運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-02-05 第136回国会 衆議院 予算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月五日(月曜日)     午後一時開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    小沢  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       菊池福治郎君    後藤田正晴君       志賀  節君    高鳥  修君       谷川 和穗君    原田  憲君       武藤 嘉文君    村岡 兼造君       村山 達雄君    谷津 義男君       若林 正俊君    安倍 基雄君       愛野興一郎君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       川島  實君    笹川  堯君       高木 義明君    谷口 隆義君       平田 米男君    前田 武志君       松岡滿壽男君    村井  仁君       山口那津男君    山田  宏君       今村  修君    佐々木秀典君       坂上 富男君    田中 昭一君       細川 律夫君    錦織  淳君       松本 善明君    矢島 恒夫君       海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         文 部 大 臣 奥田 幹生君         厚生大臣    菅  直人君         農林水産大臣  大原 一三君         通商産業大臣  塚原 俊平君         運 輸 大 臣 亀井 善之君         郵 政 大 臣 日野 市朗君         労 働 大 臣 永井 孝信君         建 設 大 臣 中尾 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     倉田 寛之君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 梶山 静六君         国 務 大 臣 中西 績介君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      岡部 三郎君          開発庁長         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (経済企画庁長          官)      田中 秀征君         国 務 大 臣         (科学技術庁長          官)      中川 秀直君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君         国 務 大 臣 鈴木 和美君  出席政府委員         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         警察庁刑事局長 野田  健君         防衛庁参事官  澤  宏紀君         防衛庁参事官  別府 信宏君         防衛施設庁施設         部長      小沢  毅君         防衛施設庁労務         部長      早矢仕哲夫君         環境庁長官官房         長       田中 健次君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁次長   若林 勝三君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         厚生省保健医療         局長      松村 明仁君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         労働大臣官房長 渡邊  信君         建設大臣官房長 伴   襄君         自治大臣官房長 二橋 正弘君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省税務局長 佐野 徹治君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ————————————— 委員の異動 二月五日  辞任         補欠選任   安倍 基雄君     高木 義明君   左藤  恵君     村井  仁君 同日  辞任         補欠選任   高木 義明君     安倍 基雄君   村井  仁君     左藤  恵君     ————————————— 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算  証人書類提出についての報告      ————◇—————
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  この際、御報告申し上げます。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算の審査に関し、住宅金融専門会社問題について、証人として大蔵大臣久保亘君に対し、書類提出を求めたのでありますが、同証人から職務上の秘密に関するものとの申し立てがありましたので、去る二日、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律第五条により、内閣総理大臣に対し、書類提出に関し、監督庁である内閣承認を求めました。  その結果、本日、内閣総理大臣橋本龍太郎君から、久保大蔵大臣に対し承認を与えた旨の通知があり、証人大蔵大臣久保亘君からは、要求した書類中、二月五日提出期限分及び七日提出期限分の一部の提出がありました。  以上、御報告いたします。      ————◇—————
  3. 上原康助

    上原委員長 平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予 算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笹川堯君
  4. 笹川堯

    笹川委員 質問をする前にお断りをいたしておきます。  新進党として議事をとめたような印象を与えておりますが、資料の要求ということがありましたので、本日めでたく資料皆さんのお手元に行ったということで審議を再開していただく、こういうことでありますので、御理解をいただきたいと思います。  さて、橋本総理にお尋ねをいたしますが、国鉄清算事業団でありますが、なぜこのことを最初お話をするかというと、御案内のように、国鉄をJRとして再建いたしまして国鉄清算事業団土地を全部譲渡いたしました。その結果、毎年毎年土地を分譲しながら債務の返済をしていくということでありますが、残念ながら、最初の二十五兆五千億がいまだ二十六兆九千億と、逆に借金がふえてしまっているんですね。全然減っていない。それから、土地の方も平成七年度で四・四兆円売る、こういうことになっておるんですが、土地もだんだん残りが少なくなってきました。  なぜ、私これを申し上げるかというと、あたかも、国鉄所有地を全部売れば、もう全部借金がチャラになるという当時の政府説明でございましたので、それは非常に履行状態が、全然話が違います。このことをよくひとつ頭の中に入れていただいて、今後も整理機構を通じてやるとおっしゃっても、この二の舞に必ずなる。だから政府のやることは、残念ながら、民間と違ってなかなか早く進まないんですね。総理、当時の責任者でもいらっしゃると思うので、土地は減っていったけれども借金は全然減らない、このことをまずひとつ皆様方に申し上げておきたいと思います。  さて、昭和六十三年の八月二十五日でありましたが、私は、当時厚生大臣藤本先生でございましたが、エイズの話を実は初めて国会質問をした当事者でございました。その後、エイズに感染された方がたびたび私のもとに来まして、政府が非加熱製剤を使ったんだからその責任政府にあるんだ、だから私たちの命を助けてくださいという陳情が随分ありました。私も何回か厚生省に実はお願いをしたんですが、日本法治国家だ、だから、国を訴えてください、国が判決で負ければ幾らでも払う、けれども裁判をしていただかない限り払えないのですよ、これが実は厚生省のずっと長年の答えでした。  今般、さきに村山内閣になって、初めて和解の話が出てきました。それは、大阪高裁あるいは東京高裁でいろいろと和解の話が出てきた。私は、やはり人の命がかかっているのだから助けてほしいとあれだけ頼んだときに、法秩序維持なんだからまず法的手続をやりなさいというのがまず厚生省考え方なんですから、これはイコール時の政府考え方であろうと、私はそう思うのですね。  そこで、そのとき、命がかかわる問題を法律のもとにしか一切解決をしないよとおっしゃっておいて、今度みたいに、国民の命が直接かかわってはおりません。それは確かに金融秩序維持というものは大変大きな私は問題だと思っています。そのことがいいなんということを議論をしているわけじゃないのですが、どうして今度だけは法的手続民間会社にもとらせずに、政府自身も全くこれに関与せず、ただ単にやはり六千八百五十億円を支出します、それは金融維持のためです、あるいは国際協調です、あるいは農協を救済するかどこを救済するかわかりませんが、どうも総理、そういう議論になっちゃっている。私は、同じ内閣がずっと続くのに、片方は御都合主義で変えられたら困る。  そういう意味で、橋本先生はまあ厚生省のドンで大変厚生省には詳しいわけでありますので、私は国民の立場から、素朴に、エイズのときと今度とどう違うのかな、じゃエイズのときは全く比較にならないぐらい人命が軽かったのか、ちょっと簡単にお答えいただきたい。
  5. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私が厚生大臣を拝命しました当時、既に私が政務次官のころ、原因がある程度確定をいたしましたスモンの患者さんとの間の訴訟が依然として続いておりました。そして、それから後も大分時間はかかりましたけれども、在任中に何とか和解確認書の締結までこぎつけることができました。  そして、その当時私どもが考えましたのは、確かに制度制度、しかし現実患者が存在し、亡くなった方がある。そして、その発病の原因というものがどこにあるにせよ、国としてその結論を訴訟にゆだねるということが望ましいことかどうか。何とかしてむしろ和解を急いで、関係者の間の合意を形成することが私は政府責任だと思いました。そして、和解確認にこぎつけました。  現在、菅厚生大臣が何回も発言をしておられますように、私どもは、このエイズの問題につきましても、現に患者がおられる、そして非加熱製剤による新規の患者が発生をした、その重みは十分に受けとめた上でこれから対応していく決意を持っております。  同時に、この住専の問題、これは大きく申し上げますならば、我が国の抱えております金融関係不良資産処理の一環であります。大蔵省が現在把握し、公表いたしております三十八兆円というものの一部のものであります。  しかし、他の金融機関の問題と異なり、関係する金融機関が、母体行、一般行等々非常にたくさんの金融機関がここに絡み、その一つずつの処理に、通常の姿で処理に当たれば非常に大きな時間がかかってしまう。その間に、それぞれ金融機関には預金者がおられます、その方々に対して不安を与えることを避けなければならないと考えてまいりました中から、この措置というものは、これ以上、ぎりぎりの選択として政府として決断をいたしましたということをぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  6. 笹川堯

    笹川委員 引き続き橋本総理にお尋ねしますが、去る証券不祥事が起きましたときに、ちょうど大蔵大臣で、私も自民党を代表させていただいて質問したわけであります。  そのときの議事録をここに持ってきておりますが、盛んに総理は謝っておられた。それと同時にまた、あの不祥事が異常なものであり、社会常識を超えたものだというようにも御答弁をいただきましたし、私も、座敷で小便をするがごとくだという言葉を使いました、議事録にこう載っておるわけでありますが。そのときに大蔵省は、自己責任ということを非常に言われた。株というのはハイリスク・ハイリターンだ、自己責任なんだ、だから会社でもうけても損しても自己責任、いわんや損失補てんは絶対やってはならない、こう言っておった、答弁で。私は、橋本先生のを読んできたんですが。  確かに、私は、自己責任というもので、それ以来は損失補てん、まあこの間は千代田証券というのがちょっとやったそうでありますが、それ以後はない。そのときに、自己責任というのは、証券業に関しては自己責任だけれども、今回のように金融業については自己責任でないんでしょうか。ちょっとその点をお尋ねいたします。
  7. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 当時御議論がありましたのは、証券の一点に絞り込んだ御議論でございました。そして、委員御指摘のような答弁を確かに私は申し上げました。そして、その時点で、それから後の対応というものを国会でも御論議をいただきましたが、当時の証券局行政というものが、いわゆる通達行政の非常に大きな問題を持っておりましたこと、議員も御承知のとおりであります。そして、責任をとって辞任をいたします前に証取法の改正を行い、その通達の中で、本来法律に取り込むべきもの、あるいは業界の自主ルールに移すべきもの、これを整理し、その後の行政が行われてまいりました。  私は、金融におきましても同じ問題が、今議員のおっしゃるようなことからいえば、当然自己責 任というものはあろうと思います。そしてその中で、まあ金融自由化の進んでおりませんでした当時におきましては、私は、それなりの行政のやり方というものはあったであろう。しかし、現在金融自由化というものがどんどん進んでいる中で、さらに証券銀行の垣根も取り払われるといった新たな事態の中で、当然ながら、今まで以上に行政自己責任というものをきちんと確立をする方向に向かうべきもの、そのように思います。また、それ以前でありましても、自己責任というものは当然あってしかるべきものであった、そのように思います。
  8. 笹川堯

    笹川委員 今、自己責任ということにつきましては、総理も大体私の意見に同調していただいたと思うんですが、もう自己責任がなければ、これは金融のみならずすべての産業ができないわけですね。その証拠に、PL法にしても、つくった人が最終的に責任持つんですよと、ここまで世の中が進んだわけですね。  そういう理解を頭の中に入れながらこれを考えてみますと、実はこの問題に関して、恥ずかしい話ですが、私も当時自由民主党に在籍をいたしておりましたから、責任の一端は私にもある、同時にまた新進党の幹部の諸君にもある、このことは肝に銘じております。ですから、責任がないということで、野党としてただつつけばいいというつもりで質問をしているわけではありません。  もし仮に、六千八百五十億出さなくてもこういう方法はあるよということは、幾らでもお教えをさせていただきたいと思うんですが、実は、きのうのテレビ大原農林大臣が、こういうことになるのはだれも予測していなかった、だれ一人としてこうなるということを予測していなかった、だれ一人という言葉を使われたんですね。私は、非常に不見識だと思うんです。  なぜなら、私は、昭和六十一年十二月の自民党税調においても、自民党財政部会でもこのことは申し上げてあります。同時にまた、住専の第一次の調査のときも、大蔵省役人で当時知っていた人がいるんだ、名前を言うと悪いから言わないけれども、さんざん私にやられた。これは、もう金利の問題じゃありませんよ。倒産している、倒産を。住専の役員はみんな出てきたけれども、みんな下を向いておった。国会議員の中にも貸借対照表損益計算書も読める人間はいるんですよ、あなた方、余りばかにしちやだめだということを私に言われているんだ、当時。  そのときに大蔵省役人が何て答えたかといえば、金利をまければ何とかなりますと言った。金利じゃないんだ、元金を返せない話をしているのに、君ら何で今金利の話をするんだということになりましたので、ぜひひとつ大原大臣、一人もいなかったということは別にそこで取り消す必要はありませんけれども、私がいたのだから、一人もではないということをぜひひとつ知っておいてください。  さて、今回の問題、どこに責任があるかといえば、だれが考えても貸した人、借りた人ですね。これは二人しかいないのです、大体お金というのは。借りる人と貸す人しかいないのです。しかも、このお金を貸すというのは、全部大蔵省がぎっちり束ねて、金融一元化じゃありませんけれども、監視をし、監督をいたしております。言ってみれば、今回のこの事件で責任がないのは国民だけなんですよ。借りている国民は別ですよ。あとは、我々も行政府もみんな責任があるのです、金融機関も。  そのことをやはりもう少し明快に言っていただいて、私は、大蔵省が当時農水省と一緒住専向け融資銀行その他の金融機関に貸し付けると同じだということを言った。確かにこういう通達が出ていますので、農林系統の人がもうてんから信じちゃった。信じて疑わなかったということもわからないわけではありませんが、これは、自己責任というのは農協にもございます。農協系統金融会社にもある。  もう一つは、お金を貸した場合には必ずそこの内容をチェックしますね。きのうのテレビでも農林大臣はわからなかったという話でありますが、我々が銀行に金を借りに行けば決算書を持ってこい、あるいはまた個人がローンをしますと、給与明細書とか年間の給与所得書を持ってこい、これはもう当然おっしゃいますよ、それで貸すわけですから。  農協系にしても、私は責任の重さということを考えると、お気の毒だとは思いますね、だまされたんだから。しかし、だまされた方もやはり応分の責任をまず明確にしていただく。その点について私は、金額幾ら出したから責任を負ったとか、金額が多いからどうということを申し上げるつもりはありませんが、農林大臣、どうでしょうか。  これは金融機関だと書いてあるから疑わなかったんだよといいますと、今後農協は続けていかれるわけですね。こういう問題がまた起きます。なぜ起きるかというと、総理、実は地方分権が昨年五月、法案が通りました。そうしますと、いろいろな権限が全部これから地方へ行くわけであります。現実に県でも、県単位農協援助金を出していますね。国だけじゃありません。地方でも、いろいろ名目は違うけれども農協を育成したい、大事にしたい。私も農家皆さんを大切にすることについては人後に落ちませんし、私自身農協に多額の預金がありますから、農協がパンクすると困るのです。  だけれども、まじめにやっている農協と、失礼だけれども、余りまじめじゃない農協はこの際明確にしてもらわないと、やはりこの世の中は優勝劣敗ですから、だめなものはだめで、時には切ることも私は必要だ。だけれども、どうしても農協の話になると、農家農協農協がやっている金融事業というものが全部ごっちゃになっちゃう。  ぜひひとつ、まあ今度は県信連お金を預けて県信連から貸しちゃったんだから、だまされてもまあなかなか気がつかなかったという話で、きのうのテレビを見ていましたが、どうもきのうのテレビ農林大臣説明ではなかなかわかりにくい。恐らく説明しているあなたも余りわからないんじゃないかと私は思うんですよ。それぐらい余りはっきりはしていませんでした。それは確かに五千三百億を、きょう初めてこの資料が出ましたので、恐らく後の人が質問すると思いますが、私は一番バッターなので金額の点はそう問題にせずに、私は税金を使うべきではない。  なぜなら、もう既に自民党の中では、こういう問題はもう五年も八年も前に問題になっていたんだから。総理、急に飛び出した話じゃないんですよ。大蔵大臣は当時野党で全く責任がないんだから、聞くったって、きのうのテレビを見ていても、やはり当時のことを何にも知らない、責任がない人の答弁だというふうに受け取りました。しかし、やはり大臣になった以上は、税金をどうして投入しなければならぬのか。金融秩序と言われると、確かに反論するのは非常に難しいと思うんですけれども、ぜひひとつ。  私はきょう資料一つ総理、この資料の中に各金融機関資産、例えば破綻金内容とか、それから——都銀だけしか私は計算しなかったんですが、大蔵省書類を見ますと、トータルが全然書いてないんですよね。非常に不親切なんだ。しょうがない、夜中に一生懸命電卓をはじいたわけでありますが、大体都銀だけの総資産が六百四十兆円ちょっとです。貸出金が七百兆四百億、そのうち不良債権、まあ破綻債権が三兆四千億、それから延滞債権が九兆二千九百億、それから金利減免債権が五兆三千五百億、合計約二十三兆円あります。それから……(発言する者あり)貸し金ですね。都銀全部ですからね。一行じゃないですよ。総トータルですね。  それから貸倒引当金は合計しますと一兆一千七百億、それから債権償却特別勘定が四兆七千億、それから上場の有価証券含み益ですね、これはもうちょっと含み益が下がりました、株が下がったから。これは売ればまた下がると思いますが。これで大体十八兆七千三百億あります。  そこで、大蔵省のこの書類の中に実は私は大事なものが抜けていると言って、けさ、資料を要求したわけでありますが、銀行内容を知るときに、有価証券含み益を出すのはいいんだけれども土地含み益が全然書類に入っていない。これは非常に私は不親切だ。隠ぺいしたとは思わないけれども会社の中を見るのに、やはり土地含み益というものは相当大事なポイントだと思うんですね。  というのは、お金が出せるか出せないか、ぎりぎりのところという話が出ているわけですから、それで万やむなく税金をという御説明をずっと私はテレビを通じて聞いたわけでありますので。土地含み益が、これだけひどく下がりました、それでも約六兆七千億円の土地含み益がございます。  これはよくアメリカの話をされまして、アメリカ金融機関がつぶれたときは、十兆出したとか十五兆出した、千五百人起訴されて、千二百人がブタ箱に入った。だから、日本もそうやればいいというお話でありますが、私は、日本という国はなかなかそうはいかない。なぜなら、これから十年、十五年かかって返すなんてことになりますと、さっき申し上げた国鉄債権一緒で、結局大勢の人間を抱えているだけで債権回収はままならない。  もう一つは、正常な債権でありましても、こういう取りつけに遭っていきますと必ず不良に移行していくわけであります。何とかまじめに利息だけでも払おうと思った人が、もうばれちゃった、構わないや、払うのをやめておこうということになりますので、私は不良債権というものは必ずふえてくる。  しかし、この土地含み益の六兆七千億あるのは、本当は各銀行評価がえをして、時価に直して、評価を直してもらうといいんだけれども、今の商法ではそれは不可能だそうでございますので、これを、子会社をつくって、住専機構じゃないけれども、各銀行が自分の子会社土地を全部売却して、支店店舗、そしてそこで収益を出して今回の債権を一括償却されても結構、私は右と左で消していただきたい。そうすれば、私は、今ここでこんなに国民の八八%の人が反対するような税金を投入しなくても十分に体力的にはお金が払えると思うのですが、総理、どうでしょうか。
  9. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 必要ならば詳細にわたりまして大蔵大臣から御答弁をいただきますけれども大蔵省として把握をいたしました内容を一方では精査しながら、それを母体行、一般行、そして系統、それぞれに当事者としてぎりぎりの負担を求める中から最終的に私はこのスキームが決まったと承知をいたしております。それだけに、努力の結果としてこれを受けとめていただきたい、率直にそのように感じております。
  10. 笹川堯

    笹川委員 努力を認めないということは申し上げるつもりはありませんが、書類の中に土地含み益が入っていない書類をいただいたので、これは要求したらこれだけあるのですから、どうでしょうか、大蔵大臣。私、これだけの含み益があるのだから、別会社をつくって、現実アメリカなんか、バンク・オブ・アメリカが破産しかかったときに、あの立派なビルは売ったのですね。それで間借りして営業しているのですよ。決して本社がないからといって銀行は信用できないというはずはないと私は思うので、大蔵大臣はこの土地含み益のことは考えてみたことがございましたか。
  11. 久保亘

    久保国務大臣 今笹川さんからお話がございましたことにつきましては、子会社をつくって土地や不動産を移すということについて、回収の上でどういう効果があるのか、保全の上でどういう効果があるのか、そういうことについて検討をしなければならないと思っております。  土地含み益については、債権としてお示しをいたします際に、これは路線価をもって計算をしたものでありますから、それによっておわかりいただけるのではないかと思っておりますが、含み益について、これをどのようにするかということで、もし委員の方でこういうことのためにこういう資料が必要であるというようなことをお話しくださいますならば、詳細、政府委員の方でそのことについて正確なお答えができると思います。
  12. 笹川堯

    笹川委員 今申し上げたのは、細かい数字を大臣にお聞きしたのじゃなくして、銀行の体質だとかそういうものを勘案してそれぞれ負担金をこうお定めになったと思うのですね、いろいろネゴしながら。その中に、私はいつも思っていたのだけれども銀行は赤字になっても恐らく十年か十五年あれば、もうこれは銀行の体力、年間四兆円近い業務利益を上げているのですから、もう十分に体力はある。しかも、これだけの土地の資力がある。もし少しでも土地が上がれば、うんと上がるのですから。  私は冒頭に申し上げるよりは後からと思ったのですが、これは住専をつくったときの経過、そしてまた大蔵省から役人がみんな天下った、あるいは銀行自体も、自分の銀行の伸び率が上がらないのに住専ばかりがどんどん上がっていっちゃった。逃げたんじゃないかと言う人もいるし、あるいはばばをつかまされたんじゃないかと言う人もいるんだけれども、私には、銀行そのものが、母体行主義でもある程度、今問題になっている六兆八千五百億ぐらいは各行で出せば、今の金額に上積みをしても十分に耐えられる。  ただ、政府も出すからおまえのところも出せ。おまえのところも出せというのは確かに日本的でわかりやすいし、まとまりやすいとは思うけれども国民の側からすると、あんな金持ちで大きな家に住んでいる人が失敗した、これも全部欲に絡んでの話ですから。それを、一般庶民はローンの金は家が燃えちゃったって払っているし、阪神の大震災でもこれから払わなければならないというのに、正常債権というのは考えてみると小口のローンだけなんですね。大口のものは、もうひどいところは八割ひっかかっている。  ですから、今までの審議の中で、批判するばかりじゃなくして策を示したらどうだという声をお聞きしたから、私は、一つの策でありますけれども、もし私が経営者ならばこれをやります、そしてバランスシートをきれいにして再出発します。  例えば、三菱銀行土地が別会社に移ったって、私は、倒産の危険があって取りつけ騒ぎが起こるなどということは全く思いません。しかし、土地幾ら持っていたって、百年以上の営業をしているわけですから、何十億の資産が数万円の簿価しか現実にはないのです。だからその辺を、ぜひひとつもう一回考え直していただく一つ資料にしていただければということで御指摘をさせていただきました。  それから、与党の政策調整会議で、日銀の融資、政府保証を活用するのも、直接的、間接的にも国民の負担となるので、国民理解が前提であります、当事者間で最大の努力が払われた後の手段であります、こういうふうに十五ページに、ここに書かれておりますが、あれが最大の努力で、あれ以上は逆さまにしても一円の負担もしない。  もしそうであれば、例えば銀行あるいは農林省の関係の会議録があるはずですから、やはりそれぐらいは出して、みんながぎりぎりだったんだと筋を説明してということがあればある程度納得できるけれども、ただ口で、ぎりぎりの努力だとか努力を払わないと国民理解は求められないんだと言うだけでは、保留にしろ、撤回にしろという八八%は、大蔵大臣、あの数字はなかなか変わらないと思うのですが、いかがですか。
  13. 久保亘

    久保国務大臣 御指摘のように、民間企業の破綻に伴う問題でございますから、このことについて国民皆さんに御理解をいただくということは大変難しい問題だと思っております。  しかし、私どもとしては、今日までのこういう事態に立ち至った責任を明確にして、とるべき責任はきちんととってもらう、そして、なお回収に全力を挙げ、法的な手段も的確迅速に活用しながらこの回収に全力を挙げて、できるだけ国民への 御負担が大きくならないように力を尽くしていかなければならないと思っておりますが、その基本とするところは、今日のこの事態を速やかに解決することによって、金融システムの安定と信頼、そして終局的には預金者の保護になっていくものだと考えております。  ぎりぎりの負担というのはどういう内容のものかというお話でございますが、これは当事者間においてかなりの日時をかけて議論が行われたものと思っております。それらの結論としてこの数字が合意に達したものでありまして、そして、その中で財政支出を六千八百五十億必要とすることになったことについては、大変私どもとしては国民皆さんに御負担をかけることについて責任を感ずることでございますけれども、今とるべき方策としてこの道が考えられる最善の方策であるということで、ぜひ皆様方の御議論を通じて国民皆さんにも御理解を賜りたいと考えております。
  14. 笹川堯

    笹川委員 御理解を賜りたいだけではどうも八八%は全く解消しない、私はこう思うのです。もちろん消費税のときも、入れるとき物すごい反対されて、社会党さんの場合には反対反対でもう全国津々浦々やられた。当時我々自民党は泣きながら紙芝居を使って、将来の高齢福祉社会を迎えてどうしても必要でございますと。確かにこれは定着したと言えば言えるし、毎日財布から取られるからまだ納得しない人もおられる。  しかし、今回は国民一人頭五千円、第一回目ですね。これは二回目が来る。そうすると、私たちは政治改革で二百五十円の公的助成金をもらうのにあれだけたたかれ、あれだけ国会で長く議論をしました。今回は二百五十円じゃなくて五千円。夫婦と子供二人いると二万円第一回で飛んでしまう。  しかも、昨年は金利が下がっていますから、きのう大蔵大臣テレビでも言われたと思いますが、その分は銀行の収益になっているのですね。確かに公定歩合が下がると大企業の幾つかは喜ぶけれども銀行へ行って金利をまけろと言えるだけの人というのはほとんどおりません。やはり銀行の方が強い。それは、やはり貸している方が株主より上位にあるわけです。  そういうことを考えていただいて、私は、決して今からでも遅くありませんし、まあ六千八百五十億が何とか捻出できればいいわけですから、それ以外のことを別に問題にしているわけじゃないし、それと同時に、大蔵省の方で債権機構をつくる、その出資は預金保険機構から出すんだ。私がさっき言った、国鉄の清算事業団と同じようになる。間違いなく、なる。私も四十年間銀行取引して、多くの金も借りて、返すのは本当に苦しかった。  だけれども皆さんお金というのは本来頭を下げて借りるべきものであって、威張って借りるものじゃないのですよ。ところが、今度どうです、この住専関係の人は。みんな威張って借りているんですよ。銀行が借りてくれ借りてくれと日参したんだ、だから借りてやったんだ。中には使ってくれと言うのですね。使ってくれという意味は自由にどこへ使っちゃってもいいというふうに理解もできますが、それは銀行員の腰の低さで使ってくださいと言ったんだと思うのです。  だから、大口の人に言わせると、おれらはちっとも悪くない。借りてくれと言うから借りてやったのに、おれが困っているときになぜ集金に来るんだ、もうしばらく待ったらいいじゃないか。できたらもう少し金を貸せ、上乗せして。そうすれば、今土地が安いから買っておいて、上がればナンピン買いで幾ら借金を返せると言っていますよ。そんな人たちのために何で一人五千円も出さなければならないのか。  私の言っていることがうそなら指摘をしてください。私も改めることは幾らでも改めますが、現実に、きょう開示になりました。私の知っている人も何人かこの中に載っています。いまだにやはり倒産はしていませんよね。不渡り出していないんだもの、倒産のしようがないでしょう。銀行から借りているだけですから。銀行は不渡りないんですよ、出しませんから。  皆さん日本法治国家だとおっしゃるのなら、どうして自民党時代に、これだけ八年も七年もあったのに、何にも大蔵省は指導しないで、ひたすら隠ぺい工作をしたとしかとれない、私はそういうふうに思うんですが、大蔵大臣は、逆に言うと、今までのこの問題については首を突っ込んでいないから責任もない、たまたま大蔵大臣として武村さんから引き継いだ。  本来なら予算をつくった村山さんと武村さんに質問したいところでありますが、これはできませんから、今まで何も知らなかった大臣にこういう質問が行っちゃって、おれだって困ったよなということだろうと思うんですが、どうかひとつその辺をもう一遍検討していただいて、聞く耳を持っていただいて、そうすればみんなが喜ぶし、我々国会議員責任が果たせると思うんですね。  それは、確かにアメリカで大和銀行の事件がありました。あれは大蔵省と大和銀行の共犯なんですよ、アメリカ人が言っているのは。本来は大蔵省ブタ箱に入らないといかぬのですよ、あれは。一カ月も報告をずらしちゃって。アメリカ人というのは物をとるよりはうそをつく方が罪が重いんですから。うそをつく、これはうそをついていたわけですね。そういう意味で、私は、日本政府幾らアメリカ政府に気兼ねすることもわからぬわけではありませんが、一つお尋ねしますが、大蔵大臣、大和銀行日本銀行でしょうか。
  15. 久保亘

    久保国務大臣 そうだと思います。
  16. 笹川堯

    笹川委員 こんな答弁だからどうしようもないんだ。日本銀行は当たり前です。しかし、あれは大和銀行という名前がついているけれどもアメリカの国内にあって、アメリカが営業してもよろしいというライセンスをおろした。言ってみればあれはアメリカ銀行と同じ扱いなんです。だから追放されたんですね。  それは、私だってばかじゃないから、大和銀行日本銀行ぐらい知っていますよ。それは今の前段の話で、ともかく隠ぺい工作をして、共犯なんだ。アメリカというのは厳しいですよ。追放されたんだ。新聞には撤退と書いてあるけれども、撤退というのはみずからの意思ですがな。追放されたんですがな、看板おろさされて。違いますか。
  17. 久保亘

    久保国務大臣 今笹川さんがおっしゃったとおりだと思います。
  18. 笹川堯

    笹川委員 それではまあ幾らか御理解もいただけると思いますが。  総理にしても大臣にしても直接答えていただいて大変申しわけないんですが、細かい数字のことで私は議論するつもりは全くありません。ですから、できたら事務方の答弁は困るんですよ。というのは、長いから、時間がどんどんたっちゃって、金を返せと言うと、去年の暮れは寒かった、それから始まるものだから、どうも聞いている方がわかんなくなっちゃう。  今度の話は、例えれば、私のうちに泥棒が入った、警察へ訴えたら犯人を捕まえた、それで喜んだと思ったら、犯人の家族の生活が非常に困窮しているから、あんたもう少しお金出して面倒見てやってくれませんかと言われているのにどうも似てしょうがない。これを泥棒に追い銭と言わなかったら、これは金融不祥事じゃないですよ、金融犯罪ですよ、立派な。  だから、まずやはり、借りていてでかい家に入っている人は速やかに法的手続をとって、この中に、法的手続をもしゃりますと、裁判所がふだんの三十倍になるそうですね、大体。大変な量になる。それはわかりますが、零細企業だって皆さんつぶれかかったところがたくさんある。自動車産業だって、今とかくもう一円でも五厘でも安くしたいということで、ペンキを一垂れでも節約している。そういう最中に、そういう人は全然助けないで、つぶれても家屋敷とられちゃう。  しかし、こういう大きなやつは十年、十五年生き延びられるということになれば、十五年先というのは、我々は、若い人は別にしても、みんなも うここにおりませんよね。すると、だれも責任をとれない。それは昔の人がやった話ですというふうになってしまうんで、私は、十年、十五年かけるのは結構、民間同士で話し合ってかけるんなら結構です。  しかし、いやしくも国会議員がここで議論をして、国民皆さんに対して責任があるわけですから、私は、十五年なんてことを言わずに、もっと早く民間同士でやるようにと。それは大蔵省行政指導で僕は十分できる。三和銀行も自分の系統だけは整理をしたいと言ったけれども大蔵省が待ったをかけたという話も新聞に載っています。そのことはそれで結構です。みんな一緒にやりたいというならそれでも結構。しかし、銀行自体も、自分のところで持っているノンバンクがありますね、これはみんな役員が行っている。私の知っているのも社長で三人ぐらい行っている、名簿を見たら。もう今はやめちゃっているからよかったけれども。  そうすると、それは責任を持っているんですね、はっきり言って。そのローンで返せないものは銀行が肩がわりしている。住専に関しては、貸し手責任で、おれの方は株主にはなっているけれども持てないよとおっしゃっている。これも私は、銀行が言っている理屈は少しおかしい。いいときは紹介をしたり自分たちが助かるようにしておいて、こうなったらおれたちは知らない、貸した金額だけは債権放棄するけれども、それ以上はというと、理屈として、株主の代表訴訟されるから出せません。出資金なら出せる。出資金は幾ら出したって株主が代表訴訟できませんよね、出資金ですから。だから、頭のいい人はいろいろ考えるんだな、国民をだますことを。  ところで、大蔵大臣にお尋ねしますが、平成五年の二月に、大蔵と農水省の覚書というものがあるんですが、この中に、平成五年、住専の経営問題をめぐる当事者の協議が難航をきわめる中、金融システムの安定性維持に大きな支障を来すとして、早期合意を求める声が各方面から起きてきた、大蔵省と農林省が当事者間の協議が円滑に行われるように、住専の再建問題の進め方で議論の整理をしただけだ。整理をしただけ。整理をしただけなら、別にあんな覚書なんて要らないと思うんですね。  覚書というのは一種の契約書なんです。昔は、岸元総理が覚書で、おれの後継者は、大野伴睦に譲ると書いた。だけれども総理大臣の一筆も当てにならなかった。なれなかったんです。いわんや役人同士の一筆というのは、とてもじゃないけれども当てにならないように思いますが、これは僕は、法律以上に重かったと思うんですけれども大蔵大臣どうでしょうか。
  19. 久保亘

    久保国務大臣 平成五年二月に第二次再建計画が検討されましたときに、系統金融機関金利を六・五から四・五へ下げる、こういうことが合意されたと思っております。その際、今後これ以上の負担をかけないよう指導するという覚書といいますか、大蔵省側の見解が覚書という形で表明されたものと私は考えております。  これは、例えば元本を保証した、しないといういろいろな御議論がございますが、覚書は、文言のとおり、今後これ以上の負担をかけないように指導するという内容のものであったと考えております。
  20. 笹川堯

    笹川委員 そうしますと、大蔵大臣は、元本を保証したんじゃなくして、今後これ以上負担をかけないというふうに書いてあるんだ、こう今ここでおっしゃるわけですが、それでは農林大臣にお尋ねしますが、今の大蔵大臣答弁でよろしゅうございますか。元本を保証しない、しているんじゃないんだ、これ以上の負担をかけないと言ったんだと。ちょっとお答えをいただきたい。
  21. 大原一三

    大原国務大臣 大蔵大臣が今おっしゃった意味は、元本保証しないんじゃなくて、元本保証という意味だろうと私は承っております。元本を保証するという覚書であったと私は思っております。
  22. 笹川堯

    笹川委員 農林大臣は、元本を保証する意味だと理解している、こうおっしゃるんです。大蔵大臣は、元本保証じゃない、これ以上の負担はかけないと今おっしゃったんです。大変食い違いがあると思うのですけれども、どうでしょう。これは全くおかしい。
  23. 西村吉正

    ○西村政府委員 事実だけを私から申し上げさせていただきます。  この覚書におきましては、住専の再建については、「再建計画に沿って母体金融機関責任を持って対応していく。」すなわち、再建計画を誠実に実行していくということを書いてある中で、括弧書きで、「大蔵省は、農協系統に今回の措置を超える負担をかけないよう責任を持って指導していくものとする」、このように書いてあるわけでございます。
  24. 笹川堯

    笹川委員 これは、農林大臣の方が明快に元本保証と言っておられた。「今回の措置を超える負担をかけないよう」というと、今までのは払うとも読めるんですね。非常に役人というのは玉虫色に書いているんですが、これはもしそんなにもめるんなら、大蔵省と農林水産省で訴訟したらどうなんだ。だって、保証するというのとしないというのじゃ全然違いますよ。総理、どうでしょうか、これを読んでいただいて。
  25. 久保亘

    久保国務大臣 私がお答えしましたことが、もし不正確でありますならば申しわけないと思っておりますが、私が申しておりますのは、元本を保証する、しないという問題に直接的な表現では触れていないということを申し上げているのでありまして、この覚書が元本を保証しないと言っている、そういうことを申し上げているのではございません。
  26. 笹川堯

    笹川委員 いや、だんだん変わってきた。  総理に申し上げますが、実は私もいろいろ読んでみて、頭のいい人が書いて、両方が全く違うような理解ができるようなこういう文書をこしらえて、これはただの紙っペらだ、「本項については対外的に明らかにしないもの」で、隠しますと書いてあるんだ、これに。  今は情報開示の時代ですよね。これがはっきり言ってもっと早く出ていれば、結んだ時点で、例えば大蔵委員会に報告するとか農林委員会に報告していてくれれば、この問題はもっと早く解決できている。これしかない字句が、片方は保証しているととるし、ただこれ以上は出さないよ、片方は、書いてある意味で、負担をかけないように責任を持って指導していく。これで六千八百五十億取ろうといったって、そうはいかない。  実は、私は大変残念だったけれども、この寺村局長と真鍋局長の、二人のこの作文が今回非常に迷わせた。恐らく大臣方もこれ読んで、しまったと思った人もいるかもわからないし、私は国家公務員として、こんなものは結ぶべきものじゃない、あいまいなものを。しかも、民間会社にこんなに深く立ち入ることは、幾ら行政指導とは言いながら、役人の範疇を超している。  そういうことで私は、この二人を国家公務員法違反で告発しました。残念だけれども、受理されなかった。なぜか。時効の壁であります。三年で時効ですから。ちょうど二月の三日か何かに、平成五年二月三日だから、平成八年二月の三日で時効がめでたく成立をしている。逃れられた、まことに残念でありますが。  私は、自民党の山崎先生が、今度の住専債権に関しては、いろいろな時効を延ばそうじゃないかとおっしゃっているというのを聞いて、ぜひこれも延ばしてほしい、国家公務員法、時効三年を。だって、隠して見せないんだから、わかりっこないよ。それでやっさもっさして出したときには時効では、これは浮かばれませんよ。それは、物をちょっと買うとか買わないの話じゃないですもの。これがもとで、農林大臣が言っていることは、私は正しいと思っている。  えこひいきするわけじゃないけれども、どうもこれを読んで、隠しましょうとか、それから、役所間の文書であり拘束力を有するものではありませんとここに書いてあるんだよ。これは、今政府から出していただいた書類には、対外的な拘束力 は有するものではないと書いてあるけれども、本文の覚書の中には、対外的に効力を有しないなんてどこも書いていない。どうですか、大蔵大臣農林大臣。わかりやすく頼みます。
  27. 久保亘

    久保国務大臣 対外的効力の問題が記載されていようといまいと、政府責任ある立場の者がつくりましたその覚書は、私は責任を負うものだと考えております。
  28. 笹川堯

    笹川委員 今明快に大蔵大臣から責任をとるべきものだというふうにお答えをいただきましたので、それではもう一度お尋ねしますが、対外的に有効じゃないと言われちゃうとこれは質問が続けられませんが、今言った「今回の措置を超える負担をかけない」というのはどういう意味か、農林当局と大蔵省銀行当局と両方でひとつ解説をしてください。
  29. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず、この覚書が「対外的に明らかにしない」と言っておりますのは日本銀行の融資に関してでございまして、今から御説明いたしますこの部分については、もとよりこの文書は内部のものでございますので公表すべきものではありませんけれども、そのように文書の中で書いておるものではないことを申し上げたいと存じます。  そこで、まずこの第一項で書いている点でございますが、先ほど申し上げましたように、「再建計画に沿って母体金融機関責任を持って対応していく」、このように書いてあるわけでございます。その中で、さらに説明を加えまして、「大蔵省は、農協系統に今回の措置を超える負担をかけないよう責任を持って指導していくものとする」、このように書かれております。  すなわち、私どもといたしましては、この再建計画に沿って母体金融機関責任を持って対応していくならば農協系統にこの計画に記されているような以上の負担をかけるということはない、そのように誠実に再建計画を実行していこう、こういうことを両者で確認したものだと理解をしておるところでございます。
  30. 笹川堯

    笹川委員 下の方の、農林中央金庫に対して資金を融通する、これは日銀貸し出しでありますから、日銀の貸し出しまで大蔵省の方で必ずやりますということは明言できないということはわかります。書いてあります。  ただ、上で言っているこの措置を超えない措置というのは、五・五兆円は一たん返すということになっているわけだから、農林大臣、この文章で読むと、五・五兆円は返してくれるという、保証だというふうに私も理解してよろしゅうございますか。
  31. 大原一三

    大原国務大臣 我々はさように了解しております。
  32. 笹川堯

    笹川委員 大蔵大臣、どうでしょうか。農林大臣と話が違うと困るのでへ大蔵大臣も、五・五兆円は保証だ、もう返すと書いてあるのですからね。あの中に、五・五兆円は返しますと。ただ、現金で返すかどうして返すかは、それはわからないけれども、返すということはもう元本保証というふうに理解するのが通常の社会通念だと思うのですが、これ以上質問を続けられなくなっちゃうから、またとめると皆さんに迷惑をかけるから、少なくとも五・五兆円という大金ですから、これは保証したのか保証しないのか、これだけはひとつ明確にお願いをいたします。
  33. 久保亘

    久保国務大臣 この覚書に書かれておりますことは、系統金融機関に対してこれ以上の負担をかけない、そのような指導をするということを明記いたしているわけでありますから、この当時、再建計画は二%金利を下げることについて当事者間の合意が得られたものでありますから、これ以上の負担はかけないという意味もあったと思います。しかし、これ以上の負担というのを広義に解すれば、当事者としてはこの元本は保証されるという解釈も成り立っているのかなと思っておりますが、しかし、いずれにせよ、この覚書が両者の間で結ばれた、その経過を私はこれ以上つまびらかにすることができませんので、文言のとおり解する以外にないと思っております。
  34. 笹川堯

    笹川委員 これじゃ行ったり来たり行ったり来たりで、それは農林大臣のは明確だ、しかし今の大蔵大臣は、六・五の金利を四・五に下げてくれ、だから、四・五に下げる、これ以上は下げないというふうに理解するともとれる、こうおっしゃっているんですね。  農林系統は六・五が四・五に下がるのに何の条件もつけずに結構ですなんて言うわけがないじゃないか、大体、考えてみて。だから、元本は保証するから、この六・五は四・五にしてくれと大蔵で言ったんじゃないのですか、大臣。時間がどんどんなくなっちちゃって、行ったり来たり行ったり来たりで、あなた、隅田川の遊覧船じゃあるまいし。
  35. 西村吉正

    ○西村政府委員 お手元に恐らくこの覚書をお持ちかと存じますけれども、この覚書の冒頭に、「大蔵省及び農林水産省は、住宅金融専門会社の再建支援について、下記により、それぞれ誠意をもって、当事者間の協議が円滑に行われるよう対処して行く」、再建支援について対処していくというふうに書かれた中で、先ほど申し上げたようなことが書いてあるわけでございます。  当時、第二次再建計画を策定します段階では、金利がむしろ今後上がるのではないかということを心配する方が多かったわけでございます。四・五%に金利水準を下げるという措置でお願いをするけれども、今後金利情勢等が変わった場合に実質的にこれ以上の負担がかかってくる、そういうことを御心配であったと私ども理解をしております。  当時、これは再建計画、再建支援についての文書でございますから、破綻をした場合の処理についてこの文書において言及したものではないと私ども理解をしております。
  36. 笹川堯

    笹川委員 この上に、「母体金融機関に次の点を文書により確約させること。」というので、恐らく両局長でもう話ができて、母体行には確約しろ、おれたちが決めたことは必ず守れ、指導しているんだからということでここに書いてあるんですね。これは、片方は元本保証だと言うし、片方は元本保証の話はしていない、読んで字のごとくです、六・五を四・五と。  じゃ、委員長、これ以上質問したってできませんから、これ両方で、大蔵と農水でここで話し合って、きっちり私の質問に答えてください。元本保証したのか保証しないのか。これで私は質問をちょっと留保します。
  37. 堤英隆

    ○堤政府委員 お答えいたします。(発言する者あり)指名いただきました。指名いただきました。  この点につきましては、先ほど銀行局長からお答えがございましたけれども、この覚書自体は、直接的には再建ということを前提にしてのお話ということでございまして、その意味で、ここにございますように、この四・五%の金利以上の負担をかけることはないということが明示されているところでございます。その旨を大蔵省大蔵大臣の方から御答弁になったというふうに理解しております。  私どもの方の農林水産大臣がお答えしましたのは、ここの文書におきましては、明示的には再建ということが前提でございますが、これが破産とかあるいは清算ということになったときに、その精神をどういうふうに受け継ぐべきであるかということについて御説明を申し上げ、その意味で、元本保証ということについて当事者間が重く受けとめている、そういうことについての御説明をしたということでございます。
  38. 笹川堯

    笹川委員 今農林省の局長は、そういうふうに受けとめていると。これは大臣一緒なのだね。片方は元本保証、局長も受けとめている。しかし、大蔵省の方はそうは思わない。役人同士で、頭のいい人がつくって、片方はわかるけれども片方がわからないというような文章を書くはずがない。きちっと、ひとつ統一答弁させてください。
  39. 西村吉正

    ○西村政府委員 ただいまの農水省の経済局長の御答弁と私の申し上げておることについては、趣 旨として同様だ、この覚書の理解につきましては、私と経済局長との間には理解の差はないと思っております。  この覚書そのものは、再建計画を誠実に実行をしてまいるということにつきまして、両省間で事務の進め方について確認をしたものでございます。
  40. 笹川堯

    笹川委員 今農林省の局長の言ったことは、大臣と同じ。それで、今は農林省の局長の言ったことと同じだと言ったから、同じだということは、元本保証。もうそれで答えてください、保証じゃないのか保証なのか。もうぐじぐじ言ったってわからなくなつちゃうもの。イエスかノーかで言ってください。
  41. 西村吉正

    ○西村政府委員 この覚書に書いてあることは、元本を保証するということについて言及するものではございません。(発言する者あり)
  42. 上原康助

    上原委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  43. 上原康助

    上原委員長 速記を起こしてください。  ただいまの笹川堯君の御質問答弁いたさせます。——では、速記をとめてください。     〔速記中止〕
  44. 上原康助

    上原委員長 では、速記を起こしてください。  西村銀行局長
  45. 西村吉正

    ○西村政府委員 覚書について申し上げます。  第一点は、この覚書は再建計画を誠実に実行していくということについて両省間で確認したものでございます。第二点は、この覚書自体は元本を保証するということ自体について触れたものではございません。第三点は、今回の処理案の策定に関しましては、過去の経緯をも十分踏まえまして、系統金融機関からの五兆五千億の元本は全額返済をすることを前提に策定いたしました。  以上でございます。
  46. 笹川堯

    笹川委員 私は、民間で言えば覚書は契約書に等しいものだ、そういう建前で御質問をしているんであって、意思がこうだとか私たちの気持ちがこうだということを説明されても、恐らくこの次の人が来たら変わってしまうから、農林大臣のように明確に、保証なら保証していると、していないんならしていないと。これ以外の答えはないんですよ。そんなつべこべ言われたって困っちゃうよ。それならもっと、だれが読んでもわかるような文章を書いておいたらいいんだ。こんないいかげんなものなんか書くからもともともめたんだから。  両大臣、やってください。農林大臣、さっきの答弁でよろしいんですな。変更ないんですな。今度あなたが変更したらまたもめるよ。
  47. 大原一三

    大原国務大臣 六・五%を四・五%に下げます、再建のために、それ以上の負担はかけませんというんですから、そのころの元本はたしかやはり五兆五千億程度であったであろうと思うんです。だから、表現はないけれども、言外には、元本を保証するという意味がそこには当然込められているもの、こういうふうに理解をいたしております。
  48. 笹川堯

    笹川委員 片方は初め明快で後わからなくなっちゃって、後の方は最初からよくわからなくて、本当のことを言うと、時効を中断していただければ検察庁でこれは判断してくれますよ、読んで、どういうふうに解釈するか。  ところが、今のを聞いているんじゃとてもじゃないけれども委員長、よくわかりません。委員長はわかりましたか。わからぬでしょうが。私は、これじゃとてもじゃないけれども、次の質問に行けないから。
  49. 西村吉正

    ○西村政府委員 私、過去の経緯にかんがみと、今回の処理策に当たってはと申し上げたわけでございますが、農水大臣は、その過去の経緯という中に、覚書の段階における再建計画についての理解というものも含まれているということをお述べになったものと理解をしております。  したがって、私どもは、農水大臣の御答弁と私どもの解釈と違いがあるとは考えておりません。
  50. 笹川堯

    笹川委員 違いがあり過ぎるんだよ。  農林大臣は非常に明確に、今回の措置を超えない、負担をかけない、責任を持って指導すると言うんだが、この中には、もう今まで貸した五兆五千億は入っているんだ。ただし、第二項の金利の件については、六・五から四・五に変えたんだ。あと下の方は、これが若干上へ行ったり下へ行ったりすることは、これはまた協議をしましょうということを書いてあるんであって、少なくともこれは大蔵大臣農林大臣の所管事項ですから、これを明確に国民説明できなくして六千八百五十億出せなんと言ったって、それは皆さん無理ですよ。無理です。答弁したと思ったら後ずさりしちゃう。  こんなことを総理に聞くのはおかしいんだけれども、時間を差し上げますから。六千八百五十億はこれに基づいて出すんですよ。これは行政指導なんですよ。おれの方はこうやるぞ、おまえの方はこうやるぞ、お互いに守るんだよ、ただし人には見せないんだよと書いただけの話なんだから。これはもう統一見解をきちっと示していただかないと、私も国民の選良ですから、こんなあいまいな文言で、五兆五千億が出るんだか出ないんだか、贈与の五千三百億の質問ができないうちに時間終わっちゃいますもの。  ぜひひとつ委員長、統一見解をひとつまとめてください。今でも両方の答弁は違います。食い違っています。
  51. 上原康助

    上原委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  52. 上原康助

    上原委員長 速記を起こしてください。  西村銀行局長
  53. 西村吉正

    ○西村政府委員 申し上げます。  平成五年二月三日の覚書は、再建計画の誠実な実行を両省間において申し合わせたものでございます。今回の処理案の策定に際しましては、過去の経緯をも踏まえ、五・五兆円を全額返済することといたしました。
  54. 笹川堯

    笹川委員 今の覚書の解釈が、大蔵省と農林省と全く一致して今の解釈が出たのかお尋ねをいたします。
  55. 大原一三

    大原国務大臣 全くそのとおりでございます。  あの作文を書いた時期は、覚書を書いた時期は……(発言する者あり)まあよく聞いてください。覚書を書いた時期は、当然金利お話だけあれに出ておりまして、六・五を四・五に下げる、これ以上の迷惑はかけません、こういうことでございますので、今、西村銀行局長が答えたことがそのとおりだと私は思います。
  56. 笹川堯

    笹川委員 ここには、金利の問題は六・五から四・五というふうに御説明をいただいて納得いたしております。しかも、これは優先的に実施する。「今回の措置を超える負担をかけないよう責任を持って指導していく」と書いてあるのですから、「今回の措置」というのはどういう措置だということをお聞きをしたら、農林大臣は、五・五兆は保証してもらったと。  それはそうでしょうね。元金を払う話をしないで金利だけまける話をしたなんて、それは世間で笑われますものね。それはそうでしょう。安くするかわり、あるいは長くするかわりに元本を払うよと。それは私もそれが正しい答えだと思うのですが、五・五兆円は元本を払う、金利はこうだ、こう明快に言っていただいた方がわかりやすいのですよ。  どっちみちあとの質問はこれでは全然できないし、時間がむだで、私は皆さんにも迷惑をかけたくないし、こんなことでこれをとめるつもりなんか全くありません。五・五兆円ともう金額が決まっているんだから、それでそれを値切る話でもなければ以上の話でもない。だから、事務方の御説明を聞いて大臣も御了承されたと思うので、ここは政治の場ですから、それは事務官のお答えもいいけれども国民に向かって、皆さん方のものが行っちゃうんだから、だから私は大蔵大臣農林大臣に、このときの趣旨は、金利を含めて五・五兆円は農林系については迷惑をかけなくて払うんです、こういう趣旨だと言って、両大臣でそう簡単にお答えいただければそれで結構です。
  57. 久保亘

    久保国務大臣 覚書が結ばれました時点におきまして、これは再建計画を考えた時点でございますから、その際、金利の問題についてこれ以上の負担はかけない、つまり系統金融機関に対してこれ以上重い負担をおかけすることはないということを表明したものだと思っております。  そのことは、言外には、系統側からいたしますと、当然元本が保証されるという期待感があったものと思います。そういう経過にかんがみて、今回の住専問題処理に当たりましては元本は返還されるという措置を取り決めたものと考えております。
  58. 大原一三

    大原国務大臣 大蔵大臣が申し上げたとおりであります。
  59. 笹川堯

    笹川委員 やっとこれで一致した。これは大変お金の絡む大切な問題でありますから、今後ともぜひひとつこういう玉虫色の文書は結ばないで、やはり国民に見せたときに、開示したときにわかるように、ぜひひとつ総理、これから御指導を賜りたいと思います。  さて、それではもう時間がなくなったので農林大臣にお尋ねします。  米沢さんの質問に答えて、農協系金融システムというのは、正直に言いまして、一般金融機関と違って利益を上げてはならないシステムで構築されております、その利益は農民に還元するシステムであります、したがって、今日まで住専お金を供給してきた経過等、バブルの中で大変な利益を還元されました、こういうふうにお答えになっておるのでございますが、上の方を見ると、利益を追求しない団体なんだと明確に書いてあります。お答えになっている。後の方になると、バブルでえらいもうかったと。そんなにもうかったのなら、なぜ、全部還元しちゃって、農協の中に内部留保として置いておかなかったのか。  私は、どんな会社だって、株式会社であれば、それは当然税金を払って、残りは積み立てますね、いざというときに。これは当たり前の話であります。もちろん、農協系も保険機構があるそうでありますが、これだけの大きい金額を、普通の社会常識で、貸し手責任だよということで仮にこの覚書がなくて押し切られたとしたら、これはもう農協系は五兆五千億丸々かぶるわけであります。国民に向かっては抗弁ができない。それは内部においては、金融機関の扱いをしたから大蔵省はけしからぬという話にはなるでしょうが、しかしこれはみんな大人の世界ですから、やはり責任を持たなければならぬ。  そこで、大変な利益を還元をされたんだから、逆に言うと、少々赤字で足らなくても、組合員からそれを返してもらうということは考えられないのでしょうか。
  60. 大原一三

    大原国務大臣 御承知のように、法律にはその前段で申し上げてあることが書いてございます。  そこで、利益還元と申しますと、配当はそのときは六・五%でございました。ところが、一般の金融機関は一〇ないし一五%の利益還元を受けておりました。農協は決まっただけの金利の利益をもらって、そうしてそれを単協へ還元していくというシステムになっているわけであります。  で、千三百億くらいの利益がございますが、その中、七百億というのを単協に配当として返していく、農林中金の場合には七百億の利益がございますが、そのうちの二百ないし三百億を信連に返す、そういう仕組みになっておりまして、内部留保の層が非常に薄いんです。従来の経営のシステムが現にそうなっておったということを申し上げたわけでございます。
  61. 笹川堯

    笹川委員 実は、私たちがいつも、あのウルグアイ・ラウンドのときもそうでありましたが、やはり農業は守らなきゃならぬ、農業なくして日本の国の基本はないわけですから。しかし、その農業と金融機関というものをこれから明確に分けていかないと、これは、コストが農協は高いですわな、単協、信連あるいは農林中金。普通の銀行の場合には多額に集めていますから、非常にコストが安い。そう考えますと、これから先も農協は、もうなかなか競争していくのは骨だろうと思うのですね。もちろん、集めて農家の人がみんな借りてくれればいいけれども、なかなか借りてくれない。  そういうことを考えると、やはり農協自体の、もちろんリストラも必要でしょうけれども、これから二十一世紀を迎えて、もうとかく自由化の時代なんだということをどんどん言われているわけですから、そういう意味で、ぜひひとつ、農協のこれから生きていく中で、でき得れば私は、金融というのはいつの日かひっかかる時代が必ずあると思うのです。土地の神話も崩れましたし、もう神話というのはみんな崩れていきました。まさに二十一世紀というのは何が出てくるかわからない。  しかし、責任はやはり経営者というものは負うべきで、理由がこうだったからああだった、これはだめなんですよ、これはもう絶対だめなんだ。起きた以上は自分の資産を投入してでもやはり弁済をする、腹をかき切る、そういうような信連の会長さん、今のところ聞いたら一人もおらないようで、大変私は寂しく思っておりますので、ぜひひとつ農林大臣、これからその点について……(発言する者あり)銀行はもう論外であります。  それから、大蔵大臣にお尋ねしますが、住専七社の設立以来、実は大蔵省から全部で十三名の方が天下っているわけですね、いただいている。私は、その天下りというのは、定年六十まで全部勤められないわけですから、退職してどこへ行くのもそれは自由です。しかし、それは自由に自分の職業を選択された人ならば私は何も文句を言わぬけれども、役所というのは、必ず官房でまとめて再就職先を実は世話しているわけであります。  だから、大蔵省は人的にこの住専に社長以下大勢の人を紹介した、これを使ってくれと。使えと言ったかそれはわかりませんが、現実にはこれだけの人が働かれたわけでありますから。こういうみんなが困って住専どうしようかと言っているときに、あっと見たらほとんどいない。これじゃ経営者として、いいときは給料をもらうけれども、悪くなったら逃げちゃうんだ。これは大蔵省で早くやめてくれぬと我々が困ると言ったのか、こんな悪いところへおれは来たつもりはない、もっといいところをよこせと言って出ていかれたか、それはわかりませんけれども、少なくとも、住専は全くの民間会社金融会社とは認定していない、なぜなら預金業務はしていないんだから、それはよくわかるけれども、その答弁は私は大蔵省としては絶対成り立たないと思いますよ。幹部が全部行っているんだから。  今でも残っていて、みんなで協力をして国民のために迷惑をかけないようにしようというのならいいんだけれども、全部トンズラしちゃって、逃げちゃって、いない。大蔵大臣、どうでしょうか、これ。今後とも会社か何かつくったら、また大蔵省から、官房から世話して行く、また何か困ったときにはやめちゃうんでしょうか。  これは大蔵省として私は物すごく大きな責任住専に対して負ったと思うのですね、今回は。知らぬ存ぜぬではいきませんよ。  というのは、母体行も、設立をして子会社銀行の役員を送り込んだわけですね。だから、その責任を今問われているわけですよ、銀行はけしからぬじゃないか、みんな役員を派遣しているじゃないかと。そういう議論が成り立つなら、大蔵省だって派遣をしたんだから、当然大蔵省責任は物すごくある。しかし、大蔵省役人がやめても浪々の身にならないんですね、みんな出世していっちゃうんだ。これじゃ責任をとったことには全くならない。この点について、大蔵大臣、ちょっと所感を。
  62. 久保亘

    久保国務大臣 大蔵省にいたしましても、母体行にいたしましても、設立、人事、経営、各面にわたってどのようなかかわりがあったのか、この住専問題を処理してまいります中で責任の所在を明確にするために私どもは十分な調査を行う必要があるものと考えております。
  63. 笹川堯

    笹川委員 調査をしなければ結論は出ないこと はわかりますが、あの証券不祥事のときだって、野村証券霞が関出張所と言われながらだれ一人処分を受ける人はいなかった。当時の橋本大蔵大臣責任をとられた。これで全部みんな片がついてしまったわけですね。  今回でも、私は、幾ら調査をしても退職金を返せなんて話には民事事件だからなりませんし、法を犯しておればそれは処分できることはあろうかと思いますが、どうかひとつ、天下りすることは私は絶対にいけないということは言わないから、天下った以上は住専の人になったんだから、私は住専のために身を粉にして最後まで働いていただきたかった。このことだけは、今後もあることですから、ぜひひとつ官房長官にも頭の中に入れておいていただいて、各省庁によろしく訓示をしていただきたい、こう思います。  だんだん時間が残り少なくなってきたわけでありますので。  それから、預金保険機構の問題でありますが、これは人数はどのくらいになるかわかりませんが、この中から住専処理機構に人員を配置するというのですね。これは、検察、警察、国税を入れるというのですが、何かこの住専が今まではなかなか、法律をもらって、例えば破産をする、あるいは競売をする、法律手続がありますから、これを当然おやりになるんだと思うのですね、最終的にはやらざるを得ないから。それとも特別立法で、戦争中の立ち退きみたいに、それこそわあっとやれるような法律をお考えになっているのか。今の法律の中で最大限頭を使ってやるんだとおっしゃるのか。どちらでしょうか。
  64. 久保亘

    久保国務大臣 今の法律の中で考えられることと、責任並びに回収を強力に進めてまいりますことと、あわせて新たな立法によるものとによって組み立てられていくことになると思います。  なお、この住専処理機構の設立に関しましては、別途法律も御審議いただくことになります。
  65. 笹川堯

    笹川委員 実は、私は特別立法というからよほど強力なものをおつくりになるのかなと思いましたが、私は、たとえこれがどんなに大きな問題であっても、金融秩序がいかに大切であっても、法秩序の方が上だと思う。金融という一部門じゃなくして、法律維持するということは国民全体への義務であります。そうなりますと、こういう事件が起きたから立法してがあがあやればいいんだというようなことは、私は少しおかしいんじゃないかと思う。  日ごろ、昭和六十一年以降自民党の財政部会で論議して、もうこの会社はつぶれているじゃないかと私が言った時分に大蔵省が着手してくれれば、こんな問題はとっくに解決できちゃっている。全部放置をされた。まあまあまあまあ、大蔵省役人に説得されちゃったわけですね、我々旧自民党にいた人間は。大変申しわけないと思っていますが。  法務省にちょっとお尋ねしますが、やはり民事不介入というのは、警察ももちろん民事不介入でありますが、これから先整理をしていくと、もちろん法を犯した人については法の適用は受けますから全く心配いたしておりませんが、善意でちゃんと契約を結んで金を払って、賃料も払っている、だけれども暴力団もしくはそれに類する人だというときに、何か、特別にこの人たちを立ち退きさせて、そのビルの価値を、バリューを回復させる方法があるんなら教えてください。
  66. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま政府一体となりまして、ただいま委員御指摘のような観点から、この問題の解決にできる限りの措置をとっていくという仕組みがつくられようとしております。その中で、私どもといたしましても、最大限の努力をさせていただきたいと思います。  その中で、ただいま委員御指摘のような新しくつくられます住専処理機構、また、それを指導また監督していく立場の預金保険機構の新しい組織、これがお認めいただけますならば、私どももそれに即しまして人材の供給なり、またいろいろな立場から現行の法律、またあらゆる法的な、民事的、また場合によっては刑事的な措置の可能性も追求しながら検討させていただきまして、最大限の措置をとってまいりたい、そのように考えております。
  67. 笹川堯

    笹川委員 特別立法ということでありますから、どういうのが出てくるのか期待をいたしますが、最初に申し上げた野村証券のインサイダー、あれ以上の実は株価操作はなかったのですが、残念ながら野村証券は起訴されなかった。だれもひっかからなかった。同時にまた、もう既に何年か経過されたので、もとの役職に復帰していただいている。  逆に言えば、住専を退職した人は、もう退職金も皆さんおもらいになっているでしょうから、ひとつボランティアでもう一遍住専へ帰ってきてもらって、それで債権取り立てを、何か今度歩合制度でやるなんて書いてあるのだけれども、これは何ぼ何でも取り立てを歩合でやったら山口組と一緒ですよ。笑っている場合じゃないです。それはむちゃです。そうかといって、歩合でやらないで給料だけでやれと言ったら、それはあんな変なところへ行きません、だれも。行ったってぐるぐるっと回って帰ってきますよ。これはもう絶対帰ってくる。そんな楽なものじゃないですよ。  税務署でも、今はよくなったけれども、つい何年か前まではああいうところへ行くのは嫌なんだから。女房もいるだろう、子供もいるだろうとおどかされるから。もしできるとしたら、それは警察官の制服だけです。しかし、OBになってしまったら、これは悪いんだけれども、どうしようもない。警察権の権力がないから、け飛ばされたって公務執行妨害にならないし。  そういう意味で、私は逆に言って、これは銀行なんかはこの債権取り立てというのを専門にみんなやっていますから、銀行が早く回収して早く返せば、それで銀行も楽になるのだから、銀行に人数を派遣させてやらせた方が人数が少なくて済む。向こうだって早く解決しないとしようがない。今度ここは、就職してしまったら最後、これが終わるとやめなければならないから、なるべく長くやろうか、十五年やろうかという話になる。私はそういうふうに思いますので、ぜひひとつ御再考を願えればまことにありがたいと思います。  それから、橋本総理にちょっとお尋ねします。  この前草川委員質問だと思うのですが、宮沢元総理税金住専問題には入れないとお答えになった、橋本総理は、大変申しわけない、もうおわびをする以外ないと言われたのですが、私は、宮沢さんのやったことを今の橋本総理が謝る必要は全くない。というのは、何代も前の話ですから、そんなこと言われたら、先祖の話まで出てきてしまって謝るような話になってしまう。だから内閣というのは、やめればそれは私はその責任で終わる。だから、私は宮沢総理が云々の話は申し上げるつもりはありませんが、平成七年の十月十二日に村山総理、これは残念でありますけれども、前総理ですから、それで同じ閣僚ですから、これは宮沢元総理とは全然性格が違う、予算も継承しているということでありますので。  ここに書いてありますが、簡単に言いますと、「その前段の責任のあり方という問題に対する究明がおろそかにされたまま、あるいは公的資金の導入をするとか、そんなことはあり得ない、私はそういうふうに考えております。」というのですけれども、これは、村山総理のおっしゃったのは、公的資金というのは、税金も含んで、あるいはまた日銀の資金を貸すとか、あるいは財投の金を貸すとか、そういうことにこれは理解ができるのでしょうか。総理、いかがですか、前任者のこれは。
  68. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今引用されました村山総理のその御答弁自体を、私自体ちょっと今記憶をいたしておりません。  その上でお答えを申し上げますならば、そのときその公的、どういう言い回しをされておりましたでしょうか。今委員が例示に挙げられましたのは公的資金、さらには日銀特融等々の……(笹川 委員「あるいはまた財投から」と呼ぶ)財投から、そうした措置を示唆されたということでありますから、私は、その当時議論をされておりましたさまざまな手段というものは一応その程度で尽きておるかと思います。
  69. 笹川堯

    笹川委員 申しわけない。ちょっと総理に、これは私大変失礼なことをお聞きしちゃったので、大変申しわけありません。大変申しわけありませんでした。
  70. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変に失礼をいたしました。  今笹川委員から御指摘がありましたのは、草川理事が御質問になっている、住専不良債権の発生あるいはまたその融資の経緯等々を見ると、さまざまな問題のおそれを御指摘されました。だからこそ、私どもは、公的資金の導入については極めて母体行が責任を持って処理をするということを優先に、責任の所在を明確にすべきである、こういう御質問に対し、村山総理から、一連の経過を踏まえ、その時代時代のやはり要請があって行われたものだと思うが、今日こうした状況になっている経過を見ると、草川委員が指摘されたようなさまざまな問題点があったのではないかというふうに言わざるを得ない。  そして、この結果をどう始末をつけるかという問題で今は議論をされている。不良債権が発生してきたその原因が究明されることも大事であり、その責任の所在も明らかにされるということも大事である。そうしたことを徹底的に行った上でどうするかという問題になるのであり、その前段の責任のあり方という問題に対する究明がおろそかにされたまま公的資金の導入をする、そういうことはあり得ない、そう考えておるという御答弁でありました。今質問をちょっと取り違えて、大変失礼をいたしました。  その上で、私は、これは村山総理として当時そういう、そのとおりのお気持ちで取り組んでおられたと存じます。そして、先日来の御論議の中でも何回か出ておりましたように、昨年の四月ごろから、政府部内において関係のそれぞれの部門が問題意識を持ち、この解決策についての議論を始めていた。そして、夏以降、具体的にこの問題の解決策を求め、そのプロセスでさまざまな議論があった。その途中の御質問であり、私はその時点においては、村山総理はそう考えておられたと思います。  ただ、結果として、当事者の間の合意形成に時間がかかり過ぎた結果、ぎりぎりの議論は尽くされましたけれども国民に対する情報の開示あるいはその開示の結果としての事態の解明が逆になりましたこと、これは大変申しわけないことだと思いますし、最初の御質問にたしか米沢議員がお立ちになりましたとき御指摘を受け、私は、この点についてはおわびを申し上げました。  今も、これが委員からの御指摘でありますなら、私は、当事者の間の合意形成に関係者が全力を尽くして議論に当たりました時間が長かった結果として、逆に情報の開示がおくれ、国会においても資料提出を求められるといった状況になっておる点は申しわけないと思います。
  71. 笹川堯

    笹川委員 まあ、内閣がかわったので、申しわけないと思うけれどもということでありますので、これは村山さんがおいでになったときにまただれかがお聞きになることだと思います。私は、そういう意味では宮沢さんのと違って余りにも直近の話でありましたので、これはやはり前総理責任は非常に重いから、村山さんが公的資金を投入しないと言われたことは深く受けとめる必要があるんじゃないかな、こういうふうに思いますので、何らかの形で村山総理の意思を、私は、この場合に限って生かしていただけるのは大変ありがたいと思います。  大蔵大臣にお尋ねをいたします。  日銀の貸し出し要請というのは、実はきょうの日本経済に載っております。第二地銀がやはり住専処理で、原資が少ないから日銀から金を借りるということを、実はこういうふうに新聞に出ているのですね。  もう一つは、大蔵大臣のけさの記事の中で、NHKのテレビで、税金は出せないけれども融資という形で貸し付けしたらどうだというお問いに対してあなたは、融資という形はなじまないというふうに難色を示されました。あの場面では、大蔵大臣も、あの女の人が国民の声を国民の声をと余り言ったものだから、私も国民の代表ですというのでちょっと気色ばんだところもありましたけれども。  貸付金の振りかえはしないということになりますと、こっちの第二地銀には日銀が貸し出しておいて、こっちは貸すのはなじまないよというと、どうも同じ金融機関に、どうでしょうか。私が言ったのは、貸したものは回収、取れますからね、いつでも。上げちゃったものは上げちゃったものだから。  もし第二地銀がお金がなかったら日銀から融資をする、あるいは大銀行といえども苦しいのは、銀行の中でえらく差がありますので、もしそういうところには日銀から貸しても、あるいは政府が何らかの形でということは、私は、その方がかえって国民には理解が得られるし、今のスキーム全体をもう一遍やり直して、処罰してから金を出してやり直せということを申し上げるつもりはありません。だけれども、新聞記事にこう載っているのです。片方は、同じ銀行なのに日銀が出すよ、こっちはだめなんだ。その辺、ちょっと大蔵大臣
  72. 久保亘

    久保国務大臣 日銀融資がなじまないと申し上げましたのは、損失見込み額、欠損額として処理される六兆四千百億の処理に関して、融資という形はなじまないのではないでしょうかということを申し上げました。これは、融資の場合は返済を計画して行われるものでありますが、六兆四千百億については、これは損失を結果的に補てんすることとなるわけでありますから、融資という形はなじまないと申し上げました。  この処理機構において今後回収等を進めてまいります場合に、必要な基金、出資、これらに関しましては、融資も含めて、母体行、一般行、系統金融機関にそれぞれ融資負担をお願いすることになりますし、また、基金等についても分担をいただくことになりますが、その際、この機構の基金として日銀からも融資が考えられるのではないかという意味で、そちらの方ではその融資の可能性を申し上げたのであります。
  73. 笹川堯

    笹川委員 大蔵大臣にお尋ねします。  損失見込みの方はもう返ってこないから、これはもう上げっ放しの税金を上げる、もし一般行が途中において運転資金その他で金がなければ、それは貸してもいいよというお話のように聞こえるんですが、私は、上げるのはおかしいという持論の上に立って、貸せばそれは返ってくる。それはもしかしたら将来貸した金が返らない場合もあるかもわかりませんが、最初から上げちゃうというのと貸すというんじゃ、それはもう国民の感情が全く違う。これはもう全然違う。その辺の国民の、消費税のときのああいう微妙な気持ちを、私は、社会党の皆さんというのは、我々さんざん長い間いじめられたんですから、一番よく僕らよりわかっておられると思うのですね、勤労者の気持ちを。  だから私は、損失見込みの中で、六兆二千七百億のうち六兆八百五十億は、私は、銀行に出させなさい、含み資産が六兆何ぼあるじゃないの、これでもうちょっと景気がよくなれば、そんなものあなた、五千億、一兆円ぐらいなんかどうってことないですよ。あの覚書に余りこだわらないで、こういうときにはひとつ大蔵省の腕力を発揮して、出すもの出せと。私は、それで十分できる。  ただ、それより心配なのは、この上の方の、正常資産が悪い方に移っていく可能性が非常にあります、短期的にやらなければどんどんなるということも実は申し上げたいと思うので、ぜひひとつ、私は、ただでくれるお金というのは、それは物によりけりだ。震災ではかっといっちゃったから、それはもう全面的に賛成します。  私はもう金融機関は四十年つき合っているんだ。変な話、中身はもうよく知っています。あんなに乱暴に、あんなにもうけて、給与だって、同じお金を預かっている農協の人よりはるかに高いでしょう。郵便局の人は、あの雪の中、かばんを提げて集めていますよ。給料はどうですか。それだって、郵便局の金は、私はもう貸しちゃいかぬぞと郵政政務次官のとき言ったから、もう絶対貸しちゃいかぬ。お金というのは、集めるノウハウと貸すノウハウは違うのです。貸すのは難しいんだ。だから、大蔵省を経由して第二の、財投として有効に生きているんだから、私はこれはずっと続けていくべきだ。  銀行の人は、それは、郵貯はでか過ぎるからけしからぬと言った。じゃ、大きいからだめなら、三菱、東京銀行もでかいですって、でかくてだめなら。そんなことないですよ。内容なんですよ。もし郵貯がなければ、全部これが銀行に入っていたら、皆さん、損失額はもっとでかいですよ。もっとでかい。だから、たまたまあれだけ郵貯にはあったから今ごろ悠長な話ができるけれども、本当に大変なことであります。  だから、ぜひひとつ、やはり民は民間主導で、官は民をいじめちゃいけない、よくそう言われるんですね。だけれども、これはすみ分けされているんですよ、はっきり言って、外野と内野であるいは、銀行も事業の対象の資金を貸したんであって、住専は個人の住宅ローン。しかし、個人の住宅ローンに銀行が出ていって迷惑をかけたことも事実だけれども、実はそれ以上に迷惑をかけたのが政府の住宅金融公庫なんですよ。調べてみてください。あれはもう貸し出しがぐっと上がっているから、その分は住専がぐっと締められたんです。だから、これは銀行の民と住宅金融公庫の官と、官民相まって住専を挟み打ちにしたんです。  ぜひひとつ、そういう意味で、官のすむべきところ、民のすむべきところを、ある程度やっぱり必要だし——官は少なくともこんなことはないですね。我々、書類、見られますしね。  民間銀行があれだけ高い給与を出しているのはなぜかというと、悪いことをされたくないから高く出しているんですよ。悪いことをされると困るからお金を出している。高く出してなお悪いことをされちゃ困る。  それと担保の掛け目は、もう我々が昔、金を借りて、日銀何だ、往生じたころには、どんなに一等地であっても半分以上は絶対貸さなかった。絶対貸さない。二、三百万の抵当権が設定されていても、それを外していらっしゃい、そうすれば貸しますというのです。金がなくて困っているやつが一番抵当の三百万を外せというのです。それぐらいきつかった。今どうです、一〇〇%貸しているんだ。それはひっかかりますって。それで、土地というものはもう下がるものですよ。下がらないと思っていたという人は、その人は節穴で、先が読めなかっただけの話です。  ぜひひとつ、そういう意味で、大蔵大臣、あるいはまた総理にもお願いをしておきますが、私は一生懸命、きょうはたたない自分の知恵で、整理はできる、土地含み益で十分できる。それはもうアメリカでやっているんですから。我々だってやりますからね、そういうことは。当然、会社が悪くなれば不要の土地を売りますね、子会社でも。それで利益を出して、利益を出さないと官庁工事は入れなくなりますから、赤字では。みんな苦労している。  銀行も、それは十年ぐらいは赤字だってしょうがないでしょう。だって、自分たちの責任だもの。だって、国民がみんな借金を払って、国の借金だってもう二百四十一兆ですか、なるわけですから。そういう中で、ぜひひとつ、公的資金、税金というものは、やはり国民が、みんなが仕方がないなと。だけれども金融秩序の安定という題目だけでは今回は済みませんよ。そんなにそのことをおっしゃるんなら、今まで何でそれをもっと一生懸命維持することに努めなかったか。  通達だって出したってしり抜けだ。出したって我々には見えませんでした。あの土地が上がったときに、総量規制をしよう、あるいは監視区域を設けて土地を下げようと我々は一生懸命やりました。だから下がり過ぎちゃったという嫌いもあるかもわかりませんけれども、本来土地というものは上がるべきものじゃないんですよ。土地というのは必要なものを買うんであって、投機の対象にされては困るんです。  三菱銀行のあの頭取の部屋に行けば、「投資はするべし、投機はすべからず」と書いてある。育成をすることはいいけれども、ばくちはだめですよということを書いてあるから、私は固有の銀行の名前を言って申しわけありませんけれども、ただの一度もお金を借りてくれなんて来たためしはなかったですね。かたかった、非常に。  あるいは、借りてくれ借りてくれとおっしゃって、もう土地はあります、これはいい、金は全部用意します、一〇〇%貸します。私は、そういう結果で、もう掛け目の半分ぐらいで一生懸命やってつぶれたんなら、それはもう税金を何兆円出したって私は全然後悔もしないし、それぐらいは国民皆さんにもわかっていただけるんじゃないのかな、そういう気持ちは持っていますので、ぜひひとつ総理も、サラリーマンの経験はおありですよね。金を借りた経験は余りないと思いますが、ありますか。  私も十九から借りて、銀行にはえらい締められました。もうひどい話ですよ。朝晩行かなければだめだ。返せなくなったら特に行かなければだめですね、朝晩。返せません、返せません。しかし、今の借りている人たちは、ヨットは持っている、でかい家に住んでいる。高額所得で名前が載っているんですもん。これがどんどん新聞やテレビに出たら、我々政治家は、日本国民はおとなしいからいいけれども、それは外国みたいにちょっと血の気の多い国民だったら撃ち殺されちゃいますよ、本当の話が。おれたちをどうしてくれるんだいと。  だから、政治は少なくとも力の弱い人のためにある。同時にまた、力の強い人のためでも、正義を守って本業をきちっとやっている人のためには、私は、日本の国力をつけて海外と競争をしなきやなりませんから、そういう面の応援はうんとやっていただきたい。  多少早目でありますが、途中で幾らかとまりましたので私の質問を終わりますが、総理、きょうの新聞、まことにどうも……。お読みになりましたか。きょうの朝日新聞ですね。「大どじ大蔵省」「強欲母体行」「デタラメ住専」「甘ったれ農協」「はたまた「ヌクヌク踏み倒し」」と書いてある。情けない話ですよ。こんなに我々政治家が新聞でやゆされるようなことはやらないように、やはりお互いに襟を正してまいりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  74. 上原康助

    上原委員長 これにて笹川君の質疑は終了いたしました。  次に、村井仁君。
  75. 村井仁

    村井委員 新進党村井仁でございます。  橋本総理には私は個人的には大変お世話になっておりまして、大変な時期に重責をお担いになることになりましたことに、お祝いとともに、大変御苦労さまですとおねぎらいを申し上げたいと存じます。  さて、住専問題につきまして大変この委員会でもいろいろな議論が既にされておりますけれども、一言で言えば、私は、国民は納得をしていない、そのことは既に総理も、また大蔵大臣も十分に御認識だろうと思います。非常に大変なことなんでございますけれども、今度のこの住専処理策につきまして、まず銀行の方も大変不満でございます。  例えば、これは地銀協会の会長の玉置さん、千葉銀行の頭取でございますが、一次損失も含めて最終的な個別行ごとの負担額が固まらないと最終的に今回の処理案を受け入れるかどうか判断することはできない。負担額を見た上で、当局の処理案と住専を法的整理した場合のコストとを比較して、合理的に検討してどちらの処理方法をとるか を決める。そうしないと、取締役会に諮れない。最終的な判断はあくまで各行別になるが、それでも株主総会や株主代表訴訟の標的となる可能性は皆無ではない。  それから、公的資金の導入など全体の枠組みを決めたのは当局だ。我々金融機関には、住専問題の全体像はわからない。それから、この税金を投入した問題につきまして、こちら側は、こちら側というのはこの場合は地銀協ということでございましょうか、こちら側はぜひ財政資金を入れてもらわなければ処理できないと当局に申し上げた覚えはない。  それから、住専は、預金を扱わないノンバンクであって、金融機関ではない。あくまで事業会社だ。我が国でも、事業会社の清算処理は戦後腐るほどやってきた。今回の住専処理も、一般の事業会社と同じように処理するのが一番いいと今でも思っている。これは地銀協の会長の言葉であります。  それから、先ほども同僚議員の発言の中にもありましたけれども、それよりも若干常識的には体力が弱いと言われる第二地銀の協会長、これは名古屋銀行の頭取でありますが、加藤さん。  特に我々にとって深刻な問題は、預金保険機構への低利融資である。都銀と違って我々は低金利の流動性預金を、当座預金なんかですね、これが集めにくく、低利融資が可能となるような低利の資金を調達するのは非常に困難だ。また、株主から代表訴訟のような形でクレームがついたときに対応できるかどうか非常に不安だ。融資条件の改善は、これは第二地銀のサイドでしょうが、今後とも大蔵省に求めていきたい。  それから、体力のある都銀なら、今期中に住専処理を終えて赤字を出しても来期は黒字転換できるけれども、第二地銀の場合はその見通しが立たない。そのため、有価証券を売却して利益を確保せざるを得なくなり、これがますます体力を減らしていくという、そういう悪循環になりかねない。大変深刻な受けとめ方をしているわけであります。  また、いわゆる農林系統金融機関、これもやはり不満あるいは非常に不安なんですね。  実は、ここへちょっと持ってまいりましたのは、私の地元の長野県の農協が出しました、信濃毎日という長野県では大変サーキュレーションの大きい新聞でございますけれども、それの元日の新聞でございます。一面広告を出しまして、「住専問題にお答えします」、そして「JAは住専に融資していません」「公的資金は系統「救済」ではありません」、こういったことを一生懸命訴えているわけであります。  ある農協幹部は私に対しまして、公的資金導入というのは農林系のためにされたというような報道あるいは論説というものは大変不快である、我々、つまりJA、農協でございますが、それは被害者であって、借入先の実態も明らかにされずに農協たたきが行われるというのは大変けしからぬ、こう言って怒っております。  国民の方はまたこれ大変にお怒りでございまして、私ども、いわゆる住専一一〇番というのを設置いたしまして、国民の皆様からいろいろ御意見を承っておりますけれども、その中で、例えば、同僚議員からも御紹介がありましたように、阪神大震災で倒壊した住宅のローンも、これも税金で埋めてもらうなんということは夢にも考えられない。この三月、確定申告の際には、住専税額控除、こういう欄をわざわざあの申告書の中に設けまして、住専税額控除とこう書いて、それで一人当たり五千五百円の税金をそこから差っ引く。うちは四人家族だから二万二千円税額から差っ引いてそれで申告したい、申告しよう、こんな声まで出てきている。要するにだれもハッピーじゃないんですよ。何でそんなような措置をとらなきゃならないのか、私はまずそういう基本的なところをお伺いをしてまいりたいと思っております。  それに先立って、まず一つだけ総理から確認をさせていただきたいことがございます。  橋本総理は一貫して、この処理策、これは農林系を救うためのものではない、このように御発言でいらっしゃいますけれども村山総理は、十二月の十九日の閣議決定直後の記者会見、これは、まあこう言ってはなんでございますけれども、閣議決定してみたものの、これじゃとても、それを発表しただけじゃ国民の納得を得られない、そういうことでわざわざ深夜、まあ村山総理は深夜に記者会見をおやりになるのは余りお好きじゃなかったようでございますけれども、深夜といいますか明け方、わざわざ記者会見をおやりになりまして、そのときに、農協系金融機関は零細な農家の上につくられており、能力の限界がある、それなりにぎりぎりの負担を求めて出た結論である。さらに、新聞記者から選挙を意識してのことかと問われて、安定した資源を供給している産業である、混乱を大きくさせないためであり、農政上の判断だ、こう述べておいでになります。  私は、ここで村山総理がお述べになったこの中身の事柄自体は、それはそのとおり、農業というのは非常に大事なことであり、それから、いわゆる系統金融機関というのはそういう性格を持つものだということはそのとおりだと思うのでございます。  しかし、この処理策そのもの、これは農林系統金融機関を救済するためのものではないというふうに橋本総理は御発言でいらっしゃいますけれども、どうも、この十二月十九日といいますか二十日の明け方と申しますか、そのときの記者会見の内容と突き合わせてみますと矛盾をしているように思います。これにつきまして、まず総理からお答えをいただきたい。
  76. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今委員から御指摘のありました、村山総理の記者会見におきまして質問に対するお答えをされたものを拝見をした上で、私は改めてお答えをさせていただきたいと思います。  まさに私どもは今、日本金融システム全体が抱える不良資産の問題を処理していくことが喫緊の課題という議論の中におります。そして、大蔵省当局として、今日までに我が国の金融システムの抱える不良資産の総額を三十八兆円と報告をいたしてまいりました。当然ながら、それは資金供給を行います金融機関を経由し、ノンバンク等、この住専で今御議論をいただいておりますものの内容も含んでおるものでございます。  そして、その中におきまして、大半のものは相対で処理していけるものと思われますけれども、この住専だけは、非常に複雑な、母体行あるいは一般行等、金融機関の入り組んだ図式の中でこれが象徴的な位置に置かれましたこと、また解決を急ぎますことから、関係者の間で大変真剣な議論を重ねた結果、今回国会で御論議をいただくようなスキームを私どもは考えてまいりました。そして、そういう真剣な議論の中におきまして、財政資金の投入を含む処理方策というものを決定をしたわけでありまして、これは農民保護あるいは農協系金融機関の保護だというふうには私は考えておりません。  そして、金融機関にそれぞれ預金者がおりますように、系統金融機関につきましてもこれは農協に対する預金者がおられます。それぞれの安定を図るという意味では、その預金者保護という言葉も、私は系統のみのことだと考えておりません。金融機関全体にこれはかかることでありまして、預金者保護というものを私どもはこの金融システムの安定のために必要な土台の一つ預金者に不安を与えるようなことはやってはいけないということは考えてまいりました。  先般、野田委員からも同じような御質問をいただきました。そして、食い違っているのではないかという御指摘を受けたわけでありますが、私は基本的に、村山総理が考えておられたことと私の考えでいたこととは食い違ってはおらないと思います。質問に対するお答えという中で、農林系について御質問があったことに村山総理は答えられた、そのように考えております。
  77. 村井仁

    村井委員 あのときのやりとり、私どもは新聞 記事でしか見ることはできませんけれども、明らかに農林系に配慮したのではないかと聞かれて、そして肯定的な返事をしておられるんです。冒頭の発言では、確かに今橋本総理お答えのような金融システムを守るという観点からのコメントをしておられますが、その後、これは実際問題として農林系を保護するものではないかという問いをされて、そして今私が引用した答えをしているんです。  その全体として、先ほど来私が申し上げたような印象といいますか、そのような認識を前の総理大臣は明らかにお示しになった。そこのところは橋本総理は違うとおっしゃる。私は、そこは、内閣総理大臣のお言葉というのは大変重いものだと思っております。  そういう意味で、私は、そこは総理の御見解が、村山総理から橋本総理におかわりになりまして御見解が変わったのではないか、こういうように感じます。もう一度お聞かせいただきたい。
  78. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 村山総理の記者会見のときのやりとりを速記を起こしてもらいましたものを今手元に持っております。そして、その最後の部分で、多分これがこの関連の最後の質問だったのであろうと存じますが、記者の方から、一般の金融機関預金者農協とどう預金者が違うんですかという質問がありまして、それに対して村山総理は、「ですからね、これは一般の預金者に負担を求めるというのでは、これはやっぱり筋が通らないと思います。ですから、金融というのは、やっぱり金融秩序を回復するということと預金者を保護するということによって信頼度が増してくるわけですから、したがって、これからは金融機関のディスクロージャーももっと徹底をさせ、そしてやらなければならぬと思いますし、改善をしなければならない点はこれからも多々あるというように思いますし、そういう点も真剣に取り組んでいかなきゃならないと思っております。」こういうお答えをしておられます。  私は、この点で、農業という問題に着目して質問をされましたやりとりの最後の部分で、一般の金融機関預金者農協とどう預金者は違うのかという質問に対し結びで答えておられる部分を拝見しまして、私は違っていない、そう考えております。
  79. 村井仁

    村井委員 やはり大変わかりにくいんですね。まだこの点につきましては、後でまた触れさせていただきますので、とりあえず今の総理のお答えを承っておきます。  そこで、昨年の十二月十九日の閣議決定でございますけれども、これを見ますと、「我が国金融システムの安定性とそれに対する内外からの信頼を確保し、預金者保護に資するとともに、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せるためにも、その早期解決が是非とも必要である。」とございました。  これは大蔵大臣にお伺いしたい。これだけではとても国民理解が得られないから、村山総理は深夜の記者会見をして説明をした。それでも国民理解が得られず、ついに、これを含む予算を説明する自信を喪失して逃げ出したというのがこの一月の、私は村山内閣の退陣だ、このように理解しております。  そこで、その際に、村山内閣の閣僚の中で経済問題の専門家として大変高い評価を受けていた宮崎さんですね、宮崎経済企画庁長官、この方が、これは六日の日ですけれども、武村大蔵大臣がやめるのは無責任だ、まだ住宅金融専門会社処理問題もあり、事務次官がやめて大臣がやめるわけにはいかない。これは非常に異例な発言ですね。こういうことをわざわざ言われて、続投すべきだという考え方を示しておられます。  この宮崎さんの発言というのは、私はこれは本当に大変な発言だと思うのですけれども経済企画庁長官が大蔵大臣やめるべきじゃない、わざわざ言うんですから、大変なことですよ、総理大臣じゃないんですから。ところが、武村大蔵大臣はやめられてしまった。私の地元では、真っ先駆けて逃げるからさきがけって言うのかねなんていう軽口まで出るくらいでございます。  そんな意味で、いずれにしましても継続性のある話でございますから、久保大蔵大臣にお伺いしたい。  我が国金融システムの安定性を確保することが必要だと言うのですけれども、私はどうしてもよくわからない。具体的にどういうことでございますか、教えてください。
  80. 久保亘

    久保国務大臣 この住専問題にかかわりのございます金融機関は、母体行を含めて三百ぐらいあります。そして、この住専の持っております回収すべき債権は十二兆に及んでおります。このような大きな負債を残す問題は、今までの我が国の企業倒産にも見られなかったことであります。もし、このような状況を民事の解決、つまり法的な処理に任せる、こういうことになりました場合には、我が国の金融そして経済にどのような影響が及ぶであろうかというのは、私ども政治に責任を持つ者が考えなければならないことだと思っております。  そのような立場で、しかしこのような事態に立ち至った責任は重く、そしてその責任は明確にされ、追及されなければならないことだと思っておりますが、今日、この事態をどのように収拾するかということについて、村井さんが今、金融にどのような影響を及ぼすかというお話でございましたけれども、仮に、この多くの債権、そしてかかわる金融機関が三百というような状況のものを今破産処理にいたしました場合、これは金融システムに及ぼす影響は極めて大きなものがあると思っております。また、国際的にもこのことは影響が及ぶものであります。  それで、今、住専に対する十二月の政府、当時の村山内閣によります方針の決定は、その後の我が国の為替相場や株式市場には非常によい影響を与えていることは御承知のとおりでございます。また、ジャパン・プレミアムも、この住専処理だけが要因ではございませんけれども、この処理方針が決定したことを好感して、私は次第にプレミアムは縮小されたものだと考えております。  そういうもろもろの問題を考えてまいりますと、もしこの処理を誤れば、やはり我が国の金融システムに混乱を招き、内外の信頼を失うことになる。またこれは、そういう金融機関の数から見ましても、このことの処理のいかんによっては預金者にも影響が及ぶものと考えております。そういったようなことを勘案の上、今日とり得るこの方策を私どもは選択しなければならないと考えたのであります。
  81. 村井仁

    村井委員 私がお尋ねしているのはもっと基本的なことなんです。金融システムの安定性を確保するというのはどういうことなんですかと伺っているのですよ。この措置をとった理由を今大臣がお述べになった。そんなことはちっともお尋ねしていないのです。そうじゃなくて、それをやった理由として金融システムの安定性を確保することが必要だと認識されたとおっしゃるから、金融システムの安定性とはどういうことを意味するのですかとお尋ねしているのです。もう一回答えてください。
  82. 久保亘

    久保国務大臣 これは、文字どおり、経済の動脈となります金融が安定してスムーズに機能するということだと思います。  それ以上何かお答えしなければならないことがありますでしょうか。
  83. 村井仁

    村井委員 いいですか、普通は、金融というものの最も本質的な機能というのは、リスクの分散といいましょうか、具体的に言いますと、預金者は預けた金をちゃんと返してもらえる、これが非常に大切なことなんですよ。あるいは決済がちゃんと行える、これが大切なことなんですよ。決済機能に支障が起こらない、それから、貸し渋りが生じないとか、あるいは資金調達が困難にならないとか調達コストが上昇しないとか、いろいろそういったことがあるのだろうと思うのですよ。  そういう意味で、一体、具体的にどこのだれが どういうふうに困るのか、そこを教えてくださいよ。もうちょっとわかりやすく教えていただけませんか。
  84. 久保亘

    久保国務大臣 そこは、一つは結果にかかわる問題でもあります。しかし、それならば、皆さんがおっしゃっている破産処理を行いました場合に、結果として、今あなたが言われたような金融のシステムに混乱を生じた場合の責任はどこでだれがとるのかという問題になろうかと思っております。  私どもは、今の政権を担当する者として、その責任を誠実に、全力を挙げて果たさなければならぬと思っております。
  85. 村井仁

    村井委員 御決意は大変結構なことで、それはそれで結構なんですが、私がお尋ねしているのは、こういう措置をとるということを、国民皆さんに私ども国会を通じて御説明しなければいけないんですよ。そのときに、どこのだれがどういうふうに困るから、だからこういう措置をとらなければならないんだということをきちんと説明しなければいけないでしょう。  そういう意味で考えますと、例えば、一体どこで預金者が預けた金が返してもらえないというような事態が起こるのですか。どうぞ。
  86. 久保亘

    久保国務大臣 金融パニックというようなものはそういう、今特定して、村井さんが困りますよ、そういうような話ではないと私は思っております。
  87. 村井仁

    村井委員 こんな議論じゃ全然話が進まないのですけれどもね。私はやはり、社会民主党有数の財政通として大蔵大臣におなりになった久保先生に、このあたりぜひ御説明国民にわかりやすく教えていただきたい、こう思ってお伺いをしているのでございますが。  住専というのは預金を集めていないのですよね。そういう意味で、預金者を救うのでないのにどうして金融システムの安定性というようなことがいきなりぽんと出てきて、それでこういう話になるんですかということを私はお尋ねしているんです。そこはちっとも説明しておられないんですよ。  私は、破産の問題とかなんとかというのはまた後でゆっくりお伺いしますよ。そうじゃなくて、ともかくイロハのイの字のところが全然わからない。役人の書いた作文をそのままお読みになって、それで国民がわかるなんというのは、これはやはり、大先輩に失礼ですけれども、私ども一生懸命になって、いろいろなことがあったときには、例えば消費税のときだってそうですよ、こういうことをしなければ大変なことになるんだということを事を分けて御説明をしてきたわけですよ。  今度の住専問題についての、大変失礼ですが、久保大蔵大臣のただいまの御説明、そういう意味で、わかりやすく説明をして国民の納得を得よう、そういうところが全然見られない。これはぜひひとつもう一回教えてください。
  88. 久保亘

    久保国務大臣 失礼でありますが、私は役人の書いた原稿をここで読んだことはございません。私の責任において発言をしているつもりであります。  なお、預金者の保護という問題になりますと、確かに住専は直接預金を集めておりません。しかし、住専に対して融資をした金融機関預金者を持っているのであります。ここに問題が起きてまいります場合に、金融上の不安や障害が生まれます場合には、そこの預金者に対して影響が及ぶということは、これはもうよくおわかりのところだと思います。
  89. 村井仁

    村井委員 いいですか。今から七十年の昔、台湾銀行が鈴木商店に貸し込み過ぎまして、それで大変な昭和金融恐慌を引き起こすわけですけれども、そのときに台湾銀行、約五割を鈴木商店に貸し込むわけですね。そのときに当時の片岡直温大蔵大臣が、貸しも貸したり、借りも借りたりと、こういう有名なせりふがあるわけでありますけれども、このときですらこんな税金を直接投入するようなことはしていないんですよ。相当な工夫をしているんですよ。  そのときの日本経済におけるあの台湾銀行あるいは鈴木商店のポジションと、それからこの住専の場合と、私はある意味では比較にならないと思っているんですよ、その相対的な規模は。日本の家計貯蓄というのはざっと一千兆あるわけでしょう。それに対して十数兆、こういう話ですよね。そういう意味で、マグニチュードという点でいえば果たして本当にそんなに大きなものかということも言えないことはない。  私は、いずれにしましても、金融システムの安定性ということを言うには、この住専というのはあくまで一般の事業会社、ノンバンクの一つの業態にすぎない、金を銀行なりなんなりから引っ張ってきて、そしてそれを又貸しする、それを事業にしている会社である、それがはっきり言ってつぶれたからといって、それで日本金融システムが全体としてひっくり返るというような話になるとはどうしても考えられない。だから私はお尋ねしているんです。     〔委員長退席、三野委員長代理着席〕
  90. 久保亘

    久保国務大臣 繰り返してございますけれども、どのようにこの影響を見るかというのは、判断の問題でございます。そして、そのことにどのような方策を考えるかということは、そのことに責任を持ちます者の責任を伴う判断、決定の問題かと思っております。
  91. 村井仁

    村井委員 どうもお伺いしていることを教えていただけないのであれでございますが、私ども野党でございますから、与党のあるいは政府の皆様のように十分な資料を持っていない、十分な判断材料を持っていないがゆえにわからないのかもしれません。が、私は、常識的に考えて、いわゆる預金者保護とか、あるいは決済システムが滞るとか資金調達が難しくなるとか、そういうようなことがまず少なくともこの住専の問題のゆえに直ちに起こるということにはならないと考えるということをこの機会に申し上げておきます。  時間の制約もございますから、次のテーマにちょっと移らせていただきますが、ただ、一つだけ念を押して申し上げておきたいのは、金融システムの安定性を確保するというような抽象的な言い方だけで、選挙区に帰って、申しわけないけれども、我々、とても説明できませんよ。そうでしょう。実際問題として、もうどこへ行ったって、さっき冒頭に申し上げたように、三月の税金を払うのは嫌だ、もうこういう声ばかりですよ。やってごらんなさいよ、本当に。私も皆さんに御説明して歩いていても、それはなかなか納得してもらえませんよ。まあ、それだけちょっと申し上げておきます。  さて、そこで伺いましょう。  住専は一体再建するのですか、整理するのですか、いずれをとるのですか。これによって基本的に対応の仕方が違ってくるんだと私は思うのです。この点につきまして、どうも措置といいますか、施策をずっと見ておりまして、余りはっきりしない。この機会に、これは整理なのか再建なのかをまず教えていただきたい。
  92. 久保亘

    久保国務大臣 大変はっきり申し上げてきたつもりでありますが、住専処理機構の設立に伴って債権住専処理機構へ移動するわけでありますから、その移動に伴って七つの住専各社は整理されるものであります。
  93. 村井仁

    村井委員 整理ということであれば、今の日本法律の体系では、破産の手続というのがあるわけですね。これはそのような法律的対応なしに、いきなり税金を投入して対応するというところで非常に問題になっているわけですね。  それで、破産の手続をとると時間がかかるというお話があるのですけれども法律家の見解を私もそれなりに聞いてみたのですけれども、どうも必ずしもそうでないようでございます。  総理は、せんだって米沢幹事長の質問に対しまして、平成四年から破産の手続を開始してまだ片づいていないような案件もある、こんなような御発言がございました。そういうことは、それはそれでありましょうが、そこは破産という手続の受 けとめ方がちょっと違うのじゃないかなという印象を私は持っているのでございますが、その破産という手続に時間がかかるというのでしたら、どれだけかかるのでしょうか。これはどういうふうにお尋ねしたらよろしいのでしょうか。
  94. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず、私からお答えさせていただきます。  私どもが時間がかかるという場合に、その破産処理手続そのものだけではございませんで、それに伴いまして、関連するいろいろな関係者訴訟合戦を起こす、そういうものがすべて終息するまでどれくらいの時間がかかるかという意味も含めて申し上げているところでございます。そういうふうに考えますと、非常に長い時間がかかるのではないかと考えております。
  95. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 破産制度というのは、委員御案内のとおり、債務者のすべての財産をもって、多数にわたるすべての債権者の債権の公平な満足を図るという制度でございまして、この手続にどのぐらいの時間がかかるかということは、これは個々の事案によって異なるわけでございます。それは主として破産者の債権債務の状況によって異なってくるわけでございまして、私どもとしても、個々の破産手続、どのぐらいで終結しているのかは承知しておらないところでございます。  ただ、ただいま大蔵当局からお話がございましたように、例えば、すべての債権を相手にするわけでございますので、ある債権者の債権の存否あるいはその額に争いがある、他の債権者が異議を言うということになれば、その債権の存否、額について訴訟で確定しなければならぬ。それから、債務者の財産の範囲について第三者との争いがあれば、その関係について訴訟で争わなければならない。そういう手続が介在するということによって、相当長期間かかるという場合があり得るということであると承知しております。
  96. 村井仁

    村井委員 時間がかかる、時間がかかるとおっしゃるんだが、管財人がその破産債権の届け出を受けて調査して配当する、そこまでちゃんとやって終わるということは、それは時間がかかりますよ。だけれども、破産宣告を出すまで、受けるまで、そこはどのくらいかかりますか。それは早いはずですよ。
  97. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 破産の申し立てがありますと、裁判所がその法人について破産原因があるかどうかということを審査をして、破産原因があると認めれば破産宣告をするわけでございますが、それもそれぞれの事案によって異なるところでございますけれども、一般的に申し上げれば、破産宣告までの期間に何年間もかかるというのはないのではないかというふうに承知しております。
  98. 村井仁

    村井委員 そうなんですよ。破産宣告を受けるまでに何年もかかるなんということはないのですよ。破産宣告を受けるのは、通常の事案でしたら大抵一月、二月というようなことで実際問題としては終わっているのですよ。そこから、今申し上げたようにいろいろ債権債務関係を確定して、そうして配当をやっていって時間がかかる。先般、総理平成四年から始めてまだかかっているとおっしゃったのは、まさにそういうのが時間がかかっているんだ。  ところが、これはどうですか、この話、今政府が御提案になっている案、これとても十五年かかるというじゃありませんか。私は、破産を始めて十五年かかってまだ配当が終わらないなんという話、逆に聞いたことがない。四、五年で終わっていますよ、大抵の場合。  そういう意味じゃ、それはもちろん例外はあるかもしれませんけれども、一般論として、現在の日本の法制度というのはそれなりにきちんとできているのですよ。そこへ何でこんなイレギュラーな形のものを入れなければならないか、私は、大蔵大臣、これはどうしても納得できないのですよ。
  99. 西村吉正

    ○西村政府委員 一応、私どもが十五年を見当に時間をかけてと申し上げておりますのは、現在の住専の債務者と住専との関係、これを整理をしていくということには相当の時間がかかるであろう、こう申し上げておるわけでございます。  今議論の対象になっておりますのは、住専住専お金を貸しているところとの関係の整理にどれくらい時間がかかるか、こういう問題ではないかと思っておるわけでございます。お金を貸しておる銀行ないしは系統金融機関住専との関係の整理の問題といたしますならば、私どもは、今回の処理案によりますれば迅速に解決できるのではないか、このように考えております。
  100. 村井仁

    村井委員 昨年この措置が決められましたときに、関係者が非常に多いからと、今大臣もそういうふうなことをおっしゃいましたけれども、私は、確かにまとめてみれば、三百の銀行金融機関がかんでいるかもしれない。それはそうかもしれないが、個々の住専ごとに切っていってみると、その数は比較的少ない場合もある。多少多いのもあるかもしれない。しかし、この破産手続でやれないことはないのだろうと思うのですね。そういう意味で、私はこれは非常におかしなことだと思うのですよ。  やはりこれはきちんと、日本法治国家なんですから、法律に基づいて破産手続を適用してやっていくということの方が私は国民も納得すると思うんですね。やはり貸し付けた先まできちんと対応できる、そういう意味ではもっとすっきりした形だと私は思います。そういう見解だけまず申し上げておきたいと思います。  いずれにしても、私は、その破産法の適用というようなことをきちんとやらないということにつきまして、国民の間にやはり非常に不満というか不信感というか、一体、何か住専を破産させては困るというような、特別な措置をとらなければならないというような特別な事情があるのかということにつきまして、国民の不満が大変ある、不信があるんだと思っております。  さて、ちょっと別の話に移りまして、これは計数の話ですが、せんだって三十日の日に、予算委員会の冒頭から私どもの方は六千八百五十億円、これの根拠を尋ねてきました。これについて、どうも明確な回答が得られていないわけであります。  そこで、一つお伺いしたいのは、第四分類、第三分類、第二分類、これはどういう基準で決められたものか。これまで一般的にこういうものは、破綻先とか、それから六カ月延滞とか、それから金利減免とか、こんなような区分でやってきましたね、報告されてきましたね。そういう意味で、これは銀行局長からお伺いすれば結構ですが、この第四分類、第三分類、第二分類、どういうふうに区分されているのか、これを教えてください。
  101. 西村吉正

    ○西村政府委員 今委員御指摘のような資産の査定の仕方は、通常、金融機関の検査の際に用いられている分類の仕方でございますが、今回、昨年の八月に私ども住専の八社の統一的な資産の査定に当たりまして用いましたこの資産分類の仕方について御説明申し上げますと、まず、正常な資産、すなわち回収が確実と見込まれる問題のない貸付金を除きまして、残り、不良資産についてさらに分類をしたわけでございます。  すなわち、その場合には、担保の不動産を処分する以外回収に原資を求め得ない場合について申し上げますならば、第二分類と申しますのは、担保評価額に掛け目七割を掛けましたものを第二分類といたしております。すなわち、その程度のものならば担保で十分返済が、回収が確保されているであろう、そのように見たわけでございます。  第三分類としておりますのは、担保の評価額から担保の評価額の掛け目分を除いた、すなわち担保評価額の三割相当分というものを第三分類としておるわけでございますが、これは、場合によっては、その担保の処分の仕方によって回収が難しい場合もあり得るけれども、担保の処分を適切にするならば十分回収が可能であろう、こういうふうに見ておる部分でございます。  第四分類と今回いたしましたのは、貸付額から担保評価額、これは不動産の場合は路線価をとつ ておりますけれども、担保評価額を除いたもの、すなわち路線価という評価によって不動産担保を評価した場合には、それによってカバーされない部分ということを第四分類という評価をして今回統一的な査定をした、こういうことでございます。     〔三野委員長代理退席、委員長着席〕
  102. 村井仁

    村井委員 そうすると、破綻先とか六カ月延滞とか金利減免とかいう区分とはもう全然別の観念でやっている、こういうことですね。
  103. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘のとおりでございまして、調査に当たりました者の判断を含めておるわけでございます。もちろん判断と申しましても、今申しましたようなできるだけ客観的な基準による判断でございますが、形式的に、倒産をしておるとかそういうことだけで、もちろんそういう要素も勘案はしてございますけれども、そういう要素のみによって判断をしたものではございません。
  104. 村井仁

    村井委員 昨年八月ですか、住専に対して調査を行った、こう聞いておりますけれども、そうすると、そのときに使った土地評価というのは、これは結局昨年の一月の評価、こういうふうに考えていいわけですね。そういう意味では、当然それからさらに現在では下がっていると考えていい。  そうすると、第三分類はかなりそういう意味では危ない、回収困難と、こういう印象が非常に強いわけでありますが、第二分類もかなりそういう意味では危ない分がそこから出てくる、このように理解してよろしいですね。
  105. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもは、昨年の八月に住専の統一査定をいたしますに際しては、最新の地価のデータが出るのを待っていたわけでございまして、八月のたしか中旬に地価が発表されるのを待ちましてこの調査に当たったわけでございます。したがって、私どもとしては、当時用いることのできる最新の地価データに基づいてこの評価をしたと考えております。  なお、ただいま二分類についても回収が難しいものがあるのではないかという御指摘でございましたが、私どもは、先ほど申しましたような考え方に基づいて資産の査定をしておりますので、その分については、回収に努力をするならば十分に回収をできるものと考えております。
  106. 村井仁

    村井委員 ちょっと角度を変えてお尋ねしますけれども、その調査ですけれども、これはどんな形でなさったのか、ちょっと教えていただけませんか。  結局、住専各社へ立ち入って調査をおやりになったのか、呼んでおやりになったのか、どんなようなデータを持ってこさせてその調査をおやりになったのか、教えてください。
  107. 西村吉正

    ○西村政府委員 この調査は、短期間に集中的に、かつ一括八社を対象にして行ったものでございます。私どもそれなりの準備をあらかじめいたしまして、事前に事情を聴取した上、さらに立入調査をいたしまして調査官がそれぞれ査定したものでございます。
  108. 村井仁

    村井委員 短期集中的にと今おっしゃいましたけれども、何人ぐらいで、何日ぐらいでおやりになったものなんですか。
  109. 西村吉正

    ○西村政府委員 おおむね三週間をかけて行いましたが、延べ調査官の人数といたしまして、三百人目の人員により実施したところでございます。
  110. 村井仁

    村井委員 調査官を使って全部で三百人目というお話であります。  そうしますと、大臣、これはちょっと大変なことでして、実際地価が今幾らになっている、そしてある債権についてこれは滞っている、この地価が幾らだというような話というのは、最後これは結局登記所へ行って登記資料と突き合わせてみないとわからないんですよね、本当のところは。まあ担保が何重にもくっついていたりいろいろして大変な作業なんですよね。  そういう作業を全然せずに、これは簡単に言いますと、要するに、住専がそう言っているからそれをお役所が聞いて、そしてああこれはまあ七掛けだね、これは三掛けだね、これはまあ金額から見て大丈夫だねということで計算をした、そういう言ってみれば二次資料をベースにした計算なんですが、これは私はちょっと驚くべきものだと思うんですね。その住専が出してきた資料をそのまま使って、回収不能な不良債権に係る損失見込み額、これはまあ六兆二千七百億円、これをはじいたということになりますね。随分ずさんですね。こんなことでいいんですか。
  111. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもは通常、銀行検査等を行います場合におきましても、相手方の協力を求めながら行うというのは、これは我が国だけではなくて、多くの国において金融検査を行う場合行われておることでございます。  今回の調査におきましても、銀行検査の際と同様に、相手方の協力をも得ました。例えば手法を示しまして、路線価をそれぞれの案件につきましてあらかじめ調べさせておくとか、そういうことを行って協力を求めたことはございますが、しかしながら、それは査定の前提となる客観的なデータの収集に協力をいただいたというものでございまして、査定そのものは調査官が責任を持って行ったものでございます。
  112. 村井仁

    村井委員 いいですか。基礎的な資料のところで全面的に住専の方が出してきたものに頼って、それで幾ら査定を厳しくしてみたって、これはそんな信頼のできるデータは出てきませんよ。  私は、登記資料との突合にしても、例えばサンプル的にやるとかいろんなやり方があり得たと思うんですよ。そういうこともやらないで、通常の銀行検査とおっしゃるけれども、まあ銀行検査というのは、やはり銀行の方も預金者お金を預かっているという自覚もありますから、それなりにきちんとした対応をある程度私はしているんだろうと思うんです。それでも大和銀行のように把握できないで終わるというようなケースもあるわけでありまして、住専の場合は、私はそういう意味で大蔵省監督する程度というのは銀行とは比較にならないくらいちょっと距離がある、そういう存在でしょう。  そこが出してきたデータを、そうでございますかと言って、それでそれに幾ら厳しい査定をしてみたところで、私はそんな信頼のできる数字が出てくるとは思えない。それで出てきた金額が六兆二千七百億。これをベースにして、それで最後六千八百五十億足りないから税金で出してくれ、こんなのじゃ私、とてもじゃないが予算の審議なんてできないですね。そう思いませんか。
  113. 久保亘

    久保国務大臣 信頼に関して、村井さんの方で一つの前提を置いて今お話しになっておりますが、私といたしましては、検査に当たって、立入調査でありますから、大蔵省としては許された範囲、権限において全力を尽くして調査をしたものと考えております。
  114. 村井仁

    村井委員 何しろ全部で三百人目。これを七社で割りましたら、どうですか、四、七、二十八、四十人目。そんな程度のことで、これだけの予算要求をきちんと出すだけのデータが集まるとは私には到底思えない。余りにもずさんだと思うのです。  このあたり、いずれ私どもの同僚議員からさらに詰めた御議論があるだろうと思いますが、こんなずさんなことで国民皆さんに一人当たり五千円を超える負担をお願いする、とてもじゃないがそんな厚かましいことは私はお願いできない、こういう思いでございまして、この予算はやはり撤回をしていただくべきものだろうと思うわけでございます。そういう見解だけ、まずは申し上げておきます。  ちょっと事柄だけ教えてください。これは銀行局長で結構ですが、欠損見込み額というのがこの六兆二千七百億に乗っかっていますね。これは内容はどういうものですか。
  115. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専各社の本年三月末の欠損見込みを合計したものでございます。
  116. 村井仁

    村井委員 もうちょっと詳しく説明してくれませんか、住専各社の欠損見込みを合計したも の。
  117. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専七社ございますが、それぞれのことしの三月末の欠損見込み額がございます。それを加えたものということでございまして、住専自身には資本金等がございますが、その分は差し引いてございますので、いわば資本によっては補うことができない部分を加えたもの、こういうことで御理解いただければと思います。
  118. 村井仁

    村井委員 公表をされている去年の三月のあれで見ますと、住専七社の合計をしてみますと、たしか三百五十一億ばかりの赤字で終わっているように思うので、そのギャップがちょっとよくわからない。これはまた改めて教えてください。  その次に、第一次損失につきまして予算委員会で論議が行われるか行われていないか、そういう段階で二次損失一兆二千億円、これは半分国庫負担で埋めるということが閣議了解されましたですね。これはさらに第三次もあるんじゃないか。  さっき私は、いわゆる第二分類についても、地価の下落というようなことがありますと、さらに回収ができないというようなこともあろうかということを触れたのはそういう意味でもありますが、さらに第三次も私はあるんじゃないかと思うのですけれども、何で第二次の半分を国が負担するということになるのか、これはちょっと理由を教えてくれませんか。これは明らかに久保大臣になってから決まったことでございますから、所管大臣として理由をわかるように説明していただけませんか。
  119. 久保亘

    久保国務大臣 六千八百五十億の財政支出を決定いたします段階で、さらに新たな損失を生じた場合には一部財政負担を行うということは既に前内閣において閣議決定されていたところでございます。これを引き継ぎました新しい内閣におきまして、全体のこの住専問題処理考え方をどのように当事者間で合意をしてまとめるかということがなければ、一次ロスに関するものだけが決まったというものではなくて、これは合意を要請をしております段階で大体各当事者間における合意が得られつつあった問題でございます。  ただ、今申し上げましたように、新たな問題も含めて、全体の処理に関する方針をどう決めるかということで進めてまいりました。そして、その中で、この債権住専処理機構への買い取りに当たっての融資の額、それから、今度住専処理機構が進めてまいります施策を進めるに当たっての必要な経費、基金出資、そのようなこととあわせて検討いたしました上、国の負担分を二分の一とするということで合意をしたということでございます。  なお、今一兆二千億という数字を申されましたけれども、これは数字が二次ロスとして確定している数字ではございません。これから住専処理機構の回収がどのように進捗するかによって変わってくるものであります。そのために、私どもとしては全力を挙げられる強力な回収の体制を整備しようとしているのであります。
  120. 村井仁

    村井委員 何で半分なのかということをお尋ねしているんです。国が何で半分を負担するのか。  いいですか。この第一次の方は、また後でお伺いしますけれども、ともかく六千八百五十億という数字が最後に出てきているわけですよね。私どもも納得はしておりませんけれども、後でこれまた触れる部分がございますけれども、それなりの説明があるわけです。しかし、全く説明もなしに、足して二で割るじゃないが、半分こにすればいい、こういうことなんですか。そんな、国が半分持つ、そういうことをぽんとこう勝手にお決めになる、そういうことなんですか、理屈も何もなしに。
  121. 西村吉正

    ○西村政府委員 国の負担割合につきましては、第一に、今回の住専問題処理の目的の一つでございます金融システムの安定化は、国全体にとって経済社会活動が円滑に行われるための重要なインフラであるとともに、民間金融機関が業務を遂行するために不可欠でございますことから、民間も国とともに負担をしつつ推進するのが適当と考えられることが一つでございます。  第二に、債権回収に実効を上げるためには、母体行を中心に民間金融機関に回収にかかわるインセンティブを持たせる、自分たちも負担をしつつ回収を図っていくという気持ちを持っていただくということが必要であること等を勘案いたしまして、国、民間の両者が折半で負担していくことが適当と考えたものでございます。
  122. 村井仁

    村井委員 全くよくわからない理屈ですな。  もう一つ。どうも何を伺ってもこんな調子になってしまうんじゃかないませんが、久保大蔵大臣、きのうテレビで、住専以外のノンバンクの不良債権処理税金は使わない、こういうふうにおっしゃいましたですね。これはどうしてそうなんですか。そのほかのノンバンクについては、どうして今度は税金を使わないんですか、その理由を教えてください。
  123. 久保亘

    久保国務大臣 この問題につきましては、与党三党のプロジェクトチームにおいても、二十回に及ぶいろいろな検討、協議を行った末、今後新たなノンバンクの不良債権等に関しては公的関与を行わないという方針を決めております。また、金融制度調査会の答申にもそのような考え方を示されております。  私といたしましても、これらの答申や合意の上に立って、さらにノンバンク、いわゆるノンバンクの不良債権に対して公的資金を投入することは回避すべきであるという考え方を持っております。
  124. 村井仁

    村井委員 要するに、何か与党のプロジェクトチームで決めたから、それから、答申で出てきたから、こういうようなお話でございまして、全然理由が示されていない。根拠不明確なままでいろいろ方針をどんどん決めておられるという印象しかないわけでありまして、国民の側としては大変混迷に陥らざるを得ないというのが率直な感想であります。  もう一つ。これはちょっと農林大臣にもお伺いしなければいけないんですが、農林大臣にまずお伺いすべきですかな。系統金融の負担が五千三百億円になった根拠。  これは日本経済新聞が去年の十二月の二十七日に、当時の野呂田農林大臣質問状を出しまして、それに対しまして当時の野呂田農林大臣がお答えになっておられるわけでありますが、ここで、「次に、五千三百億円の考え方について御説明します。」「与党政策調整会議のガイドラインにおいては、関係者の分担について、住専設立から今日の破綻に至った経緯等と当事者が有する経営状況、対応力等を踏まえるべきとの考え方が示されました。」そして、「私としては、平成五年に現行の十年間の再建計画に合意したという経緯を踏まえ、この計画に基づいて農協系統が金利減免支援を予定していた額(八千五百五十億円)から本年度までの三年間の金利減免支援額(三千二百五十億円)を差し引き、残された七年間に係るものとして五千三百億円を算出いたしました。」このように説明しておられるわけでございますね。  ところが、この説明が突然消えちゃった。どういうわけなんでございますか。これをちょっと御説明をいただきたい。
  125. 大原一三

    大原国務大臣 その数字は消えてはいないわけであります。実は、今回の五千三百億円の積み上げは、必要があれば細かく説明いたしますが、大体、信連の四十七の過半、赤字にならないという前提ではじき出したわけでございます。ぎりぎりの負担がどうだろうかということで、信連だけで二千億を超えると経常利益でもって三十ぐらいが赤字になる、こういう状況で、ぎりぎりのところを積み上げていったわけでございますが、その説明が信連サイドになかなか受け入れられなかったわけであります。そこで、今ございました、村井委員がおっしゃった数字も、一つの積算の基礎として信連の方々を説得する材料に使ったという事実がございます。  そこで、その文章の後に、村井委員御存じと思いますが、「この水準の資金協力をすれば、相当数の都道府県の信連及び農林中金が本年度決算で 赤字決算を余儀なくされることはもちろん、次年度以降も極めて苦しい経営を強いられることになり、これ以上の水準であれば、経営が存続できなくなり、新たな信用不安を惹起するおそれがあります。」と、こういう説明も同時に付言をしてあるわけでございます。
  126. 村井仁

    村井委員 じゃ、これは確認をしたいのですが、五千三百億円の説明に、要するに、金利減免支援を予定していた額から既往の分を差し引いた残余の分という説明は残っているわけですね。  残っているのにもかかわらず、最近お出しになっている説明の紙には、それがきれいに消えちゃっている。これはまたどういうわけなんでございますか。こういう微妙な話なのに、それが突然消えちゃっている。私どもには説明が変わったとしか受けとめられない。これは大臣、もう一回伺います。
  127. 大原一三

    大原国務大臣 説明は変わっておりません。  実は信連に、事実上、金利を仮に四・五%を十年間取らなかったら幾らになるか、そして、平成五年でございますから、五、六、七、三年間はいただいております、だから七年分の残りで幾らになるかという計算を略式でいたしたわけでございます。そういう説明の方が信連に対してわかりやすかったという経過があると私は了解をしております。
  128. 村井仁

    村井委員 このように積算根拠というのを尋ねてまいりますと、まず一番最初の六兆二千七百億も、住専に立ち入ったといっても、二次資料をベースにして、それで担当官が一定の基準で計算をした、そういう数字である。  それから第二次の損失というのが、これが一兆二千億、まだこれはわからぬ、こういうお話でございますが、これはもっと大きくなるかもしれないという意味でわからぬのかもしれません。それの半分を負担する。それから系統が負担する五千三百億円というのも、何か腰だめで決めたような数字である。どっちにいたしましても、最後の六千八百五十億円というものを説明する数字、根拠、これはもう極めてあいまいだということが、このやりとりで非常に私ははっきりしてきたということを感じるものでございます。  それから、先ほど大蔵大臣、ちょっと別な話に移って申しわけないのですが、金融制度調査会の答申を引用されました。これは実は大変おもしろいといいますか、大変興味深い答申でございます。去年の十二月の二十二日に出ております。  この中で、この住専の問題につきましては大変さすがに歯切れが悪い。「当調査会は、上記のような公的資金の導入も含めた臨時異例の措置が政府において決断されたこともやむを得ないと考えるが、」何とも渋い、非常に消極的な書き方をせざるを得ない、そういうことでこの金融制度調査会の答申は出ているのですが、その金融制度調査会の答申でもっと積極的に公的資金の導入について書かれているのが、実は信用組合の破綻処理の問題なんですね。  これにつきましては非常にはっきりと公的資金の関与の必要性を述べ、しかもその表現が、いいですか、読ませていただきますと、「金融システム内の手立てを講じてもなお破綻処理費用が不足するような場合には、経済全般の安定を確保するためのコストとして、広く間接的な受益者として、納税者にも負担を求めることとせざるを得ないと考えられる。」このように非常に明確に税金を投入するという可能性を金融制度調査会の答申は述べているのですね。  そこで、信用組合の救済のための仕組みの検討というのは、これはやはり、あれだけ二信組問題やら木津信組やらいろいろな問題が出てきたのですからいろいろ御研究だろうと思うのでございますけれども、これを本当にやるとなりますと、私は、相当税金を投入するという話になるのじゃないかと思うのですけれども、検討はどんなぐあいに進んでいますか。
  129. 西村吉正

    ○西村政府委員 村井委員御指摘のように、昨年の十二月二十二日、住専問題に関する処理方針が出された三日後でございますが、金融制度調査会の答申が出されております。この中で、御指摘の点は「信用組合の破綻処理について」ということで、半年にわたって検討されました結果が述べられているわけでございます。  信用組合の破綻処理については、一昨年末の二信組の処理以来、国会においてもいろいろな御議論がございました。また、地方公共団体においては、従来からいろいろな形において信用組合の破綻処理のために財政負担がなされているケースが幾つかございます。  こういうこととの関連において、国としても、今後この信用組合の破綻処理の際にいかなる方策が必要かということは、世の中においても非常に関心の高い問題として金融制度調査会でも議論され、先ほどお読みいただいたような結論に達しているわけでございます。  具体的には、この信用組合の破綻処理の方策につきまして、いわゆる日本版RTCというようなことを提案したことがございますけれども、そういう構想を含みます法律改正について御審議をお願いするようなことになろうかと考えております。
  130. 村井仁

    村井委員 もうちょっとお伺いしたいのですが、その日本版RTCというのは、もう少し具体的に言うと、今の東京共同銀行の延長線上にあるものということですか。ちょっとそこを説明してください。
  131. 西村吉正

    ○西村政府委員 同じ金融制度調査会の答申におきましては、「整理回収銀行の整備」といたしまして、東京共同銀行を抜本的に改組してこれを創設するということが述べられているところでございます。
  132. 村井仁

    村井委員 私は、いずれにしましても、ここで非常に注意しなければならないことは、今私どもがこうして住専の問題、その住専の問題もどこまで深いのかどうもよくわからぬ、どうも沼がどのぐらいの深さがあるのかよくわからぬ、こういう感じでいる上に、さらに今、信用組合、これもそういう意味で税金を投入しなければならないかもしれないという話になっているわけですね。  アメリカのある銀行調査会社の試算で、日本金融機関不良債権ですね、これを百四十兆円というような数字を挙げて、それで大変だというコメントをしているものがある。これは私は大変なことだと思うのですが、我が国の不良債権の実態、これは一体どういう状態なんだろうか。  私どもは、とりあえずは金融機関不良債権の総額として三十八兆円というお話は聞いております。それからそのほかに、木津信用組合、コスモ信用組合それから兵庫銀行、こういったところで、三十八兆円の外で、それぞれ一兆一千九百億、三千八百億それから一兆五千億、こんなような金額が、これは先般私どもの要求で資料としてお出しいただいた金融機関の業態別不良債権額という、これは業務純益も並んでおりますけれども、その資料の中に掲記してあるわけでありますが、そのほかに、共国債権買取機構というのがある。これは平成四年にでしたか三年でしたか、できましてから若干時間がたっておりますけれども、ここに十兆四千億ほどの債権の買い取りが行われているわけでございますね。  こんなようなものまで含めますと、これは銀行局長にお尋ねした方がいいんでしょうけれども、我が国の金融機関不良債権トータルどのくらいになるんでしょうか。
  133. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもは、昨年の十一月の半ばだったと思いますが、今御指摘の平成七年九月期の中間決算に基づく資料を公表いたしました。それによりますと、いわゆる不良債権額の合計が、民間金融機関の合計で三十八兆八百六十億円だということを述べたわけでございます。御指摘のように、この中には私どもとして既に処理済みと考えております、まあ処理の途上にあるものも含めまして、コスモ信用組合、木津信用組合それから兵庫銀行不良債権額は除いたものになってございます。  なお、今御指摘の共国債権買取機構への売却分につきましては、時価にいたしまして売却してお るわけでございますので、その段階において不良債権としての処理は既に済んでいるという考え方をしておるわけでございます。  なお、そのほか、百四十兆円という御指摘もございましたが、外国のそういう御指摘等の中には、ノンバンクの不良債権をも合算をいたしまして不良債権総額として発表しておるものがございます。これは必ずしも正確ではございませんで、すなわち、ノンバンク、これは住専も同じでございますけれども、その資金源は金融機関から供給されておるわけでございますから、ノンバンクや住専不良債権額を合算をいたしますと二重計上になることになりますので、外国における推計の中にはやや過大視したものもあるのではないかと私どもとしては考えているところでございます。
  134. 村井仁

    村井委員 百四十兆円の話は、これはちょっと私もむちゃくちゃな数字だと思うのですよ。  ですけれども、今の共国債権買取機構の話、これは、時価で売却したんだから金融機関としてはいいんだ、こうおっしゃいますけれども、あそこのメカニズムは、売るけれども、それは言ってみれば金融機関としてとりあえず損を出すという機能だけであって、結局それを最終的に共国債権買取機構が処分したときにはこれをまた買い取って、そしてそこで初めて金融機関としては本当の損が立つということになるわけでしょう。いわば預かってもらっているというような性格のものだろうと思うんですよ。  そういう意味では三十八兆円に相当な額が恐らく、これはおたくからいただいたデータを見ても、平成四年から今までで三千七百億円しか実際処理がされないときている。十兆四千億、この関係がよくわからないが、債権額面としては十兆四千億、それだけの債権の額面のものを買い取ってそして預かっている。それで回収といえば三千七百億ばかり回収しただけだ、こういう関係になっている。そうすると、ここで実際は、言ってみれば隠れ不良債権というのが共国債権買取機構にあるんじゃないかと思うんですけれども、それはどうなっているんですか。
  135. 西村吉正

    ○西村政府委員 今御指摘の債権額面と申しますのは、この共国債権買取機構に金融機関が売却いたしました債権の額面でございますが、その価格は恐らくお持ちの資料に買い取り価額というのが書いてあると思いますが、そういう価格に評価をして、すなわち時価に評価をして売却したわけでございます。したがって、金融機関としては、その時点でこの差額のいわば損失に当たるものは処理をした、こういう考え方になっておるわけでございます。  もとより、先生御指摘のように、この売却した不動産が実際に売れなければ完全な不良債権処理の過程が終わっていないということは御指摘のとおりでございまして、私どもも、そのように買取機構に売却された不動産ができるだけ早く実際に市場において消化される必要があると考えておるところでございます。
  136. 村井仁

    村井委員 そうすると、実は買い取り価格として計上されているのが四兆四千八百億、四兆五千億ほどあるわけですね。それと三千七百億との差、結局約四兆というものを今買取機構が抱えているわけでありますけれども、そういうふうに理解していいわけですね。それが一体現実幾らで売れるのかということになるわけで、そこで生ずる差というのは、さっき申し上げたように一種の不良債権、まあ隠れ不良債権ということで三十八兆の上に積み上がる、こういうふうに理解していいわけですね。
  137. 西村吉正

    ○西村政府委員 もし買取機構に売却をいたしました価格で売れなければ、御指摘のようなことになるわけでございます。しかしながら、私どもは、この買取機構が買い取ります価格については、第三者の適正な評価をいただきまして、そのような鑑定をいただくような組織をつくりまして、客観的な評価をいただいた上で買い取っておるということでございますので、そのような価格で売却できるということを期待しておるわけでございます。
  138. 村井仁

    村井委員 まあ、期待はいいんですけれども現実には右肩下がりに地価がこう下がってきているわけでありますから、そういう意味では、これはやはり実は三十八兆じゃなくて、少なくとも四兆からマイナス何がしかというものが多分乗るんだろうと思うんですよね。  私は、そこでこの共国債権買取機構というのは単に、単にと言ってはなにかもしれませんが、形式的に、現在活動している金融機関が比較的いい物件につきまして、比較的ましな債権につきまして共国債権買取機構に持ち込んで、そしてとりあえずいわゆる損出しといいますか、それを損切りをするというための仕組みにすぎないんだという本質を考えますと、これを全く外に置いて見ていくというのは非常に危険だという感じがするわけでございます。  ところで、もう一つお伺いしたいのは、三十八兆円というのですけれども、これにつきまして、いわゆる四分類区分で分けてこれを見るということは、これは全然無理ですか、技術的に。
  139. 西村吉正

    ○西村政府委員 この三十八兆円の不良債権額は、各金融機関が自主的に計算をして、それも破綻先債権延滞債権、それから金利減免債権という客観的な定義に基づいて各金融機関が算定したものでございます。  他方におきまして、資産の分類というのは、金融検査において当局側が判定をした分類でございまして、そこには分け方に違いがあろうかと存じます。この三十八兆円という不良債権額は、そういう意味におきまして金融検査の結果の分類とは必ずしも一致するものではございません。
  140. 村井仁

    村井委員 金融検査というより銀行検査をやって、それで三十八兆円が大体どういう性格のものになるかということをつかむという努力はおやりにならないのですか。
  141. 西村吉正

    ○西村政府委員 この三十八兆円もそうでございますが、民間金融機関が自主的に公表をいたしましたディスクロージャーの結果たる不良債権額の客観性を検証するために、金融検査というもので裏づけをしてみたらどうかというような御指摘はよくいただくところでございます。  私ども、まだそこまで体制が整っておりませんが、将来におきまして、そういうディスクロージャーの結果を金融検査で検証するというようなことも必要なことかと考えております。
  142. 村井仁

    村井委員 さっき銀行局長は木津信組、コスモ、それから兵庫銀行など、これはまあ処理済みだと考えている、こんなふうにおっしゃいましたが、実際問題として、これは処理済みというふうに考えていいのかどうか、私はどうもよく理解できないんですがね。  それから東京共同銀行、こっちの方にもやはり回収できない債権というものがかなりあり得るのだろうという気がするわけであります。  それからノンバンク、これにつきましては、まあ住専だけ今焦点が当たっておりますけれども、そのほかにもいろいろ言われているノンバンクがないわけではない。  そういうものを全部合計しますと、私はやはり五十兆近いものがあり得るのではないかという感じがするのですが、そのあたりはどうですか。
  143. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほど申し上げましたコスモ、木津、兵庫につきましては、この計数を発表いたしました段階におきましては、厳密に申し上げますならば、処理済みというよりも処理予定のものという性格のものでございます。そういう意味では御指摘のとおりでございます。  なお、ノンバンク等を足せばもう少し大きな数字になるのではないかということでございますが、ノンバンクを加算いたしますことにつきましては、先ほど申し上げましたように、その資金供給源が銀行等にあるという意味では、単純に加算するとダブル計上になるということでございます。銀行がノンバンクに貸しておる債権のうち、どれくらい不良化しておるかという形でこの三十八兆円の中にカウントされておる部分がある、こういうことでございます。  私どもは、この三十八兆円の積算につきましては、従来推計をしておりましたものに比べまして、各金融機関からの申告に基づきます計数を積み上げたものとして、従来のベースよりは正確なものになっておると確信しておるところでございます。
  144. 村井仁

    村井委員 いずれにしましても、ずっとお話を伺っていまして、ともかくまだまだ沼の底は深い、岩盤が見えないといいますか、そういう不安が私はあると思うんです。  そういう意味で、今住専というところだけ取り上げて、それでこういう処理をする、それが果たして本当に適当なんだろうか。ここで税金をつぎ込むということをやりますと、やはりそのほかのいろいろな不良債権処理にも、信用組合につきましては既に金融制度調査会の答申でそのような方向性が示されているということを私は指摘しましたけれども、そのほかの部分についてもさらに税金を使わなければいけないというようなことになるのではないか。そういう意味で、先例を開くという点でも、私は、非常にこれは問題のある措置だ、こういう気がいたします。  そこで、そのことを申し上げた上で、大蔵大臣、G7で、この間おいでになられて、あれは議長総括ですか何かで、この措置につきまして一応の評価をされた、こんなふうに先般承りましたけれども、私は、G7のメンバーはこういう日本金融不良債権の泥沼化した状態というのを必ずしも明確に認識していないんじゃないかと思うんですよね。  まあこういうふうなことですよ、こんなふうにしますよということを、久保大臣がおいでになって御説明になったから、それはそうでしょうね、いや御苦労さま、頑張ってください、そういう意味で議長総括に入った、それだけのことじゃないんですか。G7で国際的な評価が与えられた、そんなふうに受け取るのはちょっと甘いんじゃないか。そんなふうには外国は見ていないんじゃないか。そのことにつきまして……。
  145. 久保亘

    久保国務大臣 G7におきましては、昨年十月のG7において、前任者でございます武村前大蔵大臣住専問題の処理について考え方を述べられたわけであります。そして、年内に処理の方針を決めたい、こういうことであったと私は承っております。  それを引き継ぐ形で、去る一月の二十日にパリでG7の会議が開かれました。私は、各国の報告を聞きますと同時に、日本の財政、金融の問題について、また経済の総括的な動向についてお話を申し上げました。  またこの機会に、初めてでございましたので、フランスの蔵相、アメリカの蔵相と個々にお目にかかる機会がございまして、日本住専問題、今世界的にジューセン・プロブレムとして一つ言葉ができるほどになっておりますものですから、このことについて我々が進めようとしている方針について報告もいたしたところでございます。  このことに対して、評価と申しますよりは、日本政府がとろうとしている方策について、好意的な見方に立って、その実現を期待をするという立場を述べられたと思っております。また、フランスのアルチュイ経済・財政相は、この後プレスガイダンスにおいて、日本金融政策についての報告を聞いて大変勇気づけられたということを述べられたと報告を受けております。  これは、今の経済、金融がグローバル化が進んでまいります中で、日本住専問題の決着の方向をどう決めていくかということは、世界の各国、とりわけG7の各国にとりましては非常に強い関心のある問題だと考えております。
  146. 村井仁

    村井委員 今議場から株が上がっておるというお話があったのですけれども、私は、株というのは基本的に投機をねらうものでもありますから、何かきっかけがあればそれは上がったり下がったり、いろいろあるわけであります。私は、非常にこの日本金融界にとりまして今度の住専処理策の問題性というのを端的に示しているのが、実は金融機関についての外国の評価機関の評価でございますね。  例えば、ムーディーズですとかスタンダード・アンド・プアーズですとか、ああいったところがやっています評価、これは玄人の判断でありますけれども、これは大変ですね。十二月の、要するに住専処理策を発表した途端に日本の大手銀行は片っ端から下がりました、格付が。八七年ごろにはAA、スタンダード・プアーズの場合だとAAという上から二番目のランクあるいは三番目のランク、この辺にあったのが、ともかく三菱もAAマイナスからAプラス、それから第一勧業銀行がAプラスからAに、住友がやはりAプラスからAに、そして富士銀行に至ってはAプラスからAマイナス、二段階引き下げられている。  こういったような引き下げが起きたというのはどういうことかということなんでありますけれども、これは、日本銀行の実態というのは財務諸表を見てもわからない。余裕があるように見えても、いつ何どき大蔵省から金融システム維持のために奉加帳が回されてきまして、あんたのところは体力があるんだから余計出しなさいというようなことで、法律的にあるいは国際的に説明できない金をむしられるかわからない、これが評価を落としている一番の原因じゃないんですか。その辺、大蔵大臣、どんなふうにごらんになりますか、こういった格付機関の評価につきまして。
  147. 久保亘

    久保国務大臣 住専処理策の決定が今、村井さんが述べられたような我が国の銀行評価を下げたということが言い切れるのかどうか、私は必ずしもそういうことが決定的な要因でそうなったんだとは考えておりません。  むしろ、G7は各国の中央銀行総裁も加わっておるのでありまして、その中でさまざまな議論の末に一つのプラスの方向での評価を行ったものと私は思っておりますから、今おっしゃったようなこと——しかし、例えばその三・五兆の債権の放棄でありますとか、そういうものが銀行の業績にどういう影響をもたらすかというような問題も検討してみなければならない問題ではあると考えておりますが、住専処理策が今言われたような結果を招いたとは考えておりません。
  148. 村井仁

    村井委員 これは完全にタイミングが一致しているんですよ。ともかく、住専処理策を発表した途端に評価ががくっと落ちているんです。これは私は、これだけはっきりタイミングが一致して、しかもその解説でも、そこが関連している、こういうふうに言われている。このことは、私はやはり謙虚に耳を傾けるべきことであり、将来の日本金融システムということを考える上でも真剣に考えなければならない問題だということをもう一度指摘をさせていただきたいと思います。  それからもう一つ、ちょっとあれですが、教えていただきたいと思いますのは、住専の二次損失解決策を決める際に、不良債権のうち将来回収できた分を国庫に還流させる、こういうお話がございましたね。私はどうもよくわからないのは、どうしてほかの債権に比して優先して国が弁済を受けることができるのか。これは論理の問題としてもどうもよくわからぬなという感じがするんですね。  そのあたり、これは事務当局でも結構ですけれども、何で住専の二次損失解決策のときに、将来回収ができた分は国庫に還流させる、そういうことができるというふうにお考えになったのか。そのあたり、お聞かせいただけますか。
  149. 西村吉正

    ○西村政府委員 この譲り受け債権住専処理機構が譲り受けました債権等について回収が行われた場合の措置でございますが、これは、今いわゆる二次ロスの問題として御質問がありましたが、いわゆる一次ロスについても同様の措置を考えているところでございます。  そのようなものが生じた場合には、預金保険機構を経由いたしまして国への納付がなされる、これは国庫負担がなされたものを限度とするわけではございますけれども、そのような措置を法律で定めることを検討をしておるところでございます。
  150. 村井仁

    村井委員 そのときはあれですか、半分、二分の一国が出すということだと、二分の一という話になるんですか。ちょっとくどいけれども、聞かせてください。
  151. 西村吉正

    ○西村政府委員 一度交付したものを納付するわけでございますから、その交付したものが二分の一に相当するものでございます以上、その納付するものもそれに相当する、すなわち二分の一に相当するものになるわけでございます。
  152. 村井仁

    村井委員 もう一つだけ教えていただきたいんです。  これまでいろいろお伺いしてまいりましたけれども住専税金を投入するというのは、これまでるる御説明をお伺いいたしましたけれども、どうしても私は国民の納得を得られるような説明がなされなかったと思うんですね。そういう意味で、私は予算をこの分だけ削除するというのが最も適当なことだと思うんですけれども、そういうことをしたらどういう問題が生ずると大蔵大臣はお考えになりますか。
  153. 久保亘

    久保国務大臣 仮定の問題でお答えするのは大変難しいことでございますが、既に我が国の住専問題処理策として政府が決定し、国会に今審議をお願いをいたしておりますことについて、これを今質問者のおっしゃられたようなことで変更するということになりますと、方法としては法的処理以外にないのだと思っております。  そういうふうになりました場合には、内外にわたって大変大きな、深刻な影響が及ぶのではないかと深く懸念をいたしております。
  154. 村井仁

    村井委員 法的処理ということにした場合にも、先ほど同僚議員からも話がありましたけれども、今の法制でなお足りないところがありましたら、それはいろいろまたそれを、何といいましょうか、後ろから押すいろいろな措置を講ずることは、それは私は大切なことだと思うのですよ。ただ、大きな骨組みは破産法を使うということでやっていってできないことはない。これは私は基本はそうだろうと思うのです。そのことを申し上げているわけで、それで大変深刻な事態になるとはどうしても私は考えられない。  そのことを申し上げまして、何よりも、今政府は決めたとおっしゃいますけれども、閣議決定で決めたことは、先日も政府委員の御答弁ども伺っておりましたけれども、母体行、一般行あるいは系統金融機関に対しまして対応を要請することだけを政府はお決めになっているわけであって、これを受け入れるかどうか、これは母体行初め、冒頭にちょっと地銀や第二地銀の反応、これを御紹介しましたけれども、決してみんな納得しているわけじゃないんですね。そういう意味で、そういう関係者が必ずしも納得していないものを無理にともかく強いるというようなのは、私はどう考えてもおかしいのじゃないか。  それから関係者の話し合い、これは一体どんなふうに行われたのか、これがまたもう一つよくわからないのですね。いろいろ話を聞いてみますと、関係者の話し合いというのは、どうもとことんまで行われたという様子がない。結局大蔵省、農林省が間に立って調整して、それで最後、言ってみると強権をもって押しつけた、こんなような印象が非常に強いわけであります。  この辺、これはまあ若干経過の問題もあるでしょうが、大臣とそれから銀行局長と、お二人からちょっとコメントをいただきたい。
  155. 西村吉正

    ○西村政府委員 この問題につきましては、昨年の春以降、厳密に申しますならば七月と申し上げてもいいのでありますが、いろいろな場を持ちまして熱心に討議が重ねられたわけでございます。  そういうプロセスにおきましては、民間の当事者同士の問題であるという原則に立ちまして、当事者間のお話し合いもたびたび重ねられたわけでございます。しかしながら、最終的には当事者間だけではなかなかお話が煮詰まらない。しかしながら、この問題の解決は焦眉の急の問題であるということで、行政府といたしましても、関係者とのお話し合いを踏まえまして一つの提案をさせていただいた。その提案を受け入れることを要請をしたというのが十二月十九日の閣議決定でございまして、決して押しつけたとか、そういう性格のものではないと考えております。
  156. 村井仁

    村井委員 実際は相当強引に押しつけているんですよ。それは、銀行局からどうしてもこれをやれ、こういうことでやられたら、それは各行、いろいろな不満がありながら、まあともかく今のところ余り文句を言わないで、しかし先ほど御紹介したように、各行とも、例えば株主代表訴訟だとか、いろいろな危険を考えながら対応に苦慮しているというのが実態でしょう。  私は、こんなことまでしてやらなければならないほどのことなんだろうか。冒頭に、金融システムの維持安定というのはどういうことなんだということをお尋ねした。どうもはかばかしい説得的な御説明がなかった。それから、総理にも確認をさせていただきましたが、これは農協のためでもない、系統のためでもない、全体の金融システムのためだということを確認させていただきました。しかし、どうもその金融システムのど真ん中にいる金融関係者たちがみんなこのシステムに不満を持っている。私は、関係者の間で大変な不満があり、しかも国民にも大変な不満がある、こういう施策をここで強行するというのは甚だ不適当なことではないかと思うわけであります。  今、凍結というようなお話が出ているそうでありますけれども、今は寒いですからあれなんですが、これは過去の例で見ましても、予算の凍結というのは、結局暖かくなると大体解凍されちゃうんですよね。そういう意味では、私は、凍結なんというのは国民の納得を得られるものじゃないと思うんです。私は、そういう意味でこれはもう絶対予算から削除するべきだと思うんです。そういう措置をとるべきものだと思いますが、最後に、総理大蔵大臣、それぞれ御所見をお伺いをさせていただきます。
  157. 久保亘

    久保国務大臣 当事者間の話にいたしましても、銀行関係で五兆二千億の債権を放棄するという問題でございますから、当事者の間にはいろいろと意見もあり、苦悩もあることは当然だと思っております。しかし、この問題を解決しなければならない今日の緊急の課題に照らして、政府としても、政府が公的に関与できる限度をわきまえながら、この問題解決のために当事者たちと協力をして進めてきたのであります。  そういう意味で、相互に了解しつつ進められたことでございますから、この問題を凍結をしたりあるいは削除をしたりということは、政府としては全く考えておりません。
  158. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ただいま大蔵大臣からも御答弁を申し上げました。  私どもは、何とかしてこれについての国民の御理解をいただきたい、そして何としてもこの時期に、これ以上問題を先送りすることなく解決したいと願っておりまして、予算を撤回あるいはこの部分を削除という考え方は持っておりません。
  159. 村井仁

    村井委員 ちょっと時間がありますので、先ほど笹川委員質疑を聞いておりまして、平成五年の二月の、例の銀行局長と農林省の経済局長の覚書でありますが、あれが結ばれたときに、金利が上がるのではないかという心配があった、こういう御発言が、たしか銀行局長からその経過の説明としてございました。それであのような覚書が結ばれたという説明があるんですが、実はこれ、ちょっと私、時系列的なデータを見ていてあっと思ったので、一言だけつけ加えさせていただきますが、ちょうど覚書が結ばれたのは二月三日なんですね、平成五年二月三日。そのときの公定歩合が三・二五なんですね。それで、二月の四日に二・五〇に引き下げられている。偶然なんでしょうが、一般行の金利が二・五〇に決められたというのは、これはもう大変な偶然だ、こういう印象を持って聞かせていただきました。  以上申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  160. 上原康助

    上原委員長 これにて村井君の質疑は終了いたしました。  次に、平田米男君。
  161. 平田米男

    ○平田委員 きょうは一時から住専の問題について審議をしているわけでございますけれども、連日、マスコミはいろいろな報道をいたしております。  そこの中で感じますことは、国民は、借金の踏み倒しを血税をもって穴埋めをするという政府住専処理スキームを知らされまして、まさに深い怒りに包まれておるわけであります。もはや借金は返さなくてもよいとか、借金を返さなくてもよいと政府が言っているとか、あるいは、一人一万円の負担を強いるのであるならばその分の納税はしないなど、経済社会の基本的倫理や国家の基盤であります納税意識を弱め、まさに失い始めている、こういう状況にございます。私は、まさに国家社会の根幹を揺るがす大問題である、このように思うわけであります。  総理は、金融システムの安定化のためとおっしゃいます。おっしゃるとおり、仮に住専処理スキームが金融システムの安定化に少しは効果があるといたしましても、国民の倫理観や遵法精神、納税意識を失わしめてまでも金融システムの安定化の方が重要であるとお考えなのか。そのような倫理観や遵法精神などこそ、金融システムの安定を一番深いところ、根本的なところで支えているものなのではないか、私はそのように思います。それを掘りまして金融システムの安定を云々することはまさに本末転倒であろう、このように思いますが、総理のお考えはいかがでございましょうか。
  162. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 確かに、委員が仰せのとおり、今日までの日本におきまして大きく国を支えてまいりましたその基盤に国民の倫理観というものがあったこと、そして、それがこれから先も大切なものであること、それについては私は全く異論を申し述べるものではございません。そして、今回の決断に対しましてさまざまな御批判が寄せられていることも私は承知をいたしております。  しかし同時に、それではそのままこの住専の問題を、処理を後に延ばしていくことができるのか、むしろ今までこの問題を先送りしてきた中で住専の問題というのはより深刻になってきたのではないだろうか、むしろもっと早い時期に政治が決断をすべき時期があるいはあったのかも、先日来の御論議を受けながら、私はそんな思いも実は持っております。  そして、この公的資金を投入する決断に際し、それ以前にもっと積極的に情報の開示に努めるべきであったという御批判も、その原因を掘り下げるべきであったという御批判も、私どもはこれはそのまま素直に受けなければならないと思い、国会から御要求のありました資料提出等につきましても、できる限りの努力をしてまいりました。これから先も、私どもとしては、この事態をより明らかにする、そしてその中で少しでも国民の御理解をいただくことに努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  163. 平田米男

    ○平田委員 住専問題のみならず、日本銀行不良債権問題は早期に処理をしなければならないことは、これは与野党を通じての認識でございます。だからといって、今のスキームがそのような我が国民の倫理観、遵法精神をぼろぼろと崩そうとしている、崩している、それに対して、内閣総理大臣、国の指導者たる者は、もっともっと深い危惧の念を抱いていただきたいと私は思うわけであります。  人間の心というものは、考え方というものは、崩れ去ってしまった後、一朝一夕で戻るものではございません。今政府がやろうとしていることが、単に金融だけの問題だけを考えてやっているならば、私は、国の将来を過つ、そのように警鐘を鳴らしているわけでございます。  私も、総理と同じように、住専問題のみならず、金融不良債権の問題は一刻も早く解決をしたい、同感でございます。しかし、それよりももっと大事なことを忘れてはならないということを今申し上げているわけでございます。そこまでお考えの上でこのような処理スキームをおつくりになったのか、また、そのような国民の怒りに対して、ただ御理解をしていただきたいというだけで納得をしていただけるものなのかどうか。我々政治家は、責任があると自認しているわけでございますので、ただ反省をしますという口先だけでは国民は納得していただけない。  総理、どうでしょうか。私と総理は、考え方は、この金融問題については認識の差はないと思います。その結果としてどうするのか。今のスキームでは、余りにも日本の国家国民を支えている心というものを失わしめてしまう。大変大きな副作用、薬も大事でありますけれども、殺してしまうような副作用を持つ、そういう薬を我々は飲むわけにはいかない、このように思うわけでありますが、もう一度御存念を伺いたい。
  164. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本委員会が開会されまして一番最初に米沢議員が、言葉は今委員が選ばれたのとは異なりますけれども、同じような気持ちでの御質問を私に浴びせられました。そのとき、私は、関係者がぎりぎりまでその結果を努力し、模索したことが、かえって情報の開示等についておくらせる結果になったことをおわびを申し上げました。そして、それ以来今日までの間に、国会開会以前かち、政府としてはできる限りの資料提出をいたしてまいりました。  そして、先日国会の方から御要請のありました資料につき、国家公務員の守秘義務との関係でなお御再考をお願いをいたしましたが、国会として再度の御要請を受け、私自身、その国家公務員の守秘義務のその部分に対する責任を取り除く閣議の判断をした上で、本日国会資料提出をさせていただきました。本来なら国家公務員の守秘義務として守らなければならない部分であったかもしれません。しかし、公的資金を投入する以上、でき得る限りの資料提出する責任政府にあると判断をいたしましたので、そのような判断をいたしました。  そして、これから先も、現在のこの時点におきましても、恐らく法務・検察の諸君、警察の諸君、それぞれの立場でこうした問題に対しての厳しい目を見開きながら仕事に取り組んでくれておると思います。しかし、これから先のプロセスの中でさまざまな責任というものを当然のことながら明らかにしていき、その中で、民事、刑事を問わず、責任のある者に対して当然ながらそれが処分される状況に全力を挙げて、今委員が御指摘になりましたようなことに対する答えを出してまいりたいと考えます。
  165. 平田米男

    ○平田委員 これをやっていますと時間が経過するだけでございますので、話題を変えたいと思います。  総理は一九九一年、平成三年の十月三日に大蔵大臣辞任をされました。その理由の一つは、総理の秘書の小林豊機氏が、富士銀行の巨額不正融資事件に絡み、融資の仲介をして料理店主らに約十四億円を無担保で融資をさせていたことの責任をとられたものであると当時報道されています。そして、この小林秘書は総理の金庫番とも報道をされているようでございます。小林秘書は、発覚した九一年八月三日に秘書を辞職されたわけでありますけれども、その際、記者会見に応じまして、融資先などからは一切謝礼を受け取っていないと釈明をされておられます。  最近、住専の大口融資先リストの上位に位置します不動産会社の社長が、九一年七月ごろ、橋本龍太郎事務所の小林秘書に、融資をお願いするためある大銀行の役員を紹介してもらった、その後紹介したことについて金銭の請求を受けた、このような発言をしているとの一部報道がございました。もしこれが事実だといたしますと、重大な問題であると思います。  そこで総理にお伺いをいたします。この報道について、小林秘書に事実の確認をされたでしょうか。
  166. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私の秘書と今お尋ねをいただきましたが、既に今委員が引用されましたように、小林君は確かに私の秘書であり、大蔵大臣の ときも私の秘書でございました。そして、富士銀行の偽造預金証書による融資事件にかかわりがあるという言われ方をいたしましたが、これは私は、小林君の名誉のために一点だけ正確にさせておいていただきたいと存じます。  当時、その富士銀行の担当の課長さんはその支店に現に在籍し、その席で仕事をしておられた方であります。そして、私は、大蔵大臣の秘書として小林君は軽率であったと本当に思いますし、その点は大変監督責任を痛感をいたしましたが、その銀行のその席におられる方に外部から電話をし、現に取り次がれ、課長としての仕事を継続しておられれば、その方が正規の行員であったと彼が信じたことは私は仕方がなかったと思っております。  しかし、それが結果として、一方で偽造預金証書をベースとした不正な融資が行われており、小林君が紹介をした者がその中に入っておったということは事実であり、偽造預金証書にかかわったと言われますと、小林君本人がその偽造預金証書を使って何かをしたようにとられます。その点だけは、どうぞ本人の名誉のために正確にさせていただきたいと存じます。  その上で、十二月の途中から彼は私の秘書をやめております。そして、現在は私の秘書ではございません。その上で、今お話しのようなことを報道されているということを私の秘書が聞き、御本人に確かめたそうでありますが、そのようなことはないという返事であった、そう報告を受けております。私自身は会って確認をいたしておりません。
  167. 平田米男

    ○平田委員 そういたしますと、この報道いたしました出版社や発言したとされます社長に問い合わせあるいは抗議あるいは法的な対応などはされておられるのでしょうか。
  168. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 小林さんがどうしておられるかは私は存じません。しかし私は、既に私の事務所を離れておる小林さんに対し、現在私の事務所におりますスタッフから事実ではないということを聞いたということで、それを確認したということであります。
  169. 平田米男

    ○平田委員 小林秘書は九一年の八月に秘書を辞任されたわけでありますが、後でまた雇用をされたということだろうというふうに思いますが、それは、いつ再雇用をされたのでしょうか。また、十二月の半ばにやめられたというお話でございますが、どういう経過でおやめになったのでしょうか。
  170. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大蔵大臣時代に、こうした今御指摘を受けましたような報道がなされ、小林君はその責任をとりまして私の事務所をやめました。そして私自身も、その問題もあり、証券における補てんの問題について再発防止の第一弾の証取法の改正までを終わりました段階で、国際会議等で定められておりました職務を終わりました瞬間に私も職を辞しました。そしてその後、衆議院議員という以外の役職を持たず、私としては謹慎を続けておったつもりであります。  しかし、一年前後のころから、政局の中で私もいろいろまた発言をする役割を持つといった場面も出てまいりました。その当時、多くの方々から、既に一年間謹慎したのだから小林君も戻してやれという御意見がたくさんあったことは事実であります。ただ、いきなり現在私が使っております事務所に戻すことには問題があろう、そして小林君自身も離れて仕事をしたいという気持ちを持っておりましたので、全く違った場所に事務所を彼は探し、そこで橋本龍太郎の秘書という肩書でしばらく前まで仕事をいたしておりました。  そして、ちょっと正確な、何年何月何日からということは今記憶をいたしておりませんので、もし必要でありましたなら、そうしたものは後日、委員の手元にきちんとお知らせをいたしたいと存じます。そして、昨年の秋から、彼は彼としての進路を選んで、私のスタッフという立場からは去って、独立をいたしました。  ただ、ここで誤解を生じないようにつけ加えて申し上げておきたいと存じますのは、一人で仕事をいたしておりました間に、私の政治資金団体を一つ彼はつくってくれておりました。そして、私の事務所を去りました後、その政治資金団体の会の会代表を本人は務めておられます。
  171. 平田米男

    ○平田委員 小林秘書が富士銀行の融資を仲介をした料理店主らのこの融資金約十四億円は、その後どうなっているか御存じでしょうか。返済はなされているのでしょうか。
  172. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は全くそれは存じません。
  173. 平田米男

    ○平田委員 御存じないということなんですが、秘書がやられたことで、それで秘書もやめられ、大臣大蔵大臣をやめられた、そういう事実、重要な事実でございます。私は法的に責任があるということを申し上げているのではなくて、そこまで責任をお感じになったこの問題について、私は、道義的には、その後どうなったのかというのは通常関心を持たれるのが普通なのではないかというふうに思いますが、全く御存じないというのはどういうお考えなんでしょうか。
  174. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、その秘書の行為というものも私自身責任と思い、おわびをし、一つの区切りをつけたところで閣僚を辞任をいたしました。そして、その秘書の当時ありましたそうした案件を私がその後継続的にフォローすべきものとは全く思っておりません。
  175. 平田米男

    ○平田委員 この点はこの程度にいたしまして次に移りたいと思います。  私は、今回の住専処理につきましては法的処理をするのが一番最適だと考えております。冒頭に申し上げましたように、国民の倫理観等、遵法精神等のことを考えますと、本来やるべき方法で処理をする、これが一番正しいのではないかというふうに思うんです。  民間会社が再建不可能と判断された処理のスキームは破産でございます。これ以外の方法は通常ございません。これが大原則でございます。  そして、私も弁護士でございますが、債権回収のためには一日も早く破産申し立てをするというのが鉄則でございます。時間の経過によってへ破産する会社資産が散逸する可能性があるとともに、債務者の資産隠しなどにより回収の困難性が高まるからでございます。今住専七社が自己破産の申し立てをすれば、裁判所は速やかに破産宣告をするでありましょう。すなわち、直ちに債権回収が始まるということでございます。しかし、今はほとんどなされておりません。  私は、大蔵省に債務者数を聞こうと思いましてお願いをしましたが、まだその数字さえ出ておりません。その上で、どれだけの債務弁済契約書ができ上がっているのかどうか、そういう情報さえ公開されておりません。新聞報道されるのは、不良債権隠しばかりの事実でございます。総理大蔵大臣も、破産手続は時間がかかるとおっしゃいます。  今回の処理スキームより早く着手できる点では、破産の方がすぐれていると思います。また、その後の債権回収のための権限も、破産管財人の方が住専処理機構より極めて強力である、このように思います。  住専処理スキームは、国会の審議を経て予算を通した上、さらに法案の成立がなければなりません。しかし、現在その法案さえいまだ提出をされておりません。そして、法律施行の後には、上場会社二社も含めまして、住専七社について株主総会の決議を得なければ処理は始まりません。実際、この決議を得ることは極めて難しい。  この決議は商法上の特別決議でございまして、株式の過半数を有する株主が出席する株主総会で、議決権を有する三分の二以上の議決権で決議をしなければならない、三分の二以上の賛成を要するということでございます。  また、決議を得たといたしましても、処理機構に権利の移転の手続に大変な手間と費用がかかります。破産の場合はその点は全く問題がないわけであります。株主総会の決議も不要でありますし、破産すれば何らの手間を要せずすべての権利が破産管財人の管理下に法律上直ちに置かれるか らであります。株主総会では恐らく、決議をする前に経営陣の責任などへの追及もされまして、紛糾するでありましょう。何回も何回も株主総会を開かなければできない、こういう状況が当然予想されるわけであります。  確かに権利の移転につきましては、登録免許税等は免除をするというふうに言われておりますが、しかし、所有権の移転等をしなければならないはずでございます。それから、債権の譲渡の通知もしなければなりません。膨大な事務量と費用がかかります。破産管財人の場合はそのようなものは一切必要はありません。また、債権回収の権限も破産管財人の方が強力であります。  まず、法的権限が破産法により特に与えられておりまして、債務者の行為を法律上否定し、効力を失わさせる否認権も破産管財人にはあります。これに対し処理機構は、これらの権限が全くございません。法案を新聞報道で見ましたが、そのような規定はない。これは、債権回収のためには重大な欠陥であります。  もう一つは、破産管財人には弁護士がつきます。法律の専門家であるだけでなく、庶民のために日常的に暴力団とも闘っている弁護士の豊かな経験は他の人々にはかえがたい力でありまして、そのノウハウは、債権回収のためには絶対の力を発揮いたします。  これに対し、処理機構は住専の社員の再就職先でしかなく、これらの人々には失礼ですが、債権回収能力は弁護士たる破産管財人に比べ極めて弱く、また、暴力団に対しては無力と言ってもよいかもしれません。また、住専の元社員が債権の回収に当たれば、債務者はこれまでの住専とのさまざまないきさつ、関係や事情を持ち出し、返済に容易に応じてこないだろう、これも当然推測されることでございます。  もちろん、住専処理機構が弁護士を雇用することを当然お考えではありましょうが、破産管財人たる弁護士の立場と、処理機構の代理人たる弁護士の立場を比べたとき、破産管財人の方が先ほど申し上げました否認権など権限が強いため、交渉の際も立場が強く、したがって、任に当たる弁護士の意識も質的に相違するものであります。  こういう点から考えますと、圧倒的に破産管財人の債権回収の方が有利なわけであります。  破産手続には時間を要するということを言われます。破産手続そのものに時間がかかるわけではありません。破産による債権回収でも裁判などを提起しなければならないわけでありますが、その裁判が長引くために、時に破産処理に数年を要することもあるわけであります。  しかし、これは処理機構も全く同じであります。処理機構だから裁判が早く進むというわけではありません。しかも、処理機構では十五年間もかけて処理をするスキームであります。破産で十五年間も要するということは通常考えられません。通常は数年、これが我々の一般の相場でございます。あの豊田商事の破産ですら五年で終わっているわけであります。  このように住専処理のためには破産の方が圧倒的にすぐれているのに、なぜ大蔵省は破産より著しく劣った処理スキームをつくったのか。こういう会社の倒産処理の専門家から見まして、全く不思議であります。つくられたスキームは、倒産処理については全くの素人がつくったとしか言いようがありません。我々専門家側から見ましたら、このような処理スキームで処理ができるはずがないじゃないか、このように言わざるを得ないわけであります。そのような欠陥処理スキームを大蔵省がなぜつくったのか、そこに国民は大きな疑問を持っているわけであります。  その理由は、我々国民にはまだわかりません。不思議です。私は、これこそ大蔵省の、大和銀行事件、それに続く大失策だろうと思います。  二月の二日、大和銀行アメリカから放逐されました。日本金融史上の大汚点であります。  私は、昨年末、大和銀行事件の調査のためにワシントン、ニューヨークに行ってまいりまして、アメリカ銀行監督当局にほとんど会ってまいりました。そのときに、彼らは外交的配慮のもとで、言葉は極めてソフトではございましたが、日本大蔵省当局の対応に対しまして厳しい批判をしておいでになりました。四十日間も通報をしない。ある監督当局者は、私たちは自宅の電話番号さえ教え合っているのです、こう言っておりました。何か懸念のことがあったならば夜中でも何でも電話をお互いの家までするというのが日米の金融当局の約束事だ、それなのに四十日間も放置をした、我々の信頼を根底から覆した。心の中は恐らく煮えたぎってみえたのではないかと思います。まさに大失策であります。  そして、今回の欠陥住専処理スキーム、これをつくったことは、私は、それに続く、いやそれを上回る大失策なのではないかと思います。一次損失で六千八百五十億円の財政資金、二次損失は少なく見積もって六千億円、下手をすると一兆、二兆になるかもしれない。その財政資金をどぶに捨てる、いや、結果として暴力団に渡してしまうような結果となる処理スキームには国民のだれもが納得できないのは当たり前であります。  総理、今私は専門家の立場から破産処理の有利な点を幾つか挙げて申し上げました。私のこの説明をそのまま素直に聞いていただければだれでも、じゃ、すぐに破産申し立てしてすぐやろうじゃないか、こういうことに私はなると思うのです。国民が、みんながこぞって反対している今の欠陥処理スキームを無理やり通していくなどというのは為政者たる者がとるべき道ではない。国を過つと冒頭申し上げたのもそういう意味でございます。  ほかに方法がないではないか、早くやりなさい、同感でございます。しかし、ほかに方法はありますというふうに私は懇切丁寧に今申し上げたわけであります。破産管財人が、債権回収会社処理のためには一番強力な現行法上のスキームであります。住専処理機構のシステムはそれを上回るものでは決してありません。権限においてもマンパワーにおいてもはるかに劣るものであります。にもかかわらずこれを無理やり進められるのでしょうか。いかがですか。
  176. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず初めに、誤解があろうかと存じますので申し上げますが、今回の措置によって暴力団に渡ってしまうという御指摘がございましたが、今回の措置は、住専を清算いたしまして住専処理機構に譲渡する、そのときの手続を決めたものでございます。そのときに金融機関債権を放棄するということを決めたものでございますが、この債権の放棄というのは住専の債務者に対する債権を放棄するものではございません。むしろ、住専の債務者に対しましては回収を強化するためにいろいろな措置を法律上講じまして、従来のやり方では回収できないようなものも回収をできるようにするということが今回の処理策の大きな目的であることを御理解いただきたいと存じます。  次に、破産手続というものをなぜとらなかったかということでございますが、まず私どもといたしましては、この住専問題は、当然のことながら当事者間の問題であるという出発点から出発したわけでございます。昨年の六月以降、いろいろな場を通じまして、この住専問題については議論を重ねていただきました。その中におきまして、何回か当事者間の話し合いを重ねていただくようなプロセスも用意したわけでございます。当然その当事者間の話し合いによる選択肢の一つとして破産という手続もあったわけでございますが、残念ながら、そのような方策をとるということで関係者の間で合意に至らなかったということもあるわけでございます。  その理由といたしましては、恐らく、仮に破産事案になりますといたしますと、総額十三兆円にも達するような案件になるわけでございますが、私の承知するところ、過去におきます最大の破産事案の債務総額は四千百億円だったと承知をしておりますが、その三十倍にも上るような案件を破産処理をするということは、現実には非常に難しいことでございますし、また、経済、社会に与え る影響というものもはかり知れないものがあるのではないかと考えるわけでございます。  なお、先ほど破産手続の方が早いという御指摘がございましたけれども、十五年という問題は、先ほども答弁申し上げましたように、現在の住専住専の債務者との関係の整理を最大十五年かけて行おう、こういうことでございまして、この破産手続かどうかという問題は、金融機関とその借り手である住専との関係をどのように整理するか、こういう問題でございます。この問題につきましては、現在提案しておりますスキームが成立いたしますならば直ちに実行できる、そこで完了するわけでございますので、その問題と十五年の問題というものは、一応分けて御理解いただきたいと存じます。
  177. 平田米男

    ○平田委員 四千百億円が今まで最高なのでそれの三十倍だなんという、わかったようなわからぬようなことをおっしゃっていますが、この会社は七つの会社です、一つ会社ではありません。だから、また三十倍なんというごまかしを言わないでください。今回のスキームで一番のごまかしは、住専と言って七つの会社一つ会社のように言っている、これがまず一番目のごまかしですよ。四千百億円、それは物価がどんどん上がったんですから、金額が上がるのは当たり前です。手間がかかるのは債権者の数と債務者の数と不動産の数、これだけなんです。金額ではありません。まさに素人の説明をしているんです、局長は。だから素人がつくった処理スキームだと申し上げているわけであります、失礼ながら。総理、いかがですか。
  178. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、委員の御意見を拝聴をいたしました。そして、専門家としての御意見であるというその御意見はなるほどと思います。  しかし、政府として議論をいたしてまいりましたその結果の判断を今世に問うております。そして私どもは、その金額とかいうこと以前に、非常に数の多い、まず関係する金融機関も非常に多い、そしてまさに住専一つに言うことがけしからぬと委員がおっしゃるように、住専七つのそれぞれに多くの関係者があるわけですが、非常に資金的に深いあるいは緩いさまざまな関係もあります。そしてこの七つの住専というものに共通する資金供給者として、農協という一つの存在がございます。系統金融というものがございます。こういうものを全体に処理していく上で、我々は、この方が望ましいという判断をし、国会に御論議を願おうとしておるわけであります。
  179. 平田米男

    ○平田委員 それは総理、わかりますが、それはもう既定の方針だからと、そういう御趣旨でしょう。だから世に問うてください。世に問うて、皆さんは反対しているわけじゃないですか。そして、今私の専門家としての意見が、なるほどというふうにお思いになった。虚心坦懐に聞いていただければそれが一番いいのです。ぜひ私はもう一遍考え直していただきたい、心からお願いを申し上げます。  これは、何もお金だけの問題ではありません。冒頭に申し上げました、まさに日本という国、日本人という、国をつくっているのはシステムでも何でもありません、国民の心です、誇りです、倫理観です。目に見えませんが、しかしこれが一番極めて重要です。それを突きますような今の処理スキームは、私は絶対やるべきではない。国を過つ。ぜひ深く御理解いただきまして、考え直していただきたい。過ちを過ちと気づかれることこそ私は賢明だろうと思います。  ちょっと角度を変えてお伺いいたしますが、処理スキームでは、住専処理機構は住専七社から債権の譲渡を受ける、このようにいろいろ説明を聞いておりまして理解をいたしました。なぜならば、理解をするというのは、私ども、法案の説明は事前にくどいほど説明に来ていただくのですが、今回の処理スキームは全くと言っていいほど説明がありませんでした。私は何度もお願いをいたしましたが、大蔵省はほとんど来てくれませんでした。ですから、推測するしかないというふうに申し上げざるを得ないのですが、住専処理機構は住専七社から債権の譲渡を受ける。受けるとするならば、幾ら債権幾らで譲り受けるのですか。まずそこから教えていただけますか。
  180. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専全体で現在約十三兆円の資産を持っておるわけでございますが、その額面を現在価値に評価をいたしまして譲り受ける、こういう構想になっております。
  181. 平田米男

    ○平田委員 現在価値は決まっておりませんか。
  182. 西村吉正

    ○西村政府委員 現在価値と申しますのは、ロスになると見込まれております六兆四千百億円を評価減をした部分というふうに基本的にお考えいただきたいと存じます。
  183. 平田米男

    ○平田委員 ということは、十三兆でありますから、残りは六兆六千億円ぐらいでお買いになる、こういうふうに理解していいのでしょうか。もうちょっときちっと説明してください、国民が聞いているのですから。そんな何回も何回もやりとりするのは時間のむだですよ。だっと説明するのが責任者の立場じゃないですか。ぽつぽつぽつぽつやらないでください。
  184. 西村吉正

    ○西村政府委員 国が負担をいたします六千八百億円及び系統金融機関が贈与をいたします五千三百億円につきましては、住専処理機構に受け入れた上、処理をすることになろうかと存じますので、したがって、その処理住専処理機構に譲り渡した後に行われることになると思います。
  185. 平田米男

    ○平田委員 なかなか余り説明したくないという御態度なのでやむを得ませんが、しかし、今国民はこれを知りたいのですよ。総理大蔵大臣も、情報開示はきちっとやる、説明します、理解をしてもらって、納得をしてもらって、こうおっしゃっていますが、今のような西村銀行局長説明では納得のしようがないのです。どういうことですか、これは。ここでやりとりしていても仕方がない。  要するに、説明したくないというふうに理解をした上でお伺いしますが、譲り受ける債権は十三兆であります。そして、回収不能債権とそして欠損が合わせて六兆四千百億円。これを差し引いた残り約六兆六千億円で十三兆の債権を買う、こういう御説明でございました。  じゃ、買った残りの債権の中身はどうなっているのかというのを見ましたならば、正常債権が三兆五千億円、回収困難債権二兆円。これは一部、二次損失も出る。そして、ほぼ回収不能債権が一兆二千億円。この半分、六千億円は財政資金で賄いましょうといってもう既に決めているわけでありますから、もうこれは回収できない、一兆二千億円はもう回収できないということは現にわかっているわけであります。  さてそこで、回収できない一兆二千億円は幾らで譲り受けるのですか。今のお話ですと、まさに額面どおりの一兆二千億円で譲り受けるということではありませんか。回収不能であるというふうに、ほぼ回収不能であるとわかっている一兆二千億円の債権を、だれが一兆二千億円も出して譲り受けるのですか。こんなばかな話はないですよ。住専処理機構は株式会社だそうですが、社長はだれになるんでしょうか。もし社長がそれをやったとしたら、これは背任罪ですよ。無価値の一兆二千億円の債権を一兆二千億円も出して住専から譲り受ける、こんなことができますか。そうじゃないですか。わかりやすく説明できますか。
  186. 西村吉正

    ○西村政府委員 もう一度御説明申し上げますと、譲り受けますのは、正常資産が約三兆五千億円でございます。さらに、回収見込み資産が約三兆三千億円ございます。今委員の御指摘の約一兆二千億円というのは、恐らくその回収見込みと申し上げたうち損失が発生するのではないかというふうにお考えのもとに御質問があったのだろうと思いますけれども、私どもは、先ほど御質問にお答えいたしましたように、この部分の評価と申しますのは、例えば担保不動産の処分によって回収するというような部分のうち担保評価額の三割に相当する部分、そういうものを主として見込んでおる、こういうことでございます。  したがいまして、路線価に基づくこの担保の回 収が予定どおり行われますならば、それは生じないということでございますし、また債権の回収そのもの、全体の債権の回収そのものについても強力な体制をしきまして、極力債権の回収に当たり、そのようなロスが生じないということに全力を注ぐということで臨む所存でございます。
  187. 平田米男

    ○平田委員 今の話を聞いて、だれも納得しないですわ。  先ほど西村局長は、十三兆の債権を現在価値で譲り受けますと、現在価値とおっしゃった。まず、回収不能債権の六兆四千百億円は頭からもう引く、これはもうそのとおりでしょう。あと残った六兆六千億円の中も、実回収の金額で買うのが現在価値じゃないですか。六兆六千億で買うというなら、これは名目価格で買うというわけじゃないですか。名目と現在価値は違いますよ。  そして、昨年八月に調査をした上で、一兆二千億円はほぼ回収不能であると判断されたわけですから、六兆六千億円の債権は、現在価値は一兆二千億円を少なくとも引かなければならない。すなわち、五兆四千億円の価値しかない。五兆四千億円の現在価値しかない六兆六千億円の債権を六兆六千億円の現金を出して買う、これは犯罪じゃないですか。これはだれが聞いてもおかしいと思います。(発言する者あり)現在価値で買うという答弁が間違いなんですか。
  188. 西村吉正

    ○西村政府委員 今の御質問の前提は、いわゆる二次ロスと言われておりますものが損失になるという前提での御質問のように見受けられましたが、私どもといたしましては、このような損失につきましては、政府と両機構は法律上認められるあらゆる回収手段を迅速的確に展開して住専から引き継いだ資産にかかわる損失を生じさせないよう全力を挙げる、そういう前提で考えているわけでございます。(発言する者あり)
  189. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  190. 平田米男

    ○平田委員 総理債権回収は全力を挙げるのは当たり前であります。大蔵大臣債権回収はいいかげんにやりますなんというのはだれも言わないはずですよ。債権回収に全力を挙げるから、実際価値は五兆四千億円以下の債権が名目の六兆六千億円の価値になるなどということは、我々の常識では納得できません。全く納得できない。国民は納得できないはずですよ。ひとつ納得できる答弁をしてください。
  191. 久保亘

    久保国務大臣 御専門の立場からの御意見でございますが、この債権の回収につきましては、破産処理よりも、今私どもが御審議をお願いをいたしております住専処理機構によります方が、七社を一つにまとめて債権処理ができるというメリットがございます。また、検察、警察との公的な関与、連携につきましても、今度の住専処理機構、預金保険機構を通じてより強力に進めることができると思っております。  今御質問がございましたことは……(発言する者あり)
  192. 上原康助

    上原委員長 お静かに願います。
  193. 久保亘

    久保国務大臣 今この債権の買い取りについてお話がございましたが、これは、買い取ります七社の債権を、例えば不動産等の場合、路線価をもって計算をいたしましたものが、今御指摘のように六兆六千億に近い、六兆六千億前後の評価となっていると考えております。それを実際に処分いたします場合にどうなるかというようなことで、例えば三〇%の減価を見込むというような場合どうなるかというようなことの試算をいたしているのでございまして、今一兆二千億という債権が、その分だけ独立してこれが回収不能になっているというものではございません。
  194. 平田米男

    ○平田委員 全然質問にお答えになっていないんです。  実は、けさ九時に出ました住専問題関連資料の五ページを見てください。お手元にありませんか。ありませんか。朝九時に出ました資料ですよ、新進党要求の——失礼しました。十二時でございます。おわかりになりますか。五ページです。よろしいですか。  そこで、一般行債権放棄額が何で一兆七千億円になるのかという説明をしておいでになります。二ですね、二。二、一般行放棄額一兆七千億円について、その欄の(二)を見ていただきたい。「昨年八月の調査結果により把握された、損失見込額に将来の損失発生懸念額をあわせた額は、七兆五千百億円であった」、こう言ってみえるわけです。六兆四千百億円じゃないんです。大蔵省が認めているのは七兆五千百億円なんです。  これは差額が一兆一千億円でございますが、言われているのは一兆二千億円と言われている。少なくとも一兆一千億なり一兆二千億は、もう大蔵省は回収ができない、こう言っておるわけです。現在額で考えるんだったら、十二兆から七兆五千百億円を引いた残りの金額が現在価格でなければならないわけでありますよ。(久保国務大臣「わかりましたから、こちらにも発言させてください」と呼ぶ)ちゃんと申し上げますから。  ですから、先ほどの大臣の御説明は全く説得力がありません。どうですか、大臣
  195. 久保亘

    久保国務大臣 この五ページの、今御指摘になりました一般行債権放棄額一兆七千億円についての説明の(二)は、これは損失見込み額に将来の損失発生懸念額を合わせた額が七兆五千百億と記載しているのであります。損失見込み額は六兆二千七百億で、六兆二千七百億を損失見込み額とし、そして、将来損失発生が懸念される額をこれに加えれば七兆五千百億ということで、これは明確に区分をしてございます。
  196. 平田米男

    ○平田委員 だから申し上げているんですよ。損失が懸念されているわけですよ。懸念するというのは、ほぼ回収不能だということですよ。それに何でお金を払わなくてはいけないのですかということを申し上げているわけです。百円の価値がもうないと言っているものに百円払う。だれだって、おかしい。一兆二千億円になると、突然、一兆二千億円、ああそれはそうだなという話になるのですか。だれだって納得しませんよ、そんなものは。きちっと説明してください、これは。
  197. 西村吉正

    ○西村政府委員 今御指摘の資料のところに書いてあることでございますけれども、昨年八月の調査結果により把握された損失見込み額、すなわち六兆二千七百億円に将来の損失発生懸念額を合わせた額は七兆五千百億円でございますが、それは、個別の住専ごとに十分の回収努力を行うという前提で担保物件の処分を急いだ場合、路線価の三割程度の安全度を見込み、この部分の回収ができなくなるおそれがあるとの要素を勘案したものであったということでございまして、私ども提出資料でその性格は明らかにしたところでございます。
  198. 平田米男

    ○平田委員 一兆七千億円を一般行に負担してもらうときの計算のベースは、六兆四千百億円ですか。違うでしょう。「七兆五千百億円に欠損見込額千四百億円を加えた額にもとづき修正母体方式を基礎として算定した場合の一兆七千億円の負担について理解を求めたものである。」と大蔵省自身の文書で言っているじゃないですか。一兆七千億円の基礎のときには七兆五千百億円を基礎にし、前提にしながら、お金を払うときは、国民税金を払うときには六兆四千百億円を基準にするなどというのは、とんでもない。これは明確にしてください、明確に。
  199. 西村吉正

    ○西村政府委員 ただいま委員の御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、納税者に御負担いただくものを極力縮小する、すなわち金融機関の御負担をできる限りぎりぎりのところまでお願いをするという見地から、この資料にも書いてございますように、今般、一般行の債権放棄についてぎりぎりの負担を要請し、過去の経緯等をも考慮しつつ、七兆五千百億円に欠損見込み額千四百億円を加えた額を、それを分母として、千四百億円を加えた額に基づきまして修正母体方式を基礎として算定し、一兆七千億円という負担について理解を求めたものでございます。  確かに、これは、分母といたしまして六兆二千七百億円よりも大きいものでございますけれども、これは過去の経緯等も踏まえまして、一般行にぎりぎりの負担を求めるための一つの基礎とし た、こういうことでございます。
  200. 平田米男

    ○平田委員 まさに、西村局長はダブルスタンダードだとおっしゃった。じゃ、一般行の経営陣はこれで株主に説明できますか。株主代表訴訟をされて勝てますか。そんなものを一般行が納得できるのですか。納得できないようなスキームをつくったからこそ、欠陥処理スキームなのですよ。これは明確にしてください。大臣、どうですか。
  201. 西村吉正

    ○西村政府委員 今回のスキームもそうでございますし、第二次再建計画において関係者の間で合意に達したものもそのようなものでございますが、住専の再建、あるいは今回は、住専処理に関しまして関係者がぎりぎりの努力を行う、そういう努力の中で生まれてまいりました一つの答えでございまして、そういう提案を関係者が要請に基づいて受け入れた上で成り立ちますならば、十分に説明ができるものと考えております。
  202. 平田米男

    ○平田委員 これじゃもう納得できません。こんないいかげんな答弁でどうなるんですか、これ。きちっと書面で出してください、わかりやすく。
  203. 上原康助

    上原委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  204. 上原康助

    上原委員長 速記を起こしてください。  ただいまの御質問について銀行局長から答弁いたさせます。西村銀行局長
  205. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもは、今回の処理案を考えるに際しまして、関係者、当事者のぎりぎりの努力をお願いするようなことを考えたわけでございます。  一般行に関しましては、御指摘の七兆五千百億円に欠損見込み額千四百億円を加えた額と申しますのは、すなわち、七つの住専がばらばらに、かつ従来のような形で臨みますならば、場合によっては発生する可能性もある損失ということになるわけでございます。そういうものを母数といたしまして、修正母体行主義で配分したものを一兆七千億円負担をしてもらうことをお願いしたわけでございますけれども、しかしながら、実際にこのスキームが実現をいたしましてこのような回収体制が樹立いたしますならば、そのような七社ばらばらのままの回収体制では実現できないような回収が可能になるであろうということで六兆二千七百億円の損失を見込んで評価をした、そのようなことでございまして、決してダブルスタンダードとかそういうことではないと理解をしております。
  206. 平田米男

    ○平田委員 我々は貴重な時間をいただいているわけでありまして、そのときにわけのわからぬ答弁で、それで時間を浪費されるなんというのは、これは国民の権利の侵害ですよ。我々は国民の代表ですから。今のようなわからないような説明で、どうして私が質問を続けることができますか。  ダブルスタンダードだとはっきり言っているじゃないですか。(発言する者あり)ダブルスタンダードと言いましたよ。片方にはいいことを言い、また片方には別のことを言う、そんなやり方で国民が納得できますか、債権者が納得できますか、債務者が納得できますか。だれもできないですよ。ですから、今どの銀行もまだいまだに納得しないじゃないですか。
  207. 西村吉正

    ○西村政府委員 ダブルスタンダードという御指摘でございますが、私どもといたしましては、住専七社がそれぞればらばらに回収に臨むというような体制、現在の体制と、新たにこのスキームにより実現いたします体制とは違ったものになろうと思っております。それが今回のスキームの目的でもございます。そういう意味では、このようなスキームが実現する以前の段階と以後の段階とは状況が違う、決してそれはダブルスタンダードというものではないのではないかと私どもは考えておるところでございます。
  208. 平田米男

    ○平田委員 今の答弁、めちゃくちゃですよ。体制は一つなんですよ。何が二つなんですか。体制が二つだからスタンダードが二つありますよという説明です、今は。違うんですよ、そんなのは。違いますよ、それは。こんな答弁では質問を継続できません。
  209. 西村吉正

    ○西村政府委員 重ねての御説明で申しわけございませんが、先ほども申し上げたように、今までのような住専の体制で回収に当たり、債権の管理に当たるという状況に比べますと、このスキームによりまして実現した状況は、一歩進んで、債権回収、管理につきまして従来にも増して充実した体制になるように努める、こういうことでございまして、その結果として債権の回収状況が改善されるということを期待するのは決して無理なことではないと考えておるところでございます。(発言する者あり)
  210. 上原康助

    上原委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  211. 上原康助

    上原委員長 速記を起こしてください。  再度、西村銀行局長答弁いたさせます。西村銀行局長
  212. 西村吉正

    ○西村政府委員 お答え申し上げます。  今回の住専処理策の策定に当たりましては、六兆二千七百億及び欠損見込み額千四百億円を加えました六兆四千百億円の負担をどのようにするかということについて、関係者のぎりぎりの努力をそれぞれに対して求めたところでございます。  御承知のように、母体行については、債権の全額放棄をお願いを申し上げているところでございます。一般行については、同じような考え方のもとに過去の経緯等をも考慮しつつ、七つの住専がそれぞれ個々に債権回収、管理に当たりました場合には、発生の可能性も予想される七兆五千百億円というものを母数にいたしまして、いわゆる修正母体行方式によりまして負担額一兆七千億円を要請したところでございますが、他方におきまして、この新しい構想が実現いたしますならば、従来の体制よりも債権の管理、回収という点について格段の充実が図られると考えられますので、その場合に発生いたします損失の見込み額を六兆二千七百億円と置いておる、こういうことでございます。
  213. 平田米男

    ○平田委員 私は、国民がきちっと納得できるようにこの状況を整理をしていただきたいと思うのですよ。  まず、大蔵省説明では、十三兆のうち六兆四千百億円はもう全く捨てざるを得ない、こうおっしゃいました。あと残り六兆六千億円をその現在価値で買う。幾ら払うんですかと言ったら、六兆六千億円だ。しかし、一兆二千億円は実際上回収できないんじゃないですか。回収できないものを何でお金を払うんですか。これはまず国民が納得できません。これが第一。  無価値のものに何で一兆二千億円も出すのか。そうしたら、七社で回収するよりも一つ住専機構で回収をした方が効率がいい、だから一兆二千億円払うんです。回収がいいというあなたの仮定を、大蔵省の仮定を前提にいたしましょう。前提にしたとしても、一兆二千億円丸々損失になる可能性があると考えたものが、今度は逆に一〇〇%回収できるなどというふうに考えるのは非常識。そんな非常識な説明は、国民が納得できません。これが二点目。  それからもう一つ、三点目。一般行は、六兆四千億円を基準にではなくて、七兆五千億円を基準にして自分たちの負担を決められてしまった。どうやって株主に説明をしたらいいのですか。ぎりぎりの、ぎりぎりのと、ぎりぎりぎりぎり言いますが、そんなことでは株主は納得できない。いや、経営者としての忠実義務違反、これを乗り越えることはできない。これが三点目。  そして四点目は、なぜこんなに二つに分けたんだ。もう既に二次損失まで半分負担するという話までつけているというふうに大蔵省は明らかにしている。なぜ六兆四千億円を最初基準にしたのか。いや、国民の負担を少ないようにするためですという、そういう白々しい説明をした。何を言うのですか。後から最低六千億円、いや一兆円、二兆円という予測もできない財政支出というのが待ち構えているのじゃないですか。国民から見れば、まさに国民の目をごまかすために六兆四千億 円を基準にしたとしか言いようがない。国民のためとはまさに白々しい。そういう意味で私は納得できない。これが四番目です。  この四つについて明確に御答弁いただかない限り、次の質問には移れません。
  214. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほどから御説明申し上げていることでございますけれども、今回の住専処理に際しましては、関係の金融機関、これは系統の金融機関の方も含めまして、この六兆二千七百億円及び欠損見込み額千四百億円を加えました六兆四千百億円という穴をどのようにして関係者の間でぎりぎり埋めるかという努力を、最後の段階まで模索したわけでございます。この模索をするプロセスにおきまして、もとより関係者の方々ともお話をしつつ、関係者の間にはそれぞれ御不満もありましょうし、それぞれの御主張というものもありましょうが、それぞれのお立場を考えながら関係者の間でお話を進めた、その一つの結果がこのような姿になっているわけでございます。  それはすなわち、母体行は全額債権放棄ということでございますが、これも株主の方に対して御説明するのは非常に難しいというか、努力を要することであろうかと思います。それぞれのお立場で関係者の方々を説得をしていただくために御努力をいただくということは当然のことかと思いますけれども、一般行の方につきましては、六兆二千七百億円を母数といたしますような修正プロラタ方式でございますとこの全体のロスを埋めることはなかなか難しい。さらに一層の御努力をお願いするという一つの方法として、先ほど申し上げましたように、七社がばらばらで対処いたしますならば発生する可能性も残されているロスをも含んだものを母数といたしまして、いわゆる修正母体方式で計算をした額一兆七千億円を御負担いただけないか、そのような提案をしたわけでございます。このようなことでございますので、私どもの御説明としては相互に矛盾したものではないと考えております。
  215. 平田米男

    ○平田委員 委員長、もう全く納得できません。だれもが納得できないはずです、今の答弁では。もう質問できません、これでは。
  216. 上原康助

    上原委員長 速記をとめておいてください。     〔速記中止〕
  217. 上原康助

    上原委員長 速記を起こしてください。  西村銀行局長
  218. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほど四点について御質問があったと理解をしておりますが、まず第一点は、一兆二千億は無価値であるという御主張だったと思います。私どもは、それは、先ほど来申し上げておりますように、今回のような回収体制を講じますならば回収が可能な部分であって、決して無価値なものではないという前提で今回の処理案を策定しておりますということでございます。  第二点でございますが、一つにした方が効率的であるということであったが、それは理解できないという御質問であったように理解をいたしました。私どもは、住専七社がそれぞればらばらに対応するよりも、今回のような処理機構を設立いたしまして、共通する債務者に対しまして法的な処理をも可能にするような今回の体制によって債権の回収に当たりますならば、こちらの方がはるかに効率的な債権の回収を図ることが可能ではないかと考えておるところでございます。  第三点といたしまして、一般行の負担一兆七千億円の計算をする上で七兆五千百億円を計算の根拠とするということは、株主に対して説明がつかない、こういう御質問だったように理解をいたしておりますけれども、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、今回の住専処理に際しまして、母体行、一般行、系統、それぞれのお立場でぎりぎりの努力をしていただく、そういう工夫の中で、母体行には全額債権放棄という非常に重い負担をしていただきました。  一般行につきましても、従来の経緯にかんがみまして、単なる六兆二千七百億円を母数といたします修正プロラタ方式にとどまらず、七社がばらばらで対応していた場合には発生する可能性も見込まれる損失額、より大きな損失額を母数としたものを基準にして計算をした額、一兆七千億を御負担いただくことをお願いした、それを一般行のお立場で受け入れていただくことをお願いしたということでございまして、株主の方々に対してもそういうような金融システム全体のことをも考慮した今回の解決策を御納得いただくように、一般行の経営者の方々にもお願いしておるところでございます。  第四点は、なぜ二つに分けたのか、基準をなぜ二つに分けたのか、こういうことでございますが、基準を二つに分けたと申しますよりも、それぞれのお立場において最大限の努力をしていただくための負担額を算出する工夫をいたしましたということでございます。  基準が違うという意味では、母体行の方々も全額債権放棄というまた別の観点に立ったぎりぎりの努力をしていただいておるわけでございまして、それぞれのお立場での算定の根拠がいろいろな工夫を凝らされているということは御理解いただきたいと存じます。
  219. 平田米男

    ○平田委員 要するに、ぎりぎりとか、何とか納得していただきたいとか、そういうような情緒的な話を今我々はしているわけではありません。国民の血税を使うというのは、極めて透明な論理でなければならない。今の説明は、全く非論理的です。こんなことで、私たちは国民の代表として、これは質疑ですから、質問に対してきちっと、疑問に対してきちっと明確に論理的にお答えになるのが行政側の責任でありましょう。それを放棄しているんじゃないですか。義務を果たしていないんじゃないですか。そんなことでどうして私たちが、国会議員としての責任は果たせませんよ。  委員長、議会として、委員会として、きちっとした答弁を求めてください。これ以上同じような答弁の繰り返しては、私の持ち時間を浪費するだけでありまして、私は、この答弁の繰り返しては、もう質問することができません。
  220. 上原康助

    上原委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  221. 上原康助

    上原委員長 速記を起こしてください。  質問者の御疑問の点について、政府に重ねて精査をさせますので、その間、しばらくお待ちください。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  222. 上原康助

    上原委員長 速記を起こしてください。  長時間お待たせして、残念に思います。  平田米男君の残り質問時間は留保することとし、きょう御指摘のあった御質問の疑問点については、仮議事録を精査の上、明朝、政府から答弁をいたさせます。  次回は、明六日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十九分散会