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1996-05-15 第136回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十五日(水曜日)     午後一時四分開議 出席委員   委員長 松前  仰君    理事 鈴木 宗男君 理事 二田 孝治君    理事 松岡 利勝君 理事 仲村 正治君    理事 初村謙一郎君 理事 増田 敏男君    理事 田中 恒利君 理事 井出 正一君       荒井 広幸君    金田 英行君       岸本 光造君    栗原 博久君       七条  明君    東家 嘉幸君       葉梨 信行君    浜田 靖一君       穂積 良行君    松下 忠洋君      三ッ林弥太郎君    森田  一君       山本 公一君    木幡 弘道君       須藤  浩君    千葉 国男君       野呂 昭彦君    畑 英次郎君       堀込 征雄君    宮本 一三君       矢上 雅義君    山岡 賢次君       山田 正彦君    石橋 大吉君       永井 哲男君    野坂 浩賢君       山崎  泉君    金田 誠一君       簗瀬  進君    藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣  大原 一三君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      大島 賢三君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省畜産         局長      熊澤 英昭君         水産庁長官   東  久雄君  委員外出席者         内閣官房内閣外         政審議室内閣審         議官      中田  洋君         防衛庁長官官房         防衛審議官   石附  弘君         環境庁水質保全         局水質規制課長 飯島  孝君         外務省経済局海         洋課長     高田 稔久君         海上保安庁警備         救難部警備第一         課長      淡路  均君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   小沢 鋭仁君     金田 誠一君 同日  辞任         補欠選任   金田 誠一君     小沢 鋭仁君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  参考人出頭要求に関する件  排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案(内  閣提出第八六号)  排他的経済水域における漁業等に関する主権的  権利行使等に関する法律案内閣提出第八八  号)  海洋生物資源保存及び管理に関する法律案  (内閣提出第八九号)  水産資源保護法の一部を改正する法律案内閣  提出第九〇号)      ――――◇―――――
  2. 松前仰

    松前委員長 これより会議を開きます。  内閣提出排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利行使等に関する法律案海洋生物資源保存及び管理に関する法律案及び水産資源保護法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、明十六日午後三時、参考人として、全国漁業協同組合連合会専務理事菅原昭君、北海道指導漁業協同組合連合会代表理事会長峰進一君、日本遠洋旋網漁業協同組合組合長理事野村稲穂君、社団法人全国底曳網漁業連合会会長理事吉岡修一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松前仰

    松前委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 松前仰

    松前委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  海洋法に関する国際連合条約及び千九百八十二年十二月十日の海洋法に関する国際連合条約第十一部の実施に関する協定締結について承認を求めるの件について、外務委員会に対し連合審査会開会申し入れを行うこととし、また、内閣提出排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利行使等に関する法律案海洋生物資源保存及び管理に関する法律案及び水産資源保護法の一部を改正する法律案について、外務委員会から本委員会に対し連合審査会開会申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松前仰

    松前委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会開会日時等につきましては、関係委員長間におきまして協議の上決定いたしますので、御了承願います。     ―――――――――――――
  6. 松前仰

    松前委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田靖一君。
  7. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 自由民主党の浜田靖一でございます。  本日は、国連海洋法条約に関する四法案について御質問する機会を与えていただきまして本当にありがとうございます。こういう機会でございますので、水産関係というのは非常に難しい問題であることは事実でございますし、また、こういう場で議論する機会も大変少なかったわけでございます。しかしながら、この今回の国連海洋法条約締結というのは、まさに農業のガット・ウルグアイ・ラウンドに相当するような、我が国漁業に対して本当にインパクトのあることだと私は思うわけでございまして、今回、ここで議論を深めることが大変重要だと思いますので、大臣初め関係省庁方々にいろいろとお話をお伺いさせていただきたいわけでございます。  現在の我が国水産業を取り巻く状況というのは大変厳しいものがあるというふうに常日ごろから言われておるわけでございます。そして、つくり育てる漁業ということで、かなり多くの方々からの御意見も出てきておるわけでございます。ましてや世界食糧状況、特に昨今ではアメリカの穀物の凶作等によりまして政府の方もいろいろな対応をしておられるわけでございます。必然的に世界の人口というのは、これはふえ続けるということを言われておるわけでございます。しかしながら、じゃ現在の食物の需給というのはどうなのかといえば、グリーンベルト地帯がだんだん狭まってきて、砂漠化傾向があって、なかなか食糧を確保するのが難しい時代が来るのじゃないか、そういうお話もありまして、まさに土地を利用しての食糧確保というものの難しさというものが現状あるわけでございます。私は、この海という大きな、動物性のたんぱく質を我々が得るにすばらしいものが我が国周辺には存在をするわけでありまして、その意味からすると、今回の国連海洋法条約というものの意義というものは大変大きなものがあると思うわけでございます。  その点についてまたお話伺いたいと思うのですが、今の我が国水産業というのは、浜値は安いんだが、小売は高い。そして国民の皆さん方も、このごろはお魚よりもお肉の方がいいということで、どうも魚離れ傾向がある。そしてまた昨今は、我が国大変国土が狭いわけでございますので、埋め立てですとか水質汚染等で環境の悪化というのはこれは否めないわけでございます。そしてまた漁業技術もかなり進歩をしておるわけでございまして、その意味では、このごろはどちらかといえば政府当局は必然的に資源管理型漁業の推進ということで、いろいろな政策をされておるわけでございます。  しかしながら、どうも漁業者皆さん方を見ても、そして漁村等を見ても、なかなかこれがはっきりと自分たちの所得ですとかそういうものに返ってこない。そういう状況がここにあるわけでございまして、現在の我が国水産業に対する現状認識というものを大臣にまずお伺いをして、また、それとあわせて、今後の水産業可能性と、そして我が国の、今後どのような方策をとっていけばこうなるというような全体的なお考えとお気持ちをぜひともここでお伺いをしておきたいと思うわけでございます。よろしくお願いいたします。
  8. 大原一三

    大原国務大臣 浜田委員既に御関心のとおりに、日本人の動物性たんぱく源の四割、おっしゃったように大事な水産資源でございます。にもかかわらず、御指摘のように、我が国水産業は、生産高、さらにはまた付加価値、ともにピークを過ぎてしまったという感じを我々は持っております。その中で八百万トン、それに対して輸入が三百万トン程度、概数でございますが、そういった状況がこれからどうなっていくか非常に関心の持たれるところであり、また農水省としては、今回の条約締結によって世界で何番目かの大きな海洋国家になるそうでありますが、その資源管理を当然これは義務づけられているわけでございますから、総量規制の中において、我が国の新しい漁業適用を、そしてずっと生き残っていける漁業のありようを考えていかなきやならぬな、こう思っております。  そこで、これからの課題でございますけれども、つくり育てる漁業というのが、たしか一七、八%だったと思うのですね。その付加価値が大体三割ぐらいというような形になっているわけであります。御指摘のように、いい魚が現場でとれても東京の値段千葉値段じゃ大分格差がある。これは何だろうかということを私も不思議に思っている一人でありまして、日本の非常に複雑な流通システム、この辺にもやはり合理化が必要ではないのかな、だから市場機構を含めた、時代に即応した新しい改革もやっていかなきやならないなと思っております。御指摘のように、つくり育てる漁業については、今後さらに資源管理型漁業の中において充実をさせていかなきやならぬと思っております。
  9. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 まさに大臣が今おっしゃられたように、流通の問題になりますと、我々も党の水産部会でいろいろな検討をさせていただいているわけでありますが、これは守備範囲が広くなりまして、なかなかこれだという方策が見えてこないのが現状であろうと思うわけでございまして、さらに我々も勉強を積み重ねてこの問題には取り組んでいかなきゃいけないのではないかなという気がするわけでございます。大臣もそういう御関心を持っていただいて、さらに一層つくり育てる漁業というものの確立を目指して御努力を願いたいと思うわけでございますし、我々もまた御一緒に努力をさせていただきたいと思うわけでございます。  そこで、今回の国連海洋法条約、この法案について御質問をさせていただきたいと思うわけでございますけれども、今回の国連海洋法条約において特徴というか基本的な理念としては、沿岸国に二百海里の排他的管轄権を与えるとともに、漁獲可能量設定生物資源保存管理措置義務づけるということが基本理念になっておるわけでございます。  我が国においては、今回二百海里を導入するに当たっては、海洋法制度研究会というものが設立をされ、昨年からこの問題についていろいろな討議がなされておるわけでございますけれども、二百海里の設定の問題については、この海洋法制度研究会中間取りまとめの中では、「我が国において、水産資源保存管理を目的とした漁獲可能量制度導入するためには、排他的経済水域全面設定全面適用が不可欠である。」というふうに発表されておるわけでございまして、そしてまた漁業関係者の中も、一致してこれは全面設定全面適用というのが絶対必要であるというふうに言われておるわけでございます。  その中で今一番問題になっておるのは、いわゆる日韓、日中の問題だと思うわけでございますけれども、今現在水産庁の方で、日中、日韓の間で漁業協定の見直しも含めて協議がなされておるわけでございまして、まず我々、この件について現在の進捗状況をぜひともお聞きをしたいと思うわけでございます。  そしてまた、我が党の水産部会では、今回の海洋法条約については、早期締結を目指すためにもやはりこれはある程度期間を決めてやっていただかないことには困るということで、我が党からは、できれば一年というような時間的な区切りを要望しておるわけでございますけれども、時期の見通しを含めて、現在の進捗状況水産庁の方からお答え願いたいと思います。
  10. 東久雄

    東政府委員 まず、日中、日韓話し合いでございます。  日中につきましては、先生承知のとおり、四月九日、十日に最初の会合をやりました。それから日韓につきましては、この五月九日、十日に実施いたしております。  もう一つ、こういう交渉をやるときには、中国側がどういう構えでいるか、韓国側がどういう構えでいるかということが非常に重要なポイントでございます。それらを含めて話し合いました。中国側の方は、五月中には批准のための国内手続、これは全人代、全国人民代表者会議常務委員会にかけることが必要だというふうに聞いておりますが、その手続を済ませる方向でやっているということがございまして、向こうもそういう備えができてきている。韓国側の方はもう批准済みでございますが、五月の初めに、新しいいわゆる排他的経済水域法案の骨子を発表いたしまして、これを向こう法手続として国内で十日までいろいろな意見を聞いて、この次の国会にかけると言っております。これは、この間選挙がございましたので、五月の末なのか六月の初めなのかに国会が開かれると思います。  そういうことで、両方とも国連海洋法条約批准してやっていく。批准をするということは、この原則を受け取ることでございます。そういう意味で、我が国もこうして批准承認をお願いしておるわけですが、そういう形で各国とも話し合いのいわゆる準備ができたという状態になると思いますが、我々は早くこれを片づけなければいけないのだということを強く申しております。相手もあることでございますが、これは我々といたしましては、そういう状態でございますので国連海洋法条約の趣旨を十分踏まえた新たな漁業協定早期締結されることが必要だということで、先ほど与党内のお話がございましたけれども、与党だけではなしに漁業者からも強い要求がございますし、各党の中でのお話も聞いております。とにかく本年中に改定の方針の合意を得るということを基本として、一年以内を目途に交渉を進めるという考え方を体しまして協議を進めていくという構えでおります。
  11. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 ありがとうございました。  これは、やはりぜひとも早期にこの問題は解決していただきたいと思うわけでございます。というのも、西側の漁業者、特に韓国中国違法操業というものが大変このところ際立ってきておるわけでございまして、その意味では、この二百海里の設定というものをしっかりとしていただいて、その中でこれを適用していくということが大変重要なことになってくるわけでございます。これはまさに西日本だけではなくて北海道も同じようなことが言えるわけでございまして、その点を解決する意味でもこの部分はしっかりと交渉の方をお願いする次第でございます。  そしてまた、今回、いろいろな交渉の中で問題に出てきております竹島の問題、尖閣の問題があるわけでございますけれども、この点に関しまして、水産庁としての認識というかお考えを少し教えていただければと思うわけでございます。
  12. 東久雄

    東政府委員 竹島尖閣の問題ということでございますが、御承知のとおり、これらは領土問題と切り離して漁業問題を話し合うということは両国の首脳間で話し合われておりまして、私ども、この両水域というのは一部の漁業水域でございます。したがいまして、他に大きな漁業水域があるわけでございますから、これの取り扱いということを話し合う、その基本原則を話し合うということは十分可能だと思っております。その上でこの水域をどうするかということにつながってくるのだというふうに考えておるわけでございます。  また、こういう領土の問題で、いわゆるEZ境界線といいましょうか、それについていろいろ問題があるところは世界各地にございます。いろいろな形で漁業の問題は現実に即してそれぞれ話し合っております。我々の一つの経験としては御承知の北方四島の形もございますし、いろいろな経緯がございます。相手がありますのでなかなか難しい問題だとは思いますけれども、まず最初にその全体的な話というところがら十分話していけるというふうに考えております。
  13. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 確かにその問題は大変デリケートな問題でありますので、今後も交渉の中で進めていっていただければと思うわけでございます。  今長官から北方領土のお話が出ましたけれども、今回、我が国排他的経済水域全面設定した場合に、従来のロシアとの漁業関係、これに対してどのような影響が出るのか、あるのかないのか、その辺もぜひともお聞かせ願いたいと思います。
  14. 東久雄

    東政府委員 先生承知のとおり、ロシアとの漁業関係二つ協定に基づいてやっております。一つは、いまだに題名を変えていないのですけれども、日ソ地先沖合漁業協定、それとももう一つ日ソ漁業協力協定という、二つ協定がございます。これらはもう既に国連海洋法条約の内容を事前に踏まえてやっていっておりますので、基本的な変更はない。ただ、先生承知のとおり、今度日本直線基線領海のところで使いますので、それで従来の線がちょっと変わってくる点があるのじゃないか。ただ、ロシアとの間の海域というのはそんなに大きな変化がないところだというふうに考えております。
  15. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 今直線基線お話が出たわけでありますけれども、今回の領海法の一部を改正する法律案の中で、従来の線引きとは違って、前回は韓国に対する配慮とかいろいろなことがあって直線基線を用いなかったわけでございますが、さきの本会議の中では池田外務大臣直線基線を使うとはっきりとお話しになったわけでございます。確認意味で、今回、この直線基線を使うのかどうか、お答えをいただければと思うわけでございます。
  16. 東久雄

    東政府委員 御承知のとおり、領海法の一部を改正する法律案の中でこの点が触れられておるわけでございますが、従来の低潮線に加えまして直線基線を採用することができるというふうになっております。  例えば三陸沖等のリアス式海岸などは、大変入り組んでおりますと取り締まりそのものが大変難しいわけでございまして、そういう点をたやすくするというような形で、できるところにつきましては、そういう必要のあるところにつきましては直線基線でいくということを聞いております。  その場合に、直線基線を引きますと、直線基線でございますから、領海の十二海里ももちろんのことでございますが、いわゆるEZ、今引いております日本EZも多少影響を受けます。しかし、そう大きなものではないというふうに感じております。  ただ、今度は領海の中では外国人による漁業原則禁止でございますので、その点がちょっと違ってくるところがございます。漁業の点につきましては、ちょっとその辺の変化といいますかプラスといいますか、それが出てくるということでございます。
  17. 中田洋

    中田説明員 お答え申し上げます。  直線基線につきましては、国連海洋法条約第七条に定めるところによりまして、海岸線が著しく曲折している、あるいは海岸に沿って至近距離に一連の島が存在する、こういったような場所に引かれるものでございます。我が国直線基線を引くに当たりましても、これらの国際法上の要件を満たし、かつ国際的に許容される限度を見きわめつつ、現在鋭意検討を進めているところでございます。
  18. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 ありがとうございました。確認意味でちょっとお聞かせ願ったわけであります。  そこで、この直線基線を用いた場合にいかなるメリットがあるのか、これについてもちょっと教えていただけますか。
  19. 東久雄

    東政府委員 ちょっと先ほど触れたのでございますが、取り締まりの面で、やはりでこぼこが激しいと非常にそこのところ、微妙な難しいところがございます。そこが容易になるだろうということが一つ。それから、先ほど言いましたように、領海が広がることによって、領海内は外国人漁業原則禁止しておりますのでその地域が広がる。それから、直線基線直線になりますと、外側のいわゆるEZのラインも、それに基づいて引きますので少し広がるというような形でメリットが、メリットというか変化が出てくる。そう大きなものではないと思います。  ただ、特に取り締まりの点で、要するに領海の中で違反している者が、非常にでこぼこした領海  線ですとこれが非常に難しかったということを我々聞いておりまして、そういう意味では、これは取り締まりの面からすると大変なメリットになるというふうに考えております。
  20. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 わかりました。ありがとうございました。  そこで次に、基本理念の中でも、この排他的経済水域を得るとともに、この反対の義務として、漁獲可能量設定生物資源保存管理というのが義務づけられておるわけでございますが、今回のTAC制度、この導入意義ということについてもちょっとお聞かせ願いたいわけであります。  この導入の効果というものは、「漁業発展水産物供給の安定に資する」というふうにしておりますけれども、今回のこのTAC制度が、我が国へのこの新しい制度導入というものが漁業発展水産物供給安定という最終目標の達成に資することとなるというふうに考えたのは、これはどういうことかということと、また、直面する漁業経営安定のための対策として本法がどのような役割を果たし得るのか、この点についてもお聞かせをお願いしたいと思うわけでございます。
  21. 東久雄

    東政府委員 まず、先生承知のとおり、国連海洋法条約は、排他的経済水域を設けることを沿岸国権利として認めるとともに、それを管理するためには、この漁獲可能量による管理ということを義務づけております。これは、やはり独占してはいけないというようなことで、全部排他してはいけないというような観点も入れてそういう義務を課しているというふうに考えます。したがいまして、今回こういう制度を設けることによって、一つは、外国の漁船が日本の二百海里内の資源をとるといたしましても、それを主権的にコントロールできるということが非常に大きなポイントだというふうに考えております。  先ほど先生指摘のとおり、この制度というものは、海洋生物資源維持増大を図り、その持続的かつ最適な利用を確保していくということを目標としております。持続的かつ最適な利用ということでございます。これは、日本近海においては特にこれから、このままほっておきますと中国船進出等によって資源が枯渇していく、いわゆる資源を最大限利用するところがら転がり落ちていく可能性がある、ないしはもう既に一部の魚種についてはそういう傾向さえ見られる。それを阻止して少しでも最適利用へ持っていくという、これは日本側への影響がありますから、その辺も考えてやりますので少し時間かかるかもしれませんが、それを回復していくということでございまして、そういう意味で、中長期的には年間国内供給量がある意味ではこの近海の中での増大を図っていくことができるのではないか、今下がっているのを少し回復させられるのではないか。また、可能量を提示することによって年間国内供給量が明らかになりますので、ある意味では需給に見合った価格形成ということに資していくことになるのではないか。また、それが計画的な漁業経営ということを行えるようになって、漁業経営の安定にもつながっていくのではないか。漁業経営の面では、そういう価格の面と、それともう一つは、先ほど言いましたように、量的に少しとれる量を回復できるのではないかということで、その面でも大きな貢献ができるのではないかというふうに考えております。
  22. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 大分時間がなくなってまいりましたので、最後の質問とさせていただきたいと思  います。  質問通告をしてなかったのですが、最後にTAC制度導入の時期。これはいわゆる見直し、改定作業を進められておるところでありますけれども、本法律案が施行されても新たな漁業協定締結されなければ、我が国周辺海域で操業している韓国中国船は現行漁業協定に基づく操業を続けて、我が国漁業者だけが新たな操業規制を受けることになるわけでありまして、この導入時期については非常に微妙な問題があるわけでございますけれども、その点についてお答え願えればと思います。
  23. 東久雄

    東政府委員 現在の海洋生物資源法、いわゆるTAC法の中におきましては、漁獲可能量設定するという作業はやりますが、先生指摘中国韓国の船が自由にとっている、それで資源管理のもとに置けないという状態のもとでは、それを強制的に日本漁業者にやらせるということは無理があるということでございまして、それらにつきましては、中国韓国との整合性がとれるまでの間は強制規定を中断しておくという措置を法律の中でとっております。  そういう形でございますが、とにかく漁獲可能数量が明らかになる、また魚種別にこれぐらいというのが明らかになる、それに向かって漁業者がいろいろな形での努力協定を結ぶというようなことも含めての努力一つ目標になるというふうに私たちは考えておりますが、いずれにしろ中国韓国との協定をできるだけ早く結んで、我が国のいわゆる資源管理のもとに中国韓国漁業も二百海里内については置いていかなければならぬというふうに考えております。早くやらなければいかぬ。それがために、できることであれば今年中にということを目途に進めていくつもりでございます。
  24. 浜田靖一

    浜田(靖)委員 ありがとうございました。  本当にこの法律案はよくできておると思うわけでございますが、ただ、この運用に関しては、特にTAC制度の場合にはいろいろな意味で、どのような方式をとるのかという問題もあれば、必然的に漁業者の皆さんがどのくらい理解をしていただいてしっかりとした形の中でこのTACをやっていくかということになるわけでございますので、まさにこれからが重要であろうと思うわけでございます。  ぜひとも今後この水産業に関して大きな関心を持っていただいて、国民の皆さん方にも食糧政策の中の水産ということをしっかりと認識をしていただける努力を今後も農林水産省でしていただいて、また我々も、食糧安保という面からも危機感を持ってしっかりと訴えかけていくことが必要であろうと思うわけでございますので、どうか皆さん方の御尽力を心からお願いをしたいと思うわけでございます。  時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  25. 松前仰

    松前委員長 山田正彦君。
  26. 山田正彦

    ○山田(正)委員 新進党の山田正彦でございます。  きょうは、いよいよ二百海里の批准に向けて審議が始まるということで、私どもにとっても、また私の地元であります壱岐とか対馬の漁民にとつても大変喜ばしい、本当に感動的な国会審議がいよいよ始まるわけでございます。  この二百海里を何としても一日でも最く線引きしてほしい、それこそ本当に沿岸漁民の悲願でありますが、最初にその具体例としまして、私が直接聞いた話ですけれども、松島の沖では、はえ縄漁業、五トン未満の小さな船でよくアマダイとかそういったものの漁をしているわけですが、その上の方から中国のどでかい底流し刺し網船が投網してやってくる。とても危険でたまらない。結局逃げてしまわざるを得ない。また、イカ釣り漁船にしてみても、せっかく五時間も六時間もかかって集魚灯をたいている、そのたいているところにイカが集まったかなと思うと、中国のそのイカ釣り漁船のフェリーみたいなでかいのがずんずん全速力でやってくると、やはり怖くて逃げ出してしまう。また、やっと火をたいたところでいよいよ釣り始めると、韓国中国のまき網船がその火のもとをぐるっと取り巻いて、ごっそり魚を持っていかれる。そういったことで、私が直接聞いただけでもかなり今沿岸漁民というのは、韓国中国の漁船のいわゆる乱暴なと言っていいかと思いますが、そういうものに苦しめられてきている。  ここで何とか二百海里線引きをやらなければいけない、そういうところまで来ていると思うのですが、水産庁として、現在の中国漁船及び韓国漁船が日本の沿岸部でどのような状況で操業しているか、また違反の実態等について、まず簡単に説明いただければと思います。
  27. 東久雄

    東政府委員 いわゆる十二海里内につきましては、特に小型、小さい船での沿岸漁業、それから定置網等の主漁場になっておる十二海里内については、これは外国漁業は全面禁止でございます。ただ、違反があるというのは先生指摘のとおりでございます。  それから、我々が二百海里と言っておる中間線等で囲んだ地域ということにいたしますと、そこで正確な数字というのは、向こうもデータもありませんので、操業状況等から推測をせざるを得ないのでございますが、韓国漁船としては、今お話しのトロール漁業とかまき網漁業、それからサンマ棒受け網漁業等で、これは北海道、三陸の方でございますが、スケトウとかサバとかサンマ等を対象にしてやっております。年による変動ということがございまして、先ほど言いましたように非常に大まかな、いろいろな仮定を置いての計算でございますが、十五万トンから二十万トン程度とっているのではないか、韓国側でございます。それで、これらはこれからの話し合いの過程できっちりしていかなければいけない数字でございますけれども、我々の推定はその辺ではないかというふうに考えております。  それから、今の漁具の被害でございますが、平成六年でやりますと、これは五十八件で二千九百万円というような被害があるようでございますが、これは刺し網漁具等の被害が多いようでございます。それから西日本周辺では、シイラ漬け漁業のいかだ、タコつぼ漁業のタコつぼ等が被害を受けております。これは平成六年に西日本周辺で二百六十三件、被害額六千百万円というようなもの。  それから中国漁船につきましては、大まかに推定すると、どうも二万から六万トン程度、非常に県によって幅がございますが、それぐらいではないか。それから漁具被害は、やはり長崎を中心に百件程度、アナゴかごとか定置網等の被害があるようでございます。  それで違反でございますが、中国船の違反は余りございません。ただ、韓国船の違反につきましては二百件ぐらい、昨年一年間にございます。
  28. 山田正彦

    ○山田(正)委員 これは水産庁と外務省に聞きたいのですが、実は前の委員会でも少し取り上げましたが、中国の船、韓国の船、台湾の船はよく緊急避難と称して、私も対馬の舟志湾で現実に見たのですけれども、すごい天気のいい日にでも湾内に入ってきている。そして湾外に出ていくときにそのままごっそりと、いわば網を引いて領海内の魚をとっていくということが頻繁に行われているようでございます。さきには、去年の七月には五島の玉之浦湾で、台風時に台湾の船がたまたま定置網にひっかけて、これは避難のときだったのですが、かなりの金額、水道管の損壊も入れますと約六千万近い損害を与えたわけです。こういった、先ほどの水産庁長官が言った漁具被害についてですが、例えば玉之浦湾の中国漁船による被害は、やっと今台湾のどの船かということがわかったというぐらいで、水産庁も外務省も、それは民間のことだから勝手にやれ、それなら国際避難港は返上したいと地元の人は言っているぐらい。  そのような状況であることをよくわかっていただきながら、一方、今度は日本の船が韓国で、例えば台風時とか大雨あるいは大あらしのときに韓国の港に避難しょうとすると、なかなか入れてくれない。外務省の連絡があるまで待てということで三時間も四時間も島に待たされていて、港に入れてくれない。やっと四時間か五時間たって外務省と連絡がとれて、鬱陵島あたりの話でも、島陰に連れていかれるだけで湾内には入れてくれない。日本には堂々と天気のいい日も、私がこの目で見て、湾内に入ってきている。こういうことがなぜこうなっているか、ひとつ外務省に。そして、その被害等についての交渉の経緯、何らかの方法は、二百海里になってからもこれから頻繁にそういう問題が起こると思うのですが、それに対する水産庁考え方、この二つを手短にお答えいただきたいと思います。
  29. 淡路均

    ○淡路説明員 先生今お尋ねの緊急入域についてお答え申し上げます。  対馬、五島周辺の外国漁船の緊急入域につきましては、先生指摘のとおり多数来ておりまして、私どもの確認している限りでは、平成五年千十四隻、それから平成六年五百六十隻、平成七年八百六十三隻という数に上っております。  海上保安庁としましては、緊急入域しました船舶に対し、今お話のありましたように、設置された漁具に被害を及ぼすおそれがあるなど適当でない場合につきましては他の水域に移動するよう指導するとともに、緊急入域の必要性がなくなった場合には直ちに領海外へ出域するよう指導しているところでございます。また、緊急入域の必要性がない場合に入域する船舶につきましては、速やかに出域するよよう指導しているところです。  このような船舶に対しまして、我が国の法律に違反するようなものにつきましては検挙するなどの厳格な対応を図るとともに、今般の海上保安庁法の改正によりまして、緊急入域と称して周辺住民の活動を阻害するなど海上における公共の秩序を著しく乱すおそれのある船舶に対しまして、強制的に領海外を含む指定する海域に移動させるなどの速やかな必要な措置を講ずることとしております。
  30. 東久雄

    東政府委員 緊急避難につきまして、韓国の鬱陵島の問題をちょっと私の方は承知しておりませんので調べてみますけれも、緊急入域というのは、国際法上、何も漁船だけじゃなしに一般船舶につきましても、これは緊急時というふうに判断された場合には入っていい。ただし、それは入るときには事前通報というのが原則になっております。その段階でチェックできれば一番いいのでございますが、中国船は割合事前通報がきっちりしているようでございますが、韓国船は急に入港してくるというとがあるようでございます。それらは一つずつ我々、韓国との実務者協議取り締まり協議等の場でも指摘しながら、できるだけきちっとした形で入域してくれということを言っておるわけでございますが、なかなかやまないのは先生指摘のとおりでございます。我々も、これからもその問題については十分韓国側申し入れていきたいというふうに思っております。
  31. 山田正彦

    ○山田(正)委員 海上保安庁の先ほどの説明では、確かに八百何件かの、緊急避難だとかそうして入ってくるかなりの数があることはわかるのですが、私が舟志湾で去年の十月ごろ、天気のすごいいい日の朝見たのですが、二隻入っておりました。あれは韓国の船だからぜひ海上保安庁に連絡しろ、そう言いましたら、保安庁に連絡しても来てくれない、三十分、四十分たっても来てくれないのでむだですよと笑っているのです。それくらいのことで来ると思いますかと言っているのです。私は愕然としましたけれども、これが実態だろう。  それはまあやむを得ないといたしましても、問題は、それでは日本の船が韓国に行ったときにどういう扱いを受けているか。あらしの日でも港の中になかなか入れてもらえずに四時間も五時間も待たされる、外務省の連絡を待つ、そして鬱陵島の島の陰にやっと入れるぐらい。そういう事実を水産庁並びに海上保安庁は認識しておるのかどうか、わかっておるのかどうか、それをまずお聞きしたいと思います。
  32. 東久雄

    東政府委員 これは向こうでのことでございますので、私の方ないしは外務省の方の所管と思いますけれども、中国につきましては割合スムーズに入っているようでございます。韓国について、今ちょっと鬱陵島の件を御指摘を受けました。韓国についても、今まで余りそういうトラブルというのは聞いておらなかったのですが、ちょっと私の方も鬱陵島の件も含めて調べまして、そういう事態にどういうふうに今後対処していくか、検討してみたいと思います。
  33. 山田正彦

    ○山田(正)委員 特に私は外務省に対して、この緊急避難時、そういった際の互いの入港が二百海里がいよいよ施行された後も相互に平等になされるように、それをきちんと配慮していただきたい。いずれまた私もその件できちんとお聞きしたいとは思っておりますが、次に進めていきたいと思います。  いよいよ二百海里、批准して線引きされていくわけでございますが、今竹島の問題と尖閣諸島の問題、これは韓国との話し合いも五月九日から始まったようですが、水産庁としては、竹島日本の領土である、我々もみんなそう考えているわけです。韓国もまた、韓国の領土であると。そういう中でどういうふうに解決を考えておられるか、ひとつ端的に水産庁長官から。
  34. 東久雄

    東政府委員 今韓国との話し合いにつきましては、竹島も割合大きな水域でございますが、竹島の周辺水域以外にも非常に広い水域がございまして、それらの問題を含めて一般的ないわゆる漁業の新しいあり方というのをまず検討していくことが可能だと思います。その上で、竹島を含めた水域、これが例えば両側で議論があるという水域についてどう取り扱うかということを議論することが可能だろうと思っております。  それで、何分相手がある問題でございますので、こうなるだろう、ああなるだろうというのはなかなか推測がしにくい。私どもとしては、きちっとした線の引き方を両者間できちっと話し合いができるのが一番好ましいと思いますけれども、こういう領土問題が絡んで、その周辺の水域漁業問題というものを抱えているのは世界各地に幾つも例がございます。我が国は御承知のとおり北方四島の問題もございます。いろいろな経緯、経験がございますので、そういうものを参考にしながら、そこの地域をどうするかということは最終的に話し合わなければならぬところであろうというふうに考えております。
  35. 山田正彦

    ○山田(正)委員 竹島の二百海里水域の中には、日本の西日本のイカ釣り漁民あるいはカニ漁の漁民が今でもかなりどんどん行っているようでありますが、今回その海域が、竹島韓国が実効支配している、事実上韓国の軍艦が占有しておって、新たな港湾施設もつくっている、そういう状況の中にあって、果たして現実問題として日本の二百海里がそこに線引きできるのか、また、そこで操業できるのか。これから慎重に話し合って何とかしたいというお気持ちはわかるのですが、これは領土問題でやるとしたら、それこそ日本の海上自衛艦にあのそばまで行ってもらうとか、それこそ十年、二十年かけて交渉とか、力の衝突とか、そういうことも考えられるわけでありますけれども、我々としては、私は漁民の立場から考えていきますと、できるだけ領土問題とは切り離して、政治問題とは切り離して、純然たる漁業の問題としてどう解決を図っていくか、今日本の漁民の立場をどれだけそこで守ることができるか。  そこで、ぜひ水産庁交渉していただきたいと思うのですが、例えば北方領土の択捉・国後、これも二百海里を日本も線引きしている、そしてロシアも線引きしているという状況下にあると思いますが、そこの状況は今具体的にどうなっているのか、それを考えながら、勘案しながら、竹島の問題の見通しといったものについて水産庁長官の言える範囲での意向、例えば第三海域として共同入会をしたいとか、そういった具体的な考え方はないのかどうかお聞きしたい、そう思います。
  36. 東久雄

    東政府委員 竹島水域につきまして、先生承知のとおりイカ漁業が、我々の推定でございますけれども、約一万トン水揚げしております。それから、ベニズワイが四千トンぐらい水揚げしております。ただ、イカは御承知のとおり回遊しているものですから、この竹島の海域ということだけではない操業でございます。一番大きなのは、ベニズワイはやはり底をはっているものだけになかなか難しい問題があるのだろうとは思います。  韓国考え方等もございますので、これからの交渉一つポイントになるそこのあたりをどう扱うかという問題だと思いますけれども、日ソの地先の経験を申し上げますと、北方四島の問題はありながら、全体の漁業体制をどうするかという話をしていって、最後に北方四島の取り扱いというものを、日本側もこれは向こう側に線を、向こう側というのは、当然日本の領土という考え方で線を引き、向こう側も自分の主張で線を引き、それは領土問題には影響をさせないということを条約上明確にした上で、お互いが一応管理するという形になっている。したがいまして、日本の船が向こうの領域に入るときには向こうの許可を受けて入らざるを得ない。それは日ソの地先漁業協定の中で許可を受けて入るという体制をとっております。  向こう側も本来日本側の許可をとってもらわなければいけないわけでございますが、ただ、実効支配というのが先生指摘のとおりのような状態でございまして、向こうはそれほどあの辺で大きな漁業をやっているようではございません、最近ちょっと一、二隻問題を起こしているものはございますけれども、実効支配というような状態になっているというのが現状でございます。しかし、そういう形で北方四島の周辺のことはやってまいりました。これは一つの経験でございます。  そのほかにもいろいろな世界各地でのやり方もあるようでございます。そういうものを頭に置きつつ、しっかりした交渉をやっていきたいというふうに考えております。
  37. 山田正彦

    ○山田(正)委員 現在北方四島の海域については、事実上は向こうが実効支配しているために、日本が許可をもらってあるいは入漁料を払って操業しているというのが実態じゃないか、そう思いますが、では、今度のこの竹島の問題でも、例えばそういうふうになるのか。あるいはもう少し竹島については、共同水域としてお互いに管理する水域としての話し合い、あるいは中間線の線引き、こういったものは何とかできないものかと思うのです。  私がいろいろ聞いてみたところでは、カナダのニューファンドランド沖ですか、サンピエール島とミケロン島、この二つの島について、やはりフランスが二百海里を主張し、カナダは困った。それが国際司法裁判所に提訴されて、一九九二年に国際司法裁判所の裁決によって解決したということがありますが、そういうことでこの竹島漁業の問題に関して、領土問題ではなく経済的な問題として国際司法裁判所にそれを訴える、そういう考え方はないのかどうか、それはどうでしょうか。
  38. 東久雄

    東政府委員 国際司法裁判所の利用については、これは外務省とよく相談をしなければいけない点でございますが、私の承知しておるところでは、国際司法裁判所は、要するに裁決をしてもらうようなことで、相手方もそれに合意しなければできない問題だと聞いておりまして、竹島の領有問題につきましてかつて日本側韓国側に国際司法裁判所へというお話をしたそうですが、向こうが拒否したという状況があると聞いております。  そういう第三者機関に裁定を依頼するようなことではなく、漁業関係についてできるだけ両者間での話し合いの中で円満裏に解決していきたいというのが現在の心境でございます。
  39. 山田正彦

    ○山田(正)委員 領土問題であったら確かに韓国側がそれを拒否するということは考えられますが、領土問題と切り離して経済問題としての国際司法裁判所の裁決、これは可能なんじゃないか、私はそう思いますので、ぜひその方の検討をお願いできれば、そう思います。  いずれにしても、中国とも韓国ともそのような交渉を始めたようですが、四月、五月に始めていつまで交渉をし、あるいはその交渉がなかなかうまくいかなかったら、だらだらと事実上の線引きができなくなる、それまで相変わらず中国の船、韓国の船が日本のすぐ沿岸までやってきている、こういう事態だけは絶対に避けなければならない、そう思っております。水産庁としては、いつまでをめどに、そしてそれができなかったら、これはまさに交渉事ではなく国際法上の権利ですから、一方的に今までの日韓漁業協定、日中漁業協定をそれぞれ一年、三カ月の通告期間を置いて破棄する、そして線引きをする、そういう一つの決断まで至らなければこれはどうにもならない事態だと思うのですが、その点についてひとつ明確な御答弁を大臣からお聞きできないかどうか。
  40. 大原一三

    大原国務大臣 中国韓国との間においては、国際海洋法条約の趣旨を十分に踏まえた新たな漁業協定早期締結されることが必要であります。そこで、我々としては、本年中にでき得れば改定方針の合意を得ることを基本として、一年以内をめどに交渉を進めるという基本的な考え方で協議を進めていくつもりであります。  委員指摘のように、竹島については、昨日の外務委員会に総理が出られまして、いろいろ総理からも答弁がありましたが、日本の立場は一貫しております。尖閣列島については固有の領土であると、言葉のあやが大分違うわけでございます。特に東シナ海、さらにはまた竹島問題これらについての今後の線引きというのがやはり漁業協定の改定に絡んでの一番大きな課題でありますから、我々としてはやはり、二百海里の今回の条約の線に沿っていわゆる中間線というものを引くことになるわけでございますが、過般の総理と韓国首相とのお話の中では、いわゆる竹島の領有権問題を棚上げして何とか線引きにこぎつけたいという基本的了解がございますので、そういう線に沿って努力することが日本の漁民を守るという基本姿勢でいかなければならぬ、かように考えております。
  41. 山田正彦

    ○山田(正)委員 一年以内にということで、今お聞きいたしました。ということは、交渉を始めて、韓国とは五月の九日からだったですか、中国とは四月の九日からだったと聞いておりますが、それから一年以内に話がつかなかったらどうするのか。もうその時点で線引きできるように、韓国に対しては一年前にいわゆる破棄の予告をしておかなければいけない、中国に対しては三カ月前に破棄の予告をしておかなければならない。  そう考えますと、今韓国に対してまだ交渉中で、聞くところによりますと、当然まだ破棄の予告はしていないということでありますが、常識的に考えて、一年間かけて交渉し、それでだめだったらそのときに破棄の通告をして、それから一年、いわゆる一方的に線引きをする、韓国も一方的に線引きをする、中国とも同じようなことになる。どんなに遅くても二年以内に、具体的に今からその線引きが事実上でき、そして中国韓国の船を事実上締め出すことができる、そういうふうに了解していいものかどうか。ひとつ大臣からはっきり、水産庁長官でも結構です。
  42. 東久雄

    東政府委員 先ほどちょっと触れましたように、TACの管理は来年の一月からでもできればやりたいということでございまして、できることであれば今年中に交渉が成立すればというのが我々の希望でございます。ただ、先生指摘のとおり、そこのところについてはなかなか難しい問題があるのではないかというようなことで、一応大臣の方から一年を目途に交渉を進めていくということでございます。  それで、そこの段階でなかなか難しい状態がある、私ども今の段階でその交渉がまとまらない場合というようなことは考えたくないのでございますが、しかし一年たってなおかつ大変難しい状態があるということになりましたときには、相当の決意を持って臨まなければならぬというふうに考えておりまして、御推察にお任せせざるを得ませんが、そういう形で交渉に臨みたいというふうに考えております。
  43. 山田正彦

    ○山田(正)委員 ぜひ一年以内にまとめ上げてほしい。それができなくても、だらだらと何年もかかるとかということなしに、きちんとどこまでというエンドを決めてやっていただきたい。これは漁民にとっては本当に大変なことでございまして、ぜひお願いしたい、そう思っております。  次に、尖閣諸島の魚釣島の問題ですが、尖閣諸島は日本が実効支配をしている。今でも日本の巡視船が毎日魚釣島の周辺にいて、日本の漁船を守っているというほどじゃないでしょうが、実効支配を尖閣諸島で続けている、そういうふうに聞いておりますが、果たして中国は、伝え聞いているところによると、やはり中国の領土であると強い主張をいたしているようであります。これに対して水産庁はどういう考えで臨まれるか、ひとつ明確なお答えをいただければと思います。
  44. 東久雄

    東政府委員 尖閣の問題につきましては、我々は領土問題はないというふうに聞いておりまして、そういうのが日本基本的な立場であるということでございまして、特に私の方は、そこの水域については当然我々の方の管理が及ぶというふうな考え方で対応していきたいというふうに考えております。
  45. 山田正彦

    ○山田(正)委員 先般、私、長崎の遠洋まき網の組合の皆さん方からいろいろ実情をお聞きしたのですが、ここにそのときの東海、黄海の図面を持ってまいりましたが、魚釣島の周辺、ここでまき網の漁船団がアジ、サバをとって周年操業している。大変大事な海域で、ここだけで約五十億の水揚げをしているということですが、もしこの尖閣諸島、魚釣島が中国の領有であり、二百海里を中国から線引きされて、事実上中国のごり押しとも言えるような形でやられてきた場合には、日本として、漁民としても大変困るわけです。これはもう日本の島で、日本が実効支配しているから大丈夫だ、領土問題はないといっても、これからこの問題は大変大きくなってくるのじゃないかと私は心配いたしております。  防衛庁にお聞きしたいのですが、恐らくそうなったときにあのまき網の船団が心配するのは、中国の軍艦が多分尖閣諸島、魚釣島近海まで来るのじゃないか。そうしたときに日本の方も、例えば巡視船ではなく日本の海上自衛隊の艦船なりにそこにやはり張りついてもらわなければいけない状況になるのではないか、そう思いますので、それについてひとつぜひ検討いただきたいと思うのですが、それについてお答えいただきたいと思います。――まだ見えてないようで、申しわけございません。今の問題、また見えましてからもう一回させていただきたいと思います。  いずれにしましても、そのように日本の漁民にとってはこの二百海里は大変なことになっていくわけですが、中でも、二百海里を引くことによって沿岸漁民にとっては大変大きなプラスがある反面、ひとつぜひ考えていただきたいのは、先ほど言った竹島近海でのイカあるいはベニズワイガニの漁、それから対馬のヨコワ釣り、これも一部韓国側の二百海里の方に入って操業せざるを得ないのではないか。それから、済州島の南西、南側、西側で日本のまき網は十月から二月までサバを漁獲し、ぞこの収入によって今のまき網船団が成り立っている、そういう事情もあるわけです。また、フグのはえ縄、これはまた中国の沿岸部で操業せざるを得ないという事情がございます。  日本にとって二百海里、中国韓国の漁船を日本の海から締め出す一方、また日本は、済州島沖とか、あるいは魚釣島でも、これは日本の領有で問題なところですが、さらに中国の領有となる部分についても、中国の二百海里、排他的経済水域となるところでもかなりの部分を操業している。そしてまた、フグのはえ縄。そういったもろもろのことを考えますと、今までの権益、今までの漁民の利益といったものをどうしたらいいかということについても、ひとつ慎重に水産庁としては考えていただかなければならない問題であろう、そう考えております。  今、防衛庁の石附審議官が見えられたようです。先ほどちょっと聞いたのですが、質問通告しておったと思いますけれども、魚釣島、今日本の巡視船があそこにずっと張りついているようですが、将来、この二百海里で尖閣諸島が問題になったとき、恐らく中国側の艦船がやってくるのではないか。そういった場合に、巡視船だけではなく、日本の海上自衛隊の艦船もひとつぜひ向こうに張りついていただきたい、そういう漁民の強い要望もありまして、防衛庁の考え方をお聞きしたい、そう思っているのですが。
  46. 石附弘

    ○石附説明員 お答えをいたします。  尖閣列島は我が国固有の領土であり、我が国が現にこれを有効に支配しておるわけでございまして、自衛隊としても当該領域における警戒監視活動を常続的に実施しているところでございます。  先生今御指摘の点でございますけれども、一般論として申し上げるとすれば、海上における法秩序あるいは警察活動というものにつきましては、第一次的に海上保安庁において対処をするということ、さらに、海上保安庁だけではこれに対処できない場合、または対処することが著しく困難な場合には、自衛隊法の八十二条というのがございますけれども、海上警備行動の下令ということで自衛隊が対処するというのが我が国の仕組みとなっておるわけでございます。  いずれにいたしましても、自衛隊としては、いかなる事態が起きた場合におきましても、海上保安庁との連携のもとに、政府として適切な対応をしてまいりたい、こういうふうに考えている所存  でございます。
  47. 山田正彦

    ○山田(正)委員 ぜひよろしくお願いしたい、そう思います。  先ほどの話の続きでありますが、フグはえ縄にしても、以西底びきあるいは西日本の遠洋まき網などもそうでありますが、殊にまき網は、私が聞いた限りでは、漁獲高の五〇%の魚を実は日本の二百海里、排他的経済水域以外の相手方の二百海里の方で漁獲しているのが現状である。そう考えますと、この交渉が決裂いたしますと全くそこで操業できなくなってしまう。  それで、操業できなくなったときに、あるいは話し合いによって幾らか操業海域が認められたとしても、いずれにしてもそのまき網あるいはフグのはえ縄とか、そういう今度の二百海里の線引き、国の行政行為によって非常に損失を受ける場合については、漁業法三十九条に「漁業調整、船舶の航行、てい泊、けい留、水底電線の敷設その他公益上必要があると認めるときは、都道府県知事は、漁業権を変更し、取り消し、又はその行使の停止を命ずることができる。」とありますけれども、こういったときに、この三十九条によれば、政府は前項の規定により生じた損失を当該漁業権者に対し補償しなければならないと第五項でなっております。ぜひこの三十九条の趣旨に沿って、そういった二百海里の線引きによって影響を受けるであろう漁業種類についての補償、それを水産庁長官としてどう考えておられるか、御回答をいただきたいと思います。
  48. 東久雄

    東政府委員 まず、以西底びきそれから特にまき網が韓国水域中国水域で大きな漁獲を頼っているということにつきましては、我々は重々承知いたしております。  したがいまして、即座にとかいろいろな御意見がありましたけれども、やはり平和裏にこの問題は片づけないといけないということで、鋭意交渉をしていくというスタイルにしておるわけでございます。その中で、向こうもこちらへ入ってきておりますから、それらを踏まえて円満な解決を求めていくというのが基本だと思います。  先生指摘漁業法三十九条による漁業権の取り消しの問題でございますが、実は御承知のとおり漁業権は沿岸だけでございますから、六十三条で、漁船漁業、許可漁業についてもこれは準用できるようになっております。  実は、その線引きについて、諸外国から日本の漁船が締め出された経験がございます。これは、一九七七年にロシア海域から、並びにアメリカ海域からその後締め出されていったという経緯がございます。そのときに、減船についての補償をどうするかという大議論がございました。  実は、この三十九条はちょっと無理であるというのがそのときの結論でございます。それは、相当の公益上の理由がなければ取り消しができない、それから、この船、この船という漁業者を特定しなければならぬ、国の行為としてやらなければならぬというのが基本的な考え方でございまして、その公益ということの議論、これが大変限定的に解釈されている問題でございます。それでないと、公益と称して、これはちょっと漁船漁業ではなくて漁業権を考えていただくとおわかりだと思うのですけれども、相当の公益性がないと漁業権の取り消しができないというような解釈が定着しております。  そういう状況でございますので、非常に使いにくい。これは特に、損失が相手国側の行為から生じた、日本の一方的なことで生じたのではないということ、それから、許可そのものの取り消してはない、その船が別のところでの漁業が可能であるとかいうようないろいろな問題がございまして、北方の方での減船のときにはこの条項は使わないという形に、使えないという結論になっておるということでございます。  ただ、できるだけそういう事態を避けるというのが我々の基本的な考え方でございますが、やはりそういうふうに外国から締め出されて減船ということになった場合、これはいろいろの制約もございまして、それはそのときの状況検討しなければならぬことではございますけれども、一応、国際的なそういう規制によって生じた減船についての基本的な考え方は閣議決定という形で取りまとめられた方向が出されているということを申し上げておきたいと思います。
  49. 山田正彦

    ○山田(正)委員 ここで水産庁長官と法律論争をやる気はないのですが、いわゆる三十九条による補償というのが、以西底びきの減船について一九五〇年に二億円余り国家補償がなされたようでありますが、必ずしも、あの一九七七年、ソ連が一方的に線引きしたときの北転船等の北海道のサケ・マス漁業の減船、これと同じように解すべきものかどうか。いろいろ問題があると思いますが、時間もありませんので一言だけ申し上げれば、法律を素直に読めば、これはまさに三十九条、六十三条の減船に当たる場合である、私はそう思いますので、先ほどの水産庁長官の見解はわかりましたけれども、内部においてもう一度さらに検討をいただければ、そう思います。  それで、次に話を進めさせていただきます。二百海里になると大変広い海域を管理するわけでありますが、言ってみれば、それの違法操業取り締まり。仮に二百海里線引きして、これからやっと中国とか韓国の船がこの海からいなくなつ  て我々日本の漁民でこの海で魚をとれるのだと思っておったら、皆様方も西日本の沖の方に行くと中国の船がわんさといるのを目撃して驚くかと思いますが、そのようなものが次々にやってきて依然として操業を続けている。その取り締まり体制というのは一体今の海上保安庁でできるのかどうか。大変失礼な言い方をいたしておりますが、この前、二百海里になって一体海上保安庁さん大丈夫か、船はあるのか、人はいるのかと聞きましたら、従前と同じ予算でしかないと。今ですら、海上保安庁さんの方では一生懸命やっているけれども、漁民の皆さんはちっとも役に立っていないとかんかんだ。  そんな中で、これから二百海里の広い海域の違法操業取り締まりのために、海上保安庁並びに水産庁は今度新たにどれだけの予算を、ちょっと農水大臣にお聞きしたいのですが、つけることができたのか、そして、一体その取り締まりについてどう考えておられるか、それを少し明確にお答えいただければと思うのですが。
  50. 東久雄

    東政府委員 ちょっと先に取り締まりの前提についてお話しさせていただきます。  今回、こうして二百海里という形で新しい漁業体制になるとすれば、向こうから入ってくる船については一船一船の許可制度になるわけでございます。そうすると、船が特定できるわけでございます。そうしますと、我々、先ほど二百件ぐらいと申し上げましたけれども違反を視認しておる、しかし取り締まり権限がないというのが現状でございまして、それを今度は、要するに、こちら側に取り締まり権限ということになりますと、視認することによって、それを無線でやるのか来てもらうのか知りませんが、事情聴取ということもできますし、それを厳しく取り締まっていくやり方はいろいろありますし、それからもう一つは、許可制度でございますから、翌年の許可の段階というのが非常に問題になります。  これは、日本の過去において他の外国での経験で、その点をしっかり守らないと大変なことになるというような状況があったわけでございまして、その抑止力というのは、水産庁取り締まり船をいろいろなところへ配置してそこで見ているということで大変な抑止力になるわけでございまして、これは非常に大きな点だと思います。  さらに加えまして、本当に違反というものがなくなるということが基本でございまして、その上で取り締まりということになるわけでございますが、我々も取り締まりにこれからいろいろと手を講じていかなきゃいかぬと思っておりますが、その状況といいますか、取り締まりの体制についてちょっと大臣の方からお答えします。
  51. 大原一三

    大原国務大臣 運輸省自身も、今度は十二海里の外に十二海里、接続水域という十二海里に準ずる取り締まり区域を広げるわけであります。さらにまた我々は、二百海里に農林水産省としては至大の利害関係を持っているわけでありますから、従来の予算規模では、先ほどいろいろ御指摘もございましたが、私は決して十分ではないと思います。そういった意味で、農林水産省といたしましても、やはり運輸省に働きかけてしかるべき措置を要請するというようなことも必要ではないのかなと、私は話をお聞きしながらそう思いました。
  52. 山田正彦

    ○山田(正)委員 大臣から本当に前向きに、農水省、いわゆる水産庁だけでなく大臣官房も含めて、それで運輸省まで働きかけてぜひ取り締まり予算、これの思い切った増額をやってもらわないと設備も人も私は大変なことになるのじゃないかなと心配いたしております。  取り締まりに関してもう二つだけですが、一つは、つい最近、五島の漁民から聞いた話でありますが、韓国の警備艇の取り締まりというのは、あるときは例えば領海を出ていない、日本の十二海里の範囲内で韓国の十二海里の範囲外で領海に入らずにやっておっても、それでも際々のところはすぐ、そのときの気分でと言ったら語弊があるかもしれませんが、拿捕されるということが数多くあった。今回、二百海里の問題で緊迫したりするとそのようなことが一層あるのじゃないか。ひどいときには、韓国領海とおぼしきところまで刺し網の流した網を警備艇が引っ張っていって、そして、ここでおまえやっておったじゃないかとやられた現実もあった。  そういうことを聞きまして、実は今GPS、各漁船には衛星によって位置の記録がなされておりますが、車でいったらナビゲーションと同じものだそうです。その記録をもって自分の船は韓国の二百海里に入っていないのだという立証はすぐできますと。ところが、韓国の警備艇につかまっていると、そのナビゲーションみたいなGPSの記録用紙を全部よこせ、それをよこさなければ船を釈放してくれない。そこで、釈放してもらいたいがためにやむなくそのGPSの記録用紙を向こうに渡して、私は違反操業いたしましたという念書を書いて戻ってくる、こういう現実が幾多もあるとお聞きいたしております。  日韓漁業交渉も始まりました。そのような具体的な問題についても、ぜひ漁民の非常に神経質になっているところに十分配慮しながら交渉をしていただきたい、そう考えております。  それでもう一つ、対馬とか壱岐あたりになりますと非常に韓国とも近い。すぐ韓国が、語弊がありますが、見えていると言ってもいいくらいなんですが、そんな海でどうしてもアワビ、サザエの韓国の密漁船が後を絶たない。そういった現実もありまして、上対馬においては自警船をしょっちゅう出している。ここで一度、農水委員会でも聞いたことがありますが、そのために自警船の船長が一人行方不明になったという悲しい事実もございます。そういった面から、各漁協そのものも、水産庁、海上保安庁がなかなか取り締まりを十分にやってくれないと、どうしてもみずからの力で自警船をやらなければ二百海里のこれからの海を守っていけないのだというところまで今来ているのじゃないか、そういう気がいたしております。  そこで、私は各漁協の組合長さんとか理事さん方とよく話すのですが、自治消防団みたいな自治自警組織、そういったものを二百海里施行とともに考えられないか。消防団がそれぞれ消防服とか消防車を持っているように、そして、その中で消防団がある訓練をかなり徹底的にやっているように、自警的な漁場の管理と同時に、これから二百海里になって、魚をとり尽くす時代から海の畑への徹底した資源管理になっていく、その啓蒙教育も兼ねた一つの新しい二百海里の違法操業取り締まりのあり方というもの、この二つをぜひ検討いただければ、そう思っております。  次に、時間がかなり過ぎてまいりましたが、TACについて聞いていきたいと思います。  TACを始める時期、これは先ほど来年の一月一日からということでしたが、もし一月一日までに日韓、日中の話し合いができないときは、それでもなお一月一日からTACを決めるのか、それを水産庁長官にお聞きしたい。
  53. 東久雄

    東政府委員 現在のいわゆるTAC法、海洋水産資源法でございますが、この中におきましては、TACそのもの、数字そのものにつきましては、九年一月一日に一年間分として設定する予定にいたしております。ただし、今先生指摘のとおり、韓国中国の船に対して資源管理を徹底できないという状態のもとで、それを強制することは無理があるというふうに考えておりまして、今の法律の附則の中で、そういう強制規定、これ以上とつてはいけないという採捕禁止とか、そういう条項につきましては適用しないというふうにしております。そういうことで平等になるように図っております。  ただ、このTACの数字というのは、自主的な協定も含めまして、例えばサンマなんかは自主的協定をやりたがっているわけでございますが、そういうときの一つ基本的な数字になるものですから、それは定めるというふうな形をとっていく予定にしております。
  54. 山田正彦

    ○山田(正)委員 それでは、TACの実施時期は、日韓、日中ともに話し合いができて、いわば双方ともにそれぞれが資源を守るという立場であった場合に初めて実施するのだ、そヶいうふうに理解させていただきたい、そう思います。  どういう魚種をどういう方法でまずTACを決めていくのか、簡単に水産庁長官から。
  55. 東久雄

    東政府委員 これにつきましては、漁業者意見等を十分反映させられるように、中央漁業調整審議会等の場をかりて御意見を伺うことになると思いますが、我々は、資源の調査データの状況等を踏まえまして、まず採捕量が相当多くて消費量が非常に大きいものが一つ、それからもう一つは、資源状況が非常に悪くて緊急に何らかの手を打つ必要があるもの、それからもう一つは、外国船に相当の漁獲が行われているもの、そういうものを基準に選んでいこうと思っておりまして、マイワシ、マアジ、サバ類、サンマ、スケトウダラ、ズワイガニというようなものを今のところは考えております。正確には、漁業関係者の御意見を聞いて決めていくということになると思います。
  56. 山田正彦

    ○山田(正)委員 今水産庁長官が申された魚種、これについて、資源量を調査した上で、最大持続可能生産量と申しますか、いわばTACを決めていきたいという趣旨と今伺いましたが、実は、今言われたサバとかアジとかイワシ、そういった魚種というのは非常に資源変動の大きい魚種でございまして、特にイワシは、御承知のとおり、四百万トンもとれておったものが、今はその三分の一も四分の一もとれなくなってしまった。そういった場合に、どこを水準にして、かつて四百万とれておったものを、二百万トンに平均してやるのか、百万トンにするのか。  いろいろ資源の量の変動の激しい魚があると思うのですが、例えばサバにしましても、過去十年、私、今見ておりますと、一番とれたときが昭和六十一年の九十四万でしょうか。あと平成四年が、二十六万という年があったようですが、非常に資源の変動が激しい。また、アジに至っても、アジはさほどの変動はないにしても、やはり二十万トン、三十万トンあるいは四十万トン、十何万トンという変動幅がございます。また、イカにしても同じように、五十万トン、四十六万トン、次の年には七十六万トンとか、かなり変動の幅が多いわけであります。  こういった魚種について一体、その資源調査の上でと、言葉は非常にだれでも納得できるような言葉なんですが、実際どこで線を引くのか。そこに一つの裁量の範囲というか、どうしたって政治的な判断も出てくるのではないかと思いますけれども、科学的な根拠だけでやるわけにはいかないと思うのです。また、科学的にこれだけとっていいというデータもそろうこともあり得ないと思うのです。そういった場合に、一体本当に具体的にどうやって決めていくのか。  最終的には漁業調整審議会で決めているようですが、その辺をもう一つ突っ込んで、例えば、イカの種類もいっぱいございます。スルメイカ、アカイカ、ヤリイカ、アオリイカ。またサバにしても、ゴマサバ、マサバ。また大きさも、アジが、今西日本の海で小さいマメアジがかなりとれているようですが、このマメアジもえさ用にしかなりませんけれども、これも大きいアジと同じように換算して量としてとられていったら、そのうち、秋口大きいアジがとれるときにはもう漁獲量に達しましたということになりかねない。  そういったいろいろな問題もありますので、このTACの決め方は、ただ一概に資源調査に基づいて、過去の実績に基づいてと言えないものがある。その辺をどういうふうにして漁民に納得させ、やっていくか、水産庁長官からお答えいただきたいと思います。
  57. 東久雄

    東政府委員 ただいま先生の御指摘のありましたのは、浮き魚を中心にした問題点だと思います。それで、実はこれは長い年月にわたって私どもの研究所が資源調査の資料を収集しております。私どもも、この制度をつくるに当たっていろいろその辺の勉強をさせてもらいました。  まず、系群ごとに違った資源状況がございます。一つのイカといいましても、種類も違いますし系群が違っております。しかも、イカの場合は一年生でございますけれども、他の魚は、何年魚がどれぐらい、そのときに親魚として何年魚からが必要か、その状況がどうなっている、したがってそのとれぐあいがどれぐらいの割合になるのかというような、いろいろな資料を総合的に勘案して、科学的に、親魚保護の関係上これ以上とってはいけない、ここまではとれるというのが推計ができるということでございます。  そういう科学的なデータに基づきまして、なおかつ、現在とっているという状況、これは、もちろんこの法律そのものの基本的な目標はマキシマム・サステーナブル・イールド、最大の持続生産量というものを確保することが目的でございますが、先生承知のとおり、ABC、アローアブル・バイオロジカル・キャッチ、いわゆる生物資源的にこれ以上悪くならないという限界との間、その間にいろいろな配慮の仕方というものがあります。ある意味では、徐々に資源を回復させていくのか急激に回復させていくのかというような観点も含めて、社会的な影響というものを勘案しながら決めていかなければいけない。急激な変化というのは経営に大きな打撃を与えますので、それらを、これは海洋法条約の中でも、最終目的はそうであるけれどもその途中でそういうものを勘案できるというふうになっておりますので、科学的な基礎に基づいて、その社会的な状況というものも踏まえながら魚獲可能量というものを決めていきたいというふうに考えております。
  58. 山田正彦

    ○山田(正)委員 一概に、そう即いかないとは思いますが、遊魚、釣り客だけで今二千万から三千万と言われていますが、そういった場合もTACの量の中に入るのかどうか。また、高度回遊魚、カツオ、マグロとか、あるいは潮河性魚、いわゆるサケ、マスとか、あるいは今、えづけ漁業とか稚魚を音に馴致させながらの栽培漁業は各地で随分なされているようですが、そういった栽培漁業の場合にはどうするのか。そういったいろいろな問題がありますが、それについてはどう考えておられるか、端的にお答えいただきたいと思います。
  59. 東久雄

    東政府委員 TACを定める魚種につきましては先ほどお答えしたところでございます。そういう意味で、当面は回遊性魚は対象とは考えておりません。それからサケ、マスも、湖河性魚種でございますが、これは放流等もやっておりまして、これも適切なやり方が難しかろうということで、当面はそういうものについては考えておりません。遊魚についてでございますが、いわゆるレジャー用の釣りの魚でございますが、これはTACの中に入ります。  ただ、遊魚全体の漁獲量というのは二万トン程度ということでございまして、TACの中からそういうものをまず差し引いて、県等が遊魚を管轄しておりますから、それはその他というような形で全体を県の中でおやりになる場合があると思います。これらについても、将来、タイなどでそういった点が出てくると多少の関係が出てくるかと思いますが、当面はいわゆる管理ということで遊魚を徹底して取り締まるという必要はないと思います。もしそういう遊魚についての管理が必要な場合には、県の漁業規則等でやっていけるという道を開いておるところでございます。
  60. 山田正彦

    ○山田(正)委員 今いろいろお聞きしているのですが、例えばTACでサバならサバで今年度はこれだけしかとれないという最大の量を決めたときに、それの割り振りです。例えば、中央漁業調整審議会で最後に大臣が決めるというふうに本案はなっているようですが、実際にそれを各船ごとに割り当てするのか。あるいは各漁業種類、サバにしてみれば大型まき網もあれば中型まき網もありあるいは定置網もあり一本釣りもある、そういったふうに漁業種類ごとに分けてくのか。または海区、サバの種類でもいろいろあって、北海道の沖の方でとれるサバあるいは西日本の海でとれるサバ、いろいろあると思いますが、それを長崎県なら長崎県、佐賀県なら佐賀県と細かく区域ごとに分けられるものか、大きく一つのブロックとして分けなければいけないのじゃないか、そういったいろいろな問題もあると思います。  現在の案を見ておりますと、各県の県知事に聞きながら各県における計画量を決めることができる、そういうふうになっているようですが、そういう割り振りについて、簡単で結構ですから、長官からお聞きしたいと思います。
  61. 東久雄

    東政府委員 まず、TACの中身でございますが、外国のTAC等を差し引いた残りの部分を大臣許可漁業、それから県知事許可漁業、県知事が管理する漁業二つに分けて、各県知事の管理するものについてはそれぞれの県ごとに分ける。  それから、大臣の許可漁業については、それぞれの許可漁業漁業種類ごとに分けて、例えばまき網ならまき網。ただし、まき網のようなときには海区とかそれぞれ問題がございますが、海区別になるのかもしれないと思います。それから、先ほど言いました系統群ということでございます。これはやはり海域が絡んでまいります。そういう系統群の海域での資源の共通性等を見て海域ごとに決めていくということになります。  次に、先ほどの七つぐらいの種類のものは国において管理することになるわけでございますが、それ以外のところにつきましては、都道府県が地先のものとして管理する必要を認めたものについては都道府県なりでやっていっていいわけでございます。ある県が自分の地先の、例えば一つの例としては秋田県のハタハタがございましたし、北海道のシシャモがございました、こういうものを指定してやっていかれるということがございました。これにつきましては、国の方でそれが無理がないのかどうか、それを見させていただいた上でやっていくという形でTACの配分等をやっていくつもりでございます。
  62. 山田正彦

    ○山田(正)委員 大変大事なことなのですが、各県の県知事さんに意向を聞く、各県の海区漁業調整委員会がそれぞれありますが、そこの意向を聞いて知事さんに、そしてその知事さんから国の方はその意見を吸い上げて決めていくのだということは、私は観念的にはよくわかるのですが、中央漁業調整審議会の意向を聞いて最終的に決めるということもわかるのですが、実際にはどこが決めるのか、ここが大事だと思うのです。  先ほど私は水産庁の若い人と話したら、実際には水産庁企画課ということになるのでしょうか、そういうお話を伺ったのですが、この問題は大変大きな問題で、本来ならば、例えば長崎県だったら五島海区調整委員会、対馬海区調整委員会、いろいろありますが、海区調整委員会から上げて、そしてそれが中央漁業調整審議会まで積み上がって、そこで初めてどうだこうだと。  例えば、アメリカの地域漁業管理委員会、RCは、TACを決めるに当たって約一週間公開の場でいろいろな業界からの意見を聞きながら決めていく、オープンにして決めていく。このTACの決め方を、今度の法案を見ている限りではオープンではない、もう少しその決め方のシステムというものをきちんとやらなければ、下から、漁民が納得していく形で決めていくというやり方をしなければ、これは日本漁業にとって、漁民にとっては大変なことになるのではないかなと私は大変危惧いたしております。  水産庁長官にこのことについての御回答は別に求めません、要りませんから、ぜひこの部分については十分検討いただいて、具体的にどうしてというところまで考えていただきたい。  もう一つ私見を言わせてもらうならば、九州なら九州、北海道なら北海道、瀬戸内海なら瀬戸内海という一つのアメリカのRCに似た地域漁業調整委員会、こういったものをつくってそこで決める、その地域漁業調整委員会は当然各漁民の代表とかあるいは学識経験者を入れて決めていく、そういう制度上のものをひとつ具体的に、TACはこれから始めるところでまだまだ試行錯誤の面はあるかと思いますが、ぜひその辺は十二分に検討いただきたい、そう思っております。  それでは、その決めたTACをどうやって守らせていくか、それについて水産庁長官、その具体的な方法をひとつ簡明にお答えいただければと思います。
  63. 東久雄

    東政府委員 TACの遵守のやり方でございますが、これはやはり自覚を持ってやっていかなければ資源管理というものはなかなかできないものでございます。  まず、そのTACでこれでもう最高限度ですよということで採補禁止ということに一挙になってしまいますと、これはむしろそういうことに向けて、オリンピック方式でアメリカで一部そういう事態が生じたようでございますが、大変な競争になって、かえって大変な混乱を起こすことになります。したがいまして、今の漁業制度をもとにして、要するに入り口、いわゆる漁獲能力を漁獲可能量に近づける、要するに漁獲可能量を超えないような能力に抑えながらやっていくということがまず一つ。  それからもう一つは、漁業種類別に分けますので、その漁業種類の中で、例えばまき網ならまき網、底びきなら底びきの中でその数量を総量として管理をしていくということでございます。しかも、そのやっていく過程におきまして、非常にTACに近づいたときに、警告の意味もあって、数量を、こういう状態ですということを我が方から提示をいたしまして、自主的にできるだけそこを超えないように努力をしていただく。それから、さらにそれで不十分なときには助言、勧告等をやっていくシステムをとる。どうしてもそこのところは超えそうだということになった場合には、やむを得ず採捕停止というところまで用意をしておりますけれども、できるだけそこへいかないような形をとりたい。  それからもう一つは、協定制度というものを設けまして、例えば底びきなら底びきの中でお互いにこれをどういうふうに守っていくか。でき得れば船別割り当てもあり得るかもしれません。そういう形で、協定という形での自主性も尊重していくという形で、自覚を持って、漁業者の自主性を助長する形でこのTACの管理を進めていくという所存でございます。     〔委員長退席、田中(恒)委員長代理着席〕
  64. 山田正彦

    ○山田(正)委員 よくわかるのです。どうやらTACの量に達してきそうにあるというときに公告をする。もういつまでしか操業できませんよという公告をする。そうなったときに、これは漁業種類ごとの日本のTACの決め方は事実上オリンピック方式だと私は解するわけですが、そうなった場合に、いついつまででもう終わりですよとなったらどうなるか。それこそ夜も寝ないで魚をとり尽くしてしまう。早い者勝ち。そのためにTAC制度導入されれば、いよいよ漁船も何千万もかけて速い船とか近代的装備、いわゆる魚探とかそういった最新のものをいろいろな形で備えてやっていく。そういう過当競争を私は非常に心配するわけですが、何かそのオリンピック方式、フランスの努力目標方式とかノルウェーのいわゆる漁船ごとの割り当て方式とかいろいろあるようですが、ひとつぜひその辺は厳しく、そしてまた本当に過当競争にならないように決めていただきたい。  もう一つは、TACが形式ではなく本当に守られるためには、漁獲量の報告義務に違反した場合の懲役とか罰金の定めもあるようですが、また、自分がとってきた魚の量を虚偽の報告をした場合の罰則の定めもあるようですが、こういったきちんとしたものを明確に漁民に打ち出しながら、やるのだったら、それをぜひきちんと守らせる、過当競争にならないようにする、食べられるようにする。  そこで、最大の問題は、先ほど話しましたが、ごく最近マメアジが大変とれておりまして、えさ用のマメアジを大量に捕獲しております。ところが、もしことしやったとしたら、このままでいきますと、あるいは八月いっぱいでアジのTACの量に達するかもしれない。八月以降、九月、十月、大きいアジがとれるときにアジがとれなくなってしまう。そうすると、アジをとって食べていた漁民、漁船はこの先一体どうやって食べていったらいいのか。TACが決められることによって、それこそ漁民にとっては何カ月が食べられないときが来る、休業しなければならないときが来る。この問題をどうするかということは大変大きな問題であります。  私は、それについて、広く、浅く、あらゆる漁業者から資源管理料というものをもらったらどうか。例えば、日本の遊漁者だけで二千万とも三千万とも言われておりますが、一回魚をとりに、遊漁へ行くたびに百円でいいからいわゆる資源管理料をもらう。それだけで二十億か三十億入るわけであります。同じ資源においても、温泉の資源とかあるいは鉄鉱石の資源、鉱区税とかそういったものは産出高の一%とかそれぞれのものを納めているようでありますが、日本の海も有限ではありませんし、海の畑もこのままではどうしょうもありませんし、二百海里になったときに広く、薄く各漁業種類から、幾らかずつでも資源管理基金というものを設けて、そしてあるとき、TACに達して、もうこれ以上操業してはいけない、操業できない、休業しなければいけない、そういうときの休業補償にそれを充てる。あるいはまた、そのお金を今度は、アジとかサバとかじゃなくて、ヒラメとかのいろいろな魚の稚魚の放流等々にそれを向ける。  だから、そういう一つの大きい意味での二百海里時代を迎えての資源管理型漁業にぜひ取り組んでいただきたい。最後にそれを申し上げまして、私の二百海里の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。     〔田中(恒)委員長代理退席、委員長着席〕
  65. 松前仰

    松前委員長 石橋大吉君。
  66. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 久しぶりの質問ですが、余り時間がありませんので、できるだけ簡潔明瞭に質問をしたいと思います。  まず、本来であれば、私は出身県が島根県ですから、竹島の領有問題も含めて、国際問題絡みの質問を本当はしたいわけですが、それはいずれ連合審査の機会もあるようですから、そこで内閣総理大臣出席も求めながら改めて質問をしよう、こう思っておりますので、きょうのところは国内問題に限って、特に国連海洋法条約批准に伴う新たな漁業管理方式の導入に関して若干の質問をしたい、こう思っておるわけです。  せっかく久しぶりに農林水産大臣に質問の機会を得ましたので、最初に、少し畑違いの話ですが、地元の中海干拓本庄工区の扱いに関連をして、ぜひ農林水産大臣の所見を承っておきたい、こう思っているわけであります。  既に御承知のように、中海干拓本庄工区の干陸問題については、三月十五日に島根県議会で農業利用全面干陸という方針を決め、三月二十八日に島根県知事もまた農業利用全面干陸を決定して農林水産省にその旨の要請をして、そして今中四国農政局を中心にして島根県当局と何回かのヒアリングをやっている段階であります。  地元の実情を簡単に言いますと、一つは、地元の大勢の意向というのは、農業利用全面干拓ということについては、恐らく干陸をしても入植をしてそこで農業をやる可能性は非常に少ない、農業利用可能性は十中八九まず絶望的であろう、こういう見方が支配的であります。そしてまた、一方には、地元の経済同友会や商工会議所などを中心にして全面干陸積極推進論がありますが、これらの人たちは、どちらかと言えば、他用途転用を念頭に置いて物を言っていることは間違いない。それからまた、環境庁からは水質の再調査について三月十八日に要請があったところであります。  そういう状況の中で、農林水産大臣、地元での新聞、恐らく御承知だと思うが、四月二十六日に閣議後の記者会見で事業再開に非常に慎重な姿勢を示されたとか、あるいは来年度予算編成には非常に慎重な態度で臨むかのような姿勢を共産党との交渉の席というかやりとりの場で明らかにされたとか、いろいろ話があるわけであります。  環境庁の指摘についても、これは私は一カ月や二カ月で済む話ではない、こう思っておりますので、そういう意味では、慎重の上にも重慎な対応、やはり万全を期しての対応をしなければいかぬ、こう思っておるわけです。少なくとも私は、現状のままでの強行干陸には賛成できない、こういうふうに思っているわけですが、その点について、この際大臣の見解を聞いておきたいと思います。  しかし、本当は大臣の見解だけで結構ですが、事務当局からも、いろいろ今までの経過がありまして、大臣答弁の前にぜひということもあるようですから、時間がありませんので、ごくごく簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  67. 野中和雄

    ○野中政府委員 中海の本庄工区の問題でございますが、先生指摘のとおり、島根県知事さんは、県議会それから関係市町の合意を得られまして、九年度からの工事、これは調査を含むわけでございますけれども、その再開を中四国農政局長に要請をしてきているところでございます。  現在、お話ございましたような営農をどうするかというような営農計画の問題、それから県から要請のございましたいろいろな事項、これは水質の問題等いろいろございますけれども、こういうような問題につきまして、まさに事務的に県との間で検討を開始したところでございまして、今後これらの問題につきまして鋭意検討をしながら、事業の進め方について結論を得ていきたいというふうに思っております。  環境庁からの水質の問題につきましても御指摘がございましたけれども、これにつきましても、島根県が今年度、八年度におきまして追加の調査検討を行うということにいたしておりますので、私どももこれを十分踏まえまして事業の進め方を検討してまいりたいというふうに考えている状況でございます。
  68. 大原一三

    大原国務大臣 石橋委員、この問題について非常に強い関心をお持ちになっていることはよくお聞きをしております。  今局長お話ししましたように、島根県知事からの要請、議会の決議に基づく要請、そして農政局との話し合い、こういう段階で進んでいるようでございますけれども、私、実はいろいろの方からの御陳情、御要請も承っておりますが、やはりいきなり来年度からトンカチというのは問題があるなと、したがって、さらに慎重な調査を、環境とかその他も入れた幅の広い調査を行う必要があるのではないか、今の段階ではかように考えております。
  69. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 そのとおりでありますから、ひとつ地元の動向を正確に把握をしながら慎重な対処をお願いしたい、こういうことだけこの機会にお願いしておきます。  さて本題に入りまして、漁業問題ですが、さっきの山田議員の最後の質問とくしくもつながるような話になりますが、新たな漁業管理方式としてのオリンピック方式の導入資源管理のありようについてまず最初伺いたいと思うのです。  この新たに導入されるTAC制度に基づく漁獲可能量の具体的配分の仕組みは、漁獲枠を地域に配分をし、その再配分は原則として個別には行わないフランスの管理方式に類似するものを取り入れることとされている。すなわち、漁獲可能量は当面漁業等の種類別に配分され、割り当てを受けた漁業等の種類の内部にあっては個別割り当ては行われず、オリンピック方式での漁獲が行われるものと言われている。  しかし、この方式は、さっきも指摘がありましたように、漁獲競争や過剰投資が生じやすい欠陥を持っている、こういうふうに言われているわけであります。過去においても、捕鯨がこのオリンピック方式を採用したために、非常に物すごい国際的な乱獲競争を招きまして、特定の資源の急速な枯渇を招いた、こういうような苦い経験もあるように聞いておるわけであります。  平成七年度の漁業白書によりますと、平成六年の漁業生産量は前年比七%減の八百十万トン、六年連続の減少、生産額は五%減の二兆三千七百三十八億円。漁業生産量はかつて千三百万トンぐらいあったのが今約五百万トンぐらい減っているわけでありますが、世界的な二百海里体制への移行による漁場の縮小や公海における漁場の新たな規制などいろいろな影響もあると思いますが、しかし、基本的には資源が激減をしている結果がこういうところに反映しておる、こういうふうにも考えるわけであります。  そういう意味で、オリンピック方式を導入することによってそういう資源の減少傾向などに逆に拍車がかかるようなことになっては、これはアブハチ取らずというか逆の結果をもたらす、こういうことにもなるわけであります。オリンピック方式といいましても、大臣許可漁業その他、漁業形式によっては入り口の規制はもちろんあるわけですが、一つ間違えばそういうことにもなる心配もあるのではないか、こういうふうに思いますので、この点について水産庁の見解をまず最初にただしておきたい。
  70. 東久雄

    東政府委員 世界各国にいろいろな形での管理の方式がございますが、オリンピック方式を純粋にやったのがアメリカのアラスカ地域で、これは百日ぐらいでとっていた魚を四日でとり尽くすというような大変な弊害が起こって、今問題になっております。  そういういろいろな各国の経験がございまして、それをいろいろ調べて、それで研究会というところで漁業者の方に入っていただいてどういう方式が日本の場合はできるだろうかということで検討した結果が、ある意味では修正オリンピック方式というのか、オリンピック方式ではございますけれどもそういうことを避けられるように、これは、先生指摘のとおり、オリンピック方式というのはそこに欠陥がございます。  そこで、それをどう避けるかということが真剣に話し合われました。その形でございまして、日本の場合には今回は漁獲努力量、いわゆる漁獲能力とそれから漁獲可能量とをできるだけ近づける。要するに、能力いっぱいとってもうここへできるだけ行かないようにする、ないしは能力との関係で急激に漁獲可能量を減らすというような形ではなく、管理していくというようなことが一つとして出てきたわけであります。  それからもう一つは、漁業種類別に配分しますとやはりその実績ということを基本にしてそれぞれが努力するはずであるというような御意見がございまして、そこの中で特に協定制度をつくっておいてくれないかと。そうすると、我々の中でそういう協定でいついつまでにはこれぐらいとかそういうようなこともできるし、できれば船別の割り当てまで行けるかもしれぬというようなことがございまして、この協定制度というものも設けるということで、オリンピック方式をできるだけ避けて、そうかといって漁船割りをやりますと、これは今の日本の実情、いろいろな漁業種類がある中でこれはとてもいろいろ利害が錯綜してだめだろうというようなことの中からこういう制度にしたわけでございます。  しかし、そういう個別割り当て方式というものは非常に魅力ある点がございまして、これは漁業者締結する協定というような形の中で個別割り当てということが定着して、その移行について漁業者の理解が得られるというような状態になった場合にはこれができるということも法律の中に置かせていただいているという状態でございます。  最善とは申し上げませんが、いろいろそういう形を入れて弊害を避ける手を尽くしたつもりでございます。
  71. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 続いて、基本計画における漁獲可能量を定める操業区域をどういうふうに設定をされるのか、このことについてお聞きをしたいと思います。  漁獲可能量は操業区域ごとに定めることができる、こういうふうにされているわけですが、この場合、まず一つは、基本計画における漁獲可能量を定める操業区域とはどのような区域になるのか。従来の海区と同じようなものとなるのか、それとも新たな概念のもとに新しい操業区域が設定をされるのかが一つ。  二つ目。その場合、対象魚種ごとにその区域は異なるのか異ならないのか。例えば、最近におけるイワシ資源の激減、それから地方ごとに物すごく変動があるような状況がイワシの場合あるわけですが、こういうようなことを考えると、当然地域ごと、海域ごとの漁獲可能量というものが念頭に置かれなければいけないのではないか、こういうふうな気がしますので、その点、対象魚種ごとの区域はどうなるのか、これが二つ目。  三つ目は、操業水域と見境問題をどういうふうに処理するのか。  都道府県計画においては、海域別に漁獲可能量を定めることができるとし、また、都道府県知事は、都道府県の地先水面において資源保存管理を行うものとして、指定海洋生物資源を定めることができるとしており、各都道府県の管轄する海域の範囲が明確であることを前提として計画制度等が仕組まれているように見られるわけですが、しかし、地方自治法第五条は「普通地方公共団体の区域は、従来の区域による。」とし、現実には地先水面における都道府県の境界は特に定められていない、こういう実情にあるわけであります。  この点、特定海洋生物資源漁獲可能量を都道府県に配分する場合、または都道府県知事が指定海洋生物資源の漁獲限度を設定する場合等の前提条件となる問題でもあり、また、都道府県の区域が明確でないことに伴う都道府県間の新たな漁業紛争などの発生のおそれも心配されるわけですので、この区域をかなり明確にしておくことが求められるのではないか、こういうふうに思うわけであります。  したがって、そういう意味で、都道府県の水域の中における境界をどういうふうに決めるとお考えになっているのか、お聞きしたい。
  72. 東久雄

    東政府委員 まず、漁獲可能量でございますが、これは魚種ごとに決めるわけですが、これは系群がございます。例えば、大きく分けると日本海系群とか、それから太平洋側の太平洋系群とかございまして、御承知のとおり、太平洋の方も、親潮に乗ってくる部分と、それから南の暖流に乗っている系群とがあるというような形で、系群ごとにその漁獲可能量というものを、系群で海域を指定する形でまず総量が決まるのではないか。  それから次に、配分のところでございます。配分をする場合に、まず指定漁業等につきましては農林水産大臣管理する部分でございますが、これが指定漁業等の部分として、承認漁業とかでございますが、それを漁業種類ごとに配分いたします。次に、都道府県知事が管理している漁業、これについては都道府県別にその数量を割り振ることになります。  まず国の方の割りでございますが、これは許可の中で操業区域が決められております。その操業区域別に配分した方がいいということも考えられますので、細分することも可能にしておこうと思っておりまして、例えば北部まき網とか、そういう地域による細分をすることもある。まき網全体ということではなくて、北部まき網と何とかのまき網というふうな形の分け方ということが起こり得るようにしておくということが一つあると思います。  それからもう一つは、都道府県の配分でございますが、都道府県の場合には、これは漁業管理しておられまして、例えば、他県からその漁業をっておられる方もその県の許可をもらうという形もあります。したがいまして、漁業種類ごとというか、都道府県ごとにその許可を出しておられる漁業の総合体として割り当てて、その中でおやりになる。したがって、ある県が他県の漁業者に対してのものも含めてこれは総量として示されますから、含めて管理する形になると思います。  そういうときは、今先生指摘のとおり、特に島根県と山口県が有名な県境争いがあるわけでございますが、海域が錯綜している部分がございます。これは、長い歴史の中で管理をどうするかというのは両者で話し合った上でやってきておりますので、その話し合いをもとにしてやっていかざるを得ないというふうに考えておりまして、そういう形での割り当てをやっていかざるを得ないと思っております。  なお、県間の、県境の紛争で地先の種類、いわゆる国が決めます特定漁業種類ではなくて、指定漁業種類として県が独自で、先ほどのハタハタにいたしましても、秋田県だけでなしに山形もあるわけでございまして、それらにつきましては、これは承認にかけるような形にしております。これはむしろ漁業者の方からの強い要望で承認をかけたわけでございまして、それが、一方的にある県が自分のところの権利を主張しないようにしてくれという御要望でございます。  そういう点をよく踏まえて、県紛争がないような形でやっていきたい。また、今までの県間のやり方の中で、県の紛争の解決を乱すようなことなくやっていくという構えでおります。
  73. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 今お答えを聞いている限りでは、余り心配することない、こういう話ですが、ぜひひとつそういうことがないようにやってもらいたい、こう思います。  次に、これは非常に初歩的な質問かもわからぬのですが、最大持続生産量とは一体、具体的にどういうことを意味するのか、どういう概念か、こういうことをちょっと念のために聞いておきたい、こう思います。  農林水産大臣基本計画を策定するに当たって、特定海洋生物資源ごとの漁獲可能量は、最大持続生産量を実現できる水準を前提に決定される、この最大持続生産量とは具体的にどういうことを意味するのかということを明確にしてほしいわけですね。  水産庁としては、去年一年間かけて、韓国と共同して日本近海漁業資源の調査をされていることでもありますし、法案の審議に入っておるわけですから、全海域ごとに漁獲可能量などというものはほとんど構想は固まっておるのではなかろうかな、こう思って、推測をしたりしておるわけです。そういう意味で、私の出身県である島根県の、いわゆる山陰沖の所属する海域なら海域を例にとって、例えば設定される数字を具体的に示してもらうと非常にわかりやすい、こう思うのです。  そういう前提でまずちょっと聞きたいのは、この最大持続生産量というのは、例えばこれは海の、自然の生産力の中で再生産可能で、しかも持続的に、安定的に漁業が続けていかれるということを前提にしておるわけですから、資源総量とはちょっと別だと思うのですね。だから、例えばこういう最大持続生産量というのは、資源総量に対して七割だとか八割だとか、そういうような決め方をするものなのか。これは一般論としてそういう原則でやるのか。あるいは魚の種類ごとに当然のように産卵量も違えば、子供のふ化をする量も違うし、まし七や魚の種類ごとに成魚になる率も物すごく違う。そういうことを考えると、やはりこれも当然魚種ごとに決められる、こういうことになると思うのですが、その場合の最大持続生産量というのは具体的にどういうふうになるのか。  さっき言いましたように、できれば、我が山陰沖の海域などを対象にして具体的に説明をいただければ非常にわかりやすい、魚種ごとに説明してもらえれば非常にわかりやすいと思います。ちょっと無理かもわかりませんが。
  74. 東久雄

    東政府委員 まず、最大持続生産量という概念でございますが、これは、魚の場合は相当な数の卵を産む、それが稚魚になり、変成をして親魚になります。その過程で相当量のものが死滅していくわけでございまして、親魚になるのは本当にごく一部、〇・数%というのが普通でございます。例えば、うちのサケの放流でも回帰率が二%に満たないのは御存じのとおりでございまして、そういうことでございます。  そうしますと、一定量をとっていっても、常にその死滅するべき子供の中で育っていく部分がございまして、そこがある一定のところを超えると資源がもとに戻らないという状態がございます。そこが、その山が最大持続生産量ということになります。それを目指すわけでございますが、それは目標でございまして、すぐにそこへ到達するのはなかなか難しい。私ども、この日本近海では一部の魚を除きまして相当のものが山を越えている状態ではないか、一挙に転げ落ちているというところでは余りないのではないかと思いますけれども、越えている状態があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  そういうことでございまして、先生指摘のとおり、魚の種類ごとに卵の産卵量も違いますし、子魚の生育の状況も違っておりますので、それぞれの魚ごとに漁獲可能量というのは違っております。これは、それぞれの研究の成果がございまして、ある程度の計算は可能でございますが、我々、先ほどちょっと触れましたが、最大持続生産量というところは一つ目標でございまして、それに至るまでの間に、これ以上に資源を減らしてはいけないというところ、ここまでとっている限りは今以上に減らないというところがございます。これは、アローアブル・バイオロジカル・キャッチ、生物的漁獲可能量というのですか、それがございます。そこを一つ基準にしながら管理を進めていくのかなというふうに考えております。  これは、まだまだ学者の間のきちっとした議論を踏まえていないので、実はこの法律を通していただいたらすぐにやらなければいかぬと思っておるのですけれども、踏まえていないのでございますが、ちょっと一つの例を申し上げます。  先生の御指摘は山陰沖ということでございましたけれども、あれは、対馬暖流系のマイワシがあそこにずっと一系群としてございまして、それを全体で見ないと、山陰沖だけということはなかなか見にくいわけでございますが、その系群で、いわゆるアローアブル・バイオロジカル・キャッチ、生物学的に許容されるキャッチ、漁獲量というのは二十万トン弱ぐらいのところではないかと推計されているというようなことでございます。これもまた、学者間の十分な議論を経た上で公表をして議論をしていくべきものだと考えております。
  75. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 次は、時間が余りありませんから一つ飛ばしますが、水産資源保護法の一部改正に関連して、魚病の発生状況及び国内対策について、この機会に承っておきたいと思うのです。  国連海洋法条約第百九十六条では「いずれの国も、」「海洋環境の特定の部分に重大かつ有害な変化をもたらすおそれのある外来種又は新種の当該部分への導入を防止し、軽減し及び規制するために必要なすべての措置をとる。」こういうふうに義務づけがされている。そして、国際獣疫事務局における特定の疾病に感受性のある魚介類の輸入に当たっての証明書の添付、また海洋法制度研究会における同様な検査証明書の添付などについての提言もあるわけであります。  御承知のように、最近非常に急速に水産物の輸入が激増している、こういう状況の中でもありますので、この際改めまして、これまでの魚病の発生状況及び国内対策、今後のさらなる国内対策の強化整備、こういうようなことに関して水産庁の見解を承っておきたいと思います。
  76. 東久雄

    東政府委員 近年の魚病の発生というものを見ますと、養殖の生産量の大体六%前後、六%強ぐらいのところというような状況でございまして、二百億程度の被害がずっと続いておったのですが、ここへ来て、平成六年以降、九州地域を中心に、外国から侵入したと思われるのですが、クルマエビの急性ウイルス血症という病気が大変はやりまして、これはもう全滅いたします。そういう状態で、平成六年度の統計で一挙に二百八十億にぐっとふえておる。  これは、そういう外国から来る病気を何とかとめないと、大変大きな影響があるというのが我々の感じでございまして、従来は魚病というのは技術者も少なかったためになかなか難しかったわけですが、魚病の技術者の養成でございますとか、魚病の診断技術の開発でございますとか、それから病原体の検査というようなこと、さらには薬の使用についていろいろ問題がございまして、これの適正な使用の指導というようなことを中心に、これまでもいろいろとずっと手を尽くしてまいりました。  さらに、この形の中で、今のような二百億はまだあるわけですけれども、ある程度急激な増は防がれてきておったと思うのですが、ここへ来て外来のものが非常に脅威を持つ、そういうことで、先ほどお触れになった国際獣疫事務局ですか、そういうところの勧告等を踏まえまして、今回新たに、輸入いたします水産種苗の防疫制度を創設するというのが趣旨でございます。
  77. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 もうわずかな時間しかありませんので最後の質問にしますが、最後に、我が国漁業制度の見直しについて、この際承っておきたいと思うのです。  今までの我が国漁業制度は、漁村の伝統だとか慣習的権利制度化したものとして整備をされてきた。ここで海洋法条約批准をされて、生物資源を量的に管理する制度に移行する。いろいろな意味我が国の水産漁業界にとって画期的な出来事であるわけであります。そういう意味でも非常に重大な出来事でありますし、同時にこれからTAC制度導入して新しい資源管理をしっかりやろうということになるわけですが、何せ初めてのことでもありますから、何年間かは試行錯誤を重ねながら、完全というか万全の制度に移行する、こういう過程を踏まなければいかぬだろうというふうに思うのです。  そういう意味で、新しい試行錯誤、制度導入に伴う問題点などを的確に把握をしながら新たな漁業制度をつくり上げていく、創造していくような努力が当然求められてくるのではないか、こういうふうに思うのです。そのための、例えば審議会になるのか制度検討委員会になるのか、どっちにしてもそういうものを設けて、そういう新しい漁業制度の創設に向けて検討する必要があるし、またそういう考えはないのか。これは、海洋法問題だけではなくて、最近における漁業経営体の激減だとか担い手の激減だとか、あるいは高齢化が進んで担い手の面から水産業も危機的な状況に直面をしておる、こういうようなことを考えると、農業や林業では、それでもまだ不十分だと私は思いますが最近相次いで新たな担い手対策みたいのものを打ち出されているわけですが、水産漁業関係の場合はその点でも少しおくれているのじゃないか、こういうふうな気もします。  若い人たちにとって新しい魅力ある漁業だとか漁村をつくる、こういう観点でも抜本的な検討を求められておるような状況に今直面しておる、こういうふうに思いますので、これらを含めて、最後に水産庁の見解を承っておきたいと思います。
  78. 東久雄

    東政府委員 御指摘のとおり、この新しい制度は、我が国漁業全体に非常に大きな影響を与えるものでございます。これは、漁業制度だけではなしに、いろいろな面で大きな影響を与えてくると思います。実施が来年以降ということでもあります。それから、韓国中国との交渉の成り行きということも非常に大事なポイントでございます。それらを見きわめながら検討していかなければならない問題が多々ございます。  そういうこともございまして、実はそろそろそういう方向でのいろいろな検討をしていくべきではないかという御提言を沿岸漁業等振興審議会の方からももらっておりますし、この制度をつくったときの研究会の方からももらっております。そういうものを受けて、それぞれの審議会等とも御相談をしながら検討をしていきたいというふうに考えております。
  79. 石橋大吉

    ○石橋(大)委員 いろいろ申し上げましたが、非常に限られた時間でありますので、以上で私の質問を終わります。ひとつ新しい漁業制度の創設に向けて、万全を期して頑張っていただきますようお願いして、終わります。
  80. 松前仰

  81. 金田誠一

    金田(誠)委員 さきがけの金田誠一と申します。よろしくお願いいたします。  私の地元は北海道でございます。御承知のとおり、北海道漁業は大変厳しい状況にあるわけでございまして、この二百海里の全面設定全面適用、もう長年の悲願であったわけでございます。  年を追って漁獲量は減少の一途をたどってまいりました。かつては日本海側など韓国の漁船がかなり操業しておったわけでございますけれども、最近はその韓国船さえ余り姿を見せなくなってきた。漁獲高はもう従来の半分ほどということだろうと思うわけでございます。そうした状況の中で漁業者方々は大変苦労されておりまして、各町村ごとにあった漁業協同組合も管内すべて合併して一つになってしまう、そういう状況に追い込まれているわけでございます。自治体の人口減少、財政的な困窮、大変甚だしいものがございます。そうした地域に出向きまして、この町の基幹産業は何ですか、この村は基幹産業は何と言ったらいいでしょうかという質問をした場合に、役場の方など大変自嘲ぎみに、半ば冗談ではございますけれども、うちの基幹産業は出稼ぎですという言葉が返ってくるような、そういう極めて深刻な事態なわけでございます。  二百海里の全面設定全面適用は、そういう状況下にあって文字どおりの悲願であった。それが今回設定をされ、適用されるという道筋が見えてきたわけでございます。大いに期待をするその一方で、また一抹の不安も抱いているというのが浜の現状でございまして、どうぞひとつ、そうした心情をお受けとめいただきまして、相手のあることでございますからそれは大変な困難を伴うこととは思うわけでございますけれども、何としても早期締結、一年以内を目途に交渉を進め、さらにその一年後には全面的に適用される、遅くてもここまでが期限だということにつきましての決意のほどをひとつお聞かせいただきたいと思うわけでございます。あわせて、この見通しにつきまして触れていただければありがたいと思います。
  82. 東久雄

    東政府委員 交渉事でございますので、先生指摘のとおり、相手があるということです。それから、外務省と連携をとってやっていかなければいけない問題でございます。今お話しのとおり、私ども、本年中にできればその協定改定をしたいという希望を持って、しかし一年以内を目途に交渉を進めるということを体してやっていきたいというふうに考えておりまして、しっかりした交渉を外務省とも打ち合わせつつやっていきたいというふうに考えております。
  83. 金田誠一

    金田(誠)委員 今回の国連海洋法条約、さまざまな項目があるわけでございますけれども、そのうちの重要な柱の一つとして、地球生態系の保全という柱があると思うわけでございます。  これにつきまして、先般来、連立与党の環境部会環境調整会議ということで、「国連海洋法条約批准にともなう海洋環境の保全についての要望」、これを取りまとめて政府提出をするという運びになってございます。既に提出されたものかどうかちょっと定かでございません。しかし、その案文は既にまとまってございまして、関係部分をちょっと読ませていただきますと、「国連海洋法条約は、陸にある発生源からの汚染、廃棄物等の投棄による汚染、希少又は脆弱な生態系の保護等の措置を講ずるよう規定している。そこで、」「わが国は、」云々ということになりまして、具体的には「環境庁をはじめ関係省庁が今後海洋生態系の保全に関連する調査・研究を効果的に推進するため、然るべき協議の場を政府内に設置し、国としての総合的な調査を進めるよう要望する。」ということが最初の一項目に盛り込まれているわけでございます。  この陸の発生源からの汚染ということに関連して申し上げますと、実は、私どもの地方におきましても、これは余り耳なれない言葉かもしれませんけれども、いそ焼け現象、いそ焼けという現象が年を追って広がっている。これもまた生態系の保全という視点からとらえられるべき事象ではないだろうか、こう思ってございます。全体的に資源管理をし、汚染を防止をしという大きな趣旨が国連海洋法条約にあるわけでございますけれども、そうした立場からもこのいそ焼け現象というものについてひとつとらまえて、対策を講じていただきたいもの、こう思うわけでございます。  従来から、水産庁あるいは環境庁、それぞれのお立場で調査などをされているということは承知はいたしておりますけれども、この海洋法条約批准機会にして、さらに本腰を入れた対策をとっていただきたい、こう御要望申し上げまして、御見解を伺いたいと思いますが、環境庁にも御出席をいただいております、水産関係でもございますので、あわせて水産庁の御見解も例えれば、こう思うわけでございます。
  84. 飯島孝

    ○飯島説明員 今先生お話しになりました、いそ焼けでございますが、環境庁におきましても、平成五年度から緊急の調査を実施したところでございます。  いそ焼けの要因につきましてはいまだ解明されていない部分が多うございまして、水温の変化であるとか、栄養塩類が少なくなったとか、あるいはウニによる食害など、さまざまな要因が関与しているという結論が得られておりますけれども、一方、先生初めに御指摘になりましたように、陸域における人間活動の影響、すなわち、沿岸後背地におきまして都市化や開発が進んで、土砂が流入したり生活排水が流入したりする、そういったことが原因ではないかとの指摘もなされております。  環境庁といたしましては、このいそ焼けの例でございますが、陸域と海域にまたがる生態系の問題につきまして、先生指摘のように、海洋生態系の保全という観点から、知見を集積いたしまして、今後重点的に研究すべき課題を明らかにしていく必要がある、こう考えまして、本年の三月でございますけれども、北海道におきまして「海域環境に及ぼす陸域の影響」と題するシンポジウムを開催させていただきました。水産や海洋科学など、各方面の学識経験者の方から助言をいただきまして、この問題につきましては引き続き今年度も予算措置を講じまして、陸域と海域の問題につきまして検討していきたいと考えておりますけれども、水産庁などの研究機関におきましても対策等についての研究が進められているとお聞きしておりますし、さきのシンポジウムにおきましても水産庁の研究所の方の御参加もいただいて御助言をいただいておりますので、今後とも関係省庁と連携の上、検討を進めてまいりたいと思っております。
  85. 東久雄

    東政府委員 いそ焼けの問題、我々といたしましても、生産の側からも大変問題のあるところでございます。  今のところなかなか、原因もいろいろあるようで、わかりにくい点があるのでございますが、例えば一つ北海道で申しますと、寿都湾海域というのがあるそうでございますが、ここはウニが大変多く発生して、それは大変な海藻類を食べるらしくて、それがいそ焼けの原因になったのではないかというようなことがあって、そこで、それを除去して海藻の群落の造成を図るという漁場の造成手法というものを開発したりしております。  そのほか、マリノフォーラム21という、こういう研究等をやる機関があるのですが、ここでは、石灰藻というのがあるのだそうでございますが、これが白くへばりついて荒らすということがあるようで、これの剥離システムを開発するというようなこともやったり、これに対しての助成をやっております。  さらに、北海道区水産研究所で、この機構、どうして起こるのか、その予測というようなものの研究を平成六年度にやっております。それから七年度からは、各都道府県へ変動要因の解明の研究の助成をやったりしております。  いそ焼けというものは醜い点もございますし、それから大変その辺の漁村に直接影響が出てくる可能性があるものでございますので、これは私たちも真剣に取り組んでいきたい。ただ、なかなか解明が難しいもので、いまだその段階を出ていないというのが現状でございます。
  86. 金田誠一

    金田(誠)委員 いそ焼けと申しますのは、石灰藻という生物でございますけれども、ちょうど岩に白いペンキを塗ったようにべっとりと、まさにペンキを塗ったような状態になる。その状態になりますと、コンブ等の海藻類はもう付着てきなくなる。したがって、それをえさにするウニ、アワビであるとか、あるいはそこで産卵をし、すみかにしている魚類といいますか、そういうものが生育、生息できなくなるという状況でございます。  そのいそ焼けが北海道日本海沿岸を中心に年ごとに広がっている。今は北海道最南端の白神岬をもう越えて、津軽海峡の方にまで広がって入ってくるという状況でございます。いろいろ調査研究していただいているのですが、御答弁のように、まだ原因が十分に解明されていない、ましてや対策などは全くできていない。どんどん広がってくる状態。  沖合漁業は、前段申し上げましたように、もうかつての漁獲が半減の状態でございます。今まではもう韓国船等に大変な被害を受けたわけでございますけれども、そういう状態。漁協ももう縮小再編成の状態。沿岸自体がもう漁業ができないようないそ焼け状態。二重苦、三重苦の状態でございます。  ここに海洋法条約批准をされる。その大きな柱に環境の保全、生態系の保全というものが盛り込まれる。これを機会にさまざまな政策がとられる。例えばTAC制とかいろいろなことがとられるわけでございますけれども、この地球生態系保全という柱についても、従来の延長ではない形をとっていただけないものかということが質問の趣旨なのでございます。  旧来、水産庁のお立場はウニ食害説というとこに軸足を置いておられるようでございまして、そういう実験等もなさっているわけでございます。環境庁の方にはお願いをいたしまして、陸域部分が海域に与える影響調査――これも学会でもいろいろな説があるようでございます。そのウニ食害説もございます。海流の変化等の説もあるようでございます。そして、陸域が海域に影響を及ぼしているという説もございます。例えば、山の植生でございますが、かつての広葉樹が針葉樹にどんどん変わっていく、市場価値の高い樹木、樹種に変わっていく。河川の方は河川改修、川が真っすぐになり、護岸がされ、あるいはダムがつくられ、砂防ダムがつくられるということによって流出する河川の水量が激減する、そして水質も変わっていくということが海域に負荷をかけているという説もあるわけでございます。いまだどれが真の原因かということは解明されておりませんし、恐らくこうしたさまざまな原因がふくそうしていそ焼けという現象を招いているのではないかと思うわけでございます。  したがって、これの解明にはまさに、水産庁のお立場、環境庁のお立場はもとよりでございますが、あるいは林野庁、河川を管理する建設省等々の英知を集めながら、原因究明そして対策にまで進んでいただきたい。これがなければ、ただ単に二百海里全面適用全面設定だけでは漁業は復活し得ないという状況なのでございます。  そこで、今回の与党環境調整会議のこうした申し入れもございます。「海洋生態系の保全に関連する調査・研究を効果的に推進するため、然るべき協議の場を政府内に設置し、国としての総合的な調査を」ということを踏まえていただいて、これを環境庁が音頭をとられるのか、あるいは漁業という立場で水産庁なのか、私は定かには存じ上げませんが、いずれにしても、この海洋法条約批准を機にいま一歩総合的な対策へと、それぞれがそれぞれの立場ではなく、いま一歩総合的なものに進めていただきたいと思うわけでございますが、いかがなものでしょうか。いま一度御答弁をいただければと思います。
  87. 東久雄

    東政府委員 ちょっと私、環境の関係申し入れを存じませんで申しわけございませんが、実はこの海洋法全体につきまして、内閣の外政審議室が中心に各省間での連絡体系をとっておりました。そちらの方とも御連絡をとりながら、この問題についても提起があったことを我々の中で、各省の連絡の会合の場がございますので、申し上げてみたいというふうに考えております。
  88. 飯島孝

    ○飯島説明員 先生指摘のように、いそ焼けというのは私ども一つ北海道の例というふうに考えておりまして、まさに地球規模の海洋生態系の保全の観点から陸域と海域の重なる生態系の問題につきまして研究を進めていく必要がある、こう認識しまして、いろいろと検討を進めているところでございます。政府部内におきましてもこういった機会に共通な立場に立ちまして検討が進められるように、環境庁としても努力していきたいと思っております。
  89. 金田誠一

    金田(誠)委員 ありがとうございます。よろしくお願いをしたいと思います。  次に、TAC制について質問させていただきたいと思います。  先ほど来多くの方が触れているわけでございますけれども、漁業者の方に伺いますと大変不安を持っておられるようでございます。どうなるのか実感としてつかめない。しかし、適正な資源管理は必要だということではもう十分理解はなさっていると思うわけでございます。  例えば、これは二百海里の外でございますけれども、中型イカ釣り漁業などというのもございます。沖に出ますと中国船とのトラブルが大変な話だと伺っておりました。その中国船の操業秩序を確立してもらうためにも、まずみずからが秩序ある操業をということで、先般、全国的な中型イカ釣りの漁労長の組織まで結成をされたということも伺っておりまして、漁業者方々は、秩序ある漁業、秩序ある資源管理ということでは十分理解をされておると思うわけでございます。ぜひひとつそうした漁業者の立場、お考えについてはまずは信頼を寄せていただきたいもの、こう思うわけでございます。その信頼の上に立って、漁業者方々の不安を解消する立場で対応していただく。十分な情報提供、情報公開、そして対話ということになろうかと思うわけでございます。  TACについてもさまざまな方法があるようでございますし、その結論に至るまでの道筋がいかに理解を得ながら進めることができるかということがポイントになろうかと思いますので、その辺についてのお考えをひとつお聞かせをいただきたいということと、これはTACに関係は恐らくないのだと思うのですが、実は私、かねがね気になっていたことで、遊漁船というのでしょうか、漁業ではない方々、いわゆる釣り人の方々でございますが、カナダ等外国の例をいろいろな場で拝見いたしますと、例えばサーモンであれば二匹まで、三匹目からはリリースというようなことでかなり規制されているようでございます。ところが、日本の場合は漁業と見間違うほどの漁獲、まさに漁獲と言ってもふさわしいような釣りをなさっておられるのですが、これもまた資源管理というものとは無縁ではないような気がいたします。  その辺の、にわかにどうするこうするということにはならないにしても、諸外国ではそういうような規制がされているわけでございますけれども、その辺の所管などは、これはちょっと実はこの件については通告をしておりませんで本当に申しわけなく思っているわけでございますが、御検討をぜひ願いたい、こう思うわけでございまして、あわせて御答弁いただければと思います。
  90. 東久雄

    東政府委員 まずTAC制度についてでございますが、この制度我が国でどういうふうな形をとっていったらいいか、漁業関係者に集まっていただいて、昨年九月から十二月まで大変な時間をかけて検討していただきまして、ああいう日本流のオリンピック方式というのがまとまったわけでございます。その過程で、私ども、ほとんどのブロック並びに県へ派遣をいたしまして、それぞれの県なりブロックの漁業関係者からの意見、それから県の方からの意見というものも聴取をしてこういう新しい制度を、最初から完全とは申しかねますけれども発足させるということにこぎつけたわけでございます。  その間で、これからはやはり漁業者意見をよく聞いてやっていってくれよというのが強い御意見でございます。よく意見を聞くということもさることながら、誤解のないようによく理解していただくということも大事だと思っておりまして、これは法律の審議を終えていただいた段階で十分な形での周知ということを図りたいというふうに考えております。  次に遊漁でございますが、遊漁は水産庁の方で所管しておるというのか、遊漁についてはいろいろな形での所管がございます。特に、船の場合にはレジャーボート、これは魚をとるだけではなくてレジャーボートという関係で運輸省がございましたり、いろいろございます。しかし、まずやはり漁業との調整をどうするかということが大事だという観点で、我々、それぞれ県に、または中央にも設けておりますが、海面利用調整協議会というようなことで、それぞれ遊漁者と漁業者との融和を図る方向をとり、中央でもやっとこの間、去年から会合を始めましたけれども、そこをどういうふうに融和していくかというような形で話し合っております。  それから、漁業という形での遊漁に対する規制は、県ないしは市町村が規則を定めて料金を取ったりすることはできないわけではございませんが、なかなか難しい問題がございまして、料金の徴収をどうするかというようなこと。河川なんかの場合には、やはりそこへ放流をいたしますから放流経費等の関係でその徴収をやるという規則をつくっていることが多いのですが、海の場合はそういう維持管理をどういうふうにしていくのかというようなことがありまして、なかなかやりにくい点がございます。ただ、制度としてはそういうふうに都道府県で遊漁の規則をつくることはできる。  なお、シャケにつきましては、我が国水産資源保護法でシャケを遊漁の対象にすることは原則禁止されております。ちょっとカナダの例とは違った形になっておりますが、河川でのシャケの釣りは一応原則禁止されております。一部試験的にやっている部分、これは遊漁という形ではなく調査のお手伝いをしていただくという形でやっている部分はございますけれども、そういう形で、遊漁についてもこれからやはりよく話し合ってやっていく必要がある分野だというふうに考えております。
  91. 金田誠一

    金田(誠)委員 ありがとうございます。  外務省に実はおいでいただいていたのですが、ちょっと時間がなくなりまして、申しわけございません、ちょっと割愛させていただきたいと思います。  最後に、大臣にお尋ねしたいと思うわけでございます。  今回の二百海里全面設定全面適用、ことし中かあるいはさらにその一年後かということで解決を見るに至るわけでございまして、喜ばしい限りでございます。それに向けてさまざまな困難がこれからございましょうけれども、ぜひひとつ早期解決ということで御努力をお願いを申し上げたいと思うわけでございます。  そして、いずれにしても日本漁業、今極めて深刻な事態にあろうかと思います。例えば漁船員のなり手がない、外国人船員の手をかりて遠洋漁業が成り立っている、あるいは沿岸については高齢化が進み後継者が育ってこない、あるいはもう出稼ぎによらなければ生活の維持さえできない、そうしたところに輸入の魚がどんどん入ってくる、魚価は一層低迷をするという状況でございます。例えば輸入一つをとらえてみても、例えば農業の場合ですと今回のガット対策ということで六兆百億、こういう対策が講じられている。この農業との対比においても漁業の場合には必ずしも十分とは言えないような気がしてならないわけでございます。  今回の二百海里適用条約批准を契機にして、日本漁業そのものが将来に希望の持てるものになるようになお一層の諸般にわたる対策が必要だろうと思うわけでございますけれども、その辺を含めまして、ひとつ大臣の御決意などを例えればありがたいと思います。
  92. 大原一三

    大原国務大臣 私、委員お話を聞いていまして、うかつにもいそ焼け現象というのはよく知らなかったわけでございます。勉強しなきゃいかぬなと先ほどからいろいろ考えていたところであります。北海道だけでなくてやはりほかの地域にも、私、何かそういうものを散見したような気もするわけでございます。  それはともかくとしまして、日本漁業、右肩上がりの時代が去って、今、右肩下がりになっておることは事実であります、漁獲量、漁獲高ともに。そういう状況を踏まえて、六十歳以上の方が四割を超えるという状況、農業も大体同じような傾向があるわけでございますけれども、やはり今日まで日本人の口に入っている動物性資源の四割、これを漁業が稼いできたわけであります。いろいろ、漁業世界にも私も実際入ってみて、なかなか近代化できない集落的な一つの伝統と申しますか、そういったもののしこりが日本の漁村には残っていることも事実であります。我々はそれを乗り越えてやはり漁業資源の確保をしていかなきやならぬわけでございますので、今回の二百海里、中には批准が遅きに失したではないかという御議論の方もあります。しかしながら、幸いにして韓国中国も、ソ連ももとよりでありますが、周辺諸国が足並みをそろえてこれに乗り出していこうというのでございますから、我々としては、二百海里の線引きを的確にやり、そうして資源管理をしながら、長もちのする日本漁業発展のためにこれをいわば一つの踏み台として努力をしてまいらにやならぬな、かように考えております。
  93. 金田誠一

    金田(誠)委員 終わります。
  94. 松前仰

  95. 初村謙一郎

    ○初村委員 新進党の初村謙一郎でございます。  昨日は外務委員会の拡大会議でも質問させていただきました。きょうは農林水産大臣、農林省中心に質問をしていきたいと思っております。  総理にも昨日は竹島尖閣諸島に対する領土認識、歴史認識、それから外務省のアジア局長さんには日中、日韓漁業交渉第一回目の経緯、経過等を聞きました。残念ながら、どうも私が求めていたような答えをお聞きすることはできませんでした。外務省におかれましては、一回目の漁業交渉をやったけれども、一年以内に解決のめどをと言いながら、その次の会議の予定はまだ未定である。あるいは総理におかれましても、領土認識については、日本側の話はよくわかるわけですけれども、韓国側が、竹島問題一つとってみましてもどのような考えでいるのか、歴史観のニュアンスの違いといったものを感じたわけであります。  そういう認識の中で、きょうは大臣一つお話を申し上げたいと思うのが、前にも委員会でも申し上げましたけれども、実は私の地元の長崎県、アマダイを中国の沖合あるいは日本の沖合でとっております。これは当然日本資源の枯渇を恐れておりますし、はえ縄漁業で大き目のアマダイだけをとっている。中国漁船がそこに来て、がさつと底びきでとってしまう。それはもう小さいアマダイからほかの魚種まで含めてがさっととっていくわけですから、当然ながら資源も枯渇するわけでありますし、それから日本の漁具被害もあるわけであります。  そのアマダイ、では中国からどうやって来ているのかなと思ったら、向こうで加工して日本が輸入をしているというふうな状況であります。日本の商社あるいは各漁連が買い取っている。これは考えてみますと、何か日本の畑でとれたものをとられているような、何か納得のいかない面映ゆい感じがするわけであります。  当然、輸入の増加によって魚価も低迷してきました。私の地元の長崎の二日前の新聞でありますけれども、これは名門なんですが、長崎の以西底びきの四社が廃業する、これはもう魚価の低迷で存続に見切りをつけたというふうなことであります。水産県長崎県と言われて久しいわけでありますけれども、残念ながらこういう状況になっております。  農林省からいただきました資料の中の水産物の輸入の動向等を見ましても、昭和五十五年、その数量が百四万トン、約二十年ぐらい前だと思いますけれども、今では、六年が三百三十万トン、ことしの推計では三百五十万トン、何と三倍あるいは三・五倍になってきている。当然、その輸入の金額にしても一兆七千億円というふうな状況であります。水産国日本、どこに行くのかなという心配をいたしております。  私、大臣一つだけお伺いをまずしたいのは、資源の枯渇と中国韓国漁船の違反操業との関連、あるいは輸入水産物増大と魚価低迷がもたらす日本漁業経営、そういった関連があると思うのですが、その辺のそれぞれの相関関係についてどういう認識を持っておられるのか、まずお聞きをしたいというふうに思います。
  96. 東久雄

    東政府委員 相関関係は大変難しいわけでございますが、まず韓国中国漁業日本漁業との競合関係で問題が起こっておるのは、一つは漁場競合、先ほどアマダイの話がございました。それと漁具被害等の状況というのがもう一つの問題。そのほかに、総じて我が国周辺水域資源状況が悪くなっている、低水準になっているということ。これは中国韓国だけがとっているからということではなくて、我が方もとっているのですが、やはり最近中国船の進出が大きいということは一つ問題点ではないかな。したがいまして、そこにきっちり我が国資源管理というものをやっていかなきゃいかぬというふうに考えております。  もう一つ、輸入と価格との関係でございますが、価格というのはいろんな要素が入ってまいります。先ほど輸入の急増のお話もございましたが、実はこれは、日本船が向こうの遠洋へ行ってとっていたもの、これは日本産のものとして今まで計上されておったものが、ジョイントベンチャーという形で、向こうでつくってこっちへ入れているというのが大分ふえてきている事実もございます。イカ等そういうものがあるわけでございますが、全体として、最近の価格問題としては、食料品全体の消費の伸び悩みの中で、水産物も同じように需要が弱いといいますか需要面の影響一つと、もう一つは、円高が進行いたしまして輸入水産物価格が低くなっている。これがやはり輸入からの価格圧力というふうな形ではね返っているのではないかというふうに考えております。  ただ、具体的に、それじゃ数字的にどれぐらいはね返っているかというのはなかなか統計的に処理しにくい問題でございます。御了承いただきたいと思います。
  97. 大原一三

    大原国務大臣 長崎のお話は私も時々聞くのでありますが、やはりそのためにもこの二百海里の線引きがしつかり行われて、我が国資源保護が的確に行われること、これが何よりもやはり沿岸漁業方々漁業を守る大きな今回の改革の柱だ、私はかように考えております。  さらにまた、長崎でよく聞くのでありますが、以西海域で、いわゆる日本の二百海里の外側で漁業をしていらっしゃる方々が、今回の二百海里の線引きについて、いずれかというと非常に消極的な感覚も私はお伺いしたことがあります。しかしながら、やはり大乗的立場に立って、今回の二百海里もぜひとも全面適用全面設定をやってほしいという御要望を私は非常にありがたくちょうだいをいたしたわけであります。そういうことを考えると、やはりおっしゃるように、資源管理さらに二百海里以内におけるところの漁業主権の確立がどうしても必要でございまして、委員指摘のように、この法案の成立にぜひとも御尽力賜りますようお願いしたいと思います。  さらにまた、輸入の拡大につきましては、これは非常に日本漁業にとってバイタルな問題でございます。水産庁から資料を私も取り寄せて勉強させていただきましたが、現在のところ漁業飼料の輸入が飛躍的に増大しておって、魚そのものの輸入は、まあ数字の全体ほどはないということも承っております。しかしながら、いつまでもそんなことで安心できるのかという御設問であろうと思いますけれども、この辺については、やはり秩序ある輸入について農林水産省としても重大な関心を持っていかなければならぬ、かように考えております。
  98. 初村謙一郎

    ○初村委員 今大臣、これはもう質問ではございませんけれども、韓国からの主要輸入産物の中に、高級魚が当然多いわけでありますけれども、私の地元のある漁協は韓国からフグを輸入した。生で輸入しているのですが、日にちがたっことによってフグが持っている毒が、日にちを追うごとに、しまがありますね、紋といいますか、それがだんだん白くなってフグの肉に毒が回るという検査が実は行われました。厚生省の方に聞かれるとこの問題はわかっております。そのため一年余り長崎県のフグ漁、これはナシフグという魚種でありますけれども、それが操業停止になって数億円の損失を出しております。こういった実態を考えても、私は、むしろ輸入の仕方によっては、あるいは今飼料というふうにおっしゃいましたけれども、輸入の仕方によっては、本当にとれない漁業だけじゃなくて本来とっていい魚までとれなくなっているという現状をぜひお調べになっていただきたいと思います。  それから、長官にお聞きしますけれども、この条約批准については私もやらなければいけないというふうに考えておりますけれども、やはり国内対策、要するに国内の政策がどういうふうになっていくのか、こういう国内法だけで本当にちゃんと今大臣おっしゃったように二百海里の全面適用全面設定ができるのかどうかという問題まで含めて考えていかないと、単に条約批准するからこの法案を通してくれでは、私はなかなか難しいと思いますよ。  そういう面で長官にひとつお聞きしますけれども、この条約批准我が国漁業に対して及ぼす影響、プラス面とマイナス面、ぜひお答えをいただきたいと思います。
  99. 東久雄

    東政府委員 まず、海洋法条約の全体的な我が国への国益については、きのうも外務委員会の方でお話ございましたとおりでございます。  漁業の方でございますが、まず漁業については、二百海里の排他的経済水域内の漁業資源をみずから管理していくという権利を認められておるわけでございまして、我々今、周辺海域での資源状況が非常に悪化しつつあるという認識のもとでこの海洋法条約の方向というものをしっかり日本国内で実行していくことによって、しっかりした資源管理、それで漁業資源の最適の利用ということが可能になるというふうに考えておるわけでございます。  またもう一つは、現在暫定的な漁業水域という形でやっておりますが、これについてはいろいろな問題が出てまいりました。それをやはり、これは日本だけではなしに中国韓国海洋法原則をのむわけでございますから、今回のこの機会にきっちりしたものにしていく。それがやはり一つの、日本漁業者にいろいろな面での迷惑を与えている漁場競合の問題、漁具被害の問題等がございますが、それの解決を図っていく上でも非常に大きなポイントになるというふうに考えておるわけでございます。
  100. 初村謙一郎

    ○初村委員 マイナス面等をおっしゃいませんでしたけれども、やはり特に暫定水域内の漁業のあり方というのは大きく変わってくると思います。今度の海洋法批准というのは、ちょうど農業でいえばガット・ウルグアイ・ラウンド・ショックみたいな状況と全く同じではないか。逆手にとりますと、これをチャンスに、これを機会に新しい水産のあり方、新しい漁業あるいは漁村の活性化策をぜひつくっていただきたいなというふうに要望したいと思いますが、特に、今おっしゃいました暫定水域内の今適用されていない漁業が変わってくると思います。そういった国内対策、特に漁業生産の安定確保策はどのようにお考えでございますか。
  101. 東久雄

    東政府委員 まず、資源管理を適正にやっていく。これは海洋法条約の認めている新しい形での資源管理ということがまずポイントにあるわけでございますが、先ほど来お話ししているとおり、これは一挙にそういう最適というところには持ち込めない、現状を踏まえた形で資源の回復ないしは資源最適利用へ持っていくという形をとっていくということになると思います。そういう意味での資源管理型の漁業を徹底していく。これは、今回その対象になる管理をする魚種というのは、やはり資源調査の限界もございましてある程度限定されざるを得ない。そういたしますと、やはり地先水面での漁業資源管理ということもこれから自主的にやっていっていただく、その助成といいますか、方策、促進ということをやっていくことが一つ。  それからもう一つは、つくり育てる漁業というものをますますやっていかなければいけない。例えばクロマグロについていろいろ言われておりますが、我が国はいよいよクロマグロも栽培漁業の対象にするというような形で、栽培漁業という形で資源量をふやしていくという方向、そういう形で我が国の周辺の漁業資源を最大に利用していくという方向へ持っていくということが一つ基本的な方向となろうと思いますが、その間にいろいろな構造調整を要することがございます。  それらについても適切な措置をとっていかなければなりませんし、先ほど来の魚価の問題、これにつきましても、ちょっと前に御議論がございましたけれども産地と消費地での価格の大きな差というものがある、それらの改善をどういうふうに図っていくかというような問題も含めた対応というようなこと、それらを総合的に実施していくということが重要なポイントだというふうに考えております。
  102. 初村謙一郎

    ○初村委員 先ほど山田議員からも御質問がありましたけれども重ねてお聞きをしますが、日韓、日中の漁業交渉、一年以内に何とか交渉の妥結をと言われておりましたけれども、前回の日韓、日中の漁業交渉で次はいつやりましょうという話もしないで、そういう状況漁業交渉のあり方で本当に一年以内にめどがつくのでしょうか。
  103. 東久雄

    東政府委員 一つは、実は日韓、日中漁業協定の改定問題というのは昔から大きな問題であったわけでございますが、最近の大きな相手方の変化というのは、両方ともが、中国韓国国連海洋法条約批准する、ないしはもう批准したという状況、それの方向へ向かって両国が動くということでございます。韓国に至りましては、EEZ法をこの次の国会に、六月ごろと聞いておりますが、提出するという状況になっておる。そういう状況交渉をやるわけでございますから、今までのようなことではなく、やはり基本原則は我々共通の土俵に乗ってやっていけるというふうに考えるわけで、交渉を進める基盤ができ上がっているというふうに考えます。タイミングの問題でございます。  そこで、今、次の会合の予定も立たないでということでございますが、これは実は、先ほどお話しいたしましたように、中国批准の時期の問題ですとか、それから韓国側はこの法律を国会提出するというような作業の問題だとかというようなものを抱えておるようでございまして、すぐに今ちょっと日程を決めるというわけにもいかないのでということで中断といいますかなっておりますが、そういつまでも長く待って云々ということではないというふうに私たちは考えておりまして、また、すぐにというわけにいかぬでしょうけれども、そういう相手方の事情というものを考慮しながら決めていくことになるというふうに考えております。  それで、我々としてはやはり一年をめどにやつていくという方向をとらなければいけないのだということを強く相手方に申し入れておるというのが現状でございます。
  104. 初村謙一郎

    ○初村委員 そこで一番問題になるのが領土問題なんです、長官。先ほどの議員への長官の答弁の中に、中国との領土問題はないという認識にあるというふうな答弁がありました。それは、日本中国に対してそうかもしれません。ちょうど韓国が全く逆なんですね。日本との領土問題はないんだというふうな感覚で実は竹島の問題を言われています。橋本総理は、領土問題は棚上げにしても漁業交渉をやっていきましょう。韓国の金大統領は、領土問題は当然ないから、棚上げじゃなくて、そんなこと話す必要ないから漁業交渉をやっていきましょうというニュアンスの違いがあるんです。恐らく中国は、今の漁業のやり方、韓国水域まで入っている状況を見れば、日本韓国漁業協定あるいは漁業交渉の進みぐあいを見ながら駆け引きをしてくるというふうに思いますよ。それから韓国も、今の日本水域でとっている韓国漁船の水揚げ高を考えれば、この交渉が延びれば延びるほどいいんです。私は、日本もそういったことをやはり認識しながら交渉をぜひ進めていただきたいというふうに思っております。  きょう外務省から課長さんお見えでございますよね。海洋課長さんにお聞きをしますけれども、今大原大臣は、この法案はこの批准によって二百海里、短く言えば全面設定全面適用資源管理をやっていくんだというふうなことに期待をしている、やらなきゃいけないというふうな御答弁があったというふうに私は認識をしておりますけれども、実際、今回の条約批准あるいはこの法案によって、外務省どうですか、全面設定全面適用ができるというふうに考えていますか。
  105. 高田稔久

    ○高田説明員 設定の問題につきましては、今般提出をいたしました排他的経済水域及び大陸棚法案に明らかなとおり、我が国といたしましては、排他的経済水域設定に当たりまして、一部水域の除外は行っていないところであります。  それから、韓国中国との漁業関係に関しまして、これはまさに先ほどから水産庁の方からも御答弁をされておりますけれども、韓国中国両国との協議によりまして、沿岸国生物資源の維持に係る適切な措置をとる、こういう国連海洋法条約の趣旨を十分に踏まえた新たな漁業協定早期締結されることとなるよう鋭意努めてまいる所存でございます。この韓国中国との協議につきましては、早急にかつ精力的にやっていきたいと思っております。
  106. 初村謙一郎

    ○初村委員 いや、早急にかつ鋭意努力をしていきますというのは当たり前の話であって、私が質問をしたのは、全面設定全面適用ができますかということなんです。領土問題を棚上げにして全面設定全面適用ができますか。
  107. 高田稔久

    ○高田説明員 設定の問題につきましては、我が国として一部水域の除外を行うことなく設定をするということで、今回の法案にも明らかなとおりでございます。  それで、韓国との排他的経済水域の境界画定の問題につきまして、これはもちろん大変難しい問題があるわけですけれども、そこは、去る三月のタイにおきます日韓首脳会議で、この竹島の領有権とは切り離して話し合っていこうというところで合意をされております。具体的な話し合いについては今後でございますけれども、これはなるべく早期にやっていくということで考えております。  それから、全面適用ということで先生御質問がございました。全面適用といった場合に、これは我が国国内法の規則が適用されるということでございますけれども、この点につきましては、先ほど申しましたとおり、沿岸国としての我が国、これが生物資源の維持に係る適切な措置をとっていく、こういうことを基本といたします国連海洋法条約の趣旨、これを十分に踏まえた漁業秩序といいますか、あるいは新しい漁業協定ができるように、これはまさに今後鋭意話し合っていくということでございます。
  108. 初村謙一郎

    ○初村委員 だから、仮に韓国の問題とすれば、領土問題を棚上げにして全面設定全面適用はできないんじゃないかという心配をしているんです。海洋法批准しても二百海里の排他的水域設定ができないんではないか。それだけをずるずる延ばされるんではないかという危惧を現場の漁民の皆さんがしているんじゃないか。しているはずなんです、相当な被害ですから。そこに今回の、例えば先々月ですかにありました漁民大会でも、そういう決意が込められていたわけですから、そういう漁民の皆さんの、現場の皆さんの声を体してぜひ交渉をやっていただきたいと強く要望しておきたいというふうに思っております。  もし、例えば尖閣諸島あるいは竹島、そういった領土問題がある中で、お互いが入会をやるあるいは漁業設定をした後の内水面で違反操業が出るとした場合のその対応は、当然国が許可をしてくるわけでしょうけれども、許可の取り消しも含めて、長官考えておられますか。
  109. 東久雄

    東政府委員 漁業主権法の方でございますが、法律の中で明確に、司法処分に加えて、期間を定めて漁業の停止を命ずるないしはその許可を取り消すということができるという規定を置いております。私どもはこれが非常に大きな武器だと思っております。といいますのは、違反ということがここがあるから怖くなるわけでございまして、これは日本がかつてアメリカ、ロシア海域でやはりそこのところが大変、要するにきちっとした漁業体制をとっていく大きなポイントになったわけでございまして、そういうつもりで考えていきたいと思っております。
  110. 初村謙一郎

    ○初村委員 そこが一番武器だということであります。  実はきょうの読売新聞に、国際ルール違反国を対象として自民党内でマグロの輸入規制もやるべきではないかと。冒頭に私申し上げましたけれども、日本の海域でとっている魚が逆に、中国韓国から逆輸入している状況なんです。そういったことも輸入規制も含めて規制をされるおつもりでございましょうか。
  111. 東久雄

    東政府委員 御承知のとおり、あの海域といいますか、大体日本近海での沖合漁業の対象魚種については輸入割り当て制のもとに置かれております。日本でとったものが入ってくるのかどうかということについては、これは漁船は韓国内の方もやりますし、そこは見分けが不可能でございます。したがいまして、IQという形で、輸入割り当ての制度というもとでやられていくことになっていくので、その範囲内で対応が可能だと思いますけれども、とった魚をこちらへ輸出してはいけないというのは、ちょっと資源管理との関係ではやりにくい問題でございます。
  112. 初村謙一郎

    ○初村委員 この辺はまた後で別の機会に論議を深めていきたいというふうに思っておりますが、昨日、外務委員会で質問させていただきましたときに、韓国漁船による違反状況の数それから漁具被害の発生状況水産庁の発表では、例えば海域で違反件数が二百弱だったと思いますが、海上保安庁が調べたところによると、その海域内に外国漁船がいるというのは千九百隻確認をしているというふうなことです。当然違反をしているしていないという問題があると思うのですが、違反操業あるいは漁具被害の実態は、水産庁、どういう形でつかんでおられるのですか。水産庁独自で調べられているのですか、それとも各漁連から聞いた話をまとめておられるのか、その辺はどうでしょうか。
  113. 東久雄

    東政府委員 まず違反件数でございますが、これは水産庁取り締まり船がございます。それから県の取り締まり船もございますが、主として水産庁の監視船で確認しておる件数ということでございまして、あの海域を中心に相当数の監視船を出しております。  それからもう一つ、漁具被害の方でございますが、これは私の方で補助金を一部出しておりますが、全漁連にまとめていただくという形をとって、それぞれの県の漁連から全漁連を通じて把握するという方法をとっております。そういう形でやっています。
  114. 初村謙一郎

    ○初村委員 水産庁取り締まり船の耐用年数がどれくらいなのかわかりませんけれども、今度の海上保安庁の新船の建造費あたりの予算を見ますと、本当にこの海洋法批准する、こういう国内法を整備していく割には予算が非常にお粗末。恐らく水産庁もそういう思いでおられるのではないかと思いますが、例えば水産庁の巡視船ですね、大体八十から百の間あると思うのですが、それの四十隻がもう耐用年数を過ぎつつあるというふうな状況なんですね。これで本当に対応できるのか、そういった問題も含めて、今水産庁、巡視船をお持ちだということでありますので、ぜひ整備強化をしていただいて、取り締まりについては漁師の皆さん非常に期待しておりますので、これをやっていただかないと、二百海里の設定、排他的海域の設定にはもう全然意味をなさないわけでありますから、ぜひ強化をお願いしたいというふうに思います。  時間がありませんので、ちょっとはしょって申し上げたいと思いますが、水産庁の本年度の予算の中で、減船対策にもなるというふうに思いますが、時事通信社の官庁速報に、水産庁は「新たな減船対策を実施」、要するに、予算案の中で基幹漁業総合再編推進事業三十七億円を創設したというふうなことであります。恐らく海洋法条約批准に伴ってTAC制度導入、あるいはある面ではその中で打撃を受ける業界もおるというふうなことでの救済措置だというふうに思っておりますけれども、その内容について詳しくお教えをいただけませんでしょうか。
  115. 東久雄

    東政府委員 減船対策、従来は、国際減船でやる部分はちょっと別にいたしまして、これは閣議決定で方式が決まっております。それは別にいたしまして、国内の事情で経営的にどうも調子が悪いというので減船をする場合、それともう一つは、資源回復を図るということで、とり過ぎだから少し船を減らそうという話し合いの中でやる、この二つの方式の減船がございまして、これにつきましては、船をスクラップするときの経費の一定部分、たしか九分の四だったと思います、それは国が持つという形で、ほとんどの場合はさらに県側が積み足しておられて、業者負担というのが軽減されております。その方式と、それから共補償という形で、いわゆるやめる方の漁業権を、漁業をする権利を何らかの形で経営的な観点から補償する、残る方がお金を出すという、それに対する支援という二つの方式が別々にあったわけでございます。  今回、特にまき網を中心に船の合理化をやりたい。要するにまき網は、先生承知のとおり数隻の船が船団を組んでやるわけでございますが、大型化したりしながら少し隻数を減らしてそういう高度の経営形態をやる。そのためには、大きくいたしますとどうしても漁獲能力がふえますので、他を減船するという形になります。そういうものに対して何らかの新しい方式でやってもらえないかというのが今年度つくりました基幹漁業総合再編推進事業でございまして、これは、今申し上げましたスクラップの経費の補助とそれから共補償と両方使えるという形をとったわけで、それが三十七億円の予算になっておるわけでございます。
  116. 初村謙一郎

    ○初村委員 そうしますと、今度の法案が実施されますと、いろいろ国際漁業にかかわる再編対策をしていかなければいけないというふうに思っております。平成元年の十二月に閣議了解されておりますサケ・マス対策と同じように、今度の問題でこういった国際漁業再編対策をやられるおつもりですか。
  117. 東久雄

    東政府委員 私どもは、西側を中心にした地域で漁業者の方から相当数、中国海域、韓国海域へ入っているんだ、だからこれを何とか確保してもらわないと困るんだというようなお話が強くあったわけで、それを体して、その状況をよく踏まえて、韓国側もやはり日本側での漁業というものを一部やらなければならないわけでございますから、取り締まり権というものをきっちり持つというのが一番大きなポイントだと思っておりますので、そういう形で、何とか現在の状況を確保していきたいということで交渉に臨むつもりでおります。  したがいまして、そういう状態にならないような方向へ持っていきたいということが基本でございますが、ただやはりこれはいろいろ条件がございますので、それはその状況の中で検討しなければならないと思いますけれども、これは国際漁業再編対策という形での閣議了解がそのサケ・マスのときにやられて、それはサケ・マスだけのものではございませんで、その後、この閣議了解に基づいてイカ流してございますとかいろいろな減船をやってきたという経緯がございます。そういうものを踏まえて検討しなければならぬというふうに考えております。
  118. 初村謙一郎

    ○初村委員 今おっしゃいましたように、取り締まりというのが第一義に来るかと思いますけれども、例えば先ほどおっしゃったように、水産庁としては、二百海里の全面設定をやっていくんだ、排他的水域をやっていくんだ、設定をしていくんだという概念に立ては、例えばまき網漁業界は六〇%近くの海域を失うんじゃないですか。漁獲高にしても五〇%ぐらいの漁獲高を失うんじゃないですか。そういったことがもう明らかになるわけですよ。  二百海里の設定をしていきましょうと言いながら、取り締まりだけですよではなくて、もし設定した場合にはこういう打撃があるんだよということがもうわかっているわけですから、ぜひ国際漁業に対する再編整備を早急に頭の中に考えながら交渉も進めていただきたいというふうに思っております。当然やっていかれるというふうに思っておりますけれども。
  119. 東久雄

    東政府委員 今、まき網の例がございました。漁獲高で五〇%から六〇%と私たちは考えておりまして、そこは回りながら漁業をやっているだけに、まき網自身もそれだけの被害では済まない可能性がございます。私どもはこれは真剣に受けとめなければいけない。  それで、二百海里の体制というのは完全に相手を追い出すための対策ではございません。相手管理下に置くということが基本でございます。したがいまして、こちらの方も、こちらの漁船は非常に規則正しくやっておるようでございまして、余り違反がないようでございます。そういう状況でございますが、とにかくその現在の漁業状況というものを踏まえて相手方にやっていきたい。  しかし、これは即時廃棄してからやったらどうだみたいなお話もあったわけですが、そういう現実がございますので、とにかく交渉の中でその解決策を求めていくということが最大のポイントであろうと思っております。それは今先生、念頭に置いてというお話でございました。私どももそういうものは念頭に置きながら交渉をきちっとやつていきたいというふうに考えております。
  120. 初村謙一郎

    ○初村委員 最後に一つ。  私の手元にあります資料の中に、ちょうど二十年前、昭和五十二年の国会決議がございます。「新海洋秩序形成時代に対応する水産業の確立に関する件」。思い起こせば私が国会へ来ましてからも、まだ数年ですけれども、ガット・ウルグアイ・ラウンドに対する農業に関する国会決議をやりました。この二十年前の国会決議、今読んでみましても、中身は余り変わらないのです。国会決議の意味が本当にあったんだろうか。ここで改めて、これは各党の御協力もいただきながらやらなければいかぬでしょうけれども、やはり国会決議をする時期に来ているのではないかというふうに思っております。  その中で、きのう総理にもお尋ねをいたしましたけれども、漁業基本法をつくるべきではないか。この二十年前の国会決議にも、新しい漁業基本法を初めとする漁業制度の全般にわたって早急にその見直しを行い制度の整備を図ることというふうに書いてあります。新しい漁業基本法を私はこの時期につくるべきではないかというふうに考えております。ただ、残念ながら総理からは、今はちょっとというふうなお話がありました。つくり育てる漁業、新しい漁業あるいは新しいそういった沿岸国主義になってくる海洋の取り締まりを含めて、時代は変わってきております。そういった国の、水産国日本の新しい指針として私はやっていくべきではないかというふうに思っておりますけれども、最後に大原大臣、並々ならぬ決意のほどをお聞かせいただきたいというふうに思っております。
  121. 大原一三

    大原国務大臣 初村委員指摘のように、農業基本法ができたのがたしか三十六年だと思います。それに対応して、林業基本法に相当するものとして沿岸漁業等振興法というのが制定をされたわけであります。さらに、三十九年に農林省関係では林野関係基本法ができました。基本法の体裁を見てみますと、なるほど、この沿岸漁業振興法というのは基本法の体裁を一応は整えております。例えば、基本法が制定されると白書を出さなければならない。それに準じて漁業白書というのも発表をしておるわけでございます。  しかしながら、農業基本法も今新たな改定の時期に来ております。それと二年かそこらしかずれていない時代基本法に相当する振興法であります。新海洋法時代を迎えて、我々は十分この基本法については、その内容を充実させ、さらにまた進展させる検討を続ける必要がある、かように考えております。
  122. 初村謙一郎

    ○初村委員 最後に要望をしておきたいと思いますが、ぜひ農林水産省挙げて頑張っていただきたい、水産国日本、海洋国日本のためにぜひ頑張っていただきたいことを強く要望いたしまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  123. 松前仰

    松前委員長 藤田スミ君。
  124. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、昨年漁業国際会議に参加をいたしました。この会議で繰り返し言われていたのは、適切な資源保存の措置を今とらなければ、近い将来世界的な水産物の不足が出てくるという警告でありました。その点では、国連海洋法条約とそれを実効あらしめるための措置は、まさに海の資源と国民の食糧にかかわる問題であると考えています。  大臣、私はこの際大臣認識をお伺いしておきたいのですが、やはり漁業を国民の重要な食糧産業として位置づけるべきではないかというふうに考えますが、御認識をお聞かせください。  もう一つ食糧危機の問題で、これはちょっと漁業から離れますが、世界的に穀物の食糧供給が需要に追いつかないのではないかと指摘されている中で、今一番差し迫って深刻な問題は、トウモロコシの価格急騰、それから世界的な在庫不足の問題です。ことしの作柄いかんではアメリカが輸出を禁止するのではないかとも言われているところでありまして、もちろん、それは我が国にとって深刻な打撃になることは言うまでもありません。  農水省は、トウモロコシなど飼料用穀物の政府備蓄十万トン以上を放出する方向で検討に入ったとけさ報道されておりましたが、政府としてどういう対策をとっているのか、また、アメリカ政府に対して輸出禁止を行うようなことはしないようにという話をしておられるのか、明らかにしていただきたいわけです。
  125. 大原一三

    大原国務大臣 御指名でありますから私からお答えしたいと思うのです。  先ほどもお答えしたように、四割の動物資源供給をしているわけでございますから、もし仮にこれがだんだん下がっていってカロリー供給率が下がるということになると、ほかの動物資源によらなければならぬわけであります。そうしますと、牛肉の場合は一キロつくるのに十一キロの穀物が必要である、そのほとんどがアメリカやその他の国から輸入でありますから、後の方の御指摘の問題とも絡めて、やはり食品の、我が国食糧供給の重大な畑でありますから、我々はそれを培養していかなければならぬと思います。  それから、穀物の値段につきましては、例の畜産物価格を決定する際にもるる申し上げたのでありますが、いろいろ経済指標が出たにかかわらず、やはりどうしても私はことしじゅうを考えてみましても穀物市況は非常に逼迫する可能性がある、そういったことを考えまして価格決定を一応させていただいたわけでございます。  また、最近のいろいろマスコミやアメリカの情報、世界の穀物市況等々考えますと、一部には在庫率がふえるであろうという非常に楽観的な見通しもございます。アメリカの作付がふえました、したがって、ことしは去年よりも在庫率がふえるだろうというようなお話もあるのでありますが、何しろこれはお天気任せでございまして、秋口の状況がどうなるかによって委員指摘のような不安が、短期的にも我々は抱えているのではないかな、こう思っております。もとより長期的には、これは中国のいわゆる嗜好の拡大その他によって、我々の穀物市況がそれによって影響されるという可能性も多分にありますので、そういう意味でこの問題については重大な関心が払われなければならぬ、かように考えております。  なお、在庫の吐き出しについては局長から答弁させていただきます。
  126. 熊澤英昭

    ○熊澤政府委員 お答え申し上げます。  基本的には今大臣から申し上げたとおりでございますので、補足して御説明申し上げたいと思います。  初めに、先生指摘のように、本穀物年度の主としてトウモロコシの国際需給につきましては、米国の減産等により大変逼迫しているわけでございまして、米国について在庫率を申し上げますと、米国農務省の発表では、本穀物年度の期末の在庫率が三・七%という極めて低い水準になるということは、これは御指摘のとおりでございます。他方、これも今大臣から申し上げましたけれども、本年の米国のトウモロコシの作付面積、これも米国の農務省の五月十日の発表でございますが、約三千二百七十八万ヘクタールという発表になっておりまして、対前年で見ますと約一三・八%の作付の増ということでございます。確かに天候要因いかんということもございます。しかしながら、作柄が平年並みであれば期末の在庫量、在庫率ともかなり大幅な改善が見込まれるというふうに私どもは見ております。  なお、米国の穀物禁輸のお話がございました。これまで米国政府みずから禁輸についてはないとその可能性を再三にわたって否定いたしておりますので、そのような事態について懸念する必要はないというふうに私どもは考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、今年度の穀物需給、かなりきつい、タイトな状況にあるわけでございますので、私ども十分安定的な供給について配慮していくという必要がございます。  政府としても、備蓄につきましては、現在トウモロコシ、コウリャン、大麦を合わせまして百二十万トンの政府備蓄を保有しておりますので、数量についてはもちろんまだ今後の動向を見ながらということでございますが、そういった備蓄の活用も視野に入れながら安定供給に配慮してまいりたいと考えております。  なお、現時点で、私ども商社等からの聞き取りでは、当面の輸入数量につきましては十分に輸入手当てはできていると承知をいたしております。ただ、こういう逼迫した状況でございますので、一時的な流通の滞りといったような状況考えられるわけでございますので、先ほど申し上げましたように、備蓄制度の活用も含めまして、安定供給に十分配慮してまいりたいと考えております。
  127. 藤田スミ

    ○藤田委員 それでは本題に入ります。  私は、さきの本会議質問の中でも、政府国連海洋法条約批准を長きにわたって放置し、二百海里の全面適用も行わないことによって韓国及び中国漁船などによる乱獲、違反操業を許し、周辺の水産資源を衰退させるなど、国民とりわけ漁業関係者に甚大な被害と悪影響をもたらしてきた責任は重大だということを述べました。そして、この政府の責任を明確にすることが今後の二百海里全面適用に向けての重要な一石になるものだということを言ったわけですが、私は、政府がここで責任を明確にしないということは、今後の二百海里全面適用問題でも本当に日本の立場に立った適用がなされるのかどうか、そういう大きな不安を持たざるを得ないわけです。その点では、私はもう一度ここで大臣政府の責任というものについて明らかにしていただきたいわけであります。
  128. 東久雄

    東政府委員 先にちょっと経過だけお話しさせていただきます。  日本は海洋国として、大漁業国として、二百海里というものは実は国連海洋法条約のときに大変危機感を持っておりまして、むしろ領海内以外のところは公海で自由にとらせろというのが昔の主張でございました。その状況が七七年のソ連、アメリカの二百海里の適用という形で、これはまだ国際的にちゃんとした定着がないままやった。それをうちの方でもそれに対応したわけでございまして、その中で日韓、日中は漁業協定をやって、今回、世界的に国連海洋法条約を発効して国際的なルールになったというもとで初めてこういう形での全面的な実施ができる状況になっているということでございまして、その点を御理解いただきたいと思います。
  129. 大原一三

    大原国務大臣 日韓関係では、委員承知のように李承晩ラインが一方的にしかれたり、日本の外交交渉の弱み、そういったものの中で設定され、それに引き続いて、たしか四十年だったと思うのですが、日韓漁業協定、さらに、五十年でございますか、中国との関係、五十二年にソ連との関係の東経百三十五度の東の方というような形で今までの経緯がありました。  しかしながら、今回の条約ではそういったいわゆる過去のいきさつをこの新しい海洋秩序のもとへ引き戻してくるというのがねらいでございまして、我々としては、外務省の働きにも多分に期待をしなければいかぬのでありますが、全面設定全面適用を旗頭に漁業資源の確立に邁進をしたいというのが農林水産省の考えでございます。
  130. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、時間がありませんので、ここで長く言うことはできませんけれども、経緯は経緯として全く認めないわけではありません。しかし、漁業者の皆さんがこうむった被害に対して本当に政府の誠意ある一言がほしいと思います。  漁業者にとって、大臣もおっしゃったように二百海里の全面設定全面適用は痛切な願いであります。だから、一体いつまで適用除外になるのかということが今本当に大きな問題でありますが、本会議の総理の御答弁も、早期締結するよう努力すると一般的な御答弁でした。しかし、これではとても漁民の皆さんは納得できません。全国の漁民決起集会の中でも、与党の皆さんがごあいさつの中で、一年以内に努力したい、こういうごあいさつをされたら、やじが今すぐやれと飛びましたよ。そのとおりなのです。  だから、本当に一年ないし二年で適用除外期間が終わるのか、私は大臣に責任を持った御答弁を求めたい。
  131. 大原一三

    大原国務大臣 私も過日の外務委員会に陪席をいたしておりましたが、相手方のあることでありますし、こちらの言うとおりにはなかなかいかないというのもこれは外交交渉の常識でございましょう。  しかしながら、一年以内、これは非常に重要なめどでございまして、そこでもって条約を破棄してさらに一年延ばすということになりますと、これは漁家に対して何が二百海里だったのかという批判が出ることは当然でありまして、やはり一年以内をめどに努力をする。竹島問題もございましょう、尖閣もございましょうが、そこはやはり知恵を絞って早期に決定をする努力を、農林水産省としては外務省のしりをたたかなければならぬ、かように考えております。
  132. 藤田スミ

    ○藤田委員 二百海里の漁業資源を保全する上からも、日本周辺水域内での外国船の規制権限を当然日本が持つということが極めて重要な問題であります。この点でも残念ながら本会議質問では明確な御答弁を得られなかったわけですが、言うまでもないことですが、これまで規制権限は旗国主義で、目の前で操業違反が行われていても日本側として何の手出しもできなかったわけです。その点では、先ほどからもお話がありましたが、漁民は本当に怒り心頭に発しています。だから、政府がやらないなら自分たちでやるしかないかと非常にせっぱ詰まったところに追い込まれているわけです。したがって、個別の漁業協定においても沿岸国主義をとる、そういう立場を明確にして、私は、もうこの旗国主義を本当にやめるということをはっきりさせていただきたいわけです。
  133. 東久雄

    東政府委員 政府としても、国連海洋法条約の趣旨を十分踏まえた新たな漁業協定という形で進めるということです。これは、国連海洋法条約沿岸国主義を中心に据えておりまして、それを踏まえてやるということでございます。しかも、中国韓国も、韓国はもう批准しておりますし、中国の側ももうすぐ批准だということでございます。お互いその原則を、国際ルールをのんでおるわけでございますから、その方向での新たな枠組みができるものというふうにしていきたいと考えております。
  134. 藤田スミ

    ○藤田委員 この問題では取り締まり権限とともに取り締まり体制が非常に不十分であるということも大きな問題であります。取り締まり体制の一つの柱に海上保安庁の問題がありますが、これは運輸委員会でも議論されていると思います。直接水産庁のかかわりで言えば、漁業調整事務所がその任に当たっているわけです。  私は先日兵庫県の香住漁業調整事務所を訪問いたしましたけれども、この漁業調整事務所で管轄している区域は山口県から石川県まで物すごい範囲で、職員は何人だと思われますか、たったの五人です。船も持っていない、チャーター船でやっているというようなことで、これでは本当に規制権限が日本に移ってきたとしても漁民が期待するような規制は確保できないというふうに言わざるを得ません。この点では、大臣、早急に漁業調整事務所を拡充し、また高速船を少なくとも各漁業調整事務所に配置する、こういう抜本的な強化を図っていただきたいわけです。
  135. 東久雄

    東政府委員 実は、漁業調整事務所以外に、本庁の監視船も持っております。それで二十七隻の体制をとっておりますが、先ほどちょっとお話ししているとおり、今回もしこちらに取り締まり権限が出ますと、やはり相手の違反を視認するということが重要なポイントになります。したがいまして、航空機による監視ということが非常に大きなポイントになってくると思います。八年度にもそれを増強させております。航空機の場合は、これはもちろん調整事務所じゃなく本庁が直接乗り込んだりというようなこともやります。さはさりながら、その強化ということは一つの課題だと考えております。韓国中国との関係につきましては来年以降ということになるのだろうと思います。  そういうことを念頭に置きながらの強化ということは、やはりこれからの課題というふうにさせていただきたいと思います。
  136. 藤田スミ

    ○藤田委員 現場では、定数、定員をふやすという問題も、定数削減の中ではなかなか困難だというようなことも聞いております。これはあえて大臣には質問しませんが、大臣、ぜひその定員をふやすという面でも応援をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  もう一つの問題は、これも本会議で質問していますが、新しい漁業資源の規制管理我が国漁業者に求めながら、一方、水産物の輸入を野放しにすることは道理に合わない、秩序ある輸入が実現できるようにすべきではないかということに対して、大臣は、これは大臣です、秩序ある輸入が望ましい、関係者による需給協議を行っていくというふうにお答えをいただきました。この関係者による需給協議というのは、これは消費に見合った適正な輸入量の大枠を決めて行うものなのかどうか、これが一点です。  それから、当然魚種ごとに行わなければならないわけですが、どういう魚種が想定されているのか、これが二点目です。  それから、需給協議の場が一定オープンにならなければ、実際、有効な需給協議がなされるのかどうかもわからないわけですので、その点についても明らかにしていただきたい。簡潔にお願いします。
  137. 東久雄

    東政府委員 大臣が本会議でお答えしたとおり、需給情報検討会ということですが、幾ら輸入するというふうな決め方をするというのは、こういうところではなかなか難しいわけでございまして、こういう需給状況だから、それを勘案して輸入なり供給なりをきちっとやってくれというような話し合いになります。その中身につきまして、主なものはマグロ、サケ・マス、サケ・マス一緒でございます、エビ、イカ、タコ、魚卵、サバというようなことが対象魚種として話をいたしております。  この会議につきましては、その状況について記者団に対してご説明するというような形をとっております。需給協議に中身はこうであったというようなことを新聞記者の方々お話をするという形をとっております。
  138. 藤田スミ

    ○藤田委員 そうすると、それは今までもとっていたということですね。  それから、もうひとつはっきりちょっとわからなかったのですが、その消費に見合った適正な輸入量の大枠を決めて行う、この点はどうなんですか。TACの設定によって生産量が決まれば需要量との関係からどれだけ輸入が可能なのか、輸入に対して適正な規制が可能な条件がここから出てくるわけです、逆に言えば。したがって、消費に見合った適正な輸入量の大枠を決めて行う、この点についてもう一度聞かせてください。
  139. 東久雄

    東政府委員 現在我々に許されることは、計画経済の状況ではございませんので、生産の状況がどうか、それから需要の動向がどうか、それから輸入の動向がどうか、在庫の動向がどうかという情報を総合的に私の方もお話し申し上げ、業界からも、いや、それはちょっと見過ぎじゃないかとか、そういうふうな情報を交換して、お互いにその需給状況を共通認識として把握していくということに限界を設けざるを得ないわけでございます。  これらにつきましては、品目等を中心に、やはり問題になってきたときに追加していくというような形でふやしてきているという傾向がございます。傾向といいますか、そういうような状況になっているということでございます。
  140. 藤田スミ

    ○藤田委員 もう一度、後でもう一回輸入問題は聞きますが、いずれにしても、輸入の適正な規制と資源に見合った操業が実現されてこそ漁業経営も守られるわけでありますので、それは、自由経済のもとでという点では私も制約を全く感じないわけではありませんけれども、やはり今回のTACで適正な輸入というものについて、政府のこれから一つ構えというものが要ると思います。  もう一つTAC問題では、正確な資源量を予測する体制が十分確保できるのかどうかということも問題です。  漁業資源の規制管理をするには、その前提として、正確な資源量の予測がなければ規制の根拠がなくなってしまうわけでありまして、その点では私は、これも兵庫県の但馬水産事務所を訪問しましたが、漁業資源調査はその調査費用に莫大なお金がかかる、県レベルではとても対応できないし、職員の体制も不十分なので、国として漁業資源調査研究のための措置の新たな仕組みが必要である、こういうことを強く訴えられました。これはもちろん兵庫県だけの事例でないことは明らかであります。  この際、漁業資源調査体制の抜本的強化、これについて直ちに手を打つべきではないかというふうに考えますが、いかがですか。
  141. 東久雄

    東政府委員 資源調査というのは長い統計の積み重ねということが一つ重要なポイントでございまして、従来から水産庁の水産研究所、それぞれ海区別にある水産研究所を中心にそういう資料収集、資源状況の把握ということをやってきておりました。相当の資源調査の蓄積がございます。  しかし、この国連海洋法条約批准というのを今年度のこの通常国会にお諮りするというもとで、我々その資源調査を、これはTACの制度と結びつけてやっていかなければならぬという情勢でございましたので、平成七年度、昨年度から周辺漁業資源調査という形で再編いたしまして、強化をいたしております。特に、国の研究所はもちろん中心の一つでございますが、県の方に対する補助金を、これは委託費でございます、委託費を相当増額いたしております。七年度には一億九千万円から四億九千万円に増額するというような形で強化をしていっております。  これからも、やはりこれについての十分な配慮というものをしていかなければいかぬというふうに考えております。
  142. 藤田スミ

    ○藤田委員 最後に、セーフガード発動の問題についてお伺いをしておきたいと思います。  これは政府の方は、水産物の輸入急増の事実がないので検討していない、セーフガードの発動は検討していないという御答弁でした。  そこでお伺いいたしますが、水産物のある品目の輸入が急増し、そのために国内漁業経営に深刻な打撃を与えているならセーフガードを発動するということに異存はありませんね。
  143. 東久雄

    東政府委員 このセーフガードというのはガットの十九条による一般セーフガードだと思いますが、その規定に沿って、ちょっと規定そのものを持っておりませんが、輸入の増加による国内産業への重大な損害があること等が要件ということになっております。その要件というのがこのセーフガードを使う一つの要素でございます。
  144. 藤田スミ

    ○藤田委員 異存はないという御答弁の上に立って、輸入急増というのは一体どの程度の期間を指して言うのか。それは一年なのか、三年なのか、半年なのか。この問題が一点です。  それからもう一つは、急増というのは基準時から何%ふえることと考えていらっしゃるのか。これも明確に答えてください。
  145. 東久雄

    東政府委員 この輸入の増加の程度、その期間については、輸入と国内産業の重大な損害との関係ということで期間、量とも判断されるものでございます。そういう意味ではケース・バイ・ケースで判断されるべきことであるというふうに考えております。
  146. 藤田スミ

    ○藤田委員 基準もそうですが。基準もそうではないですか。
  147. 東久雄

    東政府委員 基準といいますか、そういうケース・バイ・ケースでその両者の関係、輸入と国内産業の重大な損害ということとの関係というのがはかられることになると思います。
  148. 藤田スミ

    ○藤田委員 よくわかりました。  本当に、セーフガード協定には「生産する国内産業に重大な損害を与え又は与えるおそれがあるような増加した数量」というふうに書いておりますから、まさにそういう点では、私はセーフガードを発動すべきだとする漁業者要求というのは真っ当だというふうに考えております。  この問題では、水産庁の担当者が現場の漁協に出向いて、セーフガードの発動は漁業者に重い義務を課しているというような、もう大変事実に反するような脅迫まがいのことを言って、そして漁業者から反発を受けているわけです。  私は、政府として、セーフガードの発動を求めている漁業者の立場を尊重して真剣に検討するということを再度大臣から表明をしていただいて、質問を終わります。
  149. 大原一三

    大原国務大臣 何回か委員から同じような質問をいただいたわけでありますが、細かいケースを私は全部存知しているわけでもございません。やはりそういった協定がある以上は、これは空振りでは何もならぬわけでございますので、我々としては、どういう場合にどういう事態があったら発動するという一つのめどをやはり持っておく必要があるのではないのかな、御指摘をいただきながらそんな感じでございまして、先ほどから秩序ある輸入と私が申し上げますのは、そういったことを含めて検討していくべきだ、こういう感じでございます。
  150. 藤田スミ

    ○藤田委員 質問を終わります。
  151. 松前仰

    松前委員長 次回は、明十六日木曜日午後二時四十五分理事会、午後三時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十三分散会