○自見
委員 自由民主党の自見
庄三郎でございます。
きょうは、今回のいわゆる
TBSの
オウム番組問題につきまして、特に
報道の自由、あるいはそれをどのように
国民に
信頼を得ていくのか、大変重要な問題が参議院でも、また
衆議院の他の
委員会でも、いろいろな
参考人に
おいでいただいて
論議が深まっているところでございます。その中で、この
衆議院の
逓信委員会に、
日本民間放送連盟の、また
日本で最も古い、
昭和二十八年に開業だとお聞きいたします
日本テレビの
社長さんでもございます
氏家齊一郎さん、それから
公共放送でございます
日本放送協会、
NHKの
会長でございます
川口幹夫さんに
おいでをいただきました。大変貴重な時間を割いていただきまして、わざわざ
委員会に
おいでをいただきまして、心からお礼を申し上げる次第でございます。
言うまでもなく、我が国は自由な
民主主義国家でございまして、そのために、
言論の自由、
報道の自由、
番組編成の自由ということは
民主主義の
根幹、
言論の自由の
根幹にかかわる大変大事な問題でございます。そこできょうは、本当に
日本の
放送界を
代表するお二人の
会長さんに
おいでをいただいたわけでございます。
私は
平成五年のときに、当時の
衆議院の
政治改革調査特別委員会、あるいはこの
逓信委員会でも、実は当時大きな問題になりました椿問題を、
自由民主党の
通信部会長として
証人喚問を要求させていただきました
議員でございますし、その後、
テレビ朝日の
伊藤社長さんにこの
逓信委員会に
参考人として
おいでをいただきまして、いろいろ
質問をさせていただいた経験のある
議員でございます。私は、それゆえにまさに
言論の自由、そしてこの
言論の自由と社会との
調和ということが最も
民主主義国家にとって重要であるということを深く認識する
議員であるというふうに
自分で思うわけでございます。このことが本当に、他の一人一人の
国会議員にとりましても、またそういったのみならず一人一人の
国民にとりましても、大変重要な問題である、こういうふうに私は思うわけでございます。
まさに両
会長には釈迦に説法でございますけれ
ども、
憲法二十一条には
表現の自由というのを保障してあるわけでございます。この中に、言うまでもなく
言論の自由、
報道の自由が含まれておりますし、同時に
憲法十二条には、自由と
権利の
乱用を戒め、これを
公共の
福祉のために利用する
責任を負う、こういうふうに定めてあるわけでございます。私も少し勉強させていただきましたが、やはり
放送法という
法律は、この
憲法二十一条における
言論の自由、
表現の自由と、同時にその自由というものは
公共の
福祉のために、
乱用してはならないのだ、常に自主的な
規律、
自律が必要である、
言論人に対してはこういう大変大きな
責任があるわけでございますから、それは極端な話、
政府あるいはそういった公権力から介入されるのではなく、
自分たちで
自律して、
言論の持っている社会的な責務を自覚して、きちっと
自律組織としてやっていくということが基本的に必要であるということだ、こう思うわけでございます。
また、一概に
新聞、
テレビ、こう言うわけでございますが、特に
テレビの場合は、
放送法という
法律がございます。
新聞の方には、
新聞業法というのはございません。
テレビは、これは
公共の財産でございます
電波を占有的に使用していただくということですね。その見返りとして、きちっと
放送法は守ってくださいよ。そして、
大変影響力も大きいわけでございますから、そういったある
意味で
公益性、
公平性を担保させていただいて、そのかわり、まさに強力なメディアとして利用していただく。そのためには、
電波を
公益上有害なことには使わない、あるいは
自分の利益のためには使わない、こういったことが、もう当然のことでございますが、
放送の内容についても
放送法において
一定の
基準があるわけでございます。
御存じのように、
放送法の第三条の二に、いわゆる
四つの
原則というのが定められてあります。これは
番組編集準則、こう呼ばれているわけでございますが、私、もう一度読み返してみますと、この
四つの
原則を守って
番組編成をしなさい、こう書いてあるわけでございます。
一つが「公安及び善良な風俗を害しないこと。」二番目、「政治的に公平であること。」三番目が「
報道は事実をまげないですること。」真実を
報道するということでございます。四番目が「
意見が対立している問題については、できるだけ多くの
角度から
論点を明らかにすること。」こういったいわゆる四
原則、これは
言論の自由を守ると同時にやはり
一定の、自由というものを
乱用してはならない、
公共の
電波を使わせていただくわけですから、そういった基本的な
精神に基づいて、
憲法上の条文からこういった
放送法が生じている、私はこう思うわけであります。いわゆる
憲法二十一条の自由の保障、そして
憲法十二条で自由と
権利の
乱用を戒めて、
公共の
福祉のために利用するんだという、その
調和の中にこの
放送法という
法律が体系づけられているというふうに私は思うわけでございます。
そういった中で、今言いました
四つの
原則、この
原則はあくまで基本的な事項だけでございまして、あとは、まさに
報道の自由でございますから、
報道機関において、
放送事業者が
自主性を重んじるために、
放送事業者みずからがいわゆる
番組基準を設けておられるわけでございます。
きょうは
氏家会長おいででございますが、私もきょう、今問題になっている
TBSの
放送基準を持ってまいりました。多くのところはこれは
自分でつくっておりますが、あと小さなところは、
御存じのように
日本民間放送連盟、これは
日本国の
民間放送、
テレビもラジオも入った最大のただ
一つの
組織でございますが、そこの
放送基準に
御存じのように従う、こういうふうになっているわけでございます。私も、これをきのうまた久しぶりに読ませていただきまして、実に立派なことが書いてあるわけでございまして、これをきちっと
テレビ局が守っていただければ、こんな、例えば
TBSの
オウムの
報道事件、
報道問題は起きなかったんじゃないか、こう思うわけでございますが、また同時に、こういったところでございますから、やはり
原点に返って
考えるということが大事である、私はこういうふうに思うわけでございます。
それでは、
TBSの問題につきましては、
御存じのように、昼から
TBSの
磯崎さんにも
参考人として
おいでいただいて、いろいろ
TBSの具体的な問題については昼からこの
磯崎参考人に対して
質問が出る、こう思うわけでございますが、きょうは、まさに
日本において
大変影響力のあるお二人の
会長でございますから、この
TBS事件についていろいろあるわけでございます。いろいろな
意見がございまして、まさにこの
放送法の
関係では、
オウム真理教の
幹部の
暴力やあるいは
脅迫に負けて
放送を中止したのではないか、こういったことが私は大きな
問題点だろうというふうに思っております。これは言いましたように、
放送法三条で
放送番組の
編集の自由というのが
御存じのように保障されておりまして、それをみずから破ったのではないか、こういう疑いがあるわけでございます。
また、二番目といたしまして、
麻原被告人の
ボンでの
単独会見を
TBSがやっているわけでございますが、当然これは
坂本弁護士とは
意見が異なっておったわけでございますから、なおかつ、
坂本弁護士のインタビューも収録をしていたということがわかったわけでございますね。そうなりますと、これは
放送法の第三条の二の四号でございますが、
御存じのように、
意見が対立している問題につきましては、できるだけ多くの
角度から
論点を明らかにするということが、今さっきの
四つの
放送業界の大
原則がございまして、その中の
一つに抵触をするのではないか、こういった
意見もあるわけでございます。あくまであちらの
意見を聞けばこちらの
意見も聞くということが
民主主義国家における健全な
報道のあり方だ、こういう
原則でございますから、そのことに反するのではないかという
意見を言われる方もおられるわけでございます。
また、きょうもここに
新聞を持ってまいりましたが、
坂本弁護士のビデオを見せる、これは
TBSが事前に約束していたということをまたきのう
国会で明らかにしたというふうな
報道があるわけでございますが、このことが本当に、最初は隠す、そして動かぬ証拠と申しますか、そういうのがあらわれれば二転三転、悪うございましたと、また隠していたというふうな感じを
国民一般が持つわけでございます。
TBSさんもそういう
意味では、これはきちっと
国民の前にそういったことを、いずれこれは昼から
参考人として明らかにしてくれる、こう思うわけでございますが、またこの問題といたしまして、実は
報道機関というのは
公共性がございます。ですから、当然
一般よりもより高い
倫理性と申しますか、
遵法精神が求められるのじゃないか、むしろ
オウムが来たことを早く公表すべきだった、あるいは
警察に通報すべきでなかったかということもあるわけでございます。これは、
警察に通報するということは、博多駅の
事件がございまして、いろいろ
マスコミ内部、
学界内部にも
意見があるということは私は承知しておりますが、ごく素直な
国民の
気持ちとしまして、そういう犯罪につながることがあれば、当然、早くやはり
信頼する
警察に通報すべきでないかというのが私は
国民の素朴な声だ、こう思うわけでございます。
また、取材してきた
放送前のテープを、これは
御存じのように外部の人に見せているわけですね、
意見の違う人に。そういったことがこれは
番組作成過程においていかがなものか。私は、
放送法を
基準にするとこういった
問題点が浮き上がってくるのかな、こう思うわけでございますが、時間もございませんので、この
TBS事件について
氏家会長と
川口会長に、大変長い間の
皆様方言論人でございまして、
日本の
言論をまさに
マスコミ人としてもリードをしておられる方でございますから、このことにつきまして、ぜひ
国民の前で、この
TBS事件についてどう
考えるのか、所信をまず述べていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。