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1996-02-06 第136回国会 衆議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月六日(火曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       稲葉 大和君    江藤 隆美君       小沢  潔君    越智 伊平君       越智 通雄君    菊池福治郎君       岸本 光造君    栗原 博久君       後藤田正晴君    志賀  節君       高鳥  修君    谷川 和穗君       武藤 嘉文君    村岡 兼造君       村山 達雄君    谷津 義男君       若林 正俊君    安倍 基雄君       愛野興一郎君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       川島  實君    左藤  恵君       笹川  堯君    鮫島 宗明君       竹内  譲君    谷口 隆義君       平田 米男君    前田 武志君       松岡滿壽男君    山口那津男君       山田  宏君    今村  修君       佐々木秀典君    佐藤 泰介君       坂上 富男君    田中 昭一君       竹内  猛君    細川 律夫君       山崎  泉君    錦織  淳君       三原 朝彦君    志位 和夫君       松本 善明君    矢島 恒夫君       海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         文 部 大 臣 奥田 幹生君         厚 生 大 臣 菅  直人君         農林水産大臣  大原 一三君         通商産業大臣  塚原 俊平君         運 輸 大 臣 亀井 善之君         郵 政 大 臣 日野 市朗君         労 働 大 臣 永井 孝信君         建 設 大 臣 中尾 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     倉田 寛之君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長          官)      岡部 三郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中秀征君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 秀直君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 鈴木 和美君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         阪神・淡路復興         対策本部事務局         次長      生田 長人君         防衛庁参事官  小池 寛治君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁教育訓練         局長      粟  威之君         防衛庁人事局長 大越 康弘君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      大野 琢也君         防衛施設庁施設         部長      小沢  毅君         防衛施設庁労務         部長      早矢仕哲夫君         経済企画庁調整         局長      糠谷 真平君         経済企画庁総合         計画局長    土志田征一君         環境庁長官官房         長       田中 健次君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 河村 武和君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房長 涌井 洋治君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁次長   若林 勝三君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省教育助成         局長      小林 敬治君         文部省高等教育         局長      雨宮  忠君         厚生省社会・援         護局長     佐々木典夫君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         通商産業大臣官         房商務流通審議         官       大宮  正君         通商産業大臣官         房審議官    横川  浩君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         労働大臣官房長 渡邊  信君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省住宅局長 梅野捷一郎君         自治大臣官房長 二橋 正弘君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省税務局長 佐野 徹治君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 二月六日  辞任        補欠選任   武藤 嘉文君     岸本 光造君   若林 正俊君     栗原 博久君   石井 啓一君     鮫島 宗明君   石田 勝之君     竹内  譲君   今村  修君     山崎  泉君   佐々木秀典君     竹内  猛君   細川 律夫君     佐藤 泰介君   錦織  淳君     三原 朝彦君   矢島 恒夫君     志位 和夫君 同日  辞任         補欠選任   岸本 光造君     稲葉 大和君   栗原 博久君     若林 正俊君   鮫島 宗明君     石井 啓一君   竹内  譲君     石田 勝之君   佐藤 泰介君     細川 律夫君   竹内  猛君     佐々木秀典君   山崎  泉君     今村  修君   三原 朝彦君     錦織  淳君   志位 和夫君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     武藤 嘉文君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  この際、平田君の残余の質疑を許します。  昨日の平田委員の御質問に対して、政府の方から答弁をいたさせます。西村銀行局長
  3. 西村吉正

    西村政府委員 昨日お尋ねのございました四点につきまして、答弁をさせていただきます。  第一点の、資産の買い取りに当たりまして、一兆二千億円は実際上回収できないのになぜ金を払うのかという点に関する御質問でございますが、今回の処理方策におきましては、住専七社の額面で約十三兆五百億円の資産時価約六兆七千八百億円で買い取ることといたしております。その際の担保評価は、公示価格水準の八割程度とされる路線価により算定しておりまして、現時点での時価算定に用いる基準として、私どもといたしましては適切なものと考えております。  御指摘の一兆二千億円という額は、昨年八月の立入調査におきましては将来的には損失発生の懸念がある額として把握されたものでございますが、これは、その当時は住専処理機構の新設による従来にない強力な回収を行うことを想定いたしませんで、個別住専ごとに十分の回収努力を行うとの前提に立って、担保物件処分を急いだ場合、路線価の三割程度安全度を見込みまして、この部分回収ができなくなるおそれがあるとの事情を勘案して申し上げたものでございました。  しかしながら、今回の処理策におきましては、預金保険機構住専処理機構が一体となりまして、破産の申し立てなどにより隠ぺいされた財産からの回収を図るなど、法律上認められているあらゆる手段を迅速的確に用いることによりまして、強力な債権回収を図ることといたしております。  これによりまして、現在以上の損失が極力生じないよう努めますとともに、現在損失が見込まれております部分につきましても、いわゆる一次ロスと言われておる部分につきましても、回収を図ることにより追加的な財政負担が生じないよう全力を挙げることといたしたいと考えております。  こうした考え方に立ちまして、時価約六兆七千八百億円で住専七社の総資産を買い取ることといたしたところでございます。  第二点でございますが、七社で回収するよりも一つ住専処理機構回収した方が効率がいいと政府は言うが、一兆二千億円丸々損失になる可能性があると考えるものを逆に一〇〇%回収ができると考えるのは非常識であり、国民が納得できるものではないという御指摘でございますが、今回の処理方策におきましては、個別の住専ごとにではなく、七住専を一括して住専処理機構が引き継ぐこととしております。  これによりまして、第一に、各住専共通債権を一括して取り扱うことにより処理費用のコストダウンを図るとともに、困難事案にも共同して立ち向かえること、第二に、各住専担保及びそれに係る法律関係が七社集約、整理されやすくなること等の利点があると考えております。  また、従来ほとんど利用されてこなかった破産手続も活用し、担保不動産以外からの回収にも取り組むことといたしております。  こうした従来にない回収努力を実施するため、第一に、預金保険機構は、不良債権回収方針計画回収困難事案への対応策等につきまして住専処理機構に対し指導助言を行う。また、悪質な回収困難事案につきまして、預金保険機構は、罰則で担保された財産調査権によりまして債務者調査を行うとともに、住専処理機構から取り立ての委託を受けてみずから回収することとする。第二に、このため預金保険機構は、大蔵、日銀、法務検察警察及び国税当局現役職員の出向を求め、また民間からも不動産取引専門家及び金融精通者等の人材を求める。第三に、住専処理機構本部法務検察及び警察OB法律家不動産取引専門家等を結集した回収困難事案対策室を設ける。第四、共通・大口・回収困難事案につきまして特別のプロジェクトチームを組織し、過去の経緯関係者利害にとらわれることなく回収を進める。このような点につきまして体制の整備を検討することといたしております。  こうした努力によりまして、追加的な損失が生じないよう全力を挙げてまいることとしておりまして、現在以上の損失発生は見込んでいないところでございます。  第三点でございますが、一般行は六兆四千億円を基準にするのではなく、七兆五千億円を基準にして自分たち負担を決められ、これを株主説明できると思うかという点の御指摘でございます。  今回の処理方策におきましては、母体行、一般行系統金融機関に対しまして、それぞれの立場最大限努力を要請することといたしております。これは、この住専問題が、現在我が国が置かれております局面からいたしまして、一日も早く解決をすべき課題であるという考え方に基づくものでございます。このような見地から、関係者最大限努力お願いをしておるということでございます。  このような観点から、母体行には約三兆五千億円の債権全額放棄という非常に重い負担を要請することといたしました。一般行につきましても、過去の経緯等も考慮して六兆二千七百億円の損失見込み額ベースとして、修正母体方式算定した額にとどまらず、そういう算定方式による額にとどまらず、七社が個別住専ごとに十分の回収努力を行うとの前提に立った場合に発生する可能性が見込まれる損失額七兆五千百億円をベースに、修正母体方式を基礎として算定された分担額約一兆七千億円について要請しておる。そのような点について一般行最大限の御努力お願いした、こういうことでございます。  今般の要請が株主等への御説明という面において相当な努力を要するであろうことは私ども十分承知しておるところでございますが、母体行、系統金融機関に対しても、我が国金融システム安定性の確保や、景気を本格的な回復軌道に乗せるという本処理方策の目的にかんがみまして、まさにぎりぎりの御負担、御協力をお願いをしておるところでございます。この点についての御理解を賜りたいと存じております。  最後に、第四点。なぜ六兆四千億円を基準にしたのか。国民負担を少なくするためと言うが、後から最低六千億円、一兆円、二兆円というとてつもない財政支出が待ち構えているのではないかという点の御指摘でございますが、今回の処理方策におきましては、債権放棄及び贈与等によりまして、現在見込み得る損失見込み額及び欠損見込み額の合計六兆四千百億円を処理することといたしております。  また、住専処理機構が買い取りました債権等については、前に申し上げましたとおり、まず法律上認められているあらゆる手段を迅速的確に用いることによりまして強力な債権回収を図り、現在以上の損失が極力生じないよう努めることとしているところでございます。  将来、損失が生じた場合の方策につきましては、こうした回収努力を行った上で、なお万一損失が生じた場合の対応についてのものでございまして、こうした損失が当然に生じるということを前提としたものではございません。  なお、回収が順調に進みまして、益金が生じた場合には、その成果を国庫に納付することといたしておるところでございます。  何とぞ御理解を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
  4. 上原康助

  5. 平田米男

    平田委員 きのうの答弁とほとんど変わりません。大変遺憾でございます。  では、お伺いいたしますが、お金を払うときは、国民の血税を払うときは、ほとんど回収ができないと言われている一兆二千億円は一〇〇%回収できますよ、こう言っておるわけです。そして今度は、いや二次損失が生じるかもしれませんので、その二分の一は財政資金負担します、こういう約束をしてしまう。もし、そういうおそれがあるのだったら、一兆二千億円払わないでいいじゃないですか。国民としても、本当に損失が生まれて、これが国民負担のものだということが国民理解できるのだったらそのときに払いましょうというのが私は当然の考え方だろうと思うのです。先にわけもわからないうちに一兆二千億円、多額な金です、これを払ってしまって、そして一兆二千億円回収できるかどうかは先になってみなければ実のところはわかりません、これはまさに二枚舌もいいところであります。  無意味な、回収できない債権であることは間違いないわけでありまして、この点が、今確かに七社を一つ機構にすれば債権者が少なくなる、共同でやれる、こういう御説明がありました。もっともらしい言い方でありますが、しかし大臣大臣は全部合わせると利害関係人が三百ぐらいだとたしか答弁で申されたと思いますが、七社ごとだとどうなりますか。これを明らかにしてください。大臣、答えられないのですか。大臣、答えてください。
  6. 久保亘

    久保国務大臣 住専各社ごと関係金融機関の数をお尋ねではないかと思いますので、それは政府委員の方からお答えいたします。
  7. 西村吉正

    西村政府委員 母体行という意味では全体で百六十八、それに加えまして母体行を含む債権者の数が約三百、こういうことでございますが、まず母体行につきましては各住専ごとに……(平田委員日住金から言ってみてください」と呼ぶ)はい、日住金から申し上げますと、三和……(平田委員「数だけで結構ですから」と呼ぶ)九行でございます。それから、住宅ローンサービスにつきまして……(平田委員関係している金融機関、言ってみてください」と呼ぶ)関係金融機関については後ほど申し上げます。住宅ローンサービスにつきましては七行でございます。住総につきましては信託銀行七行でございます。総合住金につきましては、第二地方銀行協会加盟行でございますので、たしか六十五行かと記憶しております。第一住宅金融につきましては二社でございます。地銀生保住宅ローンにつきましては、地方銀行六十四行に生命保険会社二十五社を合わせました八十九社でございます。日本ハウジングローンについては五行でございます。  以上、七社についての母体の概要を申し上げました。  このほか、母体のほかの貸し手といたしましては系統金融機関がございますし、そのほか商工中金あるいは東京銀行、それから全信連等がございます。
  8. 平田米男

    平田委員 合わせると三百になりますが、個別にやると利害関係人はうんと少ないわけです。利害関係人が少なくなれば当然効率が上がる、これは当然の話でありまして、大蔵省は、住専処理機構をつくれば、七社ごとでやれば回収はほとんど無理だと思われたものが、一つにすれば一兆二千億円まるまる回収できますよ、ですから一兆二千億円のお金を直ちに払うんです、そういう御説明でありましたけれども、七社ごとにやった方が利害関係人は少ない。  私は、法的処理がいかに有利なのかはきのうるる申し上げたとおりであります。それに対する反論は全くありませんでした。国民に対しては、今おっしゃったことは全く説得力がない。そんなマジックみたいなことができますか。七社でばらばらにやったら回収がほとんどできない債権が、七社集めたら一〇〇%回収できる、だれ一人こんなことは信用できませんよ。しかも、破産管財人でやらない。能力の点では格段に落ちるということは、私はるる申し上げたとおりであります。それでもなおかつ、信じなさい、信じてください。我々は信じられませんよ、それは。これでは、一兆二千億円払うという根拠を我々は理解することができない。答弁になっていないですよ、これは。まさに欠陥処理スキームだと私が何度も申し上げているとおりでございます。委員長、これでは答弁になっていないですよ。
  9. 久保亘

    久保国務大臣 先ほど銀行局長から答弁を申し上げたところでございますが、今、平田さんの御質問をお聞きしておりまして、私、少し基本的な見解が違う点があるのかなと思っております。  一つは、一兆二千億は、これは損失と見るべきだというお立場のようにお聞きいたしましたけれども、私どもは、回収が非常に難しい分類ではあるけれども、これは回収しなければならないものだと考えているのでございます。そのために、この回収機構として、体制、陣容、権限を一元化して強力なものとすることが今この住専問題処理のために求められていることだと考えているのでございます。  それから、全体的な考え方の上での平田さんの御見解と私どもとの違いは、これを法的に処理して破産処分にするということがよいのか、それとも、今日のこの段階において早期にこの問題を決着させることによって、金融システムの安定や信頼の問題、そして経済回復景気回復により貢献をする道はどういうやり方かということで、そこのところでは見解が分かれているわけでございます。  その点は、政府の側が御提示申し上げておりますことについてもぜひ皆様方の御理解を賜りたいと思うのでありますが、もう一つ基本の問題として、私ども考えを御理解をいただいていると思いますが、申し上げたいと思いますことは、今回のこの六兆四千百億の処理に関しまして、私どもは、今日の事態を招いた各面の責任を回避させるという気持ちは全くないということが一つであります。  それから、住専との関係における債務者債務を棒引きするという考えは全くございません。この債務は、十三兆全体にわたって追及され、回収努力が法的にも行われなければならない問題だと考えております。  以上であります。(発言する者あり)
  10. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  11. 平田米男

    平田委員 総理、今、銀行局長説明どおりだとするならば、この閣議決定のこの部分を削除してください。  すなわち、この「公的関与」の(2)、「預金保険機構住専勘定は、住専処理機構において住専から引き継いだ資産に係る損失が生じた場合、その一部を補てんする。また、政府は、同勘定損失が生じた場合に、適切な財政措置を講ずる。」こう書いてあります。  今、一兆二千億円丸々回収できるから一兆二千億円のお金を払うんです、こうおっしゃった以上、ここは削ってください。そうでなければ矛盾です、これは。総理
  12. 久保亘

    久保国務大臣 私が申し上げたことを、一兆二千億も丸々回収できるということを私がここで申し上げたというふうに一方的に決めつけられては困るのであります。私はそんなことは申しておりません。一兆二千億も含めて、これを回収できないものとして放棄することはしない、こう申し上げているのであります。
  13. 平田米男

    平田委員 今、大蔵大臣は、一兆二千億円を丸々回収できるとは大臣としてはおっしゃっていない、こうおっしゃいました。しかし、銀行局長説明では、一社としてやるならば一兆二千億円回収できるという前提でと、こうおっしゃいました。前提は、銀行局長説明は一兆二千億円回収できる、しかし大臣回収できるとは言っていない。これは矛盾ですよ。明らかにしてください、これ。
  14. 久保亘

    久保国務大臣 どこが矛盾なのか私よくわからぬのでありますが、きのうも申し上げましたけれども、一兆二千億という債権が独立して存在しているわけではないのであります。  全体の十三兆の債権のうち、現在においては六兆四千百億は、これを債権として回収することは不可能な損失として見たわけであります。残りの六兆数千億につきましては、これは先ほど銀行局長が申しましたように、路線価で見ました場合にはこの債権は六兆数千億の価値を有するものであります。  しかし、これを早期解決のために処理をしていきます場合に、仮に七〇%しか価値回収できないということになった場合には、そこに損失を生ずることになろう。この損失を生じた場合にはどうするかという前提の上に、全体のスキームの中でそこのところもはっきりしておかなければならないということで関係者との協議が行われてきたのであります。その総括的な結論であるということを御理解賜りたいのであります。
  15. 平田米男

    平田委員 そういたしますと、大臣、もう一度改めてお伺いしますが、今、一兆二千億円、場合によると七〇%しか回収できない可能性があるから、その損失負担についてこの閣議決定は書いてあるんですよという御説明でありました。  では、逆に御質問申し上げますが、七〇%しか回収できない可能性があるというふうに大臣がお認めになる一兆二千億円の債権のために、何で一兆二千億円の現金を今払わなければならないんですか。どうして払うんですか。それを答えてください。
  16. 久保亘

    久保国務大臣 御質問の意味がよくわかりませんので、もう一遍お願いいたします。
  17. 平田米男

    平田委員 大臣はこのスキームがよくわかっておいでにならないようでございますが、いいですか、それぞれの母体一般、系統、二兆二千億円ずつ低利融資するわけですよ。その低利融資を原資として、そして十三兆円の、不良債権も含んだ債権を買い取るというわけでしょう。そのお金を今すぐ払うわけじゃないですか。払わなければ系統等に五兆五千億円すぐ渡らないでしょう。  そのことをわかってないんですか、大臣は。だから今すぐ一兆二千億円、不良債権分まで払わなければならないというふうに私が申し上げているんじゃないですか。その質問の趣旨がわからないなんというのは、大臣そのものがこのスキーム自体を理解していないということですよ。——大臣が答えるべきですよ、こんなのは。
  18. 久保亘

    久保国務大臣 提案している立場でございますから、私がこのスキームがわかっていないなどということはございません。あなたよりもよく承知しているつもりでございます。  それで、今お話ございましたように、当事者であります母体行、一般行、それから系統の金融機関からそれぞれ二兆二千億の融資を受けるのでありますが、これは住専勘定の中に融資を受けるのでありまして、預金保険機構が融資を受けますものを使って債権回収に当たっていくわけであります。だから、そういうことで一兆二千億を……(平田委員「今すぐ払うんでしょう」と呼ぶ)回収不能の債権としてお考えになればそういうことになるでしょう。そういうこと……(発言する者あり)いや、それは可能性の問題を言っているわけですよ。(発言する者あり)  私は十分お答えをしているつもりであります。それで、御理解いただけなければこれはやむを得ないことであります。(発言する者あり)
  19. 上原康助

    上原委員長 今答弁中ですから、お静かに願います。
  20. 平田米男

    平田委員 先ほどから大臣は、七〇%しか回収できない可能性がある、そういう債権だと自分でおっしゃったんですよ。そういう価値しかない債権に一兆二千億円、額面分全部について現金を直ちに払う、これがそのスキームですよ。それをなぜ払うんですかと聞いているわけです。それに対して全然お答えになっていない。
  21. 西村吉正

    西村政府委員 あるいは私の御説明が不十分だったのかもしれませんので、補足をさせていただきたいと存じます。  今先生の御指摘の点は、現段階の問題としては、大臣から申し上げましたように、それぞれの当事者、母体一般行、系統、それぞれが必要な資金のおおむね三分の一ずつ、先ほど二兆二千億と申し上げたことでございますけれども、おおむね二兆二千億、三分の一相当のものをそれぞれが融資をするということを現段階で行う必要があるわけでございます。  しかしながら、そういう融資についてどのようなリスクが生ずるか、すなわち、将来どのような損失が生ずるかという点に関しましては、私どもといたしましては、いろいろな方策を講じて全力を挙げて追加的な損失が生じないようにしたい、そういう覚悟で臨んでおるということでございます。  現在以上の損失が当然のこととして発生するという前提でこの構想を組み立てているわけではないということを先ほどから御説明を申し上げておるところでございます。よろしく御理解のほどお願いを申し上げます。
  22. 上原康助

    上原委員長 平田委員に申し上げますが、質疑の持ち時間が経過いたしておりますので、御協力願います。(発言する者あり)お静かに願います。——お静かに願います。
  23. 平田米男

    平田委員 これは極めて重要な問題ですよ。(発言する者あり)ちょっと、静かにしてください。大臣自身が、七〇%しか回収できない可能性がある、このように言明された債権に対して一兆二千億円を払う、それに対して明確なる答弁を出してください。出さなければ国民は納得できませんですよ。これは答弁になっていない。  以上、申し上げます。
  24. 上原康助

    上原委員長 持ち時間が経過いたしておりますので、御協力願います。(発言する者あり)  委員長として重ねて御要望申し上げますが、持ち時間が経過をいたしておりますので、これにて平田君の質疑は終了いたしました。  次に、谷口隆義君。(発言する者あり)谷口隆義君、御質問を願います。
  25. 谷口隆義

    ○谷口委員 ただいまの平田議員の質問でございますが、全く納得ができません。きちっと統一見解を出していただいて、その後に検討させていただく、こういうことでよろしくお願い申し上げます。(発言する者あり)出てないよ、出てないじゃないか、今。  今の住専処理システム、私が本委員会におきましてずっとこの審議を聞いておりますと、極めて粗雑で、また極めて拙速で不透明であるということがわかってきたわけでございます。私は、この住専処理システム、非常に危惧をいたしております。  これは、本委員会を通じて総理また大蔵大臣もおっしゃっておられますように、今回のこの住専処理システムは、金融システムを守っていかなきゃいかぬ、ここに大きな眼目があるんだ、このような御答弁をされておると思うわけでございますが、御存じのとおり、先日大蔵大臣も出られたNHKの番組、アンケートを見ますと、棚上げすべきという人が六三%ですよ、今回の住専処理スキームですね。撤回すべきというのが二二%なんです。実に八五%の人が、これはやはりよくない、このようにおっしゃっておるわけでございます。  それに対して、今政府は無理やり、本当に国民の税金が突然出てきたわけです、六千八百五十億円というのが。この処理スキームの変遷をずっと見ておりますと、極めて不可解で、突然出るわけでございますので、このような処理を力ずくでやるということは、国民が非常にこの処理に怒っておるわけでありますから、私は、今後処理を進めるに当たって極めて危惧すべき状況になるのではないか。  それは、私は、昨年からずっと大蔵委員会、予算委員会、また本会議において質問しておった大きな眼目の一つは、不良債権がかなりたくさんあるんだ。当時政府の方は、大体四十兆の不良債権があるとおっしゃっていたんですね。その後、この四十兆をベースにして、三十七兆というのが積み上げの計算で出てきた、こういうようにおっしゃいました。私は、不良債権の金額はこのくらいじゃないんだ、このようにずっと申し上げていたんです。  昨年の末、十二月でございましたが、あの例の大和銀行の不祥事の問題でアメリカに行ってまいりまして、アメリカの金融監督当局でございますニューヨーク連銀のマクドナー総裁、また、FRB、FDIC、OCC、SEC、また、米国下院の銀行委員長のジム・リーチさん、その他いろいろお会いして、ずっと聞いてまいりました。  とにかく日本の今の金融行政は不透明だ、あの大和銀行の事件に関して言うなら、大蔵省と銀行当局がぐるになって不正を隠匿しておる、このように厳しいことをおっしゃっておりました。極めてそのあたりは重要な問題で、私はその後帰りまして、昨年末の予算委員会の集中審議におきましてこのあたりを厳しく当時の村山総理並びに大蔵大臣、武村さんでございましたが、質問いたしたわけでございます。  そういうようなアメリカの我が国に対する金融システムの見方、昨年十月にG7があって武村さんが行かれて今の状況を説明したわけでしょう。これは、そのくらい日本発の金融恐慌が発生する可能性が高い、こういう観点で海外、欧米は極めて関心を持って見張っておるわけでございます。  米国議会調査局のレポートというのがございまして、これを見ますと、先ほど私申し上げました四十兆という不良債権、米国基準考えると、これが五十兆から八十兆と見る専門家が多いというようにおっしゃっていますね。また、最も高く見積もっておるのは、UBS証券経済分析専門家で、これは百兆に上る、このように見ておるようでございます。また、ドイツ銀行資本市場の見積もりでは最低で六十兆、JPモルガンでは七十兆。このような金額が出ておるにもかかわらず、我が国政府はまだ四十兆、四十兆じゃない、三十七兆とおっしゃっておるのです。このような極めて不透明なやり方が今責められておるわけでございます。  今回の大和銀行の問題は、八五年にプラザ合意がございまして、プラザ合意以降日本がどんどん自由化、国際化するのは、今日あるのはわかっておったわけであります。それにもかかわらず、日本の金融行政は全く何もやらなかった。この十年間何にもやらなかったんですよ。その結果、あの大和の不祥事が生じ、今回の一連の不良債権の問題が出ておるわけじゃないですか。本来、今日あることを前提に金融行政を見直し、やるべきところをそうやっていなかった。極めて大きな問題があると思うんですね。これは行政当局に大きな問題がある、私はこのように思うわけでございます。  また、その際に、この米国の議会調査局のレポートでございますが、これは不良債権に対する日本政府のやり方というものが書いてありまして、これは一つは、護送船団方式でやっておるんだ。護送船団でやっておる。また、これは時間が解決するだろうというやり方でやっておるというんです。時間が解決するんだ。先送りですよ。今回のこの処理見ても何にしても、全部先送りなんですよ。こういうやり方に対して、これは将来銀行が持ち直すという前提であればこれでいけるんですよ。ところが、今はもうそういうような状況じゃないわけでありますから、そういう状況の中で本当に今の金融行政そのものを見直していかなければいけない、このように思うわけでございます。  また話は冒頭に戻るわけでございますが、なぜ私が危惧を感じておるかといいますと、今回のこの住専処理スキームは極めて粗雑で乱雑で乱暴だと思うのです。突然出てくるわけですから、国民の税金を納めなければいかぬという、財政支出六千八百五十億円。これは、今後またノンバンクがあり、また一般金融機関不良債権処理の問題が出てくるんだと思いますよ。この処理を間違えますと全部うまくいきませんよ。そういうことを考えてやっておられますか、大蔵大臣
  26. 久保亘

    久保国務大臣 今お話ございましたように、欧米各国におきましても、日本発の金融不安、パニックというようなことに対して非常に警戒心があることは御指摘のとおりだと思っております。そういう意味でも、今回の住専問題に係る不良債権処理早期に責任を持ってやり遂げなければならないことであると考えております。  私は、行政の持ちます責任について、これを回避すべきでないということも申し上げてまいりました。今日の事態に立ち至りますまでの行政の責任はどこにあるのか、これは日本の現在の行政機構の運営上の問題なのか、機構そのものにも問題があるのか、こういったようなことについても十分な検討を加えるべきであるし、また国会での皆様方の御審議も期待を申し上げているところでございます。  そういうものの上に立って慎重に大胆に、そして問題の改革については早急にやってまいりますことは、今谷口さんが申されました立場からも非常に重要なことだと思っております。  繰り返しお話しになりました、先送りしてきたことに問題があるというお話は、私もそのとおり考える面がございます。だからこそ先送りせず、この問題を今日早急に処理しなければならないものと考えております。その早急に処理いたします政府の責任ある措置として今回の御提案を申し上げていることを、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
  27. 谷口隆義

    ○谷口委員 大蔵大臣そのようにおっしゃいますが、この処理そのものが先送りだと思うのですよ、私は。  先ほど平田議員のお話にもございましたが、要するにこの住専処理スキーム、これは当初、この処理の変遷過程と申しますか、これを見ておりますと、七・五兆円と五・五兆円があった。七・五兆円がどうも回収できない債権。五・五兆円というのは回収可能性の高い債権だ。この七・五兆円から入って、当初は母体行が七・五兆円持つべきだというような考えもあったようでございます。その後、妥協案として、母体行が三・五兆円、一般行が一・七兆円、農林系が二兆三千億、このような妥協案が出てきたと聞いております。  この農林系の二兆三千億、この農林系が本来負担すべき二兆三千億の一兆二千億を先送りにしたのです。これを、一つスキームの中に入れるのじゃなくて、二次損失に先送りしたじゃないですか。それで、その結果、母体行が三・五兆円、一般行が一・七兆円、農林系金融機関が一・一兆円になったのですよ。この一・一兆円から、また大蔵大臣と農水大臣の話し合いの結果五千三百、こういうように決まったわけですよ。この一連の処理スキームの流れを見ておっても、極めてこれは、要するに全部問題を先送りしているじゃないですか。  私は、申し上げているのは、大蔵大臣一般的なお話はわかりますよ。現実の処理を見たら、この処理そのものが先送りじゃないですか。今これだけあるんだ、処理すべき金額がこのぐらいあるんだ、これに対してこのような手続をして、こうしました、また責任も明確にとりましたというようなことをすれば、国民も十分納得できるわけですけれども、今やっておる処理はどうですか、全くそんなことはないわけですよ。突然出てくるわけですから、六千八百五十億が。また、責任の問題に関しましても全く不明快きわまりない、こういうことであります。  この予算委員会の審議において、同僚議員が何回もこの六千八百五十億の積算根拠を聞きました。政府の出した資料もございます。これは極めてわからない、明確でない、これはもう言い切れると思うんですが、もう一回聞きます。この六千八百五十億円、いつ、だれが、どのようにして決めたのか、一遍御説明お願いいたしたい。大蔵大臣お願いします。
  28. 久保亘

    久保国務大臣 今回の住専問題処理に関しまして、全体のこのスキームが突然出てきたということで、今谷口さんの御批判でございますが、私が承知いたします限りでも、今回のスキームに至ります検討は、昨年の春以来、関係の閣僚会議や、また、与党におきましては与党三党の金融・証券プロジェクトチームなどを中心にする協議が続けられてきたのでございます。  そして、この公的資金の導入によって公的関与を行うことについても検討しなければならないという考え方を明らかにいたしましたのは、昨年の前半の段階でございます。そして、その後、プロジェクトチームの論議が二十回に及びまして、十二月の初めに与党の側からこの処理に関する考え方が示されました。こういうものも受けながら政府で協議をいたしてまいりましたものを取りまとめ、十二月の十九日の閣議決定となるのでございます。  六千八百五十億はその段階において示されてくるのでございまして、その後、しかし、この問題を含めて全体のスキームを当事者の皆様方にも全部御了解をいただいて、そして、この住専問題処理の方針を皆様方に御審議、御決定を賜りますために取りまとめてまいりますのにまた最終的な努力が行われまして、一月の二十二日の閣議において最終的にこれは決められたものでございます。  それに先立ちまして、一月十九日には住専問題に関する関係閣僚の協議もございまして、この中で、今お話ございました責任の問題につきましても、明確な責任の追及について、また、皆様方の御要求にこたえながら、現在私どもとしてもあとう限りの情報の公開も進めさせていただいておりますが、これらの情報の公開、そして何よりも住専処理機構預金保険機構によります債権回収、これは先ほども申し上げましたように、住専に対して債務を負っているものを私どもは一人もこれを免責するつもりはございません。この債務者に対して徹底した債権回収を行う、こういうことも決めてございまして、こういうことに関して皆様方にもぜひ、今政府のとり得る手段は何がベターでありベストであるのかということをお考えいただいて、御理解を賜りたいのでございます。
  29. 谷口隆義

    ○谷口委員 今大蔵大臣がおっしゃったことは一般論で、さっきから何回かそういう御答弁があるわけですが、今問題になっておるのは、十二月の十九日に閣議決定がございましたね。その十五日から十九日ぐらいの間に、今いらっしゃいませんが、大蔵大臣と野呂田農水大臣との間で話し合いがあったのですよ。この話し合いの後に、この六千八百五十億円、また五千三百億円が決まったのです。昨年、当初からこれを予定していたのではなくて、むしろ大蔵省の方は農林系金融機関一兆一千億で、そのときまで、そのぎりぎりまでそういうような状況できたわけでございまして、その農水大臣大蔵大臣との話し合いで決まったということは、どういう理由でそういうように決まったのか、これを具体的にちょっとお聞きしたいということでございます。  そのときにおられなかったと言われたらまたあれなんですが、まさにそういう意味では、今回この予算委員会は、我々もよく言っておるわけですが、当事者がおらないのですよ。私は知りませんと言われたらこれは何にもできないわけで、そういう意味では極めて無責任な今の内閣である、このように言わざるを得ないと思うのですよ。そのような状況を御説明できますか。いや、大蔵大臣大蔵大臣ですよ。
  30. 西村吉正

    西村政府委員 当時も大臣のもとで事務的に担当しておりました者としてお答えを申し上げます。  今回のこの処理策を前大臣が御決定になるに際しまして、農林水産大臣とも正式に折衝という形では二回お話し合いをされましたが、私、大臣から伺っておりますところによりますと、閣議の前後等何回も農水大臣と意見の交換をしてきたというふうに言っておられました。したがって、いわゆる折衝二回だけではなくて、大臣同士の意見の交換の機会は何回もあって、そういうお話し合いの中で今回の処理策が決定されたものと私ども理解をしておるわけでございます。  なお、先ほど御指摘がございました、大蔵省は途中で一兆一千億ということを主張したがということでございますけれども、確かに新聞報道等でそういうことを報じられたことはございますが、私どもといたしましては、その決定のプロセスにおいては、いろいろな当事者、例えば母体行、一般行あるいは系統の方々というようないろいろなお立場においていろいろな御主張があった、そういう御主張を数字にあらわすとどのようになるかという試算をすることは、もちろんプロセスにおいて何回もございました。  しかしながら、大蔵省として考え方をまとめましたのは、十二月十九日に政府・与党としてお決めをいただきました段階において大蔵省としての考え方も固まった、こういうことでございまして、プロセスの問題とはまた別にお考えいただきたいと存じます。
  31. 谷口隆義

    ○谷口委員 やはりこのスキーム、その点が非常に重要なんです。要するに覚書ですね、農水省と大蔵省局長の間の覚書が極めてこのあたりに大きく影響しているんだろう、このように言われているわけですよ。  大蔵大臣、私が先ほど申し上げましたこの六千八百五十億に関して、もう一度その決定過程を、覚書の問題も含めて明確に御答弁お願いいたしたいと思います。
  32. 久保亘

    久保国務大臣 昨日から御説明を申し上げておりますように、大蔵省が行いました立入調査の結果、住専七社の不良債権のうち六兆二千七百億は、これは損失と見なければならない、こういうことになりました。この六兆二千七百億に各社の欠損金一千四百億を加えて六兆四千百億を処理しなければならないわけでありますから、その処理に関して、住専に対する債権者であります母体行、一般行、それに系統金融機関三者の間の協議、また三者と大蔵省との話し合い等も続けられたのでありますが、もし三者においてこれが全額負担できる内容のものであれば、それも考えなければならないものとして検討されたと思います。  そういうことの結果、母体行責任ということも含めて、母体行は三兆五千億の全額の債権を放棄することを要請をしているのであります。  また、一般行につきましては、先ほども御議論ございましたけれども、最終的には、一般行負担できる限界はどこかということで、いろいろな協議の段階における理屈上の話は行われたと思いますが、最終的には三兆八千億の債権のうち一兆七千億を放棄するということで一般行に要請をすることで合意されているものと考えております。  系統金融機関に対しましては、系統金融機関の持ちます役割やその体力の限界などが当事者間で話し合われた結果、五千三百億を贈与の形で負担する、こういうことで、関係者がそういう方針に対して合意をする中で、不足する六千八百億が公的な負担、こういうことで六兆四千百億に対する負担割りが全体の合意となってきたものだと考えております。
  33. 谷口隆義

    ○谷口委員 今六千八百五十億のお話の中に、農協系統の五千三百億の贈与のお話がございました。六千八百五十億とこの五千三百億はリンクするものですからね、当初は一兆一千億、こういうようなことになっておったようでございますので。  それで今度は、この五千三百億の算出根拠をお聞きいたしたいと思います。  これは、当初はこの五千三百の算出根拠は、第二次再建計画で、農林系統四・五%と覚書にも出ておりますが、四・五%。当初六・五%から四・五%に下げた。この二%の金利を十年間考えてみて五千三百、このようなお話もあったようでございますが、突然、政府からいただいたこの資料は全く違う算出根拠になっておるわけでございますが、そのあたりはどういう状況でございますでしょうか。
  34. 大原一三

    ○大原国務大臣 後で計数は、細かいのは経済局長から御報告させますが、考え方は、まず四十七信連の経営状況を洗い直してみました。それから、各信連ごと住専に融資をしている金額、この二つを柱にしまして、現在の信連の利益は千三百億でございますから、さて、その利益を上回るものをどれぐらい捻出できるであろうかというのを、いわゆる内部留保から捻出を考え出したわけであります。そうしますと、信連四十七の中の半分ぐらいはぎりぎりいって赤字ということはやむを得なかろう、この際金融秩序安定のために協力しようということで算出をいたしますと、二千億という数字がそこに出てきたわけでございます。その内容につきましては、後で局長から説明します。  それから、まあ二千億ならば大体中金で同額は内部留保の厚みからいってできるのではなかろうか。ここは国債を持っていますし、債券の益出しもできるのではないか。さらに貸倒それから任意積立金、いろいろ見まして、やはり二千億ぐらいのものをここで負担してもらいたいと。非常に厳しいんです、ここも利益が七百億ぐらいしかありませんからね。ですから、非常に厳しい。  それから、一つ参考までに申しますと、農協の経営というのは、内部留保を厚くするという方針にはなっていないわけでありまして、九百万の農民の貯蓄に還元するというのが農協の本来でございまして、厚みがない。そういう意味で、農林中金にお願いする。そこで四千という数字が出るわけでございますが、残りは共済と信連の住専融資額の割合で案分をいたしまして、千三百という数字が出てきたわけでございます。後で経済局長から御説明させます。
  35. 堤英隆

    ○堤政府委員 私の方から御説明させていただきます。  大臣からお答えした考え方で整理をしたわけでございますが、具体的に申し上げさせていただきますと、まず信連でございますけれども、信連につきましては、今年度の推定経常利益、これが六年度と同様ということで千三百億というふうに考えたわけでございます。かつ、それに加えまして、貸倒引当金につきましては可能な限り取りますという考え方で、各信連別に計算をいたしました。  そうしますというと、経常利益につきましては、千二百億のうち、信連ごとに計算いたしますと、千百億ぐらいを使ってしまうということでございます。それから、貸倒引当金につきましては、千三百八十四億ございますけれども、このうち五百億円を使ってしまうということでございます。  こういうことで計算してまいりますというと、当年度につきましては、ことしの三月でございますけれども、赤字に転落いたします信連が、経常利益ベースで過半、約三十程度でございます。それから、当期利益ベースで申し上げますと二十程度になるということでございます。かつ、翌年度におきましても赤字信連が同程度やはり継続してしまうという考え方でございまして、そういうことで二千億円の算出ということになったわけでございます。  それから、農林中金につきまして申し上げますと、一つには、大臣申し上げましたように、有価証券の含み益の益出しを行うということまで踏み切っております。約一千億円の有価証券の益出しを考えております。それから、一般貸倒引当金が六百億ほどございますけれども、これを三分の一は取りましていこうということで、二百十億円を考えております。それから、任意積立金、これが全体で千四百億ほどございますけれども、その半分以上の七百六十億円を取りますという考え方に立ちまして、かつ、ことしの三月期の経常利益ということをどう考えるかということでございます。  これは大蔵省調査にもございますように、系統が設立いたしました協住ローンがございまして、これの不良債権が約三千億円、うちロス見込みが二千億円というふうになっております。これにつきましては、母体行として農協系統が自力でその再建を図るということで努力をしているわけでございますが、今年度、約二千億円のロス見込みのうち八百億円を処理したいという考え方を持っております。  そういうことによりまして、農林中金につきましては、個別の金融機関のことでございますので、余り申し上げにくいところではございますけれども、本年度大幅な赤字に転落をするということはやむを得ないと見たわけでございます。そういうことを計算いたしまして、ぎりぎりのものとして二千億円を計上いたしました。したがいまして、大臣から申し上げましたように、信用事業といたしまして約四千億円が負担限度というふうに私どもとしては算定したところでございます。  さらに、それに加えまして、共済の事業につきましても、御案内のように共済加入者への支払い予定利回りが運用利回りを大幅に上回っているという非常に厳しい状況ではございますが、信用事業との住専貸付残高案分ということで対応いたしまして、千三百億円というふうに算出をしたところでございます。これによりまして、全体として五千三百億円の資金協力が限度ということでございます。  それからもう一点、日経新聞との関係が先ほど御指摘ございましたけれども、これは、きのう大臣の方からも御説明申し上げたところでございますけれども、日経新聞におきましても、今申し上げましたような考え方をきちんと申し上げております。その際に、別途の一つ説明の仕方といたしまして、先ほどおっしゃいましたような形での説明もいたしておるわけでございますが、これは、昨年の末の段階におきまして五千三百億円という資金協力が系統にとりましても非常に厳しいということで、昨年末の段階でその理解が得られるかどうか、私どもとしては不安あるいは非常に難しい局面を持っておったものですから、一つ説明材料として述べたものでございます。  その際にもはっきり、書いておりますように、基本的に今申し上げましたような農協の信用事業ということから見てのぎりぎりという考え方をいたしまして、さらに今申し上げましたようなことも一つ説明材料として申し上げたということでございます。
  36. 谷口隆義

    ○谷口委員 ちょっと待ってください、経済局長、今聞きますから。ちょっと呼んでください。  もう一回、この有価証券含み益、幾らなんですか。この有価証券含み益は、いつ現在の含み益ですか。
  37. 堤英隆

    ○堤政府委員 昨年の十二月の段階で私どもとしてぎりぎりの判断をしたわけでございますので、すべての資料は平成七年三月期のものということで判断をいたしてございます。
  38. 谷口隆義

    ○谷口委員 貸倒引当金が今六百億とおっしゃいましたが、これは八百十億、昨年度の三月末現在であるわけですが、これはどういうことですか。
  39. 堤英隆

    ○堤政府委員 一般貸倒引当金というふうに申し上げましたけれども、特別の債権の貸し倒れに引き当てするものとしては別途二百億円を計上してございますが、それは特別の債権のための引き当てでございますので、それを除きまして、先ほど申し上げましたように一般貸倒引当金ということで六百億円強というふうに申し上げたところであります。
  40. 谷口隆義

    ○谷口委員 この共済系統の千三百億の住専貸付残高案分ということについて、ちょっともう一回説明いただけますか。
  41. 堤英隆

    ○堤政府委員 先ほど申し上げましたように、信用事業といたしまして県の信連、それから農林中金で四千億円が限度というふうに申し上げたわけでございます。全体の農協系統の協力額が五千三百億円でございます。信用事業としてぎりぎりの限度ということで四千億円ということで算出をしたわけでございますが、そうしますと、私どもとしては、農業共済の住専への貸付残高とそれから信用事業の貸付残高との案分ということにしますというと千三百億円ということになりまして、合わせまして五千三百億ということでございます。(谷口委員「具体的に言ってください、具体的数字で。案分のところ」と呼ぶ)  金額は、全体で……(谷口委員「結果だけじゃなくて、具体的にそのプロセスを言ってください」と呼ぶ)
  42. 上原康助

    上原委員長 質問者は質問するときは挙手してやってください。(発言する者あり)
  43. 谷口隆義

    ○谷口委員 きちっと説明しろと言っているじゃないか。しないからだよ。(発言する者あり)何言っているんだよ。しないから言っているんだよ。
  44. 堤英隆

    ○堤政府委員 農林中金の住専への貸付残高が約八千億円でございます。それから県信連の住専への貸付残高が三兆三千億円でございます。それから共済関係の貸付残高が一兆三千億、こういうことの案分比例ということであります。
  45. 谷口隆義

    ○谷口委員 やはりこれは極めて難しい、非常に難解なやり方で、私はもっとはっきり言ったらいいと思うのですよ。もともと、先ほど日経の説明でおっしゃいました五千三百のこの計上根拠、二%の分を十年間、こうだろうと思うのですね。これをまた難しく逆算をしてこのようにやっておるんじゃないか、こういうように国民は危惧するわけですよ。まさにそういうつけ焼き刃の、いわばつけ焼き刃の計算根拠をつくっておる、このように疑われても仕方ないですよ。農林大臣どうですか。
  46. 大原一三

    ○大原国務大臣 きのうもお答えしたところでありますが、信連にこの積算根拠をいろいろ申し上げてもなかなかわかりにくいということで、利子の十年分、既にいただいている分が三年、残り七年分の差額計算で見ますと、利子を免除するという前提なんですよ、これ。免除するなんという前提は勝手に立てたわけでありまして、そんな話は出てないのです、その段階では。したがって、それを仮に免除するとして、十年マイナス三年の七年分で見ますとこういう金額になりますよという説明材料にこれを使ったわけでありまして、御理解をいただきたいと思うのです。
  47. 谷口隆義

    ○谷口委員 説明材料で使ったと言って、全く違うやり方を、片一方はそういう説明をする。今この御説明を聞いておりますと、提出資料の説明はそれとは全く違う算出根拠なんですね。しかし、これは納得できないですよ、国民は。説明するために今の五千三百の、日経の二%を十年間というような話をしたというような農水大臣のお話ですが、全くそんなこと触れてないじゃないですか、この中には。全然違うやり方ですよ。算出過程は全く違いますよ。これはどういうことなんですか。
  48. 堤英隆

    ○堤政府委員 日経新聞の記事をごらんいただきますと、今私が申し上げましたぎりぎりの積算だという考え方をきちんと説明してございます。それとあわせて、一つ説明材料として、そういった考え方一つ説明材料として使ったということで、基本的な私ども考え方は昨年の段階から基本的に全く変わっておりません。  そういうことを踏まえまして、先ほど申し上げたように積み上げまして、五千三百億円が系統の信用事業の存立の基礎という観点から見てぎりぎりだという判断をして提示申し上げたところでございます。
  49. 谷口隆義

    ○谷口委員 だから、私が言っておるのは、全く違う算出根拠からたまたま五千三百というようになったというようなお話なんですが、だけれども、これは同じところに源があるならいいわけですが、先ほどのお話を聞いておりますと、全く違うところで算出されたものがたまたまこの五千三百、一緒になる。こういうやり方は、これは極めてわかりにくいんじゃないでしょうか。まさにつじつま合わせそのものじゃないですか。全く関連のない数字なんですよ、今おっしゃっているのは。
  50. 堤英隆

    ○堤政府委員 ここに日経新聞のそのときの回答がございます。そのときにもはっきり書いておりますように、五千三百億円の考え方について御説明いたしますということで、住専設立から今日の破綻に至った経緯等と当事者が有する経営状況、対応力を踏まえるべきとの考え方が与党政策調整会議から示されまして、その考え方に立って対応いたしました。  その際に、ここにございますように、「農協系統は、営利を目的としない協同組織であることから内部留保が極めて少なく、経常利益規模が小さい等の実態にあります。このため、五千三百億円の分担関係はこれから農協系統内部で決定されることとなりますが、いずれにしても、この水準の資金協力をすれば、相当数の都道府県の信連及び農林中央金庫が本年度決算で赤字決算を余儀なくされることはもちろん、次年度以降も極めて苦しい経営を強いられることになり、これ以上の水準であれば、経営が存続できなくなり、新たな信用不安を惹起するおそれがあります。したがって、この水準の資金協力は、農協系統としても経営を存続できるかどうかのギリギリの水準であります。」ということで、当時から一貫してそういう御説明をしているということでございます。
  51. 谷口隆義

    ○谷口委員 どうもはっきりわかりませんね。要するに、この五千三百という結果があって、その結果に基づいて逆算してこのようなことになったのではないかというように考えておられる方が多いわけでして、それに対する反論になっていないわけでございまして、そのあたりをきちっと明確に、農水大臣、もう一回お願いいたしたいと思います。
  52. 大原一三

    ○大原国務大臣 何回も申し上げますように、説明材料としてつくったということでございまして、それ以上のものではありません。
  53. 谷口隆義

    ○谷口委員 説明材料というのは、同じところから出ているものを、二つこのプロセスが違うんだというならわかるんですよ。わかりますか。全く違うところのソースから出てきて、ぴったり合うからこれで説明材料だ、これはおかしいじゃないですか。
  54. 大原一三

    ○大原国務大臣 だから、いろいろアプローチのしょうはあるわけでありまして、それをして悪いということはありません。そういうアプローチをして、そうして……(発言する者あり)あいまいではないよ。そういうことで各信連ごとにどうなるかという積み上げを一方でやり、一方でそういうアプローチをしたら大体数字は合う、こういう結果になったわけで、全然……(発言する者あり)いやいや、おかしくない。そういうことでございます。
  55. 谷口隆義

    ○谷口委員 いや、それは先ほども何回も、農水大臣、申し上げているように、そのソースが同じならいいんですよ、プロセスが違う、たまたまこういうようになるんだということなら。今おっしゃっているのは、全く違うやり方で同じようになったんだ、こういうような方法で説明したと。全く違うやり方じゃないですか、このプロセスは。全く違いますよ、今おっしゃっているのは、この五千三百の算出根拠が。全然違うところで、たまたまこれ一緒になったからと、こういうようなやり方で説明することは、これはもうできないですよ。  だから、説明の方法が変わったわけでしょう。要するに、これはどうも今申し上げている二%の十年間というのではなかなか説明しにくい、積算根拠を出せと言われたからこういう形で無理やり出したんじゃないんですか、これ。たまたまそういうことになったということは、これは説明になっておりません。もう一回お願いします。
  56. 大原一三

    ○大原国務大臣 何回も申し上げるように、これはそういう説明の方が信連サイドにわかりやすい、そういうことで説明をした、私はこう大臣からも引き継いでおりますし、さらにまた経済局長からも聞いているわけです。聞いている範囲で申し上げているわけであります。
  57. 谷口隆義

    ○谷口委員 そういう説明の方が国民説明しやすいという、こういういいかげんなことでは困るわけですよ。現実にこの五千三百億の積算根拠はどういう形になっておるんだ。これを国民の前で明確にすることが一番大事なんじゃないでしょうか。全く違うことを、たまたま五千三百、同じだからやるというのは、こんなもの説明になりませんよ。前の野呂田さんからそういう引き継ぎがあったようでございますが、これは極めて不明快。今の説明では全然説明になっておりません。この説明をきちっとしてくださいよ。やっていないじゃないですか。だれでもわかるじゃないですか。今のこの二つ、全く違うんですよ。全く違う説明の仕方をやって、たまたま五千三百になったと言っているんですよ。それはですね……(発言する者あり)いや、全く違うじゃないですか。
  58. 堤英隆

    ○堤政府委員 大臣からもお答え申し上げましたように、ぎりぎりの負担ということを考えます際には、その際の日経新聞にもお答え申し上げましたように、基本的に、対応力あるいは経営状況ということから見て、積み上げてということは先ほど申し上げたとおりでございます。  別途の見方といたしまして、先ほど御説明いたしましたように、日経新聞で回答しているような一つの積算といいますか、積み上げ方もできるということで、当時はやはり信連、系統の中にこの負担を受け入れられるかどうかという厳しい状況もございましたので、一つ説明材料として使ったということで、両方矛盾は全くないというふうに考えております。
  59. 谷口隆義

    ○谷口委員 信連に受け入れられるかどうかじゃなくて、この五千三百をどういう形で説明できるかということなんですよ。そういう説明というか答弁は、それは答弁になっていませんよ。どうしてこの五千三百が出てきたのかということが一番大事なんでしょう。これを聞かれているわけですよ。国民がそういう説明をしてくれということを言っておるわけでありまして、信連に受け入れられやすいかどうかというのは、こんなもの説明にならないわけでしょう。
  60. 堤英隆

    ○堤政府委員 日経新聞のことをお聞きになりましたので私はそういうふうに申し上げたわけでございますが、基本的な説明は先ほどるる御説明いたしましたように、信連ごと、それから農林中金ごと、それから共済ごとということで、それぞれに与える影響ということから見て、例えば信連でございますと、これ以上の赤字を出すということにつきましては、私どもとしては、全体の六十八兆円の受信業務をやっております。それから、二千五百の単協がございます。そういう中で、農協の全体の信用事業ということに不測の事態を来すということが起こってはならないわけでございますので、そういう意味で私どもとしてぎりぎりのものというふうに理解をいたしまして提示をした、こういうことでございます。
  61. 谷口隆義

    ○谷口委員 何回も、ここにもぎりぎりの協力と書いてあるわけですが、これは極めて算出根拠はあいまいで、不透明で、不明快である。また、答弁の状況を聞いておりましても、一つは違うところからの説明であり、一つはこの積み上げの計算、こういうような形になったと、こういうような説明、たまたま五千三百、一緒になったと。こういうやり方は、ちょっとこれは国民に納得させるのは非常に難しいんじゃないでしょうか。  私、聞いておっても、私は公認会計士長いことやっておりまして計数的には割と強いんですが、こういうようなやり方は極めて不明快。同じところに根拠があれば別ですよ。全く違うところの考え方を持ってきて、たまたま五千三百、一緒になった、こういうやり方で説明をしようとするのはこれは間違いですよ。どっちが本当でどっちがうそなんですか。
  62. 大原一三

    ○大原国務大臣 基本は、先ほどから何回も申しますように、積み上げです。したがって、信連の会計、損益計算書、貸借対照表、それから各信連ごとの融資、それを洗い出しまして、そうして積み上げていって、ぎりぎりの負担、こう申し上げているわけでありまして、これ以上の負担をしますと、全部の信連が赤字になる可能性があるわけであります。利益が千三百億しかないのに二千も出すというのでありますから、内部留保もほとんどこれを食いつぶさなきゃならぬ、そういう状況の中での算定でありまして、そこが基本です。
  63. 谷口隆義

    ○谷口委員 農水大臣、私言っておるのは先ほどの日経新聞の説明ですよ、日経の説明。今おっしゃった説明はこのことをおっしゃったんです。あの日経の説明は全く関係ないんですか。事実じゃないことをおっしゃったんですか。全く違うじゃないですか。全く違う説明をして、たまたま五千三百が一緒になったんだ、こういうような話はこれはないですよ。きちっと説明してくださいよ、これは全く違うんだから。説明になっていませんよ、これ。今おっしゃったのは提出した資料の説明をなさったんですが、もう既に発表されておるこの日経新聞の説明、これは全く違うんですよ。(発言する者あり)この説明もされたと言っているのですよ。農水大臣自身もその説明根拠があると今おっしゃったんですから。こういうような二つの方法があって、こういうやり方もあります、またこういうやり方もありますと。さっきなんて、信連が受け入れやすい、こういうためにこの説明をしたんだ、こういうばかなことないですよ。きちっとやはりこの積算根拠を明確にしないと。
  64. 堤英隆

    ○堤政府委員 大臣からもるる申し上げておりますように、あくまでも、日経新聞の回答でもはっきり、先ほど読み上げましたように書いておりますように、私どもとしては、信連、中金、共済ということで、それぞれ積み上げた数字が私どもとしてのお答えでございます。  それで、その際、例えば日経新聞でもそういう一つの見方があったということで、材料として当時日経新聞の中にそういう回答をさせていただきましたけれども、私ども、この予算委員会の場できちんとこういう形で御説明していることが基本であるということは、当時から変わっておりません。
  65. 谷口隆義

    ○谷口委員 これは何回もやりとりしておっても解決できないんですね。要するに、今の答弁のあれを聞いておりますと、確かに二つの説明があったんですよ。あったんですよ。これは両方とも農水省がやっているんですよ。それで、ここへ出してきた積算根拠はこのとおりだとお役人がおっしゃるんですけれども、以前にそういう説明もあったんですわ。このあたりの食い違いを国民は非常に関心を持って見ておるわけです。  これは、一つは六千八百五十億の裏返しなんですから。裏返しなんですよ、これ。これが決まって、結局財政支出が決まったわけですから。この積算根拠を、これは委員長、きちっと提出してください、書面で。この違いを説明させてもらいたい。  これが一番大事じゃないですか。この六千八百五十億の積算根拠というのは極めて国民が重要に考えておりまして、あのテレビの議論もそうでしょう。六千八百五十億はどうして計算されたんだと。これは先ほど申し上げましたように、五千三百のこの計上の裏返しですよ。セットなんです。この五千三百の計算根拠が明確にならないと六千八百五十は出てこないんですよ。これは極めて重要な説明の違いなんです。ここを明確にしてもらいたいんですよ、委員長。(発言する者あり)出てこないじゃないですか。(発言する者あり)いやいや、全く違うじゃないですか。そういうことを言って国民をばかにしたらだめですよ。きちっとやっていない、このことを聞いているんだから。五千三百の計算根拠をきちっと教えてくれ、このように言っておるわけだから。
  66. 堤英隆

    ○堤政府委員 先ほどからお答えしているところでございますが、私が申し上げました、大臣から申し上げましたことにつきまして、各信連のそれぞれのプライバシーあるいは経営状況に重大な影響を及ぼすということがあってはならないわけでございますので、そのことに配慮を払いながら、できる限りの資料を出したいというふうに考えております。
  67. 谷口隆義

    ○谷口委員 今何回も答弁していただくんですが、全く私の申し上げていることに対する説明にはなっておらないんです。総理、わかるでしょう、今ずっと御答弁を聞いていて。全く違うんですよ。つまり、全く違うことでたまたま五千三百、こういうようになったんだというような、これは回答になっておらないんです。これきちっとやってもらわないと、私、進められないですよ。(発言する者あり)いや、きちんと出してください、それなら。やってくださいよ。じゃ農水大臣、今のきちっと、私が申し上げていることはわかるでしょう。そんなに難しくないんですよ。全く違う説明を二つしておいて、どっちが正しいんですか。前のは間違いだったんですか。
  68. 大原一三

    ○大原国務大臣 二つとも説明がつくわけであります。理由があり、根拠があるんです。あなたはおわかりになって質問しておられるんだと思うのですが、十年間四・五%にした数字、それから計算したのはもう五年からいただいていますから、五年の再建計画でございましたから、三年分を差し引いた、それが一方において出てくるわけです。大体のそのめどは、そういった説明の方が信連の皆さんにわかりやすかろうと。非常に抵抗が強かったわけですから、それに……(発言する者あり)それはあれですよ。それで、そういうことで数字を積み上げたわけでありますが、一方においてはその積み上げがどうなるかということで積算をしていって出した数字、そっちの方がむしろ大事なんですね。そういう意味で一方の説明資料と。これはまあ説明ですから、ほかにもいろいろあると思うのですよ、手法は。だけれども、積み上げが基本でありますから、信連の経営に影響するのは。それから出てきたものであります。以上です。
  69. 谷口隆義

    ○谷口委員 今、農水大臣は極めて重要な発言をされたと思うのですよ。この二つ以外にほかにも説明の仕方があるんですというのは、これはどういうことですか。そんなばかなことないですよ。どちらも正しくて、それ以外にまだ説明の方法があるというのは、これは国民をばかにしておると思いますよ。おかしいですよ、こんなもの。どうして国民に明確にわかるような説明ができないんですか。おっしゃっているのは、二つとも正しいのだと言って、そういう全く違うことをやった上で二つ正しい、今の発言は、それ以外にも説明できるよと言って、そういう言い方はないでしょう。  国民は一番このあたりが、この積算根拠を提示してほしいと言っておるわけでしょう。全く違うことをおっしゃったら、これは困るんですよ、信連に受け入れやすいとか。国民の税金を入れるんですよ、国民の税金を。それでなくても今回のスキームは、農林系金融機関に偏っているんじゃないか、救済しているようなスキームじゃないかと言われているわけですよ。おかしいよ、このやり方は。だから、もう一回きちっと説明してくださいよ。これがわからないと進めようがないじゃないですか。きちっとですよ。そんなばかな、それはだれが聞いていても、こんなのはおかしい答弁ですよ。これは冷静に考えてくださいよ。全く違う方法で説明してくださればよかった、こんなことがあるはずがないわけですから。  それ以外にまだ説明する方法があるなんて、こういう言い方をおっしゃるのは、これは極めて無責任ですよ。幾らでもそれはやれるわけでしょう。あなたのおっしゃっているのは逆算でやっているんです、逆算で。答えが先にあるんですよ。答えが先にあるなら、逆算で幾らでもできるんですよ。真実は一つですよ。真実は一つなんですよ。二つも三つもルートがあるわけじゃないんです。きちっとそのあたりの、どれが正しいんだと、きちっとした説明を、どの説明が正しいんだということをやらないと、先ほども申し上げたように、また違う方法もあるというような言い方をされますと、これは極めて国民の不信が高まりますよ。  もう一回、今おっしゃったもの、二つ方法があるということで、ほかに説明する方法があるとおっしゃったんですが、一遍ちょっとその方法も教えていただきたいと思います。
  70. 大原一三

    ○大原国務大臣 基本は、先ほどから申し上げておりますとおり積み上げです。積み上げで、きょう初めてこの委員会でも局長から発表したわけでございますけれども、二千億の積算基礎は積み上げから出した数字です。そうして、今後の経営状況に及ぼす影響等々を勘案して積み上げた数字でございまして、あくまでも基本は今後の信連あるいは二千五百の単協、そういった方々への影響を勘案しながら計算したものでございます。
  71. 谷口隆義

    ○谷口委員 いや、今私が申し上げたのは、先ほど農水大臣がおっしゃった、ほかに説明の仕方もあるんだということを一遍教えていただきたい、こういうことなんですよ。この五千三百の、今二っおっしゃったのですけれども、ほかにその説明の仕方を一遍教えていただけませんか。
  72. 堤英隆

    ○堤政府委員 大臣は、ほかにもいろいろな考え方はあるかもしれないがというのは一般論としておっしゃったのだと思います。  私どもは、大臣の発言もそうでございますが、この積算に当たりましては、五千三百億円積み上げということと、それから日経新聞への一つ説明材料というふうに、この二つについて申し上げているところでございます。
  73. 谷口隆義

    ○谷口委員 今農水大臣、積み上げでやっておるんです、このようにおっしゃったのですが、各信連ごとのその積み上げの数字を出してくれますか。この数字、出してくださいよ。
  74. 大原一三

    ○大原国務大臣 各信連は積み上げておりますが、個別信連の名前を出すことはその経営に影響があるわけでございますので、個別信連については……。ただ、積算の基礎についてははっきり出せると思います。(発言する者あり)
  75. 上原康助

    上原委員長 お静かに願います。
  76. 谷口隆義

    ○谷口委員 今回のこのスキーム国民の税金を投入しているのですよ。今農水大臣は積み上げで計算されたというようにおっしゃったのですから、各信連のきちっとした積み上げ資料を出してくださいよ。その資料を出してください。
  77. 堤英隆

    ○堤政府委員 Aという信連、Bという信連が私どもの試算によって赤字になるというようなことを、固有名詞を出すということは、信用事業ということをやっておりますことからいきまして、それは避けるべきだということで大臣が御説明しているわけでございまして、ただ、そちらの方との関係を配慮しながらできるだけの資料はおこたえしていきたいというふうに考えております。
  78. 谷口隆義

    ○谷口委員 きちっと、今私が申し上げたように、もう明確に農水大臣は積み上げ計算でやった、各信連のですよ、やっておられるわけですから、その計算根拠を明確に出してください。そうでないと今の発言を撤回しなきゃいけませんよ。どっちかですよ。
  79. 大原一三

    ○大原国務大臣 個別信連の、どこどこ信連どこどこ信連がこういう赤字になりますというようなことは、我々としては差し控えたい。計数根拠はございますから、個別信連の名前が出ない範囲で積み上げを発表することはできます。
  80. 谷口隆義

    ○谷口委員 国民はそんなことでは許しませんよ、きちっと説明する根拠、これはやらないと。この五千三百の説明が非常に重要なんですよ。これがさつき申し上げたように、この六千八百五十億の裏返しなんですから、セットなんですから。この辺をきちっと説明してもらわないと、これはできないですよ。こんな簡単なことが説明できないのか、大体。
  81. 上原康助

    上原委員長 発言者に申し上げますが、ただいまの資料要求につきましては、できるだけ提出をするということを経済局長がおっしゃっておりますので、質問を続けてください。谷口隆義君。——堤経済局長、もう一遍答えてください。
  82. 堤英隆

    ○堤政府委員 今大臣からもお話し申し上げましたように、何々県信連、何々県信連が赤字になるということにつきまして、役所の方から出していくということはいかがかと思いますので、そこへの配慮をしながらできる限りの資料を、わかりやすい資料をお出ししたいというふうに考えております。
  83. 谷口隆義

    ○谷口委員 損益じりを言っているんじゃなくて、この二千億の配分を言っておるわけですよ。今おっしゃったように、積み上げでされているということなので、きちっとそこを出さないと、農水大臣、あなたのおっしゃった発言を撤回しなきゃいけませんよ。どっちなんですか。
  84. 大原一三

    ○大原国務大臣 個別の名前が出ない限り、できるだけの資料を出します。
  85. 谷口隆義

    ○谷口委員 資料を出すといったら、積み上げているんだからすぐに出るはずなんですよ。(発言する者あり)いや、今出してくださいよ。積み上げておるんだから、こんなもの計算根拠じゃないの。出してくださいよ。答えられないの。
  86. 堤英隆

    ○堤政府委員 先ほど、信連につきましての経常利益の考え、貸倒引当金についての考え、かつ数字も申し上げました。それから、農林中金につきましても、有価証券の含み益の益出しを行うということの考えとその数字、それから一般貸倒引当金の数字、それから任意積立金の取りましの数字等を申し上げたわけでございます。それから、中金の協住ローンの負担ということについても数字を申し上げました。  そういうことで、先ほど全体的な数字は申し上げたところでございますが、先ほどから大臣が御説明しておりますように、個別の何々県信連が赤字になる、あるいはこの県信連が赤字になるということを役所の方から言うことはできませんが、できるだけわかりやすい資料で今の数字のベースをお出ししたいというふうに考えております。
  87. 谷口隆義

    ○谷口委員 全く違うね、今の答弁なんて。要するに、私言っているのは、何回も言いますが、損益じりじゃなくて配分なんですよ、各信連の。だから、これを出さなければこれは質問できませんよ。
  88. 堤英隆

    ○堤政府委員 二千億円の負担配分につきまして、住専への貸し付け案分がございますので、それに応じてそれぞれの信連がどのぐらいずつ負担をするかということにつきましては、これは各信連の名前をどうするかということがございますけれども、できるだけお出しする方向で考えたいと思います。(発言する者あり)
  89. 上原康助

    上原委員長 発言者に申し上げますが、資料は提出するということですので……(発言する者あり)ですから、質問者の御要望に沿っての資料を出すということですから、質問を続けてください。その上でまたやってください。  堤経済局長
  90. 堤英隆

    ○堤政府委員 信連の負担額を二千億としましたときに、それぞれの県別の負担はプロラタで当然出てまいります。ここで、二千億ということを前提とすれば、各県ごとに七十五億円とか二十三億円とか二十一億円という形でそれぞれお出しすることはできるということでございます。(発言する者あり)
  91. 上原康助

    上原委員長 発言者、今一応御答弁なさっていますからね。やりとりの中で解明してくださいよ、それは。(発言する者あり)それはちょっと無理がありますよ、発言者にも。  谷口隆義君、続けてください。(発言する者あり)いや、だから促している。  重ねて申し上げますが、発言者にお願いしますが、谷口さん、質問を続けてください。  経済局長、御答弁ありますか。堤経済局長
  92. 堤英隆

    ○堤政府委員 先ほど考え方を申し上げたところでございますが、経常利益ベースで信連の数で約三十、過半と申し上げましたが三十程度、それから当期利益ベースで二十程度の信連が赤字になるということは大変なことでございますが、それを私どもとしてはやむを得ないものとしてのみ込もう、ぎりぎりのものとしてのみ込もうというふうに考えまして、例えば信連でございますと三兆三千億円の融資残高がございますので、各信連の住専への融資残高に応じて今申し上げましたようなことを割り振ってまいりますというと二千億円ということの信連負担額が出てくる。そういうことでございまして、信連の負担額は、その結果、A、B、C、Dと申し上げますと、七十五億円とか二十三億円とか二十一億円とか、そういう形のものがそれぞれの負担という形で出てまいります。
  93. 谷口隆義

    ○谷口委員 申し上げているように、今のは配分なんですよ、案分。農水大臣がおっしゃったのは、積み上げとおっしゃったのですよ。各信連の積み上げとおっしゃったのですよ。私が何回も同じ質問をしているのは、同じ答弁ばかり繰り返して、それで全く根拠のないようなことを言って、先ほどの農水大臣答弁が間違っておるということなら、発言を撤回しても構いませんよ。
  94. 大原一三

    ○大原国務大臣 先ほど言いましたように、三十信連が赤字になるという、それ自体が経常利益で三十です。それから、当期損益で約二十赤字になるという積み上げをやっているわけでありまして、それが決まりましてから、今度は配分が決まるわけですね。だから大体同じような考え方で配分をする、こういうことであります。
  95. 谷口隆義

    ○谷口委員 農水大臣も今の農水省の官僚の方も全く答弁になっていないんですよ。案分じゃなくて積み上げたとおっしゃっているんですから。案分と積み上げは全く違うんですよ。積み上げならその積み上げた基礎資料があるはずだし、きちっと明確に出てくるはずなんですね。積み上げとおっしゃっている以上は、私は積み上げの資料を出してください。これはすぐ出るはずなんですから。案分なら案分だと言って、今の発言を撤回しなきゃだめですよ。
  96. 上原康助

    上原委員長 御質問者にお願いしますが、少し聞いておっても答弁はしているように思いますので、やりとりの中で解明をしてください。続けてください。
  97. 谷口隆義

    ○谷口委員 答弁になっていないんですよ。しかし、これをわかる人はすばらしい人です。今、全く違うんだから。あなたが言っていること全く違うんですよ、おっしゃっている答弁は。全く違う答弁をして、二つあるんだ。  また、積み上げ計算をやったとおっしゃったんですから、ここは極めて重要な問題なんです。重要でなかったら私も次の問題に行きたいんですが、これは、先ほど申し上げているように六千八百五十の裏返しなんですよ。これが決まって六千八百五十の財政支出になったわけですから。その辺はきちっと算出基礎といいますか、算出根拠を明確にしないと、極めて今回の住専処理スキームの重要なポイントになっておるわけでございますので、そういうあいまいな答弁はやめていただきたいと思うんです。もう同じことの繰り返しですから。
  98. 堤英隆

    ○堤政府委員 信連ごとに、大臣から申し上げましたように、積み上げておりまして、私どもとして、農協の信用事業に重大な影響を及ぼすかどうかという判断をいたしましたときに、経常利益で三十というのは、もうこれ以上は大変だという認識、評価をいたしてございます。当期利益で二十以上ということもこれまた大変だということで、しかしながら、全体的な金融システムの安定ということに協力する観点からぎりぎりの協力はしていこうということで、経常利益で三十の信連、それから当期利益で二十の信連はやむを得ないということに考えまして、それぞれごとに信連で積み上げました結果が、先ほどちょっと申し上げましたように、七十五億円とか二十三億円とか二十一億円という形で積算してまいりまして、それを全部足し上げますと二千億円ということになるわけでございます。
  99. 谷口隆義

    ○谷口委員 それは極めてあいまいな答弁ですね。この二千億が先にあるわけですよ。二千億が先にあって案分しておるわけですよ。案分と積算、積み上げとは違うんですよ。積み上げた結果で二千億になったんですか。  また、今の答弁はひどいですよ。今まで積み上げたとあなたおっしゃってなかったじゃないですか。最終的に二千億案分をしたと言うなら、先ほどの答弁を撤回したらいいわけですよ。積み上げてちょうど二千億になったんですか。おかしいですよ、これ。変わりましたよね。先ほどは案分とおっしゃっていたのが、今の農水省のお役人は積み上げとおっしゃいました。この積み上げというのは、下から積み上げて最終的に二千億になるということなんです。初めにこの二千億があって、これを案分するのと全く違うんですわ。農水大臣は先ほどは積み上げでやったとおっしゃったんです。極めて、初めからおかしいじゃないですか。  さっきから申し上げておるように、日経新聞の説明があり、この説明があり、今度は信連の積み上げがあり、案分がありと、どれが正しいんですか。
  100. 堤英隆

    ○堤政府委員 あくまでも五千三百億円の根拠ということでございますから、信連について見ればどれだけの負担ができるかということで、それぞれ、先ほど申し上げましたように、経常利益で三十以上というのはやはり危ない、それから当期利益で二十以上は危ないということで、それぞれ信連ごとに計算をいたしまして、それぞれどれだけの負担になるかということを積み上げて計算した結果二千億ということでございまして、その点につきましては一貫して大臣も私も御説明しているところでございます。
  101. 谷口隆義

    ○谷口委員 さっきも、何回もこれは申し上げているように、全くその基礎資料が明確じゃないんですね。積み上げておるならどういう方法で積み上げておるか、また案分するなら案分したと、こういうように明確におっしゃったらいいんですが、先ほどの答弁では案分した、今の答弁では積み上げたと。全然違うんですよ、おっしゃっている答弁が。  積み上げた結果二千億というのも、これもおかしな話で、これは初めに二千億ありきで、ここから案分していったんでしょう。答弁がころころ変わったら困りますよ。どれが正しいんですか、きちっと明確に答弁してください。
  102. 堤英隆

    ○堤政府委員 私どもは、大臣答弁を含めまして、案分をしたということは申し上げておりません。一貫して積み上げたということで、信連ごとに積み上げまして二千億円を計上したということで御説明いたしております。
  103. 谷口隆義

    ○谷口委員 さっき案分したって言ったんですよ、案分したって。その後、農水大臣が積み上げたと言ったから積み上げたと言って、こんなばかなことないんですよ。これは何回も言いますけれども、この五千三百の積算根拠は極めて重要な問題なんです、この問題は。  これをいいかげんにするということは、この処理スキーム全体がいいかげんだということなんです。これはおかしいんですわ。それに対して明確な答弁をしていただいたらこれは進めるわけですよ。農水大臣がさっきおっしゃったように、積み上げたと。これが積み上げでない、案分なら案分だと。そうすると、発言を撤回していただかなきゃいけませんし、積み上げなら積み上げの積算根拠を見せてもらいたい。  いずれにしましても、余り質問をする時間がなくなってまいりますので、今申し上げた件、農水大臣が積み上げたとおっしゃったこの積み上げの根拠の数字ですね、その資料をまた出していただけますか。出していただけるようでしたら次の質問に移りたいと思うんですが。
  104. 堤英隆

    ○堤政府委員 先ほどから大臣お答え申し上げておりますように、A信連が赤字であるとかB信連が赤字だということを役所の方が言うわけにはいきませんが、今御指摘の点も踏まえまして、精いっぱいの資料は出させていただきます。
  105. 谷口隆義

    ○谷口委員 じゃ、積算の根拠も含めて出していただきたい、このように思います。  次に質問を移らせていただきますが、今回のこの住専処理スキーム母体行、一般行、農林系金融機関で五兆七千三百億の金額を無税で処理しよう、債権放棄ですね。母体行が三兆五千億、一般行が一兆七千億、その他農林系金融機関が五千三百の、これは贈与ということになっておりますが、この無税償却に関してお聞きいたしたいのです。  これは償却じゃないですね、債権放棄ですから、債権放棄そのものでございますので。私は、今回のこの無税処理というのは、公的資金の導入の一つの形態だと思うんですね。従来から、税法において、債権放棄する場合の無税処理、無税処理と申しますのは、寄附金として扱わない、こういうことなんですね。このようなことを国税庁は決められた、こういうことでございますが、これについての説明お願いいたしたいと思います。
  106. 若林勝三

    若林政府委員 お答えいたします。  金融機関に限らず、不良債権処理に伴って生じます貸倒損失とか、また債権の放棄等による損失でございますが、これは企業会計上も損失として処理されるものでございまして、法人税法上も、今先生御指摘のように、寄附金に該当しない限り損金の額に算入されるわけでございます。  例えば債務超過に陥った子会社等を整理する場合に、親会社や利害関係者債権放棄をいたしましたり、その整理に伴って種々の負担をすることによる損失は、それが社会通念上やむを得ないというものである等相当な理由がある場合には、税務上寄附金に該当しないというふうに考えておるわけでございます。  ところで、現在の住専処理スキーム及びその策定経緯等前提として考えますれば、今回関係者に生じることが予想される債権放棄等による損失は、この課税上の取り扱いに照らして考えますれば、基本的には損金として処理される性格のものである、このように考えておるわけでございます。
  107. 谷口隆義

    ○谷口委員 今回の債権放棄にかかわる無税処理は現行法の範囲内でできるのでしょうか。
  108. 若林勝三

    若林政府委員 ただいま申し上げましたのは、現行法上の取り扱いということで申し上げたわけでございまして、今回の処理に当たって何か特別な制度の改正とか考え方の変更ということを考えておるわけではございませんし、こういう考え方は従来から一貫してとっておる考えでございます。また、金融機関であろうとも一般事業会社であろうとも同じことでございます。
  109. 谷口隆義

    ○谷口委員 今回の場合は、母体行が三兆五千億、これは全額放棄をするわけですね。一般行は三兆八千億のうち一兆七千億を放棄するわけです。また、農林系金融機関の方は債権放棄じゃなくて五千三百の贈与、こういうやり方でございまして、先ほどおっしゃるようにそれぞれの処理の仕方が違うわけでございます。ですから私は、これは従来のとおりの、現行法の法解釈でいきますとなかなか難しいのじゃないかと思うのですね、損金処理と申しますか、寄附金の無税処理が難しいというように思うわけでございます。  例えば、債権放棄をする際に、現行法で、債権放棄をした会社と債務会社との間で、他の債権者債権放棄をしていないというような場合は、これは寄附金として認められないという判例があるのですね。  今回の場合は、先ほども申し上げましたように、全部が全額の債権放棄をしたわけじゃございません。また、法的にまだ手続も終わっていないわけでございまして、その段階でこのような、それぞれの母体行、一般行、また農林系金融機関の間で債権放棄の金額が違うわけでございますが、このあたりは問題ございませんでしょうか。
  110. 若林勝三

    若林政府委員 お答えいたします。  今回の処理スキームの中で、各金融機関等が債権放棄等を行うわけでございます。その基本的な考え方につきましては、それなりの経済的な合理性、やむを得ない事情等が存するということでなければこれは寄附金になるということでございます。  その点につきましては、今回のスキームを決定する過程では、昨年の十二月十九日の閣議決定によりまして、住専各社における不良債権の状況についていろいろ検討して、その処理すべき損失額をまず算出いたしたわけでございますし、また、それを基礎といたしまして、利害の相反する関係金融機関等のさまざまな要素を考慮して慎重な検討を重ねた上、閣議決定として策定されたというふうに我々は承知いたしておるわけでございます。こうした中で、債権放棄を行うことを各金融機関に対して要請をされたということでございます。  このことを考慮いたしますれば、この方策に沿って各住専処理の一環として各金融機関債権放棄するというのは、それなりの合理性があるというふうに考えておるわけでございます。
  111. 谷口隆義

    ○谷口委員 五兆七千三百億なんですよね。これは税効果というか、実効税率で考えますと、大体法人税は半分ぐらいですから二兆七、八千億ですか、このぐらいの税額が免除されると申しますか、減額されるわけでございまして、これは極めて大きいですね。私、申し上げているように、一般の市中の企業が債権放棄する場合は非常に厳しいのですね。何でもかんでも無税処理ができるわけじゃございません。  今回の場合、このような処理スキームの中で無税処理をやらないと、多分母体行が債権放棄しないと思いますね。そういうような無税処理ができるようにという形の枠組みをつくったというように私は感じるわけでございますが、例えば、回収不能と見るべき客観的事情のない債務者に対する債権を放棄したときは寄附金の支出に当たるというようなことがございます。  例えば農林系金融機関は、今回、全額五兆五千億入ってくるわけですね、五千三百の贈与を行うということでございますが。このような状況の中で、この五千三百を果たして寄附金に当たらないとして無税処理ができるか。これは昭和四十年の判例で私が今申し上げたようなことが出ておるわけですが、それに対して御答弁お願いいたします。
  112. 若林勝三

    若林政府委員 お答えいたします。  今委員指摘のように、系統金融機関にとりましては、五千三百億円を贈与するということで、債権放棄という形態を形式的にはとっていないわけでございますけれども、これが実質的には資金の贈与ということでございます。この資金の贈与、まさにこれは一方の言い方をすれば寄附金になるわけでございますけれども、ただその寄附金にならないような事情ということで、先ほど申し上げましたようなスキームの中でこの資金贈与が行われるということでございまして、我々はそういう意味において、これは損金として基本的には処理できるものであろうかと考えておるわけでございます。
  113. 谷口隆義

    ○谷口委員 今の処理スキームの全容を客観的に見て、今おっしゃっているような無税処理をやるのは現行法の範囲内では厳しいだろうと私は思いますね。これを政府の方で解釈を変えて弾力的な対応でやるというようなことになるんだろうと思いますが、これは、やはり一般国民はそれではちょっと許してくれないんだろうと思うのです。  先ほど申し上げましたように、これは余りマスコミなんかに載っておりませんが、五兆七、八千億の債権放棄ですから、税収も、二兆数千億の税収が入る予定のものが入ってこないというようなことでございますね。  また、これよりも以前に、金融機関の方は、御存じのとおり、低金利政策によりましてかなりの業務利益を上げております。片一方では、一般預金者が、所得移転と申しますか、本来得るべき所得を受けておらない。九四年度は四兆六千億の収入減であったというように言われておりまして、それに対して金融機関の方は四兆円の業務利益の増加というように言われております。  このような状況で、私が申し上げたいのは、銀行を守っていく、償却をさせるために利益を与えて、また無税償却という特典も与えてやっていくというようなやり方をやっていくということは、まさに今まで続いておった過保護行政と申しますか、護送船団方式の継続があるわけでございまして、そういう状況の中で果たして日本の金融システムが立ち直れるだろうか。  本来、一般事業会社と同じように、厳しい対応の中で生き残っていくべきものは生き残っていく。難しいところは、これはもう政府が何ぼ支えても、コストがかかるばかりなんですから。そういう明確な方向でやっていかなきゃいかぬわけでございまして、今回のこの処理スキームの中でまた一つの特権を与えてこの無税処理を認めるというようなやり方については、極めて僕は問題があると思うのです。総理、これについて御見解お願いいたします。
  114. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 現行の税法上のルールにつきまして、国税庁の方から先ほど御説明を申し上げておりました。一方、金融機関に対する対応につきまして、さまざまな御議論があることも存じております。政府として、法律の範囲内の行動ということについては十分慎重を期してまいりたいと思います。
  115. 谷口隆義

    ○谷口委員 私が申し上げたのは、もうちょっと広い立場の御答弁お願いしたがったのです。  今政府の方は、護送船団方式は見直す方向で行っていらっしゃるわけですね、そういうように聞いております。ですから、そういう意味において、今はまさに過渡期だと思うのです。そういう状況の中で今回この処理スキーム、この処理スキーム全体が私は非常に問題があると思うわけでございますが、それにつけ加えて、今回のこの無税処理という特典を与えるようなやり方でやっていくというのは、また今後もこういうような状況が続くんじゃないか。世界的にも厳しいこの金融情勢の中で、また今後もこういう状況が続くのは好ましくない、こういうように私は思っております。  また、これとは別に、一歩入って、無税償却の処理につきましても、先ほど国税庁の御見解がございましたが、一般的に、今回のスキームの中での処理は現行法の中では難しいと思います。それをあえてやられるというのは、まあ通達なり解釈なりを若干膨らませないとできないんだろうと思うわけでございまして、そういうことについては国民も非常に厳しく見ておるわけですから、一つは現行法の範囲内で、これを飛び抜けるというか、これを超えることがないようにお願いしたいのです。大蔵大臣
  116. 久保亘

    久保国務大臣 国税庁からもお答えを申し上げました。また、内閣総理大臣もただいま御答弁がございましたが、現行法に基づいて公正に運営をされるものと考えております。
  117. 谷口隆義

    ○谷口委員 ちょっと時間がかかりましたので、あと残るところはないわけですが、昨日、この住専七社の立入検査の調査報告書、第一次と第二次でございますか、三年から四年、また七年度でございますか、この二つの立入調査調査結果が公表されたわけでございます。  これを拝見しますと、極めて住専七社の経営の状況と申しますか、調査した結果、大きな問題が出ておるというように感じるわけでございます。  それと、もうこの問題は、その第一次の調査、これは平成三年から平成四年でございますが、このときにかなり状況を大蔵省当局の方で把握されておられたというようにこれを見ますと感じるわけでございまして、それに対して何ら手を打ってこなかった。そのために、平成七年度の第二次の調査において、それが継続し、また悪化しておる、不良債権がより一層悪化しておるという状況がこの調査結果を見ますとよくわかるわけでございまして、これは極めて大蔵省の責任が大きいと思うわけでございます。  ちなみに、この平成三年から四年の第一次の調査報告書を見ますと、住専七社の問題点が書いてあるわけでございますが、日本住宅金融につきましては、審査体制は旧態依然で形骸化し、担保掛け目はほとんど守られておらない、財務諸表分析のできる者がほとんどいない、貸付業務を専ら行う会社としては危険な状態であると、もう既に第一次調査の段階で指摘されております。  また、住宅ローンサービスにつきましては、担保掛け目を超えたものが散見された、欠損見込み比率が低いのは、延滞債権のうちどれだけ損失発生するか不確定なことが主な理由である、個々の取引で極めて不適切な事例が散見されておる、このように指摘されています。  また、住総につきましては、担保掛け目比率が一九八九年に一〇〇%に引き上げられた、今後多額の損失発生も予想され、早晩経営の見直しが必要である、融資姿勢が厳正さに欠け、安易に担保評価額いっぱいまで融資を行うなど融資内容は極めて劣悪である、このように言われていますね。  また、総合住金は、いわゆるラブホテル、パチンコ店など住宅に全く関係のない業種への融資が多い。一二四%という高率な担保掛け目が行われておるような不適切な例も見受けられる。極めて危険な状況で、多額の損失発生が予想される。  また、第一住金は、担保掛け目の基準は八四年九月から一〇〇%以内とされておる。基準は甘い。同社のスタンスは問題がある。今後の市況によっては多額の損失発生も予想され、早期に経営の見直しが必要である。  また、地銀生保住宅ローンにつきましては、新規貸出限度額を三十億まで引き下げているが、既存の大口取引先は貸付残高がその後も増加しており、担保掛け目が八六年十月まで一〇〇%、富士住建グループの融資の九割が一〇〇%を超え、一七〇%という例もあった。都市銀行の紹介案件を安易に肩がわりに応じるなど事業計画の妥当性が不十分である。  また、日本ハウジングローンは、担保掛け目が一〇〇%を超える融資が散見され、特に富士住建グループの融資の七割が一〇〇%を超えて実行されており、中には一八〇%で融資を行っている例も見受けられる。  このように、第一次調査報告の段階で、極めて経営の状況が悪化し、多額の債権発生しており、社内の審査体制と申しますか、こういうところも極めて劣悪な状況の中にあった。こういう状況の中で放置された状況になっておったというように私は感じるわけでございます。  その結果、二次調査報告書を見ますと、同じ債権がどんどんどんどん回収できない債権に移っていっております。第二分類から第三分類、第四分類と、このように移っておるわけでございますが、大蔵大臣、このあたりの状況について、大蔵省の責任という観点でどのようにお考えになりますか。
  118. 久保亘

    久保国務大臣 今御指摘がございましたように、平成三年から四年にかけての第一次の検査、昨年の第二次の検査の結果についてごらんをいただいたわけでございますが、結果的には、対応が適切であったかどうかということについては反省すべき点、検討しなければならない問題を含むものと思っております。  ただ、大蔵省といたしましては、住専に対してはその指導監督権に制約がございますし、もちろん改善命令や営業停止を命ずるということはできないわけでございます。そういう中で、住専各社ごとの再建の方策について当事者間の協議を要請し、できる範囲の努力をその時点時点においては的確に行うよう最善を尽くしてきたものと考えております。  今日振り返って、このことをどのように評価するかということはまた別問題だと思っておりますが、それだけに、この事態はもはや先送りを許さない、こういうことではなかろうかと思っております。  なお、この際、先ほど私が御答弁申し上げました際に、このスキームに関する閣議了解を一月二十二日と申し上げましたが、一月三十日でございましたので、謹んで訂正をさせていただきます。
  119. 谷口隆義

    ○谷口委員 今回我々が要求しておったこの調査報告書を見ますと、先ほど概括的なお話で各住専七社の問題点を報告されてあったわけでございますが、これをずっと見ていきますとよくわかるのですね。第一次の段階で極めてずさんな経営をしておったというようなことがわかるわけでございまして、今大蔵大臣のお話では、大蔵当局の責任の問題について厳しく御答弁の中になかったわけでございますが、この段階である程度対応をしておったら、今問題になっておるような住専に対する不良債権が大きく集中するというようなことは避けられたんじゃないかというように考えております。  この中身を逐次見てまいりますと、私もこういう財務分析であるとかこの状況を見る仕事に携わっておったのですが、極めてずさんで、びっくりするようなことがあるわけですね。こういうことは到底あり得ないと思うようなことが何点かございまして、こういう状況の中で何ら対応されなかった大蔵当局の責任、昨日も何か事務次官の方が記者会見されておったようでございますが、その辺のことも含めまして、私は極めて大きな責任が大蔵省にあると思うのです。  これは一つは、住専というのは、先ほども申し上げましたように、母体行があって、また大蔵省も極めて緊密に関与しておる。一番ピークのころには、住専七社のうち六社までが大蔵省OBの社長で占められたというような時期もあったようでございまして、また、そういう意味で天下り先になっておったのじゃないか、こういうようなことも言われております。また、従来、住専は都道府県管轄になっておったものが、途中で大蔵省直轄になりましたね。こういうようなことで、大蔵省イコールノンバンク、住専、こういう構図になっておったのじゃないか、こういうようなこともあります。そういう中で、大蔵省の責任は極めて大きいというように思うわけでございますが、もう一度御答弁お願いいたしたいと思います。
  120. 久保亘

    久保国務大臣 一つは、政治や行政の結果責任というものは、重くこれを受けとめなければならないものと考えております。また、もしこれらの事態が起きますことについて、制度の運営上の問題にとどまらず、法制度上の改善整備すべき問題等があれば、これらの問題にも取り組まなければならないと考えております。  天下りの問題についてお話がございましたが、基本は、指導監督の権限を持ちます役所と業界との緊張関係をきちんと持ち続けていくことが極めて重要だと考えております。その基本的な立場に立って、天下りの問題については対応しなければならないと考えます。
  121. 谷口隆義

    ○谷口委員 今大蔵大臣に御答弁いただいたわけでございますが、総理も同じように一応答弁お願いいたしたいと思います。
  122. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、今大蔵大臣が述べられたことに尽きておると申し上げていいと思います。我々、反省すべきことは間違いなくございましょう。そのときそのとき一生懸命やってきたことでありましても、後で振り返りましたとき、問題があれば、その点はきちんと我々受けとめていかなければならない、それは当然だと思います。
  123. 谷口隆義

    ○谷口委員 「個別貸付先の財務状況等」の一覧がございますが、先ほど非常にずさんな状況になっておるというように言いましたが、ちょっと端的に紹介をさせていただきますと、ある会社は、「財務諸表の実態がずさんであったために、当社から借り入れの未計上を見逃して、別の関係会社に計上されておった」、こういうような例があった。極めてこういうずさんさがあらわれておるわけでございます。  また、ある例でいきますと、「当社は、債務者の実態把握不十分のまま貸し付けを行ってきたために、和議申請直前の二月十日に新たな融資を実行するなど、ずさんな中間管理等もあって資金を固定化させてしまった。」和議直前の段階で融資したというのですよ。全くその状況を把握しておらなかった。  また、都銀の紹介案件もかなりありますね。これで焦げついておるというような状況が散見されるわけでございますが、これを読みますと、やはり何らかのアクションを起こしておらない大蔵省は極めて責任が大きい、さっきから何回も申し上げますが。それに対して今どういう形で責任をとるかというような問題もあるわけですが、このあたりを明確にする必要があるんじゃないかというように私は思います。  先ほどからずっと質問をしておりましたが、一連の金融行政全体の問題がございました。住専処理問題にかかわって、より広く金融システムの問題、金融行政の問題がございました。まだまだ世界的に十分開かれたと申しますか、自由化されたような状況になっておらない、こういうような問題。また、この住専処理に見られるような、まだきちっとした対応をとっておらない大蔵省機構改革と申しますか、組織改革も、これはやはり考えていかなきゃいかぬ問題じゃないかな、このように私は感じておる次第であります。  またそれと、覚書がございましたね。時間が余りありませんが、覚書がございました。一九九三年二月三日であります。大蔵省銀行局長と農林省の経済局長との間の覚書でございます。これは昨日問題になったことでございますが、また違う観点で見ますと、この一九九三年二月三日に覚書をつくって、その間で金利が決まったんですね。母体行がゼロ、一般金融機関が二・五、農林系が四・五ですか、そういうようになったんですが、実は、この翌日公定歩合が下がるんです。  二月三日に覚書があって、二月四日に公定歩合が三・二五から二・五に変わるのです。この二・五と申しますのは、先ほど私が申し上げましたこの覚書の中の一般行の金利なんです、二・五は。これは、前日にもう既にこのような状況、大蔵省、日銀、農林水産省との間のあうんの呼吸があったんじゃないか、このように言う方もいらっしゃいまして、この二・五というのは、翌日の公定歩合に合わそう。  そうすると、日銀の独立性の問題であるとか、さっき私が申し上げましたように、大蔵省がすべて仕切っておるというような問題、極めて重要な問題でありますが、このあたりについて、大蔵大臣の御見解お願いいたしたいと思います。
  124. 上原康助

    上原委員長 谷口君に申し上げますが、持ち時間の約束の時間、経過していますので、あとの時間もありますから、御協力願います。  大蔵大臣
  125. 久保亘

    久保国務大臣 今谷口さんがお話しになりましたようなことは、私の考えではあり得ないことだなと思っております。ただ、その時期のことを私つまびらかにすることができませんので、これ以上のお答えは困難であります。  なお、公定歩合に関しましては、これは日銀の固有の判断と考えております。
  126. 谷口隆義

    ○谷口委員 では、終わります。
  127. 上原康助

    上原委員長 これにて谷口君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  128. 上原康助

    上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鮫島宗明君。
  129. 鮫島宗明

    鮫島委員 私の質問時間の中で、私の質問に先立って草川理事より若干の関連質問がありますので、先に草川理事が発言いたします。
  130. 上原康助

    上原委員長 草川昭三君。
  131. 草川昭三

    ○草川委員 草川でございます。  まず、新進党の方から資料要求をしているものがございますので、委員長の方でお取り計らいを願います。  さきに二月一日に、不良債権中の暴力団絡みの貸付件数、金額ということを理事会に申し上げました。それをもう少し砕いて言いますと、住専各社が保有する担保(抵当権)物が、担保権設定後に設定された短期賃借権を権原として占有する者がある物件について、その明細を示されたい、物件、占有者、短期賃借権の内訳、こういうことでございます。  それから二番目に、本日午前中に谷口委員が、いわゆる農水省に対して質問をしたことについて文書で示されたいという言い方をしておりまして、それでまとまったような形になっておりますが、改めて私の方から委員長に、文書でもって回答をされたい、しかるべき措置をお願いをしたい、改めて申し出をいたします。  それからなお、前回、紹介融資の実態について、残高及びそのうちの不良債権の額、代表的な案件ということで申し上げておりましたが、一部、昨日の資料で出ております。しかし具体的には、また後ほど申し上げますけれども、ハウジングローン等の中におきまして、既に私ども大蔵省には申し入れているところの案件があるわけでございますが、それがまだ出ておりません。そこで、いわゆる具体的な氏名を今、本日申し上げることはいかがなものかと思いますので、これは後ほど理事会で申し上げますから、これも措置をしていただきたいということを申し上げておきます。  なお、私は、昨日政府側の方から議院証言法に基づく資料が出てまいりました。大蔵省に改めて問いますが、住宅金融専門会社七社上位百の貸付先の実名リストにございますところの貸付残高は、平成何年何月何日現在のものか、改めてお伺いをしたいと思います。
  132. 上原康助

    上原委員長 ただいまの草川委員の御要望の件につきましては、理事会で協議の上、対処してまいりたいと存じます。  西村銀行局長
  133. 西村吉正

    西村政府委員 昨日提出いたしました住専七社の百の貸付先実名リストは、私ども平成七年六月末時点の数値と理解をしております。
  134. 草川昭三

    ○草川委員 では第二問として、「住宅金融専門会社七社に関する平成七年八月の調査結果」、これは昨日出たものですね、「個別貸付先の財務状況等」という書類には個別の債務者の状況が書かれておりますが、ここにある数字は平成何年何月何日のものかお答えを願いたいと思います。
  135. 西村吉正

    西村政府委員 同じ時点の数値を基礎にしておるものと理解をしております。
  136. 草川昭三

    ○草川委員 では、上位百の貸付先の実名リストですね、このうちの貸し付けに問題があるわけでありますが、金額が大きいものの個別内容がこの平成七年八月の調査結果の書類に記載をされていると見ていいのですか。これとこれは同じものと見ていいのですか。お伺いします。
  137. 西村吉正

    西村政府委員 同じ基礎に基づいているものと理解をしております。
  138. 草川昭三

    ○草川委員 そうしますと、これはちょっと拡大をしておりますが、大きいのですが、いわゆる上位百社の貸付先の実名リスト、十三ページを開いていただきたいと思うのです。日本ハウジングローンの分であります。順位第一位に富士住建グループという名前があります。貸付残高は千二十五億円となっております。ところが、「七社に関する平成七年八月の調査結果(個別貸付先の財務状況等)」の三十一ページを開いてください。同じく日本ハウジングローンの欄でございますが、富士住建グループとして千七百六十七億円になっております。その差が七百四十二億。  同様に、第二位のコリンズグループでは、百のリストでは五百三十七億になっております。平成七年八月の調査結果では八百五十四億円。その差三百十七億円。  第四位の末野興産は、百社のリストでは三百五十五億円、平成七年八月の調査結果では八百四十二億円。その差四百八十七億円です。  このように、二つの資料をつけ合わせてみると、合計で二千百八十六億円の違いがあるんです。調査結果の数字が正しければ、ハウジングローンの平成七年六月末の残高は一兆円を超すことになります。一体どちらの数字が正しいか。  これは議院証言法に基づいて衆議院議長の方から総理の方へ行き、そしてこちらの方へ来たわけでございますが、七社すべての点検をしておりますが、明らかに数字が違うのはこのハウジングローンの分だけでございます。ほかのものはすべて一致をしておるわけですから、これだけ違うのは非常に不自然であります。この点についてどのようなお答えがあるか、お伺いをしたいと思います。
  139. 西村吉正

    西村政府委員 お手元の百のリストの注の二をごらんいただきますと、「関係会社向け貸付金残高は六千四百六十六億円である。」とございます。百のリストの下の欄に書いてある注でございます。  先ほど御指摘の個別貸付先に関する資料は、私ども関連会社を経由いたしまして貸し付けられたものをも分析をしたものでございまして、数字の基礎は同じでございます。
  140. 草川昭三

    ○草川委員 相手が住宅金融専門会社ですから、もとは同じだというのはそれは当たり前の話なんです。しかし、国会に出された少なくとも資料は、明らかにこのように違うわけであります。  でございますから、私どもは非常にこの国会の今回の資料請求というのは重く受けとめております。わざわざ一〇四だけではなくて、相手が民間でございますから、議院証言法に基づく要求をしておるわけでありますし、国民注視の中で、国会も政府も責任ある態度で国民に情報公開をすると言っているわけでございますから、ただいまの銀行局長答弁は、私はこれは納得できません。  しかし、ここで納得できないからどうのこうのと言うつもりはございませんから、もう一度全部精査してください、これは。精査をして、きちっとしたやはり資料を出しませんと、私が今ハウジングローン、これ一社だけを取り上げておりますが、これは非常に重要な問題提起だと思います。  これはぜひ総理にも、今お聞きになって、おわかりの範囲内で結構ですから、範囲内で、私の指摘についてどのようなお考えか、お伺いをしたいと思います。
  141. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 今銀行局長から局長としての立場答弁はございましたが、確かに委員指摘のように、二つの資料の数字には相反している数字が載っております。こうした点についてなお念査をさせますとともに、より正確な資料を提出するよう努力をいたします。
  142. 草川昭三

    ○草川委員 では、最後に委員長に、私が今指摘をした国会の権威というのがございますし、あくまでもこれは議院証言法に基づく資料が開示をされたわけでございます。どうかそういう意味で、委員長としても責任を持って対応するという答弁をぜひしていただきたい、こう思います。
  143. 上原康助

    上原委員長 今総理大臣からも御答弁がありましたし、また、理事会においてもよく協議をして政府に要請をいたします。
  144. 草川昭三

    ○草川委員 以上で譲ります。
  145. 上原康助

  146. 鮫島宗明

    鮫島委員 新進党の鮫島でございます。  きのうあるいはきょうの質疑の中で、きょうも農林大臣、午前中御答弁なさっていましたけれども、やはり農協系統の金融がほかの一般の都市銀行や何かと違って、農協法の縛りもあってなかなか内部留保ができない、そういう体力の弱さも勘案し、またこの住専設立以来の経過も勘案して、農協系統に対してはある意味ではさまざまな配慮がなされている処理案だと思いますけれども、組合員に安心を与えるという意味で、少しこのスキームの内容、農協の方の立場から見た場合にどう見えるかということでお伺いしたいのです。  まず、住専処理機構をつくって、そこにニューマネーを系統、一般行母体行がそれぞれ二・二兆円ずつ出して、そこから動かし始めますということになっていますけれども、この閣議決定では、系統に対しては貸付債権の全額返済を前提にして五千三百億円の贈与というふうにありますけれども、どこから動き始めるのか、払い込みの手順について御説明いただけますか。
  147. 堤英隆

    ○堤政府委員 今回の閣議決定の文書におきましては、系統に対しまして五兆五千億の返済を前提という形で、協力という形で資金贈与するという形になっております。  したがいまして、全体的なスキームといたしましては、その点について申し上げると、やはり系統なり一般行なり母体行なりというところから一定の低利融資が行われまして、これは午前中の銀行局長答弁であるわけでございますが、住専処理機構のところで債権譲渡、買い取りということが行われます。その過程で、それを経まして、住専七社の方から五・五兆円というものが返済をされてくる。全体的にはこういう形になってくると思います。  それから、別途、系統の方といたしましては、先ほど御説明いたしましたように、住専処理機構を通じまして五千三百億円の贈与を行う、こういう形になろうかと思います。
  148. 鮫島宗明

    鮫島委員 済みません、ちょっと確認ですけれども、じゃ五・五兆円は住専七社から系統に払い込まれるということなんですか、この処理機構からではなくて。
  149. 堤英隆

    ○堤政府委員 先ほどお答えいたしましたように、系統、一般行母体行から低利融資をしていただくということでございます。その低利融資でもって、住専処理機構住専七社から債権譲渡、買い取りを行います。そういうことを経て、住専七社の方から五兆五千億の返済が行われる。こういうふうに私ども理解をいたしています。
  150. 鮫島宗明

    鮫島委員 次に、五千三百億のことについてちょっとお伺いしたいのです。先ほど午前中の谷口委員からの質問で、この五千三百億という数字が出てきた根拠について、農水大臣は、積み上げの結果だということでした。このことについてはちょっと後ほどまた触れさせていただきますけれども、なぜ贈与という形になるのか、その御説明をいただきたい。
  151. 大原一三

    ○大原国務大臣 五兆五千億円を全額返していただくという前提があるわけでございますが、やはり今日の住専問題を含む金融リストラのために我々としても協力しなければならぬ、こういうことで、与党調整会議等々を経まして五千三百億を贈与するということに相なったわけでございます。
  152. 鮫島宗明

    鮫島委員 五千三百億の件ですけれども、ちょっともう一度だけ確認させていただきますと、贈与にしたということは、いわば住専の破綻についての責任は系統にはない、したがって、債権放棄とかそういうことをする必要はないけれども、全体の金融システムの安定のために系統としてもできる限りの協力をするという、その協力の姿勢が具体的に贈与という形であらわれているという解釈でよろしいのでしょうか。
  153. 大原一三

    ○大原国務大臣 さようでございます。
  154. 鮫島宗明

    鮫島委員 大蔵省にお伺いしますけれども、この贈与は課税の対象になるのでしょうか。
  155. 若林勝三

    若林政府委員 お答えいたします。  まず、金融機関に限らず、法人が資金贈与等を行った場合に生じる損失の側面から見てみますと、これは企業会計上も損失ということで処理されるものでございまして、法人税法上も、寄附金に該当するものでない限りこれは損金に算入されるわけでございます。  また、他方、法人が他から資金贈与を受けた場合、受け手の話でございますが、この場合は、法人税法上、贈与された資金は受贈益ということになるわけでございます。そして、法人税の課税対象となる益金の額に算入されることにはなるわけでございますが、資金贈与を受ける側の法人において生じるさまざまな費用、損失と当然ながら相殺されることになります。  したがって、結果的には課税所得が生じないというようなことが生じることは十分あり得る話でございます。今回のケースはこういうことに該当するかと思われるわけでございます。
  156. 鮫島宗明

    鮫島委員 今回のケースに限らずということも念頭に置いての今の御答弁だと思いますけれども一般に法人が、出す側と受け取る側、両方に課税の機会があると思います。出す側の方でいいますと、幾らでも損金算入できるというわけではなくて、損金算入の限度額は決まっていると思いますけれども、系統の場合は、五千三百億というのはこの限度額の中に入っているから課税の対象にならないという意味なのか、あるいはこの住専処理という特殊なケースに使われる贈与だから対象にならないのか、その点についてお伺いしたい。
  157. 若林勝三

    若林政府委員 お答えいたします。  法人が資金贈与とか債権放棄などを行った場合、資産が消滅するということで、企業会計上は損失ということで処理されるわけでございます。こういうことで法人税法上も、これらの損失については寄附金に該当するものでない限り損金の額に算入されるわけでございます。  今、委員指摘のことは、寄附金に該当するのであれば限度額があるではないかという御指摘でございますが、本件の場合につきましては、寄附金には該当しないだろうということを基本的に考えておりますので、そういう意味において損金に算入される。したがって、限度額というようなものは、こういう考え方に合致する限りにおいては特に存在しないということでございます。
  158. 鮫島宗明

    鮫島委員 次に、系統が住専処理機構に二・二兆強融資することになっていますけれども、これは農水大臣あるいは政府委員でも結構ですけれども、利息は幾らになるのか。それから、信連が農協に保証している利息があると思いますけれども、逆ざやになるおそれはないかどうか。この点、御答弁いただきたい。
  159. 堤英隆

    ○堤政府委員 低利融資が行われるわけでございますけれども、その際の金利につきましては、まだ具体的な調整をしている段階でございますが、基本的な考え方といたしましては、大体短プラを水準ということになろうかと思います。その水準が逆ざやであるかどうかというのは、ちょっと今のところどういう見方をするかということによりますので、今の段階ではっきりしたことはお答えができません。申しわけございません。
  160. 鮫島宗明

    鮫島委員 多分このラジオを聞いている組合員の方々も心配していると思うんですけれども、今の御答弁は、場合によったら逆ざやになるケースもあり得るという意味なのか、それとも逆ざやにならないように何らかの措置をとる、あるいはならないように努力するという意味なんでしょうか。
  161. 堤英隆

    ○堤政府委員 系統といたしましては、この二・二兆円の融資、それから運用をするわけでございますが、それ以外にもさまざまな形で運用をいたしております。したがいまして、できるだけ信連の経営ということから見ますれば逆ざやにならないということがよろしいというふうに思うわけでございますが、全体的にいろいろな運用の仕方がございますので、その全体の中でそのあたりについては解消していけるといいますか乗り越えていけるものというふうに理解をいたしております。
  162. 鮫島宗明

    鮫島委員 正確な額はわかりませんけれども、二・二兆円強と言われていますけれども、この元本は保証されているんでしょうか。
  163. 堤英隆

    ○堤政府委員 これは、先ほども説明いたしましたように、系統それから母体行、一般行からそれぞれの低利融資がございまして、住専処理機構債権の買い取りをするということが原資になりまして五・五兆円のものが返ってくる、元本が返ってくるということでございますし、それから低利融資されたものにつきましては、これは全体的な中で、基本的には系統としては元本が保証されるといいますか優先的に返ってくる、そういう理解をいたしております。
  164. 鮫島宗明

    鮫島委員 もう一つお聞きしたいんですけれども、二次損失分についてです。  先ほど、午前中の質疑の中で大蔵大臣は、努力次第では七割程度は戻ることも考えられるというような趣旨の御発言がありましたけれども、農協系統が二次損失分を負担させられることはあるのでしょうか、あるいはその懸念はないというふうに考えてよろしいんでしょうか。
  165. 西村吉正

    西村政府委員 二次損失については、先ほど来お答え申し上げておりますように、そういう性格の損失が生じないように最大限努力をするというのが前提でございます。  そういう中で万一生じました場合の仕組みというものを今回御提案しておるわけでございますが、その仕組みの中で、国が負担をしていくという考え方のもの、そして民間がいろいろな工夫の中で処理をしていくというものもございます。系統の方々にもそういう枠組みの中で御相談をしておるところでございます。
  166. 鮫島宗明

    鮫島委員 ちょっと農水大臣にお聞きしたいんですけれども、今の銀行局長の御答弁ですと、まず二次損失分が、これはほとんどまくら言葉に今なっていますけれども、生じないように最大限努力をする、しかし万一生じた場合には、国あるいは民間もさまざまな工夫を凝らす、系統にも相談させていただくということですけれども、これは農水大臣の御認識と一致しておりますでしょうか。——いや、農水大臣の方から。
  167. 堤英隆

    ○堤政府委員 私の方から先にお答えさせていただきます。  今銀行局長からお話があったとおりでございます。そういう中で、私どもとしましては、系統の金融ということも考えまして、系統の金融の弁済ということについての配慮ということを大蔵省お願いをし、そういう方向で今調整をしているということでございます。
  168. 鮫島宗明

    鮫島委員 ちょっとよくわからない。  農水大臣にお答えいただきたいんですけれども、つまり五千三百億というのは、全国の信連あるいは場合によったら農協まで含めてどこまで出せるのか、ぎりぎり検討して絞り出したお金、もう逆さにしてもあと一文も出てこないというようなニュアンスの御答弁ですけれども、今の銀行局長あるいは政府委員の答えですと、この丁二兆がうまく回収できない場合は、場合によったら系統に御相談の上、協力してもらうこともあり得るというニュアンスですけれども、農水大臣としてもそういう御覚悟なのでしょうか。
  169. 大原一三

    ○大原国務大臣 御質問の点はこれからのお話でございますが、我々としては、今回の負担そのものが非常に農協系統にとって厳しい負担になっておることは御承知と思います。  そういう意味で、単協等に対する影響を勘案しますと、なかなかこの還元率が、現在の状況で、信連から単協へ七百億ぐらい配当されているわけでございますが、この確保が非常に難しくなるのではないか。先ほどの質問にもございましたけれども、逆ざやにはならないが、大変な減収になることは事実でございます。  そういったことを勘案しながら、今後その問題については、経済局長が申し上げたとおり、大蔵当局とも御相談して我々の事情を十分わかっていただけるように努力をしたい、かように考えます。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  170. 鮫島宗明

    鮫島委員 組合員に対してどういうふうに説明するかということですけれども、今の御答弁だと、二次損失分が一・二兆生じた場合は、場合によったら系統が応分の協力をすることもあり得るというふうにしか受け取れませんので、そういうことにしておきます。  次に、一般行についてちょっとお伺いしたいのです。  大蔵大臣あるいは政府委員銀行局長かもしれませんけれども一般行が二・二兆円強融資することになっていますけれども、この場合の利息は幾らになるのか、それから元本は保証されるのかどうか、お答えいただきたい。
  171. 西村吉正

    西村政府委員 母体行、一般行、系統、それぞれがおおむね三分の一ずつということで今協議を進めているところでございますが、そのうちの一般行の融資の条件につきましては、これはこの新しい処理機構が円滑に運営していけるように、そのような金利で融資をするという条件を今詰めておるところでございます。かなり低利のものになるであろうと予想をしております。
  172. 鮫島宗明

    鮫島委員 先ほど農水の政府委員の方からは、元本は保証されるのかということを系統の融資について聞いた場合に、二・三兆円の元本は優先的に保証されるものと考えているという答えがありましたけれども、この一般行の場合と系統の場合と、何かこの二・二兆円強の元本の保証について、現時点で既に違った扱いをするということになっているのでしょうか。
  173. 西村吉正

    西村政府委員 一般行の融資につきましては、政府が保証をする、そういうことはございませんけれども、他方において、預金保険機構によって保証をするというような仕組みを現在考えておるところでございます。
  174. 鮫島宗明

    鮫島委員 いや、今私が伺ったのは、預金保険機構から保証するとしても、系統の方を優先的に保証するということがあり得るのかどうかということを聞いたのです。
  175. 西村吉正

    西村政府委員 預金保険機構が保証をするというのは、自分たちの仲間の仕組みの中でお互いに保証をしていこう、こういう仕組みであるわけでございます。預金保険機構のメンバーの間でのお話になるわけでございますので、そのような仕組みと系統の方々とは一応別の問題ということになっておるわけでございます。
  176. 鮫島宗明

    鮫島委員 ちょっとよくわからない面がありますけれども。  次に、一般行は二次損失分を負担させられることはあるのかどうか。もうまくら言葉は結構ですから、万一その一・二兆円の損失が生じた場合、一般行負担させられることがあるのかどうか。
  177. 西村吉正

    西村政府委員 そのような損失が将来万一生じました場合に、どのように処理するかという仕組みを現在考えておるわけでございます。  その仕組みの中では、半ばを国が負担し半ばを民間が負担するという考え方で検討しておるわけでございますけれども、その民間の負担分をどのようにしていくかということは、母体行や一般行がいろいろな仕組みを通じて処理をしていくという意味では、一般行も参加していただくことになります。
  178. 鮫島宗明

    鮫島委員 ちょっと銀行局長にお伺いしたいのですけれども一般行に参加してもらうこともあり得る。系統に参加してもらうこともあり得るのでしょうか。
  179. 西村吉正

    西村政府委員 これも先ほど御説明をいたしましたように、一般行母体行、系統、それぞれが協力し合いながらこの新しい方式を運営をしていく、その具体策について今検討をしておる、こういうことでございます。
  180. 鮫島宗明

    鮫島委員 きのうからけさにかけての平田委員からの質問にもありましたけれども一般行に一・七兆円のロス負担をさせる理由が、いまだにその合理的な根拠がないと思います。そもそもこのロス負担をさせる理由は、貸し手責任に基づくものなのか、根拠が何なのかを教えていただきたい。  それで、六・四兆円のロス負担のうち、母体行が三・五兆円は放棄します。残りのロス分について、いわゆる残高比率方式でやれば一・二兆円になるはずなんですけれども、それが一・七兆円になっている根拠。この二つ。  そもそもなぜ負担させるのかという問題と、プロラタを超えて五千億を上乗せした理由、この二点についてお伺いしたい。
  181. 西村吉正

    西村政府委員 責任という言葉にいろいろな意味があろうかと存じますが、今御質問の中に、貸し手責任があるのかというような趣旨の御質問がございましたが、一般行に限らず、金融機関お金を貸す場合に、そのリスクをとるという意味では、責任を持ってその運用を図るということでございましたらそのとおりかと存じます。  そのような意味において、一般行には貸し手としての責任があるというふうに申し上げられるかと存じますけれども、今回の処理スキームを策定するに当たりまして、一つの単純な考え方でそれぞれのお立場の方々にぎりぎりの分担を求めたわけではございません。いろいろな御主張がある中で、この住専問題をできるだけ早く処理をするという観点から、限度いっぱいの御負担をいただくようにそれぞれのお立場の方にお願いをしたわけでございます。  その場合に、一般行の方々にどのようなお願いをしたかという点については、先ほど平田委員にお答えをいたしましたように、過去の経緯等も考慮しまして、六兆二千七百億円の損失見込み額ベースとして修正母体方式算定した額にとどまらず、七社が個別住専ごとに十分の回収努力を行うとの前提に立った場合に発生する可能性が見込まれる損失額、七兆五千百億円をベース修正母体方式を基礎として算定された分担額、これが一兆七千億円になるわけでございますが、それをぎりぎりの負担額として要請をいたしましたと、こういうことでございます。
  182. 鮫島宗明

    鮫島委員 そうすると、一般行が一・七兆円出すのは、その責任に基づいて出すわけではなくて、今の局長の言い方ですと、各セクターにあんたはどこまで出せるのだとぎりぎり迫って、一般行は一・七兆出せます、系統は五千三百億の贈与ができます、母体行は三・五兆出せますと、いわば根拠なく、その大蔵省からの要請に基づいて出したように聞こえますけれども、そんな権限が大蔵省にあるんですか。
  183. 西村吉正

    西村政府委員 今回の処理に際しましては、閣議決定の中にも記されておりますように、民間の金融機関に対しては、このような提案をし、協力を要請したわけでございます。要請をお受けになって最終的に意思決定をされるのはそれぞれの当事者、民間金融機関の方々であるわけでございます。  さて、その場合に、政府といたしましてこのような提案をさせていただきました。ただいまのお言葉によりますと、根拠とか責任とかいうお言葉がございましたけれども、これは、先ほども申し上げましたように、法律的な責任とかあるいは法律的な根拠とか、それだけに基づいて算定をした額ではございません。それぞれのお立場の方々に限度いっぱいの御協力をいただく、御努力をいただくという場合に、一つの御提案として、このような考え方損失の分担をしていただければいかがだろうか、こういうことで申し上げておるものでございます。
  184. 鮫島宗明

    鮫島委員 じゃ、お伺いしますけれども母体行には責任はあるんですか、ロス負担をする責任は。
  185. 西村吉正

    西村政府委員 いわゆる母体行の皆様方もこの住専の運営については責任があるということを認めておられるわけでございますが、さて、その責任の限度というものがどこまでであるかということについては、いろいろな方々にいろいろな御意見があろうかと思います。そういう中で母体行の皆様方に対して、私どもとしましては、貸付額の全体を放棄するというようなことで御負担をいただくのはいかがであろうか、こういう御提案を申し上げたわけでございます。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  186. 鮫島宗明

    鮫島委員 今の局長の話を聞いていますと、全部、母体行も一般行も系統も、ある種合理的な責任分担なりこれまでの果たしてきた経緯に基づいて定量的に判断しているわけではなくて、極めて情緒的にこの数字が出てきているように聞こえますけれども、じゃ自発的に母体行も一般行もこの負担をしょったのなら、そのことはどういう形で担保されているんでしょうか。
  187. 西村吉正

    西村政府委員 自発的に担保されているという御質問の趣旨が私ちょっと理解ができなかったんでございますが、本件は、それぞれの当事者が相互にぎりぎりの譲歩をし合いながら一つの答えを見出していく、そういう性格のものであろうかと存じます。そのような、この問題を一刻も早く解決するためにそれぞれの当事者がぎりぎりの譲歩をする、そういう限度として今回の母体行の債権全額放棄という考え方を御提示申し上げたわけでございます。
  188. 鮫島宗明

    鮫島委員 今どう担保されているかという意味は、母体行は、局長自身の話によると、責任も感じてこの三・五兆円の負担を決定した。一般行は、責任に基づいてじゃなくて、どこまで出せるかを話し合ってこの一・七兆が決まってきたということですけれども、例えば母体行が、これは午前中の質疑の中で百六十八、非母体債権者が三百近くという話でしたけれども、そのうちの幾つの母体行で、例えば取締役会で、代表権のある人の決裁を受けているという銀行が幾つありますでしょうか、この三・五兆円の債権放棄について。
  189. 西村吉正

    西村政府委員 私どもは、今回の住専処理スキームにつきましては、母体行の代表の方々から基本的な枠組みについておおむね賛同を得ているところでございます。正式に取締役会の決議を行ったということは聞いておりませんが、基本的な枠組みについて了解が得られているということで、今後そういう手続も順次進められていくものと考えております。
  190. 鮫島宗明

    鮫島委員 今の問題、もう一回戻りたいと思いますけれども一般行と農協系統、今までの質疑の中でお伺いしていると、やはり系統に対する優遇措置、特に一般行との比較において、が顕著でありまして、系統に対してはこの全額の返済を保証しへそれから利息についても、先ほどの御答弁だと新たに融資する二・二兆円の利息についても系統の方に高い利息をつける。  それから、二次負担については、これは系統の方も場合によったら協力してもらうということですけれども、全体的に非常に系統に配慮した、あるいは大変に配慮したスキームになっているということですけれども、この住専処理を急ぐこと、あるいはこの住専処理スキームそのものを今了承してこれを発動しなければいけないというのは、結局やはり農協系統の救済ということを御認識で現在これを急いでおられるのかどうか。  これはけさの新聞なんかによりますと、きのうの総理の御答弁と、それから農水大臣政府首脳、それぞれちょっと違ったニュアンスの御発言があるようです。たしか橋本総理大臣は、「これは農民保護あるいは農協系金融機関の保護だというふうには私は考えておりません。」というふうにきのうの議事録には出ておりますけれども政府首脳は、これは日経あるいは読売の記事によりますと、農協系救済の意味が濃いと。多分農水大臣も同じ御認識だと思います。  改めてもう一度、同じ質問ですけれども、農協系救済のためなのかどうか、もちろんそれだけではないとは思いますけれども、農協系救済という目的が非常に強いのかどうか、まず総理の御答弁お願いしたい。
  191. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 昨日私がちょうだいをいたしました御質問は、村山前総理が持っておられたお考えと違うのではないかという視点からこれをお尋ねをいただきました。  平成七年十二月二十六日の参議院の決算委員会で当時村山総理がお答えになっておられますが、その冒頭に「誤解があるといけませんからこの際申し上げておきたいと思いますけれども、これは農政上の問題で六千八百五十億円という金を出すようにしたわけじゃないんですよ。ただ、質問の中で」ということで記者会見のときの御議論を紹介になりながら、「ですから、今度の措置が単に農政上の問題だけでやったというふうに理解されるとそれは大変な誤解ですから、この際誤解は解いていただきたい」という答弁をしておられます。  私はまさに、何回も繰り返してまいりましたけれども、今般の財政資金の投入を含む住専処理スキーム、これは我が国金融システム全体の安定性、これに対する内外の信頼を確保し、預金者保護に資するとともに、景気を本格的な回復軌道に乗せる、そうした目的から行ったものでありまして、農業問題への対応あるいは系統金融機関の救済だけを目的にしているものではないということは何回か申し上げてまいった次第であり、村山総理も同様の見解を述べておられることをこの際申し上げておきたいと存じます。
  192. 鮫島宗明

    鮫島委員 農協系の救済だけを目的としたものではないというのはそのとおりだと思いますけれども、ではちょっと別の角度からお伺いしますと、このままほっておくと系統で取りつけ騒ぎが起きるかもしれない、そういう危機感を総理はお持ちなんでしょうか。
  193. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 このままというのは、住専処理をしないで今後この状態を存続する場合ということでございますか。(鮫島委員「そうです」と呼ぶ)私は、その場合には、系統ばかりではなくて非常に広範に問題を惹起するのではなかろうかと存じます。  それは、住専というものが、海外におきましても一つの問題として「ジューセン」という単語を使われるぐらいに、国際的に我が国の抱えている不良資産の代表的なものと言われている状況の中であり、この解決を急ぐことが喫緊の課題になっている。これは繰り返し申し上げてきたところでありまして、ただ単に系統に問題が起きるとかそういった次元だけではなく、私はむしろ、非常に国際的にも我が国の金融秩序に対する問題をより大きなものにしかねない問題だ、そのように思います。
  194. 鮫島宗明

    鮫島委員 ちょっと農水大臣にお伺いしたいんですけれども、今総理からの御答弁がありました。農水大臣は、この住専問題の処理がおくれると金融システム全体にいろいろな影響、マイナスの影響が及ぶという御認識はお持ちでしょうけれども、特に都市銀行あるいは地方銀行、興長銀、いっぱいありますけれども、この問題の解決が長引くと農協系の金融にほかよりも相対的に深刻な打撃が及ぶという御認識をお持ちかどうか、お伺いしたいと思います。
  195. 大原一三

    ○大原国務大臣 先ほどからも申し上げておりますとおり、農協系の経営の仕組みが、普通の金融機関と違って内部留保が薄いわけでございます。もう鮫島委員御承知のとおりでありまして、そういう中での再建計画でありますから、できるだけ早くこの問題に決着をつけていただかないと大変な影響を及ぼす可能性がございます。  先ほど申しましたように、五兆五千億を四・五%でいただいていたわけでございます。その中から二兆二千億を融資しますから、差し引きますと三兆数千億が四・五%から一・数%の金利に落ち込むわけですね。その辺のことも勘案しますと大変厳しい状況がございますので、今回の積算に当たっても、まあ半分ぐらい赤字になるということは覚悟の上でお出しした金額でございますので、やはり何とかこれから合理化を図っていって体質改善に努めていかなきゃならぬ、こう思っております。
  196. 鮫島宗明

    鮫島委員 新聞に、政府首脳が、この住専処理を急ぐのは農協救済のためだという趣旨の御発言がありますけれども、官房長官はどうお考えでしょうか。
  197. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 どちらの側面もあろうかと思います。きのうの質疑を通じて感じましたことは、やはり大蔵、農林のいわば指導の覚書その他を見ましても、それぞれの期待感や、あるいは現実に処理をした段階を見ますと、それに配意をしていることは現実でございますから、ひとり農協というか農林系統だけではなくて広範な意味を含めた、今総理答弁がありましたけれども、いずれにも配意がされている、こう理解をいたしております。
  198. 鮫島宗明

    鮫島委員 この救済のスキーム全体を見ると、特にある意味では、都市住民側から見ると非常にバランスを失したスキームだというふうに見ざるを得ない。特に、系統が元本の全額返済を受ける、どういう責任があるのかわからない一般行が一・七兆円の出資者比率を超えた負担を負わされるという根拠については、全く不明であります。  この住専処理について幾つかの大義名分を閣議決定の頭でうたっておりますけれども、その中に預金者保護という言葉もうたわれていますけれども、この場合は、直接預金者は住専の場合はいないわけですから、預金者保護とここでうたっているのは間接預金者を念頭に置いているとしか思えない。  そうすると、もちろん系統に預金をしている八百九十万人の組合員もいるでしょう。しかし、一般行に預金をしている組合員、何千万人いるか知れません、それから母体行に預金をしている組合員もたくさんいる。ある意味では国民全体が間接預金者。そして、今また国民全体に影響を及ぼす六千八百五十億という資金を税金からつぎ込もうとしている。  農協を特別優遇する根拠は、ほかの母体行と一般行が非常に住専の破綻に積極的に動いている、農協は全くそれに関与していないということが証明されるか、あるいは農協の金融が、実はつまびらかにはなっていないけれども、裏で大変に傷んでいて、今ここで急いで元本の返済をしないと住専を上回るような次の社会問題につながるんだという認識があるか、この二つに一つのどちらかの理由がない限り、いわば農協と直接関係していない大多数の日本国民がこの問題に巻き込まれてお金を取られるということについては納得できるはずがないのです。  私は、少なくとも住専設立以来の流れを見たときに、農協だけが手が汚れていないということは全くないと思いますね。つまり、農協自身は実は協同住宅ローンという住専を経営しているわけでして、今回の七つの中には入っていないけれども考え方によっては母体行といえば母体行だ。  しかも、ずっと住専ができてからの流れで、少なくとも平成二年の総量規制が出る前、つまり平成元年までに既に信連は一兆二千二百六十八億、中金が六千四百八十四億、共済連が一兆二百八十七億という融資を行っているわけです。これは恐らくまだ総量規制が出る前で、どこからの要請も強制力もなく、むしろ農協が自主的に行ってきた融資だというふうに思いますけれども、そう判断してよろしいのでしょうか。それとも、これ以前の段階で既にある種の行政側からの強制力が働いたのでしょうか。農水大臣の御答弁をお伺いしたい。
  199. 大原一三

    ○大原国務大臣 住専が、第一番目が生まれてから次々に七つ、そして最後に農協の協同住宅ローンができるわけでございますけれども、最初は、もう御承知のように四十八年の大蔵省の通達で住専関係をいわゆる金融機関扱いにする通達も出されております。そのころは六・五%以上の利回りで融資をしたわけでございまして、当時としては大変有利な融資先であった、こう思っております。  御承知のように、農協の貯貸率というのは一般金融機関に比べまして非常に低いわけでございます。五十五年以降、それから特に六十年から今日まで、貯貸率の下がりが顕著でありまして、農家の借り入れが減ってしまったのです。そこで、有利な融資先をどうするかということが農協金融の核心でございまして、その対象にあの住専関係があったということは事実でございます。  そういう傾向で、ただ先ほどいろいろお話がございましたが、直接住専の経営には農協系統はタッチしていないわけでございまして、第一次責任はやはり住専の貸し手、借り手ということになるのではないのかな。今日の結果を受けまして、我々の責任は、やはり金融秩序のスリム化と効率化をできるだけ早くやるということが我々の責任だ、こう思っております。
  200. 鮫島宗明

    鮫島委員 農協自身が協同住宅ローンを経営していて、今経営が破綻して整理の対象になるのは七つですけれども、農協自身も全く同じ設立趣旨に基づく住宅ローンを経営しているわけでして、つまり住専の経営の仕方なり住専経営の危なさ、あるいは住専経営のメリットについては農協も実は大変深いところでよく理解している。これだけほかの、今の少なくとも平成元年まで、これは自主的に、農協は農協で高い利息を払わなければいけないので、住専が大変伸びる分野だ、ここで大きな利ざやが稼げるということで、自主的に判断してここまで貸し込んできた。これは全く一般行と同じでして、別に特典を受ける理由には何もならない。  今、特に一般行と比べて農協が全額返済という大変な特典を受けるわけです。一般行だって別に経営に主体的な責任を負っているわけではないのに出資者比率を超えた一・七兆という負担を一方で背負わされるのに比べて、農協系統は似たような融資態度をとってきたのに五・五兆円の全額返済という特典を受ける。そうしますと、農協側としてはやはり免責の立証義務というのを果たさない限り、もちろん一般行の預金者もあるいは母体行の預金者も、それから税金を払わされる全国民が納得できるわけないわけです。今、少なくとも平成元年までは、農協は自主的に判断して、三者合わせて三兆円のお金を貸し込んできた。  そこで、平成元年度の末ですけれども平成二年の三月に総量規制が出るわけです。このとき、この総量規制というのを何のためのものというふうに系統側が自覚していたのかどうか。当時の大蔵大臣でありました橋本総理に、この総量規制は何のためにしたのかということをちょっと思い出していただいて、まず御答弁いただきたいと思います。
  201. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 海部内閣が平成元年発足をいたしました時点で、非常に大きな問題として私どもの前に存在しておりましたのは、土地価格の高騰、そしてこれをいかにして抑え、土地神話を破壊するかということでありました。そしてその当時、土地基本法が国会において御論議をいただいておるさなかであり、さまざまな角度から地価の上昇にいかにして歯どめをかけ、地価を下げるかということが非常に大きなテーマになっておりました。  そして、その中で土地基本法が成立をするわけでありますが、金融の立場から申しますと、平成元年の十月にノンバンクそれぞれの組織、たしか六つでありましたか、七つでありましたか、ちょっと団体の数を失念いたしましたが、その中には住宅金融協議会という形で住専を束ねた団体もございます。こうした、まずノンバンクに対し節度のある融資を求めるということで要請を行い、たしか平成二年の一月にも同様の趣旨の要請を行ってまいりました。  しかし残念ながら、必ずしも十分な効果を発揮しないままに、平成二年の三月の土地対策閣僚会議の際の結論、すなわち何としても土地神話を打ち砕くようにという総理の強い御指示、さらに、ノンバンクに対する要請等も行っているけれどもさらに一歩踏み込んだ措置をという強い御要請もあり、総量規制という手法に踏み切ったわけであります。そして残念ながら、ノンバンクに対し直接の権限が及びませんために、金融機関に対し、ノンバンク、不動産、建設という三業種に対する融資の報告を求めることによって効果をあらしめようといたしました。その趣旨は、総貸し高の伸びの範囲内に不動産関連融資を抑えるということであったわけであります。  なお、同時に行いました銀行局長農林水産省経済局長通達においても系統系にも総量規制については同様のことを求めたわけでありますが、既に他の方法によって報告を入手しているということから三業種に対する報告は求めておりませんでした。  今日振り返りますと、その時点としては地価を抑えるということで全力を尽くした措置でありましたけれども、さまざまな問題を惹起いたしておることを大変残念に思います。
  202. 鮫島宗明

    鮫島委員 どうも丁寧な御答弁、ありがとうございました。  農水省の方にお伺いしたいんですけれども、今の総理の御答弁にあったように、当時、土地の値上がりに歯どめがかからなくなっちゃった。やはり地価を適正水準まで下げるためには総量規制が必要だ。当然、これには農協もその対象になったわけですけれども、ただ三業種の方については別の歯どめがかかっているから、農協についてはそこまでは求めないというのが当時の行政指導の趣旨だったと思います。  その前に農協系は、御自分たち住専をつくるときに、つまり協同住宅ローンをつくった直後に、員外貸付規制があるとこの住専の経営がうまくいかないから、八〇年の十月にこの員外貸付規制を緩和しておりますね。ただ、これは個人住宅を除外するだけで、不動産の投資は相変わらずその規制の対象になっていたと思います。  ところが、実際、数字的に見てみると、今橋本総理が言ったような趣旨で総量規制が出たにもかかわらず、それから員外貸付規制が緩和されたとはいえ、その対象に不動産投資は入っていないという事実があったにもかかわらず、総量規制の直後、平成元年に比べて平成二年、信連からの住専に対する融資額は二倍以上になっていまして、一兆二千二百六十八億から二兆六千七百一億、さらに平成三年にはまたそこに一兆上積みして三・四兆という現在のレベルにまで急速に上がっているわけです。それに対して、中金、共済連の上がり方はやや緩やか。  まず、農水省はこの総量規制の趣旨というのをどう理解していたのか。それから、先ほどの八〇年十月の通達というのをどう理解していたのか。こういう歯どめがなぜきかなかったのか。これについてお伺いしたい。  実は、このときに御自分たちが経営している協同住宅ローンの方にはどうなっているかというと、実はこれは農水省が、私は何度も言っているのですけれども、数字を出してこないのです。それはどういうことかというと、この間全くふえていないのですね。信連は、自分たちが経営している協同住宅ローンにはこの総量規制の趣旨を受けて融資をとめている。それで、ほかの人たちが経営している住専にどんどん貸し込んでいる。つまり農協は、別に愚かでも何でもなくて、大変賢い、よくわかっている。愚かではなくて、あえて言えば、ずるいと言えるのかもしれません。  なぜこのような融資態度をとったのか、農水大臣からわかりやすい説明を、都市住民と農協の組合員、両方に向かってわかりやすい説明お願いしたいというふうに思います。
  203. 堤英隆

    ○堤政府委員 総量規制それから三業種規制につきましてのお話につきましては、総理からお答えがあったとおりでございますが、農協系統に対しましては、別途の方法でとっているということで、三業種規制の報告義務を課さなかったということについては先ほどお答えがあったとおりでございます。そういうことでございましたので、当然ながら、その融資状況につきまして実績報告により承知をしていたというところでございます。  これにつきましては、いわゆる総量規制通達の趣旨をどういうふうに理解しているかということのお話でございましたけれども、これは、平成二年のいわゆる総量規制通達が不動産向け貸し出しの総量規制を主眼とするということでございますし、当然その中で、またノンバンクにつきましても、報告という形で貸し出しの動向を把握し注視するということであったというふうに私どもも認識をいたしてございます。それに沿いまして、農林水産省といたしましても、必要に応じて、この趣旨を体しまして、関係者理解を求めたところでございます。  ただ、当時のことを考えてみますというと、住専会社につきましては、当時、系統にとりましては、国民に対しまして広く住宅資金の供給を行うという社会性といいますか公共性が非常に高いものというふうに受け取られていたという事実がございまして、そういう意味で、かつ背景的にも旺盛な住宅需要があったということがあろうかと思います。  それからもう一つは、農協の問題といたしまして、バブルの影響ということももちろんあるのでしょうけれども、農協の貯金量が増大するという中で、母体行によって設立されております、かつ運営されております住専は、系統にとりましては、比較的安全な、信用力のある貸出先というふうに認識されていたというようなことがございまして、他の業態のようには御指摘のようにその効果が必ずしも出なかったというふうに認識をいたしております。  それからもう一点、協住ローンの話でございましたが、実は、協住ローンにつきましては、五十四年設立をされたわけでございますが、その後六十三年ごろに、協住ローンにつきましてはさまざまな土地関連の問題が生じまして、不動産の融資につきまして個別問題が出ましたものですから、できるだけそういうことを抑えていくといいますか抑制指導といいますか、そういうことを、協住ローンの中で対応がとられたということがございまして、先ほどおっしゃったようなことになっているというふうに理解をしてございます。
  204. 鮫島宗明

    鮫島委員 私はむしろモラルの問題を聞いているわけでして、つまり、協住ローンはこれ以上貸し込むと危険な面もあるということで、そこには貸し込まない。ほかの住専がどうなっているかを全くわからなかったなんということはあり得ないわけでして、実は「住専七社の種類別融資残高の推移」を見ても、住宅向けから事業向けにシフトしたのが六十一年から六十二年にかけて。六十二年末には住専七社すべてが個人住宅向けよりも事業向けの融資の方がふえている。この六十一年、六十二年がちょうど逆転期になっているわけです。これは一斉にそうなっているわけですから、このことを系統の方々が知らないわけはない。御自分たち住専一つを経営しているわけですから、大変こういう内情は御存じだったはずです。それにもかかわらず、総量規制の趣旨を曲解して、ほかの住専にどんどん貸し込んでいった。  一九八〇年一〇・一六の員外貸付規制の対象から住専を外したこの通達の中にも、個人用住宅については結構ですと、しかし、「その資金使途は、住宅の取得に必要な長期資金の貸付けのために必要なものに限る。」という枠がはまっているにもかかわらず、この総量規制の後、明らかに事業の対象が個人住宅じゃなくなっていることがわかっている住専に貸し込み続けた。これを実は農水省もわかっていたんではないか。農協と農水省が両方ともわかっていながら、こういうことを平気で続けている態度はいかがなものか。  しかも、こういう態度を続けていた農水省と系統が今になって、私たちは全然悪いことはしていません、私たちは被害者です、したがって全額返してちょうだいなんて言える論理がどこから出てくるのか。どうですか、農水大臣
  205. 堤英隆

    ○堤政府委員 御指摘でございますが、ただ協住ローンにつきましては、昭和六十三年に、本委員会でも取り上げられたと思いますけれども、個別問題が生じまして、そういう意味で投機的な取引といいますか、そういうことについては抑制するということが当時ございまして、そういう中で比較的ほかの住専に比べまして健全な経営が今日まで続いているというふうに私は理解しているわけでございまして、今おっしゃいましたようなことで対応したというふうには理解をいたしておりません。  それから、先ほどもお答え申し上げたんですけれども、系統といたしまして、総量規制あるいは三業種規制の通達は十分理解をしていたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、当時まだ住専は系統にとりましては比較的安心な、しかも住宅ローンといいますか、そういうことを中心にしてニーズの高い住宅向け資金需要に対応するというような、そういうような意識が非常に高かったというようなことがございまして、他の住専に対しましての貸し付けをしていったということであろうというふうに理解をいたしております。
  206. 鮫島宗明

    鮫島委員 いや、全くおかしいですよ。つまり、ちょうど総量規制が出た平成元年度末には、既に住専全体で個人住宅向けに比べて事業向けの融資が三倍以上になっているわけでして、このことを農水省あるいは系統の幹部が知らなかったわけはないわけでして、余り演技をするのをやめていただきたいというか、これは実は農政全体に言えることで、私は今後非常に大きい問題になってくるんじゃないかと思います。  今後の日本の農業あるいは農業金融の問題を健全化させていくためには、むしろ農業の世界だけで幾ら七転八倒してもなかなか明るい世界は見えてこない。むしろ、いかに都市住民と、あるいは生産者と消費者とがお互いに正直に語り合いながら信頼関係をつくっていくのかというのが将来につながる第一歩だというふうに思います。今のその政府委員の話を聞いても相変わらず、自分たちは知らないんだ、あるいは自分たちは愚かなんだという演技を続けようとしている。そんなはずはないわけです。実は一方で大変したたかなことをたくさんやっているわけでして、そういう演技はもうばれていますからいいかげんでやめていただきたいというのが、まああえて都市側と言わせていただければ、都市側の立場です。  唯一、農協の系統の元本保証を裏づける根拠、つまり今度の閣議決定の全額返済につながった唯一の根拠と言えば、既に昨日以来問題になっているいわゆる覚書、それと、この覚書の後、母体行を呼んで大蔵省が書かせたと言われている念書、この二つがあるから初めて、融資態度としては非常に悪い融資態度をとっていたけれども、この覚書と念書があるから実は自分たちの全額返済は可能なんだ、ここしか根拠はないんじゃないかというふうに思います。  大蔵省にお伺いしますけれども、この念書というのを見せてもらえませんか。この念書というのは百六十八ある母体行のうちの何%がこの念書を書いたんでしょうか。大蔵大臣に伺います。
  207. 西村吉正

    西村政府委員 恐らく、今委員が念書とおっしゃっておられる文書は、母体行から銀行局に提出をされました、再建計画について誠意を持って取り組んでいくという趣旨のことを記した文書のことを言っておられるんだと思いますが、内容は今申し上げたように、非常に簡単なものでございます。  ただ、文書そのものを提出するという点につきましては、この文書そのものは民間の方の文書でございますので、私どもが、私どもの判断でお出しするということは差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、内容について申し上げますと、住専の再建については、当局の指導のもと、全金融機関一致しての支援を踏まえた上で、金融システム安定化の観点から、再建計画に沿って責任を持って対応してまいる所存である、そういうことを記したものでございます。
  208. 鮫島宗明

    鮫島委員 毎日新聞の一月二十七日あるいはその次の二十八日によると、日住金の再建計画を策定するときの議事録が公開されていますけれども、実は、大蔵省が大変露骨にごり押しをして、嫌がる母体行に押印を迫った。それで、母体行の方が、これで後で縛られると困るので、折衝した後、何かよくわかりませんけれども、新聞記事によると、ゴム印でいいということになって、そのゴム印を押した念書とおぼしきものを書いたということです。  これは、今出せないということでしたけれども、これが全額返済の根拠になっていなければ構いませんよ、出さなくても。しかし、これが全額返済の根拠になっていて、そして今のスキームが書かれていて、国民からの六千八百五十億円の税金につながるんだということでしたら、この念書というのは非常に大きな意味を持ってくるわけで、これがあるのかないのかわからない、あるいはその母体行のうちの何行が同意したものかわからないということでは、後へ話がつながっていかない。  ここで、ちょっと法務省にお伺いします。  新聞その他で御存じだと思いますけれども平成五年二月三日の覚書、この覚書の一行目に「母体金融機関に次の点を文書により確約させること。」ということでこの覚書が始まっているわけでして、したがって、何らかの形で文書により確約させないとこの覚書は恐らく発効しない。したがって、今の二月二十六日の日住金での、母体行を集めての判こを押させるというセレモニーが行われたんだと思いますけれども、この覚書それから念書、この二点セットは法的な拘束力があるというふうに御判断されるのかどうか、法務大臣見解を伺いたいです。
  209. 原田明夫

    ○原田政府委員 ただいまの問題につきまして法的拘束力というお尋ねでございますが、そのことにつきまして、法務省といたしまして、直ちに具体的な事実を前提といたしまして法的な意味合いについてお答え申し上げることはできないと存じます。
  210. 鮫島宗明

    鮫島委員 どういう資料がそろえば判断できますか。
  211. 原田明夫

    ○原田政府委員 この点につきましては、法務省の所管のそれぞれの立場立場があろうかと思いますが、その立場の所管の者におきまして、その職務を遂行するに当たってその文書の性格がどういうものであるかということを判断する場合でございませんと、具体的に法的な意味合いについて申し上げるということについては困難であろうかと存ずる次第でございます。
  212. 鮫島宗明

    鮫島委員 これは実は五・五兆円が系統に返されるか返されないかにつながる大変大きな問題ですから、縦割り行政の中での所掌の問題にすりかえられても大変困る問題でして、ちょっと……。  一歩戻って、もう一度農水省にお伺いしますけれども、第一次再建計画平成三年の十月にできた。このときに農協系は、貸出金を回収しないということで協力するように態度を決定した。この後もずっと引き揚げないで協力を続けた。平成五年三月の後も、本当は系統としては元本を回収したかったのだけれども、この覚書と念書があるから元本を回収しなかったんだと。これは、野呂田農水大臣が十二月の予算委員会の中で述べていることでして、したがって、この念書と覚書というのがいろいろな意味で今日の全額返済につながる根拠となっているわけですから。  先ほど銀行局長は、私的なものですから出せないという言い方をしましたけれども、念書を書いた母体行が何%あるのか、それと、この覚書に書かれている内容について取締役会で承認した母体行は何行あったのか、この二点についてお伺いしないと、一体この覚書、念書というものを基礎にして考えていいのかどうかが全くわからない。それは、今日の全額返済の根拠というものがここで根底的に崩れるわけですから。  これがどの程度の拘束力を持っていたのか、あるいは合理性を持っていたのか、それからコンセンサスを得ていたのか。場合によったら、これはこの両局長の職権乱用にも該当する事案だというふうにも思いますから、今の念書を書いた母体行のパーセント、取締役会で承認した母体行のパーセント、この念書そのもの、一体何が書かれていてどんな判こが押されているのか。「ゴム印」と書いてあっても、それは何だかわからない。ぜひこれを出していただかないと、なかなか今日のスキームの正当性についての話ができないと思いますけれども
  213. 西村吉正

    西村政府委員 平成五年二月三日の覚書自体は恐らくごらんいただいておると思いますけれども、これ自体、再建計画を誠実に実行するということを関係者、すなわち大蔵省銀行局長と農水省の経済局長が仕事を進めていく上でお互いの立場を明らかにしたというものでございまして、これ自体が民間の当事者を拘束するという性格のものではないと私ども理解をしております。したがいまして、この覚書自体が五兆五千億の全額返済を約したものであるとか、それを拘束したものであるとかいうふうには私どもは受け取ってはおりません。  なお、その後、今回の処理案の策定に当たりましては、与党の政策調整会議の本問題の処理方針等をも踏まえまして、過去の経緯等を踏まえ、五兆五千億を全額返済するということを前提処理案の策定をしたということはございます。  ちなみに、念書という御指摘がございました文書につきましては先ほど読み上げましたとおりでございまして、住専の再建については、当局の指導のもと、全金融機関一致しての支援を踏まえた上で、金融システム安定化の観点から、再建計画に沿って責任を持って対応してまいる所存である、そのようなふうに書いてあるわけでございます。  このような文書を提出いたしました母体行、私、すべての文書を拝見したわけではございませんので、今にわかにお答えをする用意はございませんけれども、恐らく母体行の方あるいはその代表の方という意味では、ほとんどの方々がこういう文書をおつくりになっているのではないかと推測いたしますけれども、確答を申し上げるだけの自信はございません。
  214. 鮫島宗明

    鮫島委員 ちょっと時間がなくなってきたので、きちっとお答えいただきたいと思いますけれども、野呂田農水大臣は十二月の予算委員会のときに、再建計画を策定するに当たっては、「母体行から母体行の責任において対応するという誓約書を大蔵省に出しており、それに基づいて大蔵と農水が、この問題については母体行の責任で対応してこれ以上系統に負担をかけないという覚書を結んでいる」、これは、いわば一種の契約に準ずるものでありまして、あくまでもこのことは遵守されなければいけないことだと思います。  そこで、当時系統としては元本を回収する動きを持っておったのでありますけれども、これを信頼して元本の回収を断念したという経緯もあります、というふうに野呂田農水大臣は言っているわけです。  じゃ、別の角度から聞きますけれども大蔵省は、この覚書が、もちろんこれだけでは効力を持たないことは明らかでして、母体行側が文書でもって確認しない限り行政指導は発効しないというのは書かれているとおりです。大蔵省側は、じゃ、これをある種の契約だ、あるいは法的拘束力があるものだというふうに認識していたのかどうか。
  215. 西村吉正

    西村政府委員 この母体行から大蔵省に対して提出されました文書は、これは、御報告申し上げますということでございますので、契約とかそういうものではないと私ども理解しております。
  216. 鮫島宗明

    鮫島委員 ちょっと法務大臣にお伺いしますけれども、官僚の権限の範囲といいますか公務員の職権乱用の定義についてお伺いしたいんですが……。
  217. 長尾立子

    ○長尾国務大臣 お尋ねの公務員の職権乱用罪でございますが、刑法の百九十三条、この定めによりますとその構成要件は、「公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した」、こういうものでございます。
  218. 鮫島宗明

    鮫島委員 先ほどの大蔵省説明では、覚書それからこの念書というセットは契約と言えるほどの有効性はないという話でしたけれども、では、そのような契約としての有効性のない、ある意味では紙くず同然の文書に基づいて母体行に元本保証を強制するのは職権乱用に当たらないのかどうか。これも法務省の見解をお伺いしたい。
  219. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  具体的な事案における犯罪の成否に関しましては、現実に捜査当局におきまして収集いたしました証拠に基づいて具体的、個別に判断されるべき事柄であると考えられますので、犯罪の成否に関してここでお答え申し上げるのは差し控えさせていただきたいと存じます。
  220. 鮫島宗明

    鮫島委員 きのう以来平田委員の方から言っているように、今一体何が正しくて何が間違っているのか、むしろこの国で正義はどこにあるのかということが問われているのがこの問題の背景にあるわけでして、明らかに法的裏づけのない、あるいは契約書とも言えない紙くずに基づいて母体行に元本保証を強制するというのは職権乱用以外の何物でもないというふうに思いますけれども、その判断を避ける、その判断を避けること自体が今の法務省自身もまた私はある意味では税金泥棒と言われてもしようがない立場ではないかというふうに思います。  先ほど幾つぐらいの母体行で念書がとれているかというのをお伺いしたのは、これは大変大事な問題でして、実は、きのう笹川委員が許せないと、こういういわば超法規的な行政指導がこの国じゅうを走り回るようなことでは法治国家とは言えないような状態になってしまう。やはり官僚の行き過ぎた行政指導については何らかの形でチェックをしていかないと、あるいは、ある意味では職権乱用で告発するというようなことをやっていかないと、なかなかここまで官僚の権限が強くなった国家を正常な姿に戻すことはできないのじゃないか。  その意味では、この公訴の、きのう笹川委員は覚書の日付が二月三日だから三年たってもう時効だというふうに言っていましたけれども、この覚書は実はその当事者が文書をもって確認しないと発効しないわけですから、実は、この時効は関係する母体行すべてがこの覚書に同意しますという一札を入れた時期、二月二十六日に日住金関係する九行がメモを入れたことは新聞でわかっていますけれども、百六十八の母体行が全部メモを入れ終わった時期がいつなのか。それから起算して三年が時効になるわけですから、私は今まだ十分これは告発に該当する時期だというふうに思いますけれども、もう一度大蔵省の方に、母体行からこの覚書に基づく合意書といいますか同意書を集め終わった日にちはいつなのかをお答えいただきたい。あるいはまだ集め終わっていないのかもしれませんけれども、正直にお答えいただきたいと思います。
  221. 西村吉正

    西村政府委員 私の手元にございます文書は「日本住宅金融の再建計画について」というものでございまして、二月二十六日付でございますが、他の同様の文書について、私、今直ちにお答えを申し上げるだけの準備がございません。
  222. 鮫島宗明

    鮫島委員 全然、紙くずすらも集まっていない。ただ覚書だけがかつてありましたということだけでして、今、実はこの閣議決定スキームもここに根拠を置いているわけですから、これがもし意味がないということになりますと、今のスキームそのものが崩れてくる、あるいは系統だけを優遇する最大の論拠がここで崩れてくるのではないかと思います。  きのう大蔵大臣は、この元本保証を、住専の覚書が元本保証を認めるということに内容的にはつながっているんだ。あるいは、もうちょっとこの新聞どおりに言いますと、「農林系金融機関には言外に元本保証への期待感があり、その経過にもかんがみて今回の処理策では元本返還を取り決めた」。事実上、この元本保証と今日の全額返済との連続性を認める発言をしているのですけれども、この連続性があるのか、あるいはこのときの覚書がなくても今回の全額返済というのが成り立つ合理的な論拠があるのかどうか、この点について明快な御答弁お願いしたいと思います。これは大臣です。
  223. 久保亘

    久保国務大臣 覚書の問題につきましては、昨日銀行局長の方から統一したお答えも申し上げてございますが、覚書そのものには元本の保証は明記されているわけではございません。しかし、系統金融機関に対してこれ以上の負担がかからないように指導するということが書かれてございますから、このことに対して、元本が将来にわたって保証されているという理解を農協系統の金融機関の側からはなさったのではないか、こういうことを私は申し上げたのであります。
  224. 鮫島宗明

    鮫島委員 確かに元本保証をするということは明記されていないけれども、期待感を与えた、あるいは負担をかけないというような表現になっているから今日の全額保証につながるんだということは全く納得できなくて、つまり、こういう漠然とした期待を抱かせたことで、それを根拠に母体行に三兆五千億の担保がついている債権まで放棄させ、さらに何の責任があるのかわからない一般行に一兆七千億という巨額の放棄をさせ、さらに国民からは六千八百五十億をいただく。このぼやっとした期待感を抱かせたことがそれほどの強制的な力を持つわけがないわけでして、ほとんどこの紙くず同然の覚書、念書は今日の全額返済というものの根拠にならないと思いますけれども、この覚書、念書以外に今の系統に対する全額返済を合理化する論拠というのはあるのでしょうか。  私は、唯一あるとしたら、実は系統金融の体力が、系統金融の内容が実は大変悪くなっていて、ノンバンクヘも八兆円以上の貸し込みがある、一割がおかしくなっていたとしても八千億、それから今、協同住宅ローンの方も三千億の不良債権があって、そのうちの二千億が回収不能と言われている。そういうものがもろもろあって、なけなしの五千三百億をはたいて、これで大丈夫なのかという心配が実は裏にあるから、本当は、お願いだから五兆五千億返してちょうだい、そう言うならまだわかりますけれども、全くそういうことを明らかにしないで、つまり系統の不良資産のディスクロージャーを一切しないで、はっきりした根拠もなくて全額返せ、そんなことは母体行、一般行に通じるのか。あるいは国民に六千八百五十億円出せと言う論拠になるのか。  一体何を根拠として全額返済を大蔵省としては認めておられるのか。あるいは、農水側に言わせれば、何を根拠として全額返済を要求しておられるのか。この御両人から御答弁をいただきたいと思います。
  225. 久保亘

    久保国務大臣 住専金融機関との債権債務関係だけで見て、三者は平等であるということだけではなかったのではないかと思っております。それぞれの住専の設立、人事、経営、こういったものとのかかわりにおいて有する責任、そしてその後この債権債務の今日の状況が発生いたします過程の経緯、こういうものの総合的な立場から負担の話し合いが持たれて、そして、それぞれの立場で要請されることに対して合意を与えられたのではないかと思っております。  そういうことでございますから、覚書や念書が決定的な要因になって系統金融機関債権が保全されるような結果になったということではないと思います。
  226. 鮫島宗明

    鮫島委員 農水大臣お願いします。
  227. 大原一三

    ○大原国務大臣 今大蔵大臣からお話がありましたように、これまでの長いいきさつというものが基礎にあることは事実でございます。そして、その中に覚書なども入ってくるわけでありますけれども、特に、先ほど御指摘がありましたように、農協部門の経営の基盤の弱さということもまた決定の一つになっていると私も理解します。
  228. 鮫島宗明

    鮫島委員 大蔵大臣答弁は全くわからない。つまり、覚書、念書は今の全額返済の根拠になっていない、それだけが根拠ではないということはわかりましたけれども、では何が根拠になっているのですか。  つまり、経緯、いわば住専発足以来今日までの経緯が根拠だと言われても、私が先ほどからるる述べているように、これまでの系統の融資の態度というのは決して褒められたものではない。少なくとも、総量規制が出る以前に自発的に系統が貸し込んだ部分もある。そういう流れから見ると、別に系統が免責される理由は全くないし、系統が特別に他にぬきんでて全額返済を主張する根拠も何もないんじゃないか。  全額返済を主張する根拠は何なんですか。ただその経緯でございますなんというのは根拠にならないです。そんなことで、経緯が根拠ですということで、先ほども言っているように母体行に担保がついた三・五兆の債権を放棄させ、一般行から一・七兆円のお金を取る、つまり一・七兆円の債権を放棄させる。経緯に基づいて、はっきりした確たる根拠がなくて、流れに基づいて、そんなことができますか。これこそさっきから言っているような職権乱用を再び繰り返すということだと思いますけれども、何を根拠にして全額返済を主張しておられるのか、もう一度大蔵大臣答弁お願いしたい。
  229. 久保亘

    久保国務大臣 今申し上げましたこと、私の表現がまずいのかわかりませんけれども、お互いに六兆二千七百億に加える千四百億の損失、欠損をどのように負担し合うかということの協議が行われる過程では、責任論もあったと思います。また、負担能力の問題もあったと思います。そういういろいろな協議を重ねた結果として、お互いに合意できるものを決めていったんじゃないでしょうか。  それで、特に系統金融機関に対しては、当事者であります銀行の側も、また公的な関与をいたします政府の側も、それぞれの負担能力、そしてそれぞれが今持っております役割といったようなものについても十分協議し、検討した上で、相互に要請を了解し合うということになったものだと思っております。
  230. 鮫島宗明

    鮫島委員 大蔵大臣の言うことは全くおかしいですよ。例えば預金者保護と言いながら、あなたの視野にはどの預金者が入っているのか。系統の預金者は入っているのかもしれないけれども一般行母体行の預金者もあなたの視野の中に入っているのか大変疑わしい。  自発的に民間の発意でこれができたようなことを言っておられますけれども、それでは、今決定している閣議の内容が母体行のうちの何行で承認されていますか。あるいは一般行のうちの何行で承認されていますか。あるいは系統の、信連でいいですけれども、四十七都道府県の信連のうち理事会で承認されている都道府県が幾つありますか。これについてお答えいただきたい。  それで母体行は、最近の「東洋経済」にさくら銀行の末松会長が書いておりますけれども、根拠のなき要請には応じられない、今政府が決めている閣議決定は筋が通らない、こんな処理案がのめるわけないというふうに公然と「東洋経済」の中で言っておりますけれども、私はほかにもこういう銀行は多いんじゃないかと思います。  大体、そもそも第一抵当権がついて、処理すれば三十億にも五十億にもなるかもしれない担保債権をどうして無理やり放棄させられるのか。それは銀行によっていろいろです。きのうの資料あるいはきょうの新聞にもあったように、同じ母体行の紹介融資といっても、そこには内容のいいものもあれば悪いものもある。母体行によってもさまざまです。それを、すべての母体行が持っている債権を全部放棄しなさいということが一体どういう権限で言えるのか、だれの権限でそんなことが言えるのか、この法的根拠を明らかにしていただきたい。  まず、今の閣議決定関係者の間でどう了承されているのか、それを証拠として示していただきたい。それで、何の権限でこのような、いわば理不尽な筋の通らない住専処理案を強制する権限はだれが持っているのか、総理大臣なのか大蔵大臣なのか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
  231. 西村吉正

    西村政府委員 先ほど御答弁を申し上げたと存じますけれども、今回の十二月十九日の閣議決定に基づく要請に対しましては、母体行の代表の方々を通じて、基本的にこのスキームを了承するというお答えをいただいております。取締役会での決議というような形を既におとりになった上のことではないと存じますけれども、今後そういう基本的な了解の上に、必要な手続が進められるものと理解をいたしております。  なお、いかなる根拠に基づいて、あるいは政府が強制をしたというような御指摘がございましたが、この住専処理につきましては、昨年の春以来、政府としてはこの問題が喫緊の課題であるということを申し上げ、また民間の金融界におきましても同じような意識をお持ちになりまして、いろいろな機会を通じてともに議論をし、あるいは関係者の間で話し合いを持たれてきたところでございます。  例えば六月から与党の中に金融・証券プロジェクトチームと称するものが設けられまして、そういう議論の中でも、民間の当事者に対してお話し合いの慫慂が行われ、五回にわたって真剣なお話が住専各社及び母体と農協系金融機関の方々との間で持たれているというようなことがございます。  このようないろいろな機会を通じての議論の積み重ねを最終的に政府として取りまとめましたのが、十二月十九日の政府・与党の申し合わせあるいは閣議決定でございまして、この背景には長い御議論があったということを御理解を賜りたいと存じます。
  232. 鮫島宗明

    鮫島委員 十年前の大蔵省銀行局長が言うことでしたらまだ少しは社会的信用があったかもしれませんけれども、今大蔵省の言うことは、残念ながら余り社会から信用されていない。したがって、この閣議決定の内容がどう担保されているかというのは、特に体力が落ちている系統に預金をしている方々にとっては大変大きな問題です。  どうも聞くところによると、母体行あるいは一般行で、取締役会で決裁を受けたようなレベルにはとてもいっていない。あるいは系統の理事会でも、恐らく承認を受けたところはほとんどまだないでしょう。つまり、実際、この「全額返済を前提として、」というような閣議決定のくだりは何も担保されていないというのが実態ではないかと思います。  こういうような状態の中で、もし万一農協系統での取りつけ騒ぎが起きるようなことになったら、一体だれが責任をとるのか。つまり、空手形の乱発というのはある意味では非常に社会不安を招く。特に大蔵省銀行局から出てくる空手形の信用失墜というのは今や目を覆うばかりの状態ですから、大蔵省の口先だけの担保だけでは私どもは全く納得できない。当事者が本当に納得しているという証拠を示していただきたい。母体行のうちの幾つが取締役会の決裁を受けているのか、一般行のうちの何%が決裁を受けているのか、このことを早急に調査の上、この委員会に報告していただきたいというふうに思います。  つまり、当事者が納得していないような、ある意味では大蔵省と農水省しか、別の言い方で言えば役人しか納得していないようなスキームに、我々はとても国民の血税をつぎ込むわけにもいきませんし、健全な精神を持つ政治家としても賛同するわけにはいかないというのが私ども立場でございます。  どうも農業の問題というのは、金融に限らず非常に秘密主義といいますか、私は、農協系の金融がこれほど体力が落ちているのに、いまだにその不良債権の内容が公開されていないということを大変不思議に感じます。つまり、この住専問題の処理と絡めて農協系の金融システムの安定化を図るのではなくて、住専問題は住専問題について、農協系も、それこそ大蔵大臣の好きな言葉で言えば、これまでの経緯に沿って応分の負担をむしろ果たすべきだ。  その負担を果たすための一時的な救済措置については、この覚書の中の日銀から農林中金への特融というのも発動されたかどうかわかりませんけれども、もしこの五・五兆の一括返済が、五・五兆になるか、一兆円農水が、系統が放棄して四兆になるか四・五兆になるか、ともかく日銀から中金への特融ということも含めて、ここは農水も応分の責任を果たすことを考え住専問題を片づけて、その上でむしろ系統の金融システムの安定化に正面から向き合うべきだというふうに思います。  これは、農協系統の金融システムの安定化だけではなくて、むしろ農業の活性化、あるいは過疎に悩む農村をもう一度いわば田園空間として整備して、新たなライフスタイルが展開できる空間として、どう都市住民と農村住民とが心を通わせながら新しいライフスタイルを築いていくか。  今の住専問題に全部、いわば農協は、農業関係というのは特別でございますとか、農業関係というのは、まあ言葉は悪いけれどもある意味では愚かでございますとか、そういうむだな演技をしながらごまかして、この住専の問題の中で少しでも血を流すのはやめよう、あるいは責任をとるのはやめようというのは、逆に私は農業セクターにとって大変マイナスだと思います。むしろ、もっと潔くあるいは毅然として農協は農協の責任を果たし、そして新たに農業と農村の活性化について都市住民に問いかけをすべきではないかというふうに思います。  恐らく、農業・農村の抱えている問題あるいは農協系統の抱えている問題というのは、農業の世界だけで解決できる時代は終わったと思います。農村の活性化については、来るべきニューメディアをむしろ条件不利地域に先行的に配備する。どうやって、オンラインショッピングとかオンライン医療とかオンライン学習とかというものを条件不利地域にむしろ先行的に配備して、新たな生活空間を築くとか、あるいはこの系統金融の問題にしても、これだけのもう金融自由化の波の中で、専門家が少ない、あるいは農協法で二重三重に縛られて、手足を縛られてボクシングしろと言われているような、そんなような環境の中で今後系統金融がちゃんとやれるわけないです。  だから、この辺は思い切った法整備も必要でしょうし、今機構改革の案も既に農水省なり系統の方で検討されていると思いますけれども機構改革だけで解決できる問題ではないと思います。  系統の方には、例えば貯金保険機構というのがあると思いますけれども、そこは大変少しのお金しか積んでいない。一方で、貯金保険機構がありながら、農協系統の理事が無限責任を問われる。こんなおかしなことが同時にあるために、むしろ責任を回避する体質が非常に強くなっちゃっている。  こういう法的整備あるいはシステム全体の機構の改革、それから場合によったらかなりの荒療治、これは自民党の党首候補だった方の御提案にもありましたように、例えば郵政の事業の中から郵貯部分を民営化して、切り離して、この系統と一体化させないと、もしかしたらだめかもしれない。つまり、そのぐらいの幅広いオプションの中から、ぜひ農業・農村、そしてこの系統金融のシステムの健全化、安定化を考えていただきたいというふうに思います。  これで、質問を終わります。
  233. 上原康助

    上原委員長 これにて鮫島君、草川君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内譲君。
  234. 竹内譲

    竹内(譲)委員 竹内譲でございます。最初に総理お尋ねをいたします。  私も、国民の代表の一人でございますので、誠実に国民の声をやはりここで届けなければいけないというふうに思っております。そこで、きょうは豊中市の、これは朝日新聞に載っておりましたので、そのまま実名で御紹介をさせていただきますが、豊中市の砂川恵子さんという主婦、五十三歳の方の声でございます。  出口のない迷路に迷い込んでしまったような長引く不況に、夫の会社は明日をも知れず、家計を預かる身として、政府景気対策に不満と怒りをぶつけたい。  そんな思いで迎えた新年、庶民の生活では想像すら出来ないような六千八百五十億円を、住専処理国民の血税から支出すると聞いて、怒り心頭に発した。さらに将来予想される二次損失にも財政資金を充てるという。国民をバカにしているとしか思えない。政治家、官僚は不況にあえぐ庶民の生活など知るよしもなく、国民の血税から、歳費や給与が支払われていることすら忘れているのではないか。  大蔵官僚と政府の重大なミスとごまかしに納得する国民はいないであろう。新年度予算案に組み込んだ政府案は削除し、徹底して行政と政治の責任所在を明らかにし、国民が納得のいく方法を示すべきである。  これほどの資金があれば、生活苦の阪神大震災の被災者の方々をどれだけ救済出来るだろうと考えたとき、またも国民に冷たい政府の姿が見えたような気がしてならない。 このようにございます。  総理の御所見を求めます。
  235. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 先日来たびたび同様の御趣旨の御質問をいただきました。そして、私はそういうおしかりを受けるたびに、例えば今のその砂川さんとおっしゃる方のお気持ちも理解できないつもりはありません。ただ同時に、繰り返して申し上げてまいりますように、その中にはありませんでしたけれども、今、日本の金融システムというものがようやく少しずつ明るさを取り戻しつつありますものの、なお確実に回復軌道に乗り切れない日本の経済の非常に大きな足かせになっておりますことは、委員も御理解がいただけると思うのであります。  そして、先般来たびたびここでおしかりを受けてきましたように、もっと早い解決をなぜしなかったかというおしかりが多々ありましたように、日本の金融システムの安定を取り戻してまいりますために、この不良資産処理という問題は避けて通れません。そして、その中で喫緊の課題とも、また象徴的な課題ともなっております住専問題に対し、政府としては、関係者の中でぎりぎりまでの話し合いを重ねながらこうした選択をいたしてまいりました。そして今、厳しい御質問もちょうだいをしながらも、私どもとしては、この時期を逃しこれ以上解決を先送りすればこの住専の問題はもっと日本経済に重荷になる、ぜひ御理解をいただきたいということを繰り返し申し上げております。  同時に、阪神・淡路大震災が起こりましてからちょうど一年余。昨年の一月十七日というものを忘れられる国民はないでありましょうし、それ以来、多くの民間のボランティアの方々の手助け、さらには外国からの支援もいただきながら、政府として阪神・淡路大震災の被災地域に対する復旧、復興に対しての努力を続けてきたことを、委員も御記憶であろうと思います。そして今、復旧という段階から復興という段階に向かおうとしておりますこの時期に、私どもは、これまで以上に兵庫県、神戸市を初めとした関係市町との間の意思疎通を欠かないように気をつけながら、県、市と御相談をしつつ、これからの復興対策に努力をしていかなければならないことは当然であります。  双方がどちらも我々にとって大切なことだということはどうぞ御理解をいただきたい、心からお願いを申し上げます。
  236. 竹内譲

    竹内(譲)委員 金融システムの大変なことは私はよくわかっております、身をもってわかっております。しかし、昨年の阪神大震災のときは、目の前で亡くなられていく方がどんどん出てくる、血を流されている方がいらっしゃる、そういうときには直接補償はできないと。これだけ震災の被害が甚大にもかかわらず、直接補償というのはできないんだといって徹底的に拒否されてきたのが前の政権ではなかったでしょうか。  確かに金融システムということの大変さはわかりますけれども、政治というのはやはりそこに、国民にわかりやすいプロセスを踏んで、優先順位というものは今どちらが大事なんだということをきちっとわかりやすく説明していくことが大事だと思うのです。ですから、今総理がおっしゃったことをすべて理解できないと思います。なかなか一般の方々は理解することは難しいと思います。そういう意味で、国民の皆さんの、特に今申し上げた全国の主婦の代表の声としてよく心にとめていただきまして、これから一つ一つ今回の事件の解明をやっていくべきであると私は思います。  そこで次に、先ほど鮫島委員の方から御質問のありました覚書の問題について、私もさらに角度を変えてお尋ねをしたいと思います。  先ほど、鮫島委員の方から十二月十三日の野呂田前農水大臣の御発言の紹介がありました。これは、引用しますと、  再建計画を策定するに当たりまして、先ほども申したところでありますが、母体行から母体行の責任において対応するという誓約書を大蔵省に出しており、それに基づいて大蔵と農水が、この問題については母体行の責任で対応してこれ以上系統に負担をかけないという覚書を結んでいるわけであります。これは、私は、いわば一種の契約に準ずるものでありまして、あくまでも遵守されなければいけないことだと思います。 というふうになっております。現農水大臣も同様の御見解でしょうか。
  237. 大原一三

    ○大原国務大臣 野呂田前農相の発言、私も熟知しております。それは交渉が行われる直前だったか直後だったか覚えておりませんけれども、非常に重大なさなかでの感想を正直に吐露されたものだ、私はさよう理解をしております。  もう既に政府・与党で結論が出たわけでございますから、我々としてはその方針に沿って解決に邁進したい、そんな気持ちであります。
  238. 竹内譲

    竹内(譲)委員 ということは、同じ御意見だと理解してよろしいですか。わかりました。  そうすると、これは一つ一つ確認をしていかないといけないんですが、まず政府から提出されました関連資料(その一)八十八ページの解釈では、この覚書は、役所間の文書であり、対外的な拘束力を有するものではないというふうになっております。しかし、先ほどの野呂田前大臣の御発言では、一種の契約に準ずるものであって、遵守されなければいけないというふうにおっしゃっています。ここは明らかに矛盾すると思いますが、農水大臣
  239. 堤英隆

    ○堤政府委員 野呂田大臣の発言につきましては、先ほど農水大臣の方から、さまざまな交渉過程における段階での真情を吐露したものだというふうに発言があったわけでございますが、私どもとしましても、この発言の趣旨は、当時のことを考えますというとさまざまな意見の調整という過程があったわけでございまして、そういう意味で、覚書に基づきます、何といいますか関係者のそういう理解というのが、きょうも大蔵大臣からお答えがございましたように、関係者が一種の期待をするということで、重く受けとめておられているというような意味でこの発言があったのではないかというふうに私の方も思っておるわけでございます。  そういう意味で、そもそもその覚書の性格そのものは、その資料にもございますし、それから大蔵省からもお答えがございますように、役所間におきます整理をしたということでございまして、法的な対外的拘束力を有するというようなものではないというふうに理解をいたしております。
  240. 竹内譲

    竹内(譲)委員 大蔵大臣、どうですか、これ。私は明らかに矛盾していると思いますが、この御発言に対して。
  241. 上原康助

    上原委員長 どっち、農林大臣大蔵大臣
  242. 竹内譲

    竹内(譲)委員 農水大臣
  243. 大原一三

    ○大原国務大臣 先ほど私の答弁、さらに経済局長答弁にありましたように、その時期の当事者間の話し合いの過程で、強く農林大臣立場を主張された発言だと私は了解をしております。  「契約に準ずる」という言い方でございまして、その「準ずる」という意味がどういう意味か、私には正確にはわかりませんけれども、既に与党そしてまた政府関係者を入れての決着がそういった過程でついたわけでございますから、我々はその決着に従って今後再建を進めていく、それ以外にはありません。
  244. 竹内譲

    竹内(譲)委員 政府の方で決着がついたからもういいんだというのは、ちょっとおかしいと思うんですね。じゃ、我々は何のためにここで審議しているんですか。全くそれじゃ意味がないんじゃないですか。政府が決着したとおり全部やるんですか。我々立法府で、ここで審議して、国民の前に事実関係を明らかにして、一つ一つこの矛盾点を明らかにして、そしてこれを本当に通すか通さないかを決めるということだと思うんですよね。だから、それはきちっと誠実に説明していただかないとおかしいと思いますよ。
  245. 大原一三

    ○大原国務大臣 私は政府の一員でございますので、その決定に従って国会でこうして議論をしていただいているわけでございまして、これから国会の御審議がどうあれ、こうあれと私は申し上げているわけではありません。
  246. 竹内譲

    竹内(譲)委員 私の、矛盾しているかどうかということについては全然お答えにならないんですが……(発言する者あり)そうなんですよ。契約に準ずるのかどうか。契約は「遵守されなければいけない」と野呂田前大臣はおっしゃっている。それを大原農水大臣が、これはこれと同じだというふうにおっしゃったわけですね。ところが片一方では、対外的な拘束力を有するものではないと。矛盾している。この点について全然お答えがないんですが……。  そこで、じゃ、ちょっと角度を変えます。前内閣と今の内閣とは、要するに継続性があるという前提に立っております。ということは、前野呂田国務大臣が御説明をされたこの内容についても、そのとおりだということでよろしいですね、農水大臣
  247. 大原一三

    ○大原国務大臣 何回もお答えいたしますが、野呂田大臣のその発言は、当時の決着段階での農水省としての非常に積極的なこの解決立場から発言をされたものと私は理解をしております。  私がそのときにおりましたらどうだったかというのは、やはり同じようなことを言ったんではないのかな、その段階では。私は、そういう気持ちで受けとめております。
  248. 竹内譲

    竹内(譲)委員 前回、野呂田大臣は非常に大事なことをおっしゃっております。「母体行から母体行の責任において対応するという誓約書を大蔵省に出しており、それに基づいて大蔵と農水が、この問題については母体行の責任で対応してこれ以上系統に負担をかけないという覚書を結んだ」ということですね。  実は私、今回、誓約書の写しを入手をいたしました。この日付は平成五年の二月二十六日となっております。ところが、先ほどの覚書は九三年の、つまり平成五年の二月三日なんですね。そうすると、この野呂田前大臣の御発言は、これは間違いですか。事実を正しく語っていないということになりますが、いかがですか、農水大臣
  249. 堤英隆

    ○堤政府委員 そのときの大臣の御発言は、事実から見ますというと、大蔵省と農林省の覚書が二月三日でございまして、恐らく、その御指摘の誓約書といいますか一札といいますか、そういうのはその後だと私は理解をいたしております。
  250. 竹内譲

    竹内(譲)委員 じゃ、この野呂田大臣の発言は間違いであったということですか。
  251. 堤英隆

    ○堤政府委員 事実としては、二月三日に覚書が交わされておりますし、その後にそういった念書といいますかそういうものが入っているということでございますので、その限りでは、必ずしも正確ではなかったというふうに理解いたしております。
  252. 竹内譲

    竹内(譲)委員 つまり、この発言は正しくなかったということをお認めになったわけですね。農水大臣、どうですか。間違いだったんですか、これは。先ほど農水大臣は、このとおりだとおっしゃったじゃないですか。
  253. 堤英隆

    ○堤政府委員 時間的経緯ということから申し上げますとそういうことで、必ずしも正確ではないということでございますが、内容的には、先ほどうちの大臣からも申し上げましたように、当時の農水大臣の真情を吐露されたものだというふうに理解をいたしております。
  254. 竹内譲

    竹内(譲)委員 農水大臣が間違いだった、事実に間違いがあったということですね。  じゃ、今度は大蔵大臣にお聞きいたします。  久保大蔵大臣は、一月二十五日の参議院本会議で、  再建計画の策定はあくまでも当事者間における自主的な話し合いの結果得られた合意に基づいて策定されたものであり、その際作成されました覚書は議論の整理のためのものであり、また、母体行から提出された文書についても、あくまでも母体行としての立場で再建計画について真摯に取り組んでいく意思を自主的に表明したものであると考えております。したがって、大蔵省銀行局の幹部が職権の乱用や強要を行ったわけではないと思います。 と述べておられます。この発言に今でも間違いないと思いますか。
  255. 久保亘

    久保国務大臣 間違いございません。
  256. 竹内譲

    竹内(譲)委員 実は私、この再建計画が策定されましたときの議事録を入手いたしました。「あくまでも当事者間における自主的な話し合いの結果」とおっしゃっておられます。ところが、このときの、一九九三年、平成五年二月二十六日のこの母体会議の議事録によりますと、これはとても自主的に策定されたとは思えない、そういう事実が表現されております。  これを今、少し時間がかかりますが、御紹介を一つ一つしたいと思います。  二月二十六日午前十時二分開会。最初に住専の社長さんから、金利減免に三段階の格差をつける、借入金返済は農林系を優先し、他の母体行に五年目から返済する、母体行は大蔵省銀行局あてに再建計画に責任を持って対応するとの文書を提出する、それから六百億円のニューマネーを母体行で分担して実施するということの提示がありました。  そして、その模様を少し御紹介いたします。A母体行、「当局の強い要請であり、金融システム維持の観点から本案に賛成」せざるを得ない。それからB母体行、「非常に悩ましい。原則論と例外論がごっちゃになっている。ノーとは言えないが釈然としない。」C母体行、「経営判断を仰ぐ段取りがとれておらず、間に合わない。」D母体行、「留保させてほしい。」E母体行、「結論はノー。」というふうに、非常にこれ、紛糾しております。  そして、この住専の社長さんがそこでとうとう業を煮やして、「系統については本日中に要請しなければ二月中に要請したことにならない。スタートからつまずく。そのことを当局も大変懸念している。実は大蔵大臣の談話も用意されており「金融システムの安定につながる」との文言も入れる。」こういう御発言になっているのですね。相当これはもう、大蔵大臣の談話も用意されているということですよ。これはとんでもない話じゃないですか。とてもこれは自主的に母体行がつくったとは言えない。全然おかしいじゃないですか。  それから、この「責任を持って対応する」というところに関しては、このF母体行は、「要するに農林系には返しなさいよということだから、到底無理なので「誠心誠意」にしてほしいと言ったら、当局の返事はノーだった。」そこで、責任を持って遂行するまで妥協。「また提出先についてもなぜ系統に出すのかと迫り、大蔵省銀行局に提出するにとどめるというところまで譲歩を引き出した。」こういうふうになっております。  そしてずっとありまして、A母体行が、「当局から三月にずれ込んだら農協はもたないと言われている。口外は困るが、「この案には見直しがあり得る」と入れたかった。それはダメだと言われた。」これはとんでもない話ですよ。これは職権乱用じゃないですか。先ほど法務大臣は、鮫島委員の御答弁の中で、義務なきことを行わせ権利の行使を妨げることが職権乱用罪とおっしゃったじゃないですか。これはまさに職権乱用ですよ。この案には見直しがあり得ると入れたかったけれども、それはだめだと言われたと。  そしてずっとありまして、今度は文書の効力についてのところに来ますと、F母体行が、「先の見えないことをやれと言われるのがつらい。」そうすると住専のこの社長さんは、「文書の将来の効力については当局にゲタを預けた内容になっている。」そしてさらに、「当局に歩み寄りの姿勢はない。」また、「住専再建は当局の指導なくしてやっていけない。当局の意向に沿うべきだ。」そして別の母体行から、「念書に印鑑は押捺するのか。」そうすると、「押捺程度でいいと思うが確認していない。」そうすると母体行は、「あいまいなまま承諾しろと言われても無理だ。」「確認する。」と言って、当局に確認をされております。  そして午後二時五分、この社長さんから、「念書の件は「銀行名のあるゴム印で足り、押印も必要なし。法的体裁を整える必要はない」とのこと。またあて名は銀行局長ではなく「大蔵省銀行局御中」でよいとのこと。道義的責任はともかく法律的拘束力は持たないということで。」という回答があったとあります。そして、「この文書は対外的にはどう説明されるのか。」と別の母体行が聞くと、「「省内で検討して返事する」とのことなのでお待ちいただきたい。」となっているのですよ。これはとんでもない話ですね。  それで、「母体行で大筋合意という結果を今日中に賜りたい、当局の希望も強く何とか結論をお願いしたい。」ということで、ずっとありますが、最後に、別の母体行が、「どこも積極的に合意していない。これは大変不思議なことだ。銀行界始まって以来の禍根を残すことになり、非常にむなしい結果となった。」  そして、大蔵省銀行局の審議官のメッセージ。ここには明確にその審議官のお名前も載っておりますが、「シェアの微調整は母体行間で協議する。ただし、それが決まるまでは暫定案でニューマネーを出していただく」。午後十時十分、全員無言のまま閉会。こういう経緯になっております。  これは明らかに、とても先ほど大蔵大臣が言われたような自主的にこの再建計画に取り組んでいく意思を表明したとは言えないのじゃないですか。どうですか。
  257. 久保亘

    久保国務大臣 今竹内さんが御紹介になりました議事録が、どこに保管されている議事録で、どのようにしてそれが正本だと確認できるのかどうか、そのことがわかりませんと、私が不用意に今の御発言に基づいて御答弁を申し上げますことは誤解を生ずると思います。
  258. 竹内譲

    竹内(譲)委員 ではやはり、これは正式に、この今回の母体会議の議事録と、母体行が大蔵省銀行局に差し入れた誓約書、この資料提出を委員長に要求いたします。
  259. 久保亘

    久保国務大臣 私が申し上げておりますのは、せっかく今御紹介くださいました議事録はどこに存在するものか、そしてその議事録はどうして正本と確認できるか、そのことがきちんといたしますならば私の考えを申し上げたいと思います。
  260. 竹内譲

    竹内(譲)委員 ですから、この母体会議の議事録と誓約書の資料提出を要求いたします。そうでないと審議は続行できません。
  261. 上原康助

    上原委員長 質問者に申し上げますが、大蔵大臣から御答弁がありましたので、もう少しその議事録の存在の有無について御質問を続けてください。
  262. 竹内譲

    竹内(譲)委員 ですから、この今の私の質問にお答えにならなくても結構ですから、私は、この誓約書、これがあることは間違いない、そしてまた議事録があることも間違いありません、この資料要求を行います。
  263. 久保亘

    久保国務大臣 一方的に議事録と称するものを読み上げて御質問になったのでありますから、私が申し上げましたことに正確に答えていただきたい。そうすれば、私もはっきりと申し上げたいと思います。
  264. 竹内譲

    竹内(譲)委員 じゃ、申し上げますが、これはもう対外的にマスコミで出ているものですよ。これは日経金融新聞ですよ。これがこの議事録を発表しております。——じゃ、このマスコミが書いていることを否定されますか。——私は先ほども申し上げましたように、日経金融新聞というちゃんとした新聞が書いているわけですから、この記事を否定されますか。
  265. 西村吉正

    西村政府委員 私、当時その衝におりませんでしたので私の経験として申し上げるわけにはまいりませんけれども、恐らく御指摘の会合は民間金融機関の会合であろうかと存じますので、もし議事録というような性格のものがあるとすれば、民間側の記録ではないかと推測するところでございます。
  266. 竹内譲

    竹内(譲)委員 では、先ほど申し上げましたもう一つの、母体行が大蔵省銀行局に差し入れた誓約書、この写しを正式に資料要求をいたしたいと思います。
  267. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘の文書というのも民間の文書でございますので、もしそれを提出するといたしますと、民間金融機関が判断をすることかと存じます。
  268. 竹内譲

    竹内(譲)委員 いや、それは大蔵、おかしいのじゃないですか。農水大臣も、誓約書を出しておるというふうに、大蔵省銀行局に出しておると事実認めているのだから、大蔵省にあるのですよ。そして今回、公開どんどんやると総理大蔵大臣もおっしゃっておるのですから、それは出していただきたい。
  269. 西村吉正

    西村政府委員 私ども内容について隠し立てをするつもりはございませんで、先ほど申し上げたような記述があるわけでございますが、この文書そのものは民間の文書でございますので、それでは、この文書をつくりました当事者の了解が得られましたならば、御提出するようにいたします。
  270. 竹内譲

    竹内(譲)委員 じゃ、当事者の了解を得て早急に資料提出をお願いしたいと思います。  それで、次の御質問に移ります。  大蔵省提出の「住専問題の処理方策について」によりますと、一般行負担額一兆七千億円は修正母体行方式を基礎とするとあります。このことから逆算しますと、この損失見込み額の総額は七兆五千億円というふうに推定されます。この点は昨日ときょうの平田委員の御質問にもありましたけれども、この修正母体行方式でこの丁七兆円を決めた。これは政府提出の関連資料でも認めているわけであります。  そうすると、この修正母体方式で計算すると、系統のこの負担額というのは幾らになるのでしょうか。銀行局長お願いします。
  271. 西村吉正

    西村政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、それぞれの当事者にはそれぞれの言い分、お立場というものがございまして、その調整をいろいろな機会に行ってきたわけでございます。したがいまして、系統金融機関の方々の御主張の中には、修正母体行主義という考え方は、私が拝聴しておる限りにおいてはございませんでした。  そういう意味から、系統の金融機関の方々の分担額という意味で修正母体行主義に基づく金額というものは、考え方として恐らく存在しないのではないかと推測するところでございます。
  272. 竹内譲

    竹内(譲)委員 そうすると、修正母体行方式で一・七兆円というのが出てきたのですから、その母数、ロス見込み総額は七兆五千億だということは、これはお認めになりますね、局長
  273. 西村吉正

    西村政府委員 国会に御提出申し上げました資料にもたしかそのような記述があったかと存じますけれども、この一兆七千億円というものの基礎になりました修正母体方式の計数は七兆五千百億円でございます。
  274. 竹内譲

    竹内(譲)委員 わかりました。修正母体行方式で母体行が三兆五千億を放棄し、そして一般行一兆七千億というものの負担が決定したということです。  そこで、他方、系統金融機関の資金協力額は、先ほどからの議論がありますように、五千三百億円が限界だと言っておられます。そうすると、これは明らかに、一般行母体行は修正母体行方式で決めた、そして、他方の系統金融機関は体力方式で決めたんだということです。つまり、きのう平田委員がおっしゃいましたように、明らかにこれはダブルスタンダードであるということですね。
  275. 西村吉正

    西村政府委員 このロスの負担の問題というのは、先ほども申し上げましたように、長い間の議論の積み重ねがあったわけでございますが、最後の段階におきまして、与党の政策調整会議がお示しになりましたガイドラインの中では、三つの考え方のもとにこの問題を検討してみたらどうかという御示唆をいただきました。  第一は、「日本の金融が国際的に位置づけられていることに配意したものであること。」第二は、「住専設立から今日の破綻に至った経緯等を十分踏まえたものであること。」第三は、「それぞれの当事者が有する経営状況、対応力等を考慮したものであること。」こういうことでございました。  こういういろいろな要素を総合的に勘案してこのような結論を得たわけでございますけれども、その結論というのは、ただ、今申し上げましたようなことでもおわかりいただけるように、ただ一つのスタンダードで決められたものではございません。そういう意味におきましては、ダブルスタンダードという御指摘がございましたが、トリプルスタンダードと言うこともできますし、いろいろな考え方を総合的に勘案して決められたものだ。  そういうような意味におきまして、いろいろな要素を総合的に勘案して決められたということを御理解いただきたいと存じます。
  276. 竹内譲

    竹内(譲)委員 これは国民が聞いたら本当に怒り出すと思いますよ。ダブルスタンダードどころかトリプルスタンダードもあるんだ。さっぱりこれはわかりませんよ。大蔵行政というのは大体あれでしょう、原理原則に基づいてやるというのが大蔵行政じゃないんですか。全然だめじゃないですか、こんなの。国民が聞いたら何もわからないです。ダブルスタンダードどころかトリプルスタンダードだと。何ですか、これは。今回の六千八百億円の根拠を説明する一つの手がかりに全然なりませんよ、これは。  じゃお聞きしますが、一般行の一兆七千億円というのは、七兆五千億円を母数とした。そして、途中から、政府はロス見込みを一・二兆円削って六・四兆円にしたわけであります。これは要するに第三分類のところを切り離したというふうにおっしゃるわけですが、そもそも一般行の一兆七千億円は、その母数として七兆五千億円をもととしながら、ところが後から六兆四千億円なんですと、その母数は。途中でこう変わってしまうわけですよ、母数自体が。これは全然おかしいんじゃないですか、こういう考え方というのは。
  277. 西村吉正

    西村政府委員 今回の処理方策におきましては、母体行、一般行系統金融機関、それぞれのお立場、それぞれのお考えがございました。そういう中で、それぞれのお立場の方々に最大限努力を要請することとしているわけでございます。  このため、母体行には、約三兆五千億円の債権全額放棄という非常に重い御負担を要請することとなりました。一般行につきましても、過去の経緯等をも考慮いたしまして、六兆二千七百億円の損失見込み額ベースとして修正母体方式算定した額にとどまりませず、それにとどまらず、七社が個別住専ごとに十分の回収努力を行うとの前提に立った場合に発生する可能性が見込まれる損失額、すなわち七兆五千百億円をベース修正母体方式を基礎として算定された分担額、約一兆七千億円について要請をしたものでございます。このように、この一兆七千億円という額は、六兆二千七百億円の損失見込み額ベースとして算定した額よりも多いことは御指摘のとおりでございますけれども、それは、それぞれのお立場最大限努力お願いする、こういう趣旨からこのような算定方式によったものでございます。
  278. 竹内譲

    竹内(譲)委員 これは株主にとても説明できないと思いますよ、一般行はP最初、今の説明だと、六兆二千七百億を基準考えていて、そして後から今度は七兆五千億を考えて一兆七千億というのを決めましたと。株主にどういうふうに説明するんですか、一般行は。これは明らかに、こんな、とんでもないと思いますよ。母数が途中で変わる、本当にこれは国民から見て全く理解ができないと思います。  これは一般行は、例えば七兆五千億から一兆二千億円を切り離すのであれば、それを修正母体行方式ということですから、貸し出しのプロラタに従って計算すると一兆二千億円で済むはずなんですよ。これどういうふうに説明するんですか、国民に対して。
  279. 西村吉正

    西村政府委員 先ほど来申し上げております、それぞれのお立場でと申し上げたのは、それぞれのお立場にはそれぞれのお考えがございます。したがいまして、それぞれのお立場での御主張というものは、それをそのまま全体としてまとめますと、全体としてのお話がまとまらないわけでございます。そういう意味におきまして、それぞれのお立場はございますが、それぞれのお立場最大限努力を我々としては要請申し上げたわけでございます。  その場合に、一般行といたしましては、母体行は全額債権放棄という非常に重い御負担お願いしておるわけでございますが、そこまでは申し上げないにしても、この七兆五千百億円をベース修正母体方式を基礎として算定された分担額、約一兆七千億円について御尽力いただくようにお願いを申し上げた、こういうことでございます。
  280. 竹内譲

    竹内(譲)委員 要するに、一つ一つ一般行負担そして母体行の負担というのを決めていって、そして最後にこの財政投入額というものを決めていくんでしょう。そうしたら、ここで全然原理がわからない、理屈のわからない算出をされているということは、この六千八百五十億円に至らないじゃないですか。国民は全くわからないじゃないですか。私は納得できません、ただいまの答弁に。
  281. 西村吉正

    西村政府委員 重ね重ねの御説明で申しわけございませんけれども、私どもといたしましては、この住専問題を一日も早く解決し、日本の金融界に対する内外からの不安感というものを取り除くことが大切なことだと考えました。そして、民間の金融機関の方々、系統の金融機関の方々にも、それぞれのお立場でこの問題に最大限努力をもって取り組んでいただくよう要請を申し上げている、こういうことでございます。  その中で、全体で六兆四千百億円という穴埋めをしなければいけないこの額について、それぞれのお立場でどのような努力お願いするかということについて、長い間の御議論を踏まえて一つ解決策を提示申し上げたというのが、昨年十二月の提案でございます。  その中におきまして、母体の方々には、これはまことに重い御負担でございますけれども、三兆五千億円の債権全額放棄ということをお願いをいたしました。さらに、一般行については、いわゆる修正プロラタ方式ということでございますと、母数を六兆二千七百億円と置いて算定するという方式も、もちろん委員指摘のような方式もあろうかと存じますけれども最大限努力を要請するという意味におきまして、七社が個別住専ごとに十分の回収努力を行うという前提に立った場合にはもっと大きなロスが発生する可能性が見込まれるわけでございますが、その場合の損失額七兆五千百億円をベースに、修正母体方式を基礎として算定した分担額約一兆七千億円、そのような御努力、御尽力をお願いすることができないであろうか、こういう要請を申し上げているところでございます。
  282. 竹内譲

    竹内(譲)委員 ただいまの説明を聞いていますと、やはり非常に納得がいきません。  要するに、我々だけがわかればいいという問題じゃなくて、今度税金を払う可能性がある一般国民の皆さんにこの議論の過程というものをしっかり理解してもらう必要があるので、今の局長答弁をちょっと私なりに解釈してみますと、実はロス見込みは七兆五千億あるんだ、ところが第三分類というのを切り離した、それでいくと、一兆二千億という計算になりますと。けれども、いろいろ、それじゃまとまる話もまとまらないから、今度は、途中から、切り離した一兆土千億をまたくっつけて、それで修正母体行方式で、修正貸し出しプロラタで計算したものが一兆七千億円ですよと。つまり、もうこのロス見込み額というのを適当にくっつけたり離したり、そういうことをやっているわけですよ。そうして今回の数字を決めたということなんです、今の局長の御答弁は。だから、本当に継ぎはぎだらけのでたらめな算出根拠ではないですか、これは。  国民から見て、これは普通の人は、普通の主婦、先ほども申し上げましたけれども、そういう主婦の皆さんは今回の話は理解できないと思いますよということを私は指摘をしておきたいと思います。  それで、昨日からの議論を聞いておりますと、覚書やら、それからこれまでの経緯やらいろいろあって、系統金融機関は全額返済を受ける資格があるというふうに政府側はお答えになっておられます。これは、系統金融機関には一切責任がないということでしょうか。これは農水大臣、いかがですか。
  283. 大原一三

    ○大原国務大臣 一切責任がないとは申し上げておりません。  やはりその間いろいろ、結果責任という言葉がございますが、過程において、こういう事態が起きることを的確に把握できなかった経緯がございます。三年、四年の第一回目の申し合わせ、話し合いのときに、引き揚げようとした、そのときに母体行は五年計画で必ず再建をいたしますと約束いただいたわけであります。第二次再建計画の際も、やはり資金に不安を感じた系統がこれを引き揚げようとしたわけでございますけれども、金利を四・五にまけることで我慢してくれ、こういう経緯があるわけでございます。  しかしながら、この結果、五千三百億という負担は非常に大きいわけでございますから、万が一、系統の、特に信連等に結果的に破綻が起きるというような場合には、当然、経営責任、結果責任が出るものと私は認識をしております。
  284. 竹内譲

    竹内(譲)委員 そうすると、今回の住専が破綻するに至った過程については一切責任はないとおっしゃるのか。最初に農水大臣は、一切責任はないとは思わないとおっしゃいました。ということは、責任がある、多少の責任はあるということですか。
  285. 大原一三

    ○大原国務大臣 私は、農協系統がこの設立に関与したり大事に関与したり経営に当たった経験は一回もないのです。したがって、今皆さん方が批判されておるのは、住専における母体行というのはお母さんですから、その子供である住専会社に対してまず第一次の責任を負っていただきたい。いかがわしい融資その他がたくさんあるそうですから、そこは責任を持って追及していただきたい。これは母体行の第一次責任だと思うのです。我々はそれに融資をしたわけでございますが、その間、融資の方式に若干問題があったり、あるいはラフな融資があったりしたことについての責任は逃れられないと思っております。
  286. 竹内譲

    竹内(譲)委員 融資の方式とか貸し出しのやり方についてラフな面があった、だから責任はあるのだと、その面については、ということですね。ということであれば、もし責任があるというのであれば、なぜ今回債権放棄じゃだめなのでしょうか。
  287. 堤英隆

    ○堤政府委員 大臣から何度もお答え申し上げておりますように、住専母体行との関係を見ましたときに、系統の方はその設立に何ら関与していない。それから、その後の事業運営についても、人を送り込んだわけではございませんし、またその事業内容にも全く関与していない。そういう意味で、住専問題の本質とは何かといった場合に、やはりこういった事態を招いた経営責任ということがまずきちんとされるべきだ、こういう考え方に立っておりますので、系統につきましては直接的なそういう意味での責任ということはないというふうに理解をいたしておりまして、そういう意味で放棄ということには当たらないということでございます。  しかしながら、他方で、全体の金融システムの一員ということであることも事実でございますので、そういう意味で母体行、一般行、系統、それぞれ精いっぱいの努力をしようということで、系統に住専のこの破綻に至る経営責任はございませんが、金融システムの一員として協力を申し上げよう、その協力の限度はやはり経営力なり対応力ということが限度ではないか、こういうことでございます。
  288. 竹内譲

    竹内(譲)委員 私はよくわかりません。五千三百億を贈与するということと——責任があるということであれば放棄でもいいと思うのですね、私は。五千三百億しか払えないというのであれば放棄だっていいじゃないですか。そこが私は理解できません。
  289. 堤英隆

    ○堤政府委員 るる申し上げておりますように、住専問題が起こった原因は何かといった場合には、やはり住専をつくって、あるいは人をそこに派遣し経営に参画をしたということがまず第一義的に問われるべきであって、経営に全く参画していなかった系統に対しまして住専なり母体行と全く同じような質的な責任を問うことはできないということについて御理解をいただきたいと思います。
  290. 竹内譲

    竹内(譲)委員 じゃ、貸し手責任というのはこの中にはないのでしょうか。貸し手責任というのはどういうことなんですか。私は本当に理解に苦しみます。  それでは角度を変えますが、総量規制以後、系統金融機関住専向け貸し出しが急増してまいります。鮫島委員が先ほどおっしゃっておられましたように、世間で住専が何の使途に貸し出しを行っていたか御存じなかったのでしょうか。これはどうなんでしょう。御存じだったと思われますね、農水大臣
  291. 堤英隆

    ○堤政府委員 住専が住宅ローンを担当するということでございまして、住宅ローンにつきましては、いわゆる狭い意味での個人住宅ローンということだけではございませんで、川上といいますか、住宅開発資金といいますか、そういうものも含めてこれは住専の仕事であるというふうに理解をいたしております。
  292. 竹内譲

    竹内(譲)委員 それはわかっているんですよ。ところが、今回の立入調査でも明らかになったように、相当、とても住宅の川下開発だとか思えないようなところに融資をしているわけでしょう、住専は。それを全く知らなかったというのはおかしいじゃないですか。農水大臣、いかがですか。これはもう明らかですよ、第一次立入調査の結果で。
  293. 堤英隆

    ○堤政府委員 系統から住専への融資につきましては、いわゆる個々の案件を一々調べて対応するということではなくて、これはほかの金融機関もすべてそうでございますけれども住専の経営力なりそれから全体の計画ということを審査して一括お貸しするということで、他の金融機関と全く同様の貸し方をしてございます。  それから、担保のとり方につきましても、住宅担保住専が持っております貸出担保と貸国債権というものを一括して担保という形でとっておりまして、これにつきましても、何も系統だけが特別な対応をしたわけではございませんで、すべての他の一般金融機関も同様の対応をいたしております。そういう意味で、住専への貸し方、それから担保のとり方につきましては、他の一般金融機関と全く同様の対応を系統もしているということでございます。
  294. 竹内譲

    竹内(譲)委員 そうすれば、ではお聞きしますが、一九八〇年十月の五五農経A第一四三五号通達における住専向け融資の使途の定義はどういうことですか、教えてください。
  295. 堤英隆

    ○堤政府委員 五十五年通達におきます信連の住専向け融資の資金使途につきましては、「住宅の取得に必要な長期資金の貸付けのために必要なものに限る。」というふうにしてございます。これは、先ほど御説明申し上げましたように、住宅の取得に関連するものに限るという意味でございまして、必ずしも個人住宅ローンのみに限定しているわけではございません。個人の住宅ローンとともに、住宅開発事業者等に対します宅地開発並びに住宅建設資金の融資ということもこの中に広く「住宅の取得に必要な長期資金の貸付け」という部分に入るというふうに理解をいたしております。
  296. 竹内譲

    竹内(譲)委員 ということは、宅地開発とかそういうものは含む。ただし、それ以外の、とてもそうだと思えない、例えば都内のレジャービルだとかあるいはさまざまなファッションビルだとか、そういうものに対する融資は、これはできるのですか、できないのですか。
  297. 堤英隆

    ○堤政府委員 今申し上げましたように、個人住宅ローンのほかに、宅地開発事業者等に対します宅地開発並びに住宅建設資金というものが入るわけでございますが、ゴルフ場でありますとかそういうものについてはこの範囲の中には入らないと理解をいたしております。
  298. 竹内譲

    竹内(譲)委員 ゴルフ場とかそういうものは入らないということですね。  そうしますと、これは週刊ダイヤモンド九月十六日号で、農林中金の内藤満夫専務理事は、我々に提出された書類には住宅ローン原資と書かれていたとコメントされておられます。つまり、農林中金では、住専向け融資というものは住宅ローン原資だという認識だったわけですね。  そうしますと、これはどうなんですか。農林中金が住専へ貸していた融資は住宅ローン以外はないというふうに理解していいんでしょうか。
  299. 堤英隆

    ○堤政府委員 先ほど来御説明しておりますように、住宅ローンということで、その中には個人のものと住宅開発事業者のものが入るわけでございますが、全体的な住専からの融資につきましては、ゴルフ場とかそういうものについてのウエートは小さくて、全体的には、その事業者資金も含めて、ここで申し上げておりますいわゆる住宅ローンの中に入っているというふうに理解をいたしております。
  300. 竹内譲

    竹内(譲)委員 そうすると、もしも住専が都内のレジャービルやあるいは地方のゴルフ場等の融資のために農林中金に資金融通を依頼していた、そして農林中金が貸していたという事実が判明されたならば、これは通達違反ですか。
  301. 堤英隆

    ○堤政府委員 系統からの融資の総額は、全体的な住専の融資の総額の中で、個人住宅ローンあるいは先ほど申し上げました広い意味での住宅開発事業資金の中に入っているというふうに理解をしているわけでございますが、明示的な形でゴルフ場の開発資金に充てるということで系統からの融資がなされたということであれば、それは通達違反だと思いますが、そういう実態はないというふうに理解しております。
  302. 竹内譲

    竹内(譲)委員 わかりました。今明快な御答弁がありましたから、住宅ローン及び宅地開発等の住宅にかかわる融資以外のものに融資をしていたという事実が判明すれば、それは通達違反だということですね。わかりました。  では、引き続き質問を行いますが、私はよくわからないんですが、そもそも担保債権譲渡担保の形でとるということが基本になっているんですね。信連の住専向け融資や農林中金の住専向け融資というのは担保徴求というのが原則ですか。この点について。
  303. 堤英隆

    ○堤政府委員 これは当事者間の貸し借りの問題でございますので役所がどうこうという立場のものじゃございませんが、事実問題として、住宅ローン等住専債権として持っておりますものを債権譲渡担保契約という形で担保としてとる方式がとられたというふうに理解をいたしておりまして、この点につきましては、系統だけではございませんで、先ほど来御説明申し上げておりますように、すべての母体行、一般行がそういう方式をとったというふうに私は理解をいたしております。
  304. 竹内譲

    竹内(譲)委員 九三年に先ほど申し上げた通達を廃止されていますが、この事実をまず確認したいと思います。
  305. 堤英隆

    ○堤政府委員 当時、全体的な、法律の名前はちょっとここでは覚えておりませんが、法律改正がございまして、統一的な処理をしていこうということで、従来の通達を整理してございます。その段階で今おっしゃいましたことについては廃止をしてございますが、別途、その旨をまた別の通達でもって改めて整理をしてございます。
  306. 竹内譲

    竹内(譲)委員 別途、別の通達で整備をしているということの意味はどういうことですか。
  307. 堤英隆

    ○堤政府委員 今ちょっとすぐ出てまいりませんが、手持ちのものを今整理をしてございますので、すぐまたお答えさせていただきます。
  308. 竹内譲

    竹内(譲)委員 なぜこの通達を廃止したのか、私はよく理由がわからないのです。これについてちょっと詳しく説明していただけませんでしょうか。
  309. 堤英隆

    ○堤政府委員 信用農業協同組合連合会の行う事業に関する指導要綱というのが平成五年四月一日に出てございます。これは、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律及び政省令が四月一日に施行されるということに伴いまして、従来の指導通達等を整理統合しようということで、指導要綱ということで取りまとめられたものでございます。  過去の通達が区々でございましたので、この際、廃止すべきものは廃止して簡素化していこうということで、相当廃止された通達がございます。そのときに、金融機関貸し付けということについてはなお残っているわけでございますので、そういう意味で、昭和五十八年の十月三十一日の大蔵省告示によります金融機関の範囲というものにつきまして、改めてこの平成五年の四月一日で書いたということでございます。
  310. 竹内譲

    竹内(譲)委員 いや、どうも今のおっしゃっている意味がよくわからないのです。なぜ今まで問題がなかった通達を廃止するのか。非常に官僚答弁で、ずっと長々とおっしゃるのですが、国民にわかりやすく説明してほしいのです、これは。なぜこれを廃止したのかということが、廃止するその理由がよくわからないのです。
  311. 堤英隆

    ○堤政府委員 これはよくあることでございますが、法律改正を機に、従来さまざまな形で出ております通達を整理統合しようということの趣旨そのものでございます。
  312. 竹内譲

    竹内(譲)委員 いや、わかりません。要するに、通達というのはやはりそれなりの意味があって、ある行政目標があって、それを実施させるために出しているものだと思うのですね。  それで、この五十五年の通達はどういう通達であったかというと、要するに、信連が員外貸し付けとしてできますよと。そして、この使途は「住宅の取得に必要な長期資金の貸付けのために必要なものに限る。」ということだったのですね。そして、そのときに一緒に指定業者であるこの住専に対して、最高限度を上半期及び下半期ごと大蔵省銀行局長及び農林水産省経済局長に届け出なさいということが明記してあるわけです。  したがいまして、要するに私が非常に疑問に思うのは、そもそも信連が住専に融資ができるようになったきっかけというのはまさにこの通達であったわけです。そして、その使途を明確に、住宅の取得に必要な長期資金の貸し付けのために必要なものに限る、そして最高限度を半期ごとに届け出なさいよという、非常に今回の住専向け融資の発端となる通達であるわけであります。それを、なぜそういう大事な通達をこういう九三年のときに突如廃止するのか、国民の目から見て非常に私はわかりにくいと思うのですね。
  313. 堤英隆

    ○堤政府委員 これは全くの事務的な整理でございまして、場合によりましては、この通達がございますので、後でお届けしたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、さまざまな通達がございましたので、わかりにくいということで、廃止するものは廃止していこうということで、整理統合という形でしたということでございます。  平成五年の四月一日で、住専自体はなお金融機関貸し付けの範囲に残ってございます。これは新たな貸し付けばするわけではございませんが、資金的には短期でございますから、借りかえをしていかなければならないという全くの事務的な整理で残したということだけでございます。
  314. 竹内譲

    竹内(譲)委員 後でその残した通達というのを私に見せてください。それでまた別の委員会等で私は質問したいと思います。  私が不思議に思うのは、要するに国民から見て、農協の皆さんの大事な貯金を守るということは非常に大事なことだと思うのですね。そしてそれを運用する。運用する以上は元本がきっちり保証されるものでないといかぬだろう。そういう意味で、やはりきちっとした金融機関、そういうものに貸し付けるのが正当だろうと思うのです。ただ、このときに、住専に関しましては大蔵省の直轄会社ということもあって、そしてまた、住宅ローンをほとんど九六%当時は貸し付けていたということで、そういう意味であれば間違いのない貸付先だということで、この通達は定められたと思うのですね。  ところが、そういう意味で私は、この通達における「住宅(住宅の用に供する土地及びその土地の上に存する権利を含む。)の取得に必要な長期資金」というのは、これはそういう農協の皆さんの大事な貯金を守るという上から考えれば、要するに個人の住宅ローンでなかったらおかしいはずなんですよ。それが、より幅広くその川下部分とか川上部分まで、幅広く住宅に関連するものはどっと貸せるんだよというような解釈というのは、これは非常に都合のいい、後から変えた解釈なのではないのか。実際にそういう意見が多いです。  そして、よりおかしく思われるのは、まさにそういう九三年、まさにこの住専問題が最も裏で佳境になってくるこの平成五年にこっそりと廃止されているということは、非常に私はおかしい話だと思うのですね。もともと問題がない通達であれば残しておけばいいわけだし、それをなぜこういうときに廃止したのか。  私は、これは、本来のこの通達の趣旨というのは個人の住宅ローンであったと思うのです。それがその個人の住宅ローンという範囲を超えてどんどん貸し出しをやっていった。それで、都合が悪くなってきて、つまり後で大蔵省立入調査をした、あるいはその前から非常にヒアリング等をこの住専にかけてみると、とてもじゃないが、まともな貸し出しをやっているとは思えない。つまり、中身は都内のレジャービルやゴルフ場はもちろん、めちゃくちゃな貸し出しをやっていることがわかってきた。それで、慌ててこの通達の解釈を僕は変えたと思うのですね、解釈を。  それでも実はカバーし切れないから、実はこの住専のやっている貸し出しというのはもっと広いところへ貸している。例えば、もう実名の出ている大きな会社があります。末野興産とか富士住建だとか、いろいろあります。そういうところは、とてもじゃないですが、住宅に関係のないようなところにもどんどんやっているということがわかってきた。それで、これはいかぬということで、この平成五年に通達は廃止されたのじゃないのか、こういう疑念がずっとあるわけですよ。この国民の疑問にやはり私たちは、あるいはこの国会の場を通じて農水省は、きちっと資料も提出しながら答えないといけないと思うのです。それがやはり僕は貸し手責任だと思うのですね。この点について、農水大臣、いかがですか。
  315. 大原一三

    ○大原国務大臣 系統がその融資で全く無責任であったとは私は思いません。ただ、系統から出したお金がどこへ行っているかという内部の報告は逐一ないわけでありますから、それを運用しているのは住専でありまして、そういう意味で、第一次責任というのはあくまでも住専の経営責任、そこの破綻が今日の事態を生んだのですから、農協が優先してそういうところへ融資をあっせんしたわけでも何でもないんですね。そこらははっきり区分けして責任論を言っていただきたい、こう思うのです。
  316. 竹内譲

    竹内(譲)委員 それはよくわかるのです。ですから、住専がいろいろなところへ貸し出しするということについて、全部、一〇〇%承知できないというのはわかります。  しかし、系統金融機関金融機関なんだから、やはり貸し出しの原理原則というのはあるんですよ。資金使途は何か、返済能力はあるのか、そして担保は何かということをやはりきちっと把握するということが、これはやはり金貸しの、あるいは金融機関の、私は当然やらなければならない責務だと思いますよ。ですから、それはもうほかの銀行でも一緒ですよ。だから、そういう意味で、貸し手の責任というのは、まさにその今申し上げた原則をきちっと実施しながら、そして、貸した金を運用しているわけだからそれがきちっと戻ってくるように管理するということが当然必要なんですよ。  今私が大臣にした質問はそういうことではなくて、今通達についての疑念というのがある、このことについてどうお答えされるのかということをお聞きしたわけです。この点について、きちっとお答え願えませんでしょうか。
  317. 堤英隆

    ○堤政府委員 お答え申し上げておりますように、この住宅ローンの通達の範囲を途中で変えたということは全くございません。私どもも当初から、個人住宅ローンはもちろんのこと、例えば住宅を手当てします場合に、住宅開発事業者の方々が宅地開発をされてその宅地を分譲として購入するということもございますし、それから、住宅開発事業者の方々が宅地並びにその上の建物をつくって分譲されるという場合もございます。いずれもそういう意味で国民皆様方の住宅に対するニーズにこたえるものという意味で、幅広くこの通達の中で読めるということで、その考え方については従来から一貫して変わっておりません。  それから先ほど来、平成五年の通達につきましては、後で資料を見ていただければ全くの事務的な整理をしたものだということで、当時の、金融一括法と言っておりますが、金融制度及び証券取引制度の改革のための関係法律の整備等に関する法律ということで一本の法律ができましたので、それを機会に、区々としてわかりにくかった通達類を整理統合したということだけに尽きるものでございます。
  318. 竹内譲

    竹内(譲)委員 じゃ、先ほどおっしゃったその新しい通達というのを私にいただきたいと思います。そしてその上で、引き続き私は別の委員会等でこの問題を追及していきたいというふうに考えております。  それで、次の質問に移りたいと思います。  国民から見てきょうはわかりやすい議論をする必要があると思うので、基本的な、非常に素朴な疑問をお聞きしたいと思います。  系統金融機関が今度贈与される五千三百億円と政府が出される六千八百億円というのは、これはどこへ流れるんですか。どういうところへお金が流れていくのか。  つまり、きのうからの議論を聞いていますと、六兆七千八百億円という融資をやって、そして債権を買い取ります、十三兆円の債権を六兆七千八百億円で買い取るんですということはわかります。じゃ、この五千三百億円と六千八百億円というのは、どこへどういうふうに流れていくのか、使われるのか、国民の皆さんにわかりやすく説明をしていただけませんでしょうか。
  319. 西村吉正

    西村政府委員 実質的に申し上げますと、委員指摘のように、いわゆる一次損失と言われております六兆二千七百億円に損失累積額千四百億円を加えた六兆四千百億円を減価したようなものを住専処理機構住専七社から買い取るという形になろうかと存じます。しかし、経理の処理という意味から申しますと、恐らく、六千八百億円の資金は、預金保険機構に支出された後に預金保険機構から住専処理機構に逐次渡されまして、そこで経理処理をされるという形になろうかと存じます。  系統金融機関から贈与されます五千三百億円につきましては、直接に住専処理機構に贈与されるという形になることを想定をいたしております。
  320. 竹内譲

    竹内(譲)委員 そうすると、贈与される。贈与されて、住専処理機構はこれをどうするんですか。つまり、六兆八千億円と五千三百億と、そして六千八百億円、計八兆円をいただきます、そして五兆五千億円を系統へ返済します、残った二・一兆円については一般行く返済しますということでいいんですか。
  321. 西村吉正

    西村政府委員 先ほど、わかりやすく申し上げるという意味で実質的にと申し上げましたのは、六兆二千七百億円に千四百億円を加えました損失処理するために充てられる資金といたしましては、母体行の三兆五千億円の全額放棄一般行の一兆七千億の一部放棄、及び財政支出系統金融機関の資金ということになるわけでございます。  しかしながら、実際の経理処理ということで申し上げるならば、先ほど申し上げましたように、系統の資金は住専各社に贈与されるという形ではなくて、新しく創設されます住専処理機構に贈与され、その系統金融機関から贈与されました資金をもちまして、それを資金の一部といたしまして住専各社から資産の買い取りを行うという形になろうかと思います。  ただ、そこの経理処理といたしまして、例えば住専の整理の段階、バトンタッチの段階といたしまして、未収金として整理をするとか、そのような経理処理上の技術的な手法についてはいろいろな形があろうかと考えております。
  322. 竹内譲

    竹内(譲)委員 いや、要するに朝の答弁では、十三兆の資産を、減価した六兆四千億を引いた、つまり六兆七千八百億で融資を受けて買い取るんですよというふうにおっしゃいました。ところが、今の答弁では、この系統からの五千三百億、六千八百億も使って債権買い取るんですよというふうにおっしゃっていますね。これはおかしいんじゃないですか。簿価ゼロのものも買い取るんですか。これはおかしいんじゃないですか。
  323. 西村吉正

    西村政府委員 先ほど申し上げましたように、実質的な価値といたしましては、住専各社が持っております額面約十三兆円の資産というものは、既に毀損をしたと見込まれますものを差し引きますと、六兆七千八百億円という、けさほど御説明しましたような価値のものになるわけでございます。そういう価値のものとして住専処理機構が買い取るわけでございます。そういう意味で、午前中に御説明申し上げたことに変わりはございません。  ただ、その経理の処理の仕方として、ただいま御説明申し上げましたようなことを技術的に処理をするということの方がいいのではないかと考えておると、こういうことでございます。
  324. 竹内譲

    竹内(譲)委員 ここ、余り皆さんよく理解されてない方が多いと思うんです。六兆八千億の資産を買い取ると、で、それは融資でやりますと。融資でそれでいいんですよね。朝、平田委員が、そのうちの三分類の一兆二千億円についてはロス懸念があるんじゃないのかということでいろいろ懸念をおっしゃられたわけです。  しかし私が言っているのは、さらに、じゃ、この六千八百億と五千三百億は何のために使うのか。債権買い取りは六兆七千八百億で終わっているんでしょう。あと、この両方、五千三百億と六千八百億を足した一兆二千億の部分は一体何のために要るのか。経理のどうのこうのとおっしゃいますが、理屈がどうも一貫しないんですね。非常にこれは不可解なことだと思います。
  325. 西村吉正

    西村政府委員 実質的な負担関係を御説明する方がわかりやすいと思いまして、従来から、正常資産三兆五千億円、回収見込み資産二兆三千億円、合計六兆八千億円の価値のある資産住専処理機構に譲渡をすると、こういうふうに申し上げ、その場合に、譲渡時に損失の見込まれる六兆四千億円をこのような負担処理をするという御説明を申し上げておるわけでございます。  ただ、この資産の譲渡時、これ、絵をもって御説明いたしますともう少しわかりやすく御説明できるんでございますけれども資産を譲渡いたします瞬間における住専七社と住専処理機構の経理の整理をする関係というのは、若干入り繰りが瞬間的にあろうかと思います。ただいま申し上げました約一兆二千億円程度の未収金を一方に立て、一方につなぎ融資約一兆二千億を置くというような瞬間的な経理の手法、操作と言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、そういう段階があろうかと思いますが、これは、経理技術の問題として十分御説明ができると考えております。
  326. 竹内譲

    竹内(譲)委員 つまり今のお話で言うと、六兆七千八百億のほかに一兆二千億のつなぎ融資を出すということですね。  これは、返済期間と金利はどのようになっているのですか。
  327. 西村吉正

    西村政府委員 未収金見合いのつなぎ融資と考えられるものは、極めて短期間の瞬間的なものだと私ども考えております。
  328. 竹内譲

    竹内(譲)委員 この経理処理を含めて、大蔵省、これは非常に大事なことなので後で資料を出してください。わかりやすく、ここに載っていない資料で、今の処理の仕方を説明したものを出してください。  それで、私がお聞きしたいのは、そうすると、六兆八千億とそして一兆二千億と、八兆円お金が要するにあるわけです。それで、先ほど言いましたように、五兆五千億返済して、二兆一千億また一般行に返済すると、これは足し算と引き算ですが、要するに約四千億お金が余るんですよね。これはどういうことなんでしょうか。
  329. 西村吉正

    西村政府委員 住専七社を合計いたしますと、系統借入金、一般行の借入金、母体の借入金のほかに、資本金だとかあるいはその他の負債というものがございます。そういう性格のものでございます。
  330. 竹内譲

    竹内(譲)委員 私は、そういうものも含めて出すべきだと思います、しっかりと、中身について。そうしないと、非常にこれは今回国民の税金を使う可能性があるという法案ですから、もう隅々に至るまできっちりと出してください。その上で、もう一回大蔵委員会等で議論をしたいと思います。  それで、私が次にお聞きしたいのは、住専処理機構の損益計画、一部もう既に別の委員の方が聞いておられる部分もありますが、この住専処理機構の損益計画、これは当然つくっておられるのでしょうね。当然、借入金のレートとかそれから返済条件等々あると思います。それでちゃんとこの住専処理機構が回っていくのかどうか、どうですか。
  331. 西村吉正

    西村政府委員 住専処理機構を設立いたしました後の運営につきましては、詳細、目下、母体行等を中心に検討をしておるところでございますけれども、私ども、現在相談をいたしておりますのは、住専処理機構をどの程度勘定区分をして運営していくのが効率的であろうかということを関係者の間で議論をしております。  すなわち、七つの住専を引き継ぐわけでございますが、現段階では、給与とかあるいは運営の仕方だとか、それぞれ体系が違うわけでございますし、また、実際に運営をしていきます場合に、それぞれがある程度の切瑳琢磨をし、それぞれが努力をしていくというインセンティブも考えなければならないのではないか、こういう要請があるわけでございます。他方において、住専処理機構は一体的な機構として一体的に運営をされているという要請もあるわけでございます。  この辺の関係をどのようにしていくか、その資金的な裏づけというものにおいてどのようにしていくか、こういう点について今後関係者の間で議論を詰めていきたい、このように考えております。
  332. 竹内譲

    竹内(譲)委員 私は、非常に無責任な話だと思います。今回、一兆二千億円を切り離して、将来財政が半分そして銀行団が半分ということで負担をするというふうになっておりますけれども、将来の分についても財政の投入というものが必要という可能性が高いわけですから、ここへ出てくるまでに当然いろいろな条件、そしてシミュレーションを一緒につけて出すべきですよ。  例えば、金利とかそういうことはもちろんのこととして、大体人数はどうして、人件費はどのぐらいかかるのか。そして、こういうさまざまな手数料がかかります、物すごい強制的な回収をやろうとしているわけですから。そうすると、莫大な費用がかかるわけですよ。そういうシミュレーションをなぜ今ここで出せないのですか。当然私はそういうものをつけてここへ臨むべきだと思いますが、いかがですか。
  333. 西村吉正

    西村政府委員 住専処理機構は、形としては株式会社として弾力的な運営というものを一方の原理としながら、全体として公的、公共的な役割を担って運営されるべきものでございます。その調和点をどのように見出していくか、その実際の運営をどのように行っていくかという点については、関係者の間で意見の調整を図りつつ今後詰めていくということで御理解をいただきたいと存じます。
  334. 竹内譲

    竹内(譲)委員 その資料を出していただきたいと思います。一つ一つ詰めて出していただきたいと思います。どうです、出せますか。
  335. 西村吉正

    西村政府委員 まず第一に問題になり、御説明を申し上げるべきことになろうかと思いますのは、この住専処理機構あるいは預金保険機構を創設あるいは改編いたします法案というものであろうかと存じますけれども、そのようなものがまとまり次第、可及的速やかに御説明をするようにいたします。
  336. 竹内譲

    竹内(譲)委員 私は、今回のこの住専処理案に対して国民が怒っている原因の大きな要素の一つは、やはり金融行政不信だと思うのですね。つまり、大蔵省という巨大な国家権力が、徴税権もあり、予算編成権もあり、そして金融行政に対するさまざまな指導監督権もある、そういうものが、まさに今まで一体となって日本の戦後の金融行政あるいはさまざまな財政の問題やら、そういうものをつかさどってきたわけであります。ところが、ここへ来てまさにそういうもののほころびが、権力が余りにも集中し過ぎることのそういう弊害というものが私は出ていると思うのです。  大和銀行問題にしてもそうです。そして、さまざまな高級官僚の不祥事というものがあるからこそ、国民は、何だ、自分たちは大変な権力を握って、そしてさまざまな、一億を超えるような大変な所得を得ているというような新聞報道もある、ところが一方で、今回懸念されているようなこの住専処理問題というのは、国民の目から見ると、まさに大蔵省の金融行政の失敗のツケを我々国民が払わせられるのじゃないか。こういう金融行政不信というものがあるわけですよ。  ですから、その意味で、これは朝日新聞に載っておりました。朝日新聞の二月三日の社説で、中島義雄前財政金融研究所長を国会に喚問せよ、こういう論説が出ている。私は当然のことだと思います。国税庁、二月二日の朝日新聞の記事がございますが、それはそれとして、国税庁の方で把握している事実がありますか。
  337. 若林勝三

    若林政府委員 お答えいたします。  税務当局といたしましては、従来から個別問題については御答弁を差し控えさせていただいておるところでございます。これは、現在、申告納税制度のもとで税務の執行を円滑に行うためには、納税者の信頼、さらに協力を得ることが不可欠でございます。仮に税務職員が税務上知り得た納税者等の秘密を漏らすということになりますれば、納税者と国税当局の信頼関係が損なわれることになり、ひいては申告納税制度を基本といたします税務行政の運営に重大な支障を来す、かように考えております。したがいまして、答弁することを差し控えたいと思います。御理解を賜りたいと思います。  ただ、納税者について常日ごろからいろいろ資料、情報の収集に努めておりまして、それに基づいて、どういう立場の人であれ、常に厳正な対応をしてきているところであります。
  338. 竹内譲

    竹内(譲)委員 二月二日の朝日新聞によりますと、新たに五千九百万の収入と今までの期限後の申告分を足すと、計一億二千万円に上る収入があったというふうにされております。そして、大阪府内の企業オーナーから千九百万とか、商品取引会社から三千万とか、極めて不透明な収入があるわけであります。国民から見ると、大蔵省の高級官僚というのは、自分の部屋でこういうことができるのか、この不況時に商品先物取引会社とか元金融業者から何千万もの金をもらえるのかという不信があるわけです。  そういう意味で、私は、ここできちっと大蔵省としては襟を正さないと、今回の住専処理案に対する国民理解はとてもじゃないけれども得られないというふうに思います。  新聞報道によりますと、中島氏は所得隠しのために借名口座を使っていた。大蔵省はそもそも借名口座の開設を行わないように金融機関に要請しているわけであります。幹部の中島氏は十分知っていたはずであります。事務次官候補と言われ、国税庁長官に就任する可能性もあった。それだけに、国民に対する背信行為、こういう、エリートと呼ばれる人たちのきちっとした倫理観というものが基礎になければ、私はとんでもないことになるというふうに思います。その意味で、朝日新聞が言っているように、国会に証人喚問すべきであると私は考えております。  まず、やはり高級官僚がまずもって襟を正していただきたい。そしてその次に、今の大蔵省の内部服務規律、こういうものに対する指導監督はどのようになっておるでしょうか、お答え願います。
  339. 涌井洋治

    ○涌井政府委員 お答えいたします。  中島問題、一連の大蔵省の不祥事につきましては、大変まことに申しわけないことと我々も考えております。今後は、失った信頼を一歩一歩でも回復する努力をしていかなくてはならない、決して二度とこういう中島問題のようなことが起こらないように、省を挙げて綱紀の粛正に全力を尽くしてまいりたいと考えております。  そういう観点から、昨年、綱紀の保持のための通達を出しまして、紀律保持委員会などあらゆる会議を通じましてその内容の徹底を図り、職員の気持ちの引き締めを行っているところでございます。今後とも、さらに一層その徹底を図ってまいりたいと考えております。
  340. 竹内譲

    竹内(譲)委員 その意味で、本当に国民の前にはっきり襟を正したと言えるようなことをやっていただきたいと思います。そうでなければ、とてもじゃないけれども国民は今回の処理案については納得できないというふうに思っております。  そして、私が最後に申し上げたいことは、権限が集中する大蔵省という組織そのものが問われていると思います。事件の背景に構造的な問題がなかったのか、経営コンサルタントはなぜ官僚に取り入ろうとしたのか、私は、そういう意味で構造的な問題をやはりきちっとやるべきだと考えております。  その意味で、私は、大蔵省の三分割ということが必要であると考えています。まず大蔵省の金融行政というものを切り離すべきであるというふうに考えています。金融庁というものをやはりつくるべきであると考えています。そして国税庁を大蔵省から切り離すべきではないか、そして予算編成を切り離すべきである、こういう構造改革がぜひとも必要であるということを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
  341. 上原康助

    上原委員長 これにて竹内君の質疑は終了いたしました。  次に、志位和夫君。
  342. 志位和夫

    志位委員 私は、三十一日の質疑に引き続いて、日本共産党を代表して、橋本総理並びに関係閣僚に質問いたします。  私がまずお聞きしたいのは、阪神・淡路大震災の問題についてであります。  昨年末、私は被災地に伺い、被災者の方々の声をつぶさに伺う機会がありました。大震災から一年たちますが、確かに高速道路や鉄道の復興は進んでおりますが、多くの被災者の方々が、人間的な生存の条件が脅かされるような深刻な実態に置かれ、生活再建のめどが立たないまま苦しんでいる、こういう実態を痛感しました。とりわけ、九万数千の方々が暮らす仮設住宅の暮らしは本当に深刻であります。  私が訪れた神戸市北区の鹿の子台の仮設住宅では、寒い冬を迎えて、プレハブの薄い床ですから、まさに中に入ってみますと氷のようであります。それから、壁と壁のすき間からは容赦なく冷たい風が吹き込んでまいりますし、エアコンも、外気が下がりますと、もう冷気しかエアコンから出てまいりません。  貧困と衰弱の中で、仮設住宅での孤独死は既に五十三人を記録しております。鹿の子台でも、一月十八日に亡くなったお年寄りは、仕事がなくて食べるものもない、水光熱費も出せない。亡くなる直前には、真っ暗な部屋でじっと座っておられたということを言われております。震災を苦にした自殺は一二十二人を数えたと伺いました。  被災地に参りまして被災者の方々の声を聞きますと、圧倒的多数の願いは住みなれた町に戻りたい、そのための住宅の保障をということであります。そのために私は、一つは、やはり震災で損なわれた生活基盤再建のための個人補償の実現ということ、いま一つは、安い家賃で入れる公営住宅の大量建設ということが強く望まれていると考えます。私、きょう総理にお伺いしたいのは、この個人補償についてであります。  この問題を求めた我が党の不破委員長の代表質問に対して、総理答弁は、自然災害では自助努力による回復を原則にしているというものでありました。しかし、自助努力といいましても、その自助努力での生活再建の基盤が今破壊されているわけですね。これが今の現地の実態であります。  朝日新聞の仮設住宅の皆さんに対する調査では、「震災前に住んでいた地域に戻りますか」という問いに対して、四五%の方が戻りたくても戻れない、こうおっしゃられている。自助努力の基盤がないんですよ。そうであるならば、国家が生活基盤を再建するための個人補償を初めとする措置を講じる以外に、被災者が生活再建をしていく道はないではないかと私は考えます。この点での総理見解をまず承りたいと思います。
  343. 中尾栄一

    ○中尾国務大臣 総理の前に、まことに志位委員の御指摘のとおり、私ども一月の十七日、顧みればもう一年ちょっと過ぎているわけでございますが、その中にあって、ちょうど志位委員の御指摘のとおり、私ども総理ともどもお供をさせていただいて遺霊を十分にお慰めすると同時に、これまた私自身も志位委員と同様に、ヘリコプターで四十五分くらい回ったでしょうかね。そしてまた、今言われました凍りついたような住宅のところもじっくりと拝見いたしました。  その中にあって、私自身一番感じておりましたのは、その組合長の言葉でございましたが、全く委員の御指摘のとおりで、九八%の方々が、三々五々散らばっていっても、やはり帰る故郷は自分のこの長田区だ、そこで最後まで住みたいという大変熱望するお気持ちでございました。  これは私ども大変に感じ入った次第でございまして、それだけに私どもは、この問題については幾つか公的にも考えていかなければならぬ、こういう気持ちで、阪神・淡路大震災の被害者の全国の公営住宅への入居状況というものも調べたのでございます。これまで大体八千五十三戸入居いたしましたが、現在暫定入居中でございます方々が四千百六戸、正式入居は千三百三十戸、既に退去されたのは二千六百十七戸となっております。  したがいまして、私どもは、各都道府県において目的外の使用期間においては一年程度としているところでございますが、当該期間経過後につきましては、これは入居者の希望によりまして逐一正式入居というものを目指して切りかえて、入居を継続できるということとなっていかなければならないし、その方向に進めていこうということでやっておるわけでございます。(志位委員「個人補償の問題、簡単にね」と呼ぶ)  個人補償の問題は今からちょっと申し上げますけれども、これはごく簡単に申し上げるならば、大体、これはまた私の言葉足らずのところはひとつ事務当局にも仰せつけいただければ私もそのように申しつけますが、第一種の公営住宅では、月額十一万五千円超、十九万八千円以下、大体年の収入が約四百九十万円単位で考えておるわけでございます。それから、第二種の公営住宅は、月額十一万五千円以下、これは年収が約三百七十万円という形で、これを原則として、同居親族であるということ、それから住宅に困窮している人、これに対しては優先して考えていこう、こういう形で考えております。(志位委員「聞いたことに答えてください、個人補償の問題」と呼ぶ)個人補償の問題。これはまた事務当局にお話しさせていただきます。
  344. 志位和夫

    志位委員 長々答弁して、聞いたことに答えないんじゃ話にならないんですよ。  今、公営住宅の問題を言われたけれども、滅失戸数というのは、現地でどんなに少なく見積もっても二十万戸以上ですよ。公営住宅の計画というのは一万八千戸しかない。全然足らないんですよ。被災者の方はどなたに伺っても公営住宅に入る展望を持っていないんですよ。私は、個人補償の問題を伺った。これは総理、きちんと答弁してください。
  345. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 これは、従来からこうした災害が起きますたび、その規模の大小を問わず非常に問題になることであります。そして私ども、雲仙・普賢岳の噴火のときにも同じ苦しみを味わいました。そして、公式にお答えを申しますなら、一般に、自然災害による個人の被害というものに対して自助努力による回復というものを原則としている、それはそのとおり、今までもルールとして申し上げてきたことであります。  同時に、災害救助法による救助、あるいは各種の融資措置などによる被災者支援など、現行制度をフルに活用しながらでき得る限りの支援に努めるという姿を今までもとってまいりました。  そして、阪神・淡路大震災につきましては、特別立法等も行いながら被災者への生活再建などの支援措置も拡充しておりまして、個人補償という形ではありませんけれども、各般の行政施策を補完する阪神・淡路大震災復興基金への地方財政措置、あるいは住宅金融公庫の特別な融資制度の創設など、私どもとしては、大幅な支援措置を講じることにより、でき得る限りの努力をしてまいっているところであります。これからもそうした努力を続けたいと思います。
  346. 志位和夫

    志位委員 救援措置を拡充されてきたというふうにおっしゃいましたけれども、現地に伺いますと、どんどん打ち切られているというのが実感なんですよ。例えば、国保の医療負担ですね、この免除、これは昨年の十二月末で打ち切りなんですね。ですから、医療関係者の皆さんに聞きますと、医療が必要なお年寄りが病院に来なくなるんじゃないかと心配されておられますよ。それから、例えば失業保険給付の延長措置、これは一月十六日で打ち切りでしょう。大事な措置をどんどん打ち切っているのですよ。  私は、また自助努力ということを個人補償の問題についておっしゃられたので、憲法上の問題を少しここで提起したいと思うのですが、国民の生存権を保障した憲法二十五条というのがございます。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」  ところが、震災によって住居を初め生活基盤を喪失した被災者の方々というのは、この生存権を現に脅かされている実態にあります。特に、住宅というのは、私は、単なる財産じゃなくて、生活の土台、生存の土台としてとらえるべきだと考えます。その回復のめどを自力で立てられない、自力では現状から脱出するすべを持たない、そのときには、私は、憲法二十五条の見地に立って生活基盤の再建を図る支援をする。災害における社会保障という見地ですね。新しい問題ですが、そういう意味から、個人補償を行うということはむしろ憲法上の要請ではないか、このように考えますが、総理、いかがでしょうか。総理に伺いたい。
  347. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 憲法解釈については、私は専門家でありませんので、法制局長官から答えていただきたいと思います。  しかし同時に、阪神・淡路大震災が起こりました直後以来、まず、ライフラインの復旧とともに、仮設住宅というものの確保というのがどれだけ本院でも論議をされ、急がれたかは委員も御記憶のとおりであります。そして、用地の確保ができ次第、次々に仮設住宅を当時建設をしていったこと、そして同時に、次のステップとして、自分たちが働ける場所をという声で、仮設工場あるいは仮設の商店の建設といったことを次々と進めていったことは委員も御記憶のとおりであります。  私は、今正確な戸数を存じておるわけではありませんが、兵庫県あるいは神戸市初め関係の市町から御相談を受けながら、当時の担当閣僚として大変御苦労をいただいていた小里大臣初め、次々に御苦労いただいた方々の御努力というものを改めて申し上げておきたいと思います。
  348. 志位和夫

    志位委員 肝心な点にお答えにならなかったのは残念なんですが、私は、この問題、政府に要求しますと、我が国は私有財産制の国だから、個人の財産保全は個人の責任でということをこれまでおっしゃっておられました。  私は、生存権と財産権の関係は憲法でどういうふうに規定されているかということは大事だと思うんですよ。「註解日本国憲法」というかなり権威のある憲法解釈によりますと、憲法は、「すべての国民に最も基本的な権利の一として生存権が保障され、そのもとに、実質的には財産権と勤労の権利を、生存権を適正に実現せしめる手段として、これを国民の社会的・経済的生活を支える二つの重要な支柱としたことになる。」こう書いてあります。  つまり、生存権というのは、財産権とのかかわりでもより根本的な権利である、学界の通説であります。だからこそ、財産権というのは公共の福祉のためには一定の制約があり得ると、これは憲法にも書いてあるわけです。この最も生存権という根本的な権利が保障されていないというのが今の実態なわけで、私は、これを保障することは、いつも政府に伺いますと、現行制度ではできない、現憲法ではできないとおっしゃるけれども、個人補償というのはむしろ憲法上の責任じゃないかという問題を提起しているわけですから、この点どうでしょうか、総理
  349. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 お尋ねは憲法二十五条の法意いかんということに尽きようと思います。  その件につきましては、政府としましては、従前から、憲法第二十五条の規定は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるように国政を運営すべきことを国の責務として宣明したものであり、直接個々の国民に対して生活保障に関する具体的権利を認めたものではないというふうに解してきております。  具体的権利といたしましては、憲法の規定の趣旨を実現するための法的措置によって初めて与えられたものというべきであります。しかしまして、右の法的措置が、憲法の定める健康で文化的な最低限度の生活を維持するに足るものでなければならないことは、もとより言うまでもございません。  したがいまして、政府としましては、先ほど総理がいろいろと答弁いたしましたような努力をしているわけでございまして、なお努力を続けるべきことは申すまでもないところでございます。  以上でございます。
  350. 志位和夫

    志位委員 私は生存権と財産権の関係について伺ったんですが、その問題についてお答えがありませんでした。やはり二十五条に基づく具体的措置は法律でお決めになるとおっしゃった。その法律をつくれと言っているんですよ。被災者が立ち上がるために個人補償の措置が必要なんだから、特別立法をつくる必要があると、この問題を提起しているわけであります。  先ほど出した朝日新聞の調査では、個人補償について、国が特別立法をつくり補償すべきだという方が八六%を占めております。住専処理に出す金があれば被災者に回すべきだというのは、これは被災地の声であり、国の声であります。本当に生活再建を最重要課題として、内閣の最優先課題としておやりになるのでしたら、この被災者の声にこたえるべきだということをこの問題の最後に要望して、次の問題に私は進みたいと思います。  次の問題に、私……
  351. 上原康助

    上原委員長 鈴木国土庁長官。  答弁があるようです。
  352. 志位和夫

    志位委員 結構です。もういいです。総理に聞いて、総理はお答えにならないのですから、もうあなたに聞いても、いいです、結構です。  次の問題は、住専の問題について伺いたい。
  353. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 御指名がありましたから、ちょっと……
  354. 志位和夫

    志位委員 もう簡単にしてくださいよ。時間つぶしをされたら困る。
  355. 鈴木和美

    鈴木国務大臣 憲法上の問題は後ほどにいたしまして、今現地の状況でございますね、書記局長も今お話があったように、復旧の方は何とか大体順調にいっていると思うのです。  さて、その次の復興というところをどうするか。その復興の中での一番が生活の再建なんです。その生活の再建の中に一番柱になっているのが住宅なんです。それで、我々といたしては、これは十一万一千戸つくることになっている。それを五年前倒しして七万七千戸やることにしています。  それから、今一番問題になっているのは、区画整理の問題なんですね。区画整理の問題ですから、これはその問題も十分承知していただきたいと思います。
  356. 志位和夫

    志位委員 もう数字も間違いだらけで、十一万云々と言ったけれども、県の計画は十二万五千で、それは足らないから倍増する必要があると私たちは要望しているということを、この住宅の問題で言っておきます。数字ぐらい、ちゃんと覚えておきなさい。  次の問題ですが、住専問題について伺いたい。  私は一月三十一日の質疑で、政府大蔵省の責任、母体行の責任について、突っ込んで総理にお聞きいたしました。昨日、新たな資料が公開されましたが、これを見ますと、私が先日指摘した問題点を裏づけるものに全体としてなっていると思います。  九一年から九二年の第一次立入調査の結果報告を読みますと、いかにこの時期に母体行の経営支配のもとで住専各社がすさまじい乱脈と暴走をしていたか。そして、既に破産の危機がこの時点で迫っていたことがはっきりわかります。住専が不動産投機にのめり込んでいたこと。融資の審査体制がずさんきわまるものであったこと。融資は担保の七、八割という基準が全く守られていないこと。不良債権の割合は大きく、かつふえていること。  政府大蔵省はこういう実態をつかんでいながら、一体この時期にどういう手を打ったのか。こういう重大な事態を知りながら、乱脈と暴走を正す何らのまともな措置がとられず、いいかげんな再建計画をつくって、そして住専をずるずる生き長らえさせた。傷口を広げた。不良債権を三年余りの間に一・七五倍に膨れ上がらせた。この責任は極めて重大だと考えます。  総理に伺いますが、住専のこういう実態を知りながら、放置してきた行政の責任についてどう認識されておりますか。総理に伺いたい。
  357. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私自身は、大蔵大臣をやめて、証券・金融不祥事の責任をとって蟄居謹慎をいたしておりましたときでありますので、当時の状況についてつまびらかにいたすわけではありません。  ただ、その調査が行われ、その結果を把握し、当然のことながらその事態を心配し、恐らくそれは関係者共通した心配でありましたでしょうから、そうした中から第一次、そして、なかなかうまくいかないということで第二次の再建計画というものが議論をされてきた、私はそのように思います。
  358. 志位和夫

    志位委員 それが全く狂ったわけですよね。再建計画をつくったけれども、結局、融資している額を農林系に引き揚げさせないというだけのもので、ずるずると問題を先送りにしてああいう結果を招いたわけですから、責任は本当に重大です。確かに、この時期の大蔵大臣総理でなくて羽田さんですから、羽田さんにもこの責任はきちんと明らかにする義務があります。  もう一つ、昨日公表された資料で私が注目したのは、母体行責任の重大さであります。  住専によっては母体行が四割もの紹介融資をやっている実態も明らかにされました。しかし、事業向け貸し出しのうちの母体行の紹介融資の総額、及びそのうち不良債権になったものはどれだけかは、昨日の資料では数字として出ておりません。  これは銀行局長に伺いたい。
  359. 西村吉正

    西村政府委員 先般、一月三十一日の本委員会におきまして、志位委員からの御質問に対しまして、私から、「母体とおっしゃいますのは、住専、現在の場合七社の問題について申し上げたいと存じますけれども平成七年三月末時点で三兆五千八百五十九億円でございます。」というようなお答えを申し上げましたが、御質問の御趣旨に沿った適切なお答えとなっていなかったため、おわび申し上げますとともに、ここで訂正をさせていただきたいと存じます。  大蔵省が行いました住専各社に対する先般の立入調査によりますと、住専七社の事業向け貸付金のうち母体金融機関紹介分は、これを債権者ごとに集計いたしますと、すなわち当該債務者との最初の貸付契約の端緒が金融機関の紹介によるものであった場合、その後の貸付案件についてはすべて紹介分として計算するという方式をとった場合によりますと、約一兆七千二百八十七億円となっております。  ただし、これらの計数につきましては、調査に際しまして住専各社がそれぞれ紹介と認識しているものを集計したものでございまして、金融機関側への確認をしたものではございません。したがって、金融機関側にはまた別の認識もあるかとも存じますけれども、その点に御留意願いたく存じます。  なお、母体金融機関の紹介分のうち、債権者ごとの集計によれば、不良債権となっておりますのは一兆五千七百三十四億円、九一%でございます。
  360. 志位和夫

    志位委員 銀行局長が数字を間違えては困りますよ。あの質疑は全国にテレビで放映されていたわけですから、今後気をつけていただきたい。  しかし、今報告された数字はなかなか重大だと思うのですよ。母体行からの紹介融資の九一%は不良債権になっていた。これは、事業向け貸し出し全体でいいますと不良債権率というのは八九%ですから、それより母体行紹介の方が不良債権率が高いのですね。親が子に紹介した方が危険が高い、ひどい案件を紹介したというのは、これは本当にひどい話だ。私は先般の委員会で、母体行が住専をごみ箱として利用した、不良債権のごみ箱として使った、こういうことを指摘いたしましたが、まさにこのとおりの実態だったんじゃないですか。  これは総理に伺いたいのですが、こういう母体行責任、きのうの資料を見て、総理はどういう認識をお持ちになりましたか。
  361. 久保亘

    久保国務大臣 今、志位さん御指摘のように、母体行によって紹介をされたものが不良債権化しているということは、母体行にとっても責任の重いことだと考えております。
  362. 志位和夫

    志位委員 この問題は先回の議論で随分やったのでこれ以上やりませんけれども、やはり私たちは、こういう紹介融資の問題一つとっても、この問題の処理というのは母体行の責任を基本にしてやるべきだ、仮に処理策で足らない分があれば母体行にきちんと出させる、これが当然の筋だということを改めて申し上げておきたいと思います。  次に、私は、政府が決めた処理スキームと言われる処理策そのものの問題点について、幾つかの角度からお聞きしたいと思うのです。  第一に、一次損失処理の問題でありますが、この六千八百五十億円の税金投入は絶対に反対だというのは私どもの繰り返し述べている立場でありますが、この六兆四千百億円のいわゆる一次損失分の処理には、私はこれにとどまらない重大な問題点があると考えております。  政府処理案では、母体行の債権放棄額が三・五兆円、一般行債権放棄額が一・七兆円で合計五・二兆円になりますね。これを損金扱いにして無税償却を認めるということがきょうの委員会でも答弁で言われました。五・二兆円といいますと、仮にこのお金が損金扱いされた場合には、どれだけの税金の免除、事実上の減税になりますか、大蔵大臣
  363. 若林勝三

    若林政府委員 お答え申し上げます。  ある金額につきまして、それが損金に立つということになりましたときに、それが税の幾らの免除になるかということでございますけれども、企業会計の場合いろいろな項目がございまして、益と損と両方が相まってそういう数字が出てまいるわけでございまして、一定の金額の損失が出たからといって、それが即税金にどうなるかという問題にお答えするのはなかなか難しいと思うわけでございます。  例えば、今回の銀行のような場合には、例えば株式等を売却するというようなことで益出しをやっておりますし、そのトータルの中でそのことを考えていくべきであろうと思いますので……(志位委員一般論としてどうですか」と呼ぶ)ちょっと一般論として申し上げることはなかなか難しいということでございます。
  364. 志位和夫

    志位委員 なかなか言わないんですけれども一般論としては、国税と地方税で法人税率大体五〇%でしょう。ですから、五・二兆円分を無税償却すれば、大体半額が企業は減税になって返ってくるわけですよ。二・六兆円ですよ。一般論としてはそうなる。二・六兆円の減税といいますと、国税と地方税で合わせて法人税の税収入は大体二十兆円ぐらいですか、そのぐらいになると思います。その一割以上という額ですよ。これがごっそり、それこそ税収の穴になるわけであります。余りにも大きい。これが、結局は税収が減ることで国民負担にかぶってくるわけですね。ですから、国民負担というのは、六千八百五十億円という歳出増に加えて、二・六兆円という歳入減によって、一次損失だけで合計三兆数千億円になる、こう言わなければなりません。  これは、もとはといえば、住専の破綻というのは、母体行の責任は非常に重い。これは先日言ったとおりであります。バブルの時期には別働隊として住専を利用し、バブルがはじければ不良債権のごみ箱として使い、そして最後はこのごみ箱を農協系におっつけて自分は引き揚げていく。その社会的背信は本当に重罪だと思います。  そういう経緯に照らして、私、この無税償却というやり方を一片の通達でやっていいものかどうか。これは恐らく、この根拠はと聞けば、法人税の基本通達に基づいてと言うと思いますよ。その通達に基づいてやる、そういうルールになっていますと言うと思うけれども、一片の通達を根拠にして二・六兆円もの減税、これを認めていいものか。そういうことをやれば、形を変えた公的資金の導入じゃないか、銀行優遇策じゃないか、こういう批判は免れないと私は思います。  私は、ここは官僚の方々に聞きたいと思いません。大局的な政策判断の問題なんですよ。この問題、この減税を見直しただけでも税金投入必要なくなるわけですから、これは見直すべきじゃないか。総理、これは大局的な政策判断の問題ですから、お聞きしたい。総理にお聞きしたい。
  365. 久保亘

    久保国務大臣 国税庁といたしましては、今度の住専問題の処理に当たりましての税務上の扱いは、現行法に基づいて公正に行われるものと考えております。
  366. 志位和夫

    志位委員 現行法に基づいてというのは、官僚が言う答弁だったらいいんですよ。政治家が言う答弁じゃ困る。政策判断を聞いているんですね。法律に基づいているかどうかじゃない。政治家として、こういう事態に不合理性を感じないかという問題を聞いているんですよ。  この問題、自民党の幹事長の加藤さんだって、こんな無税扱い認めていいものかと言っているじゃないですか。そこに座っている官房長官の梶山さんだって、こういう無税扱いは国家国民に対する背信だと言っているじゃないですか。言っていますよね。それだけの声が、私だけじゃないんですよ、与党内からも上がるような問題なんだから、これは政策判断が必要じゃないかと総理に伺っている。どうですか。——総理に伺っている。同じ答弁だったら要りません。
  367. 久保亘

    久保国務大臣 法に基づいて行政が執行せず、政治的な政策判断をするということは、行政の長の立場にある者としてはできないことだと思います。
  368. 志位和夫

    志位委員 不合理性があれば必要な法改正をやるというのも内閣の責務なんですよ。  私、それではちょっと伺いますけれども、大銀行が実際にどれだけ税金を払っているか、大手都市銀行等二十一行の九五年三月期の法人税の申告税額を国税ベースで報告してください。これは国税庁ですね。
  369. 若林勝三

    若林政府委員 お答えいたします。  都市銀行十一行、それから長期信用銀行三行及び信託銀行七行、合計二十一行の平成六年度の申告法人税額は五百八億円でございます。
  370. 志位和夫

    志位委員 五百八億ですよ。これは驚くべき少ない金額なんですよ。私、調べてみましたら、都市銀行等二十一行の九四年度の業務純益は二兆七千六百七十九億円ですよ。これに比べて五百八億円といいましたら一・八%か。本当に払ってないに等しいんですよ、税金。無税に等しい。不良債権を無税償却することでほとんど税金を払っていないというのが今の銀行の実態であります。  都市銀行等二十一行だけで、過去三年半で不良債権償却での税免除額は三兆六千億円と言われています。この上二兆六千億円もの巨額減税をやっていいものか、こういう問題なんですね。私、税法上の無税償却一般を否定しているんじゃありません。そういう一般論として否定しているんじゃありません。しかし、これにはある節度があってしかるべきではないのかという問題提起なんですよ。  ともかく銀行の今の利益のため込みぶりというのはすごいもので、銀行二十一行で今年度には四・八兆円という史上最高の業務純益を上げると言われております。二十一行で二十兆の内部留保を抱えている。国会図書館に調べてもらいましたら、二十一行で十八・六兆円もの株の含み益を持っているんです。そういう銀行が、不良債権の償却をやっている間はこれは全部無税償却で、ほとんど税金は払ってないに等しい。恐らく来年度はもう税金を全く払わない大手銀行が出てくるでしょう。法人税ゼロというところも出てくるでしょう。私は、こういう状況がいいものかどうなのかという、大局的な政策判断が必要なんじゃないか、このことを伺っているんで、これは総理にお答え願いたい。
  371. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は、今志位さんが述べられたような御議論も承っておりますし、あるいは金融機関の給与水準等に対する声もさまざまな形で伺っております。  同時に、先ほど国税庁の方から、また先ほど大蔵大臣からも御答弁がありましたように、法律を運用し、行政の責任をとっていく立場として、特定のケースにのみ法を変更する、ルールを変更するということが懇意的に行われることがよいことだとは私は思いません。やはり行政のルールというものは、一つのルールをきちんと、どのケースであれ守っていくべきことであり、むしろ行政の長が感情的な判断基準を行政に入れることは避けるべきことだと私は思います。
  372. 志位和夫

    志位委員 私は、この問題 一つの問題提起として受け取っていただきたいんですが、銀行というのは高度の公共性を持っております。ですからこれはもちろん免許でやられているわけですね。やはりそういう銀行の一つの社会的責任に照らして、もちろん今度の住専問題だけではなくて、不良債権の償却全般がこれでいいのかという問題を提起したと受け取って、ぜひ検討していただきたい。こういう問題にふたをしたままでは、このやり方は異常な銀行優遇じゃないかという声はもっと広がりますよ。  しかも私は、政府の方々、今財政危機宣言やっていらっしゃるわけでしょう。そういう中でこれだけの歳入の落ち込みということをずっと続けていいものかという問題もあると思いますよ。やはりこの問題はそういう角度から、本当に大局的な問題としてぜひ検討をお願いしたい。大きな問題だと思います。  第二に、私、二次損失の問題について伺いたいんですが、住専処理機構に移される債権六兆七千八百億円のうち、不良債権が三兆二千九百億円、正常債権が三兆四千九百億円と言われております。まず、これは大蔵大臣ですが、お伺いしたいのは、政府はいわゆる二次損失、まああなた方の言葉で言うと将来発生が懸念される損失ということになるんでしょうか、それをどう見積もっているのか。一兆二千四百億円という数字も出ましたが、この数字を上回らないという保証が現時点でできるのかどうか、大蔵大臣にお答え願います。簡単に。
  373. 久保亘

    久保国務大臣 債権として十三兆の債権を引き受けるわけでありますが、六兆二千七百億については損失として処理されます。それから千四百億の欠損がございますね。それで、六兆六千億という、六兆七千億ぐらいになりますか、それ以外の債権というのは、公示価格の八割程度になります路線価によって計算をされてその金額が出てくるわけです。それで、これが処分されます際に仮に三〇%減価したとした場合にはどういう状況になるかという計算が一兆二千億という数字になったのであります。これは、債権回収にどういう力が発揮できるかということと相関関係にあるものだと思っております。  そういう立場でございますから、回収機構体制、権限、陣容というものを整えることによって、この今三割の減価の場合どうなるかと言われているものは縮小できる可能性を持つものと考えております。
  374. 志位和夫

    志位委員 私聞いたのは、努力目標じゃないんですよ。それは回収努力するというのは当たり前のことで、全力でやるのは当然ですが、努力目標じゃなくて、一・二四以上にならないか、保証できるのかということを聞いたわけですね。それはもう今の答えの中でも今後の努力次第だということですから、これはやっぱり保証できないということですよ、あなたの答弁では。  それから、もう一つお聞きしたいんですけれども、今正常債権と言われているものがあるでしょう。では、この正常債権と査定されている中から今後不良化するもの、不良債権化するものがないと言えますか。どうですか、大臣
  375. 西村吉正

    西村政府委員 住専の正常債権考えられておりますものの多くは、個人に対する住宅ローンでございます。そういうものは事業者向けの債権に比べますと比較的正常なものが多いということでございます。  こういうものが全く不良化しない、一件も不良化しない、こういうことは必ずしも保証できない点もあろうかと思いますけれども、私どもは、そういう個人住宅ローンの内容をも検討いたしまして、その中から正常なものを計上しておるわけでございます。
  376. 志位和夫

    志位委員 不良化するものがないとは言えないという答弁でした。個人住宅ローンが中心だと言われたけれども、正常債権に分類されている中にも事業向け貸し付け九千億円ありますよ。これは事実でしょう。  それで、事業向けの九千億円というのは、私は、今後不良化する可能性はやはり高く含んでいると思いますよ。だって、実際この間の経緯を見たって、昨日提出された住専関係の資料を見ますと、住専七社の不良債権の総額は、九一−二年の調査当時の四・六兆円から昨年調査時には八・一兆円へと、三年で一・七五倍に膨れたわけですから。  それから、例えば昨年七月に経営破綻したコスモ信組の場合、昨年五月に大蔵と東京都の査定で正常債権とされたのが二千二百五十億円。ところが十一月末には、これは報道ですが、その六〇%、千四百億円が不良債権になっているとも伝えられております。私、そういう危険性がないかと聞いているわけですね。これは今銀行局長も今後そういう可能性を否定しませんでしたが、大蔵大臣どうですか。
  377. 久保亘

    久保国務大臣 これからの経済の動向、それから、実際には不良債権化することはないと考えておりますものでも、企業の経営の状況、そういうものによって変化はあるものと思っております。そういう意味では、志位さんが言われるように不良債権化するものもあると思いますし、また努力によっては逆に正常債権化するものもあると思いますが、そのことに対してどのようにこれから取り組んでいくかというのは、この処理機構をお認めいただいた上で、この処理機構を中心とする努力にかかるとしかお答えのしようがないと思います。
  378. 志位和夫

    志位委員 経済の動向ということを言われましたが、地価は下がり切ったとは言えないと思うのですね。国際的に比べてもまだ高い。それから、長期的動向からいったって、あさひ銀行のレポートなんかではまだ高いんだという状況ですから、私は、今後不良債権化する危険は大いにある。そのことは今蔵相もお認めになった点であります。  私言いたいのは、この二次損失について、今不良債権と言われている中からどれだけロスが膨らむかもわからないし、今正常債権と言われている中から不良債権化する分がどれだけ出るかもわからない。つまり、どこまで損失が膨らむかわからないところでこの処理策が決められているというところに大きな問題点がある。これを指摘せざるを得ないわけであります。  次に私、それでは、そのどこまで膨らむかわからない二次損失をだれが負担するのかという問題であります。  政府処理策では、「政府・民間の共同の責任で処理することとし、政府負担は二分の一とする。」こう書かれております。二次損失の半分は税金だ、こういうわけですね。一次損失の穴埋めで六千八百五十億円、これはこれ自体が結局足らない分を出せという、私は全く筋の通らない金だと思いますが、二次損失になるとますます奇怪だ。半分出せというのですね。何で半分か。なぜ十分の一でもなく五分の一でもなく三分の一でもなく二分の一なんだ。この根拠を大蔵大臣、端的にお答えください。
  379. 久保亘

    久保国務大臣 全体の処理スキームをどのように合意をしてつくるかということで、この六兆四千百億以外の債権についての今後いろいろなケースが予想される場合について、やはり全体のスキームとして決めておく必要がある、こういうことで民間と国との間でその責任を折半する、こういう考え方だと思います。(志位委員「折半の根拠を聞いているのです」と呼ぶ)これはその数量的根拠というものは相互の合意と言う以外にないと思います。
  380. 志位和夫

    志位委員 これは全然答えになっていないですよ。これは本当に、どうして半分なのかを聞いて、相互の合意ですと、それで答えになりますか。勤め帰りに二人で一杯飲んだ、これを割り勘にしようというのだったらわかりますよ。しかし、住専母体行と国民は一杯飲んだ覚えはないのですよ。何でこれを割り勘にしなければならないのか。これは、今の大蔵大臣答弁は全く納得できない。
  381. 久保亘

    久保国務大臣 志位さんも指摘されておりますように、結局、この住専問題の処理が先送りされるたびに傷口が大きくなり、不良債権がふえていったわけです。だから、そういう意味で今早期処理が求められている。そういう中で、とり得る処理方策というものを決めたということなのです。
  382. 志位和夫

    志位委員 先送りしたら傷口が広がるから、ともかく金出せ、こんな議論通用しませんよ。私たちは先送りしろと言っているのじゃない。足らない分があれば銀行が払う、母体行責任で処理するということをなぜできないのかと言っているわけです。ですから、これは全く、半分という根拠を全く示さないということは、本当に奇怪至極なスキームですよ。  しかも、この二次損失の穴埋めを、国民は税金から直接負担ですけれども、民間は直接負担じゃない。つまり、政府処理案を見ますと、民間金融機関負担については、預金保険機構内に新たに設置される基金約一兆円の運用益を活用する、こうなっております。つまり、母体行など民間金融機関は、預金保険機構の中に設けられる金融安定化拠出基金ですか、この約一兆円を拠出して、そしてその運用益で損失の穴埋めをする、こういう仕組みですね。  私、ちょっと大蔵大臣にお聞きしたいのですが、この母体行など民間金融機関が拠出する一兆円の拠出金は金融機関に最終的には返還されることになるのですか。大蔵大臣どうですか。
  383. 西村吉正

    西村政府委員 拠出されました金融機関の基金は返還されることになろうかと存じます。ただし、そのうち一千億円につきましては住専処理機構に出資されることになりますが、その出資分については住専処理機構の運営の結果というものが左右することになろうかと思います。
  384. 志位和夫

    志位委員 そうしますと、一千億円分は若干のリスクを含んでいる、しかし九千億はきちんと返ってくる、これは基本的なそういう仕組みだということを今答弁でおっしゃいました。  結局、母体行など民間金融機関というのは、拠出金を出すけれども、基本は返ってくる。それから、低利融資をやるわけですが、低利融資は預金保険機構が保証する。これも焦げつく心配はない。そうしますと、母体行など民間金融機関というのは、拠出にしても融資にしても元本は基本的に丸々保証されている。税金で半分といいますと、何かあたかも銀行の側が半分出すかのような印象を国民に与えているかもしれないけれども、実際には半分も負担しない、ほとんど戻ってくる。元本保証されるという仕組みじゃありませんか。  私、さらにここで聞きたいのは、仮に二次損失が膨らみ、基金の運用益だけで賄えなくなった場合は預金保険機構からこれを繰り入れるわけですね。しかし、預金保険機構というのは残高せいぜい九千億余りしかありません。この預金保険機構が底をついたらどうするのか。私、そういう危険大いにあると思いますよ。実際、不良債権が膨らんで、基金がパンクし、預金保険機構が底をついた、そういうときに、そこに財政投入は絶対しないと言えますか。これは大蔵大臣どうですか。大蔵大臣大臣、答えなさいよ。
  385. 西村吉正

    西村政府委員 まず、初めに御指摘のございました、基金を拠出した場合には負担にならないではないかという御主張でございますけれども、これは、元本というような性格のものをつぎ込むという方法もございましょうし、基金を拠出して、いわば無利子の資金を拠出してその運用益をもって充てるという方法もあろうかと思います。これは、いろいろな手法があるということであって、実質的には同様の負担考えていいかと存じます。  二つ目の問題でございますけれども、もともと、大臣からも答えましたように、いわゆる二次損失というようなものが生じないように極力あらゆる努力を尽くすという前提に立ってございますので、私どもとしては、そのようなものが御指摘のようなレベルにまで発生するとは考えられないと思いますけれども、万が一そういうものが発生した場合の備えといたしまして、預金保険機構の保証ということを考えておるわけでございます。  この預金保険機構一般勘定の資金というのは、志位委員指摘のように、金融機関の支払う保険料をもって基金としておる、そこから支払われるわけでございます。それが底をついた場合ということでございますが、それはまたさらにいろいろな仮定を置いた御議論のように感じられます。私どもとしては、そういうようなことは生ずることはないと確信しておりますが、万が一生じた場合には、それは保険料を引き上げるとかいろいろな方法によって、そのような段階で検討をされるべきものだと考えております。
  386. 志位和夫

    志位委員 保険料率を上げますと、結局、預金者の利子の目減りという形で預金者の負担になっていくわけですね。  私、仕組みとしてどうなっているか聞いているのですよ。仮にこうなったらどうなるのかと、仕組みとして。預金保険機構法律によれば、これは底をついた場合、日銀特融からの繰り入れという仕掛けになっているじゃないですか。そういうことは絶対しないのか、これを聞いているのです。ここに公的資金を入れることは絶対ないのかと聞いているのです。
  387. 西村吉正

    西村政府委員 現在の預金保険の仕組みといたしましては、委員指摘のように、もし一般勘定に資金が足りなくなった場合には、つなぎ資金として日本銀行から借り入れをすることができるようにはなっております。しかしながら、それは将来保険料で返すという建前で仕組まれている制度でございます。
  388. 志位和夫

    志位委員 仕組みとして、私、日銀特融でもこれは立派な公的資金ですから、ここに公的資金が二重に注がれる危険があるということも指摘しておきたい。  私、二次損失処理スキーム全体を見ますと、まず第一に、どこまで二次損失が膨らむかわからないこと。第二に、二次損失の半分はゆえなき国民負担となり、そして際限のない税金投入に道を開くこと。それから第三に、母体行など民間の負担は、拠出金は返ってくる、融資は保証されている、銀行はちっとも腹が痛まないものになっているという問題。それから、預金保険機構が底をついたときの財政投入は否定できないという問題。これはやはり、銀行の腹は痛まない、国民の税金は際限ない投入だ、いわば血税吸い上げマシンですよ。この手付金が六千八百五十億だ。これは本当に道理の通らないお金なので、私どもは、これを予算案から削除するということを重ねて強く要求するものであります。  私、この問題の最後に、政府処理策全体として見ますと、国民にはゆえなき負担を強いりながら、母体行、銀行には大変な優遇、救済を与えている、こう言わざるを得ません。その根本には、やはり政治献金の問題があると指摘せざるを得ません。  私は、前回の質問で、自民党、新進党、さきがけが大銀行や住専母体行から巨額の政治献金を受けているということを指摘し、これを返上すべきだという問題提起をいたしました。その後の報道を見ますと、自民党の中でも、献金を返上すべきかどうか議論が起こっているという報道がございます。  東京新聞を持ってきましたが、「銀行からの献金 返すか否か 自民党ハムレット」、ある国対幹部の発言として「多額の献金を受け取っていては、責任追及の姿勢が問われかねない」、こう言っている。自民党の中でも議論が始まった、こういうことを報道されておりますが、私、総理に重ねて聞きたい。銀行、とりわけ住専母体行からの献金問題について、これを少なくとも議論の俎上にのせるべきじゃないか、こう思いますが、いかがですか。
  389. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 私は先日、政党としての政治献金のあり方についての基本線をお答えをいたしました。改めてその点をきちんと全部申し上げたいと思います。  我が国の社会を構成する単位であります団体、企業というものが、我が国の進路や政策に関する意思を認められた範囲において表明するということは当然の行為であり、その一つの形態であります寄附というものを私は今直ちに否定することは適正ではないと思います。党としては、民主主義政治の根幹をなす自由闊達な政党活動を支える資金として、銀行に限らず、従来から幅広く寄附をお願いをしてきており、我が党に賛同する各企業や団体それぞれがそれぞれの意思によって協力をしていただいております。なお、その寄附が適正な政党活動の一環として適法に処理されていることは申すまでもない、そこまで先日申し上げたことと同じ趣旨を今回はきちんと申し上げました。  なお、昨年から政党に対する助成措置が講ぜられたことに伴い、政治資金の今後のあり方について党としてもさまざまな議論が現在なされていると報告を受けております。しかし、その寄附の問題と今回の問題にそもそも何ら関連性はなく、同一線上の問題として取り扱うことは甚だ不本意だということは、先日も申し上げたとおりであります。
  390. 志位和夫

    志位委員 関連性はない、同一線上ではないという答弁をまた繰り返されましたが、私、銀行関係者の証言を一つ紹介したいんです。これは一九九四年の発言ですが、当時の経団連政治・企業委員委員長、三和銀行相談役の川勝堅二さんは、企業献金というのは政治への発言料だ、政治に発言権を行使するためには献金が必要なんだと、これは出す側の銀行が言っているわけです。やはり私は、企業献金を出せば必ず見返りを求める、これはほとんど、銀行が本当に税金をろくすっぽ払いもしないで、そっちの方の献金だけ払っている、これは本当におかしな話ですよ。  私は、銀行からの献金を続けてどうして住専問題の公正な解決を図れるかというのは、国民の皆さんの声だと思いますよ。私は、そういう姿勢では絶対に国民の納得を得られないし、ぜひこの問題での関係政党、自民党だけではなく、さきがけも新進党も襟を正すべき問題だということを強く申し上げておきたいと思います。  次に、沖縄と安保の問題について伺います。  私は最近、三日間にわたって沖縄を訪問する機会がございました。大田知事を初め、地元関連自治体の市長さん、町長さんにお会いし、住民の方々とも懇談いたしました。戦後五十年、我慢に我慢を重ねてきたけれども、もう米軍基地の重圧には耐えられないというのが全県民の痛切な声であります。  ところが、政府の姿勢はどうか。私、非常に残念に思って聞いたのは、新しい外務大臣の池田さんが会見の中で、四万七千人という在日米軍の規模縮小を日本側から求めることはないのかという質問に答えて、「こちらから「変えろ」とか、「カットしろ」と求める考えはない。」「近い将来にそういうことが話題になるとは思っていない」、こうお答えになったと報道で伺いました。  二十一世紀に基地のない沖縄をというのは、沖縄県民の切なる願いですよ。大田知事は、四万七千人体制を維持されては二十一世紀まで沖縄の基地が固定化されることになるという強い危惧を述べておられます。私、これは総理に伺いたいんですが、あなたも外務大臣と同じ立場でしょうか。四万七千人体制の削減を求めるつもりはないという、こういうお立場でしょうか。総理、どうでしょうか。いや、外務大臣の話はもういいんです。総理に伺っている。
  391. 池田行彦

    ○池田国務大臣 私どもは、沖縄の県民の皆様方が大変大きな負担をしておられる、この負担を軽減しなくちゃいけない、こういうふうに考えております。そうして、誠心誠意その努力をやってまいりたい、こう思っておりますけれども、一方において、我が国の安全を確保するためには、日米安保体制は堅持しなくてはなりません。そういった意味で、安保条約の目的を達成する、このこととの調和を図りながら、どういうことができるか最大限努力をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
  392. 志位和夫

    志位委員 安保体制の堅持との調和といういつもの言葉が繰り返されるわけですが、四万七千人体制の削減を求めないというお立場だということになりますと、兵力の規模を変えないでおいてどうして基地の整理統合・縮小ができるか。ともかく政府は、基地の縮小という言葉をお使いになっているわけですね。兵力の規模を変えないで、どうやって基地が縮小できるんでしょう。沖縄の基地をどうやって縮小できますか。
  393. 池田行彦

    ○池田国務大臣 御承知のとおり、冷戦終えん後、国際情勢が非常に大きく変わっておりますし、アジアでもいろいろな情勢の変化はございますけれども、しかし依然として、我が国周辺には、例えば朝鮮半島の不透明な状況があるとか、あるいは核を含む大規模な兵力が存在するというようなこと、そういうこともあるわけでございます。さらには、これはアジアだけではございませんけれども、冷戦が終えんして、かえって領土とかあるいは民族、宗教というような問題をめぐる争いというものが出てくる可能性がふえてきた、こういうことは事実でございます。そういった情勢の中で、やはりみずからの国の安全を守る、そうしてまた地域全体の安定に資していく、こういった努力は、そうした備えはしなくてはならないわけでございます。  そうして、我が国の安全を守る二本柱、その一つは自衛隊の存在であり、いま一つは日米安保体制でございます。そうしてまた、日米安保体制は同時に我が国周辺の地域の安定にも資する、こういうことがあるわけでございます。そのことが、現在アジアの諸国からも評価されているという面もあることは、先生御存じのとおりだと思います。  さらに申しますと、日米安保体制というのは、前文とか二条にも書いてございますように、経済その他の広範な日米の友好関係の政治的な基礎になっている、こういう面もあるわけでございます。そういったもろもろの意味を含めて、日米安保体制は堅持しなくちゃならないわけでございます。  先ほど申しましたようなアジアの諸情勢というもの、現実というものを考えました場合に、やはり安保条約でアメリカが担っていかなくてはいけない義務と申しましょうか、役割、それを果たしていくために必要な備えというものはアメリカにおいてしなくてはならない、こういうことでございまして、それで沖縄も含めて、我が国にある基地の提供ということは必要なわけでございます。  しかしながら、その目的を達成する上においても、具体的にどういうふうに米軍の運用をしていくか、そういったことを詳細に検討してまいりますと、やはり現在沖縄にございます基地の整理縮小・統合、そうして縮小というものは可能である。そういうことで、我々、誠心誠意やっていこうと思っております。そういったことで、米国との間でも特別の行動委員会というものを昨年の秋設置いたしまして、精力的に作業を進め……
  394. 上原康助

    上原委員長 簡潔に願います。
  395. 池田行彦

    ○池田国務大臣 この秋には具体的な成果を上げる、こういうことでやっておるわけでございます。
  396. 志位和夫

    志位委員 聞かれてもいないことを時間つぶしてだらだらしゃべられたら困るんですよ、本当に。時間短いんですから。  それで、私が聞いたのは、四万七千人体制を維持してどうして縮小できるかということなんですよ。結局、この体制を維持したら基地のたらい回ししかない。結局、今やられているいろいろな案でも、三事案と言われている案だって、那覇軍港は浦添に持っていく、読谷のパラシュート訓練場は宜野座村に持っていく、それから県道百四号線越えの実弾射撃は本土に分散する。全部基地のたらい回ししかない。しかし、苦しみはどこに移したって苦しみなんです。  沖縄の大田知事は、沖縄のことわざとして「他人に痛めつけられても寝ることはできるが、他人を痛めつけて寝ることはできない」、我々だって基地の苦しみをほかに移したくないんですと。これは沖縄の声ですよ。ですから、やはり本気になって兵力縮小、これを求めなければ沖縄の基地問題は解決しない。  私、外務大臣が、日本の平和と安全のために自衛隊と安保が必要なんだ、在日米軍基地が必要なんだということをおっしゃるので、一つ具体的に伺いたいことがある。  沖縄の基地問題を解決していく上で、一つのかぎを握っているのは海兵隊だと私は思います。海兵隊というのは、沖縄の米軍施設の七五%、兵員の六一%を占めております第三海兵遠征軍であります。  政府は本当に、口を開けば、安保と在日米軍は日本を守るためだと言う。それでは、これは総理に伺いますが、総理の認識を基本的に伺いますが、この海兵隊の役割をどう認識されておりますか。これは、日本を守るために第三海兵遠征軍はいるんですか。総理、どうですか、海兵隊の役割。
  397. 池田行彦

    ○池田国務大臣 先ほど申しましたように、安保条約で米国が担っております役割、日本の平和を、そして安全を守り、また我が国周辺地域、極東地域の安定も守っていく、こういった目的を達成するために必要な備えをアメリカとしてはしているわけでございます。  そして、ただいま海兵隊というお話でございましたけれども、アメリカとしては、今申しましたような目的を達成していく上で必要ないろいろな軍の構成とか、そういったものを組み合わせてやっておるわけでございますので、その中の一部をとらえて、これはどうである、こうであるということはございません。全体として我が国の安全を守る上に役立っている、こういうことでございます。
  398. 志位和夫

    志位委員 海兵隊の部隊の役割を聞いているのです。海兵隊の役割について聞いたのに、全然お答えにならない。  しかし、海兵遠征軍という名前のとおり、この部隊の主たる任務は日本防衛とは無縁で、沖縄を拠点にして遠く西太平洋、ペルシャ湾、インド洋にまで、世界に遠征して戦争をやる、そういう部隊であるということは、これは常識ですよ。  私、ここに「マリーンズ」というアメリカの海兵隊が出している機関誌のコピーですが、持ってまいりました。ここに沖縄の海兵隊の役割について生々しく書いてあります。九四年十月号ですが、「歴史と訓練の至宝——沖縄」という題名です。ここの部分でありますが、ちょっとコピー薄いですが、こういう特殊訓練、そして、当事者から生々しい証言として、沖縄の海兵隊の役割をこう言っていますよ。ちょっと読み上げてみましょう。  「沖縄島は、アメリカの海兵隊唯一の前進配備部隊である第三海兵遠征軍の根拠地である。沖縄では、海兵隊はジャングル戦争の訓練を積むことができ、そして、ここを本拠に太平洋の他の国々に進行することができるのである」。「ここ沖縄に基地を持っている最大の利点は、将来不測事態が発生するであろう地域と同様の地域で訓練を行うことができる点にある」。  そして、沖縄の北部の演習場を挙げて、「その地形は第三海兵遠征軍が責任をもつ地域——温度・湿度が高く通りぬけることが困難なジャングルが多い東南アジアを含む地域にそっくりである。ここの地形は、海兵隊をジャングル戦に習熟させる」「海兵隊員がこのような機会に恵まれる場所は、他にはない。厳寒の朝鮮の山々から南西アジアの砂漠まで、海兵隊はあらゆる環境に適応し、いかなる条件のもとでもたたかうことができることで評価されている。沖縄の海兵隊訓練施設は、この評価を高めるのに役立っているのである」。  沖縄の海兵隊は、アメリカの海兵隊にとって、ほかにかえがたいジャングル戦争の演習地だ、そして太平洋の他の国々に進行する根拠地だ、殴り込みの根拠地にされているのが沖縄だということを当事者が言っているじゃありませんか。私はこれは本当に重大だ。  しかも、それにとどまりませんよ。さらに続けますと、「前進配備されている第三海兵遠征軍は、海兵隊の十字路」、人が通過するところという意味なんですね。「と考えられている。他の二つの海兵遠征軍とは違って、第三海兵遠征軍は、他の連隊から派出される大隊によって構成されている。それぞれの大隊は、部隊展開計画」、これは部隊の技能・練度を向上させるための計画、「に基づいて、ここで六カ月を過ごす。」つまり、沖縄には、アメリカ本土に置いてある第一海兵遠征軍、第二海兵遠征軍から六カ月単位でローテーションを組んで訓練にやってくる。  私、これを読んで本当に大きな驚きを覚えました。どうして沖縄が全世界の海兵隊の訓練地にならなきゃならないのか。どうしてジャングル戦争の演習地にならなきゃならないのか。どうして沖縄を本拠にして太平洋の島々に進行するということが許されるのか。どうしてこれがアジアの平和か。どうして日本を守ることになるのか。全く説明つかないじゃないですか。どうですか、総理
  399. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 非常に議員は大変なことをおっしゃっているような気がいたします。  確認をさせていただいて恐縮でありますけれども、議員は、アメリカが太平洋諸国を侵攻すると断言しておられるのでありますか。(志位委員「そうです」と呼ぶ)私は、アメリカがそのような計画を、みずから他の国に攻め込もうとしているとは思っておりません。
  400. 志位和夫

    志位委員 これは沖縄の問題について書いた海兵隊の正式の機関誌ですよ。海兵隊の立場が書かれていると言っていい。進行という言葉が使われております。太平洋の他の国々への進行の根拠地とはっきり書いてあるわけですね。  沖縄の海兵隊というのは、沖縄県民を苦しめている大きな元凶になっている。キャンプ・ハンセンのあの実弾演習もそうですし、普天間基地の騒音もそうですし、読谷のパラシュートの降下もそうだ。最もどうもうな部隊ですよ。犯罪の温床になっている。あの少女暴行事件をやったのも、これも海兵隊です。  その中で、沖縄のマスコミの中から海兵隊撤退論が出ている。これは沖縄タイムスでありますが、「日本防衛には不要」「海兵隊よさようなら」。海兵隊はもう帰ってほしい、これが沖縄タイムスの声。沖縄の声ですよ。  本当に米軍基地の全面撤去を私たち求めるけれども、海兵隊を置いている国というのは世界に一つしかない。日本しかないわけですから、やはりこの異常な事態は、沖縄の県民の皆さんの本当に重圧になっているわけですから、一刻も早く解消すべきだ。海兵隊はもう帰ってくれと言えないのかということを最後に伺いたい。総理、どうですか。
  401. 池田行彦

    ○池田国務大臣 沖縄を含めまして、日本に存在します米軍は、日米安保条約の目的を達成するために駐留しているわけでございます。  なお、沖縄の県民の方々の大変な御負担そして御心情というものは、我々も本当に誠心誠意これを酌み取り、対応してまいらなくちゃいけない、こう考えておりまして、基地の整理統合・縮小に全力を挙げて誠心誠意対応してまいりますとともに、また、米軍が存在することに伴ういろいろな問題につきましても、これは改善に努めてまいる、こういう所存でございます。
  402. 志位和夫

    志位委員 もう時間がなくなったから終わりますが、総理は、施政方針演説で、「二十一世紀にふさわしい新しいシステム」をつくるとおっしゃった。私は、戦後五十年、他国の基地がああやって置かれ、あの重圧に苦しみ続けるというのは本当に異常だと思いますよ。基地のない日本、安保条約を本当になくして、アメリカとの関係も、対等、平等、友好の関係にすることこそ、二十一世紀の未来があるということを私は主張し、そのために闘うことを表明いたしまして、私の質問といたします。
  403. 上原康助

    上原委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。  次に、三原朝彦君。
  404. 三原朝彦

    三原委員 さきがけの三原であります。  もちろん今国会の中心課題の一つは、今我々の中で議論しております、きょうも朝からずっと、もう六時過ぎました、その時間まで住専問題が中心でありまして、国民の注視の中でこの予算委員会が行われておるわけであります。  国民の血税の六千八百億円もの公金を一種のバブルの後始末のために使用するということになるわけですから、国民理解を得るべく、あらゆる意味での努力を私たちはしなければならないことは言をまたないところであると思います。これまでの行政そしてまた政治、経済の流れに対するかじ取りというものに足らざるところがあったと私どもも認識すればこそ、そのコストとして公金というものを支出しなければならない今日の状況である、私はこう認識いたしておるところでございます。  この決定をした前総理、村山総理、そして前大蔵大臣、武村大蔵大臣の苦渋の決断であったということに対して私は思いをいたしますし、またこの決断を引き継がれた、そしてまた住専問題解決に邁進しておられる橋本総理久保大蔵大臣、そしてまた閣僚の皆さん方に、同僚の一人として頑張ってほしいという気持ちを心の底から私は思う次第でもあります。  まず、今提出されております住専問題解決スキーム、方法に対して、一日も早くこれを実行しなければならないと思いますし、またそれと同時に、例えば財政再建の問題があります。経済がやっと上向きになろうとしておる、それに対する政治の役割もあります。そういうことに、ためらわずに次から次に問題に挑戦してもらわなければならないわけでもあります。  この後に、この予算委員会の途中にも第三次の補正もしなければならないというような、それこそ次から次へと我々が果たしていかなければならない問題点があるわけであります。特に、この住専の問題を早く解決して次に我々がしなければならないことは、経済回復と、そしてまた財政改革であります。  今予算も、既に二十一兆円にも上るような国債に頼りながら、借金財政というような状況でもありますし、また累積の赤字を見ますと、二百四十兆をも上回るという状況でもあります。相対的に逆に、今度は税金、歳入の方を見てみますと、働く人は減ってくる、高齢化というものはもう既に来ておる。我が国の人口動態を見ますと、これから持続的な経済の成長を遂げよう、そしてまたアジアにおける繁栄の先駆者ともなり、これから伸びようとする国々に何らかの形でのお手伝いもする、そしてともどもに繁栄と安定というものを求めようということ、そういう崇高な理念に立って我が国が政治をしようとすること、本当に大変に難しい状況にもなってきたと思うわけであります。そういう状況の中で、私どもこれからいろいろな挑戦をしていかなければならないわけであります。  話をまたもとに戻しますけれども、この中で、まずはこの予算委員会が始まって、かんかんがくがくのこの住専問題であります。私の認識からしますと、その点をまず申し上げて、総理大蔵大臣に、間違っておるということであれば正していただきたいと思う次第でもあります。  この今回の、政府が我々に認めてもらおうと、承認を得ようとしておられます住専問題の解決方法は、ベストというものではないでしょうけれどもやむを得ない措置である、私は、まずそういう前提に立っておるわけであります。  まず第一に、これに対する対案を考えてみますと、一つは、民間の問題は民間で解決、つまり、ほっておいたらいいではないかというような、そういう意見もあります。  しかし、これを認めるということになりますと、足腰の弱い金融機関から倒れていくことは、これ当然のことでありましょう。最後にはどうなるか。やはり最後は政府が出かけていって、取りつけ騒ぎが起こるような場面にならないように、やはりまた国民の皆さんに公金を使うことを、何かの形での、直接間接のそういう手だてを政府がやらなければならないということにならざるを得ないんじゃないでしょうか。  二つ目。二つ目は、よく言われますのは、財投や日銀の特融あたりで解決ができるじゃないかということであります。  我々は、この穴埋めのために、先に物を生み出すことのないようなことに日銀の特融を使ってみたり、財投ができるのでありましょうか。それは、私は許されないことだ。利子を払って返すことができないような状況があるものに対して、やはりこれは許されるべきではない。  調べてみますと、先進諸国のバーゼル委員会というものでは、中央銀行は返済の見込みのない融資をしてはならない、こういうことが大原則になっておる。私は、それも正しいことであると思う次第でありますし、そのようなことをして、足りませんから融資だ融資だということになっていけば、それこそ国家の金融組織がまさに放漫な融資で倒れてしまう。こういうことが実は十九世紀のイングランド銀行であったそうでありまして、まさかそんなことに我が日本銀行がなるとは思いませんけれども、突き詰めていけばそういうことの線上にあるんじゃないかという気もするわけでありまして、これから考えると、私は、この二番目の特融だとか財投だとかいうことも考えられないと思うわけであります。  三番目は、法的に整理したらいい。  一見これは公明正大な意見であります。しかし、それとても、実は現実として本当に受けとめられるのかということを考えますと、日本国じゆうで損害賠償の訴訟が起きる。そしてその間、何年かかるかわからない、五年かかるか十年かかるかも。そうこうしているうちに損失が雪だるま式に膨らんで、また社会的コストが増大するようなことにもなる。その間に、やはり訴訟が解決しないうちに足腰の弱い金融機関からまたまた倒れていく、つぶれていくということも、これは杞憂ではないでしょう。  こうなりますと、最終的には、今のようなことを、できないものから削っていけば、残ったものが、私としては今日のような方法でしかないのじゃないかな、こう私は理解いたしますけれども、どうでしょう、その点に関して。御意見を聞かせていただきたいと思います。
  405. 橋本龍太郎

    ○橋本内閣総理大臣 幾つかの選択肢を自問自答されながら現在のスキーム以外にないという議員の御結論に対し、私はお礼とともに、同様のプロセスを、議論に議論を重ねながらこの結論に到達をいたしました政府立場として、今はただその気持ちを受けながら、よりよい国民への説明を求め続けて努力してまいる決意であることのみ申し添えます。
  406. 三原朝彦

    三原委員 まあ、今我々が賛意を表しております方法、スキームというものが認められたといたしましても、しかし、もちろん、だからといってそれだけで終わるわけはないわけでありまして、その後には、大蔵大臣答弁の中でよく言われておりますように、責任というものもあるでしょうし、また、二度と同じことを繰り返さないためには、我が国としても新たなシステム、制度、いろいろな法律もこの後にやっていくことが順序であろうと思います。  それは、アメリカあたりでも同様なことが行われた。中身、具体的なものは違うかもしれませんけれども、その国の経済的な文化、そういうものによって違うかもしれませんけれども、実は、やはり二度と同じことを繰り返さないということが大切なことであります。そういう面では、もちろんこれから、少しではありますけれども住専処理のための機構も近々我々に披瀝もされるようでありますし、その後の、二度と起こさないための決意も私は再度大蔵大臣にお聞きしたいと思う次第であります。
  407. 久保亘

    久保国務大臣 今三原さんからお話がございましたような立場でこの問題の処理全力を尽くしてまいりたいと思っております。私どもといたしましては、先送りをしない、そして、今経済や金融がグローバル化してまいりました中で、内外に責任を果たすという立場に立って早急にこの問題を処理しなければならないと考えております。  アメリカにおきます八〇年代後半の貯蓄貸付組合に起こりました類似の問題につきまして、こちらの方は、いわゆる保険機構であります連邦貯蓄貸付保険公社自体も破綻するという状況の中でRTCが組織され、十九兆円の公的資金を投じて公的な関与を行ってこの問題の処理を行ったのであります。  私どもは今、公的資金の導入が国民に対してどんなに重い責任を持っているかということを絶えず考えながら、この責任にもこたえるために、住専問題が今日の事態に至った原因と責任を明確にするとともに、法的に追及されなければならないものに対しては厳正、厳格にその追及を行うということを通して徹底した回収に当たりたいと思っております。  それらのことが終わってから、責任追及が終わってから考えるべきことだという意見もございますが、今日の事態におきましては、公的資金の導入によって可能となる公的関与を私どもとしては思い切って進めなければならないと考えております。三原さんの言われましたことを私どももよく体して、頑張ってまいりたいと思っております。
  408. 三原朝彦

    三原委員 アメリカといいますと、アメリカも財政の赤字がかなり深刻でありまして、クリントンさんも今度野党からいろいろと、新しい医療だ何とかだという問題で、財政のことに関して突き上げも食らっておるようでありますけれども、その中でもアメリカは、冷戦構造が終結して財政再建に向けて頑張ってきたわけでもあります。  その中で私は、国防、防衛の問題から見てみますと、アメリカは大体GNPの六%を防衛費に使っておった。それをここ数年は何とか四・五あたりまで下げていくということで努力もしてきておるわけでもあります。過去五年間見ていますと、確かに下がってきておるような状況です。それはもちろんアメリカの、かつてのソ連というものが、二大大国が地球を分けてやっていた、それに対するよきにつけあしきにつけコストであった。それに対する一つの問題が、解決とは言いませんけれども、低い方でおさまってきたという感じもするわけであります。  一方、アジア、特に東アジアを見てみますと、残念ながらまだまだ、我が国の隣国であります北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国あたりが我々にとってまだまだ、どうもクエスチョンマークの国である。明確な形で、いかにして政府の政策決定が行われているかもよくわからない、そういう国が隣国にもあるということでありますし、また一面では、近代化ということで、専門家に言わせますと、中国の軍事力に対する支出も、実はこれは近代化の過程でありますからそれほど厳しいものでもありませんよという意見もあるようですけれども、しかし、確かに経済成長率がぐんぐん伸びる、二けたに伸びる中で、その成長率以上に近代化のために軍事費も使うというような状況もあるようです。そういう中で、我が国としては、財政も厳しい中、何とか安定というものを求めていきたいということであります。  そういうときに、ヨーロッパを見ますと、ヨーロッパでは信頼醸成のためのOSCEみたいなものの中で、いろんな形での、民間レベルから軍事レベル、あらゆる形での交流があっておる。  一方、まだまだそれに対して、我が国を含むこの東アジアの中ではそういうことに対する動きというものが足りない場面がたくさんあるわけでありますけれども、しかし、それに対するコストといいますか、平和を求めるコストというものは、軍事力だけではない、あらゆる意味でのエネルギー、金銭的なもの、人的なものを使って、コストというものを払いながら、私は、我が国日本というものが東アジアでの平和と安定の礎になるべきだし、またさらなるエネルギーを持ち得ればそれを広げていってやっていくということになると思う次第であります。  そういう中で、実は新しい防衛計画の大綱というものがつくられたわけであります。そういうときに、私は、ささやかであってもその方面にエネルギーを使うことによって、再生産の役に立たない軍備の方ではないものに我々のエネルギーが使えるならば、それは本当は実はいいことなんだという気持ちから今までのこの動きを見てみますと、ささやかでありますけれども、一昨年ですか、ASEANの地域フォーラムが開催されて、そしてまた、それに関係しておるような国々の人たちが、初めてですけれども、防衛庁が主催をして、制服組、佐官の意見交換みたいなことがあって、それも本当に小さなことですけれども、これからのアジアの平和のため、安全のためにコストを払うということの一つの動きがあると思いますけれども、こういうたぐいのことを私はもっと頻繁に、また、人的、物的なエネルギーも入れてやるべきだと思うのですけれども防衛庁長官、その点はどういうふうにお考えでしょう。
  409. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 委員ただいまお話しのとおり、冷戦終結後の国際環境の中にありましては、より安定した防衛、いわゆる安全保障環境の構築というものが求められてきております。そうした安全保障上の課題の変化や我が国が置かれている国際環境というものを見てみますと、委員お話しのとおり、安保対話あるいは防衛交流というものを通じて国家間の信頼醸成というものをしっかりと図っていくということは極めて重要なことだと考えている次第でございます。  先般策定をいたしました新防衛大綱におきましても、私どもの日本の周辺諸国を初めとする国家、そういう国々との信頼の関係というものを高めていく、このことは極めて大切であるというふうに考えておりまして、「より安定した安全保障環境の構築への貢献」、こういう文言で従来の日本の防衛、それから新しくつけ加えられました大規模大震災等への対応、こういったものとあわせて我が国の防衛力の大変中心的な骨格として取り上げているところでございます。  今後とも私どもは、そうした安全保障対話あるいは防衛交流というものの事業をしっかりと進めまして、周辺諸国との信頼醸成というものを図ってまいりたい、このように考えております。  また、委員、後段でもっていわゆる自衛官の交流についてお話をいただきましたので、その点につきましてもお話をさせていただきたい、こう思っております。  いわゆる自衛官を含めた交流というものは信頼醸成のために大変重要なことであるということは、委員指摘のとおりでございます。こうした観点から、昨年は、二月に、統幕議長が中国それから韓国の方に参りました。また、自衛隊幹部が安保対話、そういったもののために諸国に積極的に出かけているところでございます。こうした自衛官の交流というものも今後さらに前向きに進めてまいりたい、こういうふうに考えております。  また、お話に出てまいりましたアジア・太平洋諸国安全保障セミナー、これは防衛研究所において実施をいたしております。一昨年第一回、昨年第二回、本年も第三回を計画をいたしております。これは周辺諸国の少佐、中佐、このクラスの軍人さんに日本に来ていただきまして、日本の防衛政策というものを理解をいただく、こういうふうなことをいたしているわけでございます。  今後とも、こうした信頼醸成の措置というものをしっかりと実施をし、周辺諸国のために貢献をしていく、そういう努力をいたしてまいりたいと思っております。
  410. 三原朝彦

    三原委員 経済の発展だとか繁栄というのは、もちろん安定、平和があってのことでありまして、私は、実は昨年、ボスニア・ヘルツェゴビナの近隣の諸国でありますかつてのユーゴのマケドニアとスロベニアへ行ったのです。あの両国もそうそう裕福な国とは言えませんけれども、しかし、何といっても平和と安全があればこそ我が国もお手伝いもできるし、またそこに住んでおる人たちも、少なくとも日々の生活の安寧というものを享受できたというわけであります。  私は、今日本の経済というものが低迷しておる。しかし、エネルギーの中心がアジアだ、こういうような感じで、シンガポールだ、香港だというところに金融のセンターができてブームを起こす。それも実は、安全と秩序が保たれておればこそそのようなことが起こり得るわけでありまして、私は、来年香港の返還が成りますけれども、それも心配いたしてはおりませんけれども、何とかこれまでと同様、いやそれ以上に、シンガポールや香港がアジアの金融のセンターであり、そしてまた、そこから中国やベトナムや東南アジアの国々が着実に繁栄していく、進歩していくということ、そのためにも、お手伝いできる力のある我が国経済の立ち直りというものは大切なことだと思っておる次第であります。  ところで、やっとことしになって、日本の経済回復基調にありますということを経済企画庁からの発表もありますけれども、二・五%の経済成長、本当に責任持ってできるのでしょうか。それならば、少しはその根拠あたりを言っていただいて、国民に安心も与えていただきたい。テレビをつければ残念ながら常に住専の問題で、我々は、それはもちろん解決することは焦眉の急でありますけれども、それと同様なほどに、私は経済回復というのは大切なことだと思います。どうでしょう。経企庁長官、その点について、自信を持って我が国経済ば大丈夫だよということを言っていただければと思うのですが。
  411. 田中秀征

    田中国務大臣 このところ明るい動きが景気に出てきているということは、三原さん御指摘のとおりでございます。それから、最近の鉱工業生産指数とかあるいは法人企業動向調査などを見ても、これも裏づけられていると言うことができると思うのですが、二・五%の成長が平成八年度に達成できるかという大変難しい御質問をいただきました。  これは、課題としてどういう課題があるかという感じで受けとめさせていただきますと、明るい兆しが出てきて、そして、今週末に予定しております今月の月例経済報告でも、この明るい動きをより評価した方向で報告をしたいと今検討を進めているわけでありますけれども、この明るい動きを大事にして、二・五%の成長につなげていくというために何をすべきかということになりますと、大事なことを挙げるとすれば、最初に平成八年度の予算、景気に配慮した平成八年度の予算の予定どおりの着実な執行をしていくということ、これが一番大事だと思います。  それから、住専問題を初めとするいわゆる不良債権問題に具体的で目に見えた成果を上げることによって、日本経済の前途に立ちはだかっているこの問題に展望を切り開いていくこと。  そしてもう一つ挙げるとすれば、三月末に規制緩和推進計画の改定作業がございます。規制緩和を初めとする構造改革を着実に推進するということによって新しい産業、新しい企業を創出していく、展開していく。その中で新しい雇用も創出していく。御承知のとおり、明るい動きが出てきたといっても、中小企業とかあるいはまた雇用環境という面から見たら非常に厳しいものがございます。大変心配であります。そのためにこの半年間が一番大事な時期だと私は思っております。  以上、三つ挙げたような課題とともに、さまざまな努力によって、二・五%の安定した成長の軌道に乗せていくことはことしはできるんだと確信を持っております。
  412. 三原朝彦

    三原委員 今の言葉を承って、私どもも何とか頑張っていかなければという気持ちがするわけであります。  同じような質問になるかもしれませんけれども、そういうことをより具体的にお尋ねしたいと思うのですけれども、かって経済白書の中で名言がありまして、「もはや戦後ではない」という一文を書いた人がいた。その言葉は今でも引用されますが、敗戦の灰じんの中から復興を成功させたときの一時代を画したそれは表現であったわけでもあります。  その後、我が国経済がずっと右肩上がりに、国民努力とそしてまたラッキーな面もあったのでしょうが、成功を遂げて今日に至ってきた。これまではGNPというものが膨らむことだけが楽しみといいますか、喜びみたいな感じで我々はやってきたわけでありますけれども、もう一人当たり三万ドルを超す時代になる。本当に世界で一番二番の、その年その年で見れば、去年でもおととしてもそれこそ三本の指に入るほどの、フローだけから見れば繁栄する国になった。  では、そのことがすなわち国民一人一人の幸せ度を示すのかというと、ここ数年それに対する疑問というものも起こってきておることは皆さん御承知のとおりであります。GNPが大きいことは、もちろん私はいいことである。しかし、それに対する一種のマイナスの効果といいますか、マイナスの影響みたいなものが出ておることも皆さん方御承知だと思います。  例えば、治安の問題がその一つでしょう。また、貧富というもの、我が国は繁栄する国の中では最も貧富の差が少ない、こう言われております。しかし、アメリカあたりを見ますと、ここのところ繁栄に対して貧富の差というものが如実になってきたという意見もあります。貧富の差の拡大という問題も、一面ではマイナスの影響なのではないでしょうか。さらには、環境破壊の問題もあります。  また、経済でも、今長官言われましたけれども、規制緩和や構造改革をすることによって企業そのものは競争力をつけて頑張れるかもしれませんけれども、雇用の問題になりますと、リストラやアウトソーシングなんということをやられますと国内の雇用という問題は複雑になってきますし、去年卒業した学卒の人あたりでもかなりの人がまだ仕事を得られないで苦労しておるということも聞くわけであります。そうなりますと、何のための経済成長なのかという疑問を持つことも実は私どもはあるわけです。  このように、今私が申し上げたこと、マイナスの効果といいますか、マイナスの影響というものに対してどのようにお考えであろうかということを最後にお尋ねして、そのことに対するプラスの、いろいろな施策もそうでしょうけれども、マイナスに対しても準備をすること、万般怠りないということが、実はこれから先の我々の幸せ度といいますか、GNPパーキャピタがふえるということだけではなくて、幸せ度から考えると、これは大切なことだと思います。  余りにも的を得ないような大きな質問かもしれませんが、そういう面に関しての御意見を、経企庁長官、あなたの哲学みたいなことを最後にお聞きして、私の質問を終わらせていただく次第であります。
  413. 田中秀征

    田中国務大臣 大変大きな難しい問題で、私の力量で答えるのは本当に難しいですけれども、今いろいろな問題で日本の経済は苦悩している。住専の問題もそうですが、私は、日本人が自己責任の原則と、あるいは公正さを体得する一つのチャンスなんだというふうに思っているわけです。非常に大事なことだというふうに思います。  雇用のことをどういう方面からお答えしていいかちょっとわからないんですが、先ほども申し上げましたが、このところ非常に厳しい数字が見られます。十一月、十二月と完全失業率三・四を記録しまして、これは昭和二十八年以来最悪の数字であります。ただ、有効求人倍率はわずかながら改善されているという流れになっているわけですが。  これは単に需要喚起策、景気回復だけではこれからの雇用というのは維持できない。新しい雇用を創出するための努力というのは、やはり構造改革によってつくり上げていかなければいけないし、もっと、三十年、四十年後の経済ということを一二原さんよくお話しになっておりますけれども、そういう長い目で見れば、やはり人材の育成と技術の開発というのは何よりも大事だと思いますし、それから経済、社会というのは何を目指すのか、価値目標といいますか、そういうしっかりしたものを形成していくということが非常に大事なんだなということを最近つくづく感じているところでございます。  いずれにしても、景気回復を実現して、そして構造改革に成果を上げた上で、私どもは新しい経済、社会を目指していかなければいけない、そんなふうに思っております。
  414. 三原朝彦

    三原委員 どうもありがとうございました。終わります。
  415. 上原康助

    上原委員長 これにて三原君の質疑は終了いたしました。  次回は、明七日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十三分散会