○五十嵐(三)
政府委員 情報通信分野におきまして、電電公社あるいは
NTTという形で果たしてきた役割というのは大変大きなものがあったというふうに思っております。特に戦後、欧米の技術の導入に努力したというようなこともありまして、国あるいは
大学あるいは
民間企業とともに、我が国の
研究開発の
向上、世界のほぼトップレベルのところに迫るような状況になったんじゃないかというふうに思っております。
先生お尋ねありました、全体にどんな割合になっているかというようなこと、
幾つかのメルクマールで拾ってみましたものを御報告をさせていただきたいというふうに
思います。
平成六年度ベースでございますが、
研究開発経費、日本の場合、まあ大ざっぱにいわゆる
情報通信分野のメーカーというようなことで見てまいりますと、二兆五百億円強ということでございます。これに対して、
NTTの
研究開発経費というのは二千八百五十五億円ということでございますので、
情報通信分野メーカーに対して占める割合というのは、ほぼ一割強というようなところかというふうに存じております。
これをメーカーと
研究者とか
研究開発経費というようなところで少し拾ってみました。同じような
平成六年度ベースでございますが、
NTTは
先ほど申し上げました二千八百五十五億円で、
研究者の数というのは八千五百人程度というふうに数えられます。日本のメーカー、
幾つかの
会社がございます。大きいところから、この際
会社の名前はA、Bというふうに申し上げさせていただきますが、例えば大きな
会社でいきますと、
研究開発経費三千八百億円、
研究者数一万三千人、こういうところでございます。その次ぐらいで、
研究開発経費が二千九百億円、
研究者の数が一万人、こういうようなところでございます。さらに、二千八百億円、
研究者数が一万六千人、こういうような
会社が日本の名立たるメーカーということでつながってまいります。
情報通信の場合、特に近年そうでございますが、
研究開発経費と
研究者というのはメーカーに負うところが非常に大きいというふうに思っております。それはアメリカの、来年一月に三つにアンバンドルすると言っておるATTを見ましても、大半の
研究者はルーセント・テクノロジーという、いわゆる製造部門を持った
会社に行くということから見ても明快ではなかろうかというふうに存じております。
さらに、
平成六年度におきます基礎
研究費というのがどうなっているかということでございますが、
情報通信分野のメーカーを見てまいりますと、大体基礎
研究費としては七百億円程度というふうに統計上拾うことができます。
NTTは九十億円弱ということで、
情報通信分野の基礎
研究費というのは一割強というようなところでございます。
私
ども、いわゆる
マルチメディア時代を迎えまして、これからの技術革新、大変重要だというふうに思っております。特に、
先ほどから
お話が出ておりますとおりに、アメリカの動向等々を見てまいりますと、例えばマイクロソフトあるいはゼネラルマジックといったような
ベンチャー企業が成長してくる。この企業の動きというのを見てまいりますと、もちろん国家プロジェクトのこともございますが、競争とやはり連携というようなことをやりながら、
マルチメディアの技術革新を積み上げていっているというふうに見えるわけであります。
そういった
意味でも、私
どもとしましては、より一層、
研究開発能力が
向上するという観点からは、人材の育成あるいは産官学の連携強化、そして基礎的、先端的技術
開発に対する国の積極的な取り組み、こういったものをあわせまして、多元的な競争軸で機動的な連携によってダイナミックな競争を促進することが重要というふうに考えておりまして、そのような政策展開を図ってまいりたいというふうに存じております。