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1996-04-25 第136回国会 衆議院 本会議 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月二十五日(木曜日)     —————————————  議事日程 第十一号   平成八年四月二十五日     正午開議  第一 日本学術振興会法の一部を改正する法律     案(内閣提出)  第二 幹線道路沿道整備に関する法律等の     一部を改正する法律案内閣提出)  第三 農畜産業振興事業団法案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  国会法第百二十条による処分要求書白川勝彦   君提出)についての報告  議員請暇の件  日程第一 日本学術振興会法の一部を改正する   法律案内閣提出)  日程第二 幹線道路沿道整備に関する法律   等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 農畜産業振興事業団法案内閣提出  )  航空業務に関する日本国エティオピア連邦民   主共和国との間の協定締結について承認を   求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税回避及び   脱税防止のための日本国メキシコ合衆国   との間の条約締結について承認を求めるの   件 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内  閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後零時九分開議
  2. 土井たか子

    議長土井たか子君) これより会議を開きます。      ————◇—————  国会法第百二十条による処分要求白川勝   彦君提出)についての報告
  3. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御報告いたします。  去る四月二日、議員白川勝彦さんから提出されました国会法第百二十条による処分要求書にっきましては、議院運営委員会に諮問いたしました結果、議員山田正彦さんに対し、予算委員会において発言の取り消し及び陳謝を行うべきものとするとの答申がありました。よって、議院運営委員会答申のとおり取り計らうことといたします。      ————◇—————  議員請暇の件
  4. 土井たか子

    議長土井たか子君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  杉山憲夫さんから、海外旅行のため、四月二十六日から五月六日まで十一日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、許可することに決まりました。      ————◇—————  日程第一 日本学術振興会法の一部を改正す   る法律案内閣提出
  6. 土井たか子

    議長土井たか子君) 日程第一、日本学術振興会法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。文教委員長柳沢伯夫さん。     —————————————  日本学術振興会法の一部を改正する法律案及び   同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔柳沢伯夫君登壇
  7. 柳沢伯夫

    柳沢伯夫君 ただいま議題となりました日本学術振興会法の一部を改正する法律案にっきまして、文教委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、我が国が来るべき二十一世紀に向けて科学技術創造立国を目指し、基礎研究に裏づけられた創造性豊かな学術研究を振興することによって次世代への知的資産を形成していくため、日本学術振興会への出資制度を新設した上で、大学等研究機能を活用して、将来に向けた知的資産の創出が期待される学術研究を重点的に推進しようとするものであります。  その主な内容は、  第一に、日本学術振興会に対する政府からの出資に関する規定を新設すること、  第二に、日本学術振興会目的及び業務に「学術の応用に関する研究を行うこと」を追加すること、  第三に、この業務の一部については振興会大学その他の研究機関に委託して実施できることとすることであります。  このほか、振興会財務内容の公開及び振興会の行う収益事業に対する非課税措置拡大等について定めることといたしております。  本案は、二月六日本院提出された後、四月十八日本委員会に付託され、昨日奥田文部大臣から提案理由説明を聴取し、質疑を行ったところであります。  質疑を終了いたしましたところ、片岡武司君外三名から、本案施行期日平成八年四月一日から公布の日に改めるほか、非課税措置拡大にかかわる経過措置を設ける旨の修正案提出され、採決の結果、本案全会一致をもって修正議決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  8. 土井たか子

    議長土井たか子君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり修正議決いたしました。      ————◇—————  日程第二 幹線道路沿道整備に関する法   律等の一部を改正する法律案内閣提出
  10. 土井たか子

    議長土井たか子君) 日程第二、幹線道路沿道整備に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。建設委員長二見伸明さん。     —————————————  幹線道路沿道整備に関する法律等の一部を   改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔二見伸明登壇
  11. 二見伸明

    二見伸明君 ただいま議題となりました幹線道路沿道整備に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、道路交通騒音をめぐる厳しい状況にかんがみ、道路交通騒音の著しい幹線道路において道路構造改善等を進めるとともに、その沿道においても沿道整備計画制度拡充等を行うことにより、町づくりと一体となった沿道環境整備を図り、道路交通騒音により生ずる障害の防止沿道にふさわしい土地利用を実現しようとするものであります。  本案は、去る四月二十三日本委員会に付託され、昨二十四日中尾建設大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  12. 土井たか子

    議長土井たか子君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 農畜産業振興事業団法案内閣提   出)
  14. 土井たか子

    議長土井たか子君) 日程第三、農畜産業振興事業団法案議題といたします。  委員長報告を求めます。農林水産委員長松前仰さん。     —————————————  農畜産業振興事業団法案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔松前仰君登壇
  15. 松前仰

    ○松前仰君 ただいま議題となりました農畜産業振興事業団法案につきまして、農林水産委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、特殊法人整理合理化を推進し、農産物の価格安定業務の効率的な運営を図るための措置を講じようとするものであります。  すなわち、畜産振興事業団及び蚕糸砂糖類価格安定事業団を解散し、新たに農畜産業振興事業団を設立するものとし、新事業団は、解散する両事業団の一切の権利及び義務を承継することとしております。  また、新事業団役員については、両事業団役員合計数の四分の一以上の縮減を行うこととしております。  委員会におきましては、昨四月二十四日大原農林水産大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行いました。  質疑終局後、直ちに採決をいたしましたところ、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  16. 土井たか子

    議長土井たか子君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  18. 七条明

    ○七条明君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  航空業務に関する日本国エティオピア連邦民主共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国メキシコ合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件、右両件を一括議題とし、委員長報告を求め、その審議を進められることを望みます。
  19. 土井たか子

    議長土井たか子君) 七条明さんの動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。     —————————————  航空業務に関する日本国エティオピア連邦民主共和国との間の協定締結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国メキシコ合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件
  21. 土井たか子

    議長土井たか子君) 航空業務に関する日本国エティオピア連邦民主共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国メキシコ合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。  委員長報告を求めます。外務委員長関谷勝嗣さん。     —————————————  航空業務に関する日本国エティオピア連邦民主共和国との間の協定締結について承認を求めるの件及び同報告書  所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国メキシコ合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔関谷勝嗣君登壇
  22. 関谷勝嗣

    関谷勝嗣君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  まず、エチオピアとの航空協定について申し上げます。  平成八年四月二十五日衆議院会議録第二十具  従来より、エチオピア側より我が国に対し定期航空路開設の希望が表明されておりましたが、平成七年二月に両国政府間で協定締結の交渉を行った結果、合意に達しましたので、平成八年三月二十五日、アディスアベバにおいて本協定の署名が行われました。  本協定内容は、我が国がこれまで締結した航空協定とほぼ同様のものであり、我が国エチオピアとの間の定期航空業務を開設するため、業務の開始及び運営についての手続及び条件、相手国の空港及び施設の使用料についての最恵国待遇及び内国民待遇の許与、燃料等に対する関税の免除、運賃決定に関する手続民間航空の安全を保護するための措置等について規定するとともに、附属書において指定航空企業運営する路線を定めております。  次に、メキシコとの租税条約について申し上げます。  メキシコとの租税条約は、平成八年四月九日、メキシコシティーにおいて署名されたもので、国際的な二重課税を可能な限り回避または排除することを目的とし、近年、我が国締結した租税条約とほぼ同様のものであります。  本条約は、条約が適用される租税企業事業所得及び国際運輸業に対する課税、配当、利子及び使用料についての源泉地国の税率の制限並びに自由職業者給与所得者、芸能人及び学生等人的役務所得に対する課税原則等について定めております。  以上両件は、去る四月二十三日外務委員会に付託され、本二十五日池田外務大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、エチオピアとの航空協定全会一致をもって承認すべきものと議決し、メキシコとの租税条約は、討論の後、多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  23. 土井たか子

    議長土井たか子君) これより採決に入ります。  まず、航空業務に関する日本国エティオピア連邦民主共和国との間の協定締結について承認を求めるの件にっき採決いたします。  本件委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 土井たか子

    議長土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本件委員長報告のとおり承認することに決まりました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国メキシコ合衆国との間の条約締結について承認を求めるの件につき採決いたします。  本件委員長報告のとおり承認するに賛成の皆さんの起立を求めます。     〔賛成者起立
  25. 土井たか子

    議長土井たか子君) 起立多数。よって、本件委員長報告のとおり承認することに決まりました。      ————◇—————  厚生年金保険法等の一部を改正する法律案   (内閣提出)の趣旨説明
  26. 土井たか子

    議長土井たか子君) この際、内閣提出厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。厚生大臣菅直人さん。     〔国務大臣菅直人登壇
  27. 菅直人

    国務大臣菅直人君) ただいま議題となりました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  公的年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るため、これまで逐次、全国民共通基礎年金制度導入被用者年金制度給付公平化等改革を進めてきたところでありますが、今後二十一世紀にかけて我が国人口構造が急速に高齢化する中、被用者年金制度を公平で安定したものとするためには、被用者年金制度を再編成し、財政単位拡大するとともに、費用負担公平化を図ることが必要であります。  この法律案は、こうした状況を踏まえ、被用者年金制度の再編成の第一段階として、既に民営化されている旧公共企業体共済組合長期給付事業厚生年金保険統合するとともに、日本鉄道共済組合または日本たばこ産業共済組合組合員期間を有する者に係る年金給付に要する費用の一部に充てるため、年金保険者たる共済組合拠出金を納付する制度を創設すること等、所要措置を講ずるものであります。  以下、この法律案の主な内容にっきまして御説明申し上げます。  第一は、旧公共企業体共済組合長期給付事業厚生年金保険への統合であります。  統合後新たに受給権が発生する年金給付について厚生年金保険法による年金給付を行うとともに、統合時までに受給権が発生している年金給付について厚生年金保険から支給することとしてお ります。また、これらの年金給付に要する費用に充てるため、積立金移換を行うとともに、年金保険者たる共済組合厚生年金保険に対して拠出金を納付することを法定することとしております。  第二は、国家公務員共済制度適用対象見直しであります。  旧公共企業体国家公務員共済制度適用対象から除外し、厚生年金保険適用対象とするとともに、関係規定について所要整理を行うこととしております。また、厚生年金保険に対する積立金移換恩給公務員期間等に係る給付等業務を行うため、旧公共企業体共済組合は、大蔵大臣が指定した厚生年金基金当該業務を行う場合を除き、なお存続することとしております。  このほか、旧公共企業体共済組合短期給付事業健康保険組合への移行、被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法廃止等所要措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  厚生年金保険法等の一部を改正する法律案   (内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  28. 土井たか子

    議長土井たか子君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。福島豊さん。     〔福島豊登壇
  29. 福島豊

    福島豊君 新進党の福島豊でございます。  ただいま趣旨説明のありました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案並びに関連諸事項について御質問をいたします。  二十一世紀に向かい、我が国は世界にも例を見ない急速なスピードで高齢化進行いたしております。二〇二〇年には人口の四分の一が六十五歳以上の高齢者となる超高齢社会を迎えると予想されております。  このような人口構造の急速な変化は、経済社会に対して大きなインパクトを与えるものであり、とりわけ社会保障制度運営に与える影響は大きなものがあります。また、人口構造変化のみならず、産業構造も、産業ソフト化情報通信革命といった大きな変貌を遂げつつあります。  この変化を適切な制度改革によって受けとめ、将来にわたって安定した制度運営を図ることは、政府の重要な責務であると考えます。その意味で、先ほど趣旨説明のありました厚生年金保険法改正も、産業構造変化高齢化進行に対する一連の制度改革の一環としてとらえ、適切な評価、判断を下すことが必要であると考えます。  私は、年金制度の安定的な運営のためには一元化は不可欠であると考えます。一業種一業態に限定された年金制度では、産業構造変化就業構造変化を受けとめることはできません。  昭和五十九年に公的年金制度一元化が閣議決定されてから十年の間に、基礎年金制度導入制度間調整法の実施などが行われました。そして、今回のJRJTNTT共済統合に至るわけでありますが、一元化という最終的なゴールへはまだ道半ばであると考えます。今後の一元化へ向けての見通しについて、まず初めにお伺いいたしたいと思います。  とりわけ農林漁業団体共済組合につきまして、今後想定される組織改革過程で、急速に成熟度高まり財政状況悪化するのではないかと懸念されておりますが、総理の御認識をお伺いいたしたいと思います。  次に、統合に当たっての負担分担についてお尋ねをいたします。  財政状況悪化した年金制度を余力のある制度統合することにより制度安定運営を図るわけですから、各制度財政状況成熟度そして過去の経緯を踏まえ、その負担を適切に分担することが必要であります。  今回の改正では、基本的な枠組みとして二つ措置がとられております。  第一は、JRJT共済独立制度として運営していた期間給付が確定した部分については、JRJT共済から必要な額の積立金移換すること、第二は、物価スライド、再評価といった世代間扶養で賄われている部分については、負担能力負担平準化観点を踏まえながら、被用者保険制度全体で公平に分担するということであります。  私は、給付費について二つの性格が異なる部分に分け、それぞれに負担する主体を区別する方式については理にかなったものと考えますが、移換される積立金についてお尋ねをいたしたいと思います。  JR共済から移換すべき積立金は、年金数理に基づく計算から一兆二千百億円とされておりますが、現有積立金は三千四百十六億円しかありません。さらに、現有積立金から二カ月分年金支払い準備金独自給付部分引当金の一千億円強を差し引くと二千億円にしかならず、差し引き一兆円が不足することになります。これは、国鉄清算事業団並びJR各社事業主負担として引き受けることとなっております。  しかし、国鉄清算事業団負担分の八千億円は、清算事業団の債務の状況を踏まえると、最終的には国の負担すなわち税金によってこれを賄うしか方途はないのではないかと考えます。多くの年金受給者がおり、年金財政を破綻させることは多大な影響があることを考えると、これを避けるわけにはいかないと思います。むしろ私は、清算事業団を迂回するような方法をとらずに、年金受給権を保護するために直接の財政支出を行うべきではないかとすら考えます。総理のお考えをお聞きいたしたいと思います。  第二の物価スライド、再評価に係る給付については、JRJT共済加入者保険料の一部を充当した上で、不足する部分について被用者年金制度全体で負担することとなっており、その二分の一は各制度賃金総額により案分した負担負担能力に応じた配分、残りの二分の一は制度間の格差を踏まえ負担を平準化するように配分されております。当面五年間は千六百億円の負担分担することとなっておりますが、二〇三五年までの期間には当然それぞれの制度状況変化すると考えられます。今後の負担分担見直しについてはどのような方針でこれを行うのか、御説明をいただきたいと思います。  次に、JR共済JT共済加入者の処遇の改善についてお尋ねをいたします。  制度間調整を行う過程で、JR共済JT共済加入者は、保険料負担の加重、年金受給額についての制限が行われてまいりました。厚生年金の保 険料率一六・五%に対して、JR共済では一九・五九%、JT共済では一九・〇七%の負担となっております。また受給面でも、既裁定年金の一〇%スライド停止標準報酬評価の繰り延べなど、厚生年金と比較して受給額は低い水準に抑制されております。財政悪化の責任を加入者個人に帰することはできないわけであります。このような格差は今改正による統合によりできるだけ速やかに解消していくべきと考えますが、その見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。  次に、関連しまして若年層年金離れについてお尋ねをいたします。  今回の改正も、世代間扶養という観点から、各制度が協力することによって可能になっております。今後も我が国年金制度を安定的に運営していくためには、世代間扶養考え方に立った年金制度への信頼感国民の間に確立されていることが重要であると考えます。  しかし、この年金制度への信頼感が近年揺らぎつつあるのではないかと感じられてなりません。先日、新聞で次のようなある学生の意見を紹介しておりました。「我々の世代保険料を納付しても将来もとがとれないと言われている。高齢化が進むにつれ世代間扶養賦課方式で継続するのは困難であり、若い世代にとって受け入れていくのにかなりの抵抗がある」。  こうした考え方は、我が国年金制度に対する誤解世代間扶養に対する誤解が生み出すものでありましょうけれども、公的な世代間扶養のあり方について理解が得られないことは、長期的には公的年金制度空洞化、とりわけ現在問題になっております一階部分国民年金制度空洞化を進める大きな原因となるのではないかと考えられます。  現在検討中の介護保険も、若年層負担分担してもらう必要があるとのことであります。年金制度を含め、世代間扶養我が国社会保障についての認識国民の間に浸透するための努力を政府は真摯になすべきと考えますが、御見解をお聞きいたしたいと思います。  次に、年金制度信頼感を損ねる原因の一つともなっている厚生年金基金財政状況悪化についてお尋ねをいたしたいと思います。  この問題はマスコミでも繰り返し取り上げられておりますが、基金財政状況は、バブル崩壊後、株安、超低金利のもと運用利回りが低下し、急速に悪化いたしました。産業構造就業構造変化による被保険者の減少、高齢化進行による受給者の増加と相まって、破綻、解散する基金も出現いたしております。  先日の報道では、全基金の一五%に相当する二百八十九基金支払い超過に陥っていると報道されました。また、大企業基金でも年金資金不足が巨額になっていることが指摘されております。年金基金相当分は、年金生活の質を確保する部分とも言え、決して放置できる問題ではなく、安定した運営を回復するための手だてが必要であると考えます。  九四年に解散した日本紡績業年金基金では、支払い保証事業が初めて適用されることとなりましたが、不足分二十五億円に対して、厚生年金基金連合会では約四割の十億円の補てんしか認めませんでした。基金事業の管理・執行が適切を欠いたというのがその理由のようでありますけれども、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案趣旨厚生省が音頭をとってつくり、多くのOBが天下っている現状を考えると、今になって自己責任原則のみを振りかざし、受給権の保護に十分な配慮をしないことは納得がいきません。  厚生省は、現在、資産運用の効率化を目的に資産運用の規制緩和を行い、予定利率の見直し給付設計の弾力化、支払い保証事業見直しなど検討を行っているようでありますが、受給権の保護という観点から、支払い保証制度の早急な充実を図るべきであると考えます。個々の基金の大きさはJR共済などと比べればはるかに小さいものであるかもしれませんが、年金制度に対する不信感を今以上に拡大させないためにも適切な対応が必要と考えます。御見解をお聞きしたいと思います。  次に、関連して年金国際化への対応についてお尋ねいたします。  ボーダーレスの時代と言われる今日、海外で長期にわたり勤務するサラリーマンもかつてとは比較にならないほど増加しております。ドイツとの間では、昨年、当時の井出厚生大臣がドイツを訪問し、国際年金協定の早期締結に向けて合意がなされ、現在、作業が進行中であると伺っております。ドイツの在留邦人のうち協定が適用されるサラリーマンの数は一万人と推定されておりますから、大変な数であります。  しかし、最も交流が盛んな米国との間では、協定はいまだに成立いたしておりません。またイギリスでも、日本企業から締結を求める動きが活発化していると言われております。さまざまな経緯があろうかと思いますが、積極的な対応が必要であると考えます。今後の対応についてお聞かせいただきたいと思います。  締めくくりに、二十一世紀福祉ビジョンに関連してお尋ねをいたします。  平成六年に発表されました福祉ビジョンでは、初めて社会保障にかかわる給付負担の将来見通しが試算されました。その後、このビジョンについてはさまざまな意見が提出されましたが、その中に、試算の基礎となる国民所得の伸びの仮定が過大に過ぎるのではないかとの指摘もありました。  ここ数年の日本経済の状況を踏まえると、二十一世紀福祉ビジョンで示された試算は、やや楽観的に過ぎるのではないかと感じざるを得ません。そして、第二次行革審で示された国民負担率を五〇%にとどめるという目標も、改めて、果たしてそれが可能なのかどうか見直す必要があるのではないかと私は考えます。  消費税率の引き上げ幅の検討も始まっておりますが、財政の危機的状況を踏まえ、財政再建という目標も織り込んだ新たなるビジョン、二十一世紀福祉ビジョンで示された福祉社会像を前提とする財政の新たなビジョンを策定すべきと考えますが、御所見をお聞きしたいと思います。  政治には説明する責任があると私は思います。二十一世紀に向け、痛みと負担の伴うさまざまな改革をなし遂げなければならない今日、国民に向かって理解を求める説明の責務は一層重要であると私は思います。このたびの住専の処理のごとき不透明な政治手法から、開かれた政治への転換を最後に総理に強く求めまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇
  30. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 福島議員にお答えを申し上げます。  まず、今後の一元化に向けての見通しについてのお尋ねでありますが、公的年金制度は、その長期的な安定が極めて重要であることは御指摘のとおりであります。このため、これまでも種々の改革を進めてまいりましたが、今回、日本鉄道共済組合等三共済組合厚生年金統合する法律案提出いたしました。政府といたしましては、今後も、就業構造変化制度の成熟化の進展等に対応して、公的年金制度の安定化と公平化を図るために、その再編成を着実に進めてまいりたいと考えております。  御指摘の農林漁業団体共済組合につきましては、確かに議員の御懸念も理解できないではありません。しかし、現時点におきましては安定的な財政運営がなされておりますし、就業構造変化制度の成熟化の進展等に応じまして、今後とも財政再計算時ごとに将来の財政見通し等についての分析を行い、その安定化が図られるよう適切に対応したいと考えております。  次に、JR共済から移換される積立金について、国が直接財政支出を行うべきではないかという御意見でありますが、私はその点は議員と意見を異にいたします。今、いずれの年金制度高齢化、成熟化が進展している中で、財政安定のためにそれぞれ真剣に自助努力を行っております。そして、全国民共通の基礎年金に集中して国庫負担を行っております状況の中で、JR共済受給者のみに特定をして特別の国庫負担を行うということは、年金制度の公平性の観点から見まして私はとるべきではないと思います。  また、社会保障についての認識国民にいかに浸透させるかという点につきましては、私は、さすがに現場で苦労してこられた臨床医家の体験を生かした御指摘と真剣に聞きました。そして、まさにそうした理解は必要なのです。それだけに、これまでも社会保障運営状況とか将来見通しにっきまして情報提供には努力をしてきたつもりでありましたが、これからも一層わかりやすい社会保障の情報提供に努めていきたいと思います。  また、福祉ビジョンについてお尋ねがございました。  確かに私どもは、第二臨調のときに示されました国民負担率を今までさまざまな議論の根底に置いております。そして私は、これは一つの国民的なコンセンサスの上に立ったベースの数字であったように今まで考えてまいりました。その上で社会保障に係る給付負担の将来見通しというものを議論してきたわけでありますが、必要な見直しも検討してまいりたいと思います。そして、財政再建の中での御議論等も踏まえながら今後の社会保障のあり方についても検討を進めてまいりたいと考えております。  残余の質問は、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)     〔国務大臣久保亘君登壇
  31. 久保亘

    国務大臣(久保亘君) 私の方からお答えいたします点は三点であろうかと思いますが、既に総理の方からお答えのありました点については省略をいたします。  JR共済から厚生年金への移換金についてのお尋ねに関しまして、今回の統合に伴う国鉄清算事業団負担は、所要積立金を確保しなければならないという事業主の年金制度上の義務に関して、旧国鉄時代の事業主として負担するものであり、国が直接負担すべき性格のものではないと考えております。いずれにせよ、積立金移換については、国鉄清算事業団負担分を含め今回の改正法案の規定に基づき確実に実施することによって、統合後の年金財政に悪影響を及ぼすことのないよう万全を期してまいりたいと考えております。  次に、JR共済給付抑制措置についてのお尋ねがございました。  鉄道共済が自助努力の一環として実施しております給付抑制措置のうち、標準報酬評価の繰り延べ措置につきましては、公的年金制度一元化に関する懇談会の報告書において、統合に際し見直すことが適当であると指摘されているところであり、統合後は鉄道共済に係る受給者についても厚生年金水準の年金を支給することが適当であると考えられることから、統合に伴い解除することといたしております。なお、既裁定年金の一〇%スライド停止については、鉄道共済の給付水準を厚生年金相当水準に合わせるという趣旨で実施しているものでございますから、統合後においても見直すことは考えておりません。  最後に、福祉ビジョンについてのお尋ねに財政当局の立場からお答えいたします。  今後の社会保障のあり方を考えるに当たっては、社会保障も経済活動の一環であることから、経済財政との整合性に留意することも重要な要素であると認識いたしております。今後、社会保障に係る給付負担の将来見通しや今後の社会保障のあり方について検討が進められる過程において、このような観点からの検討も必要であると考えております。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣菅直人登壇
  32. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 福島議員の御質問にお答えいたします。  各制度負担分担見直しについてのお尋ねでございますが、各制度負担である拠出金は、半分は標準報酬総額に基づく案分で計算され、残りの半分は費用負担の平準化を勘案した形での案分によって、毎年度、各制度状況に応じてその額を算出し、それぞれの制度から拠出することとなっております。したがって、このような考え方のもとで、各制度成熟度の進展など状況変化に応じて負担分担が行われることになるものと考えているところであります。  また、JR共済等の保険料率についてのお尋ねでございますが、公的年金制度一元化に関する懇談会の意見書において、旧三公社共済の厚生年金への統合に際し、厚生年金より高い保険料率については従来の経緯を踏まえて段階的にその格差の解消を図るべきとされております。これを踏まえまして、JRJT共済加入者保険料率について厚生年金保険料率が追いつくまでの間は据え置くことといたしておりますので、御理解をいただきたいと思います。  次に、社会保障への理解についてということのお尋ねでございます。  社会保障は、言うまでもなく、国民一人一人の自立と社会連帯の意識に支えられた相互援助を基本とする仕組みであり、世代世代の支え合いが重要であると考えております。このため、社会保 障に対する国民の理解と協力を得る観点から、これまでも、二十一世紀福祉ビジョンにおける社会保障に係る給付負担の将来見通し公的年金制度の財政再計算結果といった制度運営についての具体的な情報の提供に努めてまいったところであります。また、制度改正内容等について各種パンフレットを作成するなど、総合的な周知啓発活動にも努めてきたところであります。今後とも、こうした情報提供や広報活動を通じて、国民の理解、特に若い皆さんの理解と協力を得るように一層努力をしてまいりたい、このように考えております。  次に、厚生年金基金財政悪化への対応についてのお尋ねでございます。  制度創設から三十年を経て、かつてのような経済成長が期待しにくくなっている今日、厚生年金基金の今後の安定的な発展を図っていくためには、制度全体について見直しが必要と考えております。このため、現在、基金関係者や学識経験者等による研究会において、支払い保証の制度の充実も含め制度全体について検討し、夏ごろをめどに報告をまとめていただくこととしております。この検討結果を受けて、年金審議会や関係者の御意見を聞きながら、必要な制度改正に取り組んでまいりたい。大変厳しい状況であることを認識しておりますが、その上で制度改革に取り組んでまいりたい、このように考えております。  また、国際年金通算協定締結についてのお尋ねでございます。  国際的な人的交流の活発化に伴い、年金受給権の保全や二重適用の解消を図るため、国際年金通算協定締結の必要性が増大してきております。  平成八年四月二十五日衆議院会議録第二十口戸ドイツとの間におきましては、先ほど議員もおっしゃったように、昨年九月の予備交渉に続きまして、現在交渉団を派遣しておりまして、協定締結のための交渉を進めているところであります。また、今後、我が国との人的交流の多いアメリカ、イギリスにつきましても、日独の交渉の状況を見ながら適切に対応してまいりたい、このように考えております。  御質問の最後に、福祉ビジョンについてのお尋ねであります。  二十一世紀福祉ビジョンにお示しした社会保障に係る給付負担の将来見通しについては、その後の状況変化高齢者介護保険制度の検討状況も踏まえ、必要な見直しを検討してまいりたいと考えております。また、高齢化の進展に伴って社会保障に係る費用が増大していくことは避けられないものと考えておりますが、厳しい財政事情のもとで、社会保障制度全体の構造改革ということを図りながら、その効率的な提供に努力していく所存であります。(拍手)     —————————————
  33. 土井たか子

    議長土井たか子君) 横光克彦さん。     〔横光克彦君登壇
  34. 横光克彦

    ○横光克彦君 私は、自由民主党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけを代表いたしまして、ただいま議題となりました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係閣僚に質問させていただきます。  我が国は、合計特殊出生率一・四六人という少子化と、四人に一人以上が六十五歳以上の高齢者になるという、世界に類を見ない少子・高齢社会を迎えると言われております。この中で、雇用システムのあり方や、社会保障における現役世代と高齢世代負担給付のバランス、子育ての社会的支援、新たな介護システムの創設など、社会経済の仕組みを少子・高齢社会にふさわしいものに改めていかなければなりません。  高齢期の所得保障の中核をなす公的年金制度もまた将来にわたり国民に信頼される制度として継続していくためには、制度を支える現役世代年金受給者所得水準とのバランスに配慮すること、また同時に、制度間の給付負担の均衡を図る、いわゆる年金の一元化に取り組むなど、不断の改革を進めていく努力が必要であろうと思います。  年金の一元化国民合意のもとで進めるには、何のために一元化するのかという哲学を明らかにする必要があります。財政が困っている制度を財政余力のある制度が救済するというだけではなく、全国民の連帯による公正公平な年金制度をいかにして確立していくかという観点が強調されなくてはなりません。もう一つは、産業構造就業構造変化に対応できる弾力的で安定的な制度を構築していくという視点も忘れてはなりません。まず総理にお伺いしたいのは、年金一元化の基本的な目標は何であるかということであります。  さて、本改正案の趣旨でありますが、JRJT、NTTの各共済年金を厚生年金統合することに際しましては、厚生年金が過大な負担を負うことのないようにしなければ厚生年金加入者の理解は得られません。統合される三共済は、合計二兆五千百億円の積立金移換を行いますが、厚生年金移換すべき積立金に対しては各共済組合がきちんと責任を持たなければならないということは申すまでもありません。  特にJR共済は、国鉄清算事業団が八千億円、JR各社が二千億円を負担し、現有積立金の二千億円と合わせ約一兆二千億円を厚生年金移換することになり、その負担についてJR各社の最大限の経営努力が求められております。しかし、国鉄清算事業団の債務については現在約二十数兆円にも上ると言われており、JR共済年金の厚生年金への統合に伴う国鉄清算事業団負担はどのようにして賄われていくのでしょうか。この点について運輸大臣の御見解をお伺いいたします。  年金の一元化は、他の共済年金についても、財政危機に陥る前にできるだけ早く対応し、進めていくことが大切ではないでしょうか。それには、それぞれの年金制度財政状況や将来の見通しについての情報を公開し、中立公平な機関によって定期的に検証していくことが必要で、それを踏まえた上で一元化の具体的な方法を検討しなければならないと考えますが、年金財政の情報公開やその検証方法の確立について政府が積極的に取り組まれるその御決意を厚生大臣にお尋ねいたします。  さらに、旧三公社共済の厚生年金への統合後は、国家公務員共済組合及び地方公務員共済組合の財政安定措置を検討すること、また、農林漁業団体職員共済組合、私立学校教職員共済組合について、被用者年金制度全体の中でのあり方を検討すると先般閣議決定されたところでありますが、政府は、財政単位拡大費用負担の平準化という年金一元化の基本的な方向を踏まえ、今後の一元化の全体的方策を国民に示す必要があろうと思います。この点について、年金問題担当大臣であ ります厚生大臣の御見解をお伺いいたします。  さて次に、二十歳以上の全国民に共通する基礎年金部分に係る課題についてお尋ねいたします。  まず、国民年金の空洞化についてであります。  国民年金は、かつての自営業者、農業従事者を対象とする制度から、一九八五年の改正により、全国民共通基礎年金制度へと生まれ変わりました。しかし、自営業者等の第一号被保険者に対しての保険料は強制徴収となっておりません。そのために、多くの未加入者、保険料滞納者が生じ、制度空洞化が生じております。未加入、滞納は、本人にとって将来の低年金、無年金につながり、ひいては国民年金の形骸化にもつながるわけでございます。この国民年金の空洞化について早急に対応策を検討しなければなりませんが、この点について厚生大臣の御見解をお伺いいたします。  また、年金の空洞化解消との関連において、一昨年の年金大改正の際に議論され国会修正が行われました基礎年金の国庫負担引き上げ問題について、政府はどのように考えておられるのか、総理のお考えをお聞かせください。  加えて、来年一月から実施される予定の基礎年金番号についてお尋ねいたします。  基礎年金番号の導入は、先ほど述べました国民年金の空洞化を防ぐ一つの方策になると考えております。これにより、国民年金への加入状況の正確な把握が可能となり、未加入者の発生防止に役立つと思われるからであります。しかしながら、基礎年金番号の設定に当たっては、プライバシーの確保に万全の対策をとっておかなければなりません。日本は今や急激にコンピューター化が進んでおりますが、しばしば個人に関するさまざまな情報が漏れるという事態が発生し、社会問題化しております。この制度導入に伴って留意しなければならないプライバシー確保対策について、厚生大臣の御見解をお伺いいたします。  年金制度は、世代間の助け合いによって成り立つ制度であります。年金制度は、マスコミ等で報じられておりますように、年金の危機とも誤算とも言われる状況であります。これからますます少子・高齢社会が進みますが、現在保険料を支払い、高齢者を社会的に扶養している勤労世代が高齢期を迎えたときに、そのときの現役世代が十分な負担をしてくれるかどうかという不安感が生まれております。また、低金利や激しい企業のリストラ、さらには産業構造変化の中で、厚生年金基金運営の困難性も指摘されているところであります。  こうした年金制度に対する不信あるいは不安を取り除くためにも、将来の年金ビジョンを明確にしておかなければならないと思いますが、この点について最後に総理の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇
  35. 橋本龍太郎

    ○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 横光議員にお答えを申し上げます。  まず、公的年金制度一元化の基本的な目標についてというお尋ねでありました。  これは申し上げるまでもなく、その長期的な安定、そして負担の公平、そして給付の公平が一番重要なことだと思います。そして私は、公的年金制度一元化の目標と申しますなら、まさに長期的な安定、そして給付負担の公平だと思います。今日までもそうした考え方政府は進んでまいりましたが、今回の三共済組合厚生年金への統合に続きまして、今後も、就業構造変化あるいは制度の成熟化の進展などに応じながら、公的年金制度の安定化と公平化を図る、そうした視点からの再編成を着実に進めてまいりたいと考えております。  次に、基礎年金の国庫負担の引き上げ問題であります。  御指摘のとおり、平成六年の国民年金法等の一部を改正する法律案の審議の過程におきまして、「財源を確保しつつ、基礎年金の国庫負担の割合を引き上げることについて総合的に検討を加える」旨、附則検討規定修正追加をされました。この規定におきましても、「年金事業の財政の将来の見通し国民負担の推移、基礎年金の給付水準、費用負担の在り方等を勘案」すべきこと、そうされております。そして、先ほどの御質問にもお答えしたところでありますが、私は、医療や福祉も含めて社会保障施策全体の中での優先順位をどうするかなど、この問題については幅広い観点から検討していく必要があると思っております。  年金の将来のビジョンについても同様のことが言えると思います。年金制度というものは長期保険でありますから、五年ごとの財政再計算の際には、人口構造変化等を踏まえた将来の長期的な年金財政見通しを作成し、公表いたしておるわけであります。年金制度のみならず社会保障制度全体に共通することだと私は思いますけれども、国民の信頼を確保していこうとするなら、制度運営に関する情報提供を積極的に行い、国民の理解を得るよう努力することは絶対に必要でありますし、社会経済の変化に対応した必要な改革を進めること、同時に、長期的に安定した制度の確立に向けての取り組みを真剣に行っていく必要がある、私はそのように考えております。残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)     〔国務大臣菅直人登壇
  36. 菅直人

    国務大臣菅直人君) 横光議員の御質問にお答えを申し上げます。  まず、年金財政の情報公開や検証方法の確立についてのお尋ねでございますが、国民の老後生活にかかわりの深い年金の財政運営状況に関する情報については、わかりやすい形で国民に提供していくことは、広く年金に対する国民の理解と信頼を得ていく上で極めて重要なことだと考えております。このため、今後とも各制度がそれぞれ適切な情報を公開していくように努めるとともに、社会保障制度審議会年金数理部会において、専門的、中立的な立場から各制度の安定性や公平性について検証を行っていただくことといたしております。  次に、今後の一元化の全体的方策についてのお尋ねでございます。  御指摘のように、国家公務員共済組合及び地方公務員共済組合の財政安定化措置を検討すること、また、農林漁業団体職員共済組合、私立学校教職員共済組合について、被用者年金制度全体の中でのあり方を検討すること等を内容とする基本方針を定める閣議決定をしたところでございます。今後は、この基本方針に沿って、制度の安定性、公平性の確保に関し、財政再計算時ごとに検証を行いつつ、その具体化に努めてまいりたい、このように考えているところです。  次に、国民年金の未加入、未納対策についてのお尋ねでございます。  国民一人一人の将来の年金権を確保するとともに、公的年金制度の健全な運営を図っていくためには、未加入者、未納者の解消は極めて重要な課題であると認識しております。このため、二十歳到達者に対する手帳送付による適用、国民健康保険との連携の強化、基礎年金番号の導入による適用対策の推進を図るとともに、保険料の口座振替の促進、専任徴収者の増員等、納付対策の推進に努めることとしております。また、国民の理解と信頼を深めるための各種広報活動の強化充実にも努めてまいりたい、このように考えております。  最後に、基礎年金番号に係るプライバシー保護についてのお尋ねでございます。  基礎年金番号は、現行の制度ごとの年金番号を各制度で共通して使用できるものとすることにより、年金サービスの向上と未加入者の解消を図ることを目的としているものでありますが、同時に、プライバシー保護についても万全を期していきたいと考えております。このため、個人情報保護法を踏まえまして、年金目的以外の利用、提供は行わないこと、また、年金番号管理室を設置し、情報へのアクセスの制限、情報提供の際の本人確認の徹底を行う、さらに、万一番号が悪用され本人が不利益を受けたような場合には番号の変更を行うなど、プライバシーの保護について遺憾なきよう徹底した対策を講じてまいりたい、このように考えております。(拍手)     〔国務大臣亀井善之君登壇
  37. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 横光議員にお答えをいたします。  JR共済年金が厚生年金統合される際の移換金について国鉄清算事業団はどのように負担をするのか、このような御質問でございました。  清算事業団が抱える長期債務等の償還については、昭和六十三年一月二十六日の閣議決定において、土地、株式の資産売却収入等の自主財源を充ててもなお残る事業団の債務等については、「最終的には国において処理するものとする」とされているところであります。今回の鉄道共済の厚生年金への統合に当たり必要とされる移換金に係る負担についても、平成八年三月八日の法案提出時の閣議決定において、「既存の債務等と同様の取扱いをするもの」とされたところであります。  なお、各年度における支払い額を初めとする移換金の具体的な支払い方法等については、今後関係者間で調整を図ることといたしております。(拍手
  38. 土井たか子

    議長土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  39. 土井たか子

    議長土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。     午後一時十五分散会