運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1996-04-03 第136回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年四月三日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 中川 昭一君    理事 斉藤斗志二君 理事 中谷  元君    理事 古屋 圭司君 理事 遠藤 乙彦君    理事 河村たかし君 理事 高木 陽介君    理事 山崎  泉君 理事 小沢 鋭仁君       荒井 広幸君    遠藤 利明君       川崎 二郎君    岸本 光造君       自見庄三郎君    野田 聖子君       野中 広務君    宮崎 茂一君       遠藤 和良君    神崎 武法君       北橋 健治君    古賀 一成君       高橋 一郎君    日笠 勝之君       冬柴 鐵三君    大出  俊君       田中 昭一君    横光 克彦君       矢島 恒夫君    吉岡 賢治君       佐藤謙一郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 日野 市朗君  出席政府委員         郵政政務次官  山口 俊一君         郵政大臣官房長 谷  公士君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君  委員外出席者         参  考  人         (日本民間放送         連盟会長)   氏家齊一郎君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     川口 幹夫君         参  考  人         (株式会社東京         放送代表取締役         社長)     磯崎 洋三君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 四月三日  辞任         補欠選任   佐藤 剛男君     遠藤 利明君 同日  辞任         補欠選任   遠藤 利明君     佐藤 剛男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 中川昭一

    中川委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として、午前、日本民間放送連盟会長氏家齊一郎君及び日本放送協会会長川口幹夫君、午後、株式会社東京放送代表取締役社長磯崎洋三君、以上三名の方々に御出席をいただき、御意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川昭一

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  ただいま御出席いただいております参考人は、日本民間放送連盟会長氏家齊一郎君及び日本放送協会会長川口幹夫君であります。  この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  なお、御意見質疑応答の形で承りますので、さよう御了承願います。     —————————————
  4. 中川昭一

    中川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。自見庄三郎君。
  5. 自見庄三郎

    ○自見委員 自由民主党の自見庄三郎でございます。  きょうは、今回のいわゆるTBSオウム番組問題につきまして、特に報道の自由、あるいはそれをどのように国民信頼を得ていくのか、大変重要な問題が参議院でも、また衆議院の他の委員会でも、いろいろな参考人おいでいただいて論議が深まっているところでございます。その中で、この衆議院逓信委員会に、日本民間放送連盟の、また日本で最も古い、昭和二十八年に開業だとお聞きいたします日本テレビ社長さんでもございます氏家齊一郎さん、それから公共放送でございます日本放送協会NHK会長でございます川口幹夫さんにおいでをいただきました。大変貴重な時間を割いていただきまして、わざわざ委員会おいでをいただきまして、心からお礼を申し上げる次第でございます。  言うまでもなく、我が国は自由な民主主義国家でございまして、そのために、言論の自由、報道の自由、番組編成の自由ということは民主主義根幹言論の自由の根幹にかかわる大変大事な問題でございます。そこできょうは、本当に日本放送界代表するお二人の会長さんにおいでをいただいたわけでございます。  私は平成五年のときに、当時の衆議院政治改革調査特別委員会、あるいはこの逓信委員会でも、実は当時大きな問題になりました椿問題を、自由民主党通信部会長として証人喚問を要求させていただきました議員でございますし、その後、テレビ朝日伊藤社長さんにこの逓信委員会参考人としておいでをいただきまして、いろいろ質問をさせていただいた経験のある議員でございます。私は、それゆえにまさに言論の自由、そしてこの言論の自由と社会との調和ということが最も民主主義国家にとって重要であるということを深く認識する議員であるというふうに自分で思うわけでございます。このことが本当に、他の一人一人の国会議員にとりましても、またそういったのみならず一人一人の国民にとりましても、大変重要な問題である、こういうふうに私は思うわけでございます。  まさに両会長には釈迦に説法でございますけれども憲法二十一条には表現の自由というのを保障してあるわけでございます。この中に、言うまでもなく言論の自由、報道の自由が含まれておりますし、同時に憲法十二条には、自由と権利乱用を戒め、これを公共福祉のために利用する責任を負う、こういうふうに定めてあるわけでございます。私も少し勉強させていただきましたが、やはり放送法という法律は、この憲法二十一条における言論の自由、表現の自由と、同時にその自由というものは公共福祉のために、乱用してはならないのだ、常に自主的な規律自律が必要である、言論人に対してはこういう大変大きな責任があるわけでございますから、それは極端な話、政府あるいはそういった公権力から介入されるのではなく、自分たち自律して、言論の持っている社会的な責務を自覚して、きちっと自律組織としてやっていくということが基本的に必要であるということだ、こう思うわけでございます。  また、一概に新聞テレビ、こう言うわけでございますが、特にテレビの場合は、放送法という法律がございます。新聞の方には、新聞業法というのはございません。テレビは、これは公共の財産でございます電波を占有的に使用していただくということですね。その見返りとして、きちっと放送法は守ってくださいよ。そして、大変影響力も大きいわけでございますから、そういったある意味公益性公平性を担保させていただいて、そのかわり、まさに強力なメディアとして利用していただく。そのためには、電波公益上有害なことには使わない、あるいは自分の利益のためには使わない、こういったことが、もう当然のことでございますが、放送の内容についても放送法において一定基準があるわけでございます。  御存じのように、放送法の第三条の二に、いわゆる四つ原則というのが定められてあります。これは番組編集準則、こう呼ばれているわけでございますが、私、もう一度読み返してみますと、この四つ原則を守って番組編成をしなさい、こう書いてあるわけでございます。  一つが「公安及び善良な風俗を害しないこと。」二番目、「政治的に公平であること。」三番目が「報道は事実をまげないですること。」真実を報道するということでございます。四番目が「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」こういったいわゆる四原則、これは言論の自由を守ると同時にやはり一定の、自由というものを乱用してはならない、公共電波を使わせていただくわけですから、そういった基本的な精神に基づいて、憲法上の条文からこういった放送法が生じている、私はこう思うわけであります。いわゆる憲法二十一条の自由の保障、そして憲法十二条で自由と権利乱用を戒めて、公共福祉のために利用するんだという、その調和の中にこの放送法という法律が体系づけられているというふうに私は思うわけでございます。  そういった中で、今言いました四つ原則、この原則はあくまで基本的な事項だけでございまして、あとは、まさに報道の自由でございますから、報道機関において、放送事業者自主性を重んじるために、放送事業者みずからがいわゆる番組基準を設けておられるわけでございます。  きょうは氏家会長おいででございますが、私もきょう、今問題になっているTBS放送基準を持ってまいりました。多くのところはこれは自分でつくっておりますが、あと小さなところは、御存じのように日本民間放送連盟、これは日本国民間放送テレビもラジオも入った最大のただ一つ組織でございますが、そこの放送基準御存じのように従う、こういうふうになっているわけでございます。私も、これをきのうまた久しぶりに読ませていただきまして、実に立派なことが書いてあるわけでございまして、これをきちっとテレビ局が守っていただければ、こんな、例えばTBSオウム報道事件報道問題は起きなかったんじゃないか、こう思うわけでございますが、また同時に、こういったところでございますから、やはり原点に返って考えるということが大事である、私はこういうふうに思うわけでございます。  それでは、TBSの問題につきましては、御存じのように、昼からTBS磯崎さんにも参考人としておいでいただいて、いろいろTBSの具体的な問題については昼からこの磯崎参考人に対して質問が出る、こう思うわけでございますが、きょうは、まさに日本において大変影響力のあるお二人の会長でございますから、このTBS事件についていろいろあるわけでございます。いろいろな意見がございまして、まさにこの放送法関係では、オウム真理教の幹部暴力やあるいは脅迫に負けて放送を中止したのではないか、こういったことが私は大きな問題点だろうというふうに思っております。これは言いましたように、放送法三条放送番組編集の自由というのが御存じのように保障されておりまして、それをみずから破ったのではないか、こういう疑いがあるわけでございます。  また、二番目といたしまして、麻原被告人ボンでの単独会見TBSがやっているわけでございますが、当然これは坂本弁護士とは意見が異なっておったわけでございますから、なおかつ、坂本弁護士のインタビューも収録をしていたということがわかったわけでございますね。そうなりますと、これは放送法の第三条の二の四号でございますが、御存じのように、意見が対立している問題につきましては、できるだけ多くの角度から論点を明らかにするということが、今さっきの四つ放送業界の大原則がございまして、その中の一つに抵触をするのではないか、こういった意見もあるわけでございます。あくまであちらの意見を聞けばこちらの意見も聞くということが民主主義国家における健全な報道のあり方だ、こういう原則でございますから、そのことに反するのではないかという意見を言われる方もおられるわけでございます。  また、きょうもここに新聞を持ってまいりましたが、坂本弁護士のビデオを見せる、これはTBSが事前に約束していたということをまたきのう国会で明らかにしたというふうな報道があるわけでございますが、このことが本当に、最初は隠す、そして動かぬ証拠と申しますか、そういうのがあらわれれば二転三転、悪うございましたと、また隠していたというふうな感じを国民一般が持つわけでございます。  TBSさんもそういう意味では、これはきちっと国民の前にそういったことを、いずれこれは昼から参考人として明らかにしてくれる、こう思うわけでございますが、またこの問題といたしまして、実は報道機関というのは公共性がございます。ですから、当然一般よりもより高い倫理性と申しますか、遵法精神が求められるのじゃないか、むしろオウムが来たことを早く公表すべきだった、あるいは警察に通報すべきでなかったかということもあるわけでございます。これは、警察に通報するということは、博多駅の事件がございまして、いろいろマスコミ内部学界内部にも意見があるということは私は承知しておりますが、ごく素直な国民気持ちとしまして、そういう犯罪につながることがあれば、当然、早くやはり信頼する警察に通報すべきでないかというのが私は国民の素朴な声だ、こう思うわけでございます。  また、取材してきた放送前のテープを、これは御存じのように外部の人に見せているわけですね、意見の違う人に。そういったことがこれは番組作成過程においていかがなものか。私は、放送法基準にするとこういった問題点が浮き上がってくるのかな、こう思うわけでございますが、時間もございませんので、このTBS事件について氏家会長川口会長に、大変長い間の皆様方言論人でございまして、日本言論をまさにマスコミ人としてもリードをしておられる方でございますから、このことにつきまして、ぜひ国民の前で、このTBS事件についてどう考えるのか、所信をまず述べていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
  6. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私は、この場の雰囲気には非常にそぐわないかもしれませんが、大変苦しい気持ちでいっぱいでございます。東京放送さんは、発足以来、私ども日本民間放送連盟の重要な会員の一社でございますし、今渦中にある東京放送磯崎社長は、我々の長い友人でございます。その人柄その他もよく承知しておりますので、ここで結果として東京放送を断罪するような発言になるかもしれないということを私は非常に苦しんでおります。  しかしながら、私情はそうでありましても、公人といたしましては、言うべきことを、今の先生の御質問にお答えすべきだと思いますので、お答えさせていただきます。  私自身の気持ちを申し上げさせていただきますと、第一点の、先生のおっしゃいました暴力脅迫に負けて放送を中止したのではないかという御質問に対しましては、私は、そうあってほしくない、そうあってはならない。しかしながらTBSさんは、それがどういう形でやられたのか、やはり国民代表として今御質問のありましたことは国民の声として、答える必要があるのではないか、はっきりした結論を出す必要があるのではないかと私は思います。  麻原さんのボン単独会見の放映の問題でございますが、これもまさに今先生のおっしゃったとおりだと思います。私どもがこの問題を扱うと仮に仮定いたしましたならば、やはり対立する意見は二つきちっと並べて放映しただろうと思います。このあたりも、やはりあってほしくはなかった事実だったと今考えております。  報道倫理として、オウムが来たことを公表すべきではなかったかという御意見でございます。  私は、結果としてはああいう大きな事件史上空前、世界的にも例のないような大事件に発展した問題でございますから、当然そういうような配慮が当初なされてよかったとは思います。したがって、はっきりこれを通報すればよかったということは思っておりますが、一般論として申し上げた場合は、これは必ずしも報道倫理の問題として申し上げる筋ではないという気がいたします。これはそれぞれやはりケースバイケースの問題でございまして、これが非常に発展いたしますと、ニュースソースの秘匿という問題にも密接に関係する問題でございますので、ケースバイケース考えるべき必要はあろうとは思いますが、一般論としては、こういったいろいろなニュースソースに関する問題を公表すべきではないと私は考えております。  先生の御質問はその三点でございましたね。
  7. 自見庄三郎

    ○自見委員 私は今四つの点を言ったのですが、それは個々の問題でございまして、そういった問題点がございますが、それを踏まえてこのTBS事件報道オウム事件について、まさに民放連会長にとりまして、言うなれば大所高所の点からどういうふうなお考えをお持ちですか、こういう話でございまして、具体的な質問に答えていただきたいということではございません。
  8. 氏家齊一郎

    氏家参考人 さようでございますか。わかりました。  先ほどからの個別的に答えさせていただきましたところでも、私ども考え方は出ていると思いますが、やはりこのTBSの問題というものは、我々民間放送連盟としても重大に受けとめて、その対処を十分に考える必要がある、こういう大きな問題だと自覚しております。  以上でございます。
  9. 川口幹夫

    川口参考人 NHK会長でございます。  私は、今回のTBS事件というものを非常に重大に考えております。それは、放送というものの信頼をこのことによって大きく損ねた、失わせるものがあったということであります。  申すまでもなく、日本放送というものは、大正十四年にできたNHK昭和二十六年にスタートしました民放連とが、世界にも比類のない公共放送民間放送という形でもって発展をしてまいりました。その基本には、国民各位放送に対して持ち続けた非常に大きな信頼感があったと思います。今回の事件は、その信頼感を非常に大きく損ねる結果となりました。  自見先生おっしゃいましたように、放送放送法というもので規律をされております。その放送法の中にうたわれているのは、表現言論の自由であると同時に、それに対する責任というものを重大に考えろということであろうかと思います。私は、今回の事件についても我々放送人がみずからの責任によって検証し、自律的にこのことについての判断をすべきだと思います。そして、しかるべき措置をとって国民信頼回復にこたえなければいけないと思っております。当然、NHK民放と一緒になって日本放送をこれから担っていく大きな大きな責任がございます。いろいろなことでこれから氏家会長と相談しながら、日本放送の健全な発達のために努力をしたいと思っております。
  10. 自見庄三郎

    ○自見委員 今の氏家川口会長の中にも、みずからの責任においてきちっと検証し、しかるべき措置をとって国民に失われた信頼回復せねばならない、こういった趣旨の話があったわけでございます。  こういった事件でございますから、当事者あるいは関係方がきついということはよくわかるわけでございますけれども、やはり何よりも報道に対する国民信頼回復ということは大変大事でございますし、それは民主主義原点でございますから、苦しくても、苦渋に満ちても、責任ある立場にあられる方でございますから、ぜひきちっとやっていっていただきたい、こういうように思うわけでございます。  それから、実は今さっき、私、椿発言のことを言わせていただいたわけでございます。御存じのように、これはテレビ朝日の元報道局長の椿さんという方ですね、取締役、元報道局長さんの発言が、御存じのように大変戦後の大きなマスコミ界でもエポックになった事件であったというふうに私は認識をいたしております。五五年体制というものは絶対に突き崩さねばならないんだ、まなじりを決して今度の選挙報道に当たったんだ、私ども番組は決して公平ではなかったんだということを、御存じのように民放連の公式の理事会で決定した放送番組調査会での発言があったわけでございます。御存じのように、証人として国会に来ていた、だくということになりまして、そのことを、いろいろあったわけでございますけれども、当時、実際にテレビ朝日報道が、当時の椿報道局長どおりに、いろいろ信念、考えを述べられたわけでございますけれども、それが述べられたと同時に、もし放送ができておれば、番組が編成されておれば、これは放送法第三条の二の第一項、今さっき言いましたように、放送というのはあくまで政治的に公平であることが大事でございます。不偏不党、あるいは一党一派に偏しないというのも、これも四つ原則の大事なところでございます。  ある意味では、そういった椿発言を契機に各テレビ局が、御存じのように自主的に、これはもういろいろ、今さっき言いました放送コードの問題、放送の、番組の取り扱い等々について各社で非常に研修会をした。中には初めてこの今さっき私が言いました放送番組憲法でもございますそれをきちっと読んだという方にもお会いしたことがあるわけでございますが、各社放送基準勉強会をやったということでございまして、これはもう社長さんのところでもやられたのだろうと思うのですが、その経緯、経過につきまして、どういう御努力をされたのかということを氏家会長にお聞きをいたしたい。
  11. 氏家齊一郎

    氏家参考人 あの事件につきましては、私どもといたしましても、やはり重大なる他山の石と考えまして、直ちに社内で日本テレビ報道ガイドライン研究会というのを設けました。これは、東京キー局各社さん全部同じようなものを直ちに設けられたと伺っております。それで、「報道ガイドライン 公正報道に向けて」という、要するにこういう冊子でございますが、こういうものをつくらせていただきまして、これを全局員に精読させまして、報道の公正を期する、こういう態度で臨んだわけでございます。  以上でございます。
  12. 自見庄三郎

    ○自見委員 私は、のど元過ぐれば熱さを忘れるとは申しませんけれども、やはり繰り返し繰り返しシステム的にもこれをやっていくことが、まさに報道人の、本当にある意味で品位を保ち、力を保ち、そしてまさに社会的な影響力が発揮できる源泉だ、こう私は思うわけでございます。ぜひそのことを進めていっていただきたい。しかし、中には、あのときは確かによく勉強したのだけれども、あれからもう少し緩んできたよという声も聞くわけでございますけれども、そういうことはございませんか。
  13. 氏家齊一郎

    氏家参考人 各年度の新入生にはさらにそれを徹底させることにいたしておりまして、ことしにつきましても、その今の冊子を十分に熟読させまして、それの感想及びそれをどういうふうに今後自分たちが生かしていくかというようなことについての新入生研修会を開く予定になっております。そういうような形で私どもも他のキー局さんも同じように努力していると私は信じております。
  14. 自見庄三郎

    ○自見委員 新入社員をまさにきちっと教育していただくということも大事でございますが、同時に中堅職員あるいは幹部、特に前回も私は問題にしましたが、テレビ局が制作を下請、孫請プロダクションに出す。実際は編成権社長さん一人に法律上はあるわけでございますが、実質の編成権は実はプロダクションあるいは孫請プロダクション社長さんにもある、社長さんに実質あるというふうな話も聞いたことがございます。  名前は言いませんけれども民放テレビ局社長さんがこう言われました。民放の現職の社長さんが、自見さん、自分が一番恐ろしいことは、自分テレビ局テレビを見ることだ、こう言われたのですね。これはもうよく御存じのように、テレビというのは大変巨大で膨大で、また瞬時に反応するというのがまたこれテレビの強みでございますから、管理体制あるいは精神を徹底するということはなかなか難しくて、困難なことがあると思うわけでございますが、やはりそういったいろいろな構造的なこともございますが、これはもう会長よくおわかりでございますから、そこら辺を徹底して、国民マスコミに対する信頼回復するためにもしっかり引き続きやっていただきたいということを強く私からお願いをいたしておきます。  それから、大分時間も過ぎてきたわけでございますが、実はこのTBSの問題これは本当に苦しい事件でございまして、我々も本当にこれを何とか、今自分責任において解決をしていただきたいということが川口会長の話でもあったわけでございます。これを、再発防止ということをシステムとして、こういった事件がたびたび起こるわけでございまして、そのたびにこういう国会論議があるわけでございますが、やはりこれは今のマスコミと申しますか、テレビ会社あるいは民放連の中に何かやはり構造的な欠陥と申しますか、もうわっとこうなって、その後世間が鎮静したらそのままだというふうな印象を持っておられる国民の方も多いと思うのです。私は、やはり何と申しますか、このマスコミ再発防止、これが、今度は特に氏家会長も就任のあいさつで、再発防止をしたい、こう述べられておるわけでございます。アメリカではもうVチップという制度を、ことしの二月に連邦通信法を改正いたしまして、暴力的な色彩の強いものあるいは性的に卑わいなもの、そういったものは、各テレビ局の受像機に、法律上、Vチップというのを設置する義務をつくりました。親が、これよりも少し、わいせつ度と申しますか、子供の教育に有害なものは見せないということを選択する、そうしたら、そういったテレビはその受像機では映らないということを、実は二月に、御存じのように、連邦通信法の改正でVチップの設置をすべてのテレビの受像機に義務づけたわけでございます。また、御存じのようにイギリスでは、中立機関として、マスコミに対する苦情の処理機関というのがきちっと法律上設置をされてあるわけでございます。  やはり言論の自由と自己規制という大変微妙なところがございますから、自己規制あるいは公的規制ということに、場合によってはこういったことになるわけでございます。私は、やはり言論の自由というのを考えれば、今の段階ではやはり自主的規制というのをきちっとやっていただくということがまず第一歩だ、こう確信をするわけでございます。  もう時間がないようでございますから、ひとつ民放連氏家会長に、ぜひ、再発防止についてはどう考えているのかということを御意見をいただければ、こういうふうに思うわけでございます。
  15. 氏家齊一郎

    氏家参考人 まさにおっしゃるとおり、自主規制をいかに徹底させるかということが、民主社会を維持させるために大変重要なことだと私どもも深く感じております。先生のおっしゃるように、こういうことは、人間の通性と申しますか、時間がたつと忘れられるというところもありますので、これを機会あるごとにというか、定期的に引き締め引き締めしながらやっていく方法をどういうふうにするかというような問題につきまして、民放連の機関に至急に諮りまして、新たに自主規制策の強化、どういうふうに持っていくか、それを研究していきたい、こういうふうに今考えております。しかし、決してのんびりしたことではございませんので、早急にやりたい、こう思っております。
  16. 自見庄三郎

    ○自見委員 ありがとうございました。早急に民放連の中で、再発防止のためにきちっと、マスコミ人のまさに威信にかけて再発防止のことをやるという決意でございますから、そのことを多として、きちっと我々も見守らせていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  きょうは本当にありがとうございました。これで私の質問は終わらせていただきます。
  17. 中川昭一

    中川委員長 山崎泉君。
  18. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 社会民主党の山崎泉であります。  私は、きょうで逓信委員会で三回このTBS問題を取り上げることになるわけでありますが、当初からTBS問題、うそをついておるというふうに私自身は受けとめておりました。  二十五日の逓信委員会では、あの薬害エイズに対応した厚生省とミドリ十字、これと一緒だ、こういうことを指摘をしました。それを指摘をした後に社長が見せたという記者会見をした。全く憤りを感じて——当初からこの問題、素直に謝っておれば何ということではないのです。何ということではないというか、謝ってそれから物事が始まるのです。最初から隠しておるからいろいろと混乱をするわけであります。そういうことを申し上げながら、大変きょうは、氏家会長NHK川口会長、人生の大先輩がおいででございますが、一言コメントをいただきたいというふうに思うのであります。  私は、人間にとっての価値、価値観というのは、その一番底辺の部分に、誠、真実、美、こういうものが流れているのではないかというふうに受けとめております。そして、底辺にあるそのものを、私どもはみずからを律しながら、他と共存、協和して社会を構築してきた、さらに構築しようとしておる。しかし、今は価値観の多様化というふうによく言われます。私は、自由や平和、人権、言論などなど、人類が共存してさらに繁栄をしていくためには、この多様化した価値観を万人が認め合う、こういう姿勢が必要であろうし、その姿勢こそが倫理ではないだろうかなというふうに思っておるのでありますが、私の持ち時間は二十分でございますから、両会長さんに短いコメントをお願いをしたいと思います。
  19. 氏家齊一郎

    氏家参考人 先生のおっしゃることは非常によく理解できると思います。
  20. 川口幹夫

    川口参考人 人間が生きていく上で、社会をつくり上げていく上で、大事なものは倫理であります。放送にも当然のように倫理が求められます。倫理というのは、字で書きますと、人の倫の理というふうに書きますけれども、私は、すべての社会が、人間が、やはり倫理によって常にきちんと基礎を固めておかなければいけないというふうに思っております。放送においてもしかりでございます。  したがって、その基本には常に真実の追求、それから多くの方々に潤いを与える、あるいは深い教養を与える、そういう放送が求められている、それが放送における倫理の基本になるというふうに認識をしております。
  21. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 ありがとうございました。  郵政省に尋ねます。  放送法をどう読んでも倫理という言葉は入っていないわけでありますが、放送法に基づいた、放送業者に求められる倫理とは、放送法のどこを言うのか、その件についてお伺いします。
  22. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送は、公共の財産である電波を使用しまして、公共福祉に資するために放送しておるわけであります。非常にまた社会的影響力の高いものでありますから、放送するに当たりましては、もちろん放送法を遵守すべきでありますが、それにも増して、その趣旨に沿った倫理というのは求められる、こういうふうに思っております。
  23. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 氏家会長にお伺いをします。先ほども自見先生質問に若干お答えをしたというふうに思うのでありますが、明確に、簡単にお答えください。  本日、参考人としてなぜ招致をされたのか、私どもから招致をされたと思うのか。何が悪くて、どこに問題があって、この場においでくださいというふうに言われたのか、明確にお答えください。
  24. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私は、きょうのテーマは、TBSの問題をどう思うかということを聞かれるように理解しております。
  25. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 TBSの問題ということでありますから、今一連の報道された内容であるということは御理解しておって参加されたものだというふうに思います。  ここに三月二十六日のある新聞を持ってきております。私は、倫理のない競争というのは必ず矛盾が起こる、その矛盾が今だというふうに受けとめております。今回のこのTBS問題を各社、ライバル会社がしてやったというふうに仮に心の中で思ったとしたら、これは私ども国民に対する各会社の傲慢だというふうに私は思うのであります。  四月二日の読売新聞氏家会長民放連会長になったということで紹介をされております。「TBS問題を「他山の石にしたい」」、よく気持ちはわかります。これはよくわかります。同時に、このことによって各社に危機意識を徹底すると同時に、民放連として再発防止が緊急の責務だというふうに語っております。  この再発防止というのは、これまでいろいろなことがやられてきました。時間がございませんので細かくは申しませんが、テレビ朝日、それからTBSNHK日本テレビ系のアニメ番組などなどやられております。特に八〇年代から何度も繰り返してきた、一言で言えば一連のやらせ事件です。こういう不祥事を機に、テレビ局報道体制の見直しや組織の点検を自発的に進めてきたはずですが、また今回起きた。  これは、まず第一に挙げられるのは、倫理のない競争、いわゆる視聴率主義、これがもう第一ではないかというふうに思うのでありますが、いかがでしょうか、会長
  26. 氏家齊一郎

    氏家参考人 今の御質問のように、いろいろな問題が確かに民放をめぐって起こってまいりました。しかしながら、問題の性質はいろいろ変化してきていると思います。最初のころ問題になりましたのはやらせ事件でございますが、昨今は、やらせ事件というものはほとんどなくなったと思います。その後起こってきました問題は、今の先生の御質問にもありましたサブリミナルの問題が二度起こりましたが、これも今後は恐らく絶対に起こらない性質の問題だと思います。  というように、確かにいろいろ問題は起こったわけでございますが、民放としての自浄努力がかなり実ってきた面もあるのではないか、内部を詳しく分析すればそういうふうに言えるのではないかと私は思っております。
  27. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 朝日新聞もサンゴ損傷事件で紙面審議会、第三者によるものをつくらせました。マスコミのこれまでの自主規制というのは、みずからつくったものでなく、その時々、いろいろな問題が発生をして、何かのきっかけでつくらせられた。そういうことからして、そのつくらせられた審議会とか倫理機関とか、そういうものを素直に受け入れる体制がないのではないかというふうに自分は思うのでありますが、そのことは横に置きまして、ここで、先ほど申しました「再発防止策を考えるのが緊急の責務だ」という会長のこの言葉に、私は、短い時間でありますが、三点、こういうものはいかがでしょうかということを申し上げたいというふうに思います。なお、その理由とかなんとかを説明すると私の持ち時間がございませんので、簡単に行きます。  まず、放送法放送倫理委員会の設置を定めて、そして各放送局ごとにそれを義務づける。イメージとしては今ある番組審議会のイメージであります。それからもう一つは、オンブズマン制度。NHKは組合要求で放送活性化会議が設置をされております。そしてこれは、現場の制作者が、みずからの意図に反して、つくったものを上司から手直しされた場合に、訴えていわゆる裁定を求める、こういう場であります。  いずれにせよ、番組やニュースを、その制作過程での出来事を法律で規制するということは、思想、表現の自由に直接かかわってくるわけですから、やるべきでないわけですが、やるとすれば、システムを法的に担保して、システム運用を各放送局ごとに任せる、こういうふうなオンブズマン制度はいかがなものだろうか。  聞いてみると、BBCはもうきちっとそういうものがあって、そしてそこには弁護士も入れておって、取材前に、ここからここは人権侵害ですよ、ここから先は取材したらだめですよというようなものが取り入れられておる。ところが我が国は、いざ問題が発生したときに初めて弁護士さんが出ていって、その問題を処理をする、こういうふうな形であります。  まずこの二点について、会長のお考え方をお聞きをしたいと思います。
  28. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私は、いずれの問題も検討に値するとは思います。しかし、我が国の、少し長くなりまして恐縮ですが、もともと日本テレビと申しますのは、御案内と思いますけれども新聞社との連携によってといいますか、新聞社の指導によってできてきたものです。ですから、私どもは読売新聞社と密接な関係がある。したがいまして、取材のやり方というものは、実は新聞社の基本的なやり方というものが原則になっております。我が社におきましても、取材の基本的なやり方は、日本新聞連盟が昭和二十一年に定めた新聞倫理綱領、ここにありますが、これに基づいた取材をなされておるわけでございます。  そういうように、取材のやり方などの問題につきましては、極めて新聞社と密接不可分の関係にございまして、その点はマスコミ界全体の問題に発展するかとも思いますので、これは、私どものみならず新聞社も必要があれば意見を聞かざるを得ないような問題ではないか、こういうふうに判断しております。
  29. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 そのことについてもさらに意見を述べたいのでありますが、もう一点、私は、今回のTBS事件を見て、こうやったらいいんじゃないかという考え方が三点ある。今二点言いました。そして、この三点は、自分たち放送業界マスコミ界がみずから実施をすることがいわゆる公権力の介入を排除するという立場に立っておりますから、ぜひそういう御理解で聞いていただきたいと思うのであります。  倫理機関とか審査会とかいろんなものをつくっても、例えば今回のように、現場段階で物事が発生するとどうにもならない。だれに報告したのか、だれと協議したのか、何かかんかわからない、こういう問題がある。そうすると、一番基本になるのは教育、そこから始まる倫理の問題だというふうに思います。  私は、ここに今、各社の新人研修のカリキュラムを持っております。これは時間は書いてないのでありますが、見てみますと、日本テレビ、期間は四月一日より一カ月間、東京放送、四月一日より七週間、また五月−九月にもありますが、朝日、四月一日より一カ月間、日本放送協会、四月一日より一カ月間(アナウンスは二カ月)、こういうふうにあります。  「カリキュラムの概要」。日本テレビ、一と二に分かれておって、ポツが、一が五項目に分かれている。二が四項目ある。「社会人・社員としての基礎知識」、そのポツの二番目に「放送倫理」という講習があります。東京放送、研修が四つあって、四番目に「合宿・討論により放送人の心構え等の確認及び放送の在り方並びに放送倫理について集中研修」。朝日、四番目に「放送の在り方及び放送倫理」。日本放送協会NHK、「社会人の基本マナー、放送倫理、ジャーナリストの心構え」、一番目にあります。  これは一番に挙げているか二番に挙げているか関係ないんですが、私どもは普通物事を処理する場合に、これが大事だと思うものは一番に挙げるんです。さすが私はNHKだと思うんです。  それだけでは言うことはできませんが、そういう意味合いからしまして、私は、今の日本の会社は、社に入ってからすべてのものを教育をする、ジャーナリストとしてもそういう教育をする。これではだめだ。今は競争至上主義ですから、勝つためには何も選ばない。そしてまた、外注された下請がある。下請の方には社内の教育は行き届かない。大変行き届いておるかもしれませんが、失礼な言い方ですが、ややもすれば行き届かないような状況がある。こうした場合には、私は、ライセンス、これを取るための義務づけが必要じゃないか。非常に難しいんですよ。ジャーナリズム教育を会社が中心にやって、一定の講座を受講した者に付与する。そしてこの講座は、当然皆さん方、放送関係者が自主的に組織をして行う、こういう形の中で徹底して、一夜漬けとかの教育じゃなくてずうっとやっていくというのが、今からの日本マスコミ界には、日本だけでなくて、今からいろいろな世の中になるわけでございますから、そういうものが必要ではないかというふうに思うんでありますが、時間も短くなってきましたが、簡単にいかがでしょうか。
  30. 氏家齊一郎

    氏家参考人 今の先生の御意見は、私は初めて伺いまして、非常に拝聴に値すると思います。しかしながら、その実現はどうか、こういうことになりますと、先ほど申し上げましたように、テレビへ行く人間、新聞に行く人間という者は学生時代はまだ未分化な者が多いんでございまして、そういった場合も考えまして、やはり新聞その他とも大いに意見を闘わすべき種類の問題かと思います。
  31. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 あと何分あるんですか。——あと一分、それじゃもう終わります。  もう少し聞きたかったんですが、いずれにしても、私は、今回のTBSの問題は、放送法上からして、TBS日本社会に対する思い上がりだったというふうに私自身は受けとめております。今の質問も、私はできる限り国会議員として表現言論の自由を侵害をしないようにしながら、批判をしたり提案をしたつもりであります。どうぞ、これを機会にNHKも各民放も倫理を構築させて、日本民主主義の発展のために頑張っていただきたい。特にNHK川口会長、そしてまた民放連氏家会長、お二人がこうやっておそろいでございますから、本当にマスコミに対する厳しい批判がある中で、このお二人の力がマスコミ信頼を取り戻すと同時に、日本民主主義をさらに前進をさしていくんではないかというふうに考えますんで、力強くがっちりとスクラムを組んで取り組んでいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  32. 中川昭一

    中川委員長 小沢鋭仁君。
  33. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 新党さきがけの小沢鋭仁でございます。  時間が短いので、言葉足らず、御無礼がございましたら御容赦をいただきたいと思います。  三十年前にシカゴ大学のダニエル・ブラースティン教授が「幻影の時代」という本を書きまして、私は学生時代に読ましていただいたんですが、「マスコミがニュースを取材することから逸脱してニュースの製造へ向かっている」、そういう警告を発しているわけであります。その中で「擬似イベント」という言葉、概念を用いまして、マスコミがつくり出す本物ではない人工的な事実の方が操作も自由だし、そしてはるかに劇的で印象深く国民に伝えることができるんで、どうもそういったことに流れがちだと、そういう時代を「イメージの時代、幻影の時代」と呼びました。  私は、三十年たって今日の状況というのはまさにそれに極めて近い、危惧した状況にあるというふうに思っておりまして、今回のTBSの問題、この問題をきっかけに、ぜひ全体像としてメディアの問題をとらえさしていただきたいというふうに思います。  そこでまず第一番目に、宇宙パワー療法、現在裁判に、損害賠償請求事件に日テレさんの番組がなっておりますですね。民放連会長として、日テレ社長さんとして、氏家会長、私は行き過ぎの一つの例だと思っておるんですが、どんなお考えでしょうか。
  34. 氏家齊一郎

    氏家参考人 その問題につきましては日本テレビ社長ということでお答えさしていただきますが、まだ当社に訴状その他が到着しておらないそうです。それで、到着いたしまして、それを十分拝見して事実を再確認いたさないと、この段階ではまだ何とも申し上げられないという状況でございます。
  35. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 事実を確認していただいてからしっかりお答えをいただくということで結構でありますけれども、ぜひそういった問題は、既に報道も出ているわけでありますから、訴状が届いている届いていないにかかわらず前向きにお答えをいただけたらありがたかったというふうに一言申し上げます。  さらにまた、今申し上げたそういう損害賠償請求事件や、各先生方から話が出ました数々のいわゆるやらせの番組であるとか、あるいはまた、私がこの逓信委員会で何度も御質問しましたいわゆるテレビのバラエティー番組のいじめの問題と各学校で起こっているいじめの事件、いじめの問題の関連性とか、あるいはまた富士五湖天然記念物の風穴の中の爆行事件、そういったようなこともありました。いわゆるメディアの中でそういった問題というのが現在かなり出ているんではないですか。  しかしながら私は、これを、公的権力、すなわち政治とか行政が直接的にそれを取り上げて介入していくということは、言論の自由の観点から反対でありますが、この数々起こっている事件とその公的介入の話、これを確認をさしていただきたいんです。私は反対でありますが、民放連会長、どうですか。
  36. 氏家齊一郎

    氏家参考人 おっしゃいますように、いろいろと事件が、事件と申しますか、世の中を騒がせることが起こってまいりましたことは事実でございます。で、これに対しまして、一々各社で対応いたしまして、それが起こらないように起こらないようにと進めております。  ただ、マスコミと申しますのは、新聞社についてもそうでございますけれども、時間との争いという面がございまして、必ずしも無謬というわけにはいかないかもしれません。しかしながら、私どもは無謬に向かって限りなきアプローチに努力しているということだけは申し上げさしていただいてよろしいかと思います。  公的権力の介入につきましては、これは当然のことながら、当然のことながら不必要と考えております。
  37. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 今、当然のことながらということでお答えいただいたわけでありますが、私もそこは大事にしたいと思っているわけであります。  だからこそ、それならばこそ、やはり先ほど来出ております、まさにマスコミの中で、メディアの中で自主的な対応をしっかりとっていただかなきゃいかぬということになるんじゃないんですか。公的介入というのは、これはしてはいけない。憲法の問題も、あるいはまた憲法があるからということではなくて、それが大事だから憲法にもなっているわけでありまして、だからそれはやってはいけない。しかし、これだけの問題が起こっている以上、自主的に問題をしっかりと対応してもらわないといけないということの中で、今まで、あるいはまた今回の問題もそうでありますが、民放連が何ができたのか、あるいはいろいろな番組編成やなんかの中で、例えば放送番組調査会等々いろいろつくっていただいていますが、この番組のこういうところがいけないというような話を今までにやられたことがあるのですか。あるいはまた、もしそれができないのだとすれば、民放連というのは組織自体を変えなければいけないのじゃないですか。  というのは、私が教えていただいた方がいますが、放送局というのは中身全部チェックできない、氏家会長さっきおっしゃいました。普通の会社の社長さんは自分の製品は全部承知している。全部チェックできない。その放送局の社長さんが会長民放連、やはり限界があるのじゃないですか、そのチェックの中に。その民放連のチェック機能はどうなんですか。
  38. 氏家齊一郎

    氏家参考人 おっしゃるように、制度的それから実効的には限界があると思います。しかしながら、その限界をいかにしてなくしていくかということは、担当する社員一人一人、各社の社員一人一人にその意識をいかに徹底させていくかということにかかるのじゃないかと思っております。  そういう意味で、我々は、決して言葉だけではなく、社員への徹底は日夜努力しているつもりでございます。
  39. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 先ほども氏家会長から、いわゆる教育、社員教育ですね、そういった御指摘もあり、今もそういう御答弁でありましたが、私の質問の趣旨は、そういったことは極めて大事でぜひやっていただかなければいけないわけでありますが、何かが起こったときのチェックの体制という話がどういう体制でできているか、歯どめといいますか、それが必要なのではないですかというふうに、もちろん教育は物すごく大事なんですが、そう思っているわけでありまして、そういった意味で機構改革を民放連の中で自主的にお考えいただくお考えはないかということをお聞かせいただきたいと思います。
  40. 氏家齊一郎

    氏家参考人 まことに先生のおっしゃるとおりだと思います。民放連という組織は、これは強制的な執行ができる機構ではございませんので、皆さんの話し合いをいかにうまくやってそれを徹底させていくかという、そういう面が中心になります。  それで、私も、今の先生のお話の趣旨に沿った機構改革を、民放連の性格の範囲の中でいかにうまくできるかということを今考えておりまして、それを近く、非常に近く民放連の担当の組織に早急なる検討をお願いしたい、こういうふうに思っております。
  41. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 ありがとうございます。もう当たり前のことでありますが、言論の自由、報道の自由、それをしっかり守っていく、これは私どもは精いっぱいその方向で努力をさせていただきますから、今氏家会長から御発言をいただきましたように、ぜひ民放連の改革も着手していただいて、国民の皆さんに対してこうやるのだというのが明快に見えるようなその改革にお取り組みいただきたいとお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  42. 中川昭一

  43. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 本日は、民放連会長並びにNHK会長にお忙しい中御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。私は新進党の遠藤和良でございます。  最初に、お二人に今回のTBS事件についての認識をお伺いしたいと存じます。  私自身、国会議員になる前に、十七年間報道関係の仕事をしておりましたものですから、今回の事件をまことに悲しい思いで日々過ごしております。  特に今回のTBSオウムビデオテープ問題は、単に、報道のモラルから大きく逸脱していた、そういう問題にとどまらず、これがきっかけとなりまして殺人事件が誘発された、あるいは一連のオウム事件が起こった、この一因になったことも考えられる、これだけ重大な問題につながっていく可能性があったわけですね。それにもかかわらず、報道関係の、TBSの会社の中で内部調査というものがまことに不徹底であった。その結果、国民の皆さんに虚偽の報告をしてきた。  やはり報道関係というのは真実を報道することが生命でございますから、こうしたことになったことは報道関係としては断じて許すことはできないのではないか、このように認識をするところでございますが、こうした観点につきまして、日本放送界代表するお二人ですから、高い立場から今回の事件に対するお二人の御認識をお伺いしたいと思います。
  44. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私は、一番最初にも申し上げましたとおり、東京放送さんも、東京放送社長も非常によく知っている仲でございますので非常に苦しい気持ちでございますが、ここに参考人として呼び出された立場からあえて申し上げさせていただきますと、私は今の先生のおっしゃることは全くよく理解できます。
  45. 川口幹夫

    川口参考人 この問題はTBSの問題というふうに私は考えてはいけないと思っております。つまり、放送に当たる者すべてがこの問題の中に潜んでいるいろいろな教訓を読み取っていく、そして放送が健全な発達を遂げるように努力をしなければいけないことだと思っております。  テレビというのは、特に大きな特徴として、同時性、即時性、それから、事実を映すのに迫真性、迫力のある報道ができるということ、そして三番目に、広い層に同時に訴えられる、つまり大衆性というものがあるのだろうと思うのです。この三つがテレビ報道を今日非常に隆盛にしておりますけれども、その陰には、それを使い損ねたために起こってくる弊害というものが当然起こってまいります。私どもは、今後の教訓として、その弊害の方をないように、そして三つの特徴が健全な方に生かされるようにしていかなければいけない、こう思っております。
  46. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 氏家会長にお伺いしたいのですけれども会長は、今回のTBSの問題は、報道の自由を盾に何をしても構わないという意識があったのではないかとか、あるいは、当社、というのは日テレということだと思いますが、当社が調査したら間違った結論を出すことは断じてない、こういうことをおっしゃったようでございますが、そういうお気持ちは今も変わりませんか。
  47. 氏家齊一郎

    氏家参考人 今もございます。  ちょっとつけ加えさせていただきますと、やはりこういった問題は、マスコミという名前のもとに各社一律に考えるわけにもいかないのではないか。マスコミにもそれぞれ個性がございます。その個性個性によって考えていく必要があるのではないか。私どもは私どもTBSさんはTBSさん、あるいは朝日新聞さんは朝日新聞さんと、マスコミの個性によってそれぞれの立場が出てくる面が非常にある。一括してマスコミ全体という感じではつかまえられないと思います。  しかしながら、今川口さんがおっしゃったように、マスコミ全体としてとらえられる面もございます。これは、こういった問題は絶えず他人のことではないのだという意識を我々関係者がすべて持っていく、そして、時々気持ちを新たにして公正報道、公正なるマスコミ報道その他に従っていく、こういうことになるかとも思います。
  48. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 TBSの社内調査の進捗状況について、氏家さんは今どんな認識を持っていますか。
  49. 氏家齊一郎

    氏家参考人 非常に苦しいお答えになりますが、私は少し遅いと思っております。
  50. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 民放連会長に御就任されたのが四月一日でございますが、やはり民放連会長として、このTBS問題あるいは再発防止というものが大変重要だという認識を示されておりますが、喫緊の課題だ、このように受けとめていらっしゃるのでしょうか。  具体的な防止策について、今民放連の中で何か御決定あるいは方向性が出ている問題がありましたら、お知らせください。
  51. 氏家齊一郎

    氏家参考人 民放連組織は、私は仮に仲よしクラブ的と言って表現しておりますけれども、いわゆる皆様の話し合いで物を進めていくという雰囲気が非常に強い組織でございますので、私は今問題提起を急いでいるところでございまして、事務局及び先生御案内のようにいろいろ担当の委員会がございますものですから、その担当の委員会委員長の方には、早急にこの問題についての衆知を集めてください、我々としてはどうしてもこれをやっていかなければいけないのですというアピールはしております。
  52. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 視聴率至上主義という問題が放送番組の中身に大きな悪影響を与えているのではないかという声が強いのでございますけれども、おもしろおかしくということが報道倫理の低下や人権への配慮を欠くということにつながっているのではないかという心配をするわけですが、このことについてどのように認識をされておるかということを伺いたいと思います。
  53. 氏家齊一郎

    氏家参考人 一口に視聴率と申し上げましても、例えば、きのう参議院の会議TBS社長が出てきて、参議院の逓信委員会でいろいろ答弁されましたが、その視聴率を見てみますと、大体普通の平均より少し高いですね。それを見てもわかりますように、非常にシリアスで国民の関心があるような問題については視聴率というのは高く出るものなのです。ですから、視聴率というものは事柄によって大きく出てくるという傾向があります。  もう一つは、しかし、今の御質問にありましたように、視聴率をとるためにいろいろなことをやる、結果として視聴率が出たのではなくて、視聴率をとるためにいろいろなことをやるという側面をおっしゃっていらっしゃるのだろうと思いますが、確かにそういう面はございます。しかしながら、それは極めて自主規制的に行っておりますので、特別、最近、このTBS問題以外には法に触れる疑いのあるようなやらせ等の問題はなくなっていると私は判断しております。
  54. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 番組の中身が大変よくて品位と品性がある、その結果として視聴率が高くなる、これは大変望ましい方向だと思うのですが、視聴率を高めることが目的にあって、そのために過当な競争あるいは取材のモラルを欠いた取材あるいは報道のモラルを欠いた編成の仕方、こういうことは私はおかしいと思うのですね。  そういうことから、日常的に余りにも、民放の場合は広告ということがありますものですから視聴率ということを考える、視聴率を高めるためにはやはり過激な競争というものがある。そうすると、新しい情報というものを得なければならない、あるいはそれをどうおもしろく表現するかという問題がありますね。  こうなってくると、いわゆる利害関係者へ未公開のビデオテープを見せたり、あるいは未公開の情報を流したりして、その見返りに新しい情報を得る、こういう取引のようなものが取材の現場では実際行われているのではないかということが考えられるのですが、そうした実態をどう認識していますか。ありますか、そういう実態は。
  55. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私は新聞記者を非常に長くやりました。したがいまして、新聞記者の中でも、例えば政治部では番記者というようなものもございます。しかしながら、番記者がどこかで取引してやったという話はついぞ聞いたことがございません。  先ほどから申し上げましたように、今先生の御質問になったようなことは一〇〇%なかったかと言われると、私は、一〇〇%とは自信がありませんけれども、さっき申し上げましたとおり新聞の倫理綱領を中心にテレビの取材というものは展開しておるわけでございますので、それほど新聞における取材と違ったところがないのではないかと私自身は、少なくとも私の社においてはそういう方向でやらせているという自信があります。
  56. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 未公開の取材テープを事前に見せる場合があるとすれば、具体的にどういうときに限ってよいと考えていますか。
  57. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私は一般的にはよくないと思います。一般的にはよくないと思いますが、例えば娯楽番組なんかの場合でございますね。娯楽番組といってもちょっと、完全につくっている番組ではないものもいろいろございますものですから、そういった場合には、スポンサーとの兼ね合いで、先ほど先生もちょっとおっしゃいましたが、今のスポンサーというのは、視聴率をとるために品位を悪くしたようなものをつくりますと、スポンサーがおりるのです。ですから、そういう側面からも品位というものは担保されている、変な担保の仕方ですが、担保されていると私は思っております。そういった場合の品位の認定などにスポンサーに事前につくったものを若干の部分を見せることもあるかもしれませんけれども、基本的に重要な、報道関係するような諸問題につきましては、そういったことは絶対にないと確信いたしております。
  58. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 最近のワイドショーですけれども、ワイドショーと報道番組との関連ですが、ワイドショーの報道番組化あるいは報道番組のワイドショー化というのがありまして、ワイドショーと報道番組の垣根がなくなっている気がします。やはりワイドショーというものと報道番組というのは、その目的というか手法も違いますし、あるいは見る人の感覚も違います。また、報道にいたしましても、客観的にニュースを流すということと意見を加えるということは別の話ですね。  民放連、特にTBS放送番組基準の中にも、報道番組はすべての干渉を排し、事実を客観的に、正確、公平に取り扱うのだ、あるいはニュースと意見は区別して扱うのだ、こういうふうなことを書いているのですけれども、実際の現場では何かごちゃごちゃになっている、こういうふうな混乱があると思うのです。これはきちっと放送基準に従う形で整理して報道する、こういう方向をお考えでしょうか。
  59. 氏家齊一郎

    氏家参考人 報道番組も非常に広い意味で言えば情報という言葉の中に入るのじゃないかと思っております。  結局、広い意味での情報番組を分けますと、一つには一般報道番組と言われている番組と、それから一般の生活情報の番組でございますね、健康のために何がいいかというようなもの、それからもう一つは娯楽のための情報番組、つまりこれは芸能人が離婚したとか結婚したとかというそういうような問題でございますね。およそ分けるとそういうふうに三つに分かれるだろうと思います。  報道番組というのは、やはり国民生活の基礎、国家、社会の基礎に関係するような大きな問題に関して我々は大体報道番組と言っているのが常識だと思います。そういうものにつきましては、今おっしゃったような問題点は、私どもの社を含めまして各社全部クリアされておると思います。  ただ、いわゆる娯楽的情報番組の中には、芸能人の方が結婚したとか別れたとかいうような問題のところにはいささか問題があるかなということは聞いております。
  60. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 例えば政治を取り扱う番組ども、ワイドショーで扱っている場合が多いのですけれども、何かおもしろく表現するために、茶化したりいろいろな表現が加えられる。これはやはり政治というのは大変大切な問題でございまして、いろいろな意見がある、それを正確に報道するというのが報道機関の務めだと思うのですね。  国民の皆さんは、正確にテレビを見ていると思います。余り茶化したような番組になると、番組自体が敬遠されるのじゃないかと心配をするのですけれども、やはり報道番組報道番組としてきちっとした品位を持って報道する、これが務めではないのかな。お笑い番組は別の時間にやりますよと。ごちゃごちゃになってすべてが茶化して終わる、こういうふうになってしまうと、日本の社会の骨組みといいますか、大切な部分がなくなってしまうのじゃないか、こういうふうに心配するのですけれども、そういう認識についてはどう思いますか。
  61. 氏家齊一郎

    氏家参考人 おっしゃっていらっしゃる報道番組意味は、政治討論とかそういったような趣旨の問題でしょうか。
  62. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 討論会と申しますよりも、どなたかコメンテーターがいていろいろと意見を言うという番組が多いようでございますが。
  63. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私は、一般論として、すべて見ておりませんので、私自身、どの番組先生が指されているのかちょっと了解できませんものですから一般論として申し上げますが、非常に善意に解釈しますと、政治的な問題というのは非常に重要な問題なんですけれども一般国民の方には余りなじまないのです。余り見ていただけない。そこで、私どもは、それを何とかして見ていただくようにしなくちゃいかぬということがありまして、若干のショーアップを試みるということはあり得ることかもしれません。ただ、それは善意に解釈した場合でございますので、悪意に解釈した場合はどうなるか、これはまたちょっと、私自身そういう番組を見てみまして、自分で判断したいと思います。
  64. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 やはり放送基準にあるように、客観的な報道意見というものは整理することが大切だと思いますね。ここのところがはっきりしないものですから、すべて真実だ、こういうふうに見られる場合が多いと思うのですね。これはやはり厳格に区別すべきではないのか、このように思います。  それから、民放連放送基準に、「犯罪を肯定したり犯罪者を英雄扱いしたりしてはならない。」こうあるわけでございますが、今回のオウムの地下鉄サリン事件の以降もオウム幹部民放各社番組に登場していた、こういうことがあるのですが、これはこの放送基準から考えてどう思いますか。
  65. 氏家齊一郎

    氏家参考人 当初、オウム疑惑が、だんだん大きくなってきたわけでございますけれども、それほど大きくならない前の段階では、私ども各社さんも、事の真相が、事によるとオウム関係があるのじゃないかということから、オウムの信者の方々を呼んでお話を伺ったことがあります。  しかしながら、その後、オウムの方が、我々が出そうと思っている評論家が、こういう評論家を出すのならおれは出ないとか、そういう勝手な注文をつけてきましたので、私どもとしてはいち早く、そういうことはできない、そんなものなら出てもらう必要がないと言って断りまして、恐らく各社さんも順次そういうふうになったと思います。そういう状況だと思います。
  66. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 オウム幹部が出るとたくさんの若い人が放送局の周りに集まってくるとか、そういうふうな現象が起こったようでございますけれども、やはりこれは視聴率至上主義というものがそういう形態を生んでいたということは事実じゃないかと思うのですね。やはり冷静にこれは判断をしてやらなければならない、こういうことを自戒を求めたいと思っております。  それから、報道の自由と報道責任という問題、これは大変大事な問題でございますけれども報道の自由というのは当然民主主義の根本精神ですよね。しかし、報道の自由の裏側には重い責任、重い社会的使命感があるわけですね。そういうものなしに何でもいいんだ、何をやってもいいんだ、これはまさに報道のおごりになってしまいます。こういう観点から、やはり最近の報道のあり方あるいは番組制作のモラル、そういうものをもう少し、特にテレビは大変大きな影響力を持っているわけですから、きちっと徹底をしていく。  そして、特に最近は、外部の方ですね、外部に委託をして番組をつくっていただくことも多いわけでございますが、社内の皆さんに徹底するとともに、社外の協力をしていただく皆さんにも報道責任というものをきちっと徹底をしていくということは大変重要だと思うのですが、ここのところは民放連として、今回のTBS事件を教訓にして新たにそういう措置をとられるおつもりはありますか。
  67. 氏家齊一郎

    氏家参考人 おっしゃいますように、まだまだ足りない面があろうかと思いますので、その辺のところはさらに徹底的にやっていきたい、こういうふうに思っております。  今おっしゃいました外部の人間の問題でございますが、我々が中心に考えている政治経済、それから重要な社会問題等を扱いますいわゆる報道、ニュースですね、ニュースの場合においては、私どももそうですが、各社さんとも外部の人たちに若干の末端の仕事のお手伝いをいただくことがあるかもしれませんが、基本的な編集それから解説その他の面では一切やらせていることはないと思います。
  68. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 きょうも先ほどから放送法との関連でいろいろなお話があったのですけれども、今回のTBS事件につきまして、TBSの行為というものが放送法に触れるのか触れないのか、あるいは民放連放送基準に触れているのか触れていないのか、その辺を会長はどのように認識していますか。
  69. 氏家齊一郎

    氏家参考人 その点につきましては、私個人の考え方は持っております。しかし、民放連会長として発言させていただく場合は、やはり民放連としての対応をきちっと固めないといけないと思います。  それで、先ほども御説明申し上げましたとおり、民放連としての対応はそれぞれの機関に早急につくってもらうように、今民放連の内部でお願いしておりますものでございますから、その点について、それが結果として出てくるまでは、民放連会長としてはちょっと発言しかねます。しかしながら、個人として申し上げますと、非常に疑惑があるかなという感じはしております。
  70. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 日野郵政大臣もお越してございますが、この放送法の有権解釈は郵政省にあるわけですが、いわゆる報道の自由と行政との関係報道の自由と公権力との関係、こういう微妙な問題について、郵政大臣は弁護士さんという立場もあるのですけれども、どのような基本的な認識をしていらっしゃいますか、お伺いをしたいと思います。
  71. 日野市朗

    ○日野国務大臣 言うまでもなく、放送規律する法体系というものは、憲法を頂点といたしまして、放送法、そしてその罰則を含みます電波法によって規律されているところであります。  放送法の体系の中で一見して気がつくことは、憲法報道の自由というものを非常に高く見ているところでございますね。放送法の内容及び電波法の内容、これは非常に慎み深いといいますか、そういう立場をとって貫かれていること、これは先生よく御承知のとおりであります。我々も、そのような立場においてこれからのこの法体系の運用を考えていかなければならない。当該のTBSに対する対応においても、そのような態度が貫かれなければならないであろう、このように私は考えております。  ただし、そのように考えながら、一方では、現在のいわゆる放送事業者がとっておられる、いろいろのメディアを駆使しておられるそのやり方については、今先生からもいろいろ御指摘ありました。確かに我々も見ておって、必ずしも一般の常識、我々の常識からして肯定できるのかどうかというような点なども、これは重く見なければならない点があると思います。  特に、放送倫理という点に関しましては、法的に、憲法を頂点とする法体系が非常に慎み深いがゆえに、さらに一層この倫理というものは高いものが要求されるものであろう。それから、事実を報道する場合の客観性、意見を述べるための、そのための十分な検査、こういったものが要求されるであろうと思います。そういう点について、いかがなものかと思わせられる点が数々あることもまた事実であります。  郵政省としては、これらの事実をきちんと厳格に、透明性のある厳格な手続で事実を認定してまいりたい、そして厳正な手続、この法体系に導かれた厳正な手続をやってまいりたいと思います。  ただ、これは、処分と一口に言いますと、行政処分を類推させることがありますので、私は一応ここでは措置というふうに申し上げておきますが、厳正な措置をとってまいりたい、このように思っております。
  72. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 私は、TBS問題というのは、やはりTBS自身が報道機関としての存立をかけて徹底的に究明をし、そしてみずからの責任を果たしていくということが一番賢明なやり方だと思っています。そういう意味で、自助努力といいますか、あるいは自己責任ということで解決をしていくのが一番よいことだと思います。  TBSはもちろんですけれども、相互努力ということもありますから、民放連あるいはNHKさんも御参加をいただいて、こうした報道機関の中できちっと解決していく。これが一番報道の自由を守るという意味でも大切なことであるし、国民の皆さんにきちっとこの問題について納得をしていただく、こういうふうな透明な措置というものを自助努力できちっとつけていただきたい、こういうことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  73. 中川昭一

    中川委員長 高木陽介君。
  74. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 新進党の高木陽介でございます。  時間がわずかしかありませんので、報道の自由と公権力との関係性について御質問させていただきたいと思います。  その前に、きのうの参議院でのTBS幹部の方の参考人招致の記事がきょうの各紙朝刊にいろいろと載っておりましたが、その中で、流通経済大学の辻村明教授がこのように述べているのですけれども、ちょっと御紹介させていただきたいと思います。  TBS幹部が簡単に国会に呼ばれるのに、なぜ政治家の場合はなかなか実現しないのか。TBS社長が簡単に参考人招致されるのであれば、民間人より重い責任が追及されて然るべき政治家の場合、とりわけ自民党の幹事長は証人喚問されて然るべきである。国会議員だけは軽くというのでは、民主主義に反する。それは仲間うちの慣れ合いでしかない。 このように述べておりまして、国会、特に委員会での参考人招致または証人喚問というのはかなり重要な問題であると思います。  それで、よく言われるのは、行政、郵政省からの公権力の介入という言い方をされますが、国会に民間人のTBS幹部、またはきょうは民放連氏家会長NHK川口会長に来ていただきましたけれども、こうやって簡単に呼ばれるということ。もちろんTBSの問題は重要な問題です。国民も知りたがっている。ただ、それが、私たち国会議員も国家権力の一端を担っているということ、この委員会に呼ばれるということは民間人の方にとっては大変な問題なんだということをまず私たちもしっかりと認識していかなければいけないのではないかな。これはちょっと確認をさせていただきたいと思います。  その上に立って、報道機関というものは、国民と、テレビでいえば視聴者、新聞でいえば読者だと思いますけれども、それがお互いの信頼関係で成り立っている。これは当然のことです。また、それしかよって立つ基盤がないと思うのですね。  そんな中で、今回、TBSがその信頼関係を損なったということで問題がどんどん大きくなってしまったわけですけれども、基本的に、過ちを犯した場合は批判を謙虚に受けとめて、その後まず、なぜミスを犯したのか、これを検証しなければいけない、特に報道機関は。その上に、それを公表する。すべてを明らかにした上で謝罪をし、次の対応策を練るというのが基本ラインだと思います。  きのうの参議院の参考人招致でも、一部の委員の方がおっしゃっておられましたが、特に報道機関、ジャーナリズムにおいては、八一年、ワシントン・ポストのピュリッツァー賞をとった「ジミーの世界」の問題で、オンブズマンのビル・グリーンが四日間で四十七人調査してしまった、そして一面トップから大体四ページ半にわたるその報告書をワシントン・ポストは載っけて、そこで信頼回復してきたという、これはジャーナリズム界においては、本当に、画期的なというか、ある意味では参考になることだと思うのです。  ところが、今回、TBSの場合は、なかなかそこら辺ができていないという、ここにいらだちを感じるのです。ただ、だからといって、今言ったように公権力、行政も、国会は立法機関ですけれども、それが安易に介入してはいけないのではないのかというのが私の個人的な考え方です。それについて、氏家会長、どのようにお考えか。
  75. 氏家齊一郎

    氏家参考人 私も、先生の御意見に全面的に賛成でございます。
  76. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 そこで、今度は郵政省の方に聞きたいのですけれども、郵政省の方も、今回の問題、本当に、かなり慎重にとらえられていると思うのです。いろいろな各委員の方々、または参議院とか予算委員会等々でもいろいろな方がこの問題を質問する中で、かなり慎重な答弁を大臣もされ、または放送行政局長も慎重な答弁をされているのですけれども、処分を含める公権力の介入というものをさらにここでもう一歩慎重に考えていただきたいというのが私の意見なのですが、それについて郵政省の方から。
  77. 日野市朗

    ○日野国務大臣 先ほど遠藤先生の御質問にもお答えをいたしました。この放送をめぐる法体系、これは、報道の自由、これを原点に踏まえながら、放送法電波法において規律しているところであります。そして、さらに、そこで規律をしないところは自主性に任せる、これが原則でございますね。そして、放送の各基準を見ても、これは非常にいろいろなことに配慮してできているのであります。これをきちっと守っていただければ、私は、すばらしい放送の秩序というものは形成されていくであろうと思います。  しかし、いろいろ憂慮をしなければならない事象も発生しているわけでありまして、今回のTBS事件というものは、はしなくもその一端をかいま見せてくれたわけであります。私は、このような事象というのはいつばいあるんだと思うのでございますよ。先ほども氏家会長さんが、他山の石としてというようなことをおっしゃっておられましたが、私は、そういう受け取り方を放送界全体としてしていただくこと、これを心からお願いをいたしたい、このように考えております。  我々、先ほどの遠藤先生質問に対しても、処分という言葉は私は使わずに、措置というふうに、これからの我々の考え措置表現をさせていただいたわけでありますが、我々は、あくまでも放送法の体系というものを十分頭に入れながら、今後の措置考えてまいりたいと思います。それがどのようなものになるかということは、今後、私どもは、透明な、そしてきちっとしたプロセスを経て、そして厳格に事実を認定をして、その上でその措置、どのような対応をする措置をとるかということは決めさせていただきます。
  78. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 そのような中で、これは三月二十七日の東京新聞だったかと思うのですが、郵政省の放送行政局長の私的諮問機関で多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会、これの中間報告の骨子が、新聞に、書かれたというか流れたというか、そんな中で、放送に関して第三者機関が必要である、「苦情処理や義務違反の判断の機関が必要。番組審議機関の機能強化」だとかいうことで、第三者機関というと聞こえはいいのですけれども、これはまだ中間報告ですからこうやってやるというような決定じゃないのですが、この時期にこうやって出ますと、何か郵政省が意図的に介入していくんじゃないかとか、この第三者機関という概念も、じゃ、だれが任命するか、だれが選ぶか、ここによって第三者機関の色合いというものが変わってくるわけですね。  そうしますと、これは、郵政省がタッチしますと、かなり郵政省色の強い、そして公権力の介入になり得る、そういった機関になるのではないか。ここら辺のところでどのようにお考えなのか、郵政省、その後氏家会長の方からお聞かせ願いたいと思います。
  79. 楠田修司

    ○楠田政府委員 視聴者と放送に関する懇談会の中間報告というのはまだ出ておりません。  ただ、この懇談会の中で、放送と人権の問題であるとか、あるいは青少年保護であるとか、あるいは放送と政治の問題だとか、いろいろなことをやっておるわけです。いずれ報告を出すわけですけれども、そういう中で、今のような形で、番組審議会とかそういうようなものをいろいろやっておりますが、それと違った形の方法もあるのではないかという意見と、それは必要ではないという意見と、両方ございます。したがいまして、どういうような形でこれから報告が出るかわかりませんが、その点だけは申し上げておきたいと思います。  いずれにしましても、この懇談会でいろいろな多方面の御意見を聞きながら、こういうような問題について対処していきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  80. 氏家齊一郎

    氏家参考人 この問題は、結局郵政省がどうお考えになるかということが最後になると思いますが、私どもといたしましては、私どもの自浄努力というものを考えていただきまして、第三者機関という形にならないことを心から期待するものでございます。
  81. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 さらに、このTBS問題が起きてから、いろいろな意見が皆さんの中から出ておりまして、特に、与党三党が二十六日の政策担当者会議において、報道のあり方を検討すると。もちろん、報道機関に対しても、いろいろな批判、これはもうどんどん報道機関の方々も受け入れていただかなければいけないのですけれども、一番最初に申し上げました国会、特に与党ですから、政策決定にかなりの影響力を持つ、こういった政策担当者の方々が、例えば番組や記事の内容、選挙情勢報道などマスコミによる世論操作の有無、取材される側のプライバシーの保護などに関し、今国会中に与党見解など何らかの形で意見集約する方針、これはかなりプレッシャーになる、そんな気もしないではないです。だからといって、意見を言ってはいけないということはないのです。ただ、そこら辺のところも、与党の方も慎重にやっていただきたいなと思っています。そういった中で、野中幹事長代理なんかは、それはちょっと、まあブレーキをかけるというかそういった話も聞きましたので、そこら辺のところは与党の見識にも期待をしたい、そのようにも思うのです。  そのような中で、一方的に権力側だけがセーブしなければいけないということではなくて、やはり報道側も、セーブしていくというか、それなりに自律をしていただきたい。  そこで、立教大学の服部孝章教授の、マスコミ法制論、最近よくコメントで出ておられますが、「人権と報道考える」という「法学セミナー」に載っていた記事をちょっと紹介させていただきたいのです。     オンブズマンと報道の自由   日本に限らず、米国でもスウェーデンでも、ジャーナリストには共通の病がある。それは自分たちへの批判に対してアレルギーがある、ということだ。ただ、スウェーデンには二百年前に、憲法の一部として「報道の自由」が確立し、ジャーナリストは責任を自覚している。もし「報道の自由」を行使する時、思い上がりがあれば、読者の信頼を失う。結果として、この「報道の自由」を法律で規制しようという誘惑を政治家に持たせる。そんな危険を冒すより、報道機関が、自主的な審査機関を作った方が危険が少ない。 こういう指摘があるわけです。  番組調査会ですかとか、いろいろとあるのですけれども、この際、オンブズマンの制度みたいな形で民放連として検討する余地があるのかどうか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  82. 氏家齊一郎

    氏家参考人 先生のおっしゃること、それから今読み上げていただいたことは、十分に理解できることでございます。  私どもといたしましては、検討する余地は十分にあると考えております。
  83. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 NHK会長の方も、このオンブズマンのことに関してお願いいたします。
  84. 川口幹夫

    川口参考人 現在私どもがとっております番組審議会というのは、そのオンブズマン制度の一つの形だと思っています。中央番組審議会が毎月行われておりますが、これはぜひ中身を聞いていただきたいと思うぐらいに鋭い批判、あるいは建設的な御意見等々が寄せられていまして、その番組審議会をできるだけ健全に活発に育てたいというふうに私は思っております。
  85. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 理想論を言えば、それぞれの局が社内でしっかりとする。TBSも、チャンスが何回かあった中で、例えば昨年十月の日テレの報道から二カ月半の社内調査があった、でもその期間にもいろいろなことができたはずなのに、結局それが、三月の十一日の会見のときに、結果的にはうそをついてしまったという。そこら辺のところで、視聴者、国民マスコミに対する不信感がやはり増幅していると思うのです。  そういった中で、本当は社内できっちりできればいいのが、ここに来て、やはり第三者という形よりもオンブズマンで検討していただくのがいいのかな、こういうふうに意見を述べさせていただきたいと思います。  あと、もう時間も大分なくなってきましたので、一つ、これは、民放連NHK含めて各局、きょうも放送をずっと中継されておりますので、考えていただきたいのは、真実は何ぞやということ。今回のTBS問題で、特にTBSの社内調査が、事実はありません、見た記憶がないという報告の中で、その後、早川公判の供述調書、またはその前の冒陳等々で明らかになってくる。ただこれはあくまでも検察側の供述調書であって、この間読まれた三通ですか、供述調書の中をいろいろと検討してみますと、例えばティ・ビー・エス・ビジョンのディレクターは、早川たちが来たときに五人で対応したという、一方、総合プロデューサーや金曜日担当のプロデューサーは二人で対応したという、もうここでディテールの違いがあるわけですね。  ところが、何か検察が言うと、公の機関が言うと、これがもう真実なのじゃないか、にしきの御旗を立てて、TBSどうのこうの、別にTBSを守るつもりはないのですけれども、そういった報道のあり方。私も実際に議員になる前、記者をやっておりましたので、警察が発表すると、何かそれがいかにも本当だということで載っけてしまうという、ここら辺のところもしっかりと検討を重ねていただきたいなと思います。  時間がもう来ましたので、最後に一つだけ。  これはもう皆さん、特に会長なんかはいつもいつも見られておると思います。民放連の「放送ハンドブック」ですか、ここに書いてあること、これだけちょっと紹介させていただいて、質問を終わりたいと思います。  基本的人権の一つとして、憲法二一条が保障する表現の自由は、他の人権、例えば経済的自由権などに比べ、優位にあるとされている。これは、民主主義社会の成立には、表現の自由の保障が不可欠と考えられるからにほかならない。   表現の自由の重要性を考えれば、その担い手としての放送責任はきわめて大きいといわなければならない。表現の自由を正しく行使することが、放送に課せられた責任といえよう。 その後、  マスメディアに対する法的規制の動きが表面化したことは、過去に一度ならずある。公権力に規制・干渉の口実を与えないためには、自律、つまり自らの手で自らを律する姿勢が必要といえる。  以上で終わります。
  86. 中川昭一

    中川委員長 矢島恒夫君。
  87. 矢島恒夫

    ○矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。私、まず、番組制作の外注の問題でお尋ねしたいと思います。  外部プロダクションによるところの番組制作というのは、NHKも含めて民放各社が行っているわけですが、特に今回のTBSの問題で、このこともいろいろと取り上げられております。  「三時のあなた」というワイドショーが問題になっているわけですけれども、曜日ごとに三つの外部のプロダクションにいわゆる丸投げされている、こういうような状況であったと聞いております。特に問題になっておる金曜日というのは、ティ・ビー・エス・ビジョンという制作会社で、曜日担当プロデューサーだけが正社員で、あとは外部の人たちであった、こう言われております。こうした番組制作のやり方というのは、TBSに限らず多くの民放で見られるわけであります。  問題は、やはりこの下請の人たちが常に非常に弱い立場に置かれているということを私は指摘しなければならないと思うのです。とりわけ激しい視聴率競争というものがあります。成績が悪ければ打ち切られて、そしてほかのプロダクションに切りかえられてしまうというような立場、しかも、外部プロダクションのスタッフの人たちは、信じられないような長時間労働と低賃金に置かれている。同じ仕事をしていながら、下請のスタッフの方々は正社員の収入の半分だということを私は聞きました。  問題になっているこの報道倫理というものは、個人としてだけではなくて、やはりチームとしての制作スタッフ全体の中で保障されていかなければならないと思うわけです。制作現場での自由な意見交換あるいは批判、こういうものがなければ、やはり集団としての倫理は保障されないと思うのです。  チェック機能ということがよく言われております。このことは、上からの規制では解決しない問題だ。やはり制作現場の民主主義の確保、このことこそ最大のチェック機能だと思うわけです。オウムの抗議で取材テープを見せてしまった、このプロデューサーの行為に対して、現場で批判したり、あるいはこれをただすことができなかった、その要因として、やはり外部スタッフの弱い立場、こういうものが関係していたのではないか、こういう検証も必要だろうと私は思うのです。そして、この問題は単にTBSだけの問題ではない、すべての民放局に同じような制作体制という矛盾があるわけであります。  氏家会長にお聞きしますが、このままでいいということにはどうしてもならないと思うのです。言葉の上で、外部のスタッフにも報道倫理というものを求めていく、こう言っても、実際に実態の改善がなければ問題は解決しない、このように思います。これは民放界全体で取り組まないと進まない問題だろうと思います。このことについて御見解を伺います。
  88. 氏家齊一郎

    氏家参考人 制作現場は、おっしゃるように外部の方と当方の社員と混在された形で物をつくっておることも事実でございます。  しかしながら、やはり社が負うべき責任は、全体にはカバーされるわけでございますが、社を代表してその際入っておりますのは、我が社の社員、我が社といいますか放送局の社員でございますので、やはりそこには、どちらかというと、今先生民主主義的にとおっしゃいましたが、社の方針には従っていただくという方向が働くかと思います。それが割方貫徹しておりますと、こういう事態というのはなりにくいのじゃないかな。つまり、外部の方が担当社員に、何かやることを一々聞いていただければ社の意思というものが通ることになりますので、その点は、そういう形でやっていただくことが徹底するということでこういう問題が起こりにくくなるのじゃないかなというような個人的な見解を持っております。
  89. 矢島恒夫

    ○矢島委員 社の方針ということでございますが、その社の方針もやはり民主主義が土台になっているということを私は申し上げたいと思います。  次に、視聴率の問題についてお尋ねしたいと思います。  視聴率戦争がいろいろ展開されております。問題になったワイドショーでいいますと、各局が同じ時間帯に同じ問題を扱うわけです。どのチャンネルを回しましてもオウムばかりだとか、あるいは同じタレントのスキャンダルだとか、こういう状態があるわけです。こうした狭い範囲で視聴率競争というものをやると、おのずとセンセーショナリズムに走ったスクープ合戦、こういうことに必然的になっていく。視聴率戦争とかいわゆる視聴率至上主義とかいう問題は、テレビ放送で何か問題が起こるたびに指摘されてまいりました。結局のところ、この視聴率というのは必要悪だということで押し切られているような状況だと思います。  この視聴率の実態というのは、ビデオ・リサーチ社でいえば、関東地区二千万世帯に対してサンプルはわずか三百世帯だ。誤差率というのはプラス・マイナス四・六%。といいますと、これは上下でいきますと、九・二%の差が出てくるわけであります。これが一%上がった下がったということで現場では大きな問題になる。これは、民放界全体で今度こそ何とかしなければならない問題だろうと私は思うんです。この視聴率の実態もあわせて会長の御見解を伺いたい。
  90. 氏家齊一郎

    氏家参考人 先生おっしゃるとおり、視聴率の実態は非常にファジーと申しますか、若干あいまいなものがございます。今それの精度を高めるためにいろいろと、今御指摘になりましたビデオ・リサーチ社その他でも新しい機械の開発に努めておるように聞いております。ですから、その辺は今後はさらに精度が高まっていくものと私どもは期待しております。
  91. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今のテレビというものが視聴率戦争だとかあるいは視聴率至上主義と言われているわけですが、俳優の愛川欽也さんなど、俳優、文化人の人たちが「テレビについて話す会」、こういうものをつくられております。その中心メンバーであります愛川欽也さんはこんなことを言っていらっしゃる。「なぜテレビの評判が悪くなったと考えていますか。」こういう質問に対して、「はっきりしています。視聴率です。視聴率戦争と言うでしょう。戦争にはルールがない。乱すから戦争になる。そういう意味では視聴率戦争とはうまいことを言ったものです、ルールがないんだから。」こういうことをおっしゃっていらっしゃいます。  今回のTBS問題だけでなくて、テレビ各局が、やらせの問題だとかいろいろ世間の評判を受ける事件を起こしたり、あるいは暴力だとかセックスだとか子供のいじめを助長するようなお笑い番組だとか、こういうものが問題点として今指摘されていると思うんです。必ずこの視聴率が問題になってきて、そして視聴率至上主義というものがなくなるどころかどんどんエスカレートしているという状況にあるわけです。視聴率の前にはルールもなくなるというところまで来ているのではないか。  民放連としてこれからこの問題にどう取り組んでいくか、会長のお考えをお聞かせいただきたい。
  92. 氏家齊一郎

    氏家参考人 その視聴率至上主義という言葉は、視聴率をとるためには非常識なことでも何でもやってもいいというような意味が含まれていると思います。事実、過去にそういったようなこと、つまりやらせの問題がそれなんですけれども、あったと思いますが、やらせの問題は昨今ほとんど影を潜めております。これはやはり、やらせの問題に対する社会的な批判を我々が受け入れて、自浄的に努力したということだと思います。  それからもう一点、視聴率をとるためには、とるというのはなぜかというと、いわゆるCMスポンサーがたくさんそれにつくということの裏返してございますね。ところが、さっき遠藤先生の御質問のときも申し上げましたが、今はスポンサーが、非常識な品位のないやらせみたいなことをやったらそのまま逃げていくというようなことが多いわけでございまして、そういった面からも二重にこの問題は制約を受けている問題かなと私は判断しております。
  93. 矢島恒夫

    ○矢島委員 この視聴率の問題とも関連して、いわゆる超能力番組といいますか、オウムに若者が取り込まれてそしてオウムに走ったという要因として、このテレビの超能力とかあるいは心霊番組というものが挙げられました。つくった方は娯楽番組という認識だと思いますけれども、無批判に超能力とかあるいは霊的現象などがテレビの画像を通じて流されますと、見ている方は、やはりテレビでやっていることだから本当だ、こういうふうに感ずるわけですね。こういう超能力番組の弊害としてあらわれたのはオウムだけではないと思うんです。  先ほども質問に出されましたが、氏家会長社長をされている日本テレビの問題として、中国の気功師というふれ込みの、邵錦という女性が難病に挑戦する超能力というようなことで、あれは九二年の十一月ごろから九三年の十二月ぐらいまで、次々と日本テレビの看板番組の中で登場したわけです。これは二カ月体験指導で五十万五千円、それでも治らない。さらには、三カ月体験指導で八十万五千円取られた。集中九カ月になると三百九十万払わなければならない。こういう膨大な金が巻き上げられた。  先ほど、訴訟が起こっている問題では、訴状を見ていない、事実を確認してから、こういうことですが、私はこの訴状を持ってまいりました。これは五十四ページから成り立っております。TBSにかかわるところは大体二十六ページ前後だと思います、この中の。私、この内容について立ち入ってお聞きしようとは思っておりません。また、まだ訴状をごらんになっていらっしゃらないんですから、その部分でお聞きするんじゃなくて、やはり例えばこの邵錦の問題にすれば、日本テレビだけではなくて、TBSでもあるいはフジテレビでも取り上げました。これはテレビ界全体の問題だと思うんですね。ですから、こういう超能力番組に対する会長のお考えを伺います。
  94. 氏家齊一郎

    氏家参考人 今私どもも事実を徹底的に究明しておるところでございますけれども各社さんのおやりになった、邵錦さんというのかな、その人の番組を取り寄せたりなんかしてみんな事実究明をやっております。私も、それに従って自分でひとつ調査してやってみよう、こういうふうに思っております。  ただ、今の段階では、事実を私よく確認しておりませんものでございますから、ちょっと軽々に意見を申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
  95. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私、ここに、民放連の「放送基準解説書」というのを持ってきたんですけれども、この第五十六項には、「医療及び薬品の知識に関しては、いたずらに不安、焦燥、恐怖、楽観などを与えないように注意する。」こういうのがあります。その「解説」の方に、「病人や身体虚弱者あるいは一部の視聴者は、健康に関して一般の人が想像する以上に神経質である。したがって、精神的に非常に刺激を受けやすいので、放送に当たってはこの点を十分注意する必要がある。」「解説」の方にこう書いてあるわけです。  こうした基準が制作の現場で守られているのか。愛川欽也さんの話にあるように、視聴率戦争で、ルールよりも話題性やセンセーショナルなことが優先されているのではないか、こう思うわけです。  もう時間がなくなりました。何かこのことについてお考えがありましたらお聞きします。
  96. 氏家齊一郎

    氏家参考人 この問題は、ほかにも、今気功がかなり盛んなのですね、社会的にも盛んでございますので、一流大学でも気功を研究していらっしゃるところはございます。私どもも、気功に関する番組は、記憶いたしておりますところでは、その郡さんだけじゃなしに何人かの方をやられたと思います。その方々は、やった結果効果があった方もいらっしゃるようで、それについては問題がなかったのです。  だから、恐らく、これは私の個人的な、ほんの観測でございますが、邵錦さんの場合は、効果があったかなかったかという問題が第一点と、それから、お金を取り過ぎたとかなんとかいうようなことが別にあったのではないか。ほかの気功で我々の番組に出ていただいた方についてはそういう問題は一つも起こっておりませんので、そういう別の問題になってきているかなという感じはいたしております。
  97. 矢島恒夫

    ○矢島委員 終わります。
  98. 中川昭一

    中川委員長 以上で午前の質疑は終了いたしました。  氏家参考人川口参考人におかれましては、御多用中のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  99. 中川昭一

    中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  ただいま御出席いただいております参考人は、株式会社東京放送代表取締役社長磯崎洋三君であります。  この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  なお、御意見質疑応答の形で承りますので、さよう御了承願います。  質疑を続行いたします。古屋圭司君。
  100. 古屋圭司

    ○古屋委員 自由民主党の古屋圭司でございます。本日は、磯崎社長におきましては、参考人として御出席をいただきましてありがとうございました。早速質問を始めさせていただきたいと思います。  昨年来、このオウムのビデオ事件調査を進めてこられたわけでありまして、一貫して、ビデオは見せていないとの御見解を示しておられました。しかし、いわゆる早川メモが判明後、情勢が変わりまして、結果として、ビデオは見せたということに報告が変わったわけでありまして、その間の、TBSさんからいただいた報告書をちょっとここで朗読をさせていただきたいと思います。  金曜日担当のプロデューサーに対して、詳細な早川メモを示し、納得できる本人の説明を求めました。これに対して本人は、克明なメモを見ると見せたとしか思えないと感じるが、記憶としては思い浮かばない。あるいは、自分ではよく覚えていないが、オウム三人と自分一人の四人で見たのではないか、このような趣旨でございました。  そしてさらに、事実関係の説明を求めたところ、細かい記憶はよみがえってこないが、早川メモを見る限り、テープを取り寄せてデッキにかけたとしか考えられないということで、これは見せただろうという結論に達したということだそうであります。  しかし、詳しい事実関係については、二階の小部屋でオウム幹部に終始応対したのは前記の金曜担当プロデューサーであり、そこに、後から呼ばれて長時間同席したのが番組全体の責任者である総合プロデューサーです、ビデオを見せる行為は金曜担当プロデューサーが一人で行ったのか否か等、基本的な事実関係は依然不明です、こういう報告を受けているわけでありまして、今のこの報告をもってして、金曜担当プロデューサーが、結果として懲戒解雇になっているわけであります。  これは、確かに職務規程の七十条等々に規定があるのでしょうが、どうもいかにも、この程度の証言をもってして懲戒解雇にしている、いかにも不自然なような気がいたしますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  101. 磯崎洋三

    磯崎参考人 まず冒頭に、当委員長初め諸先生方に、私どもにお話をする機会を与えてくださいましたことを心から感謝を申し上げます。  そして、亡くなられました坂本さん御一家、そして御遺族の皆様方に、心からお悔やみを申し上げたいと思います。そして、放送局といたしまして、多くの視聴者、国民の皆様に、信頼を損ねてしまったことを心からおわびを申し上げたいと思います。  ただいま御質問をちょうだいをいたしました。私ども社内調査では、見せた事実はないというふうにお話を、見解を表明してまいったわけでございますが、見せたと私どもが断定した最大の理由は、いわゆる早川メモの詳細ということでございます。  この早川メモの詳細は、三月二十三日の午後に入手をいたしました。そして、私どもが持っております坂本弁護士のインタビューテープと詳細に照合をいたしたわけでございます。そして、この早川詳細メモの話の順序、そしてまた論理の展開の仕方、細かい言葉遣いの表現等々、すべてがこのビデオテープと一致をしたわけでございます。まさに、私どもといたしましては、実際にこのビデオテープを見なければ書けないメモであるというふうに判断したわけでございます。  また、メモには被害者の会の永岡会長のインタビュー、サンデー毎日の牧太郎編集長のインタビューの内容も、同様の表記の仕方で書かれていたわけでございます。  そこで、関係者を集中的に事情聴取をいたしましたところ、金曜日担当のプロデューサーが、私が見せたと思う、申しわけないと関与を認める供述をしたわけでございます。  具体的にだれとだれとがどのように見せたかはまだ調査中でございますが、この金曜日担当プロデューサーは、その後の調べに対して、富士宮の取材でオウムと激論になった際、ビデオを見せてくれと要求され、引き受けたと思うとか、オウム三人と別れ際に、ビデオを見せたことは口外しないという趣旨の話もしたと思うと言っております。  そして、最終的に、私自身が本人と面談をいたしました。そして、そのような事実があるのかどうか、私自身が直接ただしました。本人は、私の判断ミスでございましたとビデオを見せた事実を認めたということでございます。  そういう経過で、直ちに賞罰委員会を開催いたしまして、先生御指摘の処分をいたしたということでございます。
  102. 古屋圭司

    ○古屋委員 解雇をすれば、今後の追及とか、あるいは今までなぜ隠しておいたかとか、そういったもろもろの追及というのがやりにくくなると思うのですね。トカゲのしっぽ切り、こういうふうに言われてもいたし方ない面はあろうかと思います。  しかし、今現在でも恐らく取り調べは本人に対して進んでいるのだとは思いますけれども、もしそうならば、この本人に対する調査はどういった権限をもってなされているのでしょうか。すなわち、解雇された人間をそこまで追及できるのでしょうか。この辺についてお答えください。簡潔で結構です。
  103. 磯崎洋三

    磯崎参考人 この曜日担当プロデューサーに関しましては、オウム側にビデオを見せたことそれ自体が重大なことである上に、その後の社内調査であいまいな証言や虚偽の証言を繰り返し、その結果、調査を著しく混乱させ、事態の解明をおくらせたことは明らかであります。したがいまして、就業規則の規定にある「故意または重大な過失によって会社の名誉、信用を傷つけた場合」に当たると判断して解雇したものであります。  しかし、御指摘のとおり、事実関係の解明はまだこれからといった段階でございまして、本人に対しましては、引き続き社として調査に協力するよう強く要請をいたしております。そして、本人もこれに十分協力する姿勢を示しておりますので、少なくとも現段階におきましては調査に支障が出てくるという兆候は見えないと考えておる次第でございます。
  104. 古屋圭司

    ○古屋委員 調査に協力の要請をしているということでありますから、これは、本人が拒否をすれば、それ以上何ら答える義務がないということになってしまうと思います。  それはさておいて、ひとつ一般論としてお聞きしたいのですが、番組をつくるとき、それは報道番組にしろ娯楽番組にせよ、現場の担当プロデューサーが、番組の計画とかあるいは取材の費用、途中経過等々について上司には報告するシステムになっていますか。簡単で結構です。一般論として答えてください。
  105. 磯崎洋三

    磯崎参考人 放送番組制作の場合、最終的な責任は最高責任者である私が当然持っているわけでございますけれども番組制作の個々の責任に関しましては、番組プロデューサーが全責任を持って当たっているということでございます。したがいまして、番組の内容、そしてまた番組の是非等々につきましては、基本的には番組プロデューサーが全責任を持って制作に当たるということが私ども放送の実態でございます。  したがいまして、その過程でさまざまな問題、例えば、どのように判断していいかどうか、それからこの内容をこのように放送していいかどうか等々、プロデューサーレベルで判断し得ないものに関しましては、当然当該上司に報告をして、その判断をまつということでございます。
  106. 古屋圭司

    ○古屋委員 今のお話でありますと、重要な問題については上司に報告することもあるということでございますね。そうしますと、今回についても、重要な問題でありますから報告をしていたという可能性は否定できませんね。それをお答えいただきたいと思うのですが。
  107. 磯崎洋三

    磯崎参考人 御指摘のとおり、現場レベルで判断し得ないものは当然上司に報告をし、相談をするということが通常のルールでございます。しかし、この案件に関しましては、この千代田制作部で週一回部会を開催をいたしておりまして、それぞれの番組の報告、そしてまた番組で起きました諸問題について部長に報告をするというのが運営上のルールになっておりますが、現在、私どもが調べた限りでは、この案件につきまして部長会で報告がなされたということは全く形跡がございません。
  108. 古屋圭司

    ○古屋委員 現時点ではないということだそうでありますが、今のお話をまとめてみますと、その可能性も否定できないということだと思います。したがって、もしそういったことが否定できないにもかかわらず、一現場のプロデューサーのみが解雇をされてしまっているということについては甚だ私疑問を感じるのですが、先ほど申し上げましたように、これはトカゲのしっぽ切りと言われても仕方がないのじゃないかな、こういう気がいたします。  また、労働組合として、この方は非組合員だと思いますけれども、やはりそういう面からもこれは問題になるのではないかな、私はそんな認識を持っているわけであります。この点についてはいかがでしょう。一言だけで結構ですから。
  109. 磯崎洋三

    磯崎参考人 現段階では、金曜担当プロデューサーが、自分が見せたとしか考えられないと、先ほども申しましたけれども、関与を認めておりますほか、当時ティ・ビー・エス・ビジョン、私どもの関連会社でございますけれども坂本弁護士のインタビューをとったスタッフが、調書の中で、見せたというふうに言っております。そして、この二人に詳しく聞いたことも含めまして、現在、だれがどうやって見せたのかという点を厳しく調査をしているところでございます。  しかし、私どもといたしましては、社内調査、そしてまた早川メモのビデオのチェック等々を含めまして、やはりこの金曜プロデューサーが何らかの形で見せたというふうに断定をしているわけでございます。
  110. 古屋圭司

    ○古屋委員 そこが今国民が一番知りたいところだと思うのですね。一金曜プロデューサーの責任として片づけてしまうのか、そうではなくて全体の組織としての問題なのかというところをすごく知りたいと思うのですけれども、今のお話ですと、どうも現場のプロデューサーだけでとりあえずは処分をとどめておこうというニュアンスに、恐らくテレビをきょうごらんになっている方は皆さんそういう認識を持たれていると思います。どうか今後ともしっかりと事実の追及はしていっていただきたいと思います。  今度のオウム報道に関しましても、TBSは確かに先行していたと思います。そういう意味では、癒着というかそういうことがあったということも私は否定できないのじゃないかなという気がいたします。例としては、きのうの委員会でも指摘されていましたけれども、接見禁止中の被疑者のビデオが撮れたというようなこともあったようでありまして、そういったことを踏まえて、これ、何ゆえ放送しなかったのか。それは、ボンで行われた単独記者会見を行うためだったのか、そうじゃなくて何らかの圧力があったのか、あるいはその他なのか、これについて、今三つの中からお答えをいただきたいと思います。
  111. 磯崎洋三

    磯崎参考人 今先生御指摘の、どのような形で放送を中止をしたかということにつきましては、社内調査で鋭意調査をいたしておりますが、現在のところまだ不明でございます。
  112. 古屋圭司

    ○古屋委員 もう恐らく事実はかなり判明はしてきていると思います。しかしなかなか今ここでお答えできないということだとは思いますけれども、どうか、この点は非常に国民皆疑問に思っていることでありますから、真摯に、事実を積極的に解明をして、そして公表していただきたいと思います。これがやはりTBSとしての社会的責任なんじゃないかな、こんな気がいたします。  昨日の質問でも事実に差があったようでありまして、十九人のスタッフが千代田分室にいた、いや十四人だ。社内でも意見が統一されていないようでありまして、こういったことを見ましても、どうも事実を隠しているんじゃないかなという疑惑というのは払拭されていないと思います。  そういったことを思いますと、社内のいわゆるチェック機能、自己制御機能、こういうものがどうもできていないのかな、こう思わざるを得ないわけでありまして、まあ今マスコミといいますと、大別してテレビ新聞があると思いますけれどもテレビは情報が二十四時間流れます。気軽であります。残りません。しかし、新聞は御承知のように残ります、記事として。恐らく新聞社の社長なら日々自分の会社の新聞は読んでいると思います。しかし、テレビ会社の社長は二十四時間近く流れているテレビをみずから見るということは恐らく不可能に近いと思います。そうですね。したがって、番組編成上の管理体制であるとか、あるいはその監視機能というものをしっかりしていくということが必要不可欠なわけですね。  確かに、憲法上、表現の自由、報道の自由は認められていますけれども、一方ではやはり義務もあるわけでありまして、その義務というのは、御承知のとおり、放送事業者に適用される放送法ですね。この放送法は、午前中にも指摘がありましたけれども放送法の三条の二から四までが実質的に放送事業者を律している法律であります。たったこの条文だけなんですね。  短いものですから、もう一度おさらいの意味で読まさしていただきますけれども、三条の二、「公安及び善良な風俗を害しないこと。政治的に公平であること。報道は事実をまげないですること。意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」そして三条の三と四は、「番組編集基準を定め、これに従って放送番組編集をしなければならない。」「放送番組の適正を図るため、放送番組審議機関を置く」、こういうふうになっておるわけでありまして、これは御承知だと思いますし、またこういう考え方あるいはこの法律にのっとって番組編成をし、最高責任者として監督をされていると思いますが、この点について、そうである、あるいはそうではないと簡単に御意見を伺いたいと思います。
  113. 磯崎洋三

    磯崎参考人 当社といたしましては、放送番組編集基準を守るよう日ごろより最大限の努力をいたしております。  御指摘の放送法三条の二は放送番組の内容に関する規律として私も理解をいたしております。私どもの理解では、テープを見せた行為はこれには含まれないものというふうに考えている次第でございます。  それから、番組のチェックの件でございますけれども、各番組責任者、上司などが個々に行っているほか、審査部それから放送倫理委員会でも番組の考査、チェックをいたしております。今後は特に審査部の機能を充実させ、番組制作をするに当たりまして、事前の相談、事後処理を含めて徹底的に社内に対応させていきたいというふうに考えております。また、弁護士と事前に相談することは、現在でも番組ごとに実施をいたしておりますが、今後は社として弁護士など外部のスペシャリストに番組の考査、チェックを委嘱するようなことも具体的に考えてまいりたいと思います。
  114. 古屋圭司

    ○古屋委員 社長TBS社のテレビ番組はどれぐらいごらんになりますか。
  115. 磯崎洋三

    磯崎参考人 できるだけ見るようにいたしておりますし、新しい、改編時の新番組は、放送では見られませんけれども、ビデオテープで見るように努力をいたしております。新番組に関しましては、必ず個々のプログラムは見るようにいたしております。
  116. 古屋圭司

    ○古屋委員 では、具体的にお伺いしますけれどもTBS社では「ブロードキャスター」あるいは「サンデーモーニング」という番組をやっていらっしゃいます。そこの、二月の二十四日の「ブロードキャスター」の番組、あるいは二月の十一日の「サンデーモーニング」の番組、これはごらんになったことがありますか。
  117. 磯崎洋三

    磯崎参考人 私は、放送は見ておりません。
  118. 古屋圭司

    ○古屋委員 実はこの放送は、両方とも住専問題についての特集がなされておりました。私もこの住専問題については、たまたま私の出身の岐阜県で補欠選挙がございまして、この大きなテーマにもなりました。いろいろと報道が混乱をしていたようでありまして、結果として、私どもの岐阜県の有権者が、新たに五千円とか一万円の税金を取られる、だから住専は反対だ、そういう認識を持っていた方がたくさんいらっしゃいました。これは基本的に間違いでありますね、新たに取られるわけではないわけですから。したがって、どうしてだろう、やはり報道に問題があったのかなと思いまして、私は調べてみたわけです。  そうしますと、この今の二つにつきましては、まず二月の二十四日の「ブロードキャスター」は、住専処理問題の部分では十六分四十六秒が放映されておりました。それから、二月の十一日の「サンデーモーニング」では二十九分五十三秒放映されました。したがって、これがトータルで約四十五分ほどあるんですが、この出演者そして内容、すべてが、一〇〇%全部反対の意見でございました。このことは、放送法にのっとって考えてみた場合にはいかがなものだろうか、これについてちょっと御意見を伺いたいと思います。
  119. 磯崎洋三

    磯崎参考人 先生御指摘の番組でございますけれども、私どもといたしましては、今御指摘の放送法放送基準にのっとりまして、対立している双方の論点を明確にするという原則で制作をしているつもりでございますし、また強くそれを指導しているつもりでございます。私は、この放送基準そしてまた放送法にのっとって放送がされているものというふうに考えております。
  120. 古屋圭司

    ○古屋委員 ほかにも「ブロードキャスター」あるいは「サンデーモーニング」等でずっと放映がございました。それを私も集計をさしていただきました。確かに、社内の規定の中にも、一つ番組では一方の意見を言っても、ずっとトータルとしてはバランスよくとるというようなことも恐らく社内では議論されているんでしょう。したがって、そういう可能性もあるかなと思って私は見てみたんですが、二月の十七日、二十四日、三月二日、三月九日、三月二十三日、いずれもこれは「ブロードキャスター」ですが、一〇〇%、全部反対意見でございました。出演者も皆さんそうでした。それから、「関口宏のサンデーモーニング」というのも、二月の十一日、十八日、二十五日、三月三日、十日、十七日、二十四日、それぞれ一分三十二秒、十分、十一分二十九秒、十二分十四秒等々放映されておりますが、基本的に差異はございませんでした。  やはりこれは、私、非常に疑問に感じているわけでありまして、ちなみに、ちょっとNHKの討論番組もありましたものですからこれも見てみたんですが、NHKの「NHKスペシャル 「徹底討論・住専処理なぜ税金を使うのか」」という、二月四日放映の分なんですが、これは賛成と反対が、発言回数が四十六回と四十三回、時間的にも約六割と四割ぐらいでございまして、それなりにバランスがとれていたかなというふうに考えたわけです。  私、こういう事実からして、この放送法放送番組審議機関とか、これに基づき設置されております社内の独自の放送基準、それは読み上げますと、例えば、放送番組審議会の意見を尊重し、放送番組の適正を図る、政治、経済等の諸問題については公正な立場を守れ、あるいは報道番組は事実を客観的かつ正確、公平に扱うことというような放送基準が定められているわけでありまして、こういう基準が、今のこの報道を見る限り、本当に果たしてそういうチェック機能が機能しているんだろうか、甚だ私は疑問に感じるわけでありますけれども、この点についてもいかがでございましょうか。
  121. 磯崎洋三

    磯崎参考人 先生御指摘の点につきましては、私ども放送法そしてまた今お話のございました番組基準にのっとって放送をしているつもりでございます。しかし、極めて重要な御指摘でございますので、その点に関しまして今後も社内に徹底をしてまいりたいというふうに考えております。
  122. 古屋圭司

    ○古屋委員 今の指摘にもございましたとおり、今回のこのオウム事件というのは、いわゆる一つの発現形態にすぎないと思うんですね。やはり原因は、いわゆる歯どめであります放送法にのっとりまして、自浄能力であるとかあるいは内部チェック機能の充実がなされていない。そして、報道の自由というものがもちろんありますので、これをにしきの御旗に何でも許されてしまうというおごりがどうも社内にはあったんではないかなという気がしてなりません。  したがって、今、この放送法の理念であるとか倫理というものを、社内はもちろんでありますけれども、やはり制作の現場一人一人あるいは下請の人たちにまで徹底していかなくてはいけないと思うんです。  じゃ、そのためには一体どうしたらいいのかということでありまして、こういった違反があったからといって、放送法違反ということで、電波法に基づきいろいろな営業停止であるとかあるいは取り消しというのは、理論的にはできますけれども、これは、かつてあの椿発言のときにも理論的には可能という発言があったそうでありますが、現実的ではありませんし、私は余りするべきではないと思います。やはり三条の規定というのは、あくまでも精神的規定という意味合いが非常に強いのじゃないかなと。だからこそ、どのような具体的なチェック機能を持っていただけるか、これが一番大切だと思いますけれども、その具体策については今何をお考えか、お示しをいただきたいと思います。
  123. 磯崎洋三

    磯崎参考人 御指摘のとおり、私ども放送事業者の社会的責任というのは極めて大きいということを自覚をいたしております。  この放送基準というものを徹底するために、今さまざまな具体的な施策を考えているところでございますが、問題は、ただそういった施策を考えるだけではなくて、第一線で番組に携わる放送の人たちがどのようにそういったモラル、倫理をきちっと自覚するかということに尽きるだろうというふうに思います。先ほど申しましたとおり、番組個々の制作はプロデューサーが基本的に責任を代行しているということでございますので、まさに御指摘のとおり、一人一人に放送基準、そして放送マンとしての倫理そしてモラルをどのようにこれから周知徹底をしていくか、そのことが私どもに課せられた非常に大きい責務であろうというふうに考えておる次第でございます。
  124. 古屋圭司

    ○古屋委員 テレビが世論をつくるということは否定できません。だからこそ、やはり公正かつ品格を備えたテレビ放送をしていただくということが結果として国民の利益にもつながっていくと思います。どうかそういった観点を踏まえて今後とも改革に直進をしていただきたいと思います。  それともう一つ、具体的な改革というのはこれから考えていかれるということでありますが、私は、緊急的に、例えばこれだけ今国民が不信感を持っておりますことに対して、事実の調査が一段落した時点で、スポンサーはなしで、それも昼間のあいた時間等々ではなくて、やはり一番ドル箱の時間、ゴールデンアワーを割いて、情報開示と改革の方法、そして今後のあるべき姿というものを報道によってしっかりと示すこと、これは最低限やっていただかなくてはいけないことじゃないかなと思っております。どうかその点についても御意見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  125. 磯崎洋三

    磯崎参考人 私どもも、今、視聴者、国民の皆様にさまざま御批判や疑問点を呈せられていることにつきまして、社内調査、そしてまた特別調査人によって調査を鋭意継続中でございます。  御指摘のとおり、その調査結果につきましては、調査ができ次第、私ども番組として国民の皆様に明らかにしたいというふうに考えておる次第でございます。この案件につきましては、できるだけ速やかにというふうに考えている次第でございます。
  126. 古屋圭司

    ○古屋委員 時間が参りましたので、質問は終わらせていただきます。磯崎社長、ありがとうございました。
  127. 中川昭一

    中川委員長 横光克彦君。
  128. 横光克彦

    ○横光委員 社会民主党の横光克彦でございます。きょうは磯崎参考人、まことに御苦労さまでございます。  今回の坂本弁護士のインタビューをしたビデオテープの事件が明るみになってから、TBSでは社内に調査委員会をつくられたわけですが、その調査委員会での随時の報告は一貫して、テープは見せていない、こう言い続けてきた。それが、公判が進み、また早川メモ等により、先月の二十五日に大転換したわけですね、見せたという結論になったわけです。それではこの五カ月間の社内調査は何だったのかと、国民は今非常に不可解な思いを持っているわけですね。自主的に解明したというより、むしろ外圧によってそう判断せざるを得なかった、これを国民は、ほとんどの方はそういうふうに認識しているわけです。今国民、そして視聴者の皆様方が一番求めているのは事実の解明でございます。どうかこの国民の思いを真剣に受けとめて、質問に答えていただきたい、このように思うわけでございます。  まず最初に、先ほど古屋委員からもございましたが、金曜担当のプロデューサーが懲戒解雇になりました。懲戒解雇になった理由が、ビデオテープを見せたという理由でした。それは一人で見せたと断定したわけですか。
  129. 磯崎洋三

    磯崎参考人 その曜日担当プロデューサーが一人で見せたかどうかということは、いまだ調査中でございます。
  130. 横光克彦

    ○横光委員 しかし、調査中で解雇するのですか。懲戒解雇というのは非常に重い処分なのですね。退職金も出ません。五十二歳の方だそうです。事実の解明ができていなくて、ただ見せたというそれだけで懲戒解雇している。これから事実解明に必要な人でしょう。先ほど参考人は、懲戒解雇にしたけれども調査には協力的であると。そんな虫のいい話がありますか。  この二十五日の解雇処分したときのTBSの報告では、「三本の素材はディレクター、アシスタントディレクターら他のスタッフが関与せずに金曜担当プロデューサー一人で持ち込んだのかどうかなど、見せたことに関する事実関係もまだ殆ど解明されてはおらず、」こうなっている。「殆ど解明されてはおらず、」それなのに懲戒解雇という重い処分を下している。このことはどう理解したらいいのでしょうか。
  131. 磯崎洋三

    磯崎参考人 私が申し上げましたのは、当初オウムの三人に対応いたしましたのが総合プロデューサーと懲戒解雇いたしました曜日担当プロデューサーの二人、その間にいろいろな出入りがあったようでございますけれども、社内調査の点に関しては、その点が現在も調査中というふうに御理解をいただきたいと思います。  それから、その曜日担当プロデューサー一人を懲戒解雇した。私ども断定いたしましたのは、当然、対応したその二人にその事実関係調査をいたしたわけでございますけれども、曜日担当のプロデューサーは、私の判断ミスであったということを私にも認める話をしたということでございまして、もう一人対応いたしました総合プロデューサーに関しましては、現在も鋭意調査中でございますけれども、見せた記憶は依然としてないんだ、表現はそんなふうな表現の繰り返してございますので、なお調査をしているというふうに御理解をいただきたいと思います。
  132. 横光克彦

    ○横光委員 いずれにしても、まだ事実関係の解明中に、私はすべて解明してからでも処分は遅くなかったと思うのですね。何も解明していないのに解雇処分にしてしまった、ここのところが非常に解せないわけです。何か裏にあるのじゃないか、こういう思いをつい抱いてしまう。  そして今、調査中、調査中と言いますが、これはどうしてこんなに長くかかるのですか。もうそれは六年半か七年前のことだから記憶に定かでないといつもおっしゃいますが、私は、平成元年の十月二十六日の夜の数時間は、当事者たちにとってこんなに衝撃的な印象深い数時間はなかったと思っているのですよ。ですから、私は、いろいろな資料が出てくるにつれ、これは到底一人で見せたとは思えない、恐らく数人で見せたのではないかという思いがしているわけです。  というのは、この三人が参考人として東京地検に呼ばれましたね。この中で、要するに外部のディレクター、これは坂本弁護士をインタビューしたディレクターなんですが、このディレクターの東京地検での証言、これは、私は夜遅く上祐たちが訪ねてきていると知らされて、それに同席しました。十月二十六日の夜です。上祐たちと応対したのは、私のほか、「三時にあいましょう」の制作プロデューサー、「三時にあいましょう」の金曜担当プロデューサー、そしてティ・ビー・エス・ビジョンのA、B、五人で応対したと東京地検で証言している。そして、その場で上祐たちに坂本弁護士のインタビューを見せて内容をチェックしてもらったところ、放送はだめだということを言われた。坂本弁護士のインタビューを見せていたとき、上祐たちは何かその内容を盛んにメモしていた。見せた、見せたとここで三回も出ている、その外部のディレクターは。  そして、もう一人の総合プロデューサーですね、総合プロデューサーも、担当プロデューサーが応対したか子に負えないようで私も呼ばれた、いわゆる先ほどの報告にありますように、途中から一緒になったわけですね。そして、最後に、二十七日午前一時ごろ、私は、こちらには編集権があるので放送しないとは約束できないと言って帰ってもらった。要するに、帰ってもらうまで一緒にいたわけですね、この総合プロデューサーも。途中から席に着き、帰ってもらうまで一緒にいた、そう証言している。ということは、帰るということは、その前にテープを見たわけです。ですから、どう見ても、この総合プロデューサーもテープを見せたときに同席していた可能性が強い。そして、外部ディレクターは見せたと言っている、一緒に。そして金曜プロデューサーも見せたと言っている。最低、私は三人の方が見せたんじゃないかと。  そのようなことを調べるのに、そんなに時間がかかるのですか。取材した人たちのテープを、その夜、見せてくれと来た、そして、その外部ディレクターの調書の中に、青山と上祐の顔は知っていたと。それほど話題のある問題だ、話題があるから取材したのでしょう。そのスタッフとかプロデューサーとかディレクターにとっては非常に印象深い人たちのことをやっていた、印象深い事件であった。そして、それが、見せたと言った後、ではそれで解雇。どのようにして見せたのか、なぜ見せたのか。そして、では見せたならどこからテープを運んできたのか、再生装置はどこにあったのか、こういうことをちゃんと調べたのですか。そういうことはわからないわけないのですよ、聞けば。そうでしょう。見せたと言っているのですから。見せた以上、そのテープは要りますね。テープの保管の管理者、どういうふうにしてテープを持ち出したのか。いろいろな疑問がいっぱいある。それがすべて発表されてない。  ですから私は、この一人を先に解雇処分したというのは、事実の解明には非常に大きな痛手だと思うのですよ。この問題は、やはりTBS調査のずさんさというものをもろに出しているのじゃないかという気が私はするわけです。その見せた人たちが、一週間後にその取材した坂本弁護士一家が拉致されたという事件が起きるわけですよ、それでもなお関連性がなかったということで済ませたでしょうか。私は相当ショッキングだったと思う、その人たちは。それがどこまで上層部に通じていたのか、それも定かではない。警察にも報告してない。そこで疑われるのは、私は、箝口令をしいたのじゃないかと。すべてこういうことは、その当事者たちにとっては大変ショッキングなことが一週間後に起きたにもかかわらず、一切どこにも報告せずに、それを、関連性が薄かったからといって後になって証言している。こんなことはもう常識として考えられないわけですね。こういったところをやはり解明して、事実を明るみに出してほしい、国民が一番望んでいるのはそこであろうと思っております。  それで、この三人の方が東京地検に呼ばれた。いやしくもTBSのプロデューサーが二人と外部のディレクターが東京地検に参考人として呼ばれた。これは社にとっては大変大きな問題です。ですから、東京地検で証言した直後に社内で調査されましたか。
  133. 磯崎洋三

    磯崎参考人 私どもが事情聴取を受けたという直後から社内で聞き取りの調査を開始をいたしております。
  134. 横光克彦

    ○横光委員 そのときには、この報告では、見せたとは記憶がない、考えられないという答え。その直前の東京地検ではこれだけの私が先ほど読み上げたような事実を、帰ってきたら、そういう記憶はない。そうすると、調べる側のTBS調査会はどちらを信じるか、どちらを信じるかではない、まだ調書の内容はわからないわけですね。そうすると、東京地検での調書の重みというものを物すごくお感じになっていると思う。その内容を一刻も早く知りたいと思うわけですね。その内容によって、自分たちが直接聞いたこととどれだけ差があるのか。その供述調書を一刻も早く入手しようとか、そういった努力はされましたか。
  135. 磯崎洋三

    磯崎参考人 その努力をしたことは事実でございますけれども、なかなか早川メモ、そしてまた供述の詳細については知り得なかったということでございます。  それから、事実確認といいますか、本人たちに聞き取り調査を始めました段階で、本人たちが検察に述べた話に関しても私どもは正確に知ることができなかったということでございます。
  136. 横光克彦

    ○横光委員 地検で取り調べを受けた後、それが十月十一日です、その次の日、十二日にその問題のテープを提出要求されてますね。そして提出してます。これは報告にもございます。捜査に協力するという意味で例外的に提出したと。それはいいのですが、そのときにプロデューサー二人が参考人として呼ばれた。そしてその結果、次の日にそれに関係のあるテープの提出要求があった。このことで、私は、この時点で、大変TBSとしては重く受けとめた時期だったと思うのです。ただの社内調査ではなくて、結局、検察の捜査ですからね。その中で、一番知りたかったのはその供述調書であろう。この三人の東京地検での供述調書がわかったのはいつですか。
  137. 磯崎洋三

    磯崎参考人 供述調書の、いわゆるTBSに関連する供述が早川メモという形であるということは私どもも承知をいたしておりましたけれども、いわゆる早川メモのビデオに関する詳細なメモを入手いたしましたのは、三月二十三日の午後ということでございます。
  138. 横光克彦

    ○横光委員 この三月二十三日の午後に供述調書、今私が読み上げたような内容を読まれたときに、当人たちから聞いている話と百八十度違うということがわかったわけですね。こちらではそういうように見せたと言っている人がいる、ところが、実際会って調べると、そんな記憶はない。この百八十度違う時点であなたはどう考えましたか、調査委員会は。じゃ、あなたはどちらを信じようとしたんですか。えらい、百八十度違う答えがあるわけです。地検では見せたと言う。それで直接聞くと、記憶に定かでない。どちらを重要視しましたか。
  139. 磯崎洋三

    磯崎参考人 社内の調査を重ねてまいりまして、私どもは、見せた事実がないという見解をお示しをしてまいりました。その段階では私どもの社員の話を信じていた次第でございます。しかし、二十三日の午後に、いわゆる早川メモの詳細を入手いたしまして、そして、先ほども申し上げましたけれども、私どもの持っておりますビデオテープと詳細に照合をした結果、これはビデオテープを見なければ全く書けないメモであるということを、私も含めまして断定、判断せざるを得なかったということでございます。
  140. 横光克彦

    ○横光委員 今のお話のように、自主的に解明する姿勢というのが非常に弱いというのがおわかりになったと思います。これは私は、一つにはこのつくられた調査委員会調査委員長、大川常務ですね、大川常務は、平成元年の事件当時の社会情報局長、要するに金曜担当、総合プロ、その上が社会情報局長でしょう。それぐらい当時の問題としては責任を問われるべき立場だった人が、くしくもそれを調査する委員長になっているという指摘もあるわけです。もしそういうことが事実だとしたら、ここでも、TBS調査しようとする意欲の弱さというか、そういったものに国民は疑いを持ちますね。  この調査委員会調査委員長を任命したのはどなたですか。
  141. 磯崎洋三

    磯崎参考人 大川を調査委員長に任命をいたしましたのは私でございます。そして大川は、今先生御指摘のとおり、当時の社会情報局長でございましたけれども、私は、大川が予断、偏見を持たずに徹底してこの問題に対しての調査、解明に当たったというふうに考えておる次第でございます。
  142. 横光克彦

    ○横光委員 予断、偏見を持たずに、それはあくまでも希望的観測でしょう。普通の常識からすれば、当時、その当事者の一端に非常に近い人が、あるいは事によっては責任問題につながる人がそのような調査委員会委員長になったということ、このことは、私はどうしてももう一つTBS調査の積極姿勢というものを疑わざるを得ませんげ  実は私は、三年ほど前までは、二十五年以上にわたって演劇の世界、いわゆる芸能の世界におりました。そして、これは私ごとで大変恐縮ですが、初めてテレビに出させていただいたのがTBSです。白黒の時代でした。ですから、TBSには本当に私は愛着があったんです。ですから、今回のようなことが起きたときに、もう怒りを通り越して、胸の痛さというものをいつも感じるんです。  私たち国民、視聴者は、知る権利というものを与えられております。知る権利。そして、それを負託されているのが放送事業者であります。皆様方は、国民から知る権利を負託されている。その信頼を今回見事に裏切ってくれた。TBS信頼は地に落ちた。これを回復するのは、私は至難のわざであろうと思いますよ。ですから、謝罪とか処分あるいは教育の徹底とかいろんなことを言われますが、私は、第一に、事実の解明ですべてを明るみに出して、うみを出したことによって傷口が治るんです。すべてを出し切って、そして再生の道を歩むべきだ、このように思います。言葉だけのざんげでは再生の道はない。  そして、これは提言でございますが、先ほど古屋議員も提言されましたが、私もひとつ、これほどニュース、ワイドショーが過熱ぎみになった現時点で、この問題の発端となった午後のワイドショーの時間を、ワンクール、三カ月あるいは一カ月でもいいです、報道とはどうあるべきかという冷静な意味を込めましてワイドショーを自粛する。そして、多くの社員がたくさんいい企画を持ってきて没になったのがたくさんあるでしょう、そういったいい企画をこの際大胆にやってみて、一時ワイドショーから撤退するぐらいの勇気を持ってこれから再生の道に取り組んでいただきたい、そういった姿を国民の前に見せていただきたい、私は、そのことを提言させていただきまして、質問を終わります。
  143. 中川昭一

    中川委員長 小沢鋭仁君。
  144. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 新党さきがけの小沢鋭仁でございます。午前中に引き続いての質問でありますが、持ち時間が十分でありますので、言葉足らずのところは、午前中も申し上げましたが御無礼をお許しいただきたいと思います。  まず、今回のこの事件で、国民の皆さんの御関心の一つであります、ビデオがあったこと、そしてそれに対してオウムの何人かが抗議に来たことを警察もしくは坂本弁護士の所属している横浜の法律事務所になぜ連絡できなかったのかというところがあります。これにつきまして、当時、各テレビ局はこぞって、公開捜査になって以来、どんなささいな出来事でもいいから連絡をしてくれというふうに報道をしていたわけでありますが、磯崎社長は、その点については当然御承知ですね、まず第一点。
  145. 磯崎洋三

    磯崎参考人 今御指摘の担当者らがなぜ、オウムが私どもの千代田分室を来訪した事実、これを告げなかったかということ、そしてまた、坂本弁護士が失踪された後もその事実を伝えなかったかというのは、現在も本人に聞き取り調査をいたしておりますけれども、プロデューサーは、その時点でオウムの抗議を通常のトラブルと理解していた、当時の認識からして、オウムがこれほど凶悪な事件を起こすような団体だとは思わなかったということでございます。  なぜそのような認識しか持てなかったのか、まさに個々のジャーナリストとしての洞察、予見性のなさというものは、私自身も極めて残念に思っている次第でございます。
  146. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 質問の趣旨をちょっと取り違えていただいているんだと思いますが、どんなささいなことであってもお知らせをいただきたい、そういった横浜の法律事務所の皆さんたちがおっしゃっていて、それをいろんなテレビ局報道していた、磯崎社長もその事実を御存じですね。そして、あるいは磯崎社長御存じだということは、TBSの皆さんたちも、そういったどんなささいなことでもいいから連絡してくれと言っていたことを多分わかっていたんですねと、そこを確認したいんです。
  147. 磯崎洋三

    磯崎参考人 御指摘の坂本弁護士が失踪されて以来、どんなことでも教えてほしい、知らせてほしいということは、私も承知をいたしておりました。
  148. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 でも知らせなかったということで、先ほど御発言になった理由があるわけでありますが、しかし、これまでの経緯を見ますと、その当時、事の重大性に気がつかなかった、オウムがそういう凶悪犯罪を起こすような団体とは気がつかなかったということでありますが、どんなささいなことでも知らせてくれと言っていたことを知っていながら、オウムに抗議されたのですよ、坂本弁護士のテープまで撮っているのですよ、それだけの関係者が伝えなかったということは、あえて伝えなかったと思われても仕方ないと思いませんですか。
  149. 磯崎洋三

    磯崎参考人 そのような御指摘は、まさによくわかるわけでございますけれども、非常に残念でございますけれども、当時の担当者がそのような認識を持ち得なかったということでございます。まことに申しわけなく思っております。
  150. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 私は、ここは変な推測を余りしないでおきたいと思いますが、一言で言えば、当然わかっていたけれども伝え切れない何らかの理由があった、そういうときというのは、基本的にやましいことがあるから伝えられない、そう考えるのが自然だと思うのですね。これ以上、その推測を進めることはやめますけれども、そう考えるのは普通でありますから、ぜひそういった意識で調査をお進めいただきたい。  事柄の重大性に気がつかなかったとかいう話ではなくて、同時に、昨日の参議院の逓信委員会で出てきた話でありますが、新しい事実として、その取材現場でビデオを見せる約束をした、そして同時に、それは内密にしてくれという話があったという調査結果が出ましたということがありましたね。内密にしてくれというのは、さらに何かあるから内密にしてくれというわけでしょう。そこまであってなぜ伝えなかったのかということを真剣にぜひ調査をいただきたいのですが、その内密にしてくれというのは事前にあった、その後調査してくれましたか、その部分に関して。
  151. 磯崎洋三

    磯崎参考人 私どものただいままでの調査では、その三人が帰る際に、このことは公言しないでくれといいますか、外に言わないでくれと言ったと思うという調査結果でございますけれども先生御指摘のとおり、この点に関しましては、私どもは事実を明らかにする責務があるというふうに思っておりまして、現在も社内調査委員会で継続して調査をいたしておりますし、また、第三者の独立した特別調査人にもそのことを委嘱して、徹底的に調査をいたしまして、その事実関係に関しましては明らかにいたしたいというふうに思っている次第でございます。
  152. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 今、磯崎社長からお約束もいただきました。普通であれば伝えないことはおかしいというのが国民の皆さんの気持ちだと思いますから、その上に立った上で、先ほど申し上げたような、何かそういった取引があったのではないか云々、大変恐縮でありますけれども調査をお進めいただいて、また、明らかにしていただきたいというふうに思います。  次に、TBSの中には報道活動の指標というものがあるというふうに聞いておりますが、これはいわゆる番組基準に準ずるもの、補完するもの、そういったものとして考えてよろしいのですか。
  153. 磯崎洋三

    磯崎参考人 私どもでは、御指摘のとおり、民放連放送基準、そしてまた東京放送としての番組基準を持っております。これが基本的な基準でございますけれども報道局の中に、取材等々に関する具体的な基準、そしてまた、さまざまな対応に対する問題の整理という指針を既につくって持っておりますし、報道局員全体、そしてまた社会情報局等も含めて全社的にその取材の指針というものを徹底し、教育をしているつもりでございます。
  154. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 そうしますと、そこの中に、私が聞いた話でありますが、当然のことながら、素材の報道目的外使用、そういったものの禁止とかあるわけですね。今回のビデオを見せたということは、そのことへの違反になりますね。
  155. 磯崎洋三

    磯崎参考人 まさに御指摘のとおり、私どもの持っております報道の指針に照らして申しますと、第三者に見せたということに関しては、この指針に抵触するというふうに考えております。
  156. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 そうしますと、番組基準、それに準ずる指針、これは放送法に基づいてできている話ですね。先ほど、いわゆる担当プロデューサーの解雇は就業規則違反だという話でありますが、その指針の違反、番組基準の違反、これは放送法違反につながっていく話ですね。
  157. 磯崎洋三

    磯崎参考人 この放送法に関する問題に関しましては、私どもでは、現在のところ発言をする立場ではございません。郵政当局の方にこの事実関係を御報告を申し上げておりまして、郵政当局の御判断にゆだねるということになろうかと思っております。
  158. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 今大事な話は、磯崎社長が、社内としてそれはそういったものへの違反だということをおっしゃっていただいたところが重要でありまして、後は郵政省の判断でありますが、法体系はそういうふうになっておりますので、今後郵政省のしっかりした対応をお願いしたいというふうに思います。  時間でございますので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  159. 中川昭一

    中川委員長 遠藤乙彦君。
  160. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 新進党の遠藤乙彦でございます。  磯崎社長におかれましては、昨日に引き続きまして大変に御苦労さまでございます。既にいろいろ質問が出ておりますが、さらに基本的な事実関係につきまして、何点か不明な点が多々ございますので、引き続き質問をさせていただきたいと思っております。  最初に、昨日の参議院の逓信委員会でも一部紹介をされましたが、内部告発文書が逓信委員会関係者に送られてきております。すべてかどうかは知りませんけれども、何人かに来ておりまして、私のところにも実は来ております。これは、三月二十日の朝議員会館に送られてきておりますので、この文書自体がどういう性格か断定はできませんけれども、読んでみますと、やはり今回の問題、非常に良心の痛みを感じた内部の方が告発してきたのではないかといった印象を私は受けております。  若干紹介をさせていただきますと、「緊急のお願い」という書き出しがありまして、   十九日の法務委員会参考人出席した私たちTBSテレビの大川常務の答弁を報道で知り、驚き、あきれ果てました。反省の色が全くありません。   オウムの大量殺人のきっかけは、我が社がオウムにビデオを見せたためであるのは事実です。坂本さんご一家とサリン犠牲者、そのご家族の皆様に重役に代わって、心から幾重にも幾重にもお詫び申し上げます。   先生、このままにして置きますとますます我がTBSはおかしくなります。先生方の委員会で徹底して追及して下さい。 こういった書き出しになっておるわけでございます。それに続いて、何点か内部告発情報が寄せられているわけです。一部はきのうの委員会でも紹介をされたと承知をしております。  その中の一つにずばりと、だれが見せたかということで内部告発があります。それは、「オウムにビデオを見せたのは、」として、TBS社員の二名、実名が挙げられております。すなわちこれは、既に処分をされた総合プロデューサーと担当プロデューサーの名前が載っております。それから、もう一人は、これは実名は書いてありませんが、「もう一人は下請けのディレクターです。」という表現になっておりまして、三名が少なくともビデオを見せたということを告発してきております。  実は私は、日付に着目をしたいのですが、三月二十日の朝、これが届いております。ところが、TBSの方で、調査委員会の方で、今までの調査の中身、結論を変えて二十五日の時点で見せたことを認めたわけですけれども、それ以前の二十日の段階で既に、このビデオを見せたのは担当のプロデューサーと総合プロデューサーと外部のディレクターということをちゃんと明確に内部告発をしてきているということがあるわけでございますね。  すなわち、これの意味するところは、少なくともTBSの社内の現場の関係者には、この三人が見せたということはもう周知の事実、公然の秘密であるということになっているわけでございまして、それなのに大川常務が十九日に話されたことは事実と違うということで、大変憤ってこの文書を送ってきたと思うのでございますね。  そうなりますと、既に社内の関係者の中では周知の事実であったことを、調査委員会代表としての大川常務が間違った答弁をされたということなんですが、それは論理的に考えますと、失礼な言い方ですが、調査委員会には調査能力がなかったということなのか、あるいは調査委員会としては真相は把握していたけれども何か事情があって抑えていたのではないか。ところが、公判が迫ってきていろいろな調書も出てくるということで、いわば追い込まれて二十五日の会見になったのではないかというふうにとらえるのが常識的ではないかと思うわけでございます。  恐らく、調査能力がなかったというのはとても信じられない。TBS幹部をやっておられる方が調査委員会をやってこられたわけですから、調査能力がなかったとはとても信じがたいわけでございまして、むしろ常識的に見れば、そういう真相はわかっていたけれども、何か事情があってやはり抑えてきたのではないか、そういうふうに一般国民としては受け取れると思うわけでございますが、この点につきましてどう考えられるかということをまずお聞きしたい。  もう一点は、そうであるとすれば、やはりこの調査委員会自体が問題だと私は思っておりまして、調査委員会を対象に新たな調査をするということをすべきではないかと私は提案をしたいと思うわけでございますが、この点につきましてどう考えられますでしょうか、お答えをいただきたいと思っております。
  161. 磯崎洋三

    磯崎参考人 まず、社内調査の件でございますけれども、私は、社内調査は予断、偏見を持たずに真摯に行ったというふうに確信をいたしております。  しかし、六年前の記憶を手繰る調査ということでございまして、関係者全員が見せた記憶はないと証言をしておりましたので、それを突破できなかったということでございます。ずさんという御指摘は甘んじて受けなければならないというふうに思いますが、聞き取り調査は、社内調査の限界ぎりぎりまで私としてはやったつもりでございます。不十分な調査結果だったことは重ね重ねおわびを申し上げたいというふうに思います。  そして、この点に関しまして、調査委員会はその後もスタッフの人員をふやすなどいたしまして、体制を拡充いたしまして、調査委員長も大川から鈴木常務に交代をさせております。また、社内調査内容を第三者の目で正確に判断し、偏りのない調査を行うために、また調査の透明性を確保するために、社外に特別調査人を既に委嘱をいたしておりまして、調査が始まっているということでございます。  それから、二十日の文書等に関しまして、そういった文書が出ていることは私も承知をいたしておりますけれども、私どもといたしましては、それは本当に根拠のないうわさであるというふうに考えている次第でございます。
  162. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 うわさにすぎないというのもちょっと言い過ぎじゃないかと思うわけでございますが、いずれにしましても、徹底した真相究明を早急に行っていただきたいということを強く要望したいと思っております。  それから、次の点に移りますが、今までのところ、社会情報局、ワイドショーの関係者がテープを見せたということに非常に焦点が当たってきておりますけれども、もう一点ぜひ解明すべきは、だれがオウムに対して坂本さんのインタビューテープが存在していることを最初に通報したか、この点がぜひ解明されるべき点として残っていると私は感じております。それがなかったらこういった事件は起こらなかったわけですから、ぜひとも第一通報者がどうなのかということは解明すべきと思います。  そこで、TBS側の説明によりますと、まず三月二十八日付で大川取締役が法務委員会で陳謝をされた中には、担当プロデューサーが、十月二十六日に富士宮ですか、オウム本部に取材に行ったときに教えたと思われるというふうに述べておられますし、また、きのうの逓信委員会の場では、社長ではない方が答弁の中で、十月二十六日の時点で担当プロデューサーが現地へ行ってその場で見せることを約束したといったような御発言も実はあったわけでございまして、一貫してこの担当プロデューサーの行為であるというふうに説明が行われてきております。  ところが、すぐに疑問に思うことは、早川メモ及び早川の調書、これの存在、そこで主張されていることと内容が食い違っているということでございまして、すなわち、早川メモには報道局のNさんという人物が登場してくる。Nさんルートでこの存在を知った、Nさんルートで働きかけたということです。その見返りとして、ボンでの単独インタビューをさせてあげたということが一貫して出てくるわけでございまして、報道局の人物の存在がクローズアップされている。早川被告の意識の中に一貫して、今回の坂本さんのインタビューのテープに関しては報道局のNさんという存在が極めてキーパーソンとしてあるということが早川調書の中に読み取れるわけでございます。  したがいまして、TBS側の担当プロデューサーが教え、また、それを約束したという説明とちょっと食い違っている面があると思いますので、この点に関連をしましてお聞きをしていきたいと思っております。  まず、八九年の十月二十六日に富士宮のオウムの本部でいわば水中クンバカ実験というのですかを行った、それの取材が行われた。そこに担当プロデューサーが取材に行っているわけですけれども、そのときに同行して報道局からも行っておられますね。この方については、どなたが行かれたのか特定はできますか。実名を言うことは求めておりませんけれども、だれが行ったかということは特定できますか。
  163. 磯崎洋三

    磯崎参考人 当日、富士宮の水中クンバカの取材に参りましたときに一緒に参りましたのは、今先生御指摘の報道局のN記者でございます。
  164. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 この取材は、本来、社会情報局の番組だと理解をしておりますが、なぜ報道局の記者が同行されているのか。伺いますと、社会情報局と報道局というのは、非常にライバル意識があってなかなか難しいというお話をよく聞きますけれども、なぜ社会情報局の番組報道局の記者が同行されているのか、その点をお聞きしたいと思います。
  165. 磯崎洋三

    磯崎参考人 御指摘の点でございますけれども、これは社会情報局の水中クンバカの取材に同行したというわけではございませんで、報道局のN記者が報道記者として取材に行ったということでございます。
  166. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 たまたま一緒に行ったということのようですが、いずれにしても、物理的に一緒に行ったということは事実なわけで、当然その間でいろいろな連携があったということは推測されるわけですけれども、それはどのようにお考えでしょうか。
  167. 磯崎洋三

    磯崎参考人 御指摘の、どのようなやりとりが二人の間であったかどうかという点については、現在調査中でございますし、まだ明快にはなっておりません。
  168. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 もう一点、十一月三十日にボン麻原の共同記者会見があり、それに先立ってTBSの、これは報道局の所管だと思いますが、単独インタビューがあったと了解をしております。それについては、これは報道局のN記者の努力によるスクープであるというふうに説明を聞いておりますけれども、それは事実でございますか。
  169. 磯崎洋三

    磯崎参考人 今の御指摘の点でございますけれども、この記者が具体的に自身の交渉によりまして単独インタビューに成功したというふうに私どもは現在理解をいたしております。
  170. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 その早川調書には、Nさんから坂本弁護士インタビューのテープの存在を知り、それを麻原に伝えたということ、それからまた、その後も引き続きNさんのルートで、放映をしないように働きかけてきた、その見返りとして十一月三十日、単独インタビューをやらせてあげた、そのように一貫して書いてあるわけですよね。  となりますと、十一月三十日の単独インタビューが、オウム側から見ればですよ、これはあくまで見返りとしてやったということですが、そこの、その見返りの前提となる事実は、恐らく十月二十六日、Nさんから坂本弁護士のインタビューテープの存在を聞いたということ、及びそれから始まって一貫して放映中止を働きかけた、それが結果的に成功している、それに対するいわば報酬ではなかったかと見るのが自然ではないかと思うわけですが、この点につきましてはどのようにお考えでしょうか。
  171. 磯崎洋三

    磯崎参考人 この記者が坂本テープの存在を知らせたということは、私どもでは、ないというふうに思っております。  それで、報道局のこの記者は、当時「三時にあいましょう」がどういう取材をしていたか全く知り得る存在ではございませんでした。テープの存在を知らせましたのは、問題の金曜日の担当プロデューサー自身というふうに思われます。麻原被告のインタビューの後、どういう放送を出すのかと追及されて、被害者の会や坂本さんのインタビューをあわせて放送することになると思うというふうに話しております。  水中修行、水中クンバカの取材に行った報道局の記者が、放送中止について何らかの働きかけをし、その見返りに単独インタビューをしたと疑われているようでございますけれども、この記者がワイドショーに働きかけを行った形跡はございません。若い記者でございまして、そんなことができる立場ではないと思います。ボンでの麻原のインタビューは、この記者が粘り強く交渉したけれども、実際にボンに行きましたのは別の記者でございました。インタビューの最終的なオーケーをとりましたのは、先生御指摘のこのN記者ではございませんで、別の記者でございます。通常の取材、出演交渉であり、私どもとしては取引はなかったというふうに思っております。  なお、この点につきましては、私どもも現在調査を重ねているところでございます。
  172. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 私、思うには、早川が見返りとしてインタビューを実現させてあげたと言っているわけですが、それは決してN記者が「三時にあいましょう」の番組の内容を変更させることに影響力を持ったとか、そういうことではないのだと思うのです。むしろ最初の情報、坂本さんのインタビューテープが存在するという第一情報をもたらした、これはオウムにとって極めて重大な価値ある情報だと思うわけでございまして、その情報に対してこの見返りがあったというふうに考えてもいいと思うわけですね。  そうしますと、単純に、若い記者だから社会情報局の番組影響力がなかったということは余り反論にはならない。むしろ第一情報を持ってきたということが大事であって、その関連でいきますと、例えば十一月三十日のボンのインタビューにはもちろんこの担当プロデューサーも行っているわけですね。それで、会場を自分が仕切っていたといったような発言もしているようでございますし、金曜日の担当プロデューサーについては、報道局と極めて緊密に連携してきている、特にこのN記者とは緊密な連携があったのではないかと推定するに十分ないわば理由があると思うのでございます。そうなりますと、これは一つの推測にすぎませんけれども報道記者が担当プロデューサーの方から坂本さんのビデオがあることを知って、それを早川に伝えたという推測も成り立つわけでございまして、なかなかこれは実証が難しいかと思いますけれども、そのような可能性もあるということは念頭に置いて調査をすべきではないかと考えております。この点につきまして改めて御回答をお願いします。
  173. 磯崎洋三

    磯崎参考人 御指摘の記者は坂本インタビューのテープを知らなかったというふうに私ども考えております。  なお、繰り返しますけれども、その点に関しましては、社内調査そしてまた第三者の調査の皆様に徹底的に調査をしていただいて、その事実を明らかにいたしたいというふうに思っている次第でございます。
  174. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 社内調査ということは、本人の意見を聞いただけではそれを直ちに正しいと認めるわけにいかないのは、もう既に事実が証明をしているわけでございまして、むしろ事実をもって裏づけをとった、そういった事情聴取ということでないと余り意味をなさないということだと思いますので、徹底的な調査をお願いしたいと思います。  とともに、TBS報道TBSと言われてきましただけに、非常にスクープをしようという気持ちマスコミ人の中でだれよりも強いわけですね。そのために、取材対象に限度を超えて食い込むといった傾向がやはりあったのではないか、そういったことが今回の問題につながっているのじゃないかという気もいたしておりまして、恐らく報道局のこの記者の人と、それから社会情報局の担当プロデューサーは、かなり緊密に連携を、いろいろな形で連携をしながらオウム取材をしてきたというふうにどうも考えられますので、ぜひ徹底的な調査をお願いし、改めてまた事実関係を公表していただきたいと要望をいたしたいと思っております。  それから、もう一点でございますが、内部告発文書によりますと、TBS内部にオウムの在家信者が三名いる、それからそのほかにオウムシンパが十人以上いるというふうな点が書いてあります。これは信教の自由の問題と絡む非常にデリケートな問題でございまして、本来ならばこういった信者がいるかどうかということはタッチすべきではないと考えますけれども、今回はちょっと特殊なケースであって、オウムによる非常に残虐な事件が起こり、またオウム自体が、今後破防法の適用対象たるべく今手続が始まっているという状態にございまして、もし破防法の適用が決定されれば、必要に応じて個別の信者についても動静が監視下に置かれるといったこともあり得るわけでございますから、こういった点につきましてTBS調査としても問題意識を持って当たっておられるのか、あるいはこのオウムの信者の存在等につきましてどのように認識をしておられるのか、この点につきましてもお聞きをしたいと思っております。
  175. 磯崎洋三

    磯崎参考人 今先生御指摘の、オウム信者がいるのではないかという、名指しをされている本人につきましては、とんでもないことだというふうに否定をいたしております。オウム問題に関しましては、この種の根拠のない風聞や無責任なうわさも私は数多く流されているというふうに思っております。  私どもは、基本的には外部の皆様方の御指摘には真摯に耳を傾けることが大変に大切だというふうに思いますけれども、余りにも根拠のないうわさがまき散らされることは、正直申し上げまして当方も大変に当惑をしているということを御理解いただきたいというふうに思います。
  176. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 根拠のないうわさかどうかちょっとよくわかりませんが、いずれにしましても、一般国民からもそういった疑問があるということはぜひ御理解をいただきたいと思っております。  それから、社長が御出席ですので、ちょうどいい機会でございますので、TBSにかかわる問題、ちょっと別件でございますが、もう一つ事実関係をお聞きしたいと思っております。  それは最新号の週刊朝日に出た記事でございまして、「TBSの人事労政局長の加藤献金隠ぺい疑惑」という記事があるわけでございますけれども、これに関連して若干の事実関係をお聞きしたいと思います。  この事の発端は、去る三月二十七日の衆議院予算委員会で新進党の山田正彦代議士が質問した点で、要するに一九九二年二月、東京全日空ホテルで行われた加藤幹事長に対する裏献金の処理について話し合った場にTBS局長さんが同席をしていた、それでさまざまなアドバイスをしていたのではないかといったことを予算委員会で取り上げたわけでございます。これに対して週刊朝日が記事を書いてきておりますが、週刊朝日の取材によりますと、TBSの社内で調査が行われている。そのTBS調査を担当した国際室長としては、本人に確認したけれどもそういったことはないと否定をしておられたと言っております。それからまた、TBSが加藤幹事長に直接聞いたところ、加藤幹事長は、この当該局長さんはこの問題には全く無関係ですという発言をされ、否定をされておられます。  それからまた、加藤幹事長の前の後援会長だった水町さんに取材を申し込んだけれども、それは拒否された。それにかわって代理人の岡田弁護士が、「一千万円を預かる話し合いの場に、第三者が二人おり、それぞれ同席した理由もはっきりしているが、それがだれだったかは言えない、と水町氏は言っています」、こういった発言をしたと書いてあります。これはかなり思わせぶりな発言に終始をしておるわけでございます。  そこで、TBSも徹底調査をしていると思いますけれども、この週刊朝日の指摘は、一つ大きな穴があいているのじゃないか、すなわち水町氏本人について調査はしていないということでございまして、その調査をすべきだということを週刊朝日の記事が言っております。  そこで、お伺いをしたいのですが、TBSとしましては水町氏本人にこういった調査をされているのか、その点につきまして確認をさせていただきたいと思います。
  177. 磯崎洋三

    磯崎参考人 先生御指摘の件でございますけれども、水町氏には照会中でございますが、週刊朝日のほかにもこの件を扱った週刊誌がございます。これには私どもの総務局長から抗議文を出させていただいております。  この件につきましては、関係者とされている局長を含め、五人の方々に事情を伺っております。いずれもそうした会合はないというふうに否定する回答をいただいているところでございます。
  178. 遠藤乙彦

    遠藤(乙)委員 ぜひ真相の究明に全力を尽くしていただきたいと思っております。  時間が参りましたのでこれで終わりますが、TBSとしましては、ぜひとも今後住専を初め、あるいはエイズの問題等、さまざまな問題につきまして、国民としては真相の究明に全力を挙げることを期待をしておりますので、まずみずからの問題について真相を究明するとともに、その他の問題につきましても全力を挙げてひとつ真相の究明に取り組んでいただきたい。勇気ある努力を期待をしまして、私の質問とさせていただきます。  以上です。
  179. 中川昭一

  180. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしてございます。  まず最初に、非常にこれは残念でございますけれども、今のところはTBSさんの調査も非常に残念ながら不十分だということで、亡くなられました坂本さん、またその御一家の皆さん、そして松本サリンの犠牲者の皆さん、そして地下鉄サリンの犠牲者の皆さん、本当に御冥福をお祈りいたします。また、後遺症で悩んでおられる方も多くおみえになります。本当に私からもお見舞いを申し上げます。  真実は一つでございまして、本当に無念だっただろうと思います。そんな立場からいえば、このオウムTBS関係がどうだったのだろうかということで、推測ではいけません、やはりTBSの名誉もあると思いますので、時間が余りございませんものですからまことに残念でございますけれども、この場で何とか真相を解明したい、かように思っております。  初めは、これは普通坂本さんの御一家の事件ということが中心になるのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、この一連のオウムとの問題、これについていろいろな報道がされております。それをきのうは根拠のないうわさのたぐいだ、こういうふうに言われておるのでございますけれども、やはりこれは巨大なメディア、TBSが一方の何かの力に偏向してしまったということになれば、これは大変な問題でございますので、TBSもみずから積極的にこのうわさを、疑念を晴らす責任がある、こんなふうに思っております、一般の民間会社とはこれは全く違いますから。そんな立場で質問をしてまいりたい、こんなふうに思っております。  冒頭に言っておきますけれども放送のコントロールというかチェックにつきましては、余り役所のチェックを厳しくするのではなくて、もっと放送業者をたくさんつくって、免許を取り消す云々というよりも倒産させてしまう。そういう本当の民間の自由競争、切磋琢磨による競争こそが、チェックこそが私は正しいと思っておりますので、その辺、ひとつ冒頭に御理解をいただきたいと思っております。  それでは、時間がありませんからてきぱきといきますので、ひとつ磯崎社長、お疲れだと思いますけれども、事実関係を非常に短くお答えをいただきたいと思います。  まず一つオウムに坂本さんのビデオを見せろとか放送を中止せよというような権限は、八九年当時、だれがお持ちなのですか。
  181. 磯崎洋三

    磯崎参考人 番組の総括的な制作責任はプロデューサーが当時持っております。繰り返しますけれども、そこで判断ができないものは当然上司に報告という義務がつけられておりますけれども、プロデューサーが当時は判断をいたしたというふうに思います。
  182. 河村たかし

    ○河村(た)委員 プロデューサーというのは曜日担当プロデューサーなのか、総合プロデューサーなのか、どちらですか。
  183. 磯崎洋三

    磯崎参考人 企画内容等によって違いますけれども、総合プロデューサー、そして曜日担当プロデューサーということになろうかと思います。全体の責任は総合プロデューサーが持つというふうに理解をいたしております。
  184. 河村たかし

    ○河村(た)委員 といいますと、そうであれば、先ほどから御指摘があったように、事実関係調査中だという返事が来ますけれども、処分、もしそういうことを考えられるなら、一番最初にその方がなるべきではなかったかということで、どうも何かちょっと不自然だなと思いますね。  それから、二番目です。  オウム自分の教団の命運がかかっているビデオをおとなしく見せろと言うはずがないと思うのですね。オウムのだれが一番そのときに、夜にどなりまくったか、この点、御存じですか。
  185. 磯崎洋三

    磯崎参考人 私ども調査では上祐が一番大きな声で話をしていたという話を聞いております。
  186. 河村たかし

    ○河村(た)委員 かなり激しいどなり合いだったというふうに聞いておりますけれども、そういうことがあって、なおかつ、最近は御調査の結果幾らか変わっておりますけれども、記憶がないと冒頭に言われたということは、これはどういうことなのでしょうか。
  187. 磯崎洋三

    磯崎参考人 その点に関しましては、再三社内の調査委員会で事情聴取を重ねておりますけれども、テープを見せた、見せないということに関しまして、一人の曜日プロデューサーは見せたと思うという事実を認めたわけでございますけれども、もう一人のプロデューサーにつきましては、現在もなお調査をいたしておりますけれども、どうしてもその記憶がないというところが現在のところでございまして、これにつきましては、なお、第三者の特別調査人も含めて徹底調査をさせていただきたいというふうに思っております。
  188. 河村たかし

    ○河村(た)委員 私は罪を憎みますが、別に人を憎んでおるわけじゃないので、非常に苦しいのですけれども、先ほど大変などなり合いがあったということを御存じなので、それで今だれかどうかわからないと言うのは、どうもこれは平仄が合わないなと思わざるを得ないということだと思います。  それから、次に、この千代田分室では、何かあったら室長に報告する。その室長が業務日誌を書いて、週一回部長会をやり、局長に見せるというようなシステムに大体なっておるという話を伺っておりますが、これは事実でございますか。
  189. 磯崎洋三

    磯崎参考人 当時の部長は既に退社をいたしておりますが、定年退職をいたしておりますが、その部長に聞きましても、また私どもの社内でも、週一回行われる部長会で各プログラムのさまざまな問題等について報告をするということが通常のルールでございます。
  190. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ということは、その中で大変な騒ぎがあって、命をかけておれはこの放送をストップするぞ、そういうような会合があって、それは必ず報告が上がっているはずなんですよね。また、ビデオを見せていない、放映を中止しているということでございますので、これはやはりどうも納得がいかない。  それから、報告があったときに、まずこれは部長会ということになると、局長さんまでには、こういう異常な状況ですからまあ次の週には上がっておると僕は思うのですよ。これは当時の局長は知っていたんじゃないですかね。
  191. 磯崎洋三

    磯崎参考人 通常のルールでございますと、これだけ大きい現場でのトラブルがあったわけでございますから、部長、局長という形で報告がなされるのが通常でございますけれども、この案件に関しては、まことにお恥ずかしい限りでございますが、部長にも明確にこの件が報告されていなかった。また、当時の部長にただしましたところ、報告を受けた記憶、形跡は全くないということでございます。
  192. 河村たかし

    ○河村(た)委員 途中、プロデューサーでとまってしまったということでございますね。まあ今のことで、そういうことで受け取って結構でございますね。  どうもその辺も、もしそうであったら、社長さん、本当につらいおっしゃり方だと思いますけれども、まことに恥ずかしい、ずさんだったと言われてもやむを得ないんじゃないかなと思います。  それから、先ほどもちょっとありましたけれども、見せた人物を懲戒解雇いたしまして、それでこの調査委員会がうまく機能するというのはどういうことなんですかね。解雇されていますので、その委員会に出なくてもいいわけですからね。どうなりますか、社内の人間じゃなくなりますけれども
  193. 磯崎洋三

    磯崎参考人 私どもが委嘱いたしました特別調査人との関係という御質問かと思いますけれども、私どもの社内委員会、現在までも調査をいたしておりますし、これからも継続して調査をするわけでございますが、私どもの知り得た、調査いたしました事実をすべて特別調査人の方に御報告する。そしてまた、特別調査人はさまざまな御専門の立場で、調査の協力要請がございましたならば、すべて、資料、そしてまた職員も含めてその調査に応ずるということでございます。
  194. 河村たかし

    ○河村(た)委員 まあ聞くところによりますと、最高裁の判事をお務めになった方を入れられるということでございますけれども、もし本当に真実を解明したいなら、そういう方も結構でございますよ、しかし、オウムとかTBSとかそんなことにもっと詳しい方、自分にとって辛口なことを言う人、そういう人を入れられないといかぬと思いますね。ある女性の方なんか、立候補されたとか、それから、よくこの問題で書かれて、社長のところにお手紙を差し上げられた方とか。社長はそういう人は嫌だろうと思います。だけれども、そういう人たちを入れないと本当のことはわからぬのじゃないですか。
  195. 磯崎洋三

    磯崎参考人 御依頼、御委嘱申し上げました特別調査人の佐藤弁護士は、私どもだけではなくて、さまざまな関連された皆様方にも調査をされるのではないかというふうに思っております。  それから、御指摘の社内のオウム報道の特別委員会におきましては、既に外部の有識者の皆様にもお願いをいたしまして、私どもの一連のオウム報道の検証につきまして、これも徹底的に検討いたしたいというふうに思っておりまして、その結果は、御指摘のとおり、外部の有識者の皆様方にも加わっていただくというつもりでございます。
  196. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ぜひその有識者の中に、多分大変おつらいだろうと思いますけれども、やはり自分たちにつらいことを言う人を入れていただいて、ああ、やはりTBSもやるな、そういうふうに思われるようにぜひしていただきたい、そんなふうに思います。  それから、去年の夏、TBSオウム側から取材拒否をされておりますね。その理由はどういうものでございましたか。
  197. 磯崎洋三

    磯崎参考人 この問題は、麻原の獄中の声をオウム側が録音して信者を集めた説法会で流したもの、これを録音したテープを私ども番組が借り受けまして、麻原の声をごく短く使用した。そして、このテープの借用については正当に交渉したものでございましたけれども、これが、御存じのとおり、放送いたしました後、被害者の会や被害対策弁護団から強いおしかりをいただきました。そして、このテープを流すことを中止したというその経緯で取材拒否が行われたということでございます。
  198. 河村たかし

    ○河村(た)委員 オウムは、信者以外とは握手しないとか、大変な閉鎖的なところだと私伺っておりまして、このテープは留置中にとったということなら、こんなものが出てしまえば彼らも困るのですよ。だから、オウムからTBS側がよほど信頼をされていないとこれを渡さないと思うのですよ。  努力されたと言いましたが、いろいろな報道会社は努力すると思いますけれども、どういう経路でこういう特殊なものは入るのですか。
  199. 磯崎洋三

    磯崎参考人 ちょっと言葉が足りませんでしたが、会場で信者が録音したテープを借り受けたというものでございます。
  200. 河村たかし

    ○河村(た)委員 時間がありませんから、ちょっと先の方に行かせていただきたいと思います。  それからもう一つ、早川が逮捕されたとき、これは四月二十日、私もこの放送を見たのですけれども、全く異常な状況でございまして、警察も、当時は早川というのは居どころ不明で、逮捕状は東京に、警視庁にあった。それで、「ニュース23」に出るということで、びっくりして逮捕状を持って駆けつけたということなので、そのテレビ、「ニュース23」でやりながらそこで逮捕されていったということで、テレビが中に入って映しているという、これはすごいスクープをやっておるわけです。  これはしゃべる方も、逮捕される方も、今までも居どころがわからない、私はここにいるんだと言うと逮捕されますから、これもよほどの信頼関係がないと、何かないと普通の人にはしゃべりませんよ。どうしてこういう情報が入るのですか。
  201. 磯崎洋三

    磯崎参考人 当時、一連の事件のかぎを握る人物として注目されておりました、また、各マスコミもその行方を追っておりました早川被告につきまして、「ニュース23」、私どものニュース番組でございますけれども、それ以前からオウム側に出演やインタビューの要請をいたしておりました。それにオウム側が突然応じてきたということでございます。行方不明だった早川被告の存在を我々がつかんでいたわけではございません。出演の直前まで本当に来るのかどうかわからなかったのであります。担当者は、教団窓口に対して出演交渉をしたのでございます。
  202. 河村たかし

    ○河村(た)委員 まあそれにしましても、やはりオウムとしてはTBSを大変信頼しておったということに残念ながらなってしまうんじゃないかしら、そんな気がいたします。  それから、ちょっと先に進みますけれども、松本知子さんと言ったはいいかどうかわかりません、今被疑者ですかね、説法テープを放送したということが六月十四、十五、十六とあるようでございますが、これも非常に特殊なテープでございますけれども、これはどういう手段で御入手なされたのですか。
  203. 磯崎洋三

    磯崎参考人 信者からテープを借り受けたものでございます。また、この素材を私ども番組が借りまして放送をいたしましたけれども、特に宣伝をするという意図はございませんでした。  ただ、放送の後に、先ほども申し上げましたけれども、被害者の会や被害対策弁護団から強いおしかりを受けました。そうしたテープを流すことは信者のマインドコントロールにつながる、こういう強い御指摘でございます。そのことに気づかなかったのは、まさに当社のミスでございます。御指摘を受けた直後からそのテープは直ちに使用を禁止した次第でございます。
  204. 河村たかし

    ○河村(た)委員 信者からという話ですけれども、その信者がTBSにどうして渡したかという問題はやはりあるのですよ、非常に閉鎖的な集団だということがございます。だけれども、ちょっと時間がありませんから……。  それからもう一つのテーマは、村井が殺されたとき、そのときのフィルムが、今の被疑者ですね、拘留中ですか、どうもおかしい、テープがいろいろなところへ出てくるということでございますけれども、これもどうも、そこにカメラ何台出ていたのですか、このときは。このときカメラが。
  205. 磯崎洋三

    磯崎参考人 二台だと思いますけれども、詳細はちょっと把握をしておりません。
  206. 河村たかし

    ○河村(た)委員 私はもっとたくさん出ていたというふうにちょっと聞いておるのですが、どうもそのとき写していたのは、世上一つのカメラのように言われておりますけれども、何本かあるのじゃないですか、これ。その容疑者を写していたカメラが何本かあるのじゃないですか。どうですか。
  207. 磯崎洋三

    磯崎参考人 先ほども申し上げましたとおり、報道局と社会情報局でそれぞれ、二台のカメラを出していたというふうに私は承知をいたしておりますけれども、詳細は今申し上げられません。詳細といいますか、具体的に何台のカメラが稼働していたか、出ていたかということの詳細については、私は現在承知をいたしておりません。
  208. 河村たかし

    ○河村(た)委員 私も一つは見ましたけれども、いいかげんではいけませんから見ましたけれども、僕が見たのとまた違う方が見たのと違うという話があるのですよ。だから、何台かのカメラが写していたという可能性がどうもあるということなので、この辺もぜひお調べをしていただきたいと思います。  全力を挙げて、これはTBSの名誉もありますしそれから放送自体の名誉もありますから、真相解明に当たられるということは間違いないですね。
  209. 磯崎洋三

    磯崎参考人 御指摘のとおりでございます。最大限の努力をして真相解明に当たってまいりたいと思います。
  210. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そうでございましたら、ぜひ二つばかり最後にお願いしたいのですが、調査委員会にやはり厳しいことを言う方を入れたり、それともう一つは、この場合はやはり経理の明細書、各放送でございますと、番組ごとにあると思うのですよ。それをこの際出して、どういうところにお金が使われていたのだろうか、それを皆さん、国民の前に出されたらどうですか。一番僕はよくわかると思います。ぜひそれをお願いしたいと思いますが、どうですか。
  211. 磯崎洋三

    磯崎参考人 先生の御指摘は重く受けとめさせていただきたいと思います。
  212. 中川昭一

    中川委員長 河村君、時間が来ておりますから。
  213. 河村たかし

    ○河村(た)委員 以上で終わります。  ぜひ国民の前に放送信頼を取り戻すようにお願いをいたしたい、そんなふうに思います。ありがとうございました。
  214. 中川昭一

    中川委員長 矢島恒夫君。
  215. 矢島恒夫

    ○矢島委員 質問に入る前に、私の午前中の質問の中で、TBS「三時にあいましょう」をフジテレビ番組の「三時のあなた」と言い間違えました。フジテレビに御迷惑をおかけしました。おわびして訂正させていただきます。  質問に入りたいと思います。  まず、私、TBS調査に対する姿勢ということで質問させていただきます。  社長は、昨日来、本日もそうですが、社内調査に隠ぺいだとか、あるいは調査に当たって予断はなかった、こうおっしゃっていらっしゃる。しかし、十月十九日に日本テレビがニュースで、オウムTBSのビデオを見た、こう報道したときに、直ちに翌日の十月二十日の日にTBSのニュースでそういう事実はないという報道をし、さらに会社として抗議文書を送る。信頼と名誉の回復を要求しました。調査の初期の段階で、TBSとして見せた事実はない、こういうように視聴者に宣言し、日本テレビに抗議しているわけであります。これが予断でなくて何なのかということなんです。そして、二カ月半の調査を終えて、見せたことにつながる記憶は出てこなかったという事実と正反対の調査報告を出してしまったわけです。  十月二十日の結論というものに調査が誘導された、こう見るのが極めて常識ではないかと思うのです。予断に基づく調査であったために事実を見抜けなかった、こういう反省があってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  216. 磯崎洋三

    磯崎参考人 オウム報道に関する日本テレビとの関係は御指摘のとおりでございますが、これにつきましては、三月二十五日の「ニュースの森」の中で、TBSがテープを見せていたことを明らかにいたしております。また、それまでの、見せていない、あるいは見せたという事実は出てこなかったといった報道が誤りであることを訂正するとともにおわびをいたしました。今回のビデオ問題が報じられた時点にさかのぼって、この点に関する当社の報道が誤ったものであったことについてのおわびと訂正を申し上げたものでございます。
  217. 矢島恒夫

    ○矢島委員 いや、私がお聞きしたのは、おわびしたとか間違っていたとかいうのじゃなくて、当初、まだ調査を始める初期の段階で、見せた事実はなかったということを全国の視聴者に既に公言したわけですからね。これがその後の調査に非常に予断となって誘導されたものだというのは常識ではないかということなんですが、三月十一日時点で二カ月半にわたる社内調査の結果として発表されたものは、まさにこの三月二十五日の緊急調査結果によって百八十度違うことになったわけです。どうして事実と正反対の調査結果を国民国会に報告するような失態を演じたかという問題なんです。この点にみずからメスを入れて自己批判的な検討がない限り、新たに調査します、新たに調査しますと言われても、TBSにまともな自浄作用があるのかということになるわけです。  三月十一日の、見せた記憶はないという調査報告を、当然発表前に社長、あなたも見ていただろうし、また詳細な報告も受けていたと思います。他の役員も知っていたと思います。三月十一日の調査報告に対して、社長自身、あなた自身が何の疑問も感じなかったのか、また他の役員からも一言の疑問も出なかったのか。  具体的に申しますと、いろいろこの調査書の中には矛盾点があるわけです。特に、午後八時か八時半前に坂本インタビューを含むオウム企画の中止を自主的に決定した、こうなっています。その後十時ごろにオウムの三人が押しかけて、深夜一時近くまで、偏向した不当な放送を行うことは許さない、こういう抗議をしていた、こうあるわけです。抗議に来たときには放送中止を決定していたわけであります。偏向放送をするなという抗議を深夜に三時間も受けていた、これは第一次の調査分ですよ。その事実だけ私はお聞きしているので、その後のことは判明したことではないのです。その時点で、この二つのことは随分矛盾があるなという疑問ぐらいはあなた自身かあるいは会社の役員の方々から出たのではないか、この調査報告を三月十一日に出しましょうという前に。いかがですか。
  218. 磯崎洋三

    磯崎参考人 私ども十一日に社内調査を公表をいたしたわけでございますけれども、その間の調査の詳細につきましては、私自身また役員も報告を受けておりました。そして、いろんな角度からその事実確認を最大限にしたつもりでございます。そして、各役員からも、その事情聴取の状況等につきましてもいろいろな角度から質問がなされたことは事実でございます。そういった全役員、そしてまた調査員の報告を総合的に判断をいたしまして、その時点で、見せた事実はどうしても出てこないという趣旨の見解を発表した次第でございます。
  219. 矢島恒夫

    ○矢島委員 見せた事実は出てこなかったかどうかの結論ではなくて、この調査書そのものが、例えば問題のビデオを検察に任意提出したこの経緯の問題にしても、それから放送企画の変更の後オウムが抗議に来たという問題でも、一々私時間がありませんからやりませんが、いずれも中身は、読んでみればあれおかしいなと気づくようなことがあちこちに出ているのですよ。それを十分皆さん方が調査した上で、いろいろ質問も出たけれどもこういう調査報告書になったというのですから、まあ言っては悪いですが、余りいい言葉ではありませんが、どうしてそう能なしばかりそろっているのかなと思わざるを得ないのですよ。  その次へ行きます。  このところTBS番組の中には、なぜこういうことになってしまったのかとか、あるいはいろいろ今度の問題についての現場のスタッフの痛烈な思いや、信用を回復したい、こういう切実な思いが伝わってくるような番組、こういうものがたくさんあります。しかし、会社の上層部が、みずからが誤りに陥った要因というものを自己分析しないで、そして自分の言葉でも語らない、こうなったら、今現場のスタッフの皆さん方が何とか信用を回復したいとやっているこれらの事柄というものを裏切ることになるのですよ。  私は、この問題の解決を行政にゆだねるなどということは反対であります。放送の自由を規制するような措置にも反対であります。そうさせないためにも、TBS自身が徹底的な真相解明をする責任があるわけです。そのためには、社長みずからが事実と正反対のこの調査報告書を出してしまったということへの自己分析とその反省を明らかにすることが出発点とならなければならないと思うのですが、いかがですか。
  220. 磯崎洋三

    磯崎参考人 先生の御指摘の点につきましては、極めて重く受けとめさせていただいております。この問題は、我々に本当に放送局としての大きな問題を突きつけたというふうに思っております。そして、まさに今御指摘のとおり、私みずから、さまざま寄せられている疑念の解明、そして事実の解明の陣頭指揮に立っているつもりでございますし、また全役員そして全局長も含めましてその解明に当たっているということを御理解いただきたいと思います。
  221. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今度の問題で重要なことは、放送の自由、放送事業者編集権が外部からの介入によって侵されたということだと思います。この「三時にあいましょう」で坂本さんへのインタビューがどうして放送中止になったのか、なぜ、だれが、どういう理由で放送中止を決定したのか、これが解明しなければならない大きなポイントだと思うのです。しかし、残念ながら今日の段階では、どのようにして放送中止になったか現在調査中で不明だと先ほど社長は答えられました。そういう点からいけば、現在の段階でお聞きしても、なかなか調査中ということになると、先ほど河村さんの方から、実際に番組変更というのはどの段階でやるのだ、担当のプロデューサーあるいは総合プロデューサーがある、そのどっちかだと。今度の場合も、この報告書やそのほかを総合しますと、富士宮の取材から帰ってきたのは大体十時ごろだ、こういうことになっている。ところで、その二時間前の八時過ぎには、この「オウム」という番組から「郷ひろみの育児報告」への企画変更が既に新聞社に通知をされた。そうすると、番組責任者であるプロデューサーが帰ってくる前に企画変更が決定した、こういうことになると思うのですが、そうなりますと、決定は総合プロデューサーがやった、こういうことになるわけですか。
  222. 磯崎洋三

    磯崎参考人 私どもが今までその点に対して御説明しておりますのは、八時半ごろ、八時が番組変更の各新聞の締め切りということでございますので、その時点で変更の連絡をしているというふうに申し上げております。しかし、富士宮に取材に参りましたチームは、千代田の制作現場に帰ってまいりましたのは午後十時過ぎというふうに私は承知をいたしておりますが、その間、現場から電話でスタッフのデスクもしくは複数者に、取材がうまくいかなかった、おもしろくなかったという連絡を既にいたしておりまして、それで各通信社と申しますか、新聞社の方に番組の差しかえの連絡をしたということでございます。  しかし、この問題に関しましては、先ほど来御指摘をいただいておりますとおり、その帰った後に最終的な変更の決定をしたという話もございますので、これに関しましてもなおこれから徹底して調査を進めてまいりたいというふうに思っております。
  223. 矢島恒夫

    ○矢島委員 先ほどいわゆるNルートという質問がなされました。私は別の角度から、その問題で、今調査中なのか、調査の結果どういうふうになったのかお聞きしたいのです。  早川メモというあの大学ノート七ページに書かれた一番最後のところに、「新聞タイトルに入れている 番組変更 ××さんのルート 五分五分と思った」、つまり放送されるかどうかは五分五分と思った、これはいわゆるNルートという方からの情報だと。すると、この早川メモというこの七ページ分は、番組変更前ですから、担当のプロデューサーが午後十時に帰ってくる以前に何らかの方法で事前にテープを見ている可能性があるわけです。つまり午後十時の抗議前に早川がテープを見ている可能性がある、こういうことになるわけですよ。これが極めて常識的な考え方だと思うのです。  もう一つ、時間がありませんからまとめて聞きます。  担当プロデューサーなど三人ないし五人ではなく、オウムが抗議したことを知っているのはそれ以外にもいるのではないかという点。これは調査書の内容、三月二十五日の調査結果概要、この四ページのところに、「当時千代田分室に常駐していた部長は「オウムが来たという報告を聞いた記憶は全く無い」と述べていますので、オウム来訪の情報は、少なくとも来訪直後は千代田分室内にとどまったものと考えられます。」こうあるのですね。直後の後報告を受けている上司がいるはずですが、この点は調査されましたか。
  224. 磯崎洋三

    磯崎参考人 ちょっと事実関係のことでございますので、メモを準備させていただきました。  まず、お話しの早川メモの解釈につきましては、私どもコメントする立場ではございませんので、それは御理解をいただきたいというふうに思います。  それからもう一つの御質問につきましては、先ほど来申しておりますとおり、私どもといたしましては、八時前後に電話で連絡を受けまして訂正の連絡をしたということでございますが、その他証言等々がございますので、これは現在調査をいたしているというところでございます。
  225. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私の質問の千代田分室の方についてはお答えがなかったようでございますが、時間が参りましたので、質問を終わります。
  226. 中川昭一

    中川委員長 以上で本日の質疑は終了いたしました。  磯崎参考人におかれましては、御多用中のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十二分散会