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1996-05-10 第136回国会 衆議院 本会議 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十日(金曜日)     —————————————   平成八年五月十日     午後一時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件 議員請暇の件  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ   き、公共職業安定所設置に関し承認を求   めるの件(参議院送付)  海洋法に関する国際連合条約及び千九百八十二   年十二月十日の海洋法に関する国際連合条約   第十一部の実施に関する協定締結について   承認を求めるの件、領海法の一部を改正する   法律案内閣提出)、排他的経済水域及び大   陸棚に関する法律案内閣提出)、海上保安   庁法の一部を改正する法律案内閣提出)、   排他的経済水域における漁業等に関する主権   的権利行使等に関する法律案内閣提出)   、海洋生物資源保存及び管理に関する法律   案(内閣提出)、水産資源保護法の一部を改   正する法律案内閣提出)、海洋汚染及び海   上災害防止に関する法律の一部を改正する   法律案内閣提出)及び核原料物質核燃料   物質及び原子炉規制に関する法律及び放射   性同位元素等による放射線障害防止に関す   る法律の一部を改正する法律案内閣提出)   の趣旨説明及び質疑     午後一時四分開議
  2. 土井たか子

    議長土井たか子君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 土井たか子

    議長土井たか子君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  大内啓伍さんから、海外旅行のため、五月十五日から二十四日まで十日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。      ————◇—————
  5. 七条明

    ○七条明君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。  内閣提出勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案参議院送付地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公共職業安定所設置に関し承認を求めるの件、右両件を一括議題とし、委員長報告を求め、その審議を進められることを望みます。
  6. 土井たか子

    議長土井たか子君) 七条明さんの動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。     —————————————  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案内閣提出)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公共職業安定所設置に関し承認を求めるの件(参議院送付
  8. 土井たか子

    議長土井たか子君) 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公共職業安定所設置に関し承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。労働委員長岡島正之さん。     —————————————  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案及び同報告書  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公共職業安定所設置に関し承認を求めるの件及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     —————————————     〔岡島正之登壇
  9. 岡島正之

    岡島正之君 ただいま議題となりました両案件について、労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、近年における少子・高齢化進展等にかんがみ、勤労者財産形成を一層促進するため、勤労者財産形成を行い、育児教育介護等のために財形貯蓄契約基づ預貯金等払い出し等を行う場合に支援措置を講ずるとともに、中小企業事業主財形事務事務代行団体に委託できる制度を創設する等の措置を講じようとするものであります。  その主な内容は、  第一に、勤労者が計画的に財産形成を行い、育児教育介護等について財形貯蓄契約基づ預貯金等払い出し等により対処した場合に、当該勤労者財産形成貯蓄活用給付金を支払う事業主に対し、雇用促進事業団助成金を支給することとするとともに、財産形成貯蓄活用給付金について課税上特別の措置を講ずるものとすること、  第二に、中小企業事業主事務代行団体に対し財形事務を委託できる制度を創設するとともに、これらの業務に関して雇用促進事業団が必要な助成を行うものとすること、  第三に、勤労者転職等をした場合で転職先等財形制度が導入されていないときでも、計画的な財産形成の継続を可能とする措置を講ずるとともに、財形貯蓄商品選択を幅広く行うことができるよう財形貯蓄について他の金融機関財形貯蓄商品への預けがえを可能とする制度を創設するものとすること等であります。  本案は、去る四月二十六日付託となり、本日の委員会において政府から提案理由説明を聴取した後、質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公共職業安定所設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。  本件は、労働省の所掌事務の円滑かつ効率的な遂行を図るため、公共職業安定所一カ所を設置する必要があるので、その設置について、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、国会の承認を求めようとするものであります。  本件は、去る四月十二日参議院より送付され、同月二士八日付託となり、本日の委員会において政府から提案理由説明を聴取した後、質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  10. 土井たか子

    議長土井たか子君) これより採決に入ります。  まず、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、公共職業安定所設置に関し承認を求めるの件にっき採決いたします。  本件委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本件委員長報告のとおり承認することに決まりました。      ————◇—————  海洋法に関する国際連合条約及び千九百八十二年十二月十日の海洋法に関する国際連合条約第十一部の実施に関する協定締結について承認を求めるの件、領海法の一部を改正する法律案内閣提出)、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案内閣提出)、海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提出)、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利行使等に関する法律案内閣提出)、海洋生物資源保存及び管理に関する法律案内閣提出)、水産資源保護法の一部を改正する法律案内閣提出)、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)及び核原料物資核燃料物質及び原子炉規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  13. 土井たか子

    議長土井たか子君) 海洋法に関する国際連合条約及び千九百八十二年十二月十日の海洋法に関する国際連合条約第十一部の実施に関する協定締結について承認を求めるの件、内閣提出領海法の一部を改正する法律案排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案海上保安庁法の一部を改正する法律案排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利行使等に関する法律案海洋生物資源保存及び管理に関する法律案水産資源保護法の一部を改正する法律案海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案及び核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨説明を順次求めます。外務大臣池田行彦さん。     〔国務大臣池田行彦登壇
  14. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 海洋法に関する国際連合条約及び千九百八十二年十二月十日の海洋法に関する国際連合条約第十一部の実施に関する協定締結について承認を求めるの件につきまして、趣旨の御説明を申し上げます。  海洋法に関する国際連合条約は、昭和四十八年から十年間にわたって行われた第三次国際連合海洋法会議の結果、昭和五十七年十二月に、ジャマイカのモンテゴベイにおいて作成されたものであり、また、千九百八十二年十二月十日の海洋法に関する国際連合条約第十一部の実施に関する協定は、この条約第十一部の規定を見直すための交渉の結果、平成六年七月に、ニューヨークにおいて作成されたものであります。  この条約及び実施協定は、領海接続水域排他的経済水域大陸棚、公海、深海底等海洋に関する諸問題について包括的に規律するとともに、国際海洋法裁判所設立等海洋に関する諸問題に係る紛争解決手続について定めるものであります。  我が国は、昭和五十八年二月にこの条約に署名し、平成六年七月にこの実施協定に署名しております。また、この条約及び実施協定については、フランス、ドイツ、イタリア、大韓民国を含む多くの国が既に締結済みであり、他の国々も近く締結する見込みであります。  我が国がこの条約及び実施協定締結することは、我が国が世界の主要な海洋国家であることにかんがみ、海洋に関する安定的な法的秩序の確立に寄与するとともに、我が国海洋に係る活動を一層円滑にすることとなるという見地から極めて有意義であると認められます。  以上申し述べましたところを御勘案の上、この条約及び実施協定締結について御承認をいただきますよう、格別の御配慮を得たい次第でございます。  以上が、海洋法に関する国際連合条約及び千九百八十二年十二月十日の海洋法に関する国際連合条約第十一部の実施に関する協定締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)     —————————————
  15. 土井たか子

  16. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 領海法の一部を改正する法律案海上保安庁法の一部を改正する法律案及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案、以上三件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  初めに、領海法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  本法律案は、海洋法に関する国際連合条約に定めるところにより、領海の幅を測定するための基線として直線基線を用いることができることとするとともに、領域における通関等に関する法令違反する行為防止及び処罰のために必要な措置をとる水域として接続水域を設けること等とするものであります。  次に、改正案概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、領海の幅を測定するための基線として直線基線を加えることとしております。  第二に、領域における通関、財政、出入国管理及び衛生に関する法令違反する行為防止及び処罰のために必要な措置をとる水域として接続水域を設けることとするとともに、その範囲を定めております。  第三に、追跡等に係る公務員の職務の執行及びこれを妨げる行為については、我が国法令を適用することとしております。  続きまして、海上保安庁法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  海洋法に関する国際連合条約締結に伴う接続水域及び排他的経済水域設定等の新たな法制度の導入にかんがみ、また、最近における密航、密輸等海上における犯罪等発生状況を踏まえ、海上における取り締まりに係る法整備を行う必要があります。  この法律案は、このような状況を踏まえ、海上保安官が講ずる措置についての発動要件明確化等所要改正を行い、海上保安官犯罪予防等措置を機動的かつ適切に講ずることができるようにするものであります。  次に、改正案概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、海上保安官が、船舶立入検査を行うため、その進行停止させることができることを明確化することとしております。  第二に、海上保安官が、船舶進行停止、航路の変更等措置のほか、積み荷の陸揚げ、人の行為制止等措置を講ずる際の発動要件を明確化することとしております。  最後に、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  海洋法に関する国際連合条約は、主要事項一つとして海洋環境保護及び保全を掲げており、 我が国といたしましては、同条約実施に伴い、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律規定整備を行う必要があります。  次に、改正案概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律規定違反した外国船舶について担保金等提供条件に速やかに釈放する制度を創設することとしております。  第二に、所要罰則規定整備及び罰金額引き上げ等を行うこととしております。  以上が、領海法の一部を改正する法律案海上保安庁法の一部を改正する法律案及び海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案趣旨であります。(拍手)     —————————————
  17. 土井たか子

  18. 大原一三

    国務大臣大原一三君) ただいま議題となりました排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利行使等に関する法律案海洋生物資源保存及び管理に関する法律案及び水産資源保護法の一部を改正する法律案について、その主な内容を御説明申し上げます。  まず、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案についてであります。  第一に、我が国沿岸国としての主権的権利行使する水域として排他的経済水域を設けることとしております。  第二に、我が国沿岸国としての主権的権利行使する大陸棚について、その範囲を明確化することとしております。  第三に、排他的経済水域及び大陸棚における天然資源の開発、海洋環境保護及び保全について、我が国法令を適用することとしております。  次に、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利行使等に関する法律案についてであります。  第一に、排他的経済水域については、外国人漁業等禁止海域を設けるとともに、これ以外の海域にっきましては、外国人は、農林水産大臣許可を受けなければ漁業等を行ってはならないこととしております。  第二に、この法律等違反に関し拿捕した外国漁船及びその乗組員について担保金等提供により早期に釈放する制度規定するものとしております。  三番目は、海洋生物資源保存及び管理に関する法律案についてであります。  第一に、農林水産大臣は、漁獲可能量実施すべき施策等内容とする基本計画を定めるとともに、都道府県知事は、基本計画に即しくその管理する漁業について実施すべき施策等内容とする都道府県計画を定めることとしております。  第二に、農林水産大臣または都道府県知事は、漁獲量漁獲可能量等範囲内に管理するため、海洋生物資源の採捕の停止等の命令をすることができることとしております。  第三に、海洋生物資源の採捕を行う者による協定制度を設けることとしております。  最後に、水産資源保護法の一部を改正する法律案についてであります。  特定水産動物の種苗を輸入しようとする者は農林水産大臣許可を受けなければならないこととするとともに、農林水産大臣は、輸出国発行検査証明書により伝染性疾病病原体を広げるおそれがないと認めるときは許可をしなければならないこととしております。  以上、四法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)     —————————————
  19. 土井たか子

  20. 中川秀直

    国務大臣中川秀直君) ただいま議題となりました核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案にっきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  この法律案は、海洋法に関する国際連合条約実施に伴い、放射性物質海洋投棄に関連する所要規定整備を図るものであります。  核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律におきましては、従来から、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止に関する条約、いわゆるロンドン条約のもと、放射性物質海洋投棄について規制を行ってきたところでありますが、海洋法に関する国際連合条約において各国の海洋汚染防止関係法令適用範囲執行手続等が定められたことに伴い、所要規定整備を行うこととした次第であります。  次に、本法案の要旨について御説明申し上げます。  第一に、条約により海洋環境保護及び保全に関する我が国管轄権領海を超えて排他的経済水域等まで拡大されることに伴い、排他的経済水域等における外国船舶による放射性物質の違法な海洋投棄について罰則整備等を行うこととしております。また、放射性物質海洋投棄規制の適切な履行を図るため、船舶への立入検査及び船舶船長等からの報告徴収に係る規定をあわせて整備することとしております。  第二に、条約において外国船舶に対する法令執行手続が定められたことに伴い、違反を行った外国船舶について担保金等提供することを条件に釈放する制度整備することとしております。  以上が、本法律案趣旨であります。(拍手)      ————◇—————  海洋法に関する国際連合条約及び千九百八十 二年十二月十日の海洋法に関する国際連合条約第十一部の実施に関する協定締結について承認を求めるの件、領海法の一部を改正する法律案内閣提出)、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案内閣提出)、海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提出)、排他的経済水域における漁業等 に関する主権的権利行使等に関する法律案内閣提出)、海洋生物資源保存及び管理に関する法律案内閣提出)、水産資源保護法の一部を改正する法律案内閣提出)、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)及び核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  21. 土井たか子

    議長土井たか子君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。鈴木俊一さん。     〔鈴木俊一登壇
  22. 鈴木俊一

    鈴木俊一君 私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけを代表いたしまして、ただいま御提案のありました国連海洋法条約及び関連法案に対して、橋本総理並びに関係大臣質問をいたします。  国連海洋法条約は、海洋に関するあらゆる事項を網羅し海洋に関する新しい秩序を集大成したものであり、「海の憲法」とも称されております。  国連海洋法条約批准国の数は既に九十カ国に達しており、本年のしかるべき時期までには主要な先進諸国を含む大半の国々が同条約締結する見通しとなっているところであります。我が国と隣接をする韓国も本年一月に批准書を提出し、二月末には同条約締約国となっているところであり、また中国もことし前半での批准を目指して準備中であると伝えられております。  国連海洋法条約は、領海接続水域排他的経済水域大陸棚といった国家主権あるいは主権的権利行使し得る範囲を定める基本的な事項を初めとして、漁業鉱物資源海上交通海洋環境保全等多岐にわたる分野について大きな影響を及ぼすところであり、我が国としても早期締結することが国益にかなったものであると考える次第であります。  昨年来、政府国連海洋法条約締結に向けて条約及び関係国内法案整備に関し準備を進めてきたところでありますが、連立与党といたしましても、政府と一体となり、国連海洋法条約締結並びにこれに伴う国内法整備の推進にっきまして精力的に論議を進めてまいったところであります。  私は、我が国として同条約への速やかな参加を果たし、海洋国家日本として、新たなる秩序の構築と定着へ向けて積極的にリードしていくべきであると考えるものであります。  まず、領海及び接続水域法に関連して質問をしたいと思います。  領海を測定するための基線として直線基線の採用ができることとなっております。我が国としては直線基線を採用するに当たりどのような基準によって行うのか、運輸大臣にお尋ねをいたします。また、同法では特定海域の取り扱いはどうなっているのか、外務大臣にお伺いをいたします。  この条約の中でも排他的経済水域は、二百海里の範囲沿岸国主権的権利行使を認めようとするものであり、最も重要な事項一つであると考えられます。  我が国は一九七七年に漁業水域に関する暫定措置法によって二百海里の漁業水域設定しましたが、我が国周辺海域太平洋側にはほぼ全面的に漁業水域設定しているのに対し、日本海については東経百三十五度以西の部分及び東海について未設定であります。また、設定している漁業水城にっきましても、韓国国民及び中国国民が行う漁業については、日韓、日中の二国間の漁業協定もあることから、適用しないことになっております。  現在も韓国沖合中国沖合での操業に大きく依存している我が国漁船が多数おりますが、当時から一定の漁業秩序が存在したこと、また、そもそも漁業水域は突然二百海里を設定したソ連との漁業交渉を行う上で必要だったことから、当時としては、このような選択もやむを得なかったものと考えます。  しかしながら、日韓、日中の漁業協定においては、自国漁船取り締まりはそれぞれの漁船が所属する国が実施するといういわゆる旗国主義を採用しており、その結果、韓国中国漁船我が国沿岸違反をしていても我が国政府取り締まりを行うことができないままとなっております。  漁業者を初め関係者からは、このような状況を是正すべく、排他的経済水域日本海の西側にも設定し、韓国中国漁船にも我が国のルールを適用する、いわゆる全面設定全面適用を求める強い声が提起されておりますことは御承知のとおりであります。政府は、この国連海洋法条約締結する機会に、排他的経済水域を全面的に設定し、全面的に適用する方向に持っていくことが必要だと考えるものでありますが、このことにつき総理の御見解を伺いたいと思います。  日韓日中漁業協定旗国主義立場をとっておりますが、国連海洋法条約は、沿岸国周辺海域について取り締まり権を有するといういわゆる沿岸国主義の原則に立っているところであり、両協定を改定し関係国との新しい秩序づくりを行っていくことが急務となっているところであります。政府においても、去る二月二十日付の閣議了解におきまして我が国としての立場を明確にしたところであります。また、三月二十六日の閣議を前に、私ども連立与党といたしましては政府に対し申し入れを行ったところであり、日韓漁業協定及び日中漁業協定見直し交渉を精力的に行い、早急に結論を得ていただきたいと思うのであります。  ここで問題となってまいりますのは、竹島の領有権問題という日韓間に存在する領土問題であります。  このことにつきましては、我が国政府立場は一貫したものであると再々にわたり明確なお答えをいただいております。歴史的にも国際法上も竹島は我が国領土であることは間違いのないところであります。しかし、この問題が障害となって漁業交渉が進展しないということでもまた困るわけであります。幸い、三月にタイで開催されましたアジア首脳会議の機会に橋本総理韓国の金大統領の会談が持たれました際に、韓国側も、領土問題については切り離して交渉に臨むということに同意しているわけであります。  日韓日中漁業協定の改定交渉について、現在どのような状況となっているのか、外務大臣にお伺いをいたします。  この点に関しましては、既に述べましたように、与党三党といたしまして、「本年中に改定方針の合意を得ることを基本とし、一年以内を目途に交渉を進める」こと等を内容とする申し入れを行ったところでありますが、韓国中国を相手とする交渉が進展せず、しかるべき期間内に新協定について合意が得られない場合にはどうするお考えでしょうか。いつまでもだらだらと交渉を続け、結論に達しないということではならないわけであります。現行漁業協定には協定の終了通告を行うような規定が現にあり、一年以内に新協定へ移行する見通しが立たないような場合には、その権利を行使するということが必要ではないかと考えます。このことに関する外務大臣の決意をお伺いいたします。  次に、我が国周辺の水産資源の保存及び管理について伺いたいと思います。  国連海洋法条約規定に従えば、排他的経済水域設定した場合、沿岸国には、漁獲可能量いわゆるTACを定め、水産資源の保存及び管理を図る義務があることとされております。  我が国国民に良質の動物性たんぱく源を供給する重要な使命を有する漁業を今後とも永続的に続けていくためには、水産資源の維持が不可欠であります。我が国においては、従来、資源に見合った漁獲努力量に調整する手法によりとり過ぎないようにしてまいりましたが、例えば漁船の隻数等を制限しても機器類の進歩によって漁獲能力は向上するため、結局漁獲圧力は増大することになり、当初予定していたようには漁獲を抑えることができず、資源枯渇につながるといった事態がしばしぱ見られるようになりました。  このような漁獲努力量制限と技術革新による漁獲能力向上の問題を解決するため、アメリカ、ノルウェー等多くの国が既に漁獲可能量による管理の手法を導入しており、また条約上の義務でもあることから、我が国においてもTAC制度を導入することが必要不可欠であると考えるものであります。しかしながらその一方で、魚の資源はふえたが漁獲量の制限により漁業者の経営が成り立たなくなったということでは困るわけであります。この新しい水産資源管理制度我が国漁業の実態を反映したものでなければならないわけであり、我が国ではどのようなTAC制度を導入することとなるのか、農林水産大臣にお伺いをいたします。  我が国水産業は、国連海洋法条約批准とそれに伴うTAC制度の導入によって、まさに農業におけるガット・ウルグアイ・ラウンドの受け入れにも匹敵するような大きな転換期を迎えております。ウルグアイ・ラウンド受け入れに当たって、農業においては新農政というものが打ち出されました。そして、その中で大きな財政措置がとられたわけでありますが、漁業も、この大きな転換期に当たって、新漁業政策というものをぜひ打ち出して、その中で必要なものについてはしっかりした財政措置というものをとらなければならないと 思うわけであります。  この漁業の大きな転換期を迎える国連海洋法条約批准に当たって、受け身で対応するのではなく、前向きにこれに取り組んでいかなければならないと思う次第でありますが、総理大臣の御所見を伺いたいと思います。  さて、今回の一連の措置により、従来の漁業水域排他的経済水域と改められて全面的に設定されることとなり、従来はなかった新たな制度として接続水域及び大陸棚に関する法制度整備され、我が国管轄権が拡大することになります。  今後、これらの拡大した水域において、漁業資源の管理を初め大陸棚資源の管理接続水域における監視活動等、新たな海洋制度の導入に関連する秩序維持を十分に図る必要があると考えます。この海上における秩序維持にっきましては、まさに海上保安庁の巡視船艇や航空機の活躍に負うところが大であり、国連海洋法条約の的確な履行を確保していくため取り締まり体制の大幅な充実強化が必要であると考えるものでありますが、この点について運輸大臣のお考えをお伺いしたいと思います。  国連海洋法条約は、二十一世紀に向けて我が国が諸外国と友好的な関係を形成し発展させていく上で基礎となる条約一つであり、また、我が国の経済を初めとする各分野での発展を図っていく上でも重要な国際取り決めであります。私が以上述べましたようなもろもろの懸案事項はありますが、これに政府として積極的にお取り組みをいただき、新しい海洋秩序づくりに万全を期するよう要請をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇
  23. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 鈴木議員にお答えを申し上げます。  まず、日韓、日中の漁業関係に関して、排他的経済水域を全面的に設定しながら我が国漁業規則を適用せよという御指摘でありますが、今般提出いたしました排他的経済水域及び大陸棚法案に明らかなとおり、我が国排他的経済水域設定に当たりまして一部水域の除外を行っておりません。  また、韓国及び中国との漁業関係に関しましては、両国との協議により、沿岸国が資源の適切な量的管理を行うという国連海洋法条約趣旨を十分踏まえた新たな漁業協定早期締結されることになりますように、鋭意努めてまいりたいと考えております。  次に、国連海洋法条約批准に伴い新たな漁業政策を構築すべきではないかという御指摘をいただきました。  新たな海洋秩序のもとで我が国水産業の振興が図られるよう、今後とも引き続き、資源管理やつくり育てる漁業の着実な推進など各般の施策の充実に努めてまいる所存であります。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣大原一三登壇
  24. 大原一三

    国務大臣大原一三君) 鈴木議員の私に対する質問は、新しい漁獲可能量制度いわゆるTAC制度についてのお尋ねでございます。  この制度我が国の実態に即して導入するために、農林水産大臣だけではなくて都道府県知事漁獲可能量を定めることができることとするとともに、これが遵守されますよう漁業者に対する指導助言や漁業者相互間の協定制度等の措置を講ずることといたしております。  なお、具体的な漁獲可能量設定に当たっては、科学的データを踏まえ、鈴木議員の御主張のとおり漁業者関係者の意見を十分反映させてまいる所存でございます。(拍手)     〔国務大臣亀井善之登壇
  25. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 鈴木議員にお答えを申し上げます。  まず、直線基線についてのお尋ねでありますが、直線基線は、国連海洋法条約第七条に定めるところにより、海岸線が著しく曲折しているか海岸に沿って至近距離に一連の島がある場所に引かれるものであります。我が国直線基線を引くに当たっても、国連海洋法条約第七条に規定されている国際法上の要件を満たし、国際的に許容される限度を見きわめつつ検討を進めているところであります。  次に、海上保安庁の体制整備についてのお尋ねでありますが、今回の海洋法条約批准に伴う接続水域設定排他的経済水域設定に加え、近年は、集団密航事犯の増加、薬物及びけん銃の密輸入問題の深刻化等により、海上警備が一層重要となってきているところであります。近代的装備を有する高性能な巡視船艇、航空機等の整備を計画的に推進することにより、海上保安庁の業務執行体制のさらなる充実を図ってまいりたい、このように考えております。(拍手)     〔国務大臣池田行彦登壇
  26. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 鈴木議員の私に対する御質問は三点ございました。  まず、特定海域の取り扱いいかんという点でございますけれども、領海法改正法案におきましては、新たに直線基線を採用することに伴い必要となる変更を除くほかは、特定海域に関する従来の規定を変更なく維持することといたしております。  次に、日韓日中漁業協定の改定交渉の進捗状況いかんという御質問でございますが、韓国との間におきましては、昨日並びに本日、漁業実務者による協議を行っているところでございます。また、中国との間におきましては、去る四月の九日及び十日の両日、第一回目の海洋法及び漁業等の諸問題に関する非公式協議を行ったところでございます。それから最後に、韓国中国との間で漁業協定の改定交渉が思いどおりに進展せずに、しかるべき期間内に新協定についての合意が得られなかった場合の対応いかんという御質問でございました。  韓国中国との漁業関係につきましては、御指摘のように、新たな協定早期締結について政府として十二分な決意を持って対処すべきであるといった強い御要請、御意見があるということはよく承知しております。政府といたしましても、そのような考え方を体しまして、早急にかつ精力的に両国との間の協議を進めてまいる決意でございます。(拍手)     —————————————
  27. 土井たか子

    議長土井たか子君) 仲村正治さん。     〔仲村正治君登壇
  28. 仲村正治

    ○仲村正治君 新進党の仲村正治であります。  私は、新進党を代表して、ただいま議題となっております国連海洋法条約と水産関連法案及びこれらの法案に関連する諸問題について、総理並びに関係大臣質問をいたします。  我が国は、かつて世界最大の漁業生産を誇った国でありましたが、二百海里漁業水域時代に突入後、世界の漁場から締め出され、漁業生産は、昭和六十三年の千二百七十九万トンをピークにして、その後年々漁獲量は減少し、ついに平成六年には八百十万トンに落ちてしまった。逆に、安い輸入水産物は平成六年には三百三十万トンに急増し、国内漁業を圧迫する現状であります。  我が国は、かつて、どちらかといえば世界の主要漁場を持つ諸国の二百海里漁業水域の主張に対しては反対の立場をとってきたが、世界の趨勢は、海洋秩序の確立を目指して、一九八二年四月には国連海洋法条約が採択され、一九九四年十一月、同条約は発効するに至ったのであります。今回、我が国国連海洋法条約批准するに当たって、この国連海洋法条約我が国の水産業にどのような役割と利益を期待されるのかという点について、橋本総理と池田外務大臣の御所見をお尋ねしたいと思います。  我が国排他的経済水域の線引きをするに当たって、何といっても日中、日韓との領土問題の 画定がその前提条件でなければなりません。  まず、日中間で領有権を主張し合っている尖閣諸島は、我が国固有の領土として我が国が実効支配をしているが、中国の領有権主張を退ける根拠を明確に示す必要があります。この点についても総理並びに外務大臣の御意見をお尋ねいたしたいと思います。  さらに、我が国が固有の領土として主張している竹島は、我が国立場からすれば韓国によって不法占拠されている状態であります。したがって、竹島が我が国の領土である歴史的根拠を内外に宣言すべきである。この際、総理並びに外務大臣にこれを明確にしていただきたい。  この両島について、我が国が固有の領土として宣言しても、中国韓国は恐らくこれを了承することはないと思う。その場合、今回提案されている排他的経済水域の線引きについて、関係国との調整は極めて困難が予想されます。本来なら、今回提案されている条約批准と関連する排他的経済水域設定の諸法案に先行して、関係国との環境整備を進めることが先決と考えるが、どうか。また、関係国との間の今後の線引きの見通しはどうなっているのか。総理並びに外務大臣の御所見をお聞かせいただきたい。  我が国は、一九七七年七月一日、当時のソ連邦が同年三月に二百海里漁業水域設定したことに伴い、急遽、漁業水域に関する暫定措置法で二百海里漁業水域設定したが、東経百三十五度以西の日本海及び東シナ海等についてはこれを設定しないこととし、漁業水域における外国人漁業は原則として許可制としたが、韓国中国漁船の操業は規制の適用を除外している。それは、日中、日韓の両国には別途漁業協定締結されているからである。  しかし、西日本周辺水域における韓国中国漁船の操業が活発化し、その水域においては、円韓漁業協定合意議事録や日韓両国で合意した自主規制措置違反した韓国中国漁船の乱獲と違反操業は、我が国漁場の荒廃と水産資源枯渇を引き起こしかねない現状を考えれば、早急に漁業秩序の確立を図る必要に迫られていると思っております。今回の国連海洋法条約批准排他的経済水域に関連する法律の制定によって、海洋秩序我が国水域漁業主権的権利行使が確実に確保できるようになるのか、総理並びに農林水産大臣にお答えをいただきたい。  恐らく、日中、日韓間の領土問題は、今回の法律制定までに解決できるとは思えません。その場合、日中、日韓のそれぞれの国が自国の主張どおりの線引きを行った場合、その調整はどのような方法で行われるのか、外務大臣にお答えをいただきたい。  政府は、昨日から、今回の国連海洋法条約批准に伴い韓国と新漁業協定締結交渉を開始したということでありますが、現行の日韓漁業協定と、さらに日韓両国で合意した自主規制措置等があるけれども、それが全く機能せず、韓国漁船は船名を隠ぺいするなどして無秩序の状態であると言われております。それは、現在の取り締まり権旗国主義ということで漁船の所属国が行っている点にも起因するのでありましょう。今回の条約批准に伴い取り締まり権沿岸国に移行されることとなれば、我が国として、違反操業船の取り締まり海上保安庁などは的確な対応が求められるようになりますけれども、その対応は可能か、総理並びに運輸大臣の御所見をお尋ねいたします。  さらに、今回の日韓間の新漁業協定締結に当たっては、両国が国連海洋法条約という同じ土俵に立っての話し合いであるので、条約基づ沿岸国主義に沿ったルールを基本に、漁業の操業秩序、魚種別総量規制と相互割り当て量の厳守及び水産資源保護などについての取り締まりを的確に締結すべきであると思うが、この日韓漁業協定の取りまとめはいつをめどにしておられるのか、外務大臣農林水産大臣にお尋ねいたします。  政府は、中国とも同様の新協定締結準備を准めているはずであります。この日中、日韓の新協定は恐らく一年以内に合意達成を図る必要があると思う。なぜなら、我が国国連海洋法条約批准する以上、排他的経済水域全面適用条件が整えば、場合によっては日中、日韓の新協定の合意なしの見切り発車も念頭に置かねばならないことも考えられます。そのようなことにならないことを願ってはいるが、相手があることですから、事の次第によってはこのようなことも覚悟しておかねぱならないと思っております。この点について総理並びに外務大臣の御所見をお聞きいたしたい。  水産庁は、韓国及び中国との交渉決着を待たずして、TAC制度の導入を来年一月から実施する計画を立てて作業を進めていると言われている。特に資源枯渇が心配されるズワイガニ等の七魚種を対象にして、全国規模の大型漁船は大臣許可、中小規模の漁船は知事許可漁業としてのTACの割り当てを行い、外国漁船についてもTACの枠内で配分をする方針だと言われている。このTACの制度は、外国とは相互主義が原則だと思う。その場合、従来我が国漁船が相手側からとった分と我が方からとられたものの漁獲量の比較はどのように見ているのか。また、このTAC制度は新漁業協定の合意のいかんにかかわらず実施できるものかどうか。農林水産大臣にお答えをいただきたい。  去る三月八日から十五日まで、中国は、台湾の総統選挙を撹乱する目的で地対地ミサイルの発射を含む台湾近海での軍事演習を実施した。そのミサイルの一発は台湾の基隆東方海上に撃ち込まれたが、その場所は沖縄県の与那国島から約三十キロしか離れておらず、一歩誤れば大惨事を引き紀こしかねない一大恐怖の事態であった。この期間中、沖縄県の与那国島を初め八重山地域住民にはかり知れない不安感を与えていた。しかも、与那国海域は沖縄県内でも高級魚の豊富にとれる漁場であるため、その期間中漁船の出漁ができず、大きな被害をこうむっている。  池田外務大臣はその後訪日した銭其シン外相に、中国の軍事演習が周辺国に脅威を与えているので慎重を期すべきであるという申し入れをしたことに、銭其シン外相は、中国の台湾問題に関連する軍事演習は内政問題だと反論したと報道されたが、このように関係のない日本国民に脅威を与えている軍事演習を二度と繰り返させないよう強い姿勢で対処すべきだと思う。総理並びに外務大臣の御所見を伺いたい。  漁業に関連する問題でありますので、この際お聞きしたい。  沖縄県は陸上に全国の七五%の米軍基地があるが、同時に、空域も海域もその大半が米軍の訓練区域として線引きされ、航空機も船舶漁船も航行を制限されている。そのため、沖縄の漁民はその海域での操業を制限され、漁業の生産に大きな損失をこうむっている。  政府は、漁業者に対して毎年一定の漁業制限損失補償金を支払っているが、その対象者は沖縄県が復帰した当時に漁業者であった者に限るとされていた。その後、地元の漁業団体から、漁業者も若い人たちが次々新規参入する現状から、復帰後の漁業従事者にも同様の損失補償をすべしとの強い要求に対して、最近になって、十年以上の従事者には半額支給というふうになっているようである。しかし、漁業を専業とする者は、たとえ新規の参入者であっても、半額じゃなくて損失補償金を全額支給すべきだという強い要求があります。漁民の本当の要求は米軍の訓練水域の全面返還または縮小を強く求めているが、この点について外務大臣にお答えをいただきたい。  この機会に、私は、過般の日米首脳会談で、沖縄の米軍基地十一施設約四千九百ヘクタールの返還を合意したことについて質問をいたします。  今まで日米両政府は、沖縄県民の米軍基地の整理縮小要求に対して、日米安保の重要性を重視する余り、沖縄県民がいかに基地の重圧に苦しめら れているかを真剣に検討し、県民の声にこたえようとする姿勢が見られないとしか県民の気持ちにははね返ってこなかった。そのやさき、昨年九月、米兵による少女乱暴事件が起こった。  最初、沖縄県は米兵被疑者の刑事訴訟の取り扱いを日本側がやれるよう日米地位協定の見直しを要求したのに対し、官邸も外務省も、それはできないと一蹴した。その冷たいあしらいに県民の積年の怒りが、もうこれ以上我慢できないと全県民挙げての基地返還運動が起こり、このことがようやく日米両政府が在沖米軍基地の整理縮小を真剣に考えるようになったことからすると、今回の返還合意は一定の前進であると思っております。  その中でも、町のど真ん中に海兵隊の飛行場があって、常に大惨事を引き起こすおそれのある危険と隣り合わせで六万人余の市民がその周辺にひしめき合って住んでいる普天間飛行場を五年から七年以内に全面返還するという合意は、最も注目すべきことであります。  しかし、その基地機能の大半が同じく沖縄県内への移設条件つき返還であり、手放しで喜べないのが正直な気持ちであります。これは、二十年も前に移設条件つきで返還決定した那覇軍港がいまだに解決されていないのと極めて類似的性格の返還決定のあり方だと思えて仕方がありません。  特に、移設先として発表された嘉手納町やその他中部地区各市町村ではいち早く反対決議をしている状況からして、普天間基地の移設条件を達成する環境は極めて厳しいと言わざるを得ません。特に、嘉手納基地周辺に移設するヘリポートについて、米軍は新しく千五百メートルの滑走路をつくると言っている。この米軍の発表について、私の反射的に出てくる言葉は「ふざけるな」、こういうことを言いたいのであります。  私が総理にお尋ねしたいことは、まず一点目に、この普天間基地の五年から七年以内の全面返還の期間設定の根拠と、その移設条件を達成しての全面返還実現の見通しについてお伺いをいたしたい。  二点目に、米軍が嘉手納基地にヘリポート移設に当たって新たに千五百メートルの滑走路をつくるという点について、首脳会談の場で総理は承知しておられたかという点であります。  三点目に、普天間基地の全面返還に当たって、戦後五十年間、米軍に土地を強制接収され、その使用料で細々と生計を立ててきた地主に対し、跡地利用事業とその事業実施の期間中の補償を完全に行うことが返還を円滑に実施する重要なかぎだと思う。政府は、責任を持ってこれを実施すべきであると思います。  以上三点について、橋本総理の御所見をお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇
  29. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 仲村議員にお答えを申し上げます。  まず、国連海洋法条約我が国水産業に対して果たす意義についてでありますが、この条約基づいて生物資源の維持に係る適切な措置をとることは、我が国の周辺水域における水産資源の持続的な高度利用に寄与するものであり、我が国水産業の振興を図る上からも極めて重要なことだと考えております。  次に、尖閣諸島に対する我が国の領有権の根拠に対する御質問でありますが、我が国が有効に支配している尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところであります。  また、竹島領有の歴史的根拠を宣言すべきとの御指摘でありますが、竹島の領有権に関しての我が方の立場は一貫したものでありますし、韓国側にあらゆる適当な機会をとらえて我が方の立場を申し入れる等、外交努力を続けてきております。政府といたしましては、このような外交努力について、国会での御議論等を通じまして国民の御理解をも得たいと努力をしているところでありまして、今後ともこうした努力を継続していく所存であります。  次に、国連海洋法条約は、国際社会における安定した海洋法的秩序の確立に資するだけではなく、海洋一般に依存するところの大きい海洋国家としての我が国の長期的かつ総合的な国益に沿うものであり、私どもは、関係国との調整を進めることが先決という議員の御意見ございましたけれども、政府としてこの条約早期締結を目指すべく今期通常国会に提出をいたしました。  排他的経済水域の境界画定に関する御質問がございましたが、韓国との間では、竹島の領有権に係る問題とは切り離しながら協議していくという合意に従って、早期交渉を開始したい考え方であります。また、中国との間では、今後必要がありましたなら、国連海洋法条約規定等に従い境界画定についての協議を行っていく所存であります。  次に、排他的経済水域における主権的権利行使についてでありますが、排他的経済水域におきましては、漁業に関するものを含めて一定の主権的権利等を行使することができるようになっております。ただし、韓国及び中国国民に対しましては、新たな漁業秩序が構築されるまでの間、外国人漁業に関する規定を適用しないことになりますが、この両国との新たな漁業秩序の構築については、早期交渉が妥結するよう鋭意努めてまいりたいと考えております。  今回の国連海洋法条約批准に伴って沿岸国取り締まり権が移行された場合における違反操業船の取り締まりにっきましては、政府としては、国連海洋法条約趣旨にのっとって沿岸国として外国漁船の違法操業を的確に取り締まるために、海上保安庁等の体制整備を図るなど万全を期してまいる所存であります。  次に、韓国及び中国との新しい漁業協定についての御質問でありますが、新たな漁業秩序の構築にっきましては、韓国及び中国との間で十分に話し合い、問題の解決を図ってまいりたいと考えて耳十日の海洋法に関する国際連合条約第十一部のおります。政府といたしましては、国連海洋法条約趣旨を十分踏まえた新たな漁業協定早期締結するよう鋭意努めてまいる所存であります。  次に、中国の軍事演習につきましては、我が国としては、東アジアの平和と安定の観点から、台湾をめぐる問題が両岸の当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望していることを、種々の機会をとらえて表明してまいっているところであり、今後も同様の努力を続けてまいります。  次に、普天間の基地の全面返還についてのお尋ねがございました。  普天間の飛行場の返還にっきましては、移転先地の選定、環境アセスメント、移設工事等が必要でありますし、また、返還跡地利用計画の策定等も必要であると考えますので、これに要する時日も念頭に置きまして、五年から七年という期間を設定いたしました。この返還の実現に当たりましては、国が努力することは無論でありますが、沖縄県等の関係自治体の御協力が不可欠であるところでありまして、昨日第一回会合を開催いたしました作業委員会においてよく検討しながら、その実現に向けて努力をしてまいりたいと考えております。  次に、そのヘリポートの移設についてのお尋ねがございました。  普天間飛行場の返還につきましては、SACOの中間報告にもありますように、沖縄県における他の米軍の施設及び区域におけるヘリポートの建設が必要ということでありましたが、ヘリポートの具体的な内容等については現時点においては何ら具体的に定まっておらず、当然のことながら、先般の日米首脳会談の際、お尋ねのような点について聞いていたという状況ではございません。むしろこれから議論をしていかなければならない問題でございます。  最後に、跡地利用事業と補償についてのお尋ねであります。  議員御指摘のとおり、沖縄県には米軍の施設・区域が集中しておりますことから、県民の方々の生活にはさまざまな影響が出ていることを私どもも承知しているつもりであります。このように沖縄県の方々が我が国全体の安全のために担っていただいている負担というものを、日米安保条約の目的達成との調和を図りながら少しでも軽減するためには、特別行動委員会の中間報告措置を確実に実現することが不可欠であります。  このような認識に基づいて、政府としては、法制面及び経費面を含めて総合的な観点から早急に検討を行い、十分かつ適切な措置を講ずることが必要であると考えており、政府が一丸となってこれに取り組む決意を確固たるものにするために、四月十八日、その旨の閣議決定を行いました。  この中間報告は、沖縄県の方々の強い要望を背景として取りまとめられたものであります。政府としては、沖縄県を含めた関係者の御協力を仰ぎながら、所要の移設を含めた中間報告措置実施する観点から、地主の方々を含めて地元関係者の御理解と御協力が得られるよう最大限努力してまいりたいと考えております。そのため、関係省庁及び沖縄県の代表者によるタスクフォースを設置いたしまして、昨日第一回会合を催しました。この作業委員会におきましてよく検討しながら、その実現に向けて努力していきたいと考えております。ぜひ御協力を心からお願い申し上げます。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣池田行彦登壇
  30. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 仲村議員にお答え申し上げます。  総理から御答弁申し上げたこともございますので、なるべく重複を避けたいと存じます。  海洋法条約我が国の水産業にどのような利益があるかという点、尖閣諸島あるいは竹島に関する我が国立場については、総理から御答弁ございました。  また、この諸法案中国韓国との調整を待つことなく今国会に提出した理由はという点につきましても、総理からの御答弁で触れられましたけれども、これは、国際社会における安定した海洋法的秩序の確立に資するということ、また海洋国家としての我が国の長期的かつ総合的な国益に沿う、こういった観点から今国会に提出した次第でございます。  また、中国及び韓国との今後の線引き交渉の見通しいかんという点でございますが、この交渉をなるべく早く開始すべく、その取り進めにつきまして、現在、実務者間で意見交換を行おう、こういうことで韓国との間では意見が一致しておるところでございます。また、中国との間では、今後必要があれば海洋法条約規定等に従い境界画定について協議を行っていく所存でございます。  次に、日中、日韓の間の領土問題は法律制定までに解決できるとま思えないけれども、その場合その調整をどうするのか、こういった御質問がございました。  先ほど申しましたように、排他的経済水域の境界画定を行うに際しましては、我が国といたしましては、我が方の立場を踏まえまして中国並びに韓国との協議に入っていく所存でございまずけれども、今後それがどのように進んでいくかは、現時点で予断することは控えさせていただきたいと存ずる次第でございます。  それから、新漁業協定の取りまとめのめどでございますが、これも相手のあることでございまして、現時点でその時点をお示しすることは難しゅうございますが、いずれにいたしましても、早期締結されるよう全力を尽くしてまいる所存でございます。  また、一年以内に合意達成を図る必要があると思うが、場合によっては新協定の合意なしに見切り発車という場合もという御指摘がございました。  御指摘のように、新たな漁業協定締結に向けて政府として十分な決意を持って対処すべきだという大変強い御意見があるということは、我々もよく承知しているところでございまして、政府といたしましても、そのような考え方を体しまして、早急にかつ精力的に両国との協議に当たってまいりたい、そのような決意でおるところでございます。  それから、中国の軍事演習については、総理からも御答弁ございましたが、三月末の銭其シン中国外務大臣と私の会談におきましても、軍事的圧力で台湾にその立場を伝えようとするがごとき手法というのは、どうもこれは疑問を呈せざるを得ないということを明確に中国に伝えたところでございます。  次に、沖縄の漁民の方々が本当に考えておられるのは補償金というよりも米軍の訓練水域の全面返還または縮小である、こういつた御質問がございました。  政府といたしましては、安全保障条約の目的達成のために必要ないわゆる訓練水域にっきましては、やはりこれは維持していかなくてはならない、こう考えておるところでございます。なお、米軍の水面の使用に関連して生じます漁業経営上の損失につきましては、国として関係法令基づきまして適切に補償してまいっておるところでございます。今後ともそのように進めてまいりたいと思います。(拍手)     〔国務大臣大原一三登壇
  31. 大原一三

    国務大臣大原一三君) お答えいたします。  まず、主権的権利行使が今回の法案の制定によって確実に担保できるかという御質問でございました。  既に総理から御答弁がありましたので重複を避けまずけれども、関連法案においては、排他的経済水域については一部水域を除外することには相なっておりません。ただし、日韓日中漁業協定との整合性を確保する必要がありますので、その協定が改定されるまでは一部の漁業規則の適用を除外するよう例外的な取り扱いができることになっております。農林水産省としては、漁業について、仲村議員御指摘のように、主権的権利行使が全面的に行い得るよう、早急に韓国中国との漁業協議を取りまとめていく所存でございます。  日韓漁業協定の取りまとめのめどはどうだというお話でございますが、先ほど外務大臣から御答弁がありましたように、早急に両国間の協定を取りまとめてまいる所存でございます。  また最後に、水産庁は、韓国及び中国との交渉決着を待たずして資源管理制度いわゆるTAC制度の導入をしょうとしているが、TACの外国漁船への配分に当たり、我が国漁船の外国水域における漁獲量外国漁船我が国水域における漁獲量の比較をどのように見ているのかという御質問がございました。  この点については、後段の御質問に御指摘がありましたように、TAC制度は元来、現行の日韓日中漁業協定が改定されるまでの間においても、その実施制度上可能でございます。その場合、韓国中国漁船への漁獲量の配分は行わず、また、我が国漁業者外国人漁業者との間で不均衡が生ずることのないよう、我が国漁業者に対してTAC管理に対する強行規定は適用しないことといたしております。  なお、排他的経済水域設定されていないもとでは、韓国漁船中国漁船の、それぞれ相手方の水域における漁獲量については残念ながら的確に把握をいたしておりませんが、今後、日中、日韓漁業交渉の過程において十分この点も詰めてまいりたいと思っております。  お答えいたします。(拍手)     〔国務大臣亀井善之登壇
  32. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 仲村議員にお答えを申し上げます。  排他的経済水域設定をされた場合には、昭和五十二年実施漁業水域での外国漁船取り締まり等の経験を生かすとともに、近代的な装備を有 する高性能な巡視船艇、飛行機等の整備を計画的に推進することにより、海上保安庁の業務執行体制のさらなる充実を図り、外国漁船の違法操業に対する監視取り締まりに万全を期してまいりたい、このように考えております。(拍手)     —————————————
  33. 土井たか子

    議長土井たか子君) 松沢成文さん。     〔議長退席、副議長着席〕     〔松沢成文君登壇
  34. 松沢成文

    ○松沢成文君 新進党の松沢成文でございます。  私は、ただいま趣旨説明のありました国連海洋法条約及び関連国内法改正案等について、総理及び関係大臣質問をいたします。  我が国は、四方を海に取り囲まれた主要な海洋国家であり、海からとれる幸を有効に活用し、かつ海運により発展を遂げてまいりました。歴史的に見ても、また現在においても、海は常に我々国民とともにあり、切っても切れない重要な存在であります。  元来、海洋法秩序の形成は、ヨーロッパ古代と中世の海洋大国間の取り決めや慣行がその支配のもとで定着したものと言われております。当初は各時代の海事慣行を基礎に不文の国際慣習法として定着しておりましたが、近代に至り次第に条約がこれにかわるようになってまいりました。それは、海洋の利用と規制をめぐる各国の政治、経済、軍事上の利害関係の対立と協調が反映したものと言えるでしょう。  第二次世界大戦後、国際連合は、昭和三十三年、第一次国連海洋法会議を開催し、ジュネーブ海洋法条約を採択しましたが、その後の政治経済情勢の変化及び科学技術の発展に合致するよう、ただいま審議しております海洋法条約昭和五十七年の第三次国連海洋法会議で採択されました。本条約は、採択されて以来十四年を要して初めて我が国の国会にその承認のために提出されましたが、何ゆえに採択から国会提出まで十四年の歳月を要したのか、また、我が国が本条約締結することによりいかなる具体的な利益を享受することができると考えているのか、まず総理の御見解をお尋ねいたします。  次に、竹島領有権問題についてお伺いいたします。  去る二月七日、政府が本条約に関する排他的経済水域の二百海里全面設定方針を決定したことに対し、我が国の出方をかなり以前から警戒していた韓国では、官民挙げてのすさまじいばかりの反応が示されました。韓国外務省は、翌八日、日韓両国が長年領有権を主張し合っている竹島に港湾施設をつくることを公表し、領有化を一歩進める構えを見せました。これに対して池田外務大臣は、竹島は日本の領土である、工事は日本の主権侵害であり許すことはできないとの当然の発言をいたしました。この発言に対して韓国では、日の丸を踏みにじったり、池田大臣に似せた人形を火あぶりにしたり、異常とも思える抗議運動が燃え上がりました。  こうした経過の後、三月初めのASEMの会合で日韓首脳会談が実現いたしました。この会談において、両首脳が竹島問題を棚上げし、対立が決定的になることを避け、漁業協定締結を優先することに合意して以来、韓国側の反応に鎮静化が見られます。  竹島の領有権について、我が国は、昭和二十七年一月二十八日に李承晩ラインの設定に対する抗議に関連して我が国の領有権を主張したことに始まり、最近では、昨年七月までに合計五十回以上の口上書を韓国政府に対し発出しております。また、昭和二十九年には国際司法裁判所への提訴を提案しましたが、この提案に対して韓国は拒否する姿勢を示し続けており、国際司法裁判所での解決は極めて難しい状況であります。  本条約では、紛争解決について幾つかの選択肢が示されておりますが、領土問題については直接的な解決手段を示しておりません。したがって、政府は、本条約締結によっては竹島領有権問題について何らの影響も及ぼさないことになると考えているのか、それとも何らかの有効な解決方法が見出せるとお考えなのでしょうか。今後の竹島領有権問題解決に向けた方針とその見通しについて、総理の御見解をお伺いいたします。  次に、尖閣諸島問題についてお尋ねいたします。  この問題は、我が国が抱える領土問題の中では最も新しいものであります。すなわち、北方領土、竹島の両問題は、第二次世界大戦及び昭和二十六年のサンフランシスコ講和条約を契機としたものでありますけれども、尖閣諸島問題は、昭和四十三年十月から、国連アジア極東経済委員会、エカフェによる東シナ海における地球物理学調査が行われたことにより、突然起こったものであります。同調査の結果、東シナ海の大陸棚には石油資源が埋蔵されている可能性があるとの指摘がなされました。これが契機となって尖閣諸島が注目を集めることになり、昭和四十六年に中華民国、次いで中華人民共和国がこれを自国領であると公式に主張し、実効支配を続ける我が国に抗議をしたことに始まったものであります。  その後、日中国交回復、日中平和条約締結の際にも取り上げられてきましたが、平成四年には中国が尖閣諸島を領海法に自国領土として書き込んだことにより、改めて注目を集めることになりました。  ところが政府は、今回の日中非公式漁業交渉において、領土問題を切り離して漁業交渉を進めようとしております。領土問題を切り離すということは、棚上げに同意したことになり、ひいては中国側の交渉のぺースに引き込まれることにつながり、結果的には、領土問題解決の先送りが将来の日中関係に暗雲をもたらすことになりはしないかとの憂慮を禁じ得ません。  政府の態度は一見、一貫したものであり、その解決方法を見据えたもののように見受けられますが、果たしてそうなのでしょうか。尖閣諸島問題は他の領土問題と異なり、我が国が現に支配しているのが現状であります。したがって、我が国が「日中間に領土問題はない」との態度をとり続けるのであれば、領土問題の切り離しあるいは棚上げなどあり得るはずがないのではありませんか。尖閣諸島領有権についての政府の明確な姿勢と今後の中国との交渉姿勢について、総理の御見解をお伺いいたします。  この尖閣諸島問題に関連して、日中間の大陸棚境界画定問題が存在しています。  我が国は、大陸棚条約には未加盟でありますが、同条約の六条を援用して、日中間の大陸棚の境界画定については従来より中間線を主張してまいりました。一方、中国側は、大陸棚の自然延長を主張し、沖縄の西にある沖縄トラフ付近までを自国の大陸棚であるとしております。  昨年十二月から今年の二月まで、中国の石油掘削船が東シナ海の日中中間線を越えて停泊し、石油の試掘作業を行ってきたことが確認をされております。また、今年二月には、中国の石油掘削船の活動による石油ガスの燃焼が海上保安庁により確認されております。このままでは、中国側による石油採掘の既成事実が進行することになり、その既成事実を盾に中国側が境界画定交渉に臨むことが考えられ、我が国にとって不利益になることは明白であります。このことから、本格的な石油採掘作業が行われる前に、早急に境界画定が望まれるところであります。  さらに、四月下旬から、中国とフランスの海洋調査船六隻が沖縄近海の東シナ海で調査活動を行っております。その後、フランス船は日中中間線を越えた我が国海域での調査は中止したようでありますが、無許可我が国海域で活動した事実は消し去ることはできず、国際慣習法上許される行為ではありません。この事件に関しては、中国及びフランスヘの厳重なる抗議がなされてしかるべきだと考えますが、政府はいかなる対応をとってこられたのでしょうか。  また、日中中間線を設定する際の基線のとり方及び境界画定についての交渉の進捗状況並びに今後の交渉の見通しについても、あわせて外務大臣にお伺いいたします。  ところで、橋本総理は、先月モスクワで開催された原子力安全サミット出席のためロシア訪問中、エリツィン大統領と会談されました。この会談で同大統領は、我が国が従来より強く求めていた放射廃棄物海洋投棄の禁止に関して、低レベルを含めた放射廃棄物海洋投棄を全面的に禁じたロンドン条約改正議定書を今年中に受け入れる考えを表明いたしました。また、それまでの間も海洋投棄はしないと約束をいたしました。これに対して橋本総理は、最高のプレゼントだと高く評価されましたが、我が国立場としては当然のことであると軽く受け流してもよかったのではないでしょうか。  国連海洋法条約加盟により、排他的経済水域内での天然資源の探査、開発、保存及び管理のための主権的権利のみならず、あわせて海洋の科学的調査、海洋環境保護及び保全に関する管轄権我が国は有することになるのであります。日ロ首脳会談時には、本条約は既に閣議決定後国会に提出されており、総理が本条約趣旨を十分に踏まえておられたのであれば、身勝手な核廃棄物海洋投棄に対してもっと断固とした姿勢で臨むべきではなかったでしょうか。剣道の達人の橋本総理としてはいささか腰が引けておられたのではないかと残念であります。総理の御所見をお尋ねいたします。  さて、我が国は、排他的経済水域設定することにより、国土面積の十倍以上に及ぶ面積の海域において海洋環境保護及び保全に関する管轄権を有することになります。また、通関上、財政上、出入国管理上または衛生上の法令違反防止処罰することができる接続水域が、従来の十二海里から二十四海里に拡張され、その守備範囲も広がることになるわけであります。  そこで伺いますが、本条約締結に際し、排他的経済水域内での管轄権行使及び接続水域の拡張に関連して、政府海上保安庁などの関連機関のどのような強化充実策を考えておられるのでしょうか。船舶等の補充、人員の増強、さらには取り締まり強化のための装備の拡充などが必要だと思いますが、運輸大臣の御見解をお尋ねいたします。  次に、国際海峡についてお尋ねいたします。  領海法の一部改正案では、特定海域すなわち国際海峡について、本条約の第三条で認められている領海の幅である十二海里を採用せず、従来どおりの三海里としております。我が国の安全保障の観点から、領海の幅を極力ふやし、シーレーンの防衛に努めることの必要性は改めて言うに及びません。なぜ政府は国際海峡については極力十二海里に近い領海を持とうとしないのか、疑問を持たざるを得ないのであります。  条約のどこに、領海の幅をふやしたときには通過通航権を認めなければならないと規定されているのでしょうか。当該国際海峡において自由に通航できる海域設定しさえずれば、ふえることになる領海も含めた海域では無害通航権のみを認めることになると考えるものでありますけれども、総理の御見解をお伺いいたします。  海洋法批准をめぐっては、以上述べてきましたように、近隣諸国との間に難題をはらむ交渉が待ち受けていることでありましょう。しかし、この条約の大原則は、関係する国々が平和的に共存共生することを前提に、各国が国益と海洋秩序とを調和させ、海を人類発展の源とすることであります。多くの識者も指摘していますが、海洋法批准によって一時的に隣国間の利害対立が表面化することがあったとしても、それを逆に対話強化のチャンスとすることもできるのであります。  東アジアの政治的な安定にもあるいは経済的な発展にも、海の平和と秩序の確立が必要であり、海洋法の理念をその礎としなければいけません。国家と国民の利益を守るとともに、日本が尊敬と信頼を集めて世界の中で生きられるよう、日本外交の毅然とした取り組みが不可欠だと考えますが、総理の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇
  35. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 松沢議員にお答えを申し上げます。  まず、国連海洋法条約の提出が今日までおくれた理由についてでありますが、我が国を含む先進国は、この条約規定する深海底開発制度が現実に合致していないということを理由として、この条約締結を控えてまいりました。しかし、一昨年七月の国連総会におきます同条約第十一部の実施に関する協定の採択によりまして、この条約締結するための道が開かれたわけであります。  また、我が国がこの条約締結することにより享受し得る利益についてというお尋ねでありますが、この条約は、海洋問題全般を包括的に規定いたしており、漁業、資源開発、貿易、海運、まだほかにもあるかもしれません、広い分野におきまして、海洋国家である日本にとりまして長期的かつ総合的な国益にかなうもの、私はそのように考えております。  次に、竹島の領有権問題につきましては、国連海洋法条約は、海洋法的秩序に関して包括的に規定したものでありまして、竹島の問題を含め領有権問題の解決を目的として、その直接的な解決手段について規定するものではありません。いずれにいたしましても、竹島問題についての日本政府立場というものは従来から一貫しておりまして、我が方としては、今後とも日韓両国間で平和的な解決を図るべく外交努力を重ねていく所存であります。  次に、尖閣列島についての御質問がありました。  尖閣列島は日本国有の領土でありまして、中国との間で解決すべき領有権の問題は存在いたしておりません。御指摘のような領土問題を切り離して漁業交渉を進めるということは、事実に反することであります。今後、中国との協議を行っていく上で、尖閣諸島に関するこうした考え方、我が国立場というものを踏まえて対応していきたいと考えております。国会の御支援もぜひお願いを申し上げる次第であります。  次に、ロシアのロンドン条約附属書改正の受諾について、腰が引けていたというおしかりをいただきました。甘受いたしますが、私は、先般の首脳会談でエリツィン大統領がこの附属書の改正の本年中の受諾を表明したこと、さらに、それまでの間の投棄も中止すると宣言されたことは、非常によかったと思っておりますし、今まで我が国が努力を続けてきたものが報いられた、そのような思いを持っております。そして、この発言が速やかに実行に移されることを強く期待いたしております。  また、国際海峡における通航権にっきまして、御指摘の通過通航制度にっきましては条約の第三部に規定がございます。しかし、現在までのところ、各国の実行の集積が十分ではないために不確定な面等があります。同時に、海洋国家である日本として、諸外国が重要な海峡における自由な航行を維持する政策をとることを促進したい、そうした観点もありまして、国際航行の要衝である五海峡について現状を基本的に変更しないことといたしました。  また、国連海洋法条約は、国際社会における安定した海洋法的秩序の確立という点だけではなく、海洋一般に依存するところの大きい海洋国家としての我が国の、長い目で見て、また総合的な国益に沿うものだと我々は考えております。したがって、政府としては、この条約早期締結し、東アジア等の近隣諸国との間におきましても新たな海洋法的秩序の構築を目指していきたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答 弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣池田行彦登壇
  36. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 松沢議員にお答えいたします。  中国並びにフランスの海洋調査船の我が国海域での活動に対する政府の対応はどうだったのか、こういう御質問でございますが、政府といたしましては、中国及びフランスに対しまして外交ルートを通じて事実関係の照会をいたしますとともに、次のような申し入れをいたしました。すなわち、我が国の同意なく大陸棚の資源探査または大陸棚における科学的調査を行っているのであれば、これは認められない、こういつた趣旨を強く申し入れたところでございます。  これに対しまして、フランスにつきましては、四月三十日、調査目的を回答してまいりますとともに、調査を中断する、こういった連絡がありまして、現在、日中中間線の中国水域におります。また、中国につきましては、現時点ではまだ回答に接しておりません。しかし、五隻のうち四隻は既に中間線の中国海域を航走している、このように承知しております。なお、引き続き中国に対しては回答を求めてまいります。  次に、中間線を設定する際の基線のとり方についての御質問がございましたが、これは当然のことでございますが、我が国領海基線から測定してまいります。  そして、中国との間の境界画定に関する交渉の進捗状況とまた見通しという御質問がございました。  現在のところ、境界画定につきましては非公式な意見交換を日中間で行っております。しかし、現時点ではまだ境界画定交渉というものに入っているわけではございません。非公式な意見交換というふうに御了解いただきたいと思います。今後、両国が海洋法条約締結する、こういうことを踏まえまして、漁業交渉進展等関連する諸般の事情を勘案しながら適切な対応をしてまいりたい、このように考えている次第でございます。(拍手)     〔国務大臣亀井善之登壇
  37. 亀井善之

    国務大臣亀井善之君) 松沢議員にお答えを申し上げます。  今回の海洋法条約批准に伴う接続水域設定排他的経済水域設定に加え、近年は、集団密航事犯の増加、薬物及びけん銃の密輸入問題の深刻化等により、海上警備が一層重要となってきているところであります。したがって、近代的装備を有する高性能な巡視船艇、航空機等の整備を計画的に推進し、海上保安庁の業務執行体制のさらなる充実を図ってまいりたい、このように考えております。(拍手)     —————————————
  38. 鯨岡兵輔

    ○副議長(鯨岡兵輔君) 藤田スミさん。     〔藤田スミ君登壇
  39. 藤田スミ

    ○藤田スミ君 私は、日本共産党を代表して、海洋法に関する国際連合条約及びそれに関連する法律案について、総理及び関係大臣に対して質問をいたします。  海洋法に関する国際連合条約は、今から十四年前、一九八二年に国連で採択され、既に署名国が百五十九、締約国は九十カ国、そして主権的権利として認められた二百海里の排他的経済水域設定は九十七カ国に及んでいます。  地球の七分の二を占める陸地が既に分割された中で、これまでのような軍事大国あるいは経済大国優先の海洋利用を続けさせるわけにはいかないということが世界の大勢になり、ここから第三次国連海洋法会議が開催されました。地球面積の七分の五以上を占める海洋を人類の利益にかなうものとして保全、利用、開発することが求められていたのであります。  総理、この条約批准を契機に、世界のすべての国々海洋の利益を共有するものとして利用する新しい海洋秩序の確立を目指し、とりわけ日本政府として、海洋の自然環境を保全し、人類の経済利益に公正に貢献すべきであります。総理の御見解を伺います。  重大な問題は、海洋国である我が国政府が、この条約批准を長きにわたって放置してきたばかりか、二百海里の全面適用も行わず、とりわけ漁業の分野ではへ南朝鮮いわゆる韓国中国などの漁船の乱獲、違反操業を許し、周辺水産資源を衰退させるなど、漁業関係者、国民に甚大な被害と悪影響をもたらしてきたことであります。この責任は極めて重大であり、総理の率直な反省を明らかにするよう求めるものであります。  今回、この条約批准関連法案によって二百海里経済水域設定を行うことは、遅きに失したとはいえ、漁業関係者の強い要求と運動の前進による結果であり、当然の措置であります。  しかし、問題は、二百海里経済水域全面適用を行うかどうかです。排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利行使等に関する法律案では、中国韓国に対して、日本の権限行使を適用除外することを政令で定めることにし、その適用除外期間中は海洋生物資源保存及び管理に関する法律案実施を延期できることになっています。一体いつまで適用除外となるのか、与党が合意し政府が努力するとされている一年ないし二年で本当に適用除外期間が終わるのか、明確に御答弁ください。  また、中国韓国どの漁業交渉では、まず二百海里全面適用を明確にし、その上で具体的な取り決めに当たるべきです。さらに、日本周辺水域内での外国船の規制権限を当然日本が持つということを明確にすべきであります。総理の見解を明らかにしてください。  この二百海里全面適用は、日本の水産資源の保全、日本の漁業の維持発展のために必要不可欠な問題であることは言うまでもありません。しかし、それだけで日本の漁業が発展するといったものでないことも明ぢかです。  現在の日本の漁業を取り巻く状況は、政府漁業白書でも、「円高等に伴い水産物輸入は引き続き増加しているほか、漁獲の減少、魚価の低迷等から漁業経営は厳しさを増している。さらに、漁業就業者の減少・高齢化進行している」と述べているように、極めて深刻であります。その中でも、水産物輸入が野方図に急増していることは、魚価を低下させ、漁業経営に深刻な打撃を与えています。水産物輸入を抑制しなければ、弱体化しつつある日本漁業に取り返しのつかない事態を招きかねません。  WTOの協定では、輸入急増によって国内産業に深刻な影響を与え、または与えるおそれがあるときは、セーフガードの発動を認めています。そして、現在、多くの漁業関係者が水産物輸入の抑制を願ってセーフガードの発動を求めているのであります。政府として真剣に検討すべきであります。その点、総理及び農水大臣の前向きの答弁を求めるものです。  また、新しい漁業資源の規制管理我が国漁業者に求めながら、一方、水産物の輸入を野放しにすることは、道理に合ったことではありません。漁獲量を決めるならば、消費に見合った適正な輸入量の大枠を決め、秩序ある輸入が実現できるようにすべきではありませんか。総理及び農水大臣の見解を求めます。  二百海里問題は、世界的に漁業資源を保存管理することであり、それは、世界的な食糧危機が想定されている中で、食料たんぱく資源の大きな部分を占める水産物の自給率をどう引き上げるのかという問題と直結するものです。ところが、政府の長期見通しでは、魚介類の国内生産量は、九三年の八百一万トンに対し、二〇〇五年は七百八十七万トンと逆に減ることになり、これでは到底水産物の自給率を引き上げられないことは明白であります。政府として、直ちに資源の管理を推進し、沿岸の乱開発をやめ、魚の生育できる環境をつくるなど、資源をふやし漁獲を引き上げる水産物の自給率向上策に取り組むべきであります。総 理及び農水大臣の見解を明らかにしてください。  次に、領海並びに国際海峡に関してお伺いをいたします。  国連海洋法条約は無害通航権を規定していますが、唯一の被爆国として日本政府は、国連海洋法会議で、第十九条に規定する「沿岸国の平和、秩序又は安全を害するもの」の中になぜ核兵器積載を含めるよう主張しなかったのか。また、なぜ、日本政府は核兵器積載艦船を無害通航とはみなさず、その通過を拒否することを明らかにしなかったのか。さらに、国際海峡で核兵器積載艦船の自由通航権を認める規定に反対しなかったのは、宗谷、津軽、対馬海峡の米軍の自由通航を保障することを優先させたからではないのか。以上の点について明らかにすべきであります。総理、事は非核三原則に抵触する問題であり、総理の責任ある答弁を求めるものであります。  次に、公海の自由についてでありますが、従来の軍事利用優先から、条約規定するような平和的目的のための利用へと考え方を抜本的に転換すべきときであります。日本の近海は、米軍ばかりか、最近では中国、台湾なども演習場を勝手に設定し、軍事演習を繰り返し、我が国漁業関係者にも深刻な影響を与えています。政府は、条約に明記された漁獲の自由を確保する措置として、沖縄の訓練水域はもとより、我が国近海に設定されている軍事演習場をすべて撤去させるために外交交渉に乗り出すべきではありませんか。総理及び関係大臣の答弁を求めます。  海洋法条約は、深海底の資源を人類共同の財産と位置づけ、深刻になっている南北格差の是正にも貢献すると見られていました。しかし、一昨年、国連を舞台に、アメリカを初め経済技術大国が技術移転や資金提供の義務をなくすなど、根幹部分を修正させてしまいました。これでは、経済技術大国あるいは一握りの大企業が結局深海開発をするだけに終わりかねず、ひいては南北格差を一層拡大させることになりかねません。日本政府としては、発展途上国の深海開発に対して適切な技術提供と資金協力を行うべきことは当然として、国際深海底機構の公正衡平な運営を確保し、南北格差の是正などに役立つようにすべきであります。総理及び外務大臣の見解を求めます。  最後に、日本共産党は、日本漁業の発展と公海の平和的利用の実現、豊かな資源を抱える「母なる海」を次の世代に引き継ぐため全力を尽くすことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇
  40. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 藤田議員にお答えを申し上げます。  まず、政府として海洋環境保全等に貢献すべきではないかという御意見でありますが、国連海洋法条約は、海洋環境保護保全の促進、公正かつ衡平な国際経済秩序の実現といった点についてもうたっております。政府としては、これらの点も踏まえ、同条約早期締結して、国際社会全体の利益こ貢献していきたいと考えております。  次に、国連海洋法条約締結漁業問題の関連についてでありますが、韓国中国との間では二国間協定によりまして漁業秩序の維持を図ってまいりましたが、条約締結後は、その趣旨を十分に踏まえた漁業規制の適用のあり方について、合理的な期間内に結論を得るよう鋭意努めてまいります。  次に、排他的経済水域における漁業規制につきましては、韓国及び中国国民に対しましては、新たな漁業秩序が構築されるまでの間、外国人漁業に関する規定を適用しないことになります。しかしながら、両国との間の新しい漁業秩序の構築については、早期交渉が妥結することとなるように鋭意努めてまいりたいと考えております。  中国韓国との漁業関係にっきましては、両国との協議により、沿岸国が生物資源の維持に係る適切な措置をとるという国連海洋法条約趣旨を十分踏まえた新たな漁業協定早期締結されることとなるよう、鋭意努力をいたします。  次に、水産物のセーフガードの発動についてでありますが、セーフガード措置は、輸入急増による国内産業への重大な損害の防止等のためWTO協定上認められる緊急措置でありますが、数字的に見まして輸入急増と言える事実がないことから、現時点での発動は困難だと思います。  次に、新たな漁業資源の管理制度と輸入の関係にっきましては、この制度は資源管理等を通じて国内漁業の振興を図ろうとするものでありまして、輸入に関する措置とは直接関係するものではないと思います。なお、水産物の輸入にっきましては、関係者による需給協議の場を設け、情報交換に努めているところであります。  水産物の自給率向上策につきましては、食料としての水産物の重要性にかんがみ、新たな海洋秩序に適応した水産資源の適切な管理などさまざまな施策を推進して、でき得る限り国内生産の維持増大に努めてまいる所存です。  次に、国連海洋法会議における核搭載艦の取り扱いについてお尋ねがありました。  政府といたしましては、我が国の基本政策である非核三原則を踏まえながらこの会議に対処したことは当然のことでありまして、我が国として、非核三原則を条約規定との関係で維持できなくなることがないように十分な注意を払ってこの会議に臨んだ次第であります。立場の表明にっきましては、政府としては、我が国の基本政策としての非核三原則の維持と同時に、海運国として可能な限り自由な通航の確保という二つの要請を同時に確保すべく、慎重に対処したものであることをぜひ御理解をいただきたいと思います。  いわゆる国際海峡における核搭載艦の通航に関する御指摘がありましたが、国連海洋法条約上、通過通航制度が適用される場合、核搭載艦も通過通航権を有するかどうかという問題について、現在までのところ、通過通航についての実行の集積が十分でないため不確定な面があるというのが政府立場です。なお、国連海洋法会議におきましても、御指摘のような観点から、我が国が通過通航についての立場を検討したということはございません。  次に、我が国の近海に設定されている米軍の演習場について御意見をいただきました。  政府としては、依然として不安定要因を残している国際社会の中で、我が国が安全を確保していくために日米安全保障条約を堅持していく考え方でありますし、この条約の目的達成にとって必要ないわゆる海上演習場の撤去などを行う考えは持っておりません。なお、米軍の水面の使用に関連し生じる漁業経営上の損失にっきましては、国として関係法令基づいて適切に補償をいたしております。  次に、国際深海底機構の運営のお話がございました。  我が国は、同機構の理事国として、深海底の資源が人類の共同の財産であるということを踏まえながら、この探査及び開発が人類全体の利益のため行われていくよう配慮していく所存であります。  残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣大原一三登壇
  41. 大原一三

    国務大臣大原一三君) お答えいたします。  輸入水産物抑制のためのセーフガードにっきましては、ただいま総理大臣がお答えになったとおりであります。農林水産省としても、今後とも輸入状況については十分監視をし、注目をしてまいりたいと思っております。  それから、新しい漁業資源の規制管理とそれから消費に見合った適正な輸入量の大枠についても、総理がお答えになったとおりでございます。農林水産省といたしましては、御指摘のとおり、秩序ある水産物輸入についてはまことに御指摘のとおり望ましいところでありまして、関係者に上る需給協議の場を通じて、情報交換、またその目通しを従来どおり公表してまいる所存でございます。  また、資源管理の推進と水産物の自給率向上につきましても、総理がお答えになったとおりでご ざいまして、従来どおり、農林水産省といたしましてもつくり育てる漁業を積極的に推進することによって、できる限り国内生産の維持増大に努めてまいる所存でございます。(拍手)     〔国務大臣池田行彦登壇
  42. 池田行彦

    国務大臣池田行彦君) 藤田議員の私に対する御質問は、米軍の演習場そして国際深海底機構に関する二点でございましたが、いずれも総理から御答弁がございましたとおりでございまして、つけ加えるべきことはございません。(拍手
  43. 鯨岡兵輔

    ○副議長(鯨岡兵輔君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  44. 鯨岡兵輔

    ○副議長(鯨岡兵輔君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時九分散会      ————◇—————