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1996-03-25 第136回国会 衆議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年三月二十五日(月曜日)     午前十一時開議  出席委員   委員長 柳沢 伯夫君    理事 片岡 武司君 理事 塩谷  立君    理事 藤村  修君 理事 松田 岩夫君    理事 山口那津男君 理事 輿石  東君  理事 五十嵐ふみひこ君       稲葉 大和君    小野 晋也君       栗原 裕康君    栗本慎一郎君       河野 洋平君    斉藤斗志二君       島村 宜伸君    石田 勝之君       坂口  力君    西  博義君       西岡 武夫君    鳩山 邦夫君       船田  元君    池田 隆一君       小林  守君    濱田 健一君       山原健二郎君    嶋崎  譲君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥田 幹生君  出席政府委員         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部省体育局長 佐々木正峰君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      岡村  豊君     ————————————— 委員の異動 三月十四日  辞任        補欠選任    池田隆一君     五十嵐広三君  同日  辞任        補欠選任   五十嵐広三君     池田 隆一君     ————————————— 三月二十二日  公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師  の公務災害補償に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第二八号)(参議院送付) 同月十九日  すべての子供に対する行き届いた教育に関する  請願岩佐恵美紹介)(第四七四号)  私学助成大幅増額小中高校三十五人学級の  早期実現に関する請願大石正光紹介)(第  四七五号)  行き届いた教育実現私学助成大幅増額に  関する請願三野優美紹介)(第四七六号)  同(三野優美紹介)(第五二七号)  小・中・高三十五人以下学級実現私学助成  の抜本的改善障害児教育の充実に関する請願  (北沢清功紹介)(第五二五号)  同一件(堀込征雄紹介)(第五二六号)  私立専修学校教育研究条件改善父母負  担軽減に関する請願山原健二郎紹介)(第  五九九号)  国庫補助拡大父母負担軽減教育条件の  改善に関する請願中山利生紹介)(第六〇  〇号) 同月二十二日  四十人以下学級早期実現急減期特別助成な  ど私学助成大幅増額に関する請願古賀一成  君紹介)(第六六五号)  同(松本龍紹介)(第六六六号)  同(松本龍紹介)(第八七五号)  私立専修学校教育研究条件改善父母負  担軽減に関する請願山原健二郎紹介)(第  六六七号)  国庫補助拡大父母負担軽減教育条件の  改善に関する請願塚原俊平紹介)(第八七  四号)  義務教育学校教職員定数改善に関する請願  (羽田孜紹介)(第八七六号)  すべての子供に対する行き届いた教育に関する  請願松沢成文紹介)(第八七七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師  の公務災害補償に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第二八号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。奥田文部大臣。     —————————————  公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師   の公務災害補償に関する法律の一部を改正す   る法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 奥田幹生

    奥田国務大臣 このたび、政府から提出いたしました公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、国家公務員等災害補償制度改正に倣って、公立学校学校医等公務災害補償制度に、傷病補償または障害補償補償の事由となった障害により必要な介護を受けている場合における補償として、新たに介護補償を設けることとするものであります。この補償範囲金額等基準につきましては、国家公務員災害補償法規定を参酌して政令で定めることとなっております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要でございます。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
  4. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西博義君。
  6. 西博義

    西委員 新進党の西博義でございます。  ただいま文部大臣から提案がございました公立学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償法の一部改正案について質疑をさせていただきたいと存じます。  まず、その質疑をさせていただく前に、一言申し上げたいことがございます。  この法律が成立した経緯を御説明いただきました。文部省の方から御説明をちょうだいしたのですけれども、昭和二十四年十一月、熊本県で修学旅行があって、その修学旅行に付き添った学校医先生が、船が転覆したために亡くなった、これを機会に議員立法でこの法律ができたというふうにお伺いをいたしました。  このような経緯を見てみますと、この法律文部省の所管であるということはよく理解をすることができるわけですが、しかしながらこの法律先ほど文部大臣から御説明いただきました折にもございましたように、国家公務員災害補償法にのっとって、いわば準拠した形で作成をされており、人事院補償範囲それから支給額等基準の数字はすべて決定をする、こういう権限があるようでございます。そういう意味で、文部省がこの法律を所管するということは名目にすぎないとい うふうにも思うわけでございます。  具体的に申し上げれば、先生補償につきましては、これは地方公務員の中で一くくりにされていると思うのでございますが、今回俎上に上ってきましたのが、いわば非常勤の学校医さん初めそういう人たちの問題だけであるということからも、一般化すべき事項ではないのかなというふうな思いがいたしております。  また、このたび介護補償制度が四月一日をスタートとして各国家公務員地方公務員、また一般社会でも創設されるわけでございますが、具体的にだれが介護補償を受けることができるのか、また幾らの補償ができるのかというような事項が、公に私どもに提出された資料の中ではなかなか明らかにはなっておりません。これは政府政令事項として定めているという事情によるものだというふうに思います。  この介護費用に対する給付を行う今回の制度、これについては現在、大臣もよく御存じのように、公的介護保険の導入がここ数年来いろいろな議論がなされておるわけでございます、そういう意味では、まだ現在の時点では、決して一般的なものというふうな認識をするには至っておりません。個々の問題として取り上げている、行く行くは介護保険との整合性等もこれは問題になってくるとは思うのですが、そういう今の時点だというふうに認識をしております。  それで、療養傷病補償などほかの補償政令委任を過去ずっと歴史的にされたという位置づけがございますので、今回もこの具体的な内容については機械的に政令という形になったんだと思いますが、今回、介護というこの新しい政策にかかわる制度審議に当たりましては、最低限度の必要な資料として、政令もしくはその原案を審議の用に供すべきではないかというふうに思います。  私は、支給範囲支給額さらには支給対象介護サービスなど基本的な事項についての情報が提供されずにこのような審議、いわば枠をつくって中身政令で何とか埋めよう、こういう形の審議というのは、国会の審議が形骸化されるもとになるのではないかというふうな考えを持っております。妥当な判断を下すには若干資料が不足している、材料が不足している、こういう思いがいたしますので、今後一考をお願いをしたいということをまず申し上げておきまして、具体的に今回の法案の内容に移らせていただきたいと存じます。  まず初めに、介護対象者、それから支給額等について具体的に質問をさせていただきたいと思います。  公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償に関する法律、この法律の四条の一項を見てみますと、「補償範囲金額及び支給方法その他補償に関し必要な事項は、政令で定める基準に従い、地方公共団体条例で定める。」こういうふうにうたってございます。そしてこの「基準」というのはどういうふうになりますかと申しますと、これはこの二項でございますが、「前項の規定により政令基準を定める場合には、政府は、国家公務員災害補償法規定を参しやくするとともに、」ずっと続くのですが間を略しますと、最後、「同種の補償と、おおむね同程度のものとなるようにこれを定めなければならない。」こういうふうに決めてあります。つまり、この法律そのもの国家公務員災害補償法に準拠するということが明確にここに載っておると同時に、この介護補償対象者というのは、傷病補償年金または障害補償年金を受けられる人である、こういうふうになっております。  そうしますと、ただいま審議しておりますこの法律改正によって介護補償をこのたび受けられる対象者、この人もまた傷病補償年金及び障害補償年金を受けられる人が対象者である、こういうふうになると思うのですが、こういう認識でよろしいのかどうか、まずお伺いをしたいと思います。
  7. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 介護補償制度は、近年、人口の高齢化だとか核家族化等が進んでおるわけでございまして、重度被災職員が、家庭で家族のみによっては必ずしも十分な介護を受けられない、そういう中で、民間事業者等から介護サービスを受ける必要性が一層局まってきております。そういった状況を踏まえまして、介護補償制度を創設したわけでございます。  したがいまして、その対象者につきましても、ただいま御指摘いただきましたとおり、公務上の負傷または疾病によって傷病補償年金または障害補償年金を受ける権利を有する学校医等といたしておるわけでございます。  これは、介護補償が、長期介護を要する状態継続している、そういう重度被災職員負担軽減を図るために支給されるものでございますので、長期にわたって重度傷病障害を負って生活をしていかざるを得ない者として決定をされた年金受給者であって介護を必要とする者に対してこれが支給をされるということとなりますので、介護という条件がさらに必要でございます。すなわち、常時または随時介護を要する状態にあり、かつ、常時または随時介護を受けている場合に、介護を受けている期間、その介護に必要な経費を支給をするというふうな中身でございます。
  8. 西博義

    西委員 先日ちょうだいいたしました文部省からの資料によりますと、障害補償を受けておられる方の中で、年金をいただいている方と一時金で済ませていく、そういう形で障害補償が二種類あって、年金をいただく方は一級から七級まで、こういう形になっているようでございます。  つまり、七級までの人、七級以上の重い障害を持っている人が今回のこの介護補償対象になるのかどうか、もちろん現実に介護を必要とするという条件の上でございますが、七級と八級の間に線を引くということになるのかどうか、御質問申し上げます。
  9. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 今回の対象が、常時介護を要する、あるいは随時介護を要するというふうなことでございますので、一、二級の障害を持つ者、これを支給対象としてまいる、こういう考えでございます。
  10. 西博義

    西委員 障害の場合は一、二級ということでございますね。  もう少し具体的に御質問申し上げたいのでございますが、一、二級までが介護対象となるということで、介護対象とならない三級の人との間には、どういう差といいますか、どういう状態の違いがあるのかということを、もう少し具体的なことでお教え願えればありがたいのですが……。
  11. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 人が日常の生活をするに当たりまして、生理的な、基本的な動作がございます。例えば食事をしたり、用便をしたり、入浴をする、あるいは衣服を着脱する、こういった動作が必要でございますけれども、こういった動作につきまして他人手助けが常に必要である場合、あるいは、そういった動作は多少は自分で行うことができるけれども、やはりおおむね他人手助けが必要となるような場合を、今回の介護補償の念頭に置いておるわけでございます。  そういった意味におきまして、例えば神経系統機能あるいは精神に著しい障害を有する者、胸腹部臓器機能に著しい障害を有する者、あるいはこれと同程度介護を要する者等対象としておるところでございます。
  12. 西博義

    西委員 そうしますと、この等級は介護基準にしたランクづけではございませんが、たまたま介護の面においてある程度、明確に言うと当然難しい面もございましょうが、ある程度介護を要する人たちがほとんど一、二級に入っている、三、四、五級になりますと介護という意味では可能性が少ないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  13. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  14. 西博義

    西委員 わかりました。  次に、質問を変えたいと思います。  現行の制度では、まず、病気並びにけがが起こった場合には療養補償が行われます。そして、療養補償がずっと長引いてまいりますと、もちろんその間に休業補償ということもあるわけでございますが、一年六カ月を経た後に傷病補償という ことでその治療が継続をされる、こういうことでございます。それでもなお継続をしていって、やがて負傷傷病が治って、治った後も障害が残っている人、この人に障害補償という形での給付があるというのが基本的なことでございます。  この障害補償と同時に今回の介護補償が受けられる条件ができる、こう認識しておるわけでございますが、この介護補償給付対象になっても、依然として病院に入院をしている、もしくは身体障害者施設に入っている、こういうことがございますと介護補償が受けられないということも明記されているようでございます。そのほかに、例えば傷病補償を受ける場合には今申し上げましたように休業補償がない、こういうことのように、ほかに何かの条件があれば介護補償支給が制限される、もしくはなくなる、こういう条件がもしあればお教え願いたいと存じます。
  15. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 国家公務員災害補償制度におきましては、被災をした職員病院または診療所に入院している場合、及び身体障害者療護施設その他これに準ずる施設として人事院が定めるものに入所している場合には、介護補償支給をされない、かような扱いになっております。したがって、学校医等につきましても、国家公務員災害補償制度に準じた扱いになろうかと思っております。
  16. 西博義

    西委員 次に、介護補償支給額について御質問申し上げたいと思います。  これにつきましては、先ほどからも説明がございますように、常時介護随時介護という二つの区分が今回設けられました。それぞれについて支給額が異なるということでございますが、この常時と随時との認定をどういう境目でもって行うのかという基準をお示し願いたいと存じます。
  17. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 やや抽象的な話になるのでございますけれども、食事とか用便とか入浴あるいは衣服の着脱、そういった基本的な、生理的な動作について他人手助けが常に必要である場合、これを常時介護を要するというふうに言いますが、他方、随時介護といたしましては、食事用便等動作につきましては多少自分で行うことができますけれども、そのほかの動作につきましては他人手助けが必要となるような状態、これを随時介護を要する状態というふうに区別をしてございます。
  18. 西博義

    西委員 昨年の三月十六日、これは内閣委員会での質疑でございますが、同様な質問が出されております。その中で、常時と随時との間にいろいろな考え方の差があるということで、このときの政府委員答弁では、その具体的な判断につきましては、まだ施行日まで若干期間がある、一年ほどあったわけでございますが、ありますので、それまでの間、統一的な運用基準を検討してまいりたい、こういうふうに答えられております。  この一年間に何らかの、各省庁間、またはそれぞれの国家公務員地方公務員、それから労災、この辺のことについてのやりとりはございましたでしょうか。
  19. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 常時介護随時介護基準につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、この基準に従って具体的に今後どのような運用をするかにつきましては、まだ検討を継続しておる段階でございます。
  20. 西博義

    西委員 いただいた資料を見ますと、常時介護を要する人の場合には、一カ月最低約五万七千円の額になっておりますが、これは現金支給があるというふうに認識していいのかどうか。つまり、このお金はどのような用途にも使うことができるのかということでございます。  さらに、常時介護を要する人が民間介護サービスを利用した場合、最大限十万五千円ほどの支給が行われるということでございますが、結局、先ほどの五万七千円との差額、約四万八千円が追加的な支給になるというふうに内容を理解してよろしいのでしょうか。
  21. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 月額でございますが、常時介護を要する者につきましては、内容を分けまして、親族等介護を受けている場合には月額五万七千五十円を定額として支給し、また、費用を支出して介護を受けている場合には月額十万五千八十円を限度として、実際に支出した額を支給するというふうな扱いとなりてございます。
  22. 西博義

    西委員 常時介護を受けられる方が月額十万五千円というのは、常時でございますから、いろいろな民間の業者の方にお願いをしても、実際に必要な額の半額に満たないぐらいの額かなと、僕も詳しい計算はしておりませんが、大体三十日であれしますと半額にも満たない額になるのじゃないかというふうな感じがいたしております。  そういう意味で、この十万五千円をどういう基準で算定されているのかということを参考のためにお聞きをしておきたいと思います。
  23. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 例えば原爆被爆者に対する介護金額等参考にして、かような金額を算定しているところでございます。
  24. 西博義

    西委員 いろいろな介護があるのだと思うのですが、原爆被爆者の方に対する介護というのは、こういうたぐいの介護補償の中では一番高いのでしょうか。その辺、位置づけはどうなっていらっしゃいますか。
  25. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 現在法制化されておる介護の中では、原爆被爆者に対する介護というのは一つの標準的なものとして考え得るものというふうに思っておるところでございます。
  26. 西博義

    西委員 時間も迫ってまいりましたので、話題を変えまして、この介護補償対象となる具体的なサービスについて御質問をいたしたいと思います。  二月一日の日経新聞でございますが、公的介護保険について今審議されているわけですが、老人保健審議会中間報告記事です。この記事の中に、十二種類公的介護保険対象となる、まだ審議中でございますので確定はもちろんしておりませんが、この対象が挙がっております。  例えば、ホームヘルプサービス、デイサービスリハビリテーションサービス、ショートステイ、訪問看護、それから飛びまして住宅改修、さらには福祉用具サービス等、十二種類上っておりますが、ちょっと見ていただいて、この十二種類の中で、今回の介護補償でできる内容、できない内容について御指摘をいただければと思います。
  27. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 具体的に、例えば福祉用具サービスとか住宅改修サービスといったようなものは今回の介護補償対象となっておりません。  今回の介護補償は、被災した学校医等介護労働に対し費用を支出した場合を対象としておりますので、例えば自宅や施設においてヘルパーや施設職員等から介護労働を受け、それに対して費用を支出した場合に介護補償支給される、そういうものでございます。
  28. 西博義

    西委員 ただいまの答弁は、マンパワーに対する支出というふうにとらえてよろしいと思います。  実は、こういう状態になられた方に対する手当てなのですが、この十二項目で二つ欠けておるわけです。福祉用具サービスそれから住宅を改修するというようなことは、介護する側にとっては大変大事な項目であると思います。  今現在の世の中で介護サービスそのものの体制が全国完備されているかというと、まだまだそうではございません。地域にかなりの格差があるという現状の中で、またさらには介護内容に対して一人一人のニーズが異なってくる、こういうことも考慮いたしますと、介護サービスはできるだけ幅広い内容で行っていただきたいと思うわけでございます。介護を受ける人の立場に立って、介護サービス対象を具体的に政令でもって決める際には、どうかこの内容につきましてももう一度お考えになっていただきたい、こう思うわけでございます。  と申しますのも、福祉用具なんかのレンタルに関しては、例えば、昨年の改正でございましたが、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案の中でも、今までの福祉施設という考え方福祉事業というものに改めまして、新たに福祉用具レンタル等につきましてもこの介護補償の中に含める、こういうことがこの国家公務員補償法の中に組み込まれているというふうに考えられます。  残念ながら、今我々が審議をしておりますこの法律案の中にはそういう項目が、福祉施設に関する項目もないわけでございますので、どうか、この国家公務員災害補償法に準じて、もう少し拡大した解釈ができないかということを再度御質問をさせていただきます。
  29. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 国家公務員災害補償制度におきましては、国が実施義務を負いますところの公務災害補償とは別な制度といたしまして、国が裁量によって行う福祉事業というものを定めております。その中において、例えば車いす等補装具支給などが行われておるところでございます。  今回、改正につきまして御審議お願いしております法律は、学校医等に係る公務災害補償について、設置者に義務づけるとともに、補償最低基準費用負担等を定めるものでございますから、その意味におきまして福祉事業には触れておらないところでございます。  国家公務員福祉事業に相当する事業につきましては、必要に応じましてそれぞれの地方公共団体条例で措置できる、そういう扱いとなっておるところでございます。
  30. 西博義

    西委員 公立学校学校医さん、歯科医さん、薬剤師さんの災害補償に関する法律議員立法によってこのように確立をされ、そして今まで運用されてきた、いわば国家公務員地方公務員等とほとんど同じ形で運用されてきたという事実にかんがみまして、ぜひとも、そのような補償につきましても何らかの対処をお願いをできればというふうに思います。  もし大臣の方で、急速でございますが、何か御感想がございましたら一言お述べいただければと思います。
  31. 奥田幹生

    奥田国務大臣 今体育局長答弁を申したとおりでありますけれども、非常に大事なことでございます。学校医さん、歯科医さん、これだけ非常に時代がころころ変わっていきますと、児童生徒の肉体だけでなしに精神状態も非常に変わりやすいというような今日でございますから、こういう今御審議いただいておる問題についても余計に重要性が増してくると思いますので、十分心して取り組ませていただきたいと思っております。
  32. 西博義

    西委員 どうもありがとうございました。
  33. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 次に、山原健二郎君。
  34. 山原健二郎

    ○山原委員 学校現場が多忙なために、かなり教職員が健康に対して不安を持っておるという数字が幾つかの調査の結果出ておりまして、短時間ですから申し上げる時間がありませんが、例えば、体のぐあいが悪いと答えた人が、ある県では半数ですね、それから将来の健康に不安を持つという人が九割、過労死に不安があると答えた人が約半数おる、こういう状態が大体ありまして、私もちょっとびっくりしているわけでございます。  こうした健康の実態の中で、学校における労働安全衛生法の徹底が求められております。五十人以上の教職員がいる学校には衛生管理者、産業医の選任と衛生委員会の設置を義務づけておりますし、十人以上五十人未満の教職員がいる学校では衛生推進者を置くことが義務づけられております。  この点について、昨年の四月に参議院の決算委員会で、この実態はどうなっているかという質問をしておりまして、当時の与謝野文部大臣が、それぞれの教育委員会に対して指導をしてまいりたい、また体育局長は、実態調査を三月三十一日に依頼したところですというふうに答弁をしておりますが、この実態はどのようになっておりますか。
  35. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 文部省といたしましては、労働安全衛生法に基づき適切な措置が講じられるよう、例えば平成六年四月には体育局長通知で指導をし、また、ただいま御指摘のございました平成七年三月には実態を調査することを通してその体制整備を図るというふうなことを行っておるところでございます。  実態でございますが、まず衛生委員会でございますが、平成七年五月一日現在で、設置を要する学校の四二・〇%で設置をされております。次に、同日付でございますけれども、衛生管理者につきましては、設置を要する学校の四六・六%で設置をされ、また衛生推進者は、設置を要する学校の二一・四%で設置をされております。また産業医につきましては、設置を要する学校の八六・三%で設置をされているところでございます。
  36. 山原健二郎

    ○山原委員 これは自治省の平成六年の調査が出ておりますが、これと比べましても、整備がおくれているということは歴然と出ております。  学校以外の地方公務員の職場では、衛生管理者が大体八割から九割、安全衛生推進者等が六割から九割、衛生委員会が七割から八割となっていますが、学校現場の場合は、衛生管理者あるいは衛生委員会がそれぞれ四割程度ですし、衛生推進者はわずか二割というふうな実態だと思います。こういう立ちおくれというのは、何としてもこれは克服していただかなければなりません。そのことをまず指摘しておきます。  もう一つ、産業医の問題ですけれども、選任率が八六・三%、今お答えになったわけですが、学校における産業医の選任については、労働安全衛生規則第十三条二項でただし書きがあるわけでございます。この中身は申し上げませんけれども、私はこのただし書きが非常に問題だと思っておりまして、産業医の仕事というのは、職場の労働安全衛生活動のほとんどすべてにわたって医学的、専門的知識を持ってかかわり、そのために産業医は、少なくとも毎月一回作業所を巡回して衛生状態を調査する、あるいは勧告権も持ちますし、また、重要な構成メンバーとしていろいろ計画立案に参画することができるとなっております。  一方、学校医の方は本来子供の健康を守るのが目的でございまして、学校保健法施行規則第二十三条の学校医の準則では、教職員の健康診断に従事するのは教育委員会などの求めにより、こういうふうにされておりまして、医師が必ず教職員の健康診断を行うというふうにはなっておりません。これはシステムがそうなっていないわけでございます。  ところで、今度の国会に労働安全衛生法の改正案提案をされておりますが、その中身は、産業医の重要性、そして第二点としては、「産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。」というふうな改正になっておるわけでございまして、この改正趣旨から見ましても産業医の専門性が一層要求されておるわけでございます。その点から見まして産業医を選任する必要があるのではないかというふうに思いますが、この点について文部省はどうお考えになっておるか。  もう一つついでに申し上げておきますと、学校医が産業医として選任されている場合はきちんと研修を受けさせることが必要ではないかということでありますが、待遇の面でも、産業医にかかわる交付税措置は三日分しか措置されておりません。少なくとも毎月一回巡視することになっているわけですから、十二日分措置して産業医にふさわしい処遇をすべきではないかと思いますが、この点についても見解を伺っておきたいのです。
  37. 佐々木正峰

    佐々木(正)政府委員 学校医の職務につきましては、ただいま御指摘いただいたとおりでございますが、学校保健安全計画、学校環境衛生、伝染病予防、これは求めに応じてでございますけれども職員の健康診断、その他学校における保健管理に関する専門的事項に関する指導など、職員の保健管理に関する内容も含んでいるところでございます。そのため、学校におきましては学校医が産業医の役割を果たすことも可能であるというふうに考えておるところでございます。そういった観点に立ちまして、平成四年度より、学校医が教職員の保健管理に当たり産業医としての職務を実施 できるよう交付税措置を講じたところでございます。  御指摘のように、現在、労働安全衛生法の改正の中で、産業医の職責というものを踏まえてそれを重要視するような、あるいは産業医の専門性を高めるような改正が行われておるわけでございます。学校医と産業医との関係につきましては、この法改正内容というものも踏まえた対応が必要であろうかと思いますが、学校医の職責というものを考えますとやはり産業医としての職務も行い得る、そういう状況なども踏まえつつ産業医の設置等を今後進めてまいりたいと思っておるところでございます。  なお、学校医の報酬でございますが、平成七年度につきましては、保健管理を行う学校医のうち予防接種を行う者に対しては年九日分として二十四万八千円の地方交付税措置がなされております。そのほか、学校医が教職員の保健管理を行い産業医としての職務を行う場合には、教職員五十人以上の学校について年三日分として八万二千五百三十円の地方交付税措置がなされておるところでございます。報酬の額につきましては、国家公務員の給与の改正に伴いまして毎年自治省と協議をし、改定を図っているところでございます。  今後とも、教職員の保健管理などが適切に行われますよう、学校医の報酬につきまして適正な地方交付税措置がなされるよう、文部省としても引き続き努力してまいりたいと考えております。
  38. 山原健二郎

    ○山原委員 最後の一問ですが、実際上、学校医の大半は産業医の業務である環境管理とか健康相談あるいは健康障害原因調査と再発防止などという仕事を行うシステムにはなっていないというふうに私は思っておりまして、学校医がいるからそれで十分だという考え方にはどうも納得できないわけでございます。なお御検討いただきたいと思います。  最後に、文部大臣にお伺いしますが、先ほど言いましたように、実際、健康でなければ本当に健全な教育はできないということが言えると思います。学校現場での労働安全法に基づく安全衛生管理体制の整備がかなりおくれていることは間違いないと私は思っておりまして、教職員の健康が確保されることが健全な教育を発展さすという意味子供たちにとっても大事な仕事でございます。この点について、文部大臣としてどういう御決意を持っているか、ぜひ伺っておきたいのでございます。
  39. 奥田幹生

    奥田国務大臣 教職員は、学校保健法によって健康管理をきちっとやっていってもらうということになっております。今先生お話しのとおり、やはり労働安全衛生法に基づく法的な措置もきちんととってもらわないと、先生やら私どもがかつて教壇に立っておりました当時と今日とではかなり社会、教育環境も変わってきておりまして、先生のやっていただく仕事の内容、技術も非常に複雑になってきていると私ども聞いておるわけでございます。そうしますと、やはりそれだげの負担がかかるわけでございますから、健康の維持管理につきましても十分注意をしていただかないと子供への十分な教育を施していただくこともなかなか難しい。  そのためには、やはり文部省といたしましても、教育委員会と十分連絡をとりつつさらに先生の健康維持についても配慮してまいりたい、このように思っておるところでございます。
  40. 山原健二郎

    ○山原委員 法改正の最中でありますし、一層強力な御努力をお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
  41. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  42. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出参議院送付公立学校学校医学校歯科医及び学校薬剤師公務災害補償に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  43. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  45. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十九分散会      ————◇—————