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1996-08-21 第136回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年八月二十一日(水曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 大木 正吾君    理事 熊代 昭彦君 理事 宮路 和明君    理事 渡辺 省一君 理事 今井  宏君    理事 倉田 栄喜君 理事 弘友 和夫君    理事 山元  勉君 理事 宇佐美 登君       大野 功統君    唐沢俊二郎君       佐藤 信二君    塩谷  立君       鈴木 俊一君    津島 雄二君       虎島 和夫君    石田幸四郎君       石破  茂君    塚田 延充君       野田 佳彦君    五十嵐広三君       簗瀬  進君    松本 善明君       岡崎 宏美君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長官梶山 静六君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 中西 績介君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 臼井日出男君  委員外出席者         人事院総裁   弥富啓之助君         人事院事務総局         給与局長    小堀紀久生君         人事院事務総局         職員局長    佐藤  信君         公正取引委員会         事務総局審査局 梶山 省照君         管理企画課長         警察庁交通局都         市交通対策課長 末井 誠史君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         経済企画庁物価         局物価調整課長 田口 義明君         運輸省自動車交         通局旅客課長  梶原 景博君         労働省労働基準         局賃金時間部労         働時間課企画室         長       福島 康志君         内閣委員会調査         室長      新倉 紀一君     ――――――――――――― 六月十九日  一、市民公益活動を行う団体に対する法人格の    付与等に関する法律案河村たかし君外五    名提出、第百三十四回国会衆法第一七号)  二、行政機構並びにその運営に関する件  三、恩給及び法制一般に関する件  四、公務員制度及び給与に関する件  五、栄典に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公務員制度及び給与に関する件(人事院勧告  )      ――――◇―――――
  2. 大木正吾

    大木委員長 これより会議を開きます。  公務員制度及び給与に関する件について調査を進めます。  まず、去る一日の一般職職員給与改定に関する勧告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。弥富人事院総裁
  3. 弥富啓之助

    弥富説明員 人事院は、去る八月一日、国会内閣に対し、公務員給与に関する報告及び勧告を行いました。本日、その内容について御説明申し上げる機会を与えていただきまして、厚く御礼を申し上げます。  以下、その概要について御説明を申し上げます。  初めに、職員給与に関する報告及び勧告内容について御説明いたします。  公務員給与改定に当たりましては、人事院は、従来から社会経済情勢全般動向を踏まえつつ、公務員給与民間給与に均衡させることを基本として臨んでまいりました。本年も、公務員給与に関する判断材料を得るため、民間企業給与を的確に把握するとともに、厳しい経営環境もとにおける企業の対応について調査を行い、また広く各界から御意見を拝聴し、公務運営改善についてもさまざまな角度から検討をいたしました。  本年の調査結果によりますと、民間企業においては、引き続き厳しい経営環境の中で、新規採用の抑制など雇用中心としてさまざまな措置がとられているものの、賃金については大部分事業所におきまして低率ではありましても引き上げが行われており、官民給与の間には放置できない較差が生じていることが認められました。人事院は、このような諸事情を総合的に勘案した結果、本年も職員給与について所要改定を行うことが必要であると認め、勧告をいたしました。  本年四月時点における官民給与較差は、公務員一人当たり平均三千三百三十六円、率で〇・九五%となっております。この三千三百三十六円を給与改善原資として、俸給改善に二千九百八十円、諸手当改善に三百五十六円配分をいたしました。  改定内容につきまして順次御説明をいたしますと、まず俸給表につきましては、中堅層職員改善中心として全俸給表改定を行うこととしております。改定に当たりましては、引き続き刑務官少年院教官若手研究員看護職員等に配慮をいたしております。  また、初任給につきましては、民間初任給動向を踏まえ、Ⅰ種採用者については平均改定率の半分程度、Ⅱ種、Ⅲ種採用者については平均改定率程度引き上げを行うこととしております。  なお、職員の昇格時の号俸決定方法改善が本年度から本格的に実施されることに伴い、教育職俸給表等一部の俸給表について所要調整措置を講ずることとしておりますほか、指定職俸給表については行政職を下回る改定を行うこととしております。  次に、手当につきましては、基礎研究推進や重要な科学技術分野に関する研究開発推進を図るため、研究活動状況研究員採用状況等から見て、人材確保等を図る特別の事情があると認められる中核的研究所対象として、そこに勤務する研究員等に新たに研究員調整手当支給することとしております。  一方、筑波研究学園都市移転手当につきましては、筑波研究学園都市生活環境状況等から見て移転手当としての役割が終了したものと認められますことから、廃止することといたしております。  また、科学技術分野に関して、民間等から高度な科学技術専門的知識を有する優秀な研究者等採用する場合で、特に必要なときは新たに初任給調整手当支給することとしております。  寒冷地手当につきましては、基準額定額化など手当趣旨に合った仕組みとし、適切な支給水準に改めるとともに、支給基準日を変更することとしております。  なお、扶養手当通勤手当、医師の初任給調整手当及び宿日直手当についても所要改善を行うことといたしております。  実施時期につきましては、本年四月一日としておりますが、宿日直手当については平成九年一月  一日、研究員調整手当筑波研究学園都市移転手当研究員に対する初任給調整手当寒冷地手当については平成九年四月一日としております。  次に、公務運営改善に関します部分について御説明をいたします。  社会経済システム全般の変革が求められる中で、行政においては簡素で公正な行政が期待されております。また、民間企業では、厳しい経営環境もと人事制度改革などへの取り組みが進んでおります。近時、公務運営あり方公務員人事管理についてさまざまな批判提言がなされております。これらの諸事情を踏まえ、本院としては、現行人事管理について全般的な見直しを行い、新たな時代に対応できるよう、制度運用両面にわたり改革に取り組む必要があると考えております。  このような認識に立って報告で述べた主な課題としては、次のようなものがございます。  まず、これからの時代に求められる幅広い視野などを持つ人材計画的育成活用に努めることが重要であり、そのため、当面三カ月程度初任時の長期合同研修を新設するとともに、幹部職員も含めた省庁間人事交流の一層の拡大を図る必要があります。また、官民双方向の新たな交流システムについて法制的整備を含め検討する必要があると考えております。  次に、我が国の重要課題の一つである科学技術の振興のため研究活動活性化が求められておりますが、研究業務の特性を考慮し、一定の研究公務員について新たに任期制導入することが必要と考えており、これに伴う給与処遇裁量労働制を含めた自由度の高い勤務形態について検討を進めることとしております。これについては、別途立法措置について意見申し出を行うこととしております。  また、ボランティア活動について各方面からその活動の支援の必要性が打ち出されており、人事院といたしましても、災害時における被災者障害者高齢者等に対する援助活動対象としてボランティア休暇導入いたしたいと考えております。  さらに、画一的、固定的と言われる人事慣行見直し、Ⅱ種、Ⅲ種等採用職員の登用を図ることが必要と考えております。また、高齢化に対応して、昇進、退職管理あり方見直し幹部職員等在職期間長期化を図っていくことを検討することが必要と考えております。その一環として、事務次官の定年のあり方についても検討することとしております。職員の離職後の営利企業への就職制限については、その制度運用について再点検を行い、見直しを進めていくことといたしております。  なお、人事管理全般的見直しに係る課題につきましては、各界意見も聴取しながら、専門的な立場から総合的な検討を進めたいと考えております。  次に、公務における高齢対策について御説明を申し上げます。  活力ある高齢社会を構築するため、六十五歳まで働くことのできる雇用システム確立社会全体の課題となっております。公務におきましても、公務能率の維持などに留意しつつ、高齢者の本格的な活用を図ることが必要であり、フルタイム勤務や短時間勤務の多様な勤務形態などの新たな再任用による高齢者雇用制度骨格をお示ししたところでございます。今後、この骨格に基づきまして、制度具体的内容について検討を進めるとともに、関係省庁による検討及び各省庁における職域開拓等への努力を要請しております。  以上、給与に関する報告及び勧告概要を御説明申し上げました。  人事院は、本年も勧告に向けて、公務員勤務条件に関し、中央地方を通じて広く各界から意見を聴取いたしました。公務員給与決定民間準拠方式には異論はないものの、給与についても業績評価を反映するシステム導入を求める意見もありました。また、ボランティア休暇高齢対策についての公務における積極的取り組み公務内外での人事交流活発化提言がある一方で、幹部職員早期退職慣行見直しや成績に基づいた人事管理制度確立などの指摘、また、公務員あり方についても厳しい注文もありました。これらの提言指摘を厳粛に受け止め、公務員制度等の一層の改善に努めてまいる所存でございます。  公務員給与に関する人事院勧告は、申し上げるまでもなく、公務員労働基本権制約を受け、みずからの給与決定に直接参加できる立場にないことの代償措置として行われるものであり、公務員にとってほとんど唯一の給与改善機会となっております。  人事院といたしましては、職員を適正に処遇することが、その士気の高揚を図り、職場の労使関係の安定に寄与するとともに、将来にわたっての国の行政運営の安定を図るための基盤であると考えております。  内閣委員皆様におかれましては、人事院勧告制度が果たしている役割職員が真摯に職務に精励している実情に深い御理解を賜り、この勧告のとおり速やかに実施していただきますよう衷心よりお願い申し上げる次第でございます。     ―――――――――――――
  4. 大木正吾

    大木委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。弘友和夫君。
  5. 弘友和夫

    弘友委員 新進党の弘友和夫でございます。  ただいま弥富人事院総裁から、去る八月一日に国会内閣に行われた一般職国家公務員給与についての報告、またあわせて給与を本年の四月にさかのぼって〇・九五%、三千三百三十六円を引き上げ勧告説明を伺ったわけでございます。  まず最初に、この給与勧告の今後の取り扱いについてお伺いしたいと思うわけでございますが、昨年の例ですと、給与勧告が同じ八月一日にありまして、その後、給与関係閣僚会議を経まして九月二十六日の閣議で人勧完全実施決定し、十月十三日に給与法改正案国会に提出されたわけでありますが、今回の日程も前年と変わりない、このように理解してよいものかどうか。まず、この給与勧告取り扱いについて、給与関係閣僚会議の座長であります梶山内閣官房長官の所見をお伺いしたいと思います。  それで、報道では早ければ九月中にも臨時国会が召集される、この時期についてもぜひ官房長官にお伺いしたいのですが、その前に当然法案が提出されると考えますけれども、給与担当大臣としての中西総務庁長官にも完全実施に向けての御決意をお伺いしたい、このように思うわけでございます。
  6. 梶山静六

    梶山国務大臣 お答えを申し上げます。  政府としては、八月一日の人事院勧告を受け、八月七日に給与関係閣僚会議開催をし、国家公務員給与取り扱い検討に着手をしたところであります。人事院勧告を受けての国家公務員給与取り扱いについては、給与関係閣僚会議において、人事院勧告制度尊重基本姿勢もと財政事情を初めとする国政全般との関連等について十分議論を尽くして検討する必要があり、現段階における今後のスケジュールについては確たることは申し上げかねるところであります。  そして、臨時国会開催時期という御質問がございましたけれども、まだ案件等を絞り込んでおりません。ですから、今のところ、臨時国会が開かれるか開かれないか、開く場合いつ開くかということについては、定かにすることができません。  いずれにいたしましても、この給与問題については、国民理解納得の得られる結論を得るよう誠意を持って検討してまいりたいと考えております。
  7. 中西績介

    中西国務大臣 日程等については官房長官の方から述べられましたので、この問題について総務庁としてはどのように対応するかについてのみ申し上げたいと存じます。  従来から、人事院勧告早期完全実施をするというこの基本姿勢については変わりはないし、またそのように努力をしてきたつもりであります。したがって、本年も人事院勧告制度尊重基本姿勢もとに、勧告をできるだけ早く完全実施すべく最大限努力を払っていきたいと思っております。
  8. 弘友和夫

    弘友委員 総務庁長官完全実施基本姿勢は変わらないということでございましたけれども、たしか昨年の同じ時期のこの内閣委員会でも、官房長官、今国民理解納得を得る結論ということでございましたけれども、この同じ時期の質疑で、ぜひこれは完全実施に向けてという決意を当時の大臣も言われておりました。完全実施に向けての国民理解納得を得るというのは当然ですけれども、この受けとめ方として、完全実施に向けていきたいというかそういう決意もぜひ御答弁いただきたいなというふうに思うのですけれども、いかがでございましょう。
  9. 梶山静六

    梶山国務大臣 私は、給与関係閣僚会議を主宰をいたす立場でございます。ですから、給与関係閣僚の御意見をちょうだいをいたし、それを冷静に公平に判断をし、処理をしてまいらなければならないと考えております。  今、当面一番の担当である総務庁長官からの決意の披瀝がございました。これは関係閣僚会議の中での大きな意見になるであろうという想定はいたしておりますが、今委員の直接の質問お答えをすることを差し控えさせていただきたいと思います。
  10. 弘友和夫

    弘友委員 それで、今回の勧告の中身について若干質疑をしてみたいと思うのですけれども、まず、先ほど総裁の方から御説明があったわけですが、今回の給与勧告の特徴というか特色のようなそういうものをかいつまんで、また簡単に説明をお願いしたい、このように思います。
  11. 弥富啓之助

    弥富説明員 本年の給与勧告特色といたしましては、まず給与について申し上げますと、昨年に引き続き、低率の較差となったことでございます。〇・九五でございます。昨年は〇・九でございました。  その改善内容につきましては、俸給表において民間に比べて改善のおくれていると見られます中堅層を重視した改定を行うとともに、先ほど御説明をいたしました研究員調整手当をつくる、それから寒冷地手当制度見直しを行うなど適正な配分努力をしたところでございます。  また、近時社会経済システム全般改革及び民間企業におきます人事管理見直しが進む中、公務員あり方に関してセクショナリズムの是正などさまざまな指摘がなされていることを踏まえまして、現行人事管理制度運用について全般的な見直しを行っていくことを明らかにしたところでございまして、これは最近の報告に対してちょっと特色といえば特色かなというふうに考えております。  具体的に申し上げますと、初任時の長期合同研修の新設をしたこと、研究公務員への任期制導入、あるいはボランティア休暇導入人事管理システム見直しなど、公務運営改善に関しまして現在取り組みまたは今後取り組むべき課題について幅広く報告をいたしております。  最後に、さらに高齢者が六十五歳まで働くことのできます雇用システム確立社会全体の課題となっていることにかんがみまして、高齢者雇用制度骨格についても報告をさせていただいたところでございます。
  12. 弘友和夫

    弘友委員 今御説明のありました中に、ボランティア休暇導入されたということで、この問題につきまして私も以前に質問をさせていただいたことがあるのですけれども、非常に今回の導入につきましては評価をしているところでございます。  御承知のように、昨年の一月の阪神淡路大震災において、被災者救援活動震災後の復旧活動に際して、各関係省庁地方自治体皆様、大変な懸命な救生活動救援活動、これに当たられたわけですけれども、しかしそれにおいて関係省庁間の縦割り行政とか連携の不手際等弊害があったことも事実であります。そこでボランティア皆様方が、法律とか権限とかそういうものとは、先例と制約にとらわれずに被災者が何を求めているのかということで活躍された。  そういうことで、広く今回この阪神淡路大震災においてボランティア活動必要性また重要性というのが国民皆様認識をされたわけでございますけれども、それを率先して公務員皆さんがやろうというこの制度でございますので、非常に評価をしているわけでございますが、このボランティア休暇制度導入勧告に対して内閣としてどのようにこれを受けとめておられるのか、また、ボランティア皆様方活動状況を把握していれば、それについても内閣を代表して官房長官にお聞きしたいと思います。
  13. 梶山静六

    梶山国務大臣 国家公務員休暇内容については、一般社会情勢に適応するように定める必要があるため、従来から専門第三者機関である人事院における検討等を踏まえ、必要な措置を講じてまいったところであります。  今回の報告において、人事院災害時における被災者障害者高齢者等への援助活動をするためのボランティア休暇を新設することとしたところでありますし、人事院において規則の整備等を受けて、政府としてもこれに適切に対応してまいりたい、このように考えております。  特に、委員指摘のように阪神淡路震災におけるボランティア活動、まさに目覚ましいものがございますし、それをどういうふうに位置づけ、またどういうふうに関連をつけ、その成果を立派なものにする、それは官民が挙げてやらなければならないことでございますので、その中にどういう位置づけを求めるか、そういうものについて恐らく人事院において検討がこれからなされるものと期待をいたしております。
  14. 弘友和夫

    弘友委員 それで、人事院総裁にお尋ねしたいのですけれども、この実施時期ですけれども、勧告では平成九年の早い時期を目途としているということですけれども、公務員皆さんが現実の社会を実際に見聞することにより視野が広がるとか、また地方自治体民間企業における同様の休暇制度の先駆けとなるなどの波及効果を考えれば、できるだけ早い実施がいいというふうに考えるわけですけれども、通常、有給休暇などの休暇制度というのは一月からその年の十二月までの一年間を単位としておりますので、このボランティア休暇実施についても平成九年の一月から運用開始をするというふうに理解してよろしいわけでございましょうか、この時期についてお答えしていただきたいと思います。
  15. 弥富啓之助

    弥富説明員 御承知のとおりに、平成九年の早い時期を目途として成案を得る、これは公務員休暇でございますので、特別休暇の中に入ると思いますが、やはりこれはそれなりに具体的に検討をしていかなければならないということで、例えば休暇対象となる被災者障害者高齢者に対する援助活動範囲とか、あるいは活動計画書など休暇の請求に関する手続等々をやはりぴしっと決めていかなければいけないということで、今委員がおっしゃいました一月からということは明言が、私、今のところできる用意がございませんが、いずれにいたしましても、可能な限り早期成案を得たいというふうに考えております。
  16. 弘友和夫

    弘友委員 今、活動範囲も今から検討するというようなお答えでしたけれども、これには災害時における被災者及び障害者高齢者に対する援助活動限定をしているようにありますけれども、今のお答えでは、それは限定しないで枠を広げるというふうな考えもあるのかどうか。また、それでなければ、じゃ対象をこのように限定した理由というのがあるのかどうか、それについてお答えをいただきたいと思います。
  17. 弥富啓之助

    弥富説明員 ボランティア対象というのは御承知のとおり非常に広いものでございますけれども、公務員である限りはやはり納得のいく範囲限定をしなければならないということで、ただいまは被災者障害者高齢者等に対する援助活動範囲を明確にするということでございます。
  18. 弘友和夫

    弘友委員 だから、明確にするのは必要だと思うのですけれども、じゃ、これに限定をされるということなのかどうか、それと、できるだけ早いという決意というか、とにかくできるだけ早いというのもやはり一月から実施した方がいいのじゃないか、まだ何カ月もあるわけですから、それについてもう一度お答えをいただきたいと思います。
  19. 佐藤信

    佐藤説明員 ただいまのお尋ねの件でございますけれども、ボランティア休暇対象となる活動を考える場合に、先ほどもお話がございましたけれども、公務員が正規の勤務時間を割いてボランティア活動を行うものでありますし、また、民間普及率が必ずしもまだ大きく普及している段階ではない中で先んじて措置をするというふうなこともございまして、現段階では大方の国民の目から見て異論のないと思われる活動であることが必要であろうということで、今回、ボランティア活動に関しましては、従来から認められている考え方ということで、休暇対象となる活動は、災害時における被災者に対する援助活動、それから障害者高齢者といったいわゆる社会的な弱者に対する援助活動ということで限定をしたいというふうに考えているところでございます。その具体的な範囲については、できるだけ幅広く認めたいとは思っておりますが、その辺についてもう少し詰めてまいりたいということでございます。  それから、時期の問題につきましても、委員指摘のとおり、この性格、趣旨から申しまして、できるだけ早期に実現をすべきものというふうに考えております。委員指摘の点も踏まえまして、できるだけ早期実施できますように鋭意努力してまいりたいというふうに考えております。
  20. 弘友和夫

    弘友委員 私は、今回のこの勧告につきましては、ただいまのボランティア休暇導入とかまた高齢者雇用のための新再任用制度骨格の提示など、部分的には大変評価できる点もあると思うわけでございますけれども、今、問題になっておりました住専処理の問題、また薬害エイズの問題に見られますように、行政閉鎖性独善性に対する国民皆さん批判というのは極めて厳しいものがある。また、従来から指摘され続けてきた縦割り行政の弊害も一向に改善されていない。国民皆さん行政に対してどのような視線を投げかけているのか十分に認識をしていただいて、先ほどから御答弁ありましたけれども、公務員制度の抜本的な見直しをすべきではないか、私はこういうふうに考えているわけでございます。  今、行政改革がしきりに言われておりますけれども、その一つであります公務員の定員削減問題についてお伺いしたいと思いますが、昭和四十四年に行政機関の職員の定員に関する法律、いわゆる総定員法が制定され、第一次から現行の第八次までの定員削減計画があったわけでございますが、これの実績、削減数、それから、反対に増員があったのかどうか、現業、非現業に分けて説明をいただきたいと思います。
  21. 陶山晧

    ○陶山説明員 お尋ねがございました内容について、数字でございますから私から御説明をさせていただきます。  定員削減計画につきましては、昭和四十三年度に開始いたしました第一次計画以来、現在推進中の第八次計画まで八次にわたり実施してきておるところでございます。第一次計画から第八次定員削減計画までの削減実績は、二十八万四千四百九十四人でございますが、その内訳として、ただいま先生からお尋ねのありました、非現業、現業別に申し上げますと、非現業で十五万九千九百六十五人、比率で申し上げれば五六・二%、現業で十二万四千五百二十九人、四三・八%となっております。  また、この期間、つまり昭和四十三年度から平成八年度までの間の増員数を申し上げますと、二十四万二百五十七人でございます。その内訳を非現業と現業別に申し上げますと、非現業で十六万八千百七十五人、比率で七〇・〇%、現業で七万二千八十二人、三〇・〇%となっております。この削減数と増員数との差し引きで申し上げれば、四万四千二百三十七人の純減という数字となっております。
  22. 弘友和夫

    弘友委員 これ一つとりましても、昭和四十三年から二十八万四千四百九十四人削減したのだ、このように、相当減ったなというふうにこれだけ見ると思うのですけれども、片一方では二十四万二百五十七人がふえている。削減計画であるのにどうして二十四万新たにふえるのかという、これは削減というよりも、何といいますか、全体の枠の中で振りかえをしたというふうにしか思えないことだと思うのですけれども、これはどういうことなのか。  そしてまた、総務庁長官、その当時この総定員法というのは当内閣委員会で非常に混乱状態の中で採決されたというふうに聞いておりますけれども、今総務庁長官行政改革推進する閣僚としてどういうふうにこれを受けとめられているか、当時を思い出していただいて、感想と、今の二十八万と二十四万、純減が四万四千だと言われましたけれども、八次までやって四万四千しか減っていないということに対してどう思われているかお尋ねします。
  23. 陶山晧

    ○陶山説明員 ただいまの先生のお尋ねの前段の部分につきまして、私から御説明を申し上げます。  申し上げるまでもございませんが、定員管理の基本的な考え方は、国家公務員の定員の総数の膨張を抑制しながら、行政需要の変化に対応してその適正配置を図っていくということでございます。定員削減計画を実施しながら、その削減した数の範囲内において、いわばそれを増員の原資としながら、どうしても必要な行政需要の分野、部門というのが出てまいります。これらにつきましては、毎年度の予算編成過程において、各省庁からの増員要求を受けて、私ども定員審査に当たる立場としてそれを厳正にチェックしながら、どうしても最低限必要な部門につきまして増員の措置をとっていくという姿を続けてまいっているわけでございます。  いわば、定員削減計画が、政府全体としての各省庁、各行政分野間の定員の再配置ということを推進しながら、最低限の増員需要のある部門について増員措置をとっていく、そういう両面を通じてトータルとしての総数の抑制、純減を図ってきたというのがこれまでの経緯でございます。
  24. 中西績介

    中西国務大臣 お答えします。  総定員法につきましては今局長の方から申された内容でありますけれども、私が総定員法に対する認識をいかに今持っておるかということでございますが、特に法の制定当時におきます提案のあり方あるいは内容の問題等を含みまして反対をしたという経緯があるわけであります。特に、それを経まして、成立をする過程の中におきまして、考えられましたいろいろな附帯決議を見てみますと、公務員の出血整理、本人の意思に反する配置転換を行わないことということ、あるいは職員の労働が過重にならぬよう努めること等いろいろな附帯決議がついておりますけれども、これらの問題について、例えば配置転換等については了解なしにしない、こうした問題等が明らかになってきておるところであります。  したがって、これらの問題につきましては、総定員法のもとにおきまして定員削減を行って、先ほどもお答えございましたようにこの削減した数を、増員原資の範囲内でさらに新しい行政あり方を追求する、そのために必要な定員需要に対処していく、こうした体制で来たわけでありますから、この点については十分私たちが考えておる方向についても一致するところがあったと思っております。  したがって、各省庁通じての弾力的あるいは合理的にやるこれらの問題については、私としては各省庁と十分な話し合いの中、あるいは折衝の中で、内容的にお互いが合意をするというこれを前提にいたしまして定員配置をしていくということでございますから、あくまでも私たちはこれから後定員管理を行っていくためにも、引き続いて総定員法の体系は維持をしなくてはならないのではないか。  しかし、問題は、日進月歩のこうした情勢でありますし、行政あり方についても論議がこれから重ねられていくわけでありますから、そうした中で基本的な問題等について十分検討を行う必要があるだろう、こう考えております。
  25. 弘友和夫

    弘友委員 時間がありませんのでこちらから申し上げますけれども、減らした分で適正配置をしていくというのであれば、それはもちろん行政需要がいろいろふえているところもございますし、ふやしていかないといけないところもあると思うのです。それであれば、定員削減計画というのではなくて、削減計画といえば、これだけ減らすのだ、そして減らした中で、配置転換はその中でまたやっていけばいいのじゃないかなと思うのですけれども、この七月三十日に第九次の定員削減計画が発表された。これは平成九年度以降五年間で四・一一%、三万五千百二十二人を削減する。これは第八次に比べて〇・四一ポイントもダウンしているわけですね。しかも、これとは別に一%程度をめどに削減に努める。何でこう分けたのかということ。それから、時間があれなので、定員外職員もこのほかに、今までずっと論議されていましたけれども、十九万人ぐらいいる。一体これはどういうことなのかとか、いろいろございます。  なぜ別に一%削減に努めると言ったのかどうかという、ここら辺どういう意味なのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  26. 陶山晧

    ○陶山説明員 今回の新たな第九次定員削減計画の中に、御指摘のような内容を盛り込んだわけでございます。これについて御説明申し上げますが、行革委員会のメッセージが八年の七月四日に公表されておりまして、この中でも、今後官民役割分担の見直し等の進展にも十分留意した内容を盛り込んだ定員削減計画を策定すべきという御意見がございました。こうした御意見を含め、各方面の御意見を十分しんしゃくしながら、政府として、厳しい定員事情の中でも引き続き各種制度、施策の見直しをしていく必要がある。その制度、施策の見直しの進展に応じてこれを定員管理に反映させていく、結びつけていく、そういう姿勢を明らかにしたということが趣旨でございます。  しかし、この制度、施策の見直しについて、今後いろいろな進展があろうと思いますが、例えば規制緩和であるとかあるいは地方分権であるとか、そうした問題の進展によって、それが国家公務員の定員と定量的にどういう関連があるのか、それを現段階であらかじめ具体的な中身として各省庁別に計上するということが困難でございますので、これは計画期間全体を通じての全体的な努力目標という形で、各省庁別に削減目標数を具体的な数字として掲げた数字以外に、別途努力目標として掲げたということでございます。いわば通常の定員削減の部分と、ただいま先生の御指摘になりました行政改革推進する中での制度、施策の見直しによる部分、これをいわば車の両輪という形で推進していくことを明らかにしたというふうに御理解を賜りたいと存じます。
  27. 弘友和夫

    弘友委員 最後に、官房長官おられるときにお伺いしたいのですが、国家公務員採用Ⅰ種試験による採用者数の縮減、キャリアの採用を三割減らしていこうという、これは行政改革の一環として官房長官の肝いりで決定された、このように聞いておりますけれども、公務員の一括採用とかいろいろそういうことについては意味があると思うのですけれども、キャリアを三割減らすという意味、しかもそれは五年間だという意味について、どういう効果を期待してこれをされたのかということについてお伺いしたいと思います。
  28. 梶山静六

    梶山国務大臣 総理からの強い要請もございますし、私も年来考えていたことでございますが、確かにいわゆる上級の採用を来年度一割、再来年度以降三割、これを五年間をめどにということでありますが、一つの姿勢として考えますことは、やはり自己増殖をしないために何と何をどうすればどういうふうに知恵が働くのか。どこの企業ないしは研究機関等でも、入り口を若干絞ってまいりますと創意工夫がそこで出てまいりまして、今までの機構とは違った、あるいは能率的な、あるいは現代に合った改廃ができる、そういうものを目指すために行ったというのが一点。  それから、がんじがらめになっている今の各省庁の中身を分析をいたしますと、意外と権限というか行政能力の発揮の分野は少ないかもしれない。三割減れば三割自由に伸び伸びと活動ができるという原点もあるであろう。そういうものを総合的に勘案をし、今これだけの厳しい事情の中で今まで議論になっている八次にわたる定削を行ってまいりましたけれども、必ずしもこれは諸外国と比べて国・地方、公務員の数が多いというわけではございません。しかし、そのサービスの内容その他についてはまたこれは研究をしなければなりませんが、いずれにしても小さい政府というか能率の高い行政というかそういうものを目指していく一環でなければならないし、それから必ずしもⅠ種を通らなければ仕事ができないのかどうなのかというのを考えますと、Ⅱ種の方でもⅢ種の方でもそれは当然人材登用の道があるはず。  そういうことを考えますと、大変難しい条件下ではありますが、あえてそういうものに踏み込むことが今回の行政改革の姿勢を内外に示すもの、私はそういうことでこの問題に取り組んでまいっているところであります。
  29. 弘友和夫

    弘友委員 時間がございませんので、次に移らせていただきます。  今回の人事院勧告調査にしても、企業規模が百人以上、それから事業所規模五十人以上である全国の三万八千の民間企業、百人以上の調査をずっとされているわけですね。しかし、それ以下の中小零細企業民間の方々というのは非常に厳しい状況にあるという一つの例として、私はタクシー運転者の賃金問題についてお尋ねをしたいと思います。  それで、国内の旅客輸送事業において全従業員数は百二万人です。そのうちの四十八万人、半分近くがこのタクシー運転者だ。そのうち九九・三%は中小企業なんです。時間がないので、簡単に労働省、運輸省からお答えいただきたいのですが、タクシーの運転者と全産業男子労働者の年間所得の推移及び年間労働時間の推移、それからタクシーの輸送人員、車両数の推移、運送収入の推移について、両方から簡単にお答えいただきたいと思います。
  30. 梶原景博

    ○梶原説明員 御説明申し上げます。  労働条件につきましては、職務の内容とか年齢、勤続年数等により異なってまいりますので、一律に比較することは大変難しい問題がございますけれども、労働省が行っております賃金構造基本統計調査によりますと、平成七年のタクシー運転者の年間推計収入は全国平均で四百三万四千円ということになっております。全産業の男子労働者の全国平壇五百五十九万九千円と比べて百五十六万五千円ほど少ない状況にございます。また、月間の労働時間につきましては、タクシーが二百八時間であり、全産業百八十七時間と比べ二十一時間ほど多くなっております。  また、収入等につきましては、昨今需要が全国的にタクシーにつきましても減少傾向にございまして、売上高はそれに応じて減少傾向にあるというような状況がございます。
  31. 弘友和夫

    弘友委員 タクシーの方が四百三万四千円、全産業が五百五十九万、百五十六万の差がある。それから、月間の労働時間についても二十一時間の差がある。非常にタクシーの運転者の方は低い賃金、また長時間の労働というのを強いられている。  それで、北九州においても特にそれが著しいわけですので、運輸省はここを供給過剰地域、このように指定しているわけですね。供給過剰地域に指定したその効果というか、何のために供給過剰地域に指定しているのか。  時間がないので全部一括してお聞きしたいのですが、警察庁は、北九州のタクシーの台数が多過ぎる、そこで不法駐車とかいろいろなものが起こるということで今話し合いをされていると思います。それから労働省については、やはり労働時間の問題だとか、そういう問題でタクシーが多過ぎると指摘をされている。経企庁についても、そういう指導をやっているというふうに聞いております。  それぞれ、どういう指導をしているのか、お答えいただきたいと思います。
  32. 梶原景博

    ○梶原説明員 御説明を申し上げます。  九州運輸局におきましては、これまでも著しく供給が過剰な地域につきましてこれを供給過剰地域として公示し、これらの地域につきましては増車を抑制するといりよりなことをしております。北九州地域も供給過剰地域として公示をされております。  私どもは、タクシー事業が健全に発展していくためには良質な労働力の安定的な確保ということが大変重要なことであるというふうに認識しておりますが、北九州地区では、平成七年五月に行われた運賃改定におきまして、これが労働時間の短縮を含む労働条件の改善を一つの目的としたものであるということで、運賃認可に当たりましてはこれらの改善に必要となるコストを原価に織り込んで認可し、また、認可にあわせ労働条件の改善について指導を行ってまいったところでございます。  また、減車につきましては、各事業者がみずから市場動向を把握し、自主的な経営判断により需要に対応した供給規模とすることがまずは基本であるというふうに認識しておりますが、事業者の自主的な努力によってはなかなか解決しがたい厳しい需給状況というような場合には、中小事業者の経営等にも配慮しつつ、最小限の範囲内で減車指導ということも行っております。北九州地区におきましては、供給過剰地域ということもございまして、運賃認可等の機会をとらえて減車の指導をしているということでございます。
  33. 福島康志

    ○福島説明員 労働省も同じでございまして、運賃改定の認可時の物価問題に関する関係閣僚会議におきまして、申請の趣旨にのっとって労働時間の短縮を含む労働条件の改善を図るというのが条件とされているということでございまして、労働省としましても、労働条件の改善の実現につきまして、事業主団体を通じて指導を行っているところでございます。  労働省としましては、今後とも、関係各省庁と連携をとって、タクシー運転者の労働条件の向上につきまして指導を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
  34. 末井誠史

    ○末井説明員 御説明申し上げます。  北九州市の小倉駅周辺におきまして、客待ちタクシーによります交差点内駐車、二重駐車が起きておりましたところから、警察といたしまして、関係機関、団体等で構成するタクシー問題等対策委員会を設置いたしまして、いろいろと検討いたしました。  警察といたしましては、この委員会の場で、駐車問題の解消に向けまして、関係機関、団体等がそれぞれに可能な対策をとっていただくよう申し入れをして、相当の成果を上げている、こういうことでございます。
  35. 田口義明

    ○田口説明員 経済企画庁といたしましては、公共料金政策の観点からタクシーをめぐる問題につきまして関与しているところでございますが、こうした観点からは、需要に応じた供給規模とすることによりまして事業の経営効率化を図っていくことが重要であると考えております。  このため、タクシー事業におきましては、需要に応じて弾力的な増減車を行っていくことが必要であり、物価安定政策会議基本問題検討会が去る三月に取りまとめました報告書におきましてもその旨指摘されているところでございます。  経済企画庁といたしましては、需給の弾力的な調整を通じて、タクシー事業の効率化が図られ、料金の安定化につながっていくことを期待しているところでございます。
  36. 弘友和夫

    弘友委員 要するに、運輸省も警察庁も労働省も経企庁も、車が多過ぎる、そして、それがタクシー運転手の賃金、また働く時間、そういう条件を悪くしているんだ、これを減らしなさいというような指導をしているわけですよ。  これは各地でそういう例があるのですけれども、北九州のタクシーの協会も、その指導に応じて日曜、祭日の減車というのを決めて、実施した。それは非常に効果があって、一人当たりの収入もふえた。ところが、これが独禁法違反だと公取から注意を受け、それで、始末書というか措置報告書を出さされたということなのですけれども、どういうことなんですか、公取の方は。
  37. 梶山省照

    梶山説明員 御説明します。  労働者の実質賃金の向上を図る、そういうことは重要な課題である、また、さまざまな社会的問題に対応する必要がある、そういうことは重要であるということはわかるわけですけれども、ただ、そのやり方といたしまして、事業者団体が構成事業者の供給量あるいは設備稼働率の制限あるいは決定を行う、こういう形で行うことになりますと、やはり独占禁止法上問題となると言わざるを得ないものでございます。  ただ、先ほど申しましたように、そういったさまざまな重要な社会的な課題に対しまして、どうやってやっていけば独禁法上問題なくできるかということについては、事業者の方あるいは事業者団体の方から御相談があれば真摯に対応して、独禁法との問題なくできるように努力してまいりたい、このように考えております。
  38. 弘友和夫

    弘友委員 その協会なり業者から相談があれば、独禁法にかからないようなやり方があるのですか。それぞれ会社の一つずつについて自主的にやりなさい、こう言っているわけですね。こんな減車なんというのは自主的にはできないわけですよ。だから、運輸省にしてもそれぞれの協会なりなんなりに話をして、それでやっているわけでしょう。どういうやり方がありますか、そうしたら。  しかも、口頭で注意したということですけれども、措置報告書というのは、立入調査をして、措置報告書を提出すればこの一件は落着するとして、公取の方がワープロで全部ひな形を書いて出しているわけですよ、このとおり書いて出しなさいと。これには御丁寧に理事会の議事録までつくって、こういうことをやって、措置報告書を提出しなさいと指導しているわけです。こんなばかな話はないんじゃないかと思うのです。じゃ、どういうやり方をすれば違反にならないのですか。
  39. 梶山省照

    梶山説明員 具体的に今、どういう形でやれば違反にならないかということはちょっと提示できませんが、もし事業者の方から相談があれば、先ほども申しましたように具体的に相談に応じるという形で、その実態を見ながら、独禁法上こうやれば問題になるということを御説明していきたいと思います。
  40. 弘友和夫

    弘友委員 時間が来ましたけれども、相談は何回もしているわけですよ。そういう実態も知っているはずですよ。そして、一社、企業一つずつじゃそんなことはできないわけですから、いろいろの、減車しなさいという指導を各省庁全部がやっているわけでしょう。全部がやったことに、指導されたことについてそのとおりやったら今度は独禁法違反だ、こう言われたら、じゃどうすればいいのだということになるわけですよ。そして、相談があればお答えします。相談なんか何回もしているわけです。  時間が来ましたのでこれはまた改めてやりたいと思いますけれども、やはり公取の立場というか機能も強化して、規制緩和だとかいろいろ大事な部分というのはあると思う。だけれども、その目的がやはり、じゃ、タクシーの運転者の労働時間、また賃金を上げるための措置について、それが独禁法違反だとかいうようなそういう指導、また、わざわざ議事録までつくって、こういう措置報告書を出しなさい、こんな独裁的といいますか、権威的といいますか、こういうやり方というのは大変私はけしからぬなと思います。  時間が参りましたのでまた改めてやらせていただきたいと思います。  以上で終わります。
  41. 大木正吾

    大木委員長 次に、山元勉君。
  42. 山元勉

    ○山元委員 社会民主党の山元勉でございます。  ことしの人事院勧告は例年の勧告に加えて、先ほど総裁もおっしゃいましたけれども、多くの課題が含まれているというのが大きな特徴だというふうに思います。これは、現在の公務員制度について状況が大変変化をしてきているし、国民皆さんからも激しい批判意見が出てきている、それに対応する人事院の姿勢として私は時宜を得たものだというふうに思います。  ベースアップについては、ことしも一%を切りました。公務員皆さんの生活改善に資することができるのかどうかということについても問題がありますが、きょうは今申し上げました幾つかの新しい課題について見解を若干お聞きをしておきたいというふうに思います。  一つは、ことしの勧告人事管理制度見直しという提言を新たにされました。初任者の研修だとかあるいは省庁間の人事交流だとか、幾つか具体的に示されています。私も今までの人事慣行だとかあるいは制度というものがこのままでよいというふうには思いませんから同感でございます。  しかし、この具体策について幾つか問題点がございます。そのことについて一、二お尋ねをしておきたいわけですが、例えばⅠ種採用者長期合同研修だとかあるいはⅡ種、Ⅲ種の者からの積極的な登用ということがうたわれています。しかし、国民からの批判というものにそれでこたえることができるのか。  例えば、Ⅰ種採用者の、何といいますか、現在の人事慣行といいますか、例えば卑近な例で言いますと、二十代で地方の課長に出ていくとか署長に出ていくとかいうこともございましたが、そういうような特権的な人事慣行というものがある中でⅡ種、Ⅲ種の人をそこへ登用をしていくのだということについては、果たしてできるのかということがまず疑問として浮かびます。  要は、Ⅰ種の採用試験あるいは任用のあり方についてまで踏み込んだ基本的な検討あるいは提言が必要なのではないか。口で簡単に合同研修やあるいは登用と言っても無理がいくのではないか。  それで、やはり今までの年功序列型の人事だとかあるいは給与だとかいうものについて、基本的に何をどう見直していくのかということを全体像として提起をされないと、部分的に、一番悪い言葉で言いますと場当たり的に改革をしていくということになるのではないかというふうに思うのですが、基本的に何をどのように見直していくかという全体像についてどうお考えなのか、まずお伺いをしたい。
  43. 弥富啓之助

    弥富説明員 ただいま委員が御質問になりましたのは、全く同感でございます。何をどう見直していくかということを、その全体像を一刻も早く示したらどうかということでございます。  御承知のとおり、社会経済システム全般の変革が今求められております中で、行政においては簡素で公正な行政が期待される。それから民間企業では、もう申し上げるまでもなく、厳しい経営環境もと人事制度改革あるいは給与制度改革などに取り組んで進んでおるところでございます。それで、今言われましたように、近時は、公務運営あり方公務員人事管理についてさまざまな角度から御批判があるところでございます。  このような諸情勢を踏まえまして、人事院といたしましては、今回御報告を申し上げましたとおりに、現行人事管理制度を全般的に見直す、それで制度運用両面から改革に取り組むこととしておりまして、その際、これからの時代に求められていきます幅広い視野を持つ人材の育成とか、それから長年続いてまいりました画一的な、固定的な人事慣行見直し、あるいは高齢化や就業意識の変化に対応し得る多様で柔軟な勤務形態や昇進システムということで、能力や実績をより重視した給与システムの構築等を目指しているところでございます。  人事院といたしましては、人事管理全般的見直しに係る課題につきましては、各省庁の実態を踏まえながら、専門的立場から検討を要するものと考えておりまして、速やかに検討の体制を整えて取り組んでまいる所存でございます。  また、Ⅱ種、Ⅲ種の問題でございますが、これは国会を初め各方面からもかねてから指摘をされている課題でございまして、正直なところなかなか難しい問題もございますけれども、職員全体の高い士気を維持しながら能力の活用を図るということは極めて重要な課題であると認識をいたしておりまして、従来の人事慣行にとらわれることなく取り組んでまいる所存でございますが、職員の登用は申し上げるまでもなく第一義的には各省庁において進めていただく必要がございますが、人事院としても、各省庁と十分な連携をとりながら登用を推進するための諸方法について検討を進めてまいる所存でございます。
  44. 山元勉

    ○山元委員 率直に、難しいというふうに言葉もお使いになりましたけれども、大変難しいこれからの日本の公務員制度のありよう全体を変えていく大問題ですから、ぜひ精力的に取り組んでいただきたいと思います。  私ども今、私自身も与党の行政改革プロジェクトに所属しておりまして、大変この問題でも、一括採用、任用ということでも論議をしておりますが、大変難しいという実感を持っています。ならばこそ余計に、政府があるいは人事院が挙げて努力をしなければいけない問題だというふうに御要請を申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、その中にあります官民双方向の交流の問題です。  基盤整備を行うというふうに書いてあるのですが、この報告では、「官民の人的交流は、柔軟で幅広い視野を持った人材の育成に有効であるとともに、相互理解専門的知識・技術の相互活用に資するものであり、一層の拡大が求められている。」、全くそのとおりだというふうに思います。  しかし、一層の拡大といって、今まで官民の交流というのは、例えばパイプだとか癒着だとかいろいろな言葉が言われてきて、銀行から大蔵省へとか、あるいは建設会社から建設省へとか、そういうアンテナ、パイプという役割を果たしているということで厳しい批判があったわけです。ですから、そういう癒着だとかあるいはパイプだとかいうことの拡大ではなしに、ここに立派に書いてあるようなことに沿うような交流が果たして実現できるのかどうか。  私は、民間の中でもあるいは役所の中にも、遊んでいて、ちょっと勉強してこいやいというような人はいないと思うのですね。実際に交流をして、ここに掲げてあるようなそういう目的を達するような交流のあり方というのは大変難しいと思うのです。これから一体どういう方向で論議をされるのか、もう少し具体的にお話しをいただきたい。
  45. 弥富啓之助

    弥富説明員 御承知のとおり、官民交流に際しましては、官民癒着等の批判を生じませんように、公務の公正性の確保に十分配慮したシステムとすることがまず必要でございます。  このためどういうことをというお話でございましたが、まず第一に、交流手続の透明性を確保する、それから人事院の関与等によりまして、公務の公正性の確保に十分配慮をいたしましたシステムの実現に向けて検討を続けてまいる所存でございます。  また、交流によります官民の相互理解人材の育成等という官民交流の目的に合った適切な官民双方向の交流が実現しますように、幅広い業種、規模等の民間企業と交流を進めていくために、受け入れポストの質や量の確保など、官民を通じた受け入れ態勢等の整備についても検討をしてまいる所存でございます。
  46. 山元勉

    ○山元委員 これは、厳しい定員管理の中にある公務員あるいは利益追求を本来の目的としている企業というもののかみ合わせですから、言うほど易しくはないというふうに思うのですね。ですから、勤務条件の整備も必要だというふうに思います。  一つ、私は思いつきで前から言っているのですけれども、例えば三年というふうに区切ろうという、一つの三年という言葉が出てきていますけれども、三年たったときに、いわばアンテナのような役割を半分果たしてきたけれども、ここの役所の仕事はおもしろい、わし一生やるというようなときには三年でもう帰らないという選択ができる、あるいは役所から民間へ出ていって、この方がわしは性に合うておるし、この方が生涯の仕事としておもしろい、役所に辞表を出して円満に身分を切りかえられるような、本当にそこで骨を埋めるような気持ちで職員の一人としてやはり三年間を働く、そういうものをつくらないといけないのではないかなといりふりこ思います。  いずれにしても、本格的に交流を始めるとすれば、多くの透明性だとか公正性だとかいうものが担保されなければいけないというふうに思いますが、ぜひこのことについても今後明らかにしていただきたいというふうに思います。  具体的に論議をさせていただきたいと思いますが時間がありませんから次の問題ですが、高齢者雇用制度骨格が示されています。これは時代的な要請ですから、このことについていろいろと検討されたことについては評価をいたしますけれども、幾つかお尋ねをしておきたいのです。  この報告の中に、「選考による能力実証」という言葉があって、いわば選考採用、六十歳になった、希望すればだれもが再雇用されるということにはなっていないわけです。一方的に採用か不採用かということが決められるような制度というのは、年金が上がっていく、そこで再雇用制度をつくるという趣旨からすると、私はやはり落とし穴だというふうに思うのです。  ですから、全体、希望する者だれもがやはり何らかの形で再雇用をされる、そういう制度にしなければならないというふうに思うのですが、例えばそれは運用でできるのか、あるいは制度としてしっかりともう少し検討するのか、その点はどうですか。
  47. 弥富啓之助

    弥富説明員 高齢者雇用の問題につきましては、今回の勧告報告におきまして、新再任用制度ということでその骨格を示させていただいたわけでございます。  公務におきます高齢者雇用を進めていくに当たりましては、働く意欲と能力を有する六十歳代前半層の職員を広く雇用していくということを目指していくのが基本でございますが、一方で、高齢者雇用を再任用という方法によって行います以上、新たにつくこととなる官職に必要な能力を備えていると各任命者が認めた上で任用することが必要にならざるを得ないということは御了解をいただきたいと思います。  しかし、人事院といたしましては、今後、高齢者雇用の促進という基本方向を踏まえまして、今回の報告で示しました高齢者雇用制度骨格に基づきまして、関係者の意見を聞きながら、制度具体的内容についてさらに検討を進めるとともに、まず各省庁に対しまして職域開拓などの一層の努力を要請していく所存でございます。
  48. 山元勉

    ○山元委員 先ほど言いましたように、年金の制度あるいは高齢社会ということを考えると、より多くの人たちを受け入れるということが大事なので、そういう工夫をぜひしてほしいと思うのです。こういう人たちは、少なくとも四十年あるいは四十年以上ずっと公務に携わってきて、そしてなお働く意欲はあるよ、採用してもらいたい、やはりこういう人たちをしっかりと受けとめるような制度でなければいけないということを基本に置いてお考えをいただくように要望をしておきたいと思います。  そして二つ目、これは総務庁になると思うのですが、定員の問題ですね。定員管理を行うということで、両方のことで書いてあるのですが、短時間職員とそれからフルタイムの職員と、定員管理の問題が書いてあるのですけれども、先ほども話がありましたように、やはり厳しい公務員の定員削減の計画ということが進められている中でこれが入ってくるわけですね。そうすると、第九次に入ってくるわけですが、今の削減計画の中でこれを進めていこう、大変難しい仕事になろうかというふうに思うのです。そういうきちっとした削減計画の中でというがんがらがんのことでやると、この制度は進まないだろうというふうに思うのですね。  ですから、新採者をある程度抑えてでも受けとめていこうというような制度にしなければならないと思いますけれども、ここのところは弾力的な運用と、これはそういう言葉を使うとあいまいになるのかもわかりませんが、定員削減計画の中でどういうふうにこの人たちを受けとめていくことになるのか、総務庁のお考えをお尋ねしたい。
  49. 中西績介

    中西国務大臣 今御指摘のように、この問題については、片っ方は定員削減をと、そしてさらに高齢者雇用ということになりますと、直接的に定員増につながる可能性だってあるわけでありますから、この点を考えますときに、国家公務員の定員管理というものを考えてみた場合に、社会情勢の変化に対応いたしましてそれぞれの各省庁において行政需要の増減等があるわけでありますから、これに沿って行っていくというのがこの管理の方式でありますので、高齢者雇用実施によって直ちに定員がふえるという直結的なことを考えるということは今いたしておりません。  したがって、少なくとも高齢者雇用の定員との関係についてはこれから具体的に検討していくわけでありますから、特にまた高齢者雇用については検討委員会等を設置をいたしましてこれから論議をし続けていきたいと思っております。したがって、制度全般の検討まで含めて行わないとこの点についての具体的な提起ができないということもございますので、慎重に取り扱っていきたいと思っています。
  50. 山元勉

    ○山元委員 ぜひ、絵にかいたもちということにならないように、何回も言いますけれども、今の時代の要請にこたえる制度として仕上げていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。  時間がありませんから次ですが、ボランティア休暇について提言をされました。評価をしたいと思いますが、範囲などについては意見もございます。もっと、例えば海外へという、この間も海外で私どもそういう人たちに会うてきましたけれども、国へ帰ってもとへ戻る保証も何もないんだという、たくさんの方がいらっしゃいました。ですから、そういうことも視野に入れながら、やはり範囲についてはこれから考えていかなければいけないというふうには思いますけれども、いずれにしても早期実施をしていただきたいなというふうに私は思っているわけです。  これは、そういうことができる公務員勤務というものが緩やかさを持っているというような印象ではなしに、国民皆さんにもやはりボランティア活動に積極的に参加をしてほしいという、一つのリードとして実施をしてほしいわけです。五日間という期間も短いですけれども、やはり私は早くすべきだというふうに思います。  そこで、先ほども論議がありました。確かに休暇の問題なんかは、一月一日から十二月三十一日まで、暦年ですから、できたら一月一日から。一月十七日、震災の二周年を迎えるわけですけれども、本当に記念すべきというのですか、国民がああいうふうに、大震災が起こってボランティアで協力をした。特に私たちはあのときに若者に感動しましたけれども、そういうことは日本はできるのですよ、するのですよということのためには、無理してさかのぼって一月一日でもいいですけれども、やはり来年の実施というのを、まだ四月あるわけですから。そして、海外へも広げてとかあるいは一月もあるよということではないわけですから、技術的に人事院皆さんが、あるいは総務庁皆さんと力を合わせて論議をしていただきたい、詰めていただきたいなと私は思うのですが、いかがでしょう。
  51. 弥富啓之助

    弥富説明員 ボランティアの問題につきましては、基本的枠組みにつきまして既に報告においてお示しを申し上げたところでございます。何分にも新しい制度でございますし、関係者の御意見も含め、いろいろな観点から十分な検討を行い、先ほどの弘友委員、ただいまの委員の御指摘意見も頭に入れまして、来年のできるだけ早い時期に実施を図ることにいたしたい、かように考えております。
  52. 山元勉

    ○山元委員 何分にも新しい制度だと、確かにそうでございます。けれども、意義は大きいということを御理解をいただいて、来年の早い時期、限りなく一月一日に近い早い時期に実施をされるように御要望を申し上げておきたいと思います。  次は、毎年申し上げていることですけれども、完全実施、そして早期精算の問題です。  先ほど長官かりも答弁がありましたけれども、やはり民間に準拠をして公務員賃金を決めていく、生活条件を決めていくということですれば、もう既に、民間というのは四月、五月には全部新給与になっていて、新しい生活をしているわけですね、新しい生活というのはなんですが。あるいは仲裁裁定ももう既に決められている。そういう中で、四月の給与もあるいは六月の期末手当もいまだその差額が精算されていないという状況を、十月、十一月、十二月というふうに置いてあるというのはやはり異常だというふうに思うのです。  本当に民間給与あるいは勤務条件に対応するという趣旨からも、あるいは長年の公務員皆さんの要請からも、私は完全実施は当然だというふうに思いますし、一日も早い-少なくとも私はことし、八月一日勧告でなしに七月三十一日でもいいから、一日でも一月、一日早かったら一月早くなるというのはおかしいですけれども、してほしかったなという気持ちがあるわけです。  これはやはり公務員全体の士気にかかわることだというふうにも思うのです。生活にももちろん影響しますけれども、民間の諸君は四月、五月に春闘が終わって精算ができている、公務員は月々の給与もあるいは期末手当も精算がされないということでは、これはやはりよくないというふうに思います。  そこでもう一回、これは官房長官の主宰される責任ですけれども、退席されましたから、中西長官、ぜひこれは、やはり法の趣旨からいっても、長年の積み上げ、定着している状況からいっても、一日も早く閣議決定をして、法案を準備をして、完全実施という前提で法案準備ができると思うのです。で、いつ召集されるかわかりませんけれども、召集される国会の冒頭に一日も早く処理をするという努力について長官のお気持ちをお聞かせいただきたいと思うのです。
  53. 中西績介

    中西国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、早期完全実施をするというこの問題につきましては、七日に給与関係閣僚会議開催いたしましたし、これについて、まだ正式に日程について決定をいたしておりませんので、私の方から確たるスケジュールについて申し上げることはできませんけれども、何としても総務庁といたしましては、従来からの方針もあるわけでありますし、人事院勧告につきましては早期完全実施をするということを前提にして努力をしてきたところであります。したがって、本年も人事院勧告制度尊重基本姿勢を貫いて、勧告をできるだけ早期に完全に実施をするということを最大限の努力目標としてやっていきたいと思っています。  したがって、各関係閣僚皆さんにもそうした点についても十分御理解をいただきながら、今要請をされておる内容を十分満たしていきたいと思っております。
  54. 山元勉

    ○山元委員 お立場上、今最大限の努力というふうにおっしゃっていただきましたから、ぜひ完全実施を前提にした準備なり、あるいは各省庁とのお話し合いをしていただきたい。  人事院総裁にもお願いしておきますけれども、先ほど、速やかに実施されるように衷心よりというふうにお言葉をお使いになったと思いますが、ぜひ、苦労してつくった勧告だということで尊重して、一日も早く実施されるようにという御努力を重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。  最後に、これは人勧とは少し離れるのですが、さきの六月の内閣委員会で私の方からお願いしておりました問題です。  公務員制度審議会について、政府も、あるいは与党の行革プロジェクトも、休眠審議会等については廃止をすべし、あるいは透明性を高めるべきだというふうに審議会についての意見がありましたから、それに該当して公務員制度審議会が廃止をされるということが確定をしているわけです。そのことに関してさきの委員会では、長官から、新たな審議会等の機関を設置するように検討をするというふうにおっしゃっていただきました。  で、廃止をするのは、いっか廃止をするということではないわけです。廃止をしなければならない期限が来て準備ができていなければブランクになるというふうに私たちは思いますから、急いでもらいたいわけです。とりわけ、今概算要求期に入っておりまして、来年度そういう審議会を持つとすれば経費が要るわけです。  ですから、今総務庁が新たな審議会等の機関を設置するためにどういう仕事をしていらっしゃるのか。概算要求の内容も含めて、もうこの時期ですから、お答えをいただきたいというふうに思います。
  55. 中西績介

    中西国務大臣 先般の当委員会におきまして検討するということの答弁をいたしたわけでございますが、この点につきましては、現在の社会情勢なりあるいはその進展の状況等に対応いたしまして、公務員制度あり方そのものについて幅広く調査あるいは審議をするということを前提にいたしまして、そうしたものを設置しようということで今具体的に検討を行っておるというのが実情でございます。  審議機関の構成など具体的内容等につきましては、これからの検討事項でもございますので現時点では詳しくは申し上げることはできませんけれども、そうした方向について今検討し、それをまとめておるというのが実情でございます。  いずれにいたしましても、審議機関を設置していく場合におきましては、公務員制度について幅広い視点から公正そして厳正な検討が行われるように、ふさわしい体制をつくり上げていくことが極めて重要だろう、こういうことを考えまして今取り組んでおるということを申し上げておきたいと思います。
  56. 山元勉

    ○山元委員 先ほども申し上げましたように、今公務員あるいは公務員制度を取り巻く状況というのは大きな変化をしてきて、課題というのは山積をしているわけですね。人事院が今度の勧告で幾つかの新たな提言をしていただいておる。けれども、私は人事院が全部仕上げるということについては難しいことであろうというふうに思っています。そういう意味からいうと、何らかの機関が必要だ。  それで、最後に重ねてお尋ねですが、概算要求に間に合うように一つの構図ができるのかどうかということが一つ。  もう一つ、これは要望ですけれども、大きく変わっていく制度公務員のありようを論議する場ですから、諮問機関とかそんなものではなしに、やはり公労使の皆さんから意見をしっかりと聞くというような審議会でなければならないというふうに思うのです。とりわけやはり、時代は変わっていくのですから、労働者の皆さん職員団体の皆さん意見というのはしっかりと受けとめられなければ私は実のある改革というのはできないと思います。その点二つについて、今の状況についてお答えをいただきたい。
  57. 中西績介

    中西国務大臣 状況については、概算要求を八月末に行うわけでありますから、それに向けての予算等についての措置については考え、そして近いうちにその内容等についても決定をしていきたい、こう考えております。そして、今最後に言われました問題につきましては、公労使ということに限定することなく、やはり広い視野からこの点について、先ほどお答えいたしましたように公務員あり方、それから数の問題等を含めまして、総合的にどうするかということにこれから本格的に取り組んでいく必要があるだろうということで、当庁といたしましてもおくれることなくこれらの問題については提起していきたい、こう考えております。
  58. 山元勉

    ○山元委員 ありがとうございました。  終わります。
  59. 大木正吾

    大木委員長 次に、松本善明君。
  60. 松本善明

    ○松本(善)委員 人事院勧告の問題は後から聞くといたしまして、官房長官にまず伺います。  官房長官が日経連のトップセミナーの講演で朝鮮有事発言をされ、これは内外に波紋を広げまして、結局長官は駐日韓国大使に、不適当な例を挙げたことで迷惑をかけたということで謝罪をしたということであります。しかし、これまもう内閣のかなめであります官房長官の歴史認識にかかわる問題で、私は資格にもかかわる性質のものではないかと思います。  発言のどこがどういうふうに不適当で、どういう迷惑をかけたと思っているのか、明確にまずお答えをいただきたいと思います。
  61. 梶山静六

    梶山国務大臣 お答えを申し上げます。  御指摘の日経連のセミナーは、この八月の八日に行われまして、前からそのメンバーのお一人から、気楽な気持ちでひとつ、我々もTシャツで話を聞くのだからという前からのお誘いがございました。そういうことで、幾つかの話を申し上げた中で、最終の段階で申し上げたのは、私はやはり日本に欠けているのは有事の場合どうするか、それに対応ができないのではないか。持論ではございますが、私はやはり憲法以前に自衛権があるとするならば、そして自衛隊を我々が認めてあるとするならば、これはそういう有事の際に何と何ができるのか、何ができないのか。むしろ私は、平時の冷静な時期にそういうものをちゃんと定めておかなければいけない。  そして、いわゆるよく極東有事と言われるけれども極東有事の際に、超法規で、何らのことが日本に影響があればやれるのかどうなのか、こういう問題提起をいたした中で、今までよく使われる極東有事というのに、実は朝鮮半島の有事を具体的な地名を挙げて申し上げてしまいました。大変、官房長官たる私の発言としては不適切である、そういうふうに深く反省をいたし、金大使に電話で、御迷惑をかけたかもしらない、おわびを申し上げる、こう申し上げたわけであります。
  62. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、長官の発言は、朝鮮の例を挙げたということが、今なお朝鮮人民を敵視をし、危険視をしているという本音が出たのではないか。十日付の南朝鮮のハンギョレ新聞は、最近総理の露骨な靖国神社参拝を初め軍国主義復活にひた走る日本の政権担当勢力の意図をあらわにしたと指摘をしましたけれども、これもここに注目をしているわけだと思います。そういうことだからこそ陳謝で済まない、資格にかかわる問題だというふうに言われております。この点についての反省の弁が全く聞かれなかったということは極めて遺憾だと思う。  私は、この問題はこれとして、この発言の中で長官は、米軍は何よりも大切であり私は今日米安保を何よりも重く見ているというふうに述べられました。この考えについては反省はありませんか。時間が余りありませんので、簡明にお答えいただきたい。
  63. 梶山静六

    梶山国務大臣 私の一時間の話の中でですから、簡潔にと言われましても、誤解を招いてもいけないと思いますが、いずれにしても私はなぜ米軍が、在日米軍というか日米安保条約が大切かということは、特に私が先ほど申し上げましたように、日本自身に有事の際にどう対応するかという法整備がなされていない。自衛隊は果たして、つくってあるけれども動けるのかどうなのか。そういうことを考えますと、私は、日本のいわゆる国土国民を安全に守るという意味で米軍の役割は大きい、そういう感じがいたしまして、申し上げた趣旨であります。
  64. 松本善明

    ○松本(善)委員 何よりもということを言ったところを私は注目している。何よりもということは、日本国民よりも米軍が大切だということなんですよ。安保を守るためにあなたの展開されました情勢論はまことに荒唐無稽で、これはもう各紙が指摘をしております。これについて二回の答弁で何の反省もないというのは、まさに資格にかかわる。  あなたはよく恥の文化ということを答弁でも言われますけれども、私は率直に申し上げまして、恥を知らない極めて重大な発言ではないかというふうに思います。内閣がそういう姿勢だからこそ、私これから防衛庁長官にお聞きしようと思いますが、米軍実弾演習場移転問題でも、米軍が何よりも大切だという姿勢がとられているのだと思います。  そこで、私は防衛庁長官質問を移します。  政府は、沖縄のキャンプ・ハンセンで米軍が実施している訓練を矢臼別、王城寺原、北富士、東富士、日出生台など五カ所の演習場に移転して行うとしておりますけれども、関係自治体は、御存じのように強く反対をしております。長官は山梨、静岡に説得に行ったけれども断られたということも報道されておりますが、これはもうどこも同じであります。  明日は宮城県に行かれるそうでありますが、宮城県の王城寺原演習場関係では、直接の自治体の二町一村はもちろん、宮城県知事、仙台市長を初め、県内の六割を超える市町村議会が反対の意見書や決議を採択しております。直接の自治体の一つ、色麻町では、町の有権者六千三百人のうち五千三百人が移転反対の署名をしております。昨日は、大和、色麻二町、これはもう既に反対決起集会をやったのですが、それに続いて大衡村が反対決起集会を開きました。この関係三町村の町村長、それから議会の議長は、条件闘争はしない、はっきり反対だということを言っております。ほかの演習場も同じような状態です。  防衛庁はこれまでも、地域住民の方々の理解と協力を得ることは不可欠だと、ことし三月の本委員会での私の質問に対しても答弁をしているし、その後も繰り返しております。移転先決定後も、施設庁長官は、地元との合意が得られない限り実施できないと考えているというふうにおっしゃっています。防衛庁長官の発言も、報道はされています。  この国会で、公式の場ではっきりと防衛庁長官は、地元との合意がない限り演習の実施はしないということを明言できるかどうか。はっきり明言すべきだと思いますが、答弁を求めます。
  65. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 ただいま委員指摘をいただきました、沖縄県県道一〇四号線越え実弾射撃訓練分散移転の問題につきましては、日米合同委員会もとの特別作業班におきまして、昨年十月以来複数の演習場で分散実施をする、この方向で専門的、技術的な検討を重ねてまいったところでございます。その結果、ただいまお話のございました、演習場の面積あるいは機能等を総合的に勘案をいたしまして、矢臼別、王城寺原、東富士、北富士、日出生台の五演習場について分散実施が可能であるとの結論に達した次第でございまして、関係自治体に御理解と御協力をお願いいたしているところでございます。  沖縄県民に対しましては、米軍の施設・区域が集中をしているということで、大変長い間御苦労をおかけしてきているわけでございまして、我々政府といたしましては、できるだけ早く御苦労を軽減したいと考えている次第でございます。  防衛庁といたしましては、本件の解決には、関係する自治体の御理解を得るということは最も必要であると認識しておりまして、私も先般足を運ばせていただきましたが、今後とも関係自治体の御理解を得るべく最大限の努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  66. 松本善明

    ○松本(善)委員 地元との、関係自治体の理解を得たいという、努力をしたいという話ですが、その合意がない限り演習の実施は強行しないということは明言できないのですか。重ねて伺います。
  67. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 先般来、米側の要件についていろいろ御検討いただきまして、米側も五カ所という御了解を得ました。私ども日本側におきましても、八月十二日に五カ所ということで決めさせていただきました。  今後、関係する自治体のお地元には誠意を持ってお願いをしてまいる、そのまず最初に当たって、私から沖縄県における一〇四号線実弾射撃訓練分散移転の必要性というものも篤と御理解いただくためにお願いをいたしているわけでございますが、今後ともさらに最大限の努力をいたしてまいりたい、こうお話を申し上げております。
  68. 松本善明

    ○松本(善)委員 質問お答えいただきたいのであります。  やはり地元の合意がない限りやらないということは言えるのか言えないのか、強行するということがあるのか、これははっきり答えてほしいと思います。
  69. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 ただいまお話を申し上げましたとおり、いよいよこれから、公表いたしましたので、お地元の皆さん方といろいろお話し合いをする時期に当たっております。私どもといたしては、この一〇四号線案件の分散移転の必要性というものをしっかりと、最大限の努力をもってお話を申し上げていく、この決意を申し上げた次第であります。
  70. 松本善明

    ○松本(善)委員 三度にわたってお答えをいただきましたけれども、地元の理解と協力がない限りやらないということは言わないわけです。今までは防衛庁はすべてそう言ってきました。この時点へ来て、防衛庁長官がそのような答弁をされるとは、極めて重大な、これは五演習場については強行するかもしれないということではないかと私は思います。  私はこの事態そのものについて関係市町村の意見、関係自治体の意見をいろいろ聞きましたが、自分たちの意見を聞いてそれをもとにアメリカと交渉しない、そんなばかなことがあるか、それが日本の政府か、これが地元の意見です。五演習場関係自治体、全部反対です。  そうしたら、これはアメリカが海兵隊の演習はアメリカでやるべきではないですか。海兵隊そのものが、日本を守るためではなくて、これは第三海兵遠征師団という名のとおり、西太平洋からインド洋、地中海、アフリカ沿岸まで出かけていく。殴り込み部隊ですよ。これは海兵隊そのものが撤退すべきだと私どもは思いますが、最低限、今関係自治体の要求していることは、演習はアメリカでやれ、こういうことですよ。それ以外にないのです。それをやらない限りは、地元の意向に反して強行するということなのです。政府は、この演習をアメリカでやれということを今まで交渉したことがあるのか、またこれを交渉する意思があるのか、はっきりお答えをいただきたいと思います。
  71. 臼井日出男

    ○臼井国務大臣 防衛庁といたしましては、先ほどお話をいたしましたとおり、日米間の特別作業班における技術的、専門的な検討結果を踏まえて、本土の五カ所の演習場で実弾射撃訓練の分散実施をしたい、こう考えているわけでございます。御指摘のような米国本土での訓練実施については、これまで米側と交渉した経緯もなく、またその予定もございません。  御承知のとおり、我が国においてミサイルあるいは今般アメリカに行っておりますような、戦車の移動しながらの射撃訓練、こういうものができるような長射程の演習場というものはございません。しかしながら、今回のような射程距離五キロ程度の、米海兵隊の練度維持のための訓練というものはやはり地元でもって実施すべきもの、このように考えております。
  72. 松本善明

    ○松本(善)委員 アメリカのカリフォルニア州のサンディエゴであったことですが、海兵隊のヘリコプター部隊の移駐計画に対して、周辺住民が騒音と安全への懸念から移駐反対運動を起こしまして、クリントン大統領に要請をしました。これを受けて、大統領は国防総省に移駐計画の再検討を指示しました。アメリカの住民の反対運動なら大統領は再検討する。日本政府は、日本の関係自治体全部が反対をしているというのにアメリカに対して再検討を求めない。それは日本政府のあるべき態度では絶対ないと私は思う。  先ほど官房長官に言いましたけれども、まさに米軍を何よりも大切にするという態度以外の何物でもないということを私は厳しく指摘して、時間が短くなりましたが、人勧の問題をお聞きしたいと思います。  今年度の人事院勧告は、一%に満たない低率ベースアップ、寒冷地手当の平均二〇%の切り下げ、筑波手当を廃止する一方で特定研究機関の研究員だけに支給する差別的な新手当の新設や研究員への任期制導入などを盛り込んだ極めて重大なものであります。  時間の関係もありますので、寒冷地手当の切り下げに絞って質問をいたします。  このことは何度も委員会でも御質問をし、人事院がこれについてどう考えているかということはわかっているつもりです。切り下げの理由は暖地と寒冷地で寒冷生計費の差が少なくなったということを理由にしていますが、寒冷地手当は、人事院勧告でも言っていますが、寒冷積雪に起因して増嵩する生計費に対して支給する生活給だと。そうだとすると、この生活給という観点から生計費がどうなっているかということが極めて重要だと思います。  それで、簡明に人事院総裁に伺いたいと思うのでありますが、理由の繰り返しはもう結構ですが、暖房費を初め衣食住など寒冷地で働く職員の生計費が二割も下がったというのかどうか。そういうことはあり得ないと思いますが、この点について人事院総裁認識を伺いたいと思います。
  73. 弥富啓之助

    弥富説明員 今回勧告を申し上げました寒冷地手当支給水準、これは、今もう中身のことはわかっておると言われておりますので、同手当趣旨を踏まえまして、寒冷生計増嵩費を基本に、民間における同種手当支給状況に配慮をした上で、寒冷地手当をめぐる過去のいろいろないきさつや職員の生活実態等を含めて総合的に勘案して決定したものでございまして、この結果、現行水準との関係を見ますと、全体の受給者平均といたしましては現行水準の約八割程度となるということでございます。  前の委員会におきまして、歯切れが悪く、心がこもってない人だというふうに御批判をいただきまして甚だ恐縮しておるところでございますが、我々としては、国家公務員全体の適正な配分からこういうふうに見直したものでございます。
  74. 松本善明

    ○松本(善)委員 これまで暖地と寒冷地を比較して給付水準を決めるというようなやり方はやってきませんでした。そういうこと自体が非常に困難な話なのです。今の答弁ではっきりしていますように、寒冷地に勤務する職員の生活実態に寒冷地手当を切り下げる根拠はどこにもない、これはもう明白です。  これは総務庁長官に聞きますので、聞いておいてください。  労働基本権の代償機関として職員の福祉及び利益を保護する義務がある人事院が、正当な根拠もなく労働条件を引き下げる勧告を行った責任は、その存在意義にかかわる重大問題であります。この点について総務庁長官はどのようにお考えになるかという認識が一つ。  それから、これは地域経済に重大な影響を及ぼします。寒冷地手当の切り下げは、人勧に準拠をしている地方公務員、私立学校教職員、医療職員などへも波及をいたします。民間企業支給されている同種手当の引き下げも招くおそれがあります。  国家公務員と地方公務員などの手当引き下げは、地方経済への影響が極めて大きい。だからこそ、北海道、東北、北信越など関係市町村、一道八県、百三十市、四百七十六町、二百三村議会の合計八百十八自治体が寒冷地手当見直し反対決議をしております。  私が本委員会でこの問題を質問したときには、与党議員あるいは新進党議員からも同感の拍手とか話もございました。これはもう当然のことであります。寒冷地手当の切り下げが寒冷地で働く職員の生活を初め地域経済にも大きな打撃を与えるということについて、総務庁長官はどう認識しているか。  この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  75. 中西績介

    中西国務大臣 今御指摘のございました問題につきましては、人事院制度そのものを考えてみますと、労働基本権代償措置として、専門あるいは第三者機関たる人事院調査をし必要と認めたもの、あるいはそうした内容について国会あるいは内閣勧告をしたわけでありますから、これらの問題につきまして、総務庁といたしまして、寒冷地手当取り扱いを含めまして人事院勧告に盛り込まれた内容につきましては、この制度を尊重するという基本姿勢に我々立っておるわけでありますから、これを堅持いたしましてこれから後の対応を決めていかなければならぬと思いますが、いずれにしても、基本的には人事院勧告基本として考えていく、こういうことで対応していくことになると思います。  さらに、地方議会での反対決議等の問題でありますけれども、これらにつきましても、あくまでもこの制度そのものを尊重するという基本姿勢に立ちまして、国民理解納得が得られるよう結論を早急に得るようにしていきたいと思っておりますが、いずれにしても、これらの問題についてもさらに検討をしていかなくてはならぬだろう、こう考えております。
  76. 松本善明

    ○松本(善)委員 これで終わりますが、今長官の答弁でもありましたように、これを基本にして検討すると。私は、寒冷地手当の切り下げ、筑波手当の改悪など労働条件を切り下げる勧告部分については政府実施をすべきではない、このことを強く要求いたしまして、質問を終わります。
  77. 大木正吾

    大木委員長 次に、岡崎宏美君。
  78. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 新社会党の岡崎でございます。  勧告については私は十分とは思いませんし、なおまだ多くの課題があると考えております。ただ、多くの職員の人たちの、少しでも賃金改善を、こういう声には何としてもこたえなければなりません。日ごろの職務の努力は形として報われるというものがなければ希望も意欲もわいてまいりませんので、賃金引き上げについてはできるだけ早い時期の実施が行われるべきである、こういうふうに考えておりますことをまず表明いたします。  その上で、何点か質問検討の要請を行いたいと思います。  まず第一点は、配分の問題についてです。  中堅層に厚く、これは言ってみれば賃金上昇のカーブの変更を人事院は言っているわけですけれども、しかし、実際の生活の実感として、特に十年あるいは二十年前では考えられなかったことの一つに、四十代後半から五十代の人たちの生活への圧迫というものが相当あります。一つは住宅のローンであり、一つは子供たちの、特に大学進学などへの教育費の負担であります。これは現場の人たちの話を聞いておりましても、子供を大学にやることによって親が月々負担をするその額、十万あるいは十五万という人たちも出てきております。その多くはローンによるものであります。  こういう負担感というものを考えたときに、高齢の職員、高齢層になっていくところの賃金上昇カーブが抑えられるままであるということについては非常に大きな不安と負担をもたらすものではないか。この検討を、どう考えているかということを聞かせてほしいのです。
  79. 小堀紀久生

    ○小堀説明員 ただいま先生御指摘のように、本年の改定におきましては、改善原資に制約のある中で、長期的に給与カーブを変更するということを念頭に置きながら、民間と比べまして相対的に低水準と言われております中堅層改善に重点を置いて配分をしたところでございます。その結果、中高年層の給与水準の改定につきましては平均よりも低くなるということでございますけれども、この中高年齢層の給与水準につきましては、各年の給与改定や各般の制度改正等の効果もございまして、着実に改善されてきております。その結果、民間と比べた場合、中堅層よりは比較的余裕がある水準にあるものというふうに認識しているところでございます。  なお、今御指摘ございました、教育費が非常にかさむ層があるということでございますが、これにつきましては、扶養手当にいわゆる教育加算という部分がございまして、この部分改定によって応ずるということを考えております。
  80. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 一つの項目でやりとりを余りしたくはありませんが、月五百円ほどの増額が大きな教育費負担にどれほどの効果があるかということは疑問であります。  それと、参考資料というものも提出をいただいておりますけれども、そうした中に、確かに民間との比較というものはありますけれども、その前提に、公務員の労働者が実際にはどういう生活をしているか、そのローンの状況などがどういう状態であるか、これがわかるような資料というものの提示があって初めて、この制度あるいは労働に対する意欲というものがだれしもがわかるというふうになってくると思いますので、これは要請をいたします。  もう一点、住宅手当についてです。住居手当の問題です。  これは、実は、大震災で、今、住という問題については、これはどこに勤めている人にとっても大きな問題でありますし、また、個人の財産形成というものがそこに横たわっていることにもつながるわけですが、持ち家の人たちに対する住居手当は極めて低額であります。これは、個人の財産形成に関するものについては手当てをしないという一定のこれまでの方針があったというふうに理解をするわけですが、実際に、これは国が、たくさん、労働者も家が持てるという政策、いわゆる持ち家奨励策をとってきたことによる結果であります。  なお、日本の持ち家、それぞれの住宅を見ますと、その耐用年数は極めて他の国々に比べると短いです。二十年あるいは二十五年というふうに害われておりまして、そうであれば、四十年の勤労生活の中で一度はどこかで建て直しを余儀なくされるというふうな場面にも直面をいたします。  ローン、またこういう耐用年数から見、また国の持ち家奨励策との関係からこういう事態になっていることから見れば、この住居手当について、整合性というものがどうだろうか。本当に低額のままに抑え込んでいてよいのかどうか。私は検討を要すると思いますので、これについて意見を聞かせてください。
  81. 小堀紀久生

    ○小堀説明員 住居手当と申しますのは、住居に要する費用の一部を補てんするための手当でございます。(岡崎(宏)委員「もう、できるだけ短くお願いします」と呼ぶ)はい。  御指摘のように、持ち家等の居住者は借家、借間等の居住者よりも高い住居維持費を負担していることは事実でございますが、実際の負担状況を見てみますと、借家、借間の居住者にあっても全額を出しているわけではございません。それで、かなりその負担状況は重いという、そういう実態がございますので、住居手当改善につきましては、借家、借間居住者の方を優先すべきと考えまして、今まで手当てしてきたところでございます。
  82. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 経過を説明してくれと言ったのではなくて、今後の検討をどうかということを尋ねたのであって、それに対してだけ答えていただければ結構です。これは、要請をいたします。この時点では恐らくずれがあるものと思いますので、要請をいたします。  先ほど、高齢者雇用の問題ですね、新再任用制度について質問もございました。実際、高齢者、これは、官民問わず、その雇用というものは大変厳しい状況にあります。大震災の後も、実際には、職を失ったままである人、生きていくために働こうとして働けない人の大半は高齢者と女性であります。そういう現実と、現在の公務員における再任用制度の適用については、お聞きをすると、現在のところは再任用制度については一名の適用だというふうに聞きました。  こういう現状の中で、それでもなお、新再任用制度によって、これは年金との兼ね合いからしても私たちは求めていくわけですけれども、公務員だからこそ、公務員の職場であるからこそ、ぜひ、先ほども意見がありましたように、希望する者、働く意欲のある者が全員雇用されるように検討をいただきたいと思います。  これは骨格が示されたのみで、方向は出されましたが、なおこれからの検討課題になっております。その検討が公開されて、多くの人たちの意見が取り入れられて、結果として希望する者がすべて雇用される制度になるよう要請をいたします。  そしてもう一点、これは働く場を創出をするということからも、先ほどは、これは全く違う観点から、非常勤職員の在職の状況指摘がございました。私は先ほどの質問の方とは違う立場でお尋ねをしたいと思いますが、平成七年七月一日現在、非常勤職員の在職状況は既に二十二万三千四百八十九名と伺っております。これは、人事院ではこの数は把握していないということで、総務庁に尋ねた結果、こういう数であるということがわかりました。しかし、その総務庁も、この二十二万を超える人たちの労働条件、その実態については把握をしていないということでありました。定員の枠外ですから。  しかし、この統計を見ておりますと、二十二万のうちの十八万人近くが、かなり継続をして働いている人たちであります。非常に短期なのではなくて、継続されて実際の公務の職場で仕事をしている人たちです。事務補助、医療、教育という現場にその多くが存在をしておりまして、恐らくこれは圧倒的に女性であろうと考えられます。こういう人たちは、私たちが聞き及ぶ範囲では極めて賃金も低い、また休暇などの保障もない、いわゆる通勤などに対する手当も保障されていない存在の人たちであります。  これがよい状態とは思えません。公務にいろいろな意味でトラブルが起きないように、私はぜひこういう人たちの条件の向上を図るべきである、そしてある意味で雇用の創出を公務の場であるからこそ率先して行っていくべきではないかと思います。民間のパートの人たちへの法律は、これ自体問題はありますけれども、公務の職場にあるということで非常勤の職員の人たちは恐らく適用除外になっているはずです。どうその条件を改善をしていくか。全体として公務が本当に健全に遂行されていくためにどうするか。人事院は、全く無視できる存在ではないと思いますので、最後にこれに対するお答えを聞きたいと思います。
  83. 小堀紀久生

    ○小堀説明員 非常勤職員につきましては、その勤務形態それから職務内容がまちまちでございまして画一的な規制にはなじまないということから、法律では、各省各庁の長が個々の非常勤職員の職務内容それから勤務形態等を勘案をいたしまして、常勤職員との均衡を考慮して予算の範囲内で給与決定するということが基本とされており、各省各庁において適切に運用されているものと考えております。  したがいまして、今回のような常勤職員について給与改善がなされれば、非常勤職員についても、基本的には条件の類似した常勤職員との均衡を考えて配慮がなされていると考えております。
  84. 岡崎宏美

    ○岡崎(宏)委員 全く答えにならない答えと思います。  きょう、委員会が始まりましてから、公務員に対する厳しい目というものが何人かの方から発言がありました。しかし、これは実際現場で働いている人たちの働き方に対する批判なのではなくて、中央の、特に省庁の非公開性、またそれゆえに、あるいは縦割りと言われるものの中で生まれてくる責任の所在の不明確さに対する世間一般の非常に厳しい目であります。情報の公開を求めると同時に、公務員制度見直しというのは、それらの今問題とされているものがどう改善されているかということが検討されて初めて、それではそこで働く人たちのこの公務員制度というものはどういうものかという議論でなければ、これは本末転倒であります。  これらの議論がぜひ公開をされ、そして透明性の中でみんなの理解が得られるように求めていきたいと思います。今のような回答が続く限りは、多くの非常に厳しい条件の中で働いている人たち、多くの納税をしている人たちが、働く者同士としての立場と違った意味で、今後特にこの中枢に座っている人たちに対する厳しい目がふえていくことを指摘をいたしまして、質問を終わります。
  85. 大木正吾

    大木委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時十二分散会