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1996-01-30 第136回国会 衆議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年一月三十日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 桜井  新君 理事 近岡理一郎君    理事 深谷 隆司君 理事 保利 耕輔君    理事 今津  寛君 理事 草川 昭三君    理事 野田  毅君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       相沢 英之君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    小澤  潔君       越智 伊平君    越智 通雄君       菊池福治郎君    久野統一郎君       小杉  隆君    後藤田正晴君       佐藤 剛男君    高鳥  修君       谷川 和穗君    原田  憲君       武藤 嘉文君    村岡 兼造君       村山 達雄君    谷津 義男君       山崎  拓君    与謝野 馨君       若林 正俊君    安倍 基雄君       愛野興一郎君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       川島  實君    左藤  恵君       斉藤 鉄夫君    笹川  堯君       谷口 隆義君    平田 米男君       松岡滿壽男君    山口那津男君       山田  宏君    米沢  隆君       今村  修君    佐々木秀典君       坂上 富男君    田中 昭一君       細川 律夫君    横光 克彦君       錦織  淳君    松本 善明君       矢島 恒夫君    海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  橋本龍太郎君         法 務 大 臣 長尾 立子君         外 務 大 臣 池田 行彦君         大 蔵 大 臣 久保  亘君         文 部 大 臣 奥田 幹生君         厚 生 大 臣 菅  直人君         農林水産大臣  大原 一三君         通商産業大臣  塚原 俊平君         運 輸 大 臣 亀井 善之君         郵 政 大 臣 日野 市朗君         労 働 大 臣 永井 孝信君         建 設 大 臣 中尾 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     倉田 寛之君         国 務 大 臣         (内閣官房長官) 梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄開発庁長         官)      岡部 三郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      田中 秀征君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 秀直君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 岩垂寿喜男君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 鈴木 和美君  出席政府委員         内閣参事官   安富 正文君         内閣参事官   藤井  威君         内閣官房内閣安         全保障室長   三井 康有君         内閣法制局長官 大森 政輔君         内閣法制局第一         部長      秋山  收君         国際平和協力本         部事務局次長  伊藤 康成君         警察庁刑事局長 野田  健君         総務庁長官官房         長       河野  昭君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         防衛庁参事官  澤  宏紀君         防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君         防衛庁人事局長 大越 康弘君         防衛庁装備局長 荒井 寿光君         防衛施設庁長官 諸冨 増夫君         防衛施設庁総務         部長      大野 琢也君         防衛施設庁施設         部長      小澤  毅君         防衛施設庁建設         部長      田中 幹雄君         経済企画庁調整         局長      糠谷 真平君         経済企画庁総合         計画局長    土志田征一君         経済企画庁調査         局長      澤田五十六君         科学技術庁科学         技術政策局長  落合 俊雄君         科学技術庁科学         技術振興局長  沖村 憲樹君         環境庁長官官房         長       田中 健次君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         外務省総合外交         政策局長    川島  裕君         外務省総合外交         政策局軍備管         理・科学審議官 河村 武和君         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省北米局長 折田 正樹君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵大臣官房総         務審議官    武藤 敏郎君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁次長   若林 勝三君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省初等中等         教育局長    遠山 耕平君         文部省学術国際         局長      林田 英樹君         文化庁次長   小野 元之君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君         水産庁長官   東  久雄君         通商産業大臣官         房審議官    横川  浩君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省通信政策         局長      山口 憲美君         労働大臣官房長 渡邊  信君         労働省職業安定         局長      征矢 紀臣君         建設大臣官房長 伴   襄君         自治大臣官房長 二橋 正弘君         自治大臣官房総         務審議官    湊  和夫君         自治省行政局長 松本 英昭君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局民事局長  石垣 君雄君         参  考  人         (日本銀行総         裁)      松下 康雄君         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 一月三十日  辞任         補欠選任   志賀  節君     久野統一郎君   武藤 嘉文君     佐藤 剛男君   村岡 兼造君     山崎  拓君   前田 武志君     米沢  隆君   山口那津男君     斉藤 鉄夫君   佐々木秀典君     横光 克彦君   不破 哲三君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   久野統一郎君     志賀  節君   佐藤 剛男君     小杉  隆君   山崎  拓君     村岡 兼造君   斉藤 鉄夫君     山口那津男君   米沢  隆君     鮫島 宗明君   横光 克彦君     佐々木秀典君 同日  辞任         補欠選任   小杉  隆君     与謝野 馨君   鮫島 宗明君     前田 武志君 同日  辞任         補欠選任   与謝野 馨君     武藤 嘉文君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  平成八年度一般会計予算  平成八年度特別会計予算  平成八年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  平成八年度一般会計予算平成八年度特別会計予算平成八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米沢隆君。
  3. 米沢隆

    米沢委員 私は、新進党を代表いたしまして、橋本総理を初め関係閣僚皆さんに御質問させていただきます。  冒頭、質問に入ります前に、橋本総理並びに全大臣に御就任のお祝いを申し上げたいと思います。戦後五十年を経て、今内外ともに大変革を求められている多事多難のときでありますが、我が国進路過ちなきように皆さんの御健闘を切望してやみません。  さて、今国会は、あと一段の景気対策をどうするかという問題や、我が国の現在と将来がかかっております経済構造改革問題や財政改革行政改革税制改革、当面特に重要な沖縄基地の問題、日米安保問題、そして、この寒空のもと依然として不自由な生活を強いられています多くの阪神大震災被災者皆さん生活再建をどう考えるか、当面する数多くの重要課題が山積しているときでありますから、本来ならば国政全般にわたり質問いたしたいところでありますが、今国会はいわば財政民主主義の基本にかかわる住専予算が計上されておりますので、まずはこの住専問題一点に絞り政府の見解をただしてみたいと思います。国民の最大の関心事でもありますので、国民皆さんが納得いくよう、誠意ある答弁を求めます。  昨年来、住専処理のために国民税金が使われる、このことを知りまして、世論は怒りと非難のブーイングで沸きました。私は当然のことだろうと思います。連日のマスコミ報道で、バブルに踊り、乱脈融資の限りを尽くしてついに破綻に至った住専実態おぼろげながら国民は知り、住専に関与した人々の無責任ぶりに唖然としていたやさきに、責任の所在も処理すべき不良債権実態も明らかにされず、なぜ赤字国債を発行してまで我々の税金を投入しなければならないのかという情報開示説明もないままに、突然、思いもかけなかったしりぬぐいのツケ国民に回ってきたからであります。  なぜでたらめ放題住専赤字を、借りて返さぬ人の帳じりを税金で埋めねばならないのか。なぜ六千八百五十億という大変大きな金額なのか。聞けば、まだまだ負担が大きくなるというではないか。聞けば、住専銀行と違って預金者もいない単なる民間金融会社、いわばノンバンク。ならば、政府民間企業破綻に介入することもないし、損失関係する当事者同士で片づけるのが当然なのではないか。それがなぜできなかったのか。なぜ税金を使わねばならぬのか。民間が倒産したときに政府の金が一銭でも出たことがあるのか等々、非難ごうごうの大合唱となりました。これが国民の率直な声だと思います。  先般、私のところに、阪神大震災に遭って友達を亡くした大学の学生から手紙が来ました。るるいろいろと書いてありますが、要点だけ読んでみたいと思います。  道路や鉄道の復旧には熱心でも、庶民の暮らしの再建に冷淡な政治の仕打ちにもいろいろ耐えてきました。しかし、もう我慢ができません。必死に生きる私たちをせせら笑うかのごとく、信じがたいことが起きたからです。政府による住専処理の問題です。震災復興について、個人財産補償はしないという国の方針を私たち被災者は聞かされてきました。しかし、民間企業にすぎない住専には一兆二千四百億もの公的資金が投入されようとしているのです。神戸には仮設住宅等に住む人が約九万人います。震災で失った家を新たに建てようにも、高齢者ローンも組めません。銀行は門前払い、国からは満足な援助もありません。第一、高齢者には職もないのが現状です。既に家は取り壊され、跡形もなくなってしまったのに、その家に残っていたローンを延々と払い続けながら仮設住宅に住む人もいます。庶民が背負うローンは全く消えないのに、なぜ住専不良債権は国が肩がわりするのでしょうか。何という矛盾でしょう。ここに庶民の目から見た不公平、不平等きわまりない政治を感じるのです。  彼は、ボランティアで知った仲間と一緒に、住専処理反対署名運動を起こしたといいます。予想を上回る神戸市民の反応に自分自身驚いていますとも書いております。住専処理の問題に、私たち被災者は怒り、嘆き、悲しんでいます、どうか私たちの切実な声を聞いてもらいたいという手紙でございます。  今、るるお話を申し上げましたが、まさに庶民の憤りは正直な声であり、そして皆さん方が幾ら金融不安あるいは信用秩序維持を叫ばれても、どこか国民の間に理解しがたい大きな溝が横たわっているということを言わなければなりません。  総理国民の率直な批判をどう受けとめておられるのか、まず御答弁いただきたい。
  4. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 ただいま阪神淡路大震災の中からの切実な声を御紹介になりながらの御意見をちょうだいをいたしました。そして、そうした声は、この職につきました時点から、私自身の手元にもさまざまな方からちょうだいをいたしております。  そして、阪神淡路大震災復興に向けての努力というものは、今日までも政府としては一生懸命に県あるいは市、町と御相談をしながら、その復興計画に対する協力を続けてまいりました。その姿勢は、これからも当然のことながら変わるものではなく、復旧から復興への段階になりました今日、一層、兵庫県を初め関係の市、町とも御相談をしながら努力を進めてまいりたいと思います。そして、御指摘のありました仮設住宅の、将来その期間が切れたときという不安の声も、私自身ちょうだいをいたしておりました。そうした問題については、一生懸命これからも努力をして、復興に向けての御協力を続けてまいりたいと思います。  一方、今回政府が決定をいたし、国会提出をし、御審議をお願いをいたしております予算案の中につき、その住専処理についての公的資金投入について厳しい御指摘をいただきました。  私は、関係者全員が一生懸命慎重の上にも慎重に議論をし、その結果として公的資金投入やむなしという決断を下したものと理解をいたしておりますが、その間、逆に、その真剣な議論に時間をかけておりました間、情報開示がおくれる、不十分だと今もおしかりをいただいていることは、私は大変申しわけなく思いますし、そのとおりその言葉には耳を傾けていくべきものだと考えております。  ただ、議員承知のように、現在、世界経済全体の中におきまして日本経済というものの持つ大きさをお考えいただきますとき、日本のこの不況の状況をこれ以上長引かせることはできず、我々としては何としても景気回復軌道に乗せなければならない。国内経済として当然のことでありますけれども、外からそうした声も受けております。  そして、その間におきまして、昨年の例えば大和銀行のような問題もございまして、日本金融機関に対する、また金融システムに対する信頼が大きく揺らいでおります。国内においても、幾つかの信用組合等破綻の中で、国民から厳しい御批判を浴びてまいりました。この金融システムというものを再建し、信頼を回復していきます上には、不良資産処理という問題は避けて通れない課題でありますし、その中における象徴的な問題としての住専処理というものは、私どもはこれ以上先延ばしにできるものではないと考えております。  その中におけるぎりぎりの選択というものが今回御提示をいたしました考え方であり、その議論の時間の経過の中で情報開示がおくれましたことはおわびを申し上げますし、政府としては、国会が開催されますまでにもできる限りの資料提出に努めてまいったつもりでありますが、公的な資金を投入いたします以上、その求められる資料というものには最大限我々は応じていく責任があろうか、そのように考えております。
  5. 米沢隆

    米沢委員 私たちも、この住専処理を初め我が国の抱える不良債権をどう処理していくか、そのことが我が国経済にどう重要な影響を持つのか、当然わかっているつもりでございます。ただ、我々は今度の住専処理に対して、税金を導入しなければこの処理スキームはできなかったのか、そのことを問うているわけでございまして、当たり前のごとく税金が入って、何か税金を導入しないと信用秩序維持できないかのごとき議論が余りにも多過ぎる、そのことを私はまず指摘をしなければならぬと思うのでございます。  そもそも住専問題とは一体何か。釈迦に説法でございますが、住専とは、昭和四十年代後半大蔵省の肝いりで設立された日本住宅金融など大蔵省直轄民間金融会社で、もともとはサラリーマン向け住宅ローンが目的でありました。しかし、昭和五十年代に入りまして、住専をつくった母体行に個人住宅金融分野を侵食されて、個人住宅金融分野から不動産建設分野金融に転向を余儀なくされて、マンション、ビル建設融資に傾斜していったのは歴史の事実でございます。平成二年三月、大蔵省不動産融資に関する総量規制を打ち出してから、それを逃れた住専は、農林系金融機関から借りまくって、それを不動産業者へ貸しまくって今日の破綻の原因をつくったわけでございます。  一方、従来の枠を超えた不動産融資規制された都市銀行などは、規制の対象から外れた住専に特に危険な融資を押しつけ、中には暴力団に近いとうわさされる企業への融資をあっせんする銀行のケースも暴露されております。その結果が八兆円を超える不良債権の山となり、そして今日の破綻を迎えたということでありまして、そして、これを清算するに当たり、六兆四千百億円に及ぶ第一次損失見込み額処理するために、政府は、信用秩序の安定を名目に、国民税金六千八百五十億円を投入しようというのが事のてんまつだと思います。  もう一回お尋ねをしますが、今のてんまつをお聞きいただいて、いわば乱脈融資による経営破綻ツケをなぜ国民の支払いに回してこなければならぬのか。嫌だと言ったらどうなるんだ。だれの責任になるんですか。これが第一点。  住専をつぶした戦犯はだれ一人責任をとらず、いや、互いに責任をなすり合って出てきたのが突然の六千八百五十億円ではなかったのか。六千八百五十億円はだれがどこでどのような根拠で決めたのか。いまだ肝心の情報開示は、先ほどから総理お話がありますように、肝心な情報開示はなされておりません。だれが責任をとらねばならぬのか、破綻に至る経緯も情報開示はありません。ただマスコミがそれぞれ調べて書いていただいておるだけでございます。六千八百五十億円を国民に納得させるために、政府は一体何をされているんですか。どういう情報公開をされているんですか。あのような情報開示の程度でわかれと言うんですか。総理にお伺いしたいと思います。  私は、この問題は納税者の目線を大事にしなければならぬと思うんです。その意味で総理に、住専問題の本質をどう認識されておられるのか、何か手順を間違った、本末転倒ともいうべき提案をなさっているとは思いませんか、総理のこれは見識を問いたいと思います。  そして、冒頭言いましたように、口を開けば信用秩序維持をするということでございますが、何かこの住専で無理やり税金を使わなければ信用秩序維持できないのでしょうか。何も税金を使わなくても、当事者同士で六兆四千百億円を埋めてもらえばいいことでしょう。これでも信用維持はできるはずです。何か行政に後ろめたいことでもあって六千八百五十億円出さねばならないことになったんでしょうか。  総理に所信を求めます。
  6. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず、順序をひっくり返してお答えして恐縮でありますけれども、六千八百五十億円を拠出ずることが後ろめたいからという仰せは、私は大変心外であります。たしか私が記憶しておるところでは、御党におかれましても、参議院選の当時の公約の中には、公的資金の問題に触れておられた時期があったように思います。(発言する者あり)触れておられた。(発言する者あり)公的資金と申し上げたわけでありまして、ですから、税金ということでないと仰せならば、それは大変申しわけありません、取り消します。  その上で申し上げますが、今まさに委員仰せられたように、当事者間での論議にぎりぎりまでの努力を尽くした結果、どうしても不足する部分公的資金で埋めようということに議論が帰着したということでございます。  そして、民間同士の話ではないかと言われれば、確かにそういう部分がございます。しかし、例えば、破産法に基づいて平成四年に起きました事件の決着が図られまして、まだ解決がついておらないといった、時間が非常にかかるという問題もございます。こうした問題の解決を後に延ばせば延ばすほど、全体の影響は大きくなり、担保が劣化する等さまざまな問題があることは議員承知であろうと存じます。  政府の中において昨年のたしか六月ごろからこの問題の解決を急ぐべく論議が開始されていた。それ以前からの検討はもちろんありますけれども、幾つかの金融機関破綻で、非常に苦しみましたけれども金融システムの中に横たわっていた幾つかの大きな問題がむしろ表に出た。残っている大きな問題として、この住専の問題を先送りする状況ではなかったということから、昨年の夏以降随分真剣に議論が進められてきたと承知をいたしております。  必要でありますならば、大蔵大臣なり事務方の諸君から、そのプロセスについては御説明を申しげさせていただきますが、私は、今申し上げましたように、十分な、慎重な議論の結果出てきた選択ということを申し上げさせていただきたいと思います。
  7. 米沢隆

    米沢委員 今の御答弁は全然納得できません。  例えば、破産等に訴えれば時間がかかる、それは少々かかると思います。ただ、この住専の問題は、きのうきょう出てきた話ではなくて、根は深いのでございます。  昨年一年間、私は、ちょうど六月ぐらいから相当マスコミ報道も量がふえてきたと思っておりますが、政府におかれてはこの問題は既に数年前からわかっていた話で、本当にこの解決のために何かをしようとするならば、もっと真剣にできた時間は何ぼでもあったと思うのです。  昨年も、この住専を初めとして金融問題について特別委員会をつくって議論をしましょうやと我々は言い続けてきた。ところが、残念ながら、いろいろな委員会ですればいいじゃないかという話で、結局責任論についてもあるいはどういう処理スキームをつくったらいいのかという議論についても、ほとんど皆さんはこたえない。今頑張っています、大変な問題だと思っていますと言うだけで、踏み込んだ議論をしないままに、ほとんど実りのない議論を結局してきたようなむなしさも現にあるわけでございます。  そしてあなた方は、宗教法人法そのものが天下の一大事と言わんばかりに、みんなそこに集中してまいりました。本来はこの金融問題という問題がまさに皆さんが拙速でここで提案されるようなものではない重要な課題であるにもかかわらず、放置してきたという責任は私は重いと思うのでございます。  しかし、残念ながらその当時の総理大蔵大臣はそこにおられないのでございます。だから皆さんを追及することはちょっと酷かもしれませんけれども、まさにこの問題は、本当に焦眉の急で時間がないと言うならば、もっとまじめに早くから議論をしなきゃならぬ、時間は何ぼでもあったということを申し上げておきたいと思うのでございます。  さてそこで、財政資金投入に至る経緯についてお伺いしたいと思います。  慶応大学の竹中先生が、新聞にこういうふうに論評されています。今回の処理スキーム合意に至る経緯を見るとき、一言で言うならば、お互いにすねに傷持つ関係者、政治行政金融機関農林系金融機関が、みんなで渡れば怖くないと言わんばかりの露骨な談合決着を図ったものと言える、住専問題の背景にある基本問題を全面的に先送りして政治決着したにすぎない、日本の金融、行政が抱える体質を露呈したという面を強く持っている。けだし卓見だと思いますし、私もまさに同感でございます。  本来なら、金融会社とはいえ、先ほどから申し上げておりますように住専民間企業でありますから、その破綻処理については当事者同士の決着ができないときに法的決着に、手続によって整理をし、そこに金融不安が生まれてくる結果になったときに、そのことを前提にして、将来の健全な金融システムをどう構築するかという観点から処理案をつくるのが当然だと思います。残念ながら今回の処理案は、ただしりぬぐいをしろというだけの結果になっておることに国民は怒っているんだと思うのでございます。  しかし、住専問題にかかわる今日までの経緯の中で、金融当局もどっぷりつかって弱みや後ろめたさもある、母体行も同様、だから農林系統の主張もわからざるを得ないという、まるでダッチロールの中で、超法規的で護送船団方式の延長線で談合決着をせざるを得なかった、これが真実ではないでしょうか。そして、当たり前のごとく財政資金の投入が決定されたというふうに見えるのでございます。乱脈融資によって破綻した住専のしりぬぐいを税金で埋める形でしか提案できなかったということが真実ではないでしょうか。  この点について、整理については、それぞれ折衝された関係もありまして、政府にはこの決着は当たり前だというふうに筋論に見えるかもしれませんけれども、国民は全然納得できません。突然財政資金の導入が決定されて、一体どうなっておるんだというのが本当は国民の率直な気持ちではないでしょうか。  そういう意味で、今回の処理案ができるに至った経緯につき、結局六千八百五十億円の財政資金導入になった経緯につき、処理案をつくる際の考え方につき、そして、この処理案はつくってみたものの何が問題として残されているという問題認識を持っておるかという点について、総理あるいは大蔵大臣に聞かせていただきたいと思います。
  8. 久保亘

    ○久保国務大臣 まず住専問題の処理に当たって考えなければならない問題は、これを早期に処理しなければ、今米沢さんもおっしゃいましたように、金融不安を招来するおそれが非常に大きい。こういう中で、早期に処理するために当事者間の話し合いを進めてもらうということもずっとやってきたわけであります。  その中で、大蔵省が昨年立入調査を行いました結果等にも基づいて、現在住専七社にございます不良債権、いわゆる損失、欠損の総額は六兆四千百億に達することが明らかとなっておりましたので、住専問題の処理をいたしますに当たって、この六兆四千百億をどのように処理をするかということが前提となってきたわけであります。  この処理に当たりまして、当事者間の話し合いも進めていただきまして、母体行には三兆五千億、つまり母体行の融資、債権総額を放棄をしてもらうことになります。それから、一般行につきましては、三兆八千億の現在ございます債権のうち、一兆七千億を放棄をしてもらうことになりました。農協系の金融機関につきましては、五兆五千億の融資が債権として存在するわけでございますが、農協系金融機関の果たしております役割、そしてこの金融機関が持っております体力の限界、そういうものをいろいろと検討をいたしました結果、五千三百億を処理機構に対して贈与の形式で負担をしてもらう、こういうことになりました。  それで、その六兆四千百億の中から、今申し上げました放棄、贈与に係ります総額を引きました残りが六千八百億となるわけでありますが、これは財政支出によって負担をする以外に方法はないということで、やむを得ざる選択といたしたものでございます。  なお、いろいろ国民の皆様方からも御批判のありますことも承知をいたしておりますが、今日、この問題が将来にわたって国家国民に及ぼします影響をどのようにして防ぐかということは政治の重要な責任と考えております。そのような立場から、今日、経済、金融のグローバル化が進んでおります中で、単に国内の問題にとどまらず、国際的にも日本金融システムの安定や信頼の確保、そして預金者の保護などをきちんとやることによって、景気の回復はもとより、国際的にも日本の金融の果たすべき役割を果たしていかなければならないと考えております。もとより、国民の皆様方の税金を巨額にこの問題の処理に支出をいたすわけでありますから、その責任を重く受けとめなければならないと考えております。  そのため、私どもといたしましては、関係閣僚会議におきまして、この支出を御理解をいただくに当たって積極的な情報開示、そして強力な債権の回収、明確な責任の追及、この責任は法的、政治的、道義的……(発言する者あり)
  9. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  10. 久保亘

    ○久保国務大臣 各面にわたる責任があると考えておりますが、法的責任を追及せらるべきものについては徹底的に追及されなければならないと考えております。これらのことをきちっと申し合わせをいたしました上、これらのことを果敢に私どもとしては実行しなければならないと考えております。  その上で、将来にわたっての日本金融システムの安定を通じて国民の皆様方の利益を守る、こういうことで今回のこの財政支出をお願いをいたしておりますことをぜひ御理解を賜りたいと考えております。
  11. 米沢隆

    米沢委員 国民が見ている感覚は、六千八百五十億円を財政投入すると聞いてみんなが非難ごうごう批判をし始めた、そこで慌てて責任論が出てくる、強力に回収しようじゃないかという話が出てくる。本当はそれが先になければならなかった。  ところが、それはみんな後追いで、申しわけない的に出てきて、六千八百五十億決めてしまってから幾ら責任論を言うたって、回収がどうだこうだ言うたって、それは回収なんか当然のことであって、私は、本当の責任論の言及にはならない、そう思うんですね。  同時に、との問題は経済社会にいろいろ関係があることは、我々も説教されなくてもよくわかります。ただ、問題は、何回も申し上げておりますように、税金を計上しなければその後段の目的を達成できないのかということを申し上げておるのであり、今大蔵大臣答弁の中でもやむを得ざる財政資金の投入とおっしゃいましたが、なぜやむを得ざる財政資金の投入になったのかという経緯についてもっと詳しく教えてくれたらどうなんだ、こう申し上げておるわけでございます。  今大蔵大臣のお答えを聞いておりますと、この前我々が積算根拠を出せと言ったときに出された、もう本当に無味乾燥な一枚のペーパーを読んでいるような気がしました。そういうところに、踏み込んだ情報開示ができない、なぜできないのかという我々は不満を持っておるということを特にこの際申し上げておきたいと思います。  ところで、大蔵省に見解を聞きたいのでございますが、この処理スキームをつくるに当たりまして、第四分類に位置づけられた六兆三千億ぐらいのものが第一次の処理スキームになっておりますが、聞きますところ、三分類、もう既に損失確定している一兆二千億が今度は第二次の処理スキームの方にほうり込まれてある。本来ならば、もうどうしてもお払いすることができません、損失を消してもらわねばならぬという意味では、三分類も四分類も何も関係ないわけですね。本来ならば、だから、七兆五千億を一挙にどう片づけるかと考えるのが本当だと思うのです。  しかしながら、私の類推するところ、七兆五千億ではちょっと大き過ぎる、分担をお願いするにしてはうまくいかないかもしれない、したがって第四分類に特化してまずこれを片づけようという論理になったのではないかと思うのです。その際には、少なくとも税金の投入を考えておられなかった。六兆三千億に七兆五千億のものを下げて配分をお願いしようと思っておりますから、せめて六兆三千億ならば、財政資金を投入しなくてもお願い次第によってはうまくいくのではないかというのが私は出発点ではなかったかと思うのでございます。  だから、この最終的なスキームをつくるに当たりまして、大蔵省の篠沢事務次官は、財政資金なしでまず頑張ってみようねというところから始まったと新聞も報道していますし、私もそう聞いております。ところが、もたもたして、結果的には財政資金の投入になった。この経過について僕は知りたいのです。結果を言われて、こうなりましたは経過じゃありません。なる過程を教えてくれるのが経過じゃありませんか。社会党の時代も、民主的に協議することはいいことだとおっしゃった。そのことを披露することがなぜできないのか、そう申し上げたいと思うのでございます。  ところが、最初は大蔵省も財政資金の導入なしでまず考えようという出発点が、ぐらぐらぐらともめ始めて、結果としてはこのような結果になったわけでありまして、その場合、私は、住専の第二次再建計画の際に本当は資金を引き揚げたかったのが系統農林の気持ちだったと聞いていますね。  もしここで、もうつき合いません、もうここで再建計画をギブアップしましょう、系統農林の皆さん引き揚げてくださいと言ったならば、ここまで系統農林に気を使いながら財政資金を導入しなければ分配ができなかったということにはならなかったと僕は思うのですね。  第二次再建の、まあ死んだ子の年を数えるような話でございますが、第二次再建のときに、もし行政当局が、あるいは関係者の皆さんが、もうこれ以上うまくいかないよということで、本当に将来の予測をしながらもう無理だという決断をされたならば、この処理スキーム損失の損切りも約四兆円ぐらいで済んだのだから。そして、もしそこで系統農林の皆さんが全部ではなくても一部でも引き揚げておったならば、その分だけ配分交渉は楽になるわけで、結果としては、財政資金の投入なんていうのは考えなくても本当は処理できたというものじゃないのか。  そういう意味で、私は、行政の見通しの甘さや行政判断の甘さが結果として財政資金の導入に道を開くことになった、その反省が本当にあるのかということを聞きたいのでございます。
  12. 久保亘

    ○久保国務大臣 今お話がございましたように、この住専の問題は早期に処理されなければならなかった問題だという御指摘には、私も同感できることであると思っております。ただ、今日このような状況になっております中で、今政府の果たすべき責任、役割というものをどう果たすかということに私どもは誠実に対応しなければならないと思っております。  その中で、今お話がございました見通しの甘さとか、もっと早期に処理できなかったのかというような問題については、私どもとしては、反省すべき点は十分に反省しつつ、今後の教訓としていかなければならないと考えております。  なお、その第一次再建計画、第二次再建計画についてもお話がございましたが、この段階では融資を、そのまま残高を維持するということで合意をして、金利面で、例えば母体行の金利を一次再建計画においては三・七五に引き下げる、二次再建計画におきましては、母体行が〇%、一般行が二%、農協系金融機関が四・五%に引き下げることによって融資残高を維持するというようなことで、努力当事者間で試みたものと考えております。  しかし、そのことは実を上げるに至らなかったということが今日このような財政支出を伴う処理住専の問題の処理にならざるを得なかったということについては、私どもとしてもその責任を痛感しなければならないことと考えております。  なお、この六千八百億の根拠を示せということでございましたが、これは、私先ほど申し上げましたように、現在のこの一次ロスと言われてまいりましたその損失を補てんをする、その各分野の負担割が決まってまいりました中で、財政支出の総額が、財政面で負担をするということを決めているわけでありますから、そのことに対して幾らになるかという結論が導き出されたものでありまして、それ以上の御説明を申し上げることは無理だと思います。
  13. 米沢隆

    米沢委員 後段の御答弁についてはまた後ほど質問させてもらいたいと思います。  結局、六千八百五十億円になった経緯は、六兆四千百億円がすべて出発点ですよね。その積算編拠等について後ほどお尋ねしたいと思います。  私は、この処理スキームを実際つくられて今提案される過程になりましたが、まあひいき目に見て、大蔵省は内心じくじたるものがあるという感じがしてなりません。出したものは、これはもう当然正義として突っ張らねばならぬのが世の中かもしれませんが、私は、最初は財政資金投入初めにありきではないところから出発して、そしていろんなことがあってここに至ったという中で、大蔵省は、少なくとも善意に解釈するならば、内心じくじたるものを感じていらっしゃるんではないか、そのことが十二月二十九日辞任されました篠沢事務次官の辞任に、心境の中では流れているのではないか、そう私は思っているわけでございます。  ところで、この処理案が十二月十九日深夜に閣議決定されたのを受けまして、先ほど申しましたように、大蔵省の事務次官が二十日に、当時の訣村蔵相に辞表を預けたという新聞報道がありました。事務方のトップとして、このような処理案にしかならなかったというじくじたる思いで責任をとるという意思表示ではなかったか、そう思っております。予算成立前後をにらんで辞表は受理されるものと、その分まで含めて武村蔵相に託したとも伝えられております。  しかし、年明け、村山総理辞任するという意向を聞いて、武村蔵相は前倒しで篠沢氏の辞表処理の決断に至ったというのが真実ではないかと思います。それが十二月二十九日のことでございました。真相については本人ではありませんからわかりようがありませんが、大体そういうことでしょう。  しかし、篠沢事務次官は、結果として事務方のトップとしての責任をとるという形で詰め腹を切らされたのではないかと私は思うのでございます。そして、予算提出を前に、この予算に住専処理のための財政資金導入を決めた当の村山総理も、当時の武村蔵相もやめて逃げたわけでございます。この場にはいらっしゃいません。したがって、本当の真相や経過等について聞こうとしても、語る人はここにはいないのです。皆さんはそれぞれ役人からこういう経緯でございましたと教えられておるだけでございまして、まあ、閣僚の一人として橋本さんがおられた。  しかし、橋本さんでも、総理でも、本当の当事者ではなかったから、常にその事態の動きや、どういうことでこうなった、こういうことで困った、だからここで納得しようかという、そういう話には本当は加わっていないのではないかと思うのです。私は、その意味で、村山さんや武村さんがこの場にいない、敵前逃亡されたという無責任さを追及したいと思うのであります。  そこで、私は、このことを法的にどう解釈すべきかという点について、まず法制局長官にお伺いしたいと思います。  一月五日の日に、村山総理が突然辞意を表明されました。理由は、人心の一新とか、元旦が青空だったという、たわいのない理由でございました。もしこれが重大な理由であり、そしてまた、身体上にいろんな障害が生じてもう出られないとか、あるいは不信任案を受けてやめざるを得なかったというならいざ知らず、こんなやめ方をしたのは初めてではないかと思います。現に、予算を編成されるという中で、編成して国会提出するまでが予算編成権の概念だと私は思うのです。予算を編成したが、国会提出する前に逃げたなんという例は憲政史上初めてなのでございます。  そういう意味で、私は、総理大臣は、個人の判断で、いっどんな理由でもやめることができるのか、その法的根拠は何かあるのかないのか、そのことを法制局長官に聞きたいと思います。
  14. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 憲法に関するお尋ねでございますが、日本国憲法を通観してみますと、総辞職に関する規定と申しますのは、まず六十九条におきまして、「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」という規定が一つございます。  次に、第七十条におきまして、「内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければならない。」このように定めているところでございます。  これ以外に、日本国憲法の規定上、内閣が総辞職をしなければならないとか、総辞職をしてはならないということに関する規定はございません。  したがいまして、内閣総理大臣は、国政の運営上必要と判断されたときには、自由に所定の手続に従って総辞職をすることができるというふうに解せられるわけでございまして、この点は既に学界においても通説であり、特に異論があるというふうには承知していないところでございます。
  15. 米沢隆

    米沢委員 予算編成権というのは、これは内閣の専権事項です。これは憲法七十三条五号と八十六条にその根拠があります。その予算編成権とは一体何か。予算を編成して国会提出するところまでが予算編成権の概念だと思いますが、その点についてどうでしょうか。  そして、予算を作成して国会提出することは、内閣の職務であり、権限であり、責任であり、義務だと私は思うのですが、総理、どう思いますか。
  16. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、政治家の進退というものは本人みずからの意思によって決するものであり、その進退そのものについて憲法上云々という問題があるとは考えておりません。  次に、予算編成権についての御意見を開陳されたわけでありますが、私どもは、新たな内閣を発足いたしました直後に、前内閣の作成いたしました予算原案というものを、景気の切れ目をつくらないためにもこのまま踏襲し、これを現内閣の予算原案として国会提出していこうということを閣議で確認をした上で、予算を国会提出をさせていただいております。この点に憲法上の問題があるとは考えておりません。
  17. 米沢隆

    米沢委員 予算編成権とは、予算を編成して国会提出すること、そして、それは内閣の専権事項であります。そして、憲法七十三条五号と八十六条でそれを担保してあるというところまでは事実ですよね。  となれば、予算をつくって国会提出せずに辞任されることは、この憲法論からいうならば、内閣総辞職は、憲法七十三条、八十六条からいえば職務怠慢、権限の放棄、責任の回避と言えませんか、法制局長官。
  18. 大森政輔

    ○大森(政)政府委員 結論から申し上げますと、お尋ねのような職務怠慢、権限の放棄という問題は何ら存在しないのではないかと感ずるわけでございます。  若干敷衍して申し上げますと、御指摘のとおり、予算の作成、そして提出というものが内閣の責務として規定されていることは、七十三条五号、八十六条に規定されているとおりでございます。  ところで、この予算の作成というものは、事柄の性質上、一朝一夕にでき上がるものではございません。したがいまして、財政法の規定によりましても相当長いプロセスを予定しているわけでございます。  御案内のとおり、まず節目だけ申し上げますと、大蔵大臣による概算の作製、これを閣議を経る、そしてそれを受けまして予算、これは案でございますが、予算を作成して閣議を経る、その上で内閣から国会提出するという過程を予定しているわけでございまして、現在の憲法及び財政法上、このすべての過程が同一の内閣でなされなけれげならないということではございません。  したがいまして、概算決定を受け、そして後の内閣が、それを踏まえて予算案を作成、閣議決定し、国会提出するということに何ら憲法上の問題はない、このように考える次第でございます。
  19. 米沢隆

    米沢委員 私が何でそこに執着をするか、こだわるかといいますと、こんなことをやられたら予算編成をした責任者の責任はどこでも追及できかくなるのです。総理、どうですか。どう思いますか。  今そこにおられない。その責任は、当時の村山総理、そして当時の武村蔵相、彼らが決断してこの財政投入を決意したのでございますから、そして苦渋の選択だなどとおっしゃったんだから、そういう皆さんに本当は話を聞きたいことがたくさんある。本当は、ここで一生懸命質問をしていますけれども、その答えはもうみんな間接的な答弁ですね。役人の皆さん方がいろいろリークしたものを言ってくれておるだけで、本当の話は聞けないのです。総理、どう思いますか。(発言する者あり)
  20. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  21. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、大変失礼でありますが、今のお話について、政治家の出処進退というもの、その絡みとの中で、村山前総理あるいは武村前大蔵大臣がどのような気持ちで聞いておられるであろうかと。むしろその潔い出処進退というものに対して、むしろ国民からの評価は高いと私は承知をいたしております。そして、私どもはでき得る限りその間の事情を御説明を申し上げる責任を負うておると思っております。
  22. 米沢隆

    米沢委員 確かに憲法論や行政手続論からすれば無理があるかもしれません。しかし、政治論としては私は許されない事態だ、そう言わねばなりません。現に、本当にその当事者に対してどんな気持ちでこういうことを判断したのか直接追及できないということは、我々の立場からしたら何か予算の審議権を侵害されているような気がするのでございます。これは、私がそう感じるんだ。  特に、十二月十九日の深夜、彼は深夜の記者会見をされて、苦渋の選択というせりふを使われた。私はこのごろ、政治家の言葉ほど軽くなったことはない、そう思うのです。苦渋の選択というのは、全責任を込めて国民にその経緯を説明し、財政導入のやむなきに至ったことを懸命に国民説明するのが苦渋の選択をした人の責任であり、義務だと私は思うのです。総理はどうお思いですか。
  23. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 内閣総理大臣として発言をされましたその内容を御説明を申し上げていく責任は、引き続き私どもが負うていくべきものと、そのように思います。
  24. 米沢隆

    米沢委員 次は、いわゆる責任論議にちょっと入ってみたいと思います。  先ほどから話をしておりますように、この住専問題の本質は一体どこにあるのか、なぜこういう問題が生じたのか、住専の設立から今日の破綻に至る経緯の中でそれぞれ関与した当事者責任があるにもかかわらず、現在のところほとんど不問に付されて、ただ結論だけが出てきた、六千八百五十億円だけが今ひとり歩きしている、このことに我々は不快感を持ち、国民も納得できないものを持つ、これは当然のことだろうと思うのです。  そして、六千八百五十億円に対する非難が高かったがゆえに責任論は後からついてきたものだと。本当に皆さんの真心で聞くならば、責任論も言わないとこれは大変なことになるというのが正直な心境ではなかったかと、私はそう拝しております。  そこで、私はこの責任論に入る前に、当時の村山総理がこういうことを、十月の段階で、我が党の草川議員の質問に対してお答えになっています。  それはもう当然、この不良債権が発生してきたその原因というものも究明されることも大事なことだろうし、その責任の所在も明らかにされるということも大事なことだと思いますね。そういうことをやはり徹底的にやって、その上でどうするかという問題になっていくんであって、その前段の責任のあり方という問題に対する究明がおろそかにされたまま、あるいは公的資金の導入をするとか、そんなことはあり得ない、私はそういうふうに考えております。  この村山さんの言が本当の心境であるならば、本当はここでただしたい。そして、少なくともリーダーであった、総理・総裁であったこの村山さんが、この住専処理スキーム議論するに当たってこういう立場で攻めていくんだと。私は見識だと思うんですね。  しかし、結果としてはこうならなかった。どう責任をそのまま継続されているんですか。ただ言葉だけで内閣は継続する、予算は継続する、本当はそんなのは言葉だけなんです。言葉だけでいいのかもしれません。  しかし、実際は、村山総理はこの答弁をされておりますように、こんなに軽い話だったのかと思うのです。彼は責任の所在を明らかにし、どうしてこうなったかを明らかにし、その上で公的資金をどうしようかという話にならなければおかしいとおっしゃっている。残念ながらそういうことにはなっていない。  また、官房長官の文芸春秋の論文を読みました。なかなかの力作でございます。この論文を読んで、梶山さんは総理大臣になってもらいたい、この文に関する限り、そう私は思いました。まさに不良債権公的資金の導入について、アメリカの例を引かれながら、厳しく、責任の明確化なくして公的資金の導入はあり得ないということをはっきり言われております。そして、アメリカの例をるる述べられて、これぐらいの根性でやらない限り、国民なんか納得するものじゃないという話もされておるわけでございます。  そして、  不良債権への公的資金の導入、さらには消費税率の引き上げとなれば、国民が納得してくれるはずはない。国の立場からすれば、日本金融システム維持するためには、どうしても納得していただかなければならないのも事実である。しかし、それは、銀行が「救済しなければ日本経済が崩壊するぞ」と居直る、弱者ならぬ強者の脅迫であってはならない。経営責任を明確にしてこそ、国民の納得が得られることを、政治家も官僚も経営者も肝に銘じなければならない。  私はいまこそ、これを求めたい。責任論を後回しにして、敗戦処理の対策を練るなど本末転倒も甚だしい。重要なのは、まず責任を明確にすることである。 まさにそのとおりだと思います。その気持ちで今僕らもここで議論しておるわけでございますが、残念ながら、それはそうなっておりません。  そういう問題について、総理はどういう責任を感じておられるのか。そのことを聞きたいし、後から出てきた責任論が一体どうなっていくんだという話はもっと明確にされないと、ただお茶を濁すような責任論をしゃべるだけでは、この処理スキームをのまされる国民はたまったものじゃないということを申し上げたいと思います。  そこで、官房長官にちょっと伺いたいのでございますが、あなたの論文を見ると、なかなか見識のある論文です。組閣のときに、大蔵大臣にと請われたという話がありますが、なぜお断りになったのですか。
  25. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 大蔵大臣を要請されたことはございません。
  26. 米沢隆

    米沢委員 私は、この責任論を含めて、村山さん、武村さんの見解をぜひ聞きたいと思います。  したがって、我が党といたしましては、村山前総理、武村前蔵相について、できればこの委員会に参考人に招致するか、または衆議院規則四十六条に基づいて出席を求めます。委員長によろしくお取り計らいをいただきます。
  27. 上原康助

    上原委員長 ただいまの米沢委員の御発言につきましては、後刻理事会において協議をさせていただきます。
  28. 米沢隆

    米沢委員 先ほど来、今度は責任の問題についてお伺いしたいという前段の話を申し上げましたが、まず、さまざまな当事者責任について今の段階でどういう見解をお持ちか、総理あるいは大蔵大臣の見解を聞きたいと思います。  一つは、母体行の責任でございます。  住専を設立し、その住専に役員を多数派遣して住専の経営に参加し、やがては自分たちの子会社の個人住宅ローン分野を侵食し、住専融資不動産融資等へ傾斜させ今日の破綻の原因をつくり、総量規制後は迂回融資、紹介融資にも関与し、住専の経営悪化に対してはその再建に深く関与し、それも成功しないまま、ついに住専を解散に追い込んだ母体行の経営責任をどう考えるか。また、民事、刑事の訴追あるとすれば、どのようなケースが想定されるか、総理にお伺いします。
  29. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、基本的にはこの問題は、まず第一に、借りたお金を返さないという人々の責任があろうと思います。次に、そうした危険性のある融資を行ったという意味で、住専の経営の責任というものもありましょう。そして、その住専に対し資金供給をしてきたそれぞれの金融機関、それもまた相応の責任はあろうと存じます。当然ながら、その間において行政にも責任があったということは、それぞれの場面で今までも御論議をいただいてまいりました。これから先におきましても、さまざまな角度からの御指摘はあろうかと思います。  そして、それに対してどう対処していくのかというお尋ねでありますけれども、これは私どもとして、まず第一に、やはり回収というものに全力を挙げる体制をつくってまいらなければなりません。  その預金保険機構の中に設けます組織体に、法務・検察、警察あるいは国税といったところから人を派遣してもらい、強力な体制をとろうと今考えておりますのもそうした視点からでありますし、機構の方に、これは現職の国家公務員を派遣することはできませんので、OBの方々に入っていただこう。さらには、有識者という言い方が適切かどうかわかりません。しかし、こうした金融問題に精通しておられる方々、あるいは弁護士資格をお持ちの方々等々さまざまな方々に御協力をいただき、回収に全力を挙げようと今対応を努力いたしております。
  30. 米沢隆

    米沢委員 今、総理答弁を聞いていまして、それは、借りた人が返さぬ責任が一番高いとか、そんなのは当たり前でございまして、貸した人がどうだ、借りた人がどうだ、そういうのが責任の明確化というのですか。貸した、返さない、それに資金供給した人、そういう人はいろいろな責任がありますというのが責任の明確化ですか、あなたが言う。  私は、責任の明確化というのは、それぞれの母体行の責任や貸し手の責任を鋭く、今日までの経過の中で、こういうのはいい、これは悪い、そういう責任を詰めていくのが本当は責任の明確化じゃないでしょうか。全体的にこの人の責任はこういう責任で、こういう責任で、そんなのが責任の明確化だったら、もう百年前からそんな話はある。そう思いませんか。  だから、母体行の責任をるる述べて、その母体行の責任とは一体どういうふうにあなたは考えるのか、それが責任の明確化であり、その上に立って何を要請するのかというのが筋じゃないかと思うんです。もう一回答えてください。母体行の責任です。
  31. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変失礼をいたしました。大きなお尋ねをいただきましたので、大変漠たるお答えをしてしまいましたことは申しわけありません。  確かに、それぞれの住専をみずからの意思において設立し、そこに資金供給を行い、そこに役員等をも派遣し、その業務を指導し、結果的に破綻を来した状況に立ち至った中での母体行の責任というものは、今委員が御指摘のとおりであります。  そして、今委員のお尋ねのような形にお答えをいたしますならば、その設立の時点からその経営の方針をどこに置いて、これはもう申し上げるまでもなく、委員がよく御承知のように、住宅金融を中心として本来設立をされましたノンバンクでありますから、その目的をどこから逸脱をしたのか、そしてその変化の中でどういう問題点があったのか、あるいはそれに対して行政の指導はどうであったのか、それぞれの時点において、委員指摘のような角度から、当然のことながら私どもは責任追及をしてまいらなければならないと思います。大変取り違いをいたしまして、これは失礼をいたしました。
  32. 米沢隆

    米沢委員 次は、その住専の経営責任の問題です。  母体行を初め一般銀行、系統農林金融機関等から膨大なそして貴重な資金融資を受けながら、当初は庶民個人住宅ローンから始まって、やがては不動産投資の融資にのめり込み、場合によっては貸金業の規制等に関する法律、同施行令に違反して不動産融資に傾斜し、今日の破綻を招いた。結果として、回収不可能な不良債権をつくり出して、今日の破綻を見ることになったわけでございます。いわばこの住専問題のまさに中核である住専経営者の責任をどう見るのか。  私は、今までこの住専経営者という立場で責任論を論じた人はほとんどいないのではないかと思う。みんな黙っている。それは、つぶした責任を重く感じていらっしゃるかもしれませんが、考えてみれば我々はこうだったという責任の弁をほとんど聞いたことはありません。民事、刑事の訴追ありとすれば、いかなる場合が考えられるのか、このことをはっきりしてください。  とりわけ明確にしてほしいのは、大蔵省を初め官僚から天下った住専の経営陣の責任問題です。こんなのは外国にほとんど例はありません。偶然なのか意図的かわかりませんが、住専が調子のいいときは、大蔵から天下りした人は社長や会長をされていました。ところが、住専がおかしくなり始めるとどんどん逃げていく。最後に残ったのは、今一人ですね。まるでネズミが火事を予測しているように逃げていった。これは、私は偶然じゃないと思う。現実に住専実態を見ながら、すたこらさっさと逃げたというのが実態ではないかと思うんです。  私は、この経営破綻責任のあった天下り幹部に退職金が出ているならば、さかのぼって返上したらどうか。そのくらいしないと借り手の責任は追及できないのではないかと思いますが、総理、どうですか。
  33. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、官僚から転身をした者であれ、金融機関から派遣をされた者であれ、今日の状態をつくり出したその住専の経営に責任のある方々にその責任を追及することは当然であろうと思います。そして、先ほどその訴追、民事、刑事における訴追ということも言及をされましたが、当然のことながら、法に触れる部分がありましたならその手続をとっていくことは当然のことだと私どもも思います。  その上で、私はお気持ちとしてはよくわかるつもりでありますけれども、退職金を戻すか戻さたいか、第一義的には本人自身の心の問題であろうと思います。
  34. 米沢隆

    米沢委員 確かに最終的には個人の心にかかわる話かもしれませんが、少なくとも住専をここまで持ってきた経営者の責任というのは、まさに退職金ぐらいさかのぼっても、済みませんというぐらいの気持ちがなければ、この住専処理の中で財政資金を投入せざるを得ないと説明される皆さんの気持ちは国民には伝わらないだろうということを率直に申し上げておきたいと思います。  それから農林大臣、五兆五千億という膨大な資金運用を住専にゆだね、住専不動産融資を結果として加速させ、その際、住専への貸出審査や担保徴求の問題があったのではないかと指摘されている系統農林金融機関などの貸し手責任をどう判断されているか。  まあ住専の経営そのものに系統農林金融機関が直接入った例はない、したがって、住専が使う金を貸しただけではないかという話はありましょう。しかしながら同時に、今いろいろなマスコミ報道等でも伝えられておりますように、住専以外にも相当の金をノンバンク等やリース業者なんかに貸してあって、それがまた不良債権になり始めているという話も伝わります。この貸し手責任をどういうふうに考えるのか。  私は、この負担をどうするかという議論をされる中で、何か農林系の問題は特別の問題として議論されているような、そういう印象が強くありました。それは少なくとも、ただかわいそうだ、ただ助けねばならぬという感情論が先行して、何か言わねばならぬことを言わなかったという、そういうことも本当は反省しなきゃならぬのじゃないか。その上に立っていかに農民を守っていくのかというのが筋だと思うんです。貸し手責任についてどう思われますか。
  35. 大原一三

    ○大原国務大臣 米沢委員御存じのとおりに、農協系の金融システムというのは、正直に言いまして、一般金融機関と違って利益を上げてはならないというシステムで構築をされております。その利益は農民に還元するというシステムであります。  したがって、今日住専にお金を供給してきた経緯等々、先ほど御指摘のあったとおり、バブルのさなかで大変な利益の還元を得られるという状況でございました。その間、先ほど委員から御指摘ありましたように、一時引き揚げを行おうという積極的な動きをしたのでありますが、その間にいろいろな要請があり、あるいはまた金利の引き下げを少なくする、母体行はゼロにする、そういったいろいろの思い入れもありまして、最終的には四・五%という金利で今日まで運用をしてきたわけであります。  米沢委員指摘のように、責任論を問われますと、住専の経営に直接タッチしたわけではございませんので、その内容等をつぶさに知る状況にはありませんでした。しかしながら、今日のこの事態を考え、この影響が信連、単協あるいは農中、そういったところへ波及する効果はまことに甚大であります。したがって、こういう結果が起き、赤字経営ないしは経営が行き詰まるという事態が起きれば結果責任は免れない、私はさように考えております。
  36. 米沢隆

    米沢委員 次は借り手の責任です。  先ほど既に強力に回収するという御回答をいただいておりますから、答えはダブるのではないかと思いますが、そこらは除いてもらって結構でございますが、結果的にこの借り手の責任を追及するために、現在の法体系、今皆さんが考えております回収機関におけるスタッフ等で本当に間に合うんですか。相手は相当強力な者もおるというふうに聞いております。  私は、そういう意味では、現行の民事、刑事法の範疇では対処できないケースも多くあるんではないか、そのためには新たな立法措置まで考えなければいけないのではないかという意見を持っておりますし、少なくとも今政府が発表されておりますあの物の考え方だけでは、これはやってみなければわかりませんよ、しかし、そう簡単なものではないだろうという気持ちがします。  その点、徹底的に借り手の責任を追及する体制論と、そして、少なくとも借り得や踏み倒しがまかり通るようでは金融秩序はとてもじゃないが保てるはずはないという気持ちを持って、いかにして強力な回収体制をつくるかということについて、もし意見があれば、特に現行法だけで本当に足りるのかという点についてどういう見解を持っておられるのか、これはやはり総理ですか、御答弁いただきたいと思います。
  37. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、先ほど申し上げましたことと重複を避けて申し上げますならば、私どもとして全力を挙げて回収に努力する、そして、できる限りその実を上げるために全力を尽くしますと冒頭申し上げて、現在の時点でその債権の回収に関係する法律として考えられるもの、それは破産法であり、和議法であり、民事保全法、民事執行法等がございます。しかし、議員も今御指摘になりましたように、あるいは現行法だけで対応し切れない場合というのもあり得るのかもしれません。  現時点におきまして、私どもはこうした現行の法制度のもとで最善の回収に努力をいたすつもりでありますが、こうした点につきまして、また院の方から御協力をお願いを申し上げる場面もあろうかと存じます。そうした場合におきましてよろしく御協力のほどをお願いを申し上げます。
  38. 米沢隆

    米沢委員 次は、最後になりますが、行政責任です。  これは住専の設立から今日の破綻に至るまで、いろいろなところで深く関与しておるのがこの行政でございましたが、まあ言い方を変えれば、行政責任によって、いや、行政の失政によって逆に被害が住専に及ぶという見方だってできるところがたくさんあるような気がしてなりません。その意味で行政責任は重大だと思います。  いろいろと言われておりますように、あの総量規制の話、三業種規制の話等々、るる新聞等に報道されておりますから、もう私が何を言おうとしているかおわかりだろうと思いますが、その当時、総理大蔵大臣の職にあって、いろいろとそれにタッチされた。その責任は、結果としてはまた大変、財政資金の投入に至るまでになってしまった原因はあそこらにもあると指摘をされているわけでございます。  その点について、総理大臣がどのような責任を痛感されて、今どういう気持ちでおられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  39. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 事実関係を申し述べ、御批判は、私は各位に仰ぎたいと思います。  ちょうど海部内閣が発足をいたしましたとき、海部総理のもとで私どもは閣員を務めさせていただきました。そして、その内閣もさまざまな課題を抱えておりましたけれども、特にそのころ大きな問題として内閣にのしかかっておりましたのは、非常に急速な勢いで地価が上昇している、しかもそれが三大都市圏から地方にまで及んでいる、その地価の上昇をいかにして食いとめるかという課題でありました。そして、それぞれの分野におきましてそれぞれの努力がなされてきておりました。  そして、私の守備範囲の大蔵省の立場に立って申しますならば、その当時、大きな課題の一つは、ノンバンクの不動産関連融資をいかに抑えるかということだったわけであります。住専はそのノンバンクの一つであり、当然のことながら、ノンバンク全体の課題として私どもはこれをとらえておりました。しかし、当時の貸金業規制法の中では、例えば、報告をとる、あるいは立ち入りの検査を行うといった権限は、ノンバンクについて大蔵省にはございませんでした。  そうした状況の中で、不動産に係る融資についての自粛を求める要請、これが平成元年並びに平成二年の一月に発出をいたされております。例えば住専で申し上げますならば、住宅金融協議会というそのノンバンクの中の一つのグループに対し、こうした要請は出されておりました。  しかし、平成二年の三月に行われました土地関係の閣僚会議におきまして、海部総理から、少しずつ効果は出てきているけれども、特にノンバンクについてももっと工夫をしてほしい、そして金融の面でも地価の上昇を防ぐ努力をするようにという御指示がその当時ございました。  そして、それを受けまして、私どもは、総量規制という手法を選び、金融機関に対し、その貸し出しの伸びに比して不動産に向けられる融資がその伸び率を下回るようにという通達を発出をいたしたわけであります。  しかし、それでもノンバンクに対して直接の対応策は、その中には残念ながらありませんでした。ですから、ノンバンクに資金を供給する金融機関、いわばその蛇口を抑えることによってノンバンクにおける不動産投資の膨張を防ごう、これが当時の発想であります。  そこで、金融機関に対しましては、その総量規制の通達とともに、ノンバンク、不動産、建設の三業種に対する融資について特に報告を求めるという内容の通達を発出をいたしました。  総量規制と言われます通達の中には、その意味では、まず第一段階に、貸出額の範囲内に不動産向けの融資を抑えること、そしてその三業種につきまして、ノンバンク及び不動産、建設の三業種につきましては特にその状況の報告を求めるという内容になっております。  委員が問題とされますのは、恐らく、その時点で農林省経済局長大蔵省銀行局長が共同で発出をいたしました、農林系金融機関に対する通達の問題であろうと存じます。  ここには、確かに、委員が御指摘になります総量規制部分については金融機関に対する通達と同様の内容のものとなっておりますが、三業種に対する報告はここでは特に求めておりません。それは、既にその時点において農林系金融機関からは各種報告を徴取しており、改めてその三業種のみに限定をした報告を徴収する必要がないというのがその当時の理解でありました。
  40. 米沢隆

    米沢委員 今いみじくも総理がおっしゃったように、経過は経過としてみんな事実として知っているわけでございまして、そういう意味では、責任の追及の感じ方もそれぞれあるとは思います。しかし、結果として責任を問われるというのは政治家も行政も大変だとは思いますが、少なくともあのときの通達行政が現在の悲劇をつくった最大の一つの原因になったというところで、行政の指揮をとられていた橋本総理責任は、やはり通例の責任以上に重いものがあるということを特に指摘しておきたいと思います。  さて次に、六千八百五十億円の財政資金の投入に至ったそのもととしての要処理額六兆四千百億円の積算根拠について具体的に出してもらいたいと我々は言い続けてまいりました。少なくとも六千八百五十億円の財政資金を投入する、しなければならないという一番上にこの六兆四千百億円の要処理額があるからでございまして、これが大きくなるか小さくなるかによって財政資金の投入はこれは全然変わってくる話だ、これは筋としていいですよね。  そこで、我々は資料の要求を重ねてまいりましたが、残念ながら最初に出てきたのは、たった一枚の紙に、要ります、これだけ要ります、これだけ出しますという単純なもので、なぜそうなったか、なぜそうならざるを得なかったかという注釈は何もありませんでした。きのうまた同じような資料がちょっと文章が多くなって出てきておりますが、これも全然説明にはなりません。  なぜこだわるかといいますと、六兆四千百億円というこの巨大な、処理しなければならぬものが、失礼かもしらぬが、いいかげんな基準でできておったならば、我々はそのいいかげんな基準に財政資金を投入するという姿になる。でき得る限り、六兆四千百億円というのは、中身がぎりぎりこうですよという説明がなければ、六千八百五十億円出せという議論にはもともとならぬのじゃないか。そう思いますか、大蔵大臣
  41. 久保亘

    ○久保国務大臣 六兆四千百億の不良債権、回収不能と考えられる分について、その根拠ということで必要な資料をお求めでございますが、例えばどのような資料をお出しすればよろしゅうございますでしょうか。  それから、この際、私……(発言する者あり)いや、具体的にお聞きしたいからお尋ねしているんです。そして、もしそれでありましたら、お出しできるような資料を私どもが提出していないということであれば、積極的に開示できるように努力したいと思っております。  なお、ちょっとこの機会に、先ほど私が第二次再建計画で一般行の金利を二%と申し上げましたが、二・五%でございますので、訂正をさせていただきます。  米沢さんの方から、そのことについて具体的に、これこれの資料をなぜ出せないかということで御指摘ございますならば、検討したいと思います。
  42. 米沢隆

    米沢委員 今からその点に触れますが、それは、考え方ではだめなんですね。大体予算書というのは、あれは六千八百五十億、六千八百億と五十億ぽんと書いてあって、積算根拠のないような予算の計上なんか今までありましたか。緊急避難的に、予備費等についてはそれはあり得た話ですよ。しかし、あの六千八百五十億をどういう理由でどういう積算を積み上げてこうなりましたと、そんな積算根拠のないような予算書なんというのは初めて見たな、僕は。そのことをまずどう考えるかということです、大蔵大臣
  43. 久保亘

    ○久保国務大臣 先ほど私が御説明を申し上げましたその根拠では御納得をいただけませんでしょうか。
  44. 米沢隆

    米沢委員 それは納得できるはずがありません。単なる、要処理額から母体行は三兆五千億放棄、一般行は一・七兆放棄、それで農協系が五千三百億贈与、引いたらこうなりましたなんという算術というのはだれだってわかるんですね、これは。しかし、六千八百五十億円でなければならぬ理由は、私はそれだけでは説明できないと思うんです。  例えば、貸付金にかかわる損失見込み額をどんな基準で計算されたんですか。それは一律にやったんですか、積み上げでやったんですか。積み上げでやったならば、その際の実態調査は相当の詳しいものがあるはずですね、一件一件積み上げたんですから。それを出してください。それでなければ我々が税金をもって払わねばならぬものにはなりませんと言うんです。だからそれを出せと言っておるんです。(発言する者あり)
  45. 上原康助

    上原委員長 お静かに願います。
  46. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほど大蔵大臣から御説明申し上げましたことを補足して御説明申し上げます。  まず、六千八百億円の財政支出のもとになっております損失の見込みでございますけれども、昨年の八月に私どもが住専八社について調査をいたしました。そのときの結果をもとに算定したものでございますが、まず、損失見込みが六兆二千七百億円ございます。さらに、それに欠損見込み額千四百億円を加えましたものが六兆四千百億円でございますが、その六兆二千七百億円の損失見込みは、先般国会に御提出させていただきました資料の四十二ページに内訳がございます。  すなわち、七社の合計で六兆二千七百三十八億円でございますが、この資料にございますように、七社、日本住宅金融住宅ローンサービス、住総、総合住金、第一住宅金融、地銀生保住宅ローン日本ハウジングローン、それぞれの各社に分けまして、さらにその中で、貸付金、有価証券・不動産それからその他資産に分けまして、その損失見込み額をそれぞれ各社ごとに計上し、それを集計したものでございます。  もとより、各社のこのような損失見込み額を算定するに際しましては、個別の債権ごとに私どもなりの計算をした上で積み上げて作成したものでございます。
  47. 米沢隆

    米沢委員 それぞれの数字を幾ら言われても、その数字がどういう計算で積み上がってきたのか、その事実がわからなければ、これは貴重な財源を使うんだからね、ただうまく数字づらを合わせて、帳簿がうまくバランスがとれればいいなんという発想の中で財政導入はできていないのです。本当に皆さんが自分の金で払うならいいよ、それは。もうこれで終わりだ。税金を導入しようというときに、その積算根拠がはっきりしない、ただ数字だけ挙げられて、みんな私を信用してくださいと言ったって、もっと突っ込んで説明する必要があるんじゃないかと言っておるんだ。  正常債権が三兆五千億とか、回収困難債権がどうだとかいろいろありますが、実際、回収不能とほぼ回収不能と回収困難とどう違うんですか。それをだれが判定したんですか、本当に。どういうふうに判定したんですか。特に、正常な債権でも、もし例えば暴力団絡みで本当は手が入っておったならば、ひょっとしてまたその会社が倒産したならば、一挙に正常債権からぎゅっと回収不能債権になるんでしょう。  そういうことを考えれば、単なる数字の羅列じゃだめだというんです。実態調査そのものを出してくれ、本当は、それなら。それでなければ説明できない。特に三分類と四分類の違い、鉛筆のなめ方によっては全然違うんだから、これは。判断するだけの話だから、皆さんが。また、この第二分類の債権もどんどん悪化しているんですよ、今。よくはなっていないんですよ、これは。どんどん悪くなっているんですよ。そうしたら処理スキームの前提が全然壊れるじゃないですか。だからこそ本当のことを教えてくれと言っておるんだ。そういう数字を出さないと本当に質問できません、こんなのは。
  48. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもで昨年の八月に調査をいたしましたときの考え方でございますが、住専の貸付金などの資産の査定は、個々の貸付金につきまして、債務者の財務状況、収益力等による返済能力に加えまして、担保、保証の状況等を総合的に勘案いたしまして、その回収の危険性の度合いに応じて分類を行ったものでございます。  その場合の不良債権と申しますのは、回収に注意を要する貸付金等がこれに該当するわけでございますが、さらにそのうち、先ほど申し上げました資料において損失見込みと申し上げておりますのは、不良資産のうち回収不能と認められる部分がこれに該当するわけでございます。  例えば、不良資産と認められるもののうち、担保評価はこの場合路線価によっておるわけでございますけれども、その担保処分等によりましてもなお回収できないと判断される部分につきましては、損失見込みとして算定したものでございます。それを各債権ごとに、各社ごとに集計をいたしまして、さらに七社を合計いたしましたものが、先ほど申し上げました六兆二千七百億円、こういうことになるわけでございます。
  49. 米沢隆

    米沢委員 考え方を聞いておるんじゃありません。結局、考え方を担保する実際の資料を出してくれというのが一つ。  そして、現実に皆さんが、大蔵省実態調査をしたからといって、これは全部一件一件やったんですか。みんな積み上げなんですか。それぞれいろいろ手伝ってもらいながらやったんでしょう、 これ、実際。そのかわりこういう基準でやりましょうねという話だったんでしょう。しかし、その資料は物を言わないんです、本当は。だから、その現物そのものが見えないと、我々として、この貴重な財源を使うために簡単に要処理額だといって認定するわけにはいかぬ。それは本当の気持ちじゃないでしょうか。  確かに難しいかもしらぬ。しかし、せめて実態そのものを素直に出されて、そして我々も説明していただかなければ、あなた方が考えて、あなた方が集計して、これでございます、それを信じろ、それにまた税金を出すんですよという話が実際できると思いますか。紹介の要件もあるだろう、暴力団絡みの話もあるだろう。そんな話まで含めて計算したんですか、本当に。  それならば、それを出しなさい。こういう案件は絡んでおってだめなんですと。本当ならばまだ担保の価格は結構あるんだけれどもとれません、したがってとれないものにしましょうなんという判断は、もしあったとすれば、その実際の事実を我々に公表しない限り、そんなのはあなた方が適当にやったと言われても仕方がないんじゃないですか。  その資料を出してもらいたい。それがなければ、我々審議のしようがないじゃないか。六兆四千百億円の中身について、本当にそうだなと思わない限り、実際は六千八百五十億なんか出せる話ではありません。出してください。
  50. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもが八月に調査をいたしましたのは、住専の貸付金などの資産の査定は、個々の貸付金について、債務者の財務状況、収益力等による返済能力等を勘案して調査したものでございます。もちろん、それは個々の貸付金について行った上で集計したものでございますが、先般提出させていただきました資料では、これを各社ごとに集計した数字として提出をさせていただいた次第でございます。  さらに、その債務者個々の財務状況につきましては、資料を公にするということについてはいろいろな制約がございますので、その点については御理解を賜りたいと存じます。(発言する者あり)
  51. 上原康助

    上原委員長 お静かに願います。
  52. 米沢隆

    米沢委員 財政資金の導入をしようとする前提は、少なくとも、本当にその金額になりましたということを証明するそれぞれの資料があり、それぞれ我々も納得できるものがなければ、ただ単に数字を羅列されて、こんな考え方で計算しましたといういいかげんなもので要調整額が出てきたとするならば、国民をばかにするなと言いたい、本当に。  先ほどから言っておりますように、その債権がどれぐらいの損失になるか、神ならぬ身の、それは最終的には難しい話かもしらぬけれども、せめてそれを類推できるようなものは、皆さん実態調査でちゃんとつかんでおるならば、その資料を出さなければ我々は納得できないと言っているんです。僕が無理ですか、こんなことを言っておるのは。我々は、そういういいかげんなことで審議をしろというならやめます。
  53. 西村吉正

    ○西村政府委員 今回の住専問題に関する資料提出につきましては、昨年の十二月の十九日付の閣議決定及び政府・与党合意を踏まえまして、今回の住専処理におきましては資料提出を誠心誠意、できる限り行うことが金融行政の遂行にとっても必要である、そのように考えられましたところから、従来は国会法の百四条に基づく要求に対して提出を行ってまいりましたようなものにつきましても、例えば、先ほど申し上げましたような資料でございますとか、あるいは大口貸出先につきましての資料でございますとか、そういうものにつきましても、プライバシーの保護等の観点から問題がないと考えられるものにつきましては、国会に対しまして開会前にも進んで提出をさせていただいたところでございます。  私どもも、資料開示につきましては誠心誠意対応させていただいておると考えておるところでございます。(発言する者あり)
  54. 上原康助

    上原委員長 お静かに願います。
  55. 米沢隆

    米沢委員 財政資金を投入することよりもプライバシーが優先されるということで、貴重な税金を使えということを強制される話は納得できません。
  56. 上原康助

    上原委員長 答弁ありますか。――西村銀行局長
  57. 西村吉正

    ○西村政府委員 ただいま申し上げましたように、私どもとして資料提出につきましても誠心誠意対応させていただきました背景には、ただいま委員から御指摘ございましたように、今回の住専処理に際しましては貴重な国民の租税をつぎ込むという措置が含まれているからでございまして、私どもといたしましては、委員指摘のような事情をも十分勘案いたしまして資料開示に努めさせていただいたと考えておるところでございます。(発言する者あり)
  58. 上原康助

    上原委員長 米沢委員に申し上げますが、追加資料提出できるかどうかは理事会においてさらに協議をいたしますので、質問をお続けください。  米沢委員に重ねて申し上げますが、追加資料提出できるかどうかは理事会において協議をいたしますので、どうぞ御質問、もうあと時間もありませんから。――米沢委員、重ねて申し上げますが、資料要求につきましては、これまでも理事会で協議をしておりますし、重ねて協議をいたしますので、残り時間、御質問ください。  米沢委員の御要求の資料提出については、理事会で協議をいたします。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時四分開議
  59. 上原康助

    上原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。米沢隆君。
  60. 米沢隆

    米沢委員 先ほど来私が申し上げておりますのは、六千八百五十億というお金が予算計上されておりますが、積算根拠がない予算書は見たことがありません。したがって、その積算根拠を、それぞれの資料を添えて積算根拠を明らかにしてもらいたい。できれば、私たちとしては、この新進党の代表質問をいただいている時間内に積算根拠を出していただきたいということを申し上げ、次にバトンタッチしたいと思います。(拍手)
  61. 上原康助

    上原委員長 この際、野田毅君から関連質疑の申し出があります。米沢君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。野田毅君。
  62. 野田毅

    野田(毅)委員 質問に入ります前に、ひとつ委員長、大変恐縮ですが、パネル、後ほど持ってまいりますが、あらかじめ使用をお認めを願いたいと思います。二枚ございます。
  63. 上原康助

    上原委員長 どうぞ、結構です。
  64. 野田毅

    野田(毅)委員 今、米沢幹事長が申しましたけれども、ともかく今回の住専の六千八百億円、このいわば住専から借りた人たち、その人たちが踏み倒したその借金の穴埋めに国民の血税を投入するという、その六千八百という数字がなぜ八千でないのか、なぜ五千でないのか、なぜ三千でないのか。その積算を、本来なら予算書、きちっとした予算書の中の積算根拠という欄があります、その中に計上されてしかるべきである。それがないではないか、おかしいじゃないか、税金を投入しようとするのなら当然のことではないか、この案は幹事長の大きな問題指摘であります。  これは、さっき幹事長が申しましたとおり、きょうの我が党の持ち時間帯の中でぜひ出してもらいたい。午前中の久保大臣の御答弁の中で、出せるものは一生懸命出しましょう、こういうことでありますから、私どもはその資料を出していただけるものと信じてこの後の質問を関連して続けさせてもらいたい、こう思います。  そこで、これは素人のパネルなんであれなのかもしれませんが、要するに数字の話ですし、かなり込み入ったスキームの話ですから、なかなか言葉のやりとりだけで理解しがたい部分もあるということで、わかりやすくなると思うのですが、あえてパネルの使用をさせてもらいたいと思います。  要するに、こういうことですね。これを見るとよくわかると思うのですが、普通、これは総理大蔵大臣、わかりますね。これを見れば大体わかると思うのですが、住専というのはどういう商売をしておるかというと、基本的にこの人は預金者からの預金を直接預かることはありません。したがって、金融機関ではありません、基本的に。ですから、民間銀行なりあるいは農業系統の金融機関からお金を借りて、そして借り手にお金を又貸ししているといいますか、銀行でないからノンバンクの一つでもあるわけです。ですから、これは普通の、こう言うと悪いのですが、住専以外にもたくさんのノンバンクがあります。そういう金貸し業でもあるわけです。  普通は、ここがおかしくなったときには預金者保護ということにならないのです。預金者保護というのは、まさにここの銀行がおかしくなったりあるいは農協がおかしくなると、これは預金者が大変なことになりますから、そういう意味で、通常は預金者保護のためには御承知のとおり預金保険機構というものがあるわけですね。ですから、昨年いろいろな信用組合が倒産をしたりいろいろありました。そのときには、かなりこの預金保険機構が預金者保護のためにいろいろ活用されています。  そこで、今回、普通の事業会社と法的には大して変わりない、したがって、ここの経営が行き詰まった、この経営が行き詰まったのならば、通常はそのまま倒産して、そして破産管財人が決まって、そしてその債権債務、ちゃんと仕分けをしていくのが普通なわけですね。  それがなぜ今回だけはこの住専銀行でもないのだけれども、この債権債務を引き取って処理機構をつくる、そこへ借金の穴埋めに税金をつぎ込むかという、このところに実は大変違和感が国民の中にある。今までは、そういう金融機関でない企業がつぶれた場合には、破産法に基づいて淡々と処理されるのが当たり前。なぜ今回だけ税金をつぎ込まなきゃならぬのか、これが一つだと思います。  それからいま一つは、こっちなんですが、これが住専、七社ありますが、少しラフな数字ですが、大体貸し込んだ金が十三兆ある。ということは、この十三兆を、いわゆる民間金融機関や農協系統からお金を借りていたわけです。問題は、この中の実に半分以上が踏み倒されている。踏み倒されているわけです。その穴埋めを第一次処理、第二次処理と言っていますが、この六兆四千という、正確には、回収不能債権が六兆二千七百でしょう、千四百は欠損ですから。それの損失補てんのために何でこの税金がつぎ込まれなきゃならぬのか。ここが実は一番のポイントになっているわけですね、御承知のとおり。  さっきの話ですが、積算根拠の話はここなんですよ。それじゃなぜこれを入れなきゃならないのか。  確かに、母体行は住専に貸していたお金が三兆五千ですから、三兆五千丸々、母体行はそれはもうしょうがない。  さて、じゃ一般行は住専に対して三兆八千億金を貸していた。今度、一兆七千債権放棄するわけです。じゃ、何で一兆七千なんですか。去年の秋には一兆二千という数字も現にあったわけだ。何でそれが一兆七千になっているんですか。逆に言えば、何でこれが二兆円でないのですか。  さて、系統、これは五兆五千億貸し付けています、五兆五千億。しかし、不思議なんですが、これは贈与と言っています。債権放棄じゃないのです。贈与という形で系統は五千三百億やることになったわけです。だから、じゃ、これの積算根拠はどうしてこうなったのですか。  そうすると、一体この六千八百というのはどういうことですか。この辺の談合で決まったのですか。だれが決めたんですか、これを。一兆七千という数字はだれが決めたんでしょうか。大蔵大臣、ちょっと答えてください。
  65. 久保亘

    ○久保国務大臣 だれが決めたかという事実に関することですから、正確を期する意味で政府委員から答弁いたします。
  66. 西村吉正

    ○西村政府委員 この問題につきましては、昨年の六月以来、いろいろな組織におきまして議論が行われてまいりました。そのような議論の積み重ねの上に立ちまして、最終的には十二月の十九日に政府・与党として御判断をいただいたものでございますが、その基礎となりました数字につきましては、それまでの経緯を踏まえまして、事務的にも検討を重ねた上、諸般の情勢を総合的に勘案いたしまして、かつその積算といたしましては、けさほどからいろいろな御論議があるような考え方を踏まえまして、事務方から御判断を仰いだものでございます。
  67. 野田毅

    野田(毅)委員 僕も個人的に言えば非常にしんどいですよ、こういう質問をしなければならぬというのはね。大変苦しい答弁を西村局長はしておられると思います。  だけれども、それが今私が言いましたように、なぜその一兆七千でなきゃならぬのか。二兆円でなぜないのか。それは一体だれが、本当にだれの責任で決めたのか。政府責任で決めたんでしょうか、民間の話し合いで勝手に決めたんでしょうか。そうであるとするなら、民間で勝手に決めた後のしりぬぐいを税金で投入するということなんでしょうか。これはやはり大臣政治家の責任として答えてください。
  68. 久保亘

    ○久保国務大臣 財政支出に関する金額は、当事者間の協議を重ねた上、最終的に政府責任で決めたものであります。で、それぞれの積算につきましては、当事者間の協議の経過を含めて私からも先ほど来沢さんにお答えいたしましたし、また銀行局長からもお答えをしたとおりでございます。
  69. 野田毅

    野田(毅)委員 それは、六千八百については政府、財政当局の責任において決めるのは当たり前なんですよ。それは人の責任で、そんなことで決められるわけがありません。当然です。  問題は……(久保国務大臣「聞かれたから」と呼ぶ)いや、私が聞いているのは六千八百じゃないんだ。一兆七千という数字はだれが責任を持って決めたんですかね。
  70. 西村吉正

    ○西村政府委員 まず、決めたということの意味から申し上げたいと思いますが、閣議決定においても記されておりますように、この数字は、関係金融機関に対しまして、「次により対応することを要請する。」ということで、あくまでも最終的には民間金融機関、すなわち当事者の方々がお決めになるべきものとして、政府として要請した、こういう性格のものでございます。  そして今の御質問は、そのように要請する数字をどのようにして決めたかというお尋ねかと存じますけれども、それは先ほど申し上げましたように、六月以来のいろいろな長い検討の経緯も踏まえまして、最終的には、けさほど大臣が御説明をされましたような考え方に基づきまして、一兆七千億という数字を決めたものでございます。
  71. 野田毅

    野田(毅)委員 平行線ですね、これはだれが聞いても、本当に。  これが根拠になって、例えば農林系統、五千三百という贈与がある。この五千三百という、なぜ五千三百なんだろう。実はこれが決まったのがたしか昨年の十二月の十九日でしたかね。で、その前日に、時の武村大蔵大臣と野呂田農林大臣が十八日に相談された。そして報道でも明らかであったんですが、その前の日、十七日に大蔵省から提案された数字というのは五千三百じゃなかったと思いますね。しかも、税金を投入するという提案にはなっていなかったと思いますね。それがどういう経緯で、なぜ税金を投入するという形に変わったのか。  もう役所はいいです。これはぜひ大臣、答えてください。
  72. 西村吉正

    ○西村政府委員 経緯に関する事実の御説明でございますので、まず私から御説明をさせていただきます。  ただいま突然に決まったというような御指摘もございましたけれども、私どもといたしましては、この住専問題につきましては、六月以来、政府あるいは与党のしかるべき組織の中で慎重に検討をし問題提起をされた上で、さらに夏以降、例えば与党の金融・証券プロジェクトチームにおきまして二十回を超えるような議論を尽くし、また政府部内におきましても、金融制度調査会にもお諮りしつつ慎重に検討をしてまいったことでございます。  ただ、ただいま御指摘の点は、このいわゆる一次ロスに対しまして財政資金を投入するということが最後の段階で決まったという印象を受けるが、そこのところはどうなんだというような御趣旨かと存じます。  私どもといたしましては、今申しましたような長い検討経緯の中において、当然のことながら、できるだけ税金をつぎ込むというようなことなしで済ませ得るようにいろいろな方策を検討してまいりました。これは、十二月十九日に結論を出すぎりぎりの段階まで、何とかして税金をつぎ込むことなく解決策を見出すことができないかということを御指摘のように検討してきたのは事実でございます。  したがいまして、そのような最後、ぎりぎりまで緩みのない議論を続けてきた、租税を使うことなく、関係者の間で何とか解決できないかというぎりぎりの努力を続けてきたということがこの結論に対して唐突な印象を与えておるとすれば、私どもの御説明が不足していた点はおわび申し上げなければいけないと存じます。
  73. 野田毅

    野田(毅)委員 いや、これはいろいろ、そのころ毎日のように新聞でも報道されていますから、我々みんな国民も知っていますよ、どういう経緯かということを。今ここでいろいろおっしゃってもそれはだめです。  それで、僕は素直におっしゃるといいと思うのです。そういう点では村山さんは意外と素直だったと思います、率直に言って。それはなぜか。それは、決まった日の夜、記者会見された、夜中に。その中で、これは各紙報道していますが、例えば朝日新聞の報道。要するに、何で財政資金を投入することになったのという質問に対して、「農協系金融機関は零細な農家の上に作られており、能力の限界がある。それなりにぎりぎりの負担を求めて出た結論だ。」「混乱を大きくさせないためであり、農政上の判断だ。」と、実に素直におっしゃっています。毎日新聞、「農協は零細な農家の金融機関で力に限界がある。破たんさせると政治が混乱する」。読売、「農協系の金融は、零細農家のシステムの上に作られたもので、能力には限界がある。」「破たんさせることは政治上困難だ。」実に各紙が、そのほかみんなありますが、まさに筆がそろっているのです。だったら、そのとおり素直に言えばいいじゃないですか。なぜ恐れるのですか。  農家の零細な預金を守ろうというのなら、それならそのスキームをつくればいいじゃないですか。しかし、今回は農家の零細な預金を守ろうというスキームになっていないんだ。さっき見せたでしょう。これですよ。農家の零細な預金を守ろうというのなら、そうでしょう。つまり、これを助けて、これを助けようという話なんでしょう、今、この現在の政府のスキームは。ここを助けるために税金をつぎ込もうという話でしょう。  本当に農家の零細な預金を守ろうというのなら、農業、漁業の協同組合があります。農協、漁協の協同組合のその貯金を守るための貯金保険機構が現にあるじゃないですか。それは、金額が足りないとかいろいろあるかもしれない。足りなければ、もっと改良して充実するような方策を考えればいいじゃないですか。そうでしょう。何でそんなに無理にこうやって何かつかみ金を出して、実際には農業への配慮があったらあったでいいじゃないですか。何を恐れているんですか。  ところが、そうならばいろいろ反発が強いものだから、その後発言が変わってきたのだ、いやそれは。五千三百という贈与の積算の根拠も実は変わってきている、微妙に。  最初の間はまさに第二次再建計画、例の問題のある覚書、後で触れますが、あれに基づいて農協が、農林系統が、母体行は貸付金利はゼロ、一般金融機関は金利は二・五%、農林系は四・五%を保証するから住専に対する貸付金を引き揚げないでくれ、そういう覚書でしょう。その四・五%によって通常の金融機関よりも高い金利を得ていたわけで、三年間もらっていたからあと七年分はもういいことにしようという、その積算で五千三百という話だったんだ。これは新聞にも出ているんですよ。  ところが、そうなるといかにもまずいというので、いつの間にかそういう積算さえ表に出さないで、何か知らぬけれども、ぎりぎり、それぞれの県信連や何かの母体の強さなんかを考えたら、ともかくこれがぎりぎりでございます、こう言っているのですよ。では、五千三百が本当にぎりぎりなのか、五千五百がぎりぎりなのか、三千億がぎりぎりなのか、これまたわからない、実際。つまり、さっきは一般民間金融機関の一兆七千の積算数字もないと言いましたが、五千三百という農業関係の系統からの贈与と称されるそれさえ、なぜ五千三百かという、これが全部変わっているじゃないですか、説明が。  そこで、話がちょっと横へ行きましたが、橋本先生、まあ、長い間いろいろ個人的には御指導もいただいたり、今回は総理になられて、個人としては本当にお喜びを申し上げております。頑張ってもらいたいと思っています。しかし私は、できるなら、こういう時期にこういう枠組みでなってもらうよりも、もう少しすっきりした姿の中で堂々とできるような政権であってほしかったな、そんな思いを実はしています。  その一つは、何よりも今重荷を背負っておられるのです。それで、予算もそうだけれども、村山内閣からのいろいろな懸案を引き継ぐとおっしゃっている。この問題は、まさに引き継いでおられると思います。それは、確かに総量規制のときの大蔵大臣だからいろいろな話もあります。しかし、その点についてはまた後で私は申し上げたいと思っています。  それよりも、私はさっきこの問題について言いましたが、村山さんが正直におっしゃった。ところが、橋本総理はちょっと違う表現をしておられるのですね、これ。参議院本会議、二十六日、先般の答弁で、農林系統金融機関を救済するものではない、こういう答弁をしておられますね。  これはさっき言いましたが、村山前総理が記者会見で堂々とおっしゃった。その上で苦渋の決断だとおっしゃった。財政資金を、何で人の踏みつぶした借金の穴を自分たち税金で埋めるんだというこの激しい国民の憤りに対して、いろいろ釈明された。私はそれを、それならそうで、村山さんみたいにはっきりとおっしゃったらどうだろうかと思うのですけれども、その辺ちょっと、橋本総理、どうですか。答弁が村山さんと橋本さんとで違っているのじゃないか。この点はどうでしょうか。
  74. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、農林系統金融機関実態につきましては、もし委員のお許しがありますならば、農水当局から状況は細かく御説明を申し上げてお聞きをいただきたいと思います。  そして、今さまざまな角度から御指摘がございましたけれども、まさにこの住専の問題と申しますものは、極めて多数の預金取扱金融機関関係している。そうして、そのそれぞれにこの処理の問題というものは影響を及ぼすという性格を持っている。それだけに我が国金融機関不良債権処理の中で喫緊の課題であり、象徴的なものにもなっていると考えております。  それだけに、この問題を早急に解決していくことによって、少しでも早く日本金融システムに対する安定性とともに信頼を取り返したいということを考え、こうした方途をとってきた、そう考えておりまして、今委員仰せになるような、農民保護あるいは農協系金融機関の保護という目的が中心だとは考えておりません。  先ほどまさにその図面でお示しになりましたように、金融機関にはそれぞれ預金者がおられます。同じように系統金融のベースには農協に対する預金者がおられます。それぞれの安定を図るという意味では預金者に対する配慮というものは当然あるわけでありますが、それは系統のみにかかわるものではございません。その点はぜひ御理解をいただきたいと思うのであります。
  75. 野田毅

    野田(毅)委員 私は、橋本総理のお考えはお考えとして理解をしています、その趣旨は。ただ、村山前総理がおっしゃっていることと違いますよと。同じだとはとても思えない。だから、さっきそのことをも含めて、我が党の草川委員に対する昨年の臨時国会における責任究明に関する発言もあれば、今私が指摘しておりますような橋本総理のお考えと村山さんのお考えは明らかにだれが聞いても違っている、答弁が。趣旨が違っているわけですね、財政資金投入の。ですから、そういったことも実はただしたい。  したがって、重ねて今度、衆議院規則四十六条に基づいて、委員でない議員の出席を求めて話を聞くことができるという規定があります。したがって、これは参考人でなくてもいいし、参考人という手続をとってもいいが、委員長、これはぜひ早急に決めてもらいたい。やはりそこが、さっき冒頭米沢幹事長が、予算編成を決定した人と予算案提出した人と、総理が違うわけですから、結局答弁そのものが食い違ってきているということの大きな証左じゃないか、私はそう思っております。  それから、いろいろわからないことがたくさんあるのです。今指摘しましたが、結局、少なくともこの税金六千八百を決める前提というのは、この辺の数字の前提、さっき銀行局長の話を聞いても、結局、母体が債権放棄三兆五千、一般が一兆七千、系統の五千三百、これが決まって、何かしりぬぐいが六千八百に来た。これがさつきの説明の、要するに、いろいろおっしゃったけれども、そのはずですよ、結果的に。ですから、先ほど来私は、ではこの数字が動いて、この数字が動くならこれも動くのじゃないですかと。それだったら、何でこれをゼロにするようなことを考えないのですかと。そうでしょう。当然の話じゃないですか。  しかも、考えてみたら、何でここがおかしくなったか。それは、ここに固有名詞、企業を書いて恐縮ですが、これは既に日経新聞が報道している数字でありますから、あえて名前を書かせていただきましたが、それぞれの企業がどういう企業であるかということを私はまだ確証もないままにいろいろ言うわけにいきません。  しかし、いろいろ報道されるところでは、あるいはマル暴絡みの企業が関連しているんではないかとか、あるいは結局ここに貸した金が焦げついているんだ。返す意思がなくて返さないのか、返す意思はあるが返せないのか、いろいろあると思います。しかし、報道によると、中には高級外車をまだ乗り回しているとか、現にそんな報道国民の目にどんどん入ってきている。その集大成が、腐った債権の集大成がこの赤い部分じゃないですか。そうでしょう。このロスをどう埋めるかというのでまさにストレートに国民の血税を投入している構図なんですよ。  そこで、たまたまここに点線でしてありますが、この下の部分、この第四分類と言われる回収不能債権六兆四千。本当は、去年の秋からの報道を逐一見てごらんなさい、六兆四千がスタートじゃなかったんです。最初は七兆五千の話だったんだ、現に。七兆五千という腐った債権を、その損失をだれがばちかぶるかという話なんですよ。これはもう報道を去年から見て明らかですよ。そういう意味では、実は、この第三分類と言われるほぼ回収不能債権あるいは第四分類と言われる回収不能債権、これはほとんど同一の性格だと言われている。そうでしょう。  しかも報道をつぶさに見ると、単に、無責任報道じゃないですよ。最初はこれを合わせて、端数があれですが、七兆五千というロスをどう処理するかということで、この母体、一般、系統の中でキャッチボールしてたじゃないですか、七兆五千という数字が。それがいつの間にか何で六兆四千になったんですか。これも積算根拠の大事な説明すべきポイントですよ。これは大蔵大臣、その経緯、どう見ていますか。答えてください。
  76. 久保亘

    ○久保国務大臣 私がけさほどから申し上げておりますように、この立入調査の結果、第四分類として数えられるものが六兆四千百億になるわけです。それを当事者間でどのように負担するかということの協議が行われ、また、政府としてはその整理のために公的資金の導入も考えるということを決めていたわけですから、そういうことで、ぎりぎりの負担というものを母体行、一般行、そして系統金融機関に負担してもらうことを決めた後、公的資金の負担が決まった、それ以上の御説明を私は申し上げることはできません。それで、そのことについてなお詳細に銀行局長の方から補足して説明を申し上げたと思います。
  77. 野田毅

    野田(毅)委員 時間が限られていますのでね。  実際、大変僭越な話ですが、その当時大蔵大臣でありませんでしたので、そういう細かい経緯は今すぐに正確にというお話でないのかもしれない。それで銀行局長の話が出たと思います。  しかし、大事なことは……(発言する者あり)ちょっと今やっているんだから黙ってなさい。こことここが、なぜその問題を聞くかというと、実は二次処理スキームと密接に関連しているから私は聞いているんですよ。じゃ、なぜ二次処理スキームがこんなにおくれたんですか。一月の二十六日の深夜じゃないですか、与党の中がまとまったのが。そうでしょう。  それまで、じゃ聞きますが、一般金融機関、この額を負担しますという確約書か何か出してきていますか。ちょっとそれを聞かせてください。この負担、本当に担保されているんですか。だれが――これは確約しているんですか。いつ確約したか、どういう形式で確約しているか、ちょっと教えてください。
  78. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほど申し上げましたように、この閣議決定なり政府の提案は、民間金融機関、すなわち当事者に対する要請、提案でございます。こういう方法でこの問題を解決するということが、現在の日本の金融情勢あるいは世界が日本を見る目の現状からいたしまして最も適切なのではないかという提案をしたという性格のものでございます。したがいまして、この提案を受けまして、民間金融機関側で要請を受けるかどうかということを検討をしてまいったわけでございます。  それで、先般このような提案に対しまして、民間金融機関側から、例えば個別金融機関の拠出の額等の詳細についてはなお詰めるべき点は残されてはいるけれども、基本的な考え方については金融機関としてもこのような考え方に沿って検討を、検討というか結論を出しましょうというお答えをいただいているところでございます。それは文書をもってというようなことではございませんが、各母体金融機関の代表の方々からのそういう代表してのお答えが私どもに対してあった、こういうことでございます。
  79. 野田毅

    野田(毅)委員 本当に今御苦労されているのはよくわかるけれども、大蔵大臣、お聞きになったでしょう、まだ文書は来ていないんです。そして、まだ決定していないんですね、民間が、これだけ出すということは。それを前提にしてさっきのこの数字が決まってきているんでしょう。これは押せ押せで、ここが決まらなければこれは決まらないんでしょう。  だから、こっちの方がまだ、個別に中身を見るとそうじゃないんです。それは、例えば銀行だけじゃないです。今度特に第二次スキームになったら、証券やら生保やら損保やら、関係ないところまで入ってくるんですよ。確かに、金を貸しているから関係があるのかもしれないが、基本的に。大体預金保険なんかと関係ないような金融機関までが金を出すんですよ、今度の第二次スキーム。そうなっているんでしょう。  これ、もしこの数字が動いたら、六千八百だってやはり動くじゃないですか。そうじゃないですか。そういうあやふやな数字を何で今ここで慌てて計上するんですか。もう少しこれがセットされて、それこそ本当に必要なら補正予算でもう一遍出し直せばいいじゃないですか。そうでしょう。何でしゃにむにこれは当初から突っ走るんですか。おかしいじゃないですか。政治家としてどう思いますか、大蔵大臣。あなたも薩摩隼人だから、私は国土だと思っていますがね。
  80. 久保亘

    ○久保国務大臣 それは、既に要請に対して応ずる意向が表明されており、最終的に手続が完結していないということでありまして、今お示ししている数字は、そのまま決定されるものと考えております。
  81. 野田毅

    野田(毅)委員 それは、されるという、期待はそうでしょうね。そういう期待をしておられる。しかし、本当にそのとおり決定していないんですから、先方が。肝心の民間側が決定していないんですよ。これから一生懸命努力をしようというんです。しかも、そこへ来るまでに民間がどれだけみんなのたうち回って反発していましたか。それを強引に、プロレスじゃないが、何か場外乱闘に持ち込んで、しゃにむに脅迫がましく押さえ込んでこのスキームを押しつけたんじゃないですか、さっき要請と言ったけれども、政府の方が。民間に対して要請と言ったけれども。  よく今回の問題で、国際的な公約がどうだとかいろいろな話があります。しかし、ぜひ申し上げておかなければならぬのは、これは本当に国際的に高く評価されているんでしょうかと。私は必ずしもそうとは思わない。  それは、この前G7、御苦労さんでした、就任早々。しかし、そのG7の議長総括の中に日本金融システムが取り上げられていますか。ないです。そうじゃない。  要するに、G7各国は、日本国内の金融が混乱して自分の国に波及さえしなければ、そこから先は税金をつぎ込もうが何をしようがあるいは破産処理できちっとやるなり、そんなことは知ったことではないんですよ。外国は、日本が混乱してその火の粉が飛び火しないようにだけしてくれれば問題ないのです。このスキームが評価されたのではないのですよ。このところを間違えて、いかにもこのスキームが認められなければ国際金融は混乱して世界じゅうに迷惑かけるようなことを宣伝するというのは、私は間違いだということを申し上げなければならぬ。  それからいま一つは、まあいろいろ株価がこれによって上がっているからいいじゃないかとかいう話があります。私は、そうじゃない。その中で、皮肉なことだと思うのですけれども、ジョージ・ソロスさんという非常に投資のプロがいて、大変な力量、これは有名な人ですね。この人が日本に先般来た。その中でどう評価していますか、実際。講演の中身だけじゃない、記者会見の内容、ちょっと読ませてもらいます。  日本では金融システムが抱えた問題は、現在は解決の方向に向かってはいる。しかし、危機、クライシスは再度起こる可能性がある。なぜなら、今回の解決のためにとられた方法が、これまでと同じ旧態依然とした手法だからである。私は、大蔵省が管理している日本金融システムそのもののあり方に疑問を感じている。それは不健全だからだ。大蔵省がルールをつくるのは当然かもしれないが、金融市場の動きに積極的に介入すべきではない。日本のマーケットは、結局、インサイダーズ・クラブである。日本には、開かれた社会という意識が欠如している。日本は成長して大人にならなければならない。そうしなければ、世界は日本をリーダーとして受け入れないだろう。だが、日本が現在向かおうとしている方向は、間違ったものではないだろうか、ということなんですよ。  したがって、相場師という話もあるが、その相場師を大蔵省の人もいろいろコンタクトをとりながら今のところやっていることは事実、世界の中で一目も二目も置かれているわけです。  そこで、当初、世界の人たちはかなり期待したんです。なぜだろうか。それはアメリカのRTC、大変な人材と権力と投入して徹底的にやったんです。それに似たような徹底したことをやるんじゃないか。もしそうとするなら、これはいいかもしれぬ。そのかわり自己責任追及ですよ、これは。徹底した、言うならRTCは公的破産管財人なんですよ。それをぴしっとやってきたわけだ。ですから、それと同じことをやるんなら、日本の金融市場もこれはなかなか大したものになるかもしれぬと思った。  ところが、今やろうとしていることはそうではない。だんだん中身がわかってきたら論調がおかしくなってきている。結局、ばか高いばんそうこうのようなものだというんだ。今、うみが出て抜本治療をしなければならぬときに、高価なばんそうこうをくっつけてごまかしているだけではないか。私は本当にそう思う。  この六千八百という税金を投入する。六千八百では済まないのですよ。そうでしょう。二次ロス、一兆二千ある。そのうちの半分は政府責任を持つということを閣議了解ですか、けさやったというんだ。本当は了解ではおかしいんですけれどもね。閣議決定でなければ論理は合わないのですよ。まあいいや、それはいい、技術的な話だ。  さらに、さっき言った、今言っているのはここが六千八百、これはほとんどこれと変わらない、この第三分類に属する一兆二千というのは。ですから、当初はこれとこれと合わせて七兆五千という数字をどう処理するかという話だったんだ。皆さん明らかにわかっているじゃないですか、これが半分負担するなら六千億だと。そのほかに第二分類、回収困難、これが二兆円ある。地価が下がれば、もっともっとこの回収は難しいんですよ。このうちの半分取りはぐれても大変なことになるんだ。そうすると、合わせて、今はっきりしているだけで、どうですか、一兆三千億。よく国民一人当たり五千とかいう話があるが、それの倍、一人当たり一万円ということになる。一人当たり一万円もの血税を投入するんです。  それだけじゃないんです。いま一つは、ここに債権放棄と書いてありますね、債権放棄。母体、一般金融機関、合わせて五兆二千億。本来なら、健全な債権なら返ってくるべきものが返ってこない。今度、年度末に損金処理して決算しようというんだ。  もしこれが踏み倒されていなかったら、五兆一千億の半分は税金として国庫に入るべき筋合いのものですよ。そうでしょう。決して六千八百や六千の話だけじゃないのです。この債権放棄の半心は税金ですよ、これ。税金で補助金出しているような話じゃないですか。合わせてごらんなさい、四兆円ですよ。この人たちが踏み倒した穴埋めのために、四兆円もの国民のお金がまさに今投入されようとしているんだ。これに怒らない国民はない。  これだけの高価なお金をつぎ込んで、この先の日本の金融はどういう姿が描けますか。抜本的に、法の支配と自己責任原則と国際ルールにのっとつたすばらしい日本金融システムがこれによってでき上がるのだという展望でもあるのですか。逆じゃないですか、今十五年間塩漬けにしようというのだもの。  今まで、三年前、再建計画があった。それを踏みつぶした。そして傷が大きくなった。今またこれを十五年間引き延ばそうというんだ。十五年すれば地価も上がるからいいんだろうぐらいの話でしょう。こういうこそくなやり方が、世界が日本のシステムを評価できない最大の理由じゃないですか。国際通である総理、どう思いますか。
  82. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 さまざまな角度から今議員指摘をいただき、私も真剣に拝聴いたしておりました。  しかし、逆に私は、もし今議員が御指摘になりましたように、三年前でありますか、一回対応しようとしたものがそのまま先に延びた、延びた結果金額がふえたというお話がありました。まさにこの問題を、それではここで処理をしないで先へ延ばしていくことができるかといえば、私はできないと思うのです。ここで処理をしなければならないと私は思います。  そして、その処理についての手法として、委員は、これはもう金融の専門家でおられますから、恐らくさまざまな御意見はおありかと思います。しかし、仮にここで母体あるいは一般、系統がぎりぎり負担し得るだけの資金を持ち寄り、なお不足する部分公的資金を投入する決断をせずそのままに残していけば、その不良資産は私はなお一層拡大すると思います。  そして、仮に今までさまざまな角度の、例えばマスコミ報道の中に日銀の融資等を活用する手法あるいは政府による債務保証といったアイデアもございました。  しかし、日銀融資というものは返ってくることが本来前提のものでありますから、果たしてここに使えるかといえば、私は問題なしとしないと思います。そして、債務保証にいたしましても、今議員自身が御指摘になりましたように、回収見通しがほとんどないといった状況の中に保証を立てれば、それは恐らくそのまま履行せざるを得ない状況を生ずるでありましょう。これは結果として、場合によっては問題の先送りにつながりかねません。むしろうみは、まさに議員指摘されたように、ここで出せるだけ出してしまった方がいい。  私は先ほどソロスさんの話も伺いました。ソロスさん自身、私も尊敬する方でありますし、今まで教えを請うたこともございます。しかし、この処理について我々は全力を挙げて、そのほぼ回収不能とこれは一緒だと委員が御指摘になりました部分についても回収の努力をしていこうといたします。また、しなければなりません。できるようにぜひ国会にも御協力を賜りたい。  我々は、この処置を行うことによって、今一番象徴的に、しかも喫緊の課題となっている住専の問題を処理していくことによって、日本金融システムというものは新たな局面を迎えると思います。そしてそのときには、今までの護送船団方式と言われたような方式から、まさに自己責任ということを強調された委員の御指摘のように、新たな金融システムというものに我々は姿を変えていく努力を全力を尽くして払っていかなければならないと思っております。
  83. 野田毅

    野田(毅)委員 私たち、先送りしろなんてだれも言っていないんです。つまり、やり方を変えろと言っているんです。今処理しなければならぬのは当然なんです。まさに今やるなら、ばんそうこうを張るやり方じゃなくて、何か痛みどめの注射をするようなことじゃなくて、よく救急車の、この前、日経の公開質問に対して武村大蔵大臣が御答弁されております。その中で見ると、こういう例えがある。「救急病院に運ばれた患者に緊急手術を施し、その後に病気の背景・原因等を調べるという、いわば危機管理の側面もあると考えております。」こう言っているわけですね。これは、時々与党の方々、テレビでもこのようにおっしゃる。  しかし、実は、救急病院に運ばれてきたのは今じゃないんです。三年前に運ばれてきているんです。三年前に運ばれてきているんだけれども、今日まで実は放置してきている。だから、今やらなければならぬことは、今ここで抜本治療を施すことなんです。ばんそうこうを張ったり、痛みどめの注射を打つだけじゃだめなんですよ。  だから、さっき総理が債権回収機関、そのとおりなんです。これはもっと権限強化をして、言うなら破産管財人を公的にバックアップする。どうせやるならそれをなぜ公的機関にしないんですか。なぜ私企業、認可法人みたいな一民間企業にしちやうんですか。告発権ぐらい与えていいじゃないですか。不法占拠があったり詐害行為があるんなら、それが排除できるようなそういう民事法規を、なぜ改正案を提案しないんですか。  アメリカが六年間でやった。日本はこれを十五年間でやろうという。だったら、日本は決して住専だけじゃない、いろいろたくさんの不良債権がある、それらを全部ひっくるめた公的な、まあこれ必殺仕事人じゃないけれども、本当に、破産管財人の職務を徹底的にバックアップする。それだけの人員をそろえていいじゃないですか、本当に。そういうことをまずやらなきゃだめですよ。これは単に預金保険機構をちょこちょこするような話じゃないんです。預金保険の話じゃないんですよ。  ただ、今提案されようとしている、まだ法案が出ていませんよ、どうもどれぐらいの規模になるのか。私は、一万人ぐらいの規模で堂々とやりなさい、そのかわり五年内でこの問題は徹底的に処理する。それはそうですよ。アメリカを上回るぐらいのことをやらぬでどうしますか。そうでしょう。我々が提案しているんですから。私はそのほかのこともいろいろ言いたい。後で言います。(発言する者あり)  我々は今、ここで――今、死人が出てもしようがないというようなやじが自民党から出ています。その根性が今日の事態を招いているんです。なぜそれがわからぬのか。私はさっき、あの数字のあっちこっちの押し合いへし合い、責任なすりばかりしているんです。母体行は農協への責任を言う。農業団体の方も、それはやはり我が身を守ろうという本能がありますよ、母体行の責任を言う。  そういう中で、押し合いへし合いになってしまっている、そのことを政治家は超えなければだめですよ。それなら、この後それだけの、日本金融システムを本当にどうするのかというところに目を向けて次なるシナリオを書かなきゃだめなのですよ。そのためには、やはり自己責任原則という当たり前のことを貫徹することなのだ、今度の処理に当たって。  そのためには、政府が間に入って要請をしちやいけないのです。当たり前の、いいですか、住専は預金を預かる銀行じゃないのです。だったら住専を堂々と法的処理をやりなさいよ、破産管財人を置いて。それをやったら時間がうんとかかると言うのなら、それをバックアップする仕組みをつくればいいじゃないですか。そして、徹底的に債権回収をやろうじゃないですか。それが先決じゃないですか。  私は、本当に橋本総理にそのことを期待しているのですよ。与党、野党じゃないのです。これは日本の国際的な金融システムの問題なのですよ。だから言っているのです。我々は、ために政争の具にしたくない。それよりも、だからむしろ総理の方も、この際頭を冷やして、一遍白紙で考えでみてください。私は、そのことをまず撤回すること、この案を。どうですか。
  84. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変申しわけありませんが、私はこの予算を撤回するつもりはございません。しかし、その御意見を述べられる前提として、今委員が述べられた御意見は、私は傾聴をいたしました。  そして、私自身政府部内での議論をいたしておる部分でもありますが、預金保険機構の中に法務・検察、警察、国税といった、こうした分野の専門家たちの派遣を求める。  さらに、住専機構において、これはOBの方々になるでありましょうけれども、そのほかに民間のこうした分野、例えば金融の専門家でありますとかあるいは弁護士の方々でありますとか、こうした分野の練達の方々に参加をしていただき、より強力な機構をつくり、そこに、先ほどまさに委員は告発の権限という言葉をお使いになりましたが、私もそうした権限まで持たせられるものなら持たせたいと思っております。また、そういう意見を申したこともございます。それだけに、より強力な機構をつくり上げ、それが機能するよう、全力を尽くしていきたいと思いますので、ぜひお力添えをお願いをいたします。
  85. 野田毅

    野田(毅)委員 実は、順序が逆なんですね。本当は先にそういったことを提案をされて、ある程度事柄が進んで、責任も明確になって、それからさてどうするかという、税金を使うことの是非の論議に入るわけです。ところが、残念ながらそれが逆になっちゃった。  それは、さっき話があったが、村山総理が去年の十月にもそういうことをおっしゃった、草川さんの質問に対して、責任問題究明が先決だと。だけれども、じゃ、これが予算化されたときに責任問題ははっきりしましたか、借り手の責任、貸し手の責任。まだ今になって政府としてどういう責任、一緒になって与党は格好つけて言っていますよ、今になって。しかし、やるべきことは、政府がどういう行政に対する責任を明確にしましたか。だれか処分がなされたんですか。はっきりしているんですか。何にもなっていないじゃないですか。  総理も、つい先日三重県で、責任をまず明確化する、こうおっしゃっております。要するに、現段階で、今、同時並行という話があるが、同時並行よりまだおくれている。預金保険の債権回収のスキームだって、今まだ法案が出ていないんですよ。予算だけが先にスタートしているんです。とにかく、しゃにむに数の力に頼んで、もう予算を早くやれ早くやれ、それだけの話だ。こんなばかみたいなことをやっていたら本当に禍根を残しますよ。  まずそこで、ちょっと話が横へそれるかもしれませんが、具体的に政府として、国会責任の所在を明らかにして、究明をして責任追及をするということは、これは国会の仕事です。しかし、それとは別に、政府みずから昨年の秋から今日に至るまで、政府としてどういう努力をおやりになったか、今日まで。論議はいろいろあるけれども、具体的にどういう責任の明確化、その努力をしてこられているか、今日まで。これをちょっと聞かせてください。  話はあるけれども、いつまでたっても、いや、責任は明確にしなきゃいかぬ、明確にしなきゃいかぬと言いながら、このままずるずる一カ月もしたら、はい、衆議院は時間が来ました、予算を上げろという話になるのでしょう。これはどういうことですか。  これは総理に言ってもしんどいかもしれぬが……(発言する者あり)そうなんだな、これ、逃げちゃったんだな、前の総理大蔵大臣も、言った人が逃げちゃったんだもの。これはどういうことですかね、委員長。(発言する者あり)ああそうか、やっぱり総理責任をとったんだな、村山さんが、武村さんも。そういうことですか、今そういうやじがありましたが。私は、そういうのは責任をとったんじゃない、そういうのは無責任というのですよ。無責任をとったんであって、そこのところを具体的に、政府としての今日までの責任明確化の努力の足跡、片りんぐらいでもいいから聞かせてください、大蔵大臣
  86. 久保亘

    ○久保国務大臣 責任問題につきましては、例えば行政に関する責任につきましても、私はこれを回避してはならないと考えております。その政策の決定やあるいは指導監督上の責任に関する問題についても、省内においてもそのことに関して検討をしてもらっております。また、これらの問題については、今後、国会におきます御論議等も十分に私どもとしては注意深く聞かせていただきながら、この責任問題に関しては、国民の御理解を得られるように明確に追及すべきことをきちっと追及しなければならないと考えております。  なお、この際、事実だけを申し上げておきますが、先ほど野田さんの方から、G7に関する議長総括の中には全く取り上げられていないということでございましたけれども、議長でございましたアルチュイ・フランス経済・財政担当大臣は、プレスガイダンスにおいて明確に、この金融システムに関する報告に勇気づけられたという報告をいたしております。そのことが、だからどうだと私は申しているのではございません。ただ、事実は正確に申し上げておきたいと思います。
  87. 野田毅

    野田(毅)委員 そのことも承知しています。記者会見でそうおっしゃった。だけれども、議長総括というドキュメントには入っていない、事実は。それだけ申し上げておきます。それは枝葉のことです。  この問題本当に我々も、日本の金融秩序がどうなってもいいなどというのはとんでもない。私たちは、むしろ逆に、法律にのっとって、法治国家として、そういう民間における債権債務の調整ということは、一々政府行政が立ち入って、ここは力があるから、おまえ、これだけ負担しろ、ここは力がないから、これはまけてやれ、そんなことを何の権限に基づいてやるのですか。私は、そういうものこそ民事不介入ですよ。警察でも民事不介入といってなかなかやってくれないでしょう。それを、その原則をなぜ貫かないのだろう、本当に。それが実は金融秩序を守ることなんですよ。  金融秩序とは一体何ですか。こんなことをやったら、住専一一〇番、私たち、もう百件以上、怒りのファクスがたくさん来ています。一々紹介はしませんが、しかし、一つ二つちょっと言いましょうか。  要するに、  銀行系、農林系、彼等は仕事として事業を行い利益を上げようとした商売です。失敗したからといって公的資金、そんなばかな話が通る筈がありません。貸手、借手、行政等の責任には触れずに導入をきめ、国民批判が高まると責任の所在をはっきりさせるとか言いだす。  国民に理解、納得出来るような議論をした後に導入すべきで、先に財政資金投入ありきでは納得が行きません。  白紙に戻して国民が納得するまで論議すべきです。 これは大津市ですね。  それから、  住専公的資金をもし充てるようなことを政府が実施すれば、私たち税金を納入しないことにします。 というのがある。  これは決してこの人だけではなくて、どうも最近、今度の確定申告を前にして、そういう不穏な動きがあっちこっちであるように耳に入っています。恐らく総理の耳にも届いていると思うんですね。これは、健全な日本社会の道義心を損ねることにもなっているんですよ。こっちの方がよりゆゆしき問題じゃないだろうかと思いますよ。  それは中には、阪神震災、もともとこの住専というのはスタートは個人住宅ローンをやるためにつくった会社ですから、そこから借金してマンションを買った人も今日まだたくさんいますよ。それが大体二兆円ぐらい残っているんですね。これは個人向けローン。この人たち。二兆円、これは正常債権だ。実際このうちの三千億ぐらいはこっちじゃなくてこっちに入っていると思います。不良債権の方へ仕分けされていると思います、三千億ぐらい。  だけれども、かなり多くの個人住宅ローンを借りた人は、特に気の毒なのは、阪神震災でつぶれちゃったんだ、だけれどもローンは残っているんです。あるいは、この不景気でしょう、会社が倒産しちゃった、だけれどもローンは残っている。その日どうやって暮らしていこうか。一方では彼らは税金を納めている。その税金をですよ、ここの穴埋めのために何で投入されるのと。  金融秩序というのは、人から金を借りたら必ず返すというのが、これが金融秩序ですよ。そうでしょう。踏み倒したらその後は税金で埋めてくれるというのなら、こんな金融秩序はないですよ。  今みんなどういうことを言っていますか。おれたちだって返すのやめようか、そしたら税金で埋めてくれるんじゃないか。本当にちまたではそういう話が蔓延しているじゃないですか。そういう姿をつくっておいて、日本が金融秩序を守るために税金投入が必要だという論理は、私は通用しないと思いますよ。逆だと思います。  ですから、私は、初めに税金投入ということを、このスキームを考えるんじゃなくて、冒頭言いましたように、やはり法的処理、この住専を破産処理させなさいよ、当たり前に、淡々として。そして、いろいろな、マル暴絡みや何かで短期賃借権だとか妨害するんなら、むしろそっちの方の、必要なら法改正して、しっかりした破産管財人の仕事が執行できるようなバックアップ体制をつくることの方が金融秩序を守ることになるんじゃないですか。  私はそういう意味で、大蔵大臣、これは政治家として、今まではいろいろな経緯があると思うん ですよ、それは。だから悩みに悩んだ結果、大蔵省はこういうスキームをかいたかもしれない。しかし今、将来展望して、これだけの大きな犠牲を払ってその後に何が生まれるんですか、日本の中で。結局道義的退廃を蔓延するような話じゃないですか。  私は、そういったことを考えると、やはりこの住専処理機構という、こういうようなことじゃなくて、つくるならっくるで、住専だけじゃなくて、さっき言いましたように、破産管財人の仕事をバックアップする、そういうものをばしっとつくりなさい。そして、こっちの方はやるならやりなさい、法的処理を。  そして、特に農業系金融について、我々も零細な農家の預金をこれは一〇〇%保証しなきゃいかぬ、そのためにはやはり農協、漁協の貯金保険機構を、必要ならそれのために日銀からの融資をやったって構わない、つないで。最終的に、どっちみちこれは農林系統も再編を出さなければいけないんです。報道でもあるじゃないですか、来年の通常国会には、信連を含めて農業系金融を再編しなければならぬ。今大変なことをやっているんだ。  私は、それも合わせてセットにしなさいよと。そういうものを、全体をワンセットにして、そして日本は五年内に債権処理はみんな終わるんだ、債権回収も、そういう全体像をワンセットにして世界に示してごらんなさい。私は、そこで初めて日本が本当の意味での自由主義国の金融の上でのリーダーになれると思います。そうすれば、株価は心配せぬでいいですよ。  それを、いっときの混乱をいろいろ恐れて、よくわからぬ理屈にのっとって、こう言うとなんですが、談合型、もたれ合いの中で結局うやむやにして、そして、どういう理屈でどの金融機関がこれだけ負担したかという、その負担の配分の論理がどこにも出てないのですよ。押し合いへし合いの力比べの結果出てきただけの話ですからね。ですから、積算根拠がないと言ったのはそこなのですよ。そういう不透明な中でこの問題を処理したら、私は、必ずや禍根を残すことになる、こう思っています。  話があちこち行きましたが、そこで農林大臣、恐縮ですが、さっき言いましたが、農業系金融機関、これ、やらざるを得ないのですよ。それで、住専だけじゃなくて、新聞にも出ていたでしょう、元日の読売新聞に。住専以外のノンバンクにも五兆円の融資がある、そのうちの二兆円が既に倒産または再建中、まだその先どうなるかわからぬ、それ以外にもあるかもしれない。  それだけじゃなくて、今農協全体が非常に、今日まで長い間、地域社会の中核になって、単に経済的な支柱だけじゃなくて精神的にも社会的にも大きな支えになってきた、これは事実です。しかし、これから新食糧法なりポスト・ウルグアイ・ラウンドの問題なり、いろいろな中で本当にみんな悩んでいます、苦しんでいますよ。それだけに私は、やはり農協が再建するということは大事なことだ。そのために、やはり国民は理解しなければいかぬと思うのです。それは思います。  その中で、ただ、協同組合ですから、本来協同組合は、協同組合金融に、原点に戻った方がいい、本来の。員外からお金を集めて、そして員外にお金を貸して、そして運用益で云々という時代ではない。  私は、もう少し農協自身も、つらいけれどもリストラに、勝手にしろというんじゃない、一緒になってリストラにみんなで協力しようじゃないか、そういう姿をもっと前面に出せないものだろうか。私は、それを勇気を持つべきだと思う。だけれども、何か、いや、これは農業のために出した金じゃないんだとか、すぐそんなことでやつちゃうものだから、何かいかにも言われたくない、何かこうふたをしておかなければならぬような、そんな扱いにされたら、かえって私はまじめな農家にとっては不本意だと思いますよ。  どうですか。その辺、これからの農業金融、どういうふうに立て直すのか、ちょっと教えてください。
  88. 大原一三

    ○大原国務大臣 金融の専門家でありますから簡単にお答えいたしますが、現在の農業金融だけではなくて農協のありようについて、これから体質改善が急速に迫られております。それに、今回の住専問題を奇貨といたしまして、おっしゃったように、特に金融構造が破壊されますと農協の存立基盤が失われるわけでありますので、現在までの金融構造のあり方に反省を加えまして、いわゆる二段階方式、特に県信連段階を合理化して、できるだけ早い機会に、少なくとも二〇〇〇年までにはそういう新しい構築を、金融構造もとよりでありまして、さらにまた、農協の全体の仕組みを変るような検討を早急にやりまして、この夏までにはひとつ農政審議会でも結論をいただき、でき得れば次の国会と言わずに臨時国会でも提案できるような体制に持っていきたい、こんな気持ちでございます。  よろしくお願いします。
  89. 野田毅

    野田(毅)委員 問題認識、意気込み、それはよくわかります。  ただ、先ほど来いろいろな話があるのだけれども、やはり予算計上が早過ぎるのですね。そういうやるべきことを先に提案をし、やるべきことをやって、そして後でその財政資金の投入の是非の検討に入って十分なんですよ、これは。ですから、その前に……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。私は、もう時間がだんだんなくなってきておりますので、具体的提案に後ほどちょっと入りたいと思うのですが、その前に、少し積算の問題について戻りますけれども、資料要求もしなければいけません。  それはなぜかというと、例えば、これは産経新聞二十八日付で報道されているのですけれども、住総という住専があります。それが富士住建に五百五十億を貸していた。それが平成五年の決算で、どういうわけか、不良債権という処理から猶予債権という処理に切りかわっている。  したがって、昨年八月に大蔵省が検査に入ったときには、既にこの五百五十億というものが、この分類が変わっているのか変わっていないのか、これはよくわからない、この五百五十億。これが、必ずしも猶予債権、不良債権という枠組みが大蔵省の検査の中でありません。大蔵省の分類はあくまでも、これは何も法律に基づくものではなくて、検査官の、金融検査に当たる方々の心覚えの分類だ、こういうふうに聞いております。必ずしも政令なり省令で決まっているわけでもない。  その中で、第二分類、第三分類、第四分類とある。この第四分類というのは、まず一〇〇%回収できない債権である。第三分類は、ほぼ不可能である、戻らぬ。だから、冒頭言いましたが、民間金融機関は、この部分も一緒に処理方針を立ててくれないと政府・自民党は信頼ならぬ、だまされるんじゃないか。第一次処理の六兆四千の方だけ先にのんでしまったら、後になってから、実質は同じような中身の第三分類の一兆二千までまた押しつけられるんじゃないかというおそれがあるから、それでかなりがたがたごねて、結果的に、けさの閣議了解で、このうちの、ロスが出たら半分やはり税金で入れますよということを言わざるを得なかったわけです。そういう債権。  それから、ここが回収困難なんですね。この辺が、具体的にどの債権がそれぞれのどこに該当するかというのは、これはわからない。わからないから、実はその積算基礎を示してほしい。  そういうことからいくと、今言いました五百五十億というのは、これはどっちに分類されていたのか、どっちに動いたのか。やはり五百五十億は大きいですよ、これは本当に。これはぜひ調べてもらいたい。大蔵大臣、言っておいてくださいよ。どうですか。今すぐと言ってもとてもわからぬだろうから、これは資料要求しますよ。
  90. 西村吉正

    ○西村政府委員 今御指摘の五百五十億というような個々の債権について、具体的な取り扱いをお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じますが、そのような性格の問題がどのように処理されているかということを御説明して、御答弁を申し上げたいと思います。  いわゆる回収が難しいと言われておるような、そのように認められる債権につきましては、その債権のうち担保でカバーされていない部分、この担保の評価は路線価でやっておりますが、担保でカバーされていない部分については、ロス額として分類をしておるわけでございます。  しかしながら、債権としては回収できないものであっても、担保でカバーされている部分につきましてはそのような手法によって回収が可能であるということでそのような扱いをし、資料の上でも回収不能額の中には計上をしておらない。そのような取り扱いで、御提出申し上げました資料を整理しておるわけでございます。
  91. 野田毅

    野田(毅)委員 半分だけわかります。  しかし、つまり、平成五年のその入れかえといいますか、まあごまかしと言うと言葉が悪いんでしょうけれども、その中で、住総という会社が動かしたわけですね、分類を。だから、結局、動かした結果に基づいた処理になっている。したがって、恐らく可能性としては今の五百五十億は、今の局長お話だと正常債権、猶予債権、こっちへ入っているんじゃないですか。この三兆五千の方へ、今のお話だと。第二分類の回収困難まで行っていないと思うのですよ、猶予債権ですから。  だけれども、報道によると、どっちかというとむしろ第三に近い、もともとが。つまり、五百五十がどこに分類されているかというのは、もしこれが本当に回収不能になっちゃったら、またこれはふえるんですね、国の負担は。そうなるでしょう。そのうちの半分は税金で負担するということをけさ閣議了解でお決めになったわけですから。これが現実じゃないですか。  だから、そういう意味で資料を、私たちが言っておりますのは、さらに重ねて、結果的に、大蔵省の人たちが一生懸命検査したんですからその数字をうのみにせいというお話のようですが、そうもいかないねと。だから、今のような、本当に個別にどういうことになっているのか、特にこの上位百社への貸付額のうちそれぞれ第三分類、第四分類に該当する、この第三分類、第四分類、まず回収不能、一〇〇%回収不能、こういうものがどれだけあるのか、これはやはりそれぞれ出してもらいたいですね。  それから、いろいろ報道されていますが、最初に暴力団ありきなのか、後から入ってきたのか、いろいろケースがあると思います。しかし、実態調査をおやりになったんですから、それぞれの債権についてかなり回収が困難だという判断をされる中には、単に地価との兼ね合いだけじゃなくて、具体的に容易じゃないなと。脅迫されたり、それは回収作業に当たる人も大変だと思います。なかなか警察も民事不介入といって助けてくれないし、下手したら、どこかの銀行の支店長さんが不幸な目に遭った、そんな話を面と向かって脅迫がましくやられる、震え上がっちゃうというような話になっちゃうと、日本ではまさに無法と不正がまかり通る社会になっちゃうから、それじゃ困るので、そういう意味で、不良債権の中で暴力団なりが絡む額、件数、これをぜひ出してください。  それから紹介、よく言われるのが不良債権のつけかえの話もよく出ています。これは母体行が自分たちの持っている余り芳しくない債権を住専の方につけかえしちゃって、言うならヘドロをそっちへ回しているんじゃないかという報道もありますね。やはり善良な納税者から見ると、とてもじゃないがこういうものは見過ごすわけにいかない、やはりはっきりしてくれというテーマの一つです。これも委員長資料要求の中で申し上げたいと思いますね。  だんだん時間がなくなってきて、いろいろ申し上げたいこと、問題点、たくさんあるんですが、それから最後に、さっき言いましたが、基本は、やはり当たり前の法治国家として、今回その法的処理をまずやるべきだ。その対案といいますか、私なりの考え方を少し申し上げてもみたいと思います。  それは、まず、今求められているのは一体何だ。それはくどくどさっきから言っていますが、それは決して当面を糊塗することとか先送りするようなことでない、これは同じだと思います。しかし、不明朗なままで塩漬けするということでもないんだ。  今回のいろいろな資料に対する説明情報開示あるいは責任の明確化あるいは数字の積算根拠、どの一つをとっても、なるほどそういう考え方、なるほどそういうプリンシプルでやったのか、配分比率も。何にもない。ただ押し合いへし合い力ずくで何となく押さえ込んでしまった。それを世界がみんな見ています、残念ながらね。そういう意味で、これは金融システムを抜本的に刷新することにならない。  今求められているのは、まさに日本金融システムをこの機会に抜本的に刷新することだ。そして国際的にも通用する、透明度の高い、自己責任と法の支配を貫徹する、そういう金融市場を日本につくり上げることだ。この目標をまず第一に置くべきであるということを申し上げておきたいと思います。  注意すべきは、さまざまな分野責任追及の話もあるんです。これはまあ時間があればいいんですが、もう余りありませんが、先に進みます。  その中で、さっき農林の話もしました。農業関係金融機関も抜本的な再編をしなければならぬときが来ている。  そして処理をする原則。まず一つ、踏み倒された借金の穴埋めに税金は絶対使わない、このスキームだけ、ストレートに借金を踏み倒した穴に国民の血税を注ぎ込むというこのスキームは使わない、これが第一。そして、住専経営破綻による債権債務の調整は、破産法等、こういったものでやりなさい。それから、債権回収、それによって時間がかかるというのなら、債権回収をバックアップする、そういう機関をつくる、それを最優先にしなさい。このことをまず原則として、私は具体的なスキームを考えたらいいと思っています。  その中で、先ほど来言いましたように、一つは、破産法等によってこの住専破綻処理をまずやること。そして必要な場合には、先ほど来るる言いましたが、幾つかの民事法規を改正して、そして詐害行為や不法占拠やら、いろいろなことに対処できるような立法をやればいい。  それからいま一つ、債権回収のための特別の公的機関をつくるべきである。告発権の付与、先ほど言いました。そして人的にも大量投入だ。五年以内に完了を目指す。セットでやる。  それから、農業系統の金融は再編をする。その中で、普通の預金者と同じように、農協、漁協、特に農協の貯金者が不安のないように、しっかりとその預金は守るという原則、そのために、必要に応じて、私はこの貯金保険機構の見直しをやって結構だ。公的な支援体制をしいていいじゃないですか、将来の再編に向けて。  そして最後に、金融機関に対する行政のあり方、これをちょうど通産省、公取が行政分野と検査の分野を分離しているように、検査といいますかチェック、そういう考えを導入するというのも私は一案だと思います。  ちょうど大蔵大臣のときに、証券問題がいろいろありました。随分苦労されたと思います。結果的に日本版SECというものが、証券監査委員会というものができた。私は、そういうチェック機関が金融に関しても必要だと思います。アメリカ的な、そういう透明度の高い金融行政を本当にやろうというのなら、今のこの銀行行政に携わっている陣容では余りにも不足しています。けたが違います。我々政治家は、行政改革も大事だ、人間を減らすことも大事だけれども、必要なところには投入をするという、これも私は政治家の大事な決断の一つだと思っています。これを提言したいと思っています。  そして最後に、再発防止のために、金融犯罪に対する罰則なりそういったもの、特別背任だとか背任だとか、そういったものをやはり強化をする、これも大事なことですよ。私は、そういったこと をワンセットにしてお出しになるべきだ。そうすれば、今回の一次、二次にわたる税金の投入を根幹とする住専処理スキームは、この際白紙にお戻しになった方がいいのではないか、私はそう思っています。どうでしょうか。
  92. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 議員の今述べられました御提言の中には、我々として傾聴すべき点を多く含んでおる、そう思いながら拝聴いたしておりました。  ただ、最終的な結論として、予算の白紙撤回という部分については、私は同意をいたしかねます。今日そういった手法をとりますことは、私は、いたずらに内外の市場に大きな混乱を与えるだけではなく、むしろ、今後の処理影響を及ぼすことが非常に大きいどいう懸念を強く持ちました。  ただ、その中で、私が非常に真剣にそれぞれの御提案を伺っておりましたのは、金融自由化がどんどん進展してきて、かってと全く状況の変わってまいりました市場に対して、まさに金融自由化を行っておらなかった当時の行政、あるいは証券・銀行の垣根を非常に高くいたしておりました当時の行政というものから仕組まれたスキームが、行政として対応できる状態では既になくなっている。  そして、金融自由化の流れの中における新たな自己責任原則に基づいた市場の育成が必要であり、市場は、これはもうここから先は御自分たちで育っていかれるでありましょうから、その市場に対する監督行政というものを真剣に考えるべきだという点は、私は、議員の御指摘はそのとおりだと思いますし、議員の御意見も一つの大きな示唆であろうと考えております。
  93. 野田毅

    野田(毅)委員 結局、今回の税金の投入、このスキームによって、先ほど来言っていますが、どういうことになるんだろうと、とどのつまり。どういうことが残るんだろうかと、それだけの大量のお金を使って。  さっき言いましたが、歳出でも、今六千八百億、それからさらに六千億が予定されている。それから、二兆円という回収困難債権の中でも相当ある。それらを合わせますと一兆五千億を超えるでしょう。そうなると、そのほかに、民間金融機関が損金処理をする、債権放棄をする、そのうちの半分が、税金として入ってくるべきものが入ってこなくなる。間接的に五割の補助金を出しているような話だ。トータルすると四兆円を超える。国民一人当たりにすると、どれくらいになりますか、これは三万円を超える。四人家族なら十三、四万ぐらいになるでしょうね、そういう計算でいくと。  この財政危機、そういった中で、それだけのお金を投入して、得られるものは一体何だろうかと。前途に明るい一つの仕組みができ上がるんだろうか。そうじゃない。むしろ、社会道義を退廃させる方向に行ってしまっている、先ほど来指摘したとおり。  金借りても踏み倒せる。今度の確定申告でも、何か自分で勝手にこう、申告書に控除の欄をつくって申告しようかという話まであるそうだ。本当に、納税道義、金融道義、社会の道義がおかしくなってきている。これは、単に金融システムだけじゃない、日本社会の道義自身そのものが最近おかしくなってきている。私は、そのことを政治家としてぜひ考えてもらいたい、本当に。党利党略で言っている話じゃないですよ、それは。  私はそういう点で、梶山官房長官が、午前中米沢さんが指摘されました文芸春秋、私も読みました。さすがだと思った。さすが国土だ、大局を見ておられる。私は本当にこれだけ、今の日本の社会の危機だと思う。ここはもう一遍、今は大分言葉を選んでおられるのかもしれないが、報道では随分ありましたよ、凍結すべきだと。どうですか。正直におっしゃってくださいよ。これは、官房長官が堂々と文芸春秋で自分の考えをお話になった。私は、国民の圧倒的多数は同じだと思いますよ。どうぞひとつ御披瀝ください。
  94. 梶山静六

    ○梶山国務大臣 一義的に私の答える分野ではございませんが、私の、ある雑誌への投稿がお目にとまって恐縮に存じます。  時系列的に言うと、あれを書いたのは十一月末から十二月の初めであります。その後、この問題を私たち承知をするというか議論にのせたのは、我が自由民主党の総務会、十二月の末であります。そして現在、皆さん方の言の葉にのっているこの文芸春秋の投稿は、むしろその後、一月の十日前後に発売をされたものでございますので、まずもってその辺のところ、官房長官として寄稿をしたものではないということだけは御承知おきを願いたい。ただ、私が率直に感じましたこと、そのこと自身に私の間違いはないと思っております。  今、野田委員が御説明をされている中、大半私は肯定をいたします。ただ一つ違うことは、方法論、順序論の問題であります。何を先になすべきか、何を後にすべきか、その問題は、全く正反対の判断を今持っております。  そして、まずただすべきは、行政責任ないしは政治家の責任、これを言われるならば、私たちはみずから隗より始めよで、行政政治責任をまず民間に示すことによってこの問題の解決の糸口をつくりたい。そして、今、野田さんが言われたように、新しい金融システムをどう構築をするか、この第一歩にしなければならない、私はこのように思います。  そして、確かに、あなたの昔の同僚ないしは先輩ないしは後輩、この方々と論戦を交わしているのを見て、私と違って大変複雑な思いがあろうかと思います。しかし、彼らとて、私は、当時故意ないしは過失があってこの住専の問題の発端をつくったとは思っておりません。その当時はそのときの時代の要請に従って、私は善意に基づいてやったという判断をいたしております。しかし、さりとて、結果責任を逃れるものではございません。これは、みずからの責任をいつの時期にか、どういう方法でか、明らかにされることを私は期待をいたしております。  しかし、その行政指導を受け、護送船団方式とあなたが言われるような金融業界、この方々が住専に貸し出しを行ったものは、恐らく私は、トップは正確に把握をしていなければならない責任だと思っております。それができていたかどうかは私は定かに知りませんけれども、少なくとも金融の経営責任者は、その実態を知り、そこに危険があることが承知をできるならばみずから手を引かなければならない、その種の問題があろうかと思います。ですから、これから刑事上や民事上の責任を問うことは、私は相当困難があってもやれると思います。  しかし、それ以前に、いわば行政の、いわば金融政策の決定責任やあるいは現実にその委任を受けてというか期待を受けて金融に当たった方々のいわば本当の責任、昔で言う、日本には恥の文化というのがありました。今、近代流に言えば、あるいは誇り、プライドの問題かもしれません。これは法以前の問題でありまして、そのモラル観がなければ金融業界は私は地獄に落ちる、そういう思いすらするわけであります。どうかひとつ賢明な御判断と、お互いに政治家として全責任を果たしていくためにこれからも努力を払いたいと思います。  重ねて、政府の決定している今の方式をぜひ御理解のほどをお願いしたいと思います。
  95. 野田毅

    野田(毅)委員 まだまだいろいろお伺いしたいことがたくさん残っております。  それで、最後に少し資料要求をしたいと思います。それは、きょう触れられなかったのですが、特に総量規制のころ、それから三年前の両局長の覚書が交わされました。私から言わせれば、実は総量規制を諸悪の根源のような話があるけれども、私はそれは間違いだ。総量規制はよかった、大臣はそう思っておられると思う。そういう答弁だったように思う。  ただ問題は、そのときに三業種規制も一緒にかけている。その部分の、なぜ信連が――つまり総量規制に至るまでに、私も調べましたが、四回ぐらい銀行局長が土地関連融資の自粛を随分流している。そのことは同じ金融機関であればみんなわかっていたはずだという部分も実はある。ですから、そういうこともあります。  それから、覚書を交わされた。これはちょうど第二次の住専再建のころ。このころに、新聞に報道されていますよね。強引に、独自の再建計画をやりたかったんだけれども大蔵省から押しつけられて、生々しくその模様が速記録が出ていますよ。ですから、本当はそのあたり、これも決して悪意でやろうとしたんじゃないだろうということは、それはわかりますよ。行政の立場にある人がそんなに悪いことをしようと思うわけがない。しかし、結果としてそのことが今日までの処理をずらしてしまった。だから今さらというところがあるのでしょうね。  ですから、いろいろ思いはあると思うのだけれども、本当にそういう点でもう一遍聞きたいのですが、そのためには、当時の総量規制のころの担当局長さん、大蔵それから農林、それから覚書を交わされた当事者である両局長さん、やはりこれは本当はもう少し突っ込んで実は聞きたいわけですよ。どういう意図なのか、なぜ秘密にしたのか、やはりいろいろ聞きたいことはたくさんありますよ。それはぜひひとつ委員長、今度は参考人なりでお願いをいたしたい、こう思います。  それから、もう一遍言いますと、予算作成に至る経緯のありました村山前総理、武村前大蔵大臣、それから農水大臣大蔵大臣が御相談をされて、そして翌日に決まっているということがありますので、その辺の本当のやりとりがどういうことであったのかということを当事者からぜひお伺いをいたしたいということがあります。  それから、今回の、先ほど冒頭のところで申し上げましたが、政府の要請に基づいて各関係金融機関の業界の団体の代表の方がおおむね了承を多分口頭でしてきたのだと思います、これは。正式な文書ではまだ来ていないというお話ですね。ですから、彼らが責任を持ってどこまでやれるのか、どういう具体的な方法で各傘下の金融機関がこれからの負担をしていくのか、そのことをやはりぜひお伺いをしたい。今度、預金保険機構の中の基金を拠出をする関係金融機関の代表の方々にぜひ聞かせてもらいたい。これはぜひ私は要求をしたいと思います。そのことをまず申し上げておきます。  もう時間が参りましたので、委員長、よろしくお取り計らいを願います。(拍手)
  96. 上原康助

    上原委員長 ただいまの御要望の件につきましては、後刻理事会で協議をいたしますが、正確を期す意味で野田委員にお願いしますが、文書で御提示を願いたいと存じます。  この際、草川昭三君から関連質疑の申し出があります。米沢君の持ち時間の範囲内でこれを許します。草川昭三君。
  97. 草川昭三

    ○草川委員 草川です。  いろいろと議論が続いておるわけでございますが、今、この住専問題で国民皆さんは本当に怒っておみえになるということをまず総理はきちっと腹に受けとめていただきたいと思うのです。  いわゆる住専というのは、先ほども出ましたが、住宅ローンを取り扱う会社でございますから、国民の多くの方々は、御家族の中、ほとんどが何らかの形のローンを組んでおみえになるわけであります。大変厳しい生活環境の中からローンの支払いをしているわけですね。そして、一方では、これからの高齢化社会ですからお年寄りもたくさんお見えになります。老後が不安ですから銀行にわずかばかりの預金をされる、定期をされる。昔は三%、四%という定期だったんですが、今はもう〇・五%の時代ですから、もうスズメの涙ぐらいの利子収入しかないわけであります。  新聞を見ると、三十八兆だとか四十兆近いという不良債権銀行に出ている。ところが銀行は、昨年の例を見ると、半期で二兆五千億ぐらいの史上最高の利益を上げている。どうもそれは政府の手によって不良債権の支払いに充てられているだろう、どういうことなんだろうという庶民の怒りというものがあるわけですから、先ほど我々の代表が申し上げておりますように、今度の予算は大切だ、非常に大切だけれども、その中にどうして我々の血税が組み込まれなければいけないのか、いわゆる地上げの失敗をしたしりぬぐいをしなければいけないのかという素朴な国民の怒りがあるということをまず前提にきちっと私は橋本総理が受けとめていただきたい。そのことだけ明確にひとつお尋ねをして質問に入りたい、こう思います。     ―――――――――――――
  98. 上原康助

    上原委員長 ちょっと御答弁する前に、草川先生。  この際、お諮りいたします。  最高裁判所石垣民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 上原康助

    上原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  100. 上原康助

  101. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、草川議員から御指摘のありました点は、私自身非常に厳しく受けとめております。  先ほど来御指摘をいただいております総量規制通達を出しましたときの私は大蔵大臣でありますが、その時点におきまして、私は消費税の逆風の中で大蔵大臣に就任をいたしました。このときにも本当に痛いほど国民の怒りというものを感じましたが、今回はある意味ではそれ以上に厳しいものがあると受けとめております。それだけに、全力を挙げて御理解を得るように努力をしつつ、一方では、回収に全力を挙げるという点につき全力を挙げていきたいと考えており、この点につきましては委員の御協力をもぜひお願いを申し上げたい。ぜひよろしくお願いをいたします。
  102. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、きょうは少し具体的な事例を二、三申し上げて、どうしてこのような住宅金融専門会社の不良債権の償いを国民がしなければいけないのか、反対だ、こういう意味で実は少し事例を申し上げてみたいと思うのです。  大蔵省は、平成三年の秋から平成四年にかけて住専七社への第一次の立入調査を行いました。その調査結果の提出を求めたいと思うのですが、銀行局長、出ますか。
  103. 西村吉正

    ○西村政府委員 調査結果につきましては、その中に個別債務者の実名やその状況等に関する記述が含まれておりますので、一般私人の秘密の保護等の見地から、それを公表することは難しいと考えております。したがいまして、御指摘のそのような資料を公開するということで申し上げることは難しいのではないかと考えております。
  104. 草川昭三

    ○草川委員 全くけしからぬ話でございまして、納得できません。  それで、この資料、第一次の調査というのは非常に重要な調査でございますが、この資料は、住専問題に対する母親、母体行の責任住専をつくった親銀行責任あるいは大蔵省責任を明確にする実は資料になっているわけです。  私は、ここに住専の一社、全部で八あるわけでありますが、いわゆる協住ローンを除く七社の中でも第一次立入調査が早く行われました住総というのがありますが、この住総というのはいわゆる信託銀行七行が中心になってできたローン会社でありますけれども、ここに立入調査をしました調査報告書というのを私はここに持っております。  それで、この調査報告書を見ますと、これはやはり大蔵省責任というのは非常に重大だということがわかります。大蔵省は、平成三年の十一月三十日に住総の調査に入りまして、翌年三月二十七日付でまとまったこの調査結果を当時の大蔵省土田銀行局長名で住総の市川社長に送っています。それによりますと、当時住総の貸付金の総額は一兆八千六百九十二億円、そのうち七千四百六十五億円、すなわち実に三九・九%、約四〇%が焦げつく可能性があると指摘をしております。  その理由として大蔵省は、一部の不動産業者に集中的に融資をした、不動産市況の悪化に伴い不動産が固定化したことが原因だ、個々の取引状況を見ると極めて不適切な例が散見されると、もうこのときこう指摘をしておるわけです。つまり、平成四年三月にすべてがわかっているわけです、大蔵省は。大蔵省は今日このような状況が来るということを知っていたのではないでしょうか。大蔵省はこの調査結果を速やかに私は国会提出するべきだと思うのでございますが、どのようなお考えか、再度お尋ねをいたします。
  105. 西村吉正

    ○西村政府委員 この調査の結果につきましては、先ほど申し上げましたように個人の名前等が含まれておるものでございますので、公表は差し控えるべきものと考えております。  ちなみに、このいわゆる住専に関する行政との関係でございますが、委員承知のこととは存じますけれども、いわゆる旧出資法におきますこの住専に対する権限は、業務に関し報告を徴し、または当該職員をして営業所または事務所に立ち入り、その業務に関し調査をさせることができるということでございまして、具体的な業務、事業について指導するということは法律上難しいということも御理解いただきたいと存じます。
  106. 草川昭三

    ○草川委員 それはだめですよ。去年からこの問題を言っているのですが、そもそも住宅ローンというのは、我々個人銀行へ行っても住宅ローンを組んでくれないので、親銀行が集まって住総あるいは日住金等々の全国で八つの専門会社をつくったのです。大蔵省の肝いりなんです。ですから、大蔵省は、先ほど言われました旧出資法から除いて特別扱いをしたのですよ、短資会社と同じように。  それが証拠に、大蔵省の天下りが一番最初、ずっと入ったじゃないですか、社長だとか会長に。そういう、大蔵省から遠い存在だというのは間違っているんですよ、近い存在なんですようまいところの汁だけ吸って、問題が出たからといって逃げてもらっては困る。これをまず申し上げておきたいと思うんです。  それで、ちょっと具体的な例を申し上げましょう。いろいろな問題があるんです。この具体的な指摘の中で、例えばこういう指摘があります。  業容、業務の拡大を図る余り、債権保全も不十分なまま貸し増しを続けた結果、地価の下落から担保不足になり、これはもう慎重な管理が必要ですよというので、富士住建グループというのがあるんですよ、今問題になっていますね。だれが紹介をしたか。住友信託銀行難波支店と、こう書いてあるわけです。八百五十三億も貸し付けておるじゃないですか。分類第二類ですよ。本来ならば分類三とか四にいくべきですが、相手が生きておるから分類は二というところに抑えているんです。こういう例を既に平成四年三月二十七日、大蔵省はこの住総の会社の社長に通達を出しているんですよ、調査報告書。調査報告書のこの理由というのは、いわゆる出資法の八条一項のもとに調査をやっておるんじゃないですか。  まだありますよ、そういう問題点は。債務者は不動産ブームに乗って都心の一等地のビルを次々と買収し云々と、いろいろな具体的なことが書いてありまして、現在、利息支払い猶予を行っております。これが有名な末野興産グループあるいはワールドエステートというグループなんです。これも全部分類は二番になっておりますが、貸付金額は五百六十二億、担保不足額百二十七億というふうにこれも記載をされておるわけです。  何回か申し上げますけれども、既に平成四年に大蔵省はこれは大変だなということがわかっておるわけですよ。その当時、大蔵省銀行局の四階、いいですか、四階には、住専を専門に所管する部屋があったんですよ、部屋が。そういうことまでありながら、国会大蔵省は伏せて、資料を我々国会に見せないというのは全くもってけしからぬ話でないでしょうか。  もっと前にいきましょうか。評価額いっぱいまでの融資を行ってしまったというような例もあります。あるいは、極めて不適切な事例が散見されると、みんな書いてあるんですね。それから、担保掛け目の、いわゆる担保の評価の一〇〇%で融資を実施をしておりますよ。紹介先は三菱信託銀行です。  こういうように、紹介をする案件というのは母体行なんですよ。そんじよそこらで自分で開拓をしていっていない、そういう点も私どもはこの国会指摘をしなければいかぬと思うので、めちゃめちゃな経営になっているのではないかと思うんです。  重要なことは、このことを大蔵省が、先ほど来から指摘をしておるように、非常に早い段階で知っていたということです。そのことが明らかになるのが嫌で大蔵省資料国会提出しないのではないだろうか。きょう大蔵大臣は午前中に、どんどん資料を公開すると言っている、総理大臣もどんどん公開すると言っているけれども、こういうようなものが出ていないというのは、全く私はなっていないと思うわけであります。  ですから、ここに改めて、先ほどの我が筆頭の、野田筆頭の要求以外に、参考人として当時の銀行局長土田正顕さんを、この意味で私は参考人の要求を求めたいというように思います。  それから、今若干指摘をいたしましたけれども、この大蔵省から我々に寄せられました住専関係資料、これの四十五ページにあります住総の大口融資先上位五十を見てまいりますと、このうち何と半数以上の二十七が、母体行である信託銀行の紹介による融資先なんです。さらに、そのうち二十が不良債権に分類をされております。上位五十社の大口融資先のうち、母体行から二十七社が紹介されております。そのうち二十社の融資不良債権になってしまっているわけでございますから、こういうことを申し上げて、母体行に責任が極めて大きいと私は思うのです。ここははっきりと、やはりきちっとしてもらわないと、国民税金を投入するわけにはいきません。  もっと詳しい内容を言います。  平成四年三月二十七日の報告によりますと、平成三年十一月三十日現在で、延べ二十一の信託銀行が住総に紹介をした二十社への融資不良債権として分類されておりますね、今言ったように。  これを信託銀行別に見ますと、日本信託による紹介が六社、そのうち四社に対する融資、計六百八億九千五百万円、これが不良債権。住友信託が紹介をした四社すべてが不良債権で九百四十九億七千万円。東洋信託、紹介をした三社のうち一社が不良債権で二百六十三億一千八百万円。中央信託、紹介をした四社のうち三社が不良債権で計二百四十四億三千四百万円。三菱信託、紹介三社すべてが不良債権で計二百二十五億三千万円。安田信託、紹介をした三社のうち二社が不良債権で計百十四億一千二百万円。三井信託、紹介六社のうち四社が不良債権で計二百九十八億四千百万円。信託七行の合計で二千七百四億円になります。  このほか、上位五十の融資先に入っていない四社に対する不良債権が、安田信託分五十八億三千五百万円、住友信託分二億八千万円、三菱信託分十七億一千二百万円、三井信託分六十億四千三百万円。四行で実に百三十八億七千万円もあります。  この報告書全体で、母体七信託銀行の住総への紹介分として、合計で二千八百四十二億二千七百万円の不良債権があることが明らかになりました。当時の全不良債権の三八%は親銀行じゃないですか。母体銀行じゃないですか。要するに、親が子供に不良債権の肩がわりをさせておるということですよ。親銀行責任をとってもらおうじゃありませんか。  こういうことをですね……(発言する者あり)ちょっと黙って聞いておってくれよ。自民党は何だ、大蔵省の味方か、自民党は。自民党が大蔵省の味方ならいいよ。(発言する者あり)だれが賛成だ。ああ、わかった。それならいいよ。(発言する者あり)
  107. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  108. 草川昭三

    ○草川委員 黙っておれ。(発言する者あり)静かに聞けよ。静かに聞け。  次に、昨年六月末の時点の住総の大口貸出先上位五十社に、大蔵省が報告書で不良債権だと指摘をした企業グループ名と紹介母体行を当てはめてみます。これに当てはめてみる。  貸出先第一位は富士住建、紹介行住友信託、五百五十九億四千万円。不良債権額ですよ、今の五百五十九億四千万円。これは平成三年十一月三十日の時点なんです。第四位、朝日住建、日本信託が紹介しておりますが、不良債権額二百九十七億五千八百万円。タウン開発、日本信託、二百二十六億円。これは不良債権。麻布建物、中央信託が紹介をしたわけですが、八十七億五千万円。コリンズ、三菱信託、二百一億三百万円。不二建設、三井信託が紹介して二十三億。  このように、上位十社のうち六社が母体行の紹介になっております。  なお、そのほかざあっとたくさんありますが、時間の関係で以上でこれは紹介をやめますけれども、少なくとも私が持っているこの資料で、住専の放漫経営を実に四年前に知りながら何らの有効な手を打てなかった大蔵省責任は、私は極めてこれは重大だと思うのですよ。子会社の住専不良債権を押しつけて平然としている母体行の責任が、このように明確になるわけです。これでも大蔵省はこういう資料提出をしませんか。改めて今度は大蔵大臣に質問します。
  109. 久保亘

    ○久保国務大臣 ただいまの草川さんのお話はしかと承りました。  それで、必要な資料につきましては、国会の方で国政調査権等に基づいて請求がございます場合には、私どもといたしましては、その開示の方法等についても皆様方と御相談を申し上げながら資料は極力開示するという立場で取り扱ってまいりたいと考えております。
  110. 草川昭三

    ○草川委員 国会で一〇四で提出する以前に積極的に民間銀行側から資料をみずから出すということは、かつて橋本大蔵大臣のときに橋本大蔵大臣が指揮したんですよ。それで、証券会社からいわゆる保証ですね、等々の名前が出たことを私は記憶に持っているんですが、総理はどのように指導されますか、この点について。
  111. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、久保大蔵大臣・副総理からお答えを申し上げましたように、一方では、事務当局が先刻御答弁申し上げておしかりを受けましたような問題点もございます。国会の御要請を受けて可能な限り大蔵大臣・副総理努力するというお答えを申されました。私もそう思います。
  112. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、ちょっと今の総理答弁は私どもが申し上げていることに誠意を持ってお答えにならないと私は受けとめますので、改めて、大蔵省通達蔵銀第四八八、平成四年三月二十七日銀行局長土田正顕氏の調査報告書が大蔵省にあるはずですから、改めてこれは私が資料要求をいたします。委員長のお取り計らいをお願いをします。  なお、この調査報告書は、他の六つの住専にも同様な調査報告書が行っているはずでございますので、全部この調査報告書というものを国会に明らかにされたいと思います。よろしゅうございますか。念のために発言をしておきます。
  113. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 この資料につきましては大蔵大臣が御答弁をされましたことで尽きておりますが、一点誤解をされましたようなので、私、もう一度言い直させていただきたいと思います。  今委員が述べられました大蔵大臣時代の私のケースは、証券・金融不祥事のときにおける、証券各社から補てんの事実の報告を求めたことでありました。このときには、まさに公務員の守秘義務との境に立って、私は民間のそれぞれの責任において資料提出を求めました。  今回は、公金を支出するわけでありますから、それよりもはるかに資料公開への責任は重いと考えております。その前提で、私は大蔵大臣・副総理の御答弁のとおりと申し上げました。そこはどうぞ誤解のないようにしていただきたい。
  114. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、とにかく国民の皆様に資料を積極的に提示をすることを求めておきたいと思います。  要するに、口では責任の明確化、きれいなことをずっと大蔵省政府も言ってきたわけであります。しかし肝心な資料になると、今言ったように守秘義務というものを打ち出してくる。これでは国民は納得しません。国民協力で今度の金融救済スキームというのはできるわけですから、国民皆さんが納得しなければ、どんな無理押ししてもこれは成功するわけはありません。そこだけは明確にしておいていただきたいんです。  実はこの第一次調査が行われたのはちょうど九一年の秋から九二年にかけてであります。実はこのころ、住専の中の一つに日本住宅金融というのがございます。この日本住宅金融の母体行は、三和、さくら、大和、あさひ銀行などが母体行でございますが、自分たちのグループの住専である日本住宅金融の現状を分析して、これは大変だと、大分これはもう焦げついているねと、やっていけませんねというので自主的な処理案をまとめていますが、その間の経緯を大蔵省承知をしているかどうか、お伺いをしたいと思います。
  115. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘日本住宅金融、最も早く設立された住専でございますが、その現状について私どもなりに把握しておる点はございますけれども、個別の事案について御説明は差し控えさせていただきたいと存じます。
  116. 草川昭三

    ○草川委員 のれんに腕押しというのがありますが、これは何ともならぬですよ、こんなことでは。一番国民皆さんが聞いてもらいたいことを私どもは国民皆さんにかわって聞いているのですから。それで、全部だめだ、だめだでは、これは話になりません。  私は、ここにそのときの処理策というのを持っております。これによりますと、日本住宅金融について何を言っているか、親銀行が。現況として、当社、日住金は既に大幅な債務超過に陥っており、実態は倒産会社だと、この中に書いてあるのです。実態はもう倒産会社だと親銀行が言っているのです。これはもう大変なことですね。親が子供の監査をするわけですから、お金を貸しているわけですから、一番よく知っている。  それで、その上で母体行は、自主的な処理策として、この会社を私的更生会社と位置づけ、存続会社と清算会社に分離をして再建するという案、すなわち、会社をつぶさせてくれという、こういう訴えを、実は二つの案を出して母体行は相談をしておるわけです。  大蔵省は、こういう相談があったかどうか承知をしていますね。お伺いします。
  117. 西村吉正

    ○西村政府委員 言うまでもなく、住専は、これは民間会社でございます。民間会社でございますので、民間会社がその会社をどのように経営していくかということは、その経営者の判断によることでございます。金融機関の一種でございますので、いろいろと経営方針についての御相談だとかあるいは情報というものを承知しておった点もあろうかと思いますけれども、その点について御判断をされるのは、あくまでも経営者の方々だと考えております。
  118. 草川昭三

    ○草川委員 だから、民間銀行だから承知をしていないというのですよ、銀行局は。(発言する者あり)そうそう、免許業種じゃないから。しかし、大蔵省の直轄会社であるということをわざわざ認定しているのですよ。四半期ごとに報告を大蔵省は求めておるのですよ。MOFの四階にはそのための部屋があるのですよ。だからこそ、さあ、こういう私どもが問題提起をすると、遠い存在だ、知らない、民間だからだめだ、それで行き詰まって親銀行が泣きついたら、お金を国民皆さんに負担を求めよう、こういうわけでしょう、六千八百億も。これはいいかげんにしてもらわなきゃだめですよ、いいかげんに。名古屋弁で言うなら、大概にしとってもらわにゃ困るのです。  いいですか、なぜ母体行がここまで腹をくくりたのか、その背景を説明します。  この書類によれば、九二年、すなわち平成四生三月末で、日住金の営業貸付残高は約二兆三千億円、不良債権は約一兆八百億円、四七%です。特に九一年三月から一年間の延滞残高は九百二十六億から六千九百六十六億円にと、一挙に六千億円も膨らむのです、このデータの中では。  注目すべきことは、この中で、またこれは問題があるのですが、いや、実は民間住宅ローンは健全だ、悪いのは事業用の不動産だとよく言われているのですが、実はこの中に京都支店分として二百十七億円の延滞残高が別枠になっているのですね。これは、どうして京都支店はこの日住金の中から別枠に計上をされているのか、これも大蔵省にお伺いをしたいと思います。大蔵省、十分知っているはずですから、これは。
  119. 西村吉正

    ○西村政府委員 御指摘の問題につきまして、新聞報道幾つかございましたし、また私ども、日住金の経営の現状について承知をしておる点もございますけれども、個別の取引内容にかかわるものでございますので、お答えいたしかねるところでございます。御容赦願いたいと存じます。
  120. 草川昭三

    ○草川委員 この京都支店は、後で説明しますが、二百十七億という延滞を抱えているんです。これ全部、我々の税金で負担するんですよ。これは対象になるんですよ。さっきから言っている不良債権の積算の一つなんですよ。これは答えられません、よこすものはよこしなさい、いただくものはいただき、そんなばかなことがこういう法治国家で行われますか。ふざけてもらっちゃ困りますよ。  じゃ、この京都の内容について、もう少し立ち入って申し上げましょう。  日住金の京都支店から融資されました、焦げついたこの二百十七億。実は、これは京都市内の不動産会社が、京都府を中心にしたところで約百人前後の比較的若い年齢層の方々に、名前だけちょっと貸してくれぬか、名義料を出すからと持ちかけまして、京都、滋賀両府県内の不良な、まあ不良ばかりではありませんけれども、住宅地の購入契約をさせるわけであります。その土地を担保に、日住金京都支店が住宅ローンを組むわけです。で、購入資金に充てまして、名義提供者には一回十数万円のお金を払って、ローン返済は私がやるから心配するなと、実は口約束をした事件なんです。  この不動産会社が購入をした土地は、バブル時代は高値で転売して差益を稼ぐことができるわけですが、実はそれがもう回転ができなくなりまして、バブル崩壊で倒産、社長は行方不明。名義提供者には督促状が日住金より届きますが、当事者能力がありませんから、今日まで放置をされております。  日住金支店長は倒産会社の社長とぐるではなかったのかといって私どもも調査をいたしましたけれども、残念ながら現住所にはお見えにならない。まあ日住金としては懲戒解雇という処分をしたようでございますが、背任だとか横領だとか損害賠償等の請求をなされていないんですよ。刑事告発もしていないんです。全く放置をしているわけです。  これも今度の、二百十七億の不良債権ですから、我々の払う積算根拠になるんですか。銀行局長、お答え願いたい。
  121. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専不良債権の内容には、御指摘のようなことをも含めまして、いろいろなケースがあろうかと存じますけれども、今回の住専処理策は、まさにそういう問題をも解決するために、この際、バブルの最終的な処理をするための方策でございまして、私どもといたしましては、御指摘のような問題をも含めまして、すべての問題を、民事、刑事、法的手段をも用いまして解決していくことが大切だと考えておるところでございます。
  122. 草川昭三

    ○草川委員 はっきり申し上げますけれども、私はいろいろと契約書も探してまいりました。契約書といってもこんなようなものでございまして、三文判なんですよ。オートバイに乗っているような若い子に、こういういいものがあるからとにかく判をつきなさいと、本当の三文判なんです。こういうものが住専融資の対象になるんですかね。  これは日住金ですが、住専の審査体制というのは実にずさんなんです。これは昨年も私は申し上げましたけれども、ほとんどが紹介案件。お金をそこから借りているわけですから。たまたまこういう京都の支店なんかでは、お金を借りた人のリスト、これだけあります。もう、一人が二回も三回も名前が出てくる。  こういうような内容がございますけれども、この日住金はいろいろと前社長がテレビ等々にも出席をされてまして、かなり大蔵批判をやっておみえになりますけれども、私は、正義の味方のようなことを言っておみえになりますが、ここはかなり株も買っておみえになるんですね。しかも、その株も仕手株に随分流用をされておみえになるようでございまして、要するに母体行の指摘の中では、そもそも本業である住宅ローンが低迷をしておる中で、もう少し抜本的な対策をしないとだめですよ、特に、この有価証券部門では、書面上はいろいろな役職の方々が審査をするようなマニュアルはあるんだけれども、実際的な運用はほとんど現場任せだ、管理体制は全く機能しないと、こう書いてあるんです。  不動産の審査体制についても、独立をしたセクションはないと言っているんです。何と驚くじゃないですか。住専で独立をしたセクションがない審査体制、こういうことが書いてあるわけです。  不動産担保の評価体制については、一応のマニュアルはあるんだけれども、表面的なものだけで専門家の見識は一切ありません。親銀行が言っているんですからね。こういう住宅金融専門会社のノンルールというんですか、でたらめな営業というものがどうして許されるか。  だから、三和を初めとする、さくらを初めとする、東洋信託を初めとする母体行は、もうこれでつぶそうやと言ったんですよ。なぜ大蔵省はつぶすことを認めなかったんでしょうね。ここなんですよ。そのときに母体行が、やめさせてくれと言って大蔵省に頼んだと言うんですよ。どうして大蔵省はちょっと待てと言ったんですか。先送りをしたんですか。そこが一つ。  もう西村さんはいいですから、大蔵大臣が答えてくださいよ。あなたは大蔵大臣をやると言ったんですから。それは、過去のこういう歴史について明快な反省がなければ、国民皆さん税金を払いません。これははっきり大蔵大臣答弁してください。
  123. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほども申し上げましたように……(発言する者あり)
  124. 上原康助

    上原委員長 お静かに願います。
  125. 西村吉正

    ○西村政府委員 住専の経営は住専の経営者が判断すべきものでございまして、日住金についてもその例外ではございません。大蔵省にそういう問題についての御相談というものはあることはあるかとは思いますけれども、それを御判断されるのは経営者でございまして、大蔵省がそのような問題について指示をするというようなことはございませんし、また、住専の根拠法である旧出資法においても、調査の権限等はございますけれども、業務の指導をするということについては、他の一般の預金受け入れ金融機関とは異なったところがあるのは御承知おき願いたいと存じます。
  126. 草川昭三

    ○草川委員 こういうのを無責任と言うんですよ。これはもう無責任の何物でもないと思うんです。  これは総理、一回聞いていただいて、大蔵省に味方しますか、今の答弁に、率直に。私が言っていることがおかしいとお思いになりますか。どっちか一遍返事をしてください。
  127. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私自身住専を含みますノンバンクに対して非常に権限が及ばないということで、貸金業規制法の改正法案を国会に御審議をお願いをした当時の責任者であります。今局長から御答弁をいたしておりました個別の内容について云々ということはともかくといたしまして、過去の行政の中で反省すべきことがなかったとは私は思いません。
  128. 草川昭三

    ○草川委員 間接的に大蔵省行政のあり方について批判をされたと受けとめます。  そこで、もう一回前へ戻しますけれども、母体行が、これは大蔵省の直轄ですから、直轄というよりも直接な関係があるわけですから、自分の子会社がこんなになってしまったんで何とかしなければいけない、今のうちならばそれぞれの処理ができるのではないだろうかということで、九二年の三月末に、不良債権額が約一兆八百億円、こう認定をしました。本来ならば、ここでこの会社をつぶすことができたら一兆八百億で済んだわけです。  しかし、わずか三年三カ月後の九五年の六月末には、これは去年のこの調査表を見てまいりますと、一兆四千三百六十七億、三千五百億もふえちゃうんですよ。大蔵省が、よしわかった、もう早くこれを処置しようじゃないかと言えば、少なくとも三千五百億の税金が助かるんですよ。大蔵省、あなたたちは三千五百億円を自分の月給から払いなさいよ、ここへ。我々の今この予算案に出た政府の六千八百プラス五十億、その中の少なくとも三千五百億は大蔵省の役人の責任ですよ、これは。あなたたちが払いなさい。そうでなければ我々は承知できませんよ、こんなものは。どうですか。
  129. 西村吉正

    ○西村政府委員 先ほどから直轄というお言葉がたびたび出ておりますが、直轄と御指摘の点は、恐らくこの旧出資法におきまして、大蔵大臣は都道府県知事に委任することができるのであるが、委任をしていないという点をお指しになっておられるものと存じます。  しかしながら、委任をするかしないかという、そのもとの権限は、先ほど申し上げましたように、報告を徴し、業務に関し調査をすることができるということでございまして、個々の経営判断について大蔵大臣が指示をするとか行政が指示をするという性格のものではございませんし、今御指摘の問題につきましても、経営上の最高判断として経営者が御判断をされるべきものではないかと私どもは考えております。
  130. 草川昭三

    ○草川委員 住専大蔵省の直轄であり、四半期ごとの報告をしている、あるいは、かつては大蔵省の天下りがみんな会長、社長になったんだから近いと私は言うけれども、遠い、こう言うから、一歩譲って遠いと言ってもいいですよ。しかし、それの母親、母体行は大蔵省の直轄じゃないですか。大蔵省の監督権限のあるところです。そこが膨大な赤字を抱えて、早く処置をしたいという相談をしたら、大蔵省は認めてあげればよかったんじゃないかということをここで言っておるわけですよ。私は、明らかに大蔵省行政上の責任があると言いたいわけであります。  私はここではっきり申し上げますが、大蔵省は、いつまでもこのままの大蔵省では日本をつぶしますよ。大蔵省というのは分けなきゃだめですよ。予算を編成するところは編成するところできちっと国会議論しましょう。お金を扱うところを、証券、税務署、お金をもらうところを分けてくださいよ。そうでないと、こんな膨大な、世界の最大の、MOFと言われた大蔵省が、時代がどんどん変わっていくのにそのまま残ることについては私は反対です。こういうものがあると、日本は本当に沈没すると思うのですよ。私は、大蔵省全体の責任ではありませんが、行政改革を含めて、大蔵大臣、きちっとやってください。ちょっと大蔵大臣、このことについての御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  131. 久保亘

    ○久保国務大臣 今度のこの住専問題の処理等を通じて、大蔵省の機構その他にどのような問題があるのかないのか、そういうことについて十分に検討をしてまいりたいと考えております。  今直ちに大蔵省を解体、分離するということについて私の意見を申し上げる段階にはございません。
  132. 草川昭三

    ○草川委員 久保さんは久保さんと言っては悪いですけれども、あなたは輝ける日本社会党の本当の大黒柱ですよ。それで、だれも引き受け手のない大蔵大臣にあなたは任命されたわけですよ、大変難しい中で。(「社会民主党」と呼ぶ者あり)社会民主党だそうでございまして、大変恐縮でございますが。そういう今日の中で大蔵大臣を引き受けられるとするならば、かつての社会党のそれなりの理念というのをこの際堂々と披歴をしてくださいよ。自由民主党のやれなかったことをやるのが、私は副総理の役目だと思うんです。その点どうですか。
  133. 久保亘

    ○久保国務大臣 行政責任者としての私の今の立場を考えながら、今草川さんからいろいろお話のあることもよく頭に置いて、やるべきことを決断するときが来るんだろうと思っておりますが、今そのことの結論を私は申し上げる段階でないということを申し上げているわけでございます。
  134. 草川昭三

    ○草川委員 いや、それは、今おっしゃるように、私は今ここで直ちに大蔵解体論を言うつもりはありませんけれども、今のこの諸問題を我々が解明すると、どうしてもそこへぶち当たるものがありますよ、我々がこういう意見を言いますと、有識者の方々も本当にそうだとおっしゃる方も多いんです。それで、予算の編成のあり方についても単年度でいいのかどうか、そういうことも含めて我々は取り組んでいかなきゃいかぬと思うし、この住専の、我々の将来のあり方についても、オールジャパンの金融という問題を念頭に置いて我々は今一生懸命真剣に議論をしておるつもりなんですよ。  そういうことをぜひ理解をしていただきたいんですが、私もう一回ちょっと前へ戻りますけれども、母体行が処置をしたい、処理をしたいと言って大蔵に相談に行くんですが、どうしてちょっと待てと言ったのか。これは、どうも平成五年二月三日、いわゆる寺村銀行局長と真鍋経済局長との間でいわゆる大蔵、農水の覚書が交わされた、そこに話がいくのかなと今思いつつあるんです、私なりの解明ですが。  それで、ちょうどこの交わされたのが平成五年の二月の三日のことです。ところが、同じ月の二十六日、後ですよ。虎ノ門の日住金の本社で三和だとかさくら等々の母体行が九つ集まりまして日住金の再建計画を相談をしたと私は聞いております。その会議の終了間際に日住金側が大蔵省銀行局あてのべーパーを出した。それで、このペーパーには、「日住金の再建計画について」と題するペーパーになっておりまして、再建計画に沿って母体行が責任を持って対応するとそこに書かれている。加えて、日住金側は、この紙は大蔵省限りだから心配するなと言って強く母体行に了解を求めた。大蔵省限り、こういう文書は本当にあるのかないのか。あるとするならば、我々の見えない密室の中で再建議論をされたように思うんですが、その点はどうでしょう。
  135. 西村吉正

    ○西村政府委員 再建計画の策定をめぐりましていろいろな経緯があったということは既に国会でも御議論があったところと存じますけれども、今御指摘の文書と申しますのは、いわゆる覚書と言われておるものでございましょうか、もしそういうことでございましたら、既に資料の中に提出しておるものだと存じますが。
  136. 草川昭三

    ○草川委員 この中にあるのは私も承知をしております。いわゆるゴム印が押してあると言うん下すよ。大蔵省限りだから銀行のゴム印を出しなさい。それがいわゆる信連、農協側に見せられて、いわゆる信連側、農協側は、もうこれは住専はやばい、危ない、焦げつく、早く元金を戻したいというのをとめさせる役割のペーパーなんですよ、このペーパーは。それを私はぜひ明らかにしないと、これは信連側にも問題が残るわけですし、我々国民側もそこをどうしても聞きたいわけですよ。  要するに、信連は三兆三千から三兆五千億預けてあるわけでしょう。預けてあるというか融資をしたわけでしょう。怖いから早く戻したいですよ、お百姓さんのためには。危ないと聞けば、もう組合長であろうと農中であろうと県信連であろうと取り戻したいわけでしょう。しかし、取り戻されたら全体の計画が壊れますから、ちょっと待ってくれ、民間の方で処分したい、おまえさんの方もちょっと待ちなさいと言って、ゴム印でいいから押させて、母体行が責任を持つから心配するなと言ったわけですから、ここは私は詐欺に近いかもわからぬ。もしもこれが実態だとするならば、大蔵省というのはもう戦犯第一号ということになると思うのですね。  委員長、私もさらにこれは追及をしていくつもりでございますから、この問題についての解明は、ぜひこれは与野党を問わず真剣にこの問題の根幹は取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。筆頭が異議なしと言うんですから、総理、どうでしょうか。
  137. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 院の御方針について政府がとかくを申し上げるべきではありませんが、今、与党筆頭理事からも賛成というお答えがあったのを私自身現認いたしております。
  138. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、私はこの問題をいろいろと取り上げておるわけでございますが、午前中、新進党の米沢幹事長が積算の根拠ということを非常に強く主張をいたしました。それで、野田筆頭もこの問題について触れられました。  改めて私どもはこの予算委員会で、日本の本当の金融システムということはどうあるべきか、その中のこの住専問題というのは本当にとげのようなものですから、これをどうすべきかということを真剣に考えてきておりますので、この積算根拠というものは、単なる資料ではなくて、どういう積み重ねなのか、私どもが先ほど来から触れておりますような不良債権もその根拠なのかどうか、そういうことを私はこの一巡質問が終わるまでに、ぜひ政府・与党の方から我々の方に提出をされたいということを強く求めておきたいと思います。  そこで、こういう問題を私はぜひ橋本大蔵大臣に聞いていただきたいと思うのです。ごめんなさい、橋本総理です。そういう言い方をして非常に御無礼をしました。輝ける日本の新総理ということを申し上げておきます。  ここで私は、政府・与党がどれだけ言葉を費やそうとも、どうしてもぬぐい去ることができない思いが実はあるのです、この席上に立つと。問題は、農水省と大蔵省銀行局との間で覚書が平成五年の二月の三日に交わされた。これはもう明らかですね。そのたった二日後、二日後ですよ。二月の三日の二日後ですから二月の五日。忘れもしません、この予算委員会のこの場所で、この席で、私は当時の宮沢総理と林大蔵大臣に対して、政府と野党という立場を離れて、お互いに国民の信託を背に負うために、政治家としての信義をかけて実は予算委員会の質問に立ちました。お互いにきようでも、同僚の皆さんは同じような気持ちで質問をしたと思うのです。  私は、この平成五年二月の五日、もう三年以上になりますけれども、住専という問題をここで取り上げたわけです。この住専問題について、どうも大蔵省が農林省に一札を入れて信連に対する保証を約束したのではないかと指摘をしたのです。将来あり得べき公的資金の導入についても、この平成五年二月の五日の予算委員会で私は質問をいたしました。  そのときにどういう質疑をしたかということをちょっと御紹介を申し上げたいと思うのですが、この二月の五日、予算委員会で、私は、「この話を聞いていただいて、」というのはこの住専の話ですが、「住宅金融専門会社の経営の実態について総理はどのように認識をされたのか、あるいはまたその再建について公的資金の導入も含めてどのようなお考えかお伺いをしたい、こう思います。」こういうことを言いました。  そうしたら、宮沢総理の前に林大蔵大臣が、  総理からお答えがある前に私から申し上げておきますが、金融の問題に関連しますから私の方から申し上げた方がいいと思います。  確かにいろいろと難しい問題がありますけれども、また先ほどお話がありましたように、保証をしたとかどうだとかというようなお話がありますが、いずれにいたしましても民間同士の話でございまして、相当大きく貸し出しをしているのは農林関係のところが多い。その間でやはり自主的な努力でもって話し合いを詰めてもらうということが私は大切なことだろう、こう思っております。  そうした意味で、関係金融機関、それらが自己責任の原則のもとにやるということが私は基本であるし、公的資金の導入が求められるべきものではないんだろう、やはり民間でやっていただくということが基本原則でなくちゃならないのじゃないかなというふうに考えていることを申し上げておきたい と林大蔵大臣は答えたわけです。かなり明確ですね。  宮沢内閣総理大臣、その後、「大体の事実関係は存じております。」と言ったのです、宮沢さんは。いいですか。平成五年二月の五日ですから、宮沢総理大臣は非常に頭のいい方でございますから、  大体の事実関係は存じております。不幸中の幸いと申しますか、関係者が全部事実関係を明白にしておりまして、 いいですか、  関係者が全部事実関係を明白にしておりまして、そして今大蔵大臣も言われましたが、 「今大蔵大臣」というのは林さんのことですが、  結局自分たちが自分たち責任においてこれは片づけなければならないということで、非常な努力を続けておるようでございます。まさにそうなければならないことでありまして、私としましては、かなり厳しい自己責任になることは避けられないと思いますが、しかしそれによって問題が片づくと考えておりまして、国民皆さんに御迷惑をかけるようなことはない、こう思っております。 というのが、平成五年二月五日のこの予算委員会で、この席上で宮沢総理大臣が答えられた答弁なんです。  どうですか、このことについてどのようなお考えを現在の総理大臣は持っておみえになりますか、改めてお伺いをしたいと思います。
  139. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、その平成五年二月五日という時点に戻りまして、当時、林大蔵大臣、その答弁を受けて宮沢総理から草川議員にお答えを申し上げた限りにおいて、私は、その時点で総理大蔵大臣は、まさに自己責任原則の中で、当事者間の話し合いによって処理ができるとお考えになっておられたのではなかろうか、そう思いながら、今議員の読み上げられました議事録を拝聴をいたしておりました。  しかし、残念ながらその期待がそのとおりにはならず、今日こうした御審議をいただかなければならない事態を非常に情けなく思います。しかし同時に、それを先送りしてなお大きな課題になろことは避けたい、今回、御論議の中でぜひともこうした処置についての御理解をいただきたいもの、そのように感じておりました。
  140. 草川昭三

    ○草川委員 それはだめなんですよ。それは、あのときはあのとき、このときは今日の今日、そういう言い方ですよね。  いいですか。もう一回宮沢内閣総理大臣答弁を読みますよ。「大体の事実関係は存じております。」と言っているんです。だから、このときにはもう大蔵省住専実態承知をしていたわけですよ。第一次の調査に行ったんですよ、大蔵省の、MODの検査官は。それで一年とか二年各行く行って、これは大変なことだなという報告書を上げておるんじゃないですか。  その報告書を上げて、当時の土田さんですか局長が、困ったことだなという議論をされているんですよ。ところが、さりとてつぶすわけにはいかない、土地は上がるんじゃないだろうか、さあ農林系は、系統系はがんがん言ってくるし困ったことだなと言って、要するにもう無策のまま放置をしたというのが実態なんですよ。これはもうどうしたって行政上の責任はとってもらわなければだめですよ、行政上の責任はとってもらわなければ。  それで結局、いやあのときは何とかなるだろうと思っておりました、そういうわけにはこれはいかぬと思うんです。これは私何回でも読みますが、宮沢さんは、すべてを承知をしておる、よくわかっております、事実関係が明らかだ、だから、そして今大蔵大臣も言われたように、結局これは自分たちが自分たち責任でやるんだ、こういうことを言っておみえになるわけですから、私は今の総理答弁には不満足です。  なぜ不満足かというのは、こういうことを言っておきながら、橋本さんは自由民主党の引き継がれた総裁で、総理大臣なんですよ。自民党の総裁がかつてこの国会で約束したこと、これが守られていないんですから、我々は今の皆様方のこの議論を信用するわけにはいきませんよ。信用できますか、委員長委員長、よくここは指揮をとっていただきたいと思います。こういうものについてきちっとした解明がない限り、私は次の質問に移れません。これは明確にしてください。
  141. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは草川委員に対して私は何としても御理解をいただく以外にない、こう存じます。  なぜなら、私は、当時宮沢総理並びに林大蔵大臣がそれだけの御答弁をされた以上、それだけの根拠を持って答弁されたものと思います。そして、議員がここまでの立論の中で、それまでに大蔵省当局としてそれぞれの住専に対する調査を行ったこと、その結果から、問題点が読み上げられましたとおりに指摘をされておること、こうした点についても既にお触れになりました。そうした上での総理並びに大蔵大臣の御答弁でありますから、その時点において当事者間の話し合いによって処理できるという自信をお持ちになっていたのであろう、私はそう思います。  しかし、結果として、残念ながら今日の事態に立ち至りました。それが私は自由民主党総裁という継続の上で私に対して御指摘があるなら、おわびをいたす以外にありません。  しかし同時に、これを処理していかなければならないことも事実であります。ぜひともこの問題の処理にお力添えをいただきたい、繰り返しお願いを申し上げます。
  142. 草川昭三

    ○草川委員 我々は納得できません。いいですか。政府・与党が予算の審議の始まる前にこの二次のスキームを決定しましたね。これはもう我々の承知をしておるところです。  今国民皆さんがどうして怒っておるかというと、二次スキームによって一人当たりの負担が五千五百円から一万円を超えるという、こういうようなニュース解説がどんどん流れているわけでしょう。この先、住専以外のノンバンクは一体大丈夫なんだろうかとみんな心配しておるわけですよ。私が預金をしているところの銀行はいいのだろうかと心配しておるわけですよ。さらには、行く行くは、下手をするとこれは住専の二次スキームも膨らんで、天井知らずの負担というのが課せられるんじゃないか、お父ちゃん本当にいいのという話が我々の家庭では交わされているんですよ。  しかも、私の方が平成五年の二月に、住専というのはどうも大変らしいな、大蔵大臣どうなの、総理大臣いいの、農協の方も心配しているから、将来は公的資金のことなんかはどうなるんだろうと聞いたら、心配するな、国民皆さんに迷惑をかけないと平成五年に言ったんだから、平成五年の二月に。わずかじゃないですか。どうしてこれを予算委員会で皆様方の答弁を信用して、我々はこれから国民皆さんに安心しろというようなことが言えますか。  これは統一見解を出してもらわなければ、歴代の内閣の統一見解、この問題について、宮沢内閣の言ったことの検証をしてください。(発言する者あり)だからいいじゃないですか、全部やってくださいよ大蔵省は。平成五年のときはどういう資料があったのか、平成六年のときはどういうことがあったのか、そしてことしはどういうことがあるのか。それに国民皆さんに、悪いけれども税金を出してくださいと言いなさいよ。そんな、我々の方に一方的に税金だけは出しなさい、昔は昔だ。どうして信用できますか。  私は、これ以上の質問はできません。(発言する者あり)
  143. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  144. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 これは、草川委員から幾らおしかりを受けましても、私は、宮沢総裁以降自由民主党という政党が現に存続し続いており、その総裁という役割にある、そういう立場で御指摘をいただきます限り、おわびを申し上げるほかありません。  ただ、繰り返して申し上げるようでありますが、平成五年の二月五日という時点において、私は、総理大蔵大臣ともに当然それだけの自信を持ってお答えになっていたのであろうと思います。そして、当然のことながら、そういう御答弁をなさるだけの当事者間の話し合いに期待をされ、それが決着すると考えておられたのであろうと存じます。しかし、その後、自由民主党は余り時間を置かず政権を去ることになりました。  今私が自由民主党総裁としての継続の上で宮沢総裁の答弁の、総理大臣としての御答弁に対し責任を負えと言われます限り、私は何度でもおわびを申し上げます。しかし、今日の状況は、その宮沢総裁が御答弁になりました当時の状況とは既に違っておりまして、もうこの住専処理は焦眉の急になっておるということはどうぞ御理解をいただきたいと存じます。
  145. 草川昭三

    ○草川委員 じゃ、宮沢総理平成五年の二月に、何回か言いますが、大体の事実関係承知をしておる、不幸中の幸いと申しますか、関係者が全部事実関係を明白にしておりまして、そして今大蔵大臣も言われましたけれども、結局自分たちが自分たち責任においてこれは片づけなければならないということで、努力をして続けておられるようです、まさにそうしなければならないことでありまして、私としては、かなり厳しい自己責任になることは避けられないと思いますが、しかしそれによって問題が片づくと考えておりまして、国民皆さんに迷惑をかけることはないと言って私どもを安心させたのですから。私が質問したのですから、私は安心したわけですよ。  そうしたら、今日ではこれだけの膨大な債権が実はありました。私は質問したでしょう。西村局長なんかは、私はいろいろな具体的な提言をした。民間銀行、親銀行は早く処分をしたい、いろんなことを言っておる、だけれども大蔵省はそれを採用しない、しないためにますます不良債権はふえていった、こういう事実を長々と私はしゃべっているんですから、皆さんも真剣に聞いておってくださいよ。(発言する者あり)聞いておるなら、私が言っていることはどうなんですか。(発言する者あり)いや、そういう人も含めて日本の……
  146. 上原康助

    上原委員長 御静粛に願います。
  147. 草川昭三

    ○草川委員 日本のこの金融不祥事という問題をどうするかということを議論しているんですよ。あんた方、大蔵省の味方でなければ黙って聞きなさいよ、大蔵省の味方でなければ。  委員長、もう一回答弁
  148. 西村吉正

    ○西村政府委員 私どもも、今回の処理策を策定いたします前提といたしまして、最後の最後まで、税金に頼ることなく自主的な解決ができないかという道をも探ったところでございます。また、関係者の努力という点に関しましても、十月以来五回にわたりまして関係者の間で解決策を見出すべく慫慂したということもございます。  結果的に、残念ながらこの問題を税金の力をかりずして解決することはできないという結論になりましたけれども、その間におきましてできるだけ自主的な努力によって解決するという方策を模索したということは、今回についても同じ事情であるわけでございまして、そのようなぎりぎりの努力の模索の結果、残念ながら今回のようなことをお願いをしておるということをぜひ御理解いただきたいと存じますし、そのことは、この住専解決策が日本のバブルの発生、崩壊の過程に生じました問題を解決する上でぜひとも必要なプロセスであるということをも御理解いただきたいと存ずる次第でございます。
  149. 草川昭三

    ○草川委員 いずれにしましても、先ほど総理は、平成五年のそのときの情勢と今は違った、早く言えば不良債権が非常に膨らんできた、緊急の問題だ、日本の、オールジャパンの金融システムを守らなければいけない、だから協力をしてもらいたいという、こういう趣旨のことを言われたと思うんですよ。  ところが、現実には私ども、実は地元の後援者ですけれども、中小企業の方々が毎日いろんな商売をやっているんですよ。それで、下請代金を払いたいというので親会社から入金があった。そして、それを銀行の口座に入れて、きょうじゅうに手形を決済してくださいよと言って現金を入れた。そうしたら親銀行はどういうことをやったか。あなたのところの企業は先行きが余りよくないから、悪いけれども、あなたに貸した融資金の返済に充てちゃう、充てますよと言って、その日の二時半にその本人の持っている手形は不渡りになるんですよ。そんなばかなことがあるかと私は随分その方と話をしました。  だけれども、現実に、支店長がかわったとかどうのこうので、中小企業にしてみれば、債権の保全のためにはそういうことをやらざるを得ないでしょうと、こう言うんです。住専を見てみなさい、私の銀行がもし赤字になったら税金で補てんしてくれますか。中小企業の人たちはそういう非常に苦しい思いをしているんですよ。  一方では、これだけの不良債権が毎年毎年ふえていって、私は橋本総理には大変恐縮でございますが、三年前、あのときはと言うんですね。あのときはよかったといっても、平成五年ですよ。十年前の話と違いますよ。そのときには、平成五年のときにはあらゆる資料を持って、我々はかくかくしかじかということを言っておみえになる、自信を持って。ならば、平成六年はどうか、七年はどうか、八年はどうか、すべての書類をきちっと出してください。出していただかなければ、これ以上の質問は続けられません。
  150. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今、現実の中小企業に起きた事実を御紹介になりながら議員の御主張になりましたことを私は真剣に聞いておりました。そして、その重みは私自身も十分理解をするつもりでおります。  ただ、今草川委員が御指摘になられました平成五年二月五日という時点の、当時の宮沢総理、林大蔵大臣の御答弁、その前段階に、私は、委員がずっとそこまでに大蔵省住専に対する検査の報告等々の点で指摘をされましたように、既に住専の内部に問題を抱えている状況はあったと考えております。その時点でも、私は、住専というものの経営を楽観をしていたのではなかろうと思います。その上で、当時大蔵大臣、それを受けて総理が先ほど来引用されるような御答弁をなさったということは、当時それなりに当事者間の努力が進んでいたのではないだろうか、そう私は聞いておりました。  ただ、その結果が現状になりましたことは、私は、自由民主党という政党の継続性の中でおわびを申し上げる以外にないと繰り返して申しております。それだけに、これ以上傷口を大きくすることのないような努力をしていきたい。  同時に、債権保全のための回収の努力等、一層我々は全力を尽くさなければならないと考えております。法務・検察におきましても、既に三庁体制をとっていただいている。あるいは警察当局においてもこの住専に対応する体制をつくってくれております。今後全力を挙げて回収に努力していく中で、少しでも国民に御負担を願う部分を減らすべく全力を尽くしてまいりたい、これが今、当時の宮沢総理の御答弁を引用されましたことに対し、私の申し上げられるすべてであります。
  151. 草川昭三

    ○草川委員 今の総理答弁は、総理の今の心境なんです。いいですか、今の心境はそういうことを言っておみえになるわけでありますが、私は、三年前の一九九三年、平成五年の二月にこういうことをきちっと言っておみえになるのですから、明らかに今のお話との間には乖離があり過ぎます、内容について。今度のこの予算案審議の中に六千八百五十億の膨大な予算が入るわけでありますから、私は、これは積算根拠というものを明確にしていただいて、先ほど積算根拠について一巡後と言っておったようでございますが、本日の四時半までにこれを示していただくということを、改めてこれは申し上げておきます。  いずれにいたしましても、この宮沢総理答弁と、現在の自由民主党の橋本総裁がどのようにこの住専問題の不良債権を引き継いで御検討なすっておられるのか。今の答弁だけでは、ただよろしくお願いをします、よろしくお願いをしますと言うだけですから納得ができません。それはだめです。もう……(発言する者あり)いや、どうするもくそもない。あなたたちは政権政党を今現実に握っているんだから、もっときちっとした経過を説明をしていただきたい。それはだめだ。
  152. 上原康助

    上原委員長 草川委員に御要望を申し上げますが、六千八百億の積算根拠につきましては、午前の米沢委員の御質問で、一巡の間に理事会で協議をして御提示をしたいということを申し上げました。  ただいまの統一見解につきましては、これは非常に重要な内容がありますので、これも理事会で協議をしないと、直ちにと言ってもなかなか難しいと委員長は判断いたしますので、質疑は続行してください。
  153. 草川昭三

    ○草川委員 質問できません。続行できません。
  154. 上原康助

    上原委員長 草川委員に御要望申し上げますが、先ほどの御質問について、もう一度お願いをして、総理から御答弁を願いたいと存じますので、御協力を願います。(発言する者多し)不規則発言は御遠慮願います。  草川委員に重ねて御要望申し上げますが、再度御質問をして、内閣総理大臣から御答弁をいたさせます。
  155. 草川昭三

    ○草川委員 いろいろと理事皆さんが御苦労なすっておみえになりますから、もう一回、私の趣旨を申し上げます。  三年前に宮沢総理は、国民の皆様に負担をかけないとおっしゃいました。そして、いろいろな資料関係者の方々が全部提供していただいておりますから、十分承知をしているという趣旨の答弁があるわけです。ところが、三年後に今日のような膨大な負担が国民に寄せられているわけです。その整合性をはっきりしてもらいたい。  要するに、国会での総理答弁総理の発言、大蔵大臣の発言なんというのは三年間で変わっていいのですか。変わっていいならいいというひとつ御答弁を願いたい。証拠を出していただきたい。背景を明らかにさせていただきたい。その背景というものが先ほど来新進党が要求をしているすべての資料に当たるものであります。  こういうことで私は政府の方の答弁を求め、子の答弁が納得できなければ、私は質問を留保し、終わりたいと思います。
  156. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 今その当時の議事録を取り寄せて、改めて目を通してみました。委員から住専問題というものを真正面に取り上げられ、大蔵大臣に対し、また農林水産大臣に確認をされました上で、再び今度は総理に御質問になっておられる。その総理の御答弁が、先ほど来委員から仰せのとおり、大体の事実関係は存じておりますという話から、これによって問題が片づくと考えており、国民皆さんに御迷惑をかけるようなことはない、こう思っている、それは委員の御指摘のとおりの内容でありました。  そして、それを踏まえて改めて御答弁を申しトげたいと思いますのは、私は、当時宮沢総理にされましても林大蔵大臣とされましても、自主再建自主解決ができると本当に考えておられたと思います。それでなければこれだけの明確な御答弁は恐らくなさらなかったでありましょう。しかし、結果としてその国民に対する総理の御答弁、これをお約束と言いかえても結構ですが、守れないという今の状況にあります。先ほど委員は、自由民主党の総裁としての継続性において私に答弁を求められました。そして、その総裁という延長線上で、ただいま総理という立場としてお答えをすれば、これはおわびを申し上げる以外にないという素直な気持ちを先ほど申し上げたわけであります。  そして、その状況の激変の中で、何とかこれを解決していきたい、そしてそのために、債権回収等についても全力を挙げるという構えのもとに我々はこれから努力をしてまいりたいと考え、院の御協力をも心からお願いを申し上げる次第であります。  かつての総裁の御発言に対して、改めて先ほど来御指摘のありましたことを問われますなら、この点については、私は事実に反したということについておわびを申し上げる以外にありません。
  157. 草川昭三

    ○草川委員 おわびの問題ではないのです。何回か申し上げますが、国会での答弁の重みということを考えていただきたい、政権与党は。  そして、我々の議論というものは国民皆さん承知の上なんですから。三年後にまた変わるかもわからぬのですよ、三年前に変わったということは。  だから、きょうは私は、テレビが出ておる時間帯でございますので、十分その経緯を承知をしておりますから、この席上は次の質問者に譲ります。この次の質問者に譲りますが、新進党が要求をしたいわゆる六千八百億の積算根拠については、とにかく我々の質問が終わるまでに出しなさいという要求をここで明確に申し上げておき、私が申し上げたこの三年前から今日までにどのように変わったかということの答弁が、明確な答弁がないので、私どもは退席をいたします。
  158. 上原康助

    上原委員長 草川昭三君の残余の質疑は後に譲ることといたします。  これにて米沢君、野田君、草川君の質疑は終了いたしました。  次に、山崎拓君。
  159. 山崎拓

    山崎(拓)委員 自由民主党を代表いたしまして、質問をいたします。  橋本内閣が誕生以来、国民の支持率は非常に高いものがございます。歴代内閣でも一頭地を抜きました高い支持率でございます。かつて非常に高い支持率の内閣もございましたが、風のような人気であったと存じます。橋本総理の場合は、この若さで政界きっての豊富なキャリアを持っていらっしゃいますし、また立派な実績を築き上げてこられたと存じます。そういうかたい国民の支持基盤があるということに自信をお持ちになりまして、これから積極的な施政に取り組んでいただきたいと存じます。  その施政方針演説の中で、「変革と創造」というキャッチフレーズでこれからの政治に臨んでいくということを訴えられたのでございます。その具体的な中身につきまして、この際、国民の前に改めて明らかにしていただければと存じます。
  160. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、今回の施政方針演説の中で、四つのポイントを強調しながら、その私の考える「変革と創造」というものを訴えてまいりました。  そのポイントの一つは、まさに今も御論議をいただいております経済を中心とし、強靱な日本経済再建していくことであります。同時に、もう一つ大きな課題として、長生きしてよかったと言っていただけるような長寿社会をつくり上げたい。そして、平和と繁栄を創造していくために自立的な外交を展開していきたい。そして、これらを実現するためにも行財政改革というものを進めてまいりたい。この四つのポイントに全力を挙げたいと申し上げてまいりました。  なぜなら、今我が国は、高齢社会というものを真正面から見据えて取り組まなければならない時期に参っております。よく、改革あるいは変革と申しますときに、冷戦構造の崩壊あるいは世界経済のボーダーレス化といったものが挙げられます。これらの要因は、当然我々が意識しなければならないことであります。この我々の日本という国自身が、まさにお互いが長生きになる一方で生まれてくる子供たちの数が非常に減り続けているという、人口構造からいや応なしに変革を迫られている国であり、その中から我々は未来に向ける新たなものを生み出していきたい、そのように願いを込めてこの国会にも臨んでおります。どうぞよろしく御協力をいただきたいと思います。  研究開発、科学といったものを踏まえながら、将来への道筋を切り開いていきたいと心から願っております。
  161. 山崎拓

    山崎(拓)委員 ただいま総理は、みずからの施政方針演説に挙げられました最重要課題の四点について御説明がありました次第でございます。その中の、平和と繁栄の創造のための自立的外交の展開という総理の御方針でございますが、この点につきまして、少し掘り下げてお伺いをいたしたいと思います。  その説明といたしまして、「世界の安定と発展のために、みずからのイニシアチブで行動する国家」と御主張をなさっておるのでございます。これはもう全面的に賛成でございます。  そこで、まずお伺いしたいのは、安保理常任理事国入りの問題でございます。  総理の御方針は、施政方針演説の中で示された御方針でございますが、「国連改革の進展状況やアジア近隣諸国を初め国際社会の支持と一層の国民的理解を踏まえて対処する」となさっておられます。そこで、このようなお考えのもとに、今後安保理常任理事国入りを果たすための具体的なアプローチについてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  162. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 現在、我が国の常任理事国入りを含む安保理改革の問題については、国連総会の作業部会で議論が進められておると承知をいたしております。そして、この作業部会は二月から再開される。そして、我が国としては、第五十回総会の終了する本年九月までに改革案の大枠に各国が合意することを目標としながら、引き続き各国と協力しつつ積極的に作業に取り組んでいきたいと考えております。  ただ、例えば先般訪日をされましたパキスタンのブット首相とお話をいたしておりましても、日本理事国入りに対しては非常に好意的な態度を表明されつつも、現在の安保理の構成、さらにはその拒否権のあり方等についてはなお独自の意見を有しておられる。こうしたところを見ますと、論議の収束はなかなかいろいろな課題があるのだなということを改めて感じております。  しかし、いずれにいたしましても、常任理事国入りの問題につきましては、これから先もより多くの国々の賛同と、そして、先般の世論調査等を見ますと、ひところに比べまして一層国民の御理解は進んでおるようでありますが、こうしたものを踏まえて進めてまいりたい、そのように考えております。
  163. 山崎拓

    山崎(拓)委員 本件に関しましては三党合意がございまして、その中で「背伸びをせず」という、閣僚の中にうなずく方がいらっしゃいますが、そういうお考えは我々も貴重なものと存じます。  しかしながら、我が国は非核三原則や武器不輸出の国是を持っている国でございます。現在の安保理常任理事国は、御案内のとおり五大国はいずれも核保有国でございます。フランスは、ただいま夕刊を見てまいりましたら核実験の打ち切り宣言をやったということでございますが、フランス、中国両国が近時核実験で国際的非難を浴び続けてまいりましたことはこれまた御承知のとおりでございます。  我が国がドイツとともに国連安保理常任理事国入りを果たしますことは、これはその意味におきましても、核兵器の究極的廃絶に向けてみずからのイニシアチブをより発揮できることにつながるのではないか、かように考えるわけでございます、「みずからのイニシアチブで行動する国家」という総理の標榜されておる外交方針から申しますと、これはこの際、我が国の国是を踏まえまして、安保理常任理事国となって積極的に国際世論をリードされることが肝要ではないか、かように考える次第でございます。  この点について総理の見解を重ねてお伺いいかします。
  164. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、我が国が安保理の中にどういう地位を占める場面でありましても、今までも日本は核兵器の廃絶を訴え続け、唯一の被爆国としてのその主張を国際社会に対して続けてまいりました。その姿は今後も全く変えていくべきではないと考えます。その上で、その核兵器の究極的な廃絶に向かい、現実的なそして具体的な核軍縮の措置というものを積み重ねていくための努力を我々はこれからも続けなければなりません。  確かに、常任理事国になりました場合、国連の重要な意思決定機関であります安全保障理事会において、初めて被爆国というものの声が常任理事国として届けられる、そしてその中の主張として述べる機会が出る、より効果的に反映するでありましょう。すべてが核保有国の中に我が国がもし入りました場合には、唯一の被爆国としての立場、そして非核保有国としての立場から、一層核軍縮の分野においても積極的な、また独自性を持った行動を展開できると思います。
  165. 山崎拓

    山崎(拓)委員 総理は施政方針演説の中で、「我が国を含むアジア太平洋地域の安全保障の確保は、世界平和の大前提」である、このように述べておられるのでございます。また、昨年末に策定されました新防衛計画大綱あるいは新中期防に従って防衛力の整備に努めるとされているのでございます。  昨年、約二十年ぶりに政府は防衛計画の大綱を見直されまして、新防衛大綱を策定されました。この新防衛大綱の策定に当たりましては、政府部内だけではなくて連立与党三党間でも真摯な議論を行ってまいりまして、まさに二十一世紀に向けました安全保障の基本綱領としてふさわしいものをつくることができたと考えているところでございます。  総理は当時副総理でございましたが、この新防衛大綱の決定に参画されたところでございますので、その内容につきましては十分認識されていると考えますが、改めて御所見を伺っておきたいと存じます。
  166. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、この新防衛大綱と申しますものが、国際情勢あるいは自衛隊に期待される役割が変化している中で、こうしたものを踏まえてつくり上げられた、まさに二十一世紀に向けての我が国の防衛力のあり方について非常に真剣な検討の上につくり上げられました新たな指針であると受けとめております。  そしてその中で、特に私は、申し上げたいと思いますのは、主たる任務、今後の防衛力の役割というものに対し、我が国の防衛ということだけではなく、国際平和協力業務あるいはその安全保障対話などを通じまして、より安定した安全保障環境の構築への貢献、そして阪神淡路大震災等においても国民から非常に大きく御評価をいただきました大規模災害など各種の事態への対応というものをこの中に挙げております。  私は、この内容は高く評価いたしておりますし、むしろ日米安全保障条約というものを基盤にいたしました日米関係の安定というものがそのままアジア太平洋地域の安定を確保する上でも非常に大きな役割を果たしていることを踏まえながら、これから先、より安定した国際環境の構築に努めてまいりたい、そのように考えております。
  167. 山崎拓

    山崎(拓)委員 防衛政策は、ただいま総理から御答弁いただきました防衛計画の大綱のみに基づいて決定されているものではございません。憲法、日米安保条約、そして国連憲章を基礎といたしておりますが、これらの精神をいわゆる総括したと申しますか、昭和三十二年に今の安全保障会議、当時の国防会議でございますが、あるいは閣議において決定されました「国防の基本方針」というのがございます。今回は、この「国防の基本方針」は、実は再検討、見直しが行われているのではないのでございます。  この「国防の基本方針」の内訳は四点ございまして、一点は、国連の活動の支持でございます。二点は、民生安定、愛国心高揚による国内基盤の確立てございます。三点は、防衛力の漸進的整備でございます。四点は、ここが非常に肝心なところでございますが、将来国連が侵略阻止の機能を果たし得るまで、日本の安全保障を国連が守ってくれることが可能になるまでの間は、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処するということになっているわけでございます。四つの方針が示されているのでございます。  総理はこの「国防の基本方針」をどう評価されるのか、今後この「国防の基本方針」を見直されるのか、あるいはこれを維持していかれるのか、この際、総理の御方針を承りたいと存じます。
  168. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 昭和三十二年、今委員も年数を挙げて御紹介のありました「国防の基本方針」、私は、この中に盛り込まれている内容を今我々は変化させる必要はないもの、このまま継続していくべきものと考えております。  なぜなら、冒頭お触れになりましたように、国連の活動というものを支持していくという点でも我々はこれを変える必要は全くありません。また、民生を安定させていく、こうした部分もこれは何ら変更の必要のないことでありますし、そしてその中で、自分の国を愛しながら、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立していく、国力国情に応じて自衛のため必要な限度において、防衛力の整備の方向につきましても、そして、国連が有効に外部からの侵略に対しこれを阻止する機能を果たし得るまで、その中で米国との安全保障体制を基調とする、昭和三十二年の文書でありますが、私は、この基本的な考え方というものは今日も変化をさせる必要のないもの、そのように考えております。
  169. 山崎拓

    山崎(拓)委員 ただいま総理がお述べになりました「国防の基本方針」の中で、国連の機能が十分に発揮できる、つまり、日本の安全保障にとって国連が万全を期していただけるという体制が整うまでは日米安保体制を堅持するということがうたってあるわけでございます。そのことを改めて確認をしていただいたのでございます。  ポスト冷戦期に入りまして、絶え間なく地域紛争は発生をいたしております。ボスニアの例は余りにも有名でございますが、我が国周辺におきましても不安定要因が残る国際情勢を勘案いたしますと、日米安保体制は、日本の安全の確保はもとより、アジア太平洋地域の平和と安定のために必要不可欠であり、その維持と強化に努める必要があろうかと考えます。  このような日米安保体制の重要性につきまして、これを再評価し、ポスト冷戦下のこの時期に、日本国民のみならず、故郷を遠く離れた海外に子弟を送り出している米国民、そして近隣アジアの諸国民に対しまして、我が国としても、米国とともに、この日米安保体制の堅持につきまして強力なメッセージを発信する必要があるのではないか。特にクリントン訪日が四月に予定されている今日におきまして、総理はこの問題についてどのような見解をお持ちになっているか、確認して公きたいと存じます。
  170. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 委員指摘のように、日米安全保障条約に基づくその日米安保体制は、冷戦後の国際社会というものがなお不安定な要因を残しており、しばしば地域紛争の発生するような状況の中で、我が国の安全を保障していく上で必要不可欠なものであるということは今さら申し上げるまでもありません。  同時に、この日米安保体制というものが日米両国の協力関係の基礎をなしている、基盤をなしている、そしてその政治的基盤として、同時にアジア太平洋地域全体の平和と繁栄にとっても極めて大きな役割を果たしているということは申し上げるまでもないことでありまして、我々としてはこれを堅持していかなければなりません。  そして、四月のクリントン大統領の訪日の際には、こうした日米安保体制というもののその重要な役割を当然のことながら改めて確認し、それを確認する文書を発出して、二十一世紀に向けた日米同盟関係のあり方について内外に明らかにしてまいりたいと考えております。また、新防衛大綱も踏まえ、日米安保体制の信頼性というものを一層高めていくための具体的な施策についても積極的に検討し、実施していきたいと考えております  同時に、この機会に我々はもう一つ解決をしなければならないこれに関する大きな問題を持っております。それは、今さら申し上げるまでもなく、昨年夏発生をいたしました沖縄の極めて不幸な事件に端を発する沖縄県民の心の中にある苦しみとか悲しみというものに、本土の我々が余りに無関心であったのではなかろうかという思いであります。  そうした思いの中から、村山内閣におかれましてもさまざまな努力を積み重ねられ、そしてその中で先般特別行動委員会等が設置され、その中で日米安保条約の目的達成との調和を図りながら施設・区域の整理統合・縮小を推進する、同時に騒音とか安全、訓練などに係る問題についても、早期に動かせるものから一つずつ取り組んでいこう、そうした決意を申し上げてまいりました。  本日既に開催をされ、もうあるいは議論は終わっているのかもしれませんが、沖縄米軍基地問題協議会幹事会が開かれております。そしてその席におきまして、沖縄県から多分御提出をされておるであろう御要望もよく拝見しながら、我々としては誠心誠意この問題にも努力をしていかなければなりません。これにつきましても院の御協力を心から願う次第であります。
  171. 山崎拓

    山崎(拓)委員 沖縄問題について極めて理解のある御発言を総理みずから進んでこの場で開陳されまして、安心をいたした次第でございます。恐らく沖縄県民も総理のお気持ちに対しまして深い信頼を抱いたことと存じます。  そこで、防衛施設庁長官にお伺いいたしますが、沖縄問題のディテールにつきまして、予算委員長も御地元の問題でございますから、せっかくの機会なんで、どのような取り組みをしているか、この場で少しただしておきたいと存じます。  第一点は、ただいま総理お話にありました米兵による暴行事件の被害者に対する補償が、どのような仕組みでこれに取り組まれておるのか、十分なものがなされるかどうかということが第一点。  第二点は、基地の整理統合・縮小問題について、平成二年に検討を開始いたしました二十三事案と十八事案、昨年、戦後五十年の節目として解決に向け努力することとなりましたいわゆる三事案、それぞれの進捗状況について、かいつまんで御答弁願いたい。  三点目は、県道一〇四号越え射撃訓練の本土移転をどう進めるか。候補地の地方公共団体の反対が非常に強い中でどうこれを進めていくのか。  それから第四点といたしまして、三事案の中の残りの二つの事案は県内移転でございますが、県当局のあっせんをお願いいたしたいところでございますが、さらに、政府として基地特別交付金の上積み等も検討を行ったらどうかという点も具体的な提案として申し上げ、沖縄県民が聞いておりますから、しっかりした御答弁をお願いいたしたいと存じます。
  172. 諸冨増夫

    ○諸冨政府委員 お答えいたします。  まず第一点の補償問題でございますが、これは本来公務執行中の事件ではございません。公務外の事件でございます。こういう場合には、私ども、いわゆる地位協定十八条六項の規定によりまして米国政府が補償金を支払うという仕組みになっております。  それに先立ちまして、私ども防衛施設庁の方で被害者の方からいろいろな事情をお聞きいたしまして、私どもは自衛隊で通常公務による事故が起きた場合と同様な考え方に立ちまして、相当因果関係の範囲内で別途計算をいたします。その計算を米側の方に提示いたしますと、米側は私どもに対してその内容をある程度調整しながら、審査しながら、最終的に決定する、こういう仕組みになっております。  したがいまして、公務外の事件でございますが、本来は米国政府も損害賠償を行う法的義務というのは私ども国内法で見ますとないわけでございますが、米国としては駐留目的を達成するために、従来私どもの計算した内容に基づきまして被害者に対する補償には万全を期しておる、こういう状況でございます。  なお、現在被害者の方からは、まだ最終的にそういう訴訟代理人を設けてどうこうというような、刑事裁判の進行中でございまして、現在しかるべき方を介していろいろな御相談は受けておりますが、具体的な計算を行うというところまではまだいっておらない状況でございます。  それから、第二点の整理統合の問題でございますが、これはちょっとかいつまんでといいますと、二十三事案というのがございまして、そのうちの十事案が未解決という形になっておりましたが、昨年私ども、年内に解決といいますか、事案の方向を含めて解決せよという御指示を受けておりまして、昨年の十二月二十日過ぎに日米合同委員会を設けまして、十事案についてもそれぞれ段階はございますが、すべて解決のめどといいますか、方向を示して、地元には全部調整をしておるところでございます。  それから、十八事案というのは、平成二年の合同委員会で今後とも引き続き検討をすべき事項ということにされております。したがって、これにつきましては、新しくできました日米間の協議会あるいは沖縄県との協議会等の場を通じて、これからどういうふうにしていくのかを検討していく、こういう段階でございます。  それから、三事案の件につきましては、一つは一〇四号線越え射撃の問題がございます。これは私どもといたしましては、現在特別作業班を設けて本土にいわゆる分散実施する方向で検討をしておるところでございます。  それで内容的には、現在一〇四号線越え射撃というのは、年間十回程度、三十数日の射撃を行っておるところでございますが、こういうものをどういう形で本土へ持っていけるのか、そういう点を技術的に検討しているところでございますが、本土に持っていくに際しましても、私どもとしては、そのお引受先に米軍がそのまま駐留するとか、そういうことではなくて、三十数日間行われておる射撃の一部を本土の演習場所在地の方々に何とか御理解いただけないかということで、現在いろいろな検討を進めておるという状況でございます。  それから、残りの二つの事案でございますが、これは那覇軍港地域につきまして、これを浦添市の将来埋立予定地の方へ移設したらどうかという御提案を地元の方にしておるところでございます。  それからもう一つのいわゆる読谷補助飛行場の移転の問題につきましては、これはパラシュート降下訓練というのがキャンプ・ハンセンの中の宜野座村の方に持っていきたいということで、これも地元の方に提案をしておるところでございますが、現在のところ、地元の市長さん、村長さんからは反対だということを私ども聞いておりますが、県の方にもある程度総合的、大局的見地に立って沖縄県の発展のために何とかこういう移設を引き受けていただけないかというようなことで、現在全力を挙げて調整をしておるところでございます。  したがいまして、現在、私どもも、こういういろいろな基地問題解決に際しては、現在の周辺対策経費については、いろいろ私ども地元の御要望にはできるだけおこたえするというような方向で今検討を進めておるというふうな状況でございます。
  173. 山崎拓

    山崎(拓)委員 村山内閣におきまして、沖縄問題につきまして、日米間の話し合いの場として合同委員会、それから政府と県との話し合いの場として協議会、それぞれそのスキームができまして、非常にスムーズな話し合いが行われることになってまいりました。ぜひ防衛施設庁としても、このようなチャネルを通じまして、補償問題等、沖縄県民の心を心として米側と折衝を行っていただきたいということをお願い申し上げておきたいと存じます。  安全保障の問題に余り時間をとってはなんでございますが、あと二点だけどうしても申し上げておきたいことがございますので、お許しをいただきたいと存じます。  その一点は、北朝鮮問題でございます。  アジア太平洋の安全保障問題で最も緊要な地域は朝鮮半島だと言われておるのでございます。北朝鮮の核開発疑惑につきましては、昨年十二月に軽水炉供給取り決めが締結をされております。本問題の解決に着実な歩みが見られると存じます。最近も、ハワイにおきまして、KEDOをめぐります日米韓三国の次官級会議が開かれたばかりでございます。  しかしながら、北朝鮮におきましては食糧不足、エネルギー不足が深刻化していると言われておりまして、特に食糧不足につきましては、昨夏の水害等の影響によりまして、極めて困難な状況に直面しているということが言われているのでございます。しかも、このような状況の中で、先般、北朝鮮軍の航空機の大規模な移動と展開といった、通常見られない軍の行動が報道されているところでもございます。  北朝鮮は閉鎖的な国家でございまして、その実態を正確に把握することは極めて困難でありますが、この北朝鮮を何とかして国際社会に引き出しまして、国際協調を行う国家として、これから我々といたしましては、北朝鮮の国際社会におけるあり方についていろいろと積極的なアプローチを行っていくことが肝要であると考えるわけでございます。  そのような観点から、総理が、今日の北朝鮮の窮状、あるいは我が国として、日米韓の連携のもとに、総理のおっしゃる自立的外交の立場から何をなすべきか。日朝国交正常化交渉を私は再開すべきだと。これからKEDOを通じまして軽水炉の供与に関する協力を我々はしていかなければなりませんし、その他の協力もあると存じますが、そのような協力を行うに際しまして、国民の理解と支持を取りつける必要がある。その観点から申しますと、どうしても、北朝鮮と国交正常化交渉が始まる、そして日朝関係が将来平和と友好のうちに展開される見通しがあるということがなければ、私は国民の理解は得られないのじゃないか、そのように考えますので、総理の見解をお伺いしたいと存じます。
  174. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私ども、大変残念でありますけれども、北朝鮮につきましてさまざまな情報に接しながら、そのいずれが正確な情報であるのか必ずしも判断できるだけの知識を有しておりません。これは、むしろ北朝鮮そのものにおきまして情報開示が余りなされていないということでありまして、私どもとしては、やはり今後ともにその動向に対しては細心の注意を払っていく必要のある、そうしたところであると考えております。  そして、先般行われました朝鮮半島情勢に関する日米韓三国の事務レベル協議におきましても、緊密な意見交換を行ってまいりました。詳細にわたることは避けますけれども、私は、こうした話し合いの中で、KEDOの問題が韓国のイニシアチブのもとに供与は進むという方向が出てきたということについては、一つの大きな前進と受けとめております。アメリカの努力はさることながら、やはり韓国が積極的に対応してくれた。日本としても当然その枠組みの中で応分の協力はしていかなければなりません。  ただ、日朝国交正常化交渉というものを再開するということになりますと、これは具体的な時期などにつきましてまだめどの立っている状況ではございません。しかし、我が国としては今後ともに、第二次世界大戦後の日朝間の不正常な関係というものを正していくと同時に、朝鮮半島の平和と安定に資するものとする、そうした観点を必ず踏まえて行動しなければならないと思います。そして、これは韓国と緊密に連携しながら対応していくべきことであると考えております。
  175. 山崎拓

    山崎(拓)委員 総理が日朝国交正常化への意欲を示されたものと受けとめた次第でございます。その際、韓国との連携、協調につきまして御発言があったところでございますが、与党三党の政策調整会議におきましてもそのような認識に立ちまして、きょうも実は韓国の金太智大使と懇談をいたしました。  社民党の伊藤茂座長、それから新党さきがけの渡海紀三朗座長、三人で大使と意見交換をいたしましたが、韓国に近いうちに赴きまして、韓国要路の方と今後の日韓関係のよりよい発展のために率直な協議をしてまいりたい。その中に朝鮮半島情勢あるいは我が国と北朝鮮との国交正常化問題も含まれると思いますが、これから積極的な近隣外交を党側といたしましても進めてまいる決意であることをこの機会に申し上げておきたいと存じます。  安全保障問題の最後に、これは新進党の諸君が退席いたしましてまことに遺憾千万でございますが、この際申し上げておきたいことがあるのです。  それは、昨年十二月に新進党で党首選挙が行われました。小沢一郎さんが当選をされましたが、小沢さんは、その党首選挙に際しまして、安全保障政策について提言をされたのでございます。この提言のうち、私は、経済問題についても財政問題についても問題があると存じますが、安全保障問題に限って指摘いたしますと、PKOについての取り組みが我々の考えと明らかに異なっていると申すほかはございません。  小沢さんによれば、国連警察部隊を創設する、そして、そのすべてを国連の平和活動に提供する、自衛隊を再編成し、最小限度の防衛力とする、さらに、安全保障基本法を制定し、これを明記するということを提言として出されましたわけでございます。私は、このような考え方に絶対にくみすることはできない、そのことを申し上げておきたいと思います。  まず第一点といたしまして、各国の主導権を全く離れた部隊を国連に提供するという枠組みは、国連におきましても現在のところ検討もされていないという状態でございまして、極めて非現実的な、迂遠な話だと指摘せざるを得ないのでございます。  第二に、国連警察部隊という組織であれ、自衛隊であれ、我が国の組織が国外で活動するわけでございますから、国際的に見て、その活動の意味合いが変わることはないはずでございます。自衛隊と別組織を設ける趣旨が判然といたしません。自衛隊が既にPKO活動を通じまして国際的に立派な活動を展開しておるわけでございますが、これが不適当であるという判断に立つのでしょうか。この点について、小沢さんの御発言にくみすることはできないということを明確に申し上げておきたいと存じます。  第三に、国連警察部隊なる組織を創設し、かつ機能するようにいたしますためには、膨大な時間と多額の経費を要するということになります。PKO活動を通じて立派な国際的活動を行っておる自衛隊という存在がありながら、かかるむだな時間と経費を費やそうとすることは、総理がいつもおっしゃっておる行政改革行政簡素化の精神に全く反するものである、かように考える次第でございます。  また、このようなことを提言されること自体が自衛隊の士気に極めて悪い影響を及ぼすことになると存じます。自衛隊は国際社会において評価されていないということにもつながるわけでございまして、自衛隊という組織は、これはもう士気が一番基本として大事なものでございます。士気のない軍事的な組織というものは、私は、これは何といいますか、石ころのような存在になると、士気が入ればダイヤモンドになるといつも考えているのでございますが、このような観点からいたしまして、自衛隊の士気を阻喪せしめるような提案ではないか、かように考えるわけでございます。  また、安全保障基本法というのはいかなる性格のものであるか、全く判然といたしません。先ほど来申し上げてまいりました「国防の基本方針」でございますとか防衛計画大綱の制定でございますとか、それは一体不十分だったというのか、あるいは憲法との関係をどう考えているのか、そういう点で判然としないことばかりでございます。  このような無責任な政策を標擁する党首の率いる新進党が政権をとるなどということは、国策の基本である安全保障政策の根幹を揺るがすものといたしまして、絶対に容認できないということを国民の前に私は明確にしておきたいと思います。  特に総理の見解があれば、あるいはこの小沢提言に対する評価があればお伺いしておきたいと存じます。
  176. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 私は、本会議でも小沢党首の御質問に対して私自身の見解を申し述べてまいりましたけれども、いわゆる安全保障基本法というものの制定については従来からいろいろな御議論がございました。それはむしろ、これからの国会における御論議でありますとか、各方面の議論というものを踏まえてその可否について考えていくべき課題であろうと存じます。  しかし、国連警察部隊というものに対しては、私自身も明確に考え方を異にするということを申し上げてきました。  私は、まず第一に、他民族、他の国に武力を行使する目的を持って武装集団を日本が国外に送り出すことに対し、国際社会が認めるような状況ではないと思っております。基本的にそうした考えがあります。そうしたベースの上で国連平和維持活動等にも当たってくるべきだと考えており、今までもそういう努力を自衛隊の諸君はしてきてくれました。  そして私は、今後の世界におきましても国連平和維持活動に適切かつ迅速に協力をしていこうといたしました場合には、自衛隊が長年にわたって蓄積いたしてまいりました技能あるいは経験、そして組織的な機能というものを活用させていただくことは不可欠だと思います。そして、それはカンボジア等で既に実証済みのことだと思っております。  二つの組織をつくって、片方は国連警察部隊へ、片方は自衛隊へというようなことは効率的でもありませんし、時間の点でも経費の点でも、私は到底とるものではない。むしろ、そういう以前に、私どもは、例えば今度ゴラン高原に出ていきました自衛隊の諸君にいたしましても、いかにしてその苦労に報いてあげられるかを考えることの方が大事ではなかろうかと考えております。
  177. 山崎拓

    山崎(拓)委員 経済の問題に移ります。  総理は施政方針演説の中で五点お挙げになったのでございますが、その中で、「強靱な日本経済再建」を目指すということを言っておられる。総裁選挙でも、元気を出そう日本というキャッチフレーズで戦われたのでございます。  そこで、これはちょっと予定質問に入れてはおりませんでしたが、元気を出そうということは今元気がなくなっているということでございまして、まあ大分元気が出てまいりましたが、一体日本経済は今何歳ぐらいだとお考えになるか。戦後五十年でございますから、五十歳ぐらいになったのか。  総理は剣道五段か六段の腕前の持ち主でいらっしゃる。私も柔道をいたしますが、五十歳を過ぎましてからなかなかけいこができなくなった。総理はまだ熱心にやっておられるので、大変な体力をお持ちでございますが、日本経済もどうやら五十歳を超して元気がなくなったのではないかと言われておるわけでございます。その点についてどう見積もっておられるか。  そして、これをどうしたら、二十代の若さにすることは難しいかもわからないが、三十代ぐらいの若さを取り戻すために手を打つべきではないか、そのように考えますが、総理、いかがですか。
  178. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 大変難しい御質問でありまして、それは、平均寿命を幾つぐらいに見ての年齢かにもよるだろうと思うのです。  仮に、現在の人生八十という時代を想定して考えますなら、私は、日本という国の経済、これはまさに壮年期にあると考えております。そして、少々食べ過ぎあるいは飲み過ぎで胃腸が疲れておるかもしれませんが、我々はむしろ、そうした問題を直していくことによってなお壮年期としての活動を続ける力は十分持っており、また逆に、その壮年という年齢を生かしながら、より若い国々に対し自分たちの経験と技量を伝えていく能力を所有する国、そのように考えます。
  179. 山崎拓

    山崎(拓)委員 総理は、施政方針演説の中でこう述べておられます。「この国の経済を覆う不透明感を払拭し、将来に向けた明るい展望を開くためには、二十一世紀までに残された五年間」、この五年間ぜひ政権を担当していただきたいと存じますが、「を三段階に分け、第一段階において本格的な景気回復の実現、第二段階において抜本的な経済構造改革、第三段階として創造的な二十一世紀型経済社会の基盤の整備を行うことが重要である。これらの施策は、それぞれ一年後、三年後、五年後を目標としつつも、相互に密接に関連するものとして、直ちに着手、推進していかなければならないものであることは論をまたない」、このように述べておられるわけでございます。  そこで、まず第一段階の本格的な景気回復の実現でございますが、これは昨年来、十四兆二千億の総合経済対策、そしてその裏づけとなる補正予算を臨時国会で、これは村山内閣のもとで成立をさせまして、また、村山内閣のもとで予算編成が行われまして、この七十五兆一千億、一般歳出四十三兆一千億の予算編成がなされて、その中で景気回復へ向けての手だてが講ぜられたと存じますが、それはどういうものであるのか。  あるいは、税制改革。この税制改革につきましては、総理が自由民主党総裁として自民党の税調に対して総裁指示をお出しになった。村山税調会長、ここにいらっしゃいますが。そして、思い切った日本経済の再活性化に資するための土地税制の各段階における、取得あるいは保有、譲渡、三段階における思い切った緩和措置を講ずることという内容の指示をお出しになって、税制改正の実を上げられた、土地税制の緩和を行いになったと思いますが、それらの総合的な手だてによりまして、日本経済は間違いなく、何と申しますか、再建への足取り、本格的な景気回復への足取りを始めた、足踏み状態を脱却いたしまして前に進み出した、かように考えるわけでございます。  この点につきまして、総理、どのように認識しておられるか、お伺いいたします。
  180. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 施政方針等を御引用いただきながら、非常にうまくおまとめをいただきましたこと、感謝をいたします。  ただ、私ども本当に、ようやく明るさが見え始めたといいながら、通常であれば、今までの体験上は、比較的立ち上がりの早いはずの中小企業に依然として厳しい状況が続いていることを非常に心配を一ついたしております。  同時に、この不況の中で、企業のリストラの進行等から失業率が史上最高という水準に張りついてしまっていること、しかも、それは中高年の方々の雇用の問題に加え、女子学生を初めとする新衣の若い人々の職場という点でも非常に厳しい状ねを今展開しているという点に懸念を持っております。  こういう状況であればあるだけ、私どもは新たな産業分野をいかにしてつくり出すか、そして、その新たな産業分野にいかに多くの労働人口を吸収するか、こうした視点を持たなければならないと考えます。そして、そのためには、市場において新たな業を起こそうとする方々の立ち上がりの資金の確保をより容易にする工夫等を含め、あるいはキャピタルゲインの問題でありますとか、さまざまな手法を組み合わせていく必要があろうと思います。  また、余り議論のされておらない角度から一つ考えてみますと、私は、人材派遣というものをもっと積極的に見直す価値はなかろうか。そうした中で将来に向けての新たな産業分野を創出することはできないだろうか。  いずれにしても、産構審は、情報通信あるいは住宅関連、福祉、医療関連等、将来に向けての、二十一世紀に向けての新たな産業分野幾つか列記してまいりました。そして、これを育てるような方向を目指せという既に流れができております。今後はこれに新たな技術開発、科学技術の創造というものをつけ加え、将来に向けての夢を組み立ててまいりたい。非常に粗い申し上げ方でありますが、そのような考え方を持っております。
  181. 山崎拓

    山崎(拓)委員 私は、旧臘、予算編成の際に政府が行いました最大の経済対策、景気対策は、住専問題の処理を決めたことであると考えておるのでございます。  実は、この質問の始まる前に株価の動向を調べましたのですが、本日十五時四十五分時点で、日経平均の株価は二万七百二十二円、最高の株価指数になっているわけでございます。しかも、本日は午前十時から予算委員会審議がNHKテレビを通じまして全国民に放映をされている状況の中にありまして、住専問題に対する非常に厳しい質問が続いている中で株価は上がり続けているわけでございます。  昨年の暮れ以来、実に一カ月間で三千円もの株価の上昇がございました。前大蔵大臣武村さんの御発言によりますと、千円で十八兆円の含み資産の増ということでございますから、三千円で実に五十数兆円の含み資産の増加があったというふうにも計算できるのでございます。きょうまた上がりましたことは、あるいは本日住専問題に対します新たなる閣議了解が行われたということにも私は起因しているのではないか、かように考えるのでございます。  私は、この件に関しましてネガティブな評価が多い中で、これは野党側でございますが、積極的に今回の決定を評価いたしまして、責任問題でございますとかあるいは回収問題は、これは強力に取り組むこととしながら、自信を持って、今回の決定が要するに日本経済を救うものである、景気回復に資するものである、あるいは日本金融システムに対する国際的な信頼を回復せしめるゆえんのものである、かように考えるわけでございます。  そこで、改めて国民の前に明らかにしていただきたいことでございますが、これは総理が施政方針演説の中で述べられたことに基づいて御質問いたしますけれども、なぜ我が国金融システムの安定性と今回の解決が内外の信頼を獲得することにつながるのかということが一つでございます。我が国金融システムが国際的に位置づけられていると言われておりますが、それはどういう内容のものであるか。  二点目は、なぜ住専には預金者がいないのに預金者保護に資することになるのか。これは預金者保護ということにつながるということが書いてあるから、おっしゃったから申し上げているわけでございます。  第三点は、なぜ、ただいま申し上げておるとおり、株価指数の反応に見られるように日本経済を本格的回復軌道に乗せることになるのか。その三点につきまして、明快な御答弁をお願いしたいと存じます。
  182. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず、住専の問題と申しますもの、これが一つは大変多数の金融機関関係をしており、しかもその損失が巨額に上りますために、我が国不良債権問題の象徴的かつ緊急の、喫緊の課題となっております。そして、その問題が我が国金融システム全体の不良資産問題の処理のいわば象徴のような形に位置づけられてまいりました。これを一日も早く解決することは、まさに国内、国外双方から強く求められているものであるということが申し上げたい第一点であります。  次に、預金者がいないのになぜ預金者保護になるのだという御指摘をいただきました。  これは、本当に多数の預金取り扱い金融機関関係をいたしております中で大変複雑なかかわりをお互いが持っております。そして、その住専に母体行、あるいは一般、系統、さまざまな金融機関がかかわっておるわけでありますが、先刻来この委員会における御質問でも、例えば解決を後にずらしたために損害がふえたではないかという御指摘が何回もございました。まさに、そういう御指摘はそのとおりだと私は思います。  そうすると、こうした問題を、実はそれぞれ母体行にもあるいは一般行にも預金者の方々がおられるわけでありまして、そうした金融機関資金調達コストが上がったり、あるいはそれらの金融機関の経営に不安を持たれるような状態を惹起すれば、これは直ちに預金者に響くことであります。我々はそんな事態を起こす前にこの問題を解決したい。それがもう一つ申し上げたかったことでありました。  そして、最後に申し上げたいことは、この問題を解決することは、いわば金融機関不良債権問題の象徴的なものに答えを出すということになりまして、これは金融機関融資対応力が必ず向上するでありましょう。これは当然のことながら、経済活動に必要な資金の円滑な供給にプラスになるわけでありますし、何よりもやはり、その金融システムに対する信頼性の回復というものは、景気の先行きの不透明感というものを払拭する上で非常に大きな役割を果たしていくことになります。これは企業マインド、消費者マインドを好転させるものであり、日本経済が本当に本格的な回復軌道に乗っていくためにぜひくぐり抜けていかなければならない厳しい課題である、私はそのように受けとめて国会の御審議を願っております。  ありがとうございます。
  183. 山崎拓

    山崎(拓)委員 加藤幹事長が、けさの朝日新聞の「論壇」に投稿されておりまして、非常にこの問題についてわかりやすい例を言っておられるのでございます。読み上げて参考に供したいと存じます。  住専問題は、例えて言うと日本の安定した金融システムという巨大なダムにあいた穴。その穴が広がり、急いでふさがなければダム自体が決壊し、下流の一般預金者 これは日本経済全体と読みかえた方がいいと思いますが、  に被害が及ぶ状態になっていた。取り返しがつかない事態にならぬよう、ダムに穴をあけた責任追及よりも先に大至急穴をふさがねばならなかった。その結果、株価は二万円台を回復し、 二万七百二十二円でございますが、  ルービン米財務長官や主要七カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G7)からも評価され、政府・与党の決断は正しかったと証明されている。 そういう書き出しで始まっておるわけでございます。  もちろん、責任問題についてそれからずっと書かれているのでございますが、基本的にはこのようなことで国民の御理解を私は求めたいと存じますが、住専問題につきまして国民の皆様方が最後には御理解と御支持をいただけることが肝心と存じますので、住専問題について特に詳しく今まで勉強されてこられました、そして今までのスキームをつくることに大きく貢献してこられました与謝野馨同僚代議士に、この後の質問を譲りたいと存じます。  明日には、予算委員会のエースである深谷隆司代議士からも、この問題についての掘り下げた御質問がある予定でございます。  そこで、これがもう最後の私の発言になりますが、これは上原委員長に申し上げたいと存じます。  この国会住専国会と言われておりますので、今のところ本件に入るのをしばらく控えておるわけでございますが、参議院の宗教法人等に関する特別委員会で、昨年十二月四日に、宗教法人法の一部を改正する法律案の審議過程におきまして、創価学会の秋谷会長を参考人として招致されております。  我が党といたしましては、創価学会がなぜ政党を結成し、地方議会のみならず国政の場にまで進出してきたのか。そもそも宗教法人が政党を結成し一定の政治的権力を行使することは、憲法二十条の政教分離規定に反する行為ではないのか。あるいは宗教法人法第十条の規定を逸脱した目的外の活動ではないのか。さらに、創価学会から精神的な面においても被害をこうむったと称する人々が被害者団体を結成し学会を指弾している実態等々につきましてどう受けとめているのか。この点につきまして秋谷会長に明確にお聞きしたかったのでありますが、十分な論議がいただけなかった、説明をいただけなかったということでございます。  我が国では、政党を組織し政権をとることを目的とした宗教団体は、オウム真理教と創価学会だけでございます。創価学会が教義を拡大し巨大な宗教団体として成長し、社会的にも政治的にも大きな影響力を及ぼしている現状から判断いたしますと、多くの国民が抱いている創価学会に対する疑問、疑念を解きほぐす必要があるのではないかと考えます。そして、そうすることが国民に対する我々の責務であると考える次第でございます。  そこで、委員長、我が党といたしましては、一日も早く宗教法人等に関する特別委員会を改めて設置いたしまして、宗教と政治のかかわり方の問題につきまして改めて論議を行うべきではないかと考えている次第でございます。もし新進党が特別委員会の設置に反対であれば、住専問題等についての集中審議が行われると存じますが、それが終了いたしました時点で、予算委員会においても宗教と政治のかかわりにつきまして集中審議を行いまして、国民の疑問、疑念を解きほぐしたら、解明したらどうか、かように考える次第でございます。  その際、秋谷会長との質疑で明らかにならなかった創価学会の真の指導者である名誉会長の池田大作氏を予算委員会に参考人として御出席をいただいて、この疑問解明に御協力をいただいたらどうかということを委員長に提案をさしていただきまして、私の質疑を終わらしていただきます。(拍手)
  184. 上原康助

    上原委員長 ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議させていただきます。  この際、与謝野馨君から関連質疑の申し出があります。山崎君の持ち時間の範囲内でこれを許します。与謝野馨君。
  185. 与謝野馨

    与謝野委員 まず、総理大蔵大臣にお伺いしたいのですが、国民がこの住専処理について非常に知りたがっているのは、六千八百億のお金を使うということが本当に国民のためなのか、国民のために使われるお金なのかということを実は知りたいわけです。  これは総理金融システム全体の安定に使う、こうおっしゃるのだけれども、金融システムの安定というような抽象的な言葉では国民の理解を得られない。一体何のためにこの六千八百億を使うのかということをまず明確にしなければならないと思うわけでして、その点について、総理大臣でも結構ですが、大蔵大臣でも結構ですが、お答えをいただきたい。
  186. 久保亘

    ○久保国務大臣 お答えいたします。  六千八百億という巨額の国民税金住専問題のために財政支出するということは、非常に責任の重いことだと考えております。しかし、きょう新進党の皆さんの御質問にもございましたけれども、それならば、この事態に立ち至っている住専問題を法的処分によって、つまり破産処理で決着させよ、こういう御意見でございましたが、もしそのようなことになりました場合には、今日の住専問題の内容から考えまして、預金者を含めて国民の皆様方が受ける影響は非常に深刻で大きなものになろうと考えております。財政支出を行って公的に介入しつつこの問題を早期に解決することが、いわゆる金融システムの安定、それから内外の日本の金融に対する信頼を確保する道だと考えております。  今私どもは、大変厳しいけれども、法的に破産処分にするのか、それとも住専処理機構を有効に活用して、そしてこの住専七社を整理をしつつ極力この債権を回収し、そしてこの事態に立ち至った経過に照らしてその責任の所在も明確にしながら、改革すべきものを改革し、そしてとるべき責任、法律上の責任、道義的責任、それぞれあると思いますが、この責任を明確にすることによって、この住専問題を最も国益に沿う形で決着させねばならないと考えたのであります。  つまり、破産処分をした場合どういうことになるか。今私どもが六千八百億という巨額の税金を使わせていただきますけれども、そのことによって住専問題を処理するということが、結果的に見て国民の皆様にとってどのような利益をもたらすかというこの選択の問題だと考えております。私たちは、今政府として与党の合意もいただいて進めている道が、今日とり得るベストな選択だと考えております。
  187. 与謝野馨

    与謝野委員 そこで、責任という、抽象的な責任ではなくて、みんながちゃんと自分が負担すべきお金を負担したかどうか。  まず、母体行といって住専を設立した銀行、それが三兆五千億負担していますが、これは母体行にとって限度いっぱいの負担だったかどうか。どのように判断されるのか。その三兆五千億を母体行が放棄しました。これは母体行にとって最大限の負担であったかどうか、それについてお答えいただきたい。
  188. 久保亘

    ○久保国務大臣 現在、当事者間の話、また政府が要請を、大蔵省として要請をいたします限りでは、住専に対する債権のすべてを放棄するわけであります。もちろん、母体行の責任という立場からいたしますならば、債権の放棄に限らずさらに負担をすべきではないかという御意見もあることを承知いたしておりますが、今母体行に要請できる負担としては、債権の全額放棄、三兆五千億が今日の段階においては限界だと考えておりますが、このほか母体行は一兆円の基金、それから住専から債権を買い取りますための資金として考えられておりますのは二兆二千億の融資、低利の融資を求めることに対して応じていただく予定でございます。
  189. 与謝野馨

    与謝野委員 そこで、住専の設立に直接かかわっていない銀行、一般行と呼んでいますが、一般行の債権放棄額は一兆七千億円です。この一兆七千億というのは一体どういう理屈で一兆七千億なのか、それを教えていただきたい。
  190. 久保亘

    ○久保国務大臣 今度の問題で決着を図りますときにいろいろな考え方がございましたが、母体行は、いわゆる貸し手責任主義で、融資をしている者の融資額に応じてそれぞれが負担をすべきだという主張が強かったと思っております。農協系の金融機関は、そもそもこの住専問題は母体行が負うべき責任ではないかという主張が強かったのであります。そういう議論があります中で、全体が納得していただける考え方として、この母体行主義と貸し手責任主義を混合する形で結論が出されたのだと思っております。  母体行の三兆五千億、一般行は融資総額が三兆八千億ございましたが、そのうち一兆七千億を放棄してもらうということにいたしました。  農協系の金融機関につきましては、既に本日午前中からの論議にもお答えを申し上げてきたのでありますが、この農協系金融機関の持っている役割、それからその体力、そういうものを考えながら、農協系の金融機関の側が主張されました貸し手には責任はないという立場だけではこの問題は決着をしないということで、ぎりぎりの御相談大蔵省としては要請をしたのだと、ぎりぎりの額を要請したのだと思っておりますけれども、一たん融資額を全額返済した後、住専処理機構に対して五千三百億を贈与の形をもって負担する、こういう形で、ほぼそれぞれのお立場は御了承をいただいたものと考えております。
  191. 与謝野馨

    与謝野委員 そこで、農林大臣にお伺いしたいのですが、系統金融、いわゆる県信連、農林中金は五千三百億を負担することになりました。また、これは全共連系も含めますが、農協系が少な過ぎるという意見と、農協系は本当は負担しなくてもよかったのにこれだけ出したんだという、二つ実は意見があります。  私はどちらかというと、東京出身の議員ですが、農協の立場に同情しています。なぜかといいますと、銀行が資本金を出して会社をつくって、それで社長を見たら銀行出身の人か大蔵省出身の人だったら、これは、日本じゅうどこのだれもがそこの会社にお金を貸しても大丈夫だと判断するのは、私は普通の日本の商慣行だと思うのです。  しかしながら、系統金融は五千三百億のお金を出します。これは一体どういう根拠で出して、五千三百億というのは一体どういう計算で五千三百億になったか、これを教えていただきたい。
  192. 大原一三

    ○大原国務大臣 与謝野委員には精力的に住専処理をおまとめいただいて、私は感謝をしております。  ただいまの御質問でありますが、農協系統金融機関実態から見ますと、五千三百億という負担は大変厳しい負担でございます。ぎりぎりの選択であったと私は思っております。  その根拠を申し上げますと、まず信連、全国に四十七ございますけれども、大変経営状況がよくない。やはり大乗的立場で、この際、内外から要望の強い金融のリストラをやるためには何とかしなければならぬということになれば、その厳しい中からも負担しなければなりません。  そうなりますと、半数以上赤字が出るような負担は、とてもこれは受けることができないということで、ぎりぎり詰めてまいりまして、大体二千億という数字を信連で積み上げたわけでございます。それでも経常利益で約三十は赤字に転落いたします。当期利益、つまり積立金を取りましても約二十の信連が赤字に転落いたします。だから二千億はぎりぎりだということです。  融資のプロラタレートからいきますと、農中さんは少なく、信連がもっと多くなるわけでございますけれども、農中さんに同額の負担をお願いしよう、こういうことを計算をいたしますと、信連は当期利益のほとんどを拠出しなければなりません。それから、任意積立金のかなりの部分を拠出する形が出てまいりました。それから農中さんは、当期利益は、これは独自の協同住宅ローンを持っていますから、農中さんの利益は全部これを協同住宅ローン赤字補てんに埋める。ですから、残りは有価証券の含み益の償却、これを大々的にやろうではないか。  もう一つは、貸倒引当金と特別積立金の引き出してございます。これで農中さん、同額負担してくれということで、四千億が出ました。その四千億、今度は共済連について、信用系統の住専に対する融資割合で案分をいたしますと、千三百億という答えが出てくるわけであります。  以上が、簡単でございますが概要であります。
  193. 与謝野馨

    与謝野委員 橋本総理、今の話を聞いておられて、各関係者がぎりぎりの負担をされたというふうにお考えになられますか、母体行、一般行、系統と。
  194. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 本日の審議の冒頭、米沢議員に対して私は、関係者がぎりぎりの努力をしてくれた、かえってそのために情報開示がおくれてしまって資金投入の時点で唐突感を与えてしまったことは申しわけなかったということを申し上げました。私は、それぞれに現時点においてできる限りの話し合いをして結論をまとめてくれたものと思っております。
  195. 与謝野馨

    与謝野委員 昭和二年に金融大恐慌が起きる前に、震災手形問題という問題があって、これを一億円、日銀が出した、これを政府が補償するかどうかという法案が出まして、今と実は同じ議論をこの国会でやっていたわけです。そのうちに大蔵大臣が失言をして台湾銀行その他が危機に陥って、金融大恐慌というもう全国に金融不安が広がって、銀行には取りつけに人が殺到する、そういうことになりました。  ですから、私どもは、この問題はやはりこの国会できちんと処理をして、国民金融機関に信用を失わないように、あるいは国会が信用不安の引き金を引かないように、私は注意深くこの問題は処理する必要があると思うんです。  特に新進党の野田さんが先ほど延々と質問をされておりましたけれども、あの質問の内容は、要するに何にもしないということです。あれは何にもしないということ。要するに、破産法とかあるいは商法による会社整理とか、そういうことで問題を解決しなさいということですから、これはもう大混乱が生じることは必至なんです。そういう無責任なことは、私ども与党も政府もやってはいけないことなんです。  我々、住専処理するについて三つ選択が実はあったわけです。  一つは、当事者に任してほっておく。しかし、この当事者は、銀行が百七十八ぐらいありますし、系統も、信用事業、共済事業を合わせますと九十四もあって、実際当事者間の話し合いなんかできない。それじゃ法的処理をするかといえば、法的処理をしますと訴訟合戦になって、この問題は何年かかっても解決できないような大問題になる。  ですから、今数字がいろいろ出てきましたけれども、母体行も一般行も系統もぎりぎり理屈の立つ範囲で歩み寄って、また体力の許す限り歩み寄って、そのギャップが出たのが私は六千八百億だった、これはやはり日本の信用機構を維持するためには絶対に必要なお金だと思っております。  要するに、銀行に預けた自分のお金が返ってくるかどうかということが国民にとってはその金融機関を信用するかどうかということなんですから、どこに預けたら一番信用できるかというような判断を国民に求めるということは現段階では無理なことだ、私はそういうふうに思っています。  そこで、この問題は、やはり責任はいろんな方面に私はあると思いますが、まず、やはりバブルを発生させた責任というものがどこかにあるはずです。ですから、私は日銀にこういう話はいずれ聞かざるを得ない。  それから、バブルが崩壊したときに、何か明るい部屋に入ってきていきなりスイッチを切った人がいる。一瞬にして真っ暗になったという、バブル崩壊がソフトランディングできなかったという政策上の運営の失敗が私はあったと思うんです。これはやはりいずれこの予算委員会で、バブルの発生、バブルの崩壊というこのマクロの金融政策というものは論議をしておく必要がある、検証する必要がある、そういうふうに思っています。  それと同時に、大蔵省と農水省の行政責任があります。一つはこの総量規制の問題なんですが、量規制というのは、あの当時、国会では総量規制をやれという大合唱だった。多分橋本大蔵大臣はその当時の海部総理に官邸に呼ばれて、とにか総量規制をやらないとだめだぞということを話し合われたと思うんです。その当時の自民党の執行部は、幹事長が小沢さん、政調会長が加藤六月さん、総務会長が西岡さんというコンビでやってた。  総量規制自体は私は正しい政策だった。ただし、住専があれだけ資金を獲得できて、住専があれだけ不動産業に融資できたのはなぜかということについては、国民が実は疑問に思っています。そのについては、銀行局長、なぜその部分だけ抜け道があったのか、穴があいていたのかということをお答えいただきたいんです。
  196. 西村吉正

    ○西村政府委員 いわゆる総量規制と申しますのは二つの問題に分かれるわけでございますが、不動産業に対しては融資の伸び率を抑えることを直にお願いいたしました。そして、三業種規制と言われています不動産業、建設業、そしてノンバンク、これは住専を含みますが、それに対しては銀行がどれだけ貸したかということを届け出ていただくことになっておりました。そのようなことで、元栓を閉めるというようなことによってこの問題に対処しようとした、こういうことでございます。
  197. 与謝野馨

    与謝野委員 そこで、その後、ちょうど三年前に第二次再建策というのをつくりました。そのとき、二つ私は問題があったと思うのです。  一つは、この第二次再建策の前提というのは、年間土地が安定していって、四年目から土地が上がるということを前提につくったことです。  それから、大蔵省局長が農林省の局長と覚書を交わして、これ以上の負担は系統にかけませんということを約束した。これは、よく考えますと、再建を前提にしたということ自体が私は間違いだったと思うのです。やはりあの当時整理していれば、少なくとも住専金融機関に払った八千億、九千億という金利はこの不良債権の中に積み重ならなかった。要するに先送りしたわけです。ですから、今回は先送りは絶対しちゃいけない。やはりその当時の教訓から学ぶべきことが私は多いと思うのです。  それともう一つ、総理、実際、これは刑事局長でも法務大臣でも結構なんですが、やはりこれだけ、六兆も七兆も不良債権が出てきますと、どこかで必ず詐欺、横領、背任のたぐいの話があるわけです。私はそう思いますよ。  それで、法務省、刑事局長がおられたらお伺いしたいのですが、やはり法務・検察は、こういう不正を別決するということに関して断固たる態度をとってもらわないと、悪いやつほどよく眠るみたいなことでは、とにかく六千八百億を使っても国民は納得しない。ですから、これは不正があったものに対しては厳正に対処するのかどうか。これはやはり刑事局長、今法務省の立場は一体どうなっているのか、ちょっとお伺いしたい。
  198. 原田明夫

    原田政府委員 ただいまお尋ねの、いわゆる住専をめぐるこの問題につきましては、現在、政府・与党を通じまして債権回収のための万全な措置を講じますとともに、関係者らの民事上、刑事上の責任が可能な限り明らかにされることが必要であるとされております。私どももそのように考えて、そのために万全の措置をとってまいりたいと考えております。
  199. 与謝野馨

    与謝野委員 総理行政責任のほかに、やはりこういう刑事上の責任、民事上の責任というものは厳しく追及していく、そうでないと、六千八百億を税という形で負担する国民はたまらない。  私の選挙区でも、もう住専から巨額の借金をしているけれども、そこのうちの奥さんはベンツに乗って豆腐を買いに来るなんという例は実際あるわけです。こういうものは国民は見逃さないのです。こういうものは見逃さない。こういう不正、それからその立場をわきまえないでのうのうとしている人たちについては、やはり徹底的な追及というものが政府の姿勢として私はなければならないと思っています。そういうことをして初めてやはりこの六千八百億の支出というものは私は正当化されるんだろうと思っております。  そこで、最後に、総理に御決意を伺いたいんですが、この日本金融システムというのは、二十一世紀に向けて、今の原則と違う原則で二十一世紀の金融は運営されるわけです。それは自己責任原則という世界に、別の世界に移るわけですから、それのいわば一つの非常に厳しい試練の段階なわけです。この自己責任原則を確立するということは、言葉では易しくても、アメリカでは、銀行に預金していて倒産すると全額返ってこない、預金保険の範囲でしか返ってこないというのが自己責任原則なんです。  そういう原則が日本の風土に合っているかどうかは別にして、これから日本が世界の中で、国際金融という世界の中で生きていくためには自己責任の原則はどうしても選択せざるを得ないというときに、今回この住専処理というのはもう第一関門ですから、この第一関門を突破するための、やはり総理の強い決意というものを最後にお伺いしたいわけです。
  200. 橋本龍太郎

    橋本内閣総理大臣 まず、先ほど法務省の方から、刑事、民事を問わず法の対象になるものがあれば厳正に対応するという決意を述べられました。既に警察もそうしたための体制をとってくれております。この決意を我々は全面的に信じ、それとともに全力を尽くしてまいりたい、そのように考えております。  同時に、今委員が御指摘になりましたように、この関門を越えた後、我々は必ず新たな金融システムというものを構築しなければなりません。かつて保護という行政の中にあり、金融自由化を行っていなかった当時の護送船団方式と言われるいわゆる行政の仕組みというものが、これから後通用するものではございません。あくまでも自己責任原則というものを柱に据えた新たな金融システムの構築のためにも、この関門は何としてもくぐり抜けていかなければならないものと考え、全力を尽くしたいと存じます。
  201. 与謝野馨

    与謝野委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
  202. 上原康助

    上原委員長 次回は、明三十一日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二分散会