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1996-05-22 第136回国会 衆議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月二十二日(水曜日)     午後四時十四分開議 出席委員   委員長 中川 昭一君    理事 斉藤斗志二君 理事 中谷  元君    理事 古屋 圭司君 理事 遠藤 乙彦君    理事 河村たかし君 理事 高木 陽介君    理事 山崎  泉君 理事 小沢 鋭仁君       荒井 広幸君    川崎 二郎君       岸田 文雄君    岸本 光造君       佐藤 静雄君    野中 広務君       宮崎 茂一君    遠藤 和良君       北橋 健治君    古賀 一成君       高橋 一郎君    弘友 和夫君       冬柴 鐵三君    今村  修君       田中 昭一君    横光 克彦君       矢島 恒夫君    吉岡 賢治君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 日野 市朗君  出席政府委員         郵政大臣官房長 谷  公士君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省電気通信         局長     五十嵐三津雄君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君  委員外出席者         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十二日  辞任         補欠選任   佐藤 剛男君     岸田 文雄君   自見庄三郎君     佐藤 静雄君   日笠 勝之君     弘友 和夫君   大出  俊君     今村  修君 同日  辞任         補欠選任   岸田 文雄君     佐藤 剛男君   佐藤 静雄君     自見庄三郎君   弘友 和夫君     日笠 勝之君   今村  修君     大出  俊君     ――――――――――――― 五月十六日  日本放送協会平成六年度財産目録貸借対照表  及び損益計算書 同月十七日  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第六  八号) 同日  テレビ字幕放送の拡充に関する請願(前田武  志君紹介)(第二四九三号)  同(大野由利子紹介)(第二五五四号)  同(高木陽介紹介)(第二五五五号)  同(古屋圭司紹介)(第二五五六号)  同(森本晃司紹介)(第二五五七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第六  八号)  逓信行政に関する件(TBSオウム報道問題)      ――――◇―――――
  2. 中川昭一

    中川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。日野郵政大臣。     ―――――――――――――  電波法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 日野市朗

    日野国務大臣 電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、無線局増加状況等にかんがみ、電波利用料金額引き下げるとともに、電波利用料財源として支出すべき電波利用共益費用に関する規定を整備しようとするものであります。  次に、この法律案概要について申し上げます。  第一に、無線局増加状況等にかんがみ、一部の無線局の区分について電波利用料金額引き下げることとしております。  第二に、電波利用共益費用に係る事務の例として、電波のより能率的な利用に資する技術を用いた無線設備について無線設備技術基準を定めるために行う試験及びその結果の分析の事務を加えることとしております。  なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 中川昭一

    中川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 中川昭一

    中川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸本光造君。
  6. 岸本光造

    岸本委員 自由民主党の岸本光造でございます。  ただいま大臣の方から電波利用料引き下げについて御説明があったわけでございますが、これ自体は私は大変いいことであるというふうに思います。  しかし、設備投資などお金もかかるときであるわけでございまして、なぜそのときに、今電波利用料引き下げられるのか、その辺の背景、理由を御説明をいただきたい。まずお願いいたします。
  7. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 今回の改正によりまして電波利用料料額引き下げるということで御審議をお願いしているわけでございますが、電波利用料料額自身は、制度創設でお認めいただきました平成五年度から平成七年度まで、電波利用料を充てることが必要と認められる電波利用共益費、言ってみますと電波利用社会におけるいわゆる共益費用でございますが、その額を、この三年間の期間に見込まれます無線局の全体の数、これで割って、公平に負担するというようなことで算出してまいりました。  ある意味でいいますと、三年間お認めいただいてやってまいりましたが、これからのさらに三年ということを見てみますと、現在の料額水準が適当なものであるかどうかということを私ども検討しなければならないということでやってまいりましたが、平成八年度から平成十年度までの三年間の期間ということで見てまいりますと、無線局見込みということにつきましてかなり大きく伸びが見込まれるということで、再計算を行うということにいたしたものでございます。  特に、携帯電話の普及あるいはPHS基地局増加というようなことがございます。もちろん監視業務あるいはデータベース構築ということで費用の方も増大してまいりますが、昨今の無線局の急増によりまして、今後現在の料額を維持すると、収入としては、いわゆる電波利用共益費、これを上回る傾向が続くということが見込まれますので、そういった意味で、免許人に求める負担水準を適正化する必要があるということで今回引き下げ法律案をお願いするということにいたしたところでございます。
  8. 岸本光造

    岸本委員 よくわかりました。大きく伸びて、再計算をして、めどがついた、こういうことでございますが、ふえたのは、携帯電話を中心にした移動局がふえたやに聞いております。そうしますと、携帯電話が六百円、それからアマチュア局の方が五百円、これは据え置きになっておるわけでございますね。伸びた大部分携帯電話であって、これが据え置かれるということになるとつじつまが合わぬのではないか。なぜ携帯電話のような無線局が下がらないのか、その辺の理由がちょっと納得できないのですが。
  9. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 電波利用料料額の決め方でございますが、必要な費用均等に割り振った額で出していく部分と、もう一つは、無線局の管理ということで、無線局の諸元のデータ量に応じて案分比例して算出するという、二つの額の合計で算定をいたしております。  そんなことで、具体的な例として携帯電話の場合について計算の結果を申し上げさせていただきます。  現行の場合は、均等負担する、例えば電波監視とかそういう部分についての負担は五百三円という数字が出てまいりまして、さらにデータ量で比例的に出てくる部分、これは無線局の種類によってデータ量で比例案分している部分でございますが、これが百一円ということで六百四円になっておるところが、六百円になりました。  今回の計算につきまして申し上げますと、一つは、均等負担する部分は、平成八年度以降三年間で見込まれる額と先ほど申し上げました無線局数で割った額でございますが、均等部分が五百三十二円でございます。そして、データ量部分につきましては、先生指摘のように確かに下がりまして、五十三円ということが出てまいります。これを足し算いたしますと五百八十五円ということになります。そういった意味では、均等にして負担する部分というのはほとんど変わらないということですが、均等負担する部分では全体的な施設の増とか体制の強化を図りますために費用負担するということから、先ほど申し上げましたように現行五百三円が逆に五百三十二円になっているということでございます。そういうことで、いわゆるデータ量に応じる部分というのが少ない金額になっております。  そういったことから、一般に扱います国の手数料というのは、納入者側あるいは国が徴収する場合の手間ということを考えまして、大体百円単位になっております。それからいいますと、五百八十五円ということでございましたので、今回そのまま六百円ということで据え置きするということにしたいという考え方でございます。
  10. 岸本光造

    岸本委員 その辺の話はよくわかりました。  それでは、携帯電話事業者電波利用するための負担、これは大体どれぐらいになるんでしょうか。  それと、これはアメリカにも類似したシステムがあるというふうに聞いておりますが、その辺との比較はどんなものか、御説明をいただきたいと思います。
  11. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 携帯電話事業者負担することとなります電波利用料は、例えば平成六年度で見ますと三十四億九千万円、平成七年度ですと六十九億二千万円、こういうことでございます。さらに平成八年度、これは見込みになってまいりますが、七十四億円程度かというふうに見込まれております。  そして、このような電波利用料に類似するものということで、アメリカでは連邦通信委員会行政手数料ということで電波利用料相当といいますか、類似のものを徴収しておりまして、携帯電話事業者全体では、これは若干私ども推定部分がございますが、五億数千万ではないかというふうに見ております。  ただ、アメリカの場合にはこういう形で行政手数料、レギュラトリーフィーと言っているものでございますが、先生御存じのとおり、アメリカでは電波を獲得するまでの間に入札で決めるというオークション制度を最近とり始めております。これは九四年からでございます。そういった意味では、携帯電話のようなサービスを提供するについては、その電波取得のために相当の額を負担するということで、私どもが今承知している額では、アメリカは二回ほど入札を行っておりますが、総額で一兆八千億円ぐらいを事業者入札のために負担するということになったというふうに私ども承知をいたしております。そういった意味では、アメリカの場合には、携帯電話等事業をやるためには、電波取得というようなことで金銭的な負担は大変大きいというふうに見ております。
  12. 岸本光造

    岸本委員 ちょっと変えますが、それでは、テレビ等放送局電波使用料は下がると理解していいわけですよね。  そうしますと、私はここでちょっと問題を提起したいのですが、ここで言うのはおかしいのかもわからぬのですが、TBSの報道を契機にして放送人のモラルの問題、社会的な公平性などなど、ただいまはかなり大きな問題になっておるところでございます。こういうところの局のある著明なキャスターは、一億八千四百三十四万、これは年収ですね、ギャラをもらっているのですね。これは一億と言う人もおるけれども、十億もらっていると言う人もおります。これは根拠はありませんが、数字になったある新聞社データなんですが、億単位ギャラをもらって、そうして放送している。しかも、倫理に非常に問題がある。  例えば、この間、五月七日にテレビ朝日の「ニュースステーション」で、久米宏がこういうことを言ったのです。毎日政治ニュースを伝えている身としては、いつ解散があるとかそういう問題でなくて、一日たてばたつほど政治家が嫌い、政治ニュースを聞きたくない、考えただけでも、政治家の話を聞いただけでもへどが出る、この気持ちが一日おくれればおくれるほどどんどん拡大している、この実感を永田町の方はおわかりないのですかね、こういうことを言ったんですよ、久米宏が。  それで、そのときに私は放送局長に聞いたんですよ。これはおっちょこちょいの久米宏の個人的な意見か、それともテレビ朝日意見かと聞いたんです。そうしたら、これはテレビ朝日意見だ、テレビ朝日意見として理解していただきたいと私は言われたんです。こういうことを平気で垂れ流しているテレビ朝日、これはTBSと同じですよ。政治に対して文句があるなら、ニュースならニュース解説なら解説できっちりやったらいいのですよ。おもしろおかしく、ショーみたいにして、漫才みたいなことを言わんでいいのですよ。賢い人はこのごろ、あれはまともに聞かないよということにはなってきております。なぜこういうことを反省もなしに毎日毎日やっておる。しかも、庶民面をして、億単位ギャラをもらっておるわけですね。  こんな放送局に対して利用料を下げてやるというのは、私はどうかと思うのですよ。放送会社というのは、一定の二十四時間という限定された時間の中で電波を使ってお金がもうかっているわけです、収益を上げているわけですよ。それでそれだけのギャラを払っているわけでありまして、電波利用料は、テレビ局に限って言えばもっとこれは負担をさせるべきで、引き下げる必要は私はないのではないか、こう思うのです。こういう局は年に幾らぐらい電波利用料を払っているのか、今私がいろいろ申し上げた問題についてあなたはどう考えるか、大臣も含めて答弁いただけたらいた だきたい。  これはけしからぬことだと思うのです、こういうことを朝から晩まで放送しているというのは。ちゃんときっちり解説をしてくれればいいんです。それをしないで、政治家の話を聞いてへどが出るとか、それを知らぬ永田町のお方はおわかりないのですかと、こういうおちょくったことを漫才にしてやっているから、私は、ここは利用料は下げるべきではない。どんどん上げてやったらいい。だってギャラを億単位でもらっているんですよ。どうですか、大臣局長も、どうぞ二人とも答えてください。
  13. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 放送会社、いわゆる民放でございますが、民放全体での電波利用料負担がどうなっているかということをちょっと申し上げさせていただきたいと思います。  現行の額で、例えば平成六年度ですと二億九千万程度でございます。これが値下げになった後は、二億五千万程度になるものというふうに見込んでおります。在京のテレビキー局の五社、ここでは一千八百四十四万、こういう状況でございます。  売り上げとのかかわり合い等々でどう考えていくかという観点でありますが、今回あるいはお認めいただいています今の電波料というのは、すべての無線局免許人の方々が電波を安心して利用していただくということで、そのために行政が行う共益的な事務の処理に要する費用ということで、免許人全体で、受益者負担ということで負担していただくという考え方に立っておりまして、事業による利益に着目いたしましたり、電波利用の対価として徴収するという考え方には現在の制度は立っていないものであります。  したがいまして、免許人事業によって多額収益を上げているというようなことがあったといたしましても、それによって直ちに多額負担をすべきという性格のものではないわけでありまして、電波利用料について、御指摘の、先生お話しのような観点からの引き上げというのは、今制度をお認めいただきまして進んできたこの段階で、直ちにそういう抜本的に見方を改めるというような段階にはないものというふうに考えているところでございます。
  14. 日野市朗

    日野国務大臣 先生指摘になりましたキャスター問題等キャスターの問題として、電波利用料というのは、これは免許人全員から徴収する負担金という形でありまして、それをどのように賦課するかということについては、先ほど局長がその基準について申し上げたとおりでございます。  私は、これを懲罰的に用いるということはいかがなものかということでございまして、お怒りの点は私もよく、理解しないわけではございませんが、そういう制度趣旨でございますから、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  15. 岸本光造

    岸本委員 わかりました。  この問題は、公共の電波の問題でございますから、真摯に論議をしなければいけない問題だと思います。  それから、その引き下げた分は、これは当然収入が落ちるわけですよね。どれぐらい落ちるのか。郵政省というところは、私は知らなかったのですが、一般会計がわずか六百三十二億しかないのですね。非常に少ないですよ、郵政省一般会計は。そんなところのお役所が、収入が落ちていいのかどうか。これでは、情報通信の振興をこれから図るんだとか、マルチメディアをやるんだとか、二十一世紀はこのような社会だとか、いろいろ言っているのですけれども、大丈夫なのかという心配をするわけです。  設備投資がこれからかかると思いますが、これ一つとっても、すべての産業に占める第一種電気通信事業の割合は、当初は一割になる。郵政の方は〇・〇八ですかね、全体の〇・〇八ということでありますから、電波利用料は、考えてみれば郵政省にとっては大きな原資であるわけです。これの収入がダウンしていいのかどうかと思うのですよ。そんなええ格好しないでええのとちゃうんですか。どうですか、その辺は。
  16. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 電波利用料、今回引き下げということで見込んでおります平成八年度から十年度までの三年間ということでいきますと、現在の料額でまいりますと六百十億円を超えるという額で見込んでおりますが、確かに先生指摘のように、これが五百十八億円程度ということで、電波利用料全体では九十億円以上の減になるというふうに見込まれます。  ただ、電波利用料というのは、先ほどから申し上げさせていただいておりますが、この財源を充てるべく事務に必要な費用を賄うという金額を徴収するということでありまして、今回のこの措置によりましても必要なものは確保されるというふうに見込んでいるところでございます。  ただ、先生からるる御指摘ございましたが、電気通信事業情報通信産業の中でも、特に第一種電気通信事業などというのを見てみますと、平成八年度では四兆円を超える設備投資が見込まれます。そういう意味では、全産業の一割ということで、伸びを見ただけでも、平成八年度の見込みというのは、二〇%以上設備投資伸びる。今のような経済情勢の中では、まさに時の景気を引っ張っているような産業になってきているというふうに考えております。  しかしながら、我が郵政省予算は、先ほど先生指摘のありましたとおり、六百億強という程度でございまして、会計検査院等々も入れました諸官庁、二十四ぐらいの官庁のうちの二十番目ということで、環境庁に次いで二十番目になるというようなことでございます。そういった意味では、設備投資あるいはこの情報通信産業の持つ生産誘発係数といいますか、そういうことから見ましても、この分野について、政府全体でもいろいろな意味での施策を施していく必要のある産業、あるいは意味のある産業ではないかというふうに考えております。そういった意味では、私どもは今後とも情報通信関係予算全体が充実していくようにさらに努力をしてまいりたいというふうに存じておりますが、ひとつ格段の御支援、御指導も賜りたいものというふうに存ずる次第でございます。
  17. 岸本光造

    岸本委員 よくわかりました。  このごろ、朝夕、電話のラッシュ時というのでしょうか、携帯電話がなかなかかかりにくいという現象が起こっております。なぜかからないのかといったら、これは周波数が少なくなってきているのだ、こういう話を聞くわけです。携帯電話は一千万台を突破しておりまして、それは、みんなが一遍にかければ一遍でパンクしてしまうのは当たり前のことであります。したがって、電波がいつでも十分に利用できるようにこれから保障してもらわなくてはいかぬ、こういう課題が出てくるのではないかと私は思うのです。  産業構造を変えていくこと、あるいは景気牽引車としてこの携帯電話が振興されること、これはいいことではありますけれども、使えないということになりますとこれは元も子もありませんから、肝心の周波数の方はこの伸びで確実に保障されるのかどうか、その辺の見通しを伺っておきたいと思います。
  18. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 移動体通信伸びというのは大変急ピッチでして、今もアナログからディジタルへの転換というのが始まっておりまして、一部通話についてふぐあいが出たりする時間帯もあるというふうに承知をしております。  移動体通信の世界だけ見ましても、平成八年度は、今の見込みで一兆六千億円ぐらいの設備投資が見込まれますので、前年度、平成七年度と比べると六〇%以上の設備投資がなされるという状況ですから、まさにリーディング産業でもとりわけ優等生の分野だというふうに思っておりますが、これも先生指摘のように、それに対応する電波というのがありませんと、利用者の皆さんに御迷惑をかけますし、産業も思うように発展していかないということで、電気通信審議会に私ども諮問をしておりまして、その電波体制づくりに取り組んでおりました。先般、四月に「二〇〇〇年ま での携帯電話等周波数有効利用方策について」ということで、全体ではございませんが、一部の答申をいただいております。  私ども、この答申に基づきながら政策展開を図ってまいりたいというふうに思っておりますが、電波の手当てという面では幾つかの点についてこの答申に提言がなされております。  その一つは、現行携帯電話基地局、これが一・五キロから二キロの半径ゾーンをつくって通話をしていただいておりますが、これをもっと縮めて、一キロとかそういうふうに狭めてくる。そういうふうになりますと、加入者容量は今の二倍以上になっていくというようなことから、そういう方策をとる。あるいは、ディジタル化をする中で、ハーフレート化といいまして、現在の同じ幅を半分にして使える技術を開発していくというようなことで、こうなりますと、これもまた二倍になるということでございます。  さらに、大変携帯電話の使われる場所で、大きな一・五キロ、二キロの半径の中に、さらにもう一つその部分だけ小さなスポットゾーンをつくっていく。これによりましても、通話の状態もよくなると同時に、電波有効利用ができるというようなこと。加えまして、現在、幾つかの周波数のうち携帯電話は圧倒的に八百メガヘルツ帯という周波数を使っておりますが、この中に八メガヘルツ帯を追加するというようなことの施策を講ずるというふうに提言されておりまして、私ども、この方向に向かって取り組んでまいりたいと思いますが、二〇〇〇年におきます移動体通信、これはPHSも含んででございますが、需要予測としては、上限下限、幅を持たせた格好で答申をいただいております。二〇〇〇年、低い方は二千五百万加入ですが、高い方は三千二百五十万加入ということが見込まれております。こういった中で、先ほど申し上げさせていただきました四点ほどの周波数対応、これをやってまいりますと、三千八百七十万の加入が可能になるということでございまして、二〇〇〇年までの間では一番高いところの見込みが三千二百五十万ですから、これを上回るということで、周波数の確保はこれによってなされるというふうに考えております。  二〇〇〇年以降のことにつきましては、国際レベルのことでございますが、国際電気通信連合で今国際標準の検討が進められておりまして、IMT-二〇〇〇という、いわゆる将来の公衆陸上移動通信システムというのが導入される、世界的にそういう予定になっておりまして、ここでは二百三十メガヘルツの周波数帯域がまた与えられるということですので、その需要対応するということでは、これによって周波数対応がなされるというふうに思っております。  加えまして、総合的な周波数対策ということをこのようにやってまいりますけれども電波利用料も活用してまいりまして、電波を能率的に使える技術、そういうものを導入するということで、携帯電話、こういった移動体電話の円滑な発展の確保を図ってまいりたいというふうに存じております。
  19. 岸本光造

    岸本委員 時間がありませんから、次へ行きます。  携帯電話の普及は大変結構なことでありますけれども、公共の場所においてこれがばっとかかってくるというようなことがちょこちょこあります。特に新幹線の中なんかしょっちゅう、ほとんどの人が携帯電話を持っておるというようなことで、あっちでもピーピー、こっちでもピーピー、本を読もうか、ちょっと寝ようかと思っていても、しかも大きな声でわあわあ話し合う。まるで、前と後ろと横とで三人が携帯電話で話をされたら、犬小屋に入っているほどわんわんほえているような感じになるわけでありまして、これはちょっと、やはり何とかしてほしいな。公共の場所における使用のマナー、使い方のマナー、それともう一つ人体への影響があるという話も聞いております。  それから、もう時間がありませんので、あわせて聞きたいのですが、きょうの新聞にも載っていましたが、「運転中の操作やめて」「携帯電話 わき見、事故続発」、これが出ております。  それから、これはこの間、二月十九日の新聞ですが、岡山県の総合病院で、携帯電話で医療機器が誤作動しております。これはポンプがとまっているわけですね。これがもし心臓に入れてあるペースメーカーですかな、ああいうものであったら、これはもう命がなくなっているわけです。だから、そういうものに与える影響、今この携帯電話が内外に与えているさまざまな生活への悪い影響、人命をひょっとしたらとるかもしれないことがあるかもわからぬ、そんな問題の防止対策など、何かいい知恵がありましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  20. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 移動体通信が普及するに従いまして、マナーというのが非常に重要になってくるというのは、先生指摘のとおりだと存じます。  それで、先般来検討してまいりましたが、現在のところ、電気通信事業者の方々が事業者協会というのをつくっておりますが、マナーのパンフレットをつくりまして、これを新規の加入者の方に持ってもらうようにするというような施策を続けております。あるいは、新聞広告とか雑誌とか、そういったところにも今マナーについてそういうものを出すように事業者の方が取り組んでいるところでございます。それから、特に運転中の問題につきましても、そのマナーの中に記されているということで、より一層そういう意識の啓蒙を図るということをやってまいりたいというふうに存じております。  それから、人体に及ぼす影響ということにつきましても、特に最近医療関係等でそういう問題が出てまいっておりまして、このことにつきましても、先般こういう研究会におきましてその方針をいただいたところでございます。そういった中で、特に病院の中においての使い方というようなことで、例えば集中処置室では切ってしまう、電源を切るとか、手術ではそれを切るとか、そういうような使い方につきまして、先般、いわゆる医療関係者が入ったところでそういう結論が出されております。そのことにつきまして、事業者を通じ、あるいはメーカー等にも周知しておりますが、同じメンバーに入っていただいています厚生省も通じまして、都道府県あるいは関係の医療機器会社等々にも周知をしておりまして、電波のこういうものが普及する一方で、影の部分とでも申しましょうか、そういうことについての手当てにつきましても今取り組みつつあります。  ただ、もう一つ、長期的に電波が人間に当たっていった場合にどういう影響を持つかということについては、さらに通信総合研究所等々で研究を重ねてまいりたいというふうに存じております。
  21. 岸本光造

    岸本委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  22. 中川昭一

  23. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今回の電波法の改正によりまして、電波利用料金を見直しをするということでございます。  ここでまず、電波利用料金の使途を、新たに無線局増加に伴う周波数の逼迫対策に充てるのだ、こういうふうな使途の拡大がうたわれているわけでございますが、この周波数資源が逼迫するという実態が今あるのかないのかという現状、それから逼迫するとどういうふうになるのかという大まかな状況につきまして、通信の分野と放送の分野に分けて最初に御説明を願いたいと思います。
  24. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 電波利用という意味では、最近とりわけ移動体通信分野の発展あるいは増加というものがありますものですから、そういう意味合いにおきまして、無線局が急増して、電波が逼迫するという状況になってきております。  幾つかの対策をとりつつありますが、もし十分な対策をとらないで進めてまいりますと、例えば携帯電話を使っている場合でも混雑等によって十分使えないとか、あるいはもっと厳しい問題とい たしましては、防災通信というようなことにおきまして、公共業務用の通信につきましても、十分なチャンネルが確保できないというようなことになってまいりますと、緊急時にも対応が打てない、あるいは防災対策にも事欠くというようなことになってまいりまして、国民生活にも支障を及ぼすということが懸念されるということであります。  今は通信のことについて申し上げさせていただきましたが、放送につきましても、無線局数というのは現在一万六千局程度ございます。そういう中で、例えば中継局の設置につきまして、既設局に混信を与えないように行うという必要があります。そういう意味では十分な対策をとらなければなりませんし、結局中継局の無線局の設置が十分できていかないというようなことになりますと、国民・利用者の皆さん方にも、十分な放送の利便を享受することができないということになってまいります。そういう意味合いにおきましては、現在まさに電波の時代を迎えている中で、この対策を適切に打っていくことが必要であるというふうに考えているところでございます。
  25. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 ですから、現在の状況は、逼迫しておりまして支障が既に出ているという状況なのか、逼迫しているけれども余裕があるという状況なのか、それから将来においては大変心配な面があるから研究をこれからしていかなくてはいけないのだ、そういう現状認識、もう少し、そういう大まかな話で結構ですから、どういう認識をしているかということを大づかみに言ってほしいのです。
  26. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 電波の逼迫状況につきまして、現状認識はどうかということでお尋ねいただきますと、現在幾つかの手を打ちつつ何とかやってまいっておりますが、将来を考えますと、さらに積極的な手を打っていかなければ不安があるということであります。  加えまして、この部分は国民の皆さんの利便がどんどん伸びていく分野でございますので、今から対策を打って、十分国民の皆さんの利便に供するようにあわせてやっていくということも必要ではないかというふうに存じております。
  27. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 新しく追加する事務といたしまして、周波数逼迫対策のための試験とか研究なども行うということでございますが、具体的にその中身を若干例を挙げて説明してもらいたい。  それから具体的に、その研究あるいは試験はどこの機関で行う計画なのか、これをあわせてお願いします。
  28. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 今回技術試験事務というのを追加させていただきますが、具体的な内容につきまして若干申し上げさせていただきたいと思います。  一つ分野は、限られた周波数帯域での収容能力の向上を図るということが一つあります。例えば、その中で具体的なことを申し上げますと、ディジタルの符号を用いて回線を多重化するということで、新しい方式の導入、よくCDMAというようなことを言われておりますが、こういうようなことの導入というようなことがございます。  もう一つのジャンルとしましては、高い周波数帯域、この帯域の有効利用を図るもの。今高い周波数帯は余り開発されてないところがありますが、そういう高い周波数帯域有効利用を図るというようなことで、例えばマイクロ波の帯域、この部分電波移動体通信にも利用することの試験的な取り組みということがございます。  さらにもう一つは、限られた周波数帯域で伝送効率を向上させるというようなことも内容として考えているところでございます。さらには、混信、妨害の軽減、解消を図るというようなことにつきましても、その内容として考えておるところでございます。  この事務の実施主体でございますが、これは電波利用料を活用する業務というのは国が行うことになっていますので、具体的には通信総合研究所で実施するというふうに考えております。ただ、そのすべての作業を国みずからが行うには十分な対応ができないということも考えなければならないというふうに思っておりまして、効率的に成果を上げるためには一部の作業につきましては民間に請け負ってもらうということも考えているところでございます。
  29. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 そうすると、例えば今年度で、その電波利用料から研究開発、試験に割り当てられるという予算の規模、それはいかほどを予定していますか。
  30. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 この制度をお認めいただきましたら、平成八年度の予定でございますが、試験事務ということで二十六億七千万ということを予定いたしているところでございます。
  31. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 その二十六億七千万という予算規模でこの周波数資源逼迫対策と申しますか、これが全部できるとは考えにくいのですけれども、それは、残りの研究というのは当然一般会計予算の方で持続的にやっているものを考える、あわせて効果を上げる、こういう意味ですか。
  32. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 二十六億七千万というふうに申し上げましたのは、いわゆる技術基準を作成をしてその試験を行う、あるいはその成果を見ていくということの施策として申し上げました。もっと広い意味での、電波のいわゆる開発等々につきましては、これは性格のさらに広がるものとして一般会計に入っているというものがございます。
  33. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 そうすると、認識としては、基礎研究的なものはこの電波利用料金から充てない、もっと応用というか、具体的な設備だとか、そういうふうな実現にする一歩手前のような試験とかあるいは研究、そういう分野に充当するものである、こういう認識でよろしゅうございますか。
  34. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 今回、その試験事務として充当を考えておりますのは、まさに研究開発等が行われてきまして、それでその無線設備技術基準を定めるために行う試験及びその結果の分析ということで、そういう意味では、違う予算を使いまして前段にいろいろな研究開発がなされている、そういう形が出てくる。そして、それを技術基準を定めて実用に持っていくというときの試験、そしてその結果の分析が二十六億七千万という予算の中に入るということでございます。
  35. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 よくわかりました。  今、周波数の逼迫対策として、いわゆるディジタル化とかナロー化とかいう話があったのですが、その延長上にあるかもしれないのですけれども、放送の方ですね、放送高度化ビジョンの中間報告が出されまして、これはちょっと先の話ですが、二〇一〇年を展望しているわけですが、ここではCATVも衛星放送も、あるいは地上波の放送も、すべてのメディアというものがディジタル化されていくだろう、そして、放送局の数も大変多くなるだろう、こういうふうな予測をしているわけでございますが、今日本全国の全家庭に普及しているのはアナログの受信機でございますね。そうすると、すべてディジタル化になりますと、これは使えなくなっちゃうのじゃないか。そうすると、壮大なごみの山になってしまうのではないかという心配をするわけでございますが、いわゆる視聴者の保護という観点から、このアナログの機器、これが二〇一〇年以降も使えるような工夫をするのか、あるいはアダプターのようなものを開発するということなのか。この視聴者の保護という観点から、ディジタル化をどうとらえていく計画なのでしょうか。
  36. 楠田修司

    ○楠田政府委員 現在、放送のディジタル化というものは世界的な潮流になっておりまして、御指摘の放送高度化ビジョンの中間報告では、我が国におきまして二〇一〇年、光ファイバーが各家庭に通ずる年を一応この年と考えているわけですが、すべてのメディアが全体的にディジタル化する、もちろんアナログも残っているわけですが、そのころ始まるものはディジタル化しているというふうに想定しているわけであります。  他方、同報告では、今後の行政の運営に当たり まして、放送のディジタル化に際しては、視聴者保護の観点から、現行放送を受信している視聴者に不必要な負担を強いないということを基本とするようにという指摘を行っているところであります。郵政省としましても、現在のアナログ方式の受信機を所有している視聴者の保護を尊重しながら、放送のディジタル化を推進していきたいというふうに考えております。  具体的にどういうことをやろうかということを想定してみますと、視聴者保護の方策として、一定期間ディジタル放送と同時にアナログ放送も継続して行う、いわゆるサイマル放送が一般的に考えられるわけであります。そのほかにも、デコーダーをつける便宜を払うとかいろいろありますが、基本的にはこのサイマル放送というのが考えられる。そのほか、具体的な取り扱いについては、今後さらに検討してまいりたいというふうに考えております。
  37. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 技術革新というのは大変いいことなのですけれども、やはり今の技術で国民の皆さんが利便を感じている、そういうものを全部ゼロにしてしまって、いきなり新しい技術でするというのは難しいと思うのですね。その間はどうしてもオーバーラップする期間が必要なわけでございます。  この放送高度化ビジョンを読むと、これは可能性の話でございますから、具体的な政策というか政治的判断というか、そういうものは少し薄いかもわからないのですけれども、やはりきちっと、政治的判断を加えて、現在の視聴者に対して、何ら心配することがありませんよ、こういうことを言っておかないと、もう今のアナログの受信機はいつかはなくなってしまうんだ、じゃ、もう買うのやめてしまおうとか、あるいは買っていてもごみになるだけだというふうなことを懸念するといけませんから、これはやはり大臣、その辺を視聴者の皆さんに、こういう時代の変換期にあっても現在のアナログの受信機というものが当分の間、ずっと継続して使用可能でございますよ、こういうことはきちっと言っておくべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  38. 日野市朗

    日野国務大臣 ディジタル技術というのは物すごい急速な勢いで今進歩をいたしておりまして、いずれディジタルの時代が来るということにはならざるを得ないというふうに私としては考えております。  それで、一応この中間報告では二〇一〇年ということを言っておられるわけであります。しかし、私どもとしてもそうでありますし、中間報告でも、視聴者に不必要な負担を強いないようにということを言っておられるわけですね。私はまことにそのとおりだというふうに思っております。  でありますから、今局長からお話をしましたように、サイマル放送を取り入れるとか幾つかの方法を講じながら、一遍に、一挙に変わるということのないような手だてを講じていかなければならない、こう思っております。  一応二〇一〇年ということであります、サイマル放送をやる期間も含めて。だんだん受信機も更新をされていくということになってまいるかというふうに思いますので、そこらの移行を、視聴者の負担ということを十分考えながら手当てしていく必要があろう、こう思っております。
  39. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 ハイビジョン放送というのは、アナログの時代にすばらしい高精度の映像が受信できるものをつくったわけでございますけれども、これがディジタル化の中でどういうふうな位置になるのか。ある人は、これはもうアナログの時代の最後の花であって、ディジタルの時代には使い物にならないのじゃないかと言う人もおりますし、あるいは、これは工夫することによってこの技術というものがディジタルの時代にも十分に通用するんだ、こういうふうにつなぎの役をするものととらえることもできるとか、いろいろな言い方があるのですけれども、ハイビジョン放送について、郵政省の見解というものについて、若干、大臣の方から、どのような認識をしているかお聞きしたいと思います。
  40. 日野市朗

    日野国務大臣 ハイビジョンについては、今までの沿革がある、歴史があるということは先生指摘のとおりでありますし、我々もその点は十分に考えているつもりでございます。  ただ、このハイビジョン放送というのは、伝送においてはアナログ方式ですが、そのほかはディジタル化されているわけでございますね。そして、高精細度のテレビというのは、確かに先生おっしゃるように、これは我が国が開発した花であろう、こういうふうに思っております。  そして、既にその受信機、約十六万台という普及を見ておりますし、今後のハイビジョン放送のあり方を検討するに当たっては、ディジタル方式による高精細度のテレビジョン放送が導入される場合には、先ほど局長が言いましたサイマル放送の実施、それからアダプターの付加などによりまして受信者の保護が図られることが必要であろう、こういうふうに考えております。  でありますから、そういう手段をとりながら、このハイビジョン、今買ってすぐに使い物にならぬなんということには絶対ならないんだということを私としては申し上げておきたい、こう思います。
  41. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 伝送の方式という話と関連をするのですけれども、要するに、放送衛星との関連で、BS4の先発機というのはアナログでいくんだという決定があるのですが、後発機の方については一年後に結論を出すというふうに言っています。ちまたでは、後発機は全部ディジタルになるのではないか、こういうふうな話もあるわけですね。  そうすると、もし全部ディジタルになるということになれば、ハイビジョン放送というものはBS4の先発機で終わりということになるわけでございまして、BS4の後発機のあり方を検討するに当たって、それをすべてディジタルにすると結論づけるのであれば、今度はBS5の先発機、ここをきちっと視野に入れて、ここでアナログを確保しておかなければいけない、こういうふうな論理的な帰結になるのですけれども、この辺についてはどう認識しておられますか。
  42. 楠田修司

    ○楠田政府委員 BS4後発機のあり方につきましては、アナログ方式かディジタル方式かを含めまして、今後一年程度かけて慎重に検討するということをしております。現時点でどちらかの方式を検討の前提としているわけではございません。  ただ、先生指摘のように、仮にディジタル化することが適当ということになった場合、先ほど申し上げましたように、BS4先発機におきましては、もう既にハイビジョン一チャンネルを含むBS3による放送をすべて引き継ぐということで、これは少なくとも視聴者にとって継続されるわけであります。それが、二〇〇七年になりまして、そのときにアナログの受信機が既にある、そうすると、その次の段階の星、BS5でそれをどうすべきかということを今から検討すべきであろうという御指摘かと思いますが、おっしゃるとおり、BS4の後発機の検討の段階におきまして、もちろんBS5のあり方も念頭に置かなければならぬと思います。  しかしながら、二〇〇七年におけるディジタル化技術と、あるいはその場合の視聴者のニーズあるいはハイビジョンの技術動向というものがどうなっているかということは、現時点では必ずしも明らかになっておりません。したがいまして、より詳細な検討というのは、BS5の打ち上げ時期がもう少し近くなった時点でやることが必要であろうかと思います。  繰り返しになりますが、もちろん、今回の検討におきまして念頭に置くことは当然のことでございます。
  43. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 これはハイビジョン放送に限らずに、いわゆるBS4の先発機でアナログの放送というものが担保されるわけですけれども、先ほど申し上げました視聴者保護という観点から考えて、すべての放送衛星をディジタル化するということになりますと、受像機がやはりアナログの受像機が使えないということになりますものですか ら、この辺はやはりきちっと視野に入れて検討をするということを、ぜひ視聴者保護の観点からきちっとやるべきだと重ねてお願いしておきたいと思います。  それから、今BS放送についてお聞きしましたけれども、CS放送の方ですが、こちらの方もこの六月からアナログとディジタルが混在する形で放送が行われるということでございますが、これは基本的にはどうなんでしょう、やはり全部ディジタル化という方向に進むのでしょうか。あるいはアナログということも混在する形で今後推移していくのでしょうか。このCS放送についての見解を教えてください。
  44. 楠田修司

    ○楠田政府委員 CS、BS含めまして、衛星放送におけるディジタル化というのは世界の潮流でございます。  先ほど申し上げましたように、我が国におきましても、二〇一〇年には、サイマル放送を除くすべての衛星放送というものは多分ディジタル化になっているだろうというふうに予想しております。このような中で、CS放送につきましても、将来的には全面的にディジタル放送に移行するというふうに予想されるわけであります。  その際、現在既に十三万を超える既存のCSのアナログ放送というものがあります。その受信者の利益というものは十分配意していくことは必要であろうと思っております。  行政といたしましては、サイマル放送の実施等によりまして受信者の利益が確保されるということの方法が一つございます。そういうようなことによりまして、アナログ放送からディジタル放送への移行が円滑に進むよう適切に対処してまいりたい、こういうふうに思っているわけであります。
  45. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 電波利用料料額を今回一部の無線局では引き下げているわけでございますが、これは基本的に、基準はどんな基準で行われているのか、これを説明してください。
  46. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 電波利用料料額は、平成五年度から平成七年度まで三年間を通しまして電波利用のために必要と認められる行政的な共益費用、これをその期間中の無線局の総数で公平に負担するということで算出をしてまいりました。  それに加えまして、もう一つ、いわゆる総合無線局管理ということで、まあ無線局データベースをつくっていく、この構築ということにつきましては、無線局の諸元、その量に応じて負担するといいますか、算出するということにしてまいりました。この考え方は、これから平成八年度、九年度、十年度ということで三年間費用を出しまして、今一部値下げということに取り組む考え方も同じ考え方でございます。  そういった意味では、具体的な算定基準としましては、二重の、二層の構造になっておりまして、一つは基礎的な、公平、均等負担部分と、それからもう一つは、ただいま申し上げました総合無線局の管理ファイルの費用にかかる負担部分ということになっておりまして、これを合わせました形、これは後者の方はデータ量に応じて案分比例をしておりますが、そういう形で料額を算出し、百円単位で整理をしてまいるという考え方でやってまいっております。
  47. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 特に、電波利用料金の総額の半分以上を占めるに至ったこの携帯電話等移動局、これは大変普及しておりますものですからそうなってきているわけですが、この料金は現行のまま六百円に据え置かれておりますね。それは、ただいまのお話でありました算定基準に従って算定された結果そうなるということでございますが、若干数字的な説明を、何で六百円なのかというのを説明してくれますか。
  48. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 今回、六百円という料額をそのまま据え置く予定にしているところでございますが、まず均等負担部分という、いわゆる一律になる部分でございます。  これは、具体的内容は監視がメーンでございますが、現在五百三円であるものが、今回、平成八年度、九年度、十年度と三年間、そのトータル、かかる費用無線局数で割ってまいりますと、五百三十二円という均等部分負担が出てまいります。  もう一つ、二層構造になっておりますデータ量部分、この部分でございますが、これが百一円が次のこれからの三年間のデータ量で見てまいりますと、五十三円という形で案分比例がなされます。そういうことから申しますと、現行利用料額六百円というのは、算定上、細かい算出上は六百四円になっているものが六百円ということになりました。  今回は、先ほど申し上げました均等部分五百三十二円、それに足すことの五十三円ということで五百八十五円になります。これが六百円ということで、百円単位ということで、そのまま据え置くということになったところでございます。  なお、その料額全体という意味では、移動通信の端末部分はこういう形で据え置かれていますが、基地局部分は大幅な値下げになってくるということでございます。
  49. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 本当の計算をすると、前回六百四円が六百円になって、今回五百八十五円を六百円に据え置いた。まあ四捨五入でそうなって、変わらないのだということでしょうけれども、この均等負担分の考え方、ここが要するに移動通信から見ると非常に大きいものを占めているものですから、均等負担分以下の料金というのはないわけですよね。そうすると、この移動通信を下げるということはなかなか難しくなるわけですね。  均等負担分の考え方ですけれども、例えば均等負担分を分ける分け方に、例えば監視、試験、徴収とかそういう費用無線局の数で均等割するのだというふうな、かなり大ざっぱな分け方なんですが、例えば徴収に対するコストとかそういうものでいうと、この移動通信の場合は、年額六百円というのは一カ月だと五十円ですか、基本料金になってもうちゃんと入っちゃっているから、無線を、移動通信を使う人が毎日払いに来るわけじゃないわけですね。基本料金の中に込み込みになっちゃってあるものですから、徴収の費用というのは余りかからないのじゃないかと思うのですが、こういうものを全部込み込みで均等負担分の中に入れるということを考え直す必要はないかなという気はするのですが、均等負担分の計算方式、これをもう少し稼ぎ頭の、要するに移動通信が料金が下がるような形、もうけている人はやはり下げてあげた方がより働くわけでございまして、しかも移動通信を持っているのは個人が多いわけですね。無線局というのは大体会社でございますが、個人に利益が還元する形でこの積算基準を見直していく、こういう考え方はございませんか。最後にお伺いしたいと思います。
  50. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 六百円の負担ということになりますと、月々五十円の負担、こういうことであります。そのこと自身、端末機器というのも、これは納める側は電波を使うという意味事業者になっておりますので、その額が大きいか小さいかということはあろうかというふうに思っております。  徴取手数料というのも、結局トータルとして事業者の方が払っていくという意味では、基地局などと同じように払うという意味では手数料として余り大きく差は出てこないのではなかろうかなというふうに思っております。  ただ、先生指摘のように、一方で普及というようなことを考えてまいりますと、どの部分が大きく影響してくるかということですが、やはり端末の部分も普及に関係ないとは申し上げませんが、基地局を建てていくということにつきまして、現在一万二千百円になっているものが今後の改定で七千二百円ということで六割程度までになってまいります。そういう意味合いにおきましては、結局その利用部分負担部分は、基地局を含めて、端末部分を含めて国民・利用者の皆さん方がトータルで最終的に負担していくという、何らかの格好ではそういう形になってくるという意味では、この基地局部分の値下がりというか、手数料の下がりというのも、電気通信の中での移動 通信が普及するということにさらに貢献するのではないかというふうに考えております。  そういう意味合いにおきまして、当面、三年間お認めいただいて始めた制度、次の第二期とでも申しましょうか、そこに入るところでありますが、現在の段階ではこの算定の基準というのは妥当なものだというふうに考えております。  ただ、今後こういった問題、さらに具体的に詳細を見きわめながら、必要があれば、そのときはまた見直しをさせていただきたいというふうに存じております。
  51. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 利用者に利益が還元できるようなことをしていくということは大変大切だと思いますので、この算定基準の見直し等も含めて御検討していただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
  52. 中川昭一

  53. 高木陽介

    高木(陽)委員 審議が夕方になってしまいまして、本当に御苦労さまでございます。  まず、電波利用の問題について御質問させていただきますけれども、先ほども電波利用の現状として、電波は有限ですから逼迫してくる、こんなお話がございました。それについて、周波数帯、下の方から上の方までいろいろな、VLF、LF、MF、HF、VHF等々ずっとあるわけですけれども周波数で言いますと、特に上の方、未利用周波数帯というのがございますけれども、ここら辺のところの今後の利用の見通し、またその開発の現状、どうやって利用していくのか、そういった点についてまずはお伺いしたいと思います。
  54. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 電波の使ってない部分、要するに未利用周波数利用という意味では、特に私ども注目いたしておるのは、三十ギガヘルツ以上三百ギガヘルツ帯と言われるミリ波帯の利用ということでございます。  現在、このミリ波帯の周波数というのは、防災行政用の短距離の固定無線というようなこととか、あるいは短距離の画像伝送ということで、ビルとビルの間をちょっと結ぶとか、川を越えて結ぶ、そういうところとか、あるいは自動車用の衝突防止レーダーというようなことで使っておりますが、三千局程度でありまして、無線局が現在一千七百三十万程度あることを考えますと、ほとんど利用がないような実態かなというふうに思っております。  このミリ波帯というのは、装置が非常に高価で、伝送をする際にすぐ減衰をしていくとか、そういう問題があります。しかし、広い帯域を利用して多くの情報を伝送できるという意味では、これからの周波数という意味では注目に値するものというふうに考えております。  私ども、今二十一世紀に向けてということで、大容量の情報量の伝送というようなことから、超高速の無線LAN、建物の中を必ずしもケーブルで引きますのではなくて無線で超高速大容量のものができないか、あるいは加入者系のものにつきましても、ラスト・ワン・マイルなんという言葉が使われますが、そこは無線でいけないかとか、あるいは高品質の衛星放送というようなシステム、そんなことに期待が持てるというふうに考えておりまして、このことにつきましても研究開発が必要だということで、平成八年度の予算におきましても、このミリ波のための研究業務というのを七億円以上見込んでいるところでございます。  さらに、研究開発ということで、このミリ波の部分につきまして、通信・放送機構においてマルチメディア移動アクセスということでさらなる研究を考えておりますが、これも二億六千万、そういった形で研究開発を進めてまいりたいというふうに考えております。
  55. 高木陽介

    高木(陽)委員 今研究開発のことをちょっと局長おっしゃられましたけれども、特に周波数の資源開発の関連予算ということで、今八年度のことをちょっとおっしゃっていただきました。六年度が十億五千五百万、七年度が十二億ぐらいですか、全般的に言いますと、一生懸命やっておられると思うのですが、これは先週の委員会のときにもいろいろと言ったと思うのですけれども、やはりこの分野、かなり重要な分野ですので、予算をどこに重点的にやるかというのは、これは内閣全体の問題なのですけれども、しっかりと重要視しながらやっていただきたいな、これは大臣も閣僚の一人として頑張っていただきたいというふうにも思います。  そんな中で、これも先ほどちょっと出たとは思うのですけれども移動体通信無線局の推移ということで、これは四月二十二日付の報道資料、これは郵政省が出した電気通信技術審議会の一部答申ということで、「二〇〇〇年までの携帯電話等周波数有効利用方策について」ということです。答申の主な内容というのが出ておりまして、需要予測、これは修正値みたいな形で出ているのですけれども、これをちょっと御説明願いたいと思います。
  56. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 二〇〇〇年までの需要予測ということで、これは電気通信技術審議会の答申をいただいたものでございますが、上限が三千二百五十万加入ということでございます。低い場合には二千五百万加入というようなことでございます。そういう需要が見込まれているというのが審議会の答申でございます。
  57. 高木陽介

    高木(陽)委員 そういうような現状の中で、現在の技術水準において無線局数として最大何局とれるのか、それがその後どういうふうになっていくのか、またその場合の対応策ということについてお願いいたします。
  58. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 現在のまま推移するということになりますと、いわゆる携帯電話の収容可能数というのは一千六百万程度かというふうに考えております。こうなってまいりますと、現在既に一千万台を超えておりますので、具体策を講じなければならない、この電気通信技術審議会の答申もそういった意味でいただいているものでございますが、三、四点具体的な施策を打っていく必要があるというふうに考えております。  その一つは、現行基地局半径、それをさらに小さな半径にするという小ゾーン化を図るということでございます。一・五から二キロメートルの今の半径を一キロメートル程度に小さくするということで、加入の容量を二倍から二・五倍程度に上げるという考え方一つございます。  それから、ディジタル化してハーフレート化する。今の周波数帯域を半分にするということで、結果的には、同じ周波数帯でありますとそれが倍に使えるということで、これが二倍まで高めることのできる技術であるというふうに思っております。  それからもう一つは、スポットゾーンというようなことで、大変密集して使われるようなところで、さらに小さなゾーンを、一つゾーンの中にもう幾つかの小さなゾーンをつくっていくということで、周波数有効利用を図るということを考えております。  そして、移動体通信のメーンの周波数帯域であります八百メガ帯、ここにさらに八メガヘルツを増波するということによりまして、二〇〇〇年までの間という意味で考えますと、収容可能数は三千八百七十万の加入ということを考えておりますので、先ほど申し上げました三千二百五十万という今の見込みに十分対応していける数字というふうに考えております。  その後のことにつきましては、IMT-2000という国際電気通信連合レベルでの国際的な取り組みがございます。これによりましてさらに二百三十メガヘルツという帯域が用意されておりますので、それによりまして二〇〇〇年以降は対応するというふうに考えているところでございます。
  59. 高木陽介

    高木(陽)委員 先ほどの質問とちょっとダブってしまっているところがあるのですけれども、新しい、一番最初の質問で出しましたミリ波帯の部分だとか、これは技術的にはすぐ簡単にはいかないと思うのです。電気通信技術審議会の方でも、修正値というか、需要予測も変わるわけですよ ね。気にしていることは、特に携帯電話なんかはもう急激にぐっとふえているというような状況の中において、また五年後、その予測が今現在の技術水準からいって、パンクしてしまった、さあどうしようという、そのときになってまた考えると遅いという、ここら辺が心配なわけですね。ですから、あいているところはそのすき間を縫っていくしかないと思うのです、電波の場合には。そこら辺の技術、特に携帯電話の場合には、これだけ普及して、今はもう高校生も使っているような時代ですので、そこら辺のところで、利用者のこと、これは郵政省がやはりいろいろな工夫をしながら研究開発等々でやっていただきたいな、そのようにお願いをしたいと思います。  あともう一つ、これも先ほどちょっと岸本先生の方から出たと思うのですけれども、医療機器と携帯電話の問題ですね。  これはいろいろな新聞に出まして、特に心臓ペースメーカーを使っている人たちにはかなり切実な問題だと思うのですね。そういった中で、郵政省の方というか、局長自身が会長をやっておられる不要電波問題対策協議会ですか、ここでガイドライン等々をつくられたとは思うのですけれども、まずその現状ですね、幾つかの具体例を挙げて、こんなトラブルがありましたというようなことをちょっと教えていただきたいのです。
  60. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 具体的なトラブルという意味では、今まで報ぜられているもの、例えば、病院の中で、点滴のようなものでございますが、具体的な医療行為に当たって、輸液ポンプに影響を与えてそれがとまる、そのときは、そこに居合わせた看護婦さんが手当てをして問題がなかったというようなことがありますが、そのたぐいのものとか、あるいは心臓ペースメーカーに影響を与えるのではないかとか、あるいは例えば心電図等の画像の出る診断装置がありますが、これにある意味の影響を与えて、その画面が十分読み取れなくなる、そういうことについての幾つかの例が報ぜられたりしているところでございます。
  61. 高木陽介

    高木(陽)委員 その上において、対策協議会の方で出ました使用上のガイドライン、指針というのですか、これは具体例を幾つか挙げてあるのですけれども、これもちょっと教えてください。
  62. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 具体的に医療行為とのかかわりで申しますと、ことし三月二十九日に、先ほど先生からお話のありました不要電波問題対策協議会、その中の医用電気機器作業部会というところから暫定指針が出されております。その一つは、手術室あるいは集中治療室には携帯電話は持ち込まないということがあります。それから、病棟内では電源を切るということであります。それからもう一つ、心臓ペースメーカー装置というのは装着部分から二十二センチ、普通左に心臓はありますから、ここから二十二センチ、手の大きさですぐはかれるということでございますが、最大限に手を開いた二十二センチ離して使用する。また、自動車電話のアンテナから三十センチ離れる必要があるというようなことが示されております。なお、PHSの端末につきましては、そこから発射される電波ということにつきましては、実験の結果からは心臓ペースメーカーにも影響はなかったというようなことが記されているところでございます。
  63. 高木陽介

    高木(陽)委員 そこで、一番興味があるのは、心臓ペースメーカーの二十二センチという、ここなのです、じゃ、二十センチだったらだめなのかなとか、十センチは危ないのかなと。なぜそのデータが出てきたのかというそこら辺のところが、やはり利用者の方々、一番関心が高いと思うのですよね。二十二センチなんて、一々はかつて電話なんかかけませんから。右でかければいいのだ、そういうことだとは思うのですけれども、そこら辺のデータみたいなものは何かあるのでしょうか。例えば、十センチだったらおかしくなっていただとか。
  64. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 具体的に、心臓ペースメーカーのうち、植え込み型の心臓ペースメーカーということで五十六の機種に関して実験を行ったその中では、携帯電話を近づけて電波を発射した場合に十五センチの距離で一つの機種に誤作動が出てきたということであります。影響の程度でございますが、ペースメーカーのパルスが、この周波数が乱れるというようなことでございました。  そういう意味で十五センチというのが具体的に出た数字だというふうに私は承知をしておりまして、二十二センチというのは、この研究会の中にお医者さん、医学関係者が入っておりまして、そういう意味で、ある意味のアローアンス、余裕を見て二十二センチ。二十二センチも、二十二センチをはかることは難しいということで、手の大きさ、特別な方を除いて大抵の人が大体そうなるのだそうでございますが、そういう意味でそれを一つのめどにしてくださいと。それから、先生おっしゃるとおり、ペースメーカーの方は、どちらかというと右手ということで使っていただくというのがいいのではないかというふうにされております。
  65. 高木陽介

    高木(陽)委員 こういうときに、新聞などで読んで大体皆さん知るわけなのですけれども、そういう細かいデータを含めて、広報活動等、また医療機関等々もやっているでしょうけれども、ここら辺のところをしっかりやっていただきたいと思います。これは答弁は結構です。  もう一つ、これもまた幅広くなってきますが、電磁波自体が人体に与える影響ということで、これはアメリカ等々でもいろいろとやっているとは思うのですれども、ここら辺、変に影響があるのだということでどんどんやっていきますと、またかなり不安感を与えてしまう。これだけ携帯電話が普及して、その電磁波等々が与える影響が大きいとかそこら辺のところもあるので、だからこそ丁寧に研究をしてやっていかなければいけないのじゃないか。特に、すぐ命にかかわる、どうのこうのという、そういう問題ではないと思うのですけれども、何らかの障害になるようなことであればこれはきちっと対応策も練らなければいけないし、ここら辺の研究状況についてはどうなっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
  66. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 移動体通信電波を使うものが大変ふえてくる中で、一方では先生指摘のような、電波が人体にどういう影響を与えるかという部分もあわせて検討して進めていくべきものというふうに思っております。  そういった中にありまして、このことにつきましては平成二年六月に電気通信技術審議会で答申を出されております。その中身を簡単に申し上げますと、電波のエネルギーの量と生体への作用との関係を示すものとして、出力が七ワット以下の無線機器から発射される電波は人体に影響を及ぼすものではないということで、これは電波の防護指針と言っておりますが、こういうものが出されております。携帯電話というものは〇・六ワット以下でございますので、そういう意味ではこの中に入って、特に問題はないとされてまいりました。  しかし、現在のように移動体通信が大変普及をしたとき、しかもいろいろな形で問題が提起されているということで、平成七年度にさらにこの研究会をつくりまして研究をしていただきました。ことしの三月に報告書をいただいたところであります。  それによりますと、この七ワット以下の無線機器から発射される電波は人体に影響を及ぼすものではないという基本的な部分の改定は要しないということでまとめられております。ただ、一方ではいろいろと不安を生じたりということがありますので、このことについてのQアンドAといいますかそういうPR用のもの、あるいは電波防護一一〇番というようなものを今民間を含めて開設するというようなことを検討しております。  ただ、一方では、数多くの電波が長期間にずっと当たった場合はどういうふうになっていくのかとか、それから高い周波数帯域のものでどうなっていくのかということにつきましては、これは研究をしなければならないというふうに考えており まして、通信総合研究所で平成九年度予算ということで今検討しておりますが、そういう意味で、さらなる検討も進めてまいりたいというふうに存じております。
  67. 高木陽介

    高木(陽)委員 先ほどから何度も申し上げていますように、利用者がこれだけふえてきているので、だからこそそういった人体に与える影響、また先ほどの質問でも出しました医療機器で、そういう人たちは、特に病院で入院されている方なんかは、やはり動けない場合にはかなり便利なわけですね。といったことも含めて、人体またはその周辺に与える影響ということでの研究等はしっかりとやっていただいて、その後の広報的な部分、いわゆる知らせるということも徹底してやっていただきたいなというふうにお願い申し上げたいと思います。  あともう一つ電波の問題でいきますと、不法無線局というのですか、免許を持たずに勝手にやっているものですね。この数は全部は把握し切れてはいないとは思うのですけれども郵政省が今まで把握してきた不法無線局数の推移、あとそれに対する措置、いろいろな措置の仕方をされると思うのですけれども、それについてお聞かせ願いたいと思います。
  68. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 電波利用がふえるに従いまして、今先生からお話のありました、いわゆる不法無線局というような格好での姿がふえてまいります。  不法無線局の状態というのは、平成元年と比較しますと、平成七年度で三万三千、平成元年が二万一千程度でございましたので、六〇%以上の増になってくるということでございます。  私ども、こういうことにつきまして、いわゆる電波監視の施設、設備として、DEURASシステム、こう言っておりますが、これの監視システムをとるとか、現地での具体的な探査活動を行うとか、あるいは捜査機関と共同で取り締まりをするというようなことで、具体的な指導、場合によっては告発というようなことをとってやってまいっているところでございます。
  69. 高木陽介

    高木(陽)委員 不法無線局が大体三万三千ぐらいまでいったということで、それについて措置をした数をちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  70. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 具体的な措置という意味で申し上げますと、不法な無線局の開設、運用をとめるというような指導とか、あるいは長期にわたって混信、妨害というような悪質なものにつきましては、捜査機関に告発するというようなことで取り組んでまいっておりますが、三万三千のうち、措置をしてまいったのが、平成七年度でございますが、七千局程度でございます。
  71. 高木陽介

    高木(陽)委員 そうしますと、残りの二万六千ぐらいですか、これはどうしているのですか。
  72. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 現実問題としまして、不法無線が出されたということで、それを認知するといいますか、それを把握することはできましても、一過性で終わってしまう。電波ですから、発射して、それで特定に至らないまま終わるというのがその具体的な三万三千強と七千の差という実態でございます。
  73. 高木陽介

    高木(陽)委員 実は私も無線免許を持っておりまして、免許従事者なんですけれども、そんな中でやり得というか、捕捉して、どこから出ている、まただれがやっている、電波だから、これは特定するのはなかなか難しいとは思うのです。逆に言うと、それだけの数がなかなか対処できない。これはなかなか技術的には難しいのかもしれませんけれども、そういったつかまらない、または告発されない、そうやって指導を受けない、こういうところから、後を絶たないと思うわけですね、この不法無線局というのは。  そうしますと、今のところは極端な被害というか、被害を受けているのはいっぱいあるとは思うのですけれども、それが今後はさらに、さっきからずっと話しているいろいろな携帯電話等も含めていっぱいふえてくる中で、やはりそういう不法無線局が放置された場合に大変な問題になってくる。また、本当に、人命にかかわるような問題だとか、起こしかねないのです。杞憂かもしれませんけれども、そういったところの措置をしっかりできるような、これも技術的な問題、またはそれに対する費用の問題、いろいろと出てくるとは思うのですけれども、これをしっかりとやっていただきたいなと思います。これはもう結構でございます、回答については。お願いでございますので、よろしくお願いいたします。  時間が、本当に残りわずかになってまいりました。この電波法の問題が終わった後、TBS問題が大臣から報告があって、それについての質疑ということなんですけれども、ちょっと気になっていることがありますので、このTBS問題について若干御質問させていただきたいと思います。  先日、郵政省の方からTBSに対して厳重注意というような形をとられて、さらにTBSに対する措置ということで六項目、いろいろとやられました。これについてまた後で具体的なお話等々もあるとは思うのですけれども、新聞等々の報道にもよりまして、その中で、厳重注意や行政措置をしていく法的な根拠、これはどこから出てきているのか、これをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  74. 楠田修司

    ○楠田政府委員 今回の一連のTBSの行為の中には、放送法の各条項に明確に違反すると認めるに足りる事実はなかったわけでありますが、次の三点については放送法の各条項の趣旨に照らしまして問題がございました。  例えば、一つは、不十分な調査に基づき誤った調査結果を報道したこと、二つは、オウムの抗議に基づき放送を中止し、同社の番組基準に違反したのではないかとの疑いが生じたことであります。それから三つ目は、オウムにビデオを見せたこと、あるいは抗議を受けたことが放送中止の一因であったこと。このようなことは、TBSの放送というものがオウム寄りだったのではないかというふうな疑いを抱かせたということであります。  ところで、行政手続法におきまして、行政指導というものは、「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。」こういうふうに決められております。  したがいまして、放送を含む電気通信を規律、監督することを所掌事務といたします郵政省といたしまして、放送の健全な発達を図るという放送法第一条の趣旨、及び今後本件のような放送法第三条の二等の規定に照らし問題のある事態が再度引き起こされることのないよう行政指導を行ったということでございます。  したがいまして、法的根拠は行政手続法と放送法、こういうことになろうかと思います。
  75. 高木陽介

    高木(陽)委員 その中で、具体的な項目、六項目めだったと思うのですけれども、三カ月ごとに報告をさせる、もう一つは、それについて視聴者にわかるようにさせる、こういった言い方をしていると思うのですけれども、これはTBS本体がしっかりそれをやればいい。それを郵政省がそこまで指示をしていいのか、または指示をすべきだったのか、ここら辺はいろいろな意見もあると思うのです。  もちろんTBSが、一番最初の問題からいいますと、しっかりと対応していればここまでごたごたならなかったし、また、見せた見せないといったときに、ちゃんと調査をして、こうやって見せましたというようなことをやっていれば、何ら郵政省がこういったところで問題になるようなことはなかったと思うのですけれども、その中でちょっと指摘をしておきたいのは、これがいいか悪いかという問題よりも、こういう指摘があるということをどうか、認識はされていると思いますが、再度確認をさせていただきたいと思います。  というのは、これは毎日新聞の社説に書いてあったのですけれども、「放送法の趣旨に反し、 世論の指弾があることを同省は厳重注意の底にある理由に挙げた。だが、今回の一連の事態が同法の条文に抵触するわけではない。法全体に流れる趣旨という抽象的根拠で、ここまで事実上の指示をすることが妥当か、疑問を持たざるを得ないのである。」という、これはマスコミ側からの指摘だとは思うのですけれども、ここら辺のところは、今後放送局、それぞれ民放やNHKを含めて、いろいろな問題に直面したときに一々、一々と言っちゃ言い方はおかしいかもしれませんけれども、子供の手足をとるような形で指導していくというよりは、本当に放送局自体が自律していくような、そういった方向性、それに期待をしていただきたいな。これはなかなか難しい問題かもしれませんけれども、ここら辺について大臣はどうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  76. 日野市朗

    日野国務大臣 先生指摘のように、放送を現実に行う側が、つまり放送事業者の方がこれをきちんとやっていてくれれば何の問題もなかったわけであります。ただし、それが現実にそうではなかったという事態がありまして、それが激しく世間の耳目を聳動したということになったわけであります。  私どもとしても、一々子供の手をとり足をとりというようなことはしなくていい、したくないことでございますけれども、現実にこれからの放送のあり方、これがより健全であり、そして放送の自由という一つの憲法の理念を実現していけるような、また公共の福祉に合致するような放送のあり方ということを考えましてそういう注文をつけた、こういうことでございます。  決して放送の中身に立ち入るということではなくて、それをきちんとやっていけるような内部の体制を整えてほしい、それから国民の皆さんにもそういう努力しているということが理解できるような措置をとってほしい、このような思いでこのような措置をとったわけであります。
  77. 高木陽介

    高木(陽)委員 大臣の談話の中にもそのような内容のことも書かれておりますし、そういうところを、これからの放送行政ということを含めて考えていただきたい、そういうふうに思います。  時間が来ましたので、この以降のTBS問題については同僚議員に任せたいと思いますので、以上で終わります。ありがとうございました。
  78. 中川昭一

    中川委員長 矢島恒夫君。
  79. 矢島恒夫

    ○矢島委員 電波利用料制度についてお尋ねしたいと思います。  そこに入る前に、まず、電波は国民共有の財産である、また有限の資源だ、こう言われておりますけれども、その電波利用するということは、結局、共有の財産の一部を、独占的といいますか、あるいは専有的といいますか、あるいは排他的といいますか、こういうように使うことだと私は思うのです。結局、利用する周波数が割り当てられる、そこへほかの電波が侵入しちゃったり、あるいは混線したら、それは何の価値もなくなるわけですから。  そういう意味では、電波利用ということは、やはり国民全体の共有の財産というものを、いわゆる排他的といいますか、独占的といいますか、そういうように使用するものだ、このように考えてよろしいかどうか。     〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕
  80. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 電波が国民の共有の財産であり、あるいはその性格から有限なものであるというのは、先生おっしゃるとおりであります。それを使う場合、他の者がその利用ができないという意味において、排他的ということが言えるのではなかろうかなというふうにも思っております。  ただ、一方におきましては、そういう有限なものであるがゆえに、国民・利用者の利便に積極的に供して、積極的に使っていただくというのも、私ども行政側の姿勢としては必要ではないかというふうに考えております。
  81. 矢島恒夫

    ○矢島委員 もう一つの問題として、この電波利用料というもの、電波利用共益費、こういうようなことになっておりまして、この共益費用というのはどういうことなのかという点なんです。  つまり、今度の電波利用共益費の内容というのは、監視のための経費だとか、あるいは無線局データベースのための経費だとか、そして新たに今度試験研究というのが加わりましたけれども、こういういわゆる共益という考え方、またなぜ共益費という言葉を使っているのか、その点について御説明いただきたい。
  82. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 電波利用共益費というふうに申しますのは、無線局が安定的に通信を行うために、すべての無線局がルールを守って運用していただくというのが必要であります。そういったために、いわゆる行政を行うにかかる事務費用というふうに考えております。  このような費用につきまして電波利用料を充てるということにいたしておりますのは、無線局数増加等によりまして、このような事務に要する費用が増大してきております。これに引き続き一般財源を充てるというようなことが、費用負担の公平というような観点からするならば、むしろ受益者負担という考え方対応すべきじゃないかというふうに考えまして、受益者である無線局免許人からその費用を徴収するという形で、共益費ということでこういう制度をお認めいただいたというふうに認識をいたしております。
  83. 矢島恒夫

    ○矢島委員 結局、受益者負担ということで、電波利用者の共同の利益といいますかに関する費用に充てるんだ、こういうことではないかと思うのですが、この場合、電波利用者というのは、もちろん免許を受けている者ということになると思うのです。  そこで、先ほど、いわゆる電波利用とはということでちょっとお尋ねしたのですが、国民共有の財産である、その限られた資源というものを電波利用者というのが独占的、排他的にこれは使っていくんだと。だから、利用料というのはもっともっと国民全体に還元される形での使い方があるのではないか、私はそこを考えているわけなんです。  ですから、現行法では、電波利用者のための共同の利益に関する経費というのに限定されているわけですね。広い意味では、放送とかあるいは通信、いろいろな分野ですべての国民がこの電波利用ということをしているわけであります。だから、国民全体に還元するということは、国民が電波利用する環境を整えるとか、あるいは電波利用することによって生活をより便利に、あるいは豊かにするとか、そういうために利用料を使うということを考える必要があるのではないかなと思うわけなんです。  例えば、原因者が特定できないような、いわゆる都市部におけるテレビの難視聴の問題、こういうものを解消するとか、あるいは郵政省、三波化、四波化を進めているわけですけれども、過疎地においてはなかなか民放そのものもよく映らないという地域があります。そういうようなものだとか、あるいは移動体通信に係る事業だとか、いろいろ国民全体にかかわるいろいろな分野があるかと思うのですが、そういうところへもこの電波を使った料金を使っていくという方向で検討されてしかるべきじゃないかと思うのですが、その点はどんなふうに考えておられますか。
  84. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 電波利用料、現在の制度がそうでありますが、電波利用者が安定的に電波利用するために必要な事務について、先ほど申し上げました受益者負担というような考え方に基づいて電波利用者から徴収するという性格のものでございます。したがいまして、現在の電波利用料の性格を前提としますと、国民全体に利益を及ぼすような事務に充てるということは困難であるというふうに思っております。  当然のことながら、御指摘のように、いわゆる郵政省所管の情報通信行政の中には幾つかのそういう施策がございます。そういった意味で、国民全体の利益のために充てるべき費用といったものはその中で賄われるべきものということで、予算の充実には今後とも私ども努めてまいらなければならないというふうに思っております。
  85. 矢島恒夫

    ○矢島委員 この部分については後でまた大臣にもお聞きしたいと思いますけれども、次の方へ移ります。  今度の改正で試験研究費にもこの利用料を使うというふうに使途が拡大されました。三年前のこの利用料制度の導入のときには、いわゆる周波数資源の開発のための研究費というのは共益費用にはならない、このようにされていたと思うのです。  今度の改正では、周波数資源の開発、こういうように素直には言っておりませんが、まことに難しい言葉を使いながら、「電波のより能率的な利用に資する技術を用いた無線設備について無線設備技術基準を定めるために行う試験及びその結果の分析」、こういう表現になっているわけです。実際にやることといえば、公共移動体通信の狭帯域化技術の開発だとか、あるいはマイクロ波の移動体通信への活用技術。今までこういう問題については、周波数資源の開発のための研究費として予算がつけられていたものだろうと思うのです。  これらは、いわゆる三年前の利用制度をつくったときにも、当然こういう周波数帯の開発というようなことは研究されていたはずだと思うのですね。三年前は対象にはならなかったこの分野が、今度対象になったのはなぜか。この点について御説明をいただきたい。     〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕
  86. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 三年前の、電波利用料を創設させていただきました当時におきましては、こういう周波数資源の開発等について電波利用料を充てるということも、考えてはいたことがありますけれども制度創設に当たっては国民の皆さんにとって受益がわかりやすいものが適当であるというふうに考えておりまして、周波数資源の開発は将来の国民の全体が受益となるという技術も含むというようなことから、とりあえずのスタートとして、監視業務といわゆるデータベース作成ということについてお認めいただいたというふうに思っております。  当時の法律の中にも、その他電波の適正な利用の確保に関し無線局全体の受益を直接の目的として行う事務という言葉がございまして、ある意味で言うと、そういう考え方を否定しているものではなかったというふうに考えております。  ただ、ある意味で、第一期と申しましょうか、三年間この制度を進めさせていただきまして、次のステップということで、一方では、無線局電波の逼迫対策というような問題が現実にあります。そういったことで、今回試験研究事務ということをお願いしたということでございます。
  87. 矢島恒夫

    ○矢島委員 なぜ今度対象になったかということについていろいろ言われましたが、どうもすっきりしないのですね。つまり、三年前のときに、大蔵省が、これはどうもだめだよと。それをこの三年間の経過の中でやっと一つ風穴をあけたというのではないかなと私は思うわけです。  私自身は、周波数資源の開発ということは、この利用料を使ってやるということについては賛成なのですよ。ですから、携帯電話のどんどん普及する中で、先ほど申されたように、やはり周波数資源というのは逼迫していますから、そういうものを、国民に利用料を還元していくという、これは重要な分野だと私も考えるのです。  ただ、余りわかりにくい説明や、あるいはその試験の内容ではなくて、もう少しわかりやすくやってもらったらどうかな。というのは、電波共益費というこの言葉自身に、私は、問題があるのではないかなと、問題意識を持っているわけなのです。つまり、やはり現在の利用料制度を改革していくことがこれから必要ではないか。三年という一つの節目がありますから、今後の中においてぜひそういうことも研究していただきたいと思うのです。  もう一つ、料金体系についても、どうもやはり、先ほど来幾つかの形で出ています、局長も、これから三年間はこの形でやっていく中で、いろいろ研究もしてみるという答弁がございました。確かに、今度の案を見ますと、放送局利用料というのは値下げになって、年額二万五千三百円となる。放送局にもいろいろな種類があると思うのですね。今の料金制度は、出力だとかあるいは対象世帯数の大きさだとか余り考慮しませんから、そういうものが非常に大きい東京タワーというような大出電波、こういうものも、それから山間地のミニサテライト局も同じ扱いになっているわけです。移動局でいいますと、これは六百円のままです。これも人工衛星を除く移動する無線局というもので、携帯電話もありますけれども、航空機の無線局、これもまた同じ扱いだ。  電波は、電力のように、いわゆる電力量というような数量化が非常に難しいということはよくわかるのです。だから、厳密に、使用した資源量がどれだけかというのに合わせて料金体系をつくるというのは非常に難しい。しかし、やはり利用料電波資源の利用実態と余りにも乖離している部分は見直していくべきだと思うのです。研究するつもりがあるのかどうか、ひとつ。
  88. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 現在の制度、物の考え方につきまして、先ほど共益費ということにつきましても申し上げさせていただきました。  あくまでも受益者負担というようなことで考えているものですから、その使い道というものにもそれなりの一定の制限がかかってくるということだろうというふうに考えます。  それからもう一つ料額といいますか料金算定の内容につきましても、電波の持つ効用とかそういう観点ではなくて、全体的に基本的な、基礎的な負担部分のほかにプラスして、情報を処理するためにかかる費用、これを全体の無線局数で割って出しているという現在の制度、これはこれで妥当性のあるものだというふうに考えております。  ただ、現在二期目に入りました。今後、情報通信もどういう時代に発展するかということはありますが、私どもとしては、当面、この制度がきちっと定着をして、情報通信、とりわけ電波による行政なりあるいは国民サービスというのが順調に展開していくということがまず重要だろうというふうに考えております。そういった中において、今後検討する必要があれば、またそのときは検討させていただきたいものというふうに存じております。
  89. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほど来、質問の中でもまたいろいろ出ていましたが、いわゆる現行の料金体系というものに対して、まあこれでもう十分だというような意見はありませんでしたし、それで行こうというのじゃなくて、何とか不公平をなくす方法ということの検討ということを要求された方がたくさんいたわけです。  不公平を生む原因というのは、料金の決め方にあると思うのです。やはり、先ほど来、均等割という言葉がずっと出ているように、頭割り、どんぶり勘定と言っていいかどうか、そういうやり方に一つは問題があるのじゃないかなと私は思うのです。この均等負担分というのは、結局すべて頭割りで決まりますから、改定後は五百三十二円です。  もう一つは、総合無線局の管理ファイルという、データベースにかかる経費というわけですが、これは入力情報量に応じて料金が決まるということになっています。しかし、東京タワーもサテライト局も同じ扱いになることは、これは頭割りになりますし、それから、資格の要らないパーソナル無線も、あるいは航空局も同じである。ですから、入力情報量は異なりますけれども放送局だとかあるいは移動局だとか、こういうことでくくられてしまえば、その中での頭割りで料金が決まっていく。こういう頭割りの料金体系というのは、やはり先ほど来私申し上げました電波共益費という考え方と裏表の関係にあると思うのです。共益費だから、利用者で割り勘にしていこうという料金体系ではないかと思うのです。  そこで、大臣にお聞きしたい点、あるいはぜひお願いしたい点なのですが、この使用した資源に比例した料金体系という点では、郵政省、以前、 使用バンド幅やあるいは出力をもとにした料金体系の試算までやったはずであります。  先ほどいろいろお答えいただいたわけですが、利用制度の根本的な考え方を改める必要があるのじゃないか。改めていけば、より不公平感のない料金体系というものをつくり出していくことができるのじゃないか。  そこで、利用している電波の実態に合わせた料金体系というのを今後検討すべきだと思うのですが、その点については大臣に。
  90. 日野市朗

    日野国務大臣 この電波利用料制度平成五年に、もう先生承知のとおりでございますが、行政事務が増大をする、それから不法無線局への対応を図らなくてはいかぬ、こういうことで導入をされまして、免許人全員から徴収する負担金として設けられたものでございます。また、その利用も特定財源として特定されている、こういう性格を持っているものでございますから、これが今発足してから三年ということでございます。  共益費用というのは、先生違和感をお持ちのようですけれども、私も法律家でございますが、法律家にとってはごく当たり前の、この共益費用というのは言葉として使っているわけでございますね。こういう場合には、共益費用というのは非常に適切な言葉だろうと思うのです。  ただ、先生のおっしゃること、これも、今この三年で抜本的な改正ということにはなかなか参らないかと思いますが、今後の課題の一つとしては研究を進めてまいりたい、そんなふうに考えます。  ひとつ御理解をいただきたいというふうに思います。
  91. 矢島恒夫

    ○矢島委員 料金体系の方については何かお考えですか。今のはいわゆる共益費ということで大臣の考え、先ほど私は、いわゆる料金体系というものをより公平にしていくという意味で、その体系の抜本的な見直しというのはお考えにならないか、こういうことであります。
  92. 日野市朗

    日野国務大臣 ただいまも御説明申し上げましたけれども、まだ三年でございますから、検討の課題という形にさせていただければと思います。ひとつ御理解いただきたいと思います。
  93. 矢島恒夫

    ○矢島委員 時間になりました。ぜひいろいろとそういう面についても研究を重ねていただくということをお願いして、質問を終わりたいと思います。
  94. 中川昭一

    中川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  95. 中川昭一

    中川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  96. 中川昭一

    中川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  97. 中川昭一

    中川委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、斉藤斗志二君外五名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。遠藤乙彦君。
  98. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 電波利用料額については、携帯電話等移動局増加状況等を踏まえ、今後ともその算定について見直しを行い、適正な水準の確保に努めること。  一 不法無線局の増大に伴う混信・妨害の現状にかんがみ、引き続き電波監視施設の計画的な整備、機能の向上を進めるなど不法無線局対策の一層の充実・強化を図ること。  一 電波利用の増大に適切に対応するため、周波数資源の開発及び新たな電波利用の研究開発を積極的に推進するとともに電波行政の効率化にさらに努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ、日本共産党及び市民リーグ・民改連の六派共同提案に係るものでありまして、案文は当委員会における質疑等を勘案して作成したものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  99. 中川昭一

    中川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  斉藤斗志二君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  100. 中川昭一

    中川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、日野郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。日野郵政大臣
  101. 日野市朗

    日野国務大臣 ただいま電波法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  102. 中川昭一

    中川委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 中川昭一

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  104. 中川昭一

    中川委員長 逓信行政に関する件、特に、TBSオウム報道問題について調査を進めます。  この際、TBSオウム報道問題について、日野郵政大臣から説明を求めます。日野郵政大臣
  105. 日野市朗

    日野国務大臣 TBSが、平成元年十月二十六日に、坂本弁護士インタビューテープをオウム真理教幹部に見せたことに端を発した一連の問題につきましては、これまで本委員会でもさまざまな御意見をいただき、当省としても、TBSに対し、一日も早く事実を明らかにするよう強く求めてまいりました。これに対して、本年四月三十日付でTBSから報告が提出され、その事実関係について検討した結果、去る五月十七日、郵政省として措置を行いました。詳しい措置内容については放送行政局長より説明します。  また、本件については、大きな社会的関心を呼んだものであることにかんがみ、あわせて大臣談話を発表しました。  それでは、大臣談話を読み上げさせていただきます。     郵政大臣談話   株式会社東京放送の坂本弁護士インタビュー  テープの取扱いと、これに関して同社が誤った  調査結果を発表したことは、同社の放送の在り  方と責任体制について大きな疑問と不信を抱か  せ、社会的に大きな批判を浴びたところであ  り、極めて遺憾である。   ことに、真実を追求し報道することを使命と  する放送事業者が、自ら行ったことの事実解明  さえ成しえなかったことは、同社の言論報道機  関としての存立の基本にもかかわるものであ  る。   郵政省としては、去る三月二十五日、同社に  対し、事実の解明及びその原因と背景について  の徹底した調査を改めて行うように求め、これ  に対し、四月三十日、同社から「「坂本弁護士  テープ問題」及び関連事項調査報告」が提出さ  れた。   同報告は、法曹界の専門家の全面的な協力を  得て作成されたものであり、詳細についてはな  お不明な点もあるが、現時点で行政上の判断を  行うに足るものと認められることから、同報告  に基づき、今回の事案についての措置を検討し  た。   同報告によれば、    一 放送前の坂本弁護士インタビューテー     プを要求に応じてオウム側に見せたこ     と。    二 同テープの放送を行わなかったのは、     オウム側の圧力も一因であった可能性が     あること。    三 昨年来の本件に関する社内調査が不適     切であり、かつ、誤った調査結果を公表     したこと。  が認められているが、同社は、これらのことに  ついて、その非を認め、担当者の処分、最高責  任者である社長の辞任等の措置をとったところ  である。   そもそも、放送法が放送事業者に対して番組  編集の自由を保障し、その自主性を最大限に尊  重しようとしていることは、言論表現の自由に  対する配慮に加え、放送事業者がその保障の趣  旨と放送の持つ社会的影響力の大きさを認識  し、自らを厳しく律して放送事業にあたること  を前提としているものと考えなければならな  い。   しかるに、同社は、放送事業者として本来有  すべき公共性に対する自覚を欠き、社会的使命  を十分に果たすことなく、放送に対する国民の  信頼を失墜させたものである。同社の行った行  為には、放送を公共の福祉に適合させ、その健  全な発達を図ろうとする放送法の趣旨に照ら  し、また、同法各条項の趣旨の実現を確保して  いく上で、誠に遺憾な点があったと認められた  ので、本日、同社に対し、今後同様の問題を惹  起させることのないよう、厳重注意を行った次  第である。   同社においては、今回の事態を厳しく反省  し、世論の批判とこの措置とを真摯に受け止  め、全社を挙げて改善のための真剣な努力を払  い、その結果を国民に示すことを求めるもので  ある。   あわせて、今回の問題の重要性にかんがみ、  全放送事業者に対して、今回のような事態を引  き起こすことのないよう、自社の番組制作体制  等を十分に把握し、放送番組の適正化の取組を  一層充実するよう、注意を喚起した。   郵政省としても、今回の事態を重大なものと  受け止め、放送の公共性と信頼性を確保するた  めの方策を、幅広く御意見を伺いながら検討し  ていく所存である。以上であります。
  106. 中川昭一

    中川委員長 引き続き、楠田放送行政局長から補足説明を求めます。楠田放送行政局長
  107. 楠田修司

    ○楠田政府委員 それでは、郵政省の措置について詳しく説明させていただきます。  TBSに対する措置。同社のとった行為には放送法の趣旨に照らし、まことに遺憾な点があったと認められたので、今後同様の問題が引き起こされることのないよう、TBSに対し文書により厳重注意を行い、以下のことについて指導いたしました。  一、放送番組素材の管理体制の確立を図る等、番組制作体制を見直すこと。  二、社員及び社外スタッフに対して、制作現場の実情に合った実践的な教育研修が十分に行えるよう研修体制を見直すこと。  三、事実関係の調査等について、組織的かつ迅速に対応できるよう、組織機能を見直すこと。  四、番組考査部門の充実強化を図る等、番組のチェック機能を改善すること。  五、取材対象者等に対して十分に配慮できる体制を充実させること。  六、視聴者に対し、本件についての社としての責任と対応を明確に示すこと。  また、取り組み状況について、本年五月末までに、また、その後、現行免許の有効期間中四半期ごとに報告するとともに、視聴者に対してその内容を明らかにすることを要請しました。  TBS以外の放送事業者に対する要請。本件のような事態をTBS以外の放送事業者が引き起こすことのないよう、放送事業者百八十社に対して、各社において、自社の番組制作体制等を十分に把握し、放送番組の適正化の取り組みの一層の充実を要請しました。  社団法人日本民間放送連盟に対する要請。また、放送事業者の団体である社団法人日本民間放送連盟に対しても、放送倫理水準の向上を図り、放送事業を通じて公共の福祉を増進し、その進歩発展を期するための取り組みの一層の促進を要請しました。  以上が措置の内容でございます。  今回の措置においては、TBSに対し、取り組み状況についての報告を現行免許の有効期間中四半期ごとに求めており、郵政省としてもその間の取り組みの進捗状況について、厳正に見守っていく所存でございます。  以上でございます。
  108. 中川昭一

    中川委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  109. 中川昭一

    中川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。
  110. 中谷元

    ○中谷委員 TBS問題について質問をさせていただきます。  ただいま大臣がお述べになりましたとおり、五月十七日に郵政省TBSに対して厳重注意を行われました。この行われた理由がいま一つ報告でわかりませんけれども、この処分を行った基準といたしましては、TBSからの調査報告に基づいて処分をされたわけでございます。  一つは、オウムにビデオを見せた。オウムの圧力を受けて番組を中止した可能性がある。その事実を知らせなかった。報道機関でありながら間違った社内調査の結果を放送したという報告でございますけれども郵政省は何をもってこのことから厳重注意になさったのか、つまり放送法違反にならないとどういう基準で判断をされたのか、その点についてお述べいただきたいと思います。
  111. 楠田修司

    ○楠田政府委員 まず一つは、放送番組として使用する目的で撮影し、翌日放送の可能性があった素材、すなわちビデオを批判を受けた相手に見せた行為がございます。  これにつきましては、放送前のテープを見せないという取材の原則というものがございます。それに関する行為でございますが、これが放送法に違反するのではないかという疑問がございます。  しかしながら、これは放送の取材の段階のものでありまして、みずから課した素材の取り扱いの原則を守れなかった報道倫理上の責任はございますが、放送法には違反しないというふうに考えます。  次に、放送を中止したことが一つございます。  放送を中止した中で、オウムからの圧力によって中止をした可能性がある。いろいろ要因がございますが、その可能性も否定できないという点がございます。これが、TBSの持つ番組基準の中に、すべての干渉を排するというものがございますが、これに反したのではないか、すなわち番組基準に反したのではないかというふうなおそれがあるわけであります。  みずから決めた基準に反する疑いは生ずるわけ でありますが、これをもって三条の三違反とまでは断定できないというふうに判断したわけであります。  それからもう一点の、平成七年十月十九日、みずからこの関係の調査をしておりましたが、その調査を誤り、それを放送番組において報道したわけでございます。報道は結果的には事実と間違っていたということでありますので、これが「報道は事実をまげないですること。」という放送法三条の二の項に反するのではないかということでございます。  検討の結果でありますが、事実に反した報道があったことは事実であります。しかしながら、TBSがこの事実を曲げた、曲げないでするということに故意があったかどうか、あるいは故意と同視するような重大な過失があったかどうかにつきまして検討いたしました。前の段階におきましてTBSみずから調査をしたわけでありますので、それは結果的に間違ったわけでありますが、その後の放送の段階において故意と見るべきものはなかった、あるいは重大な過失とも見られないというふうに思います。  放送法三条の二に違反のおそれはあったわけであります。また、組織としての社会的責任は非常に大きいものでありますが、放送法に明確に違反するとまでは断定できなかったわけであります。  以上をもちまして、それぞれの項目につきまして検討いたしまして、放送法に違反する可能性のある問題だけを今申し上げましたが、それらについてこのように結論を出して、したがいまして、トータルとして行政指導で指導を行った、こういうことになったわけでございます。
  112. 中谷元

    ○中谷委員 違反の可能性があるということで厳重注意ということでありますが、今回の調査に対して、その基準となるのがTBSの調査報告でございますでしょうか。郵政省として何か独自に調査したり、検証したり、また審査したり、そういうことはしなかったのか。そういう機関がなかったのか。その裁定となった基準と、放送法違反でないのになぜ厳重注意を行ったのであるか。この線引きがいま一つわかりませんけれども、お答えいただきたいと思います。
  113. 楠田修司

    ○楠田政府委員 今回の調査を行うに当たりましては、報道の自由、番組編さんの自由というものが保障されている放送会社でありますので、みずから、みずからの行った行為について十分に調査する義務がある、また、それをすべきであるということで、まず第一義的にTBSに調査を依頼しました。そして、その調査の結果をいただきまして、またその前の段階におきまして、その調査の、いただきました報告が客観性があるか、あるいはその後幾つかの項目につきましてTBSに聞きました。  例えば、細かくなりますけれども、千代田分室というようなところの組織はどうなっていたのか。あるいは監視体制はどうなっていたのか。それから、報道したわけでありますが、報道したときに、だれがそういうことを、どういう段階で決定したのか。幾つかの疑問がありました。そういうこともTBSに聞いて確かめたわけであります。  そういう中で、今回の報告は、大筋の基本は間違っていないと認めまして、放送法による問題あるいはその他の問題について検討したということでございます。  それから、もう一点、何を基準に厳重注意したかということでありますが、放送法に明確には違反しないわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、放送法違反の疑いというようなことになったわけでありまして、これを放置しますと、将来放送法違反になるようなおそれもあると我々考えまして、そういう意味で、将来こういうことが再発しないように厳重注意するとともに、六項目にわたりまして指導した、こういうことであります。  なお、行政指導の根拠につきましては、行政手続法それから放送法等にのっとって行政指導したということでございます。
  114. 中谷元

    ○中谷委員 今回の処分は、その番組の放映以前の問題ということで、特に番組編さんの自由ということで審査されたわけでありますが、しかし、その番組だけではなくて、一連のオウム報道についてももう一つちょっと審査していただきたかったと思います。  仮に、もし早川メモが世の中に出なかったら、我々国民は、オウムのTBSへの訪問も、TBSのオウムへの接触も知らずに、ただ単に報道を見て腹を立てて過ごしていたわけであります。しかし、その裏側では、オウム真理教の教団の幹部とかまた暴力団に番組制作という名目で出演交渉したり、また、警察も踏み込めないようなサティアンにカメラが入って教団の幹部の言い分を中継したり、どこからか尊師の肉声のビデオを入手してそれを放映して、オウム真理教の信者も見て、そういう信者にも影響も与えたかもしれませんし、催眠効果のあるサブリミナル放送もやったこともあります。また、捜査当局も当時どこにいるか状況がつかめなかった早川氏を突然番組に出演させて、番組終了後に警察に逮捕されるというような、本当に一般の人では想像もつかないようなオウム教との接触があったというふうに思います。また、そのオウム報道を見て、いろいろと社会的にも影響を与えたと思いますけれども、いわゆる放送法で言う、公安及び善良な風俗を害するとみなされるような放送の内容等もあったのではないかというふうに思いますけれども、この放映された番組のチェック、これにつきましては、郵政省はどのように措置をして、どのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  115. 楠田修司

    ○楠田政府委員 幾つか御質問があったと思うのですが、坂本弁護士のテープを見せたことが坂本弁護士の死につながったのではないか、これはいろいろな報道、あるいはいろいろなところで言われておりまして、これが一番大きな怒りになっているというふうには感ずるわけでありますけれども、この関係につきましては、本来司法の段階の問題であります。かつ、これにつきまして因果関係があるかないかということは、我々放送法を所管する者として、行政的にはタッチすべきではないし、タッチできないというふうに判断したわけであります。  したがいまして、今回のこの案件は、ビデオを見せたことに関する、これは取材の倫理の問題でもありますが、ビデオを見せたことに関する問題点、それに発する問題につきまして、放送法に違反するかどうかを中心に検討したということでございます。  それから最後に、公序良俗違反の放送があった、あるいはオウム寄りの放送があったのではないかという点でございますが、この放送そのものに公序良俗違反があったかどうかにつきましては断定できないということでございます。それから、オウム寄りではなかったかということでありますが、一方でオウム批判の報道番組もやっているわけでありまして、必ずしも一方的にオウム寄りであったというふうには思えなかったわけであります。  なお、番組そのもののチェックというものをどの程度するかという問題につきましては、これは番組編集の自由というものも絡みまして、なかなか難しい問題でありますが、我々としては、できる限りこの法律に準ずる形で調査をしたということを申し上げておきたいと思います。
  116. 中谷元

    ○中谷委員 オウムの報道もそうですけれども、特にワイドショーの芸能人だとか、ニュースショーにおける政治家とか、全く名誉とか人権を無視したような報道も続いております。また、それが報道されてしまったらその内容まで踏み込めないというのなら、その後テレビ局に抗議しても全くもう何食わぬ顔でおられるわけでありますが、一体これをだれが編集し、だれが取材し、だれがそれに責任を持っていくかということで、まさしくやられ損、やり得の世界だというふうに思います。そういう意味におきまして、やはり番組 の内容についてもある程度チェックをし、またある程度のガイドラインを示すことが必要ではないかというふうに思います。  最後に、大臣の談話の最後に、郵政省として「放送の公共性と信頼性を確保するための方策を、幅広く御意見を伺いながら検討していく」というふうに述べられたわけでございますが、今の放送法では、この点において何か問題があり、限界があると認めておられるのか。今後の法改正を前提に考えていかれるのか。そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  117. 日野市朗

    日野国務大臣 放送法というものは、憲法に定められた報道の自由、これを実現していくための法であろう、こう思っております。でありますから、我々、今度の措置を行うについても、この放送法の解釈については非常に意を用いたところ、気を使ったところでございます。  それで、今度の幾つかの問題点が放送法に抵触するかどうか、その問題が指摘された、放送法に抵触するかどうかということで問題を投げかけられた点については、これについては慎重な対応をしてきたわけであります。  放送法をどのようにこれから扱っていくかという点については、これは、広く皆さんからの御意見をちょうだいをしながら検討していかなければならない課題であるというふうに思っております。これは、説得力のある多くの意見をちょうだいをして、そしてこの放送法の取り扱いをどうするかということを考えていかなければならないというふうに思っております。
  118. 中谷元

    ○中谷委員 それでは、法改正も検討するということでございますか。
  119. 日野市朗

    日野国務大臣 そのような御意見があれば、そのような御意見にも耳を傾けるということでございます。
  120. 中谷元

    ○中谷委員 それでは次に、放送法で言う、公安及び善良な風俗を害してはならないということに関連して、ちょっとオウムからはそれますけれども、もう一つの問題についてお伺いいたします。  今、非常に政治不信というか、無党派がいいというふうなムードができているわけでありますけれども、私は、これはテレビ一つの要因をつくっているというふうに思います。  つまり、ワイドショーで政治を茶化したり、また、明らかに司会者が嫌な顔をして政治の話をしたり、政治家をばかにするという発言が続いております。この批判精神とか社会正義というマスコミの本来の趣旨はいいんですけれども、それを称して、国民から意識的に政治を遠ざけようとしている、そういう番組があります。それを見た視聴者は非常に感化されて、それによって政治離れを加速させ、ついには国家をも崩壊させてしまうような非常に危険な状態も想定されるというふうに思っております。  そういう中で、このTBSの問題が騒がれている四月二十日でございます。TBSの土曜日の夜の番組の「ブロードキャスター」がありますけれども、これにゲストコメンテーターと称して、平成七年の十一月一日に某党の都内の新人候補として決定しております岩國哲人氏がゲスト出演しておりました。この番組の中では、政治、経済、スポーツ、芸能等について、そのテーマに従って自分の考えやコメントを述べさせているわけでありまして、全体で七分ぐらいの時間がございました。その話の中で、世田谷の自分の選挙区の事務所のことまで話をしていたわけでありますけれども、レギュラーでこういうコメンテーターとして出演したならいざ知らず、突然に、あえて出演させてしまっている。このことは、放送法の三条二の二で言う、政治的に公平であるということを完全に逸脱しているようなことではないかというふうに思いますが、椿事件でも問題になりましたけれども政治的に意図を持った編集とか発言を司会者とか編集者が繰り返し、そして番組終了直前に、最初に言いましたけれども、簡単な捨てぜりふで政治を批判し、国民に印象を与えてしまう、このような今の、政治に対する番組の放送の現状を郵政省はいかに見ておられるのか。この点につきまして、お願いいたします。
  121. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生指摘の点につきましては、詳細を我々承知していないわけでありますけれども一般的に言いまして、放送におきまして、政治的公平を図らなければならない、かつ多角的な論点から解明しなければ、意見が分かれるときは両方の意見を出すということがしばしば問題になるわけであります。ただ、これは一つの番組のみではなくて、全体を見て判断するということでございますので、そういう趣旨でこの問題をとらえていく必要はあろうかと思います。  ただ、一般論といたしまして、放送事業者は、政治的な公平の問題あるいは多角的な論点の解明ということを常に心に置きまして、十分注意して放送すべきであろうというふうに考えます。
  122. 中谷元

    ○中谷委員 今回の処分に際して私なりに意見を述べてみましたけれども、本当に、これだけ腹が立つのならばテレビを見なければいいのですけれども、ついついチャンネルをひねってしまう、いわばテレビは魔物だというふうに思います。  私も、忙しくてなかなか家庭には帰りませんけれども、家庭へ帰って、家族の唯一の団らんは、悲しいかなテレビを見ることでございます。そういう中で、親子がそろって見る番組では、中には家族で非常に楽しんでひとときを過ごせるような番組もありまして、テレビの取り扱い方によって、我々の生活の相当部分を占めて非常に大きな影響を与えているわけでありますが、今回の事件を教訓に、今後のテレビ番組の放送のあり方につきまして、TBSを初めとする民放に対する郵政省考え方並びに姿勢を最後にお聞かせいただきたいと思います。
  123. 楠田修司

    ○楠田政府委員 テレビあるいはラジオにおきまして、放送番組につきましては、近年いろいろな問題が提起されております。  例えば、椿発言問題あるいは松本サリンによる人権侵害問題、それからテレビが非常にいじめ等の関係で青少年に大きな影響を与えているのではないかというふうな問題、それからやらせのような問題、それから今回のようなTBS問題等幾つか出ておるわけでありまして、そういうことを含めまして、郵政省としまして、前国会でも番組の適正化あるいは番組審議機関の問題等について、幅広く意見を聞いて検討しなさいという附帯決議もいただいております。  そういうことで、昨年の九月から、有識者を集めました懇談会を開きまして、幅広く検討しているところでございます。今年末にその結論はいただく予定でありますが、あしたとりあえず中間の論点のまとめということもやっていただく予定であります。  そのほか、いろいろな形での意見もいただきまして、またこの懇談会の意見もちょうだいいたしまして、これらの問題につきまして前向きに検討していきたい、こういうことで今進めておるところでございます。
  124. 中谷元

    ○中谷委員 以上で終わります。
  125. 中川昭一

  126. 河村たかし

    ○河村(た)委員 新進党の河村たかしてございます。  まず最初に、私は、決していわゆる役所の監督主義者ではありませんので。特に、NPOなんかを主張しておりまして、できればいろいろな、多様な市民の寄附による団体が出てきて、そういう多様なチェックがいいのですが、残念ながら、今のところ日本では郵政省によるチェック、ほかにいないわけではありませんけれども、こういうことになると思います。残念ながらそういうようなことになっておりますので、郵政省にはやはり真実を明らかにする務めというのですかね、これは重いと思いますよ。  オウムという団体に、破防法の適用が考えられるような団体に電波がもし影響を受けていたら、どれだけの悲劇が起こるだろうか。そういう立場から、よほど厳しい気持ちでやってもらわなければいかぬ、そんなふうに思っております。それは別に、役所の監督権限をふやすという意味ではありませんけれども、今の法律の中でも、よほどの 義務感を持ってやらないといかぬ、それを一言申し上げておきます。  それで、まず、本日の新聞に、朝刊にですけれども、楠田局長が、今後放送法の改正も視野に入れてやっていきたいと思うというような話が出ておりましたが、これは本当ですか、この記事は。
  127. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先ほど申し上げましたように、ここ数年、放送番組に対する関心が非常に高まってきております。そういうことで、椿発言、やらせ問題等、附帯決議のことも先ほど申し上げました。懇談会のことも申し上げました。そういう中におきまして、結論をいただいた中で、いろいろな意見を聞いた中で放送法を改正する必要があるという場合があるかもしれない。そういう場合は当然のことながら、番組の問題でありますし、いろいろな課題がありますから、放送法を視野に入れて検討しているということを申し上げたわけであります。
  128. 河村たかし

    ○河村(た)委員 私は、この問題、また後でやると思いますけれども、今言いましたように、いたずらに行政権だけ大きくなっていってしまったということは、これは私反対でございますので、一言だけもう一回聞いておきますけれども、多様な、市民が寄附しながら、オンブズマン、オンブズマンと言いますけれどもお金が役所から出てくるオンブズマンではオンブズマンという名の郵政省がふえただけでして、これは何にもならぬのですよね。そういうシステムによる放送のチェックというのは御賛成かどうか、ちょっとどうですか、大臣
  129. 日野市朗

    日野国務大臣 オンブズマンと一口に言いましても、それぞれいろいろな意味、内容があると思いますね。ですから、オンブズマンというのは、国が予算的に措置をしている国もあろうかと思います。しかし、その場合、そのオンブズマンは、非常に高い誇りを持って、国の方から費用を受け取りながら、オンブズマンとしての小さな、公権力の違法行為に対する目を光らせているというところもありますし、また、ボランティア的にそういうことをやっているものも我が国ではオンブズマン、こう称しているようでございますね。私は、国から金が出たということが、オンブズマンとしてのいいか悪いかという二元的な判断はできないのではないか、こう思います。
  130. 河村たかし

    ○河村(た)委員 時間がありませんから、市民の寄附によって支えられたそういうものということですよ。また今度やらせていただきたいと思います。  それでは、今回の問題に具体的に入りたいと思いますけれども、先ほどの質問でもありましたけれども、放送法の趣旨に照らしというようなことになっておるのですが、私はやはり、放送法三条の二の三号、「報道は事実をまげないですること。」これに該当するかどうかをなぜストレートに問わなかったかということですよ。やはり、報道の真実を守るということは一番の使命ではなかったかと思います。  具体的に言いますと、多分、今回の措置のベースになっただろうと思いますが、この佐藤さんの特別調査人報告、ここの十四ページを見ていただきますと、ありますか、局長大臣もいいですか。十四ページの一番下から六行目ぐらい。「少なくともTBSの社員であり番組の総括責任者たる制作プロデューサーがテープ事件を認識していた以上、TBSの会社としての認識がなかったと言うことは出来ない。」ここで一つ、まずこういうふうに決めてあるわけですね。  ビデオを、いろいろな認識が、何も重役でなくても、重役でなくてもとは書いてありません。総括責任者たる制作プロデューサーが認識しておれば、TBSの認識として十分なんだというふうに書いてあります。  一方、二十四ページ、ここのところで、二十四ページの下から七行目ぐらいです。「Eプロデューサーが東京地検での事情聴取を受けた後のTBSへの報告の中で、私は見せていないが、誰かが見せたかもしれないということで手を打とうとしたが会社から止められた旨供述している。」こういう報告が出ておるわけですよね。ということは、このときにはこのEプロデューサーは知っていたわけですよ、もう、これは。だれかが見せたのだと。  ではもうこれ、会社の認識としては、この時点に認識があって、だれかが見せたんだと言いながら、御承知のように、例の十月十九日の日本テレビの報道に対して、夜、「ニュースの森」で、社内調査ではと一言入れておりますけれども、見せた事実はない旨断定をしたと言うのは、事実を曲げた報道になるのじゃないですか、これは。
  131. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生指摘のところは最も慎重に検討したところでございます。御指摘の「報道は事実をまげないですること。」というところで、会社に故意があったかどうか、こういうことであります。  先ほど申し上げましたように、結論的には故意はなかった、こういうふうにしたわけであります。ここで、会社は認識したと言えると書いてあるじゃないかと、これは、プロデューサーは認識していたと。しかし、プロデューサーが認識しているということは、会社としても認識しているという、責任を書いたものでありまして、プロデューサーが見せたということは即会社の責任である、こういうことでありますから、故意の判断をするときの問題と責任をとるときの問題とは別だ、こういうふうに考えます。  それから、だれかが見せた、会社からとめられた、こういうところでありますけれども、このところも、このプロデューサーは見せたと言っていないわけですね。見せたと言っていないわけです。したがいまして、見せたと言っていない段階で、会社としてそれを信じた。これは大きな誤りだったわけですけれども、その段階ではそれを信じた、こういうことでございます。
  132. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それから、ちょっと次に行きますと、正確には、少なくとも、問い合わせたけれども記憶がないと皆言っている、こういうふうに報道すべきであったということは認めますね。
  133. 楠田修司

    ○楠田政府委員 平成七年の十月十九日の「ニュースの森」アナウンサーの発言内容は、ちょっと読み上げさせていただきますが、「TBS社内の調査では、テープを見せたという事実はありません。一九八九年十月二十六日、オウム教団の早川紀代秀被告ら三人が訪れ、坂本弁護士事件のインタビューテープを見せろと要求しましたが、担当者はこの要求を拒否しました。取材テープを見せた事実もないことが確認されています」というものだったということであります。
  134. 河村たかし

    ○河村(た)委員 私の質問には答えられておりませんけれども、正確には、当事者に問い合わせたところやはり記憶がない、そういう報道をすべきであったということだと思うのですよ。  それから、これを知っていますか。四月三十日の三時間半余りの番組の中で、私もええかげんな質問じゃいけませんからちゃんと見ました、夜中まで。最後に、「ニュースの森」のキャスターが、真心からざんげをしたのだろうと思いますけれども、私自身が番組の中で事実に反した報道をした、こういうふうに語っておられるわけですね。これは、今の話ですと、故意でないということだろうと思いますけれども、普通からいえば、私自身が事実に反した報道をした、そういうのは単なる過失の場合に言うのですかね、こういうことを。どうですか。
  135. 楠田修司

    ○楠田政府委員 「ニュースの森」で、先ほど申し上げましたような事実に反した報道をしたわけでありますから、それを放送したということで訂正をされたわけであります。ただ、この事実に反した放送をしたというところの前の段階で故意があったかどうかということになりますと、これは故意とは違う、その時点における知っている事実をそのまま放送した、こういうことであります。
  136. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ということは、「ニュースの森」のキャスターが、自分の個人的な気持ちから、ざんげといいますか悲痛な言葉を発したということ なんですね。  だけれども一つの大きな問題は、十月十九日、重役会をやっておるわけですよね、重役会を。重役会で、これはちょっと何かに書いてありました、もう認めたらどうだというのかわかりませんけれども、いろいろな声がかき消されてしまった。少なくとも重役の何人かは見せたという認識があったんじゃないですか。これは、たしかどこかの文章に出てくるのですよ。そうなれば、楠田局長は故意、故意と言っていますけれども、実は先ほどの、故意に同視すべき重過失でもいいのでしょう、これは。そうじゃないですか。そうあなた答弁されていますけれども。  だから、今まで、ここまで積み上げできますと、どう考えても、あのときに、見せた事実はありませんと断言するのは明らかに事実に反しておったのじゃないですか、これは。
  137. 楠田修司

    ○楠田政府委員 その点の段階におきまして社内でいろいろなことがあったと思いますが、我々としては、そこでは故意がなかったというふうに認定したわけであります。
  138. 河村たかし

    ○河村(た)委員 本当に私は、何遍も言いますけれども、私は実は監督主義者じゃないのです。もっとみんながいろいろな放送体が出てきて、監督するより、倒産してしまった方がいいのですよ、民間の市場論理で。TBSが倒産する意味じゃないのですよ、いろいろな間違いが起きたときに。  だからこれは、ここまでいろいろ客観情勢がある中で、夜の報道で、一切そういうことはありませんでした、見せませんでしたと言うことは僕は重過失があったと思いますよ。真実の報道を守ることが郵政大臣の、郵政省の責任なら、ここはずばり、逃げてはだめなんですよ、やはりここのところは。今実際こういうことをチェックしてくれるところは郵政省しかないのだから。やはり真実を曲げた報道に当たるかどうかをはっきり提示してやるべきだったと思いますよ。これはなっておりませんよ、そう思います。  それから、時間がありませんからちょっと先に参りますけれども、もう一つ、ビデオの長さの問題です。  まず、坂本さんのビデオ、本物の生ビデオですよ。これが今回の重要な問題であること、これは当然ですね。それで、そのビデオの長さについて、三十五分ということを、だれがとはちょっと今のところ言えませんけれども、語った方もおみえになるのです。三十五分。それから、この間の参議院の委員会の前に、ある方が十七分と語っておられる。そして、委員会では、速記録に載っていますよ、十四分と。  しかし、この間の四月三十日のテレビ、これは明確に、全編を見せますとはっきり言っているのですよね。全編カットなしてごらんいただくのはこのビデオがどう影響を与えることになったのかを判断してもらうためです、わざわざそういう話りをつけて十分二十八秒、こういうビデオを放映しているわけですよ。これはなぜなんですか、ビデオは。これは虚偽放送じゃないですか。事実を曲げて報道をしていたのじゃないですか、まず。それと、郵政省さん、調べたのですか、この問題を。
  139. 楠田修司

    ○楠田政府委員 現在残っておりますテープは約十二分の長さのものでございます。そこから、テープの場合、頭にテストパターンというのがあります。このテストパターンを除いたものが約十分半、先ほどおっしゃいました十分二十八秒でございますか、であり、それを四月の三十日に放送したものと聞いております。  それで、オリジナルテープは消去されていると言いながら、おかしいではないかということですが、オリジナルテープといいますのは、取材のときに撮影に使用したテープのことでございまして、それは一つしかないわけであります。それをダビングしたものを普通使うわけでありまして、この場合の十二分の長さのものはダビングしたテープでありまして、それを全編カットなしで放送した、こういうふうに聞いております。
  140. 河村たかし

    ○河村(た)委員 少なくとも十四分であったという、委員会で答弁されておるのを、十分二十八秒で三十日にやっているのですよ。その矛盾をチェックされるように努力されましたか。
  141. 楠田修司

    ○楠田政府委員 答弁の当時、TBSの社内でもテープの長さが約十四分ではないかという認識があったわけですが、その後の調査の中で約十二分であることが判明したものと聞いております。
  142. 河村たかし

    ○河村(た)委員 私も、これはTBSに連絡して聞いたのですよ。当時十四分テープと言っていた、これを。みんなが十四分テープと言っていたらしいですよ。ということは、十四分じゃなかったんですか、このテープというのは、一般的に考えれば。それが、実際報道したのが十分二十八秒、何かその間にあったんじゃないか。  このテープはなぜ重要かというと、このテープを見て殺意を起こしたわけですよ。だから、そこに何が映っていたのかというのは今回の問題の一番キーポイントなんだよね、実は。そこで、そのことを郵政省はきちっと調べる務めがあるのに、何と十四分と言って、何ですか、みんなが言っていたからということで間違えて言ったということなんですか、これは、社長が。これじゃとても話にならぬですね。もう一回、再度調査してくださいよ、これは。
  143. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送法上考えた場合、テープを見せたかどうかが重要な問題でありまして、テープの長さ云々ということは基本的には放送法に関係ない、あえて申し上げればそういうことでございます。
  144. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これはもう完全に間違いですよね。やはり報道は真実を伝えるかどうかなんであって、テレビが、その放映が、中身がどういう放送をしていたんだろうか、だれの圧力によってどういうふうにどうなったんだろうか、そういうことが大事なんで、これは放送法上の問題ですよ。三条の二、三号ですよ、これは。長さ、見せたか見せなかったか、それだけというのは、これは明らかにおかしいと思います。  それから、もう時間がありませんから言いますけれども、これは、ビデオをちゃんと見ますと、中で飛んでいるんですよね、画面がぽんと一つ。飛んでいるんです。これは具体的に言いますと、まず音と画像がちょっと離れています、このビデオは。この辺も非常に不自然。それから坂本さんが出てきて、弁護士として考えざるを得ないかな、そういうことですねという話をして、それからはいはいという音が入ります、スタッフの。そこでぱしっと飛んで、はい回りました、こうスタッフが言っているわけですよ。ビデオを新たに回す、この場合は、しばらく休憩をとる場合とビデオをかえる場合とこれはあると思いますけれども、僕でもわかるんですよ、これ。  私もこればっかりやっとるわけじゃありません、逓信委員会ですから頑張ってやりますけれども、皆さんと同じ、選挙もありますけれども、いろんなこと、苦労しておるんですよ。郵政省は、これは国民の負託を受けて、放送の真実が担保されていたかどうか、オウムという、知っていますか、国防総省が、これ、大変なテロ集団だと言っておるのを。そういうところに電波が影響されたかどうかをチェックする責任があると思いませんか。なぜ気がつかないんですか、こういうことを。
  145. 日野市朗

    日野国務大臣 郵政省の調査というのは、この一連の行為についての、TBSのとった行動、これが放送法に違反するのかどうかということ、つまり放送法に導かれながら、先ほど局長が申し上げましたように、その処分をするかどうかの必要に応じて放送法の解釈をしながらその事実を見ていくわけでありまして、一つ一つの個々の事実が真実であったかどうかということとはニュアンスが違ってまいります。  でありますから、我々としては、このテープを見せたかどうかということが大事なんであって、その内容が一つ一つ真実であったかどうかということとはおのずから違ってまいろうかと思います。
  146. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これは大変ですよ、内容が真実かどうかはチェックしなくてもいいということになりますとね。放送法三条の二の三号に「事実をまげないですること。」というふうに規定がありますよね。それを判断するときには、事実かどうか判断しなきゃだめじゃないですか、それは。そうでしょう。  ちょっと時間がありませんので、最後にまとめさしていただきます。  オウムとTBSの関係ですね、最後に質問しますけれども。これを私は委員会で、内容は今言われましたけれども、いろんな、説法テープの問題やら早川逮捕の問題やら、その後の刺殺事件の問題やら、なぜこれほどまでにTBSとオウムがかかわっていたんだろうかということを聞きましたよね、これ。で、いろんなことを言われましたけれども、実は今回の問題で一番大きいのは、本当に、テレビというのはみんな信じるんですよ、テレビというのは。何千万人見るんですよ、一遍に。その電波が、だれか特定の、特に今回は破防法の適用になるような問題ですよ、国防総省なんか大変なテロ集団だと言っておるわけです。そういう人たちの影響を受けてしまったかどうかという問題なんですよ、一番大事なのは。  だから、真実がゆがめられているかどうかをチェックしなきゃだめなんですよ。そうなれば、TBSとオウムの問題を私は委員会で質問しているのに、なぜ何もチェックしないんですか、これ。じゃ、委員会、何のためにあるんですか。じゃ、私は何のためにおるんですか。どうですか、その点。  もう一回、とにかくそれ、一言聞いて、とにかくしっかりこれはやり直していただいて、もう一回、再調査。それから、委員会でもこれはぜひ、厚生委員会もこつこつやっておられますよ、いろんな問題を。出てくる人も嫌だろうと思います。だけれども、これ、今言いましたように、何千万人見る電波がゆがめられたかわからぬという問題ですから、ぜひこの委員会でも再度しっかりやはりやっていただきたいな、それがやはり国民の信頼にこたえることだな、そんなふうに思っております。ひとつ大臣どうぞ。
  147. 楠田修司

    ○楠田政府委員 繰り返しになりますが、我々は、オウム真理教幹部に坂本弁護士インタビューテープを見せたことに端を発した一連の問題に関しまして、放送法上問題があると思われるものについて調査を行ったものでございます。先生指摘のようなこともやるべきではないかとおっしゃいますけれども、我々としましては、放送法上問題のあると考えられるものについてやったということを申し上げておきたいと思います。
  148. 河村たかし

    ○河村(た)委員 終わりますけれども、とにかく真実の報道であったかどうか、ぜひひとつ重い使命感を持ってやっていただきたいと思います。  以上で終わります。
  149. 中川昭一

    中川委員長 矢島恒夫君。
  150. 矢島恒夫

    ○矢島委員 郵政省は、このたびTBSに対して厳重注意という行政処分、文書で行ったわけです。あわせて、TBS以外の放送事業者と、それから民放連に対しても文書で要請というのもありました。  ところが、重要な問題は、その文書が公表されてないということを私はここで指摘したいんです。郵政省が発表したのは、「株式会社東京放送に対する措置等について」というA4一枚の文書と、それから五月十七日付の大臣談話、この二つであります。郵政省に、直接、その文書そのもの、これをぜひ資料として提出してもらいたいということで要求したんですが、これは行政と当事者との間のものだから公表できない、こういう回答がありました。そこで、これは秘密なのかと聞いたところ、秘密ではないが公表できない。  それで、秘密でもないものをなぜ郵政省と当事者の間だけにとどめておく必要があるか。しかも、これは放送事業者という言論報道機関に対して政府が行った指導であり、あるいは要請であります。要請というのはすべての放送事業者に対して行われているわけです。言論の自由という観点からも公表されなければならないものだと私は思うんです。同時に、このTBS問題というのは国民の大きな関心事であるということは間違いありません。それで本院におきましても参考人質疑などを行ってきたわけです。国会に対してもこの文書すら出さないというのは極めて遺憾であると思うんです。  大臣TBSに対する行政指導の文書並びにTBS以外の放送事業者への要請、民放連への要請、この委員会に直ちに提出していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  151. 楠田修司

    ○楠田政府委員 名あてのあるものにつきましては、我々としては公表するものではないというふうに考えております。ただ、その内容につきましては、報道発表をいたさしていただきました。
  152. 矢島恒夫

    ○矢島委員 内容は言ったと。先ほど局長もその中身について、少し、この我々が手に入れたところのA4の一枚よりは詳しいことを発言されました。しかし、この大臣の談話とかあるいは厳重注意という行政指導の文書、こういうものはもともと性格が異なるものですから。内容の上でも、この談話とそれからこの発表文書、すべてが、先ほどの局長の発言やその他で公表されているということは言えないのではないか。  例えばTBSに対する文書はA4で二枚のものだということです。ここにある発表文書というのはA4で、TBSに関する部分はそのうちの三分の一ぐらいの長さです。それで、「取組状況について、視聴者に明確にすること及び郵政省へ報告することを要請した。」こう書いてありますけれども、談話の方ではこのことは触れておりませんし、また、実際の行政指導の文書では三カ月ごとに報告を求めているということです。六項目についても、先ほど局長が発言の中で同じ六項目の一つ一つを言われましたが、ここに持っている私の文書とは大分違って、「番組制作体制の見直し」と六項目の中の一つはそれしか書いてありませんが、それ以外に大分いろいろと書いてあるということを知りました。  実際にその内容がどういうふうになっているかということを知るにはやはり全部の文書を見せていただかないことには、この(1)から(6)までを指導したのだと言っても、これだけでは不十分さはあるわけで、先ほどの発言の中で私は初めて、ああなるほど、こういうことも書かれているのだなということを知ったわけです。  そこで、大臣にお尋ねしたいわけなのですが、大臣はこの委員会でも、あるいは予算委員会でも、透明な調査を行うということをたびたび表明されておりました。三月二十七日の予算委員会では「私どもの方で透明な手続をもって調査をいたしまして、」以下省略いたしますが、このように答弁されておるわけですね。そういう御発言から、私は、それこそ透明になるということを期待していたわけであります。その点で大臣のイニシアチブも期待したわけであります。  今局長から答弁があったように、最終的な文書が発表されていないということ。それからもう一つあるのですね。この間の追加調査の資料要求したわけです。そうしたら一枚の用紙が来たのですよ。「TBSからの追加説明」というものだけなのです。六項目あるのです。「放送を中止する場合の意思決定過程」、これに対してどうだったかというのが右側にあります。先ほど局長説明を聞きますと、千代田分室の体制はどうだったとか、監視体制はどうだったとか、このほかにもいろいろこの間調査してきたという答弁がありました。  私に渡したこの六項目だけなのですか。ほかにも調査したのですか。その点を。
  153. 楠田修司

    ○楠田政府委員 調査の過程で、大きな問題等につきましてはプレス発表する等いたしました。先ほど先生がおっしゃった点は、調査の段階で追加説明を求めた中で非常に大きな問題点だけをお示ししたわけであります。あと細かいことは幾つか聞いております、あと数項目聞いておりますが、あえて発表するほどのものではないというふうに思っております。
  154. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほど来この問題については、TBSの報告書そのものの中にも大変いろいろな疑問があって、それをどう調査したのか、そしてこの結論に至ったのか、この辺が非常に重要なところなのですよ。ところが、調査したのはこれだけですよと渡されたのですけれども、実際には重要ではなかったと思ったというようなことなどについても調査したのかどうかというのは私たちは関心があるのです。  そういう点では、本来ならば郵政省TBSに対する調査報告書でもつくってもらって、この間、こういう項目についてやりとりがあった、こういう質問に対してはTBSからこういう報告があったとか答弁があったとか、そういうようなものまできちんとオープンにすべきだと思うのですよ。  そういう点で、逆に、そういうことをオープンにしないために、何かあるのじゃないかなどという憶測だって流れているわけですよ、勘ぐる人は。郵政省が厳重注意をした、そうしたらその後すぐTBSが深夜放送の自粛を発表したと。もう少しオープンに、こうなってこういうふうな調査をして、こういう結果になったのだということが全部明らかになれば、それこそそういう憶測を呼ばないで済むのですよ。  ですから、大臣、やはりこの間の追加調査の部分も含め、同時に文書そのものも、あるいはTBS以外の放送事業者民放連にあてた文書、それを本委員会に提出すべきだと思うのですが、いかがですか。
  155. 日野市朗

    日野国務大臣 調査の過程については、節目節目といいますか、それについては郵政省において記者会見をやっているところでございますね。それから調査項目についても、追加的な調査についても郵政省の方でTBSに対する問い合わせをやり、その回答が来たときには記者会見をやっているはずでございます。それから、行政指導をやった直後に、これも事務方の方がきちんとプレスに対する発表をやって、プレスとの間で随分やりとりもしまして、かなり詳しく御説明も申し上げていると思います。  それから、肝心の文書でございますが、特定の人の名前を書いて、名あて人の名前を付してその人にやった文書というのは、これはやはり公表しないということの方がむしろいいだろうと私は思います。その内容については、公表されているのと同じくらいにもう申し上げているわけですね、プレスにも。ここでも申し上げました。ですから私は、これ以上さらにということは必要ないのではないかと思います。
  156. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほどの六項目の問題も、内容はいろいろもっと、長い文章であったり、三カ月ごとの調査とかいろいろあるわけですし、私は、やはりこの文書をぜひ本委員会に提出するという方向で委員長の方でお計らいをいただきたいと思います。  それで、最後に一言だけ。  実際、やらせ事件だとかあるいは椿発言問題だとか、いろいろな問題が起きました。やはり放送の自由と公権力の介入という問題は、いろいろなところで指摘されているわけですね。今度の問題でも、堀田さんという東京地検の元特捜部長の方が、放送のこれからを考える会の座長ですけれども、やはり今度の問題については疑問の談話を出しておりますね。朝日新聞に載っていたと思います。そういうようなことから、私は、放送行政のあり方そのものが検討されるべきではないか。つまり、郵政省に放送における免許権限を集中させるのではなくて、アメリカのFCCの例を出すまでもありませんけれども政府から独立した放送行政委員会というものの設置が検討されてしかるべきじゃないか。放送に係る行政処分やそれらの措置が行われるときには、公聴会など必要な手続をとって、公開の委員会の中で議決でもって行われる、そういう文字どおり透明な放送行政体制をつくっていくべきだと思うのですが、大臣、最後にそれに関して一言。
  157. 日野市朗

    日野国務大臣 郵政省としては、法体系ですね、憲法それから放送法、電波法、これらの適用に当たっては非常に慎重に取り扱ってまいっておりますし、現在その必要はないかと思っております。
  158. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほどの私の資料を委員会としてひとつお計らいいただきたいということを申し上げたいのですが、それについてはどうでしょうか。
  159. 中川昭一

    中川委員長 理事会で協議いたしたいと思います。
  160. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  161. 中川昭一

    中川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十九分散会      ――――◇―――――