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1996-02-07 第136回国会 衆議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月七日(水曜日)     午前十時十七分開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    小沢  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       菊池福治郎君    久野統一郎君       後藤田正晴君    佐藤 剛男君       志賀  節君    高鳥  修君       谷川 和穗君    原田  憲君       村山 達雄君    谷津 義男君       若林 正俊君    安倍 基雄君       愛野興一郎君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       川島  實君    左藤  恵君       笹川  堯君    竹内  譲君       谷口 隆義君    平田 米男君       前田 武志君    松岡滿壽男君       山口那津男君    山田  宏君       今村  修君    佐々木秀典君       坂上 富男君    田中 昭一君       細川 律夫君    錦織  淳君       松本 善明君    矢島 恒夫君       海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         文 部 大 臣 奥田 幹生君         厚 生 大 臣 菅  直人君         農林水産大臣  大原 一三君         通商産業大臣  塚原 俊平君         運 輸 大 臣 亀井 善之君         郵 政 大 臣 日野 市朗君         労 働 大 臣 永井 孝信君         建 設 大 臣 中尾 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     倉田 寛之君         国 務 大 臣         (内閣官房長官 梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      岡部 三郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 秀直君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君         国 務 大 臣 鈴木 和美君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         警察庁刑事局長 野田  健君         防衛庁参事官  別府 信宏君         防衛庁経理局長 佐藤  謙君         防衛庁装備局長 荒井 寿光君         防衛施設庁建設         部長      田中 幹雄君         経済企画庁長官         官房長     竹島 一彦君         経済企画庁調整         局長      糠谷 真平君         経済企画庁調査         局長      澤田五十六君         科学技術庁原子         力局長     岡崎 俊雄君         科学技術庁原子         力安全局長   宮林 正恭君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁次長   若林 勝三君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         資源エネルギー         庁長官     江崎  格君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       並木  徹君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         労働大臣官房長 渡邊  信君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君         自治大臣官房長 二橋 正弘君         自治大臣官房総         務審議官    湊  和夫君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省税務局長 佐野 徹治君  委員外出席者         参  考  人         (日本銀行総裁 松下 康雄君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 二月七日  辞任         補欠選任   高鳥  修君     久野統一郎君   武藤 嘉文君     佐藤 剛男君   平田 米男君     竹内  譲君 同日  辞任         補欠選任   久野統一郎君     高鳥  修君   佐藤 剛男君     武藤 嘉文君   竹内  譲君     平田 米男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算  証人書類提出についての報告      ————◇—————
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  この際、御報告申し上げます。  去る二月一日、平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算の審査に関し、住宅金融専門会社問題について、証人として大蔵大臣久保亘君に対し、提出を求めた書類は、その提出について監督庁である内閣の承認があったため、去る五日、二月五日提出期限分及び七日提出期限分の一部の提出がありましたが、本日、二月七日提出期限分の残余の書類提出されました。  以上、御報告いたします。      ————◇—————
  3. 上原康助

    上原委員長 平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田宏君。
  4. 山田宏

    山田(宏)委員 新進党山田宏でございます。  きょうは、これまでの論議を踏まえて、またさらに、今までで解明をされなかった住専問題についての何点かの御質問をさしていただきたいと思います。  まずその前提として、当然のことでありますけれども、この国の普通の一般民間企業債務超過になったり破産をしたりといった場合は、やはり当然のことながら、今まで我々が議論していたように、これは破産処理の手続に従ってやっていくのが普通だった、こう思います。そういう意味で、この住専住宅金融専門会社倒産というのは、普通に考えれば一般民間会社倒産ということではないか、こういう疑問があるわけですけれども、この点について簡単に、大蔵大臣、お願いします。     〔委員長退席三野委員長代理着席
  5. 久保亘

    久保国務大臣 お答えいたします。  今、山田さんがおっしゃいましたように、一般的には、民間企業経営にかかわる問題は法的に処理されることが原則であろうと思っております。  しかし、住専の問題は、その再建の経過その他にかんがみ、また関係者が非常に多数に上っておりますこと、そしてその債権の額がかつてない巨額な額に上っておりますこと等も考えながら、このことを法的処分に任せました場合に起こります影響その他を考え、早急に処理し、そしてこの問題を決着させることが、今日の不良債権にかかわります最も象徴的で喫緊の課題となっております住専処理するやむを得ざる措置と考えたものでございます。
  6. 山田宏

    山田(宏)委員 今まで、預金者を持つ金融機関を除いて、一般民間会社倒産税金投入をされた事例はありますか。
  7. 西村吉正

    西村政府委員 私ども銀行金融機関を管轄しておる立場で、私どもの管轄をしております範囲内におきましては、そのようなものがあるとは記憶をいたしておりません。
  8. 山田宏

    山田(宏)委員 これまで民間会社倒産に、金融機関を除いて、いわゆる財政資金投入されたことはない、こういうお答えでございました。  じゃ、なぜ住専が特別なのか、こういいますと、今大蔵大臣から御説明ございましたとおり、債権者の数が非常に多数である、また、この債権債務の額が非常に巨大である、こういうような御説明がございました。この間の答弁でも、四千百億円の倒産というものはこれまであったけれども、今回は十三兆円の破産だ、こういう意味では違う、こういうふうに大蔵大臣説明されましたけれども、同じ民間会社破産に同じようなルールが適用されない理由を、単に債権額の大きさとかその関係者の数で本当に説明できるんだろうか、こういう疑問を私は持つわけです。  破産法を初めとする破産処理ルールを定めたこの国の法秩序は、その人や法人の負っている債務額関係者の数によっては税投入という、いわば関係者でない日本国民全員にその負担を負わせてこれを処理することを本当に認めているんだろうか、こういう疑問を持つわけです。  それでは、なぜ四千百億円がだめで十三兆円がいいのか、なぜ関係者の数が、債権者の数が、例えば十程度だったらだめで三百だとよいのか。民間会社倒産税金投入される基準をこの際お聞きしておきたい。
  9. 久保亘

    久保国務大臣 先ほど申し上げましたように、これは行政の上からの判断に加えて、最終的には政治的な判断によって決せられるものだと考えております。  したがいまして、今銀行局長も申し上げましたように、先例もございませんし、債権債務の額によって基準が定められるものではないと考えております。金融行政金融政策にかかわって責任を伴う判断である、こう思っております。
  10. 山田宏

    山田(宏)委員 それじゃ、なぜ一般民間企業のように法的処理が課せられないで今回住専になるかというと、その債権者の数とかその額とかいうのは根本的な話じゃなくて、今の大臣のお話だと、その時々の政治判断によって税金投入されることがある、こういうことをおっしゃっておられるわけですね。
  11. 久保亘

    久保国務大臣 今私が判断と申し上げましたのは、そのことを法的処分に任せた場合に起こってまいります予測される状況、それからその影響、そういったものをどのように考えるかということが重要な判断基準になるものと思っております。
  12. 山田宏

    山田(宏)委員 今大蔵大臣は、法的処理に任せた場合起きてくるさまざまな問題、こういうものを勘案して判断をされる、こういうような御趣旨のようにお聞きをいたしましたけれども、この法的処理をやった場合どういうことになるか、またはその効果とかその内容について、そうしたら政府はきちっと答弁じゃなくて文書で、こういう問題については、我が方でも、法的処理をした方がむしろいいのじゃないかという質問もこの間ありました。こういう見解の相違があるわけですから、そこが最も根本的な問題であるならば、単に早くこういった税金投入によってこの問題を処理しなければいけないというような一般的な理由緊急性だとか国際的な信用だとか、または金融システムを守るためだとか、こういうような抽象的なものじゃなくて、法的処理をすればこんなようなことが非常に問題になるというようなのを、きちっと数字も入れて説明すべきじゃないでしょうか。
  13. 久保亘

    久保国務大臣 新進党の皆さんからそのことに関しては質問書もいただきまして、文書をもってお答えしたと思っております。  それから、その判断がどうであるかという問題こそ国会において御審議を願っているのだと思っておりまして、私どもが今までそのことに関して申し上げてまいりましたこと、また文書をもってお答えをしましたことで御理解を賜りたいと思っております。  なお、不足いたします分につきましては、政府委員の方から補足させます。
  14. 西村吉正

    西村政府委員 今回の住専問題についてこのような処理を御提案し、御審議をお願いしております事情でございますが、他のノンバンクと異なりまして、先刻大臣からも御説明申し上げておりますように、この住専問題には関係者が非常に多うございます。母体行が百六十八、そして関係債権者が約三百という多数に上りまして、もちろんこれは七社に分かれているわけでございますが、その七社を通じまして系統金融機関という共通した大きな債権者がおられるというようなことで、一体として処理しなければ解決が難しいという、この住専問題に特殊な事情がございます。  そういう意味では、預金受け入れをしておらないノンバンクの一種ではございますけれども、しかしながら一括して処理しなければ解決が難しい、個々の債権者、すなわち銀行だとかそういう立場の人々の努力意欲だけではなかなか解決が難しい、全体として解決をしなければいけないというところにこの住専問題の特殊性があるわけでございます。  かつ、それを一括いたしますと、十三兆円という非常に多額に上る債権債務関係になるわけでございまして、これが円滑に処理されることなくしては、日本金融システムに大きな影響を与え、ひいては預金者保護にも遺憾な点が出てきては大変である、こういう観点から、この問題について慎重に対処し、国民経済に過大な影響を与えないためにこのような処理を御審議をお願いしておる、こういうことでございます。
  15. 山田宏

    山田(宏)委員 ちょっと銀行局長が補足をされたので局長にお聞きをしておきたいのですが、大臣は、法的処理をしなければいけないそういう事情があるんだ、こういう御答弁だったと思うのですね。今局長答弁はまたもとに戻って、債権者の数とか母体行の数とか、または債権十三兆円という大きな債権の問題だとか、そういうものの円滑処理だとか、こういうことをいろいろ並べられましたけれども、要するに、これだけのそういう規模やそういう債権者の数が多いので法的処理をすればやはり問題が多い、こういう意味でしょうか。
  16. 西村吉正

    西村政府委員 ただいま私が大臣答弁に補足いたしまして御説明を申し上げた趣旨は、今御指摘のように、この問題は先ほど申し上げたような意味で非常に大きな影響があるので、公的な処理をしないと国民経済に与える影響が懸念される、こういう背景を御説明したつもりでございます。
  17. 山田宏

    山田(宏)委員 非常に大きな影響と言うならば、やはりそれをきちっと示してほしいというふうに思うのですね。  なぜこんなことを申し上げるかというと、私は、ほかの一般民間会社とこの住専というやはり一般民間会社破産処理の方法が、ルールが異なっている。このことについて税金投入すると言うからには——政府がその公平なルールを保持してないのではないか。これから倒産される会社、それにも多分債権者もいろいろついてくるでしょう。その場合、法的処理をとるのか政府がこうやった形で何らかのバックアップをしてくれるのか、この辺の基準がはっきりしないじゃないですか。そうでしょう。そういう意味公平性が保たれない、破産処理ルールの、私はそう思うのですよ。  だから、その辺をはっきりしておかなきゃいけない。単にそれは水平的な公平性だけじゃなくて、私は垂直的にも言えると思う。それはどういうことかというと、次から生じてくるいろいろな不良債権を持って倒産をしていく会社、これに対してどういうようなルールでその会社の整理、処理をしていくのか、こういうこともきちっと例示をしてもらわなきゃいけない、こう思うのですね。  そういう意味で、今回のがなぜ特別なのかということは、だれにでもわかる基準で、大蔵省しかわからないような抽象的な国民理解できないような言葉を並べて今回の処理、新しいルールをつくるとするならば、やはりこれは認められないのではないか、こう思うわけです。その点についてはいかがですか。
  18. 西村吉正

    西村政府委員 私どもは、この住専金融機関という当事者債権債務関係だけの問題であるならば、恐らく他の分野における企業倒産と同様の考え方で対応できる面もあろうかと思います。  しかしながら、この問題は、先ほど申し上げましたように、その規模の大きさ、そしてその背景には預金者というもの、直接に住専には預金者はおりませんけれども住専に対する債権者債権処理ということを通じまして預金者というものに非常に大きな影響を与え、ひいてはそれは日本国民経済に大きな影響を与えるのではないか。また、そのような混乱というものが、世界の方々の目から見て日本経済に対する信頼性というものについて大きな懸念を生じ、これがまた国民経済の運営に大きな影響を与えるのではないか。  こういう意味において、個別の企業間の破綻処理の問題としてのみ片づけることはできないという意味で、本件は他の案件と少し違った観点から取り上げなければいけないのではないか、こういう趣旨で御提案申し上げている次第でございます。
  19. 山田宏

    山田(宏)委員 ちょっと視点を変えて申し上げますけれども、では伺いますけれども大蔵大臣は先日のNHKのテレビ放送に出演されまして、ノンバンクを含む今後の不良債権処理については税金投入は行わない、こういう旨を言明されました。この委員会でもそういう質問がございました。  そうしたら、同じようにノンバンクにも貸し出している銀行はいっぱいある。その銀行預金者もいる。その規模も、ひょっとするとこの住専をしのぐかもしれない。じゃ、なぜノンバンクを含む今後の債権処理にははっきりと税金投入をしない、こういう言明ができるのですか。住専とどこが違うのですか。
  20. 西村吉正

    西村政府委員 先般大臣から御説明申し上げましたのは、昨年十二月十九日の政府・与党の申し合わせの中にございます、「住専以外のノンバンク不良債権処理については、公的関与を行わない。」という申し合わせに基づいて御説明をされたわけでございます。  このような申し合わせが行われた背景は、私は、通常のノンバンク権利義務関係債権債務関係というのは、住専に比べますと少数者の間で、比較的単純な当事者間の債権債務関係でございますから、当事者間の努力意欲によって十分解決をできることであるし、また、しなければいけない、これが原則でございます。今の市場経済原則であろうかと思います。  しかしながら、住専につきましては、先ほど申し上げましたように、母体行というだけでも百六十八の数に上る、債権者という意味で三百に上る、こういう方々権利義務関係を一括して、縦糸横糸に複雑に絡んだものを解きほぐすということにおいては、このノンバンク、いわゆる広義のノンバンク問題の中でも極めて特殊な位置づけを持ち、公的に関与をしなければ解決のできない問題ではないか、このような考え方でこのようにお取り決めをいただいていると理解をいたしております。
  21. 山田宏

    山田(宏)委員 まだ起きていないノンバンクの、その債権者の数や、またはその額や、そういうことが公表されていないのに、ノンバンクを含む不良債権、そういう処理の実態がはっきりされていないのに、なぜそこまではっきりおっしゃることができるのか。今後ノンバンクを含む不良債権処理に当たっては、本当に税金投入されないのかどうかということについては、今の説明ではなかなかわかりにくいと私は思います。  首相は、今後のノンバンクも含む不良債権処理にかかわって、大蔵大臣のおっしゃっておられるように、今も銀行局長が御答弁なされたように、これにはもう公的資金というか税金投入は、財政資金投入は行わない、こうはっきりお話しになることはできるでしょうか。
  22. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、基本的な部分については大蔵大臣並びに銀行局長から御答弁を申し上げました。  そして、昨年十二月二十二日に金融制度調査会から金融システム安定化の諸施策という御意見をいただきました中で、信用組合につきまして、これからの信用組合経営状況によりまして、もしその破綻が生じます場合、これまでの信用組合破綻状況等を考えますと、「公的資金の導入は特別基金信用組合特別勘定に限定することが適当。具体的には、五年後に一般金融機関特別勘定の黒字を充当してもなお信用組合特別勘定に赤字が生じている場合には、政府が同勘定に適切な財政措置を講ずること」とされております。  ですから、私は、その信用組合のケースというのは、これは地方の監督権限との間で今までにも議論のありましたところであり、こうした問題は想定しておく必要はあるかと思います。しかし、それ以外のノンバンクに対し、ノンバンクに限定して今委員がお尋ねになりましたので、ノンバンクに関しまして、現在私どもはそうした考え方を持っておりません。  我々は、あくまでもこれから直面する不良債権の問題に対する対応としては、不良債権処理の過程で生じ得る金融機関破綻にも円滑に対応できますように、先般来申し上げてきております預金保険制度時限的拡充等を図り、それで対処していきたいと考えておるわけであります。
  23. 山田宏

    山田(宏)委員 私たちは、まず法的処理にゆだねるべきだと主張してまいりました。これは、この国に存在する限り、一般民間会社破産処理ルールは本来一つであるべきだ、こういう考え方からであります。それこそが、この国の法秩序を守るという最大の国民の利益を擁護することにつながるからであります。もし、明確な基準がないまま国民がよるべきルールが複数示されるならば、瞬く間に法への信頼感が薄れ去ってしまう、こう思うわけです。  しかし仮に、万やむを得ず、今お話しのように法的処理という一般ルールがとられないならば、政府は、この例外的な処置をする明白で客観的な具体的な根拠をしっかり国民に示すべきであります。その上で例外的な処置をとっていくということが必要だ、こう思います。ただし、その例外的処置も無原則であってはならない。この例外処置に対して、国民の納得のいく確固たる方針が示されていかなければいけないと思います。  次に、今回の例外処置に貫く方針ルールについて伺いたいと思います。  これまでの答弁、いろいろお聞きしておりますと、それぞれ積算根拠を私たちは求めてきたわけですが、簡単に言いますと、多分、その例外処置方針があるとすれば、母体行、一般行または系統、それぞれがぎりぎりまで頑張る、そしてそれでも不良債権処理できないならば税金投入する。それぞれが頑張る。一般行母体行、農林系統はそれぞれ頑張る、それぞれのルールで頑張る、そしてそれでも不良債権処理ができないならば税金投入する、こういうふうに受け取れるんですけれども、この点については間違いありませんか。
  24. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のようなことで私ども、この住専問題、日本経済全体のためにできるだけ早く解決をし、国の内外に信用秩序というものに対する信頼感を取り戻さなければならない、こういう考え方で取り組んだわけでございます。  もとより、その場合に、できれば関係者の間で何とかこの問題を解決したいということで、それぞれ母体行、一般行系統金融機関、いろいろなお考えがあるわけでございますが、その方々のお考えをよく伺いながらも、それぞれのお立場で可能な限りのぎりぎりの努力をまずお願いして、できればそういうことで解決することを目指したわけでございます。残念ながら、完全にそのような方策だけではこの問題を解決するめどが立ちませんで、最終的には六千八百億円の財政資金投入をお許しいただくことを御審議をお願いしておるわけでございますが、委員指摘のような趣旨で私どもは取り組んだものでございます。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  25. 山田宏

    山田(宏)委員 要するに、簡単に言うならば、今申し上げたとおりのルールで今回やったんだ、こういう局長の御答弁でありましたけれども、今後、民間会社のこういう破産処理法的処理をどうしてもとれない場合というのはもうないだろうと、こういうふうにお考えになっているわけですか。
  26. 久保亘

    久保国務大臣 山田さんも例外的な措置という立場で今御議論をいただいておりますが、あくまでも、これらの処理は自己責任原則に従って法的な処理が行われるのが原則だと私は思っております。  しかし、今回の場合は、これまでのかなり長い経過も踏まえた上でこのことを早急に処理しなければどういう影響が起きてくるか、その社会的、経済的な影響、内外に及ぼす影響全体を考えながら政治的に判断をし、例外的な措置といたしたものでありますから、そのことに関しては、今銀行局長から申し上げましたような考え方に立って皆様方の御判断をいただく問題だと考えております。
  27. 山田宏

    山田(宏)委員 御質問さしていただいたのは、今後こういう例外的な、今御答弁あったような処置をとることは考えてないと、今後はあり得ないと、こういうふうにお考えですか。
  28. 久保亘

    久保国務大臣 今、一般的な原則というのは自己責任であるということを申し上げました。その立場に立ちます以上、今後そのようなことが起こり得るということは考えておりません。
  29. 山田宏

    山田(宏)委員 今度の政府税金投入に至るその例外的な処置方針というのは、今お話があったとおり、御説明がありましたとおり、それぞれの関係者がぎりぎりまで努力した、しかし、努力しても不良債権処理には足りなかった、だから万やむを得ず税金投入するんだと、こういうお考えだったと思いますが、そうすると、私は、仮に法的処理が困難だった場合も、第一に、やはり法的処理を行ったと仮定して、それぞれの債権者の負担割合はどうなるかということをまず計算をするべきだろうと。それが原則ならですね。  二番目に、やはり各関係者の負担については、その破産に至るまでのいろいろな経緯もあるかもしれない、だからそういう経緯を明確にした上で調整はあり得るだろうと、こういうふうに思いますし、また第三に、その責任と負担については、やはりこれまでの債権者等の責任を明確化するに当たっては、新たな独立した破産処理の機関をつくって、そこでその割合を決していくということが私は基本的には非常に大事だと思っております。(発言する者あり)破産をする場合の話を言っているわけですね。こういった原則がないからわかりにくいし、今後の前例にもならないと私は思います。  唯一の説明は、今、ぎりぎり論でございました。すべての債権者がぎりぎりであると。百歩譲ってもしそれが原則ならば、関係者政府は、それがぎりぎりの努力か否かということを税を払う国民に明確に説明をしていく必要があると思います。(発言する者あり)
  30. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  31. 山田宏

    山田(宏)委員 まず、系統のぎりぎりの努力についてお聞きをしていきたいと思います。  まず、農林大臣は、五千三百億円の積算根拠として、三十の信連が経常赤字になり、二十の信連が当座赤字になるまでの努力をぎりぎりと述べられた上で昨日その数字を示されました。昨今の経済状況は、御存じのように大変厳しい中で企業倒産件数も増加傾向にあります。ある会社倒産が、その会社に関連していた、または取引をしていた別の会社倒産に結びつくことも日常茶飯事のことになっております。しかし、今回の住専の、債権額の上でも最大規模の事実上の破産処理に対して、最大の取引関係を有していた系統を、おかしな経営をしていた信連の一つも破綻させないで処理することがなぜぎりぎりに当たるのか、世間の常識と少し離れているのじゃないか、こういう声があります。本当にぎりぎりと主張されるのであれば、おかしな経営をしてきた信連の一つや二つは整理をすべきじゃないか、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  32. 大原一三

    ○大原国務大臣 おかしな経営というお話がございましたが、我々監督官庁としては、今回の住専処理が信連の破綻に陥ることがないという、そういう前提でいろいろ計算をしながら出した数字が五千三百億でございまして、おかしな経営という批判が信連全体に当たるかどうかは、これはよく見ていただけばおわかりになるのでありますが、現在においては、住専というものの現在までの、今日までの公的あり方、大蔵省の管轄権限等からその運営に公的ないわば監督が及んでいるという意味で、普通のノンバンクとは違った評価をして融資をしてきたことは事実でございます。
  33. 山田宏

    山田(宏)委員 ところで、この住専七社への農林系統の融資で、農林系統はこれまで総額でどれぐらいの利益を得てきたかわかりますか。
  34. 堤英隆

    ○堤政府委員 住専に対しまして系統の方から当然融資をしてきているわけでございますが、その時々の金利の状況に応じて貸し付けをし、それに応じて利息収入があったというふうに思いますが、私どもとして、当事者間のそれぞれの段階におきます個別の経営という形での取引でございますので、幾ら利益があったかということについては承知いたしておりません。
  35. 山田宏

    山田(宏)委員 大分やはり利益を得てきたと思うのですね。利益はしっかり確保する、しかしリスクはかぶれないというのではやはり納得いかないのじゃないか。  次に、信連の負担分である二千億円は積み上げてはじき出した、こういうふうに昨日答弁がありましたけれども、各信連ごとの積算数字は示されませんでした。これではなぜ二千億がぎりぎりなのかどうかということが判断しようがないじゃないか、こう思うわけです。ぎりぎりを明確に国民に示すために、その材料が不足をしている。それぞれの関係者がぎりぎりの努力をした結果、不良債権処理に至らないので税金投入するんだ、こういうような、先ほど例外の原則を御同意されましたよね。ここで、この議論を進めるに当たって、やはりこれがぎりぎりだという根拠をしっかり示していただきたいのであります。各都道府県の信連ごとのぎりぎりの努力の成果、この積み上げの各信連ごとの積算の数字というものをぜひ発表していただきたいと思います。
  36. 堤英隆

    ○堤政府委員 今御指摘の点につきましては先日も御指摘ございまして、予算委員会理事のところで理事会扱いということになっておりますが、私どもとしましては、現在できるだけきのうの御趣旨に沿いまして資料を提出すべく作業を急いでいるところでございます。  きのうも申し上げましたけれども、私どもとして、各信連ごとにAという県信連が赤字になるとかBという県信連が赤字になるとかいうことについては、これは個別の経営に与える影響が非常に甚大でございますので、そこの部分を避けながら、どういうふうにしたら一番御理解がいただけるかというような資料を今作成中でございますが、私の方から口頭でできるだけ御説明させていただきます。  まず一つは、きのうも申し上げたところでございますけれども、信連についてのお尋ねがございましたので、信連について詳しく御説明させていただきます。  各信連の贈与につきましては、どれだけの額が来ることによってどれだけの個別の経営に与える影響が出るか、こういうことを私どもとしては試算をしたわけでございます。その際、当然前提といたしましては、各信連ごとに個別の判断をするわけでございますけれども、それぞれ住専七社向けの貸付残高というものがございますので、それに応じて贈与を行うことになるであろうということを想定いたします。その際に、例えば二千億とか三千億とかいう形で一たん置きまして、それが信連の個別の経営にどういう影響を与えるかということを私どもとしては試算をし、検討したわけでございます。  そこで、今年度の各信連の利益ということにつきましては、これは見込みがたいわけでございますので、平成七年の三月期の経常利益をそのまま置くということでございます。これはきのうも申し上げたとおりでございます。したがいまして、贈与の財源ということを見ますと、今申し上げました予定経常利益をまず見よう、それから一般貸倒引当金をできるだけ取りまする範囲で取りましていこう、こういうことで各信連ごとに計算をいたしました。これは今年度でございます。  それから、今年度だけ見ては、これは経営は継続するわけでございますので、翌年度についても調べてみました。翌年度につきましては、一定の経常利益、これも見込みがたい面がございますから、平成七年三月期の経常利益を置きまして、それから農中からの配当も、農中も大変厳しい状況になりますので、農中からの配当も減少する。それから住専へ貸し付けしておりました運用収益が大幅に減少する。それから五千三百億円の贈与分の運用ロスが発生する、そういうことを見込み、計算をいたしました。  これをもとに、これは二千億とか三千億ということを仮に置いて計算できるわけでございますが、仮に二千億というふうに置きますというと、当年度につきましては、各信連ごとに、予定経常利益を贈与が上回り赤字になる信連がおおむね過半、三十程度ということでございます。これがいわゆる経常利益ベースということで、三十赤字になる。  それから、当期利益ベースにおきましては、先ほど申し上げましたように、一般貸倒引当金のうち可能分を充てる、極力充てるということになりましてもなお赤字になる信連が二十程度ございます。これがまず出てまいります。それから、翌年度につきましても同じように二十程度の信連がやはり赤字になるということの計算をいたしますというと、二千億程度が一やはりこれ以上赤字が生じる信連が多くなっては全体の、六十八兆円という受信業務をやっておりますし、二千五百という単協もございます。そういった農協信用事業全体の問題に、不安が不安を呼んで話が及んではこれは問題が多いということで、私どもとしては、先ほど申し上げました当期それから経常、それから今年度、来年度の赤字の数というものが、これはやはり信用事業を預かる私どもとしてはぎりぎりであろう、そういうことで対応をしたということでございます。
  37. 山田宏

    山田(宏)委員 このぎりぎり論ですね、ぎりぎりだったということなんですが、このぎりぎりの根拠となるのはやはり各信連のぎりぎりの努力、そこから出てきた数字だと思いますね。そうすると、それがもとで二千億円というのがはじき出されている、こういう御説明でございましたから、当然ながら、なぜ今この場所でその各信連の算出されたぎりぎりの額が発表できないのか、その理由をお聞かせをいただきたいと思います。
  38. 堤英隆

    ○堤政府委員 先ほども説明いたしましたように、私どもが昨年、五千三百億ということの協力額ということを受け入れるということを御説明しました際に、今申し上げましたようなことを試算をして信連への影響を考えたわけでございます。  今申し上げておりますのは、国会へ資料を提出するということにつきましては今検討いたしておりまして、鋭意作業しておりますが、各信連ごとに名前が出まして、各信連の赤字がどうなる、この信連は赤字だとか、この信連は黒字だとかいうことになっては、信用事業をやっておりますので影響力が大きいということで、かつそういう意味では個別の信連に話ができるだけ及ばないことに努力しながらも、ここでの御議論を踏まえまして、できるだけぎりぎりだということをおわかりいただけるような資料を今一生懸命作業中、こういうことでございます。
  39. 山田宏

    山田(宏)委員 ちょっと今局長の最初の方の話がわかりづらかったのですが、五千三百億円が最初にあったわけですか。
  40. 堤英隆

    ○堤政府委員 五千三百億が最初にあるわけではございませんで、きのうから御説明を申し上げましたように、信連につきまして、今申し上げたような各四十七県信連に与える影響ということを考えて、これが一応二千億ということで見たということでございます。  それから次に、中金につきましても、これはきのう御説明したところでございますけれども、農林中金は全国の農協の中央機関という一定の重要な役割を果たすわけでございますが、これにつきましても、一つには有価証券の含み益の益出しを行うということで一千億円を考えております。  それから、一般貸倒引当金につきましても、六百億円強の三分の一は取りましていこうということで、二百十億円の取りましを考えております。それから、任意積立金につきましても、これは千四百億ほどございますけれども、七百六十億出そう。  そうすると、ちなみに、これは農協の場合は還元を旨といたしますので、積み立て、内部留保が非常に難しゅうございます。例えば、中金につきましても、今千四百億の内部留保があるというふうに申し上げたのですけれども、これも十年かかりまして千二百億円積み上げるということで、なかなか厳しいわけでございますが、そのうちの半分以上は取り崩そう、こういうことを考えております。  さらに、協住ローンにつきましても一二千億ということでございまして、うち二千億ロス見込みでございますので、これもいつまでも先送りしていては問題が多いということで、八百億今回は償却していこう、そういうことを考えまして、ことしにつきましては当期利益で大幅な赤字になるということになるわけでございますが、これはもうやむを得ない。そういうこととして二千億を積み上げたこういうことでございます。
  41. 山田宏

    山田(宏)委員 この五千三百億円を合意したのは昨年の十二月の十八日でございました。つまり、そのときにはもうこの五千三百億円の積算根拠になっている各信連のそれぞれの積算があったはずでありますが、あるのでしょう、それは。
  42. 堤英隆

    ○堤政府委員 先ほど来申し上げておりますように、それぞれ各信連ごとの計算をして、それで限度ということで五千三百億円を提示したわけでございますから、それはございます。  今私の方で時間がかかっておりますというのは、きょう一生懸命作業をいたしておりますが、四十七の県信連ごとの名前が出て、四十七県信連に影響を与えない範囲で、かっこの御審議状況を踏まえてできるだけわかっていただけるような資料を、今そういう意味でそれを作業しているということでございます。
  43. 山田宏

    山田(宏)委員 なぜそんな時間がかかるのですか。何も、どの信連が赤字だとか黒字だとか経営状況はどうだとか、そんなことを聞いているのじゃありませんよ。それぞれ、私もここに資料がありますけれども、それぞれの各信連で、数字だけでいいですから、積算になっている数字だけ、ここで発表してください。
  44. 堤英隆

    ○堤政府委員 積算になっている数字というのは、例えば四十七県信連の経常利益がどういうものであるかとか、そういうことでよろしゅうございますか。
  45. 山田宏

    山田(宏)委員 足して二千億になるその積算の数字を出してほしい、各信連ごとに。北海道からずっと言ってください。  これは先ほども申し上げたとおり、例外的処置であり、それぞれの系統がぎりぎりの努力をした。系統だけじゃなくて一般行もまた母体行もぎりぎりの努力をした結果の数字だ。そしてそれでできないから税金投入するのだ。税金投入しなければこんなことは申し上げません。しかし、今回は税金投入するわけですから、本処理スキームの根本をなしている、ぎりぎりになっているという、基礎中の基礎の資料をぜひ提出をしていただきたい。私の今までの質疑の流れからも必要不可欠なものなので、今ここでぜひ発表をしていただきたいと思います。
  46. 堤英隆

    ○堤政府委員 できるだけおわかりいただけるような形の努力を現在鋭意重ねておりますので、その分はまたお出ししたいと思いますが、二千億円の、今おっしゃいますのは、各信連ごとの経営状況を見まして、三十とか二十とかいうふうに赤字が出るというふうに見込むわけでございますが、その見込んだときに結果として各信連の負担額は幾らになるかという、その数字ということでよろしゅうございますか。
  47. 山田宏

    山田(宏)委員 これは十二月の十八日にもう基礎資料があるはずじゃないですか。あるとおっしゃったでしょう、さっき。その数字だけ出してください。  私、ここに各信連が各住専からどれぐらいの貸し付けの残があるかという資料があります。それに書き込んでいきたいと思いますから、北海道から沖縄に至るまで、数字だけ、二千億に足してなるような数字を今ここで出していただかないと質問ができないということだと思います。
  48. 堤英隆

    ○堤政府委員 今作業をいたしております資料をできるだけ早く出すことによりまして、今の点につきましても御説明できるわけでございますが、先ほど申し上げたように、個別の信連ごとに幾らになるかということにつきましては、それぞれの個別の信用事業にかかわる問題がございますので、それはどういう出し方ができるのか、そういう意味で今工夫をしておりますので、ちょっとお待ちいただきたいと思うんです。
  49. 山田宏

    山田(宏)委員 数字だけ出してほしい、こう申し上げているわけですから、その北海道から沖縄まで足して二千億になる数字だけ出してください。なぜそれが信連のいろんな信用にかかわる話なんですか。これは基礎中の基礎の数字じゃないですか。ぎりぎりの数字でしょう。ぎりぎりと言うならば、ぎりぎりの資料を出していただきたい。
  50. 上原康助

    上原委員長 発言者に申し上げますが、今その資料については準備をしているからということでありますので……(発言する者あり)質問を続けてください。  お静かに願います。静かにしてください。  どうぞ質問を続けてください。
  51. 山田宏

    山田(宏)委員 質問時間が迫りますので、委員長のお話でございますけれども、各信連の経営内容まで含めた資料を今ここで要求しているわけではございません。ぎりぎりの数字だということならば、各信連の、その二千億にまで至る数字だけ、例えば七十四億だとか二十二億だとかいろいろあるわけでしょう。そういう数字だけ発表していただきたい。  もしここで出なければ、これが今回ぎりぎりかどうかということを問う質問ですから、根本的な資料でありますので、その資料の提出を、資料というか、ここでこの数字を発表していただきたい。もしこれが発表できなければ、これ以上質問を本当にし続けることはできないと思います。
  52. 上原康助

    上原委員長 農林水産省、御答弁できますか。——今答弁いたしますから。
  53. 堤英隆

    ○堤政府委員 今の点につきましては、きのう来のことで理事会の協議ということになっておりますので、その理事会の協議の結果を見て対応させていただきたいと思います。
  54. 山田宏

    山田(宏)委員 この話を聞いている国民は多分わからないと思うのです。十二月の十八日に本来もう積算の基礎として出ている数字を、数字だけでもここで発表できない。それを、いろいろな検討をし、赤字だとか黒字だとか、そんなことを考えて今数字をつくるんですか。数字はもうあるはずでしょう。それが出ないというのはやはりおかしい、こう言わざるを得ないわけですね。  この話、今理事の方からお話を聞きまして、至急出すということですから、理事会では至急の対応をお願いしたい。また、それを通じてひとつ質問を続行させていただきたい、こう思っております。  それでは次に、母体行は全債権を放棄しました。一般行は一・七兆の債権放棄を行いながら、なぜ系統は元本の全額保証がなされるのかということは、これまでもずっと議論になっておりました。なぜそれがぎりぎりの努力だったのか、そういう観点から、私も、きのうまでこの問題が問われてまいりましたけれども、何点か補足の質問をさせていただきたいと思います。  まず、昨日の我が党の鮫島議員の指摘は、いわゆる総量規制前にも三兆円近く系統住専に対して貸し出しを行っていた。これは一般行と何ら変わりのない態度ではないか。なぜ、こういった視点一つとってみても、系統立場あるいは責任が一般行と変わるのかという主張がございましたけれども、私もそう思うわけです。大蔵大臣、この点についてはいかがですか。
  55. 久保亘

    久保国務大臣 何回もお答えを申し上げたことでございますけれども、この問題は、当事者間の協議、そして、これに大蔵省としてもこの協議がまとまるように話し合いを進めたわけでございまして、六兆四千百億の負担について、当事者と国との間でどういう負担になるかということをやります前に、それぞれの当事者三者でもって六兆四千百億の損失と欠損の負担ができないかという協議もやりました結果、母体行の持ちます責任並びに債権者としての立場で、三兆五千億の全額放棄。一般行は、まあ修正母体行主義という話もございますが、そういうものも含めて三兆八千億のうち一兆七千億の債権放棄。それで、系統金融機関につきましては、いろいろな経緯もあわせて、そして農協系統機関の持ちます負担能力、体力、そういうものを勘案いたしました結果、五千三百億の負担、こういうことで要請をすることについて、それぞれの当事者間において要請を受けることの合意がありまして、それに基づいてそれぞれが手続を完結させる努力をなさっているものと考えております。
  56. 山田宏

    山田(宏)委員 ちょっと、こうお聞きをした方がいいと思うのですが、私の申し上げておりますのは、二つに分けた方がいいと思うんですが、いわゆるそれぞれの機関の責任についてと、それからその責任を果たすための負担、また負担能力といった問題とこれは別だと思うんですね。だから今回のものも、一般行と今度の農林系統と、一方は債権の半分近くを放棄し、一方は自分の持っている債権の元本は全部額が保証されたということは、やはり今お話し申し上げたようなことを含めて、一般行農林系統とはそれほど責任に、責任の問題ですね、負担じゃなくて、差がないのではないか、こういう議論なんですよ。その点についてはいかがお考えか、こう御質問させていただきます。  それで、ちょっともう一つつけ加えますと、責任はほぼ似ているけれども、しかし、現在の農林系統の置かれている環境を勘案してみるとその責任の果たし方はこうだということであるならこれはまた別の議論だと思いますけれども、その前提になっている責任が、一般行農林系統と違うんでしょうか。
  57. 久保亘

    久保国務大臣 母体行責任主義と貸し手責任主義ということに基づいて議論が行われたものと私は承知いたしております。  そういう中で、これらの責任論も含め、それから負担能力、そういうものをあわせて最終的に当事者間において合意があった数字だと申し上げているのであります。
  58. 山田宏

    山田(宏)委員 ちょっと、じゃまた視点を変えたいと思いますが、たしか農林系金融機関は、七九年以降、住専融資の際に要求していた母体行の保証を外しているはずだと思うんですが、これはどうですか、事実だけ。
  59. 堤英隆

    ○堤政府委員 個別の担保のとり方の問題でございますので、そのあたりのところはよくわからない面がございますけれども、基本的に、そのころから債権譲渡担保契約という形に大体切りかわっていったというふうに理解をいたしております。
  60. 山田宏

    山田(宏)委員 つまり、この七九年以降、住専融資に際して、農林系金融機関はその母体行の保証を外しているんですよ。保証というのは、融資先の健全性に自信が持てない場合に、別の信用のある先に保証料を払って融資の保証をしてもらうものでありまして、これを外したということは、自己責任で貸し倒れのリスクを管理できるということを意味してはいないんですか。
  61. 堤英隆

    ○堤政府委員 全体的な銀行の保証ということにつきましてはいかがかという議論が恐らくあったのじゃないかと思いますが、そのころ、何も農林系だけじゃございませんで、きのうも申し上げたんですけれども、全体的な母体行、一般行とも、住専貸し付けにつきましては債権譲渡担保契約という形で同様の扱いをしてございます。
  62. 山田宏

    山田(宏)委員 じゃ変わらないじゃないですか、一般行と。つまり、一般行と変わらないでしょう、貸し手としては。
  63. 堤英隆

    ○堤政府委員 今は担保の点だけで申し上げたわけでございますが、そもそも私どもから見まして、系統のこの住専問題との関係ということで申し上げますれば、系統にとりましては、この住専七社でございますけれども住専の七社の設立に全く関与していない。それから、その運営におきましても人を送り込んでいるわけではございませんで、全く人材あるいは役員を送り込んでいない。それから、昭和四十八年以降の四分の一世紀にわたりますさまざまな経緯、そういうことの中で全く住専経営に参画していなかったということにおいてその経営責任を問うということはできない。そういう意味で、昨年の閣議決定におきましても、系統につきましては責任ということが明記されなくて、しかし全体的な金融システムの安定という観点から何らかの協力をすべきだということで、いわゆる責任とは別に協力という形で整理された、こういうふうに理解をいたしております。
  64. 山田宏

    山田(宏)委員 今、局長、責任の問題に言及されましたね。私、その責任の話をさせていただいているわけですが、要するに、今母体行との違いはわかりましたけれども一般行とこの農林系統金融機関との違い、どうですか。
  65. 大原一三

    ○大原国務大臣 昨年の末ぎりぎりまでの議論では、農協系統母体行責任を一貫して主張したわけでございます、母体行責任を。そういう意味で、いろいろの覚書があったり、そういう経緯があるわけでございますけれども一般行の責任について農協系から触れたことはございません。
  66. 山田宏

    山田(宏)委員 大臣、今局長お話しになったのは、母体行と違って役員を送り込んだわけでもないし経営の実態に関与したわけでも全くない、こういう御説明をされました。それで、母体行とそれは違いはよくわかるのです、わかります。  それで、今申し上げているのは、七九年以降どの金融機関も同じように、あの当時ですから、担保というか保証を外して融資をしてきたわけです。この点では、融資者としては、母体行とは違うけれども一般行とは似た立場じゃないですか。一般行の責任について系統がどういう主張をしたということをお聞きしているんじゃないのです。客観的に見て、一般行立場農林系統立場というのは似ているじゃないですか。
  67. 大原一三

    ○大原国務大臣 一般行と似ているかどうかは、農林省としては判断の限りではございません。  ただ、一般行の責任をどのように問うかということは、今度のスキームで我々としては、内閣としては与党の調整を得て決定したものでございまして、その点では私はその結論に従いたい、こういう立場でございます。
  68. 山田宏

    山田(宏)委員 わかりました。農林大臣としてはそういうお答えかもしれません。  総理、この点についていかがですか。
  69. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、今委員の立論されているような立場から御論議になりました場合、確かに委員の御議論も一つの御議論であろうと思います。ただ、同時に、系統金融機関というものが営利を目的として設立されているものではない、その意味では性格的に、先日来議論がありますように、利益を中に留保する仕組みは非常に薄いというのが一つの問題点として議論されております。  こうした諸点を考えました場合に、私は、一般行系統とを同一視する、それがすべてであるとは思いません。
  70. 山田宏

    山田(宏)委員 それと、要するに、農林系統金融機関というのは確かにそういう形で設立はされておりますけれども、貸し手という立場での責任ですね、貸し手という立場一般行農林系統と変わらないんじゃないですか。利益が出て、その利益をどう扱うかという問題については、その系統金融機関の内部の処理の問題だと思います。これはその設立の趣旨に従ってやればいい。しかし、その利益を生み出す、要するに貸したわけですから利息は返ってきますが、そういうものは系統機関も一般行も同じように享受していたんじゃないですか。そういう点のことを申し上げているわけです。
  71. 西村吉正

    西村政府委員 貸し手ということを純粋に取り出しまして論ずるならば、御意見のような点もあろうかと存じます。  しかしながら、今回の政府としての提案は、いろいろな観点、まあ十二月一日の与党政策調整会議のガイドラインを引用いたしますならば、第一に、「日本の金融が国際的に位置づけられていることに配意したものであること。」第二に、「住専設立から今日の破綻に至った経緯等を十分踏まえたものであること。」第三に、「それぞれの当事者が有する経営状況、対応力等を考慮したものであること。」こういう点を総合的に勘案いたしますならば、恐らく一般行系統金融機関というものの置かれているお立場というものには違いも見出せるのではないかと考えております。
  72. 山田宏

    山田(宏)委員 私は、予算委員会質問にもなれておりませんから、なかなか時間の配分がうまくいかないのですが、ちょっと、読み上げるのはぜひやめていただきたいと思いますが、よろしくお願いします。  とすると、今、局長お答えの中では、貸し手責任、貸し手というものの立場から見るとそういう考え方はできるということですね。貸し手という切り口からいうとそういう考え方はできるということをおっしゃったでしょう、局長
  73. 西村吉正

    西村政府委員 今、一般系統という比較で申し上げたのでございますが、母体行についても、貸し手という点だけをとらえて見れば同じという面もあるわけでございます。そういう意味で申し上げたわけでございます。
  74. 山田宏

    山田(宏)委員 母体行と系統は違いますよ、でも。貸し手という点では同じだけれども、それは同じだけれども、そうしたら、じゃ、母体行と系統は違うじゃなくて、一般行系統の貸し手としての違いはありますか、一般行系統は。
  75. 西村吉正

    西村政府委員 このような問題について判断をする上で、単に貸し手というだけの見地から判断をすることはできないと思います。いろいろな観点を総合的に勘案いたしますと、一般行系統立場には違う点もあろうか、そのように申し上げておるわけでございます。
  76. 山田宏

    山田(宏)委員 貸し手という立場では同じでしょう。それだけ答えてください。
  77. 西村吉正

    西村政府委員 お金を貸しているという点だけをとらえてみますれば、同じでございます。
  78. 山田宏

    山田(宏)委員 だから、申し上げたいのは、先ほどもお話を申し上げたとおり、要するに、七九年以降みんな同じような条件でお金を貸してまいりました。それは系統も同じです。そういう意味では、やはりこの貸し手という立場を考えれば、自己責任で貸し倒れのリスクを管理できるということを、やはりそういう同じ条件でやっているわけですから、そういうことをやはり系統意味しているわけでしょう。そうじゃないですか、貸し手なんだから。そうでしょう。そうすると、やはり私は、貸し手責任というのは存在するんじゃないか、貸し手という立場に注目すれば貸し手責任というのは存在するんじゃないですか。
  79. 西村吉正

    西村政府委員 金融機関がお金をお貸しになるときに、貸し手としてのリスクを踏まえた上でお貸しになるという意味では、おっしゃるとおりでございます。
  80. 山田宏

    山田(宏)委員 要するに、貸し手責任というのは、貸し手という立場から見るとあるということですね。  農林大臣は、今そういうお話がございましたけれども、今までの議論は、農林系統機関の金融機関の主張は、貸し手の立場としての責任はない、こういうふうに言ってきたんじゃないですか。
  81. 大原一三

    ○大原国務大臣 山田さん、大変頭がよくて。貸している限りは同じですね、貸し手は。しかしながら、我々が言ってきたのは母体行責任です、何回も言いますけれども経営に参画しておりませんし、人事も関与しておりません。そこで、平成三、四年に引き揚げようとしたのでありますが、この辺の引き揚げをやりますと大変なことになるということでブレーキがかかり、さらに、平成五年にああいう申し合わせが出る前も引き揚げようと努力をしたわけでございますが、六・五を四・五で我慢をしてくれ、十カ年で再建をいたしますからということで協力をしてきたわけであります。私は事実を述べているだけです。
  82. 山田宏

    山田(宏)委員 私は、ぎりぎりの努力をされた、こういうことをもともとの根拠にしていて、なぜ農協系が元本保証になり、なぜ一般行がそういう債権の半分を放棄しなきゃいかぬのかという素朴な疑問がやはりあると思うんですね。それなりにそれぞれの立場は議論があるでしょう。しかし、それは見解の違いでは済まされない。国民はみんな疑問に思っているんだ、それを。だから、その辺を説明をしていただきたい、こう思って質問をさしていただきましたけれども、これまでの御答弁の中では、今回いわゆる元本保証の原点になったのは、何度もここで議論が行われておりますとおり、平成五年二月三日の覚書が一つのスタートラインになっている。  確かにそれは法的拘束力を持つものでもないし、いろいろ御答弁もございました。しかし、一方でまた、この覚書がそういう期待を、元本保証の期待を農林系統金融機関に与えたという効果も否めない、こういう御答弁だったと思うんですが、それでもう一度確認をさせてください。
  83. 久保亘

    久保国務大臣 覚書は元本保証ということを明記いたしているわけではございません。農協系統金融機関にこれ以上の負担がかからないように指導をしていきたいという意味の文言で覚書は書かれております。  そのことに対して、当時は、自主再建の計画を考えた時代でございますから、今日のような状況を想定をしていなかったわけですね。このような状況になりまして、今山田さんが負担の仕方についていろいろと御質問になりましたけれども、負担をどうするかという問題になってきましたときには、系統金融機関としては、覚書でこれ以上の負担はかけないと言っていたじゃないかということで、元本は保証せらるべきだという御主張になるのもまたそうであろうという意味で申し上げたのでございます。
  84. 山田宏

    山田(宏)委員 この覚書に結果的にそういう効力を、力を発揮させてきた、この覚書のおかげでですね。そういう事実はやはり否めないわけですね、今の御答弁ではね。違いますか。
  85. 久保亘

    久保国務大臣 これは、負担の金額を決定をいたします段階において、それぞれの方がその覚書についていろいろとお考えになったことで、それがどれだけの決定に当たっての効力となったのかということについては、総括的に私の方から申し上げるのは非常に難しいと思います。
  86. 山田宏

    山田(宏)委員 これはもうぎりぎりの努力だという議論をずっとしているわけですから、なぜ元本保証が全額されるのかということの、これがぎりぎりなんだということをやはり説明をしていくためにこの議論をさせていただいているわけです。  ですから、私はやはりずっと考えてみても、この覚書の存在というものは非常に大きいものだ。これはこれまでの委員会質疑でも非常に明らかになりました。過去の経緯を踏まえてという御答弁背景には、やはりこの覚書のことが想定をされているというふうに私は思いますし、そういう答弁だったと思います。  その意味で、この両局長が、結果的に農林系の元本保証をする一つの根拠となってしまったこの覚書をつくる権限が本当にあったのかどうか。そこまで今我々を縛るものになっている限り、またそれが一つの根拠、論拠になっている限り、この両局長の行為というのは職権乱用罪に当たらないか、こういう議論はこの間もございましたね。  この問題について我が党の笹川委員は、二月三日が三年の時効になるので、この覚書の日程である二月三日を超えると時効と、こう検察庁から言われた、こういうお話がございましたけれども、これは職権乱用罪で告発をするには二月三日なのか。それとも鮫島議員が御質問させていただいたように、この覚書を見ますと、「母体金融機関に次の点を文書により確約させること。」というのがこの覚書の冒頭にございますけれども、つまり各母体金融機関からそういう誓約書が文書によって確約を得られたときからこの覚書の効力が発すると考えるならば、もう少し後ではないか、こういう議論がございましたけれども、この点についてはどちらを時効と考えたらいいのか、きちっと御答弁をいただきたいと思います。
  87. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 お答えを申し上げます。  具体的な事案につきまして、先生の方から時効の進行時点はいつかということのお尋ねがございましたが、具体的な例のそれぞれにつきまして、私からお答えをするのは差し控えさせていただきたいと思います。
  88. 山田宏

    山田(宏)委員 この際、非常に重要なのは、やはりこの覚書の効力の発生要件となっております第一番目の「母体金融機関に次の点を文書により確約させること。」こうありますけれども、鮫島質問では明確なお答えがなかったので、この際、事実関係をもう一回確かめておきたいと思います。  もう一日たっておりますから、ぜひ御回答いただきたいのですが、全母体からこの誓約書または念書なるものは大蔵省提出をされておりますか。
  89. 西村吉正

    西村政府委員 昨日御質問がございましたので今調べておるところでございますが、大体多くの、ほとんどの金融機関から、これは一つ一つ出しておられるところと、それからまとめて出しておられるところがございますので、その辺の状況を今調査をしておるところでございます。  ちなみに、私どもは、今回の決定に際して、あの覚書自体が影響を与えて、そのことの結果が今回の決定に至っているというふうには理解はいたしておりません。
  90. 山田宏

    山田(宏)委員 質問だけにお答えをいただきたいのですが、まだ調査中である、こういうことなのですが、なぜこのことにこだわるかと申しますと、やはり告発をする場合、全母体行から出ていないと、この覚書の点で、全部の母体金融機関がこの点について、この内容を保証したと言えないではないか、こういうふうになってしまうわけですね。ですから、全部が出ているのか出ていないのか。または、出ていなければ何%の母体行が提出をしたのか。この点についてはぜひ御回答をいただきたいと思います。いつまでにいただけますか。
  91. 西村吉正

    西村政府委員 昨日御答弁申し上げましたように、その状況について調べた上、御報告するようにいたします。
  92. 山田宏

    山田(宏)委員 昨日も資料請求がございましたけれども、この誓約書または念書のコピーの提出を私もお願いをしておきたいと思いますし、理事会でよろしくお取り計らいをお願いしたいと思います。これを求める理由は、やはりその製作経緯というものにいろいろな疑念が出されている。また、ゴム印がどうだとかこうだとか、こういうこともございました。ですから、その実物をぜひ御提出をいただきたい、こう思います。  それから次に、今回この国会の最大のテーマは住専処理の問題でございますが、この住専がこれだけの不良債権を、どのようにこれが発生してきたのかということを、責任を追及していかなければいけない、また真相を解明しなければいかぬ、これはもうそのとおりだと思います。  その際、この国会の中で議論していく場合、幾つかの新聞報道でもなされておりますとおり、過去、この住専の大口の融資先から政治家が献金を受けている、そういう事実の報道がございました。もちろん、それは正当に政治資金規正法等にのっとって報告をされているものでございますから、それだからといって、何ら問題があるわけではありません。しかし、これがニュースになっていくということは、やはりこれはこの国会の審議というものに対してきちっとその経緯をそれぞれの議員が明らかにしておかないと、この国会の議論が信頼性を欠くものになるんじゃないか、こういう疑問も多分あると思うのですね。  こういうことについて、総理、どういう御感想をお持ちか、お聞きをしておきたいと思います。
  93. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私自身、この問題が発生をいたしましたとき、自分の政治資金団体に住専から寄附を受けているかどうかは非常に気になりました。そして、調べてみましたが、それはございませんでした。  そして、先日、国会に資料の御請求をいただきました段階で、たしか上位百行を提出させていただきました時点で——百行ではありません。失礼しました。貸し先上位百社を公表いたしました時点で改めて、その中に出てまいります住専から融資を受けておりました先からの政治献金の方も調べてみました。その中には、三つの会社から私の後援会に寄附を受けていた時期がございます。
  94. 山田宏

    山田(宏)委員 総理がみずからそういう御答弁をされましたので、私から触れることもないかもしれませんが、この百社の大口融資先が発表されました。この中で、総理の政治団体の中で慶龍会という団体がございますか。
  95. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 慶龍会というものはございます。そして、慶応の私の同期の諸君が当初中心になり、その後、前後に広がって、私の後援団体の一つであります。
  96. 山田宏

    山田(宏)委員 この上位百社の中で、住総の上位百貸付先の五十二番目にF・Vグループというのがございます。このF・Vグループというのは、不動産、こう書いてありまして、所在地は東京、貸付残高は五十六億、こう記入をされております。  これをちょっと見たときに、その五十三番目に富士ベンディンググループというのが同じように五十六億でありまして、これは恐らく重なっているんじゃないか、こう思いますが、ちょっと、このF・Vグループというのと富士ベンディンググループというのは同じものじゃないかと思うのですが、これは訂正をしていただいた方がいいのではないかな、こう思います。  この五十二番目に記されておりますF・Vグループ、これは富士ベンディングのF・Vですが、この富士ベンディングの関連会社の一つでありますエフ・ブイ・エルという会社がございますが、この会社については、総理、御存じでしょうか。
  97. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は存じません。  そして同時に、一つ申し添えたいと存じますが、慶龍会は、慶応の同窓の方々がそれぞれ個人で入っておられます。
  98. 山田宏

    山田(宏)委員 平成三年九月六日の官報によりますと、この慶龍会に対して、平成二年分、報告年月日は平成三年一月十一日でございますが、この中の寄附の内訳、団体分の中に、株式会社エフ・ブイ・エル、百五万円という記載がございます。これは、慶龍会へ団体分として登録をしてあるただ唯一のものでございます。  このエフ・ブイ・エルは、住総の五十二番目、F・Vグループの中の一つの会社でございまして、このグループの各社のうち、今回私どもの調査によりますと、三つのF・Vグループの会社が住総からの融資を受けている。そのうちの一つがエフ・ブイ・エルでありまして、あと二つの系列の会社もございます。このエフ・ブイ・エルという会社から、平成二年、この慶龍会に対して百五万円の献金がなされております。  平成二年と申しますと、総理が大蔵大臣で総量規制を行った年でもございます。その年にこういう企業からの献金があったわけでありますが、この慶龍会から集められた献金は、首相の指定団体であります新政治問題研究会等に寄附をされております、平成二年、平成三年、ずっと。この新政治問題研究会というのは、いろいろと問題になっておりました総理の元秘書の方が代表者を務めておられます。このエフ・ブイ・エルという会社は、総理は御存じないでしょうか。
  99. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、そのエフ・ブイ・エルという企業自体は存じません。
  100. 山田宏

    山田(宏)委員 先ほども申し上げましたとおり、それぞれ政治資金規正法の規定に従ってきちっとした献金を行っているわけですから、それ自体は私は問題はないともちろん思います。また、それぞれすべての団体にどういう団体から献金を受けたかということを常に知っているというのも、政治家であるからなかなか難しいと思います。しかし、今回、この住専問題の処理に当たって、百社のリストが出され、またそれぞれの関係、献金、いろいろのものに対していろいろと報道されている中でもございますので、やはりこのことについては、きちっとその献金の経緯、またその会社についてお調べをいただいた上、やはり今回の住専処理の予算、またこれから提出をされるでありましょう法案の提出者の最高責任者でございますので、ぜひこの点については調査をして公表していただきたい、こう思いますけれども、いかがでございますか。
  101. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 御質問を受けました以上、当然のことながらきちんと調査し、これは委員に御報告を申し上げるのか、あるいはどういう報告の仕方をするのか、御相談をいただきたい。その措置に従います。
  102. 山田宏

    山田(宏)委員 本件の取り扱いにつきましては、理事会にぜひ御協議をいただきたいと思います。  また、住専処理案そのものを提出する責任者としての資格が問われかねないじゃないか、こういうような疑問も寄せられますので、この橋本内閣の全閣僚の皆さんに、住専及び住専大口融資先からの献金の有無について至急調査をして、その結果をまたこの院に御報告をいただきたい。また、報告をする際には、今理事会のお話も申し上げましたけれども、また我が党の関連の委員からも御質問をさせていただくかと思いますけれども、それまでの間にぜひこの点については至急徹底調査をして発表していただきたい、こう要望申し上げたいと思います。
  103. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 閣僚の政治献金についてでございますが、資産の公開はいたしておりますし、それから今御指示のあった住専、五十先か百先か、そのものに係る融資先、実は我々閣僚はこの資料は配付を受けておりません。これは委員長の手元で、委員の皆さんないしは理事方々に行っているだけでございますので、改めて大蔵大臣を通じましてこの資料を内密に見せていただいて、守秘義務に反しない範囲内でこの処置をとってまいりたいと思います。発表の方法は、いずれお諮りをいたして決めたいと思います。
  104. 山田宏

    山田(宏)委員 よろしくお願いしたいと思います。  それでは次に、何点か御質問を追加的に申し上げさせていただきたいと思います。  第二次処理案についてはいろいろと議論がございましたけれども、もう一度ちょっとお聞きをしておきたいのですが、第二次処理では半分を税金で賄うということでございますが、その金額の、金額というのもまだはっきりもちろんいたしませんけれども、幅はどれぐらい最大限あり得るのかというのはお答えになれますか。
  105. 久保亘

    久保国務大臣 昨日御答弁申し上げましたけれども、これは回収の進捗の度合いとかかわる問題でありまして、今その金額を申し上げることはできません。
  106. 山田宏

    山田(宏)委員 それから、銀行住専処理の損害を税法上損金に算入して無税の処置をするということですけれども、それによって税収がどれぐらい減少するのかという試算はございますか。
  107. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お答えいたします。  現行の法令上、損金にすることは適法でございますので、損金に計上すればこれは落ちていきます。  その際に、これまでの例からしますと、各銀行は損金処理する際に益出しなどをしておりますので、直ちにそれが税収にどう響くかという計算をすることは不可能かと思います。ただ、すべての条件を捨象しまして機械的に計算すれば、その償却分に税率を掛けたものということになろうかと思います。
  108. 山田宏

    山田(宏)委員 そうすると、大体どれぐらいの額になるというふうに予想されますか。
  109. 薄井信明

    ○薄井政府委員 今申し上げましたように、償却分と減税額ということを結びつけてお話しすると世の中にミスリードするかと思います。そこはそういうことではないという前提で機械的に算数をしたときにどうなるかということは、例えば一兆円償却すれば、法人税であれば三七・五%ですから三千七百五十億円、そういう計算になります。
  110. 山田宏

    山田(宏)委員 この無税償却なんですが、これが償却できる条件としては、いつから償却ができる条件が整うわけですか。
  111. 薄井信明

    ○薄井政府委員 債権放棄をされて、それが会計処理なり申告に出てきたときにこれがあらわれてくるということでございます。税金計算は、確定申告してきますので、そのときに御自分で計算されていくということになります。
  112. 山田宏

    山田(宏)委員 その債権先である企業倒産または整理に入らないと無税償却ができないのではないでしょうか。
  113. 薄井信明

    ○薄井政府委員 今の御質問は、それぞれの企業……(山田(宏)委員住専」と呼ぶ)住専ではなくて金融機関債権を放棄するわけです。ですから、金融機関が確定申告をする際にどういう償却をしたかという個別の問題になります。そのときに債権放棄をされているのかどうか、このスキームに従ってやっているのかどうか、そういうことをチェックして、最終的には確定申告がそのまま通っていくという形で償却がされるということになります。
  114. 山田宏

    山田(宏)委員 それから、今後、村山首相は、ここでいろいろな速記録が出されておりますけれども、責任追及をした上でないと公的な資金の導入というのはできない旨速記録に残っております。そのことについては何度もここで総理からも御答弁がありました。  その責任追及なんですけれども、この責任追及という中身なんですが、一体どこでどのように責任を追及するのか、このことについてはどんなお考えをお持ちでしょうか。
  115. 久保亘

    久保国務大臣 まず、責任を問うとすれば、その責任を明らかにしなければならないと思っております。どういう責任が存在するのか、そしてそれは法的に処分せらるべき責任であるか道義的責任であるのか、それらのことを明確にすることが必要であると思っております。  そのことに関しましては、今住専処理機構がつくられて、この中でいろいろ回収の仕事を進めます中でも明らかになる問題もあろうかと思いますが、また、行政当局としてはみずからその努力もしなければならないと思っておりますし、国会でも十分な御審議に基づいてそのような責任を明確化していただくことがまず急がれるのではないかと思っております。
  116. 山田宏

    山田(宏)委員 その問題も含めてなんですが、母体行のことについてちょっとお伺いをしておきたいと思います。  先ほど系統のぎりぎりの努力ということについて何点か御質問さしていただきましたけれども、私は母体行についても、本当にこれがぎりぎりの努力、こう言えるのかどうかということについては、まだまだやはり解明されなければいけない点が多いのではないか、こういうふうに思っております。  この母体行の負担を検討する場合、私は、住専各社の巨大な不良債権の存在に母体行がどうかかわってきたかという実態解明がぜひ必要だ、こう思っておりますけれども、まずお尋ねをいたしますけれども住専の子会社に対する、住専の持っている不良債権もこの一次ロス分六兆四千百億円の中に当然含まれておりますよね。
  117. 西村吉正

    西村政府委員 子会社に対して融資をしておるといたしますと、それは資産の中に入っておりますので、同様の取り扱いをされていると思っております。
  118. 山田宏

    山田(宏)委員 こういう資料がございますが、住総にかかわって、一部これは報道されましたけれども、住総の持っているビルを子会社に高値で売却をする、そして子会社には住総に出資をしている信託系の全銀行が貸す、そしてそれを、数年、一、二年して、二年ぐらいして再び住総が同じ値段で買い取り、その子会社がこの借入金を各信託銀行に支払う、こういうことが平成三年以来何度となく行われてまいりました。  この住総関連の議事録を見ても、こういったケースは何点も取締役会の議事録に載っております。  例えば平成三年度の決算時、いつも決算時にこういう操作が行われるわけですけれども、自社ビル、名古屋ビルを株式会社ジェイ・エヌ・ビルに、これは一〇〇%住総の子会社でございますけれども、八十五億六千万円で売却をする。その際、利益は、形式上十一億の利益を計上する。そして、これに対して、ジェイ・エヌ・ビルは母体行から資金を供給を受けてこれを買う。そしてまた、平成五年度、二年後ですけれども、住総は全く同じ額でこのビルを自分のところに買い戻す、失礼しました、住総がジェイ・エヌ・ビルに資金を貸し出す。そして、この貸し出した資金をもって母体行にその子会社は返済をする。こういうことが幾つも幾つも行われておりまして、これは、母体行が子会社をつくった住総の経理操作に深く関与してきたのではないかという一つの実態だ、こう思います。  こういうことを見る限り、ここに生じている、住総が子会社に持っている貸し出し分の債権というのは当然目減りをしておりますけれども、それを表上はっきりさせないで、売買を通じて操作をしてきた、そこに今申し上げたとおり母体行が深く関与をしております。  こういった事例はまだたくさんあると思いますが、昨年の十二月に共産党の松本委員質問をされましたけれども、博多駅前の取引についても、このケースとは似たようなパターンではありませんけれども、三菱信託が、この土地を買うのにある会社に融資をし抵当権を設定する。そしてその一年後に、末野興産、これは名前が出ておりますからいいと思うのですが、末野興産にこの物件を売却をする。そこに、住総が末野興産に融資をし抵当権を設定する。こういうやり方なのですが、当然ながら三菱信託は住総の母体行の一つでございますけれども、三菱信託が抵当権を設定した貸し出しを、一年後にこれを同じ三菱信託が母体行を務める住総が出資をして融資会社に買い取らせる。こういうようなことは、実態を見ますと、なかなか、信託銀行が自分の持っている抵当権の目減りを住総に移した、こういうふうに見えるわけですね。  こういうような事例も報告をされておりますけれども、私は、こういった母体行が各不良債権の発生にどうかかわったかということを十分実態を解明していく必要がある、こう思います。  この予算委員会で全部といっても、これはえらい長い時間がかかりますから、この実態解明をきちっとした上で、明確な基準根拠のもとに、新たな負担をやはり母体行に課していく必要があるのではないか、こういうふうに思いますけれども、この点についてはどういう基本的なお考えを持っておいででしょうか。
  119. 久保亘

    久保国務大臣 今例示されましたようなことにつきましては、法的に責任を問われることに属するのかどうか。ちょっと今お聞きしておりました中では、私も問題のあることであるということはよくわかりますが、法的責任を問うにはどうすればよいか、そういうことについても、当初から申し上げておりますように、今度の公的資金導入による公的な処理のための公的な関与ということは、債務や借り手の側の責任を、一円たりとも回収を求める側から放棄するものではございませんし、また、金融取引の中で起きております法的な追及せらるべき責任を問うことについても一切ちゅうちょがあってはならないと考えておりますから、国会においてもそれぞれの委員会において十分な御論議を賜りたいと思っておりますし、私どもといたしましては、既に法務、警察、国税等におきましても協力を求めて、これらの問題については可能な限りの明確化とその責任の追及をやらなければならないことだと考えております。
  120. 山田宏

    山田(宏)委員 国会で追及をしていくことは当然なのですが、この問題だけを国会でずっとやり続けるというのはもちろんできませんし、できれば、時間のかかるものもあるでしょうから、何か第三者機関みたいなところで、こういったものは、法的な責任のみならず、その実態の解明というものについて何らかの機関をつくって、そしてきちっとやっていくということがやはり必要じゃないかと思うのです。そういったことをなされた上で、国民税金を使うわけですから、先ほど系統の問題も出しましたけれども母体行についてももちろんやはり同じように、まだ負担が、やるべき責任があるのじゃないか。できれば先ほどの原則のとおり、六千八百五十億円の税金投入というのはなるべく回避をしていくということが最も大事な態度だと思います。  そういう意味で、そういうことを緊急に政府は決められたわけですが、こういう実態解明というものは、どこかでやってくれるのではなくて、そういうものをつくってやっていく必要がある、こう思いますけれども、法的な責任のみならず、そういうことをやるようにぜひ努力をしていただきたいと思います。
  121. 久保亘

    久保国務大臣 預金保険機構、住専処理機構はいずれも、先ほど申し上げました法務、警察、国税等の協力も求めながら、債権回収、つまり債務者の追及に全力を挙げなければならないと思っております。それで、その際、この機構に対して可能な限りの権限も付与できるように今政府としては努力をいたしておりまして、それらの法案を皆様方に御審議願うことにいたしております。  法案の成立につきましても、できるだけ国会として審議を急いでいただきまして、これを早く成立させていただくことによって、今山田さんお話しになりましたことも可能になってくると思っておりますが、債務を追及いたします過程においてその責任も明確にできるものと考えております。
  122. 山田宏

    山田(宏)委員 もう少し時間があるので、あと二間だけ御質問をさせていただきたいと思います。  既に九二年後半には、母体行の幾つかから住専処理案が大蔵省提出をされたと聞いております。新聞でも何件か報道をされておりますけれども、それらの中では、母体行は住専の先行きについて絶望視しており、みずからの債権放棄までも提案をしている、こういうことであります。  融資のプロである都銀がそうした判断をしたにもかかわらず、なぜか、大蔵省の第二次再建計画、これは九三年、平成五年の二月の末に母体行に説明があったということでございますけれども、その大蔵省の第二次再建計画では、住専の立て直しが可能、こう判断されておりますけれども、この母体行と異なる判断をした根拠は一体どういうところにあるのか、また、その判断のどこに誤りがあって現在のような事態に至ったのか、明確な御答弁をこの際お願いしておきたいと思います。
  123. 久保亘

    久保国務大臣 第二次再建計画は、いわゆる自主再建の道を協議されたその結果の計画であったと思います。  今、山田さんがおっしゃいましたような経過が存在したのかどうかについては、政府委員の方から答弁をさせます。
  124. 西村吉正

    西村政府委員 今回の措置につきましても、私どもはあくまでもこの問題は当事者間の問題であるということで臨んだわけでございます。今回、当事者間で、住専は清算をするという方向をとらざるを得ないということでございましたので、そういう方向で私ども努力をさせていただきました。  今、第二次再建計画の際のお話でございますが、第二次再建計画を策定する段階において、母体行、一般行系統を含めた関係者の間でお話しの間にいろんな意見が出たことは、それは当然予想はされますが、当時関係者の間で結論的に再建計画を策定するということになったわけでございますので、当時の当事者間の合意ということを考えますと、当然当時再建をするということで関係者が考えておられた、そういう合意形成について大蔵省としてもお手伝いを申し上げた、こういうことであろうかと考えております。
  125. 山田宏

    山田(宏)委員 何かあたかもそれぞれの母体行が自主的な判断で、いろいろ苦労したあげくこの第二次再建計画をつくったような御答弁でございましたけれども、そうしたら、何で覚書が必要なんですか。
  126. 西村吉正

    西村政府委員 住専経営問題につきましては、平成四年の秋から関係者によって再建計画策定に向けての合意形成努力が行われたわけでございますが、話し合いは難航をきわめまして、金融システム安定化に大きな支障を来すとして、早期合意を求める声が各方面からさらに強くなったと理解しております。  こうした過程で、当局としても合意形成に相応の役割を果たすべく努力を行ったところでございますが、再建計画はあくまで民間当事者間の協議、合意により策定したものでございます。覚書と申しますのも、そういう合意形成の過程で役所の間で意見の交換を行った、そういう種類のものでございます。
  127. 山田宏

    山田(宏)委員 それはちょっと実態と違うんじゃないでしょうかね。  ちょっと先ほどの質問の中で事実を確認をしておきたいと思うんですが、九二年後半には母体行の幾つかから住専処理案が提出されておりますよね、その話し合いの段階で。その内容についてちょっと御報告をいただきたいと思います。
  128. 西村吉正

    西村政府委員 この住専に関する関係者は非常に多数に上ります。いろいろなお立場の方がおられると思います。それぞれの関係者方々のお考えをこの検討のプロセスにおいて議論の対象にされたことはあろうかと存じますけれども、私、その間の事情をすべて承知しておるわけではございません。
  129. 山田宏

    山田(宏)委員 ここは大蔵省の責任を問う上で非常に重要なポイントでありまして、ここの点については、当時の局長についても参考人の要望を我が党も出しておりますから、そこで解明をしていかなければなりませんが、やはり実態は、母体行もほとんどが、これはもう債権放棄をしてでも住専を整理をしよう、また、前も御議論がございましたとおり、系統金融機関も、これはもう融資を引き揚げるということまで考えていたんじゃないですか。それをとどめたのは、大蔵省のやはりリーダーシップでやったんじゃないですか。
  130. 西村吉正

    西村政府委員 私どもが現在受けております印象と申しますか理解におきましては、現在と違いまして、当時のこの住専をめぐります環境あるいは関係者理解から申しますと、すべての人たちがあるいは多くの人たちが、住専をその時期に清算すべきであるとお考えになっていたというふうには理解をしておりません。その辺は現在と少し関係者理解の仕方が違っていた面もあるのではないか、このように思っております。
  131. 山田宏

    山田(宏)委員 ちょっと大蔵省立場を明確にしておいていただきたいと思うんですが、これは関係機関がいろいろと議論をして決まったものを、まあ大蔵省が傍観者にいて、そしてそれをまとめたということなんですか。
  132. 西村吉正

    西村政府委員 何回も申し上げておりますように、この住専問題、あくまでも当事者解決すべき問題でございます。したがって、当事者が合意に達するということでございますならば、それは当事者の話し合いにゆだねていくべきものでございます。  ただ、今回はその当事者お話し合いだけにゆだねていたのでは時間がかかり過ぎるのではないか、現在の日本の金融情勢が置かれている立場からすると、当局としてもお手伝いをしなければいけないのではないか、こういうことから御提案を申し上げているものでございますが、そのような御提案も、最終的に御決定になるのは当事者が合意をするということにおいてなされるという性格のものでございます。
  133. 山田宏

    山田(宏)委員 質疑時間が終わりますので、最後に一問だけ。  何かお手伝いをしたと言われたんですが、お手伝いをするように要請されたんですか。だれもそんなことを要請していないんじゃないですか。
  134. 西村吉正

    西村政府委員 私ども、春からこのような問題について取り組み始め、夏以降は関係者も含めましていろいろな場で意見の交換をし、この問題の解決関係者、行政府を含めまして努力をしておるところでございます。したがいまして、私どもが独断的にあるいは一方的にこの問題について取り扱ったということではないと存じております。  いずれにいたしましても、私どもに与えられている責務というものの中には、日本の金融が円滑に運営されるということにある、我々の責務はそういう問題にも努力をしていくということが含まれているというふうに考えております。
  135. 山田宏

    山田(宏)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  136. 上原康助

    上原委員長 これにて山田君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  137. 上原康助

    上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。伊藤達也君。
  138. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 新進党伊藤達也でございます。私も住専の問題を中心に質疑をさせていただきたいというふうに思っております。  予算委員会を通じて、橋本総理も、やはり今回の住専処理に当たってどれだけ国民方々がその審議の中の答弁を通じて理解をしていただいているのか、今の世論を大変気になされているのではないかというふうに思います。  きょうの新聞を幾つか拾ってみますと、例えば日本経済新聞「「住専答弁矛盾だらけ」「一次損失負担どう算出 場当たり浮き彫り」「一次損失一兆円余圧縮 「回収体制強化で」」「農林系の負担根拠は 理由はあとから?」、毎日新聞は「最初にありき?「五三〇〇億円」」「農林系優遇 重い覚書の存在 「数字積み上げ」説得力なく」、朝日新聞では「農協救済色濃い積み上げ 五三〇〇億円の根拠 不透明さ募るばかり」こういう報道がなされているわけであります。  私は、まだ国民が、なぜ今回の民間企業である住専に対して公的資金を導入をしなければいけないのか、なぜ六千八百五十億円という積算根拠というものが出てきたのか、それが十分に理解をされているとは到底思えないわけであります。  したがって、私もこの貴重な質問時間をいただいて、どうして公的資金を導入をするのか、その積算根拠というものはどういうところにあったのか、また公的資金を導入するに当たって基本的な原則、基本というのはどこにあるのか、あるいはこの不良債権処理をしていくに当たって、公平とか公正という視点をどう守りながらやっていくのか、そのことを中心に質疑をさせていただきたいというふうに思います。  その前に、やはり国民方々が今回の問題の中でもう一つ大変注目をされている点があろうかというふうに思います。この住専を舞台にして暴力団というものが、暴力団に関係するいろいろな、さまざまな人たちがどういう形で暗躍をしてきたのか、その点については実態はどうなんだ、こういう点があろうかというふうに思います。  そこで、まず当局にお伺いをしたいわけでありますが、今回公表されました住専各社の大口融資先百社、このリストが出ているわけであります。このリストの中に、今までいろいろな捜査の積み上げをして、これは非常に暴力団とのつながりが深い企業だ、あるいはこれは明らかに舎弟企業だ、そういうものがどれぐらいあるのか、お教えをいただきたいというふうに思います。
  139. 野田健

    野田(健)政府委員 特定の企業と暴力団等の関係については、その関係の程度、態様が一様ではなく、また、その把握状況についても保秘を要することが多いと考えておりまして、警察は、犯罪を検挙した場合等一定の場合を除き、原則として外部に関係等についてお話しするということを差し控えているところであります。  しかしながら、暴力団等と関係のある企業に係る犯罪を検挙した場合等において、事件捜査を通じて収集した資料によって暴力団と関係があるということが確信を得られる場合であって、なお類似犯罪の発生防止等の観点から必要があると認められるときに限って、当該犯罪に係る事実とともに、当該企業が暴力団等と関係のある企業であるということを公表することもあるということでございます。
  140. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 私の質問に正面から答えていただけないわけでありますが、やはり海外のマスコミからも、日本金融システムの中に暴力団が非常に深く入り込んでしまっているのではないか、こういう危惧が具体的な記事としてあらわれているわけであります。国民も、実態はどうなんだ、捜査はどういう形でやっているのか、しっかりやっているのか、こういうことに対して非常に注目をしているわけであります。  ある専門家は、今回の企業リストを見れば、大体、捜査を積み重ねていけばどこが暴力団とつながりのある企業か、これはわかるんだ、こういうことも言っておられるわけであります。したがって、何社ということが言いにくいのであれば、あるのかないのか、その点についてお答えをいただけないでしょうか。
  141. 野田健

    野田(健)政府委員 住専貸出先企業と暴力団との関係につきまして各種報道がなされていることは承知しておりますが、これは、警察が直接にこういう状況になっているということを公表したものではございません。特定の企業と暴力団との関係について事件の検挙と関係なく一般的に述べるということは、捜査上の秘密あるいは個人、企業の名誉、プライバシーの問題があるというふうに考えておりまして、その内容についてお答えすることは差し控えさせていただいております。
  142. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 やはりお答えをいただけないわけでありますが、国家公安委員長、この住専各社の大口融資先百社リストの中で暴力団とつながりのある企業が入っているかどうか、そういうことは把握をされておられますか。
  143. 倉田寛之

    ○倉田国務大臣 ただいま刑事局長からお話を申し上げたのに尽きるのでございますが、暴力団等の関与につきましては種々の態様があることもございまして、住専不良債権問題と暴力団との関係についても、一般的に申し上げることは大変困難であろうというふうに思います。  警察といたしましては、今後とも、住専不良債権について、刑罰法令に触れる行為があれば厳正に対処し、検挙を通じて実態解明を進めていくものと承知をいたしているところでございます。
  144. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 私は、捜査に支障がない範囲内で、実態はどういうことなのか、これはやはり明らかにすべきではないか、そういうことを明らかにしながら捜査に対する国民の協力というものを求めていくべきではないかというふうに思います。  質問観点を変えて、たしかきのうの産経新聞でありましたか、「脱税・手形偽造・詐欺商法 事件絡み企業続々」ということで、何社か具体的にその名前が挙がっていたわけであります。これは既にいろいろな形で立件をされたり告訴をされたりという企業で、今回の住専各社の大口融資先百社のリストの中でどれぐらいの企業がそういうものが入っているのか、その点について、法務当局、お答えをいただけないでしょうか。
  145. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお尋ねの、いわゆるリストに記載されました貸付先の中に、これまで検察当局におきまして脱税事件等により起訴した法人と同一と思われる企業がありますことは承知しているのでございますけれども、脱税事件により起訴されたり処罰されたかどうかにつきまして、件数も含めて、そのリストについてどの程度あるかというようなことにつきましては、現在の状況でその詳細については答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  146. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 この立件された件数すらも明らかにしない。したがって、暴力団がどういう形で今回の住専を舞台にしたこの問題について暗躍をしているのか、その具体的な根拠を明らかにしない。こういうことで、どうやってこの国会の場で、この問題の再発防止も含めて具体的な議論をしていけるのかと私は大きな疑問を感じざるを得ないわけであります。  警察庁は、この点について全く同じ見解でありますか。
  147. 野田健

    野田(健)政府委員 警察といたしましては、住専債権回収の過程等に係る刑事事件を過去に三件検挙しておりますけれども住専不良債権処理問題が喫緊の課題であるという認識のもとに、刑罰法令に触れる行為に対しては、暴力団であろうとなかろうと厳正に対処してまいりたいと考えております。
  148. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 三件検挙しているけれども、このリストの企業の中に入っているかどうかということについては全く答弁をされないということであります。  これは、もし民間企業破産の手続をしていれば、そういう事実関係は全部明らかになるわけですね。そこを何で隠していこうとされるのか。私は、やはりその点がよくわからないわけであります。ぜひその点について御答弁いただきたいと思います。
  149. 野田健

    野田(健)政府委員 住専債権回収の過程等に係る刑事事件について、先ほど三件検挙しておる旨をお答えいたしましたけれども、これは暴力団等を検挙したものでありまして、そこの百社の企業ということではございません。
  150. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 それでは私は、この点について、やはりもっと積極的に情報開示をすべきだということを強くお訴え申し上げたいわけであります。  しかし、この問題で時間をとられるわけにもいかないので、次に捜査当局についてお伺いをしたいわけでありますが、暴力団がこの住専の問題について暗躍をしているのであれば、徹底的にこれを捜査して検挙していくんだ、こういう決意は述べられております。しかし、どのような捜査方針にのっとって、どのような法規を駆使をしてこの問題の検挙に当たっていかれるのか、具体的に言及をしていただきたいというふうに思います。
  151. 野田健

    野田(健)政府委員 刑罰法令に触れる行為に対しましては厳正に対処してまいるわけでありますけれども、具体的にどのような法律を根拠にするかということにつきましては、事案の実態に応じて判断すべき問題というふうに考えております。  なお、過去の検挙事例等を念頭に、暴力団等の絡む事案について一般論で申し上げれば、債権回収に絡む競売等の妨害、公正証書原本不実記載、同行使あるいは強制執行妨害、不動産侵奪あるいは破産法違反等が考えられると思います。また、指定暴力団構成員が、例えば土地、建物を占拠し、あるいはその支配を誇示して、その支配の誇示をやめることの代償として明け渡し料等の名目で金品の供与を要求した場合には、暴対法の中止命令を発動するということも十分考えられるところでございます。
  152. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 金融犯罪を摘発していくためには、例えば刑法の背任でありますとかあるいは商法の特別背任でありますとか、そういうものが大きな武器になってこようかというふうに思います。恐らく捜査当局の方々も今一生懸命この事案の検挙に向けて御努力をされているというふうに思うのですが、私は大変大きな壁があるのではないかというふうに思います。  それはやはり時効の壁。時効は、今言った二つは五年でありますから、バブルが崩壊した後、九一年以降のものしか検挙はできない。今調べている案件についても、時効を間近に控えて大変時間との戦いを捜査員の方々はされているのではないかというふうに思うわけであります。  そこで、アメリカがRTCを設立をしていくに当たっていろいろな法的な環境整備を行った。その代表的なものに、一九八九年に金融機関改革再建摘発法というものを成立をさせて、金融犯罪をめぐる罰則の強化であるとか時効を延ばすであるとか、あるいは資産没収対象の拡大というものをしていったということでありますが、こういうことも視野に入れて特別立法というものを考えておられるのかどうか、大蔵大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。
  153. 久保亘

    久保国務大臣 時効の延長等につきましては、その方法、可能性などについて法務当局からお答えをいたすと思いますが、今私どもとしては、住専処理機構、預金保険機構に付与すべき権限を最大限に強化したいという立場で検討をいたしまして、債務者の財産調査権を罰則をつけて付与すべき段階まで法案の準備を整えたところでございます。近く国会に御提出する予定でございます。
  154. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 この点に関して、捜査当局もこれは非常に答えにくいと思うのですが、その時効の壁ということについてやはりどのようなお苦しみがあるのか、もしお話をいただけるようであればお伺いをさせていただきたいと思います。
  155. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員の御質問の中にもございましたように、この問題については、大変具体的な事案に絡みまして微妙な問題がございます。ただ、時効の問題があり得るということは私どもも意識はしているわけでございます。  ただ、御指摘のような問題が生じるにいたしましても、過去に行われてしまった犯罪につきまして事後的に時効を廃止いたしましたり、あるいはこれを延長しますということにつきましては、我が国の場合、事後法の禁止を定めた憲法との関係でも問題が生ずるおそれがございますので、極めて慎重な検討を要する必要があろうかと思います。  ただ、具体的な捜査の過程におけるこの問題につきましては、一つの行為がいつから始まっていつに終わるか、またその損害と申しますか結果がいつ発生したかというような事情もございまして、それらの状況判断いたしませんと、ただいま委員御心配いただき、また御指摘いただいたような問題をどのように取り扱ってまいるかということについても、さまざまな考え方があるところだろうと思います。ただ、そういった点で極めて問題があり得るということを念頭に捜査当局は捜査を進めるもの、そういうふうに承知いたしております。
  156. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 やはり私自身は、これは今回の住専だけの問題ではないと思うのです。金融犯罪あるいは暴力団の問題、こういうものを徹底的に検挙していくために、今の法的な環境でいいのかということについては、もっと深い議論をやはりしっかりやらなければいけない、そのことについて問題提起をさせていただいて、次の質問に移らさせていただきたいと思います。  日銀総裁においでをいただいているわけでありますが、日銀総裁に御質問をさせていただきたいというふうに思います。  日本銀行がいわゆる資金を導入するに当たって、これは無原則で導入できるわけではないですね。そこにはきちっとした基本、原則というものがおありだろうというふうに思いますが、それは一体どういう原則なのか御答弁をいただけないでしょうか。
  157. 松下康雄

    ○松下参考人 金融機関破綻処理に当たりまして、これまで私ども日本銀行が資金を供与してまいりました際の原則でございますけれども、これは、第一には、破綻を放置しておきました場合に金融システム全体に対してリスクが発生をするという心配があるということでございます。第二に、この処理方策を策定します上で日本銀行の資金供与が必要不可欠でありまして、他に資金調達の見込みがないという場合がございます。第三に、モラルハザードを防止する観点から、関係者の責任が十分に追及されるということでございます。さらに、全体的に見まして、日本銀行の資産内容の健全性の維持にも配慮する必要がございます。日銀の資産は銀行券発行の裏づけとなるものでございますから、健全な財務内容を維持しますことが通貨の信用を維持していく上に非常に大切なことであると考えております。  このような観点からいたしまして、これまで当行といたしましては、破綻金融機関に資金供与いたします場合に、流動性の供与ということを原則にいたしまして、ごく例外的には資本基盤の強化を図ったケースはございますけれども、損失の穴埋め、これに充てるべきものではないという原則処理をしてまいっております。
  158. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今総裁から御答弁がありましたように、日本銀行の資金導入をしていくに当たっては明確な基準原則というものがあるわけであります。  そこで、もう一度総裁にお尋ねをしたいわけでありますが、今回の住専不良債権処理に当たって大蔵当局から日銀に対して、この処理に資金協力をしてほしい、協力をしてほしい、こういうお話はございましたか。
  159. 松下康雄

    ○松下参考人 住専処理のスキームに関しまして、殊に損失補てんに当たりますような、そういった日銀特融の活用というような打診は一切ございませんでした。
  160. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 それではもう一つお伺いをしたいわけでありますが、もし大蔵当局が今回の住専不良債権処理に当たって日本銀行さんの協力をいただきたいというこういう要請があったときに、先ほどお話しになられた四原則に照らし合わせて、二十五条を発動して日本銀行の資金供与をすることができるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  161. 松下康雄

    ○松下参考人 住専問題処理の要点は、不良化しました債権のロスをどういうふうに処理をしていくかということであるわけでございますが、たとえ特融と申しましても、融資であります以上それが返済をされるということが中央銀行にとっての大前提でございます。  さような次第でございまして、日銀資金をロス埋めに使うということは適切ではない、そういうことはすべきでないと先ほど申し上げましたが、私どもといたしましては、仮に住専の損失穴埋めの財源として日銀資金の投入というような御要請がありましても、その点はお断りをするほかはないと考えております。
  162. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 そこで、さらにお伺いをしたいわけでありますが、今の総裁の御答弁ですと、そのロス埋めのために日本銀行の資金を出すことはできない、こういう御答弁であったというふうに思います。今回のスキームを考えていくときに、いわゆる関係母体行、一般行、そして系統、これがぎりぎりの努力をして、残った部分に公的資金を導入するんだ、こういうお話であったかというふうに思うわけです。  もう一度わかりやすくお話をいただきたいんですけれども、二信組やあるいはコスモ信用組合、神戸銀行に、これは日銀法二十五条を発動したわけでありますね。今回の住専不良債権処理、これに、ロス埋めに日銀の融資をすることはできないということをおっしゃっておられるわけですが、この差はどうして生じるのか、もう少しわかりやすくお話をいただけないですか。
  163. 松下康雄

    ○松下参考人 これまでの破綻金融機関処理におきましても、私どもの行いました特融はいずれも流動性の不足を補うものでございまして、それは最終の処理案ができましたときには全額返済を受けるという前提に立っているわけでございます。それが原則でございますので、今後の問題検討に当たりましても、同じように流動性の処理——補てんという場合でない、ロスの補てんという形のものは私どもとしては特融の対象とすべきものでない、そう考えている次第でございます。  ただ一方で、預金保険機構の住専勘定に対しましての日本銀行の資金供与についての要請があることも事実でございます。ただし、それは住専処理機構の資本基盤を確保するという趣旨のものでございまして、先ほど来申しております損失の補てんという性格のものとは違っておりますので、この点につきましては別途の検討をいたしております。
  164. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 兵庫銀行のことを神戸銀行とちょっと間違えて言いました。その点については訂正をさしていただきたいというふうに思います。  そこで、今回の公的資金導入の原則とは何か、これは午前中、山田委員の方からも再三にわたって御質問があったわけでありますが、私は総理にお伺いをしたいというふうに思います。公的資金を導入していく原則というのは何でありますか。
  165. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 先般来何回かお答えを申し上げてまいりましたけれども、今般の住専処理策におきましては、住専問題の解決の遅延というものが金融システムあるいは景気に及ぼす悪影響、その大きさにかんがみ、関係者にも最大限の負担を求めました上、財政資金を導入することもやむを得ないという決断をいたしたものでございます。  一方、一般的な金融機関不良債権の問題への公的資金の導入の是非については、金融機関破綻処理というものは金融システム内の最大限の負担によって賄われることが原則であります。しかし、午前中もお答えを申し上げましたように、先般の金融制度調査会の答申におきまして、このような最大限の負担によりましてもなお破綻処理費用が賄えなければ、その預金保護、信用秩序維持という観点から公的資金の導入も必要となる場合があり得るという判断が示されており、それは信用組合の部分でそうした御意見が出されておりました。こうした趣旨も踏まえて、今後種々検討していく課題と考えております。
  166. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今の総理の御答弁を聞いても、それが本当に原則だと言い切れるのかどうかというのは私はちょっとよくわからないわけですね。先ほどの日銀総裁の御答弁原則は四つあるんだと、それはもうペーパーに直してこう明確に出るわけですね。これに照らし合わせて、いいのか悪いのかという判断ができるわけでありますけれども、今の総理の御答弁というものは、そういう判断にたえ得る基準なのか。ここは非常にやはり議論のあるところではないかというふうに思います。  そこで、私はもう一回、これは何度もここで質疑がされていることでありますが、なぜ預金者のいない民間住専不良債権公的資金を導入をするのか、公的資金を導入をすることによってだれを救うのか、この点について大蔵大臣からもう一度御答弁いただきたいと思います。
  167. 久保亘

    久保国務大臣 公的資金の導入によって救うのは、私は国家の利益であると考えております。  この公的資金の導入が特定の金融機関や債務者や住専を救うものではない。そのことは、私が再三申し上げておりますように、住専に対する債務、処理機構が買い取ります債権十三兆は債務者に対して一切免責されるものではない、そういうことを明確にしておるのでございます。この住専処理に当たってどうしても公的資金の導入が必要となってきておりますことは、皆様方もう質疑に当たって何人かの方も申されましたように、今日まで先送りをすることによって問題をより困難にしてきた、今日この問題を早期に解決しなければならないということについては、同じ御意見の方がたくさんいらっしゃったと考えております。  今、早期に処理することによって、金融システムの安定、内外の信頼、そして預金者はどこにいるのかと言われましたけれども、実際には住専に対する債権者であります銀行系統金融機関には預金者がたくさんいるのでありまして、この預金者方々金融システムの不安や混乱によって被害が及ぶようなことがあってはならない。我々は今日これを早期に処理をして、安定した金融システムを確立することによって日本経済の回復に、より積極的に貢献できる道を選ばなければならない。その経済の回復が、またこれらの債権の回収にあっても私はより効果を発揮できるものと考えております。  そういういろいろな関係が複雑に存在、絡み合っている中で、今、法的処理に任せよう、それで公的関与をするなというお立場と、公的関与をする以上、公的資金を導入して、そして積極的に、早期にこの問題を解決することが今政治の課せられている責任ではないかという立場との見解の相違になってきているのかな、このように考えております。
  168. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 私の質問にやはりお答えをいただいていないというふうに思うんですが、この公的資金を入れてだれを救うのかということをお伺いをしているわけであります。  きょう東京新聞に、RTCの初代総裁のシードマン氏がみずからの、今回の住専処理について御意見を述べられていますが、ここでも表題に「住専、だれのための税金投入か」、こういうことについて厳しく御指摘をされているわけですね。国民税金を使ってだれを救うのか。母体行を救うのか、一般行を救うのか、系統を救うのか、その点を明らかにしてほしいということなんですよ。
  169. 久保亘

    久保国務大臣 今最初に申し上げたと思うんですが、国家の利益、国民の利益を守るという立場で申し上げているのでありまして、特定の金融機関や債務者を救うものでは絶対にないということを申し上げたのであります。
  170. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 やはりお答えをいただいていないというふうに思うんですが。  いわゆる税金を使わなければ一体どうなるのかということもわからないんですよ。金融不安が起きる、金融不安が起きる、そういうことを繰り返し言われているわけですね。どういう形で起きてくるのか。それはもう系統系が非常に厳しい経営状況にあって、そこで大きな問題が派生をしていくのか。そうであるならばこの議論はまた別の展開になるはずなんですよ。そこを正直に言われないところが、今回こういう形でなかなか国民方々理解を得られないということにつながっているのではないかというふうに思うのですが、いかがですか。
  171. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のように、住専には直接預金者というものはおりませんけれども住専に対する融資者である金融機関には多数の預金者が存在するわけでございます。この住専債権債務関係、十三兆円という多額に上るものでございますので、これを現下の情勢にかんがみまして急いで処理をするということになりますと、その影響は金融情勢に対して大変に大きなインパクトを与えることになると思います。  それは、ひいては預金者の保護ということになろうかと思いますが、それでは、恐らくお尋ねは、どこの預金者なんだということをお尋ねなのであろうかと思いますけれども金融システムはそれぞれ相互に密接に関連するものでございますので、仮に今回の措置がとられることなく、例えば法的処理によりまして一部の金融機関に極めて大きな影響を与えるとすれば、それは、そういうことを端緒にいたしまして金融システム全体に波及していくであろう。それが経済全体に与え、さらに世界経済に対しても影響が懸念されるところでございますので、私どもは、今回の住専処理は、そういう意味において、預金者の保護あるいは日本経済全体の見地からどうしても必要なことではないかと考えておるところでございます。
  172. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今の銀行局長答弁をよく聞くと、ますますわからなくなるわけですね。もしそういうことであれば、なぜノンバンク公的資金投入しないわけですか。ここのやはり整合性が全然ついていないと思うのですが、大蔵大臣、いかがですか。
  173. 久保亘

    久保国務大臣 もうこの委員会が開かれましてから、何回も今のような御質問がございました。  住専不良債権の持っております状況、こういうものがこのまま放置をいたしました場合に将来どのような影響を生むかということについて、直接そのことに対してこれまでも責任を負い、この結果にも責任を負う政府として、なし得る最大の手段を講じなければならない、こういうことなのであります。それ以上の理由を述べよと言われても、これは将来の結果に対する責任の負い方の問題であると思っております。
  174. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 やはりよくわからないわけでありますが、たしかきょうの朝日新聞だったと思うのですが、宮沢元総理が、今回の住専の問題についていろいろ記者の質問に答えてお話しになられているわけであります。  住専問題に関する今回の政府の対応についてどう思うか、こういう質問に対して、信用秩序維持とただぼんやり言うだけだから、国民は、政府住専を助け、黒眼鏡のあんちゃんが助かると誤解をしているんだと。  さらに、政府説明では、だれのために税金を使うかがはっきりしません、みんなその辺を聞きたいわけですよ。それで、この問いに対して、橋本首相は農協を救うためではないと言っている。それはそれでいい。農協を救うのではなくて農村の金融、預金の混乱を防ごうとしているのだからその説明をした方がいい。それに、なぜ農協系の負担が五千三百億円なのかも。今のような答弁ではだれも感謝しませんよ。だれのためにやっているのかはっきりできないのは、官僚の用意する答弁原稿にそういう内容が出てないからだ。答弁原稿に出てないと、普通の閣僚は自分の見識だけで答えることは難しい、こういう御指摘をされているわけでありますが、この御指摘についてどう思われますか。
  175. 上原康助

    上原委員長 伊藤達也君、どなたに質問ですか。
  176. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 大蔵大臣にお願いいたします。
  177. 久保亘

    久保国務大臣 これは宮沢元首相がそうお考えになっていることだと思います。私がコメントする立場にございません。
  178. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 この住専の問題が、この宮沢元総理の朝日新聞の記事の中で、九二年に処理しておけば税金投入を回避する道もあった、あったかもしれない、こういうことを言われているわけです。この住専の問題について、宮沢総理は非常にやはりその実態というものを詳しく把握をされていた。その人の言葉であるから私は大蔵大臣にお伺いをしているわけであります。  私は、官房長官にお伺いをしたいのですが、昨日の記者会見の中で、農林系の金融機関はやはり能力的にいろいろ問題があるんだというようなことをお話しになられたというのが記事に出てましたが、どういうことを発言されたのか、お話をいただけないでしょうか。
  179. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 私が国務大臣として答えるべき立場にございませんが、記者さんの問いかけに対して、私も農村、農民の出身でありますから、農協、農民の余剰資金がどういうふうな動きをするかは私も身をもって知っております。ですから、農協に預けたお金が県信やあるいはその上部の農林中金やその他に行かれますけれども、金を集める能力と、もう一つ、よく比べてみますと、一般の市中銀行との比較論で言えば審査能力や貸し出しの能力には若干劣るところがあるであろうという実感がいたしておりますので、その辺の詳しい統計的なものはわかりませんが、感じとして申し上げたわけであります。
  180. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今官房長官がお話をされたわけでありますが、農林系の金融機関がその審査能力やあるいは貸し出し能力についてやはり問題があった。その能力の問題というものが今回の住専に対する貸し出し、貸し込みについていろいろな問題をさらに派生させてしまった。そこでどうするんだという話だったら、これはわかるわけですよ。宮沢総理もそういうことで言っておられるわけです。その部分を全く言及をされない、系統の救済ではないんだということを言い張られるわけです。そこが国民にはよくわからないわけであります。  総理にもう一度お尋ねをしたいわけでありますが、きょう、宮沢元総理の朝日新聞の記者との内容が新聞に出ているわけでありますが、これを見られてどのようにお感じになられましたか。
  181. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 宮沢元総理は宮沢元総理としてのお考えを述べられたものと思います。
  182. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 私は、やはり今回のこの朝日新聞で宮沢元総理が言われていることというのは極めて重大だというふうに思うのですね。そのときの最高責任者であった宮沢総理が、このときに解決をしていれば住専が今日のようなこんなにひどい状況にならなかったんだ、ならなかったかもしれない、こういうことを言われているわけでありますから、私は、やはり宮沢元総理にここに参考人として来ていただいてお話をいただきたい、それをぜひ理事会で御検討をいただきたい、委員長にお願いをしたいというふうに思います。
  183. 上原康助

    上原委員長 今の件につきましては、各党から参考人招致のリストが出ておりますので、その範囲で検討をさせていただきます、理事会で。
  184. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 さらに、私はやはりどこが傷むのかということはもう本当に明らかにしなければいけないというふうに思うのです。  例えば、総理のお手元にペーパーが行っているのではないかというふうに思うのですが、一月の下旬に、自民党の幹事長であります加藤幹事長がお話しになられていまして、その朝日新聞の記事で、  母体行には「大きな負担を強いられている」という被害者意識が目につく。本当にそうだろうか。住専の設立経緯とその後の運用をみると、母体行は一次的な責任は強く負うべきであり、いくつかの問題処理に関する覚書をみると、母体行には後ろめたさがあったのではないかと思われる。  母体行と一般行は、我々が景気対策のために推進した低金利政策の上に乗って業務純益を伸ばし、それを貸し倒れ引当金のほかに債権償却特別勘定を活用し、無税償却処理している。 これは、この委員会でも何度も指摘をされている点です。  一九九〇年に六%だった公定歩合が九一年七月以降徐々に引き下げられ、昨年九月には史上最低の〇・五%になった。銀行にとっては預金利息の支払いがそれだけ少なくてすむ。銀行預金の残高が約五百兆円なので、銀行全体で約二十五兆円の補助金を預金者から受けているに等しい。さらに、都市銀行・長期信用銀行・信託銀行二十一行の九四年度の業務純益は二兆七千六百七十九億円であるが、法人税・住民税はきわめてわずかで、二兆円を超す無税償却が行われたことは確実である。約一兆円の広義の援助との見方もある。また昨年度は九月期の業務純益が約二兆五千億円あることから、通年では五兆円を超し、無税償却の対象となる金額は少なく見ても三兆円近いと思われる。債権償却特別勘定措置は、実質的な公的資金の導入であり、国税庁と大蔵省銀行局に実態を明らかにさせたい。 こういうことを、総理を支えておられる自民党の幹事長が言われているわけでありますね。ですから、もしここで公的資金を入れないで、その後どういうことが起きるかということの話をした場合に、この二十一行が傷つくということはあり得ないわけであります。  それと、幹事長が御指摘をされているように、公的資金を導入するような措置をしているんだ、国税庁と大蔵省銀行局にも実態を明らかにさせたいと。もうこの委員会でも何度もこの点についてもお話があったわけであります。それだけ今の母体行、一般銀行に対しては、銀行に対しては優遇措置がなされている。公的資金の導入に等しいそういう措置がなされているわけであります。その中で、なぜ公的資金を導入をしないと金融不安が起きるのか、この点がわからないわけであります。そこをもう一度答えていただけませんか。
  185. 久保亘

    久保国務大臣 加藤幹事長は、今政府が提案をいたしております住専問題処理スキームを決定するに当たって重要な役割を果たされた与党の幹事長のお一人でございます。別の場所では、この住専問題の処理が緊急を要するものであり、政府が提案している処理スキームを決めなければ大変だということもお述べになっていると思いますから、そういう今政府が決めた処理スキームを、これを速やかに成立させて実行しなければならないというお立場に立って、そして今日の事態を招くに至った母体行を初めとする金融機関の責任を述べられたもの、このように考えております。
  186. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 いや、私の質問に正面からお答えをいただけていないというふうに思うんですが、ここにも書いてあるように、「無税償却の対象となる金額は少なく見ても三兆円近い」、これだけ、ある意味では所得移転がされているということなわけですね。こういうことをやっているわけですよ。こういう状況の中で、どういう金融不安が起きるのか、ここがわからないというお話をしているわけなのです。それについてお答えをしてください、大蔵大臣
  187. 西村吉正

    西村政府委員 ただいま御指摘の大手銀行二十一行については、過去に生じました不良債権処理のために力を尽くして償却をしておるわけでございます。その結果として、今御指摘のような、現在の税制上の取り扱いにより、税法の基準にのっとり、そのような償却を行われた結果の納税が行われておる、こういうことでございます。このことは、これらの銀行金融システムの安定のために最大限の努力をしておるということでございまして、これは、私どもそのような姿勢は評価しなければならないと思っております。  ただ、そのことと今回の住専処理とは、また直接、大きく言えば不良債権処理というものの一環ではございますけれども、そのことと直接関係をするものではないと思っております。  また、今回の住専処理に際しての金融システムの不安というものが、今御指摘の大手銀行を通じて、そこを入り口として起こるというふうに想定をしておるということでは必ずしもございません。
  188. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 やはり私の質問に答えていただいていないと思うのですが、私は、やはり率直な疑問として、何度もお伺いするようでありますが、今回の公的資金を導入することによってだれを救うのかということなのです。今回の公的資金を導入しなければどこが傷むのか、この点を明らかにしてほしいということを繰り返し言っているわけなのです。そのことを答えないで、全部違う論理の中でお答えをしているから、実態が明らかにならないわけですよ、国民の方からすれば。  本当に農協系統が傷んでいて、今回の公的資金の導入をしなければ大変なことになってしまう、だから公的資金を導入をしてください、これだったら極めて筋がわかるわけなのです。それをはっきり言わないで、そこを隠してお話をされるから、公的資金導入の原則もわからない。日銀特融をしていくときに、四つの条件は明確に打ち出されているわけです。これを見て国民もよくわかるわけです。それと同じような基準が全くないわけです。  その中で、ノンバンクは入れない。なぜ入れないのか。それは、住専関係金融機関が三百近くに上っているからだ、こういう御答弁をされる。もしノンバンクが同じように七行ぐらいあって、それに一つ二十とか三十とか金融機関が絡んでいる、そうすれば、百とか二百とかいう金融機関当事者となるわけです。そうなった場合には、公的資金を導入するのですか。その基準がわからないのです。そこを明らかにしてほしいということを再三申し上げているのですが、大蔵大臣、いかがですか。
  189. 久保亘

    久保国務大臣 私の方も誠心誠意、あなたは正面から答えていないと言われるけれども、私は正面からお答えしているのであります。  今まで御回答申し上げた以上に特に申し上げることはございませんけれども原則ということになれば、金融は自己責任原則がこの自由化の時代においては特に重要である。今後の金融行政のあり方について、自己責任原則と市場規律を軸として、透明性の高いものにしていかねばならぬということについては、これは伊藤さんも御異論のない問題だと思うのでありますが、では、今の起きているそういう金融のあり方というものを、金融システムのあり方というものを追及していく上にも、今起きているこの問題をどうするかということで、一般的な原則を聞かれれば、自己責任原則に従って、公的資金の導入はこれは避けなければならないということは申し上げているのであります。  しかし、この問題は、それから将来にどのような状況が起こるかということの判断は、これは見解が違えば、これを私があなたの見解にそろえるということは無理でございます。したがって、これはそこに政治的な、私が最初に申し上げました責任を伴う判断の問題だと申し上げているのであります。
  190. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 私は、大蔵大臣としていろいろな情報を知っている、したがって最高責任者である、その判断を信じてくれと言われても、国民はわからないわけですよ。(発言する者あり)いやいや、みんなわかっていないから、この点について多くの国民の方が全く理解をしてないわけですよ。  今回の公的資金を導入をしていくに当たっても、今までの答弁を聞いていても、原則はわからないわけですよ。ペーパーで、ああなるほど、国民が見て、こういう原則にのっとって、それで公的資金を入れたんだというものが明確に打ち出されていないわけであります。そこを明らかにする必要があるのではないか、このことを繰り返し繰り返し我が党の議員は大蔵大臣に対してお訴えをしているわけであります。なぜその原則を明らかにしていくことができないのか。  公的資金を導入をしていく、この基本的な原則はと聞かれれば、それは、経営破綻に陥った金融機関に善意の第三者の預金を救済をしていくために、そのために公的資金を導入をしていくということだったらわかるわけです。しかし、住専は預金を受け入れている機関ではない。民間金融機関であるけれども、預金を受け入れている機関ではないわけです。  今までの大蔵大臣答弁というのは、事前に、事前にということを言われる。なぜ事前にと聞いたら、それについてはお答えにならない。どうして事前にやらなければいけないのかということについて具体的にお答えにならない。だからだれもわからない、こういう状況だと思います。この点についてはどうですか。
  191. 久保亘

    久保国務大臣 あなたは、繰り返し繰り返し尋ねていると言われますが、私も繰り返し繰り返しお答えをしているのであります。  それで、どういうふうに申し上げたらよいのか、この住専の問題には、住専には預金者はおりません。しかし住専債権を持つ金融機関の側には預金者がおられるのであります。そういうことは十分おわかりになって質問をされているわけでありますから、これ以上私がお答えすることはもうないと思うのであります。
  192. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今お話しになられたように、確かに、住専にお金を貸し込んだ銀行には預金者がいるわけですよ。系統にもいるわけです、一般行にだっているわけです、母体行にだっているわけです。ですから、そのどの預金者が傷むのかということを聞いているわけですよ。(発言する者あり)全部じゃないわけですよ。銀行預金者は、幹事長が大丈夫だということを言っているわけですよ。  ですから、国民も聞きたいのは、何度も聞くようですが、公的資金を導入をしてだれを救うのかわからない、公的資金導入の原則がどこにあるのかわからない、なぜ民間住専を、預金を受け入れてない住専を通常の民間企業破産したと同じような手続をもってこれを処理をしないのか、これがわからないということなんですよ。農協の預金者が危ないから、系統が危ないから、だから公的資金を導入するんだということだったらわかるわけですよ。その点について非常に大きな比重があるのかどうか、これについても全く触れられないわけですね。
  193. 西村吉正

    西村政府委員 それでは私の方から、多少事務的になるかもしれませんが、御説明を申し上げますと、先ほど総理が引用されました金融制度調査会の昨年十二月二十二日の答申にも明確に述べられておるのでございますが、委員の御指摘原則ということをおっしゃるのは恐らくこのようなことかと存じますけれども、「公的資金の導入措置は」、これは信用組合の問題でございますが、「信用組合を救済するものではなく、預金者保護及び金融システムの安定性確保のために行われるもの」である、これが原則でございます。  そこで、このようなことを行います場合に、金融機関破綻処理という問題について通常こういう問題が論じられるのでございますが、「金融機関破綻処理金融システム内の最大限の負担により行われることが原則であり、ペイオフコストを超える資金援助を行うために設けられる特別基金の財源も、基本的には金融機関の最大限の負担により賄われることとなる。」すなわち金融界の自助努力によって行われるということが大原則であるとした上で、さらに「破綻処理費用が不足するような場合には、経済全般の安定を確保するためのコストとして、広く間接的な受益者として、納税者にも負担を求めることとせざるを得ないと考えられる。」このように述べておるわけでございます。これは破綻金融機関処理に関する公的資金関与に関して原則が述べられているわけでございます。  同じ答申におきまして、住専問題についても論じられておるところでございますが、住専問題の今回の処理を述べた上で、「上記のような公的資金の導入も含めた臨時異例の措置政府において決断されたこともやむを得ないと考える」ということを記されております。  私どもは、今回の措置破綻金融機関処理とは若干違う側面を持っておりますが、今回のような措置をとります理由につきましては、大臣からもるる申し上げておりますように、一つはこの住専問題、母体行だけでも百六十八行、債権者が三百というような複雑に入り込んだ関係にあるので、公的な立場から関与をして一日も早く解決する必要があるという観点、及びこの解決法的処理等に任せた場合に金融システムに重大な影響を与え、その結果として、預金者保護あるいは金融システムの安定に遺憾な点を生ずることを懸念してこのような措置をとったということを申し上げておるわけでございます。
  194. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 どうして金融不安が起きるかというのがわからないわけですよ。今いろいろおっしゃられましたけれども、今回の住専、何度も繰り返しますが、預金を受け入れている銀行ではない。預金を受け入れているのじゃないということなんですよ。そこが大きく違う。それに対して公的資金を導入していく原則は何なのか。これを明らかにしないと、私は次、二次ロスの問題を聞きたいわけでありますが、その二次ロスが確定をしない中で、いきなり国民に半分負担をしろ、こういう話が飛び出てくるわけですね。そして、与党の中でも、何で半分なんだということで今議論が百出しているわけですよ。  なぜ百出するかといえば、何度も繰り返しますが、公的資金を導入をしていくその原理原則が明らかじゃないからなんです。ですから、このままいけば、この住専というものが本当に税金を吸い取ってしまうそういう機関になりはしないかと国民の方は不安に感じているわけですよ。だから、何度も言うように、この原理原則は何ですか、なぜ半分国民は負担しなければいけないんですか、この問いにやはり答えていただきたいわけです。大蔵大臣いかがですか。
  195. 西村吉正

    西村政府委員 いわゆる二次損失負担につきまして、国と民間が折半する理由でございますが、今般の住専処理の方策においては、新たに設立される住専処理機構が買い取った債権等については、まず、法律上認められているあらゆる回収手段を迅速的確に用いることにより、現在以上の損失が極力生じないよう努めるということが大前提でございます。そしてまた、既に生ずる見込みが強い損失に関しましては、関係者がぎりぎりの努力をしてその処理を図ろうとしておるということを前提としてこの問題を考えなければならないと存じます。  そのような回収努力及び損失処理を行った上で、なお万一、将来損失が生じた場合にどうするか、どのようにするかという処理方式を決めておこうとするのがいわゆる二次ロス処理の問題でございますが、これを国と民間が折半で負担をしようといたしますのは、一つは、そのような関係者のぎりぎりの努力をした上で、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せるとともに預金者保護に資するために不可欠な措置でございますので、これにより、広く国民全体が最終的に受益する性格を有しているという性格のものであることから、折半をして負担をしようということでございます。  また、今回債権回収に実効を上げるためには、母体行を中心に民間金融機関に回収に係るインセンティブを持たせる、民間金融機関も一緒になってこの債権回収に実効を上げていくためには、やはり負担を折半して協力して努力をしていくことが適切であろう、そういう観点から国と民間が折半をしよう、こういうことでお話し合いを進め、関係者の間で合意が得られつつある、こういうことでございます。
  196. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 やはり、全く根拠を示しておられないわけですね。  まず、二次ロスがどれぐらい発生するのかというのもわからないわけですよ。これから努力されるわけでしょう。そのわからない中で、とにかく半分は国民に負担をしなさい、これだけを決めるということなんですよ。だから今の与党の中でも、こんな決め方でいいのか、なぜ半分なんだ、なぜ三分の一じゃないんだ、こういう議論が百出しているわけですよ。与野党にわたって疑問が出ているわけです。  大蔵大臣は本当にこの二分の一ということでやっていかれるのですか。総理もこの方針を全く変えないということでありますか。そのことについて御答弁をいただきたいと思います。
  197. 久保亘

    久保国務大臣 二分の一というのを、何らかの数字の根拠を積み上げて二分の一ということではない。このことは、全体のスキームをつくっていきます場合に、いわゆる二次ロスというのをどういう考え方に立っているかということについても、路線価そして買い取った債権を処分する場合の減価の生まれる可能性などについてすべてお話を申し上げました。それらを通じて、もしも六兆四千百億を超えるロスを生じた場合には、その発生したロスに対して二分の一の国と民間の負担にするということを双方が合意をして決める、こういうスキームにしたということであります。
  198. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 何でということにお答えになっていないんですよ。なぜ二分の一だということがわからないんですよ、今の御答弁ですと。何度もこの点については私ども質問させていただいた。何でということに意識的に答えておられないんですよ。もう、えい、やでやったということなんですよ、これ。だから、公的資金原則は何ですかと繰り返し聞いているわけです。もう政府が好きなように税金を使えることになってしまう、そのことに道を開いてしまうということなんですよ。そうじゃないというんだったら、そうじゃない根拠は何ですか。それが原則なんですよ。その点についてはいかがですか。
  199. 西村吉正

    西村政府委員 この二次ロス、私どもとしては生じないように万全を尽くしていった上でもなおそういうものが生じた場合に備えをしておく必要がある、この備えをしておくことは日本金融システムにとって必要不可欠のことであるという見地に立ちまして、そのような備えのための費用として国と民間とが折半をして備えをしておこう、こういう考え方でございます。
  200. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今の局長答弁も極めて不親切な答弁ですね。それは、なぜ二分の一かということにもやはり答えておられないんですよ。今もうとにかくこの債権の回収のために一生懸命努力をする、そのロス分を圧縮をするんだというお話をされていますが、そういうお話をするのであれば、今回の住専処理機構がどういう収支予測になるのか、損益はどういう形になるのか、幾つかの条件をはめて、そしてそのシミュレーションをこの前に出すべきですよ。その上でどうするかということだったらわかりますよ。そういうことも一切出していないじゃないですか。それはやられているんですか。  土地は下がるかもしれない、金利は上がるかもしれない、幾つかの条件をはめてそのシミュレーションを出すことができるわけですよ。そういう幾つかのシミュレーションを出して議論をしていく、どうしてそういう姿勢を持たないのか。きのうの答弁の中では、それは関係者が今研究をしています、こういうお話でありました。本当に大蔵省はそういうシミュレーションをやっていないんですか。その中で、とにかく一生懸命努力するから、だから二次ロス分は圧縮をするんだ、圧縮をするんだと言ったって、これはわからないですよ、全くわからないですよ。この点についてはいかがですか。
  201. 西村吉正

    西村政府委員 経済金融情勢は刻々と動いていくわけでございますが、そういうものの見通しを的確にいたしながら、具体的な収支計算につきましては、処理機構の組織の詳細だとかあるいは各住専処理計画がつくられていく中で固められていくものと考えております。これは多数の関係者がおりますので、そういう多数の関係者が納得をし、そして全力を尽くして協力し合っていけるような形で逐次意思統一をしていくことが適切と思っております。  もとより私どもも、住専処理機構の組織につきましても、その基礎となります法律案につきましても鋭意固めつつあるところでございまして、近くお諮りし、御審議いただくようなことになろうかと存じております。
  202. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 いや、全くやはりお答えにならないわけですね。なぜ二分の一かというのもわからない。とにかく決意はしているから、一生懸命やるからそれを信じてください、だから二分の一を認めてください、こんなこと言われたって、やはり国民は納得しないですよ。だから、与党の中からもこの二分の一を決めるということについてはどうかという議論が出ているわけですよ。それは国民の声ですよ。どうしてこのことについて誠意ある回答をされようとしないのか。大蔵大臣、今のやりとりを聞いていてどう思われますか。
  203. 久保亘

    久保国務大臣 与党の中に議論百出しているということをあなたは繰り返しおっしゃっておりますが、これは与党の合意も得て提案されているものです。そのことには御発言に責任を持っていただけると思いますが、私は余り無責任にそのようなことをおっしゃらない方がいいんじゃないかと思っております。私も与党の責任者の一人でもございますから今申し上げたのであります。  なお、この問題に関しましては、繰り返し、全体のスキームについて関係者が合意をする考え方をどこで取りまとめるかという、そういう協議の結果として、もしも二次ロスと言われるそういうロスを生じた場合には折半の責任を負おう、こういうことで合意をしているということを申し上げているのでありまして、それで処理スキームとしては、住専問題の処理機構の回収能力というものを権限を含めて最大限強化をするということに全力を尽くしたい、そのことによって二次ロスが発生しないように努力をしたいということをつけ加えて申し上げているわけであります。
  204. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 議事録も見ていただきたいと思うわけでありますが、与党の質問者の中にも、本当に二分の一を今決めていいんだろうか、こういう観点で御質問があったというふうに私は記憶をしておりますし、それから、与党の中でいろいろな議論があるということも新聞にも報道されておりますし、私もそういう方からお話を聞いたこともありました。そのことは今御指摘を申し上げたいというふうに思っております。  ただ、一番基本的なこと、私はさっきから何回も繰り返しお尋ねをしていることなのですが、その二次ロス分、なぜ二分の一なのか、これにはやはりお答えになられていないし、その公的資金を導入していくに当たっての基本原則は何なのか、これもやはり明らかになっていないわけですね。これで次の質問に移るというのは非常に私自身じくじたる思いがあるわけですが、私はここでお伺いしたいことがあります。  今回のこの公的資金を導入をしていく、これはいつ、どこで、だれが決めたのか、このことについてやはり政策決定過程をもっと明らかにしておく必要があるのではないかというふうに思います。  そこで、私は主計局長にお尋ねをしたいわけでありますが、いつ、これは銀行局なのか政府なのかわかりませんが、今回の予算にこの住専処理のために公的資金を導入をするということを主計の中でお話をされたのか、そして決められたのか、この経緯をお伺いをしたいと思います。
  205. 小村武

    ○小村政府委員 住専問題の早期解決につきましては、累次の四月、六月、九月の経済対策においても最重要課題として位置づけられておりましたものですから、私ども財政当局といたしましても、その交渉過程を注意深く見守ってまいりました。その結果、今般、関係者多数おられる中で調整ができ上がり、政府・与党として慎重の上にも慎重に考えた結論の結果が今回の案でございます。私ども内閣の一員たる大蔵大臣のもとで、財政当局としてもこれを重く受けとめているものでございます。  具体的には、十二月の十九日の閣議決定で、住専問題の具体的な処理方策について内閣として八年度当初予算に計上するという方針が決定され、二十日の大蔵原案の内示、二十五日の概算閣議決定において正式に政府案として決定したものでございます。  以上でございます。
  206. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 やはり経緯がよくわからないのですね。十九日に閣議決定をしたから、一日でこの予算が入ったわけですか。十一月の末には、公的資金を導入をしていくということを前提にこの予算を考えておられたのですか。こういうところをもう少し詳しくお話しいただけませんか。
  207. 小村武

    ○小村政府委員 先ほど冒頭に申し上げました累次の経済対策におきまして、例えば平成七年の六月の経済対策におきましては「金融機関破綻処理等については、公的資金など公的な関与のあり方を含めて、直ちに検討を開始する。」とか、九月には、こうした住専問題等についても年内に結論を得るというような経緯がございました。私どもは、そういう重大な問題があるということを常に念頭に置きまして、その交渉過程等々を見守って、今回の決定の際に、内閣の一員たる大蔵大臣のもとで、財政当局としてもその責務を果たしたということでございます。
  208. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 いや、私の質問お答えになられていないわけですが、与党の金融・証券チーム座長が、十一月末まではこの与党のチームの協議というのはもう閉店状態だったと、十一月末の時点では与党のプロジェクトチームは実質閉店状態だったということを言っているわけですよ。私は十一月末の段階でどうだったのかとお尋ねをしているわけです。そのことについてお答えになられていないのですよ。お答えいただけますか。
  209. 西村吉正

    西村政府委員 先ほど主計局長お答え申し上げましたように、この住専問題、春以来あるいは夏以降いろいろな機会に、公的関与のあり方をも含めまして、議論が進められてまいりました。  今御指摘の与党の金融・証券プロジェクトチームの会合もその一つでございまして、六月二十日の第一回の会合以来二十回を超える御議論がございました。その中で、この住専問題をどのように解決するかということを、公的関与のあり方をも含めていろいろと御議論があったわけでございます。そのような御議論をも踏まえまして、十二月に入り、与党全体としての議論の集約を行うというプロセスに入ったわけでございます。  このように長い背景のある御議論の結果でございますので、全体としてのプロセスをごらんいただきまして、御理解を賜りたいと存じます。
  210. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 私の質問にはお答えになられていないわけですね。  それで、マスコミの方もおられますから、これはもう十一月下旬の段階で公的資金の導入ということは余り考えておられなかったのではないかというふうに思いますよ、それは主計の段階でもそういう作業をされていないわけですから。そのことについて御答弁されませんですけれども。十二月四日の段階でもない、恐らくその十四とか十五という段階だったと思うのです。  それで、八日の日にたしか大蔵大臣と農林大臣がお会いになられておるのですね。その後、この八日の段階で、あるいは九日、主計局はこの公的資金を導入をするという予算の編成にかかったのですか。そういうことを準備をし始めたのですか。この点については、主計局長、答えてください。
  211. 小村武

    ○小村政府委員 関係者が多数おる中で、いろいろな意見の調整を銀行局を中心に図ってきたわけでございます。こうした関係者の合意があって初めてこうした結論が出されたわけでございますから、私ども財政当局がこれが一番いいというみずからの案を先に出して走っているわけでもございません。関係者のぎりぎりの調整の結果を、私どもまとまった段階で予算に計上させていただいております。
  212. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 私の聞いていることに全然お答えになられていないのですよ。  もう一度質問をいたします。  十二月の八日に大蔵大臣と農林大臣がお会いになられている。その後、八日の日、九日の日、そのときに主計局は予算編成にかかったのですか、公的資金を導入ということを前提にして。その点を聞いているのですよ。いやいや、主計局長に聞いているのですよ。(発言する者あり)
  213. 上原康助

    上原委員長 少し御静粛に願います。
  214. 小村武

    ○小村政府委員 予算に計上する場合には、関係者の合意がなければ計上することはできません。したがいまして、最終的に関係者の合意を見たのは十二月十九日でございます。それは、閣議決定におきまして政府としての意思が決定され、それに基づいて具体的に予算編成に入ったということでございます。
  215. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 いや、政策決定過程を明らかにしておられないのですね。私の質問にやはりお答えになられていない。  十九日に閣議決定をしたから二十日に予算を組んだんだ、六千八百五十億円ぽんと入れたんだ、中小企業対策費だって、これをつけるのに大変ですよね、通産大臣。この六千八百五十億という数字が、いきなり閣議決定をされたから入ったんだ、こういう話をしたって国民はわからないわけですよ。  予算編成過程の中でどこで入ったんですかと聞いているのです。私は、日にちも特定をして、十二月八日、農林大臣大蔵大臣が会った後そういう作業に入ったんですかということを聞いているのですよ。それにお答えになられていないのですが、どうですか。
  216. 小村武

    ○小村政府委員 十二月八日に大蔵大臣と農水大臣の第一回の大臣折衝があったことは確かでございます。  ただ、本件は多数の関係者関与されております。多数の関係者の正式の意思決定は、私ども政府レベルでは十二月十九日でございます。
  217. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 その関係者というのがだれなのかよくわからない。したがって、いつ、どこで、だれが決めたのかわからない。だから、政治が決めたんだろう。政治が決めてしまってから、公的資金を導入する原則は何なのか、その後追いで後追いでその論理の構築をしていくのですね。だから、いろいろな観点から質問するとたえられないわけですよ。積算根拠もわからない。ぎりぎりの努力をしていたと言うけれども、本当にぎりぎりの努力をしていたのかもわからない。いろいろな矛盾が出てきてしまったわけです。  今本当に私たちがここできっちり議論を詰めなければいけないのは、公的資金を導入する本当の原則は何なのですか、それを国民の目の前で明確にすることなんですよ。それがないと、今回の二次ロス分みたいに半分国民が負担しなければいけませんよ、こういう話になってしまうわけであります。いかがですか。総理大臣、お伺いをしたいと思います。
  218. 西村吉正

    西村政府委員 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、この問題については、長い長い議論の過程を経ておる問題だと理解をしております。例えば、住専不良債権額につきましても、九月の十四日に与党の金融・証券プロジェクトチームに対して立入調査の概要を御報告し、また、それを対外的にも発表をしておるということでございまして、決してその住専不良債権額が唐突に出てきたとか、そんなことではございません。  また、関係者の話し合いといたしましても、十月の上旬以降五回にわたりまして、住専各社、母体系統金融機関方々お話し合いをしていただいておる。そういう場でできるだけ当事者間でこの問題を解決できないか、私どもとしても期待をして見守っているというようなプロセスも、時間をかけて持っておるわけでございます。したがって、政府・与党としての最終的な意思決定が行われたのは十二月の半ば以降でございましょうけれども、しかしながら、その前段階において、私ども政府といたしましても、また政治のプロセスとしても、また当事者方々の間においても、いろいろな議論のプロセスがあったということは御理解をいただきたいと存じます。
  219. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 いや、今のはやはり理解ができないわけです。  それで、今の銀行局長答弁の中で、十二月の真ん中ぐらいに政治の決断があったんではないか、こういうことを言われているわけですね。ですから、それがいつなのかということを聞いているわけですよ。だれが決めたのかということを聞いているわけですよ。それに何でお答えになられないのかということを私はお伺いをしたい。  なぜならば、やはり政策決定過程がどうだったのか。公的資金を導入するという非常に重要な問題である。その政策決定過程がわからないわけです。その責任者がだれだったかわからないわけです。どういう議論の中でこの議論が詰まっていったかわからないわけです。ただ、政治が決断したことは間違いない。政治が決断をしてしまって、後から、公的資金を導入をしていく、その論理づけがされていった、そこに今回の矛盾があるわけです。  それにさかのぼって、宮沢元総理が言われているように、本来であれば、この調査に入って、そのときにもう大蔵省住専経営の実態のひどさということを十分に把握をしているわけです。この資料に全部出ているわけです。なのに、何でこのときに処理をしなかったのか。なぜそれができなかったのか。そのときに母体行や一般行やあるいは系統の中でどういう話し合いが行われたのか。どういう事情があったのか。覚書を交わしたとかあるいは誓約書をとられたとか、いろいろな話が出てくる。その中に不透明さをみんな感じでいるわけですよ。その中のいろいろなブラックボックスの出来事が今日までずるずるずるずる引きずってしまって、結果的には国民税金投入をしなければスキームが完成をしない、こういう話になってしまったんではないですか。そこを国民がおかしいと言っているわけです。  私は恐らく、橋本総理は大変政策通でありますから、今回の問題点がどこにあるのかということは十分御認識をされているんではないかというふうに思います。それと、住専の問題だけではなくて、今の景気を考えるに当たっても、日本全体の金融の不良債権、これをどういう形で処理をしていくのか、その明確なルールをきちっと構築をしていくということが求められているわけですよ。それを構築していくに当たって、今回のようなやり方をして本当にあらゆるケースにたえられるようなそういうルールづくりができるのか。ここに大きな疑問点が私はあるというふうに考えておりますが、橋本総理、いかがでございますか。
  220. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 問題意識において本質的な違いはないようでありますが、その手順の点でどうも一つ議員と私どもの違いがあるようであります。  何回も委員会で私は御答弁を申し上げてきておりますように、私どもは、日本金融システムというものを安定させ、国際的にも国内的にも信頼にたえるものにするために、不良資産の処理を早く解決をしなければなりません。その不良資産、大蔵省が現在までに把握しておるものは三十八兆円と言われております。  そして、この金融不良債権の問題を処理するに当たって象徴的であり喫緊の課題となっているものが、その住専の先ほど来御論議をいただいている問題であります。そして、この問題を解決するために当事者がぎりぎりまで話し合いを続け、その結果、私はたしか米沢議員の本委員会の最初の質問の時点で、その時間をぎりぎりまで当事者の話し合いに時間をかけた結果、逆に情報の開示がおくれた点は申しわけないというおわびを申し上げた、そう記憶をいたしております。その点は今も繰り返します。そして、そのもとで、今、国会の御協力もいただきながら、でき得る限りの情報開示に努力をしているわけでありますが、その結果として、今御論議をいただくような決断を政府としてはいたしたわけであります。  同時に、先刻来御答弁を申し上げておりますように、まさに不良資産を処理し、間違いなしに、自己責任原則に立った金融自由化の時代にふさわしい金融行政を私たちは再構築しなければなりません。そして、そのプロセスにおいて、議員から御指摘がありましたときにもお答えを申し上げましたように、金融制度調査会の意見の中にもありましたが、信用組合についてはこれはちょっと問題が異質でありますけれどもノンバンクに対してこれ以上の公的資金を使う意思なしということも申し上げながら、きちんとした対応をしていこうとしているわけであります。ぜひとも御協力を賜りたいと心からお願いを申し上げます。
  221. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 私は、今の総理のお話を聞いても、本当のお話をしているとは到底思えません。関係者がいろいろな話をしてきて、最後こういう結果になったんだというお話でありますが、関係者がいろいろな条件の中でもうはまってしまっているわけですね。身動きがとれない状況になっている。それがどういうことなのかがわからないわけです。そこに大きな問題があるわけです。  それを引きずったまま今回のスキームをつくってしまったから公的資金の導入に当たっての基本的な原則というものを確立てきなかった、そこに大きな問題点があるんだということを御指摘申し上げ、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。
  222. 上原康助

    上原委員長 この際、平田米男君から関連質疑の申し出があります。伊藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。平田米男君。
  223. 平田米男

    平田委員 大変審議が続いているわけでございますが、さまざまな事実がこの審議を通じまして明らかになってまいりました。  九三年二月の三日の覚書、これの効力についても先般大蔵大臣と農水大臣の食い違いが大分ございましたが、最終的に笹川委員質問に対しまして、言外には、系統側からいたしますと、当然元本が保証されるという期待感があったものと思います、そういう経過にかんがみて、今回の住専問題処理に当たりましては元本は返還されるという措置を取り決めたものであります、このような御答弁がございました。もう事実上保証をしたに等しい、こういうお話でございました。  ずっと審議を通じまして、なぜ系統がこんなに保護されるのか、なぜ覚書で事実上の保証をしてしまったのか、この理由がまた新たな疑問として出てまいりました。  確かに、そのときに系統の資金を住専から引き揚げる、もしそういうことを言われれば住専はそのままではつぶれてしまいます、こういう話もあったかもしれませんが、しかしそれが果たしてできるのか。系統はもらうべき金がないわけでありまして、住専が払うべき金を持っていない。そういう状況の中で、その系統の、まさに駆け引きというのはほとんど効果がなかっただろう、こう私は思うわけであります。  そういたしますと、そういう状況の中で、なぜこんなにも最終的に大蔵省が譲歩をいたしまして、農水省側、系統金融機関を保護する流れをつくってしまったのか、その疑問が私はわからなくてわからなくて考えておりましたところ、はてと、こういう事実といいますか、記事を見たわけでございます。  これは、ある県の県信連の前常務理事でございます。一九八六年から九三年の間常務理事をやっておられまして、住専に対する貸し付けを実際やっておられた方でございます。この方が、朝日新聞のインタビューに対してこのようにお答えになっておいでになります。  「住専への融資はどのように決めていたのか。」この質問に対しまして、  信連から住専にいくら融資するか、という枠があった。不動産融資の総量規制があった九〇年三月前後から、九一年夏ごろまで続いた。  融資は三年から五年ものの証書貸し付けが中心。返済期限がくると、同じ額で再契約したり金額を上乗せしたりする。例えば二十億円から三十億円に増やそうと思えば、全国信連協会に要望する。協会は全国の要望をまとめて農水省へ、農水省は大蔵省に上げる。そして逆のコースで、おたくは二十五億円にしろ、と協会から返事がくるわけです。そういうことが毎月のように行われて、少しずつ融資額が増えたのです。 このようにはっきりおっしゃっております。  このように大蔵省が最終的に住専への信連の融資に直接関与をしていた。この事実があればこそ系統金融機関を擁護せざるを得ない、いや大蔵省が責任をとらざるを得ないその構造が見えてくるわけであります。そして今、私たち国民はその大蔵省のツケを回されている、このように言えるのではないでしょうか。  この前提でずっと経過を見ますと、物事がよくわかってまいります。  九〇年三月に総量規制が行われました。そして、三業種規制も行われましたが、しかし系統だけは外されました。外された理由についてはおっしゃっておいでになります。しかし、実際上は穴があいたわけであります。そして今、前常務理事がおっしゃったように、このときから融資枠のチェックを大蔵省が行うようになりました。そして、約一年半たった翌年の九一年夏までこのチェックが行われた。そして、この間に信連の融資は住専に対してどれだけふえたのか。恐るべきことに二兆二千百億円でございます。総量規制の前はまだ一兆二千億円でございました。二倍近い融資額がわずか一年半の間に伸びてしまったわけであります。  私はこれも不思議でなりませんでした。なぜこんな短期間に、いかに審査能力がない信連、いや、ないと言ったら失礼かもしれません、官房長官がおっしゃったように、融資能力の劣ると言われる信連であったとしても、こんなめちゃくちゃな貸し付けをするはずがないじゃないか、このように思っておりました。しかし、前常務理事のお言葉のとおりであるならば、まさに安心して融資を拡大したであろう、このように思うわけであります。  そして、その間大蔵大臣は、橋本総理でございました。橋本総理は九一年十月に辞任をされたわけでございます。この信連の住専に対する驚くべき融資の拡大の全期間において、橋本総理が大蔵大臣でいらっしゃいました。そして、おやめになった二カ月後の九一年十二月に総量規制はなくなりました。  そして、同じその月、九一年十二月三十一日基準で、先般公表されました第一次立入調査の結果報告が行われております。これを実際行ったのはいつかと大蔵省に聞いてみましたところ、基準日は九一年十二月三十一日であるけれども調査開始は翌年の一月の二十七日であります、そして報告書ができ上がったのは、日にちは定かではありませんが二、三週間で作成をいたしましたというお話でございます。そしてこの報告書が上がってきたわけであります。  そして、この報告書を見る限り、もはや日住金の経営状態は極めて悪い、まさにほとんど無審査の状態と言ってもいい、担保掛け目はほとんど守られていない、貸付業務を専ら行う会社としては危機的な状態である、もう非常に厳しい評価でございました。  それをもとに、日住金の母体行の中心銀行であります三和銀行は、九二年五月に再建案を大蔵省提出をいたしました。しかし、これは大蔵省によってけられてしまいました。  この中身はどういうものかと申し上げますと、三和の案は、まず、日住金につきまして清算会社と日住金と二つの会社に分ける、そして清算会社に一兆二千億円の不良債権を移して、日住金は個人向け住宅ローンと抵当証券販売に業務を絞るもので、計画では日住金は分離後一年目から二十億円以上の黒字を出すことができる、こういう案でございました。そして、清算会社は一兆二千億円の融資残高のうち毎年千二百億円ずつ債権を回収し、金銭信託や有価証券、保有不動産を処分し債務の弁済に充てていき、母体行の責任で、母体行の責任だけで債務の清算をするというものでありました。一般行にも系統にも一切迷惑をかけない、こういう案でございます。  そして、その三和銀行の案にはもう一つ付言されておりました。不良債権を分離せずに銀行債権者の金利減免をやるという策では具体的な再建のための案とは言いがたく、銀行債権者の了解が得られない。逆に、得られないと言っているのです。今までの大蔵省説明とは全然違います。そして一、二年で日住金の体力は完全に消耗するおそれがある、そしてその結果、将来上場廃止になるであろう、ここまで予測していたわけであります。  しかし、無謀にも大蔵省は、これをだめだと言ったわけであります。そして、この三和銀行案でやってはいけないと言っておりました金利減免策、それを第二次再建計画として、まさにあの覚書でございますが、あれをつくったわけでございます。この覚書どおりに第二次再建計画をやるとどうなるかということは、もう既に大蔵省はわかっていた。  日住金は、一万人を超える株主があります上場企業でございます。その企業の再建は、上場企業の責任としては当たり前の話であります。経営者としては、株主に迷惑をかけない、多くの利害関係人に迷惑をかけないという点で、上場企業として一刻も早く有効なる再建策をとらなければならない、こう思って大蔵省に提示し、そして、とってはならないという案まで示しながら、大蔵省はその警告の案をとってしまった。大蔵省の大失策でございます。これは、だれの目から見ても明らかでございます。  それで、法務省にお伺いをいたします。  日住金の会社はこのような状況の中で国家賠償請求ができる、私はそのように考えますが、いかがでございましょうか。
  224. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 お答えを申し上げます。  今先生からお尋ねの案件でございますが、御指摘の問題は、個別の具体的な事情によってそれがどのようになるかという御質問でございますけれども、最終的には裁判所において判断をされるということでございますので、私から個別的な案件についてお答えを申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思います。  一般論につきましては、事務当局から御説明をさせます。
  225. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 ただいま大臣が御答弁申しましたように、私ども指摘の事案の内容を承知しているわけではございませんし、今御指摘の、行政庁としての処分がどういう性質のものかということもつまびらかでございませんので、結論について御答弁することは差し控えさせていただきますが、先生も既に御案内のところかと思いますけれども一般論として申し上げますれば、国の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて故意または過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国はその損害賠償の責めに任ずるということとされているところでございます。  したがいまして、御指摘の事案を想定いたしますと、その行為が公権力の行使に当たる職務行為かどうか、あるいは、その公務員に故意、過失による違法な行為があったかどうか、その公務員の行為と損害との間に相当因果関係があるかどうかといったことが問題になろうかと思われますけれども、その判断は、個別具体的な事案に応じて裁判所で判断されるという問題であろうと考えております。
  226. 平田米男

    平田委員 個別具体の事案についてはお答えができないわけでございますけれども答弁をお伺いする限り、国家賠償請求される可能性は全く否定されていないわけであります。  今回、資料の公開で大蔵省側が一番心配されたのは何か。国家賠償請求されるかもしれません、資料の中身によってはそういう事態が想定されます、これを盛んにおっしゃったわけであります。まさに今回、このような処理をした、大蔵省がこのような処理をせざるを得なくなったというのは、先ほどのある県信連の前常務理事のお話、あのとおりの事実から一つの流れができ上がったわけでありまして、そして、日住金の母体行であります三和銀行提出した有効なる再建策も拒否し、そしてこのような事態に至らしめてしまえば、国家賠償責任が云々されるのは明らかでございます。それは、確かに結果は裁判所に判断をしてもらうしかありませんが、提起される可能性は十分にあります。  もし、この日住金を法的処理をいたしますと、破産管財人はこの点の事実をよく調べまして、あらゆる債権回収の手を打ちます。国家賠償請求もその手段の一つであることは明確でございます。それを恐れたのが今回の結果である、私はそう言わざるを得ないと思うわけであります。大蔵大臣、いかがですか。
  227. 久保亘

    久保国務大臣 今、平田さんからお話ございましたことにつきましては、事実をよく調べました上、またその内容をどのように見るか検討をしてみたいと考えております。
  228. 平田米男

    平田委員 至急御検討いただきまして、早く国民に明らかにしていただきたい。  次に、先ほどから、なぜこのように系統系の金融機関が優遇されるのか、このスキームはまさに系統の保護なのではないか、こういう私ども同僚委員質問がございました。答弁の中で、この分配は、いろいろなことを言われますが、母体行主義だとか修正母体行だとか貸し手責任とかと言われますが、最後は何だったのかというと、体力だったというお話が総理また大蔵大臣の御答弁の中から読み取れるわけでございます。  ぎりぎりの、ぎりぎりの、こういうお話ばかりでございました。私は、それはそれでいいと思います。そういう説明が一番国民にわかりやすい、すっきりしている、説明としては。その説明が正しいものであるか間違っているものかは別といたしまして、このスキームの説明としては、私はそれが一番ふさわしい説明だろうと思うわけであります。しかし、公的資金を出すには、明確なる原則を立てなければならないと思うわけであります。  先ほども伊藤委員が引用されましたが、アメリカのRTCの初代総裁のシードマン氏がおっしゃっておいでになりますが、税金投入はどういう場合に必要なのか、それは、預金を政府が保証する、そのときに出すものだ、個々の金融機関のためには一切使わない、これが公的資金導入のためのRTC、アメリカの不良債権処理の大原則だった、こう言っております。  さて、我が国も、これまでの処理スキームはまさにその原則を守ってまいりました。最近の銀行破綻に対する処理スキームは、まさにその原則を守ってまいりました。預金者の保護は、直接的な預金者の保護、これはペイオフでございます。もう一つ間接的な預金者の保護、それは、金融機関を、預金者のために、預金を守るために合併等々をやって救済をする、そのための救済資金を出すというのも今の預金保険機構では認められているわけであります。しかし、それ以外のものは現在認めておりません。  今新しいスキームが住専処理のために出てまいりました。そして、公的資金を使うというスキームでございます。今までの原則、すなわち、預金を政府が保証する、金融機関は救わない、この二つの原則を今回は例外的に否定するのか否定しないのか、政府方針はいかがなものなんでしょうか、大蔵大臣
  229. 久保亘

    久保国務大臣 今、平田さんがいろいろとお話しになっておりますことに対して、その事実関係やいろいろな問題について、大蔵省の側も担当者の方でこの問題についての発言があると思いますので、委員長の方で発言を許可されるようにお願いいたします。
  230. 上原康助

    上原委員長 西村銀行局長。(平田委員委員長、私の今の質問に答えてください。おかしいじゃないですか。私の質問時間を浪費しないでくださいよ。こういう非民主的なやり方に対して抗議します」と呼ぶ)
  231. 西村吉正

    西村政府委員 まず、ただいまの御質問お答えいたします前に、先ほど、突然のことでございましたが、御指摘がございましたので、私、気がつきました点だけ申し上げたいと存じます。  県信連の常務理事、どなたのことか存じませんけれども、まず第一点、信連の融資について農水省経由で大蔵省の承認を得ながらやっておったということは、私どもとしては、全く事実に反することと考えております。  第二点、総量規制において、系統について規制の対象から外されたという点については、この国会においても何回か私どもからお答えしておりますように、外されたということではございません。  第三点、大蔵省がその時点から融資額のチェックを行うようになったという御指摘も事実と違うと私どもは考えております。  それから第四点でございますが、日住金の報告書につきまして、確かにいろいろと私どもとしても経営について指摘をしたところでございますが、この調査を行います前提といたしまして、法律をごらんいただきたいと存ずるわけでございますが、私どもは、住専に対して業務の指導そのものを行う権限を与えられておりません。しかしながら……(平田委員「ひど過ぎるじゃないですか、これ。質疑に対して答えてもらいたいんで、私が質問していないことに答えてもらいたくない」と呼ぶ)
  232. 上原康助

    上原委員長 今答弁中ですので、御理解願います。(平田委員理解できません」と呼ぶ)
  233. 西村吉正

    西村政府委員 私どもとしては、住専の事態を憂慮をいたしまして、与えられた権限の範囲内で調査をし、その結果を住専に対して指摘し、自主的な経営の改善を求めたところでございます。三和銀行母体行としておつくりになりました再建計画というものも、そのような性格のものであったであろうと推測するところでございます。  なお最後に御質問公的資金の拠出原則でございますけれども、私どもも、シードマン総裁が……(発言する者あり)
  234. 上原康助

    上原委員長 お静かに願います。
  235. 西村吉正

    西村政府委員 シードマン総裁が御指摘をしておられるように、公的資金を導入する大原則として、預金者を守ること、金融機関を守るというものではないことということは、今回の住専処理に際しても念頭に置いて対処したと考えております。
  236. 平田米男

    平田委員 委員長、私の質疑に対して答えるように指導していただけませんですか。
  237. 上原康助

    上原委員長 委員長としてはできるだけ公平に運営しているつもりでありますので、御理解願います。
  238. 平田米男

    平田委員 私どもは、不公平としか思えません。不公平としか思えません。(発言する者あり)
  239. 上原康助

    上原委員長 お静かに願います。  どうぞ続けてください。
  240. 平田米男

    平田委員 こういうやり方に対して、私は抗議します。
  241. 上原康助

    上原委員長 抗議は受けません。続けてください。
  242. 平田米男

    平田委員 どういうやり方ですか、これは。
  243. 上原康助

    上原委員長 さっきの質問お答えしているのです。どうぞ続けてください。(発言する者あり)公平にやっています。
  244. 平田米男

    平田委員 抗議を留保して質問に移ります。  何度も審議の中で言われておりますが、住専には預金者はおりません。したがって、住専預金者の保護はない、これは明確に言っておいでになります。しかしその後、どこの預金者なのかということが極めて不明確に今なっております。そして、これまでの答弁では、住専債権者である金融機関預金者である、それは母体一般系統もある、このように言われておりますが、これは明らかな誤りであります。  私は、住専法的処理をすべきである、このように一貫して申し上げておるわけでございますが、もし住専七社が破産した場合、仮に正常資産三兆四千九百億円のみが配当資金になったといたしましても、なお十三兆円の負債に対しまして二六・八%の配当ができます。母体行は、三・五兆円の債権のうち約一兆円の弁済を受けることができるわけであります。  回収見込み資産三兆二千九百億円と言われております。これは、内閣は丸々回収できるかのように言っておいでになりますが、私は、多く見積もっても半分だろうと思います。この半分がさらに回収できたとすると、配当率は四〇%に上がります。そういたしますと、母体行は一兆四千億円の弁済を受けることができるわけであります。もし政府が言うように丸々回収ができるとするならば、五〇%以上の配当を得ることができるわけであります。系統は、五兆五千億円のうち四〇%で、二兆二千億円の弁済しか受けられません。処理スキームでは、五兆五千億円全額返済されるということになっております。破産よりも母体は一兆四千億円損をし、系統は三兆三千億円も得をするということになるわけであります。系統は、贈与分五千三百億円を払うとして、それを差し引いたといたしましても二兆七千七百億円の得になるわけであります。  以上明らかなとおり、保護されるのは系統金融機関であります。間接的に、間接的にですよ、間接の間接ですよ。先ほど言いました私の間接では、直接預金者を保護する、間接的に預金者を保護するというものとはまた違う、もっと間接的にまあ保護されるかなと考えられるのは、系統金融機関の貯金者であります。系統金融機関の貯金者であって、銀行預金者では決してありません。  閣議決定では、預金者の保護、こう文言が書かれております。それを目的とするというこの部分は、そういう意味で私は誤りであろうと思うわけであります。私はそういう意味で、この閣議決定からまず預金者の保護に資するという部分は削除すべきではないかというふうに思うわけであります。  日本は、こういう金融機関破綻につきましては、銀行関係につきまして、銀行預金者の保護のためには預金保険機構というのがございます。そして、系統の貯金者の保護のためには農水産業協同組合貯金保険法というのがございまして、貯金保険機構というのがございます。それはよく御存じかと思います。  今申し上げましたように、具体的に保護されるのは系統金融機関であり、いや系統経営者だ。彼らは無限責任を負っている。そういうことから、系統が損失をこうむったならば無限責任を負わなければならない。これまで、幾つかの農協が失敗をした際にそのような処理がなされているわけであります。そして、それを心配をしてこのようなスキームを求めているわけであります。  私は、住専処理は法的に処理をし、その結果影響を受ける系統金融機関破綻の整理のためには公的資金を導入するという点は、預金者を直接保護する、金融機関を一切救わないという原則を守ることはできるかもしれませんが、今回のスキームでは守ることができません。西村局長の先ほどの答弁は明らかな間違い、詭弁であります。こんなのは見解の相違でも何でもありません。日本の法体系に明らかにできているわけです。日本は法治国家であります。なぜ法律を守らないのか。大蔵大臣、御答弁いただきたい。明確に答弁ください。大蔵大臣答弁してください。
  245. 西村吉正

    西村政府委員 私ども、今回の措置をとるに際しましても、それ以前に金融機関破綻処理も幾つか対応をさせていただきましたが、いずれも、与えられた法律の枠内で最善の努力を払っていると確信をいたしております。
  246. 平田米男

    平田委員 今のは全く答弁になっておりません。答弁ではありません、あれは。  大蔵大臣答弁を求めます。
  247. 久保亘

    久保国務大臣 政府委員答弁させたとおりであります。
  248. 平田米男

    平田委員 大蔵大臣たる者が、政府委員答弁をさせておいて、その答弁のとおりでありますと。これはまさに前代未聞だと思います。自分の言葉で、私はこれまで原稿も見たことがないとこの委員会ではっきりおっしゃっているわけでありまして、自分の言葉できちっと述べていただきたい。  なぜ系統の貯金者を保護する。私が申し上げたとおり、具体的事実から明らかであります。貯金保険機構もあります。なぜそちらでやらないのか。この二点について明確に御答弁をいただきたい。
  249. 久保亘

    久保国務大臣 平田さんが銀行局長の発言について反論なさいましたから銀行局長答弁をしたのであります。どこが間違っておりましょうか。  それから、今、平田さんの御発言も私も傾聴させていただきました。一方的な平田さん御自身の立論、仮定、そういうものもございます。私どもとしては、既にこの委員会において再三御説明を申し上げておりますとおり、法律に基づいて、そして今日政治的に決定しなければならない住専問題の処理方策を御提案を申し上げているのであります。法的処理ということでこのまま放置して、すべて当事者解決に任せようということでは責任が持ち得るのかどうかということについて私ども検討の上、このようなことを御提案を申し上げているのであります。
  250. 平田米男

    平田委員 私、もう一度申し上げます。  このスキームで、今具体的に申し上げましたとおり、保護されるのは銀行預金者ではなくて系統の貯金者ではないですかと具体的な数字まで挙げてお尋ねをいたしました。それに対してお答えをいただきたい。  そして、なぜ銀行預金者の保護のための機構である預金保険機構を使い、保護されるべき貯金者を保護するためにある貯金保険機構、これを使わないのか、その理由をお尋ねしております。これをお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  251. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のように、現在の制度上、銀行信用金庫、信用組合、労働金庫等は預金保険機構の預金保険によってカバーをされ、系統金融機関については貯金保険機構という制度がございます。  ただ、今いろいろこの問題をめぐって議論になっております預金者保護と申します場合に、この言葉を使い分けて預金者保護と貯金者保護ということを別々に申し上げている、あるいは世間で別々に論じられているということではないように私ども感じております。全体を含めまして、お金を金融機関、広義の金融機関に預けている人たちを保護するという意味において一般預金者保護という議論がなされているという理解のもとに答弁申し上げておるわけでございます。  次に、今回の措置が、しからば貯金保険機構の対象となる系統金融機関のお金を預けている人だけを対象にした措置であるかという点については、私ども、そのようには理解しておりませんで、もちろん、系統金融機関へお金を預けている人をも含めました日本全体の預金者の安全を守るために必要な措置だ、そのように理解をして対処しておるところでございます。
  252. 平田米男

    平田委員 では、なぜ預金保険機構だけを使い、なぜ貯金保険機構も共同してやらないのか。それを明らかにしてください。
  253. 上原康助

    上原委員長 西村銀行局長、短目にお答えください。
  254. 西村吉正

    西村政府委員 今回、住専処理をするに際しまして、どのような組織でもって対応するかということをいろいろ検討をいたしました。必ずしも従来の預金保険機構の業務の範囲内ではございませんが、この預金保険機構という組織を使いまして今回の措置に対応しよう。その場合には、いわゆる従来の預金保険機構及び貯金保険機構の業務とはまた別の観点からの業務でございますので、ここに預金保険機構にその機能を集めまして、特別にこの機能を、全体の金融機関を対象としてここに仕事を集めて対応させた方が効率的に業務を運営できるであろう、別々にするよりも一緒に対応した方が効率的であろう、そういう考え方で対応したものでございます。
  255. 平田米男

    平田委員 全然答弁になっておりません。これまで、透明性が大事だとこうおっしゃってまいりました。便宜的にはやらないということであります。筋を通し、情報を明らかにし、明確にした上で国民理解を得る、これが政府方針のはずでございます。なぜ保護されない預金者のための預金保険機構を使うのか。百歩譲って使ってもいいとしても、なぜ貯金保険機構だけはそのままほったらかしにしておくんですか。これは一千億円以上の資金力あるんですよ、ここに。これをなぜ使わないんですか。これを明らかにしてください。大蔵大臣、明らかにしてください。
  256. 西村吉正

    西村政府委員 系統金融機関のために貯金保険機構という組織があり、そこに約一千億円の資金があることも承知をしておるところでございます。  今回行いますのは、そのように従来から行っております貯金保険機構の仕事あるいは預金保険機構の仕事とは別に、この住専問題処理のために新たな仕事を法律上お認めいただこうということで、現在法案の検討中でございます。  その新しい仕事の対象範囲をどうするかという問題でございますが、それを二つの機構にばらばらに分けて行うということではなくて、預金保険機構のもとに新たな組織をつくり、そこに系統の資金の協力をも仰ぎまして、系統の資金も合わせてそこで新たな活動を行おう、こういう構想を持っておるわけでございます。
  257. 平田米男

    平田委員 御答弁されませんが、国民はこれに大変大きな疑問を持ちます。一千億円も貯金保険機構にありながら、それを使わない。そして新たなシステムをつくるのだったら、何で預金保険機構を使うのですか。我々銀行預金者は迷惑ですよ。新たな制度をつくるのだったら、新たな機構をつくってください。どっちみち住専処理機構という新たなものをつくるというのですから、何でまたそこへ預金保険機構を持ってこなければいけないのか、これもまた我々は納得できません。これも明確にしてください。大蔵大臣、答えてください。
  258. 西村吉正

    西村政府委員 私どもも、検討の過程におきまして、この預金保険機構によらずに新たな法人を設けるというようなことも検討いたしました。しかし、いろいろな検討の結果、現段階におきましては、預金保険機構を活用し、その指導のもとに住専処理機構という、より弾力的な組織を設けるというのが最も効率的な対処の仕方ではないかと考えておるところでございます。
  259. 平田米男

    平田委員 もうますます国民の疑問、不満、これは、政府答弁すればするほど大きくなるわけでございます。このようなやり方で、総理、国民に納得してください、納得していただくために今審議をいただいているのですとおっしゃっておいでになりますが、西村局長が答えれば答えるほど、国民は、納得できない、納得できないという言葉が重なるだけでございます。  もう質疑時間が参りましたので終わりますが、このような不可解な制度は国民こぞって反対でございますので、ぜひ撤回をしていただきますよう強く要求をいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。
  260. 上原康助

    上原委員長 総理、御答弁ありますか。  これにて伊藤君、平田君の質疑は終了いたしました。  次に、草川昭三君。
  261. 草川昭三

    ○草川委員 草川でございます。  きょうは、せっかく国会で資料要求をしたわけでございますので、資料の内容について若干絞ってお伺いをしたいと思うのです。  それで、住専各社の多くが株式投資の財テクに失敗をしているというのがこの資料の中にも明らかになっているわけであります。今まで議論をしておりますように、不動産業の大口融資の焦げつきに加えて経営悪化の一因となっておるわけでございますが、この一次の報告書あるいは二次の報告書、概要の方でございますが、総論の方を見ましても、有価証券のそれぞれ各社の保有をしている金額が分類をされているわけであります。  この分類の内容を見ますと、ほとんどが四分類に位置づけをされているのでございますが、どういう経過でこのような分類に各社ともなっているのか、まずお伺いをしたいと思うわけであります。
  262. 西村吉正

    西村政府委員 先般提出いたしました資料におきまして、株式に関します損失として御報告をしておりますものは、保有株式につきましての評価をいたしました上、私どもといたしましては、損失の発生が極めて可能性が高いというものについて計上しておるものでございます。
  263. 草川昭三

    ○草川委員 ですから、この分類を見ますと、ほとんどと言っていいほど各社とも第四分類に有価証券が計上されているわけですから、今局長答弁のように、各社が資産運用をするために購入をした証券は、株式もございますし、その他の証券もあるかもわかりませんけれども、すべてロスだ、こういうことになっておるわけであります。  これはどう考えても、ずさんな経営であるということがこの一事でも明らかでございますけれども、例えば日本住宅金融というところを見ますと、調査日の時点で含み損益は千三十一億だ、こういうようなこともここの中にございますし、それから有価証券投資については、平成元年の六月ごろから群栄化学工業株式会社に対して一銘柄に集中をした取得が行われている、それで結果的に百億を超す大量の含み損を抱えたことになる、こういうようなことが書いてあるわけでありますが、こういうようなものは、今回の住専処理のスキームのいわゆる不良債権根拠に当然なっているんでしょうね。それは大蔵大臣お答えください。
  264. 西村吉正

    西村政府委員 今回の損失の対象になってございます。
  265. 草川昭三

    ○草川委員 するとやはりその対象になっておるわけですから、国民税金というのは、住専各社が資産運用をした、早く言えば株式投資をして損をしたものの負担を我々がしなければいけない、こういうことになるわけであります。  こういうことについて後ほど総理の見解も問いたいのですが、しかもこの中身の、先ほど紹介をしました日本住宅金融の場合は、先ほど紹介をしましたように一銘柄に集中をしている。早く言えば、仕手戦に参加をしておるわけであります。仕手戦に参加をして失敗をしたような金額をなぜ我々が負担をしなければいけないのか。株で損をした人がごまんといるわけですから、ごまんと。NTTの株なんというのは、多くの国民は、もう三分の二損したわけですから。みんな怒っているわけでしょう。  住専というのはもちろん住宅ローン専門会社のことを議論しているわけですが、その会社の中で証券投資による不良債権がその一部になるということは、どうしても私は納得できないのです。  もう一回銀行局長に、トータル、住専七社で、このロス証券というのですか、ロスに対象されました、四分類の対象トータル金額は幾らか、お伺いをしたいと思います。
  266. 西村吉正

    西村政府委員 住専七社の有価証券に係ります含み損益の合計は二千二百六十七億円でございます。  なお、今回の処理に当たり、住専七社は整理消滅されることになるわけでございますが、通常、会社の整理に当たりましては、当該会社の財産全体に係る損失の処理が必要でございます。その損失の原因といたしまして、融資に係るものであるのか株式投資に係るものであるのかという点は、このような会社の清算に際しては同様な取り扱いをせざるを得ないのではないかと考えております。
  267. 草川昭三

    ○草川委員 いずれにしても対象であり、我々の負担の対象になるという、こういう答弁だと思うのです。  そこで、日住金の場合は、一つの株に集中をしている、仕手だという証明が、実は東京佐川急便事件という有名な事件があるわけでございますが、それに関与をいたしまして、平成四年の、これは東京地方裁判所の第四〇四号、ここで佐川急便事件に関与した背任、横領の判決があるわけであります。  そこの判決文の中にこういう文言があるのです。いわゆるその後の被告人はということでございますが、「日本住宅金融株式会社の情報を信頼して」、あるいはその同じ判決文の中で「日本住宅金融株式会社の情報を基にしていたことは認められる」。要するに、日住金が仕手戦にかなり活発に佐川急便関係者と組んで行ったという証明が東京地方裁判所の判決文の中にも紹介をされているわけです。  そういう事件に対して私どもがその負担をしなければいけないのかということについて、私はどうしても納得できませんが、この再建スキームの中で、私が主張したような意見というのは少なくとも与党の連絡会議の中で反映されたのかどうか、あるいはその与党の連絡会議の中でそういう意見はなかったのかどうか、まず大蔵大臣からお伺いをし、総理大臣の見解を求めたいと思います。
  268. 久保亘

    久保国務大臣 私、今草川さんから御提起ございました問題について、詳細承知いたしておりません。
  269. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、与党の協議の中でこの株の問題は出たか出ないか、これは銀行局長から答えてください。
  270. 西村吉正

    西村政府委員 私が承知をしておる限りにおきまして、そのような御議論があったようには伺っておりませんし、私どもから御報告を申し上げたということはございません。
  271. 草川昭三

    ○草川委員 銀行局長に与党連絡会議の内容を聞くということは、それはいささか問題があると思うわけであります。それはそれで十分わかります。  そこで、じゃ、大蔵大臣は、今細かいことを御存じないとおっしゃるのですが、当時大蔵大臣は、書記長時代を長い間務められたわけでございますし、それからまた大蔵大臣にもなられたわけですから、このスキームの内容についてはいろいろと御存じのことだと思うのです。それでもそれを御存じないとおっしゃるのですから、私はこのスキームについて国民の怒りというものの反映が非常に少ないのではないか、こんなように思うのでございますが、その点どのようにお考えか、大蔵大臣にいま一度お伺いをしたいと思います。
  272. 久保亘

    久保国務大臣 私は、御指摘のように、与党の責任者会議のメンバーを務めておりましたけれども、この問題が昨年閣議で決定をされますまでの間、金融・証券プロジェクトチームなどを中心にして議論が行われ、そして与党の政策決定システムに基づいて決定をされたものでありまして、最終的に責任者会議においてこのスキームについて了解をいたしたのでありますので、その審議の過程をすべてつまびらかにしていないということを申し上げたのでございます。
  273. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、総理に一言。株で損をしたことを我々国民がなぜ負担をしなければいけないのかという素朴な疑問について、それはどうか、総理の見解を一言求めたいと思います。
  274. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは情報開示の中で明らかになりましたことでありまして、与党として論議をしていた時点で、どこまで与党側がこうした状況を把握し議論をしておったかについては、私はつまびらかにいたしません。その上で、こうした、これは株だけではありません、経営者としての姿勢というものに対し、何とも言いようのない思いを抱いております。
  275. 草川昭三

    ○草川委員 非常に納得できませんけれども、このことについて余り時間をとってもあれでございますから、これはしかし、私は、国民の怒りに対して素直に答えられたとは思いません。まあしかし、次に行きましょう。  次は、実はきのうも午後の冒頭に資料の問題について質問をいたしました。いわゆる日本ハウジングローンの融資先別の貸付残高、これはきのうの答弁では昨年の六月末現在、こういうことでございましたが、調査報告書と、それから上位百社のリストの中で示された数字が違うんです。これはもうきのう明確に申し上げたところでございます。  それで、西村銀行局長説明は、下段の注記のところを見てくださいと、その注記のところを見ればわかるはずですよというような趣旨答弁でございましたが、私、これを見ましてもさっぱりわかりません。橋本総理も、この二つの資料の数字については相反しておるので、なお念査をする、大変こう丁重な言葉なんですね。十分検査をし、調べて、より正確な資料を提出するよう努力すると述べておられるんですが、ただいまのところ、実は私のところにその説明は来ておりません。そのことについてお伺いをしたいと思うわけであります。
  276. 西村吉正

    西村政府委員 二月五日に衆議院議長あて提出させていただいた資料のうち、日本ハウジングローン株式会社の「平成七年八月の調査結果(個別貸付先の財務状況等一」におきます個別貸付先の貸付金額は、日本ハウジングローン株式会社本体、住専本体からの貸付額に加えまして、関連会社からの貸付額も含まれているところでございます。これは資料の三十一ページにございますが、これは先日もそのことを申し上げたように記憶をしておりますが、もともとこの資料そのものが対外的に公表をするというためにつくったものではございません。むしろ内部の資料として、対外的には私ども公開をするような性格のものではないという前提でつくっておりますので、そのような、内部で理解できるようなつくり方になってございます。  一方、日本ハウジングローン株式会社の上位貸付先百の実名リスト、これも先般提出いたしましたものでございますが、そこにおける貸付先は、日本ハウジングローン株式会社本体から、すなわち住専本体からの貸付額を記載しておる。これは全住専について共通した取り扱いでございますが、そのようにいたしておりまして、したがって両者は関連会社からの貸付額の金額について差額が生じている、こういうことでございます。  現在、先日の委員の御指摘を踏まえまして精査をしているところでございます。
  277. 草川昭三

    ○草川委員 ですから、それではお聞きしますが、このハウジングローン以外の住専の上位百社のリストにもすべて注記というところがありまして、下の二番に「関係会社向け貸付金残高」というのが全部記載されているんです。なぜ日本ハウジングローンだけが調査報告書と上位百社リストの数字が違うのか、今の答弁では納得できません。これだけが違うと今答弁をしておるのですが、内部資料だからと。しかし、ほかの住専は全部合っているのですから、ハウジングローンだけが合っていないわけですから、私は、この資料そのものの信用性ということもこれは怪しくなってくるのです。  とにかく日本ハウジングローンだけが、もう一回言いますよ、融資先百社リストと調査報告書がこんなに大きく数字が異なっている理由は、今の答弁では納得できません。例えば、富士住建グループでは、融資先リスト百社では千二十五億円と書いてあります、こっちの方では。調査報告書では千七百六十八億円と書いてある。その差額は七百四十三億円になっているのです。そのほかにも二、三の数字が異なっておりまして、合計の、この日本ハウジングローンだけの合計金額のトータルは二千百八十九億円違うのですよ。これは相当な違いだと思うのです。ほかの住宅金融専門会社は全部合っているのですよ、念のために言いますが。ほかは全部合っているのです。ただ、この日本ハウジングローンだけの分はこんなに、二千百八十九億円も数字が違うのです。  我々が要求し、ここの国会を通じて出てきた資料というのはこんなに違いがあるわけです。どちらが正確なのか、どうしてこうした数字の違いが日本ハウジングローンだけ出てくるのか、異なるのか。他の住専も全く同じような実態になっていないと今の局長答弁は合わないわけですよ、今の局長答弁は。そうでしょう。これだけは違っておるんだがしかじかかくかくという答弁だが、ほかも同じようなことを言わなければいけない。だから、どっちが正しいのか私はよくわかりません。間違いであるのか、どういう計算方法なのか、だれが精査してこうなったのか、明確にしてもらいたいと思うのです。  だから、これは大臣に、もう局長はああだこうだという答弁をしますから、大臣として、どうしてこんな数字になったのかということを恐らくきのうの夜聞かれたと思うのですよ。それで、大臣、政治家として一回答弁してください。  私は、この数字が一々違ったからどうだこうだというそういう議論でなくて、少なくともこのような二つの食い違いがあるということだけは納得したいのです、私も。私が納得するかしないかが今後の問題にもなるわけですから、大臣として答弁をしていただきたいと思うのです。
  278. 上原康助

    上原委員長 西村銀行局長、数字のことですので、きちっと御答弁ください。
  279. 西村吉正

    西村政府委員 私ども、決してこの資料について何か操作をしたとかそういうことではございませんで、先ほども申し上げましたように、もともと内部の資料でございますので、内部でそれぞれの担当者がわかるように記載したということでございます。  現在、精査中でございますけれども、私の現段階の理解といたしましては、日本ハウジングローン株式会社は、住専の中でも子会社を活用をいたしまして、例えば担保の処分だとかそういうことを積極的にやっておる会社であるというふうに理解をしております。したがって、他の会社においては関連会社からの貸付額を合わせると食い違いがあるというようなことは少ないと思いますけれども、ハウジングローンにおいては、仕事の仕方として子会社という手法を使っていろいろな仕事を進めていたというような特殊な事情があると理解をしております。そのようなことがこの報告書にも反映されておるということで御理解いただきたいと存じます。  いずれにしても、そういう詳細につきまして現在精査をしておるところでございます。
  280. 草川昭三

    ○草川委員 このハウジングローンというのは興銀系でしょう。日本の産業銀行の雄ですよ、興銀は。だから興銀は迂回融資なんかはしないというようなことを先取りして今局長答弁しているのですよ。だから紹介案件についても実はダイレクトにやっているから、後でこれは問題になりますが、興英コーポレーションなんかは問題が出てくるのですよ。これは本来は、法務省なり警察庁にどういう捜査状況か聞かなければいかぬ、そういう実態なんかがもう既にちらほらちらほら出てみえるでしょう。官房長官、頭うんうんといってみえるから、恐らくそういう情報を持ってみえると思う。いやいや、それはもう、ある人はみんなそうなんですよ。だから、今のように、直接やったから違うと言うのですが、それは理屈になりませんわ、それは理屈には。だって、現実に国会に提示された資料が違うのだから。精査するのはいいですよ、精査していただくのは。精査してもらわなければだめですが、今のようなことを言うと、この日本ハウジングローンのあり方の問題が予告編で答弁したことになりますよ、ハウジングローンの本質的な問題を。  じゃ、ここは大蔵大臣にもう一遍お伺いをしますが、もう一度、なぜハウジングローンだけが去年の八月の検査報告の数字を使わないのかということに絞って答えてください。これはおわかりだと思うのです。なぜこの数字がここにあらわれてこないのかということだけ。内部資料がどうのこうのという話です。これは大蔵大臣、答えられると思うのです。
  281. 久保亘

    久保国務大臣 今草川さんのおっしゃったことについて私も、いろいろここで銀行局長答弁も聞きながら、これは詳細にきちんと調査をした上御報告をしなければならないものと考えております。
  282. 草川昭三

    ○草川委員 これは総理、どう思われます。
  283. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、久保大臣からもお答えをいたしましたが、いずれにせよこの数字の食い違いというものをきちんと調査の上でお答えをすべきものと思います。
  284. 草川昭三

    ○草川委員 ここで私、委員長にちょっとお伺いをしますが、国会の議院証言法に基づく決議で出てきた資料というのは国会では私一番重い資料要求だと思うのです、これは。それで議長のところへ届けられ、そしてしかも、この中身についてはそれぞれ縛りがありまして、公開すべきものあるいはオープンすべきもの、そうでないもの等々がこれは随分あって、私ども国民税金をこの中に投入をしなければいけないことになっておるわけですから、もう真剣に議論をしておるわけですよ。ところが、今答弁がありましたように、実はこのハウジングローンというのは内部の資料があるんだからというような言い方の答弁ですよね。大蔵省がこれをつくったのじゃないのですかね、この資料は。日本ハウジングローンがつくったのですか、この資料は、ここへ持ってきたのは。そこをちょっとお伺いしたいと思うのです。
  285. 西村吉正

    西村政府委員 私どもは、国会からの資料の御要求に対して誠心誠意対応をしたつもりでございます。御要求が、もともと私どもが対外的に公表する予定になっておらなかった内部資料について御要求がございましたので、そのまま私どもの内部資料のままに御提出した、こういうことでございます。  したがいまして、提出した資料の間に整理の仕方に差異のあるということは今御指摘のようなことであるわけでございますが、そのことは、むしろ事前に手を加えたりしたことのないということだというふうに御理解をいただきたいと存じます。
  286. 草川昭三

    ○草川委員 だったら、もう一回前の局長答弁に戻りますが、局長はハウジングローンというのはほかの住専と違っていろいろと関連会社を通じて融資をしているんだというようなことを答弁で言いますが、これは逆に、大蔵省はこのハウジングローンは迂回融資をしているということを示唆しているんですか。迂回融資をしているということを認めている、バックに興銀という力があるから。こういうようなことを承知をしていて今のような答弁をされているのかどうか。念のために、これは今後のためにお伺いをしておきたいと思います。
  287. 西村吉正

    西村政府委員 現在精査中でございますので、私も完全に事態を把握しておるというわけではないかもしれませんが、私の現段階での理解を先ほど申し上げたわけでございますが、このハウジングローンは担保の処分等を子会社を通じてやっているというような、こういう仕事の仕方の特徴を持っておるというふうに私は理解をしております。ただいま御指摘のように、迂回融資とかそういう趣旨だとは私は必ずしも理解をしておりません。
  288. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、今局長が言っております。その関連会社というのはどういうことを関連会社と指しているのか、どういう経緯で貸し付けられてこのトータル金額が食い違っているのか、具体的に資料で示していただきたいと思うのです。きょう出たでしょう、きょう、これ出ましたね、朝。きょう出た資料にも同じことが記載されているのでしょう。委員長の方からもプレス会見があったと思いますが、国民の皆さんも大変関心を持っているきょうの資料の中にも同様の問題があるのです。  前回の局長答弁というのは、注記ということを申されまして、関連会社向けに貸付金がある、その関連会社を経由してというような趣旨答弁があって、何も基礎になる基盤は変わっていないという答弁をされているのですよ。基準になる基礎は変わっていない。ところが、今の答弁は精査をしているというようなことを言っているのでしょう。明らかに前回の答弁ときょうの局長答弁は違うんですよ。これは監督責任者の大蔵大臣、前回の局長答弁と今の答弁が明らかに私は違うと言っているのですが、その点はどう判断されますか。
  289. 久保亘

    久保国務大臣 平成七年八月の調査結果は、これは結果を私が証人として提出を求められて提出したものでありますから間違いはない、こう報告のとおりということだと思います。  新たに求められた融資百先の実名リストは、報告を求められて今回つくったものであります。それで、その融資額がどうして食い違っているかということについて今銀行局長から御説明を申し上げましたけれども、今草川さんの方から重ねての御質問でございますから、どうしてその数字がそうなったかということをもっと詳細に調査をいたしまして、御報告いたします。
  290. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、少なくとも政府側はいま少し精査をして、そして資料を提出するというならば、我々はその資料を見てから今後の質問をさせていただきたい、こう思いますが、委員長どう思いますか。
  291. 上原康助

    上原委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  292. 上原康助

    上原委員長 速記を起こしてください。  質問者、御発言ありますか。
  293. 草川昭三

    ○草川委員 ちょっとまだ私、今の理事間の協議の報告を聞いていませんので、理事間の合意があればそれに従いますが、私が繰り返し言っておりますのは、いわゆる議院証言法に基づく資料の要求というのは大変重いものだ。重いもののその資料によって私ども今議論しているわけです。しかも第一回で出てまいりました住専関係資料というのは、これは一月十九日、国会が始まる前に出ている。この匿名資料の中にもこの数字というのはあるんですよ。だから、これを基準に私どもは勉強して、質問をしているわけですよ。この最初の資料も違っているんですよ、今になってみると。  ですから、これだけ厚い、電話帳と称すべき厚い資料に明確に、今追加要求をした内容と違うことがあるわけですから、これは、それだけ除いて審議をしろというようなことは、私は随分それは失礼な話だと思うのです。(発言する者あり)言ってない、言ってなければそれで結構ですが。  ですから、そういう意味で、私は、きょうまた続いて質問をしろと言われましても質問はできませんから、私は質問をこれで留保いたします。  以上で終わりたいと思います。
  294. 上原康助

    上原委員長 ただいまの草川委員の御指摘の点につきましては理解できますので、現在政府も精査をしておるということでありますが、草川君の残余の質疑は後に譲ることといたします。  次に、海江田万里君。
  295. 海江田万里

    ○海江田委員 まず本題に入る前に、ちょっとお尋ねあるいは御意見を、特に大蔵大臣、総理の御意見をお聞かせいただきたいんですが、いろいろこの住専の問題で私も勉強しておりまして、それで「金融財政事情」という雑誌がございます。これは金融マンの間ではよく読まれておる本でございますけれども。それで、ずっとページを繰っておりましたら、二月の八日、あしたでございますけれども、セミナーがございまして、西村銀行局長が十二時十五分から十四時まで、経団連ホールに行って講演をすることになっておるんですね。  資料がちょっとありますので、これをお渡しをしますが……(発言する者あり)じゃ、委員長、ちょっとお配りをすることをお許しをいただきたいんですが。
  296. 上原康助

    上原委員長 できるだけ事前に了解を得てください。
  297. 海江田万里

    ○海江田委員 今、国会の最中ですから、西村局長、これは当然お出かけになりませんよね。  ただ、この問題は、私、実は最初からこういう場でお話をするのもなんだと思いまして、去年も御注意申し上げたんですね、これは。去年もちょうど、去年はたしかやはり二月三日ですか、総括質問の最中なんですよ。おととしもありまして、おととしが二月の三日ですか、去年が二月の二日ですね、これ。全部総括質問の最中ですよ。しかも、それを見ておわかりになると思いますけれども、参加費が十七万五千円ですね、これ。これを買うのは当然のことながら金融機関ということになりまして、もちろん西村さんのお話だけじゃありませんで、それぞれ一流のエコノミストの方のお話があるんですが、ただ、やはりこの時期というのは予算の総括だということがわかり切った話であります。  ただ、これはちょっと勘ぐりますと、当初の予定だと二月の七日ぐらいは公聴会をやっておりまして、本当にそうなんです、予定は。これはもう与党の理事の方よくおわかりだろうと思いますけれども。公聴会をやっておるから、まあ公聴会のときなら抜けられるなと考えたのかどうかは私はわかりませんけれども、毎年毎年こういうのに出ていって、しかも十七万五千円、普通の人はちょっとびっくりするようなお金で、それを金融機関に、はっきり言って押しつけですよね。こういうことはやはり公務員の綱紀からいっても問題があるんじゃないだろうかと私は思うんですが、久保大蔵大臣、お考えをお聞かせください。
  298. 西村吉正

    西村政府委員 事実から御説明を申し上げたいと存じますが、これは毎年金融機関方々が、その時々の情報をあるいは高名なエコノミストの方々からのお話をお伺いになるために恒例的に催されているものと伺っております。  昨年たしかそういう御注意がありましたので、私、昨年も実は国会に出席のため私は出席できなかったのでございますが、ことしも国会の開催期間中でございますので御辞退を申し上げました。  それで、これに関しましては、それでは時間を変えて、たしかお昼の時間になっておると思いますが、お昼の時間に簡単な最近の最新の状況の報告だけでも可能であればやってくれないか、こういうことでございましたが、私は、国会の途中であるのでそういうことは恐らく難しいと思うけれども、もし可能な場合には、その状況について、特に住専問題とかいろいろと大事な案件のある時期でございますので、可能になれば御報告をいたしましょう、こういうふうに申し上げていたところでございます。
  299. 海江田万里

    ○海江田委員 今御本人からの弁明がありましたけれども、今のをお聞きになって、私はあえて感想を申し上げませんが、大蔵大臣それから総理大臣、いかがだと思いますか。
  300. 久保亘

    久保国務大臣 金融財政事情研究会というのがどのような会であるかは私詳しく存じません。いろいろな研究会とかこういうところに、時間的に許されれば、今の政府事情などについてお話を申し上げるということもまた必要な場合もあろうかと思っておりますが、この会の性格がよくわかりませんし、それから、国会の開会に支障を来すような出席はもちろんできないことだと考えております。
  301. 海江田万里

    ○海江田委員 ちょっと、私はこの時期に限定してお尋ねをしているわけですし、それから当委員会でも、後で詳しくお話をしますが、やはりどうも政治家が軽く見られているのじゃないだろうか。  国家公務員法には職務専念義務というのも百一条であるわけですし、こんなのをやるべきじゃない。しかもこの時期やはり予算が上がるまでは公務員は国会に専念すべきだ。しかも今大変大きな問題を抱えているわけですから、どうしてそんなことが言えないのですか。総理、どうですか。
  302. 久保亘

    久保国務大臣 今海江田さんが言われたことは、そのとおりだと思います。だから私は、国会の開会中に支障を来すような、そのような出席は望ましくない、これは自粛すべきだということを申し上げたのであります。
  303. 海江田万里

    ○海江田委員 では、総理も一言。
  304. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、今久保大臣が言われたと同様に、少なくとも予算委員会が衆参いずれにせよ開かれ、その間こうした行事が計画された場合に本来出席するべきではないと思います。そして、それと同時に、その後におきましても、それぞれ主管する法律を持っております担当者たちは、少なくとも自分の主管の法律が国会において成立させていただき、御承認をいただくまでの間、少なくとも休日を使う以外にこうした行動については十分配慮すべきだと思います。
  305. 海江田万里

    ○海江田委員 余りこの問題で長引いてもいけませんので次に入らせていただきますが、本当に、西村さん初め大蔵省方々は、やはりこれは自重をしていただきませんといけないと思います。  そこで、当委員会提出されました住専七社に対する第一次、第二次の調査結果を読ませていただきましたけれども、まあ予想どおりといいますか、あるいは予想以上といいますか、ひどいものだ。しかも、この調査の結果ですけれども、昨年末の当委員会で、大蔵省がやりました立入調査、この報告が昨年末の段階で、昨年の八月に行われた報告が、当時は野呂田農水大臣ですけれども、報告をまだ受けていなかったというような、これは当委員会での正式な答弁、十二月の何日でしたかね、十二月の十三日の時点で報告を全く受けていなかったという答弁をいただいておるのです。  農水大臣にお尋ねをしますが、第一次のときもその報告書というのは全く見ていないわけですね、大蔵省の調査の。
  306. 大原一三

    ○大原国務大臣 事務局からの説明によりますと、第一次調査も、それから今回の第二次調査も、農林省には報告がなかった、こう聞いております。
  307. 海江田万里

    ○海江田委員 これは縦割り行政の弊害だと思います。系統金融機関が大量に貸し出しをしているその住専がこういう問題があるわけですから、これは当然のことながら早く見せなければいけないのですけれども、それだけじゃありませんで、大蔵省はこの第一次、第二次の検査で、とりわけ第一次の検査で、まずやはり重要な法律違反が発見されたにもかかわらず、それを告発したりあるいは住専に連絡をして告訴をさせたりということを全くやっていないはずなんですね。  例えば、私どものところに配られました調査の報告書によりますと、法人税の偽造納税証明書を利用されて、そして担保物件に国税庁の先順位債権があるのを見逃したと。これは見逃しますよ、納税証明書を偽造されているわけですから。株式会社エムザコーポレーションというところですね、二十三億ぐらい貸し付けをしておるということですけれども。これは当然公文書の違反だと思うのですけれども大蔵省が調査をしてこういう事実が判明をした段階で、これは第一次の調査の報告ですけれども、何らかの法的な措置はおとりになったのでしょうか、どうなんでしょうか。
  308. 西村吉正

    西村政府委員 従来、住専に関しましては、これは、いわゆる貸金業よりさらに規制の緩やかなものとして、立入調査というものも必ずしも行ってまいったわけではございません。いわゆる第一回目の調査が、やはりこの住専状況にかんがみ直接調査をすべきでないかということで、初めて調査をした結果でございます。  調査をいたしました結果、いろいろと改善すべき状況があったわけでございますが、法律上私どもは、預金受け入れ金融機関と異なりまして、業務改善等を直接命令するという権限はございません。御注意を申し上げて、そのようなことで、それ以上の措置を講じたことはございません。
  309. 海江田万里

    ○海江田委員 これは不思議なんですね。法律違反なんですよ、これは。何かちょっといろいろ、担保の掛け目の問題とかそれから本当に担保の審査をやったのかどうかということも、実はこれ、例えば背任でありますとか特別背任ですとか、そういう商法の問題に広がるおそれもあるのですよ。ただ、偽造の納税証明書を使われたなんというのは、これはだれが見たって、納税証明書が偽造であればそこでもう犯罪が発生をしておるわけですよ、これは。それをはっきりわかりながら何にもしないというのは、これはどう考えたって、これから皆さん方は、とりわけ大蔵省は一生懸命になって告訴をやるとか言っているけれども、これからのこの税金処理の問題について——だけれども、こんな納税証明書を偽造されて、それで告訴しないで、それでこれからできるのかという問題にもなります。  それから、この納税証明書というのは大蔵省にとってみれば命みたいなものですよ、これは。そんな簡単に偽造されて、はいそうですかと、間違いがありましたと、これは大目に見ましょうというのでは、これは通らない話だと思いますが、もう一回答弁を。
  310. 西村吉正

    西村政府委員 私ども、調査の結果に関しましては、それぞれの住専に対してこのような事実があったという調査結果を示し業務の改善について注意を促したところでございますが、それ以上の法令に基づく業務改善命令というようなことをなすべき根拠が必ずしもございませんでしたので、そのようなことは行ってはおりません。
  311. 海江田万里

    ○海江田委員 そんな根拠がないなんてことはないんですよ。住専に教えれば、住専は被害者ですから、偽造の納税証明書を使って、そして融資を引き出されたわけですから、その場合は住専が告訴をすればいいし、それから、さっきもお話をしたけれども、これは税金にかかわる問題ですから、それは被害者じゃなくたって告発という手だてがあるわけですよ。告発と告訴というのは違うわけですから、大蔵省は当然告発だってできるわけですよ。何でやらなかったのですか。
  312. 西村吉正

    西村政府委員 これはいわゆる銀行検査ではございませんけれども、通常、私どもが検査を行います場合に、その検査は犯罪捜査のために行うものではないという銀行法上の明文の規定がございます。もちろん、だからといって不正を見逃すというわけではございませんけれども、そのような考え方が調査をいたしました際にも担当者の間にあったと思われます。
  313. 海江田万里

    ○海江田委員 だからといって見逃すわけじゃないと言っていますけれども、そんなことはないので、見逃しているのですね、これは。  念のために、これは法務省になるのですか、この一次調査、二次調査絡みで背任ですとか特別背任ですとか、そういう法律違反で告訴、告発されたようなケースはあるのですか。あるなしだけでいいです。
  314. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  現在把握している限りにおきましては、いわゆる住専に関連する事件について、告発ないしは告訴を受けた事実はないものと承知いたしております。
  315. 海江田万里

    ○海江田委員 これはひとつ、大蔵省もそれから大蔵大臣も、先ほど資料が配られてないとかいろいろなお話がありましたけれども、ごらんになっておるからあるわけですから、いろいろな答弁の下書きをもらってそれを読むのに一生懸命だろうと思いますけれども、資料に目を通していただければ、こんなの本当にたくさん、背任だとかそれから特別背任だとか、そういう話につながっているのが山ほどあるのですよ、これは。だから、そういう厳しさを持ってこの資料をやはり見ていただきたい。  しかも、先ほど来議論されておるように、これは時効の問題もある話ですから、どんどんもう告訴、告発ができなくなってしまうわけですね。もうできないんでしょう、さっきの偽造の納税証明書の話だって。そうしたらやり得じゃないですか、これは。これは厳重に、もしまだ間に合うんだったらぜひ告訴、告発をやるようにお願いをしたいと思っております。  それから……(発言する者あり)まだ時効消えてなければ、それはぜひやってください。五年ですからね、これは。平成三年から四年の調査、第一次の調査の方だと思いますから、間に合えばそれはぜひやっていただきたいと思います。  それから、大蔵省はこの調査を受けて、第一次再建、それから第二次再建、第二次再建策の後にこの平成七年の八月の調査があるわけですけれども、第一次の調査を受けて、大蔵省がこの再建策に対して関与をする。私は関与という言葉を使いますが、先ほどの午前中の質疑では、この住専の再建策についてはあくまでも当事者同士の話し合いで、大蔵省はそれをお手伝いしただけだというような表現になっておりますけれども、じゃ、お手伝いをしたのなら一体どういうお手伝いをやったのかということを、第一次のとき、第二次のとき、まあそのとき西村さんは銀行局長じゃなかったということもあると思いますが、伝達しておる範囲内で結構ですから、どういう大蔵省はお手伝いをしたのかということをお教えいただきたいと思います。
  316. 西村吉正

    西村政府委員 私の聞いておりますところでは、第一次調査は、先ほども申し上げましたように、初めて住専に関して旧出資法に基づいて立入調査をしたときでございます。その結果について、必ずしも住専に対して御注意を申し上げたという以上の措置をとったというふうには伺っておりません。(海江田委員「再建計画」と呼ぶ一再建計画ですね。  再建計画につきましては、私は、第一次再建計画のときはほとんど民間会社の自主性に基づいて行われたというふうに伺っております。第二次再建計画に際しましては、この国会においてもたびたび御議論になっておりますように、計画を最終的にまとめるような段階で必ずしも関係者の間で議論がスムーズに進行しなかった、しかしながらその与える影響が大変憂慮されたということで、関係者の御議論を促すために農水省と大蔵省がお手伝いをした、議論を進めるための環境整備を行ったというふうに伺っております。
  317. 海江田万里

    ○海江田委員 いずれこの問題は、参考人になるのか証人になるのかわかりませんけれども、やはりそこで議論をしないと決着のつかない問題だと思いますね、これは。ですから、そのように恐らくお取り計らいがあると思っておりますが。  私、どうしても一つだけわからないのは、まあこれは結果的に、とりわけ第二次の時点で整理をしませんで問題を先延ばしにしてきたわけですよね。法的処理をしませんで問題を先延ばしにしてきたというわけですけれども、これはどうしてあそこで処理をしないで先延ばしにしたのかなということをずっと考えておりまして、これ、大蔵省、お手伝いでもいいんですけれども、先延ばしをしたその一番の理由というのは大蔵省はどういうふうに認識をしておりますか。
  318. 西村吉正

    西村政府委員 私は必ずしも先延ばしをしたというふうには理解をしておらないんでございますが、当時の状況判断あるいは関係者の問題意識からいたしまして、当時の住専問題の処理としては、十カ年の再建計画という形でこの住専の再建を図っていくというのが最もふさわしい解決方法であるという関係者の意識が一致したがゆえにああいう方策がとられたということで、決して先延ばしという意識は当時の関係者にはなかったと理解をいたしております。
  319. 海江田万里

    ○海江田委員 まあ、なかなか今の答弁は、本当に官僚答弁の模範みたいなもので、いろいろお話をするけれども、中身が全くないということで、何を言っているのかわかりませんけれども。  ただちょっと、一つここで、よく出ておりますのは、十年なら十年、少なくともその時点でこの整理をしませんで再建をしておれば、土地の値段が上がるんじゃないだろうかということを考えていたというような議論というか理由づけがあるんですけれども、あれ、本当にそうですがね。例えば平成五年、一九九三年二月が第二次再建計画策定ですけれども、この第二次の、この平成五年の時点でまだ土地が上がるというふうに考えておる人がいたんですかね。どうなんですかね、これは。これはどなた。——銀行局長で、はい、いいですよ。
  320. 西村吉正

    西村政府委員 必ずしも当時の担当者が土地が上がるとまでは思っていたかどうかということは私存じませんが、少なくとも、結果的に見てみますと、この三年間ぐらいで、毎年、例えば東京都区内の商業地に関して言えば十数%ずつ、二〇%近い下落を続けるというような状況になっているかと存じますけれども、そのようなことを予想する、前提とするというふうには考えていなかったと思います。  もう一つ、当時想定されていた状況と私ども判断とが食い違ってきたという点は金利であろうかと思いますが、当時、公定歩合で二・五%、過去最低水準と言われていたわけでございますけれども、そのような状況がさらに長い間下落を、金利の低下を続けるというような想定は、恐らくしていなかったのではないかと思っております。
  321. 海江田万里

    ○海江田委員 ここはなかなか金利の問題は難しいところがありまして、二・五から〇・五まで下がったわけですけれども、アメリカの金利の動きなんかもたしかそんなに高くない、低下の傾向ですから、この金利も必ずしも理由にならないと思うんですけれども。  あとやはり土地の問題で、もし当時、土地が上がるということを前提に再建計画を、まあ大蔵省が言うとおりでいえば、その当事者同士の話し合いでそういうことを前提にしてこの再建計画を立てていたということで、それに大蔵省がお手伝いをしたというようなことがあると、これは政府全体の方針と全然違ってしまうわけですよね、これは。政府はもっとさらに土地を、土地白書なんかで書いていますけれども、土地の利用価値に相応じた適正な水準まで地価を下げるというのがやはり当時の方針なわけですからね。だから、その土地の値上がりに期待をして再建計画を立てたということで、そしてそれを、大蔵省がそういう前提の再建計画に力をかしたということになると、これは重大な、大蔵省自身が政府方針に対する違反をすることをやっていたというふうに私は思うんですが、いかがですか。
  322. 西村吉正

    西村政府委員 これは、土地の価格を維持することを目的としたとか意図したということではございませんで、恐らくその計画を立てるに際して、今後地価の動向としてどういうふうに見込まれるかということを判断したにすぎないと思います。何らかの意図が含まれていたというふうには理解をいたしておりません。
  323. 海江田万里

    ○海江田委員 まあ今、意図の話が出ましたけれども、私、何でこの第二次の再建計画が、私の認識では先延ばし、問題解決先延ばしということですけれども、になったのかなということでずっと考えておりまして、いろいろな方にも意見を聞いてみたんですね。  そうしましたら、これはちょっと辛らつな意見なんですけれども、要するに、住専にはもちろん大蔵省のOBがたくさん行っておられる。先ほどもお話をしましたけれども、もう第一次の調査のときから法律違反は幾らでもある。そうすると、やはりこれは大蔵省のOBが、例えばこの平成五年なら平成五年のところで処理をしてしまうと、当然いろいろな法的な問題というのは出てくるわけですよね。そうすると、ここでやはり法的な処理をしてしまうとそういう問題が出てくるから、これはなるべく先延ばしをして、そしてさっきも話が出ましたけれども、要するに、時間稼ぎで時効に入っていってしまうんじゃないだろうか、その時効の時間稼ぎのために先延ばしをしたんじゃないだろうかなんというようなことを言う人までいるのですね。この意見、私は一〇〇%実は信じたくないんですよ、そんなことがあってはいけないんですけれどもね。  どうですか、大蔵大臣。何か適当な、本当に正当な理由があって先延ばしをしたということであれば、それはそれで納得できるんですけれども、何かその理由もはっきりしないということになると、そういう見方をされてもこれは反論できない状況ですね。いかがですか。
  324. 久保亘

    久保国務大臣 そのようなことがもし考えられたとすれば大変重い責任を負うものだと考えておりますが、私は、そのような判断があったとは考えておりません。
  325. 海江田万里

    ○海江田委員 まあ考えたくないと言った方が正確だろうと思うのですけれどもね、これは。  ただ、本当に、平成四年とか平成三年とか、この調査の報告が出てから、大蔵省OBの方は、それこそ堰を切ったように役員から逃げ出していると言った方が正確でしょうね、これは。ほとんど姿を消してしまっているんですね。立つ鳥跡を濁さずというけれども、そんなようなきれいなやめ方ではなくて、やはり羽音に驚いて逃げ出したというか、何かそんなような感じなんですね、これは。だから、これはこれから本当に証人喚問なり参考人に対する質疑の中で、やはりこの問題はきちっと事の本質というか事の是非を明らかにしなければいけないと思います。  それから、きょうは日銀総裁にお忙しいところをお越しいただきましたけれども、日銀は今回の住専処理スキームにはほとんど前面に出ていらっしゃらない、これはもっともなわけですね。前の二信組のときですとかコスモ信組ですとか木津信組の場合は、これはもちろんその対象になりますのが金融機関ですから、日銀としては積極的に関与をして、そしてできるだけ立派なスキームをつくろうということでいろいろ努力をされたということはよく承知をしております。  そして今回は、そういう意味では金融機関ではありませんから、これは住専が。ですから、前面に出て処理スキームをつくったということではないと思うのですけれども、私のそういう理解でいいのですか。それとも、もし違っておりましたら、このスキームに対する日銀の関与ということについてお話を伺いたいのですが。
  326. 松下康雄

    ○松下参考人 住専問題は、今もとより我が国金融システムの全体の安定にとりましての大きな脅威となっているような問題でございますから、この早期解決が我が国の金融システムに対します内外からの信頼の維持ということを図っていきますために非常に重要な課題であるということは、私どもも痛感をいたしているところでございます。  また、住専問題は、処理すべきロスの額も極めて多額でございますし、多数の関係者の利害関係が錯綜しているという事情もございますので、解決はなかなか容易でないということも、もちろん当然のことでございます。  私どもといたしましては、そういう全体の問題に対応いたしまして、日本銀行といたしましての業務の範囲におきまして御協力を申し上げられる点につきましては御協力を申してまいりますし、また、私ども銀行の使命の中には信用制度の保持育成ということも入っているわけでございますから、そういう基本的な考え方に基づきまして、いろいろ御相談を受けるところ、また御意見を申し上げるべきところはそのようにして、この処理のスキームづくりの御相談にあずかっていると申しますか、御協力を申し上げているわけでございます。
  327. 海江田万里

    ○海江田委員 総裁、じゃ、このスキームづくりにあずかっている、あずかっていたというふうに受け取っていいのですか、これは。そこだけ。
  328. 松下康雄

    ○松下参考人 このスキームの関係金融機関の中には平常私どもとの取引関係がないところも多数ございますし、また財政資金の問題その他私どもの業務の範囲外のものもございますから、それらも含めましてあずかっていたとは申し上げられないと思いますけれども、私どもも密接な関係を有する中央銀行といたしまして、その立場から御相談あるいはまた事情をお知らせいただくというようなことをいたしていたわけでございます。
  329. 海江田万里

    ○海江田委員 その信用秩序の維持育成というのは大変重要なお仕事ですから、そういう意味での関与というのはあったというような認識を持つのですが、ただ、私の見方では、今回は、先ほどもお話をしたような理由で前に出るのではなくて少し退いたところから全体を見ていたかなと思うのですけれども。  先ほど総裁のお言葉の中にもありましたけれども、やはり日銀というのはそういう意味では金融のプロの集まりで、しかも、恐らくこういうことがあるのではないだろうかということを、もう何年になりますかね、五年から七年ぐらい前からですか見越して、信用機構局というのをわざわざ機構の中につくって、そしてこういうことに備えてきたと私は思うのですけれども、そういう金融のプロから見まして今回のこの政府案のスキームですね、これはどうですか。ベストのものだと、わかりやすく言えば百点でつけると百点だということを自信持って言い切ることができますか、どうですか。
  330. 松下康雄

    ○松下参考人 先ほど申し上げましたような非常に困難な大きな問題に対しまして今般の具体的な処理方策がまとめられたわけでございますけれども、この処理方策を策定いたしますに際しましては、関係金融機関等直接の当事者だけでなしに、政府・与党も含めました関係者によりまして真剣な協議が行われた結果の、調整の結果の処理案であるというふうに理解をしているところでございます。  当該の処理方策の中には、関係者による最大限の負担を前提としまして財政資金投入するということも含まれておりますが、この点につきまして、大きな論点でございますけれども、以上のようなこの処理方策に至ります経緯あるいは問題の早期解決の必要性というような点から判断をいたしまして、やむを得ない決定であったというふうに判断をいたしております。
  331. 海江田万里

    ○海江田委員 今、やむを得ない決意だったのじゃないだろうかというお言葉がありましたけれども、本当はこれ、論理的に詰めるところは詰めていかなきゃいけないのですね。  当初、これは橋本総理大臣も、たしか就任されまして最初の記者会見では、修正母体行主義だ、今回のこの処理はということをおっしゃっていましたよね。ところが、いつの間にかその修正母体行主義でやったんだという話はどこかへ行ってしまいましてね、これは。今のこの処理方式をもし名づけるとすればどういうふうに名づければいいのですか。     〔委員長退席三野委員長代理着席
  332. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、確かに修正母体行主義というような呼び方以外にないと当時思って、そういう言葉を使いました。今も議員から、先ほどからの御論議を踏まえながら適切な名称と言われますと、とっさに、やはり同じように申し上げることになろうかと思います。  ただ、母体行あるいは一般行というような議論が積み重なってきた今日になりますと、修正母体行主義という言い方が必ずしも的確な内容を表示しなくなっているということは事実だろうと思います。
  333. 海江田万里

    ○海江田委員 まさにそこのところが、話がややこしくなる出発点なんですね。  今のこの処理方式を名づけるとすれば、今、後ろの委員からも発言がありました、これはぎりぎり主義だという意見もあったけれども、ぎりぎり主義だけでもないんですよ。やはり一番基礎になるのは修正母体行主義なんですね。修正母体行主義にこの系統のところが、ぎりぎり主義が出てきちゃったんですね。だから私は、名づけるとすれば修正母体行プラスぎりぎり主義だと思うんですが、いかがでしょうか。
  334. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 あわせてやはり修正母体行主義と呼ぶべきではないでしょうか。
  335. 海江田万里

    ○海江田委員 どうしてそういう話をするかというと、例えば、一般行の損失の部分はやはり修正母体行主義だということを、この委員会に出しました資料にも書いてあるわけですよ、あの一兆七千億というのは。しかも、その一兆七千億は、実は二次損失の分、二次ロス分も入れたものであることはもうはっきりしたわけですけれども。本来だったら、やはり私は、その二次損失分も含めて、まあ二次損失が今幾らになるかということがわかっていないということですけれども、最初の一兆二千億円、この一兆二千億円を含めてトータルで七兆六千億ぐらいになりますけれども、この七兆六千億も含めて、これはやはりまず修正母体行で一応計算をしてみた方がいいと思うんですよね。  それはどうしてかというと、まだ議論をしておりませんけれども、私は議論しておりませんがこれまでの当委員会での議論もありましたけれども、これはやはり農協系統系も若干問題はあるんですよ。全く問題がないわけじゃないんですね。  ちょっとその問題で一つだけ確認をしておきますけれども、この系統系の問題点というのは、一つは、一九八〇年の十月に大蔵と農水が通達をつくっておりますね。「信用農業協同組合連合会の農業協同組合法第十条第九項第三号に規定する「その他の金融機関」に対する貸付け」通達というもので、これは住専をいわゆる金融機関貸し付けに位置づけをするという話ですけれども、ただ、住専金融機関貸し付けに位置づけをしましたけれども、この場合、資金の使途は住宅ローン原資に限定したものを金融機関向けとするというような規定があることは、これはもう今さら話をするまでもないことだと思いますけれども、その後のこの系統系の住専に対する融資はやはりこの通達違反ではないかという認識を私は従来から持っておりましたし、それから、今度当委員会に開示をされました資料によってますますその感を強くしたわけですね。  ところが、これまでの答弁では、いや、この融資はいわゆる住宅ローンの周辺についての融資であってこの通達に違反をしていないんだということをずっと繰り返されてきましたけれども、私は、やはり通達の違反があった、それもそんな少ない数じゃなくてかなりの数あったということを、特にこの資料を見てからそういう確信を強めざるを得ないんですけれども、そこのところはいかがですか。
  336. 堤英隆

    ○堤政府委員 ただいまの点につきまして、今お話ございましたように御答弁申し上げているわけでございますけれども、五十五年通達では、「住宅の取得に必要な長期資金の貸付けのため」というふうになっております。  これは、必ずしも個人住宅ローンということに限るわけではございません。この点は一貫して私ども理解をいたしておるところでございますが、私どものこの住宅の取得に必要な資金といいます場合には、例えば私どもが住宅を取得します場合に、個人で住宅ローンを借りて取得する場合もございますし、それから住宅開発事業者の方々が宅地開発をされまして、その宅地を分譲という形で受け取る場合もございます。それからさらに、住宅開発事業者の方々が宅地開発、さらにその上に住宅もあわせまして住宅の分譲という形で消費者の方々国民方々が住宅を取得される場合の住宅の資金もございます。  そういう意味で、この通達におきましては、広く住宅の取得に必要な長期資金というふうなものというふうに理解をいたしておりまして、一貫してその点についてはそういう考え方で運用をしてきております。
  337. 海江田万里

    ○海江田委員 今の話は、この立入調査結果が出るまではそれでもよかったかもしれませんよ。ところが、この立入調査結果が出て、ここにはっきり書いてあるじゃないですか。例えば、この第一次立入調査結果で、総合住金のこの調査報告書の中で、また、業種別に融資状況を見ると、ラブホテル、パチンコ店など住宅に全く関係のない業種への融資が多いことであるというふうに書いてありますね。これはどうなのですか。このラブホテルやパチンコ店などもやはり住宅関係だというふうにおっしゃるのですか。
  338. 堤英隆

    ○堤政府委員 これはきのうも申し上げたのですけれども、私どものこの通達の範囲は、あくまでも今も申し上げました個人住宅ローンと宅地開発事業者等が行います宅地開発並びに住宅建設資金ということでございまして、ゴルフ場でありますとかパチンコ店でありますとか、そういうものはこの中に入っていないというふうに理解をしております。
  339. 海江田万里

    ○海江田委員 だから、あれでしょう、住宅以外のものもあるということですよね。明らかにあるのですよ。農水大臣が頭を、そのとおりだとうなずいておりますから、やはりそこのところを、頭の中でずっと聞いているだけじゃだめですから、ちょっとこっちへ来てしゃべってください。
  340. 大原一三

    ○大原国務大臣 正直に申しまして、我々融資内容を逐一チェックする立場になかったわけでありまして、先ほども質問ありましたように、今度の調査結果を見まして、正直言って我々も驚いているというのが実情でございまして、その辺、大変残念至極であります。
  341. 海江田万里

    ○海江田委員 それから、やはり通達違反があったということで、この通達は九三年の四月に新しい通達に衣がえをされるわけですけれども、事務的な手続だ、事務的な必要性から衣がえをしたのだということを、先ほど来お話がありますけれども、あそこでもって、はっきりとあの通達で貸金業、いわゆる金融機関貸し付けに位置づけをするということ、これはもう非常に明々白々な記述ですから。それと、やはりこの調査を見て、あるいはこの調査を見なくても住専の融資の状況というのはわかるわけですから。  そうすると、やはりこの通達ではまずいな、もう少し表現を変えなければいけないのではないだろうか。ただ、表現は変わっていますけれども、その中で特に重要なのは、この新しい通達の精神というのは、住宅関係の融資にすべきだということを何度も書いておるわけですよ、新しい通達をまじめに読んでみれば。「貸付けに当たっては、本制度の趣旨に即し、適切な貸付けが行われるようにするとともに、公共的開発整備に資するものについて優先的に行うこと。」とか、それから「安易に融資を大口化させて資産内容又は資金繰りの悪化を招くことのないよう慎重を期するとともに、」とか、やはりそういう、しまったな、これは通達に随分違反をした貸し付けがあったなということがわかっていて、そしてこういうふうに改めたのだというふうに理解をするのが妥当だと思うのですけれども、農水省、この通達の変更について、まだ事務的な手続だけということでしょうか、どうでしょうか。
  342. 堤英隆

    ○堤政府委員 これは、平成五年の四月一日の通達のことだと思います。これは、信用農業協同組合連合会の行う事業に関する指導要綱ということでいろいろな通達を一本にまとめているものでございます。  これは、ここにございますように、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律というのが平成四年にできたわけでございますが、それを機に、さまざまにごたごたありました通達を一本にまとめまして、いわゆる整理統合ということで、行政簡素化といいますか、整理統合していこうという趣旨でまとまったものでございます。したがいまして、それまでの通達等いろいろ各般のものを整理をいたしておるわけでございますが、その中に廃止するべきものは廃止していこうということで整理をしてございます。  同時に、平成五年の段階におきましては、住専に関しましては、御案内のように、再建といいますか、そういう再建計画ができた段階でございますので、新たな融資はもうないということでございます。したがいまして、今まで貸しておりましたものについては、一応金融機関貸し付けという位置づけにしておかなければならないという事務的な整理のためにこれを残してございますけれども、それだけの意味でございます。
  343. 海江田万里

    ○海江田委員 やはり農協系統にも貸し手責任というものはあるのですね。全くないということは言えないのですね。農協系統の貸し手責任もあるのだということから出てきたのが、これが修正母体行主義なんですよね。  そこのところで、まず修正母体行でもってどのくらいの系統の負担になるのかということを本当は算出をして、そこでもって、じゃこれでこれだけの金額が出た。例えば、さっきお話をした二次ロスに回した一兆二千億と、それから一次ロスの六兆四千億、トータルしまして七兆六千億円、これを修正母体行で計算をすると、例えば母体行が三兆六千億とか一般行が一兆七千億、これはもうそのままですね、計算のとおり。このもとになっているのだから。農協系統が二兆三千億とか、やはりそれくらいの金額が出てくるわけですよ。この二兆三千億が、じゃ本当に農協系統が負担をしたときにたえられるのかといったら、これはそこからやはりたえられないという声が出てくるわけですね。  そこで、この間の議論の中で一つはっきりしたのは、住専に貸し付けをしました母体行の紹介融資ですよね。これはきのうのお話で、九〇%が不良化をしているというお話がありましたよね。そうしたら、やはりこの場合、紹介融資をして、母体行が、つまり親の言うことですよ、親の言うことを子供に聞かせようとした。久保大臣、鹿児島ですから、親の言いつけがどれくらいきついかということはよく御存じだろうと思いますけれども、その親の言いつけを子供にとにかく押しつけた。しかも、その九割が不良債権として焦げついているということになれば、この母体行の負担額というのが、債権を全額放棄をするだけじゃなくて、やはりそこの部分、自分たちがやって、紹介融資をして、そしてそれが焦げついたところは責任をとるべきじゃないだろうか、その分、系統の負担を軽くすべきじゃないだろうかという議論は当然私は出てくると思うのですけれどもね。  日銀総裁、まだいていただいてありがとうございます。大体一兆円ぐらいだろうと思うのですね、これ計算しますと。もっと本当は精査していかなきゃいけないのですけれども、それぞれの融資があって、その九割が焦げついているということでもし母体行がさらに一兆負担がふえた場合、この母体行から金融不安というものは発生しますか、どうですか。
  344. 松下康雄

    ○松下参考人 その点は、数字的にこういう割合でございますから問題がどう起こるかという問題のほかに、金融上の不安というものは、金融システムは全体が一つのつながりで絡んだものでございますから、その一部分に大きな深刻な不安が起こりますと、それは非常に容易に他の部分に波及してまいります。  そういう点から申しますと、日本金融システム全体におきまして、この住専問題のような大きな問題が発生しましたときに、そのリスクがどこに生じてくるかという点は、むしろシステム全体のリスクが発生する懸念が非常に大きいというふうにとらえるべきであると思っております。
  345. 海江田万里

    ○海江田委員 当然、本当は日銀はやっているのですよ。さっきお話をした信用機構局というのがまさにそういうことを、全部データを積んでそういうことをやっているわけですよ。一兆がどういうふうに割り当てをされれば——笑ってうなずいておられるから、そのとおりやっておるのですよ。やっていなければこれまた職務怠慢になるから。  だから、本当はそういう資料を開示をして、それでもってこの一兆の負担ならばたえられるのだと。だけれども、一兆をやっていくと、ここのところとここのところと、ここいらが一つ二つやはり危ないかもしれないよ、名前なんか言う必要はないのですけれども。あるいはそういうときは本当に秘密会でもいいですよ、これは。国の経済システムにかかわることですから、委員だってそんな軽々に口外したりしませんから。  やはりそういうような議論をやっていかないと、きのうせっかく出た、九割も、四〇%とかいろいろその割合はそれぞれの住専ごとに違いますけれども母体行の紹介の融資があって、しかもその九割が焦げついているということがわかって、そういう議論がどういうふうに今回の処理スキームの国民の合意を取りつけるために資することになるのかといったら、何にもならないんですよ。また怒っちゃうんですよ、ああいう数字が出てくれば。とんでもないという話にまたなるんですよ。せっかく委員会を開いているんですから、やはりそういう前向きな議論をしていただきたいのです。  銀行局長、どうですか。仮に一兆円が、この母体行が負担をするということになったら、これはやはりどうしてもできない話ですか、信用システムにひびが入りますか。
  346. 西村吉正

    西村政府委員 今回の処理方策を決めるに際しても、いろいろな立場からのいろいろな議論があったわけでございますが、今御指摘の問題は、一つは、それが金融システムにどういう影響を与えるか、その場合に母体行も影響を受けるのかという、そういういわば負担力とか影響という面からの検討が一つあろうかと思いますし、他方においてもう一つ、そういう負担を負うべきかどうかという御議論も当事者の間にはあろうかと思います。その二つの観点から議論を進める必要があろうかと存じております。
  347. 海江田万里

    ○海江田委員 負担を負うべきかということは、きょう、与党の委員の皆さん方も、ずっと本当に議論を熱心に聞いておられて、あるいは発言をされておわかりになったと思いますけれども、やはり可能性として考えてみることは私は必要だと思うのですよ、真っ先にこれは。皆さん、うなずいておりますよ。これはやはり皆さん代議士ですから、国民から選ばれているから、国民の声を一番よくわかっているのですよ。  そこのところを、可能性の、負担を負うべきかどうかなんという話になっちゃうと、これは全く銀行サイドになって、さっきの十七万五千円のチケットを買ってもらったからとかそういう話に結びついちゃう話なんで、これは本当にぎりぎりまで、ぎりぎりだというのならば、やはり母体行の体力の点からも考えて、そういう可能性がないのかどうなのかということはもっと精査して、そして、やはりこういう場ではっきりと話をすべきじゃないですかね。今の話なんか、もう本当に随分前の話ですよ。もうそこを通り越して話が進んでいるのですから、これは。
  348. 西村吉正

    西村政府委員 私ども、この問題を詰めます段階におきまして、まさにその母体行に対してもぎりぎりの努力というものを求めたわけでございます。  その場合に、負担すべきかどうかという表現が的確かどうかわかりませんが、法的に株主代表訴訟とかそういう観点から、たえ得るような負担であるかどうかというような御主張もございました。これは決してそういう方たちのお立場に立つとか、そういう問題とは別に、やはり最も適切な答えを出す上で、そういう問題点についても十分考慮をする必要があろうかと存じております。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  349. 海江田万里

    ○海江田委員 株主代表訴訟はやらせればいいんですよ、本当のことを言って。私は、株主代表訴訟は禁じるべきじゃないと思っているんですよ、これはもう本当に資本主義の原理原則ですから。やらせて、それでもって、だけれども、ここのところは本当に国家の、日本国の金融システムを守るために必要だったということをちゃんと論証できるのなら、法廷の場でもって論証できれば勝つじゃないですか、勝訴するじゃないですか。代表訴訟を恐れちゃだめなんですよ、これは。  ただ、代表訴訟で負けないために、どこまで緻密な論理的な組み立てをやっていくか、資料を集めていくかという努力をすればいいんで、そこのところをしもしないで、代表訴訟があるから、代表訴訟があるから。そういう発想になったら、代表訴訟をつぶせばいいという話になるでしょう。そんなもの許される話じゃないですよ。
  350. 西村吉正

    西村政府委員 そういう訴訟にたえ得るかどうかという御議論であったわけでございます。したがって、そういうぎりぎりの負担の限度ということで、貸し出しをしておるものすべての権利を放棄するということが限界であるということになったわけでございますが、しかし、他方において、それを上回るような協力というものも、低利融資あるいは拠出金という形で金融システム全体を守るために資金を提供していただく、そういうような御努力もお願いし、また御賛同を得ているわけでございます。
  351. 海江田万里

    ○海江田委員 何言っているかさっぱりわからぬですね、これは。困りましたね。何かすごく、前にもお話ししたと思うんですけれども西村さんはむだな努力をしているような気がするんですがね、本当に。中国の言葉で、前もお話ししたかもしれませんけれども、火を紙で包むようなものだというんですね。もう燃え上がっちゃうんですよ。火を紙なんかで包むことはできないんですよ。何かそんなようなことをやっているような気がしてならないんですがね。  それから、農協系統もぎりぎりだ、ぎりぎりだということをずっとおっしゃっておられて、だけれども、そのぎりぎりだということの根拠というのは、まだまだやはり国民は納得をしていない。  それからもう一つ、さっき出ました農水産業協同組合貯金保険機構、これが一千億からあるわけですから、今回、何か法的に全くこのお金を今回のようなときに使っちゃいけないという話だったんですか、これは。やはり、何で使えなかったのかということは、どうも得心がいかないんですけれどもね。
  352. 堤英隆

    ○堤政府委員 農水産業の貯保自体は、もともと貯金の払い戻しを停止した場合の保険金支払いとかそういうことの用でございますので、今回の事態はそういう事態ではもともとないわけでございますが、今回、私どもとしましては、やはり住専処理策ということにつきましては、別途ございます預保の保険の機構の対象金融機関でございます地銀や都銀といったものの子会社たる住専経営破綻に係る支援ということがあって、恐らく、先ほども銀行局長お話ございましたけれども、預保を拡充しながら手当てするというふうになされたものというふうに、私どもはそういうふうに理解をいたしております。
  353. 海江田万里

    ○海江田委員 農水省の考え方はよくわかりました。本当に悪くないと思っているんですね。しかも、覚書があるからと。鬼の首をとったようにこの覚書があるからという、論理の根拠に入っておるんですね。  ただ、覚書については、先ほども議論がありましたし、国家公務員法違反で訴える訴えないの話もございますけれども、ああいう覚書を結ぶことの根拠というもの、これはやはりないんですよね、どこにも。  きょうの、これは産経新聞が指摘をしておるんですか、農業基本法という法律があって、その農業基本法の中で農水省が農協に対してできることというのは全部列挙してあるわけですけれども、私もとって見てみたんですけれども、やはり、そこに農協系統信用秩序の維持を農水省がやらなきゃいかぬということはどこにも書いてないんですよね。しかも、あの覚書というのは、まさにその系統系の信用秩序の問題に踏み込んで覚書を交わしているわけですから、どういう根拠に基づいてああいう覚書を交わしたのかということを、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  354. 堤英隆

    ○堤政府委員 この点につきましては、銀行局長からお答えがあった考え方と、私ども全く同じでございます。  当時、住専処理をめぐりまして、当事者間の協議が非常に難航するという中で、金融システムの安定性維持ということでそういう合意形成を求める声が各方面から非常に大きくなりまして、そういう中で、農林水産省、大蔵省両方が、当事者間の協議が円滑にいくようにということで議論の整理をするということでございまして、これに尽きるわけでございます。  あくまでもそういうことでございまして、当事者間の権利義務関係を規制したりするというものの覚書の性格ではないというふうに理解をいたしてございます。
  355. 海江田万里

    ○海江田委員 いずれこの問題は本当に、まあ証人喚問の方がいいんじゃないですかね、これは、そう思いますが、参考人か証人かできちっと黒白がつく問題だろうと思いますけれども。  最後に、総理、やはり農協系統のこの責任問題というもの、これを、今の農水省の経済局長がお話をしたような話だけでいいのか。本当にもうガードをがっとかたくしていますけれどもね。政治家として一言お願いしたいと思います。
  356. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今の時点で当時の系統金融機関の融資体制というものを振り返りましたときに、少なくとも金融機関として相手をもっと十分に調べて融資をすべきであったといったような問題点は、当然私は系統金融機関としても反省してもらわなければいけないところがあると思います。ただ、往々にして、その部分を論ずることが、要するに住専問題処理の中の責任問題と置きかわってしまって議論をされること、これは私、ちょっとまた別の問題だろうと思います。  いずれにいたしましても、今日の時点で振り返りますとき、その系統金融機関におきましても融資対象たる住専の内容等に対し審査の不足したという、それは私は、農水省も先ほどから聞いておりましてもその責任を回避しているとは思いません。
  357. 海江田万里

    ○海江田委員 はい、ありがとうございました。  時間ですので、終わります。
  358. 上原康助

    上原委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  次に、今村修君。
  359. 今村修

    ○今村委員 社民党の今村であります。  私は、住専の問題と十二月に事故を起こした高速増殖炉「もんじゅ」の事故の問題についてお伺いをしたいと思います。  最初に、時間の配分の関係もありまして、「もんじゅ」の事故の問題についてお伺いをしたいと思っています。  昨年の十二月の八日に発生をした高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故、この事故は原子炉の安全性にかかわる大変重大な事故であったわけであります。しかし、それだけの重大な事故でありながら、発生後の動燃の事故の処理、地元への通報、情報の公開、あるいは一連の事故を矮小化し事故を隠そうとするそういう行動は、国民にとって大変な原子力行政に対する不安と不信を招いた事故でもあったわけであります。  この事故に対する総理の御見解をまずお伺いをしておきたいと思います。
  360. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は原子力開発というものを考えますときに、安全の確保というもの、これはもう欠くことはできないわけであります。それが大前提だと思います。そして同時に、国民との、特に地元の方々との信頼関係というものがなければ原子力開発というものは進みません。  今回の「もんじゅ」の事故というものは、大変私どももその第一報を受けたときにびっくりしたことでありますけれども、その後の一連の動燃の対応というものについては、私どもも、なぜそういう行動をとったんだと率直に感じました。そして、それが地元の方々国民の非常に多くの方々に対し、不安感、不信感を与えているという結果になったことを大変残念に思っております。  この事件に関しましては、何よりもまずやはり今後徹底した原因の究明を進めていく、そして万全の安全対策を講ずる、同時に、積極的なかつ速やかな情報の公開などによりまして、特に地元の方々を初め国民各位に対して理解と信頼を、一たん失ってしまった信頼をもう一度取り返すための努力をしていくことがまず大前提だと思います。
  361. 今村修

    ○今村委員 この事故を振り返ってみるときに、今、日本の原子力行政が抱えている体質的なものが出ていたのではないか、こういう気がするわけです。  地元福井県ではこんなことが言われ続けてきたそうであります。関電は言わなくてもデータを出す、原電は言えば出すが、言っても出さないのは動燃だ、こう言って、これまでも地元福井県や敦賀市では、動燃の対応に対して大変な怒りというのですか、そんなものを内蔵させてきた。特に、この事件が発生して、県や地元の市は怒り心頭に発した、もう動燃の言うことは一切信用しない、こんな状況にまでなったわけであります。  そういう点では、この体質を直さない限り再びこんな状況というのはあり得るのではないか、こう思うわけでありますが、この体質という問題について、もう一言総理の方からお答えをいただいておきたいと思います。
  362. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は動燃の体質自体を十分存じておるわけではございませんので、その点については科学技術庁長官からお答えをいただきたいと思います。  ただ、いずれにいたしましても、地元の方々の信頼を回復しない限り原子力行政というものは進みません。この「もんじゅ」の問題に関しても同様でありまして、そうした点で、もし議員が御指摘になるような体質があるならば、それを直すように全力を尽くしてもらわなければならない、そう思います。
  363. 中川秀直

    ○中川国務大臣 ただいま委員指摘のとおり、今回の事故につきましては、事故の発生はもとより、その後の情報公開の不手際などによりまして、総理もおっしゃいましたが、国民各界各層、また特に地元の多くの皆さんに不安感、不信感を与える結果を招来した、このように認識しております。その意味で、動燃事業団の責任は重いものがある、このように考えておりますし、また、その責任の明確化も責任者として避けられるものではない、このようにも思っております。  しかし、今なすべきことは、総理先ほど御発言ございましたが、ともかく、今回の事故そのものについて信頼を回復していくための原因究明、あるいはまた安全対策を万全に打ち立てていくこと、そして、二度とこのようなことを起こさない情報公開の仕組みをつくることである、このように考えております。
  364. 今村修

    ○今村委員 この事故の解明が今行われているわけであります。ただ、この事故を振り返ってみると、事故そのものも大変でありましたが、想定をしていた事態とは全く違う現象が次から次へと起きた、こういう経過にもなっているわけであります。そういう点では、こういう一連の対応策を、対策を今後講じていかなきゃならぬと思っています。  とりあえず、事故の原因解明がどの程度まで進んでいるのか。特に、原因は、温度検出器の振動による金属疲労のため、この温度計のさやが折れて、そこからナトリウムが漏えいをした、こう言われています。これは設計上のミスなのか、あるいは施工上の技術的なミスなのか、これによってはこの高速増殖炉、基本的な問題にまで発展をする、こう思うわけであります。  この事故原因、どこまで解明になっているのか明らかにしていただきたいし、このさやの振動試験は行われていなかった、こう指摘もされています。そういう点では安全審査そのものにもこれは問題があったのではないか、こういう指摘も受けているわけでありますが、この点について明らかにしていただきたいと思います。
  365. 中川秀直

    ○中川国務大臣 委員御案内のように、今回の事故そのものは放射性物質を含まない二次系ナトリウムの漏えいでありましたので、放射性物質による周辺環境や従事者への影響はございませんでしたし、また災害防止上の観点からは、炉心の冷却も維持をされまして、原子力施設全体の安全は確保されたわけでありますけれども、御指摘のとおり、「もんじゅ」そのものがすべての面で高い信頼性を確保するということを今日まで申し上げ、また目指してきたわけで、現実に漏えいが発生したということは、その意味では大変重いことだと受けとめておるわけでございます。  そこで、原因究明等につきまして、当庁の原子力安全局を中心にタスクフォースという調査チームをつくりまして、特に十二月二十日からは原子炉等規制法に基づく立入検査として、漏えい原因の究明並びに先ほど御指摘のあったような漏えいを初期の段階で掌握をして火災を拡大に至らしめないような、適切に対処できなかったその事実関係あるいはまた事故時の動燃の対外的な対応、こういうものについてそれぞれ調査を実施しておるところでございます。  また他方、原子力安全委員会におきましても、十二月十日以降独自の立場から原因の究明及び再発防止のための調査審議を始め、そして、特に原子炉安全専門審査会の中に専門のワーキンググループをおつくりいただきまして、直接現地調査を実施する等、今検討をしていただいているところでございます。  これまでの調査では、二次主冷却系の中間熱交換器の出口部分に設置されたナトリウム温度計のさやの細管部分が折れ、その部分を通じてナトリウムが漏えいした可能性が最も高いと考えられております。  これにつきまして、本日ナトリウム温度計部の切り出し作業を開始しまして、これが大体金曜日ぐらいに終了する予定でございます。その温度計部分を十二日月曜日にはもんじゅ建設所から搬出をいたしまして、火曜日の朝に日本原子力研究所東海研究所に搬入をし、その研究所と金属材料技術研究所等の協力によりまして、電子顕微鏡等による破面調査、破れた面の観察調査、詳細調査を行うことといたしております。  また、原因究明に重要なデータとなる、破損したと考えられる温度計をくるんでおりましたさや部につきましても、その探索開始を現在「もんじゅ」の施設内で行っておるところでございます。  これらの調査を順次進める中で原因が明確になるものと期待しておりますが、なお、先ほど対象にしております三点につきまして、できれば今週中にも、とりあえずこれまで確認された事実関係を中心にしまして、取りまとめをいたしまして発表したい、このように考えております。  さや管の実験等については、専門の原子力安全局長から答弁させます。
  366. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  ナトリウムの温度計のさや管が破損したのは設計上のミスではないか、あるいは技術的ミスなのかといったような、あるいは安全審査に問題があったのではないか、こういう御質問でございましたのでございますが、二次系のナトリウムの温度計の構造につきましては疑問を呈する専門家も多いということは事実でございます。  そのさやの破損につきましては、現在原因究明を進めている段階でございまして、どのようなミスによるものかについては、原因究明が進む段階でだんだん明らかになっていくのではないか、こういうふうに考えているところでございます。  安全審査につきましては、原子炉施設の設計の基本的な考え方を審査しているわけでございまして、通常運転時はもとより、万一の事故を想定した場合にも一般公衆の安全が確保される、こういうふうな形で全体的な安全設計について確認しているところでございます。したがいまして、審査の際にさや管そのものの構造といったようなものにつきまして直接的に評価する、こういうことはいたしておりません。  今後原因が明らかになった段階におきましては、二度とこのようなことがないように、今回の事故から得られた教訓を適切に反映させるために再発防止策を講じまして、万全の安全確保に努めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  367. 今村修

    ○今村委員 次に、今回の事故、予想外に広い範囲に影響を及ぼした、こういう内容になっているようです。漏れたナトリウムが排気口を伝って一たん外に出て、また外から中に入り込んだ、こう指摘されているわけであります。ですから、予想した以上に被害の範囲が広がった、こう言われています。  今回の事故による損害の額、あるいは修理、改善の費用、一体どのぐらいになっているのか。一部報道などによると百億以上かかる、こうなども指摘もされているわけであります。  同時に、動燃はこの「もんじゅ」の運転に当たって原子力損害保険の原子力財産保険に加入をしていない、こう指摘をされているわけであります。ですから保険金はおりない、丸々これは持ち出しをしなきゃならぬ、こういう内容にもなっている。これは事実なのか、この内容について明らかにしていただきたいと思います。
  368. 岡崎俊雄

    ○岡崎政府委員 まず、第一点目の損害の額でございますけれども、先ほど大臣答弁にもありましたとおり、現在、もんじゅ建設所におきまして、ナトリウムが漏えいいたしました温度計部分の切り出し作業、並びに折れましたさや管の探索作業を鋭意進めているところでございます。したがいまして、まだ原因究明の緒についたところだと存じております。したがいまして、今後の安全対策等につきましての全体の損害額を算定する段階には至っていないということについて御理解を賜りたいと存じます。  次に、保険の問題について御指摘ございました。まず、原子力損害から一般公衆を保護するために加入が法律によって義務づけられております原子力の損害賠償責任保険、これにつきましては、既にもう動燃事業団は加入をいたしております。他方、先生御指摘の財産についてはどうかということにつきまして、原子力事業者が、財産に係る保険につきましては任意加入によりましてみずからの財産を守るために一つは先生御指摘の原子力財産保険というものもございますし、もう一点、試運転を含めました建設工事等のときの財産を守るための組立保険という制度もございます。  「もんじゅ」につきましては、この性能試験を今現在行っている段階でございます。本格運転を開始する段階で先生御指摘の原子力財産保険には加入する方針ではございました。しかしながら、まだ試運転段階である現時点におきましては、御指摘のとおり原子力財産保険には加入しておりませんけれども、一九八六年以来、組立保険には継続加入をしておるところでございます。  しからば、この組立保険が今回の事故によりましてどの程度カバーされ得るのかどうかということにつきましては、今後原因究明でありますとか、あるいは保険会社との話し合い等によって確定していくものであろうかと思っております。
  369. 今村修

    ○今村委員 次に、動燃、科学技術庁の責任問題についてお伺いをしておきたいと思います。  今回の事故の経緯を見ると、事故は絶対起きない、特にナトリウム事故は絶対あり得ない、こういう技術過信が結果として事故を大きくした、こういう経過になっているような気がします。その結果、できるだけ事故を小さく見せよう、炉の緊急停止はできるだけ避ける、地元自治体には連絡をしない、直後撮影したビデオを公表すると大騒ぎになるから隠してしまえ、こういう取り扱いをし、調査に入った我々衆議院の委員会にも結果として虚偽の報告をする、こういう内容になっていたわけであります。  この一連の経過を見ると、この取り扱いをしてきた動燃の責任は私は重大だと思います。同時に、これを追認をしてきた科学技術庁にも大きな責任があるものだと思います。この問題をめぐっては、大変不幸な事故なども発生をしたわけであります。しかし、現場の動燃の所長や現場の理事の更迭だけでこの問題は済むものではないと思っています。当然、責任の所在を明らかにする、そのことが必要だと思っています。  この責任問題について現時点でどんな見解を持っているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  370. 中川秀直

    ○中川国務大臣 先ほど、この事故についての見解、事故そのものに対しての見解は申し上げましたが、そういういろいろな意味で動燃事業団の責任は重いものがあると考えておりますし、また、委員指摘のその責任の所在の明確化についても、判断すべきときは判断しなければならないもの、このように考えております。  しかし、今なすべきことは、地元を初め国民の皆さんの信頼を回復するために、二度とこういうことを起こさない抜本的な業務改善をするということ、それから、およそすべての行政、またこういう原子力開発は国民理解とそして御協力なしには進められませんので、アカウンタビリティーと申しましょうか、透明性を確保するための説明をする責任というものをきちっと果たしていかないと理解は得られない。そういう意味で、情報公開の体制についても抜本的な体制をつくる、さらには原因究明や安全対策、そういうものにまず万全を期すということがとりあえず当面の責任であろう、こう思っております。  当庁といたしましても、法律に基づきましてそうした調査を徹底的にやり、そして事業団の業務遂行に対する指導監督というものも抜本的に強化をいたしまして、二度とこのような事態を繰り返さないということで責任を果たしてまいりたい、このように考えております。
  371. 今村修

    ○今村委員 この事故をめぐって、事故発生後、地元に入った当時の長官、地元へのおわびはなし、「もんじゅ」の運転再開のみを強調した、こういって地元の新聞に大変な抗議を受けるという状況がありました。また原子力安全局長、これは、安全協定に基づいて調査に入った県、市の立入調査を批判をした、こういって地元でまた取り上げられて、不信を増大をさせた。通産省の事務次官は、この事故は想定内の事故であります、こう発言をして地元の憤激を買う。科学技術庁の調査の中心になるタスクフォースのメンバーであります宮崎教授、小さなトラブルであり試行錯誤をやるのは当然だ、こう発言をして地元の憤激を買う。  こんな状況が次から次へと出て、地元はまさに怒り心頭、こういう状況が続いたわけであります。こういう状況はどこから出てきたのか。(発言する者あり)これは、体質、それもあります。  同時に私は、科学技術庁そのものがこの事故に対する重大性、そのことを認識をしていない。地元には、事故発生後五十分で県庁へ連絡が入ったわけであります。しかし県は、事故発生後なぜ直ちに我が方に連絡をしてくれないんだ、こう言って強い抗議をしたのです。科学技術庁に連絡があったのは、県に通報があった以上におくれて、一時間後に科学技術庁に連絡がありました。しかし、科学技術庁は連絡を受けても何とも感じない、こういう状況が続いたのであります。  結果としてこんな発言が次から次へと続いた、こういう状況になりました。地元の県が、大変な重大事故だといって走り回っているときに、原子力行政を責任を持って指導しなければならぬ部署が、事故の重大性に余り責任を感じていなかったという状況があったと思っています。そういう点では、その責任は強く問われなければならぬと思っています。  特に、この動燃には、科学技術庁を退職をした方五名、科学技術庁から副理事長を含めて出向者が十二名行っている、こういう状況になっています。この構図を見ると、今住専問題が大きな話題になっていますが、同じ仕組みだと思っています。仕組みを変えない限りだめだ。  これは、原子力行政、それを実際指導監督をする役所が科学技術庁であります。動燃は指導を受ける立場。事故発生して一番最初に調査をするのは動燃であります。また、検査するのも指導するのも科学技術庁。こんな状況では地元の理解を得るというのはなかなか不可能だ、こういう気がします。そういう点では、やはり仕組みを変える、こういうことが今強く問われているような気がいたします。それは、第三者から見て、なるほどあの検査は正しいという納得いける第三者機関をやはりつくらなければならぬ、そのことが今問われているような気がいたします。  私は、この一連の状況を見てくるときに、動燃と科学技術庁の責任は重大だと思っています。しかしこれは、今ある原子力行政の仕組みそのものを変えない限り、同じことをいつも繰り返す。ですから、第三者機関をつくって調査や検査をする、こういう機関を別途つくらなければならぬ、こう思うわけであります。このことに対する御見解をお願いをいたします。
  372. 中川秀直

    ○中川国務大臣 私も就任後現地へ直ちに参りまして、反対派の代表の方にもじっくりお話を伺いたい、こういうことで多数の方にお会いをして、ただいま委員指摘のような御見解も承ってまいりました。  今何よりも大事なのは、原子力の開発利用に当たっては安全が大前提であるということであろうと存じますが、ただいま委員指摘のその安全を規制していく体制のことでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、今回の事故におきましても、原子力安全局にございます「もんじゅナトリウム漏えい事故調査・検討タスクフォース」で調査をする一方、現に原子力安全委員会において、特に安全審査については専門家から成る審査会を設けて、このワーキンググループで行政庁が行った安全審査についてもダブルチェックをすると同時に、また現に現地にも何回も調査に行っていただいて、独自の立場でこれはお進めをいただいておるということでございます。  原子力安全局においては、所管の原子力施設について、設置許可等の安全審査、設計及び工事方法の認可、使用前検査、定期検査等、この安全規制において施設の安全確保に努める。また、安全委員会は、特に安全審査については、この審査会で行政庁が行った安全審査についてダブルチェックを行う。また、安全研究年次計画もつくって、これを推進して、得られた成果を安全審査に取り入れる。さらには、指針、基準の整備充実、こういうものに反映していく、こういうことで行政庁の安全規制をチェックして、我が国の原子力施設の安全確保がより一層向上するように努めているということでございます。  第三者機関というお話でございますけれども、実はこの原子力安全委員会も、総理府に設置をされた諮問機関でございまして、五人の委員は国会の同意を得て総理大臣が任命することとされている独立の第三者機関でございます。そして、事務局も、日常の業務をやります、先ほど冒頭お話しした安全局の規制担当課の部屋とは別の、全く別の原子力安全調査室というのが担当しておる、事務局も分けておる、こういう体制でやっておるわけでございます。  いろいろ、かつてアメリカでも重大事故が起きたときに第三者機関があった、スリーマイル島ではあったということも聞き及んでおりますけれども、私は、現在のこの体制でこのような規制体系は十分機能しているのではないかと考えておりますし、今後とも、いろいろな御意見を伺いながらではございますが、原子力の安全確保に全力を尽くしてまいりたい、こう考えております。
  373. 今村修

    ○今村委員 今御答弁をいただいたわけであります。ただ、先ほどもちょっと指摘しました、いろいろな発言を指摘をしました。あの発言を見ていく限り、地元の人たちは科学技術庁の所管の範囲でやられる以上信用しないという状況になっているんですね。やはりどんなに優秀な人でも、どんなにいい意見を持っていても、仕組みそのものが変わっていないとそれを生かすことができぬ、こういう状況になっているような気がします。  そういう点では、原子力行政を進めてきて、今全国に五十の原発、なおかつ数多くの施設を抱えるという状況になっているわけです。この状況を見たときに、やはりそのことをきっちり検査、調査をする、国民から見て公平に判断できるという第三者機関というのが必要になっている時代ではないか、こう思うわけであります。この点について、もし総理大臣の御見解があればお伺いをしておきたいと思います。
  374. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、本当に、この事故の話を聞き、今日までの経緯を見ておりまして、なぜ初動の段階において動燃が情報を秘匿しようとしたのか、それが故意なのか、あるいは処置に追われて連絡がおくれたといったようなことであったのか、それがだんだん積み重なったのか、まだ納得のいかない部分が幾つもございます。  しかしその後、私は、科学技術庁が一生懸命、原子力安全委員会とともにこの原因の究明に当たっておられるわけでありまして、いずれにしても、その原因の、こういう結果こうした事故につながった、これを再発を防ごうとすればこうしなければならないという結論を、少しでも早く聞きたいと考えております。  そして、議員に一つだけおわかりいただきたいと思いますのは、動燃から正確な情報が伝わっておらない限りにおいて、不完全な情報で発言を求められれば、その発言というものにはいずれにしても誤りを生じます。そうしたこともお考えの上、私は、この原因究明に全力をもって原子力安全委員会、科学技術庁が集中できますことを、そしてその結果を一日も早く、再発を防ぐ対策とともに国民に御報告をできますことを、そしてその中で地域の皆さんに、地域住民の方々に何よりもまず信頼を取り戻す努力をしてくれることを心から願っております。
  375. 今村修

    ○今村委員 ぜひとも第三者機関問題については御検討を強く要請をしておきたいと思います。  なお、この事故が発生をして、十二月の二十二日、当時の村山首相は、地元の理解がない限り、この「もんじゅ」については運転の再開はしない、こういう発言をしているわけであります。ぜひとも、地元の理解の得られない限り運転を再開しない、このことについては改めて橋本総理から同じお答えをいただきたい、こう思うわけでありますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
  376. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、冒頭の発言で同様の趣旨を申したつもりでありましたが、もし申し上げていなかったとすれば大変これは失礼をいたしました。  地元の方々の同意がない限り、原子力行政というものは進められるものではありません。当然のことながら、「もんじゅ」の運転の再開のために、地元の皆さんが安心していただける状況をつくり出すことが何よりも大切なことである、私はそう思います。
  377. 今村修

    ○今村委員 今回の事故を振り返って、ナトリウム、これを安全に取り扱えなければ高速増殖炉の実用化というのは不可能だということがはっきりしたわけであります。これは同時に、核燃料リサイクルもできないということであります。  日本は国際的に、余剰プルトニウムを持たない、こう言ってきているわけであります。今回の事故によって、日本のこれまでのプルトニウム利用計画というのは見直しをせざるを得ない、こういう状況に立ち至っていると思いますけれども、この点についての見解をお伺いをいたします。
  378. 中川秀直

    ○中川国務大臣 御専門の委員御案内のとおり、我が国はウラン資源も含めてほとんどの資源を輸入に頼っておるわけでございます。エネルギー資源の確保は、その意味で重大な課題でございます。  ウラン資源は、数十年分の埋蔵量と、確認埋蔵量と言われておりますが、原子力発電所から発生する使用済み燃料を再処理してプルトニウム等の有用物質を燃料としてリサイクルすることにより、千年以上オーダーの資源量にすることが技術的には可能だ、こう言われておるところでございます。  また同時に、そういうことのみならず、放射性廃棄物の処理処分、これを環境に負荷を与えないでやっていく、環境への負荷を極力低減していくという重要性が大変大きなものがございます。再処理をして有用物質を取り出した残りの放射性廃棄物のみを処理処分する。これによって放射性廃棄物は安定な形態となって、量も少なく、放射能の継続時間も相対的に短くなる。こういう意味の重要性がございますので、回収されたプルトニウム等を再び核燃料として有効利用する核燃料リサイクルの確立を、我が国の原子力政策の基本といたしているところでございます。  もとより、国民理解と信頼関係、安全の確保、平和利用の堅持、これが極めて重要でございますから、このような観点から、今後の原子力政策については、核燃料リサイクルの先ほど申し上げた重要性を十分踏まえつつ、今回の「もんじゅ」の事故の経験も十分に生かしまして、幅広い御意見を伺いながら、これを政策に的確に反映していきたい、広く国内外の理解も得ていくように努力をしてまいりたい、このように考えております。
  379. 今村修

    ○今村委員 私の質問した内容に的確にできればお答えをいただきたい。  昨年、新型転換炉、ARTがつくられないということになりました。ある日突然つくらぬ、こういうことになったわけです。今度高速増殖炉「もんじゅ」が事故を起こした。これでいくと、九四年につくった新原子力計画、この計画に基づくプルトニウム利用、これは当然先延ばしをしなきゃならぬ、こういうことになるのじゃないですか。  ですから私は、プルトニウム利用計画、これを見直しすべきだ、使わないものをため込むという形になっては困る、こういうことになるわけですから、見直しをすべきだと御指摘をするわけですが、改めて見解をお伺いします。
  380. 岡崎俊雄

    ○岡崎政府委員 先生御指摘のプルトニウムの具体的な需給計画そのものにつきましては、長期計画を策定時にも公表いたしたわけでございます。その際、関連する計画の進捗状況によってその需給計画というのはもちろん変わり得るものであるという認識のもとに提示をさしていただいておるわけでございますが、先生御指摘のとおり、今回の「もんじゅ」の事故によります今後のプルトニウムの需給計画というのは、当然のことながら変化を受けてまいります。あるいは、御指摘いただきましたARTの問題についても、ARTの見直しの際に、この需給計画については見直しておるわけでございます。  したがいまして、そういう状況を十分、変化をしておるわけでございますので、その状況を見きわめながら、この需給計画そのものについては柔軟に検討を進めてまいりたいと考えております。
  381. 今村修

    ○今村委員 このプルトニウム利用、プルサーマル計画を含めて、これは、福井県知事、新潟県知事、福島県知事から、この全般をめぐって、もっともっと公開をして幅広い意見を反映をさしていただきたい、こういうことで内閣総理大臣あてに「今後の原子力政策の進め方についての提言」、こういうものが出されているわけであります。これはことしの一月の二十三日、総理大臣に出されたわけでありますが、この提言に対する総理の御見解をお伺いをしておきたいと思います。
  382. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 確かに私はお目にかかり、その意見書をちょうだいし、その内容をかいつまんで御説明をいただきました。  そして私は、とにかく、今何よりも先に、この「もんじゅ」の事故というものの原因の究明と、そしてそれを踏まえて再発防止にどう臨むかという方策を確立することがまず大切なことだ、御要請は承り、とにかくその安全性の確保に全力を尽くすように持っていきたい、していきたい、そういった趣旨のことを申し上げ、同時に、各県知事に大変御心配をかけて、この事態、申しわけなかったという話を申し上げたと記憶をいたしております。
  383. 今村修

    ○今村委員 ぜひとも申し入れの趣旨については、尊重をしながら対応していただきたいということを強く要請をしておきたいと思います。  最後になりますけれども、青森県六ケ所村に建設をされる再処理工場の設計見直しが先般発表されたわけであります。建設費が、当初から見ると何か三倍ぐらいになるのではないか、設計変更の中には、コンクリートの厚さや耐震設計など安全にかかわる部分も含まれているとこう指摘をされています。これについては改めて安全審査を行うのかどうか。  もう一つ、海外から返還をされてまいります高レベル廃棄物、二回目が行われるといいながら、いまだ具体的に明らかになっていない、こういう状況が続いているわけであります。おくれている理由と、いつ行われるのか、その点についての情報を明らかにしていただきたい、こう思います。
  384. 宮林正恭

    ○宮林政府委員 お答えさせていただきます。  日本原燃株式会社の設計変更の計画、これにつきましては事業指定の変更申請というのが必要でございます。したがいまして、それが行われることになりましたら、私どもといたしましては当然それにつきまして安全審査を行う、こういう段取りを組むことになります。これは原子炉等規制法に基づく法令化された決まりでございます。  それで、日本原燃株式会社から国に対して事業指定の変更申請の場合は、その変更後の施設の安全性が十分に確保できるものであるというふうな観点から当然安全審査を行いますし、それにつきましては原子力安全委員会においてダブルチェックしていただく、こういうふうな段取りを組んで進めていく、こういうふうに考えております。
  385. 岡崎俊雄

    ○岡崎政府委員 次回のフランスからのガラス固化体の返還輸送についてお答えを申し上げたいと存じます。  昨年四月に第一回が行われたわけでございます。当初、二回目の輸送につきましては、最も早くなった時期を想定をいたしまして、暫定的に今年度内に九十六体を受け入れることを事業者が計画をしておったことは事実でございます。  しかしながら、その後、この返還の主体でございますフランスのコジェマ社におきまして、我が国以外のヨーロッパ各国の顧客向けの輸送を含めました総合的な調整が行われたわけでございます。そのヨーロッパでの調整状況を踏まえながら、現在我が国の事業者が検討を行っておるところでございますけれども、少なくとも今年度内において行われることはないという判断に至りまして、昨年末その旨を明らかにしたところでございます。現在、鋭意次回の輸送計画につきまして事業者間で調整が行われているところで、まだ決まってはおりません。
  386. 今村修

    ○今村委員 「もんじゅ」の問題については以上で終わりたいと思います。しかし、これだけ国民の間に不安と不信をつくり出した「もんじゅ」の事故については、万全な対策をぜひとも講じていただきたい、そのことを強く要請をしておきたいと思います。  次に、住専問題について幾つかお伺いをしたいと思っています。  今回の住専問題の経過を見ると、信用の不安や景気回復の問題、国際的責任問題などから、結果として、今提案をされている内容で対応するしか方法はない、こう思うわけであります。しかし、国民の厳しい指摘は、バブルに乗じてもうけようとした人たちが踏み倒した借金をなぜ税金で後始末をしなければならないんだ、こんな損失を発生させた責任は一体だれにあるのか、責任をはっきりさせろ、こういう声は尽きないわけであります。これは、公的資金を導入しようとする政府の責任でもあります。  橋本内閣総理大臣は、こうした国民の怒りの声は消費税のとき以上だ、こう話っているわけであります。この認識は、事態の深刻さを正確に認識をしているそういう表現だと思います。この怒りの声にこたえるためには、私どもは、情報の公開をきっちりすること、同時に、責任の所在を明らかにすること、そのことが必要だと思っています。総理は、国民の怒りの声にこたえる、そのためには一体今何をすべきか、総理自身の御見解をお伺いをしたいと思います。
  387. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、この予算委員会が始まりました冒頭の御質問に際しまして、この住専処理緊急性の御説明を申し上げますと同時に、そのスキームを決定するまでの間、当事者の真摯な話し合いが行われたわけでありますけれども、それがぎりぎりまで時間がかかったために、内容の御説明がかえって国民に遅くなってしまったことについておわびを申し上げました。  そして、国会が召集される前にも、行政として提出し得る資料の相当部分、その時点で気づきましたものは国会に提出をさせていただいて、その上で御審議を受けてまいりました。その後、国会の御審議の中におきまして数々の資料の御要請を受け、本日も、これは逆に院の御協力をいただきながら本日提出をさせていただいたものもございます。  こうして国会の御協力をいただきながら、でき得る限りの情報開示を行い、問題点を明らかにし、同時に、今後責任を明らかにしつつ、回収というものに全力を挙げることによって、我々は、このスキームというものが実際に使われる中で国民に御理解をいただくべく全力を尽くしておるさなかであります。
  388. 今村修

    ○今村委員 次に、久保大蔵大臣にお伺いをしたいわけであります。  多くの国民は、かつてこの住専問題に直接手を染めてこなかった、こういう点で大蔵大臣に大変な期待をしているわけであります。そういう点では、なぜ税金で後始末をしなければならないのか、その怒りの声に、国民立場に立って、国民理解できるように具体的に対応していくことが必要だと思っています。そういう点で、久保大蔵大臣の決意と具体的な対応をぜひとも明らかにしていただきたいと思います。
  389. 久保亘

    久保国務大臣 この問題は既に一年近く前から、社会党の委員長でありました村山さんの連立政権において検討が続けられてきた問題でございます。そして、今日までこの住専問題の処理を先送りする結果になったことが、大変今後の金融システムに与える影響、内外の信頼、そして預金者立場を保護する上からも、また日本経済の回復を促進する立場からもこのまま放置できない状況にあるという認識の上に立って、政治の責任において早急に処理解決すべきものという判断に立って、私がずっと申してまいりましたように、そのことに対する政府の責任を伴って処理策を決定をしてきたのであります。  私は、この処理策を国民の皆さんにお示しするに当たって、橋本内閣においてまずやるべきことは何であるかということで、去る一月の十九日に住専問題関係閣僚懇談会を組織され、そしてこの懇談会において三つの申し合わせをしたのであります。  その第一は、積極的な情報の公開であります。二つ目は、強力な債権の回収であります。三つ目は、明確な責任を追及するということであります。情報、回収、責任、この三つのことを強力に実現をしていくことによって、国民の皆様方の巨額の税金をこの住専問題の処理投入をいたしますことについて御理解をいただくとともに、責任を果たしてまいりたいと決意をいたしております。  なお、この問題はぜひ御理解をいただきたいと思っておりますことは、住専を救済をしたり特定の金融機関を救済をするために公費を投ずるものではないということであります。そのため私どもは、債権の回収に全力を挙げてまいりますに当たりましては、十三兆の一円たりとも債務を免責することはないということでございます。そして、可能な限りの強力な体制によって、法的に行使できるあらゆる力を、権限を行使して債権の回収に当たりたいと考えております。  また、今日このような状況に至りましたことについて、それぞれ借り手、金融機関住専の責任はもとより、行政の的確な指導、判断、監督が行われてきたかどうかということについても、私どもはその責任とともに究明をしなければならないことであると考えております。
  390. 今村修

    ○今村委員 今大蔵大臣から答弁があったように、情報の公開、強力な回収、そして明確な責任追及、その上に立っていわば信頼される金融行政、これが成り立つようにぜひとも要請をしたいと思います。  ただ、先般公表されました資料を見ると、多くの国民はあのでたらめさにびっくりした、こういう結果になっているわけであります。あの第一次の調査報告、第二次の調査報告を見て、なぜ大蔵省はもっと抜本的な対策を講ずることができなかったのか。特に、一次と二次との立入調査の結果の資料を見ると、この三年間の間に四兆六千四百七十九億円から八兆一千三百二十二億円と、不良債務が一・七五倍にも膨れ上がっている。この状況を見るときに、大蔵省の責任というのは私は重いものだと思っています。この具体的な大蔵省の責任が明らかにならない限り、国民というのは納得しないんじゃないのか、こう思うわけであります。この大蔵省の責任についてどう考えるか、お答えをいただきたいと思います。
  391. 久保亘

    久保国務大臣 大蔵省といたしましては、バブルの発生から崩壊に至る過程におきましても、また住専の設立、経営等につきましても、その段階段階において的確な指導監督を行うために全力を尽くしてきたものと考えております。しかし、そのことが、今日の結果から見ます場合には必ずしも的確な行政の指導となったのかどうかということについては、責任もあり、反省しなければならないことが多いと考えております。  これらのことも今度のこの住専問題の処理とともに明らかにし、今後の教訓としなければならないものと考えておりますし、またとるべき責任は、行政に限らず、法律上問われるものについてはこれが厳正に問われなければならないものであります。道義的責任についてもその責任は重く問われなければならないと考えております。
  392. 今村修

    ○今村委員 最後になりますけれども政府説明国民の目から見てなかなかわかりにくいという点があるのですね。金融システムの信頼回復のために必要だと、こう言いますけれども、やはり今の金融が抱える全体像を浮き彫りにし、その中における住専の位置づけ——住専というのはもともと資金がないわけですよ。結果として銀行から持ってきたり系統から持ってきて又貸しをしたという、この金融全体が抱える問題点、これを明らかにしながら説得をする、国民理解をさせるということも必要だろうし、なぜ破産手続でできないのか、この部分についても、やはりなるほどなと理解できる、いわば説明をわかりやすくする必要があると思っています。  それからもう一つ、原子力行政も同じですけれども、再三指摘をされるように、監督をすべき大蔵省、指導をすべき大蔵省が天下りをさせる、そして何か事故があったときにはその大蔵省が検査に行く、この仕組みというのは、国民から見てこれもわかりにくいのですよ。ですから、やはり独立をした金融監視のシステムをつくるべきだ。そのことで、第三者から見てなるほどと、こういう行政をつくり上げることが必要だと思っています。  この二つの点についてお願いをしたいと思います。
  393. 久保亘

    久保国務大臣 まず最初に、行政と業界との関係は、天下りの問題も含めて、私は適正な距離と緊張がなければならないと考えております。そのような立場に立って、今後業界と行政との関係をつくっていくためにお互いに努力をしたいと思っております。  また、監督指導の問題と、本来金融が今日国際化、自由化の時代に入れば入るだけ、自己責任の確立と、そして市場規律を軸にした透明な行政の推進ということが特に金融行政に求められているわけでありますから、そのような立場から、私どもは今後の金融行政を考えてまいりたいと思っております。  また、国民の皆様方に理解をしていただくために、今大蔵省といたしましても、今度の住専問題とは何であるか、なぜこのような処理スキームをお願いをしているかというようなことについて、できるだけ御理解を得やすい解説もパンフレットにして国民の皆様方にもお示ししたいと考えておりますが、何よりも行政に対する信頼をかち得ることに全力を挙げなければならないと思っております。  なお、今日なぜこのような住専問題の処理が必要かということにつきましては、国内問題としては、このことを放置いたしました場合法的処理によります破産処分ということになります場合には、これは行政関与せず、こういうことになりました場合にはどのような結果を招くかということについて、私どもは真剣にそのことに対する責任を考えてみなければならないと思っております。  国際的にも既に、この処理策が固まる方向に向かうにつれて、ジャパン・プレミアムもずっとその率が低下してまいっております。これは明らかに、国際的に今回の住専問題の処理策が信頼を得つつあるものと考えております。
  394. 今村修

    ○今村委員 以上で終わります。  ぜひとも国民理解できるという立場の中で解決を図っていただくことを強く要請して、終わりたいと思います。
  395. 上原康助

    上原委員長 これにて今村君の質疑は終了いたしました。  次回は、明八日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会