すようにとたびたび予算理事会で話をし、昨年の通常国会においても、私は予算理事会においてたびたび、予算関連法案は少なくとも総括の中日ぐらいには出してほしいと、ここの与党の理事皆さん方に随分督促をし、お願いをした。それがあって初めて予算委員会の審議が充実し、国民の負託にこたえることができる、こういうことなんです。  ところが、いまだに一番この住専国会、住専委員会という当委員会に、この衆議院にその処置の中枢、中核をなす六千八百億の血税を投入してやっていく機構、それに対するものの法案が出ていないじゃないですか。何のために今までこの予算委員会で議論したのか。  私は、それでおかしいと言われるのなら、与党の皆さんはたびたびこういうときは勉強するのです。いろいろ会合を開いてやるのです。それなら、政府が当国会のボックスの中に法案が全部配られてしまうまでは、与党の皆さん予算委員会ではその法案の中身を知っておるのだから質問していただいて、我々は、その法案が出てきて、それを精査して勉強して、それからこの予算委員会を真摯に熱心に論議していくというのが正しいのではないでしょうか。  委員長、あなたはどう思いますか。
  77. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 先ほどお答えをいたしましたように、予算関連法案については最終期限を明九日ということで議運にお願いをし、その関連法案の提出をいたす予定にいたしております。  今日まで御熱心なこの平成年度予算その他の関連のものを御審議をいただいている現実、まことにありがたい限りでございますので、どうぞひとつ御慎重な審議を賜りますようにお願いを申し上げます。
  78. 加藤六月

    加藤(六)委員 法案がない審議を、六千八百億がどこへ行って、どういう方法で、どうなるのかという、それで、だれがこれを管理して、どうするのかわからない。しかし、与党の皆さんは、いろいろ政府を呼んできのうも随分熱心に勉強しておられた。おとついもやっておられた。野党は聞いていない。ましてや国民は、いろいろ書いておるけれども、各マスコミによって中身が全部違う。おかしい。  私は、委員長にあえてお願いします。我々は、当予算委員会で熱心に審議して、一生懸命やりたい。やりたいけれども、法案が出てくるまでは、我々は法案を見ていないんだから審議できない。法案を内部で審議しておる与党の皆さん方にどんどん質疑質問をやっていただいて、我々は、法案が出てきて、それを党内において精査して議論して、それから当委員会で熱心に真剣に議論すべきだと思います。ましてや、昨日閣議決定までして出された資料にも間違いがある。おかしい。この二点だけを考えてみても、私は、委員長が大決断を振るって、そういうように采配されることを強く望みます。  委員長、所見はありますか。
  79. 上原康助

    上原委員長 加藤先生よく御案内のように、法案提案権は内閣にありますし、先ほど官房長官が御答弁なさっておりますので、それを御参考に質疑を続けていただきたいと存じます。
  80. 加藤六月

    加藤(六)委員 委員長、十二月二十五日に、閣僚折衝が済んで予算案が決まっておる。そして、そのときに六千八百五十億というのは決まっておる。その使い道その他の法案が、今日なお国会に出ていない。これはおかしい。これを正視してらまくやっていくのが、委員長、あなたの責任だ。あなたも国会の、国民の代表だ。
  81. 上原康助

    上原委員長 発言者に重ねて申し上げますが……
  82. 加藤六月

    加藤(六)委員 聞こえない。(発言する者あり)
  83. 上原康助

    上原委員長 お静かにしてください。  発言者に申し上げますが、予算案は提案をされておりますし、審議をいたしております。本委員会は予算案を審議をするのが主体でありますので、ぜひ御質疑を続けてください。(発言する者あり)どうぞ質疑の中でただしてください。続けてください。(発言する者あり)  お静かに願います。  発言者に御要望申し上げますが、質疑を続行してください。
  84. 加藤六月

    加藤(六)委員 委員長、私はあなたにお願いしておるのですけれども、今まで我が党がしたのは入り口ですよ。これから本物に入ろうとするときには、法案がなくてどうしてできるのですか。あなたにその配慮をお願いしておるのではないですか。(発言する者あり)
  85. 上原康助

    上原委員長 静かにしてください。(発言する者あり)  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  86. 上原康助

    上原委員長 速記を起こしてください。(発言する者あり)  加藤委員に申し上げますが、質疑の中でただしていただいて、ぜひ質疑は続行していただきたいと思います。(発言する者あり)
  87. 加藤六月

    加藤(六)委員 私があれほどあなたにお願いして、あなたが配慮して与党側に、政府に言わなくちゃならないのです。それをあなたはおっしゃらないということは大変残念です。  そこらを加味しまして、私も質問をこれだけしなくちゃいかぬと準備してきておるのです。新しいスキームに関係することばかりです。その法安がない。まことに残念でありますが、しょうがありません。(発言する者あり)
  88. 上原康助

    上原委員長 この際、上田清司君から関連質疑の申し出があります。加藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。上田清司君。  質疑者の出席がありませんので、この際、出席を要請いたさせます。このままお待ち願います。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  89. 上原康助

    上原委員長 速記を起こしてください。  これにて加藤君、上田君の質疑時間は終了いたしました。  次に、理事会申し合わせの新進党の質疑予定者の出席を要請いたさせます。  質疑予定者の出席を要請いたしましたが、御出席がありません。  これより新進党の質疑者の質疑時間に入ります。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  90. 上原康助

    上原委員長 これにて新進党の質疑予定者の質疑時間は終了いたしました。  次に、松本善明君
  91. 松本善明

    ○松本(善)委員 まず最初に、総理に申し上げておきたいと思います。  住専問題は目前の問題にとどまらないで、日本金融システムにかかわる重大な問題と私は考えております。私たちは、金融システム国民の預金にかかわるものだし、決済という重要な機能を持つ大事なシステムと考えております。総理と考えが違う点は大いにあると思いますけれども、私の意見にも耳を傾けていただきながら、総理に積極的にお答えをいただきたいと思います。  我が党の住専問題の主張は極めてわかりやすいものであります。住専破綻させた母体行が親会社としての責任を果たし、母体行の責任で解決すべきだ、これが当然の経済原則であり、国民の血税を使うのは許されないというものであります。農協系統にも金融機関としての責任があると考えておりますが、母体行の責任とは質が違うと考えております。  我が党志位書記局長が本委員会で母体行の三つの大罪として、住専を別働隊として使って甘い汁をたっぷり吸ったこと、ぐあいが悪くなると不良債権住専に押しつけてごみ箱にしたこと、さらに農協系統にこれを押しつけたことを論じました。  橋本総理はこのときの質問に答えて、当然のことながら母体行には責任があります、母体行に責任なしという母体行関係者の発言は不本意だというふうに述べられました。政府処理スキーム自体、母体行の大きな責任を前提としたものでありますし、久保大蔵大臣はそのときに、母体行の責任という立場からいたしますならば、債権の放棄に限らずさらに負担すべきであるという御意見もあるということを承知いたしておりますが、今母体行に要請できる負担としては債権の全額放棄、三兆五千億が今日の段階においては限界だと考えております。限界かどうかはこれから議論もするわけですが、これは別として、母体行に基本的に大きな責任があるということを否定をする議論はないと思います。  問題はその程度なんですが、議論を始める前提として大原農水大臣にお聞きしたいのですが、野呂田前農水大臣が昨年十二月二十七日付の日本経済新聞紙上で新聞社側の質問に答えて明らかにした見解、本委員会でもたびたび問題になりましたが、全体としてまとまったものである、農水省の見解と聞いておりますが、これと違う見解をお持ちなのかどうか、まず最初に伺いたいと思います。
  92. 大原一三

    ○大原国務大臣 新聞に発表されました野呂田大臣の見解と基本的に同じでございます。そういうことで、この委員会でも何回か繰り返し申し上げたところであります。
  93. 松本善明

    ○松本(善)委員 この野呂田見解、今基本的に大原農水大臣も同じだというふうに言われましたこの見解は、母体行は、人事面及び業務面で住専の経営に深く関与し、貸し付け案件の紹介など別働隊として住専を利用してきたとも、住専は母体行の子会社であるとも述べて、また、歴史的経過に従って母体行に基本的責任があることを述べております。  住専というのは、母体行が企画推進、出資をし、主要役員を派遣をして設立したものであり、設立後もメーンバンクとして資金を供与し、資金、役員を通じて経営も支配していたことは明白だからであります。この実態は争うことのできないものであります。  総理にお聞きしたいのは、この母体行という言葉自体、住専が子会社であることを前提とした言葉でありますが、総理住専が母体行の別働隊、子会社であることを肯定されますか。
  94. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、それぞれのケースによって差異はあると思います。しかし、母体行というものが、住専各社との過去の経緯等も踏まえて考えますときに、大きな責任があるということは、私は否定してはおりません。
  95. 松本善明

    ○松本(善)委員 母体行と言うこと自身、住専が子会社である、これは間違いないでしょう。
  96. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、法律上の用語として適切かどうかはわかりません。なぜならば、複数の組み合わせの中で一つの住専が生まれている、そうした中で、子会社という言葉がぴたりとはまるのかどうかよくわかりません、法律的には。しかし、大きな影響力があったということは、先ほどから否定をしておりません。
  97. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは、やはり根本的な問題。法律用語でも何でもないですよ。どういうふうに見るかということです。農水大臣が野呂田さんのときから総理は閣僚だったわけで、もちろんこれは農水省の見解ですけれども、私の聞いている範囲では、大蔵省にも示した、何の意見もなかったということを聞いております。この認識がないと、これは、橋本内閣としてやはり農水省の見解を否定されるのかどうか、私は非常に根本問題のように思います。もし必要ならばちょっと相談でもして、統一見解として、子会社と認めないのかどうか、お聞きしたいと思うのです。
  98. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ですから、私は、複数の母体行が一つの住専を共同して設立をしておりますときに、それぞれの関係において、法律上子会社と言えるかどうかは自信がないということを申し上げました。しかし、大きな影響力を持つということは、これは間違いがありません。  ですから、委員の言われるのが一般的に使われる言葉であるならば、私は必ずしもそれを否定するものではありません。今まで御党の御質問で、非常に厳密に法律上の定義を求められたことがいっぱいあるものですから。
  99. 松本善明

    ○松本(善)委員 子会社ということを否定するものではないと言われる。  ところで、昨年の九月の十一日に朝日新聞の「論壇」に元最高裁長官の藤林益三氏が非常に注目すべき文章をお書きになっています。「信頼感の喪失は金融界全体の危機」という表題であります。藤林さんは、最高裁長官をされ、経済界にも通じておられますし、経済問題も金融問題についても深い知識を持った法律家であります。  その議論の中心点を紹介いたしますと、銀行業は信用のみで成り立っていると言ってもよいと思うが、その信用にかかわり、無責任と見られても仕方のない行動の一つとしてこの住専七社の問題を論じているのです。  その論文の一部をそのまま紹介をしていきます。   銀行の子会社については、設立経緯や資本関係、役職員関係など銀行と子会社との間に極めて密接な関係があるのが通例である。そのような場合、世間は銀行とその子会社は一体の関係にあると信じ、銀行がその子会社を潰すとは夢にも思っていないであろう。仮に子会社を整理する必要がある場合にも、銀行は信義に従い誠実に、自己の責任で整理を進める、と皆がそう信じているであろう。   都合の良い時だけ子会社を利用し、子会社が立ち行かなくなると子会社から手を引くという行動をもし採るとすれば、会社制度悪用のそしりを受けかねず、ひいては銀行に対する信頼を損なう一因ともなろう。   金融界全体が襟を正し全力を挙げて対処することが必要なのである。   銀行と金融秩序に対する国民の信頼を回復するために、日本金融にかかわる関係者すべての良識を願ってやまない。と結んでおられます。  簡単に言えば、バブルのときに住専を使って大もうけをした母体行が、バブルがはじけて損失が出ればそれを子会社に押しつけ、国民ツケを回すと金融秩序に対する信頼がなくなるということを言っているんです。志位書記局長が言ったので言えば、ごみ箱を農協系統に押しつけたのを、今度はそのごみ箱を国民に押しつけるというのが今政府処理案なんです、私に言わせれば。  それで、さらに藤林さんの話に戻りますが、この藤林さんの論調でいけば、政府金融システムの維持のために今回の住専処理案を決定したと言うけれども、これは藤林さんの言う会社制度の悪用、そうした金融システムの破壊ではないかと思うんです。金融制度の根幹は、他人の金を預かっているというところから成り立っている。自分の金ならどのように使おうと自由かもしれませんが、銀行の金は他人の預金なんですね。だからこそ藤林さんは、銀行業は信用によってのみ成り立っている、こういうふうに言っていられる。  藤林さんは、母体行の子会社に関する関係は法律上の言葉で言えば信義誠実の原則だ、これは「社会秩序を維持していく上での大原則の一つである。」こういうふうに言っているんですよ。今政府のやろうとしていることは、この原則を金融機関に破らせて、金融機関に対する信頼を回復するのではなくて、金融機関への信頼を失わせるものである、母体行と一緒になって信義誠実の原則という社会秩序維持の根本原則を破壊するということになるんじゃないか。総理の見解を伺いたいと思います。
  100. 西村吉正

    西村政府委員 銀行の子会社という前提でのお話でございますが、母体行と言われておりますものは一般にそう言われておりますが、法律上非常に厳格に申し上げますと、銀行法の例えば第二十四条第四項で、子会社とは、銀行がその発行済み株式の総数の甲ば以上、百分の五十を超える数を持つものを法律上はそのように申し上げておるわけでございます。ただ、住専との関係におきます母体行と申しますのは、法律上のそういう意味ではございませんで、設立等に深く関与をしたもののことを一般にそう言われておるわけでございます。  それで、私ども、今回の処理案におきまして、母体行に対しましては、住専各社との過去の経緯等も勘案いたしまして最大限の負担を求めるべきであるとの観点から、貸し出し債権の全額放棄などを要請しているところでございます。
  101. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理、こういう細かい議論じゃないんですよ、今問題になるべきことは。私が最初金融システム全体に関する大事な問題なんだということを言って総理に積極的な答弁を求めたのは、そういうことなんです。法律を知っているような顔をして出てこられましたけれども、相手は最高裁長官ですからね、元の。これが住専の問題を子会社としてちゃんと論じているのですよ。これは世間一般はもちろん子会社と見るのですよ。農水大臣もちゃんとそう言っているのですよ。  これはもう一度改めてお聞きしますが、この藤林さんの言う信義誠実の原則というのは、金融界で言えばモラルハザードですよ。金融機関のモラルハザードの問題というのは非常に重要な問題として論じられております。住専は、都銀、長信銀、信託、地銀など母体行の巨大な信用力をもとに業務を展開をしてきている。母体と一体になった信用力という視点を欠落させるということになると、これは母体行責任からの逃避というモラルハザードによる信用秩序への悪影響が懸念される、こういう問題なのです。それを藤林さんは法律家として論じておられますね。  あなたは大蔵大臣もやられ、それから通産大臣もやられ、経済界についてはお詳しいはずです。この問題について、そういうことをやって銀行の信頼は興りますか。国民から、今銀行はみんな悪者です、銀行が悪いと言えば大拍手です、どこでも。それでいいのかということをお聞きしているのです。
  102. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先ほど私はその子会社という言葉の定義に大変こだわりまして、その世間的な意味ということで御理解をいただきました。そして、恐らく藤林元最高裁長官もそうした意味でその子会社という言葉をお使いなのだろうと私は思います。その限りにおいて、私は、最高裁長官の経験者に対して法律上の解釈を申し上げるほどうぬぼれてはおりません。  ただ、法的に言うならば、あくまでも母体行と住専とは別人格だと思います。そして、ですから、私は母体行は責任がないと一回も申し上げておりません。  その上で、今議員お話を伺いながら一つ感じますことは、確かにその批判は正しい批判ではあるけれども、同時に、住専の経営者の経営判断あるいは経営に対する責任というものは、その母体行の議論の中でどこに位置をするのだろうということでありました。私は、その住専の経営者、その経営責任、こうした問題もやはりきちんとここの問題の中では議論されるべきものだと思います。  その意味におきまして、母体行のみがすべて原因という議論であるとすれば、私は、その中にやはり住専の経営者の経営の責任、融資に対する審査についての判断といった問題点もあろうかと思います。母体行の責任を免責しようというつもりではございません。
  103. 松本善明

    ○松本(善)委員 母体行の紹介案件が多数あるということもここの資料で出てきております。総理の言われる、いわゆる子会社である住専の経営責任はもちろんあるのですよ。もちろんあるのですけれども、世間との関係では親会社が子会社にすべて押しつけて逃げるというわけにはいきませんよというのが藤林さんの意見なのです。そこが……(橋本内閣総理大臣「だから、それを否定しておりません」と呼ぶ)はい、わかりました。  ちょっと、否定していないということを御答弁でおっしゃってください。
  104. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変失礼をいたしました。  その点を私は全く否定しておりません。
  105. 松本善明

    ○松本(善)委員 それで、私はさらにもう少し突っ込もうと思うのです。  それは、債権放棄以上の負担を母体行に負わせると株主代表訴訟が起こって耐えられない、だからこれで終わりなのだということをよく言われろのですよ。しかし、母体行が融資額を超えて損失を負担する場合でも、それがもとでみずからが破綻に至らない限り、母体行責任という金融秩序を遵守することにより金融機関としての信用、ひいては金融システムを維持するために必要な負担であるという説明に合理性がある。これは私が言うのじゃない、金融専門家が言っている。金融雑誌に、一々紹介しませんけれども、そういう議論があります。私は、だからこそ我が国法曹に大きな影響のある藤林さんの意見を紹介したのですよ。  裁判所へ行って、株主代表訴訟が起こりましても、起こすのは勝手ですよ、勝つとは限らない下すよ。これは金融システムを守るために、金融絆序を守るためにこれは出費をしました、これは通りますよ。もちろん裁判官の判断ですから、それは裁判のすべてを予測することはできません。しかし、訴訟が起こされるからそんなことはでき寸せん、それは通らないです。総理はどうお考えになりますか。
  106. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のように、住専の経営に関しまして母体行が非常に大きく関与をしていろものがございます。母体行と住専との関係というのはまちまちでございますが、いろいろなケースがございますが、母体行の関係を否定する人はいないと思いますし、母体行自身もそのようなことをみずから感ずることもあって全額債権放棄ということを納得しておられるんだろうと思います。したがいまして、その点について最大限の努力を母体行もしていただくということがこの処理案の中に含まれておるというふうに理解しております。
  107. 松本善明

    ○松本(善)委員 やはりこれは銀行局長に答えさせる問題でないのですよ。本当に我が国の金融システムの将来を考えるということならば、それは総理大臣にせよ大蔵大臣にせよしっかりと考えていなければならぬはずの問題だと私は思います。  まあしかし、これ以上やってもどの程度の答弁が出るかわかりません。ちょっと問題を変えて伺おうと思います。  この予算から公的資金の削除をして破産処理を行うべきだという主張がありますが、これは我が党のくみしないところであります。これは農林系金融機関が連鎖して、派生的に第二次破綻者になるにすぎません。農林系金融機関破綻を回避するために、公的資金の導入が確実に予想をされます。農林系金融機関の経営者はそれがために経営責任を問われるけれども、母体行は現在よりはるかに少ない負担しかせず、その経営者は左うちわということになります。母体行に最も有利な解決法であり、母体行を免罪するものであります。  住専に破産法を適用すれば、住専の抱える債権の配分は基本的に現時点での住専への融資額に応じて比例配分され、過去の経緯は基本的に問われません。農協系統は、そういうことになれば損害賠償の裁判を起こすとか強制和議とか、いろいろな分岐はありますけれども、基本的には比例配分でやります。  住専七社に対する債権額で、第一次損失、回収不能債権六兆四千百億円を融資残高で比例配分するとどういうふうになるか、大蔵省、お答えいただきたい。大臣からお答えになりますか。
  108. 久保亘

    久保国務大臣 破産処理にかかります経費等を考えずに、今松本さんが言われましたように、債権額に応じて六兆四千百億を負担をするということになりますならば、母体行で一兆七千五百億、  一般行で一兆九千億、農林系統の金融機関が二兆七千五百億になると思います。
  109. 松本善明

    ○松本(善)委員 それでいきますと、農協系の負担は、政府案より二兆二千五百億円多い二兆七千五百億円になるのですよ。それから母体行の負担は、政府案より一兆七千五百億円少ない一兆七千五百億円、ちょうど半分になります。このぐらい母体行に有利であります。そういうものでありまして、私は、やはりこういうやり方については反対であります。  もしこういうふうに破産処理ということになれば、今問題になっております大蔵省の行政責任でありますとか、母体行の経営責任でありますとか、それから政治責任でありますとか、そういう問題は全部抜きになりまして、法律家の実務処理になるんですね。これは、今金融界全体が非常に大きな政治問題になっている。こういうやり方ではだめだ。それから、破産管財人には守秘義務がありますので、透明になるというものでも決してありません。ですから、こういうやり方では私ども賛成をしませんけれども、やはり根本に立ち返って、母体行が全部子会社の問題を解決すべきだ、こういう立場に立ち返るべきではないか。  それで、大蔵大臣に伺います。  久保大蔵大臣は、母体行の責任という立場からいたしますならば、先ほど紹介いたしましたが、債権の放棄に限らずさらに負担すべきであるという御意見もあることを承知いたしておりますが、今母体行に要請できる負担としては、債権の全額放棄、三兆五千億が今日においては限界だと考える、さらに、このほか母体行は、一兆円の基金、それから住専から債権を買い取りますための資金として考えられておりますのは、二兆二千億の融資、低利の融資を求めることに対して応じていただく予定ですというふうに言っています。この後の方の負担は、基本的に返済が前提のものであるということを志位書記局長質問でもやりました。  きょう大蔵大臣に聞きたいのは、大蔵大臣の言うように、母体行はぎりぎりまで負担しているのかどうかということなんですよ。大蔵大臣はぎりぎりの負担と言ったんですが、もし母体行にさらに負担能力があれば負担させる気があるかどうか、これをお答えいただきたい。
  110. 久保亘

    久保国務大臣 今松本さんが、破産処理はとらざるところ、それは母体行の責任を軽くするのみだ、こういうお話がございました。その点は私も同じような考え方かなと思っております。  それで、そういう破産の道をとらないということになりますと、当事者との間で十分協議を尽くして合意を得なければならないわけでありまして、結局、住専処理機構による、今政府が御審議をお願いをいたしております方法以外にないのではないかと思っております。  その際、母体行が債権のすべてを放棄するということは、今お話しございましたように、破産処理の場合からいたしますと、倍額の債権を放棄することになるわけでありまして、これは母体行が設立、人事、経営、それらの点にかかわって、単なる貸し手責任を超える責任を有するからそのような協議に合意をしたものと考えております。  もちろん、今後の融資や基金への拠出、そういうものを含めて母体行の責任というのはさらにそういう面での負担にもなっていくわけでございますが、今松本さんから御提起がございました、これ以上の負担を、つまり債権放棄以上の負担を母体行に課するかどうかということについては、母体行が責任を有するということは同じ立場でございますけれども、そのことについては、現在までの協議の合意がございますから、今直ちにそれ以上の負担を求めるべきだということについては、御返事ができないと思います。
  111. 松本善明

    ○松本(善)委員 それは、協議の結果がそうだというだけで、お答えになっていないのですよ。今世論は公的資金の導入、税金を使うということに対して、どの世論調査でも七、八割は反対でしょう。政府のやり方反対というのは九割ですよ。そこで、やはり物は考えなければならぬじゃないかと。  これは大蔵大臣はお答えにならないけれども、十分に母体行はそれを負担するだけの力があります。住専処理で必要とされる穴埋め資金は、一次損失と二次損失の合計七兆六千百億円。  一方、住専母体行の中心であります大手銀行二十一行の内部留保、引当金とか法定準備金、剰余金の合計は、九四年度決算によれば二十二兆四百四十三億円である。業務純益の点でいいますと、大手銀行二十一行は、九五年度中間期決算で、半年間で過去最高の二兆四千六百九十五億円の業務純益を上げているのであります。  金融制度調査会金融システム安定化委員会の九五年九月二十七日の審議経過報告でも、私が言ったと同じようなことを言っています。全国銀行協会加盟行の業務純益は九四年度四・五兆円、貸倒引当金は七・三兆円、株式の含み益は十数兆円であり、金融機関全体としては不良債権を克服する能力を持っていると言えると。だからこそ武村大蔵大臣は、昨年十月のG7で、海外拠点のある主要二十一行については、業務純益や引当金などの具体的数字を挙げて、十分不良債権処理に耐えられる、こう力説をしたのであります。六千八百五十億の負担ができないわけがない。  母体行に公的資金導入分を負担させることができない、そういうことですか。負担能力がないということですか。責任はそこまでとらせるべきではないということですか。どっちですか。
  112. 久保亘

    久保国務大臣 私は、母体行に最大限の負担を求めるべき責任があるということについては申し上げているわけであります。  ただ、全体の破産の処理ではこの問題は一層混乱を生ずるであろう、それならばどういうやり方ができるかということで、当事者との間の協議も進めた上で全体の仕組みとして合意が成り立っているわけでありますから、負担能力があるかないかという問題は、今松本さんがおっしゃいましたことから考えても、これはいろいろ検討すべき余地はあると私も思います。  しかし、そのことが母体行に対する、責任をとらせる、拠出を求めるということで合意を得られることになるかどうかという問題は、また別の問題ではないだろうかと思っております。それで、今お話がありましたことを直ちにそうすべきでありますということを私が申し上げることはできないということを言っているわけであります。
  113. 松本善明

    ○松本(善)委員 合意合意とおっしゃいますが、合意のもう一つの相手は国民なんですよ。税金を、一次損失だったら五千五百円、二次損失から一万円以上になるわけでしょう。この合意が得られないのですよ。だから、母体行に負担させろと言うのです。  形を変えてお聞きしましょう。  六千八百五十億を母体行百八十四行に単純に分割をいたしますと、一行平均三十七億二千万円にすぎません。住専七社の損失見込み額に比例をいたしましてこれを各住専ごとに計算をしてみますと、総合住金の母体行である第二地銀六十二行だけなら、一行当たり十一億円であります。地銀生保ローンの母体行であります地銀六十四行、生保二十五社で計算をいたしますと、一行当たり六億六千万円にすぎないのです。  大蔵大臣、この六千八百五十億円を母体行にそれぞれ、私が申しました住専七社損失見込み額に比例して各住専ごとに持たせた場合に、どこか破綻をする銀行がありますか、母体行がありますか。あなたはそこまでお考えになっていますか。
  114. 久保亘

    久保国務大臣 もしそのような要請をいたしました場合に、銀行側の同意が得られず、また銀行自体が役員会や株主の同意を得られないという場合にはこのスキーム全体を否定することにもなりかねない、その場合には、この委員会において当初から御議論が随分とございましたけれども、これは法的処理、破産による以外にないではないかという意見が質問者の多くの方からございました。  そういうことになることは、今松本さんも言われましたように、私どもとしてはとらざるところと考えているのでありまして、そのことについて、今母体行に六千八百五十億を負担させるべきだということを私が申し上げることは、現在まで組み立てられてまいりましたこのスキーム全体を否定することにならないかどうか、そういう点について慎重な検討がなければ御返事はできないと申し上げているのであります。
  115. 松本善明

    ○松本(善)委員 今すぐ返事があるいはできないかもしれませんが、これは国民の同意が得られないんですよ。だから、スキームが崩れたら困るという趣旨のこともお話しになりましたが、梶山さんが、後ろにおられますけれども、もう何遍も言われているかもしれぬが、銀行を救済しなければ日本経済が崩壊するぞ、こういうおどしはだめだと梶山さん自身が言っている。これは官房長官就任の記者会見のときにも、この考えは変わらないと言われた。これで聞こうとは思いません。まあそれだけ紹介しておきますが、金融不安を防ぐためにこのスキームが必要だというお題目は、もう通用しなくなっていますよ。  きのう、きょうの社説を、各新聞の社説を見てごらんなさい。何というか、このお題目はもう国民の中で通用しなくなり始めているんです。政府処理案では、急いでやらないと大変だと言うけれども、最終決着は十五年後でしょう。それまでにどれだけ財政負担が膨らむかわからないんですよ。やはりこの時点で考え直さないといけないと思います。  私は、押し問答は嫌ですから別の角度で言いますが、自民党幹事長加藤紘一氏、一月三十日の朝日新聞の「論壇」で、母体行は一次的な責任を強く負うべきだというふうに述べた上で、母体行の無税償却について論じています。この無税償却の問題は、我が党志位書記局長もやりました。だけれども自民党幹事長の発言ですからね。御紹介をしようと思います。  それで、加藤氏の、長くなりますから結論だけ言いますならば、公定歩合の引き下げのために銀行全体で二十五兆円の補助金を預金者から受けているに等しい、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行二十一行で九四年度の無税償却は二兆円を超したことは確実、約一兆円の広義の援助との見方もある、昨年度九月期の業務純益から見て昨年度は通年で五兆円を超し、無税償却の対象になる金額は少なく見ても三兆円近いと思われる、無税償却特別勘定の措置は実質的に公的資金の導入だと言っています。  母体行が公定歩合を引き下げて、無税償却など受けた利益のほんの一部を吐き出せば、六千八百五十億、公的資金の導入をやめることができるじゃないですか。これは何でやりませんか。負担能力がないと思っているんですか、責任がないと思っているんですか、どっちなんですか。しっかり答えてください。
  116. 久保亘

    久保国務大臣 たしか昨日であったと思いますが、加藤幹事長のその文章を引いての同じような御質問がございました。私、申し上げましたのは、その前提に加藤さんは、緊急の処理をしなければならない、そのために政府・与党の間で合意をしたことについて述べられているはずでございます。その上での御発言であります。  私は、母体行に対して言うべきことは、政府としても松本さんの御意見をまつまでもなく言わなければいけない、責任責任として明確にし、とるべき責任はとらせなければならないと思っております。全額債権を放棄させた上でさらに母体行にどのような具体的な責任をとらせるかということは、法律上の合意というもの、またこの処理策を進める上での当事者間の合意というようなものがなければ成り立たないものだということも、松本さんも弁護士として御活躍にもなっているわけでございますから御承知のことだと思います。
  117. 松本善明

    ○松本(善)委員 もちろん加藤さんの論文が、これをやらないと金融システムが破壊される、ダムが決壊したようなものだからふさぐ必要があるんだという議論になっているのですけれども、それが、先ほど申し上げましたように、もうそのお題目が通用しなくなってきているのですよ。大新聞の社説で通用しなくなってきているのですよ。これはもう中身としては何もないのです。  むしろ、金融秩序を守ることを、私どもの言うように母体行に責任を負わせる、それでないと銀行は信用されないです、絶対信用されない。銀行マンというのはかたい人だということ、今はそんなことはだれも思っていませんからね。だから、そこが金融秩序の破壊なんですよ。そこを根本的に立て直す方向を考えないといけない。これが根本です。  どうも大蔵大臣総理大臣もそこまで十分お考えいただいていないように思いますので、ちょっと角度を変えて、総理大臣、橋本さんにお聞きしたいと思います。  一九九一年から二年にかけて行われました大蔵省の調査結果が開示をされました。この開始を決定したのは言うまでもなく当時の橋本大蔵大臣でしょう、違いますか。覚えておられませんか。あなたの在任中ですよ。
  118. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 基準日は私の在任中の日にちに設定されておると思います。調査を開始したのは辞職の直後ぐらいからではないでしょうか。
  119. 松本善明

    ○松本(善)委員 調査を開始をして、そして一つだけは調査基準日が、住宅ローンサービスに関してはあなたの在任中、辞任される少し前、九一年の九月三十日なんです。ほかは、六社は後です。羽田さんの時代に入ります。だけれども、調査に入っているわけですよ。だから、調査の開始は、だって調査基準日ですから、調査に入っているわけですよ。だからあなたが開始をされたんじゃないかと言っている。
  120. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変微妙な日時でありますので、もし銀行局に資料があるならば銀行局長から答えてもらいたいと思いますが、その基準日というのはいわば調査をする、どのタイミングをとらえてということで設定される日取りでありまして、私の在任中に調査は開始しておらないと思います。ちょっと確認してもらいたいと思います。
  121. 西村吉正

    西村政府委員 第一次の調査は、御指摘の住宅ローンサービスを皮切りに平成三年から四年にかけまして行いましたものでございますが、調査の基準日と申しますのは私どもが調査をするためのデータの基準とする日という意味でございまして、この住宅ローンサービスの実際の調査の実施は平成三年の十月二十八日から十一月の初めにかけて行っております。橋本大蔵大臣辞任されたのは十月の十四日でございまして、その後、海部首相が大蔵大臣を兼務をされました。
  122. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうすると、羽田さんの時代に決定されたのですか。ちょっとそこをはっきり答えてください。
  123. 西村吉正

    西村政府委員 決定と申しますか……(松本(善)委員「調査開始決定ですよ」と呼ぶ)調査の開始は十月の初旬に計画をいたしましたが、実施をいたしましたのが十月の二十八日でございます。
  124. 松本善明

    ○松本(善)委員 それじゃ、やはり十月の初旬に計画しているんですよ。だから、橋本さんの辞任の直前ですよ。しかし、直前であろうと、やはり大蔵大臣だったんですよ。やはり開始を決定されたんです。私はそれ以上このことではやろうと思いませんが、大臣を羽田大蔵大臣に引き継がれるときに、この住専の問題はどのようにお引き継ぎになったんでしょうか。
  125. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、証券・金融不祥事の責任、さらに私自身の身辺で秘書の問題がございましたことの責任をとりまして、辞意は早い時期に総理に対してお伝えをしておりました。しかし、G7の議長の責任を果たしてやめろという御指示でありましたために、そのG7を終わって帰国後直ちに辞任をいたしました。その時点で私が大蔵大臣の職を引き継ぎましたのは、海部内閣総理大臣が兼務をされたことでありまして、その意味では海部総理に引き継いだということになろうかと存じます。  ただ、その時点で私は、G7を終わって、対ソ支援で非常に混迷したG7でありましたから、そのG7報告をし、それで辞任をいたしました。
  126. 松本善明

    ○松本(善)委員 わかりました、経過はわかりましたが、しかし、九〇年末に、住専の融資額に占める不動産関連業界への融資の割合は七六%になっていますね。当然、これは大蔵大臣として、橋本大蔵大臣、御存じだったと思います。客観的にそうなんですよ。  だから、知らなかったとすれば、私は大蔵大臣として果たしてそれでいいのかという問題になろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、大蔵大臣として、この時期からずうっと、総量規制から、それからこの調査結果を見ますと、これはずさんな融資、それから大蔵省の無責任さ、そういうものが調査結果を見ればもう歴然としているでしょう。マスコミにみんな出ているでしょう。この経過は、大蔵大臣が、あなただけとは言いませんよ、やはり次々と負っていかなければならぬ問題だと私は思います。  で、これはきょう理事会でも申し上げたんですけれども、羽田元大蔵大臣、林元大蔵大臣、藤井元大蔵大臣武村大蔵大臣、橋本大蔵大臣から後の四人の大蔵大臣ですね、それはやはりみんな責任があると思いますので、私どもはこの四人の方を、橋本さんは直接お聞きすることができますけれども、四人の方を参考人として招致をしていただくよう、理事会でも要求しましたが、委員長にもこれをお願いしたいと思います。
  127. 上原康助

    上原委員長 はい、既に理事会で協議されておりますので。
  128. 松本善明

    ○松本(善)委員 それで、橋本総理に申し上げたいのは、この方々の責任も問題として聞きますけれども、今その政治的な責任を果たし得る最もいい立場におられるのが橋本総理ですね、いろいろな政治家責任がありますけれども。  だから、先ほど来、大蔵大臣はまだちょっとこれから考えるみたいな、はっきりしないんですけれども、私は、総理大臣として、やはり金融秩序に対する国民の信頼を回復するために、母体行を中心とした金融業界に、やはり全力でみずから解決すべきだ、そして公的資金の導入をやめる、母体行の責任でやるということを総理大臣として金融業界を説得をする、これがあなたの果たされるべき最も大きな政治責任ではないかと思います。総理はどのようにお考えになりますか。
  129. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本予算委員会が始まりましてから、あるときは大蔵大臣から、あるいは事務方から、私から何遍も御答弁を申し上げてまいりましたが、昨年の春先あるいは初夏のころ、いろいろな言い回しがありましたけれども、いずれにしても、そのころからこの住専の問題というものに、何とかこれを早く解決しなければという問題意識を持ちながら皆がこれに対しての努力を続けてまいりました。殊に、昨年の、私はこれはちょっと職分違いですからいつという時点を正確に申し上げられませんけれども内閣におきましても、もう九月の段階においては問題意識を持ち、閣僚としての議論も既にそれぞれの立場で始まっておったと思います。  そして、そのプロセスにおきまして、関係者が、それこそその関係者の中だけで何とか解決をすべく全力を尽くした話し合いをしてこられたわけでありますが、その中で、それぞれが全力を尽くしたあげくにどうしても埋まらない部分が出てきたものが公的資金によって埋められるという今回のスキームでありました。私は、関係される方々は、それぞれ全力を尽くしてこの住専債務処理のために努力をされたと存じております。
  130. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理がそういうお考えであれば、私は、国民は絶対にこの六千八百五十億、納得しないですよ。やはり母体行に持たすべきだ、それがあなたの果たすべき政治責任だと私は確信をします。それは国民が望んでいることだ、こういうふうに考えます。押し問答しても仕方がありませんから、そのことを強く言っておく。お考えいただきたいと思います。  それで、資料がかなり出てきまして、住専状況も少しわかるようになりました。大蔵省責任もわかるようになりました。それから、母体行がどんなに大きな責任を負っているかということもかなりわかってきたのですけれども、まだ根本的にわかっていない分野が二つあります。それは、やはり母体行全体。一部は調査報告書でわかってきました。けれども、母体行の問題がわかっておりません。  ここの審議で、母体行が大蔵省に提出をした覚書というか誓約書、これは母体行の了解を得れば提出をするということを銀行局長が本委員会で述べました。そのほか、大蔵省がすぐ出せるものがあるのですよ。ただしかし、プライバシーその他で出せないということを理事会で言われたものだ。  例えば、母体行による案件別の紹介融資実績と不良債権額、年度別に。これは、ああいう表が母体行の紹介融資について債権ごとに出るということですね。それから、第一次再建計画と第二次再建計画の全文、これは、これだけひどい状況を何で放置したのか、どういうふうに再建したのか、全文が必要です。それから、先ほど申しましたような母体行の出した誓約書、こういうものは今大蔵省にあるということです。それで、母体行が出すことに了解をすれば出しますと言うのですけれども、母体行は了解をしないでいるのか。  そうだとすれば、やはり国政調査権で、既に理事会で議論をされていますけれども、母体行あてに議院証言法で提出を求めなければならない。この関係は大蔵省はどういうふうに、母体行に対してこれを出すぞと了解をとる努力をしたのか、そのときに母体行は何と言ったのか、これをお答えいただきたい。
  131. 西村吉正

    西村政府委員 大蔵省といたしましては、住専問題の処理に当たって財政措置をお願いしているということを重く受けとめまして、情報開示につきましては最大限の努力をしているつもりでございます。  先般御指摘のございました、母体行が大蔵省に提出いたしました文書につきましては、ただいま母体行側にこの文書の提出についてお話をしておるところでございますが、母体行の数が相当多数に上りますので、もう少しお時間をいただきたいと存じます。  なお、一般的に申し上げまして、相手方の了承があればいかなる文書でも出すということになるのかどうかという点に関しましては、大蔵省といたしましては、可能な限り情報開示に努めていくという姿勢で臨みたいと考えておりますが、個別の取引に関する内容につきましては、プライバシーや信用の保護等の観点から、直接の母体行の認識とその他の関係者認識とに食い違いがある場合もあろうかと存じます。
  132. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、西村さんの答弁を聞いていますと、大蔵省はやはりよっぽど活を入れなければだめだなとつくづく思います。これはもう不祥事も相次いでいますし、それからこの住専問題で、大蔵省は一体何をやっていたんだ、本当にこれではどうしようもないんじゃないだろうかということを感ずるんです。  これだけ問題になって、母体行の問題、紹介融資の問題もあれしているのに、今の答弁では、私は本当に何をやっていたんだろうかということを思わざるを得ません。これは大蔵大臣として厳しくやられる必要があるし、私は、やはり国政調査権で直接とらないと、そんなもの、百何十件をこれからやりますから待ってくださいなんて、予算委員会をとめて待っているなら別ですよ。そんなことできないでしょう。これは本当に何をやっているのかと。あなた自身の問題も昨日も問題になったけれども、本当に大蔵省は今行政当局としての責任を果たしていないと思う。  もう一つお伺いしたいのは、暴力団の問題なんですよ。これは、私が前回質問したときにお聞きをいたしました。国家公安委員長は、それについて、わかっている、だけれども発表は差し控えるという、いわばそういう趣旨ですね。指定暴力団の幹部が企業の幹部になっているもののリストさえも公表しないんですよ。  暴力団がかかわっている、持ちつ持たれつだと、新聞紙上では、銀行が地上げで暴力団と持ちつ持たれつ、銀行業界に暴力団が深くかかわっているというのはみんな知っていることですよ。これを、資料を出さないで、そして審議をするというわけにはいかないんじゃないですか。私は、これは総理政治姿勢にかかわる問題だと思います。予算審議をする、情報公開に努力すると言いながら、暴力団関係の資料全くなしでこの住専問題の審議ができますか。これでいいとお考えかどうか、お聞きをしたいというふうに思います。
  133. 西村吉正

    西村政府委員 先ほども申し上げましたとおり、私ども住専問題の処理に当たってできる限り情報開示を行っているところでございまして、かかる見地から、今月の一日付でなされました議院証言法に基づく資料要求に対しましても誠実に対応しているところでございます。  なお、御指摘のあったもののうち、暴力団絡みの融資実績という御指摘でございますが、その点については、私どもといたしましては把握していないところでございますので、よろしく御了承願いたいと存じます。
  134. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 住専不良債権問題と暴力団との関係についてさまざまな報道がなされておりますが、債権債務をめぐる事案への暴力団等の関与には、先刻も申し上げましたが、種々の程度、態様がありまして、住専不良債権問題と暴力団との関係につきましても、個々の具体的事案に応じて判断すべき事柄でありますので、一般的に申し上げることは困難であろうと考えております。  しかしながら、警察といたしましては、住専不良債権問題につきましては、国民の皆様の関心も高く、その重要性にかんがみまして、総合力を発揮し得る所要の体制をもって取り組んでいるところでございまして、今後とも、刑罰法令に触れる行為があれば厳正に対処し、検挙を通じて実態の解明に努めていくものと認識をいたしているところでございます。
  135. 松本善明

    ○松本(善)委員 やはり総理の問題だと思います。幾ら聞いても、暴力団の問題はやりますと言うだけであって、その資料を国会に出すということは言われないんですよ。だけれども国民は、暴力団に税金をつぎ込むことになるんじゃないか、これを一番怒っているわけですよ。そこを解明しないで通過することはできないですよ、避けることはできないですよ。(発言する者あり)それはこれからやるならいいですよ、本当にやるならば。総理からは伺えなかったので、理事が、不規則発言ですがやると言うならば、これはもちろん結構です。  私は、総理に最後に申し上げて、時間がぼつぼつ来ていますので質問を終わろうと思いますけれども、この住専の問題というのは突破口なんですよ。だから、私は母体行の責任で解決しろと言っている。この後、二次損失がどこまで膨らむかわからない。大蔵次官だってそう言っているでしょう、その趣旨で言っています。  それから、大蔵大臣は、銀行全体の不良債権公的資金を導入することは現在は考えていないと。将来はどうなるのか。これだけ膨大な不良債権公的資金を一切使わないで一体やれるのだろうか。  それから、財政危機もすごいでしょう。これは、中期財政展望を出されたけれども、展望は全くないですよ。それは、今までの財政再建の財政依存度五%以下というのさえやめちゃうわけでしょう。本当に日本の将来はこれでいいのか、これで責任を持った内閣なのかと私は言いたくなります。それで頼りにするのは消費税だけだということになったら、それはもう絶対許されないですよ。  最後ですからまとめて総理にお答えいただければ結構ですけれども、この不良債権公的資金投入しないかどうか、それから、財政危機の解決の展望はどこにあるのか、消費税の増税でこれを解決するという気はないか、この三つを最後にお聞きして、私は質問を終わろうと思います。
  136. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変まとめて幾つかの問題をちょうだいいたしましたが、先般来お答えを申し上げてまいりましたように、住専以外の金融機関の問題としての御論議でありますけれども、これは、不良債権処理の過程で生じ得る金融機関破綻にも円滑に対応できますように、先般の金融制度調査会答申の中でも、預金保険制度の時限的な拡充を図るといったことが提議され、我々はそうしていきたいと考えておりますし、新しい金融システムを構築していきますための施策として、金融機関の経営健全性確保を促すための制度面の整備あるいはそのモニタリング・検査、こうした体制を整備していくこと、金融機関破綻処理手続の整備等を行ってまいるということに尽きましょう。  要は、根本的に現在のシステムが変わっていかなければならない。それは、金融自由化の進んでいきます中で、まさに護送船団方式で完全に動かし得た時代金融行政というものがそのまま残っているものを変えていかなければならないわけでありますから、こうした国会の御論議をも受けまして、これから先、新たな姿にこれを変えていく努力というものは当然私はどこかで払われなければならないと思います。  また、今後の財政再建にという御指摘がございました。  厳しい財政事情でありますことは既に申し上げるまでもありません。私どもは、この平成年度予算の編成に当たりましても、この問題に非常に厳しい状況の中で直面せざるを得ませんでした。今後、この平成年度予算というものを地ならしとしながら財政改革に取り組んでいく、そしてできるだけ速やかに健全な財政体質をつくり上げていくということが喫緊の課題であると考えておりますし、国会あるいはその他における御論議というものを我々は参考にさせていただきながら、全力を挙げていかなければならない課題だと思っております。  また、消費税の話にも触れられました。  所得税、個人住民税の負担を軽減し、消費税率を五%とする平成六年秋の税制改革、これは法律で一体のものとして成立をし、国民に認知をしていただいております。この法律を確実に実施していくことが、財政経済の運営の信頼、安定ということでも大切でありましょう。  いずれにいたしましても、五%と法定されている消費税率につきまして、これは社会保障などに要する財源確保の観点もありましょう、行財政改革の推進の状況もありましょう。財政状況等を踏まえながら、本年九月末という法律の期限に向けて検討を進めてまいりたいというのが、繰り返し申し上げてきたことであります。
  137. 松本善明

    ○松本(善)委員 時間で終わりますが、今の総理の御答弁をお聞きをして、国民が明るい展望を持てるか。私は絶対そうならないと思いますよ。それはやはり原点に戻って、そして民意を聞く、解散・総選挙で民意を聞いて再出発すべきだということを強く要求いたしまして、私の質問を終わります。
  138. 上原康助

    上原委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  139. 海江田万里

    ○海江田委員 私は、住専各社の税務申告の状況についてお尋ねをします。  この住専の申告漏れあるいは脱税は、例えば日本ハウジングローンは、平成二年度、三年度で約二億円の法人税の申告漏れがあったということは一部の新聞などに記載をされておりますけれども、これ以外に住専各社で税金の申告漏れあるいは脱税があるのかないのか、まずお教えいただきたいと思います。
  140. 若林勝三

    若林政府委員 お答えいたします。  課税当局といたしましては、個別にわたる事柄につきまして具体的に答弁いたしますことは従来から差し控えさせていただいております。よろしく御理解を賜りたいと思うわけでございます。  一般論で申し上げますと、従来からあらゆる機会を通じまして、課税上有効な資料情報の収集に努めておりまして、問題があるという場合には実地調査を行うというようなことで、適正な課税の実現に努めてまいったところでございます。今後ともこのような基本的な考えで対処をさせていただきたいと思っております。
  141. 海江田万里

    ○海江田委員 そういうお答えが返ってくるであろうということは十分予想ができたわけでございますけれども。  これは税金の専門の新聞の納税通信という会社が住専各社が出しております損益計算書を調べますと、この損益計算書の中で、項目として「法人税及び住民税」という項目があるわけですね。そのほかに、「過年度の法人税及び住民税」の項目というのが立っておりまして、例えば日本住宅金融は、平成四年度にこの過年度法人税及び住民税の項目として二十一億九千三百万円の金額を書いているということ、それから総合住金は、同じく平成四年度に九千八百万円のこれも過年度法人税及び住民税の支出をしている。それから第一住宅金融は、平成四年度に九千五百万円過年度法人税及び住民税の支出をしている。それから住宅ローンサービスは、平成四年度から六年度にわたって合計七千四百万円の過年度法人税及び住民税の支出をしているということで、この過年度法人税及び住民税の支出というのは、つまり、通常の法人税とは別途にそれだけの法人税ないしは住民税を払っているわけです。  どうしてそういう税金を払わなければいけなかったかといえば、これはもう言うまでもありませんけれども、国税当局の調査によってミスが発見をされて、そして追加的に払った、こういうふうに私は認識するんですが、そういう認識でよろしいかどうか、大蔵大臣あるいは当局でも構いません、お答えください。
  142. 若林勝三

    若林政府委員 お答え申し上げます。  今委員から御指摘ありましたようなケース、具体的に承知いたしておりませんけれども、一つの考え方としてそういう考え方もあり得るかと思います。
  143. 海江田万里

    ○海江田委員 一つの考え方とおっしゃりましたけれども、これはそういう考え方しかないんですね。  それから、今私が挙げませんでした住総ですとか地銀生保住宅ローンというのは、そういう過年度法人税及び住民税の項目を立てておりませんからわからないわけでありますけれども、この二つを除いても、新聞報道のありました住宅ローンサービス、それから今言いました日本住宅金融、総合住金、第一住宅金融と、五つがやはり税金の申告漏れあるいは脱税があるわけですね。  しかも、これはもう何度も言われたことでございますけれども、この会社の役員には当然大蔵のOBが行っているわけですよ。普通の会社とは違うんですね。こういうところで重大な税金の申告漏れがあるということ、これはやはり私は大問題だと思うのですが、大蔵大臣、いかがお考えでしょうか。
  144. 久保亘

    久保国務大臣 海江田さん御指摘になりました個々のケースについて、私がここで、詳細も存じておりませんし、申し上げることはできませんけれども、今御指摘のような事実に対しては、厳正に臨まなければならないことだと考えております。
  145. 海江田万里

    ○海江田委員 これはぜひ、ちょうど今は税金の申告の季節でもありますことですし、厳正にやはり臨んでいただかなければいけない。  もうこれからこの住専の七社というのは消えていく運命にあるわけですけれども、やはり過去の分にもさかのぼって、平成四年度ですから比較的最近にやっておるわけですけれども、今はもう平成八年でございますので、税務の面でも取りっぱぐれのないように、しっかりとした調査をお願いをしたいということを申し述べておきます。  それから、一つ素朴な疑問がございまして、今度住専処理機構をつくりまして、そして住専不良債権の回収に当たって、最終的にきれいにするまでに十五年かかるということがもう何度も議論をされておりますけれども、どうして十五年の日時が必要なんだろうかということで、これはアメリカのSアンドLなどの破綻金融機関処理いたしました整理信託公社、RTC、これは五年の時限立法で、五年間で整理をしますよということをやりまして、そして、先日ほとんどそれの整理を終わって報告書も出しておるということですから、日本の十五年というのは、その三倍なんですね。  この住専の問題というのは、これは不良債権処理の取っかかりだから、なるべく早目にこの処理をしなければいけない、早目に何とか整理をしなければいけないというのはもう何度も言われていたことでありますけれども、その早目というのが十五年ということになりますと、二十一世紀に入っちゃうんですね。どうしてそんなに時間がかかるんですか、お教えいただきたいと思います。
  146. 西村吉正

    西村政府委員 この住専をめぐります法律関係としては、二つの側面があるわけでございます。  一つは、住専がお金を借りております民間金融機関とか系統との関係でございますが、これは、今回の措置が認められますならば直ちに清算処理をされるわけでございます。  他方におきまして、現在の住専あるいはそれを引き継ぎます住専処理機構債務者との間に持っております関係があるわけでございます。これは、強力な回収ということで、いろいろな手段を講じまして、法的措置をも講じ、また、新しい措置をも講じまして強力に債権回収に努めるわけでございますが、その中には個人の住宅ローンを借りておられる方もおられますし、そういう方々との関係は時間がかかるという面もございますし、正常な債権債務の終了を待つということになりますと、できるだけ早く整理をいたしますが、最大限十五年の時間をいただきたい、こういうことでございます。
  147. 海江田万里

    ○海江田委員 今のは個人の住宅ローンの話なんですね。これは取ってつけた話でありまして、やはり一番重要なのは債務者との関係なんですね。そうですよね。  しかも、債務者との関係でもって、土地を結局最終的に売って、そして損は損としてはっきり確定をさせなければいけないんですけれども、ところが、この土地を売るところで、実は、短期に、五年なら五年に限ってしまったんじゃ、土地を売ったらますますこれは下がっちゃうわけですよね。これから少なくとも五年ぐらい、私ははっきり言って、これから、これだけ、まず取っかかりとしては住専ですけれども住専が持っております、担保にとっております土地を処理をしてかかるということになったら、土地はどんどん下落するんですよ。  これは、アメリカなんかの例を見れば一番わかるわけですね。アメリカで本当に、先ほどお話をしたRTCが整理に入ったら、そこから不動産の価格というのはずっと下がっていったわけですね。整理に入る前と後とで、やはり最低でも二割から三割の下落というものは見ておかなければいけないということで、このことはまず一点押さえておかなければいけないということ。  それからもう一つは、不良債権で、第一分類は優良債権ですけれども、第二分類、第一二分類、第四分類とあって、これはきょうの朝日新聞に非常に明快に解説がされておるんですけれども、ややもすると私たちは、第二分類分の債権がここにあって、それとは別個に第三分類分のがあって、そしてまた別個に第四分類分のがあってと、こういうような認識を持ってしまうわけですけれども、実はそうではありませんで、一つの土地なら土地、不良債権の中に第二分類、第三分類、第四分類、第一分類は優良債権ですからこれは別途になりますけれども、二、三、四があるわけですね。  それで、第一分類は正常な債権でいいですけれども、第二分類が回収に時間がかかる債権、第三分類が回収不能懸念債権、回収が難しい債権、第四分類が回収不能債権、回収が不能、ロス見込みということでございます。  これを例えばわかりやすく、百万円貸し込みをした、だから土地の担保がついておる、この土地の担保の簿価は百万円だ、そこを、まず一番初めにこの路線価を基準にしまして、そうすると、大体百万円が担保にとっておるものでも、大体今、路線価は仮に六掛けぐらいで六十万円だとする、そうすると、簿価は百万円ですけれども、これを路線価で計算をしますと六十万円ですから、そこで四十万円損が発生をしますよね。この四十万円というのがまず第四分類になるわけですよ。これはまだ実際に売った話じゃないわけですよね。だけれども、少なくとも路線価と比べて、もうそこで既に担保の簿価と比べて四十万円損がありますよというのが、これがまず第四分類になってくる。  ところが、では実際に幾らで売れるかというとき、この幾らで売れるかというときに、大蔵省の方は、算定の根拠として、路線価の大体七掛けぐらいじゃないだろうかという計算をしておるのですね。これは間違いありませんね。間違いがあったら後で訂正をしてください。  そうすると、路線価の七掛けですから、さっき路線価を六十万円にしたから、六、七、四十二万円ですね、これは。この四十二万円、つまり今度、四十二万円と六十万円との目減りの分の三割、三割分の目減り、十八万円、この十八万円が第三分類に分類をされるわけですよ。  だから、実際に売ろうとしたら、その十八万円も含めて――実際、路線価で売れりゃいいですよ、これは。だけれども、路線価で売れないんですよ、本当のこと言って、これは。都心部でごく一部限られたものについては路線価よりちょっと高いものもありますけれども、実際には路線価から低いところ。しかも、今お話をしているのは、これは去年の一月一日時点の路線価ですからね。ことしの一月一日はまた下がるし、これから実際に売るときの来年とか再来年はもっと下がるわけですよ。  そうなったら、第三分類の一・二兆円が、実はこれはさっきもお話をしましたように、回収が難しいというんじゃなくて、これは本当は切るわけにいかないんですよ。分けて切るわけにいかないんですよ。計算の仕方がそういうふうになっているんだから、これは。そこを分けて切ってしまっているというところ、ここに実は私は、大蔵省がやはり無理をして、だから最初久保さんが大蔵大臣になる前の大臣のときは、切るわけにいかないからそれも一緒にして、これがロス分ですよということを言ったわけですよ。だけれども、それを切ってしまって、一・二兆円の分についてはこれは第三分類ということにしてしまったわけですけれどもね。  しかも今私がお話をしたように、これから本気になって処理をしていこうとすれば、これはやはり地価はどうしても下がらざるを得ない。少なくとも五年は私は下がると思うんですね。そうすると、この五年間というのは実は処分するわけにいかないんですよ。そして、五年以上たって本当にこの新しい機構が、まあ株式会社ですけれども、これが機能し始めるのはむしろ五年から先じゃないだろうかと、そういうふうな理解を私はするんですが、いかがでしょうか。もし間違いがあったり認識違いがあったら教えてください。
  148. 西村吉正

    西村政府委員 今御指摘のございました事実については、私どもが考えておりますこととほぼ同様でございます。  ただ、すべての債権がそういうふうな処理をされておるということではございませんで、担保処分しか回収ができないような債権についてはそのような評価の仕方をしておるということで、例えば債権の種類によりましては、四分類にはなってなくて二分類だけにとどまっておるというような性格のものもございます。  なお、しからば、急激に売却をすると地価の下落が起こるから処分を延ばそうというような考えがあるかという御指摘でございますが、私どもはそういうようなことは考えておりません。回収はできるだけ早く強力に行う、その場合に、おくらせるという考え方はございません。
  149. 海江田万里

    ○海江田委員 まあなるべく、おくらせるということでなくて早くやろうということですけれども、早くやれば、さっきもお話をしましたけれども、第三分類がふえるんですよ、これは。私、今第二分類のことは言わなかった。四と三というのはそういう意味では切り離すことが本当はできないんですね。  だから、早く売って、そして第三分類をふやして、第三分類というのはいわゆる二次ロス分ですよ、二次ロス分をふやして、そして財政への負担をそこで大きくするのか、それとも、もう少し様子を見てそこの部分を少なくするのかということをこれはやはり真剣に考えていただかないと、ただ何でも早くやればいいという問題じゃないんですよ。早くやるときは必ずロスは膨らむということ、このことをやはり肝に銘じていただかなければ私は困ると思うんですね。  いかがですか、大蔵大臣
  150. 久保亘

    久保国務大臣 今御指摘がございましたように、住専処理機構は、二次ロスをどのようにして少なくするかということが非常に大きな任務になるだろうと思っております。したがいまして、経済の動向などについてもしっかり見通しを持ちながら、今海江田さんが御指摘になりましたような、最もよい回収の仕方、それから、回収した債権の処分の仕方ということを考えることのできる機構でなければならないと思っております。
  151. 海江田万里

    ○海江田委員 だから、これは本当に大変なことなんですよね。生易しいことじゃありませんで、本当にこれはもう命がけですね。  それから、住専処理機構の問題ですけれども、この住専処理機構は、政府がお出しになろうとしている、問題になりましたね、この法案でも債権処理会社と位置づけをされているわけですよね。だから、例えば預金保険機構はまさに機構であるんですよ、これは。私たちは便宜的に住専処理機構と呼んでおりますけれども、正式には、これは法案が通れば債権処理会社になるんですね。私は、やはり債権処理会社とせざるを得ないところに、今久保大臣からは決意のほどは、決意表明はお聞かせをいただきましたけれども、やはりそこに今度のこの政府案が持つ脆弱性があるのでは左いだろうかという危惧を持っておるのですね。  それはどうしてかといいますと、新聞などで報じられております政府の構想では、「預金保険機構の業務の特例」として、「機構が必要と認める場合には、債権処理会社からの委託を受けて、その取立てを行うこと。」が盛り込まれていますけれども、債権処理会社には、機構の求めに応じその取り立てを機構に委託するとされ、権利関係が複雑なものや、回収に特に専門知識を必要とするものは預金保険機構が会社から召し上げて回収をするということを決めておるわけですね。だから、そういう意味では、この債権処理会社がなかなかできないよということ、難しいものは全部そういう意味では預金保険機構が回収を行うということにしている。  それから、この預金保険機構は、「債権処理会社に対し、報告又は資料の提出を求めることができる。」とされておりますけれども、わざわざ罰則規定を設けて、罰則規定では、債権処理会社が「資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは偽りの記載をした資料の提出をした」ときは「五十万円以下の罰金」ということをわざわざ書いているんですね、これは。  この一項目をどうして設けたかといえば、これはやはり株式会社でございますから、この債権処理会社が機構に誠実でない場合、そのときはやはり罰金を取りますよということで、機構に誠実でないということを前提にしている、そういうこともあり得るんだという考えをしているということで、これらのことを見ると、やはり私は、今度のこの債権処理会社というのが、実はこれは久保大臣もその点はわかっておられて、果たして株式会社でいいものなんだろうかどうなんだろうか、この国会の議論を踏まえて、そして結論を出すということをおっしゃっていたはずですよね。  ところが、今こういう問題をこれから提起をしようと思った。残念ながら、これまた新進党の皆さん方はせっかくの議論をする機会を逃してしまったわけでございますけれども、初めてですよ、この議論をするのは。その議論をしようと思うときに、もう既に決めてしまっているというのは、これは私はどうも脇に落ちない。腑に落ちないというか納得ができない。だから、これは本当にこんなものでいいのですかね、心配なんですがね、いかがですか。
  152. 西村吉正

    西村政府委員 政府といたしましては、住専不良債権処理のために、今御指摘の預金保険機構と住専処理機構が一体となって強力な体制を整備するというふうに考えておるところでございます。  ところで、今御指摘の住専処理機構を株式会社にするという問題でございますが、住専から買い取った債権につきまして、法律上認められておりますあらゆる手段を迅速的確に活用いたしまして債権回収を促進するわけでございます。このためには、資産の処分だとかあるいは土地の再開発等の業務の提携等を臨機応変に行ったり、それから給与体系、いろいろな債権回収の仕事をする方々の給与体系を工夫するというような必要がございます。したがって、一方においては可能な限り弾力的な業務運営を行えるということが必要でございます。  他方におきまして、公的資金投入にかんがみまして、適切な公的関与というものも必要なわけでございます。この両面を調和させる仕組みとして預金保険機構と住専処理機構、二つの組織を緊密に連携させまして、最も適切に運用をしていく、このような考え方で現在法律案を検討中、こういうことでございます。
  153. 海江田万里

    ○海江田委員 まあ今の御説明を聞いていても、そうか、それならば安心だなという印象が全然伝わってこないのです。久保大臣決意表明をなさいますけれども、肝心のその決意表明を受けた事務方の腰砕けの答弁じゃ、決意表明が空回りをしてしまうんですね、これは。私は、この処理策の問題はやはり株式会社に問題がある。  それから、実はこの預金保険機構自身も、これはまだまだ脆弱なんですね。決して万全なものじゃないのです。もちろん、今回は預金保険機構に検察ですとか会計の人たちですとか、そういう人たちを、OBの人たちを入れてこの預金保険機構の体制を強めなければいけない、こういうような提案があるわけですけれども、私は、それだったら、さっき銀行局長は一体となってということをおっしゃっているんだから、文字どおり一体にすればいいのですよ、本当はこれは。  しかも、一体にしまして、これは久保大臣の持論でもありますところの、やはり大蔵省を何とかしなければいけないということをお考えになっているわけですから、その大蔵省を何とかしなければいけないということをドッキングをさせまして、私ども市民リーグは、行政委員会としての特別機構の設置ということで、先ほどもお話をしましたアメリカのRTCに倣って、日本の場合は独立した行政機関としての行政委員会を設置し、強力な体制と権限のもとで調査と回収を一体的に、そして短期に終わらせるということがやはり一番いいんじゃないだろうかという考え方を持っておるのですが、いかがでしょうか。
  154. 久保亘

    久保国務大臣 政府といたしましては、明日、先ほど銀行局長が御説明申し上げました内容で処理法案を提出いたすわけでございますが、各党におかれても、この問題についていろいろと御議論もいただいていると伺っております。ぜひ強力で効率的な機構が誕生じ、そしてその実を上げることができるように法案を御検討をいただきたい、こう思っております。
  155. 海江田万里

    ○海江田委員 それからもう一つ、金融犯罪の公訴時効の問題でございますけれども、もちろん不利益遡及しないということは非常に重要な原則でございますけれども、これから起きるであろう不正ですとか不法行為ですとか犯罪等の再発防止措置として、特別立法をもってやはりこれを延長すべきではないだろうかと私は考えておるのですが、これは総理がお答えできますか。どなたか、お答えできるところが……。
  156. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 お答えをさせていただきます。  住専関係者の刑事責任を追及するために、先生の御提案は、公訴時効の問題を延長という形で検討してはどうかということであるかと思います。  確かに、御指摘のように公訴時効の問題を生じたといたしましても、過去に行われました犯罪行為につきまして事後に時効を延長するということにつきましては、憲法違反の可能性もあるかと思っておりまして、慎重に御検討いただきたいものというふうに考えております。
  157. 海江田万里

    ○海江田委員 住専の問題を離れまして、きょうは二月の八日でございますけれども、台湾海峡の情勢を私は懸念をしているのですね。いろいろな情報がございますけれども、十日にはまた中国が台湾海峡で大規模な軍事演習をやるんじゃないだろうか。  私、昨年末に北京に行ってまいりまして、台湾にもことしに入ってから出かけてきたんですけれども、昨年末は、去年の十一月に南京軍区というのを中国がつくりまして、軍区ではありません、戦区ですね、戦区。従来でしたら陸軍の配置で軍区というのをつくっていたんですが、そこに空軍と海軍を入れて戦区というのをつくって、そして広東の沖で大規模な演習をやったという報道もございまして、そして、その南京戦区がこの十日あたりからまた大規模な演習をやるんじゃないだろうか。もちろんこれは台湾の総統選挙に向けてのデモンストレーションだというような報道があるんですが、外務省はこの台湾海峡の情勢というものをどういうふうに認識をしておいででしょうか。
  158. 池田行彦

    ○池田国務大臣 台湾の選挙を控えまして、台湾海峡をめぐる情勢がどういうふうに変化していくか。そのこと自体としても、またそのことが周辺の地域の安全保障環境に及ぼすこと、あり得べき影響といった観点からも、大きな関心を持って見守っておるところでございます。  委員御指摘のとおり、近々大規模な演習が行われるのではないかといったような報道あるいは情報というものもいろいろあるようでございます。しかし、これまでの経緯で申しますと、一九八八年ごろから台湾で選挙がありますたびに中国側において演習が行なわれてきた、こういう事態がございます。それはいろんな見方がございますが、心理的と申しましょうか牽制といいましょうか、そういった効果をねらったんじゃないかといった、こういった見方が多いわけでございます。  今回も、そういったことで演習という話があるわけでございますが、情報がいろいろ交錯しておりまして、外務省としてもこれとはっきりしたことは言えませんけれども、御指摘のございました昨年の演習に比べますと、同規模かあるいは場合によっては、陸は参加しないんじゃないかという情報もありまして、若干小さいんじゃないか、こんな情報もいろいろあるようでございます。  いずれにいたしましても、私どもとしては、この地域の情勢の変化、それが緊張の高まりがあろということはぜひ避けてほしいと思いますので、台湾をめぐる問題は両当事者間で話し合いによって解決されるべき問題でございますけれども、両当事者がそれぞれに抑制的にと申しましょうか、自重した、自制した慎重な姿勢で臨んでいかれる、そしてその情勢が、緊張の高まりなんということのないようにということを強く希望しているところでございます。
  159. 海江田万里

    ○海江田委員 私も基本的な認識大臣と一緒で、両当事者が話し合いで解決をするようにというのは基本的な問題だろうと思います。  それから、もちろん日本は中国との間に結んだ条約もございますから、その線に沿ってということは言うまでもありませんが、ただ、その両者の対話というものを、アメリカは上院の東アジア太平洋小委員会で、ロード国務次官補、この方がアジア太平洋地域の担当でございますけれども、この両者の対話が去年の六月からですか途絶えておりますから、その対話を再開するようにというような提案も行っておるんですね。この点につきましては、日本としては話し合いをしてくださいと言うだけで、何かそういうような対話促進のための働きかけですとか、そういうことはお考えになっておるんでしょうか、どうでしょうか。
  160. 池田行彦

    ○池田国務大臣 ただいま委員御指摘のロード国務次官補の発言というのは、七日の上院の外交委員会東アジア太平洋小委員会における証言だと存じます。七日でございます、日本時間でいえばきようでございますけれども。そのように米国も基本的に日本と同じようなスタンスで、両岸の話し合いによって平和的な解決をということで、対話を促すような慫慂を中台両方に向かってしている、こういうふうに承知しております。  我が国といたしましても、単に関心を持ち、眺めているということではございませんで、いろいろな機会をとらえまして、私どもがそういうことを希望しているということを伝えております。私が先般タイのプーケットに参りまして銭其シン中国外相とお話をいたしました際にもそのようなことを、先ほど申しましたような我々の考えを伝えたところでございますし、その他いろいろなレベルでいろいろな機会にそういった努力をしておるところでございます。  また同時に、当事者だけではなくて、やはり我が国と同じように関心、あるいは場合によっては懸念を持つ国々、米国もそうでございますし、アジアにもたくさんございます、そういった国との会談におきましても、どういうふうに見ているかとか、あるいはどういうふうな姿勢で臨むべきと考えておるかといったようなことにつきまして、意見の交換といいましょうか、見方の交換をしまして、またそれぞれの立場で当事者の方に働きかけていく、そういうことをやっていくための資料を交換し合ったところでございます。  そういった我が国も含めた関心のある多くの国々の両当事者への働きかけというものが、この台湾海峡の緊張を和らげていく方に役割を果たしていくということを期待したいし、またこれからも努力を積み重ねてまいりたい、こう思っております。
  161. 海江田万里

    ○海江田委員 そろそろ時間でもありますので終わらせていただきますが、住専の問題はまだ今後も市民リーグとしても断固追及をしていきますので、よろしくどうぞ。
  162. 上原康助

    上原委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  次回は、明九日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十一分散会