○
石田(幸)
委員 それでは、
法律の
見直し、
制度等の問題については、時間の
関係もありますからその程度にしまして、次の問題として、ペーパー削減法、これはアメリカで既に
実施されておるわけであります。この問題について、ぜひひとつ総務庁で御
検討をいただきたいという意味で、私はこれから問題
指摘をいたしたいと思います。
現在、我が国では許認可等の行政手続において膨大な量の書類の
提出が要求されておるわけであります。これは経団連の方からも資料をいただいておるわけでございますが、「許認可の申請、届出等に係る書類の削減・簡素化等」の要望というのは相当に出ているわけなんですよ。何とかしなければいけない。
ちなみに、これは総務庁の行政監察局の方からいただいた若干の数字でございますけれ
ども、いわゆる申請、
報告・届け出等の現状はどうなっておるか。申請の
関係が六千九十八、
報告・届け出の
関係が四千六百十九というふうになっていますね。それから、
地方団体が国に
提出しているもの、そういったものが別に、申請
関係七百八、
報告・届け出の
関係が千三百八十あるわけです。
いろいろ話を承っていると、いわゆる通達
関係でやっている問題は監察局の方ではとても掌握できないと言っておりますので、その数がまた膨大にあるわけです。それから、
地方自治体等が民間の
方々に要請している書類というのも中央では把握できないわけでございますので、これは三千三百の
地方自治体が要請して書類を出させているわけですから、その数たるや、全く気が遠くなるような書類の数に上るだろうというふうに私は思うわけでございます。
例えばこの中で出ているのは、建築確認等の申請が平成五年度で約百万件あったというのですね。それから、建設業にかかわる貸借対照表等の会計書類ですね。その
提出が五十四万件あるわけですから、ざっと百五十何万件あります。
そういうようなことが一例でありまして、この数がとてつもない大きな数であろうというふうに思わざるを得ないわけですね。
それから、これも総務庁の方からいただいたあれなんですけれ
ども、例えば申請に伴う経費の
負担。例えば建築業界では、一社平均年に申請する件数が四百四十八件。これは一件当たり何枚出すかわかりませんから四百四十八枚という意味ではないわけでありまして、多いところは二千七百四十四件も出さなければならない。その申請にかか
わる経費というのは平均で百八十五万、多いところで一千万かかっている。こういう
状況が
報告をされております。
それから、法人税法及び消費税法上の保存すべき伝票の量というのが
報告されているのですが、大手のチェーンストアにおいて年間で六千万枚、膨大な数ですね。そして、さらに法人税法による保存義務量というのは、大手のチェーンストアにおいて三億枚というのですね。これは少ない数じゃありませんね。その保管に必要な総坪数が三千坪要るそうです。そうすると、この保管にかかる費用というのが、例えば紙で保存するだけでもコストが十五億円かかる。その三億枚の保管スペースを三千坪としますと、坪二十万の建物を建ててもそれだけでも六億かかるということでございますから、これは一社平均でもこんなに金がかかっているわけですから、これは何とかしなければならぬということになろうかと思うんですね。
今中央の
公務員の数は、総務庁等の
各省の御努力によって年間千人から二千人の間で減っているわけですね。その努力は多としなければならないと思うんですが、
地方公務員の方の数はずっとふえ続けているわけですね。なぜ
公務員の数がふえ続けているかというのは、やはり仕事がそれだけあるからですね。仕事を減らす以外に
地方公務員の数を抑える
方法というのは私はないと思うんですね。だから、いわゆる書類
関係を
整理することによって行政経費も減るし、人件費も当然抑制することができる。
それから、民間の方の立場を言えば、これは先ほどお示しをしたチェーンストアの方の三億枚保存しなければならないという問題について、もしこれがマイクロフィルムでやれば、何と十五億円かかるのが三・三億で済む、電子データ媒体でやれば、百万円で済むというんですね。これはもう総務庁の方の数字ですから、あるチェーンストアが十五億円かけて保存している、そういう紙による保存をやめて電子データ媒体でやれば百万円で済むというんですから、これはやらなければならない。現実に、これは
政府の方で
検討してないかといえば、
情報推進本部の方で
情報通信という立場でいわゆるデータ化を
考えているという、それも九年までということであります。
しかし、それを仮に
実施すれば大変なそれぞれの業界に、産業界にメリットを与えることができるわけですが、しかし、私もう
一つ問題があると思うんですよ。やはりその書類の中身をチェックしてあげなければ、申請する方は一生懸命その書類をつくらなければいかぬことは間違いないわけですからね。確かに保存をするという意味においては、これは経費の節減にそういう
制度がとられればなる。だけれ
ども、中身まで
検討していかないと、実際問題としてはなかなか減らないと思うんですね。
しかもこういう要望もあるんですよ。これは建築業界にかかわる問題のようですが、いわゆる公共事業の競争参加資格を受けるためには、
東京都経由で建設省に経営審査を受けるように申請をするんだそうです。そして、入札資格の許可を受けた後、だから、審査を受けて資格は取りました、それから改めて国にも
地方団体にも入札の資格の審査申し込みを行っているのが現状だというのですね。既にこれはもう二重ですよね、二重手間になっている。
それから、
地方公共団体の
申請書類なんというのは、様式が不統一のために別につくらなければならぬ、個々に作成しなければならない、こんなふうに現状はなっているようです。
さらに
一つの例として、こういうことができないだろうかということをこの業者の方は要望しているんですが、例えば何とか県、県庁に書類を申請すれば、
提出すれば、その県下のすべての公共事業体には全部通用するようにしてくれないだろうか。これは無理からぬことだと私は思いますね。今、各
地方自治体ごとに横にコンピューターがつながっているわけではありませんし、中央とつながっているわけではありませんから、いろいろな問題はあろうと思うけれ
ども、様式だけでも、ある県庁に
提出すれば、写しを持っていけば全部通用するというぐらいのことはしなければ、これは私は経済の活性化につながらない。むしろ今まだ景気の足取りが確かでないわけでありますから、そういう意味でそういう問題に踏み込む必要がある、こういうふうに思います。
私も、今までそういう例では幾つか経験があるわけですけれ
ども、一番早い例は、これは外国旅券の問題ですか、期間を延ばしましたですね。そうすると、もう手間が一遍に省けるわけですね。行政のそういった手間が省けるわけですから、そういうようなところに焦点を当てながらこれをやっていく必要があるというふうに思います。
もう少し申し上げますと、アメリカにおいて、先ほど申し上げましたペーパー削減法は、一九八〇年代の当初にこれが
実施をされているわけです。そのときの目標は百億ドルといいます。アメリカ
政府が出した目標は百億ドル。そうすると、日本円にして一兆円ですね。一兆円の要するに経済効果をねらってアメリカはやった。そして、当初いろいろな目標を掲げてやったわけだけれ
ども、かなりの
成果が上がった。三年ぐらいで三七%ぐらい書類が減ったということを誇示している。この数字はかなりいいかげんだとは思うんですけれ
ども、相当な
成果が上がっているわけです。
これは時限立法でございますから、しばらくこの
法律の適用は見送られておったんですが、今また、クリントン政権になって、ゴア副大統領が中心になって再びこのペーパー削減法を成立をさせて、そして今クリントン政権はこのペーパー削減法、いわゆる一〇%、あと何年かかけて五%、何年間かで一五%を目標にしてやろうとしている。
ゴア副大統領が言ったのは、アメリカの書類の長さをはかってみると、恐らくニューヨークからロサンゼルスぐらいあるだろうと言われているんですね。そういう表現をしている。その表現に基づいて
考えてみると、日本では北は北海道から南は鹿児島、沖縄に至る、二往復するぐらいの書類があるんではないかというふうに思わざるを得ないですね。
これも皆さんから聞いた話ですが、
東京都がいわゆる八重洲口の方から新宿へ移動された。実に保管してある書類が百キロに及んだというのですね。
東京から三島まで並ぶぐらいの書類があったというのですから、そういう一
自治体においてしかりでございますから、そういう問題を総括的に
考えてみると、これは私は、
規制緩和をやると同時に、並行して行政経費節減という大きなスローガンを掲げてやるべきではないか。そのためには、やはり私は
法律が必要だという持論なんでございますけれ
ども、
総務庁長官の御感想をお
伺いをいたしたいと存じます。