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1996-05-24 第136回国会 衆議院 本会議 第28号
公式Web版
会議録情報
0
平成
八年五月二十四日(金曜日)
—————————————
議事日程
第十七号
平成
八年五月二十四日 午後一時
開議
第一
港湾整備緊急措置法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣提出
、
参議院送付
)
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
日程
第一
港湾整備緊急措置法
の一部を
改正
す る
法律案
(
内閣提出
、
参議院送付
)
内閣法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) の
趣旨説明
及び
質疑
午後一時三十四分
開議
土井たか子
1
○
議長
(
土井たか子
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
日程
第一
港湾整備緊急措置法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
参議院送付
)
土井たか子
2
○
議長
(
土井たか子
君)
日程
第一、
港湾整備緊急措置法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
委員長
の
報告
を求めます。
運輸委員長辻一彦
さん。
—————————————
港湾整備緊急措置法
の一部を
改正
する
法律案
及び同
報告書
〔
本号末尾
に掲載〕
—————————————
〔
辻一彦
君
登壇
〕
辻一彦
3
○
辻一彦
君 ただいま
議題
となりました
港湾整備緊急措置法
の一部を
改正
する
法律案
について、
運輸委員会
における審査の経過及び結果を御
報告
申し上げます。
本案
は、
港湾
を取り巻く緊急かつ重要な
課題
に的確に
対応
することができるように、新たに
平成
八年度を
初年度
とする
港湾整備
五カ年
計画
を策定し、
港湾整備事業
の緊急かつ
計画
的な
実施
を促進しようとするもので、その主な
内容
は、 第一に、
港湾整備緊急措置法
の目的に、良好な
港湾環境
の形成を通じて周辺の
生活環境
の保全に資すること及び
国民生活
の向上に寄与することを追加するものとすること、 第二に、
港湾整備
五カ年
計画
の
初年度
を
平成
三年度から
平成
八年度に改めるものとすること、 第三に、
港湾整備事業
の
実施
の
目標
及び量を定めるに当たっては、効率的な
国際海上輸送網
または
国内海上輸送網
の拠点となるべき
港湾
の適正な
配置等
、
我が国
の
港湾整備
における
課題
に的確に
対応
するため、投資の
重点化
を図ることができるように留意しなければならないものとすること等であります。
本案
は、四月十二日に
参議院
より送付され、五月十七
日本委員会
に付託となり、二十一日
亀井運輸大臣
から
提案理由
の
説明
を聴取し、昨二十三日
質疑
に入り、同日
質疑
を終了いたしました。 次いで、採決の結果、
本案
は
賛成
多数をもって
原案
のとおり可決すべきものと議決した次第であります。 以上、御
報告
申し上げます。(
拍手
)
—————————————
土井たか子
4
○
議長
(
土井たか子
君) 採決いたします。
本案
の
委員長
の
報告
は可決であります。
本案
を
委員長報告
のとおり決するに
賛成
の皆さんの
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
土井たか子
5
○
議長
(
土井たか子
君)
起立
多数。よって、
本案
は
委員長報告
のとおり可決いたしました。
————◇—————
内閣法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) の
趣旨説明
土井たか子
6
○
議長
(
土井たか子
君) この際、
内閣提出
、
内閣法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
国務大臣梶山静六
さん。 〔
国務大臣梶山静六
君
登壇
〕
梶山静六
7
○
国務大臣
(
梶山静六
君) ただいま
議題
となりました
内閣法等
の一部を
改正
する
法律案
について、その
趣旨
を御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、先般の第三次
臨時行政改革推進審議会
の
答申
の
趣旨
にかんがみ、
内閣総理大臣
に対する
補佐体制
の
充実
を図るため、
内閣総理大臣補佐官
の
制度
を設けるとともに、
内閣官房
における
行政各部
の施策に関するその
統一保持
上必要な
総合調整等
の一層の
円滑化
を図るため、
内閣官房
副
長官
の
職務
に関する
規定
を
整備
する等の
措置
を講じようとするものでございます。 次に、この
法律案
の
内容
について、その概要を御
説明
申し上げます。 第一に、
内閣法
の一部
改正
であります。 その第一点は、
内閣官房
副
長官
の
職務
を、
内閣官房長官
の
職務
を助け、命を受けて
内閣官房
の
事務
をつかさどり、及びあらかじめ
内閣官房長官
の定めるところにより、
内閣官房長官不在
の場合、その
職務
を代行するものとすることとしております。 第二点は、
内閣総理大臣補佐官
の
制度
の新設であります。
内閣官房
に
内閣総理大臣補佐官
三人以内を置くことができるものとし、
内閣総理大臣補佐官
は、
内閣
の
重要政策
に関し、
内閣総理大臣
に
進言
し、及び
内閣総理大臣
の命を受けて
内閣総理大臣
に
意見
を具申することとしております。また、
内閣総理大臣補佐官
は
非常勤
とすることができることとし、
内閣総理大臣補佐官
の任免に関する
規定
及び服務に関する
規定
を定めることとしております。 第二に、
国家公務員法
及び
特別職
の職員の給与に関する
法律
の一部
改正
であります。 その
内容
は、
内閣総理大臣補佐官
を
特別職
の
国家公務員
とし、その
俸給
を定めることとし、また、
内閣官房
副
長官
の
俸給
を引き上げることとしております。 以上が、
内閣法等
の一部を
改正
する
法律案
の旨であります。(
拍手
)
————◇—————
内閣法等
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) の
趣旨説明
に対する
質疑
土井たか子
8
○
議長
(
土井たか子
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の通告があります。これを許します。
野田佳彦
さん。 〔
野田佳彦
君
登壇
〕
野田佳彦
9
○
野田佳彦
君
野田佳彦
でございます。 ただいま
議題
となりました
内閣法等
の一部を
改正
する
法律案
について、
新進党
を代表して、
総理
、
官房長官
、そして
経済企画庁長官
に
質問
いたします。 この
法律案
は、
内閣総理大臣補佐官
を設けることと
内閣官房
副
長官
の
職務
に関する
規定
の
整備
にとどまり、
縦割り行政
の
弊害
を是正するために、
内閣総理大臣
の
指導力
の発揮、
内閣機能
の
充実活性化
・
内閣官房
の
あり方
などの具体的な方策を打ち出した第三次
行政改革推進審議会
の
答申
から残念ながら後退していると
指摘
せざるを得ません。このことは、
総理
の
縦割り行政
の
弊害
に対する
認識
が希薄であるからではないでしようか。
省庁別縦割り行政
による
官僚主義
の
弊害
は、一九九三年十月の第三次
行革審
の
答申
が出されたころよりもはるかに目立つようになり、今や放置できない
状況
に陥っております。 昨年十二月の
高速増殖原型炉
「もんじゅ」の
ナトリウム漏れ事故
は、動燃や科学技術庁の
情報隠ぺい体質
をあらわにしました。薬害エイズ問題においては、厚生省の長期間にわたる
責任逃れ
のための
組織的証拠隠し
が
指摘
をされています。
国民
の
生命
を守るべき役所の万死に値する大罪です。住専問題においては、大蔵省と農林水産省の
局長
が、何の根拠もなしに、
大臣
にも知らせずに重要な覚書を交わし、
住専処理策
をゆがめる結果となりました。しかも、そのツケを支払わなければならない
国民
の知る権利よりも、
公務員
の
守秘義務
を優先する
姿勢
は言語道断であります。 これらに共通する「省益あって国益なし」の現状は、民があるじであるべき
民主主義
とはほど遠いと言わざるを得ません。こうした
縦割り行政
の
弊害
を克服し、
情報
と
政策決定
を
政治
の手に取り戻すためにも、
縦割り行政
を生み出すもとの
内閣法
の抜本的な
改正
を行うべきではなかったでしょうか。
橋本総理
、
縦割り行政
の
弊害
についてどのような
基本認識
をお持ちでしょうか。また、今回の
法改正
が部分的なものにとどまり、
内閣機能
の
強化
という点では不十分な
内容
となってしまった
理由
さて、昨年一月の
阪神大震災
や三月のオウム・
サリン事件
の発生は、
村山
前
内閣
の
危機管理能力
の致命的な欠如と
我が国
の
危機管理体制
の不備を
国民
の前に露呈しました。これらの多大な犠牲を
教訓
として、あれだけ
内閣
や
官邸
の
機能強化
が叫ばれながら、大
災害
や
凶悪事件
などの
非常事態
に迅速的確に
対応
できるような十分な
改善
があったとは到底思えません。特に、焦点となっていました
非常事態
における
内閣総理大臣
の
権限強化
は、いまだに実現していません。
阪神大震災
の深い反省に立ち、私
ども新進党
は、昨年の
災害対策基本法
の
抜本改正
の
提案
の中で、
緊急災害
時に
首相
が
閣議
を経ずに指揮監督できるよう、
法律
上もその
権限
を拡大する
提案
をいたしました。今回の
法律案
では、
首相
の
権限強化
は一言も触れられていません。 また、
緊急事態
に限定して
首相
の
権限
を
強化
するだけではなく、
時代
の要請ともいえる行財政や
経済
の
構造改革
を
大局的見地
から力強く推進するためにも、
首相
が独自の
政治判断
により
議題
を
閣議
に提起できるようにする
内閣法
の
改正
も急務だと思います。 先般、
橋本総理
の指示でまとめられた「
橋本行革
の
基本方向
について」、いわゆる
橋本行革ビジョン
の
原案
が明らかになりました。
国政
の
最高責任者
である
総理
がこのような
政治目標
を明確に打ち出すことは評価しますが、それを単なるアドバルーンに終わらせず具体的に
実施
していくためには、
総理
みずからが十分な
権限
を備えることこそ肝要です。
橋本行革ビジョン
に盛り込まれている
中央省庁
の大胆な統廃合や
国家公務員
の
一括採用システム
の導入などは、今の
閣議
の
やり方
を通じては決して
実施
できないでしょう。各
省庁
の
事務次官会議
で事前に
全会一致
で承認された
議題
しかかけられない現在の
閣議
の
あり方
では、硬直化した
官僚システム
に
改革
のおのを振るうことはできません。ボトムアップの
流れ
にゆだねた
閣議
をトップダウンの
流れ
に変革する必要があります。
内閣
における
首相
の
権限
を
強化
する
必要性
について、
橋本総理
はどのようなお
考え
をお持ちでしょうか、御
所見
をお伺いいたします。また、
橋本行革ビジョン
には、
内閣機能
の
強化
という
視点
が完全に欠落しています。今回の
法律案
で十分に事足れりという御
判断
なのでしょうか、お
考え
をお聞かせください。 私は、本
法律案
が
内閣機能
の
強化
につながるかどうかは、新たに
設置
される
総理大臣補佐官
の
活用いかん
にかかっていると思います。
橋本総理
は、いかなる
人材
にどのような特命を与えようとされているのでしょうか、具体的な
構想
をお示しいただきたいと思います。 ちなみに、私見を若干述べさせていただきます。
我が国
の
国債発行残高
は、本年度末には約二百四十一兆円にもなり、世界じゅうの
開発途上国
の
累積債務総額
を上回る危機的な
状況
です。この困難な財政問題に正面から立ち向かい、しかも安易に
財政当局
の論理に陥ることなく、
言論界
、学界、
労働界
などの幅広い
国民
の声を拾い集めて、
財政再建
の道を編み出すことを
使命
とする
補佐官
が必要だと思います。できれば、世代間の公平という
視点
を重視して、若手の登用が望ましいと思われます。 また、
行政改革
、
地方分権
、
規制緩和
、
国会等
の移転など、遅滞なく実行することが求められていますが、
手詰まり感
の強いこれらの諸
改革
を有機的に連携させ、
一体
として実現するための道筋を描くことを
使命
とする、
各般
に
目きき
のきく執達の
仕事師補佐官
も必要だと思います。
国家
の安全や
国民
の
生命
を守ることを
至上命題
とずる、
外交安保
、
危機管理
などを所掌する
補佐官
も当然必要でしょう。 こういう
理由
から、
総理大臣補佐官
については
法律
上
設置
を義務づけるべきであると
考え
ます。この点において、今回の
改正案
は、
補佐官
を置くことができるという
規定
にとどまっており、
補佐官
を置くか置かないかは
内閣
の任意にゆだねられています。まことに中途半端であり、
行政改革
に取り組む
橋本内閣
の中途半端な
姿勢
が顕著にあらわれています。
総理
、私は、
内閣
の
総合調整機能
の
強化
が重要であると
考え
るならば、
総理大臣補佐官
についてこれを
法律
上必ず置かなければならないよう修正すべきだと思いますが、御
見解
をお伺いいたします。
内閣
の
総合調整機能
を
強化
し、
総理
がリーダーシップを発揮できる
体制
を確立するためには、総
大臣補佐官
の
役割
は極めて重要となります。
補佐官
の任に当たられる方は、全身全霊を込めてその
職務
に専念しなければその
使命
を果たし得ないと私は
考え
ます。 一国の
政策決定
を左右する
内閣総理大臣
を補佐する大役は、決して
非常勤
で務まるような半端な
仕事
ではありません。したがって、私は、
内閣法
第十四条の二の第三項の「
非常勤
とすることができる。」という
規定
は削除するか、少なくともその
運用
において
実質全員
または過半数を
常勤
とするような任命を行うべきであると
考え
ますが、この点を
総理
にお伺いいたします。 私
ども新進党
は、
行政改革
を
国政
の最
重要課題
と
考え
ます。
行政改革
は、言うまでもなく、
政治改革
と並んであらゆる
改革
の大前提をなすものであります。二十一世紀の明るい
日本
を築いていくためには、たゆまざる
改革
の断行と
責任
ある
政治
の実行が必安であり、それを円滑に進めるためには
国民
の
理解
と協力が不可欠であります。
政治
と
行政
が
ひとり既得権益
に安住し、
国民
にのみ痛みを伴う
改革
を押しつけることはできません。我々は、
長期不況
の中で血のにじむ
リストラ努力
を行ってきた
民間企業
の
努力
を肝に銘じるべきであります。 この
視点
に立って、
橋本総理
が
橋本ビジョン
なる
政策構想
をまとめ、
行政改革
に最
重要課題
として取り組まれると表明したその
姿勢
は一応評価します。問題は、言うだけならだれでもできるということであり、それをいかに具体的に実行するかが極めて重要であるということであります。この点において、私は、これまでの
橋本総理
の
行政改
ものであります。 九四年、当時の第三次
行革審
が
特殊法人
の
整理合理化
を進める参考として各
省庁
から
ヒアリング
を求めた際、各
省庁
の
立場
に立って、意味のない
法人
など残しているつもりはないという
理由
を
つけヒアリング
に応じさせなかったのは、当時
通産大臣
であった
橋本総理自身
でありました。 また、昨年の
行政改革委員会
の
事務局長
の起用に当たっては、「初めから
官僚
を排除するのはいけない」と強調したり、
民間
から起用されそうになると、「私も含めてみんなが
行革
を本気でやらなくなるということは覚悟しておいてくださいよ」と当時の
五十嵐官房長官
にたんかを切ったとされるなど、
総理
は一貫して
官僚
の
立場
に立ってこられたように受けとめております。
橋本総理
が
総理
になったからといって、その本質が変わるものとは思えません。 私
ども新進党
は、
行政改革
を具体的に実現する
立場
から、現在の硬直化した
中央省庁
を大胆に
改革
する
中央省庁
の再編、
局長
以上の
高級公務員
を
内閣人事
とする
国家公務員法
の
改正
、五年後の廃止・
民営化基本
とする
特殊法人
の
整理合理化
などの
行政改革法案
をまとめ、既にこの
国会
に
提出
しております。
総理
、
総理
が
行政改革
を口先だけではなく本当に実現しようとするならば、我が党
提出
している
行政改革法案
の
審議
に加わり、我々とともによりよい
改革
の実現に協力すべきであります。これらの点について
総理
も
見解
をお伺いいたします。 続いて、
梶山官房長官
にお伺いいたします。
官房長官
は、
閣議
に上がってくる前の
閣議事項
の
整理
、各
省庁
間の
総合調整
など、ただでさえ多忙をきわめる
仕事
をされています。これに加え、
政府見解
の
発表
も現在は
官房長官
が行っています。一人の人間が実質的かつ重要な
総合調整
の
役割
と表の
広報役
の二役をこなすことは余りにも激務となり、どちらも満足に任務を果たせなくなる
可能性
があります。そこで私は、
広報担当
には
アメリカ
の
大統領報道官
のように
広報活動
に適した資質を持つ人物を置き、
官房長官
が本来の
調整機能
に専念できるようにすることが
内閣
の
機能強化
となると
考え
るものであります。 このような
観点
から、
アメリカ
の
大統領報道官
のように、
広報
に
責任
を持つ
報道官
というポストを
首相直属
の独立したポジションにし、機能的に
活動
できる
システム
を
提案
したいと思います。
連立与党行政改革プロジェクトチーム
も、当初、
主任報道官
の
設置
を
提案
していたではありませんか。 そこで、
官房長官
に
お尋ね
いたします。なぜ
主任報道官
の
設置
が見送りになったのでしょうか。剛腕で鳴る
梶山官房長官
は、一人二役だろうが二役だろうが全く平気で、何も変える必要はないとお
考え
でしょうか。それとも、何らかの
改善
が必要だとお
考え
でしょうか。経験に基づく率直な御感想をお聞かせください。 また、このたびの
総理大臣補佐官
の
設置
により、
総理
を補佐する
体制
がやや複雑化することになります。
官邸
のかなめである
梶山官房長官
は、
総理
がその
指導力
を迅速的確に発揮できるように、
総理
を補佐する
立場
にある
官房長官
、
官房
副
長官
、
総理大臣補佐官
、
総理大臣秘書官
の
職務分担
はどうあるべきだとお
考え
でしょうか。御
見解
をお伺いいたします。 最後に、
田中秀征経済企画庁長官
にお伺いいたします。
長官
御
自身
、
官邸
の
政治機能
の
強化
を訴え続けてこられていますが、
長官
の所属する
新党さきがけ
も、昨年七月の
参院選
後、
政権参加
の
最低限
の
条件
として四項目の
提案
を行い、その
一つ
に
総理官邸
の
機能強化
が挙げられていました。具体的には、
行政改革
、
経済改革
を推進する
システム
を確立するためにも、
内閣総理大臣
の
各省大臣
に対する
指揮命令権
を認めるとともに、
内閣総理大臣
のもとに
民間人
または
議会人
による五人以内の
補佐官
を設ける
内閣法改正
を成立させるという
内容
でした。 しかし、この
提案
は今回の
内閣法改正
に十分に生かされているとは言えません。
首相
の
権限強化
は全く盛り込まれず、
設置
される
補佐官
の数も三人以内に抑えられました。 特に
首相
の
権限強化
については、
さき
に
橋本総理
にも
お尋ね
したところですが、これなくして
内閣
の
機能強化
はあり得ず、
首相
の
権限
が限定されている中で
幾ら補佐官制度
を新たに
設置
しても、十分に機能し得ないのではないかと思われます。
さき
の
参院選
の結果を、
村山政権
の
改革姿勢
が疑われたものと総括した上で、
政権参加
の
最低限
の
条件
として挙げた
政策
が骨抜きになっても引き続き
新党さきがけ
が
連立政権
にとどまっていることは、
新党さきがけ
の
改革姿勢
こそが疑わしく、
国民
を欺くものと言わざるを得ません。(
拍手
)
田中長官
の御
所見
をお伺いいたします。
さきがけ
の
提案
では五人以内とされていた
補佐官
の数が、このたびの
法律
では三人以内とその数が少なくなっている点についてどのようにお
考え
でしょうか。三人以内の
補佐官
を置くことは、
政治
の長としての
首相
を補佐するのに十分な
役割
を果たすことができると期待できますか。御
所見
をお伺いしまして、
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣橋本龍太郎
君
登壇
〕
橋本龍太郎
10
○
内閣総理大臣
(
橋本龍太郎
君)
野田議員
に
お答え
を申し上げます。 まず、
縦割り行政
についてのご
意見
を拝聴しました。 私は、広範かつ多様な
行政ニーズ
というものに的確に
対応
していくためには、各
行政機関
がやはりそれぞれの
分野
において最善の
仕事
をする
必要性
がある、これは当然のことでありますけれども、同時に、
政府
全体として効率的で
整合性
のとれた
政策
を展開していくことが大事だと思います。
内閣
としては、そのような
観点
に立って
政府
全体の運営に努め、また
各般
の
改革
に積極的に取り組んでまいります。 今回の
内閣法改正
につきましては、
政府
としても、第三次
行革審
の
答申
を踏まえ、
縦割り行政
の
弊害
を是正しながら総合的な
政策展開
を可能にすると同時に、
阪神
・
淡路大震災
を
教訓
として、さまざまな
緊急事態
に迅速かつ的確に
対応
できるより
内閣機能
の
強化
に取り組んでまいりました。今回の
内閣法改正
は、このうち
内閣総理大臣補佐官
の
設置
など
法律
で手当てすべき
事項
に係るものだけでありますけれども、このほかにも、既に
内閣
の各室長の
職務体制
の
整備
あるいは
緊急事態対応体制
の
整備
というようなものを行ってきたところでありまして、こうした
制度
、
体制
の
改革
が
一体
となって私は
内閣機能
が
強化
されるものだと思います。 次に、
内閣
の長としての
内閣総理大臣
が、
時代
の変遷の中で、その強力な
指導力
のもとに各
省庁
による総合的な
政策
を打ち出していくことが必要でちるということは、私も御
指摘
のとおりだと思います。特に
緊急事態
におきまして、
初動対処
におくれを生じないように
政府
の陣頭に立って
対応
する必要があり、このため所要の
体制整備
を行いました。いずれにしても、一連の
内閣機能
の
強化
を踏まえ、私としても、これからも一層
努力
をして山積する
重要課題
の解決に取り組んでまいります。 しかし、
内閣法
第六条の
改正
につきまして、これは
法律
的な問題として
お答え
を申し上げるなら、
合議体
である
内閣
の
意思
にかかわりなしに、
内閣総理大臣単独
の
意思決定
で
指揮監督権
が行使できるようにするということにつきましては、憲法の
趣旨
に照らして問題があるという
指摘
もあります。慎重に検討する必要のあることだと思います。 また、いわゆる私の
行革ビジョン
について
お尋ね
がありました。 自由民主党あるいは
与党
三党におきまして、さまざまな
観点
から議論が行われていることは事実であります。いずれにいたしましても、
政府
としては、
行政改革
に積極的に取り組むとともに、今回の
内閣機能
の
強化
などにより
時代
の変化に
対応
した総合的な
政策展開
が速やかに実行できるよう、引き続き
努力
をいたします。 次に、
内閣総理大臣補佐官
には、
内閣総理大臣
の側近にあって
内閣
の
重要政策
に関して直接
進言
、
意見具申
をしていただきますために、高度かつ専門的な識見を有することが望まれます。このような
人材
であれば、私はあえて
分野
を限定することなく各界から
人材
を求めるべきだと思いますし、
補佐官
が担当される具体的な
職務内容
というのは、私はその時々の
社会経済情勢
あるいは
政策課題
を踏まえて決まることになると思います。
議員
のお
考え
も
一つ
の
考え
方だと思います。 大別するなら、
国政全般
について広い視野と高い見識に基づいて
進言
あるいは
意見具申
をいただくもの、
特定分野
におけるテーマについて専門的な知識に基づいて
進言
、
意見具申
を行うものとが
考え
られるわけであります。
内閣
全体としての力を高めるという
観点
から、どのような方に、どのような
分野
について、そしてどのような
やり方
でお願いすればいいか、今後さらに
考え
ていきたいと思っているところであります。 次に、
補佐官
を
必置
とすべきではないかという
お尋ね
がございました。
制度
という
観点
から
考え
ました場合に、私は
内閣総理大臣
の採用する
手法
にはさまざまな形があることを
考え
ますと、私は、その時々の
内閣総理大臣
の固有の
政治手法
、抱える問題への柔軟な
対応
が可能になるようにした方がよいと思います。同時に、
補佐官
の性格上、
総理
との間の
信頼関係
というものを
活動
の基礎とするわけでありますから、私は、
設置
するかしないかは
内閣総理大臣
の裁量にゆだね、
必置
の官職としない方が適当であると
考え
ました。そのため、今回の
改正案
では「置くことができる。」といたした次第であります。 そして、その
勤務形態
について「
非常勤
とすることができる。」としましたのは、
職務
にふさわしい
人材
を広く集めることなどを
考え
ましたとき、その
勤務形態
を
常勤
に限定することなく、
常勤
を原則としながらも、「
非常勤
とすることができる。」
規定
を置くことといたしました。しかし、
議員
の御
指摘
のように、
運用面
をどのようにするかを含めて、
内閣
全体としての力を高めるという
観点
から、今後さらに
考え
てまいりたいと思います。
行革
に対して、私の
姿勢
にさまざまな御
批判
をいただきました。どうぞ
土光臨調
の当時からお調べをいただき、改めて御
批判
をいただきたいと思います。 次に、
新進党
から御
提出
の
行政改革推進法案
の
審議
について
お尋ね
がございました。
国会審議
の問題でありますから、私が何ら申し上げるべきものではなく、
国会
でお決めをいただくものと
理解
をいたしております。いずれにいたしましても、
政府
としては引き続き
行政改革
に積極的に取り組んでまいります。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から
お答え
をいたします。(
拍手
) 〔
国務大臣梶山静六
君
登壇
〕
梶山静六
11
○
国務大臣
(
梶山静六
君)
野田議員
に
お答え
をいたします。
官房長官
にかわって
政府見解
の
発表等
を行う
主任報道官
を
設置
すべきではないかという
お尋ね
でありますが、私個人は毎日毎日恐れおののきながら
職務
を遂行いたしております。 しかし、
官房長官
が持っている
総合調整機能
、
情報収集機能
及び
スポークスマン機能
は、これらが
一体
となって初めていずれも有効に機能すると言われております。また、
主任報道官
を置いたとしても、
官房長官
と同等の質、量の
情報
はなかなか集まりにくく、
国民
の
情報
ニーズに十分こたえられなくなるおそれがあり、
官房長官
とは別に
主任報道官
を置くことは、今後の
課題
としては検討すべきでありますが、直ちに置くということは適当でないと
考え
ております。 また、今回の一連の
内閣機能
の
強化
においては、
内閣
広報
官室の
体制整備
、
民間
アドバイザーの活用等、報道機能の
強化
を行うこととしており、今後一層
内閣
の
広報
の
充実
強化
を図っていく所存であります。 なお、御
指摘
の
官房長官
の負担の軽減という点については、
官房長官
が記者会見を行えない場合は
官房
副
長官
による会見の代行や、
緊急事態
等における
内閣
広報
官の記者会見等を活用することにより
対応
してまいりたい、このように
考え
ております。(
拍手
) 〔
国務大臣
田中秀征君
登壇
〕
田中秀征
12
○
国務大臣
(田中秀征君)
野田議員
の御
質問
は、党の
立場
での私に対する御
質問
と受けとめさせていただきます。 まず、今回の法案には、私どもの主張の中の
総理
補佐官
制度
はあっても、
総理
大臣
の
権限強化
が盛り込まれていない、それは骨抜きではないかという御
指摘
でございました。 私どもは、当初から、この二点の中で当面の最優先の
課題
は
補佐官
制度
の創設にあるとして、党内でも
与党
内でも公言してまいりました。したがって、骨抜きどころか、
与党
各党の
努力
で、出発点の第一歩としては大きな着実な前進をしたものだというふうに
考え
ております。
総理
大臣
の
権限強化
については、
野田議員
御承知のとおり、また
橋本総理
からも先ほどお話がありました。賛否を二分する憲法論争がございます。私どもは
野田議員
と同じ
考え
でありますけれども、この論争が長引けば
補佐官
制度
の創設もともに先送りになる、こういう
判断
をいたしました。いずれにしましても、
内閣
の指導機能、
調整機能
の
強化
は、これで終わりどころか、ここから始まるのだと
考え
ております。どうか第二段階の
重要課題
である
総理
大臣
の
権限強化
にぜひ御協力をお願いいたします。 次に、
補佐官
の人数についての
お尋ね
がありました。 先ほど
野田議員
は、本
法律案
が
内閣機能
の
強化
と評価できるようになるかどうかは新たに
設置
される
総理大臣補佐官
の
活用いかん
にかかっているとおっしゃいました。私もそのとおりだと思います。三人か五人かという人数も確かに重要でありますが、それ以上に、いかに適材を得るか、いかに活用するか、それがもっと大事なことだ、そのように
考え
ております。(
拍手
)
土井たか子
13
○
議長
(
土井たか子
君) これにて
質疑
は終了いたしました。
土井たか子
14
○
議長
(
土井たか子
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後二時十一分散会
————◇—————