運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-05-31 第136回国会 衆議院 本会議 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月三十一日(金曜日)     —————————————  議事日程第二十号   平成八年五月三十一日     午後一時開議  第一 商業的造船業における正常な競争条件に     関する協定締結について承認を求める     の件  第二 商標法条約締結について承認を求める     の件  第三 特定非常災害被害者権利利益保全     等を図るための特別措置に関する法律案     (内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 商業的造船業における正常な競争条   件に関する協定締結について承認を求める   の件  日程第二 商標法条約締結について承認を求   めるの件  日程第三 特定非常災害被害者権利利益の   保全等を図るための特別措置に関する法律案   (内閣提出労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労  働者の就業条件整備等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  の趣旨説明及び質疑     午後一時四分開議
  2. 土井たか子

    議長土井たか子君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 商業的造船業における正常な競争条件に関する協定締結について承認を求めるの件  日程第二 商標法条約締結について承認を求めるの件
  3. 土井たか子

    議長土井たか子君) 日程第一、商業的造船業における正常な競争条件に関する協定締結について承認を求めるの件、日程第二、商標法条約締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。外務委員長関谷勝嗣さん。     —————————————  商業的造船業における正常な競争条件に関する協定締結について承認を求めるの件及び同報告書  商標法条約締結について承認を求めるの件及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔関谷勝嗣君登壇
  4. 関谷勝嗣

    関谷勝嗣君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、商業的造船業における正常な競争条件に関する協定について申し上げます。  世界造船業は、第一次石油危機を契機として供給力過剰状態に陥り、種々助成措置がとられたため、平成元年米国造船業界団体により、我が国、ドイツ、韓国及びノルウェーがとっている造船業に対する助成措置が不公正であるとして、米国通商法第三百一条に基づく提訴が行われました。このような一方的措置発動を防止し、多数国間体制のもとで問題の解決を図ることを目的として、経済協力開発機構理事会のもとに設置されている造船に関する作業部会において、世界商業的造船業における正常な競争条件の確立及び維持に関する新たな国際協定作業交渉が開始され、平成六年十二月二十一日、パリにおいて本協定は採択されたものであります。  本協定は、商業的造船業に対する助成措置で撤廃すべきものを定めるとともに、船舶加害的廉売を効果的に防止する手段を定めるものであり、既存の助成措置の撤廃及び新規導入の禁止、締約国団の任務、紛争に関する小委員会役割是正措置がとられない場合の対抗措置船舶の実質的な輸入者が存する締約国への調査権限の付与並びに加害的廉売を行った造船事業者に対する納付金支払い要求等について規定をいたしております。  次に、商標法条約について申し上げます。  本条約は、商標及びサービスマークに係る登録出願及び記録等申請行政手続に関し、昭和六十三年から平成元年までの世界知的所有権機関事業計画において各国制度の調和を目的とした条約検討が取り上げられたことに伴い、平成元年十一月より数次にわたる専門家会合における草案の検討を経た後、平成六年十月二十七日にジュネーブで開催された外交会議において採択されたものであります。  本条約は、商標及びサービスマークに係る登録出願及び記録等申請手続に関する各国制度を調和させ、これらの手続簡素化を図ることを主たる目的とするものであり、商標及びサービスマークに係る登録出願及び記録等申請手続において課すことができる要件を制限し、これらの手続簡素化すること、二以上の登録または出願に係る氏名等の変更の記録等申請を一の申請書で求めることができること、登録更新に際し実体について審査することができないこと等を定めております。  以上両件は、五月二十八日外務委員会に付託され、三十日池田外務大臣から提案理由説明を聴取し、同日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、両件は全会一致をもっていずれも承認才べきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  5. 土井たか子

    議長土井たか子君) 両件を一括して採決いたします。  両件は委員長報告のとおり承認するに御異議上りませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。      ————◇—————  日程第三 特定非常災害被害者権利利益保全等を図るための特別措置に関する法律案内閣提出
  7. 土井たか子

    議長土井たか子君) 日程第三、特定非常災害被害者権利利益保全等を図るための特別措置に関する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。災害対策特別委員長左近正男さん。     —————————————  特定非常災害被害者権利利益保全等を図るための特別措置に関する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔左近正男登壇
  8. 左近正男

    左近正男君 ただいま議題となりました法律案について、災害対策特別委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本法律案制定趣旨は、阪神淡路大震災の際に被災者権利利益を迅速に保全するために〉られた特例措置を、今後起こり得る大災害に備え、恒久法化しておこうとするものであります。  その内容は、著しく異常かつ激甚な非常災害広あって、被災者権利利益保全のために、以下に述べます特別の措置を講ずることが特に必要と認められるものを、政令によって特定非常災害として指定するとともに、当該災害に適用すべき具体的な措置についてもあわせて指定することにいたしております。  そこで、特別な措置としましては、まず、被災者行政上の権利の行使や義務の履行について、一定猶予規定免責規定が働くようにいたしました。  例えば、大災害のために、運転免許証更新ができない場合にはその有効期間延長するとか、あるいは有価証券報告書提出がおくれるような場合、一定期限までに履行がなされたときには、行政上、刑事上の責任を問わないというものであります。  このほか、大災害債務超過となった法人に対する破産宣告につきましては、阪神淡路大震災の際の特例措置と同様に、被災最長二年間は宣告を猶予することとし、民事調停申し立て手数料についても最長三年までは免除する旨の規定を設けました。  また、応急仮設住宅につきましては、建築基準法で定めた二年間の設置期限を、被災者が移転するための恒久住宅が不足し、かつ、安全、防火、衛生上の支障がない場合に限って一年間延長することを認め、さらに、延長期間の満了後も再延長ができることにいたしております。  なお、この設置期限延長等規定を、阪神淡路大震災がありました平成七年一月一日にさかのぼって適用することによって、被災者の方々の援護にいささかなりともお役に立てればと願っている次第であります。   本案は、去る五月二十八日本委員会に付託され、昨三十日鈴木国土庁長官から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。   以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  9. 土井たか子

    議長土井たか子君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)の趣旨説明
  11. 土井たか子

    議長土井たか子君) この際、内閣提出参議院送付労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律等の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。労働大臣永井孝信さん。     〔国務大臣永井孝信登壇
  12. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 労働者派遣事業適平運営確保及び派遣労働者就業条件整備輿に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  労働者派遣事業制度は、昭和六十一年の労働者派遣法施行以来十年目を迎え、新たな労働力需給調整システムとして着実に定着してまいりました。しかしながら、この間、経済社会情勢変化等に伴い、労働者派遣事業に対する新たなニーズが生じる一方、我が国経済長期不況を経験する中で、派遣労働者保護等観点から、種々問題点も指摘されているところであります。  このような状況背景に、中央職業安定審議会において、一昨年来、労働者派遣事業制度あり方について御検討いただいてきたところ、昨年末、同審議会より、同制度改善についての御建議をいただいたところであります。  政府といたしましては、同建議を踏まえ、派遣労働者の適正な就業条件確保等を図るための措置及び育児休業等取得者業務について行われる労働者派遣事業特例措置を講ずること等を内容とする法律案を作成し、関係審議会全会一致の答申をいただき、ここに提出した次第であります。  次に、この法律案内容にっきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、派遣労働者就業条件確保を図るため、労働者派遣契約解除及び適切な苦情処理に係る措置充実等を図るとともに、派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針を公表することといたしております。  第二に、派遣先における派遣就業適正化を図るため、派遣先は、適用対象業務以外の業務派遣就業させてはならないこと等を明確化するとともに、不適正な派遣就業を是正するための勧告・公表等措置を設けることといたしております。  第三に、手続簡素化等を図るため、一般労働者派遣事業許可更新を受けた場合における許可有効期間延長するとともに、事業対象業務の種類を減ずる場合の手続等簡素化することといたしております。第四に、育児休業または介護休業取得者代替要員の円滑な確保を図るため、育児休業等を取得する労働者業務について行われる労働者派遣事業は、港湾運送業務建設業務その他政令で定める業務以外の業務について行うことができるものとする特例措置を講ずることといたしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。  以上が、労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律等の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)の趣旨説明に対する質疑
  13. 土井たか子

    議長土井たか子君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。桝屋敬悟さん。     〔桝屋敬悟登壇
  14. 桝屋敬悟

    桝屋敬悟君 私は、新進党桝屋敬悟でございます。  ただいま提案されました労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者就業条件整備等に関する法律等の一部を改正する法律案に対しまして、新進党を代表いたしまして質問を行います。  まず、労働者派遣法内容に入る前に、現下の雇用問題及び今後の雇用政策あり方についてお尋ねをいたしたいと思います。第一ば、雇用確保に関する政治責任についてであります。  労働意欲のある者が雇用機会を得ることは、人間の尊厳を保ち、かつ生活の安定を保つためになくてはならない条件であります。また、経済活動を初めとする諸活動は、社会の安定が保たれてこそ円滑に行えるものであり、社会の安定のためには雇用確保が必須であります。その意味では、雇用確保政治重要課題であることは言うまでもありません。  ところで、今日の我が国雇用情勢を見ますと、平成八年三月の数値で、完全失業率は三・二%、有効求人倍率は○・六七倍であり、平成七年十一月の完全失業率三・四%、同年九月の有効求人倍率○・六一倍という最悪の状況こそ抜け出したものの、なお極めて悪い水準にあります。これは、プラザ合意後の円高不況の影響が雇用情勢にあらわれました昭和六十二年五月の完全失業率三・一%と同じ水準であります。また、新卒者就職状況も、昨年に比べて若干の改善が見られるとはいうものの、大卒女子を中心として、なお厳しい状況にあります。  しかしながら、政府は、このような雇用情勢を前にして、有効な対策を講じているとは考えられないのであります。雇用問題の重要性考えれば、雇用確保と安定に対して政治は大きな責任を負っているのであります。先般パリで行われましたOECD閣僚理事会におきましても雇用問題か大きなテーマとなったと聞いておりますが、政府雇用問題を政策全体の中でどのように位置づけておられるのか、まず総理大臣にお伺いいたします。  次に、政府は、現在の失業率有効求人倍率に象徴される雇用情勢をどのようにとらえ、そしてどのような対応をされようとしているのか、労働大臣にお伺いしたいと思います。  第二は、産業構造転換に伴う労働移動についてであります。  今日、為替相場における円高傾向の定着による輸出の停滞製品輸入の増加、NIES諸国工業化進展によるキャッチアップあるいは社会情報化サービス化進展などの結果、我が国産業構造は大きな転換を経験しつつあります。そして、それに伴って従来型の重厚長大産業から情報産業ハイテク産業サービス産業への大きな労働力移動が行われつつあります。  新進党は、日本産業構造高度化を進めつつ、大幅な規制緩和を大胆に推進し、産業活性化と新産業創造のための環境づくりを行うことにより新たな雇用機会創出するとともに、失業なき労働移動が行われるよう新たな職業能力の習得や新分野求人求職情報伝達システムの構築を進めるべきであると考えております。今日は、まさにそのための諸政策を急速に推進すべき時期でもあります。政府は、産業構造転換に伴う労働移動にっきましてどのような基本方針を持っておられるのか、その内容について、総理大臣及び労働大臣にお伺いしたいと思います。  以下、労働者派遣法改正案につきまして、順次質問をいたします。  第一は、労働力需給ミスマッチを解消する手法についてであります。  労働力需要供給一致しないケースは幾つか存在しますが、いずれの場合についても、その一致に努めることもまた政治の責務であります。経済活動停滞による労働力需給ギャップに対しましては、財政金融政策発動による有効需要創造対応することは言うまでもありませんし、産業構造就業構造転換による需給ミスマッチに対しましては、さきに述べましたように、能力開発情報提供による環境整備対応することが基本考えられます。  問題は、個別の需給結合をどこまで市場にゆだねるのか、また、どのように市場にゆだねていくかということであります。ただいま議題とされております労働者派遣事業は、この結合を、一定範囲限定しつつ、派遣という形態をとって行うものであります。規制の一層の緩和を進め、派遣事業対象業種限定を外すことにより、より多くの分野派遣事業市場に開放した方が個別の需給の円滑な結合を促進するとの意見も存在いたします。あるいはまた、その際、派遣事業に対する許可制をも緩和すべきであるとの意見も存在いたします。  労働力に関する個別の需給の円滑な結合を進めつつ、労働市場の公正さを保っために、市場規制バランスをどのようにとるべきとお考えか、とりわけ派遣事業についてはどのように対処すべきかということについて、労働大臣及び規制緩和担当としての総務庁長官にお伺いしたいと思い出す。  第二は、派遣労働者労働条件確保の問題広あります。  労働者派遣事業における派遣労働者就業条件等は、従来から制度上は労働基準法によって保護されてきましたが、派遣元ではなく派遣先指揮監督のもとで働く派遣労働者労働環境特殊性から、その労働条件が十分に確保されない事例が相当見られたことは事実であります。  今回の改正案では、派遣労働者就業条件確保のための措置として、あらかじめ派遣契約の中に派遣契約解除の際の雇用安定のための措置を定めること、あるいはまた、派遣労働者からの苦情処理に関する事項を定めるとともに、苦情処理派遣元及び派遣先管理台帳記載事項とすること等が規定されております。これらの点につきましては、派遣労働者労働条件確保を一歩前進させるものとして、率直に評価するものであります。  しかしながら、これらの措置実効性については、事業者によるその履行監視体制などから、大きな疑問が残るのであります。このような措置履行監視するのは、基本的には労働者派遣法の事務を所管する公共職業安定所でありますが、御承知のように、この職業安定所におきましては、職業紹介業務及び高齢者雇用継続給付育児休業給付等を含む雇用保険業務に忙殺されている状況でございまして、監視のための十分な余力があるとは思われません。労働基準監督署との連携をどのように組織化するのかを含めまして、就業条件確保するためのこうした措置履行監視体制整備につきまして、労働大臣のお考えをお伺いしたいと思います。  また、派遣労働者労働形態特殊性から、広義の労働条件としての社会保険への加入がおろそかにされる傾向があるとも言われておりますが、この点についてはどのような対策を講じられるのか、厚生大臣にお伺いをいたします。  第三は、育児介護休業に係る特例派遣についてであります。  育児休業介護休業制度整備は、まさに時代の要請であります。本法案においては、育児休業介護休業に係る代替要員については派遣事業職種限定解除しております。我々は、とりわけ中小企業において休業を取得した労働者代替要員確保が困難であるという状況考えたとき、この規定の意義を認めるものであります。  しかしながら、一般派遣事業において職種限定されている現行法制のもとにおきましては、この規定が乱用された場合には、これまた大きな不公平が生ずることになるわけであります。よって政府は、特例派遣事業運営に当たりましては、違法行為脱法行為等の乱用が行われないよう十分な監視体制整備すべきであると考えますが、労働大臣の御所見をお伺いいたします。  最後に、労働者派遣事業適用対象業務の拡大についてであります。  今回の法改正にあわせ、政令改正により新たに十二の業務が追加される予定であると伺っております。その中には、介護に関する業務が含まれ7おります。介護労働力確保は、我が国の急速な高齢化の進行の中で必要不可欠なものであります。労働者派遣事業を、介護需要質量ともに的確に対応できるマンパワー確保という観点からいかに活用するかについては、関係者意見を広く伺いつつ適切な対応が望まれるところでありますが、労働大臣の御所見をお伺いしたいと思います。  また、その際には、熟練をしました介護マンパワーの貴重な宝庫であるにもかかわらず、医療分野から撤退を余儀なくされております家政婦紹く所の有効な活用についても考慮すべきであるといえますが、あわせて労働大臣の御所見をお伺いしたいと思います。  以上、労働者派遣法改正案につきまして質問をしてまいりましたが、労働市場が公正さを保ちつつ柔軟化活性化していくために、本法案をめぐる論議が大きな役割を果たすことを期待して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  15. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 桝屋議員にお答えを申し上げます。  まず、雇用問題の位置づけについてでありますが、雇用の安定を図ることは、言うまでもなく国民生活の安定の実現に向けての最大の課題であります。この課題の達成のため、政府としては、昨年十二月、第八次雇用対策基本計画を策定しまして、今後我が国が高失業社会に陥ることのないよう各種の雇用対策を機動的かつ強力に実施することによって、平成十二年度の完全失業率を二・七五ポイント程度を目安にできるだけ低くするよう総力を挙げて取り組んでおります。  次に、労働移動についてでありますが、今後、国際化規制緩和進展等背景にして産業構造が大きく変化をいたします中で、産業間、企業間の労働移動が増大し、失業が増大しやすい環境になると思われます。このため、政府としては、雇用創出への支援を行うとともに、労働移動が可能な限り失業を経ることなく行われるための施策を推進することにより、我が国が高失業社会に陥らないよう最大限の努力をしてまいりたいと考えております。本法案を御審議いただきますその理由もこの一点でありまして、どうぞよろしくお願いをいたします。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁申し上げます。(拍手)     〔国務大臣永井孝信登壇
  16. 永井孝信

    国務大臣永井孝信君) 雇用情勢とその対応についてのお尋ねでありますが、二月以降低下した完全失業率が四月には再び過去最高水準の三・四%に上昇するなど、雇用情勢は依然として厳しいものであると認識をいたしております。こうした状況背景には、景気循環的な問題のほかに、国際化進展等構造的な問題があるものと考えられます。  このため、労働省といたしましては、総理からも御答弁をいただいておりますが、第八次雇用対策基本計画を踏まえまして、中小企業の活力を生かした雇用機会創出失業なき労働移動支援などから成る新総合的雇用対策を強力に推進しているところであります。今後とも、我が国が高失業社会に陥らないよう総力を挙げて取り組んでまいる所存であります。  労働移動についてのお尋ねでございますが、今後、国際化進展等背景とした産業構造変化に伴う産業間、企業間の労働移動に当たりましては、できる限り失業を経ずに移動できる環境整備に努めることが必要であろうと考えます。このため、教育訓練、出向、再就職あっせん等により雇用の安定を図る事業主支援しているほか、パソコン等を活用して労働力需給調整機能強化を図るなど、失業なき労働移動実現に向けて全力を尽くしてまいる所存であります。  労働者派遣事業に関する労働市場規制バランスについてのお尋ねでございますが、労働者派遣事業制度あり方検討するに当たっては、御  平成八年五月三十一日 衆議院会議録第三十−指摘のように、経済社会情勢変化対応した民間労働力需給調整機能強化という観点を踏まえつつ、労働者保護に十分留意する必要があると考えております。  こうした考え方に基づき、本法案においては、労働者保護等観点から派遣労働者就業条件確保等のための措置を充実するとともに、労働者派遣事業に対する新たなニーズ対応し、育児休業等取得者業務について行われる労働者派遣事業特例を設ける等の措置を講ずることとしているところであります。また、政令改正により、改正法施行とあわせて対象業務を拡大することを予定しているところであります。  また、今後の労働者派遣事業規制緩和につきましては、去る三月二十九日に改定されました規制緩和推進計画に基づき、引き続き適切に対処することとしております。  次に、派遣労働者就業条件確保のための措置履行確保についてのお尋ねでありますが、不適正な労働者派遣事業の解消のための指導監督等の対策にっきましては、昨年十二月の中央職業安定審議会建議を踏まえまして、その充実を図るとともに、職業安定機関と労働基準監督機関等関係行政機関との連携を図っていくこととしているところであります。また、派遣元事業主派遣先等に対する相談援助を行う労働者派遣事業適正運営協力員制度の一層の活用等、労使の自主的な取り組みを促進するための措置も講じてまいる所存であります。  その次に、育児休業等取得者業務について行われる労働者派遣事業特例の乱用防止についてのお尋ねでありますが、本特例は、育児休業等取労得者の代替要員確保という事由に着目して設けられる制度であることから、適正な事由により労働者派遣が行われることが確保されることが何よりも重要であります。このため、労働者派遣契約及び派遣元派遣先管理台帳育児休業等取得者氏名等を記載させることとし、派遣元事業主及び派遣先はもとより、指導監督を行う行政機関の職員においても、この特例が適正な事由により行われているか否かを確認できるようにすることといたしております。  改正後の法律の運用に当たりましては、これらの措置が適切に行われることによって、この特例の適正な運用と乱用防止が図られるよう、派遣元事業主及び派遣先を十分に指導監督してまいる所存であります。  最後に、介護業務労働者派遣事業適用対象業務として追加することに関してのお尋ねでありますが、今後の急速な高齢化社会進展に的確に対応できる介護マンパワー確保は大変重要な課題であると認識をいたしております。  労働者派遣事業は、広範な潜在労働力登録、訓練し、多様な労働力ニーズに即戦力をもって対応できるという特徴を持っており、介護マンパワー確保のための一方策として、病院における介護適用対象業務への追加について中央職業安定審議会建議をいただいているところであります。労働省といたしましては、介護マンパワー確保のため大変重要な建議をいただいたと考えておりますが、具体的に介護業務労働者派遣事業に追加するに当たりましては、関係者意見を幅広く伺いながら適切に対応してまいる所存であります。  また、家政婦紹介所の活用に関するお尋ねでありますが、多数の介護マンパワーを抱える家政婦紹介所の有効な活用は介護マンパワー対策の重要な部分であると認識しており、その点も十分に考慮してまいりたいと考えております。  以上であります。(拍手)     〔国務大臣菅直人君登壇
  17. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 私への御質問は、派遣労働者社会保険への加入についてでございます。  いわゆる労働者派遣事業における健康保険及び厚生年金保険の適用については、派遣労働者雇用形態や報酬の支払い等を踏まえ、派遣元事業所において行うこととされております。社会保険の適用に当たっては、届け出が適正に行われるよう、事業主に対し各種広報媒体や事業主説明会等を活用して制度の啓発指導を行っているところでありますが、労働者派遣事業を営む事業所についても、実地調査における個別指導を含め事業主に対する一層の啓発指導に努めてまいりたいと考えております。  以上です。(拍手)     〔国務大臣中西績介君登壇
  18. 中西績介

    国務大臣(中西績介君) 私に対する質問は、労働者派遣事業規制緩和についてのお尋ねでありますが、ただいまの労働大臣の答弁にもありましたように、本年三月二十九日に改定しました規制緩和推進計画では、今回の労働者派遣事業法改正案に引き続き、昨年末の行政改革委員会から提言された、対象業務の大幅拡大、不適切な業務以外は対象業務とするとともに、派遣労働者保護のための措置を講ずる等の意見を尊重し、中央職業安定審議会において、有料職業紹介事業のあり方検討に引き続き、平成八年度中に制度あり方について検討を開始することとしたところであります。  以上です。(拍手
  19. 土井たか子

    議長土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  20. 土井たか子

    議長土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。     午後一時四十二分散会      ————◇—————