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1996-05-15 第136回国会 衆議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年五月十五日(水曜日)     午後一時一分開議 出席委員   委員長 中川 昭一君    理事 斉藤斗志二君 理事 中谷  元君    理事 古屋 圭司君 理事 遠藤 乙彦君    理事 河村たかし君 理事 高木 陽介君    理事 山崎  泉君 理事 小沢 鋭仁君       荒井 広幸君    遠藤 利明君       川崎 二郎君    岸本 光造君       自見庄三郎君    野田 聖子君       野中 広務君    福永 信彦君       宮崎 茂一君    安倍 基雄君       遠藤 和良君    神崎 武法君       北橋 健治君    古賀 一成君       高橋 一郎君    日笠 勝之君       冬柴 鐵三君    大出  俊君       田中 昭一君    横光 克彦君       矢島 恒夫君    吉岡 賢治君       佐藤謙一郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 日野 市朗君  出席政府委員         郵政大臣官房長 谷  公士君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省通信政策         局長      山口 憲美君         郵政省電気通信         局長     五十嵐三津雄君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君  委員外出席者         郵政大臣官房財         務部長     寺西 英機君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ――――――――――――― 委員の異動 四月五日  辞任         補欠選任   古賀 一成君     小坂 憲次君 同日  辞任         補欠選任   小坂 憲次君     古賀 一成君 同月九日  辞任         補欠選任   荒井 広幸君     高村 正彦君   岸本 光造君     武藤 嘉文君   田中 昭一君     石橋 大吉君 同日  辞任         補欠選任   高村 正彦君     荒井 広幸君   武藤 嘉文君     岸本 光造君   石橋 大吉君     田中 昭一君 同月十一日  辞任         補欠選任   北橋 健治君     山岡 賢次君 同日  辞任         補欠選任   山岡 賢次君     北橋 健治君 同月十七日  辞任         補欠選任   日笠 勝之君     森本 晃司君 同日  辞任         補欠選任   森本 晃司君     日笠 勝之君 同月二十六日  辞任         補欠選任   荒井 広幸君     衛藤征士郎君   岸本 光造君     越智 伊平君   自見庄三郎君     相沢 英之君   田中 昭一君     関山 信之君 同日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     自見庄三郎君   衛藤征士郎君     荒井 広幸君   越智 伊平君     岸本 光造君   関山 信之君     田中 昭一君 五月八日  辞任         補欠選任   北橋 健治君     実川 幸夫君 同日  辞任         補欠選任   実川 幸夫君     北橋 健治君 同月十四日  辞任         補欠選任   荒井 広幸君     村田敬次郎君   岸本 光造君     平泉  渉君   自見庄三郎君     森  喜朗君   北橋 健治君     新井 将敬君   田中 昭一君     左近 正男君 同日  辞任         補欠選任   平泉  渉君     岸本 光造君   村田敬次郎君     荒井 広幸君   森  喜朗君     自見庄三郎君   新井 将敬君     北橋 健治君   左近 正男君     田中 昭一君 同月十五日  辞任         補欠選任   川崎 二郎君     福永 信彦君   佐藤 剛男君     遠藤 利明君   北橋 健治君     安倍 基雄君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 利明君     佐藤 剛男君   福永 信彦君     川崎 二郎君   安倍 基雄君     北橋 健治君     ――――――――――――― 四月十八日  電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第六七号)  通信放送機構法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八二号) 同月十二日  テレビ字幕放送拡充に関する請願矢島恒  夫君紹介)(第一八四五号) 同月十六日  テレビ字幕放送拡充に関する請願佐藤謙  一郎紹介)(第一九六六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十二日  NTT分離分割反対等に関する陳情書外二件  (第二〇七号)  電気通信格差是正事業拡充と強化に関する陳  情書  (第二〇八号  )  高度情報化社会早期実現に向けた国の施策推  進に関する陳情書  (第二〇九号) 同月二十六日  日本電信電話株式会社あり方に関する陳情書  外一件  (第二五一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第六七号)  通信放送機構法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八二号)      ――――◇―――――
  2. 中川昭一

    中川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案及び内閣提出通信放送機構法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  順次趣旨説明を聴取いたします。日野郵政大臣。     —————————————  電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する   法律案  通信放送機構法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 日野市朗

    日野国務大臣 初めに、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、電気通信による情報の流通の円滑化のための基盤充実を図るため、信頼性向上施設有線テレビジョン放送業に係る施設を加えるとともに、高度通信施設整備事業または高度有線テレビジョン放送施設整備事業実施する者に対する通信放送機構助成金交付業務対象施設範囲拡大する等の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案概要について申し上げます。  第一に、信頼性向上施設有線テレビジョン放送業に係る施設を加えることとしております。  第二に、高度通信施設整備事業または高度有線テレビジョン放送施設整備事業実施に必要な資金借り入れに係る利子の支払いに必要な資金に充てるための助成金交付業務対象施設範囲拡大することとしております。  その他、所要規定整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  次に、通信放送機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、高度通信放送研究開発の一層の推進を図るため、通信放送機構業務高度通信放送研究開発に係る債務保証業務を追加するとともに、同機構が行う高度通信放送研究開発委託により実施することができるようにする等の措置を講ずるものであります。  次に、この法律案概要について申し上げます。  第一に、通信放送機構業務高度通信放送研究開発を行う者が当該高度通信放送研究開発実施に必要な資金を調達するために発行する社債及び当該資金借り入れに係る債務保証を行う業務を追加し、当該業務に関する信用基金を設けることとしております。  第二に、通信放送機構郵政大臣の認可を受けて定める基準に従って、高度通信放送研究開発実施業務の一部を委託することができることとしております。  第三に、通信放送機構業務債務保証業務が追加されることに伴い、金融機関への業務委託等について所要規定を設けることとしております。  第四に、通信放送機構経理関係規定等につき、所要整備を行うこととしております。  その他、所要規定整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が、これら二法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 中川昭一

    中川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 中川昭一

    中川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田聖子君。
  6. 野田聖子

    野田(聖)委員 自由民主党の野田聖子でございます。逓信委員会に入りましてから初めての質問をさせていただくことになります。どうかよろしくお願いいたします。  まず初めに、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案及び通信放送機構法の一部を改正する法律案、両案について一括質問させていただきます。  まず、このたびの改正目的を簡単に大臣の方からお答えいただきたいと思います。
  7. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 今回法律改正を行いたいという目的でございますけれども高度情報通信社会構築ということが私どもに課せられた大きな課題だというふうに思っておりまして、平成六年の電気通信審議会からの答申、それから平成七年に出ました高度情報通信社会推進本部からの基本方針、こういったものに即して私ども施策を進めていきたいというふうに考えております。  特にこの中では、二〇一〇年までに光ファイバー網整備しようというふうなことが具体的な施策として盛られているということでございまして、こういったことに端的に示されますように、必要な情報通信基盤整備を進めていくということ、それから、そのためにはこれを支える情報通信分野研究開発を進めていく必要があるというふうなことで、今回法律改正をお願いしているというふうなことでございます。  電気通信基盤充実臨時措置法につきましては、具体的な内容といたしましては、CATVにつきましてシステムの信頼性向上を図るための支援措置を講ずるというふうなことが一つ。それからもう一つは、光ファイバー網整備を行う際の利子助成制度がございますが、この対象施設範囲拡大をするというふうな改善を図りまして、各家庭までの光化を目指して総合的な支援策を講じていこうというのが一つでございます。  それからもう一つ機構法改正関係についてでございますが、これは、研究開発につきましては、いろいろな民間皆さん方あるいは国の研究所あるいは機構というふうなところでやっておりますけれども機構が行っております研究につきまして、研究そのもの機構のやるべき仕事でございますけれども、どうも研究を効率的に進めるということになりますと、民間あるいは大学等が持っている施設を活用させていただくとか、あるいは研究者をその場で研究の方に当たっていただくとかというふうなことが非常に効率性がいい研究開発ができるというふうに考えまして、そういった部分につきましては、民間とか大学研究所等委託をして研究をしていただく道を開こうというのが一つでございます。  それからもう一つは、こういった分野につきましてどんどんベンチャーとして育っていただくということが必要でございますので、このベンチャー、起業、業を起こすというふうなことを支援する措置としまして、いわゆる銀行等から融資をお受けになる際に、必要な場合にあるいは条件に合っている場合には債務保証というふうなものをすることによってそういった支援ができればというふうなことでございます。  いずれにいたしましても、そういったことを目的にして実施をさせていただこうということでございます。
  8. 野田聖子

    野田(聖)委員 大変壮大なテーマというかお答えをいただきましたけれども、実は従前、「今回の法改正の背景」というものを郵政省通信政策局の方からいただきました。それを見ますと、「わが国においては、一極集中高齢化進展国際摩擦激化に加えて、バブル崩壊後はさらに株安、景気の低迷、国際競争力の低下などが生じており、これらの諸課題を解決するためには、経済フロンティア拡大、ゆとりある豊かな国民生活実現等を可能とする高度情報通信社会構築が不可欠である。」と示しておられます。  ただ、私は、まだこの日本語がきちんと読み取れないというか、なぜ高度情報通信社会国際摩擦激化が結びつくのか、バブル崩壊となぜ結びつくのか、または高齢化進展とこれらがどう結びつくかというのがなかなか国民にはわかりづらいことだと思うので、できれば具体的に、国民生活においては例えばこういうメリットが生まれてきます、生じてきますというような例示を幾つか挙げていただければありがたいのですが、お願いいたします。
  9. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 この高度情報通信社会というふうなものが到来いたしますと、よく言われているのは三つでございまして、一つは、いわゆる情報通信産業というものがリーディング産業に成長してくるということで、大きな国の支えになる分野になるだろうということ、それからこの情報通信基盤整備が進みますと、その上にいろいろなあらゆる産業が従来と違った形での事業展開が開かれるようになるというふうなことが言われております。  これはいわばインダストリーにかかわる部分でございますが、あわせて国民生活にかかわる部分では、一極集中の問題でありますとか、あるいは環境の問題でありますとか、高齢化の問題とか、そういういろいろな今二十世紀が抱えている問題がございますが、こういったことにも、アプリケーションというものをうまく生み出すと、これを解決する手だてになるんじゃないかというふうなことが言われているわけでございます。  例えば、私ども労働省さんと一緒に今力を入れて、私は国民運動にもしていきたいななんと思ってやっているんですけれども、テレワークというふうなものがございます。こういうものが機能いたしますと、毎日毎日会社に行方なくても自分の住所の近くのオフィスで今までと同じような仕事ができる。現実にこれを企業でやっておられまして、随分、通勤時間が片道で七十分も平均で減ったというふうな会社もございますが、そういった形で交通を代替することができる。あるいはこれが地方で展開されますと、国土の全体的な、平均的な均衡ある発展というふうなことにもつながってくるというふうなことがございます。  それから、よく最近言われておりますのは、遠隔医療というふうなことが言われております。この遠隔医療というふうなことになりますと、これはもう効用というのは、高齢化の問題につきましても言われますし、医療あり方そのものについてもかかわってまいりますし、大変国民生活に深いかかわりがあるものであろうと思います。  それからまた、使いやすい、どなたでもこれからはこの情報通信にアクセスできるようにという考え方から、非常に使いやすい端末、例えばある画面をぽっと見たときに、自分の焦点とコンピューターの方と目と目が合うと、そこの合ったところの文字がぽっとそこだけ大きくなるとか、そういう例がたくさんございますけれども、そういった機器の開発というふうなことを通じまして、どなたでもこういう情報のものにアクセスできるようにという、そういう意味でも非常に大きな問題、いいものができるんじゃないかというふうに思っております。  そういった意味で、その基盤をなすのは、何といっても研究開発でございます。したがいまして、そういったものを実現していく。しかも、その研究開発も直ちにその成果がぱっと成果だと、応用がつながるものと、それよりもはるかに先の長い、基礎的な研究開発もやっておかなきゃいけないという問題があるものですから、国が今回やるどちらかというと基礎的な部分につきまして、民間のお力もかりられるようにというふうなことで施策をさせていただいたということでございます。  ちょっと長くなりまして、恐縮でございます。
  10. 楠田修司

    楠田政府委員 電気通信基盤充実臨時措置法改正の方では、二つございますが、一つ信頼性向上施設整備事業へのCATVの追加というものがございます。  これが国民生活にどのようなメリットがあるかということを考えますと、CATV、最近都市型CATV中心に非常に増加しておりまして、恐らく将来、非常に重要な通信あるいは情報基盤になるだろうと思っております。そのためには、CATVもその信頼性向上というのが必要でございまして、それによりまして安定的なサービスができる、こういうふうに考えるわけでございます。  ちょっと具体的に申し上げますと、例えば地震等の災害によりましてCATVケーブルが切断する、あるいは商用電力の停止が生じますとサービスができなくなる、こういうときのために回線の切りかえ装置というものとかあるいは非常用電源装置というものが必要になるわけでありますが、これの整備率というのがまだ非常に低うございまして、こういうものを整備するために、今回の法律改正によりまして、債務保証といいますか、そういうことをやる装置をつくりまして促進しょう。ひいては、それによりまして加入者に安定したサービスが提供できるのが最大のメリットかと思っております。  以上でございます。
  11. 野田聖子

    野田(聖)委員 どうもありがとうございました。  高度情報通信社会マルチメディアともよく言われるのですけれども、どうも若い人にはどんどん浸透しているけれども高齢者の方がそれがあることでどういい生活ができるかというのは、なかなかわかりづらい面があるとは思います。  そんな中で、実は既に私たち国民の間では、マルチメディアというものにもうすっぽり生活自体が浸っているのじゃないかという思いがあります。なぜならば、テレビコマーシャルを見ていても、盛んに、パソコン一家に一台、一人に一台ということが、ここ一、二年のことですけれども非常に言われておりまして、私もそのコマーシャルにのっとって、一人に一台ということで自分自身も買って、もう既に操作を始めているところなんです。  それをやり始めますといろいろなことがわかってくる。例えば、買い物なんかもパソコンを通じて、通信を通じて何でも買うことができるということも知りましたし、逆に言えば、もう既に国の施策を進めている以前に、私たち民間人というか、国民の方がそういうノウハウを広く若い世代を中心に熟知している。逆に国民の方が、早く、例えば通信が遅いとか、そういうことに対して国にこたえてほしいという思いの方が強いのじゃないか。  そんな中で、ここで改正されることになるのですが、ただせっかく、電気通信基盤充実臨時措置法改正していろいろまたメリットがふえるけれども、実際今までの段階で、この法律があったとしても全く関係ない部分、例えば先ほどCATVお話が出ましたけれども、そういう事業者や他のいわゆる民間業者が実際に光ファイバーをこれまでに整備するに当たっては、例えばNTTとか電力会社電柱なんかを借りる手続をしなきゃいけない。それに電力会社だと三カ月ぐらい待たされたり、NTTだと電柱の数が少ないのかどうかわからないのですけれども、倍の六カ月ぐらい待たされるのが当たり前の現実であるほか、また今後の問題としても、道路占用、いわゆる地中埋設光ファイバーなんかを進めていく場合には、道路責任者というか管理者というのは地方自治体であったり建設省そのものであったりするわけなんです。こういう実は実務の面で、実態面で障害が今日の光ファイバーを取り囲む環境の中にあるとするならば、この法律ができたからといって手放しては喜べないと思います。これに対して、郵政省というのはそういう現実の問題に対してどういう対応をしていかなければならないと お考えでしょうか。
  12. 楠田修司

    楠田政府委員 CATV事業者が例えば光ファイバー網ケーブルを敷設する場合、先生御指摘のように、電柱の共架の承諾というのが一つ要ります。それから道路占用許可という手続が必要でございます。現在、これらの手続におきましては、電柱共架に関しましては、申請から承諾まで一カ月から三カ月程度かかっております。施設が非常に大規模となる場合は三カ月を超えることがございますが、一カ月から三カ月程度。それから道路占用に関しましては、申請から許可まで一週間から四週間かかる、こういうような時間を要しているというふうに我々としては認識しております。  郵政省としましては、このCATVの円滑な事業化につきましては、これらの手続の一層の簡素化あるいは迅速化が不可欠であるということを認識しておりまして、関係機関に対しまして、電柱共架承諾あるいは道路占用許可の各手続の一層の簡素化というものを要請してきておるところでございます。  ちょっと具体的に申し上げますと、道路占用許可ですと、従来から建設省にいろいろと機会をとらえて要望しておりまして、平成七年の十月には、道路占用のこれは占用料でございますが、占用料が大幅に軽減された経緯がございます。それから占用期間も三年から五年に延ばすとか、幾つかの改善策実施していただいております。  それから、電柱の共架、これは電力会社とか電気通信会社、まあNTTにお願いするわけですが、共架料の低減と簡素化を要請しております。共架料は下がってはおりませんけれども、ずっと前から、例えば昭和六十三年から共架料が上がっていない、物価等は上がっても上がっていないということをやっております。それから、非常に大規模な共架申請があった場合には、ほかの営業所から応援していただいて、その処理をNTT等でやっていただくというようなこともやっております。  いずれにしましても、この光ファイバーなりケーブルを引く場合の道路占用許可あるいは添架という、共架という問題は非常に大きな問題でありますので、今後とも、一生懸命頑張って要望していきたいというふうに考えておるところでございます。
  13. 野田聖子

    野田(聖)委員 大変御苦労されているような感じがいたします。  実は、こういう問題も含めて、今建設省という話が出ましたけれども、このマルチメディア社会に対して、これは国を挙げての取り組みということになります。つまり、郵政省だけでは事は進んでいかない、建設省とか通産省とか、高齢化の問題であれば厚生省、先ほどお話があった労働省、もうすべての省庁が一体となって取り組んでいかなければいけない問題ということで、平成七年には、高度情報通信社会推進本部という大変御立派な、本部長内閣総理大臣という、そういう本部があるわけです。ですから、こういう問題というのは、その本部が機能していさえすれば今私が質問するまでもないことで、やはりそういう省庁間の横の連絡、本当にマルチメディアをみんなでやっていこうという気持ちで、郵政省の方が先頭になってそういう方たちとやっていただかなければ困ると思うのですが、いま一度、他省庁との連携というのはどのように行われているのか教えてください。
  14. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 お話しいただきましたように、この問題は、全省庁が一丸となって取り組むべき政策課題だというのは、全く私どももそういうふうに思って対応しております。それから、そのために具体的な場として高度情報通信社会推進本部というものが設けられて、これが私どもは機能しているというふうに思っております。  ちょっと具体的な例でお話をさせていただきますと、昨年の二月でございますけれども、政府全体の方針といたしまして、政府として取り組むべき政策課題を明確にいたしたところでございます。さらに、昨年の八月に、関係省庁が連携をいたしまして、行政の分野、それから教育の分野医療分野、防災の分野というふうな形で分野を分けまして、その分野にかかわる省庁はどこがあるだろうかというふうなことを全部施策を点検いたしまして、その省庁の中で、取りまとめをする、中心になって事を進める役所というのを決めまして、そして全体として整合を持って進むようにというふうなことをやっております。  例えば、教育とか文化とかスポーツの分野情報化をどう進めるかということになりますと、文部省、郵政省、通産省、自治省、科学技術庁、外務省、農林水産省、建設省関係している、こういうことでございまして、まことに幅広く関係しているということになるのかもしれませんが、これはひとつ文部省さんで全体を取り仕切ってくださいというふうなことで、文部省さんが全部をおつくりになっている、各省庁からの協力を得てつくっているというふうな形になって、そういった形での、ばらばらにということがないようにというふうなことではかなり施策が行われているなと思います。  それから、今、この推進本部の中に制度見直し作業部会というふうなものが設けられておりまして、そこでは、課題を、焦点を絞ってやろうということで、書類の電子データによる保存、これは、民間会社で紙で保存ではなくて電子データで保存してよろしゅうございますというふうなこと、それから、役所への申告とかあるいは申請手続を電子化する、紙から電子化してもよろしゅうございますというふうなことをいこうではないかということで検討しておりますが、これも、そういうことをよしとするのは個々の役所の所管でございます。それぞれの電子申請を認めるかどうかというのは個々の役所の問題でございますが、この作業部会を通じまして、全省庁申請や電子保存というふうなものを認める方向でいくように、同一歩調でいこうじゃないかというふうなことでプッシュをしておりまして、それもかなり各省が前向きに同じような意識で取り組むというふうになってきておりまして、この推進本部というのも非常にうまく機能し出しているのではないかというふうに思っている次第でございます。
  15. 野田聖子

    野田(聖)委員 推進本部の役割がよくわかりました。  国民の多くは、だれ一人として光ファイバー網整備に反対しているわけではありません。むしろ、民間サイドの方がこれを早くやってほしいという要望や願いがあるわけです。そこで、郵政省が一生懸命やろうとこういう法律改正してまでやってくれたとしても、現実の問題で他省庁との弊害があるとするならば、やはりぜひともその推進本部で、そういうものに対しての議論、またはそういうリンケージをつくっていただきたいと、心からお願い申し上げます。  続いて質問させていただきますけれども、実は私、この法律二法、大変題名が難しいというか、最初何のことかなと悩むような法律案ですが、極めて新しい法律平成になってからできていると承りました。ところが、不思議なことに何度も何度も改正が行われている。これは、一つには、人間がつくったものですから、できた法律を変えていくのは当然の義務ですし、それは構わないのですけれども、ただ、二、三腑に落ちない点があるわけです。  例えば、通信放送機構法の一部を改正する法律案の方におきましては、平成四年の改正ですか、平成四年の時点で、なぜその改正に当たって研究開発委託が盛り込まれなかったのかなという疑問が残ります。なぜならば、おっしゃっている中身というか、なぜ変えなければいけないかというのは、産学官の連携が必要であるからというようなことが言われておるわけですけれども、この産学官という言葉は、一、二年前にでき上がった言葉ではなくて、私が知る限りではもう十年以上前からその言葉自体はあって、普及しているはずで、今さら産学官の連携が必要だというのは何となく脇に落ちないという改正。もう既にでき上がったときからそれは考えられたことではないの か、他の民間とか大学への研究委託ということについてはもう既に法律ができる段階で考えられてもおかしくないのに、なぜ今ごろという疑問があります。  同様に、通信基盤充実臨時措置法の方においては、平成五年の時点でもう既に改正があって、災害時の不測の事態により電気通信システムに障害が生じた場合の社会の甚大な影響を考慮して、これに対応するためにというような改正が行われているわけでございます。にもかかわらず、そのときにはCATVが入っていなかった。でも、もう既に平成五年の時点では、CATVというのは広く国民の中に普及されているものであって、これは、ただ見落としたのか、それともそのときには関心がなかったのか、そこは定かではありませんが、私が危惧するのは、法律改正は別に悪いことではないけれども、どうもこの法律自体が後手後手に回っているのじゃないか、そこら辺の懸念があることと、今後はどういうふうにこの法律に取り組んでいかれるのか、また毎年ぐらいに改正改正で、ちょこっとずつ何かが出てくるのか、そういうことをお尋ねしたいと思います。
  16. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 研究開発についてのいろいろな手だてを講ずるのがどうも遅いのじゃないかとか、あるいは、もう少し前広に方法を考えておいたらどうかというふうなお話でございます。  実は、今お話にございましたように、通信放送機構に初めて研究開発仕事を始めさせた、始めさせたという言葉が適当かどうかわかりませんが、そういうふうな形になったわけでございますが、実はこれは、やってみますと、やはりいろいろなこういう方法がいいなというのが出てくるものですから、あらかじめつくっておくというのも先生のお話のとおり一つの方法かとも思いますが、やってみて、さらにこういうふうにやるともっといいなというふうな形で、着実に一歩一歩進めさせていただくというのもまた一つの方法かなというふうにも思っておりまして、実は今回は、そういったことで、業務、今までのみずからやっていたということじゃなくて、民間皆さん方の方にそういった能力があるのなら、自分のところからさらに民間の方の皆さんにやっていただくというふうな、そういうところまで手を伸ばそうと。そういうことをやる研究課題というのがもう出てきた、自分のところでやるよりも民間皆さん方にやっていただいた方がいいと。  例えば、今回考えておりますのは、一万キロを無中継で送るような光ファイバー網開発というようなことを考えているのですが、そうしますと、光ファイバー網を製造するということが出てくる。そうすると、その製造工程というようなものは、これは民間会社のものを使わせていただいた方がずっと安いわけですね。我々がこれを設けるというのは大変なことです。それからまた、そういうものをつくる際には、特別な技能を持った方が必要だというふうなことになります。  そういったことで、研究テーマというのは、だんだん拡充内容を考えていくと、どうも新しい方法を考えていく必要があるのではないかなというふうな形で、私どもといたしましては、着実に一歩一歩内容充実を図っていきたいというふうに考えて、今回措置させていただいておるということでございます。
  17. 楠田修司

    楠田政府委員 CATVにおきましても、もっと前から信頼性向上施設に入れるべきではなかったかという御指摘は、もっともな点はございます。  しかしながら、CATVは、特に都市型CATVというのは最近非常に脚光を浴びてまいりまして、その伸び率も二〇%−三〇%という伸び率で、現在はもう二百六十万を超えるような数字になっております。かつ、この都市型CATVの場合は、フルサービスと称しまして、一方的にテレビの番組を見るだけでなく、例えば電話とか電気通信に使えるようになってまいりました。そうしますと、このシステムそのものが非常に重要性を増してきたということが言えようかと思います。  そういうこともありまして、今回、信頼性向上施設の中に入れたという点を申し上げたいと思います。
  18. 野田聖子

    野田(聖)委員 ありがとうございました。  確かに、少しずつ膨らませていくというのも一つの考え方だと思います。ただ、私の至らない知能をもっても、産学官というのは最初から考えられるような一つの方策ではないかなとまだ疑問が残っております。むしろ、いろいろな人に聞きますと、今財政が非常に厳しくて予算がなかなかつけづらい中で、小さな子供を大きく育てるというような考え方もやはり一つのやり方かもしれませんけれども、今マルチメディアというのが日本の国にとって今後の産業形態として大きく期待されるものであれば、思い切ってそういうことに大ぶろしきで取り組むというのも一つの前倒しの政策ではないかと私自身は思っておるところでございます。  これで一応、二法についての質問を終わらせていただきまして、最後に、一つだけちょっと別な質問をさせていただきたいと思います。  と申しますのは、私は、逓信委員を拝命させていただきまして、今まで逓信の勉強についてそう深くやっておりませんでした。おかげさまで、地元の郵便局の皆さんと勉強会を開く機会がありまして、その中で、現場の声ということで、いろいろな疑問とか御質問をいただいておるところでございます。  そんな中で、私は、実は党の方で環境部会の副部会長をやっていて、常々、これから日本の国というのはやはり環境というものを考えていかなければいけない。そんな中で、郵政省環境についての取り組みはどんなものかなというお尋ねをしたいと思います。  そこで、具体的な例を申し上げますと、今、書き損じはがきというのがありまして、それを郵便局に持っていくと、お金を払うと新しいのにかえていただくわけですが、承るところによりますと、この枚数は、特定局の一局扱いで大体年間平均二・五万枚書き損じはがきというのが集まるそうなのです。全国でどれだけあれがあるかわからないのですけれども、現在、書き損じの処分というのは現場の郵便局任せということなんです。だから燃やそうと何しようと郵政省の知ったこっちゃないということなのかもしれませんが、地方の皆さんの声からすると、これらの書き損じはがきを処分、つまり燃やしたりせずに、やはり本省一括で引き揚げてもらって、再生紙として再利用していただくのが必要なのではないかという声があるということでございます。これに対して、国というか郵政省の方のお考えをお知らせいただきたいと思います。
  19. 寺西英機

    ○寺西説明員 郵政省といたしましても、環境問題の重要性を踏まえまして、再生紙の利用につきましては積極的に取り組んでいるところでございます。  具体的に言いますと、各種印刷物に再生紙を利用しているほか、郵便はがきにつきましても、平成四年の九月から再生紙を利用しております。平成七年度で、はがき全体の二割ぐらいを再生紙のはがきを調達しているところでございます。  しかしながら、先生御指摘のありました、郵便局の窓口で交換された書き損じのはがきでございますけれども、これにつきましては、一つは、再びはがきとして活用されるというのは困りますので、されないような措置を講ずる必要があること。それから、これは大体お客さんの通信文が書かれていることが多いものですから、プライバシーの確保の問題がある。それから、先生、特定局一局当たり二・五万枚とおっしゃいましたけれども、これは我々も確かな数字はございませんけれども、書き損じはがきは全国で大体一億五千万枚ぐらいと推定しております。一局当たりで比べますと、七千枚というふうに我々はとらえているのですけれども、そういう量でございますので、それぞれの郵便局において数カ月ためておきまして、それを裁断とか焼却をするというふうにしております。  ただ、先生から御指摘もありましたけれども、 そういうのを集めまして再生できないかどうかということにつきましては、先ほど申しましたような防犯措置の問題あるいはプライバシーの問題なども含めまして、要するに、ある程度、一定ロット集まらないと再生というのはそれなりの効果がないものですから、郵政局なりあるいは本省に集めるというときのその回収コスト、そういうものも検討しまして、今後、書き損じはがきを再度はがきに再生できるかどうかとか、あるいは、そうでなくて段ボール等に使えるかどうかということについては検討してまいりたいというふうに考えております。
  20. 野田聖子

    野田(聖)委員 ありがとうございました。  郵政省の方御存じないかもしれませんけれども、通産省の方では容器包装リサイクル法というのがもう既に制定されていて、これから国民にいわゆる半義務化というか、分別をしていただいて、それぞれの資源をリサイクルさせるというふうに世の中動きつつあるわけです。  やはりそういう中で、書き損じはがきだけは燃やしてもいいというわけにもまいりませんし、そしてまたリサイクルというのは基本的にコストがかかるものです。それをやはり国民に周知徹底していただいて、コストがかかってもやらなければならないというふうに御理解いただければありがたいと思います。  以上で質問を終わります。
  21. 中川昭一

  22. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 日野郵政大臣には、慌ただしい日程の中の海外御出張、まことに御苦労さまでございました。  私、一時間の時間をちょうだいしておりますものですから、法案の審議に入る前に、特に情報通信分野における研究開発あり方等について、若干の質疑をさせていただきたいと思っております。  昨年の十一月だと思いますが、科学技術基本法が成立いたしまして、その法律にのっとりまして、昨日ですか、科学技術白書が閣議決定されまして、国会に提出されております。この白書、私も拝見したのですけれども、現在の日本の国の研究開発あり方について、いろいろな分析がありますし、いろいろな認識を示しているわけでございます。  この白書につきまして、まず、情報通信を担当する大臣としての所見をお伺いしたいと思います。
  23. 日野市朗

    日野国務大臣 おかげさまで、無事南アフリカから帰ってまいりました。いろいろ御心配をいただいてありがとうございます。  科学技術白書が出されたわけでございますが、情報通信の技術というのは、まず新産業を創出をしていく、それから経済活動の効率化をしていく、こういうことに大きく寄与しているものでございまして、また、ゆとりと活力ある豊かな社会構築するという観点からも、これは不可欠なものでございます。  急速に技術革新が進展する通信技術の分野では、研究開発を積極的に推進していくことが重要であるというふうに思っております。白書においても、情報通信技術を初めとする科学技術の発達が経済のフロンティアの拡大をもたらすものという指摘がなされているようでございます。私も本当に、この点については全くこの白書と同意見でございます。  また、白書では、科学技術全般の課題として、研究開発に没頭できる環境、これを整備しなければいかぬということも指摘しておられますね。それから、人材の確保ということも指摘しておられるわけでございますが、情報通信分野研究開発についてもこのような研究環境をきちんと整備をしていくこと、それから人材を確保をしていくこと、これは非常に大きな課題でございまして、私もこの科学技術白書の指摘しておられること、これは情報通信の担当者といたしましても、非常に共鳴するものでございます。
  24. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 特に、この科学技術白書の副題として言っているんですが、「研究活動のフロントランナーをめざして」という認識を示していますね。今まで日本はどちらかというとセカンドランナーであって、既に研究開発で進んでいるところがあって、それにどう追いつくかという話だったんですが、今はフロントランナーの中に入った。その中で、やはり創造的な研究活動をしていかなければいけない。そうすると、やはりどうしても基礎研究という分野に対して積極的な取り組みをしていかなければいけないという認識があるんですね。  この研究開発の水準というものを欧米諸国と比較いたしますと、特に我が国においては基礎研究が立ちおくれている。したがいまして、公募方式等によりまして、新たな制度をつくって研究開発推進しなければならない。こういうことをもとに平成八年度では予算総額三百二十億円の新たな基礎研究推進制度をつくった、こういうことがこの報告書の中で報告されています。その三百二十億円を各省庁別に分類して表になっているんですが、細かい、どういうふうな項目でということは、またこの報告書の中に書かれておりますから金額だけ申し上げますと、科学技術庁は百五十億円、それから文部省は百十億円、厚生省は十億円、農林水産省は十九億円、通商産業省は二十六・五億円、郵政省は最後に出てきまして四・八億円。  これが郵政省の場合は、通信放送機構でこのたびの制度改正関係があるんですけれども、創造的情報通信技術研究開発推進制度を導入した、こういうふうな形になっているんですが、これは各省横並びで考えますと、郵政省も努力したんでしょうけれども、ちょっと額が、三百二十億円の中で四億八千万円という額についてはどのような認識を持っていらっしゃいますか。
  25. 日野市朗

    日野国務大臣 先生御指摘のように、我が国の研究開発でございますが、基礎的な研究がおくれている、おくれているということをよく申します。これは外国からも、こっちの、外国の方でやった研究成果をうまく利用ばかりしているというふうな日本に対する評価が寄せられたりなんかしているわけで、基礎研究推進ということをきちんとやっていく、そのためにはその研究もテーマを設けて、公募をして、そしてどんどん進めるということは、これは非常に方法論としてはすぐれた方法論だろうと私も思っております。  今先生からこの四・八億円、これをどう思うかというお話でございます。私も一概にこれが多いか少ないかということになりますと、まあ制度ができてすぐでありますからこんなものかなという感じもいたしますが、少なくとも多いとは言えないことだけはこれは間違いないというふうに思っております。これからいろいろ頑張ろうと思います。
  26. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 前回の質問のときにも、郵政省全体の一般会計予算は非常に少ない、六百億円程度でしたか、そういうことでございますから、全体の予算から考えてこの研究開発の予算も努力したかなとは思うんですけれども、他省庁との比較をしてみますと、情報通信分野というものが巨大な産業にこれからなっていかなければいけないという背景から考えますと、若干やはりそういう意味で今後も努力を要するのではないか、こういう認識を私は示しておきたいと思います。  ちょっと具体的な話になるんですけれども国際競争力というか国際的な技術研究レベルでの議論になりますが、情報通信分野における技術貿易、これが大幅な入超になっているということが報告されているんですけれども、この実態について数字を挙げて報告できますか。
  27. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 情報通信分野における技術貿易の実態ということでございますが、これはよく使われておりますのは総務庁による科学技術研究調査報告というのがございます。  これで見ますと、平成五年度でございますが、全産業では三百七十四億円の黒字であるのに対して、情報通信産業分野では五百四十五億円の赤字だというふうなことで、私どもが所管している分野というのは技術を入超、輸入をしている方が 多いというふうな状況でございます。それから、日銀の方の統計もございます。これによりますと、全産業で三千六百七十億円の赤字というふうなことになっておりまして、総務庁の方の数字と若干違っておりますが、これは調査の方法でありますとか調査の対象が違うというふうなことだろうと思います。ただ、いずれにいたしましても、情報通信分野というのは大変な技術依存型になってしまっている、外国依存型になってしまっているということだろうと思います。  これは我が国の技術というのは国際的に見ると大変に競争力が弱いということになるわけでございますが、二つ理由が考えられるというふうに思っております。一つは、開発自体がやはりおくれているという分野が多いんじゃないかというふうに思います。それからもう一つは、技術にプラスして、国際競争力を確保するためには、標準化というものに結びついていかないと競争力がつかないわけであります。やはりそういった面で、我が国の技術が必ずしも標準化して世界の業界が受け入れてくれているというふうな状況になっていない部分が今あるのかなというふうに思っておりまして、研究開発をすることと同時に、特にデファクトと言われているような標準化の分野にもっと目を向けていく必要があるんじゃないかというふうに思っている次第でございます。
  28. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 国際市場におけるシェアがどのぐらい我が国にあるのかという問題とも関連するんですけれども、我が国の研究自体は大変ユニークですばらしいものがあるにしても、それが国際市場において本当に歓迎されるものであるかどうか、あるいは今お話がありました標準化にかなうものであるかどうか。こういうものを考えたものでなければ、ある意味ではひとり相撲のようなものになってしまう心配があるわけですね。  ですから、基礎研究というのはすぐに成果のあらわれにくいものだと思うんですけれども、そうした分野というものをきちっと考えながらいろいろと考えていくということも大切なわけでございますか、国際市場におけるシェアという観点からどういうふうな認識をしていますか。
  29. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 国際市場といいますか、例えば製品が、我が国の技術が反映された製品がどんなふうになっているかというふうなことを見ることも一つの我が国の力をあらわしているものだと思います。私どもが所管させていただいている研究開発そのものが直ちに商品に結びつくというものではありませんけれども、やはり行き着く先にはそういった製品というのがあるわけでございまして、どういう分野が我々の得手か不得手かというふうなことは、そういったところからわかってくるのだろうと思います。  概して言いますと、コンピューターでありますとかLANというふうな、こういったものにつきましては、米国が大きなシェアを占めておりまして、特にアメリカのベンチャー企業が上位の方を占めているというふうなことも見られるということが大きな特徴になっております。  携帯電話あるいは端末機器、半導体メモリー、こういうものについては日本企業が高いシェアを占めているということでございまして、こういったことから集約するというのはちょっとあれですけれども、ハードに強い日本、そしてコンピューターネットワーキングとかソフトウェアに強い米国というふうなことがよく言われているわけでございます。  したがいまして、私どもが心していかなければならないのは、研究開発の中でもアプリケーションでありますとかコンテントとかというソフト系の研究開発というものに我々がおくれを持っているのだということを認識して当たる必要があるだろうというふうに思っております。  それから、標準化につきましても、これを国際市場に結びつけていくためには、先ほども申しましたように大変重要な問題でございますが、これも、ただ単に技術が、技術はすぐれていなければこれはもう全くお話になりませんが、技術がすぐれているだけではなくて、やはり仲間づくりというふうな、国際間のおつき合いをうまくして仲間づくりをしていくということも非常に大切な問題だというふうに思っている次第でございます。
  30. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 特に情報通信分野における政府予算というのが、米国から比べると非常に少ない。欧米から比べると多いという数字もあるのですけれども、科学技術白書を見ますと、これは情報通信に限らずに全分野研究開発の比較をしているのですが、政府負担研究費の対GDP比ですね、その国のGDPに対しての比率ですが、これが先進諸国の中でも日本は最低になっていますね。日本は〇・六一%で、米国は〇・八八%、ドイツが〇・九六%、フランスは一・〇八%、イギリスは〇・七一%というふうになっているのですが、やはり国の経済力に応じた、政府がこういう基礎研究分野にきちっとした予算を組んでいくということを考えていきますと、もう少し政府予算を多くしてもいいのではないか。特に郵政省関係の予算は非常に少ないわけでございまして、こうした諸外国との比較の上においてももう少し努力をすべきではないか、こう思いますが、どうですか。
  31. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 政府の負担する研究開発費というのは、全分野では総研究開発費の二割ということになっておりまして、これもアメリカの約半分の水準だということでございますが、情報通信分野に限って考えてみますと、我が国の政府の負担比率というのは三%というふうなことでございまして、大変小さいということでございます。  郵政省といたしましては、この研究開発費をふやしていくということが非常に大切な課題だ、これはもう先生方からたびたび御指摘を受けている点でございまして、平成八年度の予算では一・七倍にふやさせていただいております。  これは、大変厳しい予算事情の中では我々の努力のできる最大のところでございまして、郵政省全体としては二五%ほどふえたわけですけれども研究開発については一・七倍もふやしていただいた。特に通信放送機構分野、これはどちらかといいますと応用に近い分野研究開発ですが、ここの分野につきまして十倍以上にさせていただいたというふうなことでございます。  私どもは、御指摘の研究開発費、この費用だけふやせば事足りるというものではございませんが、しかし、経費をふやすということは大変な課題だというふうに思っておりまして、現在の八年度では、客観的な条件の中で許される最大のものを私どもは確保したというふうに思っている次第でございます。なお引き続き努力はさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。よろしくまたお力添えを賜りたいと思います。
  32. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 民間の方の研究開発投資も平成四年度以降ずっと減っているのですね。白書の中でもここのところを非常に深刻にとらえていまして、民間研究者研究に没頭できる環境にない、それは一つ研究支援者が少ない、それから設備や施設が老朽化し、陳腐化して研究に間に合わなくなっている、あるいは研究費そのものの不足である、こういうことが分析されておりまして、今後の技術水準の維持向上という観点から見ると大変な懸念材料である、こういうふうに言っているわけです。  この点を補う施策として、今回の、民間のいろいろな研究に対しても助成をしましょう、あるいはベンチャー研究開発にも保証しましょう、こういうふうな法になっていると思うのですけれども、そういう認識は持っていらっしゃるということですね。
  33. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 平成四年度から民間研究開発費についてもその投資額が減少傾向にあるということは私ども把握をしておりまして、大変これは重大な問題だというふうに思っております。そういった意味では、今御指摘のような、私どもとしてできる支援策というものは積極的にとっていかなければいけないというふうに思っておりますが、やはり基本的には、これは民間分野研究開発でございますので、民間の皆様方に積極的 な姿勢をとっていただくということがまず第一だというふうに考えております。  現在のところ、中期、長期的な視点からということで、情報通信技術の研究開発基本計画というのを今つくっております。そういったものをお示しすることによりまして、少しでも民間皆さん方研究開発を進める際のよりどころというふうなものが示せればというふうなことを考えておりまして、今、電気通信技術審議会に御審議をお願いして、間もなくお答えをいただけるのではないかというふうに思っている次第でございます。
  34. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それでは、具体的に通信放送機構のことについてお尋ねしますが、この通信放送機構という機構自体のもともとの設立目的というのはどういうものだったのですか。
  35. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 昔、通信放送機構通信・放送衛星機構と言っておりまして、衛星の管理を主としてやるということがこの発端といいますか、そういったことをやっていた組織でございます。
  36. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 その衛星の文字を削って通信放送機構に新しく編成がえをした。そのときに、衛星の管理だけではなくて研究開発に対する出資であるとか、あるいは民間研究開発に対する支援であるとか、そういう業務を追加しているわけですね。  これは郵政省唯一の認可法人ということでございますから、この機構に、そういうふうな郵政省が政策目的を遂行するためにやらなければいけない新たな業務というものを次々に追加していった、この経緯は理解できるのですけれども先ほどお話がありましたように、何度か改正をして新しい業務を少しずつ追加していっているわけでございまして、この通信放送機構にいろいろな、会計勘定は別になっているのですが、もともとあったものに新しくどんどん追加することによって、何か私、言葉が悪いのですが、田舎の旅館が建て増しをして、新築をして、渡り廊下をつけていって、それで何でもかんでもやりますよというふうな仕組みになっているような気分がするのですね。  それで、片や国立通信総合研究所というのがありますね。ここは大変歴史のある総合研究所なんですけれども、この研究所研究の中身というものも、もう少し本当は膨らませて立派なものにつくり直した方がいいのではないかなと。そういう認識からすると、この国立の通信総合研究所も、古い伝統があるのですが、やはり地方都市のビジネスホテルというような感じですね。  この二つを合体して都市型の近代的なホテルにして、ホテルというのはわかりやすい意味で言っているわけですよ、近代的なものにして、そこを一元化して郵政省の行う研究開発中心拠点のようなものにきちっとしていく。そして予算も人員も拡大、増強して、来るべき情報通信社会に適合した研究開発、独自で研究するものもありますし、民間の方とタイアップすることもありますし、支援する面もありますね。あるいは、情報を全部そこで一元的に集めてくる。基礎的な研究も応用の研究も一元的にやっていく。こういうふうに政策判断をするときが来ているのではないかと私は認識するのですが、大臣はそういう見解を持っているかどうか。これは、申しわけないですが、政治的な判断もあると思いますものですから、高い視点から見解を述べてください。
  37. 日野市朗

    日野国務大臣 通信放送機構、これは先ほど局長お話ししましたように、衛星から始まっているわけですね。唯一の認可法人ということから、郵政省としてはいろいろな仕事をここにやらせてこざるを得なかったということがございました。そしてまた、行政改革で新しい認可法人などというのがなかなかできないというような事情等もございまして、通信放送機構はそうやってずっと仕事をしてきたわけでございます。そうやっていくと、今度は、通信放送機構そのものも、その新しいものを包含した一つのシステム、こういうことになってくるわけでございますね。  機構面からいいますと、まず通信放送機構というのは、基礎研究から応用への橋渡しを行うということ、それから技術水準の著しい向上をもたらす通信・放送技術の研究開発で、民間では研究開発のインセンティブが働きにくい、そして実施が期待されない研究開発について、期間を限定するということとか、広く人材を集めるという柔軟な体制で実施をする、仕事をするということになってきているわけでございます。  一方、通信総合研究所でございますけれども、これは国の研究機関でございます。そして、最初から成果を見通すことがなかなか困難だ、リスクが高い、しかしこれはやらなければいかぬというような基礎的な研究、先端的な研究をやってきておるわけでございまして、利益に結びつかないけれども公共性の高い研究開発等を実施しているということで、この二つの機構、システムの間でこれを今すぐに結びつけて一つにするということは、かえって二つの、通信総合研究所通信放送機構のよさを減殺してしまうという可能性の方がむしろ高いのではないかなというふうに私は今のところ考えているわけでございます。  現実に、国立通信総合研究所通信放送機構というものを一体化させるということになりますと、今法案でお願いしているような仕事がスムーズに運べるかどうかということになると、これも疑問なしとしないわけでございまして、ひとつそこらを御理解いただきたいというふうに思っております。
  38. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 一遍に合体するというのはかなり手荒いやり方になると思います。ただ、有機的な連係プレーというものは必要だと思うのですね。ですから、研究開発というものについて相協力し、補完し合う、そういうものはつくっていかなければいけないのではないかと思います。  それから、通信放送機構の方も、余り段差のついた渡り廊下をたくさんつくらないで、すごくすっきりした内部組織にするとかいうふうな機構改革、そういう面はこれからも努力をしていかなければいけない問題ではないか、こういうふうに思いますが、どうですか。
  39. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 機構あり方についていろいろお話がございましたが、確かに業務追加、追加というふうになっていて、どこかの旅館のお話が出たのですけれども、私ども、大きくは三つの分野というふうになっておりまして、それは昔からやっております衛星関係分野、それから研究開発関係分野、それからいわゆる民間事業者等に対する支援分野という三つの分野を持っておりまして、その分野ごとの具体的な施策がその時々に応じて追加になっていくということでございまして、私どもとしてはかなり秩序ある形で進んでいるなというふうに考えております。  ただ、経緯がございますから、したがって、会計処理の面とかでその都度直さなければいけない。今回もかなり大幅な経理面の改正をお願いしておりますが、そういったものは常に見直してやっていかなければいけないなというふうに思っている次第でございます。  研究開発については、もう大臣から統合の問題についてはお答えをさせていただきましたので、そのとおりでございますので省略させていただきますが、メリットとして、機構機構で、民間皆さん方の協力をいただいたりするというふうな研究開発をやるには、機構の方が小回りがきいて非常にやりやすいというふうなこともございまして、やはり機構の持っているよさというのは、研究開発のようなものについては非常に向いているのじゃないかというふうに考えております。ですから、先ほど大臣お話し申し上げましたように、国立の研究所機構というものがそれぞれにメリットを出してやっていくのが一番いい方法じゃないかというふうに考えている次第でございます。
  40. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 では、具体的な法案の中身について質問をしたいと思います。  最初、通信放送機構法の一部改正案の中身ですけれども、今度の改正の主要な点は二つありますが、一つは、研究開発の外部委託制度を創設す るということなのです。委託先の外部機関、大学とか民間機関ということを言っているのですけれども、具体的にはどういうところを想定しているのか、外部機関の審査というのをどこでやるのか、あるいは委託する研究テーマというものはだれが決めるのか、公募する場合はその選定基準はどこにあるのか、こういう点について、今の時点ではっきりしているものがあれば教えてください。
  41. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 研究開発委託先の外部機関というのはどういうところかということでございますが、端的には、民間の附属の研究所とか大学等を想定しているということでございます。これは、要は、通信放送機構以外の機関で、研究開発をしていく際の施設だとか設備、あるいは先ほど申しましたような特別な技能の専門家がおられるとか、あるいはもちろん研究者がおられるとか、そういった形で、どうもお願いをした方がいいのじゃないかなと思われるようなところがあれば、そこにお願いをしていきたいということでございます。  それから、だれが審査をするのかということでございますが、これにつきましては、機構自身がやるということでございますけれども機構の中に外部の専門家から成る委員会というふうなものも設けなければいけないなと思っておりまして、そういったところでの厳しい審査をお願いしようというふうに考えております。  それから、これは機構の方が主体的にやっていただくということですから、私どもはなるべく差し出がましいことは控えなければいけないと思っておりますが、郵政省の方でも、外部の有識者から成る電気通信先導的研究開発推進委員会というものがありますので、ここの場を使って、機構の方の活動状況というふうなものも見させていただくということにしていきたいと思っている次第でございます。  それから、委託する研究テーマはだれが決めるのかということでございますが、これにつきましても、基本的に通信放送機構が決めるということでございます。初年度でございますので、今回、予算の関係もございまして、テーマを私ども決めさせていただきましたけれども、基本的には機構の方で決めていただくということでございますが、これにつきましても、外部の皆様方のお知恵をいろいろ拝借して機構の方では決めるというふうなことになろうかと思っている次第でございます。  それから、公募をする研究開発でございますが、これにつきましての基準というふうにおっしゃられたかと思いますけれども、これにつきましては、独創性、新規性というふうなものを、私どもあるいは機構の側で気がつかない、そういったものを民間の皆様方の中から発掘するというふうなことが目的でございますので、そういった独創性、新規性というふうなことを重点に置きまして公募をするということでございますが、その採択に当たっては、やはり同じように外部の皆様方から広く意見をお聞きしながら決めていくというふうなことになろうかと思っている次第でございます。
  42. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それから、委託研究はどんな形態で行うのかということです。例えば単独でやるのか共同でやるのか、あるいは、これを機構自身が独自に研究することができるわけですが、機構も一緒になって研究することもあるのかという点。それから、具体的に想定しているテーマ、今回は決めたと言っていましたけれども、それでは、そのテーマに従った予算についてどの程度の規模を考えているのかという点を、あわせて。
  43. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 委託をどういう形でやっていくのかということでございますが、これは端的には、テーマによって個別に考えていこうじゃないかというふうなことになってくると思うのです。一つは、単独で機構自身がやろうというのもございますし、それから全体を委託してしまうというのもございますし、それから共同で研究開発していこうというふうなもの、それぞれの形態があろうと思いますか、それはテーマに応じまして、今回こういった形で選択肢が大変広がりましたので、その選択肢に最も合うものを選ばせていただくということになろうかと思います。したがいまして、単独でやる場合も共同でやる場合もあるというふうに考えているということでございます。  それから、今回、予算で予定しておりますのは五つのテーマでございまして、総額十二億円というふうなことでございます。  一、二御紹介させていただきますと、トータル光通信技術の研究開発ということで二億四千万というふうなことになっておりますが、これは先ほど申しましたように、一万キロメートルの長距離でも無中継で大量の情報を送ることができる、そういった超高速の光通信技術の研究開発を行うというふうなことでございます。これは、先ほど申しましたように、民間の設備等を利用させていただくことがどうしても必要な研究開発だということで、委託には非常にいいプロジェクトではないかと思っております。  そのほか、超高速マルチメディア移動体通信技術の研究開発というふうなことで、動画像が携帯テレビ電話で可能になるというふうな研究開発というふうなことを考えている次第でございます。  五つほどございますのですが、ちょっと時間の関係があろうかと思いますので、二つほどで、例示で失礼させていただきます。
  44. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今ちょっとおかしかったのは、機構が単独で研究する場合があるとおっしゃいましたが、それはないでしょう。委託研究ですから、機構は単独であれば委託しなくても勝手にやるわけですから、単独の場合は委託された人が単独でやる、こういう意味ですね。ちょっと訂正してください。
  45. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 大変失礼しました。もちろん自前でやるのもございますが、委託の際に単独で委託をするのもあるということでございます。
  46. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 そうすると、委託研究というのは、機構そのものは、委託するときだけお願いするということで、研究自体は一切一緒にやらない、これは別のものだ、こういう認識ですね。  そうすると、機構みずからが行う研究開発委託する研究開発の予算の配分というものがあると思うのですけれども、これは大体半分ずつとか、どういうふうな配分の仕方にしているのですか。
  47. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 平成八年度予算の場合には、みずからが行うものが十一億七千、それから委託研究開発を行うものは十二億というふうなことになっておりますが、具体的にどういうふうな形で予算を確保していくかというのは、研究開発内容によりまして、機構自身がやった方がいいのか、あるいは委託にした方がいいのかというのは、その年の研究、何をしようじゃないかということによって影響を受けてくるというふうに思っておりまして、予算の方から幾ら、幾らと分けてというふうなことはちょっと考えていないということでございます。
  48. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 予算の配分では考えてないけれども、決算の結果といいますか、結果は大体半分ぐらいになるのが望ましいというふうな見方をしているということですか。
  49. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 私どもとしましては、せっかく制度をつくりましたから、全くゼロではこの制度が生きてない、空振りというのは避けなければいけないかなという気持ちはございますが、やはりこれは研究テーマに即して自由に選択をさせていただくというふうなことがいいのではないかというふうに思っている次第でございます。
  50. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それで、委託研究メリットとして、研究開発した成果、これがやはりそういう委託先、民間の場合は民間大学の場合は大学となるのですけれども、そこに成果の果実である例えば知的所有権とか、そういうものが属するようにしているのかどうか。法律を読んだ状態では、法律の中に何も書いてないものですから、これが、例えば国が半分持ち、その委託先の企業が半分持つというふうにするのか、その取り決めはど ういうふうに考えておるのですか。
  51. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 これは相手方のあるお話ですから、基本的には委託の際の契約で決めるということでございます。  ただ、契約をする際に、私どもは基本的に私どもの側の考え方を持って当たらなければいけません。その際には、やはり今お話ございましたように、フィフティー・フィフティーというような形で持つのかなというふうに思っております。これは、国の資金が入っている研究開発ですから、私どもに全くそういう知的所有権のようなものがないというふうなことは許されませんし、それからまた、そればかりを一〇〇%追求しますと、とてもこんな研究開発をやろうやという意欲が起こってこないというふうなことがありますので、その辺の調和を考えなければいけませんので、いろいろなところのお話を聞いても、五〇、五〇というふうなお話が多いようでございますので、そういうことかなと考えております。  ただ、一番大事なことは、こういうものを第三者の方が利用するその許諾権というふうなものはやはり国のところに持っていないと、それを有効に活用していくということの阻害要因になりますので、そこのところはきちんとしなければいけないのではないかというふうに思っている次第でございます。
  52. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今のところは法律に書いてないだけに、明確にこの審議の中で担保しておかなければいけないと私は思っているんですね。  ですから、最高責任者大臣に重ねて聞きますけれども研究開発成果というものの評価、それからその果実について、きちっと民間にも、例えば知的所有権の半分はあるとか、そういうものをきちっと保障するというものがなければいけないと思うのですね。そうじゃないとこの制度がうまく進展しないのではないかと思いますから、そこを明確に御答弁をお願いしたいと思います。
  53. 日野市朗

    日野国務大臣 こういった知的所有権等の関係につきましては、国といろいろな研究機関などでどういうふうにこれをシェアし合うかということについて、かなり積み上げられた実績というのがあるわけでございますね。例えば原子力研究所であるとか動燃事業団、それから農林省なんかでいえば生研機構ですか、ああいうところなどの研究とそれから民間研究、こういうところでいろいろ積み上げられたものがありまして、ここでは大体五分五分、五〇%五〇%という形でそれをシェアしているというのがずっと今まで積み重ねられてきた事柄であろうというふうに思います。  それで、これは先生も御指摘のように、契約によって成り立つことでございます。その契約についての国としての基準を持つということが必要であると思います。その基準というのは、五〇対五〇という形で今までずっとやられてきているということは申し上げておきたいと思います。
  54. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 どうもありがとうございました。  それでは、次の第二点ですけれども研究開発債務保証制度ですが、これでベンチャー企業を支援するというふうにしているのですが、ベンチャー企業の選定基準あるいは債務保証の一件当たりの規模と、重ねて、制度をつくっても社会一般にPR不足で、よくわかってなくて利用者が少ないということもあるようですが、こうした制度のPRについて、例えば行政機関、そちらの方、金融機関ばかりじゃなくて、行政機関等にもPRした方がいいのではないかと思うのですけれども、そういうふうなPRについてどういうふうに考えているか、お聞きしたいと思います。
  55. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 まず、債務保証制度についての選定基準をどういうふうにするのかというお話でございますが、これは、選定基準といたしましては、研究開発テーマの先端性というものがまず決め手になるわけでございますが、この先端性というふうなものを一つの基準とします。それから同時に、そういうことを言われても、その会社研究開発をやっていくだけの力を持っているか、能力を持っているかというふうな点。それからもう一つは、その会社が財務的に大丈夫かという、こういう点を要件として選定基準に定めるということだろうと考えております。この具体的な詳細につきましては、機構が、さらに今よその類似のもの等も勉強させていただいて詰めているというふうなことでございます。  それから、一件当たりの規模というお話でございましたが、これはどの程度にするかなかなか難しい問題でございますが、いずれにいたしましても、この債務保証というのは、金融機関等から担保がないために資金調達ができない企業というふうなことが頭にございますので、そう大きな額、大きな企業というふうなことを意識しておりませんで、やはり中堅、中小企業というふうなことを考えますと、まあ一件当たりの研究開発のプロジェクトが一億円以下じゃないかということで、その八割を、他のところを参考にして八割を債務保証するということでございます。残りの二〇%は金融機関からということになろうかと思いますが、そうしますと、その二〇%について金融機関の方も信用調査とかというふうなことで真剣におやりになるということになろうかと思いますので、二〇、八〇というぐらいのところで非常に調和がとれるのじゃないかというふうに思っております。  それから、PRの関係でございますが、これは非常に大事なことでございまして、今行政機関もというふうなお話ございましたが、そういったことも含めて、また特に地方の皆様方にこういった情報が行きにくいというふうなことがございますので、地方電気通信監理局というふうなものもございますので、そういったものもフルに活用しまして地方への浸透も図っていきたいと思っております。  それからもう一つ、最近は、インターネットを使ったホームページでやると大変効果が大きいということがわかってまいりました。特に、研究開発に関心を持っておられる方というのはこういうところには非常にアクセスをしておられる方々ですので、この辺も有効なPRの手段かなというふうに思っている次第でございます。
  56. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 確かに、起業家育成という観点からベンチャービジネスを育成していく、そして新しい事業を起こしてもらう。そうすると、雇用の問題から考えても大変大切なわけですが、これは郵政省サイドでやる仕事としては、起業家がまさにスタートアップしようという段階での公的支援制度を拡充するということですね。これは、機構でも今まで助成金とか出資とかあるいは低利融資だとか、今回のように研究開発にまで債務保証しましょうという制度をつくっているのですが、これをさらに拡大をしていくということも大切ですし、それから、日野郵政大臣は与党の税調の座長をされていたと認識しているのですが、例えば一般の金融市場から資金が集められるように、株式市場の規制緩和ですね、こういうことも考えなければいけないことだと思うのですが、起業家育成の仕組みを国としてつくる、これは大蔵省のテリトリーもありますが、そういう観点からあわせて御答弁をいただきたいと思います。
  57. 日野市朗

    日野国務大臣 起業家を育成するということは、非常にこれは難しい問題でございます。  だれでも飛びつくようなことであればこれはベンチャーとはもう既に言えないというような側面もありまして、しかし、できるだけいろいろな人の独創的な発想、そしてその実行力、こういうものはどうしても生かしていかなければならない。特に、我が国の場合なんかですと、今までの従来型の産業、従来型の企業というものがかなり行き詰まりを見せているところでありまして、ここから一つの打開していく突破口を開いていくという、非常に重大な事柄であろうというふうに思います。  でありますから、そうやって、これからやっていくぞという、いいアイデアを持ち、いい実行力を持ち、努力をする人たちに対してスタートアップの段階において資金調達を円滑化していくということは非常に大事なことであろうというふうに 考えております。  ただ、ややもすれば、そういう人たちは担保なんか余りないという場合が多うございまして、そういう人たちにどうやって公的に支援していくかという公の側の支援体制といいますか、そういうものが非常に大事であろうというふうに思っております。  郵政省としては、従来からベンチャー企業の研究開発に対する助成金制度や出資等の措置、これは講じてきたところでございますが、先ほども申し上げましたように、特に情報通信の場合なんかは、リーディング産業として伸びていただかなければ困るわけでありますから、公的支援制度の拡充強化、これは必須のことであろうというふうに考えております。  今回の法改正なんかもそういう観点を十分にらんでいることを御理解いただきたいと思うのですが、これからどうやってそういったベンチャーと言われるところが資金を調達していくかということになりますと、先生もおっしゃったように、株式市場の果たす役割というのは非常に大きいわけでございますね。何といっても株式市場から資金を調達するというのは非常に健全なことでございますし、これはもうかるぞと投資者が思ったときに、そこに株式市場として投資をし、支援をしていくということでございますから、株式市場の役割というのは大きいかと思います。  ただ、何分にも我が国の株式市場、これは閉鎖性が強いという表現よりはむしろ規制が多いと言った方がよろしいかと思いますが、今までの平均を見ますと、起業から店頭公開まで二十九年かかっているのだそうでございますね。こういうところはきちんと、公開基準を緩和をいたしまして、できるだけ創業から短期間で公開できるような活発な、開放的な市場が必要であろうというふうに考えております。  また、研究開発型のベンチャー企業についても、これは最初から黒字になるというのはなかなか考えにくい場合もございます。赤字企業であっても公開が可能というふうにする等の公開基準の緩和、それから店頭特則市場でございますね、これは創設されたわけでございますが、こういった手段を通して円滑に資金調達ができるような手だてを講じていくことが肝要かと考えております。
  58. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 あと時間が七分ぐらいですから、次の、もう一本の法律の方に入りたいと思います。  電気通信基盤充実臨時措置法の方ですけれども信頼性向上施設整備事業支援対象にCATVの地中化ですね、地中化は電線の地中化五カ年計画がありまして、それによりましてCATVの地中化も進むと思われますけれども、地中化されると、これは阪神・淡路大震災の例にも見られますように、非常に信頼性向上すると思われますが、今回この支援対象になってないと思うのですけれども、これは何で外れているのでしょう。
  59. 楠田修司

    楠田政府委員 今回の信頼性向上施設整備事業支援対象は、回線切りかえ装置であるとか電気通信システム遠隔監視設備、あるいは非常用電源設備、非常用無線設備と並びまして洞道というものが入っております。これは電気通信ケーブルを収容して損傷を防止するということで、まあ一種の地中化の仕組みであります。このほかにも共同溝とか管路とかいろいろありますが、今回は洞道として入っておるということでございます。
  60. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 洞道が入っているということは私も認識した上での質問なんですけれども建設省が、キャブシステムについても、軽便な形でのミニキャブ構想だとかいろいろ発表して、電線の地中化を進めましょうという計画を進めているわけです。そうした簡便な形での地中化というものも、地上にあるよりは信頼性向上になることは間違いないわけでございまして、今回の予算編成におきましても、水面下では、そうしたものはすべて対象にすべきだということで財務当局と交渉されたというふうに伺っているのですけれども、これは粘り強く、来年度予算の折にでもきちっと交渉して対象とすべきではないのかな、私はこのように考えておりますが、どういう見解をお持ちでしょうか。
  61. 楠田修司

    楠田政府委員 CATVあるいは電気通信施設光ファイバー等の地中化というのは、その安全性あるいは景観等々のために非常に今必要なものでございます。そのために、先生御指摘のように、現在関係省庁集まりまして第三期の電線類地中化計画というものも進めておりまして、非常に前向きで今進んでおるところであります。残念ながら、CATVの場合は、まだ地中化というのはわずか〇・四%ということで、これを積極的にやるべしというふうに思っております。  このような他の計画とあわせて、我々としてはできるだけCATVも地中化する方向を進めてまいりたいと思いますと同時に、先生御指摘の点につきましても、ぜひ前向きにやっていきたいというふうに思っております。
  62. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 電線が地中化されれば、CATVも同時に地中化して基盤整備しておくというのは賢明なあり方だと思うのですね。そうすると、やはり今回の支援対象に含めるのが自然な形であるし、また、全国のCATV事業者にとっても、CATVという事業がさらに安全なもの、それから地震に対しても非常に耐震性も優れているとか、いろいろな意味支援対象に加わるように努力を要請したい、私たちも努力をしていきたい、こういうふうに思っております。  それから、もう一つの観点でございますが、光ファイバー網整備事業特別融資の対象に光加入者線ネットワーク装置を追加したわけですけれども、このことで今後、先ほどもちょっと話があったのですが、二〇一〇年までに全家庭に光ファイバー網整備する、そういう一つのきっかけにはなるかもわかりませんけれども、問題は、一般家庭への費用負担の問題ですね。  今一般家庭の方が自分の家庭にまで費用負担をした場合は施設設置負担金をいただいているというふうに聞いておるのですが、この新しい事業をし、かつこれからも二〇一〇年までに日本全国の全家庭に光ファイバー網が利用できるように設置する。こういうふうになりますと、一時は光ファイバー網は公共事業であるのではないかという議論もあったぐらいでございますから、一般家庭の皆さんは、今の施設設置負担金はなくなるのではないか、無料で引いていただけるのではないかという認識を持っていると思いますし、今の電話加入回線、これは一時金で七万円少々でしょうか、それも外国の例から見るとこういうものを取っているところは珍しいということも言われております。  この光ファイバー網の全国展開と一般家庭の費用負担のあり方、これについて、今後の方向も含めまして、郵政大臣はどういうふうな見解を持っておりますか。
  63. 日野市朗

    日野国務大臣 先生御指摘の、あれは七万二千円でございますね、これを消費者の方に負担していただくという形でございます。  郵政省としても、これはできるだけ低廉なものにしていきたいということで今努力をしているわけでございますが、その点について、実務的な事項については局長の方からちょっと答えさせていただきたいと思います。
  64. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐(三)政府委員 ただいま先生から二点について御質問をいただいたというふうに思います。  まず、施設設置負担金の関係でございますが、御指摘のように、我が国、例えば今光ファイバーという意味でのINS六四というのを引きましても七万二千円かかる。欧米の諸国と比べましても、例えばアメリカあたりで見ますと五千円強というようなことでございますし、英国でも一万四千円というようなことですから、日本の施設設置負担金は非常に高いというような観点がございます。  こういうようなことで、先般料金の改定をいたしましたときにも、この見直しにつきましてNTTに指導をしてまいっております。NTTは、ことしの二月の末にこの施設設置負担金の段階的な 低廉化ということを発表しておりまして、今後それに取り組んでいくということですので、私どもも引き続きそういった観点で指導してまいりたいというふうに思っております。  あわせまして、光ファイバー加入者系のところに引くことによりまして、利用者の新たな負担あるいは負担がどうなるかというような観点でございますが、このことは、とりわけ需要が起こらない立ち上がりの時期が非常に重要だということで、私ども、二〇〇〇年までを先行整備期間というようなことで、予算あるいは税制という形で今回予算案にも盛り込みまして、民間事業がやりますことにつきましての支援策を盛り込まさせていただいております。  もちろん、電話のサービスだけを受けるという利用者の方が新たな負担になるようなあり方はやはり好ましくはないというふうに考えております。  そういう意味で、財政、税制の支援策をとってまいりますことによりまして、この関連機器の生産あるいは需要の増大に伴いまして価格が下がってくるというようなことで、結果として利用者の負担軽減になっていくというようなことでやっていくべきものというふうに考えております。  この辺は、技術革新を伴って新たな負担に結びつかないようにというようなことは、NTTにおいてもそういうような考え方を申しているところでございます。
  65. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 時間が参りましたので、最後に郵政大臣に、アメリカのゴア副大統領がスーパーハイウエー構想を提言しまして、この光ファイバー網を全国展開するというような話がありました。今なお日本の地方自治体におきましては、やはり光ファイバーは公共事業として整備をしてほしい、こういう声が根強くあります。そういうことも含めまして、情報通信分野においてこの光ファイバー網の全国展開というのは大変重要な意義を持っていると思いますが、これについての決意、認識、そういうものをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  66. 日野市朗

    日野国務大臣 ゴア副大統領のスーパーハイウエー構想、これが全米という一つのナショナルな段階から、NIIと言っていたころから、もはやグローバルな方向に、GIIというふうに展開を激しくやっております。  そして、このスーパーハイウエー構想というものも、確かにこれは非常に重大な社会資本でございますが、必ずしも国の経費の計算のもとにこれが行われたわけではないわけでありまして、これは民間の投資ということで民間の活力を生かしながらやられているわけでございます。そして、こうやってグローバルに展開してまいりましたし、我が国としても、日本の内部における情報スーパーハイウエーというようなものも必要であると同時に、これを国際的に展開をしていくということは極めて重大なことであって、そのための国際貢献というものも日本は強力に進めていかなければならないものというふうに考えております。  特に、日本は、これからどのような方向に進むにしたって、国際的な展開ということは日本にとっては必須の宿命的な課題でございますね。そういう中で、私としては、日本の情報通信、これが国際的に展開することが非常に重要なことだと思っております。そういう観点のもとに、私も今度南アフリカにおける会議にも行ってまいったわけでございまして、日本の立場というものを鮮明にしながら今後の国際的な展開をも図ってまいりたい、このように考えております。
  67. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 ありがとうございました。
  68. 中川昭一

  69. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしてございます。  大臣、きょうの朝帰ってみえたそうで、御苦労さまでございました。  今、私のライフワークですけれども、このNPOというのが内閣委員会にかかっておりまして、これが何というわけか理不尽な、与党も何を考えておるのか私はようわかりませんけれども、六カ月もたなざらしになっておる。こういう制度をつくるといかに放送文化を支えることができるか、特に地域放送を支えることができるかということについて、じゅんじゅんとええ話をしますので、眠気覚ましになるかならぬかわかりませんが、ぜひちょっとお聞きをいただきたいと思っております。  まず、今度のこの通信放送機構、この一つの大きな使命として地域コミュニティー振興、これがあるということは間違いないですか、大臣
  70. 日野市朗

    日野国務大臣 通信放送機構の使命というのは、先ほどから話に出ておりましたように……(河村(た)委員「あるかなしか答えていただきたい」と呼ぶ)まあ、そこまで行く前に私の方からちょっと御説明申し上げたいのですが、まず宇宙の放送衛星から始まっているわけでございますね。そして、どんどん仕事を膨らませてまいりまして、情報通信の技術の面にウエートを置きながらやってきておりまして、その成果が、地域の振興に対して強い影響力を持ってくる。そういう意味で、地域振興に対して一つの大きな役割を果たしているということが言えようかと思います。
  71. 河村たかし

    ○河村(た)委員 技術を通じてということですけれども、パンフレットに、裏表紙に「地域振興」とはっきり書いてございますので、これはもう大きな目的であろう。手段として、特にこの機構では技術をやるということだろうと思います。  それで、今言いましたように、地域振興になりますと、一つ、コミュニティーの放送というのがありますね。これを郵政省は積極的に推進しようとされてますか。大震災で非常に活躍されたということを知っておられますか、大臣
  72. 楠田修司

    楠田政府委員 手短に申し上げます。  コミュニティー放送は、御承知のように、十ワット以下の小電力で、市町村単位の地域で放送され、自治体の情報等を行ってまいりまして、現在広告収入をして経営を行っているというものであります。  平成四年一月に制度化しまして、その後、いろいろ要望を踏まえまして、免許手続、運用面の改善等を行いました。積極的に進めるという趣旨でそういうことをやったわけでありますが、その結果、平成四年十二月に第一号が開局したコミュニティー放送が、平成五年度末には六局、平成六年度末には十六局、七年度末三十局、現在まだ十三局の申請が提出されておるということで、非常に大きく伸びておるところでございます。  今後とも、コミュニティー放送事業者の要望を踏まえて、普及促進を図るために必要な措置を講じていく所存でございます。
  73. 河村たかし

    ○河村(た)委員 質問がたくさんありますので、結論だけで結構でございます。  ちょっと、機構についてまつわって言いますと、今度のスキームといいますか、去年の補正で四百五十七億ですか、かち取られまして、四百五十七億、これは大変な金額でございますので、これもまた本年度も継続して頑張らなければいかぬ、そんなふうに思っています。  技術開発も総花的になるとこれはおもしろくないので、ひとつ、やはりわかりやすいように、コミュニティー放送も、例えばコミュニティーに行きますと、公民館のいろいろな会合なんかをラジオでとるのですね。今どうやってやっておるかというと、記者が行って、電話で、今こういうふうにやっていますよと言うような状況なのですよ。なぜかというと、これは中継器が要りますよね、普通の場合だと。この中継器が結構高いということで、これも苦しんでいる。それから、広告をリアルタイムに、ぽっぽっとこういうふうにほうり込むために、これは広告をとりに行こうと思いますと後で広告主に報告書を出さなければいかぬわけですよ、広告、これは非常に人間が要りますので、それはコンピューターがありまして、ソニーがどうもやっておるようですが、そのコンピューターの中に広告を入れていくのですよね。それですっと流すという機械もある。これは結構高いのですよ。  だから、何か機構といいますと大向こう受けした、もともとが衛星ということもありますけれど も、まあそちらが多いのですけれども、ぜひこれは、大臣、こういうコミュニティー放送をさせる技術というのですか、もっとソフトもありますよ、市民の方が皆さん集まって何か井戸端会議みたいなものをやっていく、そういうものを皆さんすると、いろいろなところで取材を自分たちがしてくる、こういうようなものをどうしたらいいかとか、そういうようなソフトも含めて、こういうものにひとつ熱を入れられたら。どうですか、これは。
  74. 日野市朗

    日野国務大臣 今のお話を聞いて、私も非常に興味をそそられているところがございます。ただ、ちょっと技術的なこととかいろいろなソフトの関係になりますと、私もちょっと今早急にどうだということをお答えしにくい面がございます。局長がそれをわかっておれば、ちょっと局長の方に聞いてください。
  75. 楠田修司

    楠田政府委員 失礼いたしました。両局にまたがるものですから、どうも。  コミュニティー放送が収入に苦しんでいる理由というのは、非常にエリアが狭いということで広告等を得るのが困難だということと、立ち上がりですので初めにおっしゃられましたような施設が要るということでありますが、いずれだんだんよくなっていく可能性はございます。  ただ、そういうものに対しまして、いろいろと通信放送機構から援助をしたらどうかというお話でございますが、こういうものが機器の開発などで必要なものかどうかということ、あるいは研究開発が必要なのかどうかということも一つの検討の課題ではないかというふうに思っておるわけであります。  いずれにしましても、幅広い御意見を踏まえまして、通信放送機構において適切な選定が行われるように指導してまいりたいと思います。
  76. 河村たかし

    ○河村(た)委員 何かようわかりませんけれども、とにかくしっかりやっていただくということだろうと思います。  それでは、コミュニティー放送の今困っている点ですね、それをどう把握されていますか。ちょっと、短目に、済みませんけれども。ぽっぽっとお願いします。
  77. 楠田修司

    楠田政府委員 先ほど申し上げましたように制度が創設されて非常に新しい、一、二年の局でありますので、一つはその立ち上げのための財政基盤の安定化に苦労しているのが第一であろうと思います。それから、情報をいかに集めるか。今は市町村の協力等を得てやっておるようでありますが、安定した放送を地域でどのように提供していくか、この二点であろうかと思います。
  78. 河村たかし

    ○河村(た)委員 収入に苦しんでいるということでございますが、それはなぜだと思いますか。
  79. 楠田修司

    楠田政府委員 現在のコミュニティー放送は広告収入に主として頼っているということで、十ワット以下の小局でありますから、一つの市町村という程度になりますと、そこからの広告ということになりますと、おのずから限られる、非常に少ない予算でやるにしても、それを十分に賄うだけの収入を確保するのは難しいというのが第一の理由であると思います。
  80. 河村たかし

    ○河村(た)委員 きのうの打ち合わせとはちょっと違っておりまして、なかなか本質に近づいたなと思っております。やはり狭い領域ですとコマーシャルがとれないのですよね。だから財政支援としては、いわゆる営利の方向では限界があるのだという問題点が一つ浮かび上がってくるわけですよ、これは。営利で、スポンサーでやっておりますと、本当の市町村放送というのは難しいというような、大体僕がちょっとヒアリングしましたら、人口十万人以下でも難しいだろうと、営利では。そういうようなことを言っておりました。  それともう一つ、もう一つというより、アメリカのいわゆる非商業放送について勉強をされたことはありますか。
  81. 楠田修司

    楠田政府委員 先生御指摘のアメリカの非営利放送につきまして、特に詳しく勉強をしているわけではございませんが、我が国と違いまして、米国では放送そのものが商業放送から発達した経緯がございます。その後、教育委員会により運営される非商業教育放送局、あるいは財団、大学、州政府によって運営される放送局、これが非営利放送といいますか非商業放送として存在するというふうに理解しております。
  82. 河村たかし

    ○河村(た)委員 その非営利放送、非商業放送がコミュニティー放送の主力である、向こうの場合。それは御存じですか。
  83. 楠田修司

    楠田政府委員 私どもの承知している範囲では、アメリカのテレビ全体の中で、テレビ局で非商業放送が占めるのが二三・八%、ラジオ局では全体の一二・七%あるということは承知しております。  なお、その被免許主体というのが、大学、非営利法人、州政府、地方自治体などいろいろございますので、コミュニティー放送である場合もありますし、大学でもある場合、いろいろあろうかというふうに想定しているわけでございます。
  84. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ちょっと私の聞いたのと違っておりまして、コミュニティー放送の中の主力が、コミュニティー放送というと非営利かLPTVというのですか、ローパワテレビというのですか、そういうのでございまして、今ちょっと楠田さんが答えられたのと領域が違っていて、コミュニティー放送の中で主力は非営利ということでございます。となると、非営利というものをつくらない限りコミュニティー放送の振興というのはできないのじゃないですか。どうですか。
  85. 楠田修司

    楠田政府委員 我が国では平成四年にコミュニティー放送の制度が創設されまして、それ以来開局数は年々ふえておりまして、現在三十二ございます。これらの放送局は、地方の行政、観光あるいは生活情報を提供して非常に地域の振興に貢献しております。現在申請中のものは十三件あります。  これらは現在ほとんどが広告をとる形でやっておりまして、立ち上がりで非常に厳しい面がありますが、非常にたくさんの要請がある、かつ自治体等も、市町村等もこれに参画するということで、比較的順調に我々としては成長しているというふうに思っております。
  86. 河村たかし

    ○河村(た)委員 順調というのは、えらい何か急に消極的になりましたけれども、私は、郵政省の方が非常に努力されておって政治の対応が全然だめだということを、だんだん大臣に責めを転換していこう、こういうふうに思っておるのでございまして、やはり地域で世のため人のためにやる放送が営利であっては、今言いましたように、十万人以下では現に苦しい、スポンサーがつかぬので。そのままにしておいて、それは営利でやったらどうだというのは、それはやはり酷というものじゃないですかね。だからここは素直にやはり非営利放送というジャンルを早くつくっていこうということを、これは大臣、政治の問題ですから、どうですか。
  87. 日野市朗

    日野国務大臣 私も随分勉強不足のところがありますが、ただ、非営利といっても、運営をするためにはやはり金がかかっていくわけでございますね。そうすると、その金がどこから出るかということになりますと、プライベートなところから出ていくにはそれなりのよさというものがあります。特に放送の場合、神経質に考えなくてはいかぬのは、パブリックファンドみたいな形または財政資金のような形で金が出ていくということになりますと、それはそれとしてまた放送の自由に対する拘束要因というのもこれはもたらすことになるわけでございまして、私は、そこいらは一概に割り切ることはできない、こう考えます。
  88. 河村たかし

    ○河村(た)委員 何かようわけのわからぬことをおっしゃいましたけれども、非営利という概念が誤解されておるのかと思いますけれども、非営利というのはお金をもうけてもいいのですよ。収益事業をやってもいい。ところが、その残ったお金を株主とか自分たちの私益のために分配してはいけないということで、そういう概念のことなんですよ。営利の方は、残ったお金をみんなで割る、株主に分配することですから。非営利の方は、やめたという場合でも、それは自分たちのものにな らない。言うならば、非常にわかりやすく言うと、民間の公務員みたいなものですね。そういう分野一つあるのですよ。そういう法案が今出ておるのですね、実は内閣委員会に。物すごい、日本の世の中をダイナミックに変えていく法案が出ておるのに、全然与党さんが、何と思われておるのか、半年も審議をしないという、いわゆる理不尽な状況になっているということでございます。非営利というのはそういうことです。  それで、アメリカのコミュニティー放送のいわゆる財源の中で一番多いものは何か御存じですか。
  89. 楠田修司

    楠田政府委員 米国の非商業放送局の財源としましては、個人の寄附金あるいは州政府、連邦政府からの交付金、助成金、それからアンダーライティングと言います名刺広告等がございます。  一番大きいのは個人寄附金、約二〇%を超えております。それから州政府、連邦政府の順に多くなっております。
  90. 河村たかし

    ○河村(た)委員 今言われましたように、個人寄附金、一九九一年度で二一・三%ということで、これはトップなんですよね。トップなんです、実は個人寄附金が。なぜ日本では集まらないのでしょうか。
  91. 楠田修司

    楠田政府委員 我が国の放送局は、御承知のとおり日本放送協会、放送大学学園、これが非営利といいますか、公共放送でございます。それと広告収入を主とするいわゆる民放、一般放送事業者で構成されておるわけでありまして、これ以外に非商業放送局といいますか、この設立については法律上の制約はないわけですけれども、実態上出てきていないというふうに認識しております。
  92. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これは本当は大臣に聞かなければいかぬのですけれども、結局、コミュニティー放送は世のため地域の人のためにやるわけですよね。だから、それに対して寄附を出すということになると、これはある意味じゃ税金を出すようなものなんですよ。だから、寄附金の中に税制優遇がないとなかなか個人献金というのは集まらないのですよ。そういう制度がないと。そういう制度を皆さんでつくりましょうということを今の国会で提案をされている。今、税制はもうすぐ出しますけれども、そのベースとなる法人法が審議もされていない。実質審議というか、本会議趣旨説明はしましたけれども、たなざらしになっているという状況でございます。  では、日本では非営利放送局というのは何局あるのか、アメリカでは何局あるのかということでございますが、これは数字だけで結構です。
  93. 楠田修司

    楠田政府委員 この数字のとり方は、日本の場合は、非営利といいますと日本放送協会と放送大学学園、二局ということになるわけですが、アメリカとちょっと比較する場合を考えますと、放送局のステーション、電波を出すところと考えますと、七千七百六十五でございます。アメリカの場合は、それぞれの局が一つのアンテナでもって放送するのが放送局の単位でございます。これでいきますと、アメリカの場合は、テレビ局につきましては三百六十三、ラジオ局については千七百八、こういうふうになっております。
  94. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ちょっと局長、これは多分わざとそういうふうに言われたんだろうと思いますけれども、アンテナの数と経営主体とを一緒にされるのはいかにも、それほど苦労されなくても、皆さんは努力されておるのでいいんですよ、政治がだめだということを言っておるのであって。  日本では非営利放送局というのは二局ですよ、二局。アンテナの数を経営主体にするのは、これはとんでもない話ですよ。アメリカの場合は、ちょっと古い資料ですけれどもテレビが三百六十一、ラジオが千五百七十局ですよ。この数字を聞いて大臣は何にも感じられませんか、どうしようとかこうしようとか。全然無感動ですか。
  95. 日野市朗

    日野国務大臣 今放送行政局長お話ししたとおりの数字になろうかと思います。
  96. 河村たかし

    ○河村(た)委員 どういうことですか。数字になるということは、アンテナの数で評価するということですか、アンテナの数で。アンテナの数で経営主体を評価するんですか。どういうことですか。それはめちゃくちゃじゃないですか。
  97. 楠田修司

    楠田政府委員 私が申し上げたかったのは、アメリカの場合の放送局を数える場合は、それぞれのステーションで考えている。日本の場合、日本放送協会と放送大学、確かに二局でありますが、日本放送協会の場合は全国をエリアとしておるということで、そういうこともちょっと御承知願いたいという趣旨で申し上げたわけでございます。
  98. 河村たかし

    ○河村(た)委員 こんな話をしておると泣けできますけれども、放送主体がお金を集めてどういう番組をつくるか、そういうのが放送主体でしょう。そういう生き物というか、そういうものが幾つあるかという話をしておるのに、アンテナの数と一緒にされちゃっては、これは全くめちゃくちゃな話で、本当に放送行政いいのか、こんなべらぼうな、暴力的な発想で。ちょっと僕、寒けがしましたね、今これを聞いて。  いずれにしろ、そういうことで、圧倒的に日本はとにかく営利というわけですね。収益事業をやってもいいけれども、残ったお金を分配しないというシステムの放送局がないということですね。  だから、コミュニティー放送も、非常に郵政省が努力されてそういう制度をつくられたことは認めるんですよ、私は。郵政省がいかぬと言っておるんじゃないですよ。そういうのは非常にいいけれども、それを支えるために政治がもっと努力して、非営利放送というシステムをつくらにゃいかぬと言っているわけですよ、言いたいのは。せっかくいい制度をつくったんだから。  じゃ、なぜ日本では非営利放送局というのはつくれないんですか。これはもう政治の話ですね。
  99. 日野市朗

    日野国務大臣 非営利の放送局がなぜつくれないのかというお話でございますけれども、我が国の放送局というのは、日本放送協会、放送大学学園、それから一般の放送事業者、これは広告収入に依存するわけでございますね。それで構成されているわけで、これ以外に非商業の、非営利の放送局の設立については法律上の制約がない、つまり、やってもいいのでございますよ。やったって構わないんです。ただ、実態上、そういう非営利という放送事業者が出てこないというだけの話です。
  100. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それはちょっと、多分問題があるなと、苦しんでおられると思いますけれども、別に法規には書いてありませんけれども、例えばこのコミュニティー放送の郵政省のパンフレットを見ますと、途中で「法人の設立の確認申請」というのがございまして、やはり法人格がないと、正直言って放送局の主体にはなれないわけですよ、実際の話。万が一、百万分の一は知りませんよ。そうじゃないですか、これは。局長、どうですか。
  101. 楠田修司

    楠田政府委員 一応法人格は申請の対象にしておりますが、ただ、非営利、営利は別に問うわけではございません。
  102. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そうですね。要するに、非営利でもいいんだけれども、法人格がないとだめだということで、非営利は今法人格は取れませんものですから。大臣許可というのがあれば取れますけれども、実際上民法三十四条によって取れますけれども、これは御承知のように大変難しい要件になっておりまして、事実上ほとんどできません。  ですから、きのうもちょっと神戸でこのコミュニティー放送をやっておられる方に電話して調べたんですけれども、地震で非常に頑張られたんですが、今はスポンサーをとるにも、相手方がみんなまだ事業に復帰していないわけですよ、それでもう大変だと、お金が集まらずに。本当はもっといいことをやりたいんだけれども、もう本当に歯を食いしばってやっているような現状だと。  なぜできないんだろうか。結局、非営利にして、そこに皆さんが、個人が献金をして、そこに税金が行くようなシステムをつくらないと、もう一つの放送局の非営利というのはNHKですよ。NHKは、実は受信料という格好で、税金ではあ りませんが、税金ではないですけれども、そういう対価を、世のため人のための対価が入っているわけですよ。そこと同じように、相補い合ったり競い合ったりする放送局が、そういう税が入らなければやれないですよ、絶対に、営利というジャンルでは。そうじゃありませんか。どうですか、これ、楠田さん。
  103. 楠田修司

    楠田政府委員 コミュニティー放送局は、現在、実質上営利法人となっているわけであります。したがいまして、収入につきましては、一般の放送事業者と同じようにスポンサーからの広告収入によっているところでございますが、その他の寄附金による収入の道も一つの方法かと思われるわけであります。ただ、これが税金の関係になりますと、ちょっと私のところではお答えいたしかねるところでございます。
  104. 河村たかし

    ○河村(た)委員 お気持ちはわかりますし、これは政治の話になると思いますが、本当は楠田さんから、いや、そうだ、河村さんの言われるとおりだ、せっかくこういう制度をつくったんだから、ぜひ政治の方でそういう非営利の法人を早くつくって、そこに寄附したら税金をまけてもらえる、いわばそこへ税金が行くということですよ、そうやってみんなで支える本当のコミュニティー放送をつくろうじゃないか、つくってほしいというぐらいのことを言っていただくとよかったのですが、それは言えませんか。
  105. 楠田修司

    楠田政府委員 初めに申し上げましたように、小さい範囲で、市町村等の協力を得ながら、かつ地域のスポンサーをとって比較的順調に進んでおるということだけ申し上げておきたいと思います。
  106. 河村たかし

    ○河村(た)委員 お気持ちだけ酌んでおきますので。それは議員の仕事ということになると思いますが、これは今まで法制度でそういうことが認められておりませんでしたから、これはぜひ委員長も、聞いておるだけではなしに、ぜひ力を合わせてこれをやっていきたいと思っております。  そこで、大臣、今そういうことをやろうとする法律案が内閣委員会にかかっておることを知っておられますか。
  107. 日野市朗

    日野国務大臣 存じております。
  108. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これが、一言一句役所のつくった言葉のない、いわゆる真の議員立法で、六カ月たなざらしに遭っておるということも御存じですか、大臣
  109. 日野市朗

    日野国務大臣 市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案、略称NPO法案でございますね。これが平成七年の十一月七日に国会に提出をされた。同年十二月八日に衆議院本会議において趣旨説明及び質疑、同日付で内閣委員会に付託された。それから、同年の十二月十五日に継続審査になった。それから、平成八年一月二十二日衆議院内閣委員会に付託というような一連の経過をたどっていることは存じております。ただ、それをたなざらしという言葉で表現すべきかどうかという点については……(河村(た)委員「それは結構です」と呼ぶ)結構だということでありますから、お答えしません。
  110. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それから、大臣の政党は、このNPOの法制度づくりにどういう御見解をお持ちですか。
  111. 日野市朗

    日野国務大臣 社会党の時代からこの問題には取り組んでおりまして、社会民主党となってからも非常に強い関心を持っているはずでございます。  NPOという組織が、これが社会活動、経済活動において、市場部門とか政府の部門と並んで非常に重要な役割を果たしていくものという認識を持っているはずであります。そして、比較的簡易な方法でこのNPOに法人格を取得できるようにするという新規立法の制定、それから寄附金控除制度等の税制の優遇措置が必要との認識で検討を進めているというふうに承知しております。  さらにつけ加えて申し上げますと、この問題については、与党のNPOプロジェクトチームにおいても、議員立法の形で、市民活動促進法案、これは仮称のようでありますが、それを提出すべく現在鋭意検討中と伺っております。
  112. 河村たかし

    ○河村(た)委員 今までお話ししてきましたように、地域放送を進めるとかそういうことになりますと、やはり、こういう非営利の分野も、こういう経営主体もつくる、当然NPOには寄附金の控除の制度も入りますけれども、そういうものをつくるということは放送文化というかその発展に資するという認識で、こういう審議に早く入れということは働きかけませんか、大臣
  113. 日野市朗

    日野国務大臣 まず国会でお決めをいただきたいということでございます。
  114. 河村たかし

    ○河村(た)委員 すぐそういうことを言って逃げるのが通常になっておりますけれども、そんなことを言うんだったら国会に閣法なんて出すな、そういう気持ちがあるのですね、私。私は内閣に入りましたからいわゆる行政の方で、国会はどうぞやってくれと言うのだったら、そんなところに閣法を持ってこずに、全部議員立法でやらせたらどうですか。もっと盛り上げようじゃないですか、皆さんでこういう放送文化を。やはり放送の最高責任者として、そんなことを言っておらずに、党派を超えて、新進党案がかかっておるんだったら、みんなで考えて、地域コミュニティーの放送がみんな苦しいのですから、早くやろうとなぜ言えないのですか、それを。
  115. 日野市朗

    日野国務大臣 もう先生よく御存じのとおりに、我が国の法制としては議院内閣制をとっているわけでございますよ。国会と政府、これは緊張関係がなければなりません。でありますから、政府の方から国会、自分の政党内部での議論に対して私の方がいろいろ意見を言うことはあっても、こちら行政府の立場と国会の立場というのは、おのずから緊張関係を持った、お互いに独立した立場でございます。でありますから、これは私は、国会の方でお決めになるべきことと申し上げておきます。
  116. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そんなつれないことを。そうしたら、よく閣法といって出して、こちらにああだこうだ言うなと。これは本当にお話にならぬですよ。緊張関係なんですから、分離関係じゃないんですよ、これは。  だから、何も委員会に言わなくても、委員会に言えばそれはちょっとやり過ぎですけれども、党内で、大いにやろうじゃないか、私は郵政大臣としてこのコミュニティー放送も振興したいんだ、だから、もっと党派を超えてこういう新しい制度が出てきたらやろうじゃないか、このくらい党の中で発言されますか、どうですか。
  117. 日野市朗

    日野国務大臣 党内の議論は党内の議論であって、そこでは、私は信ずるところを語るつもりであります。
  118. 河村たかし

    ○河村(た)委員 時間になりましたから終わりますけれども、こういうコミュニティー放送が、非常に郵政省努力をされてスタートしたのですが、各放送局に電話をかけられると皆さんわかると思いますけれども、お金がなくて非常に困っているわけですよ、実は。だけれども、こういうところから放送文化を育てていくというのが実は一番大事なんですね。ですから、これは党とかなんとか言わずに、ぜひこういうシステムを早くつくって、日本の情報通信社会がいいものになるようにお互いに努力をしていきたい、こんなふうに思っています。終わります。
  119. 中川昭一

    中川委員長 高木陽介君。
  120. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 新進党の高木陽介でございます。  今同僚の河村議員から、NPO法関連の、放送文化の話をずっと大局的にされましたけれども、これは本当に重要な問題ですので、郵政省大臣も、しっかり考えていただきたいし、また、なかなかこういう場でははっきりと言えないでしょうけれども、推し進めるようにしていただきたいなと私の方からもお願い申し上げたいと思います。  さて、二つの法律案について具体的にお話をお伺いしていきたいと思いますけれども、これまで同僚議員、遠藤委員の方からもいろいろな角度からありまして、少々ダブった話も出てまいりますが、再度お伺いしていきたい部分もありますの で、よろしくお願い申し上げます。  まず、通信放送機構法の問題で、研究開発委託ということなんですけれども、これは先ほどホテルの話でちょっと出てまいりましたが、ここら辺、なかなか素人の方はわかりづらいので、もう一度確認をさせていただきたい。  まず、機構は、これまで研究開発を独自にやってこられました。それのパンフレットなんかには、「先導的研究開発実施」というようなことで、「高度立体動画像通信に関する研究開発」だとか「高度映像通信利用技術に関する研究開発」、だだっといっぱいあるわけですね。さらにもう一つ通信総合研究所。これもいろいろとやっておりまして、郵政省通信政策のパンフレットですか、それによりますと、「通信総合研究所を核とし、民間大学と連携して「電気通信フロンティア研究開発」に着手しました。」だとか、それ以外にも、「通信総合研究所は先導的な総合通信、多様な電波利用技術の研究開発をするため」というようなことで、やはり、ともに先導的な部分を担っていくという。ただ、これをどこをどうやって分けるのか、その区別、ここら辺をもう少し具体的にお願いいたします。     〔委員長退席、小沢(鋭)委員長代理着席〕
  121. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 国の行う研究開発について、言葉が、先導的ということを使っておりまして、あるいはわかりにくくなってしまっているのかと思いまして、今お聞きしておりまして、こういうものも整理しないといけないなというふうなことを大変痛感した次第でございます。  私どもは、いずれにいたしましても、例えば研究に要する期間が非常に長いとか、あるいは収益がすぐには見込めないとか、民間ではおやりにならないけれども国全体としてはやはりやっておかなければいけない研究、そういうものを国ないしは機構がやるんだというふうに思っておりまして、これは、いずれにしても、国が経費を負担してやるべき研究というふうに考えている次第でございます。  ただ、その中で、そういう研究開発の中で、やはり機構というのは、割合に民間の皆様方の協力も得やすい、非常に小回りがきくというふうなことから、多くの皆様方と連携して作業ができるというふうなこともございまして、そういう研究ができやすい分野というのは、勢い、どうしても民間の皆様方のところですから応用の分野に近いのじゃないかということになろうかと思います。したがいまして、その研究開発テーマというふうな面で見ますと、もう一歩で民間の皆様方のところに手が届くような、いわゆる橋渡し的な、そういう研究開発機構の方でやる、そして、非常にアカデミックなというとあれですけれども、基礎的な部分というものを研究所の方でやる、こういうふうなことになっているということでございます。
  122. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 基本的にこの法律は、どんどん委託してやらせていこう、そしていろいろなベンチャーの発展に寄与していこう、これはすばらしいことで賛成なんですけれども、これも先ほど遠藤委員の方からもお話があって、大臣がお答えになったと思うのですが、例えばお上がすべてやるという発想、もう一つは、民間がしっかりと独自にやっていく。日本の場合はどうしても、何か規制がいっぱいあることによって資金調達ができない、だからそこでお上が何とか援助してやろうじゃないかという発想が多いと思うのですね。もちろん今の現状ですとそれはやっていかなければいけない、これは推し進めていただきたいのですけれども、抜本的に変えていかないと、これはつけ焼き刃で終わってしまうのじゃないかな、そういう不安があるのです。  というのは、今バブルが崩壊してから五年間過ぎて、景気がこういう形になってくる、将来の経済の見通しというのがなかなか立たない。さらに、雇用問題でいいますと、失業率が三%を超えて、今後、雇用の問題等々もさらに厳しい状況になる。そんな中で、例えば情報通信産業なんかにかなり期待が集まっているわけですね。例えば百二十三兆円だとか、人数も二百万を超えます、というような雇用の問題。自分自身もいろいろとそういうことを勉強しながら思ったのは、これからはやはり情報通信環境か、そういったところに雇用だとか、ある意味では経済の基盤というものを持っていかないと、日本自体が大変なことになる。そういったときに、こんな言葉を言ってはいけないのですが、たかだか数億円程度のお金を国が出しているだけでいいのでしょうか。それよりも、やはり民間の活力の中で資金調達ができるようにすればいいわけですよ。ところができない。さっき店頭公開の問題で、なかなかできない、規制があると。大蔵省を呼んでくればよかったのですよ、きょうも。言っても、大体返答は同じですからね。  そこら辺のところで、やはり大臣が、閣僚なのですから、もっと基本的な問題、抜本的なところを、一つ一つの法案でこうやって上げていくのもいいですけれども、そういったところをやっていただきたいし、考えていただきたい、またそれを推し進めていただきたいということで、きのう質問通告でそこまで言わなかったのですけれども大臣、ちょっとお願いします。
  123. 日野市朗

    日野国務大臣 先ほどお話ししましたが、本来は、そういう資金を株式市場であるとかそういったところできちっと調達ができる。また、銀行なんかもそういう資金については貸し付けをする。昔は、銀行なんかは、金を貸すときは、借りに来た人の目を見て貸したというのですね。今は、担保を見て貸す。そんなことではなくて、日本の全体の、こういった土地に依存し過ぎた金融のあり方であるとか、それからもっと、企業そのものが持っている社会的な貢献、これをどういうふうに考えていくか、そういうところをきちっと、改めなければならないところはいっぱいあると思います。  差し当たってはまず規制緩和をやっていくこと、これは大事だと思います。そういう規制緩和をやり、それから銀行なんかも、あのバブル当時にやったことで痛い目に遭っているわけですね。もっと自分たちの使命を自覚する、そういった精神的なところもきちんと改めていくということも必要であろうかというふうに思っております。  私、大蔵大臣ではないものでございますから、ここでお話しできることは限りがございますが、先生もおっしゃるとおり、私も閣僚の一員としては頑張ってまいりたいと思います。それと同時に、細かいことだとおっしゃいますが、今度のこの法律改正でやろうとしていること、こういうことの積み重ねも大事なのでございます。よろしくお願いいたします。
  124. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 本当に積み重ねも大切だ、これは僕も自覚しているつもりですし、もう一つ、閣僚の一人ということで、大蔵大臣、久保大蔵大臣ですから、しっかりと言っていただきたいなというふうに思います。  あと、さらにそれに続けて、先ほどもちょっと出ておりました研究開発成果部分です。知的所有権問題。これは、先ほど山口局長お話だと、契約で決めていこう、さらには、郵政省の考え方としては、フィフティー・フィフティーでとらえていきたい、ただ、調和を考えながら第三者の利用の許諾権については国が持っていこう、こういった基本方針をおっしゃられました。  ここでもう少し突っ込んでお伺いしたいのは、やはり相手は、相手はというかその委託を想定されたところというのは、中小が、研究機関だとか大学だとかもありますけれども、そういった中で、いろいろと研究をする意欲を高めるためには、国というのはすごいばかでかいですから、国から見たら各研究機関なんて小さい分野ですから、そういったところで知的所有権、民間または研究所、そういったところにもう少し比重を多くしてもいいのではないのかな、こういう考え方があると思うのですが、そこら辺はどうなのでしょうか。
  125. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 いろいろお考えがおありかと思います。確かに、研究開発意欲を高めるとい う意味では、お話のようにそちらの方にウエートを置くということが大切かと思いますが、そのもとになっているのが国からの出資金だということを考えますと、やはり国としても一定のものは確保しておかなければならない、そういう制約があろうかと思います。  従来は、国がやると一〇〇%とってしまうとか、そういうふうなこともあったようでございまして、やはりその辺のところはよく考えていかなければいけないなと思いますけれども、現在のところでは、ほかのところを見ましても、大体フィフティー・フィフティーというふうなところが多いようでございますので、その辺のところかなというふうに思っている次第でございます。  ただ、先ほど申しましたように、成果を財産的に分かち合うということよりも、国としては、さらにそれを次の飛躍に皆様方に使っていただくということの方が大事だと思っておりまして、そこのところは頑張らなければいけないと思っております。
  126. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 特に研究意欲、ここら辺のところはやはり大切なところで、何らかのメリット、特に基礎研究なんかの場合は、なかなかすぐに成果が出ない、すぐ特許が取れる、そんなものではないですから、すごく長い期間またはお金もかかってしまうでしょうし、そんな中でやり始める。国は、もちろん援助していただきますけれども、そこで何かできますと、はい、フィフティー・フィフティーです、契約するときはいつになるかなかなか見えない部分もあります。そういったところでの配慮というものをやはりやっていただきたいなということで、お願い申し上げます。  さらに、これはちょっとまた幅広くなってしまうのですけれども、特に研究開発という部分で、日本の研究開発、特に基礎研究、ここら辺のところはなかなか欧米特にアメリカと比べるとおくれているのではないかな、そういった指摘もされておりますけれども、そこら辺のところの実態、またはその実態を受けてその要因、さらには、どうしたらいいのだといった是正策、ここら辺をちょっとお伺いしたいと思います。
  127. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 情報通信の日米間の格差というのは、私たちも深刻に考えなければいけないというふうに思っております。特に先端技術分野の導入動向の調査によりますと、米国から買っておりますのは、ソフトウエアを中心とした技術導入、これが非常に多くなっている。特に最近、インターネットとか通信ソフトというふうな分野、いわゆる先端的な分野でございますが、これは全くと言っていいぐらい米国に依存しているということでございまして、非常に大事な点として認識していかなければいけないと思っております。  日米間にこうした差が生じてきた要因でございますけれども一つは、マルチメディア時代ということで、この研究開発には、ニーズが非常に多様化してきているということ、それからまた、求められる技術が非常に複合化してきているというふうなことでございまして、こういった環境の変化に迅速に対応するというふうなことが一つ大切な点ではなかったのかというふうに思います。  それから、これは先ほど申し上げましたように、マーケットということを考えますと、標準化ということが非常に大事でございまして、特にデファクトの標準というふうなものが今非常に大きなウエートを持ってきておりまして、こういったものへの対応ということが一つの要素。  こういうふうなマルチメディア化でありますとか、デファクト等を中心としたグローバル化というふうなことについて、やはり我々ももう一度反省をして対応していかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。  アメリカ等を見ますと、政府が、先端的な研究開発というふうなことでは国家プロジェクトとして、先ほども数字でも申しましたけれども、大変大きなお金をつぎ込んでいるということでございますし、そしてその成果を受けて、今度は民間大学研究者の間では研究開発競争、いわゆる国際市場で売れるような、そういう研究開発競争というものが非常に積極的に行われているということで、研究分野でも非常にダイナミックな動きがあるということがアメリカの特徴だということでございます。  こういったことを考えますと、今回法律を出させていただきまして、産学官の連携の強化というふうなことを中心にいたしまして、いわゆる基礎的な分野につきましても、我々もアメリカをいろいろ勉強させていただいて、成果を上げていかなければいけないなという思いを強くしている次第でございます。
  128. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 今局長の方からお話しいただいて、特にアメリカの場合は国家プロジェクトがどっといくわけですね。債務保証ですとか、もちろんそういうのは大切ですし、そのほかにも委託研究みたいな、これをもっと国家としてやっていかないと、本当に大変なことになるなと。さらに、そういうものができた段階で、今度は民間だとか大学だとか企業だとか、それはまたそういう競争の中で原理が生まれてくる、この双方をやっていかないといけないということで、郵政省自体は本当に努力されて、一生懸命大蔵省からお金を分捕ってくるわけです。ところが、大蔵省の方はそういうところがなかなかわからないという現状の中で、なかなか出し渋っている。  ここら辺のところを、先ほど大臣とのお話でも言いました、日本が、では、五年後、十年後または二十一世紀にへ雇用の問題だとか経済全体の問題の中でどうあるべきなのかという、ある意味では逆算をしてから発想しないと、本当に今までのような予算の編成の仕方でやっていたらこれはとんでもないことになるという危機感がすごくあるので、ぜひともさらにこれを推し進めていただきたいし、特に、アメリカに追いつき追い越せじゃないのですけれども、やはりそういったターゲットをちゃんと絞りながらやっていかないと、これは本当に絵にかいたもちになってしまいますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  その中で、研究開発、これはメーカーもいろいろやっているのですけれども、特に電気通信事業関係に絞ってまいりますと、NTTの割合というものが多いわけです。NCCはできて十年ですから、ではほかが研究開発しろと言ってもなかなかそこまでの体力もありませんし、ここら辺のところでNTT研究開発、占める割合というとなかなか言いづらいのかもしれませんけれども、これが今後分離分割問題にも絡んでくる。特にNTTの方々は今回の電通審の答申で、研究開発が分割されますとすごく衰える、こういった言い方もされておりますし、もちろんNCCがそこまですぐにNTTに対抗できるだけの、また競争できるだけのそういった研究開発になるかというと、なかなかそうではない。そこをレベルアップさせるということも考えていかなければいけないと思うんですけれども、そこら辺のところで郵政省、御見解をお伺いしたいと思います。
  129. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐(三)政府委員 情報通信分野におきまして、電電公社あるいはNTTという形で果たしてきた役割というのは大変大きなものがあったというふうに思っております。特に戦後、欧米の技術の導入に努力したというようなこともありまして、国あるいは大学あるいは民間企業とともに、我が国の研究開発向上、世界のほぼトップレベルのところに迫るような状況になったんじゃないかというふうに思っております。  先生お尋ねありました、全体にどんな割合になっているかというようなこと、幾つかのメルクマールで拾ってみましたものを御報告をさせていただきたいというふうに思います。  平成六年度ベースでございますが、研究開発経費、日本の場合、まあ大ざっぱにいわゆる情報通信分野のメーカーというようなことで見てまいりますと、二兆五百億円強ということでございます。これに対して、NTT研究開発経費というのは二千八百五十五億円ということでございますので、情報通信分野メーカーに対して占める割合というのは、ほぼ一割強というようなところかというふうに存じております。  これをメーカーと研究者とか研究開発経費というようなところで少し拾ってみました。同じような平成六年度ベースでございますが、NTT先ほど申し上げました二千八百五十五億円で、研究者の数というのは八千五百人程度というふうに数えられます。日本のメーカー、幾つかの会社がございます。大きいところから、この際会社の名前はA、Bというふうに申し上げさせていただきますが、例えば大きな会社でいきますと、研究開発経費三千八百億円、研究者数一万三千人、こういうところでございます。その次ぐらいで、研究開発経費が二千九百億円、研究者の数が一万人、こういうようなところでございます。さらに、二千八百億円、研究者数が一万六千人、こういうような会社が日本の名立たるメーカーということでつながってまいります。  情報通信の場合、特に近年そうでございますが、研究開発経費と研究者というのはメーカーに負うところが非常に大きいというふうに思っております。それはアメリカの、来年一月に三つにアンバンドルすると言っておるATTを見ましても、大半の研究者はルーセント・テクノロジーという、いわゆる製造部門を持った会社に行くということから見ても明快ではなかろうかというふうに存じております。  さらに、平成六年度におきます基礎研究費というのがどうなっているかということでございますが、情報通信分野のメーカーを見てまいりますと、大体基礎研究費としては七百億円程度というふうに統計上拾うことができます。NTTは九十億円弱ということで、情報通信分野の基礎研究費というのは一割強というようなところでございます。  私ども、いわゆるマルチメディア時代を迎えまして、これからの技術革新、大変重要だというふうに思っております。特に、先ほどからお話が出ておりますとおりに、アメリカの動向等々を見てまいりますと、例えばマイクロソフトあるいはゼネラルマジックといったようなベンチャー企業が成長してくる。この企業の動きというのを見てまいりますと、もちろん国家プロジェクトのこともございますが、競争とやはり連携というようなことをやりながら、マルチメディアの技術革新を積み上げていっているというふうに見えるわけであります。  そういった意味でも、私どもとしましては、より一層、研究開発能力が向上するという観点からは、人材の育成あるいは産官学の連携強化、そして基礎的、先端的技術開発に対する国の積極的な取り組み、こういったものをあわせまして、多元的な競争軸で機動的な連携によってダイナミックな競争を促進することが重要というふうに考えておりまして、そのような政策展開を図ってまいりたいというふうに存じております。
  130. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 多元的なだとか難しい言葉がいろいろと出てまいります。  要は、NTTがこれまで電電時代からやってきた役割というのは本当に、郵政省も認めておりますし、私どもというか多くの人たちが認めていると思うんです。ただ問題は、これから分離分割問題というものが来年にちょっと先送りされましたけれども、そういった研究部門、特に今メーカーが大半を占めていて、NTTが一割というようなやり方で、それに対抗できるNCC関連、分割するのか分離するのか、そこら辺は、その話はちょっと結論としては置いておいて、そういったところもちゃんと視点を持ってやらせていかないと、今五十嵐局長言われた競争と連携という、競争がしっかりできていかない。やはり資本主義社会ですから、競争させることによってレベルアップしていく。これが日本だけじゃなくて本当に海外とのある意味では差を詰めていくという、特に情報通信産業においては大切な問題じゃないかなと思いますので、これもしっかりとやっていただきたいなと思います。  続いて、電気通信基盤充実臨時措置法案、こちらの方にもちょっと移っていきたいと思うんです。  これはすごく基本的な質問になりますけれども、今回CATVを追加した。今後、先ほどいろいろな方々の質問の中で、いろいろな状況がどんどん変わってくる。それで、改正改正として今回CATVが加わってきたという中で、今後、その支援対象の拡大の予定というか、予測される、予測されたら今回の法律に入れるんでしょうけれども、そこら辺の見通しが、やはり情報通信産業は本当に進展が速いですから、また来年通常国会のときに改正で、ではこの分野も入れますだとか、それはそれでいいんですけれども、やはりそういう先見性を持ちながらやっていただきたいという観点で、今後予想される、またはそういったところでこれはもっと支援していかなければいけないんじゃないかと思われるようなものがあったらお願いいたします。
  131. 楠田修司

    楠田政府委員 債務保証関係で、今回CATV信頼性向上施設整備事業に入れることをお願いしておるわけでございます。  これまで、平成五年に制度を創設して以来、実は実績が出ておりません。と申しますのは、これまでの段階で実施計画の認定を受けてきた事業者が、NTT等非常に経営が安定している事業者が多かったということがございます。地方電監による事業者に対する説明とかパンフレット、あるいは業界団体に対する説明等行っていろいろとPRもしてまいったわけであります。しかしながら、今回CATV等比較的小規模事業者が入るということで、こういうものが認定を受けることから、債務保証の必要性というのは一層拡充してくるだろうと思います。これは今回お願いをしておるわけであります。  そのほか、では支援対象設備の追加というものがあるのではないかという御質問と承知いたしますが、今後CATVあるいは電気通信の発達の段階でいろいろなものが出てくる可能性はあろうかと思いますが、現在のところ、具体的な予定というものはございません。今後、事業者のニーズ等を勘案しながら適切に対処していきたいというふうには思っております。
  132. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 多分また、来年、再来年になってきますと、いろいろと角度が広がって追加されるのかなという気はしないではないんですけれども、それはそれでよしとして、やはり絶えず先見性を持ってやっていかないと、もう手おくれになってから、では支援しましょうという形じゃなくて、これが本当に予想されますから支援していきましょうという形をとっていただきたいし、そういうふうに言うと、大蔵省はなかなかわかりましたとは言わないので、難しいんでしょうけれども、そこら辺は、また郵政省大臣を筆頭に頑張っていただきたいなと思います。  特別融資制度の中で、今度光加入者線ネットワーク装置、これもちょっと勘違いかもしれませんけれども、受益者負担、先ほど遠藤委員の方からもいろいろありました。二〇一〇年段階で全家庭に光ファイバー網整備したい、また整備していこう、こういう方針の中で、どこまでが公的にやってどこまでが受益者負担または企業がやっていく、ここら辺のところがはっきりしないままずるずるいく。来期の、二〇〇〇年までの先行整備期間のときまではわかるのですけれども、それ以降、やはり先ほど遠藤議員の言われた、全家庭に入る、各家庭は入れてもらえるのではないかな、そんな気もしているとは思うのですけれども、そこら辺のところの御見解をもう一度お伺いしたいと思います。
  133. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐(三)政府委員 光ファイバーにつきましてまず冒頭申し上げさせていただきたいと思いますのは、日本の国のネットワークで、いわゆる中継回線部分の方は何らかの格好で光ファイバーが入っておりますが、問題なのは加入者系、電報電話局から各家庭、そこまでの加入者網というのが非常に、大ざっぱに言うと六千万加入ある方のネットワークということですから、大変だということであります。  そういう意味合いで、特にこのネットワークの高度化を図るということに当たりまして、これは あくまでも基本的には民間がやるということでございます。特に、昭和六十年以降、日本の国は電電公社も特殊会社としての株式会社になりました。独占を解いたということから、それぞれのネットワークが走り始めているという現状です。そういった中にありまして、二〇〇〇年までの先行整備期間に当たって民間がやることを支援させていただくというのが、今回お願いしておりますこの融資制度でございます。  それは、あくまでも二〇〇〇年まででございます。なぜかと申しますと、二〇〇〇年までそういう民間がやられることにつきまして国として支援させていただくことによりまして、需要が起こっていない中で企業が立ち上がっていく、大変なことを支援できるであろう、そうすると二〇%程度にまでいくであろう。平成七年度からお認めいただきまして、今回八年度もお認めいただきますと、大きくそれに資するものと思っておりますが、二〇%まで広がってまいりますと、世の中の事情からいきますと、ぐんとそれから需要が立ち上がってくるというのが一般的な傾向でもございます。  そういった意味で、その後は、まさにこれまた民間主体でやっていく、当然のことでございますが三〇〇五年に六〇%、そして二〇一〇年に一〇〇%いくように持っていきたい。その二〇一〇年に向かって、平成七年度以降施策をお認めいただきましたことによりまして大きく一歩を踏み出して、今順調な展開にあるというふうに認識をいたしております。     〔小沢(鋭)委員長代理退席、委員長着席〕
  134. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 そこで、ここでまたNTTの分離分割問題が出てくるわけですけれども、今NTTというのが、巨大企業ですから、そういったインフラのところまで携わっているわけですね。  分離分割問題になりますと、これもNTTの方の言い分だと、そういったところまで体力がなくなってくる、こういった言い分もございますけれども、ここら辺のところで、二〇〇〇年までの二〇%で民間支援するという先行整備期間ですね、それ以降の、いわゆる分離分割がもしされた場合、これが可能なのかどうか、ここら辺のところをお伺いしたいと思います。
  135. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐(三)政府委員 NTTあり方につきましては、既に閣議で決定いたしておりますとおり、次期通常国会に向けまして引き続き検討をして結論を得るということになっておりますが、いわゆる分離分割というような格好で答申等が検討している中身等々から見てまいりますと、この閣議決定も「答申の趣旨に沿って」、こうなっていますので、その答申ということを基本に置いてまいりますと、答申に示されている会社規模は、地域会社は二つということであります。そういった意味で、答申の中でも検討されているような経営状況、あくまでも分離分割をするということによって経営をより効率的で向上させるということでありまして、体力が弱るというような観点での答申ではないわけでございます。  そういった意味合いにおきましては、NTTにおきまして一層効率化が図られるということで、基本的には、光ファイバー網整備、こういったものには支障は生じないものというふうに考えております。  ただ、いずれにいたしましても、NTTあり方につきましては、先ほど言いましたように次期通常国会に向けて結論を得るということでございますので、光ファイバー整備促進というような視点も踏まえながら、適切な結論が得られるよう取り組んでまいりたいというふうに存じております。
  136. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 もう時間が参りましたので、これは意見だけちょっと述べさせていただきたい。  さっきから何度も申し上げていました今後の情報通信社会あり方ということで、郵政省は本当に頑張っていると思います。大臣を先頭にしていろいろやっていただいているとは思うのですけれども、やはり予算の配分だとか、限られたお金しかないわけですね。そんな中で、では本当にこれからの五年、十年、もっと言えば三十年、五十年どうしていくのかといったところのお金の使い方、やはり税金ですから。  そこら辺のところを、今までのような予算の組み立て方といった、これは本当は郵政省に言っても、いつも逓信委員会で思うのですが、逓信委員会で言ってもしようがないなと思うのですけれども、そういったところを、国会全体でもそうですし、または閣議で、または各役所同士の話し合いの中でそういった論議を縦割りをぶち破ってやっていただきたいと思いますし、またそれをやらなければ、本当に雇用の問題から経済の問題まで見通しはないわけですよね、日本は。  ここら辺のところを郵政省が、ほかから見れば郵政省の省益じゃないかみたいな見方をされると思います、でも、そこら辺を本当にかなぐり捨ててやるぐらいなことをやっていかなければ、この点、これからの日本というものは大変な時代になると思いますので、そこら辺のところを主張させていただいて、質問を終わります。ありがとうございました。
  137. 中川昭一

  138. 矢島恒夫

    矢島委員 まず、機構法についてお尋ねしたいと思います。  今度の改正で新たに民間企業への委託研究制度というのがつくられました。一つは、大学や国立研究所、こういうところなどが主体で研究テーマを公募する、もう一つが、機構研究テーマを定めて主に民間企業に委託する、この二種類があるわけですが、後者について、五つの研究テーマが挙げられました。今年度は十一億九千六百万円の予算が予定されております。これらの研究というのは五年ないし十五年程度の期間が必要だとされておりますし、当面五年間程度は継続して予算がつけられるものと思います。それで、この財源は、今、建設国債ということになっています。つまり国が借金をして委託費をつくり出すわけですから。  そこで、予定されている五つのテーマ、これは本当に借金してまで民間企業に委託して進めるという必然性、あるいはなぜこの五つなのか、こういうことで、テーマの内容ではありませんで、なぜこの五つになったのかという点をできるだけ簡潔に。
  139. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 委託研究のテーマ五つを選定したということ、これは、それぞれ研究開発がこの分野について求められているというのが端的なお答えになってしまうのですが、もう少しお話しさせていただきますと、今私たちとしましては、研究開発分野として、ネットワークの分野とそれからアプリケーションの利用技術の研究開発分野がございます。それからもう一つは、どなたでも自由に使っていただけるようにというふうな形での、使いやすい端末技術の研究開発というところに焦点を合わせております。  そういう領域の中で必要とされる、この部分をやっておかないとというふうなことを多くの方が御指摘をいただいている、そういうふうなものの中から選んでこの五つ、これは予算との都合もあるものですから、六つの方がよかったかもしれないのですが、五つ選ばせていただいているというふうなことでございます。
  140. 矢島恒夫

    矢島委員 民間への委託研究というのは、その内容によっては本来であれば民間企業がみずからリスクを負って開発すべきもの、国が委託費という形で援助する必要のないもの、いわゆる委託研究とはいうものの実質的な補助金というような形態のものも、郵政関係じゃありませんが、今までの中でいろいろ私たちは指摘してきているわけです。  例えば、郵政省のルートでは今度の機構法が初めてのケースということですけれども、通産省などを通じて民間企業への委託研究が広く行われております。特に、臨調行革以降、補助金の整理が進む中で、この委託というのが増大する傾向にあるわけですね。補助金や委託という形で企業にどれぐらいの予算が国から出ているか、その実態というのは、実は政府が公表しませんのでわかりま せん。そこで、個別のプロジェクトをもとに推計していくより仕方がないわけですが、我々の試算で、昨年度の通産省の所管分で調べてみました。  そうしますと、三菱重工がトップで一年間六十九億円、それから第二位が日立製作所で五十三億円、三位が東芝で五十一億円、こういうことになっております。例えば日立製作所でいいますと、五十三億円のうち半分近い二十四億四千六百万円が委託費という形になっているわけですね。通信、コンピューターに関連の深いメーカーで調べてみますと、富士通が十六億五千万円、NECにも七億二千万円も委託費が一年間で出されているわけです。この委託費というのが、大企業への補助金という性格が非常に強いと私たち指摘しているわけです。  先ほど、この委託研究成果について、それぞれ質問があり、御答弁がありました。契約による、五〇%ぐらいと考えているというわけですが、何か基準というものがあるのですか。大体どれくらいの基準にしようとか、あるいは最終的な決め方というか、どこでどんなふうに決めていくのか、この辺について。
  141. 山口憲美

    山口(憲)政府委員 よその役所の関係お話をされましたので、そこのところは私の方は実態がわかりませんであれですが、私どもがやっている基本的な考え方は、私たちがやらなければ民間ではやらないだろうというところでございまして、しかしそういったところをやっておかないと将来いろいろ問題が起こるのじゃないかということでやっているということでございますので、そこのところは御理解いただきたいと思います。  それからまた、これをやることが、もしこの研究開発が必要だということでありましたならば、民間にもしそういうことのできる能力があるなら、そこをお借りした方が国としても安上がりにできるということがあるわけでございまして、そういった意味で、民間のそういう研究所に適切なものがあればそこに委託をしてやっていただくというふうなことをお願いしたい、こういうことでございます。  研究成果につきましては、先ほど、相手のあるお話ですからこれは契約で決めてくる、相手が嫌だと言ったらこれはどうしようもないお話ですから。ただ、私どもといたしましては、なるべく私どもの方に持ち分、取り分を多くしておく、そういう立場で臨むのは当然でございますけれども、やはり相手の方がやる気がなくなってしまうというふうなことでは、研究成果が、むしろ効率が悪くなるということがございますので、よそ様の状況を見ますと、大体五〇%、フィフティー・フィフティーというところが基準になっているのではないかなというふうな形で、これをもし認めてやらせていただけるのなら、そんなような気持ちで相手との交渉に臨むということになるのかな、こういうふうなことで申し上げているところでございます。
  142. 矢島恒夫

    矢島委員 先ほど局長も、以前は一〇〇%国に帰属したものだ、そういうこともあったというお話がありましたが、平成三年の産業技術法によって、国の委託事業の場合に、いわゆる特許権等の帰属というのが、今まで一〇〇%であったものが大体五〇%というように変わってきたわけです。それはちょうど、補助金というものがどんどん削減されて委託費というものに変わっていった、あの時期と全く軌を一にしているという状況なども指摘しておきたいと思うのです。  先ほど局長言われましたように、国の研究開発事業というのは、民間ではできない分野、あるいは民間では採算ベースに乗らないからなかなか進まない、こういう分野に力を注ぐのは当然でありますし、またそれが国の研究の基本だろうと思うのです。ところが、民間で困難な部分ということが、民間のリスクを肩がわりする、あるいはリスクを軽減するということになっているのではないかなというふうに思うのです。  今度の民間委託が予定されている五つのテーマ、このうちの障害者あるいは高齢者のための機能代行・支援通信システム、これ以外はどうも民間だって実際にやっていく可能性のある問題ではないかなという気がするということで、力点の置き方というものをやはり考えてみる必要があるのではないかということを私は指摘しておきたいということです。  そこで、研究開発業務に限らず、この通信放送機構業務全体についてももっと考えて、力を入れなければならない部分があるのじゃないかなということで質問いたします。  障害者や高齢者あるいは過疎地、こういうところの通信・放送の高度化、普及、ここに力を入れていくことが必要だろうと思うのです。この通信放送機構の基金であります衛星放送受信対策基金、これを使って、聴覚障害者向けの字幕放送だとか視覚障害者向けの解説放送、これへの助成が行われています。この制度によって助成の実績はどのようになっているか、年度別にお答えいただきたいと思うのですが。
  143. 楠田修司

    楠田政府委員 通信放送機構にございます衛星放送受信対策基金、三十億円ございますが、この運用益の三分の一を限度として活用しまして、字幕放送等に助成をしているわけでございます。  これは平成五年から始まりまして、平成五年度が約四百万円、平成六年度が約二千九百二十万円、平成七年度は約一千八百五十万円でございます。この金額が違うのは、特に平成六年、七年は金利によるものでございます。
  144. 矢島恒夫

    矢島委員 今回の委託研究にかける予算が民間企業向けで十一億九千六百万円、これに比べても非常に貧弱だなという気がするわけです。その上、今お話にもありましたように、平成七年度というのは六年度に比べて助成金が大幅に減少して、三分の二以下になってしまった。これは、基金の運用益を助成金に充てるという仕組みから、いわゆる低金利政策の影響を受けた結果だと。  私は、この問題では、本委員会で昨年二回取り上げたのですね。最初、六月の時点で、金利の関係から本当に運用益がこれだけ上がるのかということを、どれくらいを見込んでいるんだということを質問しましたら、当時、三千万円強の助成を見込んでいる、こう言いました。二度目に取り上げたのは十月の時点なのです。実際どうか、大丈夫なのか、こういう質問をしましたら、約二千九百九十万円の助成を見込んでいる、これが郵政省の答弁だった。  ところが、実際に半年たってみたら、一千万円以上も助成が少なくなってしまった。答弁のときには、少なくとも昨年度よりは幾らか多く助成できるようなお話だったわけです。ですから私、そのときにも、幾ら悪くても後退させてはならないし、わずか一千万円程度であるから何とかすべきではないかということも、これはお願いという形でやったわけなのです、まだ最終的な段階はどれくらいになるかわからないということもありますので。  そういうことをしたにもかかわらず、何度か補正予算があったにもかかわらず、何の手当てもされませんでした。それから、今年度の予算でもそのままになっているわけですね。ですから、平成八年度の助成金も、果たして本当に平成七年度を上回ることができるのかどうか、これも非常に危ぶまれる状況にある。  そこで私は、議論を前向きにするために、郵政省にこういう昨年の状況などを踏まえて大いに反省していただきたいのですが、助成金というのは絶対額が不足しているとともに、制度そのものに問題があるのではないか。このことは、四月の二十三日に調査研究会が報告書を出しておりますけれども、その中でも指摘しているわけですね。「字幕番組・解説番組の制作に対する助成の充実」という項目がありますけれども、その中で、「低金利により助成額が不足するという状況になりがちであること等が指摘されている。」ということで、今日の助成のあり方、つまり基金で、その運用によって賄っていくというやり方、これにも十分考えるべき点があるのだということが指摘されているわけですけれども、それらについて郵政省、今どんなふうに考えているのですか。
  145. 楠田修司

    楠田政府委員 先生御指摘のとおり、今回の視聴覚障害者向け専門放送システムに関する調査研究会の報告で幾つかの御提言をいただきました。その中で、「官民の支援充実」という中で、「字幕番組・解説番組の制作に対する助成の充実」という項目がございます。その最後の方に「字幕番組・解説番組の大幅かつ計画的な拡充を図っていくため、その制作費に対する助成について、現行制度の在り方の見直しを含め、その充実を図っていくことが必要である。」これは調査研究会の報告でございます。  先ほど申し上げましたように、現在、この金利水準によって助成金が減ったことは事実でございます。したがいまして、八年度の予算要求も千八百九十万円を見込んでおるところでございます。これをどうするかでございますが、こういう調査研究会の報告もあり、支援措置をどうするかということにつきましては、必要な予算要求をするかどうかについてもあわせて検討していきたいというふうに思っております。
  146. 矢島恒夫

    矢島委員 本当に視聴覚障害者の皆さん方が期待を持って見守っているわけですから、その辺については大いに大臣も努力していただきたいと思いますが、助成とともに、放送時間数の問題もこの調査研究会の報告書の中で出されております。いわゆるガイドラインの設定の問題ですね。既にアメリカでは四大ネットワークの放送番組の七〇%が字幕になっていますし、イギリスでも、一九九八年、全番組の五〇%、これに字幕をつけるという、法律的にも明確になっている。こうしたもとで、どのようなガイドラインを設定するのかということが重要な問題であろうと思うのです。アメリカやイギリスと比べて余りにもお粗末というのでは、これは、そんなガイドラインをつくるわけにいかないと思うのです。  一方、民間放送事業者の方は、政府の助成がアメリカなどに比べて極端に少ないままでガイドラインを設定するということへの反発もあるように聞いております。助成とガイドラインというのは、表裏一体のものであると思うのですね。放送事業者に目標を課すと同時に、その目標達成を裏づける国の助成というものも目標化しなければ、うまく進まないのではないか。ガイドライン設定に当たっても、放送事業者との合意は必要だと思いますが、ただ、ガイドラインというのは、単に放送事業者の目標という狭いものではなくて、ノーマライゼーションの理念を実現するための国の目標としていかなければならないと思うのですが、このガイドラインの問題について、どのように現在お考えになっているか。
  147. 楠田修司

    楠田政府委員 日本の場合、字幕放送は、この報告書にも書いてございますが、欧米に比べて時間数も少ない、かつ実施しております民間放送もかなり少ないわけであります。まず第一に、すべての放送局に字幕放送をするように何とかしていくよう、こういうことが報告されております。これには若干、免許制度の見直し等も含まれております。  それから、民間放送に最低幾つか、ある程度の字幕放送をやってくれというガイドラインの設定でございますが、これは民間放送事業者にある程度お願いするわけでありますから、勝手にこちらの方で簡単に決めるというわけにはいかない。そういう意味で、民間放送事業者の意見も踏まえまして、どのような方策があるかということを十分に検討してまいりたい、今そういうふうに思っているわけでございます。
  148. 矢島恒夫

    矢島委員 今、報告書の内容局長の方から話されました。我が国で本格的に視聴覚障害者向けの放送を拡充していく上で、極めて重要な報告書になっていると思います。放送法だとか、あるいは障害者利用円滑化法、こういうようなものの改正措置を求めるというようなのも入っております。この問題を本当に早急に実現していくということが、我が国にとっても、これからの高齢化社会の面をもっても大切だと。大臣の御決意をひとつお願いしたい。
  149. 日野市朗

    日野国務大臣 先生御指摘の視聴覚障害者向けの放送、字幕放送についての実施状況、我が国の場合は非常におくれていること、これは私もよく存じております。何とかしたい、そういう思いで我々がいること、これはひとつ御理解をいただきたい。いろいろこの報告書の提言を参考として、一層の充実のための懸命の努力をやってまいりたい、こう思っております。
  150. 矢島恒夫

    矢島委員 ぜひ全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。  それで、基盤法について何問かお聞きしたいのですが、まず、加入者系の光ファイバー網整備に対する超低利融資制度、昨年度から始まりました。まず、実績について、融資を行った事業所と融資額。それから、今年度の計画では四百二十億円の融資総額を予定されているわけですが、対象となるNTTとNCC各社及びCATV各社、これらの加入者光ファイバーに関する設備投資計画、どうなっているかお答えいただきたい。
  151. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐(三)政府委員 平成七年度からお認めいただきました特別融資の実績でございますが、まず、平成七年度融資額でございますが、NTT百七十四億円。それから新規の事業者、八社ございます。新規八社と申しますのは、例えば地域の、東北インテリジェント通信とか、あるいは四国情報通信ネットワークとか、そういう会社でございます。これが八社ございますが、百二十四億六千万円。そして、CATV会社が二社ございます。東京と東北でございますが、これが一億一千万円、こういうことになっております。  それから、つけ加えまして、今年度の光ファイバー化の投資額は、予定で三千七百六十六億円ということですが、そのうち、特別融資の対象となる投資額というのは一千四百七十二億円でございます。これを今申し上げましたような、事業者別というふうに申し上げた方がよろしかろうと思いますが、それで特別融資対象の投資額について見てまいりますと、NTTが九百八十億円、それからNCC、新規事業者でございますが、これが四百一億円、CATV事業者が九十一億円というふうに見込まれるところでございます。
  152. 矢島恒夫

    矢島委員 今の最後の、CATVの方の業者をもう一度お答えいただけますか。NTT九百八十、それからNCC四百一億、CATV先ほどのでよろしいですか。
  153. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐(三)政府委員 平成八年度の事業者別の特別融資の対象の投資額についての、予定でございますが、CATV九十一億円を予定いたしております。
  154. 矢島恒夫

    矢島委員 今御説明いただいたように、実績の方ですけれどもNTTが大体百七十四億円、NCCが百二十四億六千万円、CATVは約一億円ですね。今年度の計画は、先はどのような数値が出ておるわけですが、大体融資対象というのは事業全体の大体三〇%、こういうふうに聞いております。そうしますと、NTTでいいますと、二百九十四億円ぐらいであります。それから、NCCが百二十億ぐらい、CATVは九十億として二十七億です。融資総額の方は大体一・四倍になったと思うのですね。NTTの融資額を比べてみますと、昨年実績の大体一・七倍ぐらいになりますか、額では、ちょうど今年度にふえた融資額百二十億円が丸ごと、ちょうどふえた分百二十億円、昨年度よりも今年度は融資枠が大体百二十億ふえた、これが丸ごとNTTに行くという計算に計算上はなるわけですね。  私が心配するのは、一つは、この超低利融資制度は二〇〇〇年までのものですけれども、今後もそういう傾向が一層拡大していくのではないか。つまり、NTTにどんどん融資額が集中していくのではないかという点。この点について郵政省はどうお考えかということが一つ。  それからもう一つ。そうした中で、NTT回線の丸借り問題というのが起きたわけですね。神奈川ですけれども、横浜市にありますタウンテレビ横浜というのがあります。丸紅と日立製作所が大体株主ですけれども。そこでNTT光ファイバー回線を丸借りする計画を進めている。NTTのいわゆる寡占化につながるのではないかという 心配が今出ているわけです。CATVの業者の間でも、こういうNTTの回線を丸借りするということに対しては警戒する声がいろいろ出ているのですね。いわゆるNTT法で禁止するNTTCATV事業の参入につながりかねないというようなことを言われている方もおりました。こういう問題について郵政省としてはどうお考えか、この二つの点。
  155. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐(三)政府委員 まず、平成八年度、この予算がお認めいただきましたらということでの前提で、また先生の方は一定の投資額からの予想というようなことでNTT、新規事業者CATVの融資額をおっしゃられました。  予算が認められてまいりますと、一定の融資の方針がありますので、先生のお話しになりました額とは若干違った額ですが、大宗は似たようなところで、例えば参考までに申し上げさせていただきますと、NTTは二百七十九億円程度か、あるいは新規事業者は百十四億円強か、あるいはCATVは二十六億円弱ぐらいというふうに見込んでおります。こういうようなことで二〇〇〇年までの設備投資が進んでまいります。それを国が支援するという流れの中で、NTTがこういう融資額の六割程度を占めるという実態、それは仰せのとおりだろうというふうに思います。これは、日本の加入者系のネットワークの構築自身が、言ってみますと国家一元的にやってきたその一つの実態の反映でございまして、これは別にNTTを特別に支援するという政策ではございません。  感想的なことになりますが、新しい事業者あるいはCATV事業者も、こうやって加入者網にまで入りまして融資をこのような割合で受けられるようになったというのは、ある程度日本の加入者網の活性化といいますか、それにつながってくるのではなかろうかというふうに存じております。  それからもう一点、NTTのネットワークを丸借りしてCATVをやるというお話でございますが、今現実の問題として、NTTのネットワークをCATVという観点で借りるということは制度上特に問題はございません。  ただ、例えば映像伝送サービスという具体的な専用線サービスがございます。ただいま先生がお話しいただきましたことがそれに当てはまっているのかどうか、そしてまた、NTTあり方ともかかわることでございますが、ある意味でトータルとして日本の情報通信が健全な発達を遂げていくものであるかどうかというのは、具体的内容に照らして私ども検討しなければならないというふうに存じております。
  156. 矢島恒夫

    矢島委員 ぜひNTTに対する支援策みたいな超低金利の融資じゃなくて、幅広く、特にCATVの業者なんかへの目配りも十分やってもらいたいと思います。  後半の問題は、そういう状況が実際に起きておりますので、早急に研究を進めてもらいたいと思います。  そこで、時間が参りましたので、この法案について、今までの論議の中で、通信事業の現状からNTTの役割というのは決定的であることは確かなんです。税金をつぎ込むわけですから、NTTの設備投資計画などを国民の前にも明らかにすべきだということを、これはちょうど昨年の、この法案ができるときに私質問いたしまして、当時の大出郵政大臣も、オープンにするという努力をこれからもやっていくというお話がありました。  いずれにしても、五十兆円に及ぶというこの設備投資計画ですから、国民や利用者にどういう影響が出てくるのか、どういう負担が必要になってくるのか、こういうものも明確になってない状況で進められるというのではなくて、やはりもっともっとオープンにすべきだということ。それから、NTTというのは我が国の大企業の中でも一、二を争うものでありますし、大きな経常利益を上げているわけです。ですから、利子補給という実質的な補助金が増大していくということ、このことにはどうも賛成できないということを申し上げて、私、質問を終わりたいと思います。
  157. 中川昭一

    中川委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  158. 中川昭一

    中川委員長 ただいま議題となっております両案中、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  159. 中川昭一

    中川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  160. 中川昭一

    中川委員長 ただいま議決いたしました電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、斉藤斗志二君外四名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。高木陽介君。
  161. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 ただいま議題となりました電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 光ファイバ網の整備が今後の情報通信機能の高度化に不可欠であることにかんがみ、本法に基づく第一種電気通信事業者及び有線テレビジョン放送事業者に対する支援措置拡充・強化を図るとともに、実施に必要な資金の確保に努めること。  一 加入者系光ファイバ網の整備に当たっては、全国的に均衡のとれた整備に努めること。  一 情報通信ネットワークの高度化に対応した安全・信頼性向上を図るため、信頼性向上施設整備事業に対する各種支援措置の一層の拡充を図るとともに、そのために必要な資金の確保に努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び市民リーグ・民改連の五派共同提案に係るものでありまして、案文は当委員会における質疑等を勘案して作成したものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  162. 中川昭一

    中川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  斉藤斗志二君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  163. 中川昭一

    中川委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、日野郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。日野郵政大臣
  164. 日野市朗

    日野国務大臣 ただいま電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。     —————————————
  165. 中川昭一

    中川委員長 次に、通信放送機構法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤斗志二君。
  166. 斉藤斗志二

    ○斉藤(斗)委員 私は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合及び新党さきがけを代表いた しまして、ただいま議題となっております通信放送機構法の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。  情報通信分野は、今、高度情報社会が花開く二十一世紀のリーディング産業として、我が国の経済発展、構造改革に大きく寄与するとともに、ゆとりある豊かな生活実現等、我が国が直面する諸課題を解決する切り札として期待されているところであり、高度情報通信社会構築に不可欠となる通信・放送技術の研究開発の強化を図ることは喫緊の課題となっております。  賛成の理由の第一は、本法律案は、民間における通信・放送分野研究開発の強化を図り、その効果的な実施を促進するため、民間企業等が研究開発に必要な資金を円滑に調達できるよう通信放送機構債務保証業務を追加することにより、情報通信ベンチャー企業等に対する公的支援制度の拡充に資するものとなっていることです。  第二は、民間等の設備や研究者等の研究開発能力を活用することにより、一層効果的な研究開発実施を可能にするため、通信放送機構がみずから研究開発実施するこれまでの方法に加え、研究開発民間等に委託することができる旨の規定を追加するなど、情報通信研究開発体制の充実に資するものとなっていることです。  以上の点から、本法律案の提出は時宜にかなうものであり、政府案に賛成の意を表しまして、私の討論を終わります。(拍手)
  167. 中川昭一

  168. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、日本共産党を代表して、通信放送機構法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行います。  本法案に反対する理由は、新たに設けられた民間企業への委託研究が、事実上の大企業への新たな補助金となる危険が極めて高いからであります。  通信放送機構民間企業に委託を予定している研究テーマは、障害者・高齢者の機能代行支援通信システムの開発を除いて、本来であれば、民間企業が研究開発のリスクをみずから負って行うべきものと考えます。民間企業にとって、将来の商品化に向けた研究開発に一定のリスクが伴うのは当然のことであります。  しかるに本法案は、委託研究の名目でこの一部を肩がわりしようというものである。しかも、その財源は国債の発行によって賄われます。国債残高が史上最高というように財政の危機が叫ばれている今日、国が借金をしてまで民間企業が負うべき開発リスクの一部を負担するという本法案には賛成できません。  質問でも指摘したように、八〇年代以降、地方自治体などへの補助金の整理、カットが進む一方で、大企業への補助金は委託費名目への切りかえが進み、事実上は増大し続けています。こうした大企業優遇でなく、民間企業では採算ベースに乗らないために手がつけられない研究開発こそ国や機構が行う研究開発業務中心に据えるべきであることを主張いたします。  なお、本法案によって新設される債務保証研究開発の公募制度については、あえて反対しないことを申し添えて、討論といたします。
  169. 中川昭一

    中川委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  170. 中川昭一

    中川委員長 これより採決に入ります。  通信放送機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  171. 中川昭一

    中川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  172. 中川昭一

    中川委員長 ただいま議決いたしました通信放送機構法の一部を改正する法律案に対し、斉藤斗志二君外四名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。山崎泉君。
  173. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 ただいま議題となりました通信放送機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     通信放送機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。  一 高度通信放送研究開発業務の一部を委託するに当たっては、公正な手続により委託先を選定するとともに、民間企業等の応募意欲の向上に資するため、研究成果に係る特許等の権利の帰属について十分配意すること。  一 通信放送機構が行う債務保証等の公的支援制度については、その情報提供の拡大を図るとともに、新たな支援策の創設に努めること。 以上のとおりであります。  この附帯決議案は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ及び市民リーグ・民改連の五派共同提案に係るものでありまして、案文は当委員会における質疑等を勘案して作成したものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  以上です。
  174. 中川昭一

    中川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  斉藤斗志二君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  175. 中川昭一

    中川委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、日野郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。日野郵政大臣
  176. 日野市朗

    日野国務大臣 ただいま通信放送機構法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。  本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  まことにありがとうございました。(拍手)     —————————————
  177. 中川昭一

    中川委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 中川昭一

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  179. 中川昭一

    中川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十八分散会      ————◇—————