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1996-02-21 第136回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成八年二月二十一日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 中川 昭一君    理事 斉藤斗志二君 理事 中谷  元君    理事 古屋 圭司君 理事 遠藤 乙彦君    理事 河村たかし君 理事 高木 陽介君    理事 山崎  泉君 理事 小沢 鋭仁君       荒井 広幸君    小野 晋也君       川崎 二郎君    岸本 光造君       自見庄三郎君    野田 聖子君       野中 広務君    宮崎 茂一君       遠藤 和良君    北橋 健治君       古賀 一成君    佐藤 守良君       高橋 一郎君    日笠 勝之君       池田 隆一君    大出  俊君       田中 昭一君    横光 克彦君       矢島 恒夫君    吉岡 賢治君       佐藤謙一郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 日野 市朗君  出席政府委員         郵政大臣官房長 谷  公士君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省貯金局長 木村  強君         郵政省通信政策         局長      山口 憲美君         郵政省電気通信         局長     五十嵐三津雄君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君  委員外出席者         外務省経済局国         際機関第一課         サービス貿易室         長       宮家 邦彦君         運輸省航空局管         制保安部無線課         長       安部 憲治君         郵政大臣官房国         際部長     長谷川憲正君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社常務取         締役料金企画推         進室長)    井上 秀一君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社取締役         国際部長)   浅田 和男君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社取締役         企画室長)   木塚 修一君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ————————————— 委員の異動 二月二十一日  辞任         補欠選任   佐藤 剛男君     小野 晋也君   横光 克彦君     池田 隆一君 同日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     佐藤 剛男君   池田 隆一君     横光 克彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件(郵政行政基本施策)      ————◇—————
  2. 中川昭一

    中川委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本電信電話株式会社常務取締役料金企画推進室長井上秀一君、同じく取締役国際部長浅田和男君及び同じく取締役企画室長木塚修一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川昭一

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
  4. 中川昭一

    中川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤斗志二君。
  5. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 本日は、郵政大臣所信表明につきまして質問をさせていただきます。  まず初めに、郵政大臣就任を心からお祝いを申し上げます。おめでとうございます。内外とも郵政事業を取り巻く環境は厳しく、誤りのないかじ取りを期待申し上げたいと思います。  最初に、昨年の阪神・淡路大震災に関し、多くの犠牲者並び被災者、さらに関係各位にお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。  また、北海道は豊浜トンネルで事故が発生をいたしまして、多くの犠牲者に対しまして深く哀悼の意を表したいと思います。  さて、私の持ち時間はわずか二十分という限られた時間でございますので、早速質問に入るし、その質問も絞って行いたいというふうに思います。  まず、為替貯金事業でございますが、ここにリストを持ってまいりました。それは、ここ数年、金融界不祥事またその破綻は目に余るものがあると思っております。住専に対しましても、国民の怒りは極に達している。  そこで、予算委員会では郵政大臣への質問が余りなかったというふうに聞いておりますので、まず最初に、この住専問題に対して大臣の所感をお尋ねしたいと思います。
  6. 日野市朗

    日野国務大臣 郵政大臣所管外ではございますが、私も実は与党三党のプロジェクトチームの座長を務めさせていただいておりまして、私から申し上げますとこれは非常に、もう言いたいことはいっぱいございます。  しかし、時間の関係もありますから多くを捨象して申し上げさせていただきますと、日本金融秩序というのは、非常に厳しい状況に置かれました。あの安全、協和の両信組、それからコスモ、木津、兵庫銀行それから大和銀行不祥事と、こういう中にあって、日本金融秩序というのは非常にもろい基盤の上に立っているという認識を私持っておりまして、これを早急に立て直さなければならない、こういうふうに考えております。  そのために、公的資金を用いるということは、本当に苦しい選択ではあっても、公的資金をも投入をしてこの金融秩序の立て直しを図るということが、預金者預金を守るということ、それから日本経済の今後の健全な進展という観点に立ちますと、これは非常に必要なことだと思っております。この場をおかりしまして、その公的資金についての措置をいたしました平成八年度予算、これが速やかに成立することを、私、心から祈っております。  一言だけ、私は、そのときの恐ろしい思いといいますか、もし取りつけ騒ぎでも起きたらどうしょうという思いが一つありますと同時に、ジャパン・プレミアムで、日本銀行がこれは年末の資金繰り間に合うのかというようなことを思ったときには本当に足が震える思いでありまして、何とかしのぎ切れるようでございますという報告に接したときは、本当に体中の力がすっと抜けるような安心感を覚えたことなども記憶しております。  ひとつ予算の成立の方はよろしくお願いしたい、このように考えております。ありがとうございます。
  7. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 金融システムの安定ということは我が国のまさしく血液そのものでありまして、それをしっかり確保していくということは、政治の責任でもあるというふうに思っています。その金融システムの大きな枠組みの中でのその一部、またそれは非常に重要な位置を占めるのが郵便貯金だというふうに思っておるわけでありますが、大臣所信について質問をさせていただきたいと思います。  民間金融機関はいろいろ問題がある、今御指摘のとおりでございますが、郵便貯金個人を対象とした国営・非営利の金融機関として堅実な経営に努めてきたという認識をいたしております。私も、郵政政務次官を務めた際もその旨をもって仕事に当たったところではございますが、最近の経営状態についてまずもってお聞きしたいと思います。
  8. 木村強

    木村政府委員 お答え申し上げます。  決算の出ている最近の一番新しい数字ということでございます平成六年度におきます郵便貯金特別会計の損益を見ますと、郵便貯金取り扱いを経理する一般勘定につきましては二千百七十三億円の黒字金融自由化対策資金の運用を経理する金融自由化対策特別勘定につきましては百七十七億円の黒字ということで、健全経営を維持しているものと考えております。
  9. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 国民安心感を与える、それは堅実経営安定経営に尽きるのだというふうに思っています。先ほど大臣からもちょっとお触れいただいたのですけれども、この数年民間金融における不祥事というのはひどいものだという、国民も実感として持っているわけでございまして、国民の期待に沿うような運営を郵便貯金事業もしていただきたい。重ねてお願いを申し上げておきます。  そこで、よく議論になる話の中で、シフトの問題がございます。今日の経済金融下環境のもとで、郵便貯金資金民間からシフトしているのではないかというような懸念を持つ向きもあるわけでありますが、このシフトということについての現状、どういうようになっているのか説明いただきたい。
  10. 木村強

    木村政府委員 個人金融資産の中で郵便貯金にお預けをいただいておりますシェアというものにつきまして、ここ十年程度郵便貯金は二割程度ということで、一定の推移で、安定的に推移しておるというふうに考えております。  また、直近のデータでございます八年一月の郵便貯金純増実績を見てまいりますと、主力商品でございます定額郵便貯金につきましても、対前年比八四・四%、全体を見ましても対前年比九〇・九%ということで、この低金利下状況の中で、先行きが若干見通しが悪いな、わかりにくいなという状況の中で、主力商品である定額貯金、最長十年まで預けることができるわけでありますけれども、やはりこういった長期性商品というものについてのニーズは今非常に低くなっておるということで、郵貯主力商品でも九〇・九%ということで前年を下回っております。  ただ、通常貯金につきましては、対前年比一九七・九%ということで、超低金利下における流動性を選好しておるという状況で、郵便貯金も例外ではなくて、通常貯金についてのお客様がふえておるということであります。  ただ、この状況民間金融機関においても同様でございまして、ひとり郵貯だけがその純増を伸ばしておる、あるいはお金を集めておるという状況ではなかろう。去年の四月から十二月期ぐらいまでで個人金融資産は三十から四十兆ほど、まだ日銀その他で最終データが出ておりませんけれども、着実に金融資産としてはふえております。  このお金が今どこに行っているかということで、分析を私どもの内部でいたしておりますけれども確定数字日銀等正式発表を待たなければいかぬと思いますけれども、やはり一番今伸びておりますのは都銀でございます。都銀の大手がやはりすごい伸びを示しております。それから、証券の出しております公社債投信たんす預金と言われるような現金、それから外貨建て外国債米ドル債あるいは豪ドル債といったものについて着実に預金残高がふえておるということで、今の個人金融資産は、このような状況ではありますけれども国民皆さんは堅実に貯蓄をふやしておられる。  その内容は、多様化を反映いたしまして、銀行郵便貯金のみならず証券だとか、そういった幅広い多様化の中で分散をしながら伸びておるということで、ひとり郵貯にのみ、国営だからというようなことで、最近の状況で時々言われますけれども、どんと来ておる、雪崩現象を起こしておるという状況ではないというふうに考えております。
  11. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 シフトは起きていないのだという説明をいただきました。  私は、よく銀行協会郵貯に対して民業圧迫だという論戦を張られるわけでありますが、これは余り根拠のない話だというふうに思っています。どちらかというと、例えば銀行の、これも最近出された資料でありますが、都銀上位行の役員の、特に会長、頭取の退職金が五億とか六億とか、国民感情になじまない実態があって、そういう人たち郵貯に対して民業圧迫だと言うのは納得がいかないわけでございます。どちらかというと、銀行国民圧迫ではないかと思ってもいいくらいと考えています。  私は、そういう意味で、郵便貯金におきましては、庶民の代表として、庶民の心を忘れずにこれからも対応していっていただきたいというふうに思います。  そこで、郵貯に関してもう一つ最後質問させていただきたいと思いますが、今日の我が国金融混乱の中で、郵便貯金の意義や役割が一層再認識されているというふうに思っています。この際、預け入れ限度額引き上げ、また、ゆうゆうローン限度額引き上げ、このように国民に対して積極的なサービスを拡大していく、そういったことに対する検討が必要なのではないかと思っておりますが、郵政省考えをお聞きしたい。
  12. 木村強

    木村政府委員 先生郵便貯金に対してある意味では大変信頼をいただいておるということに対しましては、私ども現場でこの仕事に携わっておる職員一同が心して、今の非常に金融不安定な時期に、国営郵貯としてしっかりしたかじ取りをしていかなければいけないというふうに考えておるところであります。  そういう意味で、郵貯役割というものをこれから見てまいりますと、やはり民間が本当に自己責任の原則に立って対応していくということになれば、そこの点については国営であります郵貯はある意味では安心感があろうということでありますので、国民に安心してやっていただける郵貯だということになりますと、本当の国民個人金融についてのニーズをきちっとつかみ取って、国営として守っていくべきことをしっかりと提供していくということを一層痛切に感じ、その施策が必要であろうというふうに考えております。  そういう意味で、私どもは、要介護者金利の問題であるとかボランティア貯金関係施策であるとか、いわば国営ならではといったような、民間金融機関とは一味違った施策を展開をし、いたずらに預金獲得競争というようなものに走らないように、今こういう時期に特に郵貯がそういうことで動きますと、民間金融機関から資金が枯渇をいたしまして国営に入ってくるということになりますと、今の経済全体の再建というものについても郵貯のせいで支障があるということになってはいかぬだろうということで、国営機関として慎重なかじ取りを行っておるところであります。  しかし、何もしないということではやはり国民皆様ニーズにもこたえることができないということで、先ほど申しました要介護であるとかボランティアだとか、こういった国営としての仕事というものについて取り組んでおるわけであります。  今、先生御案内でございました預入限度額引き上げ、ゆうゆうローン倍増等の問題につきましては、現実に郵貯預入者実態等を見ますと、今ここで一気に限度額を上げて、さらに一千万の人に二千万勧誘するというやり方はいかがなものか。将来の課題としては当然あるわけでありますけれども、今はむしろまだ郵貯利用者は六〇%程度であります。百人おられれば、郵便貯金利用されている方が六〇%程度だ。こういう人たち、残りの人たちにも郵便貯金のよさというものを知っていただこうということで、むしろ五百万を六百万、七百万に営業していくという立場よりは、入っていない方に五十万、百万でも入っていただいて、全国の郵便局ネットワークを使った、安心できるサービスというものがきちっとできる体制をつくっていく方が今の時期には大切ではなかろうかというふうに考えておりまして、そういう面で、基盤整備といったような観点に力を注いでおるところであります。  先生おっしゃいましたように、預入限度額引き上げローン限度額倍増等につきましては、さらに国民皆様ニーズが那辺にあるかを検討いたしまして、積極的に検討してまいりたいと思いますが、現時点では、むしろ横の方に対する、送金・決済サービス、安心できる郵貯といったようなものを中心に置いた政策を展開しておるということでございます。
  13. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 次に、情報通信関係質問に入りたいと思います。  この所信表明を拝見させていただきまして、昔と随分変わったな、昔はといいましてもそんな昔でもないのでありますけれども、まず郵便、郵務が最初に来て、それから情報通信方針が出てきておったわけでありますが、ことしの大臣所信を見ましても、情報通信が先に来ている。まさしくそういう時代に入ってきているのかなという感を強くしているわけであります。  そこで、情報通信市場活性化ということでお尋ねを申し上げます。  間もなく、今月末でありますが、NTTあり方について、電気通信審議会より答申が出てまいります。それにつきまして、大臣はこの所信の中では、答申を踏まえ適切に対処してまいるという表現をされていらっしゃるのでありますが、これは国民にとってわかりにくいという感がいたします。答申を踏まえ適切に対処、この意味をもう少し国民にわかるように御説明いただきたいと思います。     〔委員長退席小沢(鋭)委員長代理着席
  14. 日野市朗

    日野国務大臣 NTTあり方につきましては、昨年の四月六日に、郵政大臣の方から電気通信審議会に対して諮問をいたしました。  その内容というのは、二十一世紀の基幹産業である情報通信産業が、通信放送の融合、マルチメディア化グローバル化などの環境の変化を踏まえまして、我が国経済発展及び消費者利益向上を図る観点から、情報通信市場の一層の活性化を促進し、情報通信産業国際競争力向上を図る上で、NTTあり方がどうなるのが望ましいかについて答申をお願いしているものでございます。  この答申を求めたということは、非常にこの点について多くの議論のあるところでございまして、広く有識者の方々にお集まりをいただいて御意見を伺うということでございます。そして、そうやって、この問題が非常にシビアな問題を内包しておる問題でございますから、今そういう熱心な御論議をいただいている最中でございまして、先生指摘のように、今月の末にはその答申をいただけるものと考えております。  その意見を十分に踏まえた上で、それらの意見の中に多くの意見が集約されている御答申をいただけると私考えておりますから、その答申を十分にこちらの方でもそしゃくをいたしまして、尊重いたしまして、政府立場を決めてまいりたいということでございますので、おわかりにくいという御指摘もございましたけれども、問題の深さ、困難さというものもそれだけ含んでいるということで、ひとつ御理解をいただきたいというふうに思います。
  15. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 大臣はいろいろの角度から御説明いただいたふうに感じましたけれども、端的に言って、これは日本最高の人材を集めた審議会だと思っております。そこが出してくる答申でございますから、尊重するのかしないのか、こういうことに尽きるのじゃないかと思うのであります。  大臣はその答申を尊重するのかどうか、その点についてお聞きしたい。
  16. 日野市朗

    日野国務大臣 先生指摘のように、この電通審には最高頭脳、そしてバランスのとれた物の考え方をなさる方々、こういう方々にお集まりをいただいておりまして、答申に盛られる内容というのはこれは尊重すべきものというふうに私考えておりますから、この答申は尊重をしながら政府の態度を決めてまいりたい、こういう考えでございます。
  17. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 今答申についてお尋ねをしたわけでありますが、大臣就任早々「「第二次情報通信改革」に向けた規制緩和推進について」という、これは非常に内容の濃い充実した方針発表されております。  私がざっと見たところ、郵政省規制緩和策、これは中間報告になるわけでありますが、参入規制見直しが来年の一月国会だ、料金規制緩和は来年の夏がめどだということ、また接続規制見直しは来年の一月の国会ではないかというようなこと、さらに公−専−公接続早期実現、これは一九九六年度中というめどになっている。そして、国際専用線完全自由化というのは九七年中だということで、ことしから来年にかけて実際に具体的に動いてくるわけであります。  これは非常に大きな、情報通信世界を変えていくというふうに見ておりますが、この点の見きわめについて、大臣、または局長で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
  18. 日野市朗

    日野国務大臣 たしか先月の二十三日であったかと思いますが、規制緩和についての大きな方針発表をさせていただいて、その実現に向けて頑張っていこう、そのことによって、情報通信世界、ここでの健全な発展を図っていこうということで発表させていただきました。  その細部については、局長の方からひとつお答えをさせていただきたいと思います。
  19. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 ただいま大臣から申し上げさせていただきましたとおり、一月二十三日、行政改革委員会意見を受けましたそういうタイミングで、第二次情報通信改革ということで規制緩和中心発表をさせていただいております。  ただいま先生から御指摘のありましたとおり、主な事項につきましては、先生からのお話があったようなタイミングで、私ども政策実現を図ってまいりたいというふうに思っております。  あわせまして、先ほどから御質問の中にもありましたNTTあり方についても、現在審議会の中で審議がされております。  さらにまた、情報通信ということで考えてまいりますと、情報通信利用高度化、これに伴います諸制度見直しということも、いわゆる情報通信が花咲いていくためには極めて重要なものではないかというふうに考えております。例えば、情報通信世界の中で、医療に絡む問題だとか教育に絡む問題だとか、あるいは訴訟だとか、場合によっては会社法にかかわるような問題、そういったようなことについても、今後、諸制度見直しということであわせ検討していくべきものではないかというふうに思っております。  そういった意味合いにおきましては、独占から競争へということで十年たちまして、次のステップに大きく踏み出すという意味で、今後国民皆さん料金面あるいはサービス多様化という意味でもいい成果を与えることができるものというふうに期待いたしておりますが、さらには経済成長あるいは雇用という面でも貢献できればというふうに考えているところでございます。
  20. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 もう時間が参りましたので終わりたいと思いますが、実は外務省にきょうお越しいただいております。質問しようかと思ったんですけれども、時間がなくなりました。その件は、昨年の十二月十二日に朝日新聞が報じた、アメリカ市場への日本からの参入の問題につきまして、私はフェアではないんじゃないかという感をいたしたものですから、その点について質問をさせていただきたいと思ったわけでありますが、時間が参りましたので、きょうは残念ながらやめたいと思います。申しわけなかった。
  21. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員長代理 中谷元君。
  22. 中谷元

    中谷委員 ただいまの斉藤議員に続きまして、NTTあり方につきまして中心的に質疑をいたしたいと思います。  先ほど大臣は、答申を踏まえ適切に処理をし、また尊重するというお話がございましたが、きょうの午後には電気通信審議会NTT特別部会が開かれ、その答えが出ます。そして、月末には最終答申案が出ますけれども大臣の、政府の決定、これは年度内に決断をするということを言われておりますが、この時期は本年度内なのでしょうか。そして、もしそれが今年度内ならば、これは余りにも取りまとめる時間が少な過ぎる。すなわち、報告の時期が遅過ぎて、国民的な議論をする時間がほとんどない。つまり、時間切れによって政府が決定していく、問答無用答申案というような気がいたしますけれども、この点につきまして、この取り扱いについて、もう一度お伺いしたいと思います。  また、この審議会方式は、先ほど最高頭脳の方というふうに言われましたけれども国民の側から見れば、ごく限られた一方的に指名された一部の学者の方がずっと長くやっていらっしゃいますので、もっともっと幅広く、開かれた場所で議論する必要がございますので、当委員会でも議論をしていただきたいというふうに思います。その件についてお願いいたします。
  23. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 NTTあり方についての結論を得るべくの作業手順でございますので、私の方からお答えをさせていただきたいというふうに思います。  NTTあり方につきましては、いわゆる政府措置あるいは昨年の閣議の決定におきまして、平成七年度において検討を加えで結論を得る、こういう形になっております。そういった意味で、この一年間、電気通信審議会で大変な時間とエネルギーを費やして、審議会先生方に御議論を賜ってまいりました。二月の末に答申がいただけるという予定になっております。  そういった意味合いにおきましては、政府としては三月の末までに結論を得るという閣議決定の方針に従って結論を得べく、私ども答申をいただいたならば検討を進めていかなければならないものというふうに認識をいたしているところでございます。     〔小沢(鋭)委員長代理退席、委員長着席〕
  24. 中谷元

    中谷委員 しかし、その趣旨が、二十一世紀の情報化社会に対する我が国通信行政のあり方並びにNTTあり方でございますし、またそれ以上に、実際の通信を使うユーザーだとか国民の、消費者意見等もよく聞いていただきたいと思います。  そこで、第一に思うことは、現在の業界に対する規制の強さ、これを指摘いたしたいと思います。非常に法的には自由になっておりますが、実際には事業分野の枠組みとか需給の調整等が働いておりまして、現在の電気通信法は非常に民間活動の妨げにもなっておりますし、WTO等でも通信の自由化が求められているわけであります。先ほど第二次の行政のお話もございましたけれども、特にこの点を踏まえて、郵政省規制緩和という点につきましてはどのようにお考えであるのか、お答えいただきたいと思います。
  25. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 まず、現在、規制緩和というようなことにつきましては、世界的な政策潮流の中でどういう位置づけにあるかということから申し上げさせていただきたいというふうに思っております。  先生今御指摘のように、競争を強化する、あるいは、場合によっては競争を導入するという、Euのまだそういう段階もありますので、そういったことによりまして情報通信改革を進めようというのが今、世界政策的な潮流であるというふうに、まずもって私ども認識をいたしております。  例えば、昨年の二月にブラッセルで開催されました情報通信に関する閣僚会議におきましても、それぞれ、G7の国の意識統一というような意味で、ダイナミックな競争の促進というようなことが第一原則に挙げられております。  また、アメリカにおきましても、極めて最近の動きでありますが、二月に入りましてから、六十二年ぶりで連邦通信法が大幅に改正されまして、一九九六年電気通信法が成立したところであります。それによりまして、いわゆる競争の促進ということで、相互の競争促進、参入ということがとり行われる。あるいはEUは、九八年の一月を目指してインフラの整備が行われ、自由化が行われる予定という状態でございます。さらにまた、先生指摘のとおり、今年の四月末までに電気通信の基本交渉につきましての交渉が行われるということであります。  私どもといたしましては、これも先ほど大臣から申し上げさせていただいたところでありますが、この一月に、第二次情報通信の改革ということで、規制緩和について私ども考え方をパッケージにして発表させていただきました。これが、ある意味で包括的、抜本的な規制緩和でございまして、私どもとしてはその着実な実施に努めてまいりたいというふうに存じております。
  26. 中谷元

    中谷委員 その第二次案の中でちょっと一つだけ触れさせていただきますが、その中で接続ルールの確立ということが言われております。これは、今までこの接続を単なる商行為として事業者任せにしていたわけですが、これは事業者の義務であるということで、郵政省にその接続コストの算出のための会計基準を設定する権限を与え、そして役所の中に部署を設けるという、ちょっと規制強化という点もございます。  しかし、この運用が非常に必要なことはわかっておりますが、この運用を監視する組織を、これを役所から切り離して電気通信審議会に設けるということでございますが、一般的に見ますと、これは郵政省のダミー的な組織であって、郵政省の意思が働いて、中立公平な機関とは果たして完全に言えるかどうかという点が我々は疑問でございます。ですから、私は、公正取引委員会のように、全く別の役所でまず監視をし、そして社会的に皆さんが認めるような裁きができる組織が行うべきだと思いますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  27. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 情報通信世界の中で、接続というのは競争を進める上で不可欠なことであります。  ただいま先生からお話のありましたように、現在の電気通信事業法では、事業者同士の経済交渉というのを原則にいたしております。しかしながら、現実の問題としてそれが円滑にいかないというような事例が発生いたしまして、法律に基づく大臣の接続命令をかけなければならないというような事態が発生している、こういうようなことも踏まえまして、私ども、幾つかの指導をし、あるいは、諸外国まで含めましてヒアリングを重ねてまいりました。  そういった中にありまして、今回の規制緩和推進の一環といたしまして、接続につきまして、これを義務接続化するというのが適当ではないか。これは行政改革委員会意見も踏まえてということでありますが、そういうことを先般、一月二十三日の大臣発表の中でパッケージとして発表させていただいております。そういったことで、参入をしやすくする、あるいは参入を早くするというような意味で、これはオープンな形になっているということが非常に重要かというふうに思っております。  それから、このことにつきまして、取り扱っていく体制強化ということにつきましても、行政改革委員会意見の中にその体制の機能の強化ということが指摘されておりますが、私どもといたしましては、アメリカあるいは英国、こういうところを見ましても、ルールを決めるところと、それを監視し実行させていくというところとは一つの機関になっております。FCCあるいはOFTELという形でございます。  そういった意味合いにおきましても、技術革新の激しいこの分野におきまして、ルールをつくるところと、具体的にそれを監視しその競争の機能を進めていくところが別であるというのはとり得ないものではないかというふうに考えておりまして、私どもといたしましては、これをさらに透明なものとしながら、この接続の円滑化に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  28. 中谷元

    中谷委員 これは、ルールを決めて監視するところが一緒だと、政治の世界も三権分立て、裁判所があって、そこで中立公正にジャッジされるわけでありますので、そうなると、郵政省の全くの独占というか独裁体制で民間がコントロールされるというようなものになりますので、ぜひこの監視機関あり方につきましては、もっと中立公正的なものにしていただきたいと私は思います。  次の問題は、NTT取り扱い議論が続いているわけでありますが、私が最も心配しますのは、地方と中央の料金及びサービスの格差の問題です。  私の出身しているような、面積の大変広い、非常に過疎の進む高知県は、現在でも、NTTの支社がございますけれども、赤字でございます。これは何かというと、やはり減価償却費や物件費が高いため、どんなに頑張っても採算がとれないという現在の状況でございますが、こういうような地域に、非常に事業意欲を持って進出する民間通信事業者が果たしているだろうかということを非常に常々疑問に思っております。新聞とか書籍とか郵便とかは、公共機関として全国一律のサービス、市内料金をやっていただいておりますが、このNTTが分割されてしまったらこういう全国一律のサービスが受けられるかどうか、そして地方の中山間部のインフラ整備も、そこが現在以上にやってくれるかどうか非常に心配でございますが、この通信面でのユニバーサルサービスの確保という点での郵政省のお考えをお聞かせください。
  29. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 ユニバーサルサービスという意味では、現在はNTT法、いわゆる日本電信電話株式会社法に基づきまして、NTTが電話のサービス国民皆さんに普遍的に公平に提供するということになっております。これが現在におけるユニバーサルサービスだというふうに考えておりますが、このことにつきまして、現在、もちろんNTT法でそういう形の提供は義務づけられております。  ただ、今後競争が進んでいったときにどうなるかというお話かというふうに存じますが、そういったときにおきましても、この電話のサービス国民皆さんに提供できなくなるというようなことは極めて好ましくないということから、先進諸国どこでもそうでございますが、ユニバーサルサービスとして位置づけまして、何らかの格好で、例えば経費の負担、財政上の負担というものを考えながらその手当てをしていくというのがあり方ではなかろうか。財政上と申しますか、費用の負担という意味考えていくという仕組みではないかというふうに考えております。  現在も、長距離事業者がアクセスチャージを地域の事業者でありますNTTに払うということは、ある意味でいいますと、その費用を賄っているという要素がございます。あるいは、アメリカのようにファンドをつくってやっていくとか、そういう観点もございます。  そういった意味で、いずれにいたしましても、現在行われている電話のサービス、これが確保されるようにしていくというのが政策あり方ではないかというふうに存じております。  ただ、もう一つつけ加えさせていただきますと、今ユニバーサルサービスということで議論されておりますのは、技術革新がどんどん進んでまいりまして、さらに高い意味での高度なユニバーサルサービスが今後国民皆さんに提供される可能性があるのではないかというようなことで、そういった際に、国民皆さんがそういうサービスにアクセスできるように、情報を持つ者と持たざる者ということで二極化しないことが重要ということで、国民全体がその利益を受けるようにということがまた新たなある意味の問題となっているのではないかというふうに思っております。  私ども、今、このいわゆるマルチメディア時代におけるユニバーサルサービスということについては研究会を進めておりまして、そういった結論を踏まえながら、さらに高いレベルのユニバーサルサービスがどうあればいいのかというようなことにつきましても検討を進めてまいりたいというふうに存じております。
  30. 中谷元

    中谷委員 そのユニバーサルサービスということですが、現在でも高知県は、PHSのサービスはございませんし、民間放送も民放二局、また公衆電話とか、移動電話すら県の半分以上の地域は通じないという現状でございます。これが西と東に分けられますと、当然、東京の入っている東はもうけるわ、西の方は少ないわということで、今のサービスが低下するということを懸念いたしております。ぜひ、二〇一〇年に光ファイバー網計画の達成ということが目標でありますから、これに沿うには、分割をすれば達成できない、また、西日本は非常にサービスが低下するんじゃないかということを危惧いたしますので、私は今の時点では分割分離には反対させていただきます。  それから、次の問題です。  インターネットとウインドウズという現象が今日本に上陸しておりますが、これは、インターネットといいますと、やはり日本に、種子島にキリスト教が来て鉄砲が伝来したり、また江戸時代に黒船がやってきて文明開化が起こったに匹敵するぐらいの改革だと思います。  そこで、このインターネット、非常に私も興味がありまして、おととい高知の方から使ってみました。いろいろな項目がありまして、日本の官庁も入っているそうで、まあ郵政省なら一番進んでいるのじゃないかということで使ってみましたら、最初に出てきたのが大臣の画面、政務次官また局長の画面、きれいな写真が出てきましたけれども。しかし、その解説が英語で書かれております。しかも、経歴も書かれてなければただ名前とポストだけということで、大臣のことをもっともっと知りたい私にとっては非常にがっくりした面もありましたし、またいろいろな項目等で第二次情報通信改革という項目がありましたから、私も質問の準備を兼ねてこれを押したら、ただ単に通達がそのままの文章で載せられていただけで、解説もなければ今後どうなるかという詳しい説明もなかったということで、もうちょっと、せっかくこちらものぞくわけですから、のぞきがいがあるぐらい非常に受け手側とのコミュニケーションを図って、また見てみたいなと思うような内容郵政省が率先してやっていただきたいというふうに思います。  それからもう一つは、早速インターネットがいいなと思いまして使ってみたくなりましたけれども、今使っているハードがウインドウズ対応ではないので、これは買いかえなければならない。またソフトも、こういうものが出てくるとウインドウズ対応にしなければいけないので、ソフトを全部かえなくてはいけないわけです。すると数十万の出費になるわけでありますが、これは全国のコンピューターファンが抱えている共通の悩みではないかと思いますけれども、結果的には、非常にアメリカナイズされた情報合戦に日本のソフト産業が敗れてしまったということだと思います。  そこで、非常にハードの分野は日本では得意なのですけれども、ソフトの分野で世界を制覇して主導権を握れるような成果がなぜ出ないのか、この点につきまして、日本人の体質も問題がありますが、大臣はいかがお考えでしょうか。また、今後こういうソフトの分野を育成するにはどうしたらいいのか、お考えをお聞かせ願います。
  31. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 大変大事な問題でございますし、それからまた大変難しいお話でございます。ただ、お話しのように、このソフトの問題、ソフトにもいろいろコンテントのレベルからOSのところまで非常にたくさんあると思いますが、そういう意味で、大変大切な問題だというふうに私たちも思っております。  現在内閣に高度情報通信社会推進本部というのがございますが、その中の基本方針でもこの点は十分認識しておりまして、ソフトの供給というふうな観点でこれは政府も一体となって取り組んでいこうというふうにしておりまして、さまざまなニーズにこたえる多彩なソフトを制作していこうということで、そういった制作環境の整備を進めていこうということがその中でうたわれております。  差し向き、私どもといたしましても、そういったことで、できるものからやっていこうということで、情報の提供でありますとか、あるいはそういった制作をされる方、これがなかなか自分で施設は持てないとか、いろいろそういう問題もあるとかというふうなことを聞いておりますので、共同で利用できる施設を提供するとか、あるいは資金力という面での支援をさせていただくとかというふうなことをやれるものからやっていこうというふうに考えております。現在、電気通信審議会に、実は情報通信高度化中期計画ということで、二〇〇〇年までの間に何をしていったらいいかというふうなことをお諮りをしておりますので、その中でいろいろ、この問題が一つの御議論になるというふうに予定をしておりまして、その御議論を踏まえながら私ども対応させていただきたいというふうに考えております。  私ども、大変大切な問題であり、かつ、なかなかこれはすそ野の広い難しい問題だなというふうに思っております。いずれにいたしましても、そういった御議論をお聞きしながら対応してまいりたいというふうに思っております。
  32. 中谷元

    中谷委員 非常にインターネットとかウインドウズ旋風にあおられている日本の情報産業でありますが、これもやはりアメリカはシンクタンク等があって総合的にプロデュースして、国家戦略として、大統領を筆頭にゴアさんも活躍しております。政府と一体となって民間の情報産業戦略で進めております。ですから、ATTだとかBTだとかIBMとか、そういう巨大な組織からいかに日本の情報産業を守っていくかということが大事でございます。現在、NTTにおいてはそういう開発能力については世界ピカ一の能力がありますので、それを二分したり根幹をなくすというようなことでは国際競争力を維持するという点では非常に私は問題があると思いますので、ぜひこの日本情報通信を守る上において支障がないように議論を続けていただきたいと思います。  このNTTあり方につきましては、私の個人的な見解でございまして、党内ではまた引き続き議論をしていくわけでございますが、その点につきまして、もう一度このNTTの分割問題についての御見解をお願いいたします。
  33. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先ほど大臣からも申し上げさせていただきましたとおり、今、NTTあり方につきましては、昨年の閣議の決定を踏まえまして、行政改革といたしましてこれを検討している、具体的な場は電気通信審議会において検討しているということでございます。したがいまして、その答申を待って政府としての対応をしてまいりたいというふうに存じております。  なお、研究開発について申し上げさせていただきますと、研究開発というのは特にこの分野においては重要なことでありまして、そういった意味合いにおきましても、電気通信審議会におきます御議論も、どうやって研究開発の能力を向上していくかという観点から御議論がなされているものというふうに承知をいたじているところでございます。
  34. 中谷元

    中谷委員 いろいろと議論が続いている問題でありますけれども、四、五年前の電話はNTTという時代から今やマルチメディアになって、コンピューターとかいろいろな分野が今日本の情報産業の基幹になっているという点を踏まえて、これからの御議論を続けていただきたいと思います。  私の要望としては、単なる分割ありきではなくて、国民生活とかユーザーのニーズに応じたそういう答申をしていただきたい、また政府の決定をしていただきたいということをお願いをいたしますと同時に、最近元気のない日本でありますけれども、情報化の戦略によりまして、二十一世紀にはジャパン・アズ・ナンバーワン、日がまた上る、また黄金の国ジパングと世界から言われるような国に成長していくようにリードしていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  35. 中川昭一

    中川委員長 小沢鋭仁君。
  36. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 情報通信の分野に関しまして、御所見をお伺いしたいと思います。  我が国経済構造改革、こういった産業的視点を考えてみても、まさに今後の情報通信の果たす役割は極めて大きいわけでありまして、これはもう国民各位あるいはまた当委員会のコンセンサスでもあると思います。それをしっかりと推進していかなければいけないということでありますが、昨年のこの委員会におきまして、私はこうした観点に立っていわゆる中期計画、具体的な実務の作業の必要性ということを御質問をさせていただきました。そのとき前向きの答弁をいただけたというふうに思っているわけであります。  こうした情報通信分野の話を推進していくという場合に、大ぶろしきだけがとかく広がりがちでありますけれども、そこを、地に足をつけてしっかりとした計画をつくっていくことは本当に必要なことだというふうに思っているところであります。  聞きますと、今回その中期計画策定を電通審に諮問をしていただいたというふうにも聞いているわけでありまして、こういった中期計画の必要性あるいは取り組みに関しまして、まず大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  37. 日野市朗

    日野国務大臣 前国会におきましても、小沢先生の方から、もっと計画を急いで進めるようにという御意見をちょうだいしたというふうに伺っております。まさにこれはおっしゃるとおりでございまして、情報通信高度化ということがどんどんどんどん、これはもう荒々しいまでに進んでおりまして、国内、国際を問わず、非常にバイタルな動きが進行をしております。  我々としても、これにおくれをとってはならないという意識は、これはもう皆さん共通にお持ちになっているところでございまして、郵政省の方といたしましても、二十一世紀に向けて経済社会をどんどん発展させていくためには、この情報通信高度化ということで作業を急がなければならない、こう考えているところでございます。  そこで、長い、悠長なことは言っておられませんので、二十一世紀までの五年間に高度化をいかに加速をしていくかということが我が国の重要な政策課題であるというふうに位置づけております。  そこで、今年一月に、西暦二〇〇〇年までの情報通信高度化目標とその推進方策について、電気通信審議会及び電気通信技術審議会に諮問を行ったところでございます。本年五月末をめどに、両審議会の総意としての答申をちょうだいをいたしまして、政府が講じるべき情報通信高度化施策を明らかにする中期計画、これを策定して、国民皆様にお示しをしたい、こう考えているところでございます。
  38. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 ぜひとも力を入れてお取り組みをいただきたいと思うところであります。  何にも増して新規産業、そういった皆さんたちのことを考えますと、そういう中期計画みたいなものがあれば、どこの時点でどういうふうな形で自分たちが対応するということが極めて、ある意味では各企業が戦略、作戦を立てる上にも重要なわけでありまして、そういったことのまさに積み重ねがこれからの情報通信発展を本当に確保していくものだというふうに思うわけであります。  そういった意味で、私は、本当にそういった計画の必要性というのを強く実感しておるものですから、ぜひ前向きなお取り組みをお願いしたい、改めて申し上げます。  さて、そうした計画を考えるということになりますと、当然ながら裏づけとしての予算をどう考えるかという話が極めて重要な話になります。絵にかいたもちというような話であってはいけないわけでありまして、計画があって、それに付随する予算がしっかりとついていくということが、着実な発展という意味では極めて大事であります。  その観点から質問をさせていただきますが、さきに与党・政府は、公共投資基本計画、平成七年から十六年にかけてのいわゆる六百三十兆の公共投資の計画というのを決めさせていただいているところであります。こうした公共投資六百三十兆の計画の中にこの情報通信分野がどのくらい入っているのか、あるいはこの中期計画というものがそれとどういう関係を持っているのか、やはりそういった視点を持つ必要があるのだろうと思います。  ざっと数字を見ましても、これはもう委員各位もよく御承知の数字でありますが、ちなみに申し上げておきますと、我が国情報通信分野の政府の研究開発予算は、年間約七百億円であります。米国の年間五千六百億円に比較して八分の一にすぎないし、また欧米各国は、情報通信基盤整備をいわゆる国家的なプロジェクトとして位置づけておりまして、米国では五年間に五千億円、EUでは同じく五年間に四千億円の予算を特に組んでいるわけであります。  我が国予算も、これは郵政省皆さんも頑張っていただいている、そして財政当局も極めて前向きに対応いただいている。それは私、十分、ここ二年ほど一緒に取り組んでまいりましてわかっているところでありますが、しかし、時代のニーズということを考えますと、今の前向きな取り組みであってもまだ足りないのではないか。今申し上げた各国の数字等を考えてみますと、まだ足りないのではないかという思いがします。  これは一言で言えば、よく言われている財政のいわゆる硬直的な配分というような話にもつながっていく問題だと思うわけでありまして、今のこの枠組みの中では精いっぱい対応していただいているのはわかっているわけでありますが、しかし、時代の要請、欧米諸国とのこれからの国際競争の激化等を考えてみますと、この枠組み自体をもっと見直して変えていく、そういう努力をしなきゃいけないのじゃないか。  さっき申し上げた六百三十兆の公共投資予算の中で、一番伸びるべきところは一体どこなのかということを考えたときに、一番かどうかわかりませんが、最重要課題の一つとして情報通信分野が出てくるというのは、恐らくこれは国民一般の常識になりつつあるのだろうと思うわけであります。  予算の全体の編成ということになりますと、これは郵政省一省ではなかなかできない話かもしれません。ただ、大臣、閣僚の一員として、そういった面においても御尽力をいただける立場にもいらっしゃるわけでありまして、その予算への取り組みをどういうふうにお考えになっているか、所見をお伺いできたらと思うのです。
  39. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 先ほど大臣からもお答えいたしましたように、二十一世紀に向けまして情報通信基盤の整備を加速していくということが非常に大きな課題だということで、そういったことになりますと、国としても適切な役割を果たしていかなきやならない。その裏づけとして、予算を確保するということが大きな課題だというふうに私たちも思っております。  先ほどもお話ございましたが、政府もその辺のところの認識は大変していただいておりまして、全体としてしていただいておりまして、公共投資重点化枠とかあるいは臨時特別加算というふうな仕組みを厳しい財政事情の中でとっていただきまして、情報通信分野への予算の配分の重点化というふうな形で努力をしていただいているということでございます。  ちなみに結果を申し上げますと、郵政省予算につきまして、政府全体の一般会計予算は五・八%の伸びだったわけですが、郵政省に関しましては二五・七%というふうな大きな伸びになっております。それからまた、その中でも、これからの大事な研究開発につきましては、一・七倍、七〇%も伸びているというふうな形で、研究開発の予算も、まだまだいろいろやりたいことはたくさんございますが、しかしかなり大幅な伸びになっているということでございます。  いずれにいたしましても、これからも、こういう新しい時代を迎えるに当たりまして、予算面あるいはその他の施策で柔軟な対応ということが非常に大切だというふうに思いますので、またいろいろ御理解、御支援いただければというふうに思う次第でございます。よろしくお願いいたします。
  40. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 今、数字がありました。確かに、先ほど私も質問の中で申し上げましたように、財政当局も前向きに対応していただいている、郵政省皆さんも鋭意努力いただいている、これはもう本当にそのとおりでありますが、改めて申し上げるのですが、時代の要請はもっと大きいのではないかということだと思うのです。  ですから、これは決していわゆる各省の予算の分捕り合戦というような話じゃなくて、この分野をどういうふうに位置づけていくか、国全体で本当に議論をしていただく中でやっていかなければいけない話なんだろうと思うのです。ここに御参加の各委員皆さんたちも、別に族議員的に分捕り合戦という話じゃなくて、本当にこの分野は大事なんだということをわかっているわけでありまして、そういった意味では、予算の編成のフレームそのものもやはり考えていかなきゃいけないのじゃないかなと私なんかは思っているところでありますので、どうかまた、今後とも協力をさせていただきますので、ともに頑張りたいと思います。  それにも増して、そのためにも大事なのは、計画があって予算があるということでありますから、どうかその中期計画をしっかり作成いただきたいということであります。  それに関しましてもう一点だけ、情報通信基盤整備プログラム、光ファイバーを中心としたものがあるわけでありますね。これと今回いわゆる中期計画として策定になっているものとの具体的な差異というのをどういうふうなところに置いておられるか、御質問させていただきます。
  41. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 平成六年の五月に答申をちょうだいいたしました情報通信基盤整備プログラムにつきましては、総括的に申し上げますと、情報通信高度化の必要性とか意義とか、そういったものを中心にして答申がなされておりまして、ただその中で、いわゆる基幹的通信網となる光ファイバー網については、整備目標というふうなものがかなり具体的に示されているということだと思います。  そういったことで、これを契機といたしまして、広く国民皆さん方の間にもこの情報通信高度化についての必要性といったものについてのある種のコンセンサスというふうなものができてきたということで、これをどういうふうに進めていくのかという具体的な展望とか手順というふうなものがもっと求められるようになってきたのではないかというふうに思っております。  そういった意味で、いわゆる先行整備期間というふうな形で、民間の取り組みに弾みをつける期間というふうなことで政府が取り組めということを五月の答申の中でいただいていますので、その弾みをつける具体的な内容を今回御検討をいただこうということでございまして、具体的にあるいは総合的にと言ってもいいのかもしれませんが、そういった形で答申をいただきたいと思っております。  これは御審議をいただく中でのお話になるわけですから確定的なことは申し上げられませんが、ただ私どもが大体イメージしておりますのは、一つは、無線系を含めたネットワークインフラの部分をどういうふうに進めていくのか。それからもう一つは、アプリケーションの部分が非常に大切でございます。先ほども質問がございましたのですが、そういったアプリケーションの部分の開発普及をどう進めるのか。それから研究開発。特にこれからキャッチアップ型の研究開発からフロンティア開拓型の研究開発に進めていかなければならないという、内容的にも随分違ってきていると思いますが、そういった研究開発。それからニュービジネスをどういうふうに起こしていくのか。これも日米格差が大変大きい、特に情報通信の分野でいえば日米格差が大きいという分野でございますので、その辺の問題。それから、世界的なGII構想を中心とした基盤整備というふうなものが課題になっておりますので、それに対して日本がどう貢献していくのかというふうなこと。これはこれからの御議論の中でいろいろ出てくる問題だと思いますが、そんなふうなことをイメージしながら、今御審議をいただいているというふうなことでございます。
  42. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 いずれにしましても、各省いわゆる五カ年計画といったようなものを幾つか持っています。道路の五カ年計画を初めとして、港湾もありますし、また公園事業といったようなものもあります。そうしたいわゆる中長期計画の中で、五月に答申をいただくこの中期計画は、恐らく今から我が国にとって最も大事な五カ年計画になる、私はそういうふうに思っておるわけであります。そうしないといけないわけであります。ですから、今後の日本の新たな産業の発展という観点考えると、この計画が最も重要な計画になるんだというふうに私は思っているわけでありまして、どうかそこはそういう観点で今後もお取り組みをいただきたいと最後にお願いを申し上げたいと思います。  さて、最後の質問ですが、ちょっと視点を変えさせていただいて、いじめの問題をさせていただきたいと思います。  何で逓信委員会でいじめの問題かというふうにいぶかしがるところもあろうかと思いますが、こういうことであります。  最近いじめの問題、子供の自殺、社会に大変暗い影を落としているのはもう皆さん方御案内のとおりだと思いますが、その原因の一つに、テレビの番組で、いわゆる人をいじめて、それをみんなで笑って拍手喝采で見ているといったような番組があります。どれとは申しません。だれがとも申し上げません。たまたま私もそういう番組を見る機会があるわけでありますが、あれを見ていますと、学校で子供たちがそうやっていじめているものと本当に同じですね。今、学校なんかで行われている、だれか一人を対象にして、いわゆるいじめている側はそんな意識はない、からかっている、ふざけている、遊んでいる、そういう意識だと思います。いじめられている側も、嫌だ嫌だと言いながら、しかし何となく笑みを浮かべたりしている。そういう光景が番組の中にありますね。それをまた、観客の人がいたり、あるいは参加者の人たちが一緒になって笑って見ているのです。僕は、子供たちがああいう番組にずっと常日ごろ接していると、やはりそういう話をまねしているのではないかと思うところがあるのです。本当に状況がよく似ています。ですから、私は、そういったテレビの影響というのが意外といじめに、物すごく大きな原因の一つになっているのではないかというふうに思って、この質問をさせていただいているわけであります。  当然、報道の自由とか、あるいはまた番組編成の自由とか、そういったことの大事さというのはよく承知をしているつもりであります。しかしながら、一つの問題提起として、そういったことを少し考えていただく機会というのが必要なのではないか。そういう問題提起で、テレビの皆さんにも入っていただきたいし、議論を始めていただけないかという意味質問をさせていただくわけです。  まあ番組のあり方については、多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会というのがあるというふうに聞いております。そういったところで、こういう視点での話題が今まであったかどうか、あるいは今後、そういったところで取り組んでいただくようなことはどうなのかということで御意見を承りたいと思います。
  43. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送番組といじめの問題につきましては、実はさまざまな意見が、例えば国政モニター、あるいは直接郵政省に寄せられる、あるいは放送事業者に対して寄せられているというふうに承知しております。先ほども先生のおっしゃいましたように、例えば、体型的な特徴をからかったり、あるいはこづいたり嫌がらせをして笑いを誘う、こんな番組はいいのだろうかというふうな投書、あるいは若者や子供たちが好んで見るバラエティー番組の内容というのは、非常に人にひどいことをして、それを強要して嫌がらせるような番組、こういうのはいいのだろうか、こういうふうな投書が幾つか来ているというふうに聞いております。  郵政省では、現在、先ほど御案内の多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会というのをやっておりまして、この中では、こういうような将来の多チャンネル化、いろいろな放送番組が出てくる中で、この放送番組のあり方というものを多角的に検討していただこうということで、もちろん放送事業者、民放連、NHKも入っていただく、それから視聴者団体に入っていただく、あるいは学界の方、学識経験者に入っていただくという形で、現在検討を進めているところでありまして、その中で、放送番組が青少年に与える影響ということにつきましても、さまざまな意見が今出ておりまして、そういう意見を取りまとめて今後どうするか考えていきたい。  現在は、放送事業者というのは、放送法第三条の三によりましてみずから番組基準というのを決めます。その番組基準には、例えばこの件に関しますと、「児童および青少年の人格形成に貢献し、良い習慣、責任感、正しい勇気などの精神を尊重させるように配慮する。」とみずから定めているわけでありますから、我々としてはそれに沿った放送をしていただくということが望ましいわけでありまして、それを期待しておりますし、また番組の問題については番組審議会というのがあるわけであります。ただ、この審議会にも本当にそういうような意見が入れられるのかどうかという点についての検討もこれからしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  44. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 時間ですから終わらせていただきますが、私は、この問題は余りかたいことを言うつもりはないのです。教育パパ的なことも言うつもりもないんです。ただ、余りにも番組のそういう状況といじめの現場が酷似しているんではないかといったときに、どうかテレビの皆さんたちも入っていただいて今後議論をぜひ進めていただきたい、そういうお願い、問題提起を申し上げまして、ぜひお進めいただきますようお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  45. 中川昭一

  46. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 私ども新進党では明日の内閣というのをつくっておりまして、私、情報・通信政策大臣を仰せつかっております。今後ともよろしくお願いいたします。  きょうは、日野大臣とできれば政治家同士で忌憚のない意見を交換をしたい、こういう願望でございます。一時間時間をちょうだいいたしましたので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、郵政省の一般会計予算の総額でございますが、六百三十一億七千万円ということでございますが、この総額について大臣はどういう所感を持っているか、ここから聞きたいと思います。
  47. 日野市朗

    日野国務大臣 新進党のトゥモロー・キャビネットの大臣であられる先生とこうやってお話が、議論ができるということは私も喜びとするところでございます。これからもいろいろ議論をしてまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  今先生おっしゃるとおり、一般会計の歳出予定額六百三十一億円ということは、特にこの情報通信というものが次の時代に担うべき重大な役割考えるとき、また、日本の現在の情報通信産業あり方、また行政のあり方、こういったものを考えるとき、これは非常に少ない額だという認識では私も一致しているところでございます。  ただ、随分頑張ったこともまた事実なんでございますね。現在、厳しいシーリング方式という枠組みでやっているわけでございますけれども情報通信分野への重点配分ということを訴えながら、公共投資重点化枠、それから経済発展基盤・学術研究臨時特別加算、そういったものを活用しながら、結果としては政府全体での歳出の伸びは五・八%というところでございますが、郵政省としては二五・七%という高い伸び率を確保をしたところでございます。  ただ、そのベースになっているものが少ないわけでございますから、このくらい伸びてもまだ少ないという御批判、これはもっともかというふうに思っておりますが、これから、こういった一般会計に加えて、情報通信高度化のために、財政投融資とか産業投資特別会計、税制といったいろいろな支援措置、これを最大限度に活用しながら頑張っていこうというふうに思っております。  郵政省としては、平成八年度予算案に基づく措置の着実な実施、これを行いますとともに、高度情報通信社会の早期実現に向けて情報通信分野への予算の一層の重点配分、これを引き続き最大限度努力をしてまいりたい、こんなふうに思っておりますので、ひとつ御指導のほどをよろしくお願いいたします。
  48. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 確かに、頑張ったということは私も理解できるのでございますが、絶対額がやはり余りにも少な過ぎるのではないかと思うのですね。全歳出の〇・〇九%ですよね、これは。  それから、ちょっと調査室の方に調査をしていただいたんですが、先進諸国のこの情報通信分野における政府歳出部分ですね。これは一概に単純に比較はできないんですけれども、大体、イギリスとかフランスに比べますと約十分の一から八分の一というぐらいの程度でございますし、日本の都道府県で調べると、人口十七万人の鎌倉市の一年間の予算、そういう程度の規模でございますね。  あるいは情報通信民間会社の収入実績等に対比しますと、大体、NTTさんの一・〇七%、あるいはNCCさん、新しい会社ですけれども、第二電電、いわゆるDDIの一六・七%、あるいは日本テレコム株式会社、JTですが、この二〇・七%、あるいは日本高速通信株式会社、いわゆるTWJの七五・三%、こういう規模になるわけですね。これは、やはり情報通信の重要性から見て余りにも絶対額が少ないのではないか、こういうふうな認識を私は持っております。  そこで提案ですけれども情報通信という分野を、新社会資本整備、こういうふうな概念でくくりまして、例えば三カ年計画で予算を十倍にするとかあるいは五カ年計画でやるとか、総合的な計画を立ててこの分野のきちっとした予算をつけていく、こういうことがぜひ必要だと思うんですが、その端緒を大臣がお切りになる気持ちはありませんか。
  49. 日野市朗

    日野国務大臣 今の先生の御提案、非常に興味ある御提案として受けとめさせていただきたいというふうに考えております。  ただ、現在政府で高度情報通信社会推進本部という機構を一つ設けておりまして、本部を設けておりまして、これは単に郵政省のみにとどまらずあらゆる省庁、これを網羅的に横につなぎまして、これから高度通信社会の構築に向けて進んでいこう、こういう努力を今いたしているところでございます。昨日も実はその本部の会合、有識者との会合があったわけでありますが、これを横断的につなげてまいりますと、単に郵政省予算にとどまらずかなりの予算の額が、お金の金目がかなり積み上がっているということだけは事実でございます。ただ、そういう努力をしながらも、先生が今おっしゃった、郵政省予算として一つの枠をつくっていくという御提案については、私も興味ある御提案として伺っておきたいというふうに思います。
  50. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 郵政省の一般会計予算の規模が少ないということを象徴するような、私、予算書の各目明細書を見ますと、官房長並びに総務審議官のお給料が郵政事業特別会計から出ています。この事実を御存じですか、大臣
  51. 日野市朗

    日野国務大臣 存じております。
  52. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 これは、官房長というのはいわゆる郵政事業を担当する者ではありませんね。郵政省全体のことをされるわけでございますから、あるいは総務審議官の方も同じだと思いますから、郵政省全体のことをやるわけでございますから、やはりきちっと一般会計から出すのが筋ではないか、このように思いますよね。そういうことをやった年度もあったようでございますが、最近はずっと特別会計から出しているという、まあ台所事情かもわかりませんけれども、これはきちっと、やはり郵政省全体を見るんだという形できちっとした一般会計から出すということをするべきではないかと私は思いますが、この考え方について、大臣、そういうふうに変更しますか。
  53. 日野市朗

    日野国務大臣 郵政省の会計というのは、先生指摘のとおりに二本立てということになっておりまして、これはそれぞれ沿革があり、歴史がある問題でございます。でありますから、それぞれの役職の人件費、それをどのように賄っていくかということについて、今ここで早急にどうこうするということは申し上げられませんので、十分検討させていただきたいと思います。
  54. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それから、郵政省予算が少ないことを象徴するような事件じゃないかと私は思っているのですが、これはNTTさんに事実関係を先に聞きたいのだけれどもNTTさんのワシントン事務所というのがかつてあった。それがつくられた経緯を聞きたいのです。  一部の報道で、そこに郵政省から出向されていた方のアメリカの駐在経費、これを十年間で七億円NTTに押しつけた、こういう報道がありますが、これについては、どういう事実ですか。
  55. 浅田和男

    浅田参考人 先生のただいまの御質問にお答えいたします。  NTTでは、アメリカ・ワシントンにおきまして、一九八五年十二月から一九九四年六月まで事務所を開設いたしておりました。  私どもの開設の目的でございますけれども、当時、日米経済問題でありますとか米国電気通信政策の動向、こういったところを幅広く情報を収集する必要がございまして、NTTが開設をいたした事務所でございます。それで、NTTにそういうエキスパートがいなかったこともございまして、郵政省にお願いをして出向をしていただきました。ですから、郵政省を辞職していただきまして、NTTの職員として勤務をしていただきました。一九九四年六月に閉鎖をいたしました。  以上でございます。
  56. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今のお話ですと、NTTさんの方から郵政省さんにお願いして、専門的な知識のある方をNTTの職員として駐在していただいた、したがって、その経費をNTTが出すのは当然のことだ、このように理解しますけれども、そういう話ですか。
  57. 浅田和男

    浅田参考人 そのとおりでございます。
  58. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 郵政省の見解はどうですか。今のお話、そのとおりですか。
  59. 長谷川憲正

    ○長谷川説明員 そのとおりでございます。
  60. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 そうすると、この報道は、全く違った形の報道になっているということですね。  では、その後の話がまた出ているのですが、今度はNTTさんがその事務所を閉鎖したので、その後に、財団法人、名前が出ておりますが、郵政国際協会ですかにこの事務所を引き継がせて、郵政省から出向していた職員の経費というのをずっと肩がわりさせた、こういう報道が引き続いて出ておりますけれども、これに対する郵政省考えはどうですか。
  61. 長谷川憲正

    ○長谷川説明員 御指摘の郵政国際協会につきましては、海外の経済通信等の情報収集でございますとか調査研究などを行っている財団法人でございます。  同協会は、かねてから国際政治経済中心地であるワシントンにも事務所を置いて調査活動等を行いたいという希望を持っておったというふうに伺っております。たまたま今お話のございましたNTTのワシントン事務所が廃止をされるということを聞きまして、ちょうど手ごろな場所があくということで、この空き事務所になる場所にこの郵政国際協会のワシントン事務所を開設したというふうに承知をしております。あわせて、このときに、郵政省に人材の派遣の要請がございましたので、郵政省としてこれに応じたものでございます。
  62. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 そうすると、NTTの事務所に出向していた職員が、そのまま同じ方がその財団法人の事務所に移転をした、こういうことになっておるのですか。
  63. 長谷川憲正

    ○長谷川説明員 職員につきましては、そのまま引き継がれたということではございませんで、先ほどもNTTからもお話がありましたように、NTTのワシントン事務所に勤務をしておりました人間はNTTの職員として採用されておりましたものですから、その後郵政省に復帰の手続をとっております。そして、改めて郵政省の方から国際協会の方に出向をさせておりますが、一部人間はかわっております。一部共通をしておる人間もございますが、これは、当時、やはりアメリカの事情に詳しい者を送った方がよかろうというような判断があったというふうに承知をしております。
  64. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 事務所の場所は同じ場所ですか。
  65. 長谷川憲正

    ○長谷川説明員 事務所の場所は同じでございます。これは、場所としても非常に便利な場所だそうでございまして、たまたまその話を聞き、空き部屋になるということでそこをお借りすることになったというふうに承知をしております。
  66. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 郵政省の言い分を聞いていると、渡りに船というふうな感じもするのですが、これは、どちらの側から見ればこう見えるというもの、そういうふうな話かもしれませんね。  若干そういう誤解を招くような継続ですけれども郵政省の出向の職員の方がNTTさんのところの事務所にいた。そういう同じ事務所で、今度はNTTさんがもうその事務所の必要性がなくなったからということでどうするかというときに、たまたまいい話があったから乗っかってしまったというような、そういう印象もあるわけですけれども、これは事実関係をはっきりした方が私は誤解を招かないと思いますよ。今の説明ではちょっと十分納得できないのですが。
  67. 長谷川憲正

    ○長谷川説明員 NTTのワシントン事務所への出向の経緯は、NTTの方から御説明のあったとおりでございまして、昭和五十年代の後半から六十年代にかけまして、NTTの資材調達問題等を中心として、日米問題、摩擦が非常に激化をした時期がございました。その時期に、先ほどのような事情で職員の出向を求められまして、派遣をしたわけでございます。  この郵政国際協会につきましては、かなり早い段階から海外のいろいろな地域の情報を収集いたしまして調査研究活動を行ってきている法人でございます。したがいまして、アメリカの、特に政治の中心地でありますワシントンの情報収集ということについても、かねてから強い関心を持ってこれをフォローしておったということを聞いておりまして、ワシントンに事務所を置きたいという意向はかねてからあったということでございます。  たまたまNTTのワシントンの事務所が閉鎖をされるということが決まりまして、その後、事務所があくという情報を入手して、せっかく場所もあくということであればこの機会につくろうかということで決断をされた。その機会に、郵政省に対しても人員を送ってくれないかという要請があったというふうに聞いておるわけでございまして、時期は重なってきておるわけでございますけれども、両者の必然的な関係はございません。
  68. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 もう一つ違った報道があるのですけれども、在米大使館の出向参事官の、郵政省からアメリカの大使館に出向している参事官の交際費をNTT払いさせた、こういう報道がありますが、これはNTTさん、そういう事実はあるのですか。
  69. 浅田和男

    浅田参考人 御質問にお答えいたします。  業務上の必要からNTTが部外の方と会食を行った場合、会食費、会議費、これは、社会通念上許される範囲でNTTが負担することはございます。ただ、部外の方が飲食を行った費用を、NTTが関知しないところで一方的にツケ回しを受け、自動的にNTTが払う、そういうようなことは決してございません。
  70. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 郵政省の方も、NTTに払わせたことはないということを断言できますか。
  71. 長谷川憲正

    ○長谷川説明員 私どもでも関係者にいろいろ聞きまして調べましたところ、そのような事実はないということでございました。
  72. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今NTT郵政省双方からお話を賜ったのですけれども、こういう疑惑を招きかねないような事態というのは、やはり根本的に、郵政省皆さん情報通信に対する情報をきちっと得るために、正規のルートで、例えばアメリカの大使館に対する郵政省の派遣の職員の方の数をふやすとか、あるいはちゃんとした予算をつけるように外務省にお願いするとか、そういうふうなものをきちっとした方がいい、私はこう考えるのですね。  今度、郵政審議官という制度ができますね。外務担当の方ができるわけですけれども、そういったことを一つのきっかけにして、アメリカばかりではないかもわかりませんが、先進諸国の情報通信のいち早い情報というものを得るために、やはり各国の日本大使館にきちっとした人員の配置を郵政省として考えていく、ネットワークをつくっていく、こういうふうなものをきちっと整備をすべきではないか。これはやはり大臣の務めではないかと思うのですが、どうでしょう。
  73. 日野市朗

    日野国務大臣 先生おっしゃるとおりに、いかに的確な情報を把握をしていくか、それと同時にまた、いかに海外の方々と良好な人間関係をつくっていくかというようなことは、国益を維持するという観点からも非常に重要なことでありまして、あらゆる機会をとらえてそういう努力は進めなければならないと思います。  しかし、在外公館における郵政省からの出向というものは、従来からもこれはふやしたいということで努力をいろいろやってまいったところなのでございますが、なかなかそれがふやしてもらえないという現状で現在まで来ております。  私としても、これから特に情報通信関係の情報というものは非常にグローバルなものになってくるわけでございまして、海外における情報の収集ということの重要性、これを強調しながらその努力を一層進めてまいりたいというふうに思っておりますし、それからその他の国際機関、シンクタンク、こういったところも活用しながら多面的にその情報をとり、また人間関係をつくり上げていく、こういう努力を進めてまいりたい、このようには考えているところでございまして、ひとつそういう体制の整備を図ってまいりたいと思っておりますので、よろしく御協力のほど、お願いをしたいと思っております。
  74. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 一般会計予算をもっと大幅に上げろということと、やはり人員の配置だとかそういうネットワーク、機構の整備、そういうものをきちっとやらないと、情報通信の大競争日本国は立ちおくれてしまうだろう、そういう危機感を私は持っておりますので、ぜひそうした認識で、政府郵政大臣がリードをしていただいて、閣議の席でも情報通信の重要性をぜひ訴え抜いていただきたい。そういう実績が残るような大臣の在任期間であるように心から期待したいと思います。  それから、話がちょっと具体論になって恐縮でございますが、NTTの分離分割問題についてちょっと意見を賜りたいと思うのです。  これは、電通審で二月二十九日ごろに、二月じゆうに答申が出るということは私も承知しているのでございますが、きょうはNTTの方に来ていただいておりますから、国民的視点からこの問題について関心のあるところは、私としては、一つは料金とサービス、この分野でどうなるのか。それから二番目が情報通信のインフラ整備、こういう面からどうなのか。あるいは三番目は国際競争力という視点からどうなのか。四番目は研究開発力という点からどうなのかということでございます。  NTTさんとしては、その四つの視点から見て、分離分割した場合はこうなる、分離分割しないままだとこうなると、これはどちらにいたしましても大幅な規制緩和はあるという前提のもとで、分離分割した場合、分離分割しない場合はこういうふうになるという意見を持っているというものを開陳してもらいたい。
  75. 井上秀一

    井上参考人 ただいまの先生の御質問規制緩和については、我々、大いに規制緩和していただきたいというふうに実は思っておりまして、規制緩和によって競争も進展しますし、サービスもいろいろな多様なサービスができますし、企業の活性化もできるというふうに思っております。  そういうことを前提にというお話でございましたが、分離分割した場合の問題点、具体的に四点、どうなっているのかというお話でございますが、端的に言いまして、今、NTTの財務というのは、長距離、地域トータルで何とか合理化をしつつ保っておるというような中で、分離分割しますと、地域においては、特に西の方でございますが、赤字になるという事態が想定されます。そうなりますと、今申しました料金、サービスそれからインフラ整備、こういうものに地域格差が出てくるというおそれがあります。  それから、先ほどからもお話が出ているように、ただいま通信世界というのは大いにグローバル化しております。こういうグローバル化している中でいろいろなサービス、マルチメディアを立ち上げていくというようなことになりますと、グローバルな競争体力というものが必要になります。  そういう意味から、分離分割しますと、国際競争力の面からもまた研究開発力を分散するというような話になりまして、国際競争力の低下を招くというふうに考えておりまして、いずれにしても、NTTというよりも利用者皆様方に御迷惑をかけるということで、分離分割について反対をしているところでございます。  以上です。
  76. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 四つの観点全部は言ってくれなかったような気がしたのですけれども……。  料金とサービスの話は聞きました。それから国際競争力という観点は聞いたのですが、全体的に情報インフラの整備とか、あるいは研究開発力ですね。この研究開発力というのはいろいろな、例えばスケールメリットが必要なものもあるでしょうし、あるいはベンチャービジネス的な研究開発力もあると思うのですけれども、その双方にとってどういうふうな見解を持っているか。
  77. 井上秀一

    井上参考人 先ほど、分離分割すると研究開発のリソースが分散するということで、研究開発力が落ちるというお話をしたわけでございますが、今NTTがやっているのは非常に大規模な、電気通信基盤になるような研究開発というものをやっておりますし、それ以外に、今マルチメディアに向けていろいろな研究開発が必要になる、そういうものをトータルしてやっております。  こういう研究開発力というのは、我々としては、確かに情報通信というソフトの分野についてはまだまだ力が弱い部分もございますが、電気通信という基盤技術につきましては、世界にも誇れるようなしっかりした研究開発を今までもやってきておると思っておりますし、そういう基盤がなくなってしまう、分散して弱くなってしまうということになりますと、国際競争力の面で非常に問題が生ずるというふうに思っておりまして、ぜひこの点は御理解を賜りたいというふうに思っております。
  78. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今、NTTさんの御意見を聞いたのですけれども、今の意見について大臣はどう思いますか。
  79. 日野市朗

    日野国務大臣 今先生、非常に重要なポイントについてそれぞれお触れになりました。情報通信というのは、市場の成長性ということを見ますと、これからの我が国経済成長とか雇用の創出とかいろいろな企業経営、そして広く言えば国民生活全般に対して大きな影響を与える重要な産業でございまして、NTTあり方をどうするかという点については、国民利用者の利益の最大限の増進を図るというところにポイントがあろうかというふうに思うわけであります。今先生指摘になりました料金面サービス面、それからインフラの整備、研究開発力、国際競争力、これは非常に重大な問題点として、これをしっかりと受けとめながら電通審において御議論をいただいているというふうに考えております。  私は、今こうやって諮問をしておる立場としてどのように考えるかと言われれば、これは非常に重大な問題である、よく考えてください、こういうことを申し上げる以上にさらに内容、結論に影響を与えるようなことを今私がここで申し上げるということは差し控えさせていただきたいということで、こういう問題をしっかりとらえた答申をいただきたい、このように考えるわけでございます。
  80. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 郵政大臣は、大臣になった後、直後だったと思いますけれども、この分離分割問題については先送りを示唆したとか、あるいは結論は急ぐ必要がないとか、一月十三日の各紙に出ていましたけれども、そういう報道がありました。今のお話は、電通審の結論を待っておりますという公式な大臣としての表明なんですけれども、この一月十三日のときのお気持ちと大分変わったわけですか。
  81. 日野市朗

    日野国務大臣 先生が御指摘のその新聞記事というのは、私が記者会見でいろいろ話をしたときの各紙のレポート記事だと思うわけでございますが、そのときも私は申し上げたのでございますよ、私はニュートラルでございますよと。ただ、どう思うかということでいろいろ聞かれて、私は、憶病な目も必要であるとか、そういういろいろな検討の課題について、いろいろ感想も申し上げました。それが各紙によって受け取り方がいろいろだったのでございましょう、いろいろの報道がなされておりますが、私はその当時から、ニュートラルでございますということを前提としてお話を申し上げたということを申し上げておきたいと思います。
  82. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 最初に、政治家として対話をしましょうという話をしたわけですから、その立場にとらわれないで、私はこう思う、今のNTT意見はあるけれどもそれには異論を持っているとか、あるいは私はこう考えているとか、そういうふうなことを言うのが政治家じゃないかと私は思うのですけれども、何かそういう意味で、もう少し踏み込んだ意見はありませんか。
  83. 日野市朗

    日野国務大臣 政治家としての立場、これは一つございます。それと同時に、郵政省をお預かりするという郵政大臣としての立場もございます。そういう立場になれば、審議会に諮問をいたしまして答申をお願いしている立場として、やはり越えてはならないのりというものがあると思うのでございます。そこはひとつ御理解いただきたいところでありまして、おまえは政治家として意見はないのかと言われれば、そんなことはございません。そして、それについてはいろいろの議論皆さんお持ちでございましょうし、その議論は当然大いに闘わされるべきもの、こう考えております。
  84. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 では、若干角度を変えてお話ししましょう。  完全民営化の問題ですけれども、今NTTの株のうち三分の二ぐらいは政府が持っているわけですね。むしろ完全民営化して、要するに民業に完全になるといった場合は、経営形態というのは自己決定できるわけですよね。どんな経営形態であろうと、分離分割するも、しないのも、あるいは分社するとかいろいろ、それはNTTさんが自己決定すればいい話になりますね。その完全民営化というものに対してNTTはどう考えているか、その議論を先にすべきではないか。分離分割の話じゃなくて、完全民営化を先にしてしまえば、あとは、問題は独禁法の私的独占にかかるかどうかという話だけですね。完全民営化になった場合は、当然NTT法というのもなくなってしまうから、一般の事業法の範疇の中で議論ができるわけです。そうすると、経営形態はみずから決定できるという話になるのですが、この議論が余り見えてこないのですけれどもNTTは完全民営化を目指しているのです、経営形態について私に任せてください、本当に皆さんがよくなるようにします、こういう考え方をお持ちですか。
  85. 井上秀一

    井上参考人 完全民営化というのが株の全面放出という意味なのかどうかというのもちょっと明確じゃございませんけれども、我々としては民営会社であるというふうには思っております。  ただ、NTT法だとか事業法という形で、事業運営についての一定の取り決めがあるというふうに考えておるわけでございますが、経営の自主性という面でできるだけ自主性を欲しい。その中で経営活性化して、ユニバーサルサービスも含めてしっかりやっていきたいという点についてはそのように考えておりますが、株自身をどういうふうに放出していくかということにつきましては、できるだけ放出していった方がいいのじゃないかとは考えておりますが、それは政府の問題だというふうに考えております。
  86. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 政府の問題じゃない。NTTという会社があるのでしょう。NTTの会社がどういうことが望ましいと思って、意思があって、それを政府にお願いする、早く放出してください、NTT法もなくしてください、一般事業者にしてください。そうなれば自己決定できまずから、いろいろ電通審議論してもらう問題じゃなくて、それは公取で議論をしてもらう話ですよ、そういう話になるわけでしょう。何でNTTの自己意思を明確にしないのかということを聞いているわけです。
  87. 井上秀一

    井上参考人 今も申しましたように、経営の自主性という面から、NTT法にかかっているいろいろな問題についての規制緩和、これについてはお願いをしております。それが究極的に進めばNTT法を廃止という形になると思いますが、今そういうような状況でございます。  それから株の問題については、できるだけ早く売却をしていったらどうかというようなことについても、それなりの対応をしているところでございます。
  88. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 きょう社長さんが来ていないから言えないのかもわからないのだけれども、やはりNTTさんの経営陣の皆さんが、社内方針として完全民営化を私たちは目指します、そういう方向性をはっきりさせるのかさせないのか、これが大変重大な問題だと思うのですよ。NTTさんは何を考えているんだという方向性が見えない。何か郵政省に遠慮している。国に遠慮している。だから、もう私たちまないたの上の鯉ですということでは、NTTは一体何を考えているんだと、この議論国民の目に見えないのですよ。もうちょっと、完全民営化という問題については今議論をしていますとか、その方向性ですとか、それを目指していますとかいう話ははっきり言えませんか。
  89. 井上秀一

    井上参考人 経営の自主性を限りなく強くしていただきたいというお願いはしております。
  90. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 では、郵政省さんは、このNTTさんの完全民営化というものについてどういう見解を持っているのですか。
  91. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 NTTの今の株式会社、これ自身は先生十分御存じのことですけれども、いわゆる旧電電公社の業務、設備、人員すべてを引き継いで、我が国の基本的な電気通信事業者ということで我が国の電気通信事業全体に大きな影響を及ぼす存在でありますので、今、電話の役務、これにつきましては、特にユニバーサルサービスといいますか、安定的に提供するという政策的な目的を持って、国の重要な政策を遂行するという意味で、株式会社ではありますが、特殊法人という形でNTT法で位置づけられているということでございます。  ただ、競争政策を導入いたしました十年前、当時、競争政策を入れたというようなことから、一〇〇%シェアを持っていたNTTですけれども、そこに弾力性を付与するというようなことで、例えば料金の法定化は改めるとか、あるいは予算国会を通すというようなことについてもこれを改めるとか、そういう弾力的なものが与えられたというふうに私どもは理解しております。  現在もなおかつ、例えば電話の世界を見ますと、売り上げのシェアとしては九三%程度、九割を超えるというようなことで、特殊法人としての公的な役割ということにつきましては今もってそれを担保するということが必要な状態であろうというふうに考えておりまして、NTT法に基づく各種の規定が置かれているこの現状、これは現在の段階では私ども必要なものというふうに考えております。  ただ、先般の行政改革委員会におきまして、その意見ということでNTTあり方に関する指摘がなされておりまして、NTT法につきましては競争の進捗状況に応じて段階的に緩和をする、そして最終的には廃止すべきものであるという指摘がなされておりまして、私ども政府としてはこの考え方を尊重して、長期的にはこういう競争政策を入れながら考えていかなければならないものというふうに受けとめているところでございます。
  92. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 そうすると、未来展望としてはいわゆるNTT法を廃止するという話になりますと、これは一般事業者になる、あるいは株は民間に放出する、こういうふうなことを郵政省考えておるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  93. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 ただいま申し上げましたように、行政改革委員会意見書が昨年の十二月に提出されておりまして、内閣として、これにつきまして最大限尊重するということで閣議の決定を見ているところでございます。そういった観点から、競争の進捗状況に応じて段階的に緩和しながら、最終的には廃止すべきものということで受けとめているということでございます。  もちろん具体的な進捗状況というのを見ながらというのは当然でありますが、そういった観点で、いわゆるNTT法を廃止するということになっていきます段階では、当然、今法律で株は三分の一政府は保有するとなっていることにつきましても整理されるべきものということで考えられると思っております。
  94. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 たしか十年前の民営化のときに大きな議論になったのは、通信主権という概念の問題でしたが、今その通信主権という概念についてはもう郵政省は持っていない。要するに民営化でいいんだ、完全民営化でいいんだ、こういうふうなことなんでしょうか。この通信主権という概念についての理解を教えてください。
  95. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 よく通信主権というような言葉が使われるのですけれども、これをどう考えるかということでありますが、私自身受けとめておりますのは、日本の国の通信あり方をどうするかということを日本国としてあるいは日本国の政府として決めていくことができるというのがまさに通信主権という問題ではないかというふうに思っております。国そのものが経営するということをもって通信主権と必ずしも言うものではないというふうに理解しております。  そういった意味合いにおきましては、今NTTという特殊法人あるいはKDDという特殊法人がございます。そのほかに民間通信事業者という方が、一種の通信事業者というのが既に百を超える数である。それにつきましてどういう秩序で競争をしていただくかとかそういうルール、それを決めていくというのが、日本政府の自主的な判断でやっていけるというのがまさにその国の通信主権ということではなかろうかというふうに受けとめているところでございます。
  96. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 じゃ郵政省に引き続いて聞きますけれども、今、これは仮定の話かもしれませんが、長距離を分離して国内と国際が相互参入できるようになった場合に、KDDはかなり大きな影響を受けると思うのですけれども、その場合に、NTT長距離の国内通信部分や国際通信部分に非対称規制をかける、こういう気持ちはありますか。
  97. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先般一月の二十三日に郵政大臣から、第二次情報通信改革ということで規制緩和推進につきまして発表させていただきました。この中で、非対称規制につきましては、NTTあり方に関する電気通信審議会答申を踏まえて検討するということで私どもの態度を発表させていただいております。  したがいまして、現段階において非対称規制、とりわけNTTという具体的な特殊法人につきましてコメントするということは差し控えさせていただきたいというふうに存じております。
  98. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 非対称規制の方がよいのか、分離分割がよいのかということをNTTに聞くのは酷かもわかりませんけれどもNTTさんとしてはこの非対称規制についてどういう理解をしていますか。
  99. 井上秀一

    井上参考人 非対称規制という言葉自身、企業が大きいから規制するというような概念であればこれは非常に問題があるのじゃないかというふうに思っております。  ただ、例えば競争が非常に浸透していない分野の基本的な料金について、じゃ勝手に企業でやるのかというようなお話については、一定のルールがあるということについてはそれはやむを得ないだろうと思っております。それから、例えば接続問題ですね。ネットワークのオープン化というのをやっておるわけですが、そういうものについて一定のルールを決めていくということについてはある。それが非対称規制というような概念で、オーバーオールではっとここにかかるということについては、企業の活性化、企業の自主的経営という面から見て問題があるというふうに考えております。
  100. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 非対称規制に私はなると思うのですけれども、例えばボトルネックの問題で地域の電話線を、接続の問題ですね。接続を義務化するというふうな話が今出ていますね。その義務化するというのは、例えば事業法の改正で行う、こういうふうなスタンスなんですか。
  101. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先生今御指摘のとおりでございます。  義務化していくという具体的な手続あるいは具体的な体制という意味では、現在の電気通信事業法は事業者同士の経済交渉になっておりまして、それで調わないときにどちらからか郵政大臣に申請があると命令が出される、あるいは裁定が出されるということになっていますが、先進諸国の動向等も見ながら、あるいは現実に日本国内で発生した現実、こういうことを考えながら、この制度を義務的なものとしていくときには電気通信事業法を改正しなければならないものと思っておりまして、その検討に入るつもりでおります。
  102. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 実際にボトルネックが今の段階であるのかないのかという議論が分かれるのですけれどもNTTさんとしては、もう既にオープンしているという理解なんですか。ボトルネックはまだ存在しているという理解なんですか。
  103. 井上秀一

    井上参考人 地域の電気通信競争というのはいろいろな形で今起こってきているというふうに思っております。御存じの携帯電話の競争、PHSという新しいサービス競争、そういうのが出てきておりまして、固定電話だけで考えれば、確かに固定電話の世界というのはまだ非常にシェアが高いということでそれの影響というのはありますが、移動体の伸びその他を見ますと、固定電話だけが地域の通信手段であるという時代は動いてきているというふうに思っていますし、さらに、ネットワークのオープン化によって新しい形での地域競争に今入ろうとしておりますし、CATV電話等も動いてきておりますので、今現在のシェアを見て、ボトルネックとか、そういうような形で極端な議論をすることはいかがかなというふうには考えておりますが、現実問題として、固定電話のシェアが高いということはそのとおりであろうかというふうに思っております。
  104. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 郵政省さんのボトルネックに対する認識を聞きたいのですけれども、今接続の義務化という話があったわけです。接続の義務化を行うということは、現在の状況においてはボトルネックがある、したがって接続を義務化することによってそれは解消される、こういうふうな理解なんでしょうか。
  105. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 ボトルネック独占、先生がおっしゃっている言葉、あるいは世の中で使われている言葉をそのまま受けとめて、あえて定義しないで申し上げますと、現段階ではボトルネックがあるということであります。したがいまして、そういう意味での接続は問題になってくる。  ところで、接続がもし義務化されていけばそれですべて競争状態になるのかという次のステップの問題があろうかというふうに思っております。これは沿革的、あるいは通信のネットワーク、市場構造から来るというふうに申し上げてもいいかと思いますが、例えば東京から電話をかけるという場合に、東京を立って徳島に電話が届くというときに、地域のネットワーク、言ってみますと立ち上がっていく部分、それから長距離で行く部分、また徳島に入ってから、そういうふうに考えますと、立ち上がっていく部分と到着していく部分、この足回りはどうしても今の段階ではNTTのネットワークに乗らざるを得ない。これは別に日本だけの特徴ではございません。アメリカにおいても、またイギリスにおいてもそういうことであります。したがいまして、先進諸国におきましてもそういう接続のことが問題になってくるということでございます。  そういう意味での数字を少し申し上げさせていただきますと、今の電話というのは、ほぼ六千万加入から成っているネットワークでございます。そういった中にありまして、いわゆる加入者線といいますか、地域の部分で、携帯電話でありますとかPHSの出現というのは確かにございます。ただ、携帯電話を使って電話をするという場合でも、携帯電話から携帯電話という形でかかる場合は別でありますが、必ずNTTの地域網、これに乗って通信をしなければならない。  そういう意味で、数字を拾ってみますと、平成六年度の数字からいいますと、NTTの地域のネットワークに乗らないで、携帯から携帯に電話がかかるというのは、全体のコール数の〇・四%にすぎません。それから、PHSというのは今立ち上がってきたわけでありますが、これ自身は、基本的にはネットワークはNTTの地域のネットワークに乗って流れる、そういう構造のものであります。あともう一つ、成長を期待するCATVというのも、数字を拾ってみますと、現在は二百二十一万加入、加入率六%ということでありますが、これ自身も、今CATV電話を始めているというところはどこもありません。これからの話であります。  そういった意味合いにおきましては、いい悪いという問題ではございませんが、この地域網、足回りになる部分がどれだけ効率化され、あるいは高度化していくかというのは、日本にとって大変重要なことであります。この部分が効率化されて、もしその料金が下がっていくということになりますと、全体の料金に及ぼす影響が出てまいります。例えば、今回アクセスチャージというようなことで昨年末まとまった数字を見てみますと、新規事業者はそれだけでほぼ四、五百億円浮いてきた、これをまた値下げに回していく、こういう形になっております。  そういう意味では、ボトルネック独占と言われる地域網につきまして、その部分の効率化を進めるという意味では、そこの部分に、所有が一人である、あるいは一企業であるということでなくて、競争が入るということが非常に重要なことではなかろうかというふうに考えているところであります。  いずれにいたしましても、この辺のところにつきましても、行政改革委員会意見の中で、実態として独占体であるNTTにかかわる問題と規制緩和、両方が相まつ必要があるという指摘がなされているところでございます。
  106. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今接続を義務化するという一つは、方法は、これは私も理解できます。  それからもう一つは、接続料金ですね。この料金が高い。だから、NCCさんの皆さん意見を聞くと、総収入のうち半分をNTTに支払っているということなんですよね。外国の例だと大体四〇%ぐらいで終わっているのだけれども、半分取られてしまう。料金の設定の仕方なのですが、これは結局、言ってみれば民、民の話し合いですから、強制的に法律でどうせい、こうせいとは言えないわけですけれども利用者にとって、やはり競争があって料金が下がったということは望ましいわけですから。  要するに、地域通信網のオープン化とともに利用料金の低廉化に資するような施策、これは、約款で決めるという話になるのでしょうか、どういうふうな形で利用料金の低廉化を図るおつもりなのでしょう。
  107. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 「第二次情報通信改革」の中で発表させていただいておりますとおり、義務化すると同時に、接続の条件につきまして料金を約款化してオープンにしていくというようなこと、これは、オープンにすることによりまして新規事業者の方が非常に参入しやすくなる、事業計画が立てやすくなるということがあります。もちろん、義務化することによって接続が迅速に行われるというようなことがあります。  それから、接続に関する会計あるいは接続費用の細分化というようなことにつきましても、会計の方法、基準、こんなことについて検討を進めていかなければならないというふうに思っております。なお、昨年末のNTTと新規事業者の話し合いの中でも、NTT側でいろいろな検討を積まれまして、従来から見ますとアクセスチャージ、接続料を下げたということがございます。こういう傾向が今後とも出ていくことが望ましいというふうに思っております。  いずれにしても、それはフェアなものでなければならないだろうというふうに考えておりまして、今申し上げましたような会計に関するあり方につきましても検討を進めていかなければならないというふうに考えているところであります。
  108. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 規制緩和の問題で、郵政省NTTが若干違うニュアンスのものは、NTTさんは、第一種事業者と第二種事業者の区分を廃止しろ、こういうふうな御主張をされていると伺っておりますが、それはどういう理由によるものですか。
  109. 井上秀一

    井上参考人 第一種と第二種の違いというのは、法律的にいいますと、言わずもがなだと思いますが、設備を持ってサービスをするかしないかという形になっておるわけでございますけれども、現実問題として、第一種事業者であってもNTTのネットワークを使ってサービスをしているという実態も出てきていますし、ネットワークの分化というそういう方向もまた出てくる。それから二種事業者と一種事業者、先ほど公−専の問題とか、いろいろな形が出てきますが、そういう意味になりますと、お客さんから見るとサービスが同じになってくるんじゃないかということで、そのあたりの考え方を整理していったらいいのではないかということを申し上げているわけでございます。
  110. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 もう実態的に公−専−公のサービスがあるから、それは垣根がなくなってしまっている、だから必要ない、もう垣根を取っ払ってしまった方がいい、こういう意見だと思うのですが、このことに対する郵政省の見解はどうなのでしょうか。
  111. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 そもそも一種事業者というようなことで、設備の設置という概念で法律上はなっておりますが、それを借りて例えばVANのサービスをやるとか、そういう回線を借りてやる二種事業者という区分にしておりますが、十年前の議論の中でもいろいろなことがありました。  当時、先進諸国のものを見てまいりますと、サービス内容によって、例えば電話サービスはべーシックサービス、それからいわゆるコンピューターをネットワークにくっつけていくようなVANサービスは高度サービスというか、エンハンストサービス、当時そういうことでアメリカ等々で行っていたところであります。  ただ、その状況を見てまいりますと、どこまでが基本サービス、ベーシックサービスで、どこまでが高度、エンハンストサービスなのかというのは、技術革新によりまして絶えず動く。当時、私自身も国際担当でアメリカへ行ったりしておりましたときに、よく神学論争だというようなことがアメリカ国内でも言われたりしておりました。  そういったことで、私どもといたしましては、むしろ第三者の目から見ても明確な区分ということで、設備設置という概念で一種と二種ということを区分し、それにふさわしい規制があった方がいいのではないかということで、当時国会で立法していただいたということでありますが、この一種、二種を設備設置ということで区分をするということを私どもの国が採用しました以降、カナダや韓国におきましても、いわゆる基本、それから高度という区分ではなくて、設備設置の有無に着目した区分がなされているということであります。  特に、その一種と二種とが大変違ってまいりますのは、二種の方というのは一種の事業者の方から回線を借りるわけです。そういう意味では、一種の事業者の方の料金が二種を実際には支配するということになっていくわけでして、それは、設備を持って自分でサービスを提供している人と借りてやる場合とでは、そこに持つ公共性なり影響というものははるかに違ったものがあるというようなことで、一種事業者の場合は許可制をとる等々をいたしております。一方、借りてサービスをやるという方は、一種事業者の料金等々に影響されながらサービスをしていくというようなことで、このことにつきましては非常に軽い規制、届け出等々になっているということでございます。
  112. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 時間が来ました。  このNTT分割是か非かという議論ではなくて、それもしたかったのですけれども、やはりNTTさんと郵政省さんが考えている論点は相当違う。規制緩和一つにしても、あるいはボトルネックの問題にしても大分差異があるということを私は理解をいたしました。  委員長にお願いしたいのですけれども中川委員長、この電通審とか、そういう国民から見るとやはり閉ざされた世界での議論というものがこの問題をリードしているのですが、我々、国民の代表ですから、この委員会でもう少し活発なこの問題に対する議論をしていかなければいけない、こう思いますので、この委員会が単なる法案の審査だけではなくて、こうした根本的な情報通信の今後のあり方に関する問題ですから、積極的に時間をとっていただきまして、議論をする機会を多くつくっていただきますように要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  113. 中川昭一

    中川委員長 各党の代表の理事皆さん方とこの議論を承らせていただきたいと思います。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  114. 中川昭一

    中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。田中昭一君。
  115. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 社会民主党の田中でございます。  きょうは、大臣所信に対する一般質問だそうでございまして、余りかしこまらずに、社会民主党の大臣ですから、少し思っている思いを訴えてみたいな、こう思っております。  私、予算委員会に毎日一日じゅう座っておりまして、実はいらいらいたしておりまして、また、地元に帰りますと税金投入問題でいろいろ突き上げなどがございまして、そういう中でいろいろと考えておることについて少し申し上げてみたいと思うのです。  今、本屋に行きますと、官僚政治といいますか、官僚という問題に対するいろいろな書物がかなりたくさん出ております。今政治に対する批判の中で、官僚政治とか官僚に対する批判というのが相当出ているのではないかな、これは予算委員会などでもそういう議論が相当ございます。現実に、こういう情勢に対して国民皆さん方は相当白けているのではないか、こういうふうに思っておりますし、それは裏を返せば、政治家がもっとしっかりしろという政治に対する批判でもある、こう実は思っておりまして、現実に二つの特徴的なケースが出されておりまして、いろいろ議論がございます。  その一つは、先ほど申し上げましたように、住宅専門会社、住専の問題でして、この問題の議論の中で、大蔵省に対する批判とか国民の怒りというものが相当集中しているというのが現状だと思います。この住専問題は、借り手の責任もあるし貸し手の責任もあるし、母体行なり系統なり、それから大蔵省なり農林省なり、あるいは政治家の責任、それぞれがございまして、今後、予算委員会などを通じてそれぞれの責任の問題については明らかにしていかなければいけないだろう、こう思っております。  既に、大蔵省解体とか、大蔵省の分散とかいう議論もございまして、これは単に書物が出ておるということにとどまらず、具体的に政治の中でも大蔵省の機構なり権限の問題などについて、私は、相当今後議論発展することになるのではないかな、また、そういうことをして、今日の金融システムといいますか金融に対する政治のあり方について少し大胆なメスを入れなければ、国民の怒りなどというのはなかなか消えないのではないかな、こう思います。  その中身はいろいろあると思うのですけれども、例えば、国際的にも相当批判がございますように、権力が集中し過ぎておるという問題がございまして、そういう中で解体とか分散とかいう問題などが出てきていると思います。  それからもう一つは、やはり官主導の政治に対しまして、政治家に対する批判も含めまして、そういうものはやはり是正すべき点があるのではないか。例えば、アメリカの場合は四年越しの大統領選挙で、大統領がかわれば主要な官僚のポストは大きくかわる。したがって、大統領選挙で国民の意思が変われば、政治がおのずから変わっていく。しかし、日本の場合にはそういうことにはならない。政権がかわっても政治は大きく変わらないという状況などがございます。  かてて加えて、最近出てきておるのは癒着とか堕落とかいう、例えば大蔵省の中島主計局次長の問題とか盲官接待の問題とか、こういう問題などがございます。こういうことについては、やはり政治の場で、我々としては国民皆さん方の前にきちんとした対応をすることが必要ではないか、こう私は一つは思っております。  それからもう一つ、これも最近の問題で、厚生省に対する批判がございます。これは御承知のようにHIV被害者の問題ですね。これはまさに人間の尊厳とか人の生命にかかわる問題でございますが、この資料が隠されて、そのために対応がおくれて何千という人の命がなくなっていくという状況の中で、やはりこれはマスコミだけじゃなく国民皆さんの中から、厚生行政に対する、冷血であるとか厚顔無恥であるとか無責任であるとか、こういう批判が投げかけられておると私は思。います。  この二つの特徴的な、政治なり官僚、省庁に対する批判というものが今大きく出ている問題について、我々国会としてはこれを看過することはできないのではないかな、こう思っているわけです、きょうはこれが主議題ではございませんけれども。  しかし、例えば毎日新聞から「霞が関シンドローム」という本が出されております。この中では各省庁の問題点が幾つか記述されておりますが、この中で郵政省の問題点も幾つか指摘がなされておるという状況がございます。  それから、これも最近のことでございますが、毎日新聞の一面トップに郵政省のアメリカ事務所の問題が出されております。私は、これがいいとか悪いとかという議論をここでするつもりはありませんし、その中身について詳しく知りません。しかし、国民が見る目は、大蔵省、厚生省、郵政省おまえもか、そういう感覚でとらえられているのは実は間違いがないのではないかなと。  こういうことを考えた場合に、この問題は単に大蔵省とか厚生省とかいう問題ではなくて、今日の政治のあり方なり行政のあり方、行政の機構とか仕組みとか権限とか、そういうものについて、今、メスを入れて真剣に議論をする時期を迎えておるのではないかな、実はこういう気がします。このことをきちんとしなければやはり日本の国は滅びていくのではないかな、これぐらいの危機感を今持つべきではないか、私はこういうふうに思っております。  そういう意味では、我が逓信委員会においても、今後の郵政省あり方などについてやはりメスを入れていく、議論を開始する、こういう責任があるのではないか、こういうことを実は言いたいわけであります。  「郵政省解体論」という本が出ておりますね。これは一年ぐらい前に出されております。郵政省に対するいろいろな批判が出されております。この中身について私はいいとか悪いとか言う気持ちはもう全くございません。しかし、郵政省に対して解体論が出てみたり、あるいはやはり郵政省に対していろいろな批判が出てくることも現実であると思います。  それから、与党第一党の自民党の総裁選挙でも、郵政省の民営化の問題が政策論争の一つの柱にもなっておるというのは現実でありまして、そういう意味では、国会の中における勉強会の中でも、行革の中でも、これらのものがテーマになってくるであろう、こういうふうに実は思うわけですね。  そこで、そういう問題について、基本的に、まあ日野郵政大臣は弁護士でもございますけれども、こういう私の提起についてどういうふうにお考えになるのか、ここをまずひとつお聞きをしたいと思うのです。
  116. 日野市朗

    日野国務大臣 最初から鉛の塊をぽんと投げかけられたような、非常に重い質問をちょうだいをいたしました。  大蔵省の問題が非常に大きな批判を浴び、また厚生省がHIVの問題について大きな批判を浴びていること、私も他山の石として、郵政省の運営に当たってまいらなければならないと思います。  特に、日本の行政機構というものは、非常に長い歴史を持つ、非常に強固な組織であります。こういった一つの組織というものは、常に私は保守的なものを分泌していると思うのです。新しいことを常に国民の感性でとらえるという姿勢を持っておりませんと、どんどん腐敗をし、今まで言ってきたことにとらわれ、そして新しい時代の動きをとらえない組織体となってしまうことが非常に多いわけでございまして、私はこのような状況になってはならぬと思っております。  こういった組織体、これをきちんと運営していくのはやはり政治のリーダーシップである、私はこのように考えておりまして、常に私は、行政庁という組織を見るときに、国民の目、これを自分で自分のものとしながら見ていかなければならない、このように思っております。  でありますから、いろいろな組織の解体論とかいうことが盛んに言われておりますが、そういうことにも謙虚に耳を傾けながら、これからの自分の職務をも果たしてまいりたい、そういうことを考えております。
  117. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 大臣の基本的なお考え方はわかりました。  そこで私は、郵政省として当面どういう問題について、メスを入れるといいますか、議論を整理して国民皆さんの前に明らかにしなければいけないかという点、幾つかあると思うのですが、きょうは時間もございませんから、二点の問題について基本的なお考え方を少しきちんとしておきたいなと思います。これは、私が賛成とか反対とかというつもりで提起をするのではございません。  一つは、郵政三事業の民営化の問題がございます。  先ほども言ったように、やはり与党第一党の総裁選の政策論争のテーマになることですし、いろいろ行革の問題が今後取り組まれていくと思います。かてて加えまして、今の住専問題の議論をする中で、やはり金融システムの改革という問題が大きなテーマとして今後出てくると思うのですね。これは単に大蔵省の内部機構をいじくるというだけにはとどまらないと思います。  そうしますと、当然のこととして、大きな金融問題に携わっておる郵政省にも直接関連がある。特に私は、財投の問題などについては、やはり金融システムの改革という問題と、それから別のサイドでは、例えば行革の中で特殊法人の問題というのがやはり今後の政治の大きなテーマになるだろう、こう思うのですね。  そうしますと、郵政の事業、例えば郵貯であるとか簡保であるとか、そういう問題についてもかなり議論をしていかなければ、抜本的な金融システムについての改革というものはなし遂げられないし、行革の問題一つとりましても、特殊法人のお金というのはほとんどこの財投から出ているという状況などを考えますと、ここにもやはりメスを入れなければ根本的な改革はできないだろう、こういうふうに思うわけです。  それから郵便事業一つとりましても、これは宅配便がこれだけ発達をしてきますと、なぜ今官がやらなければならないかという疑問が出てくるのは当然だと思うのですね。私個人は、今郵政三事業を民営化する考え方は持ちません。これは今、三つの事業が一体となって官でやることについて、一定の考え方を私は持っております。しかし、この問題は今後、政治のテーマであるし、行政改革なり金融システム改革のテーマになることは間違いないと思うのですね。こういう関係については、やはりもう少しきちんとすることが必要ではないかというのが一つです。これは私の考え方です。  それからもう一つは、これは対比して出すわけではございませんけれども、電気通信事業の問題がございます。  例えば、御存じのように、電気通信事業についても、国際間競争というものが激化をしてくるのは当然でありまして、もう何年かすれば、隣に電話をかけてもニューヨークにかけてもロンドンにかけても同じような料金で電話がかけられる、あるいはサービスが提供できる、そういう衛星の時代、通信放送の融合の問題とか、それから完全な規制緩和、原則自由、そういう時代を迎えようとしているわけで、そういう意味では、この電気通信事業の行政のあり方についても、今のままでいいかなという議論はやはり出てくるのじゃないか、実は私はこう思っておるわけです。  今、党でもいろいろ議論をやっておるわけですが、例えば主要国における政策機関と規制機関の分離の問題などがテーマではないかなと実は私は思っております。  それで、G7を初めとする競争を導入した主要国で、政策機関と規制機関が同一であるというのは珍しいのではないかというふうに我々は、我々の浅い知恵の中ではそういうふうに把握をしているわけです。  例えばアメリカを例にとりますと、政策機関は商務省の電気通信情報庁、それから規制機関は俗に言うFCC、連邦通信委員会。イギリスの場合には、政策機関は通商産業省、DTI、それから電気通信庁いわゆるOFTELが規制機関。カナダの場合も、政策機関は産業科学省、それから規制機関はカナダ放送電気通信委員会。オーストラリアの場合でも、政策機関は運輸通信省、それから規制機関は電気通信委員会、AusTelという状況だというふうに我々は把握をいたしております。  私も、イギリスのOFTELにも二回ほど行って議論をしたことがございます。このOFTELの仕事というのは、事業者への免許条件の遵守の問題であるとか、それから運営の監督とか、料金の規制であるとか、事業者間の問題の裁定であるとか、反競争的な活動の規制であるとか、利用者の苦情処理であるとか、こういうことを中心にOFTELがやっておりまして、通商産業省は一般的な通信事業の政策にかかわる業務をやっておる。こういうふうに聞いておりまして、事業者と許認可権を持つ行政の利害から距離を置いて第三者機関というのが規制機関としてつくられておる、こういう状況などを実は聞いておるわけです。  ところが郵政の場合は、率直に申し上げますと、政策機関と規制機関というのが実は一体になっているわけですね。ですから、そういう問題については、主要国におけるこれらの問題を考えた場合に、今郵政省がすべて権限を握り込んでおる、権力が集中してしまっておるということについて、今後大きく発展をする電気通信事業の中でこれでいいのかという問題も、これは既にもう提起されている問題でして、こういう問題もやはりメスを入れることが必要ではないかな、私はこういうふうに実は考えておるわけです。  時間がございませんからこれ以上のことは申し上げませんけれども、やはり今から行政にメスを入れていく、行政について、今までの惰性にとらわれず国民の期待する行政をつくり上げるという意味で、いろいろな面での議論が開始されなければいけない時期を迎えておるという立場に立った場合に、郵政省の場合にも幾つかの課題がある。その中で今申し上げました二つの問題は、既に大きく取り上げられておる問題ではないかな、こう思うわけでして、したがって、この二つの問題について基本的な大臣のお考え方をお聞きをしたい、こう思います。
  118. 日野市朗

    日野国務大臣 まず初めに、先生、郵政三事業についてお触れになりました。私は、この郵政三事業というものは民営化には親しまないものと基本的に考えております。この郵政三事業というのは、いわば日本の社会の中にしっかりと根差した、日本人の生き方としての文化の中にきっちり根をおろしているというふうに私考えておりまして、今これを民営化するということは適当ではないというふうに思います。  例えば郵便事業一つとりましても、本当に遠く離れた小さな集落にまで、はがきが一枚でもきちんと届いていくというようなシステムというのは日本の宝物と考えるべきでありましょう。こういうサービスが全国に設置された二万四千の郵便局を通してあまねく公平に提供されるということは、こういう状況をそう軽々に変えるべきではないというふうに思っております。  また、郵貯にいたしましても簡保にいたしましても、国民からお預かりした資金、これを財政投融資などを通じて社会資本の整備や国民生活の向上に貢献をしているわけでありまして、現在の郵政三事業の一体、そして全国ネットワーク、国営・非営利の経営形態が最もふさわしい、このように思っております。  さらに一層国民に密着して、国民から愛される郵政事業を目指して努力をしてまいるべきであるというふうに考えております。  電通事業についてもお話がございました。おっしゃるとおり、だれでもどこででも電通事業のサービスが受けられるといういわゆるユニバーサルサービスというのは、非常に私は大事な一つの論点であろうというふうに考えております。  規制等の関係につきましては、規制官庁と行政官庁との関係についてはこれは局長からお答えをさせていただきたいと思っております。
  119. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 両件についてお答え申し上げます。  先生おっしゃいましたとおり、各国の状況は、それぞれの国の事情に応じましてさまざまであることは事実でございます。通信放送が分かれているというところもかなり多うございます。  しかし、昨今のように、通信放送融合が言われてくるようになりますと、日本郵政省のような形が非常に行政対応としては効率的だということが言えるわけでございますが、特に、御指摘のありましたFCC、DTIの問題でございますけれども、アメリカにおきましても、確かに電気通信庁があるわけでございますが、今問題になっておりますような電気通信事業にかかわる政策立案と、それから接続ルールの遵守といったような、こういう問題につきましては、一体的にFCCが遂行いたしております。  また、イギリスでは、お示しのDTIが参入時の免許交付を行っております。しかし、OFTELの長官はこのDTIの大臣によって任命されておりまして、接続ルールの政策策定とルールの遵守等の監視、裁定は、これは一体的にOFTELが遂行いたしております。  それから、ドイツ、フランスにおきましても、同一の機関でこれらのことを取り扱っておると承知しております。  したがいまして、最初に申し上げましたように、組織のあり方自体は各国の事情によって区々でございますけれども、今申し上げましたような電気通信事業にかかわる政策につきまして、独立てかつ監視のみを行う機関というものは見当たらないように存じておるわけでございます。
  120. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 時間がございませんので、中身の議論はきょうするつもりはないので、いずれにいたしましても、先ほど言っているように、こういう問題は、もう既に問題提起されておる問題ですから、やはり今後きちんとした議論なりをやりまして、そして郵政省がお持ちなら郵政省お持ちの考え方なり、国民に説得力のあるきちんとした態度といいますか、考え方をきちんとしておくことが必要だ、こういうことをきょうは申し上げておきたいと思います。  それから、ハイビジョンとBSプランについて、時間がございませんから簡単に申し上げます。一括してお答えをいただきたいと思います。  御存じのとおりでございまして、ハイビジョンが急増をいたしております。今年のアトランタ・オリンピックの生中継などもございますから、今後百万台ぐらいに近づいていくのではないかという勢いだと思います。また、来年度のNHKの事業計画の中では、ハイビジョンの放送時間の拡大とか普及促進などについても提起がされております。  御存じのように、このハイビジョンは十年間試験放送が続けられる。しかし、今も実用化試験放送のままになっているわけですね。本番開始は一九九七伸打ち上げのBS4からだというふうに聞いておるわけです。  そこで、まとめて質問をいたしますからまとめてお答えをいただきたいと思うのですが、現在のBS3でなぜ本格放送にならないのかということ。それから二つ目は、BS4時代以降のチャンネルプランは一体どうなるのかという問題。それから三つ目は、関連をいたしまして、BS4、特に後発機打ち上げの具体的な方針といいますか、今日の検討状況、特にディジタルとアナログの関係などについて、時期を含めてどういう状況になっておるのか、これをお聞かせをいただきたいと思います。  それから四番目に、万一、これはお聞きをしなければわかりませんけれども、後発機の打ち上げが凍結されて、BS4のうち放送大学に一チャンネル割り当てるということなどもお聞きをするわけで、そうなると、その場合には一体ハイビジョンのチャンネルというのはどうなるのかという疑問もございます。  それから五点目に、不安定的な要素が過去いろいろと発言としてございました。ディジタル化に向けての郵政省方針によっては、私は、このハイビジョン放送の今までやってきた投資というのは二〇〇七年ぐらいまででむだになる可能性があるのではないかなというふうに見られているわけで、こういう点について一体どういう状況に今なっておるのか。  先ほど申し上げましたように、一方ではハイビジョンについて普及推進を行っておるわけです。いつまでたっても本格放送でなくて試験放送のまま、将来のBSチャンネルプランがはっきりしなくて非常に不鮮明だ、今日こういう状況ではないかなと実は思っているわけです。  時間がございませんから簡単に申し上げましたけれども、その辺の、BS4のプランと関連するハイビジョンの今後の展望などについて少しまとめてお聞かせをいただきたいと思います。
  121. 楠田修司

    ○楠田政府委員 お答え申し上げます。  現在、ハイビジョンの放送は実用化試験放送という形でやっておりまして、これはあらゆる放送が本放送になる前は実用化試験放送という形でやっておるものでございます。民間放送とNHKが一緒になってプログラムをつくって放送しているということでございます。  それから、後発機の問題をちょっと固めて御説明申し上げますが、現在はBS3というのでやっております。この後のものをBS3後継機、簡単に言えばBS4というふうに考えていただいていいと思いますが、このBS4は二つに分けまして先発と後発というふうに考えておりまして、先発の四チャンネルにつきましては、平成五年の五月の電波監理審議会におきまして、NHK二チャンネル、一般放送事業者一チャンネル、いわゆるWOWOWであります。それからハイビジョン普及チャンネル一チャンネルとする旨の電波監理審議会答申が出されまして、これに基づきまして、平成六年七月に既に放送普及基本計画の変更を行っております。  したがいまして、ハイビジョン放送、この中に一チャンネルありますので、先発機の方でそのまま実行されるという計画が立っておるわけでございます。同時に、NHKの二チャンネル、それから一般放送事業者の一チャンネルもそのとおりで放送されるということであります。  続きまして、もう一機の、実は日本には八チャンネルの可能性が国際的に認められておるわけですが、後の分をどうするか。これをBS4の後発機といわば称させていただきますと、これをどうするかということであります。  それで、問題は、この電波監理審議会答申がなされましたときには、当時、放送分野におけるディジタル技術は開発段階にあるということでありまして、ディジタル技術は導入は時期尚早である、したがいましてハイビジョンもアナログ方式のミューズでそのままやる、こういうふうに決められまして、そのまま今度先発機に続いたというふうな状況でありますが、その後、この三年間のディジタルの技術というのは物すごい速さで進んでおります。世界的なMPEG2での標準化もなされまして、実際に世界各国で今ディジタル放送というのはどんどんふえている、こういうふうな状況であります。  そういう中で、BS4の後発の四チャンネルをどうするかということは、このディジタル技術の動向、それから国際的な流れ、それから国民利用者ニーズの動向、こういうことを慎重に見きわめて、本年の五月が一応電監審の答申、三年内に答えを出しなさいということになっておりますから、五月に向けて今慎重に検討しているところでございます。
  122. 田中昭一

    ○田中(昭)委員 もうちょっとお尋ねしたいところでございますが、時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  123. 中川昭一

    中川委員長 古賀一成君。
  124. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 新進党の古賀一成でございます。  昨日、大臣所信表明をお聞かせいただきまして、それについて、今後の郵政行政、とりわけ情報通信に関しまして、大変重要といいますか、それは単に郵政省の所管行政であるからとかあるいは私が逓信委員会にいるからひとつ持ち上げようという意味合いではなくて、もっとマクロの日本が置かれた立場という面から、ぜひ大臣所信あるいは決意というものを確認したく質問申し上げる次第でございます。  昨日の大臣所信表明演説におきまして、我が国は大転換期にある、新しい経済社会システムの構築を図らなければならぬし、日本経済の再建を図らなければならぬ、そして情報通信分野はリーディング産業の使命も担うとともに、一極集中是正あるいは社会構造改革の切り札となり得ると期待される、こういう御発言があったわけでございます。  私も全く同感でございまして、この点につきまして、もう少し詳しい決意のほど、あるいは具体的な構想といいますか、思いというものを、ひとつ冒頭、大臣からお聞かせを願いたいと思います。
  125. 日野市朗

    日野国務大臣 情報通信というのは、私きのうの所信表明でも申し上げましたように、一つの大きな可能性を含んでいる分野である、こういうふうに申し上げました。  今までの日本経済社会というのは、戦後の非常に苦しい中から何とか先進国にキャッチアップをしょうということでいろいろの努力を重ねてきた。そしてそれは一定限度の成功をおさめた。しかしそれがまた同時に大きな壁となって日本経済や社会の前に立ちはだかっているということは申し上げてよかろうかというふうに思っております。  そういう中で、今まで経済大国と言われるまでに発展をしてきた日本経済、これをこれからどういうふうに運営していくのかという問題に我々は立ち向かわなければなりません。今までと同じパターンの経済の運営というものがこれからも成功するということはちょっと難しかろうというふうに思っております。これから新しい産業をどんどん創造し、そして新しい経済の一つの秩序というものをつくっていかなければならないと思います。そして、そういった経済発展日本の社会構造に多くの影響を与えていくことになろうかというふうに思います。  こういう転換期にあって、私は、リーディング産業の一つとして、この情報通信産業というものは、非常に高く、そして重大に見据えていかなければならない一つの分野であろうというふうに思います。ソフトの分野であるとか、バイオテクノロジーの分野であるとか、医療の分野、それから環境の分野、こういったいろいろな分野でそれぞれの発展形態は考えられるわけでありますが、しかしそういったもののあらゆる部面においてこの情報通信の技術というものは生かされていくことになろうかというふうに思います。  もう既に多くの分野で、ひところオートメーションという言葉で言われましたが、OA化の流れというのはとまらない流れでありますし、それに、そういった情報通信の基幹的なインフラを整備していく、そしてそれを使いこなしていく。そういうことは、日本の社会がこれから高齢化社会へ向かっていくわけでありますが、この高齢化への対応、それから地方の分権、これはもういやでも我々が選択しなければならない選択肢であります。そういった一極集中の是正であるとか国民のゆとりある豊かな生活の実現、こういった我が国が今まで抱えてきた課題に対してこれは積極的にアプローチし得る分野であるというふうに私は考えております。そういう考えのもとに、その重要性を踏まえながら、高度情報通信社会の構築に向けて一層の努力をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  126. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 大臣の御決意、全く私もそう思います。今、リーディング産業としての情報分野という話を特に強調されたと思うのですが、私は、大臣思い郵政省思いも全く同じだと思うのでありますけれども、きのうおっしゃいました「社会構造改革の切り札」という言葉は、恐らく、いわゆる需要とか雇用とか、あるいは設備投資とか、そういう問題だけではない、今大臣がおっしゃいました高齢化社会とか、そういうものを、古い秩序を切り開いていくその突破口だという思いだと思うのです。私も全くこれは同感でございまして、これは質問ではございませんが、後ほどいろいろ申し上げまずけれども、情報化による日本のいわゆる隘路打開というか、あるいは社会構造、経済構造改革という切り口で郵政省はもっと分析をされ、マスコミ等も通じて発信をすべきではないかと私は思うのです。  後ほど予算制度の話も申し上げますけれども、今大臣が、同じパターンではだめだ、あるいは新しい秩序をつくっていかなければならない、こうおつしゃいましたけれども、現下の平成八年度の予算、特にこの情報通信予算を見ましても、後ほど申し上げますけれども、これは、やはり古いパラダイムというか、古い秩序そのものだと私は思うのですよ。そういう意味で、やはりそれを変えていく。その突破口はこの情報通信分野だし、それは情報通信分野という狭い分野だけでなしに、教育問題、あるいは政治改革そのものだって、選挙制度が変わりましたけれども、今度は情報化という切り口でやっていったら、日本の政治は変わると思っているのです。このすべての委員会審議状況国民がテレビを通じてアクセスできるならば、日本の政治は一発で変わると私は思うのです。そういうことも、昨年本を書いたわけでありますけれども、そういう意味で、多様な各分野における構造改革、そういうものの戦略的な手段として情報化がこれだけ役立つというアピールを、ぜひ郵政省は勉強をされまして世に問うていただきたい、私はこういう思いが大変強うございます。  地方分権一つとってもそうですね。もうこの十年、二十年、地方分権が必要だ、地方の時代だと言っておりますけれども、全然変わらない。変わらないと断言してもいいぐらい変わっていないと思うのです。それはそうです。地方には人材がいない、人材が育っていない、権限を渡したってどうせだめだろうという論議と、いや、まず権限を渡してくれれば、あるいは財源を渡してくれれば何とかなるという論議がずっと空回りをしてきたのですね。これだってこの情報化で、とりわけ行政情報あるいは国会情報を地方自治体があまねくとれるならば、地方自治体というのはあっという間に実は変わってくると私は思うのです。  そういう意味で、冒頭、社会構造改革の切り札として情報化戦略あるいは情報通信施策が何をなし得るかという点について、ぜひとも郵政省を挙げて検討と、対外的な発信といいますか、これを私はお願いを申し上げたいと思います。  二番目の質問に移りたいと思います。  これとよく似た話でありますけれども、きょうの午前中の質問で、小沢鋭仁議員の方からも国家的プロジェクトという言葉が出ておったように思いますが、高度情報化と国際化という大きい波が来るわけでありますけれども、そういう中にあって、私は、国家的な戦略プロジェクトだろうと思うのですよ。  アメリカのNII、例のゴア、クリントンが私より年が一つ上で、ゴアが一つ下ということで、ちょうど私は真ん中の世代になるわけであります。三年前ですか、彼がNII構想を出したとき、確かに日本からも、郵政省から、情報スーパーハイウエー構想というのは何だということで、その報告を、当時新生党でございましたけれども報告を受けたことがございます。あのとき、郵政省の幹部の方がかなりショッキングなものに触れて、アメリカのすごい構想があるということを、興奮といいますか、一つのインパクトを受けて帰って、我々報告を受けたことを思い出しますけれども、このNIIをとっても、ナショナル・インフォメーション・システムでもないし、ネットワークでもないのですね。インフラストラクチャーなんですね、NIIと。  このインフラストラクチャーという言葉を、私は別にゴアさんに聞いたわけじゃないのですけれども、なぜネットワークとかシステムとかつけずにインフラストラクチャーとつけたかというと、恐らくこれからの二十一世紀のアメリカの基礎構造だ、単に情報通信世界をどうするという話だけではない、結局アメリカの社会構造あるいは経済構造も変える基幹部分がこのNIIだ、情報だということで、私はインフラストラクチャーという言葉をつけたのじゃないかと勝手に推測しておるわけでございますが、そういう面で私は、今般の予算を見ましても、いろいろなものを見ましても、いわゆるこの情報化戦略というものが国家プロジェクトとしてまだまだ認識されていない、それにはほど遠いという感じを強く持ちます。  ちなみに、去年の十一月二十九日、日本でも、格でいえばトップクラスの例の経済審議会、生活大国五か年計画をフォローするような意味合いだそうでございますが、「構造改革のための経済社会計画」と、ちゃんと「構造改革のための」という形容詞がついておるわけでございますが、このための経済計画をつくられた。私は、これをひもといて見てみました。そうしたら、数少ない高度通信にかかわる記述がございまして、こう書いてあります。「高度情報通信社会構築の意義」と、タイトルは大したものです。ところが、書き出しが「オンラインショッピングや電子出版物など、従来は無かった新たなサービスを」云々と、ここから始まるのですね。私はこういうものじゃないと思うのです。経済計画にしてこうでございます。しかも、そのタイトルは「構造改革のための」と銘打った経済審議会のこの答申においてすらこの程度の位置づけだというのに、私はちょっと驚いたのですね。  もう一つは、これも高度情報通信社会推進本部というのがおととしできた。去年二月に報告を出されました。基本方針というのが書いてございます、七つの行動原則。ここに、手元に見させていただいたものがございますけれども、これは総理大臣が本部長、ここの記述も、これからの高度情報通信社会の行動原則も「社会的弱者への配慮」とか「誰もが情報通信高度化の便益を安心して享受できる」とか、こういう七原則が書いてあるのですね。  私は、とりわけ経済が不透明である、時代の変わり目だ、途上国の追い上げはすごい、日本の財政も年金もいろいろなものが今険路に立って先行きが見えない、そういう社会の中での唯一のリーディング産業でもあり、ほかへいろいろなインパクトを持ち得るこの情報化でございますから、経済計画等でこれだけの位置づけであるということに、一つの危機といいますか心配を覚えるわけでございます。  この点につきまして、私は大臣に、今後その情報化戦略の持つ意味を踏まえて、今後政府部内において、政府を挙げてこれをもっと、NII構想以上とは言いませんけれども、これに負けないような位置づけで推進していくというお考えがあるのかどうか、この点、お伺いをしたいと思います。
  127. 日野市朗

    日野国務大臣 非常にすばらしい御意見を伺いまして、私も大いに稗益するところがございます。  ゴアさんのNII、これはもう既にGII、グローバルなインフォメーション・インフラストラクチャーとして展開をしているところでございますね。我が国としてはこれにおくれをとってはならぬという思いは、私も非常に強くいたしております。もちろん国内のネットワークインフラの整備のみならず、海外に展開をしていくという積極的な姿勢もまた必要であろうかというふうに思っております。そして、こういったインフラの整備だけではなく、教育分野とか医療分野とか、アプリケーションにかかわる関連諸制度見直し一さらには慣習、価値観の見直しといったところにまで幅広く対応をしていくことによって、情報基盤の整備を全体として着実に推進していくということは、今非常に必要なことでございます。  こうした観点のもとに、先生も御指摘なさいましたが、政府として高度情報通信社会推進本部を設置して、これは単に縦割りではなくて、横の連携もきちっととった全省庁一丸となっての取り組み、これを行っているところでございます。昨日も実はこの推進本部が開催をされまして、有識者の方々からさまざまな御意見をちょうだいしたところでございますし、総理からも、概算要求が取りまとめられた時点で推進本部と有識者との会合を開催して、この予算についても協議をするようにというようなお話もございました。まさにこれは、官民一体となって、国家的戦略プロジェクトとして高度情報通信社会を推進していこうという決意の一つのあらわれでございます。私もその副本部長を仰せつかっているところでありますが、全力を尽くしてまいりたいと思います。
  128. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 今大臣の方からお答えございました。その中で、例の高度情報通信社会推進本部について、きのうですか、あったという話でございますが、今のお話で、概算要求が決まった段階で再度集まってというやに聞こえましたけれども、私は次の質問に移りますが、それでは遅いのではないか、かような気持ちを持ちます。  といいますのは、一昨年郵政省の方で通信白書を出されまして、一九九四年はマルチメディア元年だ、こヶおっしゃいまして、宣言をされました。そして去年は、例のウインドウズ95ではありませんけれども、すさまじいいわゆるコンピュータライゼーションといいますか、予想は四百万台だったのが五百六十万台も売れたとか、携帯電話も、ちょっと調べましたら、自動車電話、携帯電話は去年の十二月末で八百五万台で、そのうち何と去年一年だけで四百六十万台も新規加入があった。いわゆる加速度的といいますか、当面は幾何級数的に伸びていくようにマルチメディアほか情報化が実は進んできたということだろうと思うのですよ。  そうしたときに、さっきの話に戻りますけれども、果たして今のいわゆる予算の枠組みというものはこれに対応しているのだろうかということを大変私は疑問に思うのですね。概算要求が決まった後だったら、もう勝負あった、こういうことでございますから、先ほどのような国家的戦略プロジェクト、これからのニュービジネスあるいは情報化がもたらすすさまじい周辺への改革効果、改善効果ということを考えたときに、私は、これは今までのような予算の編成の仕組みあるいはシーリングの仕組み、概算要求の仕組みでは、閉じ込められたままこの壁をぶち破れないと思うのですよ。  したがいまして、私は、まず冒頭にお聞きしたいのでありますけれども平成八年度の高度情報化関連予算、これについて評価といいますか、十分なのか十分でないのか、いわば本当はこういう枠組みをつくるべきだというようなお考えがないのかどうか、まずは御当局、大臣のお考えを、評価を聞かせていただきたいと思います。
  129. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 予算関係でございますので、ちょっと事務的なこともございますのでお話しさせていただきまずけれども予算をどう確保していくかというのは、先生もよく御存じだと思いますが、我々も大変な努力をしております。シーリングの問題につきましても、なかなかこの壁が厚いということであれしておりますが、ただ、私たちの気持ちというのは、多くの方に御理解いただいて、先ほどもちょっと申し上げたのですけれども、公共投資重点化枠というふうな形で特別な枠をつくっていただいたり、あるいは臨時特別加算というふうな形で特別な手当てをしていただいたりしまして、財政全体が非常に厳しいという中で、少しでも情報通信のあたりにめり張りをつけた予算をという姿勢で政府全体としても臨んでいただいているということは間違いないというふうに私たちは考えております。  ただ、量的に十分かどうかという点につきましては、いろいろ御議論があるのだろうと思いますが、ただ、平成八年度の予算につきましても、私ども予算で二五・七%というふうな大きな伸びを示させていただいた。特に、長期にわたっていろいろ影響が出てくる研究開発の分野につきまして、一・七倍、七〇%も伸びたというふうなことでございまして、なかなか十分満尾というふうには言えないかもしれませんけれども、今の厳しい財政事情といいますか、そういった仕組みの中ではもう最大限の状態になってきているということを思っております。先ほども御説明申しましたように、今中期計画というのをお願いしておりますが、その中でも恐らくこういうことをやるべしというふうないろいろ御提言をいただけるのではないかと思っておりますので、そういったものも一つのまたよりどころにしまして具体的な要求をしていくというふうなことにさせていただきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  130. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 私は、今の答弁、もちろん郵政省として一生懸命やったし、政府としても数少ない財源、財政不如意の中やり繰りしたということで、その努力なりお気持ちはわかるわけでございますが、でもこれからの日本のこと、とりわけ情報通信予算のことを考えておりますと、そういうとらえ方といいますか、大蔵省が提示をした例の公共投資重点化枠とかシーリングとか、こういう仕組みを受け身でそのまま聞いて受動的にそれに対応したのでは、情報化の次の大きい幕、そういうものは決して開けないと私は思います。  そもそも公共投資の重点化枠、今はそう言っておりますけれども、かつては平成三年度、もう皆さん御承知のとおり、ある年突然生活重点化枠、こうやってきましたよね。その後どうも、予算編成の状況を見ますと、その後に公共投資臨時特別措置として二千億用意するとか、あるいはそれは平成六年にはやめるとか、この枠組みというのはころころ変わっているのです。私はそう思いますよ。  昭和三十六年からの概算要求基準の推移をちょっと大蔵省からもらって見ましたけれども、昭和三十六年代は概算要求枠は五〇%増なんという今から思えば懐かしい数字が載っておりますけれども、最近の概算要求の枠を見たときに、あるいは制度を見たときに、大蔵省も決して首尾一貫をしていない。そのときの財政状況で、何か形をつくるために、生活重点化枠とかあるいは公共投資重点化枠とか、時の流れに沿って何かごまかしてきたような気がするのですね。これは三千億ですよね。公共、非公共のシェアというのはもう五対一で変わりはしない。そして、今度の予算で見ますと、この公共投資重点化枠四十五億円を確保した。その中に公共アプリケーションの開発普及が十三億三千八百万円、それともう一つが先ほどお話があった情報通信基盤に関する基礎的、汎用的技術の研究開発三十一億六千二百万。こういう内容のものが、公共投資の重点化枠という縛りで、しかも各省庁のシェア配分もほとんど変わらないという大まかな仕組みの中で、今、先ほどから申し上げました国家的戦略を担うべきこの予算が閉じ込められてていよく処理をされておるということは、私はおかしいと思うのです。  私は、この公共投資重点化枠というそのものが、毎年とは言いませんけれども、二、三年でころころ変わっていくような御時世であるし、今日本はこのままではいけない、日本は破局を迎えるのではないか。先ほども田中先生もおっしゃいました、日本は滅びるのじゃないか、そういう予感がある。何か新しいものを求めているのが行政であり、国民皆さんだと思うのです。だから、ことし間もなく、今平成八年度をやっておりますけれども平成九年度の概算要求の前に、極論すれば、公共投資重点化枠だけじゃなくて、それは大蔵省に任せる、むしろ構造改革関連の高度情報化枠、私は、そのくらいのことを郵政省から出されていいと思うのですよ。高齢化社会の問題、教育改革の問題、それから雇用の誘発の問題、すべて全部絡む、そうしたときにむしろ前向きに、NTT分割の議論とか、財投の問題とかいろいろな綱引き的な問題もありますけれども、もっとやはり長い日本を見据えてそういう提言をぜひすべきじゃないかと私は思うのですね。大蔵省も最近もたもたしておりますから、これはいいチャンスじゃないかと思うのですよ。  私は、そういう点についてこういう、むしろ日本経済社会を変えていくリードオフマンとしての情報化について特別枠を設けろというような提言を政府部内でしていただきたいと思うし、それは決して手前みそとかごます。とかじゃなくて、日本全体を考えた場合そうだと私は思うのでありますけれども、その点についての大臣の御抱負というものを聞かせていただきたいと思います。
  131. 日野市朗

    日野国務大臣 先生の御心配、まさにごもっともでありまして、郵政省も一生懸命頑張って、いろいろ知恵を絞って頑張ってきたところでありますが、何しろベースになった予算額が低いものですから、いろいろ御不満が残るところは私もよく理解のできるところでございます。  そうはいっても、先ほども申し上げました高度情報通信社会推進本部でずっと各省庁が横の連絡をとりながら集まっておりますが、そこでの予算をずっと積算をしますと、単に郵政省を見るばかりではなくて、横の関係でどのくらいついているかということも見なければならないことであろうかというふうに思っております。  しかし、そうはいっても、郵政省予算として、郵政省は高度情報通信社会を形成していくための非常に重要な部分を担うわけでありますから、先生の御提案の社会構造改革関連高度情報化枠というようなことについても、私としてもこれは今興味深くお伺いをいたしました。これについても検討はさせていただきたいというふうに思っております。  いずれにしても、郵政省挙げてこれは頑張ってまいりますということを申し上げておきたいと思います。
  132. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 大臣からの調整をしていただけるような感じも受けました。去年、平成八年度予算のときも、科学技術枠を設けたらどうかとか、こういう話もあったように見受けます。  私は、政治というものはやはり、私は今野党でございますけれども、与党とあるいは野党も含めて国会議員、国会挙げて、そして行政がそれに火をつける一つのきっかけをつくるならば、この構想というのはあながち夢物語ではないと思うのです。情報化社会が、あるいは情報化関連予算が、先ほどるる申し上げましたけれども日本の古い構造を変えていくという、そういう大きな話を先ほどいただきましたけれども、それならば少なくともこの霞が関と永田町でやる予算の問題ぐらいは、まずこの情報化関連で古いシステムを変えるぐらいの、いわゆる先兵になるぐらいのことをやるべきだと私は思うのですよ。私は機は熟しておると思いますので、再度お願いを申し上げたいと思います。     〔委員長退席中谷委員長代理着席〕  それでは、ちょっともう時間がなくなりましたけれども、最後になろうと思いますが、いわゆる光ファイバーの問題。  中継系はもうほぼ満足すべきといいますか、終わりだというふうに私は認識をしておりますけれども、加入者系の問題、人口カバーでまだ一〇%ちょっとということでございまして、これについてもことし予算がついた。これが、金利が二・五から二%に下げられました。それで、三百億の融資枠が四百二十億にふえました。大変な成果です、こういう新聞も見たわけでございますが、無利子融資制度を設けるということならともかくも、大蔵、財政当局が二%の金利の融資制度を百二十億ふやすばかりで、私はおかしいと思うのですね。  今度の住専だって、見たこともない予算が何カ月か前に六千八百五十億ぽんと出てきて、しかも国民経済とも直接関係ない、そのしりぬぐい的なものがああいう調子で出てくる。無利子融資制度ならともかくも、二%の金利つきで、しかも一千億、二千億、三千億の融資オーダーではなくて、三百億が四百二十億ということに、財政当局との交渉でこれだけ苦労をしなければならぬということに私は非常に疑問に思うのです。  私は、これは今後とも無利子融資で、もっとでかい融資枠で、堂々と当然のこととして要求していいものではないかと思いますけれども、この点につきまして、平成七年度の融資、三百億の融資枠がありましたけれども、実績がどうだったのかを含めまして、ちょっとお教えをいただきたいと思います。
  133. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 平成七年度に、いわゆる加入者系の光ファイバー化ということにつきまして、基幹的なネットワークになるということで、新たな特別融資制度というのが創設されました。ただいま先生からお話のありましたとおり、平成七年度のお認めいただいた予算では三百億ということでございます。  その実績につきまして申し上げさせていただきますと、この特別融資を希望しております事業者というのは、第一種電気通信事業者、これが九社でございます。それから、CATV事業者が四社ということでございます。この融資額、枠として三百億円を認められていたわけでありますが、これがそれぞれ一種事業者あるいはCATV事業者に融資されるという手続が終わっております。  少し中身を申し上げさせていただきますと、新規参入の事業者が百二十五億六千万、それからNTTが百七十億、CATVが三億というようなことでございまして、日本の国の現在の制度を申し上げるまでもありませんが、ネットワークは民間が敷いていくということになっております。そういう意味合いにおきまして、お認めいただきました予算、有効に活用されて順調に光ファイバー化の制度が進みつつあるというふうに考えております。  なお、平成八年度におきましても、さらなる改善がなされました。ただいま先生からお話のあったとおりでございます。私ども、基幹的な部分、六千万加入ということですから、一番難しく、民間にあってはお金のかかるところであります。ここにつきまして最大限の支援をしてまいりたいというふうに思っておりますが、具体的な条件等につきましては、今後とも改善に努めてまいりたいというふうに存じております。
  134. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 終わります。
  135. 中谷元

    中谷委員長代理 北橋健治君。
  136. 北橋健治

    ○北橋委員 新進党の情報・通信政策の副担当をしております北橋でございます。  逓信委員会質問するのは初めてでございますが、これまで大臣は社会党の改革派のエースとして、税制、そして情報通信政策にわたりまして大変な御活躍をされてこられました。今、激動の時代にありまして、本当に当委員会は適任を得たと思っております。心から大臣の御活躍を御期待申し上げたいと思っております。  そこで、まず大臣、きょうは時間も限られておりますし、またきょう主な議題とさせていただきたいことは、言うなれば日本情報通信産業、あるいはそれにかかわる規制をどのように改めていくかというポイントでございますが、いずれにしましても、新進党党内におきましても最終的な意見調整を行っている段階でございますし、そしてまた、政府におかれましても、電気通信審議会議論が大詰めを迎えている段階でございます。大変御答弁しにくいお立場にあろうかと思いますけれども、率直な御意見を聞かせていただければと思っております。  最初に、大臣の方には、これから二十一世紀に向けて、日本の数ある産業の中でも情報通信世界が極めて注目をされております。雇用、日本経済、この将来を考えますときに、産業構造審議会のビジョンを見るまでもなく、多くの国民経済人の中で実感として、手ごたえとして、これが日本経済の生命線ではないかというぐらいに、大変大きな、熱い期待が注がれているわけでございますが、大臣、御就任されまして、今後行政を指揮監督するに当たりましての大臣の抱負、決意の一端を聞かせていただければと思います。
  137. 日野市朗

    日野国務大臣 情報通信が二十一世紀に向けて非常に重要な分野であるということについては、既に私はコンセンサスを得ているものというふうにも考えておりますが、今まで日本経済成長を遂げてまいりまして、それが一つの壁にぶつかっております。そして、それに対応する日本の社会の構造というものも、やはり一つの越えなければならない壁を目の前にしていると言っていいと思うのでございますね。情報通信を新しいリーディング産業として位置づけて、そして産業構造の転換を促進するということ、またそうすることによって新たな雇用をつくり出していくということで中心的な役割を果たすものと考えております。  政府としては、既に内閣に高度情報通信社会推進本部を設置いたしまして、昨年の二月に決定した高度情報通信社会推進に向けた基本方針に基づいて、政府一体として今取り組んでいるわけであります。私としても、その副本部長という立場にございます。  郵政省としては、こういった情報通信インフラを整備をして、公共分野の情報化、研究開発等の情報通信高度化の総合的かつ計画的な推進に一層取り組んでいかなければならないところでございますが、この情報通信の持つ重要性というものを考えますときに、私たちの、郵政省の果たす役割というのは非常に大きいものがございます。これからの新しい日本の展開に向けてということをあえて申し上げたいと思いますが、日本の新しい展開に向けて頑張ってまいりたい、こう考えているところでございます。
  138. 北橋健治

    ○北橋委員 大変重要な政策課題をこれから遂行するに当たりまして、一つの重要なキーワードというのは、やはりグローバル化あるいはボーダーレス化と最近呼ばれていることでございます。そして今は、情報通信のみならず、日本の産業全体がメガコンペティションの中で大変なリストラ、転換を余儀なくされている激動の時代にあります。  そこで、このたび郵政省は新しく、外国に積極的に出ていっていろいろと大蔵の財務官や外務の審議官のような大事な役割をされるという新しいポストを新設されるわけでございます。きょうは時間が限られておりますので、いろいろと質問を割愛させていただきまずけれども、これは実は私も、例えば外国の大使館なんかに郵政省からアタッシェを、もっと定員をふやせないかとか、そういうことをかつて提案したこともございまして、やはりどんどん積極的に世界のいろいろな新しい動きの最先端に出て、それを日本情報通信政策に盛り込んでほしいということで後押しをしてきた経緯がございます。  そういった意味では、内部で合理化もするということですから、おつらい面もある反面、これからいろいろとグローバル化の時代に郵政省として取り組むという、そのような機構改革をされるということ、それは大いに期待をしたいと思っております。  そこで、世界情報通信のことを考えたときに、大事なことは、このメガコンペティションというのが、二十一世紀とか先のことではなくて、早ければもう今世紀中に、それぞれの非常に強力な力を持った企業グループによって体制が、情報通信世界的な体制の勢力地図が決するのではないか、そのように急速な勢いで今寡占化が進んでいると聞いているわけでございますが、これに対する郵政省認識はいかがでしょうか。
  139. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 通信手段としてのインターネットのように、ボーダーレス化というような意味で、国境を越え、コミュニケーションを重ねて新しい文化をつくっていくというような動きがある一方では、ただいま先生からお話がありましたとおり、ある意味でいいますと、国際通信事業者同士の、あるいは通信事業者同士の提携という動きが大変活発だということでございます。  例えば、アメリカのATTが、ワールドパートナーズというようなことでアライアンスを組む、提携を組む。これはKDDも参加をいたしておりますが。あるいはブリティッシュテレコム、英国の通信会社とアメリカの新規事業者でありますMCIとが組むコンサートというようなもの。あるいはグローバル・ワンというような形で、ドイツテレコム、フランステレコム、アメリカのスプリントが一緒になる、提携をする。こういうような、いわゆる国際的な通信需要にこたえるということを目的とした、そういう形の提携が進んでいるというのは事実であります。  ただ、それも、言ってみますと、ユーザーの立場に立って一つの一貫したサービスを提供していこうということでありまして、寡占化が進むということがそのまま当たるのかどうかはなかなか難しいところではないか。それぞれ競争をしながら業務提携をする等々のことではないか。全体的な市場を見ましても、国際通信ということを考えますと、我が国の場合でも、日本情報通信、電気通信の市場、平成六年度七兆五千億円ぐらいのマーケットでございますが、そのうち、国際市場というのは三千四百億円でございますので、全体の五%というようなことであります。そういった意味での動きがあるという中で、我が国通信事業者も、こういった国際的な動向、それに機敏に対応して、提携し、積極的な役割を果たしていくということは大いに意味のあることだというふうに思っております。  こういった業務提携のみにかかわらず、これだけでなくて、先進国あるいは途上国、こういったところにも、海外市場へ進出していくということは、今後大いに期待することではないかというふうに考えております。こういった海外進出をする、あるいは提携を組むといったときにも、そこの提供するサービス品質あるいは料金、あるいは総合的な経営判断とかアイデアとか技術、能力とか、そういったことがミックスされてダイナミックな展開になっているというふうに見られております。  そういった意味でも、国際世界競争の進み方というのは、それぞれの国あるいは我が国においても、競争市場が国際にも出ていく力を持つような、そういう動きもまた重要なことではないかというふうに考えている次第でございます。
  140. 北橋健治

    ○北橋委員 一般的な状況につきましては、いろんな情報ソースがありまして、承知をいたしておりますが、御答弁を聞いておりまして私が特に感じたことは、この情報通信にかかわっている民間関係者の方は、企業人も含めまして、あるいは学者、外国の新聞社の特派員、言っていることは、共通しているのは、「今世紀中に」という言葉がよく出てくるのですよ。大変な勢いでメガコンペティションが進みまして、勢力地図がほぼ決まるのではないか、このままでは日本が、本当に、二十一世紀になったときに、情報通信世界において、世界の、例えばロンドンやニューヨークのようにハブとして生き残れるだろうかという、そういった意味でのせっぱ詰まった危機感というものを私は多くの方から感じるわけです。そこに私は、今の御答弁との間に若干の落差を感じました。  それともう一つ。この間、ある有力新聞のロンドンの特派員が伝えていることなんですけれども、WTOという国際貿易機関がございますけれども日本電気通信審議会その他を中心にいろんな議論があるわけでございますが、この貿易だとかサービスの面における国際的な議論の場で、郵政省はもちろん出られて状況はつかんでおられると思いますが、そこでは、NTTの分離分割などという国内問題とかにはほとんど関心がない、遠い世界のことでしょうからかもしれませんが。むしろそれよりも、それぞれの国がネットワークをさらにオープンにして外国からもどんどん参入できるような、果たして日本が二十一世紀に向けて、外国企業もどんどん参入できるだけのアクセスが、きちんとした条件が整っているか、そういうところに深い関心があるというふうに聞いているわけです。  そういった意味で、私は、今は、電気通信審議会は、新聞記事なんかを通じまして議論の経緯というものはそれなりに承知をいたしておりますけれども、読みようによっては、分離分割というNTT経営形態の問題に一応の結論が出て、それがあって何か規制緩和が進むような、そのようにも読み取れないことはないわけでありまして、それは違うのではないか。むしろ、規制緩和、デレギュレーションというものをグローバル化、ボーダーレス化の中で日本が徹底を進めていく、むしろそういうものの方が外国のWTOの議論なんかでも主流だ、このようにロンドン特派員は伝えているわけなんですけれども、そのようにお感じになりませんでしょうか。     〔中谷委員長代理退席、委員長着席〕
  141. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先生指摘のありました、まずハブの関係のことについて少し申し上げさせていただきたいと思っておりますが、通信のハブがどこに移るか、飛行機のハブがどこに移るかなどあわせて議論があるわけであります。あるいは金融センターみたいな話がありますが、通信の場合、移っていく場合の大きな要素というのは、やはり国際料金でございます。  国際の世界は、ここからシンガポールにかける料金、それからシンガポールから日本にかける料金というように格差があって、大きな格差がありますと、そちらにだんだん移っていくとか、そういう現実があるわけでございます。そういった意味合いにおきましては、私ども競争政策を進めながら、国際料金をなるたけ安い方向にということで、ある意味でいいますと、低コスト構造の産業構造をつくっていきたいということでやってまいりまして、それぞれの事業体、大いに努力をしていただいたというふうに思っておりますが、具体的に比べてまいりますと、例えばアジアで、いわゆるハブという意味で話題になりますシンガポールあたりは、現在でもまだ日本より三割ぐらい安い。ただ、アメリカとの関係でいいますと、今、日本の方が三割ぐらい安い。逆に日本の方が安くなっております。そういうようなことが一つあります。  それからもう一つは、その国に入った場合に、その国の中で、通信ということに限って見ますと、国内料金がどうあるかということもまたハブになっていく場合に大きな影響を持つのではないかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、例えば私ども、先般、大臣発表させていただきました公−専−公の接続の自由化というようなことで、国際料金も一層安くするというようなことについての政策展開を図ってまいりたいというふうに考えております。  もちろん、先生指摘のように、例えば太平洋には、今、光ファイバーがたっぷりあります。第五光ファイバーだけでも太平洋に十二万回線というような回線がありますので、こういったことを考えますと、アジアでのハブがどこになるかというようなことも極めて重要なことであるという問題意識を持っているところでございます。  それから、WTOの関係でございますが、ことしの四月を一つの期限として、基本電気通信についての多国間の協議がなされております。  私ども、そういった中にあって、現状だけ御報告をまずさせていただきたいというふうに思いますが、アメリカの場合には、先般、連邦通信法を大幅に修正をいたしました。ただ、外資につきましては、二〇%を超える会社について、無線局の免許の取得ということについては、外資は二〇%という制限がございます。あるいはまた、国防生産法ということで、国家安全の見地から大統領が外国企業の買収等について阻止する権限を持っているというような規定もあったりいたします。あるいは英国では、いわゆる黄金株というふうに言いますが、これによって、ブリティッシュテレコムについてでございますが、外国人の最高業務執行職ということについては就任させないようにしているとか、そういったぐいのものもあります。あるいはフランス、ドイツといったところにつきましては、独占状態でありますので、外資というのはまだ問題ではないのではないかというか、まだまだの段階ではないかというふうに考えております。  そういった意味合いにおきまして、一種、二種の電気通信事業者においても、外資がどんどん参入をいたしております。そういった意味では、私どもといたしましては、言ってみますと、現段階では、外資制限というのは妥当な水準にあるというふうに考えておりますが、今後、四月の交渉というのは多国間交渉でございますので、その推移を見ながら、私どもとしては、緩和の方向でまた検討も進めてまいりたいというふうに存じている次第でございます。
  142. 北橋健治

    ○北橋委員 情報通信といいますと、臨時行政調査会のころは一専ら私どもは電話ネットワークを頭に置いて議論していたような気がします。今は、そこにいろんなものが、新しい技術革新が進みまして、マルチメディアの時代です。よくCアンドCという言葉がありますが、今は、コミュニケーションにコンピューターがついできます。そういった意味では、二十一世紀を展望したときに、そういった通信機械関係をつくっている人たちの戦略というのは、世界の動き、最近のアメリカの第二の通信革命とも言うべき状況、あるいはヨーロッパの動きというものをつぶさに見ているように私は思います。そういった意味で、この通信機械をつくっている人たちは今外国の動きをどう見ているか。一つのポイントは、キーワードは、国家戦略にしているんじゃないか。アメリカもヨーロッパもこれを国家戦略にしている。  先ほど大臣の御決意にあったように、これは日本の二十一世紀、国民経済全体にかかわる重要な案件だという御趣旨の答弁がございましたけれども、同じように欧米諸国はこれを国家戦略と位置づけて、極めて重要な投資といいますか、育成に取り組んでいるんではないか、そのように言っております。  もう一つは、アメリカの動きをどう見るかにつきまして、通信機械関係人たちは、これで枠を全部取っ払って相互参入が始まりますと、ますます世界に冠たるすごい競争力を持ってくるのではないかと。そうなると、アメリカ国内だけのマーケットだけではなくて、必ず新しいパイを求めて対外進出は加速してくるのではないかと。それに対してヨーロッパの方はどうか。アメリカのいわゆるメガキャリアに対抗するために、イギリス、ドイツ、フランスそれぞれいろいろな規制といいますか、国際と国内だとか、長距離と市外だとか、そんな区分をどんどん取っ払っていってシームレスにサービスを提供できるような、言うなれば、キーワードとしてよく使われるナショナル・フラッグキャリアです、こういったものを大事にしながら、アメリカの戦略に対抗しているよ、こういうふうに伝えられているわけです。つまり、もうその見方がどこまで当たっているかについては議論もあるでしょうが、ただ、私どもが今後情報通信の問題を議論する大事な言葉は、キーワードは、国家戦略ということに欧米諸国はしているのではないか、そして、やはりナショナル・フラッグキャリアとして自国の情報通信経済の生命線、動脈でございますから、それに対する気持ちというものは非常に強いと行政当局はみんな思っているんではないだろうか。  その点についてどうでしょうか。
  143. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 ただいま先生からお話のありましたとおり、先進諸国において情報通信産業が戦略的な産業であるというような認識は共通化してきているというのはおっしゃるとおりだと思います。  具体的には、昨年の二月にG7の閣僚会議が開かれるとか、そういうことを見ましても、まさに共通の認識があるのではないか。それは我が国においても同じことであろうというふうに考えております。  特にアメリカの場合、いわゆるナショナル・インフォメーション・インフラストラクチャーというようなアジェンダ、行動計画を見てまいりますと、その中にはっきり結論として、アメリカにおける情報通信基盤の整備を図ることによってアメリカ企業の競争力を強める、そして、経済成長を図り雇用を確保していくというようなことが要約として書かれておったりいたします。そういう意味でも先生のおっしゃるとおりではないかというふうに思っております。  ヨーロッパにつきまして、もともと基本的には大陸は国営でやっております。そういった意味では、一九九八年の一月にいわゆる自由化をするということで独占から競争に入るというのが今EUのタイムテーブルに乗ったというところであろうというふうに思っております。もちろん、アメリカとヨーロッパ大陸で成り立ちが違いますので国家戦略的な取り組みは若干違っているということかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、我が国におきましても、国内にあって国民皆さんへのサービス高度化あるいは料金の低廉化とあわせまして、経済成長あるいは雇用という面に大きく影響を及ぼす産業というふうに認識しておりまして、幅広の形で私どもも取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  144. 北橋健治

    ○北橋委員 ヨーロッパのいわゆるナショナル・フラッグキャリアという考え方についてはあえて言及はなかったと思いますが、しかし、国家戦略という意味で、行政としても本格的に取り組まねばならないという気持ちは同じだということを感じました。  そこで、今日本情報通信のマーケットを見るときに、順調に伸びてきているという見方もあるんでしょうが、しかし、悲観的な、このままではだめだと、非常に低迷しているという見方も一方にあることは当局の皆様御案内のとおりでございます。  私も数字を見て驚いたんですけれども、OECDの加盟国の中で、言うなればそれぞれの国のGDPに対して情報通信関係のマーケットというのはどれぐらいあるかと、それを見てみると、日本の国は何と一・四九%しかない。で、アメリカやイギリスは二%以上あるわけですね。OECDの平均でも二・一二%ある。言うなれば、日本の情報マーケットというのは最低レベルにあるようでございます。そして問題なのは、それが縮小していけば問題ないんでありますけれども、最近のトレンドはややその格差が拡大しつつある、そういう見方もあるようでございます。  そういった意味では、二十一世紀を展望したときに大変成長が期待される分野であるが、現状においてはマーケットは必ずしもそのような動きを見せていない。どこに原因があるのかであります。これはやはり多くの方々議論されてきたように、国内の規制というものがいろいろとがんじがらめになっているからだ、そこに尽きるのではないかと思うのであります。  大臣質問の通告をしておりませんでしたが、ちょっと私、今からあることを申し上げますので、ちょっと御感想を聞かせていただければと思うんですが、これは、最近、元全電通の山岸会長がある講演でしゃべったことなんです。山岸さんはもう懇意の間柄と思いますし、そしてまた、委員長時代に、電電公社の分離分割・民営化の問題のときに山岸さんはその当時の渦中にあった人でございます。で、結論からいいますと、あのときの話が違うよと、あのときは、原則自由、例外は規制だ、こう言っていたのが逆だということを言っているんですけれども、ちょっと読み上げます。  中曽根さんと一杯飲んだことがあります。そのとき、中曽根先生、あなたが総理大臣のときにわしが真藤さんと電電の民営化に協力したけれども、あのとき何度も話し合いをした中で先生がこうおっしゃつた。競争原理を導入しなくてはいかぬ、そのためには規制緩和をしなくてはならない、これからの電気通信市場は原則自由、例外規制、これでいくと。わしも真藤さんもそう思ってころっとだまされた。結果は原則規制、例外自由なんだな。こんなことするんだったら民営化するんじゃなかった。こっちは血へど吐く思いでやってきたんだ。だから先生規制緩和にこれから協力してくださいよ。こういうことを言ったというふうに、山岸さんの講演でございます。  その渦中にあった立場の中では、当時の電電公社の労組の委員長でございますからいろいろな思いはあると思いますけれども、しかし、今、当委員会におきましては、日本の将来の国民、国家の立場から議論しているわけであります。そういった意味では、第三者的な立場から見ても、電電公社民営化以来の動きについてこういった意見をお持ちだということは、これはやはり看過し得ないことではないかと思うわけであります。  大臣はこの間、電電公社の民営化以来、情報通信政策を含めて日本経済のためにいろいろと議論を指導する立場におありだったわけでございますが、今こういう評価をしているわけですね。率直にどういうお感じでしょうか。
  145. 日野市朗

    日野国務大臣 山岸さんがどのような真意でお話しになったのかということは、御引用をいただいた短い部分からは必ずしも明らかではございませんが、私としては、規制というもの、これはできるだけ外していかなければならない、こう考えておりまして、本年の一月二十三日に規制に関しての、大幅な規制についての一つの方法をお示ししたところでございます。そして、規制を撤廃をしていくということでこれからも、この間二十三日にお示しした方針、これを着実に実行していくという決意でおります。
  146. 北橋健治

    ○北橋委員 時間が、済みません五分切りましたものですから、大変恐縮ですが、もう一言だけ言わしてください。  今政府内部でいろいろな議論が続けられているわけでございますが、要するに、分離分割の方針規制緩和と二本立てで出てくるわけであります。これはそれとしてまた改めてそのときに議論しまずけれども、私が懸念をしておりますのは、分離分割の問題が思うように進まなければ規制緩和がかなりトーンダウンするのではないか。むしろ、先ほど時間が短い中で私の話にも説得力が余りなかったかもしれませんけれども、やはり世界じゅうが、日本規制緩和をして市場がオープンになる、ネットワークのオープン化ですね、これがどのようにどんどん着実に進むんだろうかというところがポイントじゃないかと思っておるわけです。そして多くの関係者は、NTTの問題もあるけれども、それよりも、それはそれとして賛否はあるにしても、規制緩和だけは絶対にやらなければだめだ、日本情報通信産業全体を、とにかく競争を促進して、いいものにしていかなくてはいけないということは、私はコンセンサスができると思うのです。  そういった意味では、NTT経営形態のいかんにかかわらず、大臣は規制を大胆にこれから緩和していく方針でいらっしゃいますか。
  147. 日野市朗

    日野国務大臣 今先生がおっしゃったとおりでございます。
  148. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 規制緩和のことにつきましては、ただいま大臣から基本的な方針を申し上げたとおりでございますが、先般、一月二十三日に大臣発表いたしました規制緩和、このことにつきましては、行政改革委員会意見書に基づくものでもありますが、これはどんどん推し進めるということにいたしているということを申し上げさせていただきたいと思います。  それからもう一つ、OECDの統計のことについて二点お話がございました。事実関係でございますので、そのことについて申し上げさせていただきたいというふうに思っております。  まず、GDPの中で占める比率、日本が一時期落ちたという統計、私、今詳細なものは手元に持っておりませんが、何度かその話を聞かされたり、その統計を見たりしていることがございます。率直に申し上げますと、長距離料金が競争によって一時期下がったときに、狭い意味での電気通信市場ということでは全体の売り上げが一時期落ちたことがあります。それは日本だけではありません。かなり競争政策を入れたヨーロッパ諸国でもそういうことがありました。そういう意味では、国民利用者という立場に立ては、長距離料金が下がる、あるいは国際料金が下がるというのは当然、当時六十年に電気通信政策を独占から自由化したときの一つの目標でありますので、それは意味のあったことだというふうに思っておりまして、今統計をとってみますと、違った範囲の統計ですが、私どもは着実に情報通信のマーケットは伸びてきているという認識に立っております。  それから、規制関係でがんじがらめというお話がございました。率直に申し上げまして、このことにつきましてはよくこういう表現が使われたりすることがありますが、これもOECDの白書という意味で申し上げますと、たしか九三年だったというふうに思いますが、世界の電気通信競争政策がどういうものであるかという評価をいたしたものがあります。その中では、日本はG7の中では一番高い自由化の政策をとっているという評価を受けているところでございます。  事実関係でございますので、そのことだけ申し上げさせていただきました。
  149. 北橋健治

    ○北橋委員 もっと時間があればと思いますけれども、ただ、その規制について言いますと、公正取引委員会の去年の秋の報告書というのは非常に示唆に富んでいると思うのです。これを見ると、やはり競争政策をどんどん推進する必要があるという観点から幾つか書いているのですけれども、この書きぶりが、NTT経営形態の問題は、それは確かにある、しかし、日本情報通信全体に市場原理を導入して、その活性化をしていくためにやらねばならぬことがいっぱいあるということなのですね。  ところが、新聞報道なんかに伝えられる今の郵政省考え方というのは、何か経営形態の問題で一つの方向性が出たら、その時点で何かこういつた規制緩和をするというふうに読めるわけです。そういった意味では、この競争政策を促進してマーケット自体をふやして、そして新しいキャリアをどんどんふやしていく、そういう見地からぜひ御議論をしていただきたいということが一つ。  時間が参ったわけでございますが、私も九州でございます。今のNTTの収益を見ますと、九州が一番経常利益の赤字が大きいわけでございまして、そういった意味では、ユニバーサルサービスということでいろいろと考えますと、実際、料金、サービスの面で後退すれば、このNTT経営形態の議論というのは吹っ飛んでしまうわけであります。この点、将来の二分割された場合の経常利益の試算というものが、NTT当局と郵政省審議会の間でえらい開きがあるのですけれども、実は数年前のときも同じように相当高目のことをおっしゃったけれども、現実は、今の経常利益はこの程度ではない。すごく大きな開きがあるわけです。だから、今新聞で伝えられているイメージを見る限りは、将来二分割してもやっていけるんだ、黒字がこれだけ出るのですよと審議会でおっしゃるのだけれども、その試算の根拠というのは、第三者が見て、国民や私どもが見て、どちらが正しいのかもつとわかるように、もっとオープンな根拠を示してやっていただきたい。  そして、私のように、九州出身者のように、山間僻地や離島がある、こういうところにおいてなかなか経営が苦しいのが実情でございまして、その点についても、なぜ審議会と実際に経営に苦労しているNTTとの間にこんなに大きな乖離があるんだろうか、過去にもそんなことがあった、こういうことで本当にNTT経営形態の問題について国民的コンセンサスが得られるのだろうかという気持ちがいたします。  時間が参りましたので、そういった点につきましてもぜひとも御留意をいただきまして、実りある議論、すなわち、ネットワークをオープン化していく、そして接続のための第三者の公正な審判、レフェリー役を設ける、これが、海外からのニーズにもこたえられるし、それこそが全体のマーケットを拡大していくためにまず第一に取り組むことであって、NTT経営形態の問題がどんな結論が出るか以前の重要な核、心にまたがる議論である、そのことを強く申し上げて、私の質問の時間が参りました。
  150. 中川昭一

  151. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしてございます。  きょうは、私もきのう一晩悩みまして、本当からすれば、高度情報化社会をどうやってつくっていくのかということの話をせないかぬな、そんなふうに思ったのでございますけれども、この審議会で——ということは、この高度情報化社会というのは、実は産業政策の話が非常に多いのだけれども、それもそれですけれども、前にも言っておりますけれども、ネットワーク型社会をつくるというのは、それぞれ一人一人が情報を発信できますので、非常に能動的人間というか、人間回復という、そういう大きな意味がありまして、この議論が非常にフェアに行われるために、所信の中で大臣も、電通審答申を踏まえて、適切に対処してまいる所存であるということでございますから、この審議会がどういう結論を出すかということですね。審議会がそのまま政府のものになるわけではないかもわかりません、これはこちらの委員会議論もありますけれども。  審議会の中で本当にフェアに議論が行われておるかどうかというのは、これは私は今非常に気にしておりまして、私は別にNTTを憎んでおるわけでも何でもありません。日本通信というのは、本当に残念ながらNTTしかないのですよ。だからNTTに元気になってもらいたい。NTTしかないと言いますとNCCの人に怒られまずけれども、そういうわけではございませんけれども。とにかく、NTTにまず目の色を変えて元気になってもらいたい、そんな意味も込めまして、使命感を持って、給料をもらって国会議員に出てきておりますので、ここでこういうことを言わんかったら本当にこれは住専と同じになってしまいます。ですから、この審議会の中で何があったかということをひとつ大臣にお伺いしたいということでございます。  どうも審議会のある委員の方が、これは私立大学の教授、プロフェッサーのようでございますけれども、その上司のところにNTTの幹部から連絡があって、そういう構造問題を余り論議すると、分離分割問題を余り論議すると、あなたのところの就職に差し支えるよというような話があったということをどうも言っておられるようなんですね。まず、そんなことはあったのですか。どうですか、大臣
  152. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 事実関係でございますので私からお答えさせていただきます。  先生に申し上げるのは釈迦に説法で大変恐縮なのでございますけれども、基本的な問題といたしまして、審議会の公開と審議会の具体的運営の問題につきましては、当該審議会によって決定されるべきものだというのが一番の原則でございます。  電気通信審議会におかれましては、この審議会が企業秘密に関する情報を取り扱われるということ、それから、委員の自由な発言を確保するという必要性、こういったことから、会議と議事録は非公開としておられる一方で、審議会をできる限り開かれたものとするために、審議会終了後、会長等が記者会見を行うことなどによりまして、審議の概要、答申内容等を明らかにするという取り扱いをとっておられます。  お尋ねの件でございますけれども、このことはこの審議内容の公表にかかわる問題になるわけでございまして、審議会において御判断いただくべきものと考えておりますので、私どもからのお答えについては御容赦をいただきたいと思います。
  153. 河村たかし

    ○河村(た)委員 御容赦と言われましても、私ども、本当に、国民は非常に注視しておるわけですね、この審議会を。情報通信社会の発展を願うのは、これは本当に国民一致の願いなわけですよ。私、皆さんから税金をもらって出てきておりますので、これをここで聞かなかったら、本当にこれは住専より悪いですよ。だから、あったのか、なかったのか、それを僕はどうしても聞かないと、これは納得いきませんね。大臣、どうですか。
  154. 日野市朗

    日野国務大臣 先生も伝聞であるというふうにお話しのとおり、私もそれを聞いたわけではございませんし、この問題は審議会の内部の問題として処理されるべきものと私は存じております。  私の耳にもそういううわさが入ってこないわけではありません。そのうわさを聞いておりますと、そういう発言があったというような話もあり、いやそんなことは断じてなかったという話もあり、そこいらになりますと、これは私は、審議会の内部での議論内容というものを今ここで申し上げるべきことでもない、これは審議会の内部の処理であろうかというふうに考えております。
  155. 河村たかし

    ○河村(た)委員 あったと言われる、なかったと……。何か日本語かフランス語かようわからぬような言葉で、僕もさっぱりわからぬのですけれども、なかったわけではないんですね、ということは。日本語でちゃんと聞きまずけれども
  156. 日野市朗

    日野国務大臣 積極、消極両方のうわさがございます。  そこで私、さらにそれを突き詰めて、私の方から問い詰めるというべき立場でもない。これは審議会責任において処理されるべき事柄であり、さらに、そのような問題がよしんばあったとしても、外に向かってそのようなことが明らかにされるべきことでもないのではないか、内部で決めていただく事柄であるというふうに私存じます。
  157. 河村たかし

    ○河村(た)委員 明らかにされることでないと言われましても、やはりこの審議会というのは普通の勉強会と違いまして、これは何か、審議会令とかいろいろありますけれども、特に重要な事項を審議するということになっておりまして、大臣、この審議内容に従って一定の政策を出されるわけでしょう。どうですか、大臣
  158. 日野市朗

    日野国務大臣 私は、審議会答申は尊重してまいるということは申し上げているとおりでございまして、私がそれを尊重をして十分に検討させていただく部分は、今先生おっしゃっているような部分ではなくて、そこにおけるきちんとした筋道の立った論争の内容とそれからその結論についてでありまして、そういう、今先生がおっしゃったような発言があったかなかったかというような部分ではございません。
  159. 河村たかし

    ○河村(た)委員 筋道の立った議論を、それを踏まえていろいろなことを考えるのに、そういう学者が変な圧力に、あるんじゃなくて、自由な公正な雰囲気で議論が行われたかどうかは、大臣、当然あなたはチェックしないと、これは日本最高責任者なんですから。何か、あったかなかったかわからぬような、こんなことですと、これは大臣所信の、これに基づいていろいろやると言っておりますけれども、これはちょっと議論できませんよ、私、責任持って。土台になるものが本当にフェアな議論でなされたかどうか。わからないと言うのだったら、今までそれをチェックされましたか、その中で。
  160. 日野市朗

    日野国務大臣 午前中にも私申し上げましたが、この審議会にはすぐれた見識をお持ちの方にお集まりいただいている。私は、そういう立派な方々がお集まりになっているところで、そのような、委員おっしゃるような発言があったからこれが公正を害するというようなことはないのではないかと、ないだろうと思っております。私は委員先生方を御信頼申し上げます。
  161. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それは全く無責任だと思いますね。人間それぞれ弱い、特に私大の先生なんかですと、やはり就職問題、いろいろ言われると困ると思いますよ。また、これはもしうそだったら、NTTの名誉のためにもちゃんとはっきりしないといけない。  また、きょうの朝日の朝刊ですけれども、「事務局である郵政省も、こうした発言があったことは認めている。」こう書いてありますが、うそだったら抗議されますか、これは。
  162. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、私ども事務局としての立場は、会長等の御指示に基づきまして審議会の庶務を取り扱うということでございますので、その立場を離れた判断、行動ということはないわけでございます。
  163. 河村たかし

    ○河村(た)委員 とにかくこれでは、本当に責任を持ってこういうフェアな論議の土壌をつくっていこうという態度がどうしても僕は感じられないわけだね。だから、これは大臣調査されますか。
  164. 谷公士

    ○谷(公)政府委員 ただいまお答えしたこととまた重複する点もございますけれども審議会として公正な審議会の運営上支障があるかないかという御判断をなさいましたならば、審議会としてまず何らかの御行動をとられることになるのではないかと思います。私どもとしては、あくまでも審議会の御判断、御指示を受けました上でのことになろうと思います。
  165. 河村たかし

    ○河村(た)委員 まことに申しわけないですけれども、やはりここはこうするというような責任ある御答弁をいただけない限り、これは調査されるならされるですし、そうでないと、本当に大事な審議会答申が本当にフェアに生まれたものかどうかちょっと考えられませんから、後の対応を理事で協議してもらいますから。ちょっと質問続行できません、これは。
  166. 中川昭一

    中川委員長 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  167. 中川昭一

    中川委員長 速記を起こしてください。  今理事皆さんと協議をいたしましたが、この問題は、新聞にも報道されていることであり、各理事も関心を持っている事項であります。郵政省としての立場も、さっきの答弁のような立場が今のところあるわけですから、この問題に関しては、終わってから理事会でこの扱いを協議をさせていただくということで、この部分をひとつサスペンディッドにして次の質問に移っていただいて、この問題は後で理事会で協議をして、また結論なり御判断を新進党さんあるいは河村先生にお示しをしたいということで御了解いただきたいと思います。
  168. 河村たかし

    ○河村(た)委員 わかりました。  中川委員長は非常に若くてハンサムでございまして、情報通信関係も非常にお詳しくて、こういった二十一世紀どういう世の中をつくっていくかという、非常に関心の深い方でございますので、ぜひこの問題は、先ほどとにかく斉藤委員質問の中で、ちょうど今しゃべってみえるから全然わかりませんけれども答申を踏まえ適切に対処してまいる所存とはどういうことかと斉藤委員が尋ねられたら、大臣が、多くの議論がある、広く有識者が集まって議論いただくんだ、最高頭脳、バランスのとれた考え方を尊重しながら政府の態度を決めていく、こんなことを大臣が、ついきょう午前中ですね、答えられておりますものですから、ぜひこれは、私も、審議会議論が本当に公正に伸び伸びと正論が言えるような環境大臣にまた委員長責任を持ってつくっていただきたい、そんなふうに思います。
  169. 中川昭一

    中川委員長 わかりました。
  170. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それでは、次の質問に移りたいと思います。  郵政省さんとNTTさんのどうも不毛の争いみたいに思われておりますけれども、確かに経営形態問題ですね。どうも、よく言われるのは、経営形態問題が先にありきというような議論になってしまったんではないか。  そこで、やはりNTTNTTでその間、いさささかこの一年に泥縄に、そんな感じがするのも確かでございますけれども、いろいろな提案をされておりまして、特にネットワークのオープン化、これはそれなりに評価できる提案ではなかったのかということでございまして、頭からぽんとやはり経営形態の問題をやらないとだめよというふうにやってしまった。だから、ネットワークのオープン化について、もっとNTT側にこの成果をいろいろ話をさせて、その有効性を議論されたことがあるのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、山崎(泉)委員長代理着席
  171. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 今先生お尋ねは、いわゆる加入者交換機部分あるいは加入者線の部分のオープンということについてのお尋ねかというふうに思います。  このことにつきましては、平成七年の二月に既に、他の電気通信事業者から接続の申し入れがあった場合には、技術的に実現不可能等合理的な理由がある場合を除きこれに応ずることということで、かねがね競争促進という観点からオープンにするということについて指導をしてまいったところであります。  このことにつきましては、NTT自身からも三月に、このことについての取り組みについて、すべての接続要望に応じていくということの報告が行われ、また、私どもとしてもそういう取り組みにつきまして、官報に公式に掲載して意見を求める等々をやってまいっておりまして、その各方面からの意見を受けまして、昨年の八月に、NTTからまた取り組みにつきましての報告が行われたということで、その間についてはいわゆる何度かのやりとりがあるということでございます。  そういった中におきまして、NTTがさらに、九月に至りまして、一般にいわゆるネットワークのオープン化ということで、加入者交換機等への接続ということについて発表したということは、競争政策を進めるという観点からも大変意味があるものというふうに考えているところでございます。  具体的にこの部分について、どういう形でこの交換機への接続がなされていくかということで現在私どもが承知している限りは、NTT、新規事業者との間で、加入者交換機の接続料金あるいは技術的な条件、あるいはネットワークの改造費用等々について詰めが行われているというふうに承知をいたしております。これが、現実に、実質的にその成果が上がって接続がなされていくというふうになれば、より一層進んだ形になってくるということで、そのことを期待しているところでございます。
  172. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ちょっと時間を食いましたものですから、これはこれにしておきまして、もう一つちょっと聞きたいのは、どうも答申が、本当はもうちょっと後に出るはずなんですけれども、新聞にもう既に出ておりまして、きのうなんか見ますと、どうも他の事業者から総スカンであるというような評価がなされておりますけれども、これは一面非常に強い競争政策だということも言えるわけですね。全部に嫌われるということは、これはなかなか立派なことでございまして、それほど勇気のある政策であるとも言えると思うのです。その辺のところ、大臣どうですか、御感想は。
  173. 日野市朗

    日野国務大臣 私のところでは、ほかの電気通信事業者から総スカンというような情報も正確には受けとめておらないわけでありますし、また新聞に報道されたものが現在行われている論議そのままを表現をしているというものでもないというふうに私は理解をいたしております。  いずれにいたしましても、答申をちょうだいをして、高いところがらその成果をちょうだいをいたしまして、そして我々の態度を決定してまいりたい、このように思っているわけでございます。
  174. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それは新聞記事でございますので別に真実というわけではございませんけれども、まあある程度秩序ができますと、いろいろなNCCの方も、かなり最近は収益が上がってまいりまして、意外と昔昔っていたのとだんだん変わってきて、もうかればいいじゃないかというふうになる可能性もございますものですから、そう余りこびずに、これは本当に強い競争政策を出されて、僕らもこうやって逓信委員会に参加しておりますけれども、ああ、いい制度をやはりつくってくれたなというような、しばらくたってからそう言ってくれるような、ぜひ自信を持って出していただきたい、そんなふうに思います。  それから、研究開発についてちょっとお伺いしたいのですけれども、一応大きな軸として光ケーブル、光ファイバー、ATM交換機、無線グループ、それからオープン・コンピューター・ネットワークですか、そんな流れが一つあると思うのですけれども、光ファイバー、ATM、こういうようなグループでATMの技術のトラック調達ですか、そこで前NTTさんがいろいろなことを話されて、これがAT&Tやドイツのジーメンスが乗ったところが最近どうもうまいこといかぬということで、それは約束違反だということをNTTに言ってきておるという話があるのですけれども、これは事実でございましょうか。
  175. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 NTTのATMの開発につきまして、日本のメーカーあるいは海外のメーカーということで、共同開発したということについては私ども承知をいたしております。  ただ、現実にまだこれが実験段階とかセルリレー用に使うといった段階ですので、大幅な調達にはなっていないように私ども承知しておりますが、海外のメーカーからそのことについてNTTに対して非難が寄せられているというような事実については私どもは承知をいたしておりません。
  176. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これはNTTさんに聞かぬとわからぬことだったろう、そんなふうに思いますけれども、要するに技術開発の定量化というのですか、どうも技術開発を進めなきゃいかぬからNTTを大きい状況にしよう、そういう話。それもそういうふうにも思えますし、またその反論も、そうでないようにも思えるのですけれども、こういう分野において技術開発がどういうふうに進んでいっているのか。  例えば製品になって出てきますと、どこどこのビデオ、どこどこのビデオ、幾らというのがわかりますからいいのですけれども、技術開発状況ではなかなかその進捗状況競争状況がわからない。その辺の、何か定量化してこれを考えていく、そんなようなことは、大臣、どうですか。
  177. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 研究開発ということにつきまして、この分野におきましても競争的に研究開発を進めることが重要であるというようなことで、その競争状況等を定量的に把握ができないかということですけれども、率直に申し上げましてなかなか難しいことであります。  私ども情報通信分野におきます研究開発につきまして一昨年から研究会が開かれておりまして、昨年の九月に報告書をいただいたことがあります。その中にありましても、一定のファクトについての整理というのがなされているものがございます。例えば、科学技術庁が出しております日米の研究開発の比較とかそういうことはございますが、企業別にこれをとらえて出すというようなことは大変難しいということでございます。  ただ、いずれにいたしましても、私ども、研究開発力の向上というのは重要なことだという認識は大変強く持っておりますので、電気通信審議会答申といったものが出される、そういうものも踏まえまして、研究開発力の向上に努めてまいりたいというふうに存じております。
  178. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ちょっと一般論になってしまうかもわかりませんけれども、研究開発、国際競争力、こういう視点からは、一社で大きいボリュームでどんとやった方がいいのか、あるいは、やはり分けてやった方が競争というのは見えるようになるのか、その辺はどうですか。
  179. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 ただいま申し上げましたように、NTTあり方ということにつきましても、研究開発力の向上という観点からどういう体制がいいのかというのも審議会で大変熱心な議論がなされておりまして、大きく一社でどんと構えていくという考え方もありますし、また、多極軸で競争しながらやっていくのがマルチメディア時代に合うというような御主張もあります。でありますが、私どもは、これから審議会答申をいただくという立場で、その出てくる答申を踏まえながら政策の展開に取り組んでまいりたいというふうに存じております。
  180. 河村たかし

    ○河村(た)委員 いつもそういう返事になるわけで、それはそれてしょうがないということだろうと思います。  それと、NTTあり方については、前にちょっと言われた方があるかもわかりませんけれども、一応NTTは、一応というと御無礼でございますけれども民間会社ということでございますから。これを、郵政省がどうも判断を押しつけるというのか、そんなような感じがするのですよ。  先ほどうちの遠藤大臣質問にもありまして、NTTさんに完全民営化というのを考えておられるかどうかということを言いましたら、最後一番大事なところはわけのわからぬ結果になりましたけれども、どうも今まで何か押しつけ押しつけで、NTTの方からどういうふうの方がいいのだというようなコミュニケーションはとられなかったのか、どうですか。五年前もそんなものだったのですかね。どんなものですか。     〔山崎(泉)委員長代理退席、委員長着席〕
  181. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 今先生お尋ねは、どういう時点のどういう内容についてお伺いがあったのかちょっと私判断しかねるのですが、電気通信審議会審議自身は先生方が審議をする、その中に、もちろんNTTの社長あるいは関係者の方も数回に及んで意見を言っておられるという場面があります。それに加えまして、何度も審議会からNTT質問が出されて、その質問についての回答もなされているという意味では、審議会の中に、NTTがどう思っているかというようなこと、どう考えているかというようなことについては十分情報が伝わっているものというふうに私どもは受けとめております。  それで、郵政省NTTとの意思疎通がどうかということにつきましては、一般的な行政を遂行する上で、日常的な意思疎通というのはしかるべくやっているというふうに考えております。
  182. 河村たかし

    ○河村(た)委員 NTTにずばり、あなたのところはどっちがいいのというのを、どっちがいいのというか、どうされるのと聞く。出してくださいというのも一つの方法ですけれども審議会の出し方として、二つ三つ出して選んでくださいよということは言えなかったのかどうか。まあ、また答申が出るまで何もしゃべれぬと言われるのかどうか、どうですか。
  183. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 審議会がどういう形で答申を出されるか、あるいは関係者等々にどういう形で聞かれるかというのは、それは審議会の運営のことですので、私が今この段階でとやかく申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  184. 河村たかし

    ○河村(た)委員 どうも何か、そういうようなことだろうと思いますけれども、まあ、これでやめます。  あと、理事会で御協議いただくということになっておりますけれども、本当にこれは皆さんが注目いたしておりますし、やはり国会議員は国民の注目にこたえる義務がありますものですから、何といっても税金をもらっている、給料をもらっておりますので、本当にこういう議論がフェアにいけますようにいい提案を、審議会審議会ですけれども、先ほど我が方の大臣の提案がありましたが、この委員会でもいろいろな議論を尽くしてまいりたいな、そんなふうに思っております。  以上で終わります。
  185. 中川昭一

    中川委員長 高木陽介君。
  186. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 新進党の高木陽介でございます。  大臣、本当に朝から長時間御苦労さまでございます。あと私を含めて二人ですので、もう一踏ん張りお願いいたします。  また、きょうはほとんど情報通信関連の質疑が大半を占めていると思うのですけれども、やはり郵政省関連の問題で今一番重要なテーマではないかな、そういうことにかんがみて、私も、これをベースにしながら質問させていただきたいと思います。  そんな中で、インターネット、これがかなり普及してきている。郵政省も、昨年の八月ですか、知的活動のネットワーキングに関する研究会の報告書を発表されて、そんな形で郵政省としても、日本全体のインターネットの取り組みということもされているとは思うのですけれども、それとともに、省庁として、郵政省情報通信の先端的な分野を行かなければいけないということで、具体的にどういうことをやられているのか、まずこれをお願いいたします。
  187. 品川萬里

    ○品川政府委員 お答え申し上げます。  政府全体といたしましては、ただいま行政情報五カ年計画というのがございまして、その中でも、郵政省、通産省が先頭を切った役割を果たすようにという一つのミッションも持っているわけでございますが、そういうことも意識しながら、当省におきましては、郵政情報五カ年計画をつくって推進しております。  その中で、御指摘のインターネットでございますが、若干予備情報的なことで恐縮でございますけれども、全世界で今九千万のオーダーで利用者がおられる、日本でも三百万近い方々がこれにアクセスしているという状況でございます。WWWというような言葉もかなり人口に膾炙しているわけでございますが、こういう手段をできるだけみずから使ってみたいということで、郵政省におきましても、郵政本省、郵政研究所、それから通信総合研究所、この三つの機関中心に情報発信を行っているところでございます。  この三つの機関のいわばホームページにいろいろな情報を載せておりますけれども、かなり多くのアクセスもいただいております。トータルしますと、過去の一年近くになりますけれども、約一万五千件ばかりのアクセスをいただいております。  若干内訳を申し上げますと、本省のホームページ、これは、白書でございますとか、大臣でございますとか主要な幹部の顔写真、写真と申しますか絵入りのホームページがございますが、こういったものにつきましては、これまでのところ一日約一千四百件ばかりアクセスがございます。  それから、郵政研究所におきましては、これは若干少なくて残念でございますけれども、郵政研究所のいろいろな報告とか調査研究へのアクセスでございますが、一日百件。  そして通信総合研究所、これはいろいろな多方面の基礎研究を進めておりますけれども、ここへのアクセスは約一日一万三千件ということで、多くのアクセスを御利用いただいているところでございます。  なお、郵政事業の方でございますけれども平成八年度予算案におきまして、郵便情報提供サービスもこのインターネットを使ってできないかということで予算要求を計上しております。ぜひこの予算でお認めいただければと思っております。  今後とも、郵政省自身がインターネットを初めいろいろなメディアを積極的に使いまして、それを行政に反映するという方向で行ってまいりたいと思っております。  以上でございます。
  188. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 今御報告いただいたんですけれども、そんな中で、国会議員の諸先生方もホームページを開いたりだとか、いろいろとこのインターネットを利用して、特に政治、また行政関係の情報というものを発信していこう、こういう流れにはなり始めているとは思うのです。正直申し上げて、役所がホームページ等を開設してやり始めますと、どうしても自分たちに都合のいい情報を出そうと、まあそれは宣伝ですから。ただ、やはり有権者、国民の求めているのは情報公開であり、そんな中で一々郵政省まで足を運んで、何々教えてください、いやこれは出せません、出せます、こんなことではなくて、本当にそういう部分では情報公開という思想をしっかりと持ちながら、その上でやっていかなければいけないんじゃないのかなというのが私の考えなんですけれども、これは答弁要りませんから。  そういうことも検討しながら、本当に役所のホームページはおもしろくないというのが正直な実感でして、これを、おもしろければ何でもいいという問題ではないのですけれども、そこら辺のところでわかりやすく、さらにその情報を得た利用者が活用できるような形にしていかなければ何ら意味がないなというふうに思いますので、そこら辺も今後いろいろと課題としてやっていただきたいなと思います。  そんな中で、インターネットを使っていますとやはり料金の問題が、これは後でまた質問もしていきたいと思うのですが、特に日米間の格差ということ、インターネット利用料、これを、今の現状をさらに今後どうしていくべきなのか、またどうしていけるのか、ここら辺をちょっとお話し願いたいと思います。
  189. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先生指摘のように、インターネットの利用料金、まあ通信料金とバックボーンの利用両方兼ねまして、日本は米国から比べますと高いというのが率直な概要でございます。企業間利用というのでも、アメリカの四ないし六倍程度とか、あるいは個人利用でも、通信料金も含めまして三ないし九倍程度ということであります。  原因はいろいろあろうかというふうに思いますが、アメリカ自身が、正直言いますと、過去の経過、あるいは昨年、一昨年当たりの爆発的な増加というようなことで利用者が大変多い。例えば日本の二百七十万人程度に対しまして六千万人ぐらいということですので、結局料金も下げていくことができるというようなところがございます。  そんなことで、私ども、ある意味で言いますと、こういう状態を放置するということは、いろいろな意味での空洞化なり産業構造の問題を招くことになるということも考えまして、NTT自身も、例えば夜間の定額料金制を導入するというようなことでテレホーダイというのを導入したり、料金の値下げに努めておりましたり、さらに最近はオープン・コンピューター・ネットワークという構想を発表したりいたしております。そういう意味で、いわゆる一種事業者の料金、この部分につきましては、競争政策等々を進める中で料金の低廉化を図っていく必要があるというふうに思っております。  あわせまして、バックボーン、インターネットの運営経費に当たるような部分につきましては、人件費等々も絡みますが、やはり技術力の問題がございます。そんな意味で、私ども、インターネット関係の技術力の開発ということにつきましても平成八年度予算にも盛り込んでいるところでございますが、そういうことにも取り組みまして、トータルとしての低廉化が図れるように、そして日本におきましても、昨今見ておりますと爆発的な傾向を見せてきております。利用者が多くなると料金が下がるという、まあいい循環に入るかもしれないということもあわせて期待しているところでございます。
  190. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 さらに、インターネットというのは、いろいろな情報をいながらにしてぱっと得れるということで、本当に便利だなと感じながらも、今ここで話題となっているのが、特に米国等でも大きな話題となっているのが、例えばわいせつの情報だとか、また犯罪を助長するような暴力シーンだとか、いろいろな角度の問題が出てきている。そこでもって、アメリカではそれを規制していこうという動きがあって、その現状とともに、日本でも先日、わいせつ図画を出したということで摘発された業者さんもいらっしゃいましたし、ここら辺はしっかりとやっていかなければいけないとは思うのです。  ところがまた、難しいのは、これは放送通信の融合の部分にもかかわってくるのですけれども、表現の自由または通信の秘密、こういった関連とのルールづくりのあり方、ここら辺のところはどうお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
  191. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 アメリカにおきましては、つい二月に連邦通信法の大改革を行いました。その中におきまして、例えばわいせつ等の情報、それを電話設備だけでなくて電気通信機器というふうに拡大していく。そういう意味では多分にインターネットあるいはパソコン通信というようなことも念頭に置いているものだというふうに思います。もちろん電話ではないということで、形態としても、音声だけでなくて文字とか画像とか、さらにまた、十八歳未満の者に向けたわいせつ情報等を作成した者の処罰とか、ある意味でいいますと、そういう形で動き出してきているということでございます。  このことにつきましては、先生今御指摘のありましたとおり、いわゆるマルチメディア時代、いわゆる音声、画像、図形、文字というようなものが一緒になされる、あるいは双方向でなされるというようなことを考えてまいりますと、そこでの表現の自由、言ってみますと、表現の自由というのは今まではどちらかといいますと、放送とのかかわりで公序良俗とか、そういうかかわりで考えられました保護法益だと思います。一方、通信の方は、専ら通信の秘密というようなのが保護法益だったというふうに思うのでございますが、そういう意味で、一対多数あるいは複数、多数、n対nでの通信が成り立ってくるというようなことから、そのあり方につきまして、我が国におきましてもこの検討を進めてまいっております。  郵政大臣の懇談会という格好で、二十一世紀に向けた通信放送の融合に関する懇談会というのが一昨年の七月より開催されておりまして、こういったことについても今御議論をいただいております。そういった意味で、今後、この懇談会におきまして総合的な議論を踏まえた報告がなされるものというふうに考えております。  あるいはまた、私どもとしましては、OECD等におきまして、このインターネットの内容規制に関するガイドラインづくりとか、そういうことも出ておりますので、国際的な連携も図りながら検討を進めてまいりたいというふうに存じております。
  192. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 そういった懇談会等でやっておられるということで、しっかりとやっていただきたいのはやまやまなんですけれども、特に気になるのは、表現の自由、通信の秘密という、これはある意味では、放送通信、そして融合してしまうということでの今までにないパターンの概念になってくると思いますので、そこら辺のところは慎重にやっていただきたいな、そういうふうに思います。  続きまして、情報通信、これはいろいろと言われています。二十一世紀のバラ色の新産業が生まれてきて、百二十三兆円かというようなことで、本当にそういう部分では夢は広がっているのですけれども、実際に日本のそういう分野、NTTが一番でかい、そういう電気通信の事業者としてあるわけですけれども、ベンチャーの特に研究開発、これはアメリカから比べても基礎研究がおくれているだとか言われながら、それに対する支援策、これは昨年の十二月の十九日ですか、ある新聞記事で、ベンチャー支援に応募殺到と。郵政省が今年度から導入した情報通信技術の研究開発助成制度にベンチャー企業の人気が集まり、募集額の十・五倍に上る六十一件の応募があったという、こんな記事が載っておりまして、まさにそれだけ求められているのかなと。この助成制度の今年度の現状と、さらにもう一つ意見がございまして、官主導のベンチャーはなかなか成功しないという、こういう意見もございます。  これはまた日経新聞に載っていた記事なんですけれども、「二十年前から中小企業の経営指導にあたってきた青山氏は、七〇年代と八〇年代に二度起こったベンチャーブームを思い浮かべる。綿密な収支計画を持たない企業に官民がこぞって資金を提供。この結果、過剰投資で挫折を余儀なくされた企業が続出した。」というような記事の後に、役所だとかまたは民間でも投資をしていく場合に「お役所がお墨付きを与えた企業なら無担保でいい。ベンチャー支援と言いながら、自らリスクを取ろうとしない姿勢は基本的に変わらない。」という、官が応援しようとすると、やはりそのリスクを背負うことはなかなかできないという、こういうこともございます。しかし、ベンチャーというのはかなりのリスクがある中で直接投資をしなきゃいけない。本来なら株式の上場がもっとしやすくなるだとか、大蔵関係の方の規制をもっと撤廃してくれればもっと楽になるのでしょうけれども、現状こういうような中で、今の意見も含めてベンチャー支援のあり方等々、それについてお聞かせ願いたいと思います。
  193. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 お話、二つございました。  一つは、第二次補正予算で創設されたわけでございますけれども先進技術型研究開発助成制度、これはいわゆるベンチャーを助成するという仕組みでございますが、実はこういう補正の関係もございまして、公募の期間が二週間という短い期間でございましたのですが、今お話しのように、六十一件、十億五千万円というふうな形の支援要望がございまして、やはりこれは大変期待されているのだというふうなことを実感をしたということでございます。  なお、これにつきましては、一月二十二日でございますが、このうちの十一件に対しまして、これは評価委員会の審査をいただいた後で決定したものでございますが、助成を決定をして、今もう実施をしていただいているということでございます。  それから二番目のお尋ね、これは大変難しい問題でございます。  まず現状認識でございますが、日米、特にアメリカと比較して考えることが非常に大切だというふうに思っておりますが、我が国では全産業が、やはりベンチャーという面で見ると企業の規模が小さいとか育っていないということが言えると思いますが、特にそういう中で情報通信分野、これはアメリカですと、ベンチャーというと情報通信と言っていいぐらいに情報通信が大きなウエートを占めておりますが、我が国では残念ながらまだこの情報通信分野でのベンチャーというのが非常に低いという状況がございます。  したがいまして、今いろいろ中期計画でやっている中でも、柱の一つに、ベンチャーをどういうふうにということでいろいろ考えておりますが、官と民との関係で申しますと、やはりこれは、基本的には民の皆さん方がベンチャーを育てるというふうにしていただくことが一番いいのだろうというふうに思っております。  ただ、現状の環境というふうなことで考えてみますと、やはりアメリカには、一つ大きなのは、エンゼルマネーという、個人が大変大きく投資をするというふうな、これがもう日本と決定的に違う部分が一つございます。  それからまた、我が国では、ベンチャーキャピタルというふうなことで投資をされる会社がございますが、これもまた数が少ない、資金が小さい。しかも、アメリカはベンチャーキャピタルというのが独立系でございまして、それのみを目的としているというようなことで、かなりリスクテーク等についても積極的にやっていくというふうな体質がありますが、御案内のように、我が国のベンチャーキャピタルというのは、銀行とか生保とか証券会社というところの子会社ということになっているものですから、なかなかリスクテークができないというふうなことで、まあ環境にかなり違いがある。  こういう中で、それでは私たち、国として何かお手伝いをすることがあるかどうかということでございますが、今のような状況でございますので、皆様方から、差し向き資金面から何か御要望があればそれにおこたえをするような仕組みだけはつくっておこうということで今させていただいているということでございます。  いずれにいたしましても、ベンチャーを育てるということは、恐らく官民それぞれにとっての大切なことだというふうに思いますので、いろいろ皆様方の御意見もお聞きしながら、国として必要なことがあればひとつ積極的にやっていきたいというふうに思っている次第でございます。
  194. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 しっかりと支援していただきたいというのが私の本心なので、ただ、余りにもお金が少な過ぎるわけですね。きょうもずっと各委員の話の中に出てきました、郵政省予算自体が少な過ぎる、応援したくてもお金がないというこの現実、ここら辺のところを、大臣、しっかり頑張っていただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。  これもちょっとダブっちゃうお話かもしれませんが、まず情報通信基盤の整備、これはやはり一番重要なインフラがしっかりしていないと、幾らバラ色の夢を描いてもできないと思うのです。そんな中で光ファイバー網の整備というものをずっとやってこられて、それの融資制度等も二・五%から二%に減らしたりだとか、いろいろとやっておられますが、本年度末、本年度末がまだわからない場合には昨年度で結構なんですけれども、光ファイバー網、これがどれぐらい敷けているのか、各家庭まで含めて。これの現状。  あと、問題は、その経費が幾らかかっているのか。平成六年五月の情報通信基盤整備プログラムですか、電通審のものと、さらに七年の二月に高度情報通信社会推進本部が出した高度情報通信社会推進に向けた基本方針、これ等によりますと、二〇〇〇年には人口カバレッジ二〇%、さらに二〇一〇年にしっかりとどこまでも先ファイバー網ができています、こういうような形なんですが、そのお金が二〇〇〇年のとき、二〇%のとき幾らぐらいかかり、また、二〇一〇年一〇〇%するには幾らぐらいかかるのか、これをちょっと教えてください。
  195. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 総理を本部長といたします高度情報通信社会推進本部におきまして昨年の二月に基本方針というのが出されておりまして、それにおきましても、このネットワークの構築は二〇一〇年ということが意識されているわけであります。  そこのことにつきまして、私ども考え方を少し申し上げさせていただきますと、まず最初、二〇〇〇年まで、これは先行整備期間ということで、人口カバーを二〇%程度考えておりますが、なかなかこの辺までは需要も起こりにくいであろうというようなことで、日本のネットワークは民間会社の通信事業者の方が敷かれる、あるいはCATV事業者の方が敷かれるということですので、その需要が余り起こらない先行期間中は国としてもこれを支援していかなければならないのではないかというふうに考えております。  それから、二〇%ぐらいの人口がいきますと、まあ最初のうちはどうしてもコマーシャルベースの強い大都市等が先に走るのではないかと思われますが、二〇%ぐらいを超えますと、だんだん需要も起こってきて本格的な整備期間に入る、それが二〇〇五年ぐらいかというふうに考えておりまして、二〇〇五年から二〇一〇年ぐらいが需要も出てくる、そういう成熟期に入るのではないか、こう考えております。  現状の状態はどうなっているかということでございますが、平成六年度末の人口カバレッジ、加入者線の部分でございますが、カバレッジは一〇%という状況になっておりまして、その後、平成七年度お認めいただきました融資制度等々を活用して動き出しておりますが、目下この二〇〇〇年二〇%、あるいは二〇一〇年に向かって大きく踏み出すことができたものというふうに思っております。  今後かかる投資、これは率直に申し上げますと、技術革新によってどんどん値段が下がる。光ファイバーなんかは特にそうですし、それから、加入者宅の集線装置といいますか、オプティカル・ネットワーク・ユニットと言っているようなもの、これもどんどん値段が下がってくるというふうに思われますので、現時点ではあくまでも予想でありますが、事業者の方々等のお話を伺っておりますと、加入者線の部分についての光ファイバー化で二〇一〇年の全国整備完了まで大体十六兆円と今試算をいたしております。  それから、先行整備期間の二〇〇〇年度まで、一九九五年度から始めまして、これが約二兆七千億というふうに今想定をいたしているところでございます。
  196. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 一番最初電通審の方で出たときかな、当初は三十三兆円ぐらいかかるんだとか、地中化には四十二兆円かかる。額がかなり下がってきたと思うのですね。ただ、やはりこれはかなりの額だと思うのです、その二〇一〇年までの十六兆円というのも。じゃ、これを民間の企業、電気事業者等々がすべて最終的にはやるんでしょうけれども、かなり体力がないとできないという現状があると思うんです。  これは分割・民営化等々の話もいろいろと絡んでくるかもしれないんですけれども、そんな中でのその融資制度、先ほど同僚議員の古賀委員の方からありましたけれども、無利子でいきたい、それを大蔵当局がなかなかオーケーしないというような形です。  大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、とにかく今のシーリング方式で今まで、例えば道路をつくる、公共事業というのは道路だとか港湾だとか、そういうような発想。新社会資本整備だとかいう言葉が出ながら、結局、情報通信基盤整備に関してはなかなか、いわゆるインフラという意識が財政当局等も少ないというこの現状にあって、大臣政府内にできている高度情報通信社会推進本部の副本部長でもあられますので、そこら辺のところでしっかりと大臣がやってもらわないことには、これはできないと思うんです。というところで、大臣のお考えをお聞かせ願えればと思います。
  197. 日野市朗

    日野国務大臣 先ほどからいろいろ議論ありますが、確かに、郵政省はいろいろ努力をいたしまして、予算の伸び率も前年対比で二五・七%という伸び率を示した、これは非常に努力をした成果ということが言えると思うんですね。努力の跡がいろいろ見られる。  それから、一つの新しい枠をつくったらどうかという御提言なんかも当委員会でもちょうだいをいたしました。私どもといたしましても、二十一世紀に向けて一層高度化を促進し、加速をしていくということで、国としての役割を果たすということから、従来の枠組みにとらわれずに柔軟にこれは対応していくことが必要ではないかというふうに考えております。  先ほどからお話が出ておりますが、高度情報通信社会推進本部ですね、ここでも、横にいろいろな省庁に割り振ってある予算、これを積み上げるとかなりの額になるわけではありますが、そうはいっても、やはり郵政省というのはこの中心でございますから、私としてもこれから、今お話しいただいたこと、よく共通の認識として持っておりますので、努力をしてまいりたいと思います。
  198. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 しっかりとやっていただきたいとともに、財政当局、大蔵大臣、久保大蔵大臣ですから、同じ社民党ですので、しっかりとそこら辺のところは連携をとりながらやっていただきたいなと思います。  もう時間も大分なくなってきたので、せっかく貯金局長放送行政局長来られていますので、しっかり質問しないといけませんので。  これもずっとよく言われている、きょうもちょっと出ましたけれども郵便事業、また郵貯関係ですね、民営化論とよく出ています。これも、それぞれいろいろな言い分があると思うんですね。特に、官業は民業の補完に徹すべきであるというような意見だとか、また経団連の方は、「魅力ある日本 創造への責任」という、ことしの一月十六日ですか、発表された中にも、郵貯を分割・民営化するというふうにありますけれども郵政省の方ではなかなか反論する機会もないと思います。  貯金局長、しっかりとそこら辺のところで、どういう考えなのか、どうあるべきなのか、そこら辺をお聞かせ願いたいと思います。
  199. 木村強

    木村政府委員 離島や山間辺地を含めまして、全国各地の国民、住民の皆様にあまねく公平にサービスできるのは国営郵貯だからこそだと考えております。  特に、最近の民間金融機関の問題を見るにつけまして、個人金融に対するサービスということを非営利という原点に立ってフォローしていくということが非常に大切ではないか。やはり、民間金融機関は行動原理があくまで利潤の追求ということにあるわけでありまして、そういった意味では、個人の小口の金融問題についてきちっとフォローしていく仕組みというものが、どうしてもこれは採算に合わない分野というのが多うございます。  それから、自由化が進む中で、全国各地ということになりますと、店舗配置にいたしましても採算性といったようなことも問題になるということで、ますますこれから自由化が進みます中で、個人金融をきちっとフォローしていくということが全体の自由主義経済にとっても極めて必要な部分であろうというふうに考えております。この分野がしっかりと国民に根づいて、安心できる体制として国営郵貯があるということは本当に必要であろうということを痛感しておりまして、こういった国民ニーズにこたえるために、私どもは全力を挙げて今後とも対応してまいりたいと考えております。
  200. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 あと、もう本当に残りわずかですから、今度は放送行政関係一つだけ。  ディジタル放送、これが多チャンネル放送ということで、ことしの六月ですか、スタートしていく中で、CATVも、都市型のCATVというのは、多チャンネルということが一つの売り物であって、競合するわけですね。  私個人意見としてみれば、それは競争しながらいいものを出していけばお互いレベルアップできるという考えがあるのですが、「揺れるCATV業界」、こういう記事もまたあるわけで、ここら辺のところの、CATVも正直言ってまだ根づいていないというか、根づき切っていない。こういうような現状の中で、郵政省としてみれば、そこら辺のところをどうとらえているのかということをお聞かせ願いたいと思います。
  201. 楠田修司

    ○楠田政府委員 最近のCATVの状況ですが、非常に順調に伸びております。  CATV全体では、もう一千万世帯を超えております。中でも、都市型CATV、引き込み端子一万以上の大きなCATVですが、これは、今年度上半期の増を含めまして、最近では二百六十五万加入ということで、前年比三〇%以上の伸びということで、非常に伸びております。  こういうような中で、また一方でCSディジタル放送ということで、非常に多チャンネルの放送が始まるということでございます。これにつきましては、両方とも多チャンネルの放送をするということで競合するんではないかということを先生指摘でありますが、競争が生じることは事実でございます。  しかしながら、一方で、日本のCATVはアメリカほどたぐさんの多チャンネルの放送をやっていない、CSもこれからいろいろ立ち上がっていくという中で、両方とも、こういう場ができることによって、多チャンネルが立ち上がる。CATVは、場合によってはCSから来る放送をCATVで放送するということができるわけであります。  ひいては、それによりまして、CSディジタルの場あるいはCATVの場でソフト業界がいろいろな作品を発表できる、プログラムを発表できる場がふえるということで、競争と同時に共生といいますか、ともに発展するという地盤が非常にできるんではないかというふうに思っております。  そうはいいましても、CATV業界はまだ立ち上がり期でありますので、一方では、郵政省といたしましても、いろいろな支援策、技術的な研究開発あるいは補助金等々を含めましてサポートする予定でありますが、基本的には競争によって両方とも伸びるというふうに考えているところでございます。
  202. 高木陽介

    ○高木(陽)委員 もう終了時間になりましたけれども、最後に、これは質問じゃなくて聞いておいていただきたいなと思うんですが、NTT問題のことに関して、きょう午前中から各委員がずっと質問されてまいりました。そんな中で、これもまだ電通審答申が出てないということで、郵政省の方としてはコメントしようもないというのが現状だと思います。  ただ、そうはいいながらも、マスコミ等はもう先手先手でどんどん書いていく中で、ことしの一月二十一日の日経新聞によると、「答申郵政省のリードで「分離・分割」となるのは間違いなく、政治決着でそれが引っ繰り返されるのも間違いないという。連立政権では支持母体に全電通を抱える社会民主党が分割反対で、橋本首相も分割慎重論。野党・新進党も小沢党首が慎重らしい。審議会答申が政治決着で凍結された五年前の決まり手が、再現しそうなわけだ。」こういうふうに多くの人たちは見ているわけですね。  大臣が先ほどから何度か言われた、答申を尊重するという。社民党の、旧社会党の政審会長までやられた大先輩ですし、なかなかそういういろいろなしがらみもあるかもしれません。ただ、今回の問題というのは、しっかりとした視点を持っていただきたい。  これは何かというと、これも各委員指摘しておられました、要は、利用者国民がどういうふうにとらえるか。正直、電話を使っている人、インターネットを使う人は、分割しようが分離しようが、またはそのままであろうが、どっちでもいいと思っていると思うんです。大切なのは、その後の料金だとかサービスだとか、または選択の幅が広がるだとか、そして国際競争力に勝ちながら、そしてまたいいサービスを受けられる、こういったことが一番大切な視点であるということ。電通審の中でもそういう話はされているとは思うのですけれども、それを受けた後、郵政省内でまた政府部内でこれをしっかりと一また、さらに記事では「NTT分割に反対 与党三党が合意」、こういう記事も載っているわけですね。ですから、こういうことが前もってどんどん出ている中で、そのとおりになってしまえば、ああやはりそんなものなのかと多くの国民思いますし、そこら辺のところは、大臣、リーダーシップを発揮してやっていただきたいということを申し添えて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  203. 中川昭一

    中川委員長 矢島恒夫君。
  204. 矢島恒夫

    ○矢島委員 私は、沖縄における電波にかかわる問題で質問したいと思います。  昨年来、あの米兵による蛮行以来、沖縄における基地の問題あるいは日米地位協定の問題さらには日米安保条約、これらにかかわる問題が非常に大きな関心事となり全国的な問題になってきております。確かに沖縄県には、在日米軍のうちの約六二%に上る二万九千人の兵士がいるわけですし、基地は全土の七五%を占めている、こういうわけです。  そこで、沖縄の米軍が使用している、いわゆる占有しているところの電波資源というのは、基地の規模に比例すると思いますので、本土をはるかに上回るものだと考えるわけです。しかし、電波は見えませんし、また、日米地位協定によって在日米軍にはいわゆる電波法というものは適用されない。さらに、政府もその内容等を公表しないというので、なかなかその実態というものが国民にわかりにくい状況にあるわけです。そういう中で、私、具体的な問題で幾つか質問させてもらいたいと思います。  まず一つは、一九九〇年、平成二年の十月から九一年、平成三年の二月にかけて、沖縄市の一部地域で民放の一つである沖縄テレビが米軍テレビからの違法電波によって混信を受けるという事件があったと思います。もちろん、沖縄では米軍がVHFのテレビ局を持っております。これは第六チャンネルだったと思います。それから、沖縄テレビは第八チャンネルで放送しています。どういう経緯でこういうことが起こったのか、その経緯について御説明いただければと思います。
  205. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 ただいま先生から御提起がありましたように、平成二年の十月に沖縄テレビ放送が送っております放送につきまして受信の苦情が発生したということがございました。その後、平成二年の十一月に沖縄テレビ放送と沖縄郵政管理事務所の共同調査を実施をいたしまして、あわせて米軍に対して調査を依頼をいたしました。その後、平成三年、九一年二月ぐらいに至りまして受信の画質は改善をしたということでございます。
  206. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そこで、そういう形の調査及び改善ということがなされたわけですが、受信障害が起きた地域というのを見ますと、その周辺に、例えばキャンプ瑞慶覧だとかあるいは嘉手納基地などたくさんの基地があります。  時間の関係がありますので、私まとめてお聞きしますのでお答えいただきたいと思うのですが、この受信障害を起こした放送電波を出したのは米軍のどの基地で、そしてどういう施設だったかということが一つ。それから、郵政省が米軍に対して調査依頼をした、十二月だということですが、十二月何日だったかということ。それから、郵政省のどの部門から米軍側のどの部門に調査を依頼したかということ。例えば、在日米軍司令部だとか大使館だったとか、その他米軍の通信部門だとか、その辺についてお答えいただきたい。最後に、アメリカ側が対策をとった、こういう回答をしてきたのは何月何日だったか。以上、まとめてお聞きしたい。
  207. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 何点かございましたので、もしお答えするのが漏れておりましたら補足させていただきたいと思いますが、具体的な地域、どういう形でどこから発射されていたかというのは、必ずしも掌握をし切れない状態でおりました。  あと、米軍にそのことを申し入れ、そのことについての調査を求めたということにつきましては、日米合同委員会の会合の結果として内容については非公開とするという合意が日米双方でなされておりまして、このことについて申し上げることはできませんので、お許しを賜りたいというふうに存じております。  それからもう一つ。何日にそういうことについて米軍に連絡をとったかというのは、今、ちょっと私、手元にある資料ではつまびらかにしておりません。月だけで、先ほど申し上げたことが、私、今手持ちの資料ではそういった段階でございます。
  208. 矢島恒夫

    ○矢島委員 結局、私が四つの点についてお聞きをしたわけですが、一つもはっきりしないというのが今の局長の答弁だということになるわけで、これがやはり沖縄の電波事情の実態だと思うわけです。  放送局が他の放送局の電波を妨害するなどということは、日本放送事業者の間では決して考えられないことですね。関東でいえば、例えば六チャンネルのTBSが八チャンネルのフジテレビに受信障害を与えた、こういうようなことですから、我が国の電波法のもとでは起こり得ない事件が沖縄では起こっているということは言えると思うのです。  我が国放送局というのは、すべて郵政大臣による定期的な検査というのが義務づけられている。しかも、本件、今局長の答弁によれば、苦情申告が出てから解決までは四カ月かかっています。それから、現地で、米軍基地内の放送電波という原因を究明してから解決までも三カ月かかっているのですね。  私、現地の関係者から聞いた話の中にこういうのがあるのですね。米軍が放送用の送信施設を更新したとき、技術力が十分でない業者に発注したために余計な電波を出してしまい受信障害を起こした、こういうのもあったのです。もちろん、米軍基地内のことですから、私どもも確認することはできません。  御説明にもありましたように、平成三年の二月に米軍が対策をとった、こういうことですが、いわゆる送信機のフィルターというものの交換を実施した。そして、大体、フィルターというのは最初から送信機につけたままのものであって、途中でフィルターを交換するということはまずないというものではないか。結局のところ、送信機全体を取りかえたときに大変いいかげんなことをやった、こういう疑いも持てると思うのです。いずれにしろ、これは沖縄特有の問題であり、事件だと考えます。  そこで、もう一つ。問題事件のことですが、運輸省、いらっしゃいますか。民間航空機のいわゆる航空管制を行っている運輸省の航空交通管制部、札幌、東京、福岡、那覇、四カ所あるわけですけれども、この航空管制用のレーダーだとかあるいは無線に混信、妨害があったときには、運輸省は、郵政省の地方電気通信監理局、いわゆる電波監理の方に申告することになっていると思うのです。  最近の五年間で、郵政省のこの電波監理への混信、妨害の申告数、これをこの四つの管制部ごとに、航空路の監視レーダーそれから対空通信施設別にお答えいただけますか。
  209. 安部憲治

    ○安部説明員 お答え申し上げます。  御質問のございました四管制部におきまして、先ほどの五カ年間の間に発生した混信、妨害でございますけれども、発生件数、まずトータルでございますけれども、四管制部トータルは百九十六件ございます。  あと、管制部ごとに、細部ごとに申しますと、札幌管制部、レーダーはこの五年間ゼロ件、対空通信施設十六件、小計十六件でございます。  次に、東京航空管制部、レーダー関係四件、対空通信施設六十三件、合わせまして六十七件でございます。  それから福岡航空交通管制部でございますけれども、レーダー関係五件、対空通信五件、合わせまして十件。  それから那覇航空交通管制部でございますけれども、航空路監視レーダー三十九件、対空通信関係六十四件、合わせまして百三件でございます。  以上でございます。
  210. 矢島恒夫

    ○矢島委員 今の運輸省の報告にもありますとおり、那覇の管制部が突出しているんですね、この問題では。  郵政省の方からいただいた、一般といいますか、全体の混信、妨害の苦情申告の状況、これを見ますと、まず正反対の結果が出てくる。つまり沖縄は極めて少ないわけですよ。例えば、平成五年、申告件数は二千四百八十六件、そのうち沖縄は二十九件、それから平成六年、申告件数二千六百三十三、これに対して沖縄は三十六件。結局、東京とか大阪、あるいは管制部がある札幌、福岡などと比べてみましても、沖縄は格段に少ない。  私が言いたいのは、全体的な電波の混信や妨害の苦情申告は、全国的に見て非常に低いレベルにあるのが沖縄である。ところが、先ほどの運輸省の報告のように、航空交通管制用のレーダーや、あるいは管制官と航空機のパイロットをつないでいる無線、これへの混信、妨害は突出しているわけなんですね。もう少し先ほどの数字で申し上げれば、札幌ではレーダーはゼロ、それから無線の方が十六件等々なのに、那覇ではレーダーが三十九件、それから無線の方が六十四件、百件を超えているような申告数になっているわけであります。  もう少し分析しますと、この那覇の航空交通管制部のいわゆる空域区内にあるレーダーというのは、奄美と宮古島とそれから沖縄本島の八重岳、この三カ所ですか、この五年間にレーダーに対する混信、妨害の苦情申告が三十九件あるわけですよ、先ほどのお話のように。このうち三十件が八重岳レーダーへの混信、妨害なんですね、つまり沖縄本島です。  郵政省は、なぜこういうような状況、つまり沖縄の航空管制用のレーダーや無線が非常に混信、妨害が多い、なぜこういう状況になっているとお考えか、どのように認識していられるか、お答えいただきたい。
  211. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先生指摘のとおり、沖縄にありまして、航空管制レーダーというか、航空関係の無線局についての混信申告が多いというのは御指摘のとおりでございます。  現実に、いわゆる私どもの措置の中では、こういった混信につきましては、発射が一過性であったために、混信源、発射源が特定できないというようなこともございます。現実に、航空関係の混信の関係で見ましても、申告時に既に停波していたものとか、あるいは調査中に停波になったものということで特定はできないということから、直ちにどこかに問題があるということを、私、公に今申し上げられるまで具体的な資料を持ち合わせておりません。  ただ、いずれにいたしましても、無線局に対する混信、妨害、こういったことにつきまして、今後とも、より迅速かつ的確に対処してまいらなければならないというふうに存じております。
  212. 矢島恒夫

    ○矢島委員 特定できないということで、はっきりした答弁が得られませんが、私が申し上げたいろいろな数値から見て、だれが見ても、どうも沖縄はほかにない特別な電波環境だ、このことは明らかだと思うのですね。  郵政省が、この沖縄における混信、妨害で、その原因者が米軍であると特定したことはありますか。
  213. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 無線局に対します混信につきまして、在日米軍にその調査を依頼したということはあります。  現実問題としてその原因がきちんと特定されないというところはあるのでございますが、そういったことが発生した場合には、日米合同委員会の取り決めに従いまして、迅速に解決を図っていくということにしているところでございます。
  214. 矢島恒夫

    ○矢島委員 御答弁ですと、特定したことはないと考えてよろしいのですか。特定するのは困難だということで、調査を依頼したことはある、こういうお話です。  私が最初に挙げたテレビの混信の問題ですが、この受信妨害について、郵政省の御説明をお聞きいたしますと、米軍の方から修理したよ、こういう連絡があって、解消して、そういう障害がなくなった、こういうことですが、米軍の放送がこの原因者であったことは、もうそういう結果から見ても明々白々なんですね。ただ、郵政省の今のお話にもありますように、推定はできても特定はできないということになりますか、そういうお話であります。  そこで、もう一つ、重大な事件が一九九一年の七月二十三日に起こっているんですね。これは、八重岳の航空管制用のレーダーに妨害があったという件であります。午前十時五十五分とそれから午後三時一分、特に午後の場合には二十五分間にわたってレーダーに対する妨害があった、こういうことであります。  このことについては、我が党の沖縄選出の古堅衆議院議員が、当時の運輸省の筒居管制保安部長に申し入れを行いましたが、そのことについて、沖縄の地元の新聞である琉球新報だとかあるいは沖縄タイムズがその報道をしております。   妨害電波発生の状況について、筒居管制保安部長の説明によると、二十三日午前中に約二十秒、午後には約二十五分にわたって断続的に発生。同日午後、嘉手納基地に専任管制官ら四、五人が出向き担当将校に直接、抗議と演習中止を求めた。米側は「操作ミスで申し訳ない。再発は絶対起こさない」と釈明。翌二十四日にも改めて、訓練を中止することはできないが、偵察機プラウラーの飛行を差し止めて原因を究明する、同じミスが起こった場合は訓練を中止したいという回答があった。 大体沖縄タイムズでも同じような報道記事になっております。  こういう重大事件であって、しかも米軍もミスを認めて、電波を出したのはEA6Bという電子偵察機なのですね。通称プラウラー、こう呼ばれております。これも判明している。それでも郵政省によると、米軍による電波の混信、妨害と特定できたものはないということになっているわけです。郵政省は事実を隠しているのか、それとも米軍をかばう理由があるのか、その辺はどうなんですか。
  215. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 ただいま先生からるるお話のありましたことでございますが、運輸省の那覇航空交通管制部から郵政省の沖縄郵政管理事務所への申告によりまして、八重岳航空用レーダーに対しまして、平成三年七月二十三日の午前十時五十五分ころ及び午後三時一分から二十七分にかけて断続的に、一回当たり二十秒から三十秒にわたる短時分の混信が発生したということは承知をいたしております。でありますが、申告を受けたのが混信発生の事後でありましたし、また一過性であって、その後もずっと引き続き起こったという状態でございませんので、私どもとしては混信源の特定には至っていないというのが実情でございます。
  216. 矢島恒夫

    ○矢島委員 確かに現場の職員の皆さんは一生懸命苦労されていますよ。嘉手納基地といえばあれは広大な基地ですから、こちらのフェンスの外から、もちろん中に入れませんから、測定器を使って方位を探るわけですね。今度は反対側までずっと行くわけです。そしてフェンスの外から測定するというような苦労をされている。  しかし、こういう苦労にもかかわらず、そもそも基地内にどういうような無線局があるのかわからない。もちろん基地内のどういう場所、どういう施設なのか、あるいは基地内の戦闘機であるか、あるいはヘリコプターからの無線なのか、また停泊中の艦船なのか、こういうものを特定することは不可能だ、こういう状況ですから。そこで、この特定するというところまで要求することになるとなれば、結局アメリカ軍からの妨害だということは特定できないというのが今の現状での状況だと思うのですね。ですから統計的には、郵政省の方の局長の答弁にもあったように、特定はできない、こういうことに結果的になってしまうわけですよ。  我々が調査した中で、米軍ではないかと推定されるところの混信、妨害、昨年で三十件以上、こういう話を聞いていました。例えば、四月上旬には沖縄県勝連町のホワイトビーチに強襲揚陸艦エセックスが入港しました。そのときに航空用無線に英語による会話の混信が入りました。また米軍機のトランスポンダーによるところのノイズ、それから嘉手納基地から出ていると推測されるノイズ、普天間飛行場からのノイズ、あるいは米軍機からと思われる自動車電話基地局に三十秒程度の繰り返しの混信、消防無線への英語による混信などなどがあるのですね。  いずれにしろ、航空管制用のレーダーや無線への妨害、混信が沖縄では突出しているというこの事態を放置することはできないと私は考えるわけです。  運輸省の申告を見ますと、この五年間に那覇の管制部では百二十一・五メガヘルツ、これに十回の混信、妨害が入った、こういうことになっていますが、この百二十一・五メガヘルツというのはどういうことに利用する周波数帯ですか。
  217. 安部憲治

    ○安部説明員 私ども、百二十一・五メガヘルツにつきましては、緊急時の周波数ということで使っております。
  218. 矢島恒夫

    ○矢島委員 大臣、これはSOS用の、緊急用の周波数なんです。十回も混信、妨害があったのですよ。大臣、今までずっと論議をお聞きになっていて、沖縄の電波事情の実態がどうなのか、ほかと、日本の本土の方とどういう違いがあるかというのをおわかりいただいたかと思うのですけれども、地位協定の見直したとか、あるいは米軍基地を撤去してほしいとか、二〇一五年までには全面返還をというような、沖縄県側の要求もいろいろあります。これはやはり米軍基地があることによって、この戦後五十年間あるいは返還後二十四年間ずっと苦しみ続けてきたということからなんですね。  電波で起きている問題は目に見えないのですよ。だけれども重大な問題があると私は考えるのです。電波法が適用されない、あるいはいろいろと今申し上げたような混信や妨害、こういうものが起こっても、その責任を問われないところか、原因者として特定することもできないのですね。これは、昨年起きたあの少女暴行事件という中で、犯人の身柄を拘束するということすらできなかったのです、いわゆる治外法権的な特権と言われておりますけれども。これは、電波の方でも同じことが言えると思うのですよ。その原因をつくった者がどこかにいるわけです。しかし、それは特定できないし、また中へ入って基地内を調べることもできないし、日米地位協定の中で、まさに電波についても、電波通信の問題でも治外法権的な特権が与えられているんだ。  大臣、こういうところ、やはり地位協定の見直しということについてどうお考えか、ひとつ。
  219. 日野市朗

    日野国務大臣 私、不勉強で、特に沖縄における電波の問題については非常に啓発されるところが多かったというふうに思っております。ただ、在日米軍の使用する電波については、日米地位協定の実施に伴う電波法の特例に関する法律の適用があるわけでございますね。これは全くの野放しということではございません。また、日米地位協定に従って両政府間でこれは取り決めをすることになっております。  これまでのところ、今局長の方から、いろいろ先生から提起された問題に対して、るる郵政省立場というものをお話を申し上げました。それで、私としては啓発されるところがあったと先ほど申し上げましたが、現在の状況で在日米軍の電波利用についての見直しの必要が、現在郵政省認識しているところで見直しの必要があるという認識はちょっと持てないという感じがいたします。
  220. 矢島恒夫

    ○矢島委員 まあ、大臣の御答弁、大変なことだと思います。というのは、今申しましたSOSの緊急電波さえ混信が入ってきている、ほかにはどこにもないのですよ、こういうことは。そういうような状況だとか、あるいは特に民間機の航空に支障を来すような混信なんかが起こったら、本当に航行の安全すら保持できないという事態が起こっているわけなんです。  そういう面では、やはりこの日米地位協定によって今日そうなっているということはわかります。わかりますけれども、それをやはり沖縄県民の願いの方向へ少しでも改善していくということは必要だろうと私は思うのです。  やはり米軍が発表しなくても、基地というのは目で見えて、ああ、あそこにアメリカ軍の基地があるのだなとわかるわけです。ところが電波資源というのは、国民共有の財産だとされながらも日米安保の名目でどれほどアメリカ軍が占有しているのか、こういうことすら明らかにされてないわけですね。これを放置しておきますと、沖縄県における今後の情報化の障害にもなりかねないです。  というのは、現在非常に電波事情というのは逼迫した状況になっているということは、大臣も御案内のとおりです。携帯電話だとかあるいは各種の移動通信を初め、マルチメディアに向けて電波の需要というのは急速に拡大しているわけですね。沖縄県当局が政府へ要望を出しておりますが、軍事基地の存在が県の振興開発と経済発展の重大な障害になっていることを指摘した。電波についても同様のことが言えるわけなんですね。  この米軍の占有する電波の返還を求める意思がおありかどうか。特に、政府も沖縄の基地縮小には取り組もうという姿勢で今いるわけですから、基地が縮小されれば電波利用も縮小されるはずだと私は思うのです。こういう周波数の返還を求めるべきではないかと思うのですが、大臣、これは政治的な判断の問題ですので、お答えいただきたいと思います。
  221. 日野市朗

    日野国務大臣 在日米軍の電波の使用について、日米地位協定に基づいて必要な範囲に限って使用を認めているということでございます。それで、必要なくなれば電波の使用を取りやめるということとなっているわけでございますね。  そこで、現時点でありますが、在日米軍が使用している電波について、現在縮小を求める必要というものは特段認識していないということでございます。
  222. 矢島恒夫

    ○矢島委員 時間になりました。  ぜひひとつ、日米地位協定の見直しとかあるいは米軍の電波利用の縮小、あるいは占有電波の返還、こういうことを求めていくということは、今日沖縄県民の重要な要求であるし、沖縄の今後の経済発展の中でも、あるいは情報化社会へ向かっていく場合でも重要な問題だということを認識されて、積極的に取り組んでいただきたい。このことを申し上げて質問を終わります。
  223. 中川昭一

    中川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十一分散会