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1996-05-24 第136回国会 衆議院 本会議 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十四日(金曜日)     —————————————  議事日程 第十七号   平成八年五月二十四日     午後一時開議  第一 港湾整備緊急措置法の一部を改正する法     律案内閣提出参議院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 港湾整備緊急措置法の一部を改正す   る法律案内閣提出参議院送付)  内閣法等の一部を改正する法律案内閣提出)  の趣旨説明及び質疑     午後一時三十四分開議
  2. 土井たか子

    議長土井たか子君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 港湾整備緊急措置法の一部を改正   する法律案内閣提出参議院送付
  3. 土井たか子

    議長土井たか子君) 日程第一、港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。運輸委員長辻一彦さん。     —————————————  港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     —————————————     〔辻一彦登壇
  4. 辻一彦

    辻一彦君 ただいま議題となりました港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、港湾を取り巻く緊急かつ重要な課題に的確に対応することができるように、新たに平成八年度を初年度とする港湾整備五カ年計画を策定し、港湾整備事業の緊急かつ計画的な実施を促進しようとするもので、その主な内容は、  第一に、港湾整備緊急措置法の目的に、良好な港湾環境の形成を通じて周辺の生活環境の保全に資すること及び国民生活の向上に寄与することを追加するものとすること、  第二に、港湾整備五カ年計画初年度平成三年度から平成八年度に改めるものとすること、  第三に、港湾整備事業実施目標及び量を定めるに当たっては、効率的な国際海上輸送網または国内海上輸送網の拠点となるべき港湾の適正な配置等我が国港湾整備における課題に的確に対応するため、投資の重点化を図ることができるように留意しなければならないものとすること等であります。  本案は、四月十二日に参議院より送付され、五月十七日本委員会に付託となり、二十一日亀井運輸大臣から提案理由説明を聴取し、昨二十三日質疑に入り、同日質疑を終了いたしました。  次いで、採決の結果、本案賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  5. 土井たか子

    議長土井たか子君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の皆さんの起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 土井たか子

    議長土井たか子君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  内閣法等の一部を改正する法律案内閣提出)   の趣旨説明
  7. 土井たか子

    議長土井たか子君) この際、内閣提出内閣法等の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。国務大臣梶山静六さん。     〔国務大臣梶山静六登壇
  8. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) ただいま議題となりました内閣法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  この法律案は、先般の第三次臨時行政改革推進審議会答申趣旨にかんがみ、内閣総理大臣に対する補佐体制充実を図るため、内閣総理大臣補佐官制度を設けるとともに、内閣官房における行政各部の施策に関するその統一保持上必要な総合調整等の一層の円滑化を図るため、内閣官房長官職務に関する規定整備する等の措置を講じようとするものでございます。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、内閣法の一部改正であります。  その第一点は、内閣官房長官職務を、内閣官房長官職務を助け、命を受けて内閣官房事務をつかさどり、及びあらかじめ内閣官房長官の定めるところにより、内閣官房長官不在の場合、その職務を代行するものとすることとしております。  第二点は、内閣総理大臣補佐官制度の新設であります。内閣官房内閣総理大臣補佐官三人以内を置くことができるものとし、内閣総理大臣補佐官は、内閣重要政策に関し、内閣総理大臣進言し、及び内閣総理大臣の命を受けて内閣総理大臣意見を具申することとしております。また、内閣総理大臣補佐官非常勤とすることができることとし、内閣総理大臣補佐官の任免に関する規定及び服務に関する規定を定めることとしております。  第二に、国家公務員法及び特別職の職員の給与に関する法律の一部改正であります。  その内容は、内閣総理大臣補佐官特別職国家公務員とし、その俸給を定めることとし、また、内閣官房長官俸給を引き上げることとしております。  以上が、内閣法等の一部を改正する法律案の旨であります。(拍手)      ————◇—————  内閣法等の一部を改正する法律案内閣提出)   の趣旨説明に対する質疑
  9. 土井たか子

    議長土井たか子君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。野田佳彦さん。     〔野田佳彦登壇
  10. 野田佳彦

    野田佳彦君 野田佳彦でございます。  ただいま議題となりました内閣法等の一部を改正する法律案について、新進党を代表して、総理官房長官、そして経済企画庁長官質問いたします。  この法律案は、内閣総理大臣補佐官を設けることと内閣官房長官職務に関する規定整備にとどまり、縦割り行政弊害を是正するために、内閣総理大臣指導力の発揮、内閣機能充実活性化内閣官房あり方などの具体的な方策を打ち出した第三次行政改革推進審議会答申から残念ながら後退していると指摘せざるを得ません。このことは、総理縦割り行政弊害に対する認識が希薄であるからではないでしようか。  省庁別縦割り行政による官僚主義弊害は、一九九三年十月の第三次行革審答申が出されたころよりもはるかに目立つようになり、今や放置できない状況に陥っております。  昨年十二月の高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故は、動燃や科学技術庁の情報隠ぺい体質をあらわにしました。薬害エイズ問題においては、厚生省の長期間にわたる責任逃れのための組織的証拠隠し指摘をされています。国民生命を守るべき役所の万死に値する大罪です。住専問題においては、大蔵省と農林水産省の局長が、何の根拠もなしに、大臣にも知らせずに重要な覚書を交わし、住専処理策をゆがめる結果となりました。しかも、そのツケを支払わなければならない国民の知る権利よりも、公務員守秘義務を優先する姿勢は言語道断であります。  これらに共通する「省益あって国益なし」の現状は、民があるじであるべき民主主義とはほど遠いと言わざるを得ません。こうした縦割り行政弊害を克服し、情報政策決定政治の手に取り戻すためにも、縦割り行政を生み出すもとの内閣法の抜本的な改正を行うべきではなかったでしょうか。  橋本総理縦割り行政弊害についてどのような基本認識をお持ちでしょうか。また、今回の法改正が部分的なものにとどまり、内閣機能強化という点では不十分な内容となってしまった理由 さて、昨年一月の阪神大震災や三月のオウム・サリン事件の発生は、村山内閣危機管理能力の致命的な欠如と我が国危機管理体制の不備を国民の前に露呈しました。これらの多大な犠牲を教訓として、あれだけ内閣官邸機能強化が叫ばれながら、大災害凶悪事件などの非常事態に迅速的確に対応できるような十分な改善があったとは到底思えません。特に、焦点となっていました非常事態における内閣総理大臣権限強化は、いまだに実現していません。  阪神大震災の深い反省に立ち、私ども新進党は、昨年の災害対策基本法抜本改正提案の中で、緊急災害時に首相閣議を経ずに指揮監督できるよう、法律上もその権限を拡大する提案をいたしました。今回の法律案では、首相権限強化は一言も触れられていません。  また、緊急事態に限定して首相権限強化するだけではなく、時代の要請ともいえる行財政や経済構造改革大局的見地から力強く推進するためにも、首相が独自の政治判断により議題閣議に提起できるようにする内閣法改正も急務だと思います。  先般、橋本総理の指示でまとめられた「橋本行革基本方向について」、いわゆる橋本行革ビジョン原案が明らかになりました。国政最高責任者である総理がこのような政治目標を明確に打ち出すことは評価しますが、それを単なるアドバルーンに終わらせず具体的に実施していくためには、総理みずからが十分な権限を備えることこそ肝要です。  橋本行革ビジョンに盛り込まれている中央省庁の大胆な統廃合や国家公務員一括採用システムの導入などは、今の閣議やり方を通じては決して実施できないでしょう。各省庁事務次官会議で事前に全会一致で承認された議題しかかけられない現在の閣議あり方では、硬直化した官僚システム改革のおのを振るうことはできません。ボトムアップの流れにゆだねた閣議をトップダウンの流れに変革する必要があります。  内閣における首相権限強化する必要性について、橋本総理はどのようなお考えをお持ちでしょうか、御所見をお伺いいたします。また、橋本行革ビジョンには、内閣機能強化という視点が完全に欠落しています。今回の法律案で十分に事足れりという御判断なのでしょうか、お考えをお聞かせください。  私は、本法律案内閣機能強化につながるかどうかは、新たに設置される総理大臣補佐官活用いかんにかかっていると思います。橋本総理は、いかなる人材にどのような特命を与えようとされているのでしょうか、具体的な構想をお示しいただきたいと思います。  ちなみに、私見を若干述べさせていただきます。  我が国国債発行残高は、本年度末には約二百四十一兆円にもなり、世界じゅうの開発途上国累積債務総額を上回る危機的な状況です。この困難な財政問題に正面から立ち向かい、しかも安易に財政当局の論理に陥ることなく、言論界、学界、労働界などの幅広い国民の声を拾い集めて、財政再建の道を編み出すことを使命とする補佐官が必要だと思います。できれば、世代間の公平という視点を重視して、若手の登用が望ましいと思われます。  また、行政改革地方分権規制緩和国会等の移転など、遅滞なく実行することが求められていますが、手詰まり感の強いこれらの諸改革を有機的に連携させ、一体として実現するための道筋を描くことを使命とする、各般目ききのきく執達の仕事師補佐官も必要だと思います。国家の安全や国民生命を守ることを至上命題とずる、外交安保危機管理などを所掌する補佐官も当然必要でしょう。  こういう理由から、総理大臣補佐官については法律設置を義務づけるべきであると考えます。この点において、今回の改正案は、補佐官を置くことができるという規定にとどまっており、補佐官を置くか置かないかは内閣の任意にゆだねられています。まことに中途半端であり、行政改革に取り組む橋本内閣の中途半端な姿勢が顕著にあらわれています。  総理、私は、内閣総合調整機能強化が重要であると考えるならば、総理大臣補佐官についてこれを法律上必ず置かなければならないよう修正すべきだと思いますが、御見解をお伺いいたします。  内閣総合調整機能強化し、総理がリーダーシップを発揮できる体制を確立するためには、総大臣補佐官役割は極めて重要となります。補佐官の任に当たられる方は、全身全霊を込めてその職務に専念しなければその使命を果たし得ないと私は考えます。  一国の政策決定を左右する内閣総理大臣を補佐する大役は、決して非常勤で務まるような半端な仕事ではありません。したがって、私は、内閣法第十四条の二の第三項の「非常勤とすることができる。」という規定は削除するか、少なくともその運用において実質全員または過半数を常勤とするような任命を行うべきであると考えますが、この点を総理にお伺いいたします。  私ども新進党は、行政改革国政の最重要課題考えます。行政改革は、言うまでもなく、政治改革と並んであらゆる改革の大前提をなすものであります。二十一世紀の明るい日本を築いていくためには、たゆまざる改革の断行と責任ある政治の実行が必安であり、それを円滑に進めるためには国民理解と協力が不可欠であります。政治行政ひとり既得権益に安住し、国民にのみ痛みを伴う改革を押しつけることはできません。我々は、長期不況の中で血のにじむリストラ努力を行ってきた民間企業努力を肝に銘じるべきであります。  この視点に立って、橋本総理橋本ビジョンなる政策構想をまとめ、行政改革に最重要課題として取り組まれると表明したその姿勢は一応評価します。問題は、言うだけならだれでもできるということであり、それをいかに具体的に実行するかが極めて重要であるということであります。この点において、私は、これまでの橋本総理行政改ものであります。  九四年、当時の第三次行革審特殊法人整理合理化を進める参考として各省庁からヒアリングを求めた際、各省庁立場に立って、意味のない法人など残しているつもりはないという理由つけヒアリングに応じさせなかったのは、当時通産大臣であった橋本総理自身でありました。  また、昨年の行政改革委員会事務局長の起用に当たっては、「初めから官僚を排除するのはいけない」と強調したり、民間から起用されそうになると、「私も含めてみんなが行革を本気でやらなくなるということは覚悟しておいてくださいよ」と当時の五十嵐官房長官にたんかを切ったとされるなど、総理は一貫して官僚立場に立ってこられたように受けとめております。橋本総理総理になったからといって、その本質が変わるものとは思えません。  私ども新進党は、行政改革を具体的に実現する立場から、現在の硬直化した中央省庁を大胆に改革する中央省庁の再編、局長以上の高級公務員内閣人事とする国家公務員法改正、五年後の廃止・民営化基本とする特殊法人整理合理化などの行政改革法案をまとめ、既にこの国会提出しております。総理総理行政改革を口先だけではなく本当に実現しようとするならば、我が党提出している行政改革法案審議に加わり、我々とともによりよい改革の実現に協力すべきであります。これらの点について総理見解をお伺いいたします。  続いて、梶山官房長官にお伺いいたします。官房長官は、閣議に上がってくる前の閣議事項整理、各省庁間の総合調整など、ただでさえ多忙をきわめる仕事をされています。これに加え、政府見解発表も現在は官房長官が行っています。一人の人間が実質的かつ重要な総合調整役割と表の広報役の二役をこなすことは余りにも激務となり、どちらも満足に任務を果たせなくなる可能性があります。そこで私は、広報担当にはアメリカ大統領報道官のように広報活動に適した資質を持つ人物を置き、官房長官が本来の調整機能に専念できるようにすることが内閣機能強化となると考えるものであります。  このような観点から、アメリカ大統領報道官のように、広報責任を持つ報道官というポストを首相直属の独立したポジションにし、機能的に活動できるシステム提案したいと思います。連立与党行政改革プロジェクトチームも、当初、主任報道官設置提案していたではありませんか。  そこで、官房長官お尋ねいたします。なぜ主任報道官設置が見送りになったのでしょうか。剛腕で鳴る梶山官房長官は、一人二役だろうが二役だろうが全く平気で、何も変える必要はないとお考えでしょうか。それとも、何らかの改善が必要だとお考えでしょうか。経験に基づく率直な御感想をお聞かせください。  また、このたびの総理大臣補佐官設置により、総理を補佐する体制がやや複雑化することになります。官邸のかなめである梶山官房長官は、総理がその指導力を迅速的確に発揮できるように、総理を補佐する立場にある官房長官官房長官総理大臣補佐官総理大臣秘書官職務分担はどうあるべきだとお考えでしょうか。御見解をお伺いいたします。  最後に、田中秀征経済企画庁長官にお伺いいたします。  長官自身官邸政治機能強化を訴え続けてこられていますが、長官の所属する新党さきがけも、昨年七月の参院選後、政権参加最低限条件として四項目の提案を行い、その一つ総理官邸機能強化が挙げられていました。具体的には、行政改革経済改革を推進するシステムを確立するためにも、内閣総理大臣各省大臣に対する指揮命令権を認めるとともに、内閣総理大臣のもとに民間人または議会人による五人以内の補佐官を設ける内閣法改正を成立させるという内容でした。  しかし、この提案は今回の内閣法改正に十分に生かされているとは言えません。首相権限強化は全く盛り込まれず、設置される補佐官の数も三人以内に抑えられました。  特に首相権限強化については、さき橋本総理にもお尋ねしたところですが、これなくして内閣機能強化はあり得ず、首相権限が限定されている中で幾ら補佐官制度を新たに設置しても、十分に機能し得ないのではないかと思われます。  さき参院選の結果を、村山政権改革姿勢が疑われたものと総括した上で、政権参加最低限条件として挙げた政策が骨抜きになっても引き続き新党さきがけ連立政権にとどまっていることは、新党さきがけ改革姿勢こそが疑わしく、国民を欺くものと言わざるを得ません。(拍手田中長官の御所見をお伺いいたします。  さきがけ提案では五人以内とされていた補佐官の数が、このたびの法律では三人以内とその数が少なくなっている点についてどのようにお考えでしょうか。三人以内の補佐官を置くことは、政治の長としての首相を補佐するのに十分な役割を果たすことができると期待できますか。御所見をお伺いしまして、質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎登壇
  11. 橋本龍太郎

    内閣総理大臣橋本龍太郎君) 野田議員お答えを申し上げます。  まず、縦割り行政についてのご意見を拝聴しました。  私は、広範かつ多様な行政ニーズというものに的確に対応していくためには、各行政機関がやはりそれぞれの分野において最善の仕事をする必要性がある、これは当然のことでありますけれども、同時に、政府全体として効率的で整合性のとれた政策を展開していくことが大事だと思います。内閣としては、そのような観点に立って政府全体の運営に努め、また各般改革に積極的に取り組んでまいります。  今回の内閣法改正につきましては、政府としても、第三次行革審答申を踏まえ、縦割り行政弊害を是正しながら総合的な政策展開を可能にすると同時に、阪神淡路大震災教訓として、さまざまな緊急事態に迅速かつ的確に対応できるより内閣機能強化に取り組んでまいりました。今回の内閣法改正は、このうち内閣総理大臣補佐官設置など法律で手当てすべき事項に係るものだけでありますけれども、このほかにも、既に内閣の各室長の職務体制整備あるいは緊急事態対応体制整備というようなものを行ってきたところでありまして、こうした制度体制改革一体となって私は内閣機能強化されるものだと思います。  次に、内閣の長としての内閣総理大臣が、時代の変遷の中で、その強力な指導力のもとに各省庁による総合的な政策を打ち出していくことが必要でちるということは、私も御指摘のとおりだと思います。特に緊急事態におきまして、初動対処におくれを生じないように政府の陣頭に立って対応する必要があり、このため所要の体制整備を行いました。いずれにしても、一連の内閣機能強化を踏まえ、私としても、これからも一層努力をして山積する重要課題の解決に取り組んでまいります。  しかし、内閣法第六条の改正につきまして、これは法律的な問題としてお答えを申し上げるなら、合議体である内閣意思にかかわりなしに、内閣総理大臣単独意思決定指揮監督権が行使できるようにするということにつきましては、憲法の趣旨に照らして問題があるという指摘もあります。慎重に検討する必要のあることだと思います。  また、いわゆる私の行革ビジョンについてお尋ねがありました。  自由民主党あるいは与党三党におきまして、さまざまな観点から議論が行われていることは事実であります。いずれにいたしましても、政府としては、行政改革に積極的に取り組むとともに、今回の内閣機能強化などにより時代の変化に対応した総合的な政策展開が速やかに実行できるよう、引き続き努力をいたします。  次に、内閣総理大臣補佐官には、内閣総理大臣の側近にあって内閣重要政策に関して直接進言意見具申をしていただきますために、高度かつ専門的な識見を有することが望まれます。このような人材であれば、私はあえて分野を限定することなく各界から人材を求めるべきだと思いますし、補佐官が担当される具体的な職務内容というのは、私はその時々の社会経済情勢あるいは政策課題を踏まえて決まることになると思います。議員のお考え一つ考え方だと思います。  大別するなら、国政全般について広い視野と高い見識に基づいて進言あるいは意見具申をいただくもの、特定分野におけるテーマについて専門的な知識に基づいて進言意見具申を行うものとが考えられるわけであります。内閣全体としての力を高めるという観点から、どのような方に、どのような分野について、そしてどのようなやり方でお願いすればいいか、今後さらに考えていきたいと思っているところであります。  次に、補佐官必置とすべきではないかというお尋ねがございました。  制度という観点から考えました場合に、私は内閣総理大臣の採用する手法にはさまざまな形があることを考えますと、私は、その時々の内閣総理大臣の固有の政治手法、抱える問題への柔軟な対応が可能になるようにした方がよいと思います。同時に、補佐官の性格上、総理との間の信頼関係というものを活動の基礎とするわけでありますから、私は、設置するかしないかは内閣総理大臣の裁量にゆだね、必置の官職としない方が適当であると考えました。そのため、今回の改正案では「置くことができる。」といたした次第であります。  そして、その勤務形態について「非常勤とすることができる。」としましたのは、職務にふさわしい人材を広く集めることなどを考えましたとき、その勤務形態常勤に限定することなく、常勤を原則としながらも、「非常勤とすることができる。」規定を置くことといたしました。しかし、議員の御指摘のように、運用面をどのようにするかを含めて、内閣全体としての力を高めるという観点から、今後さらに考えてまいりたいと思います。  行革に対して、私の姿勢にさまざまな御批判をいただきました。どうぞ土光臨調の当時からお調べをいただき、改めて御批判をいただきたいと思います。  次に、新進党から御提出行政改革推進法案審議についてお尋ねがございました。  国会審議の問題でありますから、私が何ら申し上げるべきものではなく、国会でお決めをいただくものと理解をいたしております。いずれにいたしましても、政府としては引き続き行政改革に積極的に取り組んでまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣からお答えをいたします。(拍手)     〔国務大臣梶山静六登壇
  12. 梶山静六

    国務大臣梶山静六君) 野田議員お答えをいたします。  官房長官にかわって政府見解発表等を行う主任報道官設置すべきではないかというお尋ねでありますが、私個人は毎日毎日恐れおののきながら職務を遂行いたしております。  しかし、官房長官が持っている総合調整機能情報収集機能及びスポークスマン機能は、これらが一体となって初めていずれも有効に機能すると言われております。また、主任報道官を置いたとしても、官房長官と同等の質、量の情報はなかなか集まりにくく、国民情報ニーズに十分こたえられなくなるおそれがあり、官房長官とは別に主任報道官を置くことは、今後の課題としては検討すべきでありますが、直ちに置くということは適当でないと考えております。  また、今回の一連の内閣機能強化においては、内閣広報官室の体制整備民間アドバイザーの活用等、報道機能の強化を行うこととしており、今後一層内閣広報充実強化を図っていく所存であります。  なお、御指摘官房長官の負担の軽減という点については、官房長官が記者会見を行えない場合は官房長官による会見の代行や、緊急事態等における内閣広報官の記者会見等を活用することにより対応してまいりたい、このように考えております。(拍手)     〔国務大臣田中秀征君登壇
  13. 田中秀征

    国務大臣(田中秀征君) 野田議員の御質問は、党の立場での私に対する御質問と受けとめさせていただきます。  まず、今回の法案には、私どもの主張の中の総理補佐官制度はあっても、総理大臣権限強化が盛り込まれていない、それは骨抜きではないかという御指摘でございました。  私どもは、当初から、この二点の中で当面の最優先の課題補佐官制度の創設にあるとして、党内でも与党内でも公言してまいりました。したがって、骨抜きどころか、与党各党の努力で、出発点の第一歩としては大きな着実な前進をしたものだというふうに考えております。  総理大臣権限強化については、野田議員御承知のとおり、また橋本総理からも先ほどお話がありました。賛否を二分する憲法論争がございます。私どもは野田議員と同じ考えでありますけれども、この論争が長引けば補佐官制度の創設もともに先送りになる、こういう判断をいたしました。いずれにしましても、内閣の指導機能、調整機能強化は、これで終わりどころか、ここから始まるのだと考えております。どうか第二段階の重要課題である総理大臣権限強化にぜひ御協力をお願いいたします。  次に、補佐官の人数についてのお尋ねがありました。  先ほど野田議員は、本法律案内閣機能強化と評価できるようになるかどうかは新たに設置される総理大臣補佐官活用いかんにかかっているとおっしゃいました。私もそのとおりだと思います。三人か五人かという人数も確かに重要でありますが、それ以上に、いかに適材を得るか、いかに活用するか、それがもっと大事なことだ、そのように考えております。(拍手
  14. 土井たか子

    議長土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
  15. 土井たか子

    議長土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時十一分散会      ————◇—————