○田中(昭)
委員 社民党の田中でございます。
私は、極めて短い時間ですから、基本的問題に絞りまして私の考え方を申し上げて御同意を得たい、こう思っております。
先ほど
NHKの
番組はよ過ぎるという御報告もございまして、よ過ぎるわけで、余り言う必要もないのかなという気も実はするわけですが、
放送法三条とか七条にも明記をいたしておりますし、今回の
NHKの
平成八年度の
事業計画でも「
事業運営にあたっては、公正な
報道と多様で質の高い
放送番組の
提供」を行うということが明示されております。それからまた「
公共放送の使命に徹し、公正な
報道及び先見性と
創造性のある多様で質の高い
放送番組の
提供に努める。」こういうのがございます。これは私は前文にしてはいけないのではないかと思うのですね。このことを名実ともにそのとおりしてもらわなければいけない。これが
公共放送、特に
NHKの使命である、私はそう思っております。
最近、本屋に行きましても、あるいは新聞の投書などを見ましても、国を憂う、そういう発言が非常に多いと私は思っております。確かに、我が国の将来はどうなるのかという問題が、政治の場合でも行政の場合でも、あるいは今日
住専で議論されておりますように、金融とか
財政の問題でも、やはり将来にわたっての
国民の皆さん方のいろいろなお考え方が出ているのではないかな、こう思います。また、犯罪などにいたしましても、特に若年層の犯罪が、昔のギャング映画みないな異常な犯罪が多発をしているという、こういうような問題もたくさんございます。
確かに我が国は高度に
発展をしてきておりますけれども、物質文明の点では大きく
発展をしていますが、精神文明の面ではやはり問題点があるのではないかということを今私どもは真剣に考えなければいけないのじゃないか。特に人間の情操であるとか感性とか、そういう問題について、豊かな感性をいかに育て上げていくのか、こういう点をやはり私どもは真剣に考えなければならないのじゃないか、こう私は思います。
その
一つは教育の問題がございまして、きょうはこのことについて触れるつもりはございませんが、私は、この中でメディア、特に
放送、
テレビの
役割というのは極めて大きいのではないかな、こう思います。したがって、国の将来とか国の未来にかけて、私は、やはり
NHKを中心とする
放送メディア、
テレビなどの
番組の作成というものについては情熱を傾けることが極めて必要ではないかな、こういうふうに思っております。
私は、やはり
テレビというのは、すばらしい感動と喜びを
視聴者に与える、夢と希望を与える、それから埋もれた歴史を掘り返していく、そして正しい歴史を正しく伝えていく、そういう任務があると思います。それから権力の腐敗とか堕落に対して、社会正義の立場からこれに対してメスを入れていく、こういう務めも非常に重要ではないか、こう思います。それから命のとうとさ、世界各国でたくさん戦争が起きておりますけれども、平和のありがたさとか戦争の無残さとか、こんなことをやはり訴えていく。こういうものがなければ私は基本的な
テレビの
役割は果たせないのじゃないかな、こう思っています。
そういう
意味では、先ほどからもいろいろ御
意見がございましたように、今回の「大地の子」などというのは、人の心に訴えるものが私はあったと思いますし、戦争というものあるいはヒューマニズムというもの、それから人間が難しい場面に立った場合にどういう理性というものを、感性を上回らせていくかという問題などの提起があったと思います。
私は、地元で水俣病という問題に長年取り組んできました。四十年前の問題がようやく昨年末に一定の結論が出ました。三十年前、四十年前といいますと、極めて重要な問題が風化しているわけですね。ところが、
NHKで三十年前、四十年前の水俣病発生の時期にさかのぼっていろいろ問題提起をしていただいた、このことによって、私は、この問題の解決に大きく寄与したのではないかな、こういうふうに思っておりまして、そういう
意味では高く高く評価をするところがたくさんあると思いますし、今申し上げましたようなことについて改めて今後
NHKは最大の努力をしていくことが必要ではないかな、こういうふうに思います。
川口会長も、ちょっと日にちは忘れましたけれども、産経新聞で「メディアこの先」という対談をされております。この中で、新しいメディアにとってかえられないためにはエネルギーを燃やし続けなくてはいけない、問題はやる気だ、使命感や情熱、
創造性が現場に沸き起こってくれば
視聴者にとって不満足なものにはならない、そういう発言がございました。私は同感でございますが、時間もございませんが、今申し上げましたような立場から、私は、
会長として、今後
番組編成に当たっての基本的な考え方とか、特に
NHKとして力を入れていきたい、こういう点についてまたひとつお聞きをしたいと思います。