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日野国務大臣 TBSが、
平成元年十月二十六日に、坂本弁護士インタビューテープをオウム真理教幹部に見せたことに端を発した一連の問題につきましては、これまで本
委員会でもさまざまな御
意見をいただき、当省としても、
TBSに対し、一日も早く事実を明らかにするよう強く求めてまいりました。これに対して、本年四月三十日付で
TBSから報告が提出され、その事実関係について検討した結果、去る五月十七日、
郵政省として措置を行いました。詳しい措置内容については放送
行政局長より
説明します。
また、本件については、大きな
社会的関心を呼んだものであることにかんがみ、あわせて
大臣談話を発表しました。
それでは、
大臣談話を読み上げさせていただきます。
郵政大臣談話
株式会社東京放送の坂本弁護士インタビュー
テープの取扱いと、これに関して同社が誤った
調査結果を発表したことは、同社の放送の在り
方と責任
体制について大きな疑問と不信を抱か
せ、
社会的に大きな批判を浴びたところであ
り、極めて遺憾である。
ことに、真実を追求し報道することを使命と
する放送
事業者が、自ら行ったことの事実解明
さえ成しえなかったことは、同社の言論報道機
関としての存立の基本にもかかわるものであ
る。
郵政省としては、去る三月二十五日、同社に
対し、事実の解明及びその原因と背景について
の徹底した調査を改めて行うように求め、これ
に対し、四月三十日、同社から「「坂本弁護士
テープ問題」及び関連事項調査報告」が提出さ
れた。
同報告は、法曹界の専門家の全面的な協力を
得て作成されたものであり、詳細についてはな
お不明な点もあるが、現時点で
行政上の判断を
行うに足るものと認められることから、同報告
に基づき、今回の事案についての措置を検討し
た。
同報告によれば、
一 放送前の坂本弁護士インタビューテー
プを要求に応じてオウム側に見せたこ
と。
二 同テープの放送を行わなかったのは、
オウム側の圧力も一因であった可能性が
あること。
三 昨年来の本件に関する社内調査が不適
切であり、かつ、誤った調査結果を公表
したこと。
が認められているが、同社は、これらのことに
ついて、その非を認め、担当者の処分、最高責
任者である社長の
辞任等の措置をとったところ
である。
そもそも、放送法が放送
事業者に対して番組
編集の自由を保障し、その自主性を最大限に尊
重しようとしていることは、言論表現の自由に
対する配慮に加え、放送
事業者がその保障の趣
旨と放送の持つ
社会的影響力の大きさを認識
し、自らを厳しく律して放送
事業にあたること
を前提としているものと考えなければならな
い。
しかるに、同社は、放送
事業者として本来有
すべき公共性に対する自覚を欠き、
社会的使命
を十分に果たすことなく、放送に対する国民の
信頼を失墜させたものである。同社の行った行
為には、放送を公共の福祉に適合させ、その健
全な発達を図ろうとする放送法の
趣旨に照ら
し、また、同法各条項の
趣旨の実現を確保して
いく上で、誠に遺憾な点があったと認められた
ので、本日、同社に対し、今後同様の問題を惹
起させることのないよう、厳重注意を行った次
第である。
同社においては、今回の事態を厳しく反省
し、世論の批判とこの措置とを真摯に受け止
め、全社を挙げて改善のための真剣な努力を払
い、その結果を国民に示すことを求めるもので
ある。
あわせて、今回の問題の重要性にかんがみ、
全放送
事業者に対して、今回のような事態を引
き起こすことのないよう、自社の番組制作
体制
等を十分に把握し、放送番組の適正化の取組を
一層充実するよう、注意を喚起した。
郵政省としても、今回の事態を重大なものと
受け止め、放送の公共性と信頼性を確保するた
めの
方策を、幅広く御
意見を伺いながら検討し
ていく所存である。以上であります。