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1996-04-24 第136回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月二十四日(水曜日)     午前九時五十二分開議 出席委員   委員長 松前  仰君    理事 鈴木 宗男君 理事 二田 孝治君    理事 松岡 利勝君 理事 仲村 正治君    理事 初村謙一郎君 理事 増田 敏男君    理事 田中 恒利君 理事 井出 正一君       荒井 広幸君    金田 英行君       岸田 文雄君    岸本 光造君       栗原 博久君    七条  明君      田野瀬良太郎君    東家 嘉幸君       葉梨 信行君    浜田 靖一君       穂積 良行君    松下 忠洋君      三ッ林弥太郎君    森田  一君       木幡 弘道君    須藤  浩君       千葉 国男君    野呂 昭彦君       畑 英次郎君    堀込 征雄君       宮本 一三君    矢上 雅義君       山岡 賢次君    山田 正彦君       石橋 大吉君    永井 哲男君       野坂 浩賢君    山崎  泉君       小沢 鋭仁君    田中  甲君       簗瀬  進君    藤田 スミ君       徳田 虎雄君  出席国務大臣         農林水産大臣  大原 一三君  出席政府委員         農林水産政務次         官       小平 忠正君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省農産         園芸局長    高木  賢君         農林水産省畜産         園芸局長    熊澤 英昭君         農林水産省食品         流通局長    中須 勇雄君         農林水産技術会         議事務局長   山本  徹君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   荒井 広幸君     田中眞紀子君   岸本 光造君     遠藤 利明君   栗原 博久君     大石 千八君   七条  明君     佐藤 孝行君   千葉 国男君     樽床 伸二君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 利明君     岸本 光造君   大石 千八君     栗原 博久君   佐藤 孝行君     七条  明君   田中眞紀子君     荒井 広幸君   樽床 伸二君     千葉 国男君 同月二十四日  辞任         補欠選任   金田 英行君    田野瀬良太郎君   山本 公一君     岸田 文雄君   小沢 鋭仁君     田中  甲君   簗瀬  進君     小沢 鋭仁君 同日  辞任         補欠選任   岸田 文雄君     山本 公一君  田野瀬良太郎君     金田 英行君   田中  甲君     簗瀬  進君     ――――――――――――― 四月十八日  農畜産業振興事業団法案内閣提出第二四号) 同月十二日  食糧自給率を高める政策に関する請願藤田ス  ミ君紹介)(第一八二八号) 同月十六日  食料自給率向上等に関する請願古堅実吉君  紹介)(第一八八三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十二日  新たな食料農業農村基本法制定に関する陳  情書外二十五件  (  第一九七号)  酪農畜産政策価格に関する陳情書外三件  (第一九八号)  ミニマムアクセス米減反上乗せ見直しに関  する陳情書外二件  (第一九九号)  新たな国際環境に対応した農業農村対策の推  進に関する陳情書  (第二〇〇号)  特定農山地域指定に関する陳情書  (第二〇  一号)  二百海里体制の確立に関する陳情書外四件  (第二〇二号)  生糸の内外価格差解消に関する陳情書  (第二〇三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農畜産業振興事業団法案内閣提出第二四号)      ――――◇―――――
  2. 松前仰

    松前委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農畜産業振興事業団法案を議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。農林水産大臣大原一三君。     —————————————  農畜産業振興事業団法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 大原一三

    大原国務大臣 農畜産業振興事業団法案につきまして、その提案理由及び主な内容を御説明申し上げます。  畜産振興事業団及び蚕糸砂糖類価格安定事業団は、これらの設立以来、それぞれ畜産物及び蚕糸砂糖類価格安定業務など、各般の業務を行い、我が国農畜産業関連産業の健全な発展に重要な役割を果たしてきたところであります。  しかしながら、行政改革推進一環として、特殊法人について総合的かつ全般的な見直しを行った結果、農産物価格安定業務の効率的な運営を図る観点から両事業団統合することとし、今回この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団を解散し、新たに農畜産業振興事業団設立することであります。  第二に、新事業団は、解散する両事業団の一切の権利及び義務を承継するとともに、これまで両事業団が実施してきた業務基本的に承継するこ ととしております。  第三に、新事業団役員につきましては、特殊法人統合趣旨に即して、所要の役員数の縮減を行っております。  その他、財務及び会計に関する規定を整備するとともに、両事業団統合に伴う経過措置等を講ずることとしております。  以上が、この法律案提案理由及び主な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願いを申し上げます。
  4. 松前仰

    松前委員長 これにて本案の趣旨説明は終わりました。  この際、暫時休憩いたします。     午前九時五十四分休憩      ————◇—————     午後六時十分開議
  5. 松前仰

    松前委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎泉君。
  6. 山崎泉

    山崎(泉)委員 社会民主党の山崎泉でございます。  両事業団の行う業務の意義、役割についてお伺いをしたいと思います。  行政改革推進という観点から、統合によって事業団一つ減るということになるわけでありますが、それぞれの事業団は、これまで畜産物蚕糸砂糖類売買による輸入調整価格支持等を通じて価格安定を図るとともに、これらの産物にかかわる農業振興を図るという重要な役割を担ってきたものというふうに認識をしております。また、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意を受けて、両事業団国家貿易機関として新たな業務を行っているほか、農畜産物関税引き下げが今後とも行われることになっている中で、事業団機能重要性はますます高まっているものというふうに考えております。  ところが、統合によって、両事業団のこれまで果たしてきた役割機能といったものが低下するのではないか、そのことにより、これらの産物にかかわる農業振興策が後退することにつながるのではないかといった懸念が強くあるわけであります。  大臣にお伺いをしますが、この統合基本的な考え方大臣のお考えをお示し願いたいと思います。
  7. 大原一三

    大原国務大臣 平成七年の二月二十四日、さらにまた平成七年の十二月二十五日でございますか、特殊法人整理合理化という方針が打ち出されまして、政府の強い行革一環として農林水産省としても協力を申し上げなければならぬという事態に至りまして、この二つ事業団統合するということについてはさまざまな議論があったことも事実でございます。しかしながら、そういう閣議決定基本方針に従いまして、今御指摘のございましたような機能、特に農産物価格安定業務の効率的な運営という点から機能の低下を招くことは農家にとっても大変な問題でございます。  したがって、我々としては、その二つ要請の中で、その機能が低下しないという範囲において行革基本の線に即していこうということでございまして、統合の結果、役員について、さらにまた職員についても減員はございますが、業務部門についてはその影響を与えないような改革をしていこう、こういう結果になったわけでございます。  委員御心配のようなことも農家やあるいはまた関係筋で御意見が出ていることも承知しておりますので、十分その点については今後配慮をしていきたい、かように考えております。
  8. 山崎泉

    山崎(泉)委員 ぜひ役割機能、こういうものが低下することのないように対策を練っていただきたいというふうに思います。  そこで、統合によって従来の両事業団が行ってきた業務は維持されるのか。両事業団が果たしてきた役割機能は低下することはないとはおっしゃいましたが、その業務は維持されていくのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  9. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  基本的な考え方につきましては、ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございます。  今お尋ねの従来の両事業団が行ってきた業務が維持されるかどうかということでございますけれども、今回お示しした法案の中で、従来畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団が行ってまいりました業務、例えば畜産関係で申しますと、指定乳製品売買とかあるいは加工原料乳に対します不足払い事業肉用子牛に対します不足払い業務、そういった業務を継続するということで法案の中にお示しをしてございます。また、蚕糸関係砂糖類関係につきましてもそれぞれ、例えば蚕糸の買い入れ、売り渡しの業務、あるいは砂糖に関します輸入等売買業務、あるいは国内産糖売買業務、そういった従来両事業団が果たしてまいりました価格安定業務そして振興業務につきましては、基本的に新事業団に引き継ぐということで法案でお示ししているところでございます。
  10. 山崎泉

    山崎(泉)委員 そういうことを踏まえながら、今回のこの事業団統合に当たってのメリットは何なのか、また行政改革の実をどのように上げようとしておるのか、この基本的な考え方についてお伺いをしたいと思います。
  11. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 今回新事業団設立するに当たりまして、今申し上げましたとおり、両事業団が従来有しております基本的な業務については新事業団が引き継ぐということにしたわけでございますが、基本的な統合考え方といたしまして、両事業団を合併することによりまして価格安定業務等が効率的に運営できるようにという観点から一本化を図るわけでございます。  具体的には、一つには管理部門の一本化ということで組織合理化を図るということにいたしております。また、役員数削減さらには職員削減、あるいは本部事務所統合、そういったことによりまして今後業務効率化を図っていきたいということでございます。同時に、長期的に申し上げれば、従来畜産関係蚕糸砂糖類関係それぞれの分野で業務に精通した方がいるわけでありますけれども、そうした業務上のノウハウの交換あるいは人事交流による組織活性化、そういった面からも業務運営効率化を期待したいというふうに考えております。
  12. 山崎泉

    山崎(泉)委員 次に、砂糖について質問をしたいと思います。  砂糖需要につきましては、近年、異性化糖への代替も一巡したこと等から二百六十万トン台で推移してきたところでありますが、平成四年以降、二百四十万トンまで減少しております。このような砂糖需要の減少は、糖価安定制度の安定的な運用支障を来すばかりでなく、原料生産地である北海道及び沖縄、鹿児島、南西諸島の地域農業地域経済に重大な影響を与えかねない状況になりつつあります。  この要因一つは、消費者の無糖・低糖物への嗜好の変化を背景にしておりますが、もう一つ要因として、加糖調製品輸入問題があるというふうに思います。近年、円高進行等もあって、その輸入は急激に増加をしておるというふうに考えております。このような加糖調製品輸入増加に対して何らかの措置を講ずるべきではないかというふうに思いますが、政府見解をお伺いをしたいと思います。
  13. 中須勇雄

    中須政府委員 御指摘加糖調製品につきましては、既に先生承知のとおり、それぞれ経緯はあるわけでございますが自由化をされており、ウルグアイ・ラウンドの交渉におきましても関税水準譲許を行っている、こういう状況にございます。したがいまして、これらの品目について、例えば、砂糖と同じように価格安定制度の対象にして調整金を徴収するとか新たな国境措置を講ずるということは大変困難な状況にございます。  しかし、こういった状況の中で、砂糖内外価格差縮小をできる限り図るという観点から、平 成六年の四月に砂糖関税の大幅な引き下げを行いました。しかしながら、御承知のような円高状況でございまして、加糖調製品輸入は依然としてなお増加傾向で推移している、こういうことでございます。  したがいまして、今後とも、甘味資源作物生産性向上とか国内産糖精製糖企業合理化、こういった地道な努力というものを一層促進をして、糖価安定制度の適切な運用によりましてその成果を国内糖価に反映をする、そうしたことを通じて国内産砂糖競争力の確保に努力することが大変重要になってきているというふうに思っております。  特に、この法律案におきましては、砂糖類関係助成業務の実施ということをお願いをしておるわけでございまして、これは、ただいま先生が御指摘になりましたような砂糖需要の低迷とか内外価格差縮小要請、こういう状況に対処をして、新しい事業団業務としてこれを実施したいということでございまして、この業務を活用して砂糖あるいは甘味資源作物の一層の生産性向上等あるいは流適合理化ということに努力をしていきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  14. 山崎泉

    山崎(泉)委員 国際糖価高騰による安定資金放出という事態昭和五十六年以来発生していない。しかし、過去、価格調整のために使用された金額は、安定資金放出額、関税減免額合わせて二千億にも上っている。平成六年度末現在、安定資金は千七百十二億円の残高がある。昭和六十三年度以降、安定資金収入はなく、運用益による収入によって残高増加しておる状況にある、こういうふうに言われておりますが、糖価異常高騰時に使用された金額にはこの千七百十二億というのは満たないものであります。  政府として国際糖価動向をどういうふうにとらえているのか、また、事業団としてそういうことに対してどういうふうに取り組んでいこうとしておるのか、考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  15. 中須勇雄

    中須政府委員 砂糖につきましては、国際糖価変動が大変激しい品目でございまして、過去に大変高騰した時期がございまして、御指摘のような形で多大の額を投入いたしまして国内に入ってくる糖価の安定を図った、こういう過去の経験がございます。ただ、幸いなことに、ここ十年ばかりは、もちろんかなりの変動はございますけれども過去のような異常な高騰ということは経ないままに来ているわけでありますが、決して先行き楽観は許さない、そういうふうに基本的に認識をしております。  したがいまして、今回、糖価安定資金使途の拡大ということをお願いしているわけでございますが、これは、本来の使途のために徴収した資金そのものを使用するということではなくして、前事業年度にその資金から発生した運用益に相当する額の範囲内に限って行うという歯どめを一つ設けております。また、それと同時に、それだけではなくて、実際に運用するに当たりましては、過去の価格高騰時の経験とかあるいは今後の国際糖価動向というところにも十分目配りをして、本来の使途支障を来さないということに配慮しながら進めてまいりたい、そういうふうに考えております。
  16. 山崎泉

    山崎(泉)委員 次は、職員削減についてお伺いをしたいというふうに考えます。  今回の統合に伴って、平成十三年までの間において約一割の職員削減を行うというふうに聞いております。職員数削減行政改革推進を図る上で必要な措置というふうには考えますが、一方では事業団で働く職員を強制的に退職をさせるような事態は避ける必要がある。これは言うまでもないことであります。  したがいまして、二点続けてお聞きをしたいというふうに考えますが、統合に伴って全職員は一括して新法人に継続雇用されるのか。二つ目、この職員定数削減職員強制解雇につながるものではないのかどうか。こういう点について、二点お伺いをしたいと思います。
  17. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 まず、先生も御指摘のとおり、新法人、新事業団設立は全体として大きな行政改革一環として政府として決定を見たものでございます。そういう観点から、まず役員数につきましては、現在両事業団合わせて二十七人から二十人に削減をするということで、四分の一の削減となっているわけでございます。他方職員につきましても、そういった趣旨から合理化方向は必要であるということで、平成十三年度までの間に約一割程度の削減を行うということといたしております。  まず、お尋ねの第一点の両事業団職員を新事業団に引き継ぐかという点でございますが、これは両事業団の現在の職員を新設の事業団に全員引き継いで雇用するということといたしております。  また、二点目の強制的な解雇につながらないようにということでございますが、この点につきましては、基本的には平成十三年度までの間に予定されております定年退職者につきまして原則として補充を行わない、他方で新規の採用について極力必要最小限に抑制をする、そういったことで削減を実現していきたいということで、そのような意味職員の強制的な解雇は行わないという方向で対処するということにいたしております。
  18. 山崎泉

    山崎(泉)委員 次に、労働条件についてお伺いをしたいと思います。  畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団職員労働条件については、給与水準やその他の勤務条件が異なっているというふうに聞いております。出勤時間も何か違うみたいでありますね。この統合に伴い労働条件が悪化するということは当然避けるべきであります。しかし、統合に伴って新事業団労働条件は一本化されることが考えられますが、両事業団職員にはこれによって条件が悪化するのではないかという不安もあるのではないかというふうに思います。  そこで、新しい事業団労働条件についてはどのように考えておるのか、また労働条件の切り下げがあるのかないのか、こういう点についても当局の見解伺いたいと思います。
  19. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 先生指摘のとおり、現在の両事業団職員給与体系勤務条件、それぞれの過去の経緯もございまして、若干差異がございます。新事業団設立運用に当たりましては、両事業団職員一体となって効率的に業務運営を実施していく必要がある。今回、本部事務所統合するということを予定しておりますけれども一つ事務所の中で双方の事業団から新設された事業団に移った職員一体となって勤務をする、そういったことを考えますと、やはり給与体系とかあるいは勤務条件というのは調整を行った上で一本化を図る必要があるというふうに考えております。  そこで、新しい給与体系あるいは勤務条件でございますけれども基本的にはまず両事業団あるいは新事業団関係者のもとで検討されるべき事項でございますけれども、私どもといたしましても、そういった新事業団の諸規定が整備されていく過程の中で、これまでの両事業団の実情あるいは他の政府機関給与勤務条件等、そういったものも十分に比較勘案されながら、適切なものとして定められるということが必要だと考えておりますので、そうした両事業団の現在の条件あるいは今申し上げましたような他の政府機関等、そういったものが総合的に勘案されまして、適切なものとして定められるように十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  20. 山崎泉

    山崎(泉)委員 そういう点に関連をしてもう一点お伺いをしたいと思いますが、両事業団労働組合との関係は非常に良好な状態、正常な労使関係である、これは何ら問題点があるというふうには私は聞いておりません。ぜひ今後とも今までのような状況を、新しい事業団になっても労使関係を構築していってほしいというふうに思います。  私は労働組合出身の者でございますが、この前のオウムとTBS関係で、TBS組合員に私 は言いました。もうちょっと労働組合は怒れ、怒り方が足らない。つまり、企業を告発をするという立場じゃないか、日本民主主義と言論の自由を守るという立場に立ては、あなた方が口を開くことは日本にとってはプラスなんですよ、こういう話をしました。  つまり、使用者側にとって労働組合、嫌な部分があるというふうに思います。指摘をされます、欠点を見出されます。しかし、私の持論は、労働組合というのはいわゆるその企業の病を知らせる神経だというふうに思います。経営者も一生懸命になって事業運営をやる、しかし一生懸命であるがためについつい見失っているものもあるわけでありまして、そういう部分労働組合はきちっと指摘をする。そういう意味では労働組合企業というのは両輪で、相まって進んでいかなければならない、こういうふうに思っております。  そういう意味合いで、私は、労働組合は、社会的な存在価値を強めるという意味でも、口を開くときは口を開く、そして経営者側もきちっと対応しなければならない、これが正常なる労使関係のあり方だというふうに思っております。両事業団職員の皆さんは統合することによっていろんな不安があるというふうに考えますが、ぜひ労働組合と真剣に議論をしていただきたい、こういう要望を申し上げておきたいというふうに思いますが、そのことについて一言だけコメントをいただきたいと思います。
  21. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 これまでの両事業団労使関係につきましては良好なもの、これはもう先生指摘のとおり承知をいたしております。  新事業団に移りまして新しい労使関係が確立されるわけでございますけれども、そういう中で、先生指摘のとおり、新事業団業務が効率的、的確に運営されるためにも労使一体となって新しい事業団運営に当たるということは大変重要なことだというふうに考えております。労使関係がこれまでと同様に円滑にいきますように、私どもとしても十分意を用いて指導してまいりたいというふうに考えております。
  22. 山崎泉

    山崎(泉)委員 ありがとうございました。  それでは、役員の構成についてお伺いをします。  畜産振興事業団においては事業団職員から監事への登用が行われている、また、蚕糸砂糖類事業団の方では二名の理事への内部登用が行われております。今回の事業団統合に伴ってこのような内部登用が後退することは、私は、行政改革趣旨には合致しないというふうに思います。  そこで、二点お伺いをします。新事業団役員大事についてはどのように考えておるのか。そしてまた、内部登用を積極的に、これまで同様に行うべきであるというふうに考えますが、これまでのような前向きの姿勢が後退することはないのかどうなのか。この点について、二点お伺いします。
  23. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 新事業団役員についてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、理事長監事農林水産大臣が任命するわけで、ここに実は任命権者がいらっしゃるわけですが。それと、副理事長理事については、農林水産大臣の認可を受けて理事長が任命するということでございます。  任命権者の前で大変答えにくいわけでございますけれども、当然のことながら、事業団業務の円滑、的確な運営という視点から、人格、見識、指導力、そういった面ですぐれた方を農林水産大臣は任命される、あるいは理事長がそういった視点から副理事長理事農林水産大臣の認可を受けて任命するということかと思います。  なお、事業団職員役員への登用でございますけれども、これは今先生が御指摘になったとおりでございます。畜産振興事業団では監事一名、蚕糸砂糖類価格安定事業団では理事二名が登用されているところでございます。また、内部登用推進を定めた閣議決定等もございます。そうした趣旨に沿った登用が図られるものというふうに考えております。
  24. 山崎泉

    山崎(泉)委員 ぜひ、職員の皆さんのやる気を出させるという立場からも、これまでの慣例と申しますか、それをそのまま遂行していっていただきたいというふうに思います。  最後になります。  平成七年二月二十四日の閣議決定で、畜産振興事業団また蚕糸砂糖事業団についてはOA化の推進を図りなさいというふうになっておるわけでありますが、恐らく今度の新しい事業団もこのOA化を進めていくだろうというふうに考えますが、OA化を進めることによっていわゆる人員削減、それを目的としてやるのか、それとも新しい業務を拡大するためにOA化を積極的にやっていくのか、そういう部分について考え方を最後にお聞きをしたいと思います。
  25. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 御指摘のとおり、平成七年二月二十四日の閣議決定の中で、経理事務、交付金の交付事務等におけるOA化の推進等が決定されております。  それで、これを踏まえまして、畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団、それぞれ経理事務あるいは交付金の交付の業務、さらには蚕糸砂糖類価格安定事業団の場合ですと、生糸の輸入業務に係る事務あるいは国内産糖売買業務に係る検査事務等につきましてOA化の推進を図っているところでございます。新事業団におきましても、こうしたOA化の推進につきましてはさらに進めるということになると考えております。  なお、OA化の推進が人員の削減につながるかということでございますが、両事業団とも、業務の拡大、業務増加に対応しつつOA化を推進し、事業団内部の業務効率化とあわせて、利用する側に対するサービスの効率化といった点からもOA化を推進しているところでございます。OA化の推進が直ちに人員の削減につながるというふうには考えておりません。先ほど申し上げましたように、人員の削減につきましては、全体として平成十三年度までに約一割程度の削減ということで推進したいというふうに考えておるところでございます。
  26. 山崎泉

    山崎(泉)委員 時間ですからこれで終わりますが、先ほども申しましたように、今後の新しい事業団の発展のためにも、ぜひ関係する労働組合との密なる話し合いを進めながら事業を発展させていっていただきたいということをお願い申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  27. 松前仰

    松前委員長 仲村正治君。
  28. 仲村正治

    ○仲村委員 大原農林水産大臣には、昼間の参議院の予算委員会そして当委員会での審議への対応、大変御苦労さまでございます。それと申しますのも、皆様の方から希望して、ナイターでもいいからやろう、こういうことになっておりますので、どうぞひとつ頑張っていただきたいと思います。  そこで、今議題になっております農畜産業振興事業団法案について若干御質問を申し上げたいと思います。  現在の畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団、両事業団を解散して新たに農畜産業振興事業団設立する、こういうことでありますが、今までの畜産振興事業団にいたしましても蚕糸砂糖類価格安定事業団にいたしましても、その役割、任務というものは、非常にわかりやすい仕事をしておったわけであります。これは、いわゆる国内産や輸入品の需給調整をして、価格の乱高下のあるときには在庫調整をして、それによって価格の安定を図る、そして輸入品から調整金をとって国内生産対策を図る、そういう重要な役割を担っておったわけです。そういう状況の中で農産物輸入自由化が非常に急速に進んできた中で、この事業団役割というのが、果たしてどういうのが今あるのか、この点についてはいささか疑問の残るところであります。  したがいまして、この両事業団を解散して新しくつくられる農畜産業振興事業団というものの目的、役割というものがどういうものであるのか、ひとつ大臣の方からはっきりお示しいただきたいと思います。
  29. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 今回の両事業団を解散して新事業団設立するという法案を提出するに当たりまして、先ほど大臣からも申し上げましたが、現在両事業団が有している価格安定あるいは国内振興業務については、基本的に新設の事業団がすべて引き継ぐということを基本的な内容といたしております。  行政改革一環として両事業団統合し新設の事業団とする、そうしたことによって価格安定等の業務を効率的に行う、そのために組織合理化等、合理化のメリットを生かすということは当然でございますけれども、両事業団が有していた基本的な機能についてはこれまでどおりその役割を果たしていくということで新事業団設立するという法案を提示して御審議いただいているところでございます。
  30. 仲村正治

    ○仲村委員 今お話がありましたように、我が国の行政機構が戦後五十年の間に際限なく肥大化し、これが国民の負担増加につながり、そして財政の硬直化を一層増幅させているのが現状であります。そのことが逆に、真に必要とされる国民ニーズへの予算配分を制約するという悪循環を起こしているわけであります。  そのような視点から考えますときに、やはり特殊法人の整理統合、廃止を含めて行政機構の改革を行う、そして行政経費の節減、行政のスリム化によって国民負担の軽減と行政の効率化を図るという点につきましては、まさにこれは時代の要求である、こういうふうに考えております。  我が新進党も、行政改革を党是としている立場から、今回提出された法案がその趣旨に沿うものであれば基本的に賛成をするものであります。しかし、果たして今回の両事業団統合行革法案という看板どおりの中身を伴うものであるかということにつきましては、これから議論をして、皆さんからいろいろと説明を受けていきたい、こういうふうに思っているわけであります。  そこで、新事業団と旧事業団の維持管理経費がどれだけ節減されるかということについてでありますが、新事業団になった場合に、今まで両事業団に一般会計から支出された財政負担がどのように変わっていくのか、それがまず一点であります。先ほども質問がありましたが、この事業団統合に伴い役員及び職員の人数がどれだけ合理化されていくのか、これはもう経費節減という面で強く求められていることでありますが、その点について説明をいただきたいと思います。
  31. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 新事業団業務機能につきましては、現在有している両事業団機能を引き継ぐということでございますけれども、新たに設立される新事業団につきましては、業務効率化組織合理化ということを改革内容としているわけでございます。  具体的な点で申し上げますと、まず管理部門の一本化ということで組織の再編をしているわけでございます。  一つには常勤役員削減、これは、現在両事業団の常勤役員が十五人おりますが、新事業団では常勤役員を十一人にする、そのことによります役員給与削減がございます。  それから、職員でございますけれども平成十三年度まで今後六年間にわたりましておおむね一割を削減していこうということで、それによります職員給与削減がございます。  また、砂糖関係では出張所が現在八カ所ございますが、それを計画的に削減していこうということで、この出張所の廃止に伴う経費の削減というのが見込まれております。  さらに、現在、当然のことながら両事業団別々の本部でございますが、今後統一した本部事務所を持とうということで計画をいたしておりますので、本部事務所が統一された場合の共通経費の削減ということも見込まれるわけでございます。  現時点で具体的な額を試算することはなかなか困難でございますが、今申し上げましたような点で相当の経費節減は見込まれるというふうに考えております。
  32. 仲村正治

    ○仲村委員 まず役員十五名を十一名にする、それから職員二百十二名を平成十三年までに一〇%削減する、こういうことでありますが、もちろんこれは生首を切るわけにいかぬですよね。ただ、今後の合理化計画として平成十三年までの五カ年間二十名というのは、先ほど申し上げましたように、やはりこれは行革法という看板にふさわしい統合、整理であるのかという感じがしてならないわけであります。したがいまして、今後、五人の定年退職者がいたらやはり一名か二名ぐらいは補充せぬといかぬでしょうが、そういう形で徹底的に人員削減を図っていかなければこれは統合した意味がない、こういうふうな感じを持ちますけれども、この平成十三年までの一〇%、もうこれで終わりましたということになるのかどうか、その点について。
  33. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 現在の両事業団の有している機能、これを新事業団で引き継ぐということにしておりまして、両事業団が現在有している役割機能につきましては、当然新事業団が同じように果たしていくという必要がございます。また、それぞれ畜産あるいは蚕糸砂糖類関係での果たしている業務は今後とも増大するという点も見受けられるわけでございます。  そういう意味で、現時点では、平成十三年度までに約一割程度を目途として削減を行うこととしております。また、それは、先ほど来申し上げておりますように、定年退職の不補充、新規採用の抑制ということで、強制的な解雇を伴わない形で定員削減をしてまいりたいというふうに考えております。  お尋ねのように、今後さらに定員の削減ができるかどうかということでございますが、現時点では約一割程度を目途にということで計画をいたしておりますけれども、今後の新事業団の果たす機能役割にもかかわる問題だと思いますが、私ども、現在の両事業団がそれぞれの法律に基づいて付与されております業務、それはやはりきちっと的確に実施していかなければならないというふうに考えておりますので、現時点でこれ以上の削減についてはなかなか難しいというふうに考えております。
  34. 仲村正治

    ○仲村委員 先ほども指摘申し上げましたように、行革法という看板に偽りありと言われては困ります。したがいまして、なぜ私がこのようなことを強く指摘するかと申しますと、この農産物自由化がもう際限なく拡大されていく中で、今まで事業団が果たしてきた役割というのは、ある意味でその仕事の面では半減していく。そういう点から、先ほど申し上げたように、何も生首を今切れというわけではございませんが、今後の、定年退職者が五名出たら二人は補充するというような形で、さらなる人員削減によっての合理化というものはやはり今時代が求めていることだ、こういうふうに思っておりますので、ぜひ御努力お願い申し上げたい。  そこで、私はお尋ねしたいのは、この畜産事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団に農林省からのいわゆるOBの天下りという方が何名いらっしゃるのか、この点について説明をしていただきたいと思います。
  35. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 現在の両事業団役員のうちの農林水産省の出身者の人数ということでございますけれども、まず畜産振興事業団につきましては、常勤役員について申し上げますと、六名のうち四名が農林水産省の出身者でございます。また、蚕糸砂糖類価格安定事業団につきましては、九名の常勤役員のうちの六名が農林水産省の出身者でございます。したがいまして、両事業団合計では、十五名のうち十名が農林水産省の出身者ということになっております。  なお、非常勤役員がこのほかに両事業団合わせまして十名おりますけれども、この非常勤役員十名の中には農林水産省の出身者はございません。
  36. 仲村正治

    ○仲村委員 特殊法人の整理を言う中で、なかなか役所の方が腰が重い、その点は、いわゆるその天下り先を温存していきたい、こういう指摘がよくなされるわけであります。この点につきましては、今後もそういう形でいわゆる農林省からの天 下りというのは続いていくのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  37. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 統合後の事業団役員の大事につきましては、先ほど申し上げましたけれども理事長及び監事農林水産大臣が任命をする、また、理事長農林水産大臣の認可を受けて副理事長理事を任命するということでございます。そうした中で新事業団の円滑、的確な運営にふさわしい方が人選をされるということになると考えておりますが、また同時に、国家公務員出身者の役員の数の抑制という閣議決定もございます。これまで両事業団も内部の登用理事に任命されているという実態もございます。そうした閣議決定趣旨も反映された人事がなされるものというふうに考えております。
  38. 仲村正治

    ○仲村委員 今の住専の問題といい、いろいろな面で、役所からの役人の天下りについて国民的な厳しい批判があるわけであります。そういう中で、私は、今後こういった農林関係事業団に対しても、やはり天下りということについては国民の批判を受けない形できちっとした対応をすべきである、こういうことを指摘を申し上げておきたいと思います。  そこで、現在の畜産振興事業団でありますが、これは牛肉の輸入自由化以前に、ずっと前にできたわけであります。したがいまして、この牛肉の輸入自由化以後の業務量というものがどんなに変わってきたのか。あるいはまた、昨年からWTO協定に加盟をしてさらなる自由化が一段と進んできた、こういう状態の中で、今までの調整金の徴収などの業務、こういったものがどのような形でなされて、輸入自由化以前と以後と、あるいはまたWTO協定発足後、その業務量というのが変わってきたのかどうか、その点について説明をしていただきたいと思います。
  39. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 畜産振興事業団につきましては、昭和三十六年に畜産物価格安定業務と債務の保証業務を実施する事業団として設立されておりますけれども昭和三十七年に助成業務が加わっております。また、昭和四十年に加工原料乳生産者補給金等暫定措置法によるいわゆる加工原料乳不足払い業務を開始しております。さらに、昭和四十一年に輸入牛肉業務を開始しております。また、昭和五十年に国産牛肉の価格安定業務と牛肉の一元輸入を開始したわけでございます。  その後、昭和六十三年に牛肉の輸入自由化決定したわけでございますけれども、実際の牛肉の輸入自由化というのは平成三年からでございますが、昭和六十三年に自由化決定いたした際に、牛肉の輸入自由化に対応する国内措置といたしまして、牛肉の子牛の生産者に補給金を交付するということで、交付業務平成二年から開始をいたしております。それが自由化前と自由化後で一番大きな変更でございます。  なお、その後、ウルグアイ・ラウンド農業合意、WTO協定の締結ということで、そのウルグアイ・ラウンド農業合意の中で、指定乳製品につきましては関税化をいたしたわけでございますが、それに伴いまして、指定乳製品等の国際約束に基づく輸入業務、つまりウルグアイ・ラウンド農業合意で約束いたしました指定乳製品のカレントアクセス分の一元輸入、そういった業務を今度は新規に行うということでございます。同時に、関税化をいたしました輸入乳製品につきましては、輸入の際に関税相当量を支払って輸入されるということになりますので、その関税相当量を畜産振興事業団が徴収するという業務が新たに加わったということでございます。  ちなみに業務量でございますが、量で申し上げるのはなかなか難しいところでございますので支出予算額に相当する金額で申し上げますと、昭和三十七年度は六十七億円がいわば業務事業費でございますが、昭和五十年に九百八十三億円、昭和六十年が二千二十六億円、それから平成六年度が二千五百六十五億円ということで、業務量は相当拡大してきているという状況にございます。  なお、今後の業務量ということでございますけれども、現在のWTOの枠組みのもとで牛肉の関税が国際約束に従いまして少しずつ低下をしていく、そういう中で国内の牛肉生産の振興を図っていく。それについては、先ほど申し上げました肉用子牛の補給金の事業が大変重要でございますけれども、この面での業務というのはなお相当業務量が見込まれるということがございます。  また、指定乳製品のカレントアクセスの輸入あるいは輸入されます関税化された乳製品の関税相当量の徴収業務、そういったものを考えますと、現在の業務量程度はなお見込まれる、同じ程度の業務量が見込まれるというふうに考えております。
  40. 仲村正治

    ○仲村委員 牛肉の輸入自由化以後は全くタッチしないで関税が国庫に納まるわけですね。その分を一般会計に計上して、事業団国内肉用子牛助成対策として配分をする。そのほかに屠畜場の整備とかあるいは流通機構の整備とかそういったことをやるわけでありますけれども、ただ、このWTO協定の合意によりまして、今後六年間で今の五〇%が三八・五%になる。これは関税率が下がるわけです。まあ輸入量は少々ふえると思いますけれども、やはり関税による収入というのは減っていく。そうすると、国内肉用子牛助成対策費というものが果たして今どおりの予算が確保できるのかなという点と、各都道府県にその助成対策のための基金があるわけですが、その基金の果実でもって助成対策の支援をやっている。そういうものを考えますと、これは今後非常に問題になるなというふうに考えますけれども、その点については今までどおりに国内肉用子牛の助成対策ができるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  41. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 御指摘のとおり、牛肉の関税につきましては平成六年度に五〇%でありましたけれども平成十二年度までに段階的に三八・五%まで引き下げられるということになっています。  なお、関税収入でございますけれども、これまでのところ関税が年に二%弱ずつ下がっておりますが、それに見合う、あるいはそれ以上の輸入増加ということもございまして、関税収入につきましてはほぼ同額が確保されているという状況にございます。  なお、国内の生産の維持ということでございますけれども一つには、この関税引き下げの合意に当たりまして、輸入牛肉の輸入量が急増した場合には関税を五〇%まで引き上げるということで、実はことしも既にフローズン、つまり冷凍輸入牛肉につきましては前年の輸入量の一一七%を上回りましたので、いわゆるセーフガードを発動したところでございますが、輸入牛肉の急増に対しましては、そうしたセーフガードの活用によってまず対処してまいるということであります。  次に、国内の生産対策でございますけれども、やはり基本的には肉用子牛生産者補給金制度を、これは関税収入を財源とする事業でございますが、この制度の十分な活用によりまして、子牛生産、またそれに基づきます肥育生産等の維持拡大を図っていきたいというふうに考えております。あわせまして肥育経営につきましても、収益性が悪化した場合には必要な経費を助成するという緊急肥育対策も実施しております。  また、肉用牛の生産性向上、例えば受精卵移植技術とか、そういった新技術の応用による生産性向上等によります国内生産の効率的な運営の確保ということも重要だというふうに考えております。  そうした総合的な対策を講ずることによりまして、国内の牛腐生産の維持拡大はぜひ図ってまいりたいというふうに考えております。
  42. 仲村正治

    ○仲村委員 国内肉用子牛の一頭当たりの助成金が約三万円ということになっているわけでありますが、大体畜産地域というのは、稲作や畑作の非常に効率のいい平場にはないわけです。ほとんど山間僻地あるいは離島、こういうところで畜産をやっているというのが現実の姿であります。したがいまして、非常に交通の利便の悪い地域はいつも買いたたかれる、こういうことで不利な状態 にあるわけでありますが、そういう地域の市場に対しての事業団などの監視というのですか指導というのですか、そういうものをきちっとやるべきであるという点と、いわゆる交通の不便な地域からの子牛の移動につきましての輸送費の追加措置、支援措置というものが現在も行われていると思いますが、さらにこれを追加して行うべきである、こういうふうに思いますけれども、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  43. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 確かに御指摘のとおり、国内の肉牛の生産地域、必ずしも平たん地だけではなくて、山間地あるいは離島でも飼育されているわけでございます。私ども価格動向を注視してまいりますと、確かに離島あるいは僻地での肉牛の価格というのが一般的な価格に比べて価格差が大きいということがございましたけれども、近年では、そうした地域での生産、肥育の技術の向上等によりまして価格差が縮小傾向にあるというふうに申し上げてよいかと思います。  また、私ども、そうした僻地あるいは離島での肉牛振興も大変重要だというふうに考えております。基本的には、やはりそうした地域におきます肉用牛の質の向上というのが大変重要だと思われます。そうした意味で、現在もそうした地域におきます牛群の改良事業につきまして助成をいたしておるわけでございます。  同時に、家畜市場での取引の形態の問題もございます。私ども、家畜市場の整備等を推進する中で、そうした離島における市場の活性化ということも図ってまいりたいというふうに考えております。  また、今御指摘がございましたそうした離島などの条件不利地域で生産された肥育素牛を販売する場合に、輸送費の助成が必要ではないかということで、これも数年前に実現をいたしまして、肥育素牛の輸送費の助成を現在行っているところでございます。  そうした施策をこれからも充実することによりまして、地域における肉牛生産の振興を図ってまいりたいというふうに考えております。
  44. 仲村正治

    ○仲村委員 今、イギリスで起こっております狂牛病問題ですが、我が国にどのような影響が出ているのか。今、国内で流通している牛肉は、国内産と輸入品という仕分けの仕方しかやっていないということでありますけれども、イギリスあるいはその経済圏にあるEUなどからの輸入があるのかないのか。今後、この狂牛病の侵入というか汚染というか、その防止対策として何を、どういう対策をお立てになっているか、お答えをいただきたい。
  45. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 現在、大変国際的な話題になっておる狂牛病でございますが、本病につきましては、最近では三月二十日に英国の狂牛病の諮問委員会が、人間で似た病気でありますクロイツフェルト・ヤコブ病というのがございますが、その病気の患者の十名が狂牛病の感染牛を食したことから発病した可能性があるという発表を行ったわけでありまして、そこから今回の話題が国際的に広まったということでございます。  その後、EUにおきましては、英国産の生きた牛、牛肉等をイギリスからEUの域内あるいは第三国へ輸出することを禁止するという決定をしたわけでございます。  私ども、その間、国際的な論議を十分注視してまいったわけでございますが、従来、英国本島からは牛肉あるいは牛の臓器等は一九五一年以来輸入禁止措置をとっております。また、生きた牛につきましても一九九〇年から輸入禁止にしているわけでございますが、先ほど申し上げましたようなこうした国際的な動きを勘案いたしまして、三月二十七日には、今申し上げましたような措置に加えまして、イギリスからの牛肉加工品等の輸入も、万全を期す観点から輸入を禁止したところでございます。  なお、その後、今先生から御指摘がございましたように、原産国表示の徹底という問題が生じましたので、三月二十九日に畜産局長通達を発しまして、従来、確かに御指摘のとおり、国産牛肉あるいは輸入牛肉という表示でいいということでございましたけれども、原産国、原産地を表示するようにという指導通達を発したところでございます。  さらにその後、四月二日から三日にかけましてWHOの専門家会合が行われまして、それを受けまして、四月十一日には食品衛生調査会の委員会が開催をされております。そうした中で、この狂牛病に対します各国がとるべき措置等が示されたところでございます。  私ども、今申し上げましたように、基本的には英国からも輸入禁止をいたしておるわけでございますが、さらにそれを補完する措置といたしまして、四月十六日には、牛とか羊等の組織、これは内臓等でございますが、組織を用いた飼料の原料を牛とか羊、つまり同じ類型の動物でございますが、そうした牛とか羊等の飼料としないようにという通達を出しております。また、英国産の牛とか羊等を原料とする動物用医薬品等についても、当分の間、製造あるいは輸入しないようにという指導通達も発したところでございます。  さらに、二十三日には、今週の火曜日でございますが、閣議決定をいたしまして、狂牛病等につきましては家畜伝染病予防法の適用を受ける疾病として指定をするという政令を制定したところでございます。これは、狂牛病あるいはそれと類似しております羊のスクレイピー病、そうした病気が発生した場合には直ちに届け出ることという義務を課したわけでございます。また、そうした病気にかかった牛あるいは羊につきましては殺処分命令を出す。この殺処分命令につきましては補てん措置も法律上認められているわけでございますが、そうした国内措置をとったところでございます。  以上申し上げましたように、私ども、現在まで国内で狂牛病の発生はございませんが、これまで以上に水際での狂牛病の侵入防止には万全を期してまいりたい、また国内での監視体制につきましてもなお一層体制を強化してまいりたいということで、以上のような措置をとったところでございます。今後とも、狂牛病の侵入あるいは発生につきまして万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  46. 仲村正治

    ○仲村委員 イギリスでは狂牛病汚染牛の四百万頭を処分する、これはどのぐらいの期間で処分するのか。処分するといっても、恐らく焼却などの処分の方法じゃないかな、こういうふうに思います。  これだけ大量の牛が処分されるとなると、世界の牛肉の需給関係に多大の影響が出てくるというふうな感じを持つものでありますけれども、今後の国際相場の面で、これがいろいろ影響を受けないのかどうか、その点について。
  47. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 私どもが得ている情報では、イギリスは四百万頭ないし五百万頭を五、六年かけて殺処分にするという情報がございます。また、それに対しましてEUの委員会が助成をするということが報じられております。他方、その後英国政府は、それよりもかなり小さい規模での殺処分の計画を公表しているということもございまして、私ども、最終的にどのような今後の殺処分計画になっておるのか、まだはっきりと最終的な情報を得ていない状況にございます。  なお、国際的には英国からの牛肉の輸出量は、国際貿易に占める割合というのは、さほど大きな割合を占めるものではございませんので、今回の狂牛病に関する英国の殺処分計画が国際的に価格に大きな影響を与えるというふうに私どもは考えておりません。
  48. 仲村正治

    ○仲村委員 次に、蚕糸砂糖類価格安定事業団関連してお尋ねをいたしたいと思います。  その中の砂糖についてでありますが、価格安定という名のとおり、この事業団設置当時は、砂糖価格は国際情勢に左右されて乱高下がよく起こったものであります。例えば、スエズ動乱が起こったとか、あるいはキューバ危機が起こったとか、そういうようなときに投機的な商品としてよく利用されて暴騰したり、あるいは下落したり、 そういうことを繰り返したわけであります。そういうところがら、名称のとおり価格安定事業団というふうになってその役割を担ってきたと私は思っております。  そして、砂糖の消費量も、当時としては二百八十万トンから二百九十万トンぐらいであったと思いますけれども、その後、輸入トウモロコシのコーンスターチでつくられる異性化糖が今ではもう七十万トンにも達するようになりまして、それに押されて輸入糖は約百六十万トンぐらいまで落ちてきたわけであります。そして、輸入糖と異性化糖から徴収されるいわゆる調整金をもって、国内糖の約七十五万トンから九十万トンの助成措置国内の産糖事業が成り立っている、こういうことでございます。したがいまして、この制度の継続は、北海道のてん菜糖や沖縄、鹿児島の甘蔗糖の生産対策で非常に重要な事業であります。  したがって、この新しい事業団統合された後も同様の事業が継続されなければならない、こういうふうに思いますけれども、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  49. 中須勇雄

    中須政府委員 御指摘のとおり、砂糖についての価格安定制度と申しますのは、国内糖価を安定させるということと同時に、北海道あるいは沖縄、鹿児島県等におきます甘味資源作物、これは地域にとっては大変基幹的な重要な作物であるというふうに認識をしておりまして、輪作体系の維持であるとか、他にかわり得る作物がない、そういう地域農業にとって極めて重要な作物について生産を安定して行う基盤をつくる、そういう意味において、砂糖価格安定制度は極めて重要な意義を持っているというふうに考えております。  したがいまして、今回、両事業団統合ということが行われるわけでありますが、この価格安定業務については、当然のことながら従来どおりしっかりと運営を行っていくという考え方で対処してまいりたいというふうに思っております。
  50. 仲村正治

    ○仲村委員 この砂糖価格の面で考えると、輸入糖ははるかに安いので、国民の中には、何で無理して国内砂糖生産のために財政負担をするのかという意見もあります。確かに、金さえ出せば外国から安い砂糖が買えるのでありますけれども、そのような考え方に立ては、米だって麦だって牛乳だってあるいはまた牛肉だって、国内主要農畜産物はすべて同じような視点で農林水産業が全般的にその批判にたえ得る答えを出さなければならない、こういうふうに思っております。  したがって、私は、農林水産大臣にこの基本的な考え方を再度お伺いするのでありますけれども、この統合された新事業団役割または業務は、砂糖類価格安定という考え方国内産糖事業、特に関連する生産農家の所得保障をしっかり守ってあげるための事業を行っていくということについての確認をしていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  51. 大原一三

    大原国務大臣 仲村委員は、日本のサトウキビの主産地にいらっしゃるわけであります。サトウキビについては日ごろ非常な関心をお持ちのことは、私もよく知っております。  今回の統廃合によって事業団機能が低下するということは、あってはならないわけであります。ただし、管理部門等における冗費の節約ということは、あるいは行革の本旨に従ってやむを得ないのではないかと思うのです。  したがって、それぞれ三つの事業を抱えているわけでありますから、三つの事業部はそれぞれの機能がそれぞれ違うわけでありますから、サトウキビ、つまり糖価につきましても、従来同様、その事業部はしっかりした仕事ができる体制を我々としては確保していかなければならぬ、こういう考え方でございまして、委員指摘のように、従来どおり我々としては万全を期していきたい、かように考えております。
  52. 仲村正治

    ○仲村委員 どうも御決意の御披歴、ありがとうございました。  この法案提出に当たって、衆議院の農林水産委員会調査室からいただいた資料の中の四十九ページから五十ページに「農産物価格安定制度の課題について」ということがあります。その中で、行政改革委員会規制緩和小委員会は、農産物の各種価格形成や農業政策内容または諸外国の価格制度の実情等について情報提供をすべきであるとか、価格安定業務について価格支持に伴う負担の実態がわかりにくいとか、あるいは価格決定を市場原理にゆだねていないことが内外価格差を生じさせているとか、こういう指摘があるわけであります。この指摘に対して、農林水産省はどのように反論というか説明というかお答えを出されるおつもりか、お尋ねをしたいと思います。
  53. 高木勇樹

    高木(勇)政府委員 お答え申し上げます。  今、委員指摘のとおり、行政改革委員会でいろいろな議論が行われているわけであります。私どもとしては、農産物価格安定制度というものは、生産者だけでなく消費者にとりましても、国内農業生産の維持、食糧の安定的供給といった面で大変重要な役割を果たしておりまして、今後とも農政の基本として位置づけていくことが必要だというふうに考えております。  また、ただいま委員が申されましたとおり、農産物価格安定制度に対する批判の大きなものといたしましては、一つは、原料農産物等の内外価格差が大きい、それから、行政価格決定面で透明性が確保されていない、そのほかいろいろございますが、大きな点はそういうものではないかと思っております。  まず第一点目の、内外価格差の問題につきましては、私ども、これまで農業者の努力によって生産性向上が図られると、その一部につきましては価格に反映させてきたわけでございまして、現実に、現在の行政価格昭和五十年代初頭の水準ということでございます。  また、内外価格差の問題でもう一つ考えなければならないのは、先般公表いたしました農業白書でも分析をいたしておりますように、諸外国との間での農地価格が大きく差があるということとか、生産資材価格、エネルギー価格にもいろいろな内外価格差があるとか、また為替の問題等がありまして、農業内部の努力だけでは解決できない問題、要因を抱えている、こういつたことにつきまして私どもとしては強く反論もいたし、また御理解を求める努力をしているわけであります。  また、行政価格決定の透明性の問題につきましては、価格安定制度の仕組みといったようなもの、さらには農業政策、これについてもわかりやすく説明した資料を配付いたしておりますし、また各種の価格決定関係します審議会の議事要旨を公表するといったような情報提供を推進いたしておりまして、そういった点で透明性の確保に努めておるところであります。  基本的には、今後、やはりWTO協定の発効など新たな国境措置に置かれているわけでございますから、効率的、安定的な経営体が農業生産の大宗を担っていくという姿を早急に実現していくことが必要でございます。そのために、生産、流通、加工面での施策の充実強化、そういったことを通じまして、適正な価格で食糧を安定的に供給していくということを私ども政策の中心に据えているわけであります。  いずれにしましても、この農産物価格安定制度につきましては、一面からだけで議論されるべきものではないと私どもは思っておりまして、農業、農村が持つ多面的な機能とか、国際的な食糧需給の問題とか、諸外国の農業政策、こういったものも十分に考慮して総合的な観点から議論されるべきだと主張をしているところであります。  私どもとしましては、これからもこういった価格安定制度機能役割につきまして、国民の理解が得られるよう努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  54. 仲村正治

    ○仲村委員 ぜひこれは、食糧安保という立場から、全国民の負担で国内での一定の自給率を維持する、こういう点は理解を求めていかなければならない、その点についての本当にわかりやすい説明をしていただかなければこういった間違った意見が出てくる、こういうふうに思っておりますので、その点については十分ひとつ努力をしていた だきたいと思います。  世界は食糧危機にそんなに長くない時期に遭遇するであろうとよく言われているわけであります。本当は、今みたいにいつまでも日本も世界も平和であって、金さえ出せば幾らでも食糧の輸入ができる、こういう時代が続いてほしいのでありますけれども、しかし、いっかそうでなくなったときのために最低限国内での食糧生産基盤を維持していくためには、国民の負担でそれを措置しなければならない、その対策を立てていかなければならない、こういうふうに思っております。それが今の価格支持政策だと私は思っております。  大臣、この価格支持制度、不足払いの制度の今後の継続についてどのようなお考えをお持ちか、御所見を承りたいと思います。
  55. 大原一三

    大原国務大臣 委員先ほど資料に基づいてるる引用されましたが、大変、日本農業に対する誤解が、これらのオピニオンリーダーの中にいるということですね。正直言いまして、アメリカは百八十ヘクタール、日本は一・二ヘクタール、勝負をしたら最初からこれは負けるに決まっている勝負でありまして、そういう状況の中での農業自給率の拡大ということは、国是の一つになっていると私は思うのです。  今おっしゃったように、二十一世紀の半ばには地球人口が倍になる。目の前には十二億という中国の民がいる、その向こうには九億というインドの民もいる、生活水準が上がってくれば酪農製品から牛肉製品へ嗜好が移行するであろう。そういうことになった場合に、今牛肉一キロに対して十一キロの飼料を食べさせているわけでございますが、日本のそういったぜいたくな農業一体いつまで続けられるかということになりますと、私は非常に日本農業の将来に、世界的な食糧危機の中でどういう位置づけをしていかなければならぬか、二十一世紀の中になって、失敗をした後でほら見たことかではこれは始まらぬわけでございまして、たとえ多少とも内外価格差が、コストが高くても、そういった将来のことを考えれば、国民の理解を得ることによって自給率をふやしていく手法、価格政策プラス構造政策をやはり地道に展開していく必要があるだろう、こう思います。  財界の一部には、買えばそんな高いものをつくらぬでも安く買えるじゃないかという短絡的な食糧政策を考えている人が非常に多い、極めて残念なことに私は思います。
  56. 仲村正治

    ○仲村委員 私の期待どおりの御答弁をいただいて、本当に心強く思っているところであります。  私は余りゴルフはやりませんけれども、年に一、二度ゴルフ場に行きますと、いつの日かこのゴルフ場が農産物をつくる場所になりはしないかなということをいつも思っているのです。できるだけそういうことがないように願ってはおりますけれども、しかしそういうときのために、やはり国内の生産対策というものは保険を掛けるという気持ちでこれを守っていかなければならない、こういうふうに思っておりますので、どうぞそのようにひとつ頑張っていただきたいと思います。  次はローカルの問題で大変失礼でありますけれども、沖縄のサトウキビの農家手取り価格が品質取引になりましてことしは二カ年目であります。ことしは、久米島は特別に成績が悪い状態でありました。しかし、他の地域は全般的に、昨年夏には台風もない、雨も順調に降った、そして登熟期の初冬から冬にかけて非常に気温が下がって登熟度が非常によかった、したがいまして、ことしのサトウキビは、六一・八%が基準糖度帯内に入っておりまして、平均農家手取りも二万八百二十二円というふうになっております。  しかし、久米島などは基準手取り額を下回って二万百九十七円。北部製糖地域が、これも基準価格を下回って二万三百五十七円。中部に経済連工場がありますけれども、この地域も基準価格を下回っておりまして、二万三百六十六円。相変わらずこういうふうに厳しい状態にあることもまた事実であります。  ことしみたいに暴風雨も来ない、雨も順調に降った、冬は適当に寒かったという年は、これはもう五年に一回あるかないかというような極めて異例的な恵まれた年であったと思いますので、私がかねがねこの基準糖度帯が非常に上に行き過ぎていると言う点については、ことしはちゃんと平均価格も上がったじゃないかというようなおっしゃり方をなさるかもしれませんけれども、しかし、私が今申し上げておりますように、今決められている一三・一から一四・三まで、暫定的に一二・九まで同じように払うようになっておりますが、これは三年間ですよね。ですから、それを過ぎるともう一三・一以上しかできませんよということになるわけであります。  したがって、米ももう何年間も据え置きしてきた、麦も据え置きをしてきた、バレイショでん粉も据え置きをしてきた、牛乳も据え置きをしている、そういう中で去年はサトウキビ代が千九百円下がったわけです。だから、農家はもう本当に、なぜサトウキビだけ下げるのかという怒りが非常に強かったわけであります。  したがって私は、ごく平均的な年になった場合に、これは必ず私の指摘どおりの状態になる、こういうふうに考えておりますので、ひとつ今後の推移をしっかり見守っていただきまして、そういう値下げの状態にならないようにぜひ対応していただきたい、こういうことを最後に御希望を申し上げたい。もう一点ありますが、この点についての御見解をひとつ承りたいと思います。
  57. 中須勇雄

    中須政府委員 ただいま御指摘のとおり、平成六年産からサトウキビについては品質取引を導入するということで、基準糖度帯、御指摘のとおり一三・一度から一四・三度、実質的には定着化対策費の配分を通じまして一二・九度から一四・三度まで、こういうことで発足したわけでございます。まさに先生指摘のとおり、発足した最初の年、沖縄にとっては大型台風の襲来等によりかなり厳しい状況であった。一転、七年産については、ごく一部の地域的なばらつきはございますが、平均的に見ますと、現在私どもが得ている数字では沖縄全県で平均一四・三度というような状況でございます。  いずれにいたしましても、品質取引、昨年度からスタートをしたというところでございますので、この基準糖度あるいは基準糖度帯の変更の問題につきましては、明年度以降の糖度の推移等も見きわめながら慎重に検討していかなければならない、こういうふうに考えている次第でございます。
  58. 仲村正治

    ○仲村委員 私は、去年もそうでありましたが、ことしも五日置きに糖業振興協会から各工場の糖度の状態、搬入状態、全部ずっとにらめっこをしているところであります。それほど沖縄にとってこのサトウキビ産業というものが農家の経済に大きな影響力を持っているという観点から、私は非常に強い関心を払っていつも見守っているところでございますが、ぜひ今御答弁がありましたように、今後農家手取りがこの平均二万四百十円を下回らないように、その措置をぜひとっていただきたい、こういうことを御希望申し上げておきたいと思います。  最後に、前後いたしますけれども、全酪連の新潟県の長岡工場と宮城県の宮城工場での脱脂粉乳と生クリームをまぜた牛乳を販売した事件について農林省は調査をしたと思いますが、この調査結果の報告——特に私は、事もあろうに全酪連という全国組織の権威ある組織内工場で起こった事件として、単に一工場の法律違反行為として片づけられてはならない、まことにゆゆしき問題である、こういうふうに思っております。  農水省はこの問題について厳しく対処していかなければならない、厳しい社会制裁を加えるべきである、こういうふうに思いますけれども、この問題についてどのような対処の仕方をなされているのか、いま一度御答弁をお願いいたします。
  59. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘になりましたように、私どもも今回の全酪連の不祥事につきましては、極めて遺憾な不祥事であるというふうに強く感じているところでございます。  まず最初に新潟県の長岡工場で三月九日に事件が発覚をしたわけでございますが、その後三月二十九日に宮城県宮城工場においても、態様は違いますが、同様の、類似の不祥事が発覚したわけでございます。私ども、直ちに全酪連から事情聴取をいたしまして、事件の内容をほぼ承知したわけでございますが、そこですぐ営業の自粛と製品の回収という指導を行ったわけでございます。同時に全酪連に対しましては、両工場における事実関係の究明、さらに責任者に対する厳正な処分、今後の全酪連の再建に向けた組織体制の整備という点で強い指導を行ったわけでございます。  これを受けまして全酪連の方では、三月三十一日付でございますが、会長と担当常務二名が引責辞任をいたしております。また同日付で、元の長岡工場長の免職、さらに関係職員退職あるいは本部の管理職員の減給処分というかなり厳しい内部の処分を実施したところでございます。  その後に生じました宮城工場の分にかかわります処分につきましては、現時点で事実関係がほぼ明らかになったということで、処分の内容も固まり、近々宮城工場分についての処分も行われるというふうに報告を受けているところでございます。  また、この両事件につきましては、現在警察が捜査に入りまして、捜査はまだ継続中でございます。  他方、食品衛生法に基づく行政処分がございまして、新潟県と宮城県ではそれぞれ長岡工場、宮城工場の営業禁止処分を発したわけでございます。これに対しましては、私どもも直ちに再発防止計画、改善計画の作成を指導しておりましたけれども、全酪連の方で再発防止計画を両県に提示をいたしまして両県の審査を受けていたところでございますが、四月、今月の十七日には新潟県から、さらに四月十九日には宮城県から営業禁止処分の解除ということで、営業禁止処分は解除されたわけでございます。これは、私どもの指導しておりました再発防止計画が両県によって適正なものと認められたというふうに私ども承知をいたしているわけでございます。こうしたことで、全酪連に対しましても私どもは強い指導を行ってきたわけでございます。  他方、同時にその全酪連の工場に出荷をしております酪農家も相当影響を受けたわけでございます。私ども、酪農家に対しましては、そうした影響をできるだけ小さくしなければならないという視点から、そうした生乳をほかの工場に振り向ける、さらに、振り向けられた生乳が適正に処理、加工されるということが必要でございますので、私どもからも中央酪農会議あるいは全農さらには他の生乳メーカーに対しまして、配乳の受理と適正な処理についての指導をいたしておりまして、現在それを受けて各メーカーとも協力をいただいて処理をしているところでございます。  私ども、こうした不祥事が今後絶対に起きないようにということで指導を強めてまいりたいと存じますし、消費者の飲用牛乳に対します信頼回復にぜひとも積極的に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  60. 仲村正治

    ○仲村委員 どうもありがとうございました。終わります。
  61. 松前仰

  62. 初村謙一郎

    ○初村委員 仲村議員の質問に引き続きまして、事業団の統廃合についてお聞きをしたいと思います。  昭和五十六年、ちょうど十五年前に日本蚕糸事業団糖価安定事業団が統一をされる。それで今の事業団がつくられておりますけれども、それをまたさらに畜産事業団と一緒に統合するということでございます。価格の安定であるとか価格支持政策を考えますと、日本農業の発展、国民生活の安定に大いに貢献をしたところであろうというふうに思いますけれども、今回の統合のメリットを一言で言うと管理費の削減というふうに書いてありますけれども、それだけでしょうか。ほかに何かメリットというものがございますでしょうか。
  63. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 統合のメリットというお尋ねでございますけれども、今先生が御指摘になりました組織合理化、これにつきましては管理部門統合のほかに、それぞれの業務につきましても再編整備を図っておりまして、新事業団におきましては九部二十五課一室という編成にいたしておりますけれども、従来の両事業団の部課数と比べますと、二部二課の削減ということにいたしております。  また、砂糖関係では、地方事務所の出張所は八カ所ございますけれども、今後計画的に再編整備を進めるということにいたしております。そういうことで、管理部門統合のほかにも業務体制の整備を図ったところでございます。  同時に、先ほど申し上げましたように、役員数につきましては二十七人から二十人へ約四分の一の削減ということを行っております。また、職員につきましても、今後平成十三年度までに約一割の削減に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  64. 初村謙一郎

    ○初村委員 今二十五課一室ということでございますけれども、その二つ事業団の今の数を数えますと二十七課一室なのですね。二つ課が減った。当然ながら総務部の方は総務とか人事とか、資金課というのが一緒になってくるというふうに思うのです。  そこで、これは通告にありませんけれども、今の蚕糸砂糖類価格安定事業団の中の蚕糸第一課と第二課の役割を、違いというのをちょっと教えていただけませんか。これは課長さんで結構です。
  65. 高木賢

    高木(賢)政府委員 一課は生糸の売買業務でございます。二課は助成業務を担当いたしております。
  66. 初村謙一郎

    ○初村委員 ここに組織図をいただいておりますけれども、この部門、今の蚕糸の一課、二課は今度どの部でやられるのですか。農産流通部なのか、輸入農産部なのか、農産振頭部なのか。
  67. 高木賢

    高木(賢)政府委員 新しい統合後の組織におきましては、農産流通部の農産流通第三課、ここが売買業務になります。  それから、その二つ下にある農産振頭部の農産振興第二課、ここが助成業務の担当に相なります。
  68. 初村謙一郎

    ○初村委員 そうすると、ちょっと名称が変わったのでわかりませんが、今からまた別の問題を局長さんにお聞きします。  農産流通第一課、第二課、第三課とあります。今三課の説明をいただきましたが、一課、二課は何をやるのか。それから、輸入農産部の一課、二課、農産振興第一課、二課は今お聞きしましたので、それぞれの各課の役割をちょっと後で教えてください。委員会中に教えていただきたい。  それから、局長さんにちょっとお聞きしますが、今両事業団で七つの勘定項目があります。一つ畜産物価格の安定に関する勘定、債務保証に関する勘定、指定助成対象事業等に関する勘定、生糸の価格安定に関する勘定、砂糖類価格安定に関する勘定、加工原料乳生産者補給交付金及び指定乳製品等の輸入、買い入れ、売り渡し等の業務に関する勘定、それから肉用子牛生産安定等特別措置法に基づく業務に係る勘定、七つあるわけですが、これを統合しますと、各勘定、七つの勘定項目が果たして、ある面では経理部の第一課、第二課だけでできるものなのかどうか。  それから、将来的な各勘定の見通しですね。統合はしたけれども、勘定がもうでたらめになったというふうなことがないようにもちろんしなければいかぬわけですが、その辺の見通しはどうでしょうか。
  69. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 七つの勘定でございますけれども、それぞれの勘定は、現在、両事業団が法律に基づいて付与されている機能業務を果たすための資金の収支のための勘定として、主として法律の業務の区分ごとに七つそれぞれ設けられているわけでございます。  今回、両事業団統合いたしまして新設の事業団とするに際しまして、基本的には、現在の両事業団がそれぞれの法律に基づきまして付与されている業務をすべて引き継ぐということにいたして おります。したがいまして、法律に基づく勘定として、今回新設の事業団では同じように七つの勘定を設けて業務の実施を行うということにいたしております。  なお、経理でございますが、確かに従来の両事業団で、例えば畜産振興事業団では経理課と資金課、さらに蚕糸砂糖類価格安定事業団では経理一課、経理二課、資金課というふうに分かれてございましたけれども、それが新事業団では経理の第一課、第二課、資金課という三課に分かれておりますが、経理面での処理につきましては、この経理部で統括的に業務の実施を行うわけでございます。  ただ、実際の業務につきましては、それぞれの担当部、担当課で実質的な業務を行うということで、経理面での混乱というのは生じないというふうに考えております。
  70. 初村謙一郎

    ○初村委員 園芸局長さん、わかりましたか。教えてください。
  71. 高木賢

    高木(賢)政府委員 先ほどの資料につきましては、今整理しておりますので、後ほどお答えいたします。
  72. 初村謙一郎

    ○初村委員 はい、わかりました。  もう一点ですが、これは細かく聞かせてください。ごめんなさいね、通告なしですから。  組織図をさっきいただきましたので聞かせていただいておるのですが、例えば今蚕糸砂糖類価格安定事業団の中に経理第一課、第二課、二つ課があるわけですね。これはどういうふうに分けておられますか。
  73. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 現在の蚕糸砂糖類価格安定事業団の経理部の経理第一課におきましては砂糖関係資金の管理、経理第二課におきましては蚕糸関係資金の管理をやっているということでございます。
  74. 初村謙一郎

    ○初村委員 そうしますと、今度統合後に、経理部がまた経理第一課と第二課しかないですね。第三課があれば私は何となくわかるのですが、今度の統合後の経理第一課と第二課はどういう分担をされますか。恐らく第一課が畜産事業団で、第二課が蚕糸砂糖類になりますか。
  75. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 統合後の新事業団におきまして、経理部の中の経理第一課におきましては、現在畜産振興事業団の経理課で所掌している畜産部門の勘定を所掌する。新設の事業団の経理第二課におきましては、現在の蚕糸砂糖類価格安定事業団の経理一課と経理二課を統合した形で、蚕糸及び砂糖類の勘定に係る事務を所掌するということにいたしております。
  76. 初村謙一郎

    ○初村委員 そうしますと、局長さん、統合をしなくても、今ある蚕糸砂糖類価格安定事業団の経理課は二つも要らなかったのですよ。統合するから、第二課で今の事業団のをやりましょうということでしょう。もともと、こういう事業団統合の法律が出る前に、財政支出をもっと緊縮にやっていこうとか、あるいは事業団の内部で課をもっと統合しようとかという努力をすればこれはできていたのじゃないですか。  例えば蚕糸砂糖類価格安定事業団、今一課で砂糖のことをやっています、第二課で蚕糸のことをやっています、統合するから、新しい事業団の第二課でその事業団のを一つでやりますというふうなことでしょう。そういうふうになりませんか。  これは僕は、統合後に一課、二課、三課あるのだったらいいのです。ただ単純に、事業団事業団がくっついて、体面上経理を一つにできない、一、二にしていた。その一つ事業団がもう一つの方と一緒になるから、第二でそのまま統合してやるんだ。そうすると、将来的にもしこれをもっと統合するとすれば、経理は一課も二課も要らないのじゃないですか。新しい事業団で一課、二課が要るのですか。
  77. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 確かに御指摘のような点もあるかと思いますが、新設の事業団におきましては従来の業務をそのまま引き継ぐということで、新設の事業団業務量あるいは資金収支の量というのは基本的には変わらないというふうに考えております。  したがいまして、ある意味で言えば、経理面について相当な業務を有する畜産と、他方蚕糸砂糖類価格安定に関します資金業務の、少なくとも二課は要るという判断でこの両課にしたわけでございます。  なお、御指摘のように、現在の蚕糸砂糖類価格安定事業団では経理一課、二課でできているではないかという御指摘もございます。同じような業務資金の収支について引き継ぐわけではございますけれども、そこは新設の課、経理第二課におきまして、新課長のもと、鋭意合理的に業務を進めるということで効率的な運営をしてまいりたいというふうに考えております。
  78. 初村謙一郎

    ○初村委員 私もその職員の方の生首を切るというふうなことはだめだというふうに思っています。しかし、やはり事業団内部で、農林省主導のもとにできるところは、やはり統合だと言われる前に、統合できるところはどんどんやられたらどうでしょうか。御提案を申し上げたいというふうに思います。  それから蚕糸につきまして、私どもの党内でも蚕さんという言葉でいろいろ思い入れがある、小さいころの思い出があるというふうなお話をいただいたこともございますけれども、例えば私ども地元のところの事業所も閉鎖をするというふうなことがありました。国産品の蚕糸動向といったものをどういうふうに今後見通しをされておられるのか。ゼロになるということはないと思いますので、お伺いしたいと思います。
  79. 高木賢

    高木(賢)政府委員 国内蚕糸につきましては、二つの大きな問題に直面して大変厳しい状況にあると思っております。  一つは、生糸の需要先であります着物ですけれども、これがいわゆる近年の着物離れというようなことによりまして、国内の生糸需要が年々減少しているということが一つでございます。  それからもう一つは、内外価格差ということもありまして絹織物の輸入増加しているということで、マーケットが小さくなる一方で強力な競争相手がいるという状況にあるわけでございます。  こういう状況ではありますけれども蚕糸業につきましては、中山間地域などの条件不利地域におきます地域農業あるいは地域経済に重要な役割を果たしているというふうに考えております。したがいまして、この繭糸価格安定制度によりまして、糸価の安定を図るというようなことで蚕糸業の経営の安定に努めてきたところでございます。  今後さらにどうなるかということでございますが、やはり国際競争というもの、特に中国の生糸との競争というものが大変厳しい状況にあろうかと思います。したがいまして、今後行政の適切な運営を図る、あるいは生産性向上を図るということが重要でございますけれども、現在の中国糸などの輸入糸の価格水準を考慮いたしますと、これは裸の競争はもちろん、価格でストレートに競争するということはいろいろな手だてを講じてもなかなか難しい状況にあろうかと思います。  そこで、今後は国産生糸につきましては、高品質化、銘柄化ということで輸入糸とのいわゆる差別化を図るということと、和装用需要を中心に高品質な絹織物の分野というところでの需要を安定的に確保するということが重要であるというふうに考えております。したがいまして、低コスト化とか生産性向上を図るということは当然でありますけれども、大きく二つ方向、すなわち高品質化、差別化というものを通じました国産繭・生糸の高付加価値化を追求するというのが一つ方向であろうと思います。  もう一つは、養蚕、製糸、絹業、これが一体となりまして、統一的な商品企画に基づいて生産販売を推進する、私どもはこれをブランド化の推進ということでやっておりますが、養蚕、製糸、絹業、この三者が一体となりまして、国産のものが使われる分野を維持しようということを考えております。  これが我が国蚕糸業の将来的な方向ではないかと考えておる次第でございます。
  80. 初村謙一郎

    ○初村委員 どうもありがとうございました。  これは事業団の方、本当に頑張っていただきたいという思いでいっぱいです。国内の畜産、蚕糸、生糸それから砂糖、それぞれ日本にあるものですから、ぜひ事業団らしい力強い決意で臨んでいただきたいというふうに思っております。  それから、先ほど出ました狂牛病につきましてちょっとお聞きをしたいと思うんですが、先ほど畜産局長さんから状況説明はあったというふうに思っておりますけれども、この狂牛病の原因、国内には発生してないというふうな安堵感を持っておられるようでありますけれども、病原といいますか、原因は何だというふうにお考えですか。
  81. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 狂牛病でございますけれども、牛の海綿状脳症というふうに言われておりまして、一九八六年に英国で初めて確認をされた、こういうふうに言われております。これはウイルスよりも小さなプリオンというものが病気の原因であるというふうに言われておりまして、必ずしもウイルス状のような細胞体ではないというふうにも言われております。  なお、今回の狂牛病が人のクロイツフェルト・ヤコブ病に転化したというイギリス政府の発表がございましたけれども、この要因といたしましては、英国におきまして、従来、羊等の肉とか骨粉等がえさに使用されておりまして、それを食べた牛が狂牛病になり、その狂牛病の肉を食べたのが原因ではないかというふうに推察される、あるいはそれが原因で発病した可能性があるということを英国政府が発表したということでございます。
  82. 初村謙一郎

    ○初村委員 そうしますと、ちょっと時間がないのではしょってお聞きをしますけれども、十年前に北海道で羊のスクレイピー病が五十五頭出たというふうなことでありますけれども日本国内で牛とか羊とか反すう動物の、特に北海道のスクレイピ一病のとは申しませんけれども、羊の骨粉を使った飼料とかあるいはペットフードとかといったものがつくられておりますか。
  83. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 羊のスクレイピ一病につきましては、これもやコブ病あるいは狂牛病と同類型の病気だと言われておりますけれども、羊から牛に感染をしたという事例は報告されていないというふうに承知をいたしております。  なお、日本におきますスクレイピー病の発病は、発症例は昭和五十九年にカナダから輸入した羊に例を見るわけでございますが、今先生が五十五頭とおっしゃいましたのは、五十九年以来一昨年までに発病し殺処分した羊の頭数の合計が五十五頭でございまして、ここ数年二、三頭の割合で発生をいたしておりましたけれども、私ども昭和五十九年以来、このスクレイピー病の撲滅に力を入れてまいりまして、指導通達も三度発しておりまして、発病の届け出と殺処分、焼却処分を徹底してまいったわけでございます。そういう効果もあって、ここ数年は二、三頭の発生、昨年は発生頭数がゼロという状態になっているわけでございます。  通常、日本では羊の内臓等を牛などのえさに使用するという例がほとんどございません。正確な数字は把握できませんけれども、ほとんど使ってないというのが現状でございますが、なお、今回の狂牛病に関しますWHOの勧告案の中で、反すう動物、つまり牛とか羊でございますが、反すう動物の内臓等を同じような反すう動物のえさに使用することは禁止すべきであるという勧告案が出ましたので、私どもそれを受けまして、先ほど申し上げましたけれども、四月十六日の通達で、牛、羊等の反すう動物の組織を用いた飼料については同じ反すう動物であります牛とか羊等のえさとしないようにという指導通達を発しているところでございます。
  84. 初村謙一郎

    ○初村委員 同種の動物のそういった脊髄とか脳とか内臓とかというのを食べると出てくる。かつてアフリカで人間が人間を食べるというところでもヤコブ病が出てきたというふうな話を、きのうですか、ラジオでやっておりました。  そこで、私、今お話を聞いてというか答弁を聞かせていただきまして、要は、国内対策については、日本の国の、例えば牛肉は大丈夫なんですよ、日本にはイギリスから入ってきていませんよ。それから、例えば飼料についてもペットフードにしても、この前ですか、輸入を規制をしましたよ、禁止をしましたよ。あるいは、輸入肉についても原産国の表示を指示しましたよ、通達を出しましたよというふうなことで、国内ではいいでしょう。私は、この狂牛病が対岸の火ではないというふうに思っています。ちょっと例えば悪いかもしれませんけれども、エイズという話が出ましたときの状況と何か似ているような気がいたします。農林省は厚生省であってほしくないなという気もしております。  そこで、大臣ひとつ、ぜひこの研究につきましては、プリオンの話、今正常型のプリオンと異常型のプリオンの説明がなかったのですが、プリオンというのはもろ刃の剣ですから、悪質なプリオンの場合が病原体になっているわけですけれども、こういった研究に私はもっと日本も協力すべきではないか、国際協力をするべきではないかというふうに思っております。  例えば、今度の牛の処分の費用、これだけでも約三千二百億から四千八百億かかる。住専の処理よりは安いわけですけれども、そういった、かなり金もかかる。それから、原因が究明されないということであれば、もし大臣があるいは農林省の方が、これはイギリスだけの話ではないぞ、ひょっとしたら〇・〇〇〇〇一%でも可能性があるとすれば、私はこういった研究にも国際協力をすべきではないかというふうに思っております。  今農林省でどういう対処をされているのか。あるいは、できれば大原基金といいますか、こういったものに積極的に、ぜひ農林省の予算を使ってでもやるべきではないかというふうに思っておりますけれども、どうでしょうか。
  85. 大原一三

    大原国務大臣 きようも予算委員会で、今委員の御指摘のような質問がございました。  人体への影響は厚生省、動物への影響は農林省と、こう簡単に割り切れるのでありますが、なかなかその垣根がはっきりいたしません。そういう意味で、厚生省、農林省一体になった組織的研究、現在まで、後で事務局から御説明させますけれども、イギリスに研究員を派遣したり、ある種の成果は上げてきているようでありますが、さらにそういった面で、万が一の場合を考えますと、今委員指摘のように、やはり我々には不安があるわけでございますので、そういった組織的研究を、厚生大臣ともお話をしているところでありますが、一体化した研究体制をこの際つくっていったらどうかということを我々としても厚生省に積極的に働きかけていきたい、かように考えております。  なお、イギリスに派遣された研究班、さらにはまた、現在我が方で研究している成果につきましては、事務局から御説明をさせたいと思います。
  86. 山本徹

    山本(徹)政府委員 狂牛病に関する試験研究の現状、それから、大臣からお話し申し上げましたけれども、今後の取り組みについて御説明させていただきます。  御案内のとおり、我が国においては狂牛病の発生はございませんで、狂牛病自体の試験研究は国内においては実施いたしておりません。しかしながら、狂牛病が既に英国で以前から発生しているということは承知いたしておりまして、六年前、一九九〇年から英国に国の家畜衛生試験場の研究者を派遣いたしまして、狂牛病の病気の臨床の経過また診断法について英国の研究者と共同して研究を実施してまいっております。  それから、狂牛病と類似の病気でございます羊のスクレイピーでございますけれども、これは一九八四年以来国内での発生が少数ながらございましたので、この病気に対する試験研究は国の家畜衛生試験場で実施してきたところでございます。  これらの研究の成果といたしまして、羊のスクレイピーや狂牛病につきまして、死亡した家畜の脳を用いまして、病気の症状が出ていなくても病気の有無が判定できる診断法を確立いたしたところでございます。  今後の狂牛病、スクレイピーに対する研究の取 り組みといたしましては、私ども国の家畜衛生試験場が中心となりまして、関係省庁と一体となり、また海外の専門の研究者と十分連携をとりながら、これらの病気について海外の発生例の情報収集とまた調査研究、さらに生前診断法の確立を含めました病気の迅速な診断技術の開発に鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
  87. 初村謙一郎

    ○初村委員 最後に、国内輸入肉の消費が落ち込んでいるというふうな話もお聞きをしております。原産国の明示をちゃんとやっていただきたいということと、もう一つ、裏を返せば、国内牛の振興といいますか、畜産の振興に今こそ力を入れるべきではないかというふうに思っております。そういう意味でぜひ、新しい事業団もできるようでありますので、頑張っていただきたいというふうに思います。  最後に、農産園芸局長さん、どうもありがとうございました。以上でございます。
  88. 松前仰

  89. 藤田スミ

    藤田委員 今回の畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団統合行政改革一環として打ち出されたわけでありますが、実は、日本共産党は、一九八一年に同種業務法人統合、整理を提起いたしまして、畜産振興糖価安定、蚕糸統合を求めた経緯を持っております。  これは、当時、第二臨調が行政改革議論を行っていた時期でありますが、私どもは、国民本位の行政改革により増税なしの財政再建の実現を提案し、特殊法人については、業務の改善、簡素化、統廃合により、浪費やむだの排除が可能として統合を提起したものであります。もちろん、私ども日本共産党は、この統合に伴って関係する職員の皆さんが犠牲にされるようなことがあってはならないという立場であります。  そこで、まず最初に、今回の両事業団統合によって、職員数削減するようなことはしない、解雇はしない、その点を明確にしてください。簡潔にお答えください。
  90. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 今回の両事業団統合、新事業団設立に際しまして、現在両事業団勤務している職員につきましては全員新事業団に引き継ぐということでございます。  今後の定員の問題につきましては、役員数につきまして二十七人から二十人に約四分の一の削減ということでございますが、職員につきましては平成十三年度までの間に約一割程度の削減を目途として行いたいというふうに考えておりますが、それの削減に当たりましても、基本的には定年退職者の不補充を原則といたしまして新規の採用を抑制するという方向で、職員の強制的な解雇を伴わない合理化というのを目指してまいりたいというふうに考えております。
  91. 藤田スミ

    藤田委員 それは当然の措置でありますが、ここで明確に約束をされたわけでありますから、その約束は守っていただかなければなりません。  組織統合や合併の際に間々起こる問題の一つに、旧組織職員労働条件の違いがあります。特殊法人統合ですから、その労働条件に極端な差はないとしても、細部について違いがあるのは当然のことであります。私は資料をいただいておりますが、一々言いませんが、定年退職日や勤務時間、休暇などに違いがあるようですし、また両事業団職員の年齢構成の違いから、昇格、昇進についても差があるのかもしれません。これらは労使間でよく話し合って決める問題ではありますけれども、両事業団職員統合によって決して不利な条件を強いられることのないよう、事業団を十分指導監督していただきたいわけであります。いかがですか。
  92. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 先生指摘のとおり、現在の両事業団給与体系勤務条件、今先生がお挙げになりました勤務時間、休暇等につきまして、両事業団の過去の経緯もございまして、若干の差異があることはそのとおりでございます。  新事業団設立するに当たりましては、新事業団のもとで職員が一丸となって効率的な業務運営に努めていくということがまず基本的に重要でございます。また、現在本部事務所統合するということを計画いたしております。一つ事務所の中で両事業団職員一つになって業務運営するということになるわけでございます。そういったもろもろのことを考えますと、給与体系あるいは勤務条件につきましては、調整を行った上で一本化を図るということが基本的には必要だろうというふうに考えております。  この新しい勤務条件につきましては、基本的には、先生も御指摘のとおり、労使間で十分に話し合って決められるべきものでございます。私どもといたしましても、それぞれの事業団の持つ事情、さらにはほかの政府機関勤務条件等々を総合的に勘案をいたしまして、新事業団の諸規定が整備されていく過程の中で適切な勤務条件が設定されるように十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  93. 藤田スミ

    藤田委員 大臣、私は今職員の問題で二つのことを確認いたしました。適切という最後のお言葉は、幾らか私のニュアンスと違うかもしれませんが、私は、今回の統合によって人減らしされることのないよう、平成十三年までにおおむね一割の削減というのも、定年退職などの不補充という形で新規採用を抑制するという形で進めるもの、もう一つの問題は、労働条件がこれによって悪化するというようなことはあってはならないということを確認いたしました。  これは大臣としての御方針でもあるというふうに受けとめてよろしいでしょうか。
  94. 大原一三

    大原国務大臣 今畜産局長から答弁がありましたように、自然退職範囲内で減員していく、それを新規採用と調整をしていく、こういうことでありまして、いわゆる首切りというのはない、こういうふうに事務局は説明してくれています。私もそういう方針に間違いないと確信しております。
  95. 藤田スミ

    藤田委員 次の問題に移ります。  私どもは、一九八一年に、先ほど御紹介いたしました法人統合、整理を提案いたしましたそのときから、国民から非常に批判の強いいわゆる天下りとか渡り鳥、それから高額退職金や給与の問題について機会あるごとに是正を求めてまいりました。しかし、今回の統合も、特殊法人全体を通じる改革という点でもまだ本当に不十分さが残っていると言わざるを得ません。農水省所管の特殊法人を見ましても、今回統合になる畜産振興事業団理事長は元農林水産審議官ですし、蚕糖事業団、農林漁業金融公庫、森林開発公団、日本中央競馬会などの特殊法人にも農水省の局長その他の方が少なくないわけであります。  私はここに政府からいただいた資料を持っておりますので、まず確認をしておきたいと思いますが、森林開発公団は役職員五名中四名が農水省。それから農用地整備公団は六名中四名が農水省で、大蔵省が一名。それから畜産振興事業団は六名中四名が農水省出身者。それから蚕糸砂糖類価格安定事業団は九名のうちの六名。それから農林漁業金融公庫は八名中四名。それから農業者年金基金などは四名中三名までが、まあ厚生省がそのうち一名入っておりますが、そういう構成になっております。  それから特殊法人役員の俸給月額を見ますと、俸給月額が百三十一万九千円とするものが、総裁、理事長では農用地整備公団、森林開発公団、畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団農業者年金基金は百二十万二千円ずつ。日本中央競馬会などは百五十二万三千円です。  さらに退職金を見ますと、これは蚕糸砂糖類価格安定事業団ですが、Aさんは一年七カ月で八百十五万、端数を除きますが、八百十五万余りです。それからDさんは三年四カ月で一千三百三十二万円も退職金を受け取っています。畜産振興事業団の方も、一年十一カ月で退職された方が八百三十二万一千四百円。そして六年一カ月勤められた方は何と三千四百三十四万七千九百六十円。こんなにたくさんの退職金を受けているわけですが、私の言ったことに間違いありませんか。
  96. 高木勇樹

    高木(勇)政府委員 お答え申し上げます。  ちょっと一部、特殊法人役員に占める国家公 務員出身者、特に農林水産省出身者で農林漁業金融公庫のところが、たしか八名中、農林水産省出身者四名というお話でしたが、これは時点の違いかもしれませんが、八年四月現在では三名というふうに私ども承知をしております。  それ以外は先生おっしゃられた数字でございますし、特に退職金については、一定の計算方法によって、これは全特殊法人に共通でございますが、それによって算定された金額というふうに理解をいたします。
  97. 藤田スミ

    藤田委員 このいわゆる天下り役員の問題は、既に一九七九年の十二月十八日の閣議了解で役員選考基準の運用方針というものを出しておりまして、「全特殊法人の常勤役員については、国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標とする。」こういうふうに言っているわけです。なのに、あれから十七年、いまだにこれが是正されておりません。しかも、先ほどの退職金額、また俸給月額を聞いたら、一体国民は何と思うでしょうか。  私は、この点についてはぜひともその是正を行うべきじゃないかというふうに考えますが、大臣のお考えを聞かせてください。
  98. 大原一三

    大原国務大臣 藤田委員が引用されました五十四年の閣議決定ですか、了解ですか、これは私も存じ上げております。実は私も与党プロジェクトのメンバーでこの議論をいたしまして、さらに昨年の二月でございましたか、同じく五十四年の通達を確実に実施せよという官房長官の談話が発表されたわけでございます。  したがって、我々としてはこの五〇%ラインというのはやはり確実に守っていかなければならない、これは閣議の方針でございますから、ぜひそういう水準に確保していくよう努力をしたい、こう思っております。
  99. 藤田スミ

    藤田委員 せっかくの閣議の了解があるにもかかわらず、今回の両事業団統合に伴う新事業団役員統合によって四分の一の削減をする、こうおっしゃっておいでです。こう聞くと随分削減したように聞こえますが、果たしてそうでしょうか。新しい事業団役員は、理事長のほか副理事長二人、理事十五人以内、監事二人以内となっています。農水省の所管の特殊法人で見ますと、これほど多い特殊法人はありません。畜産、蚕糖両事業団役員の合計よりは少ないというふうにおっしゃるかもしれませんが、しかしこの役員数は私は異常だというふうに思うのです。非常に役員が多くて問題になっている国際協力事業団が二十三人以内になっています。このほか住宅・都市整備公団の合計が十九人以内です。そういうところに匹敵するような役員数になるわけでありまして、新事業団役員については今後の検討事項だと思いますけれども、この役員の任命に当たっては実人員を極力抑えるということが大事なことではないでしょうか。私はこの点についてお答えを求めたい。  もう一つは、理事監事について、常勤と非常勤をそれぞれ何人にする御予定ですか。
  100. 熊澤英昭

    熊澤政府委員 役員数でございますが、二十七人を二十人にするということで、約四分の一のカットということを法案でお示ししているわけでございますが、お尋ねの常勤の役員につきましては、現在両事業団の法定の常勤の役員数が十七人でございますけれども、予算定員では十五人というふうに二名の実員の減を行っているわけでございますが、さらに新設の今回の新事業団におきましては、常勤役員を十一人とする、つまり、法定の常勤役員数十七人からは六人の減、予算の定数、実員の常勤役員からは四人の減ということで常勤役員削減を図っているところでございます。
  101. 藤田スミ

    藤田委員 これは、法律にはそう書いてあったからといって、別にその書かれている人数をそのまま限度いっぱいに置くという手はないわけでありまして、そういう点でも今回の役員の任命に当たっては、行政改革趣旨からも、実際の運用上は大いに配慮をするべきであります。  少なくとも七九年の閣議了解、それから先ほど大臣がおっしゃった新しい閣議の了解に基づく立場で、新たにつくる事業団ですから、最初からきちんとそういう立場で進めていくという必要があるんじゃないかと思いますが、この点は大臣に御答弁を求めたいと思います。
  102. 大原一三

    大原国務大臣 私、今、現在いる役員がどういう方で、どうなっておるという仕組みを十分わかっているわけではございませんが、昨年の二月の閣議の官房長官発言では、五〇%を超えてしまっている、五十四年に通達を出したにかかわらず六〇%ぐらいになっておる、これを五〇%水準に落とすようにという指令というか官房長官のお話があるわけでございますので、これは五十四年通達の再確認という意味でございますから、できるだけそういう線に沿って努力をしてみたい、こう思います。
  103. 藤田スミ

    藤田委員 時間が参りましたからこれで終わりますが、先ほども言われておりましたけれども、せっかくこの事業団で一生懸命働いてこられた方が、いつも帽子の記章がかわるみたいにぽっとよそから来て、そうして采配を振るわれたんじゃおもしろくないですよ。やはり下から苦労してこられた方の知恵、能力を生かすという観点からも、内部の登用ということも十分考慮して、新しくつくる事業団にふさわしい、新しい姿を見せていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  104. 松前仰

    松前委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  105. 松前仰

    松前委員長 これより本案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  農畜産業振興事業団法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  106. 松前仰

    松前委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  107. 松前仰

    松前委員長 この際、本案に対し、松岡利勝君外三名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。増田敏男君。
  108. 増田敏男

    ○増田委員 新進党の増田敏男です。  私は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけを代表して、農畜産業振興事業団法案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     農畜産業振興事業団法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。       記  一 畜産振興事業団蚕糸砂糖類価格安定事業団との統合行政改革一環として行われることにかんがみ、管理部門の一本化等組織合理化を適切に実施し、従来の業務支障を来さぬよう配意しつつ可能な限りの効率的な運営に努めること。  二 畜産物・繭糸・砂糖価格安定制度については、品目の特性に配慮した円滑な運用を図るとともに、制度に係る情報を十分国民に提供すること。  三 新たに行われる砂糖類関係業務については、国内生産者、関連産業のみならず、国民生活、消費者の面にも配慮した内容となるよう努めること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  109. 松前仰

    松前委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  松岡利勝君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  110. 松前仰

    松前委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣大原一三君。
  111. 大原一三

    大原国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後、最善の努力をいたしてまいります。     —————————————
  112. 松前仰

    松前委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 松前仰

    松前委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  114. 松前仰

    松前委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十一分散会      ————◇—————