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1996-05-16 第136回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十六日(木曜日)     午前九時三十分開議  出席委員   委員長 大木 正吾君    理事 熊代 昭彦君 理事 宮路 和明君    理事 渡辺 省一君 理事 倉田 栄喜君    理事 弘友 和夫君 理事 山元  勉君    理事 宇佐美 登君       唐沢俊二郎君    佐藤 信二君       塩谷  立君    鈴木 俊一君       津島 雄二君    虎島 和夫君       石破  茂君    鹿野 道彦君       谷口 隆義君    西村 眞悟君       野田 佳彦君    田口 健二君       金田 誠一君    穀田 恵二君       岡崎 宏美君  委員外出席者         参  考  人         (行政改革委員         会行政情報公開         部会部会長代         理)      塩野  宏君         参  考  人         (行政改革委員         会行政情報公開         部会専門委員) 堀部 政男君         内閣委員会調査         室長      松下 英彦君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十六日  辞任         補欠選任   石田幸四郎君     谷口 隆義君   塚田 延充君     西村 眞悟君   松本 善明君     穀田 恵二君 同日  辞任         補欠選任   谷口 隆義君     石田幸四郎君   西村 眞悟君     塚田 延充君   穀田 恵二君     松本 善明君     ――――――――――――― 四月二十五日  軍人恩給改定に関する請願坂上富男紹介)  (第二〇三八号)  同(虎島和夫紹介)(第二〇三九号)  同(宮路和明紹介)(第二〇四〇号)  同(塩谷立紹介)(第二〇七八号)  同(田口健二紹介)(第二〇七九号)  同(武部勤紹介)(第二〇八〇号)  同(田口健二紹介)(第二一一七号)  同(熊代昭彦紹介)(第二一五〇号)  同(塚田延充紹介)(第二一五一号)  同(宮路和明紹介)(第二一五二号)  同(山元勉紹介)(第二一五三号)  同(山元勉紹介)(第二一七〇号)  同(金田誠一紹介)(第二一九六号)  同(山元勉紹介)(第二一九七号)  恩給欠格者救済に関する請願金子一義君紹  介)(第二〇四一号)  同(坂井隆憲紹介)(第二〇四二号)  同(江崎鐵磨紹介)(第二〇八一号)  同(愛野興一郎紹介)(第二一八号)  同(宮下創平紹介)(第二一五四号)  同(久野統一郎紹介)(第二一九八号)  非営利芸術団体市民文化団体法人制度の  実現等に関する請願赤羽一嘉紹介)(第二  〇四三号)  同(倉田栄喜紹介)(第二〇四四号)  同(塚田延充紹介)(第二〇八二号)  同(古賀敬章紹介)(第二一一九号)  同(豊田潤多郎紹介)(第二一二〇号)  同(中山利生紹介)(第二一五五号)  同(上田晃弘紹介)(第二一七一号)  同(古賀正浩紹介)(第二一七二号)  同(粕谷茂紹介)(第二一九九号) 五月十日  恩給欠格者救済に関する請願古屋圭司紹介  )(第二二二五号)  元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する  請願池端清一紹介)(第二二五一号)  同(村山富市紹介)(第二二五二号)  同(岡崎トミ子紹介)(第二二八〇号)  同(岡崎宏美紹介)(第二二八一号)  同(大石正光紹介)(第二三〇一号)  同(倉田栄喜紹介)(第二三〇二号)  同(松本善明紹介)(第二三〇三号)  軍人恩給改定に関する請願奥田敬和紹介)  (第二二五三号)  同(松本善明紹介)(第二二五四号)  同(奥田敬和紹介)(第二二七八号)  非営利芸術団体市民文化団体法人制度の  実現等に関する請願小沢辰男紹介)(第二  二五五号)  恩給欠格者救済に関する請願山下徳夫君紹  介)(第二二七九号)  同(大石正光紹介)(第二三〇〇号)  同(稲垣実男紹介)(第二三五八号)  同(稲垣実男紹介)(第二三七八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十六日  アイヌ民族に係る新たな法律制定に関する陳  情書  (第二二六号)  青少年の健全育成推進に関する陳情書  (第二二七号)  人事院の寒冷地手当削減反対に関する陳情書外  一件  (第二二八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  行政機構並びにその運営に関する件(情報公開  法要綱案中間報告)      ――――◇―――――
  2. 大木正吾

    大木委員長 これより会議を開きます。  行政機構並びにその運営に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  行政機構並びにその運営に関する件、特に情報公開法要綱案中間報告について、本日、行政改革委員会行政情報公開部会部会長代理塩野宏君及び専門委員堀部政男君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大木正吾

    大木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 大木正吾

    大木委員長 この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。  議事の進め方といたしましては、去る四月二十四日、行政改革委員会行政情報公開部会から公表されました情報公開法要綱案中間報告につきまして、塩野参考人及び堀部参考人からそれぞれ御説明をいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それでは塩野参考人にお願いいたします。
  5. 塩野宏

    塩野参考人 塩野でございます。  情報公開制度について意見を申し述べる機会を与えられまして、大変光栄に存じております。  私は、ここに同席しておられます堀部教授とともに、行政改革委員会情報公開部会専門委員として部会審議参加してまいりました。本日は、今委員長紹介のように、去る四月二十四日に部会情報公開法要綱案の形で行政改革委員会に提出いたしました中間報告につき、その特色ともいうべき点をまず私からごく簡単に御報告をし、堀部教授からは、その背景的事情として、地方公共団体及び諸外国における情報公開法制度の動向などについてこれまた簡単に御報告申し上げた上で、委員各位の御質問にお答えしたいというふうに存じております。  私は、要綱案特色として差し当たり四つの点を挙げたいと存じます。  特色の第一は、お手元に恐らく行っていると思いますけれども、要綱第一に掲げられている情報公開法目的であります。  法技術的に申しますと、情報公開法は、行政文書開示を請求する国民権利を定めることを中核といたします。ただ、日本においては、法律制定する趣旨目的についても第一条で定めることが通例でございまして、要綱におきましてもその例に倣いましてそのことを明らかにしております。  すなわち、そこにございますように、情報公開法はそもそも国民主権理念にのっとるものであること、さらに、開示請求権を定めることの具体的意義といたしまして、「政府の諸活動国民説明する責務が全うされるようにする」こと、「国民による行政監視参加充実に資すること」を明示いたしました。これによりまして情報公開法理念及びその具体的機能が内容的に鮮明になっているというふうに考えますが、とりわけ、これまでの我が国情報公開法制度化論議の中で必ずしも明確に取り上げられてまいりませんでした国民から国政の信託を受けた政府説明責任、ややまだなれられていないかもしれませんけれども、政府説明責任を明らかにしたことに要綱第一の特色が見られるものというふうに考えられます。  要綱案の第二の特色は、開示請求の対象となる文書につきまして、要綱第二の②、一枚めくっていただきまして二ページのところでございますが、ありますように、行政文書を決裁、供覧といった形式的手続ではなくして、そこにございますように、「職員が組織的に用いるものとして、行政機関が保有しているもの」というふうにこれを実質的に定義したことであります。  なお、このように行政文書を実質的に定義したとしても、その管理が適切でなければ開示請求に適正に対処することはできません。そこで、しばらく後の方でございますが、要綱案第二十四をごらんいただきますと、これは九ページでございますが、「行政文書管理」とありまして、行政文書の適切な管理をすべく所要の措置を講ずるものというふうにしております。  このように、行政文書の定義とそれから管理あり方を有機的に結合させているという点にこの要綱案特色があるわけでございます。  要綱案第三の特色は、不開示情報に関するものであります。  これは、要綱第六、第七、第八が不開示情報、そのまた例外としての開示情報を定めたものであります。  ごらんいただきますとおわかりになりますように、不開示情報のうち個人情報につきましては、プライバシー保護型と個人識別型とがありますが、要綱案では条例運用等を考慮いたしまして個人識別型というふうにいたしました。その点は要綱にも明示されているところでございます。  これに対しまして企業情報につきましては、競争上の地位等に関する情報及び企業任意提供情報は不開示情報というふうにいたしました。ですから、すべてが不開示ということではなくして、競争上の地位等に関する情報及び企業任意提供情報、これが不開示情報といたしました。  企業情報に関するこのような扱いはアメリカを初め外国の法制にも見られるところでありますが、この要綱案特色は、ただし書きによりまして不開示例外に当たる場合を規定していることでございます。  ただし書きに該当する場合、つまりそこにありますように、「人の生命、身体若しくは健康への危害又は財産若しくは生活の侵害から保護するため、開示することがより必要であると認められる」というそういった情報でございますが、この情報につきましては、これに該当すれば行政機関開示義務を負うのでありまして、この不開示例外個人情報にも定められております。  要綱第七は、この例外的義務的開示に当たらない場合でも行政機関の裁量的な公益開示の権限を定めているわけで、その活用が期待されているところであります。一々は読み上げません。  このように、開示、不開示、さらには不開示例外としての義務的開示及び裁量的開示というぐあいに、段階的にめり張りをつけて定めたというところにこの要綱案特色があると考える次第であります。  行政情報につきましては、要綱六の③から⑥までに定められてあります。ここに掲げられております不開示情報のカタログは、実質的には大体において各国に共通しております。体裁等は、形式等はいろいろ異なりますけれども実質的には各国に共通しておりますが、これらの行政運営情報につきましては行政司法の関係が直接に出てまいりますので、裁判所審査あり方が問題となるところであります。  要綱案では、ごらんになるとおわかりになりますように、③及び④の情報と、それから⑤、⑥の情報についてはその性格に違いがあるという認識のもとに、司法審査の程度にも違いがあってしかるべきであるということから要件を書き分けているところに、日本司法制度を前提とした要綱案特色があるというふうに考えているわけであります。  なお、第七の公益的開示は、行政運営情報にも当てはまります。  最後に、要綱案特色の第四として、開示請求に対する救済手続として不服審査会設置を提案しているところであります。通常の手続ですと、行政上の不服申し立てに関しては当該処分庁直近上級行政庁審査いたします。しかし、行政機関の手持ちの情報開示するかどうかの判断は、当事者である行政機関だけでは必ずしも適切さを担保することが期待できず、外部の良識的評価が重要であることは理論上も、それから条例運営の過程での経験上も言えることであります。  この不服審査会では、当該行政文書をみずから見て審査をし、それは第七の公益上の理由開示にまで及ぶことが提案されております。我が国では、裁判所におけるインカメラ審査が憲法上の問題もありまして困難であること、裁量処分に係る公益判断に関する裁判所審査はおのずから限界があるということから、この審査会機能は極めて重要であり、事務局を含めて、国民から信頼される審査会の設立が期待されているところでございます。  以上で、簡単でございますけれども、特色と思われる点を御紹介いたしました。  どうもありがとうございました。
  6. 大木正吾

    大木委員長 次に、堀部参考人にお願いいたします。
  7. 堀部政男

    堀部参考人 堀部でございます。  情報公開制度について意見を述べる機会を与えられましたことを大変光栄に存じます。  先ほど塩野教授が述べましたように、私も行政改革委員会行政情報公開部会専門委員として情報公開法審議に当たってきましたが、それ以前から私は諸外国情報公開法について研究し、また幾つかの地方公共団体における情報公開制度化にもかかわってまいりました。本日は、日本情報公開法背景を明らかにするために、諸外国における情報公開法制定状況日本における情報公開論議、特に地方公共団体における情報公開制度化状況などについて述べたいと思います。  まず第一に、諸外国における情報公開法制定状況について、歴史的にさかのぼりながら見ることにいたします。  世界史的に見まして、最も早い時期に情報公開法幾つかの要件を備えた法律をつくりましたのはスウェーデンでした。この国は、一七六六年に出版の自由に関する法律制定いたしましたが、この法律で定立されました二つの重要な原則は、第一に、事前の検閲を禁止したこと、第二に、公文書を自由に印刷し配布することを一般に許されたこと、そのためこの種の文書に自由にアクセスすることができることでありました。公文書に対する市民アクセス権は、公務員による法律違反を明らかにし、その権力の乱用を防止する手段であると考えられました。スウェーデンの一七六六年法は、その後改正されて今日に至っております。  十三世紀以降スウェーデンの統治のもとにありましたフィンランドでは、スウェーデンの一七六六年出版自由法が適用されましたが、その後中断された時期もありまして、今日では、一九五一年に公文書公開性に関する法律ができております。  それで、年代順ですと次にアメリカ合衆国の一九六六年の情報自由法が参りますが、ヨーロッパ状況を先に見ますと、デンマークでは、第二次大戦後、公開原則の導入をめぐって多くの議論が交わされました。そして、一九七〇年に行政文書へのアクセスに関する法律が成立いたしました。  ノルウェーにおける情報公開制度は、歴史的にはその淵源をスウェーデンの一七六六年法に求めることができますが、第二次大戦後、一九七〇年に行政における公開性に関する法律公衆アクセス法として訳される場合もありますが、その法律制定されました。  このように、北欧諸国において情報公開法制定されてきましたが、フランスでは、一九七八年に行政文書へのアクセスに関する法律が成立いたしました。同じ一九七八年にはオランダでも法律制定されております。その後、ヨーロッパでは、オーストリアで、一九八七年に連邦行政機関情報公開に関する法律、それからベルギーで、一九九四年に行政公開に関する法律ができました。  これに対しまして、イギリスでは、地方公共団体情報へのアクセスに関する一九八五年の地方自治情報アクセス)法がありますが、国の行政機関に対するアクセス法は、さまざまな議論はあるものの、いまだ制定されるに至っておりません。ドイツでも、州レベルでは、プレスによる情報収集権の規定はありますけれども、連邦情報公開法という一般法はいまだ制定されるに至っておりません。  一方、アメリカ合衆国では、州レベルで十九世紀法律ができたところもありますが、連邦レベルでは一九六六年、情報自由法制定されました。この一九六六年法は非常に大きな影響を他の国にも与えておりますけれども、この法律を、翌六七年の七月四日、これはアメリカ独立記念日でありますが、施行するに当たりまして、当時の司法長官のラムジー・クラークは、次のようにメモランダムの中で述べております。  政府が真に人民の、人民による、人民のためのものであるならば、人民は、政府活動を詳しく知らなければならない。秘密ほど民主主義を減殺するものはない。自治、すなわち、国事への市民の最大限の参加は、情報を与えられた公衆についてのみ意味があるにすぎない。われわれがどのように統治するかを知らなければ、われわれ自らをどのようにして統治できようか。政府の行為を知る人民権利を確保することは、政府がきわめて多くの方法で各個人影響を与えているこの大衆社会の時代におけるほど重要なことはなかった。 このように述べております。この言葉はしばしばいろんなところで引用されております。  また、オーストラリア、カナダ及びニュージーランドで、それぞれ一九八二年に情報公開法制定されました。  第二に、日本における状況を見たいと思います。  これまで述べたところから明らかなように、情報公開法制定世界的潮流の中で、日本でも一九七〇年代の初頭に学界では情報公開法への関心が高まりました。国でこの情報公開議論がなされるようになりましたのは、一九七六年十二月のいわゆるロッキード総選挙のときであります。消費者団体などが各政党に対しまして、情報公開法に関する公開質問状を出したりしたのもこの時期です。  一方、公害問題、消費者問題などの分野で重要な役割を果たしてまいりました地方公共団体は、一九七〇年代後半にはこの情報公開という理念関心を向けるようになりました。  それで、学界における成果を踏まえつつ、情報公開制度化について組織的に検討するようになりましたのは神奈川県でした。一九七九年五月に情報公開準備委員会を設けました。私は、この準備委員会ができる前から意見を求められたりしまして、改めてアメリカ合衆国法律や他の国の法律について検討いたしました。神奈川県では、それらをもとに、文書の実態も分析しながら、日本法的環境に適合するような制度を構想いたしました。  この神奈川県の組織的検討は全国的に大きな注目を集めまして、国会では、一九七九年九月に、当時の大平首相情報公開必要性を認める答弁をいたしました。また、政府は、一九七九年十二月に情報公開問題に関する連絡会議設置しまして、翌八〇年五月には情報提供に関する改善措置等について閣議了解を行いました。この八〇年には、消費者団体などが情報公開法を求める市民運動を結成しまして、八一年一月には情報公開権利宣言及び情報公開原則を発表しました。八〇年から八一年にかけましては多くの関心情報公開法に向けられまして、多くの政党情報公開法案国会に提出しております。  このような情報公開に対する国民的関心が高まる中で、一九八二年三月には山形県金山町が情報公開条例制定しまして、全国的に注目されました。都道府県レベルでは、神奈川県が八二年十月に条例化しております。  これらが他の地方公共団体に与えた影響は大きく、自治省の調べでは、一九九六年、ことしの四月現在で、都道府県では四十四条例、三要綱、すなわち四十七都道府県すべてで制度ができております。市区町村では三百十五条例、二十一要綱制定されております。合計しますと、条例三百五十九、要綱二十四ということになりまして、情報公開制度は三百八十三の地方公共団体でつくられているという状況です。  国におきましては、政府は一九八一年に情報公開制度検討を当時の臨時行政調査会にゆだねまして、この調査会は、八三年三月に、情報公開制度についてさらに調査研究するようにという答申をしております。  その後、総務庁におきまして情報公開について検討いたしまして、一九九〇年九月には情報公開問題研究会中間報告、それから九一年十二月には、各省庁の文書課長等で構成されます情報公開問題に関する連絡会議におきまして「行政情報公開基準について」の申し合わせが行われました。  また、九四年十一月に行政改革委員会設置法制定されまして、そのもとで情報公開法に関する審議が行われ、今日に至っております。この間、一九九三年には六党の行政情報公開に関する法律案国会に提出されました。このことはよく知られているところであります。  以上、今回の中間報告背景となる事情について説明いたしました。  以上でございます。
  8. 大木正吾

    大木委員長 以上で参考人からの説明は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 大木正吾

    大木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊代昭彦君。
  10. 熊代昭彦

    熊代委員 自由民主党の熊代昭彦です。きょうは塩野先生堀部先生、お忙しい中をまことにありがとうございました。情報公開法要綱案に至るまでの御苦労に対しまして、心から敬意を表する次第でございます。  幾つかの点について御質問させていただきたいと思いますが、私自身も情報公開それから言論の自由等を深く信奉する者でありまして、極めて大切なことであると思います。  ただいまの御説明の中にも既にございましたけれども、情報公開するということの重要性とともに、公開した場合に国民生活に非常にマイナスになる、そういったところの権衡といいますか均衡を図る、こういうことが一番お悩みになったことではないかというふうに想像するわけでございます。  先日もキッシンジャー元国務長官が来られまして、朝食会でおっしゃっておられましたけれども、ただいま御説明がありましたが、米国の情報公開法ができまして、それまで自分は国務長官のときに大変綿密なメモを残して後任者に渡した、ところが、情報公開法ができまして、見かけは大変いいのだけれども、それからは綿密なメモをとる人がいなくなった、つくる人がいなくなった、こういうようなことも言っておられまして、これは本当になかなか難しい問題であろうというふうに思います。  それで、この要綱案の中で不開示情報を定めていらっしゃいますけれども、ただいま既に御説明あったところではございますけれども、開示する情報開示しない情報について基本的にどういう観点で交通整理をされたか、そういうことを塩野参考人にお伺いいたしたいと思いますが、よろしくお願いします。
  11. 塩野宏

    塩野参考人 それではお答えいたします。  私がお答えするといっても、部会共通意見としてまとめてきているわけではございませんので、私がこれから申し上げることも、部会の中での議論について私がほぼ部会共通意見というふうに理解していることを申し上げ、また、私の個人的な意見にわたる場合にはその旨を申し添えますので、その辺は御容赦いただきたいと思います。  今の開示情報と不開示情報との区分けでございますけれども、第一の「目的」にありますように、政府説明責務行政監視参加充実ということでございますから、基本的には開示原則であろうということで、これは一致しているところと思います。その趣旨は、開示義務というのが第五に掲げられているところでございまして、むしろ不開示例外ということになる。  そこで、御質問は、その例外という趣旨はどういうところであるかということでございます。  この点につきましては、例外を不開示とするということは開示情報によってさまざまでございまして、それについて共通的な理解ということを言えば、それは開示に親しまないものということになります。どういう場合が開示に親しまないものであるかということは、例えば個人情報であればその個人のプライバシーに関するようなものというようなことにおのずからなってまいりましょうし、それから法人、団体でも、ここに掲げてあるようなことで、それぞれ開示請求の対象となる情報によって違ってくるということを差し当たり申し上げる以外にはないと思います。  個別の問題について、それではこの開示原則に対する不開示の例として掲げられているものについてはどういう基準あるいはどういう観点からこれを不開示にしたかということの御質問があれば、お答えいたしたいと思います。
  12. 熊代昭彦

    熊代委員 それでは、堀部先生にお願いしたいのですが、先ほどちょっと例に挙げましたキッシンジャー元国務長官の心配は、非常にいい目的のためなのだけれども、そうすると後任者にだけ伝えたい情報はもうメモをとらなくなるというふうに言っておられましたけれども、アメリカ情報公開法、どういう名前か正確には私も存じておりませんが、日本のこの法律でもそういう心配があるのかどうか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  13. 堀部政男

    堀部参考人 ただいまの御質問につきましては、私自身もキッシンジャーさんとある会議で一緒になりまして、そのときにこの話をいたしました。そうしましたところ、熊代先生御指摘のように、自分の命までつくったものが公開されてしまう、こういうことだとメモをつくらなくなる、自由法というふうにアメリカでは言っておりますが、その情報自由法は必ずしも自分にとってはハッピーなものではないというふうに言っておられました。確かに、関係者にとりましては、そうした記録を残しますと、不開示情報に当たらない限り公開の対象になってしまうということがありまして、アメリカでも大変大きな議論があります。  アメリカの一九六六年の情報自由法には、文書のつくり方につきましては特に規定はございません。そこで、行政情報公開部会では、先ほど塩野先生御指摘になりましたけれども、中間報告の九ページにあります第二十四「行政文書管理」というところで、「行政機関は、行政文書管理に関する定めを制定し、これを公にするとともに、当該定めに従った適切な管理を行うものとすること。」ということで、ここではまだそれほど明確にはなってございませんが、文書のつくり方についてそれぞれ決めていただく、それを法律の規定の中にも設ける、こういうふうにいたしております。この点もアメリカ法律と比べますと一つの特色になっていると私は考えております。
  14. 熊代昭彦

    熊代委員 同じ点につきまして、情報公開法要綱案につきましてもう一度、再度確認させていただきたいのですが、たしか、ざっとお読みした限りでは、先ほどキッシンジャーが言われました、メモのたぐいで残したものも日本の案で公開の対象になるというふうに私は理解したわけですが、この理解は正しいのでございましょうか。
  15. 塩野宏

    塩野参考人 「定義」のところにございますように、第二の「行政文書」でございますけれども、「当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、行政機関が保有しているもの」ということでございます。ですから、ある前任者がメモを残し、そしてそれをその後任者に渡したということの意味が、組織的に用いるものとして該当するかどうかということで判断をされることになるのだろうというふうに思います。
  16. 熊代昭彦

    熊代委員 ちょっとくどくなって恐縮ですが、そうすると、ごく個人的にあなただけにメモを残したいといったものは組織的なものではなくて、これは受け継いでもらって、行政的にみんなで使ってほしい、こういう趣旨で残したものは公開の対象になる、こんなふうに理解してよろしいのでしょうか。
  17. 塩野宏

    塩野参考人 これから起こるいろいろなことについて的確にお答えすることはなかなか困難でございますし、それから、先ほど申しましたように、そういう点についてはまだ部会で個別ケースワーキングもしているわけではございません。  これは私の個人的な考え方といいますか見方でございますけれども、私の理解では、主観的な問題ではない、それが組織で用いるものとして行政機関が保有していると客観的に判断されるものというふうに私は考えておりますので、これはケースごとによるわけでございまして、たまたま御質問趣旨が、まず主観的に思ってどうかということについては、しかし、それは客観的にどう判断するかということになりまして、ケース・バイ・ケースであるというふうに私は思います。
  18. 熊代昭彦

    熊代委員 わかりました。それにつきましては、組織的に用いるということの解釈であるということでございました。基本的に、私は公開を前向きにすべきであろうというふうに思っておりますので、ただ、どういう法律であるかということを理解していただくことも大切であろうということで御質問申し上げたわけでございます。  次に、我々立法府といたしましては、国政調査権に基づきまして、行政府にあれを出せ、これを出せといろいろ言うのですけれども、なかなか守秘義務の壁に阻まれまして出ないというようなもどかしさをいつも感じているわけでございます。これはまた愚問でまことに恐縮でございますが、立法府の行政調査権に関するものは、この要綱とは全然関係ないわけでございますね。何ら影響を及ぼさない、念のために聞かせていただきたいと思います。
  19. 塩野宏

    塩野参考人 関連諸制度につきましては、これから必要に応じて議論、整理をしていくというのが部会のスタンスでございますので、関連のいろいろな制度について、ここで部会の見解としてこうであるということはお伝えするという事情にはございません。  ただ、これも私の考えるところでは、国政調査権は国政調査権としての制度でございまして、情報公開制度情報公開制度として制度として構築していくというのが我々の職務であるというふうに考えております。
  20. 熊代昭彦

    熊代委員 趣旨として、一国民の立場からいただくものならば行政府のものもいただけるだろうというふうに思いますが、それはそれといたしまして、行政情報がもらえなかった場合に不服審査会が定めてございます。私の一読した限り、またお伺いした限りでは、極めてオールマイティーに規定してあるのではないかというふうに思います。国政調査権で請求をできないものもここには提出できる、ただし非公開であって、不服審査会委員以外は見られない、こういうことであると思いますが、この私の見方に間違いございませんか。塩野先生、お願いいたします。
  21. 塩野宏

    塩野参考人 具体的にどういうふうなことにどういうものが調査権の対象になり、あるいは情報開示の請求の対象になっているかということについて、もう少し具体的に考えてみないとよくわからないところもございますけれども、先ほどオールマイティーというお言葉でございましたが、行政不服審査会は、開示請求の対象となった文書をインカメラで、つまり、目で見て判断することができるということになっておりますので、情報公開法からすれば、その意味ではオールマイティーであるという御指摘は正しいかと思います。
  22. 熊代昭彦

    熊代委員 不服審査会という閉じられた形であってもオールマイティーに資料が見られるということは、私としては極めて革新的な思い切った案であると思いますし、大変評価いたしたいというふうに思うところでございます。  それとともに、参考人として出頭して意見を述べるように求められた場合に、第三者も出なければならないというふうに書いてありますが、これは一応拒否することのできないものであって、拒否すれば罰則規定がある、こういうふうな構成で、また細部にわたりましてまことに恐縮でございますが、個人的見解でも結構でございますが、そういうものとして構成されるものであるかどうか、お尋ねを申し上げたいと思います。
  23. 塩野宏

    塩野参考人 今御質問の点は、第二十の第三というところでございますか、「参考人に陳述を求め又は鑑定をさせ、その他必要な調査をすることができるものとすること。」という、その参考人ですね。  この点につきましては、まだそういった御質問に直接お答えできるような形での議論は詰めておりません。全体、多少逃げ口上で大変申しわけありませんけれども、この不服審査会審査と、それから行政不服審査法上の正規の、正規と申しますとちょっと語弊がありますけれども、通常のルートでの不服審査制度がもう一つ、二つ並行して走っておりますけれども、その二つをどういうふうに調整するかという点も含めまして、なお未調整の点が残っておりますということでございます。
  24. 熊代昭彦

    熊代委員 それから、情報の提供の方法につきまして、極めて現代に適応したように提供しようという御意思で書かれているというふうに理解しておりますが、電磁的な記録を打ち出し、コンピューターでプリントアウトするということもいいというふうに書いてありますけれども、プリントアウトしてもらうとまた入力しないといけませんので、フロッピーディスクでもいいとか、それから、例えば、フリーにアクセスしてもらっていい情報はそこに置いておいて、一々来なくてもアクセスしてもらう、今のコンピューターネットワークというようなことも視野に入れて考えられているのかどうか、その辺もちょっと教えていただければ大変ありがたいと思います。
  25. 塩野宏

    塩野参考人 電磁的な問題をどうするかという点は、正直なところ、まだ詰めておりません。ただいま貴重な御意見をちょうだいしたというふうに私は理解しております。ありがとうございました。
  26. 熊代昭彦

    熊代委員 もう一つは、裁判制度との関係でございますけれども、不服申し立てについて、私は大変適切な規定をしていただいたというふうに思っているわけでございますけれども、しかし、さらにこの不服申し立てについて不満があるというような場合には、行政訴訟に訴えられるものであるかどうか。その辺は全体の構想として細部は詰めておられないとしても、どんな構想でおられるか、ちょっとお答えいただければ大変ありがたいと思います。
  27. 塩野宏

    塩野参考人 この要綱案の考え方は、行政事件訴訟法がそのまま適用されるということを前提にしてできております。したがいまして、不開示決定に対しては、まず不服審査をするか、あるいは直ちに裁判所に出訴することもできる。これは、行政事件訴訟法が自由選択主義をとっておりますので、そのままということでございますので、どちらも可能でございます。仮に不服審査の方を選んだ場合に、開示請求人の請求を入れられなかった、不開示決定が出た場合には、不服審査会に申し立てをし、それでも入れられなかった場合には、行政事件訴訟法に言う取消訴訟が提起できるという前提でございます。
  28. 熊代昭彦

    熊代委員 大変によく検討された、しかも斬新な、思い切った要綱であるというふうに高く評価させていただいているものでございますけれども、心配は、いろいろ情報が出まして、それを捏造して、例えばマスコミの世界で使うということがあるということでございます。しかし、捏造まで至らないけれどもほんの少し偏った報道を続けるということでいろいろ問題があるというケースもあるわけでございますが、それもやはり言論の自由の一環であろうというふうに思います。  それも言論の自由の一環であり、それに対して反発するのも言論の自由の一環であろうということでございますので、基本的には、やはり憲法二十一条に定められました表現の自由、言論の自由を法の世界でも守るとともに、国民一人一人、個人一人一人が守っていく。そしてマスコミ関係者も責任の重大さをしっかり自覚して、意図的に何かキャンペーンをするのじゃなくて、しっかりとした客観的な心を持っていただく。法律で取り締まるべきことではないけれども、心を持っていただかなければならない。そういう思いを込めつつ、これは大変に前向きなすばらしい要綱案であるということを申し上げまして、若干、五分残しておるようでございますけれども、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  29. 大木正吾

    大木委員長 次に、谷口隆義君。
  30. 谷口隆義

    谷口委員 新進党の谷口隆義でございます。  先ほど御説明をいただきました情報公開法要綱案中間報告に対しまして、塩野堀部参考人にお聞きいたしたいと思います。  聞いておりますと、行政改革委員会情報公開部会におかれましては、平成七年三月から三十七回にわたる会議、また七回の小委員会が行われたとお聞きいたしておるわけでございまして、本当に御苦労さまでございました。  この情報公開法は極めて重要な法案である、このように考えております。最近では、あの住専の問題、例えば農林省と大蔵省との間の文書の取り交わしの問題等があったわけでございますが、このような問題、また薬害エイズの問題、また大和銀行のニューヨーク支店の不祥事の問題等々ございまして、この情報公開法がもう既に制定されておれば防げたかもわからない、また被害も抑えられたかもわからない、このように言われておるわけでございまして、一刻も早くこの情報公開法制定を急ぐべきである、このように考えておる次第でございます。  今回のこの中間報告は、行政文書開示請求が、国民主権理念にのっとった国民権利である、また、政府国民に対して説明する責務、アカウンタビリティーがあるということ、行政文書開示を何人も請求できるというようなこと等、今までの行政の発想にはない斬新な考え方が盛り込まれておるということで、基本的には評価できるものと考えておる次第でございます。  しかし、その他の点におきまして、何点かございますが、当初の精神と申しますか当初考えられていたことから一歩後退しているのではないかなと言われるようなところもあるように思っておるわけでございますが、そのようなことにつきまして何点か御質問をいたしたい、このように考えております。  まず初めにお聞きいたしたいことは、これはよく言われておりますが、知る権利ということでございます。  情報公開法とは、従来各省庁がサービスとして国民に提供しておった情報公開国民公開請求できる法律、こういうようなものなんだろうと思いますが、情報公開法では原則公開を義務づけて、省庁が不当に非公開扱いをすれば救済機関に不服を申し立てることができ、不服訴訟も起こせるというようになっております。  部会議論においても、先ほどお話もございましたけれども、原則公開ということと開示請求権ということは当初から合意ができておるというようなお話でございました。その根拠が憲法にあるということもほぼ共通の認識であったというようにもお聞きいたしておるところでございます。  しかし、この開示請求権情報を知る権利、すなわち基本的人権の一つでございます表現の自由と表裏一体の知る権利に由来するものであるということを明記できるかどうかということが極めて問題になったというようにお聞きいたしておるわけでございます。  この知る権利というのは、自治体の情報公開条例絡みの訴訟において、開示範囲をめぐって相当影響も及ぼしておるということを聞いておるわけでございます。知る権利は、最高裁が、括弧やいわゆるつきとはいえ、あの外務省沖縄密約電文漏えい事件の決定などで言及いたしておるわけでございまして、一九四八年の世界人権宣言にも盛られておる。これを受けて、日本も批准をいたしております国際人権規約B規約でも認めておる、こういうようなことでございます。  今回は、最高裁で、情報公開と絡めて知る権利という言葉が使われたことはない、使ったことはないということで、今回の中間報告において見送られたというようにお聞きいたしておるわけでございます。そのかわりに、冒頭触れておられます国民主権理念という言葉を開示請求権の根拠として示されておるところであります。しかし、国民主権に由来すると基礎づけられたわけではありません。今回の開示請求権が、基本的人権や国民主権に根差すとは少し言いがたいと私は思っておるわけでございますが、そういう観点で、この知る権利ですね、中間報告に盛られておらないことについての御見解をお聞きいたしたいと思います。
  31. 塩野宏

    塩野参考人 委員御指摘のように、情報公開制度、とりわけ開示請求権が憲法と密接な関係があることは、部会で冒頭から審議をいたしまして、それは部会審議の前半でほぼ固まったことでございます。しかし問題は、そのことを条文上どのように取り扱うかでございまして、部会でも、かねて知る権利を主張しておられる方がおられました。また、もともと一般法律目的条項に憲法との関係をうたう必要はないのではないかという議論もございました。いろいろ議論した結果が中間報告のようにまとまったわけでございます。  したがいまして、この現在の「第一」の理解の仕方、特に知る権利との関係については、部会委員の間でもいろいろな自己の納得の仕方があろうかと思います。  ただ、共通の認識として、これは部会長も記者会見等でおっしゃっていることでございますけれども、日本では知る権利という言葉自体はあるけれども、これが法律上の概念としては判例上確定していない、最高裁判所の認めているところではないということでございます。また学説上も決して一枚岩ではないと申しますか、いろいろな議論があるということでございまして、これは憲法論でございますから、憲法論で最高裁判所でまだ確定していない事柄についていわば先取りをするということはなかなかできにくい。特に、部会でもいろいろな議論がありますから、それを先取りすることはできにくいということでございます。  また、今委員御指摘のように判例もいろいろございますけれども、我々もその判例をかなり逐一検討いたしました。最高裁の判例では、知る権利という言葉を括弧書きで使い、あるいは知る自由という言葉を使っているところもございますけれども、表現の自由の二十一条から出てくるものとして、政府情報開示を求める請求権という意味で、積極的な権利という意味で、判例、最高裁判所がこれを認めたという例は我々知らないところでございます。  なお、一言つけ加えますと、条例等の段階で、知る権利という言葉が条文の中に入っているか入っていないかということが判例に影響するのではないか、あるいは影響しているというような議論もいろいろございます。しかし、最高裁判所の判決の中ではそういったことはございませんし、また、諸外国法律においても、条文の中に知る権利という言葉を使っている例はいまだ私の知る限りではございません。しかし、アメリカ情報公開法運営の仕方が、そういう知る権利という言葉がないがためにアメリカ情報公開法開示の幅が狭いという議論を、アメリカ人からもあるいは日本人からも私は聞いたことはございません。  以上でございますが、なお細かな点、個人的な理解の点はいろいろございますけれども、この点は、先ほど申しましたように、各人各様の思いがこの「第一」に込められているということで、私一人の個人的な見解をここで述べるのは、再度の御質問がない限りは差し控えさせていただきたいと思っております。
  32. 谷口隆義

    谷口委員 根底にかかわる問題でございますので、極めて慎重にやらなければいかぬと思いますが、さっき、ちょっと私申し上げました中で、この冒頭、第一章の第一、「目的」のところで、「国民主権理念にのっとり」というような表現になっておるわけでございますが、これは国民主権に由来すると基礎づけられたものというような考え方をするということに対してはどのような御見解か、お伺いいたしたいと思います。
  33. 塩野宏

    塩野参考人 情報公開部会では、平成八年一月十二日に「情報公開法についての検討方針」ということで部会検討方針を定め、これを公にしております。そこの、法の目的というところの三番目のところで、「憲法の趣旨が本法の基礎にあることを明らかにする。」ということを明記しておりまして、この中間報告も、まさにその辺の意味ではのっとっているということでございます。これは、今委員の御発言で申しますと、国民主権が基礎にあるということ、あるいは根差すということでございましたらば、まさに根差した、根差すものとして我々は中間報告のその他の条項をまとめているということでございまして、国民主権理念にのっとりというのは非常に重いというふうに私どもは考えております。
  34. 谷口隆義

    谷口委員 ありがとうございました。  我々は、知る権利をこの情報公開法に盛り込んでいただきたいというように考えておる立場でお話をいたしておるわけでございますが、まだ今後、最終報告が本年の十月ぐらいに出されるということでございますので、また御検討をお願いいたしたいというように考えております。  その次に、先ほども若干おっしゃっておられましたが、文書管理のことでございます。現在は各省内の文書管理規定に基づいて、省庁でばらばらに管理されておるというのが現状のようでございます。  文書管理規定というのは、これは国民に対する情報公開の立場で設けられたものではなくて、行政による文書利用の立場で考えられたものであるということからしますと、そのあたりは理解できるわけでございますが、この情報公開の進展に伴って、公開されるとまずい情報文書化しないというようなことが考えられるわけでございまして、そういう意味からしますと、この情報公開文書管理というのは車の両輪だというように考えるわけでございます。  今回のこの中間報告におきまして、第四章の二十四ですか、このあたりに触れられておるわけでございますが、一方で、情報公開法文書管理法、法の制定までやるべきではないか、このような考えがございますが、このような考え方に対して、堀部参考人、できましたら御見解をお願いいたしたいと思います。
  35. 堀部政男

    堀部参考人 文書管理につきましては、従来各省庁の権限で決めていたところでありまして、谷口先生御指摘のように、公開を前提にしたものではないわけであります。  しかし、この点は、先ほど熊代先生の御指摘にもありましたが、きちんとつくりませんと、実際に公開を請求する対象になるもの、言いかえますと、開示請求権の客体となるものでありますので、その重要性は強調されなければならないところであります。この点につきましても、部会でかなり議論をいたしまして、結論としますと、先ほど御指摘になりました第二十四のような形でここでは制定をするということになりました。  それ以上に、文書管理法のようなものを設けるかどうかということは、今後の課題ということになろうかと思います。
  36. 谷口隆義

    谷口委員 先ほどメモについて触れておられたのですが、この文書管理文書作成、保存の基準と申しますか、このあたりが明確にならないと、この情報公開法が骨抜きになるのではないかというような危惧さえおっしゃる方もいらっしゃるわけでございまして、そういう意味では、一つは、先ほど私も申し上げました文書管理法というようなところまで、法律の段階まで持っていってやるべきではないのかというような今御質問をしたわけでございますが、済みません、もう一度塩野先生、御意見をお聞きしたいと思います。
  37. 塩野宏

    塩野参考人 文書管理法というときのその内容でございますけれども、私もその点、専門家ではございませんので、余り詳しくないわけでございますが、文書管理法というときでも、情報公開法と関係のある部分と、それから必ずしも関係のない部分もあるのではないかというふうに私なりに想像をしております。  ここで私どもが考えておりますのは、やや所掌事務にこだわって恐縮でございますけれども、ここでいう情報公開法にとって意味を持つ文書管理あり方については、二十四で掲げているような形できちんとするべきであるというふうに書いてございまして、それを法形式として法律のレベルでやるのか、政令のレベルでやるのか、あるいは政令ではかなり大まかにして各省に任せるのかということは今後の課題ということになっております。  ただ、委員御指摘のとおりでございまして、行政対象文書あり方情報公開法とそれから文書管理あり方というのはまさに車の両輪でございます。  ただ、一言つけ加えますと、組織的に用いるものとして保有しているものについては管理しなさいということでございますので、メモであろうと何であろうと、組織的に用いるものということであれば、メモであるかどうかの形式は問わないというのがここの理解であることは先ほど来繰り返し申し上げているところでございます。
  38. 谷口隆義

    谷口委員 ありがとうございました。  では、次に移って、今問題になっております民事訴訟法の改正案との関連でちょっとお聞きいたしたいと思います。  御存じのとおり、民事訴訟法の改正作業の最終段階になって、突然文書提出義務に関する改正規定が出てまいりました。民訴法改正案は、文書提出義務に除外規定を設け、「公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出について当該監督官庁が承認をしないもの」についで提出を拒めるようになって、これによって、裁判所行政文書の提出命令を出した場合でも、監督官庁が公務員の職務上の秘密に当たると判断すれば提出しないで済むというものであります。  これはまさに、今この審議の対象になっております情報公開法の流れと逆行するように私は考えるわけでございますが、一つは、この中間報告検討段階で、この民訴法の改正案の、今申し上げたことについて法務省との話し合いをされたのかどうかということが第一点。また、これが情報公開訴訟に適用されると極めて大きな問題になるわけでございますが、そのようなことに対して塩野先生に御所見をお願いいたしたいと思います。
  39. 塩野宏

    塩野参考人 時間的な系列でごらんになるとおわかりになりますように、我々の方では検討方針を出して小委員会でいろいろ議論している最中でございまして、その間に、民訴法の改正案の検討も進められたということでございます。これは、かえってそれは縦割りでおかしいという御批判の向きもおありかと思いますけれども、部会としてあるいは小委員会として、民訴法の改正案がこうなっているから、こういうことが出てきたからここはどうこうしようという議論は一切しておりません。それが第一のお答えでございます。  それから、第二の点については、ここにも書いてありますように、関係法制についてはこれから調整を図るということでございますので、民訴法が関係法制ということになるのかどうか、まだ法律になっておりませんので、どうかということも含めまして今後議論を進めていくということでございまして、関係があればもちろん調整をいたしますし、それから、調べてみて、結局のところ民訴法は民訴法、情報公開法情報公開法ということで法律が割り切れるということであれば、それは別に調整の必要がないということになろうかと思います。  この点は、まだ部会で全然審議をしておりませんので、個人的な意見ということも含めて、ややお答えができないところということと御了承をいただきたいと思います。
  40. 谷口隆義

    谷口委員 しつこくて申しわけございませんが、ちょっと私は今聞き取りにくかったのですが、法務省とのお話し合いはなかったわけでございましょうか。
  41. 塩野宏

    塩野参考人 全くありませんし、やりようもございません。
  42. 谷口隆義

    谷口委員 今回、この情報公開法について手数料の規定があるわけでございます。この手数料について、営利目的ではない請求について減免措置を設けるべきではないかというような考え方がございます。  アメリカ情報自由法では、請求人が営利的な使用を目的としない限り二時間の無料検索サービスがあって、その上に百ページのコピーは無料になるというような規定になっておると聞いております。また、そういう手数料の概念がないというようなこともお聞きいたしておるわけでございますが、このようなことについて、これは一つは民主主義のコストであるというような考え方があるわけでございまして、この手数料につきまして、堀部参考人、ちょっと御見解、お話をお伺いいたしたいと思います。
  43. 堀部政男

    堀部参考人 手数料につきましては、この種の議論をいたしました。アメリカでは、手数料というはっきりした概念はありませんで、御指摘のように公益目的の場合などは減免措置をとっております。日本におきましては、もともと行政につきましてさまざまな手数料の概念がありまして、それとの関係をどうするのかということも議論をいたしました。  そこで、最終的には第十五の「手数料」のようなことになったわけでありますけれども、そこの二項におきまして減免措置を講ずる、このようにいたしました。このあたりは、アメリカ日本とのこれまでの行政の方法、やり方の違いから来ているものと私は理解しております。
  44. 谷口隆義

    谷口委員 では、その次に移りまして、不開示情報が六項目今回設けられておるわけでございます。その中の一つに、意思形成過程情報が不開示情報ということになっておるようでございます。  先ほども私触れたわけでありますが、薬害エイズの問題でもはっきりしたわけでありますが、この行政の意思形成過程の情報、これが最も国民が知りたいところであるというようなことでございます。この意思形成過程情報、これに該当するかの判断行政サイドの裁量にゆだねられておるというようなことでありまして、行政側が不都合な情報を隠す根拠としてこの規定を利用するおそれはないのかというように危惧する方がいらっしゃるわけでございますが、それに対しまして、御見解、お話をお伺いいたしたいと思います。塩野先生、お願いいたします。
  45. 塩野宏

    塩野参考人 意思形成過程情報という言葉は、中間報告では意識的に用いておりませんで、恐らくこの中間報告の第六の⑤あたりのことを指しておられるというふうに思います。  我々としましては、その意思形成過程ということになるとアンブロックに非開示とお考えになる、そういう誤解を恐れまして、あえて意思形成過程という言葉を排除したわけでございます。また、諸外国の法令を見ましても、情報公開そのものではございませんけれども、情報公開に類似の法律を見ますとかなりそういったものもあるものでございますから、そういうこととの誤解を避ける意味で、意思形成過程という言葉をあえて避けているわけでございます。  そこで、しかし、そうはいいましても、ここに書いてありますように、まだ開示すると率直な意見の交換等々いろいろな支障を及ぼすおそれもあるということを全く否定はできないということで、おそれのあるものについては非開示であるというふうにいたしました。  問題は、その運用ということになろうかと思います。この点につきましては、裁量を認めるというようないろいろな御議論もありますけれども、この法文の書き方を見ますと、不利益を及ぼすおそれがあるというふうにまず行政機関の方で判断をしまして、それで不開示ということになるわけでございますけれども、今度は、それを審査会の方でもう一度レビューしますから、本当にそれが正しいかどうかを見ます。それから、裁判所はインカメラではございませんので、外枠から攻めていかざるを得ない、あるいは推認という方法をとらざるを得ないわけでございますけれども、しかし、この点についてはかなり裁判所が私は踏み込めるのではないかというふうに思います。  裁量という言葉は、行政法学上非常に難しい言葉で、私ども、使うときに大変ちゅうちょするわけでございまして、私どもの裁量という言葉と一般に裁量という言葉とはかなり違うところもございますので、裁量という言葉を使わずに御説明いたしますと、まずそれは、第一次的には行政機関判断をし、それから審査会が本当におそれがあるかどうかを判断する、それで裁判所も、これは判断できるものでございますし、また、例えば率直な意見の交換等々や何かのところで見ますと、審議会でもいろいろな審議会がございまして、裁判所は、その審議会の目的あるいは構成等々を見て、これは率直な意見の交換を妨げられるようなそんな審議会ではそもそもないのではないかというふうな判断もこの法の解釈としてはもちろんできるということでございまして、私どもは、この五項が行政庁に相当大幅な裁量を与えているという趣旨には理解しておりません。  ただ、運用でございますので、やってみたところが裁判所が一向に入ってくれないということもございます。日本裁判所行政裁判所ではございませんので、かなり大胆に踏み込む場合もありますし、それからかなり入り口のところでとまる場合もありますけれども、この規定の仕方は入り口でとまれというふうな規定の仕方はしていないつもり、⑤についてはそういうつもりでございます。
  46. 谷口隆義

    谷口委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  47. 大木正吾

    大木委員長 次に、山元勉君。
  48. 山元勉

    山元委員 社会民主党の山元でございます。  塩野先生堀部先生、大変御苦労さんでございます。行政改革委員会、とりわけ部会の皆さんがきょうまで大変な努力、二年という限りがありましたので、大変な御努力をいただいたことに心から敬意を表したいと思います。  私ども社会民主党も、社会党時代ですけれども、一九八一年、一九八五年そして九三年、これは五会派共同提案でございましたけれども、情報公開法案を提出して努力をしてまいりました。当時の保守革新の激しい対立の政治の状況だとかあるいは行政の側の抵抗だとか、そういうことで残念ながら成立をいたしませんでした。今先生方の御努力で実りつつあるということについて大変うれしく思います。  先ほど先生もおっしゃいましたように、世界の先進諸国の流れ、潮流という言葉をお使いになりましたけれども、そういう流れだとか国内での市民運動の高揚、あるいはさまざまな行政側の、エイズ問題等にも見られるようなそういう情報隠しに対する国民関心、さらには自治体の先行、こういう条件が熟して今この情報公開法が日の目を見ようとしておるのだというふうに思います。  一昨年、村山政権のときでしたけれども、二年以内に何としてもということで委員会設置をされて、そしてようやく我が国情報公開法制定が射程距離に入ってきたのだというふうに思います。そういう、今私どもは、歴史に残る法律をつくる、あるいは内外に評価をされるような法律をつくるということの責任があるのだろうというふうに思います。  したがいまして、十月というふうに予定されております最終報告をつくっていただくまでの間に、私どもとしてお願いをしておきたい、あるいは今疑問に思っておる点について若干お尋ねをしたいというふうに思います。  第一は、先ほども出ていましたけれども、やはり私も知る権利ということが明記されなかったことがまず残念です。報告では、国民主権理念によってというふうに書かれています。確かにそのことでも行政公開性とかあるいは透明性というのは高まろう、一歩大きく前進しようとは思いますけれども、やはり本来国民のものである、先ほど堀部先生人民のという言葉でおっしゃいましたけれども、国民のものである行政情報を知る権利があるということを明確にしてほしかったというふうに思うわけです。そういう原則がきちっとしていてこそ、不開示の範囲も狭まってくるし、そして行政の姿勢もより積極的になるだろうというふうに思うわけですね。  実際に、プライバシー権だとかあるいは環境権だとかいう憲法にないそういう権利についても、法律条例などで積極的に認めようという流れがあるわけですから、私はやはりこの法律で知る権利ということを明確にするチャンスではないかというふうに思えて残念なんです。そういう意味で、ぜひ最終答申をつくられるまでに御論議をお願いしたいと思いますが、塩野先生いかがでしょうか
  49. 塩野宏

    塩野参考人 第一については非常に議論を重ねました。そういうことで、議論すべき事柄は我々としてはかなり議論したということではございます。しかし、きょうの御発言の趣旨は、私としては部会に正確に伝えるという、当然のことながらそういうことを義務として負っているというふうには申し上げてよろしかろうと思います。個人的な意見は一応差し控えさせていただきますし、また、部会として必ずやりますと言うと、また部会へ帰ってからいろいろ問題がございますので、必ずそれは正確にお伝え申し上げますということはお約束したいと思います。
  50. 山元勉

    山元委員 ありがとうございました。時間が少ないので突っ込んでということにならないので申しわけございませんが、次に移らせていただきます。  不開示情報についてでございます。  端的に言って私は、やはり範囲があいまいであるし広過ぎるという思いがいたします。この報告を読ませていただいて、意地の悪い言い方ですけれども、例えば「おそれがある」という表現が、十カ所「おそれ」という言葉が出てくるわけです。これは決して行政に対して不信感を持っているわけではありませんけれども、そうではなしに、おそれがあるということで不開示ということになれば、行政の姿勢、積極的におそれというものについて大丈夫だという判断をするのか、消極的に、いや、やばいというふうに考えるのか、大変な行政判断の幅ができてしまうというふうに思うのですね。  それぞれ十カ所一々申し上げませんけれども、例えば「利益を害するおそれがある」とか、あるいは「安定が損なわれるおそれがある」とか、あるいは「混乱を招くおそれがある」、こういう抽象的な言葉で事不開示の範囲を決めていくということはいかがなものかというふうに思うわけです。もう少し明確に、原則公開ということを強めていくことがにじみ出てくるような、行政の側にそういうことがわかるような、そういう表現にといいますか規制に改めていただきたいと思うのですが、その点はどうですか。
  51. 塩野宏

    塩野参考人 この点はやや法文の言葉の使い方にも関係があろうかと思います。ただいま私の見ております、これは平成五年六月七日提出の行政情報公開に関する法律案を見ますと、ここでは、むしろ私どもの方では相当の理由があると認められるというふうな形で表現をしているところに「おそれがある」という言葉を書いておりますけれども、私どもの中間報告では「おそれがある」というのを、先ほど⑤、⑥で申し上げたようなところで、私は裁判所はかなり踏み込めるというふうに申しました。そこで、言葉の使い方について多少今後整理をし、そういう御意見があったということは部会にも伝えたいと思っております。  なお、不開示情報についての表現の仕方、大変難しいものがございまして、「おそれがある」というのは十カ所ということになりますが、それではそれを二カ所、一カ所にしようと思えば、行政運営上支障の生ずるおそれがあるものという一カ条でも済むわけでございます。しかしそれは、やはり国民に対する理解を求めるについてそれだけでは不十分であろうということで、比較的わかりやすいと申しますか、ものをカタログとして掲げているところでございまして、部会ではいろいろ議論がございました。もっとたくさん掲げるべきではないか、外国法令を見ますと、非常に、一見不開示情報法というふうなおそれを抱かせるようなものもあるわけでございまして、この辺実は、もっと箇条書きにたくさん書くべきか、あるいはそこをもう少し整理すべきかということは私どもの宿題にもなっております。  ただし、不開示情報についてはできるだけ明確性を保つように、あるいは行政機関にも何を言っているか、あるいは国民にも何を言っているかできるだけわかるようにという御指摘につきましては、私どもも十分念を入れて考えてまいりたいというふうに思っております。
  52. 山元勉

    山元委員 お願いですが、やはり行政の側が積極的に開示をしていくという方向を常に心がけるような、そういうものがわかる表現に心がけていただきたいなというふうに、これは要望しておきます。  そのことは、今度、先ほど問題になりましたけれども、民事訴訟法の中で、公務員の文書について裁判所へ提出する場合にそれぞれの省庁が判断をするということになっていますが、これはやはりもうもっと積極的に提供するということに変えていかなければいけない。法務省の、聞くところによりますと、やはり知る権利というものが明確になっていない、そういう環境が熟していない中でこういうことになるのだということもありますから、より積極的に行政の側が受けとめるような、そういう中身にこの情報公開法をしていただきたいということをお願いしているわけです。  次に、不開示の中で、不開示特約と言われる、公にしないということを約束をして行政に提供をされた企業などの情報については不開示だ、こういうことになっているわけです。ただ、そういう経験を私が直接的にしたわけではありませんから、素人っぽいですけれども、企業情報について、これは公にしないという約束があったのだということになれば、何も出てこないことになってしまうわけですね。簡単に言えば、そのことが乱発されるおそれはないのかどうかということです。  行政が知り得る企業等の情報について、積極的に、これは特段の、それこそ企業の不利益になるおそれがあるということの判断がなければ、それはやはり国民の知る権利を保障していくという立場で、乱発をしない、そういうことについて、約束というのは厳密に限定されるべきだというふうに思うのですが、いかがでしょうか。塩野先生にお願いします。
  53. 塩野宏

    塩野参考人 約束のもとに提供されたということになると一律不開示ということが時々言われておりますけれども、それは決して一律不開示ではございません。  先ほど申し上げておりますように、第六「不開示情報」の②のところで、先ほど開示、それから不開示例外開示というふうに言ってまいりましたけれども、このただし書きのところを見ますと、こういったものがあるために、より必要だと認められるものについては、これは例外的な開示でございます。例外でも単なる開示ではなくて、義務的開示でございます、これに当たれば。つまり「人の生命、身体若しくは健康への危害又は財産若しくは生活の侵害から保護するため、開示することがより必要である」という場合には、これは開示しなければならないということでございますので、法文の書き方で多少誤解を招くおそれのある書き方でございますけれども、私どもの真意はそういうことでございます。  また、この点は私どものところでもいろいろ議論をいたしましたが、外国の法制、あるいはこれは間違っていれば後で堀部委員にまた御訂正いただければと思いますけれども、アメリカにおきましてもこういったたぐいの事柄はあるわけで、むしろただし書きが、どうも私の見るところではないのではないかというふうにさえ思われるわけでございます。  それから、ドイツの環境情報法という環境情報に限った情報公開法がございますけれども、それも第三者から提供されたものについては第三者の同意がなければ開示はできないというふうに書いてございまして、企業からの任意提供というものについては、各国ともそれなりの配慮をしているのではないかという認識もございます。  この点については、あるいは堀部委員から補足があった方がいいかとも思いますが、これは時間の関係もございますので、私の方からはそういうふうに申し上げておきます。
  54. 山元勉

    山元委員 不開示に当たるかどうかですが、特殊法人について記述がしてあるのですが、これはどう読んでも、やはり今までのところからの除外と例外扱いにしてあるというふうに解釈をするわけです。  これは第二十七の問題ですが、「必要な措置を講ずる」というふうにしてあるのですが、どのような特殊法人についての御認識をお持ちで、どういうふうに措置が講じられるというふうに議論をされたのかをちょっとお伺いしたいわけです。  というのは、去年私どもは、行政改革のプロジェクトが提言をいたしまして、特殊法人のディスクロージャーについての閣議決定をしてもらいました。  これは御承知のように特殊法人が、公益法人もそういう部分はありますが同列で考えることはちょっと問題がありますけれども、同じように公益法人についてもこの情報開示については努力をすべきだと私は思いますが、特殊法人は特に莫大な国民の金をつぎ込んでいる組織です。また出資金や補助金を使っておる。そして、行政のいわば仕事、施策を実施するためにつくられている法人ですね。ですから、そういう国の施策を遂行するための組織、あるいは出資金や補助金を、巨大な、巨額なものを受け取っている組織として、やはり情報公開はきっちりと任務づけるべきだ。  この財務公開については閣議決定でなされるようになって、今努力がされているようですが、情報についても同じように考えていただかなければいけないのではないかというふうに思いますが、その議論についてはいかがでしょうか。
  55. 塩野宏

    塩野参考人 特殊法人については大変議論をいたしました。特殊法人に適用すべきだという非常に強い議論もございました。その結果としては御指摘のような形になりました。  まず、どういう措置がとられるべきかという点については、まだ部会として決まったものはございません。部会審議の過程で、例えば設置法に適用などのことを定めれば一番話が早いことでございます。しかし、設置法を一つ一つつぶしていくのは大変だなという議論もございます。  では、あるグルーピングをとりまして、政府に非常に密接なものあるいはその財源を政府にほとんど負っているものについては、これは特別に何かまた措置をすべきであるというふうな見方とか、特殊法人についてもいろいろなものがあるので、そこら辺はうまく仕分けをしなければならぬのではないかというふうないろいろな議論のあるところでございまして、具体的な措置の方法については、部会として確定したものはございません。  特殊法人をどうするかというのは大変悩ましいところでございます。委員も御案内のように、もういろいろな種類のものがございます。  ただいま政府出資のことの御発言もございましたけれども、特殊法人は百幾つあるかと思いますけれども、そのうち、全額出資法人は四十六、一部政府出資法人は二十三でございまして、六十九ということでございまして、決して全部が全額あるいは国民の税金によって成り立っているものではないという問題もございます。  それから、形態にしても、JRだとかNTTだとか、株式会社の組織をとっているものもございます。  それから、私もよく理解できないのですけれども、特殊法人の中にも民間化された法人、民間化された特殊法人といって、これは設置法で総務庁の審査権限の外に置かれていることもございます。これは私ども行政法学者の不勉強ということもございますけれども、日本で特殊法人というものはどういうものであるかということについての議論がまだ固まっておりません。私は私なりの考えを持っていろいろ議論もしておりますけれども。  今の段階で、フランスにありますような営造物法人とか、ドイツにおきます公法上の法人、公法上の社団、公法上の財団という概念が戦後の日本では崩れましたので、特殊法人を一律に取り扱うことの難しさということを御了解いただければと思います。  ただ、繰り返して申しますけれども、特殊法人をそのままにしていいという意見は、部会の中では、一つもございませんでした。
  56. 山元勉

    山元委員 時間がありませんので、お願いをしようと思っていた項目を少し申し上げて、後で一括して、もし御意見があったら、お伺いをしたいわけです。  一つは、不服審査会です。そういう道が開かれたことについては大変いい、必要だというふうに思います。  詳しく出ていないのですが、これから論議をされるのだと思いますが、委員の構成についてぜひいろいろと御審議をいただきたいというふうに思います。今までそれぞれの組織、委員会審議会等で問題になってまいりましたけれども、天下りと言われる官僚OBの人たちを入れることについての御論議、あるいは各団体とかあるいは各層の人たち、公平公正の考えを身につけている人ということにもなろうと思いますけれども、それぞれ委員会の構成によってやはり異議を唱える方たちが信頼できるかできないかということになりますから、この制度そのものの根幹にもかかわろうと思いますから、この委員会の構成についてはぜひ慎重な御論議をいただきたいと思いますし、情報公開という趣旨からいうと、この審査会公開にすべきではないか。非公開として結論については公表するというふうになっていますけれども、原則として審査会もやはり公開ということにすべきではないかというふうに一つ思います。  それから、開示か不開示かの決定、裁決の期間は三十日というふうになっています。そして、簡単に言うと、それは原則であって延びることもあるというふうに理解しますけれども、先ほども塩野先生がおっしゃいましたように、身体とか健康とか財産、そういうものを侵害されるおそれがあるものについては例外的にもうどんどんと開示をしていくんだというふうになっていることから考えても、三十日というのは長過ぎるのではないかという印象がするわけですね。半分ぐらい、二週間というような規定に縮まらないのかどうか。それで、どうしても難しい問題の場合には延びることはあるというその後の例外が規定されていますけれども、そこのところを含めて、やはり悲痛な叫びを持っている人については早く出すという積極的な規定にすべきではないかというふうに思います。  それから、最後、もう一つですが、こういう大事な仕組みでございます。世界の流れもそうですし、国民の皆さんの意識もどんどんと変わっていくというのか進んでまいります。そういう意味からいうと、この法をつくって、支障ができたら法改正をするということではなしに、常にそのことを見張るといいますか審査をするようなそういう審議会というものをやはり政府の中につくって、日々といいますか変えていく、見直していく努力をするという方針をお出しいただいた方がいいのではないかというふうに思います。  以上でございますが、もし御意見ございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  57. 堀部政男

    堀部参考人 先ほど来塩野先生申し上げておりますように、部会ではさまざまな議論をいたしまして、中間報告としてはこのような形でまとまりました。意見にもさまざま幅がございます。ただいま御指摘いただきました問題などにつきましても、さらに部会検討したいと思います。
  58. 山元勉

    山元委員 ありがとうございました。終わります。
  59. 大木正吾

    大木委員長 次に、宇佐美登君。
  60. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 新党さきがけの宇佐美登です。  本日は、両参考人にお忙しいところ当委員会にお越しいただきまして、どうもありがとうございます。この一年余り御熱心な議論をされたこと、客観的に見ましても、またその内部の事情を知る者としても、本当に大変な御苦労をいただいたかと思っております。  さて、質問者も私で四人目でありますから重なる部分もあるのですが、確認もさせていただきたいことがございます。  というのは、今民事訴訟法の問題、先ほど新進党の委員からも御質問ありましたけれども、我々さきがけの党の中での部会でございますが、法務省は、行政改革委員会、今情報公開審議をされているけれども、そこに対してこれは内容について何か御議論とか報告説明はされたかという旨を私が質問させていただきました。その際には、既に内容については御説明をしているということを二月の終わりに法務省は我々の党の正式な勉強会で説明しているわけでございますけれども、先ほどのお答えによりますと全くその点についてなかったというふうにお聞きしましたが、再確認をさせていただきたいと思います。
  61. 塩野宏

    塩野参考人 説明ということの意味でございますが、改革委員会情報公開部会及び小委員会に法務省の方が出てきて説明をされたということはございません。  それから、小委員会の中で、民訴法でこういう議論があるということを部会、小委員会のメンバーからそういった話題として出たことは事実でございます。しかし、それは法務省からの説明があったということにはならないのではないかというふうに私は思っております。
  62. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 どうもありがとうございます。非常に重要なところを明確にお答えいただきまして、どうもありがとうございます。  場を変えて、法務省に対して徹底的にその点について問題を指摘すると同時に、うそ偽りのあった中での我々に対する説明でありますから、当然内容についても改正を迫っていきたいと思っております。昨日から法務委員会も開かれておりますけれども、その点も含めて法務委員会の方で議論をさせていただきたいと思います。  さて、本題であります情報公開法に関連の質問をさせていただきたいと思います。  まず、余り議論されていないのかなというふうにも思いますし、また、議論はされた上でこういう結果が出てきた、中間報告がされたのかもしれないのですけれども、時限情報開示という考え方があるかと思います。防衛問題を含め、アメリカにおいてもある一定期間を過ぎた後に基本的に公開するというものでございます。  例えば、我々衆議院におきましても帝国憲法下における秘密会の会議録の公開、また参議院におかれましては貴族院での会議録の開示というものを昨年の四月から順次させていただいているわけでございますけれども、これも五十年余りたったということもあって開示が非常にやりやすかったという面もあります。  情報について、警察等、防衛、外交、安保についてある一定の不開示というような規定があるわけでございますけれども、どの情報に関しても基本的に三十年で開示する、そして、三十年の後にまた議論をして一部非開示の部分も出てくるかもしれません。時の流れが早い中で、それでも、例えば日米安保の議論を考えましても、三十年という期間はあっという間に過ぎておりますからその後にまた延長ということもあり得ますけれども、基本的にすべての情報に関して三十年後には開示するといったような時限情報開示の考え方について委員会、小委員会の方では御議論あったのか、また、その点について塩野参考人の方からの考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  63. 塩野宏

    塩野参考人 時限開示の考え方は私ども議論をいたしました。議論をした末に、時限開示というのは、私はまだ多少こだわっているのですけれども、部会全体としては意味がないということになりました。  なぜ意味がないかと申しますと、一つは、時限開示三十年といたしますとその間あけないでいいということになる。あけてもいいものがあけなくてもいいという、それはいかがなものであろうかという議論でございます。それから、時限開示で三十年が来ましたらば、どういう事情があっても、外国がどうあれ国内の治安がどうあれすべて開示をする、あるいはプライバシーの問題も含めてすべて開示をするということであれば、それはそれとして一つの考え方でございますけれども、それに徹し切れるかどうかという問題があるということで、私は多少こだわっているのですが、部会としてはもう一切お取り上げがないということでございます。
  64. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 ぜひ部会長代理におかれましては、引き続きこだわっていただきたいと思います。  そうでなければ、やはり行政が、一度不開示というものが行政裁判まで行ったとして、不開示が決定したとしましたら、もうこれは後生全然出てこないのかということになりますと、行政の仕事の面におきまして非常に緊迫感が薄れると思いますので、この面からしましてもぜひ時限情報開示、時限開示というものの徹底をしていただきたい、議論を何度でもしていただきたいと思っております。  続きまして、当部会というのですか、皆様の属されている部会の議事録の公開というのが今残念ながらされておりません。要旨についての御説明等あるわけですけれども、情報公開議論するその部会が、だれが発言したというのは触れなくても結構かと思います。せめて議事録の公開というものがされていかなければ、この一年間余り、もしくは先ほど堀部参考人から御説明あったように、もう二十数年余り議論されていたにもかかわらずいまいち盛り上がりが足りてなかったというのも、今どういう議論がされているのかということがわかってないからというのも一因だと思います。  ぜひ部会の方におかれましては、徹底的に議事録の公開、そしてさらに国民世論を盛り上げていくその御努力をしていただきたいと思います。その点についていかがでしょうか。
  65. 塩野宏

    塩野参考人 委員長、先ほどの時限開示のところで一言つけ加えてよろしゅうございますでしょうか。
  66. 大木正吾

    大木委員長 はい、どうぞ。
  67. 塩野宏

    塩野参考人 こだわっていると申しましたのは、そういうルートも、方法もあるのじゃないかと思うということでございますが、ただ、今の私の心境を申しますと、むしろ常時開示の気構えでいてくれ、二十年たちますと、やりますとそこは安心するわけですね。そうではなくて、部会の皆様の御意見は常時開示のつもりでいろというむしろ厳しいお考えで、時限開示を入れますと、むしろその間、逆に安心させるという効果の方が大きいという判断のもとに動いておられるということを一言つけ加えさせていただきます。  それから、部会議事録の点でございますけれども、部会の議事概要はお手元にしょっちゅう届いているかと思います。私、あれをずっと見ておりますけれども、大体あれを追っていただきますと、どういう議論が行われているかということは、私はかなり的確にうかがえるのではないかというふうに思います。もちろん部会の議事録をどうするかという点については、今後部会としても議論をするということになるかと思いますので、きょうの御発言の趣旨部会に持ち帰って伝えるようにしたいと思います。
  68. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 私は、十五分しかございませんので、次から次へと展開をさせていただきます。申しわけございません。  先ほど文書管理の話も出てまいりました。文書管理法の制定も、時に必要ではないかという御議論があったかと思います。同じ趣旨からなんですけれども、やはり私は電子情報化というものが必要だと思っております。文書による情報開示というものももちろんその一つの方法としては考えられるんですけれども、現在のようにパソコン通信やインターネットが非常に活発に使われている中で、基本的には、今霞が関WANという霞が関のネットワークをつくろうとしているわけですけれども、そこの中で、プロテクトのかかっていない情報に関しては自由にアクセスできる、これが本来の情報公開の一つの姿だと私は思っております。  もちろん、今ハッカーを初めとして、我々さきがけの属しているコアラというインターネットのプロバイダーも壊されて、我々のホームページも、政治的な妨害かどうかは別にしても、壊されたという非常にエキセントリックな問題が起きたわけですけれども、それでも私は、情報が常にネットワークからアクセスできる、そのような状態をつくるべきだというのが一つの考え方であります。  それと同時に、やはり郵便やファクスによる請求、そして郵便やファクスによる開示というものの可能性もぜひ検討をしていただきたいと思います。  この二点について御意見をお願いいたします。
  69. 堀部政男

    堀部参考人 ただいま御質問のありました点につきましては、第二十五の「総合的な情報公開の推進」ということで、政府がこうした「総合的な情報公開の推進に努めるものとすること。」という規定を設けることにいたしました。これによりまして、先生御指摘のような点はかなり実現できるのではないかと思います。  それ以外の、特に不開示情報が入っているものなどにつきましては、一つのフロッピーの中で、どれを開示できるかできないかというこの仕分けなどが実際問題とすると大変難しいところでありまして、このあたりは今後とも検討しなければならないところだろうと思います。  アメリカにおきましても、フロッピーあるいは電子情報公開していますのは、むしろ不開示情報に当たらない、既に公開できるものを対象にしておりますので、やはり不開示情報に当たるか当たらないかというところにつきましては、このあたりは今後の検討課題になろうかと思います。  いずれにしましても、第二十五を設けました趣旨は、先生御指摘のようなことを考えているところであります。
  70. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 情報の請求について郵便やファクスということもお尋ねさせていただいたんですが、ぜひそういう方向で検討をしていただきたいと思います。  電子情報化というのがごく当たり前にあったときには、例えば千枚以上の情報開示に対して非常に枠を決めるというような考え方があるわけですけれども、コンピューター上、ネットワーク上から引く場合には、当然、手数料は引く側にかかってくるわけでございますから、そういった意味で非常に安いコストでできるかと思います。  もちろん、それの裏側にはリスクもついてくるわけですけれども、その点について、世界で一番セキュリティーの高いネットワークをつくる、それぐらいのことを私は日本がやっていかなければいけないんだというふうに考えておりますので、ぜひ検討をしていただきたいと思います。  ただ、現実には例えばインターネット、総理の、官邸のホームページを開かれているんですけれども、官報、これは大蔵省の印刷局がやっているんですけれども、大蔵省印刷局の抵抗でついこの間までは一枚目だけ、表だけ、これもテキストで入ってなくて画像処理をしているだけですから、文字として入っているわけではないんですね。中身についてもそうでして、これは官報という非常に当たり前に開示されているべきものがホームページにも載れない、各省庁の抵抗がそこでも出てきている顕著な例でありますから、私は、ぜひその点も含めて、情報公開の徹底とサービスの向上というものも委員会の方で御議論をいただきたいと思います。  特殊法人の話、先ほど山元委員からも御質問がありましたけれども、ちょっとびっくりしたのは、実は塩野参考人が百余りあると言われましたけれども、特殊法人は九十二しかございません。まだ本当に議論がされていないのかな、明確な数字も情報としてお持ちではないのかなというふうに考えたわけですけれども、特殊法人については、この数年本当に大きな議論をされているわけでございますから、特殊法人のそのグルーピングの話も理解はできますけれども、なぜ特殊法人なのかということを考えたときに、行政の代行をするというのが基本的な仕事であります。  もちろん株式公開をしたりということで場合が違うこともわかりますけれども、基本的に商法による情報公開がなされていない特殊法人は、すべてこの行政情報公開法に関しての中で含むべきだというふうに考えておりますので、その点についてもこれから御検討を、御議論をしていただきたいと思います。  最後に、もうあと時間がないんであれですけれども、不開示情報の幅についてもまだまだたくさんの御議論をこれからしていただきたいんですけれども、例えば国民の混乱を招くおそれといった表現、先ほどお話もあったようにおそれということがありますが、著しく不利益を与える情報とか、ぜひそういうような形で非常に限定をした形で決めていただきたいと思っております。  そして同時に、これからこの不服の審査会をつくる際には、明確に、官僚OBもしくは官僚がこの委員にならないということを最終報告のときには盛り込んでいただきたいと思います。どんなに優秀な試験を受ける者、受験者であっても試験監督にはなれません。試験監督になるべき不服審査委員を受験生から何人か選んでくるなんということはあり得ませんので、そういうところをぜひ最終報告には明確に盛り込んでいただきたいと思います。  そして、やはり官僚が故意に情報を隠ぺいしたことがあると思います。今回の厚生省、HIVのことに関しましても、私はやはり故意に隠していたというふうに思っております。指示をしてから三日後に出てくるような情報が十数年間ないというのはだれかが故意に隠していたんだと思います。故意に情報を隠ぺいしていたものに対して罰則規定も設ける必要があると思います。この罰則規定について、最後にどのような御見解をお持ちか、お聞きしたいと思います。
  71. 塩野宏

    塩野参考人 委員長、また先ほどのちょっと補足でよろしゅうございますか。  ただいま特殊法人の数について御指摘ありまして、大変申しわけございませんでした。  ただ、私はきょうこれを持ってきております。持ってきた上で、ただこれは年の関係で、私数字に弱いものですから百余りということで申しました。そういう言葉じりをとらえていかにも特殊法人についての研究がおろそかであるというふうな御指摘は、まことに不穏当なことだと思います。もし特殊法人の研究がおろそかであるということならば、私の論文を読んでからおっしゃってください。私の論文は鈴木竹雄先生の古希記念論文集に書いてございます。また私の教科書にも書いてございます。また、芦部先生の古希記念には「指定法人に関する一考察」というものも書いてございます。それをお読みいただければ、特殊法人が行政の代行機関であると言えるかどうか、そこを問題にしているわけでございまして、そこを問題にしないでおいて、特殊法人も一律に情報公開法を適用するというのはおかしいのではないか。  この情報公開法というのは、日本の運命を定める一つの重要な法案でございますので、ぜひ十分に議論をいただきたいということでございます。その意味で、私本当に年寄りの関係、年のせいにはいたしたくございませんけれども、数字を間違えましたこと、これは訂正を申し上げたいと存じます。  それから、今の罰則の点でございますが、実はこの点まだ十分な議論は重ねておりません。審査会委員についての秘密の問題についての罰則規定は、要綱の方にも掲げさせていただいたというふうに考えておりますけれども、その他の点については、御指摘があったことを十分に踏まえまして部会報告をしたいというふうに思っております。  以上でございます。
  72. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 済みません。私の発言の趣旨はそういう意味ではなくて、感情を害されたら申しわけございません。特殊法人についてもぜひ御議論をしていただきたいという願いを込めての発言でございましたので、もしも感情を害されたらお許しいただきたいと思います。  ぜひとも、これからも熱心な御議論、また三党合意におきましては、与党からのお願いということも含めて、平成八年中のできる限り早い時期に御結論を出していただきたいというようなお願いもさせていただいております。内容をじっくりとかつ早くということで、ある意味で相反するところもありますけれども、これまで以上の御努力をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  73. 大木正吾

    大木委員長 次に、穀田恵二君。
  74. 穀田恵二

    穀田委員 私は、日本共産党の穀田恵二です。  情報公開法制定は、御存じのように、一九七〇年代のアメリカのベトナム秘密文書報道事件、そして堀部先生もお書きになっていますように、沖縄密約漏えい事件、その後ロッキード、グラマン疑獄などから、行政の不正行為を監視するためにその必要が叫ばれて、国民の世論となってまいりました。  国民の強い要求にもかかわらず、この間政府は消極的態度をとり続けて延ばし延ばしに今日に至っています。私は、先ほどもお話がございましたように、当時国民の世論にこたえて制定しておればその後の薬害エイズは防げたかもしれない、そういう意味で政府の責任は重大であるということを考えています。  私ども、日本共産党も、一九八一年に情報公開法という案を提出しています。その基本的立場は、憲法に保障された国民の知る権利を具体的に保障し、国民の積極的な国政参加の道を確立をし、民主主義の基本原則である国民監視のもとにある民主的な行政を目指すことにあります。こういう立場を我々は表明しています。  私たちの基本的立場から見まして、今回の要綱案につきましては残念ながら非常に問題点が多いと私どもは考えています。  その最たるものは、この間御議論のありました、要綱案目的に知る権利が明記されていない一方で、不開示情報は残念ながら広範かつその判断行政裁量にゆだねていることに示されるように、行政が許容する範囲で法律を作成するというスタンスがうかがえることなのです。マスコミも前進の一歩と評価しつつも、皆さんの御努力に対して、不開示の幅が広いのではないかという批判もございます。  委員諸氏の御努力に敬意を表しつつ、率直に言わせていただきますが、残念ながらそういう立場では、今望まれている国民主権に基づく権利国民に保障することが危惧される。ですから、しっかりと国民の側にスタンスを置いて検討することが私は必要だと思います。  そういう点についての御見解をまずお聞きしたいと思います。
  75. 塩野宏

    塩野参考人 私ども、十分に国民の側にスタンスを置いて考えてきたつもりでございます。部会の方の御出身はいろいろでございますけれども、どこの御出身の方であれ、国民の側に立ってこの問題を考えない委員は私はおられないというふうに思います。ただ、議論を重ねた結果につきまして、いろいろ御意見の違うところはあろうかと思いますので、その点はどうぞ、具体的にここがおかしいということは御指摘いただきたいと思います。  その点で申しますと、行政裁量が広いという御指摘でございますけれども、開示の方をできるだけ広くすると、どうしても、私どもの用語で申しますと不確定概念というのが出てくるわけでございますね。おそれがあるとか、あるいは、例えば非常に明らかであるとかいうのも、では何が非常に明らか、あるいは著しいといっても、これは私どもの行政法の用語で言う不確定概念ということになります。  そうすると、たとえ著しいという言葉を使ったとしても、これは訴訟のやり方でいろいろ議論の仕方もあろうかと思いますけれども、ある種不確定概念が残ることはやむを得ないというところでございまして、今の御指摘の点も含めまして、私どももその裁量の余地のないようできるだけ要件を明確にしていきたいというふうには考えておりますので、よろしく御指摘をお願いしたいと思います。
  76. 穀田恵二

    穀田委員 薬害エイズ問題を教訓に薬害の防止策を検討する厚生省の諮問機関、厚生科学会議の席上で、大臣は次のように述べています。「薬害再発防止のためには、情報公開が必要だが、役所は情報を出さないのが大原則。その原則によって権限は官僚に残し、責任は政治家に移される」と発言しているわけなんですね。それぐらい、あの大臣ですら、今の段階で役所というのは情報を出さないのが大原則だというぐらいまで言っておられる。  ですから、行政ないしは役所というのは、情報を握るということでその権益を放そうとしない。ですから、官僚の相当の抵抗を打破しなければ情報公開それ自身ができないことを示しておりまして、そこに国民の期待もあろうかと私は信じています。  また、住専処理の問題だとか「もんじゅ」の事故だとか官官接待による公金の乱用など、行政情報隠しというのがいつも行われる。どれほど国民に被害を与えたか。こういうものを防止する上で有効たり得るかどうか、そういう期待が今多くの方々から寄せられている。その角度で私も期待をしたいと思います。したがいまして、制定される情報公開法はそれにこたえるものでなければならないと信じています。  時間もありませんので、具体的にちょっとお聞きしたいと思います。  一つは、企業情報といわゆる意思形成過程の問題です。  これらの情報公開の問題で専門的に御活躍なすっている三宅弁護士は、ある新聞でこのように書いています。公にしない約束で任意に提供された情報が不開示となる問題についてですが、  厚生省が製薬会社から非公開の約束で薬害情報を入手したときは、情報の中身によって判断されることなくすべて不開示となる。国民は薬の使用を止めることができない。行革委には本当に第二、第三の薬害エイズが起きないようにする気があるのだろうか。「生命、身体、健康への危害から保護するため必要な情報は必ず開示する規定」はあるが、私の知る限り自治条例でこの条項によって法人情報開示された例はない。部会の考え方はその実例に照らしても甘いと思う。   自治体の条例では非公開約束だけで情報を不開示とする規定はほとんど採用されなかった。本年一月の「検討方針」においても、「単に提供者の意思にゆだねることなく」と決めていたが、官僚の要求に負けて後退している。この規定は削除すべきである。 と論じています。  この点で、先ほど地方自治体の問題の背景から説明なさった堀部参考人に御意見をお聞きしたいと思います。
  77. 堀部政男

    堀部参考人 ただいま御指摘の点につきましては、地方公共団体ではこの種の規定は設けておりません。若干これに類したようなものもあることはありますが、それはこれまでのところ余り機能していないのではないかと思います。  この規定の趣旨とするところは、本来ですと、例えば薬害にかかわるような情報は厚生省の法的権限で入手をできるものであるわけでして、そういう任意で何か参考までに提供されたものというような、本来の法的権限に基づかないものをここでこのような形で規定をしているという趣旨であります。  先ほど塩野参考人が触れられましたが、アメリカでは判例でこの種の考え方が出てきておりまして、これは七〇年代に最初確立いたしましたが、その後も九〇年代に入りましてからこの点が大分議論になりまして、裁判所が再びこういう必要性を認めております。この点はまた一方で、情報を提供している側の利益をどう保護するのか、情報も国に出せばすべて公開してしまえばいいのだということではなくて、場合によりますと国で検討する上でまさに法的権限に基づかず任意に提供するものもあり得る、そういった関係者の利益とのバランスということもこの表現には含まれているというふうに私は解釈しております。
  78. 穀田恵二

    穀田委員 きょうはそれぞれ意見を闘わせるというよりも、御意見をお聞かせいただくということなので、いわゆる意思形成過程の問題についても、先ほど堀部参考人からお話がありましたクラーク司法長官情報公開法施行に当たっての発言は、本当にそのとおりだと私も思っています。しかし、では情報公開の今度の不開示について意思形成過程の内容についてはそうなるだろうかと思うと、ちょっと私は疑問に思っています。  最後に、防衛情報の問題についてお聞きしたいと思います。  要綱案では、不開示情報として「国の安全が害されるおそれ」そして「相当の理由がある情報」が挙げられています。防衛情報を不開示情報とする理由に、この間、他国の情報公開法に倣うという論があります。先ほど御報告ありました一九九〇年の総務庁の中間報告などがそうです。しかし、この論には日本だけが誇ることのできる憲法第九条の精神が何ら考慮されていないという根本問題があります。  私は、自衛隊の存在そのものが違憲であって、それにかかわる秘密を認めることは憲法の恒久平和の原則から許されないことだと考えています。しかも今日では、新聞でも明らかなように、有事の検討が首相によって指示されて、国民に何ら知らされることなく基本的人権に触れるそういった問題が進行するということは想像にかたくありません。今回の要綱案は「国の安全」という抽象的表現で、不開示解釈が非常に幅広くとらえられる規定で、一面では防衛秘密保護法にもなりかねないおそれがあります。  そこで、先ほども堀部先生からお話があった他国の例との関係で、日本国憲法第九条のような平和条項がないアメリカでさえ、防衛情報についてはこのように規定しています。「大統領命令により定められた基準に基づき、国防又は外交政策のために秘密にしておくことが特に認められ、かつ大統領命令に従い、実際に秘密指定が正当に行なわれているもの」と極めて限定された内容になっていることは御承知のことだと思います。したがいまして、私が今言った憲法上の問題、それからアメリカの例からしても、この防衛情報の問題については大いに問題があるのではないかと考えています。この点についての御見解をお聞きしたいと思います。
  79. 塩野宏

    塩野参考人 この点なかなか難しい問題であるというふうに私どもは考えております。そういうことで、「国の安全」という言葉を用い、かつその国の安全が害されるおそれがあるということはどういうことかということで、四ページに「国家社会の基本的な秩序が平穏に維持されている状態をいう。」というふうに注釈を加えているところでございます。  外国との関係で申しますと、外国の場合には、秘密保護法とかあるいは防衛関係についての、軍事関係についての機密保護法があるところもあるやに聞いております。日本はそういうことがないという前提のもとでこういう案をつくったわけでございまして、日本でも仮に総理大臣が指定してということが簡単にできれば、非常に我々としては法案をつくりやすいわけでございますけれども、そういう状態が全くない、あるいはそういうことを前提にしないでつくるということになりますと、こういうやや抽象的な事柄にならざるを得ないというふうに私どもは理解をしておりますが、しかし、国の安全あるいは社会秩序の安全ということは、私どもはやはり維持されることを考えざるを得ないということは申し上げておきたいと思います。
  80. 穀田恵二

    穀田委員 私は反論するつもりはないのですけれども、国の存立、国の安全というのはもともと国民の生存や安全を前提とするものだと思うのですね。したがいまして、国家及び防衛政策の目的というものも国民の生命、身体、財産の確保にあろうかと思います。そして国民の生命、身体、財産、そういうものの安全というのが確保されるときに、国民の利益とともに国民の安全も確保される。しかし、逆は必ずしもそうでない。だから、国の安全という枠組みから離れて、防衛情報公開国民の生命、身体、財産の安全の確保を害する場合のみ非公開にすることが許されるのではないか、こういう見解を持っていることもあわせて発言をして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  81. 大木正吾

    大木委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十七分散会