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1996-05-30 第136回国会 衆議院 逓信委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
平成八年五月三十日(木曜日) 午前九時五十一分
開議
出席委員
委員長
中川
昭一君
理事
斉藤斗志
二君
理事
中谷 元君
理事
古屋
圭司
君
理事
遠藤
乙彦君
理事
河村たかし
君
理事
高木 陽介君
理事
山崎 泉君
理事
小沢 鋭仁君 荒井 広幸君 岸本 光造君
佐藤
剛男君 自見庄三郎君 野田 聖子君 野中 広務君 宮崎 茂一君
遠藤
和良
君 神崎 武法君 高橋 一郎君 横光 克彦君 矢島 恒夫君 吉岡 賢治君
佐藤謙一郎
君
出席国務大臣
郵 政 大 臣
日野
市朗君
出席政府委員
郵政大臣官房長
谷
公士
君
郵政大臣官房審
議官
品川
萬里
君
郵政省放送行政
局長
楠田
修司君
委員外
の
出席者
参 考 人 (
株式会社東京
放送代表取締役
社長
)
砂原
幸雄
君 参 考 人 (
株式会社東京
放送取締役
)
鴨下
信一
君 参 考 人 (
株式会社東京
放送取締役
)
鈴木
淳生
君
逓信委員会調査
室長 丸山 一敏君
—————————————
五月三十日
郵便貯金法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第六三号)(
参議院送付
)
郵便振替
の
預り金
の
民間災害救援事業
に対する 寄附の委託に関する
法律案
(
内閣提出
第六四号 )(
参議院送付
)
簡易生命保険法
の一部を改正する
法律案
(
内閣
提出
第六五号)(
参議院送付
) 同月二十八日
テレビ
の
字幕放送
の拡充に関する請願(
上原康
助君
紹介
)(第二六五五号) 同(
斉藤斗志
二君
紹介
)(第二六五六号) 同(
山花貞夫
君
紹介
)(第二六五七号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
参考人出頭要求
に関する件
逓信行政
に関する件(
TBS
オウム
報道
問題) ————◇—————
中川昭一
1
○
中川委員長
これより
会議
を開きます。
逓信行政
に関する件、特に、
TBS
オウム
報道
問題について
調査
を進めます。 この際、
参考人出頭要求
に関する件についてお諮りいたします。
本件調査
のため、本日、
参考人
として
株式会社東京放送代表取締役社長砂原幸雄
君、同
取締役鴨下信一
君、同
取締役鈴木淳生
君の
出席
を求め、御
意見
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
中川昭一
2
○
中川委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
中川昭一
3
○
中川委員長
この際、
参考人各位
に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ御
出席
いただきまして、まことにありがとうございます。 なお、本日の
委員会
の議事の順序でありますが、まず、
砂原参考人
から十分
程度
御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
からの
質疑
にお答えを願いたいと存じます。 それでは、
砂原参考人
にお願いをいたします。
砂原幸雄
4
○
砂原参考人
砂原幸雄
でございます。 本日は、審議御多忙の中、私
ども
をお招きいただき、まことにありがとうございました。 今回の
当社
の
事態
につきましては、
委員長
を初め
委員
の
皆様
に大変御迷惑をおかけいたしましたこと、まことに申しわけありません。 私
ども
は、
坂本
さんとの
信頼関係
をみずから損ない、
視聴者
、
聴取者
、
国民
の
皆様
の
信頼
にもひびを入れてしまいました。私
ども
では、こうした
事態
を極めて重大かつ深刻に受けとめ、鋭意事実
関係
の再
調査
を進めました。その結果を先月三十日に取りまとめ、
郵政省
に
提出
するとともに、
記者会見
、及び
特別番組
として、
テレビ
、
ラジオ
を通じて全国の
視聴者
、
聴取者
、
国民
の
皆様
にも直接お伝えをいたしました。 本日は、この再
調査
の結果と
再発防止
のための
改善策
につきまして、
概略
を御
報告
させていただきたいと存じます。 再
調査
は、私
ども
の
作業
とともに、元
最高裁判事
の
佐藤庄市郎弁護士
に
調査
を委嘱いたし、約一カ月
間調査
を続けてまいりました。 まず、一九八九年十月二十六日夜、
当社千代田分室
に来訪した
オウム幹部
に
坂本弁護士インタビューテープ等
を見せた件は、金曜日
プロデューサー
と
総合プロデューサー
の二人が
要求
に応じて見せる指示をしたものでありました。これは
取材
の
原則
を逸脱する
行為
であり、また
取材協力者
との
信頼関係
を損ねたという点で
番組制作
のモラルに
もと
る
行為
でありました。問題の
テープ
が翌日の
放送
に使用されなかったのは、必ずしも
オウム
の圧力によるものとは言えないにしても、彼らの訪問も一因であったことは否定できません。 また、
失踪事件
の
公開捜査
後も
オウム
の来訪を
関係者
に通知しなかったことは、
テープ
を見せたことに対する後ろめたさがあったためと
判断
いたしました。
取材者
、
制作者
であるがゆえに知り得た
情報
を
放送
を通じて知らせなかった点で、重大な誤りでありました。
現場教育
の
欠陥
や
管理者
の配置に適切を欠いたこと、
組織
における
責任体制
が
機能
していなかったことなどが
要因
でありました。全体的な
責任
は、
当社そのもの
が負うべきであると
判断
いたします。 次に、本年三月十一日の
当社
の
調査報告概要
が誤ったものとなった原因についてでございますが、第一は、昨年九月
段階
で
坂本弁護士テープ
について
捜査当局
が強い関心を示していることを知った時点で、問題の
重要性
の
認識
に欠けるものがありました。そのため、
当社
の
調査
の
初動体制
に不備が生じ、そして昨年十月十九日、
日本テレビ
の
テープ問題報道
に対し感情的な選択を行い、結果、見せた記憶はないとの証言を覆すことができず、
社内調査
の方針を変更する
機会
を失い、誤った
調査報告
を発表することになりました。 こうした再
調査
の結果を踏まえ、当時の
番組
「三時にあいましょう」の
総合プロデューサー
を
懲戒解雇
の処分といたしました。さらに、
磯崎洋三
が
代表取締役社長
及び
取締役
を、
杉本明
が
代表取締役専務
及び
取締役
を、また
大川光行
も
取締役
をそれぞれ辞任いたしました。また、残る四人の
常務
も、
常務取締役
を辞任し
取締役
となりました。 さて、私
ども
では、再
調査
と並行して、問題が起きた
要因
として
当社
に構造的な
欠陥
があったと の
認識
から、
組織
、
番組制作
のあり方について全面的な
見直し
を進めておりました。そして、
日野郵政大臣
より、
厳重注意
とともに、
再発防止
のために具体的な
措置
を講じるよう強く
指導
を受けました。 その
改善策
につきまして、
概略
を御
報告
させていただきたく存じます。 まず、
番組制作体制
の
見直し
と
組織改革
でございますが、今回の
当社
の
不祥事
は、まずは、主としてかつての
ワイドショー番組
「三時にあいましょう」の
制作現場
で発生したものでありました。これを踏まえて、
情報系生番組
の
制作体制
を総点検した結果、みずからの
制作力
、
取材力
を超えた
番組づくり
が大きな
要因
であることが明確となりました。こうしたことから、思い切った
組織改善
を実施することとし、
ワイドショー番組担当
の
社会情報局
を、
番組単位
で
報道
局と
制作局
に移し、再編成することといたしました。 こうした
措置
で、
専門性
が必要とされる
分野
などの面で、
取材
を一元化し、
放送
に混乱の起きないよう図ってまいりたいと考えております。今回の
制作組織
の
整理統合
と
内部組織
の
改善
、その
運用
の
改善
により、
放送番組素材
の
管理体制
も明確になると確信しております。 また、今回の
不祥事
では、
番組
の
チェック機能
が的確に働かなかったことが大きな
要因
の
一つ
でありました。 そこで、
編成考査局
を新設することといたしました。この
編成考査局
は、
ラジオ
と
テレビ
にまたがる
考査全般
を担当することになります。また、
制作現場
から独立した
モニターグループ
をここに設け、これまで十分に
機能
していなかった生
番組
の
チェック
を担当させることにいたしました。加えて、
社外モニター制度
を早急に復活させることにいたしております。さらに、
番組審議会
を担当する
番組審議会事務局
を独立させました。
番組審議会
の運営が円滑に行われることで、
放送法
で求められている
番組審議会機能
の活用が十分に発揮できるものと考えております。 さて、
番組
をつくるのは
人間
であります。仕組みや
マニュアル
を立派にしても、そこにいる
人間
が能力、意欲、
判断力
をきちんと働かせなければ何の
意味
も持ちません。そこで、
教育研修
のかなめとして
教育研修部
を新設いたしました。ここでは全社一律に実施してきたさまざまの
段階
での
教育研修
を充実させ、同時に
教育研修
を受けることを厳しく義務化して、
効果
を高めるようにいたします。 さらに、
現場教育
についても、
社内
外の
スタッフ
に対し、
教育研修部
の
指導
の
もと
で、
現場
の実情に合ったカリキュラムを作成する等、体系的で実践的な
教育研修
を行ってまいります。また、
倫理綱領
、
マニュアル
につきましても、早急に
見直し作業
を終え、この
教育研修部
が
社内
、
関係会社等
での
周知徹底
を図ってまいります。
管理部門
につきましても、今回の
事態
に関しましては、事実
関係
に関する
社内調査
を初め、社としての
対応
が適切、十分でなかったことが強く
指摘
されました。 そこで、
社長室
を拡充いたしました。ここにそれぞれ
責任分野
を分け持つ
局長クラス
の
担当者
を複数配置し、総合的ないわゆる
危機管理
の指揮を担当させることといたしました。そして、その下に
総合調整委員会
を
組織
して、恒常的に専門的な活動ができるようなベースをつくっておき、いざというときに
組織
的かつ迅速的確に
対応
させることといたしたいと存じます。
総務局
には
法務部
を置き、
企業法務
のほかに、みずからの
取材
、
放送
が、
視聴者
、
聴取者
の
権利
を侵害する結果にはなっていないか、
取材対象者
に対する
配慮
などを十分にしていないのではないか、こうしたことに
対応
することが今重要な時期になってきております。
法務部
は、この要請にこたえるべく、その
分野
での
判断
も積極的にやる任務を持って設置したものであります。 最後に、
番組内容
の
改善
でありますが、まず、私
どもTBS
の代表的な
ワイドショー番組
「
スーパーワイド
」を、現在午後二時から四時まで
放送
しておりますが、今月いっぱいで終了させていただくことといたしました。
取材力
、
制作力
に比べて
放送
時間が膨張している
情報系生番組
の
見直し
が
急務
と
認識
し、その第一弾として「
スーパーワイド
」を終了することにしたものです。 また、「
スーパーワイド
」は、今回問題を起こした
プロデューサー
が長年にわたってかかわってきた
番組
であり、謹慎、自粛の
意味
もございます。 今後も
情報系番組
につきましては、
番組
のコンセプト、ジャンルをはっきりさせていくという
作業
の中で、さらに整理
改善
してまいる所存であります。 このほか、先週月曜日から金曜日まで「
筑紫哲也ニュース
23」第二部以降の深夜
放送
を休止いたしました。私
ども
といたしましては、しばらく自粛するという形がおわびといたしましては最も明瞭な形であろうと考えた次第であります。 私は、
視聴者
、
聴取者
、
国民各界
の
皆様
に対しまして、失った
信頼
を回復する、あるいは新しく
信頼
を築いていくために、今回犯した過ちを徹底的に反省し、
TBS
は新しく生まれ変わるべきだと強く
認識
しております。そのためには、
社員
、そして一緒に
番組制作
に携わる
外部スタッフ
が、ともに
意識
を
改革
していくことが最も重要なことだと思います。私は、陣頭に立ってこの
改革
を推進してまいる
決意
でございます。 この
決意
を申し添え、御
報告
を終わらせていただきたいと存じます。
中川昭一
5
○
中川委員長
ありがとうございました。 以上で
意見聴取
は終わりました。
—————————————
中川昭一
6
○
中川委員長
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
斉藤斗志
二君。
斉藤斗志二
7
○
斉藤
(斗)
委員
参考人
に対しましては、本日、お忙しい中、御
出席
いただきまして、お聞きいたしますと、昨日は
決算役員会
だということで、新たなスタートのその土台をおつくりになられたということでございます。 今回、大変な大きな
事件
になったわけでございますが、私はまず
最初
に、質問の前に、狂信的な
オウム
のために
被害
に遭われた
坂本弁護士
さん一家、
地下鉄サリン事件
に巻き込まれた
方々
、また
財産
のために天今まで、人命まで奪われた
方々
、麻原こと
松本被告
の
猜疑心
のために
被害
に遭った
方々
、そして
オウム
と
報道
陣のために人格まで疑われそうになった
河野義行
さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。 今回の
TBSオウム事件
は、昭和二十五年に
放送法
ができて以来
最大
の
放送秩序
を揺るがす
事件
であります。
放送事業
というのは、
国民
の
共有財産
である電波を使い、
国民
の知る
権利
に奉仕する公共的な職業、だからこそ
放送事業
に携わる者には、
国民
に奉仕するという強い
自覚
と社会的な使命が
要求
されるわけであります。 にもかかわらず、今回の、
坂本弁護士インタビューテープ
を対立する相手方である
オウム幹部
に
坂本弁護士
の了承もなく見せたことは、
報道
の基本に
もと
るものと思います。
放送
に従事する者であることの
自覚
を著しく欠いたものだと言わざるを得ない。富士宮での
取材
が
オウム
の激しい抗議で使い物にならなかったことからすれば、
オウム
に
坂本テープ
を見せればどうなるかぐらいは、長い
間取材
に
関係
した者ならわからなければならないはずだと思います。その
意味
で、
本件
に関与した
職員
の罪は甚だ重いというふうに思います。 そこで、
最初
に、
TBS
は直接関与した
職員
を
懲戒解雇
したと発表をしました。私は、その
職員
が
報道
の重い責務を放棄したという
理由
で解雇したものと考えておりますが、
TBS
はどのような
理由
で解雇したのか。また、いやしくも解雇した以上、
退職金
の
支払い
は
もと
より、その後の何らかの
援助
はしていないというふうに思いますが、その点についてまずお伺いをしたいと思います。
鈴木淳生
8
○
鈴木参考人
御返事申し上げます。 二人の
プロデューサー
を解雇した
理由
は、
就業規則
によるものでございます。
一つ
は、見せるべきでない
テープ
を見せたこと、それから、そのことによって、故意または
過失
による重大な
過失
を 犯したために、社に対して名誉、
信頼
を傷つけた、こういうことで二人を解雇いたしました。
斉藤斗志二
9
○
斉藤
(斗)
委員
退職金
の
支払い
は
もと
より、その後の何らかの
援助
という件についてはいかがでございますか。
鈴木淳生
10
○
鈴木参考人
当然それはいたしておりません。
斉藤斗志二
11
○
斉藤
(斗)
委員
また、昨年十月に
日本テレビ
でこの
事件
が
報道
されました。すぐさま
TBS
は、そういう事実はありませんと
放送
したわけでございますね。これは事前に
内部
で
調査
を行っていたためだと言いますが、ずさんな
調査
を
もと
にこういう
放送
をしたことに、
調査
に当たった
職員
は
もと
より、
TBS
全体の反省を促したいわけでございます。許しがたいことだというふうに思います。
特別調査人
である
佐藤
元
最高裁判事
は、これは
会社
の
責任
であると言っておられる。
会社
としてどのような
対応
をとったのかを含めて、
社長
にこの点をお伺いしたいと思います。
砂原幸雄
12
○
砂原参考人
最初
の
調査
に関しまして、
佐藤特別調査人
が
指摘
されておりますように、非常に不十分な
調査
及びそれを
もと
にその
反論
を
決意
したこと、十分な
調査
に基づかなかったことを非常に私は深く反省しております。 その
調査
の方法に関しても、
佐藤庄市郎弁護士
は、我々の
社員
としての気持ちの持ち方、また
社員
に対する
対応
の仕方、それに対する
会社
としての考えというものを真っ先に優先して考えるべきではなかったかと、いろいろと我々の
会社
の
体質そのもの
にも非常に厳しい
指摘
を受けました。 私、これからの
業務
の第一には、そういう
社員同士
の風土、また
作業
をする環境と申しますか、そういうものの
改善
こそ私のこれからの仕事の
急務
と思っております。
斉藤斗志二
13
○
斉藤
(斗)
委員
社長
さん、それに関連して、
やり直し社内調査
は
外部
の方、すなわち
佐藤
元
最高裁判事
にゆだねられたわけでございますが、
社内機能
の喪失を
意味
しているのだと思うのですね。
社内
の
チェック機能
の
一つ
に
監査役制度
というものがあって、
監査役
は、会計に限らず
会社業務
の
全般
にわたって監査する
職務権限
を有しているわけでございます。 そこで、
砂原社長
さんは
取締役会
にずっと
出席
されていたと私理解しておりますが、
TBS
としての一連の
対応
の中で、
監査役
はどのような役割を果たしてきたのか。
大川委員会
などの失敗を見ますと、
社内
における
監査役制度
がしっかりと
機能
していなかったのではないかと思うのでありますが、その点をお伺いしたいと思います。
砂原幸雄
14
○
砂原参考人
監査役
の独立的な
立場
から申しますと、
監査役
について
取締役
である私がお答えするのはいかがかと存じますが、
監査役
が完全に独立し、
取締役
が定款、
法令違反
を犯していないか、また
不正行為
がないか、
業務監査
をするのが
監査役
に課せられた
業務
だと私は
認識
しております。 今回の
事件
が起きて以来、
監査役
にも
報告
されたと思っておりますし、また
監査役会
の方から
放送法
との関連についていろいろ留意するような御
注意
も受けたと聞いております。今回は
法令違反
はなかったという
監査報告書
を
提出
していただいております。
取締役
である
立場
が
監査役
に対していろいろと申すのはちょっと控えたいと思いますが、今回、
監査役
としては誠実に
業務
を遂行されたのではないかと思っております。
斉藤斗志二
15
○
斉藤
(斗)
委員
今回の
事件
を機に、改めて
放送法
を読み直したわけでございます。
放送法
は、第一条で
放送
の健全な
発展
をうたい、
原則
の
一つ
として健全な
民主主義
の
発展
に資することを挙げています。
民主主義
の
最大
の
発現形態
は、公平な
選挙
で選ばれた国会での議論である、これを保障するために
放送法
は政治的公平を定めています。 ところが、これを揺るがすような
事件
が二年前に起きた。いわゆる
椿発言事件
であります。その直後は、各
放送局
とも政治的な
意味
を持つ
番組
の扱いには
注意
をしてきたと思いますが、時がたつにつれて、のど元過ぎれば熱さを忘れるのではないかというようなことを感じています。 もちろん政治的公平というのは、全く同じ
番組
で、時間的にも全く公平に、機械的に与えるというわけではないとは思いますが、ある
政治的発言
があって、忘れたころ
反論
があったのでは
効果
がないと思います。
郵政省
は、一日とか一週間とか、どの
程度
の時間の中で公平と
判断
しているのか、また、
TBS
は実際的にどの
程度
の時間の範囲であれば対立する
意見
に公平な
機会
を提供したと考えて
番組
をつくっているのか、
大臣
と
社長
、それぞれお答えいただきたいと思います。
日野市朗
16
○
日野国務大臣
政治的な公平というものは、
放送
において厳重に守らなければならない
一つ
の規範であると私考えておりまして、そして、政治的な公平を保つために、
一つ
の政治的な
影響力
を持つ
放送
が行われたならば、これに対して公平を維持するために、それに対抗する
意見
といいますか、それと対抗する
利害関係者
、そういった
人たち
の
意見
もまたこれは、私は遅滞なく行われるべきであろうというふうに考えております。タイミングを失しないということが大切であろうと思います。 前回の当
委員会
でも、政治的な公平について、名前も出たことでございますから申し上げてよろしかろうと思いますが、
岩國哲人
さんが
出演
をされた
番組
がございまして、これについて非常に強い御批判が当
委員会
でも行われたところであります。 私は、
岩國哲人
さんというのは、ある政党の
候補者
として
公認候補者
になっておられる方でありますから、そういう方を
テレビ
に登場させるという場合、しかるべき
配慮
があってよろしいのであろうというふうに思います。私も御
指摘
を受けてからそのビデオは拝見をいたしました。私、これを見て、やはりこれは非常に問題が多いと思います。 そういう人を登場させる
番組
をつくるという場合の、これには
一つ
の、局内で
基準
を持っておられると思うのですよ。それから
放送法
において政治的な公平がうたってあることも
放送関係者
が知らないはずはないのだろうと思います それをあえて
出演
をさせているということになりますと、これは著しく政治的な公平を欠くと思います。これは軽率にそういうことが行われたのか、それともある作為を持って、ある
目的意識
を持って行われたのか、こういうことも当然問題になり得る事柄でありまして、私は、極めて遺憾なことであった、こう思っております。付言させていただきます。
砂原幸雄
17
○
砂原参考人
番組編集
に当たって政治的に公平でなければならないということは、
放送法
にも定められております。また、
民放連
の
放送基準
、私
ども
の
放送基準
にもそのことはうたわれております。それの
運用
、
適用
に当たっては、常々我々も心しなければいけないという思いは
報道現場
でも徹底されていると思います。 しかし、本当に一方に偏ったことがあれば、あるいはその場でできないにしても、
放送
の流れ全体の中でこれは公平に処置していかなければならない問題であると深く思っておりますし、御
指摘
の
岩國
氏のことに関してでありましたら、このことに関しての
適用
は、
報道担当
の
鴨下
もおりますので、詳しく
見解
を述べたいと思っております。
日野市朗
18
○
日野国務大臣
先ほど答弁
をさせていただきましたが、これは
政治家
として
一つ
の
見解
を申し述べたということで御理解をいただきたいと思います。
鴨下信一
19
○
鴨下参考人
鴨下
でございます。 私
ども
、政治的公平というのは非常に重いことだと思っております。
公認
を受けている
出馬予定者
もしくは立候補の
意思表示
をしている方の
番組出演
に関しましては、ある種の
テーマ
で注目される方であり、その
見解
が
視聴者
にとって重要な
ニュース
になる場合は御
出演
をいただくということになっております。
岩國
氏につきましては、当日の
番組
の大きな
テーマ
でありました
地方自治
と中央の
関係
の観点から、
市長経験者
としての
出演
をお願いしたものでございます。 現在、
選挙
の日程も確定しておりませんし、番 組の
内容
も
選挙運動
には当たらないと考えております。しかしながら、
番組
の
出演者
に関しましては、常々
配慮
するように
指導
しておりまして、今後も一層
注意
を払っていきたい、そう思っております。
斉藤斗志二
20
○
斉藤
(斗)
委員
今
鴨下
さんから御
答弁
がありましたけれ
ども
、その
認識
はやはりまだ甘いんだと私は思いますよ。よく
社内
で、新
体制
の中で、あるべき姿というのをしっかり検討していただきたいと思います。 時間がないので残念だけれ
ども
、前へ進みます。 今回の
TBS事件
を契機に、
民放連
も
氏家会長
のリーダーシップの
もと
に
取材
と
放送
の
倫理水準向上
のために具体的な行動をとることにされたと聞いております。その中には
視聴者
の
意見
や
苦情
を受け付ける
番組
一一〇番を設置するというのがありました。この
受付番号
を
各社
の
放送
を通じて
視聴者
に広く知らせるということになっておりますが、
郵政省
は、
各社
がどの時間帯に何回ぐらい流してそして
周知徹底
させるのか、具体的にその対策、どの
程度
進んでいるのか、お聞きしたいというふうに思います。
楠田修司
21
○
楠田政府委員
番組
一一〇番とは、
民放連
が
取材
・
放送倫理水準向上
のための
具体的対応
といたしまして五月十六日に発表したものの
一つ
でございます。
民放連
におきましては、
視聴者
からの
苦情受け付け
を受けるいわゆる
番組
一一〇番を設置しまして、こういうものができたということを
各局
の
放送
を通じてまず周知する、そしてその後、その結果受け付けいたしました
意見
、
苦情等
を
各社
に何らかの形でフィードバックしようという
計画
のものでございます。またしかし、これは具体的にはできておりませんで、
計画
の
段階
でございます。
民放連
といたしましては、これを速やかに設置するため、現在、
各局
の
視聴者センター等
の現状を
調査
するということを考えております。その中で、
人員体制
あるいは
受付
時間、これは夜間の問題もございます、これをどうするか。それから、この
番組
一一〇番の
機能
をどうするか、これを伝える
機能
にするのか、場合によってはここで処理をする
機能
にするのかということの検討も必要でございます。それから、
視聴者
への周知方法をどうするか、こういうようなところを今検討しておりまして、可及的速やかに実施したいというふうに進めておると聞いております。
斉藤斗志二
22
○
斉藤
(斗)
委員
同じ質問を
砂原社長
にもお伺いしたいと思いますが、
砂原社長
も
民放連
の
理事
でいらっしゃいます。緊急対策
委員会
のメンバーだと聞いておりますが、
TBS
ではどのようにこの
番組
一一〇番を
視聴者
に知らせるお考えでいらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
砂原幸雄
23
○
砂原参考人
この
番組
一一〇番、五月十六日付の文書で、
取材
・
放送
倫理向上のための
民放連
の
対応
についてという中での
対応
策の
一つ
として掲げられたものであります。 私
ども
といたしましては、この
民放連
の
対応
策は、検討が始まった
段階
で、またこれからいろいろとディテールが詰められていくと理解しております。この結論を待って、この
効果
が具体的な形であらわれるよう努力してまいりたいと思っております。
斉藤斗志二
24
○
斉藤
(斗)
委員
今、
TBS
の
社長
さん並びに
郵政省
から聞くと、
計画
中で、前向きに
対応
しているということでありますが、遅い感じが私としてはいたしております。
国民
は、一日も早くいろいろな
番組
に対してのレスポンスをできる場が欲しいということでございますので、早く
対応
していただきたい。 昨日の決算
取締役会
では、
TBS
は、売り上げ二千二百十七億円、前年比七・四%増、経常利益は百十五億、前年比五一・八%増、史上最高の業績を上げられておるじゃないですか。こういったことにも、その
番組
一一〇番等にも十分
対応
できる体力もお持ちだ。そして、こういう場においてですから、早く、先駆けてでもやるぐらいの気持ちがないと
信頼
はかち得ないのだと思っております。 時間の
関係
で次に参りますが、現在
TBS
へは郵政
大臣
から、
厳重注意
に加えまして、六つの点について具体的な
指導
を行われている。三カ月ごとに
報告
を求めていることになっております。これは執行猶予的保護観察の
措置
だと私
ども
とっておりまして、引き続き
国民
への
報告
等々をしっかりやっていただきたいというふうに思います。 それで、もう
一つ
、現在
民放連
では
視聴者
ファクスを設置しておられます。余り知られていないんだと感じておりますが、例えばネーミングで、
テレビ
駆け込み寺ファクスなどといたしてもっとPRすべきではないかというふうに思っています。もし業界が、
責任
ある自主規制
体制
確立に不熱心ということであるならば、
国民
の声は、第三者機関の設置など、次のステップへの法的規制へ進まざるを得ないというふうに考えます。業界はしっかりと
対応
してほしいと強く重ねて要望をいたしておきます。 時間の
関係
があるので前に進みますが、
最初
にも申し上げました、今回の
事件
の数多い犠牲者、
被害
者の中でも、松本サリン
事件
の河野さんは、
オウム
からも警察からもそしてマスコミからも重大な
被害
を受けておられます。最近発売されました本、「私は闘う」というこの本、きょうお持ちしたのですけれ
ども
、この中を読んでおりましたら、時の警察の最高
責任
者は、警察の権威と捜査活動という
立場
を重んじながら、議員会館で河野さんに面会され、また、職務が終わってから松本市を訪ねておわびを申し上げられたと聞いております。
TBS
の前
社長
さんは前国家公安
委員長
と同じような行動をとられておられるのかどうか。とっていないとすれば、何らの反省がないと言わざるを得ないと思います。
TBS
は
番組
の中でどのようなおわびを行ったのかお伺いしたいし、また、
TBS
の新しい経営陣も、公安
委員長
を見習い、
坂本
さん一家の御前にぬかずき反省の意を表すべきではないかというふうに思いますが、
社長
、いかがですか。
砂原幸雄
25
○
砂原参考人
松本サリン
事件
での私
ども
の
対応
に関しまして、その当時担当いたしました者よりお答えしたいと思っておりますが、今御
指摘
の
坂本
さん一家への気持ちであります。 これまで前
社長
もお悔やみを申し上げてきました。私も本当に同じ気持ちでありますが、何とも、本当に私
ども
は、
放送
マン、
放送局
として
対応
を誤ったことに関しての道義的
責任
というものは、私は深く受けとめております。また、そのことの反省に立って、我々がこれから邁進していく
改善策
、
対応
策というものも、これを二度と起こしてはいけないという、その反省の上に立った気持ちが腹の底の一番根本にあるものでございます。このような気持ちを御遺族の
皆様
に何らかの形でお伝えできればと私は思っております。
斉藤斗志二
26
○
斉藤
(斗)
委員
表現の自由、言論の自由は
民主主義
の健全な
発展
のために死守しなければならないものだと確信をいたしております。 しかし、この自由は本来基本的人権として認められるものであり、法人である
放送
会社
に当然認められるものではないんだというふうに思っております。社会全体の利益を促進するために、個人には認められない制約を加えることもあり得る、個人の
権利
を保護するために、
報道
機関や
取材
や
放送
に制約を加えるのもやむを得ない場合が出てくると考えています。その例が河野さんの
事件
であったわけであります。 また、今回の
TBS事件
は、
放送
の自由に名をかりた勝手気ままを許すべきではないという教訓を与えてくれました。マスコミは興味本位に流れることなく、真実を
報道
するよう強く期待をいたします。 マスコミ
報道
が真実でないと主張する個人に対して、その人の主張を
放送
する時間を確保すべきときに来ている、そんな
指摘
もあるわけでございまして、今後の課題として、私、
指摘
をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。 以上です。
中川昭一
27
○
中川委員長
山崎泉君。
山崎泉
28
○山崎(泉)
委員
社民党の山崎泉でございます。 きょうは大変御苦労さまでございます。 私は、当然、
TBS
社がとった今回の一連の
調査
も含めての
行為
に対しては怒りを覚える一人でありますが、これは
TBS
社そのもののみならず、日本のマスコミ界に大きな警鐘を鳴らしたのではないか、私はこういうふうに受けとめております。 したがいまして、当然、
皆様
方の
責任
についての追及も行っていきますが、マスコミ全体のものという考え方できょうはお考え方を聞きたい、こういうふうに思っております。 今回のこの
事件
、そして
措置
等を見ながら、
放送
界に何が問われたのか、こういうことだろうというふうに思います。新聞や
テレビ
は、
国民
の目や耳となって言論の自由や表現の自由を守る、そしてこの自由というのは、
外部
からいかなる圧力、弾圧があっても排除しながら守っていくという強い姿勢が必要であるわけであります。そのためには、
放送事業
、マスコミ界に従事をする一人一人の者が
人間
の尊厳や基本的な人権をどういうふうに守っていくか、こういうことが重要なことであろうというふうに思いますが、残念ながら、今回はそれが失われ、そして問われ、そして結果を今求められておるというふうに思います。 冒頭、
社長
さんから、今後の
体制
について説明がありました。極めて重要な
情報
が
社長
初め幹部の方に伝えられなかった、したがって今後は、こういう
欠陥
があったからこういうふうにやりますよということを説明をしましたが、どうしても
現場
が第一主義の
報道
機関であります。私は、果たして大丈夫なのかなというふうな気持ちを持っておるのでありますが、
社内
の今後の連絡
体制
も含めまして、もう一度お考え方をお聞かせ願いたいというふうに思います。どなたでも結構です。
鴨下信一
29
○
鴨下参考人
先生御
指摘
のとおりの、
社内
の連絡の問題あるいは危機
対応
、
危機管理
の問題が大きいと思います。 それで、もちろん、
現場
の
担当者
の一層の人格、識見あるいは
放送
人、
報道
マンとしての
自覚
を促す
教育研修
がまず大事な
作業
だと思っております。 私
ども
は今回、
教育研修
体制
を大幅に
見直し
まして、
教育研修部
を新たに設置し、
現場
に見合ったカリキュラムを作成し、初心者用、実践用、
倫理綱領
の三
段階
の
マニュアル
を新しく
見直し
、
教育研修
を厳密に義務づけることによって、まず
プロデューサー
の
自覚
とその資質の向上に努めたいと思っております。 もう一点、危機
対応
に関しまして、
社長室
を拡大しまして三人の
局長
級を置き、また先ほど
社長
が申しましたように、調整
委員会
等を恒常的に設置いたしまして、下からの
情報
が吸い上がり、また上からの
情報
が下にきちっとおりるというシステムをきちっとしようというふうにやっております。 なお、
番組
の考査部門で、これも
社長
が冒頭申しましたように、
編成考査局
を新設いたしまして、
社内
でより客観的な目と耳を持つセクションをつくってモニターをし、勧告と提言をするというふうにさせていただいております。
山崎泉
30
○山崎(泉)
委員
ここに四月二十日の
放送
番組
調査
会月報というのを持っておるんですが、「「通報義務」について」ということで、「
坂本弁護士
一家の
失踪事件
発生後も」というくだりがずっとありまして、その中で、有識者の
委員
らは、「通報義務と言うよりも、通報しようという感覚がジャーナリズムに期待できるかを論じるべき筋のものだろう」、こういうこととか、「せめて
公開捜査
になった時点で通報すべきだった、との批判があるが、
報道
機関にそうした義務をどの
程度
まで期待できるのか、自分自身でもよくわからない」「当時の
坂本弁護士
の生命・身体の危険を思えば、
取材
の過程で成立している
取材者
と被
取材者
の
信頼関係
に照らして、義務を上回る“
人間
としての何か”が求められたケースだったのではないかと思う」、また「倫理を離れてジャーナリズムの視点から考えても、
坂本弁護士
失踪の報に接した時にピンと来なかったとしたら、ジャーナリストとしては失格と言わざるを得ない」「特ダネのはずなのに
報道
しなかったのだから、特別な事情があったと思われても仕方がない」、こういうふうなことが、通報義務について有識者
委員
の間で議論をされております。 ジャーナリストという方は、ここにどなたかが述べられておりますように、そういう感覚というのは持ち合わせてないんですか。そしてまた、こういうものがあったときには通報しなければならないという義務感というか、そういうものがないんですか。それがないとしたら、大変なことなんですよ。 したがって、私は前回の質問のときにも、倫理性を高めてくれという質問を氏家
民放連
会長にやったわけでありますが、今回、さらに
社内
で教育をされるということについては、単なる自分たちが自分たちの
会社
の特だねをとるということでなくて、基本的な部分の教育というのが非常に大事だというふうに思うのであります。これは
社内
教育ばかりじゃなくて、その社に集まっておる
外部
の
会社
の人にもそうでありますが、もう一度その辺の教育のあり方について、考え方について、お聞かせ願いたいと思います。
鴨下信一
31
○
鴨下参考人
先生おっしゃるように、まことに今回の
事件
は、市民として通報の義務が当然ありますし、またジャーナリズムの
一つ
として先見性とかそういうものが働かなければならなかったケースだと思っております。非常に私
ども
の反省点でございます。 何としましても私
ども
は
現場
が大事でございまして、その
現場
の
プロデューサー
、ディレクターが本当に一人前のジャーナリストとして育っているかどうかが問われるところだとも思っております。この点に関しましては
内部
でも真剣に議論しておりますし、また
外部
の諸先生、例えば私
ども
でやっております
放送
のこれからを考える会も、この次は通知、通報の問題を取り上げるとおっしゃっております。 そのようにして、
社内
の教育を高めると同時に、社外の方の御
意見
を積極的にいただいて、何とかいいジャーナリストが育つように、万全の
放送
ができるようにいたしたいと思っております。
山崎泉
32
○山崎(泉)
委員
ありがとうございます。 いずれにしましても、今回の
事件
は、特に
テレビ
に対する
国民
の
信頼
を失った。大きな負債を、おたくの
会社
のみではなくて、全体が負債を
国民
から受けた、背負ったということです。この負債というのは、本当に、長年かかってでもきちんと
支払い
をしていくということが大事でありますから、そういう視点に立って教育をなさっていただきたいというふうに思います。
郵政省
にお伺いをします。 五月十七日、
TBS
の
行為
には
放送法
の趣旨に照らして遺憾な点があった、こういうことで
厳重注意
をやっておりますが、
放送法
のどの規定に触れるというふうに
判断
をしたのか。 それから、郵政
大臣
の談話の中に「詳細についてはなお不明な点もあるが、現時点で行政上の
判断
を行うに足るものと認められることから、」というふうにあるのでありますが、どのような部分が不明なのか。さらに、不明な点がわかってきたら、
厳重注意
の上にさらに追加
措置
があるのかどうなのか。同時に、こういうものを通じて
放送法
の改正、
改善
の意図があるのかが
一つ
。
郵政省
にもう一点お伺いしますが、多チャンネル時代における
視聴者
と
放送
に関する懇談会の中間
報告
の中で、
番組
の客観性や中立性に関しての
苦情
処理機関や
視聴者
による
番組
評価機関の新設についてという部分がありますが、この辺について
郵政省
はどう考えておるのか。 あちこちの新聞なりいろいろなものを見てみると、
郵政省
の公権力の発動ではないかという批判的なものもありますが、私の考え方、気持ちとしては、新聞ではある
程度
やりとりはできるのですが、
テレビ
の場合は一方的ですから、こっちがあっと思ってもどうにもできないという一方的な 部分があるわけでありまして、そういうものを見たときに、はてはて
視聴者
の
権利
というか主張を守るという
意味
でもこの辺は必要ではないのかなという部分も私は持っておりますから、
郵政省
にそういう点をお伺いをしたいというふうに思います。
楠田修司
33
○
楠田政府委員
まず、今回の一連の
TBS
の
行為
に対しまして、郵政
大臣
から
措置
したわけでございますが、その
措置
の
理由
といたしまして、
放送法
の各条項に明確に違反すると認めるに足る事実はなかったということでございます。しかしながら、
放送法
の趣旨あるいは
放送法
の各条項に照らしまして問題があったということも事実でございます。 例えば、不十分な
調査
に基づきまして誤った
調査
結果を
報道
したということは事実であります。これは、例えば
放送法
三条の二の一項の三に
関係
する可能性があったわけであります。それから、
オウム
の抗議に基づきまして
放送
を中止し、同社の
番組
基準
に違反したのではないかというふうな疑いも生じたわけであります。 こういうようなことから考えまして、このような
体制
がそのまま続きますと、
放送法
違反の事実が今後生じる可能性が非常に高いということが考えられますので、こういう
事態
が再度引き起こされることのないよう
厳重注意
するとともに、将来の
措置
等につきまして要請をした、こういうことでございます。 それから、幾つかの不明の点があったのではないかということでありますが、今回の
措置
は、今回わかった時点の問題で十分行政的な
措置
をするに足りると
判断
してしたものでございまして、あと、これは例えばの話でありますけれ
ども
、捜査
情報
の漏えいをしたのではないかというふうなこともありました。しかし、これにつきましては
関係
ないというふうに
報告
があるとか、幾つかの論点はありましたが、その点につきましては、今回の
放送法
の
関係
ではないという
意味
で対処、
対応
の
措置
というふうに考えなかったということを申し上げておきたいと思います。 それから二点目の、
番組
の問題につきまして、例えば
苦情
処理機関のようなものが要るのではないかとか、こういう
番組
に対する一般の
苦情
といいますか、不満を通るようなルートといいますか、そういう道がないということで数年前からいろいろ論議されておりまして、その中で、先生御
指摘
のように、昨年九月から
郵政省
の中で懇談会をやって、今検討しているところでございます。 去る五月二十三日に、これまでの議論を踏まえまして懇談会としての論点を整理いたしました。これは中間取りまとめ、論点の整理でありまして、まだ方向性というのは出ておりません。かつ、論点というのは非常に多岐にわたっておりまして、これを、これからどれが日本にとって重要なのだろうかというような論点の整理をして、かつ、これをまた十二月に向けて議論をしていくということになります。その中で、
苦情
処理機関による
判断
とか
視聴者
意見
の公表制度も
一つ
の論点として重要な問題であろうというふうに考えているところでございます。
山崎泉
34
○山崎(泉)
委員
ぜひ、危惧をされておる公権力の介入に当たらないような部分で、いい方向で検討していただきたいというふうに思います。 そこで、
取材
テープ
を
放送
前に部外に見せることについて、悪いのか、いいのかというのは議論がいっぱいあるんですね。先ほ
ども
社長
さんは、モラルに欠けておったというようなことを言ったようでありますが、当然、
報道
の自由の観点からすると絶対に見せないというのが
原則
であろうというふうに思いますが、
反論
のために対立する相手に
放送
前の
テープ
を見せることは、
放送法
にも規定してあるように、「
意見
が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」があるんですよね。 したがって、相手の人の了解をもって見せるということはいいのじゃないか。公共の福祉とかそういう大きな広い
意味
の場合、すべてが悪いということにならないのではないか。
TBS
の方は、問題が問題だから、悪かった悪かったと謝っておりますが、すべてがだめだということは私はおかしいのじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
鴨下信一
35
○
鴨下参考人
取材
テープ
を
放送
前に部外者に見せることにつきましては、数々の議論がございます。先生おっしゃるとおりでございます。
反論
の場合に見せることもありましょうし、ただ、その場合は必ずインタビューした相手の了解を得ること、これが非常に大事なことだろうと思っております。そして、なおかつこれを
放送
するということが大きな条件になってくるのだろうと思います。 そのほかにまた、科学技術に関しましては、
放送
前の
テープ
を専門家に見せまして御
意見
を聞くということは当然あるわけで、その辺のところの線引きをどこに置くかにつきましては、先ほど申しました
放送
のこれからを考える会でも第二回でその議論がありまして、その議論を生かしながら私
ども
で確実なルールづくりをしたい、こう思っております。
山崎泉
36
○山崎(泉)
委員
当然そういうことで進んでいっていいと私は思います。
民放連
の
氏家会長
は、胸を張って「
テープ
を見せるなどということはウチでは絶対にない」、こういうふうなことを言っております。これは「ワイドショーのどこが「
報道
」だ」という部分を持ってきたのですが、清野徹さんという方が書いてあるのですが、「
テープ
を見せるなどということはウチでは絶対にない」と広言していると。私は、それはうそだというふうに思います。ぜひそういうきちっとしたものをつくっていただきたいというふうに思います。 ところで、最後です。
番組制作
者やキャスターの
行為
、発言に対する考え方ですが、まあ
現場
責任
ですから、キャスターにしても
制作者
にしてもいろいろな発言がぽんぽんぽんと出ますから、なかなか難しいとは思うのですが、どこからどこまでが個人の考えなのか、社としての姿勢なのかというのは非常に難しい。 先般の逓信
委員会
の中で自民党の先生が質問したのをちょっとメモしてきたのですが、五月七日、ある
テレビ
でキャスターがこう言ったと。「毎日政治の
ニュース
を伝えている身としては、いつ解散があるとかそういう問題でなくて、一日たてばたつほど
政治家
が嫌い、政治の
ニュース
を聞きたくない、考えただけでも、
政治家
の話を聞いただけでもへどが出る、この気持ちが一日おくれればおくれるほどどんどん拡大している、この実感を永田町の方はおわかりないのですかね」。そして、その方は
放送局
長にただしたそうです。そうしたら、これは社の方針だということでありますが、いかがですか。よその社のこと、いろいろなことを言いますが、これが社の
放送
ですか、倫理ですか。非常に難しい質問だろうというふうに思うのでありますが。キャスターの
行為
、発言に対する社の幹部としての
責任
。
鴨下信一
37
○
鴨下参考人
私
ども
の
ニュース
の制作の
責任
者は、
社員
である場合がほとんどでございます。キャスターは、
社員
と契約の方と、双方ございます。 いずれの場合でも、制作
責任
者というのはその
番組
の
責任
を負っておるわけですから、もしキャスターが
放送
倫理に触れる行動や発言をしたとすれば、それは
担当者
のまず第一次的な
責任
であり、事例によってはその上位にある監督者も
責任
を問われることがあり得る、そういうふうに
自覚
しております。 〔
委員長
退席、
斉藤
(斗)
委員長
代理着席〕
山崎泉
38
○山崎(泉)
委員
時間が来まして、終わります。 いずれにしても、
テレビ
は一方的だ、この辺はきちっと受けとめてキャスターも
放送
番組制作
者も
対応
していただきたいということを申し上げまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
斉藤斗志二
39
○
斉藤
(斗)
委員長
代理 小沢鋭仁君。
小沢鋭仁
40
○小沢(鋭)
委員
新党さきがけの小沢鋭仁です。きょうは御苦労さまでございます。 今回の一連のこの問題に関しまして、いろいろな見方があるのだと思いますが、先ほどの
坂本弁護士
事件
の通告の問題等ありましたが、きょうは
TBS
の皆さんにお越しいただいているわけでありますから、社として考えたときに、今回のこの一連の問題の一番大きな点は、真実の
報道
という話がいわゆる
報道
に携わる
人たち
のある
意味
では職業の生命線、それぞれ職業によって最も大事なものというのはあると思いますが、いわゆる
報道
の皆さんたちにおいて、真実の
報道
、これを外してはいけないというのは当然のことだと思うのですね。それを今回は外してしまった、その道から外れてしまったというところに、
TBS
という社として考えたときに最も大きな問題があったと私は思う。これも独自の
調査
で、まずみずからの、皆さん方の
責任
の中でやるべきことを、それを誤ってしまった。そして、その誤ったことをまた殊さらに
報道
をした。二重の大きな、これは私は故意だとは思いたくないのでありますが、故意でなくても重大な
過失
であります。そういった
意味
で、ぜひその点は冒頭に
指摘
をさせていただきたいと思うわけであります。 さらに、きょうの質問は、こうした問題が二度と起こらないようにするために、では具体的に何をしていくのか、先ほど
砂原
新
社長
の方から御説明もございましたが、その点に絞って質問をさせていただきたいと思うわけであります。 先ほど来、お二方の先輩議員の皆さんからも
意見
がありました。そういう中で、いわゆる言論、表現の自由、これは大事にしなければいけない。私もそれについては、まさにそこはしっかり大事にしていきたいと思っている
人間
の一人でありますが、同時に、自由があればそこに
責任
がある。その
責任
のところは、
チェック機能
と言っていいかもしれませんが、そういった
機能
を具体的にどう考えるかというのが必要だと思う。そのときに、公権力の介入は避けなければいけない。いわゆる政治、行政の介入は避けなければいけない。となれば、みずからのいわゆる
チェック機能
、これは
TBS
さんだけではなくて
民放連
という
組織
も含めてでありますが、それのみずからの
チェック機能
、それともう
一つ
大事なのは、
国民
の、
視聴者
の
判断
による
チェック機能
、その二つなんだろうと私は思います。 そういった観点で、まず第一点お聞かせいただきたいのですが、
放送法
に基づいて、
民放連
では
放送基準
をつくっています。
TBS
でも
番組
放送基準
をおつくりになっています。私も今手元に持っておりますが、この
番組
放送基準
を一般の方にどのように知らせていらっしゃいますか。その手段をまず御質問したいと思います。
鴨下信一
41
○
鴨下参考人
放送法
では、
基準
を改定した場合は公表しなさい、こういうことになっております。新聞に掲載していただいて、広く
視聴者
にも改定した場合は御
報告
を申し上げております。
小沢鋭仁
42
○小沢(鋭)
委員
その
チェック機能
ということを考えたときに、
番組
の
放送基準
に照らしてどうかというのは極めて重要になるのですが、今の手法で一般の
国民
の皆さん、
視聴者
の皆さんが十分知り得るというふうに御
判断
をなさいますか。
鴨下信一
43
○
鴨下参考人
放送基準
は、直接的には主として
社員
初め
番組制作
に携わる者に向けられたものでございまして、そうした
人間
が守るべき基本ルールを記してありますので、私
ども
では
TBS
の
放送基準
は
社員
手帳にもきちっと書いてございます。ただ、
民放連
の
放送基準
解説書は、たしか百四十三項目ぐらいにわたる大部なものでございます。先生、今お持ちだと思います。
周知徹底
は、
社員
には向けておりますが、一般にそのことが直接的に知られているかということになれば、直接的には知られることはなかなか困難なことであります。私
ども
は、
番組
を通じましてその
放送基準
の精神を具現することが非常に大事だ、こう考えております。
小沢鋭仁
44
○小沢(鋭)
委員
確かにこういう問題、こういうものに関して一般の皆さんたちが知り得るということはなかなか難しい、それは私もよく理解するところであります。 ただ、先ほど申し上げましたように、その
チェック機能
ということを考えたときに、やはりそれは一般の
視聴者
の皆さんがどう
判断
するかということが物すごく大きな柱である以上、そこをみずから踏み込んで、こういう
放送基準
でつくっているんですよという話を
国民
の皆さんに伝える努力というのは惜しんではいけないというふうに思うんです。 御社の
放送基準
を見ますと、例えば「
TBS
は、電波が
国民
のものであるという
原則
に
もと
づき、」という言葉がございます。先ほど来の諸先生方の
意見
でありますが、「
ニュース
と
意見
は、区別して取り扱う。」こういうことも書いてあるわけであります。そういったことを考えたときに、あれは
意見
なのか
ニュース
なのかわかりませんよと、
国民
の皆さんがそういう
判断
をする材料というのをぜひ十分知らしめていただく努力を行っていただきたいというふうに思うわけであります。 そういったときに、今度はそれを受ける皆さん方の
対応
でありますけれ
ども
、当然、いわゆる
番組審議会
というものを
社内
にお持ちだと思うのです。そういった審議会での議論というものが、例えば今申し上げたような
番組
放送基準
に照らして、ここの点はちょっと違うのじゃないかとか、そういう議論というのは実際に行われているのですか。あるいはまた
視聴者
の皆さんから例えば何かの
意見
があったときに、そういった議論を行っているんでしょうか。どのくらい
機能
しているんですか、
番組審議会
が。 〔
斉藤
(斗)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
鴨下信一
45
○
鴨下参考人
放送基準
に
番組
が適当しておるかどうか、その問題は、私
ども
一番大事なことだと思っております。
外部
にそういうことが開かれているということもまた非常に大事なことだと思います。
番組審議会
は、
番組
を見ていただくほかに、一般
意見
と申しますか、その他
意見
というのを大変たくさん御発言になりまして、それは私
ども
の大変参考になるところでございます。なお、
視聴者
サービス部というのが私
ども
にございまして、そこには毎日四百件
程度
の電話が寄せられます。その
視聴者
サービス部の
視聴者
からの電話のレジュメは必ず
番組審議会
にお渡しして、
番組審議会
がより
外部
の
意見
を取り入れて、なおそこの席でまた私
ども
に御
意見
をいただく、こういうシステムでやっております。
小沢鋭仁
46
○小沢(鋭)
委員
繰り返しになりますが、まずそこの部分を本当に大事にしていただいて、そこでなお議論を積み上げていただくことが、まさに公的権力の介入という話ではない自主的な、いわゆる
責任
といいますか、そういった自主的な
チェック機能
を果たすという、私は唯一もうそこになるのだろうと思うものですから、どうかその場を大事にしていただきたいというふうに思うわけであります。 今、
鴨下参考人
の方から
視聴者
サービス部というお話、御
答弁
もありました。その中で、例えばこれ、NHKのものなんですが、別にNHKの宣伝をするつもりはないんですけれ
ども
、たまたま目についたので、「モシモシNHKですか」という本が公表されておりまして、要は、同じ
対応
の仕方だと思うのですね。一年間五百万件という話のようであります。この中を見ますと、珍問、奇問、笑いを誘うようなものもありますし、これはなかなか幅広くて、本としてもおもしろく僕も読ませていただいたんですが、今おっしゃったような、そういった
意見
の取りまとめを
TBS
の皆さんにもぜひ公表していただきたい。さらに、できれば、できればではなくて、これは質問としてとらえていただいていいのですが、
番組審議会
でのそういう
意見
を公表をしていただきたい、そういうことに対する取り扱いを。それはいかがでございますか。
鴨下信一
47
○
鴨下参考人
私
ども
、このたび社外モニターも復活させたいと思っておりまして、それらの
意見
をインターネットで発信したらどうかとか、あるいはNHKさんもおやりになっているように、私
ども
新
調査
情報
というのを復刊いたしますが、そういう出版物、刊行物という形で公表したらどうか、そういうアイデアもたくさん出ておりまして、
現場
で総合的に検討しております。
小沢鋭仁
48
○小沢(鋭)
委員
今政治、行政も
情報
開示ということが大きな課題になっているわけであります。今回のこの問題も、今私がお願いしましたように、前向きな御
答弁
をいただけたというふうに思っているわけでありますが、まさに、この
番組
、こういう
意見
はおかしいんじゃないですかといった話が出たときに、例えば
TBS
の方から、
番組審議会
で、これはそうではない、我々はこういう
判断
でやったんだというものが出れば、それが公になれば、そこでまた議論が始まるのですね。今のままだと、恐らく、政治もあるいは一般の
国民
の皆さんも、
意見
を申し上げても言いっ放しで終わってしまうのですね。それをしっかりと受けとめていただいて、皆さん方もそれぞれの御
意見
に基づいて、御
判断
に基づいてやっていると思いますから、それをもう一回今度は、我々はこういう
判断
なのだという話をしっかりとまた提示いただければ、そこで議論がかみ合って深まっていくんだと思うのですね。ぜひそれが必要だと思うのですが、そこをもう一回
社長
の方から、そういったものの公開をやっていただけるかどうか。
砂原幸雄
49
○
砂原参考人
私たちは、本当に、
放送
の自由、表現の自由という旗の
もと
にやっております。それを守るためにも、それをやる我々がどれだけの
責任
をそれに対して負わなければいけないのか、これを本当に強く
自覚
しなければいけないと思っております。そして、我々がよる
放送法
の精神というものは、
放送事業
者の自主的な努力によって守られるということ、これが精神だと私たちは思っております。本当にこのことを私
ども
が大きく受けとめてやっていくために、今先生から御
指摘
を受けた精神と、今起こっていることを、議論を公開して、さらに議論を
発展
させるためだとの御
指摘
は、本当に私、肝に銘じました。それをさらにどのような形で外に公開していくか前向きに受けとめて、また、告知の方法、それは、出版物あるいは今
現場
ではそういう公開に関してインターネットというようなものも開設しておりますけれ
ども
、そういう場もあり得るのではないか、いろいろな
意見
が出ておりますから。そういうのを含めた場をこれからは前向きにつくっていきたいと私は思っております。
小沢鋭仁
50
○小沢(鋭)
委員
大変前向きな御
答弁
をいただきました。ぜひ、そういう形でやっていただくことによって、我々政治の側も安心してそこの皆さん方の
チェック機能
にゆだねていくことができるわけでありまして、我々も、余計な介入と呼ばれることがないように、それはみずから身を律していかなければいけない。しかし、いろいろな
意見
くらいは言わせていただきたいと思うのですが、そのためにもぜひ、そういった皆さん方のまさに自主的な
判断
、それから後は、
国民
の
視聴者
の皆さんとのコミュニケーション、そこを充実していただきたいと思います。 最後になりますが、ちょっと時間がありますので一点感想をお聞かせいただきたいと思います。
報道
、表現の大切さというのは私も肝に銘じておるつもりでありますが、今回、新
社長
、当事者におなりになって、一連の
各社
の
報道
の
取材
のあり方、これはどのようにお感じになったか。例えば御社の
ニュース
キャスターの方が、自分が
取材
される側になって初めてその荒々しさに驚いたというコメントもなさっているわけですね。その
取材
のあり方、受ける側になってどんな御感想を持ったか、最後に
一つ
だけ聞かせていただきたいと思います。
砂原幸雄
51
○
砂原参考人
受ける
立場
に
立場
を変えて一カ月でございます。私自身いろいろな質問をお受けしております。その鋭さには本当に、時に受ける側に立ってみますと、これまで我々が
取材
していたときに
取材
をされる対象者がどのような感じでそれを受けとめていたのか、それは本当に精神、気持ちの上で何か相通ずるような感じもいたします。それだけに、私
ども
が日常
取材
活動の中で
取材
する際に、いかに
取材対象者
の側に立った
配慮
、それが本当に、あるいは人権問題も起こり得るおそれもあるということを
自覚
した要するに
マニュアル
、教育というものを
当社
にとってますます徹底していきたい、こういうふうに思っております。
小沢鋭仁
52
○小沢(鋭)
委員
ありがとうございました。質問を終わります。
中川昭一
53
○
中川委員長
遠藤
和良
君。
遠藤和良
54
○
遠藤
(和)
委員
新進党の
遠藤
和良
でございます。 本日は、
参考人
の
皆様
には大変お忙しいところをありがとうございます。言論、出版、
報道
の自由というのは大変大切なものでございまして、政治権力の介入は断じてあってはならないと思っております。きょうは、国会にお越しいただいたのでございますけれ
ども
、国会は、
国民
から選出された議員が
国民
の声を代弁して御
意見
をお伺いする、こういう場でございますから、そんな気持ちでぜひ私も御
意見
を伺わせていただきたいと思っております。
最初
に、四月三十日の
報告
書の位置づけでございますけれ
ども
、これは最終的な
調査報告
書、こういう位置づけでよろしゅうございますか。
鈴木淳生
55
○
鈴木参考人
ただいまの御質問でございますけれ
ども
、
坂本弁護士テープ
問題及びこれに関する関連事項に関しまして、
当社
の再
調査
及び
佐藤特別調査人
の
調査
によって
当社
としては
判断
するに足る事実
関係
が判明したと
認識
いたしております。その上に立って
報告
書を作成したものだというふうに御理解いただきたいというふうに思います。
遠藤和良
56
○
遠藤
(和)
委員
そういたしますと、今後
調査
を継続するということは考えていない、こういうことでございますか。
鈴木淳生
57
○
鈴木参考人
今申し上げましたのは現在のことでございますけれ
ども
、将来また新しい
事態
が起きた場合には迅速に
対応
できるように、
調査
体制
は解いておりません、ずっと継続いたしております。
遠藤和良
58
○
遠藤
(和)
委員
そういたしますと、
郵政省
は
大臣
の談話を出したりあるいは行政
指導
をされたわけでございますが、それは、現在の
調査報告
書というものについての
認識
を示した、結論を出した、こういうふうに受けとめられるわけでございますが、今後も新たな
調査
、新たな
事態
というものがあった場合にはどういうふうな
認識
を示されるのか、その辺の
郵政省
の考え方もお聞きしておきたいと思います。
日野市朗
59
○
日野国務大臣
過日行いました
厳重注意
の処分及び行政
指導
でございますね。これは
TBS
の方でお出しいただいた
報告
書に基づいてなされたものであります。 それで、我々がこの事実の解明をするということは、憲法、
放送法
、電波法、これを通じて流れる
一つ
の趣旨、それをどのように
適用
していくのかということについて行うわけでありまして、細かい事実の
一つ
一つ
までを我々が探索するわけではございません。 そして、私の
判断
といたしましては、この
TBS
から出していただいた
報告
書、これは真摯に
調査
をされたということが十分うかがえるものであるという
判断
をいたしましたし、それからまた、警察や検察庁と違って、これは強制的な
調査
を行える筋合いでもございませんから、この
程度
出していただければ、こういった、行政が、
郵政省
設置法に基づいて
厳重注意
を行い、それから行政
指導
を行うについて一応十分であるという
判断
に立ちまして我々の態度を決めたわけでございます。 でありますから、今後新たな事実が出てくれば、それはまた別個の問題であります。 以上であります。
遠藤和良
60
○
遠藤
(和)
委員
会社
の
報告
書を私は読ませていただいたのでございますが、その中に、
TBS
オウム
報道
特別
委員会
、これは、
委員長
、
鴨下
さんですね。それから、
放送
のこれからを考える会、これは、弁護士、さわやか福祉財団
理事
長、堀田さんですか、この二つをおつくりになりまして、
TBS
の
オウム
報道
全般
にわたる諸問題を対象にして検討して提言を行う、こういうふうなことを書いてございますけれ
ども
、この二つの
委員会
の今後の審議の経過というものは、
テレビ
を通して放映をされるおつもりかどうか。それからもう
一つ
は、この結論を出す時期、めどについてどう考えているのか。この二点についてお伺いしたいと思います。
鴨下信一
61
○
鴨下参考人
先生おっしゃいました
オウム
報道
特別
委員会
と
放送
のこれからを考える会は、片方は
社内
の
委員会
でございまして、片方は社外有識者の
委員会
でございますが、いずれも、
調査
そのものではございませんが、今回の一連の
オウム
報道
がなぜああいうことになってしまったのか、そういうなぜというところ、それで問題点を剔決していただいて、
再発防止
のための提言をいただくという趣旨でございます。 論議が非常に多岐にわたりましてあれなので、実は
外部
委員
の方の御委嘱は期限を切っておりませんけれ
ども
、今、
委員会
の中では、現実に未収録
テープ
に関する提言は大体まとまっておりますし、次には視聴率の問題と
報道
の問題の提言もまとまってくると思います。そうやって提言が少しずつまとまりまして、秋ごろには、秋には一応の区切りがつけられるものではないか、そういうふうに期待しております。
遠藤和良
62
○
遠藤
(和)
委員
TBS
の
オウム
報道
全般
にわたりまして、その
報道
量の大きさといいますか、多さといいますか、そういうものから、
TBS
が
オウム
に電波ジャックされていたのではないかという
指摘
が一部にあるのですけれ
ども
、こういう見方に対してどういうふうな
認識
を持っておりますか。
鈴木淳生
63
○
鈴木参考人
八九年の十一月に
坂本
事件
が
公開捜査
になった当初は、解雇した二人の
プロデューサー
は
坂本テープ
の使用について厳しい条件をつけていた事実はございます。しかし、
報道
局と
社会情報局
の
ニュース
や各
番組
は横浜法律事務所や
坂本
さんを救う会の活動を積極的に取り上げて
報道
しておりまして、
TBS
全体としてはいささかなりとも
坂本
事件
の
報道
に手を抜くということはございませんでした。
報道
局では
坂本
事件
の関連の
ニュース
は丹念に
報道
しておりますので、新聞の全国紙に比べても実は
報道
回数が多い方でございます。 また、去年は、御存じのように、
TBS
は、
オウム
報道
が表面化してからは積極的な
報道
活動をやっておりまして、これはもういろいろなところで言われておりますので御説明する必要はないかと思いますけれ
ども
、
当社
の
報道
内容
を
オウム
自身がどのように評価していたかに関しましては、実は先月の二十六日に井上被告の公判がございました。そこで、
TBS
は
オウム
に批判的な
放送局
として青酸ガスの攻撃の対象に選ばれておりまして、実際に下見も行われたというふうに聞いております。 したがいまして、先生今おっしゃったような電波ジャックがあったということはございません。
遠藤和良
64
○
遠藤
(和)
委員
それでは、今事実が判明したことでお聞きしたいのですけれ
ども
、
坂本
取材
テープ
を
オウム
に見せたこと、そして
坂本
さんには見せたことを知らせなかったこと、かつ
放送
もしなかったということ、この事実が
坂本
さんの殺害
事件
にどう
関係
があったのか、こういうものについて、これは司法の場できちっと裁かれる問題だと思いますけれ
ども
、
会社
としてはどういう
認識
を持っていらっしゃるのか、現時点で。
鈴木淳生
65
○
鈴木参考人
今先生おっしゃるように、当然のことでございますけれ
ども
、司法の場での裁きになるかと思いますけれ
ども
、
オウム
の来訪及び
テープ
を見せたことを
坂本
さんや
関係者
に通報しなかったことについての道義的
責任
は、我々は十分
自覚
しておりますし、深く反省いたしております。そのことと具体的に
事件
がどうつながるかというふうな因果
関係
につきましては、先ほど先生もおっしゃったように、今後の裁判の流れを見守りながら
判断
していきたいと考えております。
遠藤和良
66
○
遠藤
(和)
委員
これは郵政
大臣
にもお伺いしておきたいと思うのですけれ
ども
、郵政
大臣
が所管する事項ではないかもしれませんけれ
ども
、世間一般に、
TBS
が慎重な対処をしていればこの殺人
事件
は起こらなかったのではないかとか、あるいは
地下鉄サリン事件
も起こらなかったのではないか、こういう
国民
の声が大変強うございます。そういう視点から考えて、今回の問題、どのようにお考えでしょう。
日野市朗
67
○
日野国務大臣
先生前置きにおっしゃったように、私の所管事項ではないのでございます。そしてこれは、ある出来事がどのような因果
関係
を持って
発展
していったか、その先に何が起きたのか、起きなかったのかという問題でございまして、今私、ここでそういう推測に基づいた発言をすることはいかがなものかというふうに思っておりますから、ひとつその点の
答弁
は勘弁してください。
遠藤和良
68
○
遠藤
(和)
委員
郵政
大臣
が談話を発表されました。その談話の中で、ちょっと読み上げたいのですけれ
ども
、「真実を追求し
報道
することを使命とする
放送事業
者が、自ら行ったことの事実解明さえ成しえなかったことは、同社の言論
報道
機関としての存立の基本にもかかわるものである。」こう述べていらっしゃいますけれ
ども
、この郵政
大臣
の談話に対して
社長
さんはどう受けとめておりますか。
砂原幸雄
69
○
砂原参考人
郵政
大臣
談話の中でもその部分は、私
ども
にとりましても最もつらい御
指摘
でございます。私
ども
といたしましては、本当に、大変厳しく受けとめております。 今後は、こうした御
指摘
をちょうだいするに至った
事態
を忘れることがあってはなりませんし、またこのことは二度とやってはならないことだと深く思っております。そして、この
指摘
を受けて、本当に
放送事業
者としての使命を果たすべく、
信頼
の回復、再生に向けて懸命の努力をしたいと思っております。
遠藤和良
70
○
遠藤
(和)
委員
社内調査
のあり方につきましてお伺いしたいのですが、
調査
の結果が、うそであったという結果になったわけですけれ
ども
、それは
調査
のあり方自体に問題がなかったのかという
指摘
があります。 いわゆる
特別調査人
の
調査報告
書の中に、「結語に替えて」の部分に書いてあるのですけれ
ども
、例えば、その表現を正しく申し上げますと、「彼等」というのは当事者のことを言っていると思いますが、「彼等を
会社
に仇なす犯罪者として糾明し真実を発見しようとしたことは」「妥当を欠くものであった」とか、あるいは「
会社
にとって
要求
されたことは先ず真相の解明であり、それに向けての全社的
対応
である。そして真実の発見について大切なことは、処罰の点はともかく過ちを犯した
社員
を暖かく包容し、北風となることではなく太陽となることであった。」こういうふうに
特別調査人
の
報告
書には盛られているわけです。 この
見解
に対して、
会社
として、
社内調査
のあり方について反省するところはありますか。
鈴木淳生
71
○
鈴木参考人
社員
が
社員
を調べるというのはかなり難しいことでございますけれ
ども
、どうせ仲間内の甘い調べなのではないか、こういうふうなことを言われたくないという
意識
が
調査
に当たったメンバーには強うございました。それで、事実を確認しなければという非常に強い
責任
感の方が強かったというふうに思うのですね。このために、かなり厳しく調べたこともあるかと思います。
佐藤特別調査人
の今の御
指摘
は、個人の問題ではなくて
会社
全体の問題であり、したがって、個人を責めるよりも
会社
全体の問題点を究明すべきであったというふうに書いてございます。個人を温かく包容することで真実を発見することもできるという
指摘
でございますが、まことに貴重な御
指摘
として、我々としては非常に重く受けとめております。
遠藤和良
72
○
遠藤
(和)
委員
私は、
調査
のあり方もあるでしょうけれ
ども
、もっと本質的な問題は、
TBS
の
会社
の中に
報道
を職業とする者がいなかったの ではないかという心配をするわけでございます。だれが
責任
をとってわびるかとか、そういうことは後のことでございまして、まずその当事者が個人として正々堂々と名乗り出て、そして事実を世に
報告
をしてもらいたかった。 まして
テレビ
局でございますから、司法の調べには応じているのに、自分たちの
最大
の武器である
テレビ
というものを使わなくて、こういうときこそ使うべきだと私は思うのですけれ
ども
、その
テレビ
にちゃんと顔も出して、堂々と自分のやったことを述べるというのが大切ではないかなと思うのですね。
報道
を職業とする者というのは、事実を語る勇気を持つことだと思います。そしてまた事実を語る誇りを持つことだと思うのですが、と同時に、自分の言動に対して
責任
を持つ自立した個人というのが
報道
を職業とする人でなければいけないと思うのですね。一般の営利
会社
の
社員
とはおのずから違ったものがあると思うのですけれ
ども
、そういう姿というものが今回の一連の
調査
の中で全く見えてこなかった。それは非常に深刻な状態ではないか、こう思うのでございますけれ
ども
、私のこの
意見
に対してどんな感想をお持ちでしょうか。 あるいはまた、今まで、
TBS
の
社員
教育という点から、こうした
報道
人としての姿勢というものを十分に培ってこられなかったのではないかと思うのでございますが、その点についての反省等がございましたら、ぜひお聞きしたいと思います。
鈴木淳生
73
○
鈴木参考人
まず
最初
のことについて私の方から御説明申し上げます。 今回の当事者につきましては、
オウム
事件
の特殊性から、本
人たち
の身元が明らかになった場合に本人や家族に危険が及ぶ可能性が非常に強い、それで、素顔を画面で
紹介
することを避けるべきだというふうに
判断
いたしました。実際にも、本人と近親者に脅迫や嫌がらせが続いております。 氏名につきましては、
番組
、これは
特別番組
を行ったわけですけれ
ども
、その冒頭で明らかにいたしましたけれ
ども
、あとは素顔の映像を避けたというのは、同じ
理由
からでございます。 あとの御返事については
鴨下
の方から……。
鴨下信一
74
○
鴨下参考人
先生おっしゃるように、電波を預かる
テレビ
の
報道
マンは、真実の追求に邁進できるようにするのが一番私
ども
としては望ましいことでございます。 今回、
報道
局にも編集主管を二名置きます。これは非常にベテランの、
取材
にも表現にもたけた
人間
でございまして、これは、
局長
を補佐して、
社員
の、
職員
の、あるいは
報道
従事者の教育と研修に、より一層の力を注ぎたいと思っております。
遠藤和良
75
○
遠藤
(和)
委員
会社
の
報告
書の結論の部分に書いてあるのですけれ
ども
、「この
報告
書を基に
当社
は再生の道を歩むことを
決意
する。」こういう書き出しで始まりまして、「
放送
の社会的
影響力
の大きさについて常に謙虚であり、奢りや昂りを捨て、
放送
人としての厳しさを全
社員
が身につけることこそ再生の道である。」こういうふうに言っているわけですが、やはりおごりとか高ぶりというものがあったという
認識
を示していらっしゃるのです。それから、
放送
人としての厳しさを身につけるということは、逆に言うと、
放送
人としての厳しさに欠けている点があったということだと思います。 そうした点を含めて、やはり
放送
人としての
報道
マン、ジャーナリスト、こうした個人の自立といいますか、そうした面における
社長
さんの取り組みの
決意
、そうしたものをお伺いしておきたいと思います。
砂原幸雄
76
○
砂原参考人
まず、
放送
人の厳しさというものは何か。いろいろな語る言葉があろうかと思いますけれ
ども
、私にとって、まず
国民
の知る
権利
にこたえる義務の重さ、基本的人権である表現の自由の貴重さ、また公共の電波を預かることへの
重要性
、それぞれを深く
認識
して
放送
活動に携わることだ、それがまず
放送
人の一番
自覚
しなければいけないことだと思っております。 しかし、このことを実践していくということに関しては、非常に厳しい自制と自律というものが同時に求められます。また、それを本当に
報道
活動の中で実践していくためには、こういう重要さを実践していけるプロとしての高度なスキル、それと厳粛なモラルというものを絶えず二つ求められているのが
放送
人であり、それを実践していくことのいかに厳しいかということをまた
放送
人は
自覚
していかなければいけないと私は思っております。
報告
書の結尾に「奢りや昂り」という言葉がありました。本当に、私もその言葉を読んで、我が社、
テレビ
が発足以来四十年の歴史の中で、このようなものをどこか風土として持つに至ったのではないか。
調査
方法
一つ
を見ても、やはり厳しさが先行していく割には、一歩下がった冷静に見る気持ち、温かさ、それさえも失っていたのではないかと思っております。これこそおごり、高ぶりの
一つ
、あるいは別の表現であれば、
取材
する際に
取材対象者
への
配慮
というものをいつかどこかで忘れていくこと、それも本当におごり、高ぶり、私はそのように思っております。 これこそ本当に原点に返って我々が我々自身に問い直し、それをまた具体的には
チェック機能
、教育ということに、根本は健全な市民感覚をどう持って
放送
に当たるかということだと思いますけれ
ども
、その原点に返る教育などに本当に真剣に取り組んでいく所存であります。
遠藤和良
77
○
遠藤
(和)
委員
このおごりとか高ぶりということ、これは戦後五十年になって日本の社会がやはり知らず知らずのうちに陥っている
一つ
の病気かもしれないと私は思っているのですね。単に
TBS
の問題だけではなくて、あらゆる中にそういったものが自然発生的に出ている部分があるのではないか。やはりお互いにそれを早目に発見をして、新しい世紀に向かってきちっと
対応
していくということは大変大切なことだと思うのですね。
TBS
に私が期待を申し上げたいのは、
報道
の
TBS
として
信頼
をされていたわけですが、その
信頼
が今や地に落ちているわけですね。やはり
国民
の
信頼
を回復するというのは至難のことだと思います。どう
信頼
を回復するかというのは、やはり真実を
報道
する、真実にどこまで肉薄できる
番組
をつくり上げていくかということで勝負する以外にないのじゃないかと思うのでございます。 今までやったことが悪かったからといって、
番組
を
放送
休止するとか自粛するというのは、私は、そういう方法ではない方がいいのじゃないかと思うのです。
報道
局というのは、
放送
する、そして
放送
の中身で
視聴者
の皆さんの共感を得ていくというのが大切でございまして、自粛したり休止するというのは、言ってみれば
報道
の使命の放棄ではないか、私はこう思っているわけでございます。 この真実に迫るということはなかなか難しいのでございまして、例えば談話とかあるいは証言とか、そういう人の話りですね。そればかり連ねて、それで真実の
報道
をしているような錯覚に陥っている部分が私はあるのではないかと思うのですね。話というのは、これはある
意味
では事実でない部分があるわけでございまして、私は、事実というのは、真実というのは、微小な事実を丹念に探し出して、積み上げて、そして真実を探り出していく、こういう本当に大変な努力の成果というものが真実の
報道
につながっていくのじゃないかと思いますね。 そういたしますと、やはり
取材
にいたしましても、裏づけ
取材
とかそうした丹念な努力とか、そういうものが蓄積されておりまして初めて
国民
の声に肉薄するような真実の
報道
ができるのではないかと思います。そうした努力を
TBS
にお願いをして、やはり
報道
の
TBS
として、きちっと
報道
の王道から
国民
の
信頼
を回復していただきたい、こういうことをお願いをいたしまして、質問時間が参りましたので、以上で終わります。
中川昭一
78
○
中川委員長
河村たかし
君。
河村たかし
79
○河村(た)
委員
まず一言申し述べておきますけ れ
ども
、この真実の追求というのはやはり一番大事で、これは、一千万人がとにかく見ますからね、
テレビ
は。どうしたらいいかということでいろいろな議論はありますけれ
ども
、結局は、今のところ日本のスタイルは、皆さん
TBS
自身がやる問題とそれからあと官がやる問題、この二つばかり言っておりますが、これは基本的には無理なんですよね。
TBS
さんにどれだけ根性論を言ったって、これは自分自身のことですから無理ですよ、ある
程度
以上は。そして、やはりあとは役所ということになってしまう。 本当はここは、これはもう一方的に言いますけれ
ども
、実は今新進党がNPO法案というのを出しておりまして、実はこれは、笑ってみえますけれ
ども
、アメリカを調べられますと、メディアウォッチドッグということで、みんな個人献金を集めて、そういう団体がこれを監視しているのですよ。そういうのを早くやらないで、
委員会
にかかっているけれ
ども
審議もしないで、真実を追求しようとするなら、国会自体が大変な矛盾を起こしておる。そこを
一つ
指摘
をしていきたいと思います。 初めに、まず
日本テレビ
の
ニュース
がありましたよね。それで、
TBS
さんが見せた事実はないと
反論
されましたけれ
ども
、これを
反論
させた人物です。
報道
局長
がメモを書いたのだろうと思いますけれ
ども
、
取締役
のどなたかが、これは事実はないと言えと言ったと思うのですが、その言われた方の名前、それから、その方は今回の人事異動で動いたのかどうか、これをお答え願います。
鈴木淳生
80
○
鈴木参考人
今、先生のお言葉の中に知らないというふうなことがちょっとございましたけれ
ども
、そういったことはございません。 それで、今のお尋ねでございますけれ
ども
、
報道
局長
に命じて、その
責任
者の
調査
担当の
責任
者の担当
常務
でございます。これは今般の
責任
をとって辞任いたしております。
河村たかし
81
○河村(た)
委員
できましたら、
委員長
、なぜかといいますと、やはりここが、この夜の
報道
ですね、「
ニュース
の森」、これが事実を曲げて
報道
したかどうか、これはいわゆる
放送法
違反があったかどうかの非常に重要なポイントなんですよね。だから、その方がどういう
認識
でそれを言われたか、知って、もしそれでも見せた事実はないと言われたなら、これは
放送法
違反になるわけですよ。ですから、ぜひ
参考人
で一遍お呼びをいただきたいと思うのですが、いかがですか。
中川昭一
82
○
中川委員長
後で
理事
会で協議をいたしたいと思います。
河村たかし
83
○河村(た)
委員
次は、見せたか見せないかという問題がありますけれ
ども
、実はそれもそうですが、私もよく寝ないで考えたのですよ、これは大変なことだなと。この電波がある一定の団体に偏向するような圧力を受けていたということになると、これは大変なんですよね。 だから、
オウム
とのかかわりをもっと真実を持って追及すべきであった、こう思うのですけれ
ども
、
大臣
、この間の
委員会
で私が聞きましたら、速記録によりますと、「この
テープ
を見せたかどうかということが大事なんであって、その
内容
が
一つ
一つ
真実であったかどうかということとはおのずから違ってまいろうかと思います。」と。それから
局長
は、「
テープ
を見せたかどうかが重要な問題でありまして、
テープ
の長さ云々ということは基本的には
放送法
に
関係
ない、」こういうふうに言っておられるのですが、これは今でも同じ
立場
ですか。中身の問題ですね。
大臣
にひとつお願いします、
大臣
に。
日野市朗
84
○
日野国務大臣
放送法
の
関係
では、また
放送
倫理の
関係
では、見せたか見せないか、これが重要なポイントでありまして、その
内容
そのものが客観的真実かどうかというようなこととはまたおのずから違った問題であろうかと思います。
河村たかし
85
○河村(た)
委員
ちょっとこれは、私は後で
理事
で御検討いただきたいのだけれ
ども
、
内容
が真実であったかどうかが実は一番大事な問題でして、見せたか見せないか、今回はいささか
関係
あるかわかりませんけれ
ども
、いろいろなことで見せることはあるのですよ。だけれ
ども
、その後編集されたビデオが本当に公正に編集されていたのだろうか。結局、こういういろいろなことをたどって
報道
されたのですけれ
ども
。それが真実を伝えたものかどうかが重要なのですよ。そうじゃないですか。 その四月三十日の
テレビ
の中で、
TBS
さんが
報道
された中で、あるコメンテーターさんが、
オウム
側が
TBS
を自分たちのアンテナとして利用しようとしていた、戦略がかいま見られる、その余地を与えたマスコミの危うさ、ここできちっと語っておられるのですよ、実は。 だから、私たち逓信
委員会
としては、
国民
のために電波が本当に真実を伝えるかどうか真剣に考えないといかぬと思うのです。そこで
大臣
があんなことを言っておるのですから、ちょっと
質疑
できませんので、これはどうしますか。これはひとつ協議してくださいよ。
中川昭一
86
○
中川委員長
これは質問の
内容
それから
答弁
の
内容
の話ですから、引き続き
質疑
を続けていただきたいというふうに思います。
河村たかし
87
○河村(た)
委員
とにかく、そうなりますと、
報道
の真実を
チェック
する人というのはいなくなるのですよ。これは自分たちでやるだけになるのですよ。NPOがありませんから、日本は。 だから、僕は、何遍も繰り返しますけれ
ども
、役所版の論理じゃないのです、本当に。NPOによる市民の運動を育てようという
人間
なのだけれ
ども
、残念ながらないから、
大臣
、必死になってやってくれないと、
TBS
が四月三十日の
テレビ
の中で言っておるのですよ、
オウム
が利用したと、戦略がかいま見えるということを。やらないなんて、これはとんでもないことですよ。発言を訂正されませんか。
日野市朗
88
○
日野国務大臣
前回の先生の御質問の流れとして私理解をしておりますが、その
テープ
がオリジナル
テープ
ではない、それで、これが編集をされている可能性がある、これがあるかないかが問題なのでちゃんとそれを調べたかという御質問を先生展開されたと思うのですね、前回。 我々は、今問題にしているのは、
放送法
に照らして、そして
本件
の問題が
放送法
に違反するのかどうかという問題について今我々は
作業
をするわけでありまして、それで、問題なのは
内容
ではなくて、
放送法
に照らしてその
テープ
を見せたことが妥当なのかどうなのか、また
放送
の倫理に照らしてどうなのかということも問題になっているという
意識
から私はお話ししているわけです。
河村たかし
89
○河村(た)
委員
もうとにかくやめておきますけれ
ども
、これはぜひ
委員長
の方からも、また
理事
会で、やはり
大臣
は真実を追求する義務があるかどうかということをひとつ議論をしたいと思っております。 次に行きます。 これは
内部
からの
情報
なのですけれ
ども
、去年の秋、このビデオが問題になったとき、役員全員でこのビデオを見たという証言がある。役員の皆さん、見られたのか、これはどうですか。
鈴木淳生
90
○
鈴木参考人
先生の御質問、今のビデオは
坂本テープ
ということでございますね。
河村たかし
91
○河村(た)
委員
はい、そうです。
鈴木淳生
92
○
鈴木参考人
これでございましたら、去年の秋に問題が起きた後、何人かの役員が一緒に見たという事実はございません。したがいまして、このような、今おっしゃったようなことはないということでございます。
河村たかし
93
○河村(た)
委員
見たことないというふうに言われましたけれ
ども
、これは実は日テレに対して抗議されていて、それから何人かの人が検察に呼ばれて、
調査
されているのですよ。なぜ重役が見ないのですか、これを。大変な任務懈怠というのですかね。これはどういうことなのですか。
鈴木淳生
94
○
鈴木参考人
当然なことながら、担当の
常務
は見ております。
河村たかし
95
○河村(た)
委員
担当の
常務
、担当の
常務
と言いますけれ
ども
、もうそのころ
報告
が上がっていたわけでしょう、検察に呼ばれているということは。では、みんなで見るのが当たり前じゃないで すか、これは
会社
の問題ですから。そういうふうに感じませんか、それは。みんなで見るべきだったということは。
鈴木淳生
96
○
鈴木参考人
ビデオを見たのは担当の
常務
ということでございます。
河村たかし
97
○河村(た)
委員
これはもうどうしようもならぬですけれ
ども
、本当に。私の
意見
を言っておきますけれ
ども
、これだけ問題になったら、みんなそろって、どういうビデオだったんだろうか、これが一番中心なのだから、僕なら見ますね、僕が何か経営者だったら。だから、これを問題発言としてちょっとひとつ留保しておいてくださいね。 それから、このビデオを何人かで見られたということですが、何回目かの役員会で、これは名前を申し上げませんけれ
ども
、もうこの辺で事実を認めた方がいいとだれかが言ったら、ここまでほおかむりしたんだから今さら事実を出せない、隠し通そうという話があったやに聞いておりますが、ないかもしれません。ないならないとはっきり言っていただければ、
TBS
の名誉もありますから。こういう事実はありましたか。
鈴木淳生
98
○
鈴木参考人
先ほど申し上げましたように、見ていたわけでございませんので、御
指摘
のような会話、そういうものはございません。
河村たかし
99
○河村(た)
委員
この問題も、私は名前はわかっておりますので、ここの国会の場になるかどうかわかりませんけれ
ども
、ぜひ一度、ちょっとそれなりに聞くチャンスを与えていただきたい。ないならないで結構でございます。 私も、とにかく
TBS
が精いっぱい努力をしていただいたことを祈る方でございまして、しかし、やはりはっきりさせるのは国
会議
員の務めで、そのために
国民
から給料をもらっているのですからね。だからそんなことを言っているわけで、ぜひそういうような聞くチャンスを与えていただきたいと思います。 それから、例の検証
テープ
です。 ここが、検証
テープ
が問題なのですが、
TBS
四月三十日オンエアの中でこういうふうに語っているのですよね。インタビュービデオの全編をごらんいただきます、全編カットなしてごらんいただくのは、このインタビューを見せたことが
オウム
の後の行動にどの
程度
影響を与えることになったのか
判断
してもらうためです、こういうふうに語っておりますが、これは間違いないですね。
鈴木淳生
100
○
鈴木参考人
先生がおっしゃるとおりでございます。
河村たかし
101
○河村(た)
委員
一方、これは
社内調査
結果の二の方でしたか、その中で、Gさんという編集マンが「
坂本弁護士
だけが言葉に詰まったり、無言の部分があるなど、いわゆる間詰め編集の対象として考えられる
テープ
だからである。」ということで、その
テープ
がいわゆる言葉に詰まったり無言の部分があるなどというようなところ、そういうところをカットしたんだということを言っておられる。これは、言葉に詰まったりとか無言の部分があるなどということですから、いろいろな箇所でということだと思いますが、こういう発言、こういう
報告
書を出された、これは間違いないですね。
鈴木淳生
102
○
鈴木参考人
間違いございません。
河村たかし
103
○河村(た)
委員
では、ちょっと
委員長
、資料を出しますからお許しをいただきたいのですが。私
ども
、このビデオを検証いたしまして、ある専門機関に、このビデオがどういうところでカットされていたのだろうかということを皆さんにちょっとお見せしたいと思いますので、資料をお配りいただけますか。
中川昭一
104
○
中川委員長
これは、事前に
理事
会で協議いたしましたので、資料を配って結構です。
河村たかし
105
○河村(た)
委員
これは後で
委員長
にお渡しします、私、これ見ながらやりますから。 このビデオは、日音研というところの鑑定書がついておりまして、ずっとありまして、これは皆さんのお手元にありますけれ
ども
、「はい」「はい」と二つ音声が入って、それから「はい まわりました」、こう来る間に「編集推定箇所」と、一カ所なのですよね、一カ所。一カ所、この時点で「前後のバックノイズが異なる」ということで、ここは順番にビデオをずっとつないでいったものじゃなくて、明らかに編集室で編集しているのですよ。これは鑑定書、鑑定機関がこちらに来てお話ししてもいいということでございますので。どこかですぽんと落ちているわけです。編集している。 ところが、先ほど言いましたように、このビデオは、先ほどの編集者の話によりますと、間詰め
作業
をして何カ所か切っているという
調査報告
書になっていますけれ
ども
、明らかに矛盾していると思いませんか、どうですか。こちらからすると一カ所だということです。これは全編、ここは中心のところだけですけれ
ども
、一番初めから終わりまでビデオをきちっと見た、これは鑑定書に書いてありますから、編集推定箇所が一カ所だけである、こういうことになっている。しかし、先ほどの
調査報告
書では間詰め箇所が複数あるということになっていますから、これは明らかに矛盾していませんか。
鈴木淳生
106
○
鈴木参考人
我々の
調査
では、カメラをとめたところがございますけれ
ども
、今おっしゃったようなところでは、我々の方にはまだそういう
調査
結果はありません。
河村たかし
107
○河村(た)
委員
調査
結果がないということになると、申しわけないけれ
ども
、四月三十日の
テレビ
、これは
放送法
違反かもわかりませんよ。全編カットなしてごらんいただくと言っているのですよ、わざと、これ。皆さん、だれでも忙しいと思いますが、僕もこれは何遍か見ましたよ。それで、一応国会ですからいいかげんなこと言えませんから、これちゃんと
調査
機関に委託して調べているのですよ。そうすると一カ所カットしてあるわけですよ、これは。それを全編カットなしてごらんいただく、どういう影響を与えたか知っていただくためということですね。 まだおかしいのは、普通ですと「はい」「はい」とか、あと、「はいまわりました」とここまで、切るのですよみんな、大体こういうものは。ここを切らずに残しておいて、その中に編集部分が
一つ
あるというのは、どうも何かちょっと意図的な編集なのではなかったか。全部見せる、けれ
ども
、全部見せると言って、実は大事なところを落としていたのではないかと僕は思いますけれ
ども
、どうですか。
鈴木淳生
108
○
鈴木参考人
この四月三十日の
放送
いたしました
テープ
は、撮影されたオリジナル
テープ
そのものではございません。オリジナル
テープ
をコピーして
報道
局が保管していたものでございます。したがって、今先生が御
指摘
になっている部分、オリジナル部分の
テープ
でございますけれ
ども
、これは
もと
のものはもう消去されておりますので、私
ども
としては今言ったようなものしか残っていないということでございます。
河村たかし
109
○河村(た)
委員
そうなら、申しわけないけれ
ども
、これは
テレビ
の
報道
する検証
番組
ですから。そういうふうに実は
もと
のものはない、編集の跡もあるのだ、だから重要な部分がカットされたかもわからない。 もう
一つ
言いますと、これを見ますと、
坂本
さんというのは非常に流暢に語っておられるのですよ、後の部分というのは。だけれ
ども
、この
調査報告
書によりますと、言葉に詰まったりとか無言のところがあった、こういうことなのです。だから、多分かなりの矛盾があると思いますね。ここは推測ですけれ
ども
、ここでかなりのことを補足しながらおっしゃったのではないか。そこが非常に重要だったからそこをぽんと落としたのではないか、少なくともそういう疑問が起こってくるはずなのですよ、自分たちで調べようと思ったら。僕でもわかるのですから、これが。これをやってもらわないと本当にいかぬですよ。 それと、四月三十日、やはり正確に言ってもらわないと、あれを聞くと、まさかほかに原本があって、それとは別で、そこは違うのでというふうには思いませんよ。全員がこれがすべてだと思いますよ。
委員長
、これは今の鑑定書でございますので、
委員長
に
提出
いたします。ここを調べて 後でまた御返事いただけますか。
鈴木淳生
110
○
鈴木参考人
四月三十日に
放送
いたしましたインタビュー
テープ
は、いわゆる
報道
局に持っておりますオリジナル
テープ
をそのままコピーして
報道
局が保管していた
テープ
でございます。 ただ、確かに映像が飛んでいるところがございます。これは、編集されたものではなくて、撮影の途中でカメラを一たんとめておるということでございまして、この点を実は、四月三十日に
放送
する際には編集の専門家に確認をいたし、
放送
いたしております。インタビュー正味は十分二十八秒、これを全編
放送
いたしております。
河村たかし
111
○河村(た)
委員
いや、そこがこれは違うのですよ、私
ども
の鑑定でいいますと。カメラをとめた場合は、中に「す」という部分ができるということで、音の
チェック
は全然違ってくるのですよ。今鑑定書に書いてありますから、これは、そういうふうにカメラをとめてまた回したのではなくて、明らかに編集機にかけて編集をしたものだということで、これは私が言っているのではありません。いわゆる鑑定、裁判所なんかもよくやられる方ですけれ
ども
、この方が言っておられますから、ひとつ、これはもう時間がありませんから、後で、
委員長
、これちょっと
理事
会で協議をしていただきたいと思います。これは明らかに違うのですよ、鑑定人と、言っていることが。ということでございます。 それと、もう時間がありませんから、今の問題と、それからぜひ編集マンを
参考人
で呼んでいただきたいと思います。
委員長
、お願いします。
中川昭一
112
○
中川委員長
これは
理事
会で協議をいたしたいと思います。
河村たかし
113
○河村(た)
委員
それから最後に、「ザ・フレッシュ」という
番組
で三日間連続で説法
テープ
を流されました。これはどういうルートで、だれがとられた、入手したのかということですけれ
ども
、これを教えていただけませんか。
鈴木淳生
114
○
鈴木参考人
信者の方からお借りしたものでございます。
河村たかし
115
○河村(た)
委員
簡単にそう言われますけれ
ども
、やはりそう簡単には出さないのですよ、これを。お金を払ったかどうか。それか、よほどの親密な
関係
があったかどうか、どちらかをぜひ今度お教えをいただきたい、そんなふうに思います。 それと、これ、
社長
の
答弁
が申しわけないけれ
ども
間違っておりまして、三日間、松本
テープ
をやめたのは、私の質問に答えて、
被害
者の会、弁護団から御
指摘
を受けた直後から直ちに使用を禁止したと言っておりますけれ
ども
、冒頭からこれは三日間
報道
すると言っているのですよね。三日目にやめておるのですよ。
社長
は
指摘
を受けたからやめたと言っているのですが、この矛盾についてはどうですか。これを最後に聞きます。
鈴木淳生
116
○
鈴木参考人
指摘
があった日にちでございますけれ
ども
、三日間の
放送
の後六月十八日の弁護団
会議
で問題が
指摘
されまして、六月二十日に
指摘
を、申し入れを受けております。
河村たかし
117
○河村(た)
委員
これで終わりますけれ
ども
、とにかく先ほどのビデオの問題ですね。途中から回したのではないというふうに鑑定人が言っておりますから、この点ひとつきちっとやっていただいて、次の
機会
にまた質問したいと思います。 以上で終わります。
中川昭一
118
○
中川委員長
矢島恒夫君。
矢島恒夫
119
○矢島
委員
TBS
にお伺いします。 四月三十日に
調査報告
を出されました。それ以降、五月十七日に
郵政省
が、いわゆる
厳重注意
の
措置
を通告する。これまでの間に
郵政省
が
TBS
に対して追加
調査
というのを行ったと思うのです。どのような
調査
をしたかということを私、
郵政省
に問い合わせてみましたところ、六項目のメモが出てまいりました。これ自体極めて不十分だということを前回の
委員会
で私は取り上げ、
指摘
しました。 そのメモの中にこういう項目があるわけですけれ
ども
、「ビデオを第三者に見せるとき等の
取材
に関するルールや研修
体制
」これが
TBS
からの
調査
項目というわけです。追加
調査
ですね。それに対して
TBS
側の回答として、「ビデオを見せることについての
判断
は、文書化されてはいないが、
TBS
の
社員
。
プロデューサー
が行うことがルールになっていた。」こういう
答弁
になっているわけですけれ
ども
、こう回答したことは事実ですか。
鈴木淳生
120
○
鈴木参考人
先生おっしゃるとおりでございます。
矢島恒夫
121
○矢島
委員
そうすると、第三者にビデオを見せることの
判断
というのは、
TBS
の
社員
プロデューサー
が行う、これがルールだと。ところで、この
調査報告
を読んでみますと、この
懲戒解雇
になった
総合プロデューサー
と曜日担当
プロデューサー
が見せる決断をして指示を下した、こうなっているわけですね。この関連事項
調査報告
という中に、「「見せる」決断をし、指示を下したのは、部屋にいたEおよびAの二人である。」こうなっています。ということは、二人とも
社内
プロデューサー
ですから、見せる決断を下すという、これはルールどおりにやったんだ、その部分についてはですよ、見せたのがいいかどうかというのは別としてですよ。 この二人はルールどおりやったということについては、いかがなんですか。
鈴木淳生
122
○
鈴木参考人
今先生おっしゃったように、手続的には今おっしゃったようなことだというふうに
認識
しております。
矢島恒夫
123
○矢島
委員
そこで問題になるのは、ビデオを第三者に見せるときの、文書化されていないけれ
ども
ルールがあったんだというこのことは、実は、
TBS
が出されたその
調査報告
の中には何も書いてありません。それに基づくところの検証
番組
が放映された後、
郵政省
の追加
調査
の中で初めて出てきたわけなんですね。 しかも、この
郵政省
の追加
調査
の
内容
というのは、
郵政省
からも、また
TBS
からも、
国民
あるいは
視聴者
に公表されていないわけです。このこと自身極めて遺憾だと思いますけれ
ども
、一体どういうルールがあったのか。この
調査報告
にはこのルールについてなぜ何の記述もないのか。 文書化されていないというわけですが、このルールがあったとすれば、
オウム
にビデオを見せた
行為
というのは、そのルールに照らしてどうだったとか、あるいはそのルールの方が間違いだったとか、あるいはそれを守らなかったからだとか、いろいろな問題が検証されなければならないわけですね。このことは非常に重要な問題だと思うのですよ。
調査報告
書にも記載はない。この「ルール」という言葉が出てきたのは、この追加
調査
の中で初めて出てきた言葉なんですね。第三者に見せるルールがあったんだというわけです。このルールに照らし合わせてどういう検証が行われたのか、非常に重要な問題ですから答えてください。
鈴木淳生
124
○
鈴木参考人
今の御
指摘
の、第三者に見せるというふうにたしかおっしゃったと思いますけれ
ども
、それではございませんで、一種の不文律としてのルールというふうに考えたいというふうに思っております。
矢島恒夫
125
○矢島
委員
いや、質問の方は、
郵政省
が追加
調査
の中で、第三者に見せるときのルールというふうにきちんとなっているのですよ。それに対しての答えが、「
TBS
の
社員
プロデューサー
が行うことがルールになっていた。」と、こうなっているのです。これは間違いないのでしょう。
鈴木淳生
126
○
鈴木参考人
今おっしゃったのは、成文化されたものではございませんで、一種の習慣的といいましょうか、そういうもののルールでございます。
矢島恒夫
127
○矢島
委員
だから、文書化されてないけれ
ども
というのは書いてあるのですね。しかし、そういうルールとして
社内
では今までやってきたわけでしょう、第三者に見せるときには。だから、簡単に言いますと、その部分についてはこの二人はルール違反してないのだから、懲戒というものの条件にはこれは入っていない、こう考えていいのでしょう。
鈴木淳生
128
○
鈴木参考人
それではなくて、やっぱり、見せ たということと、それからその後に混乱を引き起こしたということの、
就業規則
違反ということでございます。
矢島恒夫
129
○矢島
委員
だから、私が聞いているのは、その後の、どういうことで、これがどういう影響を及ぼしたかというのじゃなくて、いいですか、見せること自身は
社内
の
プロデューサー
が見せることにルールとしてなっているわけですから、ですから、そのこと自身はということですよ、限定してですよ。 懲戒の条件ということになっていない、とするならば、そういう問題をこの
調査報告
の中で、こういうルールがあったのだけれ
ども
こういうことだったとか、あるいはその追加
調査
があって初めてそういうルールが実は
社内
にはあったんだということがこう出てくる、そういうところ自身が、私はこの第二次の
調査報告
の結果を見ても、いろいろなところが出てくるのですよ。 そこで私は、ちょっと
郵政省
に聞きたいのです。 この追加
調査
をやったわけでしょう。それで、前回私、この追加
調査
の
内容
というのは、この一枚の紙っぺらでは六項目だけしかない、もっとあるだろうと言ったら、もっとあるということになった、しかし、ここへ書かなくてもいいような
内容
かもしれないと。 そういうようなことで、中身全部がはっきりわかっていないのですよ。このルールの問題にしたって、どういうやりとりがあって、それでこのルールというのは、いわゆる
社内
では文書化されていないけれ
ども
、例えばこれとこれとこういうルールがあったのだというようなこともわからないのです。 という点から、その追加
調査
の中身についてもう少し詳細な資料を
提出
していただきたいと思うのですが、いかがですか。
楠田修司
130
○
楠田政府委員
この「追加説明」にお出ししました点は、まあいろいろ聞いた中で、ほとんど重要な点を網羅しているというふうに考えておりまして、あとは非常にささいな事項でございますので、あえて
提出
するほどのものではないというふうに
判断
しておるわけです。 以上でございます。
矢島恒夫
131
○矢島
委員
六項目で、ほかのことは大したことはないと。それは、大したことがあるのかないのかというのは、これは
郵政省
が
判断
をしたわけでしょうから。しかし、私たちは、このルールの点だけを見ましても、これでは、これがどういう
内容
なのかというのがさっぱりわからないのですよ、三行きりしか書いていないのですから。
委員長
にお願いします。 この追加
調査
の
内容
についてもう少し詳細な
報告
書、資料、これの
提出
をぜひお願いしたいと思います。
中川昭一
132
○
中川委員長
理事
会で協議いたします。
矢島恒夫
133
○矢島
委員
そこで、もう
一つ
の問題で
TBS
にお伺いするわけですが、この問題というのは、やはり、
オウム
の圧力に屈して
放送
前のビデオを見せ、かつ
放送
を中止したということがありますが、もう
一つ
、先ほど来問題になっている、第一次
調査
で事実と正反対の誤りを犯した、ここにあるわけですよね。磯崎前
社長
は、第一次
調査
の誤りを認めた後も、
調査
には
組織
的な隠ぺいの意図や予断はなかったと言い続けた。しかし、今回の
調査報告
、特に
特別調査人
の
報告
書を読みますと、
組織
的な隠ぺいの意図というのはまだしも、とても予断はなかったなどと言えたものじゃないと思うのですよ。 例えば、十月十九日の
日本テレビ
の
報道
に対して
会社
として抗議をした、これは追加
調査
の中に、六項目の
一つ
に出てくるのです。「大川
常務
から
報道
局長
に「夕方の
ニュース
のコメントを作成するよう」指示があった。
社長
は、コメントの具体的な
内容
は知らなかったが、抗議の旨の
放送
を行うことは了解していた。」これがあなた方の、
郵政省
の追加
調査
に対する答えということになっているわけですね。そうしますと、
社長
はコメントの具体的な
内容
は知らなかった。最終的に、見せた事実はないと確認しているというコメントは、大川
常務
が
責任
者として決裁して
報道
局におろした、こうこの文書から
判断
されるわけです。 大川
常務
が、見せた事実はないと
判断
した
報道
を、
日本テレビ
への
反論
という形で行った。この大川
常務
がその後の
調査
の
責任
者となったわけですよね。それで、これで予断が全くない
調査
であったというふうに常識的に考えても言えるだろうかという問題です。
佐藤特別調査人
の
報告
を読みますと、「
TBS
は、
日本テレビ
の
報道
に対して、
社内調査
では見せたという事実はない旨断定し、その旨の声明を発表した。斯かる
TBS
の
会社
としての公式の声明が、
TBS
の一
社員
に過ぎないE
プロデューサー
を始めとする
テープ
事件
関係者
のその後の供述態度にやはり少なからぬ影響を与えたことは想像に難くないところである。」こういう
報告
が出ています。 何とかこのビデオを見せたことはないということで逃げ切れないか、こういう気分が第一次
調査
にあったと見るのがこれは大体普通ですわ。それは心情として理解できないものでもないけれ
ども
、やはり真実を追求するジャーナリズムとしては無縁の自己保身である、この点にメスを入れなければ
再発防止
というのはおぼつかないことになる。 私、予断はなかった、第一次の
調査
には予断はなかった、こういう態度はきっぱり改めるべきだと思いますが、
社長
の
見解
をお聞きします。
砂原幸雄
134
○
砂原参考人
第一次
調査
は、確かに結論としては誤ったものでございました。それを出しているときに、
調査
方法に誤り、不十分というようなことがあったと思います。しかし、そこに意図的な意思はなかったと私は信じておりますし、
調査
結果にとっても、また
佐藤特別調査人
もそのように
報告
しております。 しかし、私にとっては、これはやはり
調査
というものを誤ってしまったということは事実でございます。今後、このようないろいろな
調査
に対していかに誤りのない
調査
方法を我々が迅速にとり得るか、その方法に関しては、
社長室
も含め恒常的な
委員
、さらにそれは、いかに弾力的な方法を随時とり得るかというような
組織
を今後つくったつもりでございます。 この誤りを二度と繰り返してはならないことというふうに深く肝に銘じております。
矢島恒夫
135
○矢島
委員
第一次
調査
をしている経過とか、それからその誤った結果を出した状況だとか、その
調査
の
責任
者だとか、その前に、絶対見せたことはないんだという断定的な決断だとか、一連の流れをずっと見ますと、これはやはり予断があったんですよ。見せないという
もと
に
調査
が第一次は行われた。それは、その
調査
した方が、私はそういう予断をいたしましたと言わないかもしれないけれ
ども
、しかし、そういうことをきちんと反省することが必要だということを私は
指摘
したわけです。 時間がなくなりましたので、先ほど既に今後の問題についても話が出ました。つまり、ジャーナリズムとして真摯な姿勢で問題に当たること、これで一件落着とするな。ルールの問題も先ほど私申し上げたのですが、あるいはビデオ
テープ
の編集の問題も先ほど出されました。ですから、これで
調査
は一件落着としないで、また何か訂正しなければならないことがあると第一次
調査
と同じようになってしまうぞなんて恐れて、事実から目をそらすようなことをしないようにして、新たな事実があるいは
視聴者
や
社員
、有識者から出された場合には誠実な態度で
調査
を進め、真実をさらに明らかにしていく、そういう方向でいきますか。
社長
、
見解
をお聞きしたい。
砂原幸雄
136
○
砂原参考人
御
指摘
の態度で臨まなければならないと思っております。
矢島恒夫
137
○矢島
委員
やはり
視聴者
の
信頼
回復というのは今後の
放送
にかかっていると思うのです。今後の問題は、
外部
からの圧力に屈してしまったという、
放送
の自由、
放送
ジャーナリズムの原点とも言えるところに重大な誤りがあった、これを繰り 返してはならない。 しかし、
TBS
がとったその後の幾つかの
措置
については、その点から見て首をかしげたくなるものもあるんですわ。深夜
放送
の自粛とか、あるいは午後のワイドショーの打ち切りというようなこと、先ほどお話がありました。「
スーパーワイド
」を打ち切ったのはどうしてかというと、その中の
一つ
の
理由
として、
懲戒解雇
になった
プロデューサー
が関与していたからだ、こういうのが
一つ
ありました。論理的にどうもこれからの
改善策
とつながらないような気がいたします。 それはともかくも、
郵政省
とかあるいは外向きへのみそぎ的な発想で事に当たるというのではなくて、もし本当にそういうような方向へいくとすれば、自粛
措置
や機構
改革
というようなものがさらに
TBS
を危機的なものにしていくと私は思うのです。 そこで、最後にこれは要望ですが、真実の
報道
、
国民
の共有の
財産
である電波を使う
放送事業
者として
最大
の
責任
である
国民
の知る
権利
にこたえるためにも、いかなる圧力にも屈しない。そのためにも、ジャーナリストとしての原点をしっかり守って今後こういう点での
改革
を進めていただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。
中川昭一
138
○
中川委員長
以上で本日の
質疑
は終了いたしました。
参考人各位
におかれましては、御多用中のところを御
出席
いただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十五分散会