運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1996-01-22 第136回国会 衆議院 本会議 第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
八年一月二十二日(月曜日) ――
―――――――――――
議事日程
第一号
平成
八年一月二十二日 午前十時
開議
第一
議席
の
指定
………………………………… 一
国務大臣
の
演説
――
―――――――――――
○本日の
会議
に付した案件
日程
第一
議席
の
指定
外務
、
労働
、
建設
、
安全保障
、
科学技術
及び環 境の各
常任委員長辞任
の件
外務委員長外
五
常任委員長
の
選挙
災害対策
を樹立するた
め委員
四十人よりなる災
害対策特別委員会
、
公職選挙法改正
に関する
調査
を行うた
め委員
二十五人よりなる
公職選
挙法改正
に関する
調査特別委員会
、
石炭
に関 する
対策
を樹立するた
め委員
二十五人よりな る
石炭対策特別委員会
、
物価問題等国民
の消
費生活
に関する
対策
を樹立するた
め委員
二十 五人よりなる
消費者問題等
に関する
特別委員
会、交通安全に関する
総合対策樹立
のため委 員二十五人よりなる
交通安全対策特別委員会
及び
沖縄
及び北方問題に関する
対策樹立
のた
め委員
二十五人よりなる
沖縄
及び北方問題に 関する
特別委員会
を
設置
するの件(
議長発議
)
国会等
の
移転
に関する
調査
を行うた
め委員
二十 五人よりなる
国会等
の
移転
に関する
特別委員
会、
地方分権
の
推進
に関する
調査
を行うため
委員
二十五人よりなる
地方分権
に関する
特別
委員会
及び
規制緩和
に関する
調査
を行うため
委員
二十五人よりなる
規制緩和
に関する
特別
委員会
を
設置
するの件(
議長発議
)
橋本内閣総理大臣
の
施政方針
に関する
演説
池田外務大臣
の
外交
に関する
演説
久保大蔵大臣
の
財政
に関する
演説
田中国務大臣
の
経済
に関する
演説
午後零時三分
開議
土井たか子
1
○
議長
(
土井たか子
君)
皆さん
、第百三十六回国 会は本日召集されました。 これより
会議
を開きます。 ――
――◇―――――
日程
第一
議席
の
指定
土井たか子
2
○
議長
(
土井たか子
君)
日程
第一、
議席
の
指定
を行います。
衆議院規則
第十四条によりまして、
皆さん
の
議席
は、
議長
において、ただいまの仮
議席
のとおりに
指定
いたします。 ――
――◇―――――
常任委員長辞任
の件
土井たか子
3
○
議長
(
土井たか子
君)
常任委員長辞任
の件につきお諮りいたします。
外務委員長三原朝彦
さん、
労働委員長笹山登生
さん、
建設委員長遠藤和良
さん、
安全保障委員長神田厚
さん、
科学技術委員長野呂昭彦
さん及び
環境委員長阿部昭吾
さんから、それぞれ
常任委員長
を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
土井たか子
4
○
議長
(
土井たか子
君) 御
異議
なしと認めます。よって、許可することに決まりました。 ――
――◇―――――
常任委員長
の
選挙
土井たか子
5
○
議長
(
土井たか子
君) つきましては、これより各
常任委員長
の
選挙
を行います。
七条明
6
○七条明君 各
常任委員長
の
選挙
は、その手続を省略して、
議長
において指名されることを望みます。
土井たか子
7
○
議長
(
土井たか子
君) 七条明さんの
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
土井たか子
8
○
議長
(
土井たか子
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
動議
のとおり決まりました。
議長
は、各
常任委員長
を指名いたします。
外務委員長
関谷
勝嗣
さん 〔
拍手
〕
労働委員長
岡島 正之さん 〔
拍手
〕
建設委員長
二見 伸明さん 〔
拍手
〕
安全保障委員長
吹田 愰さん 〔
拍手
〕
科学技術委員長
井上 喜一さん 〔
拍手
〕
環境委員長
杉山 憲夫さん 〔
拍手
〕 ――
――◇―――――
特別委員会設置
の件
土井たか子
9
○
議長
(
土井たか子
君)
特別委員会
の
設置
につきお諮りいたします。
災害対策
を樹立するた
め委員
四十人よりなる
災害対策特別委員会
公職選挙法改正
に関する
調査
を行うた
め委員
二十五人よりなる
公職選挙法改正
に関する
調査特別委員会
石炭
に関する
対策
を樹立するた
め委員
二十五人よりなる
石炭対策特別委員会
物価問題等国民
の
消費生活
に関する
対策
を樹立するた
め委員
二十五人よりなる
消費者問題等
に関する
特別委員会
交通安全に関する
総合対策樹立
のた
め委員
二十五人よりなる
交通安全対策特別委員会
及び
沖縄
及び北方問題に関する
対策樹立
のた
め委員
二十五人よりなる
沖縄
及び北方問題に関する
特別委員会
を
設置
いたしたいと存じます。これに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
土井たか子
10
○
議長
(
土井たか子
君) 御
異議
なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。 次に、
国会等
の
移転
に関する
調査
を行うた
め委員
二十五人よりなる
国会等
の
移転
に関する
特別委員会
地方分権
の
推進
に関する
調査
を行うた
め委員
二十五人よりなる
地方分権
に関する
特別委員会
及び
規制緩和
に関する
調査
を行うた
め委員
二十五人よりなる
規制緩和
に関する
特別委員会
を
設置
いたしたいと存じます。これに
賛成
の
皆さん
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
土井たか子
11
○
議長
(
土井たか子
君)
起立
多数。よって、そのとおり決まりました。 ただいま議決されました九
特別委員会
の
委員
は追って指名いたします。
土井たか子
12
○
議長
(
土井たか子
君) この際、暫時
休憩
いたします。 午後零時九分
休憩
――
――◇―――――
午後三時二十三分
開議
土井たか子
13
○
議長
(
土井たか子
君)
休憩
前に引き続き
会議
を開きます。 ――
――◇―――――
国務大臣
の
演説
土井たか子
14
○
議長
(
土井たか子
君)
内閣総理大臣
から
施政方針
に関する
演説
、
外務大臣
から
外交
に関する
演説
、
大蔵大臣
から
財政
に関する
演説
、
田中国務大臣
から
経済
に関する
演説
のため、発言を求められております。順次これを許します。
内閣総理大臣橋本龍太郎
さん。 〔
内閣総理大臣橋本龍太郎
君登壇〕
橋本龍太郎
15
○
内閣総理大臣
(
橋本龍太郎
君) 私は、さきの
国会
におきまして、
内閣総理大臣
に指名されました。戦後五十年を経て、国内的にも国際的にも大きな
転換点
に差しかかっているこの時期に政権を預かることの重大さを痛感し、
全力
で国政に取り組んでまいります。 まず、昨年一月十七日の阪神・
淡路大震災
により亡くなられた
犠牲者
の
方々
とその御遺族に改めて深く哀悼の意を表するとともに、今なお不自由な
生活
を余儀なくされておられる
方々
に心からお見舞いを申し上げます。
政府
としては、一日も早い
被災地
の復興と
被災者
の
方々
の
生活再建
に
最大限
の
取り組み
を行い、この
教訓
を踏まえ、今後の
災害対策
に
全力
を傾けてまいります。 私は、現在、この国に最も必要とされているものは「
変革
」だと思います。 私が
国会
に
議席
をいただきました昭和三十八年に百五十三人にすぎなかった百歳以上人口は今や六千人を超え、その間に
出生数
は百六十五万人から約百二十万人に大幅に減少しています。来
世紀
初頭には
国民
の五人に一人が、そして間もなく四人に一人が六十五歳以上となる
高齢社会
を迎えるのであります。こうした
世界
にもそして歴史上も類を見ない速度での
高齢化
の
進展
の中で、
人生
五十年を
前提
とした
社会
は、
人生
八十年を
前提
とした
社会
に大きく設計変更せざるを得ません。加えて、
冷戦構造
の崩壊と
世界経済
の
ボーダーレス化
、
国際社会
における
我が国
の地位の上昇など
国際環境
の激変に対応するためにも、好むと好まざるとにかかわらず、
我が国自身
があらゆる面で大きな
変革
を遂げなければならないのであります。 私が目指すこの国の姿は、一人一人の
国民
が、みずからの将来に夢や
目標
を抱き、
日本
人に生まれたことに誇りと自信を持つことができ、そして
世界
の人々とともに分かち合える価値をつくり出すことのできる、そのような
社会
であり
国家
であります。 私に課せられた使命は、このような理想を胸に、次なる
世紀
を展望し、政治、行政、
経済
、
社会
の抜本的な
変革
を勇気を持って着実に実行し、二十一
世紀
にふさわしい新しい
システム
を創出することにより、この国に活気と自信にあふれた
社会
を
創造
していくことであります。 私は、この
内閣
の使命を「
変革
」と「
創造
」とし、一層強固な三
党連立
の
信頼関係
のもとに、強靱な
日本経済
の
再建
、長生きしてよかったと思える
長寿社会
の
建設
、平和と繁栄の
創造
のための自立的な
外交
の展開、これらを
実現
するための
行財政改革
の
推進
の四点をこの
内閣
の最
重要課題
と位置づけてまいります。 両
世紀
のかけ橋とも言えるこの時代において政権を担う者の
責任
は重大であります。私は、ここに申し上げた
政策課題
について、「決断と
責任
」を
政治信条
に、みずからの
政治生命
をかけて
全力
で取り組んでまいる決意であります。(
拍手
) この
内閣
に課せられた最も緊急の
課題
は「強靱な
日本経済
の
再建
」であります。この国の
経済
を覆う
不透明感
を払拭し、将来に向けた明るい展望を開くためには、二十一
世紀
までに残された五年間を三
段階
に分け、第一
段階
において本格的な
景気回復
の
実現
、第二
段階
において抜本的な
経済構造改革
、第三
段階
として
創造
的な二十一
世紀型経済社会
の
基盤
の
整備
を行うことが重要であります。これらの
施策
は、それぞれ一年後、三年後、五年後を
目標
としつつも、相互に密接に
関連
するものとして、直ちに着手、
推進
していかなければならないものであることは論をまちません。
我が国経済
の最近の
状況
を見ますと、
個人消費
、
設備投資等
の
回復
に加え、生産にも明るい兆しが見えるなど、
景気
には緩やかながら
足踏み状態
を脱する動きが見られるものの、雇用や
中小企業分野
ではなお極めて厳しい
状況
が続いております。本年こそは、ようやく明るさの見え始めた
景気
の
回復
を確実なものとし、中長期的な
我が国経済
の
持続的発展
につなげていく
景気回復
の年としなければなりません。このため、来年度予算においては、
研究開発
や
情報通信
など
経済社会
の
構造改革
の
基盤
となる
分野
を重点的に
整備
することとしたほか、
特別減税
の来年度
継続実施
、
土地税制
の
総合的見直し
など
税制面
でも格段の配慮を行うこととしたものであります。
政府
としては、引き続き
為替動向
を注視しつつ、切れ目のない適切な
経済運営
に努めてまいります。
我が国経済
の
再建
と
構造改革
を行うに当たっては、
金融機関
の
不良債権
の問題の
解決
が必要不可欠であり、
預金者保護
、
信用秩序
の維持に
最大限
の
努力
を払いつつ、できるだけ早期に
解決
が図られるよう
全力
を傾けてまいります。 特に、いわゆる住専問題は、
不良債権
問題における象徴的かつ緊急の
課題
であり、
政府
としては、
我が国金融システム
の
安定性
と内外の信頼を確保し、
預金者保護
に資するとともに、
経済
を本格的な
回復軌道
に乗せるため、慎重の上にも慎重な検討を重ね、
財政資金
の導入を含む具体的な
処理方策
を決定いたしました。先般、
住専各社
の
財務状況等
について資料を提出いたしましたが、今後も、
衆参両院
の御
理解
、御
協力
をいただきながら、
情報開示
に
最大限
の
努力
を払ってまいります。 また、預金保険機構の指導のもと、
住専処理機構
が法律上認められているあらゆる
債権回収手段
を迅速的確に用いることにより
債権回収
を強力に行う体制を
整備
いたします。本件に
関連
する
違法行為
に対しては、既に検察、警察において
協議会
や
対策室
を設置しておりますが、今後とも、借り手、貸し手に限らず、その他の
関係者
についても厳正に対処してまいります。このように住専問題に係る
透明性
の確保と原因と
責任
の
明確化
を図りつつ、本
処理方策
についての
国民
の御
理解
を得るべく
全力
を尽くしてまいります。 また、過去の
金融政策
や
金融検査
・監督の
あり方
を総点検し、今後、
金融機関
における
自己責任原則
の徹底を図るとともに、
市場規律
が十分に発揮される、
透明性
の高い、新しい
金融システム
を早急に構築していくよう努めてまいる
所存
であります。 国境を越えた
経済活動
の一層の
活発化
、
アジア諸国
の
経済的台頭
などにより、
世界経済
はいわゆる大
競争時代
を迎え、
企業
が国を選ぶ時代となっている中で、
内外価格差
の存在など
経済
の高
コスト構造
を初めとする
構造的課題
が、
経済活動
の舞台としての
日本
の魅力を減退させつつあり、
産業
の
空洞化
の懸念が現実のものとなりつつあります。
我が国経済
の将来の展望を切り開くためにも、昨年決定した新
経済計画
に沿って大胆な
構造改革
に直ちに着手することが必要であります。 まず第一は、徹底的な
規制
の緩和であります。
経済的規制
については原則自由・
例外規制
、
社会的規制
については本来の目的に照らした最小限のものとするという基本的な
考え方
に立ち、
規制
が時を経て自己目的化したり、
利権保護
のとりでとなっているような
事態
が存在しないか、抜本的にその
見直し
を行ってまいります。特に、高
コスト構造
を是正するとともに、新たな
成長分野
の
発展
を阻む要因を取り払い、
経済
の
活性化
を促進するため、
住宅
・土地、
情報
・
通信
、流通・運輸、
金融
・証券、雇用・
労働分野
など、
消費者
や
企業
の
経済活動
の
基盤
となる
分野
で重点的な
規制緩和
を断行いたします。 民間における公正かつ自由な競争は、ダイナミックな
経済活動
を促進するため、
規制緩和
とともに不可欠であります。
公正取引委員会事務局
の
強化拡充
により
独占禁止法
の厳正な運用など
競争政策
を積極的に展開するとともに、
株式保有規制
など
企業関連法制
の
見直し
や参入、転出の容易な
労働市場
の
整備
に努めてまいります。 さらに、
我が国経済
を活力あふれたものとしていくためには、
ベンチャー企業群
の創出が不可欠であり、こうした
企業
が持ち前の
機動性
、
創意工夫
を遺憾なく発揮していけるよう、
資金調達面
での
支援
を
充実
するなど、
新規事業
の展開への
支援
を行ってまいります。
経済
、
産業
の
改革
に当たっては、
農林水産業
の果たす
多面的役割
や機能、
農山漁村
がもたらす安らぎや潤いを忘れてはならず、
農林水産業
と
農山漁村
の健全な
発展
は不可欠であります。
ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策等
の
施策
を総合的に実施し、
農林水産業
を誇りを持って携わることのできる魅力ある
産業
としてまいります。 二十一
世紀
にふさわしい、
創造
性あふれた
経済社会
をつくっていくためには、
我が国
の最大の資源である人間の頭脳、英知を十二分に活用し、未来を支える有為な人材の育成や
知的資産
の
創造
を行い、
経済フロンティア
の拡大を図ることが必要であります。
科学技術
の
振興
は、
人類共通
の夢を
実現
する未来への
先行投資
であります。
科学技術創造立国
を目指して、
政府研究開発投資
の倍増を早期に達成するよう努めるとともに、
産学官連携
による独創的、
基礎的研究開発
の
推進
、
若手研究者
の
支援
・活用や若者の
科学技術離れ対策
といった
科学技術系人材
の
養成確保
など、
科学技術
の
振興
を積極的に図ってまいります。 この
関連
で、昨年十二月に発生した
高速増殖原型炉
「もんじゅ」の事故は我々に大きな
教訓
を与えました。
先端技術
の
開発
、
実用化
に際し、予期せぬ困難な
事態
が発生することは避けて通れません。重要なことは、そうした
事態
を直視し、
国民
や
専門家
の前にその事実を明らかにし、
原因究明
と徹底した
安全対策
、さらなる
技術開発
に真摯に取り組むことであります。今後、
安全確保
に力を注ぎ、積極的な
情報開示
を通じ、地元の
方々
を初めとする
国民
の皆様の御
理解
と信頼を得るよう
全力
を尽くしてまいります。 時間的・
空間的制約
を大幅に取り払い、
情報
や物の流れを一変させることにより
生産性
の向上や
新規市場
の
創造
に大きく寄与し、豊かな
国民生活
や高度な
産業活動
を創出する
高度情報通信社会
の
建設
も、この国が二十一
世紀
に向けてその
取り組み
を加速させるべき重要な
課題
であります。
産業分野
・
公的分野
の
情報化
、ハード・
ソフト両面
にわたる
情報通信インフラ
の
整備
、
情報通信技術
の
開発
などを積極的に
推進
してまいります。 第二は、長生きしてよかったと思える
長寿社会
の
建設
です。 現在、
我が国
は
世界
一の
長寿国家
となっております。これは我々が長年目指してきた
目標
が達成されたものであり、大いに誇るべき成果でありますが、これからの
課題
は、いかに
社会
全体として長寿を支え、一人一人が長生きしてよかったと実感できる
社会
を創出していくかにあります。 二十一
世紀
の超
高齢社会
において、
中高年人口
がさらに増大し、
若年人口
が減少する中で、いかにこの国の活力を維持増進していくのか、女性や
高齢者
のより積極的な
社会活動
への参画をいかに
実現
するのか、そのためにもこれまで主として家庭で対応されてきた
高齢者介護
や子育ての問題をいかにして
社会
が
支援
していくのか、その
費用負担
の
あり方
をどのように考えるのか、
子供たち
に家庭にかわるどのような
環境
を用意できるのか、こうした問題が大きな
課題
となり、これに対する
システムづくり
が必要となっております。老若男女を問わず、
社会
のさまざまな
構成員
が、自立しつつ、相互に支え合い、助け合い、ともに
充実
した
人生
を送ることのできる
長寿社会
の
建設
に向け、福祉、
教育
、
国民
の
社会参加
の
あり方
を総合的にとらえ直すことが今まさに求められております。 特に、
国民
の
老後生活
の最大の
不安要因
である
介護
の問題については、
高齢者
や
障害者
が
生きがい
を持って幸せに暮らしていくことができるよう、新ゴールドプランや
障害者プラン
を着実に
推進
し、
介護サービス
の
基盤整備
に努めるとともに、
保健医療
・福祉にわたる
高齢者介護サービス
を総合的、一体的に提供する
社会保険方式
による新たな
高齢者介護システム
の
制度化
に向けて
全力
で取り組んでまいります。あわせて、
高齢社会
にふさわしい良質かつ効果的な医療を供給できるよう
医療保険制度
の
改革
を進めるほか、エイズ問題については、和解による
早期解決
に
全力
を挙げるとともに、
責任
問題も含め、必要な
調査
を行い、医薬品による
健康被害
の
再発防止
に
最大限
の
努力
を尽くす
所存
です。 また、次代を担う子供が健やかに生まれ育つ
環境づくり
を進めるため、
育児休業制度
の定着や
保育対策
の
充実
など、
エンゼルプラン
を着実に
推進
してまいります。 さらに、
社会
のあらゆる
分野
に女性と男性がともに参画し、ともに
社会
を支える
男女共同参画社会
の
形成
に向け
国内行動計画
を
見直し
、
施策
の一層の
充実
を図るとともに、
人権教育
のための
行動計画
を早急に策定し、総合的な
施策
を
推進
するなど、人権が守られ、差別のない公正な
社会
を
建設
してまいります。 個性と
創造力
にあふれ、
責任感
と思いやりを持ち、将来の夢を生き生きと語ることのできる
子供たち
はこれからの
日本
の宝であり、また、
我が国
が
国際化
、
情報化
、
技術革新
といった変化に的確かつ柔軟に対応する上でも
教育
の果たす
役割
は限りなく重要であります。最近問題となっている
児童生徒
のいじめの問題や、前途ある若者が
社会
的な
役割
を見出せず非道な行動に走ってしまった
オウム真理教関連事件
が投げかけた問題に対応するために、二十一
世紀
を展望した個性や
創造性重視
の方針を一層推し進め、与えられた問題の解答を見つける能力だけではなく、
問題そのもの
を発見し、それを
解決
する能力を備えた人材を育てる
教育
を実践するために、
教育改革
を
推進
してまいります。 また、
国民
一人一人にとって生きるあかしや
生きがい
であるとともに、一国にとってもその最も重要な
存立基盤
の一つである文化や芸術、スポーツの
振興
も重要であります。これからの
日本
は、古来の
伝統文化
を継承しながら、すぐれた
芸術文化
の
創造発展
に
取り組み
、さらに
世界
への発信を図る新しい
文化立国
を目指してまいります。 我々は、
大量生産
・
大量消費
・
大量廃棄
型の
経済社会活動
や
生活様式
を問い直し、祖先から受け継いだ健全で恵み豊かな
自然環境
を将来に伝えていかなければなりません。このため、
環境基本計画
に基づき、人と
環境
との間に望ましい関係を築くための
総合的施策
の
推進
に
全力
を挙げるとともに、
地球温暖化
を初めとする地球
環境
問題について、
我が国
の
国際的地位
にふさわしい積極的な
役割
を果たしてまいります。 先般、
村山内閣
においてその
解決
を見ることができた水俣病問題については、誠意を持って必要な
施策
を
推進
するとともに、この悲劇を貴重な
教訓
として今後の
環境行政
に生かしていく
所存
です。 また、ふえ続ける
廃棄物
の
処理対策
については、
消費者
、
事業者
、市町村の御
協力
のもとに、ごみの
減量化
や
リサイクル
を
推進
することにより、
リサイクル型社会
の
実現
に向け総合的な
支援措置
を実施してまいります。 昨年の
大震災
や
オウム真理教関連事件
などの
凶悪事件
を契機に、
我が国
が誇る良好な治安に陰りが生じており、
国民
の安全を守る
危機管理体制
の
強化
が重要な
課題
となっております。
危機自体
の
事前予測
が困難である以上、
危機管理
にとって大切なことは危機が生じた際の人と
システム
であるとの
考え方
に立ち、
政府
の
安全対策
、
危機管理体制
の
強化
に
全力
を傾けてまいります。
災害
に強い
国づくり
、
町づくり
を進めることが、安全に暮らせる
社会づくり
の基本であります。阪神・
淡路大震災
から一年が経過いたしましたが、引き続き本格的な復興に向けて
政府一体
となって取り組んでまいります。
政府
は、この
大震災
を貴重な
教訓
に、
災害
の予防に加え、
災害
時の
情報収集
・伝達・
意思決定体制
の
強化
など総合的な
災害対策
の
充実
、
危機管理体制
の
強化
に取り組む決意であります。 また、最近の極めて厳しい
治安情勢
に対応するため、各国との
連携強化
などの
国際協力
を含め、
政府
を挙げて
テロ対策
を
推進
するとともに、国内の
銃器摘発
や海外からの
流入阻止
などの
総合的銃器対策
、さらには、
覚せい剤
、
大麻等薬物対策
に
全力
を挙げ、
国民
の
不安解消
と安全な
社会環境づくり
に努めてまいります。 多くの
国民
にとって現在最も切実な問題である
住宅
、
通勤等
の問題を早急に
解決
することも、ゆとりある
国民生活
を
実現
するために必要不可欠な
課題
であります。こうした問題の多くの根源となっている一極集中を是正し、
国際化
の
進展
や活力に満ちた
地域社会
の
形成
にも配慮しつつ、
災害
に強い
国土づくり
や国土の均衡ある
発展
を目指していかなければなりません。このため、
住宅
や
交通基盤整備
、
職住近接
の
都市構造
の
実現
を初め、
生活者重視
の視点に立って
各種社会資本整備
に努めてまいります。また、今後、
国民各層
との
意見交換
も行いながら、複数の
国土軸
の
形成
を含めて新しい
国土計画
の策定に積極的に取り組むほか、北海道や
沖縄
の
開発振興
にも引き続き力を注いでまいります。(
拍手
)
外交面
での私の
基本方針
は「自立」であります。かつてのように
世界
の
政治経済情勢
を与えられた
前提
として行動する
国家
としてではなく、今や
我が国
は、従来型の
国際貢献
からさらに歩を進め、
国際社会
に受け入れられる理念を打ち立て、
世界
の安定と
発展
のためにみずからのイニシアチブで行動する
国家
であるべきであります。このことが、国際的に
相互依存関係
が高まる中、
我が国
の安全と繁栄を確保するためにも最良の道だと確信をいたしております。
国際社会
においては、依然として、
地域紛争
、
大量破壊兵器
の拡散、
環境破壊
や貧困など重要問題が山積しております。今年は
我が国
が
国連
に加盟して四十周年に当たりますが、これらの問題の
解決
に当たっては
国連
が重要な
役割
を果たしていく必要があります。
我が国
としては、
財政改革
、
経済社会分野
での
改革
及び
安保理改革
などについて、本年秋までにできる限り具体的な成果が得られるよう、他の
国連加盟国
と
協力
しつつ、引き続き
努力
してまいります。
安保理常任理事国入り
の問題については、
我が国
は、
国連改革
の
進展状況
や
アジア近隣諸国
を初め
国際社会
の支持と一層の
国民的理解
を踏まえて対処することとしております。
冷戦終結
後の
世界
平和を脅かす脅威の一つに
地域紛争
があります。
地域紛争
は、その地域の問題であるのみならず、
国際社会
全体の枠組みの構築にかかわるグローバルな問題でもあります。
我が国
としては、その予防と
解決
のため、
外交努力
や人道・
復興援助
とともに、
平和維持活動
など
国連
の
活動
に人的な面や
財政面
で積極的に貢献してまいります。 特に、旧ユーゴにおける紛争は、新しい
国際協力
の
実効性
を問う試金石となっております。先般の
包括和平合意
による大きな
進展
を永続的な真の和平の確立につなげていくために、
国際社会
の和平・復興
努力
に積極的に参画してまいります。中東和平問題に関しては、昨年九月にイスラエルとPLOの間で暫定自治の拡大の合意が成立いたしました。ラビン首相の暗殺は我々に大きな衝撃を与えましたが、平和への潮流は確固たるものがあります。
我が国
は、さきのパレスチナ評議会
選挙
に
協力
するため、国際監視団への参加や物資供与を行いましたが、二月にはゴラン高原に展開している
国連
兵力引き離し監視隊に自衛隊部隊等を派遣するなど、今後とも積極的な貢献を行ってまいります。 核兵器を初めとする
大量破壊兵器
の軍縮と不拡散、通常兵器の
移転
抑制のための
取り組み
についても、その
強化
に努めてまいります。
我が国
は、唯一の被爆国として、核兵器の究極的な廃絶に向けて、すべての核兵器国が核軍縮に真剣に取り組むよう訴えてきており、昨年の
国連
総会では、
我が国
提出の核軍縮決議及び核実験停止決議が採択されました。いまだに一部の国により核実験が繰り返されていることは極めて遺憾であり、核実験の停止を強く求めていくとともに、全面核実験禁止条約交渉が本年春に妥結され、秋には署名ができるよう
最大限
の
努力
を払ってまいります。
我が国
を含むアジア太平洋地域の
安全保障
の確保は、
世界
平和の大
前提
であります。
政府
としては、
日本
国憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安保体制を堅持するとともに、文民統制を確保し、非核三原則を守ってまいります。 また、昨年末に策定された新防衛大綱及び新中期防衛力
整備
計画に従い、現行の防衛力の合理化、効率化、コンパクト化を一層進めるとともに、必要な機能の
充実
と防衛力の質的な向上を図ることにより、多様な
事態
に対して有効に対応し得る防衛力の
整備
に努めてまいります。
我が国
の
国際社会
における地位にかんがみ、特に重要であるのが
世界経済
の繁栄への新たな枠組みづくりであります。
世界経済
のさらなる
発展
のためには、WTOのもとで多角的自由貿易体制の一層の
強化
を通じて貿易・投資の拡大均衡を図っていくことが必要であります。本年末の第一回閣僚
会議
を念頭に置き、地域統合の問題や貿易政策と投資、
環境
、
競争政策
との関係に関して新しいルールづくりに取り組むとともに、紛争処理機能の
強化
に努めてまいります。途上国の
開発
への
支援
についても、
我が国
としては、
国際社会
の枠組みとなるべき新たな
開発
戦略の策定を
国連
等の場において提唱しており、引き続きこの作業に貢献してまいります。
政府
開発
援助大綱を踏まえ、アジア地域を中心とする
経済
ダイナミズムの
発展
に貢献するため、援助と貿易・投資、マクロ
経済
政策等を有機的に連携させた包括的アプローチにより、総合的な
経済
協力
を
推進
してまいります。また、市場
経済
化にどう取り組むかは
世界
的に重要な
課題
であります。途上国における民主化の促進、市場志向型
経済
導入の、
努力
に十分注意を払いつつ、各国の
経済
の
発展
段階
に即した形で最適な
支援
を行っていくことも
我が国
の大きな
役割
であります。
環境
、人口、食糧、エネルギー、人権、難民、エイズなど、地球規模の問題の重要性はますます増大しております。
我が国
が
世界
に誇る技術や過去の経験をもって、引き続き
国際社会
の共通の認識や枠組みづくりに向けて
全力
で取り組んでまいります。さらに、
世界
的に
環境
調和型の
経済社会
の
発展
を促すため、新エネルギーの
開発
導入、
環境
負荷の低減に資する
研究開発
、新
産業
創出などに精力的に取り組んでまいります。また、海洋の法的秩序に関し包括的に定めている
国連
海洋法条約の早期締結を目指し、あわせて
我が国
の海洋法制の
整備
を行うため、所要の準備を進めてまいります。 さらに、
我が国
の
世界経済
における
役割
を十分に自覚し、強靭な
日本経済
の
再建
に
全力
を尽くし、
世界経済
のさらなる
活性化
に貢献してまいります。また、内需を中心とした安定成長の確保や市場アクセスの改善などにより、引き続き経常収支黒字の意味のある縮小を図り、調和ある対外
経済
関係の
形成
に努めてまいります。 アジア太平洋地域は、
我が国
にとっても
世界経済
全体にとっても年々その重要性を増しており、
協力
関係の一層の緊密化を図ってまいります。
我が国
は、昨年、APEC大阪会合を主催し、貿易・投資の自由化、円滑化、
経済
技術
協力
の
推進
のための包括的な道筋を示す行動指針を採択し、APECはビジョンの
段階
から行動の
段階
へ移行しております。本年は、アジア太平洋
協力
にとって重要な試練の年であり、
我が国
としても、この
協力
の求心力を強めるような十分内容のある行動、計画を策定し、この地域のさらなる
発展
に大きな
役割
を果たしていかなければなりません。
安全保障
面においても、この地域の
発展
の
基盤
となっている平和と安定を維持していくため、ASEAN地域フォーラム等における政治・
安全保障
対話への積極的な参画を通じ、域内の信頼の醸成に貢献してまいります。 各国との友好的な二国間
協力
関係の
発展
が
外交
の基本であることは言うまでもありません。私は、日米関係を基軸としつつ、地理的にも
経済
的にも密接な関係にあるアジア太平洋諸国を中核に、文明や文化の相違を衝突ととらえず、その共存を図るような心の通い合う
外交
を展開してまいります。 日米関係は、
我が国
にとっても
世界
にとっても最も重要な二国間関係であり、アジア太平洋地域、そして
世界
の平和と安定のかなめであることを再認識し、クリントン大統領の訪日の機会もとらえ、幅広い
協力
関係を一層
強化
していく決意であります。特に日米安保体制は、日米
協力
関係の政治的
基盤
をなし、アジア太平洋地域の平和と繁栄にとって不可欠の
役割
を果たしており、これを堅持してまいります。
沖縄
の米軍施設・区域の問題については、日米の信頼のきずなを一層深いものとするためにも、また、長年にわたる
沖縄
の
方々
の苦しみ、悲しみに
最大限
心を配った
解決
を得るためにも、先般設置された
特別
行動
委員会
等を通じ、日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ、
沖縄
の米軍施設・区域の整理統合・縮小を
推進
するとともに、騒音、安全、訓練などの問題の実質的な改善が図られるよう、誠心誠意
努力
を払ってまいる決意であります。 日米
経済
関係については、国際ルールにのっとり、日米包括
経済
協議の諸措置を日米双方において着実に実施することなどにより、引き続き適切な運営に努めてまいります。 日中関係については、安定した友好
協力
関係の
発展
に資するため、中国の
改革
・開放政策を引き続き
支援
していくとともに、核軍縮を含む
国際社会
の諸問題に関して対話を深めてまいります。 朝鮮半島政策に関しましては、引き続き韓国との友好
協力
関係を基本とし、日朝関係については、朝鮮半島の平和と安定に資するとの観点を踏まえつつ、韓国等との緊密な連携のもとに取り組んでいく考えであります。北朝鮮の核兵器
開発
問題については、今後とも、米国、韓国を初めとする諸国とともに、米朝合意の着実な実施のため、朝鮮半島エネルギー
開発
機構への積極的な
協力
を行ってまいります。 本年は日ソ共同宣言による国交
回復
後四十周年に当たりますが、日ロ関係については、ロシアの政治情勢を注視しつつ、東京宣言に基づき、北方領土問題を
解決
し、両国間の完全な正常化を達成するために一層の
努力
を傾ける
所存
であり、ロシア
政府
もこの問題に真剣に取り組むことを強く希望いたします。
我が国
として、アジア太平洋のみならず、
世界
のすべての地域の国々との積極的な
協力
関係を促進していく必要があることは当然です。特に、EUの拡大と深化により一体性を強め、
国際社会
における重みを増しつつある欧州との広範な
協力
関係の維持
発展
は重要な
課題
であります。三月にはタイにおいて初のアジア・欧州首脳会合が予定されており、この機会もとらえ、地域間の対話と
協力
の
強化
に貢献してまいります。 以上申し上げた内外政上の
課題
の
解決
を図るためには、まず行政みずからが時代の潮流変化を踏まえ、大きな価値観の転換を遂げていかなければなりません。私は、二十一
世紀
にふさわしい
政府
とは、
国民
に対して開かれた民主的な存在であるとともに、緊急時には機敏に、強いリーダーシップを発揮し得る存在であり、また、市場原理を
最大限
発揮させ、住民に身近な行政は地方にゆだねる、簡素で効率的なものでありつつも、真に
国民
が必要とするような
施策
については十分な配慮を行い得るような存在でなければならないと考えております。 こうした一見相反するような性格をあわせ持った
政府
、このような
政府
を目指した
改革
がその本質を見失わないためには、常に、何のための
政府
であるのか、だれのための
改革
であるのかを
国民
の視点に立って見直すことが必要であります。(
拍手
)このことこそが私が求める行政
改革
、すなわち、
改革
のための
改革
ではなく、根本的な問いかけにこたえる行政
改革
であります。 我々はいま一たび初心に立ち返り、主権在民、公務員は全体の奉仕者という基本的な理念を胸に、内外の
社会
情勢の変化を踏まえて行政の制度・運営を根本にさかのぼって
見直し
、各界の意見を謙虚に受けとめ、そして尊重しつつ、行政の
改革
を
推進
していかなければなりません。(
拍手
)行政の
改革
の第一は、
規制
の思い切った緩和であります。まず、
規制緩和
推進
計画に沿って計画的な
規制
の緩和を
推進
するとともに、本年度末までに同計画の第一回目の改定を行います。改定に当たっては、さきの行政
改革
委員会
の意見を
最大限
に尊重し、内外の要望を踏まえながら、新たな
規制緩和
方策を積極的に盛り込むとともに、その実行を強力なリーダーシップにより確保してまいります。 国と地方との関係においては、住民に身近な行政は住民が直接選んだ首長の
責任
のもと、地方公共団体がその事務を行うという地方自治の大原則を名実ともに
実現
しなければなりません。
政府
としては、本年三月の
地方分権
推進
委員会
の中間報告とその後の具体的な勧告を受け、直ちに
地方分権
推進
計画の策定に取りかかり、権限移譲や国の関与の緩和や廃止、機関委任事務の抜本的な
見直し
、地方税財源の
充実
強化
、分権の受け皿たる地方行政体制の
整備
など、
地方分権
の流れを思い切って加速化させてまいります。行政
改革
の中核の一つは、中央官庁自身の
改革
であります。今後の
規制緩和
の進捗
状況
や
地方分権
推進
計画に基づく行政事務の再配分の
あり方
も踏まえつつ、縦割り行政の弊害防止や抜本的な行政
改革
の実施の観点から、中央省庁の
あり方
についても真剣な検討を進めてまいります。また、
内閣
機能の
強化
の観点から、
内閣総理大臣
補佐官の設置等を内容とする
内閣
法改正案を今
国会
に提出いたします。透明で効率的な行政の
実現
も、極めて重要な
課題
であります。
情報
公開法の早期の制定に向け、行政
改革
委員会
の今年内の意見具申に向けての
調査
審議を促進するとともに、審議会等の透明化についても具体化を進めてまいります。行政の効率化、肥大化防止の観点からは、省庁間を結んだネットワークの計画的
整備
など行政の
情報化
を
推進
するとともに、
国家
公務員の定員の計画的削減を継続してまいります。特殊法人
改革
についても同様の
考え方
に立ち、九法人の統廃合、民営化等を行うほか、財務内容等の積極的公開を含め継続的な
改革
を
推進
してまいります。首都機能の
移転
については、
我が国
の政治、行政、
経済
、
社会
の
改革
を進める上でも極めて重要な
課題
であります。昨年十二月には
国会等
移転
調査
会の報告が取りまとめられたところであり、今後は、この報告を踏まえ、首都機能の
移転
の一層の具体化に向け、
内閣
の
重要課題
の一つとして取り組んでまいります。行政
改革
の適切な
実現
のためには、今申し上げた
規制緩和
、
地方分権
、首都機能
移転
、中央省庁の
改革
などの諸
課題
が有機的に組み合わされ相乗効果を上げるよう調整を行うことが極めて重要であり、私としても、これらの
取り組み
相互の有機的な連携を図ることに意を払ってまいります。 行政
改革
と常に一体どなって語られなければならないのが
財政改革
であります。
我が国
財政
は、公債残高が来年度末には約二百四十一兆円に増加する見込みであり、厳しい税収動向も相まって、もはや危機的
状況
と言っても過言ではありません。急速に
進展
する人口の
高齢化
や
国際社会
における
我が国
の
責任
の増大など、今後の
社会
経済
情勢の変化に
財政
が弾力的に対応し、真に必要とされる政策
分野
に
財政資金
を投入していくためにも、できるだけ速やかに健全な
財政
体質をつくり上げていくことが緊急
課題
であります。言うまでもなく、国の
財政
は
国民
のものであり、その受益者も
国民
であり、負担者も
国民
であります。政治家一人一人が
国民
の代表としての自覚を持って、一刻も早い
財政
の規律の
回復
に努めなければなりません。 税制については、活力ある
高齢社会
を目指し、公平・中立・簡素という租税の基本原則に基づき、不断の
改革
が必要であります。五%とすることが法定されている消費税率については、
社会
保障等に要する財源の確保や
行財政改革
の
推進
状況
等を踏まえつつ、本年九月という法律上の期限に向け鋭意検討を進めてまいります。 行政
改革
を
推進
する上でしばしば問題となるのは、政と官との関係であります。私は、政と官との関係を対立構造でとらえるのではなく、政治家の強い意思と
責任
で大きな
改革
の方向づけを行い、行政官は専門的知識によりこれを補完するという
協力
関係をつくり上げなければならないし、その最終
責任
は、行政の最高
責任
者である我々政治家が持たなければならないと考えております。(
拍手
) 昨年の参議院議員
選挙
や統一地方
選挙
で示された
国民
の政治不信や政治への無関心は極めて深刻であります。このような
状況
を打開し、
国民
の政治への信頼と関心の
回復
を図るには、政治の浄化への不断の
取り組み
に努めるとともに、
国会等
の場で真に
国家
や
国民
本位の政策論争を
国民
の目に見える形で行わなければなりません。このことこそが現在最も必要な政治
改革
であり、こうした政治の
改革
を通じてのみ真の行政の
改革
も
実現
できるものと私は考えております。(
拍手
) 平成八年は、戦後五十年を終え、二十一
世紀
の礎を築き、次なる百年の展望を切り開く新たな挑戦の年であるべきであります。来るべき
世紀
は、
規制
と保護に対して自由と
責任
という理念が、量的拡大に対して質的充足という価値観が、
企業
や組織に対して
地域社会
や家庭という存在が、それぞれその重みを増していく時代となりましょうし、またそうなさねばなりません。我々が目指す
社会
は、そこに息づく
国民
一人一人が心豊かに平和に暮らせる
社会
であり、そのことを通じて
国民
はこの国に対する自信や誇りを、将来に対する夢や
目標
を再び手にすることができるようになるものと私は確信しております。 しかし、これを
実現
することは言葉で語るほど容易なことではありません。我々は過去の重みからも未来への
責任
からも逃げるわけにはまいりません。
改革
は容易ではありませんし、痛みを伴います。しかし、我々の次の世代に希望と誇りのある
日本
の未来を託するためには、今こそ、勇気を持って、時代の要請にこたえ、
我が国
の政治の
あり方
を、行政の成り立ちを、そして
経済
の
システム
を
変革
し
創造
しなければなりません。(
拍手
) 私は、この
変革
のときに重要な国政を担う
内閣総理大臣
として、そして一人の政治家として、以上申し上げた
課題
に
全力
を傾けてまいる決意であります。
国民
の皆様と議員各位の御
理解
と御
協力
を切にお願い申し上げます。(
拍手
) ――
―――――――――――
土井たか子
16
○
議長
(
土井たか子
君)
外務大臣
池田行彦さん。 〔
国務大臣
池田行彦君登壇〕
池田行彦
17
○
国務大臣
(池田行彦君) このたび、私は
外務大臣
を拝命いたしました。重要な局面を迎えている
日本
外交
のかじ取りという重責を任され、身の引き締まる思いであります。私は、
外交
の継続性を
確保
しつつ、橋本
内閣
の一員として
創造
的
外交
を
展開
し、
村山内閣
のもとでの
外交
の諸
成果
をさらに
発展
させていくべく
全力
を尽くす
所存
であります。(
拍手
) 国際情勢は依然として流動的であり、その先行きは不透明でありますが、
冷戦終結
後数年がたち、
国際社会
の
努力
が、少しずつではありますが
成果
を上げてきております。旧ユーゴ、中東では
地域紛争
の
解決
に向けて注目すべき前進が見られております。アジア太平洋
地域
においても、北朝鮮の核問題
解決
に向けた動きが出てきております。
国際社会
の
課題
は、こうした好ましい動きを確固とした流れに変え、冷戦後の新しい枠組みを確立していくことであります。 このような国際情勢のもとで
我が国
外交
の進路を考えるとき、私は、まず、
国家
間の
相互依存関係
が深まる中、
我が国
の安全と
繁栄
は
国際社会
の平和と
繁栄
があって初めて可能であることを改めて強調したいと思います。また、
我が国
の
行動
いかんが
世界
の平和と安定に大きな影響を持つことも認識しなければなりません。私は、こうした点を踏まえ、
我が国
が新たな国際秩序の構築に向け
創造
的
役割
を果たすべく
全力
を傾注する
決意
であります。 次に、新たな国際秩序を構築していく上で重要な幾つかの
政策課題
と
我が国
の
取り組み
について述べたいと思います。
国際社会
の平和と安定を
確保
するためには、
地域紛争
の
解決
に努めるとともに、未然に防止する
努力
を行っていくことが重要であります。 これらの
紛争
の中には地理的には
日本
から遠い
地域
のものもありますが、
国際社会
全体の枠組みの構築にかかわるグローバルな問題でもあり、
我が国
は、その
解決
に積極的に関与し、適切な
協力
を行っていく必要があります。その意味で、旧ユーゴや中東で生じている平和の機運を一層確実なものとすることに
協力
していきたいと考えます。 旧ユーゴ
紛争
について、
我が国
は、昨年十二月のロンドン和平履行
会議
において、和平合意の誠実な履行を当事者に対し強く求めるとともに、総額約二十億円の難民
支援
を初め、和平の履行に
協力
していく姿勢を表明いたしました。
我が国
としては、引き続き和平履行運営
委員会
の一員として
国際社会
の
努力
に積極的に
参画
していくとともに、
予防
外交
の観点から、周辺国に対する
支援
も引き続き実施していく考えであります。 中東においては、ラビン首相の暗殺という悲劇的な事件にもかかわらず、当事者の平和への確固たる意思に基づく
努力
が続けられており、
国際社会
はこれを引き続き
支援
していく必要があります。
我が国
は、レスチナ評議会
選挙
のための国際監視団への参加や物資供与を含め、引き続きパレスチナ暫定自治に対する
支援
に積極的に取り組むとともに、ゴラン高原における
国連
兵力引き離し監視隊、UNDOFに対する自衛隊部隊等の派遣を行います。
我が国
としては、
地域紛争
の
解決
のため、
外交努力
や人道・
復興援助
等の
協力
とともに、
平和維持活動
を含む
国連
の
活動
に人的な面や
財政面
で引き続き積極的に貢献してまいります。 第二に、核兵器を初めとする
大量破壊兵器
の軍縮と不拡散、通常兵器の
移転
抑制についての
取り組み
が重要であります。
我が国
は、昨年の
国連
総会において、軍縮に関する決議案のうち十五の決議案の共同提案国となりましたが、特に四本の決議案については実質的に主導して作成するなど積極的にイニシアチブを発揮しております。 核軍縮に関しては、昨年五月の核不拡散条約無期限延長の決定を受け、
我が国
は唯一の被爆国として、核兵器の究極的な廃絶に向けて、すべての核兵器国が核軍縮に真剣に取り組むよう訴えてまいりました。
国連
で
我が国
が共同提案国として提出した核兵器の究極的廃絶に向けた核軍縮決議及び核実験の停止を求める決議が多数の国の支持を得て採択されたことは、こうした
外交努力
の
成果
の
一つ
であります。
我が国
は、すべての国がこの核実験停止決議に示された
国際社会
の意思を真摯に受けとめ、核実験を行わないよう引き続き強く求めていきます。また、全面核実験禁止条約、CTBT交渉が本年の春に実質的に妥結され、秋には署名されるよう
最大限
の
努力
を払ってまいります。 通常兵器に関しては、同じく
我が国
が共同提案国として提出した小火器に関する決議が
国連
で採択され、小火器の過剰な蓄積と
移転
の防止に関する
政府
専門家
による報告書が第五十二回総会に提出されることとなりました。また、昨年十二月には、通常兵器及び
関連
汎用品・技術についての新たな国際的輸出管理
体制
の設立が決定されました。
我が国
は、今後とも、通常兵器の過度の
移転
と蓄積の防止のために積極的に取り組んでまいります。 第三に、
我が国
は
世界経済
の
持続的発展
の
確保
に主要な
役割
を果たさなければなりません。
経済
の
相互
依存の深化に伴い、
我が国
の
経済
の動向や政策は各国の
経済
と強い相関
関係
にあります。こうした
状況
を踏まえ、
我が国
として
世界経済
の安定的運営に貢献するためにも、思い切った
規制緩和
を初めとした
経済
のさらなる
活性化
を図るとともに、
国際社会
と調和のとれた
経済社会
の
実現
を引き続き目指してまいります。
世界経済
の
持続的発展
を
確保
するために、
世界
貿易機関、WTOの発足を踏まえ、多角的自由貿易
体制
の
強化
にも一層の
努力
を払う
所存
であります。WTOにおいては、本年十二月に予定されているシンガポールでの第一回の閣僚
会議
に向け、ウルグアイ・ラウンド合意の着実な実施、サービス
分野
での継続交渉の期限内の妥結、いわゆるウルグアイ・ラウンド後の新しい
課題
への
取り組み
、
紛争
解決
手続の
強化
といった面で、実質的
成果
を達成すべく積極的
役割
を果たす
所存
であります。また、昨年秋以降、
経済
協力
開発
機構、OECDにおいて多数国間投資協定交渉が開始されましたが、その成功に向けて積極的に取り組んでまいります。 第四に、
開発
問題への
取り組み
であります。 アフリカ諸国を初め多くの
開発
途上国は依然として貧困や飢餓に悩み、アジア太平洋や中南米の諸国も
経済
成長過程に伴う新たな
課題
を抱えております。また、旧ソ連諸国や中東欧諸国は市場
経済
への移行の途上でさまざまな困難に直面しております。これらの諸国の個々の
状況
に応じて、その
経済
的、
社会
的
発展
を促し、民主的制度づくりに
協力
し、
国際社会
に組み込んでいくことは、国際秩序の安定を導くものであります。その一方で、多くの援助国においてはいわゆる援助疲れが見られております。 こうした
状況
にかんがみ、
我が国
は、新たに長期的な
開発
戦略を策定する必要性を強調し、
国連
における
開発
のための
課題
に関する議論に積極的に貢献する姿勢を明らかにしてまいりました。
我が国
としては、今後とも、
政府
開発
援助大綱に基づき、
政府
開発
援助の効果的、効率的な実施及びその拡充に努めてまいる
所存
でありますが、同時に、
開発
戦略が
早期
にまとまるよう積極的に知恵を出し、議論を促進してまいりたいと考えます。 第五に、
環境
、
人口
、
人権
、難民、麻薬、テロなどの問題は、
国際社会
が一致して取り組むべき地球規模の問題であり、
我が国
の
国際貢献
の最も重要な柱の
一つ
であります。今後とも、
我が国
の知識や経験を生かし、
国際社会
と
協力
して問題
解決
に取り組んでまいります。
我が国
は、第四回
世界
女性
会議
において諸国の関心の高かった
女性
に対する暴力の問題に関する決議案を、昨年十二月、
国連
総会に提出し、採択されました。 また、
我が国
は、海洋
国家
として新たな海洋の法的秩序の確立に積極的に貢献していくことが期待されております。
国連
海洋法条約は海洋の法的秩序に関し包括的に定めておりますが、
政府
としては、この条約を
早期
に締結したいと考えており、今次
国会
に提出することを目指して準備を進めているところであります。 これらの諸
課題
に取り組んでいくに当たっては、国際協調の
強化
が不可欠であります。その際、二国間の
協力
関係
、アジア太平洋
地域
における
協力
、
国連
やWTOを軸とするグローバルな
協力
をそれぞれ
強化
していくとともに、三つの同心円として
相互
に
関連
づけながら
発展
させていくことが重要であると考えます。 各国と良好な二国間
関係
を築き上げていくことは、
我が国
外交
の基礎であるとともに、グローバルな
協力
、
地域
協力
を進める上でも重要であります。 二国間
関係
の中では、日米
関係
は
日本
外交
の基軸であり、日米間の幅広い
分野
における
協力
関係
を引き続き
強化
していく必要があります。特に日米安保
体制
は、
我が国
の
安全保障
政策の主要な柱の
一つ
であり、日米
協力
関係
の
政治
的
基盤
をなしているのみならず、アジア太平洋の平和と
繁栄
を
維持
する上で重要であります。このため、
我が国
としては、日米安保
体制
を堅持するとともに、引き続きその円滑かつ効果的運用に努めてまいります。 他方、
沖縄
県においては、米軍の施設・区域が集中していることから種々の問題が生じております。私は、
沖縄
県の
方々
のこれまでの御苦労に思いをいたしながら、
関係者
のお気持ちにもできるだけ配慮してまいる考えであります。その意味で、
沖縄
における米軍施設・区域の整理統合・縮小及び
関連
する諸問題については、日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ、昨年十一月
設置
された
沖縄
における施設及び区域に関する
特別
行動
委員会
において、一年以内を目途に目に見える具体的な
成果
を上げるよう米側と
協力
して
努力
してまいる
所存
であります。 日米
経済
関係
については、まず、日米包括
経済
協議のもとでの決着内容を日米双方が着実に実施していくことが重要であります。同時に、日米両国が地球規模問題へ共同して取り組む枠組みであるコモンアジェンダの拡大深化を図ることなどにより、日米間の
協力
を
推進
していく必要があると考えます。 本年四月にはクリントン大統領が訪日されますが、
我が国
としては、この訪日を、新たな
時代
における日米
関係
の意義を確認し、以上のような幅広い
分野
における日米
協力
を総括する機会として重視しており、今後、米国
政府
と
協力
して、大統領訪日を成功させるべく準備を進めてまいります。 以上のような考えのもと、私は十八日より訪米し、クリントン大統領、ゴア副大統領、クリストファー国務長官、ペリー国防長官に対し日米
関係
を最重視するとの橋本
内閣
の
考え方
を伝え、日米
関係
をさらに
発展
させていくことについて意見の一致を見たところであります。(
拍手
) 共通の価値観を有し、
安全保障
上等の利害をともにする韓国との友好
協力
関係
は、両国のみならず北東アジアの平和と安定のために重要であり、また、アジア太平洋やグローバルな問題にも一層
協力
して取り組むべく、引き続き
関係
を
強化
していく考えであります。 北朝鮮情勢については、今後ともその動向を注視していく必要がありますが、日朝
関係
については、第二次
世界
大戦後の日朝間の不正常な
関係
を正すとともに、朝鮮半島の平和と安定に資するとの二つの観点を踏まえ、韓国等と緊密に連携しながら対応してまいります。北朝鮮の核兵器
開発
問題については、朝鮮半島エネルギー
開発
機構、KEDOと北朝鮮との間で軽水炉供与のための供給取り決めが締結されたことを受け、今後とも米国及び韓国と緊密に
協力
し、KEDOに対する積極的な貢献を行ってまいります。 中国との間では、友好
協力
関係
を
維持
発展
させ、また、
国際社会
においてともに
協力
していくことが重要であります。
我が国
としては、今後、新しい
未来
志向の日中
協力
の
時代
を築いていく考えであり、中国の
改革
・開放政策を引き続き
支援
するとともに、さまざまな
分野
において
協力
関係
を一層深めてまいります。また、旧
日本
軍が中国に遺棄した化学兵器の問題については、
政府
として、先般批准した化学兵器禁止条約の精神を踏まえつつ、誠実に対応していく
所存
であります。 ロシアとの
関係
では、本年六月に大統領
選挙
が予定されており、引き続きその内政動向を注視していく必要があります。
我が国
としては、ロシアの
改革
が後退することなく継続されることを強く支持するものであります。日ロ
関係
は、本年は日ソ共同宣言による国交
回復
四十周年を迎える節目の年であり、北方領土問題の
解決
が最
重要課題
であります。種々の
分野
における両国間の実務
関係
を着実に進めるとともに、東京宣言に基づき、領土問題を
解決
し、両国
関係
の完全な正常化を達成するため、なお一層の
努力
を傾けてまいります。 欧州との
関係
についても、統合を進める欧州連合、EUを初め、各国との間で幅広い
分野
において対話、
協力
を進めており、今後とも日欧
関係
の一層の
強化
に努めてまいります。 アジア太平洋
地域
は、
政治
的安定を背景にダイナミックな
経済
発展
が進み、域内の
相互依存関係
が深化し、
世界
の成長センターとなっております。この
地域
の安定と
繁栄
は
日本
の安全と
繁栄
を
確保
するために重要であり、
我が国
としては、北米、アジア、中南米、大洋州諸国等との
協力
関係
を基礎として、
政治
経済
両面でアジア太平洋の
地域
協力
の
強化
に努めてまいります。 アジア太平洋
経済
協力
、APECについては、
我が国
は、昨年十一月、
議長
国として大阪で閣僚
会議
及び非公式首脳
会議
を開催しましたが、
我が国
のリーダーシップのもと、貿易・投資の自由化、円滑化及び
経済
技術
協力
の
推進
のための包括的な道筋を示す
行動
指針が採択されました。これにより、APECはビジョンの
段階
から
行動
の
段階
に移行したと言えます。本年のフィリピン会合には、各メンバーが
行動
指針を実施するための
行動計画
等を提出することとなっております。
我が国
としても、内容のある前向きな
行動計画
の策定を含め、APECのさらなる
進展
に引き続き積極的に貢献してまいります。 ASEAN
地域
フォーラム、ARFについては、昨年の第二回
外務大臣
会合で、まずもって
信頼
醸成措置を重視しつつ漸進的に具体的
協力
を進めていくことが合意されましたが、去る十八、十九両日、
我が国
が東京においてインドネシアと共催した
信頼
醸成措置に関する
政府
間会合は、その第一歩として有意義なものでありました。
我が国
は、今後とも、アジア太平洋
地域
における
政治
・
安全保障
対話の場であるARFに積極的に関与し、域内諸国間の
信頼
醸成の促進に努めてまいります。
我が国
は、
地域
協力
を
国連
やWTO等グローバルな枠組みと整合的な開かれた
協力
として実行していくとともに、グローバルな枠組みの一層の
強化
に努める必要があります。
国連
は、グローバルな枠組みの最重要な柱であります。創設五十周年を迎えた
国連
が
時代
の要請に適合した
役割
を果たすためには、
国連
の機能
強化
のための
改革
を
推進
していく必要があります。
我が国
は、昨年九月の
国連
総会における
演説
で、
財政改革
、
経済社会分野
での
改革
及び
安保理改革
が必要であることを強調するとともに、憲法が禁ずる武力の行使は行わないという点を含む
我が国
の
国際貢献
に関する
基本
的な
考え方
のもとで、多くの国々の賛同を得て安保理常任理事国として
責任
を果たす用意があることを改めて表明いたしました。また、昨年十二月には、旧敵国条項の削除のための憲章改正手続を将来の最も至近の適当な会期において開始する旨の総会決議が採択されました。
我が国
は、今後とも、他の
国連加盟国
と
協力
しつつ、
国連改革
に率先して取り組んでまいります。 共通の価値を分かち合っている日米欧の主要各国間の密接な
協力
と政策協調は、
国際社会
の諸
課題
への
取り組み
に当たって不可欠になっており、主要国首脳
会議
、サミット等を通じての
協力
、政策協調を
強化
してまいります。本年は、六月のリヨン・サミットに先立ち、四月に原子力安全等に関するモスクワ・サミットが開かれますが、
我が国
はこれらの会合に積極的に取り組んでまいります。 また、本年三月には、タイにおいて初の首脳レベルのアジア・欧州会合、ASEMが予定されております。
我が国
としては、この機会に、
相互
の
地域
情勢についての
理解
を深めるとともに、アジアと欧州の間で幅広い
分野
についてグローバルな視点に立った対話と
協力
の
強化
に努めてまいる
所存
であります。 各国との
協力
を
強化
していくためには、お互いの
文化
に触れることを通じて、異なる
社会
的、
文化
的背景を持つ者同士が尊敬し合える基礎をつくっていくことが必要であります。
我が国
としては、従来にも増して
文化
交流、
文化
協力
に積極的に取り組んでまいりたいと思います。
科学技術
分野
での
国際協力
についても、
我が国
の
国際社会
における
役割
を積極的に果たすとの観点から一層
強化
してまいります。また、海外広報
活動
に積極的に取り組んでまいります。 また、近年、
日本
人の海外渡航者が増加しており、海外邦人の
安全対策
の
強化
が一層重要となっております。
政府
としては、今後とも、邦人保護
体制
及び
危機管理
能力
の一層の
強化
に努めるとともに、機動的かつ的確な
外交
を
推進
するため
外交
実施
体制
の
強化
にも取り組んでまいります。
外交
の根本にあるのは、各国との
相互
理解
と
相互
信頼
のきずなであります。昨年は戦後五十年という節目の年でありましたが、次の五十年の始まりを迎え、今後とも
アジア近隣諸国
等との間の過去の歴史を直視し、将来に向け各国との
相互
理解
や
相互
信頼
を促進すべく積極的に取り組んでいく
所存
であり、このため昨年開始した平和友好交流計画の
推進
を初めとする諸
課題
に着実に取り組んでまいります。私は、こうして培われる各国との
信頼関係
を基礎として国際協調を進め、さまざまな
外交
課題
に対処してまいる
決意
であります。 また、
我が国
の
国際化
の
進展
とともに、内政と
外交
は一体となってきております。私は、世論に十分耳を傾け、
国民
の皆様のより一層の御
理解
と御支持を得て、
外交
を
推進
していく
所存
であります。 何とぞ、議員各位、
国民
の皆様の一層の御支持と御
協力
をお願い申し上げます。(
拍手
) ――
―――――――――――
土井たか子
18
○
議長
(
土井たか子
君)
大蔵大臣
久保亘さん。 〔
国務大臣
久保亘君登壇〕
久保亘
19
○
国務大臣
(久保亘君) 私は、
平成
八年度予算の御審議をお願いするに当たり、今後の
財政
金融政策
の
基本
的な
考え方
について所信を申し述べますとともに、予算の大要を御説明いたします。 まず、昨年の
阪神
・
淡路大震災
の発生より一年がたちましたが、今なお多くの困難に立ち向かっておられる
被災者
の
方々
にお見舞いを申し上げます。震災の
復興
が一日も早く進むことをお祈りいたしますとともに、
政府
としても、引き続き諸
施策
の実施に万全を期してまいりたいと考えております。
我が国経済
は、これまで
国民
のたゆまぬ
努力
と研さんにより幾多の困難を克服し、
世界経済
が持続的に成長する中で目覚ましい
発展
を遂げてまいりました。 しかしながら、戦後五十年という
一つ
の区切りを終えた
我が国
は、現在、成熟化
社会
への移行、少子・
高齢化
の
進展
、あるいは
情報通信
の高度化などの避けて通れない構造的な変化に直面しており、今こそ、
国民
一人一人が豊かに暮らせる自由で
活力
ある
社会
の
創造
に向けて
経済
構造の
改革
を強力に
推進
していく必要があります。一方、対外的には、
経済活動
の
国際化
が一層
進展
する
状況
のもと、
世界経済
の
繁栄
と健全な
発展
に向けた新たな枠組みづくりに積極的に
参画
していくことが求められております。 まず、最近の
内外
経済
情勢について申し上げます。
我が国経済
の現状を見ますと、
個人消費
、設備投資及び
住宅
投資などに明るい動きが見られ、
景気
には緩やかながら是踏み状態を脱する動きが見られるところであります。一方、国際
経済
情勢を見ますと、先進諸国ではこのところ
景気
減速の動きがあるものの、旧計画
経済
諸国では
回復
の兆しが見られ、また
開発
途上国ではアジアを中心に
景気
は拡大を続けており、
世界経済
は全体として拡大基調を
維持
しております。 私は、今後の
財政
金融政策
の運営に当たり、このような最近の
内外
経済
情勢を踏まえ、以下に申し述べる諸
課題
に
全力
を挙げて取り組んでまいる
所存
であります。 第一の
課題
は、
景気回復
を一日も早く確実なものとすることであります。
政府
としては、昨年九月の
経済
対策
の策定や年末の住専問題の具体的な
処理方策
の取りまとめなど、これまで
経済運営
には万全を期してきたところでありますが、これら諸
施策
の着実な実施により、このところ見られている明るい芽を育てていくなど、引き続き適切かつ機動的な
経済運営
に努めてまいります。(
拍手
) 八年度予算編成においても、
我が国
の現下の
経済
情勢を踏まえ、異例に厳しい
財政
事情のもとではありますが、公共投資の着実な
推進
を図るとともに、
我が国経済
の中長期的な安定成長に向けて、
経済
の
構造改革
の
実現
のための措置を実施することといたしております。さらに、八年度税制改正において、七年度と同規模の所得税、個人住民税の
特別減税
を継続して実施するほか、
土地税制
、証券税制等についても適切な対応を図ることといたしております。
金融
面では、昨年九月の公定歩合の引き下げを含めた累次にわたる
金融
緩和
措置の実施により、各種金利は依然として低い水準にあり、今後とも、その効果を見守ってまいる
所存
であります。 最近の為替相場の動向につきましては、一連のG7蔵相・中央銀行総裁
会議
における合意に基づいた各国の協調等により、円高是正が進んできております。今後とも、為替市場において
関係
各国と緊密に
協力
してまいりたいと考えております。(
拍手
) 第二の
課題
は、
財政改革
の
推進
であります。
我が国
財政
は、昭和五十年度以降十五年間にわたり多額の特例公債の発行を余儀なくされてきましたが、連年の歳出削減等の
努力
に加え、いわゆるバブル
経済
による高い税収の伸びにも恵まれ、
平成
二年度予算において特例公債の発行を回避することができました。その後、バブル
経済
の崩壊とともに、税収が減少し続けるというかつてない
状況
となりましたが、各年度の予算編成においては、財源
対策
としてさまざまな工夫を講ずることにより、何とか償還財源の手当てのない特例公債の発行を回避してまいりました。 しかしながら、八年度予算編成に当たっては、税収が七年度当初予算で見込んだ水準をさらに二兆円以上も下回る見込みとなる一方、さまざまな工夫も限界に突き当たり、多額の特例公債を発行せざるを得ない容易ならざる
事態
に立ち至っております。 他方、
経済
情勢の変動に対しては、
財政
として可能な限りの対応をしてきた結果、近年公債残高は急増し、八年度末には約二百四十一兆円に達する見込みであります。単年度で見ましても、八年度予算の公債発行額は二十一兆円にも上り、公債依存度は二八%と極めて高いものとなっております。こうした
事態
が今後も続くようなこととなれば、
高齢化
の
進展
や国際的
責任
の増大など
社会
経済
情勢の変化に
財政
が弾力的に対応することは困難となり、
我が国経済
社会
の
発展
にとって重大な支障となりかねません。 先進各国は、長期の持続的成長に資するために中期的にさらに大幅な
財政
赤字削減が不可欠であることを、一連のG7蔵相・中央銀行総裁
会議
の場等で強調してきているところであります。 今後の
財政
運営においては、容易ならざる
財政
事情を厳しく受けとめ、できるだけ速やかに健全な
財政
体質をつくり上げていくことが
基本
的
課題
であります。そのためには、中長期的観点から行
財政
が果たすべき
役割
や守備範囲を
見直し
ていくことが必要となりますが、その過程で
国民
に痛みを分かち合っていただくことをお願いせざるを得ないことも考えられます。八年度予算は、特例公債を含む多額の公債発行という
財政
の厳しい実情を直截にお示しする姿となりましたが、これを地ならしとして、各位の一層の御
理解
と御
協力
を仰ぎつつ、新たな
財政改革
への歩みを進めてまいりたいと考えております。 第三の
課題
は、税制上の諸
課題
に適切に対応することであります。
平成
六年十一月に成立した税制
改革
関連
法においては、消費税と地方消費税を合わせた税率は、既に先行して実施している所得税、個人住民税の負担軽減とおおむね見合う形で九年四月一日から五%とすることが法定されているほか、いわゆる検討条項が盛り込まれております。今後、本年九月末という法律上の期限を勘案して、この税率について新たに法改正を要するかどうか検討を進めていく必要があります。さらに、法人課税などの諸
課題
についても、その検討に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 税制は、
経済社会
構造を支える
基盤
であります。
政府
としては、今後とも、
我が国経済
社会
の構造変化等を踏まえつつ、公平・中立・簡素という租税の
基本
原則に基づいて、より望ましい姿を
実現
するよう不断の
取り組み
を行ってまいる
所存
であります。 第四の
課題
は、調和ある対外
経済
関係
の
形成
と
世界経済
発展
への貢献に努めることであります。
我が国
としては、
世界経済
のインフレなき持続的成長の
強化
を目指して、G7蔵相・中央銀行総裁
会議
等を通じた政策協調を進めてまいります。また、
我が国
は、WTO、APEC等の場を通じ、多角的自由貿易
体制
の
維持
強化
に積極的に取り組んでおります。このような観点から、本年三月には
議長
国として京都において第三回APEC蔵相
会議
を開催し、マクロ
経済
や資金フローの問題等につき協議を行うことといたしております。 関税制度につきましては、一層の市場アクセスの改善を図る等の観点から、ウルグアイ・ラウンド関税引き下げの前倒しなどの関税率等の改正を行うこととしております。 第五の
課題
は、
金融システム
の
安定性
の
確保
と証券市場の
活性化
を図ることであります。
金融
は、
経済活動
に必要な資金の供給という
経済
全体にとっていわば動脈ともいえる
役割
を担っており、健全で
活力
ある
金融システム
は
我が国経済
の
持続的発展
のための不可欠の
前提
であります。こうした観点から、
金融機関
の
不良債権
問題につきましては、
預金者保護
、
信用秩序
の
維持
に
最大限
の
努力
を払いつつ、引き続き果断に対応し、できるだけ
早期
に本問題の
解決
が図られるよう
全力
を挙げて取り組んでまいります。
住宅
金融
専門会社をめぐる問題は、
金融機関
の
不良債権
問題における象徴的かつ喫緊の
課題
であります。この問題の処理に当たっては、住専からの資産等を引き継ぐために設立する
住専処理機構
に資金援助等を行う預金保険機構に設ける住専勘定に対して、
財政資金
六千八百五十億円を支出することといたしました。また、
住専処理機構
において引き継いだ資産に係る損失が生じた場合には、適切な
財政
措置を講ずることとしております。これらの
財政
措置は、住専問題の
早期
処理により、
我が国金融システム
の
安定性
とそれに対する
内外
からの
信頼
を
確保
し、
預金者保護
に資するとともに、
我が国経済
を本格的な
回復軌道
に乗せるため不可欠であり、やむを得ないものと決断したところであります。(
拍手
) 住専問題の処理に当たっては、
透明性
の
確保
とともに、住専の経営
責任
を初め種々の
責任
の
明確化
等を図り、
国民
各位の御
理解
を得るよう
全力
を尽くしてまいります。このため、先般、
住専各社
のこれまでの経営
状況
の推移、
不良債権
の
状況
等、その経営内容に関する
情報開示
を行ったところでありますが、今後とも、本問題をめぐる
情報開示
について、衆参各院の御
理解
、御
協力
をいただきながら、
最大限
の
努力
を払ってまいります。 借り手の返済
責任
につきましては、預金保険機構の指導のもと、
住専処理機構
が、過去の取引経緯、
関係者
の利害等にとらわれることなく、法律上認められているあらゆる回収手段を迅速かつ的確に用いることにより、
債権回収
を強力に行う
体制
を
整備
いたします。(
拍手
)また、
住専処理機構
に資産等が引き継がれるまでの間、円滑な移行の準備及び債権の保全・回収に必要な措置を講ずるよう
住専各社
及び母体行に対し要請し、適切なフォローアップを行ってまいります。 なお、借り手、貸し手に限らず、その他の
関係者
についても、
違法行為
に対しては厳正に対処していく必要があると考えます。(
拍手
) さらに、過去の
金融政策
や
金融検査
・監督の
あり方
を総点検し、今後、
金融機関
における
自己責任原則
の徹底を図るとともに、
市場規律
が十分に発揮される
透明性
の高い、新しい
金融システム
を早急に構築していく必要があり、ディスクロージャーの促進、
早期
是正措置の導入や検査・モニタリングの
充実
を図るほか、破綻処理手続の
整備
、預金保険制度の拡充等を進めてまいります。 以上の
不良債権
問題の
早期解決
と新しい
金融システム
の構築については、昨年十二月の
金融
制度
調査
会答申も踏まえ、所要の法律案を今
国会
に提出することといたしております。 次に、証券市場の
活性化
につきましては、市場が本来の機能を発揮する上で必要な
環境
整備
を図ることが責務であるとの考えに立ち、昨年末には、証券界からのヒアリングを踏まえた
規制緩和
措置を公表いたしました。また、八年度税制改正において有価証券取引税の軽減措置等を講ずることとし、本年一月からは社債の適債基準の撤廃等を行いました。引き続き一層の証券市場の
活性化
に努めてまいる
所存
であります。 次に、
平成
八年度予算の大要について御説明いたします。 八年度予算は、徹底した歳出の洗い直しに取り組む一方、限られた財源の中で資金の重点的、効率的な配分に努め、質的な
充実
に配慮することとし、厳しい
財政
事情の中にあって、豊かで
活力
ある
経済社会
の構築等のために真に必要な経費の
確保
に努めたものとなっております。 歳出面につきましては、一般歳出の規模は四十三兆一千四百九億円、前年度当初予算に対し二・四%の増加と抑制されたものとなっております。国債費は、定率繰り入れの実施などの結果、十六兆三千七百五十二億円となっております。これらに地方交付税交付金、緊急
金融
安定化資金等を加えた一般会計予算規模は七十五兆一千四十九億円となっております。
国家
公務員の定員につきましては、第八次定員削減計画を着実に実施するとともに、増員は厳に抑制し、二千百八人に上る
行政
機関職員の定員の縮減を図っております。 補助金等につきましては、地方
行政
の自主性の尊重、
財政資金
の効率的使用の観点から、その整理合理化を積極的に
推進
することとしております。 次に、歳入面について申し述べます。 税制につきましては、当面の
経済
状況
等を踏まえ、
平成
八年においても所得税の
特別減税
を継続して実施するとともに、
土地税制
等について適切な対応を図る一方、公益法人等に対する課税の適正化、租税
特別
措置の整理合理化その他所要の措置を講ずることとしております。 税の執行につきましては、今後とも
国民
の
信頼
と
協力
を得て、一層適正かつ公平に実施するよう
努力
してまいる
所存
であります。また、税外収入につきましては、外国為替資金
特別
会計からの一般会計への繰り入れの
特別
措置を講ずる等、格段の増収
努力
を払っております。 公債につきましては、発行予定額を二十一兆二百九十億円としております。その内訳は、
建設
公債が九兆三百十億円、特例公債が十一兆九千九百八十億円となっております。既に発行の授権をいただいている減税特例公債を除く特例公債の発行等につきましては、別途、
平成
八年度における
財政
運営のための公債の発行の特例等に関する法律案を提出し、御審議をお願いすることとしております。なお、借換債を含めた公債の総発行予定額は四十七兆五千九百億円となっております。
財政
投融資計画につきましては、対象機関の事業内容等を厳しく見直すとともに、
国民生活
の質の向上等各般の政策的要請に的確に対応していくとの
考え方
に立ち、
住宅
建設
、
地域
の
活性化
等の
分野
を中心に一層の重点的、効率的な資金配分を図っております。この結果、一般財投の規模は四十兆五千三百三十七億円、前年度に対し〇・七%の増加となっております。また、資金運用事業を加えた
財政
投融資計画の総額は四十九兆一千二百四十七億円、前年度に対し一・九%の増加となっております。 なお、国債の円滑な消化に資するため、その引き受けについて資金運用部資金を積極的に活用することとしております。 次に、主要な経費について申し述べます。 公共事業
関係
費につきましては、
社会
資本
整備
を着実に
推進
しつつ、あわせて
景気
の着実な
回復
に資するため、所要の伸びを
確保
することとしております。 なお、その配分に当たりましては、公共投資
基本
計画等の
考え方
、
国民
のニーズ等を踏まえつつ、
住宅
、下水道、
環境
衛生等の
国民生活
の質の向上に直結する
分野
への配分の重点化を
基本
としながら、この中で、次世代の
発展
基盤
となる
分野
、防災
対策
の
充実
等の諸
課題
にも適切に対処しております。特に、
住宅
対策
につきましては、
住宅
金融
公庫融資の着実な
推進
、公共賃貸
住宅
の供給の促進など
施策
の拡充を図っております。また、七年度末に期限の到来する八
分野
の五カ年計画につきましては、おのおの新たな計画を適切に策定することとしております。
社会
保障
関係
費につきましては、
障害者
施策
を総合的、計画的に実施するための
障害者プラン
を新規に策定したほか、新ゴールドプラン及び緊急
保育対策
等を着実に
推進
するなど、
国民生活
に身近な
福祉
等の
分野
できめ細かな配慮を行っております。
雇用
対策
につきましては、新
分野
展開
を担う
人材
育成、失業なき
労働
移動と新規
雇用
創出、新卒者等就職
支援
に重点を置いた新総合的
雇用
対策
を
充実
強化
することとしております。 文教及び科学
振興
費につきましては、
教育
環境
の
整備
、高等
教育
・学術研究の
推進
、
文化
の
振興
等を図るとともに、基礎研究の
充実
、
若手研究者
の
支援
・活用など
科学技術
の
振興
を図るため、各般の
施策
の
推進
に努めております。 中小
企業
対策
費につきましては、中小
企業
の置かれている厳しい経営
環境
に配慮し、中小
企業
の
技術開発
及び新規創業等に対する
支援措置
を初め、各般の
施策
の
充実
を図っております。 農林水産
関係
予算につきましては、いわゆる新食糧法の施行等
我が国
農業・農村を取り巻く諸情勢を踏まえ、経営感覚にすぐれた効率的、安定的な経営体が
生産
の大半を担う農業構造の
実現
に重点を置くこととし、所要の
施策
の着実な
推進
に努めております。
経済
協力
費につきましては、NGOとの連携の
強化
等を通じてきめ細かな援助の実施に努めるほか、途上国における人づくり
支援
策の
充実
や
開発
における
女性
の
役割
の重視などの新しい側面に十分配慮することにより、援助の一層の質の向上を目指しております。 防衛
関係
費につきましては、先般策定された
平成
八年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力
整備
計画に沿って、効率的で節度ある防衛力の
整備
を図ることとしております。 エネルギー
対策
費につきましては、地球
環境
保全の重要性等も踏まえ、総合的なエネルギー
対策
の着実な
推進
に努めております。 地方
財政
につきましては、引き続き大幅な財源不足が見込まれますが、一方、国の
財政
事情は極めて厳しく、国と地方という公
経済
の車の両輪がバランスのとれた
財政
運営を行う必要があるという
基本
的
考え方
を踏まえつつ、地方
財政
の運営に支障を生ずることのないよう所要の措置を講じ、地方交付税総額を適切に
確保
することとしております。地方公共団体におかれましても、従来にも増して歳出の節減合理化を
推進
し、より一層効率的な財源配分を行うよう要請するものであります。 緊急
金融
安定化資金につきましては、前述の住専問題の
処理方策
に基づき、預金保険機構に対する補助金等を計上しております。 この機会に、
平成
七年度補正予算(第3号)について一言申し述べます。 七年度一般会計補正予算(第3号)につきましては、歳入面では、最近までの収入実績等を勘案して租税及び印紙収入の減収を見込む一方、特例公債の発行等を行うとともに、歳出面では、地方交付税交付金の減額等を行うこととしております。なお、特例公債の発行につきましては、別途、
平成
七年度における租税収入の減少を補うための公債の発行の特例に関する法律案を提出し、御審議をお願いすることとしております。 以上によりまして、七年度一般会計第三次補正後予算の総額は、第二次補正後予算に対し、歳入歳出とも一兆四十四億円減少し、七十八兆三百四十億円となっております。 以上、
平成
八年度予算及び
平成
七年度補正予算(第3号)の大要について御説明いたしました。 何とぞ、
関係
の法律案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。 私たちは、これから二十一
世紀
に向けて、多様性に富み、豊かで活気にあふれた
経済社会
を力を合わせて構築していかなければなりません。このためにも、もはや
危機
的
状況
にある
財政
の
構造改革
を図り、
社会
経済
情勢の変化に弾力的に対応し得る健全な
財政
を一刻も早く確立するとともに、安定的な
金融システム
の構築に向けて
自己責任原則
の徹底と
透明性
の高い
行政
の
推進
が不可欠であります。 私は、前途に横たわる
財政
金融
上の幾多の諸
課題
に真正面から
取り組み
、課せられた
責任
を精いっぱい果たしてまいりたいと考えております。
国民
各位の一層の御
理解
と御
協力
を切にお願いする次第であります。(
拍手
) ――
―――――――――――
土井たか子
20
○
議長
(
土井たか子
君)
国務大臣
田中秀征さん。 〔
国務大臣
田中秀征君登壇〕
田中秀征
21
○
国務大臣
(田中秀征君)
我が国経済
の当面する
課題
と
経済運営
の
基本
的
考え方
について、所信を申し述べます。 現在、私たちは、
内外
ともに歴史的な転換期に立っております。まず、
我が国経済
は、ようやく長引いた
景気
の足踏み
状況
から脱却し、新しい持続的安定成長に移行する転換期にあります。また、
世界経済
も、戦後半
世紀
にわたる冷戦
体制
の枠内での
競争
から、名実ともに一元的な
世界経済
の大きな枠組みの中での自由で激しい
競争
の
時代
への転換期にあります。さらには、工業化
社会
をつくり出した二十
世紀
から
情報化
と知的
生産
に一層重きが置かれる二十一
世紀
へと、いわば文明史的な
転換点
に立っております。このような歴史の流れに的確に対応し、新たな
展望
を切り開くためには、現在の
経済社会
の構造を抜本的に点検し、
改革
していくことが強く要請されております。 「
改革
なくして前進なし」、「
構造改革
なくして新たな
発展
なし」との認識のもと、すべての人が痛みを分かち合い、総力を挙げてこの
時代
の困難を克服していかなければなりません。そのためには、「隗より始めよ」の言葉のとおり、まず
行政
が率先して身を正し、痛みを引き受けることが何よりも必要であります。(
拍手
) 初めに、
内外
の
経済
の
状況
について申し述べたいと思います。
世界経済
は、
社会
主義国を含め多くの国で市場
経済
が拡大深化しております。最近のAPECの貿易・投資の自由化の動きが示すように、特にアジア太平洋
地域
において市場
経済
化が顕著に進んでおります。このような
経済
潮流の
基本
的変化は、従来の
競争
の範囲と厳しさを
世界
的規模に変え、いわゆる大
競争
の
時代
をもたらしつつあります。その結果、
我が国経済
は、一方で
先端技術
を持つ先進国
経済
と競い、他方で
労働
コストの面で圧倒的に優位にある途上国
経済
と競わざるを得なくなっております。言ってみれば、厳しい二正面作戦を強いられているこうした
状況
に対応するためには、果断でちゅうちょなき
経済
改革
が求められているのであります。 他方、
我が国経済
は
平成
五年十月に
景気
の底を打ちましたが、いわゆるバブルの崩壊が個人や
企業
の
経済活動
を抑制し、
金融機関
の
不良債権
問題を深刻化させたため、その後の
回復
は緩やかなものにとどまっておりました。こうした
景気
の動きは、一年前の
阪神
・
淡路大震災
、昨年三月以降の急激な円高等により、一層緩やかなものとなりました。そして年半ばからは足踏み
状況
となり、
経済
の先行きに不安感が生じるなど、厳しい
状況
が続きました。 そのため、
政府
は、昨年九月に内需拡大、バブル崩壊の影響への対応、
規制緩和
の一層の促進を柱とする
経済
対策
を取りまとめるなど、これまで切れ目なく
施策
を講じてまいりました。その結果、
雇用
面や
中小企業分野
ではなお厳しい
状況
にあるものの、このところ
個人消費
、
設備投資等
の
回復
に加え、
生産
にも明るい兆しがあらわれるなど、
景気
には緩やかながら
足踏み状態
を脱する動きが見られます。 以上のような
状況
を踏まえ、私は、
平成
八年度の
経済運営
に当たりましては、
景気回復
と
経済構造改革
を中心として、次の四点の
基本
的
考え方
に沿って対応してまいりたいと考えております。
基本
的
考え方
の第一は、このところ見られている明るい芽を育て、民間需要主導の自律的
景気回復
への移行を速やかかつ円滑に
実現
することであります。 このため、
政府
は、深刻な
財政
事情のもと、
平成
八年度予算において引き続き
景気
に配慮することとし、公共投資の着実な
推進
や
住宅
投資の促進など内需拡大を図ったところであります。また、
科学技術
振興
や高度
情報化
のための
施策
を
推進
することとしております。 さらに、
平成
七年度と同規模の所得減税を引き続き実施するほか、
土地税制
の
見直し
を図るとともに、証券市場
活性化
のために税制措置を講ずることとしております。
金融政策
につきましては、
内外
の
経済
動向や国際通貨情勢を注視しつつ、適切かつ機動的な運営を図ることが
基本
であると考えておりますが、住専問題などの
不良債権
問題については、
景気
を本格的な
回復軌道
に乗せ、
金融システム
の
安定性
とそれに対する
内外
からの
信頼
を
確保
するため、その処理
方針
を明らかにしたところであります。今後、
国民
の皆様の御
理解
をいただくためにも、一層厳しく
情報
の公開、それぞれの
責任
の
明確化
等に努め、
不良債権
の
早期
処理に取り組んでまいらなければなりません。
雇用
面では、新
分野
を担う
人材
の育成、新規
雇用
の創出と失業なき
労働
移動、新規学卒者への
情報
提供などの
対策
を積極的に
推進
することにより、
雇用
の安定に万全を期してまいります。 中小
企業
につきましては、
技術開発
や
新規事業
、新
分野
進出などに対する
支援
を中心とする総合的な
対策
を
推進
してまいります。 物価は、
世界
的な市場
経済
の拡大と深化、流通部門の
競争
の
活発化
などを背景に現在非常に安定しておりますが、今後とも、その基調を
維持
してまいります。しかしながら、
内外価格差
の存在は
国民
が
生活
の豊かさを実感できない大きな
要因
となっております。今後とも、
規制緩和
、
競争政策
の
推進
や公共料金政策の適切な実施を通じてその是正縮小を図ってまいります。 これらの
施策
や、次に申し上げる
経済構造改革
の
推進
等により、民間部門の自主的な
努力
のもと、
平成
八年度における
我が国経済
は、公共投資主導の
回復
から次第に民間需要が力を増し、自律的
回復
に移行すると見込まれます。すなわち、
政府
が
景気回復
の機関車となっている
段階
から民間が
景気回復
の機関車となる
段階
へと移行する、この移行過程を慎重に見守りつつ、今後とも適切な
経済運営
を行ってまいります。 来年度の
経済
の姿を具体的に申し述べますと、まず
個人消費
は、
雇用
者所得の
回復
と
消費者
物価の安定によって、緩やかながら
回復
を続けてまいります。 次に、民間設備投資については、大
企業
・製造業を中心に既に始まった
回復
が、中小
企業
や非製造業に徐々に広がってまいります。また、
住宅
投資や公共投資は高水準を
維持
いたします。 貿易については、製品輸入の増加等により輸出を上回る輸入の拡大が見込まれ、その結果、貿易・サービス収支及び経常収支の黒字は引き続き縮小いたします。
雇用
情勢は厳しさが続きますが、
景気
の
回復
につれ徐々に改善していくことが期待されます。 こうした
経済
の推移により、
平成
八年度の実質
経済
成長率は、
平成
七年度の一・二%程度から内需中心の二・五%程度に上昇するものと見込んでおります。
基本
的
考え方
の第二は、
経済構造改革
の
推進
であります。
政府
は、昨年十二月に、西暦二〇〇〇年度までの新しい
経済計画
、
構造改革
のための
経済社会
計画を決定いたしました。現在の内需中心の
景気回復
を中期的な安定成長につなげていくために、
経済計画
に掲げられた物流、エネルギーなど十
分野
の高
コスト構造
是正・
活性化
のための
行動計画
の実施を初めとする構造的な
改革
を着実にかつ積極的に進めてまいります。 その柱となる
規制緩和
については、
規制緩和
推進
計画に従って何よりも
政府
がまず真剣に取り組むとともに、
行政
と民間の
役割
分担の
見直し
など
行政
改革
を
推進
してまいります。それと同時に、民間においても、既得権益を守ることにとらわれることなく、積極的に
規制
から自立する意気込みで取り組んでいただきたいと願っております。
国民
的な
努力
が一体となって初めて、自己
責任
の原則と市場原理にのっとって
経済
の潜在的な
活力
が発揮され、二十一
世紀
に向けての新しい
経済社会
の
実現
が可能となります。 その際、
競争政策
の積極的な
展開
と事業革新、
新規事業
の育成等への
支援
により
産業
の
活性化
を促していく必要があります。特に、今後は
情報通信
関連
、
人材
関連
、
医療
保健・
福祉
関連
、
環境
関連
などの
分野
の成長が期待されます。
情報化
、知的
生産
に一層重きが置かれるようになる二十一
世紀
に向けて
我が国経済
の
発展
基盤
を
整備
することが求められます。このため、個人の
能力
が発揮され、正当に評価される
能力
開花型
社会
、新たな成長を切り開く
科学技術創造立国
、
情報化
の
進展
に対応した
高度情報通信社会
の構築を進めてまいります。 こうした
未来
を志向した
経済
活性化
の
努力
により、新たなフロンティアを開拓し、
構造改革
に伴う痛みを和らげ、
雇用
の
確保
を図ってまいります。
基本
的
考え方
の第三は、安心して暮らせる
経済社会
の
創造
であります。
国民
は、今や、所得や物財の豊かさのみならず、心の豊かさやゆとり、安全で安心して住める
経済社会
を求めております。こうした
国民
の価値観の変化に対応し、まず、
生活
者みずからがその
能力
と意欲に応じて主体的な
役割
を果たすことができる
環境
を
整備
することが重要であります。このため、
女性
の一層の
社会
進出や
高齢化
に対応した
雇用
環境
の
整備
、
障害者
の
雇用
機会の
確保
、ボランティア
活動
促進のための
支援
などを行ってまいります。 さらに、
消費者
が自己
責任
に基づき主体的に
行動
できるよう、
消費者
保護・
支援
のための諸
施策
を積極的、総合的に
推進
してまいります。 また、少子・
高齢化
が
進展
する中で、人々が安心して暮らせるようにするために、各人がみずから問題に取り組む自助、
社会
的に助け合う共助、公的なサービスによる公助を適切に組み合わせた新しい
社会
的
支援
システム
を構築してまいります。 ゆとりある暮らしの
実現
のため、年間
労働
時間千八百時間の達成に向けた
労働
時間短縮のための
取り組み
を
支援
するとともに、狭い・高い・遠いといった
住宅
の問題に対処するために、一戸当たりの平均床面積百平方メートル、
住宅
建設
コストの三分の二ヘの低減、通勤時間おおむね一時間程度を目指すなど、ゆとりある
住宅
・
都市構造
の
形成
を図ってまいります。また、
地域
のイニシアチブにより、豊かな自然や景観、
個性
的な
伝統文化
を生かしたゆとりある暮らしの
実現
を図るとともに、
環境
と調和し、
持続的発展
が可能となる
経済社会
を築いていくための
施策
を
推進
してまいります。 震災後一年が過ぎましたが、引き続き
阪神
・淡路
地域
の
復興
に
全力
を挙げてまいることは当然でありますが、
大震災
の経験を生かして、
災害
に強い
国土づくり
、
町づくり
を
推進
するとともに、公共投資
基本
計画を
推進
し、
生活
関連
分野
等への重点的・効率的配分を図ってまいります。
基本
的
考え方
の第四は、市場
経済
化・一体化が進んでいる
世界経済
への貢献であります。
我が国経済
が
世界経済
とともに
繁栄
するためには、対外的にも開かれた
経済社会
を
形成
することにより
我が国
が市場
経済
のメリットを
最大限
享受するとともに、国際的な問題への
取り組み
に積極的に
参画
することにより
世界経済
の
持続的発展
に貢献することが求められております。 まず、制度・仕組みの国際的調和を
確保
する必要があります。
規制緩和
に加え、市場開放問題や
政府
調達に関する苦情処理
体制
などの
活動
を通じて、諸外国から
我が国
への市場アクセスの改善を図ってまいります。 さらに、WTOを中心とする制度的枠組みの中で、多角的自由貿易
体制
の一層の
強化
に貢献するとともに、ウルグアイ・ラウンド後の新たな
課題
として既に国際的な論議が始まっている貿易・投資の枠組みづくり、APECにおける貿易・投資の自由化、円滑化のための
我が国
としての
行動計画
の策定などに参加してまいります。 また、民主化・市場
経済
化
支援
、途上国の
女性
支援
などのODAの新たな
課題
に取り組んでまいります。 さらに、二十一
世紀
に向けた地球
社会
の
経済
発展
に関しては、
人口
、食糧、資源、そして
環境
をいかにバランスさせながら持続的な
発展
を可能としていくかが大きな
課題
となっております。資源は有限でありますが、技術・知識はその有限性を超えるものであります。こうした問題についても、
我が国
が有している
経済
力、技術力、科学的知見を活用し、貢献してまいります。 今、来るべき二十一
世紀
を前に、
日本経済
の先行きを悲観する向きもあります。しかし、五十年前の終戦直後の総悲観論、二十年前の石油
危機
後のゼロ成長論を思い起こしてみると、この資源の乏しい、
国土
の狭い
国家
が、逆境に立ち困難に遭うたびに、
国民
的英知とエネルギーを結集してそれらを乗り越え、ついには
世界
で有数の
経済社会
を築き上げてきたのであります。
財政
の窮状、
医療
・年金給付の行く末など、どれ
一つ
とっても、
日本経済
は現状のまま手をこまねいていることはできない難しい問題に直面しております。こうした
課題
を
解決
するためにも、新しい成長軌道を構築することが求められております。 そのためには、
行政
改革
、
財政改革
、
経済
改革
を初め、
経済社会
の
構造改革
の断行が急務となっております。新しい
経済計画
においては、
構造改革
に積極的な
成果
を上げることによって、
平成
八年度以降五年間の実質
経済
成長率は三%程度になると見込んでおります。
構造改革
を怠るならば、成長率の鈍化や失業率の上昇などが懸念され、
日本経済
の
展望
を切り開くことはできません。 みずからの力でみずからの痛みを克服することができるのか、それともこのまま時流の変化に身をゆだねるのか、今、
日本経済
はかつてなくその真価が試されています。この試練を乗り越えて明るく希望に満ちた
経済社会
を
建設
するため、私は微力ながら精いっぱい
努力
してまいる
決意
でございます。
国民
の皆様、議員各位の御
支援
と御
協力
を心からお願いを申し上げます。(
拍手
) ――
――◇―――――
七条明
22
○七条明君
国務大臣
の
演説
に対する質疑は延期し、来る二十四日午後一時から本
会議
を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されることを望みます。
土井たか子
23
○
議長
(
土井たか子
君) 七条明さんの
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
土井たか子
24
○
議長
(
土井たか子
君) 御
異議
なしと認めます。よって、
動議
のとおり決まりました。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時十八分散会 ――
――◇―――――