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1996-03-15 第136回国会 衆議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月十五日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員   委員長 加藤 卓二君    理事 太田 誠一君 理事 佐田玄一郎君    理事 志賀  節君 理事 細川 律夫君    理事 枝野 幸男君       小野 晋也君    奥野 誠亮君       塩川正十郎君    白川 勝彦君       橘 康太郎君    中谷  元君       萩山 教嚴君    細田 博之君       佐々木秀典君    坂上 富男君       正森 成二君    小森 龍邦君  出席国務大臣         法 務 大 臣 長尾 立子君  出席政府委員         法務大臣官房長 頃安 健司君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 原田 明夫君         法務省人権擁護         局長      大藤  敏君         公安調査庁長官 杉原 弘泰君  委員外出席者         阪神・淡路復興         対策本部事務局 田中 正昭君         主任局員         公正取引委員会         審査部管理企画 梶山 省照君         課長         警察庁刑事局捜         査第一課長   中島 勝利君         科学技術庁原子         力安全局原力炉         規制課安全審査         管理官     鈴木  貴君         大蔵大臣官房審         議官      吉村 幸雄君         厚生省薬務局企         画課長     吉武 民樹君         運輸省航空局監         理部航空事業課         長       丸山  博君         郵政省放送行政         局地上放送課長 伊東 敏朗君         最高裁判所事務         総局総務局長  涌井 紀夫君         最高裁判所事務         総局民事局長  石垣 君雄君         最高裁判所事務         総局刑事局長  高橋 省吾君         法務委員会調査         室長      河田 勝夫君     ――――――――――――― 委員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   永井 英慈君     佐藤 守良君 同日  委員佐藤守良君が死去された。 同月十三日  辞任         補欠選任   坂上 富男君     左近 正男君 同日  辞任         補欠選任   左近 正男君     坂上 富男君 同月十五日  辞任         補欠選任   塩川正十郎君     細田 博之君   浜野  剛君     中谷  元君   古屋 圭司君     小野 晋也君 同日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     古屋 圭司君   中谷  元君     浜野  剛君   細田 博之君     塩川正十郎君     ――――――――――――― 二月二十七日  五年別居条項等を導入する民法改悪反対に関す  る請願(佐々木秀典紹介)(第一号)  同(金田誠一紹介)(第一一六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月五日  破壊活動防止法発動撤回に関する陳情書外一件  (第一二四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  裁判所司法行政法務行政及び検察行政、国  内治安人権擁護に関する件      ――――◇―――――
  2. 加藤卓二

    加藤委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ち、新進党所属委員出席を要請いたしましたが、出席を得られませんので、やむを得ず議事を進めます。  この際、お諮りいたします。  本日、最高裁判所涌井総務局長石垣民事局長高橋刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤卓二

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 加藤卓二

    加藤委員長 裁判所司法行政法務行政及び検察行政国内治安人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。志賀節君。
  5. 志賀節

    志賀委員 おはようございます。  アメリカ社会は、日本などでは訴訟社会などとよく言われておりまして、何事によらず裁判決着をつけていく、そういうことが伝えられておるわけでございます。いつでございましたか、テレビを見ておりましたところ、極めて簡易な裁判でございますが、その実況が放映されまして、次から次へとこれが片づけられていく。これを日本では訴訟社会と呼ぶ人がいるのかなと、私は実物をもって教えられたような気がしたのでございますが、なるほど考えてみますと、アメリカは多人種国家でございます。したがいまして、言葉も違えば風習も違う、そういうところからアメリカに寄り集うて、あるいは寄り集うた後も、それぞれの民族がそれぞれの伝統、文化、そういうものを引き継いでおる。したがいまして、なかなかあうんの呼吸で事が運ぶというわけにはいかない。そこで、法律というもので決着をつけなければどうしても据わりが悪いのだ、そういう国なのだというふうに、実物を見ておって私も理解が深まったわけであります。  そこにいきますと、日本はなかなか裁判というものが、どちらかというとなじまない。あいつは訴訟好きだとか、どうも争い事を嫌わないで嫌なやつだとか、そういう風潮がございまして、恐らくそのことが日本裁判の今日の状況と無縁ではない。もっと別の言葉で言うと、日本の現在の裁判が迅速に行われないことの底流はこの辺にあるのかな、こんなことを考えさせられるのでございますけれども、しかし、今回世間の耳目を集めましたオウム真理教問題につきましては、これは私の個人的な感覚にすぎないかもしれませんが、少なくとも裁判の開始は思ったよりもスムーズに、 迅速にいったのではないだろうかというくらいの気持ちを持っておるわけでございます。  したがいまして、私は今回のこのオウム真理教裁判スタートまでの間に、当局のそれぞれの御苦心とか御努力とかがあったのではないかと思うのでございますが、今までよりもこういう点で苦労したとか配慮したとか努力をしたということがあれば、これは今後の大きな参考になろうと思いますので、この機会にお教えをいただきたい、このようにお願いする次第でございます。
  6. 高橋省吾

    高橋最高裁判所長官代理者 オウム関連事件の特徴といいますと、極めて多数の被告人重大事件を含めたいろいろな事件で起訴されているということでございます。そこで、この種事件が大量に起訴されました東京地裁におきましては、刑事部全体で、全体を挙げてこの事件に取り組むことにいたしまして、令状部を除いたすべての部にオウム関連事件配てんしております。  また、これらの事件を迅速かつ適正に処理するために、事件配てんをするに当たりましては、その事件内容とかあるいは被告人役割等に応じてグループをつくりまして、そして、同一グループ被告人同一の部に配てんする。それで、それぞれの部が合理的な訴訟進行をすることができるように配慮しております。  また、実際に事件を担当する受訴裁判所におきましては、第一回公判の前から、検察官あるいは弁護人訴訟進行について十分な打ち合わせを行いまして、これらの訴訟関係人に対し、争点中心の集中的な審理ができるように綿密な事前準備をしてほしい、そういったふうに働きかけております。  また、できる限り開廷の間隔を縮めて審理をするために、訴訟関係人に多数回の期日をあらかじめ予定してもらうように働きかけておりまして、複数の期日を一括して指定する、こういったような工夫をしております。
  7. 志賀節

    志賀委員 裁判スタートがよかったということで、これはすべてを評価するわけにはいかないのでありまして、やはり、首尾一貫ということが第一である。この後結審、判決に至る間もまたスピードアップして、要するに迅速化された中でこれが取り運ばれなければならないと思うのでございますが、もちろん、それならば慎重を欠いていいかというとそうはいかない。したがいまして、慎重かつ迅速化裁判の生命だと思うのでございます。  ただいまの御説明でも、相当今後もスピードアップ化が期待されることはわかりましたけれども、今後の問題について、なおスピードアップ化についてお話があればこれを聞かしていただきたいと思います。
  8. 高橋省吾

    高橋最高裁判所長官代理者 迅速かつ適正な裁判実現というものは、これは裁判所に課された責務でございまして、裁判所もその実現のために最善の努力を尽くす所存でございます。事務当局としましても、従前から行ってきたいろいろな方策、例えば第一審強化方策地方協議会とか法曹三者によるそういうような協議会とか裁判官の協議会とか研究会等いろいろありますけれども、そういった機会を今後とも大いに活用していく、こういうことになろうかと思います。具体的には、今後ともさらにいろいろな観点から、迅速かつ適正な審理実現のための方策について、今申し上げましたとおりの協議会とかあるいは研究会等を通じていろいろ検討してまいりたいと思っております。  なお、言うまでもないことでございますけれども当事者主義構造を基調とする現行の刑事訴訟法のもとでは、検察官弁護人当事者の積極的な協力がなくては、これは迅速な審理実現するということは非常に困難でございます。検察庁、弁護士会等関係各方面にもより一層の御理解、御協力を賜りたい、こういうふうに考えております。
  9. 志賀節

    志賀委員 日本裁判の、今まで非常に時間のかかることが問題視されておるわけでございますから、ただいまのお話以外にもいろいろ改善あるいは努力をしなければならない点があろうと思うのでありまして、この点にさらに御努力をいただきたい。過般の司法試験改正問題をめぐって若干の論議のございましたことも、焦点はここらにあろうかと私は理解をいたしております。どうか、慎重でそして適正な運営、そしてまた迅速、これをモットーとして、裁判近代化といいますか現代化といいますか、これをお図りをいただきたいと思うのであります。  なお、ただいま申し上げた、このオウム真理教につきましては非常に世間が注目をしておることは申すまでもございません。それを受けてマスコミも詳報を行っております。特に最近は、同じサリン事件でも、松本のではなくて地下鉄サリン事件裁判に係りまして、これの詳報がありました。今まで報道せられた中で、こういう点は裁判を行っていく上において大方の理解を得られていない点ではないかとか、あるいはこういう点は伝えられていてもいいのに伝えられていないというようなこととか、それやこれやで、この機会当局からはっきり申しておいた方がいいということがございましたらば、この機会に承りたいと存じます。
  10. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘オウム真理教事件にかかわる裁判につきましては、これまで新聞、テレビ等により、御指摘のように大変詳しい報道がなされているところでございます。また、それらの報道につきまして、それをきっかけにいろいろな議論も行われているということは承知いたしております。  ただ、そのすべてにつきまして、法務省立場で、いわば捜査内容あるいは公判の実際の過程と照らし合わせてこれを判断するという立場にございませんので、その点は御容赦をいただきたいと思うわけでございますが、一般的に申し上げますと、やはり刑事事件におきましては裁判において  明らかにされていく、検察官が証拠を持っておりましても、それが直ちに真実であるというように訴訟過程で決められたものではないということをしっかりと理解しておく必要が私どもはあろうかと思います。そういう意味で、やはり裁判過程を見守っていき、その場で明らかにされていくことが、そして最終的に裁判所判断があるということを見守ってまいりたい、そういう基本的な立場をこれからも持っていかなきゃならないと思います。  途中で、個々の報道によりまして、確かに御指摘のとおり事実と違うのではないかと思われるようなところがないわけでないと存じますけれども、その一つ一つについて反論していく、あるいは正していくというのは、法務当局立場としては極めて控えなければならないことではなかろうかと存じます。御指摘の点は、よくその御趣旨はわかるのでございますけれども、当委員会で、その校閲の問題についてそのような形で明らかにしてまいるということについては御遠慮さしていただきたい、そういうふうに存ずる次第でございます。
  11. 志賀節

    志賀委員 御説明はごもっともだと思いますので、これ以上承ることは私自身差し控えたいと存じます。  そこで、ここで承っておきたいことは、政治に対する宗教かかわりについて、これは当然この裁判一つのポイントであろうと思うので、法務省の御見解を承っておきたい。  やはり世の中で言われていること、これは正しいのではなかろうかなと私も考えておるのでありますが、宗教が、宗教団体権力を握ろうとしただけでもこれだけの大問題が生ずる、いわんや宗教団体政治権力を握ってしまったならばその後にどれほど深刻な事態が惹起されるかはかり知れない、したがって宗教政治かかわりについては真剣にこの機会に考えてほしい、こういう声が私のところにも寄せられておるわけでございます。  この問題と破防法の絡み等もございますが、この点について、当局のお考え、これからの対処、対応、これについてただしておきたいと思います ので、御答弁を願いたいと思います。
  12. 長尾立子

    長尾国務大臣 宗教政治の問題でございますけれども、今委員からお話がございましたように、宗教政治関係ということについてはいろいろな御議論があるということは承知いたしております。  私は法務大臣という立場でございまして、いわば閣僚の一員という意味では、今先生が御指摘の問題につきまして勉強してまいらなければならないということを痛感をいたしておるわけでございますが、日本国憲法の上では、宗教団体政治的な活動を行うことについては、二十条一項後段に言う政治上の権力行使に当たらない限り、また公共福祉に反しない限度において一般には許されるものと考えております。  オウムの場合には、いわば刑法のそれぞれの罪に当たるような、明らかに公共福祉に反するような行為が行われたわけでございまして、この点につきましては、宗教という問題を超えた部分があると承知をいたしております。
  13. 志賀節

    志賀委員 破防法についてのお考えは今までも何人かの委員からの御質問がありましたけれども、この機会に再度承っておきたいと思います。
  14. 杉原弘泰

    杉原政府委員 委員指摘のとおり、破防法の問題につきましては、ただいま私ども公安調査庁におきまして、いわゆる弁明手続を実施中でございます。これに関するいろいろな問題点につきましては、当委員会を初めいろいろ御議論をいただいておりまして、その問題については適切な御理解を得たものというふうに信じております。  申すまでもなく、この破防法に基づきます団体規制の処分というのは、破壊的な団体が将来暴力主義的な破壊活動を再度行うことを防止し、そして公共の安全を確保する、こういうことに目的があるわけでございますので、当然のことながら、その規制請求に関する手続というのは、適正かつ慎重に進める必要があると同時に、やはり事柄の性質上、できるだけ迅速に進める必要があるというふうに私ども考えております。そういう意味で、第一回の弁明期日以来、第二回の弁明期日の開催につきまして目下団体側の代理人と協議中でございまして、できるだけ早い機会に第二回の期日を設定できるように努めてまいりたい、かように考えております。
  15. 志賀節

    志賀委員 ただいま法務大臣からお話のございました憲法第二十条は、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力行使してはならない。」これは前段でこうなっているわけでございます。  そこで、特に当局に御留意を願いたいと思いますことは、いかなる宗教団体も国から特権を受けることは許されないわけでありますから、特権とは何なのかということが、どうもまだ私にはぼやけて見える。例えば経済的なあるいは政治的ないろいろな面で、これは特権かなと思われるようなものもないわけではない。  それから、もう一つ留意願いたいのは、「政治上の権力行使してはならない。」政治上の権力行使、今の段階ではまだできてないという逃げ方もありましょうし、いや、そうではない、既になっているという見方もありましょうし、仮に、政治上の権力行使、これでできるんだという状況になってから憲法違反だと騒いだのでは、もう手おくれなのかもしれない。その前段階でということもあり得るかもしれない。いろいろ、この憲法二十条をめぐっては、判断しなければならないたくさんのことがあろうかと思うのでありまして、こういう点も実は十分に御留意を願わないといかぬなと思っている点でございますから、ただいま法務大臣からのお話がありましたこの機会に、特に私から指摘をさせていただきたい。  それから、論点が多少変わりますけれども、最近、恐らく法務委員会理事であるゆえをもってでございましょう、私のところに法務省から法制審議会によって民法改正をしたいということでの御説明がございました。きょう、そのおいでになった方の何人かも御出席をしておられますけれども、その際の御説明の中に、嫡出子と非嫡出子相続権平等化するということについての御説明がございました。私は、生まれてきた子には何の罪とがもないわけでございますから、その子供に甲乙をつけるのはいかにもかわいそうだ、これはやはり平等に扱ってやるのが血も涙もある処遇であろうということは私自身よくわかるし、私もこれには同意しないわけにはいかない気持ちでございます。  しかし、それはそれとして、もしこの平等化法律ができたならば、その後、今の法制上の中でならば恐らく産まなかったであろう、生まれなかったであろう非嫡出子が相当数生まれる可能性が出てくると私は理解するのでございます。そのことについて私は、法制審議会でこの問題については当然審議がなされたのでしょうが、これはどうなっておるのでしょうか、こう聞いたところ、驚いたことに、今までの非嫡出子の問題についての扱いは論議されたけれども、この民法改正法律が制定された後のその嫡出子、非嫡出子関係、あるいは非嫡出子出産がふえるであろう等については全く御論議がなかったやに承ったのでございます。そうだとすれば、この話は法制審議会にお引き取り願ってもう一度審議をしてもらうべきではないだろうか、こう考えるのでございますが、この点についての御意見を承りたいと思います。
  16. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 相続というのは、申し上げるまでもございませんが、父または母の死亡によって初めて問題になりますものでありますし、相続分というのは、第一義的には被相続人遺言によって指定することができる、遺言がなければ法定相続分によるということでございまして、その相続分嫡出子と非嫡出子で区別を生ずるかどうかという問題でございます。  そういうことでございますので、法定相続分が同等であるから子供を産もうとか、嫡出子の二分の一しかないから子を産まないようにしようとか、そういうことで判断が左右されることではないのではないかというのが法制審の委員の方々の一般の御認識であったと思いますし、私どももそういうふうに考えているところでございます。説明者の方でそういう議論がなかったということを申し上げましたのは、恐らく、そういうことの問題があるからこの平等化同一化については問題があるという観点からの御意見がなかったということであろうと思います。  そういうことを御説明申し上げたのだろうと思っておりますが、この中間段階でいろいろ関係各界意見照会をいたしております。それに対して寄せられたこの相続分同一化に対する消極意見、これも幾つかあったわけでございますが、その理由の中では、この相続分を同等とすると一夫一婦制の理念に反する、あるいは、嫡出子と非嫡出子相続分の差異をなくすると婚姻する意義を失わせて婚姻制度破壊につながる、あるいは、配偶者嫡出である子の感情に反するといったような意見もあったわけでございまして、そういう意見も踏まえながら、そういった後の問題がそれほど懸念すべきことではないであろうという委員各位の御認識のもとにこういう答申がされたものだというふうに理解をいたしております。
  17. 志賀節

    志賀委員 生まれてきた子が非嫡出子であろうが嫡出子と同等の相続権があるということで親が出産気持ちになり得るという考え方は、私は常識だと思います。私は、そうであったときとそうでなかったときと同じだなどという考え方は、これは強弁だと思う。私はそんなことは全くないと思う。ですから私が、そうなる以前にこういうことが論議の対象になっていなければ論議をすべきだと思うので、今そのような提案をさせていただいておる。政治家というものは常識に立ってしか物は言えないのです。私は常識で申し上げているつもりです。今のお話強弁である、非常識である、このように決めつけさせていただきたいと思います。  それから、私はもう一つ申し上げておきたいのは、最近でございますが、さる論文を読んでおり ましたところ、フランス革命というものが、何か日本では金科玉条、自由、博愛、平等のもとに成功をおさめた、この確立がこれによってできた、そういう成功例であるようなことがいわゆる進歩的文化人等によって言われてきたけれども、実はこれは失敗作なんだ、大変なものであったのだということが現在フランスの学会の主流になっておるということも承知をしたのであります。言われるまでもなく、私はかねてからおかしいと思っていたのは、なぜフランス革命が成立した直後にナポレオン一世が帝政をしいてしまったのか、この一事をもってしてもフランス革命の破産は明らかでないかと考えておる一人でございます。  それにつけても日本人というのは、どうも簡単に事を人の言葉でもって理解をするというか納得をしてしまって、例えば家というもの一つをとってみても、なるほど私自身が家を考える上においても因習とか矛盾とかというものを私なりに理解する面はあります。しかし一方において、こういういいところもあったなという面も私なりにあるのでありまして、こういう点をしっかり踏まえていかないと、今回の民法改正の問題なども大間違いをしてかすのじゃないかということを私は考えておるのでありまして、この点を強くこの機会指摘をさせていただきたいと思います。  最後に、長尾法務大臣に希望させていただきたいと思いますが、フィンランドの前の法務大臣が、これは女性でございますけれども、最近日本にやっておいでになるそうでございます。たまたま今の日本法務大臣女性女性同士でなければ共通のものが話せない面もあるいはあるかもしれない、この法務行政を考える上においても。どうか、そういうことで法務大臣女性同士で忌憚のない意見の交換をしながら、日本はもとより北欧司法行政に関しても、一歩も二歩も前進を図られるような御努力をいただきたい。特にそのことを私から希望しておきますが、コメントがございましたならばお答えをいただきたい。
  18. 長尾立子

    長尾国務大臣 御指摘のとおり、フィンランドの前法務大臣であられますヤーッテンマキ議員が近々御来日されると伺っておりまして、私の方で懇談を予定させていただいております。  今、委員からお話がございましたが、北欧司法の問題、また人権の問題、こういったことにつきまして、時間の許します限り意見の交換をいたしまして、両国間の国際交流を深め、また私としても勉強させていただき、有意義な会見とさせていただきたい、このように考えております。
  19. 志賀節

    志賀委員 質問を終わります。ありがとうございました。
  20. 加藤卓二

  21. 坂上富男

    坂上委員 坂上富男でございます。  私に三十分の質問時間を与えていただきました。七問ぐらい委員部に質疑要旨を提出したのでございますが、三十分でございますと、すべて終わるわけにはいかないのじゃなかろうか、こう思っておりますので、一番最初は、民法改正案の問題について、それから二番目は、全日空の航空券販売に対する旅行業者への圧力問題について、それから三番目に、坂本弁護士とTBSインタビュー問題について、これが終わりましてから、北海道庁、秋田県における空出張等の実態と刑事事件について、そういう順序で御質問をさせていただきたいと思っております。  まず、民法改正案についてでございますが、今、志賀先生からいろいろと御意見もあったようでございます。また、いろいろ報道等によりますと、非常に、この民法改正法案については御意見も相当あるようでございまして、一体、法務省はこの国会で提出をされるというふうにお話を聞いておったのでございますが、今国会で果たして提出されるのかどうか。されるとするならば、いつ閣議にかけて国会の提出になるのか、その順序について少しお話をいただきたいと思います。できたらば、大臣の御決意を付加してお願いをしたいと思います。
  22. 長尾立子

    長尾国務大臣 お答えを申し上げます。  婚姻制度などの改正内容といたします民法改正でございますが、去る二月二十六日に法務大臣の諮問機関であります法制審議会から、民法の一部を改正する法律案要綱として答申を得たところでございます。法務省といたしましては、この答申を踏まえて、民法及び戸籍法の一部を改正する法律案を立案し、関係各位の御理解を得て今国会に提出いたしたいと考えております。  この問題は、国民の皆様に密接なかかわりを有するものでございまして、法制審議会の答申がされました後もさまざまな御議論がされているところでございますので、法務省といたしましても、関係各位の御理解を得るため、なお一層の努力を続けてまいる所存でございます。
  23. 坂上富男

    坂上委員 具体的に少しありますか。どうぞ。
  24. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 その提出の時期についてのお尋ねでございましたが、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、さまざまな御議論があり、関係各位の御理解を得る努力を続けたいと思っておりますので、できるだけ早くその御理解を得られるような状況をつくってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  25. 坂上富男

    坂上委員 法務大臣の御答弁によりますと、関係各位の御理解を得てこの国会に提出をしたい、こういうように今おっしゃったわけでございますが、あわせまして民事局長お話をお聞きをいたしますと、いつの閣議に提出をするかということについての明示もないようですが、まあ今国会には提出したい、しかしこれはあくまでも理解を得た上で、こういうふうな条件がどうもついているようでございますが、一体どっちなのでございますか。出すというのか出さないというのか、どっちかに決めてください。
  26. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 私どもとしては、何とかして提出いたしたいというふうに思っております。
  27. 坂上富男

    坂上委員 私も推進する立場で、ひとつできるだけ速やかに関係者の皆様方から御理解を得て、できるだけ早く出していただきまして、そしてこれをもとにいたしまして、やはり国民的な議論をした方がいいのじゃなかろうか、私はこう思って四おりますので、例えば提出をいたした、これがなかなか成立しないというようなこともさることながら、私はそのことを心配するよりも、本当に国民生活に直接かかわりのあることでございますから、大いに国民的な議論を喚起する上においても、やはりできるだけ早く提出した方がいいのじゃなかろうか。  報道によりますと、どうも反対の御意見も相当あるようだから、何か法務省がちゅうちょして、あるいは断念をしているのじゃなかろうかというような声さえ私の耳に入ってくるわけでございますが、ぜひひとつ法務当局は、しっかりと腰を落ちつけてできるだけ早く提出をして、国民的な議論を巻き起こしまして、先生方あるいは関係者の皆様方の御理解を得て推進を図っていただきたい、私はこういうこともひとつ要請をしておきたいと思います。  その次に、運輸省来ていますか。  私のところに運輸省東京航空局長戸田正之さんから、私の郷里新潟空港二千五百メートル滑走路供用開始記念式典という案内が参っておりまして、三月二十八日、近々でございますが、この祝賀会があるわけでございます。お祝い事でございますから大変喜ばしいことでございますが、また一面公害問題もあるものでございますから、この公害問題についても十分お気をつけの上していただきたいとは思っておるわけでございますが、ただちょっと、私たちにとっても大変不愉快なことが起きてまいっておるわけでございます。いわゆるこの祝賀に水を差すような、私たち県民の立場としても極めて不愉快な出来事なのじゃなかろうかと思うのでございます。  と申し上げまするのは、少し各紙を持ってまいりましたけれども、二千五百メーターの滑走路になりますとジェット機が入るのだそうでございます。それを記念してというのか、「夢のハワイ直行便 二十八日新潟離陸」、こういう表題ではあるのでございますが、しかし、日航と全日空がいわゆるハワイ直行便を出す、そしてこのお客の奪 い合いが始まった。  奪い合いが始まって、この奪い合いの結果、全日空は新潟−札幌間の路線を持っておる。これはなかなか繁盛しておりまして、搭乗券を確保するのも容易じゃない。旅行業者にとってもこれは大事なドル箱になっておるわけであります。そこで、このハワイの日航と全日空とのいわゆるお客の奪い合いについて、万一日航の方に力が入って全日空の方に協力をしない場合は札幌便の搭乗券の売却を制限する、こういうようなことになりまして、大きく新聞に出ておりまして、「「日航売れば席やらぬ」 全日空、旅行社けん制」「祝意に水差す”空中戦”」「ドル箱路線を”人質”」、こういうふうに書いてあるわけでございます。このごろ人質がはやっているのでございますが、こんなようなことで、非常に県民としては迷惑な話なのでございます。  これについて、いわゆる旅行業者の協会の方から全日空に要請が出ました。その要請はどういうことかといいますと、「今後予定される新潟空港発着のチャーター便、定期便等航空路線の席について、当会加盟会社が、それぞれの主体的判断のもとに、様々な方法で販売することを認めること。」二番目「当会加盟会社に対し貴社以外の航空会社の席を販売すること、あるいは貴社以外の航空会社の席の販売のためのグループに加わることを理由に、貴社が運航する路線の席を提供しない等の制裁措置を加えることはしないこと。」こう言って、このことについて強い要望が全日空支店に出されたわけでございます。これが二月二十九日付の文書でございます。  それで、随分新聞でいろいろと書いてまいりましたので、私もこれはちょっと放置できない問題であるというので、法務委員会をおかりいたしまして質問の通告をおとといいたしたわけでございます。そういたしましたせいでもないと思うのでございますが、いろいろの折衝の結果だろうと思うのでございますが、二月二十九日付の貴文書の要請の趣旨を理解し、今後弊社営業活動に反映させたいと言って、事実上撤回をした、こういう文書が旅行業者の方に来たようでございます。  しかし、私はこれを見てみまして、一社が独占しておる路線を人質にして、私らの言うことを聞かなければあなたの方に搭乗券は渡しませんよ、こういうような商売上の圧力を加えるということは、これは大変なことだろうと思うのでございます。運輸省、この点どういうふうにお考えになっておるのかお聞きをしたいと思っております。  それから、公取の方でもお出かけをいただいたのですが、これはやはり独禁法違反になるのじゃなかろうか、こう思っておりますが、いかがでございますか、御答弁。
  28. 丸山博

    ○丸山説明員 御説明申し上げます。  事実関係につきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。  私ども考え方でございますが、まず、私どもが所管しております航空法におきましてこの問題がどういうことになるのかということを検討いたしたわけでございます。航空法は、いわゆる免許と申しますか、運航路線でございますが、それから運賃などについて規制をいたしておりますが、例えば個々の事業者が航空券をどういう形で売るのかというような営業活動については規制の対象にしておらないわけでございます。今回報道されました全日空の新潟地区の航空券の販売問題は営業の問題でございまして、航空法の直接の規制の対象となるものではございません。  しかしながら、先ほど先生から御指摘ございましたように、行き過ぎた差別的取り扱いというものにつきましては、これは航空事業の健全な発達の確保という観点から問題があると…うことでございまして、私ども、事実関係調査に乗り出したということでございます。  その調査の結果につきまして、昨日、全日空の方から私どもに報告がございまして、先ほど来先生御指摘ございますように、旅行業者に対しまして、他の航空会社の航空券を取り扱うということを理由といたしまして自社便を提供しないというような不公正な差別的な取り扱いがあったということを認めまして、全日空といたしましても、新潟地区の旅行業界とも関係の改善を約して、今後はそういうことをしないということを期したものでございます。  私どもといたしましても、昨日、全日空の幹部を呼びまして、消費者の不利益になるようなあるいは旅行業者に不公正な取引を強いるようなことを招くことがないようにということで厳重に注意を行いました。それから、このような事態が新潟だけではなくてまたほかの地点でも発生しないようにということで、業界団体に対しまして通達を出しまして、公正な取引の確保に努めるようにと指導いたしたところでございます。
  29. 梶山省照

    ○梶山説明員 御説明させていただきます。  公正取引委員会といたしましても、新聞で御指摘のような報道がなされているということは十分承知しておりまして、現在調査しておるところでございます。  調査中でございますので、報道等されております事実をもとにした一般論でお答えさせていただくということになりますが、一般に、事業者が取引先に対しまして、自分の競争者と取引しないようにさせて、その結果、この競争者の取引の機会が減少といいますか、できなくなってしまう、あるいは競争者の営業を不当に妨害する、こういった行為は、独占禁止法で禁止されております排他的取引条件あるいは不当な競争者の取引妨害、こういった行為に該当いたしまして、独禁法で禁止しております不公正な取引方法に該当するおそれがある、こういうことが一般的には言えようかと思います。
  30. 坂上富男

    坂上委員 ぜひひとつ、この点については御勧奨いただきたいと思っておるわけであります。これは新潟だけの問題でなくして、中央紙の報道によりますと、同様の圧力は新潟だけでなく、全国的に行われていると言っているんですね。だから、この路線の独占というものが大変大きな影響を及ぼしていることもあるのでございまして、私は、運輸行政についてはそれほど詳しくないから意見はありませんけれども、どうぞこういうような不公正のないようにひとつ対応していただきますことを運輸省にも強く要望したいと思いますし、公取の方もきちっとうやむやにしないでやっていただきますこともお願いをしたい、こう思っておるわけであります。  時間がありませんので、ちょっと今度は坂本弁護士問題とTBS問題についてお聞かせをいただきたいと思っておるわけでございます。  今回、大変大きな問題になっておりまするのが、これは情報でございますが、TBSの関係者がいわゆる早川被告人らに坂本弁護士のインタビューのビデオを見せた事実があるとかとも伝えられて、報道もされておるわけでございます。このTBSの対応というのは、坂本弁護士殺害事件の発生に重大な影響を与えたものであり、オウム真理教にかかわる一連の事件全体にも大きくかかわるものでありまして、このような報道機関の姿勢の妥当性は強く問われるべきものであると私は考えておるのでございます。  それがゆえに、TBSの大川常務の参考人招致を十三日付で要請をいたしました。しかしながら、残念ながら本日出席は用務のためできないとのことで、来週ならば出席はできるとの、こういうお話のようでございますが、ぜひともひとつ参考人として、来週委員会が開かれましたときは招致していただきまして、ひとつこの問題について質問をさしていただきたいと思っておるわけでございます。  そこで、報道等で明らかになってはおるのでございますが、中川被告人の坂本弁護士一家殺害事件裁判がこの間ありました。それで、冒頭陳述によりますと、冒頭陳述は私は証拠により証明すべき事実、こういうふうに習ったのでございますが、この冒頭陳述によりますと、早川、青山、上祐らがTBS放送局に赴いて、その折衝の過程で、坂本弁護士がインタビューにおいてオウム真理教団を批判し、これを徹底的に追及していく旨 の発言をしておることを知るや、直ちに放送中止の措置をとるよう執勧に迫った。また、被告人松本が早川らから、坂本弁護士の右発言内容等につき詳細な報告を受けたことなどが指摘されている。これは冒頭陳述にあるわけであります。冒頭陳述にあるわけでございまするから、この冒頭陳述を裏づけるところの証拠はあるわけでございます。しかも、私が注目しておりまするのは、詳細な報告なんですね、大体もう一から十まできちっとした報告がなされた、こうあるわけでございます。  そこで、私がお聞きをしたいことのまず一つは、その法廷で、早川被告人検察官調書が要旨の告知をされたそうでございますが、これは、私は行ってみないからわからないんですが、新聞報道でございます。それによりますと、オウムは詐欺的で麻原に空中浮遊の能力はないと言っているなどのことを知り、自分の手帳にその内容を記載し、教団の意見を聞かないで放映することは問題だと麻原に報告した、こうあるんですね。したがいまして、この早川供述それからこの早川の手帳、この二つがいわゆる詳細な報告の一つの材料になっているんだろうと私は実は思っておるわけでございます。  この点があれでございますか、ビデオを見たとかというような話、あるいはビデオは見てないけれども、ビデオを見たと同じような詳細なお話をTBSから聞いてきた、こういうことになっているのか心どうもこれだけの証拠を見てみますると、極めて詳細にテレビのあのビデオを見たか、あるいはビデオと同じようなお話をTBSが説明をしたんじゃなかろうか、こんなふうに私は思っているのでございます。  しかも、これはまあ新聞を挙げて恐縮でございますが、朝日新聞さんは、早川は警視庁の調べで、ビデオを見たと供述していると報道されておるわけでございます。また、読売新聞さんの二月二十七日は、検察庁で、ビデオを見たと供述したと報道もされているわけでございます。  しかるにその一面、TBS側は、検察庁あるいはごらんになったか知りませんが、坂本事件に関連する社内調査の概要、二つ報告書が出ているわけでございます。最初は、放送中止の要求をしたことは認めたが、ビデオを見せた事実はない、こう言っておられたというんですね。しかし、この報告書を見ると、ビデオを見せたことにつながる記憶や事実関係はどうしても出てこない、これがこのTBSの報告書にあるんですね。そういたしますと、検察が言っているのが正しいのかあるいはTBSがおっしゃっているのが正しいのか、どうしても私たちはTBSさんから聞きたいと思っておるわけでございます。  なぜこれを聞くかといいますと、今破防法の適用手続になっておるわけであります。いわゆる暴力的、組織的犯罪の危険性は今後も十分にあるというわけであります。私たちは、こういう問題があるものでございまするから、私たちの国会の審議の中で、捜査の過程の中で、裁判の中で、あるいは検察の充実の問題、裁判官の充実の問題、警察の充実の問題あるいは報道の問題、いろいろな観点から国民の安全を守るために十分な審査をしなければ、チェックをしなければならないと思っておるわけであります。でありまするから、いろいろのことがあるとするならば、一つでも国会の中で明らかにすべき私は義務があると思っておるわけであります。  報道機関でございます。しかし、直接の記者でございませんので、いわゆる会社の代表的な方のようでございますから、私は召喚をしても何でもないんじゃなかろうか、きちっと明確にすべきなんじゃなかろうか、こんなふうに思っておるわけでございますが、法務省の方はどんなような御理解に立っておられるのか、ひとつきちっと私たちに御説明をいただきたいと思います。もちろん裁判に差し支えがあったらいけませんけれども、それを理由にお答えを省略されることのないように、できるだけ私は明らかにしていただくことが必要なんじゃなかろうかと思っておりまするので、明確な御答弁、賜りたいと思っております。
  31. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、オウム側とTBS側との折衝の状況が、坂本弁護士一家殺害事件の犯行に至る経緯といたしまして、被告人中川に係ります公判の冒頭陳述において述べられましたことは、そのとおりでございます。  検察官は、坂本一家殺害事件の捜査の過程におきまして収集されました関係証拠を総合した上で、冒頭陳述に述べられました内容の事実を、まさに御指摘のとおり、証拠により証明すべき事実であるとして判断いたしまして述べたというように承知しております。  ただこの関係では、これからもさまざまな形で裁判所裁判が行われていくものでございますので、検察官がどのような具体的な証拠によってそのような判断に至ったのかということについては、この場で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、この冒頭陳述に記載されました検察官の証明すべき事実に関する主張につきましては、その内容は、今後の公判におきまして十分な審理が行われて、最終的に裁判所判断によってその事実が認定されていくものであるというふうに承知をいたしております。
  32. 坂上富男

    坂上委員 収集された関係証拠を総合しての冒頭陳述である、こういうことでございます。内容の事実が認定されるものと判断したと承知しておる、こういう御答弁のようでございますが、私は思うのです。  かつてイトマン事件というのがありました。国会で問題になりました。それは政治家政治献金を受けたということを冒頭陳述の中で言ったわけであります。そうしたらその政治家の先生方は、自分はちっとも調べを受けていない、それが冒頭陳述ではっとそういうことを言われたのでは政治家の名誉にかかわるといって、国会で大議論になったわけでございます。  でありまするから、今言ったように、詳細な報告があったという以上は、もう一から十まで私は報告があったのだろうと思います。このことについて、このいわゆる報告書によりますと、三人の社員が調べを受けた、こう言っているのですね、協力したと言っているのです。そうだといたしますと、検察は前の指摘を、イトマン事件の反省を踏まえて、いわゆるTBSの名誉にかかわる点については十分裏づけをとって、そしてこういうふうな冒頭陳述になったと思うのです。しかもこの報告によりますと、三人社員が参考人として取り調べを受けているという報告があるのです。しかし、ビデオを見せたとか詳細に話をしたなどということはなかったように聞いておりますという報告書なんです。検察の方は、間違いなくイトマン事件の反省からいわゆるTBSのことについてお調べになって、そしてそれを総合的に判断なさったのだろうと思いますが、これはいかがです。
  33. 原田明夫

    原田政府委員 ただいまの委員の御指摘の点は、私どもといたしましても大変重く受けとめておりますし、検察としても、そのあたりのことについては十分理解した上であのような冒頭陳述になったというふうに理解しております。
  34. 坂上富男

    坂上委員 時間がありませんのでここで終わりますが、委員長、お聞きのとおり.いかにTBSさんがこの事件においては大変大事な報道機関としての役割を演じておられるか。これが本当に見せたか見せないのか、あるいは詳細を聞かせたのかどうか。聞かせたとするならば、なぜ坂本さんに連絡がなかったのか。放映が翌日中止になっているのですね。しかもその後事件が発生してから、あらゆる情報はひとつ私らに連絡をしてください、捜査機関に連絡をしてください、こう言っておるのにかかわらず、TBSさんの方ではそのことの連絡はなかったようでございます。去年やっと、事件が発覚をいたしてから御発表になったのではなかろうか。これは正確でないのですが、去年のようでございまして、事件があって間もなくそういうようなことがなぜなかったのだろうかということを私は大変気にしておるわけでご ざいます。  なぜかならば、冒頭申しましたとおり、今、オウムはこれからも暴力的組織犯罪を行うおそれがあるがゆえに破防法の適用だ、こう言っているわけであります。専門家の捜査官がそうおっしゃっているわけでございまするから、そのまま放置するわけにはいかない。国民のために私たちは、本当にその命と財産の安全を守るために国会は何をなすべきかということが議論の争点なのであります。だからTBSさんからきちっと、こうだったということをやはりお聞きをしなければこの問題の真相は明らかにならぬ、また、これが国民的な要求じゃなかろうかと私は実は思っておるわけであります。  でありまするから委員長、お聞きのとおり、いかにこの問題が重要な問題であるかということはおわかりになったと思うのでございまして、来週再開のときは、ぜひひとつ御喚問賜りますようお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  35. 加藤卓二

    加藤委員長 枝野幸男君。
  36. 枝野幸男

    ○枝野委員 私からは、薬害エイズ問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  報道によりますと、東京地方検察庁にこの薬害エイズ問題に関する専従班ができたという報道がされておりますが、この専従班の内容について、公式の場で正確に、また簡潔に御説明ください。
  37. 原田明夫

    原田政府委員 お尋ねのとおり、検察当局におきましては、平成八年三月十二日に、東京地方検察庁刑事部内に、刑事部の副部長を主任検事といたしまして、そのもとに検事五人を配した特別捜査体制を設置いたしました。
  38. 枝野幸男

    ○枝野委員 私も弁護士でございますので、検察修習などをさせていただいた経験などからすれば、副部長さんがチーフとなって五人の検事というのは大変力が入っているというか、かなりのエネルギーを注いでやっていただけるということであると期待をいたしております。  そこで、一つ心配になりますのは、この事件を刑事的に真相を明らかにしていく上でも、厚生省あるいは厚生省にいた方が抱えている資料、こういったものが捜査の上で不可欠になってくるであろう、またそれがあることによって捜査が進展するだろうと思っておりますが、御承知のとおり、刑事訴訟法の百三条には、公務員等の所持するものについては、職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該監督官庁の承諾がなければ押収することはできないという条文がございます。  厚生省においでいただいておりますが、まさかこの薬害エイズ問題で、この承諾を与えないとかというようなことをするようなことはありませんでしょうね。
  39. 吉武民樹

    ○吉武説明員 血液製剤によりますHIV感染の問題につきましては、先生御案内のとおり、一月二十三日に血液製剤によるHIV感染に関する調査プロジェクトチームを発足をいたしまして、厚生省といたしまして、当時の事実関係調査を進めているところでございます。  二月二十八日には中間報告をいたしまして、中間報告の際には、当時の厚生省の担当者あるいはエイズ研究班の委員の方々から直接寄せられました調査についての御回答の原本といいますか、この点についても公表するという姿勢で臨んでおります。  私どもといたしましては、このエイズの、HIV感染の問題につきましては、事実関係を明らかにするということは非常に大事なことだというふうに考えておりますので、法務省から資料の提供等当時の事実関係を明らかにするために御依頼がございました場合には、十分協力を行っていきたいというふうに考えております。
  40. 枝野幸男

    ○枝野委員 協力ではなくて、厚生省の今のお立場を考えたら、むしろ積極的に厚生省の方から検察庁の方に資料を提供すべきじゃないですか。
  41. 吉武民樹

    ○吉武説明員 今後、法務省から御連絡がございましたら、今先生がおっしゃるような姿勢で臨んでいきたいというふうに考えております。
  42. 枝野幸男

    ○枝野委員 じゃ、逆に法務省にお尋ねします。  今のようなお話でございますので、どんどん積極的に厚生省から資料を出させるようにしていただきたいのですが、よろしいですか。
  43. 原田明夫

    原田政府委員 検察当局におきましても、本件が人の生命にかかわった重大かつ大変関心の高い問題であることを十分踏まえた上で、先ほど申し上げましたような捜査の体制をとったものと考えておりますので、ただいま御指摘の点については、十分考慮してまいることと理解しております。
  44. 枝野幸男

    ○枝野委員 報道等を通じていろいろなことが明らかになっている中でございます。専従班までつくって何も出てこなかったということになると、今度は検察・法務当局の信頼にかかわる問題でございます。ぜひしっかりやっていただきたいと繰り返しお願いを申し上げます。  ここで、これに付随して関連をしてくるのでございますが、民事訴訟法案が閣議決定をして、国会までは提出をされております。まだ付託をされておりませんので、この法案そのものの審議という形ではございませんが、これに関連をしてお尋ねをさせていただきます。  閣議決定をされました民事訴訟法案の二百二十条四号ロには、公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出について当該監督庁が承認をしないものは文書提出命令を出さないという条文がございます。そして、どういった場合に監督庁が文書提出を拒否できるかということについては、百九十一条二項を引用しておりまして、「公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き、」承認しなければならないという書き方をしております。  そこで、まず厚生省にお尋ねをいたしますが、いわゆる郡司ファイル、郡司メモのようなものは、まさか「公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合」には当たりませんよね。
  45. 吉武民樹

    ○吉武説明員 当時の担当課長の郡司課長のファイルにつきましては、先般公表させていただいたところでございますが、その公表の際の基本的な姿勢について申し上げますと、例えば、その中に、当時のエイズ研究班におきまして症例の検討が行われておりますが、その症例の検討の中に非常にその患者の方あるいは家族の方々のプライバシーにかかわるような事項がございまして、そういう事項につきましては、私どもの方でそこの部分だけを公表しないというような形で取り扱わせていただいておりますけれども、そういう今申し上げましたようなプライバシー等の非常に限定された部分につきましてはそういう取り扱いをさせていただいておりますが、基本的には公表するという姿勢で臨んでおりますので、今委員お尋ねのとおり、基本的には公表あるいは御協力するということだろうというふうに思っております。
  46. 枝野幸男

    ○枝野委員 確認いたします。  今の御答弁は、閣議決定をされました民事訴訟法案の百九十一条二項の「公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合」というものの解釈についての考え方というふうに理解してよろしいですね。
  47. 吉武民樹

    ○吉武説明員 お尋ねの郡司元課長のファイルにつきまして、今委員がおっしゃいましたそういう解釈上の問題、現時点でございますけれども、現時点で私ども判断はそうでございます。
  48. 枝野幸男

    ○枝野委員 役所が物を隠すという話については、厚生省のほかに二つ問題、少なくともはっきりと出ています。一つが住専に絡む大蔵省。そして、これは役所そのもの直接ではありませんが、「もんじゅ」にかかわる科学技術庁。  両省庁来ていただいておりますので、閣議決定は、それぞれの事務次官あるいは大臣がこの法律案を見て閣議で了承をしているわけですから、何らかのことはおっしゃっていただけると思いますが、閣議決定をされた民事訴訟法案百九十一条二項、「公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合」というのをど ういうことを想定しているか、二つの役所からお答えください。
  49. 吉村幸雄

    ○吉村説明員 お答えをいたします。  公務員の職務上の秘密に関します文書の提出の規定の運用につきましては、大蔵省といたしましても、政府の一員といたしまして、必要に応じ法務省とも協力しつつ、適切に対処してまいりたいと存じます。  公務員の職務上の秘密に関する文書の提出については、それぞれ個々の事案ごとに、守秘義務によって守られるべき公益と文書の提出によって得られるべき公益とを比較考量することによって判断すべきものかと考えております。
  50. 鈴木貴

    ○鈴木説明員 お尋ねの件に関しまして、一般論といたしまして、例えば原子力関係について申し上げますと、原子力関係につきましては、核不拡散上の機微情報というものがございます。これに該当いたします場合には、公務員の職務上の秘密ということでその提出を拒否する場合があり得るものというふうに考えております。  その核不拡散上の機微情報と申しますのは、核兵器やあるいはその他の核爆発装置の拡散を防止します観点から国際的に特に厳格な管理が要求されているものでございまして、具体的にはウランの濃縮に関する情報でございますどか、あるいは原子力発電所から取り出されました使用済み燃料からプルトニウムや燃え残りのウランを分離する再処理というものがございますが、そういうものに関する情報が核不拡散上の機微情報というふうに申しているものでございます。これに該当します場合には、これは個々具体的に見ていく必要があるわけでございますが、これに該当します場合には、公務員の職務上の秘密ということで提出を拒否する場合があり得るものと考えております。
  51. 枝野幸男

    ○枝野委員 まず、科学技術庁。ということは、それ以外のところは基本的には公開をしますという姿勢と理解してよろしいですか。
  52. 鈴木貴

    ○鈴木説明員 それ以外の場合につきましては、今「もんじゅ」の情報提供の不適切さがあったということから一応原子力関係を例にとりまして御説明をさせていただきましたが、それ以外の場合につきまして、裁判所から仮に提出の承認を求められました場合には、その事項が公務員の職務上の秘密に該当するかどうか、これは法務省の方とも十分相談して的確に対応してまいりたいと考えております。
  53. 枝野幸男

    ○枝野委員 そういう答えだと、科学技術庁もそうですが、大蔵省、科学技術庁とも大変答弁不満であります。  厚生省はさすがに、ファイルがないと言っていたのが出てきたという立場だから、かなり踏み込んで言っていただきましたが、二省庁とも、自分のところであるいは自分の関連するところで情報が出てきていないということで国民から批判をされているど真ん中でこういったことを聞かれたら、少なくとも姿勢としては、可能な限り公開をします、この条項を適用することは本当に限られた場合にとどめますということぐらいおっしゃったらどうですか。それが今回、例えば「もんじゅ」とか住専とかに関する反省を踏まえた姿勢じゃないですか。はっきり答弁してください。
  54. 吉村幸雄

    ○吉村説明員 具体的な事案についての内容がまだ議論になっておりませんので、個々の事案ごとに、守秘義務によって守られるべき公益と文書の提出によって得られます公益とを比較考量するという一般論以上に今の時点でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  55. 鈴木貴

    ○鈴木説明員 現段階では、現実に裁判所の方から公務員の職務上の秘密に該当する文書につきまして承認を求められたことがございませんので、あくまで仮定の問題として一応お答え申し上げているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、まだそういう状況でございますので、それは裁判所の方から具体的な事案が出てきました段階で個々具体的に判断してまいりたいと思っております。  ただ、原子力関係につきましては、先ほど申し上げましたように、「もんじゅ」の事故に関連いたしまして、動燃事業団の方で情報公開に不適切さがあったということは十分認識しておりまして、かつ原子力基本法の方では民主、自主、公開という一応三原則を定めていることもございまして、原子力関係につきましては情報公開には十分配慮していきたいというふうに考えております。
  56. 枝野幸男

    ○枝野委員 だれも全部公開しろだなんて言っていないのですよ。それは、例えばプライバシーにかかわるとか、科学技術庁がおっしゃっている原子力にかかわるとか、行政上絶対表に公開できない情報があるというのは認めているのですよ。  その上で、姿勢として、姿勢としてですよ、今ここで具体的にこういうケースはどうしろだなんて言っているわけじゃないのですよ、姿勢として可能な限り出す、ぎりぎり可能なところまで出すという姿勢ぐらい出すべきじゃないですか。そんなこと、当然のことですよ、むしろ、追及されなくたって、行政としての。そこのところを聞いているのですよ。  それから、そのことに答えていただくのと、もう一つ重ねて言いますが、法案提出の前にも与党の中で議論になっていて、今完全に私ども法務省意見が分かれたまま閣議決定がされているのですが、この二百二十条四号ロの秘密に当たるかどうかの判断権は裁判所にある。裁判所が秘密だと思ったときに役所に対して承認を求めるか求めないかということになる。裁判所がこれは秘密ではないと言ってしまえば役所の承認があるかないかは関係ない、そういう解釈である。そうとしか読めないと私どもは思っておりますが、そういう解釈では困ることがあるのかどうか、今の二庁にお尋ねします。
  57. 吉村幸雄

    ○吉村説明員 委員から御質問のございました点につきましては、現在私ども、大蔵省としての判断なり見解と申しますよりは政府としてのお考え方というので従ってまいりたい、かように考えております。
  58. 鈴木貴

    ○鈴木説明員 公務員の職務上の秘密に該当するかどうかにつきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、例えば原子力関係につきましては、そういう核不拡散上の機微情報に該当するかどうかというふうな観点から判断してまいりまして、その場合には、科学技術庁としては、そういうものに該当する場合には承認を拒否するというふうなことがあり得るというふうなことでございます。
  59. 枝野幸男

    ○枝野委員 科技庁、戻らないでください。  裁判官は信用しないのですか。裁判所が秘密に当たると言ったら、それで、それを出すべきかどうかということを、出しては困る秘密かどうかということを科学技術庁にお尋ねしましょう。秘密かどうかを裁判所判断してもらっては困るのかどうかと聞いているのですよ。裁判所を信頼するのかどうかというのを聞いているのですよ。
  60. 鈴木貴

    ○鈴木説明員 今御質問の点に関しましては、政府全体としての解釈も一応あろうかと思いますので、科学技術庁単独としての答弁はちょっと差し控、えさせていただきたいと思います。
  61. 枝野幸男

    ○枝野委員 解釈を聞いているのではなくて、困るのか困らないのか聞いているのですよ、大蔵省も、両方とも。困ることがあるのかどうかです。解釈はどうするのか、これは裁判所が決めるのですよ、法律の解釈だから。困るのか困らないのか聞いているのです。困るの、困らないの。  では、こう聞きます。  あなたたちは裁判所というのを信用しているの、信用していないの、大蔵省と科学技術庁は。
  62. 吉村幸雄

    ○吉村説明員 一般的に申し上げれば、裁判所判断というのは、私どもは尊重してまいらなければいかぬと思っております。また、一般的に申し上げまして、公共の利益を害し、また公務の執行に著しい支障を及ぼすおそれがある場合を除きまして、御指摘の点につきましては、承認する方向で対処してまいりたいというふうに考えております。
  63. 鈴木貴

    ○鈴木説明員 法律の解釈につきましては、最終的には司法権の方の判断になるかと思っております。  先ほど来から御質問のありました、情報公開、それから裁判所から承認を求められた際には、差し支えない限りできるだけ承認するというふうな方向で対処するということについては、それは、例えば先ほど来御説明いたしておりますように、原子力関係については、情報公開の重要性は十分認識しておりますので、そういうふうな立場から一応対応するということにしてございます。
  64. 枝野幸男

    ○枝野委員 もう一つ、今の御答弁の中でおかしな話が出てきたのは、これは与党として承認しろ承認しろとさんざんうるさく言われたときに、法務省は私にこういう御説明をしたのですよ、ほかの役所がうんと言わないと。ほかの役所、少なくとも二庁は裁判所を信用するというような方向のことをおっしゃっていますよ。どこがとめたのですかへこの解釈、この条文を。こんな、裁判官に司法権が及ぶのか及ばないのかわからないような条文をこのままにしておくというのはどういうことなのですか。ほかの役所がうんと言わないからという説明を受けたのですよ、私どもは。どういうことですか。
  65. 濱崎恭生

    濱崎政府委員 これは、委員には従前何度も御説明しているところでございますが、今回の文書提出命令の対象文書の範囲の拡大、これは、これまでの法制におきましては、三百十二条一号から三号まで、要するに、当該訴訟当事者あるいは当該法律関係と一定の関係を有する文書に限って対象とされましたものを、その当事者あるいは法律関係との関係を問わないで提出義務を一般化しようということを内容とするものでございまして、その際に、証人尋問の対象となる事項と同様の仕切りの範囲内で拡大しようということで議論をしてまいったものであります。  そういう観点から申しますと、委員指摘の解釈の仕方、いろいろございましょうけれども、現在の証人尋問の場合の公務上の秘密ということの位置づけといたしましては、秘密に属するかどうか、それを開示すべきかどうかということの判断は、文書の保管について責任を持っておられる各行政庁が基本的に判断されるという枠組みができておりまして、その枠内での拡張ということを考えたわけでございます。  今御指摘の、その枠を動かして、裁判所が専ら判断するということにするどうか、これは近時、大変大きな議論の対象となっております行革委員会における議論、そういったものの場面で議論されている大変大きな問題でございますので、それをこの民訴の場面だけで先取りするということは困難であろうということで、こういう立論をさせていただいた次第であります。
  66. 枝野幸男

    ○枝野委員 聞いたことにお答えになっていないと思うのですがね、今のお答えは。  もう一つ。この問題はこれで最後にしますが、要するに、民事訴訟法のこの閣議決定と国会提出に対しては、我が党は、与党として非常に不満でありました。そして今も不満であります。しかしながら、二つの御説明をいただいたことで、閣議決定は了解をするということにいたしました。  一つは、これは私どもだけではなくて社会民主党さんからも、これは政府提案ではあるけれども委員会審議をしっかり充実して行って、その審議過程の中で、場合によっては与党からでも修正する可能性があるということを、私どもだけではなく、これは社会民主党さんにも御同意をいただいております。ですから、委員長には、この法案がかかりました際には、従来ですと、与党・政府対野党ということで委員会の運営が行われますが、この法案に限っては、そういった前提がございますので、ぜひ御留意をいただきたいということをお願いを申し上げます。  それからもう一点、この法案をぜひ了解をしてくれという御説明は、法制審議会で長年にわたって議論をしてきて、ようやく結論が出たものである、そしてさまざまなところに不満はあるだろうけれども、現時点でコンセンサスがとれるぎりぎりのところであるから、ですから、何とか了解をしてくれ、不満が残るのはよくわかるけれども、現時点ではここまでだ、法制審で長年議論をしてきたのだという御説明を繰り返しいただきました。  だったら、何で民事訴訟法だけなのですか。民法はどうなっているのですか。確かにこの民法に対して不満のおありの方はたくさんあると思います。少なくとも、民訴法と同じように国会に出してきて、国会の中でさまざまな意見をぶつけ合うということにするのが、民事訴訟法に対して私どもにした説明からすれば、当然のことであると思っております。  したがいまして、これは委員長にお願いをいたしますが、これは法務委員会理事として、民法が衆議院の法務委員会にかかるまで民事訴訟法案の審議はしないでいただきたい。民法が出てくるまで、同じようなことを同じように、きちんと同一歩調でやっていただくところまで、審議自体はとめておいていただきたいということを、ぜひ委員長にこれは要請をいたします。申し入れをいたします。  次にもう一点、これは非常にタイムリーな問題で、時間もないのですが、法務省にお尋ねいたします。  威力業務妨害罪の構成要件は何ですか。
  67. 原田明夫

    原田政府委員 威力業務妨害罪につきましては、刑法二百三十四条が定めているところでございますが、その構成要件は、「威力を用いて人の業務を妨害した」というものでございます。
  68. 枝野幸男

    ○枝野委員 国会議員が予算委員会で予算の審議をすることは、業務に当たりますね。
  69. 原田明夫

    原田政府委員 お尋ねの件は具体的なケースに当たる業務不正についてでございますので、ただいまそれについての判断を申し上げることについては差し控えさせていただきたいと思いますが、過去、議会あるいは地方議会における議事につきまして業務に当たるとした裁判例がございます。
  70. 枝野幸男

    ○枝野委員 さて、そこで国会内は、例えば衆議院内は衆議院議長に警察権がございますが、だからといって、警察権が及ばないだけで司法権は及ぶ、つまり逮捕などはできないけれども起訴はできるのじゃないかと思っております。それでよろしゅうございますね。
  71. 原田明夫

    原田政府委員 これまた事案によるわけでござますが、司法権が及ばないということはないと思います。
  72. 枝野幸男

    ○枝野委員 それからもう一つ、威力業務妨害罪というのは親告罪じゃないですね。
  73. 原田明夫

    原田政府委員 そのとおりでございます。
  74. 枝野幸男

    ○枝野委員 だれとは言いませんけれども、業務に当たる予算委員会審議を物理的抵抗によってとめていらっしゃる方があるという中で、しかも、その管理権を持っている議長が違法だと言っているのです、ぺーパーで明確に。警察権が及ばないのはよくわかりますよ。  それから、この捜査の仕方は非常に難しいと思っています。私、昔の仲間もあそこに座っていたりしているものですから、特に彼らなんかは本当は嫌で嫌で仕方がないのだけれども、上からの命令でやむなくやっているというか、やむを得ず苦渋の選択でやっているのを知っておりますので、やるとすればあれを指揮している本当のトップの人かなと思っておりますが、これはきちんと捜査をして司法権の対象にすべきじゃないですか。明らかな犯罪行為がテレビカメラの前で堂々と行われているのですよ。これを放置するというのは法務当局としておかしいと思うのですが、どうですか。
  75. 原田明夫

    原田政府委員 あくまで一般論として申し上げますと、告発の対象となる犯罪につきましては、仮に院内で行われた行為でございましても、当該行為が犯罪に当たると思料される限り、一般的には告発されることは可能だと思います。  お尋ねのとおり、院内における犯罪につきましても捜査機関が捜査することが可能な犯罪はあろうと思います。ただ、院内で捜査行為を行うことにつきましては、院内におきます警察権が議長に属するものとされていることを初めといたしまして、やはり国会の運営に関しましては、その自律性につきまして法律上さまざまな配慮がなされて いることにかんがみますと、捜査行為ということにつきましても、一般論として申し上げますれば慎重な配慮が必要であろうかと考えます。
  76. 枝野幸男

    ○枝野委員 確かに慎重であっていただきたいと思います。  例えば、過去の例でありますが、議場の中で議員同士がもみ合いになってけがをしたとかなんとかというのは、これは議員同士勝手にやっておれという話でいいのかなとも思いますが、これはそういうレベルまで行ってない話で、極端なことを言えば、国会議事堂の中で殺人事件があったら当然捜査に入るのは当たり前のことというのに僕はこの威力業務妨害罪に当たるということは近いと思っております。  確かに慎重な配慮は必要だと思います。ただ、さすがに一週間も二週間も続いていて、もう一両日中ぐらいで解決するのかなという流れもありますが、もう少し様子は見るにしても、余りひどいような場合にはこれは必ず刑事事件として、テレビカメラの前で犯罪が堂々と行われているということを留意してやっていただきたいとお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  77. 加藤卓二

    加藤委員長 正森成二君。
  78. 正森成二

    ○正森委員 それでは私は、先日行われました坂本一家殺害事件の冒頭陳述に関連して、TBSの対応の問題について関係当局に若干の質問をさせていただきたいと思います。  坂本事件の冒頭陳述を読ませていただきましたが、私がまず感じましたのは、オウム真理教の六名がかりによる殺害事件というのが我々が思ったより非常にずさんなやり方ですね。初め新聞で報道されていたのは、薬を注射して比較的瞬時に殺害というような感じを持っておりましたが、それは実際上は行われないで、非常に野蛮なというか原始的な、絞殺による窒息死を三名ともさせた。それに対して相当な抵抗も行われまして、相当な血が出て、それを隠ぺいするために布団だとか、もちろん運び出すときに見えないということもあるでしょうが、パジャマ等々を持ち去ったというようなことも報道されております。  私どもは、同僚弁護士が社会正義と基本的人権を守るために奮闘しようとしているのに対してオウム真理教がこういう残虐な行為をやったということで、天人ともに許すべからざる重大な犯罪であるというように思っております。この機会に徹底的な真相解明と関係者を厳罰に処することを改めて求めたいと思います。  その関係で、私は黙視することができないのはTBSの対応であります。冒頭陳述あるいは報道によりますと、八九年十月二十六日に、翌二十七日に被害者の会の関係者の放映が行われることを知って、これを中止するように、そしてその内容を知らせるようにということで、上祐、青山、早川という三名が赴いたということが書かれております。そして冒頭陳述によれば、先ほど同僚委員から報告がありましたが、その席で詳細に内容を知って、そして十月三十一日に坂本弁護士のところへ夜赴きまして、事務所で論争になった。そしてそこで、坂本弁護士は考えを改める可能性がないということで殺害を決意した。  つまり、坂本弁護士を救出する会の方々が初め非常に努力されたのは一体この事件の動機が何であるかということで、すべての犯罪にとって動機というのは決定的に重要であります。明智小五郎とかシャーロック・ホームズとか何とかかんとかいろいろありますが、それらの探偵が一貫して追及するのは、動機が何であるか、その犯罪によって利益を得る者が何であるかということから捜査が進展するというのは、いやしくも刑事事件関係する者にとって常識であります。そうすると、この件は、坂本一家殺害事件ひいてはオウム真理教のこういう暴虐な行為に対する原点の動機を示すものにほかなりません。  先日逓信委員会でも審議が行われたようであります。郵政省にも来ていただいておりますが、私は少し調べてみましたが、放送法の三条では「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」こう規定されております。  そういう点からいいますと、オウム真理教が三名押しかけて、内容を執拗に聞いた上で、放映を中止しろということを言って、事実上、いろいろ言いわけをしているようですが、それに屈したというのは、いやしくも公共の電波を預かる者として非常に問題のある行為である、これが第一点。  第二に、ただし、放送関係者は一方に偏ってはならず、特に政治とか宗教とか社会的に問題のある場合には、公平に問題を扱わなければなりません。そういう点がありますから、TBSの放送基準というものがあります。一九九二年四月一日に改定されたものであります。これは、同様の規定が放送法にも定められております。  それにはどう書いてあるかといいますと、その八号で、「放送番組は、すべての干渉を排し、事実を客観的かつ正確、公平に取り扱うとともに、電波の特性を生かして機動性と速報性の発揮に努める。」こう書いてあります。六項では、「政治、経済、その他社会上の諸問題に対しては、公正な立場を守り、意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする。」こう書いてあります。  ですから、八九年十月当時では非常に鋭く意見が対立していたわけですから、その両者の意見を聞くとかあるいは放映するということであれば、これは何らとがめられることではありません。現に、この番組でも、水中で修行するというクンバカとかなんとかいうのを映して、それと一緒に被害者の会の声も放映するということになっていたようであります。仮に、被害者の会の、詳しく言いませんが、冒陳に全部書かれておりますけれども、問題のある点を指摘されたとするならば、それを一緒に放映するとか、あるいは接着した時期に放映するということであれば、これは公共の放送機関としての役割を果たすことが十分にできるはずであります。それを一方的に抗議を受けて、中止してしまう。  そして重大なことは、その抗議を受けたということを坂本弁護士にも知らせない。事件が起こってからも関係者にも捜査当局にも知らせない。このことがさらに重大な問題であるというように私は思います。そういうように知らせなかったから、TBSに抗議に来た青山、上祐、早川と、十月三十一日に坂本弁護士のところへ押しかけたのは全く同一人物であります。普通の常識のある者なら、これが共通の意図に基づいて行われたことは極めて明らかなはずであります。  しかも、報道によると、十一月二日にサティアンで麻原が関係者を呼び集めましたが、そのときの議題は、十月二日から報道を開始した、「オウム真理教の狂気」というのを連載したサンデー毎日の牧太郎編集長を殺すということだった、毎日新聞を爆破しようという声も出た、しかし牧太郎氏がなかなか家へ帰らないということがわかったので、今一番大事なのは坂本弁護士の殺害だというようになったと報道に書いてあります。動機中の動機じゃないですか。  まず、郵政省に伺います。  私は、今言うたように、意見が対立する問題は両方に公平に放映させるというようになっていますから、そういう意図で、一定の範囲で、坂本弁護士がこういう趣旨のことを雷っていると言ったことについては、けしからぬといってとがめ立てをするということに当たらない場合もあると思います。しかしそれは、その後公平に放映するとか、しかるべき態度がとられた場合のみであります。ところが、本件ではそれをやっておりません。しかし、その後、抗議に来たということを当事者の坂本さんにも知らせず、事件が起こってからも関係当局にも一切知らせなかったということは、報道機関として言語道断であるだけでなく、社会的な、一般的な社会人としても絶対に許されないことじゃないですか。  十一月十五日には既に警察は公開捜査を行っております。また、関係の横浜法律事務所などは、いかなるささいなことでも情報提供を受けたいと いうことを言い、その後、全国の弁護士、最後は日弁連まで、そういうことで、公開捜査で、懸賞まで出して情報の提供を求めております。そういうことであるのに、一切それに応じない。  一方、坂本弁護士がああいう事件に遭ってから、十月の末から十一月に至って、TBSは、繰り返し、坂本弁護士の動く唯一の像であるといってそのインタビューを放映して、視聴率を稼いで、もうけることに一生懸命であるということをやっております。しかし、社会的責任は果たしていない。言語道断ではないか。郵政省はどう思いますか。
  79. 伊東敏朗

    ○伊東説明員 本件につきましては、事実関係も含め、裁判進行中のことでありますので、具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思っております。  ただし、今、一般論として申し上げれば、放送事業者におきましては、その取材方法やその取材内容の取り扱いに当たって、その公共性や放送としての使命を疑われることのないよう、配慮して行うべきものと考えております。
  80. 正森成二

    ○正森委員 非常に不十分な答弁ですが、現在の状況から、次に警察庁に伺います。警察庁、来ていますか。  警察庁に伺いたいと思いますが、警察庁も、私は法務委員会でかつて捜査の初動について批判したことがありますが、非常に難しい事件であったということは承知しております。ただし、私が承知しておりますところでは、当初は、失踪であるか、あるいは誘拐、あるいは殺害等を含む重大犯罪であるかわからなかった。それは当然でありますが、その後、捜査の過程で、オウムのバッジであるプルシャが発見された。それから、その後、捜査の過程で、血痕が畳やふすま等に付着しているということがわかった。私の得ている情報では、ルミノール反応によれば、十四カ所から発見されたということを承知しております。  もし、上祐、青山、早川というような、そういうメンバーはその直前にTBSにもこういう抗議をしており、そして、同じ抗議内容で十月三十一日に坂本弁護士のところへも行ったということを承知しておられれば、血痕が十四カ所も出たのですから、失踪というよりはむしろそれ以外の、有形力の行使による拉致あるいは殺害の可能性もあるということで、例えば、指紋と血液の反応だけでなしに、こういう場合にしばしば行われる、繊維を調べるとか、あるいは、私もいろいろ聞いておりますが、毛髪ですね、それを詳細に調べる。  ある事件では、トイレを調べて、そこから出てきた毛髪だったか繊維によって、それと犯人との同一性を科学的に明らかにして有罪に導いたという例も聞いております。しかし、本件では残念ながらそういう捜査は一切行われておりません。ですから、こういう情報提供があれば、警察の捜査の内容あるいはあり方も一定の影響を当然受けたのではありませんか。
  81. 中島勝利

    ○中島説明員 坂本弁護士一家の殺害事件につきましては、委員少し御指摘になりましたけれども、鑑識活動がおろそかになっているということはございません。私ども三日後に、届け出を深夜に受けまして、当日は署の当直がとりあえず現場臨場をさせていただきました。深夜であることでもあり、翌日、体制を整えて鑑識活動をやろうということで、本部の鑑識課員等も連絡をとり合って鑑識活動を実施したところでございます。  ところで、いわゆるお尋ねの件についてでございますけれども、申し上げることでもないわけでございますけれども、私ども一般的に、殺人等の凶悪事件捜査をやるに当たりましては、やはり事件認知の初期段階で目撃情報等を幅広く収集をいたしまして、その情報に基づいて的確な分析を行いまして一定の捜査の方向づけというものを行い、その方向づけに沿って証拠を一つ一つ積み重ねてまいりまして法の適用を図るということでございます。  そういうことで、本件につきましては、いろいろと教団による組織的な証拠隠滅なりあるいはいろいろの捜査妨害等もございまして、若干長引いて申しわけないところでございますけれども、所要の捜査を推進して、昨年検挙に至ったという状況でございます。
  82. 正森成二

    ○正森委員 長々と答弁したけれども、私が聞いたことにはさっぱり答えていない。簡にして要を得ないとか要を得るとかいうけれども、繁にして要を得ないという答弁で、自分の言いわけだけはしたけれども、私の聞いたことには全く答えていない。本当なら、ここでもう一回聞くところですけれども、私の質問時間が限られておりますので、法務省に伺います。  法務省に伺いますが、本件の、今私が触れた犯罪の動機というのは、刑事事件にとっては極めて重要であります。この動機については、早川などは相当はっきり言っておるようですし、その他中川なども言っておると思いますが、それについては、犯人あるいは被告人以外の裏づけが必要であります。  この動機の点について言いますと、TBSの幹部はいまだにその事実をあいまいにしたままで、それで、報道によりますと、ニカ月半かけて調べたが、オウムにビデオを見せたという事実は発見できなかった、坂本弁護士のインタビューに関する話が出たかどうかははっきりしないとする社内調査の結果を公表しているというようなことも言われております。  私はどこが本当かよくわかりませんが、そういうことがもし事実だとすれば、被告人が今度態度が変わって、いやいや検察に言ったのはうそだというようなことになった場合には、動機について重要な、証明不十分という問題も起こりかねません。私は、こういう問題についてはしっかりとやはり裁判において調べる。  だから、TBSの関係者についても、証人として喚問して、そんな、十月二十六日に来て、三十一日には坂本さんのところへ行って、その四日後の十一月四日には行方不明になり、結局殺害されていた。十一月十五日には公開捜査になり、自分の会社はその後繰り返し放映しているというときに、抗議に来た三人と坂本さんのインタビューの話があったかどうかよく覚えていないとか、見せないというならわかるけれども、見せたかどうかもわからないとか、見せたという事実は発見できないとか、そんなあいまいなことでは、これは人間の記憶の常識からしてもあり得べからざることであります。  ですから、はっきりと証言を求めて、偽証にわたるようであるならば、それはしかるべき措置をとるというのが国民感情からいっても当然のことであり、報道機関としても襟を正す上で当然のことであるというように思いますが、法務省、検察の立場を代表するものとして、国民の声にこたえての厳正な答弁を求めて、私の質問を終わります。
  83. 原田明夫

    原田政府委員 お答え申し上げます。  坂本弁護士事件に関します検察官の冒頭陳述中の「犯行に至る経緯」におきまして、オウム真理教の早川被告人がTBSの坂本弁護士に対するインタビューの内容を知るに至ったことが述べられております。そのことは事実でございます。御指摘のとおり、この種犯罪におきます動機がいかに大切かということについては、委員指摘のとおりであろうと思われます。そのような中で、検察当局が収集した証拠に基づいて主張しているものと承知いたしております。  この冒頭陳述で述べられました主張につきましては、今後の公判におきまして十分な審理が行われ、最終的に裁判所判断によって明らかに認定されるものであると承知しております。
  84. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  85. 加藤卓二

    加藤委員長 小森龍邦君。
  86. 小森龍邦

    ○小森委員 前回に引き続きまして、人権に関することを若干お尋ねしたいと思います。  前回も少しばかり触れたと思いますが、現在進行中の地対協、つまり地域改善対策協議会の総括部会と申しますか、小委員会におきまして「人権侵害による被害の救済等の対応の充実強化」という中間意見、報告のようなものが出ておるわけで あります。  そこで注目すべきことは、従来の地対協——従来の地対協といっても、この件につきましては法務省意見が非常に強く反映をしておると思うのでありますけれども、従来は、人権擁護制度というものは我が国においては非常に整備されておるということをわざわざ文章にまで書いておるわけでありまして、それは、私は、この十年来鋭くそこのところを批判してきたわけであります。整備も何もできていないのです。何にも具体的な効果をよう上げないのであります。  ところが今回は、私が思っておったとおりに、「人権擁護制度の充実強化を図るべきである。」しかも、それは「人権侵害に対して、被害の救済を含めより有効な対応が図られるよう、人権擁護制度の充実強化」、こういうことを言っておるわけでありまして、そういう立場から、人権擁護制度を「法改正の必要性について早急に検討すべきである。」こんなことが出ておるわけであります。  私はいろいろ尋ねたいのですけれども、被害の救済というようなことについては、人権擁護委員制度の中で被害を救済するということは一体どういうことなのであろうか、この点をまずお尋ねしてみたいと思います。
  87. 大藤敏

    ○大藤政府委員 今委員指摘になられました被害の救済という点につきましては、従来から意見具申等でも指摘されておりますし、今御指摘の昨年の十二月二十日の見解におきましても指摘されているところでございます。これは、単に加害者に対して啓発をするということだけでは十分ではない、実際に被害を受けた人に対してできるだけ効果的な救済が図られるような方策を講じるべきであるということであろうと思います。  私どもといたしましては、加害者、被害者双方から事件内容をできるだけ詳しく調査をして、事情聴取いたしまして、客観的な事実関係を確定した上で、その双方の話し合いで円満に解決できればそれにこしたことはないと思いますし、現に侵害が継続しているような場合には、早急に侵害をやめるように、排除するような措置を講じる、そういう啓発をしながら、同時に、被害者の立場に立った人権行政を展開していく、そういうことであろうと理解いたしております。
  88. 小森龍邦

    ○小森委員 例えばお金の面で幾ら損をしたとかいうことは、それは弁償させるとか比較的簡単なのでありますが、人権というのは、そう簡単に数量的に特定できるものではないのです。  例えば、被差別部落に対して、うちの娘や息子を絶対に差別の部落の者と結婚させないというようなことをあちこち電話かけて言いふらすような人ですね、それは被差別部落全体に及ぶことなのですね、被害は。そういうものについて救済とは一体何か、これはどのようにお考えになりますか。
  89. 大藤敏

    ○大藤政府委員 大変難しい、人権行政の根本にかかわることだろうと思いますが、御承知のとおり、法務省人権擁護行政は非権力的な啓発機関でございまして、基本的人権の精神を国民に理解してもらうために啓発をする、そういう組織でございます。したがいまして、侵害をした人に対して、それが基本的人権を侵害するものであるということを十分に説得をし、啓発をして、心からそれを反省する、そういう精神を酒養することにあると考えております。  したがいまして、今御指摘のような具体的な事案につきましてもそういう姿勢で啓発を行っていく。そして中には、あるいはそういう啓発に納得をしない、あくまでも自分の見解を曲げないというそういう好ましくない考え方を持つ人があるかもしれませんが、そういう人に対しましては、国民全般から批判的な目を向けてもらって、そういう人がいわば人権侵害をしているということを周りから注意をする、そういう雰囲気を醸成することによって、徐々にその人に対しても啓発の効果を上げていく、そういう制度ではないかというふうに考えております。
  90. 小森龍邦

    ○小森委員 そういうことはだめじゃないか、そういうようなことを言ってはだめじゃないかと言うたら、だって、それは私の自由でしょう、こう言われたわけですね。それがずっと続いて、六年も七年もそういうことが続いておるわけですね。だって、それは自由でしょうと言われて、人権擁護委員もあるいは法務省人権擁護局も何も打つ手がないのですね。では、どうやるのかということになるので、回り回って、風が吹けばおけ屋がもうかるくらいの回り回ったことならば、今言われるとおりだと思うのですよ。  しかし、ここで考えなければならぬことは、人生二度繰り返されないのですからね、非常に大事なことなのですからね。だから、速やかに対応してもらわなければならぬ。したがって、我々民間運動というか人権の取り組みをしておる立場からすれば、今どの程度先方さんにいろいろ注意しているのですかと言うたら、それはプライバシーですから言われません、これは大臣も関係者もかわったからびつくりされるのではないかと思いますけれども、現実、法務省の対応はそれなのですよ。  だから、周囲の世論で取り巻いてそういう考え方を直させようとするならば、今ここまでやっておる、それを何も不特定多数の人に言うのではなくて、これを何とかしてくださいと言った者くらいにはそれは言うべきではないかと思うのですよ。きょうは、私は常に時間がないから仕方がないけれども、例えばそういうようなところから積み上げて、人権擁護委員の制度を法的に整備するということを強くひとつ要請しておきたいと思います。  法務大臣、ちょっと一言でいいですから、そういう私の考え方についてコメントをいただきたいと思います。
  91. 長尾立子

    長尾国務大臣 今お話が出ました差別問題につきましては、地対協の意見具申におきまして、中立公正な処理にゆだねられるべきである、その中で人権擁護行政の体制、これを強化していけという御指摘をいただいております。今先生からもお話がございましたが、昨年十二月の地対協の総括部会長の談話におきまして、「同和問題の早期解決に向けた方策の基本的な方向」におきまして、法務省の取り組み、なお十分でないという御指摘をいただいております。こういう御指摘を真摯に受けとめまして、人権擁護行政の充実に努力してまいりたいと思っております。
  92. 小森龍邦

    ○小森委員 一つ一つ現在やっておることを法務省が反省するというところから始まらないとこれはだめだと思いますよ。何かプライバシーだとか秘密だとかというようなことを言って、薬害のエイズの問題だってこういうふうになったけれども、そこをやはりきちっと頭に押さえてやってください。  それから、時間がなくなりましたが、極めて今日的な問題でありますから、もう一つだけお尋ねをします。  それは、法務省でなくて国土庁の方にお尋ねをしますが、けさの報道によりますと、神戸市小川助役が焼身自殺をした、こういう記事が出ております。恐らく、ぴんとくることは、神戸の災害復旧との関係でこの人が大変悩まれたのではないか、こういうふうに思うんですが、しかし遺書がまだないということで、わかりません。  そこで、私がお尋ねしたい向きは、いろいろ復興計画について神戸市も国との折衝があったと思いますが、今、神戸市と政府との間において、早く復興したいという気持ちは一致しているだろうと思いますけれども、その方法等、今日の法律の枠内でなかなか地元の要請にこたえ切れないというような問題もあるのではないかと思います。ちょっと項目だけでも、時間もありませんからお答えいただきたいと思います。
  93. 田中正昭

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  まず、昨夜、神戸市の小川助役がお亡くなりになりましたことは、大変残念なことでございまして、心より故人の御冥福をお祈り申し上げる次第でございます。  政府は、これまでも地元の兵庫県、神戸市と連絡協調をとりながら復興施策を推進してまいった わけでございます。したがいまして、復興施策の推進という大枠では大きなそごはないというふうに思っておりますけれども、個別の施策につきましては、まだいろいろな御要望を地元からいただいております。例えば住宅の復興につきましてさまざまな国の支援の施策を講じてもらいたい、あるいは被災地の経済の復興につきましてさまざまな産業支援策を講じてもらいたい、あるいは道路等のインフラの整備についても種々の御要望を承っております。  また、財政面につきましても、これから数年間にわたって行われます復興事業につきまして国費を中心として事業費を最大限確保してもらいたいということ、それと、それに伴って生じます地方の負担、地方の財政負担について、現行の制度を超えるさまざまな地方財政への支援措置を講じてもらいたいという御要望を承っております。  これまで政府といたしましては、そういう御要望も受けつつ、地元とよく相談をしながら補正予算の編成等を行ってまいったわけでございます。それから八年度予算の編成を行ってまいったわけでございますが、今後とも地元とよく意見交換をしながら、復興事業が円滑に、また着実に実行できるようにしてまいりたいというふうに考えております。
  94. 小森龍邦

    ○小森委員 最後に一言申し上げます。  再三にわたって人権問題の発言をしておりますが、私が今日到達しておる人権に関する考え方からすれば、人権とは、おのれの責任にかかわらざることで不利益を受けるという事態があれば、それを何とか社会の体制で守るということが人権尊重の考え方の一番基準だと思うんですね。そういう意味では、神戸の被災者は、おのれの責任にかかわらざることで今日非常な苦しみに遭っておる、こういうふうに考えます。したがって、そういうことも関連をして、適切な措置をひとつ関係者は講じていただきたい。  以上で終わります。
  95. 加藤卓二

    加藤委員長 次回は、来る十九日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時九分散会